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○
国務大臣(
谷垣專一君) いま御
質問の今朝の
ニュースで出ておりました
後藤氏の
自殺の件につきましては、実はまだ
大学からそういう連絡が来ておりませんし、
大学の方に今朝問い合わせましても、まだ向こうでも担当の人がいないような
状況でございましたので、詳細には存じていないわけでございます。
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○
国務大臣(
谷垣專一君)
早稲田大学の件につきましては、
入試の公正を非常に保たなければならない、そういう
案件につきましての
事件でございまして、まことに残念に、遺憾に存じておるところでございます。
随時お答えをいたしておりましたように、
大学の方からもそれぞれの
報告がございますし、また
大学といたしましても真剣に
対処をしておると私
たちは
考えております。まず、
事態の
解明をやる。で、外部の
諸君に対しましての
解明は
大学だけの手では負えませんので、
警察当局の方の力をかりてやっておる、こういうことで、
大学自体といたしましては、学部内の問題につきましては
大学としての取り調べも進めておるようでございますし、また、ここで問題になりました
関係しておりました
教授は、その後、
教授会の承認を得まして、これはそれぞれ職をやめさしておるところでございますし、また、
商学部長は辞意を漏らしまして、そしてそれが受け入れられて新しい
商学部長が
選任をされておる、こういう
状況でございまして、真剣にその
案件の処理に当たっておると私
たちは見ております。
文部省といたしましては、この
大学の
解明への
努力を見守っておるわけでございますが、
本件そのものの
解明を急ぐと同時に、
関係いたしておりますそれぞれの
諸君に対しまする
対処、学生も含めましてその
対処を求めておるわけでございますし、さらに一歩を進めましてこの
入試問題に関しましての
管理体制、あるいは
本件に関しましての反省すべき点についても、
事態の究明と並行し、あるいはその後になるかもしれませんが、
大学当局に求めておるというのが現在の姿でございまして、終始非常に残念に存じ、また
事態を注目しておるというところでございます。
-
○
国務大臣(
後藤田正晴君)
入学試験の不正ということは、
社会的に非常に重要な
事柄ですし、また許されるべき
事柄であるとは
考えません。それだけに
警察としましては、
刑罰法令に違反をしておるという部面については、こういった
事案に
対処して厳正な態度で臨まなきゃなりませんし、そういう決意のもとに当たっておるわけでございます。ただ、何といいましてもこの
種事件は本来
警察事案としてどうこうという問題ではなくて、私は、やはり
学校当局あるいはまた御
家庭の問題、さらにはまた
社会全体でこういった
事案の根絶のために
対処していくべき
事柄であろう、もちろん
警察としましてはその中の一部面として厳正に
対処していきたい、かように
考えております。
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○
政府委員(諸
澤正道君) 四十五年の
幼稚園の数が一万七百九十六でございますから、現在の一万四千六百に比べますと約五割の増ということになろうかと思います。
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-
○
政府委員(
竹内嘉巳君)
お答えいたします。
先ほど五十四年十月一日現在の数を御
報告いたしましたけども、
入所定員が二百七万に対しまして、
現実に十月一日現在で
入所措置児童数は百九十五万、約十二万実はまだ
定員の
不足があるわけでございます。と申しますのは、
保育所の場合は、
入所を
希望するからということだけで
入所をさせるわけではございませんで、
家庭の
事情、特に
母子家庭その他
家庭において
子供を
保育をすることがむずかしいという、そういう
状況に対応して、
家庭に応じた形での
措置をいたしております。したがいまして、ただ単に親が
希望するからということで
保育所に入れるという
仕組みをとっておりませんものですから、所によりましては、現在、
総数の上では
保育所は定数を
十分余裕を残していると言いながら、地域的には依然として
不足を来しているところもございます。
そういう
事情でございますので、
幼稚園の
ケースと
保育所の
ケースをどうも一律に論ぜられることについては、私どもとしては、ちょっとその扱いとして、
対策としては、むしろ現在でも
婦人労働がだんだんふえていくという過程の中で、地域的に
保育所を、さらに
要請も非常に強うございますので、そういう対応は講じていきたい、かように
考えておるところでございます。
-
○
勝又武一君 全然答弁になっていないわけですよね。だから私は
大臣にお聞きしているんですよ。といいますのは、
婦人の
社会進出なり
婦人の
社会労働なりが急速にふえている、核家族化している、住居の問題もある、
子供の遊び場の問題もある、そういう
社会的な
要請の中で、
幼稚園には行きたいんだけれども、
幼稚園には行けないで何とか
保育所に入りたいという親の
希望がうんとふえている。そういう
実態を
大臣としてどう思っていらっしゃるのか、このことをお聞きしているんですよ。どちらか
お答えください。
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-
○
国務大臣(
谷垣專一君)
幼児でございますから、したがいまして、
保育をいたしておられる間でも
教育的な
観点からの
保育ということは当然
考えられることであろうと思いますし、さて、
幼稚園の方を
考えましても、いまの
学校教育法に基づいてやっておりますことでございますので、
教育の
立場で
議論をいたすわけでございますが、しかし、やはり
幼稚園におります間は、何と申しましても
幼児のことでございますので、全体的な
立場で
考えていかなければならぬと、こういう点が、もっと年を加えました成人になるまでの
諸君とは違う形で、
両方の未分化の問題はあろうかと思いますが、しかし、先ほど御
説明いたしましたように、それぞれの
根拠法規が違っておりますので、おのずからその間に
差異が生じておることもこれはやむを得ないことではないかと
考えております。
-
○
国務大臣(
野呂恭一君) 往々にして
対象の
子供の年齢もほとんど似ておると、したがって、また集団的に
保育する形態も
幼稚園と似通っておる。そういう点で、外形的に見ると、全く
幼稚園と
保育所とをどこで
区別をつけるんだということが言えるのじゃないかと思います。ただし、たとえばこれは一例でございますが、
幼稚園には冬
休みもあるし
夏休みもある。
保育所には
夏休みなんということは
考えられない。むしろ、親が
休みのときは
家庭に
子供を預かっていただけるということになると思いますが、
一般の
職場に
夏休みはないんだ、あるいはお母さんが病気しておるといったような
家庭におきましては、当然、
休みなど
考えられるものではないといったように、全く
児童福祉法に基づいて、
子供の
保育というものがそういう
福祉の
観点から大事である。しかし、お預かりいたします以上
子供の
教育もあわせて
考えていくということでありまして、外からだけで一概にもう
保育所と
幼稚園とを一本化したらいいではないか、どこに
区別があるんだという
議論は、私は住往にして起こりやすいとは思いますが、本来、
保育所の
使命というものと
幼稚園の
使命とは違っておるのじゃないかというふうに
考えております。
-
○
勝又武一君 そこが問題なんですね。親や
子供はみんな同じだと思っているわけですよ。
幼稚園と
保育所で、
保育に
差異や差別があってはいけないと
考えているわけです。ところが
政府は、いま両
大臣おっしゃっているように、歴史的な沿革、役所のなわ
張りに固執をし、今日もなお両者は、
目的、
機能が異なると、いまもまだ主張していらっしゃるんだ。改革を拒んでいらっしゃる。
根拠法規が、一方は
学校教育法、片方は
児童福祉法、同一でないという主張ですね。これは全く官僚的、役人的な発想だと、こう言われても仕方がないんじゃないですか。
-
-
-
-
○
勝又武一君 官房
長官にお伺いいたしますが、いま私がるる申し上げましたように、こうなっている原因というのは、何といってもこの
政府のばらばらな二元行政、これが時代おくれであって、率直に言いますけれども、
現状に照らして合っていない証拠、こういうように私は思います。親や
子供たち、地方公共団体、
私立の設置者や
保育に携わる
関係者等、国民のすべてが苦しんでいるわけでありますから、こういう
現実は同じである、形態だけがいまのような
議論がある。そういうことでない、差別のない一元的な
保育をみんなが望んでいる、こういうように
考えていますけれども、
長官はいかがですか。
-
○
国務大臣(伊東正義君)
お答え申し上げます。
いまの
幼稚園と
保育所の問題は、
目的なり
機能が異なるということは、いま両
大臣から
お答え申し上げたとおりでございますが、地域的に偏在をしましたり、あるいは混同して運営されているということが私は地域によってこれはあると思うのでございます。そういうことから五十年の十一月ですか、行政管理庁から勧告が出ているわけでございますが、あれに基づきまして、その後両省で
保育と幼稚に関する学識経験者の懇談会を設けて、その調整とか連絡とかいうことを懇談をしていられるところでございますので、その結果を見ることが私は大切だと思うわけでございますが、先生おっしゃたようなことが末端で、これはわれわれの経験からもありますので、いまの懇談会の結果に期待をしているところでございます。
-
○
勝又武一君 もう一つお伺いしますけれども——これ行管と
長官にお聞きします。
長官の時間かないようでございますから。
確かに、お話しになったように、五十年に行政管理庁が監察結果に基づいて勧告を行っていらっしゃる、改善するよう命じています。その後、
文部、
厚生両当局はその
実態調査の実施と懇談会を発足させた。確かにこの二つはやったわけですね。やったんですけれども、この勧告に対してそれ以外にどういう対応をされていらっしゃるのか。これは両
大臣からお聞きをしたいと思うのです。
長官がお立ちになりますので、この際あわせてもう一つ聞きたいのは、行管のこの勧告を二つの省に任しちゃっている、私はここに問題があると思うんです。
文部省は中教審に、
厚生省は中央
児童福祉審に意見を求めるだけであります。私はいま
委員長にもお
願いしたいのですが、むしろ、まず国会自身が、特に解散のない参議院にこの幼保一元化を図るための特別の小
委員会をつくるべきだというように思います。長期的な検討を行う趣旨から、参議院の
使命からいっても私はうってつけだと思うのです。そういう
意味で、後で
委員長にお
願いしますが、この件について具体的に取り扱っていただきたいと思います。それと同時に、
政府においても総理
大臣に対する意見具申の臨時審議会なり臨時
調査会をつくるべきだと思うのです。幼保の一元化、統一化を図るべきだと思いますけれども、官房
長官並びに行管
長官の御答弁をいただきたいと思います。
-
○
国務大臣(伊東正義君)
お答えを申し上げます。
行管の
長官、いまおられませんので、私が
お答えを申し上げますが、いまおっしゃった一元化の問題は、これは前から出ている古くて新しい問題でございます。非常にむずかしい問題でございますので、五十年十一月の勧告も調整を、連絡を密にしろというようなことで勧告が出ているわけでございまして、一元化という問題になってきますと、またそれを根本にさかのぼった問題になりまして、非常にむずかしい問題でございますので、いますぐここで御即答申し上げるにはなかなか大変な問題でございますので、行管の
長官ともよく相談をさせていただきたいというふうに思います。
-
-
○
政府委員(佐倉尚君) お話の
幼稚園と
保育所の問題でございます。
調査をして、五十年十一月に勧告いたしました。特に幼保の一元化につきましては
関係者それぞれかなり
議論がございまして、勧告に至らなかったわけでございますが、地域的な偏在あるいは年齢的な偏り等の事実がございましたので、その辺は両省で協議会を開いていろいろと検討をするようにという勧告をいたしました。その後十回にわたって
関係者による協議が行われているというふうに承知しております。今後、先生のお話のとおり、各方面と連絡をとっていろいろと検討してまいりたいと
考えております。
-
○
国務大臣(
谷垣專一君) 先ほど官房
長官からもお話がありましたように、行管の勧告を受けまして、学識経験者によります懇談会、また実情の
調査等をいたしておるところでございますが、まだ結論が出ていない実情でございます。
ただ、私
たちも幼保の一元化という問題につきましてのいろいろな
議論がございまして、その点につきましての決着はついていないわけでございますが、地域的な非常に偏りとかいうようなもの、そういう点が確かにございますし、これは幼保一元化を待たずとも一改善できるのではないかという
考え方を実は持っておるわけでございます。しかし、先生の御指摘になっている幼保一元化そのものになりますと、もう少し
議論を詰めていきませんと、結論がまだできかねる、こういう
現状でございます。
-
○
国務大臣(
野呂恭一君) 御指摘の点について、いろいろ両省において
保育所と
幼稚園とを一元化すべきではないかとかいったような
立場で協議を続けてまいっておるわけですが、なかなかこれはむずかしい問題でございまして、長時間かかっておるということは、やはり
保育は
保育としての強い親
たちの熱望もありますし、ただ
文部大臣も御指摘になりましたように、地域的に偏在しているということはいけませんことでございますから、そういう調整をとるとか、あるいはまた
保育所をもっとたくさん持ちなさいという町村からの要望は毎日私どものところへ続けて来ておるわけでございまして、まだまだ十分でない地域もございます。そういうところを拡充し、
保育の本来あるべき姿というものをより充実せしめると、そういうことで
努力をいたしているわけでございます。いずれにしても、この問題についてはなお十分協議を重ねながら、本当に
子供の幸せのためにどうあるべきかという点において検討しなきゃならぬ。単に
幼児教育ということだけで一元化という方向を見出していくことは必ずしも私は当を得ていないのではないか、かように
考えるわけでございます。
-
-
-
○
委員長(
山内一郎君) 速記をつけてください。
いまお申し出の件は、後ほど理事会で諮ることにいたします。
-
-
○
政府委員(三角哲生君)
昭和五十四年五月一日現在で申し上げますと、
私立の占める
幼稚園は、園数にして五九%、在
園児数にして六五・五%でございます。
-
○
勝又武一君 この
私立学校振興助成法による経常費の補助金や就園奨励費補助がどのように役立ち、どのように
文部省としては評価をされていらっしゃいますか。
-
○
政府委員(三角哲生君) 私学振興助成法に言われておりますとおり、
幼稚園におきます
教育条件の維持向上、それからあわせて
園児の修学上の負担の軽減、その
両方に役立てていただいておると思っております。
-
○
勝又武一君 この経常費助成を受けていない
幼稚園は、
私立幼稚園のうちのどのくらいの
比率でしょうか。そして、どうして受けていないんでしょうか。
-
-
-
○
政府委員(三角哲生君) これは私学振興助成法に基づきまして、
学校法人立以外の
幼稚園で経常費の補助を受ける
幼稚園は、将来
学校法人となるように
努力をする、そういう園を
対象とするという、そういう取り扱いをするような規定が根底に設けられておるということからくると思っております。
-
○
勝又武一君 この私学助成法附則の規定は、その助成金をもらうと設置者は五年以内に
学校法人に切りかえなくちゃいけない、こうだと思いますが、そうしますと、原則的に
幼稚園というのはすべて
学校法人にすることが望ましい、こういう趣旨ですか。
-
○
政府委員(三角哲生君)
勝又委員もう御存じのとおり、
学校教育法によりまして、
私立学校は原則として
学校法人によって設置されるというたてまえになってございますが、
幼稚園につきましては、
学校教育法制定当時、すでに個人立、その他
学校法人立以外の
幼稚園で非常に重要な
役割り、実績を有しておるものがたくさんあったわけでございまして、そういったことから
学校教育法の附則で、不確定の期限でいわゆる個人立の
幼稚園もあってしかるべきという、そういういま法律制度になってございます。したがいまして、すべての
幼稚園が
学校法人でなければならないということではないわけでございますが、やはり経常費の補助を受ける
幼稚園としては、やはり将来これは
学校法人となって、
学校教育法の原則にのっとった形になることが望ましいという形での運用がなされておるわけでございます。
-
○
勝又武一君 そうしますと、この期限が来て切りかえなかった場合にはどうなるんでしょうか、助成金の返還義務が生じますか。
-
○
政府委員(三角哲生君) 御指摘のように、経常費の補助の交付を受ける
幼稚園の設置者は、交付を受けた翌年度の四月一日から五年間以内に当該園が
学校法人によって設置されるように
措置しなければならないという定めになってございます。その五年を過ぎた場合でございますが、これは五年を過ぎていろいろ
努力をしたけれども、その
努力が
事情によって実らなかった、あるいはそういった計画が成就しなかったという場合も
考えられるわけでございますが、その場合は、その後の経常費助成は打ち切らざるを得ない。打ち切るという、そういう取り扱いになろうかと存じますが、それまでに交付をいたしました経常費の補助金につきましては、これは先ほども申し上げましたように、当該
幼稚園の
教育条件の維持向上ということで、それから修学上の負担軽減ということで交付をしておりまして、日常の園の活動に充てられるわけでございますから、そういうことでこの経常費補助金はいわば
学校法人化の促進を
目的とするものではなくて、当該園の
教育そのものに充てるということが
目的でございますので、先ほど申しましたような当該園の
努力が実らず成就しなかった場合にも、すでに交付した経常費の補助金についてはこれを返還を求めるということはいたさない、そういう方針でございます。
-
○
勝又武一君 そうしますと、
学校法人にならなくてもらった者は得をしちゃう、
学校法人に五年以内にすることが自信がないので、良心的に遠慮していた人の方はどうなるのか、もらわないじゃないですか。正直者がばかを見るというまさにこのいい例で、こういうアンバランスなり不公平が生ずることについて、どういうように思いますか。
-
○
政府委員(三角哲生君) これは経常費補助金につきましては、
私立幼稚園の所轄庁でございます都道府県において交付をする、国はその一部を当該都道府県に補助をするという、そういう方式になってございますが、都道府県の当局におかれまして、一つ一つの
幼稚園についてどういう計画を有するか、あるいはどういう
希望を持っておるか、あるいはどういう段階にまで
学校法人化への用意が進んでおるか、それを一々調べまして、その上で経常費の交付を決めておりますので、ただいま
委員御指摘のように、結果的にその扱いが公平でなくなると申しますか、フェアでなくなるというようなことは、都道府県の側が十分注意をしてやってくれておりますので、私どもはそんなに心配をすべきことではないのではないかというふうに見ておるわけでございます。
-
○
勝又武一君 これは大蔵
大臣、大変小さな問題で恐縮ですけれども、こういうことをよくお聞きになっておいていただきたい、答弁は結構ですから。というのは、助成を辞退をしている約六〇%近い
幼稚園が片一方にあるわけですね。ですから、そこの
子供たちの
立場になると、その分だけ国から助成をされていないという差別を結果的には受けるわけです。やっぱり
大臣は小っちゃな金だと思われるかもしれませんけれども、そうじゃない、国民の税金ですから。そういう
意味で、やっぱり私はこういう点について、もっとやっぱり附則なら附則のとおりはっきりするならすべきだというふうに思うんですけれども、どうなんでし
ようか。
-
○
国務大臣(竹下登君) 国民の税金でございますから、これが国民に対して還元される場合、そういう
考え方はやはり私も貫くべきであろうというふうに感じます。
-
○
勝又武一君 それでは、この助成を受けている方の約千三百ぐらいになりますか、個人立
幼稚園についての
学校法人化はスムーズに進んでいるのですか、どうでしょうか。むしろ大変スローテンポだというように私は仄聞していますが、
状況はいかがですか。これは
大臣おわかりでしょうか。
-
○
国務大臣(
谷垣專一君) 少し詳しい
状況になりますので、あるいは後で
局長の方から補足をさしていただきたいと思いますが、
私立幼稚園の中で、先ほど
局長が話をいたしましたが、
学校法人になっておるもの、つまり個人立でないものが
幼稚園数で五二%、在籍
園児数で五七・三%と先ほどたしか申し上げておったのではないかと思います。したがいまして、それ以外は、
私立幼稚園のほかは個人
幼稚園ということになるかと思います。この
学校法人立以外の
幼稚園がいわゆる個人
幼稚園でございますが・
学校法人化したものの数は、古い数字になりますが、四十九年度では五十、それから五十二年度では百六十、それから五十三年度では百四十三というふうに統計ではなっておるわけでございます。これを非常にスローテンポと見るか、それともかなりよくやっておると見るか、これはちょっと判断の
状況によって違うと思うんですが、一斉にスピードを出して個人の
幼稚園が
学校法人立に一遍になり得ない
事情も私はこの中にあるだろうと思います。単に経過的に、いままでの法律ができましたときに個人立の
幼稚園が数多くあったことだけでなくて、やっぱり個人
幼稚園の場合の一つの分担をしておる持ち分もございましょうし、あるいは個人
幼稚園から
学校法人に切りかえをいたします場合に、従来の個人の所有にあります土地、建物等々のものをどういう形でいわゆる
学校法人化するかというような問題のところにも大きないろいろと苦労しておるところがあるようでございます。
そういうことでございまして、先ほど御指摘がございましたし、大蔵
大臣からもお話がございましたけれども、要するに
努力をしておるそういう個人立の
幼稚園を補助金の
対象としてどこまで判定するかという問題は、なかなか行政判定のむずかしい問題の範疇に属すると思います。これは地方の自治体がやはりその
実態に即して判断をしていただくこと以外にいい方法はないんじゃないか。そういたしませんと、先生が先ほどお話がありました中にもございましたけれども、このまじめに
努力をしておる
諸君が
対象外になるということは、これま
たちょっと過酷な感じがいたしますので、そこらのところはなかなか判断のむずかしいところであろうかと思いますけれども、やはり
努力をしておる者は認めていく必要があるのじゃないか。できるだけ早い時期に法律の求めておりますような
学校法人化されることを
考えてはおりますけれども、そういう
事情があることを御了解
願いたいと思うわけであります。
-
○
勝又武一君
幼稚園の問題で最後に伺いますが、やはり
学校法人にすることがベターである。
政府の指導としても、その設置基準を満たせるように積極的な指導や助成をすべきだと思います。そういう
意味で、いまの
学校法人立の
幼稚園の方も将来に対する危惧を持っていますし、また先ほどからるる指摘してきましたように、二元的な無統一的な行政のもとで大きな不安を持っているわけです。そういう
意味で、最後に、これらの指導といいますか、
対策といいますか、
文部大臣の御見解をお聞きしたいと思います。
-
○
国務大臣(
谷垣專一君) 御指摘を受けました点は、この法律制定をいたしましたときのいわゆる立法の精神を十分くみまして、また実際の運営をいたしております
状況ももちろん勘案せなければなりませんが、
努力をしていきたいと
考えております。
-
○
勝又武一君 海外旅行の大衆化が盛んでありますが、日本人の海外旅行はいま年間何百万人ぐらいになっておりますか。
-
○
国務大臣(
地崎宇三郎君) 法務省の統計によりますと、
昭和五十四年に約四百四万人の日本人が海外旅行に出かけ、
昭和五十三年の約三百五十三万人に比べ一五%の増でございます。観光を
目的とする旅行者数は三百四十一万人と、全体の八四%を占めております。また、団体旅行者数は、運輸省が
一般旅客業者から得ました情報によりますと、取扱実数から推計いたしますと、
昭和五十三年度で約十万団体二百七十万人となっておると思われます。
-
○
勝又武一君 大変な数だと思うわけでありますが、そこで、このように海外旅行が大衆化をし、国際的視野の広がりから見ましても、海外旅行の中で非常に重要な
役割りを果たしている、そういう
観点から、昨年三月の国会で、「添乗員の資質の向上を図るため、一定の専門的研修を義務づけることを検討すること。」という附帯決議が採択をされました。
そこでまず第一に、この決議に沿って具体的な検討がどのようになされましたか、御
説明をいただきたいと思います。
-
○
政府委員(上田浩君)
お答え申し上げます。
添乗員につきましては、ただいま先生から御指摘もございますように、団体旅行の成功不成功を左右する非常に大きな要素であることは間違いございません。したがいまして、運輸省におきましても、昨年の衆参両院におきます附帯決議を受けまして、昨年の七月から、運輸省観光部内に学識経験者を集めまして、旅行業制度検討
委員会で検討いたしております。現在まで九回にわたりましてこの添乗員問題を含め旅行制度全般にわたりまして見直しを行っているわけでございます。ただいまのところ、まだこの添乗員問題につきましては最終的な結論が得られておりませんが、この検討
委員会における検討結果を待ちまして積極的に添乗員の資質の向上につきましては検討してまいりたいと、このように
考えております。
-
○
勝又武一君 十万団体二百七十万ですか、先ほどの御
説明でもそうですが、観光は平和へのパスポートという何か国際的なスローガンもありますし、日本人の評価を高め国際的な信用度を増すためにも、観光旅行、海外旅行中における日本人の行動はきわめて大きな影響を持つと思います。そのために添乗員の
役割りが大変重要な位置を占めていると思いますが、いま御
説明がありましたが、さらに国の政策としてこの添乗員
教育により積極的になる必要があると
考えますけれども、いかがでしょうか。
-
○
政府委員(上田浩君)
お答え申し上げます。
先ほど御答弁申すべきとは思いましたですが、実は旅行業界内部におきましても自主的に添乗員の資質の向上のための研修を行っております。これは国内観光を担当いたしておりますいわゆる国内旅行業者の団体でございます全国旅行業協会、さらには国際観光旅行を担当いたしております
