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丸谷金保君
研修の
目的を達して訴訟になっているんですよ。いいですか。
日本語でその場合
目的を達していると言えるか、大変……でもいいですわ、
調査してくれるというなら、それはいいです。
それで大臣ひとつ、いまずっとお聞きになっていたように、非常にこの
拘束契約をめぐっていろいろな微妙な問題があります。このよって来るところはどうかというと、アジア文化会館の同窓会、これは各地からの留学生です。これが一九七三年の同窓会でこういう
拘束契約はやめるべきだと、順次
現地の事情によって、多少やるとすれば六カ月
研修した場合には一年くらいまではいいけど、六カ月
研修して三年だ、五年だ、こういうのはけしからぬと、もっとひどいのもあるんです。タイなんかもっとひどいのあったんです。家一軒買えるくらいの罰金だと、しかも担保に土地や家屋をとって親戚を保証人につけるような
拘束契約もあったんです。それでこういうことが留学生の中で出たんです。それで穂積
理事長がいろいろ話を聞いたところ、これは大変だと、底流に渦巻く、
日本から帰った留学生その他いろんな問題が大変だと、そしてその中の
一つにやっぱりこの問題もあるから、これはやめなきゃならぬと、あちこちに盛んに注意の話をして、田中元総理が行くときでも、
日本で考えているようなものでございませんよということで、穂積
理事長はこういう留学生なんかから聞く話を総合して注意して歩いたんです。だれも聞かなかったんです、そのとき。ところが、穂積
先生が話して十日から十五日もたたぬうちに田中総理に対するタイのあの大歓迎ぶりでしょう。留学生が本当に大変な騒動になったんです。そのときの留学生の要望の
一つにも、当時の読売新聞によりますと、明らかにこういう問題も
一つあるということで要望書を出しているんです、こういうけしからぬことはやっちゃいかぬと。それを受けて
海外技術者研修協会は一九七六年に
海外技術者研修協会が扱う
研修生についてはやめるべきだと、
拘束契約は。それでやめるという文書が田口文書という名前で出ております。時間がありませんからこの中身は全部読みません。その後この田口文書を敷衍するという形で持たれた七八年の理事会が、その中で一行「義務
期間や「違約金」は不当に拘束的なものであってはならない。」という文章が入ったために不当でない
拘束契約はいいんだというふうに読みかえられて、
通産省当局もそういう
考え方で、不当でなければいいというふうなことにしたから
拘束契約はいいんだということになって、不当か不当でないかということは審査
委員会などで検討するということになっていながら、フリーパスで全部
拘束契約をつけたやつがいま入ってきているんです。そこにこの問題が起きたんです。しかし、そのときこういうことで、
拘束契約はこれは不当だしやめるべきだ、
拘束契約そのものが不当なんだという、
日本の憲法なり法律に照らして、
日本がこれだけ金を出して、四分の三も
政府の
お金が出ている以上それはやめるべきだという文書の精神を生かして、この七八年の理事会でも、当時の杉山経済協力
部長は、いろいろな意見はあるけれども、きょうは田口文書を具体的に再確認して、そして田口会長
——田口さんというのはこれは石川島播磨の会長さんですね、田口会長文書の精神が実現されるよう努めるべきである云々とずっと
——要するに逐次解消していくんだということをこのときも言っているんです。それで、穂積
先生はこのとき、これで廃止が決まったと喜んだんです。ところが、本当はその延長線上で解釈しなきゃならない不当に拘束的なもの、これを不当でなければいいんだと、何年間かという拘束をつけること、これがそもそも不当なんです、だから不当に拘束的なものであってはいけないと。
日本に来て帰る、私も今度行ってみて、
マレーシアでもその訴訟の当人に会いましたけれども、その他の人たちが私のホテルに来ないんです。そこへ行くと、たくさん来ました、十人ほど。オンさんは名前を出しますけれども、ほかの人たちは名前を出さぬでくれと言うのです。いま勤めている
企業に、そういうことでもってわれわれが集まってそういうことを私に言ったというだけでも後でいじめられると、私もそれはよくわかります。そういう状態の中でどんな
調査に行っても上っ面しか見てこない人たちには、かつてタイで起こりインドネシアで起こったような底流したものが、
日本の国費で勉強して帰った人たちの間に渦巻いているそういう原因をこの
拘束契約がつくっているということに気がつかないんです。全部
企業の論理だけです。つけた方が
企業にとってみればいいに決まっています。こういうばかなことを
通産省もやめさせるべきだということを前は言っていたんです。いつの間にか不当でないものはいいという言い方になってきた。
日本の法律に照らして不当でない
拘束契約がありますか、全部だめなんですから。
日本の
国内でそんなことを言えるはずがないんです、不当でない
拘束契約が。先ほどのように、積極的に
現地の国が指導しているから仕方がない
——うそなんです、行ってみたら。何とかそういうふうにやらせてくれというのは
現地の
企業だけです。ですから、通産としても
拘束契約、これは現実にあるんですから、あしたからやめるというわけにいきません。しかし、
拘束契約で、金で人の体を縛るようなこと、
発展途上国でやむなくやっているところもありますけれども、少なくとも
日本の国費四分の三を入れた中で、
日本から進出した
現地の
企業に都合のいいようなそういうことを
日本の
政府が認めていれば、
企業がけしからぬのうちはいいんですが、
政府がけしからぬになるんです。どうかひとつ、こういう
拘束契約は逐次解消していくべきだと、原則としては好ましくないという明快な
答弁を大臣からお願いいたしたい。