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1980-04-22 第91回国会 参議院 文教委員会 第8号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
五十五年四月二十二日(火曜日) 午前十時七分開会
—————————————
委員
の
異動
四月十日
辞任
補欠選任
前田
勲男
君
秦野
章君 木島 則夫君 田渕 哲也君
前島英三郎
君 有田 一寿君 四月十一日
辞任
補欠選任
堀江 正夫君 土屋 義彦君
秦野
章君
前田
勲男
君 岩崎 純三君 塩見 俊二君 中西 一郎君 望月 邦夫君 坂倉 藤吾君
松前
達郎
君 広田 幸一君
安永
英雄
君
吉田
正雄
君
粕谷
照美
君 四月十四日
辞任
補欠選任
佐藤 昭夫君
小巻
敏雄
君 四月二十一日
辞任
補欠選任
安永
英雄
君
小谷
守君
粕谷
照美
君
吉田
正雄
君 四月二十二日
辞任
補欠選任
小巻
敏雄
君
上田耕一郎
君
—————————————
出席者
は左のとおり。
委員長
大島
友治
君 理 事 高橋
誉冨
君
前田
勲男
君
勝又
武一
君
小巻
敏雄
君 委 員
内藤誉三郎
君 藤井 丙午君
吉田
実君
小谷
守君
松前
達郎
君
吉田
正雄
君 柏原 ヤス君 発 議 者
勝又
武一
君
国務大臣
文 部 大 臣
谷垣
專一君
政府委員
文部大臣官房長
宮地 貫一君
文部省初等中等
教育局長
諸澤 正道君
文部省大学局長
佐野文一郎
君
文部省管理局長
三角 哲生君
事務局側
常任委員会専門
員 瀧
嘉衛
君
—————————————
本日の会議に付した案件 ○
理事補欠選任
の件 ○
義務教育
諸
学校等
の
女子教育職員
及び
医療施
設、
社会福祉施設等
の
看護婦
、
保母等
の
育児休
業に関する
法律
の一部を
改正
する
法律案
(
粕谷
照美
君外二名
発議
) ○
義務教育
諸
学校等
の
女子教育職員
及び
医療施
設、
社会福祉施設等
の
看護婦
、
保母等
の
育児休
業に関する
法律
の一部を
改正
する
法律案
(
安永
英雄
君外二名
発議
) ○
公立義務教育
諸
学校
の
学級編制
及び
教職員定数
の
標準
に関する
法律等
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣提出
、
衆議院送付
) ○
教育
、文化及び学術に関する
調査
(
教員養成大学
の
設置基準
に関する件) (
兵庫教育大学附属幼稚園
及び
小学校開設
に伴 う諸問題に関する件) (新
教育大学大学院
への
現職教員
の
受験資格
に 関する件) (
私立大学
の
設置認可申請等
に関する件) (新潟薬科大学の管理
運営
問題に関する件)
—————————————
大島友治
1
○
委員長
(
大島友治
君) ただいまから
文教委員会
を開会いたします。
委員
の
異動
について御報告いたします。 昨二十一日、
粕谷照美
君及び
安永英雄
君が
委員
を
辞任
され、その
補欠
として、
吉田正雄
君及び
小谷守
君が
選任
されました。
—————————————
大島友治
2
○
委員長
(
大島友治
君)
理事
の
補欠選任
についてお諮りいたします。
委員
の
異動
に伴い、本
委員会
の
理事
が二名欠員となっておりますので、ただいまから
補欠選任
を行いたいと存じます。
理事
の
選任
につきましては、先例により、
委員長
の指名に御一任願いたいと存じますが、御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
大島友治
3
○
委員長
(
大島友治
君) 御
異議
ないと認めます。 それでは、
理事
に
前田勲男
君及び小
巻敏雄
君を指名いたします。
—————————————
大島友治
4
○
委員長
(
大島友治
君)
粕谷照美
君外二名
発議
に係る
義務教育
諸
学校等
の
女子教育職員
及び
医療施設
、
社会福祉施設等
の
看護婦
、
保母等
の
育児休業
に関する
法律
の一部を
改正
する
法律案
及び
安永英雄
君外二名
発議
に係る
義務教育
諸
学校等
の
女子教育職員
及び
医療施設
、
社会福祉施設等
の
看護婦
、
保母等
の
育児休業
に関する
法律
の一部を
改正
する
法律案
、以上両案を便宜一括して
議題
といたします。
発議者
から順次
説明
を聴取いたします。
勝又
君。
勝又武一
5
○
勝又武一
君 ただいま
委員長
からお話のありました二つの
法案
につきまして、私から
発議者
を代表いたしまして、
提案理由
の
説明
を申し上げます。 最初に参第九号、
義務教育
諸
学校等
の
女子教育職員
及び
医療施設
、
社会福祉施設等
の
看護婦
、
保母等
の
育児休業
に関する
法律
の一部を
改正
する
法律案
の
提案理由
を申し上げます。 ただいま
議題
となりました
義務教育
諸
学校等
の
女子教育職員
及び
医療施設
、
社会福祉施設等
の
看護婦
、
保母等
の
育児休業
に関する
法律
の一部を
改正
する
法律案
につきまして、その
提案
の
理由
と
内容
の
概要
を御
説明
申し上げます。
全国
の多数の
女子教育職員等
の長年の懸案であった
育児休業制度
を創設する
法律
は、
御存じ
のように
昭和
五十一年四月より施行され、早くも四年を経過するに至りました。その間、本
制度
の
利用状況等
については必ずしもつまびらかにされておりませんが、
医療
、
福祉施設
の
看護婦
、
保母等
に比べて、多く
利用
されていると思われる
公立学校教員
においてさえ、五十二年度の
利用率
は四七・〇%、しかも、その
休業
の
期間
は約半数が六カ月以下の短
期間
という
状況
にあります。このように、
育児休業制度
は遺憾ながら十分に
普及
、定着したとは言えない段階にあります。その
原因
、
問題点
については、
女子職員
その他の
関係者
から数多く指摘されているところでありますが、当面以下の諸点について早急に
改善
を図る必要があると考えるものであります。 その第一は、
育児休業期間
中の
期末
、
勤勉手当
の
支給
に関してであります。
育児休業期間
中の
女子教育公務員等
に対しては、
本法
第六条第二項により、
給与
が
支給
されないこととされております。そのため、
期末
、
勤勉手当
についても、いわゆる同
手当
の
基準日
である三月一日、六月一日または十二月一日に
育児休業
中である場合には
支給
されないことになっております。その結果、産後
休暇
に引き続き
育児休業
に入らず、産後
休暇
後
基準日
まで
勤務
に復帰してから、
育児休業
に入るという不自然な
状況
も一部で出てきており、
母性保護
や
乳児
の養育上の
見地
からも、
学校
の
教育
、
医療施設等
の
運営
の上からも問題となってきているのであります。 また、本来、これら
手当
の
支給対象
となる
在職期間
があるにもかかわらず、これにかかわる
手当
を
支給
しないことは、
育児休業制度
の
趣旨
から見てまことに不合理でもあります。 したがって、
基準日
が
育児休業期間
中であっても、
手当支給
の
対象
となる
在職期間
に応じた額の
手当
を
支給
すべきであると考えるのであります。なお、同
法附則
第二項及び第三項により、
育児休業制度
の
目的達成
のため、当分の間、必要な
給付
を行うことができることとされております。現在、
人事院勧告
に基づくこの
給付額
は、
共済組合
の
掛金分相当額
にすぎないため、これら
職員
に不可欠な
自己研修
のための費用、
互助会
の
掛金
、
育児
のための
経費等
々
経済的負担
が重くのしかかり、
育児休業制度
の
利用
をちゅうちょさせる大きな
原因
となっております。各種の
調査
でも明らかなように、
育児休業期間
中、
互助会等
で何らかの
金銭的給付
を行っている県において、
育児休業
の
行使率
が他県に比べて高いことは、そうした事情を物語るものと思われます。こうした点からも、せめて
手当支給
の
対象
となる
在職期間
に応じた
期末
、
勤勉手当
は
支給
すべきものと考えた次第であります。 なお、
人事院
の
勧告
により、
給付額
の
抜本的改善
が行われる必要があることも申し添えたいと存じます。 第二は、
育児休業
の許可に伴う
臨時的職員
の
任用
についてであります。
本法
第十五条においては、
任命権者
は
育児休業期間
中、
業務等
に
支障
がない場合を除き、
教育職員
または
看護婦
、
保母等
を
臨時
的に
任用
するものとする旨規定されております。すなわち、いわゆる
臨時職員
が
育児休業期間
中の
職務
を補助することが
原則
とされているのであります。しかし、その
臨時職員
についてはいまさら申すまでもありませんが、多くは六カ月で
任用
を更新するなど、その身分は不安定であり、しかも賃金、
待遇等
も劣悪な状態に置かれております。また、
学校
においては
育児休業期間
中、いわゆる
臨時
の
教員
が数回かわる場合もあるなど、
子供
の
教育
上の観点からも問題が指摘されております。 このように、
現行
の
臨時的任用制度
は、身分的に不安定で、かつ
勤務条件
の劣悪な
臨時職員
を多く生み出すという
制度
的な矛盾を有していると同時に、
人材誘致
や、適切な
職務
の遂行という面からも十分でなく、
育児休業
中の
業務
の円滑な
実施
にも
支障
を来すに至っているのであります。 また、すべてを
臨時的任用
に依存している
現行制度
の場合、必要な数の
臨時職員
が
確保
できず、
育児休業
が許可されないケースも起こり得るなどの問題もはらんでおります。 したがいまして、
育児休業
の場合も、
女子教職員
の出産に際しての
補助教職員
の
確保
に関する
法律
におけると同様、
臨時的職員
の
任用
のみならず、
正式任用
の特別の
教育職員
または
看護婦
、
保母等
を配置できる道を開く必要があると考えるのであります。これら特別の
教育職員等
の数については、
育児休業
の
利用
の実績により、ある程度の
必要数
が想定できますので、今後はできるだけいわゆる正規の
職員
を
任用
し、
臨時職員
は
必要最少限
にとどめる努力が必要と考えるのであります。 なお、こうした
措置
が
義務教育
諸
学校等
の
教育
及び
医療施設
、
社会福祉施設等
の
業務
の円滑な
実施
につながることを確信するものであります。 以上が本
改正案
を提出した
理由
でございます。 次に
改正案
の
内容
について申し上げます。 第一に、
期末
、
勤勉手当
については、いわゆる
基準日
が
育児休業期間
中であっても、
手当支給
の
対象
となる
在職期間
がある場合には、これを
支給
できることとしております。 第二に、
任命権者
は、
育児休業期間
中の
職務
を補助させることができるような特別の
教育職員
または
看護婦
、
保母等
があり、それらの者にその
職務
を補助させる場合には、
育児休業
に伴う
臨時的任用
を要しないことといたしております。 第三に、この
法律
は、
昭和
五十六年四月一日から施行することといたしております。 なお、最後に、
参議院文教委員会
におきましては、第七十五回
国会
において本
法律
を可決した際、
給付
の拡充、
保健婦等
の
範囲
の拡大、
財政措置等
について
政府
、
人事院
が配慮すべき旨の
附帯決議
が
全会一致
で行われたことも念のため申し添えます。 以上が本
法律案
の
提案
の
理由
と
内容
の
概要
であります。何とぞ十分御
審議
の上、速やかに御賛成くださいますようお願いいたします。 以上が第九号でありまして、引き続いて同じ表題でありますが、これは第十号、職種を拡大するという
趣旨
の
内容
のものであります。 参第十号、
義務教育
諸
学校等
の
女子教育職員
及び
医療施設
、
社会福祉施設等
の
看護婦
、
保母等
の
育児休業
に関する
法律
の一部を
改正
する
法律案
の
提案理由
を申し上げます。 ただいま
議題
となりました
義務教育
諸
学校
の
女子教育職員
及び
医療施設
、
社会福祉施設等
の
看護婦
、
保母等
の
育児休業
に関する
法律
の一部を
改正
する
法律案
につきまして、その
提案
の
理由
と
内容
の
概要
を御
説明
申し上げます。 去る七十五回
国会
におきまして、
両院
とも
全会一致
で
可決成立
を見ました
女子教育職員等
の
育児休業制度
は、
女子教育職員
、
看護婦
、
保母等
の継続的な
勤務
を促進することにより、
教育
及び
医療
、
社会福祉
に関する
業務
の円滑な
実施
を
確保
するために設けられたものであり、これは
全国
の多数の
女子教育職員等
の長年にわたる念願が実現されたものであります。 ところで、
育児休業制度
を
利用
できる
職員
の
範囲
については、
本法
第二条及び第三条により、一歳未満の
乳児
を養育する
義務教育
諸
学校等
の
女子教育職員
及び
医療施設
、
社会福祉施設等
の
看護婦
、
保母等
とされており、さらに
女子教育職員
については、校長、
教頭
、
教諭
、
養護教諭
、
助教諭
、
養護助教諭
、講師、
実習助手
及び
寮母
に限定されております。これらの
職員
が
育児休業制度
の
適用対象
とされた
理由
は、その
職場
において果たす
役割り
が重要である上に、その
職務内容
が高度の
責任
を伴った特殊のもので、かつ
経験
を必要とし、さらには、
人材確保
の
見地
から
職務
に慣熟した者の離職をできるだけ防止する
必要性等
が着目されたからであります。 このような
立法趣旨
からいたしますと、現在
育児休業制度
の
適用対象
となっていない
養護学校等
の
看護婦
、
学校事務職員
及び
学校栄養職員
も当然その
対象
に加えなければならないのであります。 まず第一に、
養護学校等
の
看護婦
についてであります。
養護学校等
における
看護婦
は、
児童
、
生徒
に対する
療育
、すなわち深い
教育的配慮
のもとでの
看護業務
に従事しているのであります。特に
昭和
五十四年度より
養護学校
の
義務化
が施行され、従来にも増して
心身
の
障害
の程度の重い
子供
の
療育
を
養護学校
が行わなければならなくなった現状を考えますと、そこでの
看護婦
の
業務
の
重要性
はさらに増してくると同時に、その人員も増加する
必要性
が高まってきております。したがいまして、これら
看護婦
については、
本法
でいう
教育職員
に含める必要があると言わなければなりません。さらに、
医療施設
、
社会福祉施設等
における
看護婦
の
業務
の
困難性
、
専門性
と比較しても、また
資格
、
免許
の
同一性
に着目しても、
育児休業制度
の
適用対象
に加えるのは当然であり、むしろいままで適用されなかったことは、
立法政策
上のミスと言っても過言ではないのであります。 第二に、
学校事務職員
についてであります。
学校事務職員
を
育児休業制度
の
適用対象
に加えるべきかどうかについては、
立法
時にも検討されたところであります。しかし、当時はいわゆる
産休代替
の
職員
の
確保
に関する
法律
の
適用対象
に
事務職員
を加えることが問題となっていたため、その解決を待って検討するということで、ひとまず見送られてきたところであります。 御承知のように、
学校事務職員
は、
学校教育
上きわめて重要かつ広範な
役割り
を果たしているのであります。すなわち、まず
一般
的な
事務
として文書、統計、
給与
、
経理事務
などがあり、また、直接
子供
にかかわる
事務
としては、
教材教具
、
施設設備
及び
就学奨励
などに関する
事務
、さらには地域の父母にかかわるPTAの諸活動への援助など、きわめて多方面にわたっております。さらに、これらの複雑多様な
学校事務
を適正に行うためには、
学校教育
の理念、
教育内容
、
教育行政
の仕組み、
子供
に必要な
学習環境
など、
学校教育
に関する深い
知識
、
経験
が要請されており、
一般行政事務
とは異なった
専門性
を持たなければならないのであります。この認識に基づいて、
学校事務職員
については、
学校教育法
第二十八条において、
原則
として置かなければならない
職員
として位置づけられ、
公立義務教育
諸
学校
の
学級編制
及び
教職員定数
の
標準
に関する
法律
並びに
公立高等学校
の
設置
、
適正配置
及び
教職員定数
の
標準等
に関する
法律
においては、その
標準定数
が定められ、また、
地方公務員法
第五十七条においては、
一般
の
地方公務員
と比し、その
職務
と
責任
に
特殊性
が存する旨が規定されているのであります。 さらに、第八十四回
国会
におきまして、
学校事務職員
について
産休代替
の
職員
を
確保
するための
改正法案
が、
両院
とも
全会一致
で可決され、
学校事務職員
の
専門性
、
特殊性
が確認されたところであります。 かてて加えて、
学校事務職員
は各
学校
に一名置かれている場合が多く、慣熟した