一般旅行業から成っております日本旅行協会、この両旅行協会におきましても従来から添乗員の研修制度を実施いたしておるわけでございます。しかしながら、これはいまのところ自主的な研修制度でございまして、必ずしもこれを義務づけておりません。したがいまして、研修の効果が業界全般に均てんするというわけにはまいりませんので、この点につきましてはやはり何らかの形において義務化する必要があろうかと思われるわけでございます。そういうことも踏まえまして、
一般旅行業のメンバーから成っております日本旅行協会におきましては、広く全般にこの研修効果を均てんさせる
意味におきまして、通信
教育による研修制度等も現在検討している段階でございます。
-
○
勝又武一君 海外旅行の添乗員だけ
対象と
考えていらっしゃるのか、国内旅行の添乗員についても
考えていらっしゃるのか、どうですか。
-
○
政府委員(上田浩君)
お答えいたします。
一番問題は、やはり海外旅行部門での添乗員問題というのが一番の問題になっておりまして、もちろん国内旅行業におきましてもこの添乗員の資質の向上という問題は重要な事項でございますので、国内部門におきましても同じように検討していきたいと
考えておるわけでございます。
-
○
勝又武一君 旅行業法は研修の事項は任意であり、義務づけていないというところが問題だと思いますが、この点についての見解はいかがですか。
-
○
政府委員(上田浩君) 先ほど申し上げましたように、現在検討いたしております旅行業制度検討
委員会の検討結果を待ちまして、義務づけること等につきましても検討課題といたしまして積極的に
考えていきたいと
考えておるわけでございます。
-
○
勝又武一君 たしか、これは附帯決議にもありましたね。附帯決議の中にも「旅行業法の見直しを行うこと。」というのがあったわけですよね。ですから、添乗員
教育を義務づける制度を確立するためには、そういう法律改正をやるのか、あるいはその以下の政令だとか行政指導だとかそんなことまで
考えているのか、どっちなんですか。
-
○
政府委員(上田浩君)
お答え申し上げます。
昨年の附帯決議の趣旨を踏まえまして、添乗員の資質の向上のための研修につきましては義務づける方向で検討いたしておるわけでございますが、これは事実上の制度としてやることも可能でございます。しかし、より効果を上げる
意味におきましては、法律改正をいたしまして、現在道路運送法にも規定されておりますような形の義務づけ条項ということも必要であろうかと思います。しかし、いずれにいたしましても、この問題につきましては前向きに積極的に
考えていきたいと
考えておる次第でございます。
-
○
勝又武一君 一定の専門的研修を行うことになりますと、どういう機関にお任かせになるお
考えですか。
-
○
政府委員(上田浩君)
お答え申し上げます。
現在、先ほど御答弁申し上げましたように、日本旅行業協会あるいは全国旅行業協会において自主的な研修をいたしておりますので、やはり実施機関といたしましてはこの二団体に担当させるのが妥当ではないかと
考えておるわけでございます。
なお、どのような形でやるかにつきましては、現在検討いたしております旅行業制度検討
委員会の場でさらにこのやり方等についてあわせて検討していきたいと
考えておるわけでございます。
-
○
勝又武一君 専門的な研修を実施するための経費はどのように
考えていらっしゃるのか、あるいは国の
予算の補助ということも
考えていらっしゃるのか、いないのか。
-
○
政府委員(上田浩君)
お答え申し上げます。
現在の段階におきましては、旅行業協会におきまして旅行業協会のいわゆるこれは会費制度で、基金と申しますか、各年度の事業費を会費制度で賄っておるわけでございますが、そのような形でやるのが理想だと
考えております。現在のところ、国の制度——いわゆる補助制度でこれをやることにつきましては、まだ結論を得られておりません。
-
○
勝又武一君
大臣にお聞きしますけれども、いまお聞きのとおりなんですね。そこで、
一般旅行業者の団体であります社団法人日本旅行業協会で簡単な通信
教育、それも何ら義務づけるものではなくて、一応添乗員
教育はやっていますという
程度の形式的な研修を計画をしているというように私は聞いているのですが、昨年の附帯決議の
意味している内容はその
程度のものではなくて、もっとグレードの高い研修を期待しているもの、こういうように私は
考えますけれども、
大臣の見解はいかがですか。
-
○
国務大臣(
地崎宇三郎君) 初めて海外に出かける方とか、言語の不自由な外国の旅行等へ出かけますときに、添乗員の資質によって、大いに楽しんで帰ってこられるか、不愉快な思いをしてくるかという大きな影響がございますので、したがいまして、添乗員のよしあしが外国旅行の決め手になるのではなかろうかと思いますので、御趣旨に沿ってもっと徹底的な指導を続けてまいりたいと、かように
考えております。
-
○
勝又武一君 海外旅行中の事故の発生、多くのトラブルがあるということを聞いております。たとえば飛行機の遅延事故で時間がおくれた、損害賠償請求、そうしてその責任は旅行会社か、運輸機関なのか、どちらか。こういうようなトラブルが大変多いようなことも聞いていますが、その辺のことはどんなでしょうか。
-
○
政府委員(上田浩君)
お答え申し上げます。
海外旅行中におけるトラブルにつきまして一番大きな問題点は、先生の御指摘にありますように、運送事業者、特に航空会社の提供いたしております航空運送に関連する問題が一番大きなものであろうかと存じます。この問題につきましては、実は旅行業と申しますのは、旅行業法にも規定されておりますように、旅行者のために運送サービスあるいは宿泊サービスの提供を受けることについて、報酬を得て代理契約あるいは取り次ぎ、媒介するという形になっておりまして、このことは旅行者と旅行業者との間の契約でございます旅行業約款にも明示されておるところでございます。したがいまして、航空会社の原因によります運送事故につきまして旅行業者が責任を負うということは、現在の旅行業約款のたてまえからは、現在のところは負い得ない形になっておるわけでございます。
特に問題になりますのは、世界の航空会社の、これはIATA等で一応決められております航空運送約款でございますが、航空運送約款によりますと、天災あるいはエンジントラブル等によりまして飛行機が遅延いたしましたときに、これに伴います債務不履行の責任というものは、航空運送約款では航空運送業者は負わないというのが現在の国際的な航空運送業界の慣習になっておるわけでございます。したがいまして、こういうものを前提にいたしますと、旅行業者がこのような直接的には航空会社の責任に帰せらるべき事故につきまして責任を負うというのは、現在の旅行者のために代理して航空運送契約を航空運送業者との間に結ぶというたてまえからは負うということは非常にむずかしいというようにわれわれは
考えておるわけでございます。
-
○
勝又武一君 運送約款と旅行約款との矛盾点といいますかね、そのトラブルの原因になる。こういう問題について今後十分に検討されていきますか。
-
○
政府委員(上田浩君)
お答え申し上げます。
たてまえといたしましては、総合的な調整をやるのが理想かと存じますが、先ほど
お答え申し上げましたように、航空運送約款と申しますのは、一日本の国内問題ではございませんで、いわば民間国際航空界全般の問題でございますので、国際的ないわゆる広い場でこれを検討する必要があろうかと思います。したがいまして、観光旅行業につきまして組織いたしておりますWTO、これは国連の一機構でございますが、このような場ででもあるいは取り上げて検討していくのが妥当ではないかと
考えておるわけでございます。あるいは世界民間航空機構、ICAOと言っておりますが、そういうようなところでもいわゆる旅行者の保護の見地から検討さるべき問題であろうというように私
たちは
考えておるわけでございます。
-
○
勝又武一君 外人客の誘致策についてでありますが、昨年の附帯決議に、「国内受入れ体制の整備に努めること。」とありますが、この点について具体的に検討していることが
大臣ございますか。
-
○
政府委員(上田浩君)
お答え申し上げます。
現在外国人の日本への来訪者は、数字を申し上げて恐縮でございますが、
昭和五十四年は約百十一万人に達しております。これは一昨年が百四万人でございますので約七%の伸びでございます。現在、先ほども申し上げましたように、日本人の海外渡航者数が四百四万人という数字から比べますと、外人の訪日客はその約四分の一ということで、まだこれを伸ばす
努力をする必要があることは申すまでもございません。したがいまして、先生も御指摘ございますような外人客の受け入れ
対策についてはなお一層充実させる必要がございますので、現在これの担当をいたしております国際観光振興会におきましては、たとえば新しい観光ルート、日光、富士山あるいは京都、奈良ばかりじゃございませんで、新しい国際観光ルートの開発、さらには低廉な宿泊施設の開発あるいはレストランの開発というようなことも含めて、外人の受け入れ体制というものの整備に努めておるわけでございます。
-
○
勝又武一君 大蔵
大臣、総理も外務
大臣もいませんのでね、恐縮ですが
大臣に聞きたいんですが、京都に国際会議場があります。外人客の誘致のための具体策として、私は東京に一大国際会誌場を設立してはどうかと。いま何か軽便な宿泊施設だという話ありましたけれども、まさにそれでは夢小さいのでありまして、竹下大蔵
大臣の大きな夢が実現するように、最低千人
程度ぐらい収容できるようなそういう一大国際会議場を東京につくったらどうかというように
考えますが、
大臣いかがでしょうか。
-
○
国務大臣(竹下登君) 直接所管ではございませんが、東京にも国際会議場が必要であるというようなことから、民間の方から開発銀行等の融資についての御相談は受けたことがございます。が、
現実問題としてこの国際会議場はせっかく京都、まさに観光のメッカ京都につくりましたので、あそこがもっと利用されることを本当は好んでおるところでございますが、御意見は御意見として承らしていただきます。
-
○
勝又武一君 それでは、スモンの問題でお聞きをいたします。
既判決組の和解が全国的に成立していないのはなぜでしょうか、
大臣。
-
○
政府委員(
山崎圭君)
お答え申し上げます。
先生御承知のように、現在既判決組と言われまして、地方裁判所で判決がおりて高等裁判所へ上がっておる者の数が五百六名に相なっておりますが、それぞれその原判決の地方裁判所における判決の内容等に差がございまして、一方、私どもは可部和解基準と称する一律の線で和解を進めていると、こういうような
関係がございまして、高等裁判所における和解が必ずしもうまくいってないという
現実はあります。しかしながら、私ども、さらに原告の方々とのお話し合いを通じまして、特に高等裁判所における和解の場におきまして、それぞれ個別に協議を進めているところでございます。
-
○
勝又武一君
政府は、すでに今月の十四日に東京高裁で遅延損害金を含めて静岡地裁判決に実質的に見合う金額を支払うとの態度を明確にされ、それ以来製薬会社三社に指導をされてきたでありましょうが、どうなっていますか。特に本日十時半から、ちょうど、もうちょっと過ぎていますね、和解交渉が行われているのでありますが、その見通しはいかがですか。
-
○
政府委員(
山崎圭君) 現在、仰せのとおり静岡高等裁判所におきましてお話しのようなことで和解の話が進められていると思いますが、いまの段階ではまだ情報に接しておりません。ただ、私どもも静岡の問題も含めまして、先ほど御答弁申し上げましたように、東京高裁におきましても、それぞれ裁判所のごあっせんによりまして私どもも意のあるところをお伝え申し、原告側の方々ともお話し合いを進めているところでございます。
-
○
勝又武一君 製薬会社側を説得するためにどういうことをこれからもやっていくおつもりですか、その見通しはいかがですか。
-
○
政府委員(
山崎圭君) 基本的には国も製薬会社と相被告の
立場にあるわけでございますが、とりわけていまの既判決の問題もございますが、投薬証明のない問題ということが現在のスモン問題解決のための積み残された大きな課題であると存じております。そういうことで、実は東京地方裁判所で先般三月七日のことでございましたが……
-
-
○
政府委員(
山崎圭君) はい、一定の所見が示されました。それを含めまして製薬会社にはかねてから強く
要請をしているところでございます。
-
○
勝又武一君 投薬証明のない人の問題は後でお聞きしますけれども、既判決組のこの静岡を含めて、そういう人
たちの全面的な解決の時期は一体いつまで延ばすおつもりなんですか、いつまでにおやりになるんですか。昨年末までに解決するという約束は全くほごになってしまうんじゃないんですか、いかがですか。
-
○
政府委員(
山崎圭君) 私どもの気持ちとしては、一日も早く製薬会社も説得しなければならぬと思っておりますが、それぞれ地方裁判所から上がってきました判決の内容がいささか相当の差もあるところもございます。そういうことで、高等裁判所の個別の協議という場を通じまして、裁判所の和解の席でそれぞれ
努力を積み重ねているところでございますが、御指摘のように、昨年内にも解決しようという私どもの気持ちは現在まだ続いておりますけれども、残念ながら、現在高等裁判所の和解は成立していないと、こういうことでございます。
-
○
勝又武一君
大臣にお伺いしますが、もう一つの方の未判決組のうちで、投薬証明のない者につきまして、三月七日の東京地裁の勧告に対しての回答期限である昨日、
政府は受諾の回答をされましたが、製薬会社側の回答は昨日の夕方五時ですか——どうでしたか、
政府の方針と全く同じでしたか。
-
○
国務大臣(
野呂恭一君) 国会においてたびたび御答弁申し上げておりますとおり、先般の東京地裁の所見につきましては、
厚生省の姿勢に合致しておるものとして評価しております。
したがいまして、お話しのとおり、昨日、東京地裁に対しまして、国としては裁判所の所見に従いますという旨の回答をいたしました。さらにまた裁判所に
本件解決のためには一層の御尽力をお
願いしたいということをも
要請いたしたわけでございます。それに対しまして製薬会社の方は、回答を保留あるいは回答期限を猶予してもらいたいという申し出があったということでございますが、しかし、会社の真意をまだ確認を実はいたしておりません。しかしながら、
厚生大臣としても解決のためには誠心誠意
努力する決意でございます。
-
○
勝又武一君
けさの報道によりますと、たとえば社長が入院中だからということを理由にしている会社もございます。私は、会社側の誠意は全く見られない、とんでもないことだというように思いますけれど、一体、
政府は、こういう回答になる過程で、どういう指導をされてきたんですか。
-
○
国務大臣(
野呂恭一君) 今日まで意を尽くしていろいろ話を進めてまいったわけでございますが、不幸にして昨日の回答は先ほど申し上げたような情勢でございますが、しかし製薬会社としても、事が重大問題でございますために、いま鋭意検討をしておるのではないかというふうに
考えますので、われわれはそういう情勢判断をしながら、もう少し時間をいただきまして、製薬会社に対しましては裁判所の判断に従うよう強く
要請して解決を進めてまいりたいと
考えておるわけでございます。
-
○
勝又武一君 さらに
大臣、お伺いしますが、きのうの午後、ここであなたはそうおっしゃったんですよ。そのときも製薬会社に「強く
要請」している、まだこういうことを再三——「誠心誠意」、言葉はその二つですよ、「強く
要請」する、「誠心誠意」。もはや言葉だけでは、口先だけではどうにもならないということがきのうの夕方の製薬会社側の態度じゃないんですか。
政府の方針と同じにならない場合に
政府は一体どういう責任をとられようとするのか、いかがですか。
-
○
国務大臣(
野呂恭一君) 製薬会社を説得する時期、またいろいろの方法等、情勢判断を的確にしなければならないのでありまして、ただ、きょう、あすの事を急ぐことが必ずしも成果をおさめることではない。やはりいろいろな判断をしなければならないんだと私も
考えておるのでありまして、決してのんびり事を構えておるということではないのであります。したがいまして、
厚生大臣としては責任を持ってこの問題の解決に当たる、こういうことを御理解をいただきたいと、かように思うのでございます。したがいまして、その説得の時期、方法等につきましてはお任せをいただくことはできないだろうか、かように
考えるわけでございます。
-
○
勝又武一君
厚生大臣が責任を持って当たるというのでありますから私も信頼をしたいと思います。しかし、そうならない場合ですよ。もう「誠心誠意」「強く
要請」、それだけでこれまで延び延びになってきておる。
大臣、御存じでしょうね、スモンの方々の
実態は。私は、もうこういう段階になりますと、投薬証明のない者の救済が実現しないのは製薬会社の引き延ばしと、その指導を怠っている
政府にある、こうとしか思えません。もう国のとるべき道は、製薬会社に東京地裁の勧告を受
けさせるために製薬会社側の代表者、社長等を当然もう喚問をすべきだと、これが
大臣が言っていらっしゃる「誠心誠意」「責任を持って」当たるという、そのことだと思いますけれど、いかがですか。
-
○
国務大臣(
野呂恭一君) たびたび申し上げておりますとおり、いろいろな情勢判断をしなければならない。企業側の真意が一体どこにあるのか、どういう展望が開けていくのか、そういうことについては的確な判断が私は必要であると
考えておるのでございまして、いろいろな
考え方を持っておるわけでございまして、もちろん、これは
厚生省、
政府側だけでなくして、裁判所自体の勧告であり判断でございますから、また裁判所の方のいろいろの御協力もお
願いしなければならないと
考えておるわけでございます。いずれにしても、万全を期して、この判断に製薬会社が従うように最善の
努力をするということをいま申し上げる以外に、具体的にその方法あるいは日時等について申し上げるわけにはまいらないと
考えます。
-
○
勝又武一君 介護手当の問題でありますが、超超重症者、超重症者は本人に渡っていますのに、重症者だけは直接渡らない。第三者の看護人を頼めば、いまの月三万円ぐらいではどうにもならない。月何十万とかかるわけです。その分をスモン患者の皆さんは家族が見ていらっしゃる。本人に渡さないというのは、こういうスモン患者の実情を知らないか、スモン患者を信頼していないのか、どちらかだと私は思いますが、
大臣いかがですか。
-
○
国務大臣(
野呂恭一君) 重症スモン患者に対しましては、
昭和五十五年度から患者一人当たり月額三万円を限度といたしまして、介護人による介護に要する費用を都道府県を通じて補助をするというたてまえで
予算編成をいたしたわけでございます。しかし、過日の
社会労働委員会におきましても、大変このことに対して強い御意見がございまして、いわゆる家族介護を認めるかどうかと、こういう問題でございます。このことにつきましては急ぎ検討をいたしておるわけでございまして、その実施等につきましては若干の時間をいただき、きょう、あすにでも検討結果を得たいと、かように
考えておるわけでございます。
-
○
勝又武一君 昨年の十月ですから、
大臣就任前ですね。関西医大の東田
教授が
厚生省の当時の中野薬務
局長、中井室長に、いま私が言ったような、いろいろのこういう
実態についての全国の
調査報告に基づいて
説明をされていますが、これらについて、その後真剣にどのような検討をなさいましたか。
-
○
政府委員(
山崎圭君) 私自身の前任者に対するお話でございましたと承知しておりますが、
厚生省といたしましては、いわゆる患者の
実態あるいはそれのニードをできるだけくみ上げたい、いわゆる恒久
対策というようなことで、たとえば病院につきましては国立病院、国立療養所の病床の一部をスモンの方々のために受け入れる、活用していくと、こういう施策を進めておりますし、また五十四年度からは京都に国立療養所の宇多野という病院がございますが、これの整備を本格的に開始いたしまして、そして五十五年度にはオープンできると、こういうようなことで現在整備が進められているところでございます。あるいは五十三年度から続けております治療法の開発と、こういう研究ももちろん推進しておりますし、あるいはまた、はり、きゅうの実施等々も行っているところでございます。
-
○
勝又武一君 スモン患者の皆さんの本当の
願いというのは、もとの体に戻してくれという切ない叫びだと思います。日本の医療水準の最高技術を総動員すれば根本的な治療方法の開発も不可能ではないと思います。そういう
意味で、スモンの専門病院というのが非常に少ないんです。東日本に一つ、西日本に一つしかない。国立病院、国立療養所を
厚生省が指定しているだけであります。そういう
意味で、今後やはりこの点について抜本的な検討をしていただくように
厚生大臣等、特に大蔵
大臣にもお
願いしたいんですが、いかがでございましょうか。
-
○
国務大臣(
野呂恭一君) 先ほども
お答え申し上げましたとおり、京都の宇多野病院に専門の病棟を開設すべくいま建設中でございます。こうして治療法の開発を研究しながら、患者の救済のために万全の
対策を今後とも講じてまいりたい、かように
考えております。
-
○
国務大臣(竹下登君) 一律に手当を支給するということは種々問題があるようでございますが、看護人派遣事業の実施方法等につきましては、
厚生省と協議して細目の詰めを行っておるようでございます。
-
-
○
国務大臣(竹下登君) 違った文を読みまして、どうも申しわけない……。(笑声)
厚生省とよく協議します。
-
○
勝又武一君 サファリの問題について、富士山ろくにいま建設中のライオンサファリについてでありますが、特に東名の御殿場インターから国道、県道に出るところで、御殿場市内、御殿場から富士山ろく地帯、沼津方面にかけて現在でも交通渋滞が激しいわけでありますが、この国道バイパス建設の地元の要望も強い、こういう
状況にあるわけですね。特にいま休日、これからの春の連休等を
考えますと、まさにパンク状態に近いわけですか、どのようにこの
現状把握をされていらっしゃいますか。
-
○
政府委員(山根孟君)
お答え申し上げます。
先生御指摘の百三十八号のバイパスの問題でございます。現在……
-
-
○
政府委員(山根孟君) 特に百三十八号につきましては、御殿場インターチェンジから流出入する車のために、とりわけ祝祭日等におきまして、あるいは夏季等、レクリエーション交通等が集中いたします時期には相当の混雑を呈しているというぐあいに把握をいたしております。
-
○
勝又武一君 何台ぐらいですか、休日に。それを聞いているんですよ。
-
○
政府委員(山根孟君) 詳細のピータ交通等については、ただいま手持ちの資料がございませんか、御殿場インターチェンジを流出入する交通等が一万台を超えるという
状況でございまして、百三十八号等は相当の交通
状況になっているというぐあいに
考えております。
-
○
勝又武一君 休日は二万三千台ぐらいなんですよ、普通だって。全然違いますよ。そこへもってきてこのライオンサファリが開園されますと、どの
程度の人員なり車が連休の場合に一日にどの
程度になると想定されていらっしゃいますか。
-
○
政府委員(山根孟君)
お答え申し上げます。
このサファリに
関係をいたしますルートといたしましては、須走ルート、御殿場ルート、裾野ルート、富士ルート、富士宮ルート、五つのルートがあるわけでございますが、このうち須走ルートについては、通常時の交通量に加えまして開園による交通量の増分として千五百台、御殿場ルートにおきましては三千七百台、裾野ルートにつきましては千百台、富士ルートにつきましては千四百台、富士宮ルートにつきましては千二百台
程度の
増加交通量があるものというぐあいに想定をいたしております。
-
○
勝又武一君 そこで大変な渋滞が起きるので、御殿場市がこのライオンサファリ会社との間に迂回道路の建設の完成が開園の条件という念書を取り交わしているわけです。私も再三現地に行って承知していますが、この迂回道路を完成していない現在、
政府としてはこの約束を守らせるように、そして春の連休が目前に迫っているわけですから、絶対に渋滞を起こさせない、こういうように責任ある指導をしていただきたいと思いますが、
大臣、いかがですか。
-
○
国務大臣(渡辺栄一君)
お答えいたします。
ただいまの
状況はいま
政府委員から申し上げましたように、富士自然動物公園に関連する道路としまして須走、御殿場、裾野、富士及び富士宮の五ルートがございまして、御殿場ルートを除く四ルートにつきましてほぼ二車線で整備が進んでおりますが、問題の御殿場ルートのうちで東名高速道路に沿う区間の御殿場市と及び県道富士−裾野線と須山−御殿場線の交差点改良の事業につきましては順調に進んでおりますけれども、御殿場市等の一部区間においてなお用地交渉が難航しておる
現状でございまして、今後とも御殿場市を中心に
関係者との間で地元住民との協議を図りながら事業を進めるようにいま
努力をしておるところでございます。
そこで建設省といたしましても、いまのような関連道路の進捗につきましては、今後とも静岡県、御殿場市及び裾野市等、
関係方面への指導督励を続けてまいるようにいたしたいと思いますが、従来の経緯にかんがみまして、それぞれ市との
関係におきまする話し合いができておるわけでございますから、当然それは信義を持って
対処をしてもらわねばならぬと思っておりますから、そのように指導をいたしてまいりたいと思います。
-
○
勝又武一君 きょうは時間もありませんので、次の水質汚染の問題に移りますが、この問題は実はもうすでに五十三年の二月二十八日にわが党の島本虎三さん、公害の島虎さんが
衆議院(しゅうぎいん)ですでに
政府にただされているわけです、二年前です。私は、去る一月二十四日に、地元三島の国立遺伝学研究所の岡博士や元富士山測候所長の藤村さん、地元の住民協の代表の皆さんと一緒に
土屋大臣にお会いをいたしました。
大臣は早速静岡県の副知事にもこのことをお話しくださって、このことは感謝をしています。
私が言いたいのは、この島虎さんが指摘されたのは二年前、その二年間工事はどんどん進行した。
大臣が就任前のこの二年間、一体、
政府はどういう
調査をし指導をし、
努力をされてきたんですか。
-
○
政府委員(
馬場道夫君) 富士サファリの水質も問題でございますが、先生御指摘のように、いわゆる山本
報告書という形で
報告書が出されたわけでございますが、それにつきましては計算違いによる若干のミスがあったわけでございますが、その後訂正をされたというふうに承知をいたしておるわけでございます。
一方、静岡県におきましても動物の屎尿なりあるいは観光客、従業員等の生活排水につきまして、当初の計画を大幅に変更をいたしまして、高次処理を行うなどした上で地下水脈に直接浸透することのないように万全を期することといたしておるわけでございます。さらに地元裾野市と起業者との間で、県の立会のもとに結ばれました
環境保全協定の中に、公園予定地内の二カ所にさらに観測井を追加する、あるいは
調査頻度を
