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1980-02-22 第91回国会 参議院 エネルギー対策特別委員会 第2号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
五十五年二月二十二日(金曜日) 午前十時三分開会 ――
―――――――――――
委員
の異動 二月二十二日 辞任
補欠選任
対馬
孝且君
吉田
正雄
君 ――
―――――――――――
出席者
は左のとおり。
委員長
吉田
実君 理 事 高橋 圭三君 竹内 潔君 小柳 勇君 馬場 富君 市川 正一君 向井 長年君 委 員
岩動
道行君
河本嘉久蔵
君
古賀雷四郎
君
野呂田芳成君
林 寛子君
福岡日出麿
君 真鍋 賢二君 阿
具根
登君 浜本 万三君 丸谷
金保
君
吉田
正雄
君 中尾 辰義君 下田 京子君 秦 豊君
国務大臣
通商産業大臣
佐々木義武
君 国 務 大 臣 (
科学技術庁長
官)
長田
裕二
君
政府委員
経済企画庁物価
局長
藤井 直樹君
経済企画庁総合
計画局審議官
兼
物価局審議官
戸田 博愛君
科学技術庁長官
官房長
下邨 昭三君
科学技術庁計画
局長
園山 重道君
科学技術庁研究
調整局長
勝谷 保君
科学技術庁原子
力局長
石渡 鷹雄君
工業技術院長
石坂 誠一君
資源エネルギー
庁次長
古田
徳昌
君
資源エネルギー
庁石油部長
志賀 学君
資源エネルギー
庁公益事業部長
安田 佳三君
事務局側
常任委員会専門
員 町田 正利君
説明員
大蔵省国際金融
局調査課長
大橋 宗夫君
文部省学術国際
局研究助成課長
大門 隆君
農林水産大臣官
房参事官
森
隆禧君
運輸大臣官房審
議官
西村 康雄君
運輸省海運局監
督課長
大塚 秀夫君
建設大臣官房政
策企画官
越智 福夫君
会計検査院事務
総局第五局
審議
官 竹尾 勉君 ――
―――――――――――
本日の
会議
に付した案件 ○
エネルギー対策樹立
に関する
調査
(
エネルギー対策
の
基本施策
に関する件) (
昭和
五十五年度
エネルギー対策関係予算
に関 する件) (
エネルギー対策樹立
に関する件) ――
―――――――――――
吉田実
1
○
委員長
(
吉田実
君) ただいまから
エネルギー対策特別委員会
を開会いたします。
エネルギー対策樹立
に関する
調査
を議題といたします。 まず、
エネルギー対策
の
基本施策
について、
関係大臣
から
所信
を聴取いたします。
佐々木通商産業大臣
。
佐々木義武
2
○
国務大臣
(
佐々木義武
君) 第九十一回
国会
における
エネルギー対策特別委員会
の御
審議
に先立ちまして、
エネルギー対策
に対する
所信
を申し述べさせていただきます。
わが国経済
は、一九七三年秋に発生した
石油危機
の試練を
官民一体
となった
努力
により克服し、着実な景気の
回復過程
を歩んでまいりました。
自由世界
第二位の
経済大国
となった
わが国
は、同時に
世界
第二位の
エネルギー消費国
ともなったのでございます。
石油危機
後しばらくの間比較的
平穏裏
に推移してきた
エネルギー需給
は、一九七八年末以来の
イラン
を
中心
とする
政治的緊張
により、一九八〇年代においてはきわめて不安定化する様相を呈しております。 このような状況のもとで
国民生活
の安定と
経済
の着実な
成長
を達成するためには、その
基盤
となる
エネルギー
の
安定供給
の
確保
が不可欠の
条件
となっております。 私は、この
条件
を満たすための
エネルギー対策
の
重点
は、第一に、
石油代替エネルギー対策
の強力な
推進
、第二に、
エネルギー
総
需要抑制
のための
省エネルギー対策
の
推進
、第三に、今後とも
エネルギー供給
の
大宗
を占めると予想される
石油
の
安定供給
の
確保
であると考えます。
昭和
五十五年度においては、これらの
施策
を以下に述べるように積極的に
推進
してまいる
所存
であります。
わが国
は、
石油
に
エネルギー供給
の約七五%を依存し、きわめて脆弱な
エネルギー供給構造
を有しております。 これを抜本的に改め、
昭和
六十五年までの間に
石油依存度
を五〇%程度に引き下げることを目標とし、
昭和
五十五年度を
石油代替エネルギー元年
と位置づけます。 このため、
所要財源
の
確保
、
特別会計
の整備を図るとともに、新
エネルギー総合開発機構
を
設立
し、あわせて
石油代替エネルギー
の
開発
及び
導入
の
促進
に関する
法律案
を
国会
に提出したところであります。 これらの諸
対策
を講ずることにより、
海外炭
や
水力
、
地熱
の
開発
、
産業部門
における
石油代替エネルギー
の
導入
、
ソーラーシステム
の
普及
、
サンシャイン計画
を初めとする
石油代替エネルギー関係技術開発
を積極的に
推進
することといたしております。 また、
石油代替エネルギー
を使用する
電源
の
立地
を円滑に進めるとともに、特に
原子力
については、
安全性
の
確保
に万全を期しつつ、その
開発利用
を進めてまいる
所存
でございます。なお、貴重な
国産資源
である
国内炭
につきましても、引き続き
所要
の
対策
を講じていくこととしております。
わが国
が今後とも安定的な
経済成長
を
維持
しつつ、
東京サミット
やIEAにおいて合意した
石油輸入上限
などの
国際的責務
を果たしていくためには、実効的な
省エネルギー対策
が必要であります。 このため、
エネルギー
の使用の
合理化
に関する
法律
を積極的に運用することといたします。さきの
総合エネルギー対策推進閣僚会議
においては、昨年の約五%を上回る七%の
石油消費節減対策
を決定し、その
推進
を図っているところであります。 また、中長期的には、
先導的省エネルギー技術開発
のための
ムーンライト計画
の
推進
、さらには
国民
の
生活様式
や
産業構造
の
省エネルギー化
を進めることといたしております。
省エネルギー
は、
国民
一人一人の心がけにその成果を負うところが大きいことから、
政府
といたしましても、
国民
の
理解
と
協力
が得られるよう今後とも
努力
を続ける
所存
であります。
わが国エネルギー供給
の約七五%を占め、また、そのほとんどを
輸入
に依存している
石油
は、今後とも
エネルギー
の
大宗
であることに変わりはございません。
石油
の
安定供給確保
は、
エネルギー対策
の最
重要課題
の一つであると考えます。
イラン政変
以来の
世界
の
原油流通構造
の変化、OPECの高
価格政策
、
産油国
を
中心
とする
国際政治情勢
の変動と、
国際石油情勢
は流動的であります。 今後とも安定的な
石油
の
輸入
を
確保
するためには、
産油国
との幅広い交流を進め、
自主開発原油等
の
政策原油
の
確保
を図り、同時に
輸入源
の
多角化
を進めることが必要であります。 また、
石油備蓄
についても、
国家備蓄
の
増強
などその一層の
推進
を図ることといたしております。 八〇年代は、
エネルギー
問題がかつてないほどに大きくわれわれの前途に立ちはだかってくるものと予想されます。 この問題に対しては、これまで
わが国
が幾多の困難を克服してきた場合と同様に、官民挙げて強い意志と
協力
をもって対処せねばなりません。 戦後三十余年、われわれの先達が築き上げたこの繁栄をわれわれの手で守り、そしてわれわれの子孫に継承していくために、
政府
といたしましても、最大限の
努力
と熱意を傾注する決意をここに表明する次第であります。
最後
になりましたが、このような時期に
国会
内に
エネルギー
問題を専門的に御
審議
いただく
エネルギー対策特別委員会
が設置されましたことは、まことに時宜を得たものであります。
委員各位
におかれましても、一層の御
理解
と御
協力
を賜りますようお願い申し上げまして、私の
所信表明
といたします。
吉田実
3
○
委員長
(
吉田実
君) 次に、
長田科学技術庁長官
。
長田裕二
4
○
国務大臣
(
長田裕二
君) 第九十一回
国会
に当たり、
科学技術庁長官
といたしまして、
所信
を申し述べさせていただきます。
わが国
は、
石油
を初めとする
エネルギー資源
に乏しく、その制約を克服することは、
わが国
が将来にわたり
経済
の
安定成長
と
国民生活
の
向上
を図っていく上で不可欠の
条件
であります。 このため、
わが国
としては
石油
をめぐる緊迫した
国際情勢
にかんがみ、今後とも
石油
にかわる多様な
エネルギー源
の
開発利用
を
促進
するとともに、
エネルギー
の一層有効な
利用
を図ることが必要であります。
エネルギー
の
安定的確保
のためには、
研究開発
の果たすべき
役割り
はきわめて大きいものがあり、
政府
といたしましては、従来より、
石油代替エネルギー
の
中心的役割り
を担う
原子力
の
研究開発
、
原子力
と並ぶ
石油代替エネルギー
としてその
利用
が予想される
石炭
の
利用技術等
の
研究開発
、太陽熱、
地熱等
の
自然エネルギー
の
研究開発
、
省エネルギー技術開発等エネルギー
の
有効利用
に資する
研究開発等
を
推進
してまいったところでありますが、今後、より一層強力にその
推進
に努めてまいる
所存
であります。 特に、
政府
は
昭和
五十三年以来、毎年、
エネルギー研究開発
を総合的に進めるため、
エネルギー研究開発基本計画
を定め、
政府
が
中心
となって
推進
する
エネルギー研究開発
の
基本
を明らかにしているところであり、この
基本計画
に沿って各
省庁
が
協力
して
研究開発
の
推進
を図ってまいることとしております。 以上の
エネルギー研究開発
に関連する
昭和
五十五年度
予算
といたしまして、
政府
全体で
一般会計
千八百八十三億円及び
特別会計
千百四十五億円を計上いたしております。
昭和
五十五年度における
科学技術庁
の
施策
といたしましては、まず、
原子力
の
研究開発利用
につきまして、これを強力に
推進
するため、安全の
確保
に万全を期し、
原子力
に対する
国民
の
理解
と
協力
を得つつ
原子力発電
の
拡大
に努めるとともに、
ウラン濃縮技術
、再
処理技術
の
開発等原子力発電
の
拡大
に見合った自主的な
核燃料サイクル
の確立を図ります。また、
ウラン資源
の
有効利用
を図るため、
高速増殖炉原型炉
の
建設
に着手する等
新型動力炉
の
開発
を強力に進めるとともに、
人類空極
の
エネルギー
として期待される
核融合
の
研究開発等
を
推進
してまいります。 このような
原子力
の
研究開発利用
に必要な
資金
を
確保
するため、
昭和
五十五年度におきましては、従来からの
一般会計予算
千六百七十四億円に加え、
電源開発促進対策特別会計
を
拡充
して四百八十三億円を計上しております。
原子力
以外の
エネルギー研究開発
の
推進
につきましては、
太陽光エネルギー転換技術
、
波力発電システム
の
開発等
新
エネルギー分野
の
研究開発
、極
低温材料技術等省エネルギー分野
の
研究開発等
の
積極的推進
を図ることとして
所要
の経費を計上いたしております。
経済
の
安定成長
と
国民生活
の
向上
に不可欠な
エネルギー
を安定的に
確保
するため、
エネルギー研究開発
の果たすべき
役割り
がきわめて重大であることにかんがみ、私は
科学技術行政
に責任を有するものとして、各
省庁
の
協力
のもとに
エネルギー研究開発
の
積極的推進
に全力を尽くす
所存
でございます。
委員各位
の絶大な御支援をお願い申し上げますとともに、
国民
の皆様の御
理解
、御
協力
を衷心よりお願い申し上げる次第でございます。
吉田実
5
○
委員長
(
吉田実
君) 次に、
昭和
五十五年度
エネルギー対策関係予算
につきまして、
関係政府当局
から
概要
の
説明
を聴取いたします。まず、
資源エネルギー庁古田次長
。
古田徳昌
6
○
政府委員
(
古田徳昌
君) それでは、
昭和
五十五年度
通商産業省所管エネルギー対策予算
につきまして
概要
の御
説明
をさせていただきます。 お手元に、「
昭和
五十五年度
通商産業省所管エネルギー対策予算重要事項表
」という
資料
をお配りしてございますので、それを参照していただきながら御
説明
をさせていただきます。
エネルギー対策予算
につきましては、最近の厳しい
国際石油情勢等
にかんがみまして、
エネルギー
の
安定供給
を
確保
し、
経済
の
安定的成長
、
国民生活
の
向上
を図る観点から、特にその
充実
を図っているわけでございます。すなわち、長期的な
エネルギー需給見通し
を踏まえつつ、
石油
の
探鉱開発
、
備蓄
の
増強等
の
石油対策
の
推進
、
省エネルギー対策
の強化、さらに
石油代替エネルギー
の
開発導入
の
促進
――この
最後
の
石油代替エネルギー
の
開発導入
の
促進
につきましては特に
重点
的に配慮することいたしております。これらの
施策
を実施するため、
電源開発促進税
の
使途
の
拡大
及び
税率
の
引き上げ
、
石油税
の
使途拡大
によりまして大幅な
拡充
を行うこととしております。
エネルギー対策関係予算
の
概要
は、
資料
の一ページに総表という形でまとめてございます。 これをごらんいただきますと、まず第一に、
石炭
並びに
石油
及び
石油代替エネルギー対策特別会計
、これは
仮称
でございますが、これにつきましては、五十五年度
予算額
としまして四千百四十一億九千七百万円を計上しておりまして、前年度に比べまして八百七十九億三千二百万円、二七%の
増加
ということになっております。その中に
勘定
が二つございますが、まず
石炭勘定
につきましては五十五年度千三百八億六千二百万円、前年度に対しましての
伸び率
が一・二%。さらに
石油
及び
石油代替エネルギー勘定
、これは
仮称
でございますが、五十五年度
予算額
としまして二千八百三十三億三千五百万円、前年度に対しましての
伸び率
が四三・九%という形になっております。 それから次に、
電源開発促進対策特別会計
につきましては、五十五年度
予算額
としまして千四百二十五億八千三百万円、前年度に対しまして八百五十億八千六百万円の
増加
となりまして一四八%の
伸び率
となっております。その中の
勘定
としまして、第一に
電源多様化勘定
、これは
仮称
でございますが、これにつきましては八百二十七億一千万円を予定しております。それから
電源立地勘定
、これも
仮称
でございますが、五百九十八億七千三百万円、これは前年度に対しまして四・一%の
増加
ということになっております。 なお、これら
特別会計
のほかに、
一般会計
におきましても
エネルギー対策予算
を計上しておりまして、五十五年度につきましては百二十三億八千四百万円、前年度に対しましての
伸び率
は〇・三%ということになっております。 以上、
特別会計
及び
一般会計
を
合計
いたしますと、表には計上しておりませんが、五十五年度の総額が五千六百九十二億円ということになっておりまして、これは前年度に対しまして四三・七%の
増加
ということになっております。 先ほど御
説明
いたしましたように、五十五年度の
対策予算
の
重点
は
石油代替エネルギー対策
の
充実
でございますが、
わが国
の
エネルギー
の
安定供給
の
確保
を図るため、計画的かつ実効的な
石油代替エネルギー対策
を
推進
するために、まず第一に、先ほども申し上げましたが、
電源開発促進税
の
税率引き上げ
と
使途拡大
、及び
石油税
の
使途拡大
によりましての
財源措置
の
確保
。それから第二に、
特別会計
を改組しまして、
石炭
及び
石油対策特別会計
を
石炭
並びに
石油
及び
石油代替エネルギー対策特別会計
に改めまして、従来の
石油勘定
を
石油
及び
石油代替エネルギー勘定
とし、また
電源開発促進対策特別会計
に
電源多様化勘定
を新設いたします。それから第三としまして、
中核的推進母体
として新
エネルギー総合開発機構
の
設立等
の
施策
を講ずることとしているわけでございます。 以上の二つの
特別会計
で実施することとしております
石油代替エネルギー対策費
は、
石油
及び
石油代替エネルギー勘定
の中で三百四十九億円、
電源多様化勘定
で八百二十七億円、合わせまして千百七十六億円を予定しております。なお、
中核的推進母体
としまして
設立
を予定しております新
エネルギー総合開発機構
につきましては、その
主要業務
としまして、第一に、
石炭
、
地熱
・
太陽エネルギー関係
の
大型技術開発
、第二に、
地熱開発促進
のための
調査
、
債務保証
、第三に、
海外炭
の
探鉱開発
のための
融資
、
債務保証等
であります。また、新
機構
の発足は本年の十月一日を予定しておりまして、
関係法律案
を
国会
に提出させていただいたところでございますが、新
エネルギー総合開発機構
の
設立
とともに
石炭鉱業合理化事業団
を廃止し、その
業務
は新
機構
に引き継ぐことといたしております。 それでは、それぞれの
特別会計
及び
一般会計
の
内容
について御
説明
をさせていただきますが、二ページに、まず
石炭
並びに
石油
及び
石油代替エネルギー対策特別会計
について取りまとめてございます。 まず第一に、
石炭勘定
についてでございますが、これにつきましては従来どおり原
重油関税収入
を
財源
としまして
施策
を講じてまいりますが、
国内炭
の
生産維持
を図るため、引き続き
国内石炭鉱業
の
経理基盤
の
健全化
、保安の
確保等
に努めるとともに、
産炭地域振興対策
及び
鉱害復旧対策
を
推進
することとしております。
国内石炭
は
国内
に残された貴重な
エネルギー資源
であるという認識のものに、今後とも引き続きこれら
施策
を講じ、かつ
充実
するとともに、二千万トンの
生産体制
の
維持
を図りまして、
石炭対策
に遺漏なきを期してまいりたいと考えているわけでございます。 この
勘定
全体の金額は、四ページに
歳出合計
という形で書かれてございますが、五十五年度の
予算額
としましては千三百八億六千二百万円でございまして、これは前年度に対しまして、その右側の
備考欄
にございますように一・二%の上昇ということになっておりますが、実は従来この
勘定
の中で実施しておりました
海外炭
の
開発
の
促進
、
石炭利用技術
、
石炭ガス化技術
の
開発
の
促進等
につきましては、
代替エネルギー対策
の一環といたしまして他の
勘定
に振りかえておりますので、その点を考慮いたしますと実質的な
伸び率
は四・八%という形になっているわけでございます。 それでは、五ページに移りまして、
石油
及び
石油代替エネルギー勘定
について御
説明
させていただきます。 この
勘定
につきましては、
原重油関税
及び
石油税収入
を
財源
としまして
施策
を講じていくわけでございますが、
歳出
としまして、まず第一に
石油対策
として取りまとめてございます。
石油対策
は、五十四年度に対し約五百十五億円増の二千四百八十四億円を計上し、
わが国
の
石油
の
安定供給
を
確保
するため、
石油開発
、
石油備蓄
、
技術開発
の三つを柱としまして
施策
の
拡充
を図ることといたしております。 第一の
石油開発
についてでございますが、これにつきましては
石油公団
の
探鉱投融資規模
を七百十億円から八百二十億円に
拡充
するということを
基本
の柱といたしまして必要な
施策
を講じております。さらに、
国内
につきまして、国による
基礎試錐
の実施を積極的に
推進
する形にしております。 それから、第二の
石油備蓄
についてでございますが、これにつきましては、
民間備蓄
九十日
体制
の達成のために
備蓄石油購入資金融資
につきましての
利子補給幅
を
引き上げ
るほか、
国家備蓄
につきましては二千万キロリットル
備蓄
に必要な土地の
取得費
と
事業費
を
公団出資金
として計上するとともに、
備蓄規模
をさらに三千万キロリットルに
拡大
することとしまして、そのために必要な
安全調査費
を計上しております。また、五十四年度に引き続きまして五百万キロリットルの
タンカー備蓄
を継続し実施することといたしておりますが、同時に五十五年度におきましては二百五十万キロリットルの
タンカー備蓄
の積み増しを予定しております。 それから第三が、六ページの
技術開発
でございますが、これにつきましては中期的な
石油対策
としまして、
天然ガス
からの
合成アルコール
の
燃料油
としての
利用
、
オイルサンド油
、
オイルシェール油
、
石炭液化
の
有効利用
、バイオマス
エネルギー
の
利用技術開発
を
内容
としました新
燃料油技術開発
としまして
必要額
を計上してございます。また、重
質油対策技術開発
につきましても、前年度に引き続きまして
必要資金額
を計上しているところでございます。 以上、
合計
しまして、
石油対策
としましては五十五年度二千四百八十三億九千四百万円となっておりまして、前年度に対しまして五百十四億六千四百万円という
大幅増額
になっております。 それから、その次に
石油代替エネルギー対策
でございますが、まずこの
内容
としまして、第一が
供給確保対策
でございます。これにつきましては、
海外炭
の積極的な
開発導入
のための
探鉱融資
あるいは
債務保証等
に必要な
施策
を講ずることとしております。 それから第二に、
代替エネルギー
の
導入促進対策
でございますが、第一に
一般産業
におきます
代替エネルギー
の積極的な
導入促進
のために、
開発銀行
におきます特別の
金融施策
を講ずるために必要な
貸付金
を計上してございます。 それから、その次に
ソーラーシステム
の
普及促進
を積極的に図ることとしておりまして、
備考欄
にございますように、
ソーラーシステム普及促進対策費補助金
としまして、
公的施設
に対しましては
補助
をいたしますし、さらに
民間住宅
あるいは
事業用
の
建築物
につきましては特別の
低利融資
を実施するというふうな
施策
を予定しているわけでございます。 それから三番目の柱としまして、
技術開発
でございますが、これにつきましては、第一に
石炭利用技術開発
、これはCOMとかあるいは
流動床燃焼技術
の
開発
ということが
内容
となりますが、それを取り上げております。 それから二番目に、
石炭液化
・
ガス化技術
の
開発
を取り上げてございます。 それから三番目は、
民間
で実施しております
技術実用化事業
につきまして
技術実用化補助
を実施していくということで
施策
を検討しております。 以上で
石油代替エネルギー対策
の
合計
が三百四十九億四千百万円という形になっております。
石油対策
及び
石油代替エネルギー対策
を
合計
いたしますと、七ページの一番下の
歳出合計
の欄にございますように、二千八百三十三億三千五百万円を五十五年度の
予算
として予定しておりまして、前年度に対しまして八百六十四億五百万円の
増加
となっております。これは四三・九%の
増加率
ということでございます。 なお、
石油代替エネルギー対策
は、
代替エネルギー
の
発電
のための
利用
、すなわち、
電源多様化
に係る
対策
と一般的な
石油代替エネルギー
の
開発利用
の
促進対策
とに大別されるわけでございますが、ただいま御
説明
しました
石油代替エネルギー対策
は後者の一般的な
石油代替エネルギー対策
の部分でございます。 八ページに移っていただきまして、
電源開発促進対策特別会計
について御
説明
させていただきます。 まず第一が、
電源多様化勘定
でございますが、この
勘定
におきましては、先ほど言いました
代替エネルギー
の
発電
のための
利用
、すなわち
電源多様化
に係る
対策
を取りまとめているものでございます。
具体的内容
としましては、まず
歳出
の第一としまして
供給確保対策
がございます。この
内容
としましては、
中小水力発電開発促進
のための
補助
を
中心
としましての
水力開発
、それから第二に
地熱開発
を積極的に
推進
するための
地熱開発促進調査
、あるいは
地熱調査井掘削
の
補助
、あるいは大
規模深部地熱環境保全調査
といったふうな
施策
を掲げてございます。 それから、その次の
対策
としまして、
代替エネルギー
の
導入促進対策
がございますが、これにつきましては、まず第一に
代替エネルギー
の
利用
の
促進
がございまして、
内容
としましては、
石炭
火力の
建設
補助
といったものが
中心
になっております。そのほかに、
導入促進対策
としましては、
基盤
整備
促進
あるいは未
利用
エネルギー
利用
促進
といったことも
施策
として掲げてございます。 それから、その次は
技術開発
の
促進
でございますが、これにつきましては、
内容
としまして
石炭
低カロリーガス化の
促進
、それから
地熱
エネルギー
の探査技術の
開発
、さらに太陽
エネルギー
、これは
内容
としましては太陽光
発電
あるいは太陽熱
発電
といったことになるわけでございますが、この太陽
エネルギー
の
利用
開発
の
促進
といったものを対象として取り上げているわけでございます。 それから、その次は
原子力
対策
でございますが、これにつきましては、まず化学法濃縮技術の確立、第二再処理工場関係の技術確証のための
施策
を講じてございます。それから三番目としましては、これは
予算
的には
科学技術庁
関係ということになりますが、FBRの
建設
のために必要な
資金
額を計上してございます。そのほかに、安全
対策
の強化のために安全解析コードの改良あるいは
原子力発電
支援システムといったものを
内容
としました措置も講ずるということとしております。 以上、
電源多様化勘定
につきましては、
合計
いたしますと八百二十七億一千万円ということになるわけでございます。 それから十ページに移りまして、
電源立地勘定
について御
説明
いたします。 この
電源立地勘定
におきましては、
電源開発促進税
の収入をもって
施策
を実施していくわけでございますが、まず第一に、
立地
交付金制度につきまして、交付限度額の
引き上げ
あるいは交付対象範囲の
拡大
、交付金の交付期間の弾力化等によりまして地元福祉
対策
の積極的な
拡充
を図ることといたしております。 それから
原子力発電
安全
対策
の
充実
につきましては、地元住民に対しましての安全
対策
を抜本的に
拡充
するため、
原子力発電
施設等の緊急時におきます防災
体制
の確立に必要な
施策
を整備いたします。そのため、交付金制度の創設、広報
対策
、交付金制度の改組、
拡充
によります交付対象及び交付
内容
の
拡大
、放射線監視交付金制度の
拡大
等を行いまして、地方自治体の要請にこたえることといたしております。さらに、環境
対策
の強化といたしまして、
電源
立地
に伴います環境保全に万全を期すため、都道府県が実施いたします大気関係の環境
調査
に対します助成制度を設けるなど、助成制度の改善を積極的に実施することといたしているわけでございます。 以上の諸
施策
のための
歳出合計
としまして、十二ページに計上してございますが、五十五年度
予算額
は五百九十八億七千三百万円となっておりまして、前年度に対しまして二十三億七千六百万円の
増加
ということになっております。 以上が
特別会計
の御
説明
でございますが、十三ページに
一般会計
の項目を計上してございます。 この
一般会計
におきましては、総額は百二十三億八千四百万円でございまして、前年度に対しまして四千三百万円の
増加
ということで、ほぼ前年度並みの金額を計上しているわけでございますが、
内容
としましては、
原子力発電
安全
対策
として運転管理専門官の各
原子力発電
所への常駐等検査監督
体制
の強化を図るほかに、
原子力発電
の
安全性
、信頼性のより一層の
向上
を図るため、軽水炉の改良標準化を
推進
するとともに、
原子力発電
にかかわります高性能燃料実用化についての
調査
等を実施することとしております。 また、
ウラン資源
の
安定供給
の
確保
を図る観点から、海水からのウラン回収モデルプラントの
建設
を
推進
することとしております。 さらに、
サンシャイン計画
の加速的
推進
、
省エネルギー対策
の
推進
といったことのために必要な
施策
