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1980-03-04 第91回国会 衆議院 予算委員会第五分科会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    分科会昭和五十五年二月二十一日(木曜日)委 員会において、設置することに決した。 二月二十二日  本分科員委員長指名で、次のとおり選任さ  れた。      稻村佐近四郎君    小山 長規君       近藤 元次君    藤田 義光君       村田敬次郎君    兒玉 末男君       野坂 浩賢君    坂井 弘一君       安藤  巖君    小沢 貞孝君 二月二十二日  藤田義光君が委員長指名で、主査選任され  た。 ————————————————————— 昭和五十五年三月四日(火曜日)     午前十時開議  出席分科員    主査 藤田 義光君       村田敬次郎君    伊賀 定盛君       伊藤  茂君    兒玉 末男君       沢田  広君    清水  勇君       新村 勝雄君    新村 源雄君       中西 績介君    野坂 浩賢君       森井 忠良君    木内 良明君       小濱 新次君    坂井 弘一君       高橋  繁君    古川 雅司君       栗田  翠君    渡辺  貢君       小沢 貞孝君    塩田  晋君       高橋 高望君    兼務 細谷 昭雄君 兼務 新井 彬之君    兼務 伏屋 修治君 兼務 中林 佳子君    兼務 中野 寛成君     —————————————  出席国務大臣         建 設 大 臣 渡辺 栄一君  出席政府委員         内閣総理大臣官         房総務審議官  和田 善一君         建設大臣官房長 丸山 良仁君         建設大臣官房会         計課長     杉岡  浩君         建設省計画局長 宮繁  護君         建設省都市局長 升本 達夫君         建設省河川局長 稲田  裕君         建設省道路局長 山根  孟君         建設省住宅局長 関口  洋君  分科員外出席者         警察庁交通局高         速道路管理官  小林 憲司君         環境庁自然保護         局計画課長   中島 良吾君         国土庁長官官房         参事官     平戸 正尚君         国土庁計画・調         整局計画課長  長沢 哲夫君         大蔵省主計局主         計官      保田  博君         国税庁直税部法         人税課長    四元 俊明君         資源エネルギー         庁長官官房鉱業         課長      山梨 晃一君         資源エネルギー         庁石炭部鉱害課         長       竹沢 正格君         運輸省港湾局計         画課長     藤野 慎吾君         運輸省鉄道監督         局国有鉄道部業         務課長     橋本 昌史君         運輸省鉄道監督         局民営鉄道部監         理課長     松尾 道彦君         労働省労働基準         局監督課長   岡部 晃三君         自治省財政局財         務調査官    森  繁一君         日本国有鉄道旅         客局営業課長  有馬 訓祥君         日本国有鉄道建         設局停車場第一         課長      草野 一人君         日本国有鉄道施         設局用地課長  高木 一匡君         参  考  人         (日本住宅公団         理事)     今野  博君         参  考  人         (日本道路公団         理事)     大島 哲男君         参  考  人         (日本道路公団         理事)     持田 三郎君         参  考  人         (水資源開発公         団理事)    田中 和夫君     ————————————— 分科員の異動 三月一日  辞任         補欠選任   安藤  巖君     工藤  晃君 同月三日  辞任         補欠選任   野坂 浩賢君     松浦 利尚君   工藤  晃君     安藤  巖君 同日  辞任         補欠選任   松浦 利尚君     野坂 浩賢君 同月四日  辞任         補欠選任   兒玉 末男君     伊藤  茂君   野坂 浩賢君     沢田  広君   坂井 弘一君     古川 雅司君   安藤  巖君     渡辺  貢君   小沢 貞孝君     高橋 高望君 同日  辞任         補欠選任   伊藤  茂君     新村 源雄君   沢田  広君     野坂 浩賢君   古川 雅司君     高橋  繁君   渡辺  貢君     栗田  翠君   高橋 高望君     塩田  晋君 同日  辞任         補欠選任   新村 源雄君     森井 忠良君   高橋  繁君     小濱 新次君   栗田  翠君     安藤  巖君   塩田  晋君     小沢 貞孝君 同日  辞任         補欠選任   森井 忠良君     新村 勝雄君   小濱 新次君     木内 良明君 同日  辞任         補欠選任   新村 勝雄君     伊賀 定盛君   木内 良明君     坂井 弘一君 同日  辞任         補欠選任   伊賀 定盛君     清水  勇君 同日  辞任         補欠選任   清水  勇君     中西 績介君 同日  辞任         補欠選任   中西 績介君     関  晴正君 同日  辞任         補欠選任   関 晴正君      兒玉 末男君 同日  第二分科員細谷昭雄君、中林佳子君、中野寛成  君、第四分科員新井彬之君及び伏屋修治君が本  分科兼務となった。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和五十五年度一般会計予算  昭和五十五年度特別会計予算  昭和五十五年度政府関係機関予算  (建設省所管)      ————◇—————
  2. 藤田義光

    藤田主査 これより予算委員会第五分科会を開会いたします。  私が本分科会主査を務めることになりました。よろしく御協力をお願いいたします。  本分科会は、国土庁運輸省、郵政省及び建設省所管について審査を行うことになっております。  なお、各所管事項説明は、各省庁審査の冒頭に聴取いたします。  昭和五十五年度一般会計予算昭和五十五年度特別会計予算及び昭和五十五年度政府関係機関予算建設省所管について説明を聴取いたします。渡辺建設大臣
  3. 渡辺栄一

    渡辺国務大臣 建設省関係昭和五十五年度予算について、その概要を御説明いたします。  建設省所管一般会計予算は、歳入約二百三十四億一千六百余万円、歳出四兆七百七十五億五千百余万円、国庫債務負担行為五千九百二十七億六千八百余万円でありますが、建設省に移しがえを予定されている総理府所管予算を合わせた建設省関係一般会計予算では、歳出四兆六千二百九十六億二千七百余万円、国庫債務負担行為六千二百七十億四千五百余万円を予定いたしております。  次に、建設省所管特別会計について、まず、道路整備特別会計では、歳入歳出とも二兆一千六百四十六億一千九百余万円、国庫債務負担行為一千六百六十二億八百万円、治水特別会計では、歳入歳出とも一兆八百八十八億七千百余万円、国庫債務負担行為二千百七十六億六千二百万円、都市開発資金融通特別会計では、歳入歳出とも四百六十八億五千百余万円を予定いたしております。  また、大蔵省と共管の特定国有財産整備特別会計のうち、建設省所掌分については、歳出百二十二億七千八百余万円、国庫債務負担行為四十六億六千五百余万円を予定いたしております。  建設省といたしましては、以上の予算によりまして、住宅宅地対策都市対策国土保全水資源対策道路整備等各般にわたる国土建設施策推進してまいる所存であります。     〔主査退席兒玉主査代理着席〕  なお、建設省関係予算事業別重点施策概要につきましては、お手元に配付してあります昭和五十五年度建設省関係予算概要説明によりまして、御承知を願いたいと存じます。  よろしく御審議のほどをお願いいたします。
  4. 兒玉末男

    兒玉主査代理 以上をもちまして説明は終わりました。
  5. 兒玉末男

    兒玉主査代理 この際、分科員各位に申し上げます。  質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力をお願い申し上げます。  なお、政府当局に申し上げますが、質疑時間が限られておりますので、答弁は要領よく簡潔にお願いいたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。  まず、伊藤茂君の質疑に入るのでありますが、同君の質疑に際し、参考人として日本住宅公団理事今野博君が御出席になっております。なお、御意見は質疑をもって聴取することといたします。伊藤茂君。
  6. 伊藤茂

    伊藤(茂)分科員 私は、港北ニュータウンの問題について御質問をいたします。  これは、御案内のように、横浜市の北部に将来人口三十万人の近代的な大都市建設しようという、いわば壮大な計画でありますが、昭和四十年にこの計画が発表されてからすでに十五年、ようやく五十八年三月には第一次入居という、いよいよ本番という段階になってまいりました。この間に、五十五年度完成計画経済条件などさまざまの要因によりまして六十二年の計画ということで、その具体化に近づいているわけであります。私も近くでありまして、その関係住民の話を聞きますと、お年寄りの方などは、御先祖からいただいた土地を大事に農地として作業してきた。それが農業を離れていよいよ町づくりになる。高齢の方々は、自分が生きているうちにぜひりっぱな町ができるのを見たい、それを見てから死にたいという話なども伺うわけでありまして、多摩ニュータウンなどほかの場所と違いまして、住民参加方式ということを生かしながら、ぜひ具体的な方向に進めていきたいというふうに考えております。これは、横浜市も大きな関連を持つわけでございますが、特に建設省公団にかかわる点を伺わせていただきたいと思います。  まず最初大臣にお伺いしたいのですが、昨年暮れから行政改革の問題が政治の大きな焦点になりまして、その中で大臣総理などが協議されたり、いろいろ省内議論があったりという中で、日本住宅公団宅地開発公団統合の問題、報道では八〇年十月をめどにというふうなことも出ております。いろいろ関連する面も多いわけでありまして、多面的な御議論もあるところでありましょうが、私は特にこういうニュータウン建設ということに関して、そういうことを処理される最高責任者大臣がどういうようにお考えになっておるのか。実は地元の方でも、いよいよ本番という段階になったら看板が変わってしまう、一体どうなるんだろうかということもあるわけでありまして、その辺の位置づけなり御決意のほどをまずお伺いしたいと思います。
  7. 渡辺栄一

    渡辺国務大臣 お答えを申し上げます。  ただいま御質問港北ニュータウンの問題につきましては、大変御協力を得ながら鋭意進めておるところでございまして、私ども非常な関心を持っておりますが、ただいまお話し宅地開発公団日本住宅公団統合ということにつきましては、両公団統合いたしまして、仮称でございますが都市整備公団として新しい公団設立をすることを考えております。その業務、組織等につきましては、ただいま省内に次官を中心とする準備委員会を設置いたしまして、鋭意具体的な構想を検討いたしておる段階でございます。したがいまして、新公団としては主として大都市及びその周辺におきまする住宅宅地の的確なる供給と、もう一つ総合的な都市整備を実施するという考え方でございまして、この方針に沿いまして、日本住宅公団が現在実施しておりまするお話しニュータウン開発事業につきましてはもちろんでございますけれども、新公団に引き継ぎましてこれを鋭意進めてまいりたい、そしてその一層の促進を図ってまいりたいと考えておりますので、御了承いただきたいと思います。
  8. 伊藤茂

    伊藤(茂)分科員 ニュータウン建設ということについては大臣から前向きのお話伺いましたが、大臣、念を押すようで恐縮なんですが、去年の暮れの段階でしたか、大臣意向を受けて建設省事務当局が「都市整備公団仮称)の設立について」というふうなメモというようなものを報道で読みましたが、その中で特に今後の将来の機能として「都市開発ニュータウン建設等広範な都市整備実施主体として」というのが第一項目。それから二つ目には、鉄道道路等基幹交通施設あるいは公園、下水道生活基盤施設等整備というふうなことが二つ目項目に入っていたように記憶いたしております。そういう意味からいいますと、これは特殊法人公社公団等統廃合の問題、大きな問題でございますからいろいろ議論があるところだと思いますが、いずれにしろ大臣としては、そういうメモも読みましたが、こういう都市建設については期間が六十二年に延びてしまうとかあるいは計画が狂うとかということが絶対ないように前向きに取り組んでいくということでございましょうか。
  9. 渡辺栄一

    渡辺国務大臣 仰せのとおりの考えでおりますし、むしろ私は、いま、宅地開発公団宅地開発をするために設立をされましたけれども、非常に高いコストの資金を使っておるわけでございますし、むしろ鉄道でありますとか、そのような公共施設を敷設する権限を持たせておるわけでありますから、そういう前向きの仕事のできるようなものももちろん新公団には付与するようにしてまいりたいと思いますので、今後とも推進ができまするようなものにしてまいりたいと思います。  なお、都市整備公団というのは仮称でございますので、それらにつきましても、今後、いま申しました準備委員会等で具体的に詰めてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  10. 伊藤茂

    伊藤(茂)分科員 では具体的な問題の幾つかについてお伺いしたいと思いますが、まず一つは、基本的な六十二年計画、この実行についての骨格をどういうふうにお立てになっているのか。あと八年、もう三年余りいたしますと第一次入居が始まってくる。それから後は急ピッチに都市づくりということになってまいるでありましょう。事業量にしても、それから資金量にしても、大変なことになると思います。また、厳しい財政事情の中ではありますけれども財政投融資計画その他いろいろな配慮が総合的に払われなければならないということであろうと思います。  詳細をお伺いする時間がございませんけれども、六十二年完成ということに向けた基本的な手当てというものをどうお考えになっているのか、これをお伺いいたします。
  11. 宮繁護

    宮繁政府委員 お答えいたします。  港北ニュータウン事業につきましては、先ほどお話がございましたように、地元住民の方方の大変な御努力、県、関係市町村等の御協力を得まして、順調に事業は現在まで進んでおります。昭和四十九年八月に、事業区域千三百十七ヘクタールにつきまして、日本住宅公団土地区画整理事業として施行することが認可されたわけでございます。現在、昭和五十五年三月におきまして、事業区域の約四三%に当たる五百七十ヘクタールについて造成工事に着手しているところでございます。今後の事業進捗につきましては、昭和五十七年度中に公団住宅入居を開始いたしたいと考えております。  また、全体事業につきましては、昭和六十二年概成を目途といたしまして現在鋭意努力いたしておるところでございまして、おおむね順調な進捗を見ておりますが、今後とも適切な新しい町づくりができますよう、万全の体制で事業推進するように公団を指導してまいる所存でございます。
  12. 伊藤茂

    伊藤(茂)分科員 計画局長さんに重ねてお伺いして恐縮ですが、昨年、一昨年と、公団の家賃値上げ問題の中で、いろいろと公団の経営その他の問題がございました。そんなことからも不安もあるわけでありまして、やはりこれからも、いま言われたような六十二年に向けた計画を実行していく、そういう方向に向けて、さっき御質問いたしました膨大な事業量をこなすための公団としての中期のプログラムというものを一応設定しながら、またそれは経済全般を見ながら調整、見直しがあるかもしれませんが、そういう努力をしながら、これを必ずやっていくという手当てが必要だと思いますが、そういう面はいかがですか。
  13. 宮繁護

    宮繁政府委員 事業の円滑な推進を図るために、先ほども申し上げましたように、財政面組織面その他につきまして万全の施策をとっていきたいと考えております。
  14. 伊藤茂

    伊藤(茂)分科員 ぜひ強力な対策をお願いいたします。  次に、地元で大きな関心焦点になっておりますさまざまな関連事業について、恐縮ですが、私の方から二、三最初にまとめてお伺いをさせていただきたいと思います。  一つ河川の問題でありまして、これはここ数年来関係方面の御協力をいただきまして、鶴見川の改修計画など順調に進んでいるところであります。また、この経過を見ますと、地元市民の非常に熱心な声と協力が大きな力をなしているということも痛感をいたします。ニュータウン区域関係をする部分は、早期にこれを完成をさせるということで進んできているわけでありますけれども、これから、さっき局長さんのお話がありましたようなスケジュールで具体的に進んでいくということになりますと、さらに幾つかの問題を解決しなければならないということであろうと思います。鶴見川全体の改修計画推進ということもございますし、それから現在ダムが十ほどあるわけでありますけれども、そういうものを順調に撤去できるのかどうか。造成計画ともテンポが合うわけでありますが、五十九年三月までには解決をするというお話もございますし、現地に行きましたら、どうしても六十二年までかかる、六十二年になっても残るのじゃないだろうかというふうな声も聞くわけでありますし、また私たちの希望としては、堤防が崩れるかもしれない恐ろしい川、汚い川から、こういう近代型都市建設するわけですから、やはり生活の中に溶け込んだ親しみのある川にしていくという方向への発展も必要ではないだろうか。その面のニュータウン関連する河川対策一つ。これは河川局の方にお伺いいたします。  それからもう一つ公団の方になると思いますが、関連事業の大きな問題は地下鉄の問題であります。横浜駅から新横浜までの分は先般着工いたしまして、私も起工式に行ってまいりましたが、それから後の新横浜からあざみ野までの分も早急にやらなければならない。さらには、まだ計画段階に終わっている四号線、六号線の問題もあります。これらは工事主体が市でありますし、それから運輸省にもかかわるわけでありますが、さっき大臣お話をいただきましたが、ニュータウン建設に関する総合的な視野と対策をもって臨んでいきたいということですから、そういう意味からも特段の配慮をお願いして、これが推進をされるということが必要ではないだろうかと思います。その辺の見通しをどうお考えか。  あわせて、特に造成段階下水道の問題も大きな問題でございますが、それらのことを河川局公団の方から御説明いただきたいと思います。
  15. 稲田裕

    稲田(裕)政府委員 河川改修関連につきましてお答えを申し上げます。  鶴見川につきましては、非常に流域の都市開発が著しく、現在保水、遊水機能も減少いたしてまいっておりまして、洪水流出量が増大しておりまして、相対的に安全度が落ちているというような現象が見られているわけでございます。これらに対応しまして、河川局としましては、五十四年度から総合治水対策事業特定河川事業制度というのを創設いたしまして、市街地の開発に見合った改修を緊急的に実施していきたいというふうな方針のもとに改修を実施しているところでございます。港北ニュータウン建設にも関連いたしまして、鶴見川の下流部改修促進しなければならぬということで、当面の目標としましては、末吉橋地点計画洪水量九百五十トンを対象にいたしまして築堤護岸工事橋梁等の対等を進めておるわけでございますけれども、特に五十四年の十二月からは、下流部の大規模なしゅんせつ工事にも着手したところでございます。また、団地に直接関連のございます支川の早渕川及び大熊川等につきましては、五十三年度までにすでに概成いたしておりまして、鶴見川本川の中流部につきましては、五十二年度より住宅宅地関連公共施設整備事業促進費をもちまして、事業促進を図っておるところでございます。  先ほどお尋ね暫定調整池の件でございますけれども、この暫定調整池につきましても、これらの改修進捗を図りまして、五十八年度には解除する見通しとなっておるわけでございます。
  16. 今野博

    今野参考人 港北ニュータウンには地下鉄の三路線計画されてございます。これは先ほど先生のおっしゃったとおりでございます。しかも、港北ニュータウン開発計画は、この地下鉄路線が入るという前提で計画がなされております。したがいまして、私どもといたしましては、非常にこの地下鉄事業促進につきましては関心を持つというか、それが本当に大事な点だと思いまして、関係方面と鋭意協議を進めてきておるところでございます。この地下鉄路線のうちで最も緊急性の高い市営地下鉄の三号線でございますが、これにつきましては横浜市において五十三年度に横浜新横浜間の路線免許取得済みでございます。引き続き新横浜から田園都市線のあざみ野間の免許申請準備中と聞いております。これにつきましても、市と積極的に私ども話し合いを持ちまして、その促進方についてお願いをしておるところでございます。また四号、それから市営六号につきましても、それぞれ種々の基礎調査が進められておる状況にございます。  公団といたしましては、今後とも地下鉄事業進捗につきまして関係方面に積極的に働きかけをいたしまして、所期の目的を達したいと思っておる次第でございます。
  17. 伊藤茂

    伊藤(茂)分科員 公団の方から御説明いただきました地下鉄の問題でも御承知のとおり、いままでの途中には計画どおりいくのかどうか非常に不安な段階があって、それでは一体関係住民が全体どうなるんだという大変激しい議論のあった局面もこの十五年の経過の中にはあったわけでございまして、幸いにようやくその見通しがついてきたという段階になるわけでございますが、さっき質問で申し上げましたように、ぜひニュータウン建設中心となる公団の立場から積極的な促進役割りを果たすように希望しておきたいと思います。  それから、公団にあと二つまとめてお伺いをしたいのです。  一つは、地元地権者、旧地主の皆さんへの対応の問題です。これは面積の大きなものを所有されていた方も零細な方もいらっしゃいますし、それからもともと小さな宅地をお買いになっていた方もいらっしゃる。大きな場所ですからいろいろなものが問題があるわけであります。そういう中で特に生活面も含めて、今後仕事面を含めていろいろと助成をしたり、援助をしなければならないということで、市の方でも毎年、昨年からことし、少しずつ予算もふやしてそれら市民への手当て考えているということになっていることは御承知のとおりだと思います。またそういう中で市の方とも、それから関係住民地元意向も受けとめておられるようですが、公団の方からそういう部門についてひとつファンドを出して、基金を提供して、それを運用する中で六十二年完成に向けた旧地主あるいは関係市民の助成、あるいは保護に当たっていくというふうな構想が進んでいるように伺うわけであります。地元の方からは、相当多額の預託を基金として出していただきたいという公団への要望が参っているようであります。また関係方面伺いましても、この五十五年度中には具体的なめどをつけていきたいという話もあるようでありますが、その辺を私はぜひ前向きにできるだけの額を考えていただきたいと思うわけでありますが、具体的にどうお考えになっているのかということが一つ。  それから二つ目は、これからの事業進捗の中での地元業者の参加の問題です。これは、この中にも二つあるわけですが、一つは旧地権者の方々がそう大きな仕事ではなくて小さな企業をつくって、そして自分たちの手で自分たちのもともといたところの町づくりに参加をしていきたい、こういうものは私は関係業界の御理解も得られると思いますから、何か別枠というのか、特別の仕事の枠をつくって差し上げるぐらいの配慮があってもいいんじゃないかということが一つ。それから二つ目には、横浜市と神奈川県とか、要するに地元の産業企業分野に関する問題でありますが、これもジョイントベンチャーを組んだり、自己努力を大いにしてりっぱな仕事ができるように、愛情をもって自分たちの町づくりをしていくという姿勢も必要だろうと思いますし、そういうものと兼ね合いながら、本体部分は大手がやるかもしらぬけれども、いろいろな関係する面は極力地元の企業や産業に参加の舞台を提供していくということが必要ではないかと思うわけでありますが、その辺いかがでございましょう。
  18. 今野博

    今野参考人 お答えいたします。  御承知のように港北ニュータウン開発は、土地区画整理事業という手法で私ども開発をしておるわけでございます。その中で実は二七%に相当いたします三百五十七ヘクタールを先買いをいたしまして仕事を進めておるわけでございますが、この用地買収に協力をしてくだすった方々で、特に生活基盤が大きく変化をするであろうと思われます地権者の生活対策推進につきましては、かねてからいろいろ配慮をしてまいったところでございます。御指摘の生活再建対策につきましては、横浜市が中心になっていろいろいままで協議を重ねてまいっております。当公団事業関連して生じておりますこういった問題につきましては、必要な経費は当公団でも応分の負担をしなければならぬと思っておりますし、そういうふうに地元に対しても実はお話もしておるところでございます。  ただ、現在横浜市が中心になりまして地元といろいろ相談をなさり、地元に現在のところこういった受けざらと申しますか、そういう協会もできたようでございます。これに対して市が中心になってどのような形で負担をすべきか現在協議中でございますし、当公団も現在横浜市とその具体的な方法につきまして協議中でございます。できるだけ早くその結論を出して進めてまいりたいというふうに思っております。  それから御質問の二点目でございますが、地権者の中に土木工事等を行う会社を設立しているものがあるが、それに特別枠で何か考えたらどうかというお話がございます。これは現実にはこういった方々につきまして地元地権者生活対策の一環として意義あるような場合には努めて仕事をお願いをしておるわけでございますが、その技術力とかというものが、非常に小さいものでございますので、小規模な土木工事でございますとかあるいは公団の若干の業務を委託する。内容から申しますと、草刈りでございますとかあるいは維持管理でございますとか、そういう小さな工事は実はお願いをしてございます。十分可能な範囲で事業への参画をお願いをしたいと思っておりまするし、今後もそういう方針でやっていきたいと思っております。  また第三点目の一般の地元業者を優遇してはどうかというお話がございましたが、これにつきましても、先ほど申し上げました地元地権者設立した会社と同様に、その業者の技術力とか実績等に応じまして、可能な範囲で事業への参画に配慮してまいりたいというふうに考えております。現実にいままで、具体的に申しますと、今年度約一〇%程度はこういった方々に仕事をお願いをしておるという実態でございます。  以上でございます。
  19. 伊藤茂

    伊藤(茂)分科員 今野さん、質問最初の方、地元の旧地権者への対応、これは五十五年度中に市とも相談をして実施に移されるというふうに考えてよろしいですか。
  20. 今野博

    今野参考人 五十五年度中にはもちろんでございますが、できるだけ早く私はやりたいと思っております。
  21. 伊藤茂

    伊藤(茂)分科員 もう時間ですから終わりたいと思いますが、最後に一言だけ要望申し上げておきたいと思います。  これからいよいよ具体的な本体建設段階を迎えるということになってくるわけでありまして、地元の方に港北開発局なども設置をされて、いい印象も与えているわけでありますが、やはりこういう事業体制を強化をして、万全の体制をとってもらいたいというのも地元の要望であります。それから五十五年計画が六十二年になったということについてもやむを得ないということで今日に至ったわけでありますけれども最初に申し上げましたような地元の人の気持ちも含めて、これ以上おくれることがないように全面的な御努力を願いたい。  この間その関係者のところを回っておりましたら、小さなパンフレットができておりまして、十五年間の経過が書いてありましたが、タイトルが正念場。正念場という気持ちで地元も対応してということだろうと思いますから、そういう姿勢で対応策等お願いいたしまして、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
  22. 兒玉末男

    兒玉主査代理 答弁はいいですか。
  23. 伊藤茂

    伊藤(茂)分科員 一言。
  24. 渡辺栄一

    渡辺国務大臣 御発言の趣旨は十分理解いたしておりますので、適切にひとつ進めてまいりたいと思います。
  25. 伊藤茂

    伊藤(茂)分科員 これで終わります。
  26. 兒玉末男

    兒玉主査代理 以上で伊藤茂君の質疑は終了いたしました。  次に、古川雅司君。
  27. 古川雅司

    古川分科員 若干質問をさしていただきます。  最初に、国土庁からおいでをいただいておりますので、第三次全国総合開発計画、いわゆる三全総についてお伺いをさしていただきます。  政府が三全総を策定いたしましてから、関係各省との間の調整等を通して事業実施を進めてこられたわけでございます。ことに、三全総そのものについては、都市と農山村を一体に、自然、生活、生産の各環境を総合的に整備して、人口の地方定住を進めるために定住圏を全国に二百ないし三百設定をするのがねらいであるとされておりまして、以来、自治省あるいは建設省等からこの定住圏構想と多少内容を異にする構想も同時に出されまして、調整を進められてきたわけでありますが、今日その経緯がどうなっているかということが一つ。  もう一つは、これまでいわゆる全総、新全総に伴って開発計画が進められてまいりましたいわゆる新産都市構想あるいは工業整備特別地域の構想、こういった既存の構想があって、そうしたものをいわゆる解消して三全総の定住圏構想に切りかえていくのか、あるいはそうした既存の構想を考え合わせながら、含めながら三全総の開発計画を進めていくのかという点についても、長い間検討を進められてきたと思います。その点について、まず経緯を御報告いただきたいと思います。
  28. 長沢哲夫

    ○長沢説明員 お答え申し上げます。  第一点の圏域調整の問題でございますが、定住圏整備というのは総合的な環境整備でございますので、各省庁の事業関係するところが非常に多いわけでございまして、その意味から、昨年十七省庁から成る関係省庁定住構想推進のための連絡会議を設けまして、各省間の調整を十分とりながら、定住圏整備を進めていく、こういう体制をとっております。自治省、建設省等の圏域構想も、いわば定住圏構想と整合的あるいは協業、補完関係に立つものというふうに理解して進めてまいっております。  それから、第二点の新産、工特を三全総でどう位置づけているかという御質問だと思いますが、先生も御案内のとおり、新産都市あるいは工業整備特別地域は、昭和三十七年に策定されました一全総の時代に指定されたものでございます。その後、総合開発の歴史は、一全総、三全総あるいは新全総、三全総というふうに経過してまいっておりますが、この経過というのは、単純な方針変更ではなくて、その時点におけるいわば反省の上に立った歴史的な積み重ねであるというふうに私ども理解しておるわけでございます。したがいまして、一全総時代に指定された新産、工特につきましても、その後の時代の変遷、経済社会情勢の変化あるいはその地域の実情、そういったものを織り込みながら、引き続き整備を進めるべきものというふうに考えておりまして、三全総でもそのような考え方が示されておるわけでございます。  具体的には、三全総の中に新産、工特に関する記述をいたした部分がございまして、国土の均衡ある発展を図る観点から、工業の再配置等の施策を位置づけ、特に生活関連施設の整備等に力を入れて引き続き整備を進めていく、こういう考え方が述べられております。
  29. 古川雅司

    古川分科員 御丁寧に御答弁いただいたわけでございますが、この三全総の目的である定住圏構想を実現していくかぎでございます。特に国土庁としては、全国に四十カ所のモデル定住圏を設定して、さしあたってその推進に当たるということでございましょうが、たとえばいま問題になっております雇用の創出といった地域の課題にどうこたえるかということについての具体的な提言が何もございませんし、なおかつ先ほど伺いをいたしました新産都市あるいは工特地域につきましては、従来の生産主体の開発計画から生活関連の施設整備という内容にこれを組みかえていかなければならないという指摘がされているだけで、今後の定住圏構想との関連が非常にあいまいであるわけです。特に新産都市、工特地域につきましては、整備計画が目的を達しないままいまいわゆる死に体になっているわけでございまして、ここに三全総に移ってこうした地域が目的を達しないまま見捨てられていくのじゃないかという大きな不安もあるわけでございまして、その点についてどう考えていらっしゃるのか。たとえば工特財政特別措置法等につきましては、五十六年三月で期限が切れるわけでございまして、この時限立法の期限を延長するというようなことによって三全総との関係を強めて、決してこうした従来の新産都市あるいは工特地域については見捨てるものではないという具体的なお考えを出すべきだと思いますが、この点いかがでございますか。
  30. 平戸正尚

    ○平戸説明員 お答え申し上げます。  新産、工特につきましてのこれまでの成果についてでございますが、新産、工特地域における施設の整備状況というのは、五十年度までの旧計画期間においては、先生ただいま御指摘のように生活関連施設の一部におくれの目立つものがございます。しかし、全般的にはおおむね順調に進められたと考えております。しかし、そういう生活関連施設の一部のおくれというふうな反省を込めまして、昭和五十五年度までの現在の新計画におきましては、生活関連施設に特に重点を置きまして整備を進めておりまして、整備状況はほぼ順調に進展しているという状況にございます。しかしながら、関係地域における工業出荷額につきましては、旧計画期間中はほぼ順調に伸びましたけれども、新計画に入りましてから不況の影響というふうなこともございまして、全般的に伸び悩んでおりまして、特に基幹となるべき産業の立地は進んでも、関連産業の立地というものがなかなか進んでいない、その意味で波及効果がまだ十分でないという実情にございます。したがいまして、こういう状況を反映して、人口につきましても全国に対する比率こそ高まってはおりますけれども、なお目標には達していない、こういう状況にございます。しかし、総じて申し上げれば、新産及び工特の建設計画によりまして大都市への人口、産業への集中を防止し、及び地方を振興し、国土の均衡ある発展を図る、こういうふうな最も基本的政策課題の達成に対しては相当程度の貢献をしてきたというふうに思っております。しかし、先ほど申しましたように、その後の社会情勢の変化もありまして建設整備の進度がおくれるという状態にございまして、これを今後の課題というふうに考えております。  それから、第二番目に御質問の財特法の期限切れ後の措置についてでございますが、現在国土庁においてこの検討をいたしておる段階でございまして、まだ最終的な結論は出ておりませんが、地方における雇用の場の確保というふうな観点、これは非常に重要な問題だと思いますので、新産、工特地域の整備を今後とも進めてまいりまして、工業の導入を図り、この雇用問題にも対応してまいりたいというふうに考えております。それで、関係の公共団体の意向でございますが、各関係団体ともこの延長を強く望んでおります。そういうふうな状況も踏まえまして、今後、国土審議会の地方産業開発特別委員会その他関係各方面の意見を伺いながら、その具体的な内容を煮詰めてまいりたいというふうに考えておりますが、それと同時に、自治省を初めとする関係各省庁とも十分相談してまいるというふうに考えております。
  31. 古川雅司

    古川分科員 三全総とタイアップをしてこうした地域開発をさらに整備していきたいということですが、私は積極的な姿勢と受け取るわけでございますが、これは新産都市につきましては全国で十五、それから工業整備特別地域、工特については全国で六つあるわけでございまして、そのすべてについて三全総とのタイアップを考えていくという方向なのか。たとえば私の身辺にあります備後地区の工特の場合には、施設整備、人口は平均的な成果を上げているわけでございますけれども、工業出荷額になりますと、目標に対して五十二年度現在では八%というきわめて低い状況になるわけでございます。これを一例にして御説明をいただきたいのでございますが、今後の課題としてこの地域が造船とか繊維といった不況業種の転換を迫られておりますし、さらには低迷を繰り返しております鉄鋼業のあり方、こういったものが一つのかぎになって備後工特の存続についての期待も高まっておるわけでございますが、その辺を踏まえて、今後の課題としてひとつ御見解をお示しいただきたいと思います。
  32. 平戸正尚

    ○平戸説明員 お答え申し上げます。  現時点では、先ほど申しましたように全般的に期限切れ、つまり五十六年度以降の問題について検討中でございまして、先生御指摘の、備後地域とか特定の地域について存続するとかあるいは特定の地域は存続しないとか、そういったところまでまだ検討が進んでおりません。全般的に三全総の位置づけに従いまして検討しているというような段階でございます。
  33. 古川雅司

    古川分科員 建設大臣にお伺いをいたしますが、ただいま私は三全総についてお伺いを進めてきたわけでございますけれども、五十五年度の予算案の政府案決定に際しまして、いわゆる歳出の削減ということが一つの大きな課題になりました。特に公共事業の伸び率をゼロに抑えたということが大蔵当局の一つの自慢の種になっているわけでございます。こうした財政事情考えまして、今後どういう推移になっていくかという将来展望もありますけれども、いわゆる公共事業の中で道路の整備計画であるとか河川整備計画であるとか、あるいはダムの建設計画であるとか、そういった公共事業計画に対して何らかの見直しを迫られる事態を大臣はお考えになっていないかどうか、まずその点の御見解をお伺いしたいと思います。
  34. 渡辺栄一

    渡辺国務大臣 お話しのように、私は公共事業というのはコンスタントに着実に実施をすべきものであると考えておりますが、昭和五十五年度は、御承知のような財政再建第一年でございまして、私どもも五十五年度に関しましてはやむを得ないと考えておりまして、これは御承知のように前年度並みという枠の中で公共事業費を予算編成いたしたわけでございます。五十五年度はそういうことになっておりますけれども、御承知のように五十四年度で五%留保をいたしておりまして、これは三月末までの事態でどのようになるかは予断を許しませんけれども、たとえばこれが五十五年度に繰り越されるというような結果になりますと、五十五年度は実質的にもほぼ五十四年度並みの事業は実施できるのではないかというふうに考えております。  そこで、五十五年度の公共事業費でございますが、五十二年度から五十四年度にかけましては、先生御承知のように大幅な伸びを示したわけでございます。そういうような意味におきましては、建設省関係の各種五カ年計画は着実に実施をした結果になっておると私は考えております。いろいろ検討いたしてみますと、五十五年度を最終年度とする五カ年計画進捗率はどうかということでございますと、第二次都市公園等整備五カ年計画は一〇二・五%実施をするということになると思います。なおまた、第二次海岸事業五カ年計画でいきますと一一〇・五%、第三期住宅建設五カ年計画でありますと一〇六・八%ということになると思うのでございます。したがいまして、いずれも事業費あるいはコストの面ではほぼ超過をするということになりますし、第四次下水道整備五カ年計画につきましても九六・二%の達成率、あるいは第八次道路整備五カ年計画でまいりますと、五十五年度は第三年度目になるわけでありますが、進捗率は五六・二%ということであります。なおまた、第五次治水事業五カ年計画でまいりますと、同計画は四年度目になるわけでありますが、進捗率は七八・三%ということになりまして、いずれもその達成は可能でございますから、私ども、当面は五カ年計画計画どおり実施ができるものである、かように考えておるわけであります。
  35. 古川雅司

    古川分科員 大臣の御答弁では、こうした財政事情の推移によってもこうした開発整備計画の見直しの必要はない、おおむね順調に進めていく確信のほどを伺ったわけでございます。先ほど三全総に関連して工特地域の問題を私は挙げましたが、その中で生産あるいは生活関連をした施設整備をしていく場合に、道路であるとか下水道整備あるいは河川整備、ダムの建設ということが大きな柱になっていることは事実でございます。予算は計上をする、あるいは計画は進められているかに見えながら、中には実際に事業進捗を見ないという事例がかなりあるわけでございまして、ダムに一例を挙げますと、ここに会計検査院の指摘があるわけでございまして、ここでは具体的に大滝ダム、川辺川ダムの、建設について指摘をしでいるわけでございます。この指摘に類似した事態が随所にあるんじゃないか。その指摘の中に「緊急かつ計画的に推進することが要求されているものであるが、この事業は用地買収、補償交渉等に手間どることが多く、工事期間は通常の場合でもおおむね十箇年程度の長期間を必要とし、」云々とございまして、途中省略をいたしますけれども、「着手後十箇年以上を経過して準備工事及び補償のため多額の事業費を支出しながら、なお、ダム本体工事の着工の確実な見通しも立っていない。」という事例を挙げているわけでございます。  たとえば、広島県にも現在、比較的順調に進められております八田原ダムというのが一つございますし、もう一つ、非常に渋滞をしております灰塚ダム、さらに計画のための調査もなかなか思うように進んでいないというような下金田ダム、この二、三の例を挙げさしていただくわけでございますけれども、これは先般、昨年でございましたか、建設員会で私、お尋ねをしたわけでございまして、当然これは県にだけ任しておける問題ではない。したがって、建設省河川局を通してその問題点をよく整理しながら推進をしたいという具体的な御答弁をいただいたわけでございまして、なおかつその後進展の見通しも立たない、相変わらず予算はついていく、こういう事態を非常に心配をしているわけでございますが、この点いかがでございましょうか。
  36. 稲田裕

