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1980-03-19 第91回国会 参議院 エネルギー対策特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十五年三月十九日(水曜日)    午後一時十一分開会     —————————————   委員異動  三月一日     辞任         補欠選任      小谷  守君     対馬 孝且君      栗原 俊夫君     浜本 万三君  三月四日     辞任         補欠選任      橋本  敦君     市川 正一君  三月十七日     辞任         補欠選任      対馬 孝且君     高杉 廸忠君  三月十八日     辞任         補欠選任      高杉 廸忠君     対馬 孝且君      向井 長年君     中村 利次君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         吉田  実君     理 事                 高橋 圭三君                 竹内  潔君                 小柳  勇君                 馬場  富君                 市川 正一君     委 員                 岩動 道行君                 河本嘉久蔵君                 熊谷太三郎君                 古賀雷四郎君                 野呂田芳成君                 林  寛子君                 福岡日出麿君                 真鍋 賢二君                 三浦 八水君                 丸谷 金保君                 下田 京子君                 中村 利次君    事務局側        常任委員会専門        員        町田 正利君    参考人        日本エネルギー        経済研究所研究        理事       高垣 節夫君        電源開発株式会        社理事      木村 友三君        日本重化学工業        株式会社専務取        締役       森 芳太郎君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○エネルギー対策樹立に関する調査  (石油及び石油代替エネルギー石炭、LN  G、地熱)問題に関する件)     —————————————
  2. 吉田実

    委員長吉田実君) ただいまからエネルギー対策特別委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告申し上げます。  三月一日、小谷守君及び栗原俊夫君が委員辞任され、その補欠として対馬孝且君及び浜本万三君が選任されました。  また、三月四日、橋本敦君が委員辞任され、その補欠として市川正一君が選任されました。  また、昨十八日、向井長年君が委員辞任され、その補欠として中村利次君が選任されました。     —————————————
  3. 吉田実

    委員長吉田実君) 次に、理事補欠選任の件についてお諮りいたします。  委員異動に伴い、現在理事が一名欠員となっ、ておりますので、この際、理事補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんでしょうか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 吉田実

    委員長吉田実君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事市川正一君を指名いたします。     —————————————
  5. 吉田実

    委員長吉田実君) エネルギー対策樹立に関する調査を議題といたします。  本日は、本件につきまして、参考人として日本エネルギー経済研究所研究理事高垣節夫君、電源開発株式会社理事木村友三君、日本重化学工業株式会社専務取締役森芳太郎君、以上三名の方々の御出席をいただいております。  この際、参考人方々一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、皆様方には、御多忙中本委員会に御出席いただきまして、まことにありがとうございます。本委員会は、エネルギー対策樹立に関する調査を進めておりますのですが、本日、皆様方から石油及び石油代替エネルギー石炭LNG地熱)問題について、それぞれの御忌揮のない御意見を賜りまして、本調査参考にいたしたいと存ずる次第であります。どうかよろしくお願い申し上げます。  なお、議事の進行上、参考人方々には、お一人三十分程度で御意見の御開陳をいただき、その後、委員からの質疑にお答えをいただきたいと存じます。  また、発言の際には、その都度委員長の許可をお受けになるようお願いいたします。  それでは、まず、高垣参考人からお願いいたします。高垣参考人
  6. 高垣節夫

    参考人高垣節夫君) それでは、私、日本エネルギー経済研究所高垣でございますけれども、お求めによりまして、私ども石油並びにLNGに関しましての所見をお話しさせていただきます。  私ども感触といたしまして、特に昨年末あるいはことしに入りまして、一九八〇年代の世界全般にわたりましての景気情勢政治情勢が不透明であり不安定であるということで皆様方の御心配をいただいておるわけでございますが、その中心エネルギー供給の不安ということがあり、またさらにその中心に、エネルギーの大宗を占めております石油供給につきまして産油国政策並びに行動というものかよくわからないという点が指摘されているように思います。  で、実は最近、とりわけ昨年一年間の産油諸国動向でございますが、私ども長年世界石油産業構造変化という点を見てまいりました感触から言いますと、非常に大きな基本的な構造変化というものが昨年一年間に起こったと言えるのではないかというふうに思っております。  ごらんのように、その第一点でございますが、原油価格が一挙に二倍になるということがございますし、あるいは国際石油会社、俗に言うメジャー・オイル・カンパニーズ、メジャーと呼ばれる有力な石油会社日本石油会社に対し供給を削減するということがございまして、世界石油貿易流通経路チャンネルの再編成ということがきわめて短期間に、一年間と言えば長いわけでございますが、長い歴史を持っております世界石油産業の中でこういった大変化が一年間に起こっておるということが第二点として言われると思います。さらに基本的なことは、中東産油国が、イランの政変をきっかけといたしまして、イランのみならずアラビア湾岸主要石油輸出国が一様に増産を見合わせるということが事実として起こっておるわけでございます。別段これが産油国統一政策として宣言されておるわけではございませんが、もうすでに、これは場合によれば逆に減産をほのめかすというようなこともございまして、われわれの見る限り、OPEC諸国資源温存、いままでのような増産抑制ぎみ政策を切りかえるということは明らかと言ってよろしいのではないかと思うわけでございます。従来は、資源限界ということで一九九〇年代の終わりごろには供給が制約されるのではないかということが言われていたわけでございますが、実際には、このように産油国政策のいかんによって予定よりも十年以上早く供給の制約、限界ということがわれわれの目の前にあらわれたわけでございます。  以上三点、価格上昇し、流通チャンネルが再編成され、資源供給国である産油国の側からは長期資源温存と追加的な石油供給は望めないという三つの点があらわれた。これが昨年一年間を通じまして、いわゆる混乱と不安定という一言で表現されたわけでございますが、きわめてこれは深刻な重要な変化でございまして、この意味を正確につかまえておきませんと、今後の石油供給というものあるいは価格政策というものの見通しがつかなくなるということが言えると思いますし、逆に申しますと、今後の産油国の諸政策動向というものは、ただいま申しました三点というものをもとにいたしまして考えていけば、彼らの主張というものもある程度賛成、不賛成は別といたしまして、理解できるということが言えるのではないだろうかと思います。  昨年一年間のそういったかなり重要な変化を将来の展望につなげて考えるといたしますと、たとえば原油価格見通しでございますが、私の計算で見ますと、これはかつて産油国が一バレル十ドルという価格を実現したことがございますが、その後の世界の、主として先進工業国物価上昇に比べまして原油価格上昇はそれにおくれをとっているということが一つ。さらに、彼らの受け取ります原油価格ドルで決済されるということから、ドル交換価値の下落ということにより、以上二つの面から産油国の受け取ります実質収入というものは低下していた。これを昔の十ドルベースに戻せという要求が根底にあったように思われるわけでございます。もしこのような見方が正しければ、将来につきまして原油価格を一体どのように想定するかということも、われわれなりに一つの予想を立てることができるというふうに思います。詳細な数字はこの際は省略させていただきまして、もし御質問がございましたら後ほど触れることにいたしますけれども、たとえば、最近報道されておりますOPEC諸国長期戦略委員会、これはOPEC総会に対する対策答申機関でございますけれども、そこでいま言われておりますように、先進国物価上昇率、これには卸売物価消費者物価指数それぞれを考慮するというふうに言っておりますが、要するに、われわれの工業国インフレ度合いに応じて原油価格を比例的に引き上げていくということが言われておりますし、ドルの不安定さということにつきましては、依然としてドルで決済されるということは続きましょうが、複数通貨制度という表現をとっておりますが、ドルの各国の通貨に対する上下度合いを加重平均いたしまして彼らの実質収入が低下しないようにというふうな考え方をしておるようでございます。この長期という意味が何年間ぐらいの期間を指して言うかということは明らかでございませんが、非常に激変いたしました昨年の原油価格の変動の理由と、それを将来に当てはめた場合の今後の原油価格見通しというものがこのような形で一応想定できるのではないだろうか。すでに私ども研究所ではこのような状態につきまして、第二次オイルショックと言われております最近の動向が決して第一次オイルショックのときのように、世界の関心をアラブ、イスラエル問題に目を向けさせる、そういったねらいから一過性の要素があったわけでございますが、今回はそのOPEC諸国考え方が非常に長期的にわたる政策のあらわれであるというところから、ただいまのような視点で計算いたしまして、もしわれわれのインフレ速度というものがおさまる、しかも代替エネルギーの強力な開発がなければ、一九九〇年ごろに名目価格ではございますが、一バレル八十ドルとか九十ドルということが決してないとは言えないという意味で、警告の意味で見解を発表しておるわけでございますが、そういうふうな状況にあるということを冒頭に申し上げたいと思います。  それから第二点の、わが国では一体エネルギー価格が重要なのか、供給される量が重要なのかという問題の出し方があり得ると思います。双方ともに重要なことは間違いございませんけれども、その供給量につきまして、先ほど申しましたような、今後OPEC諸国、とりわけ中東産油国増産賛成でないということになってまいりますと、私の非常に大ざっぱな計算でございますが、現在得られておりますOECDの統計で見ますと、先進工業国昭和五十二年度、一九七七年に石油換算で三十六億トンのエネルギー消費したわけでございますが、今後控え目に計算し、世界経済が三%ぐらいで成長すると仮定し、エネルギー消費はそれよりもやや低くその七掛け程度、つまり弾性値が〇・七ということでございますが、二%ぐらいでエネルギー消費が伸びたと仮定いたしましても、二〇〇〇年には石油換算、いまの規模の五割増しの五十四億トンぐらいのエネルギー消費規模になっているはずであります。従来はこれ以上速い速度エネルギー消費は増加しておりましたけれども、その大半、約三分の二は石油で賄われ、残りの三分の一に近いところもLNGで賄われていたという事情がございまして、一言で申しますと、ほとんど全部石油天然ガスによってその需要の増加分が満たされていた。今後、仮にその石油天然ガス増産を余り容認しないというふうに産油国政策が出てまいりますと、われわれはこの増加分石油換算十八億トンという数量石炭であるか、原子力であるか、LNGであるか、そういった石油以外のエネルギーで賄わなければならないということになるわけでございます。十八億トンの数量というのは非常に大きなものでございまして、実量に換算いたしますと、恐らく原子力発電では世界的規模で五億キロワットを下回らないものが建設されなければなりませんでしょうし、石炭について申しますと、一般炭実量十億トンを上回るものが開発され貿易されなければならない。LNGにつきましても、五億トン程度のものが追加して取引されなければならないというようなことでございます。こういった数字は非常に大きなものでございますから、正直言って私自身にも実感は伴わないわけでございますが、現在のわれわれが考えております日本開発努力の目標と比較いたしましても非常にこれは大きな数字でございまして、世界を挙げて果たしてこれが達成できるかどうかという点につきましてかなり強い努力を求められるであろうというふうに考えられるわけでございます。  先ほどのOPECとの関連で申しますと、OPEC諸国はそういった将来の先進工業国中心といたします経済発展によりまして、仮に石油以外の代替エネルギー開発におくれをとり石油需給が結果的に逼迫するというような事態になりますと、彼らは、先ほど申しましたように、インフレーションとそれからドル交換価値上下、多分これは低下という形になる可能性が強いと思いますが、そういった形での実質価値保全というところからさらに一歩進めまして、いわば攻勢に出てくるとでも申しましょうか、代替エネルギー開発コストにリンクするような高い価格を要求してくるに違いない。先ほど長期戦略委員会という名前のもとに立てられた価格政策長期とは一体何年を指すだろうかというふうに多少疑問を含んで申し上げましたが、その理由はここにございまして、もしわれわれが代替エネルギー開発におくれをとるようであり、世界石油需給が逼迫し、その結果いわゆるスポット物原油価格というものが暴騰する。言ってみれば、これは産油国が引き上げるのではなくて、消費国自身石油買い付けにラッシュする、殺到するという形で市場において自動的に引き上がるということになりますと、彼らは先ほどの実質価格保全というところから一歩踏み出しまして、代替エネルギーに近いところ、恐らく現在の価格水準で言いますとさらにこれはその三割ぐらい高い四十ドルに乗せるような価格水準を主張してくるに違いないというふうに思われるわけでございます。このように昨年起こりました量、価格、それから流通経路変化というものを長期展望に当てはめて考えますと、われわれの将来のエネルギー供給確保努力というものが非常に急がれるということが言えると思います。  ただいま申しましたように、スポット原油という問題が昨年非常に目を引きましたけれども、これも先ほど説明を省略いたしましたが、従来世界じゅうでたった七つないし八つの限られた巨大な国際石油会社産油国を相手にして取引をする、少数産油国少数買い付け者という形の取引が、メジャー取引が制限されまして、日本で申しますと民族系石油会社あるいは商社というものが直接に、メジャーを経由しないでじかに石油買い付けに行く、多数の買い手という形になってまいりますので、いわゆる市場取引に近い自由取引という形態で、もし逼迫いたしますならば、いま一時的に鎮静しておりますが、スポット原油価格は急速に反騰するのが明らかである。これはほかの非鉄金属市況その他を見てもわかりますように、きわめて鋭い価格の反騰ということが起こり得る。もしそのような状況がある程度続きますと、基礎になります産油国の、いわゆるベースプライスと呼んでおりますが、公式価格というものがそれにつれて高くなり、先ほど申しましたような代替エネルギー開発コストにリンクいたしましてさらにさらに上がっていくということが言えるのではないかと思います。この点は将来、いかにわれわれが石油以外のエネルギー開発していけるかという問題にかかっておるわけでございますので、後ほどの御質問なり御意見を伺って補足できればと思っております。  私どもエネルギー専門にしております研究所では、石油供給事情あるいはその他のエネルギー資源量等々について勉強してまいったわけでございますけれども、いま申しますように非常に原油価格が急騰するというようなことになってまいりますと、供給事情というものを御説明するだけでエネルギー問題が終わるわけではございませんので、専門外になって恐縮でございますが、これが日本経済に及ぼす影響なり、その結果がまた再度原油価格をどのように刺激し、どのような結果になっていくだろうかということについて手短に触れてみたいと思います。  原油価格は、言うまでもなく石油製品価格を押し上げることになりますし、全般エネルギーコスト上昇というものが卸売物価上昇に大きく影響してくるのは否めないかと思います。大ざっぱに考えまして、一昨年のやや平常であった年に比べますと、燃料費が少なくとも大体二倍になっておるわけでございますので、エネルギー主体の多消費型産業におきましては、恐らくエネルギー原価構成、経費に占めております割合は三〇%を切っておることはない。俗に言われます多消費型産業は大体三十数%になっておるわけでございますので、単純に燃料費上昇だけをとりましても、それらの諸産業では三〇%を大きく上回っているであろうというふうに思います。のみならず、最近のように第一次オイルショック不況期を脱出いたしまして、ようやく減量経営努力が実り再度景気上昇過程に入りまして設備投資全般化いたしますと、第一次オイルショックのときに発生いたしました全般的な物価上昇ということが新しい設備投資の金額を非常に膨張させておりますし、従来で考えておりました資本費つまり内容的には減価償却費でございますけれども、そういったものを従来の原価計算コストのレベルから比べますと非常にこれを割り高なものにさせるという傾向がございますので、これは言ってみれば、第一次オイルショックのときの遺産が第二次オイルショックのときに重なって発生してきておるというふうに私は考えております。したがいまして、今日の卸売物価上昇原因というものを考えますと、単なる燃料費だけではない。非常に大きな部分は燃料費上昇でございますが、第一次オイルショックによって引き起こされました全般的な物価上昇というものが将来への設備投資ないしそれの償却費というか、資本費増高となって輪をかけておるという事情でございまして、最近見られるような卸売物価の急上昇、これと設備投資全般的な上昇傾向というものは非常に密接に関連した現象ではないだろうか弔いずれも根をたどってみますと第一次、第二次オイルショックから出たことは間違いございませんので、このようにそれぞれのオイルショック影響をいかに乗り切るかということを綿密、慎重に考え、先ほど申しましたように第一次オイルショックのときの遺産がいまに重なりまして二重にその負担を感じるというようなことを今後は十分警戒すべきではないだろうか、こう思います。  このようにかなり大幅な原価上昇物価上昇ということは避けられないように思いますけれども、しかし、そうかといってこれを意図的に抑えますと、外から発生しております物価上昇の波でございますので、どこかの段階価格の改定を抑えてしまいますとこれは非常に無理がまいります。結局いずれは解消しなければならないコストアップ、何かの形で吸収していかなければならないコスト上昇の圧力というものを不自然な形で抑えますと、やがてまたこれは後の時代に悪い影響を尾を引く形で残していくということが言えるのではないかと思いますので、今回は、すでに昨年政府の方針として不自然な政策介入はしないというような方針が出たようでございますけれども、ともかく日本経済生産過程においてそれぞれ生産性向上合理化努力という形でこれを吸収すべきものであって、どこかの中間的な段階でこれに歯どめをかけるということは非常にいびつな形を持ち来すのではなかろうかというふうに考えております。  もしそういうふうなエネルギーコスト上昇を正常な形で次の段階へ、さらに次の段階へ波及させていくということになりますと、一体最終的に日本経済輸出競争力を保ち得るかどうかという点が非常に懸念されると思いますが、最近の物価上昇は、そのように主として石油をその原因といたしておりますので、石油製品価格を先頭といたしまして非常に大幅なものがある。しかし、それは次の電気料金その他基礎材、たとえて申しますと石油化学産業でございますが、そういった長い生産工程をたどって見てまいりますと、物価上昇割合はその段階を進むに応じてその比率は低くなっておりまして、やがてこれが最終製品段階になりますと原材料もしくは賃金という形でエネルギーコストが直接その影響を及ぼすという度合いは非常に少ない。一言で申しまして、あらゆる段階でそれぞれの合理化努力がなされるならば国際競争の場に直面いたします完成品最終製品コスト上昇というものは決してそれほど大きなものではないだろう。つづめて申しますと、一見非常に大幅に見えます物価上昇の波でございますが、その波は漸次収斂していく性質のものであり、国際競争力がそれによって失われるというふうな不安、懸念というものには直ちには結びつかないのではなかろうか。  したがいまして、恐らく貿易収支の面におきましても、貿易品目全般についての知識は私どもございませんが、エネルギーだけをとってみますと、恐らく今年度、新しい年度におきましては六百億ドルぐらいの石油関連外貨支出があるだろう。一昨年の、正常なとわれわれが考えております年の二百五十億ドルから見ますと三百五十億ドル支払い増になるわけでございますので、輸出面におきましても、一千億ドル貿易収支がバランスしていた時代から比べますと、大ざっぱではございますが三五%見当の輸出増加がなければならない。しかし、これは一年間でこれを乗り切る、つまり貿易収支つじつまを合わせるということは相当むずかしいだろう。ことし一年間の貿易収支赤字あるいは経常収支赤字というものは恐らく避けられないのではないだろうか。  この間にオイルダラーが約一千億ドル余剰が発生するというふうに言われております。これは御承知のように、モルガン・ギャランティー・トラストというアメリカの投資信託銀行計算でございますが、しさいに点検してみますと、石油収入はやや小さく見積もられておりますし、産油国外貨支払いはやや大き目に見積もられておりますので、恐らくそういった点を修正いたしますと千二百億ドルぐらいの余剰ドルになるのではないだろうか。千億ドルでおさまれば不幸中の幸いとでも言うべきではないかと私は考えております。そのオイルマネーの一部が、今回公定歩合の再々引き上げがあるようでございますが、それによって一部日本に還流するようなことであれば形の上では何とかその外貨収支つじつまがつくかもしれませんが、要するにこれは借金でございますから、恐らくよくて一年ないしそれ以上、一年半とかいう期間、われわれが従来のような合理化努力を続け国際競争力を保持し続けることによって今回の危機を何とか切り抜けられるのではないだろうか、こういう感触を持っているわけでございます。  与えられております時間がほぼいっぱいになりましたので、LNG天然ガスについて一言だけ補足いたしまして、また後ほど御質問の際にでも補足したいと思いますが、天然ガスは、先ほども申しましたように、原油生産は伸び悩みということがございますが、非常に現在の状態で利用されていない量がきわめて大きい。中東産油国で見ますと、たとえばサウジアラビアのごときは八〇%以上これは空中に放散されておる、利用されないでそのまま燃されておるわけでございます。したがいまして、資源量というものはまだ非常にゆとりがあるということが言えると思います。私は技術的に専門でございませんので余り自信はございませんが、現実に中東諸国へ行って見ておりますと、すでにカタールから日本にも申し入れがございますし、アブダビでもそういう動きがございますが、従来の油田において原油の生産につれて出てまいりますいわゆる併産ガスと呼んでおりますが、それらとまた違う独立のガス田というものの非常に大量な鉱層が相次いで発見されております。問題は、その天然ガスの場合に、これも有限であることは間違いございませんが、当面の問題は、いかにこれを利用するかということに産油国は非常に大きな関心を持っておりますし、われわれといたしましても、今後の経済発展につれてエネルギー供給は逼迫するわけでございますので、極力これを利用できるような協力体制、産油国との協力を考えることが非常に重要なのではないでなかろうかというふうに思います。  問題は、むしろこれはその利用の形態、受け入れ体制というところに非常に問題があるように思います。たとえて申しますと、天然ガス、メタンガス中心なんでございますが、これをLNGの形で利用するのか、あるいは将来技術の発展においてメチルアルコールという形に姿を変えてでも利用するのか、すでにサウジアラビアで三菱瓦斯化学を中心といたしますメタノール業界が、国内の生産設備五〇%を封印いたしましてサウジアラビアでそのメタノールを生産し日本に輸入するという、市場の開放を含めた思い切った政策がとられているわけでございますが、たとえて言えば、こういった一種の英断というものがあってしかるべきではないかというふうに思っております。無論LNGの場合も従来どおりの形で極力貿易を伸ばすべきだと思いますし、日本の場合に、これを受け入れ基地から全国的に天然ガスパイプラインというようなものでも建設されますと、まだまだ利用度は飛躍的にふえるであろう。現在のところガスという形で利用できておりますのは東京、大阪あたりのいわゆる大都市中心でございまして、しかし、日本の全国に及んでおりますより規模の小さいガス会社で果たしてこれを利用できるかどうかという点につきましては、利用したいという希望は当然広範にあるわけでございますが、それを実現するための配送システムというものにより一段の努力が必要ではないだろうかというふうに考えておるわけでございます。  多少まだ説明が足りないかと思いますが、一応予定の時間でございますので、これで最初の説明を終わらせていただきたいと思います。
  7. 吉田実

