○
政府委員(
松尾直良君) その
てん補内容が
改善をされるという
面等を考えて、この
限度額をなぜ今回
変更しなかったかという
お尋ねでございますが、まず、この新
制度になって
契約がどういうふうになるかという点で、
原則自動付帯ということによってふえるのではないかというふうに御
指摘になりましたが、私
ども実はそこは
反対に考えておりまして、先ほど申し上げましたように、
現行制度というのは
三つの
付帯方法をとっておるわけでございますが、一番目の
自動付帯という、
強制と申しますか、
パッケージになって自動的に組み込まれておるというもの、これが圧倒的に多いのが現状でございます。
で、
内容がよくわからなかったという御
不満がまた後で出てくるわけでございますので、先ほど申しましたように、
契約者の
任意性を尊重いたしたいということでございますので、先ほど全体として
普及率が一五%
程度と申し上げましたが、この
契約者の
任意性にある
程度依存しております
原則自動付帯と
任意付帯をとりますと、全国的な
普及率はもっとずっと低くなってしまうわけでございます。したがいまして、今後、
原則自動付帯中心になったときに
契約者がどういう反応を示すかということ、まあこれはなかなか予測困難でございますが、非常に単純に考えれば、現在の
原則自動付帯なり
任意付帯という
契約者の
任意性によっておるものと同じ率ではないかというのが単純に考えられるわけでございます。
ただ、一方、今回の
制度改正によりまして、御
案内のとおり半損まで
担保をする、あるいは
限度額を
引き上げると、こういうことは
契約者のいわば
要望にこたえたことになりますので、こういった面から、それではいままで
地震保険に
余り魅力はなかったけれ
ども今後はひとつ入ろうかという、そちらの方に働く
要素というのがあろうかと思うのでございます。
それから、いま申しました
付帯方法の
変更という点から申しますと、やはり
契約者が自発的なみずからの
意思によって入るということになりますと、私
どもはむしろ
件数は若干落ちるというふうに考えざるを得ない。ただ、
限度額が、先ほど
先生御
指摘ありましたように、今回大幅に
引き上げになるということは、
件数が落ちましても、一件当たりの
保険金額、これは増加をしていくということになろうかと思うのでございます。
そこで、この一兆二千億を今回なぜ変えなかったか、変える必要がなかったかということでございますが、現在の一兆二千億という
限度を
設定をいたしましたのは五十三年度でございます。当時、五十二年ごろから
地震保険というのが急速に
契約がふえておりまして、そうした
伸び方というものを参考にいたしまして、五十三年度末、つまり五十四年の三月における
契約額というものを
想定をいたしまして、そのときは九兆
余りの
契約額に達するであろうという推定をいたしまして、その
契約のうち、その
契約を
前提といたしまして、
限度額というのは
最大規模の
地震が起きたときに支払われるであろう
保険金額はどのくらいになるかということを試算するわけでございます。
過去四百数十年の中におきまして、いままで一番
損害の大きかった
地震というのは
関東大震災でございますので、この
関東大震災規模のものが今日発生をした場合に、現在の
契約状況から見て
支払い保険金額がどのくらいになるかということを
想定をいたしまして、それに若干の
余裕を見て
限度額を
設定をする、こういうことで従来からいたしておりまして、五十三年度一兆二千億を決めましたときには、そういった九兆何がしの
契約を
前提といたしまして、
関東大震災規模のものが起きた場合には九千億を若干上回る
程度の
保険金の
支払いが見込まれる、そこに若干の
余裕を見込みまして一兆二千億というものを
設定したのでございます。
その後、
契約の
伸びが当時
想定しましたのとは非常に違ってまいりまして、特に、五十三年の
宮城県
沖地震を
契機といたしまして、大変残念なことでございますが、逆に
地震保険の
契約というものが減ってまいりまして、五十三年度末には、九兆何がしと見ておりました
契約が七兆台にとどまったということでございまして、その
契約額を
前提に
最大規模の
地震が起きたときの
支払い保険額を推定いたしますと七千八百億ぐらいである。
今回
改定をいたしまして、今
国会で御承認いただきまして五十五年度中に新
制度が
発足をするといたしまして、五十五年度末の
契約額がどのくらいになるかという推計をいたしまして、これが七兆八千億
程度ではないかというふうに考えておりますが、それを
前提に、今回、分損まで
担保をするということを計算をいたしました
関東大震災規模の大
地震におきます推定
保険金支払い額、これは九千七百億
程度であるというふうに推計をいたしまして、一兆二千億との間になお
余裕がある、こういうことで今回
改定をいたすまでもないということで一兆二千億をそのままにいたしておる、こういうことでございます。