    稲田(裕)政府委員 ダムの建設につきましては会計検査院からも御指摘をいただいたわけでございますが、いずれにしましても、ダムによって水没する住民の方々の対策というのをやはり優先しなければならないということで、その対策に時間がかかっているというダムが数例あるわけでございます。  いま御指摘の八田原ダムにつきましては、これは四十八年に実施計画調査に入りまして、五十年に建設事業に着手いたしておるわけでございます。このダムの補償につきましては、着手以来非常に熱心に水没関係者との折衝を続けておりまして、現在までにすでに用地測量、物件測量を完了いたしております。そして五十三年九月九日には、水没関係者と事業の実施に伴う損失補償及び事業の実施に当たっての基本的事項についての協定書を交換いたしまして、土地の等級格づけ等の補償交渉を行っているという現状でございます。  この間、水没関係者の生活再建なりあるいは水源地域の振興を図るために、五十二年二月には水源地域対策特別措置法に基づくダム指定が行われまして、また水没者の移転先の協議あっせん、巡回生活相談等を行っておりまして、さらに国鉄の福塩線のつけかえルート等につきまして甲山町との打ち合わせを行いまして、五十三年七月には国鉄に委託して、ルート沿いの地質調査も進めておるというふうな進捗状況に現在なっておるわけでございます。  今後の八田原ダムの進展のさせ方でございますけれども、いずれにしましても、水没関係者の理解を得て、私の方で補償基準を現在取りまとめておりますので、これを発表いたしまして、関係者の方々と話し合いを進めましてできるだけ早く妥結を図りたいというふうに考えておるわけでございまして、五十五年度の事業としましては、つけかえの道路、工事用道路の進捗とともに、用地補償を重点的に進めるという方針のもとに、現在具体の詰めの作業に入っておるという状況でございます。  それから、灰塚ダムでございますけれども、このダムにつきましては、水没関係者の方が二百三十戸、そして二百十ヘクタールの良好農地がつぶれるということで、水没関係者の生活再建と関連地域の整備につきましてはいろいろな問題を抱えております。特に営農形態をどうするかという基本的問題につきまして、地元関係者との計画調整を図るということが非常に重要な課題になっておりまして、私どもとしましても、営農計画、代替農地等につきまして鋭意調査を進めておるわけでございますが、この調査結果と相まちまして、広島県でも進めておられる地域整備計画との調整を図りながら、全体としての村づくりをまずやるのが先決ではなかろうかというふうに考えまして、今年度もいろいろと進めておるわけでございますが、来年度につきましてもこの方針のもとに、主として地元の営農計画なり地域計画のまとめに努力いたしたいというふうに考えておるわけでございます。  それから、下金田ダムでございますけれども、このダムにつきましては、現在、先ほど説明いたしました灰塚ダムとともに、すでに竣工しました土師ダムもございまして、三ダムがこの三次盆地周辺にできるわけでございまして、現在灰塚ダムは鋭意進めておるわけでございますが、下金田ダムにつきましても、四十七年の出水にかんがみまして、計画として計上されておるわけでございますけれども、これにつきましては、現在まだ予備的調査の段階でございまして、なかなか、先生おっしゃるように地元にも立入調査が困難だというような状況でございますけれども、これにつきましても、できるだけ早く地元の立ち入り等もいたしまして、調査の促進を図ってまいりたい、かように思っておるわけでございます。
  37. 古川雅司

    古川分科員 御丁寧に御説明いただいたわけでございますが、この灰塚ダム一つを例にとりましても、昭和四十九年からの実施計画調査に入った段階から今日まで約九億の予算を執行しているわけでございます。しかも、住民との交渉については全く調整がつかない、その打開の見通しもないということでありまして、従来私は、そういう状況であれば、この際徹底的な交渉を詰めてむしろ計画を断念すべきであるという住民の声にこたえるべきではないか。いかに予算を費やし調査を進めても進展を見られないというものは幾つかあると思うのでございます。  もう一つお尋ねをする予定で準備をしてきたのでございますが、これまた建設員会で五十二年、五十三年の二度にわたってお伺いをしました広島県の三原バイパスの問題でございます。これに当時の浅井局長、そしてまたきょうここにいらっしゃる山根局長が、いずれも年度内に都市計画決定をしたいという、きわめて可能性に満ちた御答弁をいただいているわけでございますが、以後、私の知るところでは何ら進展を見ていない。しかも、このバイパスの方の問題につきましては、大多数の市民促進を希望しながら、いわゆる環境問題について反対をしていらっしゃる住民との交渉ができないという段階でございまして、こういった事態につきましても、いわゆる県であるとか市という、地元に余りにも依存をし過ぎているのじゃないか、住民はむしろ、先ほどのダムの場合も同じでありますが、道路につきましても、こうした住民が間に入った地域の問題については、事業の主体である建設省そのものがもっと積極的に対話を重ねてとうした計画推進していくべきではないかというふうに私、考えるわけでございます。先ほど大臣にお伺いをいたしましたのはそういう意味で、ただ計画だけをだらだらと繰り延べしながら続けていくのではなくて、こうした財政事情の中でありますから、この際思い切った見直しをそういう意味ですべきであるという主張を申し上げたわけでございまして、時間があと一分ほどで限られてしまいましたけれども、その範囲で大臣の所信をお伺いして質問を終わりたいと思います。
  38. 渡辺栄一

    渡辺国務大臣 先ほど御答弁申し上げたとおりでございますが、お話のような現状に即しまして、必要なものにつきましては十分検討してまいりたいと思います。
  39. 古川雅司

    古川分科員 終わります。
  40. 兒玉末男

    兒玉主査代理 以上で古川雅司君の質疑は終了いたしました。  次に、沢田広君。
  41. 沢田広

    沢田分科員 高層マンションに関連をいたします諸問題について若干お伺いをしてまいりたいと思います。  建設省は、言うならば高層マンション——高層マンションというものをどの程度から言うか、いろいろむずかしい問題があると思いますが、非常に低階層の地帯の中にぽつっと煙突のように、あるいは刑務所のへいのように高層マンションが建設をされる。この場合に、制限をされる条件というのは、三十二メートルなら三十二メートルという、大体消防能力でその程度しかないようでありますから、その程度までで、あとは建蔽率なり容積率なり、そういうものによって建設をされる。このことによって付近の住民は大変迷惑を受けるということになるわけであります。この迷惑に対して、挙げれば風害の問題、違和感の問題、威圧感の問題、眺望の問題あるいはまた日影の問題等等もあるわけでありますが、これらの取り扱いについて、建設省としては、その付近の住民との関係というものは、法律設定の立場に立ってどのようにお考えになっておられるのか、それをまずひとつお伺いをいたしたいと思います。
  42. 升本達夫

    升本政府委員 お答えいたします。  高層マンションを、具体的に都市計画の場から個々的に規制をするという考え方をとっているわけではございませんけれども、先生よく御承知のとおり、都市計画都市の発展動向あるいは人口、産業の見通し土地利用の動向等を総合的に勘案いたしながら、各地域別に用途地域の規制を必要の地域に設けております。この用途地域の規制によりまして建築物の用途、さらに建蔽率、容積率というものを地域の実情を見ながら定めさしていただいております。したがいまして、高層マンションをお建てになる場合にも常にその用途地域規制の範囲内でお建ていただく。この用途地域の設定に当たりましては、当然に周辺の公共施設あるいは公益施設との取り合わせ等を勘案しながら定めておりますので、この規制の範囲内でお建ていただくならば、一般的には地域に特別の悪影響を及ぼすということはないのではないかというふうに承知をいたしております。
  43. 沢田広

    沢田分科員 あなた、いま悪影響を及ぼすことはないということは、どういう根拠でいま言っているような問題、私が挙げたような問題で悪影響がないということを言えるのですか。ちょっとその中身を言ってください。
  44. 升本達夫

    升本政府委員 個別の、具体の個所を御指摘いただきますれば、その状況等の条件に従いまして規制の態様、判断の実情をお伝えできるかと思いますが、ただいま私が申し上げましたのは、一般的に高層マンションをお建てになります場合に、規制の範囲内でお建ていただければ実害が生ずることはないのではないかというふうに申し上げたつもりでございます。
  45. 沢田広

    沢田分科員 非常な認識のずれというか、事実誤認の内容がありますので、ひとつもっと勉強していただきたいと思います。あなたがどこに住んでいるかわからないけれども、あなたの家の前へ十一階建てなり十三階建てが建った場合を考えて、影響ないと考えますか。あなた、宿舎に住んでいるのかどうかわからぬけれども、そうなった場合に、あなた影響ないと考えますか。
  46. 升本達夫

    升本政府委員 お答えいたします。  地域の状況の相違によりましていろいろ御判断があろうかと思いますけれども、たとえば……
  47. 沢田広

    沢田分科員 あなたの家の前、こう言っているんだ、ぼくは。
  48. 升本達夫

    升本政府委員 私のところはたまたま東京の都心地区でございますので、商業地域でございます。したがいまして、容積率も七〇〇%でございますか、大変高度になっておりますし、したがいまして、その範囲内でお建てになると普通はかなりの高層のものになります。その場合には当然御指摘のように日影障害も生じますし、あるいは場合によっては風害の出る場合もあるかと思いますけれども、こういう土地柄でございますので、私どもといたしましては土地利用上やむを得ないことではないかということで、一般に御受忍いただくことになるのではないか、私どももそのように承知をいたしております。  ただ、たとえば住居地域、特に住居専用地域、第一種、第二種の区分が御承知のようにございますけれども、特に第一種住居専用地域のように、特に住居地域としての環境保全に気を使った用途地域制がしかれておりますところには、当然に建物の高度制限もございますし、日照、通風等に十分留意した建築物が建てられるように規制がなされていると存じます。地域の実情によって違うことになろうかと思います。
  49. 沢田広

    沢田分科員 それでは、全国の市町村でいわゆる開発指導要綱というようなものがたくさんできております。これは、あなたの立場ではどういうふうに位置づけるのですか。いまあなたの答弁では、そういう条件の中でできるものは問題はないのだ、こう言っているのでありますが、一方、市町村の段階においては、それぞれそういうものができる場合については開発指導要綱というようなものができて、それぞれ抑制措置を講じるなりあるいは住民とのいわゆる紛争を除去するための取り扱いを行っているわけですね。それでは、これは何のためにあると思っているのですか。問題ないのだったらこれは必要ないでしょう。
  50. 升本達夫

    升本政府委員 開発指導要綱によりまして、一般的には具体の建築の建て方の規制とそれから費用の負担について定めておるのが多いと思います。  そこで、都市計画では、先ほど来御説明申し上げましたように、都市の状況をかなり長期的にながめて、必要な要因を勘案しながら定めさせていただいておりますので、長期的にはその都市計画の制限内で建築行為等が行われればよろしいわけでございますが、短期的に見ますと、その都市計画に合わせて建てましても、たとえば関連公共施設が、十分都市計画の予定したように間に合った整備がなされていないという状況もございます。そういたします場合に、建築行為に伴いまして、必要最小限公共施設面にも現状の改善が行われなければならないという、いわばタイムラグの調整というような考え方から、自治体によって一部負担をお願いしたり、あるいは最小限の規制をお願いしたりという措置をとっているものと私ども理解いたしております。
  51. 沢田広

    沢田分科員 きわめて短い時間なので大変なのでありますが、そういう規制措置をとっているということは、あなたの言った支障がないということにはならないということでしょう、裏返して言えば。支障があるからそういう取り扱いをするんでしょう。前言は取り消してくださいよ。問題があるからこういう指導要綱、開発要綱ができるんでしょう。問題がなかったら必要はないでしょう。どうですか。
  52. 升本達夫

    升本政府委員 都市計画の面から特に問題があるので規制をお願いしているというふうには私どもは理解をいたしておりませんけれども、ただいま申し上げましたように、公共施設整備が短期的に間には合わないという状況もございますので、そういう面から御助力をいただくということもやむを得ないところではないかというふうに理解をいたしております。
  53. 沢田広

    沢田分科員 では、続いて、若干関連いたしますが、昭和二十二年、終戦直後から都市計画法なり都市計画街路が、私も都市計画審議会委員なんかをやったりしてまいりましたけれども、たくさんの都市計画街路ができました。せめて二十年から三十年までの都市計画の街路で、今日どういう執行率になっているか、ひとつ参考のためにお聞かせいただきたい。
  54. 升本達夫

    升本政府委員 ただいまおただしの御質問に対して、直にお答えできる資料をいま手元に用意してございませんので、大変恐縮でございますが、早急に調査いたしまして、お答え申し上げたいと思います。
  55. 沢田広

    沢田分科員 二十年から三十年の間ばかりじゃありません。その後ずっときているが、ほとんど手のつかないものが、時代の変革とともに、昭和二十二年ごろにつくった都市計画などというのは本当に無に等しい状況になってしまっている。都市計画というのは百年計画だ、こういうことで都市計画審議会では決めてきている。ところが、こういうような高度成長やいろいろな条件によって、その都市計画自身が、反対もあったりあるいは都市環境に合わなくなったり、そういうことによって無に等しい状況がたくさん出ているわけです。前もって言っておいたのだけれども、調べてないというならこれは怠慢だと言わなければならぬと思うのですが、それは後にいたします。  ところで、現在関東地区だけで、できております高層マンションで、住民票と居住者、これが一致しているものがどれだけいると皆さんは判断をされておりますか。言うならばセカンドハウスあるいは資本の投資、そういう形において貸し付けをするあるいは企業が買ってそれを第三者に貸し付けをする、こういう分野がきわめて多いのであって、実際に買って自分で住むという条件の人は三割以下である。これは私も全部調べたわけではありませんけれども、ずっと調べてまいりますと、住民票と居住者が一致するというものはきわめて少ない。今日の住宅事情というものを勘案した場合に、果たしてそれでは何のための高層マンションなのであるか、その実態に対してあなたはどういうふうに位置づけておられるのか、お答えいただきたいと思います。
  56. 升本達夫

    升本政府委員 住宅問題全般について私からお答え申し上げる立場にはございませんけれども都市計画の面からお答えさせていただきますと、やはり東京、大阪等の人口の大変密集いたしました地域につきましては、住宅の高層化は必至でございますし、近ごろの高層マンションはかなり内容的にも改善をされつつあるのではないかというように見受けております。したがいまして、長期的に見ますと、これも一つの広義の都市の中の居住施設としてその効果を持つものではないかというふうに理解をいたしております。
  57. 沢田広

    沢田分科員 私の質問の答えになっていない。そういう状況をどう判断しているかということを言っている。自分の家を持って自分で入っているという人が少ないということはどういうことなのかということ、あなた方の建設行政としてどういう判断をされているのか、この点を聞いているのですから、そんな抽象的なことではなくて率直にお答えいただきたい。
  58. 関口洋

    ○関口政府委員 ただいま先生がお示しの、真に居住している方の比率がどのくらいであるのかという点でございますけれども、私ども率直に申し上げまして、そこまでの調べはいたしておりません。したがいまして、真の居住者が占めるシェアがどの程度あるのかという点は、きょうの段階ではお答えできませんけれども、ただ、最近になりましてこういう御批判が強まってきたということは十分承知をいたしております。したがいまして、東京のある特別区の区長さんのお考えの中にも、民間のマンションをつくるよりも、手前勝手な宣伝で恐縮ですけれども、住宅公団の高層住宅、こういうものであれば必ずそこに居住してもらえるので、その方が望ましいという御意見をくださる方もいらっしゃいます。そういう点から見ますと、せっかく先ほど都市局長が申しておりますように、都市内の土地の高度利用に資する形として高層マンションが必要だというふうに私ども判断いたしておりますが、それにつきましても、真にそこに居住される方がお入りになるのが適当ではないか、さように考える次第でございます。
  59. 沢田広

    沢田分科員 それでは続いて次の問題ですが、各市町村が持っている行政指導の負担というのは、これは負担なんでございますか、寄付金なんでございますか、それとも要望なんでございますか、何なんですか。
  60. 宮繁護

    宮繁政府委員 各市町村で指導要綱等によりまして開発者に負担させておりますけれども、これは負担金という形で課しておるのが多いようでございます。
  61. 沢田広

    沢田分科員 法律に基づかない負担を住民に課すことはできないというのが現行法規であるわけですね。それが法律でないもので負担金を課すという答弁は、法治国家としてちょっとおかしい答弁じゃないかと思うのですが、その点再度お答えいただきたいと思います。
  62. 宮繁護

    宮繁政府委員 名前は負担金でございましても、法的に申しますれば先生のお話しのように寄付的なものだと思います。
  63. 沢田広

    沢田分科員 大蔵省に来ていただいておりますが、大蔵省で、寄付金といっても負担金といっても、税金の控除は一般寄付金の場合は控除の対象とはなっていかないと思うのですね。この場合経費控除をしているのですか、していないのですか。
  64. 四元俊明

    ○四元説明員 先生御指摘のとおり、最近、各市町村が主でございますが、開発指導要綱等に基づきまして、マンションなどを建設する場合に、各種の環境整備等のための負担金を徴している例が大変ふえてきております。私どものその場合の税の扱いでございますけれども、これはその建設されるマンションの用途によりまして、それが固定資産になる場合、これは賃貸用にそれが供される場合はその建設した者の固定資産になるわけでございますし、それから分譲をする場合にはたな卸し資産になるわけでございますが、この場合と区別をしているわけであります。     〔兒玉主査代理退席、村田主査代理着席〕 分譲等に回りますたな卸し資産の場合には、これは建設のためのコストということで取得原価に計上をさせまして、分譲売り払いのときに売り上げ原価になって損金に算入される。それから、賃貸用等の固定資産として取得される場合には、この負担金は通常は繰り延べ資産ということで、その費用の及ぶ範囲内で、したがって耐用年数等を基準にいたしまして一定年限の間に償却をしていただく、その償却費ということで損金に算入させる、こういうような取り扱いをやっております。
  65. 沢田広

    沢田分科員 結果的には、名口は器付金ということであるけれども、実質上は負担金、いわゆる税金に準ずる公課としてみなしているということになりますね。これは法律的に見ると、法によらない負担を住民に課す、私は業者を弁護しようと思っているわけではないのでありますけれども、とにかく行政指導というものによって相当な額が、私の場合の例で申し上げますと百坪、いま坪八十万で都市計画道路に匹敵するもので八千万、教育負担が子供一人三十五万、大体百戸出ると三千五百万、そういうものが結果的には市町村の行政指導によって負担を命ぜられるわけですね。そういう負担はどこへはね返るとお思いになりますか。
  66. 関口洋

    ○関口政府委員 一般的に申しまして、指導要綱等によりましてマンション業者等から徴収されました負担金は、おおむねそのマンションの購入価格の中に算入されて、結果的には購入者にかかっていくもの、こういうふうに思います。
  67. 沢田広

    沢田分科員 そうじゃないでしょう。結果的には購入者にかかると同時に、階数、戸数に影響してきますね。たとえば、いま言った例では八千万の三千五百万という例をとりましたが、一億二千万の負担をすれば、一戸で四百万ぐらいの粗利益と仮定をいたしますと、そのままが三十戸なら三十戸に上積みしなければ採算がとれないということに通ずるでしょう。そうなると、その町全体の利益はいざ知らず、そこの付近の住民はそのことによって日影をよけい受け、あるいは威圧感をよけい受け、あるいはその他のいろいろな災害を受けるということになるわけじゃないですか。そういうことになると、いわゆる市民を守るための市政が、市民を犠牲にしてマンションがよけいに高くなっていくという因果関係を持っていくということになるわけです。そういうことについてはどのようにお考えになりますか。
  68. 関口洋

    ○関口政府委員 先生の御指摘はおおむね私もそのとおりだと思います。ただ、お言葉を返すようで申しわけございませんけれども、あまりに負担金が高いということになれば、それと先ほど都市局長が御答弁しましたような都市計画法なり建築基準法の制約がございますので、その辺であるいはマンション建設そのものが断念されるというケースも生じてくるのではないか、かように考えております。
  69. 沢田広

    沢田分科員 あなたの言っているようなことだけでいけばマンションなんていうのはそうできていかないんですよ。それでも利益を受けるのですよ。いま二戸二千四百万だとか二千五百万だとか、当時は千四百万くらいだったものが現実的にはいまどんどん上がっていっているでしょう。それだけに皆さんが住宅ローンを借り、それだけ重くなりしているわけですよ。結論的にいくと、この基準は法律で決めるべきである、あるいは少なくとも最低限度市町村の条例で決めるべきである。行政指導という名における負担金というのは妥当ではない。市長の思惑だけで勝手にそういうことをやられるということでは、これは行政としての秩序というものが成り立っていかない、私はそういうふうに思います。これは建設大臣どうですか。町村長なり市長だけの、勝手にこういうものによって開発要綱がつくられて、それぞれ何万かの負担を、これは業者を擁護する意味じゃありませんよ。もっと権威を持ちなさいということを私は言いたいわけです。そういう不明確な状態において、大蔵省もそういう答弁をしたけれども、これもけしからぬ一寄付金が経費控除になるなんてばかな話は、これは大蔵委員会でもやりますけれども、そんなことはないんで、どこの寄付金だってほかの寄付金は全部だめでしょう。入学金ぐらいなものですよ。あとは政治献金だけですよ。それ以外の寄付金が経費に落ちますか。なぜこういうものの寄付金だけ負担金というような状況と同じ扱いをしておるのか。これも大蔵の税制の面から見るときわめて不見識な答弁だと私は言わなければならない。そういう状況のもとに行政指導を、こういう開発指導要綱というものをたくさんつくっておられるけれども、これをもっと徹底的に集めて、そして建設省が統括をするなりあるいは自治省が統括をするなり、それは別として、法律で決めるものは法律で決める、あるいは条例、せめて都道府県段階でこういうものの基準を決めていくということが必要ではないか、これがまず第一問。  それから、このマンションの建設の認可を、建築基準法等ありますけれども、都道府県知事にある程度委任をして、そして地域の条件とのバランスをとれるように、都市計画審議会でもいいですし第三者機関でもいいですけれども、そういうところでワンクッション置いてこれを調整していくという方法が必要になってきているのではないか。じゃないとよけいな紛争が、それこそ座り込みをやったりあるいは工事妨害をやったりということにならざるを得なくなります。ですから、法律だけつくって包括的に市町村にしりぬぐいさせる、だからこういうものをつくらなければならなくなってくる、そういう片手落ちの行政から一歩進めて、できれば都道府県段階で、その許認可の権限を与えながら、そこで調整ができるようにひとつ建設大臣、これから改めていただけるような方向で進めていただけないかどうか。またこういうやみくもの、インチキとまでは言いませんけれども、こういう法に準拠しないような負担金やその他を取っていくという形を改めさせていくということも必要な条件ではないか、こういうふうに思いますがいかがでしょう。
  70. 宮繁護

    宮繁政府委員 大臣お答えする前に事務的に一応説明したいと思います。  いまお話しのように、大都市及びその周辺の市町村におきましては、宅地開発に伴います公共公益施設の財政負担の過大化に大変悩んでおりまして、そのため、やむを得ざる措置として指導要綱等によりまして開発者に負担を求めているのは先生御指摘のとおりでございますが、このような事態に対処するためには、基本的にはこれらの市町村に対しまして財政的に格別の措置を行うことが必要でありまして、建設省におきましても従来からこの公共公益施設の整備促進のためにいろいろな施策を展開しておりますし、また文部省、厚生省等におきましても、負担軽減のために措置をとっておるところでございます。  なお、これらの措置を活用はいたしますけれども、現状におきましては、先ほども申し上げましたように市町村が負担の軽減のためにやむを得ない措置としてこういうことを行っております。ただ、この点につきましては、基準を設けることはどうかということでございますけれども、やはり地方地方それぞれ個別の事情がございまして、財政の力も違う、あるいはまた団地の大きさあるいは周辺の公共公益施設の整備の状況も異なるというようなことでございまして、一律の基準を設けるのは大変むずかしいと思います。しかし、いずれにしましても不合理なあるいは不適当な負担を課することは問題でございます。昨年も建設大臣が自治大臣と直接お会いしまして、この指導要綱につきましての見直しあるいは適正な運営につきまして御相談申し上げたわけでございますけれども、今後とも自治省とも十分相談いたしまして、この適正な運営につきまして一層努力をしてまいりたいと考えております。
  71. 四元俊明

    ○四元説明員 先ほどの私の御説明をいまの質問関連いたしましてちょっと補足させていただきたいのでございます。  マンション建設等に当たりまして、単純に地方公共団体にそのマンション建設とは関係なしに寄付をされるという意味でございますれば、地方公共団体に対する寄付金は税法の取り扱いで無条件に損金に算入できるのでございますが、いま話題になっております開発指導要綱等に基づきますいわゆる負担金は、マンション建設のために要請される、そのために必要となる負担金であるということで、単純な寄付金という処理、すなわち単純に損金に落とすという処理にはなじまないものでございますので、先ほど説明しましたように、場合によっては取得原価に算入する、ものによってはこれを繰り延べ資産としてその効用の及ぶ期間にわたって損金にだんだんに入れていただく、こういう処理をしているところでございます。
  72. 渡辺栄一

    渡辺国務大臣 いま計画局長から御説明いたしたようでございますが、こういう問題は最終的には消費者の負担になるということが心配されますので、お話をいたしましたように公共関連事業予算も相当ふやしまして、ことしは九百億ということにいたしておりますし、昨年は自治省とも話し合いをいたしまして行き過ぎを是正するということで十分注意はいたしておりますけれども、これらにつきましては今後とも私どもも十分ひとつ配慮いたしてまいりたいと考えます。  なお、都市計画との関係につきましては、私ども十分調整がとれたものとして実施をされておるものと考えておりますけれども、先生お話しのような問題点につきましては、ひとつ今後とも十分地方公共団体を指導いたしてまいるようにいたしたい、かように考えております。
  73. 沢田広

    沢田分科員 時間が来ましたので終わりますが、最後に、いわゆる単なる市の行政指導だけの開発要綱でなくて、最悪の場合でもその市議会で条例化をすることが最終的な必要条件である、こういうふうに思いますので、その点はぜひそのように取り扱っていただくようお願いいたしまして、もう一つあったんですけれども、時間の関係で以上でもって質問を終わりたいと思います。
  74. 村田敬次郎

    ○村田主査代理 以上で沢田広君の質疑は終了いたしました。  次に、渡辺貢君。
  75. 渡辺貢

    渡辺(貢)分科員 質問いたしたいと思うのですけれども、初めに、去る三月二日に建設大臣に埼玉においでいただきまして、熊谷の先の十七号バイパスの促進問題の大会にお出かけいただきました。大変ありがとうございました。  埼玉県においでいただいて御存じのように、首都圏の北に位いたしておりまして、大体東京を中心に主要幹線道路が放射線状に広がっているわけです。そういう点で交通事故も全国的にはワーストワンというふうに言われております。そうした点で人口の急増地域でもございますし、これからの県民生活の安全を中心にした道路行政というのは大変重要ではないだろうかと考えますので、初めに一言大臣の御所見をお伺いいたしたいと思います。
  76. 渡辺栄一

    渡辺国務大臣 私は、例の熊谷付近、これはいろいろな意味におきまして交通が集約をされまして、交通上非常に問題であるというふうに考えまして、単に熊谷市のみではなしに、日本全体の道路網あるいは交通対策、そういう観点から、私も、特に関越自動車道、東北自動車道あるいはそれらと関連いたしますお話しのようなバイパス等につきまして、総合的な判断の参考にするために現地を見てまいりました。いろいろ御協力をいただきまして、すでに相当用地買収は進んでおるわけでございますが、なるべく速やかに開通を見るように努力したい、こう思って見てまいったのであります。
  77. 渡辺貢

    渡辺(貢)分科員 きょうの質問中心的には二つございますが、一つ下水道の問題、もう一つは治水問題でございます。  最初下水道の問題ですけれども、国が現在進めております下水道計画の第四次五カ年計画、五十五年度は最終年度に入るわけでございますけれども、その全体の進行の状況、さらに計画に対する進展の度合い、その中における問題点などについて御説明いただきたいと思うのです。
  78. 渡辺栄一

    渡辺国務大臣 後ほどまた具体的なことにつきましては局長から御説明いたしたいと思いますが、まず基本的な問題についてお答えを申し上げたいと思います。  御承知のように、わが国の下水道整備の現状は、昭和五十三年度の処理人口普及率で見ましてもわずか二七%でございます。現在やっております第四次五カ年計画の最終年度であります五十五年度末について見ましても、三〇%というふうに考えられまして、私はいつも言っておりますけれども、欧米諸国に比較いたしましても非常に立ちおくれておると言って差し支えないと思います。  そこで、生活環境整備のための基礎的な施設として、あるいはまた公共用水域の水質保全を全うするという意味におきましても、私どもは、今後大都市のみでなく地方にもこれらに即応いたしました下水道整備が必要である、こういうふうに考えております。ただ一方では、総量規制という関係の問題あるいは水質保全行政、こういうようないろいろ新たな展開を見ているわけであります。それから維持管理段階に移行する都市の増加、また省資源、省エネルギー化の要請という問題の中で、下水道整備というものは非常に新しい課題を生んでおるのではないかというふうに私は考えております。  このような情勢でございますので、今後とも下水道整備を進めるに当たりましては、ひとつ先進諸国並みの整備が達成できますることを長期目標といたしましてやってまいりたいと思います。当面は、処理人口普及率の向上を最重点といたしまして、またあわせて適切な維持管理に努めるということで、下水道整備の量、質両面にわたりまして一層充実をいたしていく、財政厳しい折でございますが、そういう意味で五十五年度におきましても下水道につきましては十分配慮するように努力をしてきたつもりでございます。
  79. 渡辺貢

    渡辺(貢)分科員 そうしますと、全体の計画値に対して現在の進行はどの程度になるのでしょうか。
  80. 升本達夫

    升本政府委員 具体的な数字の御説明をさせていただきます。  第四次の下水道整備五カ年計画は、先生御承知のとおり総事業費七兆五千億でございますが、このうち予備費四千億を除きます七兆一千億の事業計画額に対しまして、最終年度であります五十五年度末を見込みますと、六兆八千四百三十七億一千六百万、進捗率は九六・四%という数字になる見込みでございます。  金額的にはただいま申し上げましたとおりでございますが、ただいま大臣からも御説明ございましたように、処理人口普及率で申し上げますと、計画による五十五年度末の処理人口普及率の見込みは四〇%を目がけたわけでございますが、残念ながら五十五年度末の見込みを入れましても現在のところは三〇%にとどまる見込みでございます。
  81. 渡辺貢

    渡辺(貢)分科員 この第四次計画を策定する場合に、当該の県、市町村などからもそれぞれ五カ年の事業計画などの要望があったのですが、聞いているところでは、総額十二、三兆円ぐらいが必要じゃないか、しかし国の財政の全体のバランスをとっていくということで、先ほどお話がございましたように約七兆五千億前後に抑えられた。先日私も、埼玉の流域下水道、荒川左岸の南部幹線、ちょうどあの国鉄の下を通って国鉄の東地域に出るわけですが、この工事現場に行ってシールドの中に入って視察をしたのですが、五年前の計画に比べて一メートル当たりの工事費というのは金額としてもかなり高い、六〇%前後になっているのではないかというふうなお話です。そういう点で、計画は立てたけれども予算はほぼ執行されるけれども計画が十分目標数値に達しないかなり大きな要因として、資材や工事費の高騰があるというふうなお話を聞いているわけです。この点についてはどんなふうな御見解をお持ちでしょうか。
  82. 升本達夫

    升本政府委員 御指摘のとおり、当初整備量の面におきましては計画どおりの進行を見ておりません。その原因といたしまして私ども考えますのは、第一点は、いまお話しのように、五カ年計画策定時以降の建設物価の一般的な上昇、第二点は、終末処理場の環境対策、これは御承知のとおり、いわばそのもの自体が大変きらわれる施設でございますので、この施設を受け入れていただくために、たとえば上に覆蓋をいたしますとか、あるいは緑地的な施設を施しますとかいうような施設の経費がかなり増大をいたしております。さらには、第三点といたしましては、ただいま御指摘のように市街地内を、込み入ったところを入ってまいりますので、かなり工法が、シールド工法等コストのかかる工法を採用せざるを得ない面が非常に多くなっております。このようなものが集積いたしまして御指摘のような結果にとどまっておるということであろうかと考えております。
  83. 渡辺貢

    渡辺(貢)分科員 そういう点で、埼玉の場合を見ますと、流域下水道計画が五カ所ございますが、これは県も市町村もかなり住民の皆さんの合意を得るような努力をいたしておりますが、当然大きな終末処理場の建設の場合には大規模な土地も必要でございますし、終末処理場というと悪臭が非常に強いというふうなことが言われておるわけです。私も終末処理場を見学いたしまして、かなり近代化されて、コンピューター化されておりまして、戸田の終末処理場などは世界の各国から視察に来られるというようなことで、そういうおそれはないのではないかというふうに思っておりますが、いずれにしても、住民の皆さんの御協力などをいただきながら進めていく必要があろうかというふうに考えます。  そこで、若干具体的な問題について触れたいと思うのですけれども、埼玉の場合には特に内陸県で、下水道計画を進めていく場合に、ほぼ流域下水道とドッキングしなければ進行できない、こういう現状です。しかも地質的には関東ローム層、沖積層でございまして、東西の大きな川、利根川、中川、荒川水系にはさまれて、盆地のようなところで、そういう意味では人口の急増とあわせて河川の汚染が進行しておりますし、かつての農業用水がいまはもう本当に都市下水のようになっている。そういう点で環境全体の悪化もはなはだしいものがあるわけなんですが、かなり力を入れた取り組みをしていく必要があるのではないかというふうに考えております。  そこで、特に人口の一番集中をしている東京から大体三十キロ圏、四十キロ圏がいま工事の中心でございますけれども、荒川左岸の南部ですね。あの南部地域は工事が進行しているのですが、いわゆる国鉄線の東側の地域は南部幹線が入りませんと全体計画が進行しないわけなんです。いま南部幹線が国鉄の下を通り、これは外環の道路問題とも関係があるわけなんですけれども、ほぼ五十五年の末には国鉄の下を通り、東部地域に出て、東部地域の鴨川幹線の工事計画と整合するような計画だと思うのですが、その辺の見通しについてはいかがでしょうか。
  84. 升本達夫

    升本政府委員 荒川左岸の流域下水道につきましては、南部処理区とこれに関連いたします公共下水道六カ所、並びに単独公共下水道十一カ所がすでに供用を開始いたしております。したがいまして、かなり県下では進行率のよいところに来ている流域下水道一つであろうと思います。  荒川左岸につきましては、いまお尋ねのお話は、恐らく芝川幹線に取りつきのお話だろうと思います。南部の川口市の方はすでにでき上がっておりますので、五十五年度はこの延長が期待できるところだろうと思います。ただ、現時点でございますので、五十五年度に具体的にどの程度の進捗率を見るか、計画の進行を見るかはちょっとお答えしにくい段階でございますけれども、大勢としてはおっしゃる方向事業の進行が図られることになろうと思っております。
  85. 渡辺貢

    渡辺(貢)分科員 県下の中ではかなり進行しているところですけれども、浦和は埼玉の県庁所在地で文化都市というふうに言われておりますが、現在の普及率は二七%で大変低い状況です。そういう点からもこの南部幹線の完成と芝川幹線というのは、都市部においては最重要な課題になるだろうというふうに考えております。  さらに、埼玉の東部地域の中川流域下水道中心にした地域ですが、これは南部地域以上に低地で、盆地のような形状をしておりまして、人口の急増もいま埼玉県の中では一番早い地域です。しかも、埼玉の南部の場合には工業用水のくみ上げなどが禁止をされているわけなんですが、東部はそういう点が十分な措置がとられておりませんので、地盤沈下の進行が最も早い地域、大体年間で二十ミリから七十ミリぐらいです。しかもあの東部地域には住宅公団がかなり進出しているのですが、先日も見たのですけれども、春日部の武里団地などは一棟が不等沈下をしておりまして、三十二世帯が避難をしなければならない、各棟を見ましても大体百ミリ前後土台が上がっているような状況です。そういう点で、地盤対策等もあわせて中川流域下水道完成と東部地域における公共下水道の進行は大変重要だと思うのですけれども昭和五十六年には一部供用開始されるというふうに聞いておりますが、ちょっといまのお話ですと、進行の度合いはどんなテンポになりましょうか、お聞かせをいただきたいと思うのです。
  86. 升本達夫

    升本政府委員 おただしのように、中川流域下水道につきましては、五十六年度末で供用開始という当初計画見込みで仕事を進めさせていただいておるわけでございますけれども、残念ながら進行状況は必ずしも計画どおりには行っておりません。したがいまして、数年のおくれはやむを得ないところかと考えておりますが、いまのところ、いつ、何年度をもって供用開始というところまで明確な見通しはちょっと持ちにくい状況にございます。
  87. 渡辺貢

    渡辺(貢)分科員 ちょっと、数年というと数は二から大分あるのですけれども、全く見通しが立たないというのは、年間約百億前後を流域下水道だけでも使っておりますし、余り見解が不透明過ぎるのではないかと思うのですが、少なくとも大体こういうテンポで行けばというあれもございましょうし、その辺もう少し具体的なお答えがございませんか。
  88. 升本達夫

    升本政府委員 御指摘をいただいて恐縮でございますが、最初に御指摘ございましたように、大変現在の人口普及率が低くなっておりまして、これは全国ベースに比べましても、全国二七%に対し県下二〇%という普及率でございまして、そこへ先ほど来御説明申し上げておりますように荒川左岸、さらに右岸、中川、古利根川という四カ所い処理区で五処理区に及びます流域下水道並びにこれに関連する公共下水道、さらには単独の公共下水道という事業を抱えておりますので、たとえば中川流域下水道について具体的にもう少し明確に開始時期を示せという御指摘でございますが、全体の事業進行をバランスをとりながら図らせていただくということで、できるだけ早く一部でも供用開始することができるように努力をさせていただくということでお許しをいただきたいと思います。
  89. 渡辺貢

    渡辺(貢)分科員 それでは一番最後にちょっとその点も含めてお尋ねしたいと思います。  次に、河川の問題に入りたいと思うのですけれども、これも先ほど触れましたように、利根、荒川を中心にした河川、大体中小河川を含めると百四、五十というふうに言われております。ですから、たとえば五十ミリ程度の雨でも場所によってはすぐはんらんするという状況でして、昨年の二十号台風でも綾瀬が決壊をして、松原団地を初め周辺でかなりの被害がございました。これは激特の指定になったわけでございますけれども、特に内陸部の河川として、単に堤防のかさ上げだけで解決できるという問題ではございません。これは前にも浦和の芝川と合流する藤右衛門川、これも激特の指定をいただきまして、河道の拡幅などを含めて、さらに都市部におけるかつての自然遊水がなくなっているわけですね、たんぼや畑がなくなっておりますので。人工の遊水地をつくるということで、当面浦和の調整池というのを浦和の市の真ん中の一番クレバスの地帯につくっておりまして、そういう点では昨年の台風でもさしたる被害はなかったということで、都市部の中における河川改修の場合に、そうした総合的な治水対策が必要ではないだろうか、こういうふうに思っております。  そういう点で、綾瀬の激特の指定とあわせて、中川、綾瀬の総合的な改修計画がいま建設省では計画段階に入っているというふうに聞いておりますが、人口としてもあの地域は現在でも約五十万、今後の人口増を含めると、昭和六十年ごろには七十万前後になるのではないかというふうに言われている地域でございます。この総合治水の中には綾瀬の放水路なども含まれているというふうに聞いております。先日、建設省の三郷の放水路を見学をさせていただいたのですが、大変多目的な、洪水調整から、中川、江戸川の浄化の問題や、そういうようなのも含めたかなり機能的な放水路で、職員の方も大変真剣に管理に当たっておられましたけれども、こうした点で中川、綾瀬川の総合治水の計画、展望についてひとつお答えいただきたいと思います。
  90. 稲田裕