職員
に離職されると、すぐには
専門家
を得にくく、また育てにくい
環境
にあります。さらに同一
職場
に
勤務
する他の
教育職員
とのこのような不均衡、不平等は、
学校
の
一体的運営
を阻害するばかりでなく、
人材
の
確保
、積極的な
職務態度等
の
障害
ともなりかねないところであります。 第三は、
学校栄養職員
についてであります。
学校栄養職員
は、
児童
、
生徒
に必要な
栄養量
の
算定
、味覚、嗜好を考慮した
食品構成
による
献立
の作成などの
栄養管理
、
食品
、
施設設備
、
従事職員
に対する
衛生管理
のほか、
給食運営
に必要な
事務処理
や
物資管理
、さらには
教員
や
児童
、
生徒
に対する
栄養指導
などを
職務
としております。
御存じ
のように、第七十二回
国会
では、
学校栄養職員
の
職務
と
教育的役割り
の
重要性
から、
学校給食法等
が
改正
され、その
職務
の
明確化
が図られるとともに、
県費負担教職員
として位置づけられ、いわゆる
標準定数
も定められたのであります。さらにその
教育的役割り
につきましては、同法が
改正
された際に出された
初等中等教育局長
、
体育局長通達
の中で、
学校栄養職員
を「
栄養管理
にあたる
教育的専門職員
」と定義していることや、第八十四回
国会
において、いわゆる
産休代替
の
職員
の
確保
に関する
法律
の
改正
で、
学校栄養職員
もその
適用対象
に加えられたことからも明らかであります。また、実際に
学校
においても、
校内放送
で
栄養指導
を行ったり、
子供
や家庭に配る
献立表
の中で、
栄養知識
や
食品
の解説を行ったりしているところであります。 その上、
学校栄養職員
も各
学校
、
共同調理場
に一名置かれている場合が多く、
学校栄養職員
に離職されると、すぐには
専門家
を得にくい
環境
にあることは
学校事務職員
の場合と同様であります。 したがって、
学校栄養職員
についても、
育児休業制度
の
適用対象
に加えるべきであると考えるものであります。 以上、それぞれ申し述べました
理由
から、
養護学校等
の
看護婦
、
学校事務職員
及び
学校栄養職員
を
育児休業制度
の
適用対象
に加えるため、本
改正案
を提出した次第であります。 次に、
改正案
の
内容
としては、
育児休業制度
の
適用対象
となる
職員
に、
養護学校等
における
看護
の
業務
に従事する
看護婦
及び
准看護婦
、
学校事務職員
並びに
学校栄養職員
を加えることとし、それに伴ない法の題名中の「
女子教育職員
」及び本則中の「
教育職員
」の字句を、それぞれ
教育職員
と
事務職員等
の総称である「
女子教職員
」、「
教職員
」に改めることといたしました。 なお、この
法律
は
昭和
五十六年四月一日から施行することといたしております。 以上が、この
法律案
を提出いたしました
理由
及び
内容
の
概要
であります。何とぞ十分御
審議
の上、速やかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。 以上であります。
—————————————
大島友治
6
○
委員長
(
大島友治
君) 次に、
公立義務教育
諸
学校
の
学級編制
及び
教職員定数
の
標準
に関する
法律等
の一部を
改正
する
法律案
を
議題
といたします。 まず、
政府
から
趣旨説明
を聴取いたします。
谷垣文部大臣
。
谷垣專一
7
○
国務大臣
(
谷垣專一君
) このたび、
政府
から提出いたしました
公立義務教育
諸
学校
の
学級編制
及び
教職員定数
の
標準
に関する
法律等
の一部を
改正
する
法律案
につきまして、その
提案
の
理由
及び
内容
の
概要
を御
説明
申し上げます。 今日、
学校教育
に対する
国民
の期待はますます高いものがあり、
学校教育
が担う
役割り
は一層重要なものとなっております。わが国における
初等中等教育
は、その
普及度
においては世界に誇り得る高い水準に達しているのでありますが、今後の最も大切な
課題
は、その
教育
の
内容
の
質的充実
に一層努力することであります。すなわち、一人一人の
児童
、
生徒
の能力と適性に応じた
教育
を行うことにより、
基礎
と基本をしっかり身につけた人間性豊かで
創造力
に富む、
心身とも
に健全な
国民
の育成を図ることが重要な
課題
となっておるのであります。
公立義務教育
諸
学校
の
学級編制
と
教職員定数
の
標準
につきましては、
昭和
三十四年度以降四回にわたり計画的に
改善
を行い、
公立高等学校等
の
学級編制
と
教職員定数
の
標準
につきましても、同様に
昭和
三十七年度以降三回にわたって
改善
を行ってまいったところでありますが、
教育条件
の一層の
充実
を図るため、このたび、
小学校
及び
中学校
における四十人
学級
の実現をはじめとして、
公立
の
義務教育
諸
学校
及び
高等学校等
の
学級編制
及び
教職員定数
につきまして、さらに計画的にその
改善
を図ることとしたものであります。 次に、
法律案
の
内容
について御
説明
いたします。 まず第一は、
公立義務教育
諸
学校
の
学級編制
及び
教職員定数
の
標準
を
改善
したことであります。 すなわち、
公立
の
小学校
及び
中学校
の
学級編制
の
標準
に関しまして、同
学年
の
児童
または
生徒
を一の
学級
に編制する場合の
標準
を、
現行
四十五人から四十人に
改善
するとともに、二個
学年複式学級
及び
特殊学級
の
学級編制
の
改善
を行うことといたしました。 また、
公立
の
特殊教育
諸
学校
の
小学部
及び
中学部
の
学級編制
につきましても、その
改善
を図ることといたしました。 次に、
公立
の
小学校
及び
中学校
の
教職員定数
の
標準
に関しましては、
教頭定数
及び
小学校
の
専科教員
の数を
充実
し、
小規模中学校等
における
免許外教科担当教員
の解消を進めるほか、
寄宿舎
を置く
小学校
または
中学校
について加算する
教員
の数を
改善
することといたしました。 また、
養護教員
、
学校栄養職員
及び
事務職員
につきましても、その
配置基準
の
改善
を行うことといたしました。 次に、
公立
の
特殊教育
諸
学校
の
小学部
及び
中学部
の
教職員定数
の
標準
に関しましては、
教頭定数
及び
小学部
の
専科教員
の数を
充実
し、
中学部
の
免許外教科担当教員
を解消するため、
小学校
及び
中学校
と同様の
改善
を行うほか、
養護訓練
を担当する
教員
の数及び
寄宿舎
を置く
学校
について加算する
教員
の数を
改善
することといたしました。 また、
寮母
及び
学校栄養職員
につきましても、その
配置基準
を
改善
することといたしました。第二は、
公立高等学校等
の
学級編制
及び
教職員定数
の
標準
を
改善
したことであります。 すなわち、
公立
の
高等学校
の
教職員定数
の
標準
に関しまして、
教頭定数
及び
職業教育
を担当する
教員
の数を
充実
し、新たに
習熟度別学級編成
に伴う
教員
の
加配
を行うこととするとともに、
通信制
の課程について
教員
の
配置基準
を
改善
し、
寄宿舎
を置く
学校
について新たに
教員
の数を加算することといたしました。なお、
教職員定数
の
算定方法
の
基礎
を、
生徒数
から
学級数
に改めることといたしております。 また、
養護教員
につきましても、
義務教育
諸
学校
に準じてその
配置基準
を
改善
することといたしました。 次に、
公立
の
特殊教育
諸
学校
の
高等部
の
学級編制
の
標準
に関しましては、
小学部
及び
中学部
に準じてその
改善
を図ることといたしました。 また、
教職員定数
の
標準
に関しましては、
小学部
及び
中学部
に準じて、
教頭定数
及び
寄宿舎
を置く
学校
について加算する
教員
の数を
充実
するとともに、
寮母
につきましてその
配置基準
を
改善
することといたしました。 さらに、
高等部
に置かれる学科について、
政令
で定めるところにより、
教職員
の
加配措置
が行えるようにいたしております。 第三は、
小学校
及び
中学校
の
養護教員
、
学校栄養職員
及び
事務職員
並びに
高等学校
の
養護教員
につきまして、一部の都道府県に関して講じてまいりました
保障措置
が、このたびの
配置基準
の
改善
に伴い、不要となったため、これらの
関係規定
を整理したことであります。 第四は、
経過措置
についてであります。 この
法律案
は、
昭和
五十五年度から施行することといたしておりますが、その
実施
につきまして必要な
経過措置
を設けることといたしました。 すなわち、
公立
の
小学校
及び
中学校
の同
学年
の
児童
または
生徒
で編制する
学級
に係る一
学級
の
児童
または
生徒
の数の
標準
につきましては、
昭和
六十六年三月三十一日までの間は、今後における
児童生徒数
の
推移等
を考慮しつつ、新しい
標準
に漸次近づけることを旨として、毎年度、
政令
で定めることといたしました。 また、
小学校
及び
中学校
の複式
学級
及び
特殊学級
の
学級編制
並びに
特殊教育
諸
学校
の
学級編制
につきましては、
昭和
六十六年三月三十一日までの間は、今後における
児童
、
生徒
の数の
推移等
を考慮しつつ、新しい
標準
に漸次近づけることを旨として、各都道府県等の実態に応じて、都道府県の
教育
委員会
等がその基準を定めることといたしました。 次に、
公立
の
義務教育
諸
学校
及び
高等学校等
の
教職員定数
の
標準
につきましては、
昭和
六十六年三月三十一日までの間は、今後における
児童
、
生徒数
及び
教職員
の総数の
推移等
を考慮しつつ、新しい
標準
に漸次近づけることを旨として、毎年度、
政令
で定めることといたしました。 なお、衆議院において、施行期日等に関する附則の規定の一部が修正されましたので、念のため申し添えます。 以上がこの
法律案
を提出いたしました
理由
及び
内容
の
概要
であります。 何とぞ、十分御
審議
の上、速やかに御賛成くださいまするようお願い申し上げます。
大島友治
8
○
委員長
(
大島友治
君) これより本案に対する質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言願います。
高橋誉冨
9
○高橋
誉冨
君 ただいま
提案理由
を
説明
を聞いた途端の質問ですので、要領を得ない質問になるかと思いますが、御了承いただきます。 言い古した言葉ですが、何といいますか、四十人
学級
あるいは
標準
法、この前に前提となる大きな問題を幾つか最初に質問いたします。 一年の計は穀を樹うるにあり、十年の計は木を樹うるにあり、百年の計は人を樹うるにある。
教育
こそ国家百年の大計であり、民族繁栄の
基礎
である。その一番の
責任
者である文部大臣としてのまず覚悟をお伺いしたい。
谷垣專一
10
○
国務大臣
(
谷垣專一君
) 国政の基本は、将来の日本を担う頼もしい日本人を育てる
教育
がその基本であると私は考えております。
教育
の基本を個人の創意、自主性及び社会の連帯感を大切にしまして、わが国の発展と世界の平和と繁栄に寄与することのできる知育、徳育、体育、均衡のとれた
国民
の養成に置いて
教育
を進めてまいりたい、こういうふうに考えておるのであります。
高橋誉冨
11
○高橋
誉冨
君 そういうりっぱなお覚悟ならば、私は文部大臣がちょいちょい変わらないで、末永く、私が決めるわけじゃないんですが、文部大臣の座にあって初志を貫徹していただきたい。 ところで、現実の
教育
実態というものをどう見ているのか。私は、公務員法九十六条に「
国民
全体の奉仕者として、
職務
の遂行に当っては、全力を挙げてこれに専念しなければならない。」あるいは
教育
基
本法
に「
法律
に定める
学校
の
教員
は、全体の奉仕者であって、自己の使命を自覚し、その職責の遂行に努めなければならない。」、こういうのがあるんですが、このとおり現在の日本の
教職員
というものが本当にやっているのかどうか。私の見る目では本当にやっている精励型といいますか、そういう型の
職員
、それと反対に、横着型と言っては語弊がありますが、違法ストをやったり、サボったり、上司に反抗したり、こういう労働者としての
教育
者、二つの大きな流れがありまして、その中間ももちろんある。私は、大臣の認識どうしているか知らないけれども、やっぱり公務員法九十六条、
教育
基
本法
六条の二項にあるように、使命を自覚して、
職務
の遂行に当たっては全力を挙げてこれに専念する、こういう
教職員
の活動にする
教育行政
機関の最高者としての
責任
があるんじゃないかと思いますが、この点ひとつお考えを承りたいと思います。
谷垣專一
12
○
国務大臣
(
谷垣專一君
)
教育
の問題は、結論的には結局その
教育
をいたします教師に適切な
人材
を得ることにあると思います。
教育
は人にありと申しますが、まさにそうだと考えております。すぐれた
教員
を
確保
しまして、しかもその資質、能力を絶えず向上をしていく、
生徒
に対しましての深い愛情をもって
教育
に当たる、こういうことが私は
教育
の場では一番大切なことであろうと思います。しかも、それはその理想を追求いたしますのに不断の努力が必要である、こういうように考えておるわけでありまして、新規採用
教員
を考えました場合でも、したがいまして、研修等の問題、あるいは現場におきましてのいろんな
教育
に対しましての研究ということが大変必要だと考えております。 いま、先生が御指摘になりましたような
教育
現場におきまして、これらの一つの理想として考えていかなければならない、追求していかなければならない
環境
、あるいは雰囲気というものが損なわれておるといたしましたならば、これは大変遺憾なことでございまして、その是正をいたしますことに努力をしていかなければならないと思っております。 今後とも万全の
措置
を考えていく必要があるし、また
教育
の現場におきましては、こういう
教育
に対しましての熱心な先生が、十分に
教育
の場に当たっていただけるような努力をしていく必要がある、こういうように考えております。
高橋誉冨
13
○高橋
誉冨
君 ただいまのすぐれた
人材
を
確保
してりっぱな
教育
をしたい、本当に私どもごもっともだと思います。そういうすぐれた
人材
を
確保
するということで、
人材確保
法案
、これは
学校教育
が次代を担う青少年の人間形成の基本をなすものであるということにかんがみ、
義務教育
諸
学校
の
教育職員
の
給与
について、特別の
措置
を定めることにより、すぐれた
人材
を
確保
しようとするものである、こういうことなんですが、そういうような
趣旨
に基づいた人確法が果たしてそのとおり徹底していっているのかどうか、一例を挙げますと、その主任
手当
をこの人確法の三次か何かのあれで出されたんですが、それが各個人に渡っていない。渡ってから拠出したかどうか知らないけれども、金を出して、その金がどっかへ集まっている。都市では、私の聞いた
範囲
では大体一八%ぐらいそうだ、農村地帯では八、九〇%がそうなっている。あの当時一年間累積した金ですから、四万円前後。税金だけは返したそうですから、四万円前後の金が拠出されたわけなんですが、その金が一体どうなっているのか、それは
立法
の
趣旨
に沿っているのかどうか、そういうように
人材確保
法案
というものを出したにかかわらず、そういうことであっていいのかどうか。それから、また
一般
の公務員はこういう批評をしていますよ。われわれは一生懸命働いている、これは
学校
の先生も一生懸命働いているから、そういう優遇
措置
をとったのはいいのかもしれないけれども、
学校
の先生の中にも一生懸命でない先生がいっぱいいる、あれなら私たちもやっぱり同じような優遇
措置
もらってもいいじゃないか。とにかく東京都をやり玉にあげるわけじゃないんですが、大体東京でお三時先生といって、三時になるともうそわそわしちゃって、四時になると下校する。そして、うちの方では普通五時まで勤めていますから、帰ってきた先生がもううちでちゃらちゃらしている、うちの方の先生は一生懸命働いている、何だかおかしいじゃないか。よく聞いてみたら、東京都では四十五分の休憩というのを一番後へ持ってきちゃって、家庭で休養している。こういうことがやっぱり
地方公務員
や、ほかの公務員からすれば、われわれ五時まで一生懸命働いているのに、先生は四時に帰ってきて、それで
人材確保
法だなんて優遇
措置
をもらって、それでいいだろうか、おかしいじゃないか、こういうことで、だんだんわれわれにも優遇しろ、
人材確保
法案
でせっかく優遇
措置
を決めても、優遇というものがだんだん何か消されていく傾向になってきたとしたら、私は
人材確保
法案
のやっぱり
立法
の
措置
が消えてしまうのじゃないか、こういうことを考えまして、これは
法律
でどんなりっぱなことを決めても、末端がそういう考え方、そういう心の持ち主ではいけないんじゃないか、