    委員長吉田実君) どうもありがとうございました。  それでは、次に木村参考人にお願いいたします。木村参考人
  8. 木村友三

    参考人木村友三君) 私は、電源開発理事をいたしております木村でございます。  まず、本日、このような機会をお与えいただきまして、まことに光栄に存じております。厚くお礼を申し上げます。  私は、石油代替エネルギー一つの大きな柱と期待されております石炭問題につきまして、所見を述べさせていただきたいと思います。  まず、石炭利用の拡大を図るためには大きく分けて二つの問題があろうかと存じます。その一つは、まず調達の問題であります。それから第二は利用の問題であります。  第一の調達の問題から述べさせていただきたいと存じます。石炭の調達に当たりまして、まず考慮しなければならない点は、国内資源でありますところの国内炭の問題であろうというふうに存じます。私といたしましては、国内炭は安定供給を維持しながらできるだけこれを利用するということが必要であろう、このように考えております。しかしながら、御案内のとおり、日本の国内炭の埋蔵量は非常に少なくて、また採掘条件も悪いためにどうしても割り高になることは否めないわけでございます。こういった点を考慮いたしまして、一体どの程度に国内炭の生産規模を維持するかということは、これは日本石炭政策の問題であるわけでございますが、いずれにいたしましても、申し上げましたように、埋蔵量あるいは経済性の面から考えまして余り多くを期待することはできないであろうというふうに存じます。したがいまして、今後増加いたします石炭の需要にこたえるためには、やはり大部分を海外に依存するということになろうかと存じます。  そこで、海外炭の問題につきまして触れさせていただきます。石炭の埋蔵量は、御案内のとおり理論埋蔵量といたしまして、世界で約十兆トンと言われております。そのうち可採埋蔵量、経済的に採掘することができる埋蔵量は六千四百億トンというふうに言われております。現在使用されておる石炭の使用状況から見まして、これは二百年を優に超える埋蔵量になるわけでございます。なお、その分布を見ますと、環太平洋地域を見ましても、オーストラリア、南アメリカのコロンビアあるいはベネズエラ、アメリカ、カナダ、アメリカの中にはアラスカも含むわけでございますが、それからシベリア、中国、インド、インドネシアというふうに非常に広く分布いたしておるわけでございます。こういった点から、私ども所要の石炭量を手当てするということは量的には十分期待できるものというふうに考えておるわけでありますが、しかしながら、石炭を手当ていたしますときに、やはり資源の問題でありますので十分配慮いたしました手当ての方法を講ずる必要があろうというふうに考える次第でございます。  まず、石炭の手当てに当たりましては、これは国家の安全保障の問題の一つであるわけでございますので、買いあさるというふうな態度はいかぬと思います。やはり長期的な視野に立ちまして、安定輸入を第一義と心得て経済性はその中において追求するという態度でなければならない、このように思います。そのためには、具体的には輸入相手国の分散化を図る必要があろうと思います。仮に特定の国に多くを依存するといたしますならば、やはりその国の政情の変化あるいは短期的にはストライキというふうなことによりまして輸入の中断ということが起こり得るわけでございまして安定を欠くわけでございます。こういう面から経済性をその中に考慮しながら手当てをしていくということが必要と思います。  ここで、日本から、私どもから見ました環太平洋各地域の特性というものにつきまして若干触れさせていただきたいと思います。  まず、オーストラリアでありますが、これは比較的海岸線から近いところに石炭を産出いたしております。大体遠いところで二百五十キロ程度でございます。なお、鉄道あるいは港湾設備というものも比較的に完備いたしております。したがいまして、いまの段階ではかなり経済的にも有利ではないかというふうに思うわけでございます。  次に、南アメリカのコロンビア、ベネズエラあたりでありますが、これはかなり豊富ではありますけれども、まだまだこれから開発するという段階でありますし、なお、どうしてもメキシコ湾岸に港を求めることになりますので輸送上問題があるというふうに存じます。  次に、アメリカでありますが、アメリカは御案内のとおり、太平洋岸に持ってまいりますためには千五百キロを超える鉄道輸送を必要といたします。その点が最大の隘路であるということに考えております。したがいまして、新しい輸送手段というふうな技術開発を必要とするというふうに存じます。  カナダにつきましても、ややアメリカよりはましでありますけれども似たような情勢にあるわけであります。  アラスカ。これは場所によりましてはかなり海岸線から近いところがございます。三、四十キロのところでございます。しかし、これもこれから開発するものであり、なおかつ特殊の炭でありますために、その利用技術の開発を必要とする面がございます。  シベリアにつきましては、これはシベリアの総合開発というふうなものの帰趨を見定めていかなければならない、このように存じます。  中国でありますが、埋蔵量は御案内のとおり豊富であります。しかしながら、陸上輸送及び港湾設備の早急な拡大を必要といたします。  インドにつきましては、これも鉄道はかなりよろしいのでありますが、港がまだ十分ではありません。なお、インドの国の政策といたしまして、石炭を海外に輸出するというふうな明確な政策が必ずしもとられていないということでございます。  インドネシアにつきましては、これまた今後の開発の問題であるというふうなことで位置づけておりますので、こういった具体的な山の事情というものを考慮しながら、分散化という基本方針に沿いまして適宜山の選択を図っていくということが必要だろう、このように存じます。  それから既存の山からの出炭量というものはぼちぼち底をついてまいりまして、もはや今後の石炭依存は新しく山を開かなければならないという段階に到達いたしております。その場合に、できますならば、日本といたしまして資本参加いたしまして、エクイティーを取得いたしまして開発輸入を図る、これが最も安定した方法ではなかろうか、このように思うわけでございます。開発参加に当たりましては、当然のことながら、日本だけの立場でなくて相手側の立場というものも十分理解した上で、相互互恵の立場に立ちましての政策推進が必要かと存じます。  私ども開発参加いたしますメリットは何かということでありますが、安定して輸入を図れるということがまず第一でございます。それから第二は、私どもが資本参加いたしました分につきましては原価で購入することができる。第三番目は、やはり石炭の原価というものはなかなか把握しにくいものでありますが、資本参加いたすことによりまして少なくもその山の原価というものは把握することができるわけであります。それによりまして、不当な価格のつり上げというものに対するある意味では抑止効果というものも持ち得るのではないかというふうに期待しておるわけであります。  一方、相手企業のメリット、相手国のメリットというのは何であるかということでございますが、まず、これは需要が確定されるということが最大のメリットであるわけであります。石炭石油の違いはそこにあるわけでありまして、石油はあるかないか掘ってみなければわからないというのが石油であります。しかしながら、掘って出てまいりますれば需要はふんだんについておる。したがいまして、掘り当てることに最大のリスク、投資の努力がなされるわけでありますが、逆に石炭の方は、そこに石炭があるということは大体わかっておるわけであります。したがって、山を開くという決断は需要がついたということによって決断されるわけでありますので、需要を保証するということはきわめて相手国にとって有利なことになるわけであります。  次に考えられます相手側のメリットでありますが、比較的低金利の日本の資金を融資するというふうなことが可能でありますならばその山の競争力を高めることができるというふうなこと、あるいはその山の開発によりましてその国の経済発展あるいはその地方の経済発展に資することができるというふうなことが考えられるわけでございます。こういった相手側の事情というものを十分理解した上に立ちまして開発参加に踏み切るということが必要かと思います。  なお、このためにはさらには鉄道あるいは港湾の整備も必要かというふうに存じますので。全体的に国の政策的な助成というものが期待されるわけでございます。  ただいま申し上げましたのは日本の国としてとるべき態度であるというふうに申し上げたわけでありますが、この問題は国際的にもやはり同じことが言えるわけでありまして、国際的に石炭の需要拡大を図ろうということは世界全体の動きになっておるわけでございますので、どうしても世界協調いたしまして自由貿易市場を維持するということが必要かと思います。さらには山の開発流通機構の整備、こういった問題に対しましてお互いに情報交換をいたしまして国際協力の関係を樹立していくということが必要だというふうに考えておりますが、この辺に関しましては、IEAにおきまして、今度四月の下旬に第一回目が開かれると伺っておりますが、CIAB、コール・インダストリー・アドバイザリー・ボードというふうに言われておりますが、こういったところで国際的な実際的な協議が行われるというふうに伺っております。  以上が調達上の問題でありますが、引き続きまして石炭利用上の問題について触れさせていただきたいと思います。  まず、石炭経済性でありますが、昨今の石油の値上がりによりまして、結論的には石炭火力の経済性が出てまいったということでございます。石炭火力は、御案内のように、まず大型の港湾を必要といたします。それから荷揚げ設備を必要といたします。あるいは広大な貯炭場。この貯炭場の面積は油火力の重油タンクの所要面積とそう変わってはおりません。やや広い程度でありますが、そのほか石炭を粉砕するミルの設備、あるいはボイラーもやはり燃焼性の関係上二、三割大型になる。最終的には灰捨ての問題もあるわけでありますし、環境対策設備といたしまして、脱硫設備、脱硝設備というふうなものの設置も必要といたします。こういう意味で大ざっぱに申しまして、石炭火力は、石油火力に比べまして建設費において約五〇%アップぐらいになろうかと思います。しかしながら、最近の油の高騰によりまして、それでもその建設費の割り高を補いまして石炭火力の経済性は出てまいっております。  しからば、今後の石炭価格はどうなるかということでありますか、これは非常に国際的な見通しといたしまして、いろいろな意見があると思います。しかし、私どもIEAの内部で議論されました結論を伺うところによりますと、個々の山はそれは値上がりするであろう。たとえば人件費の値上がり、あるいはインフレによる資材代の高騰、輸送費の高騰、こういったことによりまして炭の値段は上がっていく。なおかつ今後開かれる石炭山は比較的経済性の劣ったものがふえてくるであろうというふうなことから、石炭固有の問題としてのコスト上昇はあり得ても、石油価格に密接にリンクして石炭の値段が上がるということは考えられないというふうに大方の見解は示しておるわけでございます。その理由といたしまして、先ほど申し上げましたように、埋蔵量が非常に豊富であるということと非常に多くの国に分散しておるということからカルテル行為がとりにくいということが一つの大きな原因かと思います。しかしながら、この問題は、先ほど来申し上げました国際的あるいは国内的に自由貿易市場を維持しながらやっていくという十分な努力をいたしませんといけないと思いますが、こういった努力の前提の上に立ちまして、石油価格に密接なリンクをした石炭価格上昇はあり得ないであろうというふうに見通されておるわけでございます。  引き続きまして、まず利用上の問題となりますのは環境対策の問題であります。御案内のとおり、石炭火力は何ら排煙処理をいたしません場合には、明らかに石油火力に比べましてばいじん、あるいは硫黄酸化物、あるいは窒素酸化物の排出量は多うございます。しかしながら、私ども、ずっとこれらに対する対策を研究あるいは実施いたしてまいっておりまして、結論的に申し上げるならば、油火力に匹敵ないしそれ以下にクリーンにすることができるというふうに現在私ども石炭火力について自信を持っておるわけでございます。  具体的に申し上げますと、ばいじん対策でありますが、ばいじんは電気集じん機、それと湿式排煙脱硫装置、この両方によって取り除かれるものであります。湿式排煙脱硫装置は、実は非常に集じん効果があるわけでございまして、私どもの実績では九九・九%近い効率を両方総合いたしまして上げているわけでございます。  それから湿式脱硫装置でございますが、現在この技術は定着いたしております。この効率にいたしましても、九五%程度の効率は十分得られておるわけでございます。  それから脱硝技術でございますが、これは燃焼改善によりまして、かなり石炭火力でもまずNCxの発生を減少させることができます。二〇〇ないし二五〇PPm程度まで下げることができます。その後段に排煙脱硝装置をつけるわけでございますが、この効率も八〇%以上の効率を得ることができます。現在わが社におきまして二十五万キロの設備につきまして全量排煙脱硝装置の建設中でございます。  こういうふうなことを経まして、冒頭申し上げましたように、私ども十分な対応技術を持ち得るというふうに確信いたしておるわけでございます。  次に、石炭利用に関しまして次の問題といたしましては、関連施設の整備ということが問題になるわけであります。御案内のとおり石炭火力は、やはり大型港湾を設置いたしまして大型の船で石炭を運んでまいるということが最も経済的になるわけでありますけれども、最近はそういった大型港湾を設置することができるような場所がだんだんなくなってまいっております。したがいまして、これらの問題を解決するためにはコールセンターの設置、しかもコールセンターには相当量の備蓄機能を持たせましたコールセンターを設置することによりましてこの立地難を打開していく一つの手段といたしたい、このように考えるわけでございます。  第二は、立地拡大のもう一つの手法でありますが、やはり大型港湾の設置というものは、地方流通港湾とやはり競合と申しますか、港湾の設置が可能な場所というのはやはり限られてまいりますと、その間の調整と申しますか、協調と申しますか、そういったことが必要になろうかと思います。伺うところによりますと、五十五年度の政府予算原案の中におきまして電力特定港湾というものが設定されるやに伺っておりますが、こういった制度の今後の拡充をお願いいたしまして、流通港湾との整合を図って立地の拡大につなげるということが必要になるのではないかというふうに考える次第でございます。  最後に残る問題は灰捨て場の問題であります。これも、たとえば昭和六十五年におきまして一般炭の使用量は五千三百万トン程度になるであろうというふうに計画されておるわけでありますが、この灰分が一五%いたしましても年間約八百万トンの灰を発生することになるわけであります。したがいまして、これはやはり一企業の問題でなくて、国全体としてどこかに集中灰捨て場を設けまして、しかも、でき得るならばほかの産業廃棄物あるいは都市廃棄物、生活廃棄物、こういったものとの関連におきましてこれを一括処理するというふうな方法がぜひ必要ではないかというふうに考えるわけでございます。この点に関しましても、伺うところによりますと、五十五年度の政府予算原案の中におきましてそのための調査費を織り込まれておるというふうに伺っておりますので、非常にこの辺の促進方をお願いしたい、このように思うわけでございます。  なお、最後に残った問題といたしまして、こういった石炭の利用拡大をいたすためにはなお技術の開発を必要とするというふうに考えるわけでございます。それにつきまして、私ども石炭を微粉砕いたしまして、これを油とを混合いたしまして、いわゆる石炭の取り扱いにくさというものを解消する一つの手段としましてCOM、コール・オイル・ミクスチュアと呼んでおりますが、その技術の開発を進めてまいっております。これは先ほど申し上げましたアメリカのような長距離国内輸送という場合に大いに役立つ技術ではないかというふうに思うわけでありますが、それと同時に、現在の重油専焼火力の一部に石炭を使う、つまり重油専焼火力をCOM専焼火力に切りかえるということによりまして石炭の利用拡大も図り得るわけでございます。この件につきましては、私ども昭和五十八年、五十九年の二カ年におきまして実際の三十五万ユニットの重油専焼ボイラーにおきましてCOMを燃焼いたしまして実かんテストを実施する計画になっております。  そのほか、褐炭あるいは亜歴青炭。先ほど世界の可採埋蔵量六千四百億トンと申し上げたわけでございますが、そのうち約二七%程度は褐炭とか亜歴青炭というものが占めておるわけでございます。この褐炭や亜歴青炭というのはそのままでは自然発火いたしまして海上輸送というふうなことはできないものでございます。したがいまして、この問題点を克服いたしまして、世界の貿易市場に乗っけ得るような品物とする技術の開発をすることによりまして、われわれ石炭の対象範囲を拡大することができるのではないかということで、この利用技術についても現在研究を進めておるわけでございます。  それから石炭の液化あるいはガス化という技術も、御案内のとおり研究は進められておるわけでございますが、石炭火力につきましては、先ほど来申し上げましたように、環境対策技術は十分の自信を持っておりますので、石炭火力に使用するために石炭の液化をするということではないというふうに私どもは考えております。やはり町工場とか農業用の耕運機に使うとかいうような意味で、現在の石油消費形態というものに余り影響を与えないで石炭を利用する、石炭の利用拡大を図る、こういうところに石炭液化技術の究極のねらいがあるというふうに私は存じておるわけでございますが、こういう意味で種々の利用技術の研究開発も鋭意進めてまいることによりまして石炭の利用拡大が図れるのではないかというふうに期待しているわけでございます。  私どもエネルギー源の多様化、つまり脱石油という問題は国の安全保障問題である、したがいまして、これは一日も早く達成しなければならない、こういう問題であるというふうな認識をいたしまして日ごろ石炭利用拡大への努力をいたしておるわけでございますが、今後ともよろしく御指導、御援助を賜りたい、このように存じます。  どうもありがとうございました。
  9. 吉田実

