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1980-03-07 第91回国会 衆議院 予算委員会第三分科会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十五年三月七日(金曜日)     午前十時開議  出席分科員    主 査 橋本龍太郎君      小此木彦三郎君    塩崎  潤君       津島 雄二君    大原  亨君       川俣健二郎君    柴田 健治君       中村 重光君    長谷川正三君       岡本 富夫君    権藤 恒夫君       多田 光雄君    岡田 正勝君    兼務 清水  勇君 兼務 田畑政一郎君    兼務 山田 芳治君 兼務 横路 孝弘君    兼務 三浦  久君  出席国務大臣         自 治 大 臣         北海道開発庁長         官       後藤田正晴君  出席政府委員         内閣総理大臣官         房同和対策室長 小島 弘仲君         警察庁刑事局長 中平 和水君         北海道開発庁総         務監理官    大西 昭一君         北海道開発庁計         画監理官    富士野昭典君         北海道開発庁予         算課長     谷川 英夫君         自治大臣官房審         議官      久世 公堯君         自治大臣官房審         議官      川俣 芳郎君         自治大臣官房会         計課長     苫米地行三君         自治省行政局長 砂子田 隆君         自治省行政局選         挙部長     大林 勝臣君         自治省財政局長 土屋 佳照君         自治省税務局長 石原 信雄君         消防庁長官   近藤 隆之君  分科員外出席者         国土庁地方振興         局過疎対策室長 清野 圭造君         法務省刑事局刑         事課長     根來 泰周君         大蔵省主計局主         計官      公文  宏君         大蔵省主税局税         制第一課長   内海  孚君         文部省初等中等         教育局小学校教         育課長     中島 章夫君         厚生省公衆衛生         局地域保健課長 北川 定謙君         厚生省社会局庶         務課長     朝本 信明君         厚生省社会局更         生課長     板山 賢治君         厚生省児童家庭         局企画課長   北郷 勲夫君         農林水産大臣官         房参事官    松下 一弘君         労働省労働基準         局監督課長   岡部 晃三君         労働省職業安定         局業務指導課長 若林 之矩君         労働省職業安定         局失業対策部企         画課長     伊藤 欣士君         建設省住宅局住         環境整備室長  立石  真君         自治省税務局固         定資産税課長  渡辺  功君         会計検査院事務         総局第二局文部         検査第一課長  景山  弘君     ————————————— 分科員の異動 三月七日  辞任         補欠選任   大原  亨君     中村 重光君   岡本 富夫君     権藤 恒夫君   寺前  巖君     多田 光雄君   岡田 正勝君     竹本 孫一君 同日  辞任         補欠選任   中村 重光君     長谷川正三君   竹本 孫一君     和田 耕作君 同日  辞任         補欠選任   長谷川正三君     柴田 健治君   和田 耕作君     神田  厚君 同日  辞任         補欠選任   神田  厚君     三浦  隆君 同日  第一分科員横路孝弘君、第二分科員清水勇君、  第四分科員三浦久君、第五分科員田畑政一郎君  及び山田芳治君が本分科兼務となった。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和五十五年度一般会計予算  昭和五十五年度特別会計予算  昭和五十五年度政府関係機関予算  (自治省所管)      ————◇—————
  2. 橋本龍太郎

    橋本主査 これより予算委員会第三分科会を開会いたします。  昭和五十五年度一般会計予算昭和五十五年度特別会計予算及び昭和五十五年度政府関係機関予算自治省所管について説明を聴取いたします。後藤田自治大臣
  3. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 昭和五十五年度の自治省関係歳入歳出予算につきまして、概要を御説明申し上げます。  第一に、一般会計予算でございますが、歳入は一億四千九百万円、歳出は七兆五千四百九十五億八千七百万円を計上いたしております。  歳出予算額は、前年度の予算額六兆一千四百八十五億一千五百万円と比較をいたしますと、一兆四千十億七千二百万円の増額となっております。  また、この歳出予算額組織別の額を申し上げますと、自治本省七兆五千二百八十三億七百万円、消防庁二百十二億八千万円となっています。  以下、主要な事項について、委員各位のお許しを得まして、説明を省略させていただきたいと存じます。よろしくお願いを申し上げます。
  4. 橋本龍太郎

    橋本主査 この際、お諮りいたします。  自治省所管関係予算重点項目については、その説明を省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 橋本龍太郎

    橋本主査 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————   〔後藤田国務大臣説明を省略した部分〕  以下、この歳出予算額のうち、主な事項につきまして、内容の御説明を申し上げます。  最初に、自治本省につきまして、御説明を申し上げます。  まず、地方交付税交付金財源繰り入れに必要な経費でありますが、昭和五十五年度は六兆五千四百五十二億円を計上いたしております。  この経費は、昭和五十五年度の所得税法人税及び酒税の収入見込み額のそれぞれ百分の三十二に相当する金額合算額六兆四千九百二億四千万円に過年度特例措置に係る昭和五十五年度の額五百四十九億六千万円を加算した額に相当する金額交付税及び譲与税配付金特別会計繰り入れるために必要な経費であります。  次に、臨時地方特例交付金繰り入れに必要な経費でありますが、三千七百九十五億円を計上いたしております。  この経費は、地方財政状況等を考慮し、昭和五十五年度の特例措置として交付税及び譲与税配付金特別会計を通じ地方交付税交付金として交付する財源の同特別会計への繰り入れに必要な経費であります。  次に、借入金等利子財源繰り入れに必要な経費でありますが、四千六百二十九億九千八百万円を計上いたしております。  この経費は、地方交付税交付金に係る借入金及び一時借入金利子支払い財源交付税及び譲与税配付金特別会計繰り入れるために必要な経費であります。  次に、国有提供施設等所在市町村助成交付金に必要な経費でありますが、百八十八億円を計上いたしております。  この経費は、いわゆる基地交付金でありまして、米軍及び自衛隊が使用する国有提供施設等の所在する都及び市町村に対し、助成交付金を交付するために必要な経費であります。  次に、施設等所在市町村調整交付金でありますが、五十億円を計上いたしております。  この経費は、特定の防衛施設が所在することに伴い税財政上特別の影響を受ける施設等所在市町村に対し、調整交付金を交付するために必要な経費であります。  次に、交通安全対策特別交付金に必要な経費として、四百九十一億五千三百万円を計上いたしております。  この経費は、交通安全対策の一環として、反則金収入に相当する金額道路交通安全施設に要する費用に充てるため、都道府県及び市町村に対し交付するために必要な経費であります。  次に、新産業都市等建設事業債調整分利子補給に必要な経費につきましては、百十二億三千五百万円を計上いたしております。  この経費は、新産業都市工業整備特別地域等建設整備の促進を図るため、建設事業債特別調整分について利子補給金を交付するために必要な経費であります。  次に、地方公営交通事業再建債利子補給に必要な経費でありますが、二十七億五千万円を計上いたしております。  この経費は、地方公営交通事業再建を促進するため、再建事業を経営する地方公共団体が起こした再建債について利子補給金を交付するために必要な経費であります。  次に、再建地方都市バス事業車両更新費補助に必要な経費でありますが、十億六千七百万円を計上いたしております。  この経費は、再建を行う地方都市バス事業を経営する地方公共団体に対する当該事業車両更新費補助に必要な経費であります。  次に、公営地下高速鉄道事業助成に必要な経費でありますが、百八十一億四千四百万円を計上いたしております。  この経費は、昭和四十六年度末における公営地下高速鉄道事業債に係る支払い利子に相当するものとして発行を認める企業債利子相当額について、地方公共団体助成金を交付するために必要な経費であります。  次に、公営病院事業助成に必要な経費として、二億六千三百万円を計上いたしております。  この経費は、昭和四十八年度末における公営病院事業不良債務の範囲内で発行を認めた公立病院特例債利子について、地方公共団体に対し、助成金を交付するために必要な経費であります。  次に、公営企業金融公庫補給金に必要な経費でありますが、七十九億九千六百万円を計上いたしております。  この経費は、公営企業金融公庫水道事業下水道事業工業用水道事業交通事業市場事業電気事業及びガス事業に係る貸し付け利率の引き下げのための補給金を同公庫に交付するために必要な経費であります。  なお、このほか、同公庫につきましては、出資金を増額するための経費七億円が大蔵省所管産業投資特別会計に計上されております。  次に、新広域市町村圏計画策定に要する経費でありますが、四億八千百万円を計上いたしております。  この経費は、各地域社会に住みよい生活環境をつくり上げるため、新広域市町村圏計画策定及びこれに基づく中核的事業に係る計画策定のために必要な経費であります。  次に、参議院議員通常選挙に必要な経費でありますが、二百九億五千六百万円を計上いたしております。  この経費は、昭和五十五年度における参議院議員通常選挙の執行に必要な経費参議院議員通常選挙開票速報に必要な経費選挙人に対する参議院議員通常選挙啓発推進をするために必要な経費であります。  次に、選挙に関する常時啓発に必要な経費でありますが、十二億円を計上いたしております。  この経費は、選挙人政治常識の向上を図り、選挙をきれいにする国民運動推進するために要する経費について、地方公共団体に対し補助する等のために必要な経費であります。  以上が自治本省についてであります。  次に、消防庁について、御説明申し上げます。  まず、大震火災対策に必要な経費として、四十五億三千万円を計上いたしております。  この経費は、大震災に対処するため耐震性貯水槽コミュニティ防災センターなど震災対策のための諸施設の充実を図るとともに、災害情報収集伝達手段として重要な消防防災無線整備等推進するために必要な経費であります。  次に、消防施設等整備に必要な経費として、百五十一億七千三百万円を計上いたしております。  この経費は、市町村消防力の強化を図るため、地域の実情に応じて施設整備及び消防科学化近代化を促進するとともに、石油コンビナート空港等における防災対策推進を図るために必要な経費であります。  第二に、特別会計予算につきまして、御説明を申し上げます。  自治省関係特別会計といたしましては、大蔵省及び自治省所管交付税及び譲与税配付金特別会計がありまして、この特別会計歳入歳出予定額は、十五兆五千三百三十四億四千九百万円となっております。  歳入は、地方交付税交付金及び借入金等利子財源に充てるための一般会計からの受け入れ見込み額地方道路税収入見込み額石油ガス税収入見込み額の二分の一に相当する額、航空機燃料税収入見込み額の十三分の二に相当する額、自動車重量税収入見込み額の四分の一に相当する額、特別とん税の収入見込み額等を計上いたしております。  歳出は、地方交付税交付金地方譲与税譲与金及び借入金償還財源等国債整理基金特別会計への繰り入れ等に必要な経費であります。  以上、昭和五十五年度の自治省関係一般会計及び特別会計予算概要を御説明申し上げました。  よろしく御審議のほどお願い申し上げます。     —————————————
  6. 橋本龍太郎

    橋本主査 以上をもちまして自治省所管についての説明は終わりました。     —————————————
  7. 橋本龍太郎

    橋本主査 この際、分科員各位に申し上げます。  質疑時間はこれを厳守され、議事進行に御協力を賜りますようお願いいたします。  なお、政府当局に申し上げますが、質疑時間が限られておりますので、答弁は要領よく簡潔にお願いいたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山田芳治君。
  8. 山田芳治

    山田(芳)分科員 同和問題についての財政問題についてお伺いをいたしたいと思います。  同和問題については、今九十一国会において、すでにわが党の飛鳥田委員長が衆議院における代表質問において、また、松本英一参議院議員参議院における代表質問において、また総括質問において野坂浩賢、また一般質問において上田卓三議員からもるる申し上げておりますので、その回答の内容も全部読んでおりますので、ここでは特に、地方財政にかかわる残事業の問題と、超過負担の問題と、今後の自治省のあるべき姿について御質問を申し上げたいと思います。  そして、先ほど申し上げた累次の質問を読ませていただきますと、総理府総務長官やあるいはまたその他の大臣から、五十年の実態調査において今後やるべき同和関係事業総額が七千六百四十億で、五十五年度においては千三百六十億となっており、消費者物価その他の補正で二千九百二十億という形で、二千百二十億が予算化をされておるので、残事業は八百億であるというような答弁がなされております。しかし、このことは、私ども調査におきましても、たとえば大阪府が、個別的に調査をいたしますと、二千七百八十億まだ残事業がある。大阪府においては、毎年約五百億程度の予算を計上しているので、今後六年以上かかるという話もございます。福岡県においては、今後三千億ないし四千億の残事業がある、こういうふうにも言われておるわけであります。  そこで、問題は、残事業把握を含めまして、何遍も質問がありまた答弁もありますけれども、先般の同和対策特別措置法の三年延長の附帯決議にあるところの総合的な調査というものを、もう一度五十五年中にやらなければ、個別的ないろいろの問題がありますけれども、全体的な把握、流れというものがつかめないのではないか、このように考えるわけであります。  また、同和地区指定個所につきましても、昭和十年に発表されたところの地区数と、現在指定をされている四千七百二十五地区との間においては、約千近い地区の漏れがある、こういうふうに言われております。こういう点を含めて、自治省としては総合的な調査を五十五年にやらなければいかぬ。そして、その際は、いま言いましたいわゆる同和地区というものが未指定のままになっている。これはむしろ隠した方がいいなどということで表に出さない、そういう感覚で指定が漏れているのかどうか、そういう点を含めて、また、残事業の問題についても、八百億であるなどというようなことは、これは全く五十年の調査においてのことであり、非公式に全国市長会が調べたところでも二兆七千億くらいある、こういう話であります。このように関係者の意見がそれぞれ食い違っておるということは、関係者を含めてもう一度総合的な調査が必要であるというふうに思いますが、この点、大臣はいかがお考えになるか、まずお伺いいたします。
  9. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 御案内のように、同和問題、これはわが国内政上の非常に重要な、解決をしなければならない問題であるという基本認識政府としては持っておるわけでございます。そこで、基本法同和対策特別措置法、これらにつきましても先般改正をし、できるだけこの期間内に事業を完遂したいということで、鋭意政府としては努力をいたしておるところでございます。  御質問の、総合調査の問題であるとかあるいは個所数の問題であるとか、いろいろ関係者によって議論の分かれるところであることも承知をいたしておりますが、こういう点につきましては、私どもの方からも、ただいまの山田委員の御質疑等も踏まえまして、総理府が中心の所管庁としてやっておりまするので、よく総理府と連絡をして検討いたしたい、かように考えます。
  10. 山田芳治

    山田(芳)分科員 もちろん総理府が担当の主管官庁であることは承知をしておりますけれども、いま問題になっている最大の課題というものは、今後どのくらいの事業があるかということと、地方自治体における超過負担を含めての財政問題が大きなウエートを占めていることもまた事実であります。そういう意味で、自治省当局としても本当のところの実態把握されることが必要だと思いますので、むしろ総理府やその他に対して推進役役割りをぜひ果たしていただきたい、こういう点を調査に関してはお願いをいたしておきたいと思います。  次に、土屋財政局長が過般の予算委員会の席で、同和債の残高が五十三年度末で四千三十九億ある、こういうお話をされております。これの内訳、特に国庫補助事業の裏の分と単独事業起債内訳内容についてちょっとお話しをいただきたいと思います。
  11. 土屋佳照

    土屋政府委員 同和対策事業債が五十三年度末で約四千三十九億あるということで申し上げましたが、その中身を申し上げますと、いわゆる国庫補助対象になっております十条債に係るものが千二百七十九億、若干端数は丸めてございます。それから、その他のものが二千七百六十億ということでございます。
  12. 山田芳治

    山田(芳)分科員 この千二百七十九億は交付税法の規定によって八割の元利償還はするけれども、二千七百六十億、これは倍以上になりますね。これはその対象にならないということは事実ですね。
  13. 土屋佳照

    土屋政府委員 さようでございます。
  14. 山田芳治

    山田(芳)分科員 ということ一つを見ましても、単独事業がいかに多いか、それの償還が自治体にとって大変厳しいものであるということを示す一例だと思うのです。これは単独債を認められている、そういうものであるからであって、たとえば私ども京都などにおきましては、単独債に当たらないものについては、京都府が独自に振興資金という形で起債を認めているというところに依拠して事業をやっているという例も多々あるわけであります。そういう点で、同和事業債の問題の一つは、私はいまから五年ぐらい前でしたか、この二千七百六十億についても、あえて八割とは申さないけれども、何割かの元利償還交付税に盛るべきではないかという要求を地方行政委員会の席でいたしました。その当時の会議録を読んでみますと、そういう点を踏まえて検討させていただきます、こういう大臣答弁でありました。その後、こういう点について検討をされたことがありますか。また、検討する意思がございますか。その点についてお答えをいただきたいと思います。
  15. 土屋佳照

    土屋政府委員 同和対策事業特別措置法の十条を適用する地方債につきまして、これは自治大臣指定するものは交付税で後追いをするということになっておるわけでございますが、その指定につきましては、国庫負担金あるいは国庫補助金を得て行った事業に対するものについて行うということにされておりまして、これは本法制定時の国会における経緯から見ましても、私どもとしてはいまもそういった方針をとっておるわけでございます。  いまお尋ねのようにこれをどうするかということについては、内部でもいろいろと検討したわけでございますけれども、何と申しましても、この事業の性格にかんがみまして、やはりこれは国が基本的にみずから負担をする姿勢で取り組んでもらうべきものだと存じますので、私どもの立場といたしましては、国庫補助負担金等を得て行う事業に対するものについて交付税措置をするという方針をいまのところは持って、そのまま続けておる次第でございます。
  16. 山田芳治

    山田(芳)分科員 その意味もわかります。昭和五十四年七月七日の財政局長通牒というものを見ましても、各省庁に対して、同和事業財政措置について、「原則としてすべての事業国庫補助負担事業として採択し、事業費の全額について同法に定める高率の国庫補助負担をすべきものと考えます。」と言われておる点は、まさにこれは自治省態度として敬意を表するし、こういう点を大いに各省がやってほしいという願いをわれわれは持っております。  ただ、残念なことに、その別紙の中に単独事業というものが、たとえば同和対策事業の五十三年度の事業状況を見ましても、総額二千二十七億のうち地方単独事業、これは超過負担分を含むと書いてあるが、八百二十九億ある、自治省みずからがこう言われているわけですね。ですから、こういう超過負担もあり、地方単独事業がかくも多くあるということを自治省みずからが認められている。このこと自身はまた、われわれとしては評価をするわけでありますけれども、そういう実態にあるということで、それは各省がそうすべきだということと、各省がしていないのだから、こういう通牒を出されることとは、言うならば矛盾をしているわけですね。各省庁がやれと自治省みずからが財政局長名でお出しになるということは、各省がやっていないのだということを裏書きしているわけですから、せめて自治省では、その何割かを率先して元利償還負担するということにおいて、各省に対して、われわれ自治省もこうしているのだから各省もっとがんばれということをやることによって説得力を持ち得るのではないか、こう思うのですが、どうでしょうか。大臣、いかがですか。
  17. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 同対事業をめぐって一番困っているのは、御質問のように、財政負担の問題だと思います。私どもとしては、この問題については、やはり基本的には国全体の問題として国庫補助負担制度をすべてに広げるべきである。そうすれば、私どもとしては裏の方の処置ができるわけですね。しかし、現実は、超過負担もあれば、単独事業としていま地方財政難で苦しんでおることも事実。そこで、私どもとしては、こういった公共団体に対してはできる限りの財政上の手厚い保護をしていこうということで、今日までやっているわけでございます。私どもとしては、ただいま申しましたように、何とか全部国で補助負担をすべての事業に広げてもらいたい、そして、そうすることによって地方単独事業に苦しんでおるといったような面をできるだけ減らしたい、かような基本的な考え方は今後とも続けていきたい、かように思っております。いずれにしても、地方公共団体は非常に苦しんでおりますから、その点については、私どもとしても十分検討していかなければならない、かように考えております。
  18. 山田芳治

    山田(芳)分科員 財政局長、私の言った質問にいま大臣が大所高所からの基本的態度を言われたのですが、私の質問しているのは、二千七百六十億を幾らかでも元利償還の中へ組み込んでいけないか、こういう努力をしてほしい、こう言うたのですが、ひとつ検討するぐらいの返事はどうですか。
  19. 土屋佳照

    土屋政府委員 先ほど申し上げましたように、本法制定時の経緯から見ましても、事柄の重大さということは十分認識をいたしておりますけれども、やはり私どもとしては、国庫負担金あるいは補助金を得て行った事業に対するものについて行うということにしております。ただ、従来から、国庫補助対象事業の拡大に伴って、十条適用の範囲も逐次拡大されておることは事実でございます。今後ともその対象の拡大には努力いたしたいわけでございますが、直接お尋ねの二千七百億のものをどういうふうにするかということになりましては、これを元利償還にするというところまで、私どもとしても、全体の事情等を考えますとちょっと踏み切れないわけでございます。ただ、個々の市町村によりましては、いろいろ事情が違いまして、財政の状況も違うわけでございますから、財政の苦しいところもございます。そういったところは、県を通しまして実情も十分把握いたしまして、全般的な財政措置については、私どももある意味では個々の問題についてまでよく事情を聞いて、相談にも乗っていきたい、そういうふうに考えております。
  20. 山田芳治

    山田(芳)分科員 それでは、この二千七百六十億の中身で、個々の町村で非常に負担の重いところはケース・バイ・ケースでいわゆる特別交付税等において処置をされる、こういうことで了解をして、一応この質問は終わりますが、いま財政局長の言われたように、逐次財政局長通牒に関連して各省努力をしておられる、こういうお話でありましたので、それならば、五十五年度の予算で、この財政局長の七月七日の通牒に基づいて各省が具体的にどんな努力をされたか、ひとつ数字があったらお示しをいただきたいし、なければ後でも結構ですが、いかがでしょう。——なければ後で数字を出してもらって結構ですが、そういうものがあるかないかをひとつ。
  21. 土屋佳照

    土屋政府委員 率直に申し上げまして、きわめて大きな金額として出ておるものはございませんけれども、たとえば雇用及び中小企業対策について、同和対策対象地域住民職業講習受講奨励金の新設とか、新たに同和高度化事業にかかる運転資金の融資制度を設けるといったようなこと、細かい点はいろいろございますが、逐次改善をいたしております。ちょっといま金額がそれでどうなるかということなどは申し上げかねます。
  22. 山田芳治

    山田(芳)分科員 それではひとつ後で私のところへお届けをいただきたいと思います。  次に移ります。  現在の同和対策特別措置法は、事業に対する特別措置法であって、これは先ほど申し上げました質問の中にもありますように、単に事業に対する環境改善だけでは部落の改善、解放ができない。教育とかあるいはいろいろのPRの問題であるとか、人権に対する措置の問題であるとか、ありとあらゆる部面において同和の部落の完全解放というものの行政、政治の責任を明確にしていくために、三年の間において、次に附帯決議の中にあるように、基本法的な法律に改正すべきである、こういう意見がございます。それに対してわれわれとしては、この三年の短い期間の中で、一つ実態調査をしてもらって実態を調べてもらう、もちろん、大臣も現地でいろいろと聞いておられるということも聞いておりますけれども、そういう点を含めて、基本法的な抜本的な法改正をすべきであるということが部落解放同盟の皆さんから強く言われているわけでありますが、いまの状態を見ますと、まだまだ三年の期間で物が解決するなどということは考えられません。したがって、抜本的ないわゆる部落解放の基本法という考え方で、国の責任、地方自治団体の責任を明確にしながら、教育とか宣伝とかありとあらゆる行政の分野において部落解放の措置をするという立場に立って、法律を改正すべきだという私どもの要求について、大臣はいかがお考えになるか、ひとつお答えをいただきたいと思います。
  23. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 御質問のように、今日の同対法が三年の時限立法ということになっておりますが、この三年経過後、同対問題について、国として同時に地方団体として、どのように対処していくかというのは非常に重要な国全体の課題だと思います。そういう点もよく政府としてもわかっておりまするので、同対法以後の問題についてどう対処するか、これは真剣に慎重に検討してまいりたい、かように考えております。
  24. 山田芳治

    山田(芳)分科員 ということは、前向きでこれは処理されていくというふうに理解をしてよろしゅうございますね。
  25. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 この点につきましては、前向きとか後ろ向きとかいうことはございません。要は、事業実施の状況を勘案しなければいけません。同時にまた、同対問題というのはそういった事業だけでなしにやはり精神的な面もございますし、世の中全体のいろいろな悪弊の問題もございますから、そういったような点も全部含めまして、そして検討しなければならない重要な課題だ、私はかように考えております。
  26. 山田芳治

    山田(芳)分科員 これは、ひとつ大臣もぜひ真剣に取り組んでいただきたいということを、お願いをいたしておきたいと思います。  次に、部落解放同盟の皆さん方も、同和関係の経費について特別交付税という形では非常に不安定である、逆に言うと、先ほどお話がありましたように、個々のケースについて配慮をしてもらえるという点においてのメリットはある、こういうふうには思っていますが、普通交付税で何とか算定できないのか。この普通交付税で算定されているのは、いま言いました残高のあるところの地方債に対する元利償還金、これは普通交付税に入っているわけであります。たとえば私のある町、わずか九千ぐらいの町でありますが、そこにはもう三割以上の同和人口並びに世帯がある。町の中の三割以上になりますと、もうほとんど行政その他についても同和事業に特段の配慮をしなければならないということで、十四人配置をされているわけですね。こういう人件費は何で見るのだろうかということになれば、なかなか補助金に適合しない、これは特別交付税だ、こういうことになるのかもしれませんが、何か普通交付税の中で特別に、事業費補正というか何かの形でそういうものの積算が見られないのかということが一点。  第二点は、常に言われておるのですが、運営費が非常に低いということが言われておりますね。この二点、一体どういうふうにお考えになるかということ。  最後に、同和対策事業費が特別交付税で配分されている計算方式がいまある程度ルール化していると思うのです。それはどうなっているかという点を含めて、もう一度、普通交付税になじまないんだという自治省の理論的な根拠を、この際明確にしておいていただきたい。はっきり言いますと、いろいろ議論がありますから、なぜ交付税になじまないかという自治省の考え方を明確にしてもらった方がいいと思うのです。それをひとつ具体的に申していただけたらありがたいと思います。
  27. 土屋佳照

