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○
政府委員(
水原敏博君)
お尋ねでございますが、だれを調べたか、それからまた、それをどのような
方法でいつ調べたか、
内容はどうかということにつきましては、まさに
捜査の
内容に関するものでございますので、ここで
答弁は差し控えさせていただきたいと思いますが、
先ほども申しましたとおり、
検察当局といたしましては
所要の
捜査を遂げていると思っております。
-
-
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-
-
○
渡辺武君 とにかく、二人が
入院で一人が行方不明と、これは重大な
事態だと思うのですね。どうなさいますか。
-
○
政府委員(
水原敏博君)
検察庁は、
委員も御
案内のとおり、犯罪があるという疑いがあるならば、その存否に関しましては、従来の実績に徴しましても、徹底的に
解明捜査をいたすものでございます。したがいまして、仮に
関係者に病人が出ておりましょうとも、その
病状を勘案しながら所定の
捜査を遂げるでありましょうし、
所在が不明だということになりますならば、それ相応の
方法を講じまして
所在の
捜査に鋭意努力するものだと考えております。これはあくまで
一般論で申し上げたことでございまして、この
税政連の
関係ということは、
先ほども私
答弁申しましたとおり、そのような事実があるかどうかを
承知しておりませんので、
一般論として申し上げたわけでございます。
-
○
渡辺武君
小佐野賢治や
児玉譽士夫や
松野頼三氏な
ども捜査の重要な段階になって
入院したというような例もあるわけですね。それで、
日税連関係のこの三氏の場合、あるいは本当の
病気の人もあるかもしらないけれ
ども、あるいは
捜査を免れるためかもわからぬですね。こういうことでは
捜査の
支障になるのじゃないかというふうに思います。その点についてどう考えられるのか。それから、もし
入院しているとすれば、いまおっしゃったようなことで、たとえば
臨床尋問な
ども含め、厳正なやっぱり
捜査ということが必要だと思いますが、その点についてもあわせてお答えいただきたい。
-
-
○
渡辺武君
入院とか行方不明とか、この事実は確かめられますか。
-
○
政府委員(
水原敏博君) ただいまのところ私は
承知しておらないのでございますが、確かめてみたいと思っております。
-
-
-
-
-
-
-
○
渡辺武君 そのお渡しした
資料の二枚目を見ていただきたいのです。これは
アメリカ軍がこの
事件が起きた後に
沖繩県に提出した
資料、これに私
どもが、いま
防衛庁の方から
答弁のあった当日の「
射撃任務」に書かれている
座標ですね、これを書き込んだものです。左手の方に
恩納岳と大きく書いてありますが、その下に
ちょんちょんちょんと打ってあります。これが
水源涵養林、
先ほど認めたとおり
演習予定区域の中に
水源涵養林が含まれている。これは明らかなんですが、その
ちょんちょんちょんの中の左上の方に、12345というのがあります。これは
防衛施設庁の調べた、「
射撃任務一
座標八七七二七八」というのがこの1に該当するわけです。初めの八七七、これはその
地図の一番下に左から右にかけて八六、八七、八八、八九という
座標が書いてありますが、その
座標をあらわしております。それから八七七の二七八というのがありますが、これは
縦軸をあらわしている。その
縦軸は、
恩納岳という岳という字のすぐそばに二九、二八、二七、二六と上から下にこう書かれておりますが、その軸です。この軸で合わして、この
着弾地ですね、これを見つけてみれば、明らかにこれは
水源涵養林の中に含まれている。事実、当日、
涵養林の
保護のために
訓練を監視していた
伊芸区の公民館の職員が
実弾が
涵養林に撃ち込まれているということを確認したことを証言しております。この点どうですか。
-
-
-
-
○
渡辺武君 それでは、私がこの点々であらわしたこの
区域がそれに該当するんです。あなた方、もう一度調べてほしい。
-
-
○
渡辺武君 その
調査の結果、もし
水源涵養林に
実弾が
射撃されているという事実が明らかになった場合に、これは当然中止させるべきだというふうに思いますけれ
ども、これは
施設庁長官にお答えいただきたい。やめさせるようにやっていただきたいのですが、どうですか。
-
-
-
-
○
渡辺武君 以前に
演習がやられていて、いま言ったように、四十八年以降はやられていないという理由は何ですか。
-
○
政府委員(
玉木清司君) 一口に言いまして、
米軍の都合によると思いますが、察するところでは、八インチというものは大変重い砲でございますし、
沖繩からここに運んでくるということの
効率等を考慮しておるのじゃないかと思います。
なお、現状におきましては、八インチ砲は自走化されましたので、自走化されたものは
沖繩にたしか二両だったと思いますが、そういう数量しかございませんので、したがって、八インチ砲が
本土の
富士で行われていないという実情が理解できるところでございます。
-
-
-
○
渡辺武君 火薬の詰め方がちょっと予定よりも間違えば、二万メートルの
飛距離をもともと持っている八インチ
りゅう弾砲なら、これはもう四千メートル程度の
射距離をはるかに超えてぶっ飛ぶという可能性は十分にあるのですよ。絶対にないなどということは軍事的にも技術的にもあり得ない。そんな危険なものを
沖繩でいまだにやっている。けしからぬ話です。
時間の
関係で次へ移りますけれ
ども、わが党の議員団が、キャンプ
富士射撃場規制というものを一これ、
米軍の
資料ですけれ
ども、入手しました。お手元の差し上げた
資料の一番上に英文で書いてあるのがその
資料の表紙です。それで、その中の百十五項に
実弾射撃に関する制限、限度というものがありますけれ
ども、
防衛施設庁の方でもし入手しているならその
内容を説明してほしい。
-
○
政府委員(
玉木清司君) 第一の火薬の詰め方が間違えば大変危ないという御
指摘でございますが、こういう大口径の砲におきまして火薬の量を間違えるか間違えないかということは、これは
訓練の——そこが
訓練でございまして、火薬の量を間違えて遠くへ飛んじまうというようなことはこれはございません。
それから、二つ目の御質問は……。
-
-
-
○
渡辺武君
防衛施設庁ね、これはもう
米軍が
演習をやるときにはちゃんと
連絡があるはずだ。そのぐらいのものは入手しているに違いないんだ。それを知らないなんというのはおかしいですよ。
時間が問題ですから、ちょっと私その中身を紹介してみますと、その百十五項の
実弾射撃に関する制限、限度、これでは次のように書かれている。
まずbですね、直接標準
射撃は山塊——山のかたまりですね。山塊もしくは山塊のふもとに置かれるターゲットのみを
射撃するであろう。それから、fのところには、遅速タイプ
砲弾もしくは遅発信管を持つ
砲弾の使用は禁止される。それからjのところには、固定翼ジェット航空機からの
射撃もしくはいかなる型の航空機からのいかなる型の爆弾の投下もなされないであろう。それからk、
富士登山道を越える
射撃は、七、八、九月の間禁止される。——これは登山の間ですね、登山期間です。民間の所有地へ通ずるいかなる小道もしくは道路を越える
射撃は、工兵道路を除き、
日本政府当局と緊急に調整されなければならない。四週間から六週間前に意思通告がなされねばならない。それから——、森林地帯への
射撃は禁止される。いかなる樹木の破壊も米国政府に重大なダメージ、クレームを与える。こういうようなことが書かれているんですよ。
ところで伺いたいんですけれ
ども、このような
演習場の規制、これは
キャンプ・ハンセンあるいはそのほか
沖繩の基地について行われているかどうか。
-
○
政府委員(
玉木清司君)
沖繩の
演習場におきましても、たびたび事故が発生したことでもありますので、
射撃場におきます適正な基準を設けて指導していることは当然だと思います。
-
○
渡辺武君 どういう基準を設けられているんですか。
-
○
政府委員(
玉木清司君) ここですべてを申し上げるほど
連絡を受けておるわけではございませんが、射方向に対する細心な注意、
射撃時のレギュレーションの厳守、こういう種類の通達は、現場
指揮官から指導されておるというふうに
承知しております。
-
○
渡辺武君 外務
大臣に伺いますけれ
ども、このいわゆる五・一五メモですね。これの
キャンプ・ハンセンの項、外務省が国会へ提出した
資料の第十五ページですけれ
ども、ここに「合衆国軍は、本施設及び
区域を復帰前と同じように使用するが、必要があれば、合同
委員会において使用条件の検討を行うこと、」ということが書かれております。非常に危険な状態で八インチ砲その他のりゅう弾が使われる。しかも、
水源涵養林に直接ぶち込まれる、あるいは
水源涵養林に仮に外れたとしても、あそこを見てごらんなさいよ、全く樹木なんか吹っ飛ばされちゃって赤はげの山になっている。そんな
演習が行われている。しかも、県道百四号線、これを越えての実射
訓練も行われている。これは
北富士演習場のこの規制とはまるっきりもう該当しない。ですから外務
大臣、合同
委員会にこういう問題を提起して、少なくとも
北富士演習場で実施されているような規制、これを
沖繩にも全面的に適用するという点ですぐに協議を始めていただきたいと思うが、どうですか。
-
○国務
大臣(大来佐武郎君) いま御
指摘の五・一五メモがございますが、
内容にわたりますので、
政府委員から
答弁させたいと思います。
-
○
政府委員(
淺尾新一郎君) ただいま御
指摘のメモ、五月十五日付の合同
委員会のメモの概要でございますけれ
ども、いまお読みになりましたところで、「その他 上記のほか、合衆国軍は、本施設及び
区域を復帰前と同じように使用するが、必要があれば、合同
委員会において使用条件の検討を行うこと、」云々という個所の御
指摘かと思います。ただいま
施設庁長官から再三御
答弁がございましたように、
米軍当局としても安全の保持その他については十分考慮しておるし、また、
施設庁としても
米軍と随時緊密な
連絡をとっているということでございますので、いま
先生の御
指摘ございましたけれ
ども、さらに
施設庁ともこの点については十分協議した上で態度を決定したいと思います。
-
○
政府委員(
玉木清司君)
沖繩におきます
訓練環境というものは、
演習場が御
承知のような状態でございますので、この
演習場の中で安全を確保しつつ、かつ安保条約の目的達成のために充実した
訓練を維持していかなければならないわけでございますが、自然環境の
保護につきましても十分に留意しなければならないことは当然でございますので、われわれといたしましても、
米軍との調整に当たりましてその点を努めて注意を喚起しつつ運んでまいりたいと思います。
なお、現地におきましては、昨年、
沖繩県知事の主宰でつくられました三者協議会が数回開かれてきておるわけでございますが、そういう場におきまして、たとえば
水源涵養林を防護するために、遠くから見ても
水源涵養林の境界がはっきり見えるような標識もつくってやろうではないかというような種類の建設的な協議が行われつつありますので、現地を中心に御
指摘の点を留意しつつ運営をしていきたいと、こういうように考えておる次第でございます。
-
○
渡辺武君 重ねて聞きますが、八インチ砲の
実弾射撃、これもひとつ
本土並みに即座にやめるように申し入れてほしいし、同時に、県道百四号線越えの
実弾射撃、これも直ちにやめていただきたいと、この点どうですか。
-
○
政府委員(
玉木清司君) 八インチ砲、百四号線越えの百五十五ミリの
りゅう弾砲、こういう
訓練は
沖繩に駐留いたします
米軍にとりまして大変大事な
訓練でございます。したがいまして、これをとりやめるわけにはまいりませんが、実施に際しまして自然
保護、安全の確保、こういう点については細心の努力をしていきたいと思います。
-
-
-
○
渡辺武君
北富士では、道路越えに撃っちゃいかぬのだぞということを同じ第三
海兵師団の責任者が内規でそういうふうに決めているんです。
沖繩じゃ平気な顔してやられている。八インチ
りゅう弾砲も同じことです。まるっきり
本土と
沖繩、全然差別されて、ものすごい
演習をやって、そのために被害が続出すると、こういう
状況ですよね。
外務
大臣に伺いたいんですが、いまの五・一五メモにもはっきり書かれておりました。復帰前同様に
キャンプ・ハンセンでは
米軍が施設を使用することができるというようなことが書かれている。
演習は野放し同然、ここにいわゆる
本土並み復帰なるものの欺瞞性が明々白々とあらわれているというふうに言わなきゃなりません。この五・一五メモのうち、最低限
キャンプ・ハンセンについての全文を公表していただきたいと思います。どうですか。
-
○
政府委員(
淺尾新一郎君) お答えいたします。
合同
委員会のメモの公表につきましては、
アメリカ軍との取り決めがございまして、全文を公表するわけにまいりませんけれ
ども、ただいま御
指摘のような点等を勘案しまして、すでに要旨については発表済みでございますので、これ以上現在のところ全文を公表するということはできないということを御了承願いたいと思います。
-
-
-
○
渡辺武君
日本銀行総裁、御
病気のところ、わざわざおいでいただいてありがとうございます。
まず伺いますが、二月の卸売物価が非常に急騰したという
状況でありますが、その要因は何か、御説明いただきたい。
-
○
参考人(
前川春雄君) 一月、二月と卸売物価の上昇はかなりの大幅の上昇がございました。その背景は、海外の商品高、石油を含みまする輸入品の価格上昇が主なものでございまするが、同時に、国内の需給
関係もかなり逼迫してきております。需要面では国内の景況、現在かなりの活況を呈しておりまするので、需要が強いということもございますが、供給面も稼働率が最近非常に高くなっておるというようなことで、国内需給全般に引き締まりの度合いを強めているということが大きな背景になっておるというふうに思います。二月を経まして三月の上旬の計数もいまのところ出ておりまするけれ
ども、三月もそういうような、いま申し上げましたような要因を背景といたしまして、やはり〇・六%、上旬だけで〇・六%とかなりの上昇を続けておりまするが、背景はいま申し上げたとおりであるというふうに思います。
-
○
渡辺武君 中間品や完成品、これの上昇率がかなり強くなったということだと聞いていますが、どうですか。
-
○
参考人(
前川春雄君) 品目別にとりますると、二月までの計数ではやはり素原材料の上昇率が一番高いわけでございます。七二%ぐらい上昇しております。それから中間製品になりますと、その上昇の度合いは二四%ぐらいで、素原材料よりも低いわけでございます。完成品の上昇は、二月で前年比五・三%でございますか、というぐらいのところでございまして、海外からの原材料、原油を含みまする原・燃料の価格上昇を国内で中間品の段階あるいは完成品の段階でそれぞれの企業が吸収しつつあるというのがいまの状態でございまして、これはそれぞれの企業が非常な努力をされまして、生産性の向上であるとかあるいは利潤の圧迫ということでこれを吸収してこられたわけでございまするけれ
ども、それにもやはり限度がございまするので、中間製品あるいは完成品の上昇率も少しずつ高まっているというのが現在の
状況でございます。
-
○
渡辺武君 電力、ガスなどの値上げもあって、四月が前月比上昇率のピークになるんじゃないかというふうに言われておりますが、その点どうでしょう。
それから、五月、六月の見通しですね、これは大体前月比二%台の上昇が続くというふうに見ていいでしょうか。
-
○
参考人(
前川春雄君) 先行きの見通し、なかなかむずかしいところでございまするけれ
ども、三月はやはり高値原油の入着であるとか、その他の海外商品高の影響がございまするので、やはりかなりの程度の上昇は避けられないと思います。
四月につきましても、ただいま御
指摘もございました電力、ガスを初めとする公共料金の引き上げがございまするので、三月に引き続きまして四月もかなりの程度の上昇ということは避けられないところであろうかというふうに思っております。
五月以降につきましては、その間、海外情勢がどういうふうに変化するかという全く予測できない状態でございまするので、どのくらいの上昇になるかということを数字で申し上げることは差し控えさせていただきますが、私
どもがいま期待もし希望もしておりまするところは、こういうふうな海外要因による上昇が一段落する、国内面でもいまの物価上昇傾向に対して、先般とられました政府の総合的な物価対策、こういうものの効果も漸次出てまいると思いまするので、海外要因において余り大きな変化がなければ、卸売物価の上昇率はだんだん鈍化してくるということが期待できると思いますし、私
どももぜひそういうふうに持っていかなければいけないというふうに考えております。ただ、その率が二%であるかどうかということにつきましては、ちょっと数字的にはそこまで申し上げることは差し控えさせていただきたいと思います。
-
○
渡辺武君 四月がピークで五、六とだんだんと鈍化するというお答えだったと思いますが、少し大胆な仮定ですけれ
ども、私
ども三月から六月までの間、毎月平均で前月比一・五%の上昇率で六月までいったというふうに仮定をしまして計算をしてみますと、三月の卸売物価指数は一二九・一になる。そうして五十四年度平均は一一七・四。ですから年度間の平均上昇率、これは一二・八になります。それで、政府の見通しですけれ
ども、これは一二・一ですから、五十四年度の卸売物価の上昇率は政府見通しを超えるというふうに判断しておりますが、その点どうでしょう。
-
○
参考人(
前川春雄君) 年度の計数でまいりますと、三月の計数がまだわかっておりませんものですから、全体の平均は幾らということをいま申し上げるわけにまいりませんけれ
ども、物価、卸売物価全体の上昇傾向というのは、私
どもの目から見ましてかなり警戒を要する段階であるというふうに思います。
-
○
渡辺武君 なお、四月から六月までやはり一・五の対前月比の上昇率で進んだと仮にしまして、六月以降は、その六月の水準でずっと来年の三月まで横ばいであったというふうに仮定して計算してみますと、五十五年度の卸売物価指数は平均一三四・五になる。したがって、上昇率は一四・六%になります。政府の方は五十五年度の上昇率は九・三%だと言っているわけですね。ところが、いま言ったように、三月から六月まで対前月比で一・五という非常に低い数字を仮定して計算をして、六月以降は全然上がらなかったという仮定をしても、なおかつ政府の五十五年度卸売物価上昇率の見通しは崩れざるを得ない。この点はどうお考えですか。
-
○
参考人(
前川春雄君) 今後一年間の物価の上昇の率がどのくらいであるかということをいま判定いたしまするのは非常に困難でございます。海外要因というものがいままで主要な要因でございましたが、それもどういうふうに動きまするか、いまのところはなかなか予想が困難でございます。
国内面で申しますると、国内の需給
関係、これは先日決められました政府の総合的な物価対策におきましても、今後の需要、総需要を適切に管理していくということでございます。総需要を管理すると申しまするのは、
先ほど私が申し上げました卸売物価の上昇の背景といたしまして国内の需給がかなり詰まっている。そういう点に対しましては、いまの総需要の適切な管理ということは物価安定のためには大きな力があるというふうに思います。
もう一つ不安定な要素として申し上げなければなりませんのは、為替相場でございます。為替相場は、御
承知のように、昨年の二月ぐらいは一ドル二百円ぐらいであったと思いますが、いまは二百四十九円ということでございます。これから先の円為替相場が一体一年間どういうふうになるかということにつきましては、これは国際収支の問題であるとか、あるいは物価情勢、それに為替相場は海外の物価との相対
関係でございまするので、相手国の通貨価値が下がるか上がるかということによっても影響をされまするので、円相場がどういうふうに今後一年間なるかということについての想定はいまのところ非常に困難であるということでございます。
そういうふうにいろいろな要素がございまするので、年間、仮定を置いたいろいろな計算は可能かもしれませんけれ
ども、実際にそうなるかどうかということについてはなかなか予想が困難ではないかというふうに考えております。
-
○
渡辺武君 最後に一言だけ伺いますが、この九・三%という政府の卸売物価指数の見通しですね、これを達成するには相当の困難があるということぐらいはおわかりでしょう。
-
○国務
大臣(正
示啓次郎君) 経済見通しをつくりました経済企画庁としてお答えいたします。
まず五十四年度の卸売物価も大変上がっておりますことは御
指摘のとおりであります。最初はきわめて低い見通しでスタートいたしましたけれ
ども、卸売物価についてはこれはもう海外要因が主でございますので、結果的には大変上がりました。しかし消費者物価の方は当初の見通し四・九を四・七に下方修正して、これを守り抜く、こういうことで進んでおることは
渡辺委員も御
承知のとおりであります。
さて、五十五年度卸売物価についてはいろいろむずかしい要因がございます。いま
日本銀行総裁がお述べになったように、海外の物価高、また円レートの問題、こういうものが非常に卸売物価の高騰に大きく作用しておることもお話のとおりであります。しかし、私
どもはこれを何とか消費者物価に波及するのを緩和し、また局限をしたい、こういう努力を傾けております。今般の電力、ガスの値上げに際しましても、電灯とガスの方に、これは消費者物価に直接響くものでございますから、極力これを切り詰めておる。こんなようなことで、私
どもといたしましては来年度の
目標をぜひ守りたいと。卸売物価についてはいろいろ心配もございますが、これを消費者物価に波及することを極力抑えることが物価政策の眼目として、財政、金融、その他各般の施策を講じておるところでございます。
-
-
○
委員長(
山内一郎君)
前川参考人には、御多忙中のところ御
出席をくださいまして、まことにありがとうございました。御退席していただいて結構でございます。
-
○
渡辺武君 次に、公共料金の値上げですが、電力、ガスを含めて五十五年度に国民の負担はどのぐらいふえるのか、総額と一世帯当たりでお答えいただきたい。
-
○国務
大臣(正
示啓次郎君) 数字でございますから正確にお答えをいたしたいと思います。
まず、
予算関連の分で申し上げますと、五十五年度に六千三百六十九億円というのが
予算関連公共料金の値上がりの総額でございます。それから、電気、ガス、国内航空運賃、これは大変大きゅうございまして、電気で全体で三兆三千七百億円、ガスで三千二百億円、国内航空運賃で千百億円、これが総額でございます。
-
-
○国務
大臣(正
示啓次郎君) 一世帯当たりの
予算関連で申しますと約一万八千円と、これはたびたび申し上げておる数字でございます。いまの電力、ガスにつきましては、御
案内のように電灯とガス、これはまあ消費者物価に直接影響いたしますが、そのほかは企業の負担その他がございますので、的確な算定はむずかしいかと思っております。
-
○
渡辺武君 政府のその数字は、私はやっぱり過小表示だと、不当表示だと思いますよ。なぜかというと、たばこの場合で言いますと、政府の
資料では二千四百億円の負担増だと言っている。これは政府にどのくらい収入があるかということで計算しているにすぎない。国民の実際の負担は四千九十億円もある。同様に、健保もそうです。政府は八百五十九億円と計算しているけれ
ども、実際の国民の負担は三千九百億円。ですから、それこれ含めまして、私
どもが電力、ガスも入れて計算してみますと、一年間総計四兆二千六十二億円の負担増になります。そうして国民一人当たりにすると三万五千六百四十六円、一世帯三・八三人で計算して十三万六千五百二十四円と、こういうことになります。
そこで、もう時間がないのでかためて伺いますけれ
ども、そういう
状況ですから卸売物価も上がる、公共料金も上がるということで、私は、消費者物価の政府見通し、ことし、これは達成できないんじゃないかというふうに考えている。簡単に申しますと、まあ五十四年度政府見通しが達成できたというふうに仮に前提をして、三月の指数は一三三・二ぐらいになります。それに公共料金の値上がり、これをずっと入れていきますと、五十六年三月の指数は、ほかの要因では一切上がらないということを前提として……
-
-
○
渡辺武君 はい。
公共料金だけで一三六・五になります。したがって、五十五年度の消費者物価の上昇率は五・四%ということになる。政府見通しよりも一%しか違わない。公共料金の値上げだけでそうなる。明らかに政府見通しは実行できないと思う。その点どうです。
-
○国務
大臣(正
示啓次郎君) 卸売物価がどの程度消費者物価に波及するというふうにごらんになっておるか、そこが非常に問題だと思うんです。
-
-
○国務
大臣(正
示啓次郎君) まあ普通、おっしゃるとおり、卸売物価がこのくらい上がれば消費者物価もこうなるというふうな一般の解釈はあろうかと思いますが、私
どもは、そこのところを何とかしてしのいでいくという政策で、五十四年度についてまず、おっしゃるとおり、最初の
目標を下方修正したものを実現すると、この一事が非常に重要だと思っております。
それから来年度につきましても、これは卸売物価については相当の上がり方であることは
先ほど来お話しのとおりでございますけれ
ども、これを私
どもとしては、この年度末に季節的な影響から生鮮食料品等が大変上がりました。そういうことがあって、これをいま全力を挙げて、新年度にどうするか、こういうことでやっております。また、エネルギーの節約、生産性の向上、これによって吸収することを考えております。便乗値上げを排除することを考えております。また、資源の動員をやろうとしております。財政金融全体に強い引き締め感でインフレムードを払拭することを考えております。
そういうことで、ぜひとも消費者物価の
目標といいますか見通しは、これを実現すべく全力を尽くしておるということを申し上げてお答えといたします。
-
-
-
-
○柳澤錬造君 最初に外務
大臣の方に、日米会談でお疲れだと思うんですが。
日米会談でいろいろとお話しになられたこと、新聞でも承っておりますけれ
ども、
大臣のお口から直接生でもってその
内容をお聞きしたいと思うんです。特に防衛費について、着実で顕著な増額を求められたと言われているんですが、その
内容というものはどういうことを含んでいるのか。それらも含めてお聞きをしたいと思います。
-
○国務
大臣(大来佐武郎君) 今回ワシントン、正味二日の滞在でございましたが、大統領初め各方面の要路者と会談の機会を得ましたわけでございます。
まあ、全般的な日米
関係にわたりましたけれ
ども、ただいま
お尋ねの防衛
関係につきましては、特にブラウン国防
長官との話し合いの中で、最近の極東の情勢、特に極東におけるソ連軍配備の増強あるいは中東における緊張という情勢にかんがみまして、
日本側も着実かつ顕著な防衛力の増強を図っていただけないだろうかと、これは英語ではステディー・アンド・シグニフィカントという表現でございましたけれ
ども。それに対しまして私の方からは、
日本は平和憲法、それから専守防衛、非核の原則というようなものを土台にいたしまして、戦後
日本国民の選んできた道、その大きな枠組みを外すことはできない。しかし、その枠組みの中で
日本の防衛、自衛の努力、これはもっぱら
日本を守る努力でございますか、その面についてのステディーな積み上げをやっていくということは政府としてもやってまいる考えでございますという応対をいたしました。
全般としてブラウン
長官もそういう
日本の基本的立場は自分もよく了解しているつもりだと、決してたとえば中東問題に対して
日本が直接軍事的な寄与をするというようなことは自分たちも求めているわけではないと、
日本自身の防衛についてまだある程度
日本側で努力する余地があると考えられるので、その面での
日本の寄与を期待しているのだというような大体お話があったわけでございます。
-
○柳澤錬造君 その
日本自身の防衛について、努力をせい、期待をしているということなんですが、さらに
アメリカの方から海空の防衛力の質的向上ということが改めて要請された、外務
大臣もその面でも努力をいたしますという表明があったということも新聞で報道されているんです。その辺の中身は具体的にどの程度のものか。それからそれに伴って数字が出されてきたのかどうか、その辺をお聞きしたい。
-
○国務
大臣(大来佐武郎君) 海空における防衛力の増加、強化ということは、前回ブラウン
長官訪日の際にも申しておったわけでございまして、それと大体同じラインであったわけでございます。
それからもう一つは、
日本における在日
米軍の経費の分担問題について、従来
日本政府が行っておる考慮を
アメリカ側としても高く評価している。実は自分もほとんど毎日のように
アメリカの議会あるいはジャーナリズムで質問を受けている、
アメリカが先だっての三月十五日の緊急インフレ対策におきましても、財政を一般的に大幅にカットすると、しかし、防衛費は予定どおりの増額を行うということにもなっておるので、非常に苦しい財政の中で
アメリカとしてもそういう努力を払っておる。他の友好国、ヨーロッパや
日本はどうしておるのか、同じような努力をしておるのかということを自分はしばしば議会及びジャーナリズムから質問を受けておるので、いまのような防衛——在日
米軍の駐留費の分担についても
日本側がさらに考慮をしてもらえると自分としても非常に
アメリカの国内でも
答弁がやりやすくなるんだと、そういう趣旨の発言もございました。
-
○柳澤錬造君 では、日米会談の問題、そのくらいにしまして、続いて北方領土の問題をお聞きしてまいりますけれ
ども、いわゆる歯舞、色丹、国後、択捉、この北方領土は
日本の固有の領土だということは明確になっておるわけなんです。終戦の八月十五日の時点では
日本の主権が及んでいたと思うんです。現実に今日はソ連の軍隊があそこにいる、基地も設けている。その辺の現状認識というものをどういうふうに理解しているのか、そこからまずお聞きしてまいります。
-
○国務
大臣(大来佐武郎君) 北方四島は、終戦間際の混乱の
状況下でソ連に占拠されまして今日に至っておるわけでございますけれ
ども、歴史的に見ても法的に見ても疑いなくわが国の固有の領土でございまして、ソ連による占拠は何らの法的根拠なくして行われているものというのが政府の認識でございます。このような
状況におきまして、最近に至り、北方四島に軍備を配備するというようなことも行われておりまして、政府としてはこれに対し、累次ソ連政府に抗議を申し入れておるわけでございますし、同時に、北方四島の一括返還について引き続き粘り強く交渉を続けていくという立場にあるわけでございます。
-
○柳澤錬造君 いや、
大臣ね、だから現在そうやってソ連の軍隊がおるというこの現実はどういう見方をしているんですか。
衆議院の方での
答弁の中で私が調べましたら、不法占拠をされているというふうな
答弁が出ているんですけれ