国民
のこうしてもらいたいというその願いに応じていないんじゃないか、こう思うんですが、見解を承りたいと思います。
谷垣專一
14
○
国務大臣
(
谷垣專一君
) いま先生が御指摘をされましたような問題、主任
手当
の、主任
制度
の
運営
の問題におきましても、その
運営
上、
法律
を通しましたその
法律
の
趣旨
が、必ずしも完全に理解されて行われていない例があるという御指摘を私も耳にいたしております。大変に残念なことだと考えておりますし、また、それの是正を図っていかなければならぬと思っております。ただ、他の
職場
に比べていろいろと御議論がいまございましたけれども、
人材確保
のためのああいう
措置
をいたしましたことの
立法
の
趣旨
も、
教育
というものについては特に大切な
職場
であるという、そういう前提が私は基本にあると思います。したがいまして、他の
職場
の方々からの御批判あるいは
国民
の側からの批判に、いわば批判を受けて、しかもそれが
人材確保
の
法律
をつくりました
趣旨
と逆の批判を受けるような実情がありますれば、これは大変に残念であり、また文教の
責任
者として申しわけないことだと私は考えております。東京都の例等につきましては、私まだ十分に承知をいたしておりませんが、御指摘のような事実がございますれば、十分にこれは反省もし、やっていかなければならない点だと思っております。
教育
の現場というものは、他の
職場
と若干違っております点は、人と人との関係でございまして、しかも、それが将来のある
児童
、
生徒
の気持ちをどういうふうに引き出してやっていくかという、ほかの
一般
的な
職場
とは違っておるところに
教育
に対する大切な、また
国民
の期待があるものだと思います。先生が長い間の
教育
の
経験
を生かしてそういう御意見をいただきましたことについては、十分に私たちは戒心をして将来の対策を進めていかなければならないと考えております。
高橋誉冨
15
○高橋
誉冨
君 しっかりした答弁だと思いますが、人と人との関係だからこそ
教員
はそういう心がけであってはいけない、やっぱり真剣な、深い気持ちで当たらなくちゃいけないと、こういうふうに私は考えるわけですから、そういう意味で
教職員
の指導、管理を徹底していただきたいと思います。 これはいい例と言っちゃおかしいんですが、一つ問題になったのは、私の近くで一キロぐらい離れているところに八千代東高校というのがあって、例の背番号で予算
委員会
で質問され、新聞に大分騒がれましたが、私はそこの校長も、
教頭
も
学校
もよく知っているんですよ。実際は非常に使命感に燃え立ったりっぱな
学校
です。それがまあ何千人も父兄がいれば、それは一部不平者もありますし、これは顕微鏡的に拡大すれば悪い点がいっぱい出てくるかもしれませんが、そういうことでマスコミにたたかれ、週刊誌でたたかれ、いろんなものにたたかれて、何か
全国
的にたくさんの方があそこには来てますから、あの
教育
が悪いんだというような印象を与えると、使命感に燃えて一生懸命やろうという
学校
がだんだん少なくなっちゃうんじゃないか。まあ犬も歩けば棒に当たるだから、歩かなければ何にも当たらない。一生懸命創意工夫していろんなことをやったら非難を受けたと。それで歩かない犬、何にもやらない
学校
ばかり多くなっちゃったら、これは決して
教育
の進歩にはならないと思いますし、また、もう一つの例は、これは二キロぐらい離れているんですが、八千代松陰高校というのがあるんです。これは創立二年で甲子園へ出場しまして、やっぱり日本じゅう騒がれた
学校
ですけれども、あの校長は、その
学校
を創設するときに私と会って、おれは高橋先生、命がけで当たるんだ、おれの信頼している
教員
を本当に日本じゅうどこからでも集めてくる、それで徹底した私は真実の
教育
を仕立ててみたい、命がけでやりますよ、とにかくびた一文ない校長が、二十何億かの校舎を建てて始めたんですけれども、本当に命がけだと思うのですよ。そしてやった結果が、まあ野球が強くなったから云々じゃないんですよ。野球は私はあの
学校
の
教育
の一つの横断面にすぎない。ほかのものもすばらしいと思います、生活態度でも、教科の力でも。そういうことを大臣は、まあ水戸黄門か暴れん坊将軍じゃありませんが、たまには現場にふらっと行って、実態はどうなのか、本当に悪いのか、本当にいいのか、非難する者が悪いのか、やっている
学校
が悪いのか、この真実を突きとめろくらいのことをしてもらいたいと思います。
谷垣專一
16
○
国務大臣
(
谷垣專一君
) 先生の実際の体験からの御意見でございますし、ことに
教育
の場で、
教育
に対しましての一つの熱情を持った先生方が、懸命になって
教育
の現場でやっていただいていることは私も承知をしております。
一般
的な評価、いろんな議論があろうかと思いますが、私は日本の
教育
が全般的に見まして、いまおっしゃられましたような熱心な方々によって、やはり支えられておるということは疑うべき余地はないと私は思います。できるだけ私もそういう現場の先生方の御意見も聞いていく機会を持ちたいと願っておりますが、まだなかなか不十分なところで、時間がございませんが、極力現場の皆さん方の御意見も伺っていかなければならないと考えております。
高橋誉冨
17
○高橋
誉冨
君 つけ加えますと、これはいいか悪いか知りませんがね、これは松陰高校に、組合があるのかと言ったら組合はないと言う。東高校にも組合あるのかと言ったらないと言う。ないことがいいとは私は言いませんよ。言いませんけどね、自然、そういうことをやっている暇がなくなっちゃったと言うんですよね。これもいいか悪いか知りませんよ。それで私は、そこで四十人
学級
という問題に移りますがね。このように文部省の意図するものと現実とが何かぴったりしないものがあるとすると、今後いろんな法規を出しても、その運用と実際というものをよっぽど私は指導、徹底しないとうまくいかないんじゃないかという気がいたします。また四十人
学級
にしても、これは教師と
子供
の人間関係をもっと深くするんだ、一人一人の
子供
の能力をよく見きわめさせるためなんだ、こう言っても、その先生自体が違法ストをやったり、その先生自体が四時になるとさっさとうちへ帰っちゃったり、そういうことで、四十人になったら今度は採点するにも、作文読むにも楽になっていい、そういう感覚で四十人
学級
にしたんでは、私はその
標準
法の定員の
改善
はこれは意味をなさないと思います。私実際に三十年近く先生をやっていて、すぐれた教師というのは、四十人いても、四十五人いても、五十人いても、すばらしく
教育
能率を上げるし、すばらしい
教育
をやるんですよ。ところがさっき言った横着者の、だらしのない先生というとこれは語弊がありますけれども、そういう先生——先生でもいろいろありますから、受け持たせますと、三十人、二十人にしても、これは恐らく十人集めてもその先生には
教育
能率を上げることができないと思うのですよ。そういう事実をやっぱりはっきり把握して、四十人
学級
の意味というものを十分生かすようにしてもらいたいと、こういう要望を申し上げまして、次に私は具体的な細かい質問をさっと一通りやりますから、どうぞ簡明に今度は答弁願いたいと思います。 そこで、まずこの
改善
計画を発足された意味について、もう一回お伺いいたします。
谷垣專一
18
○
国務大臣
(
谷垣專一君
) 四十五人
学級
のいままでの編制から、四十人
学級
の
制度
を導入をいたす決心をいたしましたことは、これは一人一人の
児童
、
生徒
の持っております能力を引き出して、そしてしっかりした
教育
をやっていく、先生と
生徒
との間の緊密な関係というものが醸成できる
環境
をつくることが、私はこれの本来の目的であると思います。したがいまして、先ほど御指摘がございましたけれども、この次に問われてまいりますのは、先生、教師の側の識見、能力、努力、こういうことに私はなってまいると思います。それが両方が一緒になって動きませんというと、四十人
学級
を
実施
いたします本当の
趣旨
が十分に達せないことになると思います。四十人
学級
の要望は、これは当
委員会
におきましても、また衆議院の
文教委員会
におきましても、非常に長い間の懸案として、強い
政府
に対しての御要望のございました案件でございまして、これを実現いたしますことが、文教の流れの中でどうしても大切だと、こういうことで今日のようなお願いをすることに実現をしたわけでございますので、何といたしましてもこの四十人
学級
が、本来の期待をいたしておりますような効果を上げることを、強く私たちは希望をいたしておりますし、この
制度
が
政府
の予算案として決まりましたときに、各地の関係の皆さんのところにも、ぜひとも今度はしっかりとした
教育
をやってもらいたいという要望を申し上げたところでございます。
高橋誉冨
19
○高橋
誉冨
君 大体先ほどの
説明
でお聞きしたわけですが、今回の
改善
計画の
概要
につきまして、
義務教育
関係の
内容
を
説明
願いたい。
諸澤正道
20
○
政府委員
(諸澤正道君) 今回の
改善
の計画は、五十五年度から六十六年度までの十二年間に約八万一千人の
教員
増を行って
改善
をしたいというものでありますが、その中身としましては、四十人
学級
の実現のために四万三千人の
教員
増をいたします。そのほかに、複式
学級
、
特殊学級
の
学級編制
の
改善
、それから
小学校
の専科担当
教員
の増、
中学校
の
免許
外担当
教員
の解消、それから
事務職員
、
養護教諭
、栄養
職員
、そして
教頭
の増、それからその他
特殊教育
諸
学校
の
改善
、以上の
内容
を合わせまして約三万八千人の増、合わせまして八万一千人の増というのがその概略でございます。
高橋誉冨
21
○高橋
誉冨
君 この小・
中学校
の間で四十人
学級
の実現が大きな柱になっているわけですが、四十五人基準の現在、
全国
的に
学級編制
の
状況
はどのようになっているか、ばらつきが各府県によって相当あるんじゃないか、御
説明
願いたい。
諸澤正道
22
○
政府委員
(諸澤正道君) 御指摘のように、これは大変ばらつきがあるわけでございまして、五十三年五月の
調査
でも、
全国
を平均しますと、
小学校
の一
学級
の平均は三十三・二人、
中学校
は三十七・一人となっておるわけでございますが、これらの諸県のうち、埼玉、千葉、東京、神奈川、愛知、京都、大阪、兵庫及び奈良という、過密九県と言っておりますが、これらの九県だけの平均をとりますと、
小学校
は三十六・六人、
中学校
は三十九・四人ということでありまして、したがいまして、四十一人以上の
学級
の分布
状況
を見ますと、
小学校
の全
学級数
の二六・二%、
中学校
の全
学級数
の五一・一%が四十一人以上の
学級
ということになっておりますが、それぞれの約半数がいま申し上げた過密九県に集中をしておると、こういう実態でございます。
高橋誉冨
23
○高橋
誉冨
君 わかりました。 今回の
改善
計画で四十人
学級
をどのように実現していこうとしているのか、お伺いしたい。
諸澤正道
24
○
政府委員
(諸澤正道君) 五十五年度を初年度として
実施
をするわけでございますが、いまの計画といたしましては、五十五年度から発足させました四十人
学級
は、人口減少市町村の
学級
で、しかも、そのために格別の施設の増を必要としないところに限ったわけでございまして、これが約五百五十校ぐらいであったかと思いますが、そのほかの
学校
は五十八年度から
学年
進行で
実施
をするというような形にいたしたいと思っておるわけでございます。 なお、
中学校
の方は、さらにその
状況
を見ました上で、人口減少市町村は六十一年度から、その他の市町村の
中学校
は六十四年度から
実施
するというようなことを一応のめどとして現在考えておるわけでございます。
高橋誉冨
25
○高橋
誉冨
君 過疎地帯からやるのが順序としてやりやすいということはうなずけますが、過密地帯をそのまま放置しておいていいのかどうか。過密地帯は、この間ちょっと校長らと会いましたら、実際言うと私たち過密地帯もそのまま放置されちゃ困る。特に若い女の
教員
が多いのでお産が多い。それからいろんな事故が多い。そういうことでやっぱり増置
教員
のようなものを過密地帯に欲しいと。特に事故なんかあってぽっと休まれる率が非常に多いというんですね。そういう場合に、何か契約と言ったらおかしいんだが、結んでおきまして、事故があったら電話をかけるとさっと来るというような、そういう退職者の中の優秀な人間を何人か、予約と言ったらおかしいが、予約しておいて、来たときに、日給制か時間給制か知りませんが、そういうので
手当
を払うようにして、そういう
措置
を講じてもらうと実際にはまことに私たちは都合がいいと、こういう話をゆうべ聞かされましてそうだなと私うなずいたんですが、何かそういう対策考えられますか。
諸澤正道
26
○
政府委員
(諸澤正道君) いま御指摘のような点は、先ほど議員御
提案
のございました
育児休業期間
中の代替
職員
の
任用
の場合等は現在やっておるわけでございまして、各県ともそういう先生方をあらかじめ予定をしておりまして、
育児休業期間
なり、あるいは産前産後の
休暇
中には、そういう先生が代替するというような
制度
が
法律
上できておるわけでございますが、いま御指摘のような、特定の先生について突発的に事故があって、一両日休まなければならぬというような場合についてまで、この
制度
は現在できておらないわけでございます。ただ、実態としましては、先生御指摘のような、たとえば千葉県で言いますと、船橋とか、市川といったような大都市になりますと、大体大規模な
学校
が多うございますから、比較的
教員
配置に余裕があるというようなこともございまして、格別の
手当
てをしていないわけでございますが、ただこういうところは、船橋などは仮に五十五年度から
学年
進行で
小学校
もやるとしますと、物すごい教室増を必要とするわけなんですね、五十五、六、七と三カ年。それで市当局などの御意見も聞きましたけれども、やはりちょっと延ばしていただかぬと実際問題として困難だというようなことがございますので、五十八年度以降といたしたわけでございまして、その間先生御指摘のように、それらの
学校
におきましてはいろいろ困難の問題もあろうかと思いますが、その間ごしんぼういただきまして、それ以後の
改善
に待つということでやらしていただきたいと、かように思うわけでございます。
高橋誉冨
27
○高橋
誉冨
君 いま教室の問題出ましたが、そういう教室やなんかの整備の問題を計画的にどのように考えているか、もっと詳しく御
説明
願いたいと、こう思うんです。
諸澤正道
28
○
政府委員
(諸澤正道君) 教室の整備の問題につきましては、ちょっといま正確な数字持っておりませんけれども、この
小学校
が五十六年度で
全国
的にピークに達し、
中学校
は六十一年度ということになりますと、これから主として
中学校
の教室増が多くなるわけですが、五十五年度以降その自然増に対応する教室分だけでも
全国
では四万七千教室ぐらいたしか必要なんですね。ところが、この四十人
学級
につきましては、いま申しましたような十二年計画で人口の減少に合わせて
実施
をいたしますと、
全国
で約八千三百教室ぐらいで済むものですから、そういう点も配慮して、いまの四十人
学級
の緩慢な
実施
ということに踏み切ったわけでございます。
高橋誉冨
29
○高橋
誉冨
君 まあ四十人
学級
は長年の懸案であり、これが私は
実施
に踏み切ったということは大変いいことと思いますので、円滑にこれが実現されるよう願います。 また、同時にその
運営
については、先ほど言いましたように、四十人
学級
になったから楽になったという、
教育
者天国だというような考え方で受け取らないで、やっぱり
子供
の個々の能力をよりよく伸ばすんだと、そして
子供
との人間関係を密接にするんだと、こういう
趣旨
を生かされて運用されますよう私の方から希望いたしまして、四十人
学級
の件は以上で終わりたいと思います。 次に、定数
改善
問題でお伺いしたいんですが、今回の
改善
計画では、小規模
中学校
の定数
改善
を行っていると聞いているが、その
内容
はどういうものなのか、御
説明
願いたい。
諸澤正道
30
○
政府委員
(諸澤正道君) 今回の
免許
外教科担任
教員
の解消のための増員予定者は二千百四十人となっておるわけでございますが、小規模
中学校
で問題になりますのは、一
学級
、二
学級
、三
学級
、四
学級
程度のところが一番問題になるわけですけれども、今回の
改善
で一
学級編制
のところも、校長含めて五人、それから二
学級
が七人、三、四
学級
が九人という配置になります。理屈を申しますと、
中学校
の教科は九教科でございますから、その程度おれば大体それぞれの担当の専門の先生がお願いできるということになるわけですが、しかし、実際の
運営
としましては、その
中学校
の各教科の授業時数が、音楽、美術などは一週間に七、八時間程度、国語は十五、六時間になるというようなことですから、必ずしもそのそれぞれの専門の先生を準備すれば、完全に
免許
外担当
教員