    土屋政府委員 申し上げるまでもなく、この同和対策関係事業は行政の各般にわたっておるものでございますが、同じ同和関係の町村におきましても、同和地区の有無とか規模とかいろいろと状況の差異があるわけでございます。かつまた、地域の実情に応じてやっておられます事業の種類、範囲あるいはその重点の置き方というものもそれぞれ異ってくるわけでございますので、これらにかかる経費を、ただいまお話のございましたような普通交付税で一律に算定することは事実上困難であると思っております。いまの算定方法については、よく先生御承知のように、標準団体を想定しながら単位費用等、測定単位ということで計算しております。あといろいろな補正をやっておりますが、これほどのいろいろな事情の異なる団体についてそういったことで処置し得るかということになりますと、私どもとしては事実上困難だと言わざるを得ないわけでございます。  そういったことから、先ほど人件費等の問題もございましたけれども、計算に当たりましてはいろいろと、人数割り的な考え方、事業費割り的な考え方、そういったものをルールとして組み込みまして、年々それについても改善を加えてきております。特別交付税の配分の際は、私どもはそれぞれ議論しながら、なるべく充実をしたいということでやってきておるところでございます。  先ほど運営費の問題等も言われましたけれども、繰り返しになりますが、いま申しましたようないろいろな事情に応じて、人数、地区数あるいは事業費の量、そういったこと等をできるだけルール化しながら配分をし、かつまた、最初におっしゃいましたような特別な地方団体によっては、また個々の事情も配慮しながら、総合的に財政の充実を図る、そういったことを考えておるわけでございます。
  28. 山田芳治

    山田(芳)分科員 最後に、一問だけ質問を申し上げますが、先ほど申し上げましたように、個別的な残事業とそれから地区数とのギャップというものは、地方団体側と政府側とにあるということで、このためにも、ぜひ五十五年度中に五十年を上回る実態調査をしていただいて、そのもとにおいて具体的にどう処置をしていくかということをもう一遍考え直さなければならない時期が来ている、こういうふうに思います。ですから、いろいろの議論がございますけれども、もう一度実態調査をやっていただいて、その上でどういう対応をしていくかということが、いま求められている基本の姿勢だろうと思います。  いろいろ細かい点もありますから、それは個々にまた申し上げますので、ここでは申し上げませんけれども、基本的にその姿勢だけ大臣に確認をして、ぜひもう一度五十年を上回る総合的な実態調査をしていただきたいということが非常に強い要請であるということを含めて、大臣からお答えをいただいて、私の質問を終わりたいと思います。
  29. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 仰せのように、この事業を完全に遂行するためには、何といっても実態調査をきちんとしまして、そして残事業が本当にどれだけあるのか、これは要求せられる側と政府調査の側と、いかなる事業であっても食い違いがあるわけですから、そこらはやはりきちんと決めまして、そして、同時にまた、個所数なんかも年によって調査するたびに違うようですから、これじゃいかぬはずなんですね。だから、そういうような点については、よく先生の御意見を踏まえまして、総務長官ともよく相談をしてみたい、かように考えております。
  30. 山田芳治

    山田(芳)分科員 以上をもって終わります。
  31. 橋本龍太郎

    橋本主査 これにて山田芳治君の質疑は終了いたしました。  次に、権藤恒夫君。
  32. 権藤恒夫

    権藤分科員 水道の高料金対策についてお伺いしたいと思います。  地方公営企業繰出金につきまして財政局長通達が四十九年に出されておるわけですが、その中で「上水道の高料金対策に要する経費」とありますが、この趣旨について御説明願いたいと思います。
  33. 川俣芳郎

    川俣政府委員 水道料金につきまして、高料金の場合、いわゆる公営企業繰出金を認めておるわけでございますが、その趣旨は、独立採算を原則としております公営企業の場合、料金にある程度格差が生ずるということはやむを得ないというふうに考えておりますけれども、住民生活に不可欠の水道料金が、他団体と比較をいたしまして著しく高水準になるということはやはり適当でないのではないか、かような見地から、資本費が著しく高い団体につきまして一般会計からの繰り出しを認めて、これについて一定の財政措置を講じておるということでございます。
  34. 権藤恒夫

    権藤分科員 私の知っております町では、十立方メートル当たり基本料金がもう千二百五十円から千五百七十円という、大都市では想像もつかないような高料金のところがあるわけなんです。いまおっしゃったように、こういうようなものに対する格差是正をするということなんですが、具体的に成果はどういうふうに上がっておりますか、その対策の結果ですが、それについてお知らせを願いたいと思います。
  35. 川俣芳郎

    川俣政府委員 実は、五十三年度の決算で申し上げてみますと、水道料金の平均が七百十四円でございます。現在高料金対策の要件の一つに家庭用料金が十トン当たり千円以上という要件を設けておりますが、家庭用料金が千円を超す事業数が二百七十六事業ございます。これは全体の事業の一六%でございまして、この一六%の事業について財政措置を講じておるということでございます。  具体的に申し上げますと、資本費が五十円を超える事業につきまして、たとえば百円の場合でございますと、五十円を引きました五十円につきまして、それに有収水量を掛けまして、その額を一般会計から繰り出してもらう、こういうことにいたしております。したがいまして、百円の資本費の場合は五十円相当分についてトン当たり引き下げる効果がある、かように思っております。
  36. 権藤恒夫

    権藤分科員 一般会計からの繰り出しを条件としているようですけれども、御承知のとおり、弱小市町村一般会計も非常に苦しいわけなんですが、これから先、そういう繰り出せないようなところが出てきた場合に、これはどういう措置をすることが適切であろうかということなんですが、いかがでしょうか。
  37. 川俣芳郎

    川俣政府委員 ただいまお話ございましたように、高料金対策に係ります財政措置につきましては、一般会計から水道特別会計への繰り出しを前提にいたしております。ただ、御案内のとおり、繰り出し基準に基づきます繰り出しをいたしております限りにおきましては、繰り出し額の三分の二ないし四分の三という高率の補てん措置を実は講じておるわけでございまして、他の公営企業の場合の繰り出しに対する補てん措置に比べてもきわめて高率に相なっております。そういう意味から、私どもといたしましては、現在の高料金対策に対する補てん措置はかなり十分な財政措置である、かように考えておるわけでございます。
  38. 権藤恒夫

    権藤分科員 一般会計から繰り出しをしまして、その分について見るということなんですが、これは私はなはだ疑問を持っているわけなんです。と申し上げますのは、十二月の特交で確かに高料金の算定に基づく交付というものがなされておるようには見えるのですけれども、三月で全然その高料金対策分としてのものが交付されておらないという事実がある。これはほとんどそうなんですね。だから、公営企業二課の方で高料金分として交付されたものが三月の特交交付のときに調整されているのじゃないかというふうに思うのですが、その点はいかがでございますか。
  39. 土屋佳照

    土屋政府委員 ただいまのお尋ねでございますが、一般的に申し上げまして特別交付税は個別の団体の各種の特別財政需要について財政状況全般を総合的に勘案しながら算定をしておるわけでございますので、一つのルール項目の措置額の増加が直ちにこの特別交付税総額の増加に必ずしも結びつくものではないということが一つと、また、特別交付税総額交付税全体の御承知のように六%という総枠が決められておるものでございますので、あるルール項目の算定額が全国計である年に異常に増加するといったような場合には全般的に他の項目の算定を抑えざるを得ないといったような事情もあることは御理解賜りたいと思うのでございます。  ただ、御指摘のように、個々の団体について見れば、ルールで出てきた分その他の財政需要についての算定がどうも少ないといったような声があることは私も聞いております。そういった点については総合的な財政事情を勘案して配分はいたしますけれども、やはり全般としては適切な配分をしなければならないと思っておりますので、そういう点については私どもとしても今後とも十分注意しなければいかぬというふうに考えております。
  40. 権藤恒夫

    権藤分科員 もう少し具体的に申し上げますと、福岡県の久留米広域水道事業団というのがございますね。ここから水を購入しておりますのが筑後市、大川市、大木、三瀦、城島、北野というところなんです。これが四十八年から五十一年にかけまして水道の拡張事業を行ったのですけれども、当時の狂乱物価で事業費の見込みの倍ぐらいかかっているわけです。したがいまして、給水原価も物すごく高いものになっているのです。さっきも申し上げましたように、十トン当たり千二百五十円から千五百七十円という想像もつかないような高額になっているわけです。そこでこれらの市町が財政局長の通達に従いまして一般会計から何とかひとつ補てんをしてもらおうということで繰り出してやったわけなんですけれども、十二月の特交のときにはきちっと一般会計から繰り出した分の基準の額は交付されている。ところが、三月で全部ならされているわけなんです。いま局長が申されましたけれども、やはり特交の交付の趣旨としては特別の財政需要を認めてのことなんですから、高料金対策として一般会計から繰り出しておるわけですから、その分についてはきちっと効果があるような措置をしてもらわないと大変町村は不信を持っているということなんですが、これから先の姿勢につきましてはいかがなものでございますか。
  41. 土屋佳照

    土屋政府委員 私、昨年就任しました後いろいろと御指摘のあったような意見も聞きましたので、配分についてはそれぞれ先ほど申し上げましたようないろんな問題はございますけれども、今年度の特別交付税の算定に当たりましては、私どもとしてはかなり事情がよくわかっておる県を通じまして団体の特殊事情なり財政事情等もよく聞いております。そういったことを踏まえ、いまのようなお話の趣旨も踏まえまして適切な配分に努めてまいりたいと思っております。
  42. 権藤恒夫

    権藤分科員 大臣にお伺いしておきたいのですけれども、いま申し上げましたのは、これは五十三年度のことなんですが、このようなことで高料金対策を講じたということは、市町村にとりましてはもう非常に自治省に対する不信感がつのっておるということはぜひともひとつ御承知おき願いたいと思うのです。  そこで、高料金対策のための一般会計の繰り出しにつきましては、財政局長は通達を——年々水道料金上がっておりますから、全国平均の云々という基準額は局長通達で市町村に出されておるわけです。ところが、市町村は水道料金の改定は条例改正をしなければならぬわけですね。条例を改正するためには相当住民の説得をしていかなければならない。地方団体がそのような措置をして、そして高料金の交付金を期待しておるのに、全く高料金対策をしておらない市町村と、三月の特別交付税の交付総額という見地から見た場合、全然変わっておらないわけです。先ほどから申し上げましたように、非常に不信を持っている。ですから、大臣、こういうことは十分に指導が行き届くように御配慮を願いたいのです。  それから自治省の方も、限られた財源の中で地方公共団体財政が苦しいわけですから、何とかしてあげようということで、こういう結果になったこともやむを得ないんじゃないかと思う、事情はわかるんですけれども水道事業が非常に不良債務を抱えましてこれから先どういう形で再建しようか苦慮しているときに、こういう唯一のせっかくの制度というものが生かされないということになりますと、地方団体、特に水道関係者は困っているわけです。だから、このような制度を生かして、地方団体に対しましてもその水道の給水人口をふやすとかというような指導をしてもらいたい。と同時に、やはりこの制度が不良債務を抱えた水道事業者が再建できるようなそういう方向に行ってもらいたいと思うわけです。その点についてひとつ大臣の見解をお示し願いたいと思うのです。     〔主査退席、津島主査代理着席〕
  43. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 市町村の水道料金、資本費が新しいものは非常にかさんでおりますから、したがって、町村によって非常な高料金になっておるのがあるわけですね。そこで、町村としてはどうしても一般会計からの繰り出しを必要とする。それを十二月の特交で見ておるわけですね。ところが、いま御質問のように、それを三月で調整せられたんじゃおかしいじゃないか、これはおっしゃるとおりだと思います。  ただ、それについては先ほど財政局長お答えしたように、いろんな事情で、理屈としては私も財政局長の言うとおりだと思うのですよ。しかし、結果として帳消しになったんじゃどうなるものでもありませんね。私も福岡県等のいま御質問の町村の状況の表を見ました。これはおかしいです。だから、そういう点については今後十分配意しまして——御満足のいくようなことはできませんよ、これは全体の枠が決まっていますからね。しかしながら、御質疑のあった町村等のいままでの結果を見ると、このままではやはりぐあいが悪い。これは自治省としては今後十分配慮しなければならぬ、かように考えておりますので、その点ひとつ御了承をしていただきたい、かように思います。
  44. 権藤恒夫

    権藤分科員 それから、宝くじの売りさばき人の問題についてお伺いしたいと思うのです。  ことしの四月から東京都で三百円くじが発行されるということなんですが、この宝くじに係る経費内訳は、百円券に換算しまして大体どのくらいになるのか、お答え願いたいと思うのです。
  45. 土屋佳照

    土屋政府委員 五十四年度の例で申し上げますと、割合を申しますと、当せん金が四三・九六%、それから収益金が三九・五六%、売りさばき手数料が八・五四%、支払い手数料が〇・一七%、そのほかに広告委託宣伝費等が二・六一%、その他の経費で五・一六%、これが一〇〇になるわけでございます。
  46. 権藤恒夫

    権藤分科員 それでは手数料のことについてお伺いしたいのですが、いま御答弁なかったけれども、売りさばき手数料は現在百円券で九%ですね。それから二百円券で八%、今回三百円券は六%にしようというようなお考えのようでございますが、金額が増加するにつれまして手数料の引き下げ率が多くなっておるようなんです。過去の一%から二%と引き下げが倍になっておるわけです。三百円券については、この手数料なんですが、七%ぐらいが妥当じゃないかというお話があるのですが、いかがでございましょうか。
  47. 土屋佳照

    土屋政府委員 五十五年度以降をどうするかということはまだ最終決定になっておりませんが、いまのように仮に二百円から三百円に上げるということになりますと、証票金額が大型化することによって販売コストが低下するということになりますので、売りさばき手数料なり受託手数料等の率を低めてそのメリットは主として当せん金へ還元をするという方向でいろいろ検討されるように聞いておるわけでございます。  ただ、この売りさばき手数料そのものは、発売主体でございます都道府県等、指定都市の受託銀行の意見を聞いた上で定めるということにされておるわけでございます。御承知のように、現在のところは一枚当たりの売りさばき手数料は百円の場合九円、二百円の場合十六円というような形になっておるわけでございまして、五十五年から予定されておる三百円くじの売りさばき手数料については、率としては六%、一枚で十八円となるということを聞いておるわけでございます。ただ、いま申し上げましたように、一枚当たりにつきましては十八円ということに上がってくるわけでございますし、この売りさばき手数料の検討とあわせて別途この売りさばき人に対する支払い手数料の増額を検討しておると聞いております。これらを合わせて売りさばき人の手数料収入というものが宝くじ販売の一線におられる方々に対して妥当な額になるようにいろいろと配慮しておられるように私ども聞いておる次第でございます。
  48. 権藤恒夫

    権藤分科員 ぜひそういう配慮をしてほしいと思うのです。おっしゃったように、宝くじ収益の四〇%は主体者の収益になっておりますが、それを売りさばいております現場の人たちなんですけれども、御婦人とかあるいは老齢者の方が大ぜいおりますので、こういう方々に対しまして十分な報酬が得られるような配慮をしてほしいと思うのです。聞くところによりますと、自治省関係者の意思次第では十分決定がなされるではないかというふうに聞いております。ぜひとも御努力お願いしたいと思います。  というのも、長期の不況だとか、いろいろ私も聞いて初めて知ったのですが、ここに宝くじの偽造券があるのですね。一万円までが——大臣ちょっとこれわかりますか、どこが何だかわからないでしょう。これは数字が張りかえてあるのです。
  49. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 どれが偽造ですか。
  50. 権藤恒夫

    権藤分科員 全部偽造です。
  51. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 本物をぼくは知らぬ。
  52. 権藤恒夫

    権藤分科員 いけませんな、ぜひ買ってもらいたい。  それで、番号が偽造されているのです。一万円までは売りさばき人のところで換金できるわけなんですね。偽造券による換金は全部売りさばき人の責任によって交換されるわけです。だから、それを勧銀に持っていきましても交換してくれないのです。そういうようなこともございますので、かなり私たちの知らないところでも被害をこうむっているわけでございます。そういうことも自弁しなければならぬということでございますから、十分にその売りさばき人の報酬が得られるような、そういうものにしてほしいというのが一つでございます。  それから、現在第一勧銀がこの受託をしておるわけでございますけれども昭和二十年ごろは年間約四億円でありました。それが昭和五十三年度では一千五百億になっておる。これを五十四年、五十五年で約二千億にしようというような考えがあるわけですね。ところが、この銀行に、非常にむずかしい仕組みになっておりまして、売りさばき人は、この宝くじの券を前もって買ってこなければならないわけですね、買ってくるのです、そして売りさばいたものは全部また第一勧銀に入ってくるわけなんですが、一週間一週間で毎週売り出しておりますので、常時百億くらいの金がプールされておるのではないかというふうに推測されておる。これは間違いないと思う。これを第一勧銀がこの金をきちっと宝くじ用として保管しておれば別なんですけれども、そういうことはあり得ないと思う。多分流用されておるだろう。そこで、金額もこのように大きくなりましたので、当せん金附証票法ですか、この第十四条というものを改正する必要があるのじゃないか。その金は第一勧銀が銀行の資金として使っても結構です、しかし、それに見合う利息を支払うようにしたらどうなんだというような考えがあるわけです。それに対します利息が入りますと、地方公共団体、この宝くじを発行しておる団体に対する配当金もふえてくるということなんです。そのことについて何かお考えがあるかどうか、お伺いしておきたいと思います。
  53. 土屋佳照

    土屋政府委員 お話のございましたように、宝くじの売上金につきましては、当せん金の支払いや地方団体への納付金の納入期間までの間は受託銀行に支払い資金として滞留をするということになりますので、その金をどういうふうに扱うかということは確かに問題でございます。ただ、受託銀行としては、当然のこととしていまの当せん金附証票法十四条の規定によりまして、他の一般の銀行勘定とは区分をして別建ての宝くじ勘定で経理しまして、いつでもこれが支払い可能な状態で保管、管理するということにしておるわけでございますから、まあその点は一体それをどう扱うかということについて一つの御提案がございましたけれども、なかなかむずかしい問題もあろうかと思っております。御承知のように、宝くじ経理に発生いたします滞留資金の大半は当せん者の当せん金の受け取りというものがおくれておるということによってたまっておるわけでございますから、したがって、いまの御提案のようにその金をどうでも使っていい、しかし、その利子は発売主体の方へ返すことになっても、一体それは公金的な感覚で、そこへ還流してもいいものかどうか、いわば本来賞金として受け取る人の金であるような感じもいたしますし、そこらの扱いが非常にむずかしいので、確かにめんどうくさい。別経理としておくよりは、その果実はうまく利用したらいいじゃないか、これは確かに発想として私もなるほどと思って拝聴いたしましたが、ちょっとその金の性格から見まして直ちにそういう扱いができるかどうかは、もう少し検討しなければならない問題だと考えております。
  54. 権藤恒夫

    権藤分科員 ぜひひとつ検討してほしいと思います。  それから大臣にお伺いしておきたいのですが、過疎法、それから山村振興法、豪雪法、離島法等、特定地域の振興施策は、一定の基準に該当する地域を施策の対象地域として指定をしております。この指定地域を有する市町村に対しまして国等が財政援助等を行っておるわけでございますが、この指定基準からわずかに外れた団体ですね、たとえば過疎法で言えばいわゆる準過疎市町村であるとか、これらの市町村におきましては過疎市町村との間に公共施設整備水準の格差はだんだん開いていっているように思うわけであります。したがいまして、過疎法、山村振興法、豪雪法等の指定に準ずるような、指定基準からわずかに外れたところ、そういうところの地域格差の是正については何とか国で措置をする必要があるのではないかと思います。これは非常に多くの市町村がそれを望んでおるわけでございますから、大臣の見解はこれらについては何かお持ちでございましょうか。
  55. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 この種のものはすべてどこかで線を引かぬといたし方のない問題ですね。だから、そういったことをできるだけ避けるためには、やはり社会情勢が変わりますから、経済情勢が変わりますから、時々の見直しをやることが一一番肝心だろう、かように思います。同時にまた、指定の要件に該当しない団体であって特別の財政需要がある、こういう団体につきましては、従来からもそれぞれ必要な限度においての措置を講じておるわけでございまするので、今後ともこういった点については御指摘の点も踏まえまして実情に応じた措置をとっていきたい、かように考えます。
  56. 権藤恒夫

    権藤分科員 ぜひともそれを考慮してもらいたいのは、そういう陳情等がたくさん来ているわけでございますから、別途検討していただいて、地方交付税なりあるいは地方債等で善処されるように要望しておきたいと思います。  以上で質問を終わります。
  57. 津島雄二

    ○津島主査代理 これにて権藤恒夫君の質疑は終了いたしました。  次に、中村重光君。
  58. 中村重光

    中村(重)分科員 大臣地方時代という言葉が、ある新聞では流行語、こう言っているのだけれども、ぼくは流行語という言葉は使わないが、この地方時代という言葉に対しては、政府も与野党もまさに何の抵抗もなく定着したということが言えると思うのです。問題は、その言葉は定着したのだけれども、言葉の意味に対する理解の仕方は違うんだろうと私は思っている。  そこで、大臣は、八〇年代地方時代ということになると私は思うのだけれども、この言葉の意味をどう理解しておられるか、きわめて大切な問題であると思うので、大臣は能弁だからとうとうと大臣から答弁の時間をとられたのでは三十分すぐたってしまうので、簡潔に要領よくお答えいただきたい。
  59. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 地方の時代というのは、しょせんは地方団体が自主的、自律的に自分の身近な住民の要求を受けとめて、そしてその地域の特性を生かした地域づくりができるようにしていくことであろう、私自身はそういう受けとめ方をしておるわけでございます。そしていわばゆとりと活力といいますか、それのある地域社会づくりをやって、その集大成の上に立って新しい国土づくりといいますか、そういう手法を、いままでのような中央集権的な上からのやり方でなくてやっていこう、こういう考え方であろう。したがって、その中身は、いままでのような過度の中央集権というものをできる限り排除をして、そして地方自治体というものが主体性を持って地域の振興に取り組めるように、つまりは、身近な行政は身近な団体がやっていくんだ、それを可能にするやり方、つまりは地方分権の推進だ、かように考えております。
  60. 中村重光

    中村(重)分科員 私はまともだと思うのです。やはり中央集権的な政治や行財政のシステムの転換の要求だ、こう見るべきだと思うのです。  大平総理が総裁選挙に立候補する前に、言葉としてはまことに格調高いことを言ったのです。いままで、地方選挙になると、中央に直結する地方政治か、あるいは地方住民に直結する地方政治かということが実は保守、革新の争点であった。ところが、大平総理がこういうことを言ったのですよ。日本の政治は中央集権なんだ、これではいけない、やはりヨーロッパのようにもっと地方に権限を与えた地方分権でなければ、地方の文化それから産業の振興もあり得ない。まことにいい言葉ですね、いい考え方。ところが、財政の面については残念ながら裏づけされていない、こういうことなんです。いま自治大臣が、そういうことで中央集権はいけない、地方分権でなければいけないんだ。五十五年度の予算の中にはその面が生かされていないわけですが、やはり八〇年代最初の自治大臣として異常な決意を持って本当の地方時代を、地方分権を確立をしていくということでなければならないと思うのですが、あなたの決意を伺っておきたいと思います。
  61. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 私は、いま申したような意味合いで取り組んでいかなければならない、こう思っておるのですが、これは長い間の中央集権の物の考え方が根底に根強くありますから、なかなか容易な仕事でないと思います。抵抗の非常に強い仕事だと思いますが、それらの抵抗を排除しながら息の長いやり方で私自身はやっていきたい。いま一番心配しているのは、この地方の時代ということが、もうともかく地方団体にやってもらわないとこれ以上中央はどうにもならぬから、おまえさん方、ひとつおまえさん方の力だけでやれよ、こういった物の考え方でやられたんじゃ、これはとんでもないのです。これはそうじゃなくて、本当の意味地方の時代を実りあるものとするのには、それを可能にする一番肝心なものは、裏づけである財政措置だと私は考えております。そういうような意味合いで、抵抗はあると思いますけれども、息の長い取り組み方で、漸次、地方自治の推進という観点に立って施策を進めていきたい、かように考えております。
  62. 中村重光

    中村(重)分科員 時間の関係がありますから、地方の政治、行政のあり方、その面で地方自治体の財政が非常に圧迫されているという点について各委員から触れられた問題もあるということは想像されるわけですが、雇用の問題であるとか、あるいはまた恵まれない身体障害者に対する措置の問題、さらには消防団とか民生委員等に対する処遇の問題等々あろうと思います。  政府方針だと思うのだけれども、きょうは労働省お見えのようですが、雇用開発委員会というのができまして、これは数県できているようなんですが、ところがこの中身は将来のビジョンづくりということなんですよ。それで、当面の雇用対策というのは議論をしないのですね。ところが、現実には特定不況産業安定臨時措置法というのを、雇用問題という面に関連するとして私どもは真剣に討議をし審議をし、大幅修正を加える、こういう形になったのですが、確かに後ろ向きの政策であったのだけれども、雇用の面に対してのこれが、本当に不況産業が立ち直った場合には大きく役立つというように思っているのです。  造船業も最近若干上向きになってきたのですけれども、数多い造船業に働いている労働者というのは雇用保険でもって生活している。ところが、これがもう切れてしまっている。それで生活保護を受ける。それもいろんな条件でなかなかうまくいかないということで、ちまたには失業者があふれているわけです。そこで地方自治体としても、その面に対しては苦しい財政の中から手当てをしていかなければならぬ。そこで私は、失対事業の再確立以外にないのじゃないか。ところが、この失対事業というのに対しては労働省もずいぶん抵抗がある。これは地方自治体もその点があるんだけれども、失業者から直接深刻な訴えを受けると、無理をしてでも地方自治体がこれを抱えていくということをやらなければならぬということなんですが、この点についてどうお考えになるかということを一点、伺っておきたいと思います。  それから身障者の雇用問題、これは大企業ほどお行儀が悪いですね。これは納付金制度というのをつくったところに問題があるように思う。ヨーロッパの国のように完全義務制でなければいけなかったと思うのですが、納付金を出すと、その金が奨励金という形で雇用する経営者の方に回っていくという形になっている。これはいろいろ議論の分かれるところでありましょうけれども、肝心の市町村がこの身障者の雇用率を達成しているのかどうか、自治省調査をしておられるでしょうが、その点に対してはどういう調査結果になっているのかという点。  それから、精薄者に対するところの扱い、これは心身障害者基本法というものを私ども議員立法でつくり上げて政府を激励鞭撻をするというような形をとっているのですが、なかなかその基本法の中身が達成されないという実態であるわけです。いろいろな面にありますが、時間の関係で申し上げることができません。ところが、精薄者と肢体障害者とでその扱いに非常に格差があるのですね。そして精薄者が、二十歳あるいは三十歳という連中でも、ひどいところは月に二万円か三万円で働かされている。この保障がないということ、本当に気の毒だと思うのですね。ですから、これら心身障害児に対しては進学とか就職という点の保障が必要でありましょうし、ただいま申し上げましたような、ともかく働かせるということの努力がいっぱいで、そういう賃金の方まで手が回りませんというような言い方、考え方が実はある。これらの点に対してどうお考えになっておられるのか。  まず、財政圧迫の関係がありますから自治省からもお答えをいただき、それぞれの関係省も御出席でありましょうから考え方をお聞かせいただきたい。
  63. 伊藤欣士

