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1980-03-28 第91回国会 参議院 農林水産委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十五年三月二十八日(金曜日)    午前十時十七分開会     —————————————    委員異動  三月二十一日     辞任         補欠選任      藤井 恒男君     三治 重信君  三月二十二日     辞任         補欠選任      嶋崎  均君     鈴木 省吾君      鈴木 正一君    久次米健太郎君      岩崎 純三君     熊谷太三郎君      小林 国司君     宮田  輝君      中村 禎二君     坂元 親男君  三月二十五日     辞任         補欠選任      三浦 八水君     加藤 武徳君      北  修二君     夏目 忠雄君      村沢  牧君     小山 一平君      喜屋武眞榮君     市川 房枝君  三月二十六日     辞任         補欠選任      夏目 忠雄君     北  修二君      加藤 武徳君     三浦 八水君      小山 一平君     村沢  牧君      市川 房枝君     喜屋武眞榮君  三月二十七日     辞任         補欠選任      坂元 親男君     寺下 岩蔵君      降矢 敬雄君     最上  進君  三月二十八日     辞任         補欠選任      寺下 岩蔵君     坂元 親男君      最上  進君     降矢 敬雄君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         青井 政美君     理 事                 岩上 二郎君                 片山 正英君                 北  修二君                 川村 清一君     委 員                 熊谷太三郎君                 坂元 親男君                 田原 武雄君                 三浦 八水君                 村沢  牧君                 原田  立君                 河田 賢治君                 下田 京子君                 喜屋武眞榮君    国務大臣        農林水産大臣   武藤 嘉文君    政府委員        農林水産省経済        局長       松浦  昭君        農林水産省農蚕        園芸局長     二瓶  博君    事務局側        常任委員会専門        員        竹中  譲君    説明員        農林水産省経済        局統計情報部長  柳井 昭司君        農林水産省畜産        局審議官     井上 喜一君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○農林水産政策に関する調査  (昭和五十五年度畜産物価格等に関する件) ○農業災害補償法の一部を改正する法律案(内閣  提出、衆議院送付)     —————————————
  2. 青井政美

    委員長青井政美君) ただいまから、農林水産委員会を開会いたします。  理事補欠選任についてお諮りいたします。  委員異動に伴い理事が一名欠員となっておりますので、この際、理事補欠選任を行います。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 青井政美

    委員長青井政美君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事北修二君を指名いたします。     —————————————
  4. 青井政美

    委員長青井政美君) 農林水産政策に関する調査を議題といたします。  まず、昭和五十五年度畜産物価格等に関し、政府から説明を聴取いたします。井上審議官
  5. 井上喜一

    説明員井上喜一君) 井上でございます。  昨日から畜産振興審議会食肉部会、それから酪農部会が開かれております。昨日は食肉部会が開催されたわけでございますが、まずこれに諮問いたしました試算値から御説明を申し上げたいと思います。  お手元安定価格算定説明参考資料というものが届いていると思いますが、それの牛肉の部から説明いたします。  まず、一ページをお開きいただきまして、指定食肉牛肉)の安定基準価格及び安定上位価格去勢和牛肉でございます。算式はP1=(P0×I)×m+k、これを変動係数vで開いております。P1が求める枝肉価格でございます。P1は基準期間における去勢肥育和牛農家販売価格でございます。基準期間は過去七年間をとっておりまして、昭和四十八年二月から五十五年の一月までをとっております。その間の去勢肥育和牛農家販売価格でございます。この販売価格につきましては、安定上位価格を超えるものにつきましては、枝肉安定上位価格を超える月につきましては安定上位価格に見合う価格に、また、安定基準価格を下回る場合には安定基準価格に見合う農家販売価格をとりまして算定をいたすことになっております。従来どおり方式算定いたしております。次に一でございますが、これは基準期間、ただいまの七年間に対します価格決定年度、つまり昭和五十五年度でございますけれども、その去勢齢肥育和牛生産費指数でございます。つまり、基準期間に対してどの程度の生産費変化率があるのかというものでございます。mとkと申しますのは、去勢和牛枝肉卸売価格去勢肥育和牛農家販売価格との関連でございまして、いわゆる枝肉換算係数と言っているものでございます。vは変動係数でございます。  そこで、試算値はその下に出ておりますように、基準期間における農家販売価格は九百三円でございます。基準期間に対する生産費変化率が一・〇五六でございます。これを掛け合わせますと九百五十三円五十七銭になります。これを枝肉換算するために一・六一六プラス十九円二十二銭でございまして、全体計算をいたしますと千五百六十円十九銭と相なるわけでございます。それを一プラスマイナス〇・一三〇、変動係数で開いてございます。この変動係数は従来〇・一四一というのを使っていたわけでございますが、ちょうど牛肉安定制度が発足いたしまして五年がたちます。また、実際の変動状況を見てまいりますと、やや変動幅が縮小してきている傾向が見られるわけでございまして、そういう実態を踏まえまして、〇・一三と変動幅を縮小いたしております。その結果、算出される試算値は、安定基準価格が千三百五十七円三十七銭、安定上位価格が千七百六十三円〇一銭でございまして、これが試算値と相なるわけでございます。  次に、豚肉の方に移らしていただきます。豚肉算定説明参考資料をお開きいただきたいと思いますが、同じく一ページでございます。  豚肉価格算定につきましても、基本的には牛肉価格と同じような考え方算定をいたすことにしております。ただし、基準期間につきましては、牛肉については七年を基準期間としているのに対しまして、豚肉の場合は五年間を基準期間といたしております。それが一点違います。それからもう一つ違いますのは、アルファというのが出ております。これが需給係数でございまして、豚肉につきましては需給状況を見て価格を上げたり下げたりする、まあそういう算定方式になっているわけでございます。これが違います。あとは基本的に同じような考え方でもちまして算定をいたしておるわけでございます。  結論だけ申し上げますと、最後にあります農家販売価格は四百二十七円でございます。基準期間過去五年間に対する生産費指数が〇・九八七、それにアルファ、これは需給調整係数でございますが、来年度の需給は、需給がうまくミートをすると、こういう前提に立ちまして一ということにしているわけでございます。で、計算をいたしますと、四百二十一円四十五銭、それを枝肉換算いたしますと、六百七十六円三十三銭に相なるわけでございます。  次に、変動係数で開いておりますが、これは牛肉と同じ〇・一三をとっております。最近の豚肉価格状況を見てまいりますと、短期変動の幅が漸次拡大するような傾向が見られるわけでございます。また畜産振興審議会におきましても、豚の変動幅につきましてもう少し実態を検討して再検討すべきである、こういうような意見が出ていたわけでございますが、最近の数値をとりまして、牛肉と同じ〇・一三〇という変動係数を採用いたした次第でございます。その結果算定されます安定基準価格は五百八十八円四十一銭、安定上位価格は七百六十四円二十五銭でございます。  以上、非常に簡潔に申し上げまして、昨日答申をいただきました文書がお手元に届いていると思いますが、指定食肉安定価格を定めるに当たり留意すべき事項につきましては、「指定食肉生産条件及び需給事情その他の経済事情を総合的に考慮すると、試算に示された考え方でその安定価格を決めることは止むを得ない」、こういう御答申をいただいているわけでございます。  そのほかに建議があわせてついてございます。時間の関係がございますので省略をさせていただきますが、そこにありますように、一から七までの、豚肉牛肉全般にわたることについての建議でございます。  次に、本日の酪農部会に諮問いたします牛乳保証価格等についての説明をいたします。  牛乳保証価格等算定説明資料をお開きいただきたいと思います。  まず八ページでございます。諮問いたしますのは四つございますが、その第一が保証価格でございます。  保証価格算定方式は、主要加工原料乳地域における推定の第二次生産費、それから推定租税公課負担、それから推定の集送乳経費、それから推定販売手数料を加えました合計額でございまして、試算にございますように、八十八円八十七銭でございます。昨年がこれが八十八円二十銭であったわけでございます。六十七銭の増に相なっております。  この算定につきましては、統計調査部がやっております生産費調査基礎にいたしまして、頭数規模別生乳生産量ウエートによりまして加重平均した生産費をとっているわけでございまして、それに最近時点における物価指数でもって物価修正をしてございます。  なお、労賃の、家族労働評価がえにつきましては、飼育家族労働につきましては、労働省の毎勤統計に基づきます主要加工原料乳地域製造業五人以上の規模労賃直近三カ月水準によって評価をしてございます。  次に、安定指標価格でございます。十四ページをお開きいただきたいと思いますが、安定指標価格につきましては、全部据え置きでございます。  それから、第三番目に諮問いたしますのは基準取引価格でございます。基準取引価格と申しますのは、乳業メーカー生産者に支払う価格でございます。まあ支払います価格は、そこにございますように、製造業者販売価格から卸売業者のマージンを引きまして、さらに乳製品製造販売経費を差っ引く。また、乳業者製造業者利潤を差っ引きましたのを基準にいたしまして、それに乳製品単位当たり製造必要乳量、それから乳製品生乳換算量ウエート、そういうのを加味いたしまして基準取引価格算定しているわけでございまして、これもその十五ページの一番下にございますが、六十四円三十銭でございまして、昨年度と同じ価格でございます。  それから第四番目でございますが、限度数量でございます。限度数量といいますのは、合理的な生産目標でありますとともに、財政負担限度を示すという、そういう意味のあるものでございますが、これにつきましては、推定特定乳製品向け生乳需要量から控除量を差っ引くということでございます。どういうのを差っ引いているかと申しますと、昭和五十四年度におきまして特定乳製品需要量を上回って生産されました数量がございます。それから一つ国産脱脂粉乳。これはえさ用が主要なものでございますが、そういうものへ転用したものはさらにそれから引いてございます。さらに、生産者団体におきまして計画の目標数量を上回って生産された乳量のうちで、特別余乳として一般の市場外に処分されるものがございます。その分をさらに引いてございます。  このようにして要控除量算定いたしまして、その控除量をただいま申し上げました特定乳製品向け生乳需要量から差っ引きまして限度数量算定するわけでございます。  数値は十九ページにございます。推定特定乳製品需要量生乳ベースで百九十三万トンでございます。そのうち、といいますか、十六万六千トンが昭和五十四年度において生産されましたオーバー分でございます。それから、国産脱粉の飼料等への転用分が七万三千トン、それから特別余乳として処理されるのが二万八千トンでございます。こういうものを十六万六千トンから差っ引くわけでございまして、その残りを百九十三万トンから差っ引くわけでございます。そういたしますと、その下に出ております百八十六万五千トンということに相なるわけでございます。  なお、ちなみに、飲用向けは四百十二万五千トン、それからその他乳製品向けは三十三万四千トン、自家消費量としては十三万一千トンを推定いたしております。  簡単でございますが、以上が本日諮問いたします牛乳保証価格等についての積算の説明でございます。  以上でございます。
  6. 柳井昭司

    説明員柳井昭司君) お手元に五十四年の畜産関係生産費資料が四つ配付してあると思いますが、それにつきまして、時間の関係もございまして簡単に御説明さしていただきたいと思います。  まず第一が、五十四年の肥育豚生産費でございますが、これは調査期間が五十三年の七月から五十四年の六月までの調査でございます。  百キログラム当たり生産費は三万八千四百九十三円ということで、六・八%減少しておりますが、これは二ページにもございますように、主要な費目につきまして、労働費は一・四%増加しておるわけですが、素畜費が二万四百七十円ということで、七・七%減少している。あるいは飼料費が、配合飼料値下がりによりまして八・七%減少しているという、この二つの減少が主因でマイナスになったわけでございます。  収益性について見ますると、三ページにございますように、一頭当たりで四万二千七百十四円ということで、これも七・五%減少しておりますし、一日当たり家族労働報酬も一万円を超えてはおりますものの、前年に比べますと七・九%の減少でございます。  次に、子豚の生産費でございますが、子豚につきましては、調査期間は同じでございます。  一頭当たり生産費は二万六百十三円ということで六・三%減少しておるわけでございます。これにつきましても、費用全体の五割を占めるところの飼料費が、配合飼料値下がりによって減少しているということが主要な要因となって値下がりしておるわけでございます。  収益性につきましては、一頭当たりで二十万百十三円ということで七・九%減少しておりますし、一日当たり家族労働報酬も八千四十七円で前年に比べて六・五%減少しているわけでございます。  次に、肥育牛につきまして御説明申し上げますと、去勢齢肥育でございますが、これにつきましては、一頭当たり生産費は五十八万三千五十円ということで〇・九%増加しておりますが、百キログラム当たりで申しますと九万六千二百四十三円ということで〇・五%の減少でございます。これは、二ページにも書いてございますように、一頭当たり販売時の生体重の増加が響いておる、こういうことでございます。それで、これにつきましては、素畜費につきましては、子牛価格値上がりなり大型のものが導入されたということで六・五%対前年増加しておりますし、労働費につきましても、労働時間は節約されていますものの、賃金上昇がこれを上回りまして二・四%増加しておるということでございますが、飼料費配合飼料値下がりいたしまして一二・九%減少、これが大きく響いているわけでございます。  収益性につきましては、六十四万三千九百二十九円ということで、六・七%増加しておりまして、一日当たり家族労働報酬としては八千七百六十一円ということで、前年に対して六七%の増加になっております。  それから乳用雄肥育でございますが、これにつきましては、生体百キログラム当たりで六万二千百二十九円ということで四・七%の減少でございます。これも、飼料費減少したということが主要因でございます。  収益性につきましては、一頭当たり四十九万五千円強ということで、これは、やはりこの期間生産者販売価格上昇したことによりまして一〇%強ふえておりまして、一日当たり家族労働報酬も前年に比して二・一倍ということになっております。  それから最後牛乳生産費でございますが、これにつきましては、乳脂率三・二%換算で百キログラム当たり生産費全国で八千百八十円ということで、前年に対しまして四・二%の減少になっております。これは、流通飼料費が非常に減少したことと、それから子牛価格の高騰によりまして副産物価格が非常に上昇した、それによりまして下がったと、こういうことでございます。  この収益性について見ますると、一頭当たりで六十万円強ということでございます。五・一%の増加でございますし、それから一日当たり家族労働報酬で見ますると、九千八百十三円ということで一九%強の増加というふうになっておるわけでございます。  以上、簡単でございますが、御説明を終わります。
  7. 青井政美

    委員長青井政美君) それでは、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  8. 村沢牧

    村沢牧君 先ほど北海道農民連盟皆さんから陳情を受けたように、さらにまた全国畜産農民皆さん方が切々と訴えておるように、今日、畜産を取り巻く情勢は大変厳しいものがあります。そこで、私はきょうは余り時間がありませんから、乳価や、あるいはまた加工乳限度数量問題等については川村先生にお願いいたしまして、以下、若干それらの問題にも関連をいたしまして質問してまいります。  農産物価格は再生産を可能ならしめる価格でなくてはならぬ、それは生産費所得補償方式でなくてはならないというように思うのであります。ところが、生産費所得補償方式といっても、その評価の方法によってどのようにもはじき出されるわけであります。逆の言い方を言えば、最初に政策価格を決めておいてそれに生産費を合わせることもできる。そこで大臣農産物価格は、実態に即した生産費算定をしなければならない、なおかつ、これから物価の上がること等も勘案して生産費算定しなければならないというように思いますが、どうでしょうか。
  9. 武藤嘉文

