○小
巻敏雄君 私は日本共産党を代表して、
公立義務教育諸
学校の
学級編制及び
教職員定数の
標準に関する
法律等の一部を改正する
法律案に対する修正案の提案理由の説明を行います。
修正案につきましては、すでにお配りしてあるとおりでございますが、その内容は、
一、
小・中学校の四十人
学級制及び教
職員配置基準
改善の計画達成年度を、原案の昭和六十六年度から、昭和五十九年度に短縮する。
二、高校についても四十人
学級制を実施する。
三、
学級編制基準及び教
職員配置基準を、
文部省の当初案に基づき修正するというものです。
以下その理由を申し上げます。
教育の荒廃を打開し、どの子にも基礎的な学力、体力はもちろん豊かな情操と市民道徳をしっかり身につけさせる
教育を
実現することは、国民の一致した願いであります。
この点で、すし詰め教室を解消し、教師が一人一人の
児童、生徒に行き届いた指導を行えるように
教育条件を整備すること、とりわけ、国際的にも常識となっている四十人以下の
学級編制を速やかに実施することが、緊急不可欠の課題となっています。ところが、今回政府が提出している
定数標準法改正案は、
早期実現を求める国民の期待に反し、四十人
学級制の完全実施をはるか十二年後に引き延ばすものとなっており、高校については四十人
学級制そのものを見送っています。
従来、五カ年で実施してきた
定数改善を十二カ年とするのは、昭和四十九年の全会一致の衆参
文教委員会決議、またこれを再確認をした昭和五十三年の衆院
文教委員会確認等にも反するだけでなく、
1四十人
学級を最も必要としておる過密地が後回しになる。
2今年度から四十人
学級が可能な市町村でもその実施が長期にわたって引き延ばされる。
3同一市町村内で、四十人
学級と四十五人
学級が併存するという不公平が生まれる。
4毎年度の計画がないため、自治体は施設整備や
教員配置の見通しさえ立てられない。
5
児童、生徒減少地域では、
教員の削減問題さえ起こりかねないなどの弊害を引き起こすものであります。
政府は、四十人
学級制
実現を十二年後に引き延ばす最大の理由に財政危機を挙げています。
今年度予算編成に当たって、大蔵、文部両
大臣は、確認事項を交わし、計画期間の各年度の教
職員の
改善規模は、経済情勢、財政
状況等を勘案し、弾力的に決定すると約束し、さらに、財政再建期間中は、
改善増は抑制する、特に、昭和五十七年度までは厳しく抑制すると明記しています。これは
教育政策を長期にわたって、全面的に財政に従属させるものであります。
これに関連して、おおむね三年後に各般の
状況を勘案し、その後の計画について検討を行うとの意見もありますが、これでは、この両
大臣確認事項を事実上追認するばかりか、四十人
学級制の
早期実現を求める国民の願いにも沿わないことになります。民族の未来を担う子供
たちを育成するという国の大事業が、財政に全面的に従属させられるという事態はとうてい認めることはできません。
四十人
学級制を五カ年で完全実施することは、財政上も十分可能であります。
修正案による教
職員の増員は、養護
教員事務職員の全校必置などを含め、
小・中学校で十二万一千名、高校で四万六千名であり、これに要する国庫負担は最終年度で二千五百億円
程度であり、毎年の増加額は五百億円弱にとどまるものです。これは、今年度の防衛予算増加額の一千三百五十七億円の四割以下であります。
四十人
学級の
早期実現に対する態度は、
教育立国の道か、それとも軍事立国の道かの選択をも
意味すると言わざるを得ません。
私は、以上の理由から本修正案を提案しましたが、行き届いた
教育という国民の一致した願いの
実現のために、何とぞ同僚各位の御賛同をお願い申し上げる次第です。
なお、わが党の修正案のほかに、日本社会党より原案に対する修正案が出されております。
この修正案は、わが党も提案している高校の四十人
学級制や、看護
教員、
事務職員の全校必置を盛り込んでいますが、計画期間が九年間となっており、五カ年計画を提案したわが党としては賛成できかねる点を申し添えて趣旨説明を終わります。