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1980-03-07 第91回国会 衆議院 予算委員会第五分科会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十五年三月七日(金曜日)     午前十時開議  出席分科員    主 査 藤田 義光君       近藤 元次君    村田敬次郎君       上原 康助君    兒玉 末男君       関  晴正君    野坂 浩賢君       山口 鶴男君    坂井 弘一君       小沢 貞孝君    兼務 大原  亨君 兼務 川口 大助君    兼務 後藤  茂君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 大西 正男君         国 務 大 臣         (国土庁長官) 園田 清充君  出席政府委員         国土庁長官官房         長       谷村 昭一君         国土庁長官官房         会計課長    大森 敬介君         国土庁計画・調         整局長     福島 量一君         国土庁土地局長 山岡 一男君         国土庁水資源局         長       北野  章君         国土庁大都市圏         整備局長    伊藤 晴朗君         国土庁地方振興         局長      四柳  修君         運輸省港湾局長 鮫島 泰佑君         郵政大臣官房長 小山 森也君         郵政大臣官房電         気通信監理官  寺島 角夫君         郵政大臣官房電         気通信監理官  神保 健二君         郵政省郵務局長 江上 貞利君         郵政省経理局長 守住 有信君  分科委員外出席者         沖繩開発庁総務         局企画課長   野村 誠一君         沖繩開発庁振興         局振興第一課長 山田 哲朗君         大蔵省主計局主         計官      佐藤  浩君         大蔵省主計局主         計官      尾崎  護君         資源エネルギー         庁石油部備蓄課         長       森清 圀生君         建設省計画局公         共用地課長   宮本 泰治君         建設省河川局開         発課長     堀  和夫君         建設省道路局市         町村道室長   杉山 好信君         自治省財政局交         付税課長    能勢 邦之君         自治省財政局指         導課長     土田 栄作君         自治省財政局調         整室長     井下登喜男君         日本電信電話公         社総裁     秋草 篤二君         日本電信電話公         社総務理事   長田 武彦君         日本電信電話公         社営業局長   西井  昭君         日本電信電話公         社計画局長   岩崎 昇三君     ————————————— 分科員の異動 三月七日  辞任         補欠選任   野坂 浩賢君     山田 芳治君 同日  辞任         補欠選任   山田 芳治君     山口 鶴男君 同日  辞任         補欠選任   山口 鶴男君     上原 康助君 同日  辞任         補欠選任   上原 康助君     関  晴正君 同日  辞任         補欠選任   関  晴正君     田畑政一郎君 同日  第三分科員大原亨君、第四分科員川口大助君及  び後藤茂君が本分科兼務となった。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和五十五年度一般会計予算  昭和五十五年度特別会計予算  昭和五十五年度政府関係機関予算  〔総理府(国土庁)及び郵政省所管〕      ————◇—————
  2. 藤田義光

    藤田主査 これより予算委員会第五分科会を開会いたします。  昭和五十五年度一般会計予算昭和五十五年度特別会計予算及び昭和五十五年度政府関係機関予算郵政省所管について、説明を聴取いたします。大西郵政大臣
  3. 大西正男

    大西国務大臣 郵政省所管会計昭和五十五年度予算案につきまして御説明申し上げます。  まず、一般会計でありますが、歳出予定額は二百三十七億五百万円で、前年度予算額に対しまして三億八千三百万円の増加となっております。  この歳出予定額には、通信衛星及び放送衛星の実験を初めとする宇宙の開発利用推進に必要な経費のほか、情報通信開発放送行政国際協力推進電波資源開発利用秩序維持など、通信技術の著しい向上と複雑化する行政需要に即応した施策推進に必要な経費を計上いたしております。  なお、ますます複雑、多様化する電気通信分野行政需要に一層的確に対処するとともに、国内のみならず諸外国に対しても、電気通信行政に関する責任と権限を明確にする必要から組織面の充実を図ることとし、電気通信監理官を廃止して電気通信政策局を設置することを予定いたしておりますが、このため、経理局大臣官房経理部に改組することなどをあわせ行うことといたしております。  次に、郵政事業特別会計でありますが、歳入歳出予定額とも三兆五千七百三十六億八千六百万円で、前年度に対し三千百三十四億六千四百万円の増加となっております。  この歳入歳出予定額の中には、業務外収入及び支出が一兆三千七百五十八億七千七百万円含まれておりますので、これを差し引いた郵政事業運営に必要な歳入歳出予定額は二兆一千九百七十八億九百万円であります。これは、前年度に対し一千六百十五億九千九百万円の増加となっております。  なお、歳入につきましては、本年十月一日から実施を予定し御審議をお願いいたしております、郵便料金の改定に伴う増収見込み額八百三十一億八千二百万円を計上しておりますが、年度末においては、なお二千四百五十七億円の財源不足になるものと見込まれますので、このための所要措置として、業務運営費財源のための借入金を計上いたしております。  歳出予定額におきましては、重要施策としております安定した郵便業務運行を確保するために必要な経費郵便貯金及び簡易保険の増強と利用者サービス向上を図るために必要な経費職場環境改善等に必要な経費郵便局舎等改善のために必要な局舎その他建設費、その他所要人件費などを計上いたしております。  次に、郵便貯金特別会計でありますが、歳入歳出予定額ともに四兆四百六十六億七千七百万円で、前年度に対し五千八百三十二億八千五百万円の増加となっております。  次に、簡易生命保険及び郵便年金特別会計でありますが、保険勘定におきましては、歳入予定額は三兆八千四百三億七千五百万円で、前年度に対し四千六百三十九億四千九百万円の増加となっております。歳出予定額は一兆八千四百七億七千四百万円で、前年度に対し一千八百八十七億九千五百万円の増加となっております。  また、年金勘定歳入歳出予定額は二十二億四千万円となっております。  最後に、日本電信電話公社予算案につきまして御説明申し上げます。  事業収入につきましては三兆八千六百六十八億円で、前年度に対し二千四億円の増加となっており、事業支出は三兆五千九百二十四億円で、前年度に対し二千二百二十四億円の増加となっております。  建設投資の額につきましては一兆七千百億円といたしております。これにより、一般加入電話百三十五万加入増設等を行うとともに、電気通信網維持改善に特に配意することといたしております。  この建設投資電信電話債券償還等に必要な資金は二兆二千四百二十三億円となりますが、その調達につきましては、内部資金で一兆四千四百六十五億円を、加入者債券設備料等による外部資金で七千九百五十八億円をそれぞれ予定いたしております。  なお、外部資金のうち、財政投融資は五百億円を予定いたしております。  以上をもちまして、郵政省所管会計昭和五十五年度予算案の概略につきまして御説明を終わらせていただきます。  何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。
  4. 藤田義光

    藤田主査 以上で郵政大臣説明は終わりました。     —————————————
  5. 藤田義光

    藤田主査 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大原亨君。
  6. 大原亨

    大原分科員 広島政令都市が四月一日から発足することになったわけでありますが、人口が急速に増大いたしまして百万都市になるわけです。そういう場合に、通信交通機能整備をするということが非常に大切でありますが、特に通信交通の中で郵便とそれから電信電話の問題で、一両年来いろいろと住民自治体の意見を代表いたしましてやってまいりましたことについて、きょうは集約的に確認を含めてお答えいただきたいと思うのです。  全体のことは、特に国鉄、運輸省がひどいのですが、縦割り行政というのは、大平さんが地方時代と言いましてもなかなか住民本位行政サービスの切りかえができない、こういう非常にむずかしいことだというふうに、私はこの問題に頭を突っ込みまして感じたわけであります。そこで第一は、それらのコミュニケーションの円滑化を含めて地方時代にふさわしいサービスをする、こういう観点で質問に入りたいと思います。  最初には、広島市内市外局番が大体十六あるわけであります。これは数が違っておりましたら訂正をいただきたいのですが、十六あるわけであります。未合併の町村で同一経済圏を含めますと二十カ所の市外局電話があるわけであります。ですから、県庁やその他の旧市内から周辺の旧町に電話するにいたしましても、あるいはいろいろな産業活動行政活動はもちろんですが、生活上の問題にいたしましても、全部長い市外局番を回さないと相互の交流ができない、こういうことは、連檐地域が拡大いたしまして経済圏が一体になりましても直らぬということは非常に不合理な点であるというように思うわけであります。そこで、電電公社料金体系の中で、基本的な問題はともかくといたしまして、可能なものについては速やかにこれを是正してもらいたい、こういうことで、前の郵政大臣のときも一定の御答弁がありまして、電電公社の方もかなり努力をしていただいたわけであります。そこでこの問題につきまして、現状においての電電公社のこれらのサービス向上させるための基本的な考え方について、最初お答えをいただきます。
  7. 秋草篤二

    秋草説明員 大原先生広島市内行政同一区域内の中で市外ダイヤルを回さなければならないという御不便をおかけしている加入者の問題につきましては、前回の当委員会におきましても強い御要望がございました。自来、私は督励しまして、一刻も早くこの問題を解決しなければいけない。これは広島に限ったばかりではなくて、全国にもまだ七百ぐらいこういう地域がございますが、早くこれは解決しなければいけないということを命じておりますが、細部にわたることでございますので、お許しを得まして担当の総務理事から御答弁をさせていただきます。お許しを願います。
  8. 長田武彦

    長田説明員 お答えをいたします。  いま先生指摘の点でございますが、まず全国的な状況から申し上げますと、現在、同一市町村内で市外局番を回さないとかからないという地域全国で七百市町村残っております。ちなみに、現在全国市町村の数は大体三千二百ございますので、そのうちの二千五百の市町村につきましては、同一市町村内は市外ダイヤルをしなくてかかるというかっこうになっておりまして、残りが七百あるわけでございます。この中で、実は私ども、電話料金体系の基礎になります単位料金区域というものを設定をいたしておるわけでございますが、これは全国で五百六十七地域、実はあるわけでございまして、大体この地域の中で同一市町村であるという地域につきましては、これは逐次市外ダイヤルをしないで済む方向に持っていきたいというふうに考えております。現在そういう意味で対象になりますのは、先ほど申し上げました残っております七百市町村のうち五百市町村でございまして、実は残りの二百の市町村といいますものは、先ほど申し上げました単位料金区域にまたがった行政区域になっておるというものでございまして、これらについては当面ちょっと手の打ちようがないということで、これはまだ将来の大きな問題として残るのではないかというふうに思っております。  なお、先生いま御質問広島関係でございますけれども、現在広島市は、私どもの単位料金区域といたしましては、広島とそれから可部、それから安芸吉田、この三つの単位料金区域にまたがった行政地域になっております。したがいまして、先ほど申し上げましたように、可部地域、それから安芸吉田に含まれます可部、安佐、白木、これらの部分につきましては、当面市外ダイヤルを要しない地域に編入することは困難でございますが、広島単位料金区域の中には、先ほど先生指摘のように、旧広島市内でございますが、これが現在市外局番〇八二二というものを冠しまして、市内局番二けたプラス加入者番号四けたの六けたで市内の通話ができるわけでございますが、これが約二十三万加入ございます。このほかに安芸祇園、阿戸、伴、戸山等周辺広島市に含まれる局が十局ございまして、ここで約十万の加入者がおります。この十万の加入者の分につきましては、今回、広島単位料金区域内はすべて市外局番ダイヤルを要しないということに方向を決めまして、現在主工事を進めておるところでございまして、大体五十六年度末を目途に、広島単位料金区域内につきましては市外ダイヤルを要しない地域にしたいということで現在計画を進めております。  なお、こういう工事をいたしますためには、現在広島市内にきわめて古い交換機でありますステップバイステップというような局がございます。これは現在まだ三局残っておりますが、これらの局で工事をいたしますためには、実は市内番号が一けたふえることになりますので、この一けたふやしますためにはスイッチをふやさなければいかぬというような問題がございます。ところが、先生御案内のように、ステップバイステップと申します交換機は、これはもう非常に古い交換機でございまして、今後これをどんどん新しい電子交換機等に実は取りかえをしていきたいという時期でございます。この取りかえを大体五十五年度計画でいま予算に計上させていただきまして、大体五十五年度から五十六年度にかけまして工事をするということによりまして、五十六年度目途という線で現在計画を進めておるところでございます。
  9. 大原亨

    大原分科員 電電公社は最近かなり経理の状態がよろしい。悪いことがいいことでないわけですから、いいことはいいことでありますが、やはりサービス面についてぜひ考えていただく。それで、同一市町村の中で市外局電話が非常に多いということは従来からも御答弁がございました。しかし、広島は、言うなればそういう点では一番ひどい地域であると思います。これは実際上、いままでしばしば申し上げましたように、たとえば戸山とか八木とか高陽とかいうところにいたしましても、たとえば八木というところでしたら〇八二八七三という市外局番、これは一連の数字を記憶することは大変でございまして、それがいまの地域広島エリアだけでも十というふうに分けておりますから、市民にとりましては物すごい不便なことになります。能率、効率が非常に悪いということになります。したがって、これは優先的に措置をしてもらうということで、全体とのバランスをもちろんとっていただくわけだと思いますので、これはぜひひとつ御努力をいただきたい。  そこでお聞きしたいのですが、いま広島中心部市外局番は〇八二二でありますが、非常に不便なのは、広島政令都市全体にも〇八二二一〇四、こういうふうに局番を聞きますと、周辺のものがなかなか出てこないわけですね。そのままストレートに出てこない。これは一〇四でも答弁してくれますけれども、電話番号調べで。いずれにしてもこれは問題でありますから、〇八二二は今度は新しい局番ではどういうふうになりますか。
  10. 岩崎昇三

    岩崎説明員 お答えいたします。広島全域にわたりまして閉番号化いたしました結果は、市外局番は〇八二でございます。
  11. 大原亨

    大原分科員 〇八二というふうになりまして、二がカットされまして、その市内局番の方は多くなるわけだと思いますね。二けたが三けたになって、その点は不便ですが、しかし実際上は非常に記憶をしやすいし、かけやすい。  そこで、従来いろいろな心配が出ておったのですが、基本料金につきましては、新しい設備投資によって変わることはないか、いかがでしょうか。
  12. 岩崎昇三

    岩崎説明員 基本料金につきましては、変更は一切ございません。
  13. 大原亨

    大原分科員 そういたしますと、住民のサイドから見ますと、局番が整理をされまして基本料金に差がないということでございますから、非常に喜ばれることであると思います。  これは全部一遍に市内ができない、あるいは経済圏全体ができないということはいま御説明のとおりでございます。私も、これは頭を突っ込んで聞いておりますとなかなか大変であります。しかしながら、広島MA単位料金区域については、昭和五十五年度予算に計上されて、五十六年度中には少なくとも、こういうことでありますが、本年度中にこの工事の完成はできませんか。あるいは本年度中にできなくても、五十六年度に入りまして継続事業で早い機会に完了するというふうな点について御努力をいただきたいと思いますが、いかがでしょう。
  14. 岩崎昇三

    岩崎説明員 先ほど総務理事お答えいたしましたように、新しい交換機を設置いたしまして、古い交換機ステップバイステップを全部切りかえるという工事がございますので、鋭意検討いたしました結果、現在のところで五十六年度末という線が出ておりますが、先生の御趣旨を伺いまして、少しでも早くでき上がるように努力いたしたいというふうに思います。
  15. 大原亨