    国務大臣武藤嘉文君) 確かに、再生産を旨としてということが法律に書いてございますが、私ども必ずしも米の価格のような生産費所得補償方式をとるというふうには実は考えていないわけでございまして、その点が少し御意見が違う、私とちょっと意見が違うかと思います。  またもう一つ、私どもは、生産条件需給事情その他経済事情と、こう書いてあるわけでありますけれども、これは並列的にこう書いてありますので、やはりそれぞれをよく見ながら、しかも再生産を旨としてと、こういうふうに判断をして価格を決めなきゃいけない、こう考えておるわけでございます。
  10. 村沢牧

    村沢牧君 生産費算定するに当たって、先ほど統計情報部長から説明がありましたように、すべての農畜産物について五十三年の七月から五十四年の六月までの生産費基準として資料をはじき出しておる。したがって、しかしその後における物価修正等は若干したとしても、特にことしは労賃飼料、あるいは資材費など、非常に値上がりをしておるわけなんです。ですから、ことしの畜産物価格を決定する際にはこうしたことをぜひ価格の中に反映しなければならない、私は少なくとも政府経済見通しによる物価上昇率、これを下回らないように価格を決めるべきである、そのように思うのであります。そのことについて大臣はどのように考えるかということと、特に乳価等を決める場合において、乳製品メーカー等から、乳価は上げるべきでないという強い要請なり圧力があるというふうに聞いておるのですけれども、これらについてはどういうふうに考えるのですか。
  11. 井上喜一

    説明員井上喜一君) 統計情報部がやっております調査基礎にいたしまして保証価格算定いたすわけでございますけれども、最近時点物価、これは昨年の十一月から直近時点の一月までの物価水準をとっておりますが、それの水準でもって修正してございます。確かに、先生承知のように、その中ではまだそういう物価に、価格指数に反映していない電力料金等がございますが、これにつきましては、それにさらに修正をしているわけでございます。飼料価格等につきましても、昭和五十五年度の見通される範囲のものをその飼料価格の中に織り込んで算定しているわけでございます。経済見通し物価上昇率は全体の物価の問題でございます。生産費関連いたします費目といたしましては、やはり従来やっておりますように、十一月からこの一月までのその時点物価水準を原則的に織り込んでいくというのが適当じゃないかと考えているわけでございます。  乳製品メーカー乳製品価格等についていろんな要望があるということの御指摘があったわけでございますが、安定指標価格につきましては、乳製品生産条件とか需給事情等を勘案をして定めると、こういう法律規定があるわけでございまして、私どもといたしましては、最近、乳製品価格が相当低迷しておりますけれども、先般脱脂粉乳二万トン、バター五千トンというものについての金利倉敷の助成をするということを決定いたしまして、乳製品市況下支え措置といいますか、支える措置をしたわけでございますので、乳製品市況も漸次回復するということを期待いたしまして安定指標価格につきましては前年どおり据え置きと、こういうことにいたしたわけでございます。
  12. 村沢牧

    村沢牧君 生産費上昇率はことしの一月までの分も計算して織り込んだというふうに言われるんですけれども政府電気料金などを決定する場合においては、原油価格上昇をことし一年じゅう上がる額を見込んでこういう価格をさきに認可したんですよ。したがって、畜産物についても、えさ代は御承知のように昨年七千五百円上がった、ことしも一月から九千円から一万五百円も上がろうとしているんです。したがって、ことしのこういうえさ代の上がり方、あるいは公共料金燃料費資材費、すべて物価値上がりなんですよ。どうしてことしの見通しを立ててこの生産費算定に織り込むことができないんですか。
  13. 井上喜一

    説明員井上喜一君) まあ保証価格算定につきましては法律規定がございまして、主要な加工乳原料地域生乳の再生産を確保する価格ということになっているわけでございまして、従来どおり、過去五年間、五〇%以上が加工原料乳に回る地域についての再生産可能生産費をもって保証価格としているわけでございます。御案内のとおり、保証価格下支え価格でございますので、必要限度のコストに見合う価格をもって算定をいたしている、こういうことでございます。で、先ほど説明いたしたわけでございますけれども統計情報部生産費調査を基本的には基礎といたすわけでございますが、最近時点、最近直近三カ月の農村物価賃金調査品目別指数変化率でもって修正をしているわけでございまして、そのほかに、さらに四月以降値上がりが予想されるものにつきましてはその価格をとって修正をしているわけでございます。われわれといたしましては、現時点におきましてできるだけの価格状況を織り込むと、そういう努力をしたつもりでございます。
  14. 村沢牧

    村沢牧君 それでは、そういう配慮でもって生産費算定したと言いますけれども、そのことについては具体的に後ほど聞いてまいりますけれども、さてそこで、今度の畜産物のこの生産費皆さんからいろいろお聞きする中において、すべての畜産物について実は生産費のうちえさ代値下がりがしたと。しかし、昨年の七月からえさ代はずいぶん上がっているわけなんですよ。えさ代が下がって生産費が低くなったと言っても実感がわいてこない。一体何を基準にしてこういうことを言うんですか。
  15. 井上喜一

    説明員井上喜一君) 配合飼料価格は確かに昨年来上昇をしているわけでございますが、急激な価格上昇に対する農家負担の激変緩和ということで、配合飼料につきましては価格補てんを実施しているわけでございまして、そういう価格補てんの状況も織り込んでございます。
  16. 村沢牧

    村沢牧君 それでは五十五年度にえさがどのくらいになって、価格補てんを幾らにして、そうして皆さん見込んでいるんですか、そのことが一つ。  それから、価格補てんという話が出たんですけれども、昨年来この基金も価格補てんをずっとやってきた結果、もうこの基金が枯渇をしてきておると。七月からは補てんをするという約束がされておらないんですが、これに対してはどのように考えておりますか。
  17. 井上喜一

    説明員井上喜一君) 流通飼料物価修正のやり方でございますけれども、酪農農家はいろんな流通飼料を買っているわけでございます。専増産ふすまでありますとか、一般ふすま、あるいはビートパルプとか、ヘイキューブとか、かす類とか、いろんなものを買っているわけでございまして、その全体につきまして、最近直近の三カ月の価格変動状況を踏まえて出すわけでございますが、特に配合飼料とか、専増産ふすま、一般ふすま、大麦等が値上がりするわけでございます。こういったものを百キログラム当たり換算をいたしますと八十二円に相なるわけでございます。これはそういう値上げ額から農家の補てん額を差っ引く。あるいは農家が現実に負担する金額もございます。その分は負担としてプラスするわけでございますが、農家負担分をプラスして、補てんされるものを差っ引きまして計算いたしますと、生乳百キログラム当たり八十二円、四月以降上がると。こういうように計算をいたしまして、流通飼料物価修正を行っているわけでございます。
  18. 村沢牧

    村沢牧君 えさ基金。
  19. 井上喜一

    説明員井上喜一君) それからえさ基金につきましては、いま決まっておりますのは、四月から六月までの補てんが決まったわけでございます。その結果、六月末にはなお異常基金については百四十億円、それから一般の基金につきましては三十億円残るわけでございまして、われわれといたしましては、その後の状況につきましては、そういった財源状況も見ながら、農家負担が急激に上がることのないように指導をしていくつもりでございます。
  20. 村沢牧

    村沢牧君 どこを指導するか知りませんけれども、いまの話では七月以降も現在と同じ水準でもって補てんをしていく、そのようにはっきり理解していいですね、大臣
  21. 井上喜一

    説明員井上喜一君) 配合飼料価格が上がりました場合に、その上がった分を長く補てんをしていくということは実は不可能なわけでございまして、やはり価格が上がっていきますと、原則的にはそれにスライドいたしまして農家負担がふえるわけでございます。ただ、急激に農家負担がふえることを緩和するために、価格安定基金がございまして、それを通して補てんをしていく、そういう仕組みになってきているわけでございます。したがいまして、七月以降の補てんにつきましては、いまの基準と同じような基準というわけにはまいりませんで、激変を緩和をすると、そういう程度のものとわれわれ考えておるわけでございます。
  22. 村沢牧

    村沢牧君 逆の言い方をして、七月以降さらに上がったとすれば、いまよりも補てんをそれじゃ多くするわけですね。
  23. 井上喜一

    説明員井上喜一君) 現時点におきまして、配合飼料価格がどのようになるかは断定的に申し上げることは不可能でございまして、われわれといたしましては、現在の状況からして、いまの価格水準が一応続くと、続くだろうと、こういうことを前提に計算をしているわけでございまして、ただいまから七月の時点でどうするかということを言うのは必ずしも適当ではないんじゃないかと、そういうように考えるわけでございます。
  24. 村沢牧

    村沢牧君 時間がないから、次に進んでまいります。  次は、労働費算定についてですが、先ほど労働費評価について九百三十五円四十三銭とするという説明があったわけですね、時間当たり全国農協中央会は、乳牛、肉牛、豚についてこの労働費算定しておりますが、労働省の統計情報部報告に基づいて、五人以上の事業所の全国平均賃金基礎として、千百五十六円六十一銭というふうに算定してあるわけです。あるいは全国乳価共闘会議は、全中と同じ資料を用いて、これに本年度の賃金上昇率を乗じて千二百四十五円というように算定しているんですね。皆さん方は、実態に即した賃金算定をしている、生産費算定していると言うけれども、ずいぶん違うわけなんですよ。なぜ農水省の査定が九百三十五円四十三銭と、こんな低い額になるんですか。
  25. 井上喜一

    説明員井上喜一君) その生産費の違いは、生産者団体は、全国の五人以上の製造業労賃をとっていることかと思いますが、畜産局で算定いたしておりますのは、北海道の五人以上の製造業賃金基礎としているからでございます。どうしてそういうのをとるかと申しますと、不足払い法におきましては、「生乳生産条件及び需給事情その他の経済事情を考慮し、生産される生乳の相当部分が加工原料乳であると認められる地域における生乳の再生産を確保することを旨として」定めるということになっておりまして、対象の加工原料乳地域は北海道だけでございますので、北海道の地域の五人以上の製造業労賃をとるのが適当であると、そういう考えでございます。
  26. 村沢牧

    村沢牧君 加工原料乳生産地は北海道だけだという話があったんですが、北海道だけではないんですね。ですから、なぜ北海道だけの労賃でもって算定をするのかということ。  それから、重ねて関連して言うけれども加工原料乳生産地の生産費のとり方だったって、北海道はなるほど八〇%かもしれぬけれども、ほかのところだってあるわけなんですよ。ほかの地域までやっぱり拡大して算定すべきじゃないか。あるいは、農水省がいま基準としている生産量、何キロですか、五千九百ですか、これもずいぶん大規模農家を中心にして決めておるわけですね。これだったって、標準的な、基準的な農家基準として算定すべきあると、このように思うんですけれども、あなたたちの言う労働費というのは、実態に即していないじゃないですか。
  27. 井上喜一

    説明員井上喜一君) 生産費算定いたす場合に、どこの地域生産費をとるかという問題でございますけれども、不足払い法では、ただいま申し上げました、「生乳の相当部分が加工原料乳であると認められる地域」でございます。この地域が北海道であるということでございまして、北海道の生産費基準にしまして算定するということを申し上げたわけでございますが、この制度が発足いたしましてからの対象地域のとり方でございますが、飲用向け比率が過去五年平均で五〇%に満たない地域生産費を採用しているわけでございまして、五十五年度の算定当たりましては五十四年度と同様でございます。北海道のものを採用いたしたわけでございます。加工原料乳は、北海道だけではなしに、ほかの都府県でも生産はされますけれども法律の趣旨に従いまして算定をしているわけでございます。
  28. 村沢牧

    村沢牧君 法律の趣旨によって算定すると言っても、五十四年度の算定方式をそのまますべて適用しなさいって、そんな法律書いてないんだよ。だから、やっぱり算定の仕方によって、先ほど申しましたように、どうでもなるということなんです。だから、実態に即して労働費だったって算定すべきである。  労働費について関連して申し上げるけれども、自給飼料生産労働費、あるいは飼育管理家族の労働費、これも皆さん方算定をした額ですが、私たちが主張するように、製造業労働費賃金によって評価すべきだと。また、企画管理労働費生産費に加えて他の労働費と同じように算定をすべきだと、このように思うんですが、どうでしょうか。
  29. 井上喜一

    説明員井上喜一君) 家族労働費のうちの飼育労働費につきましては、先ほど御説明をいたしましたように、北海道の五人以上の製造業賃金によって評価がえをしているわけでございます。ところが、自給飼料費につきましては、その地域の農村雇用労賃でもって評価をしているわけでございます。  この二つを違えます理由といたしましては、飼育管理労働につきましては周年拘束される労働でございますし、また、特殊な熟練した労働を要すると、こういうことで製造業賃金でもって評価がえをするわけでございますが、自給飼料関係労働につきましては、一般耕種作業とそう大きな変わりはないということでございまして、これにつきましては、統計情報部の方で算定いたしております方法で推定をいたしているわけでございます。  企画管理労働についての問題でございますが、企画管理労働の範囲が非常に不明確でございますし、そういうような労働は確かに必要ではございますけれども、原価性などについて問題があるということで、これは牛乳ばかりでなく、農産物全般についても生産費調査に採用されていないところでございまして、生乳生産費にこれを採用するということは非常にむずかしいと思います。
  30. 村沢牧

    村沢牧君 大臣、私はいま生産費のとり方について二、三の具体的な例を挙げて質問したんですけれども、農水省の生産費のとり方はきわめて低い、実態に即しておらない。いま私が申し上げた労働費だとかあるいはえさ代だけの問題じゃない。素牛の問題にしても、素豚の問題にしても、あるいは地代にしても、租税公課にしても、その他食費についても、すべてこれを低く抑えているんですよ。いままでと同じような物価上昇率ならいいんですけれども、ことしは特殊なんです。したがって、一応畜産振興審議会に諮問をして、一部のものについては答申を得ているけれども、最終の価格を決定する場合においては、再生産を可能にならしめる数字、つまり、実際の生産に要した費用、これを加味して決定すべきだというように思うのですけれども、どうですか。
  31. 武藤嘉文

    国務大臣武藤嘉文君) いまいろいろと審議官から御説明をいたしておるわけでございまして、そういういろいろの私ども試算をしたものについて、酪農部会もたしかきょう開かれておるはずでございまして、そこでいろいろ御審議をいただくわけでございますし、まあ私どもの方も政府・与党という立場で自民党におきましても小委員会を設けて、そこでいろいろと御議論をいただいておるわけでございまして、まあどういうお話が出てくるのか、私どもといたしましてはそれぞれこの試算をするについては、考え方の違いはあろうかと思いますけれども、何も根拠なく試算をしたわけではございませんので、いま審議官が申し上げておりますように、たとえばいまの労賃のとり方にしても、北海道をとったと、いや、北海道だけではないんじゃないか、もっととるべきではないかと、その辺の意見の違いはあろうかと思いますが、私どもは私なりに一つ考え方に基づいてこれを試算をいたしたわけでございまして、私どもは、いまのこの段階では、これをきょうも審議会にお願いをしておる以上、このとり方が私として間違っておりましたというようなことは申し上げるわけにはまいらないわけでございまして、私として、やはりそれぞれ役所の方で試算をいたして出したものでございますので、ひとつぜひこれで御理解をいただきたいと、こういうことを申し上げざるを得ないわけでございます。
  32. 村沢牧