ども、私、不法占拠ならば、その不法性を排除するためにどこかへ持っていって排除してもらう場が、機関がなくちゃいけないと思うけれ
ども、そういうものがないのですから、むしろ軍事占領されているのなら軍事占領されているとはっきり言われた方がいいと思うんですが、その点もう一回お願いします。
-
○国務
大臣(大来佐武郎君) 従来から、政府の解釈といたしましては、北方四島の不法占拠であると言っておるわけでございます。軍事占領ということになりますと、これは軍事力を用いて占拠する、占領するということになるわけでございますけれ
ども、
先ほど申しましたように、北方四島の場合、終戦間際の混乱状態のもとでソ連軍がここに駐とんするようになったということでございまして、政府の方としては従来から不法占拠という表現を使っておるわけでございます。
-
○柳澤錬造君 その混乱状態の中というのはどういうことなんですか。
日本は八月十五日あそこで降伏だということをちゃんと連合国に通知をしたけれ
ども、ソ連の方はそんなもの無視をしてあそこへ軍隊が進んできたんですけれ
どもね。あれは混乱ではなくて、明らかに軍隊が出てきて占領されたことなんですから、そこは外務
大臣、もうちょっと政府の見解をきちんとしていただかなければ困るんです。
-
○国務
大臣(大来佐武郎君) 私の了承しておるところではいま申し上げたとおりでございますが、もし条約上の解釈とか、そういう点ございますなら、
政府委員から
答弁さしたいと思います。
-
○
政府委員(
武藤利昭君) 八月十五日に
日本が終戦をいたしまして、その後八月末にかけましてソ連軍が千島の北の方からずっと南のわが方の北方領土四島に至るまでを漸次占拠をしてまいったわけでございますが、当時は、御
承知のとおり、
日本が敗戦という非常に重大な
事態のもとに置かれまして、そのような異常な
状況のもとにおいてそういうソ連の不法占拠の
状況が始まったということを申しているわけでございます。
-
○柳澤錬造君 異常な
状況というのは戦争だから異常な
状況になるのであって、その辺もうちょっとやっぱり外務省できちんとしておいていただきたいんです。
それで、次にお聞きしたいのは、二十六年の九月のサンフランシスコ講和会議のとき、ソ連はその会議に
出席をしておったし、演説もしておりながら、最後にあの平和条約に調印をしなかったのですけれ
ども、その辺はどういう判断をしているかですね。
-
○国務
大臣(大来佐武郎君) 当時ソ連の外務次官でありましたグロムイコが
出席いたしまして演説をやっておりますが、その演説の中で、米英の対日平和条約草案に反対であるという旨を声明いたしますとともに、対日平和条約は
日本が千島列島、南樺太に対するソ連の主権を認めることと、
日本領土よりの外国軍隊の撤退、
日本の軍事同盟への不参加等を規定すべきであると。そういうような趣旨でサンフランシスコ条約にソ連は反対であるという立場をとったと聞いております。
-
○柳澤錬造君 いや、ソ連が反対の態度をとったことは、もう明らかでわかっているんだけれ
ども、その辺が
日本政府としてどういう判断をしたのか。私が思うのは、あそこで条約に調印をしてしまうと、平和条約が発効して九十日以内に軍隊を撤退させなくてはならない、その辺の問題を考えて、むしろ
日本との間を戦争状態のままにしておきたかったというねらいがあったのではないか、その点どうですか。
-
○国務
大臣(大来佐武郎君) その点については
政府委員からお答えさしたいと存じます。
-
○
政府委員(
武藤利昭君)
先ほど大臣から御
報告いたしましたとおり、グロムイコ代表がサンフランシスコの会議で非常に長い演説をいたしまして、
先ほど申し上げましたようなことを述べたわけでございますが、その意図を私
どもといたしまして推断する限りではございませんが、
先ほどの申し上げました中にもございましたように、
日本の非武装化というようなことをねらっていたというのが当時のソ連の政策であったのではなかろうかと推測される次第でございます。
-
○柳澤錬造君 そんな
答弁では困っちゃうんだけれ
ども、一応そこはおいて、そして今度は次に進んで、
昭和三十一年十月、当時の鳩山総理が御
病気の体を押していって日ソ共同宣言をまとめて戦争状態の終結というものをしたんです。ところが、あの共同宣言の中で歯舞、色丹は平和条約を結んだら返すという言葉はあるんだけれ
ども、国後、択捉については何にも触れられていない。その辺はどういう判断をしているんですか。
-
○国務
大臣(大来佐武郎君) いまの御
指摘の国後、択捉に触れていないことがまさにこの日ソ間の平和条約がそこで成立いたさなかった原因でございまして、これは共同宣言では歯舞、色丹については言及しておりますけれ
ども、他の二島につきましては、これは領土問題をも含む平和条約締結に関する交渉を継続するという
松本・グロムイコ書簡において当時は確認されておったわけでございます。
-
○柳澤錬造君 いや、それはわかっているんだから、そのときの交渉の、そういうふうな歯舞、色丹だけはその中に入れて、国後、択捉は全然ネグったままで共同宣言をまとめたのはどういうことなんですか。
-
○国務
大臣(大来佐武郎君) 平和条約を結ぶという形では結局まとまらなかったわけでございまして、この領土問題の交渉を将来に残すということで共同宣言になったと了解しております。
-
○柳澤錬造君 だから、将来に残すということはいいんだけれ
ども、北方領土四島を含めて将来に残しているんならいいんだけれ
ども、平和条約を結んだら歯舞、色丹は返す、しかし国後、択捉は全然何にも言ってない。
しかも、その次の今度は四十八年十月、当時の
田中総理が行かれた日ソ首脳会談、これはいま大平総理がいれば、外務
大臣で一緒に行ったんだから一番私は聞きたいんだけれ
ども、今度は、このときの首脳会談の共同声明の中では歯舞、色丹も消えちゃったんです。どうなっちゃったんですか。
-
○国務
大臣(大来佐武郎君) この当時の
田中総理かおいでになったときの共同声明の中では、
日本側はその四島問題を明記するように強く主張しましたが、ソ連側はこれに同意しない、結局「第二次大戦の時からの未解決の諸問題を解決して平和条約を締結すること」という表現で共同声明が出されたわけでございます。
-
○柳澤錬造君 いや、歯舞、色丹、国後、択捉、北方四島の島の名前も全部消えちゃったのはどういうことなんですかと聞いているんです。
-
○国務
大臣(大来佐武郎君) その際、
田中総理からブレジネフ書記長に確認したい旨は申し入れたわけでございますし、ブレジネフ書記長はこの四つの島の名前——
田中総理は四つの島の名前を挙げて確認したいと申し入れたわけでございまして、これに対してブレジネフ書記長が、そのとおりだという答えをしたというふうに了解しております。
なお、その辺の点につきましては、
政府委員から補足させたいと思います。
-
○
政府委員(
武藤利昭君)
昭和三十一年の日ソ共同宣言を採択いたしましたときに、まさにその国後、択捉の取り扱いが問題だったわけでございまして、あの時点においてソ連側が国後、択捉を
日本に返還する用意があったのであれば、共同宣言という手続を経ずして、直接平和条約が締結し得たわけでございます。それが締結し得なかったのは、ソ連側に国後、択捉を
日本に返還する用意がなかったということで、ただ歯舞、色丹についてはソ連側も返還の用意があると、ただそれは平和条約が締結された暁においてであるということでございます。
その後、一貫してソ連側は国後、択捉について
日本側に返還の用意を
示していないわけでございますから、
田中総理が訪ソされましたときの共同声明におきましても、
日本側はあくまでも四島一括返還の立場であるということを言う以上、ソ連側といたしましてその中の歯舞、色丹だけを言う、そして国後、択捉について言う立場にはないわけでございますから、いま御
報告いたしましたような形での決着を見ざるを得なかったというのが当時の経緯でございます。
-
○柳澤錬造君 ソ連政府の立場というものはいま言われたようなことだと思うんですよ。私がお聞きしたいのは、そういう歴史的な経過の中で
日本政府としてどういう態度をとったのかということなんです。
しかも、その後でもって、四十八年の十二月七日、
衆議院の
予算委員会で
田中総理は、共同声明の有無にかかわらず、確認事項となっており、この中に四つの島の名前が含むことを確認して、ソ連の案文には書いているんだという
答弁がある。こんな私はでたらめなことはないと思うんです。
日本の案文にはない、向こうにはある。だったら、少なくとも正式な外交ルートに乗せてその食い違いを、これは、ミスでは済まないんですから、きちんとしておくのが私は外務省の仕事だと思うんですが、その辺を少し明らかにしてください。
-
○
政府委員(
武藤利昭君) 当時の
田中総理の
答弁、たとえば
昭和四十八年十二月七日の
衆議院の
予算委員会の記録などに見えておりますが、そのとき
田中総理が言わんとされたことは、未解決の諸問題の中には四島の問題が入っているということを、これは
先ほど大臣から申し上げましたとおり、口頭ではございましたけれ
ども、ソ連から確認したということがまず第一点。それから、そのような前提のもとに、「諸問題」という形で共同コミュニケに書き入れたということをおっしゃったんだろうと理解いたしております。
-
○柳澤錬造君 四島の島の名前がちゃんと確認しているという何か、その証拠の文書か何かが取り交わされているかどうか、はっきりしてください。
-
○
政府委員(
武藤利昭君) これは公式の会談におきまして
田中総理から二度にわたって確認を求め、ブレジネフ書記長もそのとおりだと答えた経緯はございますが、正式の文書としては取り交わされておりません。
-
○柳澤錬造君 そんなでたらめなことはないですよ。そういうでたらめなことをしておくから、結局、その後においてソ連が再三にわたって、領土問題は解決済みだということを言う原因になっているんじゃないですか。
日本とソ連の間に平和条約が結ばれてない、平和条約の最大の焦点が領土問題だということは、私が言わなくたって外務省の皆さん一番おわかりなはずです。それに、この間も、三月七日の朝日新聞の記者がポリャンスキー駐日大使にインタビューしたときにも、「領土問題は解決済みだ。将来、どのような条件のもとでも、再検討することはありえない」といった発言をしているんですよ。これを
日本の外務省はどう受けとめているんですか。大使の発言なんですよ、これは。
-
○国務
大臣(大来佐武郎君) 外務省といたしましては、ポリャンスキー大使の発言を絶対に承認できないという立場をとっているわけでございます。
-
○柳澤錬造君 絶対承認できないということならば、それに基づいて、
日本の外務省としてどういう行動をおとりになったのかということです。
-
○国務
大臣(大来佐武郎君) いろいろな機会、たとえば宮永
事件に対する抗議の申し入れに際しましても北方領土の返還を求めるということをさらに外務省からも正式に申し入れをいたしておるわけでございまして、いろいろな機会にこの問題についてはソ連側に申し入れをいたしておるわけでございます。
-
○柳澤錬造君 それから、
アメリカのことなんだけれ
ども、ソ連がアフガニスタンに入っていったら、すぐオリンピックボイコットだと言ってカーター大統領がその反応を
示したんです。少なくとも
日本の国としては、三十五年間にわたって占領されているので、あのサンフランシスコの平和条約というようなものの主宰をした
アメリカであり、平和条約も補完をしているのですから、そういう点に立って
アメリカに何か物を言ったかどうか、何らかのことをやるべきだと思うんですが、その点はどうなんですか。
-
○国務
大臣(大来佐武郎君) 米国はこの北方領土に関する
日本の主張を全面的に支持する立場をとっておりまして、従来もいろいろな機会、たとえば一九五六年九月、日ソ交渉に関する米国の覚書、あるいは最近では七九年九月の米国務省定例記者ブリーフィングにおける見解表明その他、各種の機会にこの北方領土については
日本の主張が正しいという発言をいたしておるわけでございます。
-
○柳澤錬造君 では、どうですか、北方領土を、
日本の固有の領土は返還させるのだということははっきりしているのだから、そのプロセスは、いま外務省がどういうふうなプロセスをお持ちでいるのか、あるいは
日本の政府でもよろしいです。
-
○国務
大臣(大来佐武郎君)
先ほど申しましたように、あらゆる機会をとらえて主張を繰り返しておる、粘り強く主張しておる、そういうプロセスになっておるわけでございます。
-
○柳澤錬造君 外務
大臣、三十五年間もいままでああいう状態が続いているのが、粘り強く繰り返すぐらいで返るわけはないですよ。やはりこれは総理に言っていただきたいんだけれ
ども、前の佐藤総理は
沖繩へ行って、
沖繩が返還されない限り戦後は終わらないと言って
沖繩返還に努力をされたんです。大平総理も北海道のあそこへ行って、そうして北方領土のこの四つの島が返らぬ限り戦後は終わらないんだ、そのために私は体を張ってやりますぐらいのことを言ってみたらどうなんですか。外務
大臣も行かれたらどうですか。
-
○国務
大臣(大来佐武郎君) ただいまの柳澤
委員の御意見は総理にお伝えいたします。
私の場合も、将来機会がございましたらば、そういうことを考えたいと存じます。
-
○柳澤錬造君 外務
大臣の
関係もあるから、順序を変えて、
大臣もそれから
法務大臣も聞いていただきたいんだ。
この写真、とれを見ていただきたいんです。これはマレーシアのビドン島という島です。ベトナムからボートでもって三百五十五隻のに乗って、そうしてここへ来たのは五万二千八百七十三人がたどりついた。百五十隻の船に乗ったのは全部途中で沈没してだめになっちゃったというんですね。それで、ここから昨年の四月に約六千人の人たちが
アメリカへ引き取られて向こうへ行って、まだ四万八千人残っている。それで、この人たちは何しているかと言えば、
大臣、一日四リットルの
飲料水の配給のためにこれだけの行列をつくっているんです、この四万八千の人たちは。
私は昨年もこの問題をやったんだけれ
ども、当時の三原総務
長官から大変ないい御
答弁もいただいた。感謝も申し上げた。そうして、あの定住の枠も五百名にふやしていただいたんです。
それで、きょうはそのことと、それからこれは申し上げておいたんだからお読みいただいたと思うんだけれ
ども、「リーダーズ ダイジェスト」の三月号、とうとう書かれたですよね、こういうところに。「これでよいのか
日本の
インドシナ難民対策」、何と言っているかというと「
日本政府の対策は、スキャンダルと言ってよいほどお粗末です。」と言われているんです。これは少なくとも外務
大臣も、それから
法務大臣も内閣官房もお読みをいただきたいと言っておいたので、そのお読みをいただいた御返事といいますか、御見解を聞きたいんです。
-
○国務
大臣(大来佐武郎君)
日本政府が難民問題を金で解決しようとしているとか、あるいは
日本における難民の定住が進まない、それには
日本社会の冷たさがあるというふうなことをいろいろ
指摘しておるわけでございますが、この点につきましては、外務省としてもできるだけ
状況の改善を図りたいと言うて、国内官庁の
関係事項が非常に多いわけでございまして、こういう要望を外務省としては従来からいたしておりまして、法務省でもいろいろ検討が続けられておる、これは国内難民の定着問題でございますが、そういうふうに了解しておるわけでございます。
-
○国務
大臣(倉石忠雄君) 御
指摘の記事は拝見さしていただきました。
お話の
インドシナ難民につきましては、昨年七月十三日の閣議了解に基づきまして内閣に設けられた
インドシナ難民対策連絡調整会議が中心となって対策が講ぜられておるわけでございますけれ
ども、法務省といたしましても、この調整会議の構成員の一員といたしまして、難民の定住促進に努力してまいりたいと考えておるわけであります。
いろいろなケースにつきましては、また担当官から御
報告いたします。
-
○
説明員(村角泰君) すでに両
大臣から御
答弁のありましたとおり、昨年四月にこの
インドシナ難民の定住につきましては定住条件の大幅な緩和がございまして、そして十三省庁から成ります
インドシナ難民対策連絡調整会議という会議が設けられまして、私
どもの事務局がその下に設けられました。それ以降、
関係各省の御協力を得まして定住促進の事業をやっております。
具体的に申しますれば、アジア福祉教育財団というところに定住促進の事業を委託いたしまして、この財団は兵庫県の姫路市と神奈川県の大和市に定住促進センターを設けて、そこで
日本に定住を希望する難民に対して、
日本語の教育、職業の紹介あるいは職業
訓練のあっせん等を行っております。その結果、わが国への実質的な定住許可数というものは着実に増加いたしまして、本日現在六十八件、百九十三人と増加いたしておりますし、今後ともこうした努力を続けてまいりたいと思っております。
-
○柳澤錬造君 五百名の枠にはまだ大分ほど遠いわけだけれ
ども、次にこれも外務省に聞くんだけれ
ども、難民条約というのがもう効力を発生して二十五年もたつんだけれ
ども、
日本はまだ批准していないんです。昨年の
通常国会のときに園田外務
大臣は、ことしのこの
通常国会で批准をいたしますという御
答弁をいただいておったんです。それでいまだに出てくる気配はないんだけれ
ども、どうなっているのか。それから、この難民条約を批准した国が幾つあって、その中の主要な国というのはどことどこですかということを聞いておきたいんです。
-
○国務
大臣(大来佐武郎君) この難民条約の批准につきまして国内各省庁との間の調整を図っておるわけでございまして、でき得れば今国会に提出したいという努力を行っております。特にむずかしい点につきましては、たとえば難民に
日本国民と同じ社会保障の待遇を与え得るかどうか、こういう点がかなり国内
関係省庁との
関係で問題がございまして、まだ最終的に政府部内の統一ができない段階でございます。
各国の
関係につきましては
政府委員から
答弁させたいと存じます。
-
○
政府委員(木内
昭胤君) 難民条約の主要なる締約国、たとえばオーストラリア、フランス、ドイツ、連合王国等でございます。
-
○柳澤錬造君 国数は。
-
-
○柳澤錬造君 少し具体的なことを、これはむしろ法務省の方へお聞きするんだけれ
ども、べトナム生まれのラオス人でチャン・メイランさんというのが昨年の十月三日に逮捕されていま東京拘置所に収容されているんですが、出入国管理令違反、外国人登録法違反。それで保証人や身元引受人がおっても証拠隠滅のおそれがあると言って保釈も認めないでいるわけですが、近く二十八日判決がおりるということも聞いていますが、法務省としてどういう見解をお待ちですか。
-
○
政府委員(
水原敏博君)
お尋ねのチャン・メイラン氏は、
検察当局といたしまして起訴しておるのはソムシーセロの名前で起訴している被告人のことだと思いますので、その
関係で申し上げます。
お尋ねのとおり、ソムシーセロは昨年の十月十五日に勾留のまま起訴されまして、御
指摘のとおり、今月の二十八日第七回公判で判決言い渡しの予定でございます。その間二回ほど保釈の申請がございましたが、いずれも裁判所で、刑事訴訟法八十九条の四号に該当する、すなわち罪証隠滅のおそれがあるということで保釈が却下されて現在に至っておるわけでございます。
なお、これに関しましていまの御質問は難民条約との
関係でどう考えるかという御質問だと思いますので、法務省の考え方を申し上げますと、ソムシーセロは御
指摘の難民条約三十一条が批准されましても同条約の
保護を受けることができないものだと考えております。
その理由を簡単に申しますと、御
案内のとおり、この三十一条は、脅威を受けておる
地域から直接許可なく入国し、または在留する難民が遅滞なく当局に出頭して、しかも不法入国または不法在留の十分な理由を明らかにした場合に限られるものでございますが、本件被告人の場合はもともと、
委員も御
承知のとおり、観光ビザで
日本に入国してきた者でございますし、その入国、在留の経過がいまこの三十一条の条件に該当するものではないと考えますので、そのまま勾留しておってもその精神には反しない、このように考えます。
-
○柳澤錬造君 そこのところが少し何だけれ
ども、まずその前に聞いておきたいのですが、観光ビザで入ってきて、言うならば強制送還をしたり、あるいは自費出国で出したりという人たちがおるわけで、その数をちょっと聞かしてくれませんか。
-
○
政府委員(小杉照夫君) お答え申し上げます。
ただいま
お尋ねのケースは、観光ビザで入国したインドシナ三国に生活歴のある人間で強制送還された者は一体どのくらいあろうかという御質問であると理解いたします。かつてインドシナ三国での生活歴を有する者、いわゆるインドシナ華僑のうち観光客という資格でわが国に入国した者でございまして、その後、退去強制令書の発布を受けました者の総数は百六名でございます。これらのうち五名は香港政庁から旅券にかわる身分証明書の発給を受けていた者でございまして、残りの百一名、これは台湾の旅券を所持いたしまして、わが国の在外公館から渡航証明書の発給を受けましてわが国に入国してまいった者でございます。そのほとんどが旅券発給国へ自費出国いたしております。
内訳を申し上げますと、自費出国いたしました者が百三名、運送業者において送還いたしました者が一名、それから国費により送還いたしました者一名、現在仮放免中の者一名、合計百六名でございます。
-
○柳澤錬造君 外務
大臣の御都合が何のようですから、まだこの問題残っているけれ
ども、一応ここで中断をして、それで
防衛庁、来ていらっしゃいますね——そちらの方に移ります。
大臣どうぞ。午後ちゃんと来てください。
防衛庁長官にお聞きしていくのは、昨年六月の東京サミットのとき、西ドイツのシュミット首相が大平総理に、ソ連がSS20を極東に配備しましたよと言って情報を流したんだけれ
ども、大平総理はそのSS20というものは何というものだかさっぱりそれはわからないできょとんとしておったというのは、それは事実ですか。困るじゃないですか。
-
○国務
大臣(細田吉藏君) 当時、新聞記事にそのようなことがあったようでございますが、大変重要な軍事情勢でございまして、
防衛庁といたしましては総理
大臣に
報告をしておったということはもう間違いがない事実でございます。
-
○柳澤錬造君
防衛庁長官はもうもちろん御存じだったと思うんだけれ
ども、では
防衛庁からそのことを総理に知らしたのはいつですか。
-
○国務
大臣(細田吉藏君) 当時の
状況は岡崎参事官から
答弁さしていただきたいと思います。
-
○
政府委員(岡崎
久彦君) 国際軍事情勢の
報告につきましては、時期が新聞等に出まして、はっきり明
示してあるときもございますし、あるいはそうでないときもございますけれ
ども、時間的に申しますと、それぞれの時点において御
報告申し上げたことは間違いございません。ただ、この報道記事につきましては、
防衛庁といたしましては、そのような
事態があったということは
承知しておりません。
-
○柳澤錬造君 そんなことを聞いているんじゃないんだよ。
防衛庁の方から大平総理に、このSS20をいよいよソ連が極東に配備をしたという情報をつかみましたという
報告をいつしたかと聞いている。
-
-
○柳澤錬造君 六月と言えば、サミットの後になっちゃう。
それで
防衛庁長官ね、ソ連の極東軍が増強されているというのは、
長官もよく言っているんだけれ
ども、その中のやっぱり目玉がこのSS20、それからバックファイア、バジャー、それがどういう性能を持っているものであって、どの程度の数が極東に配備されているか、その辺少し説明してくれませんか。
-
○
政府委員(岡崎
久彦君) まず
先ほどの
答弁を補足さしていただきますと、東京サミットは六月末でございまして、六月と申し上げましたのはその前という趣旨でございます。六月中という趣旨でございます。
御質問のまずはSS20でございますけれ
ども、SS20は移動式のIRBMでございまして、
射程は三千七百キロメートル以上というふうに考えております。三弾頭の核ミサイルでございまして、現在ソ連が保有しております総数は百二十基と考えております。
バックファイアにつきましては、爆撃、偵察、洋上哨戒などを目的とする飛行機でございまして、最大速度マッハ二・二五以上、行動半径——これは無給油の場合でございますが、約五千七百キロメートル、それでAS4及びAS6を搭載していると考えられます。機数は全ソ連で約八十機と考えております。
-
○柳澤錬造君 極東。
-
○
政府委員(岡崎
久彦君) 極東につきましては、SS20、バックファイア、バジャー全部含めまして、極東におきます配備の場所あるいはその機数につきましては申し上げることを差し控えさしていただきたいと存じます。
それからバジャーにつきましては、海軍及び空軍におきまして、爆撃機または偵察機等に使用されておりまして、爆弾あるいはAS5、AS6などを搭載しております。速度は亜音速、航続
距離は爆弾三トンを搭載しているときで六千四百キロメートルであると
承知しております。機数は全ソ連で八百機ぐらいというふうに存じております。
-
○柳澤錬造君 どこに配備しているなんて私は聞いてないんであって、極東にどのぐらいの数が配置されているのかというので、そんなことぐらいは
答弁してくださいよ。そんなことは機密のうちに入るわけはないんだから。
-
○
政府委員(岡崎
久彦君) ソ連の戦闘機あるいは中
距離弾道弾でございますけれ
ども、これがどこに配備されておりますかということになりますと、これは必ずしも
日本独自で確認できる性質のものじゃございませんで、各国との協議もございますし、また各国との信頼上の問題ございまして、詳しい数字を申し上げるわけにはいかない
状況にございますので、御理解賜りたいと思います。
-
○柳澤錬造君 幾らもそんなものは書物に書いて出ているのであって、
長官、そんなことが国会の場で
答弁できないと言っているのだから、恐らくそれは大平総理がSS20が言われてもわからなかったというのは私は事実だと思うよ。
それで今度は
長官に聞くんだけれ
ども、おとといか、防衛大学の卒業式で「極東ソ連軍の顕著な増強により、わが国に対する潜在的脅威が増大している。」と述べたんだけれ
ども、その辺の判断の基礎というか、根拠がどんなもので、その対応として何を考えておるかということをお聞きするんです。
-
○国務
大臣(細田吉藏君) お答え申し上げます。
ソ連の軍事力増強というものは、全体として世界的に進められておるのでございますが、近年極東で顕著な増強が行われておるのでございまして、具体的にこの際申し上げますと、まずミンスクグループの極東回航などに見られるような太平洋艦隊の増強がまずございます。それから次に、過去一年間に極東ソ連軍管区の地上軍が二個師団程度増強されたと大体間違いなく見られておることがございます。また海軍歩兵の増強やイワン・ロゴフに見られるような揚陸能力の強化がございます。また、ただいま説明がございましたIRBMのSS20あるいはバックファイア爆撃機の配備。まあ機数につきましてはいまお話がございましたが、本などに出ておるではないかというお話でございますけれ
ども、政府がここでお答えするのとは
意味が違いますので、御了承いただきたいと思うわけでございます。
さらに、
先ほど御議論がありますような北方領土への地上軍の部隊の配備、これはもう増強されておることはわが方でも
承知できるような客観的な事実でございまして、こういったことを総合判断いたしますと、わが国の安全保障にとりましては潜在的な脅威の増大であるということを考えざるを得ないと、かように存じておる次第でございます。
これにどう対応するかということでございますが、これは私
どもとしましては、憲法、自衛隊法等の枠組みの中で、大変窮屈なと言いましょうか、限られた中での防衛力でございまするので、現在私たちが防衛計画の大綱に従って質的に充実した防衛力の整備に努めるという以外には、ただいまのところ対処することが考えられ在存でございます。もちろん防衛計画の大綱を改定したらどうかということもこの国会でも
衆議院でも御議論がずいぶん出ておりますし、この
委員会でも出たこともございますが、私
どもはただいまのところ防衛計画の大綱にまで到達いたしておりません。
防衛庁といたしましては、防衛力の水準を可及的速やかに達成して、防衛計画の大綱まではなるべく早く持っていきたいと。そこまでいくのでもなかなか大変な困難な事情もございますが、とにかくこれをなるべく早く達成をしたいと、このようにいたしたいと考えておるわけでございます。
その他北方のこのような
状況に対応するためのいろいろな点はございまするが、基本的にはそういう考え方でございます。
-
○柳澤錬造君
防衛庁長官、各実施部隊から
長官のところへはホットラインがもうできたはずだと思うんだけれ
ども、
長官から内閣総理
大臣の間のホットラインはできたんですか、どうなんですか。
-
○国務
大臣(細田吉藏君) 内閣総理
大臣と、官邸と
防衛庁長官の間にはホットラインがございます。
-
○柳澤錬造君 いや、官邸ではなくて内閣総理
大臣そのものと、
長官、いつも総理が官邸にいるわけじゃないんだから。
-
○
政府委員(原徹君) ただいまの段階は、総理官邸との間のホットライン、これはございますが、これから例の中央指揮所というものをいまつくることを計画をいたしておるわけでございますが、そういうときの
連絡網というものは、いま別途考えておりますので、その段階で考えたいと思います。
-
○柳澤錬造君 それからもう一つ
長官ね、どうも大平総理のいろいろ国防というものに対する認識の欠如というものは至るところで感じるんだけれ
ども、統幕議長とか、それから三軍と言っちゃいかぬのかな、陸海空の各幕僚長、そういうものと総理がどういうふうな間隔でお会いしているのか。恐らく
長官は三日に一度ぐらい会っていろいろ情報もお聞きになっていると思うんですが、その辺の
関係がどういうふうになっているかお聞きしたい。
-
○国務
大臣(細田吉藏君) まず
防衛庁長官と統幕議長及び各幕僚長との
関係でございますが、私も実は二月に参りまして二カ月ばかりの経験でございますけれ
ども、これはもう非常に頻繁に会っております。ただいま一週に三回というお話でございましたが、私は大体それ以上ではなかろうかと思うほど会っております。これは庁議、それから定例の会議あるいは情報の会議、その他各種の
報告、あるいは外国からの訪問者があります際に会うとか、非常に密接な
関係にありまして、私も外部から見ておりました際には、これほど密接ではないのではないかと正直には思っておりましたけれ
ども、非常に
連絡を緊密にとっておりまして、シビリアンコントロールの面からも、それから情勢を聞くという面におきましても遺漏はないというふうに私は自信を持ってお答えできると存じております。しかし、まだまだこの点については十分の
連絡をとっていかなきゃならぬと思います。
総理
大臣と統幕議長、あるいは各幕僚長との
関係でございまするけれ
ども、これにつきましては必ずしも非常に緊密であるかどうかということになりますと、もっともっとこの点は緊密な
連絡をとるようにいたさなければならないというふうに私も考えて、先般も総理にもお願いをいたしました。総理も大変忙しい中ではあるけれ