増加するということを内容といたします地下水の水層の監視計画を盛り込むなどの指導が行われているわけでございます。
環境庁といたしましても、大変重要な問題でございますので、今後とも排水処理計画が厳正かつ適正に実施されるように、また、水質監視計画が十分所期の
目的を達して有効に
機能するように指導を強化してまいる所存でございます。
-
○
勝又武一君 そんなことをお聞きしているのじゃないんです。二年間何をやってきたかと聞いたんです、私は。この日の会議録を読みますと、あなた方の方はこう答えているのですよ。島虎さんの指摘に、予測
調査を担当された現筑波大
教授の山本先生、「この方は、こういう地下水の面につきましては日本の最高の権威とも言われておる方でございまして、そういう面から見ても、相当信憑性の高い権威のある
報告ではないか、かように思っております。」と、こう答弁して、二年間何にもやってきてない。そのことを私は問題にしているんです。そして、まさにその山本
報告には基礎的なミスがあったことが地元で反対住民側から指摘をされておるんです。地元の住民に大きな不安と不信感を与えている。やっぱり官僚行政である、こう言わざるを得ないわけです。だから
政府はこの二年間どういう
調査をしてどういう指導をしてきたのか、二年前の国会答弁にどういう責任を感じていらっしゃるのか、これを聞いているんです。
-
○
政府委員(
馬場道夫君) ただいま先生御指摘のように、
報告書につきまして二年前に答弁申し上げたわけでございますが、その際に、静岡県におきましても、また私ども
環境庁におきましても計算違いに気づかなかったという点は大変遺憾に存じておる次第でございます。ただ、その
報告書につきましては、その後住民の方々の御指摘もございまして訂正をされたわけでございますが、結論的には変わらないという
状況でございます。
私どもも、先ほど申し上げましたように、静岡県とは密接な連絡をとりながら、いろいろその後の問題につきまして指導をいたしておるわけでございますが、
環境庁として特別に
調査をしているわけではございませんが、静岡県からいろいろ相談に応じながら指導をいたしておる段階でございまして、先般も担当官を静岡県に派遣をいたしまして、いろいろ
事情聴取なり指導をいたしているところでございます。
-
○
勝又武一君 このサファリパーク内の井戸から大腸菌が検出をされた、まだ開園されていない。で、沼津の市議会や静岡県議会で大問題になった。このことは十分承知と思いますが、その
調査結果、どう
対処されましたか。
-
○
政府委員(
馬場道夫君) 一月中旬の観測井の
調査から、公園内の二カ所から大腸菌が検出されたという
報告を受けておるわけでございまして、それにつきまして、静岡県におきまして現在その原因究明と追跡
調査をやっている段階でございます。まだその結果は出ていないというふうに承知をしておりますけれども、私どもも、なるべく早く結果が判明をし、その
対策に万全を期するように指導をしてまいりたいと思っておるわけでございます。
-
○
勝又武一君 国立遺伝学研究所の岡
教授、藤村元富士山測候所長らは、ともどもここのパーク内の土壌というのは専門的な
立場から見て自浄能力に欠けている、土によって自然浄化されない、こういう指摘をしているわけです。責任ある
政府の御答弁をお聞きをいたします。
-
○
政府委員(
馬場道夫君) ウイルスの問題につきましては、まだいろいろ未知の問題もあるわけでございますが、
厚生省とも十分御相談をしながら
対処してまいりたいと思うわけでございますが、
一般的に動物の屎尿等につきましてあの地域の土壌との関連でございますが、露岩が出ているところ、露出しているところ、あるいは非常にローム層の薄いところ等があるわけでございまして、そういうところにつきましては、そういうところから地下水への汚染が生じないように、具体的な
対策につきまして静岡県の方といろいろ協議をしている段階でございます。
-
○
勝又武一君 この専門家が言っている——富士山の測候所長とかですね、そういう人
たちが言っていることですから、十分ひとつ検討していただきたい。特にいま後段おっしゃったビールス汚染についてですね、ライオン、トラなどの野性動物の伝染病、細菌、こういうものについては、まさにいま
政府は検疫から除外をしている。全くの無防備だ。防備がない、無防備、こう聞いているわけです。そういう点について、当面このサファリを契機として定期的な検査を行う、こういうように指導するとか
調査をするとか、具体的なその
対処策についてお伺いをいたします。
-
-
○
政府委員(大谷藤郎君) 検疫伝染病の病原体に汚染しまた汚染の疑いのあるものにつきましては、検疫上必要な
措置をとるということになっておりますけれども、いままでのところそういった例はございません。また、猛獣等につきましてそれを介して伝染病が出たというふうな例も、ただいままでのところは
報告はございませんが、今後とも十分慎重に検討してまいりたいと、かように思います。
-
○
勝又武一君 じゃ時間が参りましたので、終わります。
-
-
-
○
相沢武彦君 最近、アメリカ
政府からわが国の防衛費増額の要求が相次いでいるんですが、
けさの新聞報道によりますと、昨二十一日財政
関係筋が五十六年度以降の三カ年度の国民総生産と各年度の防衛費の伸びを推定した試算をまとめて明らかにしています。それによりますと、三カ年度でGNP一%の防衛費を達成するには計一兆円近い純
増加が必要だとしております。これは将来大きな財政負担を伴うことが懸念されるわけですが、今後インフレ基調に向かうとされている以上、GNPの〇・九%の防衛費の確保すら相当むずかしいと見られているだけに、国民に新たな増税を強いる形になる一%防衛費について、財政当局の責任者である大蔵
大臣はどういう見解を持っていらっしゃるのか、これを御確認したいと思います。
-
○
国務大臣(竹下登君) 御指摘の点でございますが、まあ簡単に数字を申し述べますが、五十六年度に仮に一%とした場合、二兆七千六百億というものになりまして、これは実に対前年度伸び率二三・八%、こういうことになります。五十七年にいたしますと二兆、一七・四%ずつ伸ばしていかなければならぬ。それから五十八年度に一%とした場合は、一五・四%ずつ三カ年間伸ばさなければならない。五十九年度一%とした場合は、一四・四%ずつ伸ばさなければいかぬ。六十年度一%とした場合には、一三・八%ずつ伸ばしていかなければいかぬと、こういうことに相なるわけであります。数字も
委員の御指摘の数字とそう変わりません。
しかしながら、私は財政当局として申し上げますことは、やはりわが国の防衛費というものは、今日時点において申し上げるならば、まず
昭和三十二年の五月二十日の国防会議及び閣議決定の「国力国情に応じ自衛のため必要な限度において、効率的な防衛力を漸進的に整備する。」と、そうして、五十一年十月二十九日の閣議決定によって「質的な充実向上に配意し」云々、そうしてさらに五十一年の十一月五日の閣議決定におきまして、「防衛力整備の実施に当たっては、当面、各年度の防衛
関係経費の総額が当該年度の国民総生産の百分の一に相当する額を超えないことをめどとしてこれを行う」と。これがやはり公式に申し上げますならば一貫した
政府の
考え方であると、こう言うべきであると思うんであります。
したがいまして、五十六年度以降におきましても、やはり毎年度の財政
事情及び他の経費とのバランス等を勘案して適切な規模が決定されるものであって、現在の厳しい財政
事情等を考慮いたしますと、また原則から言っても、防衛
関係費の対GNP比を一%なら一%としてこれを先取りして決定するという手法は、私はとるべきではないではないかと。また、一%とした場合きわめて困難であると
考えざるを得ません。
-
○
相沢武彦君 この問題につきましては、また
関係委員会等で論議がされると思いますので、次へ移りたいと思います。
次に私は、国鉄地方線廃止問題でお伺いしたいと思います。
政府及び国鉄は、国鉄再建の方策の一つとして地方交通線の廃止を打ち出しましたが、地方住民にとりましてはもう死活問題でございます。国鉄の経営上の
観点からのみ判断して、国鉄の持つ公共性を無視して廃止することは地方住民に犠牲を強いることになると思うんですが、まず
大臣の所見を伺います。
-
○
国務大臣(
地崎宇三郎君) 国鉄は、助成前一兆五千億という多額な負債を抱えて運営されておりまして、このままほうっておきますと、今年度末は六兆円からの赤字になるわけでございます。したがって、このたび、昨年の暮れの閣議了解を得ましていわゆる国鉄再建法案を提出さしていただいておるわけでございます。
国鉄の営業路線は二万二千キロでございますが、その中で幹線が一万三千キロ、収支係数が一三五でございます。そして地方線が九千キロ、したがって幹線の二二五の方は今度三十五万人体制——
定員の削減によりましてとりまして、幹線において六万四千人の
定員を削減いたしまして、何とか収支係数を合わしていこうと、そして地方線の九千キロの方がこれからの課題になるわけでございますが、何と申しましても貨客が減少いたしまして、線路の保守あるいは駅舎の確保等
考えましても、どうしても現在の鉄道輸送では経営が成り立たない。省エネルギー等の
観点から
考えましても、この際バス転換をしなければならないというのが約九千キロも見込まれるわけでございます。したがって、その地方線を地元の御理解を得ながらバスに転換を図って足の確保を努めていくと、こういう
考え方でございますので、ぜひその点を御理解をいただきたいと、かように
考えておるわけでございます。
-
○
相沢武彦君
昭和五十三年度の国鉄赤字総額は幾らなんでしょう。また地方交通線の赤字額とその
比率はどうなっているか、それから六十年度までに廃止の
対象となる輸送密度二千人以下の路線約四千キロから発生する赤字総額は幾らと見込んでいるんでしょう。
-
○
説明員(高木文雄君) 五十三年度の鉄道の私どもの赤字は八千八百六十七億でございます。そのうち自動車
関係が二百七十三億でございます。鉄道幹線系と地方交通線とに分けますと、幹線系が六千六十七億、地方交通線が二千五百二十七億という数字になります。したがって、鉄道の中のウエートとしては幹線系が七一%、地方交通線系が二九%ということになります。
お尋ねの第二の輸送密度一日二千人未満の線路の赤字額でございますけれども、これ実は具体的にはまだどの路線を廃止
対象にするかということは、いまの御提案申し上げております法律では政令で決められることになりますので、まだどの線区がどうということは今後の御審議の結果でなければわからないわけでございますけれども、一応念のために、現にそういう線区を仮に拾って計算してみますと、大体八百億ないし九百億がこの線区から発生する赤字だということになろうと見ております。
-
○
相沢武彦君 そうしますと、赤字総額に対して一割
程度の赤字解消のために地方線から廃止を強行するということは、最も弱いところから手をつけるという感じになりまして、納得いかないんです。地方交通線の赤字を解消すれば国鉄財政は立ち直れるとでも言うのでしょうか、赤字額の大幅な減少を図るなら、その七割を占める幹線系の線区から先にやるべきであって、まずそれを民営や第三セクター等に移管すべきであると思いますが、この点どうですか。
-
○
説明員(高木文雄君) 赤字の額からだけ見ますと御指摘のとおりだと思います。ただ、幹線系でどういうわけで赤字が出てくるかといいますと、主としてやはりもう少し経費を切り詰めなければいけない。先ほど
大臣もお触れになりましたように、収支係数は一三五という数字を示しておりまするし、
現実にいろいろ率直に申し上げて、今日まで減量経営と申しますか、合理化と申しますか、そういう点が進んでいないわけでございまして、それを取り進めることによって収支相償うような経営ができるというふうに思っております。ところが、ローカル線の方の問題は、経費はもうすでにかなり切り詰まっておるわけでございまして、御存じのように、無人駅であるとか委託駅であるとかいう形で、ある
程度サービスが落ちるのをがまんしていただいておる。それでも非常に収支係数が四〇〇を超えるような状態。これはなぜかといいますと、これは経費の節減といいますか、経営の減量化では問題が解決しないということでございます。要は収入が少ないということでございますが、なぜ収入が少ないかという点については、やはりお客さんが少ない、乗ってくださる方がいらっしゃらないということでございますので、まあ、いわば少し大げさに言いますと、空気を運んでいるような状態にだんだんなってきております。この十年間に特にそういう線区でのお客さんの減少が非常に大きいわけでございます。そこで、やはりそうした線については、経費の面からもあるいは能率、エネルギー効率、すべての面から、もはや今日の
事態ではやはりバスで運ばしていただくと、その方が効率的であるという
考え方であるわけでございまして、経営再建全体から見ますと、御指摘のように、幹線の方が大きな問題でございます。これは減量化によって何とか解決の道を見つけてまいりたいというふうに
考えております。
-
○
相沢武彦君 バスの代替にしても、また第三セクター等による鉄道輸送についても、たとえば北海道なんかを
考えますと、実現の可能性は薄いと思うんです。五年間の助成をすると言いますけれども、その後はもう赤字は必至でして、地方財政の負担増になるのじゃないかと思うんです。ですから、結局、国鉄赤字の地方転嫁にすぎなくて、国家的には何も変わらないことになるんじゃないかと思うんです。
それから地方交通線廃止の方法の問題ですけれども、これは非民主的で、住民の意思が全く無視されている点で問題だと思います。たとえば特定地方交通線
対策協議会というのが設けられるそうですが、これは路線の廃止が前提でしょう、その後に必要となる輸送の確保のために協議する機関だということですから。しかも、その協議が二年たって調わないときは国鉄はその路線廃止の許可を申請することになっているわけですね。これじゃ、もう問答無用の強行と全く同じことじゃないですか。地域住民の意思というものを最初から無視した不当な
措置だと、こういうように強い反発が起きておりますが、このいわゆる見切り発車事項は削除すべきじゃないかと思いますが、
大臣いかがですか。
-
○
国務大臣(
地崎宇三郎君) 地元の自治体、国鉄、国の方々にお入りを
願いまして、決まりました地方特定交通線の問題について、いろいろ二年間かけて御相談をしていただく。どうしても豪雪で代替のバス輸送等は非常に困難であるとか、あるいは代替の道路がないとか、いろいろ御相談をしていただきまして、その間にどうやったら足が確保できるかという結果をいろいろ御協議いただきまして、そして最終的に一番その地域に合った交通機関を確保するという形に持っていきたい。どこまでも地方の地元の御意見を十分踏まえて御相談に応じるという
考え方で進んでまいるつもりでございますので、必ず何とか納得していただけるものと判断をしておるものでございます。
-
○
相沢武彦君 新聞報道によりますと、六十年度までに廃止になる
対象路線として北海道は約二十五線、一千九百八十キロが該当すると、こういうふうになっているんですが、これは現在北海道における国鉄路線の約五〇%になりますね。もしそのとおり実施されると、北海道の交通体系は崩壊してしまうと思うんです。これは
社会的、経済的、文化的にも大きな打撃を受けて、住民生活が破壊されてしまうと思うんですが、この北海道における地方線の廃止、これについては、
大臣、北海道の持つ特殊
事情を配慮して特別
措置というものも講ずることが必要だと思うんですが、この点についてはどういうお
考えを持っていますか。
-
○
国務大臣(
地崎宇三郎君) このたびの国鉄再建法案で、まず政令の基準についていろいろ御審議をしていただいて決定をするわけでございますか、その御審議の過程においていろいろ検討を加えてまいりたいと、かように存じております。
-
○
相沢武彦君 北海道庁で試算した資料によりますと、北海道のこの廃止
対象路線に上ったこの二十五線の赤字額というのは約四百四十八億円で、全国全線区のこの赤字額の
比率では五・二%にすぎないという数字が出ています。また北海道の場合、広大な面積、積雪寒冷地帯、先ほど
大臣がおっしゃったとおりで、この北海道の自然条件を
考えますと、国鉄の持つ重要性、また、その
役割りというものは他府県に比べものにならない影響度を持っていると思うんです。しかも、今後の地域開発の進展に伴って農林水産物、工業製品、それから貨物輸送、観光入れ込みの
増加、こういった旅客輸送が大きく見込まれますし、国鉄の果たす
役割りは今後とも大きいと思うわけでして、全国一律の基準を適用しないで、地域振興に障害を来さないような配慮した特別基準をぜひ設けるべきだと思いますが、重ねて御答弁を
願いたい。
-
○
国務大臣(
地崎宇三郎君) 二年間にわたります御相談の中で、地域開発が進むとか、あるいは産業の貨物輸送等がふえるとか、こういうようないろんな状態の変化によりまして御相談に応じてまいるものだと存じております。
-
○
相沢武彦君 北海道の場合は、歴史的に見ましても、明治四年にわずか人口九万人だったわけですけれども、それが現在五苦五十万人、約六十倍にふえておりまして、この発展には鉄道は欠かせなかったわけであります。地崎さんも北海道選出の国会議員でございますし、北海道開発にはずいぶん力を入れられていると思うんですが、北海道の開発の重要性については十分おわかりになっていると思うんですが、この開発に欠かせないこの地方線を廃止した場合に、北海道開発を推進することはできないと思いますね。そういった点十分考慮に入れてこの討議を
願いたいと思うんです。
また、特別基準の作成、それから適用についても、地方公共団体、地元住民と十分協議して、その納得のもとに実施すべきだと思いますが、この点はどうですか。
-
○
国務大臣(
地崎宇三郎君) 十分地元の代表であります地方自治体あるいは道知事等の意見を聞きまして、そして判断をしてまいりたい、かように存じておるわけでございます。
-
○
相沢武彦君 次に、青函トンネル開通後の連絡船全廃発言について確認しておきたいんですけれども、一月五日の札幌におけるあなたの発言は、函館市民初め
関係機関の間で大変な波紋を呼びました。
大臣はその後一月十一日に発言を撤回されたようなんですが、国会の場で明確にしていただきたいと思います。
それから国鉄総裁にお聞きしますが、国鉄青函局は老朽した現在の函館駅を取り壊して、その周辺を含めて新しく管理局舎ビルと駅舎ビル、さらにはホテルやパーキングビル等を建てる計画を立てて国鉄本社との折衝を進めてきましたけれども、着工のめどと完成予定についてこの際明らかにしていただきたいと思います。
-
○
国務大臣(
地崎宇三郎君) 青函連絡船の問題は、御承知のように、青函隧道という世紀の工事を行っているわけでございます。これが五十八年度に完成をいたしますと、この青函隊道を利用することになるわけでございますので、自然に青函連絡船の客は少なくなるということだけは否めない事実でございます。お客がないのに、先ほどの総裁じゃございませんが、空気を運ぶ船を運航するわけにはいかないわけでございますから、ある
程度連絡船の数も減らざるを得ないのではないだろうかという発言を実はしたわけでございます。しかし、青森と函館の間の経済的な交流もございますし、トンネルを利用して運べない貨物等の問題等もございますので、その点の範囲内の青函連絡船の存続というものはある
程度考慮する余地はあるのではなかろうかと、こういうふうに
考えておるわけでございます。
-
○
説明員(高木文雄君) 函館市を中心としまして非常に御熱心に駅の周辺の開発の御計画が進んでおることは承知をいたしておりますし、その御計画をお立てになる機会に鉄道側はどう
考えているかといって御相談を受けておりますので、その御相談には応じておるわけでございますが、率直に申しまして、現在の庁舎の建物は決してりっぱな建物ではございませんけれども、まだ少なくとも法令で定められた耐用年数が尽きているわけではございませんので、まだいま使える状態でございます。そこで、その使える建物を壊してまた新しくつくるという問題でありますので、そうして一方、青函トンネルの問題と関連して、函館の駅が今後どの
程度お客様から利用していただけるかということについては相当よく
考えなきゃならぬ問題があるわけでございまして、市側あるいは
関係住民の方々から強い御
要請があることは承知はいたしておりますし、また、それに応じた御相談には乗るようにいたしておりますけれど、いまのところまだ国鉄として、相当お金がかかる仕事でございますから、それに踏み切るかどうかは決めておらないというのが
現状でございます。
-
○
委員長(
山内一郎君) 午前の質疑はこの
程度にとどめます。
午後一時から
委員会を再開し、
相沢君の質疑を続行いたします。
これにて休憩いたします。
正午休憩
—————・—————
午後一時一分開会
-
-
○
相沢武彦君 次に、海難救助体制について伺います。
日本の周辺海域における海難事故というものは、沿岸において特に多発していますけれども、それに対する海上保安庁の救助体制がどうなっているのか。また、二百海里時代を迎えて海洋秩序の維持のために保安庁の任務というものが非常に増大されると思いますが、そうしますと沿岸救助体制が手薄になるのではないかという懸念がありますが、その対応策をどうされようとしていますか。
-
○
政府委員(真島健君)
お答えいたします。
海上保安庁の海難救助体制、これは私どもの一番主要な任務として特に力を入れておるところでございますが、先生御指摘のように、最近の二百海里体制その他に対するために、この二、三年間巡視船艇等の増強を国会並びに財政当局の御援助によりまして相当進めてまいっております。ただ、外洋警備ということでございますので、やはりその主力が大型の巡視船艇にならざるを得なかったという
意味で、沿岸海難に対応するさらに小回りのきく小型の巡視艇の整備は若干おくれぎみになっておることは事実でございます。また、御指摘のように、十二海里未満の港内も含めました海難の数というものは、これは全海難の八割以上というふうに、非常に多いわけでございまして、私ども従来から巡視船艇、航空機等を効率的に運用しながらやっておりますけれども、なかなか手が足りないという面も非常に多いわけでございまして、たまたま港内その他ごく沿岸付近の海難につきましては、日本水難救済会という社団法人、公益法人でございますが、こういうものがございまして、私どもの補助、手助けというような形で相当の実績を上げておりまして、私ども、こういうような民間団体との協力のもとに今後も沿岸の救難体制をさらに強化してまいりたいと、このように思っております。
-
○
相沢武彦君 ただいま御答弁に出た日本水難救済会の五十年度から五十三年度までの救済実績というものを累計で御発表をいただきたいと思います。
-
○
政府委員(真島健君) いま御指摘の四年間の救助の累計でございますが、大体、出動回数にいたしまして千四百三十六回、出動の人員は延べ四万二千百十九人、これによりまして救助をされた人間の数が二千九百二十四人、船体積み荷等の救助見積額百七十九億、救助船舶数は九百十六隻、このようになっております。
-
○
相沢武彦君 海の赤十字と呼ばれる日本水難救済会は、非常に大きな成果を上げていると思うんですけれども、この財政規模についてですけれども、年間約三億四千万円
程度と聞いていますが、五十三年度における出資者別の金額と
比率を伺っておきたいと思います。
-
○
政府委員(真島健君) 五十三年度について
お答えを申し上げますと、三億四千万の内訳でございますが、会費、寄付金、これが一億七千九百万円弱で五二%ぐらいでございます。そのほかは市町村等の地方自治体から助成がございまして、これが大体七千三百万円強でございます。そのほかに船舶振興会から助成を約八千万円、さらに郵政省
関係のお年玉つきの郵便葉書の方からの交付金約一千百万円、このような構成になっています。
比率は、会費、寄付金が先ほど申し上げましたように五二%、地方自治体からの助成が二一%、船舶振興会からの助成が二四%、郵政省からの分が三%ということでございます。
-
○
相沢武彦君 事実上、
自分たちの仕事を肩がわりしてもらっている運輸省としては、どういう援助をしているのでしょうか。
-
○
政府委員(真島健君) 海上保安庁といたしまして日本水難救済会に対しましての援助でございますが、金といたしましては、日本救済会が使用いたしますゴムボートとかロープとか、そういったような救難物品を
予算をもちまして買いまして、無償で貸し付けを毎年やっておるわけでございます。そのほか、救助技術員の技術向上、訓練といったような点につきまして、地方の保安部署において御指導を申し上げておるということでございます。
-
○
相沢武彦君 実情をいろいろお聞きしますと、救助に必要な船舶、燃料、なわ投げ機、ロープなど、費用も十分でないようなんですが、もう少しバックアップをすべきじゃないかと思いますが、いかがですか。
-
○
政府委員(真島健君) 御指摘のとおりでございまして、私どもも今後、外洋警備体制といったようなものが少しずつ骨格を整えてまいりましたこの機会に、沿岸救難全体に対して私どもの勢力、水難救済会の勢力といったようなものを総ぐるみにいたしまして、どのような体制がよろしいか、こういうことを基本的に
考えながらバックアップを今後も強めてまいりたいと思っております。
-
○
相沢武彦君 救助について費用効果が非常に高いと思われますし、所管の運輸省としてももっと援助してやってよいと思うんです。
それから、自治省にお尋ねしますが、地方自治体が毎年七千万円
程度の出資をしているわけですが、地方交付税の算定基準に算入されていない理由をお聞きしたいと思います。それから、今後これをぜひ入れるように検討を進めるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
-
○
国務大臣(
後藤田正晴君) 水難救済会に対しましては、特定の市町村が独自の政策的な意図で任意に経常費の補助をしておるということは承知をしておりますけれども、地域的に偏っているといったようなことが一つあるわけでございます。同時にまた、そういった何といいますか、経常費的なものでございますので、交付税の算入にはなじまないということで入れておりません。ただ問題は、海難事故等があって多額の経費を当該市町村が負担をしたといったような場合には当該市町村に特別交付税を配当する、こういう処置を講じてまいりたいと、かように
考えております。
-
○
相沢武彦君 この点、またひとつ検討をぜひ継続してほしいと思います。
水難救助員の身分保障と待遇の面について伺いますが、出動手当というのは一回についてどれぐらいの金額になっているんでしょうか。
-
○
政府委員(真島健君) 水難救済会の規定によりまして、一人一回千五百円ということになっています。
-
○
