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説明員(川村浩一君) ただいまの御指摘の問題、
二つの側面があろうかと思いますが、まず第一に、農林省が
明日香村の農業の実態についてどのような調査をし、どのように把握をしているのか、その上で今後
明日香村の農業の振興の
方策なり、あるいは方向をどう考えていくのかという二点かと思います。
まず、前者につきましては、実は、四十八年度に農業振興
地域の
整備に関する
法律に基づきまして農業振興
地域としての指定をいたしておりまして、それに基づきまして
奈良県、
明日香村と御相談の上、
明日香村における農業振興の
方向づけもしてまいったわけでございます。特に四十八年と九年と二カ年にわたりまして、これは
関係省庁が一緒に行いました
明日香村についての総合調査に、農林省としても近畿農政局のスタッフが
奈良県と一緒にいろいろな形で現地調査等も行い、また農業者の意向調査等もしてまいったわけでございます。このような過程を経まして、五十二年度に
明日香村の農業振興
地域の
整備計画というものが策定されまして、五十三年度以降、このための
計画に基づくいろいろな振興
施策を進めてまいっております。たとえて申しますと、
地域農政特別対策あるいは新農業構造改善事業、さらには農道等の
整備等もしてまいっているわけでございます。
で、今回、
法律案の立案に当たって、特に新たな調査はしてございませんが、しかし、
明日香村御当局あるいは
奈良県の農政
関係の
方々にも何度かおいでいただきまして、現
段階における
明日香村あるいは
奈良県のお考えというものも十分拝聴いたしながら対応してまいったところでございます。特に
参考人として
明日香村の
村長が農業立村ということも
委員会の席上でお話しになったようでございますが、われわれもそういう村のお考えあるいは県のお考えというものも十分承知いたしておりますので、いろいろむずかしい問題もございますけれ
ども、
明日香村の農業振興に対しては積極的な助成をしてまいりたいという考えでございます。
その
具体的な中身といたしましては、われわれは四点基本的な方向として考えてございます。
まず、第一には、この
法案におきまして初めて農業の生産基盤の
整備あるいは農村の
環境整備という
部分が特別助成の
対象にしていただいたわけでございまして、こういう形で農林業の基盤
整備の面ではしっかりした体制
整備を整えていくということがまず第一の問題でございます。
それから第二につきましては、今後はやはりそういう基盤
整備の上にしっかりした施設を
整備し、あるいは生産の体制をつくっていく、また作物の団地をしっかりつくり上げていくということが重要でございますので、そういう非公共事業の側面につきましても、
地元の御
要望によりましてこれを積極的に進めてまいるつもりでございます。その際、この非公共事業につきましては、この
法案に基づきまして将来設置されます基金の果実の運用の面で
総理府とも御相談の上、できる限りこれを積極的に活用してまいるということが大事ではなかろうかと思います。
それから第三番目といたしましては、この公共事業あるいは非公共事業につきまして
明日香村御当局から
要望のあります事業につきましては、その採択について農林水産省としては優先的な配慮をしてまいるというつもりでございます。
それから、さらに四番目の問題といたしましては、
明日香村の農業振興と言いましても、やはりこの
歴史的風土の
保存との調和ということが
一つの基本的な課題でございますので、そういうような
一つの制約要因がございますけれ
ども、建設省御当局と十分御相談の上、特に第二種の
歴史的風土保存地区におきましては、やはり
都市近郊農業としての立地条件の有利さをできる限り生かすような農業振興の
あり方、これはたとえば果樹農業の問題、あるいはハウスを利用した施設園芸の問題、さらに
地区によりましては花卉花木あるいはシイタケ栽培なり、きめ細かい農業振興が可能になりますように、
規制面と農業振興との調和ということについても建設省御当局と十分相談してまいりたいというふうに考えております。