    大原分科員 所要予算については五十五年度予算に計上してあるわけですね。それは幾らですか。
  16. 岩崎昇三

    岩崎説明員 約十三億円強の予算を計上してございます。工事自体は、五十五年並びに五十六年と継続して行われることになっております。
  17. 大原亨

    大原分科員 総裁、ぜひ一日も早くこの工事を完了していただくように強くお願いをしておきます。  それから、最近伝えられるところによりますと、これに関係いたしまして電電公社料金引き下げの問題があります。三千億の黒字だろうと思っておったところが、一千億円くらい多いという報道がございました。私はきょうは細かな議論はいたしませんが、伝えられるところによりますと、たとえば東京広島の場合に、深夜の割引四割を六割にするということになりますと、私は利用者は逆にふえるのではないかと思うのです。ひとつ念のためにお答えいただきたいのですが、何分で幾らという計算の仕方をいたしますと、広島東京の間は四割引きと六割引きではどの程度の差がありますか。
  18. 西井昭

    西井説明員 お答えいたします。  先生御存じのとおり、現在東京広島間の昼間の料金は三秒十円になっております。それから、午後八時過ぎから翌朝の午前七時までの夜間につきましては四割引きの料金をいたしておりまして、現在五秒十円になっております。したがいまして、たとえば三分間おかけになりましたときの料金は、昼間ですと三分間で六百円、それから夜間ですと三分間三百六十円、このようになっておるわけでございます。これをどうやるかという案はまだ公社の中で固まっておりませんが、仮に深夜につきまして昼間の秒数に対しまして六割引きということにいたしますと、大体七秒半ぐらいの秒数になってまいります。したがいまして、もし三分間おかけになりますと二百四十円程度料金になるということでございます。
  19. 大原亨

    大原分科員 総裁、深夜の場合に、十時からといいますと、こちらからかけるといたしますと寝ている人を起こしたりすることになりますね。だから、現在の八時以降というのは別にいたしまして、たとえば九時以降ということでしたら非常に利用者がふえるのじゃないですか。そうするとビジネスの方で、実際上は昼間料金の方とのかみ合いがあると思うのですが、その点を配慮いたしましても、深夜料金の場合は十時から朝六時までというのが一部で報道されておりましたが、これはできるだけ早くしていただく。八時がいいのですが、九時ごろはどうでしょうね。
  20. 秋草篤二

    秋草説明員 この電話料金電話利用の時間帯の問題は非常に専門的なものでございまして、通常、昼間は十時から十一時がピークである。夜はいま割引がございますので、夜の八時がピークでございます。また、このピークが非常に大きく出てきますと施設増加しなければならぬというむだがあります。割引をするということは、極端に言えば夜中は八兆円の財産がむだに寝ておりますから、これをもっと安く有意義に使ってもらったら公社も得だし、国民の皆さんも便利であるという考え方に立っておりますが、このピークとり方割引率はめ方が技術的に非常にむずかしいのでございます。これはまだ決まった問題ではございませんので、十分監督官庁とも相談した上で、先生の御趣旨もよくわかりますので、多少ピークとり方によっては増収もありますけれども、余りまたそこに殺到しまするとかえってまた人員をふやしたり施設をふやしたりすることになりますので、十分気をつけて御趣旨に沿うようにいたしたいと思っております。
  21. 大原亨

    大原分科員 これはせいぜい九時ごろからですね。それで、割引率東京から広島東京から鳥取までを差をつけるわけにはいかぬでしょうし、広島だけ安くするわけにはいかぬと思いますが、それはともかくといたしまして、ぜひこの際きめ細かな配慮をしてもらえば非常に一般から喜ばれるのではないか、私はこういうふうに思います。これはまた後で郵政大臣にもまとめて御見解をいただきます。  もう一つ、住民サービスの問題で縦割り行政は非常にむずかしいものだと思いましたのは、ここに地図がありますから、郵政大臣、この地図を見ておってください。これは郵政省速達配達区域の問題であります。これは広島市の祇園郵便局配達区域なんですけれども、安古市町というのがありまして、ここは物すごい団地周辺にふえてまいりました。それで、速達区域はその地図に書いてありますように非常に狭い区域でございます。その周辺団地引き続いて、連檐地域でございますが、できましたのが七千五百世帯、こういうことであります。その地域速達配達区域でないわけであります。ですから、全体にはまだサービス改善すべき点があるのですが、そこだけをとってみましても、ぜひ何とか工夫をしてサービスを拡大をしてもらいたい、こういう、住民あるいは広島市、県等要望もこのことについてはかなり集中的に話があったわけであります。しかし、これは縦割り行政のむずかしさでありますが、全体の定員との関係もあるでしょうし、定員法のむずかしい時代でもありますからなかなかむずかしいのですが、しかし、細かな点でありますけれども、だれが考えても納得できないという点でありますから、この点についてはぜひ改善をしてもらいたい、こういう強い要望住民自治体から出ておるわけです。これはいままで結論が出なかったのですが、先般郵政省では一定の判断を示された、こういうふうに私も了解をしておるわけでありますが、この問題に対しまして郵政省のお考えをお聞かせをいただきたい。
  22. 江上貞利

    江上政府委員 御指摘地域でございますけれども、中国郵政局の管内におきましても一番開発の著しい地区でもございます。昭和四十九年の指数を一〇〇といたしました場合に、昭和五十三年では世帯指数が一一七に伸びております。先生御存じのように、速達配達地域を拡張いたしますには財政事情あるいはまた定員事情というものが大変大きな決め手になるわけでございますが、今国会には財政事情改善のための法律の改正案もお願いをしておる次第でもございますし、郵政省といたしましてはできるだけ早い機会に何らかの工夫をいたしまして、御指摘地域速達配達につきまして救済いたしたいというふうに存じております。
  23. 大原亨

    大原分科員 前向きの御答弁をいただいたのですが、細かな団地名、町名につきましては、祇園局範囲内の安古市町を中心といたしました個所があるわけでありますが、これにつきましては割愛をいたしますが、申し上げましたように急速にふえました団地でありまして、日本でも一番大きな、言うなれば周辺団地である、こういうふうに言われておるわけであります。したがって、そういう点で住民サービス向上していただく、こういうことにつきまして一定方向お答えいただいたわけですが、これは早くやってもらいたい、こういうことであります。この問題について時期的な問題につきましてお考えがあればひとつお答えをいただきたい。
  24. 江上貞利

    江上政府委員 できれば、明年度計画におきまして取り組むように検討いたしております。
  25. 大原亨

    大原分科員 明年度ですから昭和五十五年度ということですね。昭和五十五年度中できるだけ早くこれをやっていただく、こういうふうに了解をしておきます。  少し時間が余っておるわけですから委員長に協力してもいいわけですけれども、郵政大臣、申し上げましたように、交通の問題があるんです、それから郵便の問題があるんです、電信電話の問題があるんです。地方時代というふうに大平さんは言うのですが、地方時代というのは何か言うたら、中身はない、こういうわけです。目ぼしいことはこの国会でも余り議論にならないわけです。しかし、方向としましては、みんなが住民本位地方時代、こういうことを考えることは間違いないわけです。  一番けしからぬと思いますのは、運輸省の人口急増地帯における鉄道なんかにいたしましても、投資をいたしましたら必ず黒字になるんですが、しかし一方では上越新幹線なんかに一兆六千億円もかけて、上越新幹線ができましたらここで一年間に赤字が三千億円できるのですね。そんなことをしていたら財政は破綻するし、公共料金は上げるしということではね返ってくるわけなんです。工事をやるものはもうかりますけれどもね。長岡市なんかは、三カ所半も新幹線の駅をつくる。広島みたいなところだって三カ所しかないのに、三カ所半ですね。上越新幹線を黒字にしようと思いましたら、新潟の人が、お百姓さんも商売人も毎日手分けをして新幹線に乗らなければいかぬということになるのです。そういうばかな建設をやっていて、財政再建であるとか公共料金がどうとかというようなことを言っていることはおかしいと私は思います。しかし、広島近郊で通勤やその他仕事の上で必要なところになかなか投資をしないのです。そういう仕組みになっていない。あなたは国務大臣でありますから、あなたに関係ないことを悪口を言うのはあなたも痛くないだろうから言っておきますが、交通はともかくといたしまして、いまのように電信電話それから郵便、こういうものについてはいろいろ御努力をいただきましたけれども、きょうお答えいただきましたそれぞれの諸点につきましてひとつ郵政大臣も督励していただきまして、一日も早くこれらが実現をできますように、大臣の所見をひとつお聞かせをいただきたいと思います。
  26. 大西正男

    大西国務大臣 郵政省所管の事項に関する先生のただいまのいろいろの御意見、御質問、御趣旨はまことにごもっともかと思います。そういう線に沿いまして一日も早く御趣旨が満たされますように努力をさせるようにいたします。
  27. 藤田義光

    藤田主査 以上で大原亨君の質疑は終了いたしました。     〔主査退席、近藤(元)主査代理着席〕
  28. 近藤元次

    ○近藤(元)主査代理 後藤茂君。
  29. 後藤茂

    後藤分科員 きょうは、切手発行政策の中におきましても、郵政省としては通常切手というように分類をされているようですが、主としてその通常切手の発行政策につきまして二、三お伺いをしたいわけです。主として郵務局長に御質問をすることになるかと思いますけれども、中身はむずかしい問題ではございません、ごく簡単な課題でございますから、ひとつ歯切れよく御答弁をちょうだいをしたい、このように考えているわけです。  切手というのは郵便物を送るための一つの領収証的な性格を持っているわけですから、そう図案に配慮する必要がないんじゃないか、戦前には額面だけ、数字だけの切手なんかもあったわけですから、この通常切手に対してとやかくむずかしく言う必要がないのではないかというような考えをどうも郵政省は持っているのではないかというように思うわけです。果たしてそういうようにお考えなのかどうか、最初にお伺いをしておきたいと思います。
  30. 江上貞利

    江上政府委員 郵政省としましては、郵便切手につきまして先生指摘のように郵便料金納付のための証票である、基本的な経済的な価値というものについてはそのとおりというふうに認識しておりますが、同時に、切手そのものは言うなれば郵便の顔とでも申すべきものでございまして、それなりの文化性を持っているというふうに存じております。したがいまして、何でもいいというふうなつもりで発行いたしてはいないつもりでございます。郵政審議会におきましても専門委員をお願いするとか、あるいは図案委員の先生方に図案について御意見をちょうだいするというようなことをしながら、少しでもいいものをつくっていこうというふうにかねがね努力をいたしておるつもりでございます。
  31. 後藤茂

    後藤分科員 局長は、文化性を持っている、こういうように御答弁がございましたけれども、現在発行されております通常切手、約三十種ございましょうか、これは郵政省の方からいただいた外国向けのカタログだと思うのですけれども、通常切手が全部配列をされております。この資料を見ますと、先ほど文化性を持っているから大変な配慮をしていかなければならぬという御答弁がございましたけれども、全く配慮されていないのではないかというように私どもは受けとめるわけです。たとえば郵便事業の創始者であります前島密の一円、いまだにずっと出ているわけですけれども、この前島の一円あるいはいま一番使われております五十円の観音、これなんかも一九五一年からずっと続いて同じ図柄で発行されているわけですから、約三十年間というものほとんど図案を変えてない。変えているのは色を変えているわけです。色の問題につきましてはまた後でお聞きしたいと思いますけれども、こういうようにほとんど配慮がなされていない。一番新しいものでも現在の二十円の松、これが一九七二年の一月ですから、これまたもう約八年ばかりこのまま続いておるわけです。大変御都合主義で切手が出されているように思えてならないわけです。何でこういうように同一図案の物をずっと長く使っているんだろうか、切手発行は文化性を非常に持っているといういまの御答弁趣旨がもし生かされるとすれば、もっとこの図案の中身につきましても考えられていいのではないかというふうに思うわけです。改色の問題についてはまた後でお聞きしますけれども、どうしてこういう同一図案がずっと長く続いていって、全くこれに対して無神経であるのか、私は非常に奇異に感ずるのでありまして、局長にその点をお答えいただきたいと思う。
  32. 江上貞利

    江上政府委員 先生指摘のようにかなり長期にわたって同一図案が使われているものがございます。一番古く使われておりますのは、現在二円の切手の日本犬の図案のものでございます。  普通切手の意匠となりますと実は調達枚数が相当大量になりますので、非常に短期間で全面的にこれを改正していくということは技術的にも大変むずかしい面がございます。いま御指摘のように、長期間にわたりますと図案が利用者に飽きられる、あるいは工夫がない、改善がないという点も確かにあろうかと思います。一部の切手については、ただいま先生が御指摘のような問題点も承っておるところでございます。しかしまた一方では、たとえばただいま御指摘の五十円切手の中宮寺の菩薩像でございますが、色合いについてはいろいろと御指摘もございますけれども、人の心に平和と安らぎをもたらすのに大変いいものであるからなるべく残しておいてほしいというようなお話もございまして、その辺も含めましていろいろと今後検討もしていかなければならない問題ではないかというふうにも存じております。
  33. 後藤茂

    後藤分科員 いま五十円の中宮寺観音の話が出ましたけれども、これも一番最初出たときには観音にふさわしいセピアの刷り色であったわけですね。ところがこれが、自動化される前に発行されたと思うのですが、自動化されてからこの色では機械を通らないということなんでしょう、技術的なことはよくわかりませんけれども、そういうことで小豆色になりましてから、赤になり、グリーンになってきている。局長、このグリーンになってから、どう考えてもこれだけすばらしい観音には全くふさわしくないのじゃないかと思うのです。このグリーンでないと色が機械を通らないということになってくると、ほかの国のように枠をそういう色にするとか、全面をその色にしなくてももっと工夫があっていいだろうと思うのです。たとえば埴輪がありますが、いまの速達の二百円ですか、最初は茶系統であったと思うのですけれども、オレンジ色にしていくことによって機械に反応するというようなことから、これまた最初出たときとは大変どうもそぐわない方向になってきているわけです。こういった技術的な配慮を加えれば、つまり枠線だけでも機械に反応するようにすれば、いまおっしゃった五十円の中宮寺観音がもしみんなに喜ばれる平和の象徴としていい切手だとすれば、それにふさわしいような刷り色にする工夫があっていいだろう。全くそういうことがないから、私が一番最初に言ったように、全く無神経で配慮がなくて、領収証であればいいのだという姿勢でいままでの郵政省あるいは郵務局は今日まで来ておったのではないか。切手なんというのはそこに張っておいてやればいいので、どんなものでもいいのだという姿勢がありはせぬか、文化性のブの字もないのではないですかということをお聞きしたいわけです。ですから、それとあわせて不統一性の問題を次に申し上げますけれども、図案に対してこの際抜本的に変えていくという姿勢をぜひ持ってもらいたいと思いますが、いかがでしょうか。
  34. 江上貞利

    江上政府委員 五十円の中宮寺菩薩像を例にとってのお話でございますが、非常にすぐれた素材を現在の切手の色が殺してしまっておるというようなことでは、これはかえって中宮寺菩薩像の持っております文化性というものを殺してしまうということにもなりかねないと思います。片や作業の合理化、効率化というものも強く求められておりますので、その点の調和点をどこに求めるかというのが、切手制作と作業を効率化していく上での調和点にもなろうかと思います。その辺のことも踏まえながら、ただいま実は図案改正あるいは色合いにつきましても、見直しにつきまして検討を進めている段階でございます。
  35. 後藤茂