ども、事防衛に関する重大な問題であるから、今後とも積極的にこちらからいろいろ
連絡をとるようにというようなお言葉をいただいておるようなわけでございまして、現在は率直に申しまして、非常に十分な
連絡がとれておるとは思っておりません。ただ、あくまでもこれはシビリアンコントロールでございます。それにつきまして、それを外れるというようなことにはならぬように、総理は申し上げるまでもなく自衛隊の最高の指揮者でございますので、そういう点はさらにひとつ十分にやってまいりたいと、かように考えておる次第でございます。
-
○柳澤錬造君
長官、それはぜひやってください。国内の内政問題ならばいろいろあれだけれ
ども、やっぱり国防の問題というのは絶えず総理の耳に入れるようにしておいていただきたいと思うんです。
次に、大蔵
大臣の方にお聞きをしてまいります。
昨年かなり問題になった官庁、公団、公社のいわゆる一連のやみボーナス、カラ出張、カラ超勤。総選挙直後私も鉄建公団問題をやって、それでこんなことをやっておったんじゃまじめな国民はばかばかしくて税金払えないじゃないか、どうするんだということを言って、最終的には次官会議が開かれますので、そこできちんと納得できるもの出しますと言って閣議了解を去年の十月二十三日出していただいたんです。これを私は読んだんだけれ
ども、これからこういうことについて気をつけろよと言っているだけで、あの過去十何年間にわたって行われた不正行為についての処置ということについては何にも触れてないんですよ。その点を明確にしてくれませんか。
-
○国務
大臣(竹下登君) 財政当局といたしましては、いわゆるカラ出張によって捻出して夜食費、会議費等に充てることは、これは会計法令を逸脱した会計処理を行ったものとして、はなはだこれは遺憾なことであると考えております。
そこで、返還等の事務処理の問題につきましては、それぞれの支出の
状況等に応じて是正が図られなければならないというふうに基本的には考えております。ただ、
予算執行責任というのは各省、各庁の長にございますので、大蔵
大臣として直接返還等を命ずる権限はございません。いわゆる不正経理に係る責任執行省庁の処理
状況について、その結果を、言葉で言いますならば、見守っておるという立場に現実の問題としてはあるわけであります。したがいまして、大蔵省、財政当局としては、官庁綱紀の粛正に関します内閣官
房長官通知——いま御
指摘があったものでございますが、それから各省官
房長申し合わせというような趣旨に沿ってその実効が上がるように注意を喚起していくということになろうかと思うのであります。これは御
案内のとおりでございますが、各省、各庁の長の権限と責任のもとに執行される、したがって、大蔵
大臣は国庫
大臣として支払い計画の承認等は行いますが、個別の支出や、その返還を直接に命令する立場にはないというのが現実の法令上の立場であるわけであります。したがいまして、なかんずく今度は公団ということになりますと、所管する主務
大臣の監督を受けておりますので、監督命令権はもとよりない、こういうことになるわけでございます。
私
ども、結局、綱紀粛正と行財政の刷新に関する当面の方針、これは訓示規定という御
指摘でございましたが、大訓示規定であろうと思いますし、そして私
どもの方では官
房長官通知というものが官庁綱紀の粛正というようなもので出しております。したがって、私から
答弁申し上げるのが適当かどうかという考え方に立ちながら実は質問通告をいただいたのでございますけれ
ども、言ってみれば、返還を請求するというような立場にないから、結局そうした大訓示とか、そういう各省における通達等の精神が生かされるのに注意を絶えず喚起しながら、これを監視という言葉もやっぱり適当でないと思いますので、まあ見守っておるという
答弁にならざるを得ない。いろいろ勉強したのでありますが、そういうことになりました。
-
○柳澤錬造君 大蔵
大臣ね、総理がいないんだから、そんなこと言ったってあなたが一番偉いんだから、まとめて返事をしてもらわなければいけないのであって、問題はあれだけ長期間にわたってああいう不正な金の使い方をしておって、あれで犯罪行為にならないのかどうか、もう
法務大臣もいなくなっちゃったからいたし方がないけれ
ども。
それで、あるところでは確かにお金を返した。金を返したからそれでうやむやにすると言うならば、一般国民もどろぼうしてつかまったらね、お金返したらそれで罪にならないということをあなた方が公言する、こういうふうなお約束をすることになるのだけれ
ども、それでいいんですかと聞いているんです。
-
○国務
大臣(竹下登君) 私も決していいとは思いません。ただ、大蔵
大臣といいましても、私は別に憲法の規定による副総理になっておるわけではございませんし、あくまでも国務
大臣対等の原則の中に、強いて言えば
予算の調整権というものがある。まあ精いっぱい——大蔵省が他省に君臨しているような姿を私自身好ましいことでないと思っておりますので、したがって、政府全体を代表してという立場にはないと思います。しかし、御
指摘のようなことは好ましいとは私も絶対に思っておりません。
-
○柳澤錬造君 じゃ大蔵
大臣、約束してください、ここではいいから。そういうまじめに一生懸命働いて、そして無理をして、無理をというか税金を納めているわけだから、そういうまじめな国民が納得のできるような政府の見解というか、態度をもう一回、去年の十月のこのままじゃなくて、閣議了解か何かでもって出していただきたい。それだけお約束いただきたい。
-
○国務
大臣(竹下登君) 御趣旨の点を正確に官
房長官に伝えます。
-
○
委員長(
山内一郎君) 午前の質疑はこの程度にとどめます。
午後一時から
委員会を再開し、柳澤君の質疑を続行いたします。
これにて休憩いたします。
午前十一時五十九分休憩
—————・—————
午後一時開会
-
-
○柳澤錬造君 科学技術庁おいでになっていますですね。
最初にお聞きしていきたいことは、
アメリカ政府がアポロ計画にどれだけの資金を投入したかということ。
-
○
政府委員(勝谷保君) お答え申し上げます。
米国がアポロ計画に投入いたしました経費は約二百五十億ドルでございます。一九七二年のレート、一ドル三百八円で換算いたしますと八兆円になります。
-
○柳澤錬造君 じゃ、それに対応して
日本の政府がここ十年間に科学技術開発という問題で投入した資金がどのぐらいあるのですか。
-
○
政府委員(園山重道君) 過去十年間という御質問でございますので、
昭和四十五年度から今年度、五十四年度までの研究開発
関係予算を見ますと、四十五年度二千六百一千四億円でございましたのが五十四年度には一兆一千五百一億となっておりまして、この十年間の合計は六兆三千六百五億でございます。
なお、ちなみに来年度、五十五年度
予算案に計上されております研究開発
関係予算は一兆二千八百六十億でございます。
-
○柳澤錬造君 その五十四年度の一兆一千五百億の内訳を聞かしてくれませんか。
-
○
政府委員(園山重道君) お答えいたします。
この
予算の中身、いろいろな区分がございますけれ
ども、大きく分けまして科学技術振興費と言っております各省庁の試験研究機関あるいは研究開発
関係特殊法人等の経費、それからエネルギー研究開発費と言われておりますものの中でのやはり研究開発費、これを合わせますと五千百五十三億でございまして、それから大学の中でいわゆる自然科学
関係の研究開発
関係が五千五百七十七億、その他が七百七十一億で一兆一千五百一億でございます。また、これをただいま申し上げました科学技術振興費と、それからエネルギー対策費中の研究開発費を分解いたしますと、科学技術振興費が三千四百七十一億、エネルギー対策費中の研究開発費が千六百八十二億と、こういう形になっております。
-
○柳澤錬造君 私が一番知りたいのは、いままでは外国から技術を買ってそれで物をつくっていけばよかったのですけれ
ども、もうこれだけの国になると、そう簡単に外国から技術が買えない。どうしても自前で開発をしなければならないんだけれ
ども、その辺の点を政府はどう考えているのか、どうもその辺が不十分じゃないか。いまの技術はまだあと七、八年は私はもっと思うのですけれ
ども、その先を考えたらどういうふうにしようとお考えになっているか、聞きたいのはその辺です。
-
○国務
大臣(長田裕二君) お答えいたします。
御
承知のように、わが国は従来は海外から技術を導入することで発達してまいりましたが、最近世界的に技術革新が停滞してまいりましたことも一つの理由でございますけれ
ども、技術導入が以前よりも容易ではなくなってまいりまして、その条件な
ども大変厳しくなってきておりますし、そういうこともあわせ考えますと、自主技術を大いに推進していかなければならない、そういう必要が従来よりも切実になってまいりました。したがいまして、今後は未知の科学技術分野に積極的に挑戦をいたしまして、未来を創造するような先導的な革新的な技術開発を強力に進めなければならないというふうに思われるわけでございます。
したがいまして、
日本の研究投資、
先ほど御
報告申し上げました研究投資などにつきましても、いままで民間の方が七で国の方が三、外国は大体五対五ぐらいになっておりまして、国の研究投資が特に少なかった。しかし、今後の大きな技術革新、技術推進ということを考えますと、どうしても国の比重をもっと高めなければならないということな
ども考えられますので、科学技術会議の六号答申でも
指摘されておりますように、研究投資拡大への一層の努力を払うことはもちろんでございますか、従来にも増して科学技術に対する国民一般の理解も深めていただく。それから重点的な研究投資、特に官、学、民の有機的な連携を図りまして、あるいはまた技術情報を広く広めたりすることによりまして、技術面におきます重複等を避け、効率的な科学技術の推進を図ってまいりたい、そのように考えております。
-
○柳澤錬造君 大変いいお考えを聞かしていただいてお礼を申し上げます。
それで、その先へ進んで、いわゆる二百海里時代に入った——
日本の海洋面積というのは四百五十万平方キロと、まあ私が言わなくてもおわかりだと思うのだけれ
ども、陸地の十二倍もあるわけです。そういう点で、これは私の持論にもなるのだけれ
ども、
アメリカとソ連が宇宙開発をやったんだから、せめてGNPで三番目だと言っている
日本が海洋開発ぐらい本気になって取り組んだらどうかと言っているんだけれ
ども、その点はいかがですか。
-
○国務
大臣(長田裕二君) お答えいたします。
もうよく御存じのように、二百海里時代に入りまして、
日本をめぐる海面、世界第六位の広さになっております。海洋開発の面につきましては、
アメリカ、フランスなどがかなり進んでおりますが、
日本もこれから海、海水自体あるいは海底、地面の底、大陸だなの下の開発あるいは魚類ももちろんでございますけれ
ども、さらにまた深い海の底にありますマンガン団塊の開発とか、そういうものを目指しまして、政府
関係では海洋科学技術センター、また民間におきましても海洋開発の専門会社が幾つかできておりまして、それぞれ努力をしておりますが、当面、私
どもといたしましては、海洋科学技術センターを中心といたしまして三百メーターぐらいの海深での潜水作業が十分やれるような施設あるいは二千メーターの深さでの潜水
調査船、そういうものの開発を進めまして海洋時代に備えてまいりたいと思います。
なお、先般、海洋開発審議会から第一次、第二次にわたる答申も出まして、
日本の海洋
関係は昔から輝かしい伝統も実績も持っております海運とかあるいは漁業、そういうものな
ども込めまして総合的に政府全体として取り組んでいく姿勢、体制も必要だと思っておりますが、これにつきましてはまだ十分に熟しているとは思えません。
連絡会議などがときどき催される程度でございます。
-
○柳澤錬造君 そういうお考えの中で、海洋開発の一環として、いま話題になっておる関西新空港、これをいわゆる浮体工法で建設をするというふうな、そういうお考え方をお持ちになれないかどうか。もう飛行場も内陸部は成田が最後だとあの騒ぎで言われてきて、これからどうしても海に出てくると思うんです。そういうことになると、この関西だけじゃなくて、これからの空港というものは、至るところ、もう海上につくらざるを得ない。そうすると、そういう新しい技術開発も兼ねて浮体工法のような取り組みというものがお考えになれないかどうか。これは運輸
大臣の方も
関係してきますけれ
ども、両方にお聞きをいたします。
-
○国務
大臣(
地崎宇三郎君) ただいま新関西空港につきましては、工法の問題についていろいろ議論をされるところでございます。技術的な問題でございますので、
政府委員から
答弁させるようにいたします。
-
○
政府委員(
松本操君) お答え申し上げます。
先生いま御
指摘の海洋開発の一環としてこのような大規模プロジェクト、特に海上空港を何らか造船工業の技術を活用してできないのかという点につきましては、実は私
どもも、当初、この新空港につきましての答申が出ました四十九年のころは、いろいろと検討した結果、埋め立てが主たるものではないかと、こういう御趣旨であったわけでございますが、その後五十二年ごろになりまして、四十九年ごろに検討しておりました浮体工法とは違った斬新な浮体工法技術というのが出てまいりました。したがって、主として五十二年、五十三年、かなりのエネルギーを割いてこれらの研究をいたしました。一応基本的に建造の可能性というものについてはめどをつけたわけでございますが、ただ具体的な空港として運用をしていくということになりますと、技術開発的な面ももちろんあるわけでございますが、技術開発的な面だけですべての判断をするということもなかなかむずかしい面もございますので、目下重ねて航空審議会に部会を設けまして、その中でこの技術開発的な面を十分に踏まえながらも、さらに空港機能の面あるいは環境影響への面、将来の維持、運営等にわたる多角的な面からの御検討を願っておるというのが現実の段階でございます。したがいまして、現在のところは、その浮体空港というものをいろいろな面から俎上にのせまして、具体的に空港として使用にたえるものをつくるとすればどのような形のものに取りまとめられていくのか、それはまたどんな形になって、その後の運用の状態において何らかのふぐあい等が出てこないのかどうかというふうな点にわたる
調査を鋭意進めておる、こういう段階でございます。
-
○柳澤錬造君 いまの
局長答弁、鋭意
調査を進めているというのだけれ
ども、運輸省の航空局のいろいろやっていることを見ておりますと、何か運輸省は埋め立てで進めるのだというふうな、そういう動きを非常に濃厚に感じるのですけれ
ども、その辺は航空
局長どうなんですか。
-
○
政府委員(
松本操君) いま
先生御
指摘になりましたような批判を私も他から耳にすることがございます。しかし、少なくとも私
どもといたしましては、昨年の十一月に航空審議会の部会を発足させました時点、その時点におきましてこの二つの工法を完全に平等な立場でながめるべきである、検討すべきである、こういう考え方に立って、その後その方針をいささかも崩していないつもりでございます。したがいまして、現象的に見ました場合、たとえば埋め立ての方がやや詳しい話がしやすいという点は否定できないかと思います。これは
先ほどもちょっとお答えいたしましたように、四十九年の答申の時点におきましては四種類の工法を検討した結果、埋め立てというふうなことが一応書いてございましたので、その時点からぼちぼちスタートいたしました
調査の段階で埋め立てについての何がしかの蓄積がございました。また、埋め立て技術そのものがわが国におきましてもかれこれ百年に近い実績も持っておるというふうなこともございまして、
資料等も集めやすい、解析もしやすい、こういうふうな点があったことは否めませんが、浮体の方につきましては、これも
先ほどお答えいたしましたように、五十二年、五十三年、一億三千万円のお金を投入いたしまして、私
どもの直轄研究所で相当突っ込んだ技術的な研究もしてもらい、その後さらに、かなり具体的な面につきましては、この方面でかねてから相当の研究の成果を上げておいでの造船工業会に篤と御相談をしながら、一つの問題について浮体工法、埋め立て工法両方から同じように議論を積み重ねていくという形で審議会及び小
委員会の運営をしてきておるわけでございます。
したがいまして、たとえば
参考人の意見
聴取に当たりましても、埋め立ての御意見を承れば必ず浮体の方からも御意見を伺うというふうな形でいままで回を重ねてきておりますので、御心配になりますような、運輸省は何かいずれかどちらかに傾いた形で議論を進めているというふうなことは全く私
ども意図しておりませんし、もしまた、そういうふうな兆しがはたから見えるぞと、こういうことでございますならば、私
どもさらに心してそういう点に厳正公平な議論が尽くされるよう努力をしていきたい、こう考えております。
-
○柳澤錬造君 そのとおり心してやっていただきたいと思います。
それで航空
局長ね、いまも言われたように、浮体に一億三千五百万
調査費を使ってと言っているのだけれ
ども、浮体に一億三千五百万の
調査費を使って、埋め立てに三億七千三百万の
調査費を使っているというのは、これはどういうわけですかというのです。あなたは何かにつけて、いまも言われているとおり、埋め立てはもう百年の歴史を持っていろいろデータもある、しかし浮体についてはそういうデータもなければ、私はそんなもの見たこともないと言われているわけなんです。そういう実績もない、見たこともないというなら、なおのこと浮体の方にかなりのお金をかけていろいろ研究をやらなくちゃいけない。埋め立てについては百年の歴史の中でいろいろデータがあるのだから、それはそんなにお役所でもってお金をかけなくてもいろいろデータがそろうんですから。そのいま言われていることとやっていることと違うので、その点ちょっと解明してください。
-
○
政府委員(
松本操君) まず、埋め立ての方で申し上げますならば、いま
先生おっしゃったような数字を使っておるわけでございますが、これはやはり埋め立て技術というものが最近のように環境保全の問題との
関係におきまして、たとえば同じ捨て石を捨てるにいたしましても、海水汚濁を極端にしぼった形でしか起こさせないというふうなことを考えなければならないとか、あるいは地盤改良をいたすにいたしましても、従来のような考え方の工法、工事のやり方では世の中が納得しないとか、こういうふうな点もございます。また、規模も相当大きくなっていることも否めません。したがって、そういう面の付加的な技術の検討というものに何がしかの金を投入する必要があったのは事実でございます。それから、
先ほど仰せられました三億七千万という金の中の一億何がしというものは、実は私
どもの研究所の施設の中で足らざるものを補って実験装置をつくって研究をするというふうなことに使った金でもございます。これはまたその後ほかの研究にも流用と申しますか、使うことが可能なものでございますので、三億七千万が全部埋め立てだけということではないわけでございます。一方、また浮体の方で申し上げますならば、この一億三千五百万という金は、基本的に模型をつくり、あるいはコンピューターの中でシミュレーションを行うというふうな非常に基礎的な面についての検討に集中的に投入をしたわけでございます。
先生も御
案内と思いますけれ
ども、埋め立ての場合も浮体の場合も、いずれも人工地盤をつくるというふうなのが実は当初の私
どもの感覚であったわけでございますが、その後、浮体技術についていろいろと話を伺ってまいりますと、浮体の場合には単なる人工地盤ということではなくて、構造物が人工地盤と目される物の中に組み込まれている、ここに非常に大きな特徴があるということが私
どもにもだんだんとわかってまいりました。そうなってまいりますと、強度的な問題あるいは浮体の運動性能、そういったようなものもさることながら、浮体構造物の中に、たとえば駐車場でありますとか、あるいはいろんなコンテナの取扱所でありますとか、こういうふうなものを組み込んだ形で飛行場製作をしていくというふうな技術が浮体工法というものを真に生かしていくのかどうかというあたりの判断に非常に大きな影響を持ってくるというようなことも、おいおい私
どもとしてわかってきているわけでございます。そういたしますと、こういう点につきましては、実は私
どもの研究所は正直言ってそれほどすぐれた能力を持っておるわけではございません。むしろ船というものは、そのような中にいろんな施設を組み込んだ構造物そのものでございますので、造船屋さんの集まりである造船工業会でいろいろとおやりになっている研究成果の方が、私
ども直轄研究所の研究屋があれこれ考えますよりも、はるかに有効適切な考え方を生み出していっているというのがよくわかるわけでございます。そういう
意味で造船工業会がどのくらいの金をお使いになったかまでは私つまびらかには存じませんが、しかし、かなりの精力を割いて、いま申し上げましたような具体的な設計的な面にまで立ち入った形で御検討になっておる。そういうふうな点は、実は私
ども参考人の意見等の場合には
資料として御提出をいただき、これをそのまま生の形で審議会の方にぶつけるという形で比較検討の材料にしてもらっておるわけでございます。そういうことでございますから、いま
先生のおっしゃったような見かけの違いというものは、そのまま実質的な違いということでは必ずしもございませんので、そういう点をひとつ御了承いただきたいと思う次第でございます。
-
○柳澤錬造君 航空
局長、
先ほどの御
答弁といまの御
答弁と、私聞いておって大分違うんだけれ
ども、いま言われたようなことならば、埋め立ても百年の歴史はあったけれど、あれだけ規模が大きくなると全く新規まき直しで、白紙でもって研究しなければなかなか大変なことなんですと、そう言っていただかないと困る。
先ほど言われたことは、埋め立て百年の歴史があって云々で、浮体はと言われているんだけれ
ども、いまになると、これだけ埋め立ても規模が大きくなると、また環境の問題もあるし、だからお金を使ったんですと。
そこで、次にまた昨年の六月十五日、「浮体工法
調査結果概要」を航空局でもってお出しになった。いろいろこうやって研究いたしました結果はこうこうしかじかですとあるわけですよね。このほかに、いまの
局長のお話だと、造船工業会もかなりのお金をかけて研究をしているんだということもつくわけだけれ
ども、航空局の飛行場部関西国際空港計画室、問題はこの
調査の結論なんです。「浮体の建設は可能であると考えられる。」として、だけれ
ども、これこれの問題点についてはさらに検討を要すと、ここに七項目を挙げてあるわけです。この七項目の検討をさらに要するといって結論づけた昨年の六月からは、かれこれ大分たっているので、その検討を要するものの検討の結果を聞かしてくれませんか。
-
○
政府委員(
松本操君) この七項目の検討項目につきましては、幾つかにつきましては私
どもの方の部内の能力を動員して
調査をいたしております。相当部分につきましては、
先ほどお答えしましたように、造船工業会の方でさらに突っ込んだ具体的な御研究をなさいまして、その成果を含めて、せんだって造船工業会の方から
参考人の意見陳述として御意見を承りましたときに、これら質問に対する答えと、こういう形でいろいろと研究の成果というものが出てきておるわけでございまして、現在これらについての審議会での議論というのがこれから展開されると、こういう段階でございます。
-
○柳澤錬造君 いや、
局長、私が聞いているのは、昨年六月十五日、
調査結果概要を出した、そして浮体工法も建設は可能だけれ
どもと言って、ただし次の七項目はさらに検討を要しますというのが結論なんです。この七項目はまだ検討しなきゃいけないと言ったんだから、それから九カ月、十カ月たつので、その検討の結果を聞いているのです。
-
○
政府委員(
松本操君) お答え申し上げます。
まず台風来襲時における自然条件の実態把握、これにつきましては、その後の検討によりまして、欲を言えば、つまり十分完璧を期するということであれば、複数点においての波の影響、風の影響等についてのデータをとる必要があろうけれ
ども、現状のデータをもってしても、現在行われております、つまり昨年の六月に出しましたこの自然条件に対応する構造物の強度計算等については一応十分の精度があるというふうに考えていいのではないか、ただし、さらに欲を言えば、複数の観測点における諸般のデータを整理する必要があろう、こういうことになっておりますので、これらの点については今後の検討にまたざるを得ない部分が多少残っておるというふうに考えております。
それから波浪スペクトルの検討につきましては、これはその後、空港予定地で起きます波浪観測の結果をさらに解析を続けておりまして、これによってかなり正確にスペクトルの特性というものが出てまいりまして、これによる浮体の挙動に及ぼす影響というものもシミュレートできるような状態になってまいってきております。
連絡用の浮体の検討につきましては、これはいろいろとむずかしい構造上の面があったわけでございますが、これにつきましては、造船工業会の方がこの後の研究におきまして、きわめて巧妙なお互いに動き回る部材をつなげる
方法という構造、一つのからくりといったようなものを考えておられまして、耐用年数等についての議論は多少あるようでございますけれ
ども、しかし、当面
支障なく使えるのではないかと、こういうことになっております。
ゴムダンパーにつきましては、その後いろいろと検討が重ねられました結果、ゴムダンパーについて寿命というものを考えなければならないということから、今回浮体の方の
参考人からお出しをいただきました
資料によりますと、ゴムダンパーの交換ということを前提に何がしかの金額を維持管理費の中に入れるという形になっております。
リンクの安全性につきましては、これはリンクを圧縮側で使うか引っ張り側で使うかというふうなことがごく最近改めて問題になってきております。これは一般的にはこの種のものは引っ張り側に使うというのが常識ではないかという意見も
委員の中から出ておるわけでございますが、これはどちらかと言えば圧縮側に使っておるわけでございますので、ここら辺のところにつきましては、重ねて設計思想といったようなものをもう一度詰めて承っておく必要があるのではないかと、このように考えますが、部材の形状等につきまして品質管理を行うという点については十分成算があるというふうな結果が出ております。
洋上接合工法につきましては、これは従来船を切断をいたしまして中間部分を継ぎ合わせるというような措置がとられたことを前提に溶接の問題が論じられたわけでございますが、大規模ユニットを洋上において拘束する技術というものは、考え方としては完成をしておるようでございます。実際にそれがどのように作動するかどうかというふうな点につきましては、場合によっては模型実験といったようなものが必要になるかもしれない。ただし、あらかじめ十分に気象予報等ができるのであれば、現在の構想でいけるのではないかというのが浮体にかかわる
関係研究者の方の御意見でございます。
それから防食の問題につきましては、いろいろと議論がございましたけれ
ども、現在におきましては、一応電気防食によって相当長期の寿命を保ち得るのではないかと、こういうふうに浮体研究の方々はおっしゃっておるわけでございます。それと塗装の問題との組み合わせによって相当長期、六十年程度の耐用年数は得られるのではないか。このようになっておるわけでございますが、ここら辺のところは実際に浮体として構造物ができました場合にさらに実物を使ってデータを取りながら逐次改善をしていくというふうな方策も必要であろうかと、このように思います。
以上申し上げましたように、私がいま御説明しましたのは、いずれも審議会の方に主として浮体工法の
参考人意見という形でお答えをいただいた
内容を私
どもがそしゃくして申し上げたわけでございますが、七つの項目のうちのほとんどにつきましては、再度の検討の結果一応問題とすることはないのではないかと、こういうことにはなっておるようでございます。
-
○柳澤錬造君
参考人の意見は
参考人の意見でよろしいんで、私が一番はっきりさせていただきたいのは、航空局としてこういう
調査結果概要を出されているんだから、その次の段階のものをお出しをいただきたい。いまの点も
参考人の意見とそちらの方と若干まざっているように感じますし、ともかく
資料としてお出しをいただきたいと思います。
それで、次にお聞きをしてまいりたい点は、この問題を私が最初に取り上げたのは五十二年の十月の二十七日の参議院の運輸
委員会なんです。私の質問に当時の田村運輸
大臣が、フローティングエアポート方式をとれば、これは漁業補償の問題も変わってくるし、産業革命にもなるんだと言ってこの浮体工法の建設というものを支持されたわけです。それで五十三年度の
予算があのときについたんですよ。続いて、次の福永運輸
大臣がその年の十二月の十二日に当時の福田総理にお会いになって、関西新空港については浮体工法で建設を進めるようにしたいということを進言をして、福田総理もこれを了承されているんです。ゴーのサインが出されたんですよ。ですから、私は五十三年の春の
予算委員会総括質問でこの問題を取り上げて聞くことにしたんですけれ
ども、こういうことは言いたくないけれ
ども、そのときに運輸省の方から、いまこの問題がてんやわんやしてるので、いまここでもって
予算委員会で持ち出されたら困るんですから、もうちょっと時間をかしてくださいという返事だった。私は皆さん方を無理にいじめる気はないから、それじゃ取りやめようと。しかしながら、ここまで軌道修正されてきたものをここでもって浮体工法で建設ができなくなるようになったら、そのときは、あなた方、ただじゃおきませんよと言ったんです。そうして
予算委員会の質問を私はやめたんですよ。ところが、その後の動きというものは、いま
局長が、だれが何と言おうと、それは私はきわめて了解しがたい。
しかも、ことしのこの二月の二十二日、空港労協の方に
松本航空
局長の名前で回答を出している、あの質問について。そこの中で
局長は何を言っているかと言えば、
昭和四十九年八月にその基本となる考え方について航空審議会の答申を受け、その後はこの答申の趣旨を尊重して一連の作業を進めてきている。いま私がここで言っているそういうふうな運輸省内部においての大きな変更があって、しかも、それが当時の総理
大臣までも了承するような変化の起きたことは何にも触れてないじゃないですか。それでこんな回答をすることがありますか。どういう点でもってそういうふうなことにしたのか、それを明らかにしてください。これは運輸
大臣からも
答弁求めますよ。
-
○
政府委員(
松本操君) いま
先生の仰せでございますが、私の
承知をしております限りにおいて、四十九年八月の答申を受けて埋め立てを主とするということで研究を行ってきた、これは事実であったと思います。その後、私自身といたしましては、福永運輸
大臣のときに、当時造船の不況等も踏まえ、福永運輸
大臣から、浮体工法というものについても技術開発が進んできたことでもあるし、これも検討の対象として今後進めていくべきではないかと、こういうお考えがございまして、それがもとになりまして、五十二年度の手持ちの