    ○伊藤説明員 最初に、造船離職者に対して失業対策事業の門を開いてそこに吸収したらどうか、失対事業の再確立が必要なのではないかという御質問でございますけれども、失業者のために特別に事業を起こしてそれに吸収するといういわゆる事業吸収方式につきましては、先生御案内のように、再就職にかえってつながらない、滞留が非常に多くなるというような種々の問題がございまして、現在行われておりますように、各種手当を支給しながら綿密なる職業指導、職業訓練の受講というような形で常用雇用へ復帰を図ることの方がベターであるということで、順次そういう方式に切りかえられてきた経緯がございます。そういうこともございまして、現在では、中高年雇用開発給付金であるとかいう民間の活力を生かすような形での常用雇用への復帰ということを重点に置いているわけでございます。  それで、造船からの離職者につきましても、先生御案内のように、特定不況業種離職者臨時措置法というのは造船の離職者というのを契機にいたしまして、特別にこういう手当方式、それによる職業相談、職業訓練という形で常用復帰を図るんだ、そういう趣旨で特に設けられた経緯もございまして、現在では、その法律の適用対象というのは造船の関係の方が非常に多い。数字はいろいろございますけれども、再就職によく——よくという言い方はおかしいのですが、再就職にもつながっているというのは、われわれ一定の成果を上げていると評価しているわけでございます。もちろん、そういう方式、手帳発給それから促進手当の支給等で生活の安定を図りながら、職業訓練、職業指導で再就職に今後とも最善の努力を払っていきたい、こう思うわけでございます。
  64. 若林之矩

    ○若林説明員 お答えします。  身体障害者の雇用率でございますが、先生御指摘のようにまだ低い状況でございまして、法律で一・五%の義務が課せられておりますけれども、民間の平均でまだ一・一二という現状でございます。先生御指摘のように、規模が大きくなりますとその雇用率がさらに低くなっているというのが現状でございます。  私ども、このような雇用率を達成していない企業につきましては、大企業を中心にいたしまして雇用率の達成計画の作成命令というのを出しているわけでございまして、現在一千二十一企業に対しましてこの計画の作成を命じ、提出をさせておるところでございまして、これに従いまして強力な達成指導を行っているわけでございます。納付金を納めればそれで済むということじゃございませんで、あくまでもこの雇用率は達成すべきであるという考え方で行政指導を進めているわけでございます。  御指摘の市町村でございますが、市町村につきましては、非現業につきましては雇用率一・九%の義務が課せられておりますけれども、現状は二・〇一でございます。それから現業的な機関につきましては、義務が一・八%でございまして、現状は一・九一ということになっているわけでございます。
  65. 岡部晃三

    ○岡部説明員 心身障害者の賃金の問題でございますが、これが非常に低いのではないかという点でございます。心身障害者の雇用を確保いたして社会参加を促進するということは、私どもの念願でもございますし、重点施策の一つでございます。ただ、心身障害者の労働条件につきましては、たとえば賃金は労働の代償であるという基本的な性格がございますので、一般労働者のそれと異なるところがあってもやむを得ない面があるのではなかろうかというふうに考えております。  私ども調査によりますと、一般常用労働者の毎月決まって支給する給与額は十六万八千円というのに対しまして、障害のある者の給与を比較いたしますと、軽度の者はそれほど差はございませんけれども、中度の者はたとえば十五万円台、重度の者は十二万円台というふうな一般的な傾向があらわれております。先生御指摘のとおりでございます。ただ、労働条件が低いということが、もし不当に低いということでありますと、これは身障法あるいは労働基準法の精神から好ましいとは言えないというふうに考えます。  したがいまして、労働省といたしましては、いろいろな施策を通じまして労働条件の確保、改善に努めたいと考えておりますが、一つには、やはり職業安定機関におきますところの紹介時における労働条件に対する配慮、それから最低賃金法というのがございます。これはその八条に「精神又は身体の障害により著しく労働能力の低い者」については適用の除外がされることになっております。ただし、これは労働基準局長の許可が必要でございます。そういう正当な手続を経て適用除外されたものを除きまして、いやしくも最賃法違反ということがないように監督機関において監督指導を行う。あるいはまた、賃金指導官がそれぞれの監督機関に配置されておりますので、そういうところからの賃金体系への指導ということでございますが、ただ、労働条件というのは基本的に労使が話し合って決めるべき問題でございます。したがいまして、関係労使が身体障害者の方々への配慮、そういう問題に十分温かい関心を持ちまして対処されるということを基本的に期待いたしたいと思います。
  66. 中村重光

    中村(重)分科員 議論をする時間がないので残念なんだけれども、納付金制度にしても、金さえ出せばよろしいものじゃない。それはそうなんだけれども、現実には、努力目標であったのを一応義務化に前進をさした、それは評価をする。しかし、経営者の方では、納付金を出せば必ずしもそれを達成する必要がない。これは罰則も何もない。したがって、金を出す、これで片づけよう。大企業ほど雇用率が低いのはそこらにある。金を出す力もあるわけです。それから、自分のところでいろいろな形で災害を受けた、そういう者を当然雇用しておかなければならぬ、それをもって雇用率を達成しているんだという形になってきている。私は、その点は行政指導を十分やって、身体障害者を雇用するという指導をされる必要があると思う。これは自分のところの災害でけがをされた労働者だから、当然のことなんですよ。ですから、その点に対しては、金を出せばそれで済むものでないと言われるならば、そこにウエートを置いた指導というものをされる必要があるということを強く指摘をしておきたいと思うのです。  それから、失対事業の問題について、再就職につながらないんだ、当時は確かにそういうことがあったと私は認める。だけれども、いまは大きく変わってきておる。労働省の物の考え方だけが変わってきてないんだな。そこで、それじゃ再就職につながらないということは、抵抗を受けてつながらなかったんだから、つなぐようなそういう施策を十分講じていくということであればよろしい。民間の活力をつけて雇用を確保していく。減量経営であるとかいろいろな形によって民間もなかなか雇用というものをやらない。大企業ほど減量経営をやる。ですから、どうしても中小企業というような形になる。中小企業でも雇用の機会があればよろしいが、賃金というものも極端に低い。無理をして中小企業はこれを抱えていなければならない。大企業の労使の関係というものは、経営者の顔を一カ月も見なくても済むというような形なんだけれども、中小企業の場合は朝から晩まで顔を合わせてやるから、おまえ、やめなさいと冷たく言えないというような形で、労働省が考えておられるようなものでないということを考えて、そう拒否反応ばかりいつまでも持ち続けるというのではなくて、現実に即した雇用対策ということを考えて、失対事業の再確立というところまで踏み込んでいく。同時に、なぜに再雇用につながらなかったのかという原因究明をやって、そしてそこらを除去して改善をして、つながらせるようにしていくということで問題の解決を導き出すということをしなければならないということを強く指摘をしておきたいと思う。  それから、精薄者等の問題にいたしましても、言葉じりをとりたくはないんだけれども、賃金というのは労働の代償なんだからやむを得ないんだという考え方は冷たいのじゃないですか。そういう冷たい考え方が、いまの私が指摘したような状態になってきているということなんです。それから、余りにも極端に低い賃金であれば、これは身障者を雇用するという社会福祉の精神から好ましくないというようなことは、老人に金をやっても枯れ木に水をかけるようなものだというような思想が依然として残ってきているというように思う。  これらの点は頭の切りかえをやられて、八〇年代、何をどうしなければならないかという、私は自治大臣に冒頭この考え方について申し上げましたが、これは中央と地方の関係だけじゃなくて、やはりこうした問題、そのことも八〇年代に真剣に考えて、本当に谷間に光を当てる政治であり行政でなければならぬ、こう私は思うのです。その点に対してはひとつ自治大臣から、国務大臣という立場も含めてお考え方をお聞かせいただきたい。実際は、いまの中央の考え方、いまお答えになりましたような労働省の考え方というものが地方財政の逼迫にもつながっていることだけは間違いないわけですから、お聞かせをいただきたい。
  67. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 先生おっしゃるように、政治というのはやはり谷間に光を当てる、これは私、政治の理想だと思います。ただ、従来からのいろいろなこともあって、各省から御答弁申し上げたようなことでしょうけれども、しかし、そのままでいいものでもないと思いますね。したがって、御意見等の趣旨も踏まえまして、政治の理想はそこにあるわけですから、努力をしてまいりたい、かように思います。
  68. 中村重光

    中村(重)分科員 創意工夫をこらしたらあるのですよ。たとえばクリーニングなんかの場合、社会福祉の法人という形にして、作業の方はそういう身障者にやらす。やれるんだ、その能力だけは持っているんだから。だから、販売面を一般の私法人なら私法人にやらせていく、これをつないでセットしていくというようなことで、いろいろな創意工夫、指導を行うことによって就職の機会を与えることができるのです。そういう努力が足りないということを指摘しておきます。  それから、消防団の問題と民生委員の問題について触れたいのです。  消防団に対して年々若干の改善をしているということは、私は認めるわけなんです。ところが、交付税の算定基準、貧弱な、財政力の弱い町村になりますと算定基準までも支給ができない。これは意識的にピンはねをしているわけではないのでしょうけれども、そういうようなところもある。ところが、それではどうしてもだめだからというので、地方自治体自体がみずからの自己財源をもって手当てするといったようなことも実はあるわけなんです。ところが、それが低いということになってくると、大蔵省に対する予算折衝の中でも、実際は算定基準ほど支給していないじゃないかという、実績の中からこれを指摘されると、予算要求だってなかなかやりにくいという面もあるわけですから、この処遇の改善。消防精神——金によって団員が動いているのではありません。しかし、これに甘えてはいけない。  それからもう一つ大切なことは、消防団員が非常に老齢化しつつある、自由業に偏りつつあるというこの事実。なぜか。出動の際に実は有給休暇を利用しなさいということがある。休暇を利用する。これは賃金を支給するところもある。そうではなくて欠勤扱いにする、賃金カットする、出動するということになかなかいい顔をしないというようなことが、一時は地すべり的に減ってきた、最近はまあ横滑りという形でありますけれども、大切な問題でございますから、処遇の改善とあわせてこれらの点について十分配慮して、経営者に対する指導を十分やっていかれる必要があるということを指摘しておきたいと思います。  さらに、民生委員の問題です。三万五千円を今度は、五十五年度三万八千円にするのでしょうが、本当に民生委員というのは、名誉職という形になっていますが、常勤と同じなんです。気の毒な人のところを訪問すると、やはり手みやげでも持っていってあげなければならぬという、これは日本人の一つの美風なんです。それでも足りないぐらいです、この手当というのは。これは甘えないで、もう少し処遇の改善をやられる必要があるということを申し上げて、見解を伺っておきたいと思うのです。  それから保育園の問題ですが、公私立の間には、幼稚園ほどではないが、若干の格差がある。私立に対しては、その格差を薄くするためには市町村がこれに対して財政負担をしていかなければならないということになる。それから今度、六十一名以上の保育所に対して事務職員を配置したのですが、いまは規模の大小によって事務量が変わるものじゃないのです。コンピューターまでいかないにしても、カードによってナンバーで整理するようになっている。したがって、手数は余り変わらない。ですから、六十一名以下の小規模保育所に事務職員を配置するようにしなければならない。これらの点に対して今後どう対処していこうとしておられるのか、それぞれお答えをいただきたい。
  69. 近藤隆之

    ○近藤(隆)政府委員 消防団の処遇の改善、それに要する財源措置といたしましては交付税で措置しておるわけでございますが、昭和五十五年度につきましても、別途提案いたしております地方交付税法の一部改正によりまして、消防費につきましては単位費用において五・八%の増を図っておるところでございます。ただ、ただいま先生御指摘のように、せっかく地方交付税消防費で積算いたしましても、それだけ現実には使っておらない団体が非常に数多くあるわけでございます。五十二年度の決算あるいは五十三年度の決算を見てみましても、全国平均では八七%程度しか使っておらないわけでございます。それで本当に十分な措置がなされておるならばいいわけでございますけれども、御指摘のように、団体によってはまだまだ不十分であるという感じがいたしております。私ども、せっかく国としては、せめてこの程度ということで交付税で積算しておるわけでございますので、それが完全に消化されるよう地方団体、特に長の方々、議会の方々に要請しておるところでございまして、今後とも積極的に要請いたしてまいりたいと思います。  それから、消防団の方々は、第一次産業あるいは自由業者の方々が非常に多いわけでございますが、最近の傾向といたしまして、御承知のようにサラリーマンが多いわけで、これらの人々が後顧の憂えなく消防団活動をやっていただくことが何よりも大事だと思っております。御承知のように、国家公務員、地方公務員につきましては、消防団活動に必要な場合には職務専念義務を免除するという措置をとっておるわけでございます。民間につきましては、通産省とも御相談いたしまして、各事業体に対しまして、国家公務員あるいは地方公務員に準じてそういう措置をとってくれるよう、あるいは消防団活動によって不利益な処分をしないようというようなことをお願いしておるところでございます。年々若干よくなってきておると思いますけれども、まだまだ、御承知のとおり不十分な点があろうかと思います。今後とも努力してまいりたいと思います。
  70. 朝本信明

    ○朝本説明員 厚生省の社会局庶務課長でございます。  民生委員につきましてお尋ねがございましたが、民生委員さんは、私どもの所管しております社会福祉に関する諸法律の円滑な実施につきまして大変重要な御協力をいただいておるわけでございまして、これがまた、今日のように世の中の動きが激しくなってまいりまして、手当てを要するような状態の方々が非常に多く発生するというようなことになりますとますます重要になってくる、全く御指摘のとおりでございます。  先生からお話ございましたように、昭和五十五年度予算におきましては民生委員手当を三万五千円から三万八千円に引き上げるというふうに措置をすることといたしておりますけれども、お話のように、甘えるなという御意見もちょうだいするようなわけでありまして、実際にそれ以上に活動費を払ってやってくださるような方がまたおられるわけであります。私どもとしましては、こういう民生委員さん方の活動の実績というのもよく踏まえ、それから物価の動向、経済情勢を勘案しながら、さらに今後その改善に努めてまいりたい、こういうふうに考えております。
  71. 北郷勲夫

    ○北郷説明員 保育所の事務職員の雇い上げ費につきましては、九十一人以上の規模の保育所までいままで雇い上げ費を予算上計上いたしておったわけでございますが、確かに小さい規模の保育所でも大変でございますので、五十五年度におきましては、この規模を六十一人以上まで下げまして予算を計上いたしておるところでございます。大きい規模の保育所ほど大変だと思ってはおりますが、確かに小さい規模の保育所でも事務的に大変なことはよく承知いたしておりますので、さらにこの規模を下げることにつきまして、また努力をいたしてまいりたいと考えております。
  72. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 消防の問題、民生委員の問題、保育所の問題、それぞれ関係事務方の方からお答えしたとおりでございますが、年々歳々改善措置はできる限りの範囲でやっておるつもりでございますが、今後とも実態を踏まえながら政府としても努力をしていきたい、かように考えます。  特に、この消防などにつきましては、いわゆるこれは義勇消防でございますから、ああいった危険な仕事を義勇消防としてやっていただくわけですから、その職員といいますか、従事者といいますか、その方々に対する精神面の、つまり表彰の問題あるいはまた叙勲の問題、いろいろあると思いますので、そういう点にもさらに努力を重ねていきたい、かように考えます。
  73. 中村重光

    中村(重)分科員 終わります。
  74. 津島雄二

    ○津島主査代理 これにて中村重光君の質疑は終了いたしました。  次に、三浦久君。
  75. 三浦久

    三浦(久)分科員 私は、北九州市における同和行政の窓口一本化の問題についてお尋ねをいたしたいと思います。  北九州市の同和予算というのは大変大きなもので、五十三年度当初予算でも百八十六億円以上に及んでおります。その中でいろいろな個人給付も行われておるわけであります。たとえばまさに揺りかごから墓場までという言葉がぴったりするほど、赤ちゃんが生まれれば出産助成補助金が出る、その前に、妊娠をすれば妊産婦栄養食品というものが給付をされるとか、また、保育所に行けば保育料の減免、さらに子供が小学校、中学校、高等学校に行けばそれぞれ入学支度金、こういうものが給付をされる。また家を建てるために宅地を買う、また家を建てるという場合にも二%で住宅資金が貸し与えられるとか、それを修理すればまた二%でお金を貸すとか、さまざまな個人給付が行われています。おふろをつければ助成金、便所を水洗化すればまた助成金、いろいろなことが行われております。また、六十五歳になれば敬老祝い金が出るとか。この中には単費の事業としてやっているのもありますけれども、しかし補助事業としてやっているのが大変多いわけですね。  ところが、こういう市の同和事業を受けるために、たとえば個人給付を受けるために申請書を市役所に取りに行くとします。大臣、ここをよく聞いておってほしいのですが、申請書を市役所に取りに行っても市役所にはないのであります。本庁舎にもありません。区役所にもありません。そしてまた出張所にもありません。どこにあるのかといいますと、部落解放同盟の事務所にしか置いていないのであります。  これはどういう理由でそうなっているのかといいますと、市当局の説明は、一般の窓口にそういう申込用紙を置きますと差別を助長することになる、こういう理屈なんですね。これは全く理屈にならない理屈であります。というのは、一般の窓口に行けば、一般の人か未解放部落の人かわからないわけですね、外部から見れば。ですから、一般の窓口で渡すというのが一番外部からわからない方法なんです。ところが、部落解放同盟の事務所に置いてある。では、その部落解放同盟の事務所というのはどこにあるのかと言えば、たとえば北九州の北区役所の例で言えば、玄関を入って左側が市民相談室で、右側が部落解放同盟の事務所です。そこには大きな看板が三つも掲げられています。ですから、かえってそういうところに出入りをすれば、あの人は同和地区の人だなということがわかってしまうのです。ですから、全く理由にならない理由をつけて、結局はこういういわゆる同和事業というものを部落解放同盟の独占的な管理に置く、こういうようなことが行われているわけですね。申込用紙がない、じゃ自分でつくって出そうかと思っても、つくるすべがないのであります。  これはみんな同じですが、一つ奨学金の例をとりますけれども、ここに「北九州市進学奨励金及び入学支度金等支給要綱」というのがあります。これは属地主義じゃなくて属人主義をとっているのですね。それで、結局その第五条に、「教育長の指定する手続きに従って、次の各号に掲げる書類を教育長に提出しなければならない。」こうあります。それでそこには、申請書、在学証明書、それから住民票の写し、こういうものが必要だと言われているのですね。申請書は「(第一号様式)」と書いてあります。そのほかにもいろいろな二号様式、三号様式、四号様式、これは市がつくる書類の様式です。  ところが、この様式というのが、この要綱を見ますと全部略になっているのです。ですから、この申請書がどういう内容になっているのかということを市民は知る由がないのです。ですから、部落解放同盟はきらいだからもう取りに行くまい、それで自分でつくって申請をしようと思っても申請の内容がわからぬ、申請書にどういうことを書いていいかわからないわけですね。申請書を提出しなければ申請行為がないということになるわけでありますから、そういう意味では、これはもう全然給付の対象にならないということになるわけですね。こういうことがいままで何年にもわたって行われている。     〔津島主査代理退席、主査着席〕 われわれは総理府にも自治省にも何遍もその是正方を要求してきているわけですけれども総理府にまずお尋ねしたいのですが、こういう事実は間違いないかどうか、ちょっと確認しておきたいと思います。
  76. 小島弘仲

    ○小島(弘)政府委員 現在われわれが知っている限りにおいては間違いございません。
  77. 三浦久

    三浦(久)分科員 もう一点。問題は、この奨学金の場合には教育長の指定する手続ということになっていますけれども、ほかのたとえば住宅改修資金とかそういうものであれば、これは市長部局ですから市長ですね。市長の定める手続に従って、こうなっています。ところが、教育長ないし市長の指定する手続というものに従ってやらなければならない。この手続はどこにも書いてないのです。それは間違いないですか。
  78. 小島弘仲

    ○小島(弘)政府委員 間違いありません。
  79. 三浦久

    三浦(久)分科員 そしてその教育長ないし市長が指定する手続というのは、市の説明によりますと、部落解放同盟の窓口にある申請用紙、それに所定の事項を記入する、そうして部落解放同盟を通じて——通じてということは確認の判こをもらってということですね。ここに申請用紙があります。ここに確認印を押すところがありますが、この部落解放同盟の確認印は、いわゆる未解放部落住民であるかどうかという、そういう確認であります。その確認印をもらって、そういう手続を経た後に市役所に提出をしなければならない。それが所定の手続だというふうに口頭でも説明をするし、裁判上もそういうように主張しておりますけれども、それは間違いありませんか。
  80. 小島弘仲

    ○小島(弘)政府委員 そのように承知しております。
  81. 三浦久

    三浦(久)分科員 自治大臣にお尋ねいたしますけれども、こういうやり方というのはきわめて異常だと私は思うのです。部落解放同盟というのは法人でも何でもない、組織実態がどうなっているかもよくわからない、一民間団体であります。任意の民間団体。そしてまた、それが未解放部落住民を全部組織しているという団体でもない。未解放部落の中には、部落解放同盟もあれば同和会もあれば全解連もある。また、そういう団体に全然加盟していない無所属の未解放部落の人たちもたくさんおられるわけですね。それにもかかわらず、そういう市民が同和事業の恩典を受けようとする場合に部落解放同盟の事務所に行かなければ申請すらできないというようなことは、即刻改善をしなければならない問題だというふうに私は思うのですけれども大臣の所信を承りたいと思います。
  82. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 申請の窓口事務をめぐっていろいろなトラブルがあることは私も承知をいたしておりますけれども、この問題は現在訴訟なんかも起こされているようでございますし、余り具体的なお答えは差し控えたいと思いますが、いずれにいたしましても、こういう問題をめぐってはトラブルをなくすることが先だ、したがって、話し合いでひとつ妥当な解決をしていただきたいというのが私の考え方でございます。
  83. 三浦久

    三浦(久)分科員 それでは答弁になってないと思うのですね。いいですか。市民が市の行政の恩典を受けようという場合に、市役所に全然申請書もない、部落解放同盟という全く任意団体のところに申請書を取りに行かなければならぬということなんです。そうすれば、部落解放同盟というのは、いままでたとえば狭山裁判反対だと言って五十一年の五月二十二日、ことしの一月二十八日も子供たちを同盟休校させる、そういうような団体ですよ。そういうものに反対だというので参加しないと除名をする、こういう事態がいっぱい起きています。そうすると、そういう除名をされた人々は部落解放同盟の窓口に取りに行かれますか——行かれませんですよ。また、取りに行く義務もない。そうすると、結局は行政の恩典を受けられない。奨学金を受けられない。それでやむを得ず裁判をしているのですよ。やむを得ず。何も好きこのんで裁判をやっているわけじゃないのです。ですから、こういう事態がいわゆる同和の個人給付の事業については全部行われているのです。いま小島さんがおっしゃったとおり。こういう事態は改善をする必要があるというふうにお考えになるのかならないのか、私はお聞きしているわけであります。
  84. 砂子田隆

    ○砂子田政府委員 同和行政というのは、私から申し上げるまでもございませんが、大変複雑な行政でございます。特に、いま申しておりましたような具体的な執行手続なりあるいは対象者の決定の手続につきましては、現地でいろいろなトラブルがあることも承知はいたしております。しかし、これはやはり一つ地域の実情でありますとかあるいは行政の沿革、そういうものがございまして、それぞれの地方公共団体が適切に定めているものだとは思いますが、そういうことによりまして一般の同和地区対象者にいろいろな問題が起きているというのは大変困ったことだと思っております。少なくともそういう諸用紙というものが窓口にやはり備えつけられておるというのが通常の状態でございますから、私たちもかねてからそういうような申請の用紙につきましては窓口に置くようにという要請をしてまいっているところでありまして、今後ともそういう形の中で処理してまいりたいというふうに考えております。
  85. 三浦久

    三浦(久)分科員 なぜこれは改善すべきものであると言えないのですか。ここでそんなことを議論しているともう時間がないから——たとえば私はこう思うのですよ。自治大臣はもう専門家ですからよく御承知でしょう。地方自治法の第十条に、住民というのはその属する地方公共団体の役務の提供をひとしく受ける権利を有すると書いてあるでしょう。ひとしく受ける権利が阻害されているのですよ。阻害されていると思いませんか。自治大臣、どうですか。
  86. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 この問題は、それは改善した方がいいでしょう。しかし、私がさっきから言っているのは、その改善する前段階としていろいろな同和会であるとか解放同盟であるとかその他の団体があるわけですね。それで混乱しているわけですよ。したがって、まずその前段階として、それらの団体が円満に話し合いをして解決することが望ましい、こういうことを私はお答えしているわけです。
  87. 三浦久

    三浦(久)分科員 それで、さっき局長さんですか、地方の実情云々とか言われるけれども、こういう申請書を窓口に置かない、部落解放同盟にしか置かないというようなことを合理化できるような地方の事情というのはあるのですか。地方自治というのは、それはある程度任されるものでしょう。しかし、それは憲法とか法律というものに基づいて、その範囲内での自治なんですよ。そうでしょう。そうであれば、窓口に申請書も置かない、部落解放同盟に行かなければないというようなことは法律を完全に逸脱しているのですよ。そういうものは自治の範囲を越えている問題だと思います。ですから、地方の実情云々というようなことで逃げてみたり、それを合理化するというようなことはすべきではないということを私は意見として申し上げておきたいと思いますけれども、同時に、これはもっといろんな法律に違反していると私は思うのです。たとえば地方公共団体、これは要するに、その長はその権限に属する事務の一部、これを所属する吏員にしか委任できないでしょう。原則としてそうなっておりますね。そうすると、部落民であるかどうかという判断、それはこの部落解放同盟に任されておる。この裁判の中でも市がちゃんと述べていますように、未解放部落の住民かどうか市にはわからないのだ、そんなことは不可能だ、だから部落解放同盟に判断してもらうんだ、こう言っております。奨学金を受給する要件というのは、まず未解放部落の人かどうかということと、もう一つは、経済的な困難によって就学が困難かどうかということでしょう。この二つの要件ですよ。そのうちの大きな、いわゆる未解放部落の人かどうかということについて、その判断権は部落解放同盟にゆだねられているのですよ。こういうことは、いま言ったいわゆる事務を委任できないということと、それからまだありますね。百三十八条の二に、自治体というのは、地方公共団体の事務を「自らの判断と責任において、誠実に管理し及び執行する義務を負う。」ということになっていましょう。こういう規定に私は違反をすると思うのですよ。自治大臣、どういうふうにお考えですか。
  88. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 私は細かな法律の条文はよく知りませんが、この問題をめぐって少なくとも違法の処置があるというふうには聞いておりません。
  89. 三浦久

