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神谷信之助君 だから、そういうふうになかなか出てこないですよね、これは。それはなぜかというと、
一つは、そういう
法律的疑義の問題が出てくることが
一つあります。
それから、確かにこうならざるを得ない面ももう
一つあるんです。それは、
一つは、
大臣が盛んに指導されている減量経営の問題ですね。できるだけ本職員じゃなしにパートに切りかえるとか、あるいは民間委託にするとかそういう方法でやって、しかしそれは無理がありますから、
自治体としてやらないかぬ仕事をそういうふうにパートなり何なりに切りかえるんですから、だからそういう臨時的任用職員ということにして、あるいは嘱託ということにしてやっていく。まあ地公法違反かどうかは何ですが、非常にきわめて好ましくない、そういう任用形態にならざるを得ない。
それからもう
一つは、この間も取り上げましたが、特にこれは厚生省
関係が多いわけですけれ
ども、保育所とか福祉施設の
関係ですね。この間も言いましたように、
予算的には三・七人分とか来るわけですから、コンマ七人分なんというような人間はおりませんしね、実際には。そうすると実際には、二人は本職員にしてあとの一・七人分でパートを三人にして、少しでも労働条件を緩和する。数でこなそうと。これは賃金をうんと抑えることができますから、一・七人分で三人雇える。そうしたら合計五人で仕事ができる。そのかわりぐるぐる。ハートにする。そういうようなやりくりをせざるを得ぬ。そこからそういうのが必然的に出てくるという面が
一つあります。しかもそれは、いま言いましたように福祉施設
関係という
住民サービスの面に直接出てくるんですね。
もう
一つ、これは福知山の場合ですが、福知山で清掃部門を見ますと、管理部門、それから焼却、収集、火葬場、屠場を含めてですが、合計四十四人のうち十三人が嘱託、臨時職員です。そのうち収集ですね、これが二十四人おる。おるにはおるんですけれ
ども、正規の職員は十五人なんですね。九人は嘱託と臨時なんですよ。そうしますと、実際朝行ってみますと——出勤したときに皆集まるのです。ところが嘱託、臨時職員というのはよう休むのですよ。だから予定の収集区域を全部回り切れないんです。穴があくのですよ。正規の職員ですとこれはもうちゃんと出てこないと欠席になる、まあ病気なら病欠なり、有給休暇の制度もありますからそれは何か休む場合も事前に
連絡があったりしますけれ
ども、嘱託、非常勤になるとそうはならぬ。朝集まってみて、そこで、ああきょうは来てくれたか、きょうは全部収集してもらえると。ああきょうは足らぬな、だから管理者も含めて全部車に乗っても一カ所はどうしても行けぬ、そういうところが出てくる。ところが、
住民の方からはもっと収集区域を広げろという要求もあるし、週二回収集にせよと、こういう要求も出てくる。そっちはふえて、頭数としては、そのふえた分は臨時職員あるいは嘱託ということで補充されて、頭数はだんだんふえてくるのだけれ
ども、実際にはそういうことで
住民の要求にこたえられないという
実態が現実に起こっているんです。
私は、これはそういう事実を踏まえて、やっぱり
自治体のそういう
住民に対するサービス部門、これが実際には犠牲にされる。そういう
状況のところに持ってきて、国に準じて五%人員削減せいと、こうくるわけですから、そうするとまた同じような現象がさらに拡大されるという
状況が出てくるのですね。だから、やっぱり必要なところにはちゃんと必要な人間を配置する。その点で
交付税についても
交付税措置をするということをせないかぬと思う。ところが、そういう福祉施設ですと厚生省の
基準で言うたらおまえのところは十人でよろしいと、こうなりますけれ
ども、実際には十五人必要だと。そういうことは
自治省としてはわかっておっても、
交付税の計算では十人しか、十人を
基礎にしてしか計算はできないでしょう。そういうことになりますわね。だから、
実態と、実際の厚生省なり何なりの
基準とは、どうしてもそういう現場とのずれが出てくる。その分の不足額をどうやって埋めるかと言えば、いま言ったような臨時職員とか嘱託で、安い賃金で雇う方法を考えていく。これがどんどん重なっていって
自治体の任用制度に混乱を持ち込むし、同じ仕事をしているのに本職員と臨時職員では給料はうんと違う。労働時間も違う。片一方は一時金も出るけれ
ども片一方はもらえないというような、同じ仕事をしていてそんなばかなことがあるかというような、一緒にやっていればやっているほど不満はつのりますね。
だから、そういう問題がもうごろごろ出てくるという
状況になってくるんです。だから私はこの辺は、この間も言いましたように、
超過負担で一番、しかも説明のつかない
超過負担の多いのは厚生省だと
自治省の人も言うていられるように、そういう点でいろいろ問題がある。そういう点では実際の現状をつかんで、
自治省がやっぱり正しく
実態に合った
基準を決めさして、それに対して
交付税措置もできるし、同時に公務員部の方もそういう便宜的な任用制度をやってはならぬと、単に好ましくないということで済ましていないで、そういうことをやれば違反の疑いがあるのだから、そういうことのないようにしなさい。したがって、それに必要な財政
措置については努力をやろうというようにしていかないと、実際にはこの問題はなかなか解決しない。しかもいま公務員に対する風当たりがきついですから、そういう現場で働いている人は何も悪いことはしてないんだけれ
ども高級官僚が悪いことをするものですからね、風当たりが強いですよ。だから定数条例をふやすというようなこともなかなか現実にはできない。だからそういうところにいかざるを得ぬというのが、いろいろな条件が重なって出てきている、こう思うのですよ。
しかし私は、この状態は、そこの現場で働いている労働者にとってもおもしろくない、好ましい状態ではないし、それから
住民サービスをもつと徹底をするという面から言ってもこれは好ましくない。一遍にできるできないは別にしても、早く
改善をすべき課題であるというように思うんです。こういった点についてひとつ
大臣の見解をお聞きしておきたいと思うんです。