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1980-04-23 第91回国会 参議院 災害対策特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十五年四月二十三日(水曜日)    午後一時七分開会     —————————————    委員異動  三月五日     辞任         補欠選任      木島 則夫君     柄谷 道一君  四月十一日     辞任         補欠選任      小巻 敏雄君     佐藤 昭夫君  四月十四日     辞任         補欠選任      佐藤 昭夫君     小巻 敏雄君  四月二十二日     辞任         補欠選任      小巻 敏雄君     佐藤 昭夫君  四月二十三日     辞任         補欠選任      坂野 重信君     山崎 竜男君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         青木 薪次君     理 事                 坂元 親男君                 村沢  牧君                 原田  立君     委 員                 梶木 又三君                 金丸 三郎君                 田原 武雄君                 戸塚 進也君                 山崎 竜男君                 佐藤 昭夫君                 山田  勇君    国務大臣        国 務 大 臣        (国土庁長官)  園田 清充君    政府委員        国土庁長官官房        審議官      柴田 啓次君        通商産業省立地        公害局長     島田 春樹君    事務局側        常任委員会専門        員        森  一衞君    説明員        警察庁交通局交        通規制課長    広谷 干城君        行政管理庁行政        監察局監察官   田中 一昭君        科学技術庁研究        調整局生活科学        技術課長     倉持 哲士君        通商産業大臣官        房参事官     福原 元一君        資源エネルギー        庁公益事業部原        子力発電安全審        査課長      逢坂 国一君        気象庁観測部地        震課長      渡辺 偉夫君        建設省河川局水        政課長      安仁屋政彦君        建設省河川局防        災課長      川合 恒孝君        自治省財政局財        政課長      津田  正君        消防庁技術監理        官        矢筈野義郎君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○災害対策樹立に関する調査  (昭和五十五年度における防災関係予算に関す  る件)  (激甚災害指定基準に関する件)  (災害復旧事業に関する件)  (個人災害対策に関する件)  (地震防災対策に関する件)  (地震防災対策財政措置に関する件)  (石油コンビナート防災対策に関する件)  (鉱山廃土流出事故に関する件) ○地震防災対策強化地域内の長大橋整備に関する  請願(第五四四号外一件) ○御岳山の噴火に係る常時観測体制整備等に関  する請願(第五四五号外一件) ○地震防災対策事業に係る財政措置に関する請願  (第五四七号外一件)     —————————————
  2. 青木薪次

    委員長青木薪次君) ただいまから災害対策特別委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る三月五日、木島則夫君が委員辞任され、その補欠として柄谷道一君が選任されました。  また昨日、小巻敏雄君が委員辞任され、その補欠として佐藤昭夫君が選任されました。     —————————————
  3. 青木薪次

    委員長青木薪次君) 災害対策樹立に関する調査を議題といたします。  これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 村沢牧

    村沢牧君 国土庁災害対策の窓口になっておりますが、災害対策全般にわたっての企画調整予算要求権限はきわめて弱く、他の省庁にばらまかれた予算を統合整理することにとどまっておるわけであります。こうした実情の中から、災害対策現状縦割り行政そのものであり、各省庁判断権限が優先をして、総合的な行政がおくれがちになっているのが現状であろうというふうに思います。国土庁長官は、災害担当する大臣としてこの多岐にわたる災害行政を統轄し、機敏な対応を示していかなければならないわけでありますけれども国土庁が果たすべき役割り決意のほどを伺います。
  5. 園田清充

    国務大臣園田清充君) 災害対策につきましては、御指摘のとおり、非常に広範多岐にわたりまして、省庁も各省庁にまたがるものが非常に多うございます。そのために、この推進をしてまいることについてはいろいろ国土庁としても苦慮するところではございますが、しかし総合的な観点から、政府で、御承知のとおり、総理を会長として中央防災会議設定をして災害対策に当たっておるわけでございますけれども国土庁といたしましては御指摘のとおり、災害対策企画立案推進という観点から各省庁と密な連絡をとって、この中央防災会議の意思を尊重しながら各省庁とも御協力を願っておるわけでございます。そのための調整努力というものは、御指摘がございましたが、いまはむしろ遠慮を申し上げるよりも各省庁に物を申していくということで、たとえば査定の場合あたりでも、ただ単に従来のよう机上査定あるいはその他を交えて、改良復旧等もあわせて進めていただきたいというようなことを私どもはその実施省庁に求めているというのが現状でございまして、各省庁も私どもの意のあるところは十分おくみ取りいただいて御協力をいただいておると、かように理解をいたしておるわけでございます。  なお、いま申し上げましたよう決意のもとで、今後とも災害対策に万全を期してまいりたい、かよう決意をいたしております。
  6. 村沢牧

    村沢牧君 国土の保全や国民生活の安定を図っていくためには、災害行政というのは、災害が起こってからの後始末ということではなくて、思い切った予防対策を講ずることが必要であろうというふうに思います。そのためには計画予算の仕組みを変えていくという、こういう努力もしなければならないというふうに思いますが、災害予防あるいは防災行政について、どのよう考えておられますか。
  7. 園田清充

    国務大臣園田清充君) まあ総合予算主義と申しますか、そういう観点から各実務省庁災害対策予算はお組みになっておるし、私どもとしては、大蔵省との折衝段階でこうした各実施省庁の意図というものを、十分そんたくをしながら大蔵との折衝にも側面的な協力を申し上げておりますし、かつまた、いま御指摘がございましたとおり、従来の災害というのは救助中心でございましたが、いまの災害というものは予防対策というものが非常に重視せられてまいっております。この点からも、私どもとしてはこの予知予防ということについて各省庁が要求する予算について積極的にも協力を申し上げていくという姿勢で臨んでおるわけでございます。  そこで、いま御指摘がございましたとおり、私どもとしては災害対策の一元化というようなことは現在の日本の行政機構の場合に非常に問題が、多岐省庁にわたるだけに多いようでございますし、そこで、手持ちの予算の中で活用できない場合には予備費の支出というようなことで、大蔵省とも強力な折衝をしながら実務省庁災害救助復旧ということに支障のないよう努力を重ねておるというのがいまの現状でございますし、将来ともに、なかなかこの面を改めていくということについては問題もあろうかと思いますが、御説のとおり、災害国民生活に及ぼす影響を考えますと、いろいろ検討し、前向きで取り組んでいかなければならない幾多の問題を抱えておることも承知をいたしておりますので、御意見は十分ひとつ参考としながら対処してまいりたいと、かよう考えます。
  8. 村沢牧

    村沢牧君 各省庁調整がとられているのか、あるいは予防行政がうまくいっているのか、これらの点については後ほど具体的に御質問してまいりますが、そこで、防災に関する科学技術研究推進について伺いたいというふうに思うんですけれども長官はその所信表明の中で、予防行政を進めていく上で科学技術研究推進必要性を強調しておるわけなんです。このことは、各省庁防災関係予算の中である程度裏づけされているものもあるわけであります。五十五年度予算を見れば、防災予算合計は四百三億円、五十四年度の三百五十八億円を上回っているわけであります。しかし、これらの予算は各省庁の独自の判断の中で要求され計上されたものである。国土庁はこれら各省庁研究業務調整を図り、効果的な防災研究体制をとるために、各省庁に対して指導性を発揮することが必要だというふうに思うんです。  そこで伺いますが、長官防災研究体制現状についてどういう認識を持っているのか、また、今後の科学技術研究推進についてどのように対処されようとするのか。  二点目として、地震予知研究を見ても科学技術庁、文部省、通産省、海上保安庁、気象庁建設省等々にそれぞれ研究調査費が計上されておるわけなんです。私は、大規模地震法制定の過程でも観測研究調査連携円滑化必要性を強調して、政府対策を求めたところでありますが、たとえば地震予知について、各省庁間の整合は十分図られているのかどうか、そのために国土庁はどういう役割りを果たしておるのか、長官見解を求めます。
  9. 園田清充

    国務大臣園田清充君) いま御指摘があった点を総合的にお答えいたしますが、私どもは各省庁連絡会議をもちまして、それぞれの横の連絡支障のないようにということで今日進めておるわけでございます。なお、じゃそうした予知体制が万全かということでございますけれども、遺憾ながらきょうの状況で万全だということは、私は申し上げられないと思っておりますし、ただ、気象庁あたりを例にとりますと、従来の移動的な観測体制をとっておられた火山活動あたりに対する問題に対してひとつこれをふやしていく、あるいは、一つだけいまぶつかっておる問題は、こうした専門的な科学技術という点からいたしますと、人材育成というような問題に、若干私どもはおくれがあるということは率直に認めなければならないと思います。と同時に、大規模地震対策特別措置法によって地域指定をいたしておりますけれども、その他の地域についても常に警戒を、監視を怠らないよう体制の中で進めてまいらなければならないと思いますし、この横の連絡につきましては、むしろ私からお答えいたしますよりも、担当審議官から詳細にお答えを申し上げたいと思いますので、ひとつ御了承賜りたいと思います。
  10. 柴田啓次

    政府委員柴田啓次君) いまお尋ねがございましたが、防災に関する科学技術研究推進の問題と、総合的な地震予知の問題でございます。  私どもといたしましては、毎年防災白書という形で、災害対策基本法に基づきましてその年度において実施すべき防災に関する計画というのを、国会へ御報告をしているわけでございます。また、それ以前にその年度防災予算の概要につきましても、当委員会に御報告を申し上げているところでございます。防災に関する科学技術研究推進につきましては、五十五年度防災関係研究機関充実整備を図る、それから風水害、震災、雪害、火災、危険物災害火山噴火災害等各種災害に対処するため地震火山噴火予知に関する研究、それから各種災害発生機構防止対策に関する研究構造物安全性に関する研究、こういうものを推進することにしておるのでございます。それぞれ各省庁予算が計上されているわけでございますけれども、それらについて重複あるいは欠落のないように、私どもとしてできる限りの配慮をしているわけでございます。  それから、地震予知に関してでございますが、地震予知推進本部というのが科学技術庁に置かれておりまして、そのもとに私どもも入っておりまして、この地震予知研究推進というのをやっているわけでございます。さらに科学技術庁における特別研究促進調整費等によりまして、相互調整を図る等のことをしているわけでございます。
  11. 村沢牧

    村沢牧君 それぞれ対策を講じていることは承知をしておるんですけれども長官答弁にもありましたように、人材育成等も含めて必ずしも十分でないという意見が述べられたわけでありますけれども、今後のこの科学技術研究はどういうふうに進めていったらいいとお考えになっていますか。
  12. 園田清充

    国務大臣園田清充君) 私から申し上げるよりも、柴田審議官から御答弁申し上げように、科学技術庁が科学的な面からの予知、いろいろな面については担当省庁として御計画もあるようでございますので、科学技術庁の方からお答えいたすことにいたしたいと思います。
  13. 倉持哲士

    説明員倉持哲士君) お答え申し上げます。  防災科学技術の進め方の今後の方針につきましてでございますが、政府防災に関する研究開発重要性にかんがみまして、昨年十二月、科学技術会議に対しまして、防災に関する研究開発基本計画を諮問したところでございます。現在、同科学技術会議におきまして、今後おおむね十年間に行うべき研究開発を総合的、体系的にとらえて、その目標の設定及び推進の方策の提示を行うべく、いまるる進められているわけでございます。  今後、政府といたしましては、この答申を受けまして防災研究開発の総合的な基本計画策定し、関係行政機関、大学、民間、相互の緊密な連携のもとに、より一層計画的、効率的な研究開発推進を図ってまいる所存でございます。
  14. 村沢牧

    村沢牧君 きわめて抽象的な答弁ですけれども、これはまた、具体的にいずれかのときに伺ってまいります。  そこで次に進みますが、災害対策総合推進のための調整費について伺うのですけれども国土庁災害対策総合推進調整費として五十五年度予算で一億八千万が計上されておるわけですね。この予算は、「災害対策の総合的な推進を図るための各省各庁の所管する災害対策関連施策総合調整」、こういうふうに説明されておるわけでありますけれども、具体的には、どのように執行されるのですか。それから、この予算の執行をすることによって、先ほど来指摘をしております各省庁施策調整をされ、しかも円滑に推進をされるのかどうか。この調整費効果についてもあわせて答弁を願います。
  15. 柴田啓次

    政府委員柴田啓次君) 災害対策、非常に内容が広範多岐にわたりまして、先ほど大臣からもお答えがございましたように、総合的な推進というのは特に必要と考えるものでございます。  いまお話がございましたように、災害対策総合推進調整費というものがございます。これは、昭和五十三年度に初めてつくられたものでございまして、これによりまして災害対策企画立案推進、それから関係行政機関施策調整機能充実強化ということをねらっていっているわけでございます。  昭和五十四年度において、その調整費によってやりました仕事としては、たとえば、震災が起きたときにおいて応急物資をどうやって確保をするかというような問題、それから地震災害の予測のための地盤種判定等調査、こういうように幾つもの調査をやったわけでございます。それぞれ省庁間にまたがりますものを、この災害対策総合推進調整費によりまして各省庁にも配分をし、御協力をいただきながらやったわけでございます。  いまお話がございましたように、五十五年度予算額は一億八千万でございますが、これにつきましても、震災対策その他の災害対策についての各種調査、それに基づく諸計画企画立案、それから各省庁の行う災害対策調整等、こういうものに重点的に配分したいと考えているところでございます。これによりまして、各省庁間でどのような実際の総合調整がとれたかということでございますけれども、たとえば、昨年の十一月の十六日に行いました大規模地震を想定いたしました総合的な防災訓練というようなのも、この予算相当に使いまして各省庁間の調整をとっております。そのほか、いろいろな部面においてかなり効果上げているのでないか、さよう考えているわけでございます。
  16. 村沢牧

