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桧垣徳太郎君 北海道班について御
報告申し上げます。
北海道班は
山崎理事、真鍋
委員、
山本委員、林
委員、対馬
委員、宮崎
委員、小笠原
委員及び私、桧垣の八名で構成、去る二月二十六日、札幌市において
公聴会を開催いたしました。
公述は、経済動向及び物価問題、地方財政、農業及びエネルギーの三項目であり、七名の関係者より意見が述べられました。以下、公述の要旨につき簡単に御
報告申し上げます。
経済動向及び物価問題について、まず、北海道商工
会議所連合会会頭今井
公述人から、北海道経済は現在、石炭、造船の構造的不況業種や農業、水産業の生産が低迷しているものの、五十二年以来の公共投資拡大により企業の稼働率も高く、収益も増加し、民間設備投資もふえるなど、総じて底固い動きを示している。しかし、石油価格の上昇によって基礎資材への価格転嫁が浸透し始めており今後、中小企業の経営が深刻になるものと懸念している。したがって、各般にわたる国の適切な物価
対策が望まれる。この意味で来
年度の公共事業が抑制されたのは当然である。しかし、資材の値上がりで北海道開発
予算が実質的に縮小され、公共事業契約も、
年度間に平準化されると、国の財政支出に依存し、公共事業の上期発注が多い北海道にとって、深刻な影響が予想される。適切な工事発注と地場産業への優先確保を願いたい。
過度な国の景気政策に頼る脆弱な体質から抜け出すには、付加価値の高い産業構造に転換することが重要で、苫小牧東部を初めとする産業基盤の整備や新幹線などの大型プロジェクト推進に国も努力願いたい旨述べられました。
函館ドック株式会社社長
田中公述人は、北海道の造船業は石油ショックや、二百海里問題、円高による受注減と為替差損で構造不況に悩んでいる。労働集約型産業のため企業の存亡が直ちに地元経済に影響する度合いも強い。函館ドックでは、五十二年十月から六百億円の借入金のたな上げ、生産縮小による千七百人体制の確立、大型船舶建造設備の買い上げを進め、現在千七百人体制に見合う受注と生産体制の確立に努力している。しかし、減量経営の過程で千四百名を超える離職者が発生し、特定不況業種離職者臨時措置法等により生活の安定と再就職が図られたが、五十五年一月現在もなお中高年齢層で地元に就職を望む人々が残っている。今後、従来の造船専業から陸上部門にも進出し、バランスのとれた経営体制をつくり上げつつ、離職者の発生を防止していきたい。この意味で陸上工事に関係の深い公共事業の弾力的運用を図るなど造船業界に対する需要創出に配慮願いたい旨述べられました。
北海道生活協同組合連合会会長岡田
公述人は灯油は北海道の生活を考える場合最も重要な問題である。五十四年春以来、北海道では量不足から灯油がグループ共同購入によっても必要量が確保できず、札幌などの新規転入者の場合供給されなかった事例がある。灯油の価格も現在、標準価格のときの二・二倍に上昇し、省エネルギーの努力を払っても年間二千リットルは使用せざるを得ないため、一家庭で十五万円以上の負担を余儀なくされている。今後公共料金が値上げされ、食料品等の生活必需物資も石油価格を理由に引き上げが予想されるので、一般家庭はもちろん、生活保護受給者等
社会的に弱い家庭にとって過重な負担となろう。現在道庁及び一部市町村で灯油購入のための貸し付けや補助の福祉灯油制度を
実施しているが、国の施策としても確立し、現在恩恵にあずからない人々にもその利益を均てんさせてほしい。また寒冷地に対するいわゆる石炭
手当については減免税の措置を講ずるべきである旨述べられました。
次に、地方財政につきましては、まず函館市長矢野
公述人が、四十一
年度以来毎年、国は超過負担の解消措置を進めているが、その金額が少なく、是正