    稲田(裕)政府委員 お答えいたします。  中川、綾瀬川の流域というのは、先生御指摘のように非常に都市化が急速に進んでまいっております。この中川、綾瀬川流域というのは、全体で流域面積九百八十方キロ余りあるわけでございますが、昭和三十年代には二〇%程度の市街化率であったわけですが、五十年には四〇%程度まで上がってきておるということで、非常に市街化が激しいということ、それとともに先ほど先生の御指摘のように、盆地のような形状をいたしておりまして、非常に低平地でありますものですから、排水には低平地河川としてのいろいろな諸問題が山積をしておるというふうな状況でございまして、昨年十月の台風二十号の災害でも、御指摘のようにこの地区で大体一千町歩、一万五千戸程度が浸水をしたというような被害を受けたわけでございます。  それで、これに対応いたしまして、先ほど激特事業ということで、五十八年度までに関連河川改修事業進捗したいということで、現在綾瀬川及び支川の伝右川等につきましては、激特事業で実施する、並びにこれに伴いまして、伝右川の排水機場、綾瀬川の第二排水機場というのも含めまして、おおむね五十八年度をめどに、ここの区間におきまして改修促進してまいりたいという計画で現在進めておるわけでございますけれども、なお御指摘のように、中川、綾瀬川流域全体としまして、初めに申し上げましたように非常に都市化が激しゅうございますし、昭和六十年にはもっと都市化が進んでいくということも予測されますので、これにつきましては、来年度から総合治水対策の特定河川事業ということで採択いたしまして、新たに流域の保水なり遊水機能をも確保しつつ、流域の開発テンポに見合った改修を進めてまいりたいということで、おおむね時間雨量五十ミリをまず当面の目標といたしまして、十年間を目途に改修を進めてまいりたい、現在この中身につきまして検討を進めてまいっております。  その中の工事としての主要なものは、もちろん中川、綾瀬州の河道の改修はあるわけでございます。それから綾瀬川の放水路あるいは現在ございます綾瀬川の排水機場の増強、先ほど御指摘の三郷のポンプ場の増設等も計画の中で検討されていくということになっておるわけでございますが、それにも増して流域の各市町村の開発計画との調整というのが非常に重要な問題になろうかと思いますので、それらとの調整を図りながら、保水、遊水機能もどういう形で維持するかということを地元関係市町村と打ち合わせながら計画を固めてまいりたい、かように思っておるわけでございます。
  91. 渡辺貢

    渡辺(貢)分科員 ちょっと時間がなくなりましたのですけれども、大体十カ年くらいの計画だというふうに聞いておりますが、現在の段階では総額二千億円くらいになるのではないか、大体そんなような見当の段階だということでよろしいですか。実際上は五十五年から入るということで……。
  92. 稲田裕

    稲田(裕)政府委員 はい。
  93. 渡辺貢

    渡辺(貢)分科員 もう一つ河川問題で、これは簡単ですけれども、東京の荒川下流の浄化の問題、それから県南部における飲用水の確保あるいは洪水調整などで、荒川の河川敷に荒川調整計画が進められている。約一千万トン余りの調整池になるということですが、これはわれわれも必要だろうというふうに思っております。ただ、問題になるのは、それだけの調整池をつくると、上流の部分でかなり蛇行しておりまして、逆に上流部分で洪水要因になるのではないか、こういうような心配もされておりますので、その点一言簡単で結構ですが……。
  94. 稲田裕

    稲田(裕)政府委員 調整池につきましては、現在計画を固めまして、来年度から建設事業に着手したいということで考えておるわけでございますが、御指摘のように、荒川全体の河道につきましては、在来から非常に大きく遊水効果を見込んだ河道になっております。したがいまして、御指摘のような点もいろいろ今後検討しなければならぬというふうに考えておりまして、現在低水路等につきましても一応の試案を得ております。それら等とも連携を図りながら対応してまいりたいというふうに考えております。
  95. 渡辺貢

    渡辺(貢)分科員 それでは最後に大臣にお聞きしたいと思うのですけれども下水道河川もいずれも国民の生活にとってはきわめて重要な課題になってきているというふうに思いますし、とりわけ生活基盤を確保していく上では大事な仕事だというふうに考えます。そうした点で公共事業費があっぷあっぷしてしまって繰り延べしなければいけないというふうなお話があるわけですけれども、現実にその地域の問題や事業計画の性格、需要の度合い、そういう点を十分に配慮していただきまして、単純に五%繰り延べだということではなくて、予算の執行に当たっての重点的な配分あるいは五十五年度、さらにそれ以降を展望した積極的な計画をぜひ策定をしていただきたい。埼玉の場合にはそれにこたえる十分な態勢があるということも私は知事から聞いておりますので、ぜひその点を要望したいと思うのですが、一言……。
  96. 渡辺栄一

    渡辺国務大臣 まず第一点、時間もございませんが、五十五年度の公共事業の執行につきましては、予算委員会等で申し上げておりますように、五%の留保という問題が万一繰り越しとなれば切れ目のない執行を図ってまいりたいと思っております。  なお、実際の執行に当たりましては、それぞれの地域の実情等もございますから、十分それらを勘案しながら適切なる執行を図ってまいりたいと考えております。  なお、埼玉県の南部といいますか、首都圏北部の問題については、いろいろ関心をお持ちいただいておりますが、下水道については、先ほど局長説明いたしましたように、新経済七カ年計画の中においても五五%の普及率を目途として今後とも積極的に推進をしてまいりたい。  なお、河川整備についてはいま局長も申し上げましたように具体的な取り組み方をいたしておるわけでございますが、何といっても非常に人口が急増いたしております地域であります。同時にまた流域開発等もございましていろいろ心配をされるわけでございますから、いま申しましたような具体的な措置をとりまして、たとえば河川改修あるいは都市河川あるいはその治水緑地事業、多目的遊水地事業、こういうようなものを促進してまいるわけでございますが、御承知のように五十五年度は都市河川課も設置をいたしまして、これらの地域に即しました治水対策の万全を期してまいりたい、そういう意味では十分配慮してまいりたいと思います。
  97. 渡辺貢

    渡辺(貢)分科員 ちょっと時間外ですけれども、最後に環境庁にお願いしたいと思うのですが、すでに論議の中でも明らかなように、河川下水道の問題など人間の生活環境問題、自然との調和のとれたサイクルの再確立が大変必要だと思うのですが、その前提になるのが緑の問題だと思うのです。埼玉の場合に昭和三十五年に県土の八〇%が緑地というふうに言われておりましたが、昭和五十年には六六・四%、しかも県主のわずか一六・九%の市街化区域の中に人口が七五%という大変な過密でございますが、この県土の一六・九%、人口七五%という地域の中の緑地帯というのは全県でわずか五・三%なんですね。そういう点で地方自治体でも緑地事業に大変な力を入れているわけですけれども、五十五年度の計画の中に首都圏の自然道計画があると思うのです。武蔵野の自然を十分に生かして県民の健康、国民の健康なども両面勘案した自然歩道計画があろうかと思うのです。その点、最後にお聞きして終わりたいと思います。
  98. 中島良吾

    ○中島説明員 昭和五十五年度におきまして首都圏自然歩道整備のための路線選定調査を一都六県に対しまして委託してやりたい、そんなふうに考えております。お話のとおりに県域内の自然公園等と十分取り組みながら、緑に接する豊かな自然歩道を策定したい、こう考えております。当然これにつきましては地元の学識経験者等の御意見も十分しんしゃくいたしまして、りっぱな自然歩道ができるように進めてまいりたい、こんなふうに思っております。
  99. 渡辺貢

    渡辺(貢)分科員 では、建設大臣並びに環境庁に一層の取り組みを要望して質問を終わりたいと思います。
  100. 村田敬次郎

    ○村田主査代理 以上で渡辺貢君の質疑は終了いたしました。  午後零時三十分から再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時三分休憩      ————◇—————     午後零時三十四分開議
  101. 村田敬次郎

    ○村田主査代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  建設省所管について質疑を続行いたします。高橋高望君。
  102. 高橋高望

    高橋(高)分科員 私はきょうは、東京、横浜、そして湘南あるいは関西の方にかけていま道路事情が最も悪いと言われる横浜新道の問題について、建設省のいろいろお考え方を伺いたい、そのように考えて参りました。  御承知のように、横浜新道ができます前は、吉田茂氏が大磯に住んでいらっしゃって、そして戸塚の踏切があかずの踏切だったものですから、これに対してワンマン道路という名前で、今日で言うバイパスがつくられた。これが、東京周辺と申しましょうか、横浜周辺の道路の近代化のスタートだったろうと私は思います。それによってしばらくの間は車の流通がまあまあに済みましたが、経済情勢の変化、発展によって追いつかなくなった。そして、私の記憶に間違いなければ、昭和三十五年ごろに横浜新道が横浜の三ツ沢のあたりから横浜市の戸塚の方にかけて開設をされたわけでございます。ところが、この横浜新道も、東名高速ができたり第三京浜ができたり、最近では首都高速横羽線の利用者ということで、大変なラッシュがあることは皆様御承知のとおりでありまして、東京、横浜周辺で車を利用される方は、ほとんど全部の方がこの渋滞を経験していらっしゃると私は思います。  そこで、まず第一にお伺いしたいことは、現在建設省の道路局としてこの実態というものをどのようにとらえていらっしゃるか、この辺からまずお話ししていただきたいと思います。
  103. 山根孟

    ○山根政府委員 お答え申し上げます。  横浜新道につきましては、ただいま先生おっしゃいましたように、日本道路公団の一般有料道路として昭和三十四年に供用開始をいたしまして、以来、横浜市内の一般国道一号等の交通混雑緩和に寄与してまいったわけでございますが、ここ十数年にわたります交通量の増加に伴いまして大変な混雑を来しておるわけでございます。四車線の道路で一日七万台という交通を処理している。朝夕等のラッシュ時には大変な混雑を来している道路である。したがって、何らかのこれに対する対策が必要ではないかということをかねて検討中の道路でございます。
  104. 高橋高望

    高橋(高)分科員 私などもこの国会に参りますときにあの道路を利用してやってまいりますが、朝七時ちょっと前ぐらいから大変な混雑でございまして、約九キロぐらいの間を五十分から一時間ぐらいかかって来る。これがまた毎日がそうで、特に月曜日などは大変な混雑でございます。この交通問題を解決すべく打開策の一環として進められているものに、南横浜バイパスと横浜高速二号線というものがあることも私すでに十分知っているところでございますが、この南横浜バイパスの全線開通と横浜高速二号線の開通時期というのをいつごろに置いていらっしゃいますか、現在の段階でのお見通しをお聞かせいただきたいと思います。
  105. 山根孟

    ○山根政府委員 まず第一の南横浜バイパスでございますが、横浜市保土ヶ谷区狩場町から横須賀市衣笠に至ります延長二十六・六キロメートルの日本道路公団が管理いたしております一般有料道路でございます。この道路は四十五年度に事業に着手いたしまして、鋭意事業促進に努めてまいりまして、昨年の十二月六日には朝比奈インターチェンジから日野インターチェンジ間を供用いたしたところでございます。残る区間につきましても今後順次供用開始をいたしまして、五十七年度末までには全線の供用を図るべく最善を尽くしておるところでございます。  横浜高速の二号線につきましては、ようやく用地等の問題も七、八割合意を見まして取得も進んでおる状況でございまして、私ども昭和六十年度の供用を目途に現在事業を進めておるところでございます。
  106. 高橋高望

    高橋(高)分科員 南横浜バイパスが日野から朝比奈にかけて供用開始されたときに地元とのいろいろなトラブルがあったことも十分御承知だと思います。あの苦い経験を十分生かされて、今後お仕事の展開の上に十分活用していただきたいと私は思います。そして少なくとも、道路ができたときに、昔流ではございますけれども、いい意味で、いい気持ちで開通式がやれるような環境づくりをいまからひとつお考えになっておいていただきたい、これはお願いでございますけれども、申し上げておきたいと思います。  さて、いま問題になります横浜新道というのは、三十四年といま伺いましたが、そういうわけでかなり前から供用されて、現在料金を取っているところが非常に近い将来に日本道路公団から無料開放になるというふうに伺っておりますけれども、この辺の真意はどんなふうでございますか。
  107. 山根孟

    ○山根政府委員 お答え申し上げます。  横浜新道が現在のままの状態で推移をいたしますとすれば、現在のところ償還をいたしますのが昭和五十九年度末という見込みを立てておるわけでございます。ただ、先ほど申し上げましたように、今後のいろいろな対策考えなければならぬ、こういった観点から所要の検討が必要ではないかという気持ちでおるところでございます。
  108. 高橋高望

    高橋(高)分科員 ちょっとくどいのですけれども、無料開放は近い将来というふうにはちょっと考えてはいけないというふうに理解しなければいけませんですか。
  109. 山根孟

    ○山根政府委員 現在の状態でございますと昭和五十九年度末に償還をし終わる、こういうことになるわけでございますが、交通混雑等の状況から考えますと、サービスの水準を上げるための何らかの方策を講じなくてはならぬのではないか。そういたしますと、これは新たな投資に見合う償還問題が生じてくることはあり得る、こういうことを申し上げたかったわけでございます。
  110. 高橋高望

    高橋(高)分科員 そういたしますと、この辺についてはいろいろな考え方があろうかと私も思うのですが、現在の有料道路の料金をそのまま、仮に償還の時期が来て、もう完済しましても、終わりましてもそのままにしておいて、新しい工事の展開の方にそのお金を回していきたい、使っていきたい、極端に言えば、横浜新道は現在のままでは狭過ぎますからこれは拡幅もしたい、そういったような費用に充てていく、こういう考え方も一つあるわけでございますね。それと、とにかく元が取れたんだからただにしてしまおうという考え方と二つあるわけですけれども、現在の建設省のお考えとしてはどちらをお選びなさろうとしておられますか。
  111. 山根孟

    ○山根政府委員 お答え申し上げます。  こういった四車線以上の道路ということになりますと、償還をしてしまい無料開放をするということになりますとまた新たな混雑の激化も想定されるところでございますし、現在の交通状況を緩和するにはこの横浜新道そのものに着目した何らかの改築の方策が必要ではなかろうかということを主として考えておりまして、そういった方向の検討を考えておるということでございます。
  112. 高橋高望

    高橋(高)分科員 それではちょっとお話の観点を変えまして、いま横浜市では、御承知だと思いますけれども、重要道路整備路線計画横浜県央道路計画というのがあるのですね。これが信濃町インターに接続する計画になっておりますが、これらが完成するとますます交通渋滞は激しくなりますからどうしても横浜新道は拡幅をしなければならないのではないかと思うのですが、この横浜新道の拡幅工事と横浜県央道路の計画の現状を、お差し支えのない程度にお教えいただきたいと思います。
  113. 山根孟

    ○山根政府委員 まず横浜の県央道路でございますが、これは現在構想の段階でありまして、横浜市と厚木市を結ぶ幹線道路として神奈川県及び横浜市におきまして長期的に整備すべき、いわば構想的な路線として実ば位置づけているものでございます。しかしながら、この路線をどのように今後取り上げ、進めてまいるかという点につきましては、今後神奈川県、横浜市において検討をなさる問題であるわけでございまして、現在私ども聞いております範囲では、事業計画はまだ具体化段階に至っていない、具体化されていないというぐあいに聞いております。  横浜新道の拡幅の問題でございますが、先ほどるる申し述べましたが、現在日本道路公団におきまして調査をいたしておるところでございます。ただ沿道等との関係もございますので、今後とも関係各機関と調整を図りながら検討を進めていくことといたしたい、こういうぐあいに考えておるものでございます。
  114. 高橋高望

    高橋(高)分科員 いろいろ地元の問題もあって御発言が慎重になるんだろうと思いますけれども、とにかく理想的な状態を言えば、やはり横浜新道は全線拡幅しなければとてもさばき切れる問題でもない、こう私は思うのです。けれども土地収用の困難さもありましょうから、そこで次善策として、保土ヶ谷のバイパス、御承知かと思いますけれども、ソニーのところに出てくる道、あの保土ヶ谷バイパスとの合流地点から岡沢町ぐらいまでの区間が特に渋滞しておりますが、この原因と、同時にその解決策として、第三京浜へのジャンクションが狭いということが一つ大きくあると思うのです。それからもう一つは、高速道路の三ツ沢入口へのジャンクションがない、旧来の高速道路は一回国道へおりなければならない。車の流れをよくするという意味で、せめてこういったジャンクションの増設というものは道路局としてはお考えになられませんですか、いかがでございますか。
  115. 山根孟

    ○山根政府委員 先生御指摘の点はまことにおっしゃるとおりでございまして、先ほど私、横浜新道の交通量が七万台と申し上げましたが、これは実は保土ケ谷バイパスから西側の部分でございまして、ただいま先生御指摘の保土ケ谷バイパスから岡沢町に至る間は九万四千台を超えるような交通量でございます。この横浜新道全線を二つに分けて考えますと、ただいま御指摘の横浜の都心部に近い部分が大変な混雑をしておる、こういうことでございます。そういったことから、第三京浜への接続の問題あるいは横浜高速一号線への接続の問題——ここの道路自身は、多くの場合こういうジャンクションあるいは分岐をいたすところがいわば最も交通のネックになるところでございまして、私どもといたしましては、交通渋滞緩和の一環といたしまして、五十五年度の原案といたしましては、この横浜新道と横浜高速一号線とを連結するランプ、私ども通称三ツ沢ジャンクションと言っておるわけでございますが、この三ツ沢ジャンクションの建設に着手をさせていただきたい、こういうような考え方を持っておるわけでございます。
  116. 高橋高望

    高橋(高)分科員 いま申し上げ、あるいは御説明のあったような工事を着工するとなると、当然財源の確保が問題になってくるかと思うのです。現在横浜新道を走っている車で、常識的に考えるとほとんど有料道路の料金を払っているのだろうと思うのですが、実を申すと、大臣、これは払ってない車がずいぶんあるのですよ、横っちょから入ってきちゃいましてね。しかも、横っちょから入ってくる道というのは住宅状況の変化でどんどんふえているのですね。大体いまどれくらい横浜新道通過車両で料金をきちんと払っているのですか。きちんとというとおかしいのですけれども、要するにお金を払って利用しているのは……。
  117. 山根孟

    ○山根政府委員 料金所通過交通量は全体の交通量の約六五%という結果が昭和五十一年の調査によって判明をいたしております。したがって、残余の三五%の交通が、御指摘のように料金を支払うことなく道路を利用なすっているという事情にあるわけでございます。
  118. 高橋高望

    高橋(高)分科員 五十一年に三五%ぐらい払ってないだろうと言われるのですけれども、私は、その後三、四年の間に払ってない車の比率、ずいぶん高まっていると思うのですよ。私たちが通っている感じからいきましても、恐らく半分くらいはお金を払ってないんじゃないか。よそから入ってきて利用してしまう。たしか、あの道路が供用開始したころは、横浜中心部寄り、それから郊外寄りと両方に料金所があったように思うのです。そういう点からいってもずいぶんと、取りはぐれるというとおかしいのですけれども、公平さがないような場合があるのですが、この辺については、道路局では何か地元の地方自治体等との関係の折衝はなさっていらっしゃるのですか。どんなものでございますか。
  119. 山根孟

    ○山根政府委員 ただいま先生の御指摘の点につきましては、具体的には地元の方々と御相談を申し上げるというようなことはいたしておりません。
  120. 高橋高望

    高橋(高)分科員 そうすると、途中から本線上に流入して渋滞をひどくしている車は、これを封ずるわけにもいきませんでしょう。だけど、こういう不公平な問題というか——悪気ばかりじゃないと思うのですね、道のところにできてくる住宅状況によってですから。しかし、まともに払っている人から見るとやはり何か、うまくやりやがったなという感じも出てくる。こういうことに対しては道路局はどういうふうな御判断、また今後どのようにお取り組みなさるのですか。
  121. 山根孟

    ○山根政府委員 有料道路の場合、やはり負担の公平という観点は大変重要な問題だと考えております。     〔村田主査代理退席、主査着席〕 ただ、例外的な場合でございますが、一般有料道路の場合におきましては、ローカルな交通を一部出入りを結果的に認めるような形で利用していただいている例があるわけでございます。しかしながら、横浜新道のように、大変な幹線交通路になっているわけでございますので、私ども現在調査を進めておると申し上げたわけでございますが、横浜新道の六車線拡幅の計画の中でひとつ料金徴収方法等を検討いたしまして、先生先ほども御指摘になりましたが、利用者の負担の公平という問題、道路財源の確保という観点から積極的に検討をしてまいりたい、こう考えておるところでございます。
  122. 高橋高望

    高橋(高)分科員 道路局長、くどいのですけれども先ほどの道路財源確保の問題と拡幅の問題と兼ね合わせまして、私は、拡幅を絶対しなければいかぬと思っている立場に立ったときの財源の問題を考えると、まず公平の問題もあるし、道路局の方で、建設省の方でごめんどうを見なければいかぬと思うので、一体、現在の有料道路料金というものを、五十九年度にある程度の見通しがついた時点でもう取らない方向へ行こうとするのか、それとも引き続いて取って——取ってという言葉はおかしいが、引き続いて払っていただいて、そしてこういった工事の費用に充てていくという方向をとられるのか、現在の段階で結構でございますけれども建設省の基本的なお考えはどちらを向いていらっしゃるのですか。
  123. 山根孟

    ○山根政府委員 お答え申し上げます。  先ほど触れました三ツ沢のジャンクションでございますが、この工事、事業に要する費用もやはり横浜新道の利用者の方々に御負担をいただくような形になるわけでございまして、そういたしますと料金によります償還年度が約五年近く延伸をされる、こういうことになるわけでございますが、いずれにしても結論的にはやはり応分の御負担をいただいて、つまり料金を引き続いて徴収をさせていただきまして、それに見合うと申しますか、サービスレベルの向上を図っていくことがこの道路については必要ではないかというぐあいに考えております。つまり、引き続き料金を徴収させていただきまして、応分の負担をお願いして道路のしかるべき改築を進めていくべきではないか、こう考えておるところでございます。
  124. 高橋高望

    高橋(高)分科員 私は、いろいろお立場、お立場ありましょうけれども、何でもかんでもただにするのがいいとも思わぬのですね。むしろ、もちろん日本の国全体の道路の料金問題というのはございましょうけれども、やはりもう少し拡幅などに対して必要なお金がかかる間は、ある程度料金はいままでどおりに維持していただいて、そして打つべき手はしっかり打っていただきたい、こう思うわけなんです。そのために、いろいろな声がありましょうけれども、ひとつ勇気、と言うと失礼ですけれども、勇断を持って必要なことをしっかりと地元の方にもいまのうちから訴えておいていただきたい。どうも一部の人たちの中には、あそこは料金がただになりそうだぞというようなことで、安手な喜び方をしておる方もあるようでありますけれども、その点についてはより長期的な立場をおとりいただいて、どうかひとつ建設省の方でもこの辺についてはお考えになって展開していただきたいと思います。  最後に、大臣にちょっと私お願いを兼ねて御意見を承っておきたいのですが、どうしても先にやりましたものというのは、工事の比較的先行したものというか、モデルケースみたいに先行したものは、いまは何事も見直す時期に来てしまっているんですね。ところが、ある程度やってあるじゃないか、いいじゃないかという解釈だけでは困るわけですね。この辺について、大臣、ひとつお考えとして、必要度の高いものを十分にチェックするというか、選ぶ。仮に今年度お金をかけたものでも、来年度もお金がかかる必要があるものはやはり大胆におかけ願わないと中途半端になってかえって困る。この辺について大臣の御見解はいかがでございましょう。
  125. 渡辺栄一

    渡辺国務大臣 先生おっしゃいますような事実も私はあると思いますが、それらにつきましては実情に即しまして、ケース・バイ・ケースということになると思いますが、そういう問題につきましては十分配慮してまいりたい、かように考えております。
  126. 高橋高望

    高橋(高)分科員 どうもありがとうございました。
  127. 藤田義光

    藤田主査 以上で高橋高望君の質疑は終了いたしました。新村源雄君。
  128. 新村源雄

    新村(源)分科員 私は、河川の変更とそれから廃川の問題、それからもう一点はFRP、プラスチック製のサイロの倒壊の問題について御質問したいと思います。  第一点の河川の変更、廃川の問題でございますが、第九条では、一級河川は、河川法に基づいてその「管理は、建設大臣が行なう。」そして第二項といたしまして、その指定する区間のうちの一級河川について、「当該一級河川の部分の存する都道府県を統轄する都道府県知事に、政令で定めるところにより、その管理の一部を行なわせる」こういうことになっておるわけでございます。  そこで、これは府県と北海道との実情の差があるわけでございますが、本州の河川は、必ずしも全部そうでございませんけれども、源流から海岸までこれは一県で全部管理できるところもございますが、しかし二県以上にわたるところもある。ところが北海道の場合は、すべての河川が全部源流から海に至るまで、ほとんど北海道が管轄をしている、こういうことでございますので、この取り扱いについては、府県と北海道というのは同じでございますか。
  129. 稲田裕

    稲田(裕)政府委員 お答えいたします。  一級河川の管理は、総括的にはこれは建設大臣が全部行っておるわけでございます。その中で、河川法九条で「建設大臣が行なう。」ということになっておりますが、その九十八条では、工事実施基本計画あるいは水利使用に関するもののうち大規模なもの、また河川区域の指定の権限等を除きまして、これは北海道開発局長に委任しでおるという条件になっておるわけでございまして、そのほかの一級河川の水系の中で、建設大臣は、あらかじめ関係都道府県の知事の意見を聞いた上で指定区間というのを指定いたすわけでございます。その指定区間につきましては、その河川の存する都道府県知事が、九条二項の規定に基づきまして、管理の一部を行うというふうな定めになっておるわけでございます。それで、この指定区間について都道府県知事が管理を行うものにつきましては、河川法施行令二条によりまして、河川台帳の調製、保管あるいは工事実施基本計画の作成、あるいは特定水利に関する許可等を除いたものにつきましては、都道府県知事が指定区間について管理を行うという定めになっておりまして、これは内地につきましても同様の考え方で行われておるわけでございます。
  130. 新村源雄

    新村(源)分科員 そういたしますと、この第九条ではこの一部を都道府県知事に管理を委任する。それから第九十八条では権限の委任事項がございます。これは地方建設局長と、それから北海道は北海道開発局長、こういうことになっておるわけでございますが、そこで、管理とそれから権限というものは一体どういうようになっておるのか。管理の中に権限が含まれているのではないか、こう思うのですが、この関係はどうですか。
  131. 稲田裕

    稲田(裕)政府委員 河川の管理は、一級河川につきましては建設大臣にあるわけでございます。その管理の中身としまして、先ほどの九十八条で除外されたもの等につきましていろいろあるわけでございますけれども、これらの中で地建局長に委任したものの処分につきましては、地建局長建設大臣にかわって処理する権限を持っているというふうに理解しておるわけでございます。
  132. 新村源雄

    新村(源)分科員 そうしますと、同じ河川で、都道府県知事が行う権限もありますし、それからまた開発局長なり地方建設局長な。が行う権限も重なってある、こういうことでございますね。
  133. 稲田裕

    稲田(裕)政府委員 それは重複をしておらないわけでございまして、その九十八条で定めておるもののみについて地建局長が権能を持っておりますし、また都道府県知事につきましても、九条二項に定めておる分につきましてはこれは都道府県知事の権能でやっておるわけでございまして、その余の分につきましてはやはり建設大臣が持っておるということで、重複はいたしておらないわけでございます。
  134. 新村源雄

    新村(源)分科員 私の申し上げましたのは、たとえば北海道の十勝川なら十勝川の同じ河川で、そして九条で定められた者と九十八条で定められた者がその同じ河川の中にそれぞれの権限が分かれて持っている、一貫してその河川の管理が行われていない、こういうようになっているわけでございますね。
  135. 稲田裕

    稲田(裕)政府委員 おっしゃるとおりでございまして、指定区間と指定区間以外につきましては、知事及び北海道開発局長に分けて持っておるというふうな条件になっておるわけでございます。
  136. 新村源雄

    新村(源)分科員 そこで、この地方建設局長というのは建設省のいわゆる出先機関である。ところが北海道開発局というのは北海道開発庁の出先機関である。そういう、それぞれ本庁の違ういわゆる権限を持っておるところ、こういうことでうまくいっておるかどうか、緊密な連携がとれるか、あるいはまたそれぞれ管理に必要ないろいろな諸問題というものが、いわゆる権限は建設大臣でございますから、そういう中でスムーズにいっているかどうか、そういう点について。
  137. 稲田裕

    稲田(裕)政府委員 これは当然法律、政令等に基づきまして北海道開発局長に委任しているものでございます。これにつきましては地方建設局長と同様、私ども種々の河川行政に関しては連絡を緊密にいたしておりまして、内地と同じような考え方で処理しておるということでございます。
  138. 新村源雄

    新村(源)分科員 法律の見解についてはそのくらいにしまして、河川の変更あるいは廃川をするという場合には、どういう状況になった場合に変更もしくは廃川ができるか。
  139. 稲田裕

    稲田(裕)政府委員 河川の変更指定といいますのは、これは建設大臣河川審議会の意見を聞いて定めるということになっております。ただ、その内申としてはおのおの知事なり地建局長から内意が上がってくるというふうな手続になっておるわけでございます。
  140. 新村源雄

    新村(源)分科員 私はもっと具体的にお伺いしたかったわけですが、たとえば河川の切りかえをやる。切りかえをやりましたならば、新しいところが河川の敷地になり河川法の適用を受けていくのであって、それから切りかえられたもとの旧河川というのは、これは廃川ということになるんじゃないですか。
  141. 稲田裕

    稲田(裕)政府委員 河川の工事実施基本計画に基づきまして河川改修計画上新たに切りかわった、新放水路をつくるなりあるいはバイパスをつくるなりというふうな新しい河川をつくった場合、旧川敷につきましては、計画上存置すべきだというものにつきましては当然残りますし、計画上必要がないというものにつきましては廃川の処分が行われるという経過になるわけでございます。
  142. 新村源雄

    新村(源)分科員 その一級河川のうち、そういう変更もしくは廃川等の場合には、これは稟議は委任を受けておる都道府県知事が稟議をする、こういうことになるわけですか。
  143. 稲田裕

    稲田(裕)政府委員 実体的に、現在委任を受けて管理しております知事なり地方建設局長から事務的な内意が上がってきて、私の方で検討して河川法に基づく手続をとるという経緯になるわけでございます。
  144. 新村源雄

    新村(源)分科員 そこで具体的にお伺いをしたいわけですが、これは北海道の十勝川水系の一級河川のサツクシュオルベツ川という川があるわけであります。この川は本当の小河川でございまして、特に融雪あるいは豪雨、こういうときにはかなりな増水はするけれども、普通のときはほんの少量の水量より流れてない。ところが、これがそういう融雪、豪雨等によって、たまたまその河川が上士幌町という市街地の中央を流れておるわけです。そこで、この土地改良等との関係で、これを五十三号放水路、それから四十二号放水路というこの二本の放水路によって音更川という川にこの水量のほとんどをそこに切りかえたのです。それで事実上、サツクシュオルベツ川が市街地の中には、もうここ十数年、その工事をやりましてからほとんどその上流の水が一滴も流れてこないようになっておる。ところが、そういうようにせきとめてしまったけれども依然として一級河川として残っておりまして、これがほとんど手を加えられないままに今日に至っておる。そういうようになっておるものですから、下水が流れ込んだりあるいは水たまりができたりして悪臭がぷんぷん出てくる。そこが蚊の生息地になる、草はぼうぼう生えておる、こういうことで全く放置されておるわけでございます。  そこで現地の町村等からいろいろ事情をただしてみますと、もうすでに十数年来、一級河川から普通河川に落として、そして町村の管理にしてくれ。その用地の中には市街地でちょうど道路に必要な場所もあり、あるいは緑地帯等の小公園にした方がいいというところもあり、駐車場にも利用できる、こういうところがあるので、町の方からは十数年にわたってこの河川用地のいわゆる一般河川へ降格をしてもらいたい、こういう要請が出ておるのだけれども、これは帯広土木現業所でございますけれども、「一級河川から普通河川への降格については、上級官庁に申請したが、予想される降水量による洪水防止のため普通河川への降格は困難である。」こういう回答が出ておる。この内容は一体どうかと聞いてみましたら、大体百年に一回ぐらいの洪水、そういうものを予測して残しておくのだ、こう言っておるわけですよ。一体こういうような見解が正しいのかどういうのか、お伺いしたい。
  145. 稲田裕

    稲田(裕)政府委員 ただいま御質問のサツクシュオルベツ川の件でございますけれども、私の方で急遽北海道庁等に問い合わせまして調べましたところ、おっしゃるような放水路というのができた。したがって、先生おっしゃいますように、それから下流の河川につきましては普通河川として廃止してもいいんじゃなかろうかというふうな意見が来たということでございますけれども、私ども、この河川改修につきましては、河川法に定められます工事実施計画というものを定めておるわけでございますが、大体河川の規模に応じまして、あるいはその河川の流域の重要度等々も勘案しまして、河川のあるべき安全度というものを目標に計画を定めてきておるわけでございます。この計画を定めるにつきましては、河川審議会の議を経まして大臣が決定するわけでございますけれども、この十勝川全体について申し上げますと、やはり百年から百五十年というのを将来の安全度の目標としたいということで進んでいっておるわけでございます。  御指摘のサツクシュオルベツ川はその相当上流部の支川でございます。しかも、いまおっしゃいますように農業用で放水路等が竣工しておって、最近は余り大きな水がなくて、この川には大きな水は流れてきてないというふうな状況であるということで、四十九年ごろに意見打診があったというふうに聞いておるわけでございますが、これにつきましてはいま申し上げましたように、十勝川水系全域の将来を見通した治水の計画というものとの関連を見ながら処理していかなければならない問題ではなかろうかということでございますので、下流部流域の治水上、利水上の問題等も検討いたしまして、全河川がどういうふうにあるべきかという問題点も詰めながらひとつこの問題につきましては道庁を指導して、処理の仕方について今後検討してまいりたい、かように考えておるわけでございます。     〔主査退席兒玉主査代理着席
  146. 新村源雄

    新村(源)分科員 この問題は、私もこの現場近くにおるわけでございますが、川というのは一定の水流があってこそその地域の住民に潤いを与え、あるいはまたいろいろな水の利用等によってその地域の全体的な文化といいますか、そういうものに資することができると思う。ところがあの川につきましては、ただいま申し上げましたようにほとんど水が流れないで、もう汚水だけがたまっている、そういうことでございますから、これは道が管理をしているということでございますので、早急に道に現地調査を命じて、そして実態に即したようなそういう解決を図ってもらうことを特に強く要望を申し上げまして、さらにまたその結果につきまして、結果が出次第お知らせをいただきたい、このことをお願いしておきます。  次に、FRPサイロの問題でございます。このFRPサイロの問題につきましては、昨年十二月の農林水産委員会質問をいたしまして、そのとき建設省から上田説明員が参られまして答弁をいただいたわけでございます。  この概要について申し上げますと、これは昭和五十一年四月にFRPサイロが日本建築センターの認定を受けまして、昭和五十一年に建築されたものでございます。ところが、昭和五十一年度建築して、その年にすでに倒壊をしておる。これは一番安いものでも一基一千万円、ちょっと高いものは約二千万円もする。しかも高さが十四メートルから十七、八メートルぐらいまでの高いものでございますから、これが倒壊すれば付近で大変な事態を引き起こすわけでございます。ところが、これが五十一年度に認定され、同年に建築をし、その年すでにそういう事故が起きている。それがそのままずっと来まして、昭和五十四年までに北海道で三百七十七基という膨大なサイロが建っている。しかも、その経過を見てまいりますと、五十一年度以降五十二年、五十三年に建ててきたサイロも大体四〇%程度のものが手直しをしなければならぬということで、手直しをしながらやってきているわけです。そして五十四年度には一挙に五棟も倒壊するということが起きましてから北海道でこれが大変な問題になってきたわけです。ところが上田説明員の農林水産委員会での答弁によりますと、五十一年度にそういう倒壊事故があったということを知らなかった、こういう答弁であるわけです。そしてそのとき、北海道農務部が中心になりましてこの問題点の解明を急いでおるわけですが、上田説明員によりますと、大体一月には結論が出るという御答弁をいただいているわけです。その後どういう事情になっているか、お伺いをいたします。
  147. 関口洋

    ○関口政府委員 事実関係につきましては先生御指摘のとおりでございまして、私どもいまから反省しますと、五十一年時点でそういう先生御指摘のような事態が生じておることが後でわかったわけでございますから、そのときに把握してきちっとした対応策を立てるべきであったという反省はいまいたしております。  そこで、五十四年九月から十月にかけまして、これまた先生御指摘のとおりに五件の倒壊事故が発生いたしまして、事件直後に北海道庁におきましてFRPのサイロ検討委員会を組織して、その原因の調査を急いでおるわけでございます。それで、上田説明員が一月段階で原因が解明できるだろうというお答えをしましたのは、この北海道庁に設けられたFRPサイロ検討委員会の検討が一月までにほぼ終わるものというふうに当時予想しておりましたのでそういうお答えをしたわけでございますが、現在まだ若干原因の究明に手間取っておりまして、もう少し時間をかけて検討したいというのが北海道の意見でございます。そのポイントは、補強方法についてもう少し詰めをしたいというところにあるわけでございます。そこで、北海道庁の検討が大分煮詰まってまいりましたので、私どもとしましても現在担当者を北海道庁に派遣いたしまして打ち合わせを行っておるというのが現状でございます。
  148. 新村源雄

    新村(源)分科員 これは当時の新聞でございますけれども、上田説明員の説明を聞いた経過から見ましても、FRPサイロというのは世界で初めて北海道に建設された、いままでこういう認定の実例のないものが五十一年から五十四年まで、しかもその間四〇%近いものが補強をしていかなければならないというような事態を招きながら、建設省なりあるいは日本建築センターというのが全く知らなかったということについては、一体これはどこに手落ちがあったのかということを重大な問題としてやはり追及しなければいかぬ。この新聞では、ここに「酪農家は実験台机上計算の安全評定」こういうように出ていまして、文字どおり、この経過を見ますと酪農家は実験台に使われた。しかも、一千五百万から二千万近い資金を投じながらそういうようにやられたということについて、一体どこに手落ちがあったのか。これをやっていた道がそういうことに手落ちをしていたのか、あるいはメーカーに手落ちがあったのか、あるいは建築センターなりに手落ちがあったのか、そういう経過についてはどういう調査をなさっていますか。
  149. 関口洋

    ○関口政府委員 ただいま申し上げましたように北海道庁に設けられました検討委員会で原因の調査を急いでおるわけでございますが、いまの段階では、いわば現実の施工の問題といいますか、プラスチックの接合という問題に手落ちがあったのではないかというような状況でございます。
  150. 新村源雄

    新村(源)分科員 私が聞いているのはそういうことではなくて、五十一年に評定がされてから五十四年にそういう大きな倒壊が五基。しかも、点検をしたら約四〇%のものはほとんど角材を添えてワイヤで締めなければ保全ができないというくらいの状態なんですね。ここに至る間の責任がどこにあったのか。道にあったのか建設省にあったのか、あるいは日本建築センターにあったのか。その原因は接合部分の不適合ということかもしれませんけれども、五十一年から五十四年まで投げておかれたこの責任は一体どこにあったのかということをお伺いしているわけです。
  151. 関口洋

    ○関口政府委員 いまから申し上げますと弁解がましいわけでございますが、私どもとしては、北海道庁からの報告というものに接しましたのが先生御指摘のとおり五十四年九月から十月にかけての倒壊の後でございましたので、それまで遺憾ながら事実を把握しておらなかったというのが現状でございます。
  152. 新村源雄

