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吉田正雄君 いまの一般抽象論は、これはだれも否定し得ないと思うんです。確かに
断層によって地震が起き、地震によって
断層がさらに地震を振幅していく、地震の原因になるという一般論はこれは当然だと思いますし、単に
断層があったからといってそれが地震の原因になるかどうかというのは、それが
活断層であるかどうかということにかかっておることもこれは明らかなわけです。だから、私がこれから
指摘しようとする点は、
皆さん方は
活断層でないとおっしゃるし、われわれは
活断層だという
主張もずいぶんやってきた。
それからもう一つは、たとえば気比ノ宮
断層を見た場合に、これは
皆さん方の
安全審査会の中の
柏崎部会の
審査委員の一人である当時の東大地震研の松田助教授、この方は皆さんも御承知のように、とにかく
活断層に関しては日本の学界における最高権威の一人と言われておるわけですし、多くの著書も出されておるわけです。その松田さんの書いた本の中には、気比ノ宮
断層というのは
活断層です、
活断層として三十キロメートル以上の長さにわたっているということが書いてあるわけです。ところが、
皆さん方の
安全審査の中で今度採用された部分というのは、三十キロでなくて十六キロでしたか十七キロでしたか、そういう長さに縮めてあるわけです。この点について、われわれの
現地調査によればこの気比ノ宮
活断層の長さというのは間違いなく三十キロあるということを言ったんです。皆さんに
現地調査をされましたかと言ったら、皆さんの方は
現地調査をされていないんです。されておらなくて、十六キロですか十七キロという数字を出されておるわけです。そして今度はどういう言い方に変わったかといいますと、実は地震に影響があると思われる気比ノ宮
断層の長さというのが十七キロなんだ、こういう言い方に変わってきたわけです。
そこで、私の方で何でそういう数字が出てきたのかということで言いましたのは、地震によってマグニチュードというものがどうなるかというときに
活断層の長さが影響する。それが大きな要素になっているんです。これは一つの式があるわけです。その式に三十キロメートルという数字を当てはめますと、マグニチュードは七・二幾ら、約七・三になる。ところが、
皆さん方のその十七キロという数字を入れますと、
審査会の最終評価に出ているように六・九と出てくるわけです。つまりマグニチュードが七を超えるか七未満になるのかということによっては
建設のやり方というのが非常に違ってくるわけです。当初、
柏崎一号機の場合には二十メートル掘削してやる予定だったんです。ところが、いま言ったようないろんな
断層というものが地元からも
指摘され、それからいろんな学者の
調査とかあるいは私たち社会党の
調査団等の
指摘によってその後四十メートルまでに変更されたんです、これははっきり言って。当初は二十メートルだった。ということで、私はマグニチュード七以内につくろうためのいま言った単なるまやかしではないか。どうやって
現地調査されたんですかということで、私
どもの
現地調査の写真、
断層が出ているところの写真まで示して言ったんですが、とうとう満足な答弁が得られなかったんです。ところが、そのものは気比ノ宮
断層ですから、いま直接炉心の近くにあるわけじゃない、離れております。離れておりますからいいんですけれ
ども、しかし、そういうふうに
皆さん方の
説明というのは、どこの
説明でも満足し得る、納得させ得る科学的な
説明というものは全然なされていない。まさに
東電から出された申請書、ほとんどが
書類審査によっておるということは、その気比ノ宮
断層一つとってもこれは国会の論議の中でも明らかになったわけです。
そこで、それでは先ほど来、いや、あの
断層は
地すべりのものが多いとかいろんな言い方があるんですけれ
ども、この
地すべり問題が出てきたというのは、実は七七年の八月に
安全審査が終了したわけです。そして九月に内閣総理大臣の認可がおりたわけです。そして翌年の四月十一日には知事が保安林の指定を解除する、さらには従来の県道というものを廃止して迂回県道につくり直す
工事にかかっていったわけです。この
工事の進行中に、発電所東側道路の
のり面露頭から新
砂丘を切るきわめて新しい
断層が発見された。これは一号炉の北東三百メートル、現在予定されておる二号炉予定地から二百メートルくらいの地点なんです。この新しい
断層については、これも再度、二回目の社会党の
調査団が入って見てきたわけです。この
断層については、
東電側も
断層そのものは認めているわけです。その
断層がどうやってできたものであるかどうかという点について、
東電や
通産省の言い分、当時は科技庁になりますが、
安全審査会の方の言い分というのは、これは
地すべりによるものだという
主張を強くされたんです。私
どもも、その当時
ボーリングの
資料というものを持っていなかったわけですから、完全に
東電や
安全審査会の言い分を覆すだけの
資料がなくて非常に苦慮したんですけれ
ども、その
調査の後、
東電側に
ボーリングの
資料の提供を求めて
東電側もその
資料を提出してくれたわけです。
これからお見せする
資料は全部
東電から出された
資料を大きく書きかえたものなんです。全く同じものなんです。(
図面を示す)ちょっとこれでも見えないかもわかりませんが、これが海岸です。こちら側が山地になるわけです。そして一号炉の予定地がここにあるわけです。そして北東三百メートルのちょっと緑っぽい枠のところがありますが、ここのところに
断層が
露頭に出ているわけです。そして
東電はここのところに約十六本の
ボーリングを行っているわけです。私たちがこの
断層を
指摘したときは、
地すべりですという言い方だったわけです。
これを、もうちょっと断面図で見ますと、いまの部分というのはこうなっているわけです。(