の解消になるかというと、私はそうはならないと思うんですけれども、ただ現状を見ますと、かつての第一次のベビーブームの際における特定教科の
教員
をよけい採ったというようなこともあって、そもそもの
教員
の専門別配置が必ずしも適正でないというようなこともございましたので、今回の定員の増と合わせて、そうした
教員
の配置の
状況
についてもより適正化を図るということで、できるだけ小規模
中学校
における
免許
外担当の実情を解消する方向で努力を払ってまいりたい、かように思うわけでございます。
高橋誉冨
31
○高橋
誉冨
君
養護教諭
や
事務職員
についてはどういうことになっておりますか、お伺いします。
諸澤正道
32
○
政府委員
(諸澤正道君) いまの現状は、御承知のように
養護教諭
も
事務職員
も全小・
中学校
の四分の三まで置けるという定数でございますが、今回の
改善
によりまして、小・
中学校
とも四
学級
以上のものには全校必置と。さらに三
学級
の小・
中学校
については四校に三人の割合で配置をしようと、こういうことでございます。 そうしますと、勘定の上では、三
学級
の
学校
の四分の一と、一、二
学級
に配置されないと、こういうことになるわけでございますが、ただ、今度の
法律
改正
で小、中隣接校、つまり
学校
間の距離が五百メートルくらいのものは一つの
学校
として考える。こういう隣接校というのは大体小規模
学校
に多うございますから、そういうふうに考えますと、三
学級
程度の
学校
にはほぼ行き渡ると。あと一、二
学級
の小・
中学校
というのは、実態としては一校の
児童
、
生徒数
が十人前後でございますので、これはそれぞれ専任が置ければよろしいわけでございますが、一挙にそこまでというのも非常に困難な
課題
でございますので、そうした点につきましては、少し距離は離れておりましても、他の
学校
との併任というような形で巡回指導していただくとか、あるいは、
事務
であれば当該
学校
の先生に兼務していただくというようなことでやっていただきますと、ほぼ九八%ぐらいの
学校
に事実上配置されると、こういうことになるわけでございます。
高橋誉冨
33
○高橋
誉冨
君
養護教諭
とか、
事務職員
とかというのは、小規模
学校
というのはとかく何かなおざりにされがちだが、小規模
学校
ほど私は必要じゃないかと思うんですが、この点いかがですか。
諸澤正道
34
○
政府委員
(諸澤正道君) おっしゃるとおりの面があると思うわけでございますね。それで、特に
養護教諭
につきましては、実際小規模
学校
のあります僻地などになりますと、無医村、無医地区というようなものもあるわけでございますので、こういう点につきましては、
学校
の規模にかかわらず無医村、無医地区には
養護教諭
を一名配置するという
原則
にいたしておりますので、その点のカバーはしておるわけでございます。 また、この
事務
などにつきましては、おっしゃるように、小さい
学校
であっても一校としての
事務
があることは事実でございますが、この点につきましては、やはり現状としては、その当該
学校
の先生方に交代で見ていただくというような御努力も、現段階ではしていただかざるを得ないんではないかと、かように思うわけでございます。
高橋誉冨
35
○高橋
誉冨
君 次に、特殊
学校
、特に養護関係で伺いたいんですが、五十四年度から義務制になったけれども、一年間
実施
してみてどのような相違があるか、お伺いします。
諸澤正道
36
○
政府委員
(諸澤正道君) 昨年四月の義務制
実施
によりまして、
養護学校
の数は
全国
で約六百五十校程度になりました。
子供
の数も五万七千人ということで、これは前年度に比べますと一万七千人ほどの増になっておるわけでございますから、かなりの
子供
が一挙に
養護学校
に就学したということで、これは普通
学校
の
特殊学級
などにいた
子供
が
養護学校
へ入ってきたのと、それから、従来は身体
障害
のために
義務教育
を猶予ないし免除されておった
子供
が約一万人おったわけですが、その猶免者が三千三百人程度に減ったということがこの就学率、就学
児童
、
生徒
の数の増大につながっておるわけでございまして、そういう意味では、この義務制というのは非常に意味があったわけでございますが、ただ
実施
に際しまして、もちろんいろいろ困難な問題もございまして、たとえば、この六百五十校できたといっても、やはりそれぞれの
障害
を持つ
子供
さんにとっては、通学の問題などいろいろあるわけでございまして、そういう問題と絡んで、またせっかくの義務制が
実施
されましても、
子供
の親としては普通
学校
へやりたいというような希望があったりして、その辺をやはり養護
学校教育
の意味というものを十分に理解していただくというこのことが、義務制の発足に当たっては非常に大きな仕事でございまして、そのために就学指導
委員会
等を設けて、そういう希望のある親御さんについてもよく話し合いの機会を持たせて、納得して
養護学校
に行かせるというような努力を
関係者
にしていただいたわけであり、このことは今後とも続けなければならない
課題
であろうというふうに思うわけでありますし、また一方、普通の
学校
の教師なり、
一般
の父兄につきましても、そういう養護
学校教育
に対する理解というものを十分持っていただきまして、そのことによって
障害
の軽い
子供
さんは、やっぱり必要に応じて適時普通
学校
の
子供
とのいろんな行事などでの交流を図ると、こういう努力もしていかなきゃならぬわけでありまして、そういう意味で、
制度
としては
養護学校
として別個に確立したわけでありますが、今後はその辺の
児童
、
生徒
の
教育
なり、扱いという問題をさらにきめ細かくやってまいりたいと、かように思うわけでございます。
高橋誉冨
37
○高橋
誉冨
君 そういう現実を踏まえまして、また今後
改善
する余地があると思うんですが、どのような
改善
をしたいか、それをお話し願います。
諸澤正道
38
○
政府委員
(諸澤正道君) これは物心両面いろいろあると思うんですが、物の面から言えば、たとえばその
養護学校
への通学についてもっとスクールバスを
充実
して、
障害
がある
子供
さんが遠くからも容易に通えるようにするというような
課題
もありますし、また今回の義務制
実施
によりまして、かなり重度の
障害
児、あるいは重複
障害
児といったような方が
学校
へ来られますと、この
教育
というのが従来にも増して非常に手がかかる問題でありますから、これに対する
学校
の設備なり、あるいはこれを扱う
教員
の資質の向上なりというようなことが非常に大切になってこようと思うわけでございます。 それから先ほど申しましたように、就学指導
委員会
のこの専門
職員
の方々の、就学を指導するに対しての専門的
見地
からの
経験
なり、能力の増大というようなことも非常に大事な
課題
であると考えますので、そういう面での講習会の開催なども、本年度から力を入れておるところでございます。
高橋誉冨
39
○高橋
誉冨
君
心身
障害
者の
教育
が実を結ぶためには、
子供
のときからの
障害
者に対する理解、いたわり、思いやり、そういうことが非常に大事だと思うんですが、それに対する施策がありましたらお伺いしたいと思います。
諸澤正道
40
○
政府委員
(諸澤正道君) この問題につきましては、先ほどもちょっと申し上げましたように、
一般
の
学校
の教師なり
児童
、
生徒
なりが、やはりそういう
心身
障害
者に対しましても、同じ友達として、あるいは人間として仲よくしなきゃいけないんだと、こういう認識を
子供
のうちから持つことが非常に大切だと思うわけでございます。したがいまして、いまの
小学校
の学習指導要領でも、「だれにも親切にし、弱い人や不幸な人をいたわる。」とか、あるいは
中学校
では「温かい人間愛の精神を深めていく。」とかというようなことが必要であり、そしてそうした
一般
の小・
中学校
の
教育
に対応して、
養護学校
の新しい学習指導要領の中では、その
障害
を持った
子供
の
一般
の
学校
における展覧会とか、あるいは遠足とか、その他の細細した
学校
行事などの際に、普通の
子供
と交わるような機会をできるだけ持たせるようにと、こういうようなことで指導しまして、五十四年度から
心身
障害
理解推進校というのを各県に小・
中学校
一校ずつ設けまして、それらの小・
中学校
と
障害
者の
養護学校
との交流を深めるというようなことをモデル的に進めるというようなことをやっておるわけでありまして、またそうした
心身
障害
児をより一層理解してもらうために、「
心身
障害
児の理解のために」というパンフレットですけれども、手引書をつくりまして、
全国
の小・
中学校
に配付するというようなことをやってきておるわけでございます。
高橋誉冨
41
○高橋
誉冨
君 来年は国際
障害
者年でもありますし、私は、特にそういう気の毒な方に対する愛情豊かな日本をつくる上にも、温かい手を差し伸べるような努力をしてもらいたいと思います。特に私は、三、四年前ですか、メキシコへ行きましたときに、そこにいた自動車の運転手が、あなた方は三十年も四十年もこっちへ来ていて、日本へ帰りたくありませんかと聞いたところが、私たちは、昔は日本へ帰りたくてしようがなかった。帰るとまた人情が細やかで、喜んで迎えてくれるし、喜んで送ってくれたと。ところが、最近は私はもうメキシコの土になりたいと思います。なぜですかと言ったら、日本へ帰っても昔のような温かい人情味がなくなったと言うのですよね。私はやっぱり大きな
教育
上の何かの欠陥じゃないかと思いますが、特に
心身
障害
者なんかを中心にしまして、温かい心の結ばれ合った日本であるように努力していただきたい。
心身
障害
者についてはその要望をもって終わります。 次に、高校関係について若干お伺いします。 最初に、高校関係については、今回の計画でどのような
改善
計画を図ろうとしているのか、その
概要
について御
説明
願います。
諸澤正道
42
○
政府委員
(諸澤正道君)
高等学校
関係は、御承知のように
職員
の
給与
費は地方交付税の中で見るわけでございますので、そういう意味合いの高校
標準
法の
改正
でございますが、この計画の中身としては、十二年間に約一万名強の増でございますが、その中には、高校の四十人
学級
は入っていないわけでございます。その最も大きな部分は、例の
習熟度別学級編成
に必要とする
教員
増が六千六百名ぐらいだったかと思いますが、それと
養護教諭
の増、あるいは家庭、商業といったところにおける専門教科担当
教員
の増というようなものが主たる中身でございまして、このほかに
高等学校
では、今後十年くらいの間に
高等学校
の
生徒
が約百万以上増をするということで、それに対して、言うところの自然増に対応する
教員
増というものが四万くらい必要になるだろう、こういう見通しでございます。
高橋誉冨
43
○高橋
誉冨
君
高等学校
で四十人
学級
を見送った
理由
は何か、御
説明
願います。
諸澤正道
44
○
政府委員
(諸澤正道君) いまのお話の続きになるわけでございますが、そういうふうに、
高等学校
の
生徒
が百万以上もふえるということになりますと、しかも、そのふえるふえ方が、先ほど申しました小、中の場合と同じように大都市に集中するということになりますと、これらの自治体では、
高等学校
を増設するための場所の設定からして非常に困難を来すというようなことで、先般の幕張における集団高校のようなものでも考えないと、とても実際にやれないというような実情でございまして、それを反映して東京や大阪などでは、本年度は高校の
学級編制
基準四十五人を上回って、四十七人でやらざるを得ないというような
状況
でございますので、この
状況
がしばらく続くわけでございますから、四十人
学級
が高校においても望ましいのはもちろんでございますが、この十二年間には四十人
学級
を計画として持つことは事実上不可能であるということからして、今回は見送らざるを得なかったわけでございます。
高橋誉冨
45
○高橋
誉冨
君 この同校で、
習熟度別学級編成
というものをつくったわけですが、これはどういう
趣旨
からやったものか。またそれがあるために、かえって何といいますか、
生徒
の間に、おれはこっちの優秀なクラスだと、おれはそうじゃないんだという差別的な感情が生まれることは
教育
上よろしくないのじゃないかとも考えられるが、その点お伺いしたい。
諸澤正道
46
○
政府委員
(諸澤正道君) 一昨年
高等学校
の学習指導要領を改定したわけでありますが、その一番のねらいは、現在
高等学校
の進学率が九四%にもなって、
高等学校
の
生徒
と一概に言いましても、その能力や適性に非常に差ができているという実態があるわけでございます。したがいまして、せっかく
高等学校
へ入ってきても、実はその入学試験で、英語も数学もほとんどゼロ、あるいはゼロ点に近いような成績でも入ってきておる
子供
がおるわけでございます。そうしますと、そうした
子供
に、さらに英語や数学の勉強をさせる場合に、すべて他の
子供
と同じにやっても、実際問題として効果が上がらない。そこで、これをどうしたらよいかということが、実はこれまでも
関係者
のいろいろ苦心するところであったわけですが、この
習熟度別学級編成
というのは、そういう実態を踏まえて、
子供
の教科
内容
に対する習熟の度合いに応じて、これを適宜グループ分けして丹念な
教育
をしよう、こういうわけでございますから、これはたとえば、戦前などで、いわゆる能力別
学級
編成といいますか、成績のいい子悪い子を
学年
の初めから固定的に、A組、B組、C組というふうに分けてしまって、それをもう一切動かさない、こういうようなことではなくして、いま申しましたように、英語や数学など特定の教科の勉強の場合に、その
子供
の習熟の度合いに応じて、適宜グループ分けをして、そのグループの中で、また一学
期間
やってみて、進度のいい者はもう一つ上のグループに移すというように、グループ分けを固定化しないというやり方でございますので、これはそうしたやり方に十分気をつけて、
関係者
の理解を得た上でやりますならば、いまおっしゃったような、
子供
に劣等感を持たせるとか、あるいは落ちこぼれをつくるとかいうようなことをなくすることができるわけでございますので、私どもは、その
趣旨
を十分
説明
して、やり方に十分注意をして、これはやってくださいということで進めることといたしておるわけでございます。
高橋誉冨
47
○高橋
誉冨
君
高等学校
は、ほとんどいま九四%ですか、進学しているということですから、非常に大事ですので、その質の向上に努めてもらいたい。
小学校
、
中学校
、高校と比べますと、私の見ている点では、
高等学校
が一番
学校
管理が私はまずいと思うんですよ。この点やっぱり十分留意してもらいたいと思います。 それから、最後に大臣にお伺いしますが、先ほど、四十人
学級
にしましても、あるいは何にしましても、一番大事なのは
教員
だと、こういうふうに私は受け取っておりますが、
教員
の質の向上というものが私は実際大事だと思うんです。それで、いま何が一番欠けているかというと、
知識
、技能も大事だけれども、一番欠けているのは
教育
者魂というか、使命感を持ったそういう
教育
者が一番大事だと思うんですよ。それが私は初め
教育
大学を
全国
へつくるというから、終戦後だれでも
教員
になったというような
教員
を、もう一回
教育
者魂をしっかりと植えつけるような、そういう機関だと思ったんですよね。兵庫とか、新潟にできましたが、それがそういう二つくらいの
学校
じゃそういう使命をとても果たせないんじゃないか、文部省がそういうことをねらったにしても、何かいろいろ考えさせられて後退しちゃったんじゃないかと思うんですが、この点やっぱり私はどんどん推進されて、いまの日本を、さっき言ったような使命感に燃えた、
国民
全体の奉仕者として全力を傾注して
教育
に当たるような、そういう
教員
をつくってもらいたい。 それからもう一つは、いま
教員
の条件採用というのがあるわけですね。その
制度
が有名無実のような気がするんですよ。これは千葉県にあった例ですがね。
子供
は教室でけんかさせる。カラスは飼う。教室じゅうカラスのふんだらけにしてしまう。それでいて校長の言うことは聞かない。とうとう校長は困り果てて、条件に合わないから、成績良好でないので本採用したくないと言ったら、裁判になりまして、地裁では負けたと思いましたが、大分問題を醸しました。そういうようなことでおじけふるっちゃって、どこでも条件採用した者はそのまま全部本採用になっちゃった。条件採用というものは全然意味をなさない。条件採用というのは、大事な
子供
を、次代を背負う
子供
を
教育
するのだから、これは公務員もそうでしょうけれども、条件に合わなかったら、やっぱり私は本採用しない、こういうくらいの考えが実際にされていいんじゃないかと思いますが、大臣のお考えをお伺いして、私の質問を終わります。
谷垣專一
48
○
国務大臣
(
谷垣專一君
) 先ほど御指摘がありましたように、結局
教育
は人、ことに適切な教師をどう
確保
して、そしてそれが現場で
子供