相沢武彦君 水難救助の場合、陸上よりも条件として一面においてはより厳しいと言えると思うんです。遭難者の発見に手間取りますし、それから救助あるいは遺体の収容まで非常に時間がかかる、それでも一回の出動にみなされていると聞くんですが、消防団員の皆さんと同じく命がけで救助作業をやりながら低額に抑えられている点で、非常にお気の毒だなと思う点もあるんですが、出動手当額の引き上げと消防団員並みの身分保障をするよう改善する御意思はありませんでしょうか。
-
○
政府委員(真島健君) 確かに先生御指摘のように、消防団員との差がございます。その点は私どももできるだけ近づけたいと思っておりますけれども、消防団員との基本的な差は、消防団員が非常勤の方々でありましても市町村の特別職の公務員になっておる、水難救済会の方は社団法人の職員である、この辺で差ができてまいる部分がどうしてもあるわけでございます。そういう
意味で、私ども、今後この救済会の職員に対する手当その他を実質的に増すにはどうしたらいいかということは真剣に
考えなければならないと思っておりますが、基本的には、もし消防団員と一緒というような形にまで持っていきますためには、当然のことでございますが、非常勤の公務員といったようなところまでその地位を高めていく、そのためには、当然の法律整備というものが要るわけでございまして、昨今の行財政の整理といったような厳しい
状況の中で、なかなか非常勤とは言いながら公務員の数を
増加するということはむずかしいのじゃないか。私ども、何とか実質的に高めるという方向で今後検討はしてまいりますけれども、消防団員と全く一緒というところまではなかなかいけないのではないかというふうに
考えております。
-
○
相沢武彦君 この問題で
大臣に最後に要望しておきたいんですけれども、人の生命、財産の救助のために自己の危険を覚悟で奉仕の精神で救助に当たっているこういった水難救助員に対して、約全国二万五千人おりますけれども、もう少し
政府は対応されてもいいのではないかと思うんです。
政府はこういった人
たちの善意に甘えるだけでなくて、もっと安心して職務に精励できように、
大臣、現場の人
たちの生の声も直接聞く機会も持たれるようにして、ぜひ物心両面からの強力な応援体制というものをされるように要望しておきたいと思います。一言、救助員に対する激励の言葉でも述べてください。
-
○
国務大臣(
地崎宇三郎君) 大変犠牲的な精神で水難救助等に活躍をしていただいておるわけでございますので、当該官庁といたしましても十分手厚くもてなすように
努力をしてまいりたいと存じます。
-
○
相沢武彦君 次に、北海道周辺海域における韓国漁船の操業問題についてお尋ねしておきます。
再三この国会でも私取り上げておりますし、長年にわたってこの問題は決着がつかないでおりまして、被害を受けておる北海道の沿岸漁民というものの怒りといいますか、それから、この問題に対する解決を望む気持ちというものは非常に強いものがあるんですか、そこへきて、最近日本から韓国へ輸出した漁船が約束違反で北海道の沖で操業しておるということが判明したという報道を聞いて大変ショックを受け、怒りに燃えています。
きょう、国会の場でこの点水産庁からひとつ明確にしていただきたいと思うんですが、水産庁の許可した韓国への中古漁船の輸出
状況について、まず輸出の背景、数字上の
実態、輸出の条件、これについて
お答えください。
-
○
政府委員(今村宣夫君) 代船建造の結果生じます中古の漁船につきましては、これを売却いたしまして漁船価格の自己資金に充当することが通常でございますが、韓国には国内売船より有利に売却できるということで、わりあいそこに売る
希望者が多いわけでございますが、しかし、中古漁船と言いましても漁業の操業能力を有しているわけでございますので、無制限にこれを認めますことは、かえってわが国の漁船との競合
関係が激しくなるということでございますので、輸出を許可します所管の運輸省、通産省から許可あるいは承認に当たっての照会がございますので、その際、当該漁船のトン数でございますとか漁業の種類、それから輸出後の用途等を勘案して、差し支えないと思われるものの輸出を認めているように回答をいたしているわけでございます。
そこで、わが国から韓国に輸出しました中古漁船の隻数でございますが、五十二年から申し上げますと、五十二年は総隻数が七十三隻でございます。うちスクラップにしますのが二十一隻、それから五十三年は百四十二隻、スクラップ用がそのうち百九隻、五十四年が四十四隻、うちスクラップ用が十四隻でございます。
水産庁といたしましては、たとえば捕鯨船でありますとか、サケ・マス漁船の輸出は認めない。それから船の大きさとか能力、
機能、船齢等からして、当該漁船の輸出がわが国の漁業に著しい影響を及ぼすおそれがあるかどうかということを判断の基準にいたしまして、それぞれの所管省に回答いたしておるところでございます。
-
○
相沢武彦君 これらの輸出漁船の日本沿岸での操業
実態についてはどうなんでしょうか。
-
○
政府委員(今村宣夫君) 輸出漁船がわが国の漁場周辺で操業をいたしておるということが言われておりますが、北海道沖をとってみますと、操業中の韓国漁船の中に日本から輸出された中古漁船が含まれているということが言われておりますが、北海道操業との
関係で申し上げますと、東遠産業というのが韓国の株式会社でございますが、そこに「おりえんと丸」というのと、それから「85源福丸」というのが輸出をされましてその東遠産業が持っておりますから、その船が北海道の沖合いにおいて操業されておる可能性はきわめて強いわけでございます。
-
○
相沢武彦君 可能性が強いということで、事実じゃないんですか。
-
○
政府委員(今村宣夫君) 東遠産業はトロール船を六隻持っておりまして、その六隻のうち「ユーヤン号」というのと「シンヤン号」というのが北海道沖で操業をいたしております。その「ユーヤン号」「シンヤン号」が即「おりえんと丸」「85源福丸」であるという確認はいたしておりませんが、そのそれぞれの「おりえんと丸」及び「85源福丸」が東遠産業の持ち船でございますから、東遠産業の持ち船となったその船が北海道沖で操業しておる可能性はきわめて強いということを申し上げたわけでございます。
-
○
相沢武彦君 報道によりますと、水産庁では、確認した段階で駐日韓国大使館を通じて非公式に韓国水産庁に抗議しているということが
関係者の間でも証言されているというんですが、これは事実はどうなんでしょうか。
-
○
政府委員(今村宣夫君) わが国から韓国に輸出されました中古の漁船が北海道沖で操業しておるという情報がありましたので、在日韓国大使館に対しましてこの問題につき
調査の上善処をするように申し入れたわけでございます。韓国大使館の話によりますれば、東遠産業が輸入した二隻については漁業水域の制限が付されておるということは韓国
政府は承知をしていなかったと。それから東遠産業が輸入した二隻については北海道沖でも操業できるライセンスを発給をしたと。こういう
事態の発生を防ぐために輸出承認に当たっては韓国大使館にも連絡してもらいたいという、そういう話がございました。
-
○
相沢武彦君 これは昨年八月に確認したと言われるのですけれども、それまで公表しなかったということは、どこに真意があるんでしょうか。
-
○
政府委員(今村宣夫君) 八月にそういうことを韓国に抗議を申し入れしたのでありますが、それを故意に現在まで隠しておったというつもりはないのでございます。
-
○
相沢武彦君 この輸出に当たって幾つか先ほども申し述べられたような条件があったんですが、水産庁としてのチェック体制ですね、こういうものについて手ぬかり、不備があるように思われるんですが、この点についてどういう反省をし、今後どうされようとされますか。
-
○
政府委員(今村宣夫君) 先ほども申し上げましたように、それぞれ海上運送法及び貿管令で運輸省及び通産省が許可をされますときに、当方の意見を、回答を付するわけでございますが、水産庁としましては、たとえば捕鯨漁船とかサケ・マス漁船を輸出禁止にすると、それから船の大きさ、能力、
機能、船齢等からしてわが国の漁業に著しい影響を及ぼすおそれがあるかどうかということを判断をして行うわけでございますが、相手国の
政府がその船に対しまして漁業許可を与えることまで日本国がこれを制限するということはできませんので、私
たちとしましては、そういうことを輸出前にできる限りの判断をいたしまして行うわけでございますが、相手国の許可発行の権限までも制限するようなことはできないのでございます。しかしながら、こういうことが起こらないようにするためには相手国方
政府とどのような話し合いができるかと、あるいはまた、そういうことについて許可するときに、どの
程度のことを相手方
政府の、何といいますか、行動ということに反映させることができるのかということにつきまして現在鋭意検討をいたしておりますが、それらの問題も含めまして、許可に当たりまして今後十分慎重に取り扱っていきたいと思っています。韓国につきましては、本年八月以降韓国向けのトロール漁船の輸出は行われていないと。逆に申し上げられることは、それは私の方で許可をすべきものとの回答をいたしていないのが実情でございます。
-
○
相沢武彦君 それから、いわゆる北菱のスケソウ購入について大分疑問を持たれているんですが、水産庁としては、北菱にどの
程度スケソウを入れたのかということについての
調査をされているんでしょうか。それとも、今後はっきりされる体制はあるのかどうか承っておきたいと思います。
-
○
政府委員(今村宣夫君) 北海道漁連等を通じまして
調査をいたしておりますが、現在までのところ数量はわかっておりませんけれども、北海道でとってきたそのスケトウは価格が非常に高いので、北菱等は輸入物によってそれを賄っておる実情にあるというふうに現在の段階では承知をいたしておるわけでございます。
-
○
相沢武彦君
大臣、日本の水産庁が輸出を許可した日本の中古船、それによって日本の沿岸漁民が大きな被害を受けるということについてはきわめてこれ遺憾なことであると思うんですが、
大臣はこの問題について、その責任、どういうふうな受けとめ方をされておりますか。
-
○
国務大臣(武藤嘉文君) 先ほどからのお話で私も大変遺憾に存じております。ただ、問題は、私どもの農林水産省が直接許可するわけではございませんので、そういう点が大変歯がゆい思いをするわけでございますけれども、今後こういうことが二度と起きないようによく運輸省ともまた通産省とも連絡をとりながら、ひとつ日本の漁船の輸出許可に当たりましては十分慎重な態度で
対処するように努めてまいりたいと
考えておるわけでございます。
-
○
相沢武彦君
農林水産大臣になってまだ新しいわけですけれども、引き継ぎ事項で、いわゆるこの北海道沿岸における韓国漁船の操業問題についてはいろいろお聞きになったと思うんです。これはなかなか解決できないという問題についての御認識、
大臣はどの
程度お持ちなのか。
-
○
国務大臣(武藤嘉文君) 長い時間解決ができていないということに対しては、まことに残念に思っております。私も、就任以来できる限り一日も早くこの問題を解決をしなければならない、特に十二月でございましたか、投石
事件まで起きたわけでございまして、そういうような暴力までふるわざるを得なかった漁民の心情を
考えますと、何としても早く解決をしなきゃならないという気持ちでいっぱいでございます。ことしの一月に
水産庁長官をソウルへ派遣をいたしましたのもそういう気持ちでございましたけれども、残念ながらこの成果は十分上がらなかったわけでございます。ただ、そのときに韓国側との折衝の中で多少明るい感じを持ちましたのは、韓国側も何とか円満に解決をしたいと、こういう気持ちを持っておるということだけは感触を得ましたので、引き続いて、最初この三月を予定しておりましたが、四月になりましたけれども、来日実は日韓漁業
委員会の定例の事務連絡会議がソウルで行われます。従来は、この会議は日韓漁業協定に基づくものでございますから、主としていわゆる西側と申しますか、韓国周辺での問題等が中心で
議論がなされておりますけれども、今回のこの連絡会議においては、北方のこの北海道の問題も含めてひとつ
議論をしてもらうと、こういうことでこの間約束をいたしておりますので、いままでどちらかというと西と北との、何というか、お互いの利害が違うということでなかなかうまくいかなかった点もあるやに私承知をいたしておりますので、今度はそれを
両方一括して話をし得るようになってまいりましたので、そこで何かひとついい工夫をして解決の道を見出したいと、こういう気持ちでいま鋭意この事務連絡会議に臨む態度を私ども省内で協議をいたしておる段階でございます。
-
○
相沢武彦君 これまでも何回となくこの実務者レベルの話し合いというのは行われてきたし、業界からも行って話し合いもしているんですけれども、なかなか約束されたとおりに実行されてないというのが
現状でして、操業ルールが守られてない。漁具の被害が相変わらず起きている。そういう点、なかなか問題解決は進んでいないわけですね。特に問題点は、このままだと漁業資源が全く枯渇してしまうということです。小魚まで全部もうとられてしまうわけですし、さらに非常に強力な鉄のロープで底を引きずりますから、いわゆる自然の魚の生息しやすい岩礁、生息
環境、これを全部洗いざらい破壊されてしまう。一回漁業資源が破壊されたら二十年、二十五年と回復できないんだと、そこに北海道の漁民の人
たちの心配があるわけでして、一日も早く解決を望んでいるわけです。それで、自主規制の形で問題解決の処理を図る方向なんですけれども、法的拘束力がなくて、結局いままでと同じ
状況に陥ってしまうんじゃないかということが
考えられます。したがって、問題の根本的解決のためには、日本の漁業水域法を全面的に適用する。また、そのためにもし日時を要するなら、当面のこの窮状を救済するために、同法の五条二号の
措置を講じて、切迫した
事態を打開すべきだと思うんです。
また、日韓漁業協定によって、韓国沿岸に底びき禁止ライン、共同規制水域を設けております。北海道周辺水域にも韓国漁船による操業水域を設けても何らこれは矛盾はないと思うんですけど、やはりここで農水
大臣の勇断を求めたいと思うんです。きょうは外務
大臣もいらっしゃったらばお聞きしたいと思いましたが、ちょうどいらっしゃらないので……。
結論として、二百海里時代の新しい海洋秩序に即応して、日韓双方ともこの二百海里を実施して、その上で互恵の
立場から操業水域、期間あるいは漁獲量、隻数等を取り決めて、双方の管轄権のもとに秩序ある操業を行うのが最善の方法だと思うんですが、これについてどうですか。
-
○
国務大臣(武藤嘉文君) 二百海里時代を迎えて、私ども沿岸漁業というものをもっと重点にした将来の水産の振興を図っていかなければならないと
考えておるわけでございまして、それは当然北海道の周辺においても同じことでございまして、そういう面でいませっかく日本側が禁止をしておる、トロール船を使ってはいけないという禁止をしておるところへ韓国船が入ってきていることは、まことに遺憾に存じておるわけでございまして、何とか一日も早く本当に解決をしたいと思っております。
そこで、いま御指摘ございましたけれども、たとえば、いま韓国には適用いたしておりませんが、二百海里を韓国に対しても通用するというようなことも、これはひとつ私どもがやはりもう検討しなければならない課題であると
考えておるわけでございます。ただ問題は、従来長い間、日韓漁業協定によって韓国との間には友好的な
関係で漁業
関係がまいっております。ただ、北海道のものだけが非常に遺憾な状態になっておるわけでございまして、あるいは北陸、山陰沖にも多少問題がございますけれども、いずれにしても従来の友好的な
関係がありましたので、私どもが一方的に二百海里を韓国にしくというわけにもまいりませんので、これはやはり韓国との話し合いの中で進めていかなければならないのではなかろうか。でございますから、先ほどから申し上げておりますけれども、日韓のこれからの話し合いの中ではそういうことも含めて、二百海里の設定を含めて、ひとつ何とか円満な解決を一日も早く実現をしたいと、こう願っておるわけでございます。
-
○
相沢武彦君 事務レベルの折衝は今後も続くと思いますけれども、ともかく政治的決断のときに来ていると思いますんで、
大臣が直接交渉の場へ臨むべきだと思います。また、ことしの夏、日韓定期閣僚会議等も開かれる予定になっているそうです。その議題にも正式にのせるべきであると思いますが、これについて
大臣のお
考えいかがですか。
-
○
国務大臣(武藤嘉文君) 私の体を——ソウルへ出かけていくかどうかという問題は別といたしまして、私といたしましても決して手をこまねいておるわけではございませんので、いろいろと
事務当局に指示もいたしておりますし、また直接日本駐在の韓国大使が私のところへ来られるときなどには必ずこの問題を取り上げて
議論をいたし、一日も早く善処するよう強く
要請をいたしておりますし、いろいろまたその他の外交ルートで私が直接関与できるときには直接話をいたしておるわけでございます。
いずれにいたしましても、今度の四月のこの結果を見ました上で、私が出かけていく必要があって、出かけていってそれによって何とか解決のめどがつくというようなときは私は喜んで出かけていくつもりでございます。
また、日韓経済閣僚会議のときはどうかということでございますが、それまでに何とか解決をしなきゃならないという気持ちでいま私は一生懸命になっておるわけでございますので、そういう点で御理解をいただきたいと思うわけでございます。
-
○
相沢武彦君 次に、私は酪農の問題で少しお尋ねをしますが、酪農経営者の経営
実態について
大臣はどんな認識を持っておられましょうか。
-
○
国務大臣(武藤嘉文君) この五十一年以来、日本の酪農は、わりあい飼料価格が安定をしておるなど、いろいろ条件がいい
環境になってまいりましたので、順調に伸びてきたと思っております。特に一頭当たりの搾乳量なども非常に上がってきておるわけでございまして、そういう点においては非常に順調であったと思っておりますが、ただ、計画生産をやっておられたわけでございますけれども、そういう点で計画よりも結果的には供給量がより多くなったと、また逆に、消費を見込んでおったものが案外消費が伸びなかったということで、酪農経営そのものとしては生産は非常に順調に伸びたけれども、どうも消費の面で行き悩みがあり、在庫が非常に多くなったということで、そういう点ではいま一つの大きなやはり曲がり角に来ておるといういう感じも私は持っておりますが、しかし、今後広い
意味での農林水産業の中においては消費というものはまだ伸びていくものであると感じておりまして、そういう点では、今後安定した経営をやっていかれるならば決して悲観すべきものではないと、こう私は感じておるわけでございます。
-
○
相沢武彦君
大臣の御認識、これからそのように安定してやっていければいいんですけれども、なかなか実情はそういかないで大変です。
昨年来、私、根釧原野とか十勝平野、そして天北原野、ずっと酪農家の皆さんの
実態を見さしていただいたんですけれども、大変な緊迫した情勢です。たとえば別海農協の組合員勘定を見ますと、去年の二月における経営
実態というのは四百九十戸中二百七十四戸が赤字で一戸当たり二百六十六万三千九百三十七円だったものが、ことしの二月では赤字戸数が三百三十二戸にふえていまして、一戸平均四百十七万五千五百九十円の赤字を出しています。つまり一年間で一生懸命計画生産に励んだけれども、世帯で五十八戸、金額で百五十一万千六百五十三円も赤字がふえている、こういうことでして、経営は総体的に悪化しているし、また今後安定経営できるまでにはまだまだ険しいハードルを幾つも越えなきゃならない。そのハードルを越えられなくてもう困っている方々が大ぜいいるということなんです。
それからもう一つ実例を挙げますけれども、根室管内における乳牛飼育戸数というのは二千四百五十戸あるんですが、その二戸当たりの平均負債額というのは二千三百七十万円なんです。現地の皆さんの声を聞きますと、余裕を持って経営しているというのが三分の一ぐらい、それからまあまあ何とかやっていますというのが三分の一ですね、残り三分の一は非常に苦しい、大ざっぱに分けてそういう分析になっています。ある農協では三百二十一戸あるうちの三十三戸すなわち一割強ですけれども、酪農家はこのままじゃ今年じゅうに離農せざるを得ないという大変な
状況です。去年実施された自作農維持資金でも、単協では二戸分の割り当てしかないんですね。二千三百数十万円の莫大な負債を抱えて、五百万円やそこらでは焼け石に水の感じも免れないんですが、枠の拡大をすべきだと思いますが、この点どうでしょうか。
-
○
政府委員(杉山克己君) 昨年の枠はこれは三十億でございましたが、五十五年度につきましてはこれを一七〇%、大幅な枠拡大を予定いたしております。金額で申し上げますと八十五億円と——失礼いたしました。前年は五十億円でございましたが、これを三十五億円、
比率にいたしまして一七〇%ということで、大幅な枠の拡大を予定いたしております。
-
○
相沢武彦君 この自作農維持資金を借りたある農家の例なんですけれども、ことしは規模を縮小せざるを得ないという状態にあるんですけれども、しかし、土地にしろ牛にしろ、厳しい生産調整のもとでは引き受け手がいないわけですね。また、府県の酪農家にしても、いままでは配合飼料が安かったので何とかやっていけたのですけれども、今後円安基調が続いていくと値上がりは必至ですし、やっていけなくなるという危機感を強く持っています。そこで、新たな長期低利の金融
措置も講ずべきじゃないかと思いますが、この点はどうですか。
-
○
政府委員(犬伏孝治君) 最近の酪農経営の
状況につきましては、先生御指摘のように、これまで非常に発展をしてきたのと比べますと生産を大幅にふやすわけにはいかないということから苦しい
状況になっておると
考えております。しかし、酪農経営におきましては負債は大きいのでございますが、同時に資産も大きいと、さらに農業粗収入、農業所得も
増加をしてきておりまして、
一般的に見れば償還能力はあるものというふうに
考えております。酪農経営の負債の問題につきましては、従来からその軽減を図ってきておりまして、
昭和五十四年度におきましても酪農経営合理化資金の特別融通
措置を講じておるところでございます。また、先ほど答弁のございましたように、自創——自作農維持資金の中の経営再建資金も融資の道が開かれておるところでございます。こうした
状況のもとで、
一般的にさらにもう一つ新しい長期低利の金融
措置を設けるということはなかなか困難ではないかと、むしろ資産はある、収入もあると、しかし大幅に収入をふやしていくことが困難な
状況になっておるということから資金繰りが苦しいというのが
現状ではなかろうかと、それについては
調査なり検討をしていく必要があると
考えております。
-
○
相沢武彦君 皆さん方は集まった数字をいじって平均して、資産も大きい、返済能力があるというのですけれども、さっき話したように、三分の一はもうこれじゃやっていけないというところまで追い詰められているわけですよ。酪農家の皆さん方は第三次酪近に基づいて規模拡大に努めてきたのですが、それが需要均衡の名のもとで計画生産を余儀なくされたわけでして、しかも、その対応というのは各県ばらばらなんですね、非常に混乱を来している。それが昨年の酪農家の姿だと思うんです。いままでの拡大一方の方向から今度は一転して計画生産に切りかえるわけなんですから、それだけの準備期間というのはどうしても必要なんですよ。ですから、計画生産が軌道に乗るまでか、せめて本年一年間だけでも負債償還の一時凍結など思い切った施策が必要じゃないかと思うんですね。また、今後の負債整理
対策のあり方等も含めて、ひとつ明確な見解を
大臣から述べてください。
-
○
国務大臣(武藤嘉文君) 今度実は果実のミカンの
関係においてもそういう問題が起きてまいりまして、ある
程度返済猶予をやったわけでございますけれども、やるように指示をいたしたわけでございますが、私は、このいまの酪農
関係についてもいろいろ農家によって
事情は違うと思うのでございますけれども、本当にまじめにやってきていただいている方で、こういう消費が伸び悩んで在庫が非常にふえたというために非常に経営が圧迫をされたというような方については、私どもの系統の資金についてその返済を猶予するというようなことは、いわゆる償還期限の延長でございますけれども、こういうことについては前向きにひとつ検討したいと、こう思っております。
-
○
相沢武彦君 ぜひお
願いします。
最近における生乳の需給不均衡の背景というのは、
大臣わかっておりますように、お米の場合と基本的に違うわけですね。大量の乳製品輸入が行われているために過剰問題が発生しているわけです。今後需給均衡の回復を
目的とした効果的な輸入規制策というのを講ずる必要があると思うんですが、いかがですか。
-
○
国務大臣(武藤嘉文君) 乳製品
関係につきましては、バターなどについては畜産振興事業団の一元輸入をやっておるわけでございまして、現在のような在庫
状況から、いまは凍結をいたしておるわけでございますし、その他についても、いわゆる輸入制限品目で、IQその他で輸入制限をいたしておるわけでございます。ただ、ココア調製品だとかカゼインだとか乳糖だとか、全く自由にしておるものもあるわけでございますが、私どもいままでの
考え方は、これは国内での競合がないということで自由化したと、こう聞いておるわけでございまして、ただ、そういう点から抜け道があるのではないかという、いろいろ御批判もあるわけでございますけれども、今後ともできる限り国内の需給状態を見ながら、輸入については制度の許される範囲内ではございますけれども、できるだけ私どもは慎重に
対処してまいりたいと、こう
考えております。
-
○
相沢武彦君 大蔵
大臣お伺いしますが、現在わが国に乳製品を輸出している国のうち、ニュージーランド以外はかなり高率な輸出奨励金をつけているわけです。こうした正常な競争を阻害するような乳製品の輸入に当たって日本も適切な対抗
措置を講ずべきだと思いますが、いかがですか。
-
○
国務大臣(竹下登君)
一般論で申し上げますと、正常な貿易を阻害する補助金または奨励金に対抗しますところの輸入国が取り得る対抗
措置といたしましては、ガット上認められております
措置としては相殺関税を賦課する、こういうことがあるわけでございますが、個別問題でございますので、申しわけありませんが
事務当局から答えさせます。
-
○
政府委員(米山武政君) いま
大臣が
お答え申し上げましたように、相殺関税を課することができるわけでございますが、これには条件が二つございます。一つは、まず補助金の交付の事実がある。これはEC等は確かにあるわけでございます。その補助金の交付の事実があった上に、その輸入によって国内産業が非常に大きな影響を受けている、こういう条件になるわけでございます。ただ、いまのこの乳製品に関しましては、この輸入が非常に多くて損害を受けているかどうかという点については非常に問題があるわけでございまして、むしろこの相殺関税という手段をとる前に、農林
大臣の
お答えにもございましたように、これは輸入制限品目になっておりますし、また、主要乳製品につきましては一元輸入になっているわけでございまして、こうした
措置がとり得るわけでございます。そうした