もここで計上することとしております。 以上で
特別会計
及び
一般会計
の
概要
を御
説明
いたしましたが、参考としまして十四ページ、十五ページに、
サンシャイン計画
と
ムーンライト計画
に関係します
予算
につきまして取りまとめてございます。これらの計画につきましては、先ほど来の御
説明
の中でも、
特別会計
あるいは
一般会計
の中でそれぞれ必要金額が計上されていることを指摘させていただきましたけれども、それらを取りまとめまして、この計画として全体どういう姿になるかということを御参考までに整理したものでございます。 まず第一は、
サンシャイン計画
でございますが、これは五十五年度
予算額
としましては二百八十六億四千八百万円ということになっておりまして、前年度の百十九億三千五百万円に比べますと百六十七億一千三百万円の
増加
ということで大幅な
拡充
を予定しているわけでございます。 この
サンシャイン計画
の
内容
としましては、そこに掲げてございますように、まず第一に太陽
エネルギー
の積極的な
利用
、第二が
地熱
エネルギー
の
開発利用
、それから第三が
石炭
エネルギー
の
開発利用
、それから第四が水素
エネルギー
の
開発利用
、それから第五に総合的な研究という形になっているわけでございます。このそれぞれの
技術開発
の
内容
につきましては、その右側の
説明
の欄に書いてございますように、それぞれの
エネルギー
の積極的
利用
のための
技術開発
を具体的に展開していくということになっているわけでございます。 それから十五ページ、
最後
のページでございますが、
省エネルギー
技術の
開発
を
中心
としますいわゆる
ムーンライト計画
についてでございます。五十五年度
予算
案としまして八十億七千七百万円を計上しておりまして、五十四年度
予算額
二十九億七千六百万円に対しまして五十一億百万円の
増加
ということで、これもまた大幅な
増強
を計画しているわけでございます。
内容
としましては、第一に大型
省エネルギー
技術
研究開発
、第二が先導的
基盤
的
省エネルギー
技術
研究開発
、第三が
民間
の
省エネルギー
技術
研究開発
の助成ということになっております。それぞれにつきましても、
サンシャイン計画
の場合と同様、それぞれの
技術開発
につきまして具体的な
内容
を積極的に
研究開発
していくということになっているわけでございます。なお、その他としまして、大型プロジェクト関係
予算
でございますが、海底
石油
生産システムにつきましても、前年度に引き続きまして
施策
を講ずることとしてございます。 以上で
昭和
五十五年度の通商産業省所管の
エネルギー対策予算
の重要事項につきまして御
説明
したわけでございます。 なお、別紙としまして一枚紙をお配りしてございますが、これは
昭和
五十五年度通商産業省所管
エネルギー対策
関連
予算
でございます。 先ほど来御
説明
いたしました
エネルギー対策
費のほかに、それに関連いたします
予算
としまして、そこに掲げているようなものが別途ございますので、御参考までに取りまとめたものでございます。 以上で通商産業省所管の
エネルギー対策
関連
予算
につきましての御
説明
を終わらせていただきます。
吉田実
7
○
委員長
(
吉田実
君) 次に、
科学技術庁
下邨
官房長
。
下邨昭三
8
○
政府委員
(下邨昭三君)
科学技術庁
の
昭和
五十五年度
エネルギー対策
関連経費につきまして、お手元に
資料
をお配りしてございますが、その
資料
に基づきまして御
説明
をさせていただきたいと思います。
科学技術庁
予算
のうち
エネルギー対策
関連
予算
につきましては、
一般会計
の
エネルギー対策
費として計上されているもののほかに、その他の
エネルギー
関連
予算
と
電源開発促進対策特別会計
に計上されているものとがございますが、
エネルギー対策
の重要性にかんがみまして、
原子力
の
研究開発利用
対策
を
中心
にいたしまして、それぞれその
拡充
を図っているところでございます。 まず、
エネルギー対策
費といたしまして、
一般会計
歳出
予算額
千五百七十八億八千八百万円を計上いたしております。また、総理府、大蔵省及び通商産業省の共管によります
電源開発促進対策特別会計
におきましては、
科学技術庁
分といたしまして
歳出
予算額
四百八十三億二千四百万円を計上いたしておりますが、このうち、従来の
電源
立地
促進対策
に関する経理を行うための
電源立地勘定
に六十九億六千九百万円を、また新たに
石油
に代替する
エネルギー
の
発電
のための
利用
を
促進
するための
施策
を講ずることといたしまして、これに関する経理を行うための
電源多様化勘定
に四百十三億五千五百万円を計上いたしております。 次に、これら
エネルギー対策
費のほか、新
エネルギー
及び省
エネルギー研究開発
関連
予算
といたしまして、
予算
実行上の配分予定額を含めまして二十億五千百万円を計上いたしております。また、
原子力
開発
関連
予算
といたしまして九十四億六千六百万円を
一般会計予算
において計上いたしております。 以上を加えますと、
科学技術庁
の
エネルギー対策
関連
予算
の総額は、
歳出
予算額
で二千百七十七億二千九百万円となりまして、これを前年度の当初
歳出
予算額
に比較いたしますと四百四十六億三千三百万円の増額となっております。その
増加率
は二五・八%となっております。 次に、参考
資料
につきまして御
説明
を申し上げます。 表1でございますが、
エネルギー対策
関連
予算
のうち
石油代替エネルギー
の
中心的役割り
を担います
原子力
関係の
歳出
予算額
につきましては表1と表2に記載してございますが、その大略について御
説明
を申し上げます。 まず、表1でございますが、
一般会計
におきましては、
原子力
研究開発利用
の
推進
といたしまして千六百七十三億五千四百万円を計上いたしました。これは総表の1の(1)と2の(2)を合わせたものでございます。 まず、
原子力
安全規制行政の
充実
につきましては、
原子力
安全
委員
会の機能の
充実
、放射線障害防止
対策
の強化などに必要な経費といたしまして二十一億千二百万円を計上いたしました。なお、前年度
予算
に比較いたしますと、千七百万円の減額となっておりますが、これは放射能測定
調査
のための分析施設の整備の二億五百万円が五十四年度限りで終了したことなどによるものでございます。 次に、動力炉・核燃料
開発
事業団に必要な経費といたしまして八百十四億六千五百万円を計上いたしておりますが、これは前年度
予算
に比較いたしまして百十六億三千七百万円の減額となっております。これは後で御
説明
申し上げます
高速増殖炉原型炉
「もんじゅ」の
建設
等事業の一部を
電源開発促進対策特別会計
において実施いたすことといたしておりますので、
特別会計
への計上分を加えました同事業団の
予算
規模は千二百十一億五千三百万円となりまして、前年度
予算
に対しまして三〇・一%の増となっております。
内容
といたしましては、同事業団におきます高速増殖炉等
新型動力炉
の
開発
な行いますとともに、
核燃料サイクル
の確立を図るために
ウラン資源
の海外
調査
探鉱、ウラン濃縮パイロットプラントの
建設
及び使用済み燃料の再処理などを実施するためのものでございます。 また、日本
原子力
研究所におきましては、原子炉施設の
安全性
及び環境安全に関する試験研究、臨界プラズマ試験装置の
建設
など、
核融合
の
研究開発
並びに多目的高温ガス炉に関する
研究開発等
を行うため必要な経費といたしまして六百九十五億四千四百万円を計上いたしましたが、これは前年度
予算
に比較いたしまして一七・三%の増となっております。 さらに、日本
原子力
船
開発
事業団におきましては、
原子力
船「むつ」の総点検及び遮蔽改修等を行うための経費として六十四億五千百万円を計上いたしております。 また、放射線医学総合研究所におきます試験研究及び関連研究施設の整備等に必要な経費として四十四億七千五百万円を計上いたしましたほか、国立試験研究機関の試験研究費として十六億三千四百万円を、理化学研究所におきます
原子力
研究のための経費として九億千百万円をそれぞれ計上いたしております。 表2に移らせていただきます。
電源開発促進対策特別会計
におきましては、
エネルギー対策
関連
予算
といたしまして、歳入
歳出
予算額
とも他
省庁
の分を含めまして千四百二十五億八千三百万円が計上されておりますが、このうち
科学技術庁
分といたしましては、右下に書いてございますように
歳出
予算額
で四百八十三億二千四百万円を計上いたしております。
内容
につきましては表2-2、表2-3に記載してございます。 まず、表2-2でございますが、
電源立地勘定
におきましては六十九億六千九百万円を計上いたしておりますが、これは
高速増殖炉原型炉
「もんじゅ」等の
建設
に関連いたしまして、
原子力
施設の
立地
対策
といたしまして関係地方公共団体の公共用施設の整備事業に必要な交付金十四億四千万円のほか、
原子力発電
安全
対策
実証試験として、
備考欄
にございますような各種の試験を
原子力
研究所などに委託いたしまして実施いたしますとともに、県や市町村に対します安全
対策
事業の交付金といたしまして、放射線監視交付金の制度を改政しその増額を行いましたほか、新たに
原子力
防災
対策
の
充実
を図りますため
原子力発電
施設等緊急時安全
対策
交付金を創設するなど、
原子力発電
安全
対策
事業等の
拡充
を図るため必要な経費といたしまして五十五億千五百万円を計上いたしております。 次のページに表の2-3がございます。表2-3は、
電源多様化勘定
のうちで
科学技術庁
所管分をまとめてございます。 新たに設けます
電源多様化勘定
におきましては、
石油代替エネルギー
の
中心的役割り
を担います
原子力
の
発電
のための
利用
を
促進
するため、基礎的段階を終えまして実用化の見通しの得られる可能性の高い
原子力
の
研究開発
プロジェクトを
推進
することといたしまして四百十三億五千五百万円を計上いたしました。これは動力炉・核燃料
開発
事業団におきます
高速増殖炉原型炉
の
建設
着手等
新型動力炉
の
開発
、使用済み燃料再
処理技術
の
開発
及び
ウラン濃縮技術
の
開発
を行うため必要な経費といたしまして同事業団に対する出
資金
等三百九十六億八千八百万円などであります。 以上、
原子力
関係
予算
の
歳出
予算額
につきまして、その
重点
項目を御
説明
申し上げました。 次に、
原子力
以外の
エネルギー研究開発
の
推進
につきましては表3にまとめてございます。表の中ほどの
合計
欄にございますように、五十五年度の
原子力
以外の
エネルギー研究開発
の
予算
は六億三千百万円を計上いたしております。 この
内容
といたしましては、まず新
エネルギー研究開発
の
推進
に三億千五百万円を計上いたしましたが、これは理化学研究所におきます太陽光
エネルギー
の転換技術等バイオマス
研究開発
、及び海洋科学技術センターにおきます
波力発電システム
の
研究開発等
海洋
エネルギー
利用
研究開発
を実施するためのものであります。 なお、この新
エネルギー研究開発
の
予算
は、前年度
予算
に比較いたしますと一億八千六百万円の減額となっておりますが、その主な要因は、海洋科学技術センターにおきます波力
発電
に関する
研究開発
で五十四年度に実施されました海上実験の終了に伴う減などによるものでございます。波力
発電
につきましては、五十五年度におきましてはその実験結果の評価等を行うことにしております。 次に、
省エネルギー
等
研究開発
の
推進
に三億千六百万円を計上いたしましたが、これは金属材料技術研究所におきます超電導材料の研究、無機材質研究所におきます超高温耐熱セラミックス材料の研究等
エネルギー
関連材料の
研究開発
を実施するためのものであります。 以上御
説明
申し上げました経費のほか、
エネルギー
関連
研究開発
の実用化の
促進
といたしまして、新
技術開発
事業団の
予算
におきましてアモルファス材料の総合的
開発等
を実施するための経費として十四億二千万円の配分を予定いたしております。それとともに
エネルギー
関連の試験研究につきまして特別研究
促進
調整費の配分も予定しておりまして、その
推進
を図ることといたしております。 以上、簡単でございますが、
昭和
五十五年度の
科学技術庁
の
エネルギー対策
関連
予算
につきまして、その大略を御
説明
申し上げました。
吉田実
9
○
委員長
(
吉田実
君) 次に、文部省大門研究助成課長。
大門隆
10
○
説明員
(大門隆君)
昭和
五十五年度の文部省所管
予算
案におきます
エネルギー
関連経費について御
説明
申し上げます。 大学における新
エネルギー
の
開発
、
エネルギー
の
有効利用
を目指す独創的、先駆的な基礎研究を
推進
するため、研究
体制
の整備と科学研究費等の
充実
を図ることといたしまして、国立学校
特別会計
及び
一般会計
に総額約百三十四億円を計上いたしております。 まず、国立学校
特別会計
の
エネルギー
関連経費は百十八億四千九百万円でございますが、その
内容
は、
核融合
を初め、
原子力
、
石炭液化
など各種の
エネルギー
研究の
基盤
を確立する、それから長期的観点から着実に研究を進めていく上で必要な国立大学の研究組織の
充実
と実験設備等の整備を図るためのものでございます。 まず第一に、
核融合
関係でございますが、これは長期的、総合的に進める課題でございまして、その
推進
の中から当面早急に解決を図るべき基礎的、技術的課題に焦点をしぼりまして、従来から進めてきております総額数十億円の大型実験装置の
建設
、それと、それによる実験を行ってきております名古屋大学プラズマ研究所のプラズマ実験計画、それから京都大学のヘリオトロン実験計画、大阪大学のレーザーによりますレーザー
核融合
実験計画、及び筑波大学の複合ミラー実験計画をそれぞれ
推進
いたしますとともに、新しく富山大学トリチウム科学センターの設置など幾つかの研究組織の整備を図ることにいたしまして、八十二億四千万円を計上いたしております。 第二の
原子力
関係につきましては、
原子力
利用
は実用化の段階に達しておりますが、なお種々の基礎的な研究、これを進める必要がございます。このため、東大の
原子力
施設の研究組織の整備や、そのほか関係研究機関の実験設備の整備等を図ることにいたしまして、三十三億円を計上いたしております。 第三の新
エネルギー
・
省エネルギー
に関する研究につきましては、従来から大学におきましても
石炭
の液化・ガス化、
地熱
・太陽
エネルギー
の
利用
、直接
発電
、
エネルギー
の
有効利用
等に関する基礎研究が進められておりますが、
昭和
五十五年度におきましては従来の研究をさらに一段進めるとともに、新しく東北大学、大阪大学、九州大学等に太陽
エネルギー
の
利用
あるいは超電導等の研究を行わせるため実験施設を新設し、また実験設備の整備を図ることにいたしまして、三億円を計上いたしております。 一方、
一般会計
におきましては、国公私立大学における広範な
エネルギー分野
の研究者の創意を十分に生かしまして、しかも計画的、組織的に研究を進めるために、科学研究費
補助
金の中に新しく
エネルギー
特別研究、これを新設いたしまして、このための経費を十四億円計上いたしております。これによりまして、いろいろな
エネルギー
の各種の研究を総合的、組織的に進めてまいりたいと、このように考えております。 それから、昨年から開始されました新
エネルギー研究開発
等のための日米科学技術
協力
事業の実施のための交流経費といたしまして、一億四千万円を計上いたしております。 以上、御
説明
申し上げました。
吉田実
11
○
委員長
(
吉田実
君) 次に、農林水産省森参事官。
森隆禧
12
○
説明員
(森
隆禧君
) 農林水産省におきます
昭和
五十五年度
エネルギー対策
関連
予算
につきまして、その
概要
を御
説明
申し上げます。 厳しい
石油
・
エネルギー
情勢に対処しまして、農林水産省におきましても、農林水産業の振興及び農林水産業経営の安定という見地から、
省エネルギー
の
推進
、
代替エネルギー
の活用
促進
につきまして各種の
施策
を講ずることといたしております。その
内容
につきまして、すでに配付してございます
資料
に沿って御
説明
申し上げます。 まず、項目欄の一は、農林水産業全般にわたります
エネルギー対策
を行うための
予算
でございます。また、2から4は施設園芸や水産養殖における
省エネルギー対策
関連の
事業費
、5から9は
自然エネルギー
や生物資源などの
石油代替エネルギー
の
開発利用
に関します研究費や
調査
費でございます。さらに次のページの10及び11は
省エネルギー
技術の
導入
に際しての
資金
の貸し付けでございます。 それでは、
資料
の順序に従いまして
予算
の
内容
につきまして御
説明
申し上げます。 最初の農林水産業
エネルギー対策
は二つの部分から成っております。農林水産業及び関連産業における
エネルギー
消費の実態
調査
を実施し、これに基づきまして中長期にわたる
エネルギー
消費の動向や
省エネルギー
技術の
普及
の可能性等の検討、さらには
エネルギー
制約下における今後の農林水産業のあり方の検討を行うものでございます。もう一つは、太陽熱、風力等の
自然エネルギー
や家畜排せつ物等を活用した加温技術、あるいは漁船の省燃油機器の
開発
による低燃費化技術など、実用化の段階に至っていない
省エネルギー
技術の実用化の
促進
を行うものでございます。
予算額
としては、これらを合わせて二億一千九百万円を計上しております。 次に、施設野菜
省エネルギー
モデル団地設置事業として、五十四年度と同額の十億円を計上しております。これは
資料
の
説明
の欄にございますように、施設内の温度や湿度、さらには炭酸ガス濃度等を複合的に制御することによって
エネルギー
の効率的使用を図るとともに、野菜の生育を適正に管理する方式、あるいは日中施設内で得られた太陽熱を地中に蓄熱し夜間にこれを取り出して
利用
する方式等の
導入
を図ることにより、施設野菜の生産における
省エネルギー
の
推進
を図る事業でございます。 三番目の高能率施設花卉振興
対策
事業は、ただいまの施設野菜とほぼ同様の
内容
でございますが、施設内の温度、湿度等を複合的に制御するとともに、
石油
にかわる暖房として温泉熱
利用
等の
導入
を図ることにより施設による花卉栽培の
省エネルギー
の
推進
を図ることとし、約一億円の
予算
を計上しております。 次に、省資源養殖パイロット事業は、五十四年度と同額の三億円としております。五十五年度におきましては、この事業によりまして
石油
による加温を行っているウナギ養殖等への太陽熱の積極的
利用
を図る施設等の
導入
を行い、水産養殖における
省エネルギー
を
推進
することとしております。 次にございます農林水産業における
自然エネルギー
の効率的
利用
技術に関する総合研究、いわゆるグリーンエナジー計画でございますが、これは植物の光合成機能や窒素固定機能等の物質生産能力を飛躍的に高めるための技術を
開発
することによって
エネルギー
の消費効率を増大させるとともに、作物の生育に好適で、かつ
省エネルギー
的な環境をつくり出す技術の
開発
、さらには太陽熱や
地熱等
の
自然エネルギー
の
利用
技術の
開発等
を行う総合的なプロジェクト研究で、五十三年度から十カ年の計画で実施しております。五十五年度は、これまで行っております
エネルギー資源
の分布や
利用
に関する研究、光合成や窒素固定機能に関する研究に加え、物質生産能力の高い作物の育成に関する研究、風力の
利用
に関する研究等を新たに行うこととし、九億六千四百万円の
予算
を計上しております。 さらに、次の生物資源の効率的
利用
技術の
開発
に関する
調査
研究、いわゆるバイオマス変換計画でございますが、再生可能であること等の特徴を有している生物資源につきまして、
エネルギー
としての
利用
を含めました新しい分野への
利用
を図る技術の
開発
を行うものでございます。五十五年度はこのための検討を行うこととしておりまして、五百万円の
予算
を計上しております。 また、これと関連しまして、七番目にございます木質系
エネルギー
活用
促進
調査
事業におきましては、木材工場の廃材や伐採後の残材などのいわゆる木質系
エネルギー
につきまして
生活様式
等に見合った形での活用の
促進
を図ることをねらいとして、その
利用
可能量や既存の活用技術の評価等の基礎的な
調査
をいたしますとともに、集積、流通、加工、燃焼に至る活用のための
基本
的なシステムの設計を行うこととし、五十五年度新規に二千六百万円の
予算
を計上しております。 さらに、次にございます農業用地下水
調査
・新
技術開発
調査
を新たに実施することとし、一千五百万円を計上いたしております。この
調査
は、
地熱
水を施設園芸等の農業用に活用するため、火山地帯を
中心
に
地熱
水
開発
の技術手法を確立するための
調査
でございますが、五十五年度は
地熱
水の
開発
可能地を明らかにする
調査
を
中心
に行うこととしております。 九番目にございます液化
天然ガス
冷熱
利用
推進
調査
につきましては、六百万円の
予算
を計上しておりますが、これはLNGの冷熱を食品産業に
利用
し、食品産業のコスト低減と
省エネルギー
を図るための
調査
でございます。この
調査
は、すでに五十二年度からLNG冷熱を
利用
した食品工業団地を形成する場合の諸問題について
調査
してまいっておりますが、五十五年度はこの結果を踏まえまして、LNG冷熱を
利用
した食品工業団地の
建設
のためのマスタープランの作成を行うことといたしております。 次のページに参りますと、まず農業改良
資金
がございます。農業改良
資金
は、御承知のとおり国と都道府県とで造成いたしました
資金
を農業者や農業者団体が能率的な農業技術を
導入
する場合等におきまして必要な
資金
を無利子で貸し付けするものでございます。この農業改良
資金
について、五十五年度から新たに、温室等の生産施設、家畜の飼養施設及び穀類の乾燥施設等に太陽熱やもみがら等の農業副産物の燃焼熱を
利用
する等の
省エネルギー
技術を
導入
する場合においても貸し付けの対象とすることといたしております。貸付枠は二十億円を計上いたしております。
最後
に、沿岸漁業改善
資金
におきましても、新たに、
省エネルギー
技術の
導入
に必要な
資金
の貸し付けを行うことといたしております。この沿岸漁業改善
資金
も、農業改良
資金
と同様、国と都道府県とで造成いたしました無利子の
資金
でございますが、沿岸漁業従事者やその団体が低燃費機関を漁船へ
導入
することによって
省エネルギー
を図る場合について貸し付けの対象とすることとし、この場合の貸付枠は一億二千八百万円を予定いたしております。 以上で農林水産省におきます
昭和
五十五年度
エネルギー
関連
予算
の
概要
の御
説明
を終わります。
吉田実
13
○
委員長
(
吉田実
君) 次に、運輸省西村
審議
官。
西村康雄
14
○
説明員
(西村康雄君) 運輸省所管の
昭和
五十五年度の
エネルギー対策関係予算
について御
説明
申し上げます。 お手元にお配りしてございます「
エネルギー対策
関連経費運輸省」とした
資料
に基づきまして御
説明
させていただきます。 この
資料
は、
エネルギー対策
を主要な目的とする経費について御
説明
させていただくためのものでございますが、このほか間接的に
エネルギー対策
に資すると考えられます経費もございますので、これにつきましては、参考としまして、三枚目に項目とその
内容
を概説してございます。 運輸省関係の
エネルギー対策
関連経費の
合計
額は八十三億三千三百万円でございます。この額は、五十四年度に比べまして十四億九千三百万円、二一・八%の増となっております。 これらの内訳につきまして簡単に御
説明
いたします。 最初に、Ⅰの
省エネルギー対策
の
推進
といたしまして、五千百万円を計上しております。 (1)の
省エネルギー
技術の
開発
でございますが、このうち(1)から(3)は船舶における
省エネルギー
技術の
研究開発
に関するものでございます。この
内容
といたしましては、熱効率のよいスターリング機関、それから船舶の
推進
効率を改善するための低回転大直径プロペラ、それからディーゼル機関の排熱の
有効利用
等につきましての
研究開発
を行います。さらに、船型、エンジン、
推進
装置などについて最適の
省エネルギー
システムを備えた
省エネルギー
船に関する総合的な
調査
研究を
推進
しようとするものであります。 それから(4)は、自動車の
省エネルギー
技術に関するものでございまして、使用過程車の
省エネルギー
を
推進
するため、使用燃料の多様化、これに伴いますエンジンの改善のほか、燃費節減のための適正な運転操作等実施可能な
対策
を種々の側面から検討しようとするものでございます。 それから、(2)の
エネルギー
の使用の
合理化
に関する
法律
の施行関係の経費でございますが、これは昨年六月に成立しました
エネルギー
の使用の
合理化
に関する
法律
に基づきまして、運輸省所管の造船所なり鉄道車両製造工場などにおきます
エネルギー
の使用の
合理化
を
推進
する、あるいは自動車の燃費の表示等を適確に実施させるというために関係事業者を指導、監督するための経費でございます。 それから、Ⅱの
エネルギー
の安定輸送及び保管
対策
の
推進
といたしまして、八十二億三千二百万円を計上しております。 (1)の
エネルギー
港湾の整備は、各種
エネルギー資源
の
輸入
基地あるいは
備蓄
基地となり、また
石炭
火力等が
立地
するための
エネルギー資源
関係の専用の大型港湾におきます航路、防波堤等の整備を行うための
予算
を掲げたものでございまして、五十五年度におきましては三港において整備を行うこととしております。なお、このほか、ここには計上しておりませんが、その他多数の港湾におきましても、
エネルギー資源
の
輸入
、
備蓄
の基地となり、あるいは
発電
施設の
立地
等のための港湾の整備が行われております。 次のページに参ります。 (2)の外航船舶の緊急整備につきましては、LNG船、原油タンカー等
わが国
への
エネルギー資源
の輸送を担っております外航船舶の建造を
促進
するため利子補給を行うものでございます。なお、外航船舶の緊急整備のこの
予算額
には、コンテナ船等
エネルギー
輸送にかかわる船舶以外の船舶も含んでおります。 それから
最後
に、Ⅲの
エネルギー対策
推進
のための基礎
調査
等といたしまして、五千万円を計上しております。 まず、(1)の内航海運における
燃料油
消費節減
対策
の策定は、旅客船を含めました内航海運におきます
燃料油
の使用実態を把握するとともに、運航効率の改善や船体の形状あるいはプロペラ等を改善した
省エネルギー
船を
導入
するということにつきまして
調査
を行うための経費でございます。 (2)の自動車燃費評価手法の研究につきましては、現在ガソリン乗用車の走行燃費につきましては測定・方法が確立されておりますが、トラック、バス、それからその他のディーゼル車につきましては測定手法が確立されていないというのが現状でございます。このため、これらの車につきまして総合的な燃費の評価手法を確立しようとするものであります。 (3)及び(4)は、
エネルギー
緊急事態に際しまして運輸部門においてどのような
対策
を講じたらよいかということを検討するとともに、
エネルギー
需要が増大しあるいは多様化していくことに対処して、
エネルギー
の安定的な輸送、保管のための方策を検討するための経費でございます。 (5)につきましては、運輸部門における
省エネルギー
のための
資料
の作成、配布、講演会の開催等を行うための経費でございます。 以上が運輸省におきます
エネルギー対策
を主たる目的とする経費でございます。 なお、先ほど申し上げましたように、三枚目に参考としてございます
資料
は、運輸省におきます各種
施策
のうち
エネルギー対策
にも資するものとしてどんなものがあるか、これを参考までに事項を掲げたものでございます。 簡単に御
説明
いたしますと、(1)の
