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1980-03-05 第91回国会 衆議院 予算委員会第五分科会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十五年三月五日(水曜日)     午前十時開議  出席分科員    主 査 藤田 義光君       近藤 元次君    村田敬次郎君       岩垂寿喜男君    岡田 利春君       兒玉 末男君    柴田 健治君       渋沢 利久君    田畑政一郎君       鍛冶  清君    坂井 弘一君       森田 景一君    安藤  巖君       辻  第一君    村上  弘君       小沢 貞孝君    中井  洽君    兼務 上田 卓三君 兼務 山田 芳治君    兼務 横路 孝弘君 兼務 長田 武士君    兼務 西中  清君 兼務 吉井 光照君    兼務 和田 一郎君 兼務 中路 雅弘君    兼務 岡田 正勝君 兼務 西田 八郎君    兼務 西村 章三君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 地崎宇三郎君         建 設 大 臣 渡辺 栄一君  出席政府委員         内閣官房内閣審         議室長内閣総         理大臣官房審議         室長      清水  汪君         運輸大臣官房長 杉浦 喬也君         運輸大臣官房総         務審議官    永井  浩君         運輸大臣官房会         計課長     熊代  健君         運輸省船員局長 山元伊佐久君         運輸省鉄道監督         局長      山地  進君         運輸省鉄道監督         局国有鉄道部長 石月 昭二君         運輸省自動車局         長       飯島  篤君         運輸省自動車局         整備部長    小林 育夫君         運輸省航空局長 松本  操君         建設大臣官房長 丸山 良仁君         建設大臣官房会         計課長     杉岡  浩君         建設省計画局長 宮繁  護君         建設省都市局長 升本 達夫君         建設省河川局長 稲田  裕君         建設省道路局長 山根  孟君         建設省住宅局長 関口  洋君         建設省住宅局参         事官      大田 敏彦君  分科員外出席者         内閣総理大臣官         房参事官    中嶋 計広君         警察庁交通局交         通規制課長   広谷 干城君         行政管理庁行政         監察局監察官  重富吉之助君         防衛施設庁施設         部首席連絡調整         官       千秋  健君         国土庁計画・調         整局計画課長  長沢 哲夫君         国土庁水資源局         水源地域対策課         長       松原 良夫君         国土庁大都市圏         整備局整備課長 平野 侃三君         大蔵省主計局主         計官      尾崎  護君         大蔵省主計局主         計官      保田  博君         建設省都市局街         路課長     並木 昭夫君         消防庁震災対策         指導室長    大竹山龍男君         日本国有鉄道総         裁       高木 文雄君         日本国有鉄道常         務理事     吉武 秀夫君         日本国有鉄道常         務理事     半谷 哲夫君         参  考  人         (日本住宅公団         理事)     救仁郷 斉君         参  考  人         (日本道路公団         理事)     吉田 喜市君     ————————————— 分科員の異動 三月五日  辞任         補欠選任   兒玉 末男君     渋沢 利久君   野坂 浩賢君     岩垂寿喜男君   坂井 弘一君     柴田  弘君   安藤  巖君     安田 純治君   小沢 貞孝君     中井  洽君 同日  辞任         補欠選任   岩垂寿喜男君     井上 一成君   渋沢 利久君     柴田 健治君   柴田  弘君     森田 景一君   安田 純治君     安藤  巖君   中井  洽君     小沢 貞孝君 同日  辞任         補欠選任   井上 一成君     田畑政一郎君   柴田 健治君     兒玉 末男君   森田 景一君     長谷雄幸久君   安藤  巖君     辻  第一君 同日  辞任         補欠選任   田畑政一郎君     渡部 行雄君   長谷雄幸久君     鍛冶  清君   辻  第一君     村上  弘君 同日  辞任         補欠選任   渡部 行雄君     佐藤  誼君   鍛冶  清君     坂井 弘一君   村上  弘君     安藤  巖君 同日  辞任         補欠選任   佐藤  誼君     岡田 利春君 同日  辞任         補欠選任   岡田 利春君     野坂 浩賢君 同日  第一分科員横路孝弘君、西中清君、吉井光照君、  第二分科員山田芳治君、第三分科員長田武士君、  岡田正勝君、西田八郎君、西村章三君、第四分  科員上田卓三君、和田一郎君及び中路雅弘君が  本分科兼務となった。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和五十五年度一般会計予算  昭和五十五年度特別会計予算  昭和五十五年度政府関係機関予算  (運輸省及び建設省所管)      ————◇—————
  2. 藤田義光

    藤田主査 これより予算委員会第五分科会を開会いたします。  昭和五十五年度一般会計予算昭和五十五年度特別会計予算及び昭和五十五年度政府関係機関予算建設省所管について、前日に引き続き質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中井洽君。
  3. 中井洽

    中井分科員 大阪名古屋を結ぶいわゆる名阪国道という道路があります。これに関連して幾つかのことをお尋ねしたいと思います。  過日、西名阪国道の終点の松原から阪神高速という形で松原線完成をいたしました。また、いわゆる一般の名阪国道と言われております国道二十五号線の部分複線化完成をいたしまして、間もなく竣工式が行われる。おいおい御努力をいただいてりっぱな道になっているわけでありますが、この名古屋部分が現在どういう形になっておって、いまのままでいけばいつぐらいに完成をする予定か、お聞きをしたいと思います。
  4. 山根孟

    山根政府委員 お答え申し上げます。  二十五号から名古屋方向でございますが、近畿自動車道名古屋の取りつけの部分が現在一番問題になっておりまして、現在鋭意名古屋市内への直結の事業を進めておりまして、早晩、ここ二、三年中には供用ができるんではないか、こう考えております。そういたしますと、近畿自動車道、名阪国道、ただいま先生お話しになりました大阪松原線ということで、名古屋大阪とが名神以外の専用道路という形で直結することになろうかと思います。ただ、現道の部分、これは二十五号及び二十三号につきましてはかなり都市街部分で問題がありますので、現在、調査あるいは部分的には改築の事業を進めている、こういう状況にございます。
  5. 中井洽

    中井分科員 この大阪名古屋を結ぶ名阪国道のちょうど真ん中を南北に横切って、いわゆる名神高速と名阪とを結ぶ道路として湖南青山線道路促進運動というものがかなり行われ、五十二年度でしたか、調査費等がついて調査を進めていただいておる、このように聞いておるわけでありますが、これの今年度の状態あるいはこれからの見通し等についてお尋ねをしたいと思います。
  6. 山根孟

    山根政府委員 いわゆる湖南青山道路は、滋賀県の湖南地区三重県の青山地区を結ぶ幹線道路構想でございますが、名神高速道路と名阪国道とを連絡するという意義並びに関連をいたします地域の振興に寄与する道路であるというぐあいに認識をいたしておるわけでございます。この道路につきましては、昭和五十二年度から建設省としまして事実調査実施をいたしておりまして、路線性格交通需要等について検討しているところでございますが、今後さらに広域的な道路網におきます路線性格、位置づけあるいは自然環境社会環境その他を含めた調査あるいは路線計画の問題、整備方針といったような問題が残されておるわけでございまして、地方公共団体とも十分調整しながら今後調査進捗を図ってまいりたい、かように考えております。
  7. 中井洽

    中井分科員 この湖南青山線三重県側の伊賀地方といいますのは、実は私の郷里でありますけれども三重県でも大変特殊な地理的な条件に置かれているわけであります。といいますのは、三重県じゅうの河川はすべて伊勢湾へ流れるわけでありますが、後からまたちょっと河川のことでも御質問申し上げたいと思いますが、私ども郷里河川三重県にありながらすべて大阪湾へ流れるわけでございまして、古来私ども地方だけが三重県の中でも関西経済圏、いわゆる近畿圏にあるわけでございます。大変な山間僻地でございまして、どこへ出るにも峠を越えなければならない、こういうところでありますが、この湖南青山線、こういう形で考えております地帯だけ、いわゆる甲賀流忍術伊賀流忍術の境目のところだけは峠なしに地続きで行ける地域でございます。古くから大変行き来の多いところでございます。しかし、その行き来の多いところであるにもかかわらず、わりかし道路交通網が、忍者の通うた道でありますから大変複雑であります。ひとつそういった意味湖南青山線調査等もお進めいただくと同時に、現在あります主要地方道であります大津上野線、それらの整備等をぜひともお進めいただきたいと思うのでありますが、その点について建設省の御見解を承りたいと思います。
  8. 山根孟

    山根政府委員 御指摘大津上野線でございますが、現在県道といたしまして舗装新設あるいは特改一種事業等によりましてその整備促進をいたしておるという状況にございます。
  9. 中井洽

    中井分科員 大津上野線と結ばれるような状態にほぼなっているわけでありますが、上野市と、もう少し南にある名張市、そして三重県の一志美杉村というところを結んでまいります国道三六八号の道路予算状況についてお尋ねをしたいと思います。かねてから御配慮いただいてルート決定等昨年中に行われたわけでありますが、今年度の予算状況、あるいはこれからどういう形でこの三六八号の改修あるいは拡幅等が行われていくか、そういう予定について御説明をいただきたいと思います。
  10. 山根孟

    山根政府委員 一般国道三百六十八号は、一般国道二十五号につながります三重上野市を起点といたしまして、同県勢和村において一般国道四十二号に接続する延長七十三・五キロメートルの路線でございます。昭和五十三年度末の改良率は四九・六%、舗装率は五九・四%という整備状況でございます。必ずしも整備の水準が高いというところまで行っておりません。したがいまして、この路線整備につきましては、上野市、美杉村の奥津地区勢和村等において現在鋭意事業実施を図っておるところでございます。なお、昭和五十四年度におきましては、これらの事業を含めまして八億六千九百万円の事業費をもって路線整備を進めているわけでございますが、今後ともこの整備促進につきましては鋭意努力をしてまいりたい、かように考えるところでございます。
  11. 中井洽

    中井分科員 この三百六十八号という道路は、いま局長お話のございました一志郡の奥津という地域から河川の流域に沿ってずっと上がってくる道路であります。しかし大変狭い道路でございます。バス等が来ますとほとんどすれ違えない状態でございます。しかし、上野名張あるいは美杉村を結ぶたった一本の道でございます。そういった意味で、ぜひとも工事等進捗をお急ぎいただきますようお願いを申し上げる次第でございます。実は、余談を言いますが、これは壬申の乱のときに大海人皇子が奈良から逃げるときにこの道を通ったという大変由緒いわれのある道であります。私ども郷里にとりましては一番大事な道路でございます。八億数千万の予算をつけていただいておるということでありますが、四十数キロの間、この調子でいくとなかなか時間がかかろうと思いますので、御努力をいただきますようお願いを申し上げます。  この三百六十八号の新しいルートの中でいまお取り組みいただいておりますいわゆる名張川上流比奈知ダム、この比奈知ダム関連で、三百六十八号の水没地域があって新しく道路のつけかえ等が行われるわけでございます。これに関連して、比奈知ダム工事実施されれば工事運搬トラック等輸送等の車が頻繁に走る。そうしますといまの道では大変狭いし、危ない、また運搬等もスムーズにいかないということで、いわゆる百六十五号以東の三百六十八号の十キロ等について、何か早くダム関連みたいな形で工事に取り組んでいただきたい、こういう要望等地元で強いわけでございます。しかし、十キロの国道というものをダム関連あるいはダム工事の前の工事としてやるというのはなかなかむずかしいんだ、こういう話も私どもは漏れ聞いております。そういった点で、建設省はいまどのようにお考えになっていらっしゃるか、お考えを承りたいと思います。
  12. 山根孟

    山根政府委員 一般国道三百六十八号の百六十五号以東の約十キロの区間の問題でございますが、一部の区間を除きまして未改良区間でもあり、また先生おっしゃいますように、水資源開発公団施行いたします比奈知ダム建設に伴って本国道のつけかえが実は必要になるわけでございます。したがいまして、現在三重県においてルート選定等調査を進めておるところでございます。私どもといたしましては、この調査成果が得られ次第早急に整備に着手してまいりたい、かように考えております。
  13. 中井洽

    中井分科員 それでは、ついでにと言っては失礼でありますが、この比奈知ダムの現在の地元との話し合い状況、それと同時に名張川河川改修全体の進捗状況について御説明をいただきたいと思います。
  14. 稲田裕

    稲田(裕)政府委員 比奈知ダム地元との話し合いでございますけれども、現在地元から一番要望が強うございますのは比奈知から下流名張周辺地区河川改修、これは青蓮寺ダム施行する際にも非常に地元要望が強かったわけでありますけれども、これの促進というのがいま一番大きな問題として地元から要望が出てまいっておるわけでございます。これにつきましては、在来からこの改修を進めるべく地元との話し合いを続けてまいったわけでございますけれども、何分あの地区につきましては、先生御存じのように非常に補償物件が多うございまして、なかなか地元との話し合いが難航しておったわけでございますけれども、最近地元関係方々お話を承りますと、地元の方もずいぶんまとまりを見せてきたということで、まず来年度につきましては名張地区周辺河川改修を精力的に進めたいということで、現在検討してまいっておるというふうな状況でございます。それと並行しまして、もちろん比奈知ダムにつきましては水資源開発公団の方で精力的に地元生活再建の問題も含めた話し合いを進めてまいりたい、かように思っておるわけでございます。
  15. 中井洽

    中井分科員 それでは、先ほどの国道三百六十八号の上野側起点からもう少し北へ真っすぐ行きますと、国鉄伊賀上野駅に突き当たる道になっているわけでございます。二十五号からしばらくは大変大きな同和地区でございます。この地域道路改修というのはもうほぼ終わっております。伊賀上野側から名阪国道に向かっての道路改修も終わっておるわけでありますが、現在町中で二百メートルあるいは三百メートルくらいの区間上野市が街路計画として計画決定をいたしております分が、上野市が赤字再建団体等になったというような事情もございまして、財源難でなかなか市独自でやりにくい状態になって、建設省あるいは県等に何かいい方法がないかという形でお願いをしているようでございます。実はこの地域道路を広げるということは昭和二十年の初めに決定をいたしまして、この地帯数十軒の家並みの人たちは家の改修というものもがまんする、あるいは新しく建てるにしろほとんど道路予定ぐらいの幅を下げて建てるというようながまんをしてじっと待っているわけでございます。この道路ができませんと、名張市から国鉄の駅へ行く、あるいは先ほどございました主要地方道大津上野線から名阪へ真っすぐおりてくる、こういう交通体系完成をしないわけであります。その点につきまして何らかのお知恵なりお力添えを建設省としてしていただくわけにいかないか、この点についてお尋ねをしたいと思います。
  16. 升本達夫

    升本政府委員 おただし上野都市計画道路伊賀上野駅−八幡町線につきましては、現在その南側の一部について御承知のように都市計画事業として施行いたしております。その完成が大体五十五年度には概成するという目途で仕事を進めさせていただいております。御指摘区間につきましては、現在までのところ、上野市は、御承知のように市の財政状況がかなり悪化をしておる現実におきましては、事業着手に直ちにかかるという意思はないように聞いております。県当局におきまして単独費で現在調査を進めつつあるようでございますので、その調査の結果を待って県におきまして今後の整備方針を決めたいというのが現状でございます。これからの見通しでございますけれども、おただしのところを将来国道として整備することができるかどうか、あるいは都市計画事業として県施行という形でやることができるかどうか、その辺も含めて今後検討ということで御承知おきいただきたいと思います。
  17. 中井洽

    中井分科員 局長、重ねてお願いをするわけでありますが、この残っている地帯はいわゆる藤堂藩空堀地帯なんです。それでどうして行ったかといいますと、この後質問いたしますが、明治の初めに大水害が起こって、いわゆる鍵屋の辻に住んでいる人たちが全部藤堂藩土地をもらって移転したんです。そういう地域でございまして、そこから下へ行きますとその当時としては珍しく区画整理がきちっとできた町でございます。百年前には水害で移り、今度はまた街路でなかなかいかないということで、非常に悩みの多いところであります。どうぞひとつ格段の御尽力をいただきますようお願いを申し上げます。  いまお話を申し上げました国道三百六十八号に沿いまして、建設省遊水地帯ということで上野北西部の恒常的な治水対策を行っていただいております。先ほども申し上げましたように、鍵屋の辻を中心にもう数百年水つきを繰り返しておりまして、これをなくすためには遊水地ということでやっていくのが一番いいということで、長年にわたって御努力をいただいております。この工事が著々と進んでいる中で、いわゆる遊水地としての登記というのですか、土地の概念づけが法務省との間でようやく話し合いがついたというように聞いておりますが、事実ですか。
  18. 稲田裕

    稲田(裕)政府委員 上野遊水地地役権の問題でございますけれども、これにつきましては要役地、承役地というのを設定する必要があるわけでございます。この地役権登記上の問題として法務省といろいろ打ち合わせをしてまいったわけでございます。中身としましては、要役地及び地役権設定目的の取り扱いについての打ち合わせをやってまいっておるようでございますけれども、昨年の十一月に、要役地につきましては越流堤に係る土地、それから地役権設定目的等につきましては越流堤の設置に起因する浸水及び冠水の認容並びに遊水地の機能の保全の妨げとなる工作物設定その他の行為の禁止ということで考えるということで、法務省との間で見解が出ました。この方針に沿いまして今後取り扱わしていただきたい、かように存じます。
  19. 中井洽

    中井分科員 そうしますと、この地役権設定に基づいていわゆる補償話し合いが行われるわけでございます。実は大臣にもぜひこれだけはお聞きをいただきたいのでありますが、私ども地域治水岩倉峡というところを抜いてしまえばいいわけです、本当は。ところが、これを抜きますと下流淀川が大変なことになる。したがって、淀川の堤防をつくったり淀川に迷惑をかけるかわりに、遊水地伊賀設定してここで水をためてしまう、こういうことでございます。対策として初めて行われておる事業だ、私はこのように思うわけであります。しかも、地役権という大変新しいものを設定して、土地所有者に対してはこの地役権設定ということで補償だけをする、こういうことであります。  そうしますと、この計画ができました初めのころには、実は水つきのいろいろな記憶が生々しく残っておりまして、あるいはまた私ども郷里土地価格というのも大変低いものでございましたから、みんなそれはそれで水つきさえなければいいという形で喜んでおったわけでありますが、ここ十年大変御努力をいただいて水つきも非常に少なくなってきた。そこへ土地価格等が名阪国道開通等でずいぶん上がってきた。そういうことになってまいりますと、本当に身勝手な話でもありますが、地役権という形で補償されるよりか、自分のところは遊水地から外してもらって売り買いをした方がいいのだというような非常に勝手な意見等も出てまいって、地元でもいろいろと対策等に苦慮をいただいているわけでございます。しかし、初めてのことでもあり、地役権補償ということに関して思い切った形でお考えをいただき、あるいはすべての人たちが、まあそれならひとつ遊水地という形でこの地方百年の治水のために協力をしよう、こういったことを言えるような形で補償に取り組んでいただきたいと思うのですが、その点いかがでございましょうか。
  20. 稲田裕

    稲田(裕)政府委員 この地役権設定のこれからの交渉でございますが、この地区は、先生も御指摘のように、岩倉峡で五キロの狭窄部がございまして、昔から自然の遊水地区になっておるわけでございます。  それで、遊水地をつくるにつきましてはいろいろな方式在来からあるわけでございます。買収する方式等もあるわけでございますが、この地区につきましてはいまみたいな地役権設定という方式考えておるわけでございますけれども木津川上野遊水地につきましては、この施設完成することによりまして在来のような湛水の頻度は減ってくる。しかもまた湛水している期間も数日程度に減ってくる。遊水地地役権設定することによって、今後も土地利用上の一定の制限はございますけれども在来の形よりはその土地利用効率は上がってくるというふうなこと等も考え合わせまして、現在、在来買収方式によらない地役権設定方式というのが社会経済上も妥当な方法ではなかろうかということを考え計画を進めておるわけでございますけれども、この地役権設定につきましては、基準となりますのはやはり建設省の直轄の公共事業施行に伴う損失補償基準でございます。この中でひとつこれから地元方々十分話し合いをさせていただきまして設定するように考えていきたいと思います。
  21. 中井洽

    中井分科員 この地役権法務省との間に話がついて、いよいよこういう形でというお話が出てくるまで実はもう十年ぐらいを経過をしているわけであります。この間、あっちこっちの不動産業者がその地域土地を買いに走ったりいろいろなことがありました。あるいはまた、どんどん土地が売れるものでありますから、住宅にしていこうというような動きもいろいろございます。しかし、私どもはそれはだめだという形で、法的には何も根拠はないわけでありますが、今日まで土地の売買とか、その上に建物を建てることとか、一切がまんして実はやってきた、このように考えております。そういったこともぜひ御勘案をいただいて地役権補償等についてはお進めいただきたい。  といいますのは、いままで起こったことのない反対が木興地域というところを中心にここ二、三年起こってきているわけでございます。これらの人たちの話を聞きますと、裏にはやはりそういった形で、先祖伝来持ってきた土地というものがやっと高く売り買いできるような状態になったときに全く手足を縛られてしまう、それはかなわないのだ、こういうぶっちゃけた気持ちがあるわけであります。そういった気持ちをまあまあ少し聞きますと、初めの段階で建設省側あるいは地元の公共団体と反対の人たちに意思の疎通を欠いたような面もあるわけであります。そういったところを十分御配慮いただいてお進めをいただきたいと思います。その点、いかがでございますか。
  22. 稲田裕

    稲田(裕)政府委員 当然、地役権設定というのは民法に基づく契約でございます。私の方としましても一応補償基準というものがございますので、その枠内で処理しなければならない問題でございますけれども地元方々とさらに話を詰めさせていただきたい。そういう方針でまた処理させていただきたいと思います。
  23. 中井洽

    中井分科員 局長は反対運動のことはお聞きでございますか。
  24. 稲田裕

    稲田(裕)政府委員 直接には聞いておりませんけれども、間接的にはそういうお話もお伺いしております。
  25. 中井洽

    中井分科員 くどいようでありますが、十数年かかって初めて出てきた反対運動であります。私どもも大変この対策に苦慮をいたしております。どうぞ地元との連絡等十分おとりいただいて、この遊水地という形での治水対策、私は先ほども初めてだと申し上げましたけれども、初めての治水対策が無事完成するよう御努力いただきますようにお願いいたしまして質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  26. 藤田義光

    藤田主査 以上で中井洽君の質疑は終了いたしました。  次に、岩垂寿喜男君の質疑を許します。
  27. 岩垂寿喜男

    ○岩垂分科員 私は、昭和五十二年三月十四日、本院予算委員会分科会で当時の長谷川建設大臣建設省の都市局長に対して、逗子・葉山地域を含む三浦半島地域に国営大規模公園を設置するよう強く要請いたしました。調査の対象に加えていただきました。五十三年度予算調査費を計上していただいた経過がございます。その後、建設省は五十三年、五十四年の両年にわたって調査を行い、さらに引き続いて五十五年も調査を継続することになっています。この機会にその調査の経過と現在までの結果を御報告いただきたいと思います。
  28. 升本達夫

    升本政府委員 お答えいたします。  逗子・葉山地区における大規模公園調査につきましては、いま先生お話しのとおり昭和五十三年度から調査に着手をさせていただいております。同地域につきましては、昭和記念公園の候補地の一つとして地元から大変強い御要請を受けて実施いたしてまいったものでございます。当時、記念公園の決定に当たりましては、すでに返還の決まっておりました東京都下の立川基地跡地に決定を見たわけでございますけれども、その後におきましても、この地域が首都圏における大規模な公園建設の適地であるという観点から必要な調査を引き続き実施いたしておるわけでございます。なお、調査は五十三年度から三年間の予定でございますけれども、五十三年度におきましては、広域的観点からの自然条件、社会条件等現況把握を主とした基礎調査を行ったところでございます。五十四年度は、前年度調査結果を踏まえまして、公園適地の選定、各適地ごとに基本構想を策定するという段取りで現在実施いたしておるところでございます。
  29. 岩垂寿喜男

    ○岩垂分科員 細かいことで恐縮ですが、調査費は五十三年は約一千万、五十四年は一千五百万、五十五年も引き続いて大体それくらいの金額と考えてよろしゅうございますか、建設省予定しているのは。
  30. 升本達夫

    升本政府委員 現在の時点で五十五年度はまだ未定でございますけれども、経緯、それから対象内容から見ましてほぼ同じようなことになるのではないかと私は考えております。
  31. 岩垂寿喜男

    ○岩垂分科員 逗子・葉山地区昭和記念公園の候補地となったことはいま御指摘をいただいたわけですが、この候補地の一つの大きな要素として葉山の御用邸との関連が留意されたんだろうというふうに私は理解をいたしますが、この際、選考の経過を、簡単で結構ですが、お示しをいただきたいと思います。
  32. 升本達夫

    升本政府委員 御指摘のように、葉山地域につきましては現天皇の践祚の地ということもございまして、そのような皇室ゆかりの土地であることを踏まえて候補地の対象として検討させていただいたように聞いております。しかし、先ほども申し上げましたように、立川基地につきましては何分にも大変地域的な状況が東京都との関係で近い、それから返還がすでに決まっておることによって早期に公園化が可能であるというような状況を踏まえて、立川基地に昭和記念公園という決定を見たように承っております。
  33. 岩垂寿喜男

    ○岩垂分科員 建設省は今後大規模公園をどのように配置する計画か、その構想をお聞かせ願いたいと思うのですが、経済発展七カ年計画では、公園計画全体の予算ですけれども、たしか四兆五千億ですか、これを見直すかどうかは別として、とりあえずそういう予算の措置が閣議了解ですか、閣議決定で行われているわけであります。その中で、いま申し上げたように大規模公園の設置の方向について御教示いただきたいと思います。
  34. 升本達夫

    升本政府委員 都市公園として設置いたします大規模公園につきましては、先生よく御承知のとおり、設置主体は、国が設置に当たるものと地方公共団体が設置に当たるものというふうに大別されるわけでございます。国が設置するものにつきましては、一都府県の区域を越える広域的な利用に供することを目的とし、面積は一カ所当たりおおむね三百ヘクタール以上を標準とし、誘致距離二百キロメートルを超えない区域に設けるということにいたしております。なお、当分の間は建設省地方建設局の所管する区域、いわゆる国土のブロック地域の一ブロックごとに一カ所というふうに予定をいたしております。なお、全国的な配置構想といたしましては、昨年の八月二十日の都市計画中央審議会の御答申におきまして、全国おおむね二十カ所程度を目標とし策定したいといたしております。それからまた、地方公共団体の設置いたしますものにつきましては、地方生活圏等の広域的なブロック単位に広域公園を一カ所、大都市圏等から容易に到達可能な場所にレクリエーション都市を十カ所程度設置することといたしております。
  35. 岩垂寿喜男

    ○岩垂分科員 いま都市局長地方建設局単位、つまり一ブロック一つということを言われたことと、それから五十四年八月二十日の都市計画中央審議会の答申の二十カ所というのはどういう関係になるわけですか。つまり、二十カ所を対象にするわけですから、とりあえずはそこらのところをめどにして進んでいくというふうに理解してよろしゅうございますか。
  36. 升本達夫

    升本政府委員 これは一応現在までの部内の基準といたしましては各地建ごとに一カ所と申し上げたわけでございますが、これに北海道地域を加えますと九カ所でございます。ただいま、御答申の二十カ所程度と申しましたのは、この九カ所に、将来方向といたしまして大都市圏においては必ずしも一カ所と言わなくてもいいではないか、さらには現在四カ所ございます記念公園を加えまして、全大規模公園を加えて二十カ所、こういうふうな理解をしております。
  37. 岩垂寿喜男

    ○岩垂分科員 この前の質問でも申し上げたのですけれども、首都圏内で緑の丘陵と青い海が自然のまま残され、国民の健康増進に広く役立つ場所としては、逗子、そして葉山を含む三浦半島が最適であると私は考えます。ちなみに、これは神奈川県の入り込み観光客調査というのですか、五十二年でございますけれども、それによると、三浦海岸へ年間に一千五百四万人、鎌倉へは何と二千四百十四万人の人々が観光やレクリエーションのために訪れております。これは大臣御存じのとおりです。     〔主査退席、近藤(元)主査代理着席〕 このような地域を国民共有のレクリエーション資源として活用する、残り少なくなった自然を守ることは都市公園法改正の趣旨を生かすものだと私は思います。念のために申し添えておきますけれども昭和五十二年の予算審議の際に、当時の長谷川建設大臣は私の質問に対して、逗子、葉山の地域は「最も適地のようにも考えられますが、私の考えだけというわけにはまいりませんが、いずれにしても十分調査を進めさせていただきたい、」と答弁して、それで調査ということになったわけであります。  この際、いま私が申し上げた経過を踏まえて、この地域に大規模公園を設置することについて建設省見解をいただきたいものだと思います。
  38. 渡辺栄一

    ○渡辺国務大臣 お答えを申し上げます。  大変御熱心に御推進をいただいておる経緯は承知をいたしております。御承知のように、国営昭和記念公園は、今上天皇陛下の御在位五十年記念事業の一環といたしまして、建設省が東京都下立川基地跡地の一部に建設をいたしておるものでございます。同公園建設の位置選定に際しまして、お話の逗子・葉山地区等が当時すでに候補として挙げられておったことは事実でございます。しかし、記念事業としての公園を一日も早く国民の利用に供するということも要望されておりまして立川基地跡地に決定した経緯があるようでございます。  なお、逗子・葉山地区につきましても、当地が天皇践祚の地であり、古くから御用邸のあったことなどから選定調査の対象となったようでございますが、調査結果等を考慮いたしました結果、いま申しましたような決定となった次第でございます。しかし、この地域は、先生もおっしゃいましたが、公園建設地としては首都圏のすぐれた条件を有する地域の一つであるというふうに私ども考えておりまして、公園設置に必要な調査実施しておる次第でございますが、このような経緯を踏まえまして最優先に検討すべき課題として取り組んでまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  39. 岩垂寿喜男

    ○岩垂分科員 これはいま大臣から最優先と答えられてしまったのですけれども、この地域というのは、いま大臣がおっしゃったように、昭和記念公園の適地という意味でその候補になったわけでございます。いまやりとりをする前に、五十二年の質問のときに建設省の都市局の皆さんと折衝をいたしました。建設省側から、昭和記念公園については逗子・葉山、立川・多摩、水戸射爆場の三カ所が候補に上がっている、せっかくの要請があるので、逗子・葉山地区調査の対象に入れる、しかし、昭和記念公園がその他に決定したときには、いずれ意義ある公園あるいは大規模公園の候補地として考慮するという条件を示されました。その後、いま大臣がおっしゃったようないきさつになったわけでございます。  これは念のためにという形で申し上げなければなりませんけれども昭和記念公園は、いま申されましたように立川・多摩地区に決まりました。それから水戸射爆場は国営公園に決まったわけでございます。三つのうちの二つが決まったわけであります。残された一つの逗子・葉山地域というのは目下調査中。いま大臣言われましたように、ちょっとそこのところが必ずしもはっきりしていなかったのですが、長谷川建設大臣とのやりとりの中で、最も適地である、つまり最適地であるというふうに考えるという御答弁がございましたが、その認識は変化がないものと私は考えますけれども、その点を一点、もう一遍御答弁いただきたいことと、それから、いまのような経過を踏まえて、建設省は、逗子・葉山地区を含む三浦半島地域に大規模公園あるいは意義ある記念公園というものを設置することを今後の公園計画の中で最優先——私は第一優先順位というふうに申し上げたいのですが、課題として取り組むという御回答をもう一遍、大変しつこくて申しわけないのですが、いただきたいものだと思います。
  40. 渡辺栄一

    ○渡辺国務大臣 いま申しましたように、従来の経緯を十分踏まえまして私も承知をいたしておるつもりでございますので、ただいま最優先に検討すべき課題として取り組んでまいりますと申し上げました趣旨は、先生のおっしゃいましたような趣旨を当然含んでおるものと御解釈いただいて結構だと思います。
  41. 岩垂寿喜男

    ○岩垂分科員 建設省の、調査を始める、調査対象に加えるという御答弁をいただいてから、神奈川県知事は直ちに歓迎の意思を表明いたしました。いわゆる新神奈川計画と言われる計画の中に大規模公園の実現を目指する方針を明示しております。それから逗子市長や葉山町長も、議会の満場一致の議決を背景に実現のための推進協議会を設置しました。大規模公園の設置を関係方面に陳情してきたことは御存じのとおりでございます。私はきょうの質問に当たって、改めて長州県知事あるいは三島逗子市長などと協議をしてまいりましたけれども関係者は強くその実現を期待しております。特に、逗子などに行かれますとおわかりいただけると思うのですが、「大規模公園の実現を期そう」という大きな看板やあるいはステッカーなどが町じゅうに張りめぐらされております。こういう状況があるわけでございまして、県民あるいは市民の期待というのは非常に大きいわけであります。しかし、これはもう大臣一番御存じのとおりに、どこの地方自治体にも共通の課題でございますけれども、今日の地方財政の現実、財政の危機と言われる状況を前にして、地元負担の金額が膨大になることは誘致への情熱に水をかけることになりかねないわけでございます。この点を考慮しながら地元負担をできるだけ軽減をするという御配慮を願わなければならないと思うのですが、そういうことを前提にして、地元の人々の期待と要請に対して建設大臣が激励、というと大変申しわけないのですが、できれば激励の言葉をいただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。
  42. 升本達夫

    升本政府委員 地元負担のお話が出ましたので、地元負担関係の御説明をちょっとさせていただきたいと思います。  御承知のように、現在大規模公園につきましては、国営、国が記念公園として設置いたします場合には当然のことながら一〇〇%国が負担する。それからブロック単位に設けられる大規模公園につきましては国が三分の二整備費を負担、さらに管理費を二分の一負担というところまで見さしていただいております。したがいまして、他の一般的な公園整備費に比べますと、かなり厚い負担をさしていただいていることにはなっておるわけでございます。しかしながら、なおかつまた地方団体の負担というのもかなり大きなものになることも御指摘のとおりでございますが、これにつきましては、さらに起債対象を拡大する等の措置、これからの方向としてなおいろいろ検討を要すべきこともあろうかと存じます。これらを踏まえまして地方の御努力お願い申し上げていきたいと思っております。
  43. 渡辺栄一

    ○渡辺国務大臣 ただいま局長から御説明いたしたようなたてまえになっておりますが、実現をいたします場合は地方負担の過重になりませんようにできる限りの配慮をいたし、また自治省その他関係各省とも連絡をとって進めてまいりたい、かように考えております。
  44. 岩垂寿喜男

    ○岩垂分科員 大規模公園の設置の場合に、建設省は一カ所をどのくらいの予算を見積もっておられるか、これは平均というか、概算で結構でございますけれども、教えていただきたいものだと思います。特に、五十五年度の調査の結果を見なければはっきりしたことは言えないと思いますけれども、逗子・葉山地域を含む三浦半島の場合は目標を——土地の面積とのかかわりが出てくるわけですからそう簡単に割り出すことは不可能かと思いますけれども、目標みたいなものがおありでしたら、これは地元がどうこたえるかということの上で非常に大きな意味を持つと思いますので、ぜひお示しいただきたいと思います。
  45. 升本達夫

    升本政府委員 大規模公園の建設事業費でございますけれども先生指摘のように公園の規模、性格、さらに場所等、いろいろな条件が異なっておりますから一律に申し上げがたいわけでございますけれども、御参考までに二つ申し上げておきますと、一つは、現在までの事業費の実績、大規模公園の実績をとってまいりますと、一カ所当たり最低で二十億円、それから最大で八十億円ぐらいの幅がございます。それからもう一つは、第二次の、現在の公園整備五カ年計画の作成に当たりましての建設単価によって試算をいたしますと、用地取得費を除きまして、大体平米当たり三千円といたしまして三百ヘクタールを予定いたしますと、九十億円でございますから、ほぼ百億円ぐらいというような概算でございます。
  46. 岩垂寿喜男

    ○岩垂分科員 逗子・葉山というような場合のことは余り考えていませんか。やはり三百ぐらいの規模をお考えですか。
  47. 升本達夫

    升本政府委員 なお重ねて御質疑があろうかとも存じますけれども、いま現時点では、御承知のようにまだ候補地を幾つかの適地を対象として調査をいたしておる段階でございまして、具体的に積算の前提となる地域を想定するのはいまの時点でいかがかということで、具体的な数字は現時点では持ち合わせておりません。
  48. 岩垂寿喜男

    ○岩垂分科員 私は当初、池子弾薬庫の全面返還を目指しまして、それが実現すればここだけで約三百ヘクタールに上る国有地を公園の中心に位置づけることができると考えて、国会の内外で何回か防衛庁長官や施設庁に要求をいたしてきたところでございます。現在、池子弾薬庫は完全な遊休施設になっております。この二年間、一キログラムの弾薬も格納されておりません。これはもう施設庁御存じのとおりです。したがって私は何回かお願いをしてきたわけですが、その即時無条件返還を要求すべきだとしてまいりました。施設庁の見解を改めて伺いたいと思うのですが、今日までこの問題について日米の間で話し合いが行われた経過があるかないか、それから施設庁は今日どのようにこの問題を考えておられるか、今後どのように取り組んでいかれるか、それらの点について、どうも一問だけで大変恐縮でございますけれどもわざわざお越しをいただきましたが、御答弁をいただきたいと思います。
  49. 千秋健

    ○千秋説明員 お答え申し上げます。  この池子弾薬庫につきましては、先生承知でございますが、五十三年の七月に一応米軍の方でゲートを閉鎖するという措置に出まして、それ以来弾薬庫としての使用は行っておりません。ただ、私どもも、そういう状態になりましたので、直ちに米側の方に今後これはどうなるのだということを照会をしておりましたところ、米側としましては、まだ補給品倉庫等としてこれは使っておるのだ、それでまた今後の使用についても考えるので返還は見通しが立っていない、返還ということは考えていないという話でございました。その後も、もう大分時間が経過しますが、私どもいろいろ非公式に米側とやりとりしておりますが、米側の方としましては、実は関東計画で関東地方施設の整理統合がずっと行われておりまして、そこでこの池子弾薬庫はその整理の結果残された施設、区域ということで、池子弾薬庫に対する使用の必要性というものを大分米側が重視しておるようでございまして、現在のところこれに対しまして返還の見通しは立っていないという状況でございます。
  50. 岩垂寿喜男

    ○岩垂分科員 ついでで恐縮ですが、私、かねてからあそこの四百メートルトラックの広場の問題、部分的にでも当面どうだという話をしてきたことがございますが、その問題と、それから一遍、首席連調官にお願いしたのではなかったかと思うのですが、廃屋がずいぶん建っておりまして、まさにゴーストタウンじゃないかというふうないろいろな非難がありまして、その撤去、これは余りお金がかからないと思うのですけれどもまだ実現をしていないようでありますけれども、この点、御答弁を煩わしたいと思います。
  51. 千秋健

    ○千秋説明員 お答え申し上げます。  運動場の問題はお話を伺っておりますが、これも今後の米軍の施設の使用計画と絡んでおりまして、いまのところ具体的にこれの取り扱いについては動いておりません。  それから廃屋というお話の件でございますが、これにつきましても先生から御指摘がありまして、米側に、見苦しいので撤去するようにということを再三申し入れておるのでございますが、米側の方は、いかにせん現在経費難ということで、新たな計画をする際にそれを取っ払う、こういうことで、直ちに撤去するのは困難だということでございます。これにつきましては私どもの方でも、提供中の施設、区域でございますが、当庁の経費でこれが撤去できるかどうかという面を研究してみたい、こういうふうに思っております。
  52. 岩垂寿喜男

    ○岩垂分科員 いま施設庁の方のお答えなのですけれども、事実上、弾薬庫としては使っていないわけですね。しかもあれだけの広い地域なんですよ。補給品の倉庫というにしてはべらぼうに広過ぎる。どうも将来にわたって弾薬庫としての使用というのは考えていないような感じが私としてはするわけです。委員会で、防衛庁が肩がわりをするというようなことはないのだろうなというようなことを聞いたことがございます。防衛庁が肩がわりをすることは考えていないという御答弁を内閣委員会でやったことがございますが、そうだとすると、私はやはり早期返還をぜひ求めてほしいものだというふうに思うのです。それがいま直ちに返還ということにならないとしても、弾薬庫に隣接をする神武寺というところがございまして、ここに国有地が五十ヘクタールございます。五十万平米ですか、さらに衣笠、大楠山周辺の丘陵地を中心として大規模公園をつくれば、非常に理想的な、しかも風光明媚な、東京湾を一望のもとに見おろせるような公園としての条件がそろっているわけでございまして、それにまずつくる。それで将来弾薬庫が返還をされるというようなことになれば、その規模をさらに拡大することができるということになるわけでございまして、そういう点を考慮して、地元の受け入れ体制を促進しながら基本計画に着手するように要請をいたしたいと思います。同時に、そういうことの御答弁をいただきたいものだ、こんなふうに思います。
  53. 升本達夫

    升本政府委員 ただいまおただしの池子弾薬庫は相当の面積をそれだけで持っている土地でございますけれども、さらには神武寺周辺の国有地あるいは衣笠、大楠山、おただしのとおり、いずれも適地の一つというふうに私どもも理解をいたしておりますが、さらに南部の地域につきましても候補地として考え得る地区が二地区ほどあるようでございますし、これらを全部含めまして、それぞれの地区についての適性をさらに検討調査をいたしまして、全体の計画の確定に資したいというふうに考えておるわけでございます。
  54. 岩垂寿喜男

    ○岩垂分科員 最初、A、B、C、Dと四地区を対象にして、五十三年、五十四年と調べてきた。五十五年はA、B、つまり神武寺周辺とそれから衣笠、大楠山周辺というところにポイントをしぼって調査をしていきたいというふうに承っておりますが、そのように理解してようございますか。
  55. 升本達夫

    升本政府委員 あるいはA、B両地区にしぼって、調査を進めるという段階でそのような含みを持ちながら調査を手がけてきたのかもしれませんけれども、いずれにいたしましても、C、D地区もやはり調査対象地区であることは変わりのないことでございますので、その辺も大きな意味では含めて総合的に調査実施し、完結いたしたいと思っております。
  56. 岩垂寿喜男

    ○岩垂分科員 もう時間が来ましたから、最後になりますが、大臣、くどいようで恐縮でございますが、もう一度要請をしたいと思うのです。この数年間、そんなことを一生懸命でやってきましたので身につまされて要請をしたいわけですが、先般大臣も御判断くださいましたように、この地域というのは立地条件としては最適だ、これが一つですね。それから二つ目は、昭和記念公園の候補地の三カ所のうちの二カ所はすでに決まってしまって、あと残されたのはこの地域だけだという条件でございます。その上に、建設省は三年にわたって調査を進めて、その調査に、県民、市民はその実現に非常に大きな期待を寄せております。恐らくは、大臣のきょうの御答弁で地元の大規模公園を誘致をする市民運動や県民運動がまた非常に大きく盛り上がってくるだろうと私は思います。そういうことを前提にしながら、この地域に大規模公園を設置することを重ねて要請をしたいと思うのです。第三次公園五カ年計画ということになりましょうか、最優先のポジションでその実現を約束をいただきたいと思うのですが、いかがでございましょうか。
  57. 渡辺栄一

    ○渡辺国務大臣 ただいまいろいろお話がございましたけれども、御発言の趣旨を踏まえまして、最優先に検討すべき課題であるというふうに取り組んでまいりたいと思っております。
  58. 岩垂寿喜男

    ○岩垂分科員 ありがとうございました。以上で終わります。
  59. 近藤元次

    ○近藤(元)主査代理 以上で岩垂寿喜男君の質疑は終了いたしました。  次に、西中清君。
  60. 西中清

    西中分科員 最初に、関西の学術研究都市構想についてお伺いをしておきたいと思います。現在のところ一応国土庁が主管であろうと思いますので、この分科会で適切なのかどうかはちょっとあれでございますけれども建設省もかなりの関与をなさっておられるようでございますので、お聞きをしてまいりたいと思います。  この構想は、御承知のように、五十一年後半から話が起こってまいりまして、今日まで種々の委員会が文化人、学者さらには経済人、そのほか国土庁におきましてもそれなりの一つの委員会をおつくりになっている、こういう状況でございます。すでに実質的には二年に近い調査が行われておるわけでございますし、また今年も引き続き予算も計上されておるようでございます。そこで、現状は一体どういうことになっておるのか、まずお伺いをしておきたいと思います。
  61. 平野侃三

    ○平野説明員 関西学術研究都市の建設構想策定調査につきましては、先生お話しのございましたように、昭和五十四年度から近畿圏において充実強化すべき高度な学術研究機能の集積した都市の整備の可能性等について検討を始めてまいったものでございます。昭和五十四年度に関しましては、調査費約千六十万円をもちまして、学術研究都市におきまして整備すべき高水準の学術研究機能の性格と内容等につきまして検討を行ってまいりました。なお、昭和五十五年度は千二百三十万円の予算化をお願いしておるところでございますので、前年度の調査結果、また各種の提言が地元等において行われておるわけでございますが、それらの提言を踏まえまして、学術研究都市において整備すべき中核的な研究施設群の立地規模、配置パターン等につきまして検討いたしてまいりたいと思っておりますし、また同時に、研究都市群の広域的な配置のあり方についても検討を行う予定にいたしております。
  62. 西中清

    西中分科員 いまの御説明で確認をしておきたいわけでございますけれども、これは建設を前提として調査しておられると思うのです。ただ、今日地元の京都府民は、たとえば地元の京阪奈丘陵に建てるという話がかなり先行しておるわけでございますけれども、どういうものが建つのかということについてはもう少しよくわからないのですね。ですから、いささかの期待といささかの不安、これがずっと続いておるというのが実情でございます。  したがいまして、これは調査も結構なのですけれども、一体いつまでこの調査を続けられるのか。要するに、この話は来年なら来年に結論づけるということで調査をやっておられるのか。それとも、大ぜいの学者、文化人、経済人がずっとお話をなさっているわけですから、また構想によっては非常に壮大な構想もいろいろ言われているわけですから、十年ぐらい調査をしながら結論を出すのだというお話なのか、その辺が非常に漠然としておりまして、あの地域に住む人たちの生活の将来計画という点では、やはりそれなりの影響のある問題でもありますが、その辺はどういう心づもりで、いつごろの計画の結論をつけようとなさっておられるのか。また、いま高度の学術研究都市とおっしゃっておりますけれども、それは確定しておる問題なのかどうなのか、まず伺っておきたいと思います。
  63. 平野侃三

    ○平野説明員 この構想に基づいて現在調査を行っているわけでございますけれども、関西にとりまして非常に重要なプロジェクトでございますので、私どもといたしましては、基本的な問題についてまず現状を調査しているという段階でございまして、恐らく三、四年はかけて基本的な状況調査するということになろうかと思っております。  また、先ほどの高度な学術研究都市ということでございますが、これは近畿圏整備計画におきましても、高水準の学術研究機能の充実ということをうたっておりまして、そういう方向で検討をいたしております。
  64. 西中清

    西中分科員 三、四年ですか四、五年ですか、これはいまから四、五年先ということですか、そういうふうに認識してよろしいですか。
  65. 平野侃三

    ○平野説明員 そういうことでございます。
  66. 西中清

    西中分科員 そこで、当初この問題についての委員会といいますか、これは奥田先生を中心に関西学術研究都市調査懇談会を設置をされました。それから引き続いて京都府には府庁に学術研究都市構想推進会議、関経連の方では関西学術研究都市調査委員会、在阪経済五団体でも関西学術研究都市共同調査委員会、京都経済四団体が地域プロジェクト推進委員会を設置して、その中に学術研究都市小委員会、そして国土庁として近畿圏におけるこういうものをどうするかという委員会をおつくりになっておる。この経過を見ますと、一部で報道されておりますように、産業と学術、この共同体としての思想がこの根底にあるのではないかというように言われておるし、またそういう判断も当然のことだろうと私は思うのです。  一方では、今年の一月に梅棹先生が、今度は新京都構想というものを出されました。ですから、地元の京都府なんかの対応を見ておりますと、当初関西学術研究都市構想を推進し、それからこういう構想が出てまいりましたならば、これに矛盾するものではないという判断で、これをまた推進をされる、こういうことですね。ですから、これが一体どういう関係を持ってくるのかということが、またこれは地元の方ではよくわからない。現に梅棹先生の御主張を聞いておりますと、学術研究というのは文部省の所管である、こういう言い方をなさっておるようでございます。端的にそうおっしゃったということではありませんけれども、そういう意味お話で、むしろ芸術文化研究都市の方がいいのではないか、要するにそういう位置づけをされておるわけでございまして、その辺は国土庁としてはどういう判断をされておるのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  67. 平野侃三

    ○平野説明員 関西の学術研究都市に関しましては、先生指摘のとおり、各界各層からいろいろな提言がなされております。私どもといたしましては、これらの提言それぞれにいろいろな意味がある提言がなされておるわけでございますが、学術研究都市を魅力があるものにし、しかも活力があるものにしていくという意味におきましては、それぞれが十分に検討に値するものであろうというふうに考えております。  ただ、現時点におきましてやっておりますのは、そういう基本的な考え方をどう整理していくかということでございますので、今後これらの調査を進めるに当たりまして、先生指摘の奥田構想等々いろいろな構想につきましても十分検討していくことといたしております。
  68. 西中清

    西中分科員 それは、両案といま極端に分けることができるかどうかは別として、両方とも検討するという意味でございますか。
  69. 平野侃三

    ○平野説明員 おっしゃるとおりでございます。
  70. 西中清

    西中分科員 建設大臣、直接の所管ではありませんけれども、これの国土庁の委員会に大ぜいの方が参画をしておられるようでございます。むしろ私はこの主管が建設省ではないかと思うくらいメンバーに入っておられます。いま二つの案が出ております。ほかに新しい案が出るというようなケースもまた当然考えられるわけですが、建設省としてはこういう方向が望ましいというような何かお考えをお持ちでございますか、どうでしょうか。
  71. 丸山良仁

    ○丸山政府委員 昨年も先生から私御質問を受けたわけでございますが、建設省といたしましては国土庁と十分連絡をとりながらやっておるわけでございます。私どもも入っておりますけれども、まず国土庁の方で、その会議で結論が出たところで私どもとしましては建設行政で御協力できることは最大限に御協力いたしたい、このように考えているわけでございます。
  72. 西中清

    西中分科員 国土庁にお伺いしますけれども、これは田園都市構想と関連する構想になっておるのか、それとも全く無関係に立てられている問題なのか、その点はいかがでございましょうか。
  73. 長沢哲夫

    ○長沢説明員 田園都市構想は、御承知のとおり、現在その具体化につきまして、官邸の方で総理の政策研究グループが組織されて、そこで検討が進められておるわけですが、その中に梅棹先生もお入りになっていらっしゃいますので、いわゆる梅棹構想なるものを含めてそこで検討されるというふうに承知しております。私どもとしましてはその成果を待ちまして検討に入りたい、こういうふうに思っております。
  74. 西中清

    西中分科員 いま御説明がありましたように梅棹先生はこの田園都市構想グループの座長をなさっておられるわけで、その影響は小さくないと私は見ておるわけで、そういう意味合いにおきまして、国分寺構想なるものをおっしゃっておるわけでございますので、その辺は今度のこの関西の高度な学術研究都市構想の検討材料としては非常に重要な提言になっておるというふうに私は思っておるのですが、その辺はどうでしょうか。
  75. 長沢哲夫

    ○長沢説明員 学術研究と、それから文化、これは類似の領域ではありますが、専門領域としてはそれぞれ機能を異にいたします。具体的に構想を実現していく場合に、それぞれの機能についてどういうあり方がいいかということをそれぞれに検討しなければならない、こういうふうに思っております。両方の機能がどのような形で関連づけられていくか、どういう形で合流していくのかあるいは並行していくのか、そういったこともこれからの検討課題になろう、こういうふうに思っております。
  76. 西中清

    西中分科員 そういった点が地元にとってはよくわからないところなんですね。なぜそうなるのかとちょっと考えたのですけれども、学術研究都市基本構想計画調査委員会というものをおつくりになっている。これは国土庁ですね。これを見ますと、建設省、科学技術庁、通産省、日本電信電話公社、日本住宅公団、宅地開発公団、こういうメンバーになって、あとオブザーバーとして国土庁、それから京都府、こういうものが入りまして運営をされておるようでございます。それで、さっきの梅棹先生の構想からいくなら、これは文化芸術構想という都市構想ということになるわけです。本来これでしたら文部省が入ってきてもおかしくないんじゃないか、これが一点。  それからもう一つは、これからいろいろな提言がなされて、もしもこれが本格的な実施段階に入るというようなことがあれば当然各省にまたがる問題ですね。ですから、こういう段階で一年、二年というように経過をしてきたわけでございまして、事が非常に大きくなってきているわけです。膨大なプロジェクトということになるわけですね。それを行うについてやはりもう少しきちっとした一つの土俵ができ上がった上で、文部省も入りほかの省庁も入って、どういう都市構想がいいのかという話し合いが必要な段階に来たのではないか。  もちろん国土庁は今日までやっておられて非常に御苦労だと思いますけれども、せっかくの梅棹先生の御構想も出ておることでございますから、その辺は政府として一つの土俵をきちっとつくっていただく。そうでなければ、次から次へいろいろな構想は出るし、地元はいつこういうことが行われるのだろう、どんなものができるのだろうということをいつも中途半端な気持ち、不安な気持ち、また期待もかけながら待っておるというような状況でございますから、そういう新しい構成の上でもう少しきちっとした土俵の中で論議をしていただくということが大事ではなかろうか、こういうように私は思うわけでございます。課長さんではお答えしにくいかと思いますが、大臣、国務大臣として、先ほどからいろいろお話をしておるわけでございますが、こういう点でどうお考えなのか、いまの委員会というか協議機関というか、そういうものをここで少し見面して、もう少しきちっとした土俵のものがいいんじゃないか、こういうことでひとつお答えいただきたいと思います。
  77. 渡辺栄一

    ○渡辺国務大臣 本件につきましては私ども、国務大臣でございます、いずれ関係が深くなると思いますが、現段階で私の考え方を申し上げるのは適当ではないではないかと思いますので、差し控えさせていただきたいと思います。
  78. 平野侃三

    ○平野説明員 ただいま先生の御指摘のございました委員会でございますが、その委員会は京都府が組織している委員会でございまして、私どもの方では大阪学術センターに委託をいたしまして、そこで関西の学識経験者を集めまして現在基本的な問題で調査しているという段階でございます。したがいまして、その中身がある程度煮詰まってきました段階で各省各機関にも御協力をお願いするということになっていこうかと思います。
  79. 西中清

    西中分科員 そうでした。私もちょっとなにしましたのですが、そうなるとなおさら政府にはいま主体的なものが何もないということでしょう。要するに委託して研究してもらっているんでしょう。これはなお一層、まず第一にしっかりした委員会を国土庁でつくっていただかなければ困る。また少なくとも何省か基本になる省庁において委員会をつくっていただきたいと私は思うのですね。これはすぐとは言いませんけれども、やはり近いうちにこれが必要だと私は思っておりますけれどもどうでしょうか。もう一遍答弁いただきたいと思います。
  80. 平野侃三

    ○平野説明員 私どもの方の調査研究の方向がある程度煮詰まってまいりました段階、また煮詰まっていく過程におきましても、関係機関とのいろいろな意見の交換ということはいたしてまいるつもりでございますけれども、むしろある程度まとまってきた段階でそういう体制をつくってまいりたいというふうに考えております。
  81. 西中清

    西中分科員 これまで一応各省からいろいろな意見はお聞きになっていると思うのですけれども、意見をお聞きになっている省庁はどういうところか、ひとつ教えてください。全然聞いてなければ聞いてないでいいんですよ。
  82. 平野侃三

