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国務大臣(
佐々木義武君) ただいま
お話しのとおり、四月二十七日から五月四日まで私は中国へ行ってまいりました。主たる
任務は、
資源エネルギー問題あるいは
技術交流の問題が主なテーマでございました。
華国鋒総理、それから余秋里副総理、康世恩副総理の御三方と、それから
大臣クラスでは李強対外貿易部長、唐克冶金工業部長、高揚文石炭工業部長の三
大臣。総理、副総理二人と三
大臣の六名の方が
中心になりましてそれぞれ会談を持ったわけでございますけれ
ども、総理との
関係は表敬訪問的な面が主でございますので、一応これは抜きまして、その他会談をした
皆さんを
中心にいたしまして、ただいま御
指摘のございました特に
エネルギー問題に対してどういう主な話し合いがあったかという点でございますけれ
ども、まず、
石油でございますが、
石油に関しましては、中国の方では探査、
調査と申しますか、これに非常にいま力を入れておりまして、その最中でございますけれ
ども、いままでは、御承知のように海洋油田の探査等には渤海を初め黄海あるいは中国南部の海洋でそれぞれ各国が分担いたしましていま進めていることは御承知のとおりでございます。この方は従来どおり、また近く、わが方でも
調査の専門機関ができましたので向こう側との調印等の問題がございますけれ
ども、いずれにいたしましても海洋油田の方は従来の線をそのまま強力に進めていただくことにいたしまして、私
ども今度参りまして特にお願い申し上げましたのは、外国企業には許していなかった大陸の油田探鉱
開発に参加させてもらえまいかという申し入れをいたしました。大港油田、ただいまこれは油を出しているところでございますけれ
ども、及びその他の渤海湾陸上の油田等の探鉱
開発に対しては、どうぞ
日本も参加して一緒にやってまいりたいという
お話がございまして、原則的な合意がなされたわけでございます。その他の奥地の油田等に関しましても、こちらの方で計画がございましたらいかようにでも協力したいという話がございまして、これも進めようかと考えておりますので、この点は非常に大きい収穫じゃなかろうかと思っております。中国の大陸の油田は大変大規模なものばかりでございまして、将来大変望みの持てるところじゃなかろうかという感じがいたしました。
それから石炭でございますけれ
ども、石炭に関しましては、輸銀の
開発ローンがいま出されているわけでございますけれ
ども、向こうからは七つのプロジェクトを出してございましたが、そのうちの三カ地点に関しましては合意に達しまして、それは近く正式な調印になると思います。残りの四カ地点と、向こう側から合弁あるいは補償方式で
開発したいという四つの申し込みがございましたが、これともう
一つ、私の方から大同炭鉱等その他も合わせまして、そういう輸銀ローンの対象になっている四カ地点、あるいは合弁、補償方式の四カ地点、その他大同等あわせましたそういう地点の扱いをどうするかという問題でいろいろディスカッションした結果、向こう側は、輸銀ローン対象の四カ地点の
調査をまず急いでもらいたいという
お話でございまして、私
どもの方は、それはもちろんそうですけれ
ども、その他の地点も同時にできれば
調査したいという
お話をいたしましたところ、それではこの問題をいつ、どういう時期に、どういうふうに
調査を進めるかさらに検討してみようということで検討を約して帰ってまいりました。
それから石炭液化でございますけれ
ども、これは日中で共同研究をぜひやりたいということで基本的には合意いたしまして、六月に
日本からミッションを派遣することで帰ってまいりました。
それから日中の長期貿易取り決め。これは従来からあるわけでございますけれ
ども、これに関連いたしまして、まず八五年に石炭を一千万トンわが方としては引き取る用意があるけれ
ども、
日本側の需要家の希望に合致した炭種について、あるいは価格等について合意に達したならばひとつぜひわが方としてはそれを引き取りたいという
お話を申し上げましたところ、中国側といたしましては、それではその一千万トンの内訳はどうなっているのですか、一般炭と粘結炭との区別はどうなっているか、炭質あるいは炭種等の詳細が欲しい、ぜひその資料をちょうだいしたい。そうすることによりまして、向こうは輸送機関との兼ね合いもございますから、そういう点もあわせて考えて希望に沿えるようにいたしたいという申し出がございまして、近く資料をこちらから提出することにして帰ってまいりました。
それから油の八一年、八二年の量でございますけれ
ども、中国側はいま
石油の方は生産が余り伸びておらぬのに消費が大変ふえておりまして、従来約束したとおりの数量を
日本に輸出するということは大変困難な
事情にあるように見受けられました。しかし、八一年度等につきましては最大限の
努力を払いたいという発言がございまして、今年度下半期にこれに関しましてもう少し具体的な話に入るということにして帰ってまいりました。と申しますのは、ちょうど、華総理も申しておりましたが、ただいま、いままでのいろいろな
開発計画の調整期に入っておりまして、その調整をしている最中でございまして、五年計画あるいは十年計画、恐らくことしいっぱいくらいかかるだろうと思っておりますが、それをつくっている最中なので、そういう点が正確に決まってくれば大変こういう問題を扱うのに扱いいいという
お話でございまして、それではもう少し中国の計画が進むのを待ってということで下半期ということにいたしてまいりました。
それから
技術協力の問題でございますけれ
ども、これは経営管理に関する
技術協力センターを北京に設置したらどうだろうということを提案いたしまして、大変結構なことだということで、これも具体的な今後の取り運びになろうと考えております。その他いろいろ、研修生の受け入れとか、あるいはこちらからの
技術者、専門家の派遣だとか、あるいは水力
開発のフィージビリティースタディーの
調査団を送るとかいったようなたくさんの項目がございましたけれ
ども、それはほとんど
技術協力に関しましては合意に達した次第でございます。
最後に、華総理に会いました際に、向こうはちょうどただいま新しい計画をつくっている最中だと申すものですから、それじゃ
通産省の
事務次官以下ベテランを派遣するので、
日本側のいままでの体験等いろいろ話したいから、あるいは八〇年代のビジョンなんというものもこのほどできましたので、そういう点も参考までに聞いてもらえないかと言いましたら、大変喜んでくれまして、ぜひひとつ派遣してもらいたい、二回ばかり繰り返して向こうはいつごろよこしてくれるかというので話がございまして、これはこの夏くらいには送りたいと思っております。
大体、以上が主な
内容でございますけれ
ども、私が参りまして一番痛感いたしましたのは、いま
岩動先生も御
指摘のとおり、やはり人事の交流と申しますか、往来が激しくなることが一番国交を密にするもとだと思いますし、同時に、
日本は経済協力あるいは
技術協力が可能なわけでございますから、そういう面を通じまして両国が結ばれるということは、とりもなおさず
資源エネルギー外交に結びつくわけでございますので、大変そういう点は重要なことだということを痛感してまいりましたような次第でございます。