    委員長吉田実君) どうもありがとうございました。  それでは、次に森参考人にお願いいたします。森参考人
  10. 森芳太郎

    参考人(森芳太郎君) 日本重化学工業の森でございます。  本日、このような機会を設けていただきまして、はなはだ光栄に存じております。ありがとうございます。  それでは、地熱開発にかかわる問題等につきまして、いまからお話をいたします。  地熱エネルギーは、非枯渇エネルギーであること。日本国内にその資源が豊富に賦存しておりまして、開発技術はすでに実用段階にあり、さらに深部開発等の技術開発によりまして可採エネルギー量の増大、経済性の向上等が期待できること。それから燃料を使用しませんので燃焼による環境問題はございません。排出物、これは火山性の物質とか火成活動による物質が少量あるわけでございますが、問題のあるものに対してはその対策は現在の技術で十分に可能であること。それから発電に利用いたしますと高利用率の発電が可能でありまして、経済性も他の発電方式と十分に拮抗できます。また、立地点が山間僻地でありますので、多目的利用も含めまして地域開発につながるというような特質がございます。この早期開発促進策が、先生方の御支援によりまして昭和五十五年度よりこれからスタートしょうとしているわけでございます。  その次に、日本地熱資源の賦存量と可採量にちょっと触れてみたいと思いますが、賦存量につきましては、産業技術審議会の資料によりますと、従来地熱開発されております比較的浅い場所、深さで言いますと二、三キロメーターぐらいのところでございますが、火山地帯にある浅部熱水系と呼ばれているところでございますけれども、そういう地熱帯が全国で約二百カ所ほどございます。その賦存量は電力換算で約一億三千万キロワットぐらいございます。これは蒸気で発電をするということだけで一億三千万でございますが、同伴してくる熱水による熱エネルギー量を発電換算いたしますと二千万キロワットほど別にございます。合計一億五千万キロワットぐらいございます。  いま熱水のことを申し上げましたけれども地熱地域の中では、蒸気だけ出てまいります蒸気地域と、蒸気と一緒に熱水が同伴してまいります熱水地域と、二通りのタイプがあるわけでございますが、ほとんどが日本の場合は熱水地域でございます。  それからさらに深い場所、大深度熱水系と呼んでおりますけれども、深さで三キロメーターから五キロメーターぐらいの深いところの蒸気、熱水を取りますことにつきまして、現在、豊肥地区で実験をやり研究開発中でございますが、これができ上がりますと、深いだけありまして温度も二百五十度から三百五十度ぐらい恐らくあるだろうと推定されておりますが、エネルギー賦存量としまして六千万キロワット分ぐらい、これは蒸気でございますが、熱水を利用しますと六百万キロワット分ぐらいのものが上がろうと推定されます。こういうような地域は全国で約六十カ所というふうにされております。  それからもう一つ、深層熱水というのがございますけれども、火山とは直接関係はないのですが、堆積盆地、陥没地域などの深い場所に普通の地温よりも異常に温度の高い場所があるところがございまして、大体百五十度から百八十度ぐらいあるのでございますが、深さで三ないし五キロメーターぐらいのところでございますが、そこの熱エネルギーをやはり電力換算しますと一千万キロワット分ぐらいのものがあるだろうというふうに言われております。このような場所は全国で約十カ所あるとされております。  それから高温岩体というのがございますが、これは火山の周辺の非常に温度の高い岩石の部分でありまして、地下水が回っていないところがございます。そこの熱エネルギーを取り出そうという試みが、日本でもアメリカでも、その他の国々でもいま実験をされておるわけでございますけれども、これは二本ボーリングを掘りまして、一本の方に高圧の水を圧入いたしまして地下の岩石を人工破砕、つまり水圧で岩石を砕くわけでございますが、その破砕帯をもう一本の井戸につなげまして、水を一方から入れてやって岩石の熱エネルギーを水に受熱させて、一方から蒸気、熱水で取り出すという、基本的な考え方はそういう考え方で岩体の熱エネルギーを取り出そうとするわけでございます。これが成功しますと七千万キロワット分ぐらいの、これも非常に大きなエネルギーが取り出せるだろうということになっておりますが、賦存量として一応七千万キロワットというふうにされておるわけでございます。  これらを集計いたしますと、大体その賦存エネルギーといいますのは電力換算で二億八千七百万キロワット分あるだろう、石油換算いたしますと五億七千六百万キロリッターになるわけでございますが、そういったものが日本の国内の地熱エネルギーとして賦存しているだろうというふうに言われておるわけでございます。  しかし、実際その取り出せる量はどのくらいかということになるわけでございますが、私どものデベロッパー仲間といろいろこういうことでしばしば話し合いがあるわけでございますけれども、いま国の方でも開発の具体的なスケジュールを樹立したり、地熱エネルギーの位置づけを明確にするというようなことで、現在その確認を国が実施しているところでございますので、その実態がやがて明らかになるだろうと思いますが、私どもだけで大体推定された数字を申し上げますと、浅部熱水系、比較的浅いところでございますが、約三千万キロワット分ぐらいのものは実際採取できるだろうと考えられております。このうち二千万キロワットぐらいは比較的楽に開発が可能であるだろうと思われます。  それから大深度熱水系でございますけれども、これもいま研究開発をやっているところでございますが、これができ上がりますと、これも既存の浅部熱水系で開発されいるところの出力が増加いたしますし、新たにそういう大深度の開発ができるということも含めまして約三千万キロワットぐらいは可能ではないかというふうに考えられております。  そのほか、いろいろあるわけでございますが、高温岩体の、先ほど申し上げた高圧の水を使いまして人工破砕帯をつくる、つまり人工熱水系をつくるというようなことは、岩石の水圧破砕技術というのは今回の技術レベルでも相当なところにいっておりますので、意外に早く実用化されるかもしれないというふうに考えております。これでも五百万から一千万キロワット分ぐらいのものは可採量として見込めるであろうというふうに考えられております。  こういうふうに全部集計いたしますと、日本における地熱エネルギーの可採エネルギー量は、合計六千から七千万キロワット分ぐらいは優にとれるはずだというふうに私どもは考えております。  それから開発上における問題点を若干申し上げますと、まず立地環境上の問題でございますが、私どもがいま運転中の地熱発電所やあるいは建設中のところの地元の皆さん方からは大変な御助力と御支援を賜っているわけでございまして、開発反対というような声は実際私はいままで聞いたことがございません。私ども、この仕事を非常にありがたい仕事だと思ってやっておるわけでございますけれども、もっとも、調査を始めたり開発に入る前には地元の皆さん方にできるだけ大ぜい現在運転されている発電所をよく見ていただきまして、環境面での心配がないという御理解を十分に得られているからでもございますが、地熱エネルギー、特に熱水のエネルギーの多目的利用に対する期待も大きいというふうに思われます。  そういうことでございますけれども、一方におきまして、地熱エネルギー開発の最大の問題は、その賦存地域の約八〇%以上が国立公園とか国定公園等の自然公園地域内にあることでございまして、現在私どもがやっております地熱発電所もやはり公園地域内にありまして、できるだけそのいわゆる改変面積といいますか、利用面積を縮小する、それから地形、地物の変更、建物の形態、そういったものについては十分な注意を払ったり、それから工事が仕上がった後の緑化その他で極力そういったことに努めておるわけでございますけれども開発行為と自然保護、景観保全といいますか、そういったものの競合することが最大の問題でございます。これからは政府各位あるいは先生方におかれましても、この調整にはぜひともお力添えを願いたいと思います。  地熱地域で一例を申し上げますと、さっき浅部熱水系でも三千万キロワット起きるというお話をいたしましたが、いまどのぐらいその公園内で面積が要るかと申し上げますと、大体平均で一平方キロメートル当たり五万キロワットぐらいのエネルギーがとれるわけでございます。三千万キロワットとしますと六百平方キロメートルの開発地域が必要になります。これは正味の面積ではなくて地域全体の広さでございます。公園地内にその八割があるとしますと、四百八十平方キロメートルがそういう自然公園地内にあるということになります。国定公園、国立公園の全面積が三万一千平方キロメートルほどでございますので、これを計算していきますと約一・五%ぐらいになるわけでございますが、三千万キロワットの国産エネルギー開発利用するために公園面積の一・五%の利用を許容できるかどうかということは、公園とエネルギー双方の価値判断によって決められるべき問題であろうと思いますが、また、公園の方といたしましても、地熱開発にその一部の利用を許可するということになりますと、お話を伺いますと、いろいろな方面から利用することを要求されておられるようでございますが、一種のなだれ現象でもって許可申請が出されますと公園自体の存立に危機感を醸成するというようなことがあるかもしれません。しかし、こういう点は行政指導によって、私どもの方の一方的な考え方かもしれませんけれども、対処できる問題ではないだろうかと思います。  また、公園での開発に当たりましては、たとえば地熱発電所の場合、火力や原子力発電所と比べまして、単位容量当たりの利用面積といいますか、それが地熱発電所の場合大き過ぎるのではないかという批判がときどきあるわけでございます。地熱発電所は水力発電所と同じで、その場所でエネルギーを取り出して、それで電力にする発電所でございます。火力や原子力のように遠く外国から、資源調査し、それを掘り出し、精製し、輸送し、それで使うばかりにして、そこで燃やして電力にするという発電所と違いまして、比較するのもちょっと無理なような気もいたしますし、また、地熱発電所も水力発電所も、いずれも非枯渇エネルギーに基づく発電所でございますので、石油のようにあと三十年か四十年でなくなるというようなことではございませんで、人間が利用し得る限り利用できる発電所でございますので、そういった電力の量、それから時間ということを考えますと、火力とか原子力と比較するのはこれは無理なことではないかと思います。  それからもう一つ、その排出物の問題。先ほどちょっと触れましたけれども、排出物の問題がございますが、現在世界じゅうで運転しています地熱発電所の総出力は約二百十万キロワットぐらいになっていると思います。この発電所、いろいろの学会あるいは研究会、国連主催のシンポジウム、そういったところで報告書がしばしば出されておるのでございますけれども、私どももアメリカやニュージーランド、イタリーなどとときどき折を見ては連絡をとり合っているのでございますが、地熱発電所からの直接の排出物による実害が出たということはまだ一度も報告されておりません。ただ、アメリカのガイザーの地熱発電所、これは恐らくいま八十万から九十万キロワットぐらい発電していると思いますが、この地域で出力が五十万キロワットを超した時点で硫化水素のにおいの問題がありまして、デベロッパーの方でその後の地熱発電所には自主的に脱硫装置を取りつけております。この脱硫法はストレトフォードメソッドと申しまして、それの改良した方法でございますけれども、既存の技術でございまして、また、日本でもサンシャイン計画でこの脱硫の問題について改良が加えられ、研究開発がいま行われているのでございますけれども、この技術もすでに実用化されたものでございます。また、凝縮水中や熱水中にはいわゆる温泉、成分のようなものを含んでおるわけでございますので、たとえば砒素とか硼酸のようなものが入っております。これが排出の基準値を上回るようなときは、普通は、熱水の場合は還元井をすぐそばに掘りまして地下へ戻してやるということをしております。凝縮水もやはり還元井で戻してやるということもあるわけでございますが、この還元する先の還元層の地下水といいますのは、還元される熱温水とは同類のもので、しかも同じ起源のものでございますので、地下水の汚染ということにはならないわけでございます。それから熱水などの熱エネルギーを多目的に利用します場合は、清水と熱交換いたしまして用いますので、これも熱交換された方の熱水はやはり還元井へ入れますが、使う方の側では問題は起こるものではございません。こういうわけで排出物については対策が可能でありますので、国連で言うところの地熱エネルギーは環境に対するインパクトが他と比較して最も小さいというふうにされるゆえんでございます。  そのほかに、地熱流体を採取したり地下に還元したりするということによりまして、地下でその地下水が動くわけでございます。地下水が動きますと非常に微小な地震、微動地震が起きます。逆にそういうものをキャッチしまして、いろいろ地熱のリザーバーといいますか、たまりぐあい、そういったものを探査する方法もございますけれども、もちろん人体に感ずるような地震はまだわれわれ経験したことがございません。世界じゅうでも還元井によって地震が起きたということは地熱地帯ではございません。ただ、アメリカのある兵器関係の工場で、深い井戸に無理やり七十気圧以上の圧力をかけて水を圧入したときに地震が起きたという例はございますけれども地熱地帯ではまだ確認されておりません。ただ、地熱地帯はしばしば地震多発地帯のそういうベルト状の上にあることがございます。これは弱線と言われておりまして、地殻の弱いところでございますが、そういったところに非常にいい地熱地帯があるわけでございます。そこでは、もともとある多発する地震と混同されたり、あるいは誤解されやすいというようなうらみがあるわけでございますが、これも元来のバックグラウンドのデータを十分にそろえておけば十分な説明ができるわけでございます。  次に、技術的な問題を若干申し上げますと、在来行われてきた浅部熱水系、比較的浅いところから蒸気、熱水をとって発電する方法の技術はすでに実用化されておるわけでございますが、やはり開発に際しましては石油掘削と同じようにリスクがございます。この地熱の掘削の成功率といいますのは四五%から八五%ぐらいございまして、石油天然ガスの掘削と比較しますと成功率は格段に高いものでございますが、実際、産出物の価格、つまり地熱の場合は蒸気、熱水、石油天然ガス、そういった価格から言いますと、蒸気井といいますのは蒸気井の代価をどう決めるかで決まってくるわけでございますが、アメリカでは化石燃料の発電所の燃料費相当分ということで取引がされておりますが、それを一応参考にいたしますと、日本の円の価格で、五十四年、これは原油価格CIF二十三ドルの場合でございますが、大体その蒸気で発電をしました場合、一キロワットアワー当たり七円八十銭ということでございます。蒸気一トンで約百キロワットの電気が起きますので七百八十円ということになるわけです。地熱の井戸一本から大体平均的に四十トンぐらいの蒸気の噴出があるようでございますので、そうしますと一本から四千キロワットの出力がとれるわけです。そういたしますと、大体その蒸気の井戸一本から一時間当たり三万円強ぐらいの値打ちの蒸気が出てくるということになります。ところが、その五十四年の時点でCIF二十三ドル原油価格は一キロリッター約三万三千円ほどでございますので、一キロリッターの原油価格にも及ばないということになるわけでございます。こういうように、本来的に見ますと、その負担の面からリスクではむしろ地熱の方が大きいというような考え方もございます。したがって、その開発の促進ということにつながりますリスク軽減の方法といいますか、方策といいますか、これは探査技術をさらに一層向上させることでございます。これは石油も全く同じでございますけれども、現在サンシャイン計画や資源エネルギー庁で実施されておりますいろいろな試験研究開発といいますものは一層の充実を図るべきものであるというふうに考えます。  それから地熱の探査技術は、石油と同様に地質とか物理、化学、それから熱力学等の分野の総合された一つのシステムエンジニアリングでございますが、開発者はこれに習熟し技術を確立しなければなりません。これらの技術の一つ一つは、それぞれ学理的な分野で実証され、また確立はされておりましても、実際にこれを利用し、それから解析の技術を確立していくというようなことは、デベロッパー自体が全力を挙げて取り組まなければならない問題でございますけれども、こういった技術者の養成には、国が研究所を開放したり、テストフィールドを設けまして実験を公開したり、あるいは研修制度をつくるといったような積極的な助成活動を実施する必要があると考えます。  そのほかの問題としまして、ちょっと特記すべき問題が一つございます。実はボーリングの問題でございます。日本では石油資源が非常に貧弱でございますので、ボーリングの業者といいますか、ボーリングをやっていただく会社は、帝石さんとか石油資源開発さん、そのほか二、三ございますけれども、そのほかに有力な会社というのは見当たらないわけでございます。この点、アメリカのいわゆる巨大化したオイルサービス企業群とは比較にならないほど日本の場合は弱体であるわけでございます。したがって、地熱資源開発目標とされた六十年度百万キロワット、六十五年度三百五十万キロワット、七十年度七百万キロワットを達成いたしますには、このアメリカの掘削業者、ボーリング業者を含めまして、その関連企業群の協力を得なければならないと考えます。しかし、アメリカ自体も石油開発でいまのところ非常に忙しいようでございますので、こちらの要求どおりの十分な協力が得られるかどうかということは一つ問題がございます。日本としましても、ボーリング機械の新製とかボーリング技術者の養成ということをやはり一方では図っていくことが必要でございますし、掘削技術の振興、機器類の開発、それから井戸を掘りますとパイプを中へ入れてセメントで固定するのでございますが、これも非常にむずかしい技術でございますので、セメンティングと言っておりますが、セメンティングの技術とか、それから井戸は真っすぐ掘らないで、地熱の井戸も傾斜掘りをやっているわけですが、傾斜掘削の技術とか、それから泥水をボーリングのとき使うわけですけれども、そのマッドエンジニアリングの部門等、こういう周辺技術の育成あるいは開発に努める必要があると考えます。  最後に、将来の見通しについてちょっと触れさせていただきます。  先ほども申し上げましたとおり、五十五年度からは先生方のいろいろな御尽力によりまして、石油代替エネルギー開発及び導入に関する新しい法律が制定されるとか、在来の数倍に近い予算も実施されるとか、それから十月には新機構が設立されるといったような体制が一応整備されることになりますけれども地熱開発にとってやはり宿命的な問題として公園問題が依然として現在残っているわけでございます。ぜひともこの調整を速やかに図っていただきます。これがありますと致命的な問題になりますので、ひとつよろしくお願いしたいと思うわけでございます。  それから地熱開発期間はどのくらいかかるかといいますと、普通出力五万キロから十万キロぐらいのもので、モデルケースとしていろいろな表がございますが、大体六年ぐらいかかるというふうに考えております。したがいまして、開発目標の昭和六十年百万キロワットといいますのは——現在の総発電出力が約十七万キロワット弱でございます。日本の国内で地熱発電所の総出力が現在十七万キロワット弱でございます。五年間に八十万キロワット以上これは開発していかなければならないということでございます。非常にこれは苦しい、むずかしいことであると思います。その後の開発目標の六十五年三百五十万キロワット、昭和七十年の七百万キロワットという開発目標がございますけれども、公園問題が解決いたしまして、技術とか機器関係のソフト、ハード面が充実しさえすれば、現在でも開発をやろうとしている企業が約十社ほどございますが、さらにアメリカ等の技術援助を受けたりなんかいたしまして、これを十分に活用いたしますとこの数字は可能なものであると私は信じます。このときは大深度熱水系のいまいろいろ研究開発をやっている技術が十分に駆使されるでありましょうし、また傾斜掘り技術や、それから一つの基地で何本も複数の井戸を掘っていく、これはパイプラインの工事費の節約になるわけでございますが、それから上の方は一つでも下へいって井戸が枝分かれしていく掘り方、マルチレグ方式という掘り方がございますが、そういったボーリングの手法、それから探査技術の向上、そういったものとともにこれらの技術は有効に利用されまして、発電出力は——いまアメリカで単機容量が十五、六万キロワットでございます。日本ではいま五万キロワットが最大でございますけれども、当然その時点では日本で建設される地熱発電所の単機容量は少なくとも十五万キロワット以上はあるでありましょうし、大深度熱水系の技術が完成いたしますと、一つ地熱発電所で二十五万キロワット以上のものが普通につくられるということになるわけでございます。しかし、こういった目標を実現しますには、軌道に乗るまでは官民一体となった相当な努力が先ほど申し上げたように必要でございます。  参考までに、現在世界じゅうで運転されている地熱発電所は二百十万キロワット、そのうち日本では十六万八千キロワット運転されております。建設中または具体的な計画を立てておるものが世界じゅうでそのほかに二百五十万キロワットあるわけでございます。日本では現在五万キロワットしかございません。  地熱発電所の容量をちょっと申し上げたのですけれども、小さ過ぎるのではないかという御指摘がときどきございますけれども、先ほど申し上げましたとおり、これからは十万キロから十五万キロワットのものが浅部熱水系の開発でもでき上がることになりますし、大深度の熱水系では二十五万キロワット以上ということでございます。非常に利用率が高うございまして、同じ容量の水力の倍の電気が起きるわけでございまして、そういうことを考えますと、一概に小型ということは言い切れないと思います。  それから経済性の問題でございますけれども、これは水力と同じように発電原価の大部分が建設費、つまり資本費でございます。しかも、地熱発電所の場合にはパイプラインと井戸の償却は、パイプラインは八年、井戸が約五年でございます。そういう短期償却をやりますので、最初の八年間はデベロッパーとしては非常につらい目に遭うわけでございますけれども、私ども実際やっていまして、十年間で投下資本の回収ができればいいなというような目標を立てて実はやっておるわけでございます。最近のように石油価格が上がりますと、ほかの新エネルギーも同様でございますが、非常にやりやすくなる。背景は非常によくなっているわけでございます。ちなみに、大体どのぐらいの原価になるかということを申し上げますと、これは投下資金の内容とか、それからそのデベロッパー社内での償却の計算の仕方とか、いろいろございましてあれでございますけれども、大体昨年までの火力発電所の原価とほとんど同じものが得られているというふうにお考えになればいいと思います。  時間もたちましたようでございますので、以上、地熱の問題点についていろいろお話を申し上げたのでございますが、地熱エネルギーは何度も申し上げましたとおり、すでに技術的には浅部熱水系等では確立されていることでもありますし、経済性もございます。さらにその経済性をよくするということと、速やかに開発できるというような方向でさらにその研究開発を進める必要があると思いますし、昭和五十五年から開発促進の体制が整いつつありますけれども、さらに一層の体制整備を図っていく必要がございます。それから環境問題では十分な対策ができますけれども、公園の問題がございます。この調整につきましては、先生方並びに政府関係各位の方々にぜひとも早くこれの調整という問題を解決していただきたいと思います。  以上でございます。
  11. 吉田実