    ○平野説明員 現時点におきましては具体的な意見をお伺いしているという省庁はございません。
  83. 西中清

    西中分科員 いずれにしましても、こういう巨大なプロジェクトでございますから、あいまいな形態のままでは地元民には非常に影響が大きいわけでございますので、できる限り早い機会に政府としてのきちっとしたこれに対応する一つの機関、こういうものをつくっていただきたいと要望しておきます。  それから次に、京都府の河川改修についてお伺いをしておきたいと思います。  率直に申しまして、河川改修というのは通常の場合河口からだんだん上に上っていく、これは当然ではなかろうかと思います。そういう影響があるのかないのか知りませんけれども淀川をさかのぼりまして京都府に入りますと、御承知のように木津川、宇治川、そして桂川というように三分しておるわけでございます。この地域河川改修、こういう点については計画がなかなか進捗をしないというので、私ども関心を持っておるわけでございます。  そこで、一つ一つお伺いをしておきたいわけでございますけれども、まず木津川でございますが、この地域は最近都市開発がどんどん進んでまいりまして、そして排水量も増加をいたしておるわけでございます。一方、木津川の河床は以前から見ますと非常に下がっておる。このために樋門が小さいというのと高い位置にあるということで排水が十分でない。ちょっと夕立の激しいのが降るとたちまち冠水という地域があちこちにあるわけでございます。現在、一年に一カ所程度のペースで改修が行われているのじゃないかと思うのですが、地元としては少なくとも二カ所、三カ所やっていただけないものかと、早い改修要望いたしておるわけでございますが、この点どういう対応をしていただけるのか、お伺いをしておきたいと思います。
  84. 稲田裕

    稲田(裕)政府委員 木津川の下流の都市開発も、最近特に堤防周辺にまで及んでまいっておりまして、先生指摘のように都市開発に伴って各樋門へも道路がかかってきている状況でございます。在来からこの樋門の改築というものにつきましては逐次進めてまいっておるわけでございますけれども、大体おっしゃるように年平均一カ所程度のペースでやっておるわけでございまして、すでに現在までに道をつけましたのが約十カ所近くになろうかと思いますけれども、あと残りの樋門等につきましてもこれをできるだけ早い時期には補強、改築をしたいという方針で、今後ともやってまいりたいと思っております。
  85. 西中清

    西中分科員 桂川の場合、この改修も非常におくれておるのではないかというように思っております。それから、この川につきましては嵐山、渡月橋からその下流上野橋の間、この間につきましては改修計画がいまだできておらないという状態でございます。私もその川辺に住んでおるのですが、この辺は非常に急カーブな地域でございますし、観光地でもございますからいろいろ御苦労も多いのじゃないかと思いますけれども、いつごろこの計画をしていただけるのか。さらにこの奥地の亀岡方面の宅地開発、市街化が非常に進んでおりますので、流量がどんどん増加をいたしておる、こういう背景も実はございます。こういう点でいつごろ策定をしていただけるか、お伺いをしておきたいと思います。
  86. 稲田裕

    稲田(裕)政府委員 桂川の改修は、これの区間昭和四十二年に直轄に編入いたしまして、直轄で手がけておるわけでございます。現在、弱小堤防の補強及び護岸工事を主体に、三川合流点から逐次上っていくということで、現在やっておりますのが大下津地区を重点的に進めておりますが、大幅な引き堤の用地交渉等にいろいろ問題を抱えております。これを逐次進めたいというふうに思っておるわけでございます。  ただいま先生指摘の渡月橋から上野橋の間でございますけれども、この間の法線計画につきましては、計画そのものは工事実施基本計画が四十六年に定まっておりますけれども、どういうふうな法線でどういうような改修をするかということにつきましては、この部分は現在河積が狭小でございますので、河積を大幅に拡大しなければならない地点でございます。  しかしながら、この嵐山周辺の地区というのは景勝地でございますし、また風致地区にも指定されておる地区でございますので、それら等とも十分調整を図りながら計画を立てなければならないという地区になっておるわけでございます。  これと似たような例で、宇治の平等院のところの法線の計画があったわけでございますけれども、これも例の塔の島がございまして、それの風致との調整問題というのがございましたので、これは学識経験者の方々等を入れまして、宇治橋付近の景観保全対策協議会というものを設けましていろいろ御審議願いました。最近成案を得まして、この地区につきましても法線を定めたところでございます。渡月橋周辺地区につきましてもこういう組織を来年度あたりから発足させまして、この法線につきましては景勝地の保全等も配慮しながら法線計画を立ててまいりたい、かように考えております。
  87. 西中清

    西中分科員 次に、由良川についてお伺いをしておきますが、この川は水面と上流まで余り落差がないという非常にめんどうな川で、まさしく百年河清を待つ思いであるわけで、常襲の浸水地帯がいまだにあるというようなところでございます。今日までもかなりの予算を投入してまいられたわけでありますけれども、特に人口の集中しております福知山周辺では、比較的枝の線も全部あわせましての改修が進んでおるということは非常によく認識をいたしております。ところが、下流地域、舞鶴市、大江町につきましてはもう少し事業が進まない。先ほど言いましたように、本来下流から改修してくるのが普通だというのに、ここだけは何で上からやるのだということが地元民の間で非常に素朴な疑問としてあるわけですね。したがいまして、洪水の場合の疎通能力という点で非常に問題が多いわけでございますけれども、舞鶴市周辺、いわゆる河口周辺については当面どういうように工事をやっていかれるのか。それから河守地区の築堤、これの問題も大きな関心の的でございますけれども、これはどうなっていくのか、この点についてお伺いをしておきたいと思います。
  88. 稲田裕

    稲田(裕)政府委員 由良川の改修でございますが、綾部から福知山間は戦後ほとんど無堤地帯でございます。これの改修を進めるとともに、改修を進めますと下流はロードがかかりますので、これにつきましてはバランスをとりながらしゅんせつ工事も進めるというのを在来方針として進めておったわけでございます。それで、下流地区でございますけれども、全体で五百六十万立米程度のしゅんせつ計画を立てまして、五十四年度末では六〇%程度までこれが竣工できるというふうなめどを立てております。  いま御指摘の舞鶴の地区、それから大江町の河守の周辺等につきましても、逐次計画的なしゅんせつは今後とも図ってまいりたいというふうに考えておるわけでございますが、この付近の築堤につきましては、計画流量を流そうとしますと、山までの間に非常に平地が少のうございまして、法線そのものも引きにくいという状況がございます。したがいまして、抜本的にやるという方式につきましては、堤防につきましてはまだ地元との調整問題が残っておりますので、これらを詰めながらやりたいと思いますけれども、急ぎますのはしゅんせつでございますので、この下流地区、舞鶴、大江地区につきましてもしゅんせつを今後とも推進してまいりたい、かように考えております。
  89. 西中清

    西中分科員 大臣、いま挙げました川の周辺流域は、ちょっと大雨が降る、夕立の激しいのが降ると浸水するところが幾つもあるという河川でございますので、今後の公共投資につきまして特段の御配慮をいただきたいと要望しておきたいと思います。  同時に、最後ですが、淀川から上りまして、京都に入って三川が合流している地点から上に向かって三つの川、いわゆる桂川、宇治川、木津川に、大阪地域と同じようにいわゆる国営公園の建設地元要望いたしておるわけでございます。府としてもすでに二百万の予算を計上いたしておるようでございますし、五月には流域市町村を含めた促進協議会もつくって基本構想を策定したい考えであります。これについて、建設省としてもそれに対応して御協力をいただけるかどうか、御意向を伺って質問を終わりたいと思います。
  90. 宮繁護

    宮繁政府委員 おただしの点でございますけれども、三川の国営公園への取り込みと申しますか、延長と申しますか、ということにつきまして地元の御要望があることは承っております。しかしながら、河川敷の公園化につきましては、先ほど来おただしの事項と密接に関連いたします治水計画との整合性の問題、大変大きな問題がございます。したがいまして、これらを踏まえまして公園化の前提条件の把握が必要であろうかというふうに考えております。今後必要な調査、検討を行ってまいります段階にあるということかというふうに理解をいたしております。
  91. 西中清

    西中分科員 終わります。
  92. 近藤元次

    ○近藤(元)主査代理 以上で西中清君の質疑は終了いたしました。  次に、渋沢利久君。
  93. 渋沢利久

    渋沢分科員 私は、東京選出の議員として大都市部の議員という立場で、実は去年は地震保険の問題で尋ねましたが、大都市部における大地震対策という課題は、十年、二十年をかけた長期のねばり強い関係方面の努力がなくては活路は開かれないという確信を持っておりまして、必ずこれは今後とも機会あるごとに政府の態度をただしていきたい、こういう立場で、きょうは大都市部、いわゆる東京における大地震対策というものに触れて幾つか尋ねたいと思うわけであります。  最初にややローカルな話になって恐縮ですが、東京の周辺区、過密とそして地盤の沈下軟弱地帯、こういう特殊構造を持つ東京東部の周辺地区の中で、避難場所の設定に非常に困難を来している状況の中で、たとえば江戸川とか荒川などという大河川の広域河川敷、河道施設というものが占める位置は非常に高いわけです。それだけでなしに、地震対策としての避難用地としてだけでなしに、中小零細企業の密集するこの地域の中では青少年、勤労青少年の野球場であり、憩いの施設であり、レクリエーションの用地としても非常に大きな役割りを占めておるわけです。これらの河川整備が非常に急がれていることは言うまでもないわけであります。  たとえば荒川の新河道計画の中でも、非常に御努力のあることは認めますけれども、一つの特徴として見ますと、河川河川整備計画というのが、どういうわけですか右岸だけが整備が先行的に行われておる、左岸部分については極端におくれておるというような特徴がありまして、どうも理由が定かでない。同時に、先ほど言いましたような状況からいいましても、すでに避難場所としての指定もこれありというだけでなしに、付近住民の利用価値というものを考えると早急な整備が望まれておるわけであります。特に右岸だけが先行的に整備されるというようなバランスを欠いた施策というのはどこに理由があるのか。特に東京の中でも過密と地盤の軟弱構造という特殊な状況を持っている東部周辺地区における河川敷の役割り、位置づけというものを、お国の方は雲の上で現地のそういう状況が定かでないかもしれませんけれども、この際ぜひこの点をただしながら強い対応を要請しておきたいというふうに思うのであります。最初にこの点をお尋ねしたい。
  94. 稲田裕

    稲田(裕)政府委員 荒川の下流部におきましては、現在河川改修事業によりまして低水路のしゅんせつと、しゅんせつ土を使いました高水敷の造成を促進いたしまして、それと同時に、環境整備事業によりまして、スポーツ広場、公園等に利用可能となるよう高水敷の整備を進めてまいっておるわけでございます。現在五十四年度におきましては、左岸につきまして江戸川区の宇喜田町地先、右岸につきましては小松川地先を実施いたしておるわけでございます。おっしゃるように、右岸につきましては、上流から逐次高水敷の造成を図ってまいりまして、現在小松川地先まで至っておるわけでございますが、左岸といいますのは、御存じのように中川との背割り堤の部分になっておるところでございまして、この部分につきましても、背割り堤そのものの補強もしなければいけないということも兼ねまして、いわゆる着手をしたわけでございますけれども、これから逐次左右岸並行しながら進めてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。  五十五年度以降につきましても、震災時の避難の広場としても非常に重要な意味を持つものでございますので、左右岸の改修促進を鋭意図っていきたい、かように考えておるわけでございます。
  95. 渋沢利久

    渋沢分科員 わかりました。いまのお話では、特別に左岸部分について整備計画を滞らせる理由があるということじゃなしに、これは右岸同様逐次整備を進めていきたい、こういう方針であるというふうに承って、ただ建設省に近い方から仕事が進んでいるという程度に理解をいたしまして、いまの局長の答弁を非常に前向きな積極的な姿勢として評価をして、ぜひおっしゃるとおりに進めていただくようにお願いをしておきたいと思います。  さて、せっかく大臣と、こういう場所での御対面の機会も少ないわけでありますので、ぜひ基本的なことで大臣見解を率直に伺っておきたいのです。  東京の状況を見まして、いうところの大地震が起こるということを想定いたしますと、それはこれから二十年先か三十年先かわかりませんけれども、いまの政治経済の状況の中でこの東京が、言葉の上で言うほどたやすく短期間に大きな地震に耐えられるほどの都市改造が、地震に強い東京都が生まれ変わったように簡単にできるとも思わないわけであります。用地の体制はいろいろ進んでおるというようなこともありますが、同時に、御存じのように過密の東京を解決するという意味で、官庁や大学の移転問題も——もちろんこれは地震対策という観点だけではありますまいけれども、あるわけであります。これも大胆に早く方針を出して、勇気を持って実行しなければならない課題である。一部には皇居の移転問題すら、東京の改造という観点からの議論があることも御存じのとおりです。この種の課題は、やはり政府の中で建設省なり国土庁なり、関連官庁のトップが、政治家の政治感覚で決断をする閣僚が出てこぬと前へ進まぬのですよ。任期中無難におやりになるということで言えば、余分なことには手を染めぬ、つまり、二十年先の話には手を染めぬというこの構造が政治、行政を非常におくらせていると思う。まさに大地震における大都市の問題、特に東京の課題は、一時的には、日本をだめにするおそれすらある、日本の機能をとめてしまうほどの課題なんです。大臣、ぜひひとつ政府の中で、大地震における東京の問題を抜本的に考えるための関係の機構、仕組みを御検討いただいて踏み出すぐらいのことは——歴代大臣、そういうことは余り言ってくれなかったし、やってくれなかったです。そういうことで何か積極的なお考えはおありでしょうか。
  96. 渡辺栄一

    ○渡辺国務大臣 これは私ども、もちろん国務大臣として、また建設省所管事業もありますから、そういう意味では非常に関係の深い立場におるということは十分承知をしております。現在の機構上から申しますと、国土庁が中心になりまして地震対策、災害対策等は進めておるわけでございますけれども建設省としては、御承知のようにいま木場地区の再開発でございますとか、先般私も見てまいりましたが、白髪橋付近のいわゆる防災広場あるいは防災に役立つような住宅の再開発というようなことも進めております。やはりこの問題は一刻を争う問題でございますから、強力に推進をしなければならぬ。そういう意味におきましては、私どもの立場におきましても、全力を挙げてやってまいりたい、かように考えております。
  97. 渋沢利久

    渋沢分科員 時間がないので議論する余裕がないのですけれども、政府内の関係省庁及び自治体である東京都あるいは学識経験者等を含めた、地震対策としての東京問題というのをきちんと協議するような場づくりにまず踏み込んでいただきたいということをお願いしておきます。  そこで、この宮城沖の地震等に顕著にあらわれた傾向というのは、言うまでもありませんが、建造物、ビル自身の損壊、とりわけ付属物としてのビルのガラス窓あるいは広告物、電柱、へいというような建造物の損壊による人畜被害が非常に出たということが著しい傾向ですね。東京に直撃がありませんでも、いま東海地方がナンバーワンということで不運にも指定を受けて、その対策に大わらわである、御苦労いただいておりますが、この東海地方にかなり大きなものが出た場合を想定すると、その状況によっては東京も、少なくともこういう東京の構造からいいますと、建造物の落下、破損による被害というのはかなりのものに想定せざるを得ない。そういう部分についてどう対応するかということの対策は、建設省住宅関連その他において進められておると思うのですが、抽象的にではなしに、具体的には、ブロックべいが倒れたので人が死んだのだという、こういう事実、これが非常に顕著なんです。電柱がひっくり返ってだめになった、ビルのガラス窓が吹っ飛んだ、こういう状況が出ているわけですから、これをどうするかというのは、すでに相当検討がされておるはずだと思います。規制するだけではだめ、こういう耐震構造でつくりなさいという命令だけやったのでは、高い土地でなかなかそれは思うように家が建たぬのですから、土地代と家代に銭がかかったら、ブロックべいの方はこれは骨抜きになるわけです。安上がりにやらざるを得ない。言ってみれば、国の住宅政策の不十分さがそういう結果を生んだと言っては皮肉に聞こえるかもしれませんやれども、そういう部分もある。ですから、ただ、だめだだめだ、こういうものでなければ許可せぬぞという規制だけ強めてもなりません。広告物その他については規制を強めるということで処理のできる部分もある等々を含めて、この種の対策についてはもうすでにやれることはやって、できて、御心配なく、こう胸をたたいていただいていい時期にあると思うので、きょうはひとつ簡潔に、時間がないので、すぱっと、御心配なくという部分を御説明願いたい。
  98. 関口洋

    ○関口政府委員 先生指摘のブロックべい、窓ガラスそれから広告物につきまして、私から御説明をさせていただきます。  ブロックべいにつきましては、いま二十三の県におきまして、ブロックべい等安全対策推進協議会が設置されておりまして、そこでは技術指導者を委嘱いたしまして、いわばブロックべいの点検並びにその施工についての改善策を御指導願っております。またこのほか、建築士会連合会等を通じまして安全なブロックべいづくりの広報宣伝活動も行っております。調査の結果、調査をしました個所数は三千二百九十九カ所、調査件数は六万九千八百六十件でございますが、そのうち、改修指導を行ったものが一万一千七百九十一件でございます。  これらにつきまして、助成措置でございますけれども住宅金融公庫の住宅改良資金の貸し付けについて用意をいたしておりまして、いわば指導と助成の両面を活用してこれからもなお努力を傾けていきたい、かように思っております。  それから、窓ガラスの問題でございますが、これは結局、私どもの言葉で申しますとはめ殺しと申しますか、あけ閉めのできない窓で、しかもパテを使っておって、そのパテが古くなっておるというところが問題だ、かように思っております。  これにつきましても、一万一千百四十八カ所を調査いたしまして、そのうち四千件余に改善の指導をいたしておりますし、また技術基準の改善を行いまして、いわばはめ殺しの窓につきましては使用するシーリング材を非硬化性のものを使うように技術基準の改善も行っております。  それから、広告等でございますけれども、広告等につきましては、ただいま技術基準の改善につきまして都市局と共同で検討を進めておる、こういう状況でございます。
  99. 渋沢利久

    渋沢分科員 そういう部分は具体的にぜひ進めていただきたい。いまの答弁で私、満足していませんけれども、時間のかかる課題だということを承知の上で、ぜひ積極的な詰めを願いたい。  進んだ自治体では、大都市部分では、積極的にその調査対策を進めている部分がある。しかし、ややバランスを欠く部分もある。これはやはり、自治体のいろいろな調査や対応についても的確に掌握を願って、督励やら指導、援助をぜひ積極的にお願いをしたい、こう思うんですよ。  大臣、さっき大臣お話の中で、いや実はもう白髪の、東京で言えば東部地区の防災拠点もちゃんと指導しているし、この目で見てきた、こうおっしゃるわけです。行かれればカメラマンがついて絵になりますし、大変結構な話なんですけれども、たとえば東京都があの防災拠点絡みの予算を確保する意味で国に対していろいろな要請をしてきている。しかし非常に冷たいですね。市街地再開発事業費補助の補助率の引き上げなんというのを出していますけれども、これは認められなかった。公園補助の補助率の引き上げもだめというような、たくさんありますので、時間がないので言いませんけれども、いや大蔵には出したけれども大蔵がうんと言わないんだというような話は、内輪の事情としてはおありかもしらぬけれども、やはり大臣、やっとるぞ、見ておるぞと言う以上はこういうところもちゃんと見ていただかないと、現地の、実際に現場で仕事をする自治体は住民の権利問題に直接かかわるから非常に苦労をしているわけですね。このことについては特にお願いしておいて、特に前向きに努力をするということを伺っておきたいと思うのです。  それから、法制的に都市改造の処方が、あのような、東京で行っているような防災拠点をやっていく上では必ずしも適当でない、幾つかの法律を重ねてやらなければならない、統一的にできない。やはりああいう部分をもっとやりやすいような都市改造の法整備みたいなものは欲しいということがあって、検討されているというふうに思うのですが、その点についても簡単にお答えをいただきたい。
  100. 升本達夫

    升本政府委員 江東地区の防災拠点についての整備につきましては、いまおただしのように、単に市街地再開発事業のみではございませんで、公園事業街路事業あるいはその他の各種の公共住宅建設事業等を総合的に活用し、整備を進めてまいっておるところでございます。国といたしましては、市街地再開発事業の推進を図りますために昭和四十八年度以降、一般会計に補助を創設いたしておりますし、さらにその拡充を年々図ってまいってきたところでございます。  特に、先ほど大臣からもお話がございましたように、江東防災拠点の事業地区につきましては、防災性能を強化するための費用といたしまして、耐震性の確保のための特殊基礎工事費、さらには散水施設、ドレンチャー設備と申しておりますが、こういったものに対しましても、これを補助対象にいたします等の努力をいたしてまいったわけでございます。  ただいまお話の出ました江東地区防災拠点の防災公園につきましては、事業の緊急性にかんがみまして、予算の重点配分等を心がけまして事業を推進してまいったところでございますが、さらに一層推進を図ってまいりたいと考えております。  そのほか、震災対策の一環といたしまして、御承知のところと存じますけれども、避難地、避難路の安全化を促進するということのために、地方公共団体に対しまして計画作成費の三分の一の補助、さらには昭和五十五年度におきまして、予算案におきましては単に計画作成費のみならず、それに従って事業化され、民間の方々が耐火建築物をお建てになる場合にも一定の補助を行うというような措置もとらしていただくことにいたしております。いろいろと申し上げましたけれども、これらの諸施策を総合的に実施いたしまして、防災拠点づくりを推進してまいりたい、かように考える次第でございます。
  101. 渋沢利久

    渋沢分科員 大臣、この間警視庁で、大地震が発生したら、正確にはたしか警戒宣言ですか、が出た時点であなたは何をするかというドライバーの世論調査をやりましたら、新聞等に報道されて御存じだと思うのですが、まず最初に車をおりて電話をする。自分の家に電話をする、会社に電話をする。そして真っ先に家へ帰るとか、あるいはいざというときには、これはひき逃げもやむなし。かなりの部分がひき逃げやむなしのアンケートに応じているのですね。あれをごらんなさって、確かにいま起きた場合どうするかということで言えば、これはいまの時点での本音だろうと思うんですね。しかし、これは笑えない話だと思うのです。ひき逃げやむなしのドライバーのかなりの部分の反応について、大臣はどんな感想をお持ちになったでしょうか。
  102. 渡辺栄一

    ○渡辺国務大臣 これは先生もそうだと思いますが、常時で判断できない心理状態、パニック状態というものが当然起きてくるわけでございますから、そういうことをやはり十分配慮して対処しなければならぬと思います。いま都市局長がいろいろ御説明いたしましたが、そういうような問題を私どもは具体的に取り上げております。財政の非常に厳しい中でございますけれども、その中にありましても、地震の対策あるいは災害の対策というものは、諸般の問題につきまして、ひとつ多角的に全力を挙げまして、一日も早く皆さんに御安心をいただけるような体制をつくりたいと考えております。そういう意味で、交通の問題もお話しのような経過がいろいろあったことも私は承知いたしておりますが、そういう場合に、やはり常識的に考えられないパニック状態が起きるということを前提として万全の対策を講じなければならぬということを私は考えております。
  103. 渋沢利久

    渋沢分科員 そうなんですね。大臣のおっしゃるとおりで、やはりパニックこそが最大の地震対策の敵だと思いますね。ですから、地震についての知識を、あるいは起こり得るさまざまな被害、災害に対する予備的な知識を、その対応策というものを日常的に国民の間に定着させるということにやはりみんなが責任を持たなければならぬということですね。ですから、いまは静岡でもそうでしたけれども、がたっときたらガスの元栓だけはとめた、ガスこんろの元は押さえた、そこはきちっとおりた。これは時間がかかっているんですね。しかし、車の対策で言えば、まだなきに等しいと言っていいわけです。  警察庁がお見えだと思うのですが、もう時間がありませんので、最後のあれになりましたが、そういう意味で言うと、まだ高速道路については、車はどう対応していいのか、結論が出ていないとかいろいろ言われておると思うのですけれども、この地震対策の中での交通対策というものは非常に大事だし、いま言ったように、これは早過ぎるということは全くないのであって、ガスの元栓にまずさわれという、この辺の日常生活感覚まで、車の対応その他の対応について国民の意識がまず向くというような、大変きめの細かい親切なPR等の努力が、これは警察庁のみならず関係各省の共通の課題だというふうに思うわけですが、特に交通対策の面でどういう対応をやっておるのか。新聞等の判断によると、まだかなりまごついておるような印象も与えておるので、この際ひとつお伺いしておきたいと思います。
  104. 広谷干城

    ○広谷説明員 御指摘の、警視庁が昨年の十一月に調査を行ったわけでございますが、どうするかというふうな点につきまして、回答から見ますと、いろいろと戸惑いが見られるということ、御指摘のとおりでございます。  それで、警察庁といたしましては、先般、国家公安委員会及び警察庁の防災業務計画の改定を行いまして、特に警戒宣言が発令をされました場合の運転者のとるべき行動要領というふうなものを定めたわけでございますけれども、その中身といたしましては、一つは、警戒宣言が発せられたことを知ったときには、まず地震の発生に備えて低速の運転をしていただきたい。それから、走っておる車は低速でとにかく落ちつき先までは一応走っていって、そこで車を路外に格納して、あと動かさないでいただきたい、こういうふうなことを中心にいたしました行動要領を決めたわけでございますけれども先生の御指摘のとおり、この行動要領というものが、先ほどもお話しございましたように、ガスの元栓をとめるというのと同じような状態になるまでドライバーの方々に認識をしていただかなければならないということが一番大切なことではなかろうかというふうに考えております。したがいまして、われわれといたしましては、年間千三百万人余にわたりまして更新時講習を行っているわけでございますけれども、この機会を通じまして、一人一人のドライバーに徹底をしていくということも考えなければなりませんし、また交通の教則というものを各ドライバーに全部読んでいただくことになっておりますけれども、この中にも詳しく登載をしていくということも考えなければならないと思います。また、安全運転管理者という制度もございますけれども、それらの制度を通じての徹底であるとか、あるいは関係機関挙げての防災訓練というふうな各種の施策を通じまして、この行動要領というものを徹底をしてまいりまして、先生指摘のように、とっさの場合に車両の流れというものが交通パニックを引き起こすことのないような対策を十分に講じてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  105. 渋沢利久

    渋沢分科員 あと一分か二分というところですから、最後に大臣にいま一度簡単にお尋ねしておきますが、これは毎年私は、大都市部での地震対策という課題で、予算分科会では繰り返し必ず政府の所見をただしていきたいと思っております。そして、東京選出の国会議員の間でも、これはわが党こそがというレベルで取り組む問題を一つ乗り越えて、党派を超えて東京の国会議員団が、東京における大地震対策について自発的な協力と共同討議の場をつくるということでもいま努力しているところです。そういうものの芽が必ず吹いてきますが、政府の中でも、これは所管は国土庁という式のことではなしに、現に先ほど大臣がおっしゃったように努力をしたいということですが、いまひとつ特に首都東京の対策という点で、その与える影響をかんがみて、特殊に関係者の東京対策の懇談会なり話し合いの場なりを、広くいろいろな知識と対策を吸収していく場づくりに努力をしてほしい。その点についての大臣の所感を最後に承って、私の質問を終わります。
  106. 渡辺栄一

    ○渡辺国務大臣 お話しの件は非常に重要なことでございまして、私どもも今日そのつもりで努力はいたしておりますが、さらにそういうような意味におきまして積極的に一層推進をしてまいりたい、かように考えております。
  107. 渋沢利久

    渋沢分科員 ありがとうございました。
  108. 近藤元次

    ○近藤(元)主査代理 以上で渋沢利久君の質疑は終了いたしました。  午後零時三十分から再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時三分休憩      ————◇—————     午後零時三十分開議
  109. 兒玉末男

    兒玉主査代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  建設省所管について質疑を続行いたします。安藤巖君。
  110. 安藤巖

    安藤分科員 私は、都市公園と消防の関係についてお尋ねをしますが、まず最初に、消防庁の方にお尋ねをしたいと思います。  私が言うまでもなく、消防庁の方は当然よく知っておられるわけですが、昭和五十四年版の消防白書、この中の「消防行政の現況と施策」という中に「震災対策施設等の補助事業」というのがありますが、その中に「特に、震災時に予想される火災の同時多発に対処し、初期消火及び延焼拡大防止の徹底を期するため、昭和四十七年度から補助事業として、大震火災対策施設整備事業を推進している。」という記載がありまして、そして、昭和五十四年度から地震防災対策強化地域については新しい補助制度を創設し、ここからが問題なんですが、さらに千五百立方メートル型とそれから百立方メートル型の耐震性の貯水槽、それから可搬式の動力ポンプ及び備蓄倉庫などについて、補助対象地域を三大都市圏以外にも政令指定都市その他を加えて整備事業を推進しているという指摘があるわけでございます。  そこで、いま私が言いました貯水槽ですが、これはどういうようなところへつくることを消防庁としては希望しておられるのか、あるいは予定をしておられるのか、そして現実はどうなっているのか、それをお伺いしたいと思います。
  111. 大竹山龍男

    ○大竹山説明員 ただいま御指摘ございました、私どもが現在取り扱っております大震火災対策施設整備費補助金は、震災等が発生した場合に最も恐ろしいものとされております二次火災の予防ということで被害の軽減を図ろうという趣旨から、四十七年度からずっと今日まで続いているものでございまして、この貯水槽の内訳は百トン貯水槽と千五百トン貯水槽の二種類に分かれております。それから、さらに昨年度、補助率を地震防災対策強化地域内は二分の一、その他の地域については三分の一ということにいたしたわけでございまして、一般的には、そういう災害時に対処するため、いわゆる市街地の避難地とか空地とか、そういうものに消防防災上の立場から設置を進めております。
  112. 安藤巖

    安藤分科員 いま市街地の空地等々ということをおっしゃったのですが、貯水槽は、都市公園法の施行令ですかの中にあるのですが、地下の貯水槽なんかは都市公園に占用物件としてつくってもいい、こういうことになっておるのです。市街地といいましても相当家並みが立て込んでおって、なかなかそう空き地というようなものは見当たらないのじゃないかと思うのですが、都市公園にそういう貯水槽を、これはもちろん地下式でないといかぬようですが、つくるというようなことは、そういう方向で努力してほしいというようなことを各地方自治体の消防局等に対して言っておられるのでしょうか。
  113. 大竹山龍男

    ○大竹山説明員 都市公園の下に防火水槽を設置することにつきましては、建設省の御配慮によりまして現在でも認められているところでございます。それで、各自治体においてもその設置を図っております。たとえば、名古屋市におきましては百トン貯水槽を現在二十基のうち十六基、比率にしますと八〇%、大阪市におきましては三十基のうち公園内が二十八基、九三%というふうに進めておりまして、今後とも私どもその整備を図ってまいりたいと考えております。
  114. 安藤巖

    安藤分科員 そこで、地下貯水槽はそういうような形でできておるのですけれども、震災対策用の消防器具を入れるところ、いわゆる器具庫といいましょうか、そういうものをそういう地下貯水槽とセットをして、地下貯水槽の設置されている、いま名古屋の場合で言うと八〇%ということをおっしゃったのですが、そういう都市公園の敷地の中に消防器材を入れる器具庫をつくってほしいというような要望地方自治体から上がっているのではないかと思うのですが、その辺はどうでしょう。
  115. 大竹山龍男

    ○大竹山説明員 御指摘のように、やはり震災時の場合は防火水槽だけではなくて、そのほかの消防用器資材を一緒に使わないと効果が発揮できないというふうに私ども考えておりまして、可搬式動力ポンプ等の防災上必要な消防用器材の配置というものも望ましいというふうに考えております。したがって、このような見地から、たとえば東京都におきましては、公園管理上の立場で、都市公園本来の目的にも合致する範囲内で消防器材置き場を設けまして、動力ポンプ等を中に入れております。その他の都市におきましてもこれらが設置できますように、建設省とも十分協議して進めてまいりたいと考えております。
  116. 安藤巖

    安藤分科員 以上でこの関係についての消防庁のお考えはお聞きしましたので、これから建設省お尋ねをするわけですが、いまお聞きになったようなことなんです。ところが、こういうような要望があるのですが、そしてそういう方向だということが言われておるのですが、都市公園の中に震災対策用の消防器具庫をつくるように配慮してほしいというような要望は、各地方自治体の方から建設省、これは都市局の公園課が主管だろうと思うのですが、そちらの方へ要望が上がってきてないのでしょうか。
  117. 升本達夫

    升本政府委員 おただしの震災対策上の消防用器材を都市公園に置けるようにという趣旨のお話は、自治体の方から実は私どもの方へ直接には承っておりません。  ただ、その前提でございます大震火災時における避難あるいは避難地、避難路、それから防災公園の整備、こういったものについては大変御要望は承っております。
  118. 安藤巖

    安藤分科員 地方自治体からストレートにそういう要望が来るというのは筋としては違うのかもわかりませんが、消防庁の方からそういう点について配慮をしてほしい、こういうような要望はないのでしょうか。
  119. 升本達夫

    升本政府委員 いま手元に経緯の書類自体を保持してございませんけれども、たしか四十七年か八年か、その時点で消防庁からお話を承っているように聞いております。
  120. 安藤巖

    安藤分科員 それに対してどういうような措置をおとりになったでしょうか。
  121. 升本達夫

    升本政府委員 ただいまおただしのお言葉の中にもございましたように、施設の内容あるいはつくり方によっては、現行の政令、法令の体系の中で類似のものを設置することは可能ではないかと考えておりましたために、一部それで対応し得たというところもあるのではないか、私の推測で申し上げて恐縮でございますが、そういったこともあり得るかと思います。
  122. 安藤巖

    安藤分科員 いま類似のものというふうにおっしゃったのですが、御承知のように都市公園法あるいは同施行令の関係でいきますと、公園施設あるいはその中に含まれます管理施設等々は、これは当然のことですが、つくれることになっております。それから施行令の関係では、これは限定的に記載があるのですが、占用物件という形で、先ほど言いました地下式の防火貯水槽も入っているわけですね。警察の駐在所なんかもこれに入っているわけですけれども、ところが、消防器具庫というのは入ってないものですから、つくれないということになっております。現実には、先ほど消防庁の方からの御答弁で東京都の場合もお話しになりましたし、先ほどのお話で類似のもの云々というようなことがございましたけれども、最近、都市の防災というのは非常にやかましく言われておるのです。この関係大臣にもお尋ねしたいと思っております。  それから、都市公園の震災対策上の価値、これは相当高いものになっているのじゃないかと思うのです、避難場所あるいは先ほどから話のある貯水槽の設置場所ということからして。だからそういうこともあって、地下式の貯水槽はつくってもいいということになっているのだろうと思うのです。  ところが、類似のものではなくて、はっきりとした消防器材器具庫というものをきちっと貯水槽の設けられている公園の敷地内につくってほしいという要望が強くありまして、たとえば名古屋市の場合で言いますと、後で具体的な事例を申し上げますけれども、やはり政令を変えてもらわないと設置できない、だからどうしても政令を変えてほしいんだということを聞いているのです。だから、占用物件の項は政令の第十二条だったと思うのですが、その項目の一つに、震災対策用の消防器材置き場というようなものも占用物件として置くことができるというふうに政令を変えるという方向で御検討をいただくことはできるのでしょうか、できないのでしょうか、これは大臣お尋ねしたいと思います。
  123. 渡辺栄一

    ○渡辺国務大臣 公園が地震あるいは災害に対して果たす役割りは非常に大きなものがあるという意味で私は防災公園ということも考えておるわけですが、いまお話しの、大規模な地震から都市の安全を確保するというような意味において、大地震対策上の消防用器材の設置についてというお話でございますが、現行法令の範囲内でも適切に対応できるように十分努力をさせたいと思っておりますけれども、さらにいまお話しの政令の改正につきましては、防災対策の一環といたしまして今後検討してまいりたいと思っております。
  124. 安藤巖

    安藤分科員 十分御検討をいただいて、建設省の方も、都市の防災対策に大きな御協力をいただきたいというふうに思います。それにはしばらく時間もかかるかもしれません。  そこで申し上げたいのは、東海地震云々ということもよく言われております。警察庁の方でもあるいは警視庁の方でも、この前は自動車の運行の問題についてアンケートをとったり何かというような具体的な対策までお立てになっているという時期でございますので、これはどうしても早目にやる必要があると思うのです。現行法令の範囲内でも対応できるようなことを考えておられるということなんですが、私もこれはいろいろ聞いておるのです。先ほどちょっとお話もあったのですが、施行令の四条ですか、ここに公園施設というのがずっと掲げてあるわけですね。その七項に管理施設として、門とかさくとか管理事務所とか詰め所あるいは倉庫とか車庫とかというのがあるのですが、この倉庫を、看板は掲げるかどうか知りませんけれども、とにかく管理施設の倉庫ということで建物をつくって、実質的にはその中へ消防の器材を置く、実質的な消防器材置き場ということでもって設置を認めるというような方向はお考えになっておられないのでしょうか。
  125. 升本達夫

    升本政府委員 お話のとおり、都市公園の中に消防用器材の置き場等を設ける場合に、適用の考えられます条項が二つございます。一つは、ただいま御指摘になりました法律の第三条を受けました政令でございまして、これは公園の施設としてそういうものが置けるかどうかという問題でございます。それから第二点は、法律の七条を受けました施行令十二条の問題でございまして、これは、公園の施設ではないけれども公園の利用に支障のない範囲で占用を認めてもいい施設ということでございます。  お話のとおり、まず第一点の、公園の施設としてこういったものが設けられないかという問題は施行令の第四条でございまして、ここにいろいろと制限列挙してございますが、その中の第七項におきまして——その前の、法律の第三条……(安藤分科員「第二条じゃないですか」と呼ぶ)に列挙してございます第二項の第八号におきまして「門、さく、管理事務所その他の管理施設で政令で定めるもの」これは公園施設になり得る、こういうことでございます。これを受けまして、政令の第四条第七項におきまして管理施設を定めております。その中に、おただしのように倉庫、材料置き場、こういったものが書かれてございます。したがいまして、ただいま御説明をお聞き取りのように、この倉庫、材料置き場は、第一次的には公園の施設でございますから、公園の管理用の資器材を格納するという趣旨かと思います。——失礼いたしました。第二条の間違いでございました。  そこで、この倉庫、材料置き場の目的でございますけれども、公園施設として設けるものでございますので、公園の管理器材のための施設考えられるわけでございますが、ただ、公園にはいろいろの目的を有する公園がございます。たとえば防災公園のようなものでございますと、防災用の目的を持っておりますとその公園自体を火から守らなければならないという意味で、公園の中の樹木の火事を消しとめるというような資器材も当然必要になってまいります。したがいまして、そういった資器材につきましては、これは直接的には公園の管理のための資器材とも言えますけれども、また、これは緊急時の利用としては一般の防災にも利用でき得ないものでもございませんし、いわば兼用的な意味合いを持つものもございましょう。そういたしますと、当然、この施行令の四条七項の施設に読み込んで使い得る余地もあるのじゃないかということが第一点でございます。  それから、占用物件といたしまして政令の第十二条におきましては制限列挙してございますけれども、その中で「防火用貯水槽で地下に設けられるもの」という規定が、先ほどおただしのようにございます。これはお読み取りのとおり、地下に設けられるものに限定されておるわけでございまして、これは公園のオープンスペースとしての利用を確保するための配慮だろうと考えております。したがいまして、この点につきましてさらに何らかの施設をこの面で加えるといたしますと、これはやはり政令の改正を必要とすることになろうかと思います。
  126. 安藤巖

    安藤分科員 だから私は、政令の改正が必要じゃないか、その方が一番はっきりするのじゃないかというふうに思うわけなんです。大臣に、そういう方向で御検討願うという御答弁をいただきましたが、ひとつ御注意を喚起しておきたいと思います。  先ほど言いました名古屋市の場合ですね。都市公園に防火貯水槽が約八〇%できていると消防庁の方のお話がありましたが、実態は、そういう貯水槽はあるけれども、その貯水槽の水を使って消防の役に立たさせるためにはポンプがなくてはいかぬ、これははっきりしているのですが、そのポンプの保管庫が水槽と同一の敷地に設置されているかどうかという点についての一覧表をつくってもらったんですよ。これは名古屋市の消防局の昭和五十四年度現在のものですが、一々申し上げませんけれども、とにかく全部で百二十基の耐震性防火貯水槽があるのです。都市公園の中にその耐震性防火貯水槽が八十五あるのですけれども、ポンプの保管庫が水槽と同一の敷地内に、いわゆる都市公園の中に設置されているというのはゼロなのです。ポンプの保管庫が水槽と同一の敷地内に設置されているのは、百二十の貯水槽のうちわずか二十。それはどういうところかといいますと、結局は教育委員会の管理しているところだ。学校の敷地あるいは都市計画局の管理しているところだとか、そういうところが二、三あるだけなんです。都市公園の中にせっかく八十五の貯水槽をつくってもらってあっても、ポンプの保管庫がないんですよ、全くゼロ。だから、こういう現実をやはり大臣、直視をしていただいて、先ほどおっしゃった検討ですね、検討をしていただくのはいいのですが、検討するという御答弁は何もやらぬのだというような悪口も聞いておりますので、そういうことにならぬように、これは早くやっていただきたいと思うのですが、その早くという点についてはいかがでございましょうか。御答弁をいただいて、これで質問を終わります。
  127. 渡辺栄一

    ○渡辺国務大臣 先ほど申しましたように、現在の法令の範囲内においても前向きに対処していくという気持ちでおるわけでございますから、政令についても検討いたしていくという精神はおわかりいただけると思いますが、ただ、事務的に検討をいたす段階ではいろいろ検討すべき問題はあるようでございますけれども、できる限り早く結論を出すように努力はさせたい、かように考えております。
  128. 安藤巖

    安藤分科員 もうちょっと時間がありますので、もう一つ。  それはできるだけ早く検討していただくとして、差し迫った問題だと思いますので、現行法令の範囲内でというお話で、いま幾つかおっしゃったですね、管理施設の問題あるいは占用物件としてということですが、地方自治体によっては消防局と緑政局という公園管理の方となかなかうまくいっていなくて、いまおっしゃったようなことをお考えになっておられてもうまくいっていない事例があるんですよ。だからそういうようなことについては、建設省の方からでもそういうようなことでやってほしいというような、これは通知というようなかっこうになるのかどうか知りませんけれども、そういう点についても御配慮いただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  129. 升本達夫

    升本政府委員 自治体によってはかなり前広に、幅広に運用している例もあるように聞いておりますけれども、おただしのような点もあろうかと思います。私が先ほど申し上げましたのは、やはり公園の機能の保持も大事でございますから、その公園の機能をできるだけ妨げないように、かつまた、その公園の設置された目的にもよろうかと思います。余り小さな児童公園みたいなものでございますと、これは公園自体の機能を損なうというおそれも逆にございます。そういった面をいろいろ勘案しながら、できるだけ、先ほど来申し上げたような運用の幅を広げられるように努力をしてまいりたいと思います。それに従って、自治体も必要な指導をしてまいりたいと思っております。
  130. 安藤巖

    安藤分科員 終わります。
  131. 兒玉末男

    兒玉主査代理 以上で安藤巖君の質疑は終了いたしました。  次に、和田一郎君。
  132. 和田一郎

    和田一郎分科員 まず大臣にお聞きいたしますが、いわゆる一般国道の新線建設または改良等の計画があると思うのですけれども、まずその基本方針大臣のお考えをお聞きしておきたいと思います。
  133. 渡辺栄一

    ○渡辺国務大臣 第八次道路整備五カ年計画におきましては、大都市、主要な中核都市とを相互に連絡する一般国道の第二国道的な性格を有する道路を都市間連絡幹線道路といたしまして、その整備計画の大きな柱の一つと考えておる次第でございます。  先生お話は、第二・四号国道の御質問もあったようでございますけれども、その一連のバイパスもこの都市間連絡幹線道の一つとして重点的に事業促進を図ってまいりたいという考え方で進めておるわけでございます。
  134. 和田一郎

    和田一郎分科員 それでは、今度は局長さんの方に具体的に聞いてまいりますが、ただいま大臣の方から第四国道だとおっしゃいました。確かにそのとおりでございますけれども、東北縦貫道路、高速道路ができましたものですから、この四号線は一名死号線と言われておりますけれども、とにかく交通事故が絶えないということで有名でございまして、それで高速道路ができれば幾らか緩和されるだろう、こういうふうに思っておりましたところが、案外、高速道路の代金が高い。さらにこのように燃料がどんどん上がってまいりますと、高速道路を飛ばすと倍ぐらい燃料がかかりますから、余り向こうに乗らないで、やはり旧四号を通る人が多いということで、相変わらず大変な混雑でございますけれども、この四号国道、特に栃木県内を通る場合に、国体がことしございますので、そのことで栃木県内の重点的なバイパス建設お願いしており、またやっていただいていると思いますけれども、現状のほどをひとつおっしゃっていただきたいと思います。
  135. 山根孟

    山根政府委員 お答え申し上げます。  一般国道四号の現道につきましては、先ほど先生指摘のように交通量がきわめて多いわけであります。これはやはり沿道に立地をいたしております都市その他からの交通が集中をし、もっぱら地域的な交通が主体になっておろうと思いますが、そういう状況であるわけでございます。交通混雑、交通安全、そういった点から大変大きな問題であるわけでありますし、先ほど燃料消費量のことに触れられましたが、やはり交差点等も多いわけでありますし、渋滞あるいは交差点といったところに非効率な燃料消費を余儀なくされている、こういう状況にあろうかと考えるわけでございます。  そこで、私ども、大規模なバイパスとして、先ほど大臣からお答え申し上げましたように、第二・四号国道といたしまして、起点側の越谷−春日部バイパスから、終点側の石橋−宇都宮バイパスまでの間に至ります八十・五キロにわたりますバイパスの計画を持っておりまして、逐次その整備を進めておるわけでありますが、越谷−春日部バイパス及び石橋−宇都宮バイパスの大半につきましては、すでに暫定二車線で供用をいたしておるわけでございます。石橋−宇都宮バイパスにつきましては、十八・七キロメートルのうち十五キロメートルを二車線で供用済みをいたしておるという状況でございます。  それから、引き続き五十五年度末までには春日部−古河バイパスを、道路公団施工の新利根川橋を含めまして十・四キロメートルを供用いたす予定にいたしております。小山−石橋バイパス、このバイパスは十六・三キロメートルございますが、このうち九・八キロメートルを暫定二車線で供用することにより、県道小山環状線などを利用して、五十号から宇都宮までを国体までに供用することが可能となるよう、現在鋭意事業の進展を図っているところでございます。  その他の未整備区間につきましても、引き続き事業を進めてまいりたい、こんな考え方で取り組んでいるところでございます。
  136. 和田一郎

    和田一郎分科員 そうしますと、一応一部の県道を使っての五十号線までと宇都宮の間、これは国体までということでございますけれども、具体的に大体何月のどのくらいというのがございますか。
  137. 山根孟

    山根政府委員 秋口、国体が始まりますまでにはぜひとも供用するように努力をいたしたい、このように存じております。
  138. 和田一郎

    和田一郎分科員 国体は夏の国体もあるわけでございますので、秋だけではございませんので、これは至急にやってもらわないとそれこそ交通がパンクするということでございますから、秋とおっしゃらずに夏までにお願いしたいと思うのですが、その点どうでしょうか。陳情になって申しわけないのですが……。
  139. 山根孟

    山根政府委員 最善の努力を尽くしてまいりたいと思います。
  140. 和田一郎

    和田一郎分科員 それから、いわゆる南の方の延伸ですね。おっしゃった結城と古河の間でしょうか。この点、先ほど局長さんの御答弁では今後やるという御答弁でございますけれども計画はどんなものでしょうか。
  141. 山根孟

    山根政府委員 何分大規模な構想の一環でございますので、緊急な個所、ただいまの国体関連、こういった観点からそういった緊急区間を急いで行っておるわけでございますが、引き続き、延伸につきましても設計協議、用地買収等逐次進めてまいりたい、こういう計画を持っておるわけでございます。
  142. 和田一郎

    和田一郎分科員 それから、宇都宮以北についてはどういうお考えでしょうか。
  143. 山根孟

    山根政府委員 宇都宮につきましては、宇都宮の北の部分に環状線的な道路、幹線道路がございまして、一応そこで当面交通を処理する、こういう考え方でございます。計画としましては、さらに四号の現道にタッチをするような構想を持っておりますが、当面宇都宮の環状線を形成するところまでを重点に考えておりまして、それ以降につきましては交通情勢の推移を見て事業化を検討してまいりたい、こういう考え方をいたしております。
  144. 和田一郎

    和田一郎分科員 次は国道五十号線についてお伺いいたしますけれども、これは茨城県から栃木県を経まして群馬県の前橋まで行く、いわゆる横の幹線道路でございます。非常に重要な場所でございまして、北関東循環道というような話もございますけれども、これは相当先のことになると思いますけれども、とりあえず現在の幹線は五十号一本だけでございますので、これまた物すごい混雑である。しかも、両毛地方というところを通ります。ここはもういろいろな都市がいっぱいあるというところでございますので、都市間の交通、先ほど大臣おっしゃいましたけれども、そういう点についても非常に重要なところである。現在いわゆる五十号バイパスとしてでき上がっているのは、片面通行ですけれども栃木県の足利市から栃木県の岩舟町までの区間だけが一応片側通行、一車線通行。その先、小山市までが全然できておりませんで、旧五十号を走っておる。ところが、その間は、地図から見ますと、縦に東京へ行く線と二重にも三重にもぶつかっておるところを通っているということで、非常にこれは大変な問題でございまして、しかもその辺はことしの国体で、すべての市町村でいろいろな会場があるわけでございます。その五十号についてのお考えはどうでしょうか。
  145. 山根孟

    山根政府委員 五十号につきましては、御指摘のように水戸から前橋に至ります延長百四十八キロメートルの国道でございまして、北関東地域の主要な都市を相互に連絡をいたします重要路線でございまして、緊急度の高い区間から順次整備をしておるわけでございますが、国道十七号から国道四号間の国道五十号の整備につきましては、先生おっしゃいましたように桐生バイパス、足利バイパス、佐野バイパスが暫定二車線で供用済みとなっております。前橋−桐生間はこれは群馬県の方でございますが、現道拡幅を基本に計画しておりまして、前橋市内において土地区画整理事業との関連事業実施しておるという状況になっております。  御指摘の岩舟−小山バイパスでございますが、現在用地買収及び工事実施していっておりますが、約二万平方メートルにわたります赤羽根遺跡の調査になお日時を要すること、用地買収の残件が多いことといった幾つかの問題がございますので、関係者の一層の協力を得まして事業促進に努めてまいりたい、こう考えております。したがいまして、五十号の整備は岩舟−小山バイパスの事業を実は最重点と考えておりまして、他の区間はこの事業進捗状況等を勘案しながら整備を進めてまいるという考え方を持っておるわけでございます。
  146. 和田一郎

    和田一郎分科員 最重点ということでございますけれども、特にこれは建設関係はよく聞いていただきたいと思うのですが、茨城県、栃木県というような関東周辺の近県は、砕石それから砂利、いろいろな建設関係にぜひ欠くべからざる資材がわんさと出ていくわけでございまして、ここら辺の道路の半分以上恐らくダンプの集中だと思います。そういうことで、特にここら辺のところは最重点でようおやりいただいていると思いますけれども、一体いつごろまでにできる計画でしょうか。
  147. 山根孟

    山根政府委員 お答え申し上げます。  先ほど申し上げました幾つかの問題点がございますので、この解決が図られまして用地の残件が済みましたならば、かなり早い時期に供用ができるのではないかと思っておりますが、これはそういった用地取得の問題、それから遺跡の調査関係等もございますので、いまのところいつまでということをはっきり申し上げる段階には至っておりません。
  148. 和田一郎

    和田一郎分科員 次に、岩舟町から足利までの片面通行のところは二車線、全部で四車線ですかになる用地があるわけでございますけれども、その方はどうでしょう。
  149. 山根孟

    山根政府委員 ただいまのお話は、岩舟町から足利にかけてのお話であろうかと思います。実はこの区間は暫定二車線で供用した区間であるわけでございまして、全体の財政規模等のこともございますので、やはりこういったところにおきましては交差部分が実は一番ネックになるわけでございますので、こういった観点から、主要な幹線道路との交差部分を優先的に整備をいたしまして、それによって交通の流れをよくするということをまず第一に考えてまいりたい、こう考えております。
  150. 和田一郎

    和田一郎分科員 次に、まずこれも基本的に大臣にお答え願いたいのですが、いわゆる主要地方道というのですか、多様化する社会経済だとか、それから地域都市間交通等の変化によりまして、いわゆる県道、たくさんの県がそれぞれで管理している、そして長距離に走る道路ずいぶんございます。これは何としてもこの辺で根本的にやり直さなければならぬと思っておりますけれども、これは一番いいのは国道に編入していただいて、その行政間のいろいろな差の方も埋めなければならぬと思っておりますが、その辺のところの基本的な方針大臣からお願いします。
  151. 渡辺栄一

    ○渡辺国務大臣 主要地方道国道昇格についてのお尋ねであると思いますが、御承知のように経済社会情勢の変化に伴います輸送需要、それから自動車交通の非常に増大してまいりました現状、土地利用の変化、これらに対応しまして、国土の有効利用を図り、流通の合理化及び国民生活環境の改善、こういうものに寄与する意味において、近代的な幹線道路網体系の確立というものは大変重要でありまして、それをめどに道路網再編成の一環として国道昇格は実施をいたしておるわけでございます。  最近の国道昇格はおおむね五カ年ごとに実施をいたしておりまして、前回は昭和四十九年十一月に約五千九百キロメートルについて実施をいたしたわけでございます。ところが、ちょうどオイルショック等もございまして、これらの克服のためにとられました総需要抑制策というものがございますが、そういう影響等もございまして公共事業も相当抑制されたわけでありますが、その関係整備を要します道路がなお相当残されておるのも事実でございます。したがいまして、すでに昇格いたしました国道整備をいませっかく努力促進をしておるという現況でございますが、ただ近年におきまする経済社会の変化に即応いたしまして、幹線道路網整備をより適正な道路網体系のもとで進めていくことも私は重要であると考えております。  そういうような意味で、高速自動車道あるいは国道、高速自動車国道とあわせまして全国的な幹線道路網を形成するいわゆる国道網のあり方というものを、交通事情の動向あるいは道路整備見通しなどを総合的に勘案しつつ、調査検討をただいま進めておるところでございます。  私は、国道昇格につきましては、そういう意味では現国道整備のあり方も検討を要する場面もあると思うのでありますが、そういうものを含めまして前向きに対処してまいりたいと思っておりますが、ただいまのところはいろいろ検討をいたしておるところでございます。
  152. 和田一郎

    和田一郎分科員 大臣のお答え、よくわかりました。  そこで、御検討中のようでございますけれども、ただいま言いましたように、首都圏の建設に必要な砕石、砂利等が関東近県からどんどん運び込まれる、これはまたすさまじいものでございまして、私、地元だからよくわかりますけれども、夜中の一時ごろから明け方の四時ごろまでずっとダンプカーがつながりまして、すごい爆音で飛んでいくのですね。飛んでいくといったってそんなスピードは出ません、恐らく四十キロぐらいでやっとこさ走るぐらいのスピードで東京へ東京へと来る。そういう実情、戦車が並んでいるような感じがします。そういうので、関東近県のそういう道路については特に考えていただきたいという気持ちが多いんです。  そこで、栃木県佐野市からのいわゆる佐野−古河線並びに佐野−田沼線、これはいままで地元では相当陳情しておりましたけれども、その点につきましては見通しはいかがでございましょうか。
  153. 山根孟

    山根政府委員 国道網の再編成と申しますか、国道昇格につきましては大臣からお答えがあったところでございますが、具体的な路線につきましては、現在、全体のマクロ的ないろいろな検討を行っているわけでございまして、その結果、そういう具体的な基本方針が定まった段階でまたいろいろ御要望のあります路線のうち、国道昇格の対象として備えるべきいろいろな条件があるわけでございます。たとえば道路法第五条の要件を満たしているかどうか、あるいは適正な網間隔、交通需要、こういったいろいろな条件を満足する路線から候補路線を選定する、こういうことに相なろうかと思います。そういった際に、ただいまの路線についても具体的に検討してまいりたいと考えておるわけでございます。
  154. 和田一郎

    和田一郎分科員 いまの問題はそのままにしておきまして、次に、渡良瀬遊水池という大きな場所が栃木県と群馬県、茨城県、埼玉県の境にございます。これは有名な足尾の鉱毒事件のときに、例の田中正造翁の活躍されました谷中村のことでございます。この問題は明治三十五、六年でございましょうか、いわゆる谷中村が時の権力によって一村取りつぶしになったというあの事件、ちょうどそこが三千三百ヘクタールという広大な地所がございまして、これが現在渡良瀬遊水池ということで建設省の管理になっております。そこで現在建設省の方で中を掘りまして、水がめ構想、貯水池をやっております。その貯水池を掘るということは土が出るわけでございますから、土を運ぶ車がいま申し上げました佐野−古河線の主要地方道に流れ出るわけです。しかも、そのところは渡良瀬遊水池の堤防の上を通っている非常に軟弱な道路なんですね。そこへ建設省の仕事で出てきた車がどんどん通って、現在めちゃくちゃです。ですから五年ということはわかりますけれども、そういう点は特によく見ていただきたいと思うのです。その点はお願いしておきます。  それとあわせまして、渡良瀬遊水池の今後の方向ですね。私は七、八年前と記憶しておりますけれども、やはり予算委員会建設省分科会でこれを質問いたしまして、将来、将来と言っても早い時期に、これは国立の水上公園というような方向も出ました、私も聞きましたものですから。その後どうなっておるかということをお聞きしたいと思います。
  155. 升本達夫