措置をとった上でなおかつ問題があるかどうかと私どもは
考えておるわけでございます。
-
○
相沢武彦君 続いて擬装乳製品の問題ですけれども、現在日本では粉乳とか、バターなどの乳製品のほとんどが非自由化品目ということで、輸入される場合でもそのほとんどが畜産振興事業団によって一元輸入されていることになっていますが、しかし、
実態的にはココア調製品とか調製食用脂という形で粉乳とかバターが自由に輸入されて国内の乳製品の過剰化傾向に拍車をかけているんです。ココア調製品というのは、ココア一〇%で粉乳が九〇%
程度、調製食用脂の場合は、マーガリンが三〇%に対してバターが七〇%
程度ということなんですが、実質的にはこの乳製品の成分が大半を占めているにもかかわらず、ココア調製品とか調製食用脂、これは自由化品目であるというだけで自由に輸入されてしまう。一たん輸入されると、
不足するココアとかマーガリンを添加してお菓子なんかの原料に使ってしまうということなんですね。これじゃ何のために乳製品をIQ品目としているかわからないことになっちゃう。脱法的行為としか言いようがないわけです。この件について、
農林水産大臣としてはどう
対処をしようとしているのか。また、これらの成分基準の設定等について、最終的には大蔵省の判断次第だということになっているようですけれども、農林水産省から大蔵省には強く
要請しているのかどうか、この点をお尋ねします。
-
○
政府委員(犬伏孝治君) 先生ただいまお話しの擬装乳製品と呼ばれますココア調製品、それから調製食用脂、いずれも自由化品目でございます。
政府としてこれを直接的に規制を行うことは困難でございますが、その輸入が量的にふえるということによりましてわが国酪農に悪影響を及ぼすことがあってはならないというふうに
考えております。このため、ココア調製品につきましては、実需業界を指導いたしまして、自主規制
措置を講じさせておるところでございまして、その遵守につきましてさらに指導をしてまいりたい。また、調製食用脂につきましても、
関係業界に対しまして、そういう輸入に依存するのではなくて、できるだけ国産乳製品を使用してもらいたいという
要請をいたしておりまして、今後ともさらに、国産乳製品が現下のような需給
事情でございますので、その使用の促進を進めるように
努力をしてまいりたいと
考えております。
それから、もう一点の通関基準の問題でございますが、私どもとしては乳製品が多く含まれるそれらの調製食料品が入ってくるということは必ずしも望ましくないというふうに
考えておりまして、大蔵省に、通関当局に対しましてその善処方については
要請をしてまいってきております。
-
○
相沢武彦君 極力国内生乳を現在の輸入分に振りかえる
努力をもう少し農林省やってください。
それから、大蔵省にお尋ねしますが、ココア調製品とか調製食用脂というからには、せめてココアとかマーガリンの成分を五〇%以上にして、乳製品の含有率は五〇%以下というふうに基準を改定すべきであると
考えるのですが、これはどうですか。それから、もしこれができないとするなら、乳製品の含有率が五〇%を上回るものについては、現在の関税率を二五%に
実態に合わせて引き上げるべきだと、こういうふうに思うんですが、いかがでしょうか。
-
○
政府委員(米山武政君) ココア調製品ともう一つの調製食料油脂ではちょっと取り扱いが違っておりまして、ココア調製品は、御承知のように、ブラッセルの分類条約の定めによりますと、ココアを含んでいるものはココア調製品である、こういうふうになっているわけでございます。しかしながら、いま
委員御指摘のように、IQ品目であることを免れるために意識的に非常に少量のココアしか入っていないというような問題につきましては、確かに私どもとしても問題があると思っておりますので、この点につきましては農林省、
関係業界ともよく意見を聞きまして検討してまいりたいと思います。
それから、もう一つの油脂の方でございますが、これはバターが入っていても油脂調製品に分数していいという
程度でございまして、したがって、これはバターが非常に多く入っているような、本質的に調製品という性格を変える
程度に入っているものにつきましては、これはもちろんバターの方に分類するということで、ココアよりさらに厳しく規制ができるようになっております。そういう点で、この点につきましても十分御
質問の御趣旨を承って検討してまいりたいと思います。
それから、もしどうしてもそれがだめな場合には、ココア調製品の場合には粉乳と同じように二五%の関税にすべきである、こういうふうな御指摘でございますが、すでに関税の面ではこれは二五%になっております。したがって、むしろ、その関税の二五%の高率をかけてもなお輸入をされるようなものについてはどうか、こういうふうな趣旨から検討してまいりたい、こういうふうに
考えております。
-
○
相沢武彦君 ともかくこの擬装乳製品の問題もう少しわきを固めて
対処してもらいたいと思うんです。つくられた過剰で国内の酪農家がつぶれないようにお
願いしたいと思います。
最後に、乳製品の在庫処理ですけれども、お米で行われたように、飢餓や栄養不良に悩む発展途上国や戦乱による難民の救済のために食糧援助として処理する
考えはないのかどうか、
政府の見解を尋ねておきたいと思います。
-
○
政府委員(梁井新一君) わが国の乳製品を援助に使用することにつきましては、まず、この国産乳製品の価格が国際価格に比較いたしまして非常に高いという問題がございます。したがいまして、援助の効率という点から
考えまして、この差額補てんをどうするかという問題がございます。同時に、伝統的な乳製品の輸出国に対する配慮もまた必要だと
考えております。そういう点を踏まえまして、今後どうすべきかにつきまして慎重に検討を続けたいというふうに
考えております。
-
-
-
-
○安恒良一君 まず、きょうは外務
大臣おられませんので、主要な所管事項である大蔵
大臣にちょっとお聞きをしたいのですが、きょうの新聞で、中国のIMF及び世界銀行加盟問題について、加盟か、このように報道がされておりまして、IMF、世界銀行の代表団を近く中国に派遣するかどうか、こういう問題が報道されていますが、これらの具体的事実について、大蔵
大臣はどのようにお
考えでしょうか。
-
○
国務大臣(竹下登君) 中国の加盟問題につきましては、われわれも非常に関心のあるところでございます。IMF事務局のアジア
局長以下若干のスタッフが中国の当局者と事務上の打ち合わせをするために近く訪中する計画があることは、これは承知をいたしております。
で、訪中の日程につきましては、IMFと中国
政府の間でお決めになる問題でございますので、詳細はまだ聞き及んでおりません。事務上の打ち合わせということは、御案内のように、IMFに必要な統計資料とか、そういうものの提出義務があるわけでございますので、恐らくそういうものの整備
状況等についての
説明をするためではなかろうかと思います。それから世銀の方は、これはマクナマラ世銀総裁と数名の事務局スタッフがこれも四月に訪中する計画を持っておられることも聞き及んでおります。訪中の日程については、これも詳細はまだわかりません。この
目的も、恐らく世銀の活動
状況をお話しなすったり、あるいは加盟国としての義務が生じてまいりますので、こういうことが義務であるというふうな
説明を行うための訪中ではないかというふうに理解しております。
-
○安恒良一君 早ければ六月に加盟が実現するのではないかと、これも報道されていますが、いま大蔵
大臣が言われましたほかに、問題点といたしまして、現在加盟をしている台湾の取り扱いの問題とか、それから台湾の持っておる負債の取り扱いの問題等、いろいろな問題があると思うんですが、そこらの問題を含めて、早ければ六月に加盟ができるのかどうか、こういう点についてどのように思われますか。
-
○
国務大臣(竹下登君) 恐らく世銀の会計年度が七月から始まりますので、それで六月にでも、早ければ年度当初から席を有するようにというつもりで加盟するのではないかというお尋ねだと思いますが、どうもこの問題については、調べてみますと、過去の加盟国の例を見ましても、必ずしも会計年度当初をめどとして加盟手続を進めてきた例はございませんし、六月ということに、年度最初から席を持っていなきゃいかぬという特段の
意味は必ずしもないようでございます。
台湾の持っておる負債を肩がわりするかどうかというような問題も、あるいは今度の訪中の際、もろもろの義務とか条件というようなものの中で御
説明がある問題ではなかろうか。しかし、これは中国自身の問題でございますので、私からとかくの意見はどうも申し上げることは差し控えさせていただきたい。
-
○安恒良一君 これも新聞報道によりますと、第二世銀の貸付原資に余裕ができてきた、そこで新規貸出先を求めている、中国はその最適の候補と
考えられると、こういうふうに報道されていますが、その実情はどうなんでしょうか。また、中国が加盟をした場合にこの第二世銀からの融資が受けられるのかどうか、こういうことについて
お答えを
願いたいと思います。
-
○
国務大臣(竹下登君) 最近の経済情勢を背景といたしまして、第二世銀の融資
対象国でありますいわゆる低所得国を含めた開発途上国の開発資金に対する需要は結構いま強いということでございますので、第二世銀の資金に対する需要が減少しておるというような事実はいまはございませんから、それを目標にしてという
意味とはまあ
考えません。要するに、中国が加盟した場合、融資が受けられるかどうかという問題になるわけでございますけれども、融資適格性の判断というのは、当該国の一人当たりGNP、外貨調達能力等を総合的に勘案して決められるものでありまして、中国に関するこれらの指標がいま得られる状態にございませんので、確たる答えは申し上げられませんけれども、世銀のこれは推定でございますが、中国の一九七八年の一人当たりGNPは四百六十ドルということでございますので、これはIDAの融資適格基準の一人当たりGNP六百二十五ドル以下という条件には合致しておるというふうに思われます。
-
○安恒良一君 それでは、この問題はこれぐらいにしまして、次の問題でお聞きをしたいんですが、次の問題は、自動車の運転手の労働時間の改善の問題についてお聞きします。
そこで、まず最初に、日本坂トンネルの大事故が起きていますが、その後この大事故の原因とそれが防止
対策についてどうお
考えになっているのか、お聞かせを
願いたいと思います。
-
○
政府委員(杉原正君)
お答えをいたします。
日本坂トンネルの事故につきましては、現在静岡県警が検察庁と緊密な連携のもとに鋭意
捜査をいたしております。すでに
関係者二百人につきまして
事情聴取、それから追突事故車両、被災車両等の実況見分、押収した
関係資料等につきまして検討を終了しておりますが、追突車両相互の衝突形態とか発火原因等についての科学的な問題につきまして部外の権威者に依頼をしておりまして、近くその結果が得られる予定になっております。この結果を踏まえまして
事件の
解明に当たりたいというふうに
考えております。
事故原因につきまして、直接的には現在
捜査中でありまして結論を得るに至っておりませんが、
本件車両の発端になりました多重追突事故車両六台の運転手につきまして、事故に至る以前の勤務形態あるいは運転経路の問題等含めまして、過労の問題等の問題につきましても現在その有無について
捜査を行っております。したがって、
本件事故につきましては、こういった車両相互間の車間距離の不適あるいは速度調節の不適というふうなものが現在
考えられるという
状況にございます。このため、この
対策でございますが、昨年九月に高速道路におきます安全走行確保のための緊急
対策を実施をいたしまして、安全運転の五則、特に高速に必要な五則を中心にした指導、取り締まり、安全
教育、安全広報を全国的に強力に実施をいたしまして一応の成果をおさめておりますが、これからも引き続き高速道路の安全に重点を置いた施策を進めてまいりたいというふうに
考えております。
-
○安恒良一君 まあ、まだ
捜査が続いていると、こういうことなんですが、私は、いまも杉原さんが答えられたように、直接は、一つはやはり車間距離の問題があっただろうと思うわけです。ところが、いま第二番目に答えられましたように、過労問題が私はあるんじゃないかと思います。というのは、当時新聞で報道されまして、直接事故を起こしましたところの運転手は一カ月に東京−大阪間を十四回も往復をしておったと、こういうことが報道されていますね。ですから、こういうことがあればこれは大変な過労の原因になると思いますが、この点についてその後どういう調べをされたか。また、労働省にも私は
関係すると思いますが、労働
大臣としても、こういう一カ月に十四回も往復をしておったというふうに当時新聞で報道されていまして、もう相当日時がたっていますから、労働省としても
調査されたんじゃないか、運輸省としてもそういう問題については重要な問題として
調査されたんじゃないかと思いますが、
警察当局、労働省、運輸省の見解を聞きます。
-
○
政府委員(杉原正君) ただいま申し上げましたように、過労運転があったかどうかということについて
捜査を行っておるところでございますが、現在、いわゆる道交法に言います過労運転に直接結びついているかどうかということについては、その疑いは必ずしも濃厚ではないという
状況でございます。
-
○
政府委員(吉本実君)
お答えいたします。
労働省
関係の労働基準法等に照らしましてそういった事実があるというふうには聞いておりません。
-
○
政府委員(飯島篤君) 運輸省といたしましては、事故に直接
関係いたしました運送事業者を陸運局に呼び出しまして、当該運転者に対します運行計画、運行の
状況等について、当該事業者において保存されておりました記録を参考といたしまして
事情聴取を行いました。その結果、事故にかかわりました運転者の事故発生前数日間の運行
状況などは、いずれの事業者におきましても、運行に要した時間、運転者の休暇の取得
状況などについては把握することができた次第であります。しかしながら、事故の起きました日の運行
状況につきましては、運行記録が車両とともに焼失しております。また、当該運転手が亡くなっているということなどによりまして、事故前日及び当日の運行
状況はつまびらかにできない点もございます。したがいまして、当該運転者の過労が直接原因であると、現在までの
調査で断定することは困難であると
考えております。
-
○安恒良一君 私が運輸省と労働省に聞いているのは、当時、新聞がそういう報道をしておったので、本当に一カ月に十四回も東京−大阪を往復している事実があったのかどうか、そういうことを
調査したのかどうかと、こういうことを労働省は基準監督の
立場から聞いているわけです。運輸省は運輸省で、そういうことが報道されておったが、そういう事実があるかどうかということを
調査したのかどうかと、このことです。労働省と運輸省。
-
○
政府委員(吉本実君)
調査はいたしましたけれども、その確認は得ておりません。
-
○
政府委員(小林育夫君) 私ども、六月一日からの運行について
調査をいたしましたけれども、一カ月に十四回往復したという事実はございません。
-
○安恒良一君 一カ月に十四回往復したという事実がないとすれば、
調査した結果についてどうだったということを言ってください。
-
○
政府委員(小林育夫君) この件に関与いたしました運送事業者が四社ございます。まず菱倉運輸というのがございますけれども、これの記録によりますと、大体、週に一遍休暇をとっておりまして、大体これは名古屋周辺の運行が主でございまして、東京と大阪をトンボ返りをするというような運行はほとんど行われておらないようでございます。それから次に、淡路運輸というのがございます。これにつきましては、東京−尼崎等をやっておりますけれども、大体週に一、二回
程度でございまして、あとはその地方での運行が主体でございます。したがいまして、二日に一遍東京に出てくるというような運行はされておらないようでございます。それから、もう一つの三栄運輸につきましては、これも東京−堺をやられておりますけれども、これも大体週に一、二度
程度の運行でございます。これも二日に一遍東京へ出てくるというような運行はされておらないようでございます。それから最後の大阪大松運輸というのがございますけれども、これは千葉と大阪市内、八尾市等を行っておりますけれども、これはほかの会社に比べますと比較的多いようでございますが、それでも二日に一遍という
程度ではございません。
-
○安恒良一君 私の
質問に目の前で一生懸命見なきゃならぬようじゃどうにもなりませんから、まあその点は後で
議論することにしましょう。聞かれて、そこで一生懸命これはとやっておったんじゃだめですよ。
そこで、率直に言って、私どもの
調査では、やはりいまいろいろ挙げられたところにおいて、かなり私は過労問題があるように
考えられるんです。そういうこと等を踏まえまして、今度「自動車運転者の労働時間等の改善基準」、まあ新改善基準通達というのが昨年出されている。私
たちは新しい二・九通達と言っておりますが、それの主要な改善点について——これは非常に長文でありますから、全部
説明してもらいますと時間がかかりますから、主要な改正点について
説明をしてください。
-
○
政府委員(吉本実君) ただいま御案内の、「自動車運転者の労働時間等の改善基準」、昨年の十二月二十七日に出された通達でございますが、その主な内容は、第一は、従来の労働時間の原則を実作業時間から拘束時間にいたしまして、一日当たりの拘束時間を十三時間というふうに定めたこと。それから休息時間の規制、従来なかったわけでございますが、勤務と勤務との間に連続した八時間を休息時間として与えるということ。それから第三点は、運転時間といたしまして一日の最大運転時間を九時間、一週四十八時間、さらに連続の運転時間は四時間というふうに定めたのが主な内容でございます。
-
○安恒良一君 以上のような改正がされたことを私も歓迎する者の一人です。
そこでお聞きをしたいんですが、これが具体的実行を図らなきゃなりません。そういう
意味で、まず道路公団にお聞きをしたいんですが、今日、高速道のサービスエリアにおける午前零時から四時の
状況はどういう
状況になっているというふうに公団側はつかんでいますか。
-
○
参考人(
持田三郎君)
お答えいたします。
いまの東名高速道路の場合でございますが、零時から四時までにおきましては、各サービスエリア並びにパーキングエリアとも混雑いたしております。
東名の
実態を申し上げますと、休憩施設としまして、全延長三百四十六キロの中、サービスエリアが六ヵ所、パーキングエリアが十六ヵ所ございます。当初計画いたしましたそういった各休憩施設の駐車台数と申しますか、キャパシティーは、その後非常に交通量がふえまして、どこもいっぱいになっているというふうな
実態でございます。特に都市近郊におきましては、大型自動車の交通規制というようなことがございまして、乗り入れに時間調整をするというようなことで、夜間非常に各近郊の休憩施設が込んでございます。このような
状況がございましたので、道路公団といたしましては、各運転者の利便向上あるいは交通安全というようなことから、
昭和四十八年から、既設いたしました各休憩施設の中で園地あるいはアイランドといったものを大幅に改造いたしまして、大型トラックあるいは小型自動車の駐車ますをふやしてございます。五十四年度末では、当初設置いたしましたそういった駐車ますの約二七%
程度をふやしております。なお、やはり現在第一次改造いたしました各施設の駐車台数がパンクいたしておりますので、今後ともこういった休憩施設の改善をいたしていきたいというふうに
考えております。
なお、先ほど申しました都市近郊におきましては非常に混雑しておりますので、既設の休憩施設の一時的な改良ではなかなか対応し切れないということで、用地を買いまして大幅に拡張しようというふうなことで、東名におきましては一番混雑しております港北パーキングエリアにつきまして大きな改良をしようということで、現在、
関係機関と協議を進めておるような
状況でございます。
-
○安恒良一君 道路公団と建設
大臣、それから
国家公安委員長であります自治
大臣にもお聞きしますが、私どもの
調査では、いわゆる高速道路におけるサービスエリアというものはただ単に運転手の休憩だけでなくて、すでにもう車が置けなくなってはみ出ている、その結果、いわゆる路上駐車といいますか、そういうのがあって、それが非常に危険だと、こういう
状況にあるというふうに把握をいたしていますが、そういう問題について
関係三者の方はどのようにお
考えでしょうか。
-
○
政府委員(杉原正君)
実態について申し上げます。
昨年の全国の高速自動車国道で、パーキングエリアとかサービスエリア等の休憩施設の駐車スペースがないために、この休憩施設に駐車できないで、夜間、仮眠のために施設周辺の車道の路肩等に駐車中のトラックが当事者になって発生いたしました事故は、静岡県内におきまして日本平パーキングエリア周辺で五件発生をいたしております。
-
○
政府委員(山根孟君)
お答え申し上げます。
出入制限のされております高速自動車国道につきましては、おおむね五十キロごとにサービスエリア、十五キロごとにパーキングエリアを設置をいたしまして利用の場を提供いたしておるわけでございますが、先生御指摘のように、特に夜間におきます大型車の駐車スペース、大変手狭になっておりましていろいろな問題を生じていることは十分承知をいたしております。先ほど日本道路公団の理事が
お答えいたしましたように、私ども可能な限り駐車ますの拡大に努めておるところでございますが、今後ともその拡張に努めてまいりたい、かように
考えております。
-
○
参考人(
持田三郎君) 先ほど
警察庁からお話がございましたように、夜間路肩に駐車しておる車あるいはバスレーンに駐車する車というようなことがございますが、これもやはり高速運転の中におきます一つの大きな交通事故になりますので、そういった車の排除をお
願いしておりますが、と同時に、手狭な休憩施設の改善をこれから検討していきたいというふうに
考えております。
-
○安恒良一君 まあサービスエリアもパーキングエリアも非常に手狭だし、問題が起きているということ、それぞれお認めくださいましたし、事故が起こったのは五件だというけれども、事故が起こってしまっては問題にならぬわけですから、この点まずそういう
現状確認ができたということで次に話を進めていきたい。
そこで、これは運輸省ないし通産省にもお聞きいたしますが、これから省エネルギーという問題が一つある。そういうような中におけるこのトラック運送業、こういうものがどういうふうに変わっていくだろうかと、こういう問題。そういう点についてそれぞれ、現在のトラック運送業の
実態と今後の展望といいますか、こういうような問題についてお聞かせを
願いたい。
-
○
政府委員(永井浩君)
お答え申し上げます。
トラックの輸送がわが国の貨物輸送の中にどういうウエートを占めているかということでございますけれども、従来は他の交通機関、たとえば国鉄あるいは内航海運に比べまして、トン数においてもトンキロにおいてもかなり高い伸び率を示しております。そういうことで、これはまあ非常に便利な輸送機関ということで伸びてまいったわけでございます。ただ、今後省エネルギーということになりますと、必ずしも効率のいい輸送機関ではないということも
考えられますので、それぞれ各交通機関が特性を生かしたような交通体系、たとえばトラックにおきましては主として中距離あるいは域内輸送を分担する、長距離につきましては鉄道とか船舶、あるいはトラックと鉄道、トラックと船舶、こういった共同一貫輸送を進めてまいると、こういう方向に位置づけられるのではないかと、このように
考えております。
-
○
国務大臣(
佐々木義武君) まず産業構造でございますけれども、産業構造が高度化していくのはこれはまあ必然でございますが、それにエネルギー
事情の変化等を
考えますと、貨物輸送面では今後原材料、基礎資材等に比しまして加工度の高い貨物のウエートが高まっていくのじゃないかと
考えられます。これに対して輸送機関がどういうふうに適合していくかと、物流のあり方と申しますか、これに関しましては、ただいま運輸省の方から御
説明いたしましたのと大差ございません。
-
○
委員長(
山内一郎君)
持田参考人には、御多忙中のところ御
出席くださいまして、まことにありがとうございます。御退席していただいて結構でございます。
-
○安恒良一君 私がお聞きしたのは、いわゆるこのトラック輸送の
現状についてもお聞きしたんですが、的確な答えがありませんから、私はやはり百キロ未満の近距離輸送というのは圧倒的にトラックのシェアが高いんじゃないかと思いますから、いま少しトラックが保有台数がどうなって、輸送
現状がどうなっているということを具体的に数字でちょっと
説明してください。
-
○
政府委員(永井浩君) 具体的な数字で
お答え申し上げますと、
昭和五十三年度のわが国の総貨物輸送量が五十五億四千二百万トンでございます。そのうちトラックによりますのが四十八億六千万トンで、大体シェアにいたしまして八七二二%を占めております。トンキロで申しますと、やはり同じような傾向でございますが、ただ、やや短距離でございますので、シェアといたしましては三七%
程度と、こういう数字になっております。
-
○安恒良一君 そうしますと、トラックの輸送がとまれば、あしたの生活必需品や工場の原材料が手に入らないと、こういう物流体系ができ上がってしまっている、だから、この省エネルギー時代に入りましても、まだまだこのトラック依存の傾向は変わらないと、こういうふうに見て間違いないでしょうか。
-
○
政府委員(永井浩君) 今後のエネルギー
事情を推定いたしますのは非常に困難でございますが、
現状を
考えますと、当面はお説のような
状況だと、このように
考えております。
-
○安恒良一君 それでは
現状が確認をできましたから、新しい二・九通達において一番目玉と言われているのは、連続運転は四時間だと、それからいわゆる一日のハンドル時間九時間、こういうことになっていますね。そうすると、この四時間というのはどのくらいの走行キロになるんでしょうか。これは運輸省、労働省。
-
○
政府委員(飯島篤君) まず
一般道路におきまして仮に四十キロぐらいで走れるといたしますと、四時間で百六十キロ、高速道路で八十キロ、まあ最高になるかもわかりませんが、それの四倍ということだと思います。
-
○
政府委員(吉本実君) ただいま
お答えしたと同じと思いますが、
一般道路で百六十キロから二百キロ、高速道路で三百キロ
程度というように思います。
-
○安恒良一君 そこでお聞きをしたいのですが、そうしますと、四時間ハンドルを握ったら休憩をしなきゃならぬ、それなら休憩所が要ると思うんです。それからキロ数にすると、
一般道路だったら百五十キロ未満ですね。百五十キロまでいくかどうかわかりません。四十キロのが非常に多いわけです。高速道路の場合もそれで言われたんですが、そういう問題について運輸省なり労働省はこの新しい通達を守らせるための具体的
措置をどうお
考えになっていますか。