    村沢牧君 大臣試算試算としてそれは認めますよ。それは認めるけれども、いろいろ今日畜産を取り巻く情勢の中から、経済的事情等をしんしゃくして最終決定のときには配慮しなさいということを私は申し上げておるんです。  そこで、豚肉について若干伺っておきますけれども豚肉価格について、安定基準価格が昨年より下げられることになったわけなんです。安定価格のやはり変動幅を一〇%から一三%に変えたということは、このことは私は前進だと思う。しかし、中心価格の引き上げ幅が変動幅の拡大よりも少ない場合においては、いま申しましたように安定価格が下がってくる。いまでも大変価格が安くて困っているときになぜこういう形をとるのか、そのことが一点。  それから、販売価格のとり方が実際の価格を採用しておらない。つまり、安定上位価格を上回る分については切り捨てして下方修正をしている。実勢価格であればもっと上がるべきだということですね。そのことが二点。  それから、豚肉基準価格が下がったとしても、実勢価格が上がれば養豚農家にとっては問題はないわけですね。基準価格が下がったとしても実勢価格を上げるためにはどうするのか。それはやっぱり何といっても輸入を抑えるしかないんですね。この輸入の問題についてはどのように考えるか。以上三点について。
  33. 井上喜一

    説明員井上喜一君) 変動係数を一三%に広げたことは前進であるという評価をいただいたわけでございますが、私ども変動係数につきまして、過去五年間ぐらい牛肉豚肉のそれぞれの計測期間——これは基準期間でございますが、計算したわけでございます。そういたしますと、大体五年間を平均いたしますと、一三一・三〇ぐらいになる——一三・二%ぐらいになります。牛肉につきましては一三・〇六%ぐらいに相なるわけでございまして、この平均をとりまして一三%にしたわけでございますけれども、中心のへそになる価格農家販売価格、それから生産費変化率によりまして算定いたしまして、それから一三%下のところが安定基準価格になるわけでございますが、計測の結果、それが約現在の安定基準価格より二%ぐらい下がるわけでございます。この変動係数はあくまで季節的な変動の幅でございまして、こういう幅が豚肉なら豚肉牛肉なら牛肉、それぞれ固有にあるわけでございまして、こういう幅の中で変動する場合に行政が介入していくということは、豚肉なり牛肉の実勢価格を著しく曲げるわけでございまして、適当でないわけでございます。  そういうことで、変動係数変動の幅を出すわけでございますけれども、その結果が五百八十八円という安定基準価格になったわけでございます。こういう安定基準価格水準そのものにつきましては、現在の需給状況等から判断いたしましてもそんなにおかしくない、むしろ適当な水準ではないかと思います。ちょうど生産調整などもやっっおりまするので、そういった点を考慮いたしましても適当な水準ではないかというように考えるわけでございます。  それから、安定価格算定いたします場合に基礎となります農家販売価格がございますが、これにつきましては、実勢価格安定上位価格を上回っている場合には安定上位価格に見合う農家販売価格修正をしておりますが、同時に、安定基準価格を下回っている場合には安定基準価格まで引き上げて修正をしているわけでございまして、両方あるわけでございます。片方だけを、上だけを切るということではないわけでございまして、現に豚肉は昨年の秋以降安定基準価格を下回っておりますが、それは全部安定基準価格修正をいたしました農家販売価格をとっているわけでございます。  次に、第三点の、豚肉牛肉については実勢価格が非常に重要なのだという御指摘、そのとおりでございます。豚肉につきましては昨年の秋価格が低迷したわけでございますが、民間の自主的な調整保管あるいは本年に入りまして畜産物価格安定法に基づく調整保管という、そういう市場隔離の実施、あるいは片や消費拡大事業、これは都市、農村を通じまして実施しておりますけれども、そういう消費拡大事業というようなものによりまして実勢価格を上げていくべきだと考えるわけでございまして、そういう事業の実施の結果、ここ一週間ばかりを見てまいりますと六百五円前後で価格が推移しておりまして、かなり価格は回復してきたと言えるのではないかと思います。  輸入の動向につきましては、昨年かなりまあ輸入がふえたわけでございますけれども、国内価格が低迷をしたということに加えまして、生産者団体からユーザーであります加工メーカーの方に話がございまして、その結果輸入の自粛が行われているわけでございまして、昨年の十二月以降の輸入の動向を見てまいりますと、対前年比で六〇%台にいま落ちてきているわけでございます。そういうことで、輸入もいま非常に落ちついてきまして、それらを総合いたしまして現在の価格水準に回復してきているのじゃないか、このように考えるわけでございます。
  34. 村沢牧

    村沢牧君 私の持ち時間がだんだんなくなってまいりますから、私は畜産問題とちょっと趣を変えまして、この際繭糸価格等について伺っておきますが、先日の質問で私は繭糸価格を引き上げるべきだという質問をし要請をしたわけでありますが、蚕糸審議会がいよいよあすから開催されるわけであります。そこで、政府はこの審議会に諮問する資料もまとまったというふうに思うのですけれども、五十五年度基準糸価、基準繭価についてどういう考え方を持っていますか、簡単でいいです。
  35. 二瓶博

    政府委員(二瓶博君) 基準糸価につきましては、五十五生糸年度に適用いたしますものにつきまして現在関係資料の収集、検討の最終段階に来ております。明日十時半から繭糸価格安定部会を開催して御審議を煩わすわけでございますが、それまでには諮問案を固めたい、かように考えております。
  36. 村沢牧

    村沢牧君 ここで追及してもその数字等はおっしゃらないと思うのですけれども、いずれにしても去年の実勢糸価が低かった。ことしの基準価格の決め方が低いとするならば、繭の値段なんてものは二千円を割ってしまうのですよ。そうすれば、せっかく養蚕に歯どめがかかったなんて言っているけれども、逆戻りしてしまう。だから、今日蚕糸業を取り巻く情勢を見て、やはり養蚕意欲を持たせる形の基準糸価を決定をする、その諮問をする、そのことを強く私は要請しておくのです。  そこで、大臣にお聞きをしますが、自民党に繊維対策特別委員会というのがあるのですけれども、この委員会が三月二十五日に絹業の振興に関する決議というのを行った。これを見ると、「五十五生糸年度に適用する基準糸価等の安定帯価格昭和五十四生糸年度の水準に据え置くこととし、絶対にその引上げを行わないこと」、あるいは「生糸一元輸入制度の在り方について、その撤廃を含め抜本的な検討を進めること」、こういう決議をやられておるようです。こうした決議が大臣のところにも届いていると思うのですけれども、あなたは昨年この特別委員会の会長もやっておられて非常に関係の深い委員会ですが、どういうふうにお考えになっているのですか。こういうことを参考にして基準糸価も最終的に決めるのですか。
  37. 武藤嘉文

    国務大臣武藤嘉文君) 確かに昨年は私やっておりましたが、ことしは全く関係いたしておりませんので、ことしそこでどういう御議論があってこういう決議になったか、私は十分承知をいたしておりません。
  38. 村沢牧

    村沢牧君 承知をいたしておらないとすればいたし方ありませんが、私はここに決議書を持っていますが、これらも参考にしてあなたは基準糸価や繭価をお決めになりますか。
  39. 武藤嘉文

    国務大臣武藤嘉文君) これを参考にして決めろという実は正式には御要望はございませんので、私の方は先ほど農蚕園芸局長が答弁申し上げましたような考え方で、法律に基づき、またいろいろの、いま、きょうも出てまいります資料などをデータにしながら、ひとつ私どもとしては適正だと思う価格試算をいたしましてそれを明日の審議会にかけたい。そしてまた審議会の御意見なり、こちらの方も、自民党の繊維対策特別委員会ではなくて、農林部会の方で小委員会をつくっておってくれるようでございますので、そういうところの意見もよく承りながら、最終的に適正な価格を決定をしてまいりたい、こう考えております。
  40. 村沢牧

    村沢牧君 大臣、あなたの政党のことでありますが、一方では蚕糸懇談会等があって、繭糸価格を上げなさいという皆さん方の与党の要求もある。一方ではこういう特別委員会でもって、上げてはいけないということがあるのですね。まあ皆さん方の党でありますから私はいろいろなことを言いませんけれども、もう少し調整をしてやったらよさそうなものだと思うのですが、そのことは別問題として、しかし、農林大臣ですから毅然たる態度をもって決めてもらいたいと思います。  それからもう一点お聞きをいたしますが、通産省に矢野事務次官という人がおるのですが、これが三月十四日、京都の経済界との懇談会で次のことを言っているのです。「全国の絹織物産地がせめて二年間、生産を全面ストップさせる。そうすれば養蚕農家は生糸が売れなくなり全滅する。その上で国際相場の中国生糸などを使って生産を再開したらどうか」、「生産ストップ中の休業補償は通産省で面倒をみてもよい」、こういう発言をしているのですね。これも官僚として、政府部内の発言としては許しがたい問題だと思うのです。大臣、これをどういうふうに感じますか。
  41. 武藤嘉文

    国務大臣武藤嘉文君) 新聞記事で私も実は承知をいたしておるだけで、本人からは聞いておりませんが、もし新聞記事にあるとおりの発言をしておったならば、大変不穏当な発言であってけしからぬことだと私は思います。そこで、実はきょう正式に私どもの方から通産省に対しまして厳重に抗議をすることになっておるわけでございまして、真意もよくそのときに確かめさせてみたい、こう考えております。
  42. 村沢牧

    村沢牧君 この問題については、きょうは時間がありませんからこれ以上申し上げませんが、後日真意を確かめる。私は通産の事務次官にここへ出席してもらってはっきりしますからね。大臣の方からも強くひとつ、これは農林だけの問題ではないんだから。通産の問題だったって大変な問題ですよ。二年間生産をやめなさい、その休業補償は全部通産省が見るなんてとんでもない話です。これは政府の部内から出た問題ですから、はっきり大臣としても対処してください。  時間になりましたからやめますけれども大臣最後に要請しておきます。  畜産振興審議会というのは振興審議会なのです。あるいは蚕糸もそうだ。米価審議会とは違うんだよね。だから、あくまで振興するための審議をしてもらわなければ困る。特に大臣に要請しておきますけれども、私は不満なことは、この振興審議会に対して、大臣のあいさつにしても畜産局長説明にしても、今日畜産物について一番大きな問題になっている輸入の問題、これについては一言も触れておらない。輸入を無視して畜産需給動向や価格なんかを決めることはできないのです。こういう態度がいけないと思うんだよ。いろいろ審議会で論議をしてもらう、審議会にはいろいろメンバーが入っているから、一体なぜこんなに需給が悪くなったということになれば、輸入の問題だったって率直に明らかにしなければいけないのですよ。そのことも踏まえて、大臣としては、最終決定する場合においては、農林大臣ですから、再生産が可能な数字でもって決定をしていく。ただ、特に与党にお願いしておきますけれども、最終決定の中において政治加算を設けてちょこちょことごまかすようなことではなくて、やっぱりこの価格として決定する、そのことを、大臣の決意を聞いて私の質問を終わります。
  43. 武藤嘉文

    国務大臣武藤嘉文君) 先ほどから申し上げておりますように、法律で再生産を旨としてと書いてあるわけでございます。ただ生産条件需給事情、その他経済事情とこう並列的に書いてあるわけでございまして、私どもそれぞれのやはり条件あるいは事情、こういうものも十分踏まえながら考えていかなきゃいけないわけでございまして、法律にそういうことを書いてあるということは、やはり再生産を旨とするにはそれぞれのことを考えていかないといけないと、こういうことであろうと私は判断をいたしておるわけでございまして、そういう法律に書いてある方針に基づきまして適正な価格を最終的には決定をしなきゃならぬと、こう考えております。  なお、輸入につきましては、極力国内の生産意欲を阻害することのないような形に、輸入についてできる限り制度、それぞれ仕組みがいろいろございましてむずかしいものもございますけれども、その仕組みの中でもできるだけ抑えられるというのは抑えていくような方向で努力をしてまいりたいと思っております。    〔委員長退席、理事片山正英君着席〕
  44. 川村清一

    川村清一君 時間がございませんので、単刀直入にお伺いします。  私は原料乳の価格あるいは限度数量、この二点ぐらいにしぼってお尋ねします。  先ほど審議官から説明を聞きました。そして、畜産局長が審議会で説明しておる説明資料をいまこの場で読ましていただきまして、もう腹が立ってしょうがないわけです。実にけしからぬと思っております。一体、先ほどから大臣は「再生産を確保することを旨とし」、そして経済事情その他云々言っておりますけれども、この説明資料にこう書いてあります。「加工原料乳生産者補給金等暫定措置法の趣旨に即し、主要加工原料乳地域における生乳の再生産を確保することを旨として、価格決定年度におけるこの地域生乳推定生産費基礎として算定を行っております。この主要加工原料乳地域については、前年度と同様、北海道を採用することといたしております」、こう書いてある。そこで、北海道の酪農家がきょう決められたる価格三年据え置き、ほとんど三年据え置きのこの価格生乳の再生産を確保することができるのかできないのか、大臣はできるという確信を持って審議会に諮問されたのか、これをまずお聞きいたします。
  45. 武藤嘉文

    国務大臣武藤嘉文君) いろいろ事情はあるわけでございます。先ほどから申し上げますように、生産条件だけでなくて需給関係を見なきゃならないわけでございます。そういう意味において、今後の酪農を考えた場合にこういう形でやることが結果的に将来とも酪農のためにいいと、こういう考え方に立って私どもは諮問をしたわけでございます。
  46. 川村清一

    川村清一君 再生産を確保することを旨とするということはこれは第一ですわね。それに需給関係だとか、そのときにおける経済状態というものを勘案してやると。これはまあ法律に書いてあることでありますから、それまで否定いたしません。そこで、再生産を旨とする、第一義として出しておる。私はことしだけのことを言っているわけではないんです。もうおととしからほとんど据え置きなんですから。そこで再生産を旨とした価格でもって北海道の酪農家が酪農を経営していって、それでこんなに借金があるのはどういうわけなんだと、年々減ってくるなら話はわかるけれども、年々ふえていっているということはどういうことなんだろう。この私の手元にある資料は、これは北海道豊富町の役場で出した資料だ。これは役場で出した資料ですから私は間違いはないと思うんですが、一戸平均の負債が五十二年度は千五百五十一万、五十三年度は二千百十四万、五十四年度二千六百二十万、どんどんふえていっている。これは豊富という町です。  それから、枝幸という町があるのですが、これも役場で出しておる資料です。これによると、五十四年度の二月当たりの負債は二千六百万、五十三年度は二千二百九十七万、五十二年度は千九百九十三万、年々ふえていっている。これはどういうふうに説明されますか。御説明願います。
  47. 井上喜一