    村沢牧君 この予算は各省庁間の計画樹立あるいはまた調整、それにとどまることなくて、後ほど指摘をいたしますけれども、大規模地震によるところの強化地域計画策定、これらについてもこういう予算を使って国として補助をし、促進を図っていく、そういうことはできないんですか。
  17. 柴田啓次

    政府委員柴田啓次君) この予算は、いまのところ、いわば調査調整費という性格のものでございますので、金額的にも一億八千万という額でございますから、調査調整という、調査あるいはその調査調整という点では、大規模震災対策につきましても、たとえば、建築設備あるいは病院設備耐震度調査を、これは建設省、厚生省にまたがるものでございますが、そういうものをやっていくとか、あるいは震災時において応急物資を確保するためのシステムとして、それぞれ食糧なり医薬品なり、いろいろなものがあるわけですが、その所管が各省にまたがっているのをこの調査でやっていくとか、そういう調査はできるわけでございます。ただ、お尋ねの趣旨が、事業調整というか、そういうところまでお考えということになりますれば、この調査調整費の枠をちょっと超える問題でないか、さよう考えるわけであります。     —————————————
  18. 青木薪次

    委員長青木薪次君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、坂野重信君が委員辞任され、その補欠として山崎竜男君が選任されました。     —————————————
  19. 村沢牧

    村沢牧君 各省庁間の調整も必要ですけれども、たとえば、大規模地震法に基づく強化計画策定あるいは応急計画策定、これらについて国土庁として財政的な援助というものはないんですか。
  20. 柴田啓次

    政府委員柴田啓次君) 強化計画並びに応急計画は、それぞれの作成主体が自分の責任を持って作成すべきものでないかというふうに考えるものでございます。したがって、強化計画なり、応急計画作成費を補助するというのはどうか、そういうふうに考えております。
  21. 村沢牧

    村沢牧君 次は、激甚災害指定基準について伺いますけれども公共土木等激甚災害指定基準やあるいは財政援助基準が、最近の災害情勢に照らして実情に適応しなくなっているんではないかという感がするわけです。また、こういう意見もあります。経済の伸びる中で地方公共団体標準税収入は大きく伸びているわけです。しかし、激甚災指定基準は、標準税収入災害復旧事業費との相対的な比較でつくられている、御承知のとおりであります。こうした結果、たとえば、激甚規定A項の場合を見ても五十四年度の場合、全国都道府県及び市町村査定見込み額合計が四千六百六十億円に達しないと該当しない。あるいはB項の場合でも、都道府県災害復旧費等が千四百億円以上にならないと該当しないという規定になっているわけです。この激甚指定基準は、御承知のとおり、三十七年に閣議決定されたものです。ずいぶん前の規定なんです。先ほど申しましたように、最近、災害復旧費伸び率標準税収入伸び率の間には大きな乖離もあるわけなんです。その結果、激甚指定基準は年々厳しさを増している。したがって、指定基準の抜本的な見直しが必要とされるんではないかというふうに考えますけれども国土庁はどういう見解を持っていますか。
  22. 柴田啓次

    政府委員柴田啓次君) ただいま御質問の中にもございましたように、激甚災害指定基準昭和三十七年に定められたものでございます。その段階から考えますというと、確かに御指摘のとおり公共団体財政規模というものも拡大をしてまいりまして、それによりまして被害額相当大きくならなければ激甚災害に該当しない、全国激甚災害に該当しないというよう事態が生じていることはあるいは御指摘のとおりかもしれません。ただ、これにつきましては四十三年に激甚災害を受けた市町村を、市町村単位で指定できる局地激甚災害指定基準というものを追加をいたしまして、これによりまして、市町村激甚災害を受けて財政的に非常な負担になるというよう事態の解消ということもできるような道を開いたわけでございます。最近、非常に施設整備が進みまして、その観点からもありまして災害によるいわゆる被害額というか、公共土木施設被害額というのが、施設整備の進んだ関係もございまして余り大きな被害がないというようなこともあって、全国激甚の適用が少ないという事態がございますけれども、私どもこの局地激甚災害等もあわせて行えば、おおむね、いま災害復興に円滑に対応し得る基準になっているんでないかと、そういうふうに考えているわけでございます。なお、実情いろいろ勘案して検討を続けてまいりたいと思います。
  23. 村沢牧

    村沢牧君 この種の規定は、やはり大きな災害が起きてこないとなかなか基準も改められないということが過去の例にもなっておるようでありますけれども、いま審議官お話がありましたように、激甚災のこの規定でもっていままで起こってきた災害、あるいは今後起こり得るであろう災害等について救済ができると、そのよう考えていいわけですか。
  24. 柴田啓次

    政府委員柴田啓次君) 公共施設について災害が起きました場合に、まず第一次的に適用されますものは公共土木施設災害復旧国庫負担法——法律の名前あるいは間違っているかもしれませんが、その法律でございます。それらの法律におきましても財政力あるいは財政規模被害額とに応じましていろいろかさ上げ措置が講じられているのでございます。そのかさ上げ措置にさらにこの激甚災害法律によるかさ上げが乗っていると、こういうことでございます。一般的には、激甚災害を適用する前のもとの法律によりましても相当かさ上げがあり、さらに局地激甚という制度がございますので、それらによりまして、地方公共団体財政負担というのはさほど深刻な問題にならないで済んでいるんでないかと、そういうふうに考えられるわけでございます。  なおまた、具体的な問題具体的なそれぞれの事情につきましては地方交付税等による措置もございますので、それらをあわせますと大きな災害に対する国庫制度としてはかなり充実されているんでないかと、そういうふうに考えております。
  25. 村沢牧

    村沢牧君 次は、災害を受けて災害復旧に関する制度として助成事業それから関連事業があるわけであります。被災地においては、再び災害を発生しないようにするために大幅な改良事業、あるいは防災事業実施災害の都度要望されておるのであります。  そこで建設省に伺いますが、これらの助成事業関連事業ですね。特に災害費改良費の割合が一対一というのがこれは原則になっているわけでありますけれども用地費の高騰などのためにこの原則を緩和すべきではないのか、そのことが一つ。  それから、災害復旧事業基礎法になっているさっきお話がありました国庫負担法ですね、これは原形復旧原則になっているわけです。したがって、改良する場合においてもこうした国庫負担法の制限があるんではないか。したがって、基礎法国庫負担法見直しが必要だろうと思いますけれども、これは建設省並び国土庁から御答弁を願いたい。
  26. 川合恒孝

    説明員川合恒孝君) お答えいたします。  先生御指摘ように、公共土木施設災害復旧事業につきましては、国庫負担法に基づきまして復旧事業をやっておるわけでございますが、復旧事業は、原則として原形復旧ということになっているわけでございます。しかし、国庫負担法の二条には、原形復旧が不可能な場合、あるいは困難な場合、不適当な場合はそれにかわるべき施設でもって復旧することを対象としておるわけでございまして、現実の問題といたしましては、木橋が非常に激甚災害を受けまして壊れた場合には、それを永久橋にするという採択を行っておりますし、従来の河積では足らないそれ以上の出水があった場合には、その出水に対応するような河道をもって復旧をしているわけでございます。そういった意味では、原則をはずれました改良的な要素を取り入れまして、再度災害が起こらないよう復旧に努めているわけでございます。  なお、先生御指摘になられました改良費を含めました災害復旧助成事業、あるいは関連事業という改良費災害費と合併をいたしまして、一定計画のもとに河道の復旧をするという制度を取り入れているわけでございます。なお、災害復旧費とそういった関連費助成費の比率は一対一というのが原則だということを査定審で決めております。しかし、現実の問題といたしまして、先生御指摘ように最近の用地の高騰その他によりまして、必ずしも災害費一に対して改良的な費用が一では済まない場合がございます。最近の五カ年の例をとってみますと、助成費と災害費の額が災害費一に対して一・五三というような最近五カ年の採択の例もございます。個々のケースにケース・バイ・ケースでそういった改良計画を立てまして、再度災害の起こらないように処置をしていきたい、今後ともそういった方針で事業の執行を進めていく所存でございます。
  27. 柴田啓次

    政府委員柴田啓次君) 先ほど大臣からも最初に御答弁ございましたように、私どもとしては、災害復旧を単なる原形復旧にとどまらず、改良復旧も含めて積極的に再度災害を防止していきたい、こういう基本的な立場に立っているわけでございます。ただいま建設省の方からもお話がございましたように、関係各省におきましても、そのよう努力を鋭意払われているわけでございまして、私どもとしてもその御方針をぜひ促進していただきたいと、そういうふうに考えているところでございます。
  28. 村沢牧

    村沢牧君 建設省に確認をしておきますが、これは一対一が原則であるけれども、その災害実情に応じて必ずしも一対一にこだわらない、そういうふうに解釈してよろしいですね。
  29. 川合恒孝

    説明員川合恒孝君) そのとおりでございます。
  30. 村沢牧

    村沢牧君 次に私は、個人災害について国土庁意見を少し聞いておきたいのですけれども、当委員会でも昭和五十一年以降個人災害対策委員会等を設けて、個人災害に対する制度等を改正しようということで取り組んでまいり、何回かにわたって改正をしてきたわけなんです。そこでこの種のものは、いままでの例を見ると、議員立法でもって改正しておるんですね。政府当局が改正しようという姿勢が出てこない。  それで国土庁に聞きますけれども、個人災害の救済行政に関する国土庁としての認識はどういうふうに持っておられるのか。あるいは現行の個人災害施策を、どういうふうに把握してそれらを拡充強化していこうとされるのか。それから三つ目には、個人災害の救済施策は各省庁にこれまたまたがっているわけでありますけれども、それらの調整について、国土庁の指導方針はどうか。以上三点について国土庁見解を求めます。
  31. 園田清充

    国務大臣園田清充君) 御指摘がございました個人災害、まことに天災によって災害を受けられるということは非常にお気の毒だと考えております。  そこで、御承知のとおり、災害弔慰金という形で一応二百万だけ弔慰金を差し上げます。それから災害営農資金の貸し付けだとか、あるいは災害復旧住宅の融資だとか、あるいは農業、中小企業の融資等が制度化されておるわけでございますけれども個人災害対策につきましては、従来から災害実情等により、その改善に努めてきたところではございますけれども、さらに、社会、経済情勢の推移に対応しつつ、かつ災害実情を踏まえて引き続きその改善に努力をしてまいりたいと思います。  また、新たな施策の創設につきましては、かつて総理府におきまして、個人災害共済制度の創設ということでいろいろ調査検討を行ったのでございますが、残念ながら実を結ぶに至りませんでした。結局、現行の災害弔慰金の支給ということに落ちついたわけでございますけれども、なお今後は、さっきも御指摘がございましたとおり、やはり地震というものを含めて考えると、かなり私どもは突っ込んだ検討を進めていかなければならないのではないかというふうに考えて、いま鋭意事務当局において検討を進めておるところでございます。
  32. 村沢牧

    村沢牧君 検討しなければならないというその気持ちのほどはわかるんですけれども、当委員会においても個人災害の小委員会も設置をいたしました。審議官国土庁としては、現行の個人災害規定の中でどういうところが足らないのか、どういうふうに改正をしたらいいのか、政府が出すとしたらどういうふうに考えますか。
  33. 柴田啓次

    政府委員柴田啓次君) 大変むずかしい御質問でございます。  個人災害に対する制度といたしましては、一般的な個人災害、あるいは農業、中小企業等の産業における、いわば個人のなりわいといいますか、仕事についての個人災害、それから共済保険制度、あるいは個人災害に伴いますところの税の減免、こういうようないろいろな分野があると思うのでございます。それらにつきまして、本委員会の小委員会におきましても、五十一年以来いろいろな角度から御検討いただいて、私どもとしてもありがたく思っている次第でございます。個人災害一般として何が一番問題かということになりますというと、やっぱり一般の個人災害の問題が一番の問題でないかというふうに思うんでございます。ただ、この問題は非常にむずかしい問題でございまして、先ほど大臣からお答えもございましたように、個人災害の共済制度という形でこの問題を解決できないかということを、四十五年、四十六年におきまして、総理府が中心になりまして鋭意検討をしたけれども、なかなかこれは共済制度と言っても、強制加入ということが果たしてできるかとか、災害を受けそうな人だけが入って保険として成立しないんでないか、こういうふうないろいろな問題があったようでございます。外国におきましては、水害の保険というような仕組みも考えられているようでございますが、これについてもなかなか問題があるようでございます。ただ、偶然の不運に遭って、そのためにその個人だけが被害を受けて、運が悪かったから仕方がないというよう考え方というのは、だんだん福祉国家の時代にはふさわしくないというふうに考えるのでございます。  したがって、もっと真剣にこの問題は政府としても検討しなければならないというふうには考えておりますけれども、諸先生方もこの小委員会でいろいろ御検討いただいて先刻御承知のとおり、いろいろ複雑な問題が介在をいたしまして、個々人の偶発的な損失というものを、いわば結果責任の問題として国がそれを、個々人の問題をカバーしていくことができるかどうかというような基本問題にもかかわりますもので、なお勉強させていただきたいというふうに考えます。
  34. 村沢牧