    後藤分科員 これは外国のものですから郵政大臣もちょっと見ておいてほしい。私のものを持ってきたのですけれども、外国では大体四年、五年くらいでこういう通常切手のシリーズは変えていっているのです。それを上からいきますと、オーストリア、ドイツ、さらにイタリアの切手、それからスイス、カナダというように、ちょっと例示的にいま持ってきたわけです。どうですか、郵政大臣、最後にまとめてお聞きしますからいま答弁は要りませんけれども、非常に統一性がとれている。そして非常にきめ細かな配慮がなされている。大体四、五年ぐらいのローテーションで変えているのです。こういった通常切手のシリーズを持っていないのは恐らく日本だけじゃないかと思います。私どもが外国の仲間等と文通をいたしておりましても、どうしてこう日本は印刷技術がすばらしいのに、あるいはまたそういったグラフィックデザインの面にしてもすぐれた創造的な能力を持っておるのに、それが切手に生かされていないのだといういぶかった手紙をよくよこしてくるわけです。特に、その三番目にありますイタリアの切手は、バチカン宮殿のシスチナ礼拝堂の天井壁画、もう御存じだと思いますが、天地創造をミケランジェロが描いているわけですけれども、そのアダムとイブから、そこに登場しておる人物を非常にきれいに出している。そこには出ておりませんけれども、オーストリアの女性の風俗の通常切手なんかは実にすばらしい。外国に張って出しても喜ばれる。そのことによってまた国際文通も進みますし、それから文化性を持ったそれぞれの国をのぞき見ることができますし、また、先ほども局長が言われました平和にも役立っていくのじゃないかと思うのです。  ですから、こうやって三十年、四十年という長い間、全く無神経に続けて切手を発行されるという点については、それぞれのシリーズというものを考えていっていいのじゃないだろうか。特にスイスやドイツの建物とかフランスの絞章とか、それからイギリスの場合は、これは局長御承知のようにエリザベス女王の顔だけの切手をまずこれは頑固に続けている。しかし色を実にきれいに変えている。そしてそれが飽きないような配慮というものが続けられている。これも大変美しい切手です。あるいはアメリカの大統領シリーズにいたしましても、それぞれ非常に配慮の行き届いた切手なんですね。ところが日本のは、いま局長見ておられますけれども、全く不統一で、そういう配慮が全然ない。前後の脈絡がない。切手を出さなければならぬ、どれがいいかということで出しておるということでしょうか。この辺のところ、前向きどころじゃなしに、この際大英断をもって、局長時代に変えていく努力がなされていいと思うのです。  大臣には一番最後に私は聞きますけれども、何といってもルーツでしょう。郵便業務の中において、簡保とか郵貯というものがいま大きなウエートを占めておりますけれども、やはり切手発行というものが郵政省の一番のルーツじゃないですか。その切手をみんなが使っているのでしょう。どなたもここにいらっしゃる方々は、手紙をもらうと五十円の観音のグリーンの切手、およそ観音らしくない切手を見ているわけですよ、一番最初にあて名書きと一緒に目につくわけですから。そういうことをこの際ぜひ明確に歯切れよく御答弁をいただきたいと思います。
  36. 江上貞利

    江上政府委員 日本の通常切手は統一性がないという御指摘でございますが、実は、郵政省といたしましては全く不統一に出しているわけでもございませんで、ただいま先生お持ちの百二十円以上のものにつきましては、昭和四十七年から五十一年にかけまして新しく図案も制定したものでございますが、これらはすべて国宝級の美術工芸品という分類になっております。合わせて十種類ほどございます。なお、御指摘の一円の前島先生の像を別にいたしまして、二円から二十五円までのものにつきましては、これはわが国固有と申しますか、あるいはまた国民に広く親しまれております動植物を題材といたしたものでございます。ただ、それが動物あるいは植物が入り乱れておるということもありまして、先生指摘のような御印象を持たれる方も多いかと思うわけでございます。ただ、ちょうどその中間にありますもの、三十円から百円までのものが八種類ございますが、御指摘のようにここの分類は統一されておりません。まあ、料金が改正になりますときにこの辺もあわせて統一をすればよかったのではないかというふうにも存ずるわけでございますが、たまたま今国会にも財政事情改善のための法律案もお願いをしておりますので、そのようなこととあわせまして、この辺につきましても何らか統一が図られないものか、あるいはデザインあるいは色合いについても何か検討の余地がないのかということにつきまして、郵便切手の図案委員等にそのような意見も現在徴しているところでございますので、検討を進めさせていただきます。
  37. 後藤茂

    後藤分科員 これは全部張られていると不統一というのはわかるのですね。一人一人の郵便物には一枚か二枚しか張ってないからわからないが、こういう声が郵政省にも上がってきていなかったのかと思いますけれども、この点は、くどいようですけれども、ぜひ私は申し上げておきたいと思うのです。たとえば百二十円からは国宝のツリーズであるということをおっしゃっている。私は素材はりっぱだと思うのですよ。素材はりっぱですけれども、この小さな印紙の中に閉じ込めていくための配慮というものは、これまた大変安易だということを申し上げたい。  そこで、ニュージーランドで一九七〇年から七一年に普通切手のシリーズを発行するのに、ニュージーランドの郵政省がどういう配慮をしているかということをちょっと紹介してみたいと思うのです。     〔近藤(元)主査代理退席、主査着席〕 ニュージーランドでは、通常切手の発行を決めるのに当たって一般公募のデザインコンペを行って、そのコンペで、まず図案作成を委嘱するデザイナーを選定する懸賞募集が一九六八年の九月から十一月にかけて行われている。八十八人のデザイナーが三百三十三点の図案を応募し、その中から五人のデザイナーに六項目を挙げまして、そして入選作をとっていっているわけです。一つはエリザベス女王とニュージーランドの国章とか、あるいは国立公園とかマオリ族の民芸とかいうようなことも言っているわけですけれども、その中の入選した人をここで例示的に申し上げますと、たとえば二人女性が入選しているわけです。一人の方は三十歳の電話交換手で、イギリスのハル地方芸術大学でグラフィックデザインを学んでニュージーランドに来ている女性なんですけれども、この人がチョウとガのシリーズに応募して入選をしているわけです。それからもう一人はアイリーン・メイヨ女史という方で、この人はロンドン大学で木版画を専攻した人のようですけれども、この人が入っておる。この二人の人は実物をスケッチをしていきながら切手に合うようにデザインをしていって、発行しているわけです。ここにもその過程が紹介をされているわけですけれども、こういうような配慮がずっと続けられているわけですね。私は、ここが郵政省には欠けているんじゃないだろうかというように実は思えてならないわけです。  そこで、図案委員を委嘱しておる専門の方々に図案等も見てもらっているのだと言いますけれども、企画の段階からこういった専門委員の皆さんに参加してもらってないのではないか、あるいはこの図案委員の皆さん方は切手というものを本当に知っている人々なんだろうかという大変危惧を私は感ずるのです。その一つの例を申し上げたいと思います。郵務局長のところにありますこの資料、これは郵政省の資料ですけれども、この資料の二十ページに相撲絵シリーズがありますが、武隈と岩見潟が相撲をとっている五十円、五十円の連刷りがあるのです。これは片っ方の右側の絵を外してごらんなさい。右側の絵を外したら、一人の相撲取りの足だけがぐっと出てきた切手が五十円の封書に張られるのですよ。フランケンシュタインか何かわからぬけれども、お化けが足を出しているんじゃないかという感じです。どうですか大臣、そう思いませんか。グラフィックデザイナーなり図案審査の人々が、本当にいい切手を発行するためにおれは委嘱されているんだという意識を持っているとすれば、こういうものはチェックしますよ。これは使うなということですよね。百円のときには使っていいけれども五十円のときには使うなということを郵政省は言っているのか。それとも、お化けが出ようとフランケンシュタインが復活しようと、そんなものはどうでもいいんだ、こんなものは領収証なんだから何でも発行しておればいいんだということでしょうか。だから、郵務局長はいろいろな仕事があるでしょうけれども、これだけたくさん国民があるいは外国の皆さん方が切手を見ているのに、こんな無神経で、郵務局長であるあるいは切手を発行いたしておりますと言うことは許せないと思うのです。いかがでしょう。
  38. 江上貞利

    江上政府委員 実は、切手を発行いたします際に、まず最初の段階では、企画の段階で郵政審議会の専門委員の先生方に御相談を申し上げまして、まずその企画の御承認をちょうだいいたすわけでございます。その企画に基づきましてデザインを決めていくわけでございますが、このときに、先ほど申し上げましたような図案委員、画家、デザイナー、写真家、美術評論家の先生方によって構成されております図案委員会にお諮りをする。その上で、またさらにこのようなものを決めていくわけでございます。  御指摘の相撲絵シリーズの一つでございますが、確かにいささか御指摘のような点もあろうかと思いますが、これは専門の先生方のたまたまの取りこぼしではなかろうかというふうに存じます。
  39. 後藤茂

    後藤分科員 ことほどさように、局長が一々見ておられないかもわかりません。そのためにそういう専門家を委嘱しているのだろうと思うのです。私は、専門家の方々の選び方も問題があるのじゃないかと思うのです。確かに画家だとかあるいは評論家だとか、いただいております資料を見ますとそれぞれの専門家があるようですけれども、切手のことをよく御存じないのじゃないかというような気がしてなりません。だから私はちょっと例示的に、各国の通常切手というものにどういう細かい配慮をしているかということを実は申し上げたわけなんです。  時間がそうございませんので、あと一、二点にしぼりたいと思いますけれども、いま不統一性の問題と料金改定とかいうことを一それと関係づける必要はないのです。三十年も図案を変えてないということに対して、もっと検討しろということを申し上げているのです。その際、私のところにもたくさん手紙が来ます、そういう中で、たとえば文楽の頭なんか非常にいいじゃないか。あるいは能の面あるいは歌舞伎のくま取り、さらにはまたお城ですね。かつて十四円の姫路城の切手もありました。あるいは四円の石山寺の多宝塔の切手等もあります。これは非常にいいデザインです。わが国にもすぐれた建物もあるわけです。こういったシリーズをもっと大胆に考えていく必要はないのか。今度中国は、京劇の面を切手にいたしております。これもぜひひとつ郵務局長、見ていただきたいと思うのですけれども、私が不統一性を統一していくべきではないかというのは、そういうことなんです。そしてしょっちゅう、やはり三年なり五年ローテーションぐらいで図案も変えていくという配慮をひとつしてもらいために、いま二、三のこういった図案のモチーフがあるじゃないかということを申し上げているわけですけれども、いかがでしょうか。
  40. 江上貞利

    江上政府委員 先生の御指摘は、通常切手にシリーズを持ち込めないかという御指摘であろうかと思いますが、シリーズのものにつきましては、実は私どもとしては、別途シリーズ切手というものを発行させていただいているわけでございまして、ただいま御指摘の建物、減等につきましても、かつて姫路城、松本城あるいは江戸城の一部でございますとか法隆寺あるいは清水寺、平等院、石山寺、金閣、銀閣といったような建物につきまして、国宝シリーズ等におきまして素材としては取り上げさせていただいたわけでございます。  一方でシリーズ切手を出しておいて、さらに普通切手につきましてもシリーズ化するということにつきましては、これは十分検討しなければならない問題だと思いますので、その辺につきましては、図案委員あるいは専門委員の先生方の御意見もよく伺いながら考えさせていただきたいと思います。
  41. 後藤茂

    後藤分科員 時間が参りましたので……。いま検討というのを単に検討じゃなしに、外国でやっているのですから。日本だけがこういったシリーズを持っていない。あるいは図案に対して、長期に全く無神経に出しているのはわが国だけだと思いますので、外国のそういう普通切手等を出しておる状況等もぜひ勉強していただいて、前向きだけでなしに早急に実現をしていただきたいと思う。  最後に、これは郵務局長にもお答えをいただいておきたいと思うのですけれども、わが国では、切手帳というものに対してどうも十分な検討がなされていないのじゃないだろうか。外国では、切手帳というものをそれぞれの家庭に置いております。そして、郵便等を出すときに、わざわざ郵便局へ行かなくても、その切手帳から切手をとって張ってポストに入れるということが進んでいるわけですけれども、こういう切手帳に対して、ひとつ発行することを配慮してもらいたい。  同時に、最近は郵便業務が大変赤字だとかいって、値上げだとか、あるいはいろいろな苦心をなさっているようですけれども、この切手帳等の場合は、外国でもやっているのです。その切手帳の表に広告等もつけるということによって、収入増等も図れるわけですから。そしてまた家庭では、仮に一番使われる五十円あるいは二十円、あるいは不定形の場合は六十円ですから、三十円、三十円もしくは六十円の切手等をつけて出されるといいのじゃないか、こういうように考えますので、これはぜひひとつ検討をしていただきたいと思います。  最後に郵政大臣に。いまいろいろ申し上げました。いままでの郵政省の切手発行政策に対する配慮というのは全く細かくない、神経が行き届いていない。ぜひひとつ、大西郵政大臣のときに一応洗い直しをしてもらって、そして、これだけ親しまれているわけですから、しかも外国へも届いていく郵便切手ですから、文化性が非常に高いものだとすれば、その顔だとすれば、ぜひ郵政大臣の任期中にこれに大英断を加えて、そしてみんなが喜ばれるようなものにする。しかもまた、図案委員に対しましても、ただお飾りの委員じゃなしに、もっとこういう切手発行に対して、郵趣家もいるでしょうし、あるいはグラフィックデザイナー等もいるでしょうから、そういう方々を登用してひとつ善処をしていただきたいということを申し上げたいと思っているわけです。
  42. 大西正男

    大西国務大臣 先ほど来の先生の御議論を拝聴しておりますと、先生の非常に繊細な感覚、そうして緻密な観察といいますか、同時に、切手に関する非常に該博な知識、それをただただ感服して拝聴しておったところでございます。  その背景に、先生の郵政行政に対する本当に温かい愛情があふれておるということを感じたわけでございまして、大変ありがたく思いますと同時に、いま御指摘になりました統一性の問題その他等々、拝聴しておりますと、どうも抵抗できないような感じになってきたわけでありまして、先生の御意思を体して十分に検討さしてまいりたいと存じます。
  43. 後藤茂

    後藤分科員 終わります。
  44. 藤田義光

    藤田主査 後藤茂君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして、昭和五十五年度一般会計予算昭和五十五年度特別会計予算及び昭和五十五年度政府関係機関予算郵政省所管についての質疑は終了いたしました。     —————————————
  45. 藤田義光

    藤田主査 次に、昭和五十五年度一般会計予算昭和五十五年度特別会計予算及び昭和五十五年度政府関係機関予算国土庁所管について、説明を聴取いたします。園田国土庁長官
  46. 園田清充

    ○園田国務大臣 総理府所管のうち国土庁昭和五十五年度一般会計歳出予算について、その概要を御説明いたします。  国土庁一般会計歳出予算は、二千三百六十一億八千四百余万円を予定しておりまして、昭和五十四年度末をもって離島指定地域の一部が解除される関係から、前年度予算に比べ、百二十二億三千二百余万円の減少となっております。  その主要な内容は、第一に、第三次全国総合開発計画の柱である定住構想の具体化を図るための調査及び調整等の国土計画推進。第二に、地価の安定、適正な土地利用の確保等の総合的土地対策の推進。第三に、水資源の開発、水源地域対策の充実、水資源有効利用の促進等の総合的な水資源対策の推進。第四に、良好、安全な都市環境の整備を図るための大都市整備推進。第五に、人口の地方定住を促進し、国土の均衡ある発展と活力ある地域社会の形成を図るための地方振興の推進。第六に、地方都市開発整備、工業の再配置及び産炭地域の振興を図るための地域振興整備公団の事業の推進。第七に、国土を保全し、国民の生命、財産を災害から守るための総合的災害対策の推進であります。  国土庁予算の重点施策の概要につきましては、お手元に配布いたしております昭和五十五年度国土庁予算概要説明によりまして御承知願いたいと存じます。  よろしく御審議をお願い申し上げます。
  47. 藤田義光

