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1980-05-13 第91回国会 参議院 内閣委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十五年五月十三日(火曜日)    午前十一時三分開会     —————————————    委員異動  五月八日     辞任         補欠選任      岡田  広君     鈴木 正一君  五月九日     辞任         補欠選任      鈴木 正一君     岡田  広君      熊谷  弘君     源田  実君      高平 公友君     中西 一郎君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         古賀雷四郎君     理 事                 岡田  広君                 林  寛子君                 林  ゆう君                 村田 秀三君     委 員                 中西 一郎君                 桧垣徳太郎君                 堀江 正夫君                 穐山  篤君                 山崎  昇君                 和泉 照雄君                 沓脱タケ子君                 井上  計君                 森田 重郎君    国務大臣        大 蔵 大 臣  竹下  登君        運 輸 大 臣  地崎宇三郎君    政府委員        大蔵省主計局次        長        西垣  昭君        運輸省鉄道監督        局国有鉄道部長  石月 昭二君    事務局側        常任委員会専門        員        鈴木 源三君    説明員        厚生省年金局年        金課長      佐々木喜之君        日本国有鉄道共        済事務局長    川野 政史君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○昭和四十二年度以後における国家公務員共済組  合等からの年金の額の改定に関する法律等の一  部を改正する法律案内閣提出衆議院送付) ○昭和四十二年度以後における公共企業体職員等  共済組合法に規定する共済組合が支給する年金  の額の改定に関する法律及び公共企業体職員等  共済組合法の一部を改正する法律案内閣提  出、衆議院送付) ○靖国神社公式参拝に関する請願(第二九三号) ○遺族年金扶助料改善に関する請願(第四五  八号外三件) ○旧満州棉花協会等恩給法による外国特殊機関  指定に関する請願(第六一四号外三四件) ○靖国神社国家護持に関する請願(第七五六号) ○環太平洋合同演習への自衛隊参加反対に関する  請願(第八二九号) ○旧中華航空株式会社従業員恩給法令にいう外  国特殊機関職員指定に関する請願(第一〇一五  号外一一件) ○旧満州航空株式会社従業員恩給法令にいう外  国特殊機関職員指定に関する請願(第一四〇三  号外五件) ○大東亜戦争湘桂作戦従軍者への戦務加算改定  に関する請願(第一四一〇号外二件) ○旧勲章叙賜者名誉回復に関する請願(第一五  六一号外八二件) ○行政改革の推進に関する請願(第二一三三号) ○旧陸海軍人等の戦後強制抑留者補償に関する請  願(第二一五一号外一件) ○寒冷地手当改善に関する請願(第二二六〇号) ○核兵器完全禁止等に関する請願(第二二八六  号) ○国家公務員等退職手当法改悪反対等に関する請  願(第二四四三号) ○国家公務員等定年制退職手当法改正反対に  関する請願(第二四七九号外一〇〇件) ○ソ連強制抑留者に対する恩給法上の抑留加算改  正等に関する請願(第二四八三号) ○国家公務員の諸制度改悪反対等に関する請願  (第二四八四号外四〇件) ○公務員定年制退職手当法改定反対等に関す  る請願(第二六八七号外二件) ○傷病恩給等改善に関する請願(第二八〇一号  外二五件) ○外地派遣旧軍属の処遇改善に関する請願(第二  九五一号外二二件) ○情報公開法(仮称)の制定に関する請願(第三  〇三六号外七件) ○旧南方航空輸送部隊員処遇改善に関する請願  (第三二六二号外一一件) ○傷病恩給等改善に関する請願(第三四八二号外  二件) ○大阪鉱山保安監督部支部格下げ反対に関する  請願(第三五一一号) ○国家公務員等退職手当法定年制導入反対に関  する請願(第三六二五号) ○戦後強制抑留者補償要求実態調査費予算計上に  関する請願(第三七六二号外四件) ○国家公務員定年制退職手当法改正反対等に  関する請願(第三九一二号) ○継続調査要求に関する件     —————————————
  2. 古賀雷四郎

    委員長古賀雷四郎君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る九日、熊谷弘君及び高平公友君が委員辞任され、その補欠として源田実君及び中西一郎君が選任されました。     —————————————
  3. 古賀雷四郎

    委員長古賀雷四郎君) 理事補欠選任の件についてお諮りいたします。  岡田君が一時委員異動したのに伴い、現在理事が一名欠員となっておりますので、この際、理事補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 古賀雷四郎

    委員長古賀雷四郎君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事岡田広君を指名いたします。     —————————————
  5. 古賀雷四郎

    委員長古賀雷四郎君) 昭和四十二年度以後における国家公務員共済組合等からの年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案並び昭和四十二年度以後における公共企業体職員等共済組合法に規定する共済組合が支給する年金の額の改定に関する法律及び公共企業体職員等共済組合法の一部を改正する法律案議題といたします。  まず、政府から順次趣旨説明を聴取いたします。竹下大蔵大臣
  6. 竹下登