エネルギー
効率のよい大量公共輸送機関への輸送需要の転換のための諸
対策
でありますが、これは各輸送機関につきましてその
エネルギー
の効率を比較してみますと、旅客輸送の分野では、鉄道、バスといった大量公共輸送機関の方がマイカーに比べまして
エネルギー
効率がよい、特に乗車密度の高い都市におきましてはきわめて効率がよいということが言えます。そしてまた貨物輸送の分野におきましても、船舶等の大量公共輸送機関の
エネルギー
効率がよいわけでございます。したがいまして、
エネルギー
効率のよい公共輸送機関の輸送サービスを質的にも量的にも整備することによりまして、公共輸送機関の
利用
を
促進
していくということが
省エネルギー
の面からきわめて有効な手段であると考えております。 このような観点から、都市におきます鉄道の整備、それからバスサービスの改善、さらには海上輸送の
利用
の
促進
のための港湾の整備といったものの経費を、ここにございますように、(1)都市における鉄道の整備、(イ)地下高速鉄道及びニュータウン鉄道の整備、(ロ)大都市交通施設の整備等、そしてさらに(2)といたしまして、都市におけるバス輸送サービス改善、(イ)バス・ロケーションシステムの整備、(ロ)新住宅地バス路線の整備、(ハ)バス乗継ターミナルの整備、さらに(3)船舶の
利用
促進
といたしまして、(イ)流通拠点港湾の整備ということを掲げたものであります。 次に、(2)におきましては、
省エネルギー
に資するものとしてトラック輸送の
合理化
を図るためのトラックターミナルの整備のための助成費を掲げております。 以上が
昭和
五十五年度
予算
案におきます運輸省関係の
エネルギー対策関係予算
の
概要
でございます。
吉田実
15
○
委員長
(
吉田実
君) 次に、
建設
省越智政
策企画官
。
越智福夫
16
○
説明員
(越智福夫君)
建設
省関係の御
説明
をさせていただきます。 お手元に
資料
が二枚ございますが、一枚目の第一の住宅金融公庫の
省エネルギー
割増貸付でございますが、これは従来から壁、天井、床などの住宅の躯体部分を断熱工事をしていただきます場合に戸当たり十万円の割り増しをいたしましたり、あるいは寒冷地で断熱工事に加えまして窓等の開口部につきましても断熱効果のいいものをつくっていただきます場合には戸当たり三十万円の割り増し貸し付けをしてまいったわけでございますが、五十五年度から新たに
省エネルギー
型の設備の割り増し貸し付けについても行ってまいりたいと考えておる次第でございます。その一つは、太陽熱温水器をつけていただきました場合には戸当たり十万円の割り増しをしてまいりたい。あるいは効率的な給湯、暖房設備、こういったものをつくっていただきますものにつきましては、それぞれ戸当たり二十万円あるいは五十万円の割り増しの貸し付けをさせていただきたい。こう考えておりますのが住宅関係の、住宅金融公庫におきます
省エネルギー
割増貸付の
内容
でございます。 第二番目に、
建築物
につきまして
省エネルギー
率のいい、一定規模以上の
石油
節約の期待できますようなそういう設備をつくっていただきます場合には、これに対しまして日本
開発銀行
等から
融資
をしてまいりたい、こう考えておりまして、これも五十五年度からの新規の
施策
でございます。 第三、第四、第五、第六につきましては、いずれも技術の
開発
でございますとかあるいは
調査
のものでございますが、第三、第四は、住宅に関しまして壁、屋根等を集熱装置として活用いたしまして太陽熱を
利用
する、こういうふうなことを考えます
省エネルギー
・パッシブシステムの
開発
を五十五年度から新規に行いますほか、第四にございますように総合
技術開発
プロジェクトの一環といたしまして、いままで引き続き
研究開発
をしてまいりました
省エネルギー
住宅の構造、設備等についての
研究開発
を引き続いて行ってまいりたい、と考えております。 このほか、第五、第六にございますように、都市のいろいろな問題につきましてもそれぞれ
調査
を行いまして、
省エネルギー
型の都市のつくり方、こういったものを
調査
研究してまいりたいと考えておる次第でございます。 二枚目に移りまして、
建設
省では、これら直接的な
省エネルギー対策
のほかに、所管をいたしておりますいろいろな事業を
省エネルギー
型に変え、あるいはそれに
重点
を置いて実施していきたいと考えておりまして、その第一は輸送部門の効率化
対策
でございます。 これは新交通システムあるいはモノレール、こういったものを
建設
いたしまして、道路の効率的な整備とともに
省エネルギー
に資そうとするものが第一でございます。 第二番目に、踏み切りの除去等によりまして交通流を円滑にいたしまして、これによって
エネルギー
の節約を図ってまいりたい。 第三に、交通渋滞あるいは急な坂、屈曲の多い峠越えの幹線道路についてのトンネル
建設
、こういったような道路
建設
の
推進
によりまして
エネルギー
の消費の節減を図ってまいりたい。 そのほか、特にバス路線がございますけれども、バスの運行の円滑化を図りますために、すれ違えない区間の解消でございますとか、待避所を設けるとか、こういうふうな事柄の事業の
推進
、あるいはバス専用レーンの設置、あるいは乗り継ぎ施設の整備を行います事業、こういったものも
推進
してまいりたいと思います。 第五番目に、貨物輸送におきます省力化、
省エネルギー化
等のために新物流システムの
技術開発
も進めてまいりたいと考えております。 そのほか、
調査
といたしまして、総合交通計画
調査
、あるいは新交通システムの
導入
計画に関する
調査
、あるいは自動車交通の総合管制を円滑に行うための
調査
研究、こういったものも進めてまいりたいと考えております。 第二番目に、資源
利用
上の
省エネルギー化
・効率化等に関してでございますが、従来から行ってまいりました都市廃棄物処理新システムの
開発
を引き続き
推進
してまいりますとともに、
建築物
の耐久性を
向上
いたしますことによって
建築物
に使われております
エネルギー
を有効活用していこうという
研究開発
も五十五年度から新規に行ってまいりたいと考えております。 第三番目に、
建設
省ではダムを多くつくっておりますけれども、その中で
水力
発電
の加わっております多目的ダムの
建設
を今後とも
推進
してまいりたいと考えております。 以上でございます。
吉田実
17
○
委員長
(
吉田実
君) 以上をもちまして、
関係大臣
の
所信
及び関係
省庁
の
説明
聴取を終わります。 午後一時再開することとし、休憩いたします。 午前十一時二十三分休憩 ―――――・――――― 午後一時九分開会
吉田実
18
○
委員長
(
吉田実
君) ただいまから
エネルギー対策特別委員会
を再開いたします。
委員
の異動について御報告いたします。 本日、対馬
孝且君
が
委員
を辞任され、その補欠として
吉田
正雄
君が選任されました。 ――
―――――――――――
吉田実
19
○
委員長
(
吉田実
君)
エネルギー対策樹立
に関する
調査
を議題として質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言を願います。
丸谷金保
20
○丸谷
金保
君 初めての
委員
会でございますから、本来総括的なものを前段御質疑申し上げたいと思っておりましたが、通産大臣がおられませんので、具体的な問題に入って
科学技術庁長官
にお伺いいたしたいと思います。 昨年の三月に閣議に出された水素
エネルギー
の実用化
促進
に関する請願、閣議の中の了解事項といたしましては、水素
エネルギー
に関する
研究開発
は国立の試験・研究所、大学、
民間
研究機関等の研究機関で十分これを活用して
推進
している、こういうふうなことが処理意見として出ております。しかし、一方、
国会
請願の中では、できるだけこれは国の立場で非常に無尽蔵であり無公害と言われておるこの研究については人類の福祉を増進するというふうな立場からも大きく国家目的としてとらえて研究を進めるべきだということが採択されております。きょう御
説明
を受けた
予算
の中身を見ますと、どうも
国会
決議の方はほとんど無視されて、内閣の処理意見として研究所だとか大学だとか
民間
研究機関にやらせるということが定着しつつあるような感じがいたします。これでは大変だと思いますが、この点についての長官の御所見を承りたいと思います。
長田裕二
21
○
国務大臣
(
長田裕二
君) ただいまの水素の
開発
の問題につきまして、話がかなり細かな具体的なことになりますので、担当
局長
から御
説明
をさせていただきたいと存じます。
園山重道
22
○
政府委員
(園山重道君) お答え申し上げます。 水素
エネルギー
の
利用
につきましては、先生御指摘のようにこれは非常にクリーンな
エネルギー
である、したがってその活用を考えるべしということは私どももひとしく痛感しているところでございます。ただ、先生御承知のように、水素
エネルギー
はいわゆる二次
エネルギー
でございますので、これはやはり一次
エネルギー
、
石油
、
原子力
その他の一次
エネルギー
で出されました
エネルギー
を貯蔵する、あるいは使いやすい形にするということで使っていくものかと考えておるわけでございます。
政府
におきましては、
エネルギー
の
研究開発
の重要性にかんがみまして、
昭和
五十三年の八月に
エネルギー研究開発基本計画
を策定したところでございますが、その中におきまして二十七のプロジェクトを掲げてございますが、その中の一つといたしまして、水素
エネルギー
の研究をうたっておるところでございます。 具体的には、
研究開発
の
内容
といたしまして、「二次
エネルギー
利用
の多様化に資するため、
経済
的かつ大容量の水素の製造、輸送、貯蔵及び
利用
技術並びに安全取扱い技術を
開発
する。」という
内容
を掲げまして、これに基づく製造技術、輸送技術、
利用
技術、保安
対策
技術、それから水素
エネルギー
全体システムの
開発
ということを掲げておるところでございます。ただ、これの実用化の時期につきましては、まだ非常に
研究開発
要素が多いわけでございますので、相当大規模に実用される時期というのは、この計画におきましてはおおむね二千年代ではなかろうかという見通しを持っております。ただ、こういうプロジェクトとして大型の
開発
をいたしますほかに、それぞれ研究機関等におきまして水素
エネルギー
の活用のための有効な方策の研究を進めておるところでございまして、先生御指摘のように非常に多額の
予算
をつけておるという段階にまだ至っておりませんが、それぞれ基礎的な研究が着実に進められておる、このように考えておるところでございます。
丸谷金保
23
○丸谷
金保
君 水素
エネルギー
に対する
予算
はまだ余りついていないといういまの答弁でございますけれども、おおよそどの程度五十五年度では見込んでおりますか。
石坂誠一
24
○
政府委員
(石坂誠一君) 九億五千万円でございます。
丸谷金保
25
○丸谷
金保
君 これは非常に大きな、それから大変むずかしい問題も抱えておりますが、これらについての外国における
研究開発
の現状、それから請願でも述べておりますように、それに対する
わが国
の国際
協力
の状況、こういう点について御
説明
をいただきたいと思います。
石坂誠一
26
○
政府委員
(石坂誠一君) ただいまの水素
エネルギー
技術開発
につきましては、欧米におきましても盛んにやっておるわけでございますが、中でも西独が電気分解法、これは余り高温を使っておりませんで、九十度ぐらいのものだと思いますが、これを使った電気分解法で七百五十立方メーター・パー・アワー、毎時七百五十立方メーターのものを運転中でございますし、また、アメリカにおきましても毎時百立方メーターのプラントを計画中でございます。また、いろいろな水素の製造法がございますが、熱を使いまして、しかもいろいろな化学反応の組み合わせによって水を水素と酸素に分解するという、私どもは熱化学法と言っておりますが、こういう方法もございますが、そういう方法につきましては、ヨーロッパ共同体、ECのイスプラ研究所というところがかなり前から手がけてやっておるわけでございます。 先ほどから話も出ましたのですが、
わが国
といたしましては、従来からその将来性に着目いたしまして独自の研究を積み重ねておるわけでございますが、さらにそういう研究を効率化するために国際
エネルギー
機関、IEAとも研究
協力
を行っておるわけでございます。具体的に申しますと、熱化学法による水素の製造技術というのが一つ、それから二番目に将来の水素の需要予測、需要想定というタスク、それから三番目に高温高圧水電解法による水素製造技術、この三つのタスクに参加して積極的に
協力
活動を行っておるのでございます。ただ、これらはまだ
わが国
から相当額のお金を出してやるという段階にはなっておりませんが、基礎研究をそれぞれ分担し合う、あるいは情報を交換するというようなことで進められておるわけでございます。
丸谷金保
27
○丸谷
金保
君 どうも、この種の研究について、非常に研究費の出し惜しみといいますか、外国の研究に乗っかっていくというふうな傾向が強いのじゃないかと思って心配しておるわけなんです。たとえば、
石炭液化
の問題にいたしましても、
わが国
の研究というのはアメリカとの共同研究で、エクソンだとかいろいろなところが大半やっておって、それに乗っかって一緒にやるというようなきらいがあるのですが、この水素
エネルギー
については、具体的にアメリカとの間で研究
協力
しているという事実はございますか。
石坂誠一
28
○
政府委員
(石坂誠一君) ただいまのところ、アメリカと具体的な研究
協力
はございません。ただ、アメリカの学者が日本に来られたときにいろいろ議論をする、あるいはこちらから向こうへ行ったときに議論するというような程度でございます。
丸谷金保
29
○丸谷
金保
君 それで、いま西独やアメリカで計画が進んでおる。たとえば西独の場合の費用といいますか、
予算
規模はどの程度で進めておるのでしょうか。日本のやつが九億五千万円というのはいま聞きましたが、アメリカや西独のこれに対する対応の仕方……。
石坂誠一
30
○
政府委員
(石坂誠一君) 五十五年度のものは持っておりません。ちょっと古くなりますが、七八年度におきまして日本は六億円でございましたが、アメリカは四十五億円でございます。それから西独は、これはちょっと表が多年度にわたっておりますが、七四年から七七年の四年間、この間に三十五億円。それからフランスでございますが、これは一九七五年度十億円でございます。
丸谷金保
31
○丸谷
金保
君 その一九七五年度当時、日本はどれくらいでございますか。
石坂誠一
32
○
政府委員
(石坂誠一君) 四億五千万円でございます。
丸谷金保
33
○丸谷
金保
君 年度をずらしての数字ですと、うっかりするとそこら辺で錯覚を起こします。しかし、いまのお話を聞きますと、日本の五十五年度における九億五千万円というのはきわめて少ない。ほかははるかに早くからどんどんやっておるというような気がするのですが、いろいろな計画の中で一つくらいは日本が
世界
に先駈けて思い切ったプロジェクトを組んで進めるというふうなものがあってもいいのじゃなかろうか、幸い
国会
決議も済んでおることですし。長官どうですか。水素
エネルギー
について思い切った、アメリカ以上の研究の規模で取り組むというふうなことがあっていいのじゃないか、特にこれは広い海を持っているのですし。ひとつ御所見を伺いたいと思います。
長田裕二
34
○
国務大臣
(
長田裕二
君) 水素
エネルギー
につきましては、ただいま関係
局長
あるいは院長がお答え申し上げたとおりでございますが、
エネルギー
の多様化という面につきましては、日本も相当広範囲にわたりまして
研究開発
を進めているところでございまして、これは別の問題でございますけれども、たとえば波力
発電
などにおきましては日本が先鞭をつけ、各国がこれに
協力
をして、あるいはIEAなども
協力
してやっている。そういう面もございまして、できるだけ御趣旨のような方向で進んでいるつもりでもございますし、今後さらに力を入れてまいりたい、そのように思っております。
丸谷金保
35
○丸谷
金保
君 波力が進んでいるというお話がいま出ましたので、ちょっとその波力の問題にも入ってみたいと思うのですが、実はいま天然の海水からタワー式という方法で塩をつくっているグループがございます。これは
省エネルギー
だということで大蔵省も試験研究を認めたのです。ここの現場へ私は行ってみました。大島でやっておりまして、非常につましい生活で、玄米に塩をかけても大丈夫、三年や五年は心配ないというふうな若い者が取り組んでいるのです。これは無重力ポンプを使いまして波の力で上へ上げて――後で長官にひとつ見ていただきたいと思いますが、こういうタワーをつくってやっておるのです。(
資料
を示す)ところが、こういうところへは全然国の方では援助もしてくれなければ見向きもしないのですよ。ずいぶん先ほどから
予算
の
説明
を聞きましたし、
民間
に対するあれもあるけれども、大体において、いまの
わが国
における
代替エネルギー
開発
の進め方というのは、それぞれの
省庁
がセクト的にそれぞれの持ち分でそれぞれの関係する学者を使ってというふうなことでやっておって、こういう具体的に
民間
で取り組んでおるようなものに見向きもしない、どうもそういう気がするのですが、いかがですか。
長田裕二
36
○
国務大臣
(
長田裕二
君)
エネルギー
問題もございますし、それ以外の新しい技術の
開発等
につきましては、
民間
もそれぞれ
推進
しておりましょうし、
科学技術庁
の関連におきましても、たとえば新
技術開発
事業団等におきまして、新しい考え方、新しい研究等の中からしみるべきものを選んでこれを企業化していくための力をかしているとか、そういうようないろいろな面もあるわけでございます。たまたま、先だいま御指摘の点につきまして十分な措置がとられていないというお話でございますが、なるべく広く適切なものを選びながらこれから積極的に取り組んでまいるようなそういう
体制
で進ませたい、そのように思っている次第でございます。
丸谷金保
37
○丸谷
金保
君 長官は思っても、なかなかお役所仕事というのはそういうふうに進まない点が非常に多いのです。それから権威に弱くて、
民間
のこつこつと苦労しながら新しい技術の
開発
をやろうという人たちについては、おまえたちには何ぼか出してやるぞというふうな調子で、野に遺賢なからしむというふうなていで拾い上げていくという考え方が非常に少ない。たとえば風力においても、昨年までフートピア計画というのがあって一応の研究が進められたというふうに言っております。しかし、南方へ行ってみますと、日本でも昔ありました山田風車なんというのが結構まだ実用化されております。もう日本では影も形もなくなって、それらも昨年までの研究対象では取り上げたというように聞いておりますけれども、ある程度進むとこれは終わりだというふうなことで終わってしまっているのです。そういうことにつきまして、たとえばこのフートピア計画、これはもう研究が済んだのですか。済んで段落をつけたのですか。
勝谷保
38
○
政府委員
(勝谷保君) お答え申し上げます。 フートピア計画は、五十三年から五十四年にかけまして風
エネルギー
利用
の実証
調査
についてという計画を進めたわけでございますが、この結果を踏まえまして、五十五年度からは新たに約五年間で風力
エネルギー
システムに関する総合研究ということで新たな研究を開始する予定でございます。フートピア計画では容量が一、二キロワット級でございましたが、このたびは二十キロワット級のものでこの
エネルギー
を農業施設の冷暖房、道路、公共施設等の融雪に使うところまで実験を進めてみたいと、かように考えておるのでございます。
丸谷金保
39
○丸谷
金保
君 五十五年度から風力
エネルギー
というふうな形にして進められるということなんですが、そうすると、これらは実際に、実験的に五十五年度からは何カ所か設定して取り組むというふうに
理解
してよろしゅうございますか。
勝谷保
40
○
政府委員
(勝谷保君)
予算
を御
審議
いただいておりますが、この
予算
が成立いたしますれば、何カ所でやるか等々も含めまして関係者相集いまして計画を立てるということでございます。われわれの案では五年計画で実験を進めたいと考えております。
丸谷金保
41
○丸谷
金保
君 計画、研究ですから、時間のかかるのもやむを得ないというふうには思いますけれども、非常にそういう点のテンポがゆっくりゆっくりなんです。それはテンポがゆっくりゆっくりでやっていけるような状態の
わが国
の
エネルギー
事情であればそれはそれでもいいのですけれども、非常に厳しい事情だということはだれしも認識を一にしているところだと思います。そういう中で、いまの話を聞いても五カ年、大体そういうテンポなんです。非常に水素
エネルギー
なんかも時間がかかるものですけれども、しかし、その点で大変心配なのは、そういう方に対する
重点
を置くのを忘れて、ともすれば、とにかくいまさしあたっていますぐ間に合う
原子力
ですか、そういう方向に安易にいま日本の
エネルギー対策
というのが走り過ぎないかという点が非常に心配なんですが、いかがでしまうか。
長田裕二
42
○
国務大臣
(
長田裕二
君) 私ども、考え方といたしまして、特に
原子力
だけに集中するとか、そういうつもりはございませんが、いろいろと広く展開されております
代替エネルギー
の問題の中で、
石油
の量的な
確保
の困難あるいは価格の高騰などに対処いたしますためには相当量の
エネルギー
を新たに
開発
しなければならない。そういうような観点からしますと、いろいろ考えられ、
研究開発
が進められております中で、それにすぐに即応できるというようなものはそうたくさんはないわけでございまして、従来からも非常に力を入れております
原子力発電
を
推進
することとか、あるいは
石炭
の液化・ガス化とか、そういうところに自然
重点
が注がれざるを得ないようなのもただいまの当面の姿でもございます。考え方といたしましては、仰せのとおり非常に広く手を広げまして、それぞれの特徴を十分に生かす多彩な展開をしなければならない、そのようには思っているところでございます。
丸谷金保
43
○丸谷
金保
君 私は、実はいまの長官の御答弁を聞きながら非常に心配になってくるのです。これは当面すぐ間に合うものに手をつけなければならないということで、
原子力
、
石炭液化
、これらに手をつけるということで計画が進められていった結果どうなるだろうか。ここに
エネルギー
調査
会、いわゆるエネ調の想定数字を持っております。大体
政府
もこういう考え方で進めるという
基本
的な姿勢のようでございますので、特にこの点について言及しておきたいと思います。 これは
経済成長
率を
エネルギー
調査
会では五・七%というふうに見込んだ場合に、五十二年の実態を踏まえて六十年、六十五年というふうな予測を立てております。こういう計画のもとに政策が進められるとこれは大変だなと思っております。たとえば六十年、ただいま御答弁のありました
石炭液化
に
重点
を置いていくということで、エネ調では
石油
換算で五百二十万キロリットルの
開発
を計画しております。
昭和
六十年です。これはそちらの方から出ている数字ですから間違いないと思うのです。それから六十五年になると三千八百五十万キロリットル、これは
石炭
の液化のほかにその他も入れてです。その他も入れてですが、大半はいま長官が言われた
石炭液化
がこの数字の主力をなしている。しかし、実際には、たとえば五年後にいまの
石炭液化
の研究の成果――アメリカと共同
開発
しているといいましても設備費がかかります。それらに対する時間も必要です。一体、いまの状態から言って、六十年に五百二十万キロリットル、
エネルギー
消費量の中において〇・九%なんという数字が実現できますか。これはとても無理な数字だと思うのです。そうすると
経済成長
率というふうなものも変わってくるわけなんです。
原子力
の方は同じ時期に三千万キロワット、六・七%をこれで賄っていく。
重点
はほとんどこっちにいっている。
石炭液化
なんかは〇・九と言ったってこれはできっこない。いまの設備の状況から言っても、工事の状況から言ったってできっこない数字なんですから、勢い
原子力
の方に
重点
が実際は移るのではないか。一番安全でないものに
重点
を置くような
エネルギー
政策、こういうものをこそこの
委員
会は十分論議をして政策の方向転換をさせていかなければならないと思うのですが、いかがですか。
長田裕二
44
○
国務大臣
(
長田裕二
君)
石炭液化
等の問題につきましては、関係の方から御
説明
申し上げます。
原子力発電
につきましては、先ほどお答え申し上げましたように、二十年来相当日本でも力を入れてきているところでございますし、現在すでに二十一基、千五百万キロワットの能力まで展開されてきたわけでございます。なお、ただいま
建設
中あるいは計画中のものなどが十五基ございますし、私ども六十年度に三千万キロワットのところまでは持っていきたいというふうに念願しているわけでございますが、ただいま御指摘のとおり、
原子力発電
につきましては安全
確保
の問題が非常に重要だと考えておりますし、従来から
わが国
におきましての安全
確保
体制
は相当周到に厳密になされてきておったと思いますが、特に昨年のアメリカのスリーマイルア
イラン
ドの事故以来は、現実に動いている
発電
所に対する再点検とか、あるいは
原子力
安全
委員
会によります五十二項目にわたる安全基準等の検討とか、非常にその面に力を注いでいるところでございまして、私どもは、今後
原子力発電
に依存する度合いが大きければ大きいだけ安全の問題がまず第一に、それら今後の
原子力発電
の展開、発展の前提
条件
だ、そのように考えながら現実に危害が人間に日本の国土の中で起こることのないように精力的に取り組んでまいる
所存
でございます。
丸谷金保
45
○丸谷
金保
君 六十年で三千万キロワット、六十五年で五千三百万キロワットというような膨大な計画を進める。非常に私はこれについては問題があると思います、危険の度合いその他について。あるいはできた廃棄物の処理の問題なども解決しておらない状態です。ですから、われわれは、この
委員
会でこういうエネ調の計画自体を
基本
的に検討の俎上に上げて検討していきたい、かように思ったので実はいま関連して申し上げましたが、この問題はさらに論議を深めなきゃならないと思いますので、そういう点だけを注意を喚起しておいて前へ進ませていただきたいと思います。 水素
エネルギー
の問題につきましては、製造方法は電気分解法と熱化学処理、それから高温の直接熱分解法というふうな三つの方法がいま言われております。
わが国
の研究対象としておるのは、このうちの一体どれにいま
重点
を置いて進めようとしておるのですか。
石坂誠一
46
○
政府委員
(石坂誠一君) 私どもとしましては、現在最もプラントの
開発
が進展しているものは高温高圧水電解法というように考えておりまして、現在四立方メートル・パー・アワーというプラントがほぼ完成の状態にございまして、近く運転に入るというようになっております。 しかし、それと同時に、将来
エネルギー
効率がよりよいという意味、あるいは電気を使わないでも水素をつくる方法というようなことで熱化学法にも力を入れておるわけでございますが、これはまだ大きなパイロットプラントをつくる段階にはなっておりません。 なお、高温で水を分解する、これは二千五百度というふうな非常に高温で分解する方法もいま検討しておりますのですが、これは非常な高温である、超高温であるというようなことで材料その他いろいろ問題がございまして、まだ探索中というような段階でございます。
丸谷金保
47
○丸谷
金保
君 そこで、どうもお役所の人たちが考えるというのは一つのカテゴリーの中で物を考えるのです。提言いたしますが、これはこの請願書の中にも書いてありますが、人類全体の問題として解決すべき水素
エネルギー
開発
だということなんです。非常に高温処理、高温というふうなことの処理が大変むずかしいのと、それから水素を分解するために逆にまた
エネルギー
を必要とするというところがいまネックになって値段が大変高くつくということが各国とも共通の悩みのようです。ひとつ思い切って日本が大きな
予算