    藤田主査 以上をもちまして説明は終わりました。     —————————————
  48. 藤田義光

    藤田主査 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山口鶴男君。
  49. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 藤田さんも熊本でございますし、名大臣の園田さんも熊本だと承知いたしております。これから私はダムのことを聞くのですが、熊本はかの有名な下筌ダムですか、蜂之巣城というようなことで全国に名前を知られておりますダムの建設で大変御苦労した地域だと存じます。それだけに大臣も、ダムをつくるということがなかなか容易なことではないということはよく御存じだろうと思います。  私の住んでおりますところは群馬県でございますが、群馬県というのは北関東の屋根と言われておりまして、東京並びに首都圏に対する水のいわば供給地と申しますか水源県と申しますか、そういう地理にございますので、今日までも国の治水対策に協力をいたしまして数多くのダムが県内に建設をされたのであります。ところが、建設省も来ておりますが、利根川の総合計画、治水対策、こういう面からは群馬は一応ほぼ協力し尽くしたのではないか、こういう気持ちが県民の間にございます。八斗島における洪水調節量というのは現在既設のダムで十分確保することができるというふうに私たち考えているわけでございまして、これから群馬県にダムをつくりますのは、どうも主として治水ではなくて利水のためのダム、こういうことだと存じます。アメリカのTVAの場合は、当該の地域全体の総合的な開発を考えて進められたということを承知しているのですが、どうも群馬県の場合は、利水のためには水源地域が犠牲になってもやむを得ない、こういうような姿勢がややもすれば見えるのではないか。私のみならず群馬県民全体の気持ちであります。  そういう立場からお尋ねをしたいと思うのですが、結局、ダムをつくるには当該地域住民の人たちの理解と協力なしにはこれからのダムというものはできないんだ。無理をすればかつての蜂之巣城のような問題が当然起きる、こういうことだと思います。私は毎年の分科会に出席をいたしまして、保利さん、あるいは西村さん等から始まりまして、仮谷さんとか、あるいは長谷川さんでありますとか、あるいは金丸さん、田澤さん、櫻内さん、こういった数多くの建設大臣あるいは国土庁長官の方にお尋ねをしてまいりました。いずれの大臣も、ダムをつくるのにはやはり当該地域住民の方々の理解と協力なしにはもうできない、地域住民の理解と協力を得るために全力を尽くすんだ、こういうことを申されておるわけであります。冒頭申し上げましたように、ダムの問題につきましては、いろいろ御苦労をされたと思う園田さんのことでございますから、当然歴代の大臣の言明というものは確認されると存じます。いかがでございますか。
  50. 園田清充

    ○園田国務大臣 いま御質問の中にございましたとおり、実は委員長の藤田先生がいま名前を出した下筌のダムの出身でもございますし、当時の私も県会議長でもございました。それだけに、ダムをつくる場合に地域住民の理解というものがいかに必要であるかということを身をもって痛切に感じておるわけでございますが、同時に、ダムの必要性というものからして、いまお話がございましたとおり、この大東京を抱えたところで非常に御無理をお願いしておるというのが実情であろうかと思います。しかし、ダムの必要性というものは十分先生も御理解いただいた上での御質疑であり、かつまた、私どもも経験した中で、いま申し上げましたとおり、やはり地域住民の方々がいかに納得をして御協力をいただくかということが前提にならなければならないと思います。先輩から聞くところによると、西の下筌、先生の地元の八ツ場、これが水特法のできた根源だというふうなことさえ承っておるわけでございまして、それだけに私どもは、歴代大臣も同じことだったと思いますけれども、この水の確保ということの必要性は御理解をいただきつつ、群馬県の地域住民の方方にも県を通じてこれを得る、そして群馬県の地域住民の方々の生活再建その他について、いろいろなことで御理解を得た上でなければ先へ進めないのが現在の立場であるというふうに私は理解をいたしております。
  51. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 建設省おられますからここで明確にしておきたいと思いますが、予算書に、治水特別会計に八ツ場ダムという名称がつきましたのは昭和何年だったか御記憶ございますか。
  52. 堀和夫

    ○堀説明員 お答えいたします。  四十二年でございます。
  53. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 以来今日まで十数年たっているわけです。それだけこのダムの建設につきましては地元の住民の方々の反対が強いということです。現在でも水没予定の地域住民の方々は七割五分から八割の方が反対という立場を堅持しておられるのであります。しかも、現在関係の群馬県吾妻郡長野原町、この町の町長さんはかつて反対同盟の会長だった方が町長に就任をしておられるわけであります。そういうことをひとつ御念頭に置いて、大臣、これからのお話を聞いていただきたいと思うのでございます。  そこで、具体的に事務当局にお尋ねしたいと思いますが、水源地域対策特別措置法の第二条の政令指定、これは八ツ場ダムはどういうことになっておりますか。
  54. 北野章

    ○北野政府委員 お答えいたします。  八ツ場ダムは、先生おっしゃいましたように、利根川の治水、首都圏の水資源開発の見地から建設省直轄ダムとして十数年来計画を策定し、事業を実施したいということで努力してきておりますが、その建設に当たっては関係地域住民の十分な理解と協力が必要であるということは申し上げるまでもないことでございます。水特法の制定の目的もここにございまして、ダム建設に伴い、周辺地域の生活環境、産業基盤等が整備され、関係地域住民の生活の安定と地域の発展が図られるということがダム建設の前提条件であると私は考えております。したがいまして、水特法に基づく第二条のダム指定につきましては、ダム予定地の所在する都道府知事の了解を得た上で行うというのが原則でございまして、八ツ場ダムにつきましても、群馬県知事の意向を十分尊重してまいりたいと考えております。なお、水特法二条のダム指定は、昭和四十九年七月の第一次指定以来昨年の四月まで第四次指定を行ってまいりまして、全国で四十一ダム等を指定し、このうち二十三ダム等について水源地域整備計画を決定して整備事業を推進しておりますが、この指定の際に、八ツ場ダムにつきましても毎回知事さんの意向を打診してまいっております。御案内のとおりの事情でそのたびに見送ってきておるというのが現状でございます。昨年一月にも知事さんから地元情勢について報告を受けておりますが、結論といたしましては、県独自の生活再建案づくりのための調査ができるような状態になってきたので、もうしばらくダムの指定については見合わせてほしいというような御要望でございましたので、今日まで指定を見送っておるというのが現状であります。
  55. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 そうしますと、知事の了解なしには二条の指定はやらない、こういうことですね。
  56. 北野章

    ○北野政府委員 おっしゃるとおりでございまして、三条、四条についてはそういう条文になっておりますので、そういうことでございます。
  57. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 お話ございましたように、三条の規定等見れば、知事が申し出て関係市町村長の意見を聞いた上でということになっておりますから、二条の指定ばかりを先行させても、現実には水特法は動かぬ、こういうことですから、ただいまの言明はぜひとも忠実に守っていただきたい。そのことを強く要請をいたしておきます。  そこで、それではなぜあの地域の人たちが不安に思っているか。私は率直に言って水特法に欠陥がある、かように考えておるのであります。そのことは毎度のこの分科会でも申し上げてまいりました。確かに水特法によりまして、公共事業につきましては補助金のかさ上げもする、あるいは下流県がお金を出しまして、地元の負担分を軽減する、こういう措置が法律で明確に規定をされております。ところが肝心のこの水没をされます、犠牲になられる方々についてはどうか。確かに法律の規定の上からいえば、この第八条に生活再建のための措置というものもございます。しかし、これを見れば「当該生活再建のための措置のあっせんに努めるものとする。」ということでございまして、せいぜい一生懸命やりなさいよ、こういうだけであります。いわば努力目標を掲げておるわけでございまして、義務規定にはなっていない。こういうところに地域の皆さんは非常な不安を持っておるのであります。いま知事が苦労いたしましてこの生活再建案の作成のために努力し、その調査にも努力をしておるようであります。ただ問題は、その案が地域住民の方々に十分理解の得られるものであるかどうか、この点問題がございます。地域の人たちもそのことを不安に思っているわけです。同時に、県がそういう案をつぐっても法律的にそれを裏づけするものが明確でないでは、ないか、こういう不安もあるわけです。  そこでお尋ねしたいと思うのですが、下筌ダムで御苦労された経験をお持ちの大臣、私は水特法については改正を考えたらどうかと思うのです。事務出局の方に聞きますと、いや基金をうまく運用するから大丈夫です、いまのところ法律改正ということじゃなくて運用でもって一生懸命やりますというようなことを多分お答えになるだろうと思うのですが、そうではなくて、私は政治というものは、率直に言って恐縮ですけれども、そういう言い逃れではなくて、ちゃんとするぞという姿勢を示すことが地域住民の理解を得る道ではないか、私はこう思うのです。園田さんの時代に、水、特法の不備については、上流県からもいろいろ要望が出ていることは御存じだと思います。法律改正をやるという御決意はございませんか。
  58. 園田清充

    ○園田国務大臣 いま御指摘のとおり確かに法律的に努力規定でございまして、このことが不十分であるという御指摘をいただいておることも承知をいたしております。ただ、私自体が事務当局から承っていろいろ勉強してみますと、先生のおっしゃるような御趣旨を踏まえながら検討してみましたが、関係する法律がたくさんございます。そのために、これは私単独でどうとかこうとかという、右左ということは非常にむずかしいのだという、私も率直に申し上げて実は壁に突き当たっているような気がいたしておるわけでございます。  そこで、問題は検討させていただくということにいたしまして、さっき御指摘もございましたが、現状の中で私どもは、いまのように水特法の精神にのっとって、そして基金の運用だとかあるいは公共一般の補償という問題を絡めながら、地域住民の方々のなるたけ納得の得られるような最善の努力をしていくことが当面の課題だと思いますし、将来に向かっては御指摘のようなことがもう先代時代からたびたび御指摘をいただいておることも承知をいたしておりますので、その点ひとつ前向きで検討させていただきたい、こう思います。
  59. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 せいぜい検討してください。ただ、地元の皆さん方の気持ちをここで代弁いたしますと、水特法を改正して私たちの生活再建に国が責任を持つという体制ができるまでは私たちはあくまでも反対です、こういう態度を地元の皆さん方とっておられるということをここで申し上げておきたいと思います。基金の運用なんかで何とかしたいということでは、地域住民の理解と協力を得ることはできないということをこの際はっきり申し上げておきましょう。  時間の関係がございますので、ほかの問題に移りたいと思います。  建設省、群馬県また県民が不満に思っているのは、ダムをつくりますと、多目的ダムですから、利水ばかりではなくて治水もやるのだ、こういうことになりますね。あるいは場合によっては発電もやるというようなことがあるでしょう。その場合、治水に対しては各県がそれぞれ分担金を負担しなければなりません。アロケーションですね。このアロケーションの割合が上流県に大変不利ではないかということを私自身も考えております。現在の負担区分は、聞くところによりますと昭和三十三年ないし三十四年のころの各県の資産状況等を考慮して計算されたものだと承っているわけです。昭和三十三年、三十四年と言えば、わが国の高度成長が始まった時期ですよね。それ以来わが国は経済高度成長を続けまして、特に大都市を中心にいたしまして大規模な臨海工業地帯ができる、あるいは大都市には大きなビル等がたくさんできる、こういう時代だったわけです。といたしますと、私は現在のアロケーションを計算した根拠というのは全く崩れているのじゃないかと思うのです。現在の状況でアロケーションを計算すれば、私は相当上流県の方が軽くなって下流県の方が重たくなるはずだ、かように思うのです。その再計算をする気持ちはないのですか。
  60. 堀和夫

    ○堀説明員 お答えいたします。  先生指摘のように、利根川水系のダムの治水費の地方負担割合は、昭和二十四年に決定されました利根川改定改修計画をもとに、利根川水系の洪水調節計画の規模、効果等を考慮して関係都県とも意見調整した上で定めたものであります。しかしながら、その後の流域の変化等によりまして流出の形態が変わって、同じ雨に対しまして現在は相当大きな洪水になるというおそれもありまして、現在治水対策を積極的に進める必要があります。ダムの治水費の地方負担率については、今後の治水計画の規模、内容等とも関係がありまして、利根川水系の治水計画の見直しとあわせて検討しておるところでございます。見直しに当たりましては、関係都県と十分協議をいたしまして、適切な措置をとりたいと考えておるところでございます。
  61. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 大体いつごろその再計算をいたしますか。いまのお話では、これから関係県とも協議してというようなことを言っているのですが、いつごろをめどに新しい負担区分を決めるつもりなんですか。
  62. 堀和夫

    ○堀説明員 お答えいたします。  利根川水系の治水計画の見直しを現在やっておるところでございまして、その結論を得ましてやることにしておりますが、現段階では見通しについてはまだ申し上げる段階には来ておりません。
  63. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 お役人というのは安全第一を考えてそういうふうなお話をされるのだろうと思いますが、そういうことで慎重に検討しているあなた方はいいですけれども、結局ダムができる上流県にしてみればそういう検討が先へ先へと行っていれば現在明らかに不合理と思われる負担を押しつけられるということになるわけですから、やはりそういうものを一日も早く改める、決して上流県にばかり犠牲を、負担させるのではありません、改めるべきものは改めていくんですよ、こういう姿勢を現実に打ち出すことが上流県の人たちの理解と協力を得るための一つの手段になるんじゃないかと私は思うのです。そういうことをしないでやっておれば、群馬県というのは首都圏のためにますます犠牲になるばかりじゃないか、こういう気持ちが高じてくることはあたりまえじゃありませんか。そういう意味でめどぐらいお示しになったらどうですか、こう申し上げておるわけですよ。
  64. 堀和夫

    ○堀説明員 現在流量改定の作業中でございまして、段階的にその都度その都度群馬県を含めまして各県と打ち合わせをしておるところでございます。めどにつきましては各県との話し合いを進めた上で決まってくることでございまして、いま直ちにそのめどがいつかということはまだ私どもとしては、急いではおりますが、立っていない状況でございます。
  65. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 それでは、それ以上言えと言っても無理でしょうが、改定すればいままでの経過から見て上流県の負担は当然軽くなる、こう見るのが妥当だと思いますが、いかがですか。
  66. 堀和夫

    ○堀説明員 治水費負担の中身といたしましては、洪水調節いわゆる水害防除によるものと、流水の正常な機能維持と申しますか、従来の水利慣行に対する補給効果というか、端的に言いますと農地のダムによる補給のメリット、こういう二つの要素があるわけでございます。それで、不特定補給といいますか、この点については耕地面積とか、そういう変遷を見て決まるわけでございますが、水害防除の効果ということにつきましてはかなり固定資産の増大という要素は入ってまいります。そういう要素で上流県についてはかなり適正な負担になるものというふうに私どもは考えております。
  67. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 軽くなるとはっきりおっしゃったらいいじゃないですか。皆さんも国民に向かってお答えになるということをお考えになってひとつ言葉は注意されたらどうかと御注意だけ申し上げておきましょう。  それからいま一つ建設省にお尋ねしたいのですが、問題は、水没を予定されている住民の方々、これに対する補償は昭和三十七年の公共用地の取得に伴う損失補償要綱、これでやっておられるだろうと思うのですね。この補償要綱を改めたらどうなんですか。具体的に言えば精神補償なんというのはいたしませんよというようなことをはっきり書いているわけですね。いまたとえば新幹線騒音公害等々問題になっておりますが、いまや精神補償というものは当然しなければならぬという時代になっているんじゃありませんか。そういう意味では、昭和三十七年におつくりになってその後時代が大いに変わっている、そういう中でいまなおその補償要綱を改めないということもいかがかな、私はこう思うのです。これについては改めるおつもりはございますか。改めるとすればいつごろまでに改めるつもりでございますか。
  68. 宮本泰治

