○有田一寿君 私は今度の七月の参議院の改選に立候補いたさないことにしてありますので、あるいはきょうともう一回ぐらいあるかないか、最後の質問になると思います。
時間が短時間ですから、
大学の問題だけについてお聞きするわけですが、振り返ってみますと、私はこの六年間、経済界出身でありましたけれ
ども、この
文教委員会以外の常任
委員会に所属したことはありません。党は幾つか変わりましたが、これは皆さまの御
協力によってここに席をずっと置かしていただいたわけでございまして、その経験から振り返ってみますと、最初におだてたような言い方で恐縮ですけれ
ども、
文部省——次官以下各
局長、私も多少ほかの省の幹部の方をわりによく知っておりますけれ
ども、まさるとも劣らない、特に人柄、
責任感、それから
勉強においては、私は
文部省としては大変りっぱだというふうに率直な
感想を持っていることだけは最初に申し上げさしていただきます。
できればきょうも各
委員ごとの討論というものがあり得るものならば、そういうことで進めたいような内容でございますけれ
ども、そういうシステムになっておりませんで、全部執行部、行
政府である
文部省に尋ねる形でしか
質疑ができない、まことに残念ですけれ
ども、そういうことでありますので、他の
委員の
方々が発言したことと多少違う、あるいはねらいは同じかもわかりませんが、角度は違った角度から質問さしていただくことになると思うんです。
まず最初に、
大学の
格差ということが
先ほどから論議されております。私は
地方大学を
充実するその他、これはもう当然のこととして結構でありますけれ
ども、
大学の
格差というものは、
高等学校もそうですが、なくならないと思うんですね。それは
先ほど文部大臣がおっしゃいましたように、それぞれ古い
大学にはそれなりの知識の集積、伝統等があるということを申されましたが、それもそうであります。そのほかに卒業生がおります。もちろん在校生もあります。そして
大学格差をなくす方がいいのかどうかということもありまして、私は自由競争社会という、この民主主義社会というのは、個人も競争原理のもとに生きているわけですが、これは
大学といえ
ども当然そういうものの方が競争原理が働いてそれぞれ進歩
発展する。ただ、余りに過度になった場合にいけないので、そこにいろんな施策が講じられるということであろうと思うので、そこのところがはっきりとしたやはり
教育行政を扱われる場合、考えをお持ちいただいておいた方がいいと思います。
一昨年でしたか、ここでその問題を私質問したことがあるんですけれ
ども、
大学の
格差を本当になくすのなら
方法はございます。
一つは
大学区をつくればいいんですね、いわゆる
学区制を設ける。それから
抽せん制にするということにすれば、これはもう完全な平等になると思います。しかし、
学区制がとれない。これはなかなかむずかしい問題だと思いますし、それから
抽せん制にすれば、果報は寝て待てというような気風が青年の間に行き渡るということもありましょう。それもできない。そうすれば入学試験をやさしくする、やさしくすれば偶然が働く。むずかしくすればいいと申しますが、むずかしくすればまた偶然が働く。そうすると、入学試験は偶然が働かないことが基本でなきゃならないと思うから、要は
格差というものはそう口で言うほど簡単になくならないと思うんです。第一、春になると決まったように週刊誌、新聞等が本
年度の
東大合格者百人に聞きましたとか、あるいはテレビでもあなたは塾に通いましたか、通いませんかとか、いかにも浪人して塾にでも通えば
東大に入れる、あるいは旧制
帝大に入れるんだというようなことであります。これは商業主義ですから、特に週刊誌等は売れればいいわけですから、無責任にやる。しかしここに国民の気持ちの一端があらわれているような気がするんですが、どうでしょうか。
東大が本当になくなった方がいい、旧制
大学もなくなった方がいいのなら、第一、マスコミがあそこまで
東大だ、国大だと言って持ち上げたりする必要はないと思うんですよ。さいの河原のようなもので、ここでいつも
格差是正、あるいは旧制
帝大と変わらないように他の地域
大学をやれというようなことを言いますけれ
ども、必ずしもそうなっていない。今後もなることはないであろう、またならなくてもいいであろう。ただ、そのときどうすればいいんでしょうか。そのまま放置していていいと思いませんが、その場合多少のいろんな面の弊害が出るとは思いますが、それについてはどういうふうに、特に
国立大学について御
指導なさったらいいとお考えでしょうか、お聞きしたい。