たちと一緒になってもらってやっていくというところが
教育
の私は一番大切な点だと思います。 先ほど御指摘がございましたけれども、新しい、たとえば上越、あるいは兵庫、また今度は徳島県の方にも一つ計画を持っておるわけでありますが、これらの
教育
大学も、私はやはり非常に大切なものだと思っております。これは
御存じ
のように、主として現職の
教員
の方々をもう一度大学院コースと申しますか、そういうところで深く
教育
をしてもらおう、研さんを積んでもらおう、こういう考え方でございますが、先ほど先生がおっしゃったように、
教育
に対する熱情というものが大学院
制度
で直に得られるかどうかという問題につきましては、これはいろいろ問題があろうと思いますけれども、しかし、それはそれなりに一つの私は効果があるものだと思います。しかし、
教育
に対する熱情というものがそういう
制度
の中からこれは出てくる、それだけに期待しては本当は出ない、むしろ出にくい性格の問題であるところが
教育
の非常に重要であり、かつむずかしいところでございますので、これは単に大学院のことだけでない、現在ありますいわゆる
教育
大学の中におきましても考えていかなければなりませんし、さらには、もう少し深いところで、やっぱりすぐれた
教育
者をつくる
教育
者がむしろ必要であるというようなことも、これはすでにどなたでも言っておられるところでございまして、むずかしい問題であることは事実であります。しかし、これは避けて通れない問題でございますので、いろいろと工夫をしていかなければならぬと思っております。しかし、その大学院
制度
自体を持った、新しく現職の
教員
の皆さんを、もう一度そこで自分の識見を確めて、そしてやっていただくということは、私は現場での
教育
の体験を経てきておられる、また、そこにおけるいろんな問題を自分の中に受けとめて、いろいろとある意味では悩み、そしてそれを克服していく、そういう過程におられるわけでありますので、この大学院
制度
というものは、私はやはりそれはそれなりの意味を持っておると思いますし、また、持たせなければいけないと私は思っておるわけであります。いろいろと工夫をこらしてやっていかなければならぬことは十分に承知をいたしておりますが、そういうふうに考えておるところでございます。
高橋誉冨
49
○高橋
誉冨
君 条件採用の件は。
谷垣專一
50
○
国務大臣
(
谷垣專一君
) 実は私まだよくそこらの
状況
がわかりませんので、お答えが十分できないのでございますけれども、もう少し研究をさしていただきたいと思います。
高橋誉冨
51
○高橋
誉冨
君 終わります。
大島友治
52
○
委員長
(
大島友治
君) 本案に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。
—————————————
大島友治
53
○
委員長
(
大島友治
君) 次に、
教育
、文化及び学術に関する
調査
を
議題
とし、質疑を行います。質疑のある方は順次御発言を願います。
小谷守
54
○
小谷守
君
教員養成大学
が発足をしたわけでありますが、この発足に当たっての今日の
状況
はいかがでありますか、大学局長から
概要
をひとつ御
説明
を願いたいと思います。
佐野文一郎
55
○
政府委員
(
佐野文一郎
君) 二つの新しい
教育
大学が、御案内のように五十三年度に創設されたわけでございます。このうち兵庫
教育
大学は、五十四年の四月に大学院から学生を受け入れるという年次計画に従いまして、すでに昨年の九月に第一回の入学者選抜を円滑に終了いたしまして、多数の志願者の中から現職の
教員
百三十四人を含む百五十人の合格者を受け入れているわけでございます。上越の
教育
大学は、五十六年の四月に学部から学生受け入れを行うことといたしておりまして、目下、学生受け入れに備えて教官の陣容を整えたり、あるいは
施設設備
等の整備を鋭意進めている段階にございます。 なお、兵庫の
教育
大学の場合には、今年度から付属の幼稚園と
小学校
を、地元と十分に協議をいたしましてスタートをさせることにいたしております。
小谷守
56
○
小谷守
君 この
教員養成大学
の発足に当たっては、一昨年六月に本院
文教委員会
においても
附帯決議
が行われたのであります。この
附帯決議
の
趣旨
にのっとって、両大学は進められておるかどうか、私どもは強い関心を持っておるところでありますが、いま局長から御報告のありました、たとえば兵庫の場合、いろいろとこの大学の発足についての懸念が強かったわけでありまして、私は一昨年の十一月二十七日であったと記憶いたしますが、地元の代表の皆さんを当時の文部大臣でありました砂田さんに面会をあっせんいたしまして、私も同席をしたことでありますが、その際、当時の砂田文部大臣としては、地元の不安に対してかなり明快な見解をお漏らしになった。地元の諸君としては、反対意見を持っておった諸君も、大臣の熱意にかなり動かされた様子であったわけであります。 ところが、今日の発足の
状況
を見ますというと、大臣の当時の言明というものはほとんど守られておらぬ。いま局長からお話のありました、たとえば付属幼稚園、あるいは付属
小学校
の問題にいたしましても、過疎が進みつつあるこの大学の
設置
場所でありますが、そこに大変な迷惑を深刻に及ぼしてきておる、こういうふうに思いますが、当時の砂田文部大臣が
関係者
に漏らされた見解というものは、文部大臣室で行われたわけでありまして、文部省の
関係者
も陪席をしておられたことでありますから、局長もあらましのことは御承知になっておることと思いますが、なぜこれが守られぬのか、こういう点についてひとつどういう事情であるのかお聞かせを願いたいと思います。
佐野文一郎
57
○
政府委員
(
佐野文一郎
君) この大学の付属の
小学校
、幼稚園を開設するに当たりまして、地域の事情を十分に考慮して、かねて地域にあった不安というものが解消するような努力をすべきであるということは私どもも十分承知をしておりましたし、また大学も私はそういう方向で努力をしたと考えております。地元におきまして、この大学の付属の
小学校
なり、幼稚園が、いわゆるエリート
教育
を持ち込むのではないかとか、あるいは人口の規模から考えて、既設の
公立
の
小学校
なり、幼稚園に影響を及ぼすのではないかというような御懸念があるということは、これは私どもも承知をいたしております。もともと付属の
学校
というのは、本来そういったエリート校的なものではなくて、大学の
教育
研究に十分協力をしながら、
教育
実習生を受け入れて、実証的、実験的な研究を推進していくという任務を持ったものでございます。大学としてはいろんな機会を通じまして、このような付属
学校
の目的、性格について、まず十分に地域の御理解を得られるような努力を重ねてきているところでございます。 この付属の規模でございますけれども、御指摘のように、大学の
設置
された社町及び周辺地域の
児童
数というものがございますので、その実態等を十分に考えた慎重な対応が必要でございます。大学におきましては、地元の
教育
委員会
とも十分協議をいたしまして、既設の
公立
の
学校
に御迷惑を及ぼさないような
範囲
において、妥当な規模の付属
学校
を
設置
するという配慮をいたしまして、付属
学校
の規模を決めたわけでございますし、さらに、
公立
学校
における
教育
実習の体験も非常に大事でございますから、地域の
公立
学校
の御理解と御協力を得ながら、付属
学校
と
公立
学校
が相まって
充実
した
教育
実習が展開できるように、努力をいたしているところと承知をいたしております。
小谷守
58
○
小谷守
君 二月七日に付属校の
生徒
募集が締め切られたようでありますが、その結果はどういう
状況
でありますか。
佐野文一郎
59
○
政府委員
(
佐野文一郎
君) 二月に入園者、入学者の募集を行ったところでございますが、まず
小学校
につきましては、一年次と四年次を本年度から開設することにいたしておりますが、両者合わせまして二百四十人の募集に対して、百十二名の応募がございました。幼稚園につきましては、三歳児と四歳児の
学級
の募集をいたすわけでございますが、合わせて五十五人の募集に対して八十二人の応募者があったと承知をしております。
小谷守
60
○
小谷守
君 これは
小学校
の場合再募集はなさいますか、どうですか。
佐野文一郎
61
○
政府委員
(
佐野文一郎
君)
小学校
の場合は、いま申し上げましたように、入学候補者が募集人員に満たないという
状況
でございますので、三月の五日から
補欠
の応募を受け付けたと承知をしております。
小谷守
62
○
小谷守
君 大臣ね、兵庫県加東郡社町、大臣の御郷里とも近いわけですが、播州の北部、かなり過疎の進んでおる地域であります。ここへ
教育
大学ができた。さあ付属の
小学校
をつくるというわけでありますが、しかもこれ三
学級
です。四十人の計算にしましても百二十名。あの地域では一
学年
三
学級
という
学校
は大規模校なんです。突然
教育
大学の新設に付随して、こういうものがあの地域に忽然としてあらわれる。こういうことになりますと、あの地域での
教育
の体系というものはかなりな迷惑を受けるわけであります。しかも、大学局長は、付属校というものはエリートを集めるものではないということを先ほど問わず語りにお話になりましたけれども、付属校というものの
一般
の持っておる価値観というものはなかなかそこまでいっていない。これをやられますと、この近隣の地域の
教育
というものは甚大な影響を受ける。私が申し上げたいのは、たとえば例の筑波大学の場合におきましては、付属校は旧
教育
大学に残しておる、こういうふうに承知をしておりますが、この際、そういうことも私はお考えの中に入れていただく必要があるのではなかろうか、たとえば神戸なら神戸に。一
学級
ぐらいは地元に置くとしても、あとは過密地帯の方に付属校を配置すると、こういうふうなことがあってもいいのではないか、こういうふうに思われますが、これはどうですか。
谷垣專一
63
○
国務大臣
(
谷垣專一君
) 先生の方はもうあのあたりの
状況
はお詳しいから御質問のことでございますが、私も全然知らぬわけじゃございませんが、いまの御指摘の問題、私まだ十分に検討を実はしておりませんけれども、筑波大学の付属の問題は、これはもう先生
御存じ
だと思いますけれども、従来この付属の
小学校
としてあったもの、
教育
大学としてあったものですね、それが
教育
大学が筑波へ移ったということ。それで
小学校
にしましても、付属校の場合はその
子供
たちが自宅から通学をするという事情がございますので、従来あったものを大学が筑波へ移ったからという形にはなかなかやりにくい点があるわけでございますが、社の場合は今度は逆の問題が起きまして、地元の地域の
教育
のいろんな
環境
に対しまして一つの変化と申しますか、衝撃を与えた。しかし、付属校でございますので、これは大学のそばに付属して置いておくことがやはり必要だし、またそうなけりゃならぬのじゃないかという私は感じがいたしております。 ただ、御指摘がありましたように、何と申しますか、よくそこでの
教育
をします途中で、その地域地域の協力校というような形で、
教育
の現場としての
経験
を得さしてもらうというような形のものは、これはあるわけでございまして、それがそういう大都会の中に協力校をお願いするという形は、これは考えられると思うんですが、これは新設なもんですから、やはりちょっと筑波の場合と違った形にならざるを得ないんじゃないか、こういう私は気がいたしておるわけでございまして、先ほど先生がおっしゃいましたように、確かに過疎——過疎とまでいかぬかもしれませんが、とにかく
学校
の
児童
、
生徒数
がそう多くない地帯のことでございますので、当然
教育
大学としましても、そこらの付属校の持っていき方については、十分考えていかなきゃいかぬと思いますし、それは先ほど局長がいろいろ御答弁しておったようでありますが、神戸市の問題につきましては、ちょっと私まだ十分に検討しておりませんが、ちょっと無理なんじゃないかという気がいたしております。
小谷守
64
○
小谷守
君 この付属校ができたことによって、地域の
義務教育
というものが、深刻なやっぱり影響を受けているということは事実なんです。そこで、これに対しては、しっかりした保証を文部省としては考えてもらわなくてはならぬと思うんです。 これは大学局長からでも結構です。初中局長もおられますから伺いますが、この付属校を開設したことに伴って、地元の
義務教育
学校
の中で、当然
子供
が引き抜かれるわけでありますから
学級
減が起こる、また
教員
の定数減が起こります。こういうことについての保証はお考え願っておりましょうかどうか。 〔
委員長
退席、
理事
高橋
誉冨
君着席〕
諸澤正道
65
○
政府委員
(諸澤正道君) 私どもが調べましたところでは、この四月に地元の
小学校
から付属
小学校
の方へ志願した者は、社町で言いますと、社
小学校
というのが、これが四
学級編制
の
学校
のようでございましたが、一年生で本来社
小学校
に入るべかりし者が二十九名、それから四年生で、これは三年の在学だったと思いますが、それが二十名それぞれ移りましたので、そうなりますと、本来ならば一年、四年ともそれぞれ四
学級
であったであろうものが、それぞれ三
学級
になったということで、一年と四年が一
学級
ずつ減ったということでございます。 同じような事情になりましたのが、この社町の三草
小学校
というんですか、その
学校
では一年生が、これは非常に微妙なところですけれども、本来なら四十七名入りまして二
学級
になるべかりしところが、三十九名で一
学級
ということですから、この付属
学校
のスタートによりまして、近隣の
小学校
で実際問題として
学級編制
が変わったのは以上の三つのケースということになるわけで、そのうち、社
小学校
の方は二
学級
減、三草
小学校
の方は一
学級
減ということでございますから、この両校の
教員
配置関係につきましては、いまつまびらかにいたしておりませんけれども、
一般
的に言いますと、県内の全小、
中学校
の
学級編制
の見通しというのは大体三月の初めごろにはわかりますので、その時点で適宜
教員
の
異動
をして、過剰
教員
なり、不足
教員
がないようにするという配置をするのが
一般
的でございますので、本件の場合もそういう意味での
手当
ては済んでおるというふうに私は理解しておるわけでございます。なお、今後この地区について同じようなケースが起こることが予想されるわけでありますんで、それの対応につきましては、あらかじめ
教育
委員会
において十分実態の把握に努めていただきまして、不都合のないように指導してまいりたいと、かように思うわけでございます。
小谷守
66
○
小谷守
君 これは文部省としてはしっかり保証をお願いしなくてはならぬと思うんです。 大学局長に今度は協力校という問題についてお伺いをしたいと思いますが、これはどういうものですか、協力校というのは。 〔
理事
高橋
誉冨
君退席、
委員長
着席〕
佐野文一郎
67
○
政府委員
(
佐野文一郎
君) 本来であればと申しますか、あるいは理想的に申せば、養成大学の場合には十分な規模の付属
学校
を持って、そして
充実
をした
教育
実習をその付属
学校
で展開をするということが望ましいわけでございます。しかし、なかなか付属
学校
の規模を
教育
実習に対応して十分に整備をするということができない場合がありますし、さらに進んでは、いろいろな地域における
公立
学校
における
教育
の実態というものを、
教育
実習の場として活用していくということが、
教員
の養成の場合により望ましい姿である場合もあるわけでございます。したがって、国立の
教員養成大学
の場合に、地域の
教育
委員会
と十分に御相談をいたしまして、幾つかの
公立
学校
に
教育
実習の受け入れ方について御協力をお願いをする。そして大学、付属
学校
との十分な連携、協力のもとに
教育
実習をその
公立
学校
においても展開をするということを考えるのが協力校のシステムでございます。この兵庫
教育
大学の場合には、先ほど来御指摘のような地域の事情がございまして、通常の
教員養成大学
の場合よりも、はるかに小さな規模の付属
学校
を
設置
をする計画になっているわけでもございますので、先ほど大臣からお答えを申し上げましたように、協力校の計画については、より積極的に大学としては考えていく、そういう考え方を持っているわけでございます。
小谷守
68
○
小谷守
君 協力校のことはわかりました。 そこで伺いたいのは、これは従来の地域で決めておるカリキュラムをゆがめるようなものであってはならぬと思うんですが、どうですか。
佐野文一郎
69
○
政府委員
(
佐野文一郎
君) もとより
教育
実習を受け入れていただくということ自体が、
一般
の
公立
学校
の場合にかなりいろいろと御迷惑をおかけすることになるわけでございますけれども、協力校の場合には、十分に大学側と
教育
委員会
あるいは当該
学校
との間で協議をいたしまして、そういった意味での御迷惑がかからないように、むしろ
教育
実習を受け入れていくということを通じて、付属
学校
、
公立
学校
