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国務大臣(藤波孝生君) いろいろと御
指摘をいただきました婦人の労働問題につきまして
お答えをいたしたいと思います。
最初に、民間で男女別に定年を決めている企業でありますとか、あるいは結婚や妊娠、出産を理由にして退職の条件にしているといったような企業があることについて、どのように指導しているかという御
質問でございます。
御
指摘のように、婦人の職場に対する進出が非常に進んでおりまして、しかも、ただ短時間短期的に働いていたというのではなくて、少し長期に職業として働いていくというような御婦人がふえているのも最近の顕著な例でございますが、その中で、御
指摘のように、男女別に定年の年齢が定められたり、あるいは女子のみに適用される結婚や妊娠、出産退職制などが各方面で見られるわけでございます。したがいまして、労働省といたしましては、その解消を図っていくことを緊急の課題にして、いま真剣に取り組んでおるところでございます。
当面、五十二年に策定をいたしました改善のための年次計画に基づきまして、合理的な理由なしに定年年齢の男女の差を設ける制度、あるいは、御
指摘のように、結婚、出産などによって退職をするといったような仕組みになっておる企業に対しまして、労使双方に強く行政指導をしていくという
方針を打ち出しております。また、五十二年度におきましては、婦人少年室を中心にいたしまして、行政指導対象の実態把握を重点的にまず行うということに取り組んでまいりました。その上に立ちまして、五十三年度、五十四年度は、その結果を踏まえまして、それらの中から特に女子の定年年齢が四十歳未満というところに
一つの照準を当てまして、その四十歳未満の者でありますとか、それから結婚や出産などを理由に退職をするということになっておることをまず解消するということにいたしまして、強く指導をしてきたところでございます。非常に効果を上げてきておりまして、対象企業の約四割の企業でこれらの区別がなくなってきたというふうに評価をいたしておるわけでございます。五十五年度はさらに女子の定年年齢を引き上げまして、五十五歳未満の男女別の定年制を設けておるところを解消するように一生懸命取り組んでいきたい。段階的に取り組んでこういった
事態を解消していくように努力をいたしておるところでございます。
第二問目の育児休業制度の問題でございますが、いろいろこの育児休業制度の普及につきましては先生にもお骨折りをいただいておりまして、私
どもも御鞭撻をいただいておることを心から感謝をいたしておるわけでございます。何といいましても、御婦人が職業について働いてまいりますためには育児と両立をさせていくということが非常に大事なことでございます。そこで、労働省といたしましては、育児休業の奨励金制度を設けまして、これを積極的に活用していくということに従来取り組んできておるところでございますが、新たに五十五年度からは育児休業制度普及の指導相談員といった仕組みを設置をいたしまして、さらに積極的にこの制度が普及をしていくように努力をしてまいりたいと、このように存じておるところでございます。
最後に、雇用における男女平等をもっと積極的に進めるべきだ、こういう御
指摘でございますが、全くそのとおりでございまして、労働基準法に基づきます同一労働における男女の同一賃金というもの、これはもう法に基づきましてこの原則を徹底をするようにさらに努力をしていく。また、男女別の定年制や結婚退職制等を解消いたしますために、いま御説明をいたしましたような
方針で行政指導を強く行っていく。さらに、婦人労働旬間などを中心にいたしまして、広く社会全体に婦人労働のあり方をめぐって認識を新たにしてもらうといったような啓発活動を行っていくということにも重点を置いて進んでまいりたいと思っておるところでございます。
法制化についての御
質問がございましたが、男女平等とは何か、いろいろな考え方がございますけれ
ども、そういったことを明らかにしていくガイドラインの
検討を進めてまいりますと同時に、さらに積極的に施策を推進をしていく。そして男女平等の制度を法律として制定をしていくかどうかといったようなことにつきましては労働基準法研究会から提言をされておりますので、いろいろと
関係の審議会の御審議を踏まえまして、法制化をしていくかどうかといったようなことも含めましてさらに男女平等の理念が徹底をしていくように、各方面の御
意見も伺いながら施策を推進をしてまいりたいと、このように考えておるところでございます。