    委員長吉田実君) どうもありがとうございました。  それでは、これより参考人方々への質疑を行います。  質疑を希望される方は順次御発言を願います。
  12. 小柳勇

    ○小柳勇君 大変いい意見を聞かせていただきまして、ありがとうございました。  まず、高垣参考人質問いたします。  石油の将来については非常に不安がある、しかしLNGの方については希望が持てるぞ、こういうのがお話を聞きましての私の感じであります。したがいまして、たとえば五年なり十年どういう計画をしたら石油の何割かを日本の工業技術でLNGに切りかえることができるか。パイプラインの話などおっしゃいましたが、もしそういう計画でもあるのか、あるいはこれからやろうとしておられるのか、その点をちょっとお聞かせ願いたいと思います。  ついでに質問いたします。木村参考人には、一つ石炭基地をつくらなければならぬと言われました。コールセンターの話でありますが、聞くところによりますと、北九州市の響灘の埋立地に電発が石炭基地をおつくりになるという話を聞いておりますが、現在の計画と進捗状況。  それからもう一問は、いま福岡県内だけでもボタ山が三百ぐらいあります。それで石炭が足りませんので、洗炭、あのボタ山を崩しまして水で洗いますと相当の石炭が出る。現在やっておるのでありますが、そういうものを数量的に、あるいは実際経済的に電発としてお考えになったことはあるのかないのか。  それだけ三問、質問いたします。
  13. 高垣節夫

    参考人高垣節夫君) ただいまの御質問に真っ正面からお答えすることにあるいはならないかと思いますが、LNGあるいはメタン中心天然ガスをどのようにすれば利用の拡大ができるかというふうな趣旨として、多少すりかえになる感じがいたしますが、お答えいたしますと、まず第一点として指摘したいのは、御承知だと思いますが、メタンという一番軽い物体、ガス体を液状にいたしますのにマイナス百六十二度という超低温に冷やすわけでございます。そのための資本設備が非常にお金がかかる。このように資本集約的な産業あるいは設備でございますので、産油国はこれを安定的に引き取ってくれ。安定的に引き取ってくれという意味は、毎年同じ量をという意味ではなくて常に同じ水準で引き取ってくれ、操業度を非常に高くしてくれ、こういう要求がございます。わが国からこれを見ますと、目下最も大量に使っておるのは発電用でございますけれども、電力需要は、先ほどのお話にも若干出ているわけでございますが、夏、冬で非常に使われ方が違い、一日の間でも夜と昼間とでは使われる量が違う。設備の動き方が違う。LNGをコンスタントに、同じ水準で使おうと思いますと、夏場の冷房用のピーク需要に使うということは不可能である。あるいは昼間の電灯電力需要が高くなったときに使い、夜になったらそれをとめるというわけにもまいらない。つまり、われわれの言葉で基底負荷、べースロードと呼んでおりますけれども、年じゅう動きっぱなしの設備にしか適用できない。これは原子力発電とやや似たような傾向になると思いますが、大体私どもの承知しておる非常に大ざっばな数字で申しますと、現在日本で一億キロワットの発電設備がある場合に、ベースロード、基底負荷というのはその約半分の五千万キロワットである。私の経験では、産油国方々が、日本は大量のエネルギー消費国であるからもう少し大量に天然ガスを使ってくれというふうに言ってこられるわけでございますが、るるその間を説明いたしまして、あなた方の要求はよくわかりますと。非常にお金のかかる設備をつくって日本向けに出荷しているのだからコンスタントに引き取ってくれと言われる。そういう要求をもしのむといたしますと、いま申しますように、実は発電用というきわめて大量のマーケットで、しかもそれは基底負荷で、設備の半分にしか使えないのだ。あなた方の要求をのめばそういうことにもならざるを得ないのだから、もしこのような——これをテーク・オア・ペイと言っております。持っていくか、持っていかないならば持っていったと仮定してその同じ量に対する金額を払え。つまり使わなければ使わないまま代金だけは払うわけでございますから、ただいま申しましたような、せっかくそういうことならばコンスタントに使えるような設備でなければならぬということで、本当ならば、使おうと思えばもっと使えると私は思いますが、産油国の要望に従った契約条件によってこれは用途が制限されておる。これが一つあると思いますので、これは私どももそういう事情を説明して、多少何か打開のめどでもつかめればと思いますが、これはお互いの話し合い、契約条件によって逆に用途が狭められているということがあると思います。  それから第二点は、先ほどメチルアルコールにしたらどういうことになるだろうかと申し上げたわけでございますが、いまの大量の資金を投下してメタンガスを液体にすると、われわれ承知している限りでは、このようなプロジェクトは年間五百万トンをもって最低規模とするということになるわけでございます。発電設備で申しますと、五百万キロワットの設備を動かせる会社でなければどうにもならぬ。五百万キロワットの設備を持っておる電力会社というのは、日本でも九社ございますあるいは十社ございますけれども、その半分にも満たないという状況でございまして、そういう大容量の物体を受け入れる企業体というものは限られておりますので、もしこれが少量の輸送ということができるようになれば、石炭でいま電発の木村理事からコールセンターというお話がございましたが、LNG受け入れセンターというものがあったと仮定して、そこから小型のLNGタンカーで各地に配送することができて、しかもそれを各地の地方工業センターで利用できるということができますと、これも一つの用途拡大の方法であるだろうかというふうにいま思うわけでございますが、これはまだ研究途上でございまして、いろいろ今後の課題が残されておるようでございます。これも、もしそういう方法が確立されますと、はるかに利用の限界は上がってくるだろうというふうに思います。  それからさらに、先ほど申しましたようなマイナス百六十何度にするから大きな資本設備が要るということであるならば、アルコールにしたらどうだということでございます。アルコールで、大型アルコールランプになるわけでございますが、そういう設備が町の工場でボイラー用にできるのかどうか、あるいは自動車用燃料に使えるのかどうか、こういったような点はまだ研究段階であり、非常に新しい話でございますので、これが先ほど電発の木村理事がおっしゃいましたように、石炭を液化して、部分的に在来の石油市場にとってかわるというふうなシナリオを考えるのか、あるいは場合によるとメチルアルコールがそういうところへ入るのか、この辺は将来の課題として残っているように思います。そういうことがもし実りますと、LNGあるいはアルコール形態での天然ガスの利用ということで、産油国ともどもにこういったことをわれわれは協力して用途の拡大ということに努力すべきではないだろうかというふうに思っております。
  14. 木村友三

    参考人木村友三君) 御説明申し上げます。  まず第一点は、電発が現在北九州市の響灘において埋め立て計画を持ち、その中にコールセンターの構想があるが、それはどうなっておるのか、こういう御質問でございますが、響灘の埋め立て計画につきましては、実は私ども埋め立て権が期限切れになりまして、その更新手続を現在実施いたしておるところでございます。間もなく許可になるという見通しでありますが、その中におきましてコールセンターを構想するわけでありますけれども、私どもはあそこに六十万キロの発電機一基と、残った部分にコールセンターということでやっておりますが、具体的には、今後埋め立て権の更新手続が終わりましてからどういうふうにこれを進めていくかということにつきまして北九州市と十分協議して進めていきたい。ただ、埋め立て権更新のためには、昭和六十五年だったと思いますが、六十五年までに完成するようにということになっておりますので、それを踏まえまして協議を進めてまいる、こういうことでございます。  第二点は、ボタ山があるが、その石炭の利用についてどうかという御指摘でございますが、昔、私ども北九州市に若松火力発電所、現在もございますが、そこでは利用したことがございます。しかし、最近では量的に少なくなっておりますし、若松火力は実は環境対策上ほとんど油専焼に近い形になっておりますので利用できない状態になっております。しかしながら、私ども直接ではございませんけれども、要するに、九州一般炭というかっこうでボタ山の洗炭されたものが集められまして、石炭鉱業合理化事業団を通じまして私どもが購入しているものの中にこれが含まれておるというふうには伺っております。量的にはどの程度であるかということは調査いたしておりません。
  15. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 大変参考になる御意見を伺いまして、ありがとうございました。  お三方のいろいろな角度からのお話を伺っておりまして、多少ニュアンスの違いというふうなものもおありになるようなので、それぞれ、それらについてお伺いをいたしたいと思います。  高垣先生、エネルギー経済研究所がつい最近出しました「エネルギー価格時代への挑戦」、これを私は読んでこちらへ参ったので、大体ここに書いてあるようなことが機軸になってお話を承ったというふうに思っておるのです。結局のところ、ここに当分石油に頼る以外にないというのが先生の御所論のように拝聴したのですが、そうでございますか。
  16. 高垣節夫

    参考人高垣節夫君) 確かに石油以外のエネルギーへ転換いたしますための、たとえばインフラストラクチュアの整備であれ、あるいは技術開発に必要な時間といい、そういうことから申しまして、それを五年と表現いたしますか十年と表現いたしますか、かなりの時間がかかると思います。私は技術開発の方をやっておりませんので、きょう申し上げましたのは、もしOPEC諸国が現状の水準に生産をとどめたならばいつごろの時点にどのぐらいの逼迫が起こるであろうかということを、問題をはっきりさせるために、二〇〇〇年に目標時点を置きましてこのぐらいの規模になります、これをもう少し手前の九〇年のころにどういう時代になっておるか、あるいは八五年はどうであろうか。こういうことになりますが、もし御質問の御趣旨にもう少し直截に答えるとすれば、八〇年代前半に、私は最近のような世界不況でございますので、そう切迫した状態が起こるとは思いませんが、八〇年代後半、それは五年であるか、六年であるか、七年であるか、しかとは申しませんが、八〇年代後半、世界経済が立ち直った時点には確実に石油に頼れない状態が来るに違いないので、そのような時点を目標にして開発を急ぐべきであろうということを申し上げたわけでございます。
  17. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 それで、政府・エネ調の長期見通し数字が大分違うのです。たとえば地熱でも、いまお話がありましたように、六十五年で三百五十万キロワット、あるいは七十年で七百万キロワットというふうなエネ調の計画、これに対して先生のところでの見通しとしては、経済成長率をむしろエネ調よりも約一%下げて、なおかつ六十五年でも五十五万キロワットぐらいしか地熱開発はできないだろうというふうな見通しのようでございます。これらについて、政府の考え方との調整というか、そういうことのディスカッションのようなことはおやりになっておるのでございますか。どうなんでしょう。
  18. 高垣節夫