    三浦(久)分科員 局長、どうですか。
  90. 砂子田隆

    ○砂子田政府委員 いま申しておりました十条の規定なり百三十八条の二の規定というのは、私は承知をいたしております。  この規定にもありますように、公共団体の長の権限に属する事務というものをどういうふうにやるかというのは、一つは法律なり条例なりに違反するような手続をとってはいかぬということが基本でありましょうし、みずからの判断で公平に行うということがその次であろうと思います。行政上のそういうような給付に関する手続というものが一般の権限行使としてなされているものであるか、あるいは長が決定するに当たっての執行手続の一部の事実上の行為として行っているのであるかということについて議論のあるところだと私は思います。この問題につきましては、一応長の権限でありましても、その一部を事実上の行為として民間団体に委任をさせる、任せて行わせるということは可能であるというふうに理解をいたしております。
  91. 三浦久

    三浦(久)分科員 それは機械的な事務とか、そういうものを委任するということは結構だという答弁はありますね。しかし、これは実質的な要件なのですよ。未解放部落の人かどうか、また就学が経済的な理由で困難かどうか、こういう判断というのは自治体がみずからやらなければいけない問題でしょう。それはこの前の大阪高裁の判決があるでしょう。御存じでしょう。その中にもちゃんと書いていますよ。読みましょうか。部落解放同盟の判こが要るとかいうようなことは、「若し拘束するとすれば、実質的には本件給付行政を民間機関に委ねるだけでなく、被控訴人固有の判断権を放棄するに等しく、ひいて住民が行政主体そのものによる行政判断を受け得る権利を侵害するもので、違法、無効と断ぜざるを得ない。」これは大阪高裁の判決ですよ。だれが見たってあたりまえのことでしょう。それで、部落解放同盟の判こがなければ受け付けすらできないのですよ。まず受け付けて、それが部落民であるかどうかということを部落解放同盟からも聞く、それでわからなければ民生委員からも聞く、そういうのであればいいですよ。参考意見として聞くわけだから、それは私は大いにやってもらって結構だと思う。ところが、申請を受理するためには、その部落解放同盟の判がなければならないというのですから、これはだれが見たって、この大阪高裁の判決が言うように無効、違法と断ぜざるを得ない問題じゃありませんか。どういうふうにお考えですか。
  92. 砂子田隆

    ○砂子田政府委員 ただいまの大阪高裁の判決も私は承知をいたしております。これは一審、二審と争われてまいりました問題でして、一審は被告が勝訴いたした問題でもございました。これは先ほど大臣からもお答えいたしましたように、いずれ訴訟の経過の中でいろいろな問題が出てくるのだろうと思いますが、やはり最終的な判断が下される、そこまでわれわれとしてはこの問題に関することを少し差し控えておきたいと思います。
  93. 三浦久

    三浦(久)分科員 そういうことでは行政主体としての責任を放棄していることだと私は思うのですよ。北九州の谷市長はどういうことを言っていますか。判決に負けたらその負けたケースについては従う、最高裁に出て、負けたケースについては従う。あたりまえのことです。しかし、そういう判断をした最高裁判所が間違っておるのだから、窓口一本化はいかぬというのは最高裁判所が間違っておるのだ、だから同種の事件については従いませんとはっきり言っておるのですよ。そうであれば、この問題の解決というのは永久にできない。裁判が続く限りあなたたちがそういう行政主体としての判断を下さないということになれば、これは永久に解決できないという問題になってしまうのです。この前、福岡市の問題がありますね。四十八回裁判に負けたのです。よくも負けも負けたりですけれども、四十八回負けて、ようやくこの前、二月の市議会で窓口一本化は改めますという答弁が出ましたね。やはり行政を変えていかなければ、裁判で解決がつくという問題じゃないのですよ。また、そんなことを地域住民に要求するというのは、不当に経済的な不利益を課すことになるでしょう。ですから、裁判があるから判断を差し控えたいというようなことは許されない問題だと私はこの問題では思うのですよ。余りいいお答えが出ないから、いろいろ遠慮するところもあるのでしょう、いろいろなところの差しさわりを考えて。だけれども、これは公務員の職権乱用罪にも当たる問題です。刑法にありましょう。「公務員其職権ヲ濫用シ人ヲシテ義務ナキ事ヲ行ハシメ又ハ行フ可キ権利ヲ妨害シタルトキハ」懲役何年と、こうあるでしょう。これにも該当するほどその違法性というのは明白なんですよ。  それで建設省、それから文部省もお見えになっていらっしゃるようですからちょっとお尋ねいたします。こういう皆さん方が補助事業として補助金を出している事業、これが北九州で行われていますが、こういう不公正なことが行われているわけですけれども、これは改善をする、しなければならないものだというふうにお考えになっていらっしゃるのかどうか。
  94. 立石真

    ○立石説明員 建設省といたしましては、同和対策事業の受益が対象地区の住民にひとしく及ぶことが必要である、特定団体に加入している者に限る等の違法な取り扱いがないように、行政の公平性と対象住民の信頼確保について十分留意するよう府県を通じてその趣旨の徹底を図ってきたわけでございますが、今後とも公平公正な事業の実施を図るように積極的に指導してまいりたいと考えております。
  95. 中島章夫

    ○中島説明員 文部省といたしましても、いま建設省のお話もございましたが、具体的な執行の事務につきましては各自治体にお任せをしておるわけでございますけれども、私どもの奨学金について申しますれば、経済的理由によって進学できないということがあってはいけないわけでございまして、公正公平にということで昭和四十八年に各省事務次官通達も出ておりますが、その趣旨を体してこの事業が行われるように従来からも指導しております。今後ともその方向で指導してまいりたいと思っております。
  96. 三浦久

    三浦(久)分科員 補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律というのがありますね。その第三条で関係者の責務を規定しております。そこでは、これは税金なのだ、税金なのだから「法令及び予算で定めるところに従って公正かつ効率的に使用されるように努めなければならない。」となっていますね。それからまた第十七条では、法令またはこれに基づく各省庁の処分に違反したときは、その決定の一部を取り消すことができるということまで書かれている。文部省の場合には補助金の交付要綱というのを出していますね。これによれば、交付決定の取り消しの理由の第三番目に「補助事業者が、補助事業に関して不正、怠慢その他不適当な行為をした場合」、この場合でも取り消しをすることができるようになっていますね。そうすると建設省も文部省もこういう不公正——自治大臣も改めなければならないとおっしゃっている。そういういわゆる極端な窓口一本化、こういうものについての補助金をお出しになっているわけです。私はいままでの交付決定を取り消せということを言っているわけじゃありません。これから交付する際に本当にあなたたちが改めなければならないと考えているのなら、こういう事業について補助金を出す場合に、少なくともこの適化法の趣旨に沿ってやるようにと、そういうことを条件にすべきだと私は思うのですけれども、文部省、建設省、いかがでしょうか。
  97. 立石真

    ○立石説明員 北九州市で実施しております同和対策としての公営住宅建設事業等についてでございますが、関係法令、要綱等に定める基本的な事項に基づきまして、地域の実情に精通しております北九州市が条例、規則等によって定めた事務手続によって実施しているものと考えておるわけでございます。
  98. 中島章夫

    ○中島説明員 文部省の奨学金につきましても、関係のこの補助要綱、それから関係の法令に従って厳正に行うようにということの指導は行っておるわけでございますし、それから特に経済的理由によって受けられないということがあってはいけないということでございますので、どれくらいが制限というその所得の制限も厳正にやっていくようにということの指導を従来からやっているところでございます。
  99. 三浦久

    三浦(久)分科員 私、法律のことを聞いているのじゃないのです。さっき具体的に事実を指摘し、総理府にも確認をしてもらって、その事実についての見解を聞いているのですよ。それを一般的、抽象的な通達をただ棒読みするようなことを言ってもらったって——では、通達は四十八年以来何遍出している。何も事態は解決していないじゃないですか。だから、補助金の問題で、補助金を交付するときにもっと条件をつけたらどうかと言っているのですよ。  それで、私ちょっと会計検査院にお尋ねしますけれども、この窓口一本化というのは、そういう意味で、いわゆる部落解放同盟に行かないとあらゆる給付が受けられないということになる。部落解放同盟というのは公務員じゃありません。ですから、これはその行為の公正さというものは何も担保されないのですね。賄賂をもらおうと何をしようと勝手であります。ですから、いわゆる公営の同和住宅に入居する場合でも、五万円ずつお金を取って入居させているという事実がいっぱいある。それからまた、一世帯でもって二つも三つも同和住宅に入っている例がたくさんあります。それは私はただ想像で言っているのではないのです。たとえば、いまもう詳しく申し上げませんけれども、五十三年度の当初予算は百八十六億と私申し上げましたでしょう。年度末に幾らになっていますか。百五十三億ぐらいになっているでしょう。不用額がいっぱい出ているのですよ。そういうでたらめな同和行政が行われているのですよ。同和住宅だって、建てたって半年も遊ばせておく。ですから、一世帯でもって二つも三つも入って、その地域の周囲の住宅困窮の人々から、逆にうらやましいという気持ちで、怨嗟の目で見られている。そういうことがたくさんあるのですよ。私は、これは補助金の適正な執行であるとは言えないと思う。ですから私は、会計検査院に、この補助金が適正に使われているのかどうか検査をするように要望いたしたいと思いますが、いかがでしょうか。
  100. 景山弘

    ○景山会計検査院説明員 私ども同和対策高等学校等進学奨励費補助金の検査を実施いたしておるものでございますが、補助金に対します検査は、事業主体から提出されました実績報告書に基づいて、補助事業の実施結果が補助金の交付決定の内容あるいはこれに付した条件に適合しているかどうかを検査いたすわけでございます。御指摘のような事態についてまだ私ども十分事実を把握してございませんけれども、会計実地検査の際に十分検討いたす所存でございます。
  101. 三浦久

    三浦(久)分科員 終わります。
  102. 橋本龍太郎

    橋本主査 これにて三浦久君の質疑は終了いたしました。  午後零時三十分から再開することとし、この際、暫時休憩いたします。     午後零時三分休憩      ————◇—————     午後零時三十分開議
  103. 橋本龍太郎

    橋本主査 休憩前に引き続き会議を開きます。  自治省所管について質疑を続行いたします。長谷川正三君。
  104. 長谷川正三

    ○長谷川(正)分科員 一番先に、大臣にごく基本的なことをお尋ねしたいのですが、全国の自治体は、都道府県に始まって小さな村まで、それぞれの形態別に幾つあるのか、これをお聞きします。大臣でなくとも関係者でいいですが、一番原則的なおさらいで恐縮ですが、私も不勉強なので、こういう機会にひとつ明らかにしていただきたいと思います。
  105. 石原信雄

    ○石原政府委員 正確な数字はちょっといま手元にございませんが、都道府県、市町村含めまして三千三百を若干切る数字になっております。この内訳は、都道府県が四十七、それから市が六百四十八だと記憶しておりますが、残りが町村、こういうことになります。
  106. 長谷川正三

    ○長谷川(正)分科員 そのうちで、アメリカ軍基地が何カ所あって、それを提供している自治体は幾つありますか。
  107. 石原信雄

    ○石原政府委員 基地の所在する市町村につきましては、基地交付金を全部交付していると考えられますので、基地交付金を交付している団体の数で申しますと二百九十二団体でございます。
  108. 長谷川正三

    ○長谷川(正)分科員 では、基地以外に、これに準ずる施設といいますか、そういう施設が全国に幾つあって、これを提供している自治体は幾つありますか。軍事基地でない、国の使用している、準ずるものと言っていいですか。
  109. 石原信雄

    ○石原政府委員 お尋ねの意味が、たとえば国の出先機関とか行政機関その他を含めまして各種の機関……(長谷川(正)分科員「そうです、そういうものを含めて」と呼ぶ)これは団体数で幾らというのは、ちょっと手元にデータがございませんけれども……。
  110. 長谷川正三

    ○長谷川(正)分科員 たとえば、電電公社だとか国有鉄道だとか、そういうようなところで使用しているものも含めてですね。そういうのはすぐわかりませんか。
  111. 石原信雄

    ○石原政府委員 一般的に、国有施設、国の機関あるいは国の各種の施設につきましては固定資産税が課税できないことになっておりますから、税の方の統計には上がってこないわけでありますが、一部の施設につきましては、国有資産等所在市町村交付金の交付対象となっているもの及び公社有資産の所在市町村納付金の納付対象になっているもの、これらにつきましては、金額的なデータはただいま課長から御答弁申し上げますけれども、団体数でどうなっているかというのは、これは調べませんと、直ちにはお答えできないと思います。
  112. 渡辺功

    ○渡辺説明員 ただいま先生お尋ねの三公社の関係につきましては、御承知のとおり、納付金を納付しております。  これはまず専売でございますけれども、五十四年度の納付金額は十八億八千八百万円になっております。それから、国鉄でございますが、国鉄が二百十八億五千五百万円でございます。電電公社が四百四十六億六千四百万円。この三公社で合計六百八十四億七百万円、こういうことになってございます。
  113. 長谷川正三

    ○長谷川(正)分科員 国有地として確保しているけれども何にも使用していない、そういう土地は何カ所あって、そういうものをしょっている自治体は幾つあるか。
  114. 渡辺功

    ○渡辺説明員 ただいまのお尋ねは、国有財産のうち未利用地という意味合いでお尋ねだと思いますけれども、国有財産の管理は基本的には大蔵省の所管なものですから、私ども全体を把握しておりません。これは非常に数が多うございます上に、同時に、利用している、していないという区分というものは、税法の上でも、あるいは財産管理の上でも非常にむずかしゅうございますので、的確に先生がお考えになっているような意味で区分けは恐らくないのではないだろうか、こんなふうに考えているわけでございます。
  115. 長谷川正三

    ○長谷川(正)分科員 しかし、さっきからお話が出ているように、国有地は固定資産税の対象に一般的にならないわけですね。ですから、自治体にとっては、この存在はある意味で非常に重荷になるわけです。これを自治大臣自治省が掌握していないというのは、特に今日の地方財政が非常に苦しい段階で、国策全体を立てる上にも、積極的に資料を整えて、こういうものに対する手だてを提言していくのが自治大臣の責任じゃないかと思いますが、いかがですか。
  116. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 御質問の資料は、いずれ大蔵省とも打ち合わせましてお出しをしたいと思います。  ただ、仰せの点は、これは私の知識は多少古いかもしれませんが、課税権を持っている団体相互の間はお互い税はかけないことになっておりまするので、一概に国有の施設があるからその面で地方が課税しないというのはおかしいというのは、ちょっと税のたてまえ上無理でないかな、かように考えております。
  117. 長谷川正三

    ○長谷川(正)分科員 確かに大臣のおっしゃった面もあると思います。しかし、そうでない面もあることを特にこういう時世では認識して、その区別をはっきりさせて、そして公正な措置をとるような御努力をいただきたい。これは御要望申し上げておきます。  次に、具体的に私の地元で起こっている問題に話を進めたいと思うのです。  私の方の地元に、東京都下ですが、昭島市というのがございます。これは立川基地に関連をしておる市であります。一部分立川基地が昭島市に属しておった時代があるわけですが、その後、御承知のように、アメリカ軍の基地は返還になったのでありますが、これと前後して、昭島市議会の議決で何回か、この基地返還に伴う損失補償制度を確立してほしいという意味の、あるいはそれに対して適切な財政の援助措置と申しますか補償措置と申しますか、そういうことを講じてほしいということを議決しては要請をしておると思います。私の調べでも五十二年三月二十八日付の市議会の議決、五十二年十二月十六日の議決、五十三年五月十五日の議決、そして五十四年八月二十八日、こういうふうに何回もそのときどきの自治大臣あてに要請書を出していると思いますが、それは御存じですか。
  118. 渡辺功

    ○渡辺説明員 先生ただいまお話のありましたようないろいろないきさつがありましたことは私、記憶の中にございますし、日付までは正確に覚えてませんけれども、そのうちたしか昨年の春過ぎだったと思いますが、市長さんも私どものところにお見えになりまして、その趣旨のことをおっしゃって私どもよく承っております。  そこで、そういったものに対応しまして具体的な方途としてやり得ること、手前どものことでやり得ることとしましては、基地交付金につきまして激変緩和の措置をできるだけ考えていく、こういうことでございまして、そういう向きで五十三年、五十四年というふうに来たわけでございます。
  119. 長谷川正三

    ○長谷川(正)分科員 そうしますと、これについて明確な一つの立法措置を講ずる、激変緩和の問題について立法措置を講ずるということはしていないけれども、実際上は救済措置を講じてきた、こういうふうに理解してよろしいですか。
  120. 石原信雄

    ○石原政府委員 さようでございます。
  121. 長谷川正三

    ○長谷川(正)分科員 それでは、その激変緩和の問題につきまして昭和五十三年六月一日、一昨年になりますが、第八十四回の国会地方行政委員会で私どもの党の新村勝雄委員が質問をしております。この中で、当時の森岡政府委員が御答弁をなすっているその議事録がここにあるのですが、それによりますと、いまの激変緩和措置として三年間の経過措置をとっているが、その内容はどうなっているのかという新村委員の質問に対して、「三年間に分割いたしまして減額をしていく」措置をとっていると答えていますね。そして「減額は三分割、たとえば三年であれば三つに分けて減らすということですか。」という再度の新村委員の質問に対して、森岡政府委員は「三分の一ずつという金額で減額をして緩和措置を講ずる、こういうことでございます。」という答弁をしているのですね。  これが何でもないようだけれども解釈がなかなかむずかしいんですな、日本語って。これちょっと聞くと三年に分割してだから三年間だんだんと減らして、三年間は出ていくんだというふうに聞こえるんですね。そうなんですか。
  122. 石原信雄

    ○石原政府委員 当時の速記録を読みますと、確かに三年間の経過措置ということで、答弁内容から、基地が廃止になってから翌年度以降三年間何らかの緩和措置があるというように受け取れるおそれのある、そんな感じのする表現になっておりますが、ただ、具体的に申し上げていることは、三分の一ずつ減額するということでございますから、廃止年度は三分の三、それから翌年度が三分の二、それから廃止された三年目が三分の一、起算点を廃止の年度に置くか廃止の翌年度に置くかという点について答弁ではっきりしておりませんけれども、結局三分一ずつ激変緩和措置を講ずるという、計算してみますと、基地が廃止を決定するその年が三分の三である、その翌年が三分の二で、その翌々年が三分の一、こういうことでございますから、計算の内容としては、計算してみますと、廃止した翌年度から見ますと二年しか措置が講じられないということに結果的になるのですけれども、その点が必ずしも答弁の表現が正確でなかったということは言えると思います。
  123. 長谷川正三

    ○長谷川(正)分科員 いまのお話だと、基地がなくなった年は全額で、それがもうすでに減額の第一年度みたいになる解釈ですね。これはちょっとおかしいんだね。減額なんだから、現額から減額になるのであって、まるまる出す年が減額の第一年度というのはおかしいんだよ。というのは、逆にこういう聞き方をしますと、たとえば基地交付金が出るのはいつを基準にして決めるのですか、こういうふうに聞きますと、それはその年の三月三十一日に基地がそこにあったかなかったかによって、その年度は途中で基地が返還になっても何でもそれは全額を出すのです。つまり、それはまだ基地としてあったものとして出すのですという解釈ですね。だから、これは減額に入ってないはずなんだ。それから三年、激減していくのを少しでも楽にしてやろうというのだから、いまのお話だと、その最後の年の出した年の分を三つに分割して三年間手当てしてやるから、それをきちっと等分とまでは言ってないのだけれども、その間に自治体は対応する措置を講じなさいよ、そういう意味だと思うのですね。ですが、どうも森岡答弁の三年間で処置しますというのが実際は二年間で切れてしまう。昭島ではこれは三年目がもう来るわけじゃないのか、こういうふうに言うのも、むしろ日本語の常識から言えばこの方がもっともな話なので、これはどうにもならぬのですか、解釈。
  124. 石原信雄

    ○石原政府委員 この激変緩和措置につきましては、実はいまの基地交付金予算総額を確保する場合、あくまで現にある基地の資産を基礎として積算して予算要求をしております。したがいまして、廃止されてしまったところの基地については総額の計算の基礎に入らないわけです。しからば、その激変緩和措置の財源はどこから出ているかと言いますと、現在ある基地の中で新たにふえてくる分、前年対比で非常にふえる団体について一部財源を供出願うという形で財源をプールいたしまして、それを基地がなくなったことによりいろいろ直ちに対応できないために激変緩和措置を必要とするところに調整規定によって配分しているという仕掛けになっておるわけでございます。したがって、端的に申しまして、基地が全国的にふえてくるときには調整財源もたくさんありますから、やめていく、基地のなくなるところに対する激変緩和措置がわりと楽にできるわけです。かつて基地がどんどん全国的にふえる時代においてはその調整措置もかなり手厚くできたようでございます。四年、五年と長い間やったようであります。ところが、最近は全国的に基地が非常に縮小する傾向にあるものですから、言うなれば財源を供出していただける団体が減ってまいりまして、基地が減るものですから激変緩和の調整を要望する団体の方が多くなってきております。そういう事情もありまして、いまの激変緩和措置、三分の一ずつ、日本語の正確な表現をすればむしろ二年と言った方がいいのだろうと思いますけれども、三分の一ずつの激変緩和措置というのを広げるということは、正直申しまして非常に苦しい実情でございます。
  125. 長谷川正三

    ○長谷川(正)分科員 昭和五十二年十二月十七日の読売新聞の報道に、北海道の稚内がやはり四十七年六月に基地が返還になった、その後激変緩和措置をとっていただいているが、五年間にわたって半額以上の措置がとられている、こういうような報道が、ここにもその新聞のコピーがありますけれども、あるのですね。ですから、稚内のああいう小さい町でしょうから、非常に基地が大幅に返ったための激減に対してはできるだけの措置をとったのだなというふうに私ども解釈しておったのですが、今回の昭島市も非常に減り方の激しい現象ですね、基地でもいろいろな減り方があるのだろうと思いますけれども。ですから、これは稚内に準じたような措置をとっていただいてもいいのじゃないかなという感じもするのですが、これは一体どういうことでしょう。
  126. 石原信雄

    ○石原政府委員 稚内につきまして、私ども新聞記事を確認できないのでございますが、稚内市についての実情を申し上げますと、昭和四十八年限りで米軍の通信施設が返還になりましたので、その限りにおいていわゆる米ドル資産に対する調整交付金は打ち切りになっておりますが、しかしまた別途、米軍と自衛隊の共同使用の通信施設がありまして、四十九年度以降、これに対して基地交付金が交付されております。したがって、むしろその資産はふえる傾向がありまして、昭島市のように、基地が廃止になって、後ずっとなくなるというのでなしに、一遍ある施設はなくなったけれども別の施設ができてふえているという事実がございます。したがいまして、ずっと続いておりますのは、激変緩和措置を続けているのじゃなしに、新たな施設に対応する交付金が交付されているということではないかと理解しております。
  127. 長谷川正三

    ○長谷川(正)分科員 そうしますと、この記事は正確な意味での基地返還に伴う激変緩和措置が五年間にわたって行われたというのではなくて、新たに自衛隊等がまた使用するところがふえているために、総体的にこれに対する手当ての交付金が続いている、こういうことで、正確に言うとこれは誤報ですな。そう見ていいのですか。
  128. 石原信雄

    ○石原政府委員 私ども新聞記事そのものを確認しておりませんから、誤報とかなんとか申し上げかねるのですけれども、稚内市については、激変緩和措置として五年にわたって行ったということはございません。激変緩和措置は、すべての団体について同じような基準で措置をいたしております。
  129. 長谷川正三

    ○長谷川(正)分科員 そうしますと、稚内のことは一応わかりました。  また昭島の問題に戻りますけれども、昭島は現実に五十五年度はゼロになってしまいますか。
  130. 石原信雄

    ○石原政府委員 五十五年度につきましてどうなるかについては、まだ作業中でございますから正確なことを申し上げかねますが、立川基地の方は確かにもうなくなってしまうのですけれども、横田基地の分がございますので、言うなれば調整の足がかりとなる分が若干ありますから、ゼロということはないと思います。
  131. 長谷川正三

    ○長谷川(正)分科員 現実にこの問題では、自治体として非常に昭島市は窮迫しているようでありますので、そういうことでまだ交付金が出される根拠があるのでしたら、ひとつ最大限の御配慮をいただきたいと思います。  もう一つ、ついでに申し上げておきたいのですが、昭島に堀向地区というのがありまして、ここが非常に騒音の下になりまして、これを強制移転させるために血の雨が降りそうな大問題で、私も現地へ行って泊まり込んでその音を聞いたりしたようなことが、もう十年以上前だったでしょうか、ありました。現在、そこが全部取り払いになりまして、たしか緩衝地帯というのでしょうか、緑地帯というのでしょうか、そういう形になっておりますが、これはそういうことで国有財産になりまして一切課税の対象にならぬわけですが、こういうのは明らかに基地に伴ってそこに緩衝地帯、緑地を設けているのですから、基地とみなしてこうした交付金の対象にしてもいいのではないかと思いますし、その旨の具体的な要望も、議会の決議等としては再三自治省に申し入れているのではないかと思いますが、これについてぜひひとつ、自治省として検討したことがあるか、あるいは何とかそれはそうしようというふうな前向きの姿勢で取り組まれたことがあるのか、しかし政府全体としてはまだそこまで至っていないということなのか、この辺のお考えを率直に聞かしていただきたいと思います。     〔主査退席、津島主査代理着席〕
  132. 石原信雄

    ○石原政府委員 基地交付金対象資産につきましては、ただいま先生御指摘のように、飛行場そのものだけでなしに、その周辺の騒音対策等のために必要不可欠な用地等の買収が行われておりますし、それはいわば基地と一体的な資産と思われますので、私どもぜひこれを対象資産に加えていくべきではないかという予算要求をいたしております。こと数年これを続けておりまして、五十五年度の予算要求に当たりましても、私自身も何とかこれを実現したいということで努力いたしたのでありますが、御案内のような国の財政事情で、いわば新たに補助金をつくるような形になる対象資産の拡大には応じられないというような議論になりまして、五十五年度の予算では実現しなかったのであります。しかし、私ども基地所在市町村実態を見ましても、また関係団体の御要望からいたしましても、ぜひこれは今後とも実現に努めてまいりたい、このように考えております。
  133. 長谷川正三