    村沢牧君 長官審議官も、大変むずかしいということを連発しているんですけれども、皆さんじゃむずかしくってどうも手がつけられないから、じゃ、議会の方で、私どもの方の小委員会でひとつやってくださいということなんですが、それはやりますよ、やりますけれどもね、そういうむずかしい問題はひとつ国会の小委員会に任したと——任したとは言っていませんけれども、やってくださいということじゃ、皆さん方は何をやっているんだかわからない、これ。やっぱり皆さん方も何が問題であるのかということを、そんな抽象的な言い方じゃなくて、もっと具体的にやっぱり検討すべきだと思うんですね。  そこで、いま審議官の方から、外国においては水害保険制度調査研究もしているというようなことですが、建設省も、アメリカの水害保険制度についていろいろと調査研究をしておるようですが、その作業の状況はどうですか、お答えになれますか。
  35. 安仁屋政彦

    説明員安仁屋政彦君) アメリカにおきます水害保険制度につきましては、実は私ども建設省河川局におきまして、昭和五十二年度それから五十三年度にわたりまして、水害保険制度の成立の可能性について調査研究をするために、水害保険制度研究会というのを設置したわけでございますが、その研究会における調査研究の一環としまして、アメリカの水害保険制度につきましても調査研究しております。  簡単に申し上げますと、アメリカ合衆国におきましては一九六八年に連邦洪水保険法というものが制定されまして、洪水被害を軽減するための土地利用の規制と洪水による被害者の救済のための保険制度とが、一体として行われているということになっております。当初は、連邦と民間の保険会社との共同事業ということで出発したようでございますが、必要経費の九割を連邦が負担するというようなこともございまして、一九七八年以降は連邦の直轄事業として経営しているというような情報が入っております。
  36. 村沢牧

    村沢牧君 建設省もそのよう研究を進めているようでありますから、ひとつさらにそうした研究促進をするように、この際は要望をしておきます。  国土庁の方も重ねて要望しておきますが、ひとつ国土庁は窓口ですから、ほかの省庁にまたがることがあったとするならば、皆さんも検討をして、個人災害についてもう少し突っ込んだ研究なり調査をぜひしてもらいたいと思うんです。  次は、地震対策について質問してまいりますけれども——行政管理庁いますね。行政管理庁は、先般都市防災についての調査結果をまとめたということが報道されておるわけでありますが、特に地震との関係で、現在の防災計画をどのように評価して関係省庁に改善を求めているのか、あるいはその結果、各省庁はどのように対応しておられますか。
  37. 田中一昭

    説明員(田中一昭君) 私ども都市防災に関する調査をしたわけでございますが、防災対策地域防災計画だけではございませんで、かなり広範に調査しております。  まず、その調査の結果は大きく五つになりますが、その一つ地域防災計画がございます。内容が必ずしも十分でないものがあるとか、あるいは地震について言いますと被害想定を行っていないものがあるなど、今後検討を要するものが認められるということが一つでございます。  それから二つ目でございますが、都市におきます危険要因の集積の状況と防災対策、こういうことについてマクロ的に見たわけでございますけれども、危険要因といいますのは、軟弱地盤などの自然的なものとか、そのほかに人為的なビルあるいは木造等の建物、あるいはガスとか石油等の危険物等がこれが危険要因と言っているわけでございますが、これら危険要因の集積状況というのは都市によって異なっておりまして、その集積タイプの差異によりましてまた災害のタイプが異なってくる、こういうことで、防災対策は集積タイプや地域の構造の特性に対応したものとしていくことが重要ではないか。  そのほかいろいろ言っていますが、三つ目としましては危険要因に対応した防災対策の指針として三つ挙げております。一つは危険要因の内部化の問題、二つ目は防災拡大の遮断方策の確立の問題三つ目は危険要因の総量規制といいますか、密度限界を設けたらどうかというアイデアでございますけれども、そういうことを言っております。  それから第四の問題としまして、これは私ども調査によりますと、住民が災害時に一番知りたいとしております情報は家族の安否情報でございますが、この充足いかんが応急対策に非常に影響を及ぼすんではないか、こう考えられますので、これに対する対応が大きな課題になるのではないか。  それから五つ目でございますが、地域防災活動が活発化するようなそういう条件の整備が必要である。以上五つぐらいを言っておるわけでございます。  そこで、関係省庁に対しましては勧告ではございませんで、業務の参考としていただくべく通知しております。本年一月五日付で通知しております。それから各省に対しては、したがいましていま申し上げように勧告ではございませんので、いついつまでにどうしてくださいというわけではございませんけれども、先ほどからお話しございますように、都市の防災といいますのは個々の対策も非常に重要でございますけれども、非常に総合性が重要でありまして、この点が課題となっておるわけでございますが、この課題に対処しますためにいろいろな接近の仕方、あるいは考え方が提起をされまして、活発な論議が必要であろうかと思うわけでございますけれども、私どもの今回の調査もいわばそのためのものでございまして、先ほど申し上げました危険要因の内部化の問題とか、あるいは密度限界を設定するとか、家族の安否情報への対応とか、そういう施策の総合化のための検討の視点を、各省に対して提示したという性質のものでございまして、関係各省でいろいろ施策の検討の際に示唆を与えることになればありがたいと、こういうふうに考えておる次第でございます。
  38. 村沢牧

    村沢牧君 国土庁災害対策の窓口であり、各省庁調整機関でもあるわけです。いま行政管理庁の方から、行政管理庁が調査をしたこと、その結果に基づいて各省庁に通知をされたということなんですけれども国土庁はいままでの災害対策を進めてきた中で、行政管理庁の通知なんかを見て、これからの防災対策をどういうふうにしなければならないか、あるいはどういう調整を保っていかなければならないか、そういうことについてどのように感じているんですか。
  39. 柴田啓次

    政府委員柴田啓次君) 防災に関する施策につきましては、先ほども行政管理庁の方からお話もございましたように、いろんな角度から見ていただく必要があると思うんでございます。その点では、私どもよう防災を専門にしておりますと、とかくある固定観念にとらわれがちでございますが、全く新しい角度から非常にユニークな示唆に富む御指摘というか御報告であったというふうに考えるわけでございます。特に私どもとしては、大都市震災対策要綱という形の中でいろいろ都市防災についての対策をやっているわけでございますが、御指摘にございましたように、だんだんと大都市におきましては、従来に増して危険要因というものが非常にふえているということ、あるいはその密度限界というものを設定をしなければ、一たん災害が起きた場合に非常に困るというような御指摘は、それぞれありがたく御示唆いただいたところでございます。私どもとしては、この御示唆も参考にしながら今後地域防災計画、これは消防庁が御指導していただいているわけでございますけれども地域防災計画策定等に当たって、いろいろと大都市防災対策推進上適切な措置がとられるように進めてまいりたい、かよう考えておるわけでございます。
  40. 村沢牧

    村沢牧君 気象庁に伺いますが、地震予知体制整備についてはかねてから強く指摘をされていたところであります。そこで、大規模地震法が制定されてからどのよう予知体制整備をされ、さらにまた本年度予算にもそれらの費用が計上されておると思うんですけれども、本年度予算でどういうふうに整備をされていこうとするのか、それから、こうしたことによって予知に必要な体制は整ったと、こういうふうに言えますか、気象庁見解をお伺いします。
  41. 渡辺偉夫

    説明員(渡辺偉夫君) 最初に、先生のおっしゃいましたいままで大震法以後にどういう観測体制があったかということを最初に申し上げます。  気象庁は、東海地域及びその周辺に対する観測体制としまして、地殻岩石のひずみの変化を観測するという、これは非常に前兆現象をつかむ測器として非常に適切であるという学問的な評価を受けていますが、この埋め込み式体積ひずみ計、それから、地震が起こる場所そのものに地震計を設置しようという海底の地震観測常時監視システムでございます。それと従来、かなり地震計が古くなりましたので、その更新を行う。さらに、それらの地震計を判定会の開催される気象庁まですべてテレメーターする。それから検潮儀のテレメーター化、これは海面の変動がありますとそれが前兆としてあらわれますので、そのテレメーター化など、それらの整備を行ってまいりました。これは気象庁独自でございますが、そのほかに関係省庁及び大学のいろいろな機械がございます。名古屋大学、東京大学の機械、地震計とか傾斜計とか、それから伸縮計がございます。それから科学技術庁の国立防災科学技術センター、通産省の工業技術院の地質調査所、国土地理院の検潮儀、そういうものの、地震計とか地震の観測あるいは地殻変動とか、それから地下水、その中にラドンとか井戸水の変化がございます。それから、先ほど申しましたさらに潮位の変化というのは、すべてこれを必要な観測について気象庁へテレメーターしまして、それを常時監視体制の強化を図っておるわけであります。さらに、これらのデータを使いましてそれをどう評価するか、判定するかということで、現在、学問あるいは研究地震学者としては最高水準にありますところの地震学者六人によりまして、地震防災対策強化地域判定会というのを発足させまして、大規模地震の発生のおそれがある場合には、その判定を気象庁長官がその判定結果をいただいて、それによって地震予知情報を作成するということになっております。  本年度——五十五年度でございますが、さらに先ほど申しました非常に前兆をつかむに適切であると言われております埋め込み式体積ひずみ計の増設を考えております。それから、地滋気の変化も前兆としてはございますので、この研究観測ということも考えております。それから、これは地震独自でございませんが、気象関係と一緒にデータをテレメーターする。それを集めて、処理をするというもっと効率的な方法によるところのデータ処理の方法の強化を図っておるわけでございます。さらに、私たちの方でも研究所がございますので、地震予知の技術というのはまだいろいろと今後研究すべき点がございますので、その研究をさらに推進するということで、五十五年度にはその研究を、私たちの気象研究所で行うということにしております。このようにしまして、五十五年度まである程度整備されたわけでございますが、私たちの方はこの段階で判定会の一応の判定結果をいただけるということでありますが、もちろんこれは現在地震予知技術というのは非常に進歩あるいは発展、まだまだこれから研究開発すべき点が多うございます。そういうことを踏まえまして、私たちが必要な場合には、その判定会の先生の御意向を受けまして、必要な観測体制あるいはその技術というものを今後も取り入れていきたいと、私たちはそう思っております。以上でございます。
  42. 村沢牧

    村沢牧君 それでいま地震計を増強したという答弁があったわけでありますが、地震計が、あるいは海底ケーブルがときどき故障をするということが私どもの耳に入ってくるんですが、そういういままで例はなかったかどうか。あるいは、その心配はないのかどうか。どうですか。
  43. 渡辺偉夫

    説明員(渡辺偉夫君) 私たちの方で常時監視体制をかなり強化を図っておりますので、たとえば海底地震計につきましては、ほとんど故障なく非常に連続してデータをわれわれがテレメーターされておりますし、それから判定会の招集の基準となっておりますところの地震計及び体積ひずみ計でございますが、これについても、東海地域を中心としては従来、途中の欠測その他、そういう形での欠測は私たちの方ではほとんどなく、連続してわれわれのデータは記録し、また取得しておりますし、そのことについては毎月の報告の中にも判定会の先生にも報告してございます。以上でございます。
  44. 村沢牧

    村沢牧君 故障がないということなら結構なことなんですが、そういうことがわれわれのところへも聞こえてくるんですから、そんなことないように今後とも充実をしていただくことを要請しておきます。  それで、いまお話のあったよう体制づくりによって東海地震に関する限りは、災害をもたらすよう地震は直前に大体予知ができる、そういうところまで到達したわけなんですか。
  45. 渡辺偉夫

    説明員(渡辺偉夫君) 強化地域にされておりますところの東海地域については、地震の規模で言いますとマグニチュードが八クラスでございます。八クラスのものになりますとかなり広範囲に前ぶれ、前兆現象あるいは先行現象といいますか、それがございます。ですから、先行現象を、前ぶれの現象をつかみさえすれば、私たちの方ではその前ぶれが大規模地震が発生するおそれがあるかどうかという判定を下せるわけでありますので、そういう意味での体制を現在しいておるわけであります。ですから、先ほど申しました前ぶれ現象をつかむための二十四時間の常時監視をしいている限り、大規模地震については予知の可能性は十分にあると私たちは思っております。
  46. 村沢牧

    村沢牧君 さてそこで、大規模地震法ができて、その後地震防災対策強化地域が六県百七十市町村が指定をされた、そして昨年の九月には中央防災会議はこの強化地域地震防災基本計画を決定したわけなんです。これに引き続く作業として地震防災強化計画あるいは応急計画があるわけですね。そこで、当初政府は五十四年の十二月までには強化計画策定をする、こういうことを、この当委員会の論議の中でもそういう趣旨の答弁があったわけでありますけれども、各機関だとか各県の、あるいは各市町村の現時点における強化計画策定状況はどうなんですか。
  47. 柴田啓次