両方を通じたより
充実
をした
教育
が展開できるような配慮をしてもらわなければ困るわけでございます。その点は大学も十分に心得ておりますので、
公立
学校
での
教育
の展開なり、カリキュラムにやはり御迷惑をかける、それが
支障
を生ずるというようなことのないような配慮は十分にいたしてまいるつもりでございます。
小谷守
70
○
小谷守
君 最後にお伺いしたい点は、この
教育
大学の受験に当たって、
現職教員
が受験をするわけでありますが、その際、
教育
委員会
の事前の同意書の添付を大学側が義務づけておると、これを提出することを義務づけておると、こういうふうに聞くわけでありますが、文部省はそういう指導をしておられますか。もししておられるとすれば、これは開かれた大学とは言いにくいと思いますが、事前にこういうものは必要でありますか。
佐野文一郎
71
○
政府委員
(
佐野文一郎
君) 新
教育
大学を創設するに当たっての
法案
の当
委員会
における御
審議
におきましても、その点はいろいろと御指摘のあったところでございますが、この大学院は現職の
教員
の大学における
教育
研さんの機会を
確保
するということを
趣旨
として
設置
されたものでございます。したがって、現職のままで大学院に
教員
が入学されるわけでありますが、この場合には、大学としては入試の
事務処理
の上から申しましても、あらかじめ現職のままで入学をし、勉学を続けるということについて、市町村
教育
委員会
等の同意があることを確認をしておく必要がございます。これはこの大学の大学院に限らずに、他の大学の大学院におきましても現職の者が大学に進学する。その場合に、現職のままで大学で勉学を続けるということであれば、所属長の同意というものを出願に当たって求めているのがいずれも通例のケースでございます。それに従ってこの大学におきましても、市町村
教育
委員会
の同意というものの確認をしているわけでございます。
小谷守
72
○
小谷守
君 現職のままで大学院に入るわけでありますから、遅かれ早かれ
教育
委員会
の同意というものが必要であることを私も認めます。しかし、受験するに当たって事前にそういうものを添付しなきゃならぬということは、これはいかがであろうか。そこまでの必要があるのかどうか。私はあなたのお言葉でありますけれども、どうも納得いたしがたい、こういうふうに思いますが、同意そのものを私は否定するわけじゃない。当然それは遅かれ早かれそのことは必要だと思いますが、受験のときにそういうものを添付しなきゃならぬということはいかがでございましょうか。
佐野文一郎
73
○
政府委員
(
佐野文一郎
君) 一つの考え方としては、たとえば合格の後に市町村の
教育
委員会
等が同意を与えるということではどうかということがあるわけでございます。この場合には、大学の方の立場といたしますと、合格した者が大学で実際に勉強ができるかどうか、大学院に修学できるかどうかということが大学以外の者の判断によることとなります。大学に修学すべき者についての大学の主体的な決定というものを大学としては
確保
したい。その主体的な決定に影響が出るということになると、それは大学としてのあり方から考えていかがであろうかということがあるわけでございます。したがって、出願の際に現職のままで修学をすることについてそれぞれの市町村の
教育
委員会
なり、あるいは都道府県
教育
委員会
の全体のその県内における
教員
の
状況
というものを考えた上での御判断と、それを求めて入学試験を
実施
をするということが、大学に学生を受け入れるあり方としてはより適切であろうという判断をとっているものでございます。
吉田正雄
74
○
吉田正雄
君 私は私学の振興、私学
教育
の一層の
充実
、発展を願う立場から、今日の私学の経営とか
学校
運営
、あるいは会計のあり方等について、幾つかの点で質問をいたしたいと思うんです。 これは具体的に申し上げたいと思うんですが、この四月四日の朝日新聞、あるいは読売新聞、毎日等、東京紙を初めとして、新潟県の地元新潟日報等でも報道されておりますけれども、
学校
法人新潟技術学園、これは現在の
理事
長が久保田英一になっていますけれども、この学園の
教職員
組合、これが昨年の九月に発足をいたしておりますけれども、秋以来
学校
運営
のあり方や、経理の明朗化を要求して、管理者側と何回も交渉した結果、昨年十二月と、ことし一月の二回にわたって、学園会計と学園後援会組織の北都振興会の会計というものが公開をされたわけです。 その結果、五十二年春開校の新潟薬科大学では、毎年百三十人の入学者から学債を募っている。そして、そのうち定員入学者が八十人だそうですけれども、八十人からは一人三百万円、その他の、これは
補欠
入学になると思うんですが、五十人からは四百万円を徴収をしておるわけです。この五十人分が学園の会計には入らないで、後援会であります北都振興会の会計の中に振興債の名目で入っておる。つまり正式な学園の帳簿には記入をされない。つまり裏金として運用をされておるわけです。そして、この裏金の合計が、五十五年、この春の新入生分も含めて、四年間で五億八千七百万円になっておるということが報道されたわけです。そして、この経過の中で、学園長の小林勝
理事
が、この三月三十一日に
責任
をとって辞職をしておるということが報道されているわけです。 時間もありませんので、質問には簡潔に答えていただきたい。無用なことは答えていただきたくないんです。見解をお聞きした際には、見解をお聞きしますから、事実だけ私の方で幾つか聞いてまいりますから、イエスかノーの場合にはイエスかノーだけ答えていただきたいと思うんです。 そこで、報道の
内容
について、さらに新聞報道によりますと、これも朝日の報道ですが、文部省の大谷
学校
法人
調査
室長ですか、この方が「初めて聞いた話で、事実とすれば、自己資金などで文部省をだましていたことになるのかも知れない。学園側の
説明
を聞いたうえで、必要があれば何らかの
措置
をとる」ということも報道されているわけです。そして、学園側の管理者が四日の日に文部省に出向いて
説明
をするというふうなことが報道をされているわけですね。 そこでお聞きをいたしますが、この新聞報道の詳細な面や、正確な面はまた後でお聞きいたしますけれども、ほぼこの報道されたような事実があるのかどうなのか、まずこれをお聞きしたいと思うんです。
三角哲生
75
○
政府委員
(三角哲生君) ほぼというのはちょっとむずかしいと存じます。学債をとっていたということは事実でございます。それから、御指摘のように、若干金額に差等を設けまして、それを直接
学校
の発行する学債を引き受けてもらう相手と、それから新潟技術学園振興会、そういうところの発行する学債を引き受けてもらう相手とに仕分けて
運営
をしていたといいますか、学債の引き受けを求めていたというようなことは実際に行われていたということでございます。裏金といいますか、あるいはその扱い方につきましては、これは見方の面もございますので、全くその裏扱いということであるというふうに言い切れるかは問題があると思っております。
吉田正雄
76
○
吉田正雄
君 金額に差があるというのは、正規の定員の
生徒
からは三百万円——百三十人の内訳はどうなんですか、これ百三十人間違いないんでしょう。
三角哲生
77
○
政府委員
(三角哲生君) これは年度によって若干のずれがございますが、大学の学債を引き受けておる者が大体年度によりまして七十五人から八十七人までの間でございます。それから新潟技術学園振興債というものを引き受けている者が大体四十一人から五十三人までの間で、年度で若干でこぼこがございますが、大体のところ五十五年で申しますと、
学校
の学債を八十七名、新潟技術学園振興債という振興会の発行する債券を引き受けている者が四十一名、そういう
状況
でございます。
吉田正雄
78
○
吉田正雄
君 だから、その金額は、学債の場合が三百万円で、学園振興債の方が四百万円ということですね。
三角哲生
79
○
政府委員
(三角哲生君) これも個人によって異なりますようでございまして、総計で申し上げますと、五十五年は
学校
の方は二億九千五百万円で、振興会の方は一億五千二百万円ということでございますので、必ずしもはっきり四百、三百と申しにくいのでございますが、振興債の方は一人当たりでいまの数字で割り戻しますと、三百七十万七千円という数字になります。
吉田正雄
80
○
吉田正雄
君 先ほどの定員は八十名間違いないですか。
三角哲生
81
○
政府委員
(三角哲生君) 新潟薬科大学の薬学部の入学定員は百名となっております。
吉田正雄
82
○
吉田正雄
君 学債の性格と
内容
についてお尋ねをいたしますけれども、学債は
学校
法人新潟技術学園がどういう手続でこれを募集をしたといいますか、徴収をしておるのか。それからこの振興債についても、だれがどういう手続を踏んでやっておるのか。それぞれ
学校
債と振興債についての性格、募集者、それからさらには返還等についての条件ですね、そういうものがどうなっておるのか。 さらにもう少し言いますと、振興債というのは技術学園振興債ですが、これは後援会が募集をしたんですか、技術学園が募集したんですか。その辺、性格がいまの答弁ですと明確じゃありませんから、それぞれの
学校
債と振興債についての募集者、性格、どのような手続を踏んでそのことが行われたのか、そのことをはっきりさしていただきたいと思います。
三角哲生
83
○
政府委員
(三角哲生君) 私どもただいままで当事者から事情聴取と申しますか、いろいろ聞きまして
調査
を進めておるわけでございますが、必ずしもすべての事項につきまして私どもははっきりと確認をしていない面もございます。そういうわけで、ただいま私どもがわかっております
範囲
内でお答えをさしていただきたいと思っております。 まず新潟薬科大学学債の方でございますが、これは発行者は
学校
法人新潟技術学園でございます。それで条件でございますが、これは一口百万円の三口以上というようなことで募集要綱に書いてございます。募集の
範囲
は新潟薬科大学新入生の父兄ということで、発行条件の一つでございますが、償還期日、これは五十九年四月一日でございますから、発行後満五年間据え置きの上、元金を償還するということでございまして、したがいましてこれは無利子のようでございます。それから、償還期日前の償還はしないことを了承してほしいというようなことが書かれてございます。それからいわゆる新潟薬科大学振興債というものでございますが、これも一口百万円、三口以上ということになってございまして、無利息。償還期日等は先ほどの大学債と同じでございます。発行者は新潟技術学園振興会ということになってございます。この両方についてでございますが、必ずしも細部明確でない点がございますが、大学入学の応募者のいわゆる募集要綱と申しますか、大学の受験の要綱の中に学債があるという旨の表示がございまして、それに関連して、ただいまちょっと
内容
を御
説明
申し上げましたような募集要綱で、入学者に若干割り振ってこれに対する応募を求めておるといった
運営
のようでございます。
吉田正雄
84
○
吉田正雄
君 募集者というのはわかりましたけれども、この振興会の性格というのは、法上の身分はどうなっておりますか。
三角哲生
85
○
政府委員
(三角哲生君) これは、法的性格と申しましても、いわゆる
法律
に基づくような団体ではございません。あくまでいわゆる任意につくられた任意団体でございます。それで目的としましては、「
学校
法人新潟技術学園における
教育
諸
環境
の整備拡充を図るために必要な資金援助及び研修を行ない、もって学園の発展に寄与する」ということでございまして、会長のほか役員三名ということで組織されておる一つの任意団体でございます。
吉田正雄
86
○
吉田正雄
君 そういう任意団体が入学時に、片や同じ入学生が学園の学債に応募をさせられる。片や任意団体の振興会が割り振って、ほぼこれは強制的と思われるんですが、こういうことは好ましいことなんですか、これは私は大臣にもよく聞いてもらいたいし、大臣の見解もお聞きしたいと思いますのは、一時期
私立大学
の裏口入学があれほど問題になったわけです。そこで文部省としては、五十一年度の大学入学生からは、そういう極端な裏口入学を認めるような形での寄付金であるとか、学債であるとかいう名目での、そういうものは禁止をする方向で、厳しい指導を行ってきたと私は思うんですよ。この点は間違いないでしょう、これ。
三角哲生
87
○
政府委員
(三角哲生君) 前にもございました主として医科歯科大学を中心とします入学選抜にかかる非常に不明朗な事件が相次いで発生しました際に、私どもは寄付といいながら、これを入学の条件とするような、そういう
運営
はやめなければならないという指導を強くいたしたわけでございます。いわゆる、
委員
がただいまおっしゃいました強制と申しますか、必ず負担をしなければならないものは、正規の学納金で負担をしてもらう、あるいは施設のためにある程度の予算が必要であるとすれば、それは施設整備費といったような、これも正規の学納金の種類として明示をしてやっていただくということで、その辺のところはやっぱり不明朗な
運営
は好ましくないということで、これは
一般
大学についても申せることでございます。
吉田正雄
88
○
吉田正雄
君 そういう不明朗な
運営
をやってはいけないというのに、何で同じ新入生に対して片や
学校
債、片や任意団体である振興会の振興債というふうに、そのことは好ましいとお思いになりますか。
三角哲生
89
○
政府委員
(三角哲生君)
学校
が直接に必要とする経費につきまして、
学校
がそれについて募集とか調達をしますにつきましては、やはり本来は
学校
法人という組織でございますから、当該
学校
法人がみずから
実施
をするということが本来でございますし、好ましいと存じます。ただ具体の例になりますと、たとえば一種の記念事業といったようなものを行います場合に、同窓会とか、そういったようなものが募集をするというようなことはあり得るかと存じます。本件についてでございますが、どちらが好ましいかといえば、やはり私はこういったたぐいのものは統一して全部
学校
で処理するのが好ましいと思います。ただ、
学校
で処理しないようなものがあります場合にも、文部省といたしましてはこれを公認会計士の監査事項とするように、学債の受け入れ、あるいは寄付金の受け入れについて監査事項とするように、そういう指導をしておるのでございます。
吉田正雄
90
○
吉田正雄
君 報道されてからもうすでに、きょうが二十二日ですから約三週間近くたっているわけですね。こういう学債と振興債というふうに、正規の定員入学者と、それ以上に採った学生、
補欠
入学だろうと思うんですけれども、こういうものとの間に、事実上金額の差があることは間違いないわけですよ。いずれにしても、こういうことが行われてきたということは文部省としてはいつわかったんですか。
三角哲生
91
○
政府委員
(三角哲生君) 四月の当初、地元の新聞に報道されまして、私どももこれを知ったわけでございます。
吉田正雄
92
○
吉田正雄
君 私は監督官庁である文部省として、新聞に報道されるまでの間、こういうことが一切わからなかったということは、きわめて監督不行き届きで、きわめて
責任
問題だと思うんですよ、これは。そうじゃないですか。事前に厳重な設立認可についての審査を行うわけですよね。しかも
私立大学
審議
会にもかけて、そして慎重な審査の上に文部省が認可をすることになっているわけですよね。ところが、こういう事実というものがわからなかった。しかも、設立初年度からこの学債というものが取られておるわけですよね。そういう点で非常に私は問題だと思う。しかも、これは私も聞いておりますが、これ新聞報道間違いないと思うんですけれどもね。大学側がどういう
説明
をやっておるかというと、文部省の指導で、自己資金十六億円が必要であったが、不足分六億円を捻出するため、架空の団体技術振興会をつくり、これが銀行から金を借り入れ、学園に寄付をする形をとり、この借入金を返済するため、五十人分の学債を振興債にして返済に充てたと、こういう
説明
を行っているわけですよ、現実に。この点についてはどうなんですか。設立の段階で
学校
法人の寄付行為及び寄付行為変更の認可に関する審査基準というのが文部省から出ているわけですよね。この審査基準に基づいて審査は行われているはずです。したがって、任意団体をつくって、これ銀行から借り入れたことは間違いないんですか。その辺は審査の段階でどういう指導をされたんです。大学がはっきり言っているんですよね。文部省から指摘をされて、足りなかったということで、その金を銀行から借りた、その返済金に充てるために振興債というものをとったんだと、これは単なる新聞がでっち上げた記事じゃないんですよ、これは。明確に副
理事
長が組合の代表に言っているわけですからね。その経過を聞かしてください、審査の段階でどうだったのか。
三角哲生
93
○
政府委員
(三角哲生君) 文部省が四月に入りましてからこの事実を知りましたのは、やはり私学に対しまして、私どもはパトロールをしてその中をのぞくというような、そういう相対し方は通常いたしておりませんので、やはり組合と経営者との間で問題が起こって、そういうことから新聞に出るということで事実を知るというようなケースもときどきあるわけでございます。事実を知れば、私どもは
