○下村泰君 この問題はそう簡単にはいかない問題でございますので、このくらいにします。
次に、口唇口蓋裂について質問させていただきますが、総理は、口唇口蓋裂という、これを聞いたことがございますか、言葉の上で。口唇口蓋裂、ありませんか。みつくち、くちびるが裂けるので口唇、で、上あごが裂けるので口蓋裂と、こう言うわけです。これは総理によく聞いていただかないと
——厚生大臣はもちろんよく御存じのはずですけれ
ども、これは総理によく聞いていただかないとわかりませんので、きょうは実物を持ってまいりまして御説明をさせていただきます、時間がもったいないんですけどね、本当は。(資料を示す)これが上あごなんです。このへこんでいるところがありますね。よく透かして見ると、ここから光が漏れているはずです。これが上あごなんです。そうしますと、この上あごが全部裂けて鼻の方まで抜けているわけなんです、この裂け目が。よろしゅうございますね。これが口蓋裂。これは二十過ぎの男性のです。これが普通の方なんです。普通の方はこういうふうになっています。これは二つ見せるとよくおわかりになる。これが口蓋裂の人、これが普通の。わかりますね。これが今度は二つになります、上と下が。これは幼児のでございますけれ
ども、こういう形になるんです。こういう形になります。見えますわね。上の歯が全部下がるんです、こういうふうに。これをほうっておきますと、どんどんどんどんこうなる。完全に合わないんです。年をとればとるほどそういう
状態になってくるわけですね。しかも、この子の場合には、ここに穴があいています、上あごに。しかも上は割れているわけです。この
状態で育ってしまったんでは、いわゆる不正咬合といいまして物がかめません。それから話もできません。すれば空気が上へ漏れますからね。こういうお子さんが驚くなかれ四百人から五百人に一人生まれてるんです。そして、愛知学院大学の統計によりましても、いわゆる奇形として生まれるお子さんの一番数の多いのがこの口唇口蓋裂なんです。ここに統計が出ています。こんなものを一々細かく申し上げていると大変ですから、こういう統計が出ています。このお子さんたちが第一次修正と申しまして、これは国によってそれぞれ手術する時期が違うんですけれ
ども、三カ月とか四カ月とか、長いところでは二年ぐらい、そしてくちびるを閉じます。これが第一次修正、顔が幾らか変形します。これを治すのを第二次修正といいます。ここまで健康保険はきくんです。ところが、いま申し上げましたように、こういうひどい
状態になっている上あごを閉じなきゃいけませんね。これは健康保険はきかないんです。ですから、これを歯科医の
関係でこういう矯正をする人がいま一番もうかるんです。ここに写真がございます。ごらんになれますね、こういう
状態で生まれるんです。
——向こうにも見せましょうか。こういう
状態になるんですね。そして、ごらんのごとくにこう分かれています。これが生後四ヵ月ですね。そしてこのお子さん、一九七五年のお生まれなんですけ
どもね。このお子さんの今度下から見ますと、こういう形になっています。もちろん上あごが裂けていますね、これがそうなんです。そしてこのお子さんが第一回の手術によってこれだけになるんです。これは見比べていただきゃわかります。こういうふうになります。そうして次の手術でこれが閉じられますと、こんなかわいい顔になるんです。ところが、ここなんですよ、総理。こんなかわいいお顔になってましょう。ところが、くちびるを上げますね、上げるとこれなんです。穴があいてるんです、この上に。ですから、正面から見たときには第二回の手術によりまして、七七年の手術ですが、こういうふうなお顔になるんです。ところが、実際はこういうふうになっているんです。これを治すのに、デンマークとかスウェーデンとか、北欧の国々は国がずうっとめんどう見るんですよ、完璧に治るまで。
日本は全然やってくれないんです。厚生大臣に伺いますが、そういうことをお考えでしょうか。