予算の中で、
先ほど御説明申し上げました浮体工法の研究に一部着手し、さらに五十三年度の
予算にその残余の額を投入いたしまして、浮体工法の基本的な技術的、経済的な面の
調査検討を行ったという経緯であったと私は記憶をしておるわけでございます。
したがいまして、当時何回も国会において議論があったようでございまして、私、念のためそのころのいきさつもまた繰り返し思い起こしてみたわけでございますけれ
ども、福永運輸
大臣と総理との間のお話については、私は必ずしも明確には
承知をいたしておりませんが、国会において当時福永
大臣がお答え申しております趣旨は、いろいろのおっしゃりようをしておりますけれ
ども、何も埋め立てということ一本に限るのではなくて、こういうふうな時勢でもあるし、浮体という問題についてもやはり積極的に取り組んで検討をしていくというのが当然ではないかというのが自分の考えであるというふうなことをおっしゃっておいでであったわけでございます。
したがって、いま
先生が仰せられましたように、その時点において浮体工法というものが確定的に決まったのだというふうには私
ども必ずしもとっていない、理解をしていないわけでございますけれ
ども、しかし、そうは言いながらも、埋め立て一本やりということではなくて、浮体というものが同じレベルの議論として出てきているということは当然私
どもが配慮していかなければならない前提条件である、このように考えておる次第でございます。
-
○柳澤錬造君
大臣も答えてもらうから。
その前に、
局長ね、それは確定じゃない、もちろん、そんなものは。しかし、事の発端は、田村運輸
大臣のときにフローティングエアポート方式がよろしいということになって、そしてあの
予算もついたんです。それから福永運輸
大臣になって、それが今度首相にまで進言をして、そのいきさつについても私は聞いておるわけです。聞いておるから
予算委員会で質問するときに、いま運輸省でもってやられたら困るので、柳澤さんもうちょっとしばらく静かにしておいてくれませんかと言うから、よろしい、わかった、それでは、もうあなた方を困らせることはやめると言って取りやめたわけなんですよ。あなたの二月二十二日の空港労協に出したのはそういうものを全部ネグっちゃってるんです。至るところであなたがしゃべっているのもそうなんです。一航空
局長が
大臣なり総理
大臣の持った見解というものを握りつぶすような、そういうことで果たしてよろしいのかと言いたいんです。その辺が運輸省の内部の、特に航空局がやっていることについて私は非常に不可解で納得ができない。いまのような
答弁なんか納得するわけないじゃないですか。
大臣の方からもちゃんと答えてください。
-
○国務
大臣(
地崎宇三郎君) この関西新空港は
日本の代表的な空港になるわけでございますので、この工法の問題については慎重に扱わなければならないということで、公平に検討するというように指示をしているところでございます。
-
○柳澤錬造君 それは
答弁にならないんだ。
答弁のやり直し。
-
○国務
大臣(
地崎宇三郎君) ただいま申し上げましたように、慎重に工法の検討をするべしということを指
示しておるところでございます。
-
○柳澤錬造君 私が聞いているのは、四十九年には埋め立てで航空審議会が答申を出したことは事実。しかし五十二年になって時の運輸
大臣が埋め立てよりかもフローティングエアポートの方がよろしいのだという答えを出して、そして浮体工法にも
予算がついたんですよ、あのときに、五十三年度
予算に。さらにそれが次の福永運輸
大臣になってそのことを総理
大臣まで進言をして、うん、それがよかろうという形になってそういう動き方をしておった。いろいろ運輸省の内部でもってごたごたしたのも聞いている。だから、そんなこともいままで私は言いたくなかった。しかし余りにも最近の航空局がやっておるやり方というものは——幾ら
大臣そんなこと言ったって片手落ちであり、偏向なんですよ。何だかんだと言ったって、埋め立てに決めようという一辺倒でもってずっといままでの航空局がやっている。特に航空
局長のやっている態度というのはそういうものだから、そんなもの承服しますかってんですよ。ちゃんと
答弁しなさいよ。
-
○国務
大臣(
地崎宇三郎君) 埋め立てあるいは浮体、この問題、いままだ御議論をしているところでありますけれ
ども、いずれにしても、問題は非常にむずかしいところでございますので、十分に慎重にこの工法の決定をしなければ悔いを千載に残すことになるわけでございますから、軽々にどちらがいいということを私の立場からお答えする現在の状態ではございません。
-
○柳澤錬造君
委員長、だめですよ、肝心なところ
答弁しないんだから。何で、どこでそういう軌道修正を勝手に航空局がやったかと、それをはっきりせぬ限りだめです。
-
○
政府委員(
松本操君) 柳澤
先生の御
指摘は、私が運輸省としての既定の方針をいずれかの時点において軌道修正をしたのではないかという強い御
指摘でございますけれ
ども、私といたしましては、別に軌道修正をしたというふうなことは全くないわけでございまして、従来どちらかと言えば埋め立てだけであったものが、いま
先生るるおっしゃいますような経緯も踏まえて浮体工法というものが出てまいったわけでございまして、その浮体工法というものは後から出てきたものではあるけれ
ども、しかし、
先生がおっしゃるようないろいろな経緯を踏まえて出てきたからには、この浮体工法というものを十分に検討した上でどちらがどうだということの答えを出すべきではないか。その場合に行政のサイドのみの見解で答えを出すということは、えてして誤りを犯すおそれもございますので、当時の
大臣ともいろいろと御相談し、御指示を受けながら、これはやはり厳正中立な審議会等において
関係の学識経験者の意見を徴しつつ最終的な結論を求めていくというのが最も妥当ではないのかと、こういうふうなことに相なりましたものでございますから、
先ほどもお答え申しましたように、審議会に部会を設けていただき、さらに小
委員会を設けていただき、そういう形でいま鋭意検討をしておるという状態でございます。したがって、運輸省として浮体だと、こういうふうに決まったものを私が一存で浮体ではないのだと、埋め立てだというふうにねじ曲げたというふうなことは毛頭ございませんので、その点については何とぞ御了承をいただきたい、このように思う次第でございます。
-
○柳澤錬造君 浮体だと決まったものを航空
局長がねじ曲げたなんて言っているのじゃないんだよ。浮体の方がいいじゃないかと言って、少なくとも
大臣も総理
大臣もそういう判断を持った。しかし、あなたの頭の中にあって、いろいろのところで物しゃべったり、書いたり言っていることというのは全部埋め立てなんだよ。
では、具体的に今度は少し中へ入って聞くけれ
ども一、工事費の問題、これを説明しなさいよ、兆三千億。だれがこれを出したんで、どういう根拠から出てきていると。それから、空港労協の方で計算してみたら、埋め立てであったら二兆三千二百五十一億になると言って、こう出している。その辺の解明をしてみてください、一兆三千億の根拠。
-
○
政府委員(
松本操君) まず、一兆三千億という数字が出ておるわけでございますが、この点につきましてはこの国会でしばらく前に御質問がございまして、私としては、現在、固まったわけではないが一つの試算がありますのでというような趣旨を申し上げて、お答え申し上げた数字と記憶をいたしておりますか、この一兆三千億、厳格には一兆二千七百億という計算でございますが、
内容は、護岸のうち地盤改良に三千百二十億、護岸に千四百三十億、消波工に三百三十億、埋め立てのうち地盤改良に千六百九十億、埋め立てに五千六百六十億、内水面護岸に四百七十億、面積は千二百ヘクタール、締めて一兆二千七百億。ただし、これは用地造成に伴う工費でございまして、埋め立て用土砂の採取、運搬及び諸対策費用は含んでおりますが、漁業補償費及び埋め立て用土砂の土砂買い付け代は含んでいないと。さらに、海陸
連絡橋、滑走路、誘導路、エプロン、道路、鉄道ターミナル、ターミナルビル、燃料タンク、航空保安施設といったようないわゆる上物の工事費は含まない、これが前提でございます。
それに対しまして、先日、浮体方式による空港建設期成労組協議会の
参考人から提出されました工費は、同じく千二百ヘクタールに対応いたしまして二兆三千二百五十一億ではないかと、こういうことでございました。これを比較対照いたしますと、いささかわかりにくい面がございますが、一応申し上げますと、設備費という概念がございます。その設備費には、コンベア施設、道路等建設費、作業基地、積み出し港湾建設費、作業船調達費等を含むと、こう書いてございますが、これが二千六百三十三億。次に、海砂——ウミズナ、石材、土砂購入費三千五百六十一億といたしまして、そこから護岸工事に入ってまいります。地盤改良が五千二百八十七億、護岸構築が千六百三十六億。次に埋め立てに入りまして、地盤改良が千七百四十八億、埋め立てが六千七百二十一億。そのほかに浮体工法との基礎工事費差額というものを八百十七億計上いたしておりますが、この八百十七億というものは、浮体は、
先ほどちょっと私お答えしましたように、浮体構造物の中に上物の一部を組み込むことができるので、いわゆる基礎工事的なものが必要にならなくなってくるはずである、その差額を埋め立ての方に上乗せしないのはおかしい、こういう御意見であったように記憶をいたしております。それから防災費というものを八百四十八億、こういうふうに計上いたしまして、合わせて二兆三千二百五十一億、このようにはじいたわけでございますが、しかし、私
どもの最初申し上げました数字の中で、たとえばコンベアの施設、道路の建設等につきましては、埋め立ての費用あるいは護岸の費用、こういう中に全部ばらばらにして入ってしまっておるというのが私
どもの理解でございます。したがって、この二兆三千二百五十一億という数字と私
どもの方の試算をいたしました一兆二千七百億、約一兆三千億という数字の間に一兆の差があるわけでございますので、余りにも差が大きいということから、この点についてどこがどういうふうに違うのかというのを突き合わせてもう少し研究をいたしたいということを期成労協の方にもお願いを申し上げてあるという状態でございます。
-
○柳澤錬造君 航空
局長、じゃ、この一兆三千億というのは航空局がはじき出した数字ということになるのですか。
-
○
政府委員(
松本操君) お答え申し上げます。
数字が、オーダーがあって細かなところが違っておりますので、非常にわかりにくくて失礼をいたしましたが、私が申し上げました一兆二千七百億というのは、地方局、はっきり申しまして第三港湾建設局が試算をした数字でございます。巷間伝えられております一兆三千億と申しますのは、小委会におきまして埋め立て側の
参考人から提示のありました数字でございます。したがって、たとえば護岸の地盤改良費について第三港湾建設局の推定は三千百二十億であり、それが
参考人の意見は三千二百億になっておるというふうに、やや、端数と申しますか、細かなところで数字が違っておりますが、概略して申し上げて、一兆三千億という数字はたまたま一致をしておる、こういうことでございます。
-
○柳澤錬造君 そうすると、その一兆三千億という数字は、航空
局長、責任を持つわけ、航空
局長というか、航空局が。いまのお話だと、
参考人というけれ
ども、一
参考人のはじき出した数字それを審議会にかけて、審議会の審議の材料にするなんて余りにも不見識じゃないですか。浮体の方のはこれはちゃんと造船工業会から出された数字ですから権威がある——権威があるというか、個人の何じゃないわけでしょう、その点きちんとしてくださいよ。
-
○
政府委員(
松本操君) まず、この建設工法小
委員会は、これらの数字をもとにさらに今後審議を続けまして、この中の事項別の割り振りが妥当かどうか、あるいは数字の見積もりが適当かどうかというふうなことをも含めて検討をいただくという考えでおります。
そこで、埋め立ての
参考人と私申し上げましたが、これは個人ということではございませんので、たとえば埋立俊深協会とか、そういうふうなところに技術
委員会というふうなものがあるようでございますが、こういうふうなところでやはり相当の期間をかけて検討した数字というふうに私
どもは理解をいたしております。したがいまして、造船工業会の方から造船工業会を代表する何人かの
参考人にお越しをいただいたというのとほぼ対応する形の数字でございますので、私
どもとしては、これを直ちにもってよしとするというわけではございません。さらにこれを種にいたしまして議論を尽くした上で妥当、適切な数字をはじいていく、こういうことを考えております。
-
○柳澤錬造君 では、
参考人の個人意見じゃなくて、埋立俊漢協会の意見だというふうに受けとめてよろしいわね。では次に、補償費の問題がこれは全然入っていないんだけれ
ども、どういうお考え持っているんですか。
-
○
政府委員(
松本操君) お答え申し上げます。
補償費とおっしゃいますと、非常に幅が広くなるわけでございますが、海上における漁業補償の問題、これはかなり大きな問題であろうかと思います。それから、仮に埋め立て工法ということになりました場合には、陸上部分におきまして土を取ってくる山なり何なりを買い求めるというようなことになろうかと思いますが、その場合、これに関連する補償費的なものも恐らく生じてくるだろう、このように考えます。
漁業補償につきましては、これは
先ほど申し上げましたように、埋め立ての方では勘定に入っておりませんし、浮体の方も漁業補償費は勘定に入っていないわけでございまして、どの程度のものになるかというのは、やはりこれは具体的に漁業交渉を始めてみませんと、この時点で数字を挙げて云々申し上げることは、何かそういったようなことをあらかじめ示唆することにもなりかねませんので、御容赦いただきたいと思うわけでございます。
それから、地元——地山を取ってくるといったようなことに対する補償のありようにつきましては、土地を取った跡をどういうふうに整備をしていくのかということとの関連もあろうかと思いますので、これもいまの時点でかなり正確に見通すということはむずかしいと思いますけれ
ども、当然、おっしゃいました補償費というものは総工費の中で慎重に考えていかなければならない問題であると、このように考えております。
-
○柳澤錬造君 どうなんですか、
局長。和歌山県の御坊発電所の場合、あれは三十五ヘクタールなんだ。あれの補償費、御存じかどうか。三十五ヘクタールで百五十億円、これから類推していけば六千億ぐらいの補償費を払わなくちゃいけないことになってくるんだけれど、その点どうですか。
-
○
政府委員(
松本操君) いまお
示しの例は、私ちょっと具体的に
承知をしていないわけでございますけれ
ども、補償費の額というのは大むねの相場もあるようでございますが、また一方、理屈もあるようでございますので、そういう点を突き合わせながら具体的な数字は慎重に検討すべきではないかと、このように考えております。
-
○柳澤錬造君 国土庁おりますわね。
大阪府と、大阪府のあそこの四条畷市と大東古にまたがってある北生駒山系、大分山削っちゃったんだけれ
ども、二百七十五ヘクタールにわたってあの山を削ったのが余りにもひどいので、国土庁と大阪府で、もうこれから新しい新規採取は認めないということを決めたということを聞いたんだけれ
ども、事実ですか。
-
○
政府委員(伊藤
晴朗君) いわゆる北生駒
地域におきまして、十数年来にわたりまして、相当規模かつ無秩序な土砂採取が行われておりまして、その結果、自然環境の破壊、景観の悪化、跡地の荒廃という問題が生じておりますために、昨年六月から国土庁、環境庁、林野庁、建設省が共同いたしまして、採石法所管の通産省並びに大阪府の協力を得まして、この
地域の保全整備のための計画
調査を実施してまいっております。
これまで現況
調査を踏まえて、この
地域の保全整備のための基本的な考え方の検討を行っておりますが、現段階でのまとめといたしまして、一つ、自然環境の保全回復、二つ目に災害の防止、三つ目に土砂採取の抑制、四番目に土砂採取跡地の整備と緑化回復、この四項目を今後の保全整備計画策定の最重点項目といたしたいと考えております。特に土砂採取につきましては、今後その取り扱いにつきまして、採取期間、採取
区域を限定する等抜本的な見直しを行いたい。また、新規の土砂採取は原則として行わない。さらに、継続実施する土砂採取につきましても、緑化、防災等につきまして必要な条件を付したり、その履行を徹底させるようにいたしたいと、現段階ではそのようなまとめをしておりますことは御
指摘のとおりでございます。その具体的な対策は来年度の
調査検討にまつものでございます。
以上でございます。
-
-
○
委員長(
山内一郎君) 速記を起こして。
衆議院本会議のため、午後四時まで休憩いたします。
午後一時五十四分休憩
—————・—————
午後四時二十五分開会
-
-
○柳澤錬造君 これは
大臣の方にお聞きしておかなければいけないんですけれ
ども、
先ほどから関西新空港建設工法については慎重に検討いたしますと再三御
答弁があったので、そういう点からいきまして、建設工法はまだ決まっていないという判断をしてよろしいかと思うんです。そうしてくると、いろいろとうわさで私
どもが聞いておる、埋め立てのための土砂の採取をどこから持ってくる、あそこから持っていくなんというようなことを聞くんですが、これはあくまでもうわさなんだという形で、何ら決まっていない、そう判断をしてよろしいでしょうか。
-
-
○柳澤錬造君 では、そういうことでこの問題は終わりたいと思うんですが、ただ、これは
大臣にも申し上げておくのですが、私も
先ほど申し上げました北生駒山系を実際に見てきたんです。大変な大きなところを削ってしまいまして、それでいまいろいろやっているけれ
ども、なかなか草が生えない、もちろん木なんか生えないんです。だから、もう雨が降れば水害を起こすのも無理ないので、これをもしも埋め立てということになったら、あっちにもこっちにもそういうのがたくさんできるので、これは自然破壊も大変なことになるし、ですから、そういう点から
大臣も一度ぜひあれはごらんになっていただきたい。
そういう要望だけ申し上げまして、次にお聞きしたいのは、これはまた航空
局長いらっしゃるから、ヘドロの問題なんです。大阪湾というのは、あれは大阪層群という名で呼ばれている大変軟弱な地盤なんです。航空局から審議会に出された
資料も私これをつぶさに見たのですけれ
ども、ヘドロが二十一・八メートルあって、その下は六・六メートルの砂がある、また、その下に二十三メートルのヘドロ、その下が七メートルの砂があって、また十四・七メートルのヘドロとずっといって何百メートルもなっているわけなんで、このヘドロの始末をどうするというふうにお考えなのか。建設工法が決まっていないからそれも未知数だといえば結構ですけれ
ども、ちょっとお聞きしたいんです。
-
○
政府委員(
松本操君) お答え申し上げます。
大阪湾の底のいま
先生がヘドロとおっしゃいましたのは、粘土層と言い直してもよろしいのではないかと思いますが、おっしゃいますように、多くのところで粘土層が二十メートルかそこらございまして、その下に砂層、砂れき層、それからまた粘土層と、こういうふうになっております。粘土層の上に仮に何をつくるにいたしましても、粘土層のままでは非常に安定が悪いわけでございますので、したがって、埋め立て工法を用いるとするならば、その場合は地盤改良をしてから諸般の工法をその上に行う、こういう段階になろうかと思います。地盤改良のありようは、いわゆる護岸と申します部分と、一般にどろを埋めていく部分と違うやり方をするようでございますけれ
ども、いずれにもせよ地盤改良をして、ヘドロを圧密沈下と申しますか、圧力をかけ水を抜いてきちっと固めてしまう、または太い砂のくいを打つ、こういうふうなやり方で軟弱地盤であっても十分の載荷力を持たせるようにした形でその上に諸般の構築物をつくっていく、こういう形で処理をしていく。
その場合に一つだけ問題になっておりますのが、大きな砂ぐいをたくさん打ってまいりました場合、つまりサンドコンパクションという工法がこれに当たるようでございますが、そういうふうなことをいたしました場合にヘドロが一部盛り上がってくるのではないかと、これはいろいろな見方があるようでございますが、容積で二割程度のヘドロが盛り上がってくるのではないか、こういう考え方がございます。この盛り上がってきたヘドロをさらに地盤改良の連続という形で処理をしてその上に構築物をつくるという考え方と、それから盛り上がってきたヘドロは別途どこかへどけてしまうという考え方と二つあるようでございます。いま埋め立て工法の中で議論されておりますやり方は、盛り上がってまいりましたヘドロを別の場所へどけるということを念頭に置いて組み立ててあるということでございます。
-
○柳澤錬造君 それからこれは
大臣、地震のこともお考えいただかないといけないと思うんですけれ
ども、東京湾の入り口の水深四十メートルのところへ昔の帝国陸軍が明治二十五年から大正十年までの三十年間の長期にわたって第三海堡を築城したのです。ところが、大正十二年の関東大震災で一瞬にしてばちゃっといって、それだけの三十年もかけて築城したものがつぶれてしまうんですから、もうもぐってしまっておるわけなんです。ですから、その辺のこともお考えになっているか、なってなければ十分いろいろ判断をしていかなきゃならないので、その点についての意見をちょっと聞かしてください。
-
-
○柳澤錬造君
大臣、見ておるだけじゃなくて、十分にお考えいただかないと大変なことなんですから、よくお願いします。
それから、この辺はどうなんですか、埋め立てならば償却は要らないけれ
ども、浮体ならば六十年しかもたないんで償却が必要だという説を説く人がいろいろおるし、運輸省の中にもそういうのがいるんだけれ
ども、埋め立てでやっても護岸は法定耐用年数が五十年と決まっているわけなんです。その辺について運輸省の方の見解をひとつ聞かしていただきたいです。
-
○
政府委員(
松本操君) お答え申し上げます。
浮体でつくりました場合には構造物でございますので、恐らく当然のことながら減価償却という形をとるであろう、こういうふうに考えられておるわけでございます。しからば、埋め立ての場合には減価償却が要らないのかと、こういう議論でございますが、先日、埋め立てに係る
参考人の意見としては、埋め立てにおきます場合、護岸の償却は費用として計上されておりませんでした。ただ、いま
先生おっしゃいましたように、所得税法及び法人税法に基づく減価償却資産の耐用年数等に関する省令、こういうものによりますと、鉄筋コンクリートづくりの岸壁、堤防などが耐用年数五十年あるいは金属づくりの鋼矢板岸壁は耐用年数二十五年と、こういうことになっております。
そこで、現状はどうなっているかということでございますけれ
ども、鉄筋コンクリートのケーソン岸壁でございますが、六十年を超えてなお十分実用に耐えているものもあるわけでございます。あるいは鋼矢板の岸壁におきましても四十五年を超えて十分実用に耐えているものがあるわけでございますので、法定耐用年数というものと物理的な耐用年数というものとはおのずから違うのではないか、こういうふうには考えます。
ただ、現実に、それでは償却をどう考えるのかという問題につきましては、これは港湾局が直接実施いたしました岸壁のようなものは当然官庁会計の性格から減価償却がかかってまいりませんけれ
ども、たとえばこの実施主体が公団というふうなことになりますと、これは官庁営造物ではございませんので、恐らくその時点においては適切な
方法で減価償却費を考えるというふうなことになるのではないか。現在のところ、まだ事業主体の議論に立ち至っておりませんので、そこら辺までぎちぎちと詰めてはございませんけれ
ども、いま申し上げましたように、事業主体のいかんによりましては減価償却費というものを考えていくということにはなろうかと思います。
-
○柳澤錬造君 羽田空港の建設費は幾らかかったのですか、あそこは。
-
○
政府委員(
松本操君) 昔の話と申しますか、終戦直後、
米軍があそこを三倍以上に拡張したわけでございますが、その場合の建設費は残念ながらちょっとよくわかりません。その後、
昭和三十七年から三十八年にかけまして、いわゆるC滑走路というものを増設しておりますが、これは当時の価格でございますけれ
ども二十八億円を要しております。それから四十二年から四十六年度にかけましてB滑走路を千五百七十から二千五百に延ばしております。これはやはり当時の価格で五十八億という金がかかっておるわけでございます。空港自身は、御
案内のように、
昭和六年に逓信省羽田飛行場ということで発足をしたわけでございますが、それに継ぎ足し継ぎ足しという形になっておりますので、総額という点については残念ながらちょっと
調査いたしかねております。
-
○柳澤錬造君 いや、それでいいんです。私が言いたいのは、浮体ならば六十年とか何か言っているけれ
ども、羽田の場合も実際にいま言ったように
昭和六年につくって、もう二十年もすれば大改造をやらなければいけない、また十何年もすれば大改造といって、当初の建設費以上の高い金をかけなくては改造ができないくらいなんだ。このことはどだい無理なことであって、羽田空港をつくったときにまさかジャンボが飛ぶなんてだれも考えていなかったわけです。いまのようなあんな五百人乗りの飛行機が飛ぶなんていうことは考えていなかったんですから、そういう点から考えて、これからの六十年先というものがどうなるかということも御判断をして、埋め立てならば償却は要らないんだ、浮体ならば六十年だといって、そういうことでの論争といいますか論議は私はやめてもらいたい。現実にトランジスタを見てほしいんですけれ
ども、
アメリカがあれを実用化したのは
昭和二十五年なんです。まだ三十年しかたってない。それでこれだけいまずっと広がっているわけでしょう。コンピューターなんかにすれば、これも
アメリカが実用化したのは
昭和二十八年、まだ三十年たたないわけなんです。そういう形でもって三十年、四十年、五十年の先がどうなるかといって、なかなか大変なことなんです。
そこで、
大臣、だからお聞きをいただきたいんです。この関西新空港の建設工法、
先ほども、これから慎重検討しますと言われたんですが、それを受けとめて、本当にお願いしたいのは、
日本の産業界の冒頭に申し上げましたような将来を考えて、これからのことを考えてどうやって技術開発というものをやっていくかと、そういう点でもって真剣に考えてお取り組みをいただきたい。そういう
意味におきましての
大臣の見解を聞いて、この問題を終わりたいと思うんです。
-
○国務
大臣(
地崎宇三郎君)
先ほども申し上げましたように、この新空港は関西における
日本の代表的な空港になるわけでございます。
地域の整備あるいは環境問題等も十分御理解を得て、そうしてつくっていかなければならぬわけでございますけれ
ども、工法自体は十分検討いたしまして、悔いを千載に残さないような完璧な飛行場をつくらなければならないので慎重に検討してまいりたいと、かように存じております。
-
○柳澤錬造君 では、この問題は終わりまして、外務
大臣、午前の残してあった積み残しの方に入って、難民の問題なんですけれ
ども、難民条約、ことしのこの国会に何とかかけたいというような御
答弁も
先ほどいただいたんです。
そこで、私の申し上げたい点、時間もなくなったんですけれ
ども、窮鳥ふところへ入らば猟師もこれを撃たずということがよく言われているわけなんです。ボートピープルの人たちも、あの一九七五年の共産主義政変で自分の国におれなくなって、みんな自由を求めて脱走した人たちなんです。もう少しそういう点で温かく迎えていただきたいし、単に観光ビザで来たといっても、その人たちもみんなボートピープルの人たちなんです。せめて国連の難民高等弁務官から証明書があった者はこれは難民として認めて扱う、あるいは
日本の中でかなりの人が身元引受人になったならばこれは難民として扱うというそのくらいの温かい心、思いやりがあってもいいと思うんですが、その点で外務
大臣の御見解いかがですか。
-
○国務
大臣(大来佐武郎君) ただいま柳澤
委員の御
指摘の点は、私
どもも実は心を痛めておる問題でございます。直接の難民に形式的にはならないけれ
ども、実質的には難民だと、いわゆる二次難民とでもいいますか、そういうケースもございますし、ただ法規上は、
先ほど法務省の方からお答えがあったように、法規にはひっかかる不法残留といいますか、不法滞留、観光ビザで入ってきて居座る、そういう法律上の解釈と実態との間にいま確かに問題があるようでございまして、私
どももいろいろなケースを耳にしております。また、海外に参りますと、
日本はそういう難民の問題についての理解が薄いという国際的な批判もしばしば耳にするわけでございまして、
先ほど御
指摘の「リーダーズ ダイジェスト」の記事な
どもその一つだと思いますが、
日本の国際化ということを考え、海外とのつき合いがますます大事になってまいります際に、こういう
日本のイメージが国際的に広がるということは大変私
どもとしては残念だというふうに思っておるわけでございます。せんだっても大学の
先生方が皆さんおそろいで来られまして、この問題もう少し何とかならないか、
日本の大学に留学している東南アジアの学生たちが一体将来
日本に自分たちは安心して残れるのか、働けるのかというようなことも非常に心配だ、それで、やはり
日本に留学するよりどこかほかの国へ留学した方がいいんじゃないかというような意見も東南アジアの若い人たちの間に広まってきつつある、こういうことを考えますと、いま私も非常に遺憾なことに存じますので、従来から国内官庁の方にも何とかもう少しならないのかということをお願いしておるわけでございますが、こういう機会にやはり、余り従来の島国的な発想でのいろいろな取り締まりや規則というものを、国際化時代、世界の中に生きていかなければならない将来の
日本という立場から、もう一度思い切った見直しが必要ではないか、こういうふうに存じておりまして、外務省といたしましても、さらに国内官庁にお願いいたしまして、この辺の検討を続けていただきたいと考えておる次第でございます。
-
○柳澤錬造君 それで
大臣、もう一つは、いまもお話があったように、一九七五年のサイゴン陥落以前に留学生で来て帰れなくなって無国籍者みたいになっちゃっている。ですから、いま
大臣も留学生からお話があったというそれも含めまして、もう一度申し上げるんだけれ
ども、少なくとも国連難民高等弁務官がこの人は難民ですという証明書を与えたら難民として扱うぐらいのことはできないのかどうか。それから国内でもいろいろの方が引き受けてやって、私が引き受けましょう、責任も持ちましょうと言っている。そういう人がおったならば、その人についてもそういうことがやれないかどうかということなんですよ。
-
○国務
大臣(大来佐武郎君) この点は法務省の方からお答え願った方がよろしいと思います。
-
○
政府委員(小杉照夫君) ただいま外務
大臣から、どちらかと申しますと前向きな御
答弁がございまして、私の
答弁といささか不接合、合わない点があるかとも存じますが、私