学校
に対して
調査
をいたしまして、必要に応じて法令に基づき、適正な是正を図るような指導をいたすというふうにいたしておるわけでございます。 それで、後段の御質問でございます認可に関する事柄でございますが、御指摘のように、この認可につきましては、
私立大学
審議
会と大学
設置
審議
会に諮問いたしまして、両
審議
会におきまして審査基準に照らしましてヒヤリング、あるいは現地
調査
等を行いまして、慎重な審査をいたしたわけでございます。
設置
経費の問題でございますが、認可申請書によりますと、申請時におきまして、新潟薬科大学の
設置
経費の総額は計画上約十一億円であったわけでございます。現在はこの大学の
設置
認可を申請いたします場合には、必要な
設置
経費は全額自己資金で賄うという
制度
になっておりますし、それから、その全額を申請時に調達済みになっておらなければいけないという基準になっておりますが、当時の認可基準では、申請時に調達をしておくべき必要自己資金は、
施設設備
の整備に要する
設置
経費につきましてはその三分の二、それから開設年度の経常経費の二分の一、これに相当する額の合計とされておりましたので、当時申請時の必要自己資金の基準額は約七億円であったわけでございます。そうしまして、この七億円に対します申請者側の保有自己資金は約八億二千万円でございました。この八億二千万円というものは、当該
学校
法人の資産運用収入、あるいは資産売却収入がございましたが、そのほかに北都振興会及び小林勝前
理事
長からの寄付金三億五千六百万円をもって調達されていたというものでございます。それで、私どもがいま聞いております
範囲
で承知しております点は、いま申しました三億五千六百万円の寄付金につきましては、設立認可申請の段階の審査におきましても、それから今回の新聞報道等を契機に文部省が大学当局から事情聴取を
実施
いたしましたが、それの両方を通じまして、これは寄付金ということで
学校
法人に収納されておりますことは、書類、帳簿等の上で確認できております。これらの寄付金のうち、三億円につきましては北都振興会及び前
理事
長が金融機関等から借り入れてそして調達したものであるということで、そしてその三億円を新潟技術学園振興会から返済したというような
説明
を一応受けておるのでございます。文部省としましては、やはりこれらの寄付金につきましては、北都振興会と前
理事
長が、それぞれの
責任
におきまして
学校
法人に寄付したものでございますから、これを先ほど来お話があります入学者から学債を引き受けてもらっている新潟技術学園振興会が返済するということにつきましては、これは理解いたしかねるところでございます。 じゃ、それをどうするかということでございますが、この点につきましては、
学校
法人新潟技術学園をめぐります、いままでお話に上っておりますような関連団体がありますが、こういったものの資金の調達、使途、その他の事実関係をやはりもう少し見きわめたいと思っております。そして結論的には、
学校
法人に対して不利益を生ずるといったようなことがないような
改善
ないしは是正の
措置
をとることが必要であると思いますので、その方向で極力適切な指導を行ってまいりたいというふうに思っておるのでございます。
吉田正雄
94
○
吉田正雄
君 まあいまの
説明
を聞いておりますと、私の質問も何も不明朗な面があったとか、だから直ちに罰則を適用して云々という、そういう観点からいま話をしているわけじゃないんですよ。しかし、私はやはり不明朗なものや、適当でないものについては、これは文部省が認可をしたんですから、やっぱり厳しい指導と、それから文部省のとってきた審査の段階での査定がきわめて甘かったといいますか、徹底したものでなかったという点については、私は文部省自身の
責任
というものはやはりここで明らかにすべきだと思うんです。 いずれにしても、文部省の例の審査基準によれば、いずれにしても基本財産であるとか、あるいは各年度の経常経費の財源に
原則
として借入金を充ててはいけないんだということになっているわけですね。いまの
説明
では小林勝前
理事
長の寄付によってとなっておりますけれども、寄付と言ったって、この寄付自体が金融機関からの借り入れなんですよね。全く形式的には直接学園が借入金という形をとってないかもわかりませんけれども、しかし、現実には銀行から借り入れをしたことは間違いがない、そういうことなんですね。だからそういう点で、一体三億六千万円のうちの三億円というものは、これはいろんな証明書というものを出すわけでしょう、財産目録から何から出さなきゃいけないんですから、借入金なのかどうなのか。土地だって、土地の登記簿から何から、皆さん方の省令や基準の中には明確に定めてあるんですね。そういう点でその審査の段階ではそういうことは気づかれなかったんですか。いま
説明
を受けてやっとわかったということなんですか。
三角哲生
95
○
政府委員
(三角哲生君) 審査の段階では、先ほども申し上げましたが、申請者からのヒヤリング並びに現地
調査
を行いまして、そして銀行の残高証明書でございますとか、あるいは寄付者につきまして、
状況
によりましては納税証明書でございますとか、あるいは資金の調達に関する、たとえば物を売りまして資金を調達したというような場合には、その売買を証明するような書類とか、いろいろチェックをするわけでございます。 当時といたしまして、
審議
会としましては慎重な審査を行いましてこの認可を可とするという答申をちょうだいいたしております。 それで、先ほどの御質問に関連いたしますが、寄付者が、その寄付したお金をどこからか、何らかの方法で調達してくるということは、これはいろいろな場合があり得ると思っております。ただ、寄付者のやはり信用能力でございますとか、それから資産の上での条件というものが問題になりますわけで、たとえば、私なら私みたいな者が億の寄付をしたというようなことでございますと、これは審査をいたしまして、その分の金額は認めないというような運用があるわけでございます。でございますから、寄付者によりましては、その銀行から借り入れてきて寄付をするということもあり得るわけでございます。しかし、その借り入れが今年度になって
学校
法人に転嫁をされるということがあるとすれば、それはおかしな話であるということでございまして、借り入れた方がその借り入れの始末をしていただくというのがあたりまえの処理の
原則
でございます。
吉田正雄
96
○
吉田正雄
君 現実には銀行から借り入れて
生徒
からの振興債から返しているんじゃないですか、それは。事実はどうなっていますか。
三角哲生
97
○
政府委員
(三角哲生君) 先ほど金額的に申し上げまして、当時の認可基準といたしましては、三分の二はいわゆる自己資金でなければならないということで、あとの三分の一は借り入れを認めるということでございまして、でございますから、金額につきましては若干ずれがございます。 ただ先ほども申し上げてございますが、借り入れを学債でもって肩がわりして返済したとすれば、これはおかしゅうございますので、なお事実関係や金額等について精密に精査をし、確認をした上で、それの是正ないし
改善
は指導いたしたいと思っております。 なお、ただ方向としては、前
理事
長がある程度まで個人でその是正をすでにおやりになりつつある由でございまして、そして今後もできるだけ是正をするという方向で処理したいという意向はお持ちのようでございますが、これもさらにもう少し
状況
を見守ると同時に、詳細な報告なり、
説明
なりを受けた上で確認をしていきたいというふうに思っておるのでございます。
吉田正雄
98
○
吉田正雄
君 あのね、いまの答弁ははなはだ無
責任
ですよ。これだけ報道され、副
理事
長が、学園の
責任
者が
職員
にこうですという
説明
をやっているのにもかかわらず、
状況
を見守っているんだとか、事実関係が明らかになるのを待っておりますとか、いずれその当事者から
説明
を聞くことにいたしますとか、非常にのんびりした話ですよ、これは。 これからいろいろお聞きをいたしますけれども、北都振興会に振興債が入っているわけでしょう。五十三年度決算で一体振興債収入幾らになっておりますか。
三角哲生
99
○
政府委員
(三角哲生君) 私どもは金の出入りでございますとか、
措置
につきましては、これは事情をできるだけ正確に把握しまして、その
改善
、是正は厳正にきちんとやってもらうようにこれは指導するつもりでおりますが、ここは
文教委員会
の場でございますので、やはり正確なところで正確な御報告を申し上げたいというふうに思っておる次第でございます。 それで、ただいまの技術振興債の問題でございますが、これは
学校
からの報告も受けておりますので、その数字を申し上げますと、五十二年度は一億八千万円でございますが、四百万円の償還が一件ございますので、差し引き現在では一億七千六百万円、五十三年度は一億六千万円、五十四年度が一億六千四百万円、五十五年度が一億五千二百万円ということで、四年分の合計が六億五千二百万円でございます。
吉田正雄
100
○
吉田正雄
君 その五十三年度ですね、決算の中で、支出のところで学園に対する寄贈絵画として二百三十五万円。それから共和学園
設置
基金として二千万円。それから慶弔接待費として千百五十二万円。それから貸付金として株式会社実学舎に三千五百万円ということで、五十四年三月三十一日現在で、この実学舎というものに対する貸付金が財産目録によりますと四千三百三十七万円ということになっておりますね。この点間違いないですか。
三角哲生
101
○
政府委員
(三角哲生君) この
学校
法人関係で振興会なるものが二つございまして、ちょっと紛らわしい点が確かにあります。先ほども
吉田
委員
の御質問に私お答えしましたのは、新潟技術学園振興会の方の金額でございます。六億五千二百万円。それでございますのでちょっとお断りさしていただきます。 ただいまの御質問の方は北都振興会の方の収支決算のお話でございますが、
委員
ただいま御指摘のと同様の数字を入れてございます書類を私どもの方もいただいておりますので、いま
委員
がおっしゃるような資料があるということは事実でございますし、それから、北都振興会からいわゆる実学舎というところへ四千三百三十七万円の貸し付けをしているということも事実であるというふうに承知しております。
吉田正雄
102
○
吉田正雄
君 そうすると、一体学債とか、振興債というのは幾つに分けてあるんですか。
三角哲生
103
○
政府委員
(三角哲生君) 先ほど来御指摘のありました学債というのは、私どもが理解している
範囲
では新潟薬科大学に係る学債でございまして、この
学校
法人は新潟薬科大学のほかに短期大学と専修
学校
二校を
運営
しておりまして、その薬科大学以外の
学校
につきましては、その北都振興会というところの発行する債券についての、いわゆる北都振興債という名前を使っておるようでございますが、これの引き受けを依頼しているというような、そういうやり方になっておるようでございます。
吉田正雄
104
○
吉田正雄
君 とにかくいろいろな架空の、実体のない団体をつくって、そして
生徒
から学債だとか、振興債という名前で金を集めて、トンネル機関にして、そしていま申し上げたような共和学園の
設置
基金で二千万円。これはさらに五十四年度予算では三千万円出ているのですね。ですから共和学園
設置
基金としては五千万円という膨大な金が出ているんですね。五十三年度で二千万円、五十四年度で三千万円というふうに共和学園
設置
基金というのが出ている。これまた共和学園が何ぞやということになってくると、これまた正体不明の学園なんですよ。まだ何ら認可もされてなければ、
設置
もされてないということです。 さらにいま言ったように、この株式会社実学舎に四千三百三十七万円という巨額の貸し付けを行っているわけです。そして、この実学舎がどのようなことをやっておるのかということになりますと、これまた大変な話で、これは単なる報道でなくて、私の方でも資料幾つか入手をいたしておりますが、この点はどうなんですかね、間違いありませんか。株式会社実学舎というのは、この
学校
法人の関連会社であって、いま言ったように資金の貸し付けも受けているわけですけれども、不動産資産が二億円以上もある上に、ルノアールの絵画時価九千万円というものを購入をしたり、それからさらに、やめた前学園長が金の延べ棒六キログラムを三千六百万円で買っているとか、それからいま言った不動産のうち、約三千平米の土地を六千七百五十万円で買ったものを、今度は学園に一億二千万円で買ってくれということを言っているわけですね。ところが、私はこれは大変な問題だと思いますのは、いま言った株式会社実学舎というのは、まさに表裏一体なんですね。学園が直接経営していると言っても変わりがない会社なんです。その会社に買わせておいて、これはかつてのロッキード事件で問題になった田中元首相の新生企業が土地を買って、そして土地ころがしをやって、莫大な利益を上げたということと同じく、実学舎が六千七百五十万円で買ったものを、今度は学園に一億二千万円で売ろうとしておるわけですね。これは許せることじゃないんですよ。何で許せないことなのかというと、この実学舎の役員と、それからこの新潟技術学園の役員とが非常に密接に絡んでおるわけなんです。私はこのこと自体私立
学校
法の役員の定め、規定、さらには寄付行為にもう違反すれすれの役員人事ではないかというふうに思っているわけです。たとえば、新潟技術学園の役員を見ますと、
理事
長は現在新潟県の
教育
委員
ですけれども、
理事
兼学園長というのがこの三月三十一日に
責任
をとってやめた小林勝です。そのお父さんが五十三年の九月まで同じく
理事
をやっておったわけです。このお父さんというのは、私どもの知るところでは、新潟市役所に勤めておったけれども、汚職でやめた人です、これは。そしてこの亡くなった
理事
の小林十寸穂という人の二女——いまは嫁いで荒井アヤ子となってますが、この荒井アヤ子とやめた学園長の小林勝はきょうだいです。その荒井アヤ子の主人というのが学園のいま副
理事
長なんです。そして、この荒井アヤ子というのがこの実学舎の代表取締役会長なんですよね。さらにこの副
理事
長の荒井貞雄のきょうだいの岡野福松、これも同じくこの学園の
理事
をやっておるわけです。ですから配偶者、あるいは三親等以内で、各役員は一人以上の役員を出してはならないのだという規定があるわけですよね。これと関連してこういうことは一体好ましいことだと思われますか。非常に私はこれは問題だと思うんです。この役員関係について、実学舎との関係で皆さん方も
御存じ
のはずなんですがね、どのように判断されていますか。
三角哲生
105
○
政府委員
(三角哲生君) 実学舎というのは株式会社でございますので、私どもは直接形の上ではどうこう言うことはないのでございますが、ただいま御指摘のようなことでございますので、非常に
学校
法人の役員構成と密接な関係がある、そういう会社であるということは事実だと思います。したがいまして、この会社と
学校
法人との関係は、非常にやはり節度を大事にした関係が必要であるということが言えると思います。
吉田正雄
106
○
吉田正雄
君 そんな私はなまやさしい答弁で済む問題じゃないと思いますよ。もう一人言いますとね、先ほど落としましたけれども、この三月やめた学園長の小林勝の奥さん小林妙子がこの実学舎の代表取締役社長なんですよ、これは。そうして学園の金を実学舎に多額に貸し付けて、そして金の延べ棒を買ったり、絵画を買ったり、土地ころがしをやって、学園にまた高々と買わせようということをやっているわけです。こんなずさんな会計なり、学園
運営
というものが一体許されるかということなんですね。それが
生徒
から集めたみんな学債の金から出ているわけですよ。こういうことをやっているから腐敗というものが出てくるわけですし、裏入学というものもまかり通るんですよ。この実学舎の役員というのは全部がこの学園の
関係者
です。いま言ったように、代表取締役会長というのが副
理事
長の奥さん、取締役社長がこの三月退任をした
理事
、学園長の小林勝の奥さん、それから取締役の細井という人が同じくこの学園の
医療
技術専門
学校
の副校長、それから真島という取締役が同じくこの新潟技術学園の参事、伊佐取締役も同じく技術学園参事、それから丸亀金作、かつての新潟県
教育
次長、これが
学校
法人新潟技術学園の
理事
、それから小林直司、これが北都工業短期大学助教授、つまりこの学園の短大の教授、阿部という取締役も同じく技術専門
学校
長代理、さらに監査役として小湊監査役が同じく技術学園財務課長ですよね、なれ合いですよ、こんなものは。それから同じく監査役小野塚さんが北都工業短期大学の助教授、金内監査役が同じく北都工業短期大学の助教授。特に監査役というのは財政や
業務
を監査するものであって、
理事
だの評議員だのは、できるだけそういう
関係者
から近くない人から出すというのが、これは監査の本来の目的なんです。ところが、いまの監査役のトップが、この技術学園の財務課長から出ている。同じ
学校