    説明員井上喜一君) 先生いま北海道の豊富町、枝幸町の二つの町の実態をお話しになったわけでございますが、私どもが持っております資料は北海道平均のものでございます。酪農の単一経営の負債の状況でございますが、それによりますと、一戸当たりで申し上げますと、昭和五十二年、五十三年の実態でございます。平均の飼養頭数が五十二年は二十・七頭、五十三年は二十二・三頭になっております。それから、粗収入が五十二年は千五百五十四万円、五十三年が千七百五十一万七千円でございます。農業所得が五十二年が六百一万二千円、五十三年が六百三十四万二千円でございます。資産額は五十二年が三千百七十四万一千円、五十三年が三千八百八十九万五千円で、これは対前年比で一二二・五%伸びておるわけでございます。資産が非常にふえてきております。それから負債を見てまいりますと、五十二年の負債が千二百八十二万三千円でございます。そのうち負債の利子が五十八万一千円でございます。それから五十三年は千七百四十五万六千円で、この間四千五百万ぐらいふえておるわけでございます。資産の方は大体七百万円ぐらいふえている、こういうような状況に相なっておるわけでございます。それから借入金を見ますと、五十二年度は千百六十四万四千円でございます。それから五十三年が千四百八十六万、大体千五百万円ぐらいでございます。こういう借入金がございまして、借入金の内訳を見ますと、財政資金が非常に大きなウエートを占めておる。  こういう状況でございまして、われわれ全体的に見ますと、北海道の酪農経営の経営状況というのはやはりよくなってきている、資産が非常にふえてきております。こういう状況でございまして、経営の状況といたしましては非常によくなってきていると、こういうことが言えるのじゃないかと思うわけでございます。ただ、個別の経営なりあるいは市町村別には、こういった平均とは若干違った傾向があろうかと思いますが、全体としてはただいま私が申し上げたようなことが言えると思います。
  48. 川村清一

    川村清一君 余り時間をとって数字を並べられると、こっちは時間がなくなってくる。それであなたがいまおっしゃったことは後で資料であれしたいと思います。  それで、あなたの論理から言いますと負債はふえていっていると、それに逆に資産の方はふえていっているのだ。資産がふえている。負債もふえているかもしれないけれども、資産がふえていっているのだと、だから経営はよい方に向いているのだというこういう論理なんです。それはある一面においてはそういう論理は通ずると思いますが、現実の問題としてそれだけの負債があるわけだ。その負債は返していかなければならない。先ほど陳情者が申されたように、利子ばかりだけでも大変なんだ。そうすると、このいまの時点において生産されたその物によってお金が入ってくる、そのお金を、今度は資産をつくるために負債を負って、その負債の方に返していっていると。それでそれがどうして再生産の方に向けられるかどうかということですよ。再生産ということを考えれば、負債に対応して、負債も返し、そして農民はあなた、かすみ食って生きているわけじゃないでしょう。農民だって普通の人と同じように生活せねばならぬ。子供さんもいるわけですよ。子供も学校へ上げねばならぬでしょう。高校から大学へ。そして人並みの水準の生活、当然しなければならないでしょう。生活して、そしてその上生産費を償って、さらに負債も返していくという、そういう経営ができるのかどうか。もしそれが可能だとするならば、北海道の現実の問題として酪農家がどんどん減っていくということもないでしょう。減っていっているのもこれ事実だ。減っていった方がいいとあなた方はそう思っているのかもしれない。これひとつ説明してください。    〔理事片山正英君退席、委員長着席〕
  49. 井上喜一

    説明員井上喜一君) 北海道の酪農の概況につきましては、農家戸数が徐々に減少してきております。その結果、一戸当たりの飼養規模が非常に大きくなってきているわけでございます。経営の実態は、専業経営もありましょうし、あるいは複合経営——他作物と一緒になりました複合経営というのもあろうかと思います。農家の形態、個々の状況によりまして、規模拡大に向かうものとか、あるいはほかの方に転換をしていくもの、そういったものがあろうかと思います。結果といたしましては、徐々に農家戸数は減少をしてきておりまして、飼養規模はだんだんと大きくなってきている、こういう実態じゃないかと考えております。
  50. 川村清一

    川村清一君 そこで、問題はいろいろあるんですがね。一番農家の方が酪農のいま現実の問題として頭が痛いのは負債対策なんだ。これ以上、借金をしょったらどうにもならぬし、現実のいま持っておる借金を払うこともできない、もはや利子払いだけでも容易でない、やめざるを得ないというのが現実なんですよ。そこで、負債対策だ、まず負債対策だ。あなたの話は、資産がふえていってるから、これは差し引きは大したこともないんだと、まあちょっと言い過ぎかもしれないけれども、そういう論理なんだ。現実のこの負債をどうして減らしていくかということに農家の方は頭を痛めているんだ。現にもうどうにもならなくなって、離農するならまだいい、首をつって死んだ人もいるわけですよ。どうします、これ。
  51. 井上喜一

    説明員井上喜一君) 私は、酪農経営の負債がかなり大きいということの事実はそれとして認めるわけでございますけれども、北海道の場合には、農業諸収入、また農業所得も大きいわけでございますし、資産額も徐々に増加をしてきているわけでございますので、一般的に言う場合には償還能力はないとは言えない、あるんじゃないかということを申し上げたわけでございます。ただ、地域により、酪農家によりまして、そういったことが一律に言えないような場合もあろうかと思います。そういうことで、昭和五十四年、昨年は、酪農の合理化資金といたしまして……
  52. 川村清一

    川村清一君 時間がないから簡単に。
  53. 井上喜一

    説明員井上喜一君) 融資枠を百億設定いたしまして、北海道にはそのうち六十三億を融資をしたと、こういうような経緯もあるわけでございます。
  54. 川村清一

    川村清一君 生産費の方にちょっと変わりますがね。生産費を出すについて、乳量を、搾乳牛一頭当たり乳量、これをどういうふうに試算しました。
  55. 井上喜一

    説明員井上喜一君) 私どもが出しております保証価格は、脂肪率三・二%換算のものによっております。したがいまして、統計情報部で出しております一頭当たりの実搾乳量に対しまして、それに〇・〇三二分の〇・〇三六を乗じまして得られる数量でもちまして生産費を除しまして、それに百キログラム当たりですと百倍をしていると、こういう計算をいたしております。
  56. 川村清一

    川村清一君 いや、私の聞いているのは一頭生産量ですよ。何キロとして試算しましたかということを聞いているんだ。
  57. 井上喜一

    説明員井上喜一君) 三・二%換算乳量六千十六キログラムとして算定いたしております。
  58. 川村清一

    川村清一君 もう一度言ってください。
  59. 井上喜一

    説明員井上喜一君) 搾乳牛一頭当たりの三・二%換算乳量は六千十六キログラムといたしております。
  60. 川村清一

    川村清一君 六千キロなんていうのはこれはどこから出てきた数字ですか。  私、時間がないから私の方から申し上げますが、先ほど陳情者の方が申されておりましたが、北海道では酪農戸数が大体二万戸、正確に言うと二万二千五百五十戸ぐらいある。これの平均乳量は一頭当たり五千四百六十キロという。で、三・二%換算というところにも問題がありますが、それを問題にしておると時間がなくなるからあえて言いませんけれども、いま六千キロなんていうことになりますれば、これは一体どういうことなんですか。六千キロ生産する農家なんていうものは一体何戸あるんですか。二万二千戸のうちの何戸の農家が一頭当たり六千キロなんていうものを生産しますか。どういう農家を対象にして調査して六千キロなんていうものを出したんですか。
  61. 井上喜一

    説明員井上喜一君) 搾乳牛一頭当たりの実搾乳量を三・二%換算いたしました乳量が、六千十六キログラムでございます。
  62. 川村清一

    川村清一君 だから、その調査をした農家対象ですよ、それは何戸。二万二千戸あるんだ、北海道に。そのうち何戸調べてそういう数字が出てきたかということを聞いているんです。
  63. 井上喜一

    説明員井上喜一君) 統計情報部の方で詳しく把握しているわけでございますが、私どもいま手元にあります資料といたしましては、一頭当たりの実搾乳量は五千三百二十キログラムでございますが、これは三・六%の乳脂肪のものでございますので、三・二%換算乳量といたしますと六千十六キログラムになると、こういうことを申し上げたわけでございます。
  64. 川村清一

    川村清一君 ですから、そこに大きな問題があるということです。この数字が多くなれば多くなるほど、これ分母になるんですから、生産費は低くなるでしょう。いわゆる一キログラム当たりで出すわけですから、これが分母になるわけですね。生産量というものを。そうしたら、生産量が大きくなれば、そうすると生産費は低くなってくるんですよ、そうでしょう。だから、時間がなくて、計節して詳しく議論している時間がないからやめるけれども、でたらめ過ぎますよ。そんな乳量を出している農家というものは二万二千戸のうち何戸あるかということですよ。何戸調べてそういう数字を出したかということを聞いているわけだ。いまの審議官の答弁では、私納得しませんよ。  そこで大臣にお尋ねしますが、今度は生産費の中に労賃が入るんですよ。ですから、われわれは常に、農産物はお米であろうと、畑作物であろうと、そうして酪農の生産物であろうと、生産費と所得を補償すべきである。生産費、所得を補償することが再生産につながる道であるということを常に議論して、あらゆるそういう農産物にこれを原則としてきちっと法律に書くべきだということを主張し続けてきているわけですね。  そこで、生産費の所得——所得というのは労働賃金なんですよ。そこで、酪農家のその労賃評価、それをどう評価するかということが重大な問題になってくるわけですよ。先ほど村沢さんが言っておったように、もうあらゆる物価が上がっていっていると。そうして政府もことしは六・四%か——決して六・四%の枠内にとどまるとは思いませんけれども、六・四%は堅持するということをたびたび大平内閣総理大臣も言っておる。仮に六・四%となるとしても、当然六・四%の消費者物価上昇というものはこの労賃にかかってこなければならない。それに、この農民だって労働者ですよ、労働者。工場で働いている労働者、官公庁で働いている労働者と同じで、生産費のほかにいわゆる労賃が所得となって入ってくる。その所得によって生活しているんですよ。だとすれば、ことしの春闘で労働者が八%の賃上げ要求をしておる。それが八%でおさまるかどうかわからぬけれども、まあ仮に八%としても、その労賃上昇分というものはそれ相応に考えなければならないでしょう。そういうことは一向考えておらない。いわゆる何ぼか加味しているというようなことをここに書いているけれども、もししているんだとするならば、それをどの程度やったか、ひとつお答えいただきたいんです。
  65. 井上喜一

    説明員井上喜一君) 家族労働費を評価がえします場合の単価でございますが、飼育労働費につきましては、北海道の五人以上の製造業労賃をとっておりますが、対前年比で一〇六・一%でございます。  それから飼料作物費の方の家族労働でございますが、これは農村雇用労賃でもって評価いたしますが、この単価は対前年比一一〇・四%となっております。
  66. 川村清一

    川村清一君 それでは話を別にして、一体牛乳の需要量、原料乳、それから今度はそのほかの乳製品、飲料用なりに向けて、もう日本全体で幾ら牛乳の需要量があるわけですか。たとえば乳製品もこれは全部生乳換算してどれだけの牛乳が必要なのか。
  67. 井上喜一

    説明員井上喜一君) 国内の方でございますが、五十五年度の見通しで申し上げますと、全体が六百四十五万五千トンでございます。飲用の方は四百十二万五千トン。それから特定乳製品、これは不足払いの対象になる乳製品でございますが、百九十三万トンでございます。それからその他の乳製品でございますが、三十三万四千トン。で、乳製品、合計で二百二十六万四千トンです。それから農家自家消費量が十三万一千トン。合計いたしますと六百五十二万トンでございます。これが需要量でございます。ただいま申しましたのは、昨五十四年度からの持ち越し量が六万五千トンございますので……
  68. 川村清一

    川村清一君 それはいいです。
  69. 井上喜一

    説明員井上喜一君) それを差っ引きますと六百四十五万五千トンと相なるということでございます。
  70. 川村清一

    川村清一君 六百五十二万トン必要だと、こういうことです。六百五十二万トン国内で必要なわけですね。そこで、一体国内の生産量は幾らですか。これは総合して何ぼと言ってください、生産量は。
  71. 井上喜一

    説明員井上喜一君) 生産量の見通しでございますけれども……
  72. 川村清一

    川村清一君 去年のでいいんだ。それを聞いている。
  73. 井上喜一

    説明員井上喜一君) 五十四年度の、これはまだ実績が出ておりませんで見込みで申しますと、供給量は六百四十七万トンでございます。  ちなみに五十五年度の見通しを申し上げますと、幅でもって見通しておりますけれども、六百六十八万二千トンから六百八十万一千トンぐらいの見込みでございます。
  74. 川村清一

    川村清一君 需要が六百五十二万トン。それで生産量が六百四十七、何とか多く見積もって六百八十。大体これは需給関係バランスしているんですね、大体。
  75. 井上喜一

    説明員井上喜一君) いや、ちょっとオーバーしているのです。
  76. 川村清一

    川村清一君 六百五十二万トン必要だと。生産がやっぱり六百万トン台だ。大体バランスとれておる。どうしてそんなに余るんですか。余るから限度数量もこれは減らさねばならない。これは百九十三万トンであったのを、今度は六万五千トン減らして百八十六万五千トンですか、に減らすと。どうしてこんなことをしなければならないのか。需給のバランスが大体とれておる。それなのに余る。余る原因はどこにある。これは輸入品でしょう。  それで、輸入品の方を調べるというと、これは乳製品全部、これを生乳換算するというと大体二百五十万トンという。二百五十万トン、これは輸入していることになる。そうすると、輸入品は乳価を抑え、そしてまた限度数量を抑える大きな要因であるということは、これは確実でしょう。それを否定されますか。
  77. 井上喜一

    説明員井上喜一君) 輸入乳製品と国内で生産されますものとの競合の関係だと思いますが、輸入されておりますのは、現在えさ用脱脂粉乳でありますとか、あるいは学校給食用の脱脂粉乳でありますとか、あるいはナチュラルチーズなんかが主なものでございます。そのほか乳糖、カゼイン等もございますが、これらは国内で生産がないものとか、ありましてもチーズのように追いつかないもの、それから脱粉のように、特定の目的で非常に安い価格で入れないといけないというようなものが入っているわけでございまして、国内で生産されます乳製品とは直に競合するというようなものではないわけでございまして、したがいまして、輸入品があるから国内生産を縮小しているというようなことはわれわれはないものと考えております。
  78. 川村清一