    政府委員柴田啓次君) ただいまお話がございましたように、昨年八月七日に強化地域を指定をいたしました。九月三日に中央防災会議において地震防災基本計画というのを作成したわけでございます。それに基づきまして指定行政機関、指定公共機関がそれぞれ強化計画策定することになったわけでございますが、昨年末から本年二月ごろまでにかけて、ほとんど全部がその計画の作成を完了いたしました。また、地方公共団体でございますが、関係六県はすべて、これは原案を含むわけでございますが、原案を含むもので、原案をまだ内閣総理大臣との協議を了していないものもございますけれども、原案を含めますれば、六県は全部強化計画を作成を終わりまして、また関係市町村の大体六割が強化計画を作成をしている状況でございます。それから、事業所等におきまして応急計画をつくることになっているんでございますが、これは昨年度末におきまして、作成義務者の約半数が応急計画を作成している状況でございます。  お話がございましたように、大規模地震対策特別措置法におきましては、基本計画をつくってから——強化地域の指定があってから六カ月以内にこの計画の作成をすべて了するという点から申しますと、若干時間的におくれが生じておりまして、その点はまことに申しわけないと思っておるのでございますが、何分にも初めての試みでもございますので、関係機関等においていろいろな調整に時間を要して、現在こういうような状況にあるわけでございます。ただ、相当進んでおりまして、むしろこの計画の作成状況としては決して落第点ではないんじゃないかというふうに考えております。
  48. 村沢牧

    村沢牧君 しかし、いずれにしても関係市町村の六〇%が計画ができたという段階、さらにまた県の段階においても、それは何というか、基本的なものはあるにしてもまだ完全なものになっていない県が幾つかあると思うんですね。いま審議官はかなり進んだというよう答弁があったんですが、決して私はそんなふうに思っていない。地震はいつ起こるかわからない。だから、この強化計画策定だっておくれておると思うんですよ。そのおくれている理由は何か。私は国土庁計画地域の自治体側にはギャップがある。つまり地域はこういう要求をその事業内容において、あるいは財政面で政府が全部認めないので計画も立てられない。しかもまたせっかく立った計画も、各省庁がばらばらなことを対応していますからこれを手直しをしなければならない、こういうことがずっとあるわけですね。その辺についてはどういうふうに考えますか。
  49. 柴田啓次

    政府委員柴田啓次君) 強化計画というのはいろんな部面がございまして、警戒宣言が出た場合の情報の連絡その他警戒体制、そういったような応急対策に関する面、そういうものも相当なウエートを占めているわけでございます。いまお話がございました施設整備に関する部分も強化計画の一部ではございますけれども、決してそれが全部ではないんでございます。それからまた、その強化計画において施設整備計画を定めます場合にも、いろいろな定め方があるわけでございまして、いまお話がございましたよう各省の対応が悪い、あるいは事業を認めない、そのために計画の作成がおくれると、こういうことはないと考えております。むしろ計画の作成が時間がかかっておりますのは、何分にも警戒宣言という全く新しいことに対応するために、どのようなことをしたらいいかということの検討に時間を要しているのではないかというふうに考えるのでございます。  なお、基本計画とそごを来しているというか、基本計画との間にギャップがあるという御指摘があったんでございますが、基本計画はあくまでも基本を決めるものでございまして、それぞれ関係地域実情に応じましてその基本計画を補完をするといいますか、基本計画の内容をさらに細かくしていくというようなかっこうで強化計画を決めていくわけでございまして、基本計画に決まっていることが非常にぐあいが悪いんで強化計画がつくりにくいと、こういうよう事態は生じていないと、そういうふうに考えているわけでございます。
  50. 村沢牧

    村沢牧君 強化計画は地方自治体だけでなくて、中央の各省庁も関連をしているわけですね。各省庁が、この強化計画が出そろったのはいつなんですか。
  51. 柴田啓次

    政府委員柴田啓次君) 先ほどもお答え申し上げましたとおり、昨年末から本年の二月ころまでにほとんど全部出そろいました。ただ、ごく一部の省庁がまだ作成を了しておりません。
  52. 村沢牧

    村沢牧君 そこで、各省庁強化計画がそのまままた地方に流されるわけですね。ですから各省庁、皆さん政府自体がばらばらなことをやって、あるいは計画を立てるのがおそかったならば、迷惑するのは地方なんですよ。ですから、そういうために地方が立てられない場合がある。立ったものが手直しをしなければならないものがある。こういうことが事実あるんですよ。あったんですね。そのことについてはどういうふうに考えますか。
  53. 柴田啓次

    政府委員柴田啓次君) 確かに各省庁間の強化計画において調整に時間を要したものがございます。それから村沢先生御指摘のとおり、それぞれの省庁強化計画を見なければ、なかなか地方公共団体強化計画がつくりにくいと、こういう事情もあったことも十分に私どもとして認識しているわけでございます。その点で、各省庁強化計画の出そろいがおそかったということが地方公共団体に御迷惑をかけたんでないかという点は私ども思ってはおりますけれども、それにしても、全体としてはそれほどのおくれは来してないというふうに考えております。
  54. 村沢牧

    村沢牧君 そこで、この強化計画策定をするこの事業費等については、政府はそれほど査定もしておらないというふうなお話があったんですが、たとえば東海地震対策強化地域強化計画をつくるに必要な事業費として当初出したのが、九千四百十三億という大きな金が出されているんですよ。その後、国土庁、その他各省庁折衝した結果、これが五千五百十七億ですか、こういう形になったわけですね。たとえば長野県の場合なんかを見ても、当初は八百億くらいな事業費を必要とするという計画出したんですけれども、最終的には五百二十四億余円のものになったということなんですね。これは皆さんは、こういう施設を地方でつくりたいと思っても、査定をするんですか、どういうことなんですか、これは。
  55. 柴田啓次

    政府委員柴田啓次君) いまお話がございましたように、昨年末までの段階地方公共団体から要望がございました地震防災対策のために必要な施設整備に要する事業費として出てきておりましたものは九千億余りでございまして、ただし、その九千億の要望は、それぞれの具体的な土地に即して算定をしたものでなくって、やや粗っぽい勘定で計算したようなものもあったようでございます。その点で、私どもとしては決してこれは事業費を抑え込むという観点でなくって、非常に具体に即した、実行できるといいますか、その実行できるということはお金の面だけでなくって、いろいろ住民との対応あるいは都市計画との整合、そういうような実行できるという観点から、各省庁と県との間で調整をしていただいたわけでございます。  いまお話がありました五千五百億という事業費、東海六県全部で五千五百億という事業費は、これは関係省庁においてオーソライズしたものではございませんけれども、それだけの事業費をいまの段階で必ずやるという約束をしたものではございませんけれども、各省庁とそれぞれの具体の事案に即しまして、必要か必要でないかというような議論をいたしまして算定をした事業量なんでございます。なお、その五千五百億という事業費も、従来のそれらに相当する事業というのは一年平均大体五百五十億程度でございまして、それを五年間に置き直しますと約二千七百億になる。今後五年間で、従来のベースでやれば二千七百億の仕事を五千五百億というふうに大体倍増してやっていく。ですから、今後十年間にやりたいというような仕事を、いままでのベースだったら十年でこなす仕事を五年でやると、そういうよう計画の数字がその五千五百億という数字なんでございます。  重ねて申し上げますけれども、これは決して各省庁において事業議を抑え込んだというわけではなくって、具体に即して事業計画というものを各省庁と県との間で相談をして合意に——合意といいますか、一応粗ごなしをしたと、こういう数字なんでございます。
  56. 村沢牧

    村沢牧君 国土庁長官に確認をしておきますがね、いま五千五百億というこれは強化地域の中の事業計画の数字が審議官からも答弁あったわけですけれども、この数字については国土庁も各省庁に要請をして、大規模地震法に基づく計画だから、これだけはぜひ各省庁とも各県の要望に従って予算配分をするよう調整をし、要請をするかと思うんですが、五年間にやるという自信と、各省庁に要請をしていくという、その決意のほどを当然持っているというように思うんですけれども、確認をしておきたいと思います。
  57. 園田清充

    国務大臣園田清充君) いま御指摘がございましたとおり、また審議官から御答弁申し上げたとおり、私どもとしては、この五千五百億の事業費を抑え込もうという考え方はございません。いかにしてこれを確保していくかということに最善の努力をしなければならないと思っております。  内容的にもう少し分析をして申し上げますと、たとえば政令の指定事業というものについての補助率の問題あるいは政令指定事業以外に地方公共団体から病院だとかあるいは福祉施設だとか、学校だとかというものについて、その他津波対策とか山崩れとかいろいろございますけれども、そういう指定要望事業と申しますか、事業を拡大をしてほしいという要請がございます。それらの問題も含めて、補助率のかさ上げ等も含めて、原資の確保はもちろんでございますけれどもかさ上げの問題等も含めてひとつ財政当局と折衝を重ねていきたい、いく努力をいましているところでございますし、各党におきましてもそれぞれこの財政の問題については特例措置考えろということで御検討いただいておりますし、私も最終的に大蔵大臣との予算折衝段階で、この特別地域の財政についてはひとつ大蔵当局も御高配を願いたいということで合意に達しておりますので、最善の努力をさしていただきたいと、こう思っておりますので、どうぞひとつ御協力をお願い申し上げておきたいと思います。
  58. 村沢牧

    村沢牧君 いま大臣から答弁あったことは、これからさらに突っ込んで聞いてまいりますが、そこで、五千五百十七億というのは政令指定事業である。これ以外に関係団体としては病院だとか社会福祉施設、学校などの数項目を政令に指定をしてもらいたい、こういう要望が強く出されておるんですけれども、これに対してはどういう見解を持っていますか。
  59. 園田清充

    国務大臣園田清充君) いま指定事業だけだということでございましたけれども、地方自治体と協議をする段階で、五千五百十七億というのは政令指定事業に入れてほしいという事業費も含めて五千五百十七億というものが出てまいっておりますので、その点改めて御答弁申し上げておきたいと思います。  なお、その他の点につきましては審議官からお答えを申し上げます。
  60. 柴田啓次

    政府委員柴田啓次君) 現在、大規模地震対策特別措置法におきまして緊急に整備すべき事業として、政令で指定されている事業があるわけでございます。たとえば避難地、避難路、消防用施設、緊急輸送路整備等々でございます。それらのほかにも、防災上重要な建築物として病院あるいは学校、あるいは社会福祉施設あるいは津波対策、あるいは山崩れ防止あるいは水道施設、こういうものについて、地方公共団体から強く政令指定の要望があるわけでございます。この問題につきましては、先ほど大臣からお答えがございましたように、政令指定事業あるいは政令指定要望事業、これらを含めての補助率のかさ上げの要望もあわせて行われておりますので、それと同じに鋭意いま検討中でございます。
  61. 村沢牧

    村沢牧君 法律ができてからずいぶん時日も経過しているんですが、鋭意検討中だという答弁だったんですけれども、いつごろまでをめどとして結論出すのですか。
  62. 園田清充

    国務大臣園田清充君) 私どもは、各党が御了解いただけるならば今国会でひとつ成立をさせていただきたいと、こう願っておるわけでございます。
  63. 村沢牧

    村沢牧君 今国会で成立させてもらいたいという長官のいまの答弁は、財政措置も含めてそういうふうなお考えを持っておられるかということですね。私は、やはりこれだけの大きな仕事をするには、政府が特別な財政制度を確立しなければならないというように思うんです。長官からも先ほど、五十五年度予算折衝の際、大蔵大臣との約束が交わされているというような趣旨の答弁があったわけでありますけれども、そこで財政特別措置として、一つは、学校だとか病院、社会福祉施設等を含めて、地震対策事業に対する国の補助率を引き上げてもらいたい。こういう要望が出されているわけですね。現行制度でも国の補助率が三分の二になっているものもあるわけですけれども、その他の事業についても原則としてこれを三分の二以上にしてもらいたい。  二つ目には、この地方の負担ですね。これについては地方債を充当し、その元利償還費の一定割合を地方交付税でひとつ措置をしてもらいたい。  このような要望が出されているわけでありますが、この補助率の引き上げ、それから地方負担、これらについての財政特別措置、これについてはこれまた今国会でできれば成立をさしたい。そういう気持ちを持っておられますか。と同時に、そういう用意のもとにいま準備を進めておられますか。
  64. 園田清充

    国務大臣園田清充君) いま村沢先生御指摘のとおりのような趣旨を踏まえて、私どもは実は各党間の了解を得つつ財政当局とも強力に折衝をして、何とかひとつこの国会で成立を図りたいということで、御指摘ような補助率のかさ上げの問題、財源の確保の問題については、私はさほど大蔵当局が難色を示す向きはないが、問題は、各省庁がやはり他の地域との事業関係とかいろいろなことで、内部調整を若干やらなきゃならない点がかさ上げをする場合にもございます。だからそのかさ上げをしたいということで、前提として各省庁折衝をいま八分五厘ぐらいまで煮詰めたというところでございますので、最終の私ども馬力をかけて努力をいたしておりますから、御趣旨には沿うようなことで、ひとつ各党の了解を得て今国会で成立するような、最後の最後までひとつ食い下がって努力をいたしますので、よろしくお願いいたします。
  65. 村沢牧

