○
東中分科員 そういうことを、その問題について同じことを引き続いてやっているかどうかということをいま私は言っているのではないのです。ところが、
会社が、すでにやってきたことを絶対に変えようとしない、対
労働者に対して。
会社の言うとおりにすればよかったのに、言うとおりにせぬからいかぬのだ、
会社の言うとおりにしておったら、それが実は法律上やらなければいかぬことを
会社がやってなかったということの公的な結論が出ているのに、なおそういうことを主張したままで
労働者に接している、そういう体制を正すべきだということを言っているのでありますから、そういう点、実態をぜひ調べてもらって、処罰したからよろしい、救済したからよろしい、後は知りませんというようなことにならないように、先ほど
大臣が言われたように、法の
趣旨を積極的にやってもらう必要があのじゃなかろうか。
それに
関連して、もう
一つ申し上げておきたいのです。これは上方萬寿美という人でありますが、五十年の十月二十五日に頸腕の発病をしたということになっておるのでありますが、
昭和五十二年の十二月十二日に、淀川
労働基準
監督署で
職業病の頸腕としての認定がされておるわけです。ところが、この経過を見まして、私、非常に異常だと思いましたのは、同じ武田薬品でありますけれども、淀川
労働基準
監督署の認定では、医薬
研究所の感染症グループで抗生物質の力価測定に従事し、マウスの感染実験、試験管内での力価検定等の作業において、ひじを上げたまま長時間連続して細かい作業を高度に神経を使って行い、発症した、こういう認定をしているわけでありますが、療養補償給付たる療養の給付請求書、これは
労働者災害補償保険の給付請求書ですが、この災害の原因及び
発生状況の記載を、基準
監督署で認めているようにどうしても
会社が書かないのですね。認定をされて、そして何回かそれを申請するので
会社の判をもらいに行くと、部長のところで、マウスの感染実験というものをことさらに落とすとか、とにかく、認定された事実のとおりに書かないのです。そういう経過を経て、マウスの解剖と、それからピペット作業というのですか、それがこの
職業病にかかる原因になったのだということを、どうしてもぼかそうとするのです。最終的には、ある程度それを認めたようなかっこうになるのですけれども、裁定がおりてからその申請書を出すまでに、何遍も書類のやりとりをしなければいかぬ。発病してからその認定を受けるまでの期間というのは、本人は病気で治療を受けに行く、それを今度は
会社は欠勤扱いにする。非常な苦労を経てやっと認定を受けても、なかなかその認定を受けたことを認めない。こういうことを同じ武田薬品がやっているのです。そういうことをやれば
職業病になりますよということがわかっておるからこそやめればいいのですが、実際にそれをやっている。そのことを書かれることが困るのだということで書かない。こういう
労働者の権利を抑えつける姿勢をとるわけですね。なるほど、基準
監督署は業務上の認定をしたのだから、それでいいのです。いいのですけれども、そういうことによって、認定を受けるまで二年近くの間非常な苦労をしている。たまたま認定を受けたからいいけれども、
会社の妨害によって認定を受けられなかったらもうやめてしまっている。やみからやみに葬り去られてしまうという状態が起こるのです。これが実態なんです。これは、認定を受けたらそれでいいという性質のものではないわけです。その間にそういう欠勤扱いをされておるものですから、
賃金あるいは一時金等でも非常な
差別を受けるという事態が起こっています。
〔津島主査代理退席、主査着席〕
たとえば、この人は勤続十二年の二十七歳の女子
労働者でありますけれども、ボーナスの点で見ますと、五十一年無の冬期の一時金
支給額は、この本人は二十一万八千円であります。ところが、当時の一般の人は三十五万。同じ勤続年数で同時入社の人は三十五万だった。
昭和五十二年の夏期一時金は、この上方という本人は二十一万八千円でしたが、同期の人は三十八万七千円。五十二年冬期で見ますと、同期の平均が四十二万一千円、ところが本人は三十七万八千円、こういうふうになっているわけですが、いま、
職業病であったことが認定されて、いわば休んだのは自己欠席ではないということになって是正を求めておるのですけれども、是正する額が今度はまた、平均のところまでいかないという回答しかしないのですね。これで是正したのであると一方的に押しつけてくる、こういう状態が起こるのです。
それは
会社が悪いのだ、あるいは
会社と
労働者との
関係の問題だというふうに
労働省がお考えになっておったのでは、本当に生きた、労災、
職業病をなくしていく、あるいは
労働者の健康や安全を図って快適な職場をつくっていくという方向からはどうしても遠ざかると私は思うのです。ことさらに意識的にそういう労災隠しといいますか、あるいは
会社の責任をできるだけ小さく見せようとするということを中心に動いておる。
計画的にそう動いている
会社に対して、本当に
労働者の権利を守るという立場からの
行政が
強化されなければいかぬと思うのです。もう時間がございませんので、こういう問題も含めまして、ぜひ
局長、
大臣の具体的な
措置と一般的な姿勢を明らかにしていただきたいと思うわけです。