    升本政府委員 おただしのように昭和四十五年、四十六年時点におきまして、国土総合開発の調整費をもって遊水池の土質、水質等の調査をやったという事実がございます。その後も公園事業として、公園事業調査費をもちまして構想の策定のための調査をいたしております。ただいまの時点におきまして渡良瀬の遊水池を国営の水上公園にしたらどうかという趣旨の地元の御要望があることは承っておりますけれども先生承知のように、国営の大規模公園につきましては現在のところ国土全体のバランスを考えまして配置を限定的に進めさせていただいておるという状況もございますので、その御要望につきましては今後の検討課題ではないかというふうに考えておる次第でございます。
  156. 和田一郎

    和田一郎分科員 これはただいまも言いましたように谷中村という昔からの、歴史がありまして、もう簡単なわけにいかないようなところでございますし、それから関東近県の知事会だとか周辺の市町村ではそれを設置するという期成同盟会、推進協議会ですか、それまでつくりまして、そして建設省の皆さん方と相談をしようという態勢になっているわけです。ですから、地元としては第三次公園整備計画にぜひ入れてもらいたいということなんです。ところが、現実には二百キロ以内には一カ所しかつくらないという皆さん方の方のお決めがあるようでございますけれども、最近では、第三次全国総合開発計画ではたくさんつくるという方向が出ておりますので、ここら辺のところは今後、検討というよりも積極的に、前向きに変えてもらいたい、こう思うのですが、どうですか。
  157. 升本達夫

    升本政府委員 御要望の趣旨を踏まえてよく検討させていただきたいと考えております。
  158. 和田一郎

    和田一郎分科員 大臣にちょっとお願いしたいのですが、いま申し上げましたように、渡良瀬遊水池というのは結局時の権力に土地を取られたというのがあるわけです。いまだにその土地を自分たちに返せという返還の運動もあるのです。しかし、百年以上たっております。そういうところでございますので、これはひとつ積極的にお考え願いたいと思いますし、それから、渡良瀬遊水池を首都圏の水がめのために現在六メートル掘っておるわけです。物すごい量の土が出てまいります。これは先ほど質問いたしました主要地方道にどんどん流れ出るということでございますので、国道の昇格の方と両方あわせまして至急にひとつ考えていただきたいと思うのですけれども、どうでしょうか。
  159. 渡辺栄一

    ○渡辺国務大臣 ただいまお話しの渡良瀬遊水池の国営水上公園化と申しますか、そういうものについての御要望があるということは私も承知をいたしておりますし、それらの経緯につきましてもお聞きをいたしておるわけでございます。しかし、同地域を国営の公園にするということにつきましては、御承知のようないろいろな検討をしなければならぬわけでありますから、今後これは検討させていただくということでひとつ御了承願いたいと思います。
  160. 和田一郎

    和田一郎分科員 あと数分しかございませんけれども、次に、同じく主要地方道で足利−邑楽−行田線というのがございますので、これについては局長どうお考えでしょうか。
  161. 山根孟

    山根政府委員 先ほど佐野−古河線、佐野−田沼線のお話がございましたが、いまお尋ねの足利−鴻巣線につきましても検討の対象として今後の課題にさせていただきたい、かように考えます。ただ、この路線は位置等から見ますと、網の間隔等におきましてかなり検討を要する点があるのではないかというような感じを実は持っておるわけでございますが、いずれにいたしましても、この地域全体からの交通需要の問題あるいはネットワークのあり方等々、広範な検討をいたしたい、かように考えております。
  162. 和田一郎

    和田一郎分科員 あと一分三十秒ございますので、下水道事業につきまして基本的なことを大臣の方からお願いをいたします。
  163. 渡辺栄一

    ○渡辺国務大臣 私どもは、非常におくれております下水道の整備は必要であると考えまして、鋭意努力をいたしておるところでございますが、現状はと申しますと、昭和五十三年度の処理人口普及率でわずか二七%でございまして、現行の第四次五カ年計画の最終年度であります五十五年度末におきましても三〇%というふうに見込まれるわけでありまして、先進諸国と比較いたしましてもなお著しくおくれておるのが現状でございます。  下水道は生活環境整備のための基礎的な施設としまして、あるいはまた公共用水域の水質保全を全うするために不可欠の施設として、今後私どもは大都市のみでなく、地方の時代に即応いたしました下水道整備を急いでまいらねばならぬというふうに考えておりますが、一方で総量規制の実施と水質保全行政の新たな問題が起きております。また維持管理段階に移行する都市もふえております。あるいはまた省資源、省エネルギー化の要請の高まりが見られるわけでございます。このような下水道整備をめぐる新たな課題が生じておることも事実でございます。  それで私どもは、このような情勢に対処をしまして、今後の下水道整備を進めるに当たりましては、欧米先進国並みの下水道整備を達成することを長期の目標としてまいりますが、当面は処理人口普及率の向上をまず最重点といたしまして、もう一つ適切な維持管理に努めるというようなこととあわせまして、下水道整備の量、質両面の充実が必要であると考えております。  そこで、建設省としましては、昭和六十年度の下水道普及率約五五%を目標とする新経済社会七カ年計画というものもございますが、一応それに沿いまして昭和五十六年度からの第五次五カ年計画をただいま検討いたしておるわけでありまして、下水道に対する多方面にわたる御要請に適確に対処することとあわせまして、効率的な整備の推進あるいは適確な管理ということに全力を挙げてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  164. 和田一郎

    和田一郎分科員 終わります。
  165. 兒玉末男

    兒玉主査代理 以上で和田一郎君の質疑は終了いたしました。  次に、岡田正勝君。
  166. 岡田正勝

    岡田(正)分科員 大臣お尋ねいたしますが、現在わが国におきます二大プロジェクトとでもいいますか、東北新幹線あるいは上越新幹線と並びまして、本四架橋の三ルートが大変大きな国民的課題であろうと存ずる次第であります。  さてそこで、大臣承知のとおり財政が非常に厳しくなりまして、公共事業も抑制というような風向に流れておる今日の時点におきまして、神戸−鳴門ルート、それから児島−坂出ルート、それから尾道−今治ルートの三本のルートにつきまして、それぞれの完成の御予定、それから全体の建設費の見込み、それから現在の進捗度の状況というものについて御説明をいただきたいと思います。
  167. 山根孟

    山根政府委員 事務的な問題でございますので私の方からお答えを申し上げさせていただきます。  本州四国連絡橋につきましては、昭和五十年八月に政府におきまして当面の建設方針決定されたわけでございます。現在、大鳴門橋、因島大橋及び児島−坂出ルート建設を鋭意進めますとともに、伯方・大島大橋の着工のための実施調査を行なっておるという段階であるわけでございます。なお、昨年の五月には尾道−今治ルートの大三島橋が供用されたわけでございます。  そこで、本州と四国を結びます三つのルートのうち、当面完成を図るルートは児島−坂出ルートというぐあいに決定されております。このルートにつきましては、昭和六十二年度完成を目途に事業を進めておるわけでございます。神戸−鳴門ルート、尾道−今治ルートの未着工橋梁につきましては、今後のわが国の経済社会の動向を勘案しつつ逐次事業の推進を図るという考え方でございます。いわゆる一ルート三橋という考え方のもとに事業を進めておるということでございます。技術的な諸問題、たとえば明石海峡の橋梁の技術的な諸問題、来島海峡の問題等々について調査研究を進めておるということでございます。  各ルートごとの全体の建設費及び進捗状況でございますが、神戸−鳴門ルートにつきましては、五十二年価格で申し上げまして、事業規模が約一兆八百億円、五十四年度末の見込みで進捗率が六・九%、児島−坂出ルートにつきましては同じく約八千億円、九%という進捗率でございます。尾道−今治ルートにつきましては同じく三千八百億円、進捗率一五・三%という状況にございます。
  168. 岡田正勝

    岡田(正)分科員 それではいまお話のありました因島大橋につきましてお尋ねいたしますが、因島大橋の完成予定、そして因島大橋にかかわります全体の建設費、もちろん用地費を含めたものでございますが、それと現在の進捗度ということについてお答え願いたいと思います。
  169. 山根孟

    山根政府委員 因島大橋につきましては五十二年一月に着工いたしまして、五十七年度完成を目途に事業実施しているところでございます。この橋の全体の建設費は五十二年価格で約五百三十億円、五十四年度末の進捗状況は七一・七%となっております。
  170. 岡田正勝

    岡田(正)分科員 ありがとうございました。  続いて、因島大橋の問題でございますが、実は、当初計画をされておりましたのは車道だけでございますね。地域住民の方々が因島大橋がかかるというので非常に喜んで、かたがた地域開発の役目を果たしてもらうような橋にしてもらいたい、そのためにはいわゆる歩行者道といいますか、あるいは自転車道、そういうものをぜひ取りつけてもらいたい、併設をしてもらいたいという非常に熱心な御希望があることはもう当局は御承知のとおりでございますが、その問題につきまして、当局の結論はいかがに相なったかということについてまずお尋ねしたいと思うのであります。
  171. 山根孟

    山根政府委員 因島大橋の自転車歩行者道の設置につきましては、関係地方公共団体から大変な御要望があるわけでございます。向島と因ノ島を結びます関係上、自転車あるいは歩行者の交通量が大変多く見込まれるわけでございます。したがいまして、私どもとしては、これには自転車及び歩行者が利用できるような構造をとりたい、こう考えております。この具体的な実施方法、たとえば橋梁はかなり高いところにくるわけでありますから、そこに自転車利用の方々あるいは歩行者の方が利用できるようなアクセスも同時に考えていかなければならぬ、こういったこともございますので、広島県等関係機関といろいろ協議をしているという段階にございます。
  172. 岡田正勝

    岡田(正)分科員 この問題につきましていま一度お尋ねをいたしたいと思いますが、県とも協議中であるということでありますけれども、このことが結論を得るに至るのはおよその見込みでいつごろと考えていらっしゃるか、それをお聞かせいただきたいと思います。
  173. 山根孟

    山根政府委員 お答え申し上げます。  いついつまでというはっきりとした日時についてはここでお答えする資料を持っておりませんが、因島大橋の上部工を架設をいたすということになりますと、当然その前にケーブルあるいは車の通る部分等の構造を決めてかからなければならない、そういった観点からも早急に詰めまして、先ほど申し上げましたような方針にそごを来さないような形で事業をしなければならぬ、こう考えておりますので、基本的なところについてはできるだけ早く協議を終わらせたいと考えております。
  174. 岡田正勝

    岡田(正)分科員 再度恐縮でありますが、そういうことになりますと、ただいま県と協議中ではありますが、当局の腹づもりといたしまして、因島大橋には歩行者用あるいは自転車用の道路をつけなくてはならないというふうに大体腹が固まっておると見てよろしいんですか。
  175. 山根孟

    山根政府委員 仰せのとおりでございます。
  176. 岡田正勝

    岡田(正)分科員 ありがとうございました。  そこで、これに関連してお尋ねするのでありますが、そういうことになりますと、因島大橋だけではなくて、その他いわゆる尾道から今治へ通ずるまでの全線を通じて同様な措置をおとりになるつもりがあるのかどうか、そこをお聞かせいただきたいと思います。
  177. 山根孟

    山根政府委員 本四架橋におきましては大変長大なつり橋があるわけでございます。この長大つり橋に自転車歩行者道を設けることは実は技術的に大きな問題がございまして、また一方その他いろいろな問題がございます。したがって、本四架橋に対しまして自転車歩行者道を設置するかどうか、実は全線を通じてこれをつくる、こういう考え方は持っておりません。これは海峡部の風速等の自然条件あるいは取りつけ部の地形的な条件、橋梁の延長、利用交通量、こういった点を総合的に検討して個々の橋梁ごとに判断をしてまいらなければならない、こう実は考えておるわけでございます。たとえば海の上かなり高いところになりますと、海面よりは数等風が強いわけでございます。そういった安全上の問題があるわけでございます。それから、橋は余り長くなりますと、自転車あるいは徒歩といっても利用なさる方は大変少ないわけでございます。むしろそういう方々はバスを御利用になる傾向が強いといったような交通需要の面もあるので、そういったいろいろな条件を総合的に勘案しながら判断をしてまいらなければならぬ、こう考えておるわけでございます。  尾道−今治ルート全体の自転車歩行者道、こういうことになりますと、実はすでに大三島橋については設置をしております。今回因島大橋については設置をするという考え方を持っております。その他の橋梁につきましては、以上申し上げましたようないろいろな条件を検討した上で個々に決定すべき問題ではないか、こう考えておるわけでございます。
  178. 岡田正勝

    岡田(正)分科員 それでは同じくこれに関連いたしましてお尋ねいたしますが、これは事業主体が広島県でありますからお尋ねするのはちょっと方向が違うかと思いますけれども、補助工事でありますのでお尋ねをしておきたいと思います。  瀬戸田−向島間の自転車道、これは大規模自転車道整備事業ということになるわけでありますが、本件につきましては、昭和五十五年からいよいよやろうではないかということで予定になっておると聞いておりますが、これの工期といいましょうか、完成予定、そういうものが一つと、それからいま一つは、私が聞いておるのは、これは資料不足なのかもわかりませんが、幅員が三メートルと聞いておるのであります。ということになりますと、これは自転車道だけなのであろうか、あるいは歩道と自転車道とを一緒にして、ラインか何かで区別して利用しようとしておるものであろうかということがわかりませんので、その点をお知らせをいただきたいと思うのであります。  なお、本件につきましては補助事業でありますので、その関係の負担の割合につきましてひとつお知らせをいただきたいと思うのであります。  それからなお、因島大橋のことにつきまして、先ほど大変結構な、明瞭な御回答をいただきまして、私ども地元の者として安心をしておるのでありますが、そのかけようとしておる因島大橋の歩行者用あるいは自転車用の道路というものは、二本に分かれて走るのかあるいは一本の中で何か区分をしてやられるのかということを、これも関連してお尋ねをしたいと思うのであります。  以上です。
  179. 山根孟

    山根政府委員 大規模自転車道、瀬戸田−向島線でございますが、いま予算で御審議をいただいております来年度の原案の中に、この整備に着手することを実は見込ましていただいておるわけでございます。私どもとしては、昭和六十二年度に全線の整備を完了するよう進めてまいりたい、こういう考え方をいたしております。  歩行者自転車道、歩行者、自転車の通行の問題もお尋ねがあったわけでありますが、一般部におきましては自転車歩行者道として、特に歩行者と自転車の通行を区分することは考えておりません。しかしながら、橋梁部におきましては、原動機つき自転車も通行するということになりますので、安全確保を図る観点から歩行者の通行帯を物理的に区分して、歩行者と自転車類の両者を分離をして通行できるような構造を考えてまいりたいという状況にございます。  それから次の、費用負担割合はどうなっているのか、こういう御質問でございますが、因島大橋の橋梁部分は別といたしまして、その前後にかかわります大規模自転車道につきましては、自転車道整備費補助、交通安全施設整備事業費補助により、その整備を進めるということになります。したがいまして、その補助率はいずれも二分の一ということになります。  なお、因島大橋の橋梁部分につきましては、本州四国連絡橋公団によります因島大橋整備の一環として整備をする、こういうことでございますので、利用者から応分の料金を徴収させていただく、こういうことになろうかと存じます。
  180. 岡田正勝

    岡田(正)分科員 非常に明快な御答弁をいただきまして、ありがとうございました。  次に、これもまた事業主体が広島県でございまして、まことに質問するのには適当でないのかもわからぬのでありますが、地元民の非常に関心を持っておる問題であり、なお補助事業でありますのでこの際お尋ねをいたしたいと思います。  これは内海大橋の建設の問題でありますが、本件につきまして現状と今後の見通しについてお尋ねをいたします。
  181. 山根孟

    山根政府委員 内海大橋は、現在町営のフェリーで内海町の田島及び横島と本土とを連絡する、こういう段階にあるわけでありますが、これは本年度新規事業として着手をいたすことにいたしました橋長八百五十メートルの長大橋でございます。現在広島県におきまして地形、地質、潮流等の基礎的データをもとに、橋梁形式の検討を推し進めている状況にあります。また、旅客船協会及び海運組合等との問題につきましても、現在広島県において調整がなされている段階にございます。  今後の見通しといたしましては、これら問題を煮詰めまして、取りつけ道路の用地買収から着手する、こういう段取りになろうかと思います。これは現在のところ何年度目標というところは明確にいたしておりませんが、昭和六十年代のなるべく早い時期には完成をいたすべきではないか、こういう気持ちでもって現在努力をいたしておるところでございます。
  182. 岡田正勝

    岡田(正)分科員 ありがとうございました。  そこで、スパンが八百五十メートル程度の橋でありますと、歩行者、自転車ということは常に問題になることでありますが、形式をこれから御相談なさるわけでありますけれども、当然入っておると思うのでありますが、入っているかいないかということについて御説明願いたいと思います。
  183. 山根孟

    山根政府委員 橋長が八百五十メートルでございますが、個々の橋梁そのものは、一またぎするスパンそのものは本州四国連絡橋のような大規模なものではございません。したがって、構造上には比較的問題が少ないということでございます。したがいまして、私どもとしては自転車歩行者道といった施設を設けるということで、現在計画を検討しているところでございます。
  184. 岡田正勝

    岡田(正)分科員 ありがとうございました。  それでは次に三原バイパスの問題についてお尋ねをしたいと思います。  大臣は三原を御承知かどうか知りませんが、あの三原というところは、一番最初国鉄の山陽線が敷かれましたときに、神戸を起点といたしまして下関まで一遍に行かれないので三原でとまった、いわゆる三原市の糸崎でとまったということになった海陸交通の非常に主要な地位を占める町でございます。また、港湾の関係におきましても、神戸港に続いて同時に重要港湾に指定されたほどのりっぱな町であります。そのこともありまして新幹線もとまるようになった町でございますが、ただ一つ困ったことは、何といいましてもこの町の中を、隣の町から隣の町へ行くのに三原市を抜けていく道路というのが国道二号線一本しかないのであります。そういう関係からして交通の渋滞がまことに著しい。毎朝ラジオで交通渋滞の情報をお知らせしておりますが、あの中に必ず三原というのが出てまいります。日本全国でワーストスリーの中に入っておるのではないかと思うのでありますが、とにかく通ろうと思ったら国道しか抜ける道がない。昔非常な難攻不落の土地でありましただけに、いまの時代になってみますと非常に不便なことになってくるわけであります。  余談でありますけれども、かつて大昔に神功皇后がある戦争をしに出かけますときに、神戸から十七日かかって三原にたどり着いた。やれやれというので三原で水を補給しましたときに、三原の山に登って、何と見晴らしがいいではないかと言ったので三原市になったと、こういう話もあるぐらいのところでございます。  余談はさておきまして、市民の受ける経済的、時間的あるいは精神的な損害というものは大変莫大なものがあります。これは市民だけではございません。日本国じゅうのとにかく山陽道に御用事のある車は皆ここを通らなければいかぬわけであります。一本しかないわけでありますので、ほかの道を通ることができません。中国縦貫道にいたしましても、いま千代田までしかできておらぬような状態でございますから、どうしてもこうしてもここを通らなければならぬわけです。そういう点でこれの開通が非常に急がれており、もう全市民の願望なんでありますが、本件につきまして現況は一体どうなっておるのでしょうか、見通しといたしましてはどうでございましょうかということについて大臣お尋ねをしたいと思うのであります。
  185. 山根孟

    山根政府委員 現況と見通しということでございますので、私の方からお答えさしていただきます。  二号の三原バイパスにつきましては、昭和四十六年度から事業化をいたしたわけでありますが、沿線の方々から路線に関するいろいろな要望が出されましたこと並びに、したがいまして都市計画決定が延期をされたことといったこと等のために今日まで事業の進展を見ておりません。その後建設省といたしましては家屋移転、環境問題等々に対する検討を行いまして、当初予定をした路線に若干の修正を加える方向で検討をしてきておりますが、この地域は、先生承知のように地形が大変急峻でございます。地質が複雑でございます。こういったことからこのルート選定には地質調査が不可欠な状況になっております。このため、地質調査のための現地立ち入りについていろいろ申し入れを行っているところでございますが、まだ了解が得られていない状況にございます。  こんな状況から、今後の見通しは得られておりませんが、私どもとしましては、まず都市計画決定をできるだけ早い機会にお願いして軌道に乗せてまいらなければならぬ、こう考えております。幸い現地の三原市におきましても、現道の混雑状況等からいろいろ積極的に、大変御熱心に御協力をいただいております。私どもとしましても一致してこれが円滑に進むよう地元との協議を進めてまいりました。何とか着工の糸口をつかむよう努力をしてまいりたい、こう考えておるところでございます。
  186. 岡田正勝

    岡田(正)分科員 ありがとうございました。  それではここで、仮定の問題になって恐縮でありますが、当局にお尋ねをいたします。  いまの、地元がたとえばボーリングならボーリングについて、よろしいやってください、こういうことになりました場合、いま設計がとまっておるというのは、ボーリングができぬからとまっておるのだと実はお聞きしているわけですが、ボーリングができる、オーケーということになってから今度は設計ができ上がる、見積もりができ上がるということになっていくわけですが、そういうボーリングがオーケーとなった段階から完成までの大体の工期の御予定、それから全体の建設費の見込みがわかればひとつお知らせをいただきたいと思うのであります。
  187. 山根孟

    山根政府委員 通常の場合について申し上げますと、地質調査オーケーということになりますと、その資料の解析等もありますが、地質調査に約三カ月、設計に約四カ月、都市計画決定のための地元説明等ざっと六カ月、都市計画決定までおおむね一年余を要するのではないかというぐあいに考えられます。現在考えておりますところでの総事業費の見積もりは、これまたいろいろ不確定要素も多いわけでございますが、約四百億円程度と考えております。完成に要するに期間、これは財政事情その他いろいろあるわけでございまして、一概に申すわけにいきませんが、かなりの長期間を必要とするであろうということでございます。何年というのはちょっとお答えいたしかねるという状況にございます。
  188. 岡田正勝

    岡田(正)分科員 最後に一つだけ、ちょっと気になることがありますからお尋ねしておきますが、ボーリングができないから設計ができないんだということをいままで聞いておるわけですけれども、そのボーリングというのは一体何カ所を考えていらっしゃって、そのボーリングとボーリングの一番端から端までの延長というのは何ぼあるのか、大変技術的なことをお尋ねして恐縮ですが、これは別に、地元で熱心に、市長以下地元の県、それから地建の事務所、三位一体となって一生懸命やっておることに対して水を差すことにはならぬし、何ら支障はないと思います。技術的な問題だと思いますので、わかればお答えいただきたいと思います。
  189. 山根孟

    山根政府委員 現在、具体的な調査方法等について私いま存じておりませんが、通常の場合、この地域、ちょうど糸崎町に近い区間でございます。崖錐の地域でございます。そういったことからいたしますと、道路ルートに沿います縦断方向それから構断方向の地質が一体下層までどうなっているかということをつかむことが必要でありますから、かなりなボーリングの本数が必要であると考えられます。
  190. 岡田正勝

    岡田(正)分科員 ありがとうございました。
  191. 兒玉末男

    兒玉主査代理 以上で岡田正勝君の質疑は終了いたしました。  次に、森田景一君。
  192. 森田景一

    森田分科員 公明党・国民会議の森田景一でございます。委員長、大臣関係の皆さん、大変御苦労さまでございます。私の質問にひとつ簡潔にお答えいただきたいと思います。  私は、最初に、千葉県の江戸川左岸それから手賀沼、両流域下水道の問題についてお尋ねしたいと思っております。  第四次下水道整備五カ年計画昭和五十五年で終わるわけであります。この整備計画の現況と五十五年末における達成見込みについてお知らせいただきたいと思います。
  193. 升本達夫

    升本政府委員 第四次の下水道整備五カ年計画進捗状況でございますが、五カ年の総事業計画額が七兆五千億、これに対しまして、来年度、五十五年度末をもって予想されます事業費が六兆八千四百三十七億余でございまして、進捗率にいたしまして九六・四%ということでございます。この計画をもちまして五十五年度末に処理人口普及率で四〇%を目途といたしましたところ、現在までの見通しといたしましては、五十五年度を終わりましておおむね三〇%というところにとどまる見込みでございます。
  194. 森田景一

    森田分科員 千葉県は御承知のように人口急増地域でありまして、特に下水道整備がおくれております。この下水道整備五カ年計画にありますように、公共下水道、都市下水路の整備だけでは解決できない状況でございまして、こうしたところからの国の強力な支援を受けまして、現在江戸川左岸流域下水道、それから手賀沼流域下水道が建設されているところでございます。関係市町村ではこれの早期完成を強く待ち望んでいるわけでございます。この事業は当然国の五カ年計画の中に含まれている事業であると思います。そういうわけで、それぞれの流域下水道の事業概要、現況、進捗率、完成見込み等について御説明いただきたいと思います。
  195. 升本達夫

    升本政府委員 手賀沼流域下水道につきましては、昭和四十六年度より、江戸川左岸流域下水道につきましては昭和四十七年度より、それぞれ事業着手をいたしておりまして、年々順調に進捗を見ております。両流域下水道とも昭和五十五年度末におきまして一部の供用開始が予定されております。一部と申しますのは、手賀沼の流域下水道につきましては柏市、我孫子市、沼南町の一部、それから江戸川左岸流域下水道につきましては市川市の一部という予定をいたしております。  なお、幹線管渠の延長について、全体計画に対する進捗率を申し上げますと、手賀沼の場合ですと約三六%、江戸川左岸につきましては約一一%の進捗率になっております。
  196. 森田景一

    森田分科員 この両流域下水道事業は膨大な資金が必要であります。これは御存じのとおりでございますが、ぜひとも早期に完成させなければならない、こういうところで、千葉県当局も重点事業の中に入れて取り組んでいるところでございます。しかし、何分にも補助事業でございますので、補助金の額によってこの工事の進め方が決まる、こういう状況でございます。したがいまして、この両流域下水道の本年までの国庫補助の推移と、それから今後の対応、それに伴う五十五年度の補助金の見込み額、こういうものについてひとつお答えいただきたいと思います。
  197. 升本達夫

    升本政府委員 手賀沼流域下水道につきましては、先ほど申し上げましたように四十六年度から開始をいたしておりまして、五十四年度まで九年間の合計で申し上げますと、補助対象となった事業費で申し上げまして二百二十五億円、それから国費で申し上げますと百五十億という金額になっております。  それから、江戸川左岸につきましては、補助対象事業費で四十七年以降八年間の累計で三百二十七億、国費で二百二十五億という数字になっております。  手賀沼流域につきましては、全体事業費が千五百億円でございますので、ただいま申し上げました補助対象事業費の累計二百二十五億、これに県の単独負担分等の費用を合わせまして、現在までに消化いたしました事業費の割合は約二三%、それから江戸川左岸につきましては、全体事業費千六百億円でございますので、ただいま申し上げました補助対象事業費三百二十七億円にさらに県の単独負担分を加えました三百六十三億、パーセンテージで二三%という進捗率でございます。  なお、昭和五十五年度につきましては、先ほど来申し上げましたように、両流域下水道とも年度末に一部供用開始までこぎつけたい。それに必要な所要費をもって推進に努めたいというふうに考えております。
  198. 森田景一

    森田分科員 五十五年度の補助見込み額というのはお示しいただけませんか。
  199. 升本達夫

    升本政府委員 御承知のように昭和五十五年度の予算案を現在御審議をいただいておる段階でございますので、五十五年度の各事業別の所要費につきましては、ただいまのところは成案を得るに至っておりません。
  200. 森田景一

    森田分科員 この公共下水道ないしは流域下水道、これは各市町村とも緊急課題になっておりますので、どうかひとつ、特に千葉県は先ほども申し上げましたように下水道事業がおくれておりますので、ひとつ格段の御配慮を大臣並びに関係当局の皆さんにお願いしたいと思います。  次に、家庭雑排水処理システムを国庫補助対象にできないか、こういうことについてお尋ねしたいと思います。  先ほど申し上げましたように、公共下水道の整備がおくれておりますために、家庭雑排水が河川や湖沼の汚染源となっていることは御承知のところでございます。千葉県もこうした状況で種々腐心をしておりました。公共下水道ができるまで何とか抜本的に解決できないか、こういうことで、種々苦心をしておりましたようでございますが、このほど開発しましたのが家庭雑排水処理システム、こういう妙案でございます。  このプラントは、道路側溝や農業用水路を利用いたしまして、二百世帯ないし数百世帯の一般家庭雑排水を集めて処理する小規模処理システムであります。これは下水管を敷設しなくても処理できますので非常に安上がりです。しかも効果的です。たとえばBOD一〇〇ないし一五〇というのが一般家庭雑排水の量のようでございますが、これを二〇PPmに浄化できるというなかなか優秀な方法でございます。この関係につきましては、私も県の計画、それから一部新聞に報道されました資料がございますので、これを大臣に差し上げたいと思います。  千葉県では五十五年度におきまして、柏市に都市型モデル、それから成田空港の近くの富里村に農村型モデルを建設し、その成績を確認した上で公共下水道の整備がおくれている県内各市町村に導入していくという計画であるようであります。このことは当局も御存じであると思います。いかがでしょう。
  201. 升本達夫

    升本政府委員 千葉県におきまして、いまおただしのように、現在県の中の二カ所、柏市、富里村におきまして県単事業でモデルプラントを建設中であるという話は伺っております。
  202. 森田景一

    森田分科員 柏市のプラントは回転円板処理方式というのだそうですが、五千四百万円かかるそうです。対象は百五十戸で六百人、こういうことになっているようでございます。一方、富里村のプラントは接触酸化処理方式、こういう方式だそうでございまして、四千九百万円かかるそうです。対象が二百二十二戸、八百四十人、こういうことだそうでございます。  問題なのは、これだけの妙案でありながら、新しいシステムでございますので、残念ながら国のいわゆる国庫補助対象事業に入っていないということですね。補助事業の削減、こういう問題についてはいろいろと問題になっているところでございますが、私は、不要不急の補助事業は削るべきだ、こういう考えは持っておりますけれども、しかし、われわれの環境をきれいにしよう、河川の汚濁をなくしていこう、こういう緊急性のある事業には、しかも、効果的で経済的な事業であります。ぜひこれは補助金をつけるのが本当に国民本位の政治ではなかろうか、このように私は考えているわけでございますが、大臣ひとつお答えいただきたいと思います。
  203. 升本達夫

    升本政府委員 おただしがかなり技術的な面にわたろうかと思いますので、私からとりあえずお答えをさせていただきます。  いまおただしの処理方式は、御承知のように各家庭から道路の側溝へ家庭の雑排水を流し、その側溝を使って特定の場所へ集めまして、その場所で共同処理をいたしまして河川に放流する、こういう仕組みでございますから、確かにおただしのように既設の道路側溝を利用するという意味で、その面の事業費は省けるではないかということはおただしのとおりでございます。ただ、そのようなシステムをとっておりますために、いろいろまだ問題が指摘されようかと思います。たとえば側溝を利用いたします関係上、当然のことながらこれは家庭雑排水に限られてしまう、屎尿処理の関係はまた別に考えなければいけないという問題もございますし、また、雨天時において大変排水がふえます場合には、側溝の利用が不可能になるのではないかというような問題もございます。したがいまして、これらの問題は技術的にこれからいよいよ解明を要する問題だと思いますので、そのような解明を経て必要な手段に結びつけてまいるということがあろうかと思います。現状においてはまだ実験的、試験的な段階にとどまっておるのではないかというふうに理解をいたします。
  204. 森田景一

    森田分科員 お答えはお答えでございますけれども、しかし現実に川が汚れる、それから湖が汚れる、海が汚れる、こういう問題は国を挙げて取り組んでいるはずでございますから、実験なら実験で実験対象事業という形での補助、こういうことも可能だろうと私は思うんですね。そういう立場に立って、ひとつ大臣も大平内閣の大臣でございますから、やはりそういう方針を明確にして、これはひとつ検討しよう、やっていこう、じゃ実験的なら実験で、その実験の補助をしよう、こういうお考えをお持ちじゃございませんか。
  205. 渡辺栄一

    ○渡辺国務大臣 これはいま局長説明をいたしたようでございまして、その辺の事情をよく検討いたしまして、具体的にどうするかということは今後検討を加えてまいりたいと思います。
  206. 森田景一

    森田分科員 大臣が検討するということでございますので、ひとつ関係者の方々も遅くならないように早く検討していただきたいと思います。私は、実は千葉の県議会におりましたが、千葉県の行政が非常におくれているということで、これは与党の自民党の県会議員が、検討三年、やります二年、始めましたはぼちぼちと、これが千葉県のいまの行政のあり方だ、こんなことでどうするんだと当時の知事にきつく迫ったことがございまして、それが今日でも語りぐさになっております。そういうことで、私、国はまさかそういうことはないだろうと思う、こういう期待を持って来ておるわけでございますから、大臣が検討する、こういうお話でございますので、ぜひひとつ早く実現できるような御配慮をいただきたいと思います。  では、次に移ります。非常に質問が多くて、時間の関係もございますので話を飛ばします。  次は、国道六号線の改良整備についてお尋ねをいたします。  御存じのとおり、千葉県と東京を結ぶ道路は江戸川という大きな川を渡らなければなりませんし、したがって全部橋でつながれているわけでございます。特に国道六号線は、東京から千葉県を通りまして茨城、福島へと抜ける一級国道であります。交通量が非常に増大している国道でございます。ところが、現在、道路改良がおくれている地点が少なくとも二カ所私は目についているわけでございます。上り線の方では、新葛飾橋を渡りまして東京に入ってすぐの金町交差点、もしくはその先の京成踏切までの区間、これを立体交差にする必要があるだろう、こういうことです。それから下り線では我孫子市の根戸というところから利根川にかかっております大利根橋というのがございます。ここまでが現状が二車線でございますので、四車線に拡幅をすることが必要だろう、こういうふうに考えておるわけでございますけれども、金町交差点の立体交差あるいは我孫子市内の四車線拡幅、こういう問題につきまして、計画予算、現況、着工見通し完成予定、こういう点につきましてお答えいただきたいと思います。
  207. 山根孟

    山根政府委員 御指摘のように、東京から千葉県を通りまして茨城に至る区間におきまして、ネックの地点と申しますと金町と我孫子市内でございます。  まず、金町地区の問題でございますが、ただいまお話の出ました京成電鉄及び都道放射十三号を立体化する計画で、全体事業費として約百十七億円を見込んでおります。五十四年度末でおおむね用地買収を完了させまして、五十五年度からは本格的な工事に着手することといたしております。完成時期につきましては、市街地におきます工事のための交通処理、道路に埋設をしてございます公益占用物件の移設等の問題がございますので、順調に進んだとしても今後数年間は必要ではないか、こう考えております。  次は、我孫子拡幅の問題でございます。我孫子市内の拡幅につきましては、延長三・八キロメートル、全体事業量五十八億円ということで、これまでに〇・五キロメートルが完成をいたしております。現在残る区間の用地買収と主要地方道船橋−取手線との立体交差を実施しているところでございます。今後とも引き続き事業促進いたしまして、用地買収が順調に進めば早期に全区間完成を図りたい。第八次道路整備五カ年計画の期間内には何とか供用開始できるようにいたしたい、かように考えております。
  208. 森田景一

    森田分科員 この国道六号にクロスして千葉県を縦断しておりますのが国道十六号線でございます。この国道十六号線、少なくとも千葉県部分建設は非常に手際よくやった仕事だ、将来を見越した計画であったと、私は本当に感服している事業でございます。現在、千葉市から野田市まで四車線開通となりまして、特に渋滞のひどかった主要地方道、土浦−野田線との交差点が立体交差になりました。地元や利用者からも大変喜ばれております。道路建設行政というのはこうありたいものだなあと私はいつもこの十六号線で思っているわけでございます。  しかし、野田市から江戸川を渡りまして埼玉県春日部市までの間が、一部四車線区間になってはおりますけれども、まだ二車線区間が残っているわけでございます。したがいまして、この区間の渋滞解消と交通安全対策というのが課題として残されているわけでございますが、関係市町はこれらの整備を急いでほしいと、これを強く要望している次第でございます。  そこで、解決が急がれている問題を申し上げますと、一つは、主要地方道結城−野田線と交差する野田市中里地先の立体交差建設を早急に進めてほしいということ。第二番目が、金野井大橋の四車線化を早期着工することと、交通安全施設整備促進してほしい、こういうことであります。第三番目が、庄和町の庄和インターの工事促進してほしいということ。第四番目が、国道四号線春日部市小渕地先の立体交差工事を早期完成してほしい。  以上の四点が、いま地元から強く要望されている問題でございますが、当局の対応につきましてお答えいただきたいと思います。
  209. 山根孟

    山根政府委員 一般国道十六号の春日部−野田間十四キロメートルでございますが、このうち九・六キロメートルは四車線となっておりますが、江戸川にかかります金野井大橋を含む約四・四キロメートルが現在二車線という状況でございます。そこで、まず五十四年度には、ただいま先生からお話がございました土浦−野田線との立体交差を完成したわけでございますが、残事業といたしましては四・四キロメートルの四車線化のほか、ただいまお話の出ました国道四号と交差する小渕立体、新四号と交差する庄和インター、結城−野田線と交差する中里立体、こういった計画を実は持っているわけでございます。これらの個所の整備につきましては、十六号全体、二百七十六キロメートルあるわけでございますが、先ほど千葉県内は大変進んでいるというお言葉があったわけで、実は埼玉県内は大変おくれているような状況にもございます。全体の整備状況との関連もあるわけでございますが、やはり、私どもとしては立体化という問題が交通のネックを解消する一つの有力な事業考えておりますので、緊急性、交通状況等を勘案しながら重点的に進めてまいりたい、かように思っておるのでございます。
  210. 森田景一

    森田分科員 持ち時間の関係で次に進ませていただきます。  次は、東京湾岸道路浦安C地区のランプ取りつけについてお尋ねしたいと思います。  この東京湾岸道路建設がいま着々と進行しております。一部問題もあるようでございますけれども、この湾岸道路の立体部分と並行してつくられる一般国道三百五十七号線が生活関連道路として重要でありまして、浦安地区ではこれが早急に開通されることを期待しているところでございます。特に浦安C道路という都市計画街路がありまして、この道路国道三百五十七号線が接続する、こういう計画になっているわけでございますが、これを早く実現してランプをつけてほしい、こういう要望でございます。このためには湾岸道路一般部旧江戸川橋梁を一日も早く建設することが必要である、これは御存じのところであると思います。この江戸川橋梁の建設工事の現況と完成見込みあるいは開通時期、浦安C道路ランプ取りつけの時期、こういうことにつきましてお答えいただきたいと思います。
  211. 山根孟

    山根政府委員 東京−千葉間の東京湾岸道路は、すでに五十三年一月に東京の大井地区から千葉市幕張地区までの間について、一部首都高速道路等の高速道路を含めて一応供用できるようになっております。浦安地区におきます国道三百五十七号といたしましては、首都高速湾岸線の供用に関連をいたします工事を現在進めているほか、いまお話のございました旧江戸川橋の工事に着手しておるところでございます。旧江戸川橋から浦安地区の埋め立て地に出入りするためのランプについては、この旧江戸川橋の完成とあわせて整備を図ることといたしております。  この一連の事業のうち最も長い工期を要するのは旧江戸川橋梁でございまして、すでにその下部工事に昨年未着手いたしたところでございますが、地盤が大変軟弱な地帯でございまして、今後の工程を見きわめることが大変むずかしい状況にあるわけでありますが、現在のところ五十八年度まではどうしてもかかるのではないか、こう見通しておるところでございますが、できるだけ早期に完成をするよう努力してまいりたい、かように考えております。
  212. 森田景一

    森田分科員 次は、北千葉導水路の建設促進についてでございます。  御存じのとおり、北千葉導水路事業という建設工事が進められております。この事業は利根川下流から江戸川まで、印西町、我孫子市、沼南町、柏市、流山市、松戸市、こういった千葉県北部を横断する導水路をつくりまして、利根川の水を江戸川へ流すという大工事であります。  この導水路の目的は、一つは利根川下流部の余剰水を都市用水として利用するため、千葉県、東京都、埼玉県方面へ導水する、こういうことです。第二番目が利根川河口ぜき、霞ヶ浦総合開発により開発された都市用水を千葉県、東京都、埼玉県方面へ導水する。三番目が手賀沼、坂川流域の内水を排除する。四番目が利根川から手賀沼等へ浄化用水を導入する、こういうことであります。  この導水路の早期建設というのは松戸市や関係市町も非常に望んでおりまして、特に松戸市は内水排除という大きな問題を抱えておりますので、この早期建設を強く訴えておるわけであります。私も、ぜひともこの北千葉導水路の建設促進してほしい、このように考えておりまして、まだ衆議院に当選する前にも松戸市長と建設省に陳情にお伺いしたことがございます。そういうことで、時間がもう幾らもありませんけれども、この地域住民に大きくプラスされる要素がたくさんございます。いろいろとこれからもまた建設省ともお話をしながら検討もさせていただきますけれども、この建設促進お願いしたいわけでございますので、ひとつお答えをいただきたいと思います。
  213. 稲田裕

    稲田(裕)政府委員 この北千葉導水路は、いま先生おっしゃったように、大きく言って四つの目的を持って推進している事業でございます。四十七年に実施計画調査に入りまして、四十九年度から建設に着手いたしております。着手以来導水路の用地の買収を実施してきておりましたけれども、五十二年には江戸川寄りにつくります第三機場、また五十三年度には利根川寄りにつくります第一機場の工事に着手しておりまして、本年度は予算七十億円で事業促進を図っておるところでございます。  今後の見通しでございますけれども、総事業費一千七百億余を予定いたしておりますが、現在までに約二百二十億余を実施いたしておるわけでございまして、今後六十五年を完成の目途にいたしておるわけでございますけれども、これを目途に鋭意進めてまいりたいと思うわけでございます。また、事業実施に当たりましては、地元関係市町村とも十分打ち合わせながら進めてまいりたい、かように思っております。
  214. 森田景一

    森田分科員 いろいろと項目が多かったものですから細かい質疑ができませんでしたけれども、当局の姿勢のほどは十分私も了解できますので、ひとつ積極的に今後とも取り組んでいただきたいと思います。  外郭環状線につきましては、時間がございませんからきょうはやりません。これで質問を終わります。
  215. 兒玉末男

    兒玉主査代理 以上で森田景一君の質疑は終了いたしました。  次に、柴田健治君。
  216. 柴田健治

    柴田(健)分科員 私は、治水利水に関連してお尋ねをしたいと思うのですが、御案内のように岡山県には一級河川が三本あります。高梁川、旭川、吉井川、この中で吉井川に関連をしてお尋ねをしたいと思うのであります。  吉井川は、建設省としてはどういう位置づけをしておる河川か、そして今日まで吉井川流域全体の住民福祉、そして地域開発その他治水利水から及ぼすいろいろな影響についてどういう認識をされておるのか、そしてこの改修が非常におくれておるのか進んでおるのか、その点をまずお尋ねをしたい、こう思います。
  217. 稲田裕

    稲田(裕)政府委員 吉井川はこれまでに昭和九年の室戸台風、それから昭和二十年の枕崎台風、戦後におきましても昭和三十八年、四十年、四十七年等相次いで災害が発生いたしております。昨年の十月の二十号台風によりましても、相当大きな被害が発生いたしておるわけでございます。これらの災害のうち既往の最大のものは昭和二十年の枕崎台風によるものでございまして、このときには死者九十二名、負傷者七十六名、家屋の流失五百四十六戸、浸水が約一万五千戸に及ぶというふうな大きな被害を受けておるわけでございます。これらの大出水が相次ぎ、かつまた近年におきましてはこの流域の岡山市を中心としまして開発も相当進んでまいってきております。したがいまして、この河川につきまして抜本的な治水対策を立てる必要があるということで、昭和四十八年三月に工事実施基本計画を改定いたしまして、下流部の治水対策を一層安全度を上げたものにするとともに、上流部には苫田ダム等による洪水調節ダム計画というものを含めました計画を定めたわけでございます。また、吉井川は古くから灌漑用水等の利用が盛んでございまして、渇水時にはこれらの既得用水に対する補給というものも必要であるということで、流水の正常な機能の維持を図ることも考えなければならないというふうに思っておるわけでございます。さらにまた近年津山市なり岡山市等の下流の市町村の生活用水を補給するということも大きな課題となってまいっておるわけでございまして、これら河川改修、多目的ダム建設等、一体的に含めた対策をする必要があるというふうに考えておるわけでございます。
  218. 柴田健治

    柴田(健)分科員 建設省は、今日までいろいろと取り組みについて、部分的な実施計画なり全体の実施計画なり、吉井川の上流、中流、下流を含めて計画はあるようであります。その中で、ダム建設、要するに地名が苫田ということですから名前は苫田ダムということで言わせてもらいますが、苫田ダム建設ができるかできないかが将来吉井川全体に重大な影響がある問題だ、こうとらえておるわけであります。  そういう立場から申し上げて、昭和三十二年に農林省なり岡山県として苫田ダムの構想が発表されたといういきさつ、それ以来三十三年に吉井川の開発専門委員会が設置されて、三十九年に建設省所管に移行、これは一級河川は直轄河川でありますから、当然建設省がやる直轄工事ということになる。四十年から建設省が現地において予備調査に入った。そして四十二年には岡山県の立ち会いで、建設省地元町当局の協定がされて、その協定がいろいろの災いというか、それを尊重するために今日までいろいろ調査が十分でないということが言える。一方は、調査の方は四十六年に大体予備調査が終わっておる。その後は、実施調査というか実地調査ということになった。予備には二通りあって、資料を集める調査とそれが済んでから予備調査、予備調査が済んでから実地調査ということになっておるが、ほぼ実地調査は完了している。それで、このままではいつできるのかという問題になってくるわけですね。もう二十年以上年月がかかっておる。ダム建設に伴って紆余曲折があるというのは当然のことでありますけれども、余りにも期間が長いので、それによって吉井川の全体計画が、建設省直轄の一級河川の中では非常におくれておるということが言われてきたわけであります。  先ほど局長が言われたように、昭和二十年から去年の十月の二十号台風まで相当の被害がある。それによる人的被害、公共施設の被害というものは膨大なものに上がっている。それで、われわれはダムは何としてもつくらなければならぬのではないかという判断に立っておるわけでありますが、県が窓口でいろいろと話し合う、その話し合いがいままでどうも行きつ戻りつという実態でありまして、もうこの辺で建設省が前面に出てこないといかぬのではないかという気がするわけですね。それに対してひとつ建設省考え方を聞かせていただきたい、こう思います。
  219. 稲田裕

    稲田(裕)政府委員 いま先生からお話しございましたように、このダムにつきましては、三十九年に予備調査に入りまして、四十七年から実施計画調査に入っておるわけでございます。それで、その間地元との間にいろいろ事情がございまして、いままだ事前調査には入れないというふうな現状におるわけでございます。この苫田ダムは、先生いまおっしゃいますように、治水上はこの洪水調節計画をやらなければ安全度は確保できないダムでございますので、何としてもこのダムを必要とするわけでございますけれども、このダム建設することによりまして、奥津町を中心として水没戸数が四百七十戸ということで、非常に多数の水没戸数があるわけでございます。また水没農地につきましても百五十五ヘクタールというふうに大きゅうございまして、これらの水没関係者の生活再建ができることが当面一番重要なことではなかろうかというふうに考えておるわけでございますけれども、何分過去の経緯等もございまして、私どもまだ住民の方々とは直接接触がままならぬというふうな状況でございます。現在、先生おっしゃいますように、県当局等を通じましていろいろと接触を図っておるわけでございます。また、ことしの初めには、町当局に対しまして、私どもの出先の地建からも、早急に、在来調査報告等も行いながら、今後の交渉に入っていきたいという申し入れを行っておるというふうな現状であるわけでございます。
  220. 柴田健治

    柴田(健)分科員 われわれが聞いておるのは、ダムの大きさなんですが、堰堤の高さ七十メートル、貯水量八千五百万トン、この点は間違いないのですか。そしてこの規模を縮小するとか、また変更するということがあるのか。そしていま言われましたように、立ち退き者、水没家屋四百七十戸、宅地が二十五ヘクタール、田畑百五十五ヘクタール、山林百十ヘクタール、公共施設十カ所、発電所二カ所というように、非常に大きな補償対象物件があるわけです。これらは無理だ、規模を縮小してやりたいとか変更するとか、反対が強ければやめるのだとか、そういうことがあるのかどうか、一つ一つお答え願いたいと思います。
  221. 稲田裕

    稲田(裕)政府委員 ダムの規模でございますが、ダムの高さは七十メーターということで決めております。この流域につきましては、ダムサイトの調査等につきまして在来からもやっておったわけでございますが、この地域につきましては、ダムサイトとしてはこのサイト以外にはないということで進めておりますので、七十メーターの規模というのは変えるつもりはございません。  総貯水量八千五百万トンということでございますが、これは現在までに行った調査での結果でございまして、七十メーターは据え置きまして、さらに細部の調査をしましたら、若干無謀かと思いますけれども、八千五百万トンの予定実施いたしたいというふうに考えております。  それから水没の規模四百七十戸、水没農地百五十五ヘクタール、山林百十ヘクタール、これも現在の実施計画調査までの概数でございまして、これから個々の調査に入らせていただきますと、若干実数では変動があろうかと思いますが、オーダーとしてはこのオーダーで進めさせていただきたいと考えておるわけでございます。
  222. 柴田健治

    柴田(健)分科員 そうすると、どんな困難があってもいまの予定計画どおり進めていく、そういう考え方が建設省にはあるということですね。これは建設大臣にちょっとお尋ねします。
  223. 渡辺栄一

    ○渡辺国務大臣 ただいま局長が申し上げたとおりでございます。
  224. 柴田健治

    柴田(健)分科員 一方では、余りにも立ち退き犠牲者が多いので、規模を縮小したらどうかという意見もあるのです。それについては、いま答弁されたのからもう一歩も後へ引かない、既定方針どおりやる、こういうのですか。
  225. 稲田裕

    稲田(裕)政府委員 現在までの実調の結果等を踏まえますと、私どもとしては、技術的に七十メーターのダムは十分可能だというふうに踏んでいるわけでございます。それで、計画としては七十メーターのダムは変えないという方針でございます。今後よほど予期しないような現地の物理的な条件が出てきたというようなことがあれば別でございますけれども、私どももいままで予備調、実調等を相当行っておりますので、その辺については変わることはないというふうに御理解願いたいと思います。
  226. 柴田健治

    柴田(健)分科員 県の方は建設省の意見をよく聞いてやられておると思うのですよ。いままで四十二年の協定書というものがあって、時の岡山県知事加藤武徳君、それが立会い人で、中国地建の局長、そして町当局で協定を結んで、あくまでも議会の同意を得ないと調査もできないというような、調査自体も同意がなければならぬ、こういう協定書になっておるわけです。協定書がお手元にあると思いますが、この協定書はそのときはそのときで価値があったし、何としても一つの事業を推進するには関係者の理解と納得というのが原則である、話し合いというものが絶対必要であるけれども、憲法上から言うと個人の私有財産を認めておるのですから、こういう水没犠牲者には、最後は個人個人の財産の評価をしていくということ、これは町議会ではどうにもならぬわけです。だから、建設省と個人個人が対象になってくる。ところが議会の同意がなければそこから先へは行かないというのがおかしいという気がするわけですが、その点の考え方は建設省はどう受けとめておるのか。あくまでも最終段階は個人個人の理解と協力と納得というのが原則である。そして財産の補償についても個人個人のそれぞれの物件の評価というものを個々にしていかねばならぬ、そういうことで、集団で評価できるわけじゃなし、議会が同意したら立ち退き犠牲者というものが全部同意するというものでもない。議会が反対だからといって立ち退き者が全部反対ともいえない。内部を見ると賛成者も反対者もある。ところが建設省の態度があいまいだという評価があるものだから、だんだん反対しておればもうダムはできぬぞ、やめるんだぞ、こういう流言飛語も出る。いや、そうではない、絶対やるのだ、こういう意見もある。余りにも、建設省がちょっと後ずさりをして県だけに任しておる。それにいままで調査費を約十一億ほどかけておるわけですね。それで県の方に聞くと、建設省がこれから本格的に前面に出てもらわないと何もできないという意見もあるわけですね。これは全部の意見ではないけれども。具体的にこの補償の話なり、条件つき賛成者の言う意見がある。たとえば代替地をどうしてくれるのだ、うちの補償額をどうしてくれるのだ、補償金をもらったら税金をみんな取られたんじゃ何にもならない、税法上の措置をどうしてくれるのだ、こういうふうに、大枠としては反対、賛成があるけれども、個々に当たってみるといろいろな問題が出てくるわけですね。その時分に、県として県段階で答弁ができるものとできないものがある。それから、建設省が税法上の処置はこういう方法をやりますよ、安心してください、代替地についてはこういう方法でやりますよ、農業として残っていきたいような人にはこの隣接の地域における圃場整備、基盤整備をしてそこに集団で移住してくださいよ、こういうように具体的に水没住民というか、立ち退き犠牲者というか、そういう方々に示していかないと本当の誠意ある話し合いとは言えないのです。ただダムづくりの必要性があるのだから、治水利水だ、こういう論理だけでは個人個人の話し合いには入れないと思うのです。その点の考えを聞かしてもらいたい、こう思うのです。
  227. 稲田裕

    稲田(裕)政府委員 先生がおっしゃいますように、ダム補償問題というのは確かに私の方、事業主体と個々の個人との間で最終的には話をつける問題でございまして、その話がまとまらなければ、用地補償なり買収ということはできないわけでございます。苫田ダムにおきまして、おっしゃいます過去の経緯がございますが、個人の補償交渉に至るまでの間に、私の方といたしましては事前にいろいろ個人の方々の財産等につきましても調査をさしていただくということがまず必要なわけでございます。それで、それの調査もまだ苫田ダムにつきましてはいままで実態には立ち入って調査ができておらないというふうな段階でございます。それから先ほど御指摘のように、個人の方々の代替地なりあるいは用地買収した後の税法の措置の関係なりということについても、もちろん私ども個々に御説明をさせていただいて御理解を得なければならないというわけでございますけれども、その辺のことを御説明いたしますにも、ダムによってこの地域を水没することによってどこに代替地を置き、そしてどこでどういうふうな形の生活再建をしていくかというふうな骨子を固めてそれの調査に入る必要もあるわけでございますから、これにつきましてもまだこの苫田ダムにつきましては残念ながら入れないというふうな状況にございます。  これは、先生の御指摘のような在来の経緯があるものですから入れないわけでございますが、それでも入ってもいいじゃないかというような御意見もあろうかと思いますけれども、私どもの地建局長が、前の知事さんも中に入りまして地元の町との間に結んだものがございまして、これにつきましても、これから個人の補償交渉を進めてまいる上におきましてこれらの方々との信頼関係が大事でございますので、地元関係においてそれなりの御理解を得てから私どもとしても入らなければならぬというふうに地建も判断いたしておりまして、初めの御答弁でも申し上げましたように、奥津町の当局とか議会に、こういうことがあるけれどもひとつぜひ具体の話に入れるように、また入るために必要な調査等にかかれるようにお願いしたいということを文書でも再度申し入れているというふうな状況でございます。
  228. 柴田健治

    柴田(健)分科員 何事も具体的に入っていかなければどうにもならぬという判断をわれわれはしておるわけです。あくまでも四百七十戸の皆さんの御理解、御協力をいただかなければどうにもならぬということになるわけですから、積極的に話し合いに入っていくという積極性がなければならぬ。積極的に話し合いに入っていくときには具体的なものを持って入らなければどうにもならぬという順序があるわけですね。そうするといまの吉井川総合開発調査事務所というのは名前を変えたらどうかという気がするのです。苫田ダム建設開発事務所に名前を変えたらどうですか。これも具体的に入っていくわけですから、どうですか。
  229. 稲田裕