内容も地域の実態とかけ離れており、超過負担は解決されていない。
政府は絶えず、補助事業の適切な見直しをしてほしい。また、各省庁で類似したり、地方自治体と競合する補助金は整理統合し地方に交付する一方、地方自治体も安易に補助金に依存する従来の姿勢を戒めていきたい。
構造的不況業種の企業を抱える地方自治体に対し、自治省が特定不況地域振興
対策要綱にのっとり、地方債の弾力的運用や特別交付税措置を講じており、地域全体の不況克服のための施策遂行に寄与している。今後地域全体の総合
対策を強力に推進するため、同要綱の立法化を実現してほしい。また、病院や交通等の公営事業について、地方自主型の
行政が進め得るよう国の弾力的な指導運用を願いたい旨述べられました。
夕張市長中田
公述人は、産炭地域の夕張市は自主財源比率がきわめて低く、財政基盤が弱い
状況にある。地域経済は、石炭産業にのみ依存してきたため、相次ぐ閉山によって疲弊し税収が激減した反面、生活基盤の整備、閉山跡地の処理など地域振興
対策の解決に迫られ、財政需要は増加を余儀なくされている。自主財源の乏しい地方自治体に国の抜本的財政
対策を望みたい。
第一に、地方の自主財源強化のため地方税のウエートを強化する方策とともに、地方交付税率を四〇%に引き上げ、財政力の弱い団体に補正を行い、
基準財政需要額の算入措置を講ずること、第二は、義務教育施設整備など一定の
行政水準の確保が困難な場合、補助率の引き上げと起債枠の拡大等補助
内容の充実を図ること、第三に産炭地の振興のため五十六年十一月に期限切れとなる産炭地域振興臨時措置法の延長を図るとともに、その
内容の充実強化を望みたい旨述べられました。
最後に、農業及びエネルギーにつきまして、北海道農業協同組合中央会副会長
小林公述人は、北海道は三全総に位置づけられたとおりわが国の食糧基地の役割りを果たしていきたい。現在、稲作転換が最も重要問題で、他府県と比較し三倍の過重な転換目標を強いられ、今後転作の上積みが強化されると専業農家の多い北海道の稲作は崩壊のおそれがある。第二期水田利用再編成
対策に当たって全国に公平な転作を
割り当ててほしい。また転作奨励金の十年間継続、特定転作作物への小豆の組み入れと転作物の価格保障を願いたい。
北海道の畑作物は海外産品と競合関係にあるので、国内産で賄えない範囲に輸入を限定するとともに、現在野放しの半加工食品の輸入を規制すべきである。
全国生乳の三分の一を生産する北海道の酪農農家は、多くの負債を抱え、経営の
合理化に努めている。今後、第四次酪農近代化
計画設定の際、北海道のシェアを四五%以上に高めるとともに、三月の保証乳価等の
政府告示価格は物価の動向を勘案し、再生産可能な水準に確保願いたい旨述べられました。
北海道電力株式会社副社長中野
公述人は、北海道はエネルギー自給率が高く、中でも石炭への依存度が全国水準を上回っている。今後、年率五%のエネルギー消費が予想される一方、OPECの動向を勘案すると、エネルギー源を多様化し脱石油を進める必要がある。北海道電力は、現在、石炭、水力、石油火力がそれぞれ三分一ずつ依存しているが、今後石炭と原子力の発電を進め、十年後に石油の比重を二五%までに引き下げたい。石炭火力に転換した場合、容易に他のエネルギーに置きかえられず石炭の安定供給が重要となるので、国内炭の二千万トン体制確立の具体策と海外炭を導入する際の開発リスクや受け入れ港の整備など
政府の配慮を願いたい。原子力発電は料金の価格安定の点からも必要で、立地のための合意づくりや地域振興策の強化を望みたい。
このほか、三百万キロワットと予想される地熱発電も有力なエネルギーであるが、有望地域が国立公園に含まれるなど、
行政内部で
調整すべき点が残されており、解決が望まれる旨述べられました。
以上
報告を終わります。