    ○長谷川(正)分科員 大変前向きに御努力いただいているということはわかりましたので、私も、ぜひひとつそれをもう一歩進めていただくように要望したいと思います。  特にこの点は大臣から最後に御答弁をいただきたいのですが、いま言ったような、明らかに基地に付随する事態についてはこの交付金の対象になるような国としての態度を確立するように、ぜひひとつ、大きな決意で対処していただきたいと思いますし、また、もしそれができない間でも、いま伺いますと、激変緩和措置も、正式な立法措置をしたとかあるいは予算費目に激変緩和予算というものを正式に計上したとか、そういうことではなくて、基地交付金、そういったものの全体の運用の中で配慮をしていままでなすっていただいているように理解をいたしましたので、ですから、何とか正式な交付金の対象となるという努力を一方ではするとともに、もしできない間でも、いま言ったような解釈、運用を一歩進めていただいて、何分の御配慮をいただければ幸いだと思うのですが、それらを含めまして大臣の御答弁をいただいて、私の質問を終わります。
  134. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 毎年度、予算の編成の際に自治省最大の問題は地方財政の問題ですが、自治省プロパーの予算で実は毎年一番厄介で大蔵省との間にやり合いがあるのも、この基地交付金なんです。私どもとしては、そういうことで毎年努力を積み重ねておりますので、今後ともその点は努力をしたいと思います。  もう一つは、そういった特殊な事情のあるのは特交なんかの際に配慮をするというようなことになっているように私は記憶しておりますので、そういう点も検討してまいりたい、かように考えます。
  135. 石原信雄

    ○石原政府委員 先ほどちょっと正確にお答えできなかったので、データを調べましたので、お答えいたします。  五十五年一月一日現在の県、市町村の数でございますが、都道府県が四十七、市が六百四十六。これは特別区を別にしております。市だけでございます。それから、町が千九百八十五、村が六百二十四、こういう数字でございます。
  136. 長谷川正三

    ○長谷川(正)分科員 終わります。
  137. 津島雄二

    ○津島主査代理 これにて長谷川正三君の質疑は終了いたしました。  次に、横路孝弘君。
  138. 横路孝弘

    横路分科員 選挙の問題についていろいろとお尋ねをいたしたいと思いますが、初めに、昨年の衆議院選挙選挙違反の状況について、一体どんな状況だったのか、件数などを、戸別訪問あるいは文書違反、買収供応に分けて警察の方から御報告をいただきたいと思います。その中で、在宅投票制度にかかわる何か選挙違反というのがあったのかないのか。私はそうは聞いていないのですが、それもひとつお答えいただきたいと思いますし、その後で法務省の方から、どういう処分になっているのか、概略で結構でございますので御報告をいただきたいと思います。
  139. 中平和水

    ○中平政府委員 第三十五回の衆議院議員選挙に関する違反行為の取り締まりの概況でございますが、検挙の状況でございますが、これは選挙期日後九十日現在におきます仮集計でございまして、若干数字はいってまいろうかと思いますが、それでひとつ御理解をいただきながら数字を御説明申し上げたいと思います。  警察が検挙いたしましたのは八千四百七十二件、一万四千四百四十二名検挙いたしておりまして、そのうち逮捕者は千三百九十八名ということになっておる次第でございます。  なお、御参考までに、前回の五十一年の十二月施行の総選挙の同じ時期におきます件数が六千七百四十七件、一万一千二百十二名、うち逮捕者は千二百四十四名でございますので、これに比べますと、件数で二五・六%、人員で二八・八%の増加、こういうことになっておる次第でございます。  なお、この検挙の内訳でございますが、買収が七千七百六十四件、一万三千百九十四名。自由妨害が七十七件、六十二名。戸別訪問が二百四十四件、四百五十二名。文書違反が三百二十五件、六百四十七名。その他が六十二件、八十七名。こういうことになっておる次第でございます。  なお、御質問のございました在宅投票に関連する違反につきましては、私どものところには検挙の事例については報告はまいっていない、こういう次第でございます。
  140. 根來泰周

    根來説明員 お尋ねの、総選挙における公職選挙法違反の事件でございますが、ただいま警察庁の刑事局長からお話がありましたが、私どもと警察庁の統計のとり方あるいは統計のとる時期が若干食い違っておりますので、事件数としてはぴったりいかないわけでございますが、大体昨年の十二月末までにその大半の捜査を終えまして、同日までに起訴したものが八千二百九十四人であります。そして、そのうち公判請求したものは千四十二人ということになっております。  罪種別で申し上げますと、受理人員数でございますけれども、買収が一番多くて一万四千百六十六人、そのほかでは文書違反が六百五十一人、戸別訪問が四百五十九人というようなことで、総計いたしまして一万五千四百三十九人ということになっております。なお、身柄拘束で受理したものが千六百九十二人というようなことになっております。
  141. 横路孝弘

    横路分科員 特にこの前の衆議院選挙の場合、宇野派の選挙違反について大変大きな問題になりまして、その裁判の処理迅速が要求されているわけです。  そこで、これは法務省の方にお尋ねしたいのですが、選挙違反の裁判は長期にわたっているものも結構あると思うのですけれども、現在法務省の方で掌握されているのは、長期というのはどの辺でとるかというのはむずかしいことですけれども、何か資料をまとめておられるようでしたら、たとえば二年以上とか三年以上とかいう区分でひとつお答えいただければと思いますけれども……。
  142. 根來泰周

    根來説明員 昨年行われました衆議院議員選挙の直前であります昨年九月三十日現在で調査を行いましたが、その当時、通常第一審に二年以上係属しておる公職選挙法違反被告事件は、人員で申しますと八百六十九人ということでありまして、そのうち二百六十一人が三年以上係属しておるという結果を得ております。
  143. 横路孝弘

    横路分科員 件数で言うと何件くらいになりますかわかりますか。
  144. 根來泰周

    根來説明員 私どもの統計の方は人員でとっておりますので、件数としては把握しておりません。
  145. 横路孝弘

    横路分科員 そこで、最近自民党の中から、この選挙違反事件の審理を促進するために二審制度にしたらどうかという意見が何か出ておるようですね。当選無効の訴訟といいますか、これはいわゆる独禁法違反の事件などと同じように、たしか高裁が第一審で二審制度なわけですが、公職選挙法違反の選挙違反事件について二審制にするかどうかというのは、憲法上の議論を含めて大変いろいろな議論があろうかと思うのですけれども自治大臣、これは皆さんの方でも検討されておられるのですか。
  146. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 裁判が百日裁判でなくて大変長くなるので、連座制の問題等との絡みでこれを実効あらしめるということで、もう少し裁判を短くする方法はないのかといったようなことで、自由民主党の中で現在選挙制度調査会で検討いたしております。その検討の会議には私どもの方からも係官が出かけまして、いろいろ一緒に検討しておるということは事実でございます。
  147. 横路孝弘

    横路分科員 公選法には百日以内でできるだけ終わるようにという訓示規定がございますが、実態は、先ほど言いましたように二年以上、三年以上かかっているのもありますし、この前の、六年前の参議院選挙の違反事件が、つい先日一審判決が出たというようなケースもあるわけで、できるだけ早く処理をするということは、これは私たちもそういう意味でも賛成なわけですが、ただ二審制度にするのがいいかどうかということになると、ほかのいろいろな制度とのかかわり合いもございますし、慎重に検討しなければいけない問題じゃないか。趣旨には賛成しますが、内容的にはまだまだ詰める問題があるというように思いますので、自治省の方もひとつ慎重にこの問題については対応していただきたいと思いますが、いかがですか。
  148. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 おっしゃるとおりの対処の仕方で進みたい、こう思っています。
  149. 横路孝弘

    横路分科員 それからもう一つ、戸別訪問ですね。いま言いましたように、結構件数なり何なりあるわけですが、最近この戸別訪問禁止を決めている公職選挙法百三十八条の一項、二項の関係で違憲判決が昨年幾つか出ていますね。二つですか。一昨年も出ておりますし、このところ二、三件違憲判決が出ておるようです。これはヨーロッパを見ますと、戸別訪問というのは大体自由化されておるというのが現状ですね。同時に、総理大臣の諮問機関である選挙制度審議会が第一次から第七次までいろいろ報告をされておりますが、一貫して大体この選挙運動は自由化の傾向を志向しておって、特に戸別訪問についても、まあ買収の機会を与えるとか、かえってこれによって金がかかるんじゃないかとか、いろいろ迷惑も出てくるのじゃないのかと、いろいろな意見はあるようですけれども、やはり原則的に考えて戸別訪問というのは、幾つかの制約は考えるとしても自由化していくべきだという意見が、この選挙制度審議会の中でも強いようです。  この戸別訪問を禁じている公選法が憲法二十一条などの関係でどうかということも、判決を読んでみますと、大分詳細な検討をそれぞれやっての結論になっておるわけです。  この辺のところについて、大臣はどうお考えになっているか。私は、できるだけ政治教育の一つの場にもなりますし、夜中に押しかけていくということになれば、いろいろ問題も発生するでしょうけれども、その辺のところを何らかの形できちっと枠をはめれば、本来やはり自由にすべきじゃないかというように思うのですが、いかがでしょう。
  150. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 最近、下級審で憲法違反だという判決が出ておることも承知しておりますけれども、まあ現在のところでは最高裁の判決で合憲ということが出ておりますので、私どもとしては法律的には憲法に違反するというふうには考えておりません。ただ、仰せのように、この問題をめぐっていろいろ議論があり、自民党の中の選挙制度調査会でも論議をせられておるように聞いております。  ただ、私は、基本的には選挙というのは余りがちがち暗いものにする必要はないので、これはやはり本来だんだん自由に濶達にやれるようにすべきものである、かように考えておりますが、ただ、この戸別訪問をめぐりましては長い歴史があるものですから、その機会に実質犯が出る契機を与えるとか、あるいはまたお年寄りと若い人との間でいろいろな御意見の違いとか、なかなか結論の出にくい問題であるというふうに考えておりますが、私自身は、やはりこういう問題はできるだけ自由化の方向に向かって進むべきもの、かようには考えておる次第でございます。
  151. 横路孝弘

    横路分科員 ひとつ国民の政治意識の問題と、それから働きかける側、候補者の側の良識の問題といいますか、自制の問題だろうと思うのですが、本来的には、ヨーロッパあたりでやはり自由化しているのは、選挙というのは、そういう意味で立候補する方とそれから投票する側とがそこで議論を闘わすという意味では、非常に政治訓練の場にも一つなっているということもあって、この自由化の方向で、最近ではどこでも大体自由ではないかというふうに思いますので、その方向での検討をお願いをいたしたいというふうに思います。  そこで、在宅投票制度について次にお尋ねしたいのですが、最近の状況、実績、どのようになっておるかお答えをいただきたい。
  152. 大林勝臣

    ○大林政府委員 最近の実績を申し上げますと、一番近い例が昨年の総選挙の時点でございます。昨年の総選挙の時点で投票者は一万八千八百六十人、郵便投票証明書をもらっておる方が三万八千八百七人でございますから、三万八千八百七人のうちの一万八千八百六十人という割合でございます。
  153. 横路孝弘

    横路分科員 後で対象者数についてちょっとお尋ねしますが、なかなか思うように投票者の数がふえない。一般の選挙の投票率に比べたらかなり下回るのではないかというふうに思うのですが、なかなかこの制度が普及しない理由というのを、どこにあるとお考えでしょうか。
  154. 大林勝臣

    ○大林政府委員 在宅投票が利用できます方々の総数から申し上げますと、一万八千八百六十人ということはまだまだ低いわけでございますが、私ども五十二年の参議院選挙のときに若干の市を抽出調査をいたしまして、いろいろ選管の方で調べていただいたわけでありますけれども対象者の方々も、この郵便投票をお使いになる方もあれば、あるいはいわゆる一般の不在者投票、たとえば指定病院に入院されておる方々とか、あるいは身体障害者福祉施設に入院されておる方々とか、こういう方もかなりおられるようでございますし、また一般の介添え人の方々に介添えをしていただいて、いわゆるいままでどおりに投票所へ行って投票するのだという方もかなりおられるようでございます。それを全部入れましても一般の方方の投票率にはもちろん及びません。これにはまだまだ私どものPRも足らないということで、選挙の都度あるいは時期を選んで、ラジオあるいはスポット放送等でいろいろ啓発に努めておるところでありますが、さらに今後とも啓発に努めてまいりたいと考えております。
  155. 横路孝弘

    横路分科員 その不在者投票をしたり、あるいは投票所に行って投票される人の数というのは大体どのぐらいおられるようですか。
  156. 大林勝臣

    ○大林政府委員 私ども承知しております限りにおきましては、この制度を四十九年に採用いたしました時点で約十一万人余りというふうに承知しておりまして、最近の数字は厚生省の方におきましても新たに調査をお始めになっておられるというふうに伺っております。
  157. 横路孝弘

    横路分科員 そういうことではなくて、つまり在宅投票制度の対象者のうち、いまいろいろと調査をしてみたら、病院に入院しておって不在者投票で行った人もおるし、それから投票所に行ってだれかに助けてもらって投票した人もおるようだというお話でしたね。だから、大体その数はどのくらいかわかりますか。推定できるものなら……。
  158. 大林勝臣

    ○大林政府委員 ただいま前の調査をいたしましたときの資料を持ってまいっておりませんので……。
  159. 横路孝弘

    横路分科員 その対象者なんですが、法律、政令で決められているわけですけれども、厚生省の方でこの公選法の規定に基づく一応対象者というのは、現在のところどのくらいの数なのか、おわかりでしょうか。
  160. 板山賢治

    ○板山説明員 公選法の四十九条に規定します不在者投票の対象となり得ると私どもが考えております対象者数ですが、老人について言いますと、いわゆる寝たきり老人と言われます人たちが、五十三年度の厚生行政基礎調査によりますと、総数約四十五万人と推定されています。ただ、この中で在宅の者ということに限って言いますと、三十万程度ということになります。それから身体障害者、特に重度の障害者ということになりますが、この数というのは、実は古い四十五年の数字しかありませんで、現在、部長からもお話がありましたように調査を実施しておる最中でございます。その古い数字でございますけれども、これに基づいて推計をいたしてみますと約十万人。ただ、この中で二万人ほどが施設に入っておりますから、在宅だけに限りますと、八万人程度ということになろうかと思います。それから戦傷病者、この重度の方に限りますと、三千六百人ほどというふうな数字がございます。  以上でございます。
  161. 横路孝弘

    横路分科員 いまのうちの寝たきり老人の方はこの法律の対象にはならぬわけですよ。そうすると、つまりそれを除きますと十万ちょっと超えるぐらいの人が一応四十五年の調査では対象じゃないか。そうすると、そのうちの投票が一万八千人。いまのお話を聞くと、証明書の交付をもらっている人は三万八千ということですから、これは二年前にこの分科会でお伺いしたときはたしか二万四千ということですから、証明書の交付を求める人はふえているのですね。しかし、実際に投票をなさる方が少ないようです。ただ、しかし、都道府県別に見ると、たとえば北海道なんかわりあい多いのですね。これはやはり運動があるからだと思うのです。したがって、これをPRすれば、相当まだ——この制度を知らない人たちもいるでしょうし、PRをまだまだ強めていくべきだと思うのですが、これは都道府県別に皆さんの方が数は掌握されていますか。二年前に自治省の方にお尋ねしたときには、それを調査をしますというお話だったのですが。できているかどうかです。
  162. 大林勝臣

    ○大林政府委員 都道府県別の郵便投票証明書の交付件数は、調査ができております。
  163. 横路孝弘

    横路分科員 交付件数ではなくて、対象者数はどうなんですか。これはなかなかむずかしい……。
  164. 大林勝臣

    ○大林政府委員 対象者数につきましては、いろいろ調査の難点等がございまして、まだできておらないようでございます。
  165. 横路孝弘

    横路分科員 ただ、たとえば身体障害者手帳で、この公選法の規定並びにその政令事項から言うと、大体都道府県別の推定というのはできるのではないですか。だから、私は、それをまず掌握をされる、そうすると、どこの都道府県が大変おくれているか、進んでいるかということの掌握になるわけです。全体の数から言うとそう大した数ではないわけですから、たとえば一人一人にこういう制度がありますよというようなことを、たとえば郵便はがきか何かでPRしたって、大した費用にはならないだろうと思うのですね。そこで、前から、都道府県別の対象者数を早く掌握されたらどうだろうか、それは手帳で調べることもできるのではないかという話をしておったわけですが、いかがでしょうか。
  166. 大林勝臣

    ○大林政府委員 市町村におきまして、特に厚生担当者と連絡をとって調査ができる範囲でやっていただくようにいたしたいと思います。
  167. 横路孝弘

    横路分科員 多分この数字を見てみますと、私、その対象者数がわからないからあれなんですが、都道府県でかなりばらつきがあると思いますね。この数を見て人口から考えてみますと、関西の方なんかは大分おくれているのではないかというように思うのです。したがって、PRを徹底していただきたいと思うのですが、皆さんの方で今度法律改正をして、この郵便の費用の一部を負担される法律を想定されていますね。その費用は幾らなのかということと、そこで皆さん方が想定されているその数、投票者数といいますか、この参議院選挙から実施されるわけでしょう、一体、どの程度の人員を予定されているのですか。
  168. 大林勝臣

    ○大林政府委員 費用の面につきましては、選挙管理委員会の方から投票用紙を送ってまいりまして、それを送り返す費用、速達料二百円を予算化いたしております。それから、人員につきましては、予算要求の時点におきます前回の実績が約一万五千人ということになりましたので、一万五千人掛ける二百円ということを予算措置いたしておるわけであります。
  169. 横路孝弘

    横路分科員 しかし、これは五十四年の総選挙では一万八千八百六十人ということですね。それはもちろんすぐ対応できるのでしょう。
  170. 大林勝臣

    ○大林政府委員 これは総選挙執行経費の総枠の中におきます調整費において調整いたして執行いたします。
  171. 横路孝弘

    横路分科員 そこで、これは大臣にお尋ねしたいのですが、この在宅投票制度については一時廃止されまして、それに対する訴訟が提起されまして、違憲判決が出ました。ついことしになってからも、判決理由の中で、これは国会の責任なんですが、国会の廃止措置は違憲である、こういう国会議員の責任も求める判決が出されておるわけです。     〔津島主査代理退席、主査着席〕  この制度の趣旨から言うと、たとえばいまお答えのありました寝たきり老人、動けない人たち——施設に入っている人たちは一定の施設の要件に従って投票行動に参加できますけれども、在宅しておって寝たきりの人というのは投票に参加できないわけです。中には、政治に対して物を言いたいという多くの人たちがこの中に含まれておるだろうと思うのです。確かに非常にむずかしいことは私も認めるのですが、ただ、いままで実行してみて、これにかかわる選挙違反というのは少なくともまだ出ていないという状況を見れば、対象を少し拡大するということについても考えるべき時期に来ているのではないだろうか。これはたしか改正したのが四十九年だったと思うのでありますが、それからかなり経過して、実績もそれなりにこの制度に対するなれも出てきているわけですから、対象の拡大ということも考えていいのじゃないかと思うのですが、いかがでしょうか。
  172. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 この件はあつものにこりてなますを吹いたというようなうらみがあるのじゃないかと思います、昭和二十年代この制度を認めた結果いろんな事件がありましたから。しかし、ようやく四十九年に在宅投票制度が設けられたわけですけれども、本来は、すべての人に投票の機会を与えるというたてまえで、これは当然のことです。ただ、いま申したようなことで選挙の公正というものとの兼ね合いの問題が一つある。もう一つは、手帳なんかを渡してある人、これははっきりしていますから問題ないのですが、さっきお話に出ておりました寝たきり老人、数はいま四十数万、在宅者が三十万ぐらいだと思いますが、問題は、一体寝たきり老人というのはどういうことなんだという基準が非常に立てにくいというような問題がございまして、いま踏み切るというところまでいっておりません。しかし、基本の考え方は、こういうものはできるだけはっきり区別ができて、選挙の公正を害するといったような心配もないというものについては、拡大の方向で検討をしていかなければならない事柄である、かように考えております。
  173. 横路孝弘

    横路分科員 その昭和二十年当時の選挙違反というのも、結局これは運動する側の問題なわけですね。それから、いま言ったむずかしさというのも、確かに管理上のむずかしさなわけです。どちらかというと、それは寝たきり老人の側の問題じゃなくて、選挙を管理する立場の理屈なわけですね。そこのところは工夫の余地は幾らでもあると思うのです、外国の例なんかを見ても。これは厚生行政が進んで、そういう点の掌握が進めば進むほどやりやすくなるという環境ができてくるわけです。いまの御答弁のようにぜひ進めていただきたいと思います。  同時に、手続を何とかもう少し簡単にできないものだろうかという意見がこれまた大変強いわけです。まず最初に証明書を交付してもらって、それから投票用紙をもらって、それからまた送らなければならぬということになるわけですね。この手続の簡素化ということで、たとえば証明書の交付ですが、証明書を交付した人間に対しては、一一投票用紙の請求がなくても、投票用紙を送ってやるということはできないのですか。一般の人の場合は入場券を送って投票所でチェックを受けるということになりますが。だから、そのチェックの機能をどこかで何らか持たしたいというならば、その点を何か工夫をされてやればいいことじゃないでしょうか。たとえば病院なんかの場合の不在者投票というのを見ても、あれを書かせて、外からこうあるわけでしょう。だから、二重にしてやれば問題は起きてこないだろうと思いますし、とにかく最初証明書を要求してもらって、それを交付したという人間については選挙のたびに投票用紙を送るということをやっても、そう公正に問題がないのではないか。手続が大分簡単になりますが、いかがですか。
  174. 大林勝臣

    ○大林政府委員 そういう御意見も前々からございます。私どもいろいろ内部で議論もしておるわけでございますが、先ほど先生もおっしゃいましたように、一般の投票者の投票の方法との兼ね合いをどう考えるか。要するに、一般の投票者におきましては、入場券を交付いたしまして、投票所でチェックをして投票しておるわけでありますが、こういった身体障害者の方に限ってあらかじめ投票用紙を送付するということにつきましては、また投票の自由との関連、一般の投票者との関連、そういったむずかしい問題もありまして、まだそこまではよう踏み切らないような現状でございます。
  175. 横路孝弘

    横路分科員 どういう方法があるのか、皆さんの方もひとつ検討していただきたい。これだけ何回か投票が行われておりまして、そのたびに新聞などに投書が出るのは、やはり手続がなかなかむずかしいということと、まあそのたびにお金がかかるということもいままで問題だったわけですが、その辺のところは一部国が負担をするということになったわけですが、その手続の簡素化ということについても、対象者の拡大と同様にひとつ検討をしていただきたいと思うのです。  在宅投票制度についてのいままでの判決を見ても、当然のことですけれども選挙というのは国民主権の一番大きな大もとである、いろいろある国民の権利の中でもその中核をなす権利が選挙権、つまり参政権だというのが判決で強く主張されている点であるわけです。したがって、ともかく一部復活したからこれでいいんだということでなしに、低い投票の実態というものを選挙のたびに点検をされまして、先ほど御答弁がございましたが、都道府県ごとにその大体の対象者数をつかまれて、特に投票率の低いところについては、ぜひ皆さん方積極的なPRをしていただきたい。そういう意味で、この制度について、私たちも議論を続けてまいりますが、皆さんの方も点検を毎回きちんと大きな国政選挙のたびにやっていただくように最後に要望をいたしたいと思いますが、いかがでしょうか。
  176. 大林勝臣

    ○大林政府委員 仰せの趣旨を十分体しまして今後も検討し、啓発をしてまいりたいと思います。
  177. 横路孝弘

    横路分科員 終わります。
  178. 橋本龍太郎

    橋本主査 これにて横路孝弘君の質疑は終了いたしました。  次に、柴田健治君。
  179. 柴田健治

    柴田(健)分科員 私は、消防体制強化に関連をしてお尋ねをしたいと思います。  まず、大臣に見解を求めたいのですが、昨年の澁谷自治大臣は、非常勤消防団の仕事というものはどちらかというとボランティア活動の要素がある、こういう言い方をされておりますが、われわれはどんなに考えてもそういう考えは今日では出てこないわけであります。条例で設置され、そして定数も決められ、いろいろな形で国の運営基準でやっておるわけですからね。そして、国の法律の枠内で、市町村自治体消防と言いながらも、市町村地域防災計画の中で行動をしておる。そういう立場から申し上げて、ボランティア活動だというような認識を自治省が持っておるとするならば、これはもうわれわれとしても反論しなければならぬ、こういう考え方でお尋ね申し上げるので、大臣の見解をまず聞きたい。
  180. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 私は、消防団というものは、なるほどふだんはそれぞれの仕事をなさっている、そして一定の場合に消防活動をするわけですが、その際にはこれはやはり特別職の地方公務員である、こういう考え方を持っておるわけでございます。しかも、田舎もさることながら、都会等においても消防団の活動に非常に期待もし、また活動していただかなければならない実態でございまするので、私としましては消防防火体制をより一層推進するという意味合いにおいて、この消防団の重要性というものを認識して、それの処遇の問題、さらには消防団の各種資機材の充実、こういう面に向かって努力を重ねてまいりたい、かように考えております。
  181. 柴田健治

    柴田(健)分科員 一つの組織の基軸になるのは、何としても人の養成でありますから、個人個人の団員の一つの集団化というのはいろいなむずかしい問題があるわけであります。今度の予算措置を見て私たちびっくりしておるわけですが、交付税の基準財政需要額の算定基礎の消防団員の報酬なんですが、どうも消防に対する認識が十分でないからこういう低い額で抑えられるのではないか。団長が今度四万六千円が四万八千円。副団長が三万六千円が三万八千円。それぞれ二千円。分団長が二万四千円から二万五千五百円、千五百円。団員の方が一万二千五百円が一万三千五百円ですから、千円の値上がりということですね。一年間で大体平均九回から十回出動するわけですが、これは報酬でありますから、日本の課税基準から言うと総合課税でありますから、全部総合所得で申告しなければならない。こういう点でも消防団員は非常に不満があるわけです。それで源泉徴収票が町村の税務課の方から出てくる、申告しなければならぬ。年間十何回も出て、これだけの報酬に対して課税をする、課税対象になる。実際、幹部は正直に言って自分のふところに入るような金ではない。そこに不合理があるというか、矛盾というか、余りにも消防団員を冷遇しておる。消防団員の任務に対する認識が大きく違うためにこういう結果になっておるのではなかろうか。根本的にこういうものを直そうとするならば、消防団員の任務、そして位置づけというものを十分理解をしてかからないと、これが直ってこないのではないか、こういうことになるのですが、大臣、どうでしょう。
  182. 近藤隆之