    川村清一君 輸入品が国内生産を抑制しているようなことはないということは、何を根拠にしてあなたそんなことをおっしゃるんですか。輸入品を、これを全部生乳換算すると二百五十八万トンあるんですよ。それでその中には、その他乳糖とかカゼインとかおっしゃいましたが、乳糖、カゼインが多いんだ。乳糖のこれを生乳換算が二十二万トンもある。ココアの調製品なんというのが二十万トンもある、これは生乳換算ですが。こういったようなものを出しておいて、そして輸入品が国内生産を抑制しないなんというのは、何を根拠にしておっしゃるんですか。それをはっきり説明してください。
  79. 井上喜一

    説明員井上喜一君) 私が、輸入乳製品が国内乳製品と競合しないということを申し上げました趣旨は、輸入品についてはそれぞれ特別の用途があるわけでございます。繰り返しになりますけれども脱脂粉乳などにつきましては、えさ用脱脂粉乳でありますとか、あるいは学校給食用あるいは福祉用のものでございまして、安いものでなければそういう用途に使用されないわけでございます。こういったものは輸入品独自の分野でございます。また、乳糖、カゼインなどについては国内生産がないものでございますし、チーズについては、国内生産はありますけれども、国内の生産能力だけでは十分対応し得ないものでございまして輸入がされているものでございます。そういうことで、輸入品にはその独自の需要分野があるわけでございまして、そういう輸入品に国内乳製品でもってとってかわるということがなかなかできない現状であると、そういうことを申し上げたわけでございます。
  80. 川村清一

    川村清一君 そんなことでは承知できないですよ、時間がないからやめますけれども。  大臣法律によって指定団体があるわけですが、北海道の場合にはホクレンが指定団体になっておりますが、ホクレンの五十五年度の受託契約数量の見込みですが、見込みが大体二百九万トンあるんですよ。二百万トン北海道で生産されるとしますと、これがほとんど加工用に回っていくと。全国の加工用原料の八〇%は北海道が占めますから、したがって、北海道が百六十万トンの限度数量の割り当てがなければ、全国で二百万トン、北海道で百六十万トンないと。北海道でいわゆるホクレンのひとつのことし集荷するその見込みも、これもはるかにいわゆる百八十六万五千トン——六万五千トン減ったんですけれども、百八十六万五千トンなんということになって、この八割となれば百四十万トンぐらいですから、そうすると莫大な牛乳が余っちゃうんです。この余った牛乳をどうするのかという問題が大変な問題に私はなると思います。そうして借金を莫大にしょってしまって、にっちもさっちもいけなくなっている北海道の農民を、おまえ死ね、もうおまえらやめてしまえ、死ねと。死んでも借金は残るんですから困ったもんですな。これどうしますか、大臣。この点をよく考えて、これはあなたの方では審議会に諮問した。それで審議会から答申が来る。答申が来ましても決定するのは政府ですから、政府でしっかり、私は時間がなくてよく詳しくは言えませんでしたが、言った私の気持ちはわかると思いますから、大臣、しかと心の中において、そして政府の責任で保証乳価、それから限度数量を決めてください。  私の質問を終わります。
  81. 武藤嘉文

    国務大臣武藤嘉文君) 先ほどもお答えをいたしておりますように、ちょうどきょう審議会にお諮りをいたしておるわけでございますし、自民党の方でもいろいろ小委員会をつくってやっておるわけでございまして、その辺の意見を十分踏まえながら、最終的に適正な価格並びに限度数量を決めさしていただきたいと考えております。
  82. 原田立

    ○原田立君 現在、畜産をめぐる諸情勢はきわめて厳しいものがあることはもう十分御承知のとおりであります。生乳豚肉需給ギャップの拡大、擬装乳製品の輸入増大、また一方では飼料値上げ、石油価格大幅上昇を背景に、資材の高騰等、畜産経営農家の経営は困難な局面に立たされているのは御承知のとおりであります。大臣は、わが国畜産経営の安定と畜産物の安定供給の確保の上からどのように方策を考えておられるのか、基本的方針をお伺いしたい。
  83. 武藤嘉文

    国務大臣武藤嘉文君) 畜産物の需要は、今後ともある程度私は堅調にいくんではないかと考えておるわけでございます。その増大をする需要に即応した畜産物の安定的な供給ができるだけ国内で賄われることが望ましいわけでございまして、そういう観点で、今後ともそのためにはより畜産関係の体質が強化され、またその基盤が強化され、経営が安定をしてまいりますように、その合理化あるいは流通の改善あるいは価格の安定、いろいろと生産から流通消費に至るまでの諸般の施策を総合的に勘案をしながら実行してまいりたいと。そして、それによって畜産経営の安定と畜産物の安定的な供給の確保に努めてまいりたいと考えておるわけでございます。
  84. 原田立

    ○原田立君 大臣畜産経営の安定と畜産物の安定供給の確保、これはしっかりとやるという御答弁でありますから、まあそれは確認しておいて、いまも川村委員から質問がありました価格の抑制、引き下げの基調が農水省の考え方に強い。今年度据え置かれると畜産物価格は三年連続の据え置きとなるわけであります。先ほど大臣需給関係もあると、こうするしがなかったんだというような返事であったんですけれども、どうもそれでは納得がいかない。というのは、周囲の諸物価生産資材が値上りしているわけなんでありますから、当然それらに見合ったものが上げられてしかるべきではないかと思う。それを需給関係という生産農家にとっては泣きどころみたいなところを言うて、それで三年連続据え置きするというのは本当に非常に酷な物の言い方ではないか、考え方ではないかと、こう指摘するわけなんですが、その点いかがですか。
  85. 武藤嘉文

    国務大臣武藤嘉文君) 必ずしも需給関係だけを私は強調しておるつもりもないわけでございまして、畜産局長なりあるいは審議官の方から御説明を申し上げたかと思いますけれども試算の中には確かにそういう上がっておるものは上がっておるものなりに評価をして試算をいたしておりますし、また正直マイナス面になる、たとえば子牛の価格の問題だとか、いわゆる上げる面からいけばマイナスになるものもあるわけでございまして、そういうものをいろいろ試算をした結果、こういう姿になったと、こういうことでいま諮問をいたしておるわけでございますので、その点は御理解をいただきたいと思うわけでございます。
  86. 原田立

    ○原田立君 その話の中にいまありました、コストの試算に対して、上げ要因として主に飼料の高騰を初めとする農産物生産資材、これがあるわけでありますが、農水省は下げ要因として、規模拡大からくるコストの低減傾向を主張しているわけでありますが、大臣はこの上げ要因と下げ要因に対してどのようなものを考え、またどう評価しておられるか。
  87. 井上喜一

    説明員井上喜一君) 乳価算定当たりましては、価格の決定時に得られます最新のデータを基礎とすると、こういう考えのもとに、十一月−一月の賃金物価水準を織り込むことを原則にしておりまして、昭和五十五年度の保証価格算定当たりましても、こういう原則を踏襲することにいたしたわけでございます。で、最近においては配合飼料価格上昇あるいは電力料金等の引き上げなどのコストの引き上げ要因がございますけれども、副産物収入であります子牛の価格が非常に高い水準であると、こういうようなものがコストの引き下げ要因であるわけでございまして、今回の算定におきましてもこういうものを織り込んで算定しているところでございます。
  88. 原田立

    ○原田立君 畜産物価格、特に豚肉加工原料乳について何か農水省の中で価格を引き下げるとの動きがあるやに聞いておるんですが、まさかそんなことはないと思いますが、いかがですか。
  89. 井上喜一

    説明員井上喜一君) 乳価決定について基本的にどう考えているのかというお尋ねかと思いますが、乳価につきましては、先ほど御説明いたしましたように、不足払い法の規定に基づきまして算定いたしました試算値を、現在畜産振興審議会酪農部会の方に提出しているわけでございまして、その試算値は八十八円八十七銭でございまして、前年度の試算値を六十七銭上回っております。前年度試算値は八十八円二十銭でございました。
  90. 原田立

    ○原田立君 そうすると、六十銭値上げしたから、じゃ値下げなんて、そういうふうな動きはないということを確認していいですね。
  91. 井上喜一

    説明員井上喜一君) 制度の趣旨に基づきまして適正に保証価格算定したつもりでございます。
  92. 原田立

    ○原田立君 まあ算定したかどうか知らぬけれども、値下げするような動きがあると聞いたんだから、だからそんなことはないでしょうねと、こう言っているんです。それに対して安定的なものを計算しましただなんと言うんじゃ答弁になっていないんですよ、すれ違いになっているんです。大臣、どうですか。
  93. 武藤嘉文

    国務大臣武藤嘉文君) いま審議官が申し上げておるようなことでございまして、私ども、その値下げの動きが私どもの中にあるとは承知いたしておりません。
  94. 原田立

    ○原田立君 じゃ、そういうことはないということを理解いたします。  それから、豚肉の卸売価格の推移を見ると、昨年八月、大阪で五百四十円、東京で九月で五百五十二円と安定基準価格を割り、以降現在まで依然下回っている実情でありますが、最近になり、市況はようやく五百九十円台に乗って推移しておりますが、豚価が安定帯価格に回復する時期をどう見ているか、見通しをお伺いしたい。
  95. 井上喜一

    説明員井上喜一君) 豚価につきましては、昨年の秋低迷をいたしまして、その際にとりました措置といたしましては、自主調整保管、あわせて消費の拡大ということであったわけでございますが、そういった措置が徐々に効果をあらわしてまいってきております。また、大体それと同じ時期でございますが、生産者団体の方で生産調整をしようじゃないかという動きが盛り上がってまいりまして、中央には養豚経営安定推進会議、まあ県の方にも大体同じような組織が出てまいりまして、自主的にある程度繁殖雌豚の淘汰が進んだわけでございます。そういうことも側面的に効果がございまして、最近の豚価は六百五円前後に推移をしているわけでございます。  豚肉の需要期は五月以降ぐらいになるわけでございまして、それまではどちらかといいますと不需要期と言えるかと思いますが、その不需要期の価格の動向を注意する必要がございますけれども、最近の価格動向は安定基準価格を若干上回っている水準でございます。われわれといたしましても、この水準が将来にわたって維持されていくのかどうか、なお慎重に見守る必要があろうかと思いますけれども、ただいまのところそういったことで推移をしているわけでございます。
  96. 原田立

    ○原田立君 事業団による三十万頭の調整保管はやっとことしの一月であり、安定基準価格を割って四カ月もたっての後であります。しかもこのときの市況は、東京芝浦で五百五十円、畜安法の運用が遅過ぎた結果が豚肉価格の長期低迷を招いたと、こう私は考えるわけであります。また、発動ラインの基準は、時期、価格の面からどのように考えられているか、その点はいかがですか。
  97. 井上喜一

    説明員井上喜一君) 畜安法の発動でございますが、やはり当時の豚肉需給状況から見て、すぐにそういう法律に基づく措置をとるということが必ずしも適当ではないのじゃないかと、やはり需給の均衡を早急に回復する必要があるということが必要であると考えまして、畜安法の発動前に、消費の拡大でありますとか、あるいは生産者団体等による自主調整保管を実施したところでございますし、また、ややおくれまして計画生産の態勢づくりができてきたわけでございまして、こういったことを実施したわけでございます。まあ、こういうことで、先ほど来御答弁申し上げましたが、豚価は回復してまいりまして、三月の中旬になりまして安定基準価格を上回って推移をするというふうな状況になったわけでございます。  で、あと調整保管をやっているものの放出の問題でございますが……
  98. 原田立

    ○原田立君 それは後で質問するよ。まだ質問していないことを答えちゃいかぬよ。前もって政府委員が質問を聞きに来たから答えて教えてやっているのに、何ですか、質問しない前に答弁するとは。そんなもうふしだらなことでは質問もできないですよ、そんなことは。けしからぬ。  いまの審議官の答弁では、まあ様子を見てそれでその発動をするのであって、安定基準価格を割ったからすぐやるなんということじゃないんだというような言い方なんだけれども、ちょっとそれでは、そういう物の考え方もあるだろうとは思うけれども安定基準価格というものを決めて、そうしてそんなに上げ下げがないように、暴落あるいは高騰等しないようにするための規定を決めているんですよ。それを、ただ様子を見てそれで発動するという、そういうようなのでは非常に機敏性を欠いているんじゃないかと、こう私は思うんですが、大臣どうですか。
  99. 武藤嘉文

    国務大臣武藤嘉文君) まあ御承知のとおり、調整保管をいたしますと、確かに百八十日たちますと放出しなきゃいかぬということにもなっておりますし、やはりそういうものを進めるには、今度もお願いをいたしましたけれども生産段階での調整というものが非常に大切ではないかと、その辺の環境づくりというものをしておいてやらないと、なかなかこれはうまくいかないと思うわけでございまして、そういう点で先ほど審議官も答弁をいたしておると思うのでございますが、計画生産を進めていただくと。そういう中にあって、なおかつしかしこれはもうどうしてもやらなきゃいけないという場合に強制的な調整保管をすると、こういうふうにやるのが結果的に将来の需給を考えた場合に私は望ましいのではないかと、こう考えておるわけでございます。
  100. 原田立

    ○原田立君 もっと基準価格の意味を厳格に考えて発動のずれをなくすべきだと思うんです。その点はどうですか。
  101. 武藤嘉文

    国務大臣武藤嘉文君) いま申し上げましたように、基準価格を確かに尊重しなきゃいかぬことはよくわかっておりますが、たとえば法律を読んでおりますと、買い上げをしなければならないという——これはへ理屈になるかもしれませんが、買い上げをしなければならないという書き方ではなくて、買い上げをすることができるというような表現にもなっておるわけでございまして、私どもはやはり先ほど申し上げるように、需給というもの、需給関係というものを十分考えていかないと、これは生産者のためにも消費者のためにもならないと、こう考えておるわけでございまして、やはりそういういろいろの手だてをする上において、私どもはそれのやはり客観的なというか、背景を十分ひとつ環境づくりだけはしていかなきゃいけないのではないかということを考えておるわけで、基準価格を決して尊重していないわけではないわけでございますので、御理解をいただきたいと思います。
  102. 原田立

    ○原田立君 調整保管は五十四年十月からの自主調整保管が三十万頭、加工メーカーの輸入肉凍結二十万頭、それに続き、畜安法に基づく三十万頭の調整保管、ざっとまあ合計八十万頭にも及んでいるわけでありますが、豚肉価格が回復基調にある現在、市場価格に悪影響を及ぼすような放出は厳に戒むべきであると思うのでありますが、この放出時期に対する見解はいかがですか。
  103. 井上喜一

    説明員井上喜一君) 先生がいま御指摘になりました数字は、計画といいますか、目標の数字として掲げたわけでございますけれども、現在自主調整保管あるいは畜安法に基づく調整保管の数量は、合計いたしまして、大体いま現在でございますが、三十五、六万頭ぐらいになっているわけでございます。これらをいつ放出するのかという問題でございますが、ただいまのところ具体的な基準はつくってはおりませんが、ただ、放出をすることによって国内の需給価格に悪影響が出るような場合には放出することはできませんので、そういうことのないように、具体的に実際に市場に放出するに当たりましては生産者団体等と十分相談をした上で実施をいたしたいと、このように考えておるわけでございます。
  104. 原田立