ども、やはりいま問題にされておるいわゆる流民と呼ばれておるカテゴリーの方たち、この方々たちの処遇についていろいろ頭を痛めておるのは事実でございます。ただ、現在のところ、この流民と言われる方たちが一体どのような姿で
日本におられるのか、その実態把握というものがはなはだむずかしい状態に相なっております。いずれも皆様方、潜在というようなかっこうでもぐっておられまして、われわれの目に触れるような形でなかなか出てきておられないというような点がございまして、その境遇が必ずしも定かでない点があるのでございますが、これを私
どもひとつ定義してみた場合、インドシナ三国に過去において生活歴があってインドシナ三国の政変の後第三国へ赴く、その第三国で旅券を取得してわが国に観光客として入ってくるわけです。その結果不法残留した者、そういうようなタイプの方、これがいわゆる流民であろうかと存じます。
これは私
どもの法の執行のたてまえから申しますと、こういうたぐいの方たちは、香港であるとかあるいは台湾という第三国から正規の旅券の発給を受けて参ってきておられる方でございまして、その発給国の国民としてそれらの国の
保護下にある方であるわけでございますので、不法残留というような
事態が生じた場合には旅券発給国にお帰りいただくというのが実は国際的な原則ではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。で、このような方たちにインドシナ三国における生活歴があるとか、あるいはわが国において非常に確実な身元保証があるということだけをもってわが国に定住を認めることができるようないわゆる難民というものと全く同列に考えていいものかどうか、この辺、私
どもいささか疑問を感じておるところでございます。
-
○柳澤錬造君 これは外務
大臣と
法務大臣の両方によく聞いておいてください。
いまのああいう
答弁が私は政府の態度としては根本的に誤りだと思うんです。よくお聞きをいただきたいんだけれ
ども、難民だとか、いまは流民だとかいう言葉が出てくるわけです。これは私に言わせれば戦争の落とし子ですよ、この人たちというのは。むしろ戦争の被害者になって、そして何とかして自由を求めて生きんがために、
日本に行ったならば何とか救ってもらえるだろうといってやってくるわけ。冒頭にも言ったように、あのボートで行って、百五十隻からの小舟に乗った人は途中でもって沈んじゃっているわけなんです。三百何隻の人はマレーシアの島にたどり着いたというのもあるわけなんです。だから、異常状態で発生したこの人たちに正常な法規を適用して律するというところに私は間違いがあると言うんですよ。だから、もっと——昨年も三原総務
長官は、人類愛というのは国境を越えて、民族を越えて、その国の法律な
ども越えて対処してやることです、というのがこれは昨年の
予算委員会の
答弁なんです。それ以上にいま後退をして、いまのようなあんな
答弁を聞いておったってしょうがないので、ですから、どうかこれは外務
大臣、
法務大臣にお願いをいたします。政治的な何らかの、やはりこの人たちを難民として扱って、それで、いま難民条約もまだ批准をされていないけれ
ども、何を言っているかおわかりいただけるんだから、そういう点でもって温かい手を差し伸べて、勉強したい人は学校に行けるようにしてやる、働きたい人には職を与えるようにしてやるといって、どうかその人たちを、このままほうっておいたら本当の犯罪者になっちゃうと思うんです。
-
○
委員長(
山内一郎君) 柳澤君、時間を超過しておりますので、簡単に願います。
-
○柳澤錬造君 そういう犯罪者にならないように救っていただきたいということをお願いして、その御
答弁をいただきたいです。
-
○国務
大臣(大来佐武郎君) ただいまの柳澤
委員の御趣旨は、私としては同感でございますので、政府内部、各省ともよくさらに話し合いを進めてまいりたいと存じます。
-
○国務
大臣(倉石忠雄君)
先ほど申し上げました政府部内に協議会を持っておりますから、
関係当局と十分打ち合わせまして対処してまいりたいと思います。
-
○柳澤錬造君 終わります。(拍手)
-
-
-
○秦豊君 初めに、大蔵省に伺っておきたいんですが、補助金等の総額は幾らになりますか、五十四年度。
-
○国務
大臣(竹下登君) 五十四年度の補助金の総額は十二兆八千八百五十一億円、
昭和五十五年度は十三兆八千五百二十億円であります。
-
○秦豊君 その中で、いわゆる呼び水的なもの、奨励的な補助金はわかりますか。
-
○
政府委員(
田中敬君) 奨励的補助金と義務的補助金の区別は非常にむずかしいわけでございますが、いわゆる法律補助の中にも奨励的補助金が含まれておるわけでございます。で、法律補助と
予算補助という形で区別をいたしますと、法律補助が大体八〇%、
予算補助が二〇%でございます。
-
○秦豊君 それでは、以上を踏まえて伺っておきたいんだけれ
ども、今度、大蔵省がようやく問題になっていた補助金を幾つか廃絶しましたね。わかりますか、それは項目が。
-
○
政府委員(
田中敬君) 補助金の件数の数え方もいろいろございますが、五十四年度ベースで私
どもは三千八百三十三件補助金があると思っておりますが、そのうち三百八十二件を合理化、廃止をいたしまして、その金額は約五百二十三億円程度でございます。
-
○秦豊君 たとえば納税貯蓄組合の補助金など七つですね。住宅生産工業化、これなどは
予算補助だったんですね。
-
-
○秦豊君 この
予算補助というのは多分に裁量が働きますね、
局長。
-
○
政府委員(
田中敬君) まさに政策遂行手段でございますので、政策的裁量が入ると思います。
-
○秦豊君 労働界、財界等でもかねがね問題になっていた補助金が幾つかあって、お待たせしました、ようやくと言ってなくなったのが列挙しただけでも七つありますよね、これ具体的に。
それから、これから挙げることは、必要性がなかったり意義があいまい、腑に落ちない、こう点があるので具体的に伺っていきたいんですが、たとえば養殖真珠流通整備改善事業費、これは一体何ですか。
-
○
政府委員(渡邊五郎君) お答えいたします。
養殖真珠流通整備改善事業と申しますのは、西
日本等を中心にしまして養殖真珠業が盛んでございます。この真珠養殖漁業協同組合等が共同販売なり調整保管の事業をするための借り入れ資金について債務保証を行う、こうした事業といたしまして五十四年度計上しました単年度の補助金でございます。
-
○秦豊君 いま言ったのは、法律には依拠していませんね。
-
○
政府委員(渡邊五郎君) 法律に基づかないものでございます。
-
○秦豊君 基づかないんですね。
-
-
○秦豊君 それを確認しておきましょう。
それから、じゃ、いつまでに奨励の効果を上げてやめようとしたのか。当初の考えはどうなんですか。
-
○
政府委員(渡邊五郎君) お答えいたします。
これは五十四年度、単年度基金を造成いたしまして、五十四年度の基金造成をもって終わるわけでございます。後はこの基金を中心にしました債務保証等の事業を続けていく、このようになっておるわけでございます。
-
○秦豊君 しかし、おかしいな。ミキモトパールを頂点にしてパール業界は競争力絶大ですよ、あなた。そういうところにこんな補助金、何で要るんですか、単年度にしたって。
-
○
政府委員(今村宣夫君)
先生よく御存じのとおり、真珠養殖業は非常に長い間の苦難の道をたどってきまして、最近におきまして、昨年はちょっと別でございますが、まあ、ほぼいろいろ安定の
状況を見たわけでございます。したがいまして、これらの業界はこの安定した制度を続けていかなければいけませんので、私たちといたしましては、この機会におきまして、業界からも基金を求め、国としても県が補助する場合においてその二分の一を補助するということによって今後の
事態に備えていくということが最もいいのではないかというふうに考えまして、この基金を設けた次第でございます。
-
○秦豊君 どうもよくわからないな。補助金を流通対策で五十九億出していますよね。屋上屋、冗費じゃありませんか。もう一回。
-
○
政府委員(今村宣夫君) 真珠事業につきましての流通対策といいましても、真珠
関係の流通対策の金は出しておりませんで、真珠に対する助成といたしましてはこの基金だけでございます。
-
○秦豊君 こういう問題は、ああ言えばこう言うでしょうな。
文部省、英語担当教員海外研修事業費補助金、これは一体何ですか。金額も言ってください。
-
○
政府委員(諸澤正道君)
予算としては、米国、英国の大学に夏季期間約一カ月英語担当教員を派遣するに必要な補助金でございまして、派遣人員百十二人、
予算総、額七千七百三十万九千円となっております。
ちょっと性質を、目的を説明してよろしゅうございますか。
-
○秦豊君 はい、どうぞ。
-
○
政府委員(諸澤正道君) 説明させていただきます。
戦後といいますか、戦前、わが国の外国語教育というものは、ずうっと聞く、話すということよりは読み、書きがもっぱらだったんですね。戦後そういうことではいかぬ、聞く、話すという能力もバランスをとって伸ばしてやるというのを目的にしたわけでございます。そして、そのために視聴覚器材等がだんだん整備されてきますと、いまのテープレコーダーとか、あるいはビデオとか、あるいはLLというようなものが中高等学校にもある程度整備されるようになりまして、一方、
アメリカやイギリスから若い大学卒の方が
日本へ来てひとつ英語の勉強のお手伝いをしたいというようなことで来られる人もありまして、これが現在両方合わせますと四、五十人いるというようなことで、かなり効果は上がってきておるわけです。しかし、これはわれわれが専門家に聞きましても、要するに語学の勉強というのは言葉だけがひとり歩きするわけではないので、やはり本当に勉強するためには、特に語学を担当する教師にとってはその国の国民の物の考え方あるいは日常生活様式というようなものをある程度体得するというのがやっぱり非常に大切なことだという判断に立ちまして、ですから、全体の英語教員の中で言えばごく限られた数の教員でありますけれ
ども、一部の方にそういう体験をしてもらおうということで、ことしから始めた事業でございます。
-
○秦豊君 何かそれは論拠薄弱だな。
日本の英語教育の欠陥は戦中、戦前からですよ。何で五十四年から新設したんですか。
-
○
政府委員(諸澤正道君) これはおっしゃるとおりでございますが、われわれとしてはもっと早くやりたかったわけですが、
先ほど申しましたように、段階的にまず各種の視聴覚教材設備を整備することによって、それによる聞く、話す教育の充実、その次に、いま言った向こうから人を呼ぶというようなことをやってきたわけでありますが、さらにそういう条件がある程度整いましたので、今度はひとつ向こうへ行くようにしたいということでやってきておるわけでございます。
-
○秦豊君 真珠もこの英語も、これは論拠薄弱だな。非常にあいまい、御都合主義と私は思う。
農業の方なんですが、農業改良普及事業費の補助金、調べてみたら何と十八億円なんだが、こんなのは農林
大臣、とっくに使命を果たしておるのじゃありませんか。
-
○国務
大臣(
武藤嘉文君) やはり農業普及員というのはいろいろ農業の方の教育もやっておるわけでありますし、特に私
ども、いま水田利用再編対策ということで取り組んでおりまして、どうしても農業者によりそういう面で理解をしていただきたい。また、今度は農地法
関係の三法を実は提案をいたしておるわけでございますか、こういうものをやりますことは、結局、経営規模拡大をやって何とか生産性の高い中核農家を育成していきたいと考えておるわけでございますけれ
ども、そういうことをやっていく上にもやはり相談に乗っていく農業改良普及員が必要だと、私はこう考えておるわけでございまして、ぜひそういう点で御理解をいただきたいと思うわけであります。
-
○秦豊君 いや、それは
大臣、たとえば、ほかに農業改良普及あるいは生活改善普及に負担金がなかったら、あなたの言うことにすぐ賛成してあげますよ。あるじゃないですか。金額を含めて答えてください。ダブっておる。むだなんだ。
-
○国務
大臣(
武藤嘉文君) 必ずしもダブってはいないと思います。それぞれの目的に応じて、まあ多少似通った点はあろうかと思いますが、私は必ずしもダブっていないと思います。
細かい点については事務当局から説明をさせます。
-
○
政府委員(二瓶博君) 農業改良普及事業の
関係の経費でございますけれ
ども、その際に、協同農業普及事業の負担金といいますものと補助金といいますものと二色ございます。そこで、五十五年度の
予算額といたしまして両者合わせまして三百六十六億ほどの補助金及び負担金になっておるわけでございますが、特に負担金といいますものは、職員の設置費等を中心にいたしまして三分の二を負担をするということで、これが中核をなすもので、三百四十六億円ほど負担金に相なっております。補助金の方はそれ以外の
関係のものでございまして、大体二分の一補助でやっておりますが、ただいま
先生からもお話ございましたような十八億六千万というようなことで、主たるものはこの負担金の方でございますが、そういうような構成でございます。
-
○秦豊君 では、職員を割り振っているわけだから、その数もついでに明らかにしてもらいたい。
-
○
政府委員(二瓶博君) 普及職員の定数は五十四年度で一万二千六百九十七名、それから、ただいま御審議いただいております五十五年度の
予算面におきましては一万二千四百四十八名と、前年より二百四十九名の減と、かようになっております。
-
○秦豊君 重ねて
武藤大臣、やっぱりよく聞けば聞くほどこれは屋上屋ですわい。これだけ負担金があり、その上に補助金、納得できないな。どうでしょう。
-
○国務
大臣(
武藤嘉文君) これはどうも考え方の違いかもしれませんけれ
ども、私はやはりいまの農業者の置かれておる立場を考えれば、ややもすれば将来に希望をなくしかねない現状でございますから、いろいろ相談に乗って、そしてこういう方向でひとつがんばっていこうじゃないかという激励をするということもありますし、特に最近は、
先ほど申し上げましたように、いろいろ水田利用再編対策とか、これから経営規模の拡大であるとか、いままでの農政の中には必ずしもなかった問題を取り上げていくわけでございますし、また、一方において私
ども農村の生活環境整備を思い切って進めていかなきゃいけないということをやはり今後の農業の振興の中で考えているわけでございますけれ
ども、そういう生活環境整備を進めていく上においても、やはりそれぞれの個々の農家の生活環境をよりよくしていくことも考えていかなきゃならない。それと有機的な
地域の生活環境整備とあわせていかなきゃならないわけでございまして、そういう点においても、やはりこういう普及員がおっていろいろ相談に乗ることは私は必要だと、こう考えておるわけでございまして、ぜひ御理解をいただきたいと思うわけでございます。
-
○秦豊君 なかなか私はわかりが悪いんでね。
農業研修生派米協会補助金一億円、これなんかはやめて差し支えないものじゃないですか。——いませんか、御
出席のはずだが。いなきゃ飛ばしましょう。後からまた必ず、お顔が見えれば。
それから、これはどうなんです、通産省。製品品質意匠向上事業費補助金、これは一体どういう趣旨のどんな金なんですか。
-
○
政府委員(花岡
宗助君) お答えいたします。
この補助金は製品の品質及び意匠向上等についての対策、いわゆるデザイン対策の補助金でございますが、確かに沿革的には輸出商品の品質向上という観点から重視されたものでございますが、今日ではむしろ国民生活の質的向上とか、あるいは
地域産業のデザイン開発力の向上といった観点に重点を置いて進められておるものでございます。
日本産業デザイン振興会が行います品質及びデザイン向上事業に対します補助等もそういった立場から常に毎年見直しを行いまして、今日のデザイン対策の課題に沿った形で消費者のためのデザイン関連の情報の提供とか、
地域産業にかかわるデザイン振興対策等に重点を置いて行っております。
-
○秦豊君 運輸省、国際観光事業費の補助金がありますが、これは金額は幾らで、どんな目的ですか。
-
○
政府委員(上田浩君) お答え申し上げます。
国際観光振興会に対します補助金は、
昭和五十五年度の
予算には十八億二千九百万円計上されております。これは御存じのように、国際観光振興会は海外から外国人観光客を
日本に誘致するために、外国の十六の事務所におきまして一般大衆あるいは旅行エージェントに対しまして
日本の観光宣伝を行っておりますほか、コンベンション——これは国際会議あるいは国際行事、たとえばロータリークラブの世界大会、ボーイスカウトの世界大会というような世界的な行事でございますが、そういう行事の
日本誘致活動も行っております。さらに、このようにして参りました外国人観光客を成田、東京、京都の三つの観光
案内所におきまして、そういう人たちのいろいろの質問に応じまして、
日本の文化あるいは旅行相談等をいたしております。そのほか、昨年の
通常国会で国際観光振興会法を改正いたしまして、
日本人の海外渡航客に対するいわゆる渡航対策業務と申しますか、そういうものもやっておるのが国際観光振興会でございます。
-
○秦豊君 やっぱりおかしいんだな。外貨をかせげかせげといった時代のこれは遺物なんですよ。使命はとっくに終わっている。そうなんですよ。じゃあね、国際観光振興会とあなたの言われた特殊法人、ずいぶんと問題にされたんだが、何で昨年度五千万円の政府出資の追加をやったんですか、いまごろ。どういう理由ですか。
-
○
政府委員(上田浩君) 昨年出資の五千万円につきましては、
先ほど御説明申し上げましたように、昨年の
通常国会におきまして国際観光振興会法を改正いたしまして、新たに国際観光振興会の業務といたしまして、
日本人の海外渡航者に対する対策というものを打ち出したわけでございます。これの対策のための資金造成のために五千万円出資をお願いしたわけでございます。
-
○秦豊君 給付もいいが非常に不明朗だと私が感じているもの、たとえば麻薬禍撲滅等推進費補助金、これはどこへ出しているんですか。これは厚生省ですかな。
-
○
政府委員(
山崎圭君) お答え申し上げます。
補助金の先は三悪追放協会という財団法人でございます。
-
○秦豊君 そうすると、何か菅原通済さんですか。
-
○
政府委員(
山崎圭君) おっしゃるとおり、菅原通済氏が会長を務めております。
-
○秦豊君 これ、どんな人脈があるか知らないけれ
ども、効果も定かでない補助金をずっと特定の団体に長年出し続けると。何か特別な事情でもおありですか。
-
○
政府委員(
山崎圭君) 麻薬撲滅等の補助金につきましては、麻薬なり覚せい剤なりの根絶を図りたい、こういうことで、一方では強力な取り締まりが必要でございますが、一方では一般市民に対する啓蒙、啓発が必要だと、かように考えて補助金を出しておるわけであります。とりわけて最近私
どもが心配しておりますことは、戦後二十年代後半にヒロポン禍がずいぶんとふえましたが、ここ十年ばかりの傾向を見ますと、覚せい剤の第二の山が来るのではないかというおそれがございまして、そういうことをにらみ合わせましてこの補助金がなお必要だと、かように考えておるところでございます。
-
○秦豊君 宇野
長官、うちにはないだろうななんて顔はできないんですよ。行管庁にも外郭団体があって、行政管理研究センター、これ御存じですか。
-
-
○秦豊君 これは一体どんなことをする団体で、そこに幾ら補助金が出ているんでしょうか。
-
○国務
大臣(宇野
宗佑君) 補助金は出ておりません。
それで、御
承知のとおり、
昭和三十九年の臨調のときに参加をされました学者グループが中心となりまして、そうして行政の効率、合理化、そうしたことを図りたいというので地方自治体からもやはり
調査の依頼がございますし、また中央官庁、最近では環境庁が依頼いたしておりますね。そうしたことで、専門家が相寄ってむずかしい問題を
調査、研究し、普及、啓蒙しようというふうなやつで、補助金は出ておりません。行管庁からも一件だけ仕事を委託しておるということがあります。
-
○秦豊君 ちょっと聞き漏らしたんですが、いつできたんですか。出版物をつくらして一括買い上げと、こういう仕組みですか。
-
○国務
大臣(宇野
宗佑君) 設立は
昭和五十二年でございます。で、財団法人。単に出版物だけではなくて、やはり一つのテーマに対して学者がそれぞれ勉強されると。自治体なんかは非常に利用度が高いと聞いておりますが、やはり一つの行政管理なり監察なり、そうしたあり方の基本的な理念というものは、そうした学者グループによるところの研究結果に相まって、そしてそれをやはり実施に移したい、そういう趣旨で設立されて、なかなか効果を上げておると、私はかように聞いております。
-
○秦豊君 これ、方々の官庁にこういう外郭団体があるんですよね。それで、宇野さんはそう言わざるを得ないお立場。つくらせる、買い上げる、損は絶対にしない、そこにまた天下り先にもなり得ると。植民地ね、これあり過ぎるの。ほかの官庁なら、ぼくは言わない。行政改革の先頭にわれ立てりという宇野さんの足元にこんなのがあるということは、規模の大小じゃないの。まずメスをふるってもらいたかったんだが、そういう
意味で聞いているんです。違いますか。
-
○国務
大臣(宇野
宗佑君) 現在のところでは非常に功績ありと聞いておりますが、そういう御質問の趣旨ならば、もう一度私みずからが
調査をいたしまして、そしてその価値を判断してみたいと、かように思いますが、現在は非常に功績を上げておるということであります。
-
○秦豊君 それは宇野さん、逆なんだ。つくったから仕事を与えねばならない、順序があべこべ。おたくに優秀なスタッフがいるでしょう、おたくの枠内で十分。ぜひこれは改めていただきたい。もう一回約束をしていただきたい。できますよ。
-
○国務
大臣(宇野
宗佑君) 五十二年にできたときですから、その設立の経緯等も私はもう一回、ではそうした御
指摘に対しまして洗い直してみて、本当にそれが必要かどうか、そうしたことに関しまして私自身の判断を加えたいと、こう思います。だから、いまここでイエス、ノーということは私は言えないんじゃないかと、こういうふうに思います。
-
○秦豊君 それはわかります。
じゃ行管
長官、ほかの諸官庁、中央官庁にも類似の外郭団体がありますので、その仕組み、実態、これを総点検していただけますか。
-
○国務
大臣(宇野
宗佑君) 行管庁の使命といたしましては、幸いに特殊法人に関しましては百十一全部を監察の対象ということに相なりましたし、また行政府に関しましては監察をすることが許されておりますが、財団法人等々は、これは民間の希望によりまして主務
大臣が許可をして設立せしめたという経緯がございますから、したがいまして、補助金がどうなっておるかということに関しましては、その主務官庁からのつながりにおいて、ある程度監察のこともできるだろうと思いますから、十分研究をしたいと思います。
-
○秦豊君 これは農林ですかね、糖価安定事業団への十億円を超える補助金、これは一体どういう根拠なんですか。
-
○
政府委員(
森実孝郎君) お答え申し上げます。
糖価安定事業団は、御
案内のように、国内産糖の価格支持のための買い入れ、売り渡しを行っております。これに基づく売買差損については交付金を交付しているわけでございますが、同時に補助金を出しております。この補助金は運営費の補助でございます。同事業団は現在出資金を持っておりません。公正中立的な立場で輸入糖並びに国内産糖の売買に介入する業務を担当しておりますので、国が負担することが適当という考え方のもとに補助を出しております。
-
○秦豊君
予算書をこうひっくり返していると、いろんなのが出てくるんですよね。やたらに聞きたくなるわけだ。そういうまた目が私は節税のために必要だと思うの。しばらく細かいのが続きますよ。
通産、高圧ガス保安協会、これどんな団体なんですか。
-
○
政府委員(島田春樹君) お答え申し上げます。
高圧ガス保安協会と申しますのは、高圧ガス取締法に基づき設立された法人でございまして、LPガス等、高圧ガスの保安対策を実施する上の推進の中核的機関というふうに考えておるわけでございます。
-
○秦豊君 そんなのは中央官庁なり地方官庁でできませんか。
-
○
政府委員(島田春樹君) お答え申し上げます。
やや詳しく申し上げますが、高圧ガス保安協会は、これは国が高圧ガス取締法によりましていろいろな規制を行っておるわけでございますが、一方におきまして、
先ほど申しましたように、特殊法人で高圧ガス保安協会というのをつくりまして、国の業務の一部を代行させているというかっこうになっております。
では、なぜ国ができないのかということでございますが、たとえば一例を挙げますと、現在協会の主要業務の中で、特に大型超高圧の容器検査というようなものをやっておりますし、あるいは高圧ガスのプラントにつきまして、これをメーカー段階から、機器の製造段階からチェックをするという特定設備検査というのがございます。こういったものにつきましては、これは事故が起きますと非常に大きな事故を及ぼす非常に危険なものでございますので、これは厳重にチェックする必要があるわけでございますが、こういったものにつきましては高圧ガスの種類が非常に多様でございますし、技術的進歩もまた著しいと。したがって、それに対応した高度の専門的な保安技術の蓄積というものが必要になる。これを国でやるということになりますと、相当な人数の検査員、人員を抱えなければいけないし、ということになりますので、こういったものを、専門家集団というものを設けまして、そこに蓄積をさしてやっていくという態勢をとっているわけでございます。
-
○秦豊君
予算書の六百八十七ページを見ると、通産、情報処理振興事業協会事業費補助金というのは、何とこね二十七億を超えているんだな。これは
予算補助でしょう、違いますか。
-
-
○秦豊君 どうしてもあなた方が必要だと言い張るならば、法律補助になぜしない。
-
○
政府委員(
栗原昭平君) この補助金は、御
承知のように情報処理産業、これはコンピューター利用のうちでのハード、ソフトに分けますと、特にわが国が
アメリカ等に比べて劣っていると思われますソフトの分野についての補助金でございます。これは情報処理産業の発展の
状況ともにらみ合わせながら、できるだけ機動的、弾力的に
予算を組んでいくという考え方で
予算補助になっているわけでございまして、毎年大蔵省当局といろいろな点を十分協議した上で国会の御審議をいただくと、こういった形で実行をしているわけでございます。
-
○秦豊君 私の観点では、優遇のし過ぎじゃないかという疑いで聞きますからね。農林省だと思いますが、蚕の糸で蚕糸技術改良普及事業への補助金、今度は三十五億も組んでおるんだが、この理由と根拠をぜひ知りたいですな。
-
○
政府委員(二瓶博君) 蚕糸技術の普及指導事業、これを
予算化しておる根拠は何かという
お尋ねでございますが、養蚕業は、
先生御
案内のとおり、わが国の農山村なりあるいは畑作地帯におきまして基幹的な作物として定着をしておるわけでございます。しかも、こういうところにおきましては、複合経営の作目として非常に大事なものになっております。ところで、この養蚕業につきましては、非常に生産費
調査等で見ましても労働集約的になっております。非常に労賃といいますか、労働力がかかるという形に相なっております。したがいまして、今後やはり養蚕の生産性を高めていく——土地生産性の問題もございますが、特に労働生産性を相当高めていくという必要があるわけでございます。そういうようなことで、この蚕業普及制度というものを二十二年からやっておるわけでございまして、省力技術といたしましての年間条桑育なりあるいは稚蚕の共同飼育、こういうものも非常に普及が進んでおります。今後の問題といたしましては、稚蚕を人工飼料育——桑でなしに、人工飼料というものをつくりまして、一、二齢の小さい時代はそれで食べさせるというような技術等も早急に普及をしたいというようなことで、こういうことを農家に普及する手だてとしてこの蚕業普及制度というものは今後とも存続はしていきたいと、かように考えておるわけでございます。
-
○秦豊君 これは大蔵
大臣に伺っておきましょう。
私たちいろいろ専門家に聞いてみますと、
大臣、養蚕県にいらっしゃる自民党の有力議員の多いこと、力の強い、腕力の強い。それが直接の原因だというふうなことを専門家はよく
指摘するんですよ。だけど、そんなことはないでしょうね、大蔵
大臣。
-
○国務
大臣(竹下登君) 私の地方も養蚕県でございますが、決してそういうことではなく、まさに養蚕業振興のために必要なものではないかというふうに、これは大蔵
大臣というよりも、
関係議員の一人としてそのように感じております。
-
○秦豊君 環境衛生金融公庫——例の環衛。野呂さんね、これ自体相当問題になった。問題の多い存在、存在自体が問題、どう言ってもいいんだが、これは調べてみると、実態は国民金融公庫に対する取次機関なんですよね。そうでしょう、これは否定できないでしょう。五十八億円もの補助に何で値するんですか。
-
○国務
大臣(野呂恭一君) 環境衛生金融公庫自体は、環境衛生
関係の十六業種の営業施設に対する融資対象でございますが、したがいまして、現在この金庫の貸付残高は約六千億を超えております。しかも貸付件数は四十三万件でございます。このことは、その業種自体は中小企業、零細な経営のものが多いわけでございまして、そこで、衛生水準を高めて設備の近代化を促進するためにはどうしても公的資金によるところの長期低利の融資が必要であるというところに、私は、この環境衛生金融公庫それ自体の存立は大きく評価されるべきであるというふうに思います。
ただ、五十五年度におきまして五十八億の公庫の補給金、補助金を出しておるということについてでございますが、このことは、各種衛生施設、あるいは消防施設とか、あるいは防火の避難施設、あるいは公衆浴場の基幹施設などについて特に特別利率を適用いたしましてその近代化を図っていくということでございますから、基準金利よりも低利の融資を行っておると、こういう観点に立ちまして、五十八億の補給金を出して、業界の衛生水準の向上と近代化を図るために、国民生活の安定のために十分資する目的でこの公庫に対する融資を行っておると、こういうことでございます。
-
○秦豊君 大蔵
大臣、こういう点どうですか。行政経費をもっと大幅に節減するためには補助金に対するメスのふるい方が十分でない、これは私の前提です。あなた方は、その秦さんの考えは間違っているというふうに断言できますか。
-
○国務
大臣(竹下登君) 私は、秦
委員の御
指摘の数々は同感の点がございます。ただ、今度補助金の整理合理化というものをやりますに際しまして、一番先に御
指摘のございました点は、いわゆる法律補助と
予算補助の御
指摘がありました。そうして、私は非常に興味を持って見ましたのは、これが社会保障と文教と公共事業と、そうしてそれと他のものとをやってみますと、これがまた八割になるんです。それから地方公共団体を通ずるものがこれまた八割と、こういうことになるわけです。したがって、確かに補助金というものは、私は、重要な施策を実現するための重要な政策手段として、必ずしも補助金性悪説はとるべきでないという考え方に立っております。しかし、間々硬直化したりしておるものがなしとはしないというところで、今度補助金整理計画まで立てて取り組もうというわけです。そうして、四党の修正の際にも、サマーレビューを行って大なたをふるえと、こういう御趣旨の、言ってみれば御鞭撻ともとれる、そういう条件が示されておるということでありますだけに、やはりこれはサマーレビュー等を行いながら、本当に、ややもすると硬直化し既得権化されたもの、そこにメスを入れる努力を引き続きやっていかなきゃならぬ。補助金の整理計画をつくるということも、私十一月の九日に