    村沢牧君 各党というふうにおっしゃいますけれども、日本社会党はもちろん賛成でありますから、与党も賛成であるというように思うんですが、要は、政府の中における調整だと思うんですね。だから前向きにひとつ取り組んでください。私たちもできる限りのバックアップをいたしたいというふうに思うんです。  そこで、自治省も見えておりますね——いま各省庁との何か調整があったようお話があったんですけれども、自治省は特に地方負担の問題に関係してきますから、先ほど申し上げました大規模地震にかかわる地方負担の問題等については自治省はどのよう考えますか。
  66. 津田正

    説明員(津田正君) 地方負担の問題につきましては、自治省といたしましても国土庁を中心といたします各省との協議に入っておるわけでございます。  それで、具体的に地方債、地方交付税の措置ということが検討課題でございますが、特にもう先生十分御承知ように、交付税の問題と申しますのは、地方団体の共通の財源である交付税をどういうふうに傾斜配分するか。端的に申しますと、四国だとか北海道だとか九州の交付税というものを東海地域とかそういうようなところにどのように配分するかと、こういうような性格を持っておるわけでございます。そういう意味におきまして、このような問題というのは、緊急整備につきます国政上の位置づけと申しますか、あるいは国の財政責任、そこらの確立ということがまずあってしかるべきで、それに対応して私ども傾斜配分等の措置がとれるのではないか、かよう考えています。  ただ、基本的には私どもいままで御審議の経過にございましたように、現段階におきます地方団体の要望、あるいは考えております事業の内容を伺っておる段階での考え方でございますが、やはり政令指定の事業の拡大であるとか、あるいは補助率の拡充、改善というようなものは必要ではないか。そういうような意味で、国政上の位置づけというものをしていただきたい。このよう考えておる次第でございます。
  67. 村沢牧

    村沢牧君 自治省もぜひ、長官がああいう答弁していますから、積極的にひとつ取り組んでください。  そこで、この強化計画等をつくる場合においていろいろなこの施設に関連をしてきますが、特に大きなウエートを占めているのは建設省関係だというふうに思いますね。そこで、建設省防災施設整備だとかあるいは避難地、避難路ですね、道路整備等について、関係県の要望にこたえて数カ年間で整備をするというようなことも進めておるようでありますけれども、そこで本年度の、五十五年度予算もすでに個所づけもかなり終わっているというように思うんですけれども、これらを配慮して、建設省予算の配賦を行っておりますか。
  68. 川合恒孝

    説明員川合恒孝君) 地震関係建設省事業といたしましては、政令指定になっておる事業といたしましては、避難地、避難路、緊急輸送路の整備、これが政令指定になっておる事業でございます。これらの事業につきましては、基本計画でも定められておりますように、緊急的に五カ年間で期限を切りまして整備をするということで、建設省のつくりました強化計画にもそういった趣旨に基づきまして整備をする方針でございます。  なお、五十五年度予算につきましては、それを配慮しまして、公共事業予算の伸びは本年はほとんどございませんが、そういった事業につきましては特段の伸びをもって予算の配分をしている次第でございます。  なお、指定事業でない、先ほど先生からお話ございました津波対策あるいは山崩れの問題でございますが、これにつきましても、山崩れや何かは避難地、避難路にかかわるような緊急に整備を必要とするところを選びまして緊急に整備をするということで、これらの事業につきましても、五十五年度予算につきましては伸び率をもちまして予算の重点配分を行っている次第でございます。
  69. 村沢牧

    村沢牧君 政令指定事業あるいは指定外の事業でも、道路整備なんかについても強い要請があるわけですね。これらも含めて予算配賦を行ってもらいたいわけですけれども、本省はそういうふうにおっしゃいますけれども建設省の方のそれらの予算は、大体各県に対してこうだということで、予算が伸びが悪いから、前年に比べてこの程度だよということで均衡をとっているわけですね。そうすると、この強化県においてはそういう地震に対する施設整備をするというふうになると、どこかの方が薄くなって、いままでどおりの仕事が進んでいかないということにもなりかねないんですね。ですから、地震関係するものは従来のものに上乗せをして配賦をしていくんだと、そういう考え方でなくてはならないというふうに思いますが、そういう形でやっておるんですか。
  70. 川合恒孝

    説明員川合恒孝君) 建設省といたしましては、本来国土保全という立場から基盤の整備を進めているわけでございます。毎年、豪雨によりまして災害を受けるというために、そういった台風による災害を防ぐというような基本的な態度でございますので、それ等含めまして、今回地震の問題が出てきたわけで、強化地域に対しても強力な整備を進めなければならないということでございます。そういった全体を勘案しまして、現在、五十五年度予算につきましては、その決められた枠の中でそれぞれの地域、あるいは事業重要性を勘案しまして予算の配分をしたということでございまして、特にいま先生の御指摘いただきましたように、上乗せ値幾らということをいただいているわけではございません。現在決まりました予算の中でそういった配分を行っているということでございます。
  71. 村沢牧

    村沢牧君 私が上乗せと言ったことは、国全体の予算に上乗せするということじゃなくて、各県に通常配賦される予算に対して、地震の分だけは上乗せして配分をしなさいということなんですね。そうしなければ、各県へいって地震の方へ重点を置けば、どこかまた薄くなっちゃうわけですね。そういう配分では地震対策を考慮した配分ではないと、そういうふうに申し上げたんですけれども。ですから、その辺を御理解願いたいと思うんです。  そこで、地震が発生した場合にはいろいろな心配が出てくるわけでありますけれども、その一つとして、特に大規模地震が発生をしたら原子力発電ですね。原発はどうなるだろうと、こういう心配があるんです。地域住民の不安もあるわけですね。そこで静岡県の浜岡町の中電の浜岡原発は一号機、二号機が運転中である、これに加えて三号機の建設も計画をしているということですが、中電は震度五で自動停止をする装置をつけているということでありますけれども国土庁はこの原発の安全対策をどういうふうに考えているのか、まず国土庁から意見を聞きましょう。
  72. 柴田啓次

    政府委員柴田啓次君) 強化地域の中にございます原子力発電所は中部電力の浜岡原子力発電所でございます。これにつきましては、いまお話もございましたように、いわゆる地震スクラム装置というものが置かれておりまして、大地震が起きました場合には直ちに原子炉が自動的に停止する設計がされているのでございます。また、その原発の敷地の基盤における強度といいますのは、相当に安全余裕を見込んでおりまして、相当地震動があっても大丈夫なような耐震設計はされているのでございます。ただそれにいたしましても、原子力発電所におきまして災害等が生じますれば、それは非常に懸念のされる事態が予想されるわけでございます。その点で静岡県の地域防災計画におきまして、警戒宣言が出たときにこの原子力発電所をどうするというのがいろいろ議論になったようでございます。これにつきましては、電力の供給ということも一面において非常に大事なことでございます。警戒宣言が出ました場合に電力の供給を確保するということも非常に大事でございまして、何分にも暗いというと人間は非常に不安に駆られるわけでございまして、地域の電力が不足するという事態になりますれば大変でございます。そういう電力の供給に支障のない限り警戒宣言が出た段階で停止をする、こういうよう地域防災計画の方では定められたようでございます。それらの地域防災計画に従いまして、それぞれ適切な措置がとられることになると思います。
  73. 村沢牧

    村沢牧君 この原子力発電所と関係を持っているのは通産省ですね。通産省は大規模地震と原子力発電所の関係はどのよう考えておるんですか、これからさらに建設しようとするところもあるのですけれども、これらに対して、本当に安全性が確認されるまでは、私はこの計画は中止をさせるべきだと思いますが、どうですか。
  74. 逢坂国一

    説明員(逢坂国一君) 浜岡原子力発電所ばかりではございませんが、原子力発電所につきましては、原子炉等規制法と電気事業法によりましてその安全を、万全を期すべく種々な規制をやっておるところでございます。安全性考えます場合に、非常な大きな問題としまして耐震ということが重要でございます。私どもはその安全の審査、設計——基本設計の段階からあるいは詳細設計、工事あるいは運転に至ります一連の規制の中で厳しく監督しておるところでございます。  ところで、大規模地震と原子炉の安全性ということに対してでございますが、現在、原子力発電所で考えております設計は、まず地質、地盤につきまして詳細な調査をいたしまして、岩盤に直接設置するという考え方でしております。それから立地地点におきます想定されます最強の地震、これを考えまして放射線障害を及ぼすことのないようにということで、地震に対しての耐震設計を行う、この場合の具体的なやり方としては、いろいろな重要施設ごとにクラス分けをいたしまして、それに応じて一般の建物よりは厳しい設計をするという考え方でやっております。  具体的にもうちょっと詳しく申しますと、建築基準法でいろいろ規定をしておりますもの、これは静的解析と言っておりますが、そういうもので三倍の、ある重要なものは三倍というよう考え方。それから、動的解析というのを行いまして、これは、これまで起こりました歴史的な地震の中で想定したその地盤で設定されますそういうガル数を決めまして、そうしてそれの解析を行うということで、そのどちらかで、どちらにももつようにというような解析をするわけでございます。それに加えまして動的解析の中ではASクラスと言っておりますが、機能上非常に重要な格納施設その他につきましては、動的解析でAクラスで考えましたものの五〇%増しで、その機能が損なわれないかということをチェックするわけでございます。このようにしますので、非常に詳細な安全審査をやるわけでございます。こういうものを通しまして合格しましたものは、建設については支障ないというふうに思っておるわけでございます。  なお、浜岡の三号炉でございますが、これは一昨年の十月に電源開発調整審議会で国の電源の基本計画の中に組み入れられておりまして、その後十二月に設置許可の申請がされ、現在、安全審査について慎重に検討しているところでございます。
  75. 村沢牧

    村沢牧君 原子力発電所については、現在の稼働している発電所、それから新しく三号機を審査しているようでありますけれども、通産省としては地震に対してもう絶対大丈夫だ、心配ないとはっきり言い切れますか。
  76. 逢坂国一

    説明員(逢坂国一君) そのようにはっきり言い切れると思います。
  77. 村沢牧

    村沢牧君 そこで、警戒宣言が出されてやっぱり心配になる一つとして、走行中の自動車があるんですね。このことは警察庁の調査でもいろいろと問題点も出ておるわけですけれども、警察庁はこの交通機関、特に自動車なんかに対してはどういう措置を指導していますか。
  78. 広谷干城

    説明員(広谷干城君) 警戒宣言が発令をされるという異常な状況になりました場合に、現在の大量交通時代におきましては、この処理は御指摘のとおり大変な問題になってくるわけでございます。そこでわれわれは、この走行中の車両の混乱を防止する、あるいは事後の緊急物資の輸送あるいは避難誘導というものが適切に行われるために、おおむね次のような基本で交通対策実施してまいることとしております。  その一つは、強化地域内における自動車の走行を抑制して、警戒宣言以後自動車の走行を少なくするということが基本の一つでございます。  それから、強化地域内に外から入ってくる車をなくする。こういうのが基本の第二でございます。  その大きな二つの柱を重点といたしまして、交通規制なりあるいは指導をしていくというふうに考えております。ただ、警戒宣言が発せられましたときに、限られた警察力で全部の道路について強力な交通規制をかけていくというふうなことはなかなかむずかしい問題でございますので、発令時におきます道路上の車が、秩序立って動くということのためには、やはり、ドライバーの方々の協力というものが絶対に必要でございます。したがいまして先般、警察庁あるいは国家公安委員会防災業務計画で、警戒宣言発令時における運転者のとるべき措置といたしまして、警戒宣言が発令をされたら、まず低速運転に移っていただくということ。それから以後、情報をよく聞いて行動をしていただくということ。それから避難のためには、絶対に車両を使用しないというふうな運転者のとるべき措置を定めたわけでございますけれども、これらの措置につきまして、警察庁といたしましては一般のドライバーに十分徹底するように、あらゆる機会を通じまして指導あるいは広報をいたしてまいりたいと、かよう考えておる次第でございます。
  79. 村沢牧

    村沢牧君 時間が来ましたからやめます。
  80. 青木薪次

    委員長青木薪次君) 速記とめてください。    〔午後二時四十五分速記中止〕    〔午後三時一分速記開始〕
  81. 青木薪次

    委員長青木薪次君) 速記を起こして。  それでは質疑を続行します。
  82. 原田立

    ○原田立君 五十五年度における防災関係予算の概要の説明の中で、長官はいろいろと言っておられますが、五十五年度予算二兆三十二億円、五十四年度は一兆八千八百五億円、まあ伸びとして一〇六・五%でありますが、これを一体どのように受けとめておられるのか。全予算の伸びは一〇・三%でありましたから、そういう面でいくと伸びが少ないんじゃないのか。あるいはまた、今後予算面でますます厳しい状況が予想されるわけでありますが、財政難の中にあって十分の対応ができるのかどうか、長官の基本姿勢についてまずお伺いします。
  83. 園田清充

    国務大臣園田清充君) 御指摘のとおり、昭和五十五年度防災関係予算額は二兆三十二億円でございまして、前年度に比べて一千二百二十七億円の七%の増にとどまっておるのでございます。中でも、国土保全事業防災施設等の整備に係る予算額は前年度並みにとどまっておりまして、防災に関する科学技術研究各種調査等の予算額は一〇%を超える伸びを示しておるのでございます。厳しい財政状況ではございますが、特に重要と思われる施策については、必要な予算額を一応は確保したというふうに理解をいたしておるわけでございます。
  84. 原田立