    参考人高垣節夫君) ただいまの御指摘の政府見通しあるいは総合エネルギー調査会需給部会でつくられました見通し数字との差というのは、性格的に次のようなことが申し上げられるのではないかと思います。  端的に申しまして、石油というものは、メジャー中心に、たとえて言えば掘れば掘るほど埋蔵量がふえるという言い方が石炭から石油に転換するときの一番大きなうたい文句であったわけでございます。われわれがそのことをどれほど深く意識したかは別といたしまして、先ほど数字で申し上げましたように、一九六二年以降われわれの生活は三分の二以上、ガスを入れれば九割まで石油に依存してきておりまして何の不思議も考えなかった。ところが、冒頭申しましたように、今後OPEC諸国増産をしないということがどれほど正確に日本で受けとめられたか。これはイランの政変の直後から私はこのような状態になる、恐らく中東諸国は、イランのみならず湾岸諸国全部増産をとめるだろうというふうに言ったわけでございますが、残念ながら東京サミットの段階を迎えるまで、輸入の現状停止、裏返しますとこれは中東増産しないということ、同じことを言っておるわけですけれども、あの段階になって非常に事態が切迫したのをわれわれは思い知らされたということでございます。しかし、東京サミットが終わってもなお石油供給量がこれで頭を打つのだということをどれほど切実に考えているだろうかというのがわれわれの訴えたい点でございまして、このまま推移すれば、いわゆる座して死を待つという言葉がございますけれども、同じような状態で生活し、エネルギー問題がそのような目で見られているということでございますので、このままほうっておけばこういう低い数字になりますよと。ただいま先生の御指摘になりました経済成長率を落としてもという御指摘は非常に重要な点でございまして、われわれは、政府の予想する経済成長も不可能かもしれない、それを落としてもなおかつこのようなエネルギーバランスになって苦しい目に遭うでしょうということを、多少数字を使って御説明したわけでございまして、あの数字が正しい、この数字が間違いという、どちらが正しいかを比較するつもりは毛頭ございませんで、言いたい点はそういうことでございました。
  19. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 それで、石油資源の問題の中で、たとえば日本の資本が開発したアラビア石油、これらはどちらかというと重質油が非常に多いということで、日本だけはある程度抱き合わせで持ってきて使わせておりますが、世界的には非常にふんだんに、投げておるような状態があるわけなんです。これらの開発ということについて、特に資源の少ない、またそういう重質油を民族資本として抱えている日本の中において、もっと利用する道というものは考えられないものなんでしょうか。
  20. 高垣節夫

    参考人高垣節夫君) 御指摘のとおりでございまして、世界的に重質原油を全部探査した場合にどのぐらいの埋蔵量があるかという点が非常にはっきりしておりません。しかし、私自身の経験で申し上げましても、たとえばベネズエラのオリノコ川というところにタール・ベルト、重質の油があるわけでございますが、この量はちょっとはかり知れないぐらいあるというふうに言われております。先刻御承知のように、中国の原油がやはり重質である。従来、石油供給の豊富さに慣れまして、なるべく使いやすい性状のいいもの、つまり軽質のものをということでいろいろ確保のための努力がなされてきておったわけでございますが、これからはむしろ、その使いやすいというものに走らないで、利用できる重質の原油というものが世界にどのぐらい残っているかということを重点に考えるべきだろう。これはよく御承知の重質油分解装置というものを設置いたしまして、これを従来の石油製品に転化するということをやればよろしいわけでございまして、これは昨年来重質油分解のための研究会がつくられ、私ども研究所もこれに委託調査という形でいろいろ検討を進めたわけでございます。原油の供給見通し石油製品の需要構成の変化の予想、結局結論は、重質油分解装置というものが、先ほどの原油の供給が、いつ逼迫が明確になるだろうかということとほぼ同じ性質の問題でございまして、多分今後数年以内に非常に切実な要求になってくるだろうということを結論づけておりますので、この点はすでに政府施策の中に織り込まれておりますけれども、これも代替エネルギー開発を急げということとトーンは同じでございまして、今後ますます促進されるべきではないかというふうに考えております。
  21. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 実は、どちらかというと、太平洋沿岸地域の方に多い重質油は、ただ現況ではペイする、しないというふうな問題もあって、なかなか技術開発が進まないというふうに承っておるのです。しかし、いまお話を聞いていましても、エネルギーを全部電力換算でお三方ともおおよその数字を出しておられる。これは実際に発電用ということを中心に考えればそういうことになるかと思うんですが、もっと別な発電用でないものの用途というものをできるだけ開発していくというか、そういうジャンルというのは消費動向の中に残されていないのでしょうか。ここら辺が余り論議にならないで、いまの日本エネルギー政策というのは論じられているような気がいたしますので、その点、ひとつできましたら、おっしゃっていただきたい。
  22. 高垣節夫

    参考人高垣節夫君) ただいまの御質問につきましては、私の説明も必ずしも整然としていなかったと思いますが、やはり脱石油を図ろうといたします場合に、だれしも注目するのは発電用燃料の場において脱石油を図った場合にどのくらいの効果があるかということだろうと思います。石油に限りませんが、発電の場において投入され、利用されておりますエネルギー日本の全エネルギー量の約三分の一でございますので、先ほどからの地熱にいたしましても、石炭火力にいたしましても、これらがもし十分に生かされるならば、ほとんど発電用に石油を使う必要がない、いわゆるノン・オイル・オペレーション的な状態ができると思います。ただ、私自身も政府の暫定見通しができ上がる時期にほぼ並行していろいろ計算をする必要があってやってみたのでございますが、たとえば暫定見通しでとらえております昭和七十年度の石油換算約八億キロリッターと言われるエネルギー消費の中で三分の一ということでございますと、発電用の燃料の場で二億六、七千万キロリッター相当のものが何とか石油以外のもので賄えるという見通しが立つと思います。そこに六百三十万バレルの油がもし認められるとするならば三億六千六百万キロリッターでございますので、合計いたしまして約六億五千万キロリッター相当のものがめどがつく。そのほか、製鉄用の原料炭でございますとか、あるいは国産の石炭等合計いたしまして七億キロリッター相当のものは何とかめどが立つ。御指摘のように、発電用以外の場をどう考えるのだという御指摘が八億キロリッター相当の需要と供給サイドから見ます七億キロリッターのめどが立つと、残り一億キロリッターというものを一体どう考えるかという点で、ちょっと先ほど申しましたけれども、電発の木村理事がおっしゃったような石炭液化という形で、無論これは発電用以外でございますが、石炭液化という形で燃料には使えるのか、私の方から申しましたアルコール燃料が一般ボイラーに使えるのか使えないのか、あるいは自動車用燃料にまぜてでも使えるのか使えないのかという形で、いまその残りの一億キロリッター分を私自身もどのような姿が一番見通しがあるのだろうか。暫定見通しにおきましては、いわゆる新燃料として石炭液化等を中心にいたしましてそういう数字が組み込まれておるわけでございますが、御指摘のような分野が一番最後に解決の見通しが定かでないと、うっかりいたしますと石油供給不足がそういう分野において発生するという可能性がございますので、一番大事な分野と思いますが、いまの時点でこれが最後の答えでございますというその姿はなかなか出しにくいのではないかと思っております。ただ、問題は十分意識されており、解決に向かって努力がされておるという状態だと思います。
  23. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 木村先生にお伺いしたいと思うのですが、実はいま代替燃料として、さしあたって石炭液化が非常に焦眉の急というふうなことが言われておるのですが、実態としてはなかなか日本石炭液化の技術開発が進んでいなくて、エクソンなんかとの共同開発の関係なんです。ただし、それにしても原料としては石炭が非常に必要なわけです。それで原料炭を外国に求めざるを得ないというような現在の状況の中で、安定供給というお話があったのですけれども、われわれが聞いているところでは、世界石炭というものをメジャーがどんどん押さえ込んでいる。そうすると、かつての石油と同じように、石油にかわる石炭だと言っている石炭も押さえ込まれて同じような価格操作、すべてにおいてそういうメジャー世界戦略の中に組み込まれて、それに日本ものめり込まざるを得なくなるのじゃないか。カルテル行為がとりにくいというお話でございますけれども、どうも逆な現象になってくるのではないかという心配があるのですが、いかがなものでございましょうか。
  24. 木村友三

    参考人木村友三君) この点は、まことに私見にわたる部分が多いかと思いますので、御了承いただきたいと思います。  先ほど申し上げましたように、確かに石炭の分布並びに石炭石油の投資の意思決定の場面が違うということは申し上げたとおりであるわけでございますけれども、ちなみに、メジャーがどの程度テークオーバーしておるかということでございますが、カナダ、オーストラリア、この辺が多うございまして、平均いたしまして出炭量ベースで約三〇%程度メジャーがテークオーバーしているのではなかろうか、このように思っております。そのメジャーの中でもエクソン、シェルというのが多うございまして、BPあるいはCFPというのが若干これに続いておるわけであります。私ども、先ほど申し上げましたような観点から、メジャーといえどもそう簡単にこれを動かすことはできないはずだと申し上げておりますのは、一つは、二〇〇〇年断面で貿易量が恐らく七億トンぐらいになるのではなかろうかということがIEAのワールド・コール・スタディーでは言われておるわけでございます。それに必要な船舶投資をとりましても、大体四千億ドル近い船舶投資が必要になる。船の杯数にいたしまして十万トンのバルクキャリアが一千隻ぐらい必要になるのではないか、こういうふうなことが言われておるわけでありまして、こういう一つのコールチェーン、いわゆる流通機構の整備一つとってみましても非常に重要な投資を伴うわけでございます。石炭は、結局、流通機構の整備というものが山の開発と一緒に伴いまして初めて需要に結びつくわけでございますので、つまりこれらを別にして山だけを開発するというふうなことはとうてい考えられないわけでございます。そういうふうな観点から、私はメジャーのいわゆる振り回しというふうなことが起こらないであろうというふうに想像しておるわけでございます。  なお実は、一昨日も某メジャー石炭担当の重役と会いまして話をしたわけでございますが、あなたのところは非常に評判が悪い、しかし、石炭に関してああいう評判の悪いことをやらないでしょうね、仮に私どもが、あなた方の持っておるエクイティーの一部をよこせ、そのかわり需要を保証するという提案をしたらどうするというふうに聞きましたら、その会社の経営権を放棄するというようなことにならない範囲においてならば歓迎すべき提案であるというふうに非常に幅の広い見解を示したわけでございます。  なお、私どもの実例といたしまして、これはメジャーではございませんけれども、オーストラリアのクィーンズランドにおきまして、ブレアソールという山のエクイティーを一九%取得いたしまして、山を開くために現在調査を進めております。この一九%というのは、実はアトランチック・リッチフィールドと申しまして、アルコと言っておりますが、アメリカのオイルカンパニーでございます。そこの会社からとCRAというオーストラリアの会社からそのエクイティーを分けてもらいまして一九%取得したわけでございます。そういうふうにして、国際共同開発というふうなことというものは具体的に行いつつあるということ、こういったことを前提に置きまして、私、私見ではございますが、メジャーに振り回されるようなことにはならないのではないか、また、そういうふうな努力をし得る余地があるというふうに考えるわけでございます。
  25. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 私はちょっと見解が違うのです。もっと人が悪いというのですか、そういうふうに考えられないのです。といいますのは、たとえば石炭液化の技術開発にしても、エクソンやシェルというのが一番進んでおります。日本も技術で共同参加とかなんとか言っていますけれども、ごく一部分のものです。豪州やカナダ、日本に最も持ってきやすいところの山を押さえられますと、向こうで石炭液化の技術が進んで、石炭を売るのではなくて、液化した油でなきゃ売らないぞというふうな状態に追い込まれたときにどうするか。先ほど木村さんがおっしゃいましたように、資本参加して開発するということよりもっと一歩進んで、日本自身がやはりそうした豪州とかカナダに積極的に山の開発をし、港湾の開発をして、コンスタントに国内需要に見合うような石炭の輸入ルートというものをつくっておかなきゃならぬのじゃないか、どうもそういう気がいたしますが、その点はどうなんでしょう。大丈夫でしょうか。
  26. 木村友三

    参考人木村友三君) ただいま先生の御指摘のとおり、単に資本参加ということでなしに、もっと強力なかっこうでのルートの設定をする必要があるのではないかという御指摘でございますが、まさに強力であればあるほどよろしいかと存じます。ただ、たとえばオーストラリア、これは州によって若干違いますが、ニューサウスウェールズあたりでは外資が四九%以下でなければならない、あるいはクィーンズランドにおきましては五〇%以下でなければならないというふうな一つの規制もあるわけでございますので、そういった実情に応じましてできるだけ多くのエクイティーを取得し、もっと太いパイプをつくるということが好ましいと存じます。
  27. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 森先生にお伺いいたしますが、地熱開発について大変先行きの楽しいお話を伺いました。しかし、先行きは楽しいけれども、現実のここ十年、二十年ということになると、コスト、技術開発すべての点で、エネ調の数字を見ましても、あるいはまたエネルギー経済研究所数字を見ましても、余り大きな期待をここ十年、二十年かけておらないわけなんです。実際に、もっとこれは積極的にやらなきゃならないのじゃないかと、いまお話を伺いながらつくづく思いました。面積で六百平方キロくらいのものだというと、これはそんなに大したことでないのです。日本の国内の面積が三十三万平方キロですか、ですから、それから見るとそれは微々たる面積で、しかもこれだけの開発ができるとすれば、もっと積極的にわれわれ自身も考えなきゃならぬし、政府も考えなきゃならぬことじゃないか。原子力発電だって相当土地を使いますから、それらから見れば、なぜこれが急激に進まない隘路になっているのでしょうか。私は土地問題ではないという気がするのです。
  28. 森芳太郎

    参考人(森芳太郎君) いままでなぜ開発が進まなかったかという御指摘でございますけれども、いままではこれの開発促進に関する保護立法といいますか、そういったものが全くございません。つい去年までは、私どもの会社が地熱発電所を二つつくり上げたわけですが、ボーリングなんかいたしますときに使いますディーゼルエンジンの工事用燃料ですら免税措置も受けられなかった。まして、いろいろな助成措置というのは全くなかったわけでございます。そういうことが一つございます。  それからもう一つは、先ほども何度も申し上げましたとおり、地熱地域の有望地域がほとんど公園地域内にあるという二つの非常にむずかしい問題どうにもならない問題があったわけでございます。  しかし、幸いにして昭和五十五年度から体制が整いつつございますので、これからはアメリカ並みぐらいのスピードでもって恐らく開発がどんどん促進されるであろうというふうに私ども期待しております。  以上でございます。
  29. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 実は私の友人の、北海道の大雪山国立公園の中にある上川町、ここの町長などは非常に熱心で、四十三年ころから地熱開発調査をやってずいぶん一生懸命やっておるのですが、なかなか具体的に進むようになっていないというふうな状態なんです。  そういう地区はずいぶんあるかと思うのですが、いま現実におたくが手がけているのはどことどこなんでございましょうか。
  30. 森芳太郎

    参考人(森芳太郎君) いま、私どもの会社が工事中のところが一カ所ございまして、北海道の森町というところでございます。これは昭和五十六年度運開目標で、これは公園外でございます。公園外では本当に珍しいと思いますけれども規模は小そうございますが、五万キロワットの発電所をいまつくっておる最中でございます。それからまだ工事に未着手の計画中のものが一カ所ございます。現在運転をされております葛根田の地熱発電所の増設をいま計画しております。これも約一年半ほど前から環境庁にいろいろ御相談しておるわけでございます。環境庁の方でも、今度、石油代替エネルギー開発及び導入に関する法律が制定されたり、いろいろな体制整備を整えていく中でどういうような方法でこれを取り扱うかいま検討されておられるようでございますが、そういうところがもう一カ所ございます。その他調査地域として五カ所いま地熱の地域を調査中でございます。  以上でございます。
  31. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 松川地区というは、森町のあれでございますか。
  32. 森芳太郎

    参考人(森芳太郎君) いや、違います。
  33. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 あれは別でございますか。
  34. 森芳太郎

    参考人(森芳太郎君) はい。
  35. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 北海道は道もそうですし、それから市町村にしても非常に地熱開発に皆さん熱心なんです。つい最近も、地熱開発について道議会から陳情書を三、四日前にいただいたのですけれども、そういう点でも非常に熱心なんです。ですから、公園の問題、地域の問題というのは全くないというふうに私どもは判断しておるので、いまのお話でそういうふうに非常に有望だし、これから思い切って——どうもエネ調にしても研究所数字にしましても、先行きの見通しというのは、多少数字合わせをしながら、経済成長率、それからサミットの下限というふうなものと真ん中をつなぎ合わせるというふうなことで、無理しているような数字もずいぶんあるような気がするのです。その点では地熱発電なんていうのはずいぶん思い切ってやっていかなきゃならない。したがって、そういう点について、実際に現場でおやりになってこういう点が隘路だというふうなことがございましたら、どうぞ委員長を通じてこの委員会にどんどん持ち込んで、ひとつ、ひざ突き合わせて、積極的に開発できるように協力いたしたいと思いますので、どうぞひとつ、そういう点は遠慮なくお申し込みいただくことを希望いたしまして、お三方に対する質問を終わります。
  36. 馬場富