をつけて、各国に呼びかけて、南の大陸、ああいうところに
世界
の衆知を集めた大プロジェクトでもつくる、こういうような思い切った発想の転換と、それから日本の
エネルギー
も大事だけども人類ということを踏まえた、日本としても一つくらい提言があっていいのじゃないですか。また、思い切ってそういう金を――ずいぶんたくさん細々ときょう午前中
説明
を受けましたけれども、それぞれの
省庁
のセクショナリズムでやっております。新聞の評によりますと、ここにもその新聞を一つ持ってきておるのですが、こういう批判もあるのですよ。「大盤振る舞い」という見出しがつきまして、「「
エネルギー
と名が付けば、なんでも要求が通る」とささやかれた五十五年度の
政府
予算
案づくり。」、これは前の新聞なんですが、きょう私は
説明
を聞いてみてこの記事を思い出したので、この切り抜きを持ってきたのです。なるほど、ずいぶんあります。細々と
説明
を受けました。ああ、このことを新聞はこういうふうに論評したのだなと思ったのです、午前中の
説明
を聞いていて。それで急いでこれを外してきて持ってきたのです。そういうことも必要でしょうけれども、たくさん細かく……。それからまた
民間
の衆知を集める。しかし、やっぱり国家の総力を挙げていまどんどんと落ち込んでいく
エネルギー
問題に、長官、ひとつ壮大なロマンのあるようなものを打ち上げるというふうな覚悟を持っていただけませんか。いかがですか。
長田裕二
48
○
国務大臣
(
長田裕二
君) ただいま丸谷
委員
の仰せのようなことにつきましては、私も考え方として同感でございます。実は、まだ
委員
会で御披露申し上げるようなところまで達しおりませんですが、少し軽いお気持ちでお聞き取りを願えればと思います。 実は、きょうの午前中なども、
科学技術庁
で関係者といろいろ話をしておりますときに、たとえば波力
発電
なり風力
発電
なりいろいろなアイデアなどが取り進められておりますが、この間、東北電力の送電網の中に織り込んでもらった波力
発電
などの一つの欠点は、そのときどきによって、波の出方によって発生電力が大きくなったり小さくなったり、ある意味では送電網にとっては私は大変迷惑なことではなかろうかと素人ながら考えているわけでございます。この波力
発電
の問題につきましては五十五年度に正確な解析がなされるはずですから、いまから余り予断をして勝手なことを申すのはちょっとはばかられますけれども、あえて申し上げますならば、そういういまの電力の供給の形としてはなかなか向かないものなどを、もしもその波の力が多いとき少ないときによっていろいろ幅のある電力が出てくる、これをどう使うかということになりますと、一つは蓄電池のりっぱなものができれば蓄積できますが、そういうものができない場合などは、たとえばそういうことで水素なり何なりをつくっていく、その水素を液化するなり何なりして
利用
の道をつくっていく、そういうことを、いま水素をつくるということだけの研究じゃなしに、使われる使われ方と結び合わせまして、たとえば僻村だとか離島だとか、あるいは高いところにあります問題だとか、そういうようなことなども、今後どうなりますか、一方の解析と並行ですが、五十六年度
予算
要求あたりまでにこれは関係官庁とも連絡をとりながら構想をつくっていくことなども一つの行き方ではなかろうか。そんなことなども話し合ったことでございますし、さらに衆知を集めまして広くそういう面の展開を図りたい、そのように思っておるわけでございます。
丸谷金保
49
○丸谷
金保
君 それで、水素
エネルギー
の場合にはそういう蓄積がきくのではないかということが大きな魅力の一つで、これは非常に重要なことだと思うのです。実は、昨年の五月の決算上程の本
会議
で、私が大平総理と当時の通産大臣に質問申し上げた具体的な提言があるのです。これは記録を持ってきておりますので、官報に載っている記録のまま読みます。五月三十日です。鳴門や関門の潮の流れ、こういうものを取り上げて、これらの
エネルギー
開発
というふうなことにすぐ取り組んだらどうだ、
予算
の関係もありますから、そのために、四国に三つも一遍に橋をかける必要はないからあの
予算
を一つ削って二つにすれば一兆円くらい浮くわけなんで、それくらいかけるつもりで取り組んだらどうだと、こういうふうに提言したのです。大平総理は、御提言は承って検討するけれども、いま直ちにそのことが四国の橋を、三本を二本にするということとはつながらない。こういうふうなことで当時は、本
会議
ですからすれ違いであったのですが、少なくとも今度の
予算
にこういうことの研究が大きなプロジェクトとして出てくるかと思って期待しておったのです。江崎通産大臣も大変それは貴重な御意見だというふうなことで答弁をしていただいているのですが、いまの長官の御答弁もそうなんです、五十六年度くらいにと。しかし、それだけのお考えを持っているならば、まだ
予算
案は
審議
中ですから、思い切って
予算
の組み替えをして、この
委員
会の初めての発足を機に、いま長官の言われたようなことだけでも、五十六年度でなく五十五年度
予算
の中にもう少し組み込まさせることはできませんか。どうですか。
長田裕二
50
○
国務大臣
(
長田裕二
君) まだ着任して日も浅うございまして、私も、雑駁な提案でこれを
予算
要求するまでの自信はございませんので、いまそういうあれはございませんので、これからその時期まで関係者とよく検討をいたしましてのことにさせていただきたい、そのように思っております。
丸谷金保
51
○丸谷
金保
君 非常にそういう点で慎重に慎重にということがこの
エネルギー
、特に
代替エネルギー
の問題についてはついて回るのです。これは確かに金を使ってもうまくいかないというふうなことはあると思います。そこをやはり乗り越える。これは行政でなくてやはり政治だと思うのです。政治が行政をそういう点で支えてあげないとおっかなくてできないのですよ。 ちょっと例にはそぐいませんけれども、たとえば私のところでブドウの品種の改良をやっております。一年に一万本くらいずつの新しい品種をつくって一本もいい品種ができないのです。これは一生のうちに一人の研究家が一本のいい品種ができるかどうかわからないような仕事なんです。それでもいま池田の町では三人から四人そのことだけにかかって取り組んでおります。ある県の研究所へ行きました。それから国の研究機関にも行きました。非常にうらやましがるのです、私たちにはそういうことができないと。一生かけてゼロかもしれないような研究をやっていたら上からにらまれてすぐどこかへ追われちゃう、だから、どうしても三年か五年で結果の出るようなことしかやれないのだと。これがいまの行政のシステムなんです。それはやっぱり政治がカバーしなきゃならぬわけですよ。だから、長官は、着任早々でなんて言わないで、着任したからには任しておけというくらいな腹を持たないと、この特別
委員
会をつくって
エネルギー
問題と取り組もうという意義がなくなっちゃうのです。どうですか、もう一回、ひとつもっとぱりっとしたところを答弁してくださいよ。
長田裕二
52
○
国務大臣
(
長田裕二
君) 私が先ほど当
委員
会で御披露するのは若干はばかられるがと申したのが本心のところでございまして、もっと詳しくそれに関連するいろいろなことを、少なくとも手の届く範囲内でもさらにやるべきことがたくさんあるわけでございまして、そういう段階を踏まえまして、ある程度自信のあるものとして
予算
要求をするのが至当だと思うわけでございます。仰せのように、トライ・アンド・エラー、試行錯誤、そういうようなものが科学技術の
推進
に相当必要だということも十分承知しながら、みんな関係者が積極的に前向きに進んでまいっておる状態でございます。
丸谷金保
53
○丸谷
金保
君 どうもやっぱりかみ合わないですね。自信が持ててから
予算
を提案する、それだったら
民間
に任してもいいのですよ。たとえば電力
開発
なんかでも、四国で太陽熱の五十五年度で完成するというようなものをつくっていますでしょう、ある程度これはいけそうだというふうになったら。いけるかどうかわからないというふうなところにこそ国が取り組まなきゃならないものではないでしょうか。どうもそこら辺の
基本
的な姿勢が非常に慎重過ぎているのではないかという気がするのです。それからそういう点で、また学者もりっぱな人がおりますし、学者の意見、学問を大事にしなきゃなりません。しかし、非常に知恵を働かして、知識でなく知恵を働かせて非常に貴重な
民間
でいろんな発明がどんどんできております。こういうものをもっと柔軟に取り入れるような
エネルギー
開発
の
予算
になっていない。午前中の
説明
を聞いていますときわめてきちっとしているのです、起承転結が。それは
予算
というのは本来そういうものだと思いますけれども、この
予算
は違うと思うのですよ。 たとえばこういうことがあります。この次からは余り町長時代のことを言いませんから、いまのところ初めてなので経験を話しするよりないのですが、私が町長時代に、町の真ん中に四百メートルの橋があるのです。そっちへ渡すのに水道管を入れなきゃならないのです。少し人口がふえたり消防のことを考えると百五十ミリ管が要る。ところが、その橋をつくるときには百ミリ管の設計をしちゃったのです。道道です。ですから、町村道でないから一々許可をとらなきゃならぬのです。百ミリ管のところへ百五十ミリ管を入れるということになると、御承知のように北海道は零下三十度まで下がりますから百五十ミリの被覆をするのです。そうすると四百五十ミリないと百五十ミリ管は入らないのです。百ミリ管だと三百ミリでいいわけですから三百ミリの穴だけあけてあったのです。どうしようもないのです。そのときに高等小学校を出てこつこつと水道課で仕事をしていた、そして独学で勉強していた鈴木君というのがひょっと考えついて、その水をバックすることを考えたのです、ちっちゃなビニールパイプで。町長、動いていれば凍らないよと、二十ミリくらいの小さなのでバックさせて。幸い取水池が川のそばにありましたから、そこへ戻してやったのです。百五十ミリの管にあと七十五ミリずつの百五十ミリ、三百ミリの管にして水が凍らないようにすることができたのです。これは道から国まで持ち込んでどんなに相談しても、りっぱな技術屋さんではこういう発想にならないのです。だめだということになるのですよ。構造計算でやってみれば四百五十ミリでなければ絶対だめだ、許可できないと、こういうようなことになっちゃうのです。そういうふうな経験でたたき上げてきた知恵、これらももう少し、これからのこの
委員
会を
中心
にした論議の中で行政側も考えていただけるようなそういう運営なりシステム、それをひとつお考えいただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
長田裕二
54
○
国務大臣
(
長田裕二
君) 大変参考になる貴重なお話を伺いまして、関係者もそういう心組みで新しい科学技術の
研究開発
に取り組んでいると思いますし、さらにただいまのお話でそういう気持ちを一層そそられたことだろうというふうに存じております。
岩動道行
55
○
岩動
道行君 最初に、私は、まず参議院に
エネルギー
特別
委員
会ができましたことを心から歓迎し、また、この
委員
会が日本はもちろんのこと、
世界
的にも大きな
役割り
を果たしていく、そういう
委員
会の姿になっていただきたいということを願望いたしております。また、そういう観点からも、
委員長
、理事、そして
委員
の皆さんにおかれましても、どうか、いたずらに議論だけではなくて、いかにして日本の
エネルギー
を十分に
確保
し、日本の
国民
の生活を安定させ、あるいは日本の国際的な
役割り
を十分に果たしていくための
エネルギー
政策の確立、そしてその
推進
に十分な
役割り
を果たしていただくように特段の御配慮、そして運営をお願いいたしたい、かように思う次第でございます。 したがいまして、ただいま丸谷
委員
の御質問に対する
政府
側の御答弁なども伺っておりますと、
政府
側にはこの
エネルギー
問題に対しての本当の気魄があるのかどうかという点については、いささか疑問に思わざるを得ないような点もございます。
政府
も謙虚にできるものはできる、できないものはできない、そうして客観的にこの問題を処理するための対応をしていただきたいと、かように思うわけでございます。いわば政治的に玉虫色の答弁をしたり、その場を糊塗すれば足りるということでは日本民族は生きていけない、
世界
に対するわれわれの日本の
役割り
も果たしていけない、こういうことであると思いますので、どうかこの機会に覚悟を新たにして、そうして真剣にお互いに
理解
し合い、そして意見をぶつけ合って、その中から新しい道を発見してこれを強力に
推進
していく、こういう心構えを
政府
におかれても持っていただきたい、かように思う次第でございます。いずれ通産大臣もお見えになると思いますので、改めて、この点については
政府
の御決意を後ほど伺いたいと思うのでございます。 さて、私は、質問を始める前に
資料
を
委員長
にお願いいたしたいと思います。 それは、昨年の八月三十一日に出されました「長期
エネルギー需給
暫定見通し 中間報告」、これは先ほど丸谷
委員
も触れられて、この見通しについてはさらに十分な検討が必要であるという御意見が出ましたが、私もまさにここからスタートしなければいけないのではないか、かように考えておりますので、この
資料
をお願いいたしたい。 それから当面、
石油
事情がきわめて困難な事態にあることは御案内のとおりでございますので、それに対応していろいろな
施策
が必要でございまするが、先般、五十五年の一月十一日に、「
石油消費節減対策
の強化について」、これは昨年五%節約でありましたが、本年に入りまして七%節約というターゲットを設けられたのでありますが、これについての
資料
、「閣僚
会議
決定」というのがございますので、この二つの
資料
をできれば直ちに配付をしていただいて、これらをもとにしながら質問をさせていただきたいと思います。
吉田実
56
○
委員長
(
吉田実
君) ただいまのを配ってください。 〔
資料
配付〕
岩動道行
57
○
岩動
道行君 そこで、時間もございませんので続けてまいりますが、まず、この中身についていろいろ議論をしてまいりますと大変な時間が必要でありますが、その中身に入る前に、この長期
エネルギー需給
暫定見通しなるものの性格について伺っておきたいと思います。改めて、後で通産大臣が見えますれば大臣からも伺いたいと思いまするが、これは見通しということになっております。見通しというのは一体どういうことなのか、その性格を明らかにしていただきたいと思うのであります。 つまり見通しということになりますと、われわれの常識から言えば、これはこうなるであろう、こういう予測みたいなものであって、そこには政策も計画も目標もないというような印象を受けるのでございます。しかしながら、日本の
エネルギー
問題をこのような見通しに基づいて行っていくということになるならばまことに恐るべきことではないだろうか、まことに寒心にたえない、こういうように私は感じるのでございます。なぜ計画にされなかったのか、私はその点について
政府
のお考えをまず伺っておきたいと思います。計画にして、そして
政府
としてはこういうふうにするのだ、こうしたいのだ、こうすべきだ、それだけの意気込みを持って日本の
エネルギー
政策を
推進
しなければ、私は
国民
に対する責務を果たし得ないのではないか、かように考えるのでございまするが、どういうふうなお考えであるのか、この点を伺いたい。 大体目標というような考え方もあるわけでございまするが、目標ということになるならばどういうことなのか、この辺をあわせて、この見通しについての
基本
的な性格をまず
政府
側から伺いたいと思います。
長田裕二
58
○
国務大臣
(
長田裕二
君) ただいまの見通しの問題につきましては通産省側から御答弁申し上げたいと思いますが、最初に、後ほど通産大臣からも申し上げるかもわかりませんが、
エネルギー
問題についての心構えについて厳しい御批判がございましたが、私ども日本の
エネルギー
の七五%を占めております
石油
が長期的な見通しからも先行き必ずしも明るくない、当面の問題としては量の入手並びに価格の問題で非常に厳しい情勢にある、そういう認識を背景にいたしまして、先ほどもお答えしておりますように多彩の
エネルギー
開発
の問題を進めておりますし、あるいはまたその中の最も
中心
となるというふうに考えております
原子力
の
開発
につきましても取り組んでおりますが、あえてことさらに玉虫色的なような中腰で臨んでいるということではなくて、安全の問題等についての十分の留意は払いながら、しかしこの安全という問題は
原子力
開発
の
推進
に及び腰ということではなくて、
原子力
開発
をしっかり進める上においての大事な前提
条件
だ、そのような意味合いにおきまして安全の問題をきわめて重視しておるわけでございます。全体としては関係当局を通じましてしっかりした腹構えで取り進めている、そのように思う次第でございます。 なお、これにつきましては後ほど通産大臣からもお答えがあろうかと思います。 見通しにつきましては関係当局から御
説明
申し上げます。
古田徳昌
59
○
政府委員
(
古田徳昌
君) 長期
エネルギー需給
暫定見通しは昨年の八月末に通産省の総合
エネルギー
調査
会で出された報告でございまして、これにつきましては、昨年初めの
イラン政変
後の急変しました
石油
情勢を踏まえ、かつ
東京サミット
におきます合意等も前提としまして国際的な責務を遂行する、さらに中長期にわたります
エネルギー
の
安定供給
を
確保
することを目指したものでございますが、その性格は、官民挙げての最大の
努力
と
協力
を前提としたものであるということで、一つの
努力
目標ということではないかというふうに私どもは現在考えております。なお、現在、
石油代替エネルギー
の
開発
及び
導入
の
促進
に関する
法律案
を
国会
に提出させていただいておりますが、この
法律案
を可決していただきましたならば、この
法律
に基づきまして長期的な
代替エネルギー
の供給目標を
通商産業大臣
が公表するということで、それも閣議の決定を経て公表するという形をとりたいと考えております。
岩動道行
60
○
岩動
道行君 国際的なサミットによるいろいろなターゲットが出てきたりしておりますから、そういうことを踏まえての
努力
目標とおっしゃいますが、一体
努力
目標ということで
国民
を引っ張っていくことができるでしょうか。七カ年
経済
計画というものがございますね。それとの関連からこれは生まれてきてもいると思うのです。したがって、
国民
総生産、GNPをどういうふうにするかということでは、たとえば、ここに七カ年計画に関連した「需給見通しの
概要
」というあなたの方でつくられたものがあるのですが、
経済成長
率は、五十二年から六十年までは六%弱、六十年度から六十五年度までは年率五%程度、六十五年度から七十年度までは年率四%程度で推移する。そういう場合に
昭和
六十年度においては六億六千万キロリットル程度の
石油
換算
エネルギー
が要る、六十五年度においては八億二千万キロリットル、そして
昭和
七十年度においては九億七千万キロリットル程度の
エネルギー
が要るのですと。そしてあと節約やなんか入ってきますから、この数字はこの表でも若干別の数字が二段構えで出ております。しかし、そういう大きな
国民
経済
がこのような一つの目標を持って、あるいはそういう計画で、人口の増、
国民生活
の
向上
、そして産業の発展、こういうようなことを達成しなければならない日本の立場というものがあるならば、これに向かって、単なる
努力
目標ということでよろしいのかどうか、見通しということではもちろんいけないと思います。私は計画にしていただきたいと思います。そして、その計画に向かって、具体的に年次別に
原子力
はどうやるのか、
水力
はどうなるのか、
石炭
はどうするのか等々を、具体的に年次別の計画をし、しかし、それは
国際情勢
の変化、いろいろございましょうから、年々見直すということは結構であります。そういったような、もう少しきめの細かい具体的な計画を持ってお進めになっていくのが
国民
の合意を得る上にも大事ではないだろうか、かように考えますが、この点について……。次長から伺っても同じような答弁しか出ないと思うから、これは後で大臣に伺いましょう。私の考えだけを申し上げておきます。 時間もありませんので、答弁の方も簡潔にお願いしたいと思いますが、そこでこの中身、項目を一々やっていると大変なんですが、まず
水力
についても六十年度で二千二百万キロワット、六十五年度二千六百万キロワットというふうな数字が出ておりますが、果たしてこれが実現可能であるのかどうか。いろいろ疑問が起こっており、かつまた九電力等を
中心
とした電気業界においても首をかしげているような数字であることは
政府
側も十分に承知のところだと思います。ことに、小
水力
にかなりウエートを置いて考えており、またそのようなことを
推進
する議員のグループもおることは私も承知いたしております。しかし、五千キロワットぐらいのものを全国でどれだけ、何百おつくりになるかわかりませんが、これだって水資源を活用する意味においてはもちろんやらなければいけませんけれども、果たしてそれだけの水が
確保
できるのかどうか、安定的なそういう供給源になり得るのかどうかという点においても非常に問題があるし、あるいはまた、いま百万キロワット単位で
発電
所が
建設
されなければ投資の効果も上がってこない。そういうときにこのような小
水力
、
経済
性を無視してももちろんやらなければいけない面も出てくるでしょうが、そこにも大きな問題が存在する。したがって計画どおりいくかどうかということについての疑問があるということを申し上げておきます。答弁は要りません。
地熱
についても同様であります。いま、ここには五十二年度の数字しか出ておりませんが、現在
地熱
については何万キロワットのあれになっておりますか、ちょっとそのままでいいから出してください。
安田佳三
61
○
政府委員
(安田佳三君) ただいまの段階におきましては、
地熱
発電
は六カ所で十五万キロワット程度でございます。
岩動道行
62
○
岩動
道行君 いま十五万キロワットというと、表には五十二年度の実績で十五万キロワットとありますね。六十年度との間に、八年間に
地熱
発電
は全くふえないということになりますか。
安田佳三
63
○
政府委員
(安田佳三君) 長期
エネルギー需給
暫定見通しにおきましては十五万キロリットルになっておりますが、そのうち
地熱
発電
分が六カ所でおおむね十五万キロワットということでございます。最近そんなにふえてはおりません。
岩動道行
64
○
岩動
道行君 今度新
エネルギー総合開発機構
ができて、そこでは
地熱開発
については大変な力を入れようということになっておるわけでございますが、そしてまた新しく
地熱開発
に参加をしようという企業もふえてきていることは大変喜ばしいことだと思います。しかしながら、これもいろいろな問題があることは御案内のとおりであります。
開発
をする人と、そのでき上がった電力を使用するといいますか、供給する側との関係は必ずしもうまくいっているとは思いません。
立地
の問題もございましょう。そして、先ほど言ったようにせいぜい
地熱
発電
でいま最大のものが岩手県の葛根田の
地熱
発電
所でありますが、これが五万キロ程度です。今後、大きく見ても十万キロワット程度のものができれば上々ではないだろうか。そうなってまいりますると、これは先ほど申したように何百万キロワットというものがふえていかなければいけないということを考えますと、この
地熱
発電
に力を入れるなとは申しません、どんどんやって、そしてローカルな需要にこたえていく。あるいはその熱水を
利用
するとか、多目的な活用というものは当然やっていかなければなりませんが、電力の供給源として考えた場合には、これに余り
国民
の期待をかけさせるような、幻想を抱かせることは私は避けなければいけないのではないか、この点についての
政府
の十分な配慮が必要ではないだろうか。そしてまた、探査の方法等も、今後新しい技術を
導入
してやりますが、まだまだ日本の場合は未熟でございます。 かつて、私は日本の最初の
地熱
発電
所であった岩手県松川の
発電
所の
開発
に
協力
いたしたことがございます。そのときに、新
技術開発
事業団でしたか、そこから
融資
をしてもらう話を
科学技術庁
に持ち込んだのでありますが、当時は
地熱
発電
のそういう探査というものは何も新技術ではないのだ、銅山や金山を掘るのと同じことなんだろうから、そんなものは新技術ではないから金を出すわけにはいかない、こういうことでにべもなく断られた経験がございます。そこで、私はいろいろな技術者と話をいたしまして、とりあえず、イタリーであるとかニュージーランドであるとか、その他の
地熱
発電
をやっておるところにさらに研究にやらせて、そうしてこれはそのマグマにある熱源というものをどのようにして探して、どのようにしてこれを間断なく恒常的な熱源として
利用
できるのかということについては非常にいろいろな技術が必要である、研究も必要であるということで、ようやく新
技術開発
事業団の
資金
が出て、そうして松川の
地熱
発電
所ができ上がったという経過がございます。 そのようなことを考えてみまするならば、まだまだ日本で
地熱
発電
に対する認識も不十分であれば、また技術的にも未熟な点が多々あるわけでございます。これらについては今後新
機構
において十分な
対策
を講じていくことは期待できるわけでございまするが、かといって、これが日本の
エネルギー
を救う救世主であるというような考え方でいくならば、これもまた
国民
の考え方を誤らせてしまうものである。もっともっと大きな、大事な
エネルギー
というものの根源を
確保
しなければならないということで、私は、
地熱
発電
を進めることは結構でございまするが、それだけに
国民
の目を奪わせるようなことのないような配慮をしながら進めていただきたいということ、この点についても申し上げておきたい。 それから
石炭
でございますが、
石炭
につきましても、燃料用の一般炭というのが六十年度には二千二百万トン、六十五年度、十年先には五千三百五十万トンを予定いたしております。これだけの
石炭
を海外から持ってこなければいけないということになりますと、一体これの輸送の手段はどのように配慮されて十年後にはこのような数字が確実に実現されるのか。あるいは埠頭施設の問題、コールセンターの計画もあります。それの
予算
もつけられております。私どももそれには積極的にそのような国の対応策をお願いしてまいってきておりますが、果たしてそういう船の手当て、あるいは埠頭設備の問題、あるいは
石炭
輸出国における対応が十分にできているのかどうか、この辺についても非常に疑問がたくさん残っているのであります。そこで、この点については運輸省に伺っておきたいのですが、船舶の手当て、埠頭に対する設備計画等は現在どこまで具体的な計画をお持ちになってこの数字に合わせられるような対応策が講じられているのか、簡単にお答えいただきたい。
大塚秀夫
65
○
説明員
(大塚秀夫君) 船舶の手当てでございますが、いま外航海運の整備に関しましては、開銀
融資
を
中心
とする計画造船制度というものを対象に私ども整備に努めておるわけでございます。 現在、
石炭
につきましては、
石炭
専用船の他、鉱石と
石炭
を兼用で運ぶ船、あるいは一般のバルクキャリアといったもの、いろいろな船種の貨物船で運送しておりますが、今後とも
石炭
需要の増大に対しましては計画造船制度の
充実
強化ということで対処していきたいと考えております。
岩動道行
66
○
岩動
道行君 あたりまえの役人答弁だから承っておきます。それではとてもこの計画は実行できない、だから見通し程度になっているのだ、こういうふうに逆に解釈せざるを得ない。これは
政府
・与党の立場で私は考えているのじゃない。日本
国民
の立場で真剣に考えなければいけない。これは野党の
委員
の皆様方も私は同感だろうと思うのです。
政府
を責めるだけでなくて一体となってやらなければいけない。こんないいかげんな答弁でこれができると思いますか。問題だけを申し上げておきます。 それから「新
燃料油
、新
エネルギー
、その他」というところで、これは丸谷
委員
も指摘されたところでありますが、六十年度で
石油
換算五百二十万キロリットル程度、その程度の新