    ○原田立君 大臣、一応は確保したと言うけれども、私の指摘したことは、全予算の伸びが一〇・三%、それに対して防災関係は六・五%、ちょっと少ないんじゃないのか、これについての評価はいかがお考えかと聞いているわけです。
  85. 園田清充

    国務大臣園田清充君) いま御指摘のとおりでございまして、伸びからいたしますと確かに私ども満足はいたしておりません。ただ、災害の場合には、御承知のとおり予備費等の流用、予備費の活用というようなことも考えまして、実際災害が発生した場合には遺憾のないよう措置、態勢をとるようなことにいたしておりますので、現状では当面必要とする予算としては、一応厳しい財政下においてはやむを得なかったという受けとめ方を私はいたしておるわけでございます。
  86. 原田立

    ○原田立君 まあこれで——これだけでは足りないと言うわけにはいかないんで、苦しい答弁なんだろうと思いますけれども、私としてはこの伸びはまだまだ少ないんじゃないのかと、こう指摘しておきたい。  ところで昨年八月、静岡県等六県百七十市町村が東海地震防災対策強化地域に指定され、昨秋にはこの強化地域を対象として中央防災会議防災基本計画がまとめられ、またこの防災基本計画を基本として指定行政機関は地震防災強化計画を作成、一応今年二月に国土庁はとりまとめたと、こう言われておるのでありますが、その実態、実績はどうなっておりますか。
  87. 柴田啓次

    政府委員柴田啓次君) ただいまお話がございましたように、中央防災会議で九月六日に地震防災基本計画を作成したわけでございます。これに基づきまして関係省庁、これが指定行政機関でありますが、それから、国鉄とかあるいは電電公社とか電気会社とか、そういったような指定公共機関、これらが昨年末から本年二月ごろまでにかけましてほとんど大半が強化計画を作成しております。  それから地方公共団体、県、市町村、それぞれ強化計画を作成しなければならないのでございますが、現在の状況では関係六県すべてが、これはまだ原案の段階で内閣総理大臣との協議を了していないものもございますが、それらを含めますと関係六県のすべてが強化計画を作成しております。それから、百七十市町村のうち約六割、それが強化計画をすでに作成をしております。  それから、いろいろな事業所がございまして、それが応急計画をつくらなければならないことになっております。対象の事業所が約二万五千でございますが、二万五千の事業所のうち、三月末までに約半数がこの応急計画を作成している。これがいまの防災計画の作成状況でございます。
  88. 原田立

    ○原田立君 何かいまの審議官の話だと、もう全部まとまったようなふうに受け取ったんですけれども、私、指摘したいのは強化計画は、国の基本計画完成——すなわち昨年九月六日でありますが、その後二カ月をめどにしていたから、昨年十一月がいわゆるタイムリミットであったはずだと思うんであります。そうなると、大分おくれていることになるんでありますが、一体これはどういうようなわけでおくれたのか。  また、強化地域内の劇場、スーパー、ガソリンスタンドなどに義務づけられている応急計画の作成も強化地域指定後六カ月以内と、こうなっておりますが、これが二月の上旬がたしか期限であろうと思うんであります。応急計画の方は強化計画に従ってつくられるものだから、まあおくれるこうは予想をされるんでありますけれども、見通しとしては一体どういうふうに立ててておられるか。
  89. 柴田啓次

    政府委員柴田啓次君) 確かに先生の御指摘のとおりでございまして、大規模地震対策特別措置法におきましては、強化地域の指定があってから六カ月以内、強化地域の指定が昨年の八月七日でございますから、本年の二月六日までに応急計画というものが作成されなければならない、そういうふうに法律に書いてあるわけでございます。そうして、いま先生からお話がありましたように、応急計画というものは強化計画と矛盾し抵触しないようにつくらなければならない。したがって、応急計画をつくる前に強化計画ができてなければならない。また、各地方公共団体強化計画というのは、政府省庁強化計画と矛盾しないようにしなければなりませんから、そのよう観点で、確かに基本計画を作成いたしました九月の段階では、私どもの目標としては十一月あるいは十二月ころまでに関係省庁強化計画をそろえ、そうして地方公共団体計画をそろえ、その上で法律上の期限が定まっております事業所等の応急計画につきまして、二月六日というものを目標に応急計画をつくらせたいと、そういう目標を立てていたわけでございます。  したがいまして、いま先生がお話しになりましたように、その目標と、先ほど御説明いたしました状況との間にはかなり差があるんじゃないかと、こう言われれば、指摘はごもっともでございます。ただ、その点はまあ全世界でも初めての試みでもございまして、いろいろ関係機関との調整に時間を要するというよう関係もございまして、おくれて大変申しわけないとは思っているんでございますが、それにいたしましても現況としては、指定行政機関あるいは指定公共機関はほとんど全部すでに強化計画を作成し終わっておりますし、地方公共団体も県は全部、それから市町村が六割終わった、こういう段階でございます。  なお、事業所等の応急計画でございますが、いま御質問の中にもございましたように、大変広範な範囲の事業所がこの応急計画をつくらなければならないことになっているのでございます。対象事業所が約二万五千ございます。この中には、小さなサウナとかクラブとか、そういうようなものも含められておりますのでなかなか指導は困難なんでございますけれども、それにいたしましても、現在の段階では約半分がこの応急計画をつくり終わった、こういう状況でございます。確かに最初考えておりました目標の作成期限からはずれておりますけれども、方向としては、おくれながらもその方向に沿って強化計画なり応急計画整備というのは進んでいる、そのように私ども考えております。
  90. 原田立

    ○原田立君 おくれながらも前進していると言うけれども、これは大臣、やっぱり決めたことはちゃんと実行しなきゃいけないというのがあたりまえの話だろうと思うんですよ。一生懸命やっているけれども決めたとおりにいきませんというようなのではちょっと受けとれない。もしできないんだったらばできないと、最初からもう少し時間を長くして決めるとかいうようなことをすりゃいいんだ。それを、そんなことをそれぞれしないで、一応かっこういいことをやっておいて、それで実際はずるずる延ばすようなことというのはこれはちょっとまずいんじゃないんですか。
  91. 園田清充

    国務大臣園田清充君) まさに御指摘のとおりだと思います。  そこで、何しろ初めてのことではあるし、各省庁間でも、やってみて初めてその計画自体の厳しさというか、むずかしさというかにぶつかった点も多々あるようでございまして、過去に例のなかったことだけに戸惑いもあるようでございますが、いま御指摘のとおり、私どもも、なるたけひとつ早い期間にということで、関係市町村に累を及ぼさない、また各事業所に累を及ぼさないように速やかにということを各省庁督励をし、お願いをしながら進めているところでございますので、まことにこの点恐縮でございますけれども現状はいま審議官から御答弁申し上げたとおりでございます。
  92. 原田立

    ○原田立君 緊急に整備を要する事業はおおむね五年間で整備すると、こういうふうにしてあるわけでありますが、緊縮財政をとる今日、国並びに県、市町村の財政は果たしてそれにたえられるかどうかはなはだ疑問に思うわけでありますが、長官いかがですか。
  93. 園田清充

    国務大臣園田清充君) 前段村沢先生からも御指摘がございましたけれども、いろいろな点で事業の執行についても問題があろうと。問題があれば、当然国としてでき得るだけの助成措置を講じていかなければならない。そのためには、補助率のかさ上げその他の問題、あるいは政令の指定事業の拡大というような問題等と当然取り組んでいかなければなりませんので、そこで国の特別財政措置をも私は講ずべきであるということで、各省庁とも協議をいたしておりますし、これも大体率で言うと、私は八割五分ということを申し上げましたが、かなり内部的には調整を進めております。同時に、関係地方公共団体では、いま御指摘のとおり、それぞれの各省庁の五カ年計画あるいはそれに対応する独自の事業の遂行というようなことからして、財政上これにどう影響し、対応できるのかということも地方自治体とは十分話し合いながらいま申し上げよう努力をしておる、検討を進めておるというのが現状でございますが、しかし、願わくは、私としては今国会中にひとつ何とか、いま申し上げように、政令指定事業以外の事業の福祉施設だとかあるいは学校の整備の問題だとかという問題を含めて、政府部内の完全な意思統一を図るのが八割五分ぐらいまで参りましたから、今国会中に何とかこの財政上の問題についての特例措置を、ひとつ各党間でも御協議いただいて成立さしていただくならばということを心から願っておるわけでございます。
  94. 原田立

    ○原田立君 大規模地震対策特別措置法は、いまもちょっとお話がありましたけれども、政令で、避難路、避難地、消防用施設、緊急輸送路、通信施設、緩衝緑地の緊急整備を指定しているわけでありますが、強化地域の県、市町村では、この政令指定以外の、病院、福祉施設、学校などを緊急整備施設に含め国の補助率アップを要望しておるわけでありますが、その要望の内容等は御承知であろうと思うのでありますが、どういうふうに掌握なさっておるんですか。
  95. 柴田啓次

    政府委員柴田啓次君) ただいま御質問がございましたように、大規模地震対策特別措置法において地震防災上緊急に整備すべき事業として、避難地、避難路、消防用施設、緊急輸送路整備、あるいは緩衝緑地、通信施設等が政令で指定をされているのでございます。この政令で指定をされている事業につきましては、法律の第二十九条によりまして国がその事業費の確保について優先的に配慮をするというか、事業費の確保について責任を持つと、こういう仕組みになっているわけでございます。  地方公共団体からの要望というのは、まず第一に、この緊急に施設整備すべき事業の範囲をもう少し広げてもらいたいと。広げてもらいたい内容といたしましては、学校、病院、社会福祉施設等の防災上重要な建築物、あるいは津波対策事業あるいは山崩れ防止事業あるいは水道施設、こういうようなものについて政令で指定をして、事業量の確保を図ってまいりたい、こういう要望が出ているわけでございます。  それと、第二の要望といたしましては、政令指定事業、政令指定要望事業を含めまして、現在の補助率でもかなり高いものもございますけれども、低いものもございます。この低いものについて一部特別のかさ上げ措置を講じてもらいたい、これが第二の要望でございます。  第三の要望は、かさ上げ措置を講じてもなお地方財政負担というのは相当の額にわたるので、それについて特別の地方債というものを起こして、その元利償還を地方交付税の基準財政需要額に算入をして、よってその地方公共団体財政負担というのを軽減をしてもらいたい、こういう要望が出ているわけでございます。  私どもといたしましては、昨年末に国土庁長官と大蔵大臣との間で、予算折衝の際にいろいろ応酬がございまして、この地震対策事業についての地方公共団体の要望については、必要な事業の種類及び量、それから各種の五カ年計画、たとえば公園五カ年計画、海岸五カ年計画、そういった各種の五カ年計画との関係、地方財政に及ぼす影響、こういうものについて慎重に可及的速やかに検討して、そして結論を得次第必要な措置をとることを検討しようと、こういう約束が大蔵大臣国土庁長官との間で交わされたわけでございます。その線に沿いまして、まず必要な事業の量について関係地方公共団体関係省庁間において検討をしたわけでございます。初め、地方公共団体の側から要望が出ておりました金額というのは九千億円に上っていたわけでございます。ただ、その九千億円余という要望が出ておりましたけれども、何分にも地震防災対策というものが初めての仕事でもございます関係で、どこにどういうふうに手をつけたらいいかわからないというようなこともございまして、非常に具体性を欠くものがあったわけでございます。この具体性を欠くものについて、それぞれ関係省庁と各県との間で協議をいろいろいたしまして、その結果、現在のところ数字としてまとまっておりますのは約五千五百億円でございます。いまの政令指定事業それから政令指定に要望している事業、それらを通算して全部で五千五百億円でございます。これらの事業量については、関係省庁関係県、関係地方公共団体との間におきまして、おおむね合意といいますか、ある程度の粗ごなしはできたのでございます。  さて、次の段階として、政令指定事業を追加するかどうか、あるいは補助率のかさ上げをするかどうかということでございますけれども、この問題につきましては、現在、関係省庁間を含めまして慎重にいま検討している段階でございます。
  96. 原田立

    ○原田立君 いまの答弁で尽きるかなと思うんですが、昨年八月の概算要求の際に、強化地域の緊急施設整備に関する財政措置については、大蔵大臣との話し合いで今後検討を継続するということであったはずですね。それは一体、どういうふうにその後なったのか。いまの審議官の話だと、地方の方から要望が九千億あって、これを精査して五千五百億円にまとまったというような、そういう話なんだけれども長官が大蔵大臣との話し合いで今後検討を継続するという、そこいら辺のところはどうですか。
  97. 園田清充

