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国務大臣(
竹下登君) ただいま
議題となりました
所得税法の一部を
改正する
法律案及び
租税特別措置法の一部を
改正する
法律案につきまして、
提案の
理由及びその
内容を御説明申し上げます。
初めに、
所得税法の一部を
改正する
法律案につきまして申し上げます。
政府は、税
負担の公平確保の見地から、利子・配当所得等について総合課税へ
移行するための
所要の
措置を講ずるとともに、現下の
財政事情、
所得税負担の
実情等にかんがみ、高額な収入部分に適用される給与所得控除の控除率を引き下げるほか、
所要の
改正を行うこととし、ここにこの
法律案を
提出した次第であります。
まず第一に、利子・配当所得等につきましては、
昭和五十九年から総合課税へ
移行することとし、そのための
措置として少額貯蓄等利用者カード
制度を設けることといたしております。
すなわち、郵便貯金、少額預金の利子所得等の非課税
制度の公正な
運営と利子所得・配当所得等の適正な課税の確保等に資するため、少額貯蓄等利用者カードによる少額預金の利子所得等の非課税限度額の確認
制度を設ける等
所要の
措置を講じております。少額貯蓄等利用者カードは、郵便貯金、少額預金の利子所得等の非課税
制度を利用しようとする者の申請に基づいて交付することといたしておりますが、このカードは、これらの非課税
制度のほか、総合課税の
対象となる利子・配当等の受領者の本人確認の証票としても利用できることといたしております。
なお、少額貯蓄等利用者カード
制度については、
国民の理解と慣熟を得る必要があること、また、国税当局、金融機関等の対応体制を整えるための準備期間を要すること等にかんがみ、本
法律案において
所要の
措置を講ずることといたしております。
第二に、給与所得控除について、給与収入一千万円超の部分に適用される控除率を
現行の一〇%から五%に引き下げることとするほか、
所要の
改正を行うことといたしております。
次に、
租税特別措置法の一部を
改正する
法律案につきまして申し上げます。
政府は、最近における社会経済情勢と現下の厳しい
財政事情に顧み、今次の税制
改正の
一環として、税
負担の公平確保の見地から
企業関係租税特別
措置等につきまして大幅な整理
合理化を行うほか、土地税制について、主として大都市における住宅地の
供給等の実情に顧み、その基本的枠組みを維持しつつ
所要の
改正を行うこととし、ここにこの
法律案を
提出した次第であります。
すなわち、第一に、
企業関係の
租税特別
措置につきましては、適用期限にかかわらず全面的な見直しを行うこととし、まず
政策目的の意義の薄れたものや
政策効果の期待できなくなったもの等を重点として、十項目を廃止することといたしております。
また、存続する項目につきましては、中小
企業対策、農林漁業対策、資源エネルギー対策及び科学技術の振興等に配慮しつつ一律に縮減することを基本とし、技術等海外取引に係る所得の特別控除
制度については収入金額に係る控除率及び所得金額に係る控除限度額を二割引き下げ、特定設備等の特別償却
制度については償却割合を二割から五割引き下げるとともに、特別償却不足額の繰越
制度については繰越期間を三年から一年に短縮するほか、証券取引責任準備金等については積立率を五割引き下げるなど、所得控除
制度、特別償却
制度及び準備金
制度の大半にわたりその大幅な縮減
合理化を行うことといたしております。
さらに、
登録免許税の税率軽減
措置等について、
企業関係の
租税特別
措置の場合と同様大幅な縮減
合理化を行うことといたしております。
第二に、土地、住宅対策に資するための
措置であります。
まず、短期譲渡所得の課税の特例について、その適用期限の定めを廃止することといたしております。次に、長期譲渡所得の課税の特例について、円滑な宅地の
供給と土地の有効利用を推進する等のため、
昭和五十五年一月一日から、譲渡益のうち
現行二千万円まで二〇%となっている比例税率部分を四千万円まで
引き上げるとともに、四千万円を超え八千万円までの部分について新たに二分の一総合課税を導入することとし、八千万円を超える部分については
現行の四分の三総合課税方式を維持することとした上、その適用期限の定めを廃止することといたしております。
また、優良宅地等のための長期譲渡所得の課税の特例について、一団の住宅建設用の土地の譲渡に係る
現行五十戸以上の戸数要件を二十五戸以上とするなど、実情に即しその適用
対象の要件を
緩和するほか、既成市街地等内に中高層耐火共同住宅を建設するための買いかえ等の場合の譲渡の課税の特例を
創設する等の
措置を講ずることといたしております。
さらに、住宅取得控除について、良質な住宅への住みかえによる居住水準の向上に資するために、その適用
対象に一定の既存住宅を取得した場合を加える等、
所要の
措置を講ずることといたしております。
第三に、少額公債の利子の非課税
制度、
試験研究費の額が増加した場合の特別税額控除等期限の到来する特別
措置について、実情に応じ適用期限を延長する等
所要の
改正を行うことといたしております。
以上、
所得税法の一部を
改正する
法律案及び
租税特別措置法の一部を
改正する
法律案につきまして、その
提案の
理由と
内容の
大要を申し上げました。
何とぞ御
審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。