○沓脱
タケ子君 ですから、
郵政大臣の権限というのはかなり幅が広くて、番組の編成に関する部分を除いては非常に大幅な各種の
監督権限があるように思うんですよ、具体的にお伺いしますと。しかし、いま必ずしもそのすべての
監督権限を行使しているという状況ではなさそうに思うわけです。
そういうことが今日の現状なんですけれ
ども、そういう中で
国民がいま一番心配しておりますのは、これは行管庁に対して心配をしているというんじゃありません。いま一番心配をしている放送、特にNHKに関する問題で心配をしておりますのは、NHKという公共放送が御用放送化するのではないか、させられるのではないかという心配、そういう不安というのはかなり広範に
国民の中にあります。放送法の精神によって、公共放送のNHKというのは、もう十分御承知のように、
政府の補助金に頼るということではなくて、受信料で
運営を賄うという立場を堅持してきているわけですね。
ところが、最近、今度NHKの受信料の引き上げがやられました。今国会へは、これはどうやら廃案になりそうですけれ
ども、放送法の改正が
提案をされてきている。今度の放送法の改正の
提案の中身というのは、受信料支払いの義務化なんですね。この問題と絡みまして、自民党の方ではNHK調査
委員会をおつくりになるというふうな問題が出てきている。そして、ニュースや番組などの監視をして注文もつけようじゃないかというふうな
意見が出ていると報ぜられているわけですね。あるいは自民党の総務会では、放送法を改正して税金とも言えるようなかっこで受信料の支払いを義務づける以上は、NHKは事実上の国営放送である。とするなら、国の管理権や意向に反した行動をとるというふうなことはとんでもないというふうな
議論さえ出てきているということが放送法の改正でいろいろ論議をされ、放送法の改正、ひとっこれを見ますと、NHKを変質させるものではないかというような世論が、放送、特にNHKをめぐって背景に起こっているわけですね。
そういう状況の上に今度行管庁の
設置法の改正でNHKも監察の対象になると、こういうふうになってまいりますと、これは少しもうあれですけれ
ども、行管の方ではそういう意図はお持ちではないわけですけれ
ども、さらに国家
機関からの監察、調査、そういったものが加わっていく。そうすると、本来憲法や放送法に定められております言論、放送の自由、そういったものに対して二重、三重の国家の、
政府の
監督、調査というものが屋上屋を架すことになるんではないか。そうなってくると、絶対に侵さないと言われている憲法や放送法に定められている言論、放送の自由、あるいは不偏不党の公共放送としての放送の
自主性あるいは番組編成の自由の
確立、こういうものに危惧が出てくるというのは、そういった背景があり、さらに
政府の
監督、調査というのがプラスされていくということで危惧が高まってきているというのが今日の情勢だということを御
理解いただきたいと思うわけです。
私は、この放送の問題について、今日では与党が自民党さんですから、自民党さんがということが問題になりますけれ
ども、将来何党が与党になってもこれは、この点については厳正に
確立をされなければならない、やはり中心的な柱だと考えているわけです。
そういう点で、戦前のNHKが、いわゆる
政府これを管掌すると称して、御年配の
方々は御承知のように、国家統制のもとに完全に置かれて、大本営発表、大本営発表というあの放送によって悲惨な侵略戦争に駆り立てられていく上で大変に
決定的な役割りを果たしてきたという放送の役割り、あの当時でさえも放送の役割りがいかに大きかったかということを
国民が知っている、がゆえに、二度とその誤った歴史を繰り返してはならない。そのために必要な歯どめというものはできるだけやらなければならないというのが私は
国民の見解だと思うわけです。
そういう点で、何回も断言しているんだから、それ以上何だとおっしゃると思うんですけれ
ども、そういったこの現在の政治情勢、あるいは放送法をめぐる背景、そういったものの中にあって、今回行管庁
設置法の一部改正でNHKが監察の対象になるということで、さらに一層その危惧を
国民が深めるということについて、これは何とかしてそれはそうではないんだという点をはっきりさせる必要がありはしないか、こう思っているわけです。それを一番はっきりするということになれば、これは今度の
設置法からNHKを除外するということをやれば一番はっきりするわけでございますけれ
ども、そういったお考えはお持ちではないかどうか。その点をちょっとお聞きをしておきたいと思います。