    ○宮本説明員 お答えいたします。  現行の損失補償基準要綱は御指摘のように昭和三十七年に閣議決定されたものでございまして、制定以来十七年余を経過しております。この間におきます社会経済情勢というのは御指摘のように大変大きく変化しておりますので、特に被補償者の生活再建を図る観点からこの際補償基準要綱を見直す必要があるという御意見、御要望が出ておることは十分承知しております。私どもといたしましてはこのような御要望の出てまいりました背景の実態をまず正確に把握いたしましてしかる後に見直しを検討いたしたい、このように考えております。  それから事業損失の問題につきましては、道路関係では防音助成対策とか、新幹線の対策要綱とか、それから日照関係の費用負担要綱というようなものが基準化されてすでに実施されております。
  69. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 私は時間もありませんからこれ以上細かいことをいろいろお尋ねしようとは思わないのですが、率直に言って大ぜいの人たちに迷惑をかけるそういう仕事を民主的な制度のもとで行おうとすればどうしても当該地域の方々の理解と協力を得なければならない。その場合、いや、法律を改めるのはなかなか障害があるからひとつ運用で努力をしましょうとか、あるいは昭和三十七年にできました補償要綱は確かに長い時間がたっている、改める検討はいたしましょうということはおっしゃるわけでございますが、肝心の方は検討検討としておいて、そして地元の方だけに理解と協力を一方的に求めようとしても大変むずかしいことになるんじゃないかな、私はこう思うのです。ですから大臣、要は、そういう意味では政治というのは——お役人の方々は石橋をたたいて渡るというようなことなんでしょうから慎重なお言葉をお使いになるのはやむを得ないと私は思います。きのうも分科会で、予算編成で大変大ぜいの全国の方々がおいでになる、問題は、その各省の官房に官房調整費というのがある、その官房調整費というのは建設省なら建設省にすでに配分されたものだ、しかしそれを決めるのには一々局長さんや次官が大蔵省へ行って頭を下げるなり肩をもんだりしなければその配分ができぬということはおかしいじゃないか、そんなものはもうはっきり表に出してやったらどうですかと言いましても、なかなか大蔵省も、建設省の課長さんだったと思いますが、いや、どうも官房調整費が幾らかというようなことは私ども言うわけにはまいらぬというようなことを言っているわけです。私はそういうことでは世の中というのは変わっていかないと思うのです。  したがって、園田さんはダムについては非常な御苦労の経験をお持ちだ。私もかつて県会議員をやりました。県会議長さんとして下筌ダムでは御苦労されたと思います。そういった政治家の立場で、改めるべきものは改める、法律改正すべきものはする、閣議決定の補償要綱も改めるべきは改める、こうすることが、私はこういったむずかしい問題を解決する道だということを申し上げ、大臣の御感想を承っておきたいと思います。
  70. 園田清充

    ○園田国務大臣 いま御指摘がございました。いろいろ私どもは私どもなりに、また事務当局は事務当局なりに問題を解決をしていこうという努力を積み重ねておるわけでございますが、しかし、御指摘のとおり、やはり時代時代によってそれぞれの問題というものが対応の仕方が変わっていかなければならない、また見直しもしていかなければならないということがやはり私は政治だと考えております。そこで、同じようなことではございますけれども、ほかの問題で、けさ閣僚会議でむしろ事務的に積み上げてこられるよりも、閣僚の間で話し合いをして、一つの方向を出して、こういうことを検討してはどうかということを逆提示することがより近道ではないかというふうに私は考えるがという話を実はしてまいりました。そういう関係で、実は率直に申し上げて私は役人の経験のない男ですから、政治家は政治家としての判断の中で御趣旨を体しながら前向きで取り組ましていただきたい、こう考えます。
  71. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 結構です。
  72. 藤田義光

    藤田主査 以上で山口鶴男君の質疑は終了いたしました。  次に、上原康助君。
  73. 上原康助

    上原分科員 私は過疎地域と過疎対策の件についてちょっとお尋ねをさしていただきたいと思います。  御承知のように、現在の過疎法が今月いっぱいで期限切れになり、新しい法案といいますか一部改正、わが社会党が出している一部改正案と自民党さんの新法が提案をされているわけですが、現在の過疎法に基づく過疎対象市町村というのはどのくらいあるのですか。それが一つと、それとの関連における予算措置は五十四年度でどの程度なされようとしているのか、また五十五年度はどういう措置を講じようとしておられるのか、御説明をいただきたいと思います。
  74. 四柳修

    ○四柳政府委員 前段の団体数でございますが、現在全国のうち千九十三市町村が対象でございます。  それから、この法律に基づきます予算措置でございますが、大きく言いまして一つは現行法でございますけれども、国庫補助率のかさ上げの問題がございます。その対象としましては、一応五十四年度の当初予算の数字で申し上げますけれども、これは大変恐縮でございますが過疎ばかりではなくて、同様の特別措置がございます離島分も入っております。それで小中学校の統合の分が約百十億。それから保育所の分、これは全国枠でございまして過疎分だけは特掲できませんが、六百五十億。それから消防の分につきまして、これは過疎分だけの特枠でございますが三十二億。これが予算によります国庫補助のかさ上げでございます。  二番目に大きな柱としまして過疎債がございますが、過疎債につきましては御案内のとおりの数字でございますけれども、その分につきましてはやはり五十四年度地方計画では千二百十億と見ております。
  75. 上原康助

    上原分科員 もちろんいまの数字の対象市町村、また、いまの予算措置も、これは沖繩県は含まれていませんね。
  76. 四柳修

    ○四柳政府委員 適用対象外ですから入っておりません。
  77. 上原康助

    上原分科員 そこで、私はかねがねこの過疎法の適用対象に沖繩県も含めるべきではないかという主張を何回かやってきたことがあるのです。だが、御承知のように復帰に当たっての特措法があって、そういう面での補助率等々についてもかさ上げがなされているというようなことで適用対象外にしたわけですが、今回は適用をするということに——これは議員立法ですから、政府のお立場でのどうということはないかもしれませんが、適用された場合に、行財政面でどのような利点といいますか、有利な点、あるいは特に離島、過疎市町村にとってのプラスになる面はどういうことが考えられるか、一応御説明をいただきたいと思います。
  78. 四柳修

    ○四柳政府委員 仮定の話で恐縮でございますけれども、現在自由民主党、それから社会党、もう一つ公明、民社両党の案、三案が出ております。いずれも沖繩を対象としております。  内容的には若干の差はございますけれども、この各党の案を前提として申し上げますと、一つは先ほどお尋ねがございました国庫補助率の問題がございます。しかし、これは沖繩につきましては現在の振興法の方が補助率が高うございますから、適用の対象にはなりません。  二番目に、過疎債の問題がございます。これは現在沖繩にございませんから、これが対象になりまして、幾つかの市町村が適用になりますと、その過疎債の元利補給金の七割が交付税でめんどうが見られます。  三番目には、予算とは直接関係ございませんけれども、関係地域住民の方々に対しまして農林漁業金融公庫の融資あるいは住宅金融公庫の融資等がございます。これは若干通常の条件より有利な条件でございます。しかし、これも沖繩の公庫で現在やっております条件と大差ございません。期間的、利率的の若干の差はございますが、それほど特に差はございません。  そういう意味で、過疎債が端的なメリットでございます。
  79. 上原康助

    上原分科員 おっしゃるとおりだと思うのです。そこで、時間がありませんので細かいところまでは触れられませんが、いまの社会党案、自民党案、新たにまた公明、民社の御提案もあるようですが、対象市町村はたしか二十ぐらいになっていますね。それと経過措置をとられる市町村が四つ、計二十四。経過措置については政府としても十分な御配慮をいただきたいという要望を申し上げておきたいと思います。  過疎債が大きなメリットといいますか、有利な点になるということは、全体的には特措法での措置というものが有利だったかもしれませんが、離島、僻地、過疎町村にとっては、公共施設の問題とか、あるいは保育所、公民館、その他の面において必ずしも十分な措置がとれなかった。したがって、今回の措置においてそのような面が前進するようにぜひ御配慮をいただきたい。  そのこととの関連で、これは国土庁長官の御所見も聞いておきたいし、沖繩開発庁来ておられると思うのですが、われわれが一つ懸念するのは振興開発計画、御承知のように五十六年度、五十七年三月三十一日で期限切れになる。そうしますと、あと二カ年はいまおっしゃったように振興開発計画の特別措置の財政措置がなされる。同時にまた過疎債というものも適用できるというようになるわけですが、期限切れに当たってなし崩しにされていくんじゃなかろうかという懸念を持っているわけですね。この点は、二次振興計画に当たってはぜひ開発庁も十分配慮をしていたただきたいし、また、国土庁としてもまだまだ格差の是正、特に過疎地域、離島市町村というものは一向に是正がされていない実態でありますので、そこいらは継続した特別措置というものが必要だと私は思うのですね。この件についてひとつお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  80. 野村誠一

    ○野村説明員 お答え申し上げます。  先生指摘のとおり、沖繩振興開発特別措置法が五十七年三月三十一日で失効するわけでございますけれども、その後特別措置法を一体どういうふうに取り扱っていくかという問題でございますけれども、今後の沖繩の振興開発のあり方をどうするかということについて現在検討することにいたしまして、沖振法なり沖振計画に基づく事業、施策、そういうものの効果とか問題点あるいは沖繩の社会的あるいは経済的な諸情勢、そういったものについて現在必要な調査検討を進めておるところでございます。こういった調査検討の結果を踏まえて、沖繩に引き続き何らかの特別な施策なり特別な措置が必要かどうか、あるいはそのための特別な法律が必要かどうか、その辺をじっくり検討してまいりたいと思っております。
  81. 園田清充

    ○園田国務大臣 開発庁の方から御答弁があって、法律の期限切れ以後の問題についてはなお検討中であるということでございますので、所管の大臣でございませんから、私国土庁長官としての立場から申し上げますと、今回の過疎法の改正に当たりましても落ちていく町村が若干ございます。しかし、いま御指摘のとおり、落ちたからといってすぐ何らの措置もしないということでは当然市町村としては非常に苦しい立場に立たされますし、同時に、離島の問題は本土の場合に比べてみましても、今日の段階でもなおいろいろな面においてかなり格差があることは御指摘のとおりでございます。そこで、経過措置として、当然私どもは財政上の問題も配慮しながら、この市町村が非常な苦境に立たされないようなことを頭に置きながら問題に対処していかなければならないというふうに考えております。
  82. 上原康助

    上原分科員 ぜひ御配慮をいただきたいと思います。  そこで、これとの関係もありますが、遠隔地補正の問題についてちょっとお尋ねしたいのです。  私もよく勉強したわけではありませんが、昨年の五月でしたか、参議院の地方行政委員会でわが党の佐藤三吾先生が取り上げておるわけですが、これにはいろいろ基準なりがあって、御専門の方でないとなかなかわかりづらいような内容のようですが、遠隔地補正の問題は遠隔地市町村の級地区分とかいろいろございます。そのときに人口段階の補正係数の上限を全面的に撤廃することは不可能なんだが、現行の上限となっている六・五〇%は昭和四十一年以来のものであるので調査をして見直しをしたい、あるいは校舎建築の事業費補正係数については本土並みにするのは交付税の公平を欠くことになるのでむずかしい、しかし、沖繩の地方公共団体の財政需要についてはいろいろな角度から配慮してしかるべき措置をとりたいと、自治省は来ていらっしゃると思うのですが、そういう御答弁がなされているわけですね。その後どのように改正をされたのか。そのときにも、人口二千人以下の遠隔地ですか、村にとっては大変な損をしている、たとえば沖繩県内で言いますと、多良間村、南大東村、北大東村、伊平屋村、粟国村、座間味村、渡嘉敷村、渡名喜村、こういう地域がこの遠隔地補正の面で従来頭打ちといいますか、そういうことでなかなかうまくいっていないということで、五十四年度に是正をされたという話も聞いているのですが、現状はどうなっておるのか、また、どのような措置をしたのか、措置したとすれば予算的にどういうふうなプラスになったのか、ひとつ御説明お答えをいただきたいと思います。
  83. 能勢邦之

    ○能勢説明員 隔遠地補正でございますが、御案内のように、これは普通交付税の算定の基礎に用いておるものでございます。この補正は、離島、その他隔遠の地にございます市町村の、たとえば公務連絡の旅費あるいは通信、運搬費その他の投資的経費等につきまして、割り高になる経費について基準財政需要額に的確に算定してまいるという趣旨で設けられているものであるわけでございますが、お話がございましたように、この補正自体は三十九年に創設いたしたのでございますが、四十一年以来の六・五という人口段階による上限率を含めまして五十四年度に改正を行っております。具体の内容としましては、人口段階による制限率を六・五から七・五に引き上げてございます。それからさらに、隔遠地の級地区分に伴います率につきまして率の改善を図っております。その結果といたしまして、ちなみに数字でどうかというお話でございますが、沖繩県の全市町村につきまして昨年基準財政需要額に算入されました隔遠地補正による増加財政需要額でございますが、十八億五千二百万円でございまして、前年度に比較いたしまして二億七千万円増額されておるということになってございます。五十四年度の数字でございまして、五十三年度に比較して二億七千万増額されておるということでございます。
  84. 上原康助

    上原分科員 その点は先ほど引用しましたとおりでありますので、御努力に敬意を表したいと思います。  そこで、これは五十五年度はどうなるのですか。六・五〇から七・五〇に変えた段階だからすぐまた改正ということにはならない、この率で当分は推移をしていくというお考えですか。五十五年度予算措置はどうなりますか。
  85. 能勢邦之

    ○能勢説明員 隔遠地補正全体のあり方につきましては、先ほど申しましたように五十四年度にかなり大幅な改善を図ってございますので、今後の市町村財政事情等を注目しながら慎重に対応してまいりたいと存じておりますが、なお、沖繩の市町村につきまして先ほど人口段階による制限率を七・五にした、こう申しましたが、すべての市町村がすでにその制限率以内に入ってございますので、それをさらに動かすこと自体は、もう影響はないわけでございます。
  86. 上原康助

    上原分科員 そうしますと、きのう自治省からいただいた沖繩に関する資料、いまの数字十八億五千二百万円、これはわかりました。  次に、時間がありませんので、遠隔地市町村の等級区分、いろいろ基準があるようですが、沖繩の場合はこれはどういうふうにしているのですか。この点についての御説明は後で資料を出していただきたいと思うのです。いいですか。
  87. 能勢邦之

    ○能勢説明員 一応御説明させていただきますが、級地区分につきましては、隔遠地補正の基礎に使うものでございますが、県庁までの距離だとかあるいは地方事務所までの距離、その他離島の場合は管内の交通事情といったような要素を一定の点数化いたしまして、そして一から六級地まで区分をいたしておるわけでございます。  なお、沖繩につきましては、区域内の市町村の地理的状況等を勘案いたしまして、本土市町村とは違った扱い方をいたしております。本土市町村よりもより特例的な措置ができるような配慮をしておるということでございますが、地域区分に対応する乗率を自治省令で特別に定めておりまして、隔遠地のための財政事情がより的確に算入できるように措置いたしておるところでございます。
  88. 上原康助

    上原分科員 ですから、この一級地から六級地までありますが、なかなかわかりにくいので、後でまたよくこの点を教えてください。  それともう一つ、辺地法でしたかの適用といいますか、沖繩の市町村の辺地区分というものはなされているのかどうか。これは同時に今後辺地法の適用も検討をするに値しないのかどうか、この点については御意見を賜っておきたいと思います。
  89. 土田栄作

    ○土田説明員 沖繩振興開発特別措置法の第五十五条に規定がございまして、その規定によりまして、過疎振興法を初めといたします九つの法律が沖繩については適用除外されております。この適用除外の中には辺地法も含まれているわけでございます。したがいまして、現在沖繩については辺地法は適用されていないという状況でございます。今後の問題でございますが、現在沖繩につきましては、沖繩振興開発特別措置法に基づく施策を行うという法体系をとっておりますので、その法体系の中身をどうするかという問題だろうというふうに考えます。
  90. 上原康助