大臣になりまして、そのときの閣議で決めて、一体これはつくれるだろうかと後から感じまして精いっぱいのものをつくりましたので、その計画に沿って御趣旨を体して補助金の整理に当たっていきたいと、このように考えております。
-
○秦豊君 私が細々
指摘した具体的なものについても同感される向きがあったと、そう受け取っていいですね。それは整理の対象として考えていいわけですね。
-
○国務
大臣(竹下登君) ここで、各省とこれからサマーレビューをやる前に、言ってみれば大蔵、財政当局の責任者たる者が、事前に予見をするということはいかがかと思いますので、
委員のお話の中で、私
どももなるほどと思うことはたくさんありましたということで御勘弁をいただきたい。
-
○秦豊君 それじゃ、こう聞きましょう。整理をもし、もっと徹底的にやるならば、メスを深くえぐるならば、
予算補助ばかりじゃなくて法律補助についてもそれは同断であると、この認識はいかがですか。
-
○国務
大臣(竹下登君) 法律補助であるがゆえにこれは聖域だという考えは持つべきでない。むしろ私は、その性格上、たとえば義務教育半額国庫負担などというものは制度そのものでございますから、そういうものはなまじない問題があるなあということを感じました。しかし、法律補助だからといって、その目的をすでに達成したもの、あるいは薄くなったもの、これを聖域とは考えないでやるつもりであります。ずいぶん昔の話でございますけれ
ども、私が官
房長官をしておりましたときに、一遍、一切の補助に関する法律を廃止する法律を出して、一本ずつもう一遍浮かび上がらしたらどうだと、そういう乱暴な議論をしたことがございますけれ
ども、それはまた非常になじみにくい問題でございまして、私もその当時すたこら退散をいたしましたけれ
ども、まあ補助金に関する私なりの関心は持ち続けて、これも鋭意整理の問題に取り組んでまいりたいというふうに考えております。
-
○秦豊君 次へ行きたいから、これはよんどころなく終わるんですけれ
ども、言われたように、圧力団体がたくさんある。議員集団、それから官僚集団、権限拡大意欲。それで大体奨励的補助なんというのは補助対象が自立をできるまでのつなぎなんですよ。まさに呼び水なんですよ。自立してたくましくなってもまだ続けている。惰性なんですよ、間違いなんですよ。もう一回、われわれ国会で
予算を審議するメンバーとしては共通の責任があるんだけれ
ども、そういうビヘービアとか、様式、行動の全部、考え方全部メスを入れぬと口頭禅になりますよ。そういう考え方についてはいかがですか。
-
○国務
大臣(竹下登君) 実際問題、一体、数が何ぼあるか、それはどこで、目で分けるべきか、目細で分けるべきかというような議論もずいぶんいたしたわけです、短期間でございましたが。したがって、ある程度の私
どもは同じ土俵の上に立って各省とサマーレビューができる基盤はできたと思っておりますので、そのような形で、もちろん奨励的補助金というものは現実問題としてはその
意味を失うことが好ましいことでありますので、もとより、まあスプリングレビューとも言ってみましたけれ
ども、だんだんもう春も過ぎてきましたので、サマーレビューというものを活用して、そのような御趣旨で一生懸命当たってみたいと思っております。
-
○秦豊君 ならば
大臣、具体的に提案しますが、補助金整理の一つの基準として、私なりの、つまり一つは必要性の乏しいもの、二つには対象の自立化を図るべきもの、三番目にはほかと比べて明らかにアンバランスな優遇をしているじゃないかという疑いの持たれるもの、この三つを、三部門を徹底的に洗い直すというふうな基準でさらに事柄を進める、こういう考えに対してはいかがでしょう。
-
○国務
大臣(竹下登君) 五十五年度
予算編成に当たりましても、短期間ではございましたけれ
ども、補助金等の役割り、効果等の総点検を行って、御
指摘のような考え方に沿って従来にも増して積極的に廃止、減額、整理合理化を推進したつもりではあります。しかし、今後とも昨年十二月二十九日の行政改革計画の一環として決定いたしました整理合理化計画にのっとって、いまのような御
指摘の考え方を踏まえて引き続き努力をいたします。
-
○秦豊君 もう一つ竹下
大臣に申し上げておきたいんだけれ
ども、
大臣はこれは御存じですか。
予算、補助金を査定する場合に、担当主計官はちゃんとこの補助金はいつまでにというメモを持っているんです。いいですか。ところが、次の主計官にはそれは引き継がないという悪しき慣例があるんです。だからずるずると続いていくんです。実態御存じですか。
-
○国務
大臣(竹下登君) これは実態を正確に知りませんので、主計
局長からお答えをいたします。
-
○
政府委員(
田中敬君) お説のような事実はございません。
補助金の設定に当たりましては、よく言われる、最近サンセット方式ということが言われておりますけれ
ども、御
指摘の事実はございませんし、本年度におきましては、周期設定というものを約六百七十件の補助金について設定をいたしております。これは明らかに記録として残るものでございますし、相手省庁とも合意の上で設定をした事実でございますので、それがずるずる延びるということはないというふうに考えております。
-
○秦豊君 それは私もなお調べてみたいと思います。
防衛、外交の方面に移りたいと思いますが、大来外務
大臣、大変強行日程を御苦労さまでございました。
最初に、日米
関係全体の長い流れがありますけれ
ども、そういう中で今度のあなたのハードスケジュールを位置づけると、どういうふうに位置づけられますか、ポジションとか意義とかいうのは。
-
○国務
大臣(大来佐武郎君) 長い時間的な関連から申しますと、第二次大戦後の
日本が占領下に置かれた時代、それから桑港条約で独立を回復した時代、さらに第一次の安保、それから
昭和三十五年の安保というような、新安保と申しますか、そういうような時代を経てきておると思うのでございますが、この間におきまして第二次大戦後しばらくの間は
アメリカが経済力、軍事力、政治力におきまして圧倒的な強さを持っておった。一方
日本は、敗戦によって非常に弱小国の立場になったわけでございまして、そういう情勢がしばらく続きまして、その間
日本が高度成長を行う、
アメリカはある程度成長の率の低下がございましたし、ヨーロッパの戦争からの復興もございまして、相対的に世界経済の中に占める
アメリカの比重は低下してまいった。
日本の比重は急速に上がったという背景がございまして、今度の場合、いま
お尋ねのような点から申しますと、日米のパートナーシップということは前から言われておるのでございますが、非常に率直に言えば、過去におけるパートナーシップは
保護者と被
保護者というような
関係が存在したように思うのでございますけれ
ども、今回はやっぱり言葉だけでないイコールパートナーシップという面がかなり出てまいったように感じておるわけでございます。
-
○秦豊君 結局、外務
大臣、何に合意され、何については対立を残したままなんですか。もう一遍整理してくれませんか、まず防衛問題で。
-
○国務
大臣(大来佐武郎君) 今回参りました目的は、交渉事を成立させるという目的はございませんで、双方の率直な意見交換ということを目的にして参りましたものですから、具体的にこれを決めたのだということは何もございません。防衛につきましても、双方の意見交換を行ったということになるかと存じます。
-
○秦豊君 じゃ言葉を変えましょう。ワシントンはあなたの熱心な主張のどういう点を了解したのですか、防衛については。
-
○国務
大臣(大来佐武郎君) ブラウン国防
長官から、最近の世界情勢、特に極東におけるソ連の軍事力の急激な増強、それには海軍力の増強も含めてでございますが、こういう
状況、それからアフガニスタンにおけるソ連の軍事力介入、それをめぐりましてインド洋ないし中東における緊張、そういう国際情勢全般を背景にいたしまして、できれば
日本側の防衛努力をステディ・アンド・シグニフィカントリーに増加すると、これは着実にかつ顕著にと大体訳されておりますけれ
ども、そういうことの希望の表明がございました。私の方は、
日本は平和憲法、専守防衛というたてまえが基本的にあるわけで、さらに非核原則がございます。こういう基本的な枠組みを
日本は崩すことができない。その枠組みの中でやれることをやるということだと思うということを申しましたところが、ブラウン
長官も、自分もそのことはよく
承知しておりますと、ただ
日本の専守防衛、
日本自身を守るという面においてまだある程度努力をふやす余地があるように思うんだと、そういう発言があったわけでございます。
-
○秦豊君 顕著、目覚ましい、じゃ、顕著というのは完全にとれたのですか。
-
○国務
大臣(大来佐武郎君) 私は、いまのような
日本の基本的な立場、これは
日本国民が第二次大戦後に選んだ
日本の行き方でございますし、それを簡単に変えることはできない。それから財政、経済的な制約とか国民のコンセンサスという問題も考えればステディ・アンド・シグニフィカントのステディはできるけれ
どもシグニフィヵントは無理ですということを申したわけでございます。
-
○秦豊君 じゃ、ステディだけが残って、あとは
アメリカ側は納得をしたと理解していいんですか、これは。後は追ってこないんですね。
-
○国務
大臣(大来佐武郎君) 私は必ずしも納得したとは思いません。
-
○秦豊君 それじゃ、たとえば一部報道にある中期業務見積もり、中業、五年後は長過ぎる、三カ年に、つまり前倒し、テンポアップ、これが結局残っているんでしょう。
-
○国務
大臣(大来佐武郎君) 先方の希望としては残っておると思います。ただし、ブラウン
長官もどの程度の防衛努力を行うかは元来
日本国民が決めることですと、私
どもの希望はということでブラウン
長官が発言しておったわけでございます。
-
○秦豊君 しかし、外務
大臣としてその希望は極度に尊重されるわけでしょう。
-
○国務
大臣(大来佐武郎君) ある程度尊重するという、極度というわけにはなかなかいかぬと思うのでございますが、ある程度尊重していかなきゃならないという点はあると思います。これは基本的に
日本国民の安全を守るという立場から申しまして、これは最小限の自衛力と日米安保による抑止力によって外からの武力侵入を防ぐ、これによって
日本人の安全を守るという基本的な立場がございますので、安保というものが、とにかく一朝事あるときには
日本を守るということを期待しておる、
アメリカも約束しているわけでございますが、それがある程度円滑に動き得る条件は維持していかなきゃならない。そういう
意味もございますから、先方の希望についてある程度は考慮しなければならない。しかし、フルに考慮できるかどうかは
日本側の主体的な条件によると、そういうふうに考えたわけでございます。
-
○秦豊君 だから、外務
大臣、八五年じゃなくて、八三年に願わくばというのは、根強い希望であったわけでしょう、ブラウン氏の。
-
○国務
大臣(大来佐武郎君) そういうふうには申しておらないんですが、ステディ・アンド・シグーニフィカントと申すことの
意味には、ある程度早くという
意味が含まれていると解釈できるかと思いますが、三年でやれという形ではございません。
-
○秦豊君 じゃ、総理には、その点は非常に一番大事な
ポイントだというふうに
報告されたんですか。中業のテンポでいいよと
アメリカはどうも納得してくれたらしいと言われたのか、いや、いまのままじゃ危ないと言われたのか、どっちなんですか。
-
○国務
大臣(大来佐武郎君) 先方はこういう希望の表明があった、私はこういうことを言ってまいりましたと、そういう
報告をいたしました。
-
○秦豊君 ブラウン氏の希望する上限というか、一番早い、望ましい期限というのは一九八三年でしょう。そういう話は必ずあったはずだ。どうなんでしょうか。
-
○国務
大臣(大来佐武郎君) 八三年という話はございませんでした。
-
○秦豊君 八五年よりは早くと、速やかにと、こう言ったんでしょう。アイ・ホープ・ソーと言ったんでしょう。
-
○国務
大臣(大来佐武郎君) それは、
先ほど申しましたシグニフィカントということの
意味は、そういうふうに受け取れるということでございます。
-
○秦豊君 大蔵
大臣、仮に前倒し、二年も早くなるなんていったら、財政当局の最高責任者として一体どういう
答弁がありますか、できますか。
-
○国務
大臣(竹下登君) これはやはり財政当局の私といたしましては、いまの問題以前に、やはり防衛計画の大綱というものが五十一年の国防会議、閣議決定でございますので、それに沿って、その年々の財政
状況を見ながら、諸般の施策との調和をとりながら進めていくというのが公式な私は
答弁であって、いまの問題は、いまだ
予算の調整権のある私
どもに対しては仮定の問題でございますので、その
答弁の域を出ることはできないと思います。
-
○秦豊君 外務
大臣、
アメリカは、中業のマキシマムなレベルありますね、あの量については満足を
示しているんですか。
-
○国務
大臣(大来佐武郎君) 中期業務見積もりというのは、御
承知のように、
防衛庁限りの案でございまして、
日本政府の全体としての意思決定ではございません。ただ、実際にその
内容について
アメリカ側が
承知しているということは事実だと思います。
-
○秦豊君 満足度はいかがですか。
-
○国務
大臣(大来佐武郎君) それについて満足か不満足か、
内容については評価しておるということでございました。
-
○秦豊君 じゃ、大来・ブラウン会談の会議録は、私
ども委員は拝見できますか。
-
○国務
大臣(大来佐武郎君) これは公開できるものではないと考えます。可能な限り、こういう御
答弁の中で申し上げる、議事録そのものを公開するわけには、相手方に対する信義上できないと考えます。
-
○秦豊君
アメリカの軍事
委員会では、二国間にまたがる議事録についても、対象国の了解を得た場合には、公表しますよ。だめですか、この場合は。
-
○
政府委員(
淺尾新一郎君) まず第一に申し上げますのは、今回の会談で両方が合意した議事録、すなわち議事録をとって、双方がサインしたというものはございません。
それから、いま
先生の御
指摘の
アメリカは各国とのいろんな会合の議事録を各議院の
委員会に提出しているということでございますが、提出している事実はございますけれ
ども、全文を出しているのでなくて、エグゼキュティブセッション、要旨か、あるいは削除して出しているというのが例でございます。
-
○秦豊君 亘理事務次官は、議事録を見たと会見で述べている。国会議員は見られないんですか。
-
○
政府委員(
淺尾新一郎君) お答えいたします。私自身が亘理事務次官に対して口頭で説明したので、議事録を別にお渡ししているわけではございません。
-
○秦豊君 いや、議事録というあの発言が間違いだったと、こういうわけですか。
-
○
政府委員(
淺尾新一郎君) 私亘理事務次官の発言の
内容を正確に
承知しておりませんので、コメントする限りでございませんけれ
ども、私が御説明したのは口頭での御説明でございます。
-
○秦豊君 これね、非常に重要な転機なんですよ、確かに言われたように、日米
関係では。重要なものについてシビリアンコントロールの最高機関、聞こえはいいけれ
ども、麗々しいけれ
ども、実質はもう風化している。議事録の要旨も見られないんですか。
-
-
○秦豊君 じゃ、メモでも。
-
○
政府委員(
淺尾新一郎君) メモも、これは公式なメモでなくて、私たち参加している者がそれぞれ記録としてとっているということでございまして、その
内容については、ただいま再三
大臣の方からいろいろな
ポイントについて御説明申し上げているという次第でございます。
-
○秦豊君 外務
大臣、ちょっと観点を変えましょう。
アメリカのブラウン
長官ほかが、願わくば早目にと、前倒しという言葉をぼくは使いますよ、希望を述べた。そのときに根拠とか、理由を説明したでしょう。どういう説明が上がっていました、理由は。
-
○国務
大臣(大来佐武郎君)
先ほど申しましたように、国際情勢が一つでございます。これは極東における軍事情勢、それから中東の
状況。それからもう一つは、
アメリカの財政
状況。これは御
承知のように、最近、
予算の削減を決定いたしました。これはインフレ対策の一環としてでございますが、その中で防衛費及び海外援助費は削らない。海外防衛費の方は、四、五%の実質増大を削減した
予算の中で実現するということから申しますと、他の項目については相当大なたを振るわざるを得ない、そういう
状況にもあるので、
日本の協力が
アメリカの財政状態から言っても好ましい、こういう点にも触れたことは事実でございます。
-
○秦豊君 もう一つあったでしょう。一九八三年には戦略核ミサイル、
通常兵力、陸上の。海上の一般艦艇の力の層は、民間防衛を含めてソビエトのいわゆる戦略がピークに達すると予測されている、このような情報ないし予測は展開されましたか。
-
○国務
大臣(大来佐武郎君) そこまで具体的な話はございませんでした。
-
○秦豊君 それでは、大平訪米の日程は決まりましたか、詰まりましたか。
-
○国務
大臣(大来佐武郎君) まだ最後的に詰まっておりません。近日中に詰まるだろうと思いますけれ
ども、まだ最後的には詰まっておりません。
-
○秦豊君 最初評判が悪かったのだから、あなたは今度は詰めてこなきゃ。候補としてはどういうふうになっているのですか。幅としては、話があったんでしょう。
-
○国務
大臣(大来佐武郎君) この日程につきましては外交チャンネルを通じて先方と話し合い中でございますし、今回の総理の外遊予定ではメキシコ、米国、カナダ、三カ国が含まれておりまして、それぞれの都合を突き合わさなければならないという事情がありますので、近いうちに煮詰まると思いますけれ
ども、いまのところは最終的に決まっておりませんし、また、国内的にも国会に対する了解を得なきゃならぬと、そういう点もあると聞いておりますので、まだ最終的には煮詰まっておらないわけでございます。
-
○秦豊君 しかし、いずれにせよ、
アメリカとして一番望ましい時期は五月のいつごろというふうな感触はもたらされましたか。
-
○国務
大臣(大来佐武郎君) いまのところ、外交チャンネルで相談しておる段階でございますが、五月の初めごろということにはなりそうな可能性があると思います。
-
○秦豊君 大来さんと大平さんでは全く違いますよね、大大でもね。今度は総理が行くわけですから。大来外務
大臣と同じ防ぎ方では防ぎ切らない。ならば、大平総理が訪米されるまでに政府としてもっと具体的なデテールと根拠を詰めなきゃいけませんね、それはそうでしょう。防衛について。
-
○国務
大臣(大来佐武郎君) それはある程度検討を深める必要はあると存じますが、ただ、もし総理が訪米されても、そこですべて具体的な合意に達するという必要はない。意見の交換を深めるということでも差し支えないと考えております。
-
○秦豊君 もうちょっと外務省に伺っておきましょう。つまり、今度の防衛ですね、それから自動車、電電。経済と防衛はワンセット、こういうふうにカクテルされているんじゃないですか、違いますか。
-
○国務
大臣(大来佐武郎君) これは今回
アメリカの議会の下院の外山父
委員会ザブロッキ
委員長以下十人ぐらいの議員の方々が出られまして、いろいろな質問がございました中の一つは、
日本は防衛費の負担が低い、そのことによって経済の競争力を強め、
アメリカにも大きな輸出をしているんではないか、そういうことについての質問がございました。私の答えは、そういうリンクといいますか、
関係が全然ないとは言えないかもしれない、しかし、問題は別だと。防衛の方は、
日本の世界に処する行き方として、これは
日本国民の考え方で現在の政策がとられておるわけであり、経済の方は、たとえば
日本の経済の貯蓄率、個人可処分所得に対する貯蓄率は二〇%を上回っておる。それが
アメリカでは五%である。ごく最近では三%ということで、
アメリカ経済の投資が、非常に近代化投資といいますか、生産性向上に対する投資が不足しておる。ですから、むしろその競争力の方は、貯蓄率の差から来ておると私は思うという
答弁をそのときにいたしたわけでございます。
-
○秦豊君 マンスフィールド大使も、もうこうなったらGNPに対する比率じゃないと、
日本の防衛費は絶対額だと、こう言ってますね、微妙に変わっているんですよ。ワシントンもそうですか。
-
○国務
大臣(大来佐武郎君) 余りGNPに対する比率そのものを議論するというよりも、防衛力の質的向上、
内容的な改善ということに関心が強いように受け取りました。
-
○秦豊君 いや、だから、防衛
予算全体の絶対額、これを多々ますます弁ずと、多く多くと、こういう主張でしょう、向こうの。
-
○国務
大臣(大来佐武郎君) 現在の防衛
予算は、いまの為替レートで言えば約百億ドルになるわけでございます。また一部の考え方で、恩給等を含めば百六十億ドルぐらいの数字になるという試算もございます。そういう点で、どういう規模が適当なのか、これはやはり基本的には
日本側が独自に判断すべき問題でございますが、
アメリカとしては、そういう質的改善を含めてステディー・アンド・シグニフィカントリーと、着実かつ顕著に増大してほしいというたてまえであったわけでございます。
-
○秦豊君 大来さんね、ちょっともどかしいのですけれ
ども、結局こうなんですか。
アメリカは、もうゆとりがない、そういうことに対して。NATOもやっている、
日本もやってくれと、平たく言えば。
アメリカは、われわれ
日本に対して、何を、どれだけ、いつまでに、こういう具体的なシャープな回答とあれを求めているんじゃありませんか。これは言い過ぎですか。
-
○国務
大臣(大来佐武郎君) その点はやはり先方も、
日本に国会があり、国民の意思があり、世論がある、政治があるということは十分
承知していると思いますので、一方的に
アメリカが
日本に対して要求するわけにいかない。それはあくまでも
日本国民が決める問題であるが、われわれの希望としてはこうだという表現でございます。
-
○秦豊君 だから外務
大臣ね、いつも日米
関係そうなんですよ。玉虫なんです。あなたは「顕著」はとれたと思っている。
アメリカはそう思っていませんよ。理解を
示したととってますよ。
-
○国務
大臣(大来佐武郎君)
先ほども申しましたように、理解は
示しましたけれ
ども、全く同じ意見ではないということでございます。
-
○秦豊君 それじゃ、一応百歩譲りましょう。大来理論の「顕著」は確かに切り捨てたと、その場合に一番有効であった論拠とデータは何ですか。
-
○国務
大臣(大来佐武郎君) やはり
日本国民の世界の中における行き方、憲法上の考え方、専守防衛という問題、あるいは国内における財政経済の情勢、そういうようなことでございます。
-
○秦豊君 前倒しの圧力はこれから加重されますよ、ずっしりと。容易なことじゃ引けませんよ。防ぎとめ切れますか、あなた。
-
○国務
大臣(大来佐武郎君) これは総理、大蔵
大臣を含む内閣全体の責任といいますか、仕事になるだろうと思います。
-
○秦豊君 それはそうでしょうね。それじゃ大平訪米、どうも五月初旬、どういうふうに政府部内では、作業をどういう段階でどう詰めていくのです、この問題については。
-
○国務
大臣(大来佐武郎君) いま一つの問題としまして、在日
米軍の経費の負担を可能な限りふやすという問題がございまして、これが地位協定は変えないという
日本政府のたてまえでございますので、現存の地位協定の
範囲内でどの程度在日
米軍の負担を
日本側としてふやすことができるか、これについての検討をとりあえずやってみたらどうかという意向は総理からございました。
-
○秦豊君
防衛庁長官、おたくの方はどういうふうにやっていますか。
-
○国務
大臣(細田吉藏君) お答えいたします。
私の方といたしましては、五十六年度
予算をどういうふうにするかということは、
アメリカからの御意見がどうであろうということとは別に、私たちが独自で考えなければならぬことでございます。特に国際情勢もこのような
状況でございますから、増強について考えなければなりません。そこで、この作業というものは、もう準備作業はどんどん私
どもの方、
防衛庁の本来の、しかも一番大事な仕事でございますから、いろいろやっておるわけでございます。そういうことでございまするので、かたがた今回は大来さんが行かれて、いろいろな話も、私
どももいま
先生との間にやりとりがありましたような
状況も承りました。したがって、そういうものについて、私
どもとしては、防衛の基本計画は崩しません。また、中業というものがございます。こういうものに対して、私
どもが
防衛庁の立場としてどういうものが望ましいか、それは結局どの程度の額になるか、私たちは実質的な増強、質的な強化というものを考えなきゃならぬ立場だと、こう考えておりますので、これは考えてまいらなきゃならぬ。
アメリカがいろいろ言っておられるようなことについても私たちは十分あわせて考えながら私
どもの考え方を固めてまいるということにいたさなければならぬと、そういう作業を、これは大変むずかしいことですけれ
ども、いろいろ積み上げてまいらなきゃならぬと、こう思っておるわけでございまして、これから始めたいと思っております。
なお、ただいまお話がございましたが、駐留軍の経費につきましては、これは総理からもこういう点については十分検討するようにということがございましたので、これについてももちろん検討をいたすことはいま外務
大臣からの御説明もあったとおりでございますが、それを含めまして私たち
防衛庁としての考え方、これはもちろんそれぞれ優先順位、前後の別もございましょう。いろいろこれから何をやるのか、それは全体としてどれだけになるのか、そしてそのことが
日本の政府の全体の中へ私たちはできるだけ入れたいということですが、入るかどうかと、こういうことを検討していこうと、こういうことでございます。大体、きわめて抽象的かもしれませんが、順序としてはそういうことです。
-
○秦豊君
防衛庁長官ね、
アメリカの圧力、外圧じゃなくて、
長官としては中業の水準達成のために前倒し、つまり一年でも早い方が望ましいでしょう。
-
○国務
大臣(細田吉藏君)
防衛庁といたしましては、これまで一貫して私がお答え申し上げておりますのは、できるだけ速やかにこの基本計画、防衛大綱の線まで持っていきたいと。言葉をかえて言いますと、これを
防衛庁としては、中業というものを、特に正面装備の強化ということを中業で見積もっておるわけでございまするので、ほかの事情がなければ、私
どもの立場だけとしてはできるだけ早く達成したいと。しかし、基本計画そのものを、大綱そのものをいまどうこうしようというふうには考えていないと、こういう立場でございます。
-
○秦豊君 この点どうですか、おたく、
防衛庁全体として中業のレベルを達成すれば専守防衛は果たし得ると、一応上限に達し得ると、概成ではなくて、こういう認識に変わりないわけですか。
-
○国務
大臣(細田吉藏君)
先生は御
承知と存ずるわけでございますが、中業とそれから大綱との間は、一応私
どもの公式な
防衛庁の見解としましては、中業達成は即防衛の大綱の線までは達しているということではなくて、若干の
距離がまだあるというふうに存じておるわけでございますから、ただいまのところは、あくまでも大綱というものが私たちの
目標であると、こういうふうに御理解いただきたいと思います。
-
○秦豊君 念のために、じゃ、あなた方の言う大綱の水準と現状を陸海空について対比してくれますか、主要なもので結構。
-
○国務
大臣(細田吉藏君)
政府委員から答えさしていただきます。
-
○
政府委員(原徹君)
陸上自衛隊につきましては、大綱別表におきまして自衛官の定数がございますが、これは十八万人、それから基幹部隊として十三個師団、それから二個混成団を整備していることになりますが、これは五十五年度に達成されることになりますが、自衛官の充足率は、たとえば
陸上自衛隊につきましては八六%でございますから、それははるかに——私
どもの中業ではぜひ九〇%までは高めたいと思っておりますけれ
ども、その程度でございます。それから、装備につきましても更新、近代化、これはどうせやらなきゃならないことがあるわけでございます。
それから、海上自衛隊におきまして建対潜水上艦艇部隊、この四個護衛隊群あるいは十個隊、潜水艦六個隊等々ございますが、部隊の規模といたしましては、水上艦艇一個隊を除きまして現在達しているわけでございますが、その装備の艦艇とか航空機の数でございますが、これは相当下回っておりまして、そこのところを埋めていかなければならないと思っております。
それから、航空自衛隊につきましても、例の部隊といたしましては、E2Cをもう四機お願いいたしまして警戒管制隊というものをつくる予定にいたしておりますが、戦闘機の数自体が大綱別表の数に達しないということになりますし、そういうことでさらにその調達を図っていかなきゃいけないと、戦闘機の数でございますね、というようなもの。それから、いまのそういう正面装備だけでございませんで、部隊の規模はまあ一応のところへいっておりますけれ
ども、いわゆる抗たん性とかあるいは継戦能力とか、あるいは即応性とか後方の支援ですね、そういう点につきましては格段に弾が少ないとかいう点がございますので、そういう点を中心に中業でやろう、こういうふうに考えているわけでございます。
-
○秦豊君 これも詳しくやっているときりがないからね。ちょっと
長官、じゃ大平総理訪米までに、外務省は外務省、もう帰ってこられた。
防衛庁としては
アメリカに適当な人を派遣する用意、計画あるのかどうか、交渉のために話し合いのために。
-
○国務
大臣(細田吉藏君) ただいまのところ、さようには考えておりません。ただ、大平総理が行かれます場合には、これは申し上げるまでもなく一国の代表が行かれるわけでございますし、この問題は言うならば大来さんがいろいろ向こうの意向も聞いて帰ってきておられるわけで、
先ほどからの
先生とのやりとりでももうだんだん明らかになってきておるわけでございますから、私たちは、総理が行かれるにつきましては、これはもちろん総理の考えを承らなきゃなりませんけれ
ども、物の理屈としてはどういうふうに考えるかということについて、私
どもとしては、総理に私
どもの立場からのことはいろいろ申し上げなきゃならぬ、かように存じておるわけでございます。行かさせるかどうかというようなことについてはただいまのところ考えておりません。
-
○秦豊君 しかし、これは必要になるのじゃありませんか。ぼくは行くなと言っているのじゃないですよ。必要になるのじゃありませんか。
-
○国務