    ○近藤(隆)政府委員 先生の御指摘の点は、まさに消防団員というものを消防行政の中でどう位置づけるかということに基本的には関連してくる問題ではないかと思っております。  消防団員の報酬は、団員におきましては一万三千五百円から、団長において四万八千円ということでございますから、非常に低いという御指摘はごもっともだと思います。ただ、御承知のように現在消防団員は百十万人おります。一ころの二百万人に対しまして半減はしておりますけれども、その百十万の消防団員が本当にフル活動しておるかといいますと、地域によりましてその活動の実態が非常に違うということも御承知のとおりでございます。つまり、東北、北海道方面などの出かせぎ地帯におきましては、名のみ消防団員である、あるいは大都市近郊におきましては、昼間は大都市の事業所に勤めております関係で出れない。したがいまして、実態からいたしますと、百十万といいましても、現実には実動力としては相当低いのじゃないかと思います。  そういうような実態のもとにおきまして消防団員の処遇を考える場合に、報酬というのをどの程度まで引き上げていったらいいのか。私どもは、全国的な基準ということで、現在支給されております実態等を勘案してこの程度のものにし、しかも、毎年国家公務員あるいは地方公務員の給与改定等に適応いたしまして上げていっておるような次第でございます。  一方、消防団員につきましては、実際に訓練をしたり出動したりする場合においては出動手当を出しておりますが、この出動手当を五十五年度におきましては、今年度の三千円に対しまして三千五百円というふうに上げております。実は昨年も五百円程度上げたわけでございます。実質的な処遇改善という点から言うならば、この出動手当の方に重点を置いて引き上げてほしいというような要望も消防団員の中から強くございまして、ここ一、二年特に出動手当の充実ということで私ども力を入れてきたわけでございます。ただしかし、その出動手当の三千五百円という数字も私ども決してこれが妥当なものであるというような認識は持っておりません。しかし、現実に各地方団体が出しております出動手当は恐らくこの三千五百円の半額以下であるというような実態でございます。  そこで、消防団というものがこれからのわが国の消防防災体制を考えます場合において非常に大きな役割りを果たす。したがって、ここ数年の間、常備消防の充実ということにも私ども力を入れてまいりましたけれども、これからのことを考えると、常備消防以上に消防団というものに目を向けて、その充実を図っていかなければならないという感覚を持っておるわけでございますが、その場合に、消防団というものをどう位置づけし、私どもが出しております消防力の基準につきましても、御承知のように、常備消防につきましてはある程度精緻な基準でございますけれども消防団につきましては非常に不完全なものでございますが、常備消防との関連において消防団をどの程度確保することが必要であるかというような基準についても再検討し、そうした前提に立ちましてあるべき消防団員の報酬あるいは各種の手当というようなものを考えていかなければならないのじゃないかと思っております。  私、消防庁長官の諮問機関といたしまして消防審議会というのが設けられておりまして、昨年来、新しい時代に即応する消防防災体制のあり方について御議論を願っておりますが、消防団員の消防行政における位置づけというのが一つの大きなテーマでございますので、現在せっかく各方面の意見を聞いてそこで取りまとめております。その位置づけに応じまして、消防団員につきましても妥当な、適正な処遇を今後進めていきたい、そのように考えております。
  183. 柴田健治

    柴田(健)分科員 これは自治省市町村に対する指導、また都道府県の指導が悪いのかいいのか、どうも基準どおり足並みがそろってない。基準財政需要額で必要な経費を認めておる。そのとおりに使ってないですね。  それから形式でこれだけの財政措置はしてあります、こう言うけれども市町村長の頭においていろいろ交付税の使い方はばらばらだ。この点で消防に対する認識が上から下まで余り十分でないということが言えるわけですね。いまあなたは、出る地域と出ない地域、要するにまじめ、ふまじめというか、そういうものもある、こう言われたが、私はそういう考え方はちょっとどうかと思う。消防の仕事は二つある。どちらに重点を置くか。一つは、災害予防計画に基づいてやる仕事、もう一つは、災害の応急対策という面についての任務というか、二つについて、どちらに消防庁は力を入れておるのか、自治省は力を入れておるのかということから、われわれはできるだけ災害が起きない方がいい、そうすると、災害予防計画に基づいて徹底的訓練が必要だ。昔の消防とは違って、いまのは高度な技能の問題、そしてまた技術訓練、そして実地訓練というように、予防訓練が非常に多い、昔と違っておりますから。訓練はやはり出動の率が高い時間を割いてやるわけですね。たとえば夕方やるとか、また夜やるとか、休みの日にやるとかということで、災害の応急対策については、災害が現実に起きた時点では出動員が勤める場所があったり、交通の関係で帰ってこれなかったりして、平素何としても災害が起きない方がいいわけですからね。そういうことから考えて、われわれの市町村消防団の立場から言うと、予防計画に力を入れておるわけですから。予防計画はやはり訓練の出動が多いということですからね。だから出動手当においても、基準を三千円から新たに五百円上げる。二千九百五十円、今度は五百五十円上げて三千五百円ということになるわけですね。三千五百円まるまる出している市町村一つもありはしないのだから、正直言うて。われわれも出動手当をもらったことがないわけですから。われわれは団長をしておりますが、年間七、八十回出る、正直言うて。それはもう二十四時間勤務ではないから、三時間出る場合も二時間出る場合も六時間出る場合も、いろいろ時間的には制限は少ない面と多い面がある。出動回数からいうと、年に七十回か八十回出るわけですが、それで四万六千円の手当も一銭ももらったことないですけれどもね。われわれが言わなくても、やはり末端の幹部なり団員というものは、消防に対して社会的に非常に冷たい目で見ておるというのはだれしも認めておるわけですね。もう少し社会的に地位を向上させるためには優遇措置もしてやるし、またそれぞれの表彰の枠でも増大をしてやる。いろいろ手があると思うのですね。それを自治省の方は、消防庁の方は公式論的で形式論的に他との均衡論で、表彰の枠もどうだったとか、こう言うて切り離してしまおうとする。そういうやり方をしているところに、ぼくは消防に対する認識が非常に欠けておる。だから、この点は大臣は十分認識しておいていただきたい、こう思うわけであります。  だから、私は消防力の強化で消防庁予算、しかも人口一億一千万、そして膨大な国家予算の四十二兆五千八百億の新年度の予算の中で、そして日本列島はどちらかというと災害が多い国で、もう少し消防力の強化ということに力を入れたらどうかという気がするわけですね。市町村だけに任していくものではない。国が、それだけの災害対策基本法という法律があるわけです。ことしの予算を見ると、二百十二億円余り、もうダム一つ建設資金にも当たらないような、それで消防に一生懸命力を入れておりますと言う。施設強化というのは、ぼくは理解できないので、これからいまのような、私は思うのは現行の制度ではミニ防災センターというものを近ごろ考えてちっちゃな本当にミニなやつをやっているのですね。これも役に立たないことはないけれども施設強化の面から見ると、もう少し大型のをやったらどうか。それで消防の任務と上の省の縦割りの機関から言うと、たとえば山林火災はどちらかというと農林省、林野庁の任務なんですね。それから水防は建設省の担当ですね。それから建設省は本気でやっておるかというと本気でやってない、みんな消防団にぶちかけてくる。それから消防庁の方はどちらかというと建物火災が中心になっている。それから山崩れだとか豪雪だというと、これは国土庁の任務なんですね。上の方はそういうばらばらに権限を持っておるのだけれども、下に使われるのは同じ人間が動くわけですね。たとえば水害がある、後始末をする、それで伝染病の予防対策上で消毒液をまく、これはもう厚生省の仕事になっておるのですね。それから災害救助法を発動されたらこれは厚生省所管。それで全部消防が手助けをしなければならない。こういうぐあいに上の方の省はそれぞれの権限で制度的に分離されている。ところが、末端は、一人の人間があれもこれも使われてくる。それだけに仕事も多いし、いろいろな面で、消防力の強化と言うが、そういうもので十分しておかないとどうにもならぬのではないかという気がするわけですね。どちらかというと、瀬戸内海、山林火災が近ごろ非常に多いのです。それは松枯れというか、マツクイムシで山が青い山脈から赤い山脈というか、火がついて焼けたら黒い山脈、こう言われておるのですが、火が山に入ったらなかなか消えない。山林火災については依然として人海戦術をとられている。日本は人口密度が高いですから、どうしても人家を防ぐためには、少々山が燃えてもしようがないのだ、こういうことで、人家、人命の方ということでそれに集中的にやると人手がない。いま一市町村幾らと定数で決められていますから、これは建物の面積からいって消防ポンプの台数に合わせて定員を決めてありますから、山林の面積がどうであれ、そんなことはお構いない。それから山林をたくさん持っている町村ほど、まさか山林火災が起きた時分には人海戦術がとれないという、そういうことがいま現実の姿だ。これをどう防ぐかということは、やはり市町村だけの力ではもうどうにもならない。だから、私は、ミニの防災センターの設置もそれは大事かもしれないけれども、もう少し大型の防災センターをつくるべきじゃないかという気がする。ぼくは瀬戸内海、特に山を守らなければならぬという立場から言うと、岡山県には水島の石油コンビナートもある。それから四国、中国——自治大臣、徳島の出身だから熱心になってもらいたいと思うのですが、中国、四国、あの瀬戸内海の風光明媚な山が皆焼けるということは大変なことだと思うのですね。山林火災なり石油コンビナート、そうしたあらゆる面の非常に多様化した時代を迎えておるわけですから、それに対する防御措置という防災計画の中から大型防災センターというものをつくるべきだ。  自治大臣、岡山県にいま浦安の飛行場があるわけです、第三種の飛行場が。これも今度やめる。今度新空港をつくる。これはあの浦安の飛行場を国と中国、四国九県で、一つはここで防災基地をつくる。そこには山林消火剤、ヘリコプターも置く。それから石油コンビナートの消火液を備蓄するという、そういうセンターというものをつくったらどうかという気がするのですね。それは場所としては一番いいし、中国五県また四国も含めて、あの辺で兵庫県を含めて守れると私は思うのです。この間の山林火災は岡山県から兵庫県合計三百六十町歩焼けた実態を見ても、もう少しヘリコプターで防災活動をやったら早く何とかなっただろう、われわれ専門的に見てそういう気がしたわけですね。とめられる方法がある、それをわれわれは考えて何としてもこれを提案をして、小さいミニ防災センターも必要だけれども、大型のやつ、これは国が思い切って無線施設も相当大幅にやったのですから、これも災害予防計画の中で通信施設なんかやったわけですから、そういうことでもっと大型のものをやったらどうか。  それから、岡山の浦安の飛行場は適地だ、こう思うのですね。そして、人は中国、四国の消防署から一年ずつ一人詰めさせたらいい。無理になにをしなくても、一年交代で何人かずつ平素から訓練させておく。そういうことを考えて、何とかあの辺のコンビナートの防御措置をやる、山林火災を防ぐ、いろんな形でやった方がより効果的ではないか、こういう気がするのですが、大臣どうでしょうか。これ提案です。ひとつ真剣に考えてもらいたい、こう思うのですけれども
  184. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 消防団の機能の充実、団員の教育訓練、さらには士気高揚のための表彰制度の充実、いろいろこれからやらなければならぬ仕事はたくさんあると思います。いま柴田さん御提案の大規模の防災センターを検討しろ、こういう御意見ですが、私、中身が全然わからぬものですから、中身等もまたよく承りまして検討させていただきたい、かように思います。
  185. 柴田健治

    柴田(健)分科員 次に、消防団員の健康管理の問題でちょっとお尋ねしたいのです。  全国、非常勤公務員という、制度的にはそういう位置づけ、まあ特別公務員とも言う。公務員という名前がつく限りは、やはり自治体消防で、市町村の責任において定期健康診断をすべきだ。ところが、標準団体十万で何ぼか認めておられるようですけれども、話にならない。いまは勤めをしておる人もおられますから、勤めの場所で年に一回とか二回とか定期検査をやっておられる人もある。消防ではやってないけれども、勤めの場所で、勤務場所で定期検査を受けておる。けれども、勤めてない、農村の純然たる農業なら農業だけでやって留守を守っておる消防団、この人の健康診断を、定期検査をやるべきだ。もう少し予算措置をふやして早急に健康診断をやってもらいたい。  私がなぜこれを提案するかというと、公務災害補償の法律があって、いろんな形で後遺症の関係があるかないかということ、そしてもう一つは、出動なり訓練中に、災害出動また訓練出動、またそういう業務についておる中でひっくり返る、死亡までいかないけれども、ひっくり返って救急車で運ぶというのがある。そうすると、その団員は公務災害には適用しない、持病だ、こういうことを言われるわけですね。そこを何とか公務災害にならぬかというてお願いしておる。そこに問題が複雑になってきて、医者の診断だとかなんとかいうことで、証明書だということでなかなか前に行かない。そういうことを防ぐためにも、事前に消防団員の健康管理というものを十分考えてやる、定期検査をしてやるというようにしてもらいたいというのがわれわれの気持ちなんですね。だから、いま何ぼか財政措置は認めてある、けれども、正直言って実際はやってない。いま予算措置を見ると、一人が百円か二百円、正直言ってそんなのできやしない。百円や二百円で定期検査ができるところがあるとするなら、ひとつ示してもらいたいですね。できっこありはしない。できるだけの予算措置をしてもらいたい、こういう気がするのですが、どうでしょう。
  186. 近藤隆之

    ○近藤(隆)政府委員 消防団員の健康診断の必要なことは、先生の御指摘をまつまでもなくもう当然のことだと思います。  御承知のように、昭和五十二年から地方交付税の基準財政需要額の積算の中へ若干入れてあるわけでございますが、現時点におきまして、まだほとんどのところが健康診断をやっておらないというような状況でございます。  私ども、どの程度を見込むかということにつきましては、御承知のように、事業所等に勤務しておられる方々はそちらで健康診断も受けられますので、それ以外の方ということになりますと、現実問題としてどの程度の方が補完的に町村で健康診断を行わなければならないのかということの実数がまだつかめません。とりあえずやってみようということで、五十二年地方交付税に組み込むと同時に、各地方団体に通達を発しまして健康診断を行うように指導したわけでございますけれども、まだ目ぼしい結果が現実のところ出ておりません。さらに、今後とも各地方団体に事の重要性にかんがみまして消防団員の健康診断を行うよう指導してまいりたいと思います。
  187. 柴田健治

    柴田(健)分科員 次に、婦人消防隊の育成なんですが、いまばらばらなんですが、これはいずれ消防審議会で審議されると思うのです。いま過疎地域、特に純農村地域は高齢化してまいりました。全国平均九・三%の高齢者が、岡山県の場合は一一%で、岡山県の山村地帯はもう一八%から二〇%、だんだん高齢化してきて、いずれもう早い機会に三〇%ぐらいは高齢者になってくるだろう。そういう事態における防災対策をどうするかということを考えた場合には、婦人消防隊の育成も考えなければならぬし、少年消防クの育成、後継者育成を考えなければならぬと思うのですね。これを本気でやってもらいたいと思いますので、時間がありませんが、ちょっと簡単に見解を聞いておきたいと思います。
  188. 近藤隆之

    ○近藤(隆)政府委員 現在百十万の消防団員の中で、婦人消防団と正規になっておりますものは千五百人程度であろうかと思います。ただ、現実問題といたしまして、御主人が消防団員であるけれども出られない、一たん事がある場合には奥さん方がかわりになって火を消すというようなことが行われております。恐らくそういう奥さん方というのは婦人防火クラブの会員であろうと思います。消防団のほかに婦人防火クラブというのがございまして、これにつきまして私ども設置を推奨しておるところでございますが、現時点におきまして消防団員とほぼ同数の百十万人を数えておるわけでございます。元来が、この婦人防火クラブというのは防火思想の高揚を図るために設置されたものでございますけれども、現実問題といたしましては、初期消火まで携わるというような形になっておるものが多うございます。運営の実態は千差万別でございます。したがいまして、これからの防災体制というものを考えます場合に、消防団とこの婦人防火クラブをどういうように位置づけしていくかということが一つの大きな課題ではないかと思います。  ただ、私どもといたしましては、これからの防災体制というのはやはり常備消防あるいは消防団だけで万全の対策がとれるというものではございませんので、住民の一人一人がその気になって自分たちの地域は自分たちで守ろうということを心がけてもらわなければならない。そのためにはやはり火を使う機会が多い、火に関心のある婦人の方々の防火思想を特に高めていただく必要があるということで、婦人防火クラブの全国的な網をより広げていきたい、そのように考えております。
  189. 柴田健治

    柴田(健)分科員 じゃ、終わります。
  190. 橋本龍太郎

    橋本主査 これにて柴田健治君の質疑は終了いたしました。  次に、田畑政一郎君。
  191. 田畑政一郎

    ○田畑分科員 私は、保健所問題についてお伺いいたしたいと思っておるのでございます。  昭和四十七年に保健所問題懇談会というのが持たれまして、そこから基調報告書が出ておるわけでございます。御案内のとおりだと思います。ところが、その後保健所関係に対する国家予算はどうもふえていないという報告を受けております。また、昭和四十三年から五十四年度までの、十カ年間に、いわゆる国家補助対象になりまするところの保健所関係の職員が三千百二十五名削減をされておる、こういう結果を得ておるわけでございます。  最近、各地において保健所の統合などが行われておるわけでございますが、保健所の数は最近の統計で一体どの程度、たとえばここ五年でも十年でもようございますが減っておるのか、また補助定数はどれくらい減っておるのかという数字を明らかにしていただきたい、かように思うわけでございます。きょうは厚生省の地域保健課長がお見えでございますから、ひとつ……。
  192. 北川定謙

    ○北川説明員 ただいまの先生の御質問でございますが、まず、保健所の数は、昭和五十四年度で現在八百五十二カ所でございます。ちなみに、昭和四十三年の時点までさかのぼってみますと、この時点では八百三十二カ所でございます。その差が増ということになっております。  それから、昭和四十三年度から定員の削減の計画が進んでおるわけでございますけれども、累計をいたしまして三千二百六十二名が減ということになっております。しかし、この間に保健所の業務の変化、たとえば公害問題に対応するというようなことで千三百三十五名の増がございまして、差し引き千九百二十七名が減っておるということになります。しかし、保健所の職員の中で事務職員と技術系の職員とに分けることができるわけでございますけれども、保健所の特殊性を考慮しまして技術系の職員については削減はかけられていないという考え方でございます。
  193. 田畑政一郎

    ○田畑分科員 こういうように、保健所の数はおおむね同じくらいという話でございますが、内容的に員数が削減されておる。これで各都道府県段階におけるところの保健業務がうまくいくのかどうか。これは先ほども健康診断の御質問が出ておったと思うのでありますが、そういう国民の命と健康ということが非常に重要視されるときに、いわば各都道府県における中核の保健衛生のセンターであるところの保健所が少なくなっておるということでは、自由民主党政府としましても無関心でおれない問題じゃないかと思うわけでございます。これはそうした自治体を預かっておられるところの自治大臣としまして、この現実をどのように考えられるかということをまず最初にお伺いしておきたいと思います。
  194. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 保健業務の重要性は十分わかっておるつもりでございます。したがって、こういった仕事は充実をしなければならぬということは当然のことでございましょうけれども、何せ今日、四十三年から五十二年までですか、地方の職員全体を見ますと、現在三百三万人、七十四万人ふえているのですよ。そのふえておる中身は何が一番多いかと言えば、学校の先生、それから消防、警察、それと保健所等を含めたいろいろな福祉関係の業務、これが圧倒的大部分を占めておるわけですね。ところが、御案内のように、こういった人員についてはもう少し仕事を合理化し、効率化したらどうだ、そして税負担を軽くしろ、こういった国民的な要望が一方にある。そこで、それに対応して政府としては、計画的な減員もやる、しかしながら必要な面についてはやはりふやしていくということで、差し引きとしてはだんだん圧縮していこう、こういうことですが、地方公務員に関する限りは大変ふえておるわけですよ。これがまた大問題にもなっておるわけでございます。そこらもひとつお考えをしていただかなければならぬ点であろう、かように考えます。  私どもとしては、こういった国なりあるいは地方団体の定員管理というような問題について一番考えなければならぬのは、必要なもの、うんと削減していいもの、これらがいわば一律悪平等という結果になることを避けなければならない。そこで、いま御質問の保健所等の仕事は、これは私は非常に重要な仕事であるし、住民側のニーズも多い仕事ですから、それにふさわしい職員を配置しなければならない。たとえば病院等もそれに入るでしょう。保健所の職員も入るでしょう。ことにまた、事務の方を担当している面は少々減らしてもいいと思いますけれども、専門職のお医者さんであるとか看護婦さんであるとか保健婦さんといったようなものは、これはやはりニーズに応じてふやすべきところはふやさなければならない、かように考えていますが、そこらの認識を私は国民全般の皆さんにもぜひ知っていただかなければならない、それをまた知らしめるのが私ども役割りであろう、かように考えているようなわけでございます。
  195. 田畑政一郎

    ○田畑分科員 いま大臣から御答弁があったわけでございますが、こうした保健所が余り重視されておらない、これは定数の上でもそういうことが言えるのではないかと思うのであります。その一方におきましては、最近いわゆる市町村保健センターというのがつくられるように相なってきているわけでございます。この市町村保健センター、この問題は、いわゆる建物に対しましては三分の一の国庫補助、そして保健婦さんに対しましては人件費補助を行うことになっておるわけでございますが、これは現在どれくらいできておるのかということについてお伺いしたいと思います。
  196. 北川定謙

    ○北川説明員 市町村保健センターは昭和五十三年度から、厚生省といたしましては設立に対しての予算補助を行っておるわけでございますが、現在時点では約二百カ所ございます。なお、昭和五十五年度の予算では約百五十カ所程度を目途に整備を促進したいというように考えております。
  197. 田畑政一郎

    ○田畑分科員 ところで、このいわゆる市町村保健センターは私の県にも幾つかあるわけでございますが、建物は、いわゆる国庫補助がございまして建つわけでございます。見てみますとそこに保健婦さんが一人いるというような状況でございます。まだ保健婦さんすらない市町村があるわけでございますが、そこへ建物を持っていって保健婦さん一人置く、せいぜい血圧程度を診るというようなことに相なっておるのであります。これが果たして今日において妥当なやり方であるかどうか、私は非常に疑問を持たざるを得ないのであります。いわゆる中核的な公衆保健衛生の機関としての保健所は充実せず、しかも分散をして建物は建っても要員がおらないというようなことになっておるわけでございまして、これではたくさん仏様はつくるけれども魂を入れないやり方じゃないかという批判も持っておるわけでございます。  この点につきましては、もう少し、いわゆる中核機関であるところの保健所を強化をしていく必要があるのじゃないかというふうに私は思うわけでございまして、最後には自治大臣お願いしなければならぬと思うのでございますが、まず関係の方から御答弁いただきたい。
  198. 北川定謙

    ○北川説明員 保健衛生に関するサービスは、いろいろな面がございます。母子保健の問題から成人病の問題あるいは結核の問題、一般的な身近なサービスから、一方では高度の技術を要するサービスに至るまで、非常に多様な面があるわけでございます。保健所ができましたのはもちろん戦前からでございますが、その当時は、結核とか母子とか特殊な機能についてサービスを行っておった。しかし、最近ではサービスの内容が多様になってきておる。また、地域住民の要望も多様になっておるわけでございます。そういたしますと、保健所だけではなかなか対応できない。むしろ住民サイドからは身近な、生活の場に近いところでのサービス機能の充実が求められておる。このような社会的な情勢を背景といたしまして、厚生省といたしましては、地域保健センターあるいは市町村の保健婦の強化ということを進めてまいっておるわけでございます。ただいま先生の御指摘にもございましたように、ある地域においては、まだ保健婦さんが設置をされていない市町村もございます。あるいは保健婦の数が非常に少ない。あるいは保健婦だけではサービスができるわけではない。そういうことをいろいろ勘案しまして、保健所はその管内の市町村に対してヘルスサービスの計画の調整をするあるいは技術援助をするということで、市町村とその上位機能である保健所との間で十分連携をとって、その管内での保健サービスを円滑に進めるという考え方が現在とられておるわけでございます。
  199. 田畑政一郎

    ○田畑分科員 率直に申しまして、町村合併等におきまして、自治体も広域行政を行うようになりました。また、駅などを見ましても、最近道路事情等も非常によくなってまいりまして、集中管理を行うという傾向にあるわけなんですね。ところが、今回の場合につきましては、集中管理というか、中核センターといいますか、そういう保健所に対しては、むしろ現状維持ないしは要員等においては若干後退の傾向を示しておる。そして、その末端に、いわゆる町村にセンターをつくろうという。そのセンターも十分かというときわめて弱体である。いまお話がございましたけれども、最近この種の予防的なものにつきましてもずいぶん変わってきていることは事実です。たとえば結核がなくなってきた。しかしながら逆に、食品検査などというものはこれからどれだけふえるかわからぬほど需要が期待されるわけです。あるいはまた成人病検査というものも、言うてみればかかってからでは遅いのでありまして、いわゆる予防的な意味におけるところの成人病検査は重視されなければならない。私は、全体のものについてどれだけあるかということはわかりませんが、私どもが福井県で調べたところによりますと、成人病検査にとって最も重要なものは眼底検査なんですね、眼底カメラ。これは、年寄りはみんな望んでいるわけですよ。保健所へ行くと、眼底カメラはあるのかといったらないのですね。福井県全部の保健所を合わせても二台しかない。むしろこれは市町村に置いてやっていただければ一番いいのですけれども、保健所でさえないものを市町村でやれるはずはないのですよ。だから、今日、人がいれば検査はできるというものではない。やはりそれに伴うところのバックシステムというか、それぞれの機械がなければこれはできないのですよ。そういう時代なんです。そういう最低限度の国民の望むべき成人病検査あるいは食品検査、あるいは公害問題というものについても検査ができるという体制をつくろうと思えば、そこに要員と一定の設備が必要なわけです。  そういうことを考えますると、いま厚生省の進めておるところのいわゆる市町村保健センター、これは金が余ってやられるのは仕方がないのですけれども、やはりもう少しその中核体である保健所を拡大強化する、充実していくという姿勢を忘れては何にもならないのではないかというふうに私は考えるわけでございます。そういう意味で、そうした保健所充実というものについて積極的な認識を持っていただきたいということを私はお願いしたいわけでございますが、ひとつ御答弁をいただきたいと思います。
  200. 砂子田隆