    新村(源)分科員 そうすれば、道の報告やメーカーの報告がなかったので、それで建設省や日本建築センターとしてはまかり知らなかった、こういうことですね。これは道に確かめてみたいのですか、それは間違いないですか。
  153. 関口洋

    ○関口政府委員 北海道庁の責任を私どもがとやかく言う立場にはございませんけれども、現実に私どもが知らなかった事情はいま申し上げましたとおりでございます。
  154. 新村源雄

    新村(源)分科員 しかし、ここに当時の施工業者から北海道農務部の酪農草地課長あてのこの倒壊に対する措置の文書が出ているわけです。こういう文書が道の中で出ておりながら、建設省も建築センターも知らなかったということは言えないのではないか。何か詭弁のように聞こえてならないのですが、どうなんですか。ちゃんとこういう文書が出ているのですよ。
  155. 関口洋

    ○関口政府委員 最近になりまして私ども知ったわけでございますが、恐らくいま先生がお手持ちの文書に書いてあることは、その当時の五十一年の先ほど御指摘の事故が、取り出し口周辺の亀裂というものが起きまして、それを補修するという関係を述べておるものではないかというふうに推察する次第でございます。
  156. 新村源雄

    新村(源)分科員 余り時間がございませんので、特にこの問題については責任の分野をやはり明確にしてもらわなければならぬと私は思うのです。本当に新聞で言っているように農民が試験台になって、そして三百七十七基のうち約四〇%近いものを補強しなければならない。ことしサイレージを詰めたら一体どうなるのか。少なくともサイロは三十年以上にわたって使われるものなんですよ。そういう危険なものを抱いておる農家の立場から見れば非常に重大な問題だと思うのです。ですから、やはり建設省あるいはこれは道庁も関連をしまして、この責任の所在というものを明確にされるところに初めてこういうものに対するこれからの措置が適切になされる、こういうように存ずる次第でございます。  それともう一つは、やはりこういうものがおろそかにされてきたために、業界でも安易な気持ちで、ことしもすでに、聞くところによると去年の計画では百二十五基のサイロをつくるという状態になっている。こういうものの措置等も含めると、これは経済界に与える影響もきわめて大きい。そういう点で、この経過をもう少し責任の所在を明確にすることを要望いたしまして、私の質問を終わります。
  157. 兒玉末男

    兒玉主査代理 以上で新村源雄君の質疑は終了いたしました。  次に、伏屋修治君の質疑に入るのでありますが、同君の質疑に対し、参考人として水資源開発公団理事田中和夫君が御出席になっております。  なお、御意見は質疑をもって聴取することといたします。  伏屋修治君。
  158. 伏屋修治

    伏屋分科員 私は昨年五十四年度の予算分科会に引き続きまして徳山ダムの問題をきょう質疑をいたすわけでございますけれども、冒頭に当たりまして、昨年質問をして以降、全然徳山ダムの問題が進展しておらない、こういうことに非常に怒りの気持ちでいっぱいでございます。何としても現在の水資源を多目的に使用するという観点から考えましても、国益のためにも、あるいは全村水没するという徳山村の特殊性から考えましても、この問題は早期に解決していかなければならない問題であると私は考えます。特に全村水没、ふるさとを離れるという住民の感情というものをどのように一体とらえておられるのか、非常に疑義を持つものでございます。そういう面で、私の質問した以降の経緯、経過についてお尋ねをしたいと思います。
  159. 田中和夫

    ○田中参考人 いま先生が申されましたように、昨年の二月に徳山ダムの問題について御質問をいただいたわけでございます。私どもといたしましては、できるだけ早くこの問題が前進いたしますように努力いたしたつもりでございますけれども、現実は進展いたしておりませんことはいま御指摘のとおりでございまして、まことに申しわけないことに存じております。  ただ、昨年の三月に徳山村の前村長が辞任されまして、四月に徳山村の村長さんと議員さんの選挙もあったわけでございます。そういう徳山村自体の事情もあったわけでございますが、六月には新しい徳山村長さんと村議会の議員さん全員が岐阜県の知事に会われまして、一昨年の九月に提示いたしました補償基準を全面改定をして出し直すように知事からも公団に働きかけてくれというような趣旨の陳情があったやに聞いております。それに対しまして、何とか徳山村の交渉体制を整えて、公団とまず話し合って、どこに問題があるのか、どこをどう修正すればいいのか、そういう意見を言ったらどうだというふうな岐阜県の知事からの御発言もあったように聞いております。しかし、いわば平行線でございました。  その後、岐阜県当局のごあっせんもありまして、昨年の八月から十月にかけまして、三回にわたりまして徳山村の村長、議長、議員さん各位と懇談会形式で話し合いの場を持つことができたわけでございますが、私どもはその場におきまして、できればどの点についてどういう御意見があって、どういう点をどういうふうに修正したい、修正してほしいとお考えになっておるか、そのお考えのほどを村の方から何とか聞き出すことができたら話し合いの糸口ができるのではないか、こう考えたわけでございますけれども、村民を代表される議員の方々は、やはり対策員会意向が全面改定である、補償基準を全面的に変えて持ってこいということであったということで、これもなかなか進展をしなかったわけでございます。  そういう話し合いの経過も踏まえまして、公団といたしましては、事態を打開するという意味合いからも何とか前進のきっかけをつかまなければならぬということで、村長並びに徳山村議会議長に対して一昨年示した補償基準の修正について、できるだけ早い時期にその結論をお示しすることにしたいという意向を文書で申し入れまして今日に至っておるというのがその後の経過でございます。
  160. 伏屋修治

    伏屋分科員 いま経過についてお尋ねをしたわけでございますが、たしか昨年二月二十八日の分科会で私は質問をいたしたわけでございます。  その後の経過によりますと、私が質問いたしましてから、六月の二十二日、徳山村長及び村議会が陳情したというまで、ほとんど何ら手を尽くされておらない。放置されておるわけです。一月に文書で、再度の話し合いを持ちたいという意向を向こうに伝えた。それから六カ月というものは何も具体的な手だてが講じられておらない。そしてまた、第一回目の話し合いが八月でございますので、半年後にそういう話し合いの場が初めて持たれたという状態でございます。本当に徳山村の皆さんが補償基準を返還をしたというその意図が那辺にあるのかということの認識の大きなずれが私はそこにあるのではないかと思う。そこにいたずらに六カ月なり、あるいは今田に至る一年間にわたっても時間が空費されておる。  私の手元に徳山の方の手紙が来ておりますけれども、その手紙を見ましても、その後の経過というのは、まことに恥ずかしいことだけれども、何もされておらない。そしてその間、県の役人も部課長も徳山村には一回も来ておらない。そういうようなことを切々と私に訴えております。もっと住民の真意をくみ取るためには、何回も足しげくその現場に飛び込んでいって村民の真意をくみ取らなければならない。そういう努力は一向になされておらない。ただ形式的な会合、それも半年後に持てるような会合、そういうようなことだけやっておる。そういうようなことでは、住民が補償基準を返した時点での水資源公団の認識というものに非常に甘さがあるのではないか。そこら辺の認識について部内でどのような話し合いをされたのか、その辺をお聞きしたいと思います。
  161. 田中和夫

    ○田中参考人 昨年の先生の御質問のときにも、いま仰せのような御趣旨のおしかりを受けたわけでございますが、私どもといたしましては、徳山村の徳山ダムによる水没、ダムの建設に伴って全住民が移転しなければならないというような特別な事情のダムである、その補償問題であるということを十分認識をいたしまして、一昨年の九月に提示いたしました補償基準の内容が十二分に村民の方々に御説明ができていない、その趣旨、内容を十分に御説明を申し上げれば、あるいはこの点がおかしいではないかという具体のおしかりの点やら、あるいはこの点は十分考えてくれておるというような村民の方々の御意向がお聞きできるのではないか、それから自主的な交渉に入れるのじゃないかというふうに考えて、そのきっかけを何とかつかみたいということで終始してまいったわけでございます。そこにいま先生のおっしゃるような甘さがあった、もうちょっと努力すべきだったということでございますが、これも言いわけじみますけれども、御承知のように徳山は冬の間は季節的な関係がございまして、そういう行動ができませんし、先ほど申しましたように四月の村長選挙、村議会の議員選挙、あるいは五月に対策員会委員長等の役員を決めるというようなスケジュールも村の側にございました。それで六月の岐阜県知事に対する村会議員の方々の御陳情ということになったわけでございます。  それを受けて、その結果を踏まえた上で八月から三回ほど、何かそういうきっかけをつかみたいということで村議会の議員さん方と話し合いをしたというのが経緯でございまして、私どもの方といたしましては、不十分ではあると存じますが、できるだけのことをしたつもりでおるわけでございます。
  162. 伏屋修治

    伏屋分科員 そういう話し合いをしたという四回の話し合いの結果、一般補償基準の修正についてできるだけ早い時期に結論を出す、そういうような文書での回答をされたわけでございますけれども、話し合いの経過の中でそういうふうになったのだろうと思いますけれども、むしろ当初からそれを持っていかなければならないと私は思うのです。一般補償基準の返還というものに対して厳しい認識に立っておるのならば、当然昭和五十四年十二月七日に回答した文書、そういうようなものは返還されたときに考えるべきだと思うのです。こういう話し合いをやってきてからでしかこういう結論が出ないというのは、私は認識の甘さがあると思います。確かに一括返還だから、それを提示しないことには話し合いに応じないという向こうの意向もあるかもしれません。しかし向こうの意向があっても、補償基準の内容を本当に生活再建につながる内容にするのだという具体性を向こうに示していくならば、向こうも話し合いに応ずるというふうに態度が軟化してくる。そういう努力をなお一層やるべきだ。五十四年一月に、返還され、話し合いをしたいというときに、ただただ話し合いをしたいと言うだけでなくて、そういうような補償基準の修正というものを一年たったときに文書で言うよりも、口頭でも何でもいいから、やりましょうという形で積極的に話し合いを持ち込んでいけば、一年間という時間の空費をせずに済んだのではないか、このように私は考えるわけです。  いまお聞きしておりますと、いわゆる補償基準一括返還というのは、ひとえに水資源公団に具体的な話し合いの場を持たしていただけなかった、そこでこういう事態を招いたのだということがございました。昨年の私の質問のときにも、一通りの説明はしたという回答をいただいておるわけですけれども、その一通りの説明をしてさらに具体的な話し合いに入るときに、どのような障害があったのですか。どのような障害があってそういう話の場が持てなかったのですか、その辺をお聞きしたいと思います。
  163. 田中和夫

    ○田中参考人 通常のこういう交渉の場合でございますと、交渉体制を整備していただきまして、そして十人とか二十人とかいうような少人数の方方と十分意見を出し合いながら説明をしていくということでございます。  この徳山の場合には、一昨年の実情は、対策員会という六、七十人の構成人員かと思いますけれども、そういう場での説明でございました。もうちょっと突っ込んだといいますか意見を交換し合いながら疑問点をただしていく、そういう形の中で個人個人の持ち分といいますか、補償がどれぐらいになるだろうかということが大体感じ取れる、そういう内容に入り込んだ交渉に当たっての説明というような機会が持てなかったわけでございます。そのことが大変残念であった、こういうふうに考えておるわけでございます。
  164. 伏屋修治

    伏屋分科員 そうすると、いまの一通りの説明というのは、各部落の代表者格の方が集まって、そして一応補償基準に基づいての説明、こういうふうに解釈してよろしいわけですか。そのときに、いま私が申し上げたような、いま答弁にもありましたような、具体的な内容についてはもう少し掘り下げてきょうの会合以降に押し広げて会合を持っていきますよというような話し合いは、そこでなされたのですか。
  165. 田中和夫

    ○田中参考人 私どもといたしましては、ぜひそういうふうに持っていきたい、こう考えておったわけでございます。
  166. 伏屋修治

    伏屋分科員 そこでそれができなかったのは、どこに問題があったのですか。
  167. 田中和夫

    ○田中参考人 そこに至ります前に、一、二の部落といいますか二、三の地域におきまして、こういう内容では話にならぬという声がすぐ出てまいりました。それが対策員会全体の意向として一括返還ということになったと聞いております。
  168. 伏屋修治

    伏屋分科員 そういう具体的な話し合いが進まないというところで、非常に時間を空費したわけですけれども、これからやはり話し合いを進展さしていかなければならぬと思うのですね。いわゆる生活保障の基準の修正を早い時期にやるといういま御回答がありましたが、そのめどはいつに置いておられますか。
  169. 田中和夫

    ○田中参考人 現在慎重に検討いたしておるわけでございますが、四月以降できるだけ早い時期に、遅くても五月までにはと考えております。
  170. 伏屋修治

    伏屋分科員 となりますと、時間的にきょうは三月でございますので、もう一月有余しかございませんが、本当に修正の内容的なものを、さきの質問のときにも、そのような内容を説明したという例がないというような回答をいただいたわけでございますけれども対策員会とのこれからの円滑な話し合いを進展さしていくためにも、そういうような具体的なものが提示できる範囲で提示をしていかないと、やはりそのことはうまくいかないのではないか、このように思うわけでございます。対策員会等についても新しい役員が改選されたと聞いておりますので、そういう対策員会との話し合いを大体四月あるいは五月の初めというふうにめどを持っておられますけれども、いまのままですんなりと話し合いの場が持てて、そして話が進展していくとお考えなんですか、どうなんですか。
  171. 田中和夫

    ○田中参考人 先ほど申し上げましたように、昨年の暮れに、できるだけ早い時期にさきに示しました補償基準の修正についてその結論を示したいということを徳山村に回答いたしますと同時に、岐阜県に対しまして、徳山村の交渉体制の整備についてひとつよろしく指導方を知事さん方にお願いしたわけでございます。私どもといたしましては、村のそういった自主的なあるいは継続的な交渉体制に入れるような、そういう交渉体制が整備されますことを、今後県の方の力を得て努力をいたしまして、そして話を持っていけば、今度こそは自主的な交渉が行い得るような場面がつくれるのではないか、こう考えております。
  172. 伏屋修治

    伏屋分科員 第一回の補償基準のときも大体そういうお考えで臨まれたのではないかと思うのですね。それが暗礁に乗り上げて一年間空費したわけです。ですから、今度持つ対策員会との第一回の会合というものの意味合いは非常に重大だと私は思います。ここでまたとんざしたならばまた一年間空費するわけです。建設省事業計画によりますと、五十四年度に着工して、そして六十年度を目途にして完成するというような事業計画であるにもかかわらず、五十四年度は全く一年間空費、しかも今度、第一回の対策員会との補償基準修正の内容をもっての話し合い、これが失敗したならば、また一年間空費するという可能性があるわけです。となると、非常に国益にとっても大きな損失であると思いますし、住民ももう耐えられる限度に来ておると思います。そういうことからも、今度の第一回の対策員会というものの持つ意味合いは非常に私は重要であると思います。そういう点は水資源公団はどういうふうに考えておられますか。
  173. 田中和夫

    ○田中参考人 いまお説のとおりでございますので、一昨年九月の時点での反省の上に立ちまして県とも十分協議いたしました。県の力をお借りして対策員会と事前によく協議いたしました。この進め方、今後の交渉の持っていき方ということを十分話し合った上で、修正すべき点についての結論をお示しするという形で前進するような方向に持っていきたいと考えております。
  174. 伏屋修治

    伏屋分科員 先回の私の質問に対しまして、河川局長の答弁だったのではないかと思いますが、議事録の中にありますけれども、補償基準のなお書きで、生活再建対策につきましては十分配慮しろという項目がございます。その中で、それらを受けて生活再建対策費なるものを計上いたしておりまして、公団が提出した段階ではこれを提示をしておらないけれども、自主的にそれを運用していくというような答弁があるわけでございます。そういう面からも、やはり徳山ダムはかつてない日本での大きなダム建設でもありますし、また、そのダム建設を決断したという、その時点までは非常に村民の皆さんの協力がございまして、補償基準に至るまでというのは本当に円滑に進んできたわけです。補償基準において挫折したわけでございます。その補償基準で挫折したという一つのゆえんは、ふるさとを捨てる、そうして新しいところへ自分たちの生活の場を求めていく、そこでの衣食住にわたる生活の再建、これが本当に確固たる補償がされるのかというところに大きな不安を感ぜられて、一通りの説明の中で、そういうものが満足を得る基準ではないと判断して、そうして話し合いが挫折したわけでございますので、その辺は、いまぼくが申し上げました、こういうような答弁の中で、抽象的な答弁でなくて、具体的にはどうするのかというような、明らかにできる面があればそういうものを明らかにすることによって、住民がこの対策員会の話し合いの入り口で円滑に入っていける、そういう方途を考えるべきだと私は考えるわけでございますが、その辺、再度御答弁を願いたいと思います。
  175. 田中和夫

    ○田中参考人 先ほども申しますように、五百世帯以上の住民の方々が移転を余儀なくされるわけでございますので、住民の方々の生活再建が具体的に進められるよう配慮することが重要な課題だ、こういうふうに考えておるわけでございます。  そこで、特にこの補償基準の修正ということにつきましては、これは補償基準要綱の中でできるだけのことを考えなければいかぬと考えておりますが、生活再建の基本になります代替地の対策、これにつきましては徳山村の対策員会の要望もお聞きいたしまして、公団みずからがこの代替地対策に具体的に当たるという考えをとっておるわけでございます。  また、今後の住民の方々の生活相談につきましても、生活相談所をさきに開設しておるわけでございますが、個々の住民の方々の意向をもとにいたしまして、関係の機関の方々の御助力も得まして、住民の方々の希望がなるべく達成されるよう努めてまいりたい、こう考えておりまして、全村水没という特別な徳山ダムの事情を十分に認識した上で今後対処してまいりたい、こう考えております。
  176. 伏屋修治

    伏屋分科員 時間がございませんので、私の質問を全部まとめて言いますので、それについて答えていただきたいと思います。  その補償基準の修正ということの中に、前の答弁の中にも、住については不安のない、そういう補償をやっていきたいというようなこともありますので、職について、いわゆる新しい生活の場に移転して、そうして、その人々がそこで職を求めていかなければならない、そういう中、とりわけ徳山村の中に在村するところの中高年齢者、こういう方々が、いま社会的に中高年齢者の雇用率というのは低いのです。そういう方々が新しい生活の場に出ていって、そうして、そういう再就職ができることをどのように検討しておるのかということです。  それから、水資源公団がその面につきましての調査をいたしましたね。企業側に対する求人について二回にわたっていろいろと調査したということを、私は新聞の記事で読みましたけれども、そのような調査をいつ、どのような方法でやったのか。そしてまた、その調査の中で、いわゆる徳山村の離村された方々が新天地で職を求めていける、一〇〇%それが吸収できるのかどうかということですね。そのことをお伺いしたいと思います。  それから、最後に建設省の方に、このようないろいろな問題でこの交渉がまたぞろとんざするということになってまいりますと、いわゆる徳山村の建設事業計画というものが大幅にずれてくるのではないか。そしてまた、これだけ諸物価が高騰のときですので、当初の三百三十億というような総工事費というものの見直しというものも必要になってくるのではないか。その辺のところを建設省はどうお考えになっておられるのか、その辺、まとめてお答えしていただきたいと思います。
  177. 田中和夫

    ○田中参考人 徳山村の住民の方々の中の、特に中高年齢の方々の新しい場所に移転してからの職業のあっせんという問題でございますが、これは県その他と緊密な連携をとりまして、十分、遺憾のないようにいたしたい、こう考えます。  それから、先ほどの求人調査というお話でございますが、ここに細かいデータを持ち合わせておりませんが、住民の方々に対する意向調査というものを行っておりまして、そういうものをもとにいたしまして、今後、それらの方々の将来の生活再建について公団としてできる範囲内で、また、できないことは県その他の機関にお願いをいたしまして、努力してまいりたい、こう考えております。
  178. 稲田裕

    稲田(裕)政府委員 公団が、これから第一回対策員会で見直しの基準等の話し合いに入るわけでございますが、再度返還ということがございませんように、十分地元関係者の方々の御意見等も拝聴しながら進めてまいりたいというふうな指導を、私どもとしてもやっていきたいと思っております。  なお、全体事業費等の関係につきましては、今後のダムの工程等も見詰めながら、必要に応じて対応してまいりたいというふうに考えております。
  179. 伏屋修治

    伏屋分科員 以上で終わります。
  180. 兒玉末男

    兒玉主査代理 以上で伏屋修治君の質疑は終了いたしました。  次に、森井忠良君。
  181. 森井忠良

    森井分科員 私は、建設省所管の同和行政についてお伺いをいたしたいと思います。  予算で見ますと、対前年比で一〇・一四%の増という形になっております。いろいろな意見はありますが、まず冒頭に感じておりますことを申し上げますと、特別措置法が単純延長になりまして、あともう二年しか残っていないわけでありますが、そういう観点からいきますならば、予算の状況というのは決していい状態ではない、もっとふやしてほしかったという感じがするわけでございます。そしてまた、大切な要求が幾つか欠落をしておると思いますし、さらにまた、予算の組み方そのものについても問題を残していると思います。  そこで、最初にお尋ねをしたいのですが、かねがね要求が非常に強かった住宅敷地の供給助成というふうな事業が今度も落とされておるわけでございます。これはどういうわけですか。
  182. 関口洋

    ○関口政府委員 ただいまお尋ねのございました住宅敷地の問題につきましては、私ども予算要求したことは事実でございますけれども、先生御案内のとおりに、ことしは予算の制約その他の問題がございまして、新規事業に力を入れるよりも、いま先生からお話がございましたように、この両三年が非常に重要な時期でございますので、いわば継続事業の着実な実施を図るという点に力点を置いて予算考えたものでございますから、残念ながら要望は通らなかった、こういう次第でございます。
  183. 渡辺栄一

    渡辺国務大臣 ただいま具体的なことについては局長から御説明いたしましたが、先生御承知のように、昭和五十五年度予算は非常に厳しい財政事情のもとで編成いたしたわけでございますが、その中で同和対策予算の確保につきましては、私ども建設省の最重点施策一つである、こういう認識に立って進めてまいったつもりであります。特に建設省所管の一般公共事業につきましては、御承知のように前年度とほぼ同額でございますけれども、その中で昭和五十四年度予算額に対しまして約百億円をふやしておりまして、伸び率は一〇・一%、金額にいたしまして約千百十億ということになっておりまして、私どももできる限り事業推進を図りたい、こういう所存で進めておるつもりでございます。
  184. 森井忠良

    森井分科員 そうしますと、住宅敷地の供給助成というふうなことについては、先ほど局長の御答弁では、新規の事業をやるよりも、継続したものを完全にこなしていく必要を感じた、こういうことですが、そういたしますと、住宅敷地の供給助成というのは、これは事業として残るわけですか。
  185. 関口洋

    ○関口政府委員 事業として残るという意味がどういうことか、ちょっとわからなかったのでございますが、先生御案内のとおりに、私ども住宅局所管の事業のうちには、公営住宅なりあるいは改良住宅を建てて供給するということのほかに、住宅新築資金の貸し付け等の事業があることは御案内だと思います。     〔兒玉主査代理退席、主査着席〕 そういう中で、宅地取得資金の一環としまして貸し付け事業も行っておりますので、先ほど申し上げましたのは、こういう宅地取得資金の貸し付け事業、こういうものについて必要なものを確保するという方が先決だ、こういう立場で考えたわけでございます。
  186. 森井忠良

    森井分科員 確認をしておきますけれども建設省としては、住宅敷地の助成について大蔵に予算要求をしましたか。
  187. 関口洋

    ○関口政府委員 いわば予算要求全般の中で要求しましたことは事実でございます。
  188. 森井忠良

    森井分科員 時間がないのだから、もうちょっときちっと答えてください。住宅敷地の供給助成について予算要求をしましたか、しなかったか、イエスか、ノーかだけでいいのです。全般の中で云々なんて、だれも聞いていません。したんでしょう。
  189. 関口洋

    ○関口政府委員 いたしました。
  190. 森井忠良

    森井分科員 したということは、建設省としては、その助成が必要だということを認識をしている。しかし大蔵省に削られた、こういうことなんですね。ですから、あなたの最初の答弁は、いままで継続しているものをさらに完成をさせたいということで切ったのだ、こう言われましたから、それはそれで私どもとしては、継続事業は当然継続してもらわなければいけませんから、あたりまえなことでやってほしい。そうすると、必要を認めて大蔵に要求をした住宅宅地の問題につきましては、事業としてこれから残るのか残らないのかということを聞いておるわけです。いまのあなたの答弁だと、残るということになりますけれども、それでいいですね。
  191. 関口洋

    ○関口政府委員 来年度改めて検討させていただきたい、かように考えております。
  192. 森井忠良

    森井分科員 来年度改めて要求をするということでありますから、事業としては残るというふうに私は理解をいたします。論理的にそうなりますね。  それから、予算の組み方について、たとえば住宅関係予算を見てまいりますと、国の住宅政策全般の中で同和対策関係の住宅予算も入っておる、こういう形になっておるわけですね。つまり、一般の予算の中で、住宅なら住宅で、そのうち同和対策の住宅関係予算はこれだけだ、こういう形の組み方になっていますね。私は、これは本来分けるべきではないか。少なくとも、同和問題を中心にして、仮に時限立法があと二年しかないとすれば、総理府総務長官は当然延長もあり得るという答弁を国会でしておりますけれども、一応行政としてはあと二年で完成をするという形になる。そうすると、一般の住宅関係予算の中で同和関係予算も入れるという組み方がいかがなものか。むしろ、きちっと同和予算と位置づけをした方がいいのではないか、こう思いますが、いかがですか。
  193. 関口洋

    ○関口政府委員 住宅局所管の同和関係事業といたしましては、まず先ほど申しましたように、公営住宅あるいは住宅地区改良事業というものが含まれております。したがいまして、小集落地区改良事業であるとか、あるいは先ほど申しました住宅新築貸し付け等の資金の貸し付け等は、同和問題を考慮しました特別の施策でございますけれども、そういうグループと相並んで、公営住宅なり住宅地区改良事業を進める過程の中で考えていかなければならぬ問題もございますので、全部別枠にするということはいかがなものかというふうに率直に申しまして感じるような次第でございます。
  194. 森井忠良

    森井分科員 予算の組み方がはっきりしないわけですね。あるときには同和関係予算ということできちっと分けている。またあるときには全般の予算の中で、その内訳として同和関係予算はこれだ、こうなっているわけですね。私は、住宅関係予算のように、とにかく非常に要望の強い予算について、一たん組んでおいて、そのうちで同和関係はこれですよということは、あたかも同和関係予算をその中で優先をして執行するという感じが出て、いわゆるねたみ差別のようなものが逆に出てくる可能性があるのではないかと思う。一般の住宅の中で、どうして同和関係の住宅の予算だけを別枠にしてとらなければならないのかという形になると、あらぬ誤解を国民に与えるのではないか。したがって、やはり別に組むべきだと思うわけです。いかがですか。
  195. 関口洋

    ○関口政府委員 繰り返しになりまして恐縮でございますけれども、公営住宅なら公営住宅をとってみましても、先生お話しのとおり、優先入居という形で同和対策用の公営住宅を考えた方が適当ではなかろうかというふうに考えますものですから、公営住宅の中の一つの扱いとしてそういうことをやっておる次第でございます。
  196. 森井忠良

    森井分科員 もう一つの問題点は、大臣、補助率の問題です。大臣建設関係に非常にお詳しいわけでございますけれども、たとえば住宅関係は三分の二ですね。これは一般の住宅関係と変わらない。たまたま同和対策事業特別措置法がありまして、第七条でやはり三分の二という形になっているのですけれども、しかしこれは延長されたときの附帯決議で特に補助率のアップあるいは地方自治体の財政負担の軽減というふうなものが言われてまいりました。それから今度の予算委員会におきましても、たしか二月初めごろのわが党の野坂議員その他の質問にも出てまいりまして、総務長官から補助率のアップについても積極的に努力をするという答弁があったわけでございます。これは依然として三分の二というふうなことではなくて、年々歳々向上があってしかるべきだ。どうですか、この際せめて三分の二を引き上げる御意思はないのか。たとえば五分の四ぐらいにしなければ、せっかくの特別措置法がありまして、そして優先的に消化をしていくという形がありましても、依然として補助率の問題について是正がないということは、私はきわめて遺憾だと思うわけです。いかがですか。
  197. 関口洋

    ○関口政府委員 先生御案内のとおりに、同和対策事業特別措置法では、基本的な補助率は三分の二ということに相なっておりまして、それを受けまして、たとえば不良住宅の買収除却あるいは一時収容施設につきましては、通常の住宅地区改良事業でございますと補助率は二分の一でございますが、これを特段に三分の二に引き上げております。そういうことを講じておりますので、現在の補助率でもって着実に事業が遂行できるもの、かように私どもは判断しておるような次第でございます。
  198. 森井忠良

    森井分科員 住宅関係の地方自治体負担につきましては、他の同和関係よりも少し率がいいので、その点は評価というのは大げさですけれども、あたりまえに近い形である。ざっと六〇%ぐらいになっています。そのほかは、法律では三分の二の事実上の財源の裏づけがありながら、三分の一ぐらいしかない。きわめて遺憾だと思うのでありますけれども、住宅関係についても積極的にこれから補助率の是正について努力をしていただきたいと思うのです。これは、いますぐ直せと言っても、あなた方は直しませんから、私はこの分科会に毎年おじゃまをしておりますので、来年までには、これはげたを預けておきますから、ひとつ改善をしていただくように前向きの検討をしていただきたい。  ところで、今度の予算を見ますと、実態調査に関する予算が組んでありませんが、これはどういうわけですか。
  199. 関口洋

    ○関口政府委員 先生のおっしゃるのは、実態調査というのは、恐らく昭和五十年のときの実態調査と同じ趣旨のものをやらないかというお尋ねだろうと思いますけれども、私どもは実態把握ということでそれぞれの所管の公共団体からヒヤリングをし、絶えず実績を検討しておりますので、改めて調査をする必要はないもの、かように考えております。
  200. 森井忠良

    森井分科員 私が質問しましたのは、附帯決議に伴いますところの実態把握です。いまの話だと、実態把握、まあ実態調査ですけれども、附帯決議に基づく具体的な建設省の動きというのはないのですか。
  201. 関口洋

    ○関口政府委員 私どもは絶えず、ただいま申し上げましたとおり、所管の公共団体と毎年毎年ローリングバックをしながら、お互いにこの事業の円滑な推進努力しておるわけでございますが、そういう意味から、附帯決議でおっしゃっておられます実態把握につきましては、平素から行っておりますし、特に念を入れてこれからも行ってまいりたい、かように考えております。
  202. 森井忠良

    森井分科員 おととしの国会で、同和対策事業特別措置法の三年間の単純延長が決まりましたね。そのときに大要三つの附帯決議があることについては、あなたは御存じでしょう。その中に実態把握を十分にしようという項目が入っていますね。その点からいけば、建設省としても、従来どおりのやり方でなしに、国会のその意思に基づいて実態把握をされる必要があるのじゃないですか。そのために予算が要ると私は思うけれども、いかがですか。
  203. 関口洋

    ○関口政府委員 国会の附帯決議の第一項におきまして、いま先生御指摘の、実態の把握に努めよということがあることは十分承知しておりますし、この御趣旨に従いまして、ただいま申し上げましたようにそれぞれの府県からの事情聴取、こういうものを行っておるほか、担当官の現地調査、こういう方法によりまして実態の的確な把握に務めておるような次第でございます。  これらの問題は、繰り返しで恐縮でございますけれども、平素から心がけるべきことであるし、私ども特にその点に力を入れておるわけでございますが、そのことと、直ちに特別の経費を計上するかどうかという話は一応別個の問題じゃないか、かようにいまのところ考えておるような次第でございます。
  204. 森井忠良

    森井分科員 総理府にお伺いしますが、総理府は実態把握の予算を組んでおりますか。組んでおれば幾らですか。
  205. 和田善一

    ○和田(善)政府委員 総理府といたしましては特にそのような予算は組んでおりませんが、実態把握につきましては、各事業所管省が府県から事情聴取を行うあるいは担当官を現地調査に派遣する、そういうような方法で十分把握いたしつつあるというふうに考えておりまして、最終的にはそれを総理府で取りまとめる、こういうことでございます。
  206. 森井忠良

    森井分科員 それじゃ総理府としては附帯決議に基づく実態把握のための予算というのは格別組んでいないのですか、驚いたけれども
  207. 和田善一

    ○和田(善)政府委員 格別組んでおりません。
  208. 森井忠良

    森井分科員 そうしますと、各事業官庁でやってほしい、総理府の場合は総合機能を発揮する、こういうことになるんだろうと思いますが、そのとおりですか。
  209. 和田善一

    ○和田(善)政府委員 総理府といたしましては、各省での把握を取りまとめる、それぞれ事業所管省で実態を把握していただきたい、こういうことでございます。
  210. 森井忠良

    森井分科員 しかし、そうは言いましても、建設省としては実態把握の予算は組んでいませんと。いま聞きますと、何か建設省の姿勢というのは、地方自治体から追加要求等があれば認めましょう、あればおっしゃってください、こういう、どちらかというと受け身の姿勢といいますか、地方自治体等から出れば考えるという形で、積極的に建設省として実態把握をされるという御意思はどうも見受けられない、こういう感じがいたしますけれども、その点についてお尋ねしたいのと、ちょっとお伺いしますが、五十三年七月現在で、五十年調査以降で百二十地区出ておりますね。金額はざっと百三十億円ぐらい。これは五十年調査以降の、ですから追加、時点は五十三年七月現在、こういう形なんですが、これはどういうふうに出てきたものですか。建設省があそこが漏れているじゃないかということで指摘をしたものなのか、都道府県等から上がってきたものなのか、その点だけ答えてください。以上二点。
  211. 関口洋

    ○関口政府委員 先生御指摘の百二十地区は、私どもが公共団体あるいは総理府等の御指摘をまちまして、それにつきまして精査した結果、先生がいま御指摘のような約百四十億円の事業が見込まれる、かように考えております。
  212. 和田善一

    ○和田(善)政府委員 すでに昭和五十年の全国同和地区の調査におきまして基礎資料を得ることを目的にいたしまして詳細に調査いたしました。そのとき報告のなかった県に対しましてはさらに文書をもって照会して督促するというような措置をとりました。一たん五十一年三月に調査を終わりましたけれども、その後調査漏れとして、五十年調査のときに報告できなかった事情を明らかにいたしまして、五十年調査報告の例により同和地区として関係都道府県から申し出のあった地区につきましては、同和関係施策実施上、五十年調査による報告のあった地区と同様の取り扱いを現在でも行っているところでございます。
  213. 森井忠良

    森井分科員 この際、総理府にも明確に申し上げておきますが、御承知のとおり地区数についてもかなり食い違いがありますね。少しずつふえてきておりますけれども、しかしずいぶん問題があるわけですよ。五十年調査のとき、これは四千三百七十四地区あった。それからしばらくして、私たしか去年かおととし聞いたと思うのですけれども、その後百六地区ふえて四千四百八十、ここまで私は聞いているわけですけれども、しかし実際にはあの悪名高い地名総鑑でも五千以上の地名が載っている。それから昭和十年の調査とも数字が違う。そして落ちた県も、東京や秋田や山形など少なくとも八つの都県が五十年調査で地区数ゼロになっている。かなり実態把握していかなければならない場合があるし、強力な指導もしていかなければならぬことがあるでしょう。あるいは、なるほど上がってきてはおっても県によっては大幅に地区数が減ったりしていますね。そんなものはどんどん調査をして掘り起こさなければならぬわけでしょう。この点について私はやはり附帯決議の実態把握、実態調査の中に入っていると思う。何でそれが予算が要らないのですか。やる気がないからそんなことになるんじゃないですか。私は強く警告を申し上げておきます。  そこで建設省にお考えをいただきたいわけですけれども、単に都道府県から上がってきたからそれを地区数に入れるというような実態調査では困るわけです。渡辺大臣、まことに失礼なんですけれども、前の渡海大臣も兵庫かどこか、一度身をもって地区を御視察なさったと聞いておるわけでございます。補助率のアップ等先ほどちょっと申し上げましたが、これはやはり前の自治大臣が奈良へ行かれまして関係者から意見を聞いている間に、これはずいぶん超過負担があるなということを感じて補助率のアップをしなければならぬというようなことを言われたりしています。この際、御就任になりまして、いま関係者、政府委員がああいうふうに答弁をしておりますが、ぜひひとつ督励をして積極的にこちらから出向いていって一度現地等を調査するといった方策をとっていただきたいのですけれども、いかがなものでしょうか。
  214. 渡辺栄一

    渡辺国務大臣 私は同和対策事業の重要性は十分認識をいたしておるつもりでございます。特にこの三カ年延長になりました経緯にかんがみまして、実態把握というものが非常に重要であると私は十分承知いたしておるわけでございます。いまお話しのように前大臣も、七月でございましたか、神戸市の同和地区を現地視察をしておられるようでありますし、担当官によります現地調査あるいは府県からの事情聴取、こういうものを実施いたしまして実態調査に努めておることはいま申し上げましたとおりでありますが、やはり私といたしましても、今後の予定につきましては、国会の関係等もありましていまはっきり時期を申し上げることはできませんけれども、前向きに取り組んでまいりたいと存じますし、いまお話しのように、ひとつ十分検討いたしてまいりたい、かように考えております。
  215. 森井忠良

    森井分科員 総理府にお伺いしますが、五十年調査というのはいまのところ私どもは欠陥が非常に多い調査だと思っておりまして不満なんですけれども、それにいたしましても各省庁、五十年調査をベースにしていろいろな施策が組み立てられていますね。建設省も同じだと思うのですけれども、これは不完全ではあってもきわめて貴重な資料ですから保存する必要があると私は思うのです、当然のことですけれども総理府、どうですか、そう思いますか。
  216. 和田善一

    ○和田(善)政府委員 この五十年調査の結果によります物的な事業につきましては、これを把握いたしまして、その事業量をつかんでおるわけでございます。調査の結果、それぞれ各省に関係いたしますものにつきまして、各省それぞれの取り扱いによりまして資料を取り扱っていただく、こういうふうに考えております。
  217. 森井忠良

    森井分科員 ずいぶん考えた答弁で、わかったようなわからないような答弁でございましたけれども、少なくともあれだけの調査をされたのですから残すべきでしょう。建設省の場合はこれを焼いたというのですね、住環境整備室長立石さん。いろいろ話の中で明らかになってきたわけでありますけれども、いま全然残っていないと言う。私はきょう質問をしようと思ったわけでありますが、たとえば小集落地区改良事業等につきましても、十五戸というような基準を置いて、かたくなにそれ以下のいわゆる少数点在部落の問題を解決しようとしない。一体五十年調査はどうなっているのだろうか、聞こうにも、建設省破って捨てたんじゃないでしょうけれども、焼却をしたと言うのです。本当ですか、これは。
  218. 関口洋

    ○関口政府委員 資料を処分したということは事実そのとおりでございます。  そこで、弁解がましいのでございますが、若干の経緯を御説明させていただきたいと思いますが、五十年調査は全体の所要経費を把握するというための調査でございました。現在のところ、もうすでにそれは四千五百九十億円ということではっきり把握し終わっておりますので、これをいつまでも残す必要がない、目的を達したということで処分をしただけのことでございます。特別の意図はございません。
  219. 森井忠良