    ○原田立君 十分な相談というのはこれはぜひやってもらいたいと思うんです。  事業団を初め、自主調整保管している各団体とも、放出の時期、価格については市場のマイナス要因にならないように十分協議する、こういうふうにしなければならぬと思うんです。それについていろいろと行政指導も当然あるだろうと思いますけれども、それはいまの答弁で、やられるということでありますから、その点誤りのないようにしてもらいたいと思うのであります。  それから、豚肉輸入については差額関税制度がありますが、輸入抑制の上でどのような実効があったのか、実績をお伺いしたい。
  105. 井上喜一

    説明員井上喜一君) 豚肉の輸入につきましては、国内に豚肉安定制度がございますので、それとの関連を持たす必要があるということで差額関税制度がとられております。もう少し具体的に申し上げますと、安定基準価格安定上位価格の平均価格つまり中心価格でございますが、その中心価格がせきどめ価格になっております。せきどめ価格になっておりまして、豚肉の場合は輸入価格の一〇%もしくは輸入価格とそのせきどめ価格との差額のいずれか大きい方の関税が課せられる仕組みになっておりまして、わかりやすく言いますと、せきどめ価格以下では入らない仕組みになっているわけでございます。そういう意味ではこの輸入制度、この差額関税制度というのは、豚肉の輸入についてはかなりの効果があったものとわれわれ考えているわけでございます。  しかし、それでもなお輸入があるわけでございますが、まあ輸入があります原因といたしましては、何といっても国内の需要に応じまして一定の品質のものをまとまって調達できるということでございます。現在の国内の市場の場合は、出荷単位が少量でございますし、まだまだ枝肉でもって出荷をするというような状態でございます。加工メーカーといたしましては、ロース等を中心に特定の部位のものがかなりの量欲しいわけでございまして、なかなか国内のものではそれに対して応じ切れない、こういったことがございまして輸入があるわけでございます。しかし、昨年かなりの輸入が行われました結果、生産者団体の方から、加工団体とか輸入業者に対しまして輸入の自粛要請があったわけでございますが、ユーザーの方がそれを受けまして現在極力輸入の自粛を行っているところでございます。その結果、最近におきます輸入量は対前年比で六割ぐらいに、六〇%台に落ちてきております。相当にそういった自主的な措置が輸入の減少につながっているというふうに考えるわけでございます。
  106. 原田立

    ○原田立君 乳製品生乳換算によりますと、五十一年で百八十九万トン、五十二年で二百四万トン、五十三年で二百二十五万トン。この五十三年の二百二十五万トンで国内生産量の三六・八%に相当する。しかるに、五十四年では二百四十七万トンとまたぐってふえているんですね。私の調べた資料によるとそうなっておりますが、先ほど審議官は、乳製品の輸入はそんなに価格に余り関係しないというような意味の答弁をちらっとしておったけれども、実際はわが国の畜産農家の経営の安定と発展を図るための最も重要な課題は、価格政策とともに畜産物の輸入抑制、これにあると思うんです。先ほどの見解もあわせて、またいま私が質問したこの数字のだんだん増加していくそれらのこと等を勘案して御答弁いただきたい。
  107. 井上喜一

    説明員井上喜一君) 乳製品の輸入でございますが、国内酪農の保護育成を図るということから、御案内のとおり、主要な乳製品は非自由化品目となっているわけでございます。バターなどは非自由化品目でございまして、これらは畜産振興事業団の一元輸入の品目となっているわけでございます。現在畜産振興事業団は、生乳乳製品の現下の需給状況にかんがみまして、輸入は停止をしているわけでございます。したがいまして、現在輸入されている乳製品を申し上げますと、飼料用でありますとか学校給食用などの特殊用途向けのものでございます。これは輸入割り当てで入ってきております。安い価格でないと使用できないという、そういうものでございます。それと、それからナチュラルチーズでありますとか、乳糖、カゼインなど、国産だけでは十分に対応できないもの、あるいは国内で生産をしていないようなものでございます。  そういうものでございまして、輸入されている乳製品で見ますと、脱脂粉乳とナチュラルチーズが非常に多いわけでございまして、この両者を合わせまして大体七五%ぐらいを占めているわけでございます。現在輸入されておる乳製品はそういうようなものでございますので、なかなか国内品をもっては代替できないような状況でございます。  ただ、われわれといたしましても、生乳需給状況が非常に厳しい状況でございますので、たとえば飼料用脱粉といたしまして国内のものを使っていただく、あるいは学校給食用等にも使っていただくというようなことを要請しておりまして、これらについては、昨年の秋からいままで一万八百六十トンばかりそうした方に使っていただくようになったわけでございます。また、ココア調製品なり調製油脂等についても、なるべく国産品の脱脂粉乳なりバターなりを使っていただくように関係方面に要請をしたり、行政指導をしたりしているわけでございます。
  108. 原田立

    ○原田立君 擬装乳製品輸入問題については、乳製品分が五〇%以上のものは自由化品目から除外するようすべきだと思うのでありますが、その点についてのお考えはいかがですか。
  109. 井上喜一

    説明員井上喜一君) 現在、輸入自由化をしておりますココア調製品とかいるいは調製油脂等については、これを非自由化品目にするということは非常に困難なことかと考えます。したがいまして、ココア調製品については、チョコレート業界に対しまして一定の数量でもって輸入を自粛するように要請しているところでございますし、また調製油脂等については、極力国産品を使用していただくようにお願いをしている、そういった現況でございます。
  110. 原田立

    ○原田立君 去る二十二日の予算委員会で、わが党の相沢委員がこの問題を取り上げて質問したのでありますが、そのときに犬伏畜産局長は、これらの製品の使用については業界の自主規制を指導していると、こういうふうに答弁があったのでありますけれども、それは具体的にどういうことですか。
  111. 井上喜一

    説明員井上喜一君) 自主規制を要請しておりますのはココア調製品でございまして、四十七年の輸入量が一万七千五百三十五トンでございます。これを守るように指導をしているわけでございます。
  112. 原田立

    ○原田立君 最近の配合飼料価格は、昨年七月から十二月でトン当たり平均七千五百円、ことし一月から六月で九千円の値上げが実施されているわけでありますが、原油高騰、穀物原料価格の不安などから配合飼料価格のますますの値上がりを心配するが、その見通しはどういうふうに立てておられるか。  また、配合飼料価格決定は半年に一度行われていると聞いておりますが、特に七月以降の値上がり等はどうか。その点をお伺いしたいと思います。
  113. 井上喜一

    説明員井上喜一君) 配合飼料価格について今後的確に見通しをするということは非常にむずかしゅうございます。配合飼料価格は、円相場の動向でありますとか、あるいは原料になります飼料穀物価格の動向、あるいはフレート等、そういったものの要素が絡んでくるわけでございまして、なかなか的確にこうであるというのはむずかしいかと思います。ただ、いままでの推移を見ておりますと、大体いまぐらいの水準で推移していくのではないかというような見通しに立っているわけでございます。  配合飼料価格につきましては、これは業界の自由取引でございますので、われわれから直に指示するわけじゃございませんが、ただ、畜産物価格なりあるいは畜産経営に大きな影響があるということで、われわれその価格をフォローいたしまして、値上げをするとき、あるいは値下げをするときには行政指導をしているところでございますが、従来、三カ月ごとにこの配合飼料価格というのは決まっていたわけでございますが、なるべく長期に安定する方が望ましいと、こういうような観点から、最近は、六カ月単位に価格が実際には決まってくるような状況になっているわけでございます。むろん、その間に原料価格等変動がありますと、配合飼料価格の値上げがあったりあるいは値下がりがあったりするわけでございますが、原則的にはそういった考え方をとっているわけでございます。  七月時点以降のことにつきましては、その時点になりましてそのときの情勢に応じまして的確に指導をしてまいる考えでございます。
  114. 原田立

    ○原田立君 異常基金についてお伺いするわけでありますが、五十四年七月以前には六百七十億円の財源のあったのが、今年六月末には百億円以下になるというような状態でありますが、その異常基金を造成強化する考えはあるのかどうか。  また、同基金の造成は政府と民間の半々支出であり、民間内部の支出能力を考えて設定するとのことでありますが、強力な国庫助成を実施すべきだと思いますが、具体的な御答弁をいただきたい。
  115. 井上喜一

    説明員井上喜一君) 異常補てんの積み立てにつきましては、当面の目標といたしまして昭和五十七年度に千二百億円を積み立てる計画でございまして、毎年度その目標に達するように計画的に積み立てているわけでございます。昭和五十五年度予算では国の方が四十五億円を補助いたします。民間の方はそれに見合う分を負担をするわけでございます。計画的に千二百億円に達するように毎年積み立ててまいりたい、かように考えているわけでございます。
  116. 原田立

    ○原田立君 最後に、北海道農業協同組合中央会から、「特別乳製品工場建設基本構想」というもので陳情を受けたのでありますけれども、先ほどからいろいろと話も出ている、いわゆるナチュラルチーズ等、輸入乳製品に代替し得る乳製品に、その生産目標を超える乳量を加工する以外に道はないものと思うのでありますが、このことは、酪農生産の安定を維持するためには必要欠くべからざるものであり、この趣旨に基づく乳製品工場を特別に新設し、今後の酪農政策上に位置づけをすべきと考えますが、大臣の見解はいかがですか。
  117. 武藤嘉文

    国務大臣武藤嘉文君) まだ私ども最終的には意見が固まっていないわけでございますけれども、問題は、いま御指摘のように、大変将来の北海道の酪農の安定に役立つという意味合いにおいては評価すべきかと思いますが、一体国際的な価格と比べてどんな形でコスト的にでき上がるのか、あるいは安定的に必ずそこへ原料乳を持ってきていただけるのか、いろいろまだまだ詰めなければならない問題が事務的にあるようでございまして、私もその話は聞いておりますけれども、正直いまのところ事務的にまだ固まっていないというのが実情でございます。
  118. 原田立

    ○原田立君 話は聞いているけれども実情は固まっていないということですが、この問題についてはどうしてもつくってくれというのが現地の要望であります。で、政府がそれを認可するかどうかは政府の側の問題でありますけれども、では、こういう要請に対して検討を加える、こういうことの返事はいただけますか。
  119. 武藤嘉文

    国務大臣武藤嘉文君) いま事務的に実は勉強さしていただいている段階でございますので、それじゃ進むのか、なかなかむずかしいのか、そういう判断はまだ事務的にもいたしかねているのがいま現実の時点であろうと私は思っております。
  120. 原田立

    ○原田立君 事務的には検討しているけれども、公式の場でどうのこうの言うわけにはいかないというような返事のようでありますけれども、北海道農業協同組合中央会の緊急要請書というのが私の手元に来ているわけでありますが、もちろん大臣のところにも行っているだろうと思います。どうかひとつこの問題は十分前向きの姿勢で取り上げるという方向で進んでもらいたいと強く要望しておきたい。  この中に三項目にわたって言われておりますけれども、事務的段階というのであれば、いまここでそれを申し上げるのもいかがかと思いますので、それは申し上げません。十分検討をいただきたいと、それだけをお願いしておきたい。  豚肉農家販売価格、卸売価格が低迷している中で、小売りである末端価格は少しも下がっていないというのが現状であります。スーパーなどの小売価格から卸売物価を逆算すると、六百六十円に達するものもあると言われ、小売段階の粗利益率は四〇%ないし五〇%にふくらんでいるという実態でありますが、これは消費量を減退させる原因の一つであると思いますが、どう認識なさいますか。
  121. 井上喜一

    説明員井上喜一君) 小売価格につきまして、それが消費の拡大にどういうような影響を持つのかという御趣旨の質問だと思いますが、私どもといたしましては、豚肉の卸売価格が低迷をいたしますと、先ほど来御答弁申し上げておりますように、調整保管等の措置はとるわけでございますが、何といっても消費を拡大をしていくというのもまた一つの大きな柱かと思います。豚肉の卸売価格と小売価格の連動の問題でございますけれども、小売価格の方は、そう毎日毎日価格を変えられないというような状況がございまして、その連動については、直ちに卸売価格変動が小売価格に連動するという状況にはなっていないわけでございますが、しかしながら、最近の状況を見てまいりますと、小売価格は対前年比で申しますと、大体九二%から九三%、二月はちょっと上がっておりますが、九五%ぐらいになってきているわけでございます。そういうようなふうでございますので、徐々に卸売価格に連動した小売価格が形成されてきているものと思うわけでございますが、われわれといたしましては、なるべく早急にそういった連動が行われますように、業界、都道府県を通じまして強力に指導をしているところでございます。
  122. 下田京子

    ○下田京子君 大臣、私は酪農家の経営問題についてしぼってお尋ねしたいんですが、けさほどこの委員会が始まる直前に加工原料乳保証価格資料等をいただいたわけです。私は本当にもう驚きました。一キロ当たりもう八十八円八十七銭というのが三年連続据え置きということ。一体これで日本の酪農経営は大丈夫なのか、それが率直なる感想です。  いただいた資料をさっそくいろいろ計算してみました。問題点は、労働のその評価の問題です。飼育労働費、これは北海道の五人以上の製造業者を中心にとっておりますけれども、この問題については、かねてより関係団体からも御要請がありました。私たちも、せめても全国の五人以上の製造労賃平均を考えるべきじゃないかと主張してきました。これでもっていま計算をしてみましてわかったことなんですけれども、飼育労働費一時間、政府資料では九百三十五円四十三銭で、飼料作物労働費、これが八百二十四円二十五銭ですね。同じ労働であってこういう差をつけることも一つは問題です。さらに、北海道の、言ってみれば製造業労働賃金は安いと。そこにも問題はありますけれども全国平均をなぜとれないか。この全国平均でもって計算しますと、農協要求になりますが、一時間当たり千百五十六円六十一銭ということになるわけです。そうしますと、飼育労働費で実に二百二十一円十八銭減、それから飼料の作物労働費の方で三百三十二円三十六銭の減と、こういうかっこうになります。これを農協要求に切りかえまして計算しますと、一キログラム当たりで八円六十三銭、本来アップする計算になります。私は、他の委員からも御指摘ございましたけれども、こういう実情を考える中で、いろいろ先ほどから大臣も経済情勢だとか需給問題だとか、いろいろ挙げられておりますけれども、まず再生産というか、農業の経営が成り立たないところにどうしてこういった問題そのものの見通し、解決の保証があるかと、この点についてのお考えを私も聞きたいと思います。
  123. 井上喜一

    説明員井上喜一君) 生産費についての考え方でございますが、さきに御答弁申し上げたことと重複いたしますけれども、お答え申し上げます。  保証価格につきましては、主要な加工原料乳地帯の再生産を保証する価格でございます。現在、主要な加工原料乳生産地域は北海道ということになっておりまして、北海道の生産費基礎算定をいたしておるわけでございますが、そのうち、家族労働の飼育労働費関係については、北海道の五人以上の製造業賃金でもって評価がえをしております。これは地域が北海道でございますので、製造業賃金の方も北海道の地域のものをとったという考え方でございます。  それから、飼育労働費飼料作物費の家族労働評価の違いでございますが、これも飼育労働につきましては周年拘束される労働でございますし、高度の熟練した技術を要すると、こういうことで製造業労賃に置きかえているわけでございますが、飼料作物につきましては、他の耕種農業とそう変わりはないわけでございまして、これについては農村労賃評価がえをしているわけでございます。ただ、農村労賃評価がえといいましても、その地域における六業種、製造業でありますとか建設業あるいは通信関係のそういうところの平均賃金でもって評価をしているわけでございまして、その地域の人が通常勤められるようなところの賃金でもって評価をしているわけでございますので、評価の方法としては適正なものではないのだろうかと、こういうぐあいに考えているわけでございます。
  124. 下田京子