-
○
政府委員(飯島篤君) 従来から、この労働法令につきましては、勤務時間とか乗務時間の設定それから休憩施設の整備等について指導したところでございます。今度の新しい通達につきましても、改善の趣旨に沿って事業者に対し周知徹底を図ることといたしたいと思っております。特に長距離のトラックにおきましては、
関係の業界とも協議して、トラック運転手の休憩施設等の整備の推進に努めるよう指導し、その運行に支障がないよう努めていきたいと
考えております。また、
一般的にトラック事業者自身におきましても、運転手の勤務時間、乗務時間を見直すとか、あるいは運転と荷役作業の分離、荷役作業人員の増員等を検討する、あるいは乗り継ぎ中継地点の設置あるいは営業所の仮眠施設の拡充、さらにはフェリー、鉄道等の利用の拡大等によります協同一貫輸送の活用などで新しい基準に対応する体制をつくるよう指導してまいりたいと
考えております。
なお、今後とも労働省、
警察庁と相互通報制度を持っておりますので、その円滑な運用によりまして事業者における運転者の過労防止を期するよう監督指導に努めてまいりたいと
考えております。
-
○
政府委員(吉本実君) 新基準に基づきます運行体制というものをやはり基本的に整備してもらうというふうにしていかなきゃならぬわけでございまして、目下そういった点についてのPR並びに試行調整というふうなことを
考えておるわけでございますが、ただいまの問題でございます休息時間との
関係につきましては、
一般道路につきましては、これは当然個々の事業主がそういった点についての体制をつくるよう私どもも指導してまいりたいと思いますし、また、そのようにお
願いをしてまいりたいというふうに思います。ただ、高速道路等につきましては、そういったことは必ずしも可能でございませんので、
関係省庁とよく連絡をとりながらそういった体制について
考えてまいりたいというふうに思います。
-
○安恒良一君 いまの答弁は後から、大分問題がありますから、特に労働省の言ったこと、後でしますか、そこで私はどうしてもやはりいま言われたことを守るためには運転手さんの休憩所というものを完備をしていかなきゃならぬと思うんですね、百五十キロなら百五十キロ走ったら休まなければならぬわけですから。そういう
意味で、これは運輸省にお聞きいたしますが、運輸事業振興助成交付金の
状況と主だった事業内容についてお聞かせを
願いたい。
-
○
政府委員(飯島篤君) 運輸事業振興助成交付金というのは設けられました趣旨が輸送力の確保、コストの上昇の抑制、労働者の処遇改善、輸送サービスの改善、輸送の安全の確保等を図るということを
目的にいたしておりまして、地方公共団体から公益法人たる、いま問題になっている場合はトラック協会に対して交付されているものでございます。
トラック
関係の運輸事業振興助成交付金の主なる使途を申し上げますと、まず第一に、各種輸送施設の整備事業、これは中身といたしましては輸送サービスセンター、トラックステーシーョンというようなものでございまして、いままでの五十一年から五十三年度までのこれに使いました実績が二十二億八千六百万円となっております。次に福利
厚生施設の整備事業でございます。中身といたしましては研修センターとか保養所等でございまして、これまた五十一年から五十三年度までの実績は六十一億七千九百万円、次に輸送サービス改善等公共の利便の増進に資する事業、中身は引っ越し相談、共同輸送システムの開発、過積載防止等交通安全
対策の推進、緊急輸送体制の整備等でございまして、同じく五十一年度から五十三年度まで三十一億九千七百万円、次に基金の造成、これはトラック事業者が車両、施設等の整備に対します融資の円滑化を図るための基金の造成でございまして、同じ期間の実績が百三十一億四千五百万円となっております。
-
○安恒良一君 私は軽油引取税を財源としたこのようなことは非常にいいことだと思いますし、今度またこれが五十五年から五十七年までこの
措置が延長をされたことも歓迎しているものでありますが、そこでそのうちの第一点の輸送サービスセンターとトラックステーションの建設
状況はどうなっていますか。
-
○
政府委員(飯島篤君)
お答えいたします。
トラックステーションにつきましては既設のもの、建設中のもの、計画中のものを含めて現在五カ所でございます。既設のものは浜松、福島、建設中のが北九州、尾道、計画中が東京でございます。
なお、関連いたしまして申し上げますが、運行管理センターが七カ所、トラック情報連絡所が二十カ所、保養センターが一カ所、それから地方分でやっておりますのが研修センターが十八カ所、乗務員の休憩所が四カ所、保養所四カ所、その他二カ所となっております。
-
○安恒良一君 いまお聞きをしますと、私はそれぐらいの建設
状況では新二・九通達を守ることは不可能だと思うんですね。高速道路だけでなくて、
一般道路を含めて、たとえば
一般道路だったら百五十キロに一カ所これは要るわけです。そういう
意味でどのくらい休憩所なりトラックステーション、まずトラックステーションがキーステーションとしてつくられ、その間に今度は休憩所というのが私は要ると思うのでありますが、どのくらいの個所設置が必要なのか、その点について
考え方を聞かしてください。
-
○
政府委員(飯島篤君)
お答えいたします。
いま先生御指摘のとおり、今後のトラックの長距離運行にとって休憩施設等の整備が非常に重要な問題になってくることは私どもも認識しているところでございます。ただ、現にトラックの運転手が利用しております休憩施設といたしましてはいろいろございまして、いま申し上げたトラック協会が運輸事業振興助成交付金により整備している休憩施設のほかに、道路公団等により整備されている諸施設、それからトラック事業者自身の営業所、それから荷主側の施設等で休憩施設としての
役割りを果たしているもの、さらには民間の駐車施設の利用などが
考えられるわけであります。こういった種々の休憩施設の整備がおのおのの面におきましてそれぞれ推進されていくことが望ましいと
考えております。具体的に何カ所ということにつきましては、今後トラック協会、建設省、道路公団等とも十分連絡協議して推進してまいりたいと思っております。
-
○安恒良一君 個所がなかなかまだわからぬそうですから、それは後でまたあれすることといたしまして、現在この運輸事業振興助成交付金の中でつくられたのは、一カ所どういう規模で、どのくらいのお金がかかったんでしょうか。
-
○
政府委員(飯島篤君) 浜松のトラックステーションにつきましては総工事費が六億七千六百五十六万九千円でございます。内訳として、土地が九千三百一平米でございまして、建物の面積が千三百三十四平米となっております。それから福島の場合は三億二千六十七万円、土地の面積が五千二百三十三平米、建物の面積が九百六十四平米というふうになっております。あと北九州につきましては十一億八千万余、土地の面積一万一千五百七十二平米、建物千三百七十二平米。尾道か七億八千三百九十三万円で、土地の面積一万七十六平米、建物の面積が千六十八平米。東京にいま計画中の場合は、これは相当土地が高うございまして十七億四千四百十二万円を予定いたしております。面積は一万六千五百平米、建物の面積が千四百二十六平米というふうになっております。
-
○安恒良一君 いまお聞きしますと、少なくともまずどんな小さいところでも土地は最低三千坪は要るだろうと、これは大都会ではとてもそんなものできませんけれども、そう思いますね。それから、やっぱり一カ所の建設費というのは、いまお聞きをしますと、大体三億から五、六億かかっていると、東京なんかではとてもそれで上がらぬと、こういうことになってまいりますと。それから、私は少なくとも
一般道路百五十キロ未満、高速三百キロ未満と、こういうふうになってまいりますと、とてもこの運輸事業振興助成交付金だけでやっておったのでは問題は解決できないと思います。
そこで、必要個所については、いまのところまだこれからだということですから、私は、運輸省、それからトラック業界、それからそこで働いている労働者で全体で協議をして、まず必要個所を設定する必要があるというふうに
考えますが、そこで、今度は建設省にお聞きしたいんですが、こういう
状況の中で、建設省としては、たとえば一つの道路整備特別会計というのがありますが、そういう中からこういう問題が
考えられるんでしょうか、どうでしょうか。
-
○
政府委員(山根孟君)
お答え申し上げます。
出入制限が行われております高速自動車国道につきましては、先ほど来
お答え申し上げておりますが、サービスエリア、パーキングエリア、つまり連続高速走行によります運転者の疲労と緊張を解きほぐして、疲労による事故を防止するための施設といたしまして、適当な間隔、すなわちサービスエリアおおむね五十キロ、パーキングエリアおおむね十五キロという間隔で休憩施設を設置をいたすことにいたしております。これはもっぱら料金によって利用者が負担をすると、こういう形になっております。
出入制限を行っていない
一般道路でございますが、現在もっぱら民間によります休憩等の諸施設あるいは先ほど来運輸省の方からお話しのあった休憩等の諸施設が設置、運営をされておるわけでございます。道路整備特別会計でこれら休憩等施設を整備するという点につきましては、現行法上道路管理者がみずからこれらの施設の整備運営を行うというたてまえになっておらないということ、また、
現状の道路整備の需要、財源の需給
関係等から見ても困難であるというぐあいに
考えておるわけでございますが、運転者の利便に資する駐車施設につきましては、地域の
状況に応じまして道路改築の際にいろいろな工夫をいたしまして、残地等を利用するような駐車スペースの確保に努めておるわけでございまして、こういった形で私ども今後対応してまいりたい、かように
考えておるものでございます。
-
○安恒良一君 建設
大臣にお聞きしますが、道路整備特別会計というのは、単に道を舗装する、改良するということだけではないんじゃないか。少なくとも今日これだけの自動車時代になりますと、駐車場というのは、私はいわゆる道路の施設の一端だというふうに思いますが、建設
大臣、この点どうお
考えですか。
-
○
国務大臣(渡辺栄一君)
お答えいたします。
ただいま
政府委員から
現状等につきましては御
説明をいたしたとおりでございます。
そこで、私どもは、やはり道路整備のニーズにこたえるために財源
措置をお
願いをしておるわけでございますが、いまも申し上げましたように、この特別会計によりまして休憩等の施設の整備を行うということは、現行法上道路管理者がみずからこれらの施設の整備が行えないと、あるいはまた
現状のそのような体制から申しましても非常に困難でございますけれども、しかし、お話しのございましたような駐車施設と、こういうようなものにつきましては、地域の
状況に応じまして道路改築のときに設けられまするように鋭意努めてまいりたいと、この点につきましては今後とも
努力をしてまいりたいと、こういう気持ちでございます。
-
○安恒良一君 そこで、この問題だけに時間をとっておくわけにいきませんから、最終的にこれは大蔵
大臣、建設
大臣、それから労働
大臣等にお聞きをいたしますが、いま私が
実態を明らかにしましたように、高速道路におきましてもまた
一般道路におきましても、この二・九通達を守るためには、どうしてもまず駐車施設をつくっていかなきゃならぬ、それから休憩所をつくっていかなきゃならぬ、このことは明らかになったと思います。でなければ、たとえばパーキングエリアに尾灯だけをつけてとまっているが、それがもうはみ出している、そして路肩に出ていると、こういうことで危険が起こっているわけです。そうしますと、少なくともこのような道路整備特別会計等から財政支出をしながらいま言ったような危険を防いでいくという、それからまた二・九通達を完全に守らせるための施設が必要だというふうに
考えます。すでに五十五年度
予算はいま審議中でありますから、少なくともこういう問題については、ひとつ
関係大臣の間で前向きに来年度
予算編成について
考えていただきたいと思いますし、これは各省にまたがっておりますから、官房
長官もこれを含めてのお
考え方をお聞かせを
願いたいと思います。以上でございます。
-
○
国務大臣(藤波孝生君)
委員御指摘の新しい改善基準が守られてまいりますように施設をつくっていくということにつきましては、労働省といたしましても、他の省庁と連絡をとり協議をいたしまして万全を期してまいりたい、このように
考えております。
-
○
国務大臣(渡辺栄一君) ただいまも申し上げたとおりでございまして、道路整備特別会計そのものによりまして処理をすることは
現状困難でございまして、軽油引取税の増徴のときに御承知のような経過をたどっておりますけれども、そういうような
意味におきまして、お話の件も大変大事な件であると思っておりますので、先ほど申しましたように、駐車施設等につきましては、建設省といたしましても、これが閉鎖的なものであろうと、あるいはオープンなものでありましょうと、できる限りこれらのものを重視していくように
努力をし、またそれぞれ
関係の公団につきましては指導いたしてまいりたい、かように
考えております。
-
○
国務大臣(竹下登君) 先ほど来、建設
大臣なり労働
大臣なり、あるいは
建設省道路局長からの
お答えの中にもございましたように、いわゆる高速道路、有料道路につきましてはそれなりの施策が行われ得ると思うのでありますが、出入制限のない
一般道路というのが恐らく一番問題を多くはらむのじゃないかなという感じでもって私も聞いておりました。
そこで、その道路特定財源を他の使途に充てるということにつきましては、これは長い
議論をして今日まで至っておるわけでありますが、道路整備の必要性と、そうして負担と受益の
関係というようなもので、種々なる角度から検討をする必要がある問題であると思っております。ただ、御指摘の問題につきましては、当然これは交通安全、労働安全あるいは道路行政というような角度で御相談があろうかと思いますので、私どもも、それら
関係省庁の工夫された問題につきまして、また相談するにやぶさかではございません。
-
○
国務大臣(伊東正義君)
お答え申し上げます。
いま、それぞれ所管
大臣から
お答えになりまして、最後に大蔵
大臣から相談に応ずるにやぶさかでないという御答弁があったようでございますので、私ども一は、大蔵
大臣が、非常にこれは
予算に
関係あることでございますから、そこで協議されるものと思って期待しております。
-
○安恒良一君 私は、大蔵
大臣を初め御要望しておきたいんですが、道路整備特別会計というのはいろいろないきさつがあったことは事実です。しかし、これを
一般財政にという意図もことしお持ちになって、挫折されたことも事実ですね。しかし、私が言っていることは全く無
関係のことを言っているわけじゃないわけですね。トラックの運転手さんなりマイカーの運転手さんがサービスエリアにいっぱいになって路上駐車をして危険ではないか、それから法令も改正されたじゃないか、それを守らせるための必要な駐車場やそれから休憩施設のことですから、私は非常にこの道路整備特別会計になじむ問題だと思います。そういう
意味で要望ですが、ぜひとも
関係大臣において来年度からの問題について御検討をお
願いをしたい、こういうことを申し上げてこの問題は終わりにいたします。
次に、医療費問題についてお聞きをしたいんですが、御承知のように、私は総括質疑のときに医療費の
現状についてお聞きしました。
そこで、まず
厚生大臣、ここ数年間の医療費の
増加状況について、それから将来の見通しについてお聞かせを
願いたい。
-
○
政府委員(石野清治君) 五十三年度の医療費につきましては約十兆円、まあ若干の誤差はございますけれども約十兆円、それから五十四年度が恐らく十一兆ちょっと欠ける
程度ではないかと思います。それからさらに五十五年度、来年度でございますが、五十五年度になりますと約十二兆円、こういうまあ大体の推計をいたしております。
-
○安恒良一君 五十八年二十兆ということがかなり前から言われていますが、そのことはどうですか。
-
○
政府委員(石野清治君) 五十三年度の際に将来推計いたしましたときに、五十八年度に約二十兆になると、こういうふうに推計いたしたわけでございますが、その後、五十三年度の動きを見ますとやや鈍化いたしておりますので、二十兆をちょっと欠けるのじゃないかと、こういうふうに
考えております。
-
○安恒良一君 まあ、いずれにしましても二十兆ちょっと欠けるということで、いままでの過去の伸びは年率約一五%近い伸びだったと思います。
そこで、医療費がふえる要素について何と何があるというふうにお
考えですか、ひとつお話し
願いたい。
-
○
政府委員(石野清治君) 医療費の
増加要因でございますが、これはいろいろあると思いますが、一つはいわば人口増に伴うもの、これは当然だと思います。それからもう一つは、制度改正をいたしまして給付改善をいたしますと、この面も
増加をいたしてまいります。それから、同時に診療報酬の改定がありますとこれは当然
増加をいたしますが、そのほかにいわゆる自然増というような形で言われております、医学、薬学の進歩によりますものと、それから人口の高齢化によりますものと、それから若干ずつではございますけれども疾病構造の変化、そういうものもあると思います。それが自然増というふうに私ども
考えております。
-
○安恒良一君 現在までの医療費の増というのをそれだけで——いま挙げられたものは、私は計量的にもある
程度わかると思いますが、それ以外にいわゆる自然増というのがあるのじゃないでしょうか。
-
○
政府委員(石野清治君) 確かにいま申し上げましたほかに、医療救急体制の整備に伴う
増加もございましょう。それから、なかなか
解明ができないわけでございますけれども、医師のビヘービア、こういうものの変化もあるいはあるのかと思います。
-
○安恒良一君 そこで、私はいま一遍これは大蔵
大臣と
厚生大臣にお聞きをしたいんですが、私は総括の中で、このように医療費がどんどんふえていくことについて国民がもう負担にたえかねる、低経済成長で。そこで、医療費そのものの抑制について諸外国はいろいろな英知を働かせているから
考える必要があるのではないか、こういうことを聞いたわけです。ところが、
厚生大臣の
お答えはわかっておりますからもう結構ですが、
厚生大臣の
お答えには納得しかねるものがありますから、これから聞くんですが、大蔵
大臣、財政を預かる大蔵
大臣として、この医療費の今日の非常な
増加、これに対する諸外国が大胆にこの医療費抑制についていろいろな
措置を講じておりますが、大蔵
大臣どうお
考えですか。
-
○
国務大臣(竹下登君) この医療費は、ただでさえ人口の老齢化あるいは医療の高度化等々によりまして
増加するところでございますだけに、これに応じて費用負担の
増加も避けがたいというところでありますが、ましてや医療費にむだがあってはならないということは私も同感でございます。
したがいまして、いま健保制度の基本的改革を提案しておるところでございますので、このような制度改正とまた日常の行政
努力、そういうものでむだの排除や医療資源の効率的活用、これには従来以上に真剣に取り組んでいかなければならない課題であるというふうに理解をいたしております。
-
○安恒良一君 いま大蔵
大臣から、医療費問題の一つの大きい問題として医療費のむだ排除について
考えなければならぬと言われたので、私もまさにそのことは同感でありますが、
厚生大臣と大蔵
大臣にお聞きいたしますが、医療費のむだ排除について具体的にどういう方針をお持ちで、どういうことが
考えられますか、それをお聞かせ
願いたいと思う。
-
○
国務大臣(
野呂恭一君) 人口の高齢化とかあるいは医療の高度化によって非常に医療費が急激に
増加の一途をたどっておるわけでありますから、それがためには医療費の効率化をどう図っていくかということは医療保険制度の中での最大の問題とも申し上げるべきことだと
考えるわけでございます。しかし、実際は一〇〇%効率的な医療費の使用ということは、言うべくしてなかなかその抑制策というものは大変私はむずかしいのではないかというふうに
考えているわけでございます。したがって、非効率的な医療費の使用に対しましては、行
政府はもちろんでありますけれども、診療側あるいは受診側におきましてもそれぞれ改善を積み重ねてまいりまして、そういう一連の十分な連携をとりながら
考えていかなければならないのではないかと。もちろん行政面におきまするこの
対策の重要なことは言うまでもないと思いますが、全体の中でしていかなければ、そう簡単にこういうことですぐ下げることができるというような安易なものではないと、かように
考えているわけでございます。
-
○
国務大臣(竹下登君) 私は、医療費問題については、ずいぶん前でございますけれども、安恒
委員が中医協の
委員をしていらっしゃるころに、あなたに教わったわけでありますので、あなたに
お答えするだけの豊富な知識はありませんが、一口に言って、乱療乱診、乱投薬と、こういうふうに
考えております。
-
○安恒良一君 まあ大蔵
大臣のはある
程度具体的な話がちょっと出たんですが、
厚生大臣、担当
大臣として全くいまのあなたの御答弁は抽象的で理解に苦しみます。もう少しきちっとひとつ。
そこで、やむを得ませんから私は少し聞いていきたいと思いますが、医療費のむだ排除について
考えられる事項の第一項として、私は医療供給面にあると思いますが、医療供給面であなたがいまどういう点を是正しようとされるのか、どうしようとされるか、医療供給面についての
考え方を聞かしてください。
-
○
国務大臣(
野呂恭一君) 医療供給体制の問題は、国民の医療確保の
観点から、医療の
不足しております分野について必要な整備を図っていかなきゃならぬという一つの側面を持っておると思います。またもう一つの面は、限られた医療資源というものを有効にどう活用していくかという
観点に立ちまして、お医者さんや医療施設の適正な配置を促進していくという側面があると思います。これらをどう調和してその整備を進めていくかということが私は医療供給面におきまする医療のむだ排除のこれからの具体策でないかと思うのであります。
したがいまして、従来から
厚生省といたしましては、僻地医療
対策の計画的な推進を図り、また、救急医療
対策や各種の特殊疾病に対する
対策を推進してまいったわけでございます。さらにまた、医科
大学のない県を解消するため医療の従事者の養成を確保するなどに努めてまいっております。また一方では、規制の面におきましては、公的病院に対する病床の規制を行ったり、あるいは医療金融公庫による政策的な融資を行うなど、いろいろな施策を実施しながら医療機関の体系的た整備と有機的な連携を図っていくというふうに進めてまいっておるわけでございます。
-
○安恒良一君 私がきょう聞いているのは、医療費のむだ排除の
観点から
考えられる医療供給面を聞いていますから、これからもそういう点で……。
そこで、いまいろいろなことを言われましたが、私は、一つの問題として、これはやはりたとえば病院と診療所の
機能分化ということも
考えなきゃならぬのじゃないか。それから僻地とか、いろいろなことを言われましたが、やはり医者の適正配置ということも
考えなきゃならぬのじゃないかと思いますが、そういう点について
大臣から触れられませんでしたが、どうでしょうか。もしも
大臣御無理だったら担当
局長の方で的確に、
考えていることと、いままでやったこと、それからこれからやろうとしていることについて
お答えください。
-
○
政府委員(
田中明夫君) 病院、診療所の
機能分化につきましては、わが国の病院が外国の病院とその沿革が違っておりまして、非常に外来患者を受けている量が多いという点があるわけですが、これはわが国の医療制度が諸外国とその発生、発達の沿革を異にしておりますので、なかなか改めるということはむずかしいのではないかと思うのです。また一面におきましては、病院が外来を扱うということについて利点もあるわけでございます。
次に、病院あるいは診療所、あるいは開業医の適正配置についてでございますが、御案内のように、わが国の医療制度は自由開業医制を根幹といたしておりますので、諸外国におきましても開業医については大体そういうことですが、病院につきましては非常に公的な医療機関の占める割合が多いためにわが国よりも規制がやりやすいという事実があるわけでございます。わが国におきましても、公的な医療機関につきましては、先ほど
大臣が申し上げましたように、病床の規制を行うというようなことをやっておりますし、また、諸外国におきまして、病院の医療費の非常な増大ということに対応いたしまして、病院の新設、増設、あるいは非常に高価な医療機械の設備の規制というようなことを各地域の計画に基づきまして財政面のいろいろな手だてを持ってやっておるわけでございますが、その点につきましては、わが国におきましては、先ほど
大臣から申し上げましたように、医療金融公庫等の融資を通じまして必要な地区に重点的に配置するということをやっているわけでございます。
-
○安恒良一君 どうも全くピントが外れて、医師会がこわいこわいということで、明確な答弁でありませんね。私がお聞きしていることは、たとえば人工透析施設とかCT施設など、高度な医療施設の配置、使用のやはり適正化をやらなきゃならぬ。いまあなたが
お答えになったのは、医療金融公庫から金を貸してやってつくればいいと、こういうことですが、そういうところにもむだがあるのじゃないでしょうか。
それから病院の公的ベッドの規制ということは、これは国国は逆に公的ベッドの規制は間違っていると、こう言っているんですよ。私が聞いているのは、公私を問わず病院及び病床の適正配置を
考えたらどうかということを言っている。
それから自由開業医なんて、そんなこと知っていますよ。だから医者の偏在ができているんじゃないですか。僻地だけじゃないんです。たとえば埼玉であるとか千葉であるとか、首都圏でも大きく医者が足らないんでしょう。それをやるためには、いまのような自由開業医システムだけに任しておってはだめじゃないかと、だからどうするのかと、こう聞いているんですよ。医師会こわいこわいで、
現状の
説明だけだったら私の方が詳しいから要りませんよ、それは。あなた
たちはどうするのかと、こう聞いているんです。
-
○
政府委員(
田中明夫君) 先ほど申し上げましたとおり、開業医の配置の規制につきましては、イギリスのようにナショナル・ヘルス・サービスの形態をとっているところは別にいたしまして、やはりそのほかの欧米の諸国におきましては、憲法上の制約もありまして、実際に開業医をあそこにやれというようなことはできないという実情でございまして、わが国もそれと同様かというふうに
考えておるわけでございます。ただ、非常に医療機関の少ない地域につきましていろいろな補助、助成をすることによって、そちらの方の僻地、あるいは急激に人口が増大いたしまして医療機関が少なくなっているところに医師あるいは医療機関が増設されるという手だては助成の方法によって図っているわけでございます。
-
○安恒良一君 病院はどうするの、開業医だけ聞いていない。
-
○
政府委員(