図面を示す)道路のところです。道路側から見たところなんですが、こういうぐあいに約七メートルくらいの
断層になっている。
東電や
安全審査会はこれが
地すべりだという言い方をしているんです。こういう
地すべりというのが一体あり得るのかどうなのかということを、
東電の
資料によって私は
地すべりではないということをこれから申し上げたいと思うんです。
これが断面図。(
図面を示す)その次に、これが掘られた
ボーリングなんです。
東電側の非常に巧妙なやり方といいますか、うっかりしておるとそうかなあと思わせるやり方で実は感心したのが一つあるというのは
ボーリングの並べ方。こういうふうに
ボーリングが掘ってある。この並べ方を
断層に沿って並べたら
断層は出てきません。そうでしょう。こちら側のここの部分に
ボーリングしたものと、
断層のこっち側にも
ボーリングがされているわけです。
断層なのかどうなのかというのを調べるのは、同じ高さのここのところの
ボーリングの場所を並べたって同じ
一定の高さでしか出てこないから
断層かどうかというのはわからぬです。だから、掘ってある十六本は、この
断層面を切る
ボーリングによってこれがどれだけの
断層になっておるのかというのを見なければならぬわけです。
東電側が当初言っておったのは、その並べ方を、
断層が出てこないこちら側の部分の
ボーリングはこうです、今度はここの
断層の下の部分のところもそれに沿って
図面を見せるということですから、どっちを見てもわからぬわけだったんです。(
図面を示す)私
どもがいただいて、今度は
断層にこういうふうにほぼ直角の面でその
ボーリングのものを並べかえたんです。並べかえたことによって、ここにありますように、ずっとどこの部分をとってみても
断層が実に明確にこうやってあらわれているわけです。
ここでは一々細かい
技術論争とか
説明しても、大臣お聞きになっていてもちょっとぴんとこないと思いますからあれですが、とにかくこれは
東電の
資料なんです。
ボーリングの番号も全部打ってあるんです。並べ方が横に並べたのと縦に並べたのの違いなんです。これを
断層に直角にこう並べたことによって実に
断層であるということがはっきりしたわけです。いや、それだって
地すべりじゃないかという論がどうして成り立たないのかというと、今度は
皆さん方の
説明はどういう
説明に変わってきたかというと、いや、実はあれは古い
西山層の一番下の層、一番下の
基盤層ができた、
西山層のできた
年代のときに、ここのところには古い川が流れておったのだ、川が流れておって、そこのところを掘っていったのじゃないかというふうなまた言い方も出てきたりしたんです。しかし、そんなことにはなり得ない。というのは、ほとんどどこの部分でもほぼ平らなんです。この
断層の上の部分も下の部分もほぼ横に平らになっています。これが滑っていくなんという
状況じゃないです。滑ったものじゃないという
状況はこれははっきりしているんです、どこを見ても。と同時に、俗に言う礫、砂礫、小さな石ころ、ああいう石ころがこの上に乗っかっているんですけれ
ども、もし川によってここのところが掘られたものであるとするならば、この低い掘られたところにのみ礫がたまらなければならぬのに、こちら側の上の方のここにも均等に、こっちの
断層の下側の層と上の層にほぼ均等に礫というものがずっとあるんです。ですから、川によってそこが低くなったとかなんとかそんな話には全然ならぬということと、それによっても
地すべりでないということがわかる。
さらに、これが
活断層であるというのは、(
図面を示す)上の方の新
砂丘のこの
断層の差が、これが一番少ないところでは十五センチとか二十センチくらいでしかない。ところが、五メートルくらい下へ下がってまいりましたこの辺になってまいりますと、これが五、六十センチというふうにふえていくわけです。下へいくとさらにこの差というものが大きくなってくるわけです。つまり、この
断層というのは数回にわたって
断層が繰り返されていった、下の
年代ほど古いわけですから。ということで、これが
活断層を示しておるものである。これは、私
どもも、専門家に分析してもらった結果、こんなものが
地すべりだなんと言って、素人をごまかすのはともかくとして、そんなことで専門家がごまかされるわけがないし、よく
地すべりだなんてことを言いましたねという話なんです。だから、そういうことで、私
どもとしては
東電側の
資料に基づいてそういうことがはっきりした。
いま地図を見ながらですから十分ではなかったと思うのですけれ
ども、まとめて申し上げますと、
東電と
通産省の言い分をもう一回言いましょうか。どういう言い方をしているかというと、これは構造性
断層でなくて
地すべりだ。その
理由を二つ挙げておるんです。
一つは、
西山油田地帯の主要な
地質構造軸は北東から南西方向に向かっておる。この方向に背斜軸、向斜軸が並行している。したがって、新
砂丘を切る
断層というのはこの主要構造軸と異なっている。こういう言い方がまず第一点なんです。これは盛んにおっしゃっていたんです。
それから第二点は、地表部をトレンチカットして
断層線を追跡した結果、湾曲している。さっきの道の部分からずっと湾曲してきている。私たちもずっとその線に沿って歩いたわけですけれ
ども、湾曲している。したがって、
基盤岩の谷の地形と調和しており、
地すべり断層を示している。こういう言い方だったんです。
私
どもは、この
資料が入るまではそういう見方をしているのかと。しかし、あの荒浜全体の、いままでの油田会社の
地層調査やいろんな
調査結果から、われわれとしてはあそこに
地すべりが起きるわけはないという確信は持っておったんです。確信は持っておったんですが、みずから
ボーリングした
調査がないために、それになかなか十分な反論を加えるということはあの
段階では若干水かけ論のような感じがしたわけです。
そういう
主張をされたことは間違いないでしょう。