エネルギー
ができますよと。見通しがそのとおりになるならばまことに結構。しかし、これは非常に困難というよりも不可能とすら私は言わざるを得ない。ましてや六十五年度五・五%、こんなことは思い上がりというか、余りにもでたらめだと言いたい。
世界
的に見ましても、その点では非常に日本は過大な数字をここに盛っているのですよ。 ある権威ある外国の
調査
、見通しによりましても、一九九〇年、つまり
昭和
六十五年、これは共産圏を除いていますが、そのときの
世界
の
エネルギー
の供給予測が出ております。ひとつ参考として申し上げますと、
石油
が一九九〇年、大体そのときの
世界
の
エネルギー
の需要量はどれくらいかという予測がまず最初にあるわけでありますが、おおむね一億三千万バレル・パー・デー。それの内訳を予測いたしておるのが、一九九〇年、六十五年で
石油
が四五%、ガスが一八%、
石炭
が二〇%、
原子力
七%、
水力
その他八%、そうしていわゆる新
石油
、つまり新
エネルギー
、
石炭液化
であるとかタールサンドとかオイルシェールとか、そんなもの、それが二%です。二〇〇〇年に至って一体どうなっているのか。二〇〇〇年に至ってもこの新
エネルギー
の占める割合は四%です。しかも、それを供給し得る国はどこかと言えば、アメリカ、カナダ、ベネズエラ、ブラジル、その他、こうなっております。大きなところはアメリカ、カナダ、そういったようなところなんです。ですから、紀元二〇〇〇年のときでも四%程度しか国際的な権威のある
調査
機関では見ていない。これは正しいということは言えないかもしれないけれども、一つの参考の数字として私どもは注目してもいいと思うのです。そうしますと、四%のうちでその大部分がアメリカで――つまり、これは
石炭
の液化とかなんか、そういうことなんですよ。
石炭
の液化についても後で触れますけれども、これはほとんどアメリカとか、あるいは
石炭
のあるオーストラリアであるとか、あるいは近くで言えば中国であるとか、やがてはドイツも相当の
石炭
資源を持っていますから、そういうところがそういうものを分担してやることになるでしょう。日本は残念ながら
石炭
がないのですよ。あるとすれば、何千メートルも深いところへ入って掘らなければいけない。そこに働く人は少なくなって、どんどん減っている。炭鉱災害は絶対に今後起こしませんと言いながら次々と爆発事故で大きな被害を与えている。日本の場合には
石炭
に
重点
を置いてやっていきたい、あるものは活用したい。自前の
エネルギー資源
だから活用するのは当然であります。しかし、これも
国内炭
は二千万トンぐらいしかどんなにがんばっても供給できない、活用できない、そういう実態なんです。したがって、
石炭液化
の問題も日本は技術的にはある程度進んでいる。そして、それは国際
協力
によってやろうということで、アメリカにその点では
協力
をしている。アメリカでは先般新しいプラントをつくった。それには日本も参加してやっています。しかし、このアメリカの
石炭液化
の事業も一九九五年くらいにならなければ本当の生産が始まらないのです。日本が
石炭液化
、
石炭液化
といっていま騒いでいるけれども、果たしてこれが日本の
エネルギー
に直接役に立つ事態があり得るのか、あるいはよその国でつくったものをどうやって活用できるのか、そこら辺の考え方が
国民
にはわかっていない。
政府
ではわかっているかもしれない。
石炭液化
、
石炭液化
といって相当の金を出している。そういうところに、私は長期計画についての
国民
に対する幻想を与え過ぎはしないか。われわれ
国会
議員も
石炭液化
というのはなるほどいいことだなと思って大いにやれやれと言っているけれども、一体日本にとっては具体的にどういうふうにそれが国益につながり日本の
エネルギー
の供給につながりてくるのか、そこら辺が余りはっきりしていない。遠いところでつくった
石炭液化
の燃料がまた船で日本に運んでこられるということになったら、一体コストはどうなるのか。いろいろ問題がある。向こうでつくって、それで向こうの国で使ってくれれば、それだけその他の
エネルギー
は日本に輸出してくれる余力ができるから、そういう意味での間接的な利益はありますよということなら話はある程度わかる。直接
利用
するということになるとなかなか問題がある。それならば
石炭
を日本に持ってきてそれを液化するということになったら、一体どれだけの
石炭
が要るのか。私は技術者でもないからよくわからないけれども、日産五千バレル程度の
石炭
の液化燃料を得るために
石炭
はどれだけ要るのですか。
工業技術院長
はおわかりだろうと思うけれども、何か九百万トンぐらい要るという話も聞いているのです。たった五千バレルの
石油
換算のものをつくるために何百万トンもの
石炭
が要るということならば、これは大変なことです。そこら辺は、われわれ技術的にもよくわかっていないけれども、どうなんでしょう。それだけでも伺わしていただきたい。
石坂誠一
67
○
政府委員
(石坂誠一君) 手元にはっきりしたデータをいま持っておりませんけれども、いま五千バレルとおっしゃいましたけれども、五千バレル・パー・デーというのは大体八百トンぐらいの
石油
の量ですから、それの三倍ぐらいがかかるかと思います。――ただいま手元に
資料
が参りました。
石炭
処理量三万トン・パー・デーで液化油の生産量は大体十万バレル・パー・デーになります。
岩動道行
68
○
岩動
道行君 いまのはパー・デーでしょう。
石坂誠一
69
○
政府委員
(石坂誠一君) そうです。
岩動道行
70
○
岩動
道行君 それでは年間に直したらどうなりますか。
石坂誠一
71
○
政府委員
(石坂誠一君)
石炭
の処理量といたしまして年間一千万トンを超える量でございます。
岩動道行
72
○
岩動
道行君 ですから、わずかそれだけの液化燃料をとるために一千万トンの
石炭
が必要だ。これは一体現実性があると思いますか。私は水をかけるつもりはない。
石炭
のあるところではおやりになったらいいと思う。しかし、日本の場合を考えたときに、いま日本では
石炭
を掘って使うというのは二千万トンが精いっぱいなんでしょう。それだけの液化燃料をつくるために外国からどれだけ要ると思いますか。これは答弁要らぬ、もうわかり切ったことなので。 それほど非現実的なことがこの見通しの中に入っているのですよ。これでわれわれが安心して、
政府
の考え方でやれやれと言って、金を出してやって何だということになったら、
国民
に対して申しわけないと思う。税金の使い方を間違えているのじゃないかと思う。だから、国際
協力
は結構ですよ。それの見返りは一体どうやるのか。
石炭
を現実によそから買ってきて日本で液化をするなんといったらこれは大変なことだよ。
石炭
の火力
発電
をつくるだけでも、さっき言ったように
政府
側の
体制
はほとんどできていない。まして液化という問題を考えてみたならば、この狭い日本の国土でどうしてこれはやり切れますか。だから、そこら辺を誤りのないように
国民
にも
理解
をさせ、あなた方もわかっているとは思うけれども、わかっているけれども何かやっぱり新しいことをやらなければいけない、そして新
エネルギー
に力を入れなければいけない、それもわかる。わかるけれども限度というものがある。そこら辺は考えていただきたい。答弁は要らぬ。 そういうようなことで、この見通しについては
委員長
初め
委員
の皆様方もある程度具体的に御
理解
がいただけたと思いますが、もっともっと私は深く各項目について、批判をする、だめだだめだと言うだけでなくて、どうすればそれならばこの数字を実現できるのか、実現できないならば実現できるものにこれを訂正させていくという、そういう
努力
を、私はこの
委員
会でひとつ皆様方と一緒に検討して、日本の誤りなき
エネルギー
政策を確立する、
推進
していく、こういうことにお願いいたしたいと思うのでございます。 そこで、残ったのは
原子力
と
石油
の問題。何といっても紀元二〇〇〇年までは日本の
エネルギー
の
大宗
は
石油
であり、そしてあとは
原子力
以外にはない、その他のものは大きな
増加
を期待できない、こういう姿が私は浮き彫りにされてきたのではないかと思います。もっと議論すればもっとはっきりしますが、一応、時間もないから大ざっぱに申し上げますと、そういうことだろうと思います。 そこで、問題だけを提起したいと思いますが、
石油
の
輸入
については価格がどんどん上がってきております。そこで、これは一バレル当たり一ドル原油価格が上がった場合には、これはFOBでの一ドルでしょうから、CIF価格でどれだけになるのか。そして年間、一ドルで外貨支払いがどれだけ追加支払いとしていかなければいけないのか。そして最近の数字において、年間、原油並びに製品の
輸入
、さらにLNGを加えて総額で幾らの
輸入
を日本はしているのか。そしていまのように価格が仮に一ドル上がった場合には幾らの追加支払いが必要になってくるのか。それによって日本の貿易収支、経常収支、国際収支はどのように影響を受けるのか。過去一年で三百億ドルを超える外貨準備が二百億ドルそこそこに減ってしまっております。それは円安の原因もありましょうが、大部分は原油の価格高騰によるものであったと思います。 そこで、外貨準備がそのように減ったこと、これはいろいろな観点から外貨準備は考えなければなりませんが、果たして日本は、今後こういう高い油を従来どおりの
輸入
計画に基づいて支払いができるのかどうか、そこに不安なきや否や、この点をひとつこの機会に
政府
に伺っておきたい。 そしてまた、あわせて質問しますが、そのようなことから大体七カ年
経済
計画というものが逆に
エネルギー
の面から崩れてこないのかどうか。いまのところは何とか保っているけれども、今後、
経済
計画自体も
エネルギー
を
基本
としてつくられたと言っても過言でない中期計画でありまするから、そこら辺との関連について、時間もありませんから簡潔にひとつ……。
志賀学
73
○
政府委員
(志賀学君) それでは、私から、まず
石油
の価格がバレル当たり一ドル上がったときにどうなるか、そういった
石油
の関係の数字についてお答え申し上げます。 昨年の
わが国
の原油を含む
石油
の
輸入
量というのは大体五百四十万バレル・パー・デーでございます。これは年間に直しますと大体二十億バレルということになるわけでございます。したがいまして、これが一ドル上がりますと、
石油
の関係でおおむね二十億ドルの
増加
になるということでございます。 それからLNGの価格をどう見るかということはなかなか換算の関係でむずかしいわけでございますけれども、仮に熱量換算でスライドする、原油が一ドル上がったときに、それに熱量換算でスライドするというふうに考えますと、大体一・一億ドルの追加支払いということになるわけでございます。したがいまして、両方合わせますと、原油が一ドル上がることに伴いまして年間約二十一億ドルの追加支払いになるということでございます。 それから昨年の
石油
関係、それからLNGの
輸入
金額でございますけれども、
石油
の
輸入
金額は三百八十億ドル、LNGで約二十億ドル程度ということでございます。現在の
石油
のCIF価格は、本年の一月におきまして二十九ドル二十という程度でございますけれども、恐らく現段階におきましては三十ドルをやや上回る程度というふうに考えるわけでございますけれども、これを仮に三十ドルというふうに置きますと、
石油
関係で約六百億ドルの支払い。したがいまして、昨年の実績三百八十億ドルに比べますと約二百二十億ドルの追加増ということになるわけでございます。その場合にLNGの支払いがどうなるかということでございますけれども、これもやや目の子でございますけれども、恐らく
輸入
量を同じというふうに考えますと、追加支払いとしては大体十億ドル程度ではなかろうかというふうに思います。したがって、三十億ドル程度になるのではないかというふうに思います。
岩動道行
74
○
岩動
道行君 簡単にやってください。時間がないから数字だけでいい。
戸田博愛
75
○
政府委員
(戸田博愛君)
経済
企画庁でございますが、先生も御案内のように、新
経済
社会七カ年計画は、完全雇用の達成あるいは
国民生活
の
充実
を図るためにある程度の安定した
経済成長
を
確保
するという、そういう中身のものでございますが、ちょうど作成しております過程に
東京サミット
がございまして、日本の六十年度の
輸入
目標が六百三十万バレル・パー・デーから六百九十万バレル・パー・デーというふうに決められたわけでございます。当時作業をしております段階でわれわれは六百九十万バレル・パー・デーということを想定いたしておったわけでございますが、
東京サミット
の結果そういうことでございますので、
経済
審議
会の中で急遽特別の
委員
会をつくりまして、六百三十万バレル・パー・デーでも当初想定したような
経済成長
が可能かどうかという検討を行ったわけでございます。先生も先ほど御指摘のように、非常に困難な、非常にむずかしい問題ではございますけれども、官民挙げての
努力
があるならばそれは可能であろうというのが
経済
審議
会の専門家の先生方の結論だったわけで、そういうことで新
経済
社会七カ年計画ができたわけでございます。現在六百三十万バレル・パー・デーの
輸入
量が
努力
目標ということになっておりますので、現時点において
石油
情勢から計画を見直していかなければならぬ、あるいは改定しなければならぬという状況にはないというふうには判断しておりますが、先行きは非常に不透明でございますし、かつまた不確実な状況もございますので、十分そういう情勢の変化に対応して弾力的な計画の実施ということを考えていきたいというふうに考えている次第でございます。
大橋宗夫
76
○
説明員
(大橋宗夫君) 先生御指摘のように、
石油
価格の上昇によりまして
わが国
の国際収支が赤字を続けておることはそのとおりでございますが、このような赤字につきましては、そのまま外貨準備の減少につながるということではございませんで、
基本
的には
輸入
ユーザンスの
増加
、その他
民間
部門の借り入れ
増加
を通じてファイナンスされていくものというふうに考えております。
岩動道行
77
○
岩動
道行君 適当な場でないし、時間がないからその程度にしておきます。 時間もありませんので一方的な話になってしまいますが、
石油
の
確保
についてはいろいろむずかしい問題があるので、また大臣が見えたらお話をいたしますが、すでにクウェートは減産宣言をしてしまった。二五%減産。年間にすると恐らく一日当たり三十万バレルくらいの減産。このように
産油国
の原油生産に対するいろいろな考え方が大きくどんどん変わってきているわけで、いわゆる資源の温存、そして工業化の方も余り急速にはやらないといったようなそういうビヘービアが出てきている。そういう中でありまするから、
石油
の数量
確保
ということは価格の面と同様に非常にむずかしい事態になってきている。したがって資源外交を大いに展開しなければならない。この点については後ほど大臣が見えてから申し上げたいと思います。 そこで、
石油
は、何といっても、この見通しによっても十年先五〇%は必要である。とてもそれだけに抑えることができるかどうかも疑問である。したがって、新しい
エネルギー
といって血道を上げるのも大事だけれども、
石油
の
確保
ということについてはもっともっと
政府
は一体となり
国民
外交も展開していく。そのためには中東問題についても日本の
役割り
を十分に果たしていく、こういう姿勢が必要だろうと思うのであります。 さて、
石油
に次ぐ
エネルギー供給
源は
原子力
である。これはまた大臣が来たときに、通産大臣とあわせて伺いますから省略いたします。ただ、
原子力
エネルギー
というものは非常に大事なものであって、これは強力に進めなければいけない。大臣の先ほどの御答弁にもありました。
所信
にもありましたが、一生懸命これはやらなければいけない非常に大事な
エネルギー源
であるということを申し上げるだけにとどめておきます。 そして次に、具体的に積極的に
エネルギー源
を
確保
するということとあわせて節約ということが逆の意味において
エネルギー
を
確保
することにもなる。それで七%の節約、二千万キロリットル、これは大きいと思います。そのための
施策
、そしてさらに見通しでいくならば、七十年には一七%ぐらいを節約しよう、こういう考えのようですが、相当の
努力
をしなければならないし、これは民生用にも相当のウエートをかけなければならぬけれども、産業の分野においてはそれぞれが経営
努力
をやって成果を上げておりますが、さらにボイラーであるとかその他のいろいろな機器の
開発
改善、これに対しては
政府
はもっともっと助成をしながらやっていかなければいけない。住宅の問題あるいはビルの問題等もございますが、やはり大きいのは産業用である。その産業用に対しては熱効率を上げるためのいろいろな工夫が必要である。これに対しての
政府
の助成、これは
補助
金を出すということも考えられますが、税制上の特別措置というものはやはり考えなければいけない。五十五年度の
予算
編成に当たって、私どもは税制改正の面において、租税特別措置はいろいろな面においてその
対策
を講じて不要なものをできるだけ削ることにいたしましたが、
エネルギー
に関する部分は従来の減税、特別措置はこれを堅持する、あるいは新しい項目を加えるというような
対策
を講じてまいりましたが、今後とも私どもはこういうことについてはこの
委員
会においても十分に将来を考えたそういう財政上の助成措置というものを考えていかなければならない。このことを
政府
側にも申し上げておきたいと思います。 そしてまた、たとえば長距離のトラック輸送を鉄道輸送に切りかえる。いろいろむずかしい問題がありましょう。あるいは国鉄自体に受け入れの能力があるかどうかという問題もあるかもしらぬけれども、これらについても真剣に検討していただきたい。いま答弁をいただく時間がありませんから、また別の機会にそのような問題についても議論を展開させていただきたいと思います。 そして
最後
に、時間もありませんから終わりますが、
備蓄
の問題について申し上げておきたい。 現在、IEAの申し合わせによって九十日が一つの目安になっておりますが、日本の場合には、
国家備蓄
を入れて百十日から百二十日ぐらいのものがあるようでございますが、これをどう考えるのか。
政府
は西欧並みの
備蓄
で考えていきたいという考えのようでございまするが、西欧並みということはなるほど常識的にうなづけるような言葉ではございまするが、西欧並みということは日本には通用しないと思います。ヨーロッパの場合には
石油
供給基地が近いのです、アフリカであるとか。あるいはイギリスにおいてはみずから
石油
を持っており、さらに輸出国にもなろうとしておる。アメリカも近い。いろいろな意味においてヨーロッパと日本とは地政学的に大きな差異がございます。したがって、私は、日本の場合の
備蓄
ということは、東南アジア、インドネシアあるいは中国という近いところのものは十分に
確保
しなければならないけれども、やはり大部分を中東に依存している。そういう場合に
備蓄
は私はもっとふやさなければいけない。言うならば、私は百八十日、それぐらいのものを持って、いざというときにも三カ月や四カ月は混乱なしにしのいで、日本
国民
の
経済
、
国民生活
を混乱に陥れないでやっていく。それだけの準備を私は日本としてはやらなければいけない、かように考えておるわけであります。 そしてまた、その
備蓄
の中にはユーザー
備蓄
ということもぜひ積極的に取り入れていただきたい。いろいろな利害関係があるようでありまするが、それらを乗り越えて国家的な課題としてこの問題にも取り組んでいただきたい。大きな電力会社、鉄鋼会社等は相当の土地を持っているから、新しく
石油
基地をつくるよりははるかに企業内の土地において
備蓄
の可能性が出てくる。トラブルなしに行い得る、そういう利点もございまするから、ぜひユーザー
備蓄
ということも考えていただきたい。 さらにまた、灯油等の民生用の油については、自治体
備蓄
というようなことも検討に値するのではないか、かようにも考えておりますので、これらの点についても
政府
において十分にお考えいただきたい。 まだいろいろ、
エネルギー
問題でありまするから申し上げたい点は多々ございまするが、とりあえず、きょうは総括論として以上で終わらせていただきます。
中尾辰義
78
○中尾辰義君 私は、三十分しかありませんので、主として電力問題につきましてお伺いしたいと思います。 その前に、いま御質問がございました長期
エネルギー需給
暫定見通しにつきましては、全く私も同感でございまして、
政府
の答弁を聞いておりますと、まさしくこれは
昭和
六十五年の
石油
依存率を五〇%に引き下げることを
内容
として、しかも
東京サミット
で
わが国
の
石油
輸入
量を抑えられたために無理してつくったような見通しの案じゃないか、こういうふうに思うのですが、そういうことを
政府
に答弁せよと言っても無理でございますので、大体そういうところで
理解
しておきますが、電力に関係のある
石油
の問題だけ一点お伺いしておきますが、これは見通しですけれども、
輸入
石油
は、五十二年度は三億七百万キロリットル、六十年度は三億六千六百万キロリットル、六十五年度、七十年度はそれぞれ三億六千六百万キロリットルになっておりますが、この見通しは
イラン政変
の前につくった、こういう答弁でしたが、現実にいまの時点で考えられて、しかもことしの
輸入
目標が大体二億八千万キロリットル、こういうようなことから考えてどうお考えか、その辺をまずお伺いしたいと思います。
志賀学
79
○
政府委員
(志賀学君) この暫定見通しに書いてございます六十年度以降の三億六千六百万キロリットルと申しますのは、
東京サミット
で合意ができました一九八五年の
輸入
目標六百三十万バレル・パー・デー、これを年間に引き直した数字でございます。先生おっしゃいますように、この三億六千六百万キロリットルが
確保
できるかということは、非常に今後の
世界
の原油の生産状況を考えます場合に、
確保
いたしますために相当な
努力
が要るというふうに存じております。そのために、私どもといたしましては、
産油国
との
経済
協力
関係を含めまして、外交関係を密接化していくとか、あるいは現在八割近くを中近東に依存しておるわけでございますけれども、これをアジア地域を
中心
といたしまして、供給先の分散化を図っていくとか、あるいはメジャーからの供給が落ちてきておりますけれども、そういう点につきましてDDあるいはGGといった面での
拡大
を図っていく。さらには自主
開発
原油の
拡大
というものに
努力
していく。非常にいろいろな多方面におきます
努力
が必要であるというふう思っております。 ただ、一九八〇年、ことしでございますけれども、IEAにおきまして、一九八〇年、それから八五年、九〇年、こういった各年につきまして
石油
の供給見通しというものをやっております。ことしにつきまして申しますと、IEAの見通しでは五千百三十万バレル・パー・デーという数字を一応の供給見通しとして出しておりますけれども、これに対しまして、日本の
輸入
量といたしましては、これは一九八〇年の
輸入
のシーリングということで五百四十万バレル・パー・デー、これが日本の
輸入
量というふうに承知しておりますけれども、これのシェアが大体一〇%強でございます。これに対しまして、一九八五年につきましては、IEAの供給量の見通しというのが五千八百六十万バレル・パー・デーということになっておりまして、その場合に、日本の
輸入
目標といたしまして六百三十万バレル・パー・デーというのがございます。これも大体一〇%程度ということで、そういう単純なシェアでもって議論するというのはややいかがかというふうに思いますけれども、そういう面では一応
努力
次第では
確保
できるというふうに私どもとしては考えております。
中尾辰義
80
○中尾辰義君 それじゃ、電力の値上げの問題につきましてお伺いしたいと思うのですが、まず、時間がないので要点をちょっとお伺いしたいと思います。 関西電力の料金の値上げ申請、これが五九・八%、これは電力八社の平均が六四・四でありますから、かなり下回っておるわけです。これは御存じのように、
原子力
への依存度が高いからと考えられるわけですが、火力燃料について見れば、平均消費価格は、原油の場合をとると一キロリットルが七万千二百八十六円、一バレル当たり四十七ドル、こういう数字になっておりまして、八社の中で最も高くなっておるわけですが、どういうわけで関電の方は高い
石油
を買うことになっているのか。その辺いかがでしょう。
安田佳三
81
○
政府委員
(安田佳三君) 原油の消費価格につきましては、
産油国
のFOB価格、そのほかにフレート、保険、
国内
諸経費などによって構成されているわけでございますが、FOB価格につきましては、これは各社によって先行きどのくらいの値段になるだろうかという見通しが若干違っておるようでございます。また原油そのものにつきましても、その原油の品質によりまして、たとえば硫黄分の高い低い等の品質によりまして格差がございます。また輸送費につきましても地域差がございますので、そういうことで各社の申請消費単価というものは差異が生じているように思われます。関西電力の消費価格が一番高くなっているというふうになっておりますのは以上のような要因によると考えられますけれども、ただ、関西電力にありましては、原油FOB価格の先行きの見通しにつきまして他社より相当上昇するという上昇幅、これを高く見積もっているというような事情によるものではないかというふうに考えております。
中尾辰義
82
○中尾辰義君 そうしますと、バレル単価が各社がばらばらになっているのは、各社ごとに今後の
石油
の値上がりがどういうふうになるのか、その見通し自体もちぐはぐである、こういうふうに
理解
していいのですか。
安田佳三
83
○
政府委員
(安田佳三君) この申請は、各社がそれぞれ自社の立場から使用する油の種類その他の状況を勘案いたしまして先行きの見通しを立てたものでございますので、必ずしも同一の予想とはなっておりません。
中尾辰義
84
○中尾辰義君 そうしますと、最近の原油の
輸入
価格ですが、CIF価格で一バレル三十ドル程度、こういうように聞いておるわけですが、今後
石油
の
輸入
価格はどういうような推移をたどっていくだろうか、
政府
のその辺の見通し、これはむずかしい点ですが、いかがですか。また、この席上で、電力の料金にも関係もあるのであるいは答弁しにくい点もあろうかと思いますが、参考までにお伺いしておきます。
志賀学
85
○
政府委員
(志賀学君) お答え申し上げます。 昨年の十二月のOPEC総会の前後から、御案内のように各
産油国
におきましてGSPの値上げが相次いでおるわけでございます。現在のそういった公式販売価格などを織り込んで考えますと、恐らく現時点におきまして大体CIF、バレル当たり三十ドルを若干超える程度ではないかというように考えられるわけでございます。これがことしどうなるかということは、先生もおっしゃいましたようにはなはだむずかしい問題でございます。ただ、IEAの見通しによりますと、一九八〇年の
世界
の
石油
の需給につきましては、若干供給が需要をオーバーしておるということで、一応ことしの
世界
的な
石油
需給というのはバランスを保つであろうという見通しがございます。そういうことなどを考えますと、非常にむずかしい問題でございますけれども、ことしの
石油
の価格につきましては少なくとも昨年のような値上がりというものはないだろうというふうに考えております。
中尾辰義
86
○中尾辰義君 そうしますと、この原油の価格の査定に当たりましては、査定時にすでに確定している値上げ分については積算に入れるが、これから先の未確定の将来の値上げの見通しにつきましては料金算定に入れることを認めないというふうに聞いておりますが、通産省の見解はいかがですか。
安田佳三
87
○
政府委員
(安田佳三君) 今月一日に認可いたしました北海道電力の燃料費の査定に当たりましては、査定時点において判然といたしております価格をベースといたしまして、その後の
石油
の値上がりはないであろうという想定のもとに認可をいたしたところでございます。 現在申請が出ております電力八社の燃料費につきましては、今後査定の時期までにその後の油の状況等につきまして十分検討の上定めてまいりたいというふうに考えております。
中尾辰義
88