田中明夫君) 病院につきましては、先ほど申しましたように、
大臣も申し上げましたが、救急医療あるいは僻地医療、あるいは特殊疾病を扱う医療部門、そういうものにつきまして助成を図るとともに、総体といたしまして
一般病床が余り多くならないように公的病院の病床の規制を図っているところでございます。
-
○安恒良一君 これも全く答えになっていません。私は、病院、病床の適正配置をこの際
考える必要があるのじゃないかと聞いているのですよ。あなたは、じゃふえないように抑える、こう言っているのです。もう少し人の
質問をきちっと聞いてもらいたいのです。
-
○
政府委員(
田中明夫君) また同じ答えになるかと思いますが、必要な病床の確保につきましては、先ほど申しましたいろいろな救急医療あるいは特殊疾病の医療部門の設備の整備に対しまして補助を行って、そういう必要な病床の確保を図っているわけでございます。
-
○安恒良一君 あのね、必要なと言われていますけれども、あなた
たち自身の病床、病院の偏在や医者の偏在のワーストといいのと発表されたじゃないですか。その中において、たとえば非常に医者の少ないところ、病床の少ないところ、国民が困っているところ、こういうことが過日
厚生省の
調査で大きく新聞に載ったでしょう。そういう点をどうするのか。たとえば神奈川の問題をどうするのか、埼玉の問題をどうするのか、沖繩の問題をどうするのか、こういうことについてぼくは聞いているわけです。そんな抽象的なお話をあなたから何回聞いたってしょうがないのですよ。
-
○
政府委員(
田中明夫君) 具体的に申し上げますと、沖繩につきましては、御案内のとおり、近く医科
大学が開校されることになっておりますし、沖繩につきましては従来からの経緯があって非常に医療機関あるいは医療
関係者が少ないわけでございますが、これにつきましては本土からの医療
関係者の派遣、あるいは僻地の医療に対する各種の助成をもって対応をしているところでございます。また、神奈川あるいは埼玉、千葉等、大都会における人口急増地域につきましては、不採算の病院につきまして補助を行っているところでございます。
-
○安恒良一君 これも全く答えになっていません。時間がありませんからあれします。
私は、
大臣、これはひとつ検討してもらいたいと思いますが、自由開業でやられる部面は構いませんが、保険医を標榜する以上、やはり地域、人口等々で医者の適正配置をもう
考えるべき段階に来ている、これは病院、病床を含めて。でなければいまの偏りというのは直らないと思いますから、ぜひ前向きに検討していただきたいと思います。
そこで次に
質問しますが、いまのが医療供給面ですが、医療保険の行政面から、むだ排除についてどういう点をお
考えですか。
-
○
政府委員(石野清治君) 医療保険行政面からも幾つかございますが、そのうちの私ども一番重点に
考えておりますのは指導監査の問題でございます。指導監査につきましては、従来不正ということは当然これで取り締まってまいりましたけれども、先生がたしか五十二年の社労
委員会の方で、不当と思われますものについてもっとメスを入れるべきではないかということで、具体的な例示を挙げて御
質問になりました。その不当問題についても昨年の一月から立ち入ることにいたしまして、特に医学常識から見まして極端に診療点数が高いものでございますとか、あるいは時間外診療とか往診等について極端に多いというようなもの、そういうものにつきまして指導監査の
対象にいたすことにいたしたわけでございます。
それからもう一つは、指導の体制の問題が一つございまして、従来、私どもに医療課というのがございまして、医療課が行っておったわけでございますが、これでは非常に不十分でございますので、五十四年度におきまして医療指導監査官というものを設置いたしまして、不十分ではございますけれども、二名の配置をいたしましたし、それからさらに地方には医療専門官を助けるために医療事務監査官を新設いたしました。五十五年度におきましてその増員を図りまして、指導監査体制の充実を図ったわけでございます。今後はこの体制を十分活用いたしまして、中央地方一体となってその指導監査について重点的にやっていきたい、こういうふうに
考えておるわけでございます。
-
○安恒良一君 保険行政面でたったそれだけですか、ほかにありませんか。
-
○
政府委員(石野清治君) もう一つ大事な問題は薬価基準の問題がございます。前から薬価基準の問題については御
議論があるわけでございますけれども、これにつきましても、特に一番大事なことは、従来の
調査方法が非常に不適正であるということで、五十三年の
調査につきましては特別
調査をいたしております。これは特に
厚生省職員みずからによる
調査という形でいわば他計
調査を取り入れましたわけでございますが、これをできるだけ早くまとめまして、できるだけその現在の乖離というものをなくしたいというふうに
考えておるわけでございます。そういうことをやりました上でもなおかつ十分ではないということになりました場合には、さらに薬価
調査の方法も改善しなければなりませんし、先生が前から御指摘になっておりますようなバルクライン問題とか、そういう問題についても検討しなければならない、こういうふうに
考えておるわけでございます。
-
○安恒良一君 私は過日総括で
厚生大臣にお聞きしたら、医療費のむだ遣い、特に医療費抑制についてわが国は直ちに抑制方法自体を
考える必要はない、監査指導を強化すればいい、薬価基準の適正化をやればいい、こういう
お答えでありました。私は時間がなかったからそのまま見過ごしましたが、なぜかというと、そこまでは言って実際やっているのかということなのです。指導監査を本当に強化しているのか。これは
衆議院(しゅうぎいん)でもいわゆる渡辺前
厚生大臣、私どもの大原
委員からもこの点には厳しく追及をされているわけですね。それにもかかわらず、あなた
たちは、いま指導監査を妨げている一番大きい問題でありますところの三十五年の覚書の廃止については、
大臣も
局長も、廃止する必要がない、こういうことだ。そこで最終的に大原さんから、これは
予算委員会の理事会で取り上げてもらいたいということが言われて、
衆議院(しゅうぎいん)では理事会において協議する、こういうことになっていますが、ここの指導監査を大きく妨げています三十五年の覚書の取り扱いについて
衆議院(しゅうぎいん)の
予算委員会以後どういうふうにお
考えになっていますか。
-
○
国務大臣(
野呂恭一君) 指導監査に対して覚書を交換した、このことに対してそれをどうするのかということでございますが、私どもといたしましては、必ずしもこれは拘束するものでない、むしろ具体的に指導監査をより進めるための医師会側の協力も得なければならぬという運営上の問題として
考えておるわけでございまして、今後とも指導監査についてはその充実強化をいたしてまいらなければならぬことば当然であると
考えております。
-
○安恒良一君
衆議院(しゅうぎいん)の議事録では、いわゆるこれは、大原さんが、偶然か何か私の発言も渡辺
委員の発言も一致していると。そこで、これは
予算委員会の意思表示でもあるのだから、この問題は理事会で十分相談してもらいたいということで、向こうの
委員長は、理事会で相談しますと、こうなっているわけだ。ですから、理事会でどんな相談がされてどのように取り扱おうとされているのか、そのことも聞いているわけです。
-
○
政府委員(石野清治君) 理事会の結果については私承知いたしておりませんけれども、少なくともそのときに、指導監査について行政庁が十分行われるように政治的にもバックアップすべきではないか、こういうことの発言でたしか終わったように私記憶いたしております。
-
○安恒良一君 この点も時間がありませんからあれですが、やはり
野呂厚生大臣、もうお
考えになるときに来ているのじゃないか。というのは、これがあるからやりやすいわけじゃないのですよ。たとえば大阪の川合病院なら川合病院についてまだ依然としてできないでしょう。それはやはりこういう問題があるからですから、これはひとつ、正しいことは正しい、妨げになっていることは妨げになっているということで、医師会こわいこわいじゃ困るんですよ。どうですか。こういう点についてはやはりもう指導監査を厳重にしなきゃならぬ。これは助けになってない、妨げになっているというふうに、何も
社会党だけ言っているわけじゃない、前
厚生大臣もそう言っておられるわけなんですから。その辺について、あなた
たちが依然としてああでもないこうでもないというところがわからぬ。私は正すべきところは正すということが必要じゃないかということを聞いているんですが、どうですか。
-
○
国務大臣(
野呂恭一君) これは覚書もずっと前のことでございまして、私は今後指導監査を進めていくについて必ずしも拘束されておるとは
考えておりません。われわれは当然すべきものはちゃんとしていかなきゃならぬというふうに思っておるわけでございます。医師会をこわがってといったような御発言ございましたが、決してこわがっているとか、そういうものではないのでございまして、今後なすべきことはどんどん進めてまいりたい、かように
考えております。
-
○安恒良一君 たとえば、あなたが答えられました指導官とか専門官を設置する、そのことすらボイコットされているじゃないですか。それで本当にこういうとこで聞くと、監査指導をやりますと言いながら実際はやられてないんじゃないでしょうか。そういう単純なことでもボイコットされている。そういう
現状の中で、言葉だけで言ったんでは私はいけないと思いますので、その点についてもう時間がありませんから、ひとつ私は日本の医療というものを
考えると、こういういわゆるむだ排除、正すところは正す、こういう気持ちを
大臣はしっかり持ってもらいたいということを申し上げて終わりにします。(拍手)
-
-
-
-
○吉田正雄君 最初に、科技庁
長官にお尋ねいたします。
原子力基本法第二条の精神について述べていただきたいと思います。
-
○
国務大臣(長田裕二君)
お答えいたします。
原子力基本法第二条は「原子力の研究、開発及び利用は、平和の
目的に限り、安全の確保を旨として、民主的な運営の下に、自主的にこれを行うものとし、その成果を公開し、進んで国際協力に資するものとする。」、そういうふうにうたってあります。
-
○吉田正雄君 その趣旨から、日本の核兵器保持、使用は認められないと思いますが、どうですか。
-
○
国務大臣(長田裕二君) この法律では「研究、開発及び利用は、平和の
目的に限り、安全の確保を旨として、」、そういうふうにうたってありまして、どういう手段で平和の
目的を達し、あるいはどういう方法で安全の確保を旨とするかとかということにつきまして具体的にはうたってあるわけではありませんけれども、私どもは、研究開発、利用につきましてわが国でやる場合には、そのようにしてまいりたいと思います。
なお、兵器の問題につきましては、
防衛庁長官からでも
お答え願いたいと思います。
-
○吉田正雄君 防衛庁には後でお聞きしますけれども、この基本法の第二条の精神からするならば、主管
大臣としてはこれをどのようにお
考えになっているかということで、平和
目的に限り利用できるんですから、そういう点からいかがですか、こう聞いているんですよ。
-
○
国務大臣(長田裕二君) 平和の
目的をどういうふうに達するかという問題につきましては、また、別の
観点もあろうかと思うわけでございます。
-
○吉田正雄君 そうじゃない、平和の手段を達成するじゃなくて、利用について聞いているんでしょう、第二条の。第二条をよく読んでくださいよ。
-
○
国務大臣(長田裕二君) 「平和の
目的に限り、安全の確保を旨として、」というふうに書いてあります。
防衛の問題は平和と矛盾するのかどうなのかということなどにつきましては、これは担当の方から
お答えを申し上げることにさしていただきます。
-
○吉田正雄君 核兵器の破壊力がきわめて大きいだけに通常兵器よりも大きな戦力になると思うんですが、これも科技庁
長官どうですか——防衛の
観点で聞いているのじゃないんですよ。あくまでも原子力基本法の
立場から聞いているんです、科学的な
観点から。
〔理事
安田隆明君退席、
委員長着席〕
-
○
国務大臣(長田裕二君) 原子力基本法第二条につきましての従来の統一見解におきましては、ただいまの条文のとおり「わが国における原子力の利用が平和の
目的に限られていることは明らかである。したがって、自衛隊が殺傷力ないし破壊力として原子力を用いるいわゆる核兵器を保持することは、同法の認めないところである。また、原子力が殺傷力ないし破壊力としてではなく、自衛艦の推進力として使用されることも、船舶の推進力としての原子力が
一般化していない
現状においては、同じく認められないと
考える。」というのが
昭和四十年四月十四日の
政府の統一見解だそうでございます。
-
○吉田正雄君 当初からそれを述べてもらえばよかったんですよ。
じゃ、
防衛庁長官はいかがですか。聞いたことだけに答えてください。
-
○
国務大臣(細田吉藏君) 憲法の解釈についてはいろいろございますけれども、この原子力基本法によりまして、原子力基本法及び核兵器不拡散条約、この規定、
両方——この条約のことはお聞きになっておらぬと思いますが、これは一切の核兵器は保有し得ないと
考えております。
-
○吉田正雄君 もう一回尋ねますが、
防衛庁長官、核兵器の破壊力はきわめて大きいでしょう。だから、通常兵器より大きな戦力に、仮に兵器とした場合には大きな戦力になると思いますが、どうですか。
-
○
国務大臣(細田吉藏君) 原則的にはさようであると思います。通常兵器でも非常に破壊力の大きいものもございますことは申し上げるまでもございません。
-
○吉田正雄君 次に、外務
大臣にお尋ねしますが——代理はおりますか。
-
-
-
○吉田正雄君 外相代理見えておりませんが、見えなかった理由、忙しいということだけ聞いていますけれども、どうして見えなかったのかということ、冒頭に条約
局長でもいいですから答えてください。
核兵器の不拡散に関する条約について、現在加盟国は幾つですか。
-
○
政府委員(賀陽治憲君)
お答えをいたします。
百十一が現在の締約国でございまして、批准が九十一、加入が十四、承継六と、これはいずれも法的効果は同じでございますので、百十一というふうに御了承いただきたいと思います。
-
○吉田正雄君 署名から批准まで六年かかっておりますけれども、長引いた原因をどういうふうに
考えておいでになりますか。
-
○
政府委員(賀陽治憲君) 核兵器の不拡散条約は、もちろん多くの国が多大の関心を持っておるわけでございますが、いわゆる世界的規模における安全保障という
観点から、永遠に核兵器の取得を放棄するということについてはいろいろな判断をする国があったことも事実でございますし、特に開発途上国の場合におきましては……
-
○吉田正雄君 わが国のことを聞いているんです。
-
○
政府委員(賀陽治憲君) わが国の場合には、これはやはり安全保障上の考慮、その他もろもろの
要請というものを踏まえて御
議論がいろいろあったわけでございまして、若干の時間を要したということが事実であろうと思います。しかし、当初から前向きに外務省としてはこの核不拡散条約に対しての早期批准ということを心がけてまいったことは御高承のとおりでございます。
-
○吉田正雄君 この条約の主要な
目的というのは、どこにありますか。
-
○
政府委員(賀陽治憲君) これは名の示しますごとく、核兵器の拡散防止ということでございまして、加盟国が核兵器を取得しない、生産しないということの約束でございます。もちろん原子力の平和利用という問題の側面があることは御承知のとおりでございます。
-
○吉田正雄君 一つ大事なのがおっこちていませんか。
-
○
政府委員(賀陽治憲君) 基本的には核兵器の拡散防止に協力をする、不拡散ということと原子力平和利用ということの二点であろうかと
考えておりますけれども。
-
○吉田正雄君 それじゃ、第一条と第二条の趣旨を述べてください。
-
○
政府委員(伊達
宗起君)
お答え申し上げます。
第一条は、核兵器国の義務を規定してございまして、核兵器国は核爆発装置又はその管理をいかなる者に対しても直接又は間接に移譲しない、譲らないと。それから核兵器その他の核爆発装置の製造若しくはその他の方法による取得又は核兵器その他の核爆発装置の管理の取得につきいかなる非核兵器国に対しても何ら援助、奨励などはしてはいけないということが第一条に述べてございます。
第二条は、これに対します非核兵器国の義務でございまして、非核兵器国は核兵器その他の核爆発装置またはその管理をいかなる者からも直接、間接に取得、受領しないこと、それから核兵器その他の核爆発装置を製造しないし、あるいはその他の方法によって取得しないこと、またその他核爆発の装置の製造についていかなる援助も外部から求めてはならないというようなことを定めてございます。
-
○吉田正雄君 そうすると、日本はいかなる国、たとえ安保条約を結んだアメリカからでも核兵器その他の核爆発装置またはその管理を直接であれ、間接であれ受領してはならないことになりますね。
-
-
○吉田正雄君 また第二条の規定から、わが国は核兵器その他の核爆発装置を製造せず、その他の方法によって取得しないこと及び製造についてのいかなる援助も求めたり、受けないことを国際的に約束したことになりますね。
-
-
○吉田正雄君 科技庁
長官、この点についてはどうですか。
-
○
国務大臣(長田裕二君) 不拡散条約につきましての外務省の見解のとおりだと思っております。
-
○吉田正雄君 この条約及び原子力基本法の内容と精神は非核三原則の精神、内容と全く同様だと思いますが、どうですか。
-
○
政府委員(伊達
宗起君)
お答え申し上げます。
原子力基本法につきましては、私、有権的な解釈を申し上げる
立場にはございませんが、非核三原則というこの条約との関連におきましては、この条約は、先ほども御
説明申し上げましたように、つくらないということ、それから持たないということを述べている。これは非核兵器国の義務として第二条に先ほど申したように書いてあるわけでございますが、非核三原則のうちの第三番目の持ち込ませずというものについては、この条約では何ら規定をしていないわけでございます。
-
○吉田正雄君 そこの見解については若干違いますが、次に憲法第九十八条との
関係について、この不拡散に関する条約は国会で承認されているわけですけれども、条約は一部でも憲法の条規に反したり適合しないところがあるかどうか、これはいかがですか。
-
○
政府委員(伊達
宗起君) ちょっと御
質問の
意味がよく理解できないのでございますが、条約は一部でも憲法に違反してはならないものであるかどうかという御
質問でございましょうか。
-
○吉田正雄君 いやいや、適合しておるかしないかということなんです。適合しない部分があるかということを聞いているんです。
-
-
○吉田正雄君 そうです。
-
○
政府委員(伊達
宗起君) それは適合していないような部分は一切ございません。
-
-
-
○吉田正雄君 そうすると、この第二項は「日本国が締結した条約及び確立された国際法規は、これを誠実に遵守することを必要とする。」とあるわけですけれども、これは単なる訓示規定ではなく、文字どおり遵守すべき義務規定であると思いますが、法制
局長官、いかがですか。
-
○
政府委員(
角田禮次郎君) 条約の規定を条約の締結国が遵守しなければならないことは当然ではございますが、特にわが憲法は九十八条二項でそのことを明定しておりますから、訓示規定とか何かそういうことを離れて申し上げますが、九十八条二項を遵守しなければならないことは当然だと思います。
-
○吉田正雄君 外務省にお聞きします。
したがって、この条約に反するということは憲法九十八条のいまの第二項に違反することになると思いますが、いかがですか。
-
○
政府委員(
角田禮次郎君) 憲法との
関係の問題でございますから、私から
お答えいたしますが、御指摘のように、わが国は核兵器の不拡散に関する条約を締結しているわけであります。先ほど来お話が出ておりますように、同条約の第二条の規定によれば、いわゆる非核兵器国は核兵器を保有してはならない旨を定めているのでございますから、わが国が核兵器を保有するというようなことをすればこの条約に違反することになるのはもう言うまでもないと思います。
他万、御指摘の憲法九十八条二項というものは、わが国が締結した条約を誠実に遵守すべきことを定めているわけでございますから、仮に核兵器の不拡散に関する条約に違反をするというようなことがあれば、わが国が締結した条約を誠実に遵守していないという
意味で憲法九十八条第二項の規定に違反する結果になるということも、これまた言うまでもないところだと思います。あるいは……
-
○吉田正雄君 そこまででいいです。
次に、
防衛庁長官にお尋ねします。
わが国の非核三原則は歴代内閣によって強調され、今回まで確認をされ続けてまいりました。これはわが国が人類初の被爆国となり、それによって数十万人の尊い人命が奪われたことが大きな歴史的な背景、動機となっていることはもちろんでありますけれども、憲法の前文、九条の戦力、あるいは第九十八条のただいまの規定や原子力基本法、さらにはいまの核不拡散条約などを踏まえて、国是としてこの非核三原則が打ち出されたということは明らかだと思いますが、いかがですか。
-
○
国務大臣(細田吉藏君)
お答え申し上げます。
ただいまおっしゃいました結論的な点、いわゆる非核三原則は、日本の置かれております
立場から国是とも言うべき政策の基本としてこれは堅持をするということでございますし、国会でも決議がなされておるということでございます。
-
○吉田正雄君 栗栖元統幕議長が自衛隊在任中から戦略的にも戦術的にも核武装は必要であるという核武装論者であったことば御承知のとおりです。大きな破壊力を持つ核兵器というのは軍備強化を図る人
たちをあやしいまでの魔力でもってつかんでいると思うんですけれども、しかし、自衛隊に限らず公務員が公的な場で核武装を唱えることは不見識であると思い、厳に慎しむべきであると思いますが、いかがですか。
-
○
国務大臣(細田吉藏君) 公務員が核武装するということを公言するということは不謹慎であると、かように存じます。全く同感でございます。
-
○吉田正雄君 歴代首相、外相、
防衛庁長官の多くは訪米のたびに防衛
努力というものを約束されてきておるわけです。今回もまた大来外相が訪米をして、ブラウン
長官との会談の中で日本の防衛
努力というものを約束されたような報道がされておるわけです。したがって、次第にアメリカの対ソ戦略に深く組み込まれつつあるというのは、私はいま日本が非常に危険な方向をたどっているんではないかというふうに思うわけです。
そこで、最近日米両国の軍事当局者間では、ペルシャ湾、欧州地域の有事に備えた危機のシナリオであるとか、これに
対処する対ソ核戦略バランスの維持、それから戦術地域核の先制使用などを含めた両国の作戦行動について協議を行っていることを米軍事
関係者が明らかにしたという報道がありますけれども、事実ですか、これは。
-
○
政府委員(原徹君) ただいまの軍事当局者同士でペルシャ湾とか、あるいは……
-
○吉田正雄君 欧州地域。
-
○
政府委員(原徹君) ソ連の核戦略でございますか、というようなことについて協議をしておるというような事実はございません。
-
○吉田正雄君 八〇年代の日本の核武装についてアメリカから
要請がありますか。
-
-
○吉田正雄君 リムパックでは核戦争に備えての訓練は行われる予定ですか。
-
○
政府委員(原徹君) リムパックは通常兵器による訓練をしたと承知しております。
-
○吉田正雄君 竹田統幕議長が一月三十日の記者会見で、米側が日米欧三者の主要装備品などの画一化を求めていることを明らかにしたという報道がされておりますが、これは事実ですか。
-
○
政府委員(原徹君) 特別にそういう
要請ということはございませんが、いわゆる兵器体系につきまして標準化とか、あるいはインターオペラビリティーと申しますか、相互に使えるというような必要性、そういったものについては私どももある
程度あるというふうに
考えておりますが、特別に何をどうしろというような具体的な
要請はございません。
-
○吉田正雄君 じゃ、この問題で最後に
防衛庁長官に決意をお聞きしたいと思うのですけれども、ただいまの論議のように、非核三原則あるいは原子力基本法等、国是としてわが国は核兵器を持たない、使わない、持ち込ませない、こういうことが定められておるわけです。したがって、情勢の変化に左右されたり、これを理由として非核三原則を放棄するということではなくて、あくまでも非核三原則は貫徹すべきだと思いますが、
防衛庁長官としてはいかがですか、その決意のほどをお聞かせください。
-
○
国務大臣(細田吉藏君)
お答えいたします。
日本の国民もさように
考えておられる方がもうほとんど大部分だと思います。私どもさように
考えておりまして、核武装をするというようなことは
考えておりません。
-
○吉田正雄君 次に、NPTに基づく保障
措置について若干お尋ねします。
科技庁
長官、この協定の
目的は何でしょうか。
-
○
政府委員(牧村信之君)
お答えいたします。
保障
措置の
目的は、わが国の核燃料の使用に当たりまして、その使用が平和
目的以外に使われないということをいかにして検証するかということのための制度でございます。
-
○吉田正雄君 協定の主要な実施内容というのは何ですか。
-
○
政府委員(牧村信之君) わが国自身の保障
措置のあり方につきましては、原子炉等規制法によりまして日本
政府が平和
目的に限り使われているということを確認しておるところでございますが、ただいまお話がございましたNPT条約に基づきますIAEAとの保障
措置協定に基づきまして原子力国際機関の査察も受け入れるということで、国内のみならず国際的にもその保障
措置の実施が図られておるところでございます。
-
○吉田正雄君 このNPT保障
措置協定の中に核ジャック防止を理由としたいわゆる過激派
対策なるものが含まれておりますか。
-
○
政府委員(牧村信之君) 保障
措置協定の中には、先生ただいまおっしゃられました核物質の盗取等に備えたものは含まれておりません。
-
○吉田正雄君 プルトニウムはわが国ではどのような形で保有され、管理されておりますか。
-
○
政府委員(牧村信之君) 現在わが国にございますプルトニウムのその大部分は、原子力発電所から出た使用済みの核燃料物質の中に入っておるわけでございますが、その一部は東海村にございます動燃の再処理工場で再処理されまして、プルトニウム単体として抽出されておりまして、その抽出されたものは同工場の中に厳重に保管されておるところでございます。
-
○吉田正雄君 プルトニウムは施設に入って簡単に保管場所がわかるようになっておりますか。また、簡単に持ち出せますか。
-
○
政府委員(牧村信之君) 再処理工場の中のプルトニウムの所在位置につきましては、これはできるだけ外に明らかにしないようにすべきであると私どもは
考えております。
なお、その保管
状況につきましては、きわめて物理的にコンクリート等で囲われた貯蔵庫の中に厳重に保管されておるのが実情でございます。