    国務大臣園田清充君) いま審議官から申し上げましたとおり、第一回の地方の意見を聞いたときは、確かに九千億円程度ございました。それを実施できる可能なものから選択というようなことで、政令指定事業以外に政令指定事業の要望のあった病院、あるいは福祉施設、学校、津波、山崩れの防止とか、あるいは水道施設整備というようなことで、執行可能なものからということでお互いに協議を重ねておりましたところ、五千五百十七億というのが地方から、一応事業執行の可能な事業個所並びに金額として出てまいったわけでございます。そこで私どもは、大蔵大臣との合意事項の中には、ただ単に一般事業として、特別強化指定地域における事業の補助率のかさ上げというようなものを当然含んでやるべきだという考え方、だから各省庁間においても、いまその意見を実は調整をしておるわけでございます。たとえば三分の一の補助であったものを三分の二にしろとか、いろんな御意見がございますので、それらが各実施省庁の姿の中で特定な地域における事業ということで執行することで、いろいろ内部的な御意見等もそれはそれぞれの実施省庁にあるようでございますけれども、私どもは、特別立法のこの東海大規模地震の立法の趣旨から踏まえて、ひとつこの強化地域の指定事業促進すべきだ。そのためには補助率のかさ上げ等も配慮をしていかなければならないという前提に立って、各省庁間の意見を取りまとめておるというところが現状でございまして、その取りまとめがいまさつき私が申し上げた、率で言うならば八五%ぐらいまでまいりました、若干しかし余裕をいただきたい、その余裕というのは、今国会で願わくばひとついまの財政特別措置法として、議員立法でもいいから皆さん方に御成立を願うように御協力をいただきたいというのがいまの立場であり、私の心境であるということで御理解をいただきたいと思います。  なお残された期間、いまもお願いをしたようなことで、今会期中に成立できるように私どもも最善のひとつ努力をさしていただきたいと思います。  以上でございます。
  98. 原田立

    ○原田立君 三月十日の新聞の記事に出ているんでありますけれども、実は東海地域地震発生危険率が非常に高いと指摘されて久しいのでありますが、私は本当に東海地域に、地震対策に対する強化策が国、県、市とも重要だと認識されているかどうか、ちょっと疑問を持たざるを得ない、そういう気がするんです。というのはどういうことかと言うと、静岡県の中心地である清水市内の石油コンビナートで、石油備蓄の必要性と称して、東亜燃料工業株式会社で新たに大型石油タンク九千八百キロリットル五基を増設されるようで、県、市の許可を得て建造の準備を進めていると、こう言われておりますが、この増設分を加えて総計貯蔵量は六十五万キロリットルを超える模様であります。現在のタンク群は約二百基、中でも一基爆発すれば周囲二、三キロ以内、清水市が二十五万人おりますが、市街はほぼすっぽり入る範囲内が火の海となると予想されているわけでありますし、LPG最大六百トンのタンクもあるし、こうしたタンク群の中に合計約五万キロリットル弱の増設タンクを加えても、その危険度はそれほどの差はないという考え方でもっているんだろうと思いますけれども、本来なら住民の安全を考え、タンク群を他の場所へ移設するなりして緩衝緑地を造成するというのが県、市の姿勢ではないかと思うんであります。国土庁はこうした県、市の地震対策に対する姿勢を一体どのように受けとめておられますか。
  99. 柴田啓次

    政府委員柴田啓次君) いま御指摘がありました東亜燃料工業株式会社の清水工場における石油タンクの建設計画でございますが、これにつきましては、地元におきましていろいろと協議をいたしまして、それぞれ手続をとりまして石油タンクの設置許可申請書というものが出されたように伺っているわけでございます。私ども、その地震防災対策強化地域に指定をされました地域につきましては、これは地震防災対策強化地域に指定されたからといって、一切の経済発展に必要な施設の新増設ができないということでは、またかえっていろいろ問題があると思うんでございます。ただ、経済発展に必要な施設を新増設する場合でも防災上の措置を十分に講じて、その新増設によりまして防災上の危険が増さないと、こういうことを前提にして新増設をすべきものであるというふうに考えているわけでございます。その点から、このいまの問題につきましては、静岡県あるいは清水市におきましていろいろと調査、検討をいたしておりまして、その調査、検討の結果、安全ということを第一義に置きながら増設の許可をすると、こういうようになったと思うんでございます。その点で私どもと県、市との間に別に防災上の意識のギャップがあったということにはならないんじゃないか、そういうふうに思っているわけでございます。  なお、増設等の経過につきましては、それぞれまた細かくいろいろお聞き取りいただきたいと思います。
  100. 原田立

    ○原田立君 行管庁では五十二年から五十三年度に東京、大阪などの十二都道府県、仙台などの六十三市を対象に、地震を念頭に置いて防災対策行政面の実態調査を行い、ことし一月にその結果をまとめたと言われているわけでありますが、その中で、地域防災計画は抽象的で地域ぐるみの防災活動はまだまだなのが現状であり、被害想定が抜けていたり具体的施策があいまいであると、こう行管庁は指摘をしているわけでありますけれども、特に石油貯蔵タンクの危険要因についても言及しております。地域実情に応じてその存在密度の限界を設けて、危険要因の総量規制を行うべきと訴えているが、その点について行管庁御説明いただきたいし、また、東海地震のおひざ元である清水市でのこの石油貯蔵タンクの増設に対してどう考えるか。国土庁は、もう十分話し合いをしたんだから国と県とは意思の疎通は欠けていることはないんだと、こう言うけれども、県民は怒っているんですよ、何でこんなことをやっているんじゃろうかと言って。  国土庁考えはわかりましたが、あなた方行管庁の意見と、それから消防庁の意見、これをお伺いしたい。
  101. 田中一昭

    説明員(田中一昭君) いま原田先生の仰せの、都市防災に関する調査を私ども二年がかりでやったわけでございますが、おっしゃいましたとおり、地域防災計画の中には必ずしも地震の問題について、具体化されていないものがかなり見受けられる。東京都等かなり詳細に対策を書いておるものもあるわけでございますけれども、大部分の都市が必ずしもそうでない。被害想定を行っておられる都市もあるわけでございますが、ないものがかなりある、こういうことでございます。  そこで、後段に申しておられました危険要因の総量規制といいますか、密度限界の問題でございますが、これはいわば一つの提案でございまして、今後専門家によって、数量的にどこまでそういうことが可能であるか、そういうことを検討されたらいかがなものかと、こういう意見でわれわれはいろいろな調査の結果から申し上げておるわけでございます。  それから最後に、具体的ないま問題のことにつきましては、私ども具体的に調査しておりませんので、必ずしもここで御意見申し上げるのは差し控えさしていただきたい、こういうふうに思います。
  102. 矢筈野義郎

    説明員矢筈野義郎君) 清水市の石油タンクの増設に絡みまして、既存の建設施設を全体的に見て、一体安全であろうかどうかということが地元で非常に関心が高いということは、私ども承知しております。特に、今回の強化地域に指定したという経緯からも考えまして、当然地震対策ということを重点的に安全確保を図るということが重要でございまして、御指摘の五基のタンクにつきましては、計画の当初より基盤、地盤あるいはタンク本体というものにつきまして、専門的な調査機関に委託いたしまして、特に普通の一般地の地震の耐震性よりもさらに二倍近い四百八十ガルという水平震度を加えても大丈夫なように設計なされております。したがいまして、そういう観点から古いタンクも、ではどういうふうになっているものであろうかということも含めまして総点検をし、さらに強い地震対策を講ずる必要がありまして、現在、タンクあるいは防油堤等について改修工事をいたしております。  それから、地震発生において一体どういう災害が想定されるのであろうかというのは、きわめて重要なことでございますけれども施設の態様等あるいは科学的にまだ不解明な点もございまして、さらに今後引き続き検討を加えることにいたしまして、当面、私どもの方ではどういうことを考えればいいかということにつきまして、災害想定に関する手法を二年間にわたりまして防災診断委員会に検討いたしましたので、その結果を流したいと、かよう考えております。したがいまして、石油コンビナート地帯における特に地震対策に重点をしぼった防災診断、災害想定ということがそれぞれの地域で検討が大体必要かと思います。特にこの清水地区におきましては、御指摘の五基の新設を含めて、全体として地震の発生にどうであるかという問題が重要でございますので、それらの防災体制整備につきましては、県、市、企業に対して、適切なる指導をさらに引き続き加えてまいりたいと、かように存じておるわけでございます。
  103. 原田立

    ○原田立君 もちろん引き続きやってもらいたいとは思いますが、いまのあなたの答弁の中で、地震対策として地盤の強化については、普通のところより十分震度なんかを研究して強度にしてあると、こういうふうにお話があったけれども、その震度六とかあるいは七とか、そういうようなのが起きる可能性があの地域には多いと、こう言われています。  この前、浜岡原発ですか、あすこへ調査に行ったときには、震度六ぐらいの地震にはびくともしないような十分な対応をしてあると、こういうふうに言っているけれども、あなたのいま、強化はちゃんとしてあると、こう言うのは、一体震度を、どのぐらいのものに対する強化、強度なんですか。私、もう一つ言っておきたいのは、震度五とか六とか、あるいは強い七とか、こんなようなものがあったときには一体どうなりますか。
  104. 矢筈野義郎

    説明員矢筈野義郎君) 先生の御指摘強化地域の指定というのは震度六を想定しておりまして、二百五十ガルから四百ガルのところが震度六だということでございまして、私の申し上げているのは、それよりもさらに高い震度、すなわち四百八十ガルを想定してもなお大丈夫だと、かように申し上げたのでございます。
  105. 原田立

    ○原田立君 まあ原発は震度五でとめることになってるそうでありますか、この石油基地——先ほどもちょっと指摘してあるように、LPG五百トンタンク一基が爆発すれば、周囲二、三キロの家屋が燃え上がるという予想データもある。だから、基礎を何か十分強固にしなきゃいけないでしょう。すると、いま石油基地の基盤も震度五に耐え得る基礎ができていると、こういうことですね。
  106. 矢筈野義郎

    説明員矢筈野義郎君) 震度六は二百五十ガルから四百ガルでございますが、基礎、地盤、タンク本体、すべてそれを上回る四百八十ガルでも大丈夫だと、かように申し上げているわけでございます。
  107. 原田立

    ○原田立君 じゃ、大丈夫だということですか。
  108. 矢筈野義郎

    説明員矢筈野義郎君) 私どもの専門的調査機関の調査の結果、科学的データとしては大丈夫なように設計されております。
  109. 原田立

    ○原田立君 まあ、そういう大丈夫だというお話だが、もし大丈夫だというのであれば、資料として提出できるならば、一体どんなふうなぐあいになっているのか資料をお示し願いたい——これは委員長にお願いしておきたいと思うんですが。
  110. 青木薪次

    委員長青木薪次君) 消防庁監理官、いかがですか。資料の提出できますか。
  111. 矢筈野義郎

    説明員矢筈野義郎君) できるだけ多くの人たちに公表するよう企業及び清水市の方では心がけておりますところでございまして、いま御提出してくれということでございましたので、提出いたしたいと思います。
  112. 原田立

    ○原田立君 三月二十三日に、栃木県田沼町多田の波知沢において土砂崩壊が起こり、五名の方がお亡くなりになり、一名の方が重傷を負われた事故があったのでありますが、大変悲しいことであります。  で、事故後、通産局鉱山保安監督部において原因調査及び近接の同じ表土堆積場の立入調査をなさったようでありますが、その結果を御報告いただきたい。
  113. 福原元一

    説明員(福原元一君) 葛生地区の堆積場の立入検査につきましては、通産省といたしましては事故発生直後、これは三月の二十六日から二十八日にかけてでございますが、付近にございます十六鉱山三十の堆積場に対しまして立入検査を行いました。  その結果でございますが、保安上特に問題があると認められるものはなかったわけでございますが、十六鉱山三十堆積場のうち七鉱山十一堆積場に対しましては、土どめの整備あるいは水はけの改善等、維持管理上若干の改善措置を行った方がいいというところがございましたので、東京鉱山保安監督部をして入念な指示をいたさせております。これらの鉱山に対しましては、今後も必要に応じまして追跡検査を実施して、その履行状況をチェックしてまいりたいと、このよう考えております。
  114. 原田立

    ○原田立君 審議官、お伺いしますけれども、この事故は、ちょうど法で定められている量以上に何かそこに捨てられて、それでたまたま雨が降って地盤が緩んでわあっと流れ出したという、そういうようなふうに私は認識しているんだけれども、これは通産省の方の関係もあるだろうと思うけれども、あなたの方の関係もあるんじゃないかと思うので、この件についてどうお考えですか。
  115. 柴田啓次

    政府委員柴田啓次君) 栃木県で起きました土砂崩壊でございますけれども、これにつきましては、いま通産省の方から御説明がございましたように、廃土を捨てていたということではございますが、その崩壊に際しまして、単に堆積土だけでなくって、地表の一部も削りましてそのために大量の土砂が流出というか、崩落をいたしまして、人家に被害を与えたということでございます。この事故の原因につきましていろいろ御検討をいただいているようでございまして、人災なのか、あるいは自然災害なのか非常にむずかしい問題でないかというふうに考えております。
  116. 原田立

    ○原田立君 まあむずかしい問題かどうか知らぬけれども、もう少し積極的な姿勢で取り組んでもらいたい。  で、今度の東京石灰工業株式会社葛生工場の表土堆積場の崩壊事故は、人災事故と見て、地元警察は工場の監督者を業務上過失容疑で逮捕しておりますが、表土堆積場の頂上での道路造成の転圧と前日の雨量三十ミリが因果関係として十分考えられるわけでありますが、ずさんな表土堆積が原因であることはもう間違いないと思うんであります。で、表土堆積の崩壊防止については金属鉱山等保安規則で定められていると言いますが、現実の土どめなど上方から見ても非常に簡単につくられているようであります。通産省としては、土どめの基準強化策について一体どのよう考えておられますか。
  117. 福原元一