    国務大臣竹下登君) ただいま議題となりました昭和四十二年度以後における国家公務員共済組合等からの年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案につきまして、提案理由及びその内容を御説明申し上げます。  この法律案は、国家公務員共済組合法等の規定により支給されている年金につきまして、その額を引き上げることとするほか、最低保障額引き上げ寡婦加算額引き上げ等、別途、本国会で成立いたしました恩給法等の一部を改正する法律案による恩給の額の改定措置にならい、所要措置を講じようとするものであります。  以下、この法律案内容につきまして御説明申し上げます。  第一は、国家公務員共済組合等からの年金の額を改定することであります。すなわち、旧令による共済組合等からの年金受給者のための特別措置法、旧国家公務員共済組合法及び国家公務員共済組合法に基づく年金のうち、昭和五十四年三月三十一日以前に給付事由が生じたものにつきまして、恩給における措置にならい、昭和五十四年度の国家公務員給与改善内容に準じ、年金額算定基礎となっている俸給を増額することにより、本年四月分以後、年金額引き上げることといたしております。  この結果、平均で約三・五%程度年金改善されることとなります。  第二に、公務関係年金及び長期在職者の受ける退職年金等最低保障額恩給における措置にならい改善することといたしております。  第三に、遺族年金に加算される寡婦加算及び遺族加算の額を引き上げるとともに、寡婦加算額受給者が同時に退職年金等を受けることとなる場合には、必要な調整を行うことができることといたしておりますが、これも恩給における措置にならうものであります。  以上のほか、掛金及び給付額算定基礎となる俸給最高限度額につきまして、公務員給与引き上げ等を考慮し、現行の三十九万円を四十一万円に引き上げるなど所要措置を講ずることといたしております。  以上がこの法律案提案理由及びその内容であります。  何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。  なお、本法律案は、その施行期日昭和五十五年四月一日と提案しておりましたが、その期日経過いたしましたので、衆議院におきましてこれを公布の日とするなど所要修正がなされておりますので、御報告いたします。
  7. 古賀雷四郎

  8. 地崎宇三郎

    国務大臣地崎宇三郎君) ただいま議題となりました昭和四十二年度以後における公共企業体職員等共済組合法に規定する共済組合が支給する年金の額の改定に関する法律及び公共企業体職員等共済組合法の一部を改正する法律案提案理由につきまして御説明申し上げます。  この法律案は、公共企業体共済組合が支給しております退職年金等につきまして、別途、本国会で成立いたしました恩給法等の一部を改正する法律による恩給の額の改定措置に準じて年金額引き上げるとともに、最低保障額引き上げ等措置を講じようとするものであります。  次に、この法律案の概要につきまして御説明申し上げます。  第一に、公共企業体共済組合が支給しております退職年金等のうち、昭和五十四年三月三十一日以前に給付事由が発生したものにつきまして、その年金額算定基礎となっている俸給昭和五十四年度の国家公務員給与改善内容に準じて増額することにより、昭和五十五年四月分から年金額引き上げることといたしております。  この結果、平均で約三・五%程度年金額が増額されることとなります。  第二に、長期在職した者に係る退職年金等最低保障額につきまして、昭和五十五年四月分からその額を引き上げるほか、昭和五十五年六月分からその額をさらに引き上げることといたしております。  また、旧国家公務員共済組合法に基づく殉職年金等最低保障額及び扶養加給の額につきまして、昭和五十五年四月分からその額を引き上げるほか、最低保障額につきましては、昭和五十五年六月分からその額をさらに引き上げることといたしております。  第三に、旧国家公務員共済組合法に基づく遺族年金に加算される寡婦加算の額につきまして、昭和五十五年八月分からその額を引き上げるとともに、寡婦加算を受ける者が、同時に退職年金等を受けることとなる場合には、必要な調整を行うことができるよう措置することといたしております。  このほか、殉職年金等遺族加算の額につきまして、昭和五十五年六月分からその額を引き上げることとする等所要措置を講ずることといたしております。  以上がこの法律案を提出する理由であります。  なお、この法律案は、その施行期日昭和五十五年四月一日といたしておりましたが、衆議院におきましてこれを公布の日とする等所要修正がなされております。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛成いただきますようお願い申し上げます。
  9. 古賀雷四郎

    委員長古賀雷四郎君) 以上で両案の説明の聴取は終わりました。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  10. 穐山篤

    穐山篤君 最初に国鉄当局にお伺いをしますが、国鉄共済の経理は非常に厳しいものがあるわけですね。それから、ごく近い昭和六十年度という将来を見ましても、共済の運営は非常に不安を持っているわけです。現状は、私も数字を見ておりますのでその説明は特に要りませんが、運輸省なり大蔵省も知恵を出すにいたしましても、国鉄当局自身責任を持ってこういうふうに改善をしたい、そのために国鉄自身努力するし、職員にも協力を願う、こういうものがあって将来展望というものができるわけですが、昨年予算編成のときに当たって国鉄当局運輸省に出しました一つ構想も含めて、どうしたらこの共済財政基盤が固まっていくのか、あるいは受給者に対する不安もなくしたりあるいは現職職員も喜んで協力が願えるというふうなものを考えなければならない立場にあるわけですね。その意味で、ごく簡単に構想なり展望というものを明らかにしてもらいたいと思います。
  11. 川野政史

