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政府委員(
橋口收君)
昭和五十四年における
公正取引委員会の
業務について、その概略を御説明申し上げます。
昨年の
わが国経済は、
景気拡大傾向の中で、
石油価格の大幅な
上昇という事態に直面いたしましたが、
公正取引委員会といたしましては、
競争秩序の
維持、
促進を通じまして、
わが国経済の健全な
発展を図るべく
独占禁止政策の適正な
運営に努めてまいったところであります。特に、昨年は、
改正独占禁止法の適正かつ効率的な
運用に努めるとともに、
減速経済下において大きな比重を占めてきております
流通分野の問題につきまして積極的に取り組んでまいりました。
まず、昨年における
独占禁止法の
運用状況でありますが、
昭和五十四年中に
審査いたしました
独占禁止法違反被疑事件は百三件、同年中に
審査を終了した
事件は三十六件であり、そのうち法に基づき勧告したものは十二件、勧告をしないで直ちに審判を開始したものは一件でありました。また、昨年における
課徴金納付命令事件は三件であり、合計三十九名に対し総額四億一千二百七十三万円の
課徴金の
納付を命じました。
次に、
認可、
届け出受理等に関する
業務でありますが、まず、合併、営業譲り受け等につきましては、
昭和五十四年中に、それぞれ八百七十三件、六百六件、合わせて千四百七十九件の
届け出がありました。
認可等につきましては、大
規模会社の
株式所有制限に関し、法第九条の二第一項第九号の
規定に基づく承認を三件、
金融会社の
株式所有制限に関し、法第十一条の
規定に基づく
認可を三十六件行いました。
事業者団体につきましては、
昭和五十四年中に
成立届等千二百二十一件の
届け出がなされておりますが、
事業者団体による
違反行為を
未然に防止するとともに、その適正な
活動に資するため、
事業者団体の
活動に関する
独占禁止法上の指針を作成し、あわせて
事業者団体が
実施しようとする
活動の適否について、
事前相談制度を設けました。
また、
国際契約等につきましては、
昭和五十四年中に七千四百二件の
届け出があり、改良
技術に関する制限条項、競争品の取り扱い制限条項等を含む三百七十八件について、これを是正するよう指導いたしました。
独占的状態に対する
措置に関する
業務といたしましては、一昨年十二月に改定いたしましたガイドラインの別表掲載の事業分野について、実態の把握及び関係
企業の
動向の監視に努めました。
また、価格の同調的引き上げにつきましては、特殊調製粉乳、乗用車、普通板ガラスの三件について価格引き上げの理由の報告を求めました。
流通分野の問題につきましては、出版物、自動車、百貨店・大型スーパー等について実態
調査を行うとともに、
対策の検討及び関係業界に対する指導を進めております。
独占禁止法上の不況カルテルにつきましては、一昨年来
実施されていました八品目は、市況の回復等により昨年四月末までですべて終了し、
昭和五十四年においては鋼船の不況カルテルについて新たに
認可いたしました。
なお、
独占禁止法の適用除外を受けている共同行為の総計は、
昭和五十四年末現在で四百九十四件となっておりますが、その大半は、
中小企業関係のものであります。
次に、下請代金支払遅延等防止法の
運用状況について申しますと、下請代金の不当な値引き、買いたたき等の是正を中心に法
運用の
強化を図り、下請事業者の保護に努めてまいりました。
最後に、不当景品類及び不当表示防止法の
運用状況について申しますと、
昭和五十四年中に
公正取引委員会が同法違反の疑いで取り上げました
事件は、千三百九件で、このうち排除命令を行いましたものは十二件、警告により是正させましたものは六百十五件でありました。
また、都道府県の行いました違反
事件の処理件数は、六千六百五十二件となっており、今後とも都道府県との
協力を一層推進してまいる
所存であります。
公正競争規約につきましては、家庭電気製品製造業における景品類の提供の制限に関するもの等十五件について認定し、
昭和五十四年末現在における公正競争規約の総数は、八十二件となっております。
以上簡単でございますが、
業務の概略につきまして御説明申し上げました。今後ともよろしく御指導のほどお願いいたします。