    ○下田京子君 適正であるかどうかという点で、お米の算定の仕方と、それから他の畑作物の算定の仕方とばらばらなんですよね。とにかく農業経営にとって基本的に労働力をどう評価するかというのは、これは統一して考えていかなきゃならない問題ですし、経営の安定という点からして、とてもいまの政府の考えについては受け入れられない。同時に、これからの経営をどうやっていくかという点で、先ほども審議官からも御説明ありましたけれども、ちょっと大臣、以下私はこれは大臣に御答弁いただきたいのでお聞きいただきたいわけですけれども、いろいろと経営状況を見ると、確かに負債は年々ふえていると。負債はふえているけれども、資産もふえているんじゃないか、こういう御説明をさっきされました。全国の平均でもこうだということで、実際に五十二年と五十三年を比べると四百六十二万三千円ほど負債はふえている、しかし、資産は七百万ぐらいふえているんだから、これはもうやっていけるんだと、こういうお話をしていたわけです。私は決してそうではないと、実態はそんな単純なものじゃなくて、机上計算どおりにいっていない。先ほども他の委員からお話がございましたけれども、北海道の豊富町の例ですが、この経営状況の中で具体的な五十四年度の状況を見ますと、農協の取引戸数が二百五十四戸、うち黒字経営になった、それが七十六戸で三〇%、赤字になったというのが百七十八戸で七〇%、しかも、赤字額は年々ふえてますけれども、五十四年度一戸平均が百五十七万八千円、そして二百一万円以上の赤字農家がうち五十六戸もあるという状態なんです。しかも、五十五年度の営農計画を見せていただきました。その結果によりますと、実に取引戸数二百五十四戸のうちで、もう五十五年度以降は取引停止だと言われた農家が十六ございます。その負債額が七億五千万円になる、深刻な事態なんです。しかも、残りの二百三十八戸につきましても、黒字経営はわずかに三十八戸、しかもその黒字、平均額は十七万四千円、そして収支ゼロ七十戸、計画立たずが残り百三十戸なんです。  さっきは審議官が負債がふえているということをお認めだったと思いますね。これはホクレンの調査でもそういう傾向が出ているんです。私は数字はもう細かく言う時間がないから挙げませんけれども、その中で、たとえば五十二年、五十三年、五十四年と、支払い利息と償還元金でもって一年間でどれぐらい払っていかなければならないか、その数字を挙げてみます。実に五十二年度で百九十五万八千円、五十三年で二百五十八万二千円、五十四年度で二百八十四万、ちょうどその程度だと思うんですが、若干五十四年度の数字は狂っているかもしれませんが、そういう形で支払い利息と償還元金が一年間だけでそれだけ払っていかなきゃいけない。収入のないところでどうやって払えるんですか。大臣、こういう経営状況の中で、どういう形でもって負債の整理あるいは経営の安定という道をお示しいただけるんですか。農家皆さん方は、せめてもまあ償還金の繰り延べであるとか、いろんな負債整理に対する対応と言って皆さん方に期待をしているわけなんです。これは大臣に御答弁いただきたいと思います。
  125. 武藤嘉文

    国務大臣武藤嘉文君) 細かいことまで私は承知いたしておりませんが、いまの話、先ほど来の話を審議官と各先生との間の話を聞いておりますと、これは計算の仕方がいろいろあるんじゃなかろうかなという感じがしておるわけであります。いわゆる資産の見方というものをどう見るかというようなところでも、結果的に赤字なのか、黒字なのかという問題になってくるわけでありますし、そういう見方もあるだろうと。  それからもう一つは、確かに負債が多くなれば支払い利子がふえてくるのは当然でありますから、その辺が、いわゆる資産というのが、長期的に、資産ではあるけれども、それが償却できるのにどのくらいの時間がかかるかという問題も私はあるんじゃなかろうかと。いろいろ酪農経営をやっていくにはそういうことをより検討していかなけりゃならないことは当然だと思いますが、私どもとしては、いずれにしてもこの酪農経営の中で本当にお困りになって、なかなか借りたお金を返し得ないという方については、償還資金、その返済期限の延長ということについては十分配慮をしなければならないということは考えております。
  126. 下田京子

    ○下田京子君 大臣、せめても個々の経営農家にとっての繰り延べ措置などは考えなければならないというお話ですが、数字的にはじいた額じゃないんですよね。資産があっても、収入がないところは返済できない、次の経営の見通しは立たない、これは当然なんです。こういう状況をよく踏まえていただきたいということを申し上げます。  同時に、次の問題に移らせていただきますが、先ほどからこれも議論になっております輸入のことなんです。審議官は、乳製品の輸入についてはこれは決して国内産と競合しないと。そしていろいろと脱脂粉乳や学校給食用等の問題については割り当て制度でもあるから、こういうお話ですし、一方で自由化されていることについても、営々メーカーに指導もしている、こんなお話でした。私はこの御認識は間違っていると思うんです。いいですか。なぜかといいますと、たとえばココア調製品など、言ってみれば擬装乳製品という問題について私は昨年も問題にしてきました。関係生産者皆さんあるいは業者の方々も非常にこの問題は問題にしております。  そこでお尋ねしたいわけなんですけれども、このココア調製品など、実に五十四年度で三十二万トンという形でもって輸入していると。これは対前年比で見ますと約六%増になっていると思うんですね。だから、ふえていないのでなく、むしろふえているわけです。こういう中で、一つは、ココアを一〇%含んでいるもの、それをココア調製品と、こうみなしているというわけなんですけれども、私たちが聞くところによれば、一%あるいは五%のココアが入っていて、それでもいわゆるココア調製品というかっこうでみなされている、こういうことが指摘されているんですが、これは問題だと思うんです。実態はどうでしょうか。
  127. 井上喜一

    説明員井上喜一君) 大蔵省の関税局の方でお答えするのが適当かと思いますが、現在の通関基準はココア調製品一〇%以上でございますので、私どもといたしましては、いま御指摘のようなものは入っていないものと考えております。
  128. 下田京子

    ○下田京子君 御存じだと思うんですが、中央酪農会議が研究機関に委託をしまして調査したというんですね。そうしましたら、一〇%以下のものが入っているということがはっきりしたわけです。農林水産省は聞き取り調査をやって、大蔵にも聞いて問題がなかったと、こうおっしゃっているわけなんですけれども、どうです、直接的に一つは農林水産省が抜き取り調査をするとかいうことをおやりになるおつもりはありませんか。
  129. 井上喜一

    説明員井上喜一君) ココア調製品が入ってきます場合にチェックをするのは大蔵省の税関でございますので、税関で厳重にチェックをしていただく、させるというのは当然でございます。農林水産省については、そういったところまで設置法のたてまえ上権限がございませんので、大蔵省に要求いたしまして、大蔵省で厳重にチェックをしていただくというのが一番適当かと思います。
  130. 下田京子

    ○下田京子君 それじゃもうどんどん入ってきちゃうんじゃないですか。国際的な基準ではとにかくその一〇%なんということは関係なく、一%だって五%だって、ココア調製品だといって扱っているわけでしょう。国内ではただ便宜上、うちは一〇%以上を超えればそれはもうだめだということで、一応そこに基準を設けているわけですね。ですから、一〇%以下のものが入ってきているということは実際に明らかになっているわけなんです。そういう中で、いわゆる乳製品の輸入問題については何ら問題がないという御認識は私は誤りだと思う。こういう点で、大臣どうでしょうか、一つは大蔵ともよく協議をするということですが、一方では、国際的に見てその基準が全く日本の基準と違っているわけですから、低いココア含有量でもどんどんどんどん調製品として入っちゃうわけですね。そういう点でしっかりと協議もし、また場合によっては、メーカーからただ聞くというのじゃなくて、本当にメーカー側との話し合いの中でそういうことをなくしていくような指導をするために、輸入全体の計画と、それから四半期ごとのそういう輸入実績を公開する、そしてその実績に基づいてオーバーしていれば具体的に指導をするとか、こういう措置がとられないものでしょうか。
  131. 武藤嘉文

    国務大臣武藤嘉文君) いま審議官がお答えをいたしておりますように、これは所管の問題は行政組織法で大蔵になっておるわけでありまして、残念ながら私どもの方で、直接入関の場合に、国に入ってくる場合にチェックはできないと私は思います。しかしながら、問題はいまのお話のように、ココア調製品というのはいろいろ成分のあり方が国によって違うわけでありまして、そこで日本は一〇%以下になればそれはだめであると、こういうふうに基準を設けて、大蔵省とも十分それは協議の上でそういうことになっているわけでございますから、いま御指摘がありましたが、私は、そういうものは、一〇%以下のものはだから入っていないんだと、こう信じておるわけでございます。まだ私どもとしては、将来の問題としては一体その一〇%でいいのかどうかも議論をしておるわけでございまして、極力私どもは私どもの範囲で、そういうせっかくお互いに決めた決めを破って入ってくるようなことのないようにはぜひありたいと思っておるわけでございます。しかし、当面直接入ってくるところでチェックできるのは大蔵省のお仕事でございますから、私どもの方として、より強く大蔵省の方にその辺はしっかりしてもらうようにお願いをしたいと思っております。
  132. 下田京子

    ○下田京子君 昨年、局長は、もう一〇%が基準ですから、それ以下で入ってきたらば国際紛争ものだと、私に答弁した。ところが実際には、大臣が信じる信じないはそれはもう御勝手ですけれども、実際にこの中央酪農会議の皆さんが委託して調査したらば、一〇%以下でも入っているんです。また、国際的な基準から言って、入ってくるものはどうなんだと言って、きちっと押えられるかという点では、大蔵だからうちは関係ございません、権限は及びませんというかっこうになっちゃったのでは、いままで言ってきたようなお答えというのは問題じゃないかということです。つまり、輸入問題について何ら問題ございませんという御認識は私は変えていただきたい。  もう時間がないからもう一点申しますけれども、これも同じ中央酪農会議で調べましたら、チーズの問題ですけれども、表示はナチュラル、中身はプロセス、こういうお話なんです。まあナチュラルとプロセスについては技法上微妙なところがあるから私は議論しません。しませんけれども、これもさっきから御答弁あるような、もう輸入については問題ないみたいな御認識は間違いであると。それからさらにもう一つ指摘しますけれども、いわゆる非自由化品目である、割り当てされております脱粉だとか、学校給食用だとか、そのほかえさだとか、こういう問題についても、関係者の皆さん。できるだけ国内の方に置きかえていく、あるいはそれについての価格のあり方なんかも研究していくという方向も含めて考えられないかというような御要望があるじゃないですか。私はこれは問題の指摘にしておきます。  次に移りたいと思うんですけれども、同時にその消費拡大の問題です。この消費拡大のことについては、昨年やはり私質問しまして、前向きで検討するという御答弁をいただいたわけです。そして昨年の七月に、生乳需給調整対策ということで当初三十三億の予算、これは畜産事業団の助成を通じてやるという形でのものが出ていったわけです。私はその中で一つお聞きしたいことなんですけれども、飲用牛乳の消費拡大事業の中で幾つかの事業をやられておりますね。その一つである幼稚園の牛乳の問題なんですけれども、これはすでに実施されまして大変喜ばれております。  一つ大臣にお願いしたいことがあるのは、幼稚園牛乳もさることながら、保育所の方は、厚生省との関係や保育料の措置基準の問題やらでいろいろめんどうくさいのは知っているんです。知っているんですけれども、学校に上がる前の子供という点では何ら差がないわけなんです。就学前の子供のいわゆる体位の問題、栄養の問題、同時に嗜好の問題、消費の問題という点から総合的に考えて、私はこれは研究する余地あり、重要だとこう思うわけなんです。  そこで、五十三年度に生まれたお子さんがどのくらいいるかということで調べてみましたら、百七十万八千六百四十三人のお子さんがいるんですよ。こういうことで、いわゆる就学前の子供たちへの消費拡大ということをひとつ積極的に考えていただきたいなということなんですが、これは大臣、一言で結構です、御答弁ください。
  133. 武藤嘉文

    国務大臣武藤嘉文君) 結局これをやるとなると、国の方で大変莫大な財政負担をしなきゃならないことになるわけでありまして、そういう点、これは所管は厚生省でありますので、厚生省が考えていただくことでございますが、私どもとしては保育所で牛乳が使われるということについては、それは好ましいことでありまして、決してそれをいけないと言うわけじゃございませんけれども、仕組みとして、幼稚園と保育所と多少その辺に仕組みが違うものでございますから、その辺のところはよく厚生省の方と話をしてみないと、これはなかなかおいそれと私がここでお答えするわけにはいかないのではないかと、こう思うわけでございます。
  134. 下田京子

    ○下田京子君 せめてもお話はして研究していただきたいと、こう思うんです。昨年、政務次官には、宿題といたしますというお答えをいただいているんですけれども、ぜひ検討いただきたい。  それから、続いてなんですが、妊産婦牛乳と老人牛乳なんですが、これは聞きますと、いま大蔵とお話し中なんだということなんですが、ぜひ継続いただきたいという御要望が非常に強いんですね。  東京都の実績だけちょっとお話ししますと、これは昨年十二月一ヵ月だけの実績なんですが、東京都都内で一万四千六百三人の方がこれを制度として活用されたそうです。一カ月間だけでその本数は実に四十五万百五十本になっております。これはことしの二月二十九日で申し込み締め切りというふうな形にはなっているわけなんですけれども、ひとつ継続してやっていただきたいという、そのことについての御覚悟といいますか、御決意はいかがでしょうか、簡単に。
  135. 井上喜一

    説明員井上喜一君) ただいまの事業は飲用牛乳消費拡大特別事業として実施しているわけでございますが、これは御案内のとおり、五十四年度単年度限りの事業として実施したところでございます。五十五年度にこれを継続して実施するかどうかにつきましては、やはり生乳需給事情とかあるいは生産調整等、それらを勘案して今後検討してまいりたいと思います。
  136. 下田京子