    ○馬場富君 最初に、高垣先生に質問いたします。特に石油情勢に非常に詳しい先生でございますので、最初に、そういう石油情勢の点について質問いたします。  先ほどおっしゃいました第一次ショックと第二次ショックのいわゆる中東に対する考え方は全然変わってきたという点については非常に私も同感しますし、それだけに中東に対する石油という問題というのは、日本も単なるいま目先だけのことで対処したら大きな失敗するのではないか、そういう点でやはり長期的な視野に立ってこれは考えていかなきゃいかぬ、こう思うわけです。そういう立場から、やはり価格の問題でございますが、先般のカラカスの総会以降非常に不安定な状況の中で今日あるわけですけれども、先生、先ほど七十万ドルとか八十万ドルの話も出ておりましたけれども、そういうような状況の中で、今後、現状このままで推移すれば上昇の方向に進むかどうか、その点について先生の見解をお伺いしたいと思います。
  37. 高垣節夫

    参考人高垣節夫君) 先ほど申しましたように、OPEC諸国価格についての考え方の基本ということを手がかりにお話ししたわけでございまして、もしわれわれがその有効な交渉力とでも申しますか、われわれ自身がこういうエネルギー対策、施策を持っておるというものを持ちませんと、多少繰り返しになりますが、当面は実質価格ドルを維持したい、インフレスライドその他によりまして。そういう状況でございましょうが、行く行くは、これがまたその天井が高くなりまして、代替エネルギー開発コスト、こういうことで恐らく行方知らずというようなことになるかもしれません。つまり支払い能力のぎりぎりのところまで支払わされるということになるおそれがあるわけでございます。  で、この点、一つつけ加えてお話ししておきたいのでございますが、代替エネルギー開発石油にかわるエネルギーという場合に、産油国は何を考えているかと申しますと、私の推測するところ、たとえばアメリカで石油が足りなくなったという場合につくる製品はガソリンでございまして、きわめて高級な製品でございます。そのときの開発コストというのは、したがいまして、われわれが考えるものとはちょっと違うという点を御認識願いたい。われわれは政府の暫定見通しであれ、われわれが想定しました数字であれ、確かに多少ニュアンスの相違はございましょうけれども、やはり原子力あるいは石炭火力等を当面大きなその問題解決の手段と考えている点では同じでございまして、電発の木村理事もお話しになったと思いますが、現在の原油価格をもってしても、この条件下においても明らかに原子力発電石炭火力の方が安いということでございます。ですから、OPEC諸国の論理に従えば、消費国が代替エネルギー開発を進めれば進めるほど開発コストは高い方へ収斂していく、近寄っていく、こういうシナリオがあると私は思います。  ところが、わが国の実情から申しますと、原子力発電なり石炭火力というものが、国民の合意を得てインフラストラクチュアも整備されたという上での話でございますが、進んでまいりますと、これは油よりも安いわけでございます。ですから、われわれの代替エネルギー開発というのは、石油価格上昇を牽制する材料にこそなれ高価格を支持するものではない。しかし、いわゆるガソリンその他の高級製品をつくるための石炭液化、ガス化ということになりますと、これは相当高いものになる。これがOPECの期待しておるところでございますので、将来価格はどっちへ動くかという問題をお出しになりましたけれども、アメリカの市場をながめておりまして、そこで適用される代替エネルギー開発コストというものにリンクさせれば、あのOPECは当然より高い原油価格というものを指向してくると思います。われわれはこれに対しましてそうじゃない、われわれ独自のエネルギー開発の力を持っておる、これは技術力でございますけれども。そういうものを存分に発揮いたしまして、もしその足りない面はどうするのだ。発電用以外はどうするのだという御質問も前にあったわけでございますが、その分野におきまして、電発の木村理事がおっしゃいましたように、石炭液化にいたしましてもガソリンという形ではなくて、もう少し安直にと言うと言葉がよろしくないのですが、簡単にできる低級な燃料でもよろしい。そういうふうな燃料が石炭液化なりあるいはアルコール燃料によって得られるならば、決してOPEC側のより高い価格という要求に屈することはないだろうというふうに思います。この点、各国のどのような種類の代替エネルギーがフィージブルである、適切であるかということは、各国の市場の条件、使われております燃料、製品の価格水準等々によって全部変わってきておりまして、日本の場合には、それがいまわれわれの指向しておりますのはむしろ競争力のある有利なものであるという点がございますので、その点、われわれの大きな評価すべき点だと思います。  ただ、実際に原油価格はどうなるかという点は、これは私はOPECの人たちに、昨年もクウェートへ出向きましてOAPECのセミナーで日本の実情はそうではない、あなた方の考え方はむしろ間違っておるということを申し上げたのでございます。そのことは彼らも恐らく了解したと思いますが、ただ、OPEC全体としての価格政策が何によって動くだろうかということは、日本市場における燃料間の競争状態ということで必ずしもそれだけで決まるものではない。むしろ、やはり彼らはアメリカの燃料市場というようなものを注目しておりまして、より高いところにさや寄せしていきたいというふうに考えましょうから、やはり結果的には原油価格は上がっていくだろう。そのときに、先ほどの石炭価格メジャーの支配によって上がるのじゃないかというような御懸念が示されたわけでございますが、そのような懸念は確かに私はあると思いますし、OPECもまだ上げると思います。要は、それに対してどのような対抗手段をとるかということをわれわれが急いで考えれば済むことでございますので、大体その価格の動きということと、われわれはどこをねらっているかということと、あわせて私の考えを御披露いたしたわけでございます。
  38. 馬場富

    ○馬場富君 そこで、やはり日本第一次オイルショック一つの教訓というのは、一つ中東依存をなるべく多角化していくことだ、もう一つ代替エネルギーであったわけです。その中東依存の問題でございますが、ここで日本は、その後ヨーロッパ諸国に比べまして、やはり結局、中東依存の多角化という点については手の打ち方が非常にまずかったという点は多分に言えるのじゃないか。それが今日の一つは切迫した問題でもあるのだという点で、特にイラン中心とした中東と米国との政情というのは非常に厳しいものがあるし、これは簡単に私は直らない、こう見るべきだと思います。そういう中で、非常に日米間の友好度の中で中東依存というものをどのように考えていくかということは非常に大きい問題ですが、先生、ここらあたりの見解をひとつ御説明いただきたいと思います。
  39. 高垣節夫

    参考人高垣節夫君) ヨーロッパ諸国と比べて日本中東依存の度合いが深いのではないか、あるいはそれを軽減する努力が不十分だったのではないかという御指摘につきましては、努力という形で表現できるかどうかでございますが、確かにヨーロッパ諸国、特にイギリスは北海の油田の開発に成功いたしまして、これも大変な努力であったことは間違いございません。そういうことも含めまして、日本はそれに相当する近海での大規模開発にまだ成功しておりませんので、ややおくれをとっておるということは言えるかと思います。この点は、いろいろ今後努力の余地があると思います。  それから第二番目に申し上げたいのは、中東との関係でございます。別に私は中東依存をこのまま続けようというわけではございませんが、事の半面といたしまして、中東日本に依存することの大きさという点もあわせて考えるべきだと思います。何と申しましょうか、先ほど申しましたように、昨年十一月にクウェートへ参りまして、OAPECの幹部の諸公に、東京サミットにおいて日本石油輸入の上限を画された、これを産油国の側はどういうふうに考えておるかという点を問いただしたわけでございますが、産油国の側においてその輸出の上限を決め国別に云々ということは、これは公式には少なくともないわけでございます。ここに非常に私は微妙な点があると思います。先ほどメタソールの例を出しましたけれども、彼らが今後工業化をなお進めたい、いま停滞し挫折感の強いような中東の工業化の動きでございますけれども、もし今後、もう一遍元気を出してとでも申しましょうか、もう一度その工業化の前進ということを考えようとした場合に、先ほどのメタノールでこれを受け入れる市場というものは経済成長が続いておる日本しかないということを申し上げたわけでございます。また、今後何かの種類の工場をつくろうとしたときにこれほど合理化が進み、省エネルギーの、省エネルギーということも広い意味では合理化の一つの形態でございますから、これだけの成果を上げている国はほかにないわけでございます。当然、技術導入あるいは新規工業化のプロジェクトというものは日本に期待する。いわゆる技術のトランスファーといい、マーケットといい、また、その協力の綿密さの点において中東諸国は非常に日本に大きな期待をかけておるというわけで、その結果が日本に対して格別の供給量の増大になるというふうに考えるのもこれは少し甘いかもしれませんが、しかし、少なくとも日本に優先的に油を供給したい、また、その技術の提供も受けたいという気分があることもこれは間違いございませんので、その辺が今後の中東との協力の進め方、その効果という点で非常に相反する面があるように思われますけれども、われわれとしては、中東への依存の深さということの盾の両面というようなものもあるという点を御指摘したいと思うわけでございます。
  40. 馬場富

    ○馬場富君 それからもう一点。  やはり中東問題で、最近、非常に備蓄に対して先進国への厳しい批判が出ておりますけれども、この点についてはどうでしょうか。
  41. 高垣節夫

    参考人高垣節夫君) ただいまの御指摘は、産油国の側が、消費国において備蓄を持つということのいわゆる対抗手段としての意味から産油国が必ずしも好んでいないのじゃないか、こういう点の御質問だろうと理解いたしますが、それでよろしゅうございましょうか。
  42. 馬場富

    ○馬場富君 はい。
  43. 高垣節夫

    参考人高垣節夫君) 確かに、この備蓄計画というものが出ましたとき以来、産油国は余り好ましくない、表現はいろいろでございましょうが、そういう意向を示していたことは事実だと思います。ただ、これは石油に限らず一次産品につきまして、一種のバッファーストックと申しますか、変動に対する準備の在庫というものはあらゆる一次産品について好ましいということが反面理解されたのも事実だと思います。これをきわめて産油国に対抗する攻撃的なものと考えるのか、あるいは景気の変動に対処いたしまして、あるいは突発的な事件に対処いたしまして双方が価格の急激な変動を避けることができ、お互い打撃を受けることがないようにという考え方が、直接に石油について語られたわけではございませんが、やや目をずらせまして一次産品の取引石油もあくまでもこれは一次産品の一つでございますので、一次産品の価格の安定あるいは取引数量の安定ということにつきましては、このようなバッファーストックの果たす経済的な役割りというものが大きいということもよく知っておるはずでございます。私自身は、産油国のエコノミスト、ベイルートの大学の先生でございますが、彼らのマインド、胸の中にある一番の姿というものは国際すず協定である、そのような方式を石油に当てはめて取引数量価格を安定させたいというのが真意であるというふうなことも聞いたことがございまして、決して私が取り出しました一次産品についての一般的なバッファーストックの役割り、評価ということが無縁なものではないというふうに思っておりますので、余談かもしれませんが、たてまえと本音の差ということもよくこの世界ではあるわけでございまして、確かに、もしこれがひどく攻撃的なものであれば産油国は好みませんでしょうけれども、いまわれわれが考えているような備蓄の伸展ということが必ずしも彼らに真っ向からの圧力であるということはないと私は考えております。
  44. 馬場富

    ○馬場富君 そういう観点から私自身も、先ほど先生の話の中に出ましたけれども、やはり第一次以降ヨーロッパの石油危機を救ったのは北海油田とか代替エネルギー開発というものに相当力を入れたという点です。そういう点で、LNGの問題、天然ガスの問題になりますけれども、北海油田の中でも約半分に近い数量天然ガスです。その大勢はほとんど、オランダは一〇〇%天然ガスを使用している。この力によって実はエネルギー対策をやっておる。こういう状況から推しまして、一つはそういう意味で近い距離、長い意味での一つ代替エネルギー開発等にも期待はかけるわけですけれども、近い意味では石油中心としたエネルギーを急激にかえるわけにはいかぬ。そういう情勢の中で、日本に近い中国とか近辺の大陸だな、そういう面でかなりの石油開発を予想されておりますし、また、ここにかなりの量の天然ガスも計画の上に出てきております。先般質問いたしました中で、専門家に言わせても可能なものがずいぶんあるわけです。そういう点で、天然ガスの埋蔵量は石油の埋蔵量に等しいとまで、こう言われております。そういう意味で、そういう近い距離での、一つ中東依存からアジアのところに目をつけ、一つは中国の重質油の障害を乗り越える問題それから近距離での天然ガス開発の利点を考えて、ここらあたりでやはり日本が思い切った施策を考えていくべきではないか。そうして次の代替エネルギーへの受け入れにすべきではないか、こういうふうに考えるわけですが、その点どうでしょうか。
  45. 高垣節夫

    参考人高垣節夫君) 全く同感でございまして、ヨーロッパのように目と鼻の先の北海ということになりますと日本近海あるいは東シナ海ということでございますが、これは今後の開発努力に期待し、なるべくそういう手近なところで豊富な供給量が求められれば申し分ない、これは従来にもまして助成と努力ということが続けられてしかるべきだと思います。  その次善の策、三善の策ということになりまして、天然ガスに限りませんけれども、確かに東南アジアにどれだけの資源があるかということはわれわれの大きな研究課題だと思っております。天然ガスをその例にとりますと、先ほど申しましたように、必ずしも天然ガスは油田に密着したものではない、油田から離れたところにも十分天然ガスはあり得るということはオーストラリアの例でもわかりますし、パキスタンでもわかりますし、恐らくアジア全域においてこのような努力をいたしますときわめて広範な、石炭の例が先ほど出ておりまして、日本周辺に非常に資源は広範にあるということで石炭利用の有効性というもののお話があったわけでございますが、同様に天然ガスにおきましても、あれほど大量の天然ガスがオーストラリアに出る、パキスタンに出る、恐らく今後その他においても発見されると思います。そのように近ければ近いほどよろしいわけでございますが、中東よりは近いという意味においてはまだかなりの余地があると思います。  また、東南アジアということが出ましたので例にとりますと、たとえば、これは電源開発さんの御専門でございますけれども、東南アジア地域における水力利用ということの研究も十分なされるべきだと思いますし、簡単にしか触れませんでしたけれども、東南アジアの低級な農産物、直接食糧にはならないけれどもエネルギーにしようと思えばエチルアルコールになるというようなものも、われわれは大いに技術的に協力いたしまして、これの開発に努めるべきではないだろうかと思います。エネルギーで困っているのは日本だけではございませんで、石油を持たない開発途上国の困難が度合いにおいては一番激しいわけでございますので、このことは忘れてはならぬだろう。今後のエネルギー問題開発につきましては、そういう国際的な視点というものも常にあわせ考えて、ともに乗り越えていくということが重要であろうと思っております。
  46. 下田京子

    ○下田京子君 三人の参考人の皆さん、本日は大変有意義な御意見をありがとうございます。  最初に、高垣参考人にお尋ねしたい点なんですが、第一点は、現在非常にメジャーの支配が弱まったとはいいながらも、五割ぐらいは日本メジャー依存という状況だと思います。そういう中で原油の供給削減を見ますと、メジャーに対して非系列の民族系企業に対しては非常にカット率を大きくして、外資系に小さくしている。こういう状況になりますと、価格の差がだんだん広がっていくのじゃないか。としますと、このことによって国内に新たなメジャーの、言ってみれば石油市場への支配というものが強められていくかっこうになるのじゃなかろうか、こういう心配があるわけなんです。こういう危険をどういうふうに見られているか、あるいは今後の見通し、まず、お聞きしたいと思います。
  47. 高垣節夫

    参考人高垣節夫君) メジャー日本市場、とりわけ民族系石油会社への供給削減が厳しいという点は御指摘のとおりでございますが、これは一遍、カット率の推移云々ということと別に基本に立ち返って物を考えてみる必要があると思います。  産油国の側の主張によりますと、彼らが持っております資源の九〇%以上、恐らく九五%以上を彼らの知らない市場において、どのような交渉がなされて、どのような値段が正当かも知らないで、持ち出されて販売されていたというのが事実でございます。産油国の人たちのあるいは素朴な希望、主張と言えるのかもしれませんが、とにかく自分たちで自分の国の資源を正当な価格で販売したいのだ。これを現実に適用いたしますと、メジャーと呼ばれる企業の人たちが自分の製油所ないしは自分のガソリンスタンド等々で自分の販売の販売網に乗せて取り扱う量については、自前の商売でございますから、これは云々する、干渉する余地はございませんけれども、それ以外の企業に対して転売する、結局、第三者向けの原油の販売ということは転売でございますから、そういう中間マージンを取ってまで世界市場九十数%を支配するというのは少し企業の行き過ぎではないかという、一種の国際的なスケールでの公共政策考え方基礎にあると思います。  で、これは実を申しますと、大昔から言っていることでございまして、冒頭私が申しましたけれども、昨年一年間に起こりました構造的変化というのはきわめて深刻なものであり劇的なものであった。と申しますのは、OPECの結成以来彼らの主張し続けてきたことが長年実現できなかったのが、昨年一年間にあれよあれよという間にすべての主張が通った、こういう変化の深刻さをわれわれは知らなければならぬと思います。その結果、流通チャンネル変化流通構造の変化と申しましたけれども日本の企業は自前で油を買うということになったわけでございます。この切りかえがきわめて異様に映じたかもしれませんが、私の表現によりますと、むしろ正常な姿に返ってきたということも言えるのではないだろうか。日本石油会社は、自分のよって立つその原料の入手を全部人にお任せするという、いままではそういう考え方がございました。メジャー依存というものはむしろ安定的であるというふうに言われたのでございますが、産油国の側からは必ずしもそうは見ていないということで、普通の工場でしたら自分の工場の原料は自分で買いに行くものでございますので、そういう状態に変わってきたということでございます。  そのときに、いま御指摘のような原油の入手価格の差が発生しているのではないかという点でございますけれども、これはいろいろな理由があると思います。メジャーは、巨大な資金を投じ、危険を冒して原油の資源開発に協力しておりますので、産油国メジャーの関係は、一方において利害が対立する反面、あれだけの資源開発したいわゆる国際的な多国籍企業の役割りというものが評価されているのも事実でございまして、その一種の功績に免じてと申しますか、資源の引き取り量というものは従来どおり安定的に流れております。これについては日本の外資系企業は何らその損傷を受けていない。民族系の石油会社が、メジャーの手から放れました原油を獲得しようということで新しく中東に出向きましたときに、われわれの国ないし企業というのは、いままでそれだけの大きなリスクマネーを投じたわけではございませんし、メジャー開発した遺産というものをわれわれが何の代償なしに手に入れるということは、非常にこれはむずかしいと思います。恐らくこれは、一種の新規参入という言葉を使っておりますが、新しいそういう資源を入手するための一種の権利でございますが、権利金とでも言ったらよろしゅうございましょうか、そういういった式のプラスアルファの金額というものが日本に要求されているのも事実でございます。この点はメジャーの側からも明確な説明がございませんし、産油国の側からもいまだに明確な説明はない。漠然とプレミアム価格である、あるいはサインボーナス、いろいろな名前で呼ばれておりますが、これは私自身の勝手な解釈かもしれませんが、あの大きな資源利用の権利というものを今度日本民族系石油会社へ売るにつきまして、何らかのそういう一種の参入料というものを払わされるのは、言ってみればやむを得ないのではないだろうか。  現在、劇的な変化の結果、ことし政府の公式価格以上のものを払わされているわけでございますが、これはいわゆる普遍的なもの、今後ずっと続くというふうな性質のものかどうかという点は、非常に問題が残っておると思います。私自身も自信のある説明が今日の時点でできるわけではございませんけれども、そういう、言ってみれば一過性の大きな負担というものが日本にのしかかっていることは事実として認める。そうして行く行く、それで取引が正常化し長期契約という形に収歛してまいりますと、また産油国の方も日本市場に逆に期待するところもあるわけでございますので、双方の取引関係が安定いたしまして原油価格の統一も実現すれば、御心配のような再びメジャーがそのシェアを伸ばすのではないだろうかという点は恐らくなくて済むのではないだろうか。産油国自身が、だからといってメジャーに再び原油の供給量をふやしてメジャー経由で日本市場に売れというようなことは恐らく私はないだろうと思います。
  48. 下田京子