○中尾辰義君 そうしますと、いま関電の油の購入価格が一番高いじゃないかと私は言ったのですが、これなんか多少ちぐはぐになっておりますけれども、先高の見通しも入っておるわけですから、当然それはかなり削られる、こういうふうに
理解
してよろしいですか。
安田佳三
89
○
政府委員
(安田佳三君) 現在時点におきます将来の燃料の価格の見通しについては、ただいま
石油
部長が答弁したとおりでございますが、この電力八社の、特に関西電力等の燃料費の見方につきましては、そういう見方も含めまして査定時点まで検討いたしたいというふうに考えております。
中尾辰義
90
○中尾辰義君 次に、関西電力は重油の価格、五十五年度購入につきましては一キロリットルが七万一千六百七十五円を計上しておるわけですが、現在の重油の価格、これは
石油
製品相場の新聞もありますけれども、これを見ましてもかなり安いようですね。一キロが四万六千円というのもあるわけです、これはハイサルC重油ですけれども。もちろんローサルの方は若干高いでしょうけれども。こういう相場から見ましてもかなり高く計算をしてあるように思うのですが、その辺いかがですか。
安田佳三
91
○
政府委員
(安田佳三君) 重油価格につきましても、その重油を製造するもととなります
石油
につきましていろいろな値段の見通しの問題があろうかと思います。したがいまして、この申請値につきましては、原油の価格と同様な観点から精査いたしてまいりたいというふうに考えております。
中尾辰義
92
○中尾辰義君 いま重油は元売り渡しで一キロどのくらいしていますか。あるいは卸、小売でどのくらいになっていますか。
志賀学
93
○
政府委員
(志賀学君) ちょっといま手元に
資料
がございませんので、はなはだ申しわけございませんが……。
中尾辰義
94
○中尾辰義君 それじゃ、後で
資料
を出してください。
志賀学
95
○
政府委員
(志賀学君) はい。
中尾辰義
96
○中尾辰義君 次に、減価償却費の件につきましてお伺いしますけれども、中国電力と関西電力、まず、この二つを例にとりまして、定額法から定率法へ改めよう、こういうふうな申請ですけれども、すべての設備につきまして定額法で算定をした場合には幾らぐらいになるか、定率法にした場合には幾らになるか、五十五年度の場合です。両者の計算による差は幾らぐらいになるのか。その辺、具体的にひとつ
説明
してください。
安田佳三
97
○
政府委員
(安田佳三君) 関西電力につきましては、全部定率にいたしますと二千四十億円の償却費がかかるということでございます。これが定額でございますと千三百八十四億円でございまして、その定率、定額の差額は六百五十六億円になります。 中国電力の場合におきましては、全部定率の場合におきましては六百九十八億円、定額の場合は四百二十五億円でございますので、その定率、定額の両者間の差額は二百七十三億円ということになります。
中尾辰義
98
○中尾辰義君 ただいま数字をお伺いしたわけですが、かなりの差額があるわけです。その差額だけでも、定額法にすれば原価がかなり安くなるわけですが、通産省はどうお考えになっているか、その辺のところを伺いたい。これは、こういう物価高のときにあえて定率に切りかえる必要はないのじゃないか、こういうふうに考えるのですが。
安田佳三
99
○
政府委員
(安田佳三君) この償却方法につきましては、昨年三月に、電気事業
審議
会の料金制度部会におきまして各電力会社の実質的な償却不足をながめますときに定率償却を
導入
すべきであるという答申をいただいております。ただ、その
審議
会におきましても、定率制を一挙に
導入
いたしますと料金面における影響がきわめて大きいということを考慮いたしまして、段階的に
導入
したらどうかという中間報告をいただいているところでございます。しかしながら、この定率制の
導入
につきましては各方面からいろんな御意見をいただいておるところでございます。そういう御意見も含めながら、これはどういうふうに取り扱っていくかということを今後慎重に検討させていただきたいというふうに考えております。
中尾辰義
100
○中尾辰義君 あなたには答弁できないでしょう。また、後で大臣にお伺いします。 それから次に、電力会社の事業報酬、これは有効資産の八%というふうになっておるわけであります。この中には株式の配当もございますし、支払い利息、こういうものにも充てられておるわけですが、これは有効資産の八%でありますから、有効資産のとり方によってこの八%が多くもなれば少なくもなる、こういう
勘定
になるわけですが、そこで電力会社は、資産の
建設
中の
発電
所――まだ稼働をしていないのですよ、これは。いま
建設
の最中にあるものあるいは稼働してない設備についてもその二分の一を有効資産に算定しておる。こういうふうになっておりますが、これなんかは当然、稼働していない施設ですから事業報酬の資産の対象から外すべきじゃないかと思うのですが、いかがですか。
安田佳三
101
○
政府委員
(安田佳三君)
建設
中で使われていない資産を事業報酬の対象とすることにつきましては、これらの資産は需要に見合って
建設
されているものでございまして、将来の供給力といたしまして電気の
安定供給
の
確保
に不可欠のものでございます。したがいまして、これにつきましては事業報酬の対象とすることが妥当だというふうに考えているところでございます。ただし、
建設
中資産の査定に当たりましては、それが本当に真実かつ有効な資産であるかどうかという点につきましては、特別監査を行うとか、その他各方面から十分に精査いたしまして、厳正かつ慎重に審査してまいりたいというふうに考えております。
中尾辰義
102
○中尾辰義君 理屈になるかしれませんけれども、今度の申請はこれから向こう一年間の分でしょう。一年の間にこれはできないですよ。先あと何年かかるかね。先は先のことで、一年分の値上げ申請でありますから、当然、私はこういうものは事業報酬の資産の対象から外すべきだと思うのですが、いかがですか。
安田佳三
103
○
政府委員
(安田佳三君) やはり電力会社といたしましては、電気の
安定供給
の責任を持っております関係上、将来の需要に対して現在時点においても手当てをすることが必須でございます。そういう観点から、やはり現在時点において使われていない資産でありましても事業報酬の対象とすることが妥当だと考えておりますが、ただ通常の、すでにでき上がっている資産と違いまして、先生御指摘のように現在稼働しておりません。したがいまして、その点を勘案いたしまして、
建設
中の資産につきましては、その半分を事業報酬の対象とするということで取り扱っているところでございます。
中尾辰義
104
○中尾辰義君 次に、電力会社の株式配当、これも問題になっておるのですが、一〇%計上しておるわけでありますが、これなんかも八%程度でいいのじゃないか、こういう議論もあるのですが、これを仮に二%減らした場合にどのぐらい原価が安くなるのか、法人税はどうなるのか、その辺はわかりませんか。また八%という議論に対して通産省はどういうふうなお考えを持っていらっしゃいますか。
安田佳三
105
○
政府委員
(安田佳三君) 配当率を現在出ております一〇%から八%にした場合どの程度下がるかという点につきましては、計算をした結果を手元に持っておりませんので、これにつきましては、後ほど先生に何%になるかを御連絡させていただきたいと思います。 それから一〇%でなくて配当率を下げたらどうかというような御意見につきましては、電気事業者はやはり電気の
安定供給
の責任を負っております関係上、どうしてもその資産を
建設
する必要がございます。さらに、電気事業は非常に資産をたくさん持っている業種でございます。そういうことを考えますと、やはりその設備を
増強
するための投資をいたさなければなりませんし、その投資を行うための
資金
を
確保
する必要があるわけでございます。そして、その
資金
は、現在最も大きなものといたしまして社債に頼っておるわけでございますが、その社債を発行することのためにはやはり増資する必要があるというふうな関係がございます。そういうことを考えますとき、やはり電力会社が増資を行うことを可能にするためにはやはり一〇%以上の配当を行うことが必要ではないだろうかというふうに考えられますので、一般的に申しますと、特段の事情がない限り一〇%とすることが妥当ではないだろうかというふうに考えております。
中尾辰義
106
○中尾辰義君 電力会社にかかわった御意見のようですが、この際、今度の電力料金約六割の値上げは相当物価に響くわけでありますし、四十八年の狂乱物価の再来ということがあってはならぬ。そうなりますと財政再建もこれはむずかしいわけでありますので、当然こういう問題も、ただ増資がしにくい、それは多少あるでしょうけれども、痛み分けというような点で消費者の方も電力会社の方もお互いに、これは悪性インフレ等になると困るわけですから、その辺のところを考慮して、この際にこういうような大幅な値上げは私は相当削るべきだと思います。これも大臣に聞きませんと、あなたやりにくいでしょう。
最後
に、経企庁は見えていますか。――せっかくおいでになったのですから一、二問。 今度の電力の値上げ申請は六四%程度ですが、これが幾らになるかわかりませんけれども、物価
対策
上どういう方針で臨むのか。また、これが実現した場合に、値上、の率が六四%になった場合にどの程度物価指数を押し上げるのか、その辺をお伺いして終わります。
藤井直樹
107
○
政府委員
(藤井直樹君) 電力料金につきましては、私どもの立場は通産省から協議を受けてこれに対する最終的な処理をしていくということになるわけでございますが、その過程では物価安定政策
会議
の御意見も伺いながら、そして物価、
国民生活
への影響も十分考えて厳正に取り扱っていきたいと思っております。 それで、この電気料金値上げの影響でございますが、そういう現在審査段階のものでございますので、私どもとしては、仮に電気料金が一〇%上がった場合にどのくらい消費者物価へ影響するかという数字でお答えさせていただきたいのでございますが、〇・一八%になります。電気料金が一〇%上がった場合の消費者物価への影響は〇・一八%ということになっております。
中尾辰義
108
○中尾辰義君 〇・一八。
藤井直樹
109
○
政府委員
(藤井直樹君) はい。 それから全体の消費者物価の見通しとの関連でございますが、私どもとしては五十五年度に六・四%という見通しを立てているわけでございます。こういう消費者物価の見通しを達成するためにも、そういうことが十分実現できるような形で電気料金の方の処理もいたしてまいりたいと思っております。
中尾辰義
110
○中尾辰義君 予定どおり上がったらどのくらい上がりますか。
藤井直樹
111
○
政府委員
(藤井直樹君) 申請ベースによります数字につきまして出しますと、消費者物価に対する影響は〇・九%です。
中尾辰義
112
○中尾辰義君 約一%。結構です。終わります。
市川正一
113
○市川正一君 私は、両大臣、特に通産大臣の
所信表明
に即して
エネルギー
政策の
基本
点、そのあり方について質問を準備いたしたのでありますが、遺憾ながら通産大臣への質問時間がこの後に、しかもごく短時間ということに相なりましたので、急遽論点を変えて具体的な事実を素材としながら質問を進めたいと考えるものであります。
政府
は、昨年八月、長期
エネルギー需給
暫定見通しを、先ほど与党の
岩動
委員
からも問題提起がございましたが、発表いたしました。私はこれについて、従来の実績を見ると、その計画のずさんさあるいは見通しの甘さ、こういうために
エネルギー
政策において効率的でない投資、いわば多大な浪費というものが招かれている例が決して少なくない。 その一例でありますが、たとえば
電源
開発
株式会社が東京電力の
電源
として進めておりました新潟県の奥清津揚水
発電
所の場合、百万キロワットの規模で
建設
が開始されましたが、東電の需給計画が変更されたために、
発電
機が一号機から四号機まで完成しているのに実際に動いているのは一号機と二号機だけ、三号機と四号機は五十二年に完成して以降今日まで、さらに再来年の五十七年まで未使用のまま放置されているという事態を招いております。その結果約三百四十億円の投資が寝たままになり、そしてそのツケが結局電力料金にはね返ってきているということになっているわけでありますが、会計検査院にお伺いしたい。こうしたことは会計検査院の立場から見て好ましいことと言えるのかどうか、まずお伺いしたいと思います。
竹尾勉
114
○
説明員
(竹尾勉君) 御指摘の三、四号機が未使用のままの状態でこのまま推移いたしまするとメンテナンスや保守管理の費用並びに金利もかさむこととなりまして、またもともと投資効果が発現していない事態でございますので、本院といたしましては、関係者がこのような事態を早急に解消するための
努力
を重ねまして投資効果を速やかに発現するよう注意いたしております次第でございます。 以上でございます。
市川正一
115
○市川正一君 続けてお伺いしますが、さらに問題なのは、いま会計検査院の方からも指摘されたような事態、そして運転が開始されていないというだけでなしに、三号、四号機を保管するという名目で全く必要のない仮囲い、これを
電源
開発
がつくっておる。まさに二重の浪費むだ遣いであります。ここに私はその写真も持ってまいりました。これであります。(写真を示す)ここに明白なように、これは仮囲いといいましても鉄骨で組まれたりっぱなものなんです。そして何ら常識的に言っても必要でないものなんです。そういうものがつくられている。一体これはどういうものなんですか。会計検査院に重ねて伺いますが、こういう仮囲いをつくったことによってどれだけいわば工事費がむだになったのか、お伺いしたいと思います。
竹尾勉
116
○
説明員
(竹尾勉君) 本件の工事につきましては二千百万ほどかけておるわけでございますが、もともと
発電
機は
発電
所本館内に設置されておりまして仮囲いを行う事由は見当たりませんし、また主要変圧器はもともと屋外に設置する構造となっているものでございますので、現に並列設置されて運転中の一、二号機の主要変圧器には囲いがないことから見ても保安上特別に仮囲いを行う必要はないと認められまして、不当事項として指摘したわけでございます。
市川正一
117
○市川正一君 まさにそうだと思います。ですから、私が全く不可解に思うのは、こういう不必要なものが、いわば電発と言えば
発電
所のプロであります。それがこういうことをあえてやっているというのは、なぜそういうことをやるのか重大な疑惑を私は持たざるを得ぬのでありますが、この点については会計検査院はどうお考えになっておられるのか、重ねてお伺いしたい。
竹尾勉
118
○
説明員
(竹尾勉君) 私どもも
電源
開発
がこのようなむだな仮囲いをした意図につきましてはなかなか承知しかねますのでありますが、あるいは目隠しをしたというふうな考え方もございますので、まこと不
経済
な事態を生じたということで不当事項として御報告申し上げた次第でございます。
市川正一
119
○市川正一君 私は、不
経済
ということにとどまらずに、まさに常識外れのこと、そして大いに疑惑を持たざるを得ぬのでありますが、私はメーカーの口車に乗せられたのだというようなことも責任ある関係者から聞いております。さらに言うならば、メーカーの接待などを受けていたのではないかという疑惑さえ持たれるのであります。 そこで、私は通産省にお伺いしたいのでありますが、この問題について通産省としては御承知なのか、またどういう措置をとられたのか、お伺いしたい。
安田佳三
120
○
政府委員
(安田佳三君) 会計検査院からの指摘をいただきまして、これは大変私どもとして申しわけないことと思っております。ただ、本件工事を
電源
開発
株式会社が施工いたしましたのは、まだ使っておりません機械であります三、四号機の保管
対策
という観点から、また作業の安全とかあるいは運転中機器との区分とか、そういう観点でやったものというふうに考えるところでございますが、確かに必要欠くべからざるものと認められないものをいたしましたのは大変遺憾でございまして、今後そういうことのないように
電源
開発
株式会社に対しては厳重に注意をいたしたところでございます。
市川正一
121
○市川正一君 私は、いま電力料金の値上げ問題が大きく
国民
的な関心の的になっている、そしていわばその原価の問題やいろいろの点で
国民
が注目している、そういうときにこの問題をあいまいにしておくことはできぬと思うのです。なぜこういうばかげた工事をすることに相なったのか。私は、いま通産省のお答えがありましたけれども、突っ込んだ、いわばメーカーの接待の有無も含めて改めて
調査
して、その報告を提出されるように求めたいのであります。
委員長
、御確認をお願いします。
安田佳三
122
○
政府委員
(安田佳三君) 検査院の御指摘をいただきまして私どもといたしましても調べたわけでございますが、保安上の観点とか、そういうものを重視する余り過剰と思われる投資をしたという、そういう
調査
結果でございます。
市川正一
123
○市川正一君 私はそういう疑問を提起しているわけですから、ひとつお調べ願って聞かせていただきたい。いいですね。疑問を出しているわけですから、もう一度調べていただきたい。
安田佳三
124
○
政府委員
(安田佳三君) 市川先生の御指摘でございますので、そういう事実の有無については
調査
いたします。
市川正一
125
○市川正一君 私があえてこの問題を出したのは、結局いろいろの見通しという問題、これは先ほど与党の
岩動
委員
からも問題の指摘と提起がありました。私は、そういう点について本来ならば大臣を含めて私の立場からもいろいろ伺いたいのでありますが、しかし、いま指摘したようなことが随所に起こる点では、この中間報告なるもの、これについてやはり正確な見通しというものを提起されるべきだということに相なるのでありますが、これは後にいたしまして、これによって見ましても
エネルギー供給
の約五割を
石油
が占める。けさほどの通産大臣の
所信表明
でも「
エネルギー供給
の
大宗
を占める」というふうにおっしゃっています。そこで、私は、
石油
を自主的にかつ安定的に供給を
確保
する上で
わが国
の
輸入
石油
の半分前後を占めているメジャーに対してどういう態度をとるのか。すなわち、メジャーの言いなりになるのか、それとも国際的に認められている基準にのっとって自主的な立場に立つのか、この問題がいまも問われているし、これから一層問われていく、そう考えるのであります。 その一つが、私はメジャーの不当な供給カットの問題だと思うのです。メジャーは御承知のように、
産油国
からの原油の入手量が減っても、母国であるアメリカには他国の分をカットしてでも供給いたしております。この点では、たとえば大堀共同
石油
社長も米系メジャーは米国への優先的な原油供給を行っているというふうに指摘しておりますが、一方、
わが国
に対してはいわゆる民族系各社に供給拒否を通告するなど、
産油国
におけるカットよりも厳しいカットを押しつけている。このために
石油
製品の品不足と価格の高騰で
国民生活
に大きな困難をもたらしていることは改めて多言を要しません。そこで、通産省はこのようなメジャーの一方的な供給カットを妥当なものとして考えておられるのか、まず伺いたい。
志賀学
126
○
政府委員
(志賀学君) お答え申し上げます。 メジャーの
世界
におきます取扱原油量、これは一九七四年以降逐年落ちてきておりまして、当時は
世界
の七〇%弱を取り扱っていたというふうに承知しておりますが、七八年になりますとそれが五〇%程度に落ちてまいっております。そういったような状況を反映いたしまして、
わが国
の原油
輸入
に占めますメジャーのウエートというのは逐年落ちてまいっております。四十九年当時は七割程度がメジャーから
輸入
されておったということでございますけれども、昨年の十-十二月期におきましては五〇%程度ということで、特に十二月におきましては五〇%を割ったというような状況でございます。特に
イラン
の政変以来メジャーの原油取扱量の減少というのが急激のようでございまして、それに伴って、先生御指摘のような
わが国
の
石油
企業に対する供給の削減ないし供給の打ち切りというようなことが起こっているわけでございます。私どもといたしましては、メジャーに対しましては、できるだけ安定した供給というものを続けてもらいたいということで、こういった供給削減等の話が起こりましたときには、その理由あるいは背景といったようなものをよく
説明
を求めまして、できるだけ
わが国
に対する
安定供給
というものを続けてもらうように、そういう要請をしているところでございます。
市川正一
127
○市川正一君 私がお聞きしたのは、妥当と思うのかどうかということなんですが、いまおっしゃった答弁からうかがい知るところは、いわば妥当とは言えないという立場でお答えになっているというふうに
理解
するのですが、時間がないので具体論として進めたいのですが、これは
わが国
の
石油
連盟の
資料
に基づいてみましても、七大メジャーの原油入手量を見ると、一昨年の十四億二千二百万キロリットルから昨年の十三億六千五百万キロリットル、わずか四%しか減っていないのですね。にもかかわらず、
わが国
に対しては一三%カットになっている。いわば三倍以上のカット率ということに相なっているわけであります。言いかえれば、七大メジャーが昨年入手減少分の四〇%以上を
わが国
に追しつけてきている。だから、きょう私はここに、これは日刊
燃料油
脂新聞、きょうの新聞です。ここでアジア
石油
の長谷川会長が、アメリカ
政府
に対してメジャーが日本に原油を供給するよう指導する義務があることを日本
政府
として指摘してほしいということを総理に進言するということをあえて言っているのですね。私はこのこと一つをとってみても、これはまさに
国民
的な意思、
国民
的な合意と言っていいと私はあえて言いたいのでありますが、しかも、私は、この量の問題だけでなしに、メジャーが今日ダミーを使って、そしてスポット市場に介入して価格操作を行って不当な利益を上げていることはもはや
世界
の常識であります。こういう悪質なやり方でメジャーは昨年史上空前の利益を上げている。 ここに私は読売新聞のコピーを持ってまいりましたが、一月二十六日、「米系メジャー空前の荒稼ぎ」と言っています。朝日新聞は「空前の大もうけ」だ、こう言っているわけですね。しかも、この利益は海外で上げた、日欧、日本から、ヨーロッパから上げたと言っている。これはエクソンの例でありますけれども、エクソンは年間利益のうちアメリカの
国内
からの分は前年度比横ばいだ。にもかかわらず海外からの利益は六三%もふえた。また、モービルは利益の八五%は海外からだと言っている。
わが国
も当然このぼろもうけの対象になっているわけでありますが、通産省はこういう不当なもうけに対してメスを入れる必要があると思うのですが、どのように分析されておられるのか、お伺いしたい。
志賀学
128
○
政府委員
(志賀学君) 先生いま御指摘のように、エクソンその他米系のメジャーが昨年におきまして非常に大幅な利益を上げたということは承知しております。このメジャーの大幅な増益の問題につきまして、私どもの立場として特にコメントするのはなかなかむずかしいわけでございますけれども、いずれにいたしましても、先ほども申し上げましたように、メジャーに対しては、これはメジャーの本部の人あるいは東京にいるメジャーの人たちに私どもとしてもよく会う機会がございます。そういった機会をとらえまして、私どもとしては従来から価格の問題を含めて安定的な供給を行うように要請してまいっているところでございます。ただ、私どもの承知しているところでは、メジャーの
わが国
に対する原油の供給の価格については、GSPをベースにした合理的な価格というふうに承知しております。
市川正一
129
○市川正一君 私、通産省からいただいた
資料
を基礎にしていろいろ試算をしてみたのでありますが、七大メジャーが昨年一年間に少なくともその原油を軸にしていわばもうけた利益というのは三千七百八十八億。これは非常に少な目に見た額でありますが、しかも、それに加えて、去る五日の衆議院の
予算
委員
会でわが党
委員
が指摘いたしましたが、
わが国
の
石油
会社がその上にさらに上乗せして、一年間でいわば四千八百五十六億円の便乗値上げを行っている。つまり日本の
国民
は、往復びんたをいかれているのですよ。一年間だけで、メジャー、そして他方では
わが国
の
石油
会社から少なく見積もっても八千六百四十四億円の二重のいわばしぼり上げを受けている。ですから、アメリカでもこういうメジャーの荒かせぎに対して問題になって、賃金物価安定
審議
会、御承知だと思いますが、これが主要
石油
会社二十社の利益データを抜き打ち
調査
しているというふうに報道されております。私は日本
政府
としてもこういう点で少なくとも実態をやっぱり調べるべきである。 お伺いしますが、大平総理は一月二十九日の衆議院の本
会議
でわが党の村上弘議員の質問に答えて、メジャーに対し「安定的な供給
確保
をするよう適時機会をとらえて要請し続けておる」、また、OECDの多国籍企業行動指針の遵守方を指導している、こう答弁されておりますが、通産省はこの答弁を御存じでしょうね。確認いたしたい。
志賀学
130
○
政府委員
(志賀学君) 一月二十九日の衆議院本
会議
での大平総理の答弁は承知しております。
市川正一
131
○市川正一君 ここにもあります。だとすれば、この大平総理の答弁のように、先ほどメジャーにいろいろ要請をしているというふうにおっしゃた。その中身を私ははっきりさせたいのですが、大平総理の答弁では、多国籍企業の行動基準を遵守させるということを言っておられる。多国籍企業の行動基準、ここにありますが、どんなことを言っているか。時間がありませんから私の方から指摘いたしますが、たとえば企業全体の
資金
の源泉及び
使途
の計算書、また企業構成体間の価格設定に関する方針などの情報公開を明記しております。あるいは不当な取引拒否、差別的な価格設定などの行為を慎むこと、これをやっぱり言っているのですよ。こういう視点、こういう角度から積極的にメジャーに要求してこそ、私は、
国民
の期待にこたえる、また、大平総理の
国会
での確約を
政府
としても責任を持って遂行するゆえんだと思うのですが、その点について責任ある御答弁を伺いたいと思う。
志賀学
132
○
政府委員
(志賀学君) 一九七六年の六月にOECDが多国籍企業に関する宣言ということで行動指針を採択したわけでございます。その後、私どもといたしましては、メジャーを含めまして多国籍企業に対して、こういう行動指針が採択されたということをよく周知徹底するように努めてまいっております。ただ、御案内のように、この行動指針と申しますのは、その遵守については自発的に守ってもらう、法的な強制を加えるものではないということが、これまたやはり宣言の中に書いてあるわけでございますけれども、いずれにいたしましても、私どもとしては、こういう行動指針につきまして、各メジャーを含む多国籍企業に対しまして、その周知徹底というものに従来も努めてまいりましたし、今後も努めてまいりたいというふうに思っております。
市川正一
133
○市川正一君
最後
です。 私は、そういう態度では大平総理が
国会
で答えられた態度を裏切るものである、忠実に大平総理のこの答弁を遂行しないものだと言わざるを得ぬのです。大臣が見えていないので、この問題については留保しつつ、私は、だからこそ、アジア
石油
の長谷川会長、共石グループの会長でもありますけれども、こういう人たちまでがもっと日本の
政府
がしゃんとせいと進言するということを言われている根拠があると思うのです。私は、以下の問題を大臣が見えたときに譲りまして、時間が参りましたので一応質問を終わらせていただきます。
向井長年
134
○向井長年君 私も両大臣に質問をしたい、こういうつもりでおったのですが、通産大臣はまだ見えておりません。 これは俗に、一般的に言われている問題、これは
石油
関係湾なると思いますが、
世界
の
石油
が現状のままで推移するならばあと三十年あるいは三十数年で
世界
から
石油
が消える、こういうことが一般論として言われています。これは事実ですか。大体
わが国
はどういうようにつかんでいるのか、この点、まずお聞きしたいと思う。
志賀学
135
○
政府委員
(志賀学君)
世界
の
石油