    ○砂子田政府委員 ただいまお話がございましたように、住民の健康に関する問題というのは大変重要でございまして、最近の医療というのはある意味では検査だということが非常に言われている時代でもあります。ただ、厚生省が考えております市町村の保健センターというのは、先ほど担当の課長からお話がございましたように、健康の相談なり健康の診査をやるのだ、住民の身近なところで住民の健康の診断に応じようという趣旨のもとにつくられた施設であるようであります。お話しの保健所というのは、御案内のとおり行政機関でございまして、その間にはおのずから機能の分担がなされてしかるべきものだと思っております。しかも、最近の保健所の業務というのは、いまお話がありましたようにいろいろと内容が変わっておりましたり、社会経済の進展に伴って性格的な変更がありましたり、いろいろなことが来されておるようでありますから、このいずれを保健所に分かち、ある部分を市町村の住民の身近なところで健康の管理をしていくかというのは、私は大変大事な仕事だと思いますから、この辺については、保健所と保健センターとの絡み合いを十分に考慮しながら、やはり担当省の方でやっていただくべきものだと思います。私たちの方といたしましても、地方自治体それ自身が住民の健康については十分に留意すべき団体でもあるわけでありますから、そういう意味においての保健所の機能というものについては十分配慮をしておるつもりでありますし、今後とも保健所のあり方そのものにつきましては、厚生省と協議をしながら十分に活用していきたいと考えております。
  201. 田畑政一郎

    ○田畑分科員 私が特に先ほどから繰り返し申し上げておるのは、保健所は、いまおっしゃったように保健所法という法がありまして、わが国の医療というか予防体系を含めまして唯一の無料の機関なんですよ。だから、この唯一の無料の機関がだんだん弱体化していって、医者もおらぬところの、まあ委託で置かなければならぬような市町村のものばかりがふえてまいりまして、言うならば、体が悪ければ結局開業医へ行けという奨励にだけなるけれども、実際においてはある程度の検査を無料でやってもらうわけにいかないということばかりになってまいりますと、これは非常に不安なわけですね。私はそういう不安を訴えているのです。  市町村のセンターは厚生省がおやりになるのだからやってもらってもいいけれども、私が大臣お願いしたいことは、そのために保健所の職員が減っていくのでは困るのですよ。そこにはやはり眼底カメラぐらいはちゃんと置いて、それで診られるぐらいの予算を置いてくださいよ。そんな一番大事なものを置かぬでおいて、それで保健所があってもどうにもならぬのであって、そういうものを置いて、一定の年齢に達したら、悪くないか、一遍診てもらおうかというような、親しめる保健所に拡充強化してほしい、要員の面でも充実してほしいというのが、私がここに出てまいりましてあえて三十分の間に強調しているゆえんであります。人間も減っているのですよ。七十何万人もふえているのだけれども、こっちの方は減っているのです。その点は、大臣考えてくださいよ。あなたは実力大臣ですから、その点しっかりやるということを御答弁いただきたいと思います。
  202. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 御意見を承りましたので、また厚生大臣ともよく相談をいたしまして検討いたしたい、かように考えます。
  203. 田畑政一郎

    ○田畑分科員 どうも大臣、慎重ですね。大臣になられる前は大変豪快なお方であったわけですが、大臣になられてから非常に慎重になりました。ぜひ大臣の任期中にこの問題をひとつ前向きで積極的に打ち出していただきまして、御検討いただいて改善の方向に向かっていただくようにお願いをいたしておきたいと思います。  それでは、もう一つの問題について私、御質問申し上げたいと思うわけでございますが、それは地方事務官に関する問題でございます。私の調べたところによりますと、昭和四十九年の五月に衆議院、参議院、両院の地方行政委員会におきまして、この地方事務官というものは、これは地方自治体に密着しているものであるから地方公務員にしたらどうかというような、満場一致の附帯決議がなされておるというふうに聞いておるわけでございます。ところが、その後この問題は解決せずに今日に至りました。  私、おかしいと思うのですね。国家公務員あり地方公務員あるのに、真ん中に地方事務官なんという盲腸みたいなものをつくって、そのまま戦後ずっと一貫して放置しておる。佐藤首相は、沖繩返還がない限りは戦後は終わらないと言ったけれども、これはまさに戦後の遺物が官公庁の中に残っていると私は思うのでございますが、そこでこの問題、一体どうするのかということなのでございます。ところが、今回国会が開催されてみますと、この地方事務官制度の三本の柱と申しますか、一つは社会保険、一つは職業安定関係の職員、それからもう一つは陸運事務所の職員、こうあるのでございますが、陸運事務所職員だけはなお法律改正が出まして、その前に国家公務員に移管するというような法改正案が出てきているのですね。これは自治大臣、どうでございますか、この自治体と非常に関連の深いそれぞれの職員でございますが、どうお考えになりますか。
  204. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 御説のように、この地方事務官制度というのはいわば責任の帰属もはっきりしませんし、これはもうぬえみたいなものです。だから、いずれにしろ交通整理をしなければならぬ問題であるということは間違いございません。ただ、大変これはむずかしい、長い間の課題でございまして、こんなところでこんなことを言っていいか悪いかわかりませんけれども、実はこの制度をつくった元凶が私でございます。昭和二十二年、筆をとったものでございます。当時はそれなりの理由があった。しかしながら、いつまでも置くべき筋合いのものでございません。これは文字どおり当分の間のつもりであった。しかし、いろいろないきさつがあって今日に至っておるわけですが、そこで去年の暮れの政府の行政改革の基本方針で、六月三十日までに政府として右左の結論をつけよということになっておるわけでございますので、いまその線に沿って関係の事務方において協議をやっておるはずでございます。  ただ、問題は、御説の陸運事務所の関係ですが、これは五十二年の十二月の行政改革の政府方針に従って、登録検査の事務だけは運輸事務官としてやっていこう、こういうことが決められて法律案として、たしか提案になったのではないかと思います。しかし、成立はもちろんしてなかったわけですが、それをやはり昨年暮れの行政改革の政府方針で、その五十二年の考え方をこの際踏襲をしていこう、それで話し合いのついているものからひとつ法律案を提出をしようではないかということで、国会に提案をして御審議を願うといったような運びに相なっておるわけでございます。いずれにいたしましても、残る問題については六月三十日までに結論をつけよう、こういうような考え方でおります。
  205. 田畑政一郎

    ○田畑分科員 この六月三十日までに結論をつけられる、これ、いいのですよ。そんなら陸運事務所の問題もやはり六月三十日まで、同時に検討していただくのが私は筋ではないかと思う。これだけ先行する。率直に言って、社会保険関係、それから職安関係、これはやはり二万三千人ぐらいいるのですね。そうすると、これは莫大な数なんですよ。ところが、二万三千人はどちらに帰属をするかということは、これは職員全体にとっては、御承知のとおり非常に大きな関心事なんです。そうすると、陸運事務所だけ先へつける。これはわずかですから大したことはないと言うかもしれないけれども、これがこういうふうになってくると、どうも保険関係も職安関係も危ないのではないかというようなことからいたしまして、全国的に不安、動揺が起こっているのですね。私は六月三十日という日を決められるならば、むしろ全体的に六月三十日まで慎重審議をされるのがよかったのではないかというふうに思うのです。  それと、私はきょう自治大臣にどうしても聞いておきたいと思うことは、これは地方のやはり住民と結びついた行政なんです、職安にいたしましても、保険にしても。東京の人が私の福井県へ来て聞きに来るはずはないのですから、やはり地元の問題。これは私は、職員自身もそれぞれの自治体に所属したいと望んでいる人が大多数であると聞いております。したがって、これは自治大臣としては結論が出るまでは言えぬのかもしれませんけれども、大体こういうものは関係自治体がこれを掌握していくのが望ましいぐらいのことは考えていらっしゃるのじゃないかと思うのですが、この際ある程度、ひとつ心境を明らかにしてもらいたいというふうに思うわけでございます。
  206. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 いまおっしゃるのも、これは確かに一つの考え方でございます。ただ、何しろこれはむずかしい問題でございます。しかし、私の考えははっきりしているのです。これは要するに、身近な行政を担当するのは住民の意思を身近に反映することができる身近な行政機関、つまりは地方団体で処理すべきであるということだけは、私ははっきりしておりますが、ただ、何しろこの問題は、御案内のように各省のやかましい問題。同時にまた、これは委員会の間がやかましいのです。これは自民党の中の部会もやかましいのです。同時にまた、これは労働組合がまたやかましいのです。そういったようなことでございますので、いま、どのような結論が出るかはにわかに申し上げるわけにいきませんが、私どもの基本の物の考え方だけは、私自身としてははっきりいたしておるつもりでございます。
  207. 田畑政一郎

    ○田畑分科員 いま実力のある大臣からそういうお言葉をいただきましたので、ぜひ地方自治体に所属をするという立場で自治省の方ではひとつ主張していただきたいと思うのです。そして不安、動揺を余り起こさせないような手はずをしてもらわぬと、いまもお話があったように、労働組合もいろいろ意見があるなんというようなことで、だんだんこれから騒がしくなってくる可能性もございますので、その点、やはり余り動揺を起こさないで、大体の大方の者が妥当であるという方向にすんなり行くように努力をしていただくようにお願いをいたしたいと思うのであります。ぜひそういった点を十分ひとつ今後とも推進をいただきますことをお願いをいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  208. 橋本龍太郎

    橋本主査 これにて田畑政一郎君の質疑は終了いたしました。  次に、多田光雄君。
  209. 多田光雄

    多田分科員 きょうは開発庁長官としての後藤田国務大臣に北海道開発の問題を中心にして若干伺いたいと思います。  私は、国会で北海道の開発問題をもっと審議する機会をふやした方がいいということを願っているものの一人でございます。ですから、きょうはその機会を得て、短時間ですが、一、二の問題を伺います。  北海道開発とそのあり方については、スタグフレーションのような経済危機、それから財政危機のもとで、また行政改革問題とも絡んで、新たな論議の対象になろうとしていることは御存じのとおりです。こういう論議を呼ぶようになった要因は、いま申し上げたような客観的な行政の変化ということもありますけれども、同時に、開発事業推進している側にとっても、十分反省し、考える問題があるのではないか、こう思うわけです。計画があっても工場が立地しない、あの一万ヘクタールの苫小牧の東部工業基地に立っているのは、クマに御注意という看板であります。それからまた、北海道をエネルギーのいわば倉庫というか、物置にすると言われている石油備蓄基地、これがいつの間にか計画の中に入り込んでくる。さらにまた、地方自治体の財政を非常に圧迫する面が出てくる、こういう問題から、住民が開発という名のこういう公共事業にいろいろ首をかしげるのは、私は当然理のあることだというふうに思うわけです。  そこで、冒頭基本的な問題について二点伺いますが、第一点は、この開発法の改正を含めて北海道開発のあり方、開発行政のあり方について目下検討しているかどうか、しているとすればどういうことを検討していらっしゃるのか。  それから二番目は、総合開発計画の目玉と言われる苫東の大規模開発計画は明らかに実情に合わなくなってきております。これは私だけでなく、道や中央の開発審議会の中にいる委員のメンバーがいろいろ書いたものの中にも、見直しのときが必要だというふうに書かれていることからも否定はできないのじゃないか。こういう開発の一番基礎になったマスタープランの見直し、もしくは再検討、これが行われているかどうか、または行う意思があるかどうか、この点についてまず大臣にお伺いしたいと思います。時間がありませんので、ごく手短にお願いします。
  210. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 北海道はいまいろいろと難問を抱えております。お米の問題であるとか、あるいは酪農の問題であるとか、韓国漁船の問題であるとか、国鉄の地方線の問題であるとか、どれ一つをとらえてみましても、全国幾つかのブロックに分ければ、一番むずかしい時期を北海道は迎えていると思います。こういったことの事情も頭に置きながら北海道の開発というものも考えていかなければならぬ、こう考えますが、何分にも北海道の開発計画というのは、長期の北海道の開発計画ということを頭に描いて進めておるわけでございまするので、今日の段階では、われわれとしては、新北海道総合開発計画ということで基本方針が決められておりまするので、その線に沿って開発を進めていきたい、かように考えております。  おっしゃるように、苫東地区等については、土地が売れない、企業が来ないといったようなことで、第三セクター等も大変苦しんでおるということもよくわかっておりますが、それらの事情もありますけれども、日本の開発というものを考えた場合に、どうも少し物事の考え方がショートレンジに過ぎやせぬか。やはり本当の意味での開発を骨太くやるのには、途中においてはいろいろなことが起きますから、それに対する対応策は十分講じなければならぬことはわかりまするけれども余り目先は変えない方がよろしい、そして長期の目標に向かって最終の効果を上げることができるような粘り強いやり方が、日本の開発計画を考えた場合には必要ではなかろうか、私はかように考えておるわけでございます。もちろん苫東一つをとりましてもいろいろな問題がございますから、それはそれなりの解決方法を講ずるのがいいのではなかろうか、基本は、実際は余り変えない方がいいのではないのかな、私はかように考えておるわけでございます。
  211. 多田光雄

    多田分科員 先ほど申し上げましたように時間がありませんので、この基本については私も異論がありますので、後日、時間を見てお尋ねしたいと思います。  きょうは第一には、北海道の開発や公共事業に絡む地方自治体の負担の軽減もしくは解消について、特に自治大臣でもある大臣に伺いたいと思うのです。  後藤田長官は一月二十六日の開発審議会で、五十五年度分から始まる北海道の特例補助率の引き下げについて基本的には反対だというふうに述べられたということを私は新聞やその他を通じて伺っているわけですが、今日でもその態度は変わっておらないでしょうか。
  212. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 私は、特例補助、これを引き下げるということについては、先ほど言ったような物の考え方、つまり北海道というものに日本国土全体の中でどのような役割りを占めさせてやるべきかという観点に立った場合に、この特例補助を単に北海道の道民所得が全国平均の中程度に行ったからもういいではないかといったような目先のことでやることはよろしくない、こういう補助率の引き下げというものには私は基本的に反対でございます。しかし、今回あれを認めましたのは、八割以上の高率補助で、本州各県と開差が余りにもひど過ぎるという問題について過去の経緯がございましたから、それをいまさらひっくり返すというのは信義誠実の原則に反するということで、基本は譲りませんよということでああいった処置に踏み切った、これが私の真意でございます。
  213. 多田光雄

    多田分科員 基本的な立場として反対だということについて私も大変心強く、これは知事以下道民の期待しているところでございます。ただしかしというその後書きが、私は後で申し上げますが、北海道農業の問題でも、あるいは石炭産業にしましても、そのしかしが、ずるずると今日の北海道のいわばひずみのようなものをつくった一つの条件になっているのじゃないか、こう思うのです。現に北海道の場合は社会投資が十分じゃないのです。そこへ持ってきて、事業費の中で最近は直轄と補助事業の比重を見ますと、大臣御存じのとおり、昨年度あたりから直轄事業の比率がぐっと半分以下になってくるということですね。これは数字を上げなくても御存じのところだと思うのです。それからこのことは地方負担がそれなりに相対的にふえていくということにもなると思うのですね。現実の市町村財政収支を見ますと、歳入及び義務的経費のアンバランスが非常に大きくなってきて、そうして地方債への依存度が北海道も非常に高くなってきております。  そしてまた、北海道の財政力を見ますと、つまり地方自治体の財政力指数を見ますと、きのう自治省から伺ったのですが、北海道の三十二の市部の五十二年、五十三年、五十四年の三年の平均で、全国で三十八番目です。私が覚えておるのでは、かつて十何位であったことがあるのです。それから百八十に達する町村の同じく三年の平均は、全国で三十七番目です。こういう低水準に財政力の指数がある。そこへ持ってきて、今度の開発の補助率の引き下げというものが、三年で約百四十億でございますか、初年度で四十五億といいましたか、そのうち道が四十三億といったか二億といったか、いまちょっと記憶がありませんが、そのぐらいですね。これだけの大きなプロジェクトをやると、どこでも都道府県段階が一番大きなしわ寄せをしょっているのですね。  大臣、そういう意味で、私は重ねて訴えたいと思うのですけれども、本当に大臣が長期的な目で北海道の開発の問題に取り組んでくださるならば、こういうハンディキャップを持った北海道の公共事業というものは、もっと地元に負担をかけないような推進方に努力していただいてこそ初めて基本的な反対という立場が実を結ぶことになるのじゃないかというように私は思うわけです。また、長官がおっしゃったように、それが北海道の全国における地位を一応高めていくということになるというふうに私は思うのです。そこで、閣僚の一人でございますから、閣議で反対だと言って大段平をふるうわけにもいきませんでしょう。  そこで、私がお願いしたいことは、ともかくこの中で、たとえば除雪関係だとか、その他非常に生活に関連がある、あるいは地方自治体の住民サイドの仕事、こういう分野が補助率が下がるというのは好ましくないと思いますが、せめてそういう分野の補助率だけでももとに戻すということでひとつ御奮闘を願いたいと思うのですが、いかがでございましょうか。
  214. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 補助率の問題ということになりますと、ここで右左の返答は差し控えたいと思います。ただ、今回のような特例措置があり、また北海道の道なりあるいは北海道内の市町村の状況がいまおっしゃったように三十八であるとか三十七である、こういうような実態も踏まえながら、いずれにいたしましても困らないような措置をできる限り自治省の手でやれる限度のことは私はやりたい、かように考えております。
  215. 多田光雄

    多田分科員 自治省でやっていただくことは後でちょっとお伺いしますが、ただ、開発に伴う負担というのはこれだけじゃございません。たとえば皆さんのところからもらった資料を拝見しますと、北海道は四十四年から五十三年までの十年間に、苫東の用地買収費などに約三百七十二億円、それから利子の支払い七十四億円、これは道がやっているわけですよ。しかし、この土地はいずれ第三セクターに引き取ってもらうという安心があります。しかし、それにしても、この間の私の聞いておるのでは資金ショート、こういうことで知事を先頭にして年末その他で非常に悪戦苦闘されたということも私は十分知っているのです。目に見えない出費があります。  もっとひどいのはこれなんです。苫小牧工業基地の住宅団地として北海道が団地近隣の早来、鵡川、厚真の三町で約五十二億円で買収した六百七十八ヘクタールのうち、いま手持ちが四百六十二ヘクタールというふうに皆さんのあれでは書いております。すでに利子はこの六年間で約十八億円も払っているわけですね。私が聞きたいのは、この土地はいずれだめになったときには第三セクターは買ってくれるのでしょうか。
  216. 大西昭一

    ○大西政府委員 一万ヘクタールの工業用地につきましては第三セクターが引き取ることになっておりますが、住宅団地につきましては第三セクターが引き取る計画になっておりません。したがいまして、この開発方式は住宅供給公社でやるかあるいは地域振興整備公団等でやるか、目下検討中でございます。
  217. 多田光雄

    多田分科員 そこに不安があって、道議会でもこれがいま問題になり、またもっと問題になろうとしているわけです。道ではこういう手持ちを何とか身軽になりたいということで、地域開発振興公団に何とか引き取ってもらいたいという交渉を相当長日月にわたって行われた、しかしそれも御破算になったというふうに私は聞いております。つまり、ナショナルプロジェクトを進めるに当たっては、そのプロジェクトの範囲になる土地だけじゃないのです。  もう一つの例を挙げますと、千歳は昭和四十五年から四十八年にかけまして、やはりこの三十万団地の一環として泉沢というところで十一億七千万円で六百三十二ヘクタールの土地を隣の江別から買っているのです。これに若干の土地を足して団地をつくろうとした。ところが苫東があの調子でございましょう、団地は立ち消えになった。と、ころが、利子がこの間に十億三千八百万、元利合わせて二十二億八百万かけちゃった。それでやむを得ずこの土地を今度は二万人の団地をつくるということで、このために市が約五十億円の投資をして、二万人の人口が張りつく都市計画を始めた。これは皆さん御存じだと思うのです。いまのところはそこに二千人程度が張りついている。ところが、このとき市の市街化区域には二万人張りつく土地を持っていたのです。開発のためには千歳と苫小牧の間がいいというので、いろいろな計画もありまして、そこを買ったのです。  こういう目に見えないひずみが関連の自治体に出ているのです。こういうものに臭い物にふたをして開発を進めていきますと、どんなに長期にわたって物を見ると言っても、足元から崩れて、地方自治体の中から、開発はごめんだ、こういう気持ちが起きてくるのじゃないか。ことしの新年に、北海道の知事、つまり最も開発に熱心な知事も、今度の減反の問題だとか負担率の引き上げで大分頭にきたのでしょうね、これから相当厳選して仕事をやらなければだめだというようなことをおっしゃっておられたようだけれども、私はその気持ちはわかるのです。これではどんなによいプロジェクトだって進まないことは、大臣も御年配ですからもうよくおわかりだと思うのです。そして中央と地方の矛盾を深めていく。行政に対する不信を強めていく。これからまた別な開発をやろうとしても、自治体が非常に二の足を踏むという結果になって、みずから足場を崩すことになるのではないかというように思うのです。  そこで、道がいま議会でも問題になり、推進派も含めいろいろ異論も持っているこういう負担については、自治大臣を含めまして何らかの解決の援助をすべきだというふうに思います。私は千歳までいますぐどうせいということは申し上げませんが、さしあたりいま道のこういう問題を解決してやる。それから、厚真、鵡川、その他、やがて千歳を含めて、開発によってどういうひずみや目に見えない負担が出たかということを御調査願って、そしてそういうものについて自治省なら自治省の段階で、あるいはまた開発庁なら開発庁の段階で手を打つということが非常に大事なことじゃないか。御存じのとおり、昨年でしたか、国の出先のある局長が、苫東なんかは経済の知らない土建屋的発想だということを言われましたが、何でもつくればいいだろうということで、こういう始末をしないことが言われたのではないかと私は逆に善意に解釈しているのです。そういう意味でも、私はこの責任はきちんとやっぱり果たすべきだというように思いますが、大臣、ぜひ地方自治体の立場に立った温かい御回答をひとつお願いしたいと思うのです。
  218. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 おっしゃるようにああいった開発の過程においては私はやっぱりいろんなひずみが出てくると思います。しかし、そのひずみはひずみで是正をしていく。その前提として、いかなるひずみができておるのかを関係省庁はよく調査をして、それに対する手当てはしていくという必要があろうと思います。私自身は長官と自治大臣と両方でございますから、ただいま仰せのような点もよく頭に置きながら、北海道の知事とも御相談をして、ひずみの是正ということについてはできる限りの努力をいたしたい、かように考えます。
  219. 多田光雄

    多田分科員 今度は北海道で非常に細かいことになるのですけれども、今度は自治大臣として、使い分けてお話しします。これは大臣も昨年の予算折衝の経過の中でお聞きになっていると思いますが、北海道には夏は働くけれども積雪寒冷地で仕事がないという季節労働者が約二十九万人いるわけです。失業保険法から雇用保険法に切りかわる中で冬の失業手当が九十日から五十日に削られたということで、北海道では知事さんを先頭にして——北海道の経済の問題、自治体の税金の問題からも非常に大きな影響を与えている問題なんです。これについて地方自治体としてほっておくわけにいきませんから、数年前から冬季を中心にしてこういう季節労働者のための就労事業を開始しているわけです。道の本年の二月二十五日のまとめによりますと、すでに十六市、六十五町村、計八十一団体が総計三億八千万円でこの五十四年度の冬を中心にする就労事業を別途に始めているわけです。しかも、その三億八千万円のうちの三億七千万円を一般会計から出しているわけですから、いよいよ地方自治体の財政にこれがしわ寄せといいますか重荷になっていることは事実なんです。こういう積雪寒冷地の自治体については、自治省交付税その他で何かといろいろ手当てはしていらっしゃいますけれども、この数はいままでない問題であり、そしてこの二、三年急速に就労事業が各自治体に普及しているという新しい段階で、自治省として特別交付税なり何かでめんどうを見るのがしかるべき措置ではないか。先ほど来大臣は基本はいいとおっしゃったが、なかなか具体的な御回答がないのですが、せめてこういう問題で一つ一ついまの自治体の肩のこりをとってやるということが大事だと思うのですが、これはどうでしょう。
  220. 土屋佳照

    土屋政府委員 ただいまお話がございましたように、北海道の市町村では、季節労働者の冬季の就労確保ということでいろいろな事業を実施しておられることは承知をいたしております。それぞれの道路事業とか除排雪とかいろいろな事業がございますが、それぞれの事業に応じて地方債なり普通交付税によって財源措置はやっておりますが、最近のいろいろな実態、特別交付税の時期になっており、いろいろ聞いてもおりますので、特別交付税の算定においても配慮してまいりたいと考えております。
  221. 多田光雄

    多田分科員 配慮ということは、そういう新しいここ数年来できた事業に対して新しい措置をされるということなのですか。
  222. 土屋佳照

    土屋政府委員 特別交付税の算定でございますから、いままで見てなかったような費用等も実態に応じて積算の根拠に入れるといった配慮をする、そういう意味でございます。
  223. 多田光雄

    多田分科員 それでは前進的な御回答として、ぜひひとつ道とも十分御相談なさって配慮していただきたいと思います。  では開発庁長官としての質問に移りたいと思います。私はよく開発を批判するものですから、北海道開発の成果が全くないと見ているように見られるのですが、そうではないのです。たとえば私は、北海道開発で比較的成果が上がったものと思うのは農村の基盤整備だと思っているのです。苫東は私はやや批判的なのですが、それは現地で成果として出ているのです。北海道は日本の食糧基地であるということは皆さんも文書に指摘されておりますが、これは自他ともに認めているところだと思います。そういう点で、農林省も北海道の農業を特別検討される検討会議というのをつくっていただいてやっておられるということですが、農林省としては、北海道の農業を日本農業の展望の中でどういう位置づけをしておられるのか、伺いたいと思います。
  224. 松下一弘

    ○松下説明員 北海道の農業は、全国の割合で見ますと、農家戸数で二・六%でございますが、耕地面積では約二一%、就業人口では約四%というシェアのもとで粗生産の約九%を生産しております。個別に見ましても、米は約七%程度でございますが、小麦は四七%、バレイショは七〇%、大豆は二四%、あるいは牛乳にしますと三二%というように、畑作物あるいは酪農を中心にして非常に大きな生産シェアを持っております。今後とも日本の食糧基地として伸びていくことが期待されております。
  225. 多田光雄