    上原分科員 ですから、過疎法もそうなんだが、五十五条で適用除外で対象にされなかったから、今度それを改正すれば適用されるわけなんで、私はすぐどうということじゃありませんが、しかし、自治省なり国土庁では一応、適用した方が沖繩の辺地市町村あるいは辺地地域住民に有利になるのかどうかは検討に値するものじゃないですか。法律のいまの仕組みを言っているわけじゃないのですけれども、そこはどうなんですか、御見解があれば承っておきたいと思います。
  91. 土田栄作

    ○土田説明員 過疎法は十年の期限切れになりまして、新過疎法をつくるという時点において検討して、沖繩振興開発特別措置法を外すということが適当であろうというふうに院の方で意思を御決定なさるわけでございます。辺地法につきましては、現在の法律がまだ二年ございます。現在の法律の立て方といたしまして、辺地法は適用しないで沖特法の方を適用するという立て方になっておりますので、この法律の期限切れのときにどうするかということを検討すべき課題であるというふうに思っております。
  92. 上原康助

    上原分科員 あなたはなかなか理屈がうまいのだ。私が聞いている内容はそうじゃないのですね。時間がありませんから、いいでしょう。いずれにしても、今度過疎法が適用されたことになりますと、この辺地法の問題も出てくるということは念頭に置いてやっていただきたいということを御要望申し上げておきたいと思います。  次に、建設省もおいでだと思うのですが、これも沖繩特有の問題でして、われわれ戦後処理の一環だと言っているわけですが、いわゆるつぶれ地補償問題、市町村道未買収用地補償の件ですね。これは何回か私も分科会予算委員会でしたか、内閣委員会あるいは沖特等でもいろいろ取り上げてきたのですが、端的に言いますと、市町村道つぶれ地の適正補償を早急にやってもらいたいということですね。講和条約発効前後を問わず、補償していただきたい、補償すべきだ。さらに、国道、県道は問題はないわけですが、市町村道の一級、二級という区分けがあって、いろいろ難渋しているわけですが、等級のいかんを問わず、全面的に補償をしなさい、こういう三点に主に分けられるかと思うのです。これまでの開発庁なり建設省の御回答は、一、二級以外のつぶれ地についても、地主に迷惑をかけない新たな方法を考えて解決をしたい。その新たな方法を考えて解決をしたいという内容は今日どうなっているのか、これをぜひ明らかにしていただきたい。
  93. 杉山好信

    ○杉山説明員 お答え申し上げます。  先生いまおっしゃいました、新たな方法を考えるという点につきましては、多分こういうことではなかろうかと想像するわけでございます。昨年末沖繩の地主会の方々が私どもの道路局の幹部の方へ参られたときの御要望をいろいろお聞きしたときに、そういうふうな話が報道としてなされたのではなかろうか、その面で先生はおっしゃっておられるのではなかろうかと思うのですが、その点確かめさせていただくのは非常に失礼かもしれませんが、そういう面で申し上げますと、地主会の方々がおいでになりましたときに、建設省としましては、できることとしては、道路整備特別会計の範囲内におきましては、幹線市町村道のつぶれ地を対象として最大限の補償をしてまいりましょう、道路整備特別会計ではそれ以上のことはなかなかむずかしいので、それ以外のことについては関係各省庁いろいろ今後考えながら解決の方向を考えていく必要があるのではないか、そうしなければならない問題だろうというふうにお答えをしておるわけでございます。くどいようでございますが、私どもの方としましては、幹線市町村道を対象にいたしまして、国庫補助でつぶれ地買収を積極的に今後進めてまいりたい。  なお、追加させていただきますならば、幹線市町村道につきましては、数年前に決定したものでございますので、その後の諸情勢あるいは土地利用情勢あるいは各種公共公益施設の張りつけ状況、そういうものも含めまして見直しをいま行っておるところでございまして、できるだけ早く、そういった幹線市町村道に新たになってくるものも含めまして、今後つぶれ地買収を進めてまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  94. 上原康助

    上原分科員 そこで、見直し作業は全般的にはまだ終了していないということですか。それはいつごろまでに終えるのですか。
  95. 杉山好信

    ○杉山説明員 ただいま全国的な市町村道の見直しの中で行っておりまして、沖繩もその中で進めております。できるだけ早く決めたいということで、五十五年度なるべく早い時期に決めたいというふうに考えております。
  96. 上原康助

    上原分科員 ぜひ進めていただきたいのですが、数字を申し上げますと、市町村道つぶれ地の総計が四百万平米ですね。金額にして約八百億くらい。その中で一番問題になっているのはその他の市町村道分ですね。いわゆる一級、二級に入らないもの、これまでも関係市町村からも自治省あたりに相当要望が行っていると思うのですが、これまでは、先ほど申し上げました、あるいは何も新聞報道だけじゃなくして、そういうことを建設省の方も沖繩開発庁なり自治省も言っておられるのですよ。要するにその他の分については、どっちでも該当しないものについては起債で充当するとか、その起債分については特別交付税で見るのか普通交付税で見るのか、これは自治省はどういうお考えを持っているのですか。  それが一つと、もう一つは、開発庁にちょっと聞いておきたいわけですが、いま五十五年度中の早い機会にということですが、五十五年度つぶれ地の処理に要する予算措置はどれだけになっているのか。あるいは五十四年度の買収執行状況はどうなっているのか、この二点についてそれぞれ自治省、開発庁の方からお答えください。
  97. 土田栄作

    ○土田説明員 御質問のございましたつぶれ地の問題につきまして、自治省といたしましては、まず、基本的には極力県道なりあるいは幹線市町村道なりの格上げをしていただきたい、それによって国庫補助負担の対象あるいは交付金の対象にしていただきたいということを、これはかねがね各関係省庁に申し上げているところでございます。そこで、これらの措置によりまして残るものがございます。裏負担の出てくるものがございます。それにつきまして、その金額が単年度で多額になりますような場合には、各市町村の財政運営にも支障が生ずるということで、必要に応じまして、これは御指摘のありましたとおり、地方債をもって措置いたしました。さらに、その償還費が多額になる、これまた財政運営に支障が生じますので、これにつきましては当該市町村の全般的な財政状況を考慮しながら、特別交付税によって措置いたしているところでございます。今後ともそういたしたいというふうに考えておりますが、その具体的内容については、今後各市町村の裏負担の状況等が明確になった段階で措置してまいりたいというふうに考えております。
  98. 山田哲朗

    山田説明員 お答え申し上げます。  つぶれ地の問題は非常に重要な問題でございまして、私どもかねてから、国道、県道につきまして買収を進めておりますほか、市町村道につきましても、五十三年度で県によります実態調査が一応終わりましたので、五十四年度から買収に着手するということで、予算を十億円、国費でございますが計上いたしておるところでございます。大体昨年の秋あるいは暮れぐらいから、十数市町村でございますが、買収のための測量でございますとか、あるいは相手方との交渉でございますとか、そういうことを進めてまいっておりまして、相当いま一生懸命やっておる最中というふうに承知しております。来年度でございますが、本年度の倍に当たります二十億円の国費を計上させていただいております。
  99. 上原康助

    上原分科員 いろいろ前向きに解決の方向に向かいつつあるようで、御努力を多としますが、これは冒頭申し上げましたように、沖繩の戦後処理の問題で、抱えている関係町村もこういう財政状況の中でなかなか大変なんですよ。ですからこれは建設省、自治省、開発庁、まあ国土庁関係しますよね。大臣の方からもそれぞれ、五十五年度いっぱいにはこの問題は必ずやる、地主やその関係町村に負担をかけぬ、そういう立場でやるという決意をそれぞれお述べになっていただいて、質問を終わりたいと思うのです。
  100. 園田清充

    ○園田国務大臣 ただいま五十五年度中に終わる、やるという決意を披瀝しろということでございましたが、事務方でもいろいろ努力をいたしていることは、その努力は多とするということで御質疑の中に最後につけ加えていただいたことでございます。私どもも関係省庁とひとつ十分協議をいたしまして、また閣僚とも相談をして、御趣旨に沿うような努力をさせていただきたいということで、御了承賜りたいと思います。
  101. 上原康助

    上原分科員 建設省、逃げたら困る。
  102. 杉山好信

    ○杉山説明員 先ほどのお話で、さらに再度申し上げることになると思いますが、私ども、幹線市町村道の見直しをなるべく早く仕上げるように努力してまいりたいと思います。
  103. 上原康助

    上原分科員 自治省。
  104. 井下登喜男

    ○井下説明員 自治省の立場といたしましては、先ほど申し上げたとおりなのでございますが、要するに、各市町村の財政運営が支障を来さないように、今後とも一層の努力を続けてまいりたいというふうに考えております。
  105. 上原康助

    上原分科員 終わります。
  106. 藤田義光

    藤田主査 以上で上原康助君の質疑は終了いたしました。     〔主査退席、児玉主査代理着席〕
  107. 兒玉末男

    ○兒玉主査代理 次に関晴正君。
  108. 関晴正

    ○関分科員 国土庁長官に御質問申し上げたいと思います。  このたび、初めて青森県から出させてもらいました社会党の関晴正でございます。  私どもの青森県では、ここ十年、むつ小川原開発ということで、常に与野党における政治の中心課題できました。昭和五十二年の八月に、国土庁を中心としまして十三省庁会議等を経まして、初めてこの開発計画というものが閣議口頭了解、こういう形でスタートされたわけであります。この閣議口頭了解というスタートというものは、これは一体、国が責任を持ってこの仕事をするということの意味なのか。ナショナルプロジェクトなんだという位置づけをしていいものなのかどうか、その点を第一に伺っておきたいと思います。
  109. 園田清充

    ○園田国務大臣 いま御指摘がございましたが、これをナショナルプロジェクトということで受け取っていいのかどうかということでございますが、閣議口頭了解ということの御質疑がございましたけれども、前提としてその経過を申し上げますと、地元ですからもう十分御承知だと思いますが……。
  110. 関晴正

    ○関分科員 ずばり答えてください。結論だけで結構です。
  111. 園田清充

    ○園田国務大臣 そこで、青森県が計画をいたしましたものを、五十年の十二月に第二次の、第一次は四十七年ですけれども、第二次基本計画としてそれぞれ取りまとめられたものがむつ小川原の開発でございますが、それを五十二年、閣議口頭了解を得ておりますが、そこで、いまのその閣議口頭了解を得たならば、これはナショナルプロジェクトとして考えてよいのかどうかということですが、ナショナルプロジェクトというものに定義というものはなかろうかと思います。そこで、いま申し上げましたとおり、先生の方で、これはナショナルプロジェクトだということでお考えいただければ、それはそれでも結構だと思います。と申し上げますのは、三全総の中に私どもはやはりこの計画をうたっておりますので、決して青森県だけの問題ではなく、私どもが、国なら国としての責仕もまた一半をしょわなければならない問題だというふうに御理解願って結構だと思います。
  112. 関晴正

    ○関分科員 そんな理念のことで、思えばそうなる、思わなければそうならぬというような話で聞いているのじゃない。ナショナルプロジェクトという定義がない、こうおっしゃいますけれども、国が責任を持ってする事業のことをナショナルプロジェクトと言うんじゃないですか。青森県の知事は、これはナショナルプロジェクトだとわれわれ県議会に、かつての論議をしたときにはっきり言いました。ところがこちらに来ますと、国の方は何と言うかというと、そんなものではない、これは地域開発ですよ、こう言うのです。こっちへ来れば地域開発、青森へ来ればナショナルプロジェクト、行ったり来たりだ。はっきり聞きたいのは、これはナショナルプロジェクトいうものじゃない、あるいはある。理念によって、思う、思わないによって決まるようなものじゃないでしょう、大臣。国が責任を持っておやりになる事業がナショナルプロジェクトだ、こう思うのです。計画にあったとかなかったとか、あるいは補助金を出しておったとか、あるいは参与しておったとか、しないとか、そんなことは関係ないと思う。これは新全総から三全総から続いて、長いことやってきた問題です。ナショナルプロジェクトでないならないとはっきり言ってください。あるならある、と。
  113. 四柳修

    ○四柳政府委員 いま御質問の中にも、国がやる事業だからナショナルプロジェクトかどうか、こういう御発言がございました。そういう意味で申し上げますと、たとえば国が直轄事業でやる分も、小さな港でも川でもございます。ただ、お尋ねのナショナルプロジェクトという意味は、そういった単独の地域の問題ではなくて、むしろ日本全体の大きな方向なりそういったことにかかわる問題ではないだろうか、こういうお尋ねだと思うのですが、そういう意味で、大臣が、三全総なりいろいろな計画で国がサポートしていることだから、ナショナルプロジェクトだと御理解をいただいても結構でございます、こう御答弁したわけでございます。
  114. 関晴正

    ○関分科員 そんなことを聞いているんじゃないのです。青森県としては、閣議口頭了解を持ったことからして、これは国が責任を持ってやることなんだ、こう説明しているのです。時の知事は竹内俊吉ですが、これはナショナルプロジェクトだと言って住民を説得してきたのです。思えばそうなる、思わなければそうならぬ、そういう思う思わぬの問題ではないでしょう。これは国が責任を持ってやる仕事ですか、やらない仕事ですか、そこだけ答えてください。
  115. 四柳修

    ○四柳政府委員 国が計画で書いている以上、国が責任を持ってバックアップする仕事でございます。
  116. 関晴正

    ○関分科員 この第一期、第二期の計画はやれると思っていますか、大臣お答えください。
  117. 園田清充

    ○園田国務大臣 長期にわたる計画でございますので、私どもは、いまのように、計画の中にも時期的にいつ完成するということは三全総の中でも示しておりません。同時に、ではいつごろまでにできるかということでございますけれども、六十年ごろには何とかひとつ大規模工業団地としての一応の出発はさせたいという考え方で現在取り組ませていただいているというのが実情でございます。
  118. 関晴正

    ○関分科員 具体的に聞きます。石油精製が第一期、二期合わせますと百万バレル、石油化学は第一期、二期合わせますと年間百六十万トン、火力発電は合わせますと三百二十万キロワット、これはサミットの会議における一つの方向、そういうものから見ますと、石油精製にしても火力発電にしても無理になりませんか、お答えいただきます。
  119. 四柳修

    ○四柳政府委員 ただいま例に挙げられました点でございますけれども、やはり計画をつくりましたときと現在の時点とは、それなりの情勢の変化はあろうかと思います。しかし、計画をつくった以上、その目標に向かって関係者が努力するのは当然でございまして、いまの段階で全然できないという断定はできませんけれども、私どもは青森県と一緒になって、できるだけその目標に向かって努力していきたいと思います。
  120. 関晴正

    ○関分科員 計画というものはできるものです。できないものは願望であり構想でしょう。計画ということは、いつからいつまでという時間の制約があります。いつできるかわからぬようなものは、計画というものではありません。構想、願望のたぐいです。そういう意味から言いますと、この石油精製の百万バレル、火力発電の三百二十万キロワット、大臣、これは昭和六十年までにその見通しがありますか、ありませんか。
  121. 園田清充

    ○園田国務大臣 いま局長から申し上げましたとおり、経済情勢の変化その他からして、計画にも早まる場合もあれば遅まる場合もございましょう。しかし、設定した以上、私どもはそれに向かって前進を続けていくということが当然とるべき道、歩むべき道である、かように考えております。
  122. 関晴正