    説明員(福原元一君) 堆積場の土どめ等につきましては、露天掘りをいたします場合に、表土をはいで石灰石を掘るというのがこの東京石灰の鉱山でございますが、そのほかに坑内から掘りました鉱石を選鉱いたしまして、その選鉱のかすを捨てる堆積場と二種類ございまして、後者の方の選鉱かす等を捨てます堆積場につきましては、認可をした上で使用させるということになっておりますが、露天掘りをいたします表土をはいだ堆積場、土を捨てる堆積場につきましては、先ほどの選鉱スライムを捨てる堆積場に比べまして安定性が高いということで、現在は高さ十メートル以上積まない堆積場につきましては認可の対象としておらないわけでございますが、ただいま原因につきましては鋭意検討中でございますが、その原因究明の結果、表土の堆積場の土どめ施設につきましても、基準を設けるというよう措置が必要であるというようなことが判明いたしましたなら、その線に沿いまして検討を進めてまいりたいと、このよう考えております。
  118. 原田立

    ○原田立君 この現場は九・二メートルであったということで、許認可外の場所であると、こういうふうに言われておりますけれども、だけれども、傾斜地と平地では当然違ってくるのではないでしょうか。また、ことしになって新しく何か上積みしたと、こう言うんだから、実際は九・二メートルだったんだろうけれども、これは四十七年ごろですか。それでまた新しくやり始めたんだから、当然九・二メートルを超えて十メートル以上になっていたんじゃないかとぼくは思うんです。いま調べていると言うけれども、もうそんなに長いことかかるわけないでしょうから、調査した結果どうなっていますか。
  119. 福原元一

    説明員(福原元一君) 表土堆積場につきましては、先ほど申し上げましたように選鉱スライムの堆積場に比べまして安定度が高いということで私ども考えておったわけでございますが、鉱山保安法施行されまして三十年間に、このような事故は二十年前に一度台風の後であったということだけでございまして、私どもといたしましては表土堆積場は、現行のやり方でかなり安定した経過をたどっておるものと考えておりましたわけでございますが、今回の事故にかんがみまして、先ほど申し上げました事故直後三月末に実地検分をいたしまして、さらに関係者、責任者の供述調査を現在終わっておりますが、さらにおっしゃいましたように十メートル以上積まれていたか、あるいは土質、土盤そのものも崩れていたかどうかということ等につきましては、地質の専門のコンサルタントを雇いまして、実は四月の二十一日、一昨日からボーリング調査、地質調査等をやらせることにしておりまして、この結果がわかりますのは五月末から六月にかけてと聞いております。そのコンサルタントの調査報告を待ちまして原因を判定いたしたいと、このよう考えております。
  120. 原田立

    ○原田立君 いま前提として四十七年当時九・二メートル、それがことしになってまた多少積み上げしたと。それでまた三十ミリの雨が降って流れたと、こういうふうなことになっているけれども、仮に九・二メートル、要するに十メーター以内ですね。九・二メートルぐらいで三十ミリぐらいの雨が降った場合に、果たして現在の土どめで防ぎ得たのかどうか、ちょっと疑問視されるんですけれども、あなたたち、調査結論が出なければ何とも言えないって、多分そういう答弁が返ってくるだろうと思うけれども、あなた自身どう思いますか。
  121. 福原元一

    説明員(福原元一君) 表土堆積場につきましては、特に本件の堆積場につきましては、四十七年前後三回立入検査をしてございますが、当時はこの鉱山は露天掘りで石灰石を掘る以前の準備といたしまして表土をはいでおって、その表土を堆積をしておったわけでございますが、四十八年から採掘に入りまして、その時点にはすでに表土をはぐのは終わりまして、これ以上堆積場へ堆積をするという行為そのものは終わっておりまして、石灰石の採掘に入っておったわけでございますので、前後三回の立入検査の場合には表土をさらに上積みをしているということはなかったわけでございまして、立入検査の際には保安上問題がなかったというのが東京鉱山保安監督部の報告でございます。  なお、ことしの初めになりまして道路をつくるためにそのための土をはいでいたと、それを果たしてこの堆積場の上に積んでおったか、あるいはよそへ積んでおったかという、あるいは本堆積場へ積み増したがために十メートルを超えたかどうか、その辺につきましては現在警察当局等も調査中でございまして、はっきりした結果につきましてはまだ私ども聞いておりません。
  122. 原田立

    ○原田立君 いまお話があったように、過去三回立入検査をやったと。土どめにかける費用というものは会社としては捨て金みたいなものというふうな考え方があるだろうと思うけれども、鉱山保安監督局としては、捨て金だなんということじゃなくて人命尊重の上からいって、もっともっときちっとしたものにしておかなければいけなかった。災害は起きちゃってからああだのこうだのいつも議論するのですけれども、このくらい愚かなことはないと思うのです。起きる前にきちっとしたものにしなければいけないと思うのでありますが、伝えられるところによると、何かあそこら辺、近所にまだ同じようなところが何カ所かあるようなことを聞いていますけれども、それはどのくらいあるのですか。
  123. 福原元一

    説明員(福原元一君) 最初に申し上げましたように、葛生地区につきましては十六鉱山三十堆積場がございまして、このうち東京石灰工業は四つの堆積場を持っておったわけでございます。そのうちの一つが流れたわけでございますが、これにつきましては三月の二十六日から二十八日、全数、東京鉱山保安監督部をしまして立入検査をさせましてその安全性をチェックさせております。その結果は、特に保安上、現在において危険があるものはなかったけれども、念のためにということで改善の注意を与えたものが七鉱山十一堆積場あったわけでございます。
  124. 原田立

    ○原田立君 いまも言うように、起きちゃってから、亡くなっちゃってからどうのこうの言ったって始まらないのですから、どうかひとつそんなことにならないようにもっときちっと手を打って、これを機会に法律改正するなり政令改正するなりしてもっと土どめの強化を、たとえば厚みをもう少し厚くするとか高さをもう少し上げるとかいうような、何らかそういうふうなことは考えておりませんか。
  125. 福原元一

    説明員(福原元一君) 地質専門コンサルタントの調査を踏まえました上で、御指摘の点を含めて検討させていただきたいと思っております。
  126. 原田立

    ○原田立君 ここの地域の住民の人から、工場へ土どめ強化申請が何回も行われていたということを言っているのでありますが、通産省は承知しているはずだと思うのであります。当然、他のところと同じく、表土堆積場あるいは鉱滓堆積場の土どめに対して、住民サイドからの強化申請願いが企業へ提出されている、こういう問題については十分検討、点検すべきではないかと思うのですが、どうですか。
  127. 福原元一

    説明員(福原元一君) 今回の東京石灰の件につきましては、地元住民の要請がかねてからあったというふうに聞いておりますが、事故後私どもも聞いたわけでございますが、残念ながらそういう住民の声が、東京鉱山保安監督部にも届いていなかったというようでございます。しかしながら私どもといたしましては、このような表土堆積場が全国に現在五百もございますので、三月二十六日付の通産省立地公害局長名で各全国の鉱山保安監督局部長あてに、全国の表土堆積場につきまして鉱業権者にそれぞれ自主点検を、もちろん私どもといたしましてはチェックポイントが指示してございますが、それらについて点検をさせまして安全性見直しを行って、その結果を各鉱山保安監督局部に報告をさせるように通達を出してございます。その報告を受けまして鉱山保安監督部局長がチェックを行いまして、もし問題がある堆積場につきましては改善の指示を行う、このように現在は進めております。
  128. 原田立

    ○原田立君 土どめの下方に人家がある場合、一応危険と見た方が間違いないと思うのでありますが、土どめから何メーター離れているから危険があるとかないとか、あるいは傾斜地の荒廃による危険度のよしあしとか種々の論議があろうけれども、移転措置なり土どめの強化なり、そういう十分安全性を考慮して対処を図るべきことだと思うのですが、この点はいかがですか。
  129. 福原元一

    説明員(福原元一君) 堆積場をつくります場合に、その下流の方に人家とかあるいは重要な構造物がないということは最も望ましいわけでございまして、従来から私どもも、堆積場をつくります場合にはできるだけこういうことを避けるようにということ、それからまたやむを得ずそのような場所に堆積場を設置するときでも、崩壊を防止するように先生御指摘ような点に万全の措置を講ずるように指導監督をしてまいってきたところでございますが、現在、鉱業権者に類似の堆積場について、申し上げましたよう安全性の自主点検を行わせておるところでございますが、その結果、御指摘ような問題がある場合には土どめの施設の強化、あるいは排水施設整備等必要な措置をとるように指示をいたしたい、このよう考えております。
  130. 原田立

    ○原田立君 地元警察、通産省も学者、土質専門家の実地検査を行われたと聞きますが、崩壊のメカニズムの解明をなされ、そのデータでぜひ安全管理の基準とされ、被害想定の一例として他の表土堆積場の安全管理に資していただきたい。そしてまた、下方に人家のある個所については十分なる手厚い保護対策、こういうものをぜひ施していただきたい、これを要望しておきます。  ところで、お亡くなりになられた五名の方、あるいは負傷された一名の方に対する補償といいましょうか弔慰金といいましょうか、そういうものについてはどうなっておりますか。
  131. 福原元一

    説明員(福原元一君) 補償の問題につきましては、本来は当事者間で解決されるべき問題であると私ども考えておりますが、必要があればその円満な解決が図られるようにあっせんをするというようなことについては、私ども協力をいたすことについてはやぶさかではないわけでございますが、本件につきましては、聞くところによりますと罹災者に対する補償は四月の十九日に示談が成立した、このように聞いております。それからまた農地の埋没に対する補償につきましては、現在当事者間、地権者と東京石灰でございますが、この間で話し合いが進められておる、数日中には話がつくのではないか、このように聞いております。
  132. 原田立

    ○原田立君 これは警察の方に聞かなければいけない問題ですけれども、この問題については刑事責任が問われるのではないか、こういうふうなことが新聞報道等されておりますけれども、これについての見解はいかがですか。
  133. 福原元一

    説明員(福原元一君) 私どもといたしましては、鉱山保安法違反があったかどうかということでございますが、調査の結果そういうことがあれば、保安法違反ということで送致をするということかと、検討いたしたいと思います。
  134. 原田立

    ○原田立君 長官、先ほどこの問題を取り上げる冒頭に審議官に聞いたらば、自然災害か鉱山保安のその関係か、非常に微妙な問題があるとこういうふうに言われたけれども、正直言って三十ミリの雨が降って、そして法以上に堆積さして、それで流れたと、こういうふうな経緯だから自然災害の問題とも十分関連があると思うのです。その点については、十分国土庁としても取り上げてもらいたいと思うのでありますが、ただいまも申し上げように五名の亡くなられた方、それから一人の重傷者、これらの方々は非常にお気の毒なことでもありますし、大臣、この席にお一人なんですから、こういう方々に対しては手厚くなさるようにすべきであろうと思うのでありますが、そのお考えをお聞きしておきたいと思います。
  135. 園田清充

    国務大臣園田清充君) いま私ども審議官から並びに通産省の方からそれぞれ御答弁を申し上げましたが、まずお亡くなりになった五名の方々に対して心から御冥福をお祈りするわけでございますが、これは衆議院で審議の段階でも、人災か天災かということが非常に問題になりまして、それで同様の御質疑がございましたが、報道機関が報じておるとおり、上に載せた土砂だけでなくして下を持っていっているということ、だから、平面な地上に十メートル積まれるという場合と傾斜地における場合の見方というようなものも考えていかなきゃならないことであろうと思っていますし、同時に、持っていかれたものが積まれたものだけでなくして、従来の固定的な地盤までが、換算いたしますと十トン積みのトラックの約三万五千台分が流れているんだということ、これらの量がいかに大きかったかということ、そこで、ただ単なる指導監督ということでなくして、もう少し突っ込んだ指導体制というものが望ましいのではないかと、私どもの方でもいろいろ調査はいたしましたが、過失傷害致死ということで当時警察で対応いたしておりまして、実はそのために、立件が行われていない段階で人災か天災かということを論ずることはということで若干遠慮もいたしました。  しかし、いずれにいたしましてもこういう災害を二度と起こさないような配慮をしていくことは当然だと、同時に、御指摘のとおりこの五名の亡くなられた方に対する補償の問題については、むしろ罹災者側に立った姿の中でいろいろ指導していくべきだということで、私の方も通産当局に実はさような要請をしたところでございます。政府といたしましても今後の問題自体をいろいろ重く見ながら、かようなことが二度とないようなことでひとつ十分注意し、配意しながらやってまいりたいと、かよう考えておるわけでございます。
  136. 青木薪次

    委員長青木薪次君) 本日の質疑はこの程度にとどめます。     —————————————
  137. 青木薪次

    委員長青木薪次君) これより請願の審査を行います。  第五四四号地震防災対策強化地域内の長大橋整備に関する請願外五件を議題といたします。  これらの請願につきましては、理事会で協議いたしました結果、第五四四号地震防災対策強化地域内の長大橋整備に関する請願外三件は議院の会議に付するを要するものにして内閣に送付するを要するものとし、第五四五号御岳山の噴火に係る常時観測体制整備等に関する請願外一件は引き続き審査を行うことに意見が一致いたしました。  以上理事会協議のとおり決定することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  138. 青木薪次

    委員長青木薪次君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいに存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  139. 青木薪次

    委員長青木薪次君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。本日はこれにて散会いたします。    午後四時五分散会      —————・—————