    多田分科員 大臣も御承知のとおり、ここ十数年来日本の農業の構造改善事業が行われて、そのねらいの一つは国際競争力に競争できる日本農業をつくっていく、それには当然生産性を上げるということが主要なねらいだったと思うのです。そういう生産性の面ではどうかといいますと、ここに道の農務部が出した北海道農業の動向があるのです。これを見ますと、農業の生産性、つまり十時間当たりにどれだけの生産性を上げているかという資料があるのです。これを見ますと、昭和五十三年に十時間当たり全国は五千六百三十八円です。それに対して北海道は四割以上多い九千四百二十四円です。これだけ生産性を高めているのです。これは道の発表です。そしてこれをほぼ十年前の昭和四十五年に比べますと、当時全国的には物価の問題がありますが千九百八十円、それが北海道では二千七百五十一円だった。つまり全国対比北海道でいうと、シェアは、四十五年には生産性は一三八・九%であったものが、五十三年になりますと一六七・二と非常に北海道の生産性が全国に比べて飛躍的に伸びているということです。これは基盤整備をやり、広い土地を活用して機械化していく、こういうことが大きな力になって、政府の望まれるような生産性を、私はまだ本当に国際競争に十分太刀打ちできるとは思いませんけれども、ともかく上げてきているのです。そして米は何だかんだと言われながら日本一の生産量を出す。それから酪農は御存じのとおりです。麦もそうです。あるいはビートとか、その他本当に全国の先頭に立つ農業をつくり上げてきた。ところが、政府の言いなりになって生産性を最も上げてきた米とか酪農が、いま一番やり玉に上がってつぶされている。これは開発庁の責任ではない。大臣を含めて日本の為政者の責任だ。まことに矛盾しているじゃありませんでしょうか。これだけの膨大な経費を投じて生産性を上げる。ところが、上がったものほどその実がまだ十分結ばないうちにつみとられてしまうというのは開発庁だけの責任ではありません。  たとえば一例を挙げますと、比較的国際性を持っているのが、この間聞きましたらタマネギだそうです。ところがタマネギは、ことしは北海道は一万九千トン廃棄したのです。この間計算しましたら千九百万キロです。東京の四百万世帯にいたしましたら、一世帯に約五キロのタマネギを無料で配付できるだけのものです。牛乳が余ったという。そして膨大な牛乳に紅を入れて売れないようにして廃棄してしまう。赤い国のソ連だって白い牛乳は赤くしておりません。いまこんなことがまかり通っているのです。ですから、ここに私は開発そのものと、それを含めた日本の政治に本当に当事者能力があるのだろうかという疑いさえ持つくらいです。そのしわ寄せは全部開発庁の先端の職員や農民にかかってきているわけです。  こういう意味で北海道の農業を守る、これは日本の農業に寄与する非常に大きなもので、大臣お願いしたいのですが、その一番大きな問題の一つは輸入があります。台湾からの輸入を半分にするだけで北海道はタマネギを放棄しなくていいのです。そういう自主性を持たれて輸入をセーブしていく。今度関税定率法がまた変わりまして関税は安くなりますから、ますます北海道の農業が、開発庁の皆さんが努力して引き上げた農産物が一番被害を受ける結果になるわけです。こういう点で、海外からの農産物の輸入に対して本当に正しいきちんとした態度をとってもらいたい。  それからいま一つは、北海道の農産物の中でも、米とか牛乳は余っていると言われている。私は本当の意味では余っているとは思いません。なぜなら、学校へ行けば子供たちは脱脂粉乳を飲まされているのです。そうだとすれば生乳を飲ませるとかのPRをしていただく。ここも開発庁は牛を飼う土地の整備だけではなくて、これは開発法にはそんなことは書いておりませんけれども、道や農協と一緒になって、皆さんの努力で生産を上げた牛乳や米をもっと食べてもらうような宣伝や政治力を発揮してもらいたい、こういうふうに思うのですが、大臣、私の言っていることは私は正当だと思っている。それをやらない政治はどこかゆがんでいると思う。そういう意味で、いま申し上げたような点についての適切な御回答をいただきたいと思います。
  226. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 最初にお話がございましたように、北海道の基盤整備の仕事はそれなりの効果を果たしてきておると思います。何といっても北海道はスケールメリットを生かした農政をやらなければいかぬわけですから、そうすればお話のように当然生産性も上がっているわけですから、私はそれなりの効果を上げてきていると思いますけれども、お話の点は北海道の問題でなくて、日本農政全体が抱えておる大きな課題のように思います。残念ながら私はそれにお答えする能力がございません。しかしあなたがおっしゃることは、一一私はよく理解ができます。そういう点についてはさらに政府部内で、こういった分科会での御意見も強くあったよということで善処を求めたい、かように考えております。
  227. 多田光雄

    多田分科員 ぜひひとつそこは北海道農民のためにもがんばっていただきたい。  最後、もう時間がありません。ローカル線の廃止、これまた開発の成果を取りつぶすんですね。国鉄ローカル線の廃止、これも回答はよろしいです。大臣ひとつ基本的な態度でがんばっていただきたいことを私要望しまして、短時間の質問を終わります。
  228. 橋本龍太郎

    橋本主査 これにて多田光雄君の質疑は終了いたしました。  次に、清水勇君。
  229. 清水勇

    清水分科員 まず、私は最初に豪雪対策に関連をしてお伺いをしたいと思います。  御承知のように、東北、北陸を中心に多数の死傷者を出すといった雪害が広がっております。これは全国有数の豪雪地帯と言われる信越県境を持つ長野県の北部なども全く同様でして、たとえば私はここに写真を持っていますから後で大臣にごらんをいただいておきたいぐらいなんですけれども、一月の十六日から降り続いた雪が、たとえば飯山市などの場合二十二日に至って市街地でも百七十二センチ、周辺の山間部は三メートルになんなんとする積雪量を見る。一口に言って、人々は二階の窓から出入りをする。よく除雪、排雪なんというようなことになると雪おろしというようなことを言われるわけですけれども、実は雪に埋もれた建物を雪の中から掘り起こす、掘り出す、こういうことなんですね。  そこで、これも特豪地帯などの場合にはいまに始まったことではなしに年々訪れてくる切ない実情なんでありますが、しかしながらどうもそうした自治体の持ち出す除排雪費用を見ても、なるほど普通交付税で補正をする、あるいは特交でカバーをする、そういう努力をされていることは否定はいたしませんけれども、補うに余りあるという十全な状況ではない。つまり、自治体もまた豪雪地の住民も、雪のない地域の自治体や住民と比較すると大変な負担になっている。私は、こうしたものに政治が十分手だてを講ずるものでなければその存在価値がないと言わなければならないんじゃないか、こういうふうに思っておるわけでありますが、当面今シーズンの豪雪に対し、いま政府としてはどういう対応をなさっておられるか、まず聞かしていただきたいと思います。
  230. 土屋佳照

    土屋政府委員 今回の豪雪に対しましては、国土庁を中心にいろいろ総合的な対策を立てておられるわけでございます。建設省その他関連のところでもそれぞれに対策を立てておられるわけでございますが、私どもといたしましては、どうしても地方公共団体の除排雪にかかる経費というものがかなり多額に上っておるわけでございますので、そういった面での財政対策ということを考えております。もちろん先ほど御指摘をいただきましたように、除排雪経費については従来から普通交付税でかなり措置をしてまいりましたし、年々増額をし充実しておるつもりでございますが、今回のような急激に雪が降ってまいりまして特別な積雪量を示しておるといったような状況になってまいりますと、個々の地方団体ごとにいろいろ状況も違うわけでございますので、そういった実態に応じまして、ただいまたまたま特別交付税の算定期間中でもございますので、そういった実態、よく地方団体の事情を聞いておりますので、そのことに対しましてできるだけ私どもとしてはそれに対応するような形で処理をいたしたいと考えております。
  231. 清水勇

    清水分科員 たとえば、いま申し上げた長野県北部の飯山市、御承知のように、過疎自治体なんでありますが、実は除排雪費用に一億二千万も計上している。そのほかに弱者対策と称して、母子家庭等の場合には人夫を雇って除排雪ができるような費用を五百万も計上する。それでもことしの場合は足りないんじゃないかという状況がある。さらに、新潟との県境の栄村という年間予算一般会計で十五億円余りの小さな自治体なんですけれども、この場合には除排雪費用が約三%程度のウエートを占めるという状況なんです。そういうことを考えた場合、どうしても普通交付税、それで賄えないものについては特交でその全部をカバーしてやるということになりませんと、自治体の持ち出した財源が福祉対策その他に影響を来しておる。結局関係自治体の住民に対する福祉行政その他がレベルダウンすることにつながるわけでありますから、私はそういうところに対しては特交なら特交で目いっぱい傾斜配分というかっこうで見てやる、こういう基本的な態度が貫かれてしかるべきだと思うのでありますが、いかがでしょうか。
  232. 土屋佳照

    土屋政府委員 御趣旨はもう私どもよく理解できるわけでございますが、かねがね普通交付税配分に当たりましては、級地によっても差がございますけれども、かなり充実をしてまいったわけでございまして、実際問題としてそういう普通交付税で処置したもの、それを超える除排雪の経費、それを特別交付税で措置するようにしておるわけでございますが、そこらがかねがね雪の少ないときは、いわばほかへ回るということもあるかもしれません、ひもがついておる金じゃございませんから。そういったこともございますので、全体として合わしてみますと、私どもとしては措置しておるし、かなりそれは措置されたと思っております。ただ実感として、いろいろなことをやってきた年度末近くになって降ってくるということになりますと、いろいろほかへ使っておることもございましょうし、市町村としては実際に困っておられる、そういったことを配慮いたしまして、今回は一月、二月になってからかなり降ってきておりますので、できるだけその実情に合うようにわれわれとしては十分配慮したいと思っております。
  233. 清水勇

    清水分科員 特に大臣にも御記憶願いたいのですけれども、実は除排雪費用だけではカバーできない一面がある。といいますのは、最近、国の助成もあって融雪パイプ、消雪パイプというものが基幹道路には敷設をされるようになって、少なくともそういう道路の雪は解けてチェーンを巻かなくてもいいような状況になるわけですが、周辺の道路は旧態依然たる状況ですからチェーンを巻かざるを得ない。そうしまして、融雪パイプが通っておる道路がチェーンのために掘り崩されて、それこそ雪の時期が過ぎると取り急いで補修しなければならない、そういう費用がばかにならないぐらいかかるのですね。たとえば、飯山では年間三千万ぐらいそのために持ち出すなんというケースも現にあるわけです。ですから、私の言っておることは、雪にかこつけて何かたんとよこせなんというつまらないことを言うのではなしに、せめてそういう点まで配慮されて十分補正されてしかるべきではないか。また同時に、豪雪債の元利償還、これなども大変な負担なんですね。こういうものもめんどうを見てしかるべきではないかというふうに思っておるわけなんですが、局長、どんなお考えなんでしょうか。
  234. 土屋佳照

    土屋政府委員 最初におっしゃいましたことはよく理解ができますし、私どもとしてもそれに対応して十分配慮したいと思います。何せ生活の実態あるいはまた雪国におけるそういう実態というものは非常に複雑なものでございますから、一々細かくそれに全部対応できるかどうかは別といたしまして、全般的な経費について私どもとしてはできる限りのことをいたしたい。率直に申し上げまして特別交付税の総枠というものがございますから、非常に大きな降雪があった場合にはほかの項目へ食い込むということもありますし、いろいろな点で、配慮された結果というものが直ちに反映されておる、いないといったような議論にはなり得ないと思います。しかし、おっしゃったことは私どもとしても理解できますので、できるだけそういった方向で努力をいたしたいと思っております。  それからまた、この特別豪雪債につきましては、四十七年から特別豪雪対策分として特別枠を設けておりますし、五十五年度も前年度に比べて一八・七%をふやして九十五億という枠をとっておるわけでございますが、積雪による増加経費というのは、先ほどから申し上げておりますように、積雪の度合に応じまして、経常経費なり投資的経費は普通交付税、また豪雪によります臨時的な増加経費は特別交付税によって措置をするということにしておるわけでございまして、いまのような豪雪債というものについて元利を見るといったようなところまでは私どもは考えていないわけでございます。もちろんこれ以外にも豪雪地域は、たとえば特豪地帯の相当な部分は過疎地域にもなっておりまして、過疎債なり辺地債なりということもかなり利用されております。これはかなり交付税で措置をしております。私どもとしては総合的に財政措置をしておるつもりでございますけれども、ただおっしゃいました趣旨においては、今後ともきめ細かくそういった点で対応ができるような方法は絶えず研究はしてみたいと思っております。
  235. 清水勇

    清水分科員 そこで一つ、五十五年度の特交について配慮をすべきではないかと思われる点がございます。それは、いま私は豪雪対策ということを申し上げたんですが、実はことしの雪の特徴というのは年末年始に全く雪がなかったという特異な寡雪という状態があるんです。長野県の北部なんかの場合も、御承知のとおり、スキー場をたくさん抱えております。農家の皆さんが近時民宿などをどんどん経営をされておるわけなんでありますが、実は年間の収入の大半をこの年末年始に当て込む。ところが、寡雪のためにお客さんも来ず、何とも仕方がないというわけで、たとえば長野県などの場合にも、一月に緊急融資を行う、関係農協あるいは地元金融機関なども臨時的な緊急融資を行う。ところが、こういう融資、農協融資等に対して市町村などが御承知のように利子補給をしているわけですね。たとえば、新潟県境に信濃町というところがあって、黒姫というスキー場がございますが、ここだけでも約四億という減収がある。そこで、それに見合うような一定の融資を受けて食いつなぐ、これに対して自治体は利子補給でカバーしてやる、こういうような特異なケースがことしの場合には出たわけなんですが、こういうものに対して私は特別交付税で特別に配慮をしてしかるべき事態ではないのか、こう思うのでありますが、いかがでしょう。
  236. 土屋佳照

    土屋政府委員 確かに御指摘のような事態があるわけでございまして、いまのような雪によって民宿の収入が減る、融資の利子補給をするといったようなことがございます。それ以外にもたとえばこの前の火山の爆発によって民宿が客が減ってしまったというようなこともございます。そういったことは私どもとしては、まさに非常に市町村によっては大きな打撃を受ける場合もございますので、この団体のそういう実情も聞いております。それは特別交付税算定の際には配慮をいたしたいと思っております。
  237. 清水勇

    清水分科員 その点はぜひひとつ御留意を願いたいと思います。  さてそこで、実は私、八十国会それから八十四国会でも、豪雪対策の一環としていわゆる除排雪費用の税法上の控除を認めるべきである、こういうことを主張をし、五十二年度から、たとえば自営業者だとか農業者等の、つまり事業を経営するに必要な施設の除排雪費用については一〇〇%、所得税法の三十七条でありましたか、必要経費として税控除の対象に運用拡大をしてする、こういう運びになっておるわけでありますが、問題は一般世帯に対する除排雪費用というものが税法上は非常に対応が欠けていると言っていいと思うのです。これは大蔵当局、国税当局に聞かなければならぬ問題なのかもしれませんが、たとえば所得税法の七十二条の雑損控除で一般家屋の除排雪費用は見てやる、こういうのですけれども、その除排雪費用というものが年収の一割を超えた部分についてだけ見てやる。ですから、たとえば二百五十万の所得の者が二十五万円以上除排雪費用をかけた、その以上の部分だけ見る。これは現実の問題として、いかに豪雪地帯だって、一般家庭で一シーズンに二十五万も三十万も除排雪費用をかけるというケースはまれでしかないと思う。そうすると、雑損控除で地震や火災や水害と同じように見てやるよと言ったところで、これは何のメリットもない。ですからこの点は、やはりもっと弾力的な運用でカバーをしてしかるべきじゃないか。たとえば、歴代の大蔵大臣、そのたびに税制調査会に諮って来るべき機会にぜひとも足切り十分の一を十分の〇・三にするの〇・五にするのということを言われているけれども、これは言われているだけでさっぱりらちが明かない。  そこで私は、そういう切実な状況に泣いている豪雪地帯の一般住民のためにどう報いてやるか、これは自治大臣は自分の所管でないとおっしゃられるかもしれませんが、しかし政府の重要な実力ある大臣として、これはやはり一考あってしかるべきだし、当然国税当局も来ていると思いますが、その辺どういうふうにこれまで検討し、前向きに対応してきているのか、お聞かせをいただきたい。
  238. 内海孚

    ○内海説明員 まず、私の方から状況を御説明申し上げます。  ただいま清水委員から御指摘の問題、恐らく二点あるかと思います。  第一点は、事業を営む者にとっては事業用資産は控除できるのに一般のそうでない家庭は控除できないではないかという点につきましては、これは実は事業につきましても、事業を営む方は事業用資産についての除排雪は控除できますが、住んでおられる部分、つまりプライベートな部分につきましては……(清水分科員「それは私も承知しております」と呼ぶ)わかりました。それでは、そういう点では公平に扱われておるわけでございます。  その次に、雑損控除の問題でございます。雑損控除というのは一体何かということなんですが、これも清水委員よく御存じのとおり、所得税で言う所得というのは、収入からいわば必要経費とそれから生活に必要ということで国で決めました基礎控除、配偶者控除あるいは扶養者控除というものを引きまして、それで課税最低限というものができているわけでございます。ところが、雑損控除というのは、本当はこれは所得を得るための必要経費ではないのですが、財産の損壊が風水害とかあるいは盗難というようなことで非常に大きな比重であった場合には、必要経費ではなくてもその人のいわば担税力というものがそれだけ減殺されるということを考えまして、それで所得の十分の一を超えるような大きなものの場合には見る、こういう考え方をとっているわけでございまして、これを下まで持ってくるというのはそういった本質的な性格からいってもなかなか限界があるということも御理解願いたいと思うわけでございます。
  239. 清水勇

    清水分科員 私は理解できれば、またこういう質問をしないのですよ。たとえば、あなたの方は水害だとか火災だとか地震だとかで家屋が倒壊をする、大変な損害をこうむってお気の毒だから、担税能力を欠くからめんどうを見てやるのだ、こうおっしゃるけれども、雪の場合だって、屋根に降り積もった雪をそのまま放置しておけば、世の中にたくさん例があるように家屋は倒壊するのですよ。そこで急いで除雪をする。まさにこれは除雪という行為が緊急避難行為なのであって、これをやらなければ家屋が倒壊する、ほうっておけばめんどう見てやらなければならないような事態が起こってこざるを得ない、そういうつまり自衛の手段方法として除排雪というものを各戸で苦労してやっているわけですから、現行法におきましては云々などと、そういうことを十年一日繰り返すなんということは、これは問題にならないと思うのですよ。ですから、この点は私は役人という立場じゃなかなか言えないと思いますけれども大臣どうですか、少しそれを考えてください。
  240. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 私が所管でございませんが、おっしゃる意味がわからぬでもありませんし、また大蔵省の考え方も、これはわからぬでもありません。しかし、こういう重大な問題でございますから、大蔵大臣によく話をしまして、御検討願うようにしたいと思います。
  241. 清水勇

    清水分科員 これは厳に大臣から大蔵大臣に伝達をしていただき、来年は少し改善されたというような結果が得られるようにひとつ大蔵当局の方も頼みますよ。要望しておきます。  さて次に、これは過疎法に関連をしてちょっとお尋ねをいたします。  これは言うまでもなく議員立法でありますから、いまわが党でも法案を出しております。ただ、そこで問題は、実質的に現行法がそのまま自動延長されるといった性質のものであっては十分ではないのじゃないか、こういうことを感じておるわけです。これは運用に当たってこられた自治省だって少し補強をしたり適用対象を拡大したりしなければならない、こういうふうに私は見ているわけなのでありますが、一つお尋ねしたいのは、たとえば小中学校あるいは保育園、児童館等について言うと、統合を前提にするというような制約がございますね。こういうものは今度新しく四月一日以降法を定めるに当たって、そういう制限は取り払うべきではないかと思いますが、いかがでしょう。
  242. 土屋佳照

    土屋政府委員 いわゆるこの過疎法が本年度いっぱいで期限切れということでございまして、いまお話しのように、各政党で新しい過疎地域の振興について立法を考えておられるということは私どもも聞いております。そういった意味では、議員立法による制度の立て方がどういうふうになるか、そこらの問題でございますけれども、私どもといたしましては過疎債について従来からずっと処理をしてまいっておりましたので、今後もそういった点について過疎地域振興のため本当に必要な事業については過疎債を適切に運用していかなければならないと思っております。  ただ、この過疎地域について起債を認めます場合は、過疎地域以外の市町村に対する財政措置とのバランスの問題も考えないわけにはまいらないわけでございますので、そういったことを考慮しながら対象事業を選ぶべきだと思っております。そういった意味で、いまお尋ねの義務教育施設等につきましては、一般的な義務教育、統合以外の普通の学校の整備ということになりますと、過疎地域以外のところでもいろいろと問題が同じようにあるわけでございますので、したがって、私どもとしては過疎化の進行によって必要となってくる統合学校、そういったものについて過疎債の対象とするわけでございまして、それ以外の整備というものは一般の市町村でも同じような状況でございますので、それは普通の市町村と同じような扱いにせざるを得ない、そういった立場で今日まで来ておるわけでございます。
  243. 清水勇

    清水分科員 それはちょっと困るのでして、お考えをいただきたいことがあるのです。たとえば、大臣も御存じのように、過疎地であるような地域環境を見てみますと、学校とか児童館とかあるいは保育園というものの存在が実はその小地域のコミュニティーの場なのです。社会における地域の住民の連帯の場でもあるのです。ところが、過疎債の適用に当たって統合が前提だというようなことでそういうものを廃止をするということになりますと、逆に実は過疎を促進させるような状況が生まれてくる。ですから、これは一般の自治体とはおのずから置かれている環境、条件を異にするわけですから、この点はしっかりわきまえて、統合を前提にするなんということはやはり避けるべきである。そして、過疎地域の振興のためにどうするか、地域の住民と一体になって真剣に考えてやる程度の配慮は払ってしかるべきじゃないか、これが一つ。  それからもう一つは、従来いろいろな施設について、つまりハード面についてはかなり過疎債が適用されてきていますが、たとえばそういう施設の運用や管理に当たる職員、人的配置、ソフト面に対しては過疎債の適用にならないといったようなものがあって、竜頭蛇尾というか画竜点睛を欠くという一面もなしとはしなかったわけでありますから、四月一日以降の新法については少なくともそういうソフト面についても配慮する、こういうことがあってしかるべきじゃないか、これが二つ目。  それから、これはどうも大臣に聞くという筋のものではないかもしれません。しかし、大臣の所見も、あるいは国土庁の考え方も聞かせてもらいたいのですが、過疎地の場合には、御承知のように、えてして農山村部が多いわけですね。そこで、主要な産業は農業に負うところが大きい。長野県で言えば、以前は冬場は出かせぎに行くという状況でしたが、新しいたとえばエノキダケ栽培なんという技術を開発して、昨今ではエノキ栽培を通じて出かせぎに行かなくてもいい。年間それを専業にして経営を確保できるような基盤をつくる、こういう一面の前進面が見られるわけですけれども、そういうときに、話がそれて恐縮ではありますが、それたという意味で聞いていただきたくないのです。たとえば、いまの電力料の改定申請を通して、そういう農村をあるいは農業を痛めつけるような、農業用電力、農事用電力の制度を廃止するとか、あるいは七月から九月にかけての夏季料金制、これが普通の季節よりも一〇%高の電力、こういうものになりますと、いま申し上げたようなエノキダケ栽培なんというものは崩壊をしてしまう。だから、こういうものについても、一面では過疎地対策という点を含めて各自治体は心配しておるわけですから、自治省なりあるいは国土庁なりとしても、そういうマイナス効果を来すことのないような配慮をあらわしていただきたい。  以上三点についてお尋ねをいたします。
  244. 土屋佳照

    土屋政府委員 最初の二点についてお答え申し上げます。  確かに御指摘のございましたように、学校というものがいろいろなコミュニティーの中心になっておることは、過疎地は特にそうでございましょうが、一般にそうでございます。しかし、私どもとしては、先ほど申し上げましたように、普通の学校整備というのは、過疎であるからということではなくて、一般に学校整備というものが必要であるから、それはそれなりの補助なり施策を講じておるということであり、過疎の場合は、過疎化が進行をした結果、結果的に統合せざるを得ないような形になってくる。やむを得ず統合をしてそういうものをつくるのだから、それはやはり過疎債の対象にして、後で交付税措置も七〇%措置しよう、こういうことになるわけでございますので、必要なために出てきた事柄でございます。その財源として過疎債を充当しておりますので、それが逆に過疎化を進行させるとは、それまでしておるとは私どもとしては考えてもいないし、またそういうことはないだろうと思っておるわけでございます。  それからもう一つ、過疎債というのは一般的には施設建設というものが対象になっておりますから、確かに運営面はどうなのだということになりますが、これも一般市町村との関連もございますが、全般的に市町村が設置した施設のうちで一般的な公共施設の維持管理費につきましては、地方交付税の算定を通じて、私どもとしては適切に対処しておると思っておるわけでございます。  それ以外の、たとえば学校の寄宿舎運営費とか診療所運営費とか、いろいろそういった地域の問題がございますが、これも国庫補助金がついておりますし、またそれに対応する地方交付税を通じて財政措置を講じておりますし、いろいろな意見を私ども聞きながら、毎年地方交付税法を改正いたします際は、そういった単位費用なりいろいろな点で改善を加えて充実を図ることにしております。そういった姿勢は今後とも続けていきたいと思います。
  245. 清野圭造

    ○清野説明員 地方団体が行います過疎対策のうちで、施設の運営等の経常的な経費につきましてはその必要性に応じてこれまでもそれぞれの所管官庁におきまして財源措置を講じてきたところでございますけれども、御指摘のような点につきましては今後とも地域の実情に応じてこれらの措置が充実されますよう関係省庁あるいは地方団体とも十分御相談してまいりたいと考えております。  なお、過疎計画策定に当たりましては、産業面でございますとか御指摘のような点につきましてもできるだけの配慮がなされますよう今後指導の面で生かしていきたいと考えます。
  246. 清水勇

    清水分科員 エノキの関係のことで何か御意見ありませんか。申し入れたなら申し入れたと言ってください。
  247. 橋本龍太郎

    橋本主査 補足ありますか。——補足はないそうです。
  248. 清水勇

    清水分科員 終わります。
  249. 橋本龍太郎

    橋本主査 これにて清水勇君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして自治省所管についての質疑は終了いたしました。  これにて本分科会の審査はすべて終了いたしました。  この際、一言ごあいさつ申し上げます。  分科員各位の格段の御協力によりまして、本分科会の議事を無事終了することができました。ここに厚く御礼を申し上げます。  これにて散会いたします。     午後三時三十二分散会