    森井分科員 わずか三十分の時間ですから、もうこれ以上は続けられませんけれども、私は関係者の処分も含めてこの問題の事後処理はきちっとしてほしいと思う。幾つかのネックが全部出ておりますね。先ほど申し上げました小集落の地区の改良事業にしても、あるいは先ほどで言えば未指定地区の問題にしても、幾つかの県から全然上がってきておらないというようなことがある。全部たどっていけば五十年調査でとりあえず整備をしなければならない問題がずいぶんあるじゃないですか。だれが決裁したのか知りませんが少なくともあれだけ大規模の調査を焼いて捨てたというような不見識なことがありますか。  これはいずれまた別の機会に御質問するとして、強く抗議をして私の質問を終わります。
  220. 藤田義光

    藤田主査 以上で森井忠良君の質疑は終了いたしました。  次に、栗田翠君の質疑に入るのでありますが、同君の質疑に際し、参考人として日本道路公団理事持田三郎君が御出席になっております。  なお、御意見は質疑をもって聴取することといたします。  栗田翠さん。
  221. 栗田翠

    栗田分科員 私は高速道路のトラック駐車場の問題についてきょうは質問させていただきたいと思います。  昨年の夏の日本坂トンネルのあの大事故以来、安全運転の必要性ということが特に強調されて、運転者のマナーが問題になっておりますけれども、私は運転者の側から見てマナーを守ることのできる施設、設備などの条件が本当にあるのだろうかという立場で、ことし二月の四日に深夜調査をいたしました。午前一時から六時まで、静岡インターから入りまして浜名湖インターまで走って、往復して帰ってまいりまして、実態を目の当たりに見てきたわけでございます。その中で、高速道路における駐車場その他の設備の拡充の必要性を痛感してきたわけです。  トラック事故で前方不注意ということで処理されているものの多くは、過労が原因になっているということがよく言われております。  東名日本坂トンネルの事故の後に、読売新聞が「高速事故を追う」という連載記事を載せまして、これを見ましたら、その中で愛知県警の隊長をしておられる山下秀雄さんが、深夜トラック運転手ば半分眠って走っているんじゃないかという背筋の寒くなるようなことを言っておられる記事が載っております。その方がそういうふうにおっしゃられた理由というのは御自分の経験からで、八月三十日の午前一時ごろに愛知県豊川市の東名上り線で追突事故があって、五台玉突き追突という状態になって、一時上り線が閉鎖されたことがあるわけです。このときに約六百台のトラックが道路上で停車して五キロぐらい延々並んだそうですけれども、これがトラックがとまった途端に間もなく運転者が六百台のそれぞれの車の中でぐっすり寝込んでしまった。後で事故処理が終わってから、この車の運転者を一人一人起こすのにずいぶん時間がかかって、十二人の隊員が窓をたたきながら起こして走らせるのに大変苦労したという記事が載っておりまして、そういうところから見ても、トラック運転手というのは大変な過労の中に運転しているのではないだろうかということを言われているわけでございます。  ところで、いま東名高速道路を走っているトラックは一日何台ぐらいでしょうか。
  222. 持田三郎

    ○持田参考人 お答えいたします。  東名道路は全延長が三百四十六キロございまして、各インター間で交通量がまちまちでございますけれども、一番多いところが東京インターから川崎インターまで約十一万台、その次に多いのが川崎−横浜九万台、それから静岡−焼津で五万五千台、そのほか名古屋周辺ではやはり一日五万数千台、少ないところで四万台というような実態でございます。
  223. 栗田翠

    栗田分科員 これに対しまして、東名高速道路の駐車場はトラック何合分収容できるようになっているのでしょうか。
  224. 持田三郎

    ○持田参考人 東名の中でいわゆる休憩施設と申しますか、サービスエリア、パーキングエリアに施設がございますが、サービスエリアにつきましては六カ所、それからパーキングエリアにつきましては十六カ所ございます。  東名は昭和四十四年に全線開通したわけでございますが、開通時点では大体三千二百台ぐらいの駐車スペースがございます。
  225. 栗田翠

    栗田分科員 いま三千二百台とおっしゃいましたが、私、トラックの駐車スペースを伺っていますので、ちょっと多過ぎるような気がしますが、普通車が入っていませんか。
  226. 持田三郎

    ○持田参考人 いま申し上げましたのはトラック、大型、普通の小型を入れました込みの数字でございます。
  227. 栗田翠

    栗田分科員 普通の小型も入っていますね。
  228. 持田三郎

    ○持田参考人 はい。
  229. 栗田翠

    栗田分科員 トラックだけでどのくらいでしょうか。
  230. 持田三郎

    ○持田参考人 トラックですと、大体千四百三十台でございます。
  231. 栗田翠

    栗田分科員 一番多いところで十一万とおっしゃっていましたけれども、千四百台分、約一%ぐらいの駐車場だと思います。最近トラックは夜間に集中して走っていますけれども、これでは非常に駐車場が足りないと思うわけです。新しい二・九通達が今度出されて、一人乗務の場合、連続運転時間は最大四時間走ったら三十分は休憩しなければならないという通達が出されていると思いますが、この四時間というのにはどういう意味がございますか。
  232. 岡部晃三

    ○岡部説明員 このたびの新通達におきまして連続ハンドル時間を四時間といたしました理由は、これは昨年の六月にILOで採択されましたILO百五十三号条約の基準が連続ハンドル時間四時間ということで、国際的に大体標準となっている時間でございます。その時間を採用した次第でございます。
  233. 栗田翠

    栗田分科員 私、調査しましたが、この四時間というものの裏づけになっているのは、やはり人間の運転を続けていくときの生理的な必要といいますか、そういうことで四時間というのが最大限とされているというようなことを読んだわけでございます。久留米大学の末永名誉教授が言っておられますけれども、四時間以上の連続運転は大脳活動の陥没状態を起こす、目があいていても正面に存在する情報源を認知できなくなるというふうに言っておられます。ですから、確かに四時間そういう状態で走ったら目をあけていても危ないということになるわけで、なるほど四時間というのはぎりぎりで、後どうしても休憩しなければならない時間だなと私も思ったわけです。  運転手さんたちでつくっています労働組合で運輸一般というのがありますが、そこなどの要求では、一般道路では四時間、高速道路では二時間にしてほしいという要求が出ているくらいで、特に疲れる高速道路の場合、もう四時間を厳守するということはぎりぎり必要なことになっていると思いますが、しかし、いま特にそういう深夜の休憩場所というのは保証されているとお思いになりますか。
  234. 持田三郎

    ○持田参考人 先ほど申しましたように、東名の中ではサービスエリアが六カ所、それからパーキングが十六カ所、それで大体その設計基準と申しますか、パーキングとかサービスエリアの設置個所につきましては、一応サービスエリアでは五十キロに一カ所、それからパーキングエリアでは十五キロに一カ所というような、名神高速が始まったときに諸外国の例からとりまして、そういったことでやっておりますが、東名におきましても、先ほど申しましたように六カ所の十六カ所、合計しますと二十二カ所で、間隔が、三百四十六キロを割りますと大体十五キロというようなことでございますので、一応休憩施設としては妥当な距離ではないかと思います。
  235. 栗田翠

    栗田分科員 妥当とおっしゃいますけれども、トラックが夜どういう状態で駐車しているか、一度調査なさったらどうかなと私は思うのですけれども、私は実際に調査をしてみまして、聞きしにまさるものだと驚いたわけです。  それはもうパーキングエリア、サービスエリア、駐車場という駐車場にはトラックがぎっしり詰まっていて、小型普通車の駐車場にまでトラックが入っています。トラックが横づけになると普通車の五つぐらいのスペースがいっぱいになってしまうわけです。全部エンジンをかげながら、冬ですから中で眠っていたのですけれども、それだけでは足りなくて芝生の植わっている緑地帯にも入り込んで寝ていますし、それから進入路に入っているのですね。ずっと二十台ぐらい並んでおります。これは運転手さんに聞きましたら大変危険なんだそうで、私が小型の車でその進入路、パーキングエリアの中に入るのにもさわりそうになるのですけれども、特にトラックが入る場合、その進入路の路肩にずっと並んでいるわけですから、これが実に危険だし、またそういうところにとまったのが走り出したりしますと事故が非常に多いということです。そういう状態で、もうとてもとても足りているなんという状態ではないというふうに思います。  それでもまだそういうところでもとまれる車はいいわけで、とまれない車がどんなことになっているかということです。これもたくさんの例がありますが、先ほど挙げました読売の例を一つ挙げますと、これは早藤彦右衛門さんという五十四歳の運転手さんの例なんですけれども、五十三年九月二十一日午前三時四十五分ごろに高速バス焼津西停留所近くに大型トラックを停車していて、追突されて頭に二カ月の重傷を負ったという方の例ですけれども、この人は大津の帰りに牧之原サービスエリアで休もうと思ったけれども、満車で車がとめられなかった。仕方がないので、その先のバス停で休もうとすると、そこも先客が四、五台いて満車だった。仕方なくバス停の端にとまって眠ったんだそうです。その後少し走って用を足そうと路肩にとまったら眠ってしまって、そこを追突されたというのです。まあ疲れ果ててもいるし、とまる場所もないという実態の中でこの早藤さんの事故が起きたという例が挙がっておりますが、こういう例は枚挙にいとまがないようでございます。  ここに私は静岡県のトラック協会でとりましたアンケートを持ってまいりました。これは五十四年十二月十一日、昨年の暮れにトラック協会が、それこそ東名高速を足で歩きながら六十一台の運転者に聞いてアンケートをとったもので、パーキングエリアやサービスエリアにいる人たちの聞き取り調査をしたものでございます。  この中で、休憩場所を決めているかという質問に対して、決めているというのが八〇・三%、その場所の状態はどうかということに対しまして、駐車が困難になったというのが五九・六%ございます。そして、駐車できないために、決めてはいるけれども、決めたところの二つか三つ前からとまれるところを探しながら走っているのだという、そういう実態が答えとして出てきているわけです。そして、走行中眠くなったことがあるかという質問に対しては、九六・六%が眠くなると答えまして、その中でも最も眠い時間帯は午前三時から四時、これが五〇%という数が出ております。もうこの時間帯は各仮眠所が満車になること、それから、ドライバーは十分承知しているので、それ以前に休憩できる場所を選択するけれども、本当に困るのだというのがこの中から出てきたわけです。そうして、このアンケートに沿ってみんなの要求はということを聞きましたら、パーキングエリア、サービスエリアが少く、休みたいときに休めないので、増設、拡張を望む、最近サービスエリアは昼間でもなかなか駐車できない、それから高速道路と並設したトラックステーションを設置してほしい、下り線にも足柄のような休憩所をつくってほしいなど、切実な要求がたくさん出ているわけです。  こういうのを見ましても、駐車場はどうしても拡張が必要だと思いますが、どうお考えになりますか、またその見通しをお聞かせいただきたいと思います。
  236. 持田三郎

    ○持田参考人 私が先ほどお答えしました個所数でございますが、個所数としては適当だろう、ただ、いま御指摘がございましたように、非常な交通量の増によりまして、東名の供用時点に考えました交通量に対応した各サービスエリア並びにパーキングエリアの駐車台数のマスが少ない、これは確かに実態でございます。  先ほど先生から、夜間東名を御視察になったようでございますが、やはり各パーキング、サービスエリアとも、時間帯、特に夜中に非常に込んでいるという実態でございます。また、都市周辺と申しますか、たとえば東京の近郊のパーキングあるいはサービスエリア、あるいは名古屋、静岡、そういったところにおきます各施設は、やはり本来的な休憩施設として利用されるわけでございますけれども、そのほかに、都市内の大型自動車の交通規制というようなことがございまして、そこで時間待ちをするというような車もございます。  そういうことで、なかなか各施設とも満杯になっているということで、私どもも、東名ができましてからもうすでに十一年になっておりますが、実態調査を年々やっておりまして、そういった各施設について、一次的な改良と申しまして、従来ありました施設を、園地とかあるいはいろいろのところを拡幅しまして利用台数を増加していくという一次改良をやっております。  それから、それだけではとても対応できないということで、近傍の用地を買いまして、隣接の用地を買いましてそこに駐車台数をふやしていくというようなことを現在やっております。  特に東名におきましては、東京インターから約十五キロございますが、そこに港北インターというところがございまして、そこが非常に込んでいる。ランプとかあるいは本線まで車が駐車しておって、一般の利用者から非常にクレームが出ている、あるいは事故が起きているというような実態がわかりまして、これも五十五年度から用地買収して拡幅していくというようなことで、それぞれ順位を設けて今後一次改良あるいは二次改良というものをやっていく予定でございます。
  237. 栗田翠

    栗田分科員 次に伺いますが、トレーラーの専用駐車場というのはございますか。
  238. 持田三郎

    ○持田参考人 東名ができましたころはトレーラーということは余り考えておりません。しかし、実際にはトレーラーの、特殊大型車と申しますか、そういった運行がどんどんふえておりましたので、それに対応する意味で、五十二年度に磐田原のパーキングエリア、これに上り線五台、下り線六台、計十一台、それから牧之原サービスエリア、これは五十四年、また五十五年に新しくつくりまして、三十七台と計画しておりますが、こういったものが東名の中にございます。  名神につきましても、伊吹パーキング、黒丸パーキング、二カ所に、台数は少のうございますけれども、約七台の大型特殊車の駐車マスを設置いたしてございます。
  239. 栗田翠

    栗田分科員 トレーラーは大変ふえていまして、私が夜中に走っただけでもずいぶん行き交いました。それで、いまお話のあった台数ではとても駐車場は足りないんですね。ですから、実際にはトレーラーが強引にとまらざるを得ないということでとまっています。一人乗務のものが最近多いので、出入りがしにくいわけで、道路に沿ったところにトレーラーをとめたいわけですね、出たり入ったりのために。バス停なんかにとまっているのですね。こういう状態がありまして、これはやはりトレーラーが出入りしやすい専用駐車場をもっともっとつくる必要があると思うのですけれども、その辺の御予定、お考えはいかがですか。
  240. 持田三郎

    ○持田参考人 すでに供用しました高速道路につきましては、そういった交通量の多いところ、あるいはトレーラーの台数が多いところについて漸次設置していきたい。また建設段階におきましては、用地の範囲内と申しますか、できる限りそういったものを確保するというようなことで現在やっております。
  241. 栗田翠

    栗田分科員 もう一つアンケートを見ますと、高速道路のバス停がありますが、バスが運行しない時間帯のバス停を駐車場として一時利用させてもらえないかという切実な要求が出ております。現在、バス停にとめるということは駐車違反で、実際に私が夜中に見たときにも、バス停にはぎっしりとまっているのですけれども、つかまっているのですね。罰金が六千円だそうですね。罰金を取られているのです。ですけれども、それでもとまっております。そういう実態がいまあるわけですね。眠くなってしまって、居眠り運転ばするわけにいかない。けれども、道路の真ん中でとまって眠るわけにはいかない。駐車場はいっぱいになる。こういう矛盾の中でいまバス停にやむなくとまって、下手をすれば六千円の罰金を取られることを知りながら寝ているというのが実態でございます。いま伺いますと、だんだんに駐車場の拡充計画はしていらっしゃるということですけれども、当面はもうずいぶん足りない状態になっているのです。この一時的な緊急避難として、駐車場が十分つくられるまで、夜バスが運行しないときにバス停を駐車場として認めるということはできないでしょうか。
  242. 小林憲司

    ○小林説明員 お答え申します。  高速道路におきます死亡事故は、類型別に分析いたしますと、一般道路と異なりまして、路肩等の駐停車車両との衝突によるものが全体の約三〇%近くに達している実情にございます。高速道路は御承知のとおり高速走行の場でございまして、路肩の幅員も十分に広いとはいえない現況から、全線駐車禁止になっているところでございます。そのため、道路管理者側におきましては、サービスエリア及びただいま先生からいろいろと御質問がございましたパーキングエリアを設けまして、道路利用者の休憩の用に供しておるところでございます。  ただいま先生御質問の、バス停留所を夜間の未使用時間帯に利用して一般車両の駐車を認めることはできないかという御質問でございますが、御案内のように、バス停と申しますのはパーキングエリアと構造上も異なっておりますし、バスのみの一時駐停車のための施設でもございます。しかも、バス停留所の使用時間帯と申しますのは、おおむね深夜帯を含めての時間帯となります。夜間におきますドライバーというのは、ほとんどの場合前車の尾灯を目標に走行しておるということ、しかも高速走行のために、駐車車両か走行車両かの区分が遠方から非常につきにくい。したがいまして、わざわざ追い越し車線等から進路を変えて駐車車両に衝突をするという事例もあるわけです。なおまた、昨年十一月でございますけれども、東名、静岡県下におきまして、バス停から本線へ これも違反車両でございますけれども、本線合流時の死亡事故が連続二件も発生しておるという事態もございまして、第一線の警察におきましては、バスの停留所も含めまして、路肩等におきます違法駐車の取り締まりを強化している実情にございます。したがいまして、バス停留所の駐車について認めることは考えておりませんので、御了承いただきたいと思います。
  243. 栗田翠

    栗田分科員 しかし、実際にはとまっているのですね。二十台ぐらい、全部並んでいます。  伺いますが、居眠り運転というのは認められていませんね。必然ですね。さっきも申し上げたとおり、それじゃ道路の真ん中でとまって寝ちゃっていいか。それもできませんね。眠くなったとき、どうするのでしょうか。私、大変な矛盾だと思いますけれどもね。駐車場にはもう入れない。それで、本当は路肩もいけないのですが、とまっちゃっていますけれども、眠くなったとき、それじゃ眠りながら走った方がいいのか、それとも、せめてバス停のようなところでとまった方がまだいいのかということですね。本来、駐車場が十分なければいけないのですが、駐車場をいますぐ一遍につくることはできないとしたら、この辺はどう解決したらよろしいのでしょうか。私がいまバス停を駐車場に一時緊急避難で使えないかということも、これは運転者の切実な要求として出ているわけですけれども、どうお考えになりますか。
  244. 小林憲司

    ○小林説明員 私ども、現場を預かる警察といたしましては、高速道路におきます安全確保の見地から、ただいま申し上げましたように、バス停におきます駐車というのは安全上適当でないと考えておりまして、ただいまお話ございましたように、パーキングエリアあるいはサービスエリアの整備、拡張を図ることが先決ではなかろうか、かように考えております。
  245. 栗田翠

    栗田分科員 道路公団伺いますけれども、この駐車場の拡充というのはいま計画していらっしゃるということですけれども、一体、必要を全部満たせるようにするにはどのくらいかかるのですか。
  246. 持田三郎

    ○持田参考人 非常にむずかしい御質問でございますが、いま私どもがいろいろ試算しているわけでございますけれども、東名の中で非常に込むパーキングエリア、サービスエリア、こういったものを五十八年度ぐらいまでには、そういった本当に込むところを拡張して駐車スペースをふやすというようなことをいま考えておりますが、東名の中では約四カ所程度考えております。
  247. 栗田翠

    栗田分科員 どのくらいかということにお答えいただいていないのですが、車は毎日走っているわけですね。そして、いまもアンケートで見れば九十何%が眠くなり、しかも半分眠りながら走っているような実態もある。とまりたくとも、とまる場所がない、こういうことになっているわけです。それで運転者はマナーを守らなければいけない、居眠り運転はもちろんいけない、事故を起こしてはいけない、これはまさに矛盾だと私は思うのですけれどもね。これは施設をきちんとしなかったならば事故が起こる条件をつくってしまうということになるのではないだろうか、私は調査の中でつくづく思いました。  最後に大臣伺いますが、その前に一つだけ伺っておきますけれども、こういう中で労働者の切実な要求としてもう一つ出ていることは、休憩時間が義務づけられましたけれども、拘束されている時間であるにもかかわらず、休憩時間の賃金が三分の一からひどいところは十分の一ぐらいにされていて、以前の二・九通達が出た後で多い人は実働時間がふえたのに賃金が六万円ぐらい減ったなんという人もあるんですね。これは義務づけられている必要な休憩なので当然労働時間の中に入るのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  248. 岡部晃三

    ○岡部説明員 拘束時間といいますのは、労働時間と休憩時間から成り立つわけでございます。賃金は労働時間に対して支払われるわけでございます。したがいまして、休憩時間は原則として無給でも法律上は差し支えないわけでございます。ただ、よく業界で問題となります中抜きという現象があるやに伺っているわけでございますが、これはいわゆる手待ち時間、労働時間でありながらしかし労働密度は薄いという部分もございます。この辺の賃金をどうするかということは、これは法律が直接関与するところではございませんで、関係労使の話し合いということによって解決されるべきものであろうかと存じます。
  249. 栗田翠

    栗田分科員 いまそれぞれの話し合いの中でというお話でした。そうしますと、やはり会社との交渉の中でかち取っていかなければならないということなんですけれども、ここにもまた矛盾がありまして、聞いてみますと、休憩時間と決められながらさっきのようなわけで休憩できない場合があります。走っちゃうわけですね。ところが、実際には休憩時間になっているはずだからと言って賃金を減らされている、こういうことさえ起きているわけですね。これがいまの矛盾、実情なんでございます。  それから、時間がありませんので、きょう一つ伺わずに抜かしてあるのが休憩所のことです。いま休憩所は東名高速道路に足柄しかなくて一カ所です。ここはお風呂もあって、月に二日ぐらいしか自分の家に帰らないというトラックの運転者もあるわけですが、そういう人たちのためにはお風呂に入れるような休憩所というのはとても必要なんですが、お風呂代以外に千六百円かかるので休憩しないんだという声もずいぶんございます。やはりこういうところをもっと安く数多くつくって、せめて疲労が回復できるような状態にしていくということが安全運転を保障するためにも重要なのではないかと思うわけです。  時間が参りましたので、最後に大臣伺いますけれども、いまお聞きくださいましたように高速道路における駐車場問題というのは事故をなくすためにも非常に重要な問題だと思います。それから、実際にはマナーを守れと一方的に主張したのでは解決できないたくさんの矛盾をはらんでいると思うわけでございます。この高速道路における駐車場の早期拡充の必要性、その他このことに関する大臣のお考え伺いたいと思います。
  250. 渡辺栄一

    渡辺国務大臣 ただいま持田理事からいろいろ御答弁をいたしておったようでございますが、指導監督の立場におりますので、それらの問題がなるべく支障を生じないで安全な運転が確保できまするように十分配慮するように指導監督してまいりたいと思います。
  251. 栗田翠

    栗田分科員 大臣一つ伺いますが、確かに矛盾は多いですね。どうお考えになりますか。
  252. 渡辺栄一

    渡辺国務大臣 現実の問題としていろいろな問題があると思いますが、私いまお聞きをしておりまして、やはり労務管理の面においても無理のない勤務をさせるということも必要じゃないか。普通の勤務でありまして眠くてしょうがないというのも不自然な感じがするわけでありますが、それらも含めましてあらゆる面からこういう問題につきましては問題の起きないように十分な配慮をしてまいらなければならないと考えております。
  253. 藤田義光

    藤田主査 以上で栗田翠君の質疑は終了いたしました。  次に、新村勝雄君の質疑に入るのでありますが、同君の質疑に際し、参考人として日本道路公団理事大島哲男君が御出席になっております。なお、御意見は質疑をもって聴取することといたします。新村勝雄君。
  254. 新村勝雄

    新村(勝)分科員 私は、最初に国道二百九十八号線いわゆる東京外郭環状線でありますけれども、この工事についてお伺いをいたしたいと思います。  この工事は東京の外側を回る環状線でありまして、計画決定がされ、すでに一部については着工いたしておるわけでありますが、そのうちの千葉県を通過をする部分が人口綱密地帯の市川市を通過をするということで地元ではぜひともその部分だけでも構想の路線の変更をしていただきたいということをかねてから強力に当局に要請をし続けておったわけでありまして、これは単に関係住民だけではなくて地元市の執行部、議会そしてまた千葉県の執行部、議会とも一致をして決定路線の工事の困難性、それから地元に対する環境の破壊を初めとする住民に対する公害について訴え続けてきたわけでありますが、その後の経過、そしてまたこの問題に対する当局の基本的なお考えをまず伺いたいと思います。
  255. 山根孟

    ○山根政府委員 東京外郭環状道路は、先生ただいま申されましたように東京都区部の外縁をめぐります半径約十五キロ、延長約百十八キロメートルの環状道路であるわけであります。     〔主査退席兒玉主査代理着席〕 このうち埼玉県戸田市の一般国道十七号の新大宮バイパスからただいま先生おっしゃいました市川市の東京湾岸道路までの約四十一・三キロメートルの区間の一般道路部分を一般国道二百九十四号として直轄で事業を実施しておるわけでございます。現在のところ、埼玉県内では荒川左岸の流域下水道事業が進められておりまして、戸田市の新大宮バイパスから川口市の芝川までの約七・一キロメートルの区間の用地買収を最重点に事業を進めております。東北道関連区間といたしまして、川口ジャンクションから一般国道四号草加バイパスまでの約四・七キロメートルの用地買収を進めております。常磐道の関連区間として三郷ジャンクションから主要地方道草加−流山線間約二・六キロメートルについての用地買収並びに中川橋の工事を進めておるところでございます。千葉県のとりわけ松戸市から市川市に至る区間につきましては、先ほど先生お触れになりましたように環境問題等から構造問題、ルート問題等に関しましてまだ地元の了解が得られていないため、現在のところ御理解を得べく各般の検討を行っておるという状況にあるわけでございます。
  256. 新村勝雄

    新村(勝)分科員 これにつきましては、地元からその再検討を要請をいたしまして、当局としては当初の計画どおり進めたいということで江戸川の架橋の問題が起こったわけであります。そのときに、この架橋が直ちに外環道路の工事を進めるということにはならないのかどうかということをただしたときに建設省関東地方建設局長の名前で「東京外郭環状道路の建設計画について」という回答がなされております。そのときに、「昭和五十三年五月十八日付同県第百六号をもって貴職より御要望のありました江戸川架橋については国道六号以南と切り離して着工する方針である」こういうような回答をいただいておるわけであります。そして同時に、この路線の工事の施工については今回の再度の御要望を踏まえて早急に結論を得るよう「貴県の御協力を得てさらに検討を行いたい」こういうような御回答を得ておるわけでありますが、国道六号以南と切り離してということは、これは当然六号以南については路線を含めて再検討する、こういう意味であるとこれは解釈をされるわけでありますが、その点についてのお考え伺います。
  257. 山根孟

    ○山根政府委員 先ほど説明で若干申し上げなかったのでございますが、ただいま先生御指摘いただきました江戸川にかかる葛飾橋の混雑解消のために、ただいま御指摘になりました江戸川橋の工事に五十三年度から実は着手をいたしております。その一環として、この六号以南の問題についての関東地方建設局長から知事あてのただいま申されました文書が出されたわけでございます。いま御質問の国道六号以南を切り離して、こういうこと、並びにその後一体どういう考え方であるのか、こういう御質問であろうかと思います。国道六号以北につきましては事業促進を図ってまいる。ただ、ただいま国道六号以南につきましては引き続き検討を進めるというのが国道六号以南を切り離すということの意味でございまして、国道六号以南については引き続き検討をいたそう、現在までのところまだいろいろな検討を行っておりますが、御説明できる段階に至っておりません。当面、現在進めております埼玉県下及び国道六号以北の事業に全力を挙げておるという段階でございまして、六号以南につきましては今後引き続き検討を進めてまいるという考え方をいたしておるわけでございます。
  258. 新村勝雄

    新村(勝)分科員 そうしますと、六号以南については路線の変更あるいは工事を実施するかしないか、そういう根本的な問題を含めて再検討をされておる、こういうふうに解釈してよろしいですか。
  259. 山根孟

    ○山根政府委員 構造その他、ただいまおっしゃいましたルート問題、これは大変重要な問題でございますので、引き続き慎重に検討を進めてまいりたい、かように考えるものでございます。
  260. 新村勝雄

    新村(勝)分科員 そうしますと、ルートを含めて今後検討されるということでございますね。
  261. 山根孟

    ○山根政府委員 そういった点も含めて検討を進めてまいるという考え方でございます。
  262. 新村勝雄

    新村(勝)分科員 やはり同じ問題に関して大臣にお伺いしたいのですけれども、この問題については実は先ほど申し上げましたように、地元の市あるいは県、住民こぞってこの路線、特に千葉県の部分、千葉県全体ではありませんけれども、国道六号を境にしてその南の分についてはぜひ計画を根本的に再検討をしていただきたい、こういうことをお願いし続けてまいったわけでございます。私もこの問題についてはすでにこれで三回目になるかと思いますけれども地元では非常に心配しているわけですよ。大臣、現場においでをいただけばわかりますけれども、あそこに現在構想されておるような幅の広い、八車線ですかの大規模の道路をつくるということは、これは犠牲を顧みなければできるでしょうけれども住民の苦痛と多大な犠牲なしにはとうていできない、こういう道路でございまして、その点をひとつ大臣も十分御検討されて、いま局長からお答えがありましたけれども路線の変更を含めて——路線の変更を含めてということよりは、この構想のうちの千葉県部分については白紙に戻してひとつ御検討を願いたいと思うわけであります。そしていままでも歴代の大臣にお願いをしまして、少なくとも地元住民の大多数の意見を無視をして強行はしない、この点は歴代の大臣から回答をいただいておるわけでございますので、路線の根本的な変更を含めた検討とそれから住民の大多数の意思あるいは地元の自治体の意思を無視してはやらないということをひとつ大臣からお答えをいただきたい。
  263. 渡辺栄一

    渡辺国務大臣 いま道路局長からるる申し上げたわけでございますが、改めて私からも申し上げておきたいと思います。  すでに先生御承知のように、この外郭環状道路は非常に必要な幹線道路である、これは十分御認識をいただいておると思うのでございますが、ただ、その市川地区ではお話しのような環境問題その他現在のところは地元の理解が得られておりませんし、また千葉県知事からも抜本的な検討をするようにという要請をされておるというふうに私は聞いておるわけでございます。したがいまして、ただいま道路局長から申しましたように、建設省としましては道路構造等についても検討を加え、また環境保全につきましても十分考慮いたしまして、地元の理解と協力が得られるように努力をせねばならぬと思っておりますが、ルートの変更等につきましては私はきわめて重要な問題であると思いますので、慎重に検討を進めてまいりたい、かように考えております。
  264. 新村勝雄

    新村(勝)分科員 そうしますと、慎重におやりになることは当然だと思いますけれども路線計画を含めて御検討いただくわけですね。それをもう一回……。
  265. 渡辺栄一

    渡辺国務大臣 もちろんそれを含めまして慎重に検討してまいりたい、かように考えております。
  266. 新村勝雄

    新村(勝)分科員 よろしくお願いを申し上げます。  続いて同じ公共事業でありまして、道路の事業にいつも反対するということは大変心苦しいわけでありますけれども、単なる反対ではなくて、やはり公共事業というのは住民の福祉のためにあるわけでありますから、もちろん局部的な住民だけではなくて国家的な見地もありますけれども住民の幸せを守るための公共事業でありますので、できる限り住民意向等は尊重していただきたいわけであります。  もう一つの問題は、東京から福島県の平に至るいわゆる常磐自動車道の建設の問題でありますけれども、この問題がやはり千葉県を通過をする部分について住民との間にまだ話し合いがついていないわけであります。そしてこれは道路公団でおやりになっておるわけでありますが、この常磐自動車道の建設について、現況及び将来の見通しをまず公団当局からお伺いしたいと思います。
  267. 大島哲男

    ○大島参考人 常磐自動車道は、埼玉県の三郷市から福島県のいわき市まで延長百七十六キロございます。これが三段階に分けられまして、道路公団に施行命令が参りました。第一番は、三郷から千代田まで約五十五キロでございます。それからその次は、千代田から日立まで、約七十キロ、最後に日立からいわきまで五十一キロというふうに命令が来ております。現在、初めの三郷から千代田にかけましては用地買収が約九九%済んでおります。それから次の千代田から日立にかけましては、七七%進んでおります。最後の区間につきましては、昨年路線の発表をしたわけでございます。現在工事が一番進んでおりますのは、千葉県の柏から茨城県の千代田、石岡にかけてでございます。この区間につきましては、土木工事は全部発注しておりまして、柏から谷田部にかけましては舗装工事も発注しておるわけでございます。埼玉県では三郷市内におきまして構造物その他の工事に一部かかっておるわけでございます。  いま一番問題になっておりますのは千葉県の柏、流山地区でございまして、このルート発表は四十六年の秋にいたしました。ほぼ九年ほど前でございますが、前段の建設省の調査を受けまして、このルートはいまの線形しかないということで現在地元にお示ししてあるルートをとっております。その後、環境問題でいろいろ地元から要望も出まして、それではということで私どもは実験とかあるいは計算をいたしまして、五十一年の秋に半地下構造という構造を示しまして、これでもって環境問題に対していこうということにして、その後、両市につきましてはお互いに話し合いを続けて現在に至っておる次第でございます。  供用につきましては、現在のところ柏から谷田部につきましては五十五年度末で供用開始をしようと思っております。その翌年には、谷田部から土浦の北あるいは石岡まで五十六年度で延ばしたい。その後、年を追いましてその前後の区間を延ばしていきたいというふうに考えております。  以上でございます。
  268. 新村勝雄

    新村(勝)分科員 六十年に学園都市の中で科学博が行われるという予定がございますね。これとこの道路の完成とは何か関係がございますか。
  269. 大島哲男

    ○大島参考人 現在、東京寄りの区間につきましては、科学博と申しますよりも現在つくられております研究学園都市建設と平仄を合わせまして仕事を進めつつあったわけでございますけれども、諸般の事情によりましておくれてはおります。ただ、現在の時点では、昭和六十年度の科学博に対しましては間に合わせるべく一生懸命やっておりますが、それ以前にできるものと私ども考えております。
  270. 新村勝雄

    新村(勝)分科員 実はここに重大な問題があるわけでありまして、いまお話しのように、他の地区についてはほぼ順調に進んでおるようでありますけれども、千葉県の流山市を通過する部分についてはまだ全くその見込みがないというふうにわれわれは考えております。というのは、これもやはり該当地域の住民とそれから流山市当局及び流山市議会が、現在の構造ではとてもしようがない、何としても少なくともふたかけをしてもらいたい、こういうことを議会の議決をもって建設省及び公団当局にはお願いしてまいっておるわけです。ところがまだ設計変更がなされたということも聞きませんし、あくまでもこれは既定の設計で強行されるのか、その点をお願いします。
  271. 大島哲男

    ○大島参考人 先ほど申し上げました半地下構造という構造でございますが、これは全体といたしまして総幅員八十メートルに近いような幅になってまいります。長さは現地にお示ししましたものよりも多少前後してもやむを得ないと思っておりますけれども、それを基本形といたしまして現地の方の了解を得られるべく現在努力をしている最中でございます。
  272. 新村勝雄

    新村(勝)分科員 そうしますと、設計はあのままということでございますか。
  273. 大島哲男

    ○大島参考人 全体のふたかけとかトンネルとかいう構造は考えておりません。
  274. 新村勝雄

    新村(勝)分科員 ところが地元では、これは全線とは言いませんけれども、特に人口の多いところというか家屋の密集している部分については、半地下ではとうてい環境基準も守れないであろうし、音あるいは排ガス等の広範な公害が当然起こってくる、そういう状況の中で半地下ではとても了解できないという、これはもう地元の完全に一致した意見でありますけれども、それをどうお考えでしょうか。
  275. 大島哲男

    ○大島参考人 私どもがお示ししました構造と申しますのは、先ほども申しましたように幾多の実験をやりあるいはまた数値計算をやりまして、その結果これでいけるという考えのもとにああいう構造をお示ししたわけでございまして、特にトンネル構造にしなければならないというふうには考えていないわけであります。
  276. 新村勝雄

    新村(勝)分科員 現在の設計を再検討を含めて検討したいということはこの前にもおっしゃっていたわけですよね。これは大島さんとお会いしたときも、検討はしたい、変更するというお約束まではいただいておりませんけれども、検討は続けるというお話だったと思いますが、それはいかがでしょう。
  277. 大島哲男

    ○大島参考人 前回申し上げましたのは多分、部分ふたかけということではなかったかと思うのですが、これは現在の高速道路が地表下を通りますので、途中で幾つかの道路が横断いたします。その区間につきまして部分的にふたかけになるんではなかろうか、あるいはまた公園などがございますが、公園などは残しておくようなかっこうにできないものかというふうな考えを持っておるわけでございます。
  278. 新村勝雄

    新村(勝)分科員 そうしますと、部分ふたかけならばよろしいということですか。
  279. 大島哲男

    ○大島参考人 部分ふたかけと簡単に申しますとちょっと誤解を招くのでございますが、ただいま申し上げましたような立体交差の個所あるいは特殊な公園の近くいうところにつきましては構造的に屋根がかかりますので、見かけ上はふたかけとかあるいはトンネル構造になります。
  280. 新村勝雄

    新村(勝)分科員 そうしますと、部分的にトンネルあるいはふたかけは可能だ、そればお考えになっているということですね。
  281. 大島哲男

    ○大島参考人 私がただいま申しました範囲ではそういうふうに考えております。
  282. 新村勝雄

    新村(勝)分科員 そうしますと、ふたかけといいましてもふたの長さが問題です。どのくらいまでお考えになっていますか。あそこは全長では三キロ、四キロ足らずのところでありますが、その長さが問題ですけれども、それはいかがでしょう。
  283. 大島哲男

    ○大島参考人 上を横断いたします道路は、必ずしも高速道路と直角ではございません。斜めになっておりますので、その斜めに渡りますときにある程度の幅が、高速道路の縦断につきましてある程度の長さが必要になってまいります。その長さ程度を考えておるわけでございます。
  284. 新村勝雄

    新村(勝)分科員 そうしますと、道路の中心線の延長で何メートルまで可能ですか。
  285. 大島哲男

    ○大島参考人 たとえば、四十五度で道路が交差いたしますとしますと、長さは高速道路の幅ぐらいになります。
  286. 新村勝雄

    新村(勝)分科員 それでは公害防止、環境維持のためのふたかけにはならないでしょう、ほとんど。そうじゃなくて、地元では少なくとも家屋の密集している区間についてはふたをかけてもらいたいということでありますから、それがどの程度まで可能かということです。
  287. 大島哲男

    ○大島参考人 家屋密集地帯を全部は考えておりません。私ども考えは、先ほど申しましたように、現在の構造で十分対処できるという考えに基づいておりますので、家屋密集地全体にふたをかけるということは考えておりません。
  288. 新村勝雄

    新村(勝)分科員 それでは全く検討という言葉に値しないと思いますね。全く考えていないということでは、これは検討ではないと思うのですが、どうでしょうか。検討していただけますか。
  289. 大島哲男

    ○大島参考人 私がただいま申し上げましたのが現在の道路公団としての考え方でございます。
  290. 新村勝雄

    新村(勝)分科員 現在はそうであっても、現地の状況は決してそう安易なものじゃないと思うのです。やはり現在の心境はそうであっても、状況に対応するという御姿勢はあるのでしょうね。
  291. 大島哲男