大臣(細田吉藏君) これはいまちょっと私は何とも申し上げかねるんですが、必要があれば行くということでございましょうけど、こう言いますとすぐ行くことになってしまいますので、そういうことではございませんので、総理に申し上げることが大変大切なことでございますので、申し上げるまでもなく。また、
防衛庁としてはこれがもう一番大事な問題でございますのでね、五十五年度
予算、この次の五十六年度
予算という問題で、しかもこれだけの客観的な事情でございますし、こういう
先ほど来の御質疑のやりとりの間でもそのとおりでございますので、十分ひとつ慎重に、そして冷静にといいましょうか、検討しまして、総理にちゃんといろいろ御進言をしなきゃならぬと、私たちの意見を十分くんでいただくようにしなきゃならぬというふうに考えておる次第でございます。
-
○秦豊君 そうすると、まだわかりませんがね、一応
防衛庁としては大来さんも行かれたからまあよしとして、大平訪米、その後は事務次官クラスのハワイでの会談、これはいつも非公式だ。いつも大事なんだが非公式だ。それからあなたのいよいよ訪米と、こういう順序ですか。
-
○国務
大臣(細田吉藏君) 私はこれまでのいろいろなやり方についてはよく存じませんのでございまするけれ
ども、
先生よく御存じかどうか、そういうことからおっしゃっておるのじゃないかと思いますが、私は、その形式はどうなるかということよりも、その中身ですね、実質をどうする、総理がどういうふうに向こうとお話しになるかということで、これはもう大変、財政状態が財政状態ですしね、むずかしいと思っておりますのでね。形式的にこれがどうなるかということにつきましては、実は私は、これから将来のことでございますのでよくわかりません。
-
○秦豊君 問題を変えます。
原防衛
局長ね、この前の総括であなたは、五十年の
資料と、非常に視力の健在なところをお見せになったが、披瀝されたんだが、五十年以後大規模なものはやっていない、そうでしょうね。じゃ、小規模なものは毎年やっていると。ならば八〇年の見積りは拝見できるわけですね、当然。
-
○
政府委員(原徹君) 例の分析班の問題でございますが、五十年、五十一年には
先生御
承知のORをやったわけでございますが、その後調べてみましたら、その点についてやっておりませんわけでございます。できましたら今後もう一回、大変
資料が古くなっておりますから、そういうことをやろうかという感じもいたしますけれ
ども、いままではやっておりません。
-
○秦豊君 そうすると、一番新しいのは何年ですか。
-
○
政府委員(原徹君) 一番新しいのが五十年、五十一年のものでございます。
-
○秦豊君 それはどういう指定ですか。部外秘ですか、マル秘ですか。
-
○
政府委員(原徹君) これはそのこと自体が部内の参考にするためにつくったもので、部内限りということでございます。
-
○秦豊君
委員長を通じて
資料要求した場合には、こたえ得ますか。
-
○
政府委員(原徹君) かつてそのような御要求もございまして、要約をいたしたものでございましたらば御提出さしていただきます。
-
○秦豊君 これはぜひ、彼らが何を考えているか、海幕が海のルートを守るために。これは等しくシビリアンコントロールの末端に連なっているわれわれとしても関心なきを得ない。アウトラインしかもらえないそうだけれ
ども、
資料としてぜひ御高配を願えますか。
-
-
○秦豊君
防衛庁の中に、これはどこにあるんですか、法制
調査官室というのはどんなことをやるセクションですか。
-
○
政府委員(原徹君) 内局の官房にございまして、いわゆる法制の審査をやるところでございます。
-
○秦豊君 そこで、この七八年の春にそのセクションで防衛二法の改正についての案をまとめられた事実があるかないか。
-
○
政府委員(佐々
淳行君) 七八年の時点で防衛二法改正の案をまとめたということはございません。
-
○秦豊君 じゃ、テンスをずらせればあり得ましたか。
-
○
政府委員(佐々
淳行君) あるいは
先生お尋ねの案件は、一昨年——七八年の九月二十一日統一見解が発表されまして、有事法制の研究並びに奇襲対処の研究、こういうテーマについての研究を
関係部局においてやっておると、このことではなかろうかと存じます。その
意味におきましては、この二つの作業は現在進行中でございます。
-
○秦豊君 それはちょっとおかしいな。佐々さんね、もう作業は終わっているんじゃないですか。
-
○
政府委員(佐々
淳行君) いま申し上げました作業は、憲法並びに法律の
範囲内並びに現在の基本的な政策の
範囲内という条件におきまして、現在依然として進行中でございまして、まだ結論が出ておりません。
-
○秦豊君 どういうものが主な検討項目でしょう。
-
○
政府委員(佐々
淳行君) 有事法制というのは、防衛出動が下令された後、すなわち七十六条が下令された後、自衛隊がその与えられた自衛隊法上の権限に基づいて行動する際にそれがスムーズに行われるような国内の法秩序、法体系を整備をすると、これが目的でございます。
それから、奇襲対処と呼ばれております作業は、七十六条下令以前の状態において万が一奇襲があったときこれにどう対処するかと、こういうことを目的としてやっておる作業でございます。
-
○秦豊君 ならば、当然その統幕の強化、中央指揮所の位置づけ等々も含まれますね。
-
○
政府委員(佐々
淳行君) 現在有事法制研究並びに奇襲対処という形でやっておる作業には御
指摘の点は含まれておりません。
-
○秦豊君 しかし、並行して
防衛庁設置法、自衛隊法、いわゆる防衛二法の検討は行われているわけでしょう、だって有事法制に対応せにゃいかぬから。
-
○
政府委員(佐々
淳行君) 御
承知のように、防衛二法は
昭和二十九年設置をされまして以来二十六年間経過をしておりまして、毎年増員その他につきましての手直しはございますけれ
ども、抜本的な検討というのは今日まで行われておらないわけでございます。時代が変わり、いろいろな情勢が変わってきておりますので、当然この防衛二法についても勉強しなければいけないだろうという意見はございますが、現時点におきましては、
先ほど申しましたような万が一奇襲があったときにこれにどう対処するかというのが最優先、さらに有事法制、七十六条下令後自衛隊が行動する際にどういう問題点があるか、こういう点の研究に集中されておりまして、御
指摘の点はまだ十分検討するに至っておりません。
-
○秦豊君 では、あなたの好きな理論から言うと、日米防衛協力のガイドラインに従って部隊を運用しようとすれば、早晩防衛二法改定に手をつけなかったら行き詰まるでしょう、違いますか。
-
○
政府委員(原徹君) ガイドラインにつきましていろいろの研究が進んでいるわけでございますが、現在の段階で法律の改正が必要になるというようなところまでは研究は進んでおりません。多分なくて済むのであろうと私は思っておりますけれ
ども、それは先のことでございますから全くないとも言い切れないわけでございますけれ
ども、いまの段階で考えますと、法律の改正が必ずしも必要であるというふうには思っておりません。
-
○秦豊君 そういうことなんですか。法改定は必要ないわけ。じゃ、中央指揮所なんかも考えなくていいわけ。
-
○
政府委員(原徹君) 中央指揮所は別段ガイドラインとは必ずしも
関係のないものでございますが、まあ現在でも統幕にオペレーションルームというものがございますわけで、そういう物理的な施設の整備をしようとすることでございますから、そのできました物理的施設の整備をするにつきまして、仮に人間が要るということでございますれば、またその法律の改正ということはございますけれ
ども、その物理的な施設そのものについて法律の改正が必要であるとは思っておりません。
-
○秦豊君 これはまた別な機会にやりましょう。
七九年の六月に自民党の国防問題研究会が発表した防衛二法の改正要綱案、これは知っていますか。
-
-
○秦豊君 主な眼目はどんなことなんですか。
-
○
政府委員(佐々
淳行君) 自民党の中におきます防衛問題に
大変関心をお持ちの有志の方々が約一年ばかり勉強なさいましてまとめた
資料でございまして、これは
防衛庁の直接の
関係——私
どもが御協力をしてつくったという性格のものではございませんのでございますが、研究のテーマは
先生先ほど来御
指摘のような防衛二法全般の見直しにわたっておると、こういう性格のものでございまして、たとえば七十六条の防衛出動以外に領域警備活動というものをまとめて考えたらどうであるかとか、あるいは予備自衛官の招集時期が七十六条下令後でないとできないというのが現行法でございますが、防衛出動待機命令が出たときにやるべきではないかとか、こういう大変具体的な献策を盛り込んだものでございます。現在の法令の解釈の中でできるかもしれないものもございますし、あるいは改正を要するものも含まれた、かなり広範多岐にわたる献策でございます。
-
○秦豊君 それは全体方向としては
防衛庁から見て好感できるものでしょう、なかなか。よくできているでしょう。
-
○
政府委員(佐々
淳行君) 大変よく勉強していらっしゃると私
ども感心をしておるわけでございますが、ただ、現在私
どもが進めております作業が、現憲法の
範囲内で直ちに立法措置を伴う、あるいは法改正を伴うような研究はしないということを一昨年の九月二十一日の統一見解でお
示しをした上で、現行の法律の解釈、運用、これを中心にやっておりますので、この自民党の案は私
ども十分参考にさせていただきたいとは考えておりますが、そのまま直ちにそれを採用すると、こういう考えではございません。
-
○秦豊君 私から見れば、これは別に意地悪い表現でも何でもないんだが、わが意を得たり、それからあうんの呼吸、どっちが「あ」かどっちが閉めている「うん」かわかりませんが、あうんの呼吸ですよ、あなた。原さんの
答弁みたいなことをいつまで言い続けられますかな、国会で。防衛二法の改定などは必要ありませんといつまでも言い続けられれば、エンドレステープで言えばいいんだけれ
ども、早晩行き詰まりますよ。ガイドラインというのはそういう方向なんだから。
そこで、時間がまだちょっとありますか、まだ大分あるですな。そしたらちょっとこれ細かくて恐縮なんですが、内閣
委員会から硫黄島を拝見したことがあるんだが、この島の価値を知っているのはソ連太平洋艦隊が一番よく知っていると思うんだが、今後、
防衛庁、自衛隊としてはこの島をどういうふうに位置づけるのか、総合基地として、対潜基地、補給基地、通信基地、もう
調査予算なんか組んだのか。いつごろまでにどんなプランをつくりたいのか、こういう聞き方しても、ろくな回答返ってこないと思うんだが、将来のつまり運用のプラン、それを伺っておいて、そして最後に細田
長官に、一体、細田
長官は基本的に何から何をいかにして守るかという、いわゆる俗に防衛三原則と言われているものについて大分うんのうをきわめられたと思うから、最後にそれを伺ってからきょうは終わりたいと思います。
-
○
政府委員(原徹君) 五十五年度の
予算で要求をいたしておりますが、これは硫黄島につきまして、内地でなかなか
訓練ができないということがございます。たとえば夜間
訓練などは騒音がやかましいということで大変遠慮しているというようなこともございますので、内地でできない
訓練を、せっかくあそこは海上自衛隊が管理をし、ときどきP2VとかC1とかいりておりますのを管理している、そういうことでございますので、いま使っております
範囲を若干直しまして、滑走路等を。そこで
訓練をしようというのがただいまの硫黄島の基地の使い方でございます。
-
○国務
大臣(細田吉藏君)
お尋ねは
日本の国防に関する基本的な考え方かと思うわけでございますが、国防の基本方針にのっとるわけでございますが、何といいましても、わが国の、平和を維持する、平和に徹するということがわが国の防衛の一番基本だと存じております。その立場から、私
どもは、日米安全保障体制、これを堅持しこれを守る、この一環として
先ほど来いろいろお話が出ておりますような
アメリカと
日本との
関係は、他の面もいろいろあわせてでございますが、国防につきましても協調しながらやっていかなければならない、かように考えております。
アメリカの考え方につきましても私たちはできる限りは考えに入れて、
日本の国力、経済力、そういうものに応じてやっていかなきゃならぬと思っております。
-
○秦豊君 何から守るんですか。
-
○国務
大臣(細田吉藏君) 私
どもは、何から守るということは、
日本の国民の生命と財産、領土、
日本の文化を守るわけでございまして、これはどこから侵害があるということを、仮想敵国的なことを私は申し上げるということは大変適当ではない、かように考えておる次第でございまするので、私がここで基本的な問題としては申し上げることをやめさしていただきたいと思っております。
なお、私
ども防衛の基本的な考え方として、何としても国民の御協力、御理解、いつも私が申しておりますが、一〇〇%とはまいりませんでしょうが、もう非常に多数の皆さん方のコンセンサスを得て防衛はやっていかなければならないと思っておりますし、シビリアンコントロール、これは国民の代表である国会、これは私
ども厳重に守って防衛をやってまいりたい、かように考えております。いまおっしゃいました何から、だれから守るんだということにつきましてはただいま申し上げたとおりでございます。
-
-
-
○
喜屋武眞榮君 大蔵
大臣に
お尋ねします。
五十四年度政府
予算の伸び率と開発庁
予算の伸び率、そして五十五年度政府
予算の伸び率と開発庁
予算の伸び率がどうなっておるか承りたいと思うんですが。
-
○国務
大臣(竹下登君) 五十五年度
予算は五十四年度
予算に対し一般会計上一〇・三%の伸び率となっております。
-
○
喜屋武眞榮君 私の質問は、五十四年度
予算における政府伸び率と開発庁
予算の伸び率、五十五年度
予算における政府
予算の伸び率と開発庁
予算の伸び率、これを承りたい。
-
-
○
喜屋武眞榮君 五十五年度
予算が極端に落ち込んでおる理由は何でしょう。
-
○
政府委員(
田中敬君)
沖繩開発庁
予算は、御
承知のとおりに、その約八〇%が公共事業費でございます。それで、
昭和五十四年度におきましては公共事業
予算が異常にふえたものでございますので、
沖繩開発庁もそのシェアに従ってふえたということで、
一般会計予算伸び率よりも
沖繩開発庁
予算の伸び率が高かったのは公共事業費の伸び率が高かったという理由でございまして、五十五年度
予算はこれがまさに逆に出てまいりまして、五十五年度
予算は、御
承知のように、公共事業費が横ばいでございますので、その影響を受けて開発庁
予算の伸びが低くなったものと、そういうふうに御説明できると思います。
〔理事
安田隆明君退席、
委員長着席〕
-
-
○国務
大臣(小渕恵三君) お答えいたします。
御
指摘のように、五十五年度
予算の伸び率は決して高いものではありませんが、開発庁といたしましては、その中身を精査いたしますと、新しい目玉となるような、たとえば中城湾港計画に対する
調査費等が組み込まれておりまして、私
どもは、額は大きく伸びることかできませんでしたが、
内容、質の点では県民の皆さんにおこたえできた
予算であると、こういうふうに考えております。
-
-
○国務
大臣(大来佐武郎君) 私は必ずしもそうとは考えませんです。
-
○
喜屋武眞榮君 日米安保の話が出るたびごとに、必ず
沖繩に好ましからざる異常が起こります。このことはどう受けとめておられますか。
-
○国務
大臣(大来佐武郎君) 全国平均に比べて
沖繩の基地の面積が伸び率がきわめて高いとか、施設がかなり
沖繩に集中しておるということは事実だと考えておるわけでございます。
-
○
喜屋武眞榮君 じゃ、具体的に進めてまいります。
ホワイトビーチに原子力艦と原子力潜水艦が入港しておることについてはどのように受けとめておられますか。
-
○国務
大臣(大来佐武郎君) これは今月に入りまして米原子力潜水艦アスプロが九ないし十一日及び十六日、また米原子力巡洋艦ロングビーチが十六、十七日及び二十一、二十二日にそれぞれホワイトビーチに寄港いたしておりますか、これら原子力艦船の寄港はいずれも乗組員の休養及び補給、補給維持のためのものでありまして、乗組員の家族を居住せしめるという趣旨のものではございません。
-
○
喜屋武眞榮君
沖繩では、この原子力艦あるいは原子力潜水艦のホワイトビーチが母港化するおそれがある、こう心配しておりますが、いかがですか。
-
○
政府委員(
淺尾新一郎君) お答えいたします。
ただいま
大臣から御
答弁申し上げましたように、今月に入りまして原潜と同じく原子力巡洋艦が寄港したのは事実でございますけれ
ども、このことをもって別に
沖繩にこういう原子力潜水艦あるいは原子力艦艇の母港化ができるということとは全く
関係がございません。
-
○
喜屋武眞榮君 それに関連して異常放射能が出た、こういうことが言われておりますが、その実態は、またそれに対する対策はどうしておられますか。
-
○
政府委員(牧村信之君) 原子力軍艦ロングビーチがこの三月に二度にわたり
沖繩に入港をしております。第一回が三月十六日から十七日でございまして、第二回が三月二十一日から二十二日に、この二回にわたり入港したわけでございます。科学技術庁並びに海上保安庁、それから
沖繩県の三者で合同でホワイトビーチの環境放射能の
調査を従来どおり行っておるところでございます。
この
調査の結果によりますと、ロングビーチが入桟いたしましたその船尾のところに設けられました水中計のモニタリングポスト、これは三つありますが、そのうちの一つに、データの観測をチェックいたしますと、三月十六日は平常の九から十一カウント・パー・セカンドという観測値でございますが、第一回の出港の時期に十三カウントという値の放射能が測定されております。また、第二回目の寄港におきましては、二十一日の桟橋に着いておるときに十四カウントのピークが測定されておるわけでございます。
沖繩におきます
通常のこのポストの平常の値といいますのは九ないし十八カウント・パー・セカンドでございまして、
通常天気のいいときは九ないし十の値を
示しております。雨などが降りますと十八カウントぐらいに上がるというのが平常の値でございまして、私
ども、この値を九ないし十八がこのモニタリングポストの
通常の値ということで考えておりますが、この十三ないし十四カウントというものはこの
範囲内には入っておりますけれ
ども、当日十六日並びに十七日並びに二十一日は雨も降っておりません時期でございましたので、若干、平常値に比べて高い値が観測されたということでございます。直ちに、こういう値が出ましたので、現場におきまして海水並びに海底土のサンプルを取りまして、現場にございます精密な核種分析を行ったわけでございますけれ
ども、
通常原子炉からの冷却水から出ますようなコバルト60であるとかマンガンというような核種が検出されておるわけではございません。したがいまして、今回の観測は
通常の値の
範囲には入っておるけれ
ども、若干その観測データが観測されたということであるわけでございます。私
どもといたしましては、精密な核種分析の結果も何も出ていないわけではございますけれ
ども、念のためにこれらの事実を踏まえまして、外務省にお願いいたしまして、米国側に事情の
聴取を依頼しておるというのが現状でございます。
-
○
喜屋武眞榮君 非常に見方が甘いですね。専門家の話によりますと、冷却水を流したのではないかと、こういう見方がありますが、いかがですか。
-
○
政府委員(牧村信之君)
先ほども申し上げましたように、このポストにおきまして、はかられる値というものが、たとえば雨が降りましても
通常の値の約二倍ぐらい上がるきわめて精密なものでございます。それのはるか下と申しますか、それに十分おさまっておる数字でございますので、一概に冷却水が漏れたというふうに断定するのはきわめて危険であろうかと考えております。その理由といたしましては、それらの値が検知されましたときに、海水並びに海の底のどろ等も取りまして、さらに精密な核種分析をやった結果もそれらの核種が検出されなかったということでございますので、一概に冷却水が出されたというふうに断定するのは危険であろうかと考えておるところでございます。
-
○
喜屋武眞榮君 いま雨が降ると濃度が高くなるということはどういう
意味ですか。
-
○
政府委員(牧村信之君) 雨水が陸並びに空気中の自然放射能あるいは核爆発によります人工的な放射能を若干含んでおるわけでございますが、そういうのを洗い出してまいりまして海水にまざります。そういうような
状況になりますと、ただいま問題になっておりますここの場所のモニタリングの値は、
通常九から十が十八前後に上がるわけでございます。倍ぐらいに上がるわけでございます。今回の場合は九から十のものが三ないし四カウント上がったという、きわめてわずかな放射線の検出の増加でございます。
-
○
喜屋武眞榮君 非常に安易な受けとめと聞けますが、そのような考え方では県民は
承知しませんよ。
それでは、入港の目的はなんでしょう。
-
○
政府委員(
淺尾新一郎君) お答えいたします。
乗務員の休養、さらに補給が目的でございます。
-
○
喜屋武眞榮君 ある面ではチームスピリット80あるいは中東情勢に
関係がある、こういう見方もありますが、いかがでしょうか。
-
-
○
喜屋武眞榮君 こういうことは、結局、従来よりも基地機能の強化、こういうふうに受けとめたいのですが、いかがでしょうか。
-
○
政府委員(
淺尾新一郎君) 三月になりまして、いままで御
答弁しましたように、寄港はございましたけれ
ども、これが基地の強化ということになるとは私たちとしては考えていないことは、
先ほど母港化と全く
関係ないということで申し上げたとおりでございます。
-
○
喜屋武眞榮君 明らかに基地機能の強化になりますよ。さらに、非核三原則を犯すことになりませんかどうか。
-
○
政府委員(
淺尾新一郎君) 非核三原則は、
先生御
承知のように、核を持たず、持ち込ませずということでございまして、原子力潜水艦あるいは原子力水上艦艇というものは推進機関がたまたま原子力であるということでございまして、非核三原則を犯すというようなことではございません。
-
○
喜屋武眞榮君 このことで、県民はもちろん、特に漁業に従事しておる者たちが非常に不安と危機感を持っておる、このことを強く申し上げて、次に移ります。
次に、基地の整理縮小について
防衛施設庁に。基地の整理縮小は復帰の時点でのこれは公約であった。現時点でどのように縮小され、また縮小計画を持っておるか、これを聞きたい。
-
○
政府委員(
玉木清司君)
沖繩復帰後、基地の整理縮小を進めておるわけでございますが、ただいままでにこの計画の中で全部返還になりました施設は三十八施設、面積にいたしまして一千六十万平方メートル、一部返還になりましたものが二十四施設、一千五百万平方メートル、合計いたしまして六十二施設、二千五百六十万平方メートルでございます。なお、今後の返還につきましては、安全保障協議
委員会で返還が了承されております施設
区域の整理統合の実施につきまして、地元の要望等を勘案の上で計画的に返還が実現できるよう努力してまいりたいと考えておるところでございます。
-
○
喜屋武眞榮君 予定どおり返還が進んでおるということなのか、それとも
支障があるということなのか。
-
○
政府委員(
玉木清司君) 当初の安全保障協議
委員会がこれを取り決められました時点におきます諸条件とその後の条件の変化はございましたけれ
ども、その時代時代の変化に応じて着々と進められておるように私
どもは観察しております。
-
○
喜屋武眞榮君 どうしても、予定どおりいっておるとはどう善意に解釈しても見られません。その予定どおりいかない理由は何でしょうか。
-
○
政府委員(
玉木清司君) たとえば
沖繩市内にございます燃料施設等の移管におきまして、移転先の御了解がなかなか得られないために移転工事が実施できない。そのような不測の
事態が起こっておる問題がございまして、そういう点におきましては、それはいたし方のない
事態の変化であるというふうに認識しておりますので、これらの変化を話し合いによって御理解をいただきながら着実に進めていくつもりで実施しておるところでございます。
-
○
喜屋武眞榮君 基地の返還と基地労働者の解雇の
状況はどうなっておりますか。
-
○
政府委員(
玉木清司君)
先ほど申しましたような返還が実現しつつございますけれ
ども、これと施設内で仕事に従事しております基地労働者の雇用
関係、特に強制退職というものとは直接には結びつきませんで、むしろ基地労働者の雇用
関係を左右しておりますのは駐留
米軍の業務のあり方に大きく依存しておるように私
どもは考えております。
-
○
喜屋武眞榮君 復帰後における基地の返還、それから基地労働者の解雇を率で
示してください。
-
○
政府委員(
玉木清司君) 比率で示せというお求めでございますが、ただいまどういう時限でどの数字を比率化すればいいかよく理解できませんので、総合的によく検討して
資料として御
報告したいと思います。
-
○
喜屋武眞榮君 それでは、いまの点、
資料を求めます。
次に、地籍明確化のいわゆる地籍の作業は現時点でどうなっておりますか。
-
○
政府委員(
玉木清司君) 地籍明確化作業は当初五年間にこれを完了しようというスケジュールで出発いたしましたが、当時の三原
防衛庁長官からの御指示で、少なくとも明確化のための土地の計測、それから
関係者の協議、そして地籍の確定というふうな実体的な
調査は三年内に終われというふうな御指示がございまして、われわれは大変これを急いで実施してきたわけでございますが、おおよそ所期のスピードで現在進んでおりますので、一両年中に
施設庁で行いますこの作業は完結するように私
どもは考えております。
-
○
喜屋武眞榮君 地籍明確化法ができた場合に、五年を待たずに三年でやってみせる、こういう公約があったはずだが、現時点で何%いっていますか。
-
○
政府委員(
玉木清司君) 認証済み、と申しますともう完全に完結したものでございますが、これが三六%、それから
地図、簿冊の閲覧を終了して認証申請の準備をしておるもの、これは測量等の実務が完了しまして、あとは書類手続を待っておるものでございますが、これが二七%、
調査を完了して
地図簿冊の閲覧を準備中のもの、これが八・八%、現在
調査を実施中のものが二五・八%、事情がございまして認証申請手続を保留しておるものが一・四六%と、こういう状態になっております。
-
○
喜屋武眞榮君
沖繩づくりの
目標は平和で明るい豊かな県づくりと、こういうことになっております。その基地の現実とは全くうらはらである。これに対して、担当
長官小渕
長官、いかがお考えでしょうか。
-
○国務
大臣(小渕恵三君)
沖繩県におきましては基地の占める比率がまことに高うございまして、そのためにもろもろの問題を惹起し、そのことが県民生活に大きな影響を与えていることはまことに残念と考えております。
したがって、開発庁
長官といたしましては、従来から基地の縮小、整理につきまして各省庁と十分
連絡をとりまして、その方向で努力をいたしておるところでございまして、今後ともそうした方向でがんばってみたいと思っております。
-
○
喜屋武眞榮君 関連して、いわゆる特別措置法に基づく振興計画、第二次見直しの問題がありますが、それに対してどのような
内容、どのような基本姿勢を持っていま進めつつあられますか。
-
○国務
大臣(小渕恵三君)
委員御
指摘のように、振興開発計画、現在進行中でございまして、五十六年度に一応終了することとして計画をいま推進しておるところでございます。したがいまして、現時点におきまして二次振興をどのような形で行うかということは明言することができませんが、しかし、現在それぞれの事業の到達度等を精査いたしております段階ではありますけれ
ども、やはりこの第一次と申しますか、現在の中で果たして全部でき上がるかどうかという疑念も若干ありますので、現在では二次振興を行うかどうか、
沖繩県における社会的、経済的
状況等を十分勘案をしながら、同時に現在進行中のそれぞれの事業につきまして十分検討いたしまして結論を得たい。いまその作業をいたしておるさなかでございます。
-
○
喜屋武眞榮君 すると、五十六年度で一応終わるわけですが、現時点でそれぞれの
目標を達成しておるものは何々か、どういう
状況にあるか、現状。
-
○
政府委員(
美野輪俊三君) お答えいたします。
沖繩が
本土に復帰しましてから約八年が経過しておるわけでございますが、
先生御
指摘のように、この間、「平和で明るい豊かな
沖繩県」の実現を
目標にいたしまして、振興開発計画に基づきまして、これまで鋭意努力を続けてきたところでございます。
その達成
状況について
お尋ねでございますが、端的に申し上げまして、まず人口等で見ますと、計画で見通した百三万人をすでに超えまして、五十三年十月現在で百八万人になってございます。
産業構造は、生産所得、就業者いずれの面から見ましても第一次産業及び第二次産業が弱く、相対的に第三次産業が非常に過大な復帰当時の体質をそのまま維持しておりまして、その間、構造は大幅には変わっていないという
状況がございます。
それから失業率について見ますと、
昭和五十四年度に入りましてかなり低下をしてまいりましたけれ
ども、なお年間の平均で見ますと、これが五・四%ということで、
本土の約二倍半というような
状況になってございます。
なお、振興開発事業につきましては、これまで鋭意
予算の増額、事業の推進等に努めてまいっておりまして、全体的には復帰時に比べまして大幅に整備が進んでおりますが、とりわけ道路、空港、上下水道、公立学校施設、これらの施設につきましては、おおむね
本土水準に達し、あるいは達しつつあるというのが大まかな
状況でございます。
-
○
喜屋武眞榮君 担当
長官にもう一遍念を押したいんですが、平和で明るい豊かな
沖繩という
目標が、現実は、危険な暗い、そして貧困な暮らしにくい
沖繩と、これが現実である。これをどうしてもうらはらにならぬようにするためには、いまの二次振興計画をどうしても見直していただかなければいかぬと、こう思うんですが、さらに念を押しておきたいと思います。
-
○国務
大臣(小渕恵三君)
沖繩県の現状につきましては、御
指摘のような見方についてはちょっと意見を異にいたしますが、しかし、
本土における各都道府県との格差というものは、当初見込みましたものに比べますると、他の都道府県の伸び率もまた高いために、必ずしもその格差が縮小しておらないという現状も理解をしておるところでございます。したがいまして、現在行っておる振興開発計画を五十六年度末まで全力を挙げて実行をしていくことは当然のことでございますが、御
指摘にありましたように、第二次につきましても、やはりその改定の必要というものも感ぜられますので、いまからその準備というものも図っていかなければならないかと、こう考えておる次第でございます。
-
○
喜屋武眞榮君 じゃ、次に移ります。
次は、爆音公害について。まず第一点、いわゆる嘉手納航空基地を中心とする爆音の現状、それから
キャンプ・ハンセンを中心とする軍事
演習の現状、それから中部を一円とする特に高等学校を中心とする授業に対するその被害
状況、これがそれぞれ関心を持って
調査されておると思うが、それをどのように受けとめておられるか、それをお聞きしたい、