-
○吉田正雄君 簡単に持ち出せますか。
-
○
政府委員(牧村信之君) 核物質防護の
措置も当然この再処理工場にはとっておりますので、持ち出すということがあり得ないように管理しておるところでございます。
-
○吉田正雄君 これは
警察庁
長官にお尋ねいたしますが、昨年四月一日から茨城県警に原発専門の保安
調査官が、名称、正式にはどうかわかりませんが、新設をされたわけですね。俗に言う核ジャック防止保安隊と言ったらいいんでしょうか。この実施
状況というか、全国的な設置
状況はどうなっているか聞かせてください。
-
○
政府委員(
鈴木貞敏君)
お答えいたします。
御承知のとおり、核防護体制強化の問題につきましては、世界的な
要請でもございますし、わが国におきましても核施設管理者等の自主的な防護体制の強化とあわせまして、治安の責にありまする
警察といたしましては、所要の体制を強化するということを
要請されておるわけでございます。こういう
観点から、昨年来、核施設の周辺地域に対しまして外勤
警察官を増強配置するということで
努力をしておるところでございまして、昨年、本年、それぞれ
関係府県に外勤
警察官といたしまして配分の上、
状況に応じた警ら活動を中心として施設を防護するというふうな活動をやっておるところでございます。
-
○吉田正雄君 人数とか設置場所。
-
○
政府委員(
鈴木貞敏君) 人数、設置場所、それは非常に固定的に施設を建てて、そこに何名置くというふうな場所もございますし、また、所轄の署にある外勤
警察官を置きまして、
状況に応じてそれぞれのフェーズ、フェーズに応じて部隊を動員すると、こういうふうなかっこうでございまして、核になるその外勤
警察官、これは昨年は三県でございますが、ことしの
予算要求では八都県に対しまして外勤
警察官の増員要求をしているところでございます。
-
○吉田正雄君 昨年の三県、何人。それから、新年度
予算の八都県では何人で、
予算、それから装備はどうなってますか。
-
○
政府委員(山田英雄君) 昨年は三県に約百六十名の外勤
警察官を核防護
関係で配分いたしております。
今年度
予算には
警察官二千七百五十人の増員をお
願いしておりますが、そのうち、これがお認めいただけますれば、約千五百人の外勤
警察官の増員を
考えておりますが、八都県に対しまして約二百人の配分を核防護
関係で
考えております。
予算につきましては、所要の車両あるいは核からの保護マスク、サーべーメーター等、活動に必要な装備、五十五年度
予算案におきまして約三千四百万円を計上してお
願いしておるところでございます。
-
○吉田正雄君
警察ではあれですか、防護すべき場所というのはわかっておりますか。
-
○
政府委員(
鈴木貞敏君) もとより増員をお
願いしているわけでございますし、すでに昨年度は三県に配分されたわけでございますので、たとえば茨城であれば動燃の大洗工場センターであるとか、それぞれ核を保有している施設ははっきりしているわけでございますから、そういう施設を中心にした増員配置ということでございます。
-
○吉田正雄君 「警泉」という雑誌を御存じですか。
-
○
政府委員(山田英雄君)
お答えいたします。
茨城県
警察本部で出しております
警察機関誌の名称であると承知しております。
-
○吉田正雄君 「自警」というのは何ですか。
-
○
政府委員(山田英雄君) 警視庁の職員の親睦団体でございます自警会において発行しております警視庁の
警察機関誌の名称でございます。
-
○吉田正雄君 「自警」の七九年十一月号、それから「警泉」の二月号に、「エネルギー問題と原子力」という一文が掲載されているのは御存じですか。
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○
政府委員(山田英雄君) 筑波
大学副学長の福田信之氏の原稿でございますが、「エネルギー問題と原子力」という題の論稿が「自警」並びに「警泉」に掲載されておることは承知しております。
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○吉田正雄君 ほかのにも掲載されているところはありますか。
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○
政府委員(山田英雄君) これは昨年五十四年十一月号の「自警」に掲載されましてから、筆者の了解を得まして他の若干の県の機関誌にも転載されております。それはただいま御指摘の茨城県
警察の「警泉」のほか、栃木、群馬、愛知、この三県の
警察機関誌においても転載されておるわけでございます。
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○吉田正雄君 これはどなたがどういう
目的で依頼をされたのか。福田さんという人は何を専門とされる方ですか、御存じですか。
-
○
政府委員(山田英雄君)
警察機関誌でございますので、これは主として部内の親睦、これを
目的とするわけでございますが、そのほか情操面での
警察職員の資質の向上を図ることも
目的としておるわけでございまして、そういう
意味合いから、部内の職員の原稿だけでなしに、時事問題につきましては、職員の教養を高めますために、
大学の学長、
教授あるいは各種の専門分野において造詣の深い評論家の方々の原稿も掲載しておるわけでございます。お尋ねの筑波
大学副学長の福田信之氏の原稿につきましても、警視庁の「自警」編集担当者におきまして、時事問題として御所見を書いていただくように依頼いたしましたところ、「エネルギー問題と原子力」というテーマの論稿をいただきましたので掲載したという経緯でございます。
これが他の府県に転載された経緯でございますが、これは著名人、特に東京に在住されておられる方々の原稿については地域的に入手しがたい面もございますので、これはある県の機関誌に載ったものをほかの府県に連絡することもございますので、そうした連絡を受けて転載したというふうに承知いたしております。
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○吉田正雄君 内容には非常に多くの問題がありますし、また外交上問題になりかねない私は内容を含んでいると思うのです。たとえて言いますと、「イランは日本との契約更新を脅迫材料にしてバーレル四十ドルのスポット買いを迫るなど、」という非常に穏やかならない表現になっているわけですね。
通産
大臣にお聞きいたしますが、脅迫された事実がありますか。
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-
-
○
政府委員(千葉一夫君) そのようには伺っておりません。
-
-
○
政府委員(山田英雄君) お尋ねの事実につきましては知識を持ち合わせておりませんが、エネルギー問題についての有識者の
考え方の一つとして掲載したものと承知しておるわけでございます。
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○吉田正雄君 官
房長、内容をごらんになっていないんですか。
-
○
政府委員(山田英雄君) その論文につきましては、私自身読んでおります。
-
○吉田正雄君 じゃ、どういうふうに感じられましたか。
-
○
政府委員(山田英雄君) 署名原稿でございますので、内容につきましては筆者の御見解であろうと思いますが、その御見解に対しては、私、特に論評する
立場にはないわけでございます。
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○吉田正雄君 「泣き所はまさにエネルギーであり、その運命が石油以外にはなにもない中東の発展途上諸国の手に握られたのである。」と、先進工業諸国は握られたんだと、こういうことを言っているわけですね。そうですか、通産
大臣。
-
-
○吉田正雄君 「世界経済の指導権を戦後三十年にわたって維持して来た工業先進国の泣き所はまさにエネルギーであり、その運命が石油以外にはなにもない中東の発展途上諸国の手に握られたのである。」と、そうですか、本当に。握られちゃったんですか。
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-
○吉田正雄君 「金も力もあまり通じない相手でありイスラム教という特別な宗教の支配する諸国である。」と、こういうことが後へ続いているんですよ。これは大変な問題だと思うんですよ。そういう表現でこのイスラム諸国を評価してよろしいんですか。これは外務
大臣、どう思いますか。
-
○
政府委員(千葉一夫君) 確かにお金は、かつて帝国主義時代におきましては力とともにいわゆるヨーロッパ、あるいはひっくるめて欧米と申す諸国が持っておりましたのでございますが、現在はその点非常に大きく世界の情勢も変わっておりまして、なかなか昔の十九世紀的な帝国主義的圧力によっては、産油国等を含めまして第三世界はおいそれと言うことをきかないという点は事実でございます。ただし、このように表現してそれでいいかどうかは、またこれは別の問題でございましょう。その点はちょっと一々のコメントは差し控えさせていただきたいと思います。
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○吉田正雄君 これ、一貫して流れているのは、非常にイスラム諸国というものに対する侮べつ感と言ったらいいんですか、見おろした、見下した態度というものがこの前後の文脈を通じて脈々としてあらわれているわけですね。
文部大臣、イスラム教は特別な宗教であるという決めつけ方をしておりますが、そういう見方でよろしいんですか。仏教は特別の宗教であるというふうに相手側から見られませんか、そういう言い方をするならば。
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-
○吉田正雄君 そうです。
-
○
国務大臣(
谷垣專一君) 普通の宗教をどういうふうに
考えておられるのか、
一般の宗教と特別の宗教とをどういうところで判定をしておられるの・か、ちょっと私にはよくわかりかねております。
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○吉田正雄君
文部大臣はどう思いますか。あなたはどう思いますか、イスラム教は特別な宗教だとお思いになりますか。
-
-
○吉田正雄君 外務
大臣がいませんから、条約
局長であるとか、
局長に責任ある答弁を求めてもこれはちょっと無理だと思うんで、そういう点で実は外相代理に来ていただきたかったんですが、見えません。しかし、とにかくこの文章をずっと通じて読んでみて、これは少なくとも国立
大学の副学長という要職にある人が、
警察の部内誌とはいえ、機関誌にこういう一文を掲載するという本人の感覚もさることながら、載せる
警察側も私はどうかしていると思うんですよ。私は、こういうものをイスラム諸国がわかった場合、まともに取り上げたら外交問題にも発展しかねないと思うんですよ、これは。あれだけ園田特使だの油ごい外交と言われるほどイスラムに行っておりながら、一方でこういう評価をしておる、国立
大学の副学長がこういうことを言っているんだと、しかも
警察の機関誌に載せられたということになったらどうなりますかね、これは。日本の外交というものはどう評価されるか。私は非常に大問題なこれは文章だと思うんですね。そういう点で、これは公安
委員長、自治
大臣が元締めだが、どうお
考えになりますか。
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○
国務大臣(
後藤田正晴君) 各県の
警察それぞれそういった部内誌を持っておりまして、そのときどき職員が研修したことを書いたり、部外の学者先生あるいは評論家、いろいろな方の御意見を載せてもらっておるわけです。たまたま「自警」ですか、それに福田先生のそういう御意見が載ったと、こういうことでございまして、それぞれの方方がそれぞれの人生観によってお書きになるわけですから、ただ、読む者は読む者自身の人生観を持っていますから、それによってどうこうということは私はないだろうと、それなりの批判力を持って全国の
警察職員は読んでくれておると、かように
考えております。
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○吉田正雄君 ごらんになりましたか。
-
-
○吉田正雄君 私は認識が非常に甘いと思うんですよ。この後もっと大変なことが実は書いてあるわけですね。時間がありませんから、途中まさに省略して最もさわりのところを読みますと、どういうことが書いてあるかといいますと、原子力に反対をする運動というものがあると、「真の反対は、工業先進国の産業を崩壊させて経済
社会的な混乱をひき起こし、共産革命を達成させることにあるのではないだろうか。」ということを言っておりますし、さらに「マルクスの予言は工業先進国には当てはまらず、すべての共産国には自由の抑圧と貧困が支配する
現状をみるとき、工業先進国の死命を制するのはエネルギーと軍事力だけである。石油
事情の悪化から、先進国の原子力開発を抑えこみさえすれば、国際共産化の道はそう遠くはないだろう。」と、こう断定的に言っているわけですね。通産
大臣、そう思いますか。原子力反対運動によって日本は共産主義化して崩壊しちゃうんですか、どうなるんですか。
-
-
○吉田正雄君 公安
委員長、御承知のように、福田副学長というのは自他ともに許す核武装論者ですよ。従来もいろいろな点で彼の言動には物議を醸すことが多かったわけですね。そういう点で、そういうことを十分承知しながら、しかも原稿の段階でこれだけ問題のある内容の原稿というものを載せることに、私は、いかに依頼したとはいえ、問題があるんじゃないかと思うんですよ。若干訂正をしていただくなり、問題点を指摘して、筆者にもう少し
考え直してもらうという
措置なり配慮というものが当然あってしかるべきではなへったかと思うんですが、いかがですか。
-
○
国務大臣(
後藤田正晴君) 私は福田先生が核武装論者であるということは知りません。ただ、その論文も、恐らく石油の代替エネルギーとしていろいろな問題あるかもしらぬが原子力というものが一番重要な問題であろう、こういう一貫した趣旨でお述べになっておるものと、かように
考えるわけでございます。同時にまた、福田先生は、何といいましても筑波
大学の副学長という、われわれやはり尊敬しておる先生でございまするので、そういった方の論文を載せることも必ずしも悪いとは私は言えない。いろいろな
立場の人の論文を載せることによって
警察官自身がそれぞれの判断をもって
自分自身の教養を高めるということも必要ではなかろうか、かように
考えておるわけでございます。
-
○吉田正雄君 公安
委員長は、この論文については問題はないというふうにお
考えですか。
-
○
国務大臣(
後藤田正晴君) それは福田先生の御意見でございますから、御意見としてそれぞれが読めばよろしい、こういう私の
考え方でございます。
-
○吉田正雄君 これは
警察官が読むと同時に、この「警泉」の裏には「読み終わったら…本誌は家族にも」と、こう書いてあるんですよね、いいですか。こういう問題の文章を家族にも読ませ、一線の
警察官にも読ませて、こういう発想、
考え方でもって反原発闘争を取り締まるということから過剰警備という
状況が出てくるんですよね。いままでの
警察の今日までのいろいろな動きというのを見ますと、まさに原発に反対する人
たちは非国民的な、そういう
考え方というものがこういう中に私は出てきておると思うんです。だから、こういうものがすっと機関誌に載っかっていくと思うんです。そういう
警察の姿勢そのものに私はまず基本的に問題があるんじゃないかと思うのですね、そこでお聞きをしているんです。福田個人はどうでもいいんですよ。これが公的に国立
大学の副学長という肩書きで
警察の機関誌に載っていることに私は問題があると言っているんです。個人の自由な意思ですと言ったって、自由な意思でもって何でもどこへでも載っけていいんですか、そういうことを。その点をお聞きしているんです。どうなんですか。
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○
国務大臣(
後藤田正晴君) この記事それ自身は福田さんの御意見でございます。ただ、
警察としてこういつた論文を載せるということは、福田さんという人はやはり何といったって国立
大学の副学長をやっていらっしゃる方でしょう。その人の論文を
警察が載せるということは、私はそう問題ではないだろう。ことにまた、いまお話しの、こういう論文を載せるような
警察だから原子力の反対運動に対して手厳しい云々と、こういうお話がありましたけれども、それはそういうことはございません。
警察はあくまでも中立の
立場を堅持して、原子力の反対運動それ自身は何ら
警察の関与するところではありません。いかなる運動といえども、
警察は現行の法規に違反をするようなことになるのかならないのか、そこだけを見て取り締まりの
対象としているわけでございまするので、こういった
警察の姿勢というものは、私は、戦後三十年近い間に、よほど
警察というものはそういう点に注意してやっているのだということは大方の国民の皆さん方は理解をしてくれておるようになっておるんじゃなかろうか、かように
考えます。万々御心配のことがあるとするならば、これはこれから先の
警察運営の上で改めていかなきゃならぬ、かように
考えます。
-
○吉田正雄君 いま公安
委員長のおっしゃったことと、
現実に
警察が対応してきた内容には非常に大きなギャップがありますよ。きょうは時間がありませんから、次回、
委員会でやりますけれども、そんななまやさしいものではない。もし、そういう認識しか公安
委員長がお持ちでないということになると、だから今日の行き過ぎた過剰警備の
状況が出てくるのだということを私は逆に指摘をしておきたいと思うんですよ。次回にそれば譲ります。
次に、私は、エネルギー危機ということが盛んに喧伝をされて、過大な行き過ぎたエネルギー危機論というものが打たれておるんじゃないかと思うのですね。そういう点で原発には一体石油の代替性があるのかどうなのか、あるいは経済性が果たして一体
考えられるほどのものであるのかどうか、お聞きをしたいと思うのです。原発がまだ研究実験段階であるということは、スリーマイルアイランドの事故や今日までのその後の重大な多くの事故の発生を見てもこれは明らかであるわけですから、また大統領特別
委員会も原発が本質的に危険だということもきちっと指摘をしておるわけです。
そこで、通産省にお聞きをいたしますが、石油ほどすぐれたエネルギー資源はないと思うのですが、どうですか。原子力と比較をして。
-
○
政府委員(
安田佳三君) 石油はなかなか扱いやすいりっぱなエネルギーであると思いますが、同時に、LNG、原子力その他のエネルギーもまたりっぱなエネルギーであると思っています。
-
○吉田正雄君 原子力は電気にしか使えないということは明らかですね。
-
○
国務大臣(
佐々木義武君) アイソトープもございますし、これはあらゆるところに利用ができます。
-
○吉田正雄君 その
観点から聞いているんじゃないんですよ。エネルギーとして聞いているんですよ。
原発の建設単価をどのように見ておいでになりますか。
-
○
政府委員(児玉勝臣君) 原子力発電所の建設の際の単価でございますけれども、これは一つの試算でございますが、キロワット当たり十七万円というふうに想定しております。
-
○吉田正雄君 その中には国の研究開発経費は含まれておりますか。
-
○
政府委員(児玉勝臣君) 研究開発経費は入っておりません。
-
○吉田正雄君 非常に安い見積もりで、
現実に建設をされた最近の原発にはそんな安いものはありません。
設備利用率についてお聞きします。設備利用率はどの
程度になっておりますか。
-
○
政府委員(児玉勝臣君)
昭和五十三年度五六・六%でございます。五十四年度につきましては、おおむね五三%台でいけるものと
考えております。
-
○吉田正雄君 電力料金の値上げ申請ではどうなっておって、それから通産省が査定の段階ではこの設備利用率をどのように見ましたか。
-
○
政府委員(
安田佳三君) 今回出てまいりました電力八社中六社が原子力発電所を持っておりますが、この六社の原子力の稼働率は、申請時におきましては五四・五%でございました。これを認可に当たりましては五五・八%と査定いたしたところでございます。
-
○吉田正雄君 今日までの原子炉の平均利用率はどうなっておりますか。
-
○
政府委員(児玉勝臣君) ただいま先生おっしゃいました各年度を通じましての利用率は、いまちょっと計算しておりませんのでわかりません。
-
○吉田正雄君 経年ごとの炉の利用率はどんなになっておりますか。
-
○
政府委員(児玉勝臣君) 原子炉の基数がだんだんふえてまいっておりますので、一律に言えるかどうかわかりませんが、
昭和四十五年二基でございますが、そのときは七一・八%でございます。それから四十八年が五基となりまして五四%へそれから五十一年か十三基で五二・八%、それから五十二年が四一・八%、五十三年が十九基になりまして五六・六%、五十四年が大体五三%というふうになっております。
-
○吉田正雄君 私の
質問とは違っているでしょう。それは各年度の平均利用率でしょう。そうじやなくて経年変化を言っているのですよ。わかりませんか。
-
○
政府委員(児玉勝臣君) 各発電所の経年による変化でございますが、いまちょっと資料がございませんので、後ほどあれしたいと思います。
-
○
政府委員(石渡鷹雄君)
お答えいたします。
経年変化でございますが、ずっと数字を申し上げますと、まず一年のもの五六・五%、二年たったもの五六・九%、三年目が三九・九%、四年目が四四・四%、五年目が四一・四%、六年目が四一・二%、七年目が二九・四%、八年目が三四・六%、九年目が六七・四%、十年たったもの六九・五%、十一年のもの六七・八%、十二年たったもの、これは一基でございますが、六九・八%と、こういう数字になっております。
-
○吉田正雄君 その平均は幾らになります。
-
○
政府委員(石渡鷹雄君) 平均をちょっと計算してございませんので、ただいま計算をいたします。
-
○吉田正雄君 いまの私がお聞きしている数字というのは、電気料金の値上げ算定に当たってもうきちっとはじかれていなきやならない数字なのですよね。いま聞いて、ちょっとこれからはじきますでは電気料金の一体算定に当たって何をやってきたのかということを言わざるを得ないわけです。
そこで、私の方で申し上げますと、原子力発電所はもう年々平均利用率が非常に下がってきているわけですね。当初の七〇%なんていうものからほど遠い。さらにはそれぞれの原子炉が一年、二年、三年、四年とたっていったらその利用率がどうなるかというのは、大体皆さんの資料でも、私どもの計算では、一から三年の延べ二十六基で五六・六%、それから三年から五年の間で延べ二十基で四一%、五から七年延べ十基で三八・九、そして七年から九年の延べ八基では二六・七というぐあいにどんどん下がってきているわけですね。これはもう皆さんの数字ですよ。
そういうことで、私どもとしては原発の経済性というものについては、当初の利用率七〇%、それから耐用年数三十年、この耐用年数の三十年については、最近電力会社もどこでも大体十年から十五年、長くて十五年がいいところだというところでは認識がほぼ大体一致してきているようですけれども、福島第一の一号炉を見ますと、これはいま大改修工事をやっているわけですね。この修繕費、幾らですか。
-
○
政府委員(
安田佳三君) 原子力発電所の炉ごとの修繕費の総額というものは承知いたしておりません。
-
○吉田正雄君 大蔵
大臣、よく聞いていてもらいたいのですがね。これは通産
大臣もよく聞いていてくださいよ。今度の電気料金の値上げに当たって原子力発電所の修繕費がこの五十五年度一年間で九百二億円も計上してあるのですよ。九百二億円ですよ。たった一万キロワット当たり五千五百十万円というべらぼうもない修繕費が計上されている。で、いまお聞きをすると、修繕費はわからないと言うのですね、各炉ごとの修繕費は。何を一体基準に修繕費の九百二億というのが出てきたのかですね。じゃ、算定のしようがないじゃないですか。そういう点でもきわめて今回の電気料金の算定というのは、通産省の査定というのはずさんである。もう原発は言われているほどの経済性もエネルギー収支もないということが最近世界の論文でも非常に明らかにされつつあるのですよ。
そこで、私は、きょうは時間がありませんから、いずれまた商工なりでやりたいと思っておりますが、大蔵
大臣、もう少し大蔵
大臣としては、毎年巨額の研究開発費をつぎ込んでいる原発なのですよ。さらには再処理工場で、この前の話では六千億円から七千億円も再処理工場に金をつぎ込む、これは国庫でつぎ込んでいくわけですよ。非常な多額の国庫補助というものをやるということになっているわけです。ところが、いま言ったように、原発の経済性、エネルギー収支というのはきわめて劣悪であるということで、私は、その他の公害の発生しないいわゆる太陽系等の自然エネルギーあるいは国内の石炭、石油資源等、これらにもうちょっと積極的開発の姿勢とか
予算というものをつぎ込むべきではないかというふうに思っておりますから、まさにむだ使いにならないように……。
-
-
○吉田正雄君 民族の本当の将来ということを
考えて、ひとつ大蔵
大臣の見解をお聞かせ
願いたいと思います。
-
○
国務大臣(竹下登君) 財政当局としての
考え方でございますが、実際は担当の通産
大臣から
お答えした方が適切かと思うのでございますけれども、原子力発電は基本的に他の電源に比較して経済性の点ですぐれたものというふうな理解に立っておるわけです。きょうの
委員の御発言とは必ずしも一緒でない見解に立っておるわけです。したがいまして、この安全性等の
関係から理想的な
状況で期待される稼働率が必ずしも実現されていないという実情をも生じておりますが、今後引き続いて運転管理面あるいは技術面での改善に努めることによって原子力発電がより一層安全に経済的に実施されることを期待しておりまして、財政当局もそうした面にも適切に配慮していきたいと
考えております。確かに
一般会計を見ましてもまた特別会計を見ましても、それぞれ安全性の確保とか研究開発とか適正に使われておると理解をいたしております。
いわゆる長期の代替エネルギーの問題につきましては、これはまさに今後大きな研究課題として巨額な投資をつぎ込むことはもとよりでありますが、中期的に見た場合、私は、原子力発電並びにこれが安全性、研究等にはやはり力を入れるべきものではなかろうかというふうに、乏しい知識ながら理解をいたしております。
-
○
委員長(
山内一郎君) 以上で吉田君の
一般質疑は終了いたしました。(拍手)
次回は明後二十四日午前十時から
委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午後四時二十八分散会