    ○下田京子君 大臣、御答弁下さい。  いまの需給の動向や何かを、生産調整なんかを見て考えていくということなんですけれども生産調整のことはもう議論する必要ないわけですよ、農家がみずから生産調整で苦労されているわけですから、そのためにいま言った事業費のうちの一部も充てているわけですから。消費拡大というのは非常に大事な問題ですよ。しかも、こういう妊産婦の問題なんてことになると宅配とつながるわけですね。ですから、消費者もいいし、それから取り扱っている牛乳販売店もいいわけですね。それから生産者もいいわけですね。しかも定着していくわけですね、かなり。そういう点から見て、私はこれは前向き検討ということの御答弁をいただきたいと思います。  あわせて、もう時間なので一つだけ御答弁を一緒にいただきたいのですけれども、その中で実は一般牛乳消費拡大対策特別事業というのもおやりになっていると思うのですね。これは何をやってもいいということで、いろいろその自治体等によってさまざまです。その中で、一つ大変喜ばれているし考えていただきたいなと思いますのが、実は老人のものなんですが、特に寝たきり老人あるいは一人暮らしの老人に対しての、お元気ですか、牛乳どうでしょうというかっこうで毎朝一声かけていく。これは大阪で一月二十日にスタートしまして二カ月間の試験実施ということでやられております。私ども早速聞きましたら、制度としてこれが継続されればぜひ続けたい、こう言っております。こういうふうに、すぐ全国に私はぱっとこうやれということではなくって、自治体によっては手を挙げられて、いま試験実験事業であるけれどもおやりになっているところはせめても継続できるような方向でぜひ検討いただきたいし、進めていただきたいと、こう思うわけなんです。  ちなみにお話ししますと、大阪ではいま一人暮らしの老人が一万三千人いらっしゃるそうです。全国でどのくらいいるかといいますと、五十三年六月、厚生省の調査なんですけれども、七十五万四千人おります。寝たきりの老人が二十九万九千人いらっしゃるということです。老人対策、消費拡大等々を含めた形でのこの問題についての返答、お答えいただきたいと思います。
  137. 武藤嘉文

    国務大臣武藤嘉文君) いま審議官が答弁いたしましたのは、この事業は単年度事業だものですから、まだいまのところ五十五年度どうするかを決めかねているからお答えができなかったということでございまして、私どもは当然いまの需給関係を見て乳の消費拡大を努力していかなきゃならぬことは私は当然だと思っているわけです。どういう形でやるかはひとつお任せをいただくといたしまして、いままでやってきた、五十四年度でやったものでいいものはやっぱり活用すべきだろうと思いますし、あるいは、いま寝たきり老人なり一人暮らし老人のお話もございました。大変そういう方々にうまくこういければそれも一つの方法だと思います。いずれにしても、五十五年度は五十五年度で財源問題、またどういう形にしたら消費が拡大をするか、そういう問題を踏まえて私ども計画を立てなきゃならぬと思っているわけでございまして、何をやるかということは私どももう少しこれから研究をさせていただきたいと思いますけれども、いずれにしても、消費拡大に積極的に私ども取り組んでいかなきゃならないと、こういう考え方は持っておるということを申し上げておきます。
  138. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 きょうは特に時間がわずかでございますので、基本的な問題にしぼって質問をいたします。  まず大臣にお尋ねしたいことは、人間の命の糧をつくり出す生産者は常に王様であると言われておる。その生産の王様である主人公が暮らしていけない、成り立っていけないと、こういうことは、これは私が思うのに農政のまずさがこのようにしておるのではないかと、こう思われてなりません。さらにさかのぼるならば国の政治のあり方、ここに問題があるのではないかと私は思うんですが、大臣いかがでしょうか。
  139. 武藤嘉文

    国務大臣武藤嘉文君) これは私ども考え方がおのずから違うわけでございますが、私どもといたしましては、必ずしも国の政策がまずかったから非常にいろいろまずい問題が出ているとは考えていないわけでございまして、われわれも努力をしておりますけれども、なかなか特に農業なりこういう畜産関係というものは、生き物を相手にする、あるいは自然現象を相手にする、いろいろな制約があるわけでございまして、私どもがこういうような方向にいきたいと願い、生産者の方もこういう方向にいきたいと願い、そういうことでやったことがうまくいく場合と裏目に出る場合と、これはやっぱり自然現象なりあるいはいろいろ条件というものが、ほかのいわゆる工場で物をつくると同じようなわけにはいかないということだけはぜひ御理解がいただけると思うのでございまして、たまたまそういうのが悪い方向に重なり合ったことも私は不幸なことであろうと思いますが、たとえばいまの一つ生乳を例にとれば、計画生産をやっていただき、消費もこういう形でいくだろうと思っておったのが、案外消費の見方が甘くてそれほど消費が伸びなかった、また生産の方は案外予想以上に伸びた、こういうようなことから需給バランスがいま崩れてきておるわけでございまして、そういう点、確かに私ども、決してわれわれの政策が一〇〇%りっぱであったとはもちろん思っておりませんけれども、相当われわれはわれわれで努力をしてきてやっておるわけでございまして、いま申し上げたようないろいろな悪条件がある程度出てきたために、いろいろの御迷惑をかけている点があるということは認めておるわけでございまして、それを今後改善をしていきたいという気持ちでいま取り組んでおるわけでございます。
  140. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 申し上げたいことは、要請、陳情があるからそれを受けて検討すると、こういう姿勢を一歩進めて、現状把握にもっと敏感に、いわゆる心の探知機を常に国民に当てて、そこに政治の課題を引き出してもらいたいということを要望したいんです。  そこで、次に二点、大臣に。日本の畜産は、価格の安定上全国的に、需給の調整が必要である、これは申し上げるまでもありませんが、大臣の所見をもう一遍承っておきたいと思います。
  141. 武藤嘉文

    国務大臣武藤嘉文君) けさほどから申し上げておりますように、やはり畜産の振興のために、いま価格の決定に当たりましても需給関係というのを当然考えていかなければならないということでございまして、私ども全国的に需給のバランスが非常にうまくとれるような方向に努力をしていかなければ畜産の振興は将来的に見てなかなかむずかしいのではないか、こういう考え方を持っております。
  142. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 具体的に進めたいんですが、時間の関係上次に譲ります。  第二点、特に豚肉全国的に増加傾向にあるわけなんですが、その需給のバランスの確保に留意する必要が特に豚肉の場合にはあるのではないか、こう思うのです。その需給のバランスをどのようにして確保なさるつもりであるか、このことを伺いたいんです。
  143. 井上喜一

    説明員井上喜一君) 豚肉につきましては、生産期間が短く、かつまた価格変動が激しいものでございますので、特に価格安定のためには全国調整が必要でございます。われわれが進めようとしておりますのは、計画生産需給調整といいましても、役所主導のものではなしに、民間主導のものを役所が側面的に応援をしていくという形が最も効果が上がるのじゃないかというふうに考えておりまして、中央には全国養豚経営安定推進会議を設置いたしますし、県段階でもそれと同様の会議を設置いたしまして、なるべく多くの養豚家をその中に糾合いたしまして、需給事情を十分検討いたしまして需給計画を立てていくといいますか、特に中心になるのは繁殖雌豚の頭数でございます。それをどういうような規模に抑えていくのかということを十分協議をしていただきまして、それに沿って生産を行えるようにわれわれとしては考えるわけでございます。
  144. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 いまの問題についても具体的に掘り下げていきたいのですが、次に移ります。  次に三点、飼料の質と量は牛、豚肉の質に影響が大きいと思われます。その対策はどのように考えておられるか。
  145. 井上喜一

    説明員井上喜一君) 飼料の場合、大きく分けまして粗飼料と流通飼料でございます。いずれも量質ともに重要でございまして、粗飼料につきましてはそれぞれの土地に適する品種がございますが、その品種の中でもとりわけいいものを選定いたしまして普及いたしますと同時に、量的な面につきましても、たとえば農用地を造成して草地を造成をしていくとか、あるいは水田等に飼料作物を導入していくというような形で量的拡大を図っていきたいと考えておりますし、また、流通飼料につきましては、飼料の安全法がございまして、その品質の上面、安全性の面について十分チェックをしている現状でございます。  量的な面については海外から幅広く飼料原料を輸入しておりまして、特に今後の需給動向等を考えますと、多元的な輸入を行うことによって安定的な輸入を確保していくということが大事かと思いますので、そういった点にも配慮して飼料原料の確保に努めているところでございます。
  146. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 もう急ぎますが、次には、価格の安定と肉質の向上もまさにまた相関関係があるとこう思うのでございます。それを両立させるにはどうすればよろしいか、こういうことについて大臣の所見をお聞きしたいのですが。
  147. 井上喜一

    説明員井上喜一君) 御質問の趣旨は、品質のいい豚が高く売れるということかと思います。そういう意味で、豚におきましては品種改良が非常に重要であるわけでございます。  日本の豚を外国と比べますと、個々の豚では非常に優秀なものがあるわけでございますが、計画的な交配をするという点におきましては外国に比べて非常におくれているわけでございまして、現に、出荷される肥育豚につきましては、規格がばらばらであるとか、あるいは肉質が一定しないというような問題があるわけでございます。やはり有利に農家販売するためには、どうしてもやっぱりいい豚を入れまして、いい品種のものを全体としてそろったものを出荷をしていく、そういうような体制がこれから必要になってくると考えます。
  148. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 いまの問題について、肉質の向上という面と今度は飼料との関係ですね。飼料にまた重大な問題があると思うのです。そのことを私は聞きたいのです。もう一遍飼料の問題。
  149. 井上喜一

    説明員井上喜一君) ただいま品種のことを申し上げたのですが、肉質の改良には、品質ばかりでなく、飼養管理技術の改善という問題がございます。その場合、肉質が向上するようなえさを給与する。しかもそのえさの給与の仕方としてもいろいろ問題があるわけでございまして、そういう点も配慮いたしまして、われわれ指導してまいりたいと考えておる次第でございます。
  150. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 それではこれは大臣にお聞きいたしたいのですが、沖繩を日本の畜産振興の見地から畜産基地としてもっと重視してほしい、こういう強い要望を持っておるのですが、と申しますのは、理由の一つは、草を与えて高質のたん白が得られる家畜は牛でありますね。これが第一点。第二は、沖繩は高温多湿で年中牧草栽培に最適地であります。こういった立地条件、気候条件から、特に沖繩を日本畜産振興の見地から、畜産基地としてもっともっと重視してほしい、これは国土開発のいつも申し上げます一環という立場からの沖繩の開発、こういう立場からです。そうして第三点は、牛肉需給状態からしてももっと高めねばならない日本の状況であることは申し上げるまでもありません。  それと、この自給飼料の現状から、表によりますと、粗飼料が二一・五%ですね、それから飼料全体として四一・八%、濃厚飼料二五・八%、しかも純粋国内濃厚飼料は九・五%、こういう現状でありますね。このことからしましても、私はどうしてもこの自給飼料生産を高めていく、そういう枠の中での沖繩の特に牛を中心とする畜産基地、まあ豚もそうでありますが、豚はまたこの生産加工との関連も、第二次産業の関連とも、沖繩の立ちおくれがありますので関連させてお尋ねをしたいのですが、基本的な立場からの大臣のひとつ御所見を承って私の質問を終わります。
  151. 武藤嘉文

    国務大臣武藤嘉文君) 沖繩については私どもは従来からいわゆる畜産の重要な地域であると考えておるわけでございまして、あるいは畜産基地建設事業その他いろいろと進めてきておるわけでございます。今後ともできる限り沖繩の地域振興という考え方と、また日本の畜産需給関係ども配慮しながら、またいまお話のございました飼料の活用という点についても、沖繩の特殊性というものがうまくそれにかみ合わないかどうかということなども含めながら、この点については積極的に今後も取り組んでまいりたいと考えておるわけでございます。
  152. 青井政美

    委員長青井政美君) 他に御発言もないようですから、本日の調査はこの程度にとどめます。     —————————————
  153. 青井政美

    委員長青井政美君) 次に、農業災害補償法の一部を改正する法律案を議題といたします。  まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。武藤農林水産大臣
  154. 武藤嘉文

    国務大臣武藤嘉文君) 農業災害補償法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由を御説明申し上げます。  現行農業災害補償制度につきましては、制度創設以来すでに三十有余年の歳月を経過しておりますが、その間に、この制度が災害対策として農業経営の安定のため多大の寄与をしてまいったことは御承知のとおりであります。  しかしながら、果樹共済、蚕繭共済等の制度運営の実態を見ますと、制度が農業事情の変化等の実情に即応していない面があらわれております。政府におきましては、このような事情にかんがみ、特に果樹共済につきまして農業及び農業共済に関する学識経験者の意見を徴してまいったほか、関係各方面の意見を徴して慎重に検討してまいりました結果、補償内容の充実と合理化を図ることを旨として農業災害補償制度の改正を行うこととし、この法律案を提出した次第であります。  次に、法律案の主な内容について御説明申し上げます。  まず第一は、果樹共済の改善と合理化であります。  その一は、果実の単位当たり価額の設定方法の改善であります。  現行の果実の単位当たり価額は、果樹の種類ごと及び都道府県の区域ごとに定めておりますが、品種間、地域間等の価格の格差を十分反映するようこれをさらに細分して定めることができるようにすることといたしております。  その二は、共済掛金率割引制度の導入であります。  果樹農家の被害発生の実態等に応じて共済掛金率の割り引きを行う制度を導入することといたしております。  その三は、損害のてん補方式の改善と合理化であります。  現行の収穫共済では、農家単位で三割を超える被害があった場合に共済金を支払う方式となっておりますが、損害評価の効率化に資するため、園地評価により収穫量を把握する地域につきましては、被害園地のみの減収量を農家単位で合計し、三割を超える被害があった場合に共済金を支払う方式を導入することといたしております。  なお、共同出荷施設の資料を利用して収穫量を把握することができる地域につきましては、農家単位で二割を超える被害があった場合に共済金を支払うことといたしております。  その四は、災害収入共済方式の試験実施であります。  現行の収穫共済は、農家ごとに収穫量が減少した場合に、その減収量に応じて共済金を支払う方式となっておりますが、農家の損害の実態に一層近づいたてん補を行うことができるようにするため、当分の間、災害により収穫量が減少した場合に損害の額を収入の減少額により把握して共済金を支払う方式を実施することといたしております。  なお、以上のほか、樹体共済の共済金支払い方式の改善、果樹共済の組合等手持ち責任の選択的拡大等所要の整備改善を行うことといたしております。  第二は、蚕繭共済の充実と合理化であります。  その一は、引受方式の改善であります。  現行の蚕繭共済は、農家の掃き立て箱数に応じて共済金額を定めることとなっておりますが、一箱当たりの収繭量は農家間で格差がございますので、農家生産力に応じて共済金額を定める収繭量建制を採用することといたしております。  その二は、共済金支払い開始損害割合の引き下げであります。  現行の蚕繭共済の共済金は、農家ごとに三割を超える被害があった場合に支払うこととなっておりますが、最近における被害発生状況にかんがみ、二割を超える被害があった場合に支払うことといたしております。  以上のほか、蚕繭共済につきましては、共済事故を拡大することといたしております。  第三は、家畜共済の改善であります。  畜産振興の重要性及び最近における畜産経営の実態にかんがみ、農家負担の軽減による加入の促進を図るため、馬及び肉豚に係る共済掛金の国庫負担を引き上げることといたしております。  以上がこの法律案を提出する理由及び主な内容であります。何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いを申し上げます。
  155. 青井政美

    委員長青井政美君) 本案に対する質疑は後日に譲ります。  本日はこれにて散会いたします。    午後一時十八分散会      —————・—————