の財産扱っている人間が、財務課長がツーツーでやっているわけじゃないですか。こんなことで監査ができるかっていうんですよ。そういう点で私は、私立
学校
法でこの
学校
法人の役員については厳しい制限を設けている。にもかかわらず、この役員の構成を見ますと、どんなことでもできる、なれ合いができる仕組みになっているわけですよ。同じ学園の中の人間がそれぞれ兼任し合っている、こういうことでしょう。主人が学園長で、奥さんがその下請会社の会社の社長だなんて、こういうことが行われているわけですよね。ですから何だってやれるわけです、これは。そういう点で私は、文部省の監査というものはきわめてずさんだと思う。指導、監督する立場にありながら、新聞報道されるまで全然気がつきませんでしたと、まあ確かに好ましいことではありません程度で私は済む問題じゃないと思うんですよ、これは。 さらに私はお聞きをしたいと思うんですけれども、この私学は薬科大学だけでなくて、短期大学と、さらに技術専門
学校
と高等学園という四つの
学校
を持っているわけですね。したがって、大学の場合には確かにこの所轄庁というのは文部省になりますけれども、高等学園等については、県のこの私学
審議
会であるとか、県の
教育
委員会
の監督下に入るわけですね。この点間違いないでしょう。
三角哲生
107
○
政府委員
(三角哲生君) 大学または短大を
設置
いたします
学校
法人の所轄は文部大臣でございます。それから、各種
学校
の問題になりますが、大学、短大のこの
学校
そのものですね、
設置
者たる法人じゃなくて、
教育
機関である
学校
そのものは大学、短大は文部大臣の所轄でございます。専修
学校
の方は都道府県知事の所轄になっております。
吉田正雄
108
○
吉田正雄
君 指導、監督すべき知事部局から、こういう
学校
法人だとか、学園の役員になるということは、これは好ましいと思いますか、どう思いますか。たとえば、県の現職の
教育
委員
がこういう学園の
理事
とか
理事
長になるということは、これは好ましいことですか。指揮、監督とか、そういう点なかなかできなくなるんじゃないですか。あるいは県の副知事等が、いま県の指揮、監督を受けるとおっしゃったんですが、その指揮、監督をする副知事が、この学園の
理事
になっているなんということになると、どういうことになりますか。
三角哲生
109
○
政府委員
(三角哲生君) この私立
学校
に対しまして指揮するとか、監督するとかいうようなことはないわけでございます。私立
学校
はみずからその公共性を高めながら、自主的に
運営
されるべきものでございます。ただ、問題によりましては、所轄庁からの指導でございますとか、助言でございますとか、
調査
といったようなことがあるわけでございます。 それから、まあ兼職の問題でございますけれども、これはその方のついております職、常勤であるか、非常勤であるかとか、いろいろなことが関係いたしますので、これはまあ個々具体の判断も必要かと存じますが、地元におきます私学の振興に対して、何らかの形で協力するということはあり得ることではないかというふうに考えます。
吉田正雄
110
○
吉田正雄
君 寄付行為によれば、予算等については
理事
会、さらには評議員会の議決を経なきゃならぬことになっているわけですね。したがって、今回のこの学園の予算については、
理事
会それから評議員会の議決を経たのかどうなのかですね。この点どうなんですか。さらには議事録を備えておらなきゃいけない。全
理事
の署名捺印がなければいけない。これは各年度の予算、決算についてそういうことが行われているかどうかですね。
三角哲生
111
○
政府委員
(三角哲生君) ただいまの御質問に対しまして、私どもは現時点では全部まだ確認をいたしておりませんので、はっきりした御答弁はいたしかねるのでございますが、ただ個々の予算あるいは決算につきましては、公認会計士が監査をいたしております。公認会計士は監査事項の一々につきまして監査をいたしますと同時に、ただいま御指摘になりました所定の手続がとられておるかどうかについても見るはずでございますので、寄付行為の定めに従った手続
措置
がとられておるというふうに思っておりますけれども、さらに念のために確認をいたしたいと思います。
吉田正雄
112
○
吉田正雄
君 先ほどちょっと聞き落としたのですけれどもね。この共和学園の
設置
基金五千万円、それから実学舎に対する五十四年三月三十一日現在の四千三百三十七万円の貸付金、こういうこと許されることだというふうにお思いですか。
三角哲生
113
○
政府委員
(三角哲生君) まあ北都振興会というのは、形の上では、これは一つの任意団体でございまして、それなりの目的、事業を持っております団体でございますので、これはまあ
学校
法人そのものではございませんので、私どもは
学校
法人に対しますと同じような指導というものをこれに対して行うということはないわけでございますが、ただこういう団体が介在することによって、もし
学校
法人が何らかの損失なり、マイナスをこうむるということがあると、それははなはだ好ましくないことであるということになるんだろうと思います。それで、ただいまの北都振興会が実学舎なる株式会社に貸し付けをしておるということでございますが、これは貸し付けでございますから、当然やっぱり返してもらわなきゃならない問題であろうと思いますが、貸し付けの条件なり、何なりについて、もう少し確認をいたしたいと思っております。 それから、共和学園というのはどういうものか、私どももはっきり存じません。ただ、実学舎というものが何か学習塾のようなものをやっておるようでございますので、そういうものかどうかというのは、これは想像でございますけれども、そういうものについての
設置
基金に寄与するために何らかの積み立てに協力するということが、果たしてこの任意団体として適切かどうか。それから、それが直接ないしは間接に
学校
法人新潟技術学園にマイナスをもたらすような不適当なことであるかどうかは、なお
調査
の上判断をいたしまして、それに基づいて厳重な指導をいたしたいというふうに思います。
吉田正雄
114
○
吉田正雄
君 私は、私立
学校
法二十六条に、この
学校
法人が収益事業を行うことについて厳しい制限を設けておりますし、さらには
昭和
二十五年十一月八日の文部省告示第六十八号で「(文部大臣の所轄に属する
学校
法人の行うことのできる収益事業の種類)」を定める件というものがあって、そこの第一条のところでは、「左の各号の一に該当しないものでなければならない」ということで、六つ条件が挙げてあるわけですよ。「経営が投機的」なものであるとか、「風俗営業に該当する」ようなものであるとか、あるいは「名義の貸与その他不当な方法によって経営されるもの。」であるとか、あるいは「
教育
に
支障
のあるもの。」とか、「法人としてふさわしくない方法によって経営」をするとか、これは法人の収益事業とは書いてありますけれども、実学舎というのは要するにトンネル機関なんですよ、これは。役員見たら全部そうでしょう、学園
関係者
によって役員が全部占められている。全く別の会社ではないんですよ、これは。表裏一体の会社なんですね。単なるトンネル機関なんですよ、これは。事実が明らかになっているわけですね、これは。そういう点で私は、いま答弁されたようなそんな認識で、こういう問題を放置をするから、こういう問題というのがしょっちゅう後を絶たないで続発をしてくると思うんですよね。いま言った二十六条とか、告示の第一条と照らして、こういうことは一体望ましいと思われるんですか、許されることなんですか。
三角哲生
115
○
政府委員
(三角哲生君) 告示は告示でございます。まさに役員構成等から見ますと、
学校
関係者
がずっと名を連ねておりますから、非常に密接な関係があると存じます。トンネルのようなことでございますと、これは私どもがやっぱり好ましくない面も十分に調べまして注意をしなきゃいけませんが、やはり基本は金の出し人れが会社と
学校
の間でどんなぐあいになっていて、そして、その
状況
が
学校
法人に対してぐあいが悪くなっていないかどうかという点でございまして、その点については私どもは厳重に
調査
をしたいと思っております。
吉田正雄
116
○
吉田正雄
君 与えられた時間がきわめて短いので、お聞きしたいことはたくさんありますが、いまの答弁の一つ一つで、まだやりたいところたくさんあるんですよ。皆さんも私の持ち時間承知で、この辺で答えておけばきょうは済むんじゃないかということははっきりしているんですよ、さっきの答弁でわからぬわけないんです。私よりもあなたたちがわからぬわけないですよ、これは。そうだとしたら全く無
責任
じゃないですか。いまの答弁では私より知らぬ、
内容
を。そんなことで
委員会
を切り抜けていこう、その場限りの答弁やれば済むなんと思ったら、これは大変なことですよ。そういう無
責任
な行政態度だから、こういう事件というものが後を絶たないわけですよ。 二つだけ言っておきますから、これは次回、いずれかの
委員会
で私はお聞きをしたいと思っておりますけれども、いまの学園の
理事
の中には、現在の
教育
委員長
代理の久保田英一氏が入っているわけです。さらに
教育
委員長
の立川晴一氏も入っているわけです、
理事
として。現職の
教育
委員長
、
委員長
代理が
理事
に入っておりながら、このようなずさんな
学校
運営
と会計
運営
が行われておること自体が望ましくないということは、これははっきり言えると思うんですよね。だれが見たって好ましい
状況
じゃない。これは皆さんだって好ましいとは思っていないということはおっしゃっているとおりです。現職の
教育
委員
が二人も入っておってこういうことが行われている、このこと自体が大問題であって、私は
教育
委員
としては
責任
をとるべきじゃないかというふうに思うんですよね。
責任
問題はとにかくとしても、とにかく非常に大きな問題だということが言えると思いますし、それから、この寄付行為の中で、実は寄付行為の細則というのを設けてありますね。細則ございますね、あるかないか、まず聞きます。
三角哲生
117
○
政府委員
(三角哲生君) 細則はちょっといま手元にございません。
吉田正雄
118
○
吉田正雄
君 私がきょう寄付行為の問題から、認可の寄付行為の審査
状況
についてお聞きしますということを言ってあるわけでしょう。その寄付行為に伴う細則がないというのはどういうことですか。何言っているんです。
三角哲生
119
○
政府委員
(三角哲生君) 細則は、これは
学校
内でお決めになっていいことでございまして、これは文部大臣の認可事項でございませんので、必ずしもすべての
学校
の細則を手元に整備しておくということになっておらないのでございます。
吉田正雄
120
○
吉田正雄
君 そうすると、細則の中で、寄付行為の本則を骨抜きにしたり、本則に違反するような細則がもし盛られておったらどうなりますか、これは。
三角哲生
121
○
政府委員
(三角哲生君) 仮定の問題でございますので、
委員
がおっしゃったようなことは私どもの
学校
法人指導の基本の
趣旨
からいってよろしくないというか、ぐあいが悪いことでございます。
吉田正雄
122
○
吉田正雄
君 仮定の問題って何ですか。私は仮定の話をやっているんじゃないんですよ。細則はないんですか、いま。
三角哲生
123
○
政府委員
(三角哲生君) 細則は持ち合わせがないというふうに申し上げております。 それから、仮定の問題と申し上げましたのは、ただいま
委員
がその寄付行為の本則と全く反するような、骨抜きにするようなというようなことでおっしゃいましたので、ちょっとそういう言葉を使わさせていただいたのでございます。
吉田正雄
124
○
吉田正雄
君 時間が制限されているからと言いましたけれどもね、きわめて重要で、皆さんのそんな答弁納得できないから、最後に大臣に聞きますよ。 この「新潟技術学園寄附行為施行細則」は六条から成っておりますけれどもね、この第四条のところでどういうことが書いてあるかといいますと、「寄附行為第二五条のほか、寄附行為中「
理事
長」とあるをすべて「
理事
長または学園長」と読みかえる」
理事
長じゃないんですよ、「
理事
長または学園長」ですからね、学園長でもやれるということなんです。学園長は
理事
です。 それから「寄附行為中、評議員会を
運営
評議会、評議員を
運営
評議
委員
と読みかえるものとする。」として、本則では
理事
長が評議員会の招集権限、
理事
会の招集権限を持っておるのに、学園長と読みかえることによって、
理事
長をたな上げにしておって、
理事
である学園長が
理事
会の招集から、評議員会の招集から、全部できる仕組みにこれは細則の中でなっているんですよ。これいま私が読み上げたのは細則ですよ。これ本則に反しませんか。
三角哲生
125
○
政府委員
(三角哲生君) ただいまのような細則は、これはまさに本則の本来の規定をすりかえるものだと思います。「学園長」というような規定はもう本来の寄付行為の中に書かれてはおらないひとつの名称といいますか、称号にすぎないというようなふうに寄付行為上はなっておりますわけでございますから、そのような実質的に
理事
長の
役割り
をやるというような、そういうような読みかえの規定は、これは寄付行為の本来の姿に反するものでございますから、私どももその細則を取り寄せまして、その是正、
改善
は、これは指導しなきゃならないというふうに考えます。
吉田正雄
126
○
吉田正雄
君 その違法な、本則に違反をし、違法な学園長が招集した
理事
会や評議員会の決定はどうなりますか。
三角哲生
127
○
政府委員
(三角哲生君) これはそれぞれの会議につきまして、いま
委員
御指摘のような形式手続上の瑕疵があった場合どうするかということでございますが、やはり個々にはその
内容
についてチェックをした上で、私どもとしてはコメントをさしていただかなきゃならないというふうに思います。というのは、
出席者
がどういうぐあいであったとか、それから実際に
理事
長あるいは評議員会がどのように関与したかというようなことも、やはりその事柄につきまして決定の一つの根拠としての実体を備えていたかというようなことが出てくるのではないかというふうに考えるからでございます。
吉田正雄
128
○
吉田正雄
君 これ最後です。 大臣ね、お聞きになってわかると思うんですけれどもね、とにかくこんなずさんな
学校
運営
、会計処理はないですよ、これは。お聞きのとおりです。時間があればもっと詳しくずっと言いたいんですよ。ところが、私はいま文部当局の担当者の答弁を聞いておって、まだよくわかっておりませんとか、事態の推移を見守りますとか、非常にのんびりとした答弁ですよ。私はそうじゃなくて、おわかりだろうと思うんです。わかっているけれども、ここでそれが明らかになったら大変な事態になると。私は、このとおりのことが事実行われているということが立証されたら、これはあれですよ、学園の取り消しだってあり得る
内容
だと思うし、罰則規定だって適用になると思うんですね。そういうことを恐れておいでになるんじゃないかと思って、いろいろ言葉を濁しておいでになるだろうと思いますしね、私も学園がつぶれることを願ってるんじゃないですよ。そうじゃなくて、私は本当に私学の正しい発展のためにそういうずさんな
運営
があってはならない。だから、私は逆に言うならば、文部省の所轄庁としての、これはまさに指揮監督という言葉はとにかくとして、そういう指導的立場にあるわけですから、認可をされたんですから、その認可に違反をした場合にはこれを取り消す権限というのは所轄庁に与えられておるんですよね。それだけに、私はいまの答弁ではきわめて納得できないのですよね。いいかげんな答弁だ。もう
責任
逃れの答弁です。 そういう点で大臣としては、この問題については徹底的に事実というものを正しく
調査
をする、そうしてその
調査
に基づいた適切な行政
措置
——
措置
という中身はいろいろありますけれども、適切な行政
措置
というのはとられるべきじゃないかと思うんですが、この点について最後に大臣の見解をお聞きして私の質問を終わります。
谷垣專一
129
○
国務大臣
(
谷垣專一君
) いまだんだんのお話をお聞きしておりまして、私も大変にどうもえらいことが起きておるんだなという感じを持っております。
事務
当局の方から、言ってみますと、非常に先生のお叱りを受けるような返事をいたしておりますのは、やはり非常に慎重な法令上の立場からの問題で、少し慎重過ぎておるから先生のそういう御指摘があったことと思いますが、全体としての形を考えますと、いろんな団体が出てきたり、それから先ほどの寄付行為そのものがその細則でもとが変わっているというようなことになりますと、まるでカエルがヘビをのむような反対のことになってしまって、まことにどうもおかしなことだというふうに聞いておりました。しかし、これは現実に起きておることといたしますると、非常に大変なことだと思います。実情を十分
調査
して、そうして適切な
措置
をとらなきゃならぬと思います。
大島友治
130
○
委員長
(
大島友治
君) 本
調査
に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。 本日はこれにて散会いたします。 午後一時二十三分散会 —————・—————