    ○関分科員 決意はわかりました。しかし、諸情勢からいって、サミットの会議からいっても、わが国の石油精製の一日の可能性からいっても、五百四十万バレルでしょう。多くいっても六百三十万バレルでしょう。それはいまの日本の能力からいって可能でしょう。さらにこれを加え、さらにこれを必要とするということはなかなかないのじゃないですか。火力発電所だってやらないと打ち出したでしょう。努力や何かでやるということが、サミットの方針と相反することがあなた方できますか、お答えください。
  123. 園田清充

    ○園田国務大臣 重ね重ね申し上げますとおり、計画をしたことについては、私どもは努力をしていかなければならないと思います。同時に、いま御指摘があったようなことで、たとえば石油事情一つとってみましても、通産省自体は非常な努力をしておると思いますが、きのうの夕刊でもごらんいただいたとおり、たとえば備蓄というものについては、価格問題その他の問題からして、産油国から消費国への輸出の制限をやるというようなことが夕刊にも書いてあります。同時に、いい話としては、園田特使が行っていることで、かなりわが国に対する石油の供給の問題も好転をしてきているのではないかということもまた新聞で伝えられておる。こうした時々の変化に対応してまいらなければならないことでございますので、国際的な変化に対応するのに、私どもが計画を立てたからそのとおりいくということは残念ながら明確に申し上げられませんが、しかしそのことに向かって前進し努力をするということは、当然政府の責任として遂行していくべきだと考えております。
  124. 関晴正

    ○関分科員 決めることは決めた、責任を持って遂行する決意はある、そこまではわかります。しかしながら、現実にこの計画を変更して、この計画に何らうたうことのなかったところの国家備蓄基地ということで今度踏み込んだでしょう。計画にあるものができないで、計画にないことを取り入れたということは、これは大臣どういうことです。
  125. 四柳修

    ○四柳政府委員 現在の時点では、確かにマイナス要因があるかもしれませんけれども、御案内のように、石油の問題というのは国際的な問題でございまして、長い目で見まして計画をつくりました目標に対しまして、今度は別の要件が出るかもしれませんから、それなりの努力をしなければならないと理解しております。
  126. 関晴正

    ○関分科員 いまのような答弁は、私は非常に間違っていると思うのです。そういう態度だから期待させるわけですよ。長い目で見ればいいだろう、そのうちにできる。しかし、長い目で見たら石油はなくなるでしょう。石油時代というのは二十世紀で終わりだろう、こう言っていますよ。二十一世紀は新しいエネルギーの時代に入る、入らなければなるまい、こう言っていますよ。長い目で見てでき上がったときは油も何もございませんでした、これはそういう方向になってしまう可能性が十分だと思っております。そういう意味で、大臣聞いてください。せっかく工場をつくる、石油コンビナートにする、第一次の青森県を第二次県にするといって、大きな旗を立てて一大活動をしたのです。青森県の貧弱な財政のすべてをここに投入してかかったと言っていいでしょう。われわれもまたそのことについて、この計画は無謀であり、むだであり、無理だと言ってやってきたのです。そこで、石油コンビナートをつくるといっても、工場を一つもつくるのではなくて、タンクをつくるのでしょう。工場と倉庫とは同じものではありませんよ。まるっきり違うものですよ。三年据え置きの備蓄タンクをここに五十一個もつくって、五百六十万キロリットルの基地にしようというのです。方向は明らかに大転換じゃありませんか。そう思いませんか。
  127. 園田清充

    ○園田国務大臣 いま重ね重ね申し上げて失礼かもしれませんけれども、たとえば苫小牧の東部地区において三井がやはりこの時点でコンビナートの計画を発表していくということ、企業それぞれの努力目標もございましょうし、だから青森県がいまのようなむつ小川原の場合に立てられた計画が、では先に全然見通しがないかというと、私はゼロだという考え方には立っておりません。やはり将来への展望というもので、いまの計画に向かって前進していくべきだというふうに考え、また青森県にもそのような御努力、御協力を願いますし、関係する所掌事務を持っておる関係者についても、その方向での協力を求めていきたい、こう考えております。
  128. 関晴正

    ○関分科員 この問題については、いずれまたゆっくり議論しなければならぬ問題を含んでおりますが、青森県がこのことに対処してきた数多くの損失と申しましょうかエネルギー、これが県民のためになるようなものにならないことを憂えて、私どもは問うておるわけです。  そこで、さらに続けますけれども、この国家備蓄基地というものが、五百六十万キロリットルと考えられているわけですけれども、これは石油公団がおやりになると思っておったのだけれども、そのうちの一部を民間の方にやるというふうに変わっているわけなんです。すべて石油公団が責任を持つべきものじゃないだろうかと思うのですが、その点はどうですか。
  129. 森清圀生

    森清説明員 先生指摘のとおり、むつ小川原の国家備蓄基地は、石油公団が直轄ですべてやるという構想が当初あったことは事実でございますけれども、石油公団がみずから建設、操業、こういうものを担当するということになりますと、質的にも量的にも非常に膨大な人間をみずから確保して実施しなければならぬということになりまするので、(関分科員「能力がないからか」と呼ぶ)それじゃ結論だけ申し上げますと、国家備蓄の基地をできるだけ早く効率的に建設し、かつオペレーションするためには、民間の活力を最大限生かしてやっていく方が望ましいということで、私どもは民間の活力を最も有効に活用する方式として別会社方式というものを採用したわけでございます。
  130. 関晴正

    ○関分科員 とにかく四十カ月以内にこの膨大な、後楽園みたいなものを五十一個もつくると言って張り切っているんだが、この土地の下には活断層がある。その活断層問題ということがどの程度おさまっておりましたか、お答えください。
  131. 森清圀生

    森清説明員 活断層問題につきましては、私ども従来からボーリング、弾性波探査、航空写真の鑑定、いろいろな角度から十分に検討を専門家にお願いしてやっていただいておりまして、その結果、当該地区に備蓄タンクを建設するのに支障となるような活断層はないという結論をいただいております。
  132. 関晴正

    ○関分科員 あるなし論争については今後さらに検討して十二分に対処してやっていただきたい、こう思います。これ以上深く入りません。  そこで、せっかくタンクがつくられる、そういうことを仮定するのですけれども、その場合にこのタンクにどうして油を入れるかという問題が出てきます。この油を入れる問題になりますと、一点係留ブイバースでいこう、この一点係留ブイバースについては、青森県の資料が着標の日数というものをおおよそ一年間の七九%と見た。ところがあなた方の方で出しているところの原油一点係留ブイバースの調査報告書、これは運輸省第二港湾建設局横浜調査設計事務所、この調査によって示しているところによると、三百十一日じゃなくて二百六十日と出ているのです。この違いはどうして出てくるのかということを一つ聞きたい。  さらにこの中に示されている二十七時間以内の作業が外海でできる日数はどのぐらいあるだろうかということを見ると、着標の期間というものは実に百六十一日、霧の日もあるものだから勘定するとそう出ている。県の出した資料は七九%、あなた方の出した資料によって私どもが見ますと四四%です。こうしたはなはだしい差が出ているということについて、港湾審議会はこれをどう審議しましたか、お答えください。
  133. 鮫島泰佑

    ○鮫島政府委員 お答えいたします。  いま先生いろいろな数字をおっしゃいました。そういういろいろな数字があるわけでございます。簡単に御説明を申し上げますけれども、港湾審議会の資料に載っております着標可能日数二百八十九日という数字の求め方でございますが、これはまず船が入ってまいります時間帯を日中、つまり午前六時から午後六時までという範囲内で、平均の風速が一秒十五メーター以内かつ波高が一メーター五十以下、さらに視程、見通しでございますが、一・八キロメーター以上ある、こういう三つの条件を兼ね備えたものを拾っていった、こういうものが三時間以上続く日数がどれだけあるかということを出したものが二百八十九日でございまして、この場合には五カ年間の資料を使用しているものでございます。それが一つの数字でございます。  次に、二百六十日という第二港湾建設局の数字でございます。これにつきましては波の条件だけでとりあえず計算したものでございます。波が一・五メーター以下、そして先ほどはブイに着くために三時間ということで計算しておりますが、この二建の方の資料は、一メーター五十以下の波が二十四時間続く日数はどれだけあるか、この場合には風あるいは視程というものは条件に入っておりません。そういう仮定で計算しましたものが二百六十日という数字でございます。  もう一つ数字がございまして恐縮でございますけれども、百八十三日、これは先生もおっしゃいましたけれども、これも波だけでございますが、一・二メーター以内の波が二十七時間以上続く、これが何日あるかということをとったものでございます。先ほどの二百六十日とこの結果の百八十三日というのは、いずれも一年間の資料をもとにして、波だけのことで拾い出しました数字でございます。  なお、最後に四四%ということを先生おっしゃいました。これは直接どちらの資料にもあるわけではございませんけれども、最後に申し上げました百八十三日というものから、今度は霧で着けないであろうという二十二日というもの、その二十二日という数字は独立して港湾審議会の方の資料にございます。それを継ぎ足しまして、つまり百八十三から二十二を引きまして、それを三百六十五日で割ると四四%である。これは私どもの資料に直接出ている数字ではございません。  そういうようなことで、それぞれ別の意味を持ち、別の計算方法でやったということでそういう数字の食い違いがあるわけでございます。
  134. 関晴正

    ○関分科員 私は、利水の対策のときには最も水が不足なことを予想して立てる、それから洪水の場合には最も大きなところを基準として立てる、こういう基本方針があると思うのです。こういう港湾をつくる場合には最も波の荒いとき、最も激しいときが基準になるだろうと思う。最も安全な日の多い年を基準にしてということにはならないと思う。そういう意味では、いまの観測のとり方です。ここに私は写真を持ってきておりますが、鷹架の観測所というのがあります。それから一キロメートルばかり北の方には発茶沢の観測所があります。発茶沢というところは最も見通しのよい、裏に山もあるわけじゃない、そうして最も強い風を受けるところです。この発茶沢を観測データとしてとっていけばいいものを、あなた方は鷹架の観測所をデータとしてとっておる。そこにはまた理由があるでしょう。言うなれば何年続いているとか、五年間の継続を見たいとか。しかし私は、五年間の継続をという理由で安易な方法をとり、とにかく一年でも最も危険なそういうものが示されている発茶沢というものをそのままにしたままで事に対処したということは、まさしくデータのとり方において都合主義であった、こう思うのです。天を欺く行為であったのじゃないか、私はこう思います。そうしてさようなことのないように私は望むわけです。  そういう意味で当時の論議の過程、海湾審議会における議事録を示せ、こうあなたに求めましたが、あなたは一向にこれにこたえてくれません。議事録というものは国会議員に見せるものじゃない、これがあなたの態度でした。私はこの態度を容認はできません。今後もそういうものは全部公正に見せていただきたいし、見せるべきものだ、こう思いますので、この点についてのお答えが一つ。  いま一つ。実は福井県の地域において三国町の人々が挙げてこの港湾づくりに反対をしておる。しかもその反対の理由を聞きますと、あそこは漁民が漁業で一年間十二億上げる。通年漁業です。その有権者の三分の二、一万八百四十一名が反対の署名に参画しています。当然だと私は思います。その声を聞かなければなるまいと思うし、いま一つ大事なことは、ここに一点係留ブイバースを設定して、その周囲一千メートル以内にどれだけの状況があるかという図面があります。この図面が県の出した図面によると、一千メートル以内には米納津礁や長尾礁が図示されておりません。米納津礁は七百五十メートルのところにあります。それを千八百メートルのところに図示されておる。長尾礁は千百メートルのところにあります。それが県の資料の中に存在しておりません。さらに中礁に至っては千七百五十メートルのところにあるのだけれども、県の資料では二千五百メートルとなっている。おまけに大礁に至っては二千二百メートルだというのに三千二百メートルと県の資料に出ておる。県の資料に対して、漁民や町会議員や対策特別委員の諸君が実際に魚探でこの二月二十一日に測定して示した実態の姿というものがございます。こういう資料を見ますときに、当然今日行われようとする港湾審議会がこれを無視して審議するわけにもいくまいだろうと思うのですが、この点についてお答えください。
  135. 鮫島泰佑

    ○鮫島政府委員 手短にお答えしていった方がいいかと思いますが、よろしゅうございますか。  たくさんの御質問がございました。  まず風の関係の資料でございます。これは先生もおっしゃいましたように統計的に処理するための最低限の年数を持っているものとして、私どもはこういう長い期間の記録をもとにして考えていくというのが基本でございます。なお、使いました鷹架観測所につきまして、たとえば西風に対して弱いというようなことがあることは事実でございますし、逆に発茶沢の場合には地形の関係で風が集まるところにあるということもございます。(関分科員「そこへ港をつくるのでしょう。どこへつくるのですか」と呼ぶ)もう少し申し上げましょうか。実は現在……
  136. 兒玉末男

    ○兒玉主査代理 局長、時間がないから簡明に言ってください。
  137. 鮫島泰佑

    ○鮫島政府委員 そういうようなことでございます。そしてこの計画審議にこの風の資料を用いましたのは、ブイにおける着標の可能というのはどのくらいであるかというところに直接使っているわけでございます。それに関しましては、二つの観測資料は風速十五メートルの場合につきまして、後ほどおっしゃいました発茶沢の方であっても年間で一%程度のも一のでございます。したがいまして、使用された目的のブイがどのぐらい使えるかということには絶対値として余り関係のないものでございます。  それから港湾審議会の関係でございます。これはるる先生に直接いままで申し上げてきたわけでございますけれども、簡単に申し上げますと、港湾審議会の審議議事録というものは非公開で現在まで来ております。これは審議会の委員の方々の議論を非常に自由に活発にやっていただきたいというところから発して、現在までそういうことで措置をしておるということでございます。(関分科員「公開でやっているのでしょう」と呼ぶ)非公開でやっております。  その次は魚礁の位置、いま先生図でお示しいただきました。この資料につきましては、直接私の方にも比較的最近でございますけれども送ってきていただいております。そこで、私の考えでございますけれども、福井県の方の資料でございます。これは五十四年の七月だったと思いますけれども、魚礁の地点を確認しようということで、県の水産部長及び企業庁が一緒になりまして、魚民の方の御案内があったようでございますけれども、その確認のための調査を行っております。それが一つ。それから海の深浅測量、それの結果に基づきまして整理したデータがございます。この二つのデータがほとんど大きな差がないということでございます。したがいまして、私といたしましては県が今度の審議会に使っております資料というのは多分正しいのではないかと思っております。しかしながら最近になりまして漁業者の方から、先生いまいろいろ数字などもおっしゃいましたけれども、別の図面が出てきたことは事実でございます。そこで福井県はこの漁業者との関係につきまして、これから実施に至る間に十分に調整を図ることとしているわけでございます。したがいまして、その過程でこの魚礁の位置の問題も、両者の間の話し合いが行われてきましたときに、当然お互いに詰め合って了解がなされるという種類の問題ではないかと思っております。  それから三国町の有権者の問題でございます。これは先生おっしゃいましたように、約一万名の署名を添えましてこの問題に関する請願が町議会あてに出されてきていることを私どもも承知しております。この問題は要するに地元の調整の問題でございます。これは、この港湾計画を立ててまいります一つの過程として地方港湾審議会というものが行われているわけでございますけれども、その地方港湾審議会の答申で、今後とも関係地域の意向を十分調整し、実施に当たっては遺漏なきよう処理されたいという付帯条件がついております。したがいまして港湾管理者としましてはその線に沿ってやっていくことは間違いないと期待しております。
  138. 関晴正