    説明員川野政史君) お答え申し上げます。  国鉄共済組合財政状態が非常に極端に悪化していることは先生承知のとおりでございますが、特に今後の見通しといたしまして、戦争中あるいは戦後に国策遂行ということで大量に職員を採用いたしました。また、終戦直後から御承知のとおり、外国からの引揚職員その他を大量に受け入れまして、非常に大きな要員構成のゆがみというものを生じておりまして、この結果、最近になりまして御承知のとおり、大量の新規年金受給者が発生してまいるということでございます。現在約二十七万人の年金者がおりますが、間もなくこれが十年後には約二十万人ふえまして四十万人を突破するという状態になろうかと思います。  一方、御承知のとおり、私ども減量経営を現在精力的にやっている最中でございまして、昭和六十年には三十五万人の規模にいたしたいということで現在鋭意やっておるわけでございますが、この両面から見てまいりまして成熟度、いわゆる在職職員に対します年金者の比率、これが急速に高まってまいりまして、昭和六十年には一一四%、職員一人で年金者一・一四人を抱えるという状態になることが予想されております。  したがいまして、御指摘のとおり、私どももここ数年来私どもなりに勉強してまいりましたし、また、いろいろ関係各省との御相談もしてまいったわけでございますが、現在、部内に学識経験者に委嘱いたしまして、国鉄共済組合年金財政安定化のための研究会というものをやっておりまして、もう約二年近くになりますが、間もなく結論をいただける状態になっております。また、監督官庁であります運輸省にも、これも約二年前でございますが、国鉄共済年金問題懇談会というものを設置をされまして、この中でも私ども共済組合の財政問題につきまして鋭意御検討をいただいておる。それからさらに、今年度になりまして大蔵省共済問題全体の研究のための委員会を設置されるやに聞いております。間もなくこれも発足されると承知いたしております。  これらの中でも私ども共済組合の財政問題につきまして種々御議論をいただく予定でございますので、将来どういう方向に持っていくんだという御質問でございますが、先ほど来申し上げました財政状態悪化理由からいたしまして、国鉄だけの努力ではおのずから限界がございまして、もはや私どもだけの力ではとうてい安定させることはできないと考えておりまして、したがいまして、ただいま申し上げました運輸省大蔵省にもよく御相談をいたしまして、共済組合全体の問題として御議論をいただくようにお願いしておるところでございます。  具体的な案につきましては、いまだいま申し上げましたとおり勉強中であるあるいはこれから御議論いただくというところでございますので、そういうところで御承知いただきたいと思います。
  12. 穐山篤

    穐山篤君 前回掛金率引き上げて、総体的には千分の百四十七ということにしたわけですが、その際は向こう三、四年の間は財政的に安定をする、こういう計算をしていたところ、初年度から黒字額がずいぶん違っているわけですね。そこで、昭和六十年になりますと、計画でいけば現職職員は三十五万人になって、年金受給者はおおむね四十二万人前後、なお数年たちますと成熟度は一三〇から一三五まで猛烈にはね上がるわけですね。だれの責任があるなしにかかわらず、それをすべて国鉄並び国鉄現職職員負担で賄うということは、もう全く不可能だと思うんです。  そこで、これからの展望になるわけですが、暫定的な解決といいますか、昭和六十年前後を目指してとりあえず何らかの措置をするということを、考えてその上で将来展望を見るのか、将来展望を考えながら当面の緊急的な措置をとっていくのか、いろんなやり方があると思うんですね。そのことについて、国鉄側も他人任せでなくて、国鉄自身はこうしたいということで専門家意見を聞くことでなければならないと思うんですね。その意味で言うと、やや消極的、他人任せの点があるやに見受けられるんです。その点もう一度明らかにしてもらいたい。
  13. 川野政史

    説明員川野政史君) ただいま先生指摘のとおり、国鉄共済組合財政計画は五十三、五十四、五十五と、三年間の暫定計画で現在進行しております。五十五年はその最終年度に当たるわけでございますが、この計画は、確かに三年間は若干ながら黒字で推移するという計画でございましたけれども、御指摘のとおり若干収支計画乖離が出ておりまして、その主な原因は、一つは、簡単に申し上げますが、退職者増加でございます。予定以上に退職者増加をいたしまして、年金者がふえてまいりましたということでございます。  もう一つは、当時の計算俸給上昇率を約八・五%と見込んでおりました。現在のような低位昇給になっておりますので、その間に収入に大きな乖離があった。そのほか一、二ございますが、大きく申しますといま申し上げたようなことで若干の乖離が出まして、五十五年度はわずかではございますけれども、また赤字状態になってしまうということでございます。  このために、私どもは、現在共済組合内部機関といたしまして収支計画策定審議会というのを持っております。これも五人の先生方、これ全部部外の学識経験者でございますが、現在、この収支計画策定審議会で五十六年度以降の具体的な計画審議をお願いしておりまして、現在審議中でございます。いま御指摘の、国鉄自身のとりあえずの努力をどうするんだという御指摘につきましては、この審議会結論を早く出していただきまして、それに基づきまして、私どもなりのなすべきことをなし、そして、先ほど申し上げました将来計画といいますか、将来見通しにうまくつないでいけるようにしたいということで、現在、鋭意審議会審議を進めておる最中でございますので、御承知いただきたいと思います。
  14. 穐山篤

    穐山篤君 次に、政策的なことですから、両大臣にお伺いしますが、恩給にいたしましても年金にいたしましても、当然のことですが、その性格国民の生活安定、特に年金につきましては老後の安定と、そういう性格に尽きるわけであります。ところが、共済組合あるいは恩給援護法、すべてそうでありますが、前年度の国家公務員の賃上げが基礎になっているわけですね。一言で言えば一年おくれということになるわけです。最近の人事院勧告というのは、かつてのように秋や冬に出されるものでなくて、ほとんど夏場に出るわけですね。そういうものが慣行化しているわけです。  そこで、当然のことですが、生活の保障、安定という立場から言うならば、これは一年おくれというのは理由にならないというふうに思います。皆さん方の方では、財政措置というふうなことをしばしば言われるわけですけれども、これは公務員給与あるいは公共企業体給与にいたしましても、最低限の昇給の原資は予算に組まれているわけです。したがって、一定のものは予算を組もうと思えば骨格的には組めるわけです。問題は、政治的に決断をするかしないかというところにあると思うんです。毎回、この法案の審査に当たりまして、公務員賃金の一年おくれというのはうまくない、同じにすべきではないかという附帯決議も、あるいは審議もずうっと長年続いているわけですね。もうこの辺で決断をしなければならないと思いますが、両大臣いかがでしょう。
  15. 竹下登