    稲田(裕)政府委員 いまの事務所の名前につきましては、来年度から名称につきまして変更して、積極的に取り組みたいというふうに考えておるところでございます。
  230. 柴田健治

    柴田(健)分科員 五十五年度では五億ほどあるようですが、五億ぐらいでできるダムではないわけですから、たとえば五十五年度予算——いままで三期に分かれて、県費を少し加えて十一億ほど、建設省は十億ほど出しておる。これから建設省としてはやるという姿勢があるとするならば、年次別にスケジュールがあるはずだとわれわれは思うわけです。その点について、五十五年度はここまで、五十六年度から補償に入って予算措置はこうします、こういうものを示してもらいたいと思うのです。
  231. 稲田裕

    稲田(裕)政府委員 五十五年度におきましては、現在五億の予算予定いたしておるわけでございまして、先ほどからも御説明申し上げておりますように、まず五十五年度におきましては水没関係者の生活再建計画策定というのが重点的になろうかと思います。まずこの計画策定に必要な調査を進めるということが五十五年の目標かと思います。それで、生活再建計画ができまして、そして、地元方々との話し合いの基礎をつくるというのがまず五十五年の最重点の目標にいたしておるわけでございますけれども、五十六年以降につきましては、五十五年度にできるだけ努力をいたしまして、地元関係者との話し合いができるだけ早くまとまるような努力をしながら五十六年度も一層進めるということしか残念ながらいまの時点では申し上げられないわけでございますけれども、幸い五十五年に話がうまく進むようでございましたら、これは十分な予算手当て等も考えながら五十六年度以降についても一層促進を図ってまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  232. 柴田健治

    柴田(健)分科員 問題は、いま五億円の予算で水没者の生活再建対策計画というか、そういうものと、残された自治体、要するに奥津町の振興計画という二つのものを、地元の皆さんに十分理解できるようなものを示さなければならぬと思うのですね。いま県はいろいろ努力をしておるのですが、県の段階では限界に来ておるとわれわれは判断しておるのですね。ただ県のやったことを報告だけ聞くのではなしに、大臣河川局長は早急に現地へ行って一度実態を見る、そういうことができないのか、この点をまず大臣、ひとつ勇気を持ってお答えを願いたいのであります。
  233. 渡辺栄一

    ○渡辺国務大臣 積極的に対処するようにしたいと思っております。
  234. 柴田健治

    柴田(健)分科員 何としても早くこの問題を処理しないと、それこそ後にも前にも行かないという事態になるおそれがある。そういうものをわれわれは心配しておるわけですよ。正直に言ったら、いま賛成が半、反対が半、五、五です。ところが、建設省はやれればやったらいい、やれなければ投げたらいいんだ、こういう姿勢だから、恐らく反対を強めれば中止になるだろうという宣伝がなされておる。いままで賛成してきた連中はばかをみるということで、結局、これは投げたら後遺症が両面から出て、町も県も国も大きな迷惑をすることにもなりかねない。それからタイミングというものがある。それから本省の皆さんは大分ずるい面がありますから、むずかしいところを避けて通っている。悪いところだけは町や県に持ちかけてというふうに、案外要領のいいところなんです。ここまできたら、要領じゃどうにもならぬ。火をつけておいてそういう姿勢というのでは困るので、積極的に乗り出す、こういうことをお願いして、質問を終わりたいと思うのですが、最後の締めくくりとして大臣の強い決意表明を聞いて終わりたいと思うのです。いかがですか。
  235. 渡辺栄一

    ○渡辺国務大臣 先ほど河川局長が申しましたような経緯でございまして、決して建設省はそのような態度をとっておるわけではございませんけれども、そのような感じを持たれることは非常に残念だと思います。今後は積極的に対処してまいりたいと思います。よろしくお願いいたします。
  236. 柴田健治

    柴田(健)分科員 終わります。
  237. 兒玉末男

    兒玉主査代理 以上で柴田健治君の質疑は終了いたしました。  次に、吉井光照君の質疑に入るのでありますが、同君の質疑に際し、参考人として日本道路公団理事吉田喜市君が御出席になっております。なお、御意見は質疑をもって聴取することといたします。吉井光照君。     〔兒玉主査代理退席、近藤(元)主査代理着席〕
  238. 吉井光照

    吉井分科員 私は、山陽自動車道並びに山口県内におけるところの交通渋滞に伴う幹線道路整備と、それから地震対策についてお尋ねをしたいと思います。  まず、山口県内におけるところの道路事情でございますが、これは御承知のごとく、広島、関西方面と九州を結ぶいわゆる通過交通地帯、したがって交通事故も主要幹線に集中をいたしております。したがって地元山口県、また山口県警察、また沿道の関係市町村、これらもこういった幹線道路における交通事故の絶滅に非常に苦慮をしておるわけでございます。現在この対策として山陽自動車道、中国縦貫自動車道、それから国道二号、また九号、これらのバイパスの整備拡張が進められているわけですが、こうした道路計画というものはなかなか思うように進まないのが常であります。  そこで、まずお尋ねしたいことは、山陽自動車道及び各バイパスについてであります。二号、九号、すなわち岩国、それから広島−岩国、防府、小月、それから山口市の九号バイパス、これらの工事進捗状況、それから各路線完成予定年次についてお尋ねをしたいと思います。
  239. 山根孟

    山根政府委員 まず一般国道二号の岩国、防府、小月及び九号の山口のバイパスにつきましてお答え申し上げます。次いで、山陽自動車道及び広島−岩国道路の現在の進捗状況につきましては、公団の方から御説明願いたいと思います。  そこで、まず基本的な考え方でございますが、交通混雑の大変著しい区間の一つに岩国市があるわけでございます。ここの通過交通の処理の問題は、二号方向につきましては山陽自動車道、広島−岩国道路等の道路網により対処してまいりたい。一方、南方向に向かいます百八十八号については、岩国南バイパスとして現在調査を進めておるところでございます。  次に、防府バイパスでございます。防府市街の交通混雑対策として、当面、起点の富海から国道二百六十二号の間、九・六キロメートルございますが、この整備促進することといたしておりまして、現在鋭意事業を進めておるところでございます。順調に進みますならば、この区間については五十六年度に暫定二車線で供用し得るというぐあいに考えております。  小月バイパスでございますが、市街部の交通混雑対策として、当面、東部区間の延長三・五キロメートルについて事業を進めることといたしておりまして、五十三年度から用地買収に着手したところでございます。  山口バイパスでございますが、当面県庁前から市道、木崎−新町線間の四・八キロメートルの整備促進しておりまして、現在鋭意事業を進めておるところでございます。順調に進みますと五十六年度には暫定二車線でこの区間の供用が図られるものというぐあいに考えております。以上でございます。
  240. 吉田喜市

    ○吉田参考人 では、引き続きまして広島−岩国道山陽自動車道あるいは中国自動車道の現況について報告をいたします。  御存じのように、広島−岩国道路、広島県の廿日市町宮内から岩国市の室の木まで約二十五キロ、いわゆる一般国道二号のバイパスとして四十八年の二月に道路公団が事業許可を受けた一般有料道路であります。この許可を受けましてから後、四十八年の三月、これは廿日市町と大野町両方の地内十二・八キロの路線を発表をいたしております。続いて十月には大竹市内の路線を発表いたしております。したがいまして、現在廿日市から大竹まで十七・一キロ、約十七キロについては路線発表済みでございます。  この間につきましては、路線発表後、大野町の一部の住民の方々から環境を悪化するというふうな理由で路線変更の要望がございまして、広島県の公害審査会に調停を申請しており、あるいは現在工事差しとめの民事訴訟を提起されております。しかし、私たちは、やはり周辺環境にマッチした道路をつくるんだということで地元方々の理解を得るべくお話し合いを進めております。その結果、この十七・一キロの間におきましては、ようやく七八%の用地を取得することができたわけでございます。  もう少し詳しく申し上げますと、その間の九六%については土地の立ち入りが終わり、八二%については幅ぐいを設置し、七八%は用地を取得をしておる、かような形でございまして、本格的な工事の着工に備えて、町道のつけかえ、橋梁の下部工等の工事を現在進めております。現在の予定では、五十九年度末、六十年の春にはこの間の供用は可能であろうというふうに考えております。  それからまた、大竹から西、岩国の室の木に至る路線につきましては、早期に事業を展開すべく、現在関係の機関とお話し合いを進めておる最中でございます。  以上が広島−岩国道路の現況でございます。  それから、山陽自動車道でございますが、これは御案内のように、山陽自動車というのは吹田から山口まで約四百六十六キロの高速自動車国道でございます。そのうち吹田から西宮の間が中国自動車道と共用されております。したがいまして、西宮のジャンクションから山口までは約四百三十三キロ、これが山陽自動車道の実延長でございます。  私たち、大臣から三回に分けて施工命令をいただいております。第一回が四十七年六月でございます。それから第二回が四十八年十月、三回目が五十三年十一月、この三回にわたって施工命令をいただき、現在二百八十キロの区間について工事をし、事業を展開しておるわけでございます。  この間の全般的な進捗率は、土地立ち入りができて中心ぐいを打ちました区間が八二%、幅ぐいを打ち終わったところが四八%、用地取得が三三%という形で一、二すでに工事を活発に行っている区間もございます。特に、兵庫県の龍野西から岡山県の備前に至る間につきましては、あるいは後ほどお話しいたします徳山から山口の間、防府バイパスに関する区間、この間については現在鋭意工事中でございます。  いまお話しの、山口県の実態でございますが、そのうち山口県関係といたしましては、岩国−玖珂間、約十四キロございます。この間につきましては、三回目の五十三年の十一月に施工命令をいただいております。私たちこれは最重点区間として現在鋭意調査中でございます。ようやく調査もほぼ最終の段階に参りまして、現在は工事実施計画書を取りまとめ中でございます。近く建設大臣に認可申請をいたしたい、かように考えております。これは認可がおりましたらなるべく早い機会に路線発表をいたしたい、かように考えております。  それから玖珂−徳山間、これは第二回目と申しましょうか、ここは約四十二キロございますが、四十八年の十月に施工命令をいただいて、五十三年の十一月に路線発表いたしております。この間については、土地の立ち入りをいたしました区間が約八〇%ございます。現在幅ぐいを打ち、用地を取得するべく努力をしております。その現地機関として、昨年の二月に徳山に工事事務所を設置しておるわけでございます。  最後に、徳山−山口間、約三十二キロございますが、この間は当初の四十七年の六月に施工命令をいただいた区間で、実際の仕事は建設省の中国地方建設局に委託をいたしております。この間につきましても四十九年の五月に路線発表いたしまして、中心ぐい、幅ぐい設置は一〇〇%終わっております。現在約八〇%用地が取得し得まして、現在は防府バイパスとの合併の仕事あるいは大平山のトンネル、こういうものの工事にかかっている次第でございます。  なお、御参考までにお話しいたしますと、中国縦貫自動車道につきましては、山口県内では現在山口から下関までが供用をされております。鹿野−山口間、この間の約三十七キロにつきましてはことしの十月に供用をいたしたいと考えております。  それからなお、東を申しますと、千代田−鹿野間、この間につきましては、約百二キロございますが、五十七年度末に供用をいたしたい、かように考えている次第でございます。
  241. 吉井光照

    吉井分科員 大体わかりましたが、山陽自動車道について見ますと、四百三十三キロメートルのうちの六三・七%に当たる二百八十キロ、これについてはすでに整備計画決定をされて事業実施中であります。しかしながら、着工比率は全国的に見ても非常に低い。しかも西宮市と姫路市の間、それから備前市と岡山市、それから福山市と河内町、それから先ほどお話のありました廿日市町と岩国市の四区間、百五十七キロですか、これについてはまだ整備計画も決められておらない、これにはいろいろな事情もあると思いますけれども、やはり早期に整備計画決定して着工する必要があると思うわけでありますが、これらの区間整備計画はいつごろ決定できるのか、そのスケジュールについてお尋ねをしたいと思います。
  242. 山根孟

    山根政府委員 山陽自動車道につきましては、ただいま道路公団の技師長の方から御説明申し上げましたように、姫路−備前間、岡山−備前間、河内−廿日市間及び岩国−山口間について、現在日本道路公団において事業実施しているところでございます。  残る御指摘の四区間、すなわち西宮−姫路、備前−岡山、福山−河内、廿日市−岩国の区間につきましては、基本計画決定されておるわけでございまして、現在近畿地方建設局及び中国地方建設局におきまして整備計画策定のための諸調査を行っているところでございます。このうち、廿日市−岩国間につきましては、先ほど御説明のありました一般有料道路として広島−君国道路建設を進めているという関係にあるわけでございます。  全体の整備の進め方といたしましては、国道二号に沿いましていろいろなバイパスの計画を持っておるわけでございます。備前−岡山を例にとりますと、岡山バイパス、東備西播有料道路、福山から河内にかけましては、先ほども話が出ました三原バイパス、木原バイパス、尾道バイパス、それから廿日市−岩国間につきましてはいまの一般有料道路の広島−岩国道路というように、バイパス事業と山陽自動車道との調整を図りながら、交通混雑と一方では対処しながらどう効果的に進めていくのかというのが実は山陽自動車道の大きな進め方におきます命題でございます。したがいまして、こういうバイパス計画との調整を図りながら、また一方、中国縦貫自動車道の供用によります状況を見ながら、逐次建設を進めてまいる、実はこういう基本的な考え方を持っておりまして、長期的なスケジュールに基づいて、整備計画を逐次策定をしてまいりたい、こういう基本的な考え方で臨んでおるところでございます。
  243. 吉井光照

    吉井分科員 いま基本的な考え方をお伺いしたわけですが、これはちょっと繰り返しになるかとも思いますが、先ほどの廿日市−岩国間、これは最初は五十三年十一月二十一日に、いわゆる基本計画決定されているわけですけれども、いわば最も整備のおくれておる区間ではないかと思うのです。そうしたことで、御承知のとおり、いま岩国市内でいろいろな交通渋滞による問題が起きていることも、これは事実なんです。したがって、この廿日市−岩国間の整備計画についてはいつごろ決定される予定なのか、その点をひとつ具体的にお示し願いたいと思うのですが。
  244. 山根孟

    山根政府委員 お答え申し上げます。  広島−岩国間につきましては、先ほどの一般有料道路としての広島−岩国道路建設にまずかかりまして、これによって一般国道二号の交通混雑の解消を図る、こういう考え方でございます。と同時に、昭和五十七年度に供用を予定いたしております中国縦貫自動車道の供用開始に伴いまして、交通情勢がどう変わるか、こういった点を見きわめた上で整備計画決定をするような段取りを考えておるわけでございます。しかしながら、整備計画そのものにも整備計画策定までの段階では、環境アセスメント等の課題がございますので、そういった整備計画策定のためのいろんな諸調査につきましては、積極的に進めてまいらなければならぬ、こういう考え方で取り組んでおるところでございます。
  245. 吉井光照

    吉井分科員 いま局長からは広島−岩国道路で二号線の混雑解消を図る、こういう御答弁をいただいたわけでありますが、御承知のとおり、そうなりますと、今度岩国市、いわゆる室の木、ここが非常に問題になるわけです。現地においてはそれこそのぼりを立てて反対をしておるというふうな実情もあるわけですね。というのは、結局この広島−岩国道路から来た車が全部岩国市内に集中をして、そこからのはけ口がない。したがって、そういうはけ口のない道路には、当然反対だということで、これが一つの大きな理由になっていることもこれは事実なんです。  そこで、一つ考えられることが、いわゆるこの広岩道路と、それから山陽自動車道、これを暫定的でもいいから直結できないかという問題、そしていわゆる広岩からおりてきた車が山陽自動車道に直結して、そして流れをスムーズにしていくという考え方、こういう考え方が大分盛り上がりつつあるわけですけれども、その点どうでしょう。
  246. 山根孟

    山根政府委員 広島−岩国の岩国道路と山陽自動車道の連結の問題でございますが、広島−山口間の幹線道路として円滑な交通を確保するという観点から大変有効であると考えておりますので、これはひとつ積極的に接続をする具体的な方策について検討してまいりたい、かように考えております。
  247. 吉井光照

    吉井分科員 ありがとうございました。  この問題は御承知と思いますけれども、山口県の道路公社が欽明路バイパスというのを開通さしたわけですけれども、そのときに、例の岩国側の取りつけ道路で非常に問題が起こりまして、裁判ざたにまでなった。現在ではこれは和解されて、どうにか住民の皆さんもしんぼうしておられるわけですけれども、このときの和解の一つの条件の中に、やはり中国縦貫自動車道、また、山陽自動車道の早期開通を図って、そうして騒音を解消していく、こういう一つの大きな問題があるわけです。したがって、そういったこともよくお考えになって、局長が言われたように、積極的にこの方策をひとつ考え出していただきたい、このように要望するわけであります。  次に、防府バイパスについてお尋ねするわけですが、防府バイパスにつきましても、当初は五十二年の供用開始、これが例の石油事情によりまして延長されたわけです。そうして五十四年度に一応供用開始ということになって、これがまた延長して、先ほど発表されたように、五十六年度末で一応二車線供用開始ということになるわけでございますけれども、そうなりますと、あと二年で供用開始しなければならないということですが、この二年間にどのくらいの工事費を見積もっておられるのか、その点ちょっとお尋ねしたいと思うのです。
  248. 山根孟

    山根政府委員 お答え申し上げます。  防府バイパスの第一期区間として整備を進めております国道二百六十二号以東区間は、先ほど申し上げましたように、用地の取得も完了しておりまして、昭和五十六年度末暫定二車線の供用にかかることを目途に事業を進めておるわけでありまして、五十五年度以降の事業費といたしまして約八十四億円程度が見込まれるわけでございますが、予算といたしましても、工程上必要な額を計上させていただきまして、予定どおり、目途どおりの供用がかかれるようにいたしたい、かように考えております。
  249. 吉井光照

    吉井分科員 八十四億とおっしゃいましたが、これはいま申されたいわゆる一期工事の二百六十二号以東、私が試算したところによると、大体四十億近くではないかと思うのですけれども、その点どうでしょうか。
  250. 山根孟

    山根政府委員 お答え申し上げます。  ただいま八十四億円、こう申し上げました中には、用地の再取得分が含まれておりますので、現実の所要工事費といたしましては四十六億三千万円程度と見込んでおるわけでございます。
  251. 吉井光照

    吉井分科員 となりますと、大体五十五年度には、これは常識的に考えてその半分の二十二、三億の予算がつけられるのではないかと思いますけれども、そのように理解してよろしいですか。
  252. 山根孟

    山根政府委員 現在、五十六年度末暫定供用ということを達成するために、一体五十五年度ではどの程度必要であるかということを具体的に詰めておる段階でございまして、私どもといたしましては、この目標達成に必要な額は最小限計上いたしたい、かように考えております。
  253. 吉井光照

    吉井分科員 時間がなくなりましたので、先に急ぎますが、いずれにしろ、この防府バイパスは用買もほとんど終わりまして、ただ五十六年度末の供用を待つのみというところですが、経済効果、そういった面から考えても、やはりこういった用買の済んだところから積極的に工事を進められて、五十六年度末にはぜひとも供用を開始していただくように積極的な御努力お願いしたいと思います。  次に、周南バイパスの騒音問題対策でございますが、これも過去数年にわたっていろいろな問題が提起されて、それに伴うところのいろいろな対策等も講じられてきたわけですけれども、結局打つ手がないということで現在に至っております。これは建設省においては、沿道環境保全対策の推進として、これら防音工事の助成といいますか、こういったものも行われるやに聞いておりますけれども、五十五年度には周南バイパスはとうてい無理かもしれませんけれども、いずれ近い将来において周南バイパスもこれらの対象になり得るのかどうか、そこら辺をひとつ輪郭でもお示し願いたいと思います。
  254. 山根孟

    山根政府委員 二重窓の取りつけ等を行います住宅の防音工事に関する助成の問題でございますが、現在は有料の自動車専用道路に限って実施をいたしておるものでございまして、一般道路、周南バイパス等のような道路につきましては、現在今国会に提出をしております幹線道路の沿道の整備に関する法律におきまして、要件に該当する幹線道路で所定の手続の整った場合に、騒音の著しい住宅に対し防音工事の助成を行うことといたしておるものでございます。  周南バイパスについてはいかがか、こういうことでございますが、現在提案をいたしておりますいろいろな条件に該当をいたしますならば実施をするこというぐあいになりますので、県、市と十分協議をしてまいりたいと考えておりますが、周南バイパスにつきましては、とりわけ大型車の交通量が多いわけでございまして、また夜間におきます騒音もかなりレベルが高いといったような状況にあるわけでございますので、沿道整備計画の策定等、いろいろな条件をさらに検討をさせていただいて、具体的な適用の可能性について検討いたしてまいりたい、このように考えております。
  255. 吉井光照

    吉井分科員 最後に公団にもう一問お尋ねしておきますが、山陽自動車道の下関までの延長、これが最近非常に叫ばれてきまして、沿道の各市町村に特別委員会等もできて運動が盛んに行われておりますけれども、この見通しはどうですか。
  256. 山根孟

    山根政府委員 山陽自動車道の下関までの延伸の問題でございます。これは、現在の高速自動車国道整備関連をいたしまして、将来のネットワークとしての予定路線は、御案内のように、国土開発幹線自動車道建設法の別表に定められておるわけでございます。いまお話しの山陽自動車道の下関までの延伸につきましては、この別表の中に入っておらないわけでございます。したがいまして、これをどういうぐあいに考えるかということは一つの課題でございます。私どもといたしましては、山口−下関間の中国縦貫自動車道、国道二号等の将来の交通事情、道路整備状況、山口から海岸沿いの下関に至ります区間国道状況等を勘案いたしまして今後検討してまいりたい、かように考えております。
  257. 近藤元次

    ○近藤(元)主査代理 吉井君、時間が来ておりますから、ひとつ簡潔にお願いいたします。
  258. 吉井光照

    吉井分科員 一点だけ地震対策についてお尋ねしておきますが、建設省は東海地震に備えた地震防災計画を決められております。この中で、地震が発生をして被害が出ると予想される避難地、道路、橋、トンネル等の整備を図ろうとされておりますが、それらの状況についてどのような報告を関係市町村から受けておられるのか。また、強化計画の中で高速道路、幹線道路、橋、トンネルの耐震化をおおむね五カ年で緊急整備をするということになっておりますが、実際にこういうことが可能かどうかという問題。それから警察庁ですが、いろいろと細かいことが発表されておりますが、せんだっての警視庁のアンケート調査によりますと、一たん地震が起こると、考えも及ばないようなパニック状態が起きることも当然考えられるわけです。したがって、こういった運転者の教育というものもいまから積極的に行っていく必要があるのではないか、こういうように私は考えるわけですが、ひとつ簡単で結構ですからお答え願いたいと思います。
  259. 山根孟

    山根政府委員 地震防災対策強化地域内の避難地、避難路、緊急輸送路は、地方公共団体の防災会議が関係省庁等の防災業務計画に従って作成をいたします地域防災計画に基づいて整備されることになります。建設省の防災業務計画におきましては、地震防災対策強化地域内の避難地、避難路、緊急輸送路等、地震防災上緊急に整備すべき施設は、地震防災応急対策または災害応急対策実施する上で必要なものを、建設大臣の定める基準等に従い、その緊急度によりおおむね五カ年で整備するものとしております。現在地震防災対策強化地域内の各地方公共団体において地域防災計画を策定中でございます。その要望される施設については、建設省の防災業務計画に従って調整を行い、整備を図る所存でございます。  また、高速自動車国道を含む幹線道路の橋梁、トンネル等につきましては、被災した場合、その応急復旧に多くの日数を要し、交通の確保に著しい支障を来すおそれがありますので、耐震性の向上に特に配意する必要がございます。こういったことから、緊急な整備に努めてまいりたい、かように考えております。
  260. 広谷干城

    ○広谷説明員 警戒宣言が発令されました場合の運転者のとるべき対策につきまして、先般警察庁の業務計画を定めまして、運転者のとるべき措置を決めたわけでございます。  その中身は、警戒宣言の発令を知った運転者は、直ちに低速走行に切りかえてもらって、自宅あるいは事業所等車の置けるところで車を置いていただいて、以後車は使っていただかない。それから、どうしても車を道路にとめなければならぬような場合においても、できるだけ道路にとめるのではなくて、路外の施設にとめてもらうというなことを内容とした運転者のとるべき措置でございますけれども、これらの諸点につきましては、先生指摘のとおり、徹底してドライバーの方々に対して広報していく、あるいは教育していくということが必要なことは御指摘のとおりでございます。したがいまして、更新時講習あるいは交通の教則に盛り込む等、あらゆる手段を通じまして、これが徹底方を図ってまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  261. 吉井光照

    吉井分科員 どうもありがとうございました。
  262. 近藤元次

    ○近藤(元)主査代理 以上で吉井君の質疑は終了いたしました。  次に、上田卓三君。
  263. 上田卓三

    上田(卓)分科員 私は、明日香村特別立法につきまして御質問申し上げたいと思います。  明日香村の埋蔵文化財や歴史的環境は、明日香村村民だけではなく全国民の財産であると考えるわけであります。総合的な保存策が必要とされておるわけでございまして、法律案によりますと、明日香村の歴史的風土の保存あるいはその具体化については、現状の凍結とかあるいは新しいものへの規制に重点が置かれておると思うわけでございます。しかし、いわゆる飛鳥時代の生活環境へ逆戻りさせるような保存は全く時代錯誤でありまして、実際不可能ではないか、このように考えるわけであります。問題は、村の産業や住民生活を近代化し、そして歴史的遺産との調和をいかにつくるかが問題でありまして、現代的な生活様式の中で遺産を再生させる方向が総合的な保存策であり民主主義的な保存観でなければならない、このように考えておるわけでございます。そういう意味で歴史的な立地条件を十分に生かしまして住民の生活向上をつくり出すことこそが必要であろうと思います。そこで、明日香村のように全村に歴史的遺産がまたがっている場合、特に計画的に村の進歩をつくり出していくということが大事でありまして、保存は逆に村の衰退につながるおそれが多分にあるわけでございます。計画的な整備こそが唯一の保存策だと私は考えておるわけでございまして、特に、第四条で言われている明日香村整備計画こそがこの法案の保存策の重点でなくてはならない、このように考えるわけでございます。  そこで御質問でございますが、いわゆる第二条の歴史的風土保存計画では、内閣総大臣が明日香村の意見を聞いてこれを定める、こういうことになっておるわけでございます。しかしながら、第四条に盛られておりますところの肝心の明日香村整備基本方針の策定に当たりましてはこの手続を完全に省いておる。こういうことは非常にけしからぬと私は思うわけでございまして、明日香村の最も重要な施策に関しましては総理大臣は第二条と同じように村の意見を聞いて基本方針を定めるということが一番正しい、このように思うわけでございますが、大臣の明確なお答えをいただきたい、このように思います。
  264. 清水汪

    ○清水政府委員 ただいまの基本方針につきまして住民の意見を反映させるべきではないかという点でございますが、事務当局の方から先に答弁させていただきますが、おっしゃいます御趣旨は私どもも十分理解できるところでございます。したがいまして、この法律の考え方といたしましては、歴史的風土の保存を図るということ、そのことは住民の積極的な協力があって初めてこれを全うすることができる、そういう基本的な考え方で今度の施策を考えているわけでございまして、国として保存を図るということと、しかしながらその反面の住民の生活あるいは生活環境あるいは経済活動というようなものについて配慮するということとは、いずれも国としても責任を持たなければならないところだろう、このように考えるわけでございます。そういう意味では、保存とうらはらにある生活環境等の整備につきましてその基本的な方向、そういうものは国としてもこれを示す責任があるであろう、しかしながら、もちろんこのことは住民側の意向を十分われわれとしても把握をして法の運用に当たるべきことは当然だ、そのように考えているわけでございます。
  265. 上田卓三

    上田(卓)分科員 大臣がお帰りでございますので、いま事務当局からお答えいただいたわけでございますけれども、明日香村特別立法について、第二条では大臣が村の意見を聞くこと、ところが第四条ではそれが省かれておるということで、そういう明日香村の基本整備方針については村民の大きな関心のあるところでございますから、やはりこれも大臣が村の意見を聞くということが一番大事だと思いますので、その点ひとつ、再度大臣から明確にお答えをいただきたい、このように思います。
  266. 升本達夫

    升本政府委員 運用につきましては、ただいま審議室長からお答えのとおり私ども考えておる次第でございます。
  267. 上田卓三

    上田(卓)分科員 大臣に聞いているんですよ。
  268. 升本達夫

    升本政府委員 ただいま大臣が御不在中の御質疑でございましたので……
  269. 上田卓三

    上田(卓)分科員 だからぼくはいま質問したんじゃないですか。そんな同じことを聞いても仕方ないですよ。——大臣、このことについては全然わからないのですか。
  270. 渡辺栄一

    ○渡辺国務大臣 これは総理府の関係事項でございますから総理府から答弁をいただいております。
  271. 上田卓三

    上田(卓)分科員 これは総理府ですか、建設省の所管ではないですか。
  272. 升本達夫

    升本政府委員 条項によりまして建設省の所管いたす条項もございますが、本法の主管は総理府ということに了解をいたしております。したがいまして、ただいまおただしの第二条、第四条は内閣総大臣のお仕事に属することでございますので、建設大臣からの御答弁ははばからしていただいておるというふうに理解をいたしております。
  273. 上田卓三

    上田(卓)分科員 問答を繰り返しても仕方がないのですけれども、いずれにしても、内閣あるいは総理大臣は明日香村のそういう基本方針について村民の意見を聞くということは当然のことではないか、私はこういうように思っておるわけでございます。  そこで、さらに質問を続行いたしますが、憲法第九十五条では、一つの地方公共団体にのみ適用されるところのいわゆる特例を設ける地方自治特別法があるわけでございますが、この成立に当たっては住民投票を必要とするというふうに定められておるわけでございます。まず全村が規制対象区域に含まれる、あるいは基本計画が村の基本的な事業となる、これによって村は歴史的風土の保存という目的に従属する、こういうことになるわけでございまして、以上の観点から見るならば地方自治体特別法としての要件は完全に満たしておる、こういうように思うわけでございまして、そういう意味でこの立法の成立には住民投票が必要ではないか、こういうように考えるわけでございますが、お答えをいただきたい、このように思います。
  274. 清水汪

    ○清水政府委員 憲法第九十五条でございますが、私どもといたしましては、この憲法第九十五条の規定は地方公共団体の自治権の侵害を防止するということを目的とする規定である、したがいまして、もう少しそれを具体的に言えば、ある一つの地方公共団体の組織あるいは権能あるいは運営につきまして特別の定めをするという場合においてこの憲法第九十五条の適用がある、そのように解釈をしているわけでございます。  そこで、この明日香特別措置法でございますが、この法案におきましては、保存計画の作成それから保存地区に関する都市計画決定につきまして古都保存法の特例を定めるということがまず一つの大きな内容でございます。  それからもう一つは、国の補助など、保存のために国が講じてやる措置を定めている、こういう内容でございます。したがいまして、これを言いかえますと、先ほどの憲法との関係で言いますと、この場合、明日香村の組織とか権能とかあるいは運営に対する制約というようなことは全くその内容といたしておりません。したがいまして、この法案はおっしゃいます憲法第九十五条の規定の適用があるところの特別法に該当するというふうには解していないわけでございます。
  275. 上田卓三

    上田(卓)分科員 私は、それは納得できません。見解の相違だと言われるかもわかりませんけれども、憲法第九十五条に定められたところの規定によって、住民の投票によってそういうものが定められるべきだ、こういうように思っておるわけであります。  さて、現状の凍結という問題でございますが、これはあくまでも現状の凍結であって、いわゆる飛鳥時代に全く逆戻りする、バックさせるものではないということは確認できますか、大臣どうですか。
  276. 清水汪

    ○清水政府委員 恐縮でございますが、その辺、総理府として主管をさせていただく法案になっておりますので、引き続き答弁をさせていただきます。  おっしゃいますように、昔に逆行させるようなことは考えておりませんので、よく現状凍結的な規制ということが言われるわけでございますが、それは後ほどあるいはお話が及ぶかと思いますが、今度の法案の内容で言えば、第一種保存地区というところにつきましては、ちょうど現在は、古都法で特別保存地区というふうに指定しております。第一種保存地区については、おおむね特別保存地区というものの規制をそのままそこへ引き移す、こういうようなことを考えておりまして、その部分を現状凍結的というふうに言っております。それは、つまりいまの特別保存地区というのは、大体原則的に現状には変更を加えないという考え方で保存に協力をお願いしているわけでございますから、そういうことになるわけでございます。  第二種ということが今度新たな範疇として登場いたしますけれども、そちらの方はもう少し緩やかな規制ということで考えているわけでございます。決しておっしゃいますように昔に逆行させるというようなことではないと思います。
  277. 上田卓三

    上田(卓)分科員 ちょっと何か大臣と食い違いがあるようですけれども、これは建設委員会に付託される法案じゃないのですか。そういう意味で私は大臣に質問しているんですけれども
  278. 渡辺栄一

    ○渡辺国務大臣 委員会と大臣とは違いますから……。
  279. 近藤元次

    ○近藤(元)主査代理 これは共管で建設委員会にかけて、政府側の主管は総理府なんだそうです。そういうことらしい。委員会は建設委員会にかける。
  280. 渡辺栄一

    ○渡辺国務大臣 建設省所管のことは建設委員会で局長説明いたしますが、中心は総理府でございますから、間違いのないようにお願いします。
  281. 上田卓三

    上田(卓)分科員 それでは私の勘違いといいますか、記憶違いでございます。  さらに続けて質問いたしますが、第二条で「保存に関連して必要とされる施設整備」ということが言われておるわけでございますが、この施設とはどのようなものなのか、御説明いただきたい、このように思います。
  282. 中嶋計広

    ○中嶋説明員 ここで考えておりますのは歴史的風土の保存のために特に必要とされる施設がある場合、明日香村につきまして現実にどういうものがあるか、これから検討するわけでございますが、たとえば裏山を保存するために仮に一般の人が通行する道路以外に施設管理用の道路が必要であるといった場合に、そういうものを定めるという趣旨でございます。
  283. 上田卓三

    上田(卓)分科員 次に、補助対象事業の補助率は二五%のかさ上げがされる、こういうようになっておるわけでございますが、一九八〇年から八九年までの十カ年限りのサンセット方式であるということでございますが、村づくりはたった十年限りというのではおかしい、こういうふうに思うわけでございまして、あくまでも私は、もしも十年というならばこれは目安であるべきであって、やはりその時点で村と相談して残り部分についてさらに施策を行うということが正しい、このように思うわけでございますが、その点について明確にお答えいただきたいと思います。
  284. 清水汪

    ○清水政府委員 先生の御質問のお気持ちはよく理解できるつもりでございます。ただ、現在はこの法案の御審議をお願いしているわけでございますので、その意味におきまして、十年たった先のことについて申し上げることはむしろ差し控えさせていただきたいのでございますけれども、言うなれば、いま先生もおっしゃいましたように、サンセット方式ということもございます。昨今の財政再建ということの中で、いろいろのこういう補助的な施策の立法に当たってはサンセット方式、つまり一つの時限をつけて立案する、制定をしていただくというのがむしろ原則的な姿であるということかと思います。それの反映であるというふうに御理解いただければ幸いかと思います。
  285. 上田卓三

    上田(卓)分科員 先ほど申し上げましたように、十年限りということでなしに、やはり長い目で村の発展のために十分な御配慮をいただきたい、こういうように思います。  次に、いわゆる明日香村の整備基金の設立でございますが、これは非常に画期的といいますか、地元では大変な期待をされておるところでございます。しかしながら、国からの支出が二十四億円である、県の六億円と合わせて三十億円ということでございますが、これは大変少ないと私は感じるわけでございまして、少なくとも五十億から八十億は要るのではないかと考えておるわけでございます。この法律が明日香村の永久保存に関するものである限りにおいては、やはり将来の増額が絶対必要であると思っておりますし、また特に今日の情勢ではこのインフレですぐ目減りをするということもあるわけでございまして、そういう意味で現在のそういう基金総額じゃなしに、増額も含めての将来計画についてひとつお聞かせいただきたい、このように思います。
  286. 中嶋計広

    ○中嶋説明員 基金の額につきましては地元の方からもいろいろお話もございまして、私どもも、地元とすれば多ければ多いほどいいというのが地元の本音かと思いますけれども、こういう財政困難な事情、それから、明日香村につきましてこういう基金を設けましていろいろきめの細かい施策を行うわけでございますが、周辺市町村における状況とのバランスということも考えてまいりませんと、余りに明日香村にばかりというわけにもまいりませんので、その辺をいろいろ勘案いたしまして、県、村とも相談の上でその三十億円が妥当なところであろうという判断をし、三十億円ということでお願いいたしまして、幸いにして要求いたしました、われわれ考えておりました三十億円、これは手当てすることができたわけでございます。  なお、将来のことにつきましては、いまの時点で余り将来の経済状態見通してどうこうというわけにまいりません。大きな事情変更があればまたその時点で問題になるかと思います。現在のところは三十億ということで、国、県それから村、それぞれこれだけあれば一応当面は満足できるということになっておるわけでございます。多ければ多いほどいいとおっしゃる先生の御意見はそのとおりでございますが、一応諸般の情勢を勘案いたしまして、この辺のところで関係者は満足いたしているという次第でございます。
  287. 上田卓三

    上田(卓)分科員 私は何も多ければ多いほどいいという単純な論理で申し上げているのじゃなしに、隣村とのつり合いということがあるかもしれませんが、法律によって明日香村のそういう歴史的風土が保存されるということは村民にとっては一つの名誉かもわかりません。しかし、そのことによって数多くの損失というのですか、いろいろ規制を受けて、そういうことが村民の利益になればいいのですけれども、非常にマイナス面が出てくるということを考えるならば、私は応分の予算措置が必要ではないか、こういうふうに思います。先ほど申し上げましたように、年々物価高の傾向があるわけでございますから、いま三十億という金は大きそうに見えても、五年、十年という経過を考えた場合、当然そういうことは考えられてしかるべきではないか、こういうふうに考えておりますので、その点について十分配慮してもらいたいと思います。  次に、整備基金の運用についてでございますが、これについては住民生活の向上に直接かかわる分野に重点を置くということでございますので、こういう点については村独自に計画中の農産物の価格安定措置などは評価に値するというように私は思っておるわけでございます。  そこで、第八条にはこの基金の使途に関しての規定があるわけでございますが、国は絶対に運用に介入すべきでないというように私は思っておるわけでございまして、この点についてひとつ明確に政府の考えというものについて述べていただきたい、このように思います。
  288. 清水汪

    ○清水政府委員 法律に運用の基本を定めてございますが、最初にも申しましたように、今度この特別措置法に象徴される仕事というのは、やはり国、県、それから村及び住民が一体となって当たらなければならない、こういうふうに考えているわけでございます。     〔近藤(元)主査代理退席、主査着席〕 おっしゃいますように、村の基金でございますから、村が自主性を持って運用していただくのは当然でございます。ただ、国といたしましても相当多額の助成金を提供するということでもございます。それから同時に、この法律は全国から見られているということもあろうかと思います。したがいまして、私どもとしては期待と申しますか、そういう観点から言いますと、やはり一体となって最も適切有効に使ってほしい、果実をそのように使ってほしい、こういうふうに考えているわけでございます。実はそういうお話を県、村にも申し上げましたところ、県ももちろんですが、村当局からもそれは全く同感である、したがいましてよく相談をして運用に誤りなきを期したい、このような御決意もいただいておるところでございますので、私どもとしては、そのような趣旨において適切な運用が行われるということを期待いたしておる、こういうことでございます。
  289. 上田卓三

    上田(卓)分科員 運用に政府は絶対に介入するな、こういう極言をしたわけでございますが、やはり本来は明日香村で自主的に運用を図られるべきです。それははっきり言って公金でありますから、飲み食いに使うとか、だれから見ても非難されるような使い方まで含めて私は言っているわけではないわけでありまして、原則的にやはり村の方々にお任せする、国は余り一厘一銭介入すべきでないということでありますから、その点についてひとつ確認をしていただきたい、こういうように思います。  次に、何と言いましても明日香村は農業によって支えられ、繁栄してきたと言ってもいいように思うわけであります。そういう意味で、農業にとってはいろいろ、ビニールハウスというものは、種目によりますけれども、欠かせないものだというように思うわけでございます。そういう点でビニールハウス等について一体どう考えておるのか。農業の整然とした発展のためには、できる限りそういう規制というものがないにこしたことはないわけでございますので、その点についてひとつ詳しく御説明いただきたい、このように思います。
  290. 升本達夫

    升本政府委員 保存地区内の行為の規制の問題でございますので建設省からお答えさせていただきます。  明日香村におきまして農業振興の観点からビニールハウスの果たしております役割りは大変大きなものがあるというふうに考えております。しかしながら他方また、明日香村の歴史的風土の保存という見地からいたしますと、景観上の阻害要因ということも考えざるを得ないかと思います。従来からこのビニールハウスの設置につきましては、地元の農民の皆さん方の御協力をいただいて、行政指導で極力その周辺への障害を除けるように努力をしていただいてまいったところでございます。しかしながら、明日香村が今後農業立村を目指す以上、やはり農業に対する配慮も慎重に考えてまいらねばならないというふうに考えておるところでございます。したがいまして、ビニールハウスなるがゆえに直ちに禁止ということではなく、たとえば、一定の規模以下のもの、あるいは色彩の問題、材質の問題等を考えて、周辺に対する影響と農業上の必要というものとの調和を図りながら必要な規制を講じてまいる所存でございます。
  291. 上田卓三

    上田(卓)分科員 そういう問題があるわけでありますけれども、時間の関係もございますので、次に移ります。  家の建てかえなどの場合、非常に手続上の繁雑さによって住民が迷惑をこうむることになっておるわけでございます。古都法とか県の風致条例、あるいは文化財保護法などの手続で合わせて十種類もの書類を提出しなければならぬ、こういうことになっておるようでございまして、たとえば古都法と風致条例だけでも書類を簡単にできないか、こういうことでございます。  それからさらに申し上げますが、いわゆる希望者からの土地の買い上げについてでございます。買い上げ価格は現在坪四万から五万円で、非常に安過ぎるのではないか。たとえば周辺の八木や橿原の地価は、いろいろ事情があるわけでございますけれども、坪二十万から三十万になっているということを参考にして、やはりもっとアップすべきではないかというふうに私は思っておるわけでございます。また、国においては、移転を希望する者に対して代替地の提供とか、あるいは住宅供給公社を利用した住宅の便宜を図るべきではないかと思っておりますが、その点についてひとつ続けてお答えいただきたい、このように思います。
  292. 升本達夫

    升本政府委員 最初に御指摘がございました手続の簡素化の点につきましては、いろいろ地区ごとの規制の態様の相違によりましていろいろごめんどうをおかけすることになろうかと思いますので、十分その簡素化に留意はいたしてまいりたいというふうに考えております。  それから土地の買い上げ価格お話でございますけれども、これは御承知のように、買い上げの申し出がございましたときには時価によるというたてまえになっております。通常の鑑定の結果を尊重してやらしていただくことになるわけでございますので、もし現実にずれがあるとすれば、今後の評価には十分に留意いたしてまいりたいというふうに考えます。
  293. 上田卓三

    上田(卓)分科員 時間が来たようでございますので……。私は内閣委員会に所属するわけでございまして、総理府の所管であれば当然内閣で審議されるべきだと私も御期待を申し上げておったわけでございますが、どういう事情からか建設委員会ということで、この場に出向いて、大臣ということで、失礼なことがあったかもわかりませんが、これはわが党の委員から、またしかるべき委員会で討議してもらうことになろう、こういうように思います。  ただ言えることは、たとえばこの法案の目的のところで、「国を愛する心の涵養に資するものであることに配意し、」こういうふうにうたっておるわけでございます。古都法に言われているのは、たとえば「国土愛の高揚に資するとともに、」という表現から見るならば、非常に何か民族主義的なものをあおるような、あるいは軍国主義の道に推し進めるという最近の風潮に同調するようなにおいをわれわれはかぎとらざるを得ない、こういうように思っているわけでございまして、この法案については、非常によい面というのですか、積極的に評価すべき面もあるわけでございますが、また一面、われわれ、非常に危惧しなければならない多くの問題点があるということを指摘申し上げまして、私の質問を終わりたい、このように思います。
  294. 藤田義光

    藤田主査 以上で上田卓三君の質疑は終了いたしました。  次に、辻第一君。
  295. 辻第一

    ○辻(第)分科員 私は、大滝ダムの問題について質問をいたします。  大滝ダムは、建設省河川局長と農林省農地局長が、奈良県と和歌山の両知事に対する「国営十津川・紀の川地区、紀の川筋における洪水調節及び農業用水確保の方針について」と題した通達を出されました。それからもうすでに十八年になるわけであります。当初、昭和五十二年完成予定昭和五十九年に延期しているが、今日では五十九年にも完成が危ぶまれている状況でございます。建設省見通しはどうなのか、お答えをいただきたいと思います。
  296. 稲田裕

    稲田(裕)政府委員 大滝ダムは、紀の川の治水、奈良、和歌山両県に対する新規の都市用水の供給及び発電を目的としました多目的ダムでございまして、昭和三十七年に私の方で実施計画調査に入りまして、四十年に建設事業に着手したわけでございます。御指摘のように、まだ地元折衝等残っておるものを抱えておるわけでございます。大滝ダム建設に伴って、約四百七十五世帯というふうに非常に多数の方々の移転を伴うこと、それから宅地、山林等約二百二十五ヘクタール等が水没するということで、在来形成されております地域社会に与える影響が非常に大きかったために、地域の再建対策を初め用地補償交渉等に時間を要するという結果になったわけでございます。  ダム建設に当たりましては、水没関係者の生活再建対策が重要でございます。他方、地方公共団体の協力を得て、水没関係者の理解を得るよう努力して、現在までに山林補償の大部分を解決し、一般補償につきましても、約二百五十戸の解決を見ておる次第でございます。残っておられます水没関係者に対しましても、水没者の生活再建の基本となる代替地の造成及び関連のつけかえ道路等を現在実施しておるわけでございますが、さらに理解を深めていただきますよう努力しているところでございます。また、水源地域対策特別措置法に基づきまして、大滝ダムの水源地域整備計画につきましては、すでに先生も御存じのように、五十四年の三月二十六日に決定いたしておりまして、大滝ダム周辺の地域整備に重要な役割りを果たしておるわけでございます。  このダムは、紀の川の治水利水につきまして、先ほど申し上げましたように非常に緊急を要するダムでございます。現在つけかえ道路等の実施促進しておるわけでございますが、代替地の造成も早期に完成させまして、水没関係者の方々生活再建を推進しまして、これは一日も早く本体の着工に持ち込みたい、かように考えているわけでございます。
  297. 辻第一

    ○辻(第)分科員 見通しというのは大体いつごろに完成するだろうかということをお聞きしているわけですけれども、もうちょっと明確にお答えをいただけませんですか。
  298. 稲田裕

    稲田(裕)政府委員 現在、五十九年というふうな見通しでやっておるわけでございますが、いま申し上げましたようなことで、実態的にはあるいはこれが、五十九年が数年程度延びることにならざるを得ないかというふうに考えておるわけでございます。
  299. 辻第一

    ○辻(第)分科員 いま、数年程度延びるかもわからないというお答えをなさったわけでありますが、実際、今日の現状を見てみますと、国道百六十九号線の道路つけかえ工事は全長十二・一キロでありますが、工事完了がまだ四〇%です。水没家屋の補償は、四百七十五世帯のうち、まだ二百七十五世帯。奈良県の企画部長も、この一月二十五日の県会の水資源対策特別委員会では、建設省から計画変更の話は聞いていないが、工事に必要な日数を逆算すると予定どおりの完成には疑問がある、こういうように述べております。大滝ダム完成がこのようにおくれているのはどこに原因があるのか、どのようにお思いになっているのか、できるだけ簡明にお答えをいただきたいと思います。
  300. 稲田裕

    稲田(裕)政府委員 これは先ほども説明申し上げましたように、四百七十五世帯、二百二十五ヘクタールということで、川上村の主要部分が水没するというふうなダムでございます。したがいまして、この後の生活再建なり村づくりというものが非常に大きな問題と当初からなっておったわけでございます。これの解決に非常に問題が多くて時間を食ったという点があろうかと思います。
  301. 辻第一

    ○辻(第)分科員 そのおくれている原因は、水没される方の補償その他の解決が困難であるということのようでございます。それも大きな問題であると思いますが、ある一面では、現象面であるというふうに思うわけであります。大滝ダム建設計画は、全国的にも余り例のない大規模な水没四百七十五世帯を抱えていることとあわせて、川上村役場の所在地である中核地域が水没し、過疎に一層の追い打ちをかけるにもかかわらず、村の再建策が建設省と奈良県によって明らかにされていないということが建設のおくれの最大の原因というふうに考えています。  そこで、具体的に幾つかの点をお尋ねいたしたいと思います。  大滝ダムが、その目的の一つ、洪水調節のためには、当然吉野川、紀の川の流量状況を必要な観測地点ごとに明らかにするなど、まず、基本的諸データの整備が必要であるというふうに考えています。昨年、私の近畿地建への問い合わせに、水理水文調査、地形調査、地質調査などを行っているというふうにされているわけでありますが、これらの基礎データをすべて公表されることを強く望むものでございます。御公表なさる意思があるのかどうか、お答えをいただきたいと思います。
  302. 稲田裕

    稲田(裕)政府委員 このダム計画並びに紀の川筋の治水利水計画というのを立てる基礎資料といたしましては、長年にわたりましてこの紀の川流域での水理水文調査等実施してまいっておるわけでございます。その流量調査で公表すべきものにつきましては、すでに流量年表等でも公表いたしておるわけでございます。  そのほか、私どもの方で調査した資料もほかにもあるわけでございますけれども、それらの資料につきましては、その精度等との問題からもやはり一般公表というふうなものに至らないというものもあるわけでございまして、これは資料解析上の参考データとしていろいろ使っているものもあるわけでございますけれども、基本的なデータにつきましては、流量関係、雨量関係等のデータ等につきましては、すでに流量年表、雨量年表等におきまして、毎年公表いたしておるところでございます。
  303. 辻第一

    ○辻(第)分科員 それでは次に、昭和五十三年七月一日付の「建設省所管事業に係る環境影響評価に関する当面の措置方針について」という通達が出されました。湛水面積が二百ヘクタール以上のダムの新設について環境影響評価を行うというふうにされているわけでございますが、また「技術指針細目 ダム事業編(案)」を建設省河川局は作成をしていらっしゃる。私はこれ自体大変不十分なものと思うわけでありますが、同時に避けて通れない項目も含まれているというふうに思います。大滝ダム計画以来十八年たつわけですが、このような通達や指針が出なくても、この指針に出ているようなことは当然明らかにすべきものであるというふうに考えています。建設省はこの指針に基づいて環境影響評価を行うことを強く望むものです。建設省の御方針をお聞きしたいと思います。
  304. 稲田裕

    稲田(裕)政府委員 五十三年の十月に、先生おっしゃいますように、建設省所管事業環境影響評価技術指針細目というものが定められたわけでございます。大滝ダムはすでに四十七年の四月七日に基本計画が定められておりまして、この指針細目の案でまいりますと、適用の除外となっているわけでございます。しかしながら大滝ダムにつきましては、事業着手以来、これらの環境に及ぼす影響につきましては調査を行っております。この調査は必ずしも全部が今度定められました技術指針細目に沿ったものとはなっておらない部分もあるわけでございますけれども、大方の分につきましてはこの細目をカバーした調査を行っておりますが、さらにまた、今後必要なものが出てまいりますれば、補足充実をさせながら進めてまいりたい、かように考えております。
  305. 辻第一

    ○辻(第)分科員 それでは、大体それに準ずるものをなさってきた、あるいは今後も必要なものはやっていくというお答えでございますが、どうかこの指針に基づくような十分な環境影響評価を行われることをもう一度改めて要求をしておきたいと思います。  次に、大滝ダム建設を進めていくためには、個々の補償問題をきちんと行っていく。このことと同時に、何よりも重要なことは川上村の再建策を示すことであるというふうに考えます。水源地域対策特別措置法に基づく大滝ダムに係る水源地域整備計画が昨年つくられております。これは道路網整備や教育施設整備など、大変重要なものが含まれているということはわかるわけでありますが、しかし、これだけでは、川上村の過疎化に歯どめをかける、あるいは再建の展望を明らかに示されているということではございません。  再建策の重点は次の四点ではないかというふうに私ども考えるわけでございます。それぞれどのようにお考えになっているのか、お尋ねをしたいと思うわけでございます。  まず第一番目には、水没後の川上村の中核地域の形成の具体的な展望を明らかにしていただきたいと思いますし、また水没するおのおのの代替地など、このようなものを十分に確保される具体的な提示が必要でなかろうかというふうに思うわけでございますが、この点について簡単にお答えをいただきたいというふうに思うわけです。
  306. 稲田裕

    稲田(裕)政府委員 いま先生から御指摘いただきました村づくりでございますが、ただいままでに二百数十戸の水没補償方々補償問題は解決したと申し上げましたが、主としてこれは川上村から外の地域に移られる方々でございまして、残っておられる方々というのは、これは川上村に残られて村づくりをしなければならない方々でございます。  それで、いま先生指摘ございましたように、一番中核となるのは佐本の地区でございまして、佐本の地区につきましては、私どもでもいろいろな案をつくりまして、これはもちろん県当局、村当局ともいろいろお打ち合わせをさしていただいておるわけでございますが、その案等を御提示いたしまして、地元の御了解を得るべく現在やっておるわけでございます。大方の形というものは絵がかけつつあるわけでございまして、これらの造成工事等につきましての具体的措置等につきましてお打ち合わせをさしていただいているというふうな状況にあるわけでございますが、そのほかの、これが一番中核の残る部落になるわけでございますが、そのほかまだ、下流の寺尾地区から上流の上多古地区に至りましていろいろな部落があるわけでございます。その部落が、どういう形で残村の方々の部落形成をやっていくか、これは部落の方々は非常に多岐にわたる御意見を持っておられまして、同じ部落の方でもいろいろ御意見があるわけでございます。それらの御意見を集約しながら新しい村づくりというものをやらなければならぬわけでございまして、これらの御意見等につきましては、すでに数年にわたりまして、おのおのの部落の方々と私どもの方の出先の事務所でいろいろなひざ詰めのお話もさしていただいておりますが、なかなか御要望が多岐にわたっている面もございまして、まだ必ずしもまとまり切っていないというふうな部分もあるわけでございますけれども、当然、移っていただく方々に、後の村づくりができなければ困るわけでございますので、これは十分今後とも各部落の方々と詰めさしていただきまして、新しい部落形成の絵をかいていきたい、かように思っておるわけでございます。
  307. 辻第一

    ○辻(第)分科員 第二番目は、ダム周辺の環境整備を具体的に示していただくことだというふうに考えております。  第三番目は、村内における地場産業など、産業の振興、そして生活の向上ということ、そういう策などを、これまた具体的にお示しをいただくことだというふうに思うわけでございます。  いま二つ申したわけですが、この点についてどんな対策考えていらっしゃるのか、これまた簡明にお答えをいただきたいというふうに思います。
  308. 稲田裕

    稲田(裕)政府委員 大滝ダムの環境の整備でございますが、当然、現在水特法によって定められました水源地域整備計画の中の大きな部分というのが、新しい川上村の環境づくりのために使われるものでございます。そのほか私どもとしまして、さらにきめの細かい施策を今後やってまいるつもりでございます。たとえばのり面の整備だとか、整地だとか、緑化の対策だとか、遊歩道とかいうものを今後の村との話し合いの中で進めさせていただきたいということで、今後の問題としてこういうものも入れながらやっていきたい、かように考えておるわけでございます。
  309. 松原良夫

    松原説明員 先生指摘の地場産業の問題でございますが、川上村におきまして、大滝ダムの影響というのは非常に甚大でございますので、水特法におきましては、川上村を全村水源地域として指定いたしたわけでございます。そこで、産業基盤の対策といたしましては、土地改良事業道路それから林道、農林漁業の経営近代化等の諸施設を中心に整備計画をつくっておるわけでございます。また、生活環境対策といたしましては、排水路、公営住宅、それから消防、無線電話、屎尿処理、ごみ処理というような施設等を中心に全村にわたって計画しておるところでございまして、その予算の執行につきましては、関係省庁と十分に打ち合わせをいたしまして事業を進めているとろでございます。
  310. 辻第一

