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上田耕一郎君 いや、私がこの問題にこだわりますのは、かなり大きな問題がもうすでに生まれているからです。
八十四国会に、実は、私が紹介議員になって江東区大島六丁目の公団
住宅大島六丁目団地の請願を提出したことがあるわけです。これはつまり実測値と計算値が違うと。それで、いわゆる有料
道路についての防音構造化の通達がありますね、あの場合は計算値と実測値両方とも六十五ホンでなきゃだめだ、こういうふうになっていますね、通達が。そのために六丁目団地では、実測では六十五ホンを超えているんだけれ
ども、計算値で六十五ホンを超えていないというので、あそこは十四階なんですが、八階以下のところは実測を幾らしても、してもらえないという問題があって、ぜひやってほしいという請願が出た。
計算値と実測値がそんなに狂うというのはおかしいじゃないかと思うんですが、実は狂う理由があるわけで、この点、私は非常に大きな問題だと思うんですね。
建設省都市局長・
道路局長の通達、五十一年七月二十一日の通達では、こうなっている。(1)が「当該
道路を自動車が適法に走行した場合を前提として」六十五ホンの計算値、(2)が実測値六十五ホン、この両方に合わなきゃならぬ。ところが、適法に走行した場合というのは、あの場合に時速六十キロなんです、時速六十キロで計算するとこうなると。実際にはあそこは八十キロから百キロで通る。これは公団と
住民が交渉したときにも、公団側もそのとおりでございますと認めているのですね。しかし、実際にはみんな八十キロ以上で走っているのに
法律では六十キロでございますと、実際に起きている
騒音は違法の車によって生まれるものだから、これについては公団が見ないでいいんだ、それが
建設省の通達の決まりでございますというので、につちもさっちもいってないんです。そのために請願が出て、実測値のみで六十五ホン以上のすべての世帯を
対象とされたいと出たんです。
これはなかなか大変な問題だということで理事会でも議論になりました。ところが、
建設省側は、これを全部認めると全国的に問題が起きるということで、これはもう少し調べて議論しようということで理事会でも保留になったいきさつがあるんですね。これはやはり私は大変な問題だと思うんですね。むしろぼくは公団側よりもこういう通達を出した
建設省に問題がある。
局長は先ほど思わず言われた、事前に計算値が必要なケースがあるんだと。実際に実測する前にですよ、事前に。確かにそうなんですよ、私も、この問題を調べてみた。そうすると、この計算の式は複雑なものがあって一々申しませんけれ
ども、非常に複雑な計算式で計算するようになっている。その中には補正係数というのが二つ入っている。しかし、この補正係数というのは実測値になるべく合わせるように補正係数を選んでいくようにしている。で日本
道路協会の「
道路環境
整備のための手引」という本の四十六ページにはこの計算式について「この補正により、実測値により近い予測計算値が得られるようにしている」。つまり計算式というのは、つくる前に、こういう
道路をこういう環境の中でつくったらどういう
騒音が起きるかというのをまさに実測にぴたり合うような予測ができるような式が計算式なんですね、そのために計算式というのはあるわけなんです。だから実測にできるだけ近くするようにいろんな補正数値まで使ってやっている。
ところが、この
建設省の通達は、私はこれは初めてのことだと思うんだ、予測に使うべき計算値、
法律で決められた時速六十キロの自動車が走ったときのだけを値にして、実測値では確かに六十五ホン以上なのに、防音構造化の
対象から外す、だから実情よりもずっと狭めるためにこの計算値なるものを使った。まことに奇妙な驚くべき例だと、そう思うんですね。私は、この通達の「適法に走行した場合を前提として」というのはまことに実情に合わない。今度の
法律は実測値が基準だといま局長は言われましたな、そうすると、今度の
法律に包摂されない有料
道路に関する防音構造化のための
助成、これは今度の
法律とは矛盾してきちゃうわけです。どうですか、局長、この通達のこの部分ね、余りに矛盾して実態とも合わぬ、計算値の使い方としてもまことに不合理で驚くべき姿である、今度提案されて私
どもが審議している
法律に基づく防音構造に対する
助成とも全く矛盾してくるので、見直すべきだと思うんですけれ
ども、いかがでしょう。