    国務大臣竹下登君) これは、現職公務員給与改定恩給共済年金受給者との間の一年間の開きがあると、こういう御指摘は間々いただいておるところであります。歴史的に振り返って見ましても、まず、公務員給与問題一つを考えてみましても、これが人事院勧告——人事院という第三者機関による適正な勧告が行われて、それが実際問題として、穐山さんも御承知のとおり十月実施、九月実施、八月実施、七月実施、六月実施、そして五月、四月実施になったと。これも、一つの私は長い歴史的経過の中にそういうことが生じたと思うんです。  したがって、いまの御指摘の問題につきましても、実際問題、十数年来十月実施であったものが、いろんな議論の中で四十九年が九月、五十年が八月、五十一年が七月と、そして六、五を飛ばして五十二年が四月ということにやっとなったという意味におきまして、私はこの問題につきましては、もちろん一年早めたらそれなりの大幅な財源も必要といたしますし、組合員掛金負担というものの上昇ももたらすと、そしてまた、他の年金制度との均衡ということから言えば、いまここまでそういう御意見を体しながら歩み寄っていったというのが、私は現状妥当なところではなかろうかと、こういうふうに理解をいたしておるところであります。
  16. 地崎宇三郎

    国務大臣地崎宇三郎君) 大蔵大臣の御答弁に尽きるわけでございますので、その方向で進んでまいりたいと思います。
  17. 穐山篤

    穐山篤君 歴史的には、そういう経過をたどってきましたが、そのとおりです。それからもう一歩前に足を踏み出すことのできない決定的な理由というのは、ほかに何かあるんですか。
  18. 西垣昭

    政府委員西垣昭君) 大臣からお答えいたしましたように、実施時期の繰り上げということで大変な財源が要る。それがひいては組合員掛金負担増高に結果するというような問題のほかに、他の公的年金とのバランスという問題がございまして、たとえば厚生年金について言いますと、現在でもかなり繰り上げられましたが、翌年の六月実施、それから国民年金につきましても翌年の七月実施というようなことでございまして、それと比べれば恩給共済は四月実施ということで早いわけでございます。そういったようなことも考えますと、なかなか困難な問題ではないかというふろに考えております。
  19. 穐山篤

    穐山篤君 いずれ、これは繰り返し論争しなきゃならぬと思うんです。  さてその次に、国家公務員と三公社年金取り扱いの中で異なる取り扱いをしておりますのは三つぐらいあるわけですが、その中で一番の問題は、これは退職時の賃金基礎にするか、これは三公社ですね。国家公務員の、一年間の賃金のトータルを基礎にするか、ここが一番大きな相違点だと思うんです。いずれ、御回答としては退職金の話が出てくると思いますが、本来、退職金年金取り扱い性格の違う問題であります。国家公務員の方の取り扱いの方が不利になっているわけですね。これはまことに矛盾もはなはだしいと思うわけです。過去のいきさつは十分承知をしておりますが、もうこの辺で国家公務員取り扱いを三公社職員と同じように、また、公務員法退職時におけるというふうに法律では決めているわけですね。したがって、国家公務員退職時におきます最終賃金というものを基礎にして、三公社と同じような取り扱いをすることが一番均衡が図られるわけです。そういうふうに手直しをすべきだと思いますが、その点いかがですか。
  20. 西垣昭

    政府委員西垣昭君) 公務員公企体との間に御指摘のような違いがあることは事実でございます。言われましたように、従来退職金扱い等パッケージで御説明するというようなこともしておりました。  この問題につきましては、実は私どもとしても、今後も検討しなければならない一つの課題であるというふうに考えておりまして、先ほどお話がありました各共済グループを通じて基本的な問題について検討をするという研究会を近く発足させることになっておりますけれども、そこで、もし国鉄共済をほかの共済と統一させるというふうなことを検討することになりますと、当然のことながら、こういった制度の差異をどうするかということも避けては通れませんので、そういった問題の一環として私ども検討していきたいというふうに考えております。
  21. 穐山篤

    穐山篤君 ということは、いまの問題を含めて国家公務員と三公社の間で食い違いのありますたとえば天井の問題であるとか、いろいろなことがあるわけですが、それらも抜本的な検討にゆだねてしまう、ゆだねなければ当面的な解決はしないのだと、そういうふうにお考えなんですか。どうですか。
  22. 西垣昭

    政府委員西垣昭君) 国鉄共済成熟度が最も早く高まった例でございますが、成熟度の高まりというのは、これから老齢化社会を迎えまして、どの共済グループにも襲ってくる大問題でございます。これに対して、財源をどうするかということは、これはもう真剣に考えなくちゃならない問題でございますが、と同時に、財源の充実を図るとともに、給付の方の節約につきましても十分検討しなければならないということでございまして、私どもといたしましては、それらの一環として検討してまいりたいというふうに考えております。
  23. 穐山篤

    穐山篤君 余り賛成といいますか、納得はできませんが、前に進みます。  先ほどお話にもあります共済年金研究会の話ですが、近く大蔵省責任個所になって発足をされるというふうに聞いているわけですが、これはいろんな視野があると思うんですね。たとえば財政基盤上のことを重視をしていくやり方もあるだろうし、あるいは一元化を図るという意味制度上のことを基本的に解決するためにつくるのだという見方をすればそれなりの研究の方法があると思うんですが、近く発足をするでありましょうこの研究会の考え方ですね、余り雲をつかむような話でなくて、こういう考え方で実は研究会をつくりたいという基本的な理念がなければ、単にいかがでしょうかという話ではつまらぬと思うんですが、その点いかがですか。
  24. 西垣昭