    ○関分科員 幸い秋田の川口さんから五、六分はくれるよと言っておりますのでありがたく思いますが、早く終わります。  いまの御答弁なんですけれども、議事録は非公開であるから、われわれ国会議員が求めても応じられない、これは納得いきません。われわれ国会議員がどんな審議をしたか知らないでもいいということはないはずでございますので、これは再考をお願いしたいと思います。  その次に、三国町の方々の熱烈な一つの反対と申しましょうか、疑問——私どもの青森県の場合には、私は、天を欺いての資料のもとに強引に審議会を通っちゃった、いつもこう言ってきました。今度福井のこの港湾建設の計画変更に当たっては、海底を欺いてあなた方は強引にやるなんていうことだけは避けていただきたい。これは希望しておきたいと思うのです。しかも、県の資料をあなた方は信頼する、漁民の方々が実際に魚探によって実地で調査したものを信頼しようとしない。とするならば、これは余りにも権力的です。県から来たものは見る、漁民から出されたものは見ない、こういう態度であってはならぬと思う。漁民から出されたという事実を前にして、運輸省としても審議会にきずのあるものを出すというわけにはいかないだろうと思う。少なくとも国が出す以上は、うのみじゃないのですから、精査をしてしかるべき判断をして出すものなんです。県が出したものと漁民が出したものとこんなに差がある。一点係留ブイバース一千メートル以内にあるものをないとする。長尾礁に至っては在存するものを否定している。もう距離の問題じゃない。こんなべらぼうなことでこのまま突き進むことはよろしくないと思いますので、これは厳に慎んでいただきたい。  最後にお伺いいたします。  公有水面埋め立ての問題が出てくると思います。その場合、町議会が同意しなければこの仕事は進まないであろう。同意書が出ていますか。同意書が出ていないのにこの問題を審議すること自体、私は適当ではないのじゃないだろうかと思いますので、その点についての御見解を伺って終わります。
  139. 鮫島泰佑

    ○鮫島政府委員 最後の問題だけお答えいたします。  ただいま先生おっしゃいました議会の同意ということでございますが、これは公有水面埋立法の手続の過程で起こってまいります。港湾管理者は地元の市町村長の意見を聞くということ、その市町村長は意見を述べる場合に議会の同意を得る、こういうことになっております。今後埋め立てにつきましての免許申請が出てきて、それが免許庁の方で取り上げられまして、その過程で免許庁から地元市町村長の意見を聞く、そのところから始まる問題でございます。
  140. 関晴正

    ○関分科員 私は手続を聞いているのじゃない。そういう問題が出てきたときに、三国町の町議会が反対です、同意できませんという意思表示があればこの仕事は進まないであろう。しかし、あっても進めるというお考えですかと聞いているのです。
  141. 鮫島泰佑

    ○鮫島政府委員 先ほど別の点で申し上げましたけれども、港湾計画地方審議会でも先ほど申し上げましたような注文といいますか、付帯条件がついております。したがいましてこの一連の仕事につきまして、実施までに、県と申していいと思いますけれども、先ほどの答申の条件に沿って事業を進めるものと思います。したがいまして、先生がおっしゃいましたような状況のもとでということは余り私ども考えておりませんけれども、法的に厳密にどうであるかということでございますと、またそういうお尋ねでございましたらもう一言お答えいたしますが、いかがいたしましょうか。
  142. 関晴正

    ○関分科員 方針ですよ。法的にもあるし、行政的にもあるでしょう。
  143. 鮫島泰佑

    ○鮫島政府委員 方針という意味では、先ほどお答え申し上げましたとおりに期待しているわけでございます。
  144. 関晴正

    ○関分科員 これで終わりますけれども、私は、青森県の実態ということの経験にも照らしまして、しかもこういうような備蓄基地をまた三百三十万キロリットル福井の地につくろうというときに、これに反対しておる漁民がこんなにおる、そういうようなことを無視して事を強行するようなことだけは絶対にないように、これを希望すると同時に、いま一つ、きずのある資料をもとに審議会の審議に供するなんということはナンセンスだと思いますから、この点については本日の審議会にはかけるべきものではない、こういう意見を申し上げて、私の質問を終わります。
  145. 兒玉末男

    ○兒玉主査代理 以上で関晴正君の質疑は終了いたしました。  次に、川口大助君。
  146. 川口大助

    川口分科員 ただいまもいろいろお尋ねがありましたように、港湾開発計画というのはどこでも大変いろいろな問題が介在しておるわけでございます。  そこで、私はきょう端的にお尋ねをしたいわけでありますが、それは、いま秋田県が進めておるところの秋田湾地域大規模臨海工業基地計画というものにかかわるお尋ねをしたいわけであります。  まず最初に、いま国の方では秋田湾を利用して防波堤の建設技術調査というものをやっているわけですが、これは秋田湾地域開発の一環としての調査でしょうか。
  147. 四柳修

    ○四柳政府委員 ただいまのお尋ねの点でございますけれども、防波堤建設のための技術開発の調査ということで、秋田湾地域に関連します調査の一つとしまして、五十四年度に国土総合開発事業調整費を活用して運輸省で実施しているものでございます。
  148. 川口大助

    川口分科員 もっと端的に、というのは、これは非常にいま県民が関心を持って心配をしておるのです。ですから私は端的にもう一度聞きますが、秋田湾開発計画の事業の一環としての御調査ですか。
  149. 四柳修

    ○四柳政府委員 計画ができるかどうか、技術的に保証ができるかどうかという意味でございまして、計画そのものの中身ではございません。
  150. 川口大助

    川口分科員 わかりました。  それでは、話がかわりますが、これは場合によっては通産省においで願うのが筋であったかもしれませんが、私は事前に国土庁で御調査願えれば結構だ、こう言っておるわけですが、五十五年度の鉄鋼生産の見通しはどんなものでしょうか。
  151. 福島量一

    ○福島政府委員 最近におきます鉄鋼の生産実績の推移でございますが、昭和四十八年度に粗鋼で一億二千万トンがピークでございまして、自来低迷を続けております。五十四年度に若干回復いたしましたが、なお一億一千万トン程度の水準であるようでございます。  五十五年度の見通しにつきましては、確たることはまだ申し上げる段階に立ち至っておりませんが、一応その需要は安定的に拡大するであろうというふうに見込まれておりますけれども、急激にかつ大幅に需要が伸び、したがって供給がふえるというふうな見通しにはなっていないようでございます。
  152. 川口大助

    川口分科員 「鉄鋼界報」というのがありますが、これによりますと、五十五年度の生産見通しは、前年比較でしょうが二・七のマイナスになっています。ですから、幸いといいますか偶然といいますか、五十四年度は確かに伸びましたが、まだ鉄鋼の生産はそんなに伸びを期待するような情勢になっていない、こういうふうに私も考えているわけです。  もう一つですが、そこで、現在の生産能力は一体どのくらいなんですか。
  153. 福島量一

    ○福島政府委員 通産省の調べで申し上げますと、五十四年十一月末で一億五千六百万トンというふうに聞いております。
  154. 川口大助

    川口分科員 そうすると、まだ大体五千万トンの生産の余力がある、こういうことですか。
  155. 福島量一

    ○福島政府委員 生産能力に対しまして大体七〇%程度の操業度であるということでございます。
  156. 川口大助

    川口分科員 いままでお尋ねしたものをちょっと整理しますが、そうしますと、いまやっておるこの防波堤の建設は、計画を立てる事前の調査だ、まだ計画に入っていません、こういうことですね。  それから、鉄鋼についてもまだ七〇%程度の生産であって大分余裕がある、こういうふうに理解していいわけですね。  そこで、いま県で県民に説明しておるのは、六十年代の前半までに一部操業を開始する、そうして昭和七十年には全面操業する、こういうことを盛んに県民に言っているわけですが、これに対して国土庁ではどういう理解をしておるか。
  157. 福島量一

    ○福島政府委員 計画の具体的な内容、取り扱いにつきましては地方振興局の方の所掌に属するのでございますが、一般論で申し上げさせていただきますと、御承知のような経済情勢でもございまして、かたがた鉄鋼の需給の問題というのは国際需給の問題がかなり入り込んでまいります。ということで、長期的に鉄鋼の需給がどうなるかというのは大変見通しのっけにくい問題であるわけです。     〔兒玉主査代理退席、主査着席〕 昭和六十年度までの操業開始というのがどの程度のものを考えておられるのか、私も詳細を存じておりませんので何とも申し上げかねますが、あと五、六年で昭和六十年になるわけでございますが、果たしてそこまで事業が進捗するかどうか、現段階では何とも申し上げかねる状況にあるわけでございます。
  158. 川口大助

    川口分科員 いま県では盛んに基本計画ということで県民に説明をしているわけですが、いまの四柳さんのお話ではまだ調査の段階ですから、計画以前の調査ですから、この基本計画というのは県が勝手に言っているだけの話であって、政府としてはこの基本計画をまだ認めておらない、こういうことの理解でいいわけですね。
  159. 四柳修

    ○四柳政府委員 県が勝手に言っているというと大変むずかしい話だと思いますけれども、御案内のように、秋田湾地区につきましては、三全総でも東北開発計画でも、今後の工業開発の東北地区に残されました有数な候補地の一つという形で書いているものですから、そういう国の期待も受けまして、県がそれなりの調査をいままで——国の方も調査、調整費等によりまして協力してまいりましたけれども、そういったものを踏まえて一つの目標をお書きになったものと思います。しかし、その目標につきまして、その計画の中身そのものを国がプルーフしたといいますか、保証したといいますか、そういう段階にはまだ至っておりません。
  160. 川口大助

    川口分科員 よくわかりましたが、局長も秋田県に勤務したから言いにくいでしょうが、まあそれはそれとして、やはり率直にお答え願わないとどうもまた判断を誤りますし、県民も迷いますから、言いにくいところもあるでしょうが、ずばり言っていただきたい。  もっと平たく言いますと、つまり候補地にはなっている、それは私もわかるわけです。秋田湾をどう利用したらいいか、効率利用について考える、これはわかりますが、だからといって、県が言っているような具体的な計画にはまだ入っていない、こういうことなんでしょう。また、それに対して国の方でもいろいろ考えてはいるけれども、そこまで国が保証して、それを認めて、具体的なお手伝いまではまだ入っていない、こう理解していいわけでしょう。
  161. 四柳修

    ○四柳政府委員 候補地でございますから、調査にお手伝いしたということでございます。
  162. 川口大助

    川口分科員 そこで、この一月、県が秋田湾開発男鹿協議会というものに対して説明会を行っているわけです。これはどちらの方で要請したかははっきりいたしませんが、この中で、これは新聞によるのですが「国土庁が中心になり十二省庁で検討を始めており、国としての組織が整ったと理解している。」こう言っているわけです。私は、この十二省庁という言葉を使う以上は、いわゆる十二省庁会議ということで規約をつくり、正式に発足したものを指すと思っておるのですが、秋田県が、国としての組織が整っておると言っておるのはどういうことなんでしょうか。
  163. 四柳修

    ○四柳政府委員 端的にお答え申し上げますけれども、御案内のように、先ほど御議論いただきましたむつ小川原には実は十三省庁会議というのがございまして、これは関係省庁の責任者で構成しておりまして、その会議の結果等につきましても、各省庁の申し合わせなりあるいは閣議口頭了解という段階もございますけれども、秋田県の場合にはまだそこまで行っておりません。そこで、関係省庁の担当の責任者の方々が、情報交換かたがた県に対してアドバイスする、そういう意味での連絡会議でございます。
  164. 川口大助

    川口分科員 そこで、もう少し続けて読みますと、組織が整っており、「閣議決定を待っている」こう言っておるわけです。間もなく閣議決定がおりるだろう、こう言っておるわけですが、そういう事務的な準備はできているわけですか。
  165. 四柳修

    ○四柳政府委員 現在の段階ではまだ十分検討されていませんけれども、地元としての気持ちをおっしゃったのだろうと思います。
  166. 川口大助

    川口分科員 実際工事に入るには、閣議決定をいただいて入るわけです。確かにそれは一つの願望でもあるでしょうが、手続なんですね。それをいかにも、国の組織が整っていま閣議決定を待っているんだ、こう言われますと、県民は、あたかも実際的に動き出したというふうに考えるのが当然じゃないかと思うのですが、どうでしょう。こういうふうな言い方をするということは一体どうでしょう。
  167. 園田清充

    ○園田国務大臣 私から率直に申し上げますが、私のところまで事務的に上がってきておりません。同時に、そのことは閣議決定云々ということとほど遠い問題ではなかろうかと私は思います。  同時に、三全総の進め方として、私自体が事務当局に一つの逆提案をいたしております。それは、御承知のとおり北海道、東北、日本海沿岸、それから四国西南、南九州、沖繩をこれから先やはり問題地域として、工業並びに地域の伝統を重んじながら定住を促進していかなければならない、こう私は考えております。しかし、おっしゃるとおり、実は指導の中に、私自体のこれは考え方でございますけれども、地方定住を促進する上で、地域的に開発の場合にもいろいろな問題があるだろう。そこで、産学協同というとおかしゅうございますけれども、行政と政治の中で問題が片づかない、いい知恵が学者の人たちにはあるのじゃないか、だからそういう人たちの知恵をかりて、そして本当に地域性に適合した日本の定住構想を進めていくということが私は理想だと考えるということで事務当局に逆提案をして、重ねて、いまの三全総の中で定住構想の進め方について検討してほしいということで、私の意見を実は逆に注文いたしておりますので、いまおっしゃった新聞の記事等に出るようなところまでは残念ながら至っていないという実情をひとつ御理解願いたいと思います。
  168. 川口大助

    川口分科員 いま大臣のお話を伺いまして、私も全く賛成です。私は決してとがめるのじゃないですよ。とがめるのじゃないのですが、やはり惑わすことはいけないことだと思うのです。特に日本全体をにらんでみますと、いま手つかずに残っているのは秋田湾ぐらいのものですから、環境の問題もあるし、アセスメントの問題もあるわけですが、ここだけは、もしやるならひとつ模範的な——よそは全部試験済みですから、その試験済みの悪いのを全部排除したりっぱな秋田湾計画を立てていただきたいのですよ。知事が、鉄鋼を中心にしてやれ、こう言って大きくだんびらを切ったものですから、引くに引けない気持ちもわかりますが、そういう知事のメンツとか意地で進めるべきものじゃないと思うのですよ。そういう意味で、大変申しわけないのですが、よろしくひとつ御指導を賜りたい。県に対して、余り先走ったことをするな、じっくりやろうじゃないか、こういうことで御指導賜りたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  169. 園田清充

    ○園田国務大臣 例をとって申し上げますと、たとえば一つの工業が地方に転出をしていく場合にも、やはり寒冷地は寒冷地なりの適した仕事があるのだ。いま隣県の山形を例にとりましても、たとえば半導体の工場を持っていくと、結構それがいけるようになって、これでりっぱな成績を上げています。そういう面を考え合わして、私がさっき申し上げた産学協同といいますか、進めるならば知恵のある、悔いのないような進め方をしたいということで、実は慎重を期した意味で逆に注文をいたしておりますので、御趣旨のほどを踏まえながら、ひとつ各県との連絡、指導に当たってまいりたいと思います。
  170. 川口大助

    川口分科員 議事の運営に協力する意味で、やめます。ありがとうございました。どうぞよろしくお願いします。
  171. 藤田義光

    藤田主査 川口大助君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして昭和五十五年度一般会計予算昭和五十五年度特別会計予算及び昭和五十五年度政府関係機関予算国土庁所管についての質疑は終了いたしました。  これをもちまして本分科会の審査はすべて終了いたしました。  この際、一言ごあいさつを申し上げます。  分科員各位の格段の御協力によりまして、本分科会の議事を無事に終了することができましたことをここに厚く御礼申し上げます。  これにて散会いたします。     午後一時九分散会