    ○辻(第)分科員 第四番目に、いまも局長さんは二百七十五世帯が外へ出ていかれるというようなことをおっしゃったわけですが、このような過疎を食いとめることというのは大変なことであります。水没後の川上村人口をどのように推定されているのかということであります。昭和四十一年には七千百六十五人であったのが五十三年、五千百十四人。十三年間に約二千人も減っている、過疎になってきているわけであります。これが水没で恐ろしいほど急減するということが心配をされています。これだけ人口が減ったら、幾らりっぱな保育所を建ててもろうたり学校を建ててもろうても通う子供がいなくなる、こういうことでそのことが非常に意味がなくなる、こういう村民の心配はもっともなことだと思うわけであります。水没後の川上村の人口をどのように推定されているのか、お答えをいただきたというふうに思うわけです。
  311. 稲田裕

    稲田(裕)政府委員 水没後の人口の推定というのは、私どもの方で直接は行ったものがございません。ただいま御説明申し上げましたように、水没関係者が四百七十五世帯で約半数ちょっとを上回る方々が外に住まれるということで出られたわけでございまして、その残りの方々は当然地元に定着されるわけでございます。この川上村そのものも、確かに先生おっしゃいますように、過疎というふうなことも進行しておるわけでございますけれども、この地区そのものが最近、道路整備等も行いましたので非常に便利な地域になっておりまして、川上から先生御存じのように橿原まで行くにしましてもわずかな時間で行けるような距離になっておりますので、必ずしも過疎だけの弊害が出るというふうな地域でもなかろうというふうな感じも抱いておるわけでございますけれども、なお、村づくりということにつきましては十分それらも配慮しながら村当局と相談させていただきたいというふうに考えております。
  312. 辻第一

    ○辻(第)分科員 いまいろいろお答えをいただいたわけで、いろいろと御努力をいただいているということもわかるわけであります。しかし、地元の人から見れば明確な川上村の再建の展望が示されていないという感じ、実態もそういうことだと私は思うわけです。大変だと思いますけれども、もっと明らかな展望をお示しいただきたい、重ねてお願いをする次第でございます。  次に、ダムの安全の確保ということが大変重要な課題であろうと思うわけでありますが、その一つは、ダムサイト上流の白屋地区の地すべりの危険でございます。白屋地区の要請にて地質調査を行った吉岡金市氏などは、ダム建設により白星地区の地すべりは拡大され、その防止をする方法がないので、対策としては水没者と同じように安全なところに移転するほかはない、このような指摘もあるわけであります。また一方、奈良県地質調査委員会の意見書、これは昭和五十三年十一月二十五日でございますけれども、これには、ダム建設によって水没斜面の地すべりは起こり得るものと言わねばならぬ、このように指摘をしております。この委員会の意見では、いわゆる護岸をして対策とすると言っているわけでありますが、白屋地区住民にとっては、これらの対策はどのぐらいの耐用年数があるのかということであります。この地域の人にすれば、これから何十年、何百年住むかもわからぬということでございますので、こういうことに関連して深刻な不安を抱かれるのは当然であるというふうに思うわけです。前に一度調査されたときには反対の結果が出ておったというような話もちょっと聞いたことがあるわけですが、そういうことも含めて、この地すべり、危険について建設省はどのような対策考えていらっしゃるのか、お聞きをしたいと思います。
  313. 稲田裕

    稲田(裕)政府委員 白屋地区は、このダム建設によりまして現在よりも河川水位が相当上昇することとなるわけでございます。この白屋地区集落の下部ののり面の安定が影響を受けるおそれもありますので、地すべり対策工事を行いまして、こののり面の安定を図って、ダムの貯水によって地すべりを引き起こさないというふうな配慮をしたいと現在考えておるわけでございます。このために、白屋地区の地すべり対策につきましては、大滝ダム事業着手以来この地形調査、地質調査、地下水の調査等調査継続して現在も行っておるわけでございます。また、先ほど先生おっしゃいましたように、奈良県におきましても、昭和四十八年の六月、地元の要請を受けまして佐々憲三先生を委員長とする奈良県ダム地質調査委員会を設置しまして約五年間調査をされたわけでございます。その結果を私どもの方もいただいておるわけでございますけれども、白屋地区は潜在性地すべり地区であると考えられ、地すべり対策法としては鋼管くい工、深礎工、集水井等が考えられるわけでございますが、さらに調査研究を行って具体的に設計する必要があるというふうに私ども聞いておるわけでございます。私どもとしましては、この調査結果を尊重いたしまして、白屋地区の地すべり対策の具体的な設計に必要な調査研究を行っておりまして、これに基づきましてダムの貯水によって地すべりを引き起こすことのないよう必要な対策工事というものを十分行ってまいりたい、かように考えておるわけでございます。対策工法のやり方につきましても、十分長年月耐えるような工法等も考えながら対処してまいりたいというふうに考えております。
  314. 辻第一

    ○辻(第)分科員 安全性の問題のもう一つは、ダム下流の河床の洗掘による被害あるいは流状の変化、水温の低下など河川の生態系の破壊などが予想されます。今後徹底した調査を行っていただいて万全の対策を立てるべきであるというふうに考えているわけでありますが、その点もっと十分な調査をしていただけるのかどうか、ちょっとお尋ねしたいと思います。
  315. 稲田裕

    稲田(裕)政府委員 ダム建設に伴って下流にもいろいろな影響が出ようかと思います。これらにつきましては、在来も予測等も行っております。そしてあの上流から下流は、大淀町から五條市にかけましてはほとんど河川砂利という河床ではございませんで、岩盤の露出地点が多いわけでございまして、そういう点から申し上げますと、余り大きな河床変動はなかろうかと予測いたしております。なお、これらの影響が出るということが予測されましたらばその対応を考えてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。  それから、ダムの設置によります水温等の影響も考えられるわけでございますが、これらにつきましては、必要な対策を十分検討して対応してまいりたいというふうに考えております。
  316. 辻第一

    ○辻(第)分科員 次に、奈良県の平野部における深刻な都市用水の事情や洪水調節の上からも、大滝ダム建設ができるだけ早い方が望ましいという点では私ももちろん異存がありません。しかし、現在の自民党の奈良県政で人口急増政策というような状況になっているわけですが、これには批判的であります。国としても、水の見通しのつかないままの人口急増政策は控えるように奈良県に対して指導もしていただきたいというふうもに思うわけです。しかし、深刻な水不足に脅かされている県平野部の住民のために、大滝ダムができるまでの間、奈良県が昨年建設省昭和五十六年以降毎秒〇・五トン、九万人分の要求をいたしております暫定取水、これを可能であればぜひ認められるように要望するものでございます。また、完成後のアフターケア、これをぜひ十分に実施していただくように要望するものであります。  最後に、計画への村民の参加、村民の意見の反映を十分保証していただいて、納得と合意のもとに大滝ダム建設を進められることを強く求めまして、私の質問を終わります。どうも御苦労さんでした。
  317. 稲田裕

    稲田(裕)政府委員 奈良県の上水道の用水でございますが、先生のおっしゃるように、奈良盆地につきまして非常に人口が急増いたしております。大滝ダムにかかる奈良県の暫定取水につきましては、現在、正式な許可申請というものは私どもは受け取っておりませんが、大滝ダム建設計画の中にはすでに奈良県に対して毎秒三・五トンの水道用水を供給するということになっております。県からの申請があった段階では具体的に対応につきましては検討してまいりたい、かように思っておるわけでございます。  それから全体の今後のダムの進め方でございますけれども在来も村当局初め地元の方ともいろいろな話し合いを進めておるわけでございまして、今後とも村当局初め皆さん方との連絡をとりながら進めてまいりたい、かように思っております。
  318. 藤田義光

    藤田主査 以上で辻第一君の質疑は終了いたしました。  次に、田畑政一郎君。
  319. 田畑政一郎

    ○田畑分科員 初めに事務的にお答えいただきたいと思います。  昭和二十五年に建築士法が制定せられたわけでございますが、その当時、いわゆる建築士の資格、これは細かくは言いませんが、最初は大体どれくらいの人が建築士というものの資格をお取りになったのか、そして現在ではその資格者はどれくらいの数字に達しておりますか。また、建築士になるというのは大変人気があるように聞いておるのでございますが、最近の受験状況、合格状況といったようなものについておわかりになっておりましたらひとつお聞かせいただきたいと思います。
  320. 関口洋

    ○関口政府委員 申しわけございませんが、二十五年の建築士登録者数の数字がいま手元にございませんので、四十三年からの数字で御勘弁をいただきたいと思います。  四十三年は、一級建築士が六万三千四百三十六人、二級が二十万五千百六十六人でございまして、この合計は二十六万八千六百二人でございます。最近の五十四年でございますけれども、同じように数字で申しますと、一級建築士が十三万一千五百三十六人、二級建築士が三十九万五百五十六人、合計五十二万二千九十二人という数の方が登録をされております。  それから受験の状況でございますが、これはちょっと数が多いのでございますけれども、一級建築士を受験された方は、四十三年度で二万八千九百四十六人、それから二級建築士で四万二千九百五十八人でございまして、これに対応する数字は、五十四年度、一級建築士で七万二十三人、二級建築士で六万九千百三十九人、こういう状況に相なっております。
  321. 田畑政一郎

    ○田畑分科員 合格者が二万九千人に対して受験者が七万人ということでございますか、一級の場合は。そうですね。
  322. 関口洋

    ○関口政府委員 一級建築士は、いまの受験者七万二十三人に対しまして合格者は一万四百十人でございます。
  323. 田畑政一郎

    ○田畑分科員 それから二級の方は。
  324. 関口洋

    ○関口政府委員 二級は、受験者六万九千百三十九人に対しまして一万五千五百八十三人ということでございます。
  325. 田畑政一郎

    ○田畑分科員 いま御説明ありましたように、一級、二級建築士に分けまして、わが国では五十二万人。建築確認は大体百四十万件くらい出ておると聞いておるわけであります。一人当たりにいたしますと、これは表向き出ているもので、三件の確認に対して一人の建築士がいる、こういうことになっておるわけです。これは大変な過当競争でございます。そこへもってまいりまして毎年のように大量の建築士志望者がおる。これに対して一体今後政府として、また当局としてどのようにしていくのか、何か方策があるのかどうか、聞きたいところでございますが、特に私ここで問題にいたしたいと思いますのは、こういう建築士資格者というのは自動車の運転手に次いで広範に広がっておるわけでございますね。これに対して一体どのような管理と申しますか、あるいは資質の向上——自動車の運転手にいたしましても二年に一遍くらいは講習会へ行くのでございますけれども、建築士さんは一たん取得いたしますと後は講習会に一遍も行かぬでも一生涯、生涯資格と言いまして大変ありがたいと言えばありがたいのでございますが、やっておるわけでございます。最近、御案内のように、東海地震などに照らしましていわば災害に対するところの建築物はどうあるべきかということが非常に問題になっておりますし、それからまた、仙台地震といいますか、宮城沖地震の際にはブロックべいが相当つぶれまして、その結果たくさんの人が死ぬというような不祥事も来しておるわけでございます。これはいずれも設計の問題点でございますが、こういったいわば拡大しつつある多数の建築士資格者に対してどのような対策をとっておられるかという点をぜひお伺いいたしたいと思います。
  326. 関口洋

    ○関口政府委員 先生指摘のとおりに、資格取得後もいろいろな事情の変化がございますので、新しい技術の習得、あるいは建築基準法もたびたび改正されてきておりますので、そういうものについての理解を深めるということ等、常に設計なり工事監理等の技術力の涵養を図るということは必要だというふうに私どもも認めております。これらの点につきましては、従来から、建築士法に基づいて設立されております各都道府県の建築士会あるいはその全国組織でございます日本建築士会連合会等で研修なり講習なりを行って、その資質の向上を図っておるのが実情でございます。
  327. 田畑政一郎

    ○田畑分科員 これは私思いまするに、これだけたくさんの資格者を出しておるわけでございますから、建設省においても、単に資格者をたくさん養成するというだけではなくて、もう少しその資質の向上というようなものについて、これは多分に業界任せで、指導はされておるんだと思いますが、私の聞き及ぶ範囲内においては、その講習会だってどうでも出なければならぬわけじゃないのであって、必ずしも出なくても十分やっていけるわけでございますから、もうちょっときちんとした体制をこの際つくっていただきたい。一遍の試験だけでそれでいいというわけにはいかないわけでございまして、そういう点の義務づけといったようなものについても今後御検討をいただきたいと思いますし、そういった問題について御回答いただきたいと思うのであります。  さらにもう一つ問題を進めまして、昨年建築士法第二十五条によるところのいわゆる報酬基準の勧告というのがなされたわけでございます。これは、建築士法が昭和二十五年にできまして以来の当局としては最大の建築士法に関する行政上の措置ではなかったかと私は思うのであります。これの実施をされましたが、その後、報酬基準に基づいてうまくいっておるのかどうかというようなことを何かお調べになった経緯がございますれば、ここでお伺いいたしたいと思います。
  328. 関口洋

    ○関口政府委員 まず第一の点の、もっときちんとした講習をやるように検討せよというお考えに対しましては、実はこの建築士会なり建築士会連合会はいわゆる業界ではございませんで、言葉を返すようで申しわけありませんけれども、先ほど申し上げましたように建築士法に基づいて設立されておるいわば団体でございますので、それらの団体を通じて行っていきたい、かように考えております。なお、絶えず私どもも講習の状況等につきましては所要の見直しを行って、先生指摘のとおり、できるだけ多くの方に参加していただくということは十分配慮さしていただきたい、かように考えております。  それから第二点の、建築士法二十五条に基づきまして建設大臣が勧告をいたしましたいわゆる報酬基準の徹底状況でございますが、これにつきましては、まず告示の日の同じ日に都道府県知事なり関係団体あたりに公文書でその周知方、徹底を図ったことは先生御案内のとおりでございます。そこで恐らく問題は、建築士関係には浸透しておるけれども発注者の方についてどういうふうな浸透措置を図ってきたかというお尋ねだろうと解しまして、その点につきまして御答弁をさしていただきますと、私どもも、発注者側につきましてもこの趣旨の徹底を図っていくことが必要だという点は同じでございます。特にまず官公庁等の、これは中央官庁あるいは地方公共団体含めてでございますけれども、そういうところで担当しておられる方についてこの趣旨の徹底を図ることがまず肝要である、かように考えまして、説明会等を開催いたしまして、告示の趣旨につきまして十分な理解を得られるように現在も努力中でございますが、なおできるだけ市町村にも十分御理解をいただくように今後とも努めてまいりたい、このように考えております。
  329. 田畑政一郎

    ○田畑分科員 次に質問しようと思いましたことについても懇切な御答弁がございました。私、特に申し上げたいことは、なかなか一般の施主の方との間においてはなじみができにくい問題でございますので、施行後一年やそこらではなかなかむずかしいと思います。しかし少なくとも、これをつくられたのは建設大臣でございますから、政府機関あるいは地方自治体の機関、これは少なくともこの内容を知って、この基準を尊重するという姿勢があらわれてこなければいけないのじゃないかと思います。私調べましたのは決して全国的に調べたわけじゃございませんが、どうも聞き及ぶ範囲におきましては、余り市町村長あたりではそういうことを知らない、あるいはまた中央諸官庁においても、どの程度これを理解されて工事を行っておるかということについてはどうも明確でないという点がございまして、たとえば中央官庁でゼネコンと申しまして、御案内のとおり設計、それから監理、それから工事請負ですね、これを全部一括してやる業者があるわけでございますが、そうした場合には、設計料がその中にどれだけ含まれているかということについては往々にして明確にならずに、総金額だけで請負させられる。それでは、設計料に基準を設けましても一体どの辺まで基準が履行されておるかということがわからないわけなんですよ。少なくとも官庁くらいはその辺、いわゆる設計、監理についてはこれだけ、そして工事施工についてはこれだけというような区別を持った対応をせよということぐらいははっきりしておいていただかないと、せっかく大臣が勧告したってその実効が上がらぬわけですから、いかがでしょう、その点ぐらいは諸官庁に十分言っていただくということで、大臣いかがでございますか、ひとつやっていただきたいと思いますが。
  330. 関口洋

    ○関口政府委員 ただいまも御説明いたしましたように、私どもの省内におきましても、実は先生御案内のとおりに重要な官庁の建築工事を担当しておるセクションもございますので、それらの方々はもちろんでありますが、そのほかでも中央官庁でそういう担当をしておられる方について、先ほど御説明いたしましたようにその趣旨の徹底を手を携えて図っているような次第でございます。
  331. 田畑政一郎

    ○田畑分科員 では、これからもやっていただけますか。
  332. 関口洋

    ○関口政府委員 これからも十分留意してまいりたい、かように考えます。
  333. 渡辺栄一

    ○渡辺国務大臣 いま局長が申しましたけれども、私もこれは非常に大切なことであると考えておりまして、特にいまお話しのような面について徹底さすということも大事でありますが、一面、やはりお話しのように事業量に対して建築士がふえてきまして、一面では相当不当な過当競争もあるのではないかと思うのでございますが、それらの実態等も十分検討いたしまして、今後積極的に指導、また業界の地位が向上するように努力をさしたい、かように考えます。
  334. 田畑政一郎

    ○田畑分科員 さらに申し上げたいのでありますが、いわゆる建築士事務所でございますね、設計事務所、これは設計、監理を業としておるわけでございます。これに対しまして報酬基準ども明確になったわけでございますが、いわゆる建築士事務所につきましてはその開設要件というものを厳格にしてはどうか、こういう議論があることは御案内と思うのでございます。そのために、設計監理事務所法であるとかあるいは職能法的なものを検討してはどうかというような意見があるところでございます。私、よくわからないのでございまするが、外国の例などを調べてみますると、イギリスにおきましては、個人住宅建設する場合には年齢四十歳以上の者しか建設ができないという方針になっているということを聞いております。日本では、大学を出まして二十六歳くらいで一級建築士になりますので、二十六歳ぐらいでも建設できる。日本とイギリスは違います。だから個人住宅とまでは言いませんが、相当高額なものにつきましては一定の経験年数を持つようにしておいてはどうかと思うわけでございます。私の調べましたところによりますと、二年間の経験年数を持って事務所を開設しておる者が一〇〇に対して一八%に及んでおる。また、六年間しか経験年数を持たない者で事務所を開設しておる者は全体の二三%に及んでおる。というふうに考えますと、六年未満で約四割以上を占めておる、こういう状況でございまして、経験年数だけを云々するわけではございませんけれども、事務所を持っております以上においては、三千万円、四千万円は別といたしまして、何億以上というのはその資格なりスタッフというものについて一定の権威を持つべきではないか。そうでないと、先ほどお話がございましたように五十二万人もおるし、一級建築士にいたしましても十三万人もおるということになりますと、私は、やはりこれからの建築物の重要性、またそれに対する責任といったようなものを考えたときに、そこに一定の厳格な資格といいますか、あるいはそういったような内容的なものを定めていくということが方向性としてはいいんじゃないかというふうに思うわけでございますが、住宅局長、どうですか。
  335. 関口洋

    ○関口政府委員 先生のただいまの御指摘は、どうも法の条文ばかり挙げて申しわけございませんけれども、実は現行法におきましては、建築士法の中におきまして監理建築士という制度をつくりまして、必ず一級建築士なり二級建築士なりをそれぞれ配置するように決めておるわけでございますが、一級建築士なり二級建築士の資格要件として経験年数を加味せよという御意見のように承るわけでございますが、この点につきましてかねてそういう御意見がございましたことは私どもも十分承知をいたしております。別の問題と絡みましてそういう点を含めて検討しておるところでございまして、建築界全体のコンセンサスを得ることに当面私どもとしては努力をいたしまして、建築界のコンセンサスが得られるよう推移を見守って十分検討してまいりたい、このように考えております。
  336. 田畑政一郎

    ○田畑分科員 これはちょっと余談になるかもしれませんが、雇用促進事業団の指名におきましては一級建築士三名、二級建築士七名を持つ必要条件がございまして、そうでないと設計、監理をさせてはならぬということになっておるようでございます。そういったものはこういう状況の中におきましては徐々に検討をしていくべきじゃないかと私は思うのです。だから、これはどんどん試験でふやすばかりじゃなくて、もうちょっと内容を深めてもらうということを、大臣、ぜひお願いをしたいと思います。
  337. 渡辺栄一

    ○渡辺国務大臣 先生の御意見は私どもも十分拝聴いたしておりますが、指導監督をする立場にございます建設省といたしましても十分真剣に取り組まなければならぬ問題だと思いますので、今後積極的に取り組んでまいりたいと思います。
  338. 田畑政一郎

    ○田畑分科員 設計事務所の問題、建築士の問題はこれで終わります。  道路問題について一点だけお伺いいたしたいと思うのでございます。実は私の県に国道八号線がございまして、私ここに新聞の切り抜きを持ってまいったわけでございます。福井新聞によりますと、去る二月十五日に、非常に凍っておりまして、約九台の自動車が玉突き事故を起こしまして、そうして五千台くらいですか、とにかく車がとまったという記事が出ております。前の豪雪のときにもトンネル内で事故が起きまして、約二、三時間とまったことがあるのでございますが、いつも国道八号線の敦賀市寄りのところが、武生−敦賀間でいつもこの問題が起きるわけです。この事故の場合も、建設省が土盛り工事をやっておりまして、いわゆる融雪用の散水をその日の夜間だけたまたま怠ったときにその事故が起きたということが地元の福井新聞に掲載されておるところでございます。これから推定いたしまして、いよいよ本年度は米原まで北陸自動車道が開通になるわけでございますが、そういたしますと国道八号線の管理あるいは工事、そういったものは手抜きになってまいるのではないかという心配を地元といたしましては痛感をしておるということでございまして、今後、北陸自動車道ができましても、八号線の建設あるいは管理については積極的にやっていただきたいということを申し上げたいと思うのでございます。  これに関連いたしまして、実は敦賀市は国道二十七号と国道八号の交差点になりまして、そういう意味で大変ふくそうするわけであります。特に夏場は太平洋側からも東海地方からも海水浴に見えまして非常にふくそうするところでございますが、実はこの八号線は敦賀市内を貫通しております。ところが、敦賀市内の交通が非常にふくそうしておりまして、都市計画上は事業計画として拡幅が承認されておるのでございますが、建設省はこの国道改修、拡幅についてはどうも余り熱がないということを聞いておるわけでございます。また、この国道に対するバイパス用地などを市が協力しまして取得いたしましても、工事の時期が三年後だということからして建設省が購入をしないということで地元民に大変不興を買っておるということも聞いておるのでございますが、そういった問題について本分科会の席上、御答弁をいただきたいと思います。
  339. 山根孟

    山根政府委員 お答え申し上げます。  一般国道八号の道路管理の問題が第一点でございます。建設大臣の指定区間として直轄で管理をいたしておるわけでございますので、道路管理の問題については、私どもかねがね交通事故対策あるいは安全、さらには交通の円滑な確保、こういった点につきましては現地を指導し、またその十全が図られるように最大限の努力をしているわけでございますし、今後ともその努力を続けてまいりたい、かように考えております。  それから、具体的な改築と申しますか、道路整備の問題でございます。敦賀バイパスにつきましては、北陸自動車道から敦賀の市内、さらには二十七号の方に参ります車を結局敦賀バイパスで受けて、それを市内に入れないで分散をしていく、こういう機能を持つ大変重要なバイパスと考えておりまして、引き続き事業の推進を図ってまいりたいと考えております。また、その八号の現道におきましても、歩道設置等の交通安全対策事業、防災、震災対策及び路面の維持修繕等鋭意実施してまいりたいと考えております。また、五十三年度から実施をしております敦賀トンネルから敦賀市の大比田地区の二・四キロメートル区間、これは急勾配とカーブの連続区間でございまして、拡幅工事を行っておるわけでございますが、引き続き促進することといたしております。北陸自動車道が開設されることによって通過交通のかなりの部分はそちらの方で処理をされることを期待いたしておりますが、やはり地域に密着をいたします交通需要というものが地方線にかなり依存をすることとなるわけでございます。今後とも、御指摘の点も含めまして一層努力を続けてまいりたい、かように考えておるところでございます。
  340. 田畑政一郎

    ○田畑分科員 先ほど私申し上げましたが、敦賀駅前の方から道ノ口にかけての方面、いわゆる敦賀市内の道路幅を広げるという問題につきましては、ひとつぜひ御検討をいただくようにお願いいたしまして、私の質問を終わります。
  341. 藤田義光

    藤田主査 以上で田畑政一郎君の質疑は終了いたしました。  次に、西田八郎君。
  342. 西田八郎

    西田(八)分科員 まず私は国道関係について、昨年も一昨年もお尋ねしたわけでありますが、ことしも引き続きお尋ねをしたいと思います。  実は来年、昭和五十六年度に国民体育大会、いわゆる琵琶湖国体が開催されるわけでありますが、この滋賀県というところはどこからも陸路を通じてでないと入れないところでございまして、いま福井の八号線の話が出ておりましたが、岐阜からも三重からも京都からも大阪からも、すべて陸路を通じて入ってくるということで、大変現状では交通状況が悪化をいたしておりまして、国道一号線等でちょっとした事故が起こりますと三十分から四十分、下手をすると一時間半以上の停滞になる。こういうことで、建設省の方でも道路整備計画に基づいて逐次整備が進められていっておるわけでありますが、特にこの国道一号線につきましては、草津市内は複々線になっておって四車線になっておるわけでありますが、ちょうど草津を外れましたところから大津市の瀬田にかかるところ、この辺が非常に道路が狭隘で、そのために草津の三丁目のところから早くから京滋バイパスの計画がなされておるわけでありますけれども、一向にこれがはかばかしく進まないというようなことで、大変住民の皆さん並びにここを通行される方々に迷惑をかけておるわけであります。ようやく去年から草津側からの工事が着工されるようになったわけでありますけれども、この国道一号線の京滋バイパスがどのようになっておるのか、ひとつその進捗状況と今後の見通しについて道路局長からお答えをいただきたいと思います。
  343. 山根孟

    山根政府委員 お答え申し上げます。  国道一号のバイパスとしての京滋バイパスの問題でございます。大津市付近から京都市付近に至る区間一般国道一号の交通混雑解消を目的として計画された道路でございまして、国道の直轄事業及び日本道路公団の一般有料道路事業として事業実施している道路でございます。このうち、直轄事業区間につきましては、ただいまお話のございました滋賀県側の一部区間について用地買収及び工事を進めております。また、日本道路公団の事業区間につきましては、直轄区間とあわせて一部用地買収を進めるとともに、他の区間においては環境問題等について地元協議を進めておる状況にございます。公団施工区間のうち大津市区域につきましては、当バイパスの諸問題解決のため、京滋バイパス三者協議会が昭和五十二年十一月に設置をされまして、環境影響調査について審議を願っておるところでございます。建設省及び日本道路公団では、現在のルートが最適と考えておりまして、早期に環境影響調査実施するとともに、万全の環境対策を検討いたしまして事業進捗を図りたい、かように考えております。  特に現在直轄で重点的に整備を進めておりますのは、先ほども申し上げましたが、草津市内で延長二・二キロメートル、大津市内で瀬田インターチェンジ関連といたしまして二・五キロメートルを実施をいたしておるわけでございます。草津市内の二・二キロメートルにつきましては、地域の交通等の処理もございますので、早期供用を目途に用地買収及び工事を進めてまいっております。昭和五十四年度におきまして野路地先に奈良時代の製鉄所のかま跡が発掘されており、現在その保存方法について協議を進めておりまして、当初私ども五十七年度には供用できるのではないか、こう考えておりましたが、若干これよりはおくれるような状況でございます。それから大津市内の二・五キロメートルにつきましては、インター関連として事業を進めておるわけでございますが、地元方々の協力を得まして早期に供用を図りたい、かように考えておるところでございます。
  344. 西田八郎

    西田(八)分科員 いまいわゆる環境調査を一番精密にやらなければならぬところは石山地区だと思うのです、あの団地を走るところ。これは去年も最高の技術をもって交通公害を出さないようにということでお願いをしておきました。その後鋭意努力をしていただいていることだと思いますが、どの程度進んでおって、いつごろ、これは相手方のあることですからいつごろと言っても明確には答えられないだろうとは思いますけれども建設省としては一体いつごろまでにめどを立てるつもりなのか、その点ひとつお聞かせいただけませんか。
  345. 山根孟

    山根政府委員 お答え申し上げます。  先般も大津市長さん初め地元方々がいらっしゃいましていろいろお話も承ったわけでございますが、主として日本道路公団におきましていろいろな試験等も現在実施をいたしております。その結果を早急にまとめまして、また御提出できるような段階に早くこぎつけたいというぐあいに実は考えております。いついつということはちょっと申し上げかねるわけでございますが、最善の努力を払ってまいりたい、こう考えております。
  346. 西田八郎

    西田(八)分科員 要望は後でかためて大臣要望申し上げたいと思います。  次に、例の百六十一号線の長等トンネル、三井寺さんですね、いま土地収用委員会にかかっておりますから、建設省の方としてもあるいは口が開きにくいかもわかりませんが、これが一番この国体を開くとなれば問題になる地点でございまして、主競技場は、大津市皇子山を中心にしていまの市役所の前につくられましたメーン競技場で行われるという予定になっております。そうしますと、これは国道一号線と百六十一号線とに分かれたところから相当な数の車が入ってくるのではないか。したがって、これは百六十一号線、あそこにバイパスをおつくりいただくことになったわけでありますけれども、これだけもう期間が迫ってまいりますと地元人たちもやきもきしておられるわけで、その辺について、一体いつごろ、この収用委員会の問題もありますからなかなかむずかしい問題だと思いますが、いつごろというか、むしろ国体に間に合わせてもらえるかどうか、その辺のところをひとつお聞かせいただきたいのです。
  347. 山根孟

    山根政府委員 バイパスルートの中の長等山園城寺、三井寺さんの境内を通過する部分のことでございますが、お寺さんの方の同意が得られませんで先ほどお話しのような事情になっておるわけでございますが、実は昭和五十三年十月二十五日の事業認定を契機に、このお寺さんの区域を残しましてこの区間工事に着手をさせていただいた、こういうわけでございます。私どもといたしましては、お寺さんの区域の用地取得につきましては、先ほどの滋賀県収用委員会で収用裁決の申請を行いまして、現在審議を願っておるところでございます。また、お寺さん側の方はこの事業認定を不服といたしまして、大津地裁の方に認定無効の行政訴訟を起こしておられまして、現在裁判が係属中、こういう段階にあるわけでございます。収用委員会がこれまで大変精力的に九回の審議をなされ、また現地調査もすでに実施済みであります。一方、大津地裁におきましては、六回の口頭弁論と現場検証が行われたというぐあいに私ども承知をしておるわけでございます。工事の問題でございますが、お寺さんの約五百六十メートルを残して進めておるわけでございますが、どうしてもやはり未着工個所に着工しなければ間に合わないという時期が、工程上の期限が実はもう迫っているという状況にあるわけでございまして、五十六年秋の国体に間に合うためには、私どもとしては、収用委員会の早期裁決に期待せざるを得ないというのが私どもの心情でございます。
  348. 西田八郎

    西田(八)分科員 それで、ちょっと確認をしておきたいというか、お尋ねしておきたいのは、いろいろそういう問題があって、ここはずいぶんいろいろ御苦労をいただいたところである。滋賀県も大津市も本当に努力をされました。これはもう建設省も十分御承知のところだろうと思うのです。そこで、最短距離でやって何カ月あれば長等トンネルができるのか、その点はひとつ建設省の立場としてどれぐらいの期間の工期を見ておられるのか、聞かしてください。
  349. 山根孟

    山根政府委員 何年、何カ月と申しますと、大変微妙なところでございますので、国体に間に合わせるためにはここ一、二カ月のうちには解決しないと工程上間に合わないのではないか、そういうせっぱ詰まった状況の期間内にあるということで御理解をいただきたいと存じます。
  350. 西田八郎

    西田(八)分科員 わかりました。それはもうここでそれを言明せいということになると収用委員会に圧力をかけるというようなことにもなりますから、そこまでは私も問い詰めませんが、要するに国体に間に合うようにひとつ努力をしていただきたいと思います。  また、この百六十一号線というのはいろいろなところでいろいろな問題を起こしておるわけなんですけれども、私が自分自身でハンドルを持って走っておりまして一番困るのが勝野地区なんですね。通称高島バイパスと言われておりまして、十五・三キロにわたるところの勝野バイパス、いわゆる白髪神社からちょうど萩ノ浜に抜けるこの区間なんですけれども、ここは昔のいわゆる北国街道、旧陸軍が使っておりました饗庭野演習場に行く道なんですけれども、ここが本当に道幅が狭くて、十トン以上のトラックですとこれはもうとても離合できないような状況でございまして、しかも商店の軒並みが連なっておりますから交通安全上非常に問題のあるところで、幸いにしてもうすでに用地買収は終わっているところ、さらに今後の路線決定しなければならぬところと二つに分かれているようでありますけれども、そうした面について、これらの勝野地区のバイパスが大体いつごろになるのか、おおよそのめど、あるいは、現在用地買収にかかったりあるいは調査を進めておられるとするなら、その進捗状況等についてお聞かせいただけませんか。
  351. 山根孟

    山根政府委員 ただいまの高島バイパスにつきましては、今津町を起点としまして高島町に至ります十五・三キロメートルのバイパスでありますが、これまでに今津町側の三・二キロメートルを暫定二車線で供用済みでございます。引き続き未整備区間事業促進すべく、現在、新旭町地先の用地買収並びに高島町内の用地買収及び勝野地区工事実施をいたしております。今後とも地元関係方々の協力を得まして早期に整備を図るよう努めてまいりたいと考えておりますが、特に勝野地区の二キロメートル区間につきましては昭和五十七年度に供用できますように努力をいたしたい、かように考えております。
  352. 西田八郎

    西田(八)分科員 次に、国道三〇三ですけれども、いま水坂トンネルがどうなるかということで地元人たちは心配しておられるわけです。ちょうど福井県の方から入ってきた、小浜の方から入ってきて天増川に抜ける道のところからいま保坂というところを通っておるわけですけれども、この保坂を抜けずして角川の方に抜けるトンネルが掘られるという計画なんですけれども、それに対してどの程度計画が進んでおるのか、そしてこのトンネルがいつごろになったら着工することができるのか、そうした面についてひとつお話しいただける程度でお答えいただきたいと思います。
  353. 山根孟

    山根政府委員 一般国道三〇三号今津町工区の工事の問題でございます。これまで福井県境側から工事を進めまして、寒風トンネルを含む約五百七十メートルについてはすでに昨年の十二月に供用をいたしているところでございます。さらに、本工区の最重点個所であります、ただいまお話の水坂トンネルでございます。この延長、八百四十メートルあるわけでございますが、現在地質調査も大体完了いたしております。今後、調査、設計、用地買収、それから着工、こういう段取りになるわけでありますが、設計、用地買収等がまとまり次第、これはできるだけ早い時期に着手をいたしたい、かように考えております。
  354. 西田八郎

    西田(八)分科員 何年薄手というところまで具体的にはまだお答えいただけませんね。
  355. 山根孟

    山根政府委員 私どもとしては、調査、設計、用地買収がまとまり次第、五十五年度にも着工いたしたいというぐあいに考えております。
  356. 西田八郎

    西田(八)分科員 ここは夏季になると物すごく混雑するところでございます。そうして、非常に坂が急であると同時にカーブの多いところでありますので、交通事故も何回か起こっているところでございますから、ひとつ早急にお願いをいたしたいと存じます。  次に、昨年調査を進められるということになりました湖南−青山縦貫道路、これの調査がどの程度進んでおるのか。そうして、その調査の結果はまだ出ていないだろうと思いますが、その概況について御報告いただける範囲でひとつ聞かしていただけませんか。
  357. 山根孟

    山根政府委員 湖南青山道路につきましては、先生からもたびたびお話をいただいている道路でございますが、五十二年度から建設省としても調査実施をいたしておりまして、路線性格交通需要等につきまして検討しているところでございますが、今後、やはり広域的な道路網体系の一環としてどうこれを位置づけてまいるか、路線性格をどのように考えるか、自然環境、文化財等の関係調査路線計画、こういった調査がなお残され、かつこれに基づいて具体的な整備方針を検討してまいらなければならぬ、こういう作業が残されておるわけでございますが、さらに調査進捗を図りまして、その成果を踏まえ、関係地方公共団体方々とも十分調整しながら整備方針等について検討してまいりたい、かように考えております。
  358. 西田八郎

    西田(八)分科員 三重県から入ってくる道路としては、県の道路公社でやっておる有料の鈴鹿スカイラインというのがあります。ところが、道が非常に不便なところにあるものですから利用者はほとんどない。そうすると国道一号線だけでありますが、最近一号線も鈴鹿山のトンネルが新しくなり、かなり大量にさばけるようになってきておるわけですが、伊賀の方から入ってくる道というのは、甲賀の忍者と甲賀の忍者双方の部落があったところなんですが、細い道は何本かあるようですけれども主要幹線がないということで、名阪高速と名神高速を結びつけるのについては私は最も至近距離で結びつけられるのではないかというふうに考えるわけでありまして、いろいろ調査が進んでおるわけですからいまの段階でどうというお答えをいただくことはむずかしいかと思いますが、ぜひひとつこの線についても特別の配慮をもって調査を進めていただくよう、また建設が進むようにお願いをいたしておきたいと思います。大臣もひとつよろしくお願いをいたします。  続いて、この間、東名高速道路のトンネル内で大きな事故がありました。この事故を反省の材料として、高速道路の災害時における緊急避難等の処置がいろいろと講じられておることだと思うのですが、特に大都市の中で、東京の首都高速もそうでありますが、大阪等においても阪神高速道路等、かなり都心の過密なところに高架で重層しておる高架道路があるわけですね。ここで一たん事故が起こったときに一体どうなるのかということを考えます。これは羽田へ行くときもいつも思うのですけれども、もし何かあったときどうするのか。自動車同士の衝突による火災、あるいは地震、いろいろなことが想定されると思うのですが、そうした場合の避難の措置について何か適切な措置をお考えいただいておるのかどうか。私が走っている限りでは、避難場所もないようだし、避難個所もないように思うのですけれども、こういうようなものについて今後どういうふうに考えるのか、ひとつお聞かせをいただきたい。
  359. 山根孟

    山根政府委員 主として都市高速道路の高架区間の災害時の避難対策と申しますか、避難施設はどういう状況になっているのか、こういうことでございますが、やはりドライバーの方々、あるいは車に乗っておられる方々を安全に地上に誘導するという施設が必要でございまして、非常階段等の施設整備いたしておるところでございます。このために、たとえば阪神高速道路公団の例によりますと非常階段等の設置基準を持っております。高架部分は、当面、標準として一キロメートルに一カ所の割合で非常口を設置をする。ただ、出入路、管理用通路等は、これはそこから脱出をできるわけでございますから、これは一応非常口というぐあいにみなして間隔を設定をいたしております。首都高速道路の場合には一キロメートル当たり、こういったものも含めまして二・七カ所、阪神高速の場合には一キロメートル当たり一・五カ所設置をされております。ただ、先生おっしゃいますように、こういった広報、ここにあるのだよということがはっきりしておるかといいますと、確かにその辺のところが、私どもそういった措置に若干欠けるところがあるのではないかという感じもいたしますので、この辺は気をつけていきたいと思います。  それからもう一つ、非常時には、片側車線がとまったけれども片一方で救急車なりあるいは脱出ができるということも考えておかなければならないということから、中央分離帯に開口部を設けて、そこから——もちろんUターンをするという場合にはその反対車線に参るわけでございますから警察等の誘導がなければできないわけですが、そういうことを前提といたしまして、中央分離帯に開口部を設けまして、ここで車両をUターンをさせて最寄りのランプまで誘導するといったような対策も実は講じておるわけでございまして、この中央分離帯の開口部につきましては、ランプとランプの間に一個所を原則として、ランプ間の距離あるいは交通量等を勘案をして設置をいたすことといたしております。
  360. 西田八郎

    西田(八)分科員 これだけの基準でつくられておるというが、私ども走っておって一向にお目にかからぬ。やはり標示をしておく必要があるのではないかなというふうに思いますので、その辺は早急にひとつ処置をしていただきたいと思います。また、最近は公害防止の立場から、騒音防止であちこち騒音防壁がつくられております。したがって、実際に名神、東名を走っておりますと、一般の平たん地を走るところでもいざとなるとどうして逃げようかなということを合間に考えることがございます。そういうところにつきましても、いまのようにこれだけ多くの処置が必要でないにしても、何カ所かそういった緊急避難のできる場所を設置されるように要望をしておきます。  最後に、建設大臣地元であります岐阜県と私の地元滋賀県と、先ほど御質問になりました福井県との間を結ぶ三百六十五号線、これはなかなか工事が進まないし、非常に難所が多いように聞いておるわけなんです。これは夏季になりますと、北陸縦貫道ができれば幾らか緩和されるとは思いますけれども名古屋、岐阜の方へ向けて帰られる人が相当数に上りまして、延々八キロぐらい渋滞することがあるわけであります。この国道整備されれば私はこの点はずいぶん緩和されるのではないかと思いますので、ひとつ大臣就任中にぜひともこの三百六十五号線の整備について特段の御配慮を賜るように要望をしておきたいと思います。  同時に、現在第八次道路整備五カ年計画が進められておるわけでありますが、諸費節約の折からいろいろと制約もあるようでありますが、いまや道路は国民の生活に欠くことのできない状況にあるわけでありまして、大臣もひとつ各道路整備に最大の努力をお払いいただくようお願いをいたしたいと存じます。
  361. 渡辺栄一

    ○渡辺国務大臣 大変御理解のある御意見を拝聴いたしまして大変力強く思いますが、ただいま先生お話しの三百六十五号の改良につきましては、非常に重要な路線であるということで、要望もよく聞いておりますので、今後鋭意努力をさせたいと思います。  なお、ただいまお話がございましたが、滋賀県は非常に通過交通が多いわけでございますし、国体の関係もございます。いろいろ実態等については局長から説明をいたしましたけれども、いろいろな障害もございますが、ひとつ鋭意努力をいたしまして、極力道路網整備努力をさせたいと思います。  なお最後に、いまお話がございましたように、いろいろ言われます方がございますが、全体としては道路整備は非常におくれておりますし、非常に急を要しておると考えておりますので、私どもは鋭意努力をいたすつもりでございますが、それにはまた財源確保という問題もございまして、いろいろ御協力をちょうだいいたしまして責任を果たしてまいりたいと思いますので、今後ともよろしくお願い申し上げます。
  362. 西田八郎

    西田(八)分科員 それじゃよろしくお願いいたします。終わります。
  363. 藤田義光

    藤田主査 西田八郎君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして昭和五十五年度一般会計予算昭和五十五年度特別会計予算及び昭和五十五年度政府関係機関予算建設省所管についての質疑は終了いたしました。  渡辺建設大臣以下政府委員並びに説明員各位、長時間にわたりまことに御苦労でした。     —————————————
  364. 藤田義光

    藤田主査 次に、昭和五十五年一般会計予算昭和五十五年度特別会計予算及び昭和五十五年度政府関係機関予算運輸省所管について説明を聴取いたします。地崎運輸大臣
  365. 地崎宇三郎

    ○地崎国務大臣 昭和五十五年度の運輸省関係予算について御説明申し上げます。  まず一般会計について申し上げますと、歳入予算総額は二十億八千九百五十二万一千円であり、歳出予算総額は、他省所管計上分一千百八十六億九千九百十八万円を含め一兆四千八百二十一億六千三十五万円でありまして、これを前年度予算額に比較いたしますと、比率で三・〇パーセントの増加になっております。  次に、特別会計について申し上げます。  自動車損害賠償責任再保険特別会計につきましては、歳入歳出予算額一兆四千九百十四億二千三百万円余、港湾整備特別会計につきましては、歳入歳出予算額三千百六十九億九千二百万円余、自動車検査登録特別会計につきましては、歳入歳出予算額三百三十億四千万円余、空港整備特別会計につきましては、歳入歳出予算額二千百九十一億三千二百万円余をそれぞれ計上いたしております。  また、昭和五十五年度財政投融資計画中には、当省関係の公社、公団等分として一兆六千四百三十三億円が予定されております。  運輸省といたしましては、以上の予算によりまして、まず第一に、日本国有鉄道の再建を推進することといたしております。  国鉄の再建につきましては、国及び国鉄が当面緊急に実施すべき対策について昭和五十四年十二月二十九日に「日本国有鉄道の再建について」の閣議了解を行い、地方交通線対策を含め、経営の全般にわたって重点化を進めることとし、業務運営全般の効率化、機構組織の簡素化等を徹底することにより、昭和六十年度において職員三十五万人体制の実現を図るほか、物価動向等にも配慮しながら適時適切に運賃等の改定を行い、あわせて国鉄経営上の負担を軽減するため、いわゆる構造的問題等を中心に行財政上の措置を講ずることといたしております。  このため、昭和五十五年度において、総額六千八百六億円の助成を行うことといたしております。  第二に、交通基盤施設等の整備促進し、国民生活の安定向上を図るため、港湾、海岸及び空港の整備につきまして、それぞれの事業の重点的な推進を図ることといたしております。  また、東北、上越新幹線を初めとする鉄道の整備を推進するとともに、整備新幹線につきましては、引き続き建設のための所要の調査を行うほか、建設の前提となる財源措置等についての検討を進め、公的助成及び財源措置等が具体化した場合には、所要の手続を経て、工事に着手できるよう措置しているところであります。  第三に、海運、造船対策といたしまして、日本海運の国際競争力の回復を図り、あわせて造船業の需要を確保するため、引き続き、外航船舶のうち高度合理化船及びLNG船の建造融資について利子補給を行うとともに、造船業の過剰施設の処理を円滑に推進するための助成を行うことといたしております。  また、船員雇用対策も積極的に推進してゆくことといたしております。  第四に、新海洋秩序に対応し、領海警備、漁業水域監視取り締まり等の海上保安体制の充実を図るための巡視船艇及び航空機の整備を引き続き推進することといたしております。  第五に、経営改善に努力している地方バス、中小民鉄、離島航路等に対し、地方公共団体と協力して助成を行い、国民の日常生活に不可欠な公共交通サービスの維持、確保に努めてまいります。  第六に、安全防災及び環境保全対策といたしましては、空港周辺対策、地震火山対策、交通安全対策、交通被害者救済対策等の充実強化を図ることといたしております。  なお、運輸省関係予算の部門別の重点施策の概要につきましては、お手元に配付してあります「昭和五十五年度運輸省予算説明」及び「昭和五十五年度日本国有鉄道予算説明」によりまして御承知願いたいと存じます。  以上をもちまして昭和五十五年度の運輸省関係予算についての説明を終わりますが、何とぞ十分御審議の上、速やかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。
  366. 藤田義光

    藤田主査 以上で運輸大臣説明は終わりました。     —————————————
  367. 藤田義光

    藤田主査 次に、質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山田芳治君。
  368. 山田芳治

    山田(芳)分科員 予算関連をいたすわけでありますが、現在都市におけるバス事業、とりわけ公営交通が大変な赤字という状態になっておることはもう大臣も御承知のとおりだと思います。マイカーが大変増加をいたしまして大量輸送機関であるバスが非常に深刻な状態になっている。マイカーと言われる自動車による通勤の乗車効率を申しますとまず一・四人、こう言われているわけですから、ほとんどが一人で乗って自動車で通うという状況であります。省エネ時代の非常なロスであると思います。そういう意味で、都市におけるバス事業という大量輸送機関をもっと優先をして行政的に対応していくべき時期であるということについてはだれも異論がありません。  そこで、運輸省としては来年度予算において基幹バスの構想というものを考えられたわけであります。この点については、行政路線という問題についていろいろとわれわれ討議をし、要求をしておったわけでありますが、その問題が行き詰まってきている中で基幹バスの構想というのが先般来運輸省から発表されたわけであります。都市で働く公営交通の職員等もこの基幹バスの構想については一定の評価をしているわけであります。予算要求としては二十三億程度を来年度予算で要求されたというわけでありますが、大蔵省と交渉の結果は三百万の調査費程度、こういうことになったわけであります。せっかくでありますからこの基幹バスの構想をぜひ実現をしてもらいたいということを含めて、三百万というきわめてわずかな額の調査費でありますけれども、どういう調査をしていくのかということを第二点としてお伺いします。  第三点は、来々年度予算、五十六年度においてはぜひひとつ実現をしてもらいたいという強い要請を含めて、この三点についてまずお答えをいただきたい、こういうふうに思います。
  369. 飯島篤

    ○飯島政府委員 お答えいたします。  いま先生がおっしゃいましたように、都市バスにつきましてはモータリゼーションの進展、都市の過密化の進行によりまして交通の渋滞が進みまして、バスの定時性が失われ、走行速度も低下するというようなことでバス輸送サービスが非常に低下いたしまして、その結果信頼性が失われてきておるというような状況でございます。したがいまして、大量公共輸送機関でございますバスに対します信頼性を回復いたしまして、バスをより利用しやすい快適な交通機関とするために、輸送サービスの改善とか道路交通環境の整備を図っていく必要があると考えられます。また、いまお話にありましたように、省エネルギーを初めといたしまして環境保全、都市空間の有効利用というような見地からも、大量公共輸送機関中心の都市交通体系を形成していく必要があるというふうに考えております。そのために、運輸省といたしましては、従来からバス乗り継ぎターミナル等に対する助成あるいはバス専用レーンの拡大等々の各種の都市バス対策を推進してきているところでございます。  いまお話がありました都市基幹バスの問題でございますが、これは都市の骨格を形成するような幹線的なパス路線整備充実の問題でございます。本件につきましては、今後の非常に大きな検討課題と考えております。いままで議論いたしました結果では、なおいろいろ詰める問題点があるように考えたわけでございます。したがいまして、五十五年度の予算案におきましては、都市パス運行効率の改善に関する調査といたしまして、都市バスのいまの件で三百九万円の調査費をもちまして、政令指定都市に委託いたしまして、利用者のバス輸送サービスに対するニーズの把握、それからバス輸送サービス改善による輸送需要の変化、経営に与えます影響等の分析、そして必要な都市バス輸送サービスのあり方等について検討を行うことといたしております。  都市基幹バスについて今後どのような方策が必要であるかということにつきましては、その調査結果等を踏まえて検討してまいりたいと考えております。
  370. 山田芳治

    山田(芳)分科員 考え方については、私どもというか都市交通に働く労働者の諸君も、一つの構想である、行政路線の構想というものが行き詰まった段階で新しい構想として登場してきたということについては評価をするということで積極的に協力をしたい、こういう考え方です。  ですから、いまわれわれが政府当局、運輸省当局にお願いをいたしたいのは、いま言ったような調査費がせっかくついたわけでありますから、いまお話があった専用レーンとか環境整備、これは後で質問いたしますけれども、そういう点について、バスを重点的に走らせるという中で、バスの事業というものが再認識をされて、大量輸送機関としての役割りを果たしていける、こういうことであろうと思うので、そういう点では指定都市の関係者及びそこで働く労働組合の諸君の意見も十分聞いた上で的確な調査をしていただくとともに、ことし二十三億でしたか、要求をされましたね。ですから、五十五年度で実現をする予定であったわけでありましょうけれども、詰める点があるというお話であります。どういう点で詰める点があるのか知りませんけれども、それは調査によっていろいろ問題点を整理しようということだろうと思いますが、五十六年度の予算においてはぜひ実現するように、いま省エネルギー時代、こういう点から言ってもやはり必要なことであるというふうに考えますので、五十六年予算についていまから言うのは早いかもしれませんが、関係者には、五十六年度には、平たい言葉で言えばぜひ物にしてほしい、こういう強い要求があります。そういう点について見通し及びその決意をひとつお伺いしたい。
  371. 飯島篤

    ○飯島政府委員 いま申し上げたように、何分調査をいたしました結果を見ませんと、どういう方策が必要であり有効であるかということについてまだ確信が持てませんので、この段階では何とも申し上げようがないわけでございます。いまのお話を十分念頭に置きまして今後検討してまいりたいと思います。
  372. 山田芳治

    山田(芳)分科員 それでは労働組合の諸君の意見も聞き、指定都市の関係者の意見を聞く、そして調査を進めてよい構想にしていただくという点については異議がございませんね。
  373. 飯島篤

    ○飯島政府委員 できるだけ広く関係者の意見を聞いてやってまいりたいと思います。
  374. 山田芳治

    山田(芳)分科員 次に、いまも局長が触れられましたように、都市における交通環境の整備、これはきわめて大事なわけであります。そこで、われわれとしても別途提案をするかどうかということをいま検討中でありますが、都市における交通環境整備に関する法律というものをぜひひとつ提案をしてまいりたい、こういうことでいまわれわれ内部で検討しておるのですけれども、むしろこれは政党が提案するということではなしに、政府でひとつ考えてもらいたい、こういうことなのであります。  どういうことかと申しますと、先ほどもお話がありましたように、いまのモータリゼーションの中における大量輸送機関としてのバスというものがむしろマイカーに非常に遠慮をしておるのは逆なのであって、大量輸送機関を優先させるべきであるということが当然なのでありますが、そのためには、いろいろな点において環境整備の必要がある、こういうふうに思うわけであります。  まず第一に考えられることは、先ほども局長が触れられた専用レーン、これは逐次整備をされて千五百ぐらいあると言われておりますが、これははっきり申し上げて幹線だけでありますし、二車線のところはどうしてもできない、四車線以上でなければいかぬ、こういうことになるわけでありますが、そういう点を整備していかなければいかぬだろう、こういうふうに思うわけであります。とりわけ、将来中小都市においても四車線程度あれば優先レーンあるいは専用レーンというものを義務化していくというようなことも必要ではないかというのが第一点。  それから第二点は、マイカーについては、公害の排出基準において総量規制というものをやっておるように、自動車においてももうここまでくれば——先ほど私が触れましたように、乗用車の通勤時における乗車効率は一・四人だと言われています。最近はもっと低いかもしれません。どういう調査になっているのか、私どもの聞き及ぶところでは一・四人でありますから、大体一台に一人運転しながら通っている。実に効率が悪い。だからそういう点で、もうすでに個々の自動車をどうするという問題ではなくて、都市に入る、先ほども話がありました空間の利用ということでありますから、総量規制を考えるべき時期ではないかというのが第二点。  第三点は、現在でも軽油引取税の営業用の部分が免除されるという形の中で地方公共団体に振興交付金が交付されておるわけでありますが、これによっていろいろな停車場の整備とかあるいは駅前ターミナルの整備その他も行われる形になりますけれども、そういうものをきちっと法律の中に書いていくということが必要ではないか、こういうふうに思うわけであります。あるいはまた、バスが行けば自動的に信号が青になるという装置も外国の都市では行われているわけでありますが、優先レーン、専用レーンと同様に、バスが進行するときは赤の信号が青になるというような施設、あるいはまたパスの案内板なんかも、どこへ行こうと思ったらボタン一つ押せばこういう経路で行きますというように、乗客にも非常に便利なそういうものの設置というものを考える等々、いろいろ考えればあると思います。あるいはもう都市においても行われておりますけれども、共通乗車券、乗り継ぎ券というようなものを積極的に指導するとか、あるいは歩道の整備、駐車停車場の規制を計画的に行う、あるいはまた後でも若干触れたいと思いますが、自転車の問題が延長にあるわけですね。いまも駅前における自転車なんというものは放置をされておる。これがパスの運行やその他に大変影響が及んでいる、こういう点を一体どうするのかというものを含めて、いわゆる都市の交通に対する環境整備に関する法律というようなものを提案すべき時期ではないか、このように考えるわけであります。これもいま言いましたように、大量輸送機関を優先して、省エネルギー時代に対応する措置として政府が当然考えて、成案を得て国会に提案をして、法律化をして、それを基準にして逐次各都市における環境の整備について運輸省当局としては指導をし、そして整備をしていく、こういうことが必要ではないか。確かに先ほどの基幹バス、まことに結構でありますけれども、こういうような環境整備が一面から役割りを果たしていくということでなければ機能が十分発揮できない、こういうふうに考えるわけでありますが、いま私が申し上げた点について運輸省当局のお考えをお伺いいたしたい、こういうふうに思います。
  375. 永井浩