    政府委員西垣昭君) 先ほども申し上げましたように、各共済グループいずれも共通した基本的な問題をいろいろと抱えておりまして、各グループが当面しております共通した問題につきまして研究をしたいと。それを整理してみますと、三つあろうかと思います。  第一が、職域年金としての共済年金のあり方でございまして、将来の年金成熟度とか年金財政の展望を踏まえまして、職域年金としての共済年金として今後どうあるべきかという問題をひとつ研究したいと。  それから、もう一つ共済グループ以外の公的年金制度、たとえば厚生年金というような問題との整合性、あるいはその調整をどう図っていくかと、言われております官民格差問題についてどう対応していくかと。  それから第三が、先ほど御指摘のありました統合の問題でございます。先ほど国鉄からもお話がありましたように、だんだんと単一のグループでは補てんをしにくくなるような状況が生まれつつございます。年金の問題でございまして、これは相互に補てんし合うということでございますので、年金集団が大きくなればなるほど財政は安定するという問題がございますが、それぞれのグループはそれぞれの歴史とか経緯を持っておりますし、問題も違います。それから、統合に伴いまして利害関係も違うわけでございまして、これをどう対処していくかと。  大きく分けまして、この三つの問題につきまして検討していきたいというふうに考えております。
  25. 穐山篤

    穐山篤君 最後に、事務的なことですが、きょう法案の審査が終わり、あした本会議があり、通ると思いますね。そうしますと、この改正の年金の支払いですが、おおむね何月ごろに支給をされるのかという点はいかがですか。
  26. 西垣昭

    政府委員西垣昭君) 共済年金の次の定期支給月は六月となっておりますが、今回の法律改正に伴う年金改定増加分はこれには事務的には間に合いません。しかし、できるだけ早く法が成立しました場合には改定作業を進めまして、できれば七月中遅くとも八月初めには四、五月分、つまり六月に支給されますのは三、四、五月分ですから、改善されるのは四、五月分でございますので、四、五月分の改定差額分につきましてお手元に届くようにしたいというふうに考えております。
  27. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 今国会国家公務員及び公企体職員関係の共済改正法案は合計四本出されておるようでございますが、恩給法の改正内容に準じた改正法案と、厚生年金の改正法案の内容に準じた改正内容とで、二大別できると思うんでございますが、本内閣委員会提案されておるのは、このうちの恩給法の改正内容に準じた改正法案のようでございますが、さきに提案をされたときには一本化されたようでございますけれども、今回はこんなに二大別されたというのはどういう理由によるんでしょうか。
  28. 西垣昭

    政府委員西垣昭君) 二回に谷けて出さなければならなかった理由でございますが、恩給がらみの改正法案につきましては、これは予算関連法案であるということから、二月中旬までには出さなくちゃならないということで非常に急がれたということが一つございます。それから、厚生年金がらみの改正につきましては、厚生年金の方の改正がかなり大幅で、しかも問題を含んでおりましたためになかなか成案ができなかった。それができた後で、共済としてどこまでやれるかというふうな問題につきまして慎重に検討しなければならないということがございましたので、予算関連法案には間に合いませんので、切り離して提出することになってしまったと、そういうことでございますので、ひとつ御了承いただきたいと思います。
  29. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 時間がありませんので、ひとつ簡単に答弁もお願いしますが、これまで共済年金の改正は、恩給なり厚生年金改善措置にならって改善をしてきたわけでございますが、今回遺族年金に加算される寡婦加算については、ひとり共済新法の規定に基づく年金のみが取り残されている結果となっておるようでありますが、ちなみに、今回恩給なり厚生年金なり旧法の規定に基づく年金遺族年金寡婦加算は、現行額の二倍から二・五倍、金額にしますと六万円から七万二千円あるいは十二万六千円という大幅な引き上げとなっておるようでありますが、そこでまず今回、新法年金寡婦加算の額を現行額に据え置いた理由並びにこの点についての関係審議会においてどのような審議がなされたか、そのことを御説明を願いたいと思います。
  30. 西垣昭

    政府委員西垣昭君) 恩給がらみの関係につきましては説明を省略いたしますが、現在のような保険システムに国家公務員共済組合が年金制度として発足いたしましたのが昭和三十四年でございます。それ以前は恩給制度ということでございます。現在の共済年金制度遺族年金寡婦加算額につきまして引き上げを見送ることとしておりますのは、遺族年金全体の総合的な見直しを行う中でこの寡婦加算問題も時間をかけて検討すべきであるという結論が、国共審でも出たし、それから地共審でも出たというようなことからでございます。そのときの議論は、厚生年金の今回の遺族年金に関する改正は、第一に、寡婦加算額を大幅に上き上げること。第二に、寡婦加算を受ける者が同時にほかの制度退職年金等の受給を受ける場合には、寡婦加算額の支給を停止すること。それから第三に、四十歳未満の子なし妻につきましては、遺族年金の受給権を認めないこととすること。この三つの改正でございます。  共済年金の場合に、これと同じ処置をすることに当たって問題になりましたのは、主として四十歳未満の子なし妻に対する取り扱いでございまして、共済年金の場合には、遺族年金を支給すべき遺族の認定に当たりましては、死亡した組合員または組合員であった者との生計依存関係を第一義的に重視しまして、組合員等の死亡によって経済的に打撃を受ける者を遺族として扱うと、残された者の年齢を遺族要件とする考え方は従来からもとっていないわけでございます。夫や父母が遺族である場合も受給権の発生は認めまして、ただ、六十歳に達するまでは支給停止という扱いを行っている、こんな取り扱いでございます。  ところが、今回の厚生年金の改正案では、妻につきまして、四十歳未満で子供がない場合には受給権そのものを認めないということでございますので、共済年金でそれと同じ扱いをすることになりますと、遺族が夫や父母である場合とはなはだしく均衡を欠くことになる。そういうことで、遺族年金全体の体系上問題が多い、こういう問題がございます。国共審では、こういったことがございましたので、慎重に検討するべきだというふうな御意見でございました。  それからそのほかに、寡婦にだけこれほど大幅な加算をつけることは、遺族年金全体の均衡上問題はないかというふうな指摘もございました。  それから、寡婦加算の大幅引き上げに要する財源が、結局は保険料引き上げにはね返ってくるので、同じ財源でもっと別の改善を考えてみる必要もあるのではないかというふうな御指摘もございました。  それで、そういったことで、この問題につきましては、さらに慎重に時間をかけて検討すべきだという結論でございまして、今回の改正内容から落として、今回の法案の提出に当たりましては見送ったということでございます。
  31. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 いま御答弁がございましたとおり、厚生年金の改正法案の内容では、四十歳未満の子なし妻の遺族の除去ということ、それから併給の調整寡婦加算の大幅な引き上げをセットとしてこのように行われて提案されておると言われておりますが、両大臣にお尋ねをしますが、公的年金制度という全体的な整合性からすると、新法年金についても寡婦加算の大幅な引き上げということが、遺族給付の改善ということからすると、当然考えられなければならないと思うのでございますが、この点についての御所見を伺いたいと思います。
  32. 竹下登

