○戸
叶武君 最後に
外務大臣に、
ソ連との
漁業の問題だけに埋没をしていないで、一番基本的なのは
漁業の問題から具体的には手探りをしていくのがいいですが、
漁業問題に対する
交渉でも
ソ連がずいぶん素直に明るさを取り戻すことができたというのが
交渉に当たった人のこれは見解ですから、私もECに行ったついでに
モスクワへ来てくれということを幾たびか頼まれておりますけれども、私はウサギ小屋に住んでいる
日本人だから、このウサギのような耳に
ソ連人がなって謙虚にわれわれの言うことを聞いてくれる
段階が来るまでは、また一九六四年に行ってミコヤンとスースロフ
相手に固有の北方領土を返せと言ってクレムリンでけんかしたようなことをやると、年じゅうけんかしに来るんだろうなんて鼻つまみにされるから行かないと言っていましたけれども、一番最悪の事態が一番私はチャンスだと思うんです。これは石油の問題だって、なかなか
ソ連だって内部に痛しかゆしの面があるし、それから
食糧問題でも
アメリカのきげんをとっていたり、
日本と仲よくしていなければ今度は自分の心臓部のヨーロッパが大変ですよ。東方に出てきて、あの田舎の人をおどかすようなデモンストレーションをやっている
段階じゃなくて、自分の本拠に火がついたら
ソ連はヨーロッパから崩壊しますよ。そういう
意味において、
ソ連でも
アメリカでも思い上がった
一つの大国主義を振り回して力の外交を押し通せないということが
——一流の政治家は、私は、
ソ連だって
アメリカだってつまらぬやつもいるけれども、やっぱり中にはスースロフでもブレジネフでも会ってみてやはり相当なやつですよ。ただ、革命を成就してスターリン批判までフルシチョフなんかでやらせたレーニン研究所の所長であり、レーニン大学の学長であったスースロフなんかというのは、守りの姿勢だから固くなって、一応は自由化に行き、そしてまた、この貝のふたを閉じたり、
ソ連の持っている内部的弱点を知っているからしているけれども、戦争ができない、大戦争は米ソ間においてもできない。しかし、どこにでも戦争に類似した、イランを
中心とした戦争と同じような石油戦争を起こしたり、
食糧戦争を起こしたりした日には世界は破滅ですよ。
そういう
意味において、どうも農林大臣の答弁も前向きだったが、前向きではやっぱり大来さんが
専門家だから、やっぱり見通しの上に立って
日本は確固たる、いま外務省でもやっておられる平和共存路線を押していく以外に、世界の世論を背景として動く以外にやはり
日本の活路はないというところまで私は来ていると思いますが、あとは政治家の任務ですよ。やっぱりいまの大平内閣
——どうも大平さんの目を見ていると、あいた目もあるし、あかない目もありで、安部磯雄さんもああいう目つきをしていましたが、安部さんのより少しさえてないな。やはりわれわれもそうだけれども、眠たいときは眠らないで目をつぶっているのも
一つの方法かもしれないが、物を言わなければやはり対話はできないですよ。失敗したら、失敗したと言ってあやまるんです。そういう
意味において、やはり私はいまの大平内閣において、大平さんというのは受身のわかりのいい人だから、大来さんでも農林大臣でもやっぱり筋を立てていこうという構えだけは持っているんだからあとは勇気ですよ。敢然としてやはり
日本はよその人
たちが耳を傾けてくれるような正論をはいて、別に盾突くわけじゃないけれども、あとで危いときに
日本に救われたわいと言って
ソ連も
アメリカもほっとするような、
日本がこれで変な出兵をしたり軍事的に加担をしたら発言力がなくなってしまいますから、どうぞそういう
意味で、大平内閣の中にも、未来をかち取ろうという政治家があるんだという証拠を具体的に国会においても示すような言動をしてもらいたい。それを
外務大臣からお答え願いますが、ここの
外務委員会に来ているがゆえに、共産党の
立木君なんかも
——ただ
立木じゃない、あれは生きています。やはり宮本君を連れて行って領土問題でスースロフと一歩も譲らないだけの発言を共産党すらやれるような共産党になりつつあるんだから、あと共産党のまねをしている連中が祖国を愛し、祖国に責任を持たなければどうして世界平和を具体的に達成することができるか。もっと、主権者は国民なんだから、ロシアのようなプロレタリア革命という形での共産党の独裁じゃないんだから、そういう
意味において、私は
日本の政治というものはもっと大人にならなくちゃいけない、もっと具体的な事実を突きつけていかなくちゃならぬと思いますが、
立木さん、共産党すら変わるような世の中に、自民党さんでも
——社会党とは遠慮して言いませんけれども、中にはいろんな考え方をまちまち持っている人もあるようですけれども、もう少しやはり
日本の国民に合意を得られるような外交なり政治がなされなけりゃ
日本は本当に危ないと思います。ひとつ
外務大臣。