    ○大島参考人 基本形といたしましての半地下構造、これの増ですか、それは考えております。
  292. 新村勝雄

    新村(勝)分科員 時間がございませんので、最後に確かめておきたいのですけれども公団はかつて、これは五十一年だったと思いますが、測量の段階で多数のガードマンを導入をして、無抵抗の住民を排除をして強行したという実績があるわけです。ああいうことを少なくとも絶対にやらないように、これをひとつお約束いただけますか。
  293. 大島哲男

    ○大島参考人 これは非常に大きな事業でございますので、地元、もちろん地方公共団体も含めまして、その方々の了解なしには工事に踏み切れるものではございません。
  294. 新村勝雄

    新村(勝)分科員 そうしますと、住民それから地元の自治体の意向に反してはおやりにならない、こういうことですね。
  295. 大島哲男

    ○大島参考人 大方の方々の納得を得た上でやりたいと思います。
  296. 新村勝雄

    新村(勝)分科員 大方というとどういう意味だかわかりませんけれども関係地元住民の大多数の意向が現状ではだめだということであれば、これは検討をされるというふうにとってよろしいですね。
  297. 大島哲男

    ○大島参考人 いろいろの御意見がございますので、その方々に対しましてはあくまでも私ども考えております構造で説明し、また了解を求めていくべくがんばっているところでございます。したがいまして、その方々の了解を得られない限りは、実際に工事を強行するというようなことはできないと思います。
  298. 新村勝雄

    新村(勝)分科員 ぜひそういうことで地元と完全な了解のもとにひとつ仕事を進めていただきたいと思います。大臣もそういう御指導をいただきたいと思いますが、いかがでしょう。
  299. 渡辺栄一

    渡辺国務大臣 いまいろいろなやりとりを承っておりましたが、関係者の理解、協力を得られるように努力をせねばならぬと思います。
  300. 新村勝雄

    新村(勝)分科員 終わります。
  301. 兒玉末男

    兒玉主査代理 以上で新村勝雄君の質疑は終了いたしました。  次に、高橋繁君。
  302. 高橋繁

    高橋(繁)分科員 最初に、私、特に別荘の問題で質問をいたしたいと思います。  これは新しい行政でありますので不備な点もありますし、行政上手の届かない面もありますし、大変問題が発生しております。あるいは経済情勢の変化等がありまして、別荘を宅造しておる業者が倒産したり、あるいは石油パニックその他経済情勢の変化で、とても全部がはかし切れないで売れ残り、あるいは未完成、そういう問題があちこちに発生をしております。それが災害の原因にもなりあるいは環境の破壊にもつながってくる。いろいろなトラブルが起きておる。そういう面から言って、建設省の管轄内のことしかできないと思うのですけれども、災害防止の対策上いかように指導をし、今後こうした問題についてどのようにお考えになっているか、お聞きをいたします。
  303. 宮繁護

    宮繁政府委員 お答えいたします。  別荘地造成に伴いますいろいろなトラブルがございますけれども、その中でも、いまお話しのように造成業者が倒産いたしまして未完成のままで放置されているというような場合も間々見受けられます。こういった点につきましては、まず都市計画区域内におきます別荘地の造成につきましては、都市計画法に基づきまして、別荘地の開発行為について都道府県知事の許可を受けなければならないことになっております。その許可の運用に当たりましては、許可の条件といたしまして、開発行為を中止する場合にはその工事によって生ずる災害を防止するために必要な条件を付するように従来から都道府県知事に指導してまいっておるところでございますけれども、今後におきましても、このような条件の付与につきまして、徹底してやるように指導を強化してまいりたいと考えております。  なお、宅地造成に伴いましてがけ崩れ等が起こるような地域につきましては、これは都道府県知事の申し出に基づきまして大臣宅地造成工事規制区域という指定をいたしますけれども、こういった規制区域内の場合には、都道府県知事は、この法律に基づきまして、宅地の所有者に対しましても宅地の災害防止上必要な措置をとることを勧告または命令することができることになっております。これに基づきまして、十分な災害対策、防災対策を講ずるようにやっていきたいと思いますけれども、同時に、このような勧告とか改善命令を受けました場合に、その防災工事を行う費用につきまして住宅金融公庫の宅地防災工事融資の制度がございますので、そういう制度も十分生かしていきたいと考えております。  さらに、倒産しました業者の造成工事が未完成のまま残っておるというような場合につきましては、これは許可の条件を履行しなかった業者でございますので、都市計画法に基づきまして措置命令が出し得ることになっておりますし、この措置命令に従わない場合には罰則、あるいは行政代執行法に基づき都道府県が代執行を行い得るような措置にもなっております。したがいまして、こういう措置を背景といたしまして、十分に行政指導をやっていきたいと考えております。
  304. 高橋繁

    高橋(繁)分科員 都市計画法の網をかぶっておるところはいいのですけれども、それ以外のところについては現状では手の施しようがないのですか。
  305. 宮繁護

    宮繁政府委員 開発行為につきまして、許可を受けております場合でございますと手当てはできますけれども、仮に市街地域で、しかも規模も非常に小さくて、許可も何も受けていない場合には直接法に基づく指導はできません。しかし、そこで災害が起こることによりましていろいろ支障が生ずる場合には、まず公共団体で措置をする必要があろうかと思います。
  306. 高橋繁

    高橋(繁)分科員 詳しくできないものですから大まかにざっといきます。  それから、こうした別荘地の売買につきまして、宅地建物取引業者の関与しておる事例が多いのです。そこで、取引上いろいろなトラブルがある。これは建設白書にも一年のうちに何件と出ております。いまでも指導を行っていると思いますが、今回そうした一連の法改正があるというふうに聞き及んでおりますけれども、それでさらにそうした解決あるいはその見通しというものは法改正によってできるのかどうなのか、その点いかがですか。
  307. 宮繁護

    宮繁政府委員 別荘地をめぐります売買につきますトラブルの件数も、年間一千件程度ございまして、大変多いわけでございます。  最近のこのトラブルの特徴的なものを申し上げますと、一つは、オイルショック以前の土地ブームのときに別荘地を購入しまして、未利用地になっておるその土地を転売してやるというようなことでさらに新しい別荘地を売りつけまして、転売の約束は履行しないというような例、あるいはまた無料で温泉に招待旅行をいたしまして、旅行先の旅館等におきまして強引に別荘地を売ることを行うというようなトラブル、あるいはまた造成分譲の場合に広告どおりの造成等を十分に行わないトラブルと、いろいろなタイプがございます。そのうちの第一と第二に申し上げました転売の約束を守らないとか、あるいは事務所でない旅館等で売買契約を強引に行うというような件につきましても、すでに「別荘地等の取引に対する指導、監督について」という通達等で都道府県にいろいろ指導いたしまして、購入者保護の見地から業者に対します指導監督の強化を図っておりますし、また個別の苦情、紛争等が持ち込まれました場合には、できる限り行政指導によりまして解決をするように努めているところでございます。  さらに、御指摘のございました今国会に御提案をいたしております宅地建物取引業法及び積立式宅地建物販売業法の一部を改正する法律案におきましては、第一といたしまして、別荘地の所在地とか周辺の発展性等についての誇大広告を禁止の対象に今回追加いたしまして、投機心をあおるような行為を防止すること、第二番目には、旅行に招待いたしまして旅館等で売買契約の締結をしたような場合には、購入者の方に五日間の間であれば無条件で契約の解除権を与え、契約紛争や、ひいては強引な販売行為の未然防止を図る、こういったことについて考えております。三番目には、悪質な業者の排除を図るために、免許の取り消しを受けた者が再び免許を取得できるまでの期間は、現在三年ということでございますけれども、これを五年に延長する、こういうような措置を講じたいと考えておりまして、今後ともこういった点につきましての対策の指導強化を図ってまいりたいと考えております。
  308. 高橋繁

    高橋(繁)分科員 問題は、宅造してうちを建てる、これは地方自治体なんかへ行きますと課は全然別個になりますね。私はこれは一つの意見として申し上げますが、たとえば、一つの大きな地域を宅造しようとする場合に、第一期、第二期、第三期と区切って認可を取る。ところが、第一期の工事を着工して、完成しますと、もう県はあとは全然わからない。書類もどこかへ行ってしまう。あるかもしれませんけれども、一年間で終わりですからわかりません、こういうわけです。二期の工事が終わると、またそれで終わりになってしまう。関連性というものが全然ないわけです。それで、今度は実際住宅を建てる段階になると、静岡県なら県政課でやっておるわけですが、これは後でもお聞きしたいのですけれども、鉄筋の場合面積五百平米ですか、建築確認が必要でありますが、そういうものが建築確認の基準法に照らして合法的であれば、ばんと許可を出してしまう。ところが宅造全体の計画からいくと、そこは公園地である。買った人は公園ができると思っていたところが、いつの間にかマンションができていた、こういう例があるわけです。関連性の問題です。  もう一つは、そういう別荘地にうちを建てまして永住する人もいるわけです。そうしますと、こういう住宅建設については、鉄筋の家ばかりでなく木造建築についても、建築基準法に照らして今後対応していかなくちゃならないじゃないか。というのは、現状ではいじるわけにいきませんが、こういう三十度、五十度のところへうちを建てたわけですよ。建築工法上もきわめて無理をして建てている場合もありますし、一年のうち一回か二回住むというならいざ知らず、永住するという方もありますので、別荘についても建築基準法に対応していかなければ将来問題が起きるのじゃないか、こう私は考えますが、いかがですか。
  309. 関口洋

    ○関口政府委員 別荘につきましても、建築基準法では住宅として取り扱っておるわけでございます。いま先生御指摘のとおりに、建築基準法で構造耐力上の安全のほかに、居室の採光や換気等の衛生上必要な技術的基準等を具体的に定めておるわけでございます。ただ、建築基準法では都市計画区域外に建築するという場合には、いまお話が出ましたように、たとえば木造の場合は延べ面積が五百平方メートルを超えるものというような、いわば規模及び構造に応じまして一定以上の建築物に限られておるわけでございます。なお、それに至らないと申しますか、いわゆる確認を要するほどの規模及び構造でない建築物でありましても、たとえば木造の場合で申しますと、延べ面積が百平方メートルを超えるというようなものにつきましては、建築士が設計及び工事監理を行わなければならないというふうに建築基準法及び建築士法で規定しておるものですから、そういう面を通しまして安全性の確保を図っておるのが実情でございます。
  310. 高橋繁

    高橋(繁)分科員 ひとつ検討の材料にしてください。  それから、富士山の大沢崩れにつきましては、私も前々から関心を持っておる一人でございます。ここで細かく聞く時間もありませんが、私はあそこの土砂の排除ということがいま最大の課題であると思います。根本的に大沢崩れを防止するということはなかなか至難なことでありますが、この土砂の排除について、昔は自由に採取をさせておった、それで土砂がたまるということはほとんどなかった。皆好きに持っていったわけですね。それを何年か前に禁止したわけです。最近また申請書を出して土砂を自由に排除してよろしいということでありますが、地域の住民なりあるいは人たちがわざわざ申請書を出して取るというのは非常にめんどうであるということが一つありますね、お百姓さんなんかは。私はある程度自由にさしてもいいのではないか。それについては道路のこともありましょうし、その人がそれを持っていって売買する、一日何回も来ればとめることもできますし、予算的な問題から言っても私はきわめてこの土砂の排除については理に合ったように思います。したがって、その土砂の排除について、事務手続の問題でもう少し考慮して、高額な予算を投じて富士山の土砂を排除させる、それがきわめて簡単にできるし、金の節約にもなるのではないか、こう考えるのですが、その辺のお考え、どうですか。
  311. 稲田裕

    稲田(裕)政府委員 大沢崩れの土砂排除でございますけれども、先生御存じのように、私の方ではここにいま沈砂池と申しますか遊砂地をつくっておりまして、それの土砂排除に私の方の国費を投入して排除したというふうな例もあるわけですけれども、おっしゃるように、土砂につきまして排除を民間の方でやるということ、これは安全に確実に排除できるのであれば私どもとしても支障がないわけでございますが、ただ、現在遊砂地になっておるところを無計画に取られますと、後の土砂流出のときに有害な形で残っておるということでは困りますので、それで現在遊砂地の中での土砂排除につきましては、後の土砂流出に対しても安全なような取り方を私どもとしてもとらざるを得ないということで、現在許可して土砂を排除しているというふうな状況でございまして、遊砂地でないところにつきましては、そういうふうな配慮も必要なところにつきましては十分とっていただくというふうなことで実施しておるというふうな状況でございます。
  312. 高橋繁

    高橋(繁)分科員 それからもう一つ、大沢崩れ防止のために樹林地帯をつくって研究を重ねているようであります。静岡薬科大学の福地教授も、土地に栄養分を与えれば草木は育成するという研究の結論を出しておりますが、その樹林地帯の試験の結果と状況あるいは福地教授の研究の成果をさらに生かして、建設省がそれを取り入れて考えていくお考えはないか。
  313. 稲田裕

    稲田(裕)政府委員 御指摘の扇状地につきましては、土石流を無害化するために、砂防林の造成というものを行っているわけでございますが、それの撫育等に関しまして、施肥をしながら現在実験的にやっております。この製紙のスラッジ等の利用等につきましても検討いたしておるわけでございまして、この地区につきましては、砂防林の造成にはそういう研究もしながら、今後砂防林の造成を促進したいというふうに考えておるわけでございますが、ただ、さらに上流部に及ぶということになりますと、これはいろんな気象的条件だとか、それから植物の生育限界とかございまして、限度があろうかと思いますが、扇状地の末端の造成林につきましては、そういう方向で検討を進めてまいりたいと考えております。
  314. 高橋繁

    高橋(繁)分科員 種々問題があります。土砂の排除、これが積もれば芝川水系に影響を及ぼすということがありますし、富士山の大沢崩れは大変な問題もありますし、その点について、大臣ひとつ今後の大沢崩れ防止対策についてお考えを……。
  315. 渡辺栄一

    渡辺国務大臣 先ほど以来お話を申し上げておりますように、計画的に進めていっておりますが、これは将来とも非常に重大な影響を及ぼす問題でございますから、今後とも鋭意進めてまいりたい、かように考えております。
  316. 高橋繁

    高橋(繁)分科員 次に、有料道路の問題につきまして、私、提案しながら、これはぜひとも検討していただきたい。  ということは、東伊豆道路に三カ所の料金徴収所がある。この道路は一本しかない。御承知のように生活道路でありますし、この三カ所の料金徴収所を二カ所にしたらどうかということは、何ら差し支えないのです。二カ所で最初料金を取って、最後のときも取るわけです。しかも真ん中の稲取料金所については、全く河津町、東伊豆町の生活圏の区域でありますし、たとえば業者がママレモンを一ケース持っていくと約二百円の利益があるわけです。それを配達するのに二百円、有料ですから往復四百円取られてしまう。そういうような状況の中で、しかも私が提案したいのは、この三カ所あるために、しかも観光地でありますから、土、日は物すごい渋滞をするのです。何も料金を下げろとは私言わない。たとえば、下るときに、熱川の徴収所で小型であれば三百五十円取ればいいのです。それで最終の下田のときにまた百円取ればいいのです。真ん中の稲取でなぜ小型の場合に二百円取らなければならないのか、最初三百五十円取ってしまえばいい。それで今度は上るときには、下田の徴収所で百円取って、出るときの熱川の徴収所で三百五十円取ればいい。中間で二百円取る必要は何もないと私は思うのです。そうすると、どこか逃げ道があるのじゃないか、一本道ですから逃げ道は何もない。  ですから、そこに徴収するための業務をなさっておる人たちがいるわけですが、その人件費と、真ん中の稲取料金所で取る額と計算した場合に、その人件費を含めた事務所の維持費等の方が金が多くなるのじゃないか、こう考えるわけです。ですから、これは提案でありますけれども、ぜひとも三カ所の徴収所を二カ所にして、一つなくすればそれだけ人件費は浮いてきます。それだけ部落の人が通る料金は少なくなりますが、すでに道路公団の御配慮で、幾つかの部落は片道だけは無料のパス券をいただいて無料にさしていただいておりますけれども、全体ではないですね。それに対してどうですか。
  317. 山根孟

    ○山根政府委員 東伊豆道路は昭和三十一年七月一日から供用開始をいたしておりまして、先生おっしゃいますように、熱川区間、稲取区間、下田区間、この三区間で料金を徴収をさしていただいておるわけであります。  基本的な考え方としましては、主たる交通の発生源であります伊東市の以北、これはずっと熱海等々にも及ぶわけでございますが、伊東市以北、それから東伊豆町、それから河津町、それから下田市以南、こういう相互間の交通を実は料金の徴収対象としておるわけでありまして、料金所を設置をしておりますところは、伊東市と東伊豆町の境界付近、それから東伊豆町と河津町の境界付近、それから河津町と下田市の境界付近、こういうところに料金所を設置をいたしておりまして、料金徴収に当たっておるわけでございます。私ども懸念いたしますのは、ただいまの御提案の統廃合といった問題でございますが、この辺の利用者間の負担の公平という観点から問題が起こりはしないか、こういう懸念が実はあるわけであります。したがいまして、これは全線を通して利用される交通それから生活に、いま先生御指摘のような、その交通というものがどういう態様になっているかということにつきましては、どちらかと申しますと、相隣るような区間の交通が多いというような状況にもございますので、そういった観点から問題があるのではないか、こう実ば現在のところ考えておるわけでございます。  ただいま先生御指摘の管理費の問題、まさに私どもいろいろ検討をしていかなければならぬということがあるわけでございますが、私どもは、当面、営業時間を午前六時から二十三時までといったようなことによって管理費そのものを節減する、こういう考え方で現在実施しておるわけでございますが、管理費と料金徴収額との関連につきましてはいろいろ問題のあるところでございますが、徴収事務の簡素化等の方策について今後一層努力を続けるよう指導してまいりたい、こう考えておるところでございます。
  318. 高橋繁

    高橋(繁)分科員 これはぜひとも検討していただきたいのですよ。いわゆる管理費問題と徴収料の問題ですね。小さな行政改革にもつながる問題だろうと思うのです。  それに伴って、一応のパス券はいただいているものの、車種が決められておるわけです。この車に乗っていかなければ、地域の人たちはお金を納めなければならない。その辺の考慮をぜひしなければならないし、また法的には、この有料道路は昭和六十一年で解消する、これは間違いないですか。
  319. 山根孟

    ○山根政府委員 現在のところ、料金徴収期間は昭和六十一年六月三十日までというようになっております。
  320. 高橋繁

    高橋(繁)分科員 最後に、ひとつ大臣質問しますが、そういうわけで、伊豆半島の生活の一本道です。しかも観光客の人たちが来て、こんな短い区間の中で三カ所も金を取られるのか、出す金は微々たる百円か百五十円です。それは一度、最初と最後で納めればそれだけ気分的にも、これは感情論ですけれども、それから渋滞もなくなりますし、地域の生活道路としての目的も達することができますので、六十一年には解消すると言われるものの、一応ひとつ検討の材料にしてぜひとも善処方をお願いしたいと思うのですが、いかがですか。
  321. 渡辺栄一

    渡辺国務大臣 実態につきまして、よくひとつ検討させていただきます。
  322. 高橋繁

    高橋(繁)分科員 終わります。
  323. 兒玉末男

    兒玉主査代理 以上で高橋繁君の質疑は終了いたしました。  次に、中野寛成君。
  324. 中野寛成

    中野(寛)分科員 私は、国道百七十三号線のバイパスの問題についてお尋ねをしたいと思います。  この百七十三号線が通過いたします池田市内につきましては、木部交差点を中心にして、ラッシュ時だけではなくて、むしろ年がら年じゅう大変混雑をしておる、停滞をしておるという状態を招来をしておるわけであります。これは地元自治体も大変熱心に今日まで長年にわたって、国道の問題でございますから、建設省中心にして関係当局へ要請をしてきた内容のものでもございます。とりわけ、私どももここを通過いたしますときに痛感をするわけでありますけれども、この猪名川上流部、この交差点から言えば、北部の大規模な宅地開発が急激に進みまして、そこから大阪市内への通勤その他の交通量が急激にふえたことが一つの要因でありますけれども、しかしそれだけではなくて、この地域ば、宝塚を初めといたしまして、裏日本の海水浴場等への通過道路でもあります。そのために、夏は海水浴客のために、土曜、日曜、まして夏休み、そういうときには日常のラッシュアワーとは全く別に大変混雑する場所でもあります。行き帰りともにそれで悩まされるわけであります。また秋には、大阪でただ一つ残されている緑地帯、マツタケ狩りや、そしてまたクリ拾い等々、そういう大阪府民の数少ないレクリエーションのために利用される大切な道路でもあります。そういう意味では、単にこの地域の問題というよりも、大阪府民の、またあるいは兵庫県民の大変痛切な願いでもあります。またあわせまして、これが通過をいたします池田市内の人たちにとっては貴重な生活道路であるにもかかわらず、そのような通過交通の停滞によって生活道路が封鎖をされてしまうという事態も生んでいるわけでございます。最近、若干計画的な面でこの対策については進捗しつつあるわけでございますけれども、今日までの事態の御認識と、そして経過、そのようなことについてまずお尋ねをしたいと思います。
  325. 山根孟

    ○山根政府委員 お答え申し上げます。  御指摘のように百七十三号は、いわば大阪地域と日本海とを結んでおります重要な国道の一つでございまして、最近、この百七十三号沿線におきます土地利用の進展は大変なものがあるわけでございまして、こういったことに対処して、一体交通計画をどのように考えるべきかということについて、かねてから近畿地方建設局を中心にいたしまして関係機関、地方公共団体、いろいろ調査検討を、実は進めてまいっておるわけでございます。とりわけ、大阪北部地域から都心部へ向かいます川西、池田地区におきましては、特に朝晩の交通混雑が著しいわけでございまして、先ほど土地利用の進展等の推移から見ましても、今後とも交通需要の増大が予想されるわけでございます。こういった観点から、道路交通のみならず、いわば大量輸送機関の将来の整備等も含めて、いろいろな観点から検討をいたしました結果、いずれにしましても、利用交通の大半が大阪都心部を指向する、こういうことでございますので、池田市木部町以南七・二キロメートルございますが、阪神高速道路として整備をし、大阪−池田線に接続をするのが適切ではないか、こういう考え方で、現在川西、池田両市並びに河川管理者とのいろいろな協議もだんだん大詰めに近づいた状況でございますので、そういった方向で混雑解消策を考えたらいかがか、こういう状況になっておるところでございます。
  326. 中野寛成

    中野(寛)分科員 阪神高速道路の大阪−池田線の延長というかっこうになるようでございますけれども、しかしながら、河川の問題とあわせまして、木部地区につきましては立ち退きの問題がございます。立ち退きの問題というのは、こういう再開発事業や道路事業や多くの公共事業の場合には一番頭を悩ます問題でもございます。このような内容につきまして、これからの作業であろうとは思いますけれども、どこがそれを担当をし、そして責任を持ってやっていくのか、そのことにつきましての具体的な対応策等々お考えでありますかどうか、そのこともあわせてお聞きしておきたいと思います。
  327. 升本達夫

    升本政府委員 ただいま道路局長より御説明申し上げましたように、阪神高速線の大阪−池田線の延伸計画ということで処理をすることになりますれば、工事施行に当たりまして、立ち退きの関係も阪神公団が直接の施行者として当然担当することになろうかと思います。
  328. 中野寛成

    中野(寛)分科員 木部地区というのはなかなか歴史のあるところでもございます。古い町並みが立ち並んでいるところでもございます。また、長年かけてそこで居住し、かつ商業を営んできた人たちがいるわけでございます。この道路の形態がどのようになるのか存じませんけれども、聞きますところによると、高架の形で通過することになるようでございます。その場合に、たとえば一つの方法として、高架下をそのような商業者に対して活用していただくというふうなこと等も配慮がなされれば、これからの交渉、また地元の了解を得ること等の上においても大変メリットがあるのではないかということも考えるわけであります。また、あわせて木部交差点、大きく言えば三差路ということでございますけれども、この三つの進行状況は実はすべて停滞するわけであります。大阪から行きますと、木部交差点から川西の方へ左に曲がっていく道、そして右の方へ行けば豊能町余野という方へ行く。むしろ裏日本へ抜ける道としては、余野を経由して行く方が早いわけでありますけれども、そのようなことを考えますと、むしろ立体交差というふうなことも配慮されなければ問題の解決にならないのではないかというふうにも考えるわけでございますが、そのことについてはいかがお考えでしょうか。
  329. 升本達夫

    升本政府委員 おただしの第一点の高架下の占用につきましては、一般的に高架下の占用については道路の管理上好ましくはないという考え方で臨んでおるわけでございますけれども、特にその高架下を公共的ないし公益的な目的で利用するという計画がない場合、必要に応じて被補償者等の利用に供されるということも考えてまいり得る問題だと考えております。この場合に、高架下の利用でございますから、当然住宅というような利用はむずかしいことになろうかと思いますけれども土地の状況あるいは権利者の業務態様その他を勘案いたしまして、店舗、事務所というような利用ならば考え得るものではないか。その場合に、特段の支障がなければ、被補償者を優先的に配慮していくということが考えられるところでございます。  それから、おただしの第二点につきましては、道路局長からお答え申し上げます。
  330. 山根孟

    ○山根政府委員 ただいま御指摘の木部交差点の問題でございますが、これは主要府道池田−亀岡線と、ただいま問題になっております国道百七十三号線との分岐をする三差路で、阪神高速の延伸との関連もございますので、どのような交差処理をさせるのが適切か、こういう点について十分技術的な検討を進めて、支障のないように考えてまいりたい、こう考えます。
  331. 中野寛成

    中野(寛)分科員 もう一つ、時期の問題であります。何か新しい事業を始めますときに、いつごろできるのだ、この質問はいつも出てくる質問で大変恐縮でございますけれども、ただ私はどうしてそれを聞くかと申しますと、その北部の、いわゆる猪名川北部地域につきましては、現在一庫ダムが工事中なのであります。すでにそのダム上流部等を含めまして大きな宅地造成が行われているわけでありますけれども、その一庫ダムの関係から現在販売規制を行っている、こういうこともあるわけであります。一庫ダムは昭和五十八年の完成予定でございますけれども、そうなりますと、道路の状態が現状のままだということになれば、これは本当に大変なことになる、このことを特に私は心配するわけでございまして、この作業は本当に急がなければならない、このように考えるわけでありますが、その情勢との関連において、作業の見通しにつきましてお聞かせをいただきたいと思います。
  332. 升本達夫

    升本政府委員 ただいま来年度の予算案におきまして、おただしの路線につきまして、延長問題について調査費を計上いたしておりますので、来年度一年をもちましてその調査を行いたいと思っております。  その後のスケジュールでございますが、まず御承知のように都市計画決定の手続が必要となるわけでございますけれども、現在地元の大阪府並びに兵庫県におきまして、なるべく早い機会に計画決定をいたすべく鋭意検討中でございます。見通しでございますが、もちろん明確には申し上げにくいところでございますけれども、大阪府の場合は五十五年の秋ごろには何とかその運びに至りたいという目標で努力をいたしております。また、兵庫県におきましてはあるいは来年の春ごろまでかかるかもしれない。いずれにいたしましても、五十五年度中に計画決定の運びに至るべく努力をいたしておるという段階でございます。  なお、事業の竣工につきましてはその後の問題になるわけでございますが、この路線がいま予定されております区間で七・二キロメートルほどでございます。そういたしますと、在来のスケジュールで申しますと、同等程度の路線距離でございますと相当の時間、期間を要することになります。大体十年近くの期間を要することになろうかと思います。これは具体の場所で長短ございましょうけれども、大体の見通しがそんなところかと思います。
  333. 中野寛成

    中野(寛)分科員 この内容から言って、ひとつその期間ができる限り短縮されますように、そのことを特に強く御要請を申し上げておきたいと思うわけであります。もちろん、原則論を申し上げれば、将来計画、その地域の開発計画、それに先駆けて道路網の整備等がなされるのが本来の都市をつくっていく上での原則でありますけれども、もういままでいろいろな機会にそのことが思うようにいかないことは指摘をされているところでございますから、重々皆さんの方も承知されておることであろうと思います。この場合にそういう原則論を振り回してみても始まらないと思います。ただ、現状の御認識はおありかと思いますので、早急にその完成を目指してやっていただきたいと思います。  それからもう一つ、実はこのことで問題が解決をするとは思えないわけであります。有料道路の延長ということでありますから、結局木部から有料道路にならざるを得ない、いわゆる金を払わなければならない、こういうことになるのが一点。ゆえに結局ほかの道、たとえばそこから川西に抜けるとか、または五月山を通って箕面に抜け、新御堂筋に抜けるとかいうふうなこと等。また、単にそのことによって交通量が分散されるからいいということではなくて、分散されたところで、新御堂筋もその他の道路も実はいまいっぱいなわけです。何らの解決策にならないというふうに思うわけでありまして、むしろそれ以外の道路計画というものも早急に進められなければどうにもならぬと思うわけであります。また阪神高速道路に乗ったとしましても、大阪市内と大阪空港間のあの阪神高速道路、私はいまだかつてその道路をスムーズに走った経験というのは十回に一回か二回ぐらいしかないくらいに、すでに現在大変に込んでいるわけであります。結局木部でストップしておったのが、ラッシュ時でありますと、名神高速道路とのあの交差点といいますか、交差いたします豊中インター、大体そこぐらいでまたストップをする。高速道路に乗ってストップするのですからこれはもういよいよたちが悪いわけでありますけれども、高速道路に乗ってしまえば今度は逃げ道がないわけであります。拘束されてしまうわけであります。コウソク違いということでございますけれども、そういうことになるともう本当に悲劇であります。こういうことを考えますときに、総合的な道路計画というものがなされなければならぬと思いますけれども、このような対応策について何かお考えでございましょうか。
  334. 山根孟

    ○山根政府委員 お答え申し上げます。  先生御指摘のとおりでありまして、都市計画ないしはより広域的な土地利用計画と交通計画との整合の問題、それから交通計画の中におきましても鉄軌道の系統、特にこの地域におきましては通勤通学のトリップが相当見込まれるわけでございますので、交通計画という観点からも鉄軌道関係と道路計画とを一体どういうぐあいに考えてまいるか、次いで道路の問題に入りますと、全体の道路のネットワークの中で先生ただいまおっしゃいました専用道路と一般の道路とを一体どういう分担関係で行っていくべきか、それから交通の質におきましても、ある地域を通過する交通とその地域に密着をした交通とをどうさばいていくかといったようないろいろな観点があるわけであります。  私ども、こういった問題に対処するために、先ほど御紹介申し上げました近畿地方建設局を中心といたしまして、幹線道路に関する将来の計画あるいは当面どういったところから実施すべきであるか、こういったことを協議をいたします協議会を実は組織をいたして勉強を進めておるわけでございますが、こういった協議会の場におきまして、これまでの計画をより一層充実をさせて広域的な土地利用あるいは都市計画等と整合のとれた形で道路整備が進められるようにより一層指導してまいりたい、かように存ずるところでございます。
  335. 中野寛成

    中野(寛)分科員 それともう一つ、そのことに関連いたしましてお聞きしますと、いわゆる兵庫県サイドからの豊中インターチェンジを経ての大阪への流入、いわゆる名神高速道路を通っての流入、そのようなこと等も一つの大きな渋滞の原因になっているということをにらみ合わせながら大阪−西宮線についても着目されているということもお聞きをいたしました。もちろん大阪−西宮線が完成することを私どもも大変待望するわけでありますけれども、しかしながら、その完成についても、先ほど来申し上げておりますように早くやっていただきませんと、最近の住宅の量のふえ方というものは大変なものがあるわけでございますから、そのことについても、大阪−西宮線の見通しにつきましてもお聞かせをいただきたいと思います。と同時に、そのことの効果というふうなものをどう見ておられるか、お聞きしたいと思います。
  336. 升本達夫

    升本政府委員 大阪−西宮線の整備につきましては目下鋭意工事進捗に努めておるところでございまして、五十六年の夏ごろまでには開通させたいということで努力をいたしております。もしそのように実現をいたしますと、いまおただしの効果という点につきましては、いまお話し路線上の名神高速道路につきましては、上りおり加えまして一日大体十二万台の車が交通をしているわけでございますが、このうち大体二万台ぐらいはそちらの方へ回ることによって軽減されるだろうという見通しを持っております。
  337. 中野寛成

    中野(寛)分科員 最後にお聞きしておきたいと思います。  地図をごらんでございますからおわかりいただけると思いますが、その猪名川上流部の交通網、それから裏日本への通過、総合的に考えますときに、これは現在大阪府道ではありますけれども、きわめて大きな幹線道路となっております新御堂筋、この延長というのは大変大きな効果を発揮すると思うわけであります。現在箕面市内でストップしているわけであります。恐らく現在の計画でその地下を北陸新幹線が通るという話もありますけれども、私はこのことは非常に効果の上で大きなものがあると思うわけでありまして、むしろ新御堂筋の当初計画の中にはそこから北部の方への延長等も当然考えられておった、このようにも考えるわけでありますが、これらについて今後早急に御検討なさるお気持ちはないものかどうか。  それからもう一つ、中国縦貫道路が走っておりますけれども、それに沿って宝塚方面への道路がまだ未完成なわけであります。これにつきましても事業を急いでいただくことによってかなり総合的な交通体系というものの解決が図られていくのではないか、このように思うわけであります。一概にこう申し上げましても莫大な費用がかかることはもとより承知のことであります。しかし最近の当地域の発展ぶりその他を考えますときに、これは重大な課題として前向きに御検討いただく必要がどうしてもある、このように考えますが、いかがでございましょう。
  338. 山根孟

    ○山根政府委員 ただいまの御堂筋を北に延伸する道路等につきまして、やはりこれは重要な道路でございます。  それから、ただいま御指摘の中国縦貫沿いの道路、これは百七十六号でございまして、いずれも重要な道路と考えております。したがいまして、今後とも積極的な整備を進めてまいらねばならぬ、こう考えておるところでございます。
  339. 中野寛成

    中野(寛)分科員 時間が来ましたから最後に締めくくりますが、まず当面は百七十三号線のバイパスの問題として阪神高速道路への乗り入れ、決してそれで十分という気持ちをどうしても持てないわけでありますけれども、まず何かから取りかからなければならない、このことだけは事実だと思います。時期的にもこれは大変迫られている課題でもあろうと思いますので、早急に総合的な対策を講じていただきたいと思います。  大臣にこうして情勢をお聞きいただいたところでありますけれども、もともと大臣都市問題については総合的な専門家でいらっしゃるわけでございます。これは近畿圏整備とも絡んでくるような大きな仕事でございますが、せっかくの御努力をお願いしたいと思いますが、いかがでございましょうか。
  340. 渡辺栄一

    渡辺国務大臣 ただいま両局長からそれぞれ御答弁を申し上げましたように、この地域の道路問題につきましては真剣に取り組んでおるわけでございますが、ちょうど私も三月一日に阪神高速の松原線の開通式に参りました。幸いに大阪府、大阪市並びに関係地域の皆様、最近非常に御協力をいただきまして、一体となって推進をしている段階でございますので、これらとあわせまして道路網の今後の整備につきましては積極的に取り組んでまいりたい。そういう意味におきましても道路財源の確保等につきましては、一層御理解を深めてまいりたいと考えておる次第でございます。
  341. 中野寛成

    中野(寛)分科員 終わります。ありがとうございました。
  342. 兒玉末男

    兒玉主査代理 以上で中野寛成君の質疑は終了いたしました。  次に、小濱新次君。
  343. 小濱新次

    ○小濱分科員 予想される東海地震の危険性を想定し、幾つかの問題点を列挙いたしますが、申請以前の問題として、渡辺建設大臣ほか関係省庁にお聞きをいただきたい。最後にひとついろいろと御答弁をいただきたいと思います。  まず、神奈川県真鶴町は良質の安山岩の岩脈がございます。これは遠く江戸城建設や品川の台場建設、最近では東京ほか関係各県に使われておりますが、こうした石材と一緒に出る残土が大変な量でございまして、山の採石場に野積みされておりますが、この地域は東海地震強化地域に指定をされているところでございます。遠い話になりますが、一七〇三年の元緑地震ではマグニチュード八・二、震源地は相模灘でございます。一八五四年の安政地震は八・四で震源地は駿河湾であります。関東大地震は七・九で震源地は相模灘の大磯で、各高波の記録が明確に残ってございます。かつて関東大震災の折に、山続きの根府川の残土が流れ出しまして、東海道線の客車を海に押し流し、生存者数名という大惨事を引き起こした、こういう事件もございます。最近は東海地震予知情報など、その対策がテレビ、新聞などで連日取り上げられている、こういう現状になっております。  そこで、これは通産省にお伺いをしておきたいと思いますが、数年前採石法が制定されて適切なる指導が行われていると思いますが、この地域の残土処理対策、特に法律制定以前の残土は採石法によって処理は講じられないのかどうか、まずお答えをいただきたい、こう思います。
  344. 山梨晃一

    ○山梨説明員 先生御質問ございました採石法は昭和二十五年に制定されたわけでございますが、この採石法によりますと、岩石の採取につきまして事前の認可制をとっておるわけでございます。したがって、これから掘るものにつきましては、廃土とか廃石につきましても新たな事業に伴う災害を防止するという観点からもろもろの規定をしているところでございます。したがって、これからのものはそういうことでいろいろ規定があるわけでございますけれども、先生の御指摘のありましたような採石法の制定以前のものにつきましては、この採石法によりて対策を講ずることは一応できないということになっているわけでございます。
  345. 小濱新次

    ○小濱分科員 建設大臣、いまお聞きのとおりですが、江戸城建設以来の残土が、炭鉱でのあのボタ山というのですか、そうは言っておりませんけれども、この残土が、私も二日ばかり山へ登って歩いてみたのですが、もう雑草が生えちゃいまして全然わからない、そういう山なしている、雑木の生えている山が全部その残土になっているわけです。もちろん適切な指導が行われておりますから、これは問題はないと思いますけれども、採石法制定以前の問題については処置はいたしません、できません、こういうことになっているんですね。これをどうするかということが、きょうお願いをしたい問題点の一つでございますので、後で御答弁をいただきたい、こう思います。  また、真鶴港は相模灘唯一の避難港的役割りの名港になっておりまして、非常に利用者も多くなっております。この港は南、北の台風はびくとも受けつけない、港の中は波一つ立たないという名港になっておりますが、しかしこの港の埠頭は石材の山になっているわけです。もう古い歴史のある石材の置き場になっているわけです。したがって、湾内にはまた運搬船、鉄船が係留をされております。この係留船にどんどんと石が投げ込まれて関東各県に運搬をされていくわけですが、間違って海に落ちる、そういう残土が、細かい小さな石がヘドロとまざって、現在湾内には二メーターと言われるヘドロがあるわけであります。大変港が汚染されまして魚もすんでいない、こういう現状になっております。  私は、四十七年に真鶴港の整備計画案を示して、当分科会質問をした経緯がございます。神奈川県においても第一、第二、第三案をつくって、そして計画促進を図ったのでございますが、残念ながら建設は不可能になったのか一向に進んでいないという現状でございます。  そこで、運輸省にお伺いしておきたいと思いますが、この真鶴港の、私どもは行って、本当に観光地として、またあの六十何キロメーターという相模灘に唯一の避難港的役割りを持つこの真鶴港の姿というか、絵をどうするのか、整備計画はどうなっているのか、お答えをいただきたい、こう思います。
  346. 藤野慎吾