    国務大臣竹下登君) いま、主計局次長から二つの審議会における議論経過を御説明申し上げたわけでございますが、やはり私どもは、厚生年金と同様に、遺族年金の充実につきましては、まさに寡婦加算引き上げを重点とするかどうかを含めて、遺族年金の適正な水準のあり方、遺族の範囲や支給要件等の見直し、遺族年金と他の年金との併給調整遺族年金に関する基本的諸問題について今後十分な検討を行って、その結果を待って措置していきたいと、そのように基本的に考えております。
  33. 地崎宇三郎

    国務大臣地崎宇三郎君) 大蔵大臣の御答弁と同様でございますが、さらに遺族の問題については検討してまいりたいと存じます。
  34. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 私は、少なくとも共済年金制度としては、その仕組みの体系上、年金の支給制限はともかくとして、厚生年金改正法案のような年金の支給は行い得ないと、このように解するものでございますが、この点についての政府の御見解をお述べいただきたいと思います。
  35. 西垣昭

    政府委員西垣昭君) 共済の問題といたしましては、先ほどもお答えを申し上げましたように、大変問題があるということで、今回見送ることにいたしまして、慎重に検討させていただきたいと思っております。  厚生年金の扱いにつきましては、厚生省の方から御説明をお聞き取りいただければ幸いと存じます。
  36. 佐々木喜之

    説明員佐々木喜之君) 厚生年金につきまして、今回の遺族年金の改正の趣旨を申し上げたいと思います。  今回の法案改正につきましては、社会保険審議会におきまして御議論をいただきまして、遺族年金の、この遺族の生活の支えであるというようなことから、改正はぜひ行うべきである。その際は、年金によりますところの生活保障の必要性が高い子供さんを抱えた未亡人の方や、お年寄りの未亡人の方に手厚い改善をすべきだという、かような考え方で寡婦加算の大幅な引き上げを図ることにいたしましたわけでございますが、その反面と申しますか、その一方におきまして、今後の年金のあるべき姿ということを展望いたしました場合に、若くて子供さんのおらない方については、遺族年金を御遠慮いただくのがよろしいのではないかという考え方のもとに改正案を提出をいたしました次第でございます。
  37. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 再度大蔵省にお尋ねをいたしますが、今回の新法年金寡婦加算について、恩給、厚生、旧法と同一歩調をとらないということは、今後新法のこの寡婦加算については独自の制度を考えておられるのか、その点についてお尋ねいたしておきます。
  38. 西垣昭

    政府委員西垣昭君) 先ほどもお答えいたしましたように、新法の関係につきましては、いろいろと問題があって、さらに慎重に検討すべきだという関係審議会の御意見がございましたので、今後関係省庁、関係審議会にお諮りしながら、いま言われたような問題も含めまして検討したいと思っております。
  39. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 今回、恩給法の改正に準じた本法律案が成立をいたしますと、本年六月以降分の遺族年金は、わずか一、二年の新法期間を有する更新の組合員であった者の遺族と、新法期間を持たない、旧法の期間だけの組合員であった者の遺族では、寡婦加算引き上げがあるかないかによっては相当額の格差が出るということになると思いますが、あるいはまた、逆転も起こる可能性があると思いますが、その辺の事情の説明を願いたいと思います。
  40. 西垣昭

    政府委員西垣昭君) 旧令共済の関係の受給権者は、官吏が恩給、それから雇用人が共済という関係でございまして、この間はやはりどうしてもバランスをとらなくちゃならないということでございまして、恩給にならって寡婦加算額の大幅な引き上げを図ったところでございますが、新法の関係につきましては、先ほどからるる申し上げているような問題がございますので、慎重に検討したいということで、検討結果が出るまでの間に逆転あるいはアンバランスが生ずるという問題はもちろんございますが、検討の過程におきまして、総合的にバランスがとれるような結論を得るように私どもとしては努力していきたいというふうに考えております。
  41. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 最後にお尋ねをしますが、先ほども質問がありましたが、共済年金制度研究会が設置されるやに聞いておりますが、この研究会設置の目的、正式な名称それからメンバー、検討項目、設置の形式、諮問機関にするのか、あるいは大臣の私的諮問機関にするのか、答申の時期あるいは予算研究会の概要について説明をお聞きして、質問を終わりたいと思います。
  42. 西垣昭