資源がいつまでもつか、何年もつか、いわゆるRPということがよく言われるわけでございます。この問題と申しますのは、結局、探鉱の結果どの程度、今後どういうテンポで発見されていくかということに大きくかかわってまいります。同時に、もちろん
世界
の油の使用量がどうなるかということにもかかってまいります。したがいまして、なかなか三十年たつと本当になくなるのかどうかというところは、専門家の間では三十年たつとなくなるというふうにはもちろん考えておりません。ただ、一応、大体RP三十年ぐらいというのがよく言われておるということはそうだと思っております。
向井長年
136
○向井長年君 OPEC初め
産油国
が昨年から輸出規制してきております。この原因は何ですか。生産ができないから輸出規制しているのか、あるいはまたそういうことも含めた感じから輸出規制をしてきたのか、どっちなんですか。
志賀学
137
○
政府委員
(志賀学君) OPEC諸国の生産に対する政策でございますけれども、やはり
基本
的には
産油国
といたしまして資源をできるだけ温存しておきたいという気持ちが非常に強いのだろうと思っております。そういう気持ちの強弱という点につきまして、その賦存埋蔵量、これはやはり採掘に伴いましてだんだん減ってまいります。いわゆるあと何年もつかというところが、一般的に比較的あと少ないのじゃなかろうかというような国ほど大体そういう傾向が強いということじゃないかと思っております。
向井長年
138
○向井長年君 一応、俗に言われるあと三十年程度、こういう中から埋蔵量が薄くなっているからその国々はやはり細く長くもたしたい、そういう気持ちが大きくあるのじゃないか、これはわれわれ常識的に考えるのですね。それと同時に、生産の中で、やはり昔だったらガスでぐっと噴き上がるのが、それが緩くなっている。そして人工的に水かなんか入れてこれを噴き上がらせる技術をやっておるようですが、これはもともとやはりこの埋蔵量が減ってきている、こういうことが言えるのでしょう。そういうことから考えて、やはりいま言われるような
世界
の
石油
の推移というものが非常にこれから少なくなっていく、こう
わが国
は考えて
代替エネルギー
という問題を
中心
に考えてきている、こう解釈していいのでしょう。そうですね。――わかりました。 そこで、両大臣に聞きたいのですけれども、きょう
所信表明
を伺いましたけれども、なるほどこれは多岐にわたって総花的に今後の長期も含めた形で考えておりますが、これはやっぱりいまそういう事態で、
石油
の不安定というか、今後の入手等にも
努力
しなきゃならぬけれども、しかし、それにかわる問題として
代替エネルギー
の
開発
という問題、これを取り上げておるのでしょう。そうすればその
代替エネルギー
というものは、きょうのここには余り書いてないけれども、
所信表明
の中でも言われている何で、今
国会
で総理なんかも言われておりましたが、
政府
は、
科学技術庁長官
も含めてですが、太陽熱とか、
地熱
とか、それから風力とか、いろんなことを言われますけれども、これが実用化されるのは――
研究開発
としてはこれはよろしい。長期にわたってやらなきゃならぬでしょう。しかし、いまやはり中期的にやらなきゃならぬものと、そして長期的に
研究開発
をやらなきゃならぬものとこれは分けて
政府
がやらないと――みそもくそも一緒にして、
国民
はわからぬからいかにも太陽熱が直ちに実用化できるような感じを持ちます。風力しかりです。こんなことができますか。恐らく私はできないと思う。何十年かかってもそう簡単にできません。そうすれば、いまこの
石油
の不安定の中から
代替エネルギー
をどう確立するかという問題は
重点
的に考えなきゃだめだ。そういう中で私はここで長官に聞きたいのだが、
原子力発電
というものについての位置づけをどう考えておるのか。
原子力発電
重点
だと思いますが、この位置づけはどう考えるのか、ちょっとお聞きします。
長田裕二
139
○
国務大臣
(
長田裕二
君)
石油
が大変量の面からも価格の面からも厳しい情勢になっていることは御存じのとおりでございまして、第一次
石油
ショック以後日本におきましても多彩な
エネルギー
開発
、
石油代替エネルギー
と総称しておりますけれども、そういうものの
開発
に手をつけていることも、これまた御承知のとおりでございます。ただ、それら数多くあります中で、大量に、早急に
エネルギー
を発生し得るというものは第一に
原子力発電
でございます。
石油
代替という言葉が適当かどうかということもちょっと問題になるぐらい、二十年前から
原子力発電
の
開発
には力を入れているところでございますし、現在すでに千五百万キロワットになり、また計画中、
建設
中のものを込めますと三千キロワット近くにも設備がなっている。そういうような事情から考えましても
原子力発電
が非常に重要な地位を占めている、そのことはもう仰せのとおりでございます。
向井長年
140
○向井長年君 いま、
経済
七カ年計画の中で計画を持っておるでしょう。そこで、私は
石油
にかわる
エネルギー
というならば、当面する問題はやはり
石油
にかわる電力
開発
をしなきゃならぬ、こういうかっこうになってくるのじゃないか。将来は別ですよ。いま言う
地熱
の問題とか、これはまた別として、研究していくこともいいけれども、一つにはいま電力がかわらざるを得ない。その場合に、過去においてはこれは御承知のように
水力
が主体だったのでしょう。それから
石炭
火力にかわりました。それから油の火力ですよ。いまや油の火力は七〇%でしょう。
原子力
開発
はいま何ぼですか。大体千百十七万キロぐらいじゃないですか。まあ若干これから伸びている点もあるだろうけれども。そうなってくると、まず
原子力
開発
推進
、続いてやはり
石炭
の見直しもしなきゃならぬ。しかし、
石炭
といっても
わが国
にはないでしょう。外国炭、外炭
輸入
ですよ。これは
経済
性の問題もありますけれども、そうだ。LNGでしょう。そしてまた
水力
の見直し。これから揚水になってきますよ。そういう問題が
中心
の
石油
にかわる
エネルギー
だと私は見ているわけだ。それに対して、ただ
政府
は、そういうことは口には言うけれども、実際面においては
国民
に迷わすようなことを言っている。これは通産大臣も来ましたからちょうど幸いですけれども、
石油
量を迷わすようなことを言っている。それはなぜかというと、いや太陽熱がある、太陽熱は無尽である、あるいは
地熱
があるじゃないかと。こんなもの直ちにできますか。大量にそんなものがかわるような形でいま技術的にできるかと言えば、そういうものじゃないですね。それから風力しかりですよ。そういう中でこの七カ年計画を見ましても、皆それぞれ違うのだ。
原子力
の場合においては、特に
エネルギー
庁においては、これは七カ年計画で二千八百万、そういうことを言っておるでしょう。それから五十四年度から、これは電力
調査
会ですか、これは三千三百万キロ、こういうことを言っている。また専門家の生田さんなんかは、二千万キロしかできないであろう、こう言っておりますよ。計画は立てておるが、なぜこれは計画どおりいかないか。このネックは何か知っておりますか。
政府
はつかんでおりますか。計画を立てたら計画どおりになぜいけないか、その点。
長田裕二
141
○
国務大臣
(
長田裕二
君) 先ほどもお答え申し上げましたように、現在が全
発電
設備の
発電
能力の一二%、千五百万キロワットまでまいっておりまして、
建設
中、計画中のものを合わせますと、二千八百万キロワットに近づいております。五年後が三千万キロの計画でございまして、今後
立地
等が順調にまいりますならば、ほぼ若干の増減はございますけれども、当面ほぼそれに近づき得るような状況、それが実現され得るような状況にもある、そのように考える次第でございます。
向井長年
142
○向井長年君 やっぱり相当これはまだ
国民
からもアレルギーといいますか、
安全性
の問題で不安もありましょう。これは私は素朴にあることはわかるのですよ。ところが、やはり私の心配することは、言うならば総合
エネルギー
として、しかも電調審というのがあるでしょう。
電源
開発
調整
審議
会、この
法律
根拠はどこにあるのですか。
法律
根拠は何ですか。
古田徳昌
143
○
政府委員
(
古田徳昌
君) 根拠となります
法律
は
電源
開発
促進
法でございます。
向井長年
144
○向井長年君
電源
開発
促進
法に基づいて電調審が生まれている。電調審の会長というのは総理大臣でしょう。総理ですね。各省の
関係大臣
は全部それの
委員
になっています。そうでしょう。外の人もおりますけれども、大体各省の
関係大臣
が全部
委員
になっている。電調審の
委員
でしょう。そこで決められたのが計画なんです。そしてこれは
促進
しなければならぬ計画ですよ。その電調審で決められた計画の
促進
を各省の大臣が
委員
でありながら今日までしてきておりますか。私はしていない実態をよくつかんでいますよ。出せと言えばうちの方で出すけれども。そういうことがやっぱりネックじゃありませんか、これが進まないというのは。
国民
の不安が一つありますよ。イデオロギー的反対もあります。これは現にある。しかし、やはり調整
審議
会が
促進
法に基づく問題であるとするならば
促進
しなければならぬのは
政府
の役目である。通産省は一生懸命になっている。
科学技術庁
もどうやらこうやらやっている。そこで、他の各省はどうなんですか。農林省にしても、自治省にしても、運輸省にしても、
建設
省にしても、みんな関係しますよ、
立地
の問題については。これについて
協力
体制
がその電調審に基づいてあるかどうかという問題ですよ。その点どうですか。ありますか。
古田徳昌
145
○
政府委員
(
古田徳昌
君) 電調審の場で各省の御了解も十分得ながら計画を立てていくわけでございまして、その後の実施につきましても、そのときどきに応じまして十分協議をしながら進めている次第でございます。
向井長年
146
○向井長年君 協議はわかりますが、実態論として、それが非常に現地では足の引っ張り合いをやっていると私は何回か言った。これは事実あるのです。
建設
省がどうしてもうんと言わぬ、通産省は
努力
されている、エネ庁も
努力
されている、こういう問題を言った。だから、総理大臣が、それが
電源
開発
促進
法に基づくものだったらなぜもう少し横の連携をとってそれぞれの省がそのために――
エネルギー
問題はいまや国家的問題でしょう。国家的な大きなこれはいわゆる一つの政治課題ですよね。これを
推進
するためにそういう形がとれなければ今後もやはり困難を生ずるのじゃないか、こういう感じから私はこの問題を言っておるので、これ以上言いませんけれども、この点は、両大臣もおられますから、十分ひとつ検討いただきたいと、こう思います。 そこで、もう一つ、
長田
長官にも認識していただきたいことは、いま
原子力
に対する位置づけの問題を私は言いましたが、いま言いましたように、
石油
にかわる
代替エネルギー
、まず
重点
的にその問題を取り上げざるを得ないであろう、現実の問題として。そういう中でいまウラン、これは十カ年契約済みですね。したがって安定している。しかも、その国々もこれは安定した国々ですね。
石油
のような非常に不安定な状態ではない。そうなれば、そういう問題が
重点
的に考えられますけれども、熱カロリーから言って、濃縮ウランは一グラムと言うのですよ。それに比較して
石油
が二トン、
石炭
が三トンと言われている。これは技術的に出ていますよ。それから見ても当然ですね。そして
経済
性一つ見ましてもそうでしょう。そうなれば、これからの
エネルギー
の問題はそこに
重点
を持っていかなきゃならぬのじゃないか。他の
石炭
の見直しも、
水力
の見直しもやらなきゃならぬけれども、まずそれが一番
重点
として
わが国
の政治課題の
エネルギー
確立に必要ではないか、こう私は思うわけです。その点どうですか。
長田裕二
147
○
国務大臣
(
長田裕二
君) 仰せのように、一グラム当たりあるいは一定単位当たりの
エネルギー
発生量というものは実に巨大であります。
安全性
という問題を絶えず考慮しながら、その特性を生かしながら
エネルギー
問題の解決に進んでいかなければならない、そのように考えている次第でございます。
向井長年
148
○向井長年君 これは通産でしょうか、エネ庁でしょうか。――大臣答えてください、私、大臣のあとの質問はやめますから。いいですか、
委員長
。
吉田実
149
○
委員長
(
吉田実
君) はい。
向井長年
150
○向井長年君 いま
省エネルギー
という立場から
国民
に非常に強く呼びかけておりますね、七%とか。これは非常に結構なことだと思う。それで
石油
の
備蓄
問題も取り上げております。それも結構でございますが、いま特に
原子力発電
所の定検というのがあるでしょう、定期検査。これがなぜ百二十日もかかるのですか。稼働率が悪いというのはそれですよ、問題は、事故じゃありませんよ。一年のうちに四カ月もとめて試験しなきゃならぬということです。これにかわった
石油
どれだけ使うのですか。これこそ
省エネルギー
のうち最たるものですよ。それを何で百二十日もこれにとっているのか。ドイツでは六十日、二月です。ドイツの技術に日本の技術は決して劣っておりません。それになぜ四カ月も定検でかかるのですか。この理由は何ですか。
古田徳昌
151
○
政府委員
(
古田徳昌
君) 先生御指摘のとおり、
原子力発電
につきましては稼働率の
向上
が最大の
重要課題
でございまして、その際に定期検査期間の問題は常に議論されているわけでございます。これにつきましては、私どもとしましても、
原子力
の
発電
安全
対策
の強化に努めまして、たとえば改良標準化を
促進
するというふうな形で定期検査期間の短縮のために
努力
を続けていきたいというふうに考えているわけでございます。
向井長年
152
○向井長年君 大臣、これは率直に言って、
古田
次長さん苦しい答弁をされておりますけれども、実際は検査員が足らぬのでしょう、恐らくそういう技術者が。ぼくはそういうような感じがするのですよ、学者というか。そういうところの
拡充
こそ早くやって、そしてやはりこれを早める。ドイツが二月ですから、これくらいまで早めていけば、そのかわりのいわゆる油が貯蓄できるのじゃないですか。これはどれくらい油との対比があるか計算したらわかると思うが、相当のものです。これこそ大きな
エネルギー
だ。いわゆる
石油
の
備蓄
ですよ。そういうことを総合的に考えぬといかぬ。こっちはむだなことをやり、百二十日間もとめておく。運転すればそれだけいけるやつを油を使わなきゃならぬ。こんなことをやっておるのがいまの
政府
の行政なんです。大臣、どうですか。その点はやっぱり
拡充
して、直ちに二月にいかなくとも、九十日にするとか、あるいはまた七十日にするとか、これは早急にやらなきゃならぬ問題じゃないですか。その点、大臣から……。
佐々木義武
153
○
国務大臣
(
佐々木義武
君) 日本の軽水炉の
輸入
過程等を考えてみますとよくわかるのでございますけれども、たとえばドイツ等では同じ軽水炉でも、
輸入
してそれを初期においてとことんまで壊して、そうして
安全性
に対しては自分の力で築き上げていっているわけですから、アメリカで何か起きても平気で運転しているというような状況でもございますし、また、いまお話しの検査官なども、故障が起きても運転したまま故障を直すといったような、そういう日本と非常に違ったやり方をやっております。日本はそれに比しまして、
安全性
の研究をみずからやったのじゃなくて、
輸入
したそのままでやっているわけですから、故障が起きますと、その故障の原因等も丹念に調べなければいけませんし、あるいは私の聞くところでは、一部故障しているその部分だけを修理するというのじゃなくて、物によっては入れかえる、やりかえるというふうな、そういう根本からやり直しているような現状でございますので、どうしても時間がかかる。しかし、だんだん、お話しのように、
原子力
研究所等でも原子工学的にその
安全性
を一生懸命やって長い間研究もしておりますし、また現在動いている実用炉に関しましては、お話しのように故障が多かったわけですから、それに対する
資料
等も非常に集積されつつはございますので、それこれあわせまして日本独自の標準型的なものをつくってこれからやったらどうだというふうなこと、並びにいまの故障を信頼度を増す程度まで直すような、あるいは定期検査等のやり方もそういうふうになりますと大分簡便になってまいりますから、そういう点もかみ合わせまして、この操業度をいかに高めるかという問題が大変重要な問題になっておりまして、私の感じでは、やはりこれはいままでの
資料
等せっかく集積されているときでございますから、根本的に一遍洗い直してみたらどうだろうというふうに考えております。
向井長年
154
○向井長年君 大臣、故障があってとめてという問題を私は言っていないのですよ。これは当然いま大臣が言われたとおりです。故障じゃなくて、きょうまで安全に運転している、定期検査の日時が来た、そして定期検査を始めますよ、それで四カ月とめちゃうのですよ。これを言っておるのであって、このことはドイツでも一緒ですよ。したがって、その問題については、その検査の日時を短縮しなさい。だから、一年の間に四カ月もとめたら、三分の一とまっておるのじゃないですか。これを他の油で回転させざるを得ないでしょう、油の
発電
所で。だから、これはむだですよと。これを短縮すれば油が貯蓄できるでしょう。だから、それをなぜドイツ並みにやれないか。日本の技術が劣っておるのですか。劣っていないはずだと私は思っているのです。故障の問題じゃないのですよ。
佐々木義武
155
○
国務大臣
(
佐々木義武
君) いや、私の申し上げたのも同じことでございまして、それは、たとえばパイプの構成要素が悪くて漏れたといったような場合には、そこの部分だけを直すのじゃなくて、パイプ全部をかえるといったような丹念な
安全性
を考えてのやり方をしておるものですから、いままでは言うなれば大変時間がかかったのですけれども、しかし順次そういうものはわかってきましたので、今後は定期検査の日数もだんだん縮められていくのじゃないか。また縮めるように指導もしておりますし、これからするつもりで勉強しておりますので、大分縮まるようになるとは思います。
向井長年
156
○向井長年君 大分縮まるというよりも、一応指導としてはそういう形でしょうが、ただ、その原因が検査員が足らぬのじゃないか、人がやりくりできぬのじゃないか、こういう感じがあるのですが、そういうことはありませんか。
佐々木義武
157
○
国務大臣
(
佐々木義武
君) あるいはその点もあるかも存じませんけれども、それが大きい理由ではないと私は承知しています。
向井長年
158
○向井長年君 ちょっと次長から、あるかも存じませんと言っておるが、存じておることを言ってください。
古田徳昌
159
○
政府委員
(
古田徳昌
君) 先ほども申し上げましたように、
原子力発電
所の検査、監督
体制
の強化のために五十五年度も
予算
の
充実
を図っておりまして、検査官の増員を予定しております。本省十名、通産局四名ということで十四名の増員を図っておりまして、各
発電
サイトにおきましての常駐
体制
を強化していきたい、そういうふうにいま検討しております。
向井長年
160
○向井長年君 それで、今後の見通しはどうですか。いま言うように、短縮する見通しはどうですか。大体そういう方向をたどっておるということを聞いておりますが。
古田徳昌
161
○
政府委員
(
古田徳昌
君) 五十五年度の稼働率を五五%程度まで
引き上げ
たいということで一応の目標を立てておりまして、さらにこれは、五十六年度につきましては五六%程度まで
引き上げ
ていくということで考えております。
丸谷金保
162
○丸谷
金保
君 通産大臣の
所信表明
の中で、「
自由世界
第二位の
経済大国
となった我が国は、同時に
世界
第二位の
エネルギー消費国
ともなった」、こういうくだりがございます。ですから、
経済成長
と
エネルギー
の消費というのは正比例していくというふうなことになるのではないかと思いますが、そういう意味でこれは申したのでございますか。
佐々木義武
163
○
国務大臣
(
佐々木義武
君) もちろん
経済成長
するためには
エネルギー
が必要であることはお話しのとおりでございまして、ただ、その弾性値と称するものがそれではパラレルに上がれば上がっていくというものかと申しますと必ずしもそうじゃないのでありまして、節約あるいは
エネルギー
の転換などによりまして弾性値は変わってまいります。
丸谷金保
164
○丸谷
金保
君 それでは、ただいまエネ庁の
資料
を、先ほど私は別に引用いたしましたけれども、拝見しておりますと、たとえば
昭和
六十年度における
エネルギー
の消費量、これらが出ております。しかし、一番下の数字を見ますと、これは
東京サミット
での合意の
エネルギー
の消費量にぴたっと合っている。そして上の方で考えてみますと、これは
経済
の
成長
率は五・七%、ですから、年間
成長
率を五・七%ということにして
東京サミット
の合意事項の下限をとって中を埋めていくとこういうふうになるのでないか、こう思うのです。要するに、そういう意味での見通しであって、頭と下との答えを出しておいて真ん中へずっと数字を埋めていったという感じが強いのです。と申しますのは、たとえば同じ長期の見通しについても、日本
エネルギー
経済
研究所の見通しはややこれと違うものです。そして、その場合の
経済成長
率は四・七%ないし四・三%ぐらいじゃないか、こういうことが言われております。ですから、いろいろな見方があるわけです。そうすると、これらが
国民
的な合意のもとに計画として、先ほども他の
委員
がなぜこれを見通しでなくて計画としなかったかというのは、そこいら辺で、この
成長
率、
経済
の目標値というものに対して一体それには
エネルギー
が幾ら要るのだという計算方法というか、方程式がまだはっきりしてないのじゃないかという気がするのですが、この点はいかがでしょうか。
古田徳昌
165
○
政府委員
(
古田徳昌
君) 先生御指摘のとおり、
昭和
六十年度までは五・七%の
成長
を続けていく、その後逐次
成長
率が落ちていきますが、その
成長
を達成するためにはどれぐらいの
エネルギー
需要が出てくるかということでございますが、これは産業あるいは民生、輸送、各部門につきまして積み上げ的に計算をいたしまして一つの数字を出したわけでございます。それに対しまして、さらに生産部門、家庭、
業務
部門、輸送部門等々につきましてのできる限りの
省エネルギー
率というものを計算いたしまして、その結果、
省エネルギー
後の需要量というものが、たとえば
昭和
六十年度につきますと五・八億キロリットル、
昭和
六十五年度につきましては七億キロリットルというふうな姿になってきたわけでございます。それに対しまして、
輸入
石油
につきましては昨年の
東京サミット
で六百三十万バレル・パー・デーという一つの
努力
目標を与えられておりますので、それを前提としまして、その
輸入
石油
で不足する分につきまして
輸入
石油
以外のいわゆる
代替エネルギー
のどの分野で
確保
していくかということで、この数表ができ上がっているわけでございまして、これは名前は暫定見通しという形になっておりますけれども、そういう意味ではあくまで官民挙げての
協力
を前提としました
努力
目標というふうな性格のものでございます。
丸谷金保
166
○丸谷
金保
君 そうしますと、結局きちんとした方程式というふうなものはいまのところ立たないというふうに
理解
していいですね。
古田徳昌
167
○
政府委員
(
古田徳昌
君) 一つの方程式で数字をつくっていくという形にはなかなかなりませんので、各部門別の積み上げ、あるいはたとえば弾性値につきましては欧米主要諸国が一昨年のボンサミットで将来の弾性値を〇・八に置くのが妥当だというふうな見解も出しておりますが、その辺のことも考慮しながらつくり上げたものでございます。
丸谷金保
168
○丸谷
金保
君 この数字の問題は、先ほども申し上げましたように、これから時間をかけてこの
努力
目標なりこういう数字というものを十分当
委員
会は論議していかなきゃならぬと思いますので、別な問題に移りたいと思います。 この計画の中で、やはり何と言っても目玉は
原子力
ということが強く出ております。しかし、これにつきましては、ただいまも向井
委員
から
国民
的なアレルギーがあるというふうな意味の御意見もございました。それから長官から
安全性
を考慮しながら進めなきゃならぬというふうなお話もありました。
原子力発電
に反対するというのにもいろいろございましょうけれども、
国民
的アレルギーの一番大きなもの、またわれわれが一番心配しているのは
安全性
の確認がまだ完全でないということなんです。ですから、きょうはここでひとつ大臣に提言いたします。安全だ、安全だと皆が言っているのです、東電でも何でも。それほど安全だと言い切れる自信を皆さんがお持ちだったら、僻陬のところに
発電
所を建てなきゃならないのか。東京の沖にどんどんいま土地ができているのですから、ああいうところへ持ってきてどんとつくれば
国民
は本当に安全だということで安心するのですよ。その方がロスも少ないのですから、放電も。本当に安全なら自信を持ってそれができるはずでしょう。それができないところに
国民
がアレルギーを起こすのです。人口の少ないところだから被害が起きてもいいなんということにはならないのです。自信を持って、大臣、東京とか大阪の人口密集地の近くにどんと絶対安全だからここへつくるのだ、そうしないととてもこの計画は達成できませんよ、こんな数字の。そういう発想の転換をひとつお考えいただけませんか。どうです。
佐々木義武
169
○
国務大臣
(
佐々木義武
君) 確かに日本にはアレルギーと申しますか、あることは事実だと思います。ただ、同じ軽水炉で――私、去年の十二月十日にIEAの
会議
でパリへ行きました際、各国の
エネルギー
大臣が、閣僚
会議
ですから全部集まりましたけれども、二十カ国ばかり集まりました。その際、いろいろ話がありましたが、たとえばフランスでは、日本とは非常に
エネルギー
事情が似ています。ですから、油も何もありません。向こうは五年後に大体全
発電
量の半分は
原子力発電
でやりまして、軽水炉で日本と同じ炉です。十年後には三分の二は
原子力発電
でやります、残りは
石炭
でやります、油は使いませんと言う。それはそのまま実行しているようですね。反対運動もほとんどございません。 それから、英国のハウエルという
エネルギー
相が昼御飯のときに私のそばにおりまして、英国もいよいよ軽水炉の
原子力発電
に踏み切りましたと言うものですから、あなたのところは北海で大変いい海底油田を発見してむしろ輸出するなどと言っていたじゃないですか、何で
原子力発電
をやらなければいかぬのですかと言ったところが、いやいや十五年ぐらいたちますと北海油田もだんだん枯渇してきます、いまからこれに備えなければいかぬというので、自分の方も軽水炉――いままで御承知のように向こうはガスクーリングでございますけれども、今度は軽水炉に踏み切りましてやるのですと。 帰りにモスクワへ寄りまして、貿易省の次長のような方が迎えに来ておりましたので聞きましたら、ソ連は
エネルギー
の消費が毎年四%ぐらいの率で
増加
していっていますけれども、しかし、
原子力発電
に関しては四〇%の率で伸びているのだと。去年、ソ連の
原子力発電
の
調査
に行って帰ってきた皆さんに聞きますとそのとおりだ、毎年倍倍というふうな率でどんどんやっていますと。 米国自体も、例のスリーマイルア
イラン
ドの問題以来、いままでとめておったのですけれども、しかし、先般カーター大統領みずから宣言を発しまして、半年以内に再開しろ、こういうことで米国も始めます。 ですから、なるほどおっしゃるように、それじゃ外国の
発電
所は全部パリの真ん中にあるかというと、そんなことはございません。それはやっぱり水が必要だということで、大量に水を使うとなりますと、どうしてもそれは海岸べりがいいわけで、海岸べりの中でもやはり人のおらぬところが一番よろしいわけでございますから、
原子力発電
を
立地
する場合の
条件
というのはほぼ各国に共通したものがございまして、そういう
条件
に従いまして
立地
を選定するわけでございますから、日本ばかり原子方
発電
をやっているのでありますればあるいは各国に責任ないと思いますけれども、しかし、各国とも大変な勢いでただいま