    ○下田京子君 ありがとうございます。  恐れ入りますが、たくさんお聞きしたいのですが、全体で二十分なので、大きな問題で大変恐縮なんですけれども、しぼって、あと二点ほどお尋ねしたいのですが、いまもございましたその産油国ですけれども、その他の非同盟諸国も含めて非常にいわゆる資源主権といいますか、そういうものが強まってきたと思うのです。となりますと、いまお話しのようなことは当然の動きかと思うのです。  お尋ねしたい点は、これから非常に、いまお話しになりました直接取引、DDやGG、こういったものを逐次拡大していくというふうなことを考えていかないと安定的な石油供給ということも非常にむずかしいと思うのです。そういう点で、具体的にいま産油国経済援助等いろいろやられていると思うのですけれども、そういったことを対等、平等、互恵といいますか、そういう自主的な立場でこれからももっと積極的に行う必要があるのではなかろうか、こう思うのです。そういう点で、現在行っていることについて産油国の受け取り方はどういうふうな状態かということが一つ。  それからもう一つは、現在大変問題になっておりますけれども、昨年来からのイランのアメリカ大使館人質事件問題もございますし、それを契機にアメリカのイランに対する経済制裁ということも世界的に問題になっております。一方、ソビエトのアフガン軍事侵入というふうな問題がありまして、それらと関連して、また一方でアメリカの中東に対する、言ってみれば軍事力増強という動きも出ておりますし、また、日本でもそういうものに呼応する動きも見られるわけです。こういう点は、非常に産油国の主権というものに反するのじゃないか、あるいはまた石油の安定確保という面から見ましても問題があるのじゃないか、こう私ども思うわけなんですけれども、これらに対する評価、大変恐縮なんですが、ひとつ簡単にお聞かせいただければと思います。
  49. 高垣節夫

    参考人高垣節夫君) きわめて簡単に御返事させていただきますが、決してお言葉を返すつもりではございませんが、経済援助をいま受けつつあるのは、オイルマネーの例に見られますように、産油国が余ったお金を日本に還流させまして一時金融面の収支を助けようという姿勢も見えておるわけでございまして、その点が一つあるということ。それから一般論から申しまして、産油国は全体として、ほとんど例外なく日本の技術を高く評価し、今後の工業開発に積極的な協力を期待しているという点で、私ども自身中東を歩きまして、どの国といえども悪い感情を覚えたことは一回もございません。これはつまらぬ話のようでございますが、そういう空気の冷たさ、温かさというものは非常によくわかるわけでございまして、その点は自信を持ってよろしかろうと思います。  それからイラン問題並びにアフガニスタン問題。アフガニスタンという国は、私は行ったこともございませんし、軍事、外交的な点ではほとんど無知でございますので、ちょっと御勘弁願いたいと思うのでございますが、イランの件につきまして、経済制裁云々ということも起こっておりますけれども、ときどき報道されますが、いわゆる人質以前、人質以後という問題の出し方がございます。ああいった問題がなぜ起きたのかという点が、私どもも——三十年昔に今回と同じような石油の国有化事件があり、大騒ぎになり、モサデグさんが逮捕され、そしてパーレビさんが帰ってき、そしていま三十年後にまた逆の現象が起きてきております。そういう長い間の事実に照らして、イランというか、私どもペルシャと言っておりますが、イランの人が何を考えているかということ、あのような騒動がどういう流れで起きてきているのかということを一応知る必要があると思います。たまたま現在、読売新聞において長々とその辺の記録が出ておりますけれども、これは非常に時宜に適した企画だと思います。ああいった事実、長い歴史を知らないことにはすべての問題の回答が出てまいらぬ。それに対する対応策が果たして適切なのかどうかという点は、私は外交問題の正面からお答えできませんが、昨年の十一月に、二、三の産油国で彼らが何をどう受け取っているかを見ましたところ、いまアメリカの、ソ連のという例が出たわけでございますが、一言に申しまして、産油国は両者ともに非常に懐疑的であるというふうな印象を持っておるように私は思いました。アメリカがよくてソ連が悪いとか、ソ連がよくてアメリカが悪いというふうな状態ではございませんで、やはり産油国というのは基本的には弱い国でございまして、大国がどう動くだろうかということについて非常にそれなりに行く末を案じておる。そのときに日本が何とかしてくれという気持ちがこれまた一致しておりますので、われわれ自身の知恵を働かすべき場ではないかというふうに思います。  非常に抽象的で申しわけございませんが、以上で御勘弁を願います。
  50. 下田京子

    ○下田京子君 ありがとうございました。  木村参考人に、二点まとめてお尋ねします。  一つは、いま世界的に十兆トンぐらいあるという中で可採量が六千四百億トンは大丈夫だろうというお話がございました。しかし、そういう中で、これまた石炭石油と同じように、先ほど他の委員からも御指摘がございましたが、メジャーの支配という動きも非常に強まっている一方、世界的ないわゆる資源主権の高まりというのがあると思うのです。ですから、そういった点から見て暫定見通し、海外依存の石炭のこれらが確保可能と言い切れるかどうか。これが一つ。  それからもう一つは、国内炭の活用、利用ということについてどう評価されているかという問題なんです。これは一九五五年の通産省の調査で、御承知だと思うのですが、二十五年も前のお話ですけれども、理論埋蔵炭量といいますか、これは二百二億四千六百万トンある、実際に採掘可能なのが当時で三十一億七千八百万トン、こう言われておりました。こういうことについての可能性といいますか、活用についての評価といいますか、この二点をお聞かせいただきたいと思います。
  51. 木村友三

    参考人木村友三君) お答え申し上げます。  第一点は、エネルギー問題につきましての各国の主権の高まりという状況の中において、暫定見通し数字が確保可能であろうかという点でございますが、一言で申し上げますと、座してこれを手にすることはもちろんできないわけでございます。私申し上げましたように積極的な開発参加、あるいは山のみならず鉄道、港湾、こういった開発につきましても積極的に参加することによりまして、互恵の立場に立ちましてこれを求めていくという態度を日本のみならず国際的に明確にいたしまして、強力な協力体制をもって進めてまいりますればこの達成は十分であろうというふうに思っております。現に、私どもの会社ですでに入手可能というところまで来ておりますのは、千二百万トン程度数字は私どもの会社で手当てを済んでおると申し上げて過言ではないということでございます。  第二点は、国内炭の利用の問題でございますが、やはり外国にのみ依存するという態度はよくないと思います。そういう意味で、国内炭があるのでございますから、できるだけ利用するということが外国に対してもやはり一つの姿勢として必要ではないか、このように思うわけであります。しかしながら、私どもユーザーの立場から見ますと、非常に採掘条件も悪いというふうなことからどうしても高目になっております。この点は何とかして御努力いただきまして、外国炭に匹敵するところまでとは申し上げませんけれども、なるべく安定して、しかも適当な価格供給していただくということがやはりどうしても必要かと、このように思うわけでありますが、私ども、そういうふうな一つの安定した政策の中におきまして国内炭を活用するということは積極的にやっていきたい、このように考えておる次第でございます。
  52. 下田京子

    ○下田京子君 ありがとうございます。  森参考人に二、三お聞きしたい点があるのですけれども、時間がなくなってしまいまして、一点だけお聞きしたいと思います。  先ほど地熱開発のことで非常に可能性を具体的にお話しになりました。この際、いろいろと苦労されている皆さん方が卒直に注文があれば、具体的に先ほど一、二ございましたけれども、いろいろこれからの改善あるいは注文をお聞かせいただきたいと思います。
  53. 森芳太郎

    参考人(森芳太郎君) 先ほども申し上げましたけれども、五十五年からいろいろ開発促進のための体制が整いつつあるような施策が打ち出されておるわけでございますが、まだまだ不十分でございます。早期に開発するということになりますと、やはりその開発の資金の手当てをどうするかとか、そういった具体的な問題がデベロッパーの中で必ず起きるわけでございます。その中でも非常にわれわれ昔から問題にしているところが一つございまして、先ほどそれには触れなかったのでございますが、鉱業権のような地熱権というのはないわけでございます。これをわれわれ開発地域、資源エネルギー庁の方と御相談しまして、その地域を、この辺を開発しますよということで開発に着手いたしまして、果たしてその開発権といいますか、第三者が妨害するような行為、これはないとは思いますけれども、もしあった場合にそれを排除する手当てがいまのところは全くないという非常な不安が一つございます。これは鉱業権のような既存の権利と同等なものを設けるというのは非常にむずかしいようでございますけれども、これの打開策を、ひとつぜひお願いしたい。  それからさきに申し上げたいろいろな促進策の中でも、たとえばリスクのお話を先ほど申し上げましたけれども開発期間が大体六年ぐらいかかるわけでございます。非常に長期にかかるわけでございまして、しかも、最初ボーリングしていって蒸気を実際出して観測し、それがいいとなったらパイプラインを引いて発電所をつくるという順序になるわけでございますけれども、発電所にパイプラインが結びつかない限り、一つの財産権といいますか、お金を借ります前に担保を設定いたしますけれども、担保にならないわけでございます。その間の工事の資金繰りということに非常に窮屈な思いをしなきゃならぬという問題が一つございます。  それからリスクの問題でも、今度の新しい促進策には債務保証制度が設けられてありますけれども、年々工事費が上がってまいりまして、もう少し債務保証制度を増額する必要があるのではないかというふうに考えます。  いまのところ、思いついたまま二、三申し上げましたけれども、以上のとおりでございます。
  54. 中村利次

    中村利次君 お三方の参考意見が本当に大変参考になる御意見でございましただけに、いろんなお尋ねをしたいのですけれども、私の質問時間は極端に短うございまして、遺憾ながらそのことができないわけであります。  高垣参考人は、石油中心としてエネルギー問題についてあるいはLNGについて言及されたわけでありますが、御所見に対して私も同感であります。わが国は、国民生活を維持する上で、エネルギー資源だけではなくて食糧にしろ材木にしろ、森林国で材木にしろ、すべて海外に仰がなければならないという、まさにこれは無資源国でございますから、立国をしていく上には世界の工業基地としての役割りを正しく果たすいわゆる貿易立国以外にはないわけです。そのためには、それを裏づけるエネルギーが確保されなければこれはどうにもならないわけでございまして、私がかなり緊張いたしましたのは、最近のIEA事務レベルの理事会で、一九八〇年、昭和五十五年度の日本の油の輸入見通しを五百四十万バレル・パーデーを超えるだろう。これは五十四年度に、IEA閣僚理事会の決定によって五%の石油節約をする、いま一段とというので七%の石油節約、具体的な裏づけを示したそういうものをやっていながら、東京サミットで上限を決められた五百四十万バレルでは五十五年度もどうも足りそうもないということになりますと、これは全くかなり深刻にこのことは受け取らざるを得ない。そういう立場から総合エネルギー調査会需給部会の長期エネルギー需給暫定見通し等を見てみますと、高垣参考人はそのものずばりでああいう暫定見通しについての御所見もお持ちであろうと思いますけれども、お立場上なかなか本当のことは言いにくいのではないかと思いますが、私はあれが非常に心配なんです。  まず、石油換算八千万キロリッターの、いま申し上げましたようないろいろなものを含めて、省エネルギーが達成できるだろうか。できなければそいつをどこに転嫁するのだ。それから特にエネルギーの大食い国のアメリカや日本なんかは代替エネルギー開発促進をどれほど達成できるのか。石油の依存度をどれほど漸減していくのか。確実にそいつを達成していくのが決定的な課題なんですけれども、私はやっぱりその代替エネルギー開発中心になるのは原子力石炭あるいはLNGだろう。ほかは全部、地熱から潮力、風力、太陽熱、もうすべて積極開発に取り組まなきゃいけませんけれども、しかし、たとえば地熱なんかだって昭和六十年百万キロワット、私はこれは達成できないと思う。これがエネルギー総需要あるいは電力の昭和六十年一億七千八百万キロワットの出力を持たなきゃならないというものに占める割合なんというのは、まさに積極開発をしても知れたものですから、やっぱり原子力石炭あるいはLNG等に多くを依存せざるを得ないだろうということになりますと、原子力も、暫定見通しによる三千万キロワットというのは達成できないということは現時点ではっきりしているのです。二千八百万キロワット弱。それからLNG二千九百万トンにしても、私はこれはかなり、理由を言っている時間ございませんけれども、むずかしかろう。そうなりますと、そのしわ寄せがどこにいくのだ。これは六百三十万バレル・パー・デーをキロリッター換算して年間三億六千六百万キロ。そうすると、こういうぐあいに石油換算で省エネを八千万キロリッター分、原子力を三千万キロワット、LNGを二千九百万トン、それから水力、揚水を含めてこういう数字合わせをせざるを得ないと思うのですけれども、私はそういうぐあいにずうっとチェックしていってきわめて困難。しかし、これは官民一体になって困難であろうと近づけなければならないと思います。  そこで、やっぱり私は、石油の依存度というものを、残念ながら目先、中期からいけば漸減はするけれども、主力は何といってもやっぱり石油にならざるを得ない。その場合心配なのは、私は、目先は石油の需給バランスよりも価格です。確かにいろんな条件下で、いまスポット価格は落ちついています。しかし、たとえば短期的に見て、五十五年度、五十六年度あたり、OPECは、いわゆる世界的なインフレ率、それから先進工業国経済成長率、そういうもので原油の価格を決めようということをはっきり言っているわけでありますから、それが事実なのかどうか。それからそういうことでやるとすると、大体ここ一、二年あたりの原油価格見通しはどういうものになりましょうか。  時間がございませんから全部してしまいますけれども木村参考人にお尋ねいたしますが、去年、本院の委員会で、竹原石炭火力を見せていただきました。石炭の利用について大変に積極的な技術の開発を進めておられることに対して敬意を表しますが、電源開発石炭火力のパイオニア的な役割りを果たしていらっしゃいますけれども、火力は、全般的に見ますと、ほとんど石油に切りかえて、これはいろんな理由があって石油に切りかえて、これから石炭をどう使っていくかということになると思うのです。  そこで、私は、先ほど申し上げましたように、原子力石炭LNG等は、何といってもこれからの大事な大事なエネルギー源でございますから、石炭の利用については、本当にその利用の仕方、集じん、脱硝、脱硫あるいは灰処理、貯炭に至るまで、木村参考人の御意見を伺いましたけれども、そういうものの確かに技術開発を伴った解決をしながら利用をしていきませんと、これは大事なエネルギー源か、またいまの原子力みたいに地域、地域によって反対、反対というむしろ旗に取り囲まれるようなことになりますとえらいことになりますから、そういう点のお見通し。それからいまや原子力も百万キロ時代にすでに入っておりますし、水力も揚水技術の開発によって推計百万キロ時代を迎えておる。石炭火力も、やっぱりこれはだんだんと大出力になっていかなければならないと思いますが、その場合の技術開発度合いで、どういう経過を経ながら目的を達成することができるのか。積極的に取り組んでいただいておりますので、その見通し等についてお伺いしたいと思うのです。  それから時間が残すところ幾らもございませんけれども、森参考人に対しましては、私は、先ほど申し上げましたように、地熱開発というのは積極的に進めていかなきゃならないと思うのです。しかし、昭和六十年、六十五年、これは長期と言い得るでしょうか、中期と言えるでしょうか、そういう点で私は、昭和六十年百万キロワットというのは、これは不可能と言っては非常に政府に対して失礼かもしれませんけれども、不可能に近いほど困難なことである。これは石油火力、石炭火力、原子力、それから地熱発電のリードタイムというのは大体決まっているわけでありますから、そういう意味から言って、見通しとしては非常に暗かろう。しかし、やっぱり開発は積極的に進めていかなければなりませんので、そこで心配になりますのは、私は、こいつが五十万キロ、百万キロというぐあいにだんだんと開発が進んでいきますと、いろんなリスクに対する批判、これは全く環境に無影響であるということは言えないわけでありますから、したがって、技術開発と連動しながらそういう環境に与える影響を、ゼロではないけれども少なくしながら開発を進めていかなきゃならぬと思うのです。だから、そういう点についてのお見通し。  時間超過ですから、以上でやめます。
  55. 高垣節夫