    政府委員西垣昭君) 検討内容につきましては先ほど御答弁いたしました。  それから、研究会の形式でございますが、正式の審議会というものにすることにつきましては、既存の審議会の関係等いろいろ問題がございますので、実行上の研究会ということにしたいと思っております。  予算といたしましては、約百七十万の予算を五十五年度いただいております。非常にむずかしい問題をこれから検討していただくわけですから、そう簡単にはまいらないと思いますが、一応二年ぐらいというふうに考えております。  それから、メンバーにつきましては、共済問題全般に通じます基本問題を研究していただくということでございますので、学識経験者で構成するということで、一応十人ぐらいの研究会にしたいと思っておりますが、メンバーは人選中でございまして、まだ未定でございます。  それから、名称でございますが、名称につきましては、これはこれから決めていただくわけでございますが、たとえば共済年金基本問題研究会というような名称にしたらどうかなと、以上でございます。
  43. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それでは、大変限られた時間でございますので、私は二点についてお伺いをしたいと思います。  遺族年金を八割にという国民的な要求というのは年来強い要求になっておりますが、今回の改正案で寡婦加算を増額するというのは大変よいことだと思うんです。年間四万八千円から十二万円にということであります。しかし一方で、本人が他の年金を受給するようになった場合に、寡婦加算の支給制限をするというのは一つの問題点だと思うわけです。  改正案によりますと、政令で定める額以上の年金受給者寡婦加算が支給されないことになっておりますが、その額は幾らをめどにしておられますか。
  44. 西垣昭

    政府委員西垣昭君) 旧令旧法の遺族年金受給者につきましては、恩給受給者との均衡を考慮する必要がございまして、恩給と同様に寡婦加算額引き上げるとともに、給付調整を行うことが必要でございます。それで、上限設定につきましても、恩給と同様に厚生年金遺族年金最低保障額五十万一千六百円を考慮して措置したいと、このように予定しております。
  45. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 厚生年金遺族年金最低保障額の五十万一千六百円ですね、というこの金額以上の年金受給者寡婦加算が支給されないということになるわけですね。たとえば、その人が遺族年金最低保障額の四十五万五千円を受給しておって、自分の年金を仮に五十万一千六百円さらに受給していたとすると、寡婦加算はゼロということになって、その合計額は九十五万六千六百円ということになるわけです。この金額は、夫を亡くした老婦人が生活をしていく上で十分なものかどうかということになりますと、たとえば生活保護世帯の保護基準の資料を見ますと、この中で住宅扶助の特別基準三万四千六百円というものを認められるとしたら、七十歳以上の女性で年額百八万五千九百八十八円になる。ですから、こういうやり方をいたしますと、生活保護基準以下ということになるわけです。  そこで、私は、せっかくこの遺族年金の受給の金額を上げたわけですから、寡婦加算増加させてその恩恵に浴する、せっかく上げておって恩恵が受けられないというようなことというのは非常に矛盾が大きいと思いますので、支給制限金額を五十万一千六百円というようなところに置くのではなくて、これは政令で定めるということになっているんだから、この制限金額をもっと上げるべきではないか、これは年金がわが国でも成熟をいたしました段階ではさらに検討する余地はあろうと思うんですが、寡婦加算が上がったと言ったって月四千円が一万円になるという程度の上がり方なんですね。これが全部ゼロになるというようなことというのは、せっかくの制度改善がきわめて遺憾だと思いますので、その支給金額を上げるべきではないか、制限金額を引き上げるべきではないかと思いますが、その点の御見解を伺っておきたい。
  46. 西垣昭

    政府委員西垣昭君) いまの御指摘は、生活保護基準を参考にして上限の設定を考えたらどうかという御提案でございますが、一つには、官民比較ということが常に問題になっておりますように、厚生年金とのバランスという問題が一つございます。それから、生活保護と申しますのは、いわば救貧制度として最低生活費の保障を行うことを目的としたものでございますし、一方、年金制度は、老後保障としてその給付水準の設定に当たりましては保険料負担等の年金財政との関連が密接でございます。で、いわば目的や機能も異なっておりますので、生活保護基準を参考にするというのは適当ではないのではないかという問題がございます。  それからもう一つ、上限の問題でございますけれども、これは遺族年金寡婦加算とを足した場合の上限でございまして、本人年金遺族年金につきましては、幾ら多くてもその上限にはひっかからない、こういう仕組みになっております。そのことをちょっとつけ加えさせていただきます。
  47. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 いや、それはわかった上で言うているんです。  いずれにしても、最低が生活保護基準を下回らない、上回るように政令では運用上配慮される方が、せっかくの改善なんですから望ましいと思うわけです。で、大臣の御見解を聞きたいと思いますが、制限時間が非常に迫っておりますので、もう一つ聞いておきたいと思います。  国鉄共済組合年金というのは、五十一年、五十二年度は赤字で、五十三年度再計算の結果やっと黒字になった。で、これもまた間もなく赤字になりそうだということでございます。国家公務員共済年金を見ますと、現在は黒字でございますね。で、この会計収支の見通しはどうなのかということなんです。五十五歳から六十歳に支給開始年齢を五年間おくらせたということで少々繰り延ばしができたと考えられますが、これもまた早晩赤字になるのではないかと思えるんですね。  で、これはちょっとお聞きしたいんですが、今後これが再計算期の都度都度引き上げられていくということになりますと、公務員自身の生活に非常に大きく響いてくるんではないかという点が考えられるわけです。これは、たとえば資料を大分いただこうと思っていろいろ苦労したんですが、掛金をちょっと見てみますと、国家公務員平均給与というのは、行(一)、行(二)とか全平均とかいろいろありますが、大体十九万から二十万そこそこなんですね、給料が。で、たまたまぱっちり出た林野庁によりますと、平均給与は十八万三千五百七十二円です。これで長期掛金と短期掛金の総額は幾らになるかというと、一万八千九百五十三円、ちょうど給料の一〇%強なんですね。こういうふうになってまいりますと、これがもっと上がっていくということになれば、国家公務員の生活水準に非常に大きく影響してくると考えるわけでございます。  したがって、この際、政府負担分を——これは現在一五%のようでございますが、これを厚年並みに二〇%にする、掛金の割合を労使分担分けいま折半でございますけれども、これをヨーロッパの先進諸国のように労働者三、資本家七ということに改めるべきではないかと思うんです。これは私、国家公務員だけではなくて、わが国の民間企業の労働者も含めてこういうふうに改めるべきだと主張しているわけですが、今後の収支見通しと、そして一人一人の公務員の生活の中に与える掛金の比重という問題、先ほどからも論議になっておりますが、そういう点を考えて、そういうことを考える必要に迫られてきているのではないかと思いますが、大蔵大臣の御見解をお聞きしたい。
  48. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 最初のといまのと合わしたような形になりますが、一つは、確かに生活保護というのはいわゆる救貧、貧しきを救う救貧制度としてあるわけであります。そうして、歴史的経過からして、この仕組みからして、共済年金制度というものはこれは老後対策、こういうことでございますので、そこにはおのずからの限界というものがございます。ただ、いまおっしゃった気持ちが私に理解できないという意味ではございませんけれども、財政等すべての仕組み等の問題が存在しておるということで、必ずしもそれが基準になるべき性格の位置づけをすべきものではない、こういうことに考えておるところであります。  それから、いわゆるこの掛金率の問題でございますが、再計算期にそれぞれの仕組みの中で計算していくべきものでございますけれども、これは私は大きく判断していった場合には、諸外国年金制度もございますし、それこそ研究会でいろいろな議論を行って、一体どの辺までが最も、この先進国の国民の位置づける年金制度に対する負担率というものがどの辺までが限界であるものかというようなこともやはり広範な角度から検討して決めるべき問題じゃないか、そのほか租税負担率とかいろんな問題ございますので、そういうふうに理解すべき課題ではなかろうかというふうに考えております。
  49. 古賀雷四郎