    ○藤野説明員 いま先生お話がございましたように、過去においても新しい整備計画が立案され、そしてその方向に向かって検討がなされたということは私も伺っておりますが、関係者との諸調整問題等もこれありして、それが新しい計画として実行できないできたという経過のあることを私たちも承知いたしております。  ただ、真鶴港につきましては、そういった範囲内といいますか、既存の実施可能な計画の範囲内では現在の五カ年計画ないしはその前の五カ年計画におきましてもそれなりの整備をやってまいったところでございます。  いま避難港問題との絡みでちょっと御意見が出ておりますけれども、いずれにいたしましても、今後の真鶴港のあり方の問題につきましては、港湾管理者でございます神奈川県の意向等も踏まえながら、要請があればまた運輸省としても検討をしてまいりたいというふうに考えております。
  347. 小濱新次

    ○小濱分科員 このヘドロの問題につきましても、県は捨て場さえあればいつでも予算化いたしましょう、こうなっているわけですが、残念ながら捨て場がないわけです。建設大臣、後でこれもまた絡んでまいりますが、ぜひひとつ聞いておいていただきたい、こう思います。  また、この採石場のダンプは真鶴港の岩壁まで、この石材置き場に最盛期で三百台ぐらいが往復をいたしております。町の観光バスやレジャー用の車などで交通渋滞と公害を招いている、こういう姿があるわけです。真鶴のど真ん中、県道一本しかないその道路を三百台のダンプが往復をするわけです。したがって、真鶴駅前はお話にならない交通渋滞で、現在道路公団が真鶴第三バイパスを建設中で、これも排気等の問題が重なっていたり、そのまた延長線上に県道が計画されておりますが、海岸埋め立てを必要とするなど、ここにも大きな障害が生じている、こういう姿になっております。町民は港を、あるいは海をきれいに、また屎尿処理も、海洋投棄をやめ一日も早く終末処理場建設を望んでいるという、こういう現状なんです。箱根の山から傾斜したこういう町づくりでございまして、平地がほとんどない、こういうところですから、この終末処理場の建設もぜひひとつということで、これは町民挙げて大きな希望を抱いているというのが現状でございます。  そこで、いよいよ結論になりますが、真鶴町磯崎半島、ここに白磯海岸というのがございます。その海岸をいままで第一、第二、第三案でどうしてもいろいろな障害があってできなかった、第四案というのはこの白磯海岸を埋め立てて、その用地に採掘場の残土が利用されるわけです。埋め立てに使われるわけです。大震災対策あるいは港湾の拡張問題、これも同時に解決することになりますが、さらに石材搬出埠頭の地下を屎尿処理場の建設に、駅前のダンプによる交通渋滞の緩和もこれは可能になります。また真鶴港の避難港としての機能発揮に、同町への新しい県道の誘致に、この町の抱えている諸問題がすべて解決できる、これはその白磯の埋め立てができればということに集約されるわけでございます。  そこで、自治省にお伺いいたしますが、おいでになりましょうか。——以上のような実態であるので、一町村で解決することは非常に困難と考えられます。これらを解決するために自治省は今後どのように指導、促進をお考えになっておられるのか。また、これら計画が実施される段階においては、自治省は特別な財政措置をどのようにするのか。いろいろな内容があろうかと思いますけれども、いまお話をいたしましたような内容の地域、財源のない、計画も成り立たないような町の悩みについて、ひとつ誠意ある御答弁をいただきたい、こう思います。
  348. 森繁一

    ○森説明員 先生ただいま御指摘の問題につきましては地元でいろいろ検討されておるようでございますが、まだ最終的に具体案というものを私ども承知いたしておりません。しかしながら、御指摘のとおり地元にとりまして大変重要な問題でございますので、具体案がまとまり次第、自治省といたしましても神奈川県とよく協議をいたしまして、財政措置を含めまして各般の指導、助言を行ってまいりたい、かように考えております。
  349. 小濱新次

    ○小濱分科員 先ほど、まだ申請に至っていない段階でと私はお断りをしながら質問をしているわけですね。ですから、いまの御答弁でいいわけですが、このことはもう町を挙げての要望でありますし、そしてまた、県も何回も現地に、そしていろいろな計画、青写真をつくっておられる段階ですから、ぜひひとつ県の意思統一をしながら、これはまたお願いに参りたい、こう思います。そういう現状ということと、先でいいなら問題はないのですが、東海地震ということがもう目の当たりに来ているわけですね。とにかく駿河湾と相模灘でほとんどの大きな地震が、谷間というのですか、あれが重なっているのだそうですね。あの辺が震源地ということになると、相模灘が震源地なのか、駿河湾が震源地なのか、ぐらっと来ればどうなるのかということで、私どもは非常に責任を感じながら質問をしているわけですから、ぜひ意思統一を図りながらお願いにまた参りたい、このようにも現地では申しておりますので、そのときにはよろしくお願いをしておきたい、こう思います。  大臣、お聞きのとおりでございます。これは建設省とか自治省とかが主体的にやるべき内容だと思います。大臣も、私のところで答弁をする内容ではない、このようにお思いかもしれませんけれども、御存じのように採石法ができて、所管になっている通産省もこうですよ、厚生省も農林水産も全部関係してくるわけです。ところが、どこも責任所在がはっきりしてないのですね。したがって、ぜひひとつ渡辺建設大臣の誠意ある御所見を最後にお伺いしておきたい、こう思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
  350. 渡辺栄一

    渡辺国務大臣 ただいま先生のお話を承っておりまして、非常に急いで整備をしなければならない非常に重要な課題であると承ったわけでございます。御承知のように、建設省としては、国土の均衡ある利用発展を図るということでございますし、また全国にわたりまして住みよい地域社会の形成を図る、こういうことでございますので、地域の意向を十分承りながらその計画的な整備を進めてまいる、こういう立場にあるわけでございます。  御指摘の神奈川県真鶴町の開発計画というものにつきましてただいまお話を承ったわけでございますが、この地元の要望がいずれ県等を通じまして具体化してくると思うのでありますが、そういう意味におきまして、これがなるべく早く推進をするように私どももできる限り御協力をいたしたいと思いますし、それがまた、十分協議をいたしましてこの計画が実現をいたしますように、必要でありますならば指導も行い、また御協力もさしていただきたい、こういう気持ちを持っておりますので、率直に申し上げるわけであります。
  351. 小濱新次

    ○小濱分科員 建設大臣の力強い御所見を承りました。まあ、地方の時代と言われ、社会の変化の非常に多い中で、住民からのいろいろな要望が山積している中で、町を挙げてこの問題だけはどうしても解決をしていただきたい。海岸の埋め立て、これは大変な財源も必要とするでしょうし、そしてまた、困難な作業か知りませんけれども、その場所しかもうないんだという結論に達した場所でございます。運輸省ともいろいろ検討いたしましたところが、港湾区域外になっております。したがってこれは建設省の所管ということでもあり、そこに今度は県道の延長ができるわけです。そこを埋め立てをするわけですから、その埋め立てをする県道建設用地をもう少し沖まで埋め立てをしていただければ、そこに屎尿処理場もでき、埠頭もでき、湾内整備もでき、町の危険も除去される、駅前の交通渋滞もなくなる、こういうことでありますので、このことについてはわれわれも真剣に取り組んでいきたい、こう思います。私も、選挙区じゃありませんけれども、余りにも住民の声が高いものですから、この問題を取り上げた次第でございまして、今後よろしくお願いを申し上げておきたい、こう思います。  最後に一つだけ、これは建設省でございますが、お伺いをしておきたい、こう思います。  相模原市内を通ずる国道十六号線が、最後の仕上げ作業が進んでおるわけでございます。実は戦時中に軍都計画から、これも建設員会で取り上げさしていただいて、着工以来もう十数年を経過してまいりましたけれども、みごとに、市内のこの道路の完成がもうほとんど近いという状態まででき上がってきたわけでございまして、相模原市民の喜びは、これは大きいものがございます。ぜひ一日も早い完成を願っておりますが、最後に残っているのは橋本の立体交差というのがあるのです。五つの道路が重なっておりまして、この渋滞が大変によそに悪い影響をもたらしているというのがございます。この整備計画をぜひ進めていただきたいと心から念願するわけでございますが、どうなっているのか、お答えをいただきたいと思います。
  352. 山根孟

    ○山根政府委員 お答え申し上げます。  国道十六号と交差をいたします国道百二十九号、県道相模原−大磯線及び市道橋本駅−大山線との平面交差の立体化の問題でございます。これにつきましては、五十三年十一月に都市計画決定がなされております。この計画では、国道十六号がこれらの道路をオーバーパスをするという構造となっておりまして、現在事業実施のための調査設計を行うとともに、関係機関との計画調整を進めている段階でございます。  今後は、計画調整が完了いたしましたならば、この計画が現道の拡幅を伴うものでございますので、早速地元関係者との協議を慎重に進め、これがまとまり次第事業に着手をいたしたい、こういうスケジュールで現在考えておるところでございます。
  353. 小濱新次

    ○小濱分科員 建設大臣、戦時中の大変な軍都計画が、終戦でストップになりまして、相模原がこれを受け継いでそして道路整備をやってまいったわけですが、流入人口が関西の豊中か関東の相模原かと言われまして、いま四十三万ぐらいの人口があります、ふくれ上がっちゃったんです。そして財源はほとんど学校建設に、そして下水建設に、こういうふうに四苦八苦してきた、そういう経緯がございます。この中央の十六号の道路だけは何としてでももう一日も早い完成、そして相模原の誇りということでこの完成をどんなにか心待ちにしているわけでございますが、いま一つ、橋本の立体だけがいつ手がかけられるんだろうかとか、いつできるんだろうか、これができなければ完成ということにはならないということで、もう私どもの顔を見まするというとその問題を出してくるような状態になっております。  いま局長からいろいろ御答弁がございましたけれども、これも踏まえてぜひ一層のお力添えをお願いをしておきたいと思いますが、最後に大臣から一言、このことについての御所見を承っておきたいと思います。
  354. 渡辺栄一

    渡辺国務大臣 ただいま局長から御説明を申し上げたとおりでございますが、積極的に取り組みまして早期実現ができるように努力をさせていただきたい、かように考えております。
  355. 小濱新次

    ○小濱分科員 質問を終わります。
  356. 兒玉末男

    兒玉主査代理 以上で小濱新次君の質疑は終了いたしました。  次に、伊賀定盛君。
  357. 伊賀定盛

    伊賀分科員 大臣にお聞き願いたいと思うのでありますが、兵庫県といいますと雄県兵庫とも言われておりますが、私がこれから問題にしようとしていますところは兵庫県の裏側でございまして、多くの衆議院選挙区がありますが、一衆議院選挙区に市が一つしかないというのは私のところだけでありまして、沖繩といえども、北海道といえどもそういう選挙区はございません。人口の少ないのも日本一でございまして、しばしば訴訟の種になってきているところでございます。昨年の十月の選挙でも、私が定員三名のうち最下位当選いたしまして三万六千票でございます。衆議院の五百十一名定員中最下位当選でございます。そういう非常に僻遠の地でございますので、それらを頭の中に入れながらお聞き願いませんと、兵庫県といいますと、すぐ尼崎や神戸を連想されますのでとんでもない間違いが起こるわけであります。  そこで、私は道路と川とについてお伺いしたいと思います。この兵庫県の日本海側に国道九号線がわずかに一本かろうじて通っておりまして、これが京都から鳥取に通じておるわけであります。この唯一の都市であります豊岡市、人口四万八千ほどの都市がございますが、ここを中心といたしまして、この九号線と三百十二号、三百十二号というのは姫路から日本海側に向かっておるわけでありますが、これが幹線ということになっております。ところがこの円山川というのは、かなりこの地域では大きな川でございますが、三百十二号と九号線が円山川を中心として道路があるわけですが、不思議にこの地域では円山川の左岸に御承知の日本海側からいいまして城崎町、豊岡市、日高町心鹿町、和田山町、朝来町等々すべて左岸に町並みがございます。ですから、これを一口に言いまして左腕飛行であって右肺が停止しておるわけでございます。車の両輪といいますが、右の車を停止しておいて左だけエンジンをかけましても同じところをぐるぐる回る、こういうことになります。ですからどうしてもこの地域の産業その他の振興、発展を期待するとすれば、右岸に道路を一本つけるべきだというのが私の持論でございます。ようやく去年でしたか、兵庫県知事も建設省の方にその意思表示をされたようでありますが、これらをめぐりまして、この三百十二号と九号線、ある部分で重複しましてそこから二またに分かれている、ここに八鹿町宮越の信号があるわけでありますが、これは大変な混雑でありまして、御承知のとおり瀬戸内海がもう海水浴はゼロでございます。したがって阪神間からこの海のきれいな日本海側に夏はわんさと海水浴に流れます。冬は、国体の会場にもなっておりますが、神鍋のスキー場、ハチ北高原のスキー場がございますもので、混雑するときには、大体土、日には約三十キロにわたりまして混雑するわけでありまして、これは東京、大阪あたりで混雑しましても車が三十キロ停滞するということはない、これまた日本一ではなかろうかと思います。そこで、この宮越交差点、これも左岸でありますから右岸にバイパスをつけてもらいたいということでいろいろ折衝してきましたけれども、ついにできないということで、五十四年度、一番混雑します宮越の対岸、右岸ですが、約四キロを県独自で改修しようということでかかったのでありますが、これがどうしても国の補助、起債等の対象にならない。その理由は、いま九号線にやはりこの地点でトンネルを計画しておるわけでありますが、右岸に四キロの道路ができると九号線のトンネルがだめになるということが、主たる原因のようでございます。そこで、やむを得ず県は独自で四キロを改修しよう、ざっと四キロで四億、そのうちの二億を五十四年度の予算配慮しておるわけでありますが、これもいろいろ都合がございまして県ではやれないということで、この四キロを、八鹿町と養父町という二町に地域がまたがっておるわけであります、そこで、県はやむを得ず、御承知のとおり自治振興、これで予算措置をして両町には迷惑をかけないようにというような苦肉の策をいま講じておるわけであります。ですから、私は一つは八鹿の宮越交差点の右岸道路を、そうしたことでなしに正式に建設省として何らかの形で、これは国の補助対象もしくは起債の対象等々御配慮願えるべきだ、こう思うわけであります。これは道路局長さんお願いします。
  358. 山根孟

    ○山根政府委員 お答え申し上げます。  先生の御提唱の円山川右岸道路でございますが、八鹿町の伊佐から和田山町の和田山まで延長約十五・八キロメートルの構想でありまして、この区間につきまして一般国道九号の交通混雑解消といったことを一つの目的としてこの道路が計画されておるものでございます。具体的には主要地方道、物部−養父線、宮津−八鹿線及び一般県道金浦−和田山線のほか町道舞狂−村中線、養父市場−舞狂線及び寺谷−柳原線といったような路線から成るわけでありまして、これらの改築により事業を進める予定でございますが、何分事業規模が大変大きいわけでございますので、私どもといたしましては国庫補助事業と県の単独事業を組み合わせて事業を実施をいたしまして、この組み合わせによって投資を集中させることにより、五十七年度の開通を図るべく促進をしてまいりたい、こういう考え方を持っておるところでございます。
  359. 伊賀定盛

    伊賀分科員 国庫の対象にするのですか。
  360. 山根孟

    ○山根政府委員 ただいま御指摘の宮津−八鹿線の区間がいま先生おっしゃっておる区間であろうと思いますが、私どもの方としましてはこれは単独事業推進をしていただき、一方他の区間についてそれぞれ補助事業等を組み合わせて、この全線十五・八キロが早期に完成できるようにするのが適切ではないか、こう考えておるものでございまして、先生御指摘の区間については単独事業でお願いをいたしたい、こう考えておるわけであります。
  361. 伊賀定盛

    伊賀分科員 今後は、いま具体的にお話がありましたが、伊佐橋から千石橋、これを単独でとこう言うのですね。それから千石橋から和田山まで、という意味ですか。
  362. 山根孟

    ○山根政府委員 舞狂橋の取りつけのところから和田山までの区間につきましては、県道部分、市町村道部分ありますが、それぞれ補助事業として実施してまいりたい、こう考えております。
  363. 伊賀定盛

    伊賀分科員 それから二つ目でありますが、これは道路局長よく御承知いただいておりまして、この九号線の山東町の上箇という部落の地先でありますが、約五百メートルのうち二百メートルほどが舗装するに当たりまして次々に重ねていくものでありますから、道路肩から実際車道までかなりの傾斜があるのであります。もう時間がございませんから詳しいことは申し上げませんが、連檐地区の方には歩道がなくて、反対側が汽車が通っておるわけですが、そこに歩道がありまして、家の連檐地区の部分がかなりの傾斜できついものですから、去年も御婦人の方が、ちょうどその真ん中辺に公会堂がございましてしばしばその公会堂に集まるわけですが、傾斜で歩けないものですから車道にはみ出すということで自動車と衝突いたしまして、両方のすねを複雑骨折で約半年にわたって入院をするというようなことも起こっておりますし、しばしばここでは事故が起こるわけであります。地元としては最初の道路肩まで下げてもらいたいというのが要望でありまして、そこの傾斜の部分を歩きますと、くつでもげたでも一緒でありますけれども、斜めにちびてしまうわけです。そのげたを道路局長に書留で送ってあるのですが、まだ届いてないでしょうか。
  364. 山根孟

    ○山根政府委員 まだ届いておりません。
  365. 伊賀定盛

    伊賀分科員 早急にこれはお届けしますが、この道路を歩きますと、その傾斜の部分がありまして、道路寄りには側溝がありまして、その側溝にはふたがないのです。それでこっち側に行きますと車道で車にぶつかる。こういうところだものですから、何とかひとつこれを道路肩まで切り下げてもらいたいというのが要望であります。いろいろ局長さんも御配慮いただいておるようでありますが、いや補修は耐用年数が十年で、まだ十年たってないからやれないとかなんとかおっしゃっておるのですけれども、それは実情に応じて御判断を願わぬといけませんしいたしますから、道路局長が答弁したらこれはあきません言いますから、大臣はこれはピンチヒッターの大臣でなしにきっすいの大臣ですから、余り局長の言うことを聞かずに、やはり大臣として、わずか四、五千万円なんです、そのお金が。死者はまだ出ておりませんけれども、しばしば家に飛び込まれまして、家が大変な被害を受けたり、何か毎年のように事故が起きているわけであります。ですから、交通安全対策としてもひとつお考えを願いたい、こう思っておりますので、これはひとつ大臣からそこら辺御答弁いただきたいと思います。
  366. 渡辺栄一

    渡辺国務大臣 道路局長もいろいろ心中ひそかに心配をいたしておるようでございます。これは人命に関する問題でもありますが、現地の事情等につきましても十分ひとつ真剣に検討させまして、実現のできるように努力をするようにいたしたいというふうに思います。
  367. 伊賀定盛

    伊賀分科員 道路局長、ようひとつ大臣の言葉を胸に刻み込んでいただきまして、ぜひ善処方をお願いしたいと思います。  次には、先ほど申し上げました円山川の問題でありますが、いま円山川に沿いまして六方川という川がございまして、六方川の沿線約四百町歩のたんぼが一年に二回から三回は水につかる。そして多くの住宅も被害を受けるわけでありまして、豊岡市を中心とした円山川の下流地域というのは災害の常襲地帯である。これは河川局長よう御承知のとおりであります。これもかねてから改修していただいておりまして、工事等は進捗しておりますが、私が考えますと、御承知のとおり大体三つのポイントがあります。一つは小野川のショートカット、二つば六方川そのものの改修、そして下流部分でりっぱな樋門はでき上がりました。あとポンプがないわけであります。ですから建設省、県のお考えは、小野川のショートカットが先だ、こういうことでありますが、すでにもう十年であります。ところが十年たちましても、余り話が進捗しておりません、ショートカットの問題は。そうしますと、今後、建設省のお考えのように、小野川のショートカットをやらなければポンプが設置できない。いま建設省計画によりますと、二五%の水を小野川でショートカットして、七五%を六方川に流して、そして下流で約百二十トンのポンプが必要だという基本計画でありますが、いまありますのが二十八トンであります。これは県と地元の農協等がつくったものが二十八トンであります。ですから建設省のお考え方を進めるとするならば、今後十年かかるか五十年かかるかわからない小野川のショートカットができなければポンプに着工できないということになりますると、その間ここら辺の水の被害は解消されぬわけでありますから、せめて私は、ポンプをたとえ一台でも二台でも年々積み重ねていくことによって、たとえば一年に二トンのポンプをやりましても、十年たちますと二十トン、いまのを合わせますと五十トンのポンプになるわけでありますから、かなり軽減されるわけであります。ここら辺も河川局長さん、基本的な考え方を変えていただきたい、こういうことであります。
  368. 稲田裕

    稲田(裕)政府委員 六方川の改修問題につきましては、かねがね先生の御意見を承っておるわけでございます。私ども、いまの小野川のショートカット問題につきまして、おっしゃるように前々からいろいろと努力を重ねてきておるわけでございます。また県当局並びに豊岡市も非常に御協力いただきまして、地元対策に当たっていただいておるわけでございますが、なかなか放水路ということで現実の問題として着工できないというふうな状況でございます。が、これにつきましては、六方川の流域と申しますのは、私が説明するまでもなく山水が出ましてすぐに低平地に入るということで、しかもその低平地が盆地状になっておりまして、なかなか排水しにくいところへもってきまして、円山川の出水そのものも比較的長期間にわたるという状況でございまして、排水効率が悪いということで抜本改修にかかっておるわけでございまして、六方川の水門につきましてもようやく五十三年度にピッチを上げて竣工いたしました。現在の進め方といたしましては、私どもの基本的な考え方としましては、やはりポンプというものを設置する以前に、まず現在水門を竣工いたしておりますので、あれから上流へかけての河道の改修促進しなければそれ自体も狭窄になっておるという点が一点ございます。  それから、やはり山水につきましては、これをポンプでかも出すとしましても、おっしゃるように相当広い湛水面積を擁しておるわけでございます。それで山水をそのままほうり込んで排水するというのは、お言葉を返すようでございますけれども、二十トン程度のポンプをつくりましても、実態的には山水をショートカットしておかないと余り大きな期待はできないというふうに見ております。これはやはり現在のやり方としまして小野川のショートカットを進めること、河道の改修を六方水門から上流にかけてできるだけ早く仕上げていくというのが、当面の急ぐべき事業ではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。
  369. 伊賀定盛

    伊賀分科員 局長さん、昨年の二十号台風で支流の出石川がはんらんをしまして、それでいままではなかったのですが、出石の町内の住宅が大変水につかりまして、御承知のとおり小野川というのは出石町の中心街よりもやや下流になっておるわけです。ですから、いままでもむずかしかったものが、二十号台風によって出石町内の浸水によりまして、あの小野川のショートカットで一時水を下流に停滞させますね、そうするとますます上流の側の被害が大きくなるという情勢の変化がございます。したがって、局長さんのおっしゃるとおり、小野川のショートカットが先だということになりますると、百年河清を待つということになるんじゃないでしょうか。これはもう一度現地の実態等につきましては御判断をいただいた上で、きょうはもう時間がございませんから、後ほどまた詳しいことをお話しさせていただきたいと思います。  それから、関連いたしまして六方川の改修に伴いまして、日撫地区というところがございます。いま三十戸の立ち退きが決定いたしました。ところがこの地区は格別経済的に貧弱な地区でございまして、移転等について豊岡市がいろいろ努力しておるのでありますが、いまの計画によりますと、詳細は割愛させてもらいますけれども、ざっと一億二千万ぐらいのものが市の負担になるだろう。市が新しい土地を造成するわけですが、それは個人が建設省から補償してもらったもので買えばいいではないかという議論でありますけれども、ただいま申し上げますように非常に貧弱な地域でございまして、それだけの余力がございません。とするならば、これは建設省から補償された金額でしか市としては新しい造成地を売却するわけにいきません。そうすると事実上、豊岡市が一億二千万ぐらいの負担ということになるわけでありまして、これでは市としてもとても対応できないという苦しみがありますので、いろいろ状況あるいは条件等がございましょうが、何らかの形でひとつこの日撫地区三十戸の移転について格段の御配慮をいただきたい、こういうことであります。
  370. 稲田裕

    稲田(裕)政府委員 日撫地区の改修でございますが、おっしゃるように現在三十三戸のうち三戸はもう引っ越されまして、三十戸残っているというふうな状況でございます。これにつきましては豊岡市の方で現在代替地を準備していただいておりまして、二地区につきまして代替地の準備をやっていただいております。私の方としましては、五十五年度から五十六年度にかけまして移転補償につきまして関係者の方々と補償交渉を進めさせていただきまして、補償を払いたいというふうに考えておるわけでございます。  それで、現在市の方で準備いたしております地区へ御移転願うわけでございますが、おっしゃるような問題もいろいろあるわけでございます。私の方の補償基準そのものもやはり全般的な公共事業の施行に伴う損失基準によらざるを得ないという面もあるわけでございまして、これから話し合いを進めるわけでございますけれども、今後五十五、六年度にわたってお移り願うに当たりましては、市等の関係機関とも十分連絡をとりながら協調して事を進めさせていただきたい、かように思っております。     〔兒玉主査代理退席、村田主査代理着席〕
  371. 伊賀定盛

    伊賀分科員 最後に、やはり円山川に関連してでありますが、上流に多目的ダムをつくってもらいたいということはかねてから私は申し上げてきたところでございますが、特に最近、石油の値上がりを通しましてエネルギー危機ということが言われ出しておりまして、したがって水力発電というものが見直されなければならないと思うわけでありますが、それらとの関連でこの円山川の上流に——あの辺は、弁当は忘れてもかさを忘れるなという地域でございまして、しょっちゅう雨量が多いわけであります。これは統計上出ておると思いますが、それらをも勘案して、この際上流に多目的ダムをこしらえてもらいたい、こういうことでございますが、ひとつその辺の事情、これからの姿勢等についてお聞かせいただきたいと思います。
  372. 稲田裕

    稲田(裕)政府委員 お尋ねの円山ダム上流域にかかわるダムでございますけれども、円山ダムの治水上もやはりダムで処理するという点につきましても私ども検討しなければならぬということで、現在までに予備的な調査を続行いたしておるわけでございますが、円山川の流域の地形そのものから申し上げまして洪水に非常に大きく効くというようなダムサイトは地形上非常に少ないということで、上流域の小さいダムに頼らざるを得ない。治水上の効率から申し上げますと必ずしもいいダムではないというような状況でございますが、なおこれにつきましては治水上の観点からも調査を進めてまいりたいと考えておるところでございます。と同時に、先生おっしゃるようにエネルギーの問題、それから水資源の問題としては、円山川というのは非常に貴重な資源であろうというふうに考えておりますので、これらと合わせた多目的ダムとしてのダム計画が成り立ち得る可能性等につきましても、十分私どもとしても検討しながらこの計画をまとめさしていただきたい、かように考えております。
  373. 伊賀定盛

    伊賀分科員 御承知のとおり、今度包蔵水力調査が新しく始まるそうですね。ですから、そこら辺ともひとつ絡めて、この地域の総合開発という意味も踏まえ、ぜひ前向きで多目的ダムを上流につくっていただくという方向で御検討をいただきたいと思います。
  374. 稲田裕

    稲田(裕)政府委員 私どもで多目的ダムを計画するときには、エネルギー問題等もございますので、できるだけ発電にも参画いただくということでいろいろ進めてまいっておるわけでございます。現在までに私どもの所管で竣工したダムが二百二あるわけでございます。そのうち発電が参加しておりますダムが百八ダムでございます。それでいままでの発電力量が七百三十七万キロワットでございます。総水力発電が五十三年の夏で二千七百三十一万キロあったわけでございますが、約三〇%というものは私どもの所管しております多目的ダムでつくっております状況でございます。  ただ、現在施工中並びに実施計画調査をやっておりますダム数は二百八十三あるわけでございますけれども、この中で水力発電の参加が確定しておりますのは三十五ダムでございまして、在来竣工分に比しましては少なくなってきておるというふうな実情にあるわけでございます。まあこれはいろんな発電サイドの事情等もあろうかと思いますけれども、いま言ったようなエネルギーの観点からも、できるだけ今後私どもの方でダム計画をつくるときには発電の参画を求めながらやっていきたい、かように思います。
  375. 伊賀定盛

    伊賀分科員 終わります。
  376. 村田敬次郎

    ○村田主査代理 以上で伊賀定盛君の質疑は終了いたしました。  次に、新井彬之君。
  377. 新井彬之

    新井分科員 三十分の短い時間で多項目にわたりますので、簡単なる答弁をよろしくお願いいたします。  姫路バイパスの建設については、昭和五十年十二月十一日に暫定断面による全線の供用開始がなされ、国道二号の交通渋滞の解消に大きく貢献しており、また、昭和五十二年十月には姫路南ランプ、昭和五十三年四月には姫路西ランプが供用を開始されたことは感謝いたしておるところであります。しかしながら、中地ランプから姫路西ランプの間の下り専用車線が未完成であり、この残工事部分の早期完成が望まれておるところでございますが、その完成見通し等についてお伺いをいたします。
  378. 山根孟

    ○山根政府委員 お答え申し上げます。  姫路バイパスは、先ほど先生申されましたように、昭和五十年十二月に市川ランプ以東を四車線、以西を暫定二車線で供用をいたしまして、その後交通量の増大と大型車両の増加に伴う交通混雑緩和のために、五十四年十二月に市川ランプ−中地ランプ間二・六キロメートルの四車化を完了したわけでございます。御指摘の中地ランプから姫路西ランプまでの三・五キロメートル区間の四車化につきましては、今後の交通の状況を勘案して整備を進めてまいりたい、そういうふうに考えておるところでございます。
  379. 新井彬之

    新井分科員 なるたけこれは早期にお願いをしたいと思います。  それに関連をいたしまして、姫路バイパスの効率活用が図れるよう、姫路西バイパスの早期建設についてでありますが、姫路市域内の交通混雑を緩和し、将来の幹線道路網の一環として国道二十九号線太市−青山間の姫路西バイパスの早期建設を図られたいという要望がありますが、この点についてはどのようになっていますか。
  380. 山根孟

    ○山根政府委員 姫路バイパスに接続をいたしまして太子−龍野バイパスを実は重要な区間というぐあいに考えておりまして、姫路以西の二号線の交通混雑緩和を目的といたしまして太子−龍野バイパス、延長九・五キロメートルの計画を持っておるわけでございます。  このバイパスの整備につきましては、五十三年度から用地の取得を実施しております。また、五十五年度からは、原案といたしまして一部区間三・七キロメートルを日本道路公団によります一般有料道路事業として採択をいたしまして、この一般有料道路事業と直轄によります一般道路事業とを合わせて建設を進めてまいりたい、かように考えておるものでございます。
  381. 新井彬之

    新井分科員 国道二号線の改修整備につきましては、姫路バイパス及び太子−龍野バイパスの建設を初め、正条橋のかけかえ、総峠の改良あるいは交通安全施設の整備など各般にわたり御高配を賜っているところでありますが、国道二号線の現況は、いまさら申し上げるまでもなく近年の著しい交通量増加により、随所で交通停滞や交通事故が発生し、瀬戸内基幹道路としての機能が麻痺しているのみならず、沿線住民生活道路としても危険な状態にあります。  これが対策としては、姫路バイパス太子東ランプ以西の国道二号線の早急整備がぜひとも必要でありますので、地域の事情を御賢察していただきたいと思います。  具体的には、一つは太子−龍野バイパスの早期建設であります。  太子−龍野バイパスの地元協議は、関係者の理解と協力によりおおむね調っており、地域住民はこれが早期建設を熱望しております。つきましては、建設促進を図るため、一部区間を有料道路として施行することも含め大幅な予算確保を図り、これが早期建設をお願いしたいとの強い要望がありますが、これについてのお考えを聞かせていただきたいと思います。  二つには、太子−龍野バイパス以西の改修促進についてであります。  正条橋以西の改修について、バイパスの新設あるいは現道拡幅等、いずれにしても早急に改修計画を策定の上、改修促進を図られるようにお願いしたいわけでございますが、これについてのお考えを聞かせていただきます。  三つには、赤穂市有年地区など特別区間の部分改修事業促進についてであります。  赤穂市有年駅前地点は、環境庁公表による全国幹線道路沿線騒音レベルで二年連続ワーストワンであり、また交通安全施設のない危険な道路であるため、関係地区住民は交通公害に苦しんでおり、早期改修を待望しております。つきましては、太子−龍野バイパスより漸次西へ整備を進めていただくと同時に、有年地区のような特別の区間については特別の配慮により、部分的な区間であっても全体計画に沿って早急に整備を図られるようにお願いいたしたいと思いますが、この三点についてお答えを願います。
  382. 山根孟

    ○山根政府委員 お答え申し上げます。  姫路バイパスに接続して西の方に至ります将来計画の問題につきましては、先ほどお答え申し上げましたように、龍野バイパス等の有料化も含めて、姫路市に近い区間から御指摘のような点も含めて現在鋭意事業を進めてまいりたい、こう考えているものでございます。  正条橋以西の改修、改築の問題でございますが、当面問題になっております正条交差点の改良、龍野西インターの関連工事、総峠の登坂車線工事を実施をいたしておるものでございまして、このうち正条交差点改良は昭和五十四年度から用地買収を始めておりまして、順調に進みますならば昭和五十六年度末には完成できるのではないか、こう考えております。山陽自動車道の龍野西インターが接続いたします一般国道二号の揖保川町の大門地区におきます立体交差事業につきましては、道路公団協力をいたしまして五十六年度までに事業を行い、完成をいたしてまいりたい。稔峠の登坂車線工事につきましては鋭意事業促進しておりまして、五十五年度において一・三キロメートルの登坂整備を完了する予定でございます。  いずれにいたしましても、交通機能の確保を図る観点から逐次整備を進めさせていただいているという現状でございます。特に、第三に御指摘のございました赤穂市の有年駅前の大変交通量が多く、環境上も問題のある区間に対する対策でございます。この対策につきましては、国道二号の相生以西の整備計画の一環として調査を実施いたしております。実態調査の結果を踏まえ、対策案の検討を行う予定にいたしておるわけでございます。ただ、この区間につきましては、山陽自動車道、五十六年度供用を現在のところ一応予定をいたしております。したがいましてこれが開通をされますならば、当地区におきます環境問題はかなり緩和されるのではないかというぐあいに考えておるところでございます。
  383. 新井彬之

    新井分科員 次に、山陽自動車道建設に伴う関連事業についてでありますが、山陽自動車道と国道との接続については、交通渋滞の生じないよう、また周辺土地利用等を十分配慮した上計画されるようお願いいたしますということでございますが、これについてはいかがでございますか。
  384. 山根孟

    ○山根政府委員 高速道路のインターチェンジ周辺は、地域開発の拠点として実は大きな機能を持っておるわけでございます。したがいまして、この機能を十分発揮をいたしまして地域開発の効果を上げるため、インターチェンジ周辺に交通渋滞を生じないよう関連道路の整備、周辺開発計画との調整、こういった点に十分留意しながら進めておるところでございますが、今後とも一瞬努力してまいりたい、かように考えております。
  385. 新井彬之

    新井分科員 幹線道路沿道整備法の早期制定についてでありますが、幹線道路沿線環境整備対策として現在建設省におきまして検討中の幹線道路沿道整備法案に、二車線以上の幹線道路を対象基準として採択し、これの早期立法化を図り、環境対策事業推進していただきたいと思いますが、これについてはいかがでございますか。
  386. 山根孟

    ○山根政府委員 幹線道路の沿道の整備に関する法律案、これから御審議をいただくことといたしておるわけでございますが、目的とするところは、道路交通騒音によって生じます障害を防止し、あわせて適正かつ合理的な土地利用を図り、円滑な道路交通の確保と良好な市街地の形成に資するということであります。  その対象といたします道路については、代替する機能を持つ道路の整備見通し等を考慮し、将来にわたって幹線道路としての機能を確保するとともに、都市計画において沿道の土地利用と調和を図っていく必要のある道路を実は対象としているものでありまして、私ども、原則として四車線以上の道路になるというぐあいに考えております。二車線道路で騒音の著しいものにつきましては、一般的には交通量も多くふくそうしている道路でありますから、むしろ円滑な交通を確保し騒音の防止を図るというためには、たとえば一つの方策としては、バイパスあるいは環境施設帯をとった現道拡幅と申しますか、そういった道路整備の観点からまずどのような整備のあり方がよいか、こういったことを含めて対策を検討していく必要があるのではないかというぐあいに考えております。
  387. 新井彬之

    新井分科員 いま第二国道は幹線道路になっているわけでございますが、先ほど出ました有年駅前の騒音の状況は、私もこの有年駅前の知り合いのところに泊めてもらったことがあるのですけれども、振動と騒音で大変なものです。昭和五十四年五月十七日から五月二十四日にかけまして測定をしたわけでございます。測定場所は国鉄の有年駅前でございます。測定時間帯は朝、昼、夕、夜と分けまして、午前六時から午前八時までは、騒音規制法第十七条第一項に定める要請限度基準が六十五ホンのところが、中央値で七十九、九〇%上限値で九十ホン。それから午前八時から午後六時まで、騒音規制法第十七条によるところのものが七十ホンでありますが、中央値が八十一ホン、九〇%上限値が九十二ホン。夕方午後六時から午後十時、これが六十五ホンのところが中央値で八十一、九〇%上限値で九十一ホンです。午後十時から午前六時まで、五十五ホンのところが中央値で八十五、九〇%上限値で九十二ということでございます。本当にこれはもう大変な、住めないような状況でございます。これについては先ほどそういう強い申し入れがあったわけでございますが、ぜひともこの部分については特段の御配慮をお願いしたいと思うわけでございます。  車両交通の種類等の問題もありますが、それは時間がないので省くことといたします。  次に、山陽自動車道の建設促進についてであります。  山陽自動車道の姫路−備前市間は、当該区域の自動車交通の混雑を抜本的に解消するとともに、産業開発推進に大きな役割りを果たす高速自動車道でありますため、関係市町におきましては、これが建設促進に最大限の努力を傾注しているところであり、備前市、赤穂市、相生市におきましては用地買収もほとんど終わり、現在工事も全面的に着手されているところであります。また、諸事情により住民との合意が得られていなかった地区についても、説明会を開催するなどして漸次合意を得て、中心ぐいを打設し、設計並びに協議を進めております。  つきましては、ひとつ早期完成を図るために十分なる財源の確保をお願いしたい。具体的には備前市−相生市間の昭和五十六年供用開始への事業促進、相生市−姫路市間の事業促進ということであります。  二つ目は、設計協議に当たっては関係住民の意見を十分に反映し、生活環境の保全について格別の御配慮をお願いしたいということであります。  三つ目は、インター周辺における交通渋滞が生じないよう、関連道路整備や周辺の土地利用構想を十分に検討されたいということであります。  四つには、建設関係する道路、河川、水路及び治山施設等の整備については範囲を拡大し、地方の環境整備促進を図られますようにお願いをしたいということでございます。  これらの諸点について御答弁を願います。
  388. 山根孟