    ○永井(浩)政府委員 お答え申し上げます。  先生が御指摘のように、特に省エネルギーの観点あるいは公害問題、都市の空間の有効利用といった点から申しますと、バスを初めとするいわゆる大量公共交通機関を優先的に利用するようにということで私どもも行政の指針としているわけでございます。従来から関係省庁といろいろ協力いたしまして、御指摘のような優先レーン、専用レーン、あるいはそういった公共交通機関に乗りやすいようにということでサービスの質の向上、量的向上を図ってまいったわけでございます。そういうことで、現行制度の中であるいは予算措置を講じまして従来もやっておりましたし、今後とも続けていきたい、私どもとしてはこのように考えておるわけでございます。  それから、マイカーの総量規制の問題でございますけれども、この点につきましても、特に大都市の通勤、通学につきましては、大量交通機関を整備することによってこれに誘導するという方向でございます。ただ、マイカー自体も、省エネルギーの観点からいいますとエネルギーを非常に食う交通機関でございますけれども、それはそれなりに非常に便利な交通機関でございますので、直ちにこれを規制するということも必ずしもコンセンサスを得られないのじゃないかということで、そういった通勤、通学等に大量交通機関を利用しやすいようにそちらへ誘導するという方策を当面とっていきたい、私どもとしてはこのように考えております。
  376. 山田芳治

    山田(芳)分科員 環境整備に関する法律というようなものを制定をして、そして先ほど私が後の方で触れた問題等について強力な行政指導を行っていくという点についてはどうですか。
  377. 永井浩

    ○永井(浩)政府委員 先ほど申し上げましたように、現在の諸制度においてあるいは予算措置においてかなりの実効は期せられておりますし、今後その内容を充実していきたいと思っておりますので、当面その新しい立法措置は必要ではないのじゃないか、このように考えておるわけでございます。
  378. 山田芳治

    山田(芳)分科員 まだちょっと認識が違うと思うのですがね。いま都市における交通の経営状態が大変深刻であるというのは、先ほどお話があったような大変なモータリゼーションがあるわけで、これを大量輸送機関に誘導していかなければいけないのですから、誘導するためには先ほど話のあった基幹バスというのも一つの試みです。だけれども、それをやるためには都市における大量輸送機関がある程度優先的にあるいはまた便利に走らせられるような環境をつくっていかなければ、いろいろな構想を考えてみてもうまくいかない。だから、そういう環境整備ということの方が先であって、そのために必要な立法措者を検討するべきではないか。直ちに出しなさいと言えば、まだそこまではと、こうおっしゃるだろうけれども、検討するということは必要だと思うのですね。そういう点はどうですか。
  379. 永井浩

    ○永井(浩)政府委員 再度申し上げるので恐縮でございますけれども、たとえば優先レーン、専用レーンあるいはバスの優先信号といったものは現行制度でもできるわけでございます。そのほかいろいろな、御指摘の運賃制度の問題等につきましてもいろいろ検討を進めておるわけでございますので、私どもとしては当面現行制度の充実ということでやっていきたい、このように考えております。ただ、立法措置ということも一つの方策ではあろうかと思いますので、私どもも勉強してまいりたい、このように考えております。
  380. 山田芳治

    山田(芳)分科員 検討するということで、われわれの方もまたいろいろと討議をし、また話し合いをしたいと思いますので、ひとつよろしくお願いをしたいと思います。  もう一点、先ほどちょっと申しました自転車ですね。最近、駅のターミナルその他に大変な自転車が無秩序に放置をされているということがあります。たとえば朝乗っていったら、だれかがまたかわりにそれに乗って帰って、翌朝行ったらあったとか、そういうような状態でありますが、自転車に対する考え方というのはいまどうなっているか、ちょっと運輸省考え方をお伺いいたしたい。
  381. 山地進

    ○山地政府委員 自転車の問題につきまして先生指摘のとおり、われわれの生活の周辺におきましても、いつの間にああいうふうなことになったのかと思うほど非常なる問題を提起しておるわけでございますが、これも先生承知のとおり、昭和五十三年の一月に交通対策本部の決定というのがございまして、この中に実施要領というのがあります。これは駅前が非常に多いものでございますから、駅前の自転車置き場につきましては、鉄道事業者は、道路管理者が公共自転車駐車場を設置する場合においてその用地の提供を申し入れたときは、自分の事業の用地だから自分の事業の用地とどっちにするかという問題が必ず起こるわけでございますけれども、そういうときにでも、そういったものについてできるだけ調整をして用地の生み出しといいますか、用地の提供を図るというようなことが決まっておるわけでございます。そういう決定に基づきまして、運輸省といたしましても国鉄並びに私鉄に対しましてこの趣旨を徹底いたしまして、用地提供にできるだけ協力するようにということを指導しておるところでございます。  なお、私鉄につきましては、昨年の運賃の値上げの際、こういう運賃の値上げということの社会的な責任の一環として、自転車置き場の用地についてよく考えるようにということを、重ねて私鉄の方に申しておるわけでございます。
  382. 山田芳治

    山田(芳)分科員 考え方はいいと思うのですが、全体的に見ますとなかなか簡単に用地が提供できるような状況でないというところがたくさんあるわけです。だから、個別的にまた都市交通の諸君とも一緒になっていろいろと折衝をし話し合いをしますので、それはひとつ十分討議をしていただきたいということを申し上げて、バス問題についての私の質問を終わります。  国鉄の高木総裁が来ておられますので、お伺いをしたいと思います。  その前に、また再任をされまして大変御苦労さまでございます。大変むずかしい時期に再び重任につかれることに敬意を表しながら、また御奮闘を心からお願いしたい、こういうふうに考えるわけでございます。  さて、敬意を表したついでにお願いを申し上げたいと思うのであります。実は私は選挙区が京都府なんでありますが、片町線というのがございまして、実は長尾という、大阪と京都の境の大阪側の駅までは複線電化がされたんだけれども、実際、隣の京都府の田辺の駅までどうしても複線電化をしてほしいというのが地元の要求で、後でもう一つお話を申し上げる点もそうでありますが、今度副総裁になられた馬渡さんが大阪鉄道管理局長のときにも、もう十年ぐらい前からお願いをして、せめて一駅ぐらいだけ延ばして田辺の駅まで複線電化をしてほしい。その理由は、この京都側においてはいま大きな団地がどんどん造成されて、きょうに何戸、あすに何戸とどんどん建っている、こういう状態であります。行政区が大阪だから長尾の駅までというのじゃなしに、もう一駅だけ延ばしてもらいたいということが地元の強い要求であるわけであります。長尾まで来るのでありますから、ついでにもう一駅延ばせば、そこに住んでいる通勤者の皆さん、ほとんど全部大阪へ通うわけでありますが、この点について何とかひとつ考えてほしい、こういうことであります。それが一遍にできないなら、せめて朝夕に長尾と田辺の間において臨時停車の駅を設けてほしい、こういう強い要請があります。この臨時停車駅ぐらいならそれほど金はかからないのですから、これは地元の町長も住民も労働組合も一致してお願いをしておる、こういう点があるので、これについてこの際何とか実現ができるように——これは総裁、ひとつやってやれと一言言えばできることであります。これをひとつお願いしたいというのが一点。  それから第二番目は、私の選挙区なんでありますけれども、東海道線の大阪と京都の間に神足という駅がございます。これは実は長岡京市という市の一駅でありますが、その駅の周辺には三菱電機の二千人の従業員あるいは松下電器の千人を超える従業員、その他多くの会社が立地をしております。そこで、労働組合の諸君も、また人口急増の地域でありますから団地の皆さんも、ぜひひとつ神足駅の裏口と言われる東口を開設してほしいということで、これも大阪鉄道管理局、今度副総裁になられた馬渡さんにお願いをしておったのでありますが、朝六時から十時まで、午後三時三十分から九時までというふうに臨時的に朝夕開設をするということで、その担当する職員もやりくりをしてやっている、こういう状態なんです。  ところが、たとえば隣の山崎の駅などよりも乗降客がはるかに多いのに、こういうふうに朝夕だけやって、昼間において五時間三十分ばかり閉鎖をするということでは大変不便だ。しかも表口に行くには大変迂回をしなければならない。買い物に行く主婦の人も、そこを開いてくれれば、百円の入場券を買ってそこを通ってとにかく買い物に行きたいんだ、こういう要求もあるわけです。実は私も駅長さんに、それだけ開くのならどのくらい人手がかかるのですかと言うたら、まあ一・五人か二人でございます。何も夜の夜中までずっとやる必要はないと思うのです。ですから、昼間の五時間半だけ何とか——それだけの従業員があるわけで、朝夕だけでは困るのであります。なぜ困るかというと、三交代制をとっている工場がたくさんありますから、何も朝夕だけが通勤時間ではありません。そういう点を含めて、私ども京都の方では、たとえば北部においては貨物駅などを廃止してひとつ御協力をいただきたいというように管理局長あたりも来られます。そういう点についてはわかります。しかしこうやって人口が非常にふえ、乗降客の多いところには、こっちの言うこともひとつ聞いてもらって、お互いに愛される国鉄にならないと、国鉄の再建もうまくいかないのじゃないかというふうに思うので、非常に親切なお答えをぜひお願いをいたして、私の質問といたします。
  383. 高木文雄

    ○高木説明員 京都ないし大阪周辺には、実はいろいろ問題があるわけでございます。それで、先般来、関係方々からいろいろと数多い御要請といいますか御希望の展開をいただいておるわけでございますが、何はともあれ、一番の問題はということで、昨年から山陰本線の複線化、電化の問題をまず集中的に取り上げましょう。これは実は当方からいたしますと、相当巨額のお金もかかりますし、相当の負担になるのですけれども、これは何としてもやらなければいかぬということで、やっと山陰線の複線電化に取りかかったわけでございます。  そのほか、京都を中心にして考えますと、いま言われました片町線の東部への延長の問題、あるいは奈良線の問題といったようなことが緊急の課題になっておるというふうに聞いております。これらにつきましては、実はいろいろ事情がありまして、どういうふうにしたらいいか、いろいろな考え方があるわけでございます。それを頭に置きながら、いずれ、具体的にどう進めたらいいかを詰めてまいりたいというふうに考えております。  それから、いまの神足の問題も、私どもの耳に十分入っておる問題なんでございます。場所によってはお客さんがだんだん減る、場所によっては今度お客さんがだんだんふえる。ところが、どうも当方のもろもろの仕事の弾力性が十分でないために、いまお触れになりましたように、いずれかというと、最近の事情では、お客さんの多い地区の方が不便になっておるというようなことがあります。これは情けない話ですが、全国的にどうもそういう現象があっちこっちにないわけではないわけであります。  率直に申しますと、私どもは、何とかスクラップ・アンド・ビルドといいますか、全体としてうまく調整していきたいと思うわけでございますけれども、人手を食う方の話については各地域とも大変御熱心でございますししますが、多少簡素化をいたしたいというときには皆さん反対ということになるものですからなかなかふえる一方になってしまうのですが、私どもとしても、こういう赤字の状態からいってそうもいかないということで、利用者の方々からごらんになりますと大変歯がゆい感じをお持ちだと思いますが、しかし基本的には、本来大都市周辺の通勤サービスというものは改善向上すべきものでございますから、いまお示しのような点について手直しをしていかなければならぬと考えております。  ただ、長い間そういう御指摘を受けながら今日までうまく解決がついておりませんのは、細々とは申し上げませんが、それなりにいろいろな事情があるわけでございまして、私どもも御指摘の点を頭に置いて指導してまいりたいと思いますので、よろしく御理解をいただきたいと思います。
  384. 山田芳治

    山田(芳)分科員 一言だけ。  総裁、事情もあるだろうということもよくわかるのですが、また近く関係者がお伺いをしますから、そのときに十分協議をして、もう時間もありませんので、そういう点はぜひ頭に置いておいていただいて、この程度のお願いの筋はきわめてささやかなことでございますので、そういう点をぜひひとつ入れていただく、前向きで処理をするということをひとつお考えおいていただいて、またお話し申し上げたい、こういうふうに思いますので、よろしくお願いをいたします。私の質問を終わります。
  385. 藤田義光

    藤田主査 以上で山田芳治君の質疑は終了いたしました。  次に、長田武士君の質疑に入るのでありますが、同君の質疑に際し、参考人として日本住宅公団理事救仁郷斉君が御出席になっております。なお、御意見は質疑をもって聴取することといたします。長田武士君。
  386. 長田武士

    長田分科員 私は、都市交通体系の問題と、首都圏における都市計画道路網並びに国鉄駅改築の問題についてお尋ねをいたします。  去る昭和四十七年三月一日、当時の丹羽運輸大臣は都市交通審議会より、昭和六十年を目標とする基本計画、すなわち東京圏高速鉄道網整備計画の答申第十五号を受け、その後、関係者の尽力によりまして実現の方向を目指しておることは私もよく理解いたしております。  そこで、お聞きしたいのでありますけれども、以上のような経過を踏まえて、すでに八年を過ぎておる現在、八号線と十二号線についての進捗状況はどのようになっておるのか、御説明をいただきたいと思います。
  387. 山地進

    ○山地政府委員 いま先生の御指摘の都市交通審議会の答申十五号、これ全体につきましては約五百キロぐらいのものを六十年までに建設するということでございますが、現在、二百六十キロばかりを開業ないしは工事をしているわけでございます。八号線につきましては、現在、湾岸の方に行く工事——先生の方は西武の方でございますね、大変失礼いたしました。八号線につきましては、向原から先の方に延びる予定でございますが、西武の方の八号線との乗り入れを現在計画中でございまして、これによりまして西武の混雑緩和ということに寄与する方向で現在建設が進んでいるわけでございます。十二号線につきましては、グラント・ハイツの問題とか、あるいは都の財政問題というものも絡みまして、その計画については、現在都の方から申請はしてございますが、その処分について運輸省の方で保留しているというのが現状でございます。
  388. 長田武士

    長田分科員 それでは、具体的な問題について順次お尋ねをいたします。  西武池袋線の混雑状況は年々どのようになっておるか、お尋ねをいたします。
  389. 山地進

    ○山地政府委員 西武池袋線につきましては非常に乗客が多うございまして、現在一日で八十万人を輸送しておるために非常に込んでおります。最混雑区間の椎名町と池袋間では、準急の十両それから普通の八両編成を二分ヘッドで運転している状況でございますが、それにもかかわりませず混雑率は二三二になりまして、東武あるいは京王電車あたりが二〇〇%前後でございますのに比較して非常に混雑率が高いというのが現状でございます。
  390. 長田武士

    長田分科員 ただいま御答弁がありましたように、ラッシュ時における平均混雑率が二三〇%を超えるということは、混雑度においては私鉄日本一だろうと私は考えます。私もしばしばこうした事情にめぐり会っておるわけでありますが、現実には混雑率が三〇〇%に近いという車両もあるのではないかと私は考えるのです。こうした状況はもはや輸送力の限界でありますし、きわめて危険な状態にあると言わざるを得ません。  そこで、西武鉄道では、十三号線が開通する五十七年の秋を目指し、高架化と切り離して暫定的に向原−桜台間を開通させ、桜台から池袋まで直通運転ができるよう工事に着手すると聞いておりますが、その概況と、その完成によってどの程度混雑が緩和されるか、この点についてお尋ねをいたします。
  391. 山地進

    ○山地政府委員 西武八号線、練馬と向原間の二・六キロでございますが、これにつきましては、四十五年に免許がおり、それから四十六年には工事の施工の認可を受けてあるわけでございます。練馬−向原間というのは、地下ルートになっている桜台と向原間につきましては桜台駅付近に仮の駅をつくりまして、八号線の開通時の五十七年十月には、仮駅から新線を利用して地下鉄八号線方面へ旅客を流していきたい、こういうようなことを考えているわけで、この暫定的な処置によりまして、いま申し上げました二三二という混雑率は二〇〇を切りまして一八〇ぐらいには下がっていくのじゃないだろうかというふうな予測をしております。
  392. 長田武士

    長田分科員 二〇〇台を割るという御答弁でございますけれども、それまでには利用者も当然ふえるわけであります。そうなりますと、私は、混雑率においては現在とほとんど変わりはないのじゃないか、こう考えております。  そこで、運輸大臣お尋ねしたいのでありますけれども、どうしても緊急に高架複々線への工事が具体化されなければならないと私は考えるのです。この点については運輸大臣いかがです。
  393. 山地進

    ○山地政府委員 いまの高架化は、桜台から石神井間の高架線の複々線の問題だろうと思います。これについては、昨年の当委員会においても先生から御指摘がございました点でございますが、このところを高架にして複々線にして輸送力を増強するというのが、いま申し上げました暫定輸送の前提でございます。暫定輸送というのはあくまで暫定でございまして、こういったところを強化して、八号線との相互直通運転により交通の利便を増進したいということでございますが、この現状が、やはりいろいろと地元方々との意見の調整というのに現在手間取っておりまして、日照権あるいは騒音の問題というのがあるものでございますから、都市計画事業事業主体である東京都が現在都市計画決定のため、地元とお話し合いをされているというのが現状でございます。
  394. 長田武士

    長田分科員 私も当分科会で去年質問いたしております。確かに地元の反対の一部の方もいらっしゃいます。  そこで、私、公共の利益と個人の権益の保護を両立させることは非常にむずかしいことであろうと考えるわけでありますが、関係当局といたしましては、一日も早く計画が実現されるよう、一部住民の反対している方もおりますから、誠心誠意事に当たっていただき、どうかひとつ実現の方向で持っていっていただきたいと思っております。  その意味におきまして、今回環境調査実施することになったわけであります。関連側道の面を設けるとか、解決の道は大きく前進したのじゃないか、私はこのように考えております。ゆえに、具体的な解決策が欠けていましたいままでと違いまして、大きな推進ができるのじゃないかと私は期待をいたしております。  そこで、これは建設省お尋ねいたしますが、今後のこの展望についてはいかがでしょうか。
  395. 並木昭夫

    ○並木説明員 先生も十分御承知のように、この池袋線につきましては、四十六年度に事業採択をいたしておりますが、それ以来さまざまな経過がございまして、五十三年の十二月に至りまして、学識経験者からある提案がなされまして、現在これを骨子にいたしまして、地元との折衝をいたしておるわけでございますが、その検討の一環といたしまして、事業主体であります東京都が現地におきまして環境保全に資するための調査に着手する、こういう段取りになっております。そして、そういった調査を踏まえまして、この環境側道の整備につきまして積極的に取り組んでいくということをいま考えておりまして、そういう姿勢で東京都を指導してまいりたいと考えております。
  396. 長田武士

    長田分科員 もともと八号線は輸送力の増強と混雑緩和を初め、立体化による交通渋滞の解消、踏切事故の防止並びに踏切周辺の排ガス公害や自動車騒音の軽減、さらには、いま問題になっております自転車の置き場ですね、この確保などが目的とされておるのではないかと私は考えるのです。しかも、この計画のために買収、立ち退き等に応じた人々の中には、今日依然として計画が進んでいない、そういう状況下にありまして不測の損害をこうむっておる人も実は現にいるのです、店舗の改築ができない等々がございまして。そういう点では買収、立ち退きに応じた方も非常に不満を持っておるのです。こうした住民の感情にも十分考慮して私は推進されるべきだと考えておるのです。  なお、側道案によって合意を得ることができた場合、側道と高架工事を同時に進行させるべきであると私は考えておりますが、建設省はどうでしょう。
  397. 並木昭夫

    ○並木説明員 おっしゃるとおり、鉄道の高架化と環境側道の整備、これは一体不可分のものと考えておりまして、環境側道の整備は、原則といたしまして鉄道の工事と同時あるいは事前に行うべきものというふうに考えております。そういう姿勢で東京都を指導してまいりたいと考えております。
  398. 長田武士

    長田分科員 大ぜいの沿線住民の皆さんが永年待ち望んでおることでありますから、一日も早く実現されますよう、各方面にひとつ積極的に推進されますよう切望いたしておきます。  次に、十二号線のことについてお尋ねいたします。  この計画は、都内最大と言われております大規模開発であるグラント・ハイツと都心を結ぶものであります。しかも、このグラント・ハイツには一万二千戸の住宅建設予定されておりますので、地下鉄線の導入がなければ全く足なし団地となってしまうわけであります。こうしたことからグラント・ハイツの住宅建設ができないという状況にありますが、その後におけるこの計画はどこまで具体化されておるのか、運輸省お尋ねいたします。
  399. 山地進

    ○山地政府委員 都営十二号線のいまのお尋ねの件でございますが、東京都が西新宿と高松間の三十八・九キロの免許を得て、そのうち練馬と高松町間について工事施工認可申請を五十年と五十一年に運輸省に提出いたしましたけれども、先ほどちょっと私触れましたように、東京都の方の財政事情から、この処分については現在保留されているというのが現状でございます。
  400. 長田武士

    長田分科員 昨年、私は当分科会において森山前運輸大臣に対して、緊急性の高い路線について重点的に建設を推進していく決意があるかどうかただしたところ、必要のある線の整備を図りたい旨の答弁をいただいておるわけであります。そこで運輸大臣大臣は森山運輸大臣のこのような考え方を踏襲されておられるのかどうか。また、踏襲しているとすれば、この十二号線についてどのように考えていらっしゃるのか、御答弁願います。
  401. 地崎宇三郎

    ○地崎国務大臣 森山前運輸大臣の意見を踏襲してまいりたいと思いますが、いま鉄監局長から御答弁申し上げましたように、財政問題あるいは環境問題等十分検討いたしまして実施に移してまいりたいと思っております。
  402. 長田武士

    長田分科員 大臣、首都圏のこのような交通整備というのは非常に重大問題なんです。そういう意味で、運輸大臣就任されまして精力的に取り組んでいただきたいということは、たとえばこの問題については東京都の起債を特に拡大するとか、あるいは補助制度を拡大するとか、具体的な手を自治省なり大蔵省に大臣は打つべきだ、このように考えるのですが、どうでしょうか。
  403. 地崎宇三郎

    ○地崎国務大臣 そのような方針で進めてまいりたいと思います。
  404. 長田武士

    長田分科員 グラント・ハイツの住宅建設する住建三社は、先日五十五年度における三千百戸の建設計画地元に提示しており、二、三年後には入居が開始される予定であります。しかし、東京都では財政難のために現在工事中の十号線の完成を待たなければ、新たに十二号線の計画が着手できないということですが、このように住宅建設計画が具体化しておりますと、どうしてもこの問題は放置できない問題なんです。  そこで、練馬−高松間の四・四キロだけでも緊急避難的に整備する必要があると私は思うのですけれども、この点については運輸省、どうでしょうか。
  405. 山地進

    ○山地政府委員 こういった都市ニュータウンの建設とそれからそれに対するアクセス、鉄道の建設というのはどっちが先かというのは随所に問題になり、鉄道の先行投資ということも非常に必要な場合が多いかと思います。ただ、現在の東京都、これは事業主体が東京都でございますので、東京都の方の財政事情、先ほど先生の言われたように国の方からもいろいろのてこ入れというようなことを考えるべきではないかというお話もございますけれども、何をしても事業主体である東京都が自分の財政事情等からこれについてまず第一義的にお考えいただかざるを得ない。非常に緊急性があるということの場合、東京都が一体それにどういうふうに対応していくのかということであろうと私ども考えております。
  406. 長田武士

    長田分科員 それでは次は、日本住宅公団お尋ねをいたします。きょうは緊急に参考人としてお呼びして恐縮でございます。  グラント・ハイツの跡地の住宅建設が具体化いたしておりまして、五十五年度には、先ほど申し上げましたとおり住建三社で三千百戸の建設計画をされておるようであります。ところで、いま申し上げましたとおり、グラント・ハイツの跡地には現在交通機関が全くございません。そういう状況下で住宅建設されて、二、三年後実際入居をしてくるということになりますと、じゃその人たちは通勤はどうするのかということを私、非常に心配をいたしておりますが、その点どういうお考えでしょうか。
  407. 救仁郷斉

    ○救仁郷参考人 私ども住建三社で五十五年に三千百戸の建設をしたいということで、各方面と調整さしていただいております。これは先生指摘のように入居は五十七年度末ぐらいになるのではないかと考えております。ただ、この三千百戸の中で約千戸分につきましては十三号線の徒歩圏であります。したがいまして、バス輸送の必要なのが約二千戸ということになりまして、ラッシュ一時間九百人というようなバス輸送が必要かというように考えております。これはただいまのところはグラント・ハイツの一番北側にバスターミナルを設けまして、そこまでバスで行っていただいて、そこから十三号線の赤塚の駅まで歩いていただくというような計画でやっております。したがって、五十五年度着工分については、私どもは十分自信がございます。しかし、五十六年着工、七年着工、これが五十九年、六十年というようにふえてまいりまして、ここらあたりで昭和六十年ぐらいには大体バス輸送必要人員がラッシュ一時間で三千人というようなことになります。したがいまして、この辺を限界にして、後の計画はできれば私どもはやはり地下鉄十二号線に頼らざるを得ないのじゃないか。十二号線あるいはそれにかわる何かに頼らざるを得ないのじゃないかというような考えでいる次第でございます。
  408. 長田武士

    長田分科員 私は現在でも練馬の区内を見てまいりますと、交通渋滞が物すごい状況なんです。そこにさらにバス路線を設けるということは非常に危険もありますし、時間的にロスがありますし、その点非常に心配をいたしております。そういう点をひとつ十分考慮していただきたいということを要望しておきます。  住宅公団さんにお尋ねいたしましたので、続いてちょっと話が違うのでありますけれどもお尋ねをいたします。  私はグラント・ハイツ跡地の住宅建設に当たりまして、地元中小企業の育成を図るために、五十二年八月だったと思いますけれども日本住宅公団に対しまして地元工区の設定を実はお願いをいたしたわけであります。地元建設関連業者の受け入れ態勢がそのときに実は問題になりました。そこで今日まで研究した結果、このたび建築、土木、電気、給排水、造園関係の業者八十八社が練馬区光ケ丘開発建設協力会を結成をいたしました。地元ではこうした努力を積み重ねておりますので、日本住宅公団としても住宅建設に当たっては、地元工区を設定し、中小企業の育成を図っていただきたい、私は強く要望いたしますが、この点はいかがでございましょう。
  409. 救仁郷斉

    ○救仁郷参考人 工事の発注に当たりましては、一般的に中小企業対策に配慮する、これは当然のことでございます。さらに、このグラント・ハイツは長い間基地だったということで、地元の感情といいますか、そういうものも尊重しなければなりません。したがいまして、地元の中小建設業の方々にはできるだけの配慮をしてまいりたいというようにいま考えております。
  410. 長田武士

    長田分科員 次に、東京都の北西部における今後の発展に大きな比重を占めていく十二号線計画を多くの人々が実は待ち望んでいるわけであります。そういう意味で、どうかひとつ先ほど申し上げましたとおり十二号線については格段の配慮をお願いする次第であります。  次に、都市計画道路網の問題についてお尋ねをいたします。  御存じのどおり練馬区は近年急速に宅地化が進んだために道路整備がそれに伴わず、道路率一一%という数字が示すように、二十三区の中でも最低の状況となっております。したがって道路網整備が強く要請されているわけであります。そこで、現在工事中の百三十四号線について、工事進捗状況並びに今後における交通量をどのぐらいに見込んでいらっしゃるのか、お尋ねをいたします。
  411. 並木昭夫

    ○並木説明員 補助百三十四号線でございますが、これは練馬区の南田中というところで環状八号線と分岐いたしまして笹目橋に向かう路線でございますが、東京都内ではこの環八の基点から埼玉県境まで約四キロメートルの延長がございます。標準幅員は二十五メートルの街路でございます。埼玉県境から練馬区の谷原交差点、この間はすでに整備ができておりまして交通の用に供しております。谷原の交差点から南側、環状八号線までの間でございますが、これは約二キロメートルございますが、その二キロメートルにつき鋭意整備を進めているところでございますけれども、用地につきましてはすでに取得済みでございます。谷原の交差点の立体交差の事業を含めまして昭和五十七年度に概成をしたいということで事業を鋭意進めているという状況でございます。  第二点目の、本路線の供用開始後の交通量でございますが、東京都の調査結果によりますと、昭和六十年時点におきまして一日約五万二千台、さらに将来、都市計画として決められております道路、これが完成いたしますと若干交通負荷が減少いたしまして、一日の交通量は四万台ぐらいに減るのではないか、こう予測されております。
  412. 長田武士

    長田分科員 そのように大幅な交通量の増大が見込まれておりますが、この計画は練馬区でも一番大きな団地を縦断するためにさまざまな環境破壊を生ずるんじゃないかと私は危惧をいたしております。そこで、この計画に関する環境対策はどうなっているのでしょうか。
  413. 並木昭夫

    ○並木説明員 この沿道環境保全対策につきましてはいろいろなことが考えられるわけでございますが、百三十四号線につきましては、まず広い幅の歩道を確保したい、それから植樹を十分に行うというような道路構造上の配慮を十分やっていきたいというふうに考えております。さらに環境施設帯であるとか、あるいは緩衝建築物の助成等、こういったことにつきましても沿道住民の方々と十分御協議を図りながらそれを実施していくという方向で東京都を指導していきたい、こう考えております。
  414. 長田武士

    長田分科員 練馬区はこれまでも環状七号線でさまざまな体験をいたしております。こういう点でくれぐれも十分な環境対策を講じていただきたい、この点を強く要望しておきます。  そこで私から提案いたしますが、一本の道路に対して大量の車が集中しないように幹線道路を充実させることが必要だと考えるのです。また、大型自動車の交通量が多い東北自動車道や関越自動車道の出入り口を新たに設け、車を分散できるようにすべきであると私は考えます。そのために現在計画されております外郭環状線の外側にさらに環状線を設けるべきである、そのように考えているのですが、建設省はどうお考えでしょうか。
  415. 並木昭夫

    ○並木説明員 外郭環状線につきましては、都心部に発生、集中します交通を広域的に分散するというようなことで通過交通を処理するというような路線として計画されておるわけでございます。大体都心から半径約十五キロメートルというような位置にあるわけでございますが、さらにその外側には国道十六号線、これは半径四十キロメートルぐらいのものでございますが、いま整備をやっておるところでございます。先生の御指摘は、その中間にもう一つ環状線が要るのではないか、こういうことであろうかと思います。御趣旨のように、この中間部におきましても交通を分散させる、あるいは地域整備の観点から環状方向の道路が必要だということは十分認識いたしておりまして、現在すでにこの中間に位置する環状線、これの大半が都市計画として決定されております。特に東京都あるいは埼玉県の区域につきまして、延長におきまして約三分の一程度が整備されておりまして、今後ともそういった路線の重要性にかんがみまして整備促進してまいりたい、こう考えております。
  416. 長田武士

    長田分科員 次に、国鉄池袋駅の改築問題についてお尋ねをいたします。  私は一昨年、昨年と続けて、国鉄に対し池袋駅の混雑緩和を図るよう要請してまいりました。その後この問題についてどのようになったのか、国鉄お尋ねをいたします。
  417. 半谷哲夫

    ○半谷説明員 池袋駅は御承知のように国鉄だけではなくて西武、東武、営団地下鉄も入っておりまして非常に乗降人員、乗りかえ人員が多いところでございます。今回池袋駅改良決定いたしました内容は、国鉄の利用者といいますか、山手線と赤羽線が入っておりますけれども、その山手線、赤羽線に乗りおりするお客様方、それからその相互の乗りかえのお客様方、そういう方々がホームの上あるいはホームからおりまして階段付近で大変混雑しておりますので、その部分をまずとにかく設備を広くいたしまして混雑緩和を図るということで計画したものでございます。  一つは、現在の山手の内回りホームの隣に新たに一本ホームをつくりまして赤羽線のホームをそれに振りかえる、要するに赤羽線の専用のホームを一つつくるということでございます。したがいまして、ホームが現在二本でありますが今度三本になるということになります。これに伴いましてこの線路ホームの下の土をとりまして現在の東口、あの八号線の連絡口のコンコースのところ、これを広げましてさらに中央通路まで広げるということで、ラッチの中ではありますけれども、南口の通路と中央通路がつながれるという形になります。それからもう一点は、北口の連絡地下道というのがございます。これを今回一部拡幅いたしまして、それで現在は切符を持たないお客さんは通れない状況でありますけれども、今回地下道の中央部にラッチを移しましてこれを自由通路の形にいたしまして、東西の自由通路に使われるという形にするものでございます。  改良の要点を申し上げますといまのような三点でございます。
  418. 長田武士

    長田分科員 この計画が一日も早く実現されることを関係者の方々お願いをしておきます。  また同時に、池袋の中央口と南口を西武側で結ぶ通路、これを開設してほしいという要望が非常に強いのです。当局はその用意があるかどうか、最後にお尋ねいたします。
  419. 半谷哲夫

    ○半谷説明員 池袋につきましては、四号線から八号線、今回のうちの改良計画といろいろやってきているわけでございますが、利用者の方々からも、いま先生指摘のようにいろいろ連絡通路という御要望が出ております。ただ、私どもとしてはとりあえずいま最も混雑しているうちの駅設備の部分改良に手をつけるということでありますが、将来の問題として残された問題は何であるかということを詰めていこうということで、ことしの二月からでありますけれども、東京都、豊島区それから営団地下鉄と国鉄、四者の間で、まずどんな形にしたらいいかということを検討しよう、それをもとにいたしまして西武あるいは東武各社にも御相談した上でこの計画をまとめていきたいということで検討を始めているという状況でございます。
  420. 長田武士

    長田分科員 終わります。
  421. 藤田義光

    藤田主査 以上で長田武士君の質疑は終了いたしました。  次に、横路孝弘君。
  422. 横路孝弘

    横路分科員 自動車の車検の問題について御質問いたしたいと思いますが、初めに大臣に、行政改革について見解を承りたいと思うのです。  行政需要が大変変化してくるということになりますと、行政機構の方もそれに対応しなければなりませんし、国民のニーズの変化に伴ってもやはりそれに対応していかなければいけないだろうと思うのです。ただ問題は、一律何%削減というような形での人減らしをやると、運輸省のいろいろな陸、海、空の仕事の中には国民の生命、安全を預かっている仕事に従事をしている職員もたくさんおるわけでありまして、ただ人減らしをするとか許認可の整理をするということだけじゃなくて、十分に安全という点を考えながら、なおかつ行政需要の変化には対応していかなくちゃいけないということだろうと思うのです。その辺、最近進められておる行政改革は、とにかく人を減らせばいいんだ、一律何%削減という傾向が非常に強いのですけれども、この点についてまず大臣の御意見を。
  423. 地崎宇三郎

    ○地崎国務大臣 おっしゃるとおり、一律に削減をするという考え方、いわゆる公平主義と申しますか、その考え方は、必ずしも現代の情勢に合わないといいますか、一例を挙げますと、飛行機などの時代にどんどんなってまいりまして、空港なども非常に拡張されてくる、管制官がだんだん必要になってくるというようないろいろなことを考えますと、何でも一律に平等とか公平というような考え方で整理すべきものではない、国民の御要望にこたえて、必要なものについてはやはりサービスを確保していくという考え方で進めてまいりたい、かように考えております。
  424. 横路孝弘

    横路分科員 車の自動車台数がふえて、交通事故も一時期大変ふえました。最近はやや下降線ぎみではありますが、それでもかなりの数です。そのうちで、車両故障の事故というのは全体でそう大したウエートじゃありません。〇・五%までいっているかいないかという程度だろうと思いますが、ただそれは表に出てきた数字だけであって、多分車両に起因する、何らかの原因がそこにあるというような事故になりますと、一〇%前後になるのじゃないかと言われているわけです。  そこで、自動車の検査をきちんと行うということは国民の生命、安全にかかわることになるわけですが、御承知のように自動車の検査業務というのは、登録車両と小型自動二輪車、各都道府県の陸運事務所と民間車検制度による民間車検場で実施されているわけですね。この問題について従来から国会でもずいぶん議論されましたし、行政管理庁の方でもいろんな勧告をいままで行ってきているわけです。それを整理してみると、これは私も議論したことがあるのですが、昭和三十八年「陸運行政に関する行政監察結果に基づく勧告」というのが出まして、ここでは指定整備事業者について慎重に厳選するとともに、適当な整備が行われるような指導、監督を強めよ、検査成績不良な事業者に対しては監査を効果的に実施しなさいという勧告が行われているわけですし、昭和四十六年の四月、これは茨城の行政監察局の行政監察でも「車検の厳正な実施」ということについての監察報告というものが行われておりまして、四十六年の七月には「地方監察の結果について」ということで、三十八年と同じような趣旨の指導、監査を徹底しなさいということが言われておるわけです。それから、昭和四十七年の十一月にも同じようなことで、やはり指定事業者に対するいろんな監査について体制を強めよというのが出ておるわけですね。  ところが昭和五十二年になりますと、自動車の車検も米の検査も一緒にした行政監理委員会からの、合理化についての答申というのが出されているのですが、これになるといわゆる安全をどうするかという視点が全くこの中から落ちてしまっているわけですね。これは行管の方にもお伺いしたいのですが、全く安全というのはもう心配することがないように、陸運事務所の体制は大体改められたということなのか。安全の視点が全く落ちてしまった経過について、ひとつ見解を賜りたいと思うのですが。
  425. 重富吉之助

    ○重富説明員 お答え申し上げます。  私ども、自動車事故というものは、現在は問題になっておりませんけれども、かつて十年ぐらい前は自動車戦争と言われるぐらい事故が非常にございまして、そういうことについては行政管理庁として重大な関心を持って、ただいま先生から御説明がございましたような形でいろいろ運輸省の方に改善勧告を指示したことであるわけでございます。  ただ、私どもとしましては、一方、民間能力を活用してできるだけ国の行政の節約を図るという観点も必要であるということで監理委員会の答申が出されたわけでございますが、その際に、答申を行いますに当たりまして、私どもは指定整備工場とか認証工場の民間車検の実態を調査したわけでございます。調査しましたところ、若干問題がないわけではございませんでしたけれども、おおむね問題はない。特に検査員の資格は国の検査員の資格を上回っておりますし、検査設備も十分に設備されている。それから指定整備工場の検査能力にも相当の余裕があるというようなことがわかったわけでございます。そういうことから、私どもは安全性については、指定整備工場の監督要員の増員を図ることによってかなりカバーできる、そういうふうに考えましてこの答申を出させていただいたわけであります。  以上でございます。
  426. 横路孝弘

    横路分科員 これから少し実態について議論をした上でまた御見解を賜りたいと思うのですが、民間の活力を利用していくというのも大変結構なわけです。ただ、よく役所の中の清掃業務や食堂を民間に委託するのと、車検について民間委託するのとは違うわけですね。つまり、車検制度という制度の趣旨というものをやはり考えてみなければいけないだろうと思うのです。運輸大臣、問題は自動車の検査、車検でも安全を考えるからこういう制度があるわけでしょう。ただ検査済みだというシールを張ることだけに意味があるわけじゃないですね。これは民間制度にしても国がやるにしても、何といっても国民の安全を守るというところに制度の趣旨があるのじゃないですか。
  427. 地崎宇三郎

    ○地崎国務大臣 そのとおりでございます。
  428. 横路孝弘

    横路分科員 最近、民間車検の検査員のいろいろな事件といいますか、事故が起こっておるのですね。たとえば最近北海道でも、去年の八月でしたか、検挙されたのは昨年の十二月十四日、道路運送車両法違反ですが、北海自工というところの自動車検査員が、自動車の検査について要件に該当しないのを知りながらパスをさせたということで、発見されて警察に検挙されていますね。その車を運転した人がスリップして転落死をしてしまったということからこのことが発覚したのですが、このことについては御存じですか。
  429. 飯島篤

    ○飯島政府委員 知っております。
  430. 横路孝弘

    横路分科員 ちょっと内容を……。
  431. 小林育夫

    ○小林(育)政府委員 事故の概要を御説明いたしますと、事故が起きましたのは五十四年の八月の二十七日でございまして、事故は路外に転落いたしまして死亡したものでございます。  警察の調査によりますと、直接の原因は急加速、急制動あるいは急ハンドルということでございますけれども、間接の原因はタイヤ摩耗ということになっておるようでございます。そして先生指摘のように、十二月十三日に苫小牧署におきまして、自動車検査員が道路運送車両法違反で検挙されております。なお、私どもといたしましてはこれに対しまして、五十四年十二月十八日にこの指定整備事業者に対しまして特別監査を実施いたしました。それからことし五十五年二月一日に聴聞を実施いたしました。そして二月四日に保安基準適合証並びに適合標章の交付の三十日間の停止処分の決定をいたしております。
  432. 横路孝弘

    横路分科員 この種の民間車検工場における不正事件、警察の方で道路運送車両法であるとか業務上過失致死傷などで挙げられているケースがずいぶんあると思うのです。ここ二、三年でどの程度ございますか。
  433. 小林育夫

    ○小林(育)政府委員 事故が起きて、その事故が原因で発覚したということではございませんで、私ども監査をいたしておりますので、それも含めましてこういう指定工場で不正が発覚をいたしました件数は、昨年五十三年度におきまして適合証の発行停止処分を行いましたもの百六件、それから指定整備工場の指定の取り消しをいたしましたもの五件、検査員の解任をいたしましたものが六件、それから警告をいたしましたものは二千六百二十件ほどございます。
  434. 横路孝弘

    横路分科員 事故になったそのものについては掌握はされていないのですか。
  435. 小林育夫

    ○小林(育)政府委員 私ども中央におきましては、個々の事故につきましては掌握はいたしておりません。私どもは、地方におきましてその事故を各陸運局が掌握をいたしまして、それに基づきまして聴聞なり処分なりということを決定し、実施しております。そして処分の結果を私どもの方へ報告があるということでございまして、その処分の結果がいま申し上げた数字でございます。
  436. 横路孝弘

    横路分科員 われわれがたとえば新聞を拾うだけでも、この二、三年間で刑事事件になっているものが十三、四件ありますね。それから最近は国家賠償の請求の事件も二、三件あるようですね。したがって、この種事案について中央できちっと掌握されるということが必要じゃないでしょうか。もちろん個別の陸運局では掌握していると思うのですけれども、やはり中央の方でもぜひ把握をされて対策考えるということをなさった方がいいと思うのですがいかがですか。
  437. 小林育夫

    ○小林(育)政府委員 先生指摘のとおりでございますけれども、先ほども申し上げましたように、私ども陸運局で処分をいたします件数というのが年間二千六百件以上にわたりますものでございますから、その内容までなかなか分析ができないというのが実態でございますけれども、御指摘のとおりでございますので、今後は事故の内容いかんによりまして実態の把握をしてまいりたい、そのように考えております。
  438. 横路孝弘

    横路分科員 調べてみますと、ブレーキについての手抜き検査、ブレーキが悪くて事故を起こした、それからタイヤの摩滅、中にはいろいろ改造したり何かしたものもあるようですけれども、そういうのが多いようでございますので、きちんと事故になったのを掌握していただきたいと思うのです。  監査についてのお話がございましたが、確かに無通告監査をやるようになったのは昭和五十年か五十一年ぐらいからですね。それによって処分件数もふえていると思うのですが、監査状況は全体に対してどのぐらいの割合になっているのですか。二回以上行われておりますか。
  439. 飯島篤

    ○飯島政府委員 指定整備工場に対しましては、毎年工場に立ち入りまして、先生御案内のとおり、整備検査、保安基準適合証の交付等について、指定整備実施状況の監査、指導をいたしております。昭和五十四年度一工場当たり一・八回ということになっております。また、指定整備工場において検査を担当する自動車検査員に対します研修につきましては鋭意行っております。なお、監査の体制でございますが、五十四年度までの五年間に増員は七十四人でございます。指定整備担当専門官を一陸運事務所当たり最低二人以上の複数制といたしまして、現在全国五十三カ所の陸運事務所に合計百八十七人を配置いたしております。
  440. 横路孝弘

    横路分科員 昭和四十四年まではたしか年三回以上監査をする、四十六年から年二回に基準が変わったと思うのです。五十四年度の実績が一・八回ですか、やや上がってはきているようですけれども、まだ目標には達していないわけです。しかも、調べてみると、たとえば昭和五十三年度で見ますと北海道の場合、監査を行った場内の処分件数というのはずいぶん多いのですね。つまり、調べれば調べるほど問題点がそこに出てくるということになっているのじゃないかと思うのです。これは北海道の場合で、監査工場数に対する割合が大体三〇%弱ぐらいですね。指定工場数と比較しますと四〇%ぐらいになっているわけです。したがってこれは、監査をやればやるほどそこから問題をえぐり出すことができるということを示しているわけです。  これはどうなんですか、二回以上という目標到達というのはいつごろできるのですか。また一方どんどん指定工場の数をふやしていこうというわけでしょう。どうですか、その見通しは。
  441. 小林育夫

    ○小林(育)政府委員 私ども原則として年二回実施するということで指導しておるわけでございますけれども、必ずしも形式的に二回が最善であるということではございませんで、やはり監査の内容であろうかと思います。     〔主査退席、兒玉主査代理着席〕 一つの問題といたしましては、実は私ども、監査職員によるところの不正事件というものが二、三年前にございまして、それまでは一人で監査に出かけるということも間々あったわけでございますけれども、それ以降は必ず複数で出かけるという体制にいたしております。そういうことでなかなか二回に及ばないという原因が一つございます。  それからもう一つは、監査の中身を五十一年以降相当に変えたつもりでございます。従来の形式的な監査から中身の充実した監査に切りかえたつもりでございます。したがいまして、先生指摘のように、相当に勧告なり処分の件数というものが上がってまいったということでございまして、私どもいたずらに監査の回数をふやすということだけに目標を置いておるわけではございませんけれども、やはり一応目標を二回ということでやっておりまして、幸いに指定整備専門官の増員も認められておりますので、できるだけ年二回を実施できるよう今後とも努力してまいりたい、そのように考えておるわけでございます。
  442. 横路孝弘

    横路分科員 監査というのは、ともかく一回一回厳正に実施するというのがそれは前提なんで、いたずらに回数を云々というような話じゃないわけです。最初から監査というのはしっかりやるということを前提にして年二回なら二回やるということを皆さんの方で決めているのでしょう。それはまあさらに内容を充実させるというのは大事ですけれども、やはりこれは一定の行政の目標になっているわけですし、やればその結果がしっかり出てきているわけですから、しっかり監査の体制というのを強めてもらいたいと思うのです。  それで、指定自動車整備事業の指定ですが、これはいまどのくらいですか、何か七〇%目標ということでやってきたようですけれども。そして、ずいぶん皆さんの方も苦労されて指定基準をいままで緩和されてきたわけですね。そこで、いまの状況について簡単にひとつ……。
  443. 小林育夫

    ○小林(育)政府委員 五十三年度末におきまして指定工場の数が一万六千二十四工場でございまして、指定整備率と申しますか、指定整備工場で扱います率が五六・二%、そのようになっております。
  444. 横路孝弘

    横路分科員 それで、行管あたりからも言われて指定基準を大分緩和してきたわけですね。初めたしか十一人以上くらいだったのを、いま六人以上くらいにしているんじゃないですか。これはやはり安全ということからこの指定基準そのものはこれ以上緩和すべきじゃない、そして、これから指定し得るところ、まだ余地があるところは大いにやっていいと思うのですね。ただ、基準をどんどん下げてしまって、そうすると後は、何か自分の家族を含む自営程度でやっているような工場に大事な仕事を全部任せるわけにはいきません。私はそのように考えるのですけれども、これはどうですか。これは大臣からでも……。もう少ししっかり運輸省の方でやってもらわぬと困るのです。
  445. 飯島篤

    ○飯島政府委員 いま先生のおっしゃったとおりとわれわれの方も考えております。
  446. 横路孝弘

    横路分科員 次に、車両の再検率と混雑度についてちょっとお尋ねしますが、昭和五十三年度で見てみますと、再検率は名古屋が一番高くて一八・七%、次が広島で一八%、高松が一六・九%になっています。悪いのが東京で一〇・三%、仙台の一一・二%、新潟の一二・九%ということになっていますね。それから皆さんの方がコースについて大蔵の方と話しをするときに、混雑度という基準がありますね。あの基準でいくと、名古屋が一一三、広島が一〇〇、高松が一一一、これに対して東京が一三五、仙台が一二三、新潟が一二四、こうなっていると思うのです。時間がないからこちらの方で言いますが、これは間違いないでしょう。
  447. 小林育夫

    ○小林(育)政府委員 個々の数字はチェックしておりませんからはっきり申し上げられませんが、おおよそそのとおりだと思います。
  448. 横路孝弘

    横路分科員 これは見てみると、再検率の高いところというのは混雑度が低いのですね。これは常識的にも大体そうだろうということは推定できるのです。つまり、混雑度が高いところは再検率が低いわけです。再検率の一番高い名古屋の一八・七%と東京の一〇・三%では八%も差があるわけですね。そして名古屋の方は混雑度はわりと低い、東京の方は高いということになるわけですね。つまり、ここから何を推定できるかというと、結局、東京の方は一八・七との差を、みんな逃がしているとは言いませんけれども、しかし、これは名古屋あたりでチェックすればかなりひっかかる自動車を、東京はともかく混雑が激しいものだからどんどん通しているということがこれで大体推定できると思うのですが、いかがですか。
  449. 小林育夫

    ○小林(育)政府委員 私ども実はそのようには考えておりません。確かにいま先生の挙げられた数字だけで比較いたしますとそのような結果にもなりますけれども、全国的に数字を比較いたしますと必ずしもそういうことではない。再検率の高さといいますのは、その地方におきます車が新しいとか古いとか、それからその地方におきます整備工場のレベルとかそういうような環境といいますか、バックグラウンドが総合的にあらわれる、私どもはそのように考えておる次第でございます。
  450. 横路孝弘

    横路分科員 そうすると、あなた、東京の整備能力が一番落ちるということですか。これはともかく再検率で言うと、再検率の上位三つの方と混雑度の低いところの三つというのはみんな一緒ですよ、混雑度の率が高くなるということは混雑度が高いところについては言えるのじゃないですか。何もそこの整備能力がどうだとか、理屈を言えばいろいろあると思いますが、一般的に言って東京が一番悪くて名古屋、広島が一番いい、整備能力があるんだ、だから再検率が高いんだということではなくて、それは時間をかけて車を点検できるからどうしたって再検率は高くなる、これはあたりまえの常識的な話じゃないですか。
  451. 小林育夫

    ○小林(育)政府委員 そこで再検率一〇%といいますのは、車を百台持ち込みますと一〇%がアウトになる、検査不合格になるということでございまして、一五%の再検率ということは百台持ち込みますと十五台がアウトになる。ですから一五%のところよりも一〇%のところが検査の成績がよろしいということでございます。
  452. 横路孝弘

    横路分科員 それは検査の成績じゃなくて、チェックがどれだけ丁寧に行われているかということを私は聞いているのです。つまり混雑度と相関関係があるんじゃないかということです。  どうも時間がなくなってしまって、まだ聞きたいことがありますから先に進みますけれども、結局混雑度を緩和すればそれだけ一台の自動車にかける時間が丁寧になって、一台の自動車にかける時間が丁寧になれば何ができるか。つまり、問題のある車を発見する割合が高くなるということが言えるのじゃないかと言っておるわけです。  そこで、ちょっと車検特会について御質問をしたいのですが、五十五年度に予備を大分ふやしておるようですね。これに対して増コースの要求が五十五年度でずいぶんたくさん出て、コースの数で十三コース出ておるのですか、それで、認められたのが五つということなんですが、特会の方では、五十八億ですか、来年度は大分予備費の方をふやして、増コース要求というのは認められていないようですが、この辺は、大蔵省でも結構ですが、どういうことなのでしょうか。
  453. 小林育夫

    ○小林(育)政府委員 増コースにつきましては、五十四年度の増コースというのが六コースでございまして、五十五年度が五コースということで、必ずしも五十五年度が五十四年度に比して著しく少ないということではない、そのように私は考える次第でございます。
  454. 横路孝弘

    横路分科員 そんなことを聞いておるのではなくて、車検特会の方を見ると、五十五年度は予備費をぐっとふやしていますね。違いますか。間違っていたら間違っていると指摘してもらいたいのですが。予備費だけずいぶんふやしちゃった理由はどういうことなんですか。つまりいまの混雑緩和だとか、あるいは監察をきちっとするように体制を強めるためにこれだけ予備費に回すならば、この特会の中を見てもう少し考える余地はあるのじゃないかと思いますが、違いますか。
  455. 尾崎護

    ○尾崎説明員 先生の御質問の趣旨は、五十五年度の予備費の増加、つまりその支出差額の増があるということに対しまして増コースが少ないではないかということかと思いますが、増コースの方は、定員の増加等を後で伴う問題でもございますし、コースごとの平均検査件数等を考慮いたしまして、その緊急性を考えながら個別に考えていく問題でございまして、お金があるからふやすというわけにはやはりいかないわけでございます。五十四年度に認められたコース、五十五年度認められたコース、それぞれ内容を審査いたしまして、審査を経ました結果が一コース新設が減ったということでございまして、今後も緊要性を考えながら個別に予算査定をしてまいりたいと存じております。
  456. 横路孝弘

    横路分科員 一般論としてはそのとおりなんですが、問題は、民間車検の検査員の不正事件というのは結構多く出てきている。監査をやればずいぶんたくさんの問題点を発見できる。その体制をまず強めるということですね。つまり、特会そのものは金額にかなり余裕があるからその辺のところをしっかり見て、ひとつ安全第一に考えていただきたいというように思うのです。  時間が来たので、最後にちょっと、大臣地元でもある札幌なんですが、実は江別に第二車検場というのがあったのですが、これは結局地盤没下でもう使いものにならないというのでやめてしまったのですよ。去年、おととしですか。十年間使っただけでこれは取りやめてしまったのです。どうしてああいう場所を選定したのか、財産管理という観点から言えば大変大きな問題だろうと思うのですが、この北海道の関係というのは、大体冬季間は余り仕事にならぬものですから、どうしても春先、三月、四月に殺到するわけです。最近の状況を見ても、予約してからできるまでに約二十日近い日にちがかかっておるという状況なんでありまして、もう時間もないから余りこの内容的議論はできませんけれども、その江別の第二車検場がそういう地盤沈下というようなことでやめになって、これに対するいろいろな不満も最近出てきておりますし、札幌の混雑の状況もひとつ検討していただきたいというように思いますが、いかがでございますか。
  457. 地崎宇三郎

    ○地崎国務大臣 十分調査して、検討してまいりたいと思います。
  458. 横路孝弘

    横路分科員 時間が参りましたので、終わります。
  459. 兒玉末男

    兒玉主査代理 以上で横路孝弘君の質疑は終了いたしました。  次に、中路雅弘君。
  460. 中路雅弘

    中路分科員 私は、きょうは中小トラック事業者の問題について二、三御質問をしたいわけです。  最近、わが国の経済動脈の底辺を支えるものとしてトラック輸送が非常に大きな役割りを果たしてきていますが、特に十台、二十台以下の車を持っている中小零細トラック業者というのは、いま慢性的な経営不安状態に置かれています。  私がきょう資料として持ってきましたのは、五十四年十二月に神奈川県トラック協会がまとめました「トラック業界の現況と、八〇年代の対応神奈川県運送業経営診断報告書」という百ページに上る冊子でございますけれども、これはいま国の方から出ています交付金事業の一環として、このお金を使って調査をしたものです。県下の約百社のトラック業者を五十三年度の決算報告書をもとに詳しく調査をした診断報告書でありますけれども、これを読ませていただいて、全国的にもここに書かれている現状というものにどう対応するかということは大変重要な問題だと思いますので、それを中心に御質問したいのです。  一、二点中身を紹介しますと、この百社の五十三年度の決算報告書をもとにした神奈川県下のトラック業者の状況ですが、五十二年度に比べて五十三年度が増収増益企業は五二・九%、減益企業というのが四二・四%と約半数近い現状になっています。これは五十三年度でありますから、その後の最近の燃料費のアップなどを考えるともっとふえていることは明らかですし、なおかつこれは百台以上の車を保育している企業も含まれていますから、また、五十四年度の運輸省の白書を見ましても二十台未満というのが会社比で見ますと八一%を占めていましたから、こういう二十台以下の中小零細企業ではこの減益企業の比率がさらに高くなっていると思います。  また、取扱品目(業種別)に見ますと、特に荷主の関係で弱い系列関係にある雑貨だとか貸し切りなどの業種、鉄鋼、建設関係、こういったところがこの報告でも五〇%を超える減益ということになっているわけです。  この中でも出ていますけれども、特に必要である直接的な人件費、燃料費、修繕費、こうしたものが売上高に対して非常に高過ぎるということを報告の結果は示しております。逆に言うならば、それに見合う売上高、運賃が収受されていないということを示していると思うのです。  従業員一人平均年間人件費は、これによると三百十五万と推定されますが、これは他の業界に比較しても私は決して高いとは言えない、むしろ、ほとんど全員が男子の成年労働者で、かつ長時間の労働と危険度の高い仕事であり、特殊技能も必要ですから、これらの点を考えると大変低過ぎる。こういうことで、過酷な労働やあるいは保険も掛けられないというような、一たん事故があったらもう会社とも倒産という現状が続いているのではないかと思うのです。  ここに出ています経常利益率を見ましても、十台未満の車両保有規模の企業では、売上高に対する経常利益率が〇・八%、普通は売上高に対して経常利益率が三%は最低必要だということが言われているわけですけれども、それにもとうてい及ばない。燃料費が上がったり、ちょっとした事故があればすぐ倒産という状態に置かれているというのが、この報告書をざっと読んだところの一つの大きな問題点だと思うのです。  まず最初に、運輸省でこうした中小零細トラック業者の現状を、簡潔に言いまして実態をどう把握されているかということをお聞きしたいと思います。
  461. 飯島篤