    委員長古賀雷四郎君) 他に御発言もなければ、両案に対する質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  50. 古賀雷四郎

    委員長古賀雷四郎君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより両案に対する討論に入ります。——別に御発言もないようですから、これより直ちに両案の採決に入ります。  まず、昭和四十二年度以後における国家公務員共済組合等からの年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案を問題に供します。  本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  51. 古賀雷四郎

    委員長古賀雷四郎君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  次に、昭和四十二年度以後における公共企業体職員等共済組合法に規定する共済組合が支給する年金の額の改定に関する法律及び公共企業体職員等共済組合法の一部を改正する法律案を問題に供します。  本案に賛成の方の挙手を願います。     〔賛成者挙手〕
  52. 古賀雷四郎

    委員長古賀雷四郎君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、村田君から発言を求められておりますので、これを許します。村田君。
  53. 村田秀三

    ○村田秀三君 私は、ただいま可決されました共済関係二法案に対し、各派共同提案に係る附帯決議案を提出いたします。  まず、案文を朗読いたします。     「昭和四十二年度以後における国家公務員共済組合等からの年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案」及び「昭和四十二年度以後における公共企業体職員等共済組合法に規定する共済組合が支給する年金の額の改定に関する法律及び公共企業体職員等共済組合法の一部を改正する法律案」に対する附帯決議(案)   政府は、共済組合制度における遺族年金について、他の年金制度における給付水準との均衡等を考慮し、なるべく速やかに給付水準の引上げを図るよう検討すること。   右決議する。  以上でございます。
  54. 古賀雷四郎

    委員長古賀雷四郎君) ただいま村田君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  55. 古賀雷四郎

    委員長古賀雷四郎君) 全会一致と認めます。よって、村田君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、竹下大蔵大臣及び地崎運輸大臣から発言を求められておりますので、これを許します。竹下大蔵大臣
  56. 竹下登

    国務大臣竹下登君) ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても、御趣旨に沿って配意してまいりたいと存じます。ありがとうございました。
  57. 古賀雷四郎

  58. 地崎宇三郎

    国務大臣地崎宇三郎君) ただいま附帯決議のありました事項につきましては、政府といたしまして、御趣旨を体し、十分検討いたしたいと存じます。
  59. 古賀雷四郎

    委員長古賀雷四郎君) なお、ただいま可決されました両案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  60. 古賀雷四郎

    委員長古賀雷四郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  61. 古賀雷四郎

    委員長古賀雷四郎君) これより請願の審査を行います。  第二九三号靖国神社公式参拝に関する請願外三百七十七件を議題といたします。  請願の願意につきましては、お手元の資料で御承知を願いたいと存じます。  これらの請願につきましては、先ほど理事会におきまして協議いたしました結果、第四五八号遺族年金扶助料改善に関する請願外四十一件は議院の会議に付するを要するものにして内閣に送付するを要するものとし、第二九三号靖国神社公式参拝に関する請願外三百三十五件は保留とすることといたしました。  以上のとおり決定することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  62. 古賀雷四郎

    委員長古賀雷四郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  63. 古賀雷四郎

    委員長古賀雷四郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  64. 古賀雷四郎

    委員長古賀雷四郎君) 次に、継続調査要求に関する件についてお諮りいたします。  国家行政組織及び国家公務員制度等に関する調査並びに国の防衛に関する調査につきましては、閉会中もなお調査を継続することとし、両件の継続調査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  65. 古賀雷四郎

    委員長古賀雷四郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、要求書の作成につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  66. 古賀雷四郎

    委員長古賀雷四郎君) 御異議ないと認め、きょう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時八分散会      —————・—————