防衛施設庁。
-
○
政府委員(
玉木清司君) 嘉手納飛行場を中心にいたします爆音の問題は、私
どもも
大変関心を持って見守っておるわけでございますが、私
どもで測定をいたしておりますデータから申しますと、飛行回数、それから夜間の回数、それの発します音の強さ、こういうものから見まして、ジェット基地の中でも爆音の非常に強い基地であるというふうに考えております。
演習場の中におきます
訓練、
演習の実態につきましては、詳細を把握できませんけれ
ども、できるだけの実情の掌握を努めておりますが、御
承知のように、ハンセン
演習場は
沖繩中部にございまして、中心にあります山もそれほど高い山ではありませんので、砲撃等によります安全に関しましては、現地軍に対しまして常に注意を喚起しつつ実施を見守っておるという状態でございます。なお、学校等に与えます
訓練、
演習等の影響につきましては、ケース・バイ・ケースで
報告を受けておることもございますけれ
ども、最近におきましては格別に大きな事故というようなものもないように私
どもは観察しております。
-
○
喜屋武眞榮君 非常にとらえ方が抽象的で、親身になって
沖繩県民の立場に立ってとらえておらぬということが如実にいまの
報告でもわかります。
嘉手納町では一カ年間のデータ、いわゆる生活音を超える七十ホン以上が一日に平均百三十一回、こういうことですよ。それから
キャンプ・ハンセンにおける実情は、夜間
演習まで——昼夜分かたず夜間
演習、しかも騒音が夜間にまで及んでおると。それから中部高等学校の授業中断、これ三回目の
調査ですがね、もう大変な
状況になっておるということ、これは具体的にデータを持っておりますかどうか。持っていなければこちらから提供したいんですが、いかがですか。
-
○
政府委員(
玉木清司君) 嘉手納基地の騒音につきましては、嘉手納町が過去において
昭和五十四年の一月から一年間を計測しましたデータを持っておりますし、防衛施設局は嘉手納町の測定地点の約三百メートルほど離れました滑走路に平行した位置の屋良という地区に自動計測器を設置しております。
防衛施設庁は、そのほかに北谷村の砂辺と
沖繩市の胡屋に自動計測器を設置しておりまして、三カ所で計測を続けておるわけでございますが、御
指摘の一日百三十回という嘉手納町の測定値は、私
どもの方の測定値と、私
どもの方は百三十、嘉手納町は百三十一でございまして、一致しております。夜間飛行の回数におきましても、私
どもの測定が二十六回、嘉手納町が二十五回ということで、平均値としてはこれくらいの誤差はしょうがないと思います。
なお、この騒音の強さでございますが、デシベル値で申しまして、私
どもの測定で八十五、嘉手納町の測定で八十四、したがいまして、これをうるささ度合いのWECPNL値に換算いたしますと、私
どもの測定では八十一・七、嘉手納町の測定で八十二・二という結果になっております。飛行場周辺におきまして、私
ども、現在八十WECPNL以上の値を示す
地域を住宅防音工事を実施しつつあるわけでございますが、この住宅防音工事の促進を本年の
予算にもお願いをしてこの騒音問題に対処しようとしておるところでございます。
なお、
キャンプ・ハンセンにおきまして昼夜分かたぬ
演習という御
指摘でございましたが、
アメリカ海兵隊のハンセン
演習場におきます
訓練、
演習は、確かに御
指摘のように、夜間におきましても頻繁にかつ激しく行われておりまして、これについては安全上の配慮を十分にするように注意を喚起しつつ観察をしておるという
状況でございます。
なお、中部高等学校の授業の中断の御
指摘がございますが、中部高等学校につきましては、嘉手納町周辺におきまして私
どもすでに相当数の学校防音工事を実施しておりますが、中部高等学校につきましても当然にこの学校防音工事の対象に入るとわれわれは考えておりますが、現在まだこれの防音工事の施行要請が出ておりませんので、その要請を受け次第実施したいと思っております。
-
○
喜屋武眞榮君 読谷補助飛行場における落下傘降下問題に関連して、去る三月の十八、九日に
沖繩全県一斉に高校の入学試験がありました。それに関連してこの落下傘降下問題が大きな県民の怒りを買っておりますが、そのことについてはどのように理解し、受けとめておられるか。
-
○
政府委員(
玉木清司君) 高等学校の入学試験と読谷飛行場の落下傘
訓練の問題は、私
ども新聞で拝見しましてその実情を掌握してみたところでございますが、入学試験は十八日の十時から十二時五分まで行われたようでございます。この間、降下
訓練に必要な飛行がどのように行われておったかということを掌握してみますと、当日の十時から試験が始まっておりますが、第一回目の降下が行われましたのは試験の終了前後の時刻である十二時四分でございまして、爆音によって高校入試が大変大きく阻害されたというような
事態は避けられておるのではなかろうかというふうな観測をしておるところでございます。しかし、新聞によりますと、いずれにしましても試験環境をめぐりまして騒音があったということでございますので、これらにつきましては、事実であれば今後に対しまして備えていきたいという考えをしております。
-
○
喜屋武眞榮君 いまの
調査に食い違いがありますが、もう一遍徹底的に調べてもらいたい。せめて、一生を左右する入学試験の子供たちのあの心理状態、正常な
状況の中で実力を発揮させるという、これはもう親心であり人道問題でもあるわけですが、それに対してあったかなかったかというような状態は、これは許せませんよ。もう一遍あなたの態度を聞きたい。
-
○
政府委員(
玉木清司君) 高等学校の入学試験でございますから静ひつな環境の中で十分にやらせるということは、これはもう当然だれも考えるところでございます。ただ、ここで使われております当日の飛行機はヘリコプターでございまして、ジェット機ではございません。
なお御参考までに、琉球大学等におきまして、試験を行うので航空機騒音が妨害にならないような配慮をせよという通知を琉球大学当局から文書で申し入れを受けたことはございまして、それにつきましては、直ちに
米軍にその趣旨を伝えて
米軍の協力を求めた事実もございます。
-
○
喜屋武眞榮君 心があるならば事前に——その期間は戦争ではないでしょう。戦争状態ならこれは別だが、その期間は降下
訓練をやめてくれと、こう申し入れるべきだと思うが、どうですか。
-
○
政府委員(
玉木清司君) 当該高等学校の教育に当たられる方々とよく
連絡を密にいたしまして、教育のために私
どもも協力をしてまいりたいと思います。
-
○
喜屋武眞榮君 さらに、農民が農作物をとりに行く、これを拒否された例がありますが、それは事実を知っておられますか。
-
-
○
喜屋武眞榮君 そのときに防衛施設局の職員もそこに立ち合っておるということを聞いておりますが、事実か。
-
○
政府委員(
玉木清司君) 当日実施されました
訓練の際に耕作をしようとされました方は島袋さんという方のようでございますが、この方は、当日の
訓練の模様に応じまして警察官の説明により待機しまして、一回目の
訓練終了後、二回目
訓練の開始までの間に農作業を終わってお帰りになったというふうに
報告を受けております。
-
○
喜屋武眞榮君 このことも、いわゆる
米軍の降下
演習には加担しておるけれ
ども、肝心の
日本人である
沖繩農民の農作物を収穫することに対しては拒否したと、一言のそれに対する同情の念もなかったということを非常に怒りをもって
報告しておりますが、これをお聞きですか。
-
○
政府委員(
玉木清司君) 防衛施設の周辺住民と防衛施設の使用目的との間で調和を図っていくのはわれわれの任務でございます。したがいまして、読谷周辺におきましても
関係諸条件の中でふさわしい解決を見出すように努力しているところでございます。
-
○
喜屋武眞榮君 今後そういった重大な行事がある場合に、事前にあなた方に
連絡すればそれをやめてくれと、こう申し入れる意思がありますかどうか。
-
○
政府委員(
玉木清司君) 読谷のこの耕作の問題につきましては、
先生の御
指摘の点がなかなか理解できないのでございますが、どういうふうな標識を上げて、どういう合図をして、それによって場内で耕作をしておる者はどういうふうに措置をしようということにつきましては、すでに読谷村長を代表者といたしまして、村民の意を受けまして合意して、その合意したルールが厳に守られておる
状況でございます。
したがいまして私
どもとしましては、厳しいお言葉がございましたけれ
ども、現在この
地域におきます農耕そのものが御
指摘のような大変ぐあいの悪い状態であるというふうには考えておりません。
-
○
喜屋武眞榮君 いま農耕だけの話ですが、たとえば学校行事としての学芸会だとか、いまさっきの入学試験ですね、そういった学校行事として重要な行事がいろいろあるわけなんです。そういう場合に事前に申し入れた場合に、それを申し入れる意思がありますかどうかということなんです。
-
○
政府委員(
玉木清司君)
先ほど申しましたように、琉球大学の試験のときにはこうした例もございます。したがいまして、大事な教育でございますから、
演習、
訓練との間の調和を図るために私
どもは教育者の方からそのような御相談をいただきますならば、十分に対応できると思います。
-
○
喜屋武眞榮君 次に、航空自衛隊の那覇基地について尋ねます。
三月五日の
衆議院
予算委員会で地崎運輸
大臣は、那覇空港はきわめて危険な空港であると、こういうことを明確に
指摘しておられます。いまでもそう思っておられますか、どうでしょうか。
-
○国務
大臣(
地崎宇三郎君) 私は那覇空港は危険な飛行場であるという
指摘をした覚えはございません。
-
○
喜屋武眞榮君 それでは何とおっしゃったんですか。
-
-
-
-
-
-
○国務
大臣(
地崎宇三郎君) ミサイルの事故が起きたことにつきまして、十分危険のないように配慮したいという
答弁をした事情がございます。
-
○
喜屋武眞榮君 それでは、ないとはおっしゃれぬじゃないですか。
-
-
○
喜屋武眞榮君 那覇空港の使用の実態、実情、それからこれまでの事故の
状況について承りたい。
-
○
政府委員(
松本操君) 那覇空港の使用の実態についてだけお答え申し上げます。
那覇空港は四十七年に返還になりまして以降、運輸省の所管いたします二種空港として運用をしておるわけでございます。現在のところ、大体民航機が七割程度、それ以外の航空機が三割程度と、こういう形で運用が行われております。管制塔はすべて運輸省の方において所管をしておる、こういう
状況でございます。
-
○
喜屋武眞榮君 私が知りたいのは、その使用の実態、自衛隊、それから民間との使用の実態と、これまでに事故発生の件数があったはずであります。それを聞きたいのです。
-
○
政府委員(
松本操君) やや古くて恐縮でございますが、五十三年の一月から十二月まで那覇空港における着陸回数、民間機二万二千七百二十六回、
防衛庁機が一万三回、その他を含めまして合計三万三千百五十。事故とおっしゃいますのがどういう種類のものか、ちょっと私にわかりかねますが、私
どもの方から見て事故らしきものといたしますと、ちょっと記憶が正確でございません。二年ぐらい前であったかと思いますが、フライング・タイガーという
アメリカの航空会社の貨物機が着陸を失敗をいたしまして無線装置を一部壊したと、こういうことがあったことを記憶しておりますが、それ以外の特段の事故という点については、いま手元に
資料もございませんし、私の記憶にも残念ながらございません。
-
○
喜屋武眞榮君 事故が発生しておることは、どんなに証拠がないとおっしゃっても事実は真実ですよ。事故があったことは間違いありませんよ。それを証拠がないとおっしゃるというそのことに、問題をそらしておられるか、あるいは
沖繩に対する認識の不足か、どっちかです。どっちでしようかな。
-
○
政府委員(
松本操君) 私
どもは那覇空港を所管しておるわけでございますので、那覇空港外の
地域については
承知をしないわけでございます。空港における私
どもの方から見ました事故という形で私の記憶にいまはっきりございますのが、二年前か三年前か正確でないのは恐縮でございますが、フライング・タイガーがオーバーランをしたという事故は、これは確かにございました。それ以外事故と言われるほどのものが、あるいは、私なかったと断言はいたしませんけれ
ども、私の記憶に明確に残っておるほどの事故というものは残念ながらございません。
-
○
喜屋武眞榮君 いまの点、ひとつ具体的にもう一遍確認していただきたいと思います一きょうは求めません。
次に、那覇空港は国際空港として整備計画がなされつつあるわけですが、その点どの程度計画が進められておるか、そのことを承りたい。
-
○
政府委員(
松本操君)
先ほどお答え申し上げましたように、那覇空港は第二種空港でございますが、現実に那覇空港に
アメリカの航空会社が出入りをいたしております。それから、ごく最近でございますが、
日本アジア航空が那覇−台北間を飛ぶようになりましたし、台湾の航空機も那覇に参っております。このような
意味において、形式的には第二種空港でございますが、現実には国際定期路線の就航する国際空港である、国際空港として必要な税関でございますとか、あるいは出入国管理でございますとか、検疫でございますとか、こういうふうな施設も整っておりますので、そういう
意味において那覇空港は現実には国際線の離着陸する空港、これを国際空港というふうに呼んでもよろしいかと思いますけれ
ども、そういう形で運用されておるわけでございます。
-
○
喜屋武眞榮君 いまおっしゃるように、使用
内容が国際化していけばいくほど自衛隊との共用が最も危険を醸すと、こういうことになると思うんですが、どうでしょうか。
-
○
政府委員(
松本操君) 自衛隊であるか民間機であるかを問わず、私
どもの最も大事にいたしておりますところは航空機の安全な運航でございますので、したがいまして、那覇空港におきます航空機の離発着等に関しましては私
どもの管制官が直接監督をしておるわけでございますし、また、これに関連いたします細かなルールも決めてございます。必要なものはノータムその他によって公示もしてあるわけでございまして、今後とも航空の安全という点には最大限の努力を払ってまいりたいと、このように考えております。
-
○
喜屋武眞榮君 いろいろな
支障があるということは、結局、共用をしておることにその問題があるわけですから、これを引き離すという御意思はありませんか。
-
○
政府委員(
松本操君) 現在、幾つかの空港におきまして民間機及び自衛隊機が共用をしておるというケースがございます。これがいいか悪いかという議論は別といたしまして、現実においてはやむを得ないことではないかというふうに私
どもは考えておりますが、
先ほどもお答え申し上げましたように、だからといって航空の安全がいささかでもないがしろにされるということがあってはなりませんので、そういう点に最大限の注意と努力を払いつつ安全な航行を維持するという形でこれらの空港の運営に当たっている
状況でございます。
-
○
喜屋武眞榮君 現状においてはやむを得ぬとおっしゃるその気持ちはどういうわけですか。
-
○
政府委員(
松本操君) 民間の空港でございましても、一部自衛隊の
連絡機等が出入りするということもございましょう。これをまた別の空港に持っていこうということになりますと、そのための空港の用地を新たにまた何らかの手だてを尽くして求めなければならないということにもなろうかと思います。そういったいろいろな問題を総合的に判断いたしました場合に、そこに十分の施設と十分の手当てが行われた空港一飛行場がございます場合、航空の安全を損なわないということが担保されます限りにおいては、いかなる航空機についても、同じようにその運営を行っていくということはそれなりの
意味があるのではないかと、このように考えて申し上げた次第でございます。
-
○
喜屋武眞榮君 現状においてはやむを得ぬが、将来においてはどうしても引き離す、分離しなければいけない、こういうお気持ちはありますか。
-
○
政府委員(
松本操君) それぞれの航空機の運航回数がだんだんとふえてまいりまして、そして、たとえば一本の滑走路で安全に航空機を離発着させ得る限度を超えてしまうとか、そういったような物理的な制約あるいはその他空域的な制約、そういうふうなことがございまして航空の安全を確保し得なくなるというふうなことがありといたしますならば、それはそういうことにならないように何らかの措置をとっていくということもあるいは必要であろうかと、このように考えます。
-
○
喜屋武眞榮君 どう考えましても、やっぱり民間空港は民間空港としてのこういう使用していくところにその使命があるわけでありますから、共用自体はこれは正常ではない、そういうことでひとつ今後離すと、別にすると、こういう点でひとつ御努力を願いたい、強く申し入れておきます。
次に
防衛施設庁に聞きますが、那覇空軍と海軍補助施設の自衛隊との共同使用についてですね。三月十一日の閣議で自衛隊との共用が決定しておりますと報ぜられておりますが、事実ですか。
-
○
政府委員(多田欣二君)
沖繩県内には、
先生御
承知のように、現在
陸上自衛隊の第一混成団という部隊がございます。残念ながら、この混成団は
訓練場を全く持っておりませんで、隊員の教育
訓練に
支障があるということでございましたので、この部隊に隣接をいたします
米軍の那覇空軍・海軍補助施設の一部を地位協定の第二条四項(a)という規定に基づきまして共同使用することにしたものでございまして、面積的には約十万九千平米ぐらいでございます。本年の一月の三十一日の日米合同
委員会において決定を見、三月の十一日の閣議で決定をされた、こういう
状況でございます。
-
○
喜屋武眞榮君 この問題は復帰の時点で移設を前提にして返還が約束されておる。間違いありませんね、これは。そうしますと、那覇市としても返還を前提にして都市計画もなされておるわけです。これはもう地方自治の侵害であるが、このことをどう受けとめておるのか。
-
○
政府委員(多田欣二君)
先ほど申し上げましたように、この使用は地位協定に基づきます日米の共同使用でございます。したがいまして、現在
米軍が提供施設として使っているわけでございまして、使っている間、自衛隊が共同使用する、こういう前提のものでございます。
-
○
喜屋武眞榮君 そうですか。これは見ようによっては新たな基地の強化につながると思うが、どうですか。
-
○
政府委員(多田欣二君) 従来
沖繩県内でそのような
訓練ができなかったと、面積が小そうございますから、班編成、昔で言います分隊以下の
訓練程度はできるようになったと、そういう
意味では自衛隊は便利になったということは言えるかもしれません。
-
○
喜屋武眞榮君 この問題も、これは正常なあり方ではないと思います。ですから、今後の問題としてどうしてもいわゆる初心に返って、これを予定どおり実行してもらわなければいけない、こう思うんですが、いかがですか。
-
○
政府委員(多田欣二君)
沖繩におります
陸上自衛隊が
訓練場を持たない、そのために最低の
訓練ができる程度の
訓練場はぜひ持ちたい、これは私
どもの希望でございます。
また一方、返還に際しまして、那覇空軍・海軍補助施設が——失礼いたしました。四十八年の第十四回の安保協議
委員会だったと思いますが、移設を前提にして那覇空・海補助施設は返還をするということになっておりまして、返還後
日本側に返すということでございまして、その
日本側の使用、必ずしも自衛隊が排除されている、こういうものではございません。しかし、
先ほど申し上げましたように、ただいまの共同使用というものは、
米軍が基地を使っている、と同時にわれわれも共同使用する。要するに、
米軍の使用ということが前提でございますので、また、
施設庁の方では目下一生懸命にリロケーションをやっておりまして、いずれこの基地が返還になると思います。その後、自衛隊がどのように使用していくか、あるいは使用をやめるのか、その辺はもう少し返還が具体的な時期になりまして改めて検討したい、このように考えております。
-
○
喜屋武眞榮君 いずれとは非常に抽象的で、五年もいずれ、二年もいずれ、一年もいずれ、こういうことになるわけですが、どうかひとつこの原点に返って、これは那覇の都市計画の中にちゃんと計画されておるんですよ。それを前提にしてひとつ一日も早く解放されるように強く申し入れておきます。努力してほしいと思いますが、どうですか。
-
○
政府委員(多田欣二君) 返還が具体化をいたしました時点におきまして、各種な条件を検討した上で決断を下したいと思っております。
-
○
喜屋武眞榮君 次に、中城湾の開発について尋ねます。
これは
先ほどの第二次開発計画にも含まれておると思っておりますが、いかがですか。
-
○
政府委員(海原
公輝君) お答えいたします。
沖繩振興開発計画におきまし、「交通通信体系の整備」というところで、「本島の東海岸の適地に、臨海工業の進展に対応して、工業港の新設を検討するとともに、中南部圏において、貨物の輸送需要の増大に即応して、那覇港の整備を考慮のうえ、流通港の新設を検討する。」と、こういうふうに書かれております。
-
○
喜屋武眞榮君 その開発構想は、いわゆる青写真はどうなっておりますか。そして、いつ着工していつ完了、その
予算の裏づけはどうなんですか。
-
○
政府委員(海原
公輝君) お答えいたします。
中城湾港におきます新規港湾の開発整備につきましては、これまで国と
沖繩県で各種の基礎
調査を行ってきております。国といたしましては、港湾事業
調査費の方で波浪測量、主として自然条件の
調査、それから私
どもの方にございます
沖繩特定事業推進
調査費の方では環境保全、海域
調査、県の方では開発
調査というような、いわば三位一体という形でやってきております。五十五年度におきまして、
沖繩県におきまして企業立地の構想がだんだん固まってまいりましたので、それに即応いたしまして実は港湾計画を策定しようということになっております。港湾計画を策定いたしますために模型実験をやらなければいけないということで
所要の
予算を本年度
予算の中に計上いたしているところでございます。
着工のめどということでございますか、これにつきましては、こういった水理模型の
調査を必要といたしますほか、港湾計画を地方港湾審議会、それから中央港湾審議会にかける必要がございます。また、それに関連いたしまして、港湾法に言うところの環境アセスメントというのも必要となっております。そういった問題が一方にあるほかに、地元企業を現在九十ヘクタールをまず当面の第一期工事として予定いたしまして、それを地元企業の移転ということを一つの核にしているわけでございますので、そういった地元企業におきますところの移転体制の整備とか、あるいは漁業者その他の地元住民あるいは
関係団体とのコンセンサス、こういうもろもろのものが醸成されることが必要になるわけでございます。したがいまして、現在、
沖繩県におきましてはこれらの解決に努力しているところでございます。われわれといたしましては、こういった問題の解決のめどがついた段階で着工ということになるのでございまして、いまこの席でいつからということはちょっと明言できないという段階にあることを御理解いただきたいと思います。
-
○
喜屋武眞榮君 聞くところによりますと、公有水面の埋め立てを前提としておると聞いておるんですが、そうですか。
-
-
○
喜屋武眞榮君 そして、備蓄基地構想はどうなっておりますか。その埋め立てを前提にしてその備蓄。
-
○
政府委員(海原
公輝君) ちょっとよく聞き取れなかったんですが……。
-
-
○
政府委員(海原
公輝君) 備蓄と申しますのが何を指しての備蓄か、そこまで具体的にまだ、少なくとも私は聞いておらないのですが、一部におきまして食糧のサイロ等も考えているというふうに聞いておりますが、それがどの程度の規模で——どの程度ということは、ちょっといま私は
資料を持ち合わせておりませんので、お答えしかねるところでございます。
-
○
喜屋武眞榮君 そこで気になりますのは、いわゆるエネルギー備蓄の場所にもなるという一項があると聞いておるのですが、どうですか。
-
○
政府委員(海原
公輝君) そういう話は、現在のところ聞いておりませんです。
-
○
喜屋武眞榮君 もしそれが事実だとすると、また例のCTS問題でいろいろ問題を醸しておると、そのことを念頭に置いてもらわぬと大変なことになりますよ。その点いかがですか。
-
○
政府委員(海原
公輝君)
先ほども若干お答えいたしましたように、これから港湾計画、それから背後地の利用、そういうものを徐々に煮詰めていくわけでございますので、いま
先生がそういう御発言があったということは承っておきますが、いまそこでそれについてどうだということはちょっとお答えいたしかねる
状況でございます。
-
○
喜屋武眞榮君 いまの点、十分配慮してもらうことを申し入れておきます。
次に、文部
大臣に提案いたします。
この埋立地に、いわゆる
沖繩を東南アジアの文化交流の接点として、
日本の南の端の門戸として、そこの一角に東南アジアを結ぶ文化センターをつくっていただきたいと思うんですが、いかがでしょう。
-
○国務
大臣(谷垣專一君)
沖繩県におきまして、県立の総合文化センターのお話が数年来だんだん進んできておるということは私も漏れ聞いておりますが、いま御
指摘になりました御提案は、県立の総合文化センターとは全然別の御提案でございましょうか、ちょっとそこらのところがわかりかねておりますが。
-
○
喜屋武眞榮君 それじゃ具体的に申し上げましょう。
東南アジアの若者に対していわゆる
日本語を徹底的に、そして
日本の若者は東南アジアの国々の言葉を十分体得する、いわゆる親善交流、経済、文化の交流は言葉の理解からと、こういう前提に立って、そういう施設をおつくりになったらいかがですかと、それを要望したいわけなんです。
-
○国務
大臣(谷垣專一君) 御
指摘のような東南アジアの言葉、それから
日本語の問題、両方のそれぞれがそういう言葉に通じ合う、そういう重要性は私も十分
承知をいたしておりますが、いま喜屋武
先生の御提案の
沖繩の土地に具体的にそういう施設をつくるという問題になりますと、いまここでちょっとすぐお答えをするのには、いま初めてお聞きしたわけでございまして、ちょっとお答えがしにくい話題でございます。検討さしていただかなければちょっと答えが出ないわけでございます。
-
○
喜屋武眞榮君 ぜひ実現さしてくださるようひとつ御検討、御配慮をお願いしておきます。これは非常に大事なことだと私は思って、おりますから。
最後になりますが、電電公社の問題で、いわゆる
アメリカから
日本に電話するにはダイヤルで通ずる、
日本から
アメリカにはダイヤルでは通じない、これはどういうわけですか。
-
○
政府委員(神保健二君) お答えいたします。
現在、
日本から
アメリカへのダイヤル通話というものは電子交換機、これで従来からやっておるわけでございますが、ちょっと技術的な問題になりますが、御説明さしていただきたいと思いますが、
先生が御
案内のように、わが国の交換機、電電公社の交換機でございますけれ
ども、これには電子交換機と、それからクロスバー交換機、それからステップ・バイ・ステップ交換機と、この三種類あるわけでございまして、国際通話のためのダイヤル通話というのが可能なのは、このそれぞれの交換機の機能によるということでございまして、いま申し上げましたように、従来から
アメリカ等に国際ダイヤル通話ができるというのは、この電子交換機に収容されております電話からというものであったわけでございます。
それで、それに対しまして、さらにより一層の利用拡大とか、それから利用の公平を図るというために、クロスバー交換機に収容されておりますプッシュホンの加入者に対しましても、国際ダイヤル通話ができるようにしようということで、本年一月末からでございますけれ
ども、まあ大都市だけに、当面、大都市にこういうようなクロスバー交換機のプッシュホン加入者から通話できるということを始めたわけでございます。
-
-
○
政府委員(寺島
角夫君)
日本から
アメリカへの通話料でございますが、三分間の番号通話ということでお答え申し上げますと、昨年の十二月一日に国際電話の料金を値下げをいたしました。
アメリカにつきましては二五%の値下げをいたしたわけでございますが、その結果、現在では二千四百三十円でございます。なお、
アメリカから
日本へかけます場合には、
アメリカで米ドル九ドルでございます。これを三月一日の為替レートで換算をいたしますならば二千二百四十一円と、こういう数字に相なります。
-
○
喜屋武眞榮君 私が聞きましたのは、
アメリカから一通話十ドル、
日本からは五千円と、こう聞いたんですが、間違いですか。
-
○
政府委員(寺島
角夫君) ただいまお
示しの数字は聞いたことはございません。
なお、
先ほど申し上げました、昨年十二月一日の料金値下げ前の通話料は、
日本から
アメリカへ三分間かけました場合に三千二百四十円でございます。
-
○
喜屋武眞榮君
先ほど十二月に改正されたというんですが、それは事実、
沖繩の父兄から私は問題を持ち込まれましてね。——そうすると、いまおっしゃるのを比較しますと、いままで暴利をむさぼっておったということになるが、そうですね。
-
○
政府委員(寺島
角夫君) 昨年十二月に改定いたしますまでの三千二百四十円という、これは三分間の料金でございますが、この料金というのは、十数年ぐらいになると思いますが、ずっと据え置きでまいった料金でございます。
-
○
喜屋武眞榮君 ともかく、
アメリカからダイヤルでいくなら
日本からもダイヤルで、これを早く実現してもらう努力をしてもらえば——国民が非常なる不利益をこうむっておるという、こういうことになりますね。
-
-
○
政府委員(神保健二君) お答えいたします。
先ほどちょっと御説明いたしましたように、いま
日本にあります交換機の種類といたしまして三種類ございますが、この電子交換機というものをこれから速やかに
日本の中の交換機としての主流として導入していこうという計画がございまして、この電子交換機が導入されますと、どこからでも
アメリカと——外国へ直接ダイヤルができるようになるというわけでございますが、それを待っておりますと大変時間がかかるということで、これも
先ほど申し上げましたけれ
ども、現在ございます既設の交換機であるクロスバー交換機、これに工事をいたしましてプッシュホンの加入者からは通話できるようにしようということで、おいおいと外国へ直接ダイヤルができるということを進めていきたいと考えております。
-
-
○
政府委員(
玉木清司君)
先ほど施設面積の減少率と従業員の減少率について
お尋ねがございまして、後ほど
資料と申しましたが、計算ができましたので
答弁をいたします。
施設面積の減少率は、復帰時に比べまして九・三%減少しております。従業員は復帰時に比べまして六二・五%減少しております。
-
○
委員長(
山内一郎君) 以上で喜屋武君の
一般質疑は終了いたしました。
明日は午前十時から
委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午後七時四十七分散会