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安武洋子君 これほど明白な問題について、なおそれは御
調査をしないで、私は、なるほど違反でございますというふうな御答弁は求めはいたしません。しかし、これほど明白なことがあるなら、御答弁としては、やはり
調査をして必要な措置を講じましょうと、こういうふうに
お答えいただかないといけないと思うのです。
さらに申し上げますけれ
ども、住友ゴムのようなこういう明白な男女差別の賃金、こういうのは
労働基準法の四条で救済されるわけです。しかし、いまもっと深刻に考えていただかなければならないのは、こういう明白な形ではなくて、いま多くの職場で男女の賃金差別を生み出しているのは職務、職階給が導入されている、そして昇格昇任ということで
女子が差別をされているわけです。この昇級昇格ということと賃金が一体化されている中で、
女性が昇任、昇格の差別を受けるものですから、ここに大きな賃金差別があらわれるという、こういう状態が各所に生じているわけなんです。
私は例を挙げさしていただきます。よく聞いておいていただきたいんですけれ
ども、
一つは大丸デパートです。ここは
女性が圧倒的に大きな比重を占める職場です。入社どきは全く男女差がございません。最初同じフロアで働いております。しかし、六年
たちますと
女性の平均基準内給というのは同一学歴の男性の平均と比べまして八七・四%になってしまいます。そして十年たてば七八・六%になります。二十年たつと六五・九%、男性の三分の二以下になってしまうわけです。デパートというのは一日立ちづめで非常に仕事は重
労働であるというふうなことが報告もされているわけです。しかし、こういう
女性に対して男性は——何も男性を悪く言うわけではありませんけれ
ども、男性は勤続六年で九八%までが四等級以上に在籍しているわけです。大丸は一等級から二等級、三等級というふうに上がっていくわけです。勤続六年で男性は九八%までが四等級以上です。しかし、
女性は八四%がそれより下の三等級にとまってしまっている、こういうことになっております。十年たって見ますと、男性は九六・五%が五等級以上に上がっております。しかし、
女性は全員が四等級以下なんです。こういうことで、これが二十年たてば、女は男の三分の二の賃金になるというふうな男女間の賃金差別の
原因になっているわけです。
これは民間だけではございません。さらに例を申し上げますけれ
ども、
政府のおひざ元の国家公務員でもこういうことがございます。これは各省庁にありますが、私は運輸省の第三港湾建設局の
行政職(一)の
女子職員の例を申し上げたいと思います。
この第三港湾建設局の
行政職(一)の
女子職員全員、これが五等級以下なんです。五等級というのは、この
女子たちは、しかも五の十五から五の十九、上位号俸に
女性がひしめいているわけです。そして六等級を見てみましても六の二十とか六の十九とか六の十八とかと、こういうところにとっくに上位の等級に昇格できる、こういう資格を持っている。それにもかかわらず昇給額がほとんど上がらない、わずかしか上がらないと、こういう上位号俸に
女子がひしめいている。男子の場合はどうかと見てみますと、男子の場合は六等級の八か九でもう五等級に昇格しているわけです。ところが、
女子の五等級の人
たちを調べてみますと、男子は六等級の八か九で昇格するわけですけれ
ども、
女子の場合は六等級の二十号以上で初めて五等級に昇格する、こういう差別があるわけなんです。私は、こういう問題をいままでやってまいりましたときに、いつも御答弁は、昇任昇格というのは個々個々の問題である、個人個人の問題である、こういう
お答えが返ってきます。しかし、いかにおっしゃられようと、全体として客観的に見たときに、
女性は下位の上位号俸にひしめいている、男子は早く上位等級に昇格している、こういうことが各省庁にあらわれている。これはどんなに言われても、私は明らかに
女性差別である、
女性を昇任昇格から振り落とし、そしてそれが賃金差別になってあらわれているという以外に言いようはないと思うんです。
さらにもう
一つ例を申し上げます。これは
全国社会保険診療報酬支払基金の場合ですが、ここでは
昭和五十三年に第一組合と第二組合の
労働組合間の格差を解消するに当たりまして、男子は勤続年数だけを基準に一律に昇格させております。
女性は第一組合であろうと第二組合であろうと、こういう措置から全部除外しております。すなわち、男性は勤続年数のみで下位等級から五等級あるいは四等級、三等級と上位の等級に全員一律に昇給させているわけです。しかし
女性はこういう昇格は除外しているわけです。そして五等級の場合ですけれ
ども、男性は勤続十三年を基準としてやっております。しかし
女性は何と勤続十八年という基準、明らかに五年の差、基準に五年の差があるわけです。しかも
女性は、先ほ
ども言いましたように、昇格はしないで給料の号の是正だけにとどめている。これも、何といっても、どう言われようとも明らかに男と女の性の差別以外の何物でもないと思うわけです。
私は、いま三つの例を挙げました。しかし、きょうは大変時間に制限がございますので、この三つの例の個々個々の回答を求めるというふうなことはいたしませんけれ
ども、いまや新しく職階職務給を導入する、そして
女性をそういう昇任昇格から外していくというふうなやり方で、非常に隠微なやり方で、これが賃金差別を至るところに生み出している。男子を一〇〇としますと
女性の賃金というのは五六・二です。諸外国に比べてもきわめて差別が著しいわけです。こういう男女の賃金差別を生じている
原因、私がいま申し上げましたけれ
ども、こういう状態を
労働大臣としては一体正常な状態であるというふうな御認識をお持ちでございましょうか、これをまずお伺いいたします。