    ○飯島政府委員 いま先生がお示しいただきました資料も私拝見いたしたわけでございますが、確かに二十両以下の事業者はトラック事業者の中で八一%を占めております。十両以下が五五・三%というようなことでございまして、こういった中小のトラック事業者が、体質的に非常に経営上むずかしい問題を抱えているということは十分認識いたしているつもりでございます。
  462. 中路雅弘

    中路分科員 私がきょうここで取り上げたい一つの問題は、実車率の向上が必要ではないかということで、その施策についてお尋ねしたいわけですが、これは別の資料で、川崎のトラック協会がやはり昨年の十月一日に調査をした調査によりますと、これは川崎のトラック業者三百三十八社のうちの百五十四社の回答ですから、約半分近いところが回答を寄せているわけです。トラックの保有でいいますと百五十四社で六千八百七十三台のトラック保有ですが、その回答によりますと、たとえば二百二十五キロ以上の長距離輸送トラック、これは一カ月間に行きが二千四百七十台走っているわけですが、帰りになりますとそのうち千十五台が空車で帰ってきているという資料が出ています。約四割が空車で帰ってきているわけです。省エネルギー時代にこれは大変なことだと思うのですが、空のトラックが長距離を走っている。百五十キロまでの中距離で見ますと、三千三百七十五台が荷物を積んで行っているわけですが、帰りになりますと、そのうち二千六百五十五台、実に七八%が空車で帰ってきているというのがこの資料で出てきています。  これを金額で計算した資料もありますが、たとえば大阪から先の六百キロのところに荷物を川崎から運びますと、帰りの荷がない場合は、往復しますと約十五万四千二百二十円の経費がかかるわけですが、その際に、たとえば認可運賃を一〇〇%収受するとしましても、空車で帰ってくるわけですから、行き帰りで九万五千五百二十円しかもらえなくて、差し引き五万八千七百円の赤字が出てしまうというのがこの資料で出てきているわけです。  中距離の例で一例だけ挙げますと、ここに詳しい伝票もあるのですが、たとえば百五十キロ、川崎から前橋ぐらいまで走ります中距離輸送の場合でも、経費は四万七千九百十円ですけれども、これも認可運賃を一〇〇%もらっても、帰りが空車ですと、実際には三万八千九百八十円の収受で、差し引き八千九百三十円の赤字になるということで、後でこのことはお尋ねしますけれども、認可運賃一〇〇%収受しても、空車で帰りになってきますと、こうして経営自身も大変な赤字になるということなんですね。だから、認可運賃の収受とともに、私は省エネルギーのことを考えても、もっと実車率を高める、空車率をなくしていくということが業界にとっても大変大事な問題ですし、これは「陸運業界」という五十一年に出しました雑誌で見ますと、全国的に往復平均して実車率が六五%という数字が出ています。逆に言いますと、三五%の空車率ということになっているので、これにどう対応していくかということが、こういう中小トラック業者の経営をもう少し改善していく一つの道じゃないかと思うのです。こうした中小業者にとっては、協業化の問題、協同組合化の問題というのも打開する一つの道だと思いますが、もう一つ、トラック輸送の全国的な情報ネットワークのシステムを促進して、情報センター網の作成ということに思い切った施策がいま必要になっている。それはこの解決にとって非常に大事な施策ではないかと私は思うのですが、この点について最初にお考えをひとつお聞きしたいと思います。
  463. 飯島篤

    ○飯島政府委員 先生のおっしゃるとおりでありまして、トラック輸送の実車率の向上ということが、省エネルギーの観点からも、また経営の健全化を図っていくためにも最も望まれることでございます。いまお話がありましたように、こういった中小トラック事業の協同組合化あるいは共同輸送の推進というようなものを図る必要があるわけでございまして、四十一年以来構造改善事業実施いたしまして、こういった事業者の組織化の推進、共同施設整備などを進めておるところでございます。  また、いまお話がありました、帰り荷の確保のために何か情報システムのようなものは考えられないかというお尋ねだと思いますが、この件につきましては、運輸経済研究センターを通じまして昭和五十年度以来トラック輸送情報システムの研究推進に努めておるところでございます。五十四年度になりましてから、運輸省が提案いたしまして運輸経済研究センターに新しい委員会を設けまして、それまでの実績を踏まえまして新しいシステムの検討を行っているところでございます。近く運輸経済研究センターから新しいシステムの概要設計についての研究報告書が出される予定でございます。この報告書が出た段階で広く関係の業界にPRいたしまして、その業界の方の実施のための体制整備が進められることを期待しているところでございます。もちろん、当省といたしましても側面からこれを指導してまいりたいと考えております。
  464. 中路雅弘

    中路分科員 具体的な問題で、いまお話になりました点、私も承知しているのですが、たしか運輸省と運輸経済研究センターですか、共同で「トラック輸送情報ネットワークシステムの共同利用に関する研究について」というのが作成されているようですが、もう少し具体的にお聞きしたいのです。いつごろこの報告書ができるのか。いまちょっとお話しになりましたけれども、これが作成された段階で、運輸業者との関係で今後このシステム化についてどのように進めていかれるのか、もう一歩、ちょっと具体的にお聞きしたい。
  465. 飯島篤

    ○飯島政府委員 いま申し上げた報告書は、今年度末にでき上がる予定でございます。それで、先ほど申し上げましたように、これについても業界がよく理解をし、体制整備についての合意ができていくということがまず必要でございます。それができました後には、今度は実施主体あるいは機器をどうするかというような問題になって、今度詳細設計ということになっていくわけでございます。
  466. 中路雅弘

    中路分科員 いまの研究されている情報ネットワークについては、ぜひ具体化を促進していただきたいと思うのです。  これは私見ですけれども、情報センターシステムをつくっていくということになれば、お金もかかるわけです。そういう面では、大臣にも一言お尋ねしておきたいのですが、システムについて新たな助成策を講じるとか、あるいは、これはたとえば、いま運輸省がたしか、三年継続になっていますからとりあえず五十七年度までですか、運輸事業振興助成交付金というのが、バス、トラックを含めまして年間たしか二百億ぐらい、中央それから各府県を通じて出ていると思うのです。これは業者自身が決める問題ですけれども、資金等の活用も図りながら、こうした資金が有効に中小、特に小企業の体質改善のものに使用できるように、やはり行政の側でも考えていただきたいというふうに思っているわけです。これは私の一つの私見なんですけれども、お考えがありましたら、これについても一言……。
  467. 飯島篤

    ○飯島政府委員 先ほども申し上げましたが、本件につきましては業界が全体として理解をし、体制整備についての合意ができることが肝要でございます。それができますれば、いまお話がありました運輸事業振興助成交付金の有効活用についても考えていけるのではないかと考えております。
  468. 中路雅弘

    中路分科員 もう一点お尋ねしておきたいのですが、先ほどちょっと触れました認可運賃の問題ですけれども、認可運賃については五十二年の秋ごろからですか、例のLPガスのタンクローリーの認可運賃の収受問題では国会でもたびたび取り上げられましたけれども、決してこれはLPタンクローリーだけの問題ではなくて、トラック業界全体の問題でして、これも川崎のトラック協会の資料を見ますと、認可運賃を上回ってもらっているというのは二・一%しかないのですね。下回っているというのが、六割とか七割ぐらいですね、四五%、半分近くになっている。そして大事なのは、認可運賃をもらえない理由の六割以上が、荷主が強硬だということを理由に挙げています。特に鉄鋼だとか金属、建設資材、ガラス、セメント、こういうところでは全体が非常に悪いわけですね。認可運賃については支払う方の荷主に罰則規定もありませんし、受ける業者の側だけに罰則規定があるわけですが、私はこうしたシステムの見直しも必要だと思いますが、さしあたっての問題として、LPのときでもありましたけれども、行政指導の面で、実際には決められている認可運賃ももらえないわけですから、そうした点について荷主側、企業について、やはり認可運賃というものについての理解、それからそれが収受できるような行政指導、払っていない荷主に対する協力、こうしたものが私はもう少し強力に必要ではないかというふうに考えるわけですが、いかがですか。
  469. 飯島篤

    ○飯島政府委員 認可運賃の収受につきましては、最近の状況を聞きますと、二十両以上の事業所にあってはかなり高いところへいっているというふうに聞いております。  ただ、先ほどからお話のある二十両以下についてはまだ問題があることは承知いたしております。確かに中小零細企業が多いトラック事業でございますので、一般的には荷主に対して非常に弱い立場にございます。しかしながら、荷主側の業種やその実態あるいは特別の輸送技術が要るかどうかというようなことによって、必ずしも事情が一様ではございません。神奈川の分析にもありますように、まず一番大事なのは、各事業者が経営管理、労務管理等を適切に行って、原価意識をはっきり持って、企業者として適正な経営を実行していくという前提で荷主と交渉に当たることが一番大事なことではないかと考えております。  その次に、先ほど申し上げました構造改善事業によりまして、事業の共同化施策を通じまして、業界みずからの体質を改善して荷主に対して強い交渉能力を持っていくことが必要だと思います。  なお、こういったことと並行いたしまして、陸運局及び主要な陸運事務所に設けられております、貨物輸送監理官というものが私どもの役所におりますが、この職にある者が関係事業者あるいは業界に対する指導監督を徹底をいたしまして、地方のトラック協会の自主的な監視活動の強化等と相まちまして、たとえば先般来効果を上げております過積載の自粛や適正運賃の収受等について努力をしているところは先生御案内のとおりでございます。  先ほど荷主に対して云々とありましたが、運輸省としては直接権限というようなものは持っていないわけでございます。いま申し上げた業種別に荷主懇談会を開きまして、その場に関係官も出席し、荷主の理解と協力を得るように努め、特に問題がある場合には先ほど例示されましたLPGの場合のように、実態を個別に把握いたしまして適切に対応していきたいというふうに考えております。
  470. 中路雅弘

    中路分科員 業者自身が結束していくということが前提でありますけれども、やはり何といっても立場上弱い中小業者でありますから、その点は通産省やあるいは運輸省含めて、行政の方からも、決めてある認可運賃が、これは上限一〇%、二〇%の枠ですから、その中で収受できるように、このことは結局収受できないと運転手の労働強化にもなりますし、あるいは交通事故の原因、さらに保険も掛けられないということになりますと、一たん事故があると大変な社会問題にもなってくる、一企業の問題だけでないという重要な問題ですから、ぜひ行政指導も強めていただきたいということを重ねてお願いしておきたいのです。  特に、私はこの資料を読みまして、一点だけこれは要望しておきたいのですが、最近燃料費が値上がりの中で、運賃体系が遠距離輸送ほど逓減制になってきているのですね。だから、燃料費が上がってきておりますと、走れば走るほど赤字になるという結果も出てきますから、認可運賃の際は二年に一回ぐらい見直しをやられているそうですけれども、その見直しの中で、最近の燃料費の高騰の中で、こうした点はぜひもう一度検討すべきではないかということも感じるわけです。これは要望としてぜひ述べておきたい。  あと五分くらいですから、最後にもう一点質問したいのですが、最近、この四、五年の間に急速に進んでいるわけですが、トラック業界の中で、いわゆる電機や鉄鋼などの大企業が物流子会社、大手荷主が子会社をつくって、ここを経由して下請に運送させるという傾向が、川崎でも日本鋼管、東芝初めどこも出てきているわけですが、この物流子会社と大手荷主との間では認可運賃の規定で契約されていますけれども、しかし、実際は荷主側が資本を投下してつくり上げた物流子会社ですから言いなりになっているわけです。特にその物流子会社に貸し渡し業というのですか、持ち込みといいますか、下請の運送業者が道路運送法の三十七条で、こうした持ち込みの場合には、この下請については認可運賃の適用外ということになっているわけですね。だからここでも大変な運賃の切り下げとダンピングがいま構行してきているわけです。私は、この問題についてもやはり対処していかないと、いま企業の新しい合理化といいますか、低運賃の物流のシステムづくりが一つ大きな問題点になっていると思うのですが、最近広がってきているこういう傾向について、運輸省で実態をどの程度把握されているのか、あるいはどうこれに対処されようとしているのか、お聞きしたいと思うのです。
  471. 飯島篤

    ○飯島政府委員 いまお話しの物流子会社の問題でございますが、産業界の流通コストの低減という強い要請によってこういった実態が多くなってきていることは事実でございます。また、そういう存在が共同輸送とか、帰り荷のあっせん等の輸送の効率化にも積極的な役割りを果たす面があるのではございますけれども、一方で運賃にいま先生が御指摘のようないろいろな問題あるいは輸送秩序上の問題があることも確かでございます。したがいまして、私どもといたしましては、五十三年に、その多くは自動車運送取扱事業であろうということで、道路運送法施行規則を改正いたしまして、自動車運送取扱事業者が相手方となる自動車運送事業者から収受する取扱手数料の額等を届け出させることといたしまして、その実態の把握に努めておるところでございます。  なお、昭和五十五年度におきまして若干の事務経費を予算化していただく予定になっておりますので、自動車運送取扱事業の実態をよく調査したいというふうに考えております。
  472. 中路雅弘

    中路分科員 これで終わりますが、いまちょっとお話のように、五十五年度の予算の中では、これを調査をするための若干の費用を組まれているというお話ですので、私はまずきょうは第一歩として、こうした物流子会社の実態について、先ほどお話しましたように下請構造をつくり上げてきて、低運賃と長時間労働の温床になってきているわけですから、その実態についてはぜひ把握をしていただいて、これに対する対処を具体的に進めていただきたい、このことを重ねてお願いをしておきたいと思います。  最後に、局長との質疑大臣御存じだと思いますけれども、きょうは神奈川県と川崎のトラック、これは神奈川県のトラック協会は非常に苦労したと思うのです。私、こういうパンフレットは全国的に初めてじゃないかと思うのですけれども、自分たちで実態調査をして、中小零細トラック業者の窮状がこの中にあらわれているわけですけれども、日本の経済を特に支えていく大きな力になっているわけですから、みずからの体質改善も必要なんですけれども、行政の方でもこうした中小トラック業者の経営の不安定な状態を改善していくという上では、具体的な施策をいま二、三の点について提起いたしましたけれども、特にネットの情報システムの問題等は具体化していただきたいということをお願いしたいと思うのですが、最後に大臣から一言……。
  473. 地崎宇三郎

    ○地崎国務大臣 中小トラック業界の問題について、先生からいろいろ貴重な御指摘をいただきまして十分参考になりました。いま自動車局長からいろいろ御答弁申し上げましたものを主題といたしまして、積極的に対策を進めてまいりたいと思います。
  474. 中路雅弘

    中路分科員 終わります。
  475. 兒玉末男

    兒玉主査代理 以上で中路雅弘君の質疑は終了いたしました。  次に、西村章三君。
  476. 西村章三

    西村(章)分科員 限られた時間の中でございますので、私は地元の立場から、関西新国際空港建設問題に的をしぼってお尋ねをいたしたいと思います。  泉州沖が候補地になっている新空港は、航空審議会の答申を四十九年の八月に受けて以来、約五年半余の歳月を費やして調査が行われており、いよいよ取りまとめの段階といいますか、大詰めの段階に立ち至ったようであります。  そこで、この際まずただしておきたいのでありますけれども、運輸大臣は、過日の予算委員会での質問に答えられまして、新空港は関西において日本の代表的な空港になるわけであるから、もちろん地元住民の合意を得て、環境等も十分調査をして国の責任で執行する、こう答弁をされておりますが、運輸大臣にまず最初にお尋ねをしたいのは、この答弁に間違いがございませんでしょうか。
  477. 地崎宇三郎

    ○地崎国務大臣 そのとおりでございます。
  478. 西村章三

    西村(章)分科員 非常に明確にそのとおりだというお答えをいただきました。間違いがなければ結構でございます。  私がなぜこのようなお尋ねをいたしたかと申し上げますと、最近、政府部内の一部あるいは中央省庁の一部で、関西新空港は地元要望によってつくってやるんだ、あれは請願空港だ、こうおっしゃっている方があるやに承っております。これは地元にとってはとんでもない話でありまして、こんな認識と偏見を持ってこの空港に対処されたのでは地元はたまったものではございません。空港建設の経緯はすでに明らかなとおりでございまして、現大阪国際空港の騒音公害の解決あるいは年々増大する航空需要、これに対応するための必要性からあるいはまた公害のない空港という見地から、当時の運輸大臣が航空審議会に諮問をされたものでございます。したがって、国家的な要請に基づいてこれが建設をしよう、こういう計画であったと私は確信をいたします。念のため、大変恐縮ですが、もう一度その点についての御確認をしていただきたいと思います。
  479. 地崎宇三郎

    ○地崎国務大臣 御質問の関西新空港は、先般も申し上げましたとおり、日本の代表的な空港ということで建設をしていかなければならないわけであります。しかし何と申しましても関係の市町村、大阪府あるいは和歌山県、兵庫県、これらの市町村、自治体の合意、賛成を得られませんと着手できませんので、地元の方の御賛成を得ながら当たっていきたい、かように考えております。
  480. 西村章三

    西村(章)分科員 もちろん地元の合意ということが非常に重要なポイントになってまいります。しかし、いま大臣がおっしゃいましたように、これは国家的な施策だという立場に立ちまして若干お尋ねをいたすのでありますが、調査内容は広範囲かつ非常に多岐にわたって行われたと思います。すでに約五年間、七十億円の調査費が費やされまして、来年度十二億円の調査費が計上されております。運輸省の当初予定では、五十四年度中にすべての調査を完了して計画案を策定をする、地元にそれを提示して五十五年度中に協議を終えて、いわば地元の合意を得て五十六年度に着工と聞いておるのであります。  そこで、今日までいろいろ調査をされてきた空港条件あるいは自然条件、さらには社会条件、また環境アセスメント等々、もろもろの調査をされたわけでありますけれども、そのほとんどは終了間際にまできているのだ、あるいはその進捗状況はおおむねどうなっているのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  481. 松本操

    ○松本(操)政府委員 お答え申し上げます。  五十一年から着手してまいりました七十億円を投入しての調査は、先生仰せられますとおりほとんど終了に近づいておるわけでございます。あえて申し上げれば、現在最後の取りまとめ中であるというふうに御理解いただいてよろしいかと思います。ただ、たとえば自然条件のごときものは、現地に陸上三カ所、海上一カ所の観測塔をつくりました。そこで連日のように観測を続けておるわけでございますが、これらのごときはまだ終了したという段階ではなくて、今後とも空港ができ上がるまで調査が続けられることになろうかと思います。また、騒音調査のごときもすでに二回の実機飛行を行いましたけれども、それについての取りまとめはおおむね終わりに近づいておるわけではございますが、なお地元からはもう少し工夫したやり方はないかというふうな御注文もございますので、これまた先生仰せられました五十五年度予算原案に計上してございます十二億というこの調査費の細かな使途はこれからの議論ではございますけれども、たとえばそういったようなものも、もし地元の御要望が非常に強く、また私どももそれをやることがさらに論議を煮え詰まらせるのに役に立つということであれば、そんなようなものはなお引き続きやっていくようにしたい、こう考えております。
  482. 西村章三

    西村(章)分科員 いままで調査されたものにつきましてはすでにすべて公表されておりますか、あるいは一部のみの公表でございますか、その点、いかがでございますか。
  483. 松本操

    ○松本(操)政府委員 昨年の夏にそれまで調査いたしましたもののアブストラクトのようなものをつくって一般に公表したわけでございますが、何せこれらの調査というものはきわめて多岐広範にわたっております。したがいまして、これらを中途の段階で公表するということになりますと、全体の調査の仕組みがはっきりのみ込めた上でごらんいただかないと、きわめて部分的なものはかえって物事をわかりにくくするというふうなこともございますし、また、先ほど来御答弁申し上げておりますように、物によってはまだ最終的な詰めまで立ち至っていない、鋭意取りまとめ中というふうなものもございます。したがって、現在やっております航空審議会等に対しましても、この問題についてはまだ十分な御説明をする段階に至っておりませんが、近く取りまとめたものに基づいて審議会にも御説明をしたいと思っておりますし、また、その際に使用いたします資料につきましては、これは従前の例にならってことごとく公表できるような形に持っていきたい、このように考えております。
  484. 西村章三

    西村(章)分科員 社会条件のうち、地元の経済あるいは産業に与える影響、特に地元産業はいろいろな角度から非常に重大な関心を寄せているわけでございますが、これらの調査資料というものはすでに公表されましたでしょうか。
  485. 松本操

    ○松本(操)政府委員 いま先生のおっしゃいましたような点は非常にむずかしい問題でございます。答えを先に申し上げますと、調査結果というものが公表されておりません。しからばどういう調査があるのかということになりますと、これはむしろこれから言うところの地域計画というものが詰まっていく過程において、従来雑多にございますいろいろな資料があるわけでございまして、そういうものの整理統合の中から答えが出てくるものではないだろうか、このように考えるわけでございます。ということは、空港が何せ沖合い五キロというところに位置決めをしておりますので、直接的に航空機の影響が陸岸部に及ぶということを原則としてはないようにしたいということでございます。そうは言うものの、これだけの大規模空港でございますから、何がしかの影響が陸岸部に及ぶことも避けられないわけでございます。したがって、どんなような影響が及ぶかという点については、私どもの方から積極的に、こういう影響があろうかと存ずるということはお示しし御相談しなければならない、それを受けてどういうふうに地域社会の中にそれを溶け込ませていくかという問題、大きな基幹的な問題につきましては国の方で考えるべきであろうかと思います。市町村に関します個々具体的の問題につきましては、むしろ地元の創意工夫というものが先行いたしまして、それに対して国がどこまで御協力できるかというふうな形で全体を具体化していくという方が筋でもあり、また実現可能性もあるのではないか、こんなように感じております。したがって、幾つかの仮定を置いて、こうすればああなるだろうというような数字をまとめてこれを皆さんにごらんに供するということをいまだしていないわけでございます。
  486. 西村章三

    西村(章)分科員 そうしますと、これは空港計画案あるいは環境アセスメントを地元へ提示の段階で一応すべて提示される、こういうことに理解をしていいわけでございますね。  私は、さらにお尋ねをしたいことは、いわゆるこの計画案そのもの、今年度末だとかあるいは若干ずれるとかいろいろといま取りざたされているわけでございますが、計画案そのものがすべて出そろうのはいつになるのか、今後の作業日程あるいは作業内容等の見通しをこの際聞かしていただきたいと思います。
  487. 松本操

    ○松本(操)政府委員 実はこのような席で間違いのない見通しを申し上げられるところまで日程等が詰め切れていない面がございますので、私どもの大体の推定ということでお聞き取りいただきたいのでございますが、当初は、五十四年度末までには空港計画案というものを取りまとめるようにいたしたいというふうに考えておったわけでございます。しかしながら、たとえば工法の問題について小委員会においていろいろと御議論を願っていく過程におきまして、いろいろと詰めなければならない問題が多いということも明らかになってまいりました。そういうふうなことから、現在のところではややまとめがおくれるのではないだろうか、このように考えておるわけでございますが、従来五、六月ごろには地元にお示しできるようにしたい、こう申しておったこともあったわけで、これがはなはだしくおくれるということがないようにはしたい、こういうことで鋭意いま努力をしておるという段階でございます。
  488. 西村章三

    西村(章)分科員 あと残っております計画案というのは何と何でございますか。
  489. 松本操

    ○松本(操)政府委員 いま私どもがつくらなければならないものは空港計画案、それから環境アセスメント評価案、それから特に地元の方で強い御要望のあります関連地域整備計画案、こういうことになるわけでございますが、その中で私が先ほどお答え申し上げましたのは空港計画案でございます。ただ、この空港計画案というものは、当然のことながらアセスメントの結果を踏まえてということになりますので、これは右、左バランスをとった議論になるかと思います。  地域整備にかかるものにつきましては、これもまた地元からは通称三位一体論などと申されておるわけでございますけれども、あるいは前の二つに比べると多少おくれてくっついていくということになるかもしれません。私どもといたしましては、地元のそういう御要望も十分承知はしておりますので、できる限り軌を一にして三つの案が御説明できるようにしたい、このようには考えております。
  490. 西村章三

    西村(章)分科員 空港計画案あるいは環境アセスメント評価案というものは同時でなくてはならぬことはもちろんでありますが、いまくしくも航空局長がおっしゃったように、地元にとりましてはやはり周辺地域整備計画、これをどうしても同時に提示をしてほしいという要望が非常に強いわけでございます。いまの説明によりますと若干おくれるやもしれぬということでございますが、最大限努力をしていただいて同時に提出できるようにしていただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。
  491. 松本操

    ○松本(操)政府委員 関連地域整備計画というものにつきましての考え方が、地元方々と私どもとの間でなお多少違いがあるいはあるように私は心配をしておるわけでございます。これが内陸空港の場合でございますと、空港を出ますとすぐその外側に密着して市民生活があるわけでございますけれども、いまわれわれが検討いたしております関西空港の場合には、沖合い五キロのところに、浮かすのか埋めるのかは別といたしまして、そういうところにできるわけでございますから、直接的に空港のすぐ近辺において周辺地域社会との接触を持つということでは必ずしもないだろう。けれどもそこにそれだけの能力を持った空港があるということは当然陸岸部に影響を及ぼす。したがって、陸岸部における地域計画というものの大筋というものは国の方でも決めていかなければならないだろう。特にこれは近畿圏整備計画の一部に当然入ってくる問題でもございますので、そういう意味からも大筋というものは国の方で考え地元の方にお示しし、御意見を伺うようにしなければいけないのじゃないか。ただ、個々具体的な議論になりますと、なかなかそこら辺のところはむずかしい問題が出てまいりますので、もし地元の方がそういった個々具体的の、かなり詰めたところまでを期待されるといたしますと、これは少し時間がかかるかもしれぬ。しかし、そうではなくて大筋の物の考え方あるいはアクセス問題のように、当然空港側において考えなければならない問題というふうなところにしぼるといたしますと、これは先ほどお答え申し上げましたように、できる限り三つがそろっていけるような努力を私どもしたい、このように思っております。
  492. 西村章三

    西村(章)分科員 同時提出ということを極力お願いをいたしたいと思います。  私は地域整備計画、これは大臣も冒頭に私がお尋ねをいたしましたらそのとおりだとおっしゃられましたように、地域社会に大きな変化をもたらすこの計画というものは、何よりもまず地域住民の納得と合意が必要だ、そのためには周辺の自治体や住民が空港建設の可否を判断するための豊富な材料というものが必要なわけであります。ところが、現時点におきましては、審議、研究するためのこの種の判断材料はまだまだ乏しいわけでありまして、調査内容の結果もすべてが公表されておるというものではございません。したがって、地元としては種々苦労しておるわけであります。特に最大の関心事、地元にとりましてはその一つの判断材料となりますものは公害がないということ、これはもうわかり切ったことでありますが、公害がないということ、そのためのアセスメントがどういうようなものであるか、もう一つは、周辺地域整備、いわゆる町づくりの方向がどのように展開をされていくのか、この整備計画が非常に重大な関心事になっておるわけであります。しかしこれがまだまだ明らかにされておらない。いまのお話によりますと若干その計画の提示もずれ込むかもわからぬということでありまして、これが不満の原因でもあります。  そこでお尋ねをいたしますけれども、この地域整備計画案につきましては、他省庁との連携による計画づくり、これが本格的に着手をされているのかどうか。実際にこれは鉄道あるいは道路というような交通アクセスだけではなしに、その他の大綱も含めて着手されているのかどうか、これが一点。それから、地域整備計画の作成及び取りまとめはどこが担当して、どこが作業するのか、これが二点目。三点目は、地元意見の吸い上げというものはどういう形で現在やられておるのか。三府県との事前の事務レベル折衝といいますか、こういうこともどこまで進んでいるのか。この三点についてまずお答えをいただきたいと思います。
  493. 松本操

    ○松本(操)政府委員 御質問の第一項と第三項は、実は私どもは非常に後ろ側でつながっているように思えてならないのでございます。つまり、地域整備についての関係省庁を打って一丸とした対応がいま行われるようになっているのかどうかということと、それからこの地元の意見というものが一体どういう形で吸い上げられつつあるのかということの問題でございます。なぜそういうふうな言い方をするかと申しますと、御案内のように、実はこの問題が議論をされますしばらく前から地元の多くの市その他におきまして空港についてのいろいろな御議論が行われて、現在のところでは無条件に真正面からこの空港を受け入れるという形にはなっていないのは御案内のとおりでございます。そこで、それの考え方を直していただくためには、やはり先ほど来何度も御議論の中に出てきております環境アセスメントの結果なり何なり、十分な判断材料というものを添えてお話し合いを始めなければならないわけで、それが始まらないと地元も正面切ってはなかなか対応ができない。そこで、今度は国の側に立ちますと、地元の側が正面切ってなかなか対応していただけないということが客観的な事実として残っておる段階で、国の方だけが先走るという形をとりますことは、えてして国先導型と申しますか、いかにも国が一方的に事柄を運んでいるのではないかという誤解を招くおそれも非常に大きいと思われるわけです。そこで、一項と三項とがうらはらと申しましたのは、中央でもそういった問題を、国のプロジェクトだ、さあやりましょうという形でまとめるのはちょっとやりにくいという面もあるし、逆に地元の方からは、早く持っていらっしゃい、こう言いながらも、それでは御意見をといっていまの段階でお伺いに行きますと、ちょっと正面切っては言いにくいということも私どもはよく理解できるわけでございます。そこで、いろいろと御議論はあるようでございますけれども、私どもは非公式の接触という形で中央官庁との間のお話し合いもしておりますし、地元とのお話し合いもしておるというのが実情でございます。しかし、いずれ空港計画の案というものはおいおい固まってまいりますから、それが固まってくるような時点になりましたときには、関係省庁に改めて十分にお願いをいたしまして正式の場というものを持っていかなければならないのではないか。どこが窓口になるかという議論も当然あるわけでございますけれども、先ほどちょっと触れましたように、関西空港計画及びこれに関連する地域計画というものは、大きな目で見ますと近畿圏整備計画の中に包含されてくる問題でもございますので、そういったような関連を十分に踏まえまして、しかるべき中央官庁に窓口的な役はお願いしながら全体的な意見を取りまとめていただく。それと同時に、地元とのいろいろなお話し合いというものも、ややいままでとは違った公式的な御意見を伺いながら案の修正に入っていくというふうな作業になるのではないか、それが一番スムーズな流れではないだろうか、このように思います。
  494. 西村章三

    西村(章)分科員 これは鶏が先か卵が先かということで、なかなかむずかしいのでありますが、地元としては、運輸省が中心になられましてそういう空港計画案をつくっておられる、必然的に運輸省が現時点で考えておられる地域整備計画といいますか、交通アクセスも含めて大綱を示してもらいたい、こういう希望が非常に強いわけです。それがなければ地元要望もなかなか出しにくい、こういうこともあるわけでございます。真正面から受け入れにくい立場だ、こうおっしゃるのですけれども、皆それぞれ関心が非常に深うございまして、自治体もそれなりの意向を持っております。この辺のところはスムーズにくみ取っていただくようにして、なるべく同時に提示をしていただきたいことをお願いをしておきたいと思います。地元の方でどこへ頼みに行くかということになりましても、いまおっしられましたようにまだ窓口が決まっておらないということでございますから、まず統一された窓口をつくっていただくように、運輸省としても中心的な役割りで早く実現をしていただきたい、こう思います。  それから、地域環境整備計画、私がこのことをなぜここまで申し上げるかといいますと、今回の新空港の計画案、その作成はすべて航空審議会の答申の線に基づいておやりになってこられた。当然のことながらこの答申というものを非常に尊重されて作成に携わってこられたと思うのですが、四十九年八月の答申の中で、空港と周辺地域社会との関係については次のように述べておるわけでございます。大臣もひとつよく聞いていただきたいのでありますが、すなわち、「空港とその周辺地域との関係については、これまで空港は概してその周辺地域と係りなく計画されがちであった。」こう反省をされて、続けて「空港の大型化と最近の社会情勢はこれを許さず、両者の調和ある発展を図ることが強く要求されている。」したがって「構想の段階から周辺地域社会との調和を図ることが極めて大切だと認識しなければならなかった。空港が周辺地域社会に受け入れられるためには、空港の立地が周辺地域に与える影響をあらかじめ十分に分析し、空港を地域社会の一要素として組み込んだ総合的な地域計画が策定されなければならない。」こう答申は述べております。これは明確にこううたっているわけであります。さらに、政府が計画決定するのは地域社会との合意が成立したときである、これが答申の基本的な考え方であります。したがって、計画案の地元提示が目前に迫っている今日の時点におきましても、この基本的な考え方は変わっておらないのかどうか、そのための地域整備計画をどう推進されるのか、この辺の決意を伺いたいと思います。
  495. 松本操

    ○松本(操)政府委員 いま先生から御指摘のありました四十九年の答申の中に書かれております一つの、あえて言えば哲学でございますが、これらは長い間の空港建設関連して起こってまいりましたいろいろな問題点を踏まえて出てきた結論だと私ども理解しておりますので、現在においてもこの考え方を変えるべきでないというふうに考えております。そういうことを踏まえて今後具体化をしていくわけでございますけれども、私がいろいろといままで御説明申し上げましたのは、基本的な考え方はいま仰せのところに背くものではございませんけれども、具体的な話になってまいりますと、国の方から一方的な計画をつくるということはきわめてむずかしいという面もございます。また、それぞれの市、町というふうなところに分けてまいりますと、相互のつながりというふうな点においていろいろと手落ちが出てくるというおそれもございます。そういう意味で、広域行政をつかさどっております府県単位あたりのところととっくりと御相談をしながら、地元の意見を十分に取り入れた形で基本的なラインができる、それにさらにあやをつけて細かな計画が仕上がっていくというふうな方向にぜひ持っていくべきである、このように考えております。
  496. 西村章三

    西村(章)分科員 そういう方向で、もう一つ欲を言えばというか、むしろ当然のことでありますが、財政措置も含めて御検討をいただき、よりよい計画を示していただきたいとお願いいたしておきます。  時間がありませんが、最後に騒音問題についてお伺いいたします。  すでに飛行経路が明らかにされておりますが、建設予定地の隣接町であります泉南郡岬町、ここでは昨年の二回にわたる実機飛行、騒音調査の結果、沿岸部で約七十七ホンの測定値が出ました。住民にとってはきわめて重大な脅威であります。公害のない空港という建設目的からも、決して容認のできるものではございません。しかも、将来年二十六万回から二十七万回の発着回数を持つということになりますと、単純計算で昼夜おしなべて二分間に一機飛ぶ、こういうことになるわけであります。この際、空港の将来のためにも飛行経路の変更なりもしくは海上五キロという空港位置そのものも含めてこの騒音を除去する、そのための検討をしていただきたいと思うのでありますが、いかがでございましょうか。
  497. 松本操

    ○松本(操)政府委員 仰せのとおり昨年二回にわたって行いました実機飛行の結果、岬町において七十ないし最高七十七ホンを記録したわけでございます。環境基準として環境庁から出されておりますWECPNLに換算いたしますと、これは非常に小さな数字になるわけですけれども、しかし現実問題としてバックグラウンドノイズの非常に低いところでございますので、やはり真剣に考えてみなければならない問題だと思います。  ただ、このテストそのものが十分な無線標識などが置き得ない状態実施をいたしておりますので、必ずこのとおり飛行機が実際の場合にも飛ぶということではございません。ございませんけれども、いまおっしゃいましたように非常に大事な問題だと思いますので、現在審議会でいろいろもんでおります中に、こういった飛行経路等の問題も改めて篤と御議論願って、こういった点で悔いを残さない形での最終結論を得るように努力したい、こう考えております。
  498. 西村章三

    西村(章)分科員 いろいろとその理由があるだろうと思うのですが、住民ははだでこれを感じておるわけであります。いわば非常に恐怖を感じております。この際、住民の切実な要求としてぜひこれを受けとめていただいて前向きで検討し直していただきたい。再検討することを約束していただきたいと思います。局長、ひとつ答えていただけませんか。
  499. 松本操

    ○松本(操)政府委員 この問題につきましては、岬町の町長あるいは議会議長からも文書をもってお申し越しがあったわけでございますので、いまおっしゃいましたように真剣に取り組むようにいたしたい、こう思います。
  500. 西村章三

    西村(章)分科員 最後に私は大臣要望したいのでありますけれども、当初この新空港は公害のない空港ということから実は出発をしておるわけであります。しかし、最近の一連の動きから判断をいたしておりますと、どうも運輸省は効率性のみを追い過ぎておる、そこに重点を置き過ぎておる、こういう感じがしてなりません。効率のみを追い過ぎると、当初目的がどうしても見失われがちになる。私はこの際強く反省を求めたいと思いますし、より地元の意向を組み入れた計画案づくりに今後も努力されるように要望し、大臣の答弁を求めて私の質問を終わりたいと思います。
  501. 地崎宇三郎

    ○地崎国務大臣 現時点におきまして飛行機の騒音が出ないということは実はないわけでございまして、必ず騒音が出るわけであります。しかし、その点について地域住民は大変な公害を与えられて、迷惑を受けているという状態でございますので、先ほど来航空局長が御答弁申し上げましたように、できるだけ騒音のない、住民が安心して生活のできるような対策を講じてまいりたい、かように存じております。
  502. 西村章三

    西村(章)分科員 終わります。
  503. 兒玉末男

    兒玉主査代理 以上で西村章三君の質疑は終了いたしました。  次に、鍛冶清君。
  504. 鍛冶清

    鍛冶分科員 鍛冶でございます。  朝からの長い質疑を続けられた中で、大臣もまた当局の方々もお疲れと思いますが、私どもにとりましては大切な問題でございますので、御答弁をお願いをいたしたいと思います。  空港問題と国鉄問題について御質問をするわけですが、最初に新北九州空港建設の問題について、昨年に引き続いて御質問を申し上げたいと思います。航空局長には昨年に引き続いての御答弁を願うわけでございますが、それだけ地元の方がこの問題につきましては大変な熱意とそれから情熱を傾ける中で、何とか早く建設をしていただきたい、こういう熱意がこういう形で引き続いての質問としてあらわれたのだというふうに御理解をいただいて、ひとつ前向きに御答弁をお願いをいたしたいと思います。  最初に、昨年答弁をいただきまして、その中でいろいろと難点の御指摘もいただいたわけでありますが、その後地元の対応も進んでまいっておりますので、それらを踏まえながらお尋ねをするわけです。YS11機は昭和六十五年にはリタイアされる、こういうふうにされておるようでありますけれども、現北九州空港は二種空港で、国が管理されておる空港でもございますし、さらに昨年答弁がございましたように、航空旅客需要というものは、運輸当局の調査の中でも昭和六十年で二百八十一万人、それから昭和六十五年で四百七十九万人、こういうふうな調査の結果が予測として報告をされておるわけでありますけれども、どんなに遅くてもこのリタイアの時点では北九州空港もジェット機が発着できる空港として整備が必要である、こういうふうに思うわけでございますが、この点について最初お尋ねをいたしたいと思います。
  505. 松本操

    ○松本(操)政府委員 まず第一の点の、YSの今後のありようでございますけれども、御案内のように生産がとまりましてから、実はこれに匹敵するようなターボプロップ機はどこもつくっておりません。したがって、現在手に入るであろうと考えられます機材をいろいろと物色してみた限りにおいて、YSがなくなった後の機材というものはどうしてもジェット機にならざるを得ないだろう。そのジェット機につきましても、現在非常に短い滑走距離で離着陸できる飛行機というものが研究され始めておりますけれども、経済的に本当にこれがペイするかどうかということを見きわめるのにはまだまだしばらく時間がかかるのではないか。したがって、常識的な結論として出てまいりますのは、やはり今後十年ぐらいたってYSが完全にリタイアをするというようなときが来れば、それ以降はやはりジェット対応の空港がないと困るのではないか。ただ、その空港の必要性、そこに空港が要るのか要らないのかという議論がまた別途あるわけでございますが、もし要るのだということになるとすれば、それはやはり二千メートル程度の滑走路を持ったジェット対応の空港ということに脱皮をしていかないといかぬのではないだろうか、これがきわめて常識的のように聞こえるわけでございますけれども、現時点において私どもが持っておる考え方の流れでございます。  したがって、今後の問題として考えていきました場合に、北九州空港というものが百万都市を身近に抱えている空港として今後の需要の伸びがどうなるであろうか。先ほど先生仰せられました数字は私どものはじいた数字でございますので、それはそれなりに意味のある数字であると思っておりますが、しかしここ一、二年のいろいろな社会情勢の動き等も踏まえて、いま私どもとしてはいろいろと見直しをしようかという段階でございます。したがって、そういったような基礎的な数字というものをもう一度積み上げ直してみまして、その上に立って考えていかなければならないと思いますけれども、非常にラフな見通しをもしお許しいただけるならば、やはり北九州地区にジェット空港が必要になってくるのではないだろうかということは言えるのではないか、こう考えております。
  506. 鍛冶清

    鍛冶分科員 そこで、昨年はやはり航空局長から四つの難点、それは一つは空域調整の問題です。二つ目は位置それから形状の問題について、それから三番目には漁業関係者とのコンセンサスの問題、それから四番目には陸地とのアクセスの問題、こういったおよそ四点についてむずかしい点が建設に当たってあるのだというふうな御答弁をいただいたわけでありますけれども、空域の調整問題を除きましては、地元でも非常に真剣に取り組みまして、昨年末、十二月に新北九州空港構想案というものをつくり上げて、運輸省にもお出しして御相談をしたというふうに聞いておるわけでございますが、この内容について運輸省航空局の方でどういうお考えをお持ちであるか、お尋ねをいたしたいと思います。
  507. 松本操

    ○松本(操)政府委員 まだ私どもの勉強が十分に行き届いたというわけでございませんので、このような席でこれが運輸省の結論ですと申し上げるのは差し控えさせていただきたいと思いますが、しかし、いただきました図面をもとにうちの専門家がいろいろと議論をした中間的な考えとしては、空港を設置することそのものは可能であろう。ただ、正確な名前をいま私ちょっと記憶しておりませんが、残土処理場があるわけです。あの残土処理場との関連性というものはもう少し詰めないといかぬのではないだろうかという問題点があるようでございます。  それから空域の問題については、これはやはり依然として大きな問題でございます。周辺に四つの空港があり、とりわけそのうちの二つはジェット空港でございますので、その真ん中にまたもう一つジェット空港ができてくるということは、相当長大広域な空域というものが必要になってまいりますので、果たして将来の発展というものまで見込んだ形でこの空域のコントロールができるのだろうか。それには位置あるいは滑走路の向き、こういったようなものをどうすればいいのかというあたりのところは、これは技術的にかなり突っ込んだ勉強をしないと、簡単な結論を出すのは非常に危険ではないだろうかというのが、ざっとした答えで恐縮でございますけれども、昨年図面を地元からいただいての一応の私ども考えでございます。
  508. 鍛冶清

    鍛冶分科員 そこで、四つの難点の中では、いま出ました空域調整の問題、これはもう昨年の御答弁の中で、この件については「私どもが対応していかなければならない問題だと思います」、こういった局長からの御答弁をいただいておるわけでありますが、この空域調整問題につきましては、おっしゃるように本当に地元ではできる問題でもございません。いまの御答弁の中にありましたように、四つの空港に囲まれて大変な状況であるとは思いますが、この問題については本年一月から航空局の方で取り組むといったようなお話があるかのように私承っておるわけでございますけれども、この空域調整の問題についてどのような対応をなさっておられるのか、またしようとしておられるのか、この点お聞かせを願いたいと思います。
  509. 松本操

    ○松本(操)政府委員 まだ固め切ったわけではないのでございますけれども、構想の一つといたしまして、五十五年度にこの問題を少し調査をしてみようかなということをいま検討しておるという段階でございます。
  510. 鍛冶清

    鍛冶分科員 これはひとつ直ちに取り組みをいただいて、調整に入っていただきたいというのが私どもの、また地元の皆さんの熱烈な考えでございますので、その点をお含みの上で空域調整についてはなるべく早くやっていただきたい、こういうふうに思うのですが、五十五年度にはというふうにお話がございました。こういうことまでお尋ねしてはっきりしたお答えが出るかどうかわかりませんが、具体的には、早く調整をいただいて次の計画の中にもというふうに私ども思っておるわけでございますが、これは急いで調整いただいたとして大体どの程度までかかるものか、差し支えなければお聞かせを願いたいと思います。
  511. 松本操

    ○松本(操)政府委員 私もこの方面の専門家ではございませんのでちょっと正確なお答えをいたしかねるのでございますが、見聞きしております限りでは相当の難問だということを私聞かされております。ということは、やはりかなりの手段を講じてかつかなりの時間をかけないと満足できるような答えは出てこないのかな、こう思っておりますが、それがどのくらいというところまではお答えできる段階でございません。
  512. 鍛冶清

    鍛冶分科員 これも昨年、第三次空港整備計画は四年目を終わる時点で、微細な点、具体的な点で現計画との乖離が出始めている、こういう認識のもとに航空審議会に諮問して新たな長期計画の策定を急いでいる、こういうふうにお答えをいただいたわけでありますが、この内容は具体的には第四次空港整備計画を策定しようということであろうと思いますけれども、この決定の時期が若干ずれてきたと聞いておりますが、この点いつごろ詰めがなされ、どういうふうな形で発表されていくのか、時期的にどういうふうになるのか、こういった詰めのことについて、これも差し支えなければお聞かせを願いたいと思います。
  513. 松本操

    ○松本(操)政府委員 第四次の長期計画につきましては、去年お答えしましたとおり、その後検討を詰めて一案を物したわけでございますけれども、政府全体の財政事情等もございまして日の目を見るに至りませんでした。そこで現在私どもといたしましてはまた新規まき直しの形で、個々の具体的なデータの詰め直しから取りかかっておるわけでございます。したがって、こういったものの作業はそういった具体的な数字を詰めながら航空審議会の方にいろいろとデータを提供いたしまして、そこの審議を踏まえて結論を求めていくという段階になろうかと思います。この時点でいつごろまでにどんな形にというところまで申し上げるような状態にまだ達しておらないわけでございます。通常これらの長期計画をまとめていくときと似たり寄ったりでいけるのではないだろうかというふうには考えております。
  514. 鍛冶清

    鍛冶分科員 最終的にこれが発表できるというのは、大体本年度中になるのか来年度に入るのか、そこらあたりの感触はいかがでございましょうか。
  515. 松本操

    ○松本(操)政府委員 第四次の、長期計画がもし私どもの希望どおり成り立つといたしました場合、非常に早い時期をとらえましても今年度ではございませんで、来年度、つまり五十五年度の末かあるいは五十六年度に入ってからかというあたりのところではございませんでしょうか。むしろ後ろの方へいく可能性の方が高いような気もいたします。
  516. 鍛冶清

    鍛冶分科員 YS機のリタイアの時期を考えますと、私どもといたしましては、新北九州空港の建設整備につきましてはいま話に出ました第四次の空港整備計画の中にぜひ入れていただきたいし、そうしないと間に合わないのではないかというふうな気もいたしておるわけでございますが、これについてぜひ計画の中に入れていただきたい、この件についてお答えをいただきたいと思います。
  517. 松本操

    ○松本(操)政府委員 四次空整そのものは、先ほど御説明申し上げましたようにいまやっと個々の要素の見直しに手をつけた段階でございますので、具体的な空港ごとの計画についてあれが入るであろうとか入らないであろうとか言えるような段階で全くございません。しかし、いまいろいろとそういった点について強い御希望のありましたことは十分に承っておきたいと思います。
  518. 鍛冶清

    鍛冶分科員 新北九州空港の問題はこれで最後にいたしたいと思いますが、以上の質疑を踏まえまして大臣には御要望を兼ねて最終的な御決意をお答えいただきたいのです。  新北九州空港の建設はいま申し上げましたように地元でも大変熱望しておりますし、運輸省調査でも航空旅客需要も相当あるというようなことでもございますし、ぜひとも早期にこれの建設お願いいたしたい、こう思うわけでございますが、この点について大臣の御答弁をお願いいたします。
  519. 地崎宇三郎

    ○地崎国務大臣 先生と航空局長の応酬を伺っておりまして私感じますのは、飛行機の運航上で一番大切なのは空域の問題でなかろうかと思います。まずこの空域の問題が処理できたときに初めて建設が進めていかれるのではなかろうかと思います。そのほかに三つ四つ問題点もあるようでございますけれども、まず一番大切なのは空域の問題解決、これが最初の問題でなかろうかと私は思いますので、この点をよく詰めて対処してまいりたいと思います。
  520. 鍛冶清

    鍛冶分科員 航空局の皆さんには大変ありがとうございました。  続きまして国鉄関係に移りたいと思いますのでよろしくお願いいたします。  最初に新幹線の小倉−博多駅間の乗降についてお尋ねをしたいのでありますが、「ひかり」は御承知のように指定席は指定席券が要るわけでございます。新幹線の小倉−博多間は、御承知のようにこの区間を利用する客が非常に多い、また定期を利用してもいいということで、特にこれを通勤等に利用している客も多いわけでございます。普通いま申し上げた定期券かまたは回数券か自由席切符というものを利用しているわけでございますけれども、これによりますと「ひかり」については当然自由席乗車ということになるわけです。これは大変厚かましいお願いかもわかりませんが、この「ひかり」というのは十六両編成で一号車から四号車までが自由席でございますから一番端になるわけでありますけれども、小倉と博多につきましてはちょうど出礼口への出入り口の階段が中央部にございまして、そこまで歩いていくのにちょっと距離があるわけです。だからというわけでもございませんけれども、その折に「ひかり」の指定席の横を通っていくわけでありますが、大変空席が目立つことが多いわけです。そういう場合に利用している人たちから出ますのは、せっかくの空席だし次は終点でもあるというようなことで、小倉なんかで乗る場合に空席を利用させてもらえないかというような声がずいぶんあるわけですが、国鉄のサービスの向上というと大変手前勝手な言い分になるかもしれませんけれども、この小倉−博多間に限っては上り下りとも空席があれば自由席券でも定期券でも座っていいというような形がとれないものか。現実に「こだま」はどこでも自由席ですから乗れるわけですけれども、上下両方三十一本ずつございます中で、「こだま」は下りにつきましては六本、それから上りにつきましては五本ですか、それぐらいしかございませんで、ほとんどが「ひかり」ということになっております。そういう意味からもぜひ利用客のためにも乗車を認めていただくわけにいかないか、この点についてお尋ねをいたします。
  521. 吉武秀夫

    ○吉武説明員 新幹線の小倉−博多間におきまして、かなりすいておることは事実でございます。御案内のように新幹線、東京から博多までかなり長い距離を運行しておりまして、どうしても東海道線の中が非常に込んでおります。それから順次岡山、広島とすいてまいりまして、それなりに本数もいろいろ考えてやっておるのでございますが、やはり一番西の方に行くとすいておるというのが実態でございます。そこで、いまお話しのように指定席の方に定期券なり何なりで乗れないのか、こういうお話があるわけですが、実は定期券で新幹線を御利用いただくというのは、先年初めて試みたわけでありまして、現在御利用のお客様が一日に約三百人ぐらいでございます。それはそれなりに大変ありがたいと思っておりますが、やはり指定席と自由席の場合は料金も違いますし、確かにそういったすいておるじゃないかということはございますかもしれませんが、料金差によって整理の問題とかあるいは料金が違うということに対しての公平感、不公平感というものもございますので、ただいまのところは四両の自由席の方にお乗りいただくということはお守りいただきたいとわれわれは考えておるわけでございます。
  522. 鍛冶清

    鍛冶分科員 この問題は要望にとどめますが、ひとついま申し上げたような実情を再度状況把握もいただいて、できるだけ指定席にも、あいておるのならば乗っても結構ですよという形を上下ともぜひおやりになる方向でお詰めを願えればというふうに思いますので、どうかよろしくお願いをいたします。  引き続きまして、門司鉄道管理局総合庁舎の新築問題でお尋ねをいたしたいと思います。御承知と思いますけれども、現在の門司鉄道管理局の庁舎は非常に老朽化いたしておりますし、狭隘化、さらに庁舎が分散しておるという状況にございます。聞くところによりますと、大半が明治、大正に建てられたものである。また新しいものでも昭和二十年以前に建てられたものであるというふうにも伺っておりますが、こういう意味から地元でもぜひ建てかえをやってほしいというような意向が、特に分散したものを一つにまとめてやることによって地域の都市計画もきちっと整備されてまいりますし、欲しいという声が強いわけでございますけれども、建てかえについてまず国鉄当局の御意見を伺いたいと思います。
  523. 半谷哲夫

    ○半谷説明員 国鉄の局庁舎を初めといたしまして、現場の諸建物も大分老朽化いたしまして、もう建てかえなければいけないというものが大分あるわけでございます。たくさんあるのでありますけれども、現在の国鉄予算事情と申し上げますか、財政事情と申し上げますか、非常に厳しい状況下にありまして、その中での予算事情を見ながら緊急度の高いものから取りかえを実施しているというのが実情でございます。  この門司局の庁舎につきましても、いまお話がありましたように非常に分散して使い勝手が不便である、また老朽化している、狭隘でもあるということは現地でも問題になっておるわけでございまして、この改築計画についても、いまいろいろ検討はいたされておるわけでございますが、今後予算事情等を見ながら、この実施の時期等については検討していきたいというふうに考えておるのが実情でございます。
  524. 鍛冶清

    鍛冶分科員 いまの御答弁では、時期は別としましてやはり建てかえは必要だということだと思いますが、それを再度御確認をいたしたいということと、それから建てる位置について地元でいろいろ議論があるわけです。一度、何年か前に小倉の方にという話もございましたし、博多という話もちらっとしたこともあるようでありますけれども、やはり何といっても地元に長年ありましたし、土地もございますし、地元のわれわれとしましてはぜひ現位置に建てかえるとすれば建てかえていただきたい、こういう要望が強いわけでございますが、この二点についてお尋ねをいたします。
  525. 半谷哲夫

    ○半谷説明員 現在の門司局庁舎の現状から見ましていつかの時期に、それもなるべく早い時期に改築する必要があるだろうということは考えている点でございます。時期につきましては、いまのような予算事情でありますので、これを見ながら決定していくことになろうかと思います。  それから、いまお尋ね建設位置の問題でございますが、これも含めて現在検討しているわけでありますけれども地元方々から現在の位置で建てかえてほしいという強い御要望があるということは、本社においてもよく聞いております。そういうことを考慮いたしまして今後検討していきたいというふうに考えております。
  526. 鍛冶清

    鍛冶分科員 あの近くに税関、それから海上保安部、検疫所等、総合庁舎が新しく建てかわりまして地域整備の一環としてできておるわけです。あと残るのは、管理局のございます建物の周辺というのは非常に交通渋滞とかいろいろなこともございまして、あの分散いたしております国鉄の庁舎を総合して現位置に建てかえると相当空地もできてまいりますが、これは国鉄用地ですからこっちが勝手にどうこうと言うわけではございませんけれども、市の方としても当局の意向なんか聞いてみますと、ぜひあそこを建てかえることによって空地を利用して——あそこは町としての体裁から言っても大変よくありませんし、機能の上から言ってもよくございませんし、車なんか渋滞もいたしますので、そういったものを含めて地域の再開発をしたい、これはいまが時期でもあるしぜひやりたいということで当局はお考えがあるようです。  それから、地元にも門鉄局総合庁舎早期着工促進期成会というようなものもできておりますし、また門司発展振興促進会、こういうような、地元住民の皆さんの熱意の盛り上がりの中からそういう組織もいまできておりまして、門鉄当局にもそういう陳情を申し上げておるようです。こういった意味から、門鉄当局ではまあ現位置が最適ではないかというふうな感触のお答えがあるようでございますけれども、そういう、現位置においてぜひ建てかえてほしいということが強いわけでございまして、なるべく早く現位置にやっていただきたいと思いますが、この点について再度お答えをいただきたいと思います。
  527. 半谷哲夫

