○市川正一君 私は、日本共産党を代表して、
石油代替エネルギーの
開発及び
導入の
促進に関する
法律案に対する修正案の提案理由とその
趣旨について御説明申し上げます。
もとより、わが党は、今後二十一世紀にもわたっての長期間、わが国の国民生活安定の土台となるエネルギー
政策の基本方向を示すものとして本
法案をきわめて重視いたしております。したがって、本
法案が提起している一連の
代替エネルギーの
開発が、従来、政府の進めてきた大企業任せ、アメリカやメジャー任せのエネルギー
政策、実はそれこそ今日のエネルギー危機をもたらした最大の根源でありますが、これを転換し、わが国のエネルギー供給基盤の強化を自主的、民主的かつ総合的に進められていくならば、それはわが国のエネルギー危機の打開に積極的な役割りを果たすものとなるであろうと考えるものであります。
しかし、本
法案には、わが党
委員の
質問を通じても明らかになったように、以下
指摘するような
問題点があります。
その第一は、通産大臣が定める
石油代替エネルギーの種類別の
供給目標には
原子力発電が含まれていることになっているため、
技術的にも安全性でも未確定で、国民的な合意をまだかち取っていない
原子力発電所の建設が法的な根拠を持って
促進されることになる点であります。
第二に、従来、国内炭切り捨て
政策の主体となっていた石炭鉱業合理化事業団を、その役割りを変えないまま新エネルギー総合
開発機構に吸収する一方で、この
機構の重要な業務の
一つとして海外炭
開発の
促進を図っているため、
現状では国内炭の切り捨てに拍車がかかる点であります。
第三に、新
機構が進める新エネルギーの
技術開発は、当面、民間企業の協力や業務委託によって進められるため、
技術開発の成果が受託企業に秘匿される危険性が強いにもかかわらず、それを防止するための措置が明らかになっていない点であります。
第四は、新エネルギーの
技術開発を
国際協力によって進める場合、その成果がわが国において自主的に利用できるものでなければならないのは当然であるにもかかわらず、新
機構の業務でそれを確保する措置が明確になっていない点であります。
第五は、新
機構の業務と運営が大企業の代表によって支配される危険性があるが、これを防止する措置が明らかになっていない点であります。
問題点はこれに尽きるものではありませんが、新エネルギーの
開発を自主的、民主的な方向で進めるためには、最小限これらの問題を踏まえた修正を行う必要があると考えるものであります。
これが修正案を提出する理由であります。
次に、修正案の
趣旨を簡単に御説明申し上げます。
案文は、お手元にお配りしたとおりであります。
修正案の第一点は、
石油代替エネルギーの
開発に当たっては、国内資源を重視し自給率の増大に配慮するため、その
趣旨を本法の目的に明記するとともに、
石油代替エネルギーの
供給目標については、国内資源による自給率を明記することといたしております。
第二点は、
技術的にも安全性でも未確立な
原子力発電の建設
促進の歯どめ措置の
一つとして、本法で定める
石油代替エネルギーの定義から
原子力を除くことといたしております。
原子力は、平和利用三
原則の立場から安全性を重視してさらに
研究開発を進めることとし、安全性が確認され保障されるまでの間は法的根拠をもって推進される
石油代替エネルギーの
供給目標に加えないことといたしております。
第三点は、新エネルギーの
技術開発を進める新
機構への石炭鉱業合理化事業団の吸収は取りやめ、国内炭の
開発利用を積極的に進めることといたしております。
第四点は、新
機構からの業務委託による
技術開発の成果が私企業に秘匿されることを防止するとともに、委託費の不正使用を防止するためにも、必要がある場合は委託の
範囲内で受託企業への通産大臣の立ち入り
調査権を認めることといたしております。
第五点は、SRCIIプロジェクトに見られるように、
国際協力による新エネルギー
技術開発の成果が自主的に利用できない危険性があるため、新
機構が進める
技術開発の
国際協力は、その成果が自主的に利用できるものでなければならないことといたしております。
第六点は、特殊法人が、政、官、財の癒着によって不正腐敗の温床ともなってきた経緯も踏まえ、これを防止し、国民的な利益の立場から新エネルギーの
技術開発が進められるよう、新
機構の中枢的役割りを果たす運営
委員会は日本学術会議、消費者団体、労働組合の推薦する者を含む民主的な構成とするとともに、新
機構の運営
委員の任免、諸
計画や予決算は国会の承認を得るものといたしております。
以上が修正案の
趣旨でございます。慎重御
審議の上、こぞって
委員各位の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。
終わります。