    参考人高垣節夫君) 手短にお答えさせていただきますが、IEAがどういう根拠で日本見通しを出したか存じませんが、近々新年度の石油供給計画もできるわけでございます。七%の節約を前提といたしまして、やはりわれわれは五百四十万バレルの枠にとどめるべきではないか。また、私自身感触といたしましても、すでにセメント業界等において石油から石炭にかわる動きもございますし、何とかやりくりして五百四十万バレルの枠の中に入れられるのではないだろうかと思います。  長期見通しにつきまして、省エネルギーというのは相当むずかしいだろうという御指摘がございましたが、昭和五十二年度に始まって七十年度までの十八年間に一七・一%の省エネルギー率と申しますのは、年率にいたしますと一%に満たない程度でございまして、現在、産業界を中心に進められております省エネルギー速度というのは、少なくとも今日までの成果で見る限り非常に速いスピードでございまして、これがこのままずうっと維持できるかどうかという点は問題がございましょうが、私自身は、いまの産業界の省エネルギーの状態、あるいは手近なところで自動車の歩行キロに対する燃料消費の削減の度合いという点等から見まして、この程度の省エネルギー率というものはできるのではないだろうかというふうに思います。  さらに、他のエネルギーについて非常に非観的だという御指摘があり、石油中心でなければならぬのではないだろうか、そのとき価格が心配だということでございましたが、最後に、ことし、来年あたりの価格はどうだという御質問につきましては、いろいろOPEC価格についての理論的根拠、主張もございますけれども、もやはり現実の需給関係から見まして、ことしは、日本は別として世界は不況でございますので、供給には余力はあるだろうと思いますので、急激な上昇はないだろう、あるいはインフレ率を下回るようなことになるかもしれないとさえ思っております。また、仮にOPECの主張どおりに先進国のいまの二〇%近い卸売物価上昇率がそのまま反映したといたしましても、ことしの例でごらんのように、原油価格が一〇〇%上がってもわれわれの卸売物価というのは十数%でございます。もし二〇%見当の原油の値上がりがあって同じような方式で考えますと、われわれの物価上昇はやはり四、五%におさまっていくということになりましょうから、やはりこれは二、三年いたしますと収斂するというふうに考えてよろしいのではないだろうかと思います。  以上が私の見解でございます。
  56. 木村友三

    参考人木村友三君) まず、新技術の開発はその後どういうふうに考えておるかということでございます。主として環境対策についての御質問かと思いますので、その点について御説明申し上げます。  現在の、ばいじん処理、要するに、電気集じん機、あるいは湿式排煙脱硫装置、あるいは乾式選択接触還元法によります脱硝装置、これにつきましては先ほども十分の自信があると申し上げたわけでありますが、まず、脱硝装置について若干補足して申し上げたいと思いますが、現在、何に一番苦労しているかと申しますと、触媒の寿命をいかに長くするかということでございます。やはり摩耗がございますので、一年ぐらいでだめになるのではないかということ、それによる性能劣化が起こるのではないかということが一つ心配であったわけでございますが、その後の試験の継続によりまして、大体二年はもつであろうというところまで見当をつけてまいりました。したがいまして、脱硝設備そのもの、あるいは脱硝設備の前後に加わります諸機械につきましての見通しは十分得ましたので、あと何が残っているかと申しますと、脱硝、脱硫、そういったシステム全体としてのいかに合理的な調整、運用を行うことができるかという、そういったシステム全体の調整の問題が残されておるということでございまして、十分の自信があるわけでございます。しかしながら、さらにわれわれは技術の改良をしなければならないと考えておるわけでありまして、まず、脱硫装置につきましては、現在、湿式装置と申しますのは非常に大量の水を使うわけでございますので、これを水を使わない方法、いわゆる乾式脱硫方式というものを研究いたしまして、これも来年ごろから実証をいたしたいと考えております。これは脱硝も四〇%程度でございますが、同時に行える方式でございます。それに加えまして、脱じん方式としましてバッグフィルターによりますもっと高性能な脱じん方式というものにつきましても一応の研究開発が終わりまして、この乾式脱硫とともに実証をしたい、こういう段階になっておるわけでございます。  それから第二点は、水力、原子力等非常に大型になってきておるが、石炭火力についてもその辺の見通しはどうかということでございますが、御案内のとおり、やはり立地地点が限られてまいっておりますので、できるだけスケールメリットを追求すると同時に、一カ所に大きなユニットを設置することがやはり好ましいことであるというふうに思います。そこで、わが社といたしましては、いま調査中の松浦地点におきましては百万キロユニットを設置する計画にいたしております。この点につきましては、現にアメリカでは最大ユニット百三十万キロのユニットがございますので特に問題はないわけでございますが、しかし、日本はアメリカ以上にもっときめの細かい運転というようなことをいたすことになりますので、主としてタービンの問題、こういったところにつきましての研究をいたしております。ことに効率を上げるためにはタービンのブレードを大きくする必要があるというふうな点が一つの問題かと思います。  それから同時に、ちょっと先になるわけでございますけれども、やはり原子力のウェートが高まってまいりますと、石炭火力といえどもある程度負荷変動を必要とするという事態になろうと思います。そういう場合に変圧運動というふうな方式につきましても十分われわれは検討いたしておりますが、大型のものの運転実績を経まして変圧運転に入りたいということで考えておりますので、目下変圧運転の採用は私どもの計画ではございません。  大体以上です。
  57. 森芳太郎

    参考人(森芳太郎君) 先ほど御質問のありました昭和六十年百万キロは無理ではなかろうかという御質問でございますが、さっきも冒頭に申し上げましたけれども、非常に典型的なといいますか、代表的な地熱地帯で地熱開発した場合に、探査から発電所が仕上がって運転できるまで六年間を要するという一つのモデルケースがあるわけでございます。これは開発する場所が山間僻地であり、また地下の地熱の構造、そういったものに左右されるわけで、非常に条件のいいところで私どもは五年ぐらいはどうしてもかかるなというふうに見ておるわけでございます。大体が高い山の標高七、八百メーターぐらいのところにございますので、冬の間は大抵積雪に悩まされて作業が思わしくないということもあり、そういったことを考えますとやはり五年はどうしてもかかる。ことしは昭和五十五年でありますので、六十年までに五年しかないわけでございます。それで、現在国内で発電されております十七万キロワット弱に、さらに八十何万キロワットというのを六十年までにやれるかというと、これはお説のとおり非常に無理なことだと思います。しかし、その次の六十五年、七十年の三百五十万キロワット、七百万キロワットという目標は、先ほど申し上げましたとおり、いろいろな技術開発が一方で進んでおりますし、時間的な余裕もあるし、そういったことで軌道に乗れば、軌道に乗せるまで官民一体となって相当な努力が要りますけれども、軌道に乗ればこれは私は間違いなく達成できる目標値じゃなかろうか、そういうふうに信じております。  それからもう一つ、環境問題のことで御質問がございました。いまのところ問題がなくても、これから大規模になっていくといろいろな問題が起きるのではないかということでございますが、現在運転されております地熱発電所はどこでもそうでございますけれども、水質とか大気、土壌、植物関係、そういったものに定期的にモニタリングをやっておりまして監視を続けております。そういった資料のもとでは現在のところ影響はないということになっておるわけでございますが、これが大規模になったらどうなるかということでございます。アメリカでは、いま恐らくスケジュールどおりに発電されていますと、ガイザーという地域では八十万キロワットから九十万キロワットぐらい一地域で発電されていると思いますけれども、その辺の情報も絶えず私どもは入手するようにしております。さっきも申し上げたように、実害は起きてはいないけれども、硫化水素によるにおい、悪臭でございますね、やはり大気中に〇・二PPm近くの硫化水素が一部分でもありますとにおいがいたします。そういったものを問題としまして、デベロッパー自体が、向こうに言わせると自発的にという言葉を使っておりますが、脱硫装置を新しいものにはすべてつけるようにしてある。それで硫化水素の排出量を九〇%から九五%除去して運転するというようなことにしておるようでございます。その他そういった大規模なところがアメリカにもございますし、そういった環境問題の資料その他を十分に検討しながら開発を進めていかなければならないというふうに考えております。  以上でございます。
  58. 竹内潔

    ○竹内潔君 どうもいろいろありがとうございました。  皆さん方もお聞きになりましたので、一言ちょっと。私、政治的なことをお聞きして恐縮に存じますけれども高垣参考人にお聞きしたいと思います。  どうも最近のように年に何回も価格が上がる、また供給もきわめて不安定、それかといって簡単に代替エネルギーにかわるわけにはいかない、やっぱり主力は何といっても石油であるといった場合に、毎年毎年こういうことを繰り返していった場合には、本当に各国とも経済計画は立たないのじゃないか。こうなった場合に、果たしていまのようなやり方というか、生産と供給の関係というもの、これはもちろん先進消費国において当然でございます、特に日本において。OPECにおいても、やはり将来を考えた場合に果たしてこういうような、やれインフレだ、価値保存だといって価格を上げていく、こういうようなイタチごっこをやっていってプラスになるのか。そうなった場合、大変どうも政治的な発言でございますけれども、私は、いまのたとえば東京サミットにおいて上限を決めた、しかしこれを果たして実現できるかどうか。またOPECOPECの方でああいうやり方をしている。これはお互いにやっぱりどうもマイナスが多いのじゃないか。そうなった場合に、世界的な機構といいますか、何かそこに共通したようなものはできないものか。大変どうもとっぴな話になるかもわかりませんけれども、一遍、その辺のところの御意見を伺いたいと思います。
  59. 高垣節夫

    参考人高垣節夫君) とっぴどころか、一番焦点の問題はそれだと思います。先ほど一次産品に関していわゆる商品協定というものの例を出したのはそういうことでございまして、OPEC諸国の究極求めておりますのは、引き取り量の安定と価格の安定、それによる収入の安定、安定した収入のもとに工業化を長期の五年、十年計画を進めたいというのが本旨でございますから、今後われわれの対応の仕方いかんによってそのような対話は十分可能だと思います。実際には昭和五十年、一九七五年に、すでに一九七五年を起点とし八十五年までの十年間の一種のそういった協定的な動きが産油国の側から示唆され、そしていわゆる産消対話、南北対話になったわけでございますが、残念ながらそのような体制がなぜ一昨年暮れから昨年にかけて崩れたかと申しますのは、インフレ速度に合わせて原油価格は実際は上がっていない、おまけにドルが非常に変動したという、産油国の側から見ますと先進工業国経済が非常にぐらついており信頼できないという考え方を持っておると思います。その点、われわれの方、工業国の方がそれに対応する構えをきちんと示しますと産油国の方は十分その対話には応じてくれると思います。
  60. 高橋圭三

    ○高橋圭三君 森さんのお話を伺いまして、エネルギー問題というと大変頭の痛いことが多いのですけれども地熱エネルギーのお話で、経済性も高いし公害もわりあい少ない、なかんずく他のエネルギーと違いまして、わりあい国際的な絡みが少ないと解してよろしいのでしょうか、自力でやっていけるものだというふうにとりまして、何かほのぼのとしたものを私感じました。御存じないでしょうけれども、私は岩手県の出身でございまして高橋と申しますが、岩手県人はことに地熱エネルギーに関心が高うございます。したがって、私も大変に興味深く関心を持ってお伺いしたわけでございますけれども、復習の意味を含めまして、森さんに……。  現在の技術で開発可能量と言ったらよろしいでしょうか、人工熱水系破砕というのですか、これを含めて六千万キロワットは可能だ、こういうふうにお伺いしたのでございますが、これは世界各国と比較した場合に日本は豊富だと言ってよろしいのでございましょうか。どういうものでございましょうか。
  61. 森芳太郎

    参考人(森芳太郎君) ちょっと最後のお言葉が聞き取れなかったのですが、各国とも比較して何とおっしゃいましたでしょうか。
  62. 高橋圭三

    ○高橋圭三君 可能量です。
  63. 森芳太郎

    参考人(森芳太郎君) 多いか少ないかということでございますか。
  64. 高橋圭三

    ○高橋圭三君 はい、そうです、比較して。
  65. 森芳太郎

    参考人(森芳太郎君) 大体、日本の国土というのはいわゆる火山列島でございますので、国土当たりの地熱資源量というのはもちろん世界一でございます。資源量そのものから言うと、やはりアメリカは、環太平洋火山帯に属しております東側の方でございますが、真ん中から東側の方の地熱資源量というのは毎年毎年政府で調査をされていまして、確認資源量と申しますか、賦存量と申しますか、それは公表されておりますけれども、相当膨大な量でございます。その次ぐらいに匹敵するのが日本資源量ではないかというふうに考えておりますけれども、しかし、まだ中国とか、ソビエトのカムチャツカの方とか、未調査のところが大分ございますが、現在ではアメリカに次ぐ第二の地熱エネルギー保有国であるというふうに考えてよろしいかと思います。  以上でございます。
  66. 高橋圭三

    ○高橋圭三君 そこで、問題はスピードアップということではないかと思いますけれども、先ほどから再三伺いまして、五万キロワットが六年ぐらいかかる、こういうお話でございました。それの障害となるものには国定公園あるいは国立公園の規制ということもありましたし、もう一つは、先生のお話の中にボーリング技術自体に問題がある、こういうことをお伺いしたのですが、このボーリング技術自体というのは、日本のボーリング技術が未熟だということでございましょうか、それとも技術者が少ないということなんでしょうか。それと同時に、これを解決すれば五万キロワット六年かかるというものが短縮されるものかどうか。この辺はいかがでございましょうか。
  67. 森芳太郎

    参考人(森芳太郎君) 日本のボーリング技術が未熟だということは決して私は考えておりません。大体、アメリカはボーリング技術は世界一と自他ともに許しているのでございますが、それにほとんど近づいた技術を持っておると思います。ただ、地熱のボーリング技術は石油やガスのボーリング技術の転用をされたものというふうにお考えになればいいわけでございますが、さっきも申し上げましたとおり、日本では石油天然ガスのソースというのは非常に貧弱でございますので、日本でそういう開発をやっておられる方が持っている機械の台数のうち地熱に転用できるものというのは十台に満たないというわずかな機械しかないわけでございます。アメリカでは一社で大型のボーリングの機械を百台ぐらい持っているコントラクターがざらにあるわけでございます。そういうことで非常に弱体だというような表現で先ほど御説明したのでございますけれども、これを六年間もかかるのにこの機械を充当すれば短縮できるかというと、そうでもございませんで、ある程度は短縮できますが、ボーリングするのに大体、さっきもお話しのとおり、五万キロですと機械を二台ないし三台持っていけば一年ないし一年半ぐらいでボーリング工事は終わるわけでございますが、数をたくさんふやしましても二、三カ月短縮できるかという程度でございます。そうではなくて、地熱開発をする場合に調査期間があるわけです。地下の資源調査するのに探査という言葉を使いますが、探査をできるだけいろいろな角度からやっていく。物理的な方法、化学的な方法、それから地質学的な方法、地熱の場合は熱力学的な手法もございますが、そういうものを地表からやって、それから調査ボーリングをやりまして、そういったものを実際確認した上で改めて発電用のボーリングにかかるわけでございます。そういった準備期間といいますか、調査期間に時間を食うわけでございます。これをできるだけ短縮する必要があるというので、探査技術そのものについてサンシャイン計画その他で盛んな研究開発が行われております。探査期間がたとえば二年半かかるものが一年半で済めば一年短縮できるわけでございますし、それだけ支払ったものは安い電気エネルギーを発生するわけでございますので、非常に重大な問題でございます。現在のところでは探査期間を含めまして六年かかるということでございます。  以上でございますが、よろしゅうございますでしょうか。
  68. 高橋圭三

    ○高橋圭三君 そういう事情を踏んまえて、この暫定見通しの七十年、七百万キロワット、これは森さんはいけるというふうに思っていらっしゃいますでしょうか。どうでしょうか。
  69. 森芳太郎

    参考人(森芳太郎君) 実は、私の会社のことを申し上げて恐縮でございますけれども、いま稼働している地熱発電所が二つございます。私どもの会社でつくりましたのが二つございます。もう一つ、北海道でいまつくりつつあるのが一つございます。合計三つあるわけでございます。そのほか、現在運転されています発電所の増設を計画しております。それからそのほかの地域で五カ所で調査を、地表からの調査でございますが、やっておるわけでございますが、いまのところ可採エネルギー量でございますが、大体のところ百万キロワット近いものがとれるだろうという見込みをつけているわけでございます。さっき、いま実際政府の方の体制も整いまして地熱開発をやろうとしている会社が十社ほどあると申し上げましたけれども、私どもの一社で大体百万キロワット近いものが取れるという自信を持っておりますので、十社もあり、それからまたいろいろな会社が、開発をやろうとされる方が多分出てくるだろうと思いますので、最終の七百万キロワットは軌道にさえ乗れば十分に達成できるというふうに私どもは考えております。
  70. 高橋圭三

    ○高橋圭三君 どうもありがとうございました。結構です。
  71. 吉田実

    委員長吉田実君) 他に御発言がなければ、参考人方々に対する本日の質疑はこれにて終了いたします。  参考人方々に御礼を申し上げます。  大変長時間にわたり御出席をいただき、貴重な御意見を御開陳いただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。  本日の委員会は、これにて散会いたします。    午後四時五十分散会