    ○半谷説明員 ただいまお話しのございました土地の高度利用といいますか、確かに現在の土地の使い方は決して高度に利用されているという状況ではないと思います。したがいまして、建てかえ計画を私どもの方で検討するということになりますと、当然現状に見合って高度に土地を利用するということは考えなければいけないことでありますし、その際に出てまいります余剰余地といいますか、そういったものにつきましては、私どもとしてはいま関連事業による収入も一つの大きな収入の柱として立てておりますので、その面についても大いに知恵を出し努力しなければいけないと考えておる次第であります。  ただその場合に、やはり地域方々との協調が大事でございまして、そういう場合には地域方々の御意見も承らなければいけませんし、また御協力もいただかなければいけないのではないだろうかと考えております。
  528. 鍛冶清

    鍛冶分科員 この件はまた最後に大臣に御答弁いただくといたしまして、時間もございませんので、次に、日豊本線の行橋駅改築問題でお尋ねをいたします。  これは明治二十八年に建てた建物で、駅前広場も二千平米弱のようです。ここに写真も持ってきてありますが、これは時間もございませんので……。タクシーがとまり、バスがUターンするだけであそこの広場がいっぱいで人が通るのに難渋をする。また自転車の置き場すらないというようなことで大変な問題になっておりますし、あの駅をはさんで鉄道が行っておるので、それの前側と後ろ側とで行橋市が区切られているような感じもございまして、最近北九州市のベッドタウン化で非常に人口もふえてきておる。駅の裏の方にも家が立て込んできたというようなことで改築、改築というよりは橋上駅にするか高架駅にするかということで、昨年の特に後半から世論が盛り上がってまいりました。特に地元の方にも期成会ができて署名活動も始まってみたり、また、地元住民の熱意のある方から五階建ての橋上駅案というのも提示があって、門鉄局の方に陳情も申し上げておるようです。  そういう動きの中で、市当局もいろいろ真剣な検討の段階に入って、これはいろいろなところから勘案をしまして高架駅が一番いいのではないか。その一つの理由としては、昨年大水があったときに行橋市の河川がはんらんをいたしまして、これを五カ年計画で改造するということでいまその計画に入っているわけでありますが、その中でたしか長峡川という名前でしたか、その川に鉄橋がかかっていますけれども、堤防のかさ上げというようなことも考えられておるわけでございまして、そのときに鉄橋も持ち上がるんじゃないかというようなことから、相当広範囲にわたりますけれども、行橋駅の高層化ということを中心として都市計画を行う計画のもとに駅付近の整備をやりたいというようなことで、実は大変に盛り上がってきておる。県の方でも、昨年十二月の議会でしょうか、問題になりまして、質問が交わされた中で、県知事も、都市計画を含めて高架駅として取り組むというふうな姿勢の発表もあったわけでございますが、地元のそういう動きに対応して国鉄当局にもぜひ御協力をお願いしたいというわけでございますが、この件についてお答えをいただきたいと思います。
  529. 半谷哲夫

    ○半谷説明員 行橋の現在の駅本屋の状況でありますが、いま御指摘のとおり経年相当たっておりまして、老朽化してしまったものでございます。先ほども申し上げましたように、駅本屋の取りかえというものも年々少しずつやっているのでありますが、なかなかそう大幅に取りかえ予算をとるというわけにもいきませんので、進み方が思うようにならぬというのが実情でございます。  行橋につきましても、いろいろ今後改築については検討しないといけないと思うのでありますが、いまお話のありましたように、高架駅にするかというお話地元で出ているやに承っております。実は駅を高架にするということになりますと、前後の線路も当然高架にしないといけないわけでありまして、そうなりますと、建設省運輸省の間で取り交わされました高架化に関する協定というのがございまして、それに基づいて都市計画決定をし費用の分担をして実施するということでございまして、これについては道路管理者であります都市側との協調が大事でありまして、その辺について今後地元の都市計画としてどのように御検討なさるのか、その段階で私どもの方も御協議に応じていきたいと考えております。予算事情が非常に厳しいのでなかなか思うように進まないのが実情でございますが、まあこの都市計画高架化ということになりますと、踏切の廃止にもつながる安全上の問題も当然入ってくるものでありますので、それなりに対応してまいりたいと考えております。
  530. 鍛冶清

    鍛冶分科員 時間も参りましたので、最後に大臣にお答えいただきたいのですが、行橋駅の問題につきましてはひとつ要望いたしておきますが、地元で最良の案を持って御相談に参ると思います。門鉄局も検討して御協力したいというようなコメントがあったようでございますが、国鉄当局としましても御協力をお願いしたいと思います。  大臣に、先ほどの門司鉄道管理局の問題でございますが、これは国鉄職員の方が住むところということで大変遠慮して、今日の赤字続きの中でサービスの面に直接つながらないというようなお考えもあるかのように承っておりまして、大変遠慮されているようであります。私どもとしてはこれは絶対サービスにつながると思う。私もあそこに用事があって行ったことがありますが、施設部を訪ねるのにずいぶんあちこちちうろうろしてようやく探し当てて行ったというようなこともございまして、これは市民の方が来られたときに、相当出入りされているわけですが、なれればともかく、大変これは不便だな、これが一つになればサービスにつながるなと思ったわけです。  さらには、さっき申し上げましたように、あの空地を利用して、あそこのところは門司港としては一番中心のところでございますから、きちっと整備をされますと、これは非常にサービス満点の形で整備ができるということで、住民サービスには力強く寄与できるものである、私どもこういう認識に立っております。大臣には、そういったいままでのいろいろの御質問を通じて、この建てかえについては早急にやっていただくようにお願いしたいわけですが、最後に大臣のお答えを聞いて質問を終わりたいと思います。
  531. 地崎宇三郎

    ○地崎国務大臣 貧乏国鉄、赤字国鉄でございまして、国民の税金を莫大に投じておるような内容でございますので、私の方からどんどん新しく設備投資をしろというような指示はなかなかしにくいわけでありますけれども、いま先生おっしゃいますように、サービスという面は国鉄も今後再建のために十分考えていかなければならないわけでありますから、その面を考えながら相談をしてまいりたいと思います。
  532. 兒玉末男

    兒玉主査代理 以上で鍛冶清君の質疑は終了いたしました。  次に、村上弘君。
  533. 村上弘

    村上(弘)分科員 大臣も連続で大変ですが、引き続きがんばっていただいて、真剣な御答弁をお願いしたいと思います。  私は、大阪の現にある空港、新空港でなくて大阪空港の周辺対策、特に民家が移転して跡地がどんどんできている、そこの町づくりが大変おくれておるわけですが、この問題についてお伺いしたいと思うわけです。  大臣も御承知のように、関西では、財界や政府が新空港づくりにいまや大いに熱を上げているというような状況でありまして、現空港対策というものが非常に影が薄くなっている。単にマスコミや政治の面で薄くなっておるだけじゃないのですね。実際に運輸省の態度が消極的になってきているのじゃないか。たとえば大臣承知のように、大阪空港の周辺整備計画のための調査計画委員会というのがありまして、その下に住民参加、学識経験者も参加している策定協議会というのがあるのです。これは非常に大事な機構なんですが、いままでは毎月一回開かれてきていたわけですけれども、ことしに入ってから開催を延ばしたいというようなことが通告される。これは改められたわけではありますが、しかし、こういうことから、関係住民や自治体は、大阪空港の周辺対策がだんだん消極的に扱われ、放置されていくのじゃないか、こういう危惧を持っているわけです。  私がこの問題で一番はっきりさせておかなくてはならぬと思いますことは、新空港の建設問題と現空港の対策の相互の関係、その位置づけといいますか、これに対する政府や運輸省の姿勢というものをはっきりさせておく必要があると思うわけです。  政府は、新空港の建設の問題については、関係自治体の合意の上にやるとか、あるいは周辺住民の意思を尊重するということを言ってきているわけです。しかし、もしそうであるならば、現空港の周辺の住民や自治体の意向を何よりも重視しなくてはならないということ、絶対におろそかにしてはならぬということがあると思うのです。なぜならば、新空港の建設問題というのは、もともとは現空港の公害対策から出発しているわけですね。新空港建設問題の原点はいわば現空港の公害問題であるとも言っていいと思うのです。したがって、現在の大阪空港の発生源対策だとか、あるいは周辺の整備だとか、さらには移転跡地の町づくり、こういう問題にどれだけ政府や運輸省が真剣になるかということが、実は新空港をつくる際に関係自治体住民の意思を尊重してやるかどうかの尺度になる。また、新空港の地域人たちもそう思っているわけです。そういうわけで、新空港問題が重要な局面を迎えるようになればなるほど、現空港対策がどのようであったか、現にどうなっているか、これからどうしようとしているか、結局われわれ住民がどうされるのかということに大いに注目しているわけです。  いま新空港の方では、いままでも論議があったようですが、周辺地帯は人口の増加に伴う公共施設建設問題であるとか、あるいは交通量が二倍にも三倍にもなるだろうという問題やら、一日七百回を超える航空機の離着陸問題などの大気汚染、あるいは一体この地域整備計画はどうなるのか、浮体工法がよいか埋め立て工法がよいか、これは大企業などの利害も絡んでさまざまな論議がやられておるようでありますけれども、どちらであっても建設公害はつきものですね。それは一体どうなのか。こういう問題は新空港の人たちにとっていま重大関心のある問題ですが、現空港の周辺の住民や自治体にとっては、多かれ少なかれ過去も現在も共通して抱えてきた問題です。ですから、現空港対策がいまどれだけ真剣にやられているかということが、新空港対策に対して住民はどのように考えてよいかという尺度にもなるわけです。  そういう立場から、私は大臣に最初に確認しておきたいわけですけれども、この新空港建設問題の原点である現空港対策を政府や運輸省はあくまでも重視する、堅持する、最後までやり抜く、こういう立場であるかどうか。  私は昨年十二月に地元の現空港と新空港の地域の府会議員と一緒に運輸省に申し入れに行きました。そのときに中村事務次官は、こういう問題に対してどういう態度をとるのかという私の問いに対しては、現空港対策をおざなりにして新空港を進めるようなことは考えていない、それから、新空港については住民の合意なしに着工するようなことはしない、こういうことを言われたわけです。あたりまえのことだとも思うわけですけれども、これは非常に重要な問題だと思うわけです。そういう点で現空港対策、いまこの局面で新たに重視する、先ほど言いましたあくまでも最後までやり抜くかどうかという問題と、絶対に置き去りにはしないという事務次官の答弁に対して、大臣はどういう考えなのか、同じ態度であるかどうか、これを最初にお聞きしておきたいと思うわけです。
  534. 地崎宇三郎

    ○地崎国務大臣 新空港建設に関しましても地元住民の御理解を得ながら進めていかなければならないということでございます。その際に、現空港に対してのいままでの環境対策その他騒音対策、こういうものに対して十分な努力をいたしませんと、当然先生おっしゃるように、新空港の地域方々にも賛成を得られないことになりますので、従来も行ってまいりました現空港対策を積極的に進めてまいらなければならない、かように判断しております。
  535. 村上弘

    村上(弘)分科員 置き去りにするようなことは絶対にしないということも確認されますか。
  536. 地崎宇三郎

    ○地崎国務大臣 そのつもりでおります。
  537. 村上弘

    村上(弘)分科員 いまの大臣のお言葉をしかと確認をして参りたいと思います。  もしそうであるならば、現空港対策の中で町づくりの問題が大変おくれているということについて、改めて指摘しなければならぬと思うのです。なるほど騒音防止法による周辺整備——周辺整備というのは主に移転補償だとか、移転する人たちのための共同住宅建設だとか、民家防音工事だとかいうことなんですね。これは大体進んでいっているのです。もちろん、借地人や借家人が地主さんや家主さんの同意を得なければ防音工事すらなかなかしてもらえぬとか、移転補償が実態に合わなくて引っ越ししたくても実際には動けないとか、こういう深刻な問題が依然としてありますけれども、しかし、現に移転がある程度進んでいる、その跡地をどうするかという町づくりが、いまや深刻な問題になってきているわけです。昭和五十三年の末で大阪府と兵庫県の地域の合計で二千五十世帯が移転しています。一世帯平均三・五人にしますと六千二百人というふうなことになりますが、これは、騒音防止法に基づく周辺整備、つまり移転や民家防音工事が進めば進むほど実は町は荒廃していくわけです。跡地が歯抜けのようにできていくわけです。  大臣は現地を御存じないかもしれませんから、ひとつ地図を持ってきました。  これが空港です。この黒く塗ってあるところが立ち退いた跡の歯抜けのようになっている町の姿です。これは主に豊中地域になるのですが、一中学校区域で千五百世帯以上、広さにして約三十万平米以上の跡地ができているわけです。そこで、赤でちょっと囲んだところがあるでしょう。利倉東二丁目の地域を見ますと、昭和四十八年、いまから七年前には三百世帯、八百八十五人住んでおられましたが、去年は二百六世帯の六百四人、三分の一は減っているわけです。それから服部西町五丁目、それには四丁目のところしか出ていませんが、ここは五年前の昭和四十九年の十二月末で五百十九世帯、千五百八十九名おられましたが、昨年末には二百九十八世帯、九百十五人、大体半分になっているのです。そうして、大阪、兵庫合わせて、その移転跡地の九割、約五十万平米以上が何も整備されていないのですよ。ただ金網で囲まれているのです。その中は、ペンペングサが生えている、ごみはたまっている、野良犬が徘徊している、こういう状態です。もともとあった集落から家が抜けるわけですから町の体をなさないわけです。  ある町の自治会の役員さんは、長い間お世話をしてきたけれども、もうせいがない、いずれこの自治会も解散に追い込まれるであろう、こう嘆いているわけです。そして、その地域に残っている地元商人の九七%は売り上げが減っている。九割近い商店は営業がまるっきり成り立たない。散髪屋さん、美容店、飲食店、特にそういう種類の商店や各種の小売店は、移転するたびに家が引き倒されるのです、それで金鋼で囲まれるわけです、それを見てはため息をついている、こういう状態です。最近非常に深刻になったのはおふろ屋さんですね。三軒のうち二軒が閉店してしまった。その地域は借家やアパート住まいの方が多いわけで、おふろに行けないのですね。これは非常に深刻な問題です。この点では運輸省も何とかおふろ屋さんをつくらなければいかぬということに乗り出してはおりますけれども、重要なことは、先ほども言いましたように、騒音防止法による周辺整備が幾ら進んでも、町づくりの問題は解決しないということです。むしろ移転だとか民家防音工事などの周辺整備という事業が進めば進むほど、跡地がふえ、歯抜けがふえるということです。そして、昭和五十八年度を目標にしている環境基準が仮に達成されたとしても、この問題は解決しないのです。むしろ広がるわけです。もっと言えば、新空港との関係で現空港が廃止されると、騒音防止法の適用の必要すらなくなるということになってもこの問題は残るのですよ。大臣は、こういう深刻な問題が存在しておるということを御存じでしょうか。それをちょっとお聞きしておきたいと思います。
  538. 地崎宇三郎

    ○地崎国務大臣 跡地対策のことにつきましては、事務当局からいろいろ聞いております。いろいろ苦心しているようでございまして、航空局長から内容の御説明をいたします。
  539. 村上弘

    村上(弘)分科員 大臣、やはり百聞は一見にしかずですから、一度現地を視察されてはどうでしょうか。新空港問題もありますから、まさかあそこに行ってこっちは見ぬということにはならぬと思いますが、一度現地をごらんになる意思はございませんか。
  540. 地崎宇三郎

    ○地崎国務大臣 時間が許したら参りたいと思います。
  541. 村上弘

    村上(弘)分科員 ぜひ努力していただきたいと思います。  この問題は公害問題から出発しておるという点から言っても、いままでも明確にされておるように、政府と運輸省の責任で解決すべき問題であるわけです。そして、今日まで政府も一応新しい町づくりの必要は認めている。そして、それを推進することを約束もしてこられた。特に三年前、昭和五十二年の七月にエアバスの導入問題が起こったときに住民の怒りが爆発したわけですね。一体われわれの方はどうしてくれるんだ、もう徹夜に近い交渉になりました。当時の高橋航空局長も大変苦労したわけですが、私も当時その現場にいましたけれども、そのときに「十項目の覚書」というものが署名調印されたわけです。これは航空局長大阪府や兵庫県の知事も署名しているわけですね。大臣はその覚書持っておられますか。
  542. 地崎宇三郎

    ○地崎国務大臣 承知しております。
  543. 村上弘

    村上(弘)分科員 これの前文に明記しておりますように「大阪空港の公害対策については発生源対策と周辺対策が不可分の関係を保って推進されるべきことは、いうまでもないが、就中周辺対策については変ぼうしつつある周辺地域を将来性ある新らしい都市づくりの方向で積極的に整備することが対策の基幹となるものであるとの認識に立って運輸省は、」「責任をもって実施する。」こう述べているわけです。  しかし、もうあれから三年たっているわけですよ。エアバスの導入などはどんどん進んだけれども、町づくりの方は実際にはほとんど進んでいない。なるほど小公園や防火水槽に補助金をつけるなどの部分的なことはやられています。しかし、それはあくまでも部分的な措置であって、歯抜けになったばらばらの町をどうするかという町づくりの問題をそれで解消することはできないわけです。  ところが、運輸省の首脳の皆さんはこのことがわかっていないんじゃないかという危惧すらします。先ほど言いました、去年の暮れお会いした中村事務次官は、周辺整備は順調に行っていたように思っていた、こう言うわけですよ。つまり周辺整備というのは、繰り返しますが、移転の問題と民家防音工事などのことなんです。それが、出ていった人の跡地の問題が町づくりの問題なんです。だから、幾ら周辺整備という名の移転補償や民家防音工事が進んでも、町づくりは進まないどころか、むしろ深刻になるわけですから、こういう点をもっとはっきり認識する必要があるのじゃないか。民家防音工事などは去年五室にまで適用拡大されまして、事業費総額は二千五百億円になっていますから、そういう面から見ると相当仕事をやっているように見えるわけです。しかしながら、町づくりは進んでいないんだ。そういう点で大臣は、この覚書の中にある、先ほど読みました都市づくりが周辺対策の基幹なんだ、新しい将来性のある町づくりというのが周辺対策の骨格をなしているんだということをしっかり認識していただきたい。  そこで、お聞きしたいのは、この覚書の第三項、「激甚地区の街づくりについては、重要かつ緊急な課題」だと言っていること、第四項では「激甚地区の営業者対策については、緊急措置として貸付金制度を実施するとともに街づくりのなかで再建対策を行う。」つまり、町づくりというのは激甚地区では緊急重要課題であるということと営業者対策というものをこの町づくりの中で再建対策を進めるんだということを確認しているのですよ。こういうことについていま大臣は新空港、新空港、しかし現空港対策を置き去りにしないということを確認されるのであるならば、現在おくれておる将来性のある新しい町づくりの問題について、おくれの責任が運輸省にあるということ、そしてこれを急速に前に進める責任があるということについて、新たにその態度と決意をお伺いしておきたいと思うわけです。
  544. 地崎宇三郎

    ○地崎国務大臣 跡地対策につきましては、運輸省といたしましては積極的に努力するつもりでございますが、何と申しましても地元自治体の意向を受けながら進めていかなければならないと思いますので、地元自治体とも十分相談をしながら進めてまいりたい、かように存じます。
  545. 村上弘

    村上(弘)分科員 自治体の協力が必要なことは言うまでもないのです。しかし、責任は運輸省にあるんだということは明記しているのです。その点は確認されますか。
  546. 地崎宇三郎

    ○地崎国務大臣 確認をいたします。
  547. 村上弘

    村上(弘)分科員 大臣としては当然のことをお答えされておるわけですが、抽象的な決意では実際には進まぬというのがいままでの事実なわけです。ですから、この問題を本当に置き去りにしないためには、なぜこれがおくれたのかということをやはり明確にする必要があるわけです。私は結論から言えば、それは新しい町づくりを可能にする法制上の裏づけがないということですよ。いまの跡地問題というのは、いままでの法制で扱えない問題がいっぱいありますね。大体騒音公害対策から出発しているのです。それで家が減っていっているのですね。その町をどうするかという問題で、全く新しい性格の町づくりの問題であるわけです。ですから、いままでも政府、運輸省当局は、何らかの法体系の整備が必要である、必要な制度改善や法改正の検討を行うということを確認してきているわけです。  先ほどの覚書の第三項の第二で「またその実施のために必要な制度改善や法改正の検討も行い、計画実施に対して関係機関が共にあらゆる努力をはらう。」こう書いてあるわけです。  それから、去年の七月二十八日に、運輸省が豊中の市議会議長にあてた文書があります。その中でも、「これに関連して、その実現のためには何らかの法体系の整備が必要であることについて十分理解しているところである。」こういうふうに述べているわけです。  それから去年の十月に、大阪空港周辺整備計画調査委員会というのがありますが、そこが出した文書の中で「運輸省の基本的な考え方」というのが示されています。そこでは「事業手法」というところで「今後は既存制度以外の手法についても積極的に検討することが必要となる。」その具体的な検討事項として、国有地との交換分合、都市計画手法等による事業実施、税制上の措置の改善、移転を可能とする条件整備、集落再編のための手法、こういうふうな十一項目の検討事項を列挙しておるわけです。  ところが、三年たっても進まず、こういうことを何回も出しておるにもかかわらず、結局、特別措置法的なものも新規立法もあるいは法改正も、何も出してこないということですね。だから、周辺住民や自治体は、わしら一体どないしてくれるんやということで、大変不信を持っておる。怒っているのが私は当然だと思うのです。ですから、先ほど大臣が答えられた態度がもし真実であるならば、いま改めて、この新しい都市づくりを進めることを可能にする、そういう都市づくりの計画策定をも促進する法体制の整備、特別措置法かあるいは新しい立法か法改正か、何らかの法改定の具体的な作業に直ちに入るべきだ、こう考えるのですが、大臣にその決意があるかどうか、どのように促進するつもりか、その点をお聞きしたいと思うわけです。
  548. 地崎宇三郎

    ○地崎国務大臣 いろいろ御指摘を受けたわけでございますが、法改正につきましては十分検討してまいりたいと考えます。
  549. 村上弘

    村上(弘)分科員 十分検討するということは、いままでも何回も言っているのですよ。それではできないのです。どのように検討されますか。
  550. 松本操

    ○松本(操)政府委員 いまるる御指摘ありました点について、私も仰せられましたことの相当については承知をいたしておるわけでございます。特に豊中市の関係方々とは、この問題について私自身も何回かお会いしてお話し合いしたこともございます。  法改正の問題につきましても、直接的にどういうふうな法律を持ってくればいいのかどうか、法律をいきなり持ってくるのか、いまの法律を直すのか、いまの法律を組み合わせて何かやれないのかどうかというふうな点についていま一生懸命勉強しているのですということは、せんだっても申し上げたわけでございますし、とりわけ五十五年度中にはともかくめどをつけますということははっきり申し上げておるわけでございますので、この席で具体的にどういうことをと仰せられましても、まだ私ども遺憾ながら勉強不足で、明快にお答えを申し上げ得る段階には至っておりません。  しかし、ともかくも、この十項目の中にもございますように、町づくりというのは、非常に新しい考え方をここに当てはめて実行に移していこうということでございますし、ここにも書いてございますように、関係省庁なり関係自治体の協力を得て私どもはやっていかなければならない仕事にもなっておる。そういう点から考えますと、たとえば一つの例でございますけれども、都市計画の中に一部分を取り込んでいくということも当然考えられることでございます。ましてや都市計画というものは、長い当該法律の歴史の中で、地元住民との対応に関する手続等はかなり練られてきておるという点もございます。そういう点を十分しんしゃくしながら、現在なお、私どもの知恵の及ばないためにあるいは力の及ばないために、御指摘のように遅々として進まない面があることは認めざるを得ないと思いますが、少しでも前向きに動いていくようにということで、大臣もこのことには大変気を使っておいででございます。私ども大臣の御趣旨を受けて、できる限りの努力をいましておるということだけははっきりお答え申し上げ得るのではないか、このように考えております。
  551. 村上弘

    村上(弘)分科員 都市計画手法なども検討するということですが、それが法改正にとってかわるものとしてではなくて、抜本的に事が進むように、たとえば防衛施設の周辺整備法などでは、法の目的にその居住環境の整備というものが入っているわけですから、そういうことから考えても、もっと特別の措置がとれる立法をあわせて進める中でいろいろな可能性も検討してもらうということにすべきだと思うわけです。  最後にお伺いしたいわけですが、いま航空局長昭和五十五年度中にということを言われました。五十五年度中といっても大分幅がありますが、できるだけ早く、特に最初に私申し上げた新空港対策計画やいろいろなプランが提起されるのが先行して、現空港対策のそういう全体的な対策が後回しになるようなことには絶対なってもらっては困る。これは政府の姿勢の具体的なあらわれになるわけですから、そのことを確認しておきたい。  もう一つは、こういうことが何回も約束されながら進まないのは、法律づくりの問題あるいは現行手法の活用の問題も含め、全体としてこれを進める体制が弱いからではないか。政府の中における現空港対策、特に新しい都市づくりの問題について覚書が確認しているこの内容について、果たしてどのように扱われてきたのか。あの覚書が締結された当時、閣議に正規に報告されて検討されたのかどうか。  そういうこととあわせて、これを進めるために、一方では大平首相が新空港のための次官連絡会議が必要だということを言っているのです。片方は運輸省だけで、まあきわめて弱い体制で進めておる。建設省も最近やっと、運輸省の要請があって現地に担当官が見に行ったような状況ですね。こんなことではなくて、各省庁が協力して進めるような体制をとるべきではないか。この二つの点について最後に大臣の答弁を聞いて質問を終わりたいと思います。
  552. 松本操

    ○松本(操)政府委員 まず五十二年のこの覚書の取り扱いにつきましては当時、私ども大臣から閣議に報告をいたしまして、こういう形で大阪の騒音対策について一つのめどをつけましたということを御報告した経緯がございます。その後、それを踏まえて私どもは、関係各省庁といろいろとお話し合いを続けてきておるわけでございます。  いま、建設省の担当官が現地へ行ったということの御披露もございましたけれども、私どもはむしろ逆に、建設省の方から優秀な職員に出向してきていただきまして、特に都市計画の手法というものは私ども大いに勉強しなければならない点がございますので、そういう点について、毎日の実務のやりとりの中でいろいろと御研究を願っておるというのが実態でございます。  さらに、いつごろまでにというめどを明らかにせよというお話でございますが、たとえて申しますならば、現在の騒防法の第九条の三の「空港周辺整備計画」の中にも、たとえばここを読んでみますと「航空機の騒音により生ずる障害を軽減し、あわせて生活環境の改善に資するための計画的な整備促進する必要がある」ものは云々というふうなことで目的の中にうたい込まれてもおるわけでございまして、この基本的な計画をもとに、先生先ほどから仰せられております委員会において、いま鋭意詰めております。実は最初の段階では私どもも少し張り切り過ぎたというか、気負い過ぎたというか、住民の方々の意見を十分に承るチャンスをよう持ち得ないで、絵の方が先にできてしまったというふうなことを非常に反省をいたしております。それで改めてまた組織をつくり直して御議論を願っておるわけでございますが、それを積み上げていき、皆さんの同意をかち取ってまいりますことによって一つの考え方というのがおのずからまとまってくる。その考え方を実施に移すために既存の手法の組み合わせでどこまでいけるのか、どこにどういう難点があるのか、あるいはいま先生おっしゃいますように、たとえば基地周辺対策の法律の中にありますようなどぶ板掃除的な要素というものをさらに盛り込んでいかなければならぬということになってくるのか、そういう具体的な問題も、いわゆる町づくりという概念で出発いたしましたものを目に見える形に仕上げていくという過程の中ではっきりとつかんで、それに対応できる手法、この手法の問題が非常に大事だということに私どもやっとたどりついたわけでございます。その手法の問題について真剣に取り組んでいきたい、このように考えておるわけでございます。
  553. 地崎宇三郎

    ○地崎国務大臣 早急に対策を推進させます。
  554. 兒玉末男

    兒玉主査代理 以上で村上弘君の質疑は終了いたしました。  次に、岡田利春君。
  555. 岡田利春

    岡田(利)分科員 私が最後ですからよろしくお願いをいたしたいと思います。  私、この三月に実施されました国内航空運賃関係について質問をいたしたいと思います。  昨年も予算委員会及び分科会において国内航空運賃の問題点について指摘をいたしたわけです。今回の改定の値上げ率は別にして、一応前向きで運賃改定に取り組まれた、こういう点について私は認めておるわけであります。しかしながら、依然として問題点が残っておりますし、さらにまた、八〇年代のわが国の国内航空行政のあり方あるいはまた省エネルギー時代の航空行政のあり方という点について、新しい問題がまた今日提起をされておるのではないか、こう考えるわけであります。そういう観点に立ってみますと、昭和四十七年七月の値上げ、昭和四十九年九月の値上げ、いずれもこれは従来の料金を基礎にして七・七とか二九・三%のアップ率を掛けた、だから矛盾が拡大してきた、私はこう思うわけであります。したがって、今回の答申を受けて運賃を認可をいたしたわけですが、今回の運賃値上げの認可に当たっての基本的な基礎は何に置いたのか明らかにしていただきたいと思います。
  556. 松本操

    ○松本(操)政府委員 先生おっしゃいますように、従来は全体的に総合原価主義の中でどれだけの赤字を補てんすればいいのかという勘定をいたしました。それによって平均的な値上げ率というものを会社別に求めました。そうしてそれを直接個々の運賃に掛ける。ただしダブルトラックのようなところは同一路線同一運賃という基本的な考え方をとらざるを得ませんので、何がしかの修正を行うという形を踏襲してまいりましたので、したがって当初運賃が設定されました時点において存在した多少の矛盾というのがむしろ拡大される方向にいって、私もいまよく覚えておりますが、昨年の予算委員会で非常にいろいろと先生から御指摘を受けたわけでございます。  したがって、今回の運賃改定におきましては、路線原価主義ということに最大の配慮をいたしました。まず、現在存在しております運賃というものを、ややややこしい言い方で恐縮ですが、横軸に距離をとり、縦軸に運賃をとり、それを一つの直線の回帰式に当てはめてみる、そういうふうにいたしますと、実は初めて私どもも認識したわけでございますが、遠距離においてはやや原価を上回る運賃が設定されており、近距離においては原価を下回る運賃がきわめて多いという現象が発見されたわけでございます。そこで、今回の運賃の値上げについては、従来の手法と同じく総収入が幾らかを見積もり、総支出が幾らかを見積もるという作業はもちろん厳格に行ったわけでございますが、それから先の作業といたしましては、一つ路線別の原価というものをはじいてみる、そしてなるべく理想的な形に近いところへ持っていこうという作業をいたしました。ただし一遍にこれをやりますと、たとえば近距離の運賃で数十%の値上げというふうな矛盾が出てまいりますので、平均を二三・八%に抑え、最高三五%を超えないという制約の中において張りつけをしたわけでございます。したがって、結果的には遺憾ながら従来の欠陥がまだかなりの色合いで残っているということではございますが、ここに新しい運賃改定の式をつくることができたと思っております。今後そう頻繁にやるということでは決してございませんが、何かそういう機会が出てまいりました場合には、さらにこの方向を推し進めることによって、かって御指摘を賜ったような点の改善というのが進められていくのではないか、こう考えております。
  557. 岡田利春

    岡田(利)分科員 電力会社のような場合には、燃料費は今日原価の六〇%を占めておるわけですね。航空会社の場合には、昨今はこの比率が上がってほぼ二〇%程度ではなかろうか、こう思っておりますが、今回の計算に当たっては大体何%燃料費が占めておるのか、これが第一点であります。  同時にまた、一応今回査定した油の価格がこのまま動かないという前提に立って見た場合に、今回の認可運賃というものは当分この運賃でいける、こういうことになるのか、この見通しにつきまして承っておきたいのであります。
  558. 松本操

    ○松本(操)政府委員 最近におきます燃油費の総原価に占める割合は二二%前後だと思います。  それから、おっしゃいました燃油費の上昇というものは、五十四年の三月末という非常に推定しやすいところで実は打ち切ってしまっております。もし仰せのようにこのわれわれが推定いたしております燃料費というものが動かないということを前提といたしますれば、二年とか三年とか具体的な数字を挙げることは差し控えさせていただきたいと思いますけれども、相当期間にわたって安定し得るのではないか、このように期待をしております。
  559. 岡田利春

    岡田(利)分科員 昭和五十二年まで過去十年間国内航空を利用した乗客数は、大体十年間で五倍に伸びて、五十二年は前年度対比一一七、一七%伸びておるわけですね。昨今は四千万を超えているのではないかと思うのですね。この伸び率は大体一七%前後ぐらいで推移をしておるのではないか。ただ、今後大体これ以上にはならないでしょうけれども、一〇%から一七%の間で推移するのではないか、こう思われるのでありますけれども見通しはどうですか。
  560. 松本操

    ○松本(操)政府委員 路線による違い等もございますが、日本全国マクロ的に見ますと、大体一〇%あるいは一一、二%というふうな数字ではなかろうか。ただし、私ども今後の長期計画の策定のためにいまいろいろ数字の見直しをしておりますので、六十年あるいは六十五年あたりがどうなるかという点は、数字を確定させてからお答えするようにしたいと思います。
  561. 岡田利春

    岡田(利)分科員 大臣も私と同じく北海道出身でありますけれども、北海道の場合、本州と北海道の関係、これの交通手段の利用は国鉄が二五%ですね。航空機は六一%になっているわけです。非常にウエートが高いのであります。また札幌と、東京といいますか首都圏、この間の関係で言いますと、航空機の利用は実に九四%、国鉄はわずか六%という数字なのですね。そして四千万を超える人が航空機を利用している。まさしく大量輸送手段として国鉄並みの一つの任務を持ってきたということが改めて認識されるのではないか、こう思うのです。また千歳−羽田間の年間乗客数は、世界じゅうにこれを上回る乗客数を持っている路線はないと思うのですね。世界最高でしょう。第一位だろうと言われておるわけです。そういう点から、私は若干の具体的な問題について質問しておきたいと思うわけであります。  それは、たとえば東京を起点にして北の場合で言いますと、旭川と帯広は同一運賃に今回認可されておるわけです。距離数で言うと実に百キロ違うわけです。キロ当たりで言うと当然額が変わってくるわけですね。それからまた、釧路と帯広を比較しますと大体四十二キロ程度しか違わないのでありますけれども、この釧路と帯広の関係を比較してもアップ率はいずれも一九・六%、七%でありますから、そういう面で考えますとどうもぴんと理解ができない面があるわけです。なぜかならば、旭川、帯広はYSが四便ずつ飛んでいる。東京−釧路間はジェット機が五便飛んで、またそれ以外に全日空が一便飛んで、六便飛んでいる。しかも旭川の場合には東京−旭川間だけであって、釧路の場合には釧路−札幌間も五便飛んでいるわけですね。そういう点から言うと、旭川と帯広が百キロ違うのに同じ料金である、そしてまたそういう点で比較すると、釧路とたとえば帯広の場合、旭川の場合、二十八円と二十六円の違いがあるじゃないか、こういう点がまだ矛盾点が解決されていないではないか、やはり利用者はこういう疑問を持っておるわけです。こういう点については本当に原価主義で厳格にやったのかどうなのか、承っておきたいと思います。
  562. 松本操

    ○松本(操)政府委員 先ほど私御説明いたしましたのは、物の考え方を模式的に申し上げたわけで、個々の運賃を決めます場合に厳密に一本一本の路線の原価をはじくというわけになかなかまいらないということがございます。さらに、いまのお話にも出てまいりましたように、たとえば東京−広島というふうな場合にはジェットも飛べばYSも飛ぶということになりますと、この路線の原価とは何ぞやというあたりでいろいろ問題も出てまいります。そこで、模式的な一つの原価というものをつくりまして、その前後に実運賃が散らばる、その散らばり方をなるべく理想に近い形の枠の中に押さえ込もう、こういう作業をいろいろと繰り返しながらやっていったというのが実際の作業過程でございます。  結果的に先生がおっしゃいます東京−帯広、東京−旭川を比較いたしました場合に、東京−帯広よりも東京−旭川の方が長うございますから、賃率がいささか安くなるという現象が出ている。一方、東京−帯広、東京−釧路を比較してみますと、むしろ東京−釧路の方が長いのに賃率がやや高目に出てきているという矛盾が残ってしまったということは、私、率直に認めざるを得ないと思っておりますが、これらの作業はやはり今後の何回かの過程を経てもう少しなめらかな形に持っていくということよりほかに方法がないのではないだろうか、一遍に大きく変えるということはなかなか問題が大きかったのではないか、このように考えております。
  563. 岡田利春

    岡田(利)分科員 南の方で見ますと、東京−宮崎の場合、全日空が十一便飛んでいるわけです。いずれもジェット料金は除いていますが、これが二十七円三十二銭、鹿児島の場合は二十四円十二銭、長崎の場合は二十三円十七銭、こういう点についても、便数その他から判断をして非常に理解ができないところがあるわけです。もし乗客数が少ないとするならば便数が多過ぎるのではないか、エネルギーのむだ遣いではないかという疑問すら起きるのであります。  そういう点について、今回の料金査定において深く検討しておるのかどうか。航空会社は原価主義ですから、せっかく認可された路線の便数は減らさないのはあたりまえなんです。しかし、先般  エネルギー節約で一時便数を減らしたこともありますけれども、やはり運輸省がそういう点を十分分析をして料金を認可をしなければならないと思うのですね。こういう点はいかがですか。
  564. 松本操

    ○松本(操)政府委員 いま御指摘のございました点につきましては、私どもとしては、収入を見積もる時点におきまして、路線別に投入し得る機材というものをまず設定をいたしました。次に、投入していく機材に対応してロードファクターをどの程度に見るべきかということを検討いたしました。現実にYSの路線等においては九〇%を超えるロードファクターのところがございます。こういうものはもうそれ以上は動かさないということでアジャストをとめてしまったわけでございます。それからジェット機につきましては、大はSRのような五百人乗りから、同じジェット機でもDC9やB3のような小さなものもございますので、飛行場のランウエーの長さとの対比において投入可能な機材をしかるべく入れていって、それで全体の延びはGNP相関というふうな一つの式で出しておる。それを現実に投入できる機材でこなせるかどうかというのを逐一当たって総旅客数を出して、それから収入額をはじいてまいりました。したがって、おっしゃいますような点で相当程度の配慮はしたつもりでございます。  いま御指摘のございました東京−宮崎、東京−鹿児島、東京−長崎、これは逐次距離が長くなってまいりますので、賃率的には二十七円、二十四円、二十三円何がしというふうに遠距離逓減にはなってくる。ただ宮崎の場合には、現在のところB727とB737しか入らないけれども、これが鹿児島あたりになってまいりますとL一〇が十分に入ってくる。こういうふうな違いがございまして、別途ロードファクターを見ておりまして、そのロードファクターの増減のありよう、季節変動等を修正したロードファクターのありようを見ながら、便数の調整をしていきたいと思っておりますが、ただ、これは非常に理屈どおりまいらないのは残念なことでございますけれども、基幹となる大阪または東京の空港が、いろいろな制約から増便を受け入れにくいような状況にここ数年来陥っております。したがって、なかなか理想どおりの形ではまいりませんけれども、そういうことを絶えず念頭に置きながら調整を図るようにしていきたいと考えております。
  565. 岡田利春

    岡田(利)分科員 また、地方起点にして見た場合、たとえば札幌起点で女満別は三三・八%、釧路は三三・八%、帯広は二九・一%。ジェット機が飛んでいるのは釧路のみである。そしてジェット料金を除いて計算をしますと、女満別が三十円九十三銭、釧路が三十四円二銭、帯広が三十三円三十三銭、こういう数字になるわけです。これなども理解に非常に苦しむところで、未調整の面が残っているのではないかということを指摘せざるを得ないわけです。  あるいはまた南の方で言うと、福岡を起点にして、福岡から鹿児島の場合には一九・三%の値上げ、キロメーター当たり四十円二十四銭、十便DC9が飛んでいるわけです。福岡から宮崎の場合には一九・三%、同じ値上げでこれはキロメーター当たり二十九円五十五銭、DC9が八便飛んでいるわけです。この間の計算をしますと、非常に差が出ているわけです。高松、松山、三十六円三銭、三十六円八十銭、こういう数字になっておるわけです。  ですから地方起点にした場合でも、便数その他から計算しても、もし総収入がその路線で少ないとすれば、これは各便が相当あいている、乗客率が非常に低いと言わざるを得ないと思うのです。そういう点がまだ問題点としてあると私は思うのですが、いかがでしょうか。
  566. 松本操

    ○松本(操)政府委員 いま御指摘の中で、やはり機材による収益率の違いというものが航空企業の場合には出てくる。DC9で同じものの場合には、これはいままさに先生がおっしゃるように調整漏れみたいな形で残ってしまっているというのもある程度認めるべきかとも思います。  やはり一番私どもが扱いに困りましたのは、同じような距離のところで、類似の便数でありながら、たとえば737、DC9あたりのジェットの飛んでおりますところとYS11の飛んでおりますところ、ここら辺のところが一見同じような運賃であっていいように恐らく旅客の側は思うでしょうけれども、現実にはじいてみるとどうもそこら辺のところがつじつまが合わないというあたりに大分苦労したわけでございますが、結局これも、一回こっきり五年ぶりの値上げで全部理想的に片づけようというわけにちょっとまいらなかったという点は、ひとつ御理解をいただきたいと思います。
  567. 岡田利春

    岡田(利)分科員 先ほど局長から航空運賃の決定説明がありましたけれども、一応原価主義であるということは国際的にもこれは私もよく承知をしているわけです。しかし、路線別原価主義と総合原価主義があるし、あるいは需要の価格の弾力性等についてももちろん考えなければなりませんし、またそれ以外の他の、たとえば国鉄等とのある程度の調整という問題もあるわけですね。かつては名古屋路線はまさしく象徴的だったわけですね。そういうような面がいろいろ付加されておるわけですね。したがって、すきっとこう言われてもなかなか理解できないものがある。現実に今回の決定を見ても、そういう点では、こうであるとすきっとは言い切ることはできないだろうと私は思うわけであります。  そこで、やはりいまのわが国の国内航空の主要三社、近距離、南西を除いて主要三社の場合には、歴史的に見てどうしても、日本航空は基幹線だけでありますし、全日空あるいは国内航空の場合には歴史的な流れ、歩んできたこの歴史、このことが敏感にやはり運賃体系にあらわれてきている、こう言わざるを得ないと思うのです。だから、料金は依然として西低東高型という配置ですね。そういう意味で、先ほどの北海道などの場合には非常に航空機の利用価値があるわけですが、残念ながら南が低くて東が高いという傾向は依然として続いているということであり、このことは一体いまの三社の体制で是正できるのかどうか、あるいはまたこれに付加して、たとえば近距離航空のような場合、北海道内の路線もあれば東京を基点にする大島とかそれぞれの離島の路線もあるし、あるいは福岡から壱岐の路線もあるわけですね。こんな全国に散らばっていて、今回の査定の場合にも赤字はやむを得ないという認可料金を決めたわけですね。そうすると、むしろこれから矛盾は拡大していくのではないか、ずっと拡大する傾向にあるだろう。南西航空の場合には沖繩関係、ごく小じんまりしておりますから、一応いまの水準についておりますけれども。そういたしますと、国内航空というのは競争がないのでありますから、認可料金でありますから、いわば独禁法適用除外ですね。何も無理に路線を入れる必要はないわけですよ。ところが釧路のような場合でも、五便の国内航空があればその中に一便の全日空を入れるわけでしょう。そうすると、一便入った全日空というのは赤字になるのはあたりまえでしょう。たとえば札幌−東京、東京−福岡に一便ずつ東亜国内航空のDC9が飛んで黒字になるはずがないわけですね。だからそのことが、そういう行政が全体の航空運賃を押し上げているということは残念ながら認めざるを得ないんじゃないかと思うのですね、そういうむだがあるわけですから。だからいままでのような各社の無制限の競争に、これを延長線上で認めていくんではなくして、そろそろ今日の段階、八〇年代の段階はむしろ再編成を前提とするような基本的な討議、議論、考え方というものが必要じゃないか、そういう時代が八〇年代ではないか、こうわが国の国内航空の現況から判断するのですが、いかがでしょうか。
  568. 松本操

    ○松本(操)政府委員 大変むずかしい御質問でございますので、私もみごとにお答えできるかどうか自信がございませんけれども、たとえて申しますならば、日本近距離のようなものは、機材がツインオッターからYSに一部転換されることによりまして、確かに日本国内のあちらこちらに基地を持つという不便さはありながらも、やはり収益率の改善という点においてかなりの寄与をするだろうというふうに見たわけでございます。  それからダブルトラッキングの問題につきましては、これはやはり独占による弊害というものを排除していくために、ある程度以上の需要があり、そこに一社がある数字以上の便数を張りつけてきまして、さらにそれ以上の便数を張っていくという必要がある場合には、B社を入れていくということが基本的な考え方であったわけです。それはしかし、その次のステップが当然あるべきであったわけでございまして、さらにその次の需要が出たときにはB社の比率をふやしていく。すなわち、それは東京なり大阪なりの発着回数がふえていくということがある程度ゆとりを持ってできませんと、実は理屈倒れになって中途半端な形になる。まさに先生指摘のようなおかしな形でとまるというおそれがあったわけであります。現実には、遺憾ながらかなりの面でそういうのが出てまいりました。しかし、そうは言いながらも、ダブルトラックが大体三、七とか四、六とかそういう比率に近くなっておりますところはそれなりの成果を上げてきておるのもまた事実でございますので、今後のありようといたしましては、確かに全般的にいろいろと考えていかなければならないという御指摘は私も同感でございますけれども、むしろ中途半端でとまっているようなものを最初の考え方に引き戻して基本的な線を伸ばすような形で、たとえばダブルトラックによるサービスの向上とかそういった方面への努力を今後していくということがどうしても必要になってくるのではないだろうか。やはり余りにも一社が独占するということは、旅客の側から見ました場合にはサービスの向上が頭打ちになるおそれがあるというふうな点から、問題が多いのではないだろうか、このように考えておるわけでございます。
  569. 岡田利春

    岡田(利)分科員 たとえば幹線を飛んでいる日航を外して全日空と国内航空で競争というものは一体何があるのでしょう。これは料金は同一路線は全く同じでしょう。申請は違ったですね、今回の場合でも。しかし、認可するときは同じでしょう。あと、何のサービスの違いがあるのでしょうね。そこが理解できないわけです。飛行機は違うですよ。国内航空の飛行機は小さいですよ。全日空の飛行機は比較的大きなのが飛んでいますね。機種もそれぞれの航空会社で違いますよ。同じ機種なんというのは全日空と国内航空で採用していませんね。だから、いわゆる競争の原理というものが同一路線で働かないわけですね。サービスの問題についても、航空会社の場合には私はそう問題がないと思うのですね。  ですから、私はそういう意味で、みすみす赤字であるという路線を認可する必要はないではないか、まして大衆の足になってきたわけですから。そのことによって少なくとも料金を押し上げる要因は排除していく、これが八〇年代の航空行政でなければならないと思うのです。いかがでしょうか。
  570. 松本操

    ○松本(操)政府委員 ダブルトラックである、ないを問わず、赤字が当然予測されるような路線を免許するということは、これは原理に反することであろうかと思います。何となれば、その赤字が当該会社の経営を圧迫し、ひいてはそれが別の路線における運賃値上げの要因になっていくということであるとすれば、これは一般的な原則に逆行した流れだろうと思います。  ただ、先生おっしゃるように、しからば航空企業の競争とは何ぞやということになりますと、仮にA社というものがある空港を独占し、ある路線を独占し、そこに一日五便、六便を張っておる、それに対して地元からいろいろ注文が出る、あるいはダイヤを変えてくれ、あるいはもう少し窓口のサービスは何とかならぬか、こういうことがありましても、そこにA社しかないということであれば、六便が七便になるときもA社であるということが保証される限りにおいて、A社の特段の努力というのを期待するのはなかなかむずかしくなってくるのではないか。だから、そこにB社が入って、そこで競争が行われる、これが一つのダブルトラックの考えだと思いますが、ただ、先ほど申し上げましたように、基幹空港の能力がいささかひ弱だということのほかに、やはり先生もおっしゃっておりましたような各航空企業の歴史的な発展の過程の差があるものでございますから、DC9しかないところ、ことしの暮れになってやっとA300が入ってくるところ、あるいはすでに五百人乗りが飛んでいるところというふうな現実の差がいまあることは否めません。しかし、これはそう遠くない時点で類似の機種が出てまいろうかと思いますので、私どもはそういう点をとらえて、おっしゃるような矛盾がないような方法を大いに探して実施に移していきたいと思っております。
  571. 岡田利春

    岡田(利)分科員 アメリカのような場合は国内航空の運賃は自由化しておるわけですから、こういうところには競争の原理が働くわけですね。それと同時に、わが国のように国土が狭くて稚内から沖繩まで非常に直線距離で長い、いわば距離は大国に匹敵する距離を持っているわけですね。そういう地理的な条件からしても、なかなか自由化はできないと思いますね。  したがって、わが国の実情に合った体系に整備をしていく、国民の足としての料金体系というものが、私は大体総合主義をとらなければならないと思うのですよ。近距離のところだけが高くなって、遠距離だけが安くなるということはいかぬと思うのです。ある程度の路線主義をとりながらも、総合原価主義をとりながら全体の国民の足を保障していく、そういう新しい感覚に基づいた八〇年代の航空行政を進めてほしい。いますぐ——これはまたわからないですよ、油でも上がるとまた料金の改定もあるわけですから、ぜひそういう姿勢でこれから臨んでほしい、こう思うわけです。  同時にまた、この路線別に検討して、航空会社は言いませんけれども、やはりエネルギーを節約するという観点ですね。やはりいろいろ収益を見ますと違いがある。便数は同じなのに収益が違うということは、乗客率が違うのでありますから、そういう点では、ある程度省エネルギーの方向を目指して、この点の検討も同時並行的に進めるということが必要だと私は思うのです。  この点大臣から、八〇年代のこれからの姿勢について承っておきたいと思います。
  572. 地崎宇三郎

    ○地崎国務大臣 先ほど来先生と航空局長の応酬の中でいろいろ問題点が提起されておりますが、いま一番大きな問題は、何と申しましても中央に参ります羽田あるいは伊丹の収容能力が非常に不足しているということが大きな問題だろうと思います。航空が大衆の交通になってきたわけでありますから、こういう面に対して本格的に取り組んでいかなければならないと思います。また、いまお話が出ました運賃の問題等については十分今後の航空行政の中で配慮をしてまいりたい、かように存じております。
  573. 岡田利春

    岡田(利)分科員 時間がありませんから、特にこれからのわが国の国内航空の発展方向というものを私なりに考えながら、さらに今後の御努力を強く要請しておきたいと思うのです。今回の料金査定については、去年の私の意見も受けていただいて相当苦労した、その点については私は認めているわけです。しかし、ここでとどまってはならないということを強調しておるのでありまして、十分ひとつ素直に御理解を願っておきたいと思います。  質問通告しておきましたから、ひとつ他の部門に移りますけれども、わが国の船員法に基づく船員保険法というのが民間で最も先進的な保険法なんですね、昭和十四年にできておるわけですから。厚生年金は昭和十七年の一月から実施をされておるわけですね。しかし、時代の趨勢でずいぶん変わってきておるわけであります。特に、漁船関係の船員保険法適用範囲を拡大をしたという中で、この失業保険関係はこの二、三年ずいぶん努力をして、私ども指摘をして、関係方面も努力をして、大体六割近く、五七、八%ぐらいまで到達をしたわけです。  だが、私はいまの制度ではこれ以上漁船の関係が失業保険に加入することは絶望だろう、こう見ておるわけであります。自信があるならあるところを私は承りたいと思うのですが、私はそう見ておるわけです。そして、陸上と海との関係を見ますと、同じような状況にあるわけですね。漁業権がなければ漁船は動かないのでありますから、大体六カ月とか八カ月、九カ月操業してあとは休む。ところが、労働者は毎年安定雇用なんですね。その労働者がまた翌年いなければ困るわけです。陸上の場合でも建設関係なんかの技能労働者はそうですね。ことしは八カ月なり十カ月の仕事はないのだけれども、来年もまたいなければ困る。ですから、毎年毎年安定的に雇用される労働者だけれども、単年度では季節労働者で終わってしまう。そういう宿命に残念ながらあるわけです。  ところが、陸上の場合には季節労働者に対する雇用保険の給付が行われるわけですね。あるいはまた、寒冷地五級の適用地域の場合には、一道八県でありますけれども、せっかく給付金制度という新しい雇用奨励制度が今日実施をされている。ところが、海の関係には適用されないということになるわけです。ですから、同じ漁村の中でも非常に問題が出ているわけです。私は保険のいまの状況から言えばなかなかこの問題は解決できないと思うのですね。そうすると何か工夫しなければならぬのではないのかということを言わざるを得ないわけです。ですから、海の関係の労働省は運輸省でありますから、陸上の方は労働省がこれを所管をしておる。社会保険は社会保険庁がある。厚生省所管である。こういうような点で一歩踏み出さないと、もう恐らく半永久的にこの方々の救済といいますか、そういう失業保険、雇用保険制度の加入改善というものはできないということが余りにも明瞭ではないか、その明瞭なものを政治がほっておくという手はないではないか、こう思うのでありますけれども、この点率直な御答弁を願いたいと思うのです。
  574. 山元伊佐久

    ○山元政府委員 お答え申し上げます。  ただいま先生の御指摘の漁船員につきましては、短期雇用でありながらそれを常態としているという漁船員につきまして現在の船員保険におきましては失業保険が適用されていないということは事実でございます。この問題につきまして、失業保険の適用範囲を拡大するかあるいは陸上で行われておりますような雇用保険に基づきまして短期雇用者に対して特殊一時金を給付するかというような基本的な問題があるわけでございます。しかし、いずれにいたしましてもこの問題は保険問題でございますので、厚生省でいろいろ検討されるべき課題かと思いますし、また、現に厚生省におきましては社会保険審議会におきましてこの問題も含めて基本的なあり方について検討するというぐあいに伺っているところでございます。したがいまして、運輸省といたしましても、この問題については重要な問題と思っておりますので、社会保険審議会の審議の状況を見守りながら適切な対応はしていかなくちゃいけない、こういうように考えております。
  575. 岡田利春

    岡田(利)分科員 時間が来ましたから終わりますけれども、私は社会保険庁が問題を労働省なり運輸省に提起をして何らかの打開の道を探ってはどうかと言ったのです。ところが、社会保険庁の方は、私の方から言うと、保険制度が違うものですから、それのいわゆる編成替えといいますか、そういうことを意図したということで非常に波紋が大きい、したがってなかなか社会保険庁としてはそういうことは言えない、これが社会保険庁の態度なわけなんです。そうしますと、事実この問題というのはいまの船員保険の財政の中では負担の割合から言っても解決できないわけでありますから、やっぱり、運輸省の方からも、いま答弁がありましたけれども、正式にそういう問題について審議をしてもらう。検討してもらう。恐らく正式に言っていないと私は思うのですよ。社会保険庁が言っていないと言うのですから、いま局長はせっかく審議されておると言いますけれども、私はそうなっていないと思いますね。ですから、局長の弁をかりると、ではその点については社会保険庁の審議会でこの問題は検討してもらうということを正式に言うという意味で私は理解してよろしいのでしょうか。
  576. 山元伊佐久

    ○山元政府委員 この問題は懸案の問題でございますので、厚生省と十分相談をしながらこの問題の解決に当たっていきたいというぐあいに考えております。
  577. 兒玉末男

    兒玉主査代理 以上で岡田利春君の質疑は終了いたしました。  次回は、明六日午前十時から開会し、運輸省所管について審査いたします。  本日は、これにて散会いたします。     午後九時五十八分散会