原子力発電
に踏み切って進んでいるときでございますから、やはり日本の一つの特殊性、全部ではもちろんございませんけれども、アレルギー的なものは相当やっぱり
立地
問題に関しては阻害をしてくるのじゃなかろうかと私も思います。
丸谷金保
170
○丸谷
金保
君 日本のアレルギーは外国とまた違った意味がございますわね。
世界
でただ一つ原爆被災国なんです。ですから、ほかの国がやっていると同じようなことでは
国民
的アレルギーの解消はできないのです。それで絶対安全だというならなぜやらないか。それくらいまでの考え方を持って、しかもそれくらい安全なものでなければ、なかなかいま
国民
的アレルギーを直ちに消し去ることはできないし、そういう意味ではまだ絶対安全だということを言い切れないところに
原子力発電
の問題点があると思います。これもこれから論議をしていくことだと存じますので……。
最後
にもう一つ。非常に最近不愉快な新聞記事が続いて出ております。アメリカからフレーザーという人がやってきて、日本の自動車の
輸入
が非常にふえて、これではアメリカの自動車産業に働く人たちが失業すると困るから工場を向こうへ移してくれということです。 御承知のように、いまのこの
石油
事情、これで言いますと、どうしても五十五年度でも
石油
輸出国
機構
との間の貿易赤字は四百億ドルに上るのじゃないかというふうに推定されております。そうしますと、どうしても
わが国
としては対米貿易で百億ドル近く、あるいはその他でも二百億ドル近くのそれぞれ黒字を出さなければならないことは火を見るより明らかです。そのときにアメリカは、アメリカ自動車産業に働く人のために日本に工場進出せよ。しかし、アメリカの失業がこれだけふえてきた理由は、先ほどもどなたかが質問しておりましたけれども、多国籍企業でアメリカの企業がどんどん外へ出ていって、そしてアメリカの
国内
で人を使わなくなったことから起こったのです。しかも、アメリカの場合は、
世界
じゅうどこへ行ってもドルを通貨として使えますから、利益はどんどんそのまま利益だけ還元する。使う労働力はほかへ求めるという形の中でアメリカの資本が外へ出ていったのが多国籍企業です。いいですか。このしりを何で日本の企業なり日本の労働者がしょわなきゃならぬのか。どんどん出ていったら日本で失業がふえるのですよ、その結果は。そうですわね。アメリカから出ていって失業がふえた分の穴埋めを、いまの
石油
事情のこういう非常に苦しい中で、そしてまたそういう点での赤字が日本はふえてくる中で、他国へ出ていくから、帳じりの赤字がよけい出るようなアメリカのしりぬぐいを何でここでしなきゃならぬか。きのうも大平総理は政治問題にしない、その前に決着をつけるというようなことを言っていますけれども、おまえさん自分の責任でないかとなぜ言えないのです。そしてそのことは、
石油
問題全体についてのやっぱり日本の姿勢にも関連してきますので、そこら辺、ひとつ所管の通産大臣としてしゃっきりした御答弁をお願いします。
佐々木義武
171
○
国務大臣
(
佐々木義武
君) 最近になりまして、日本の小型車が米国に大変出るようになったその根本的な原因は、やはり
イラン
問題以来燃料の余り食わない低燃費の日本の自動車がアメリカで大変需要が旺盛だという、それを基礎にいたしまして日本車がシェアをふやしておるというふうに私は考えます。ただ、それにいたしましても、やはり集中豪雨的な輸出というものは避けまして、そして秩序ある、節度のある輸出をすべきだ。そうでなければ自動車一つのために、そう言っては少し言い過ぎかもしれませんけれども、全貿易あるいは日米の欠くことのできない親善度に対して障害を及ぼすようでは困りますよという指導を従来ともしてきたことは御承知のとおりだと思います。 そこで、貿易問題に入るわけですけれども、それはなかなかむずかしい問題でございまして、アメリカの空気も、自由貿易というだけで今後ともやれるかというと、これまたいろいろな動きがあるわけでございますから、それこれあわせまして、あくまでもやはり自由
経済
を基調にして自由な貿易下で両方とも伸びていくということになりますと、企業の投資という問題も出てくるのはあるいはやむを得ないことかとも存じます。 そこで、私もフレーザー氏にはお会いしました。お会いしまして、向こうの第一順位といたしましては、まず投資をひとつしてもらえないかという強い気持ちでございまして、そのこと自体には、私どもも別に投資そのものは
政府
が最終的に決めるものじゃなくて、最終的な決定権はあくまでもこれは企業にあるわけでございますから、企業としていろいろ事情を勘案した上決心するのであれば投資してくださいというお勧めをしているわけですけれども、その際におきましても、お話しのように日本
国内
の下請あるいは雇用問題等おろそかにしてはいけませんよ、そういう点を十分配慮した上で決心するのであればしてください、こういうお願いをしているわけでございまして、お話しのように日本の下請あるいは雇用等を全然考慮なしに米国へ出ていくということではなかろう、また、そうあってはいかぬというふうに考えておるわけでございます。
丸谷金保
172
○丸谷
金保
君 大臣、そうおっしゃいますけれども、たとえば日本の新聞論調を見ましても、議会と手を組んでトヨタ、日産及び日本
政府
にいろいろなおどかしをかけたことには強い反発を感じるというようなことが地方紙の新聞論調に出ているのです。いいですか。このことを十分踏まえて、企業だけでやれなんというふうなことではないことはみんな知っているのですよ。時間があれですから、この点だけ指摘して終わりにいたします。
岩動道行
173
○
岩動
道行君 大臣のおられない間に、いろいろ
基本
的な暫定見通しについての性格論からその中身について問題点を指摘しておいたのでございますが、いま大臣からこれらの個々の問題について御答弁をいただこうとは思いません。しかし、十分に事務当局から指摘された問題については御検討いただいて、後日またこの
委員
会において、これらに対する
政府
の御見解なりあるいは今後の方針といったようなものを伺わせていただきたい、かように思います。 そこで、まず大臣に伺いたいのですが、やはりこの見通しの性格については、先ほど来
政府
の方は
努力
目標だというふうな表現になっておりますが、やはり
国民
を引っ張っていくためには、
努力
目標ということではなしに、計画として具体的に
政府
が責任を持ってこれこれでこういうふうになります、こうやりますというような強い意思表示で指導
体制
をつくっていただきたい。そして、もしその計画が達成できなかったときには、
国民
に向かって、どういうところでこれができなかったのかということをむしろ
国民
に明らかにして、そうしてお互いにこの問題は国家の大事な問題であるからどうしてできなかったかということをお互いに検討して、そして次のステップに入っていく。こういう真剣な、そしてリーダーシップをとった政策の実行をやっていただきたいということをお願いしておきたいと思います。 そこで、
石油
に依存する時代はまだまだ続くわけでございまするから、この
石油
の
確保
についてはいろいろな問題がございます。とうてい短時間で論議をお互いに交わすわけにまいりませんけれども、
確保
のためのいろいろな
施策
、特に資源外交、これについては国を挙げてやらなければいけません。
政府
を挙げてやらなければいけません。これは単に外務大臣の所管事項ではないと思う。むしろ通産大臣みずからが
産油国
等に積極的に何回も出向いて、わざわざ行くというのではなくて、絶えず接触を保って、そうしてただ油を請うというだけではなくて、
経済
協力
、何を欲しい、どういう
体制
でお互いの国同士の利益を図っていくか、こういう資源外交を展開していただきたい。そしてまた、メジャーズが次第に撤退をする情勢の中において、DDあるいはGG原油というものがさらに重きをなしてまいります。そういう観点からも価格は上がってまいりまするから、積極的に
産油国
と接触を大臣みずからが持たれるようにお願いしたい。先般インドネシア等に行かれたことは大変結構でございます。今度は中東諸国等にもできるだけ早い機会においでになることを私は期待いたしたいと思います。そして、中東からの
石油
というものは依然として大きな割合を占めておりますから、中東問題の和平、そしてその中核はパレスチナ問題でございまするから、パレスチナとの関係については、外務大臣のサイドだけでなくて、
政府
を挙げて、そしてまた通産大臣もこの点については積極的な接触を保っていかれることが大変私は日本の国益にもかなうことだろう、かように思いますので、アメリカであるとか、あるいはイスラエルとか、そういうところにだけ気がねをすることなく、日本独自の外交、資源外交を展開していただきたい、このことを申し上げておきたいと思います。 なお、科学技術
協力
協定。これは
長田
長官にも関係があることでございまするが、先般、私もインドネシアに参りました際に強い要請を受けてまいりました。これについては、実は通産省等、外務省は積極的でございまするが関係
省庁
が必ずしも乗り気でないという事態でございましたが、その後、
政府
においては積極的に早急に科学技術
協力
協定を結ぶということを進めておられると思いますが、これらもぜひ早急に実現できるようにお願いしたい。 中国の関係で、五月か六月には華国鋒主席がおいでになって、そのときには中国との科学技術
協力
協定が予定されておりますが、それよりも前に、少なくともインドネシアはもっと前から話が出ておりまするし、また
地熱
あるいは
ソーラーシステム
といったような技術を日本が移転してやることができまするならば、インドネシアもまたそういう
代替エネルギー
を
開発
することによって原油等あるいはLNG等の輸出にある程度のゆとりができる、これが日本の
エネルギー
確保
に大きなつながりを持っておりますので、ぜひ科学技術
協力
協定は急いでおやりになることをこの機会にお願いいたし、またその経過もできるならば伺いたい。 なお、電力料金に関連して、この機会に一言だけお願いをしておきたいのですが、私は原価主義は貫くべきである。日本の重大な第二次
エネルギー
を供給する電力会社の経営がうまくいかない、企業が成り立たなければ
エネルギー
の供給もできません。そういう意味において原価主義は原則としてこれを貫いていく、その結果
エネルギー
が高くなる、これは
国民
にも
理解
を求めていかなければならない。しかしながら、できるだけ料金は低くあるべきであることは申すまでもございません。そういう意味においていろいろな御工夫は要ると思いまするが、
原子力
とか
石炭
のウエートの大きい電力会社は料金値上げ率も低くなっております。そういうことを考えまするならば、私は
原子力
、
石炭
発電
をやっているところには何らかの配慮をしていくべきではないか、少なくとも定率法をその部分については検討してよろしいのではないか、こういうことも御検討いただきたいと思うのでございます。
科学技術庁長官
に伺っておきますが、INFCE、これは
原子力
の平和
利用
、そうして
原子力
エネルギー
を
促進
する上においては非常に大事な欠くことのできない問題でございまするが、近々これらの結論が出るように伺っておりますが、これはどうなっているのか、日本に不利なことにはなっていないのか、この点国益を踏まえた結論が出るように御
努力
いただきたい。経過も伺っておきたいと思うのでございます。 なお、最近、
電源
立地
についてはいろいろな問題があってなかなかうまくまいりません。非常に時間がかかって計画どおりにいっていない。二年も三年もおくれる。こういうことでは日本の
エネルギー
、
国民生活
というものは非常に脅かされてまいりますが、これについては適切な環境問題を、私は
エネルギー
とそして環境の調和を十分に図った
体制
の中において
国民生活
を
向上
させるための
エネルギー
政策を
推進
していただきたい。こういう問題について
政府
のお考えもこの機会に伺っておきたいと思います。 そして、いろいろ問題が飛びますが、
原子力
は
石油
に次ぐ重要な
エネルギー源
でございまするから、強力にこれを進めていただきたい。安全はもちろん大事であります。と同時に、たとえば、CANDU炉を
導入
することについては、
政府
の中においていろいろな意見があって、一応いまは見送るかっこうになっておりますが、今後とも長期的な視点から、私はCANDUを再検討していただきたいということも考えておりますので、これらの点についてお答えをいただきたいと思います。簡単で結構ですから、それぞれ大臣から直接伺いたいと思います。
佐々木義武
174
○
国務大臣
(
佐々木義武
君) 私の方にお話しでございました分だけお答えします。 まず、資源外交、
エネルギー
外交でございますけれども、これはおっしゃるとおりだと思います。何といっても人的な交流が一番もとだと思います。あわせて、
経済
協力
等を復活いたしまして両国の親善を増していくというのが一番根本かと思います。そういうことで、私どももできるだけ中近東のみならず油の出るところには出向きたいと思っておりますけれども、御承知のような事情でございましてなかなか出かけるわけにいきませんので、
国会
でも済みましたら何はおいてもそういう地帯に参りたいと思っております。 東京におりましても、ゆうべもアラブ諸国のかつて大臣だった皆さんが見えまして、これは電力関係で来たのですけれども、通産省首脳部と一緒に晩御飯を食べながら話をして親密の度を加えるといいますか、おとといの日もオーマンの王室の顧問の方が見えましていろいろお話しいたしました。これは要するに、しょっちゅう見えますので、こっちで出かけられないときは向こうから来た人をお迎えして、そして外交といいますか、人事の交流を深めたいというふうに心がけております。 それから、科学協定の問題ですけれども、お話しのように、中国もインドネシアも非常にこれは望んでいるところでありまして、ぜひひとつ進めたいと思っております。また進めつつございます。 それから、電力料金の原価主義の中で、特に
石炭
とか
原子力
を進めている会社に対しては思い切ってその分だけは定率法にしたらどうだというお話でございまして、その点も考慮してただいま査定に入ってございます。 それから
立地
問題でアセスメントの関係を十分ひとつ考慮してやってもらいたいというお話は、ただいま新聞紙上等をにぎわしている当面の問題でございますが、私どもも環境庁と一緒になりまして、ひとつ具体的に
法律
のどの部分がどうしたらいいのか詰めてごらんということで積極的にいま詰めつつある状況でございます。 CANDU炉の問題でございますが、
原子力
委員
会でああいう決定をなさったものですからそれに従っておりますけれども、といって、研究くらいはしてもいいのじゃなかろうかというので、ことしも
予算
をつけまして研究費で細々ながら研究を進めておるところでございます。
長田裕二
175
○
国務大臣
(
長田裕二
君) 科学技術
協力
協定のことにつきましては、通産大臣のお答えになったとおりでございます。 INFCEの問題でございますが、来る二月二十五日から開かれる最終総会におきまして報告書が取りまとめられることになっておりますが、現在までの下部機関の技術調整
委員
会及び各作業部会で取りまとめられました結果を見る限りでは、
原子力
平和
利用
と核拡散の防止とは両立させ得る、そういう考え方が支配的でございますから、
わが国
の
基本
的な立場が取り入れられるもの、そのように考えております。INFCEの結論によって日本の
原子力
開発
が阻害されることはない、そのように考えているところでございます。 CANDU炉の問題につきましては、御承知のように昨年八月にああいうことになっておりまして、当面ということでございまして、今後の状況の推移あるいは通産大臣がお答えになりましたようなそういう情勢等を勘案しましてどうしていくかということは、これから
原子力
委員
会がまたどう対応していくかということにかかるというふうに存じます。
中尾辰義
176
○中尾辰義君 通産大臣にお伺いしますが、全般的には事務当局にお伺いしたわけですけれども、二点だけ結論的にお伺いします。 きょうからこの参議院
エネルギー
特別
委員
会が開かれたわけですけれども、その最初に問題になったのが、先ほどからお話がありますように長期
エネルギー需給
暫定見通し、これもるる御
説明
は聞きましたけれども、たとえこれは見通しでありましても、非常に現実にそぐわないですよ。この数字は
東京サミット
の結果、無理してつくったような感じがあるわけです。こういうものをもとにしてわれわれはこの
エネルギー
委員
会で議論できない。ですから、大臣いかがですか。これをもう少し現実にそぐう計算方法に見直し作業をする必要はありませんか。それが一点。
佐々木義武
177
○
国務大臣
(
佐々木義武
君) これは御承知のように、大変学界、
民間
の達識の士あるいは各関連官庁等集まりまして、十分長い時間もかけつくり上げたものでございまして、簡単にすぐ手直しというわけにはもちろんいきませんけれども、ただ、先ほど
岩動
さんもお話しございましたが、資本主義下の計画でございますから、ゴスプランといったような、そういうものとは違いまして、ある程度
努力
目標的な色彩があるということは、これはやむを得ぬのじゃなかろうかと思います。 そこで、いまお話しのように、どこがそれほど大きく変わっていくのかという点に私もまだ、たとえばことしの油にいたしましても五百四十万バレル・パー・デーというのはこのものずばりでございますし、節約量等も別に狂っておりません。前提
条件
に余り狂いがないという感じがいたしておりますので、もし、お話がございますれば、むしろ新
エネルギー
等に対して少し見通しが甘過ぎはせぬかというような御批判はあるかもしれませんけれども、この点に関しましては後々皆さんの御
審議
を煩わさなければいかぬと思いますけれども、新しい
機構
をつくる、あるいは
財源
を調えたりいたしまして今年度から思い切ったひとつ発足をしようということで、この目標を目指して真剣に取り組む態勢も心構えもできました。そういうことでしばらく見守っていただければ大変ありがたいと存じます。
中尾辰義
178
○中尾辰義君 大臣、これは先ほどから議論があったのですよ。
石油
の
輸入
の見通しにしても、六十年度が三億六千六百万キロリットルです。ことしでも二億八千万キロリットルがむずかしい段階なんですから、これからだんだん
石油
は減っていくのですから、だからこれで議論せいと言っても無理なんです。
原子力
にしたって、六十五年度五千三百万キロワット、それに七十年度で七千八百万キロワットですけれども、これは
安全性
等考慮して、
立地
条件
とか、またいろいろ住民運動等も考慮して、これはちょっと無理な感じです、たとえ
努力
目標にしても。それで議論されておるわけで、これは議論にならないです。議論をするといって質問をしますと、
政府
側は答弁に困っちゃうのです。いかがですか。
佐々木義武
179
○
国務大臣
(
佐々木義武
君) 六十年、五年後でございますけれども、これは御承知のように去年のサミットで六百三十万バレル・パー・デーというのが決まりまして、去年の暮れのIEAの閣僚
会議
でもそれは一応
努力
目標として認められております。まだその修正等に至っておりませんし、わが方としては最低限これくらいはどうしても
確保
しなければならぬという数字で抑えていますので、国際的にそういうものが大きく変化してまいりますれば当然計画の変更ということも考えなければいけませんけれども、いまの段階ではまだそういうところまでいっておりませんので、このままでしばらく
努力
してみたいと考えております。
中尾辰義
180
○中尾辰義君 それじゃ、
最後
にもう一点。 例の電力料金の値上げの問題ですが、
予算
委員
会初め各
委員
会でずいぶんこれは問題になっておる。これは当然のことでありまして、ことしの物価
対策
上どうなるか。電力料金の値上げは非常にウエートが大きいわけです。もう大臣御承知のとおり。ですから、これを先ほどから私は議論しておったのですけれども、減価償却の面でも定率法と定額法の問題、あるいは
石油
の買い入れ価格の問題とか事業報酬の問題、株式配当の問題等非常に問題が多いし、かなり水増しがあるように感じているわけであります。それで、結論だけ聞きますけれども、大臣はこれを一挙に値上げするのか、あるいは物価
対策
上二回ぐらいに分けてというような考慮もあるのか、一遍に上げるとすればどの程度まで削減されるのか、いま結論を出せと言っても無理かもしれませんが、大体どうですか、大臣の腹の内は。その辺をお伺いします。
佐々木義武
181
○
国務大臣
(
佐々木義武
君) これは原価主義でございますので、各ファクターをこれからヒヤリングをしたり、あるいは実地の検査に参りましたり、公聴会がやがて開かれますので、そういう各般の意向を踏まえまして査定に入るわけでございますけれども、その原価の各ファクターを煮詰めまして、そうしてその積み上げたのが結論になるわけでございますから、いまの段階で大体このくらいという見通しを言える段階ではございません。ただ、一回で改定するのか、二回、三回と分けていくのかという御質問でございますけれども、ただいまの申請は一年ということで申請してございますので、現段階では一年で査定したいというふうに考えております。
中尾辰義
182
○中尾辰義君 それじゃ、一つだけ聞きましょう。いま平均六四%の値上げが来ているのですが、これをこのまま認めるというようなことはございませんですな。
佐々木義武
183
○
国務大臣
(
佐々木義武
君) 厳格に査定してまいるわけでございまして、そのままの数字ということはあり得ないと思います。
市川正一
184
○市川正一君 先ほど大臣が御不在でありましたので、急遽具体的な問題に質問を切りかえたのでありますが、そこで明らかにいたしましたのは、
電源
開発
のむだ遣い、浪費と関連しての問題であります。 そこで、大臣がお見えになりましたので、私、
政府
の、先ほど来問題になっておりますこの暫定見通し、この問題に戻して伺いたいと思うのでありますが、この見通しについては
努力
目標だと
政府
は言われるし、また、その作成に参加した研究者も、これは
輸入
石油
量が制限されているために、その残りを
代替エネルギー
で間に合わせるためのいわば政策的指標あるいは数字合わせ的なものだというふうに言う人までいるわけです。そして達成は不可能だという試算も公表されております。われわれも、新しい
エネルギー
あるいはまた
国内
エネルギー
の
開発
それ自体当然必要であり、また緊急な課題だ、こう考えております。しかし、そのためには、たとえば
立地
、環境問題なども含めて、そういう諸問題も加味した着実で正確な見通しの作成、利潤追求を旨とするような
民間
任せでなく国が直接やはり責任を持って進めていく、こういうような
体制
も含めて必要であると私考えます。 そこで、私は通産大臣にこの際要望いたしたいのですが、先ほど来再検討、再提出の問題もありましたけれども、本
委員
会としてこの問題は重要でありますので、この見通し作成の根拠、すなわち、それぞれの
エネルギー
についてどういう計算方式で見通しの数値となったのか、また見通し達成のためには、各年度ごとにどのようなテンポでの新
エネルギー
をふやしていくのかという年次計画、さらには技術上、
資金
上の問題、
立地
環境上の問題をどのような困難、制約があってそれをどう解決しようとしているのか、こういう諸点について、
エネルギー
問題を長期的かつ総合的に
審議
する当
委員
会に早急に
資料
として提出せられるようにお願いしたい。これは本
委員
会としても今後の
審議
に重要であると思いますので、通産大臣、よろしくお願いしたいと思うのであります。これが第一問であります。
佐々木義武
185
○
国務大臣
(
佐々木義武
君) 出せる限りの
資料
を出したいと思います。
市川正一
186
○市川正一君 それじゃ、
委員長
としてもよろしくお願いいたしたいと思います。
吉田実
187
○
委員長
(
吉田実
君) さよう取り計らいます。
市川正一
188
○市川正一君 時間が参りましたので、もう一問でありますが、私、大臣が御不在の間に、メジャーが
わが国
での不当な供給制限、いわゆるカット、それに荒かせぎの実態を指摘いたしました。そうして、去る一月二十九日の衆議院の本
会議
で大平総理が、大臣も記憶されていると思いますが、村上弘議員の質問に対してはっきりと答弁なさいました。すなわち、メジャーに対してOECDの多国籍企業の行動指針を遵守するよう具体的な
内容
も示して指導する。ここに議事録もございますけれども、これを私、先ほど質問で求めました。それは
石油
部長がお答えになりましたけれども、ただ、方針を知らせるとかアンケートで
調査
するというふうなことだけではなしに、大平総理がお答えになったように、メジャーの供給カットとかあるいは荒かせぎ、そういうものの実態を明らかにして、私は繰り返しませんけれども、先ほども紹介し、また大平総理もお答えになったこういう多国籍企業の行動指針、これに基づいてメジャーの企業行動の改善を要求するという具体的な行動をとるということ、大平総理の答弁のいわのば忠実な実行を求めたのでありますが、大臣のこの点についての決意を伺いたいと思うのであります。
佐々木義武
189
○
国務大臣
(
佐々木義武
君) 原油は、御承知のように
産油国
がメジャーに対する油の割り当てをどんどん減らしておるわけですから、メジャー自体も従来のように自分の意思だけで売り買いしてというわけにはまいらぬわけでございまして、自分の手持ちがだんだん不足になってくるわけでありますから、そういうところから、何も日本だけを削っているというのでなくて、だんだんメジャーのシェアが減ってきているという点をまず御了解いただきたいと思います。したがいまして、非系列系統に対してただいま供給を切っているのでございまして、系列の会社にはいまのところは別にそういうことはございません。 そこで、メジャー自体から油をさらに、たとえば非系列でありましても手に入れたいということになりますと、やはり取引
条件
といいますか、そういうものが非常に左右するわけでございまして、向こうはやっぱり商売でございますから、そういう点も考えていかなければならぬという感じもいたします。むしろ日本といたしましては、
産油国
の方針に沿いまして、DDとか、あるいはガバメント・ツー・ガバメント、GGとか、あるいは原油をみずから採掘するというふうな自主
開発
の線を進めるとかいったようなことをやはりこれから進めていかなければならぬと思います。だんだん日本におけるシェアも、従来はメジャーが七〇%ぐらいだったのがいま五〇%を切るような状況になってまいりまして、反面それを何で埋めているかと申しますと、いま申しましたDDとか、GGとか、あるいは供給先を変えるとか、たとえば中国とか、あるいはメキシコとか、新しい供給源を開拓するとかいったような時代にいま入っておりますので、メジャーそのものに対してどうという、外国の会社でございますから私ども強制するわけにもいかず、また強制したことももちろんございません。そういう関係でございますので、いま申しました方針といたしましては、そういう新しい一つの油の流通体系の
世界
的な大変革の最中でございますので、新しい流れにおくれないようにということでせっかく
努力
中でございます。
市川正一
190
○市川正一君 大平総理のこの答弁の立場で対処されることは間違いないわけですね。
佐々木義武
191
○
国務大臣
(
佐々木義武
君) 私、恐縮でございますけれども、
予算
委員
会がございまして……。
市川正一
192
○市川正一君 じゃ、
古田
さんからしっかりお答えいただければ結構ですから……。
古田徳昌
193
○
政府委員
(
古田徳昌
君) 御指摘の多国籍企業の行動につきましてのOECDにおきます多国籍企業行動指針が採択されているわけでございますが、これにつきましては、私どもとしましても各国
政府
と協調しながらこの指針の遵守方を必要に応じ指導していくこととしております。また、この行動指針自体につきましては、指針の中におきましてこれは強制する性格のものではないということが指摘されているわけでございまして、これは先生御存じのとおりでございます。
市川正一
194
○市川正一君 後に残しながら質問としては終わります。
吉田実
195
○
委員長
(
吉田実
君) 本日の
調査
はこの程度にとどめまして、これにて散会いたします。 午後五時十二分散会