○戸
叶武君 いま
パナマの
ロヨ大統領が
日本に来ており、きのうも
ロヨ大統領にお目にかかって、それほど突っ込んだ話はできませんでしたが、お話を聞くと、やはり米国から
ジョーダン大統領補佐官と
医師が来て、前
国王は脾臓の
手術を行うということで、数日前、
自分の
意思で旅行を選んだのだというふうに語っておりますが、やはり
パナマとしては、なぜ
エジプトを選んだのかということについては、むしろ本人の
意思、それから
アメリカ側からの何らかのサジェストがあったのかどうかは明瞭にしておりませんでした。しかし、この問題は後でわかることでありますが、このパレスチナ問題に命をかけた
サダト大統領は、やはり
エジプトと
イスラエルの
立場は違うけれども、ともに近代国家的な
体制を整えつつあるこの二つの国で、宗教やいろんな
立場を乗り越えて
中東の平和と繁栄を保つためには、
現状打開のために具体的な手を打たなければならないということを私は考えているのであって、単なる
思いつきの
冒険政策とは思えない。これは
イランやあるいは
エジプトにおける
アラブの
急進派からの
相当の
反対やデモも計算に入れて、問題はここから問題を打開しなければならない、
幾多の問題があるけれども、これを回避しては通れないという、かなり思い詰めたものがあるのじゃないかと思いますが、これはこれ以上しても水かけ論になってしまいますし、また
外務省としては正確な
情報が入っても、いまこうこうだという不
的確——不的確というよりはその
情報をこうだというふうに伝えるべき段階ではないと思いますが、
中東の
動きというものについては、
フランスあるいはニューデリー、
エジプトというような国々は
日本以上に
情報を持っております。やはりそういうところで
相当の
情報をキャッチして、
情報に尾ひれをつけるのでなく、
世界史の展開の中においていま
中東は何を苦悩し、何を模索し、何を行わんとするかということだけは、やはり見通しを正確に立てないと、予測なしには
外交のプログラムは進められないと思うのでありまして、このことが欠けている点に
日本外交の非常にいままでの
幾多の
失敗点があるのだと思いますので、いま
予算を
十分——十分と言わないにしても取るに当たっては、この
情報を整備し、もっと生きた
ニュース、それから
日本のために、
世界のためにプラスになるような正確な
ニュース、これをやはりとるということが必要であって、いまの
ソ連なり
アメリカなりは力を持っているが、力に任せて
権謀術策の
外交がどれだけ
災いをなしているかということは、
ソ連なり
アメリカが、あの
イラン問題で
アメリカが前進もできず、
アフガンに戦車を並べた
ソ連が
世界からの袋だたきに遭って
動きがとれない
状態を見ればわかるので、第三次
世界戦争は、いままでの
戦争に対する
考え方と違って人類の破滅を
意味します。
ソ連や
アメリカが考えているような簡単な形で、
中東諸国は
アメリカなりソ連を歓迎しておりません。特に、
イランにおいて、イラクにおいて、
沿岸諸国において、
アメリカに対する
危惧感も非常に強いのであります。
日本の
新聞は
——新聞というか外電は、
アメリカにコントロールされている面も非常に多いので、正確な
情報が必ずしも入っているとは思えない点が多々あると思うのであります。これは
新聞が悪いのじゃなくて、どこかにそういうゆがんだ
一つの
情報の
修正というものが、権力を持っている
政府なり、あるいは
アメリカからなされるのであって、やはりあの
沿岸諸国、
アラブ全体からの一般の市民の受けとめている感情というものは、
石油が出たけれども
アメリカの
メジャーのためにいい加減にされ、
アメリカの
メジャーを支えている勢力に翻弄せられてしまって、ニクソンにだまされ、カーターに裏切られたというのが合い言葉になっているのが事実であります。
この
アフガンに進出した
ソ連に対する抵抗と同時に、もう
アメリカにだまされないぞ、
アメリカも
ソ連も
自分のことだけを考えて、第二の
ヤルタ秘密協定のような形で、
アフガン及び
イランの
分割協定までなされているのじゃないかというまでの憶測がなされておるのであります。現に、
サンケイ新聞に、
アラブの中だけでなく、
石油問題で駆けめぐっている
田中清玄君のごときは、それを率直に述べておりますが、
アラブへ入って私
たちも驚いたことは、やはり過去の
イギリスに対する
不信感、
バルフォア宣言に対して、あるいはアラビアのロレンスに対して、彼らが
アラブを分割して今日の統一なき
状態を醸し出したのだという恨みを持っております。
イギリス外交は、きわめて不利な中にあっても、
アラブへは足を突っ込まないが、冷静な形で
EC諸国を説きめぐって
中立化の
方向を
方向づけておりますが、これは私は
イギリス独特の
外交の鍛練からくるものと、先取りと思うのでありますが、それにしても、
ECの
諸国は
決議でそれを出しましたが、まだまだ
アラブの
諸国の中においては疑心暗鬼の面も私はあると思います。しかしながら、事は急速に、
ソ連並びに
アメリカのいまのような
孤立化打開のために私は大きな変化が生まれてくると思うんです。確信しております。
それにもかかわらず、この災難に便乗して
軍備の拡大だけをねらっているような
行き方が果たして
世界に、この国にどれだけの貢献をするかということは、疑問です。
世界の潮流に逆行しての
動きは、
ソ連、
アメリカ、
日本たりといえどもむなしき、それは徒労に帰する
危険性が多分にあると思うんです。もう少し国の運命を担って立っている
外交、
軍事の問題を担当する人は、今日様ではなく明日への道に
一つの希望を託すだけの大所高所の
対策を持たなけりゃならぬと思いますが、大来さんにはそれを大きく期待しております。
アメリカでは当たりがあなた非常によかったんだが、この問題は後で私の方の
国会対策委員長の
質問でお聞きしてもらうことにしますが、
日本がやはり
アメリカとのパートナーシップを維持するのは、
アメリカの言うなりに振り回されることでなく、
ソ連に対しての
態度と同じように、
ソ連のいまの
態度に対しては
アメリカよりもより厳しい
態度が必要かもしれませんが、やはり
世界全体を考えるならば、
覇権主義の上に立つと思われるような、
自分自身に反省を何
一つ持たないで、
自分の国の都合のよいように
世界を振り回そうとするような
行き方は、その国にも
世界にも
災いをつくり上げることですから、
EC諸国以上に
日本は
自主外交を展開して、
ソ連に対して苦言を呈すると同時に、
アメリカに対しても、
回顧録は売れるかもしれないけれども、やったことはろくなことはやらなかったという、キッシンジャーのような悪名を後で残すようなことのないような
外交を私は
日本の
外交はとってもらいたいと思うんですが、大来さん、
アメリカへ行ってはなかなかわれわれの
考え方と違う面も多々あると思いますが、あなた当たりのいい方ですが、どうです。本当にパートナーシップというのは
アメリカベースで動くことでなく、
アメリカに対してもやはり苦言を呈するだけのみずからの姿勢というものがなければ相手を動かすことはできないと思いますが、どうでしょうか。