    ○山根政府委員 お答え申し上げます。  第一点の山陽自動車道の姫路−備前間の建設の問題でございます。  この姫路−備前間四十九キロメートルのうち、龍野西−相生でございますが、龍野西から備前間二十五キロメートルについては現在用地買収及び工事の促進を鋭意図っておりまして、昭和五十六年度には供用できるのではないか、かように考えております。姫路から龍野西の間二十四キロメートルにつきましては、沿線の方々から昭和四十九年三月に工事実施計画認可取り消し訴訟が提起をされまして、十五回にわたる口頭弁論の結果、昨年十一月三十日に訴えの却下が言い渡されたわけでございますが、一部の地区の方々から即日控訴がなされている、こういう現状にあるわけでございます。ただ、現在、先ほど御指摘のように中心ぐいの打設、用地買収等を完了している区間も一部あるわけでございまして、今後とも関係者の御理解、御協力を得ながら事業促進を図ってまいりたい、かように考えております。  第二点の、高速道路の設計協議に当たりましての住民の方々の意見の反映と生活環境の保全の問題でございます。  高速道路の環境保全につきましては、路線選定時におきます十分な環境調査の実施、道路構造によりますところの環境施設帯あるいは遮音壁等の設置、さらに地域の景観との調和を図るための緑化等、いろいろな施策を講じてきたところでございます。また、現地におきます設計協議の段階におきましても十分地域の方々と話し合いを行いまして、これらを踏まえて生活環境保全対策につきましては遺憾なきを期したい、こんな考え方で道路公団に指導を行っているものでございます。  第三点の、高速道路のインター周辺におきます関連道路の整備や周辺の土地利用構想との整合性の問題でございます。  まさに御指摘のとおりでございまして、今後とも各種の進度調整その他一層努力をしてまいりたいと考えております。  それから第四点に、高速道路に関連をいたします公共事業整備関連をする問題でございます。  高速道路と密接に関連する公共事業につきましては、日本道路公団関係諸機関が協議を行いまして、施工方法、施工時期等について十分調整を図りつつ裏業を進めていくことにいたしておりまして、今後ともこれらに十分留意しつつ高速道路の建設及びこれに関連する公共事業推進を図ってまいりたい、かように考えるものでございます。  以上でございます。
  389. 新井彬之

    新井分科員 次に、山陽自動車道建設に伴う高速バスストップの設置についてであります。  五十六年供用開始ということでありますが、かねてから設置方をお願い申し上げております清水地区のバスストップについてであります。当該道路建設に関する設計協議も次々と調い、用地買収もほとんど完了しておりますが、これら交渉過程におきまして、高雄地区としては当該道路は通過道路であり、用地の提供のみで地域の開発の利用には何ら貢献しないので、この状態のままでは協力できないとの意見が出され、これが有効利用を図るために清水地区にバスストップを設置されるよう赤穂市に対しても地区を挙げて非常に強い要望がなされております。  バスストップはインターチェンジに設置するとのことでありますが、高雄地区の住民が大津インターチェンジのバスストップを利用するためには、約十五キロメートルも離れており、利用する交通機関も乗り継ぎをしなければならず、また運行回数も少ないため、有効利用をすることは困難であります。  このような中で、赤穂市といたしましては、高雄、目坂の清水地区にバスストップを設置願うことがこの地区の開発、発展に寄与するとともに、このバスストップを利用されると考えられるおおむね半径五キロメートル以内にある有年、高雄、坂越地区住民計画人口三万人の山陽自動車道の有効利用に最善の対策であると考えておりますので、バスストップの設置については御高配を賜りたいと思うわけでございますが、いかがなものでございますか。
  390. 山根孟

    ○山根政府委員 お答え申し上げます。  バスストップの設置位置につきましては、本線の線形、構造、前後の諸施設との距離、バスストップの利用関連人口、連絡バスの運行回数、観光地開発計画といった交通発生源との関連等を十分考慮して決定をいたしておるところでございます。ただいまお話のございます山陽自動車道の赤穂市清水地区のバスストップの設置の御要望につきましては、実は五十三年十月、五十四年八月と御要望を承っておるわけでございまして、現在、設置基準に照らしましていろいろ検討を行っておるところでございますが、この位置につきましては、たまたま赤穂インターチェンジに併設をされておりますバスストップに近接をしておるといった事情、それから連絡道路、つまりバスストップが開設をされた場合にいわば乗り継ぎのような形をとることになろうかと思いますが、その連絡道路の整備が実は現在進んでおらない状況でございます。したがってバスの運行もなされてないというような事情があるわけでございまして、現在のところ、必ずしもバスストップを設置するのに適切な個所とは実は考えられないわけでございます。しかしながら、先ほど先生御指摘のように、土地利用の将来計画も一部持たれておるようでございます。したがいまして、どのようにそれが具体化されていくかといったこともございますので、こういった点も含めまして今後の検討課題にさせていただきたい、かように考えておるところであります。
  391. 新井彬之

    新井分科員 ぜひとも現地等をよく調査され、地元住民の方々が納得されるような状況でやっていただきたいと思います。  次に、国道二十九号線の姫新線の跨道橋橋脚部の拡幅の件についてでございますが、車両の激増による交通災害から歩行者を守り、あわせて道路交通の円滑化を図るためにこれをぜひ実施をしていただきたいと思うわけでございますが、この件についてはいかがでございますか。
  392. 山根孟

    ○山根政府委員 実態を十分調査いたしまして必要な措置を講じてまいりたい、かように考えます。
  393. 新井彬之

    新井分科員 この二十九号線というのは非常に整備された道路でございます。その二十九号線のちょうど上を姫新線が通っているわけでございますから陸橋みたいになっておるわけでございますね。それで、そこの部分が非常に狭いために、二十九号線を車がスピードを上げて走ってくるので、歩行者がそこを通るときに非常に危険な状態にあるわけです。したがいまして、当然ほかの道路と同じぐらいに幅を広げて、並行して通れるような道にしてあげなければいけない、こういう交通安全上からの対策事業が出ておるわけでございます。そういうわけで、早速また調査を願いましてよろしくお願いしたいと思います。  それから防音壁の問題でございますが、国道二号線のバイパス、姫路東ランプの下り線の上り口でございますけれども、ここに防音壁をつくっていただきたい、非常に騒音等がございまして、そういう問題が出ておりますが、その件についてどのように考えておるか、お答え願います。
  394. 山根孟

    ○山根政府委員 お答え申し上げます。  姫新線と国道二十九号との交差の跨道橋部分の問題でございますが、今年度において調査、設計を実施をいたしておるところでございますので、その成果を見て判断をいたしたい、かように存ずるものでございます。  それから、第二点の姫路東ランプの下り線の個所におきます二号バイパスの防音壁の問題でございますが、現在、五十四年度におきまして一部事業を実施いたしておるところでございますので、それによりまして一応の効果が発効するのではないか、かように考えております。
  395. 新井彬之

    新井分科員 時間がありませんのでこれで質問は終わりたいと思いますが、どうぞこういう問題について地元からの要望等もよく聞いて善処をしていただきたいと思います。  終わります。
  396. 村田敬次郎

    ○村田主査代理 以上で新井彬之君の質疑は終了いたしました。  次に、清水勇者。
  397. 清水勇

    清水分科員 時間が限られておりますので、端的にお尋ねをいたします。  まず、中央自動車道の長野線についてでありますが、現在岡谷から北塩尻インターにかけて実施計画段階を迎えておるわけでありますし、続いて北塩尻から豊科インターにかけて整備計画に移る、こういう段階だと承知をいたしているわけでありますが、豊科から終着地である須坂インターへかけての見通しばどんなふうな状況になっておりますか。
  398. 山根孟

    ○山根政府委員 お答え申し上げます。  中央自動車道長野線につきましては、先生御指摘のように岡谷から塩尻北間十八キロメートルについては、昭和五十三年十二月に路線発表を行いまして、現在地元と協議を進めておるところでございます。  塩尻北からいま先生御指摘の区間も含めまして須坂までの間、六十一キロメートルにつきましては、現在日本道路公団において実施計画策定のための調査を行っておるところでございまして、調査がまとまり次第路線を御提示申し上げ、進めてまいりたい、かように考えております。
  399. 清水勇

    清水分科員 局長の御答弁でありますが、具体的には豊科インターまでの間と、豊科、更埴、須坂にかけての間は大分条件が異なっているのじゃないか、こんな感じを持っているのです。いま北塩尻から須坂にかけて云々と言われておりますが、私は、豊科インターまでの間、それから豊科インター以北といいましょうかの間というのは少し計画の段取りが違うのじゃないかというような感じがするのですが、いかがですか。
  400. 山根孟

    ○山根政府委員 おっしゃるとおりでございまして、塩尻北から須坂までの間のうち、松本市及び豊科間につきましては関係の方々とのお話し合いも大体大詰めに近づいている状況でございますが、まだもう一歩というところでございます。ただ、豊科から北にかけましては、麻績、聖トンネル、それから長野市に入ります区間といった点ではなお詰めてまいらなければならない問題がございまして、若干の時間が必要ではないか、かように考えておるところでございます。
  401. 清水勇

    清水分科員 さてその場合、更埴と須坂間については関越自動車道上越線との複合というのでしょうか兼用というのでしょうか、そういう関係になると理解していいわけですね。
  402. 山根孟

    ○山根政府委員 そのとおりでございます。
  403. 清水勇

    清水分科員 豊科までの間についてはかなり計画が進んできているが、それから北部は大変だと言われております。  そこでお尋ねをしたいのは、中央道長野線の供用開始について、これは段階的に一部供用開始というようなやり方をされるのではないかというふうに思いますが、その場合に、たとえば豊科インターまではいつごろ、最終的に須坂まではいつごろというふうに踏んでおられるか、お答え願います。     〔村田主査代理退席、主査着席〕
  404. 山根孟

    ○山根政府委員 お答え申し上げます。  現段階におきましては、やはり松本平に集中いたします交通と、中央道西宮線と申しますか、現在供用開始あるいは近く供用開始をされる区間とを接続をする、こういうことがやはり重要なポイントではないか、こんな観点から、塩尻北までの区間につきましては早期に供用すべき区間であるという考え方をいたしております。それから、次いで豊科までの区間というのが次になろうか。  私ども、大きく松本平に入りますまでの区間、それから松本平を抜けます区間、それから松本平から長野に参ります区間、若干これは年を追うような形になろうかと思いますが、現在の状況から見てそんな事業の進み方になるのではないか、かように考えております。
  405. 清水勇

    清水分科員 局長の言われるような段取り、順序になることは私も承知しているのですけれども、大体の見通しとして、時期的にはいつごろになりますか、いつごろを想定なすっておられますか。
  406. 山根孟

    ○山根政府委員 これから御協力いただきながら進めるわけでございますので、私どもとしては長野までの区間を昭和六十年代の早い時期に何とかいたしたいというのが気持ちでございます。
  407. 清水勇

    清水分科員 さてそこで、一方佐久から上越にかけての関越道の上越線、これは先般も建設員会で同僚委員が質問をして、次回の国幹審に整備計画をかけたい、こういう答弁をなすっているようでありますけれども、しかしなかなか困難な条件をたくさん抱えているのだろうと思います。しかし長野線については六十年代のできるだけ早い時期に供用開始をしたい、いまこうおっしゃっておられるわけですが、そうした場合に、たとえば更埴−須坂の間は関越道上越線と兼用するわけで、たとえば先に長野線が供用開始になった場合を想定した場合、須坂から上越にかけての実施計画を先行させるといったようなことが考えられないものかという一部の自治体関係者等の意見があるのでありますけれども、その辺はどんなふうにごらんになっておりますか。
  408. 山根孟

    ○山根政府委員 お答え申し上げます。  現段階ではどのように長野から上越までの間の整備を進めるかということにつきましては、成案を持っておりません。ただ、一般国道のバイパス等の事業を現在上越を中心にいたしておるところでございますので、そういった交通状況、事業の進展等も一方では勘案をしながら、順序等、整備の進め方について考えねばならぬかなというような問題意識を持っておるものでございます。
  409. 清水勇

    清水分科員 もう一回、いまのことに関連して聞きたいのですけれども、たとえばお話のように関越道はなかなか困難な条件を抱えている。無論中央道関係も長野線をめぐって同様と言ってもいいと思いますが、ある程度途中までのルートというものがすでに明確になってきているということを想定しながら、六十年代の早い時期に何とか供用開始をしたいのだ、こう言われているわけですから、そうだとすれば、一つの仮説に立っての考え方なんですが、たとえば私が申し上げたように、須坂から上越にかけては、佐久から更埴にかけてよりも立地その他をめぐるさまざまな条件が仮によいとすれば、その部分を先行させるというようなことがあり得るのか、全くあり得ないのか、こういうことをちょっとお聞かせを願いたい。
  410. 山根孟

    ○山根政府委員 佐久から更埴と申しますか、中央道長野線に接続する区間と須坂から上越に至る区間のどちらを優先するのかという御指摘……
  411. 清水勇

    清水分科員 必ずしもそうじゃないんだが、一つの方法としてその方ができるだけ広範な住民に対する供用という点でベターじゃないか、こういうことを聞いているわけです。
  412. 山根孟

    ○山根政府委員 特にその点について私ども成案を持っておるわけではございません。しかし、整備計画をどのように策定するかということ、また高速自動車国道の完成の目標を一体どこに、どういうぐあいに置くかといったことと関連をさせまして、これはやはり十分慎重に考えなければならぬことであるというぐあいに考えております。
  413. 清水勇

    清水分科員 その点はわかりました。  そこで、実は二十日の建設員会局長は、さっき申し上げたように、佐久−上越間の整備計画を次回の国幹審にかけたい、その準備をしているというようなお話がございましたが、そこで聞きたいのは、このルートについて何か固まった検討案というものを持っておられるわけですか。
  414. 山根孟

    ○山根政府委員 まだ最終的な原案を持つ段階に至っておりません。
  415. 清水勇

    清水分科員 それでは、たとえば環境アセスメント、影響調査等はやっておられるのか、あるいはこれからという準備をされておられるのか。仮にこれからなんだとすれば、いつごろから開始をされるのか、その辺の腹づもりをひとつ聞かせていただきたい。
  416. 山根孟

    ○山根政府委員 路線の案をつくります場合には、とりわけ更埴に至る間と申しますか、佐久から長野線に接続する区間についてはどこで中央道と連接をするのか、こういうことが一つ、それから、それによりまして路線の位置等がある程度制約をされるということがございますので、そういった路線的な問題とあわせまして、それぞれそういったルートに関連をいたします生活環境、自然環境あるいは文化財、こういったこともあわせて調査をしながら最終的な原案を作成する、こういう段取りになろうかと思います。したがいまして、やや広い範囲で現在検討しているということでございます。
  417. 清水勇

    清水分科員 これから環境アセスメント等々をやりたい、こういうふうに理解していいわけですか。
  418. 山根孟

    ○山根政府委員 そういったことも含めて整備計画を御提案できるようないろいろな調査を現在進めさしていただいている、こういうことでございます。
  419. 清水勇

    清水分科員 次に、高速自動車国道の通過する市町村に対する助成金制度というものを発足させるという計画を仄聞いたしておりますが、今後十年間に約三百億、初年度である五十五年度は三十億という予算を計上しているというふうに承知をしております。  そこで、一つは、この趣旨は何か。と同時に、この制度はかねて関係自治体の間で固定資産税を賦課したい、こういう要求が出ていたわけでありますが、その見返りといった性格であるというふうに解していいのかどうか、伺いたいと思います。
  420. 山根孟

    ○山根政府委員 お答え申し上げます。  ただいま御指摘のありました、高速自動車国道が通過する市町村に対する税制上あるいは財政上の問題について、実は数年にわたっていろいろ議論をされたところでございますが、その解決を図るため、五十三年六月に有料道路負担問題検討委員会が設置をされまして、約一年に及ぶ検討の結果、五十四年の七月に結論が得られたものでございます。  この委員会の答申は、「高速自動車国道等の公共性及びその整備の現状を総合的に考慮すれば、これまでの取扱いを積極的に変えてまで、新たに高速自動車国道等に対して固定資産税等を課すこととすることには問題があると考えられるが、高速自動車国道等通過市町村においてその通過に起因して現に種々の財政需要が生じているのも事実であるので、その実態を考慮して、高速自動車国道等の通過市町村の特別の財政需要に対応するための措置を講ずべきである。」こういう答申の趣旨でございます。  この答申を受けまして、高速自動車国道等の通過に関連して必要となる、あらかじめメニュー化された交通安全施設、児童遊園、集会所、用排水施設等のうちから、各市町村が自主的に選択した施設に対して助成を行うこと、こういう考え方でございまして、ただいま先生申されました、高速自動車国道全体としては、整備計画区間五千四百十五キロメートルに対して約三百億円を来年度からおおむね十年間で助成しよう、こういうのが趣旨でございます。
  421. 清水勇

    清水分科員 そこで、いまの三百億、当面五十五年度三十億の配分をどうするかというのが一つの緊急な課題だと思いますが、お尋ねをしたいことは、すでに供用しているものを対象に限定して配分をするのか、建設中のものも対象にして市町村に配分をするのか、この点はどうですか。
  422. 山根孟

    ○山根政府委員 お答え申し上げます。  現在のところ、当面五十五年度につきましては、すでに供用をいたしております区間を重点に助成をいたそうという考え方を持っております。ただ、交付手続等具体的な内容については今後検討していくことになる、こういうことでございます。  ただ、先ほど申し上げました三百億円という金額につきましては、これから供用されるところ、あるいは建設中の区間も当然入っているわけでございます。
  423. 清水勇

    清水分科員 そこで、当然に、現に建設中のものであっても、地域が分断をされるとかあるいは関連施設の整備をしなければならぬなどという必要はあるわけですから、本来なら五十五年度分から配分してしかるべきものだと私は思うのです。その点と同時に、承ると、すでに配分案なるものがある程度準備をされている、こういうふうに聞いております。たとえば、長野県の関係で、中央道西宮線の通過市町村に対してどのくらい、また岡谷から豊科、須坂等にかけてどのくらい、こういったような計画、さらに関越道の関係でも佐久からというようなことなどで、大体の目安というものをすでに持っておられるのではないかというふうに承知をしておりますが、その点いかがですか。
  424. 山根孟

    ○山根政府委員 助成金の額につきまして、どういう考え方で考えてまいるか、こういうことにつきましては、先ほど御紹介申し上げました委員会におきましてもいろいろ議論があったところでございますし、また自治省の方々ともいろいろ打ち合わせをさしていただきまして、客観的な配分基準をつくらなければならないだろう、こういったことから、通過延長でございますとか、ある市町村の通過延長あるいは通過地域の特性、あるいはすでに供用されているところか、これから供用されるところか、こういった要素を勘案をした一つ考え方を持っております。したがいまして、そのことを基礎にいたしましていろいろおっしゃっているのではないか、こう考えておりますが、具体的な交付の内容、方法等についてはこれから具体的に詰めてまいりたい、こう考えておりますので、これからの課題でございまして、現在どこにどうというところまで計画は固まっているものではございません。
  425. 清水勇

    清水分科員 たとえば中央道西宮線関係で、長野県関係分だけを見ると四億二千万というような数字を聞かされていたり、いろいろ長野県関係についても最近のうちに御相談をなさって、一定の数字を検討されている、こういう情報もあるものですから承ったわけでありますから、この点あったら大体長野県関係で言えばどのくらいになるのかということを参考までに聞かしてもらいたい、こう思っているわけです。
  426. 山根孟

    ○山根政府委員 ただいま数字を持っておりませんし、また、現在のところ最終的な数字については成案を得ていないのではないかというぐあいに私は理解をしていることでございます。補足いたしますと、まだいろいろ事務的に試算をしている段階であるというふうに御理解をいただきたいと存じます。
  427. 清水勇

    清水分科員 次に、大臣もおいでになりますから、時間がなくなったものですから、簡潔に明瞭にお答えをいただければありがたいのですが、国道なり主要地方道なり、改良事業について基本的な立場をお聞きをしたい。  私は七九年の道路統計年報というものをここに持っているのですけれども、これは抜粋したものですけれども、たとえばこれで見ますと長野県関係の道路事情が実に劣悪なんですね。たとえば一般国道の全国平均改良率は八六・四%、ところが長野県の場合には七三%、実に一三・四%も落ち込んでいる。あるいは主要地方道についても六三・七%という数字。一般国道は全国四十三位であったり、主要地方道は三十四位である。また、県道自身も非常に劣悪で、全国水準で見ると三十五位という状況、一般国道の中には長野県を走っている国道に関してだけでも実に二万七千メートル以上交通不能という個所もある。私はこういうことを見た場合に、どうも国の道路行政というものは均衡、公平を欠いているのじゃないか、こういうふうに思いますが、この点今後どうしていくのか、どういうところへ重点を置いて改良事業を進めていくのか、この点をまず基本的にお聞きをしたい。
  428. 渡辺栄一

    渡辺国務大臣 ただいまちょっと数字をお話しになりましたが、私の承知しておりますことをちょっと申し上げます。  長野県内の県道以上の幹線道路の延長は五千二百八十六キロメートルというふうに承知をいたしておりますが、その改良率は五三%、決していいものではありません。幅員は五・五メートル未満で大型車のすれ違えない区間が五九%を占めておる。舗装率は全国水準を若干上回っておりまするが、改良率は非常に低いというふうに承知をいたしております。  御承知のとおりで、道路は農山漁村から都市に至るまで、全国にわたりまして私どもの国民生活あるいは経済活動を支えるものでございますが、また同時に、公益施設の収容空間あるいは防災空間などといたしまして多様な機能を果たすものであると承知をいたしております。その整備は、長野県のみではありませんが、日本は非常に最近よくなったと言われておりますけれども、実際は非常に自動車がふえまして、年々二百万台、このような情勢の中では、もちろん先進国に比べれば大変立ちおくれておりますが、同時に、必要に対処いたしましても非常におくれておりまして、私どももその対応に大変苦労をいたしておるところでありまして、今後ともその整備推進しなければならぬと思っておりますし、そのために必要である財源の確保についても御理解を得なければならぬと思っておるわけでございます。そういう意味で長野県の現状は、お話しのごとく全国に比べましてもどちらかと言えばおくれておる方であると率直に申し上げても過言ではないと思うのであります。  そこで、道路投資の配分ということになりますが、道路の整備水準あるいは交通情勢、地域の特性、事業緊急性というようなものを総合的に勘案いたしまして、計画的な整備が進められるように配慮しておるつもりでございますが、同時に、これは地方自治体の方針もございます。また、地方自治体の財政事情というものも影響してくるわけでございますから一概にまいりませんけれども建設省といたしましては全国的に均衡ある発展を図るように、また道路整備のバランスがとれるように進めるということにつきましては最大の配慮をいたしておるつもりでありまして、今後とも努力をいたしたいと考えております。
  429. 清水勇

    清水分科員 時間がなくなりましたので、最後にひとつ要望を交えて道路局長に申し上げますが、いまの大臣お話を承っていると、基本的に長野県の道路事情は悪い後進性を持っている。そこで、今後はそういうところへ重点的に予算の傾斜配分も考えていきたい、こういうことを言われるわけですから、これはぜひその基本方針にのっとって、具体的にお進めをいただきたい。  それから、昨年のこの分科会質問をして、国道十九号を初め幾つかの隘路の打開、交通渋滞の緩和のためのバイパスとか、バス停とか、長野市進行方向の車線についての一部二車線化、こういったようなことについてどうかという提案をしたところ、その方針について基本的には賛成だから鋭意具体的に段取りを進めるというふうなお答えがございましたが、努力をされていることは認められますが、なお遅々としてなかなか思うように進まない。そこで、基本的なことと、いま申し上げた具体的なことについてどういうふうに対応をされるか、これについてひとつお聞かせをいただき、私の質問を終わりたいと思います。
  430. 山根孟

    ○山根政府委員 お答え申し上げます。  第一の点でございますが、地域配分の考え方としましては、大臣お答え申し上げましたとおりでございまして、国道、一般都道府県道等の未改良率というものも地域配分の際の大きな一つの指標として使わしていただいているものでございます。  それから、やはり道路整備につきましては、昨年も先生から御指摘がございましたが、落石その他防災、震災あるいは歩道の整備といった交通の安全確保の問題、生活基盤の整備の問題、生活環境の改善あるいは国土の発展基盤の整備及び維持管理の充実、こういった五つの施策のもとに、五カ年計画に基づいてそれぞれ計画的に進めておるという基本的な考え方に立っておるわけでございます。  昨年、長野市に南から入ってくる部分の国道の混雑解消の問題が御提案がございました。私ども、その後鋭意努力を払っておりますが、必ずしも先生がおっしゃるところまでは進んでいないことも事実でございますが、バス停の設置その他、かなりそのお考えのもとにやっておりますが、まだ不十分でございますので、引き続きこういった事業促進を図りますとともに、主要な交差点の改良につきましては、地元協力を得まして、事業を進めてまいりたい、かように考えます。  犀川左岸の築堤計画お話、これに関連をして道路整備の問題が御提案がございました。これについては、河川管理者との調整問題その他いろいろ問題もございますので、今後さらに詰めてまいりたい、こういうふうに考えております。
  431. 清水勇

    清水分科員 どうぞよろしくひとつお願いいたします。ありがとうございました。
  432. 藤田義光

    藤田主査 以上で清水男君の質疑は終了いたしました。  次に、塩田晋君。
  433. 塩田晋

    塩田分科員 民社党の塩田晋です。  兵庫県東播地方の開発、交通網の整備等につきまして、建設大臣関係局長運輸省、国鉄の責任者の方々にお伺いいたします。  東播地方は播磨工業整備特別地域に指定されておるところでございまして、加古川の流域と東播の臨海部をもちまして一体的な経済圏として発展をしてきたところでございます。加古川という、南北に連なる水路、そして播磨灘の海上交通路、これを主体として一体的な経済圏として発展をしてまいりました。  ところで、最近のこの地域の状況を見ますと、東西の縦貫道、これは国道二号線を初めといたしまして、第二神明それから明姫幹線その他幹線道路が整備されてまいっております。また、山陽自動車道の建設計画されておるといったことで、東西の交通網はかなり整備されてきておるわけでございます。ところが、この東西縦貫道の整備に伴いまして、言うならばこの一体的な経済圏が東西に輪切りになっておるという状況があるわけでございまして、これに伴いまして、物も人も東へ東へと流れるといった状況が起こっておりまして、一体的な経済圏がだんだんと南北のパイプが詰まり、分割離反する傾向を見せておる。それはとりもなおさず南北の道路が東西縦貫道に伴わないというところに起こっている問題ではないかと思います。また、海岸地帯におきましても、臨海工業化の進展によりまして青松白砂が失われていくといった状況も起こっておりますし、都市化に伴いまして、北から南への通勤の問題が非常に大きな問題になっておるところでございます。先輩の議員もいままでにずいぶん御努力をされてきたところでございますが、こういった問題につきまして、以下御質問を申し上げたいと思います。  まず第一は、南北を通ずるいわゆる南北道路でございますが、国道あるいは主要県市道、これの改良、新設計画をお伺いいたします。
  434. 山根孟

    ○山根政府委員 この地域におきます南北の幹線といたしましては、国道百七十五号、それから三百十二号、その中間に県道小野−高砂線、県道高砂−北条線、こういった道路があるわけでございます。このうち百七十五号につきましては、三木市から西脇市に至る二十六・二キロメートルの直轄指定区間におきましては、南から三木バイパス、小野バイパス、社バイパス、滝野インター関連バイパス及び西脇バイパスの連続する五つのバイパスをすでに事業化をいたしておりまして、その整備を図っているところでございます。このうち滝野インター関連バイパスは五十四年五月、三木バイパスは五十四年十月にそれぞれ暫定二車線で供用いたしたところでございます。社バイパスにつきましては、現在用地買収及び工事を実施いたしておるところでございまして、用地買収について地元協力が得られるならば、五十六年度末、全線の暫定二車線供用を図るようにいたしたい、かように考えております。小野バイパス、西脇バイパスにつきましては、昭和五十四年度から用地買収に着手したところでございまして、地元協力を得まして引き続き事業推進を図りたい、かように考えております。  県道小野−高砂線でございますが、これに関連いたしまして小野市と高砂市を結ぶ主要地方道加古川−高砂線、同じく主要地方道の加古川−小野線、これがあるわけでございますが、現在のところ二車線で一応改良済み、こういうことになっております。現在このバイパス路線として加古川市域については都市計画街路尾上−小野線が決定されておりますが、小野市域の都市計画が未決定であるといったこと等もございましてその計画決定を待って今後具体的な検討をしてまいりたい、かように考えております。  次に、主要地方道高砂−北条線でございます。高砂市と加西市を結ぶ延長十九・四キロメートルの道路でございまして一応全線二車線で改良済みでございます。現在国鉄山陽本線の立体化の工事と加西市倉谷地区で線形改良を施行中のものでございまして、こういった観点から機能の向上を逐次図りつつあるという状況でございます。
  435. 塩田晋

    塩田分科員 百七十五号線につきましては小野地区、社地区、西脇地区にネックがあるようでございますし、その他の県道におきましてもネックになっておるところがございますので、こういったところは県を十分に指導されまして強力に推進をしていただきますことを強く要望いたします。  次に、中国縦貫道の加西インターチェンジの新設の問題でございますが、中国縦貫の宝塚と津山間におきましてはただ一つの市街地を貫通している中国縦貫道でございまして、ぜひともこのインターチェンジを新設してもらいたい、これの住民の要望も非常に強いものがございますし、また付近には労働省関係の施設で憩いの村、体育施設、教養、文化、休養施設、こういったものがございますし、また県立のフラワーセンター等がございます。人口の集積している地域でございますのでぜひともこのインターチェンジを設けていただきたいと思いますが、それは可能かどうかということ。そしてそれを可能にする要素は何かということ。そして建設費はこの種のものは大体どれぐらいかかるかということ、現在の価格で結構であります。それから、国土開発幹線自動車道建設審議会に手続上かける必要があるようでございますが、その開催の見通し、今後のこのインターチェンジ新設の見通しにつきましてお伺いいたします。
  436. 山根孟

    ○山根政府委員 インターチェンジの追加設置につきましては、新しくつくられるとするならばそのインターチェンジと既設のインターチェンジの間隔が一体どういうことになるであろうか、こういった問題、それから地域の利便性の向上効果、地域開発計画、採算性、こういった点を総合的に検討をして追加設置すべきか否かという原案を作成をいたすのが通例でございます。そして、その案がまとまりますならば、国土開発幹線自動車道建設審議会にお諮りをして、そこで御決定をいただく、こういう段取りになるわけでございます。加西市につきましてのインターチェンジの追加設置につきましては、地元の強い要望は十分承知しておるところでございまして、今後先ほど申し上げました種々の要素につきまして十分検討をしてまいりたい、かように考えております。建設費につきましては、地域の状況その他必ずしも一概には申せないわけでございまして、規模によっても違い、交通量によっても違いますから、余りここではっきりした数字を申し上げまして誤解を招いてもなりませんので、より検討が進んだ段階までひとつ御容赦をいただきたい、かように存じます。
  437. 塩田晋

    塩田分科員 ぜひともこのインターチェンジの新設を推進していただきますことを強く要望いたしまして次に移ります。  加古川流域別下水道整備のことでございますが、現状はどのようになっているか。全国水準から見てどのような段階にあるかということをお伺いいたします。そして、現在ある計画進捗状況、なかなか進んでいないと思われるのでございますが、その問題点は何か、今後どのように対策を進められるか、これについてお伺いいたします。
  438. 升本達夫

    升本政府委員 加古川流域下水道につきましては、昭和五十一年度着手をいたしておりまして、五十四年度までの間に五十億ほど事業費を投入いたしております。全事業費が八百五十億円でございますので、事業費で申しますとおおむね六%の進捗率になっております。現在まで処理場の用地取得を中心といたしまして事業を進めてまいりました。最近に至るまで若干話し合いが時間を要したようでございますが、最近に至りまして、取得用地につきまして話し合いがついたように伺っております。したがいまして、これからはかなり全般的に進行がはかどるのではないかというふうに期待をしております。管渠につきましては、今年度昭和五十四年度から着手をいたしております。したがいまして、今後とも引き続き促進をしてまいれる体制になりつつあると申せるかと思います。今後は処理場の未買収地を早期に取得をいたしまして処理場の建設に着手をいたしてまいりたい。おおむね今後は順調に進むところまで参ったのではないかというふうに聞いております。
  439. 塩田晋

    塩田分科員 この下水道整備状況というのは文化のバロメータと考えられますし、私自身も東京から帰りまして非常にその点がおくれているということを感じたわけでございます。他の人と話しましてもそのことを痛感しておるようでございます。上流につきましての処理場は大体位置も決まり、買収も終わっておるようでございまして、建設間際でございますが、下流の問題につきましては、これはまだ未決定のようでございますし、これにつきまして、早急に国といたしまして県に強力な指導また御援助を願いたいと思います。答弁、結構でございます。  次に、国鉄山陽本線に関する問題でございます。  最初に、西明石駅以西、姫路または網干間の列車の増発についてお尋ねします。これは現在通勤通学時に非常に混雑いたしておりまして、積み残しといいますか、乗り残しが大分出ておる。特に魚住駅におきましては、新設の高校、また近く一校が新設されるこういう問題もございますし、工場の進出、住宅地開発拡大に伴いまして非常に不便を感じておるところでございます。この問題につきましては、ぜひとも本年十月の列車時刻表の改正の際に組み込んでいただきたいと思うのでございますが、いかがでございますか。
  440. 有馬訓祥

    ○有馬説明員 御指摘の西明石から山陽線の下り側につきましては、午前中のラッシュの時間帯に二本の通勤列車で運転をいたしておりますが、混雑率が最近大変高くなっておりまして、しかも逐年高くなっておりまして、いま先生おっしゃいました新しい学校の設置、それから移転等も私どもとしては十分認識をいたしております。ただ、これを増発いたしますためには、車両の手配、要員の手配、こういうものが必要でございますので、ことしの十月に一応計画いたしておりますダイヤ改正の中で、何とかこの混雑率を低くするという方策につきまして現在検討の最中でございます。そういう方向で取り組んでおりますので、御理解願いたいと思います。
  441. 塩田晋

    塩田分科員 この問題につきましては、前向きの御答弁をいただきましてありがとうございます。ぜひとも実現をしていただきますよう要望いたします。  次に、高架化の問題でございますが、国鉄明石駅と山陽電鉄の明石駅の合体の問題で、国鉄明石駅は高架化されておりますが、山陽電鉄がまだされておりません。それの合体の問題と、これに伴いまして、山陽電鉄の連続立体高架化の問題並びにこれの現在の進捗状況、今後の見通し計画につきましてお伺いいたします。
  442. 升本達夫

    升本政府委員 山陽電鉄明石駅付近につきましては、御承知のとおり、山陽電鉄が道路と十八カ所にわたって平面交差いたしておりまして、交通量の増大による渋滞が大変に都市交通の阻害をいたしているという現状でございます。これに対処いたしますために、昭和四十九年度に連続立体交差事業を採択されまして、大蔵谷−林崎問約三・八キロメートルの区間にわたり事業を実施中でございます。総事業費は百八十四億円、このうち都市側負担の事業費が百五十四億でございまして、都市側負担分でございますが、昭和五十三年度までの実施額四億八千三百万円、昭和五十四年度に五億一千万円を実施する予定でございまして、合わせまして昭和五十四年度末までには総体の進捗率で申しまして約六%という状況になっております。この事業につきましては、大変重要な事業というふうに認識いたしておりまして、事業が早期に完成するように努力をいたしたい、こういうふうに考えておるところでございます。  今後の見通しというおただしでございましたが、現在認可をされております事業計画では、五十九年度をもって完了するという予定をいたしておりましたところ、若干のおくれ、一、二年の延伸はやむを得ないのではないかというふうに、現時点の進行状況で考えております。
  443. 塩田晋

    塩田分科員 この山陽電鉄の高架化の問題につきましては、ぜひとも早い時期にこれを完成していただきますよう強く要望いたします。特に最近藤江駅の東踏切でダンプと衝突いたしまして大惨事を起こしております。またその一週間後でございましたか、同じく江井ケ島駅の踏切でも事故を起こしておるという状況でございます。できればいま計画されておりますものをもう少し西の方に延長していただいて、林崎よりも西の藤江付近まで延ばしていただくことをひとつ御検討いただきたいということを要望いたしておきます。  次に、加古川市の国鉄加古川駅付近の高架の問題でございますが、駅舎が木造で、博物館的なものが残っておるわけでございます。そして引き込み線その他大きなヤードがありまして、これに跨線橋がかかっておるわけでございますが、この高架化につきまして、跨線橋をどうするかということ、そして加古川駅の改築につきまして計画をお聞かせいただきたいと思います。
  444. 升本達夫

    升本政府委員 おただしの加古川駅付近につきましては、地元の加古川市並びに兵庫県におきまして、駅を中心とした延長胞子八キロメートルの区間につきまして連続立体化の計画を持っております。建設省といたしましては、この計画につきまして、問題をさらに煮詰めますために、昭和五十五年度、来年度におきまして、兵庫県を事業主体といたします連続立体交差事業の調査を採択いたしたいと考えております。
  445. 塩田晋

    塩田分科員 この問題は、先ほど申し上げました南北交通をスムーズ化するという上に非常に効果があると思いますし、ぜひとも強力に進めていただくようお願い申し上げます。  次に、国鉄所有の用地の活用でございますが、加古川線の西脇駅に、日通が使っておりまして、いまあいているところがございます。こういったものを駐車場とか公共的なことに活用できないかという問題。それから東加古川駅の東に貨物駅の用地が確保されておりますが、どれぐらいの広さで、今後の利用計画、またテニス場を最近つくって貸し付けしておるようでございますが、こういった問題につきましてお伺いいたします。
  446. 高木一匡

    ○高木説明員 最初お話のございました西脇駅の貨物跡地の件でございますが、いま地元からの駐車場の件と先生おっしゃいましたが、その話は同様の趣旨で大阪の鉄道管理局も地元の市から伺っております。あの土地の利用計画につきましては、国鉄としても検討しましたが、将来とも使うという利用計画はいまのところございませんので、市に対して売却するという方向で処理したらどうかということでございます。地元からもう少し具体的な話が出ますれば、そのように地元に対処をさせたいと考えております。
  447. 草野一人

    ○草野説明員 東加古川駅にございます貨物ターミナルの建設予定地でございますけれども、これは加古川地区の貨物輸送の拠点といたしますために計画いたしたものでございますが、その後貨物の輸送需要が低迷いたしておりますために、現在当該地区におきます貨物扱いの駅の配置等、そういうものを総合的に含めまして、今後の利用計画を目下検討中でございます。また、その利用計画が確定いたしますまでの間につきましては、暫定的にテニスコートといたしまして、国鉄の関連事業収入の増大に努めてまいりたいと考えております。
  448. 塩田晋

    塩田分科員 国鉄の赤字線の整理がうわさされております。まだ発表されたわけではないと思いますが、新聞紙上等ではそのうわさが具体的に上がっております。新聞紙上に出ましたところでは、近畿地方で六線ほどありまして、そのうち三線がこの東播地区でございます。まだ発表になっていないということは承知いたしておりますが、三木線、北条線等の廃止につきましては、十分に特別の事情を考慮していただきたい。あの地域に団地が大きく広がって、いま進展しつつありますし、その通勤の問題、それから大規模年金保養基地が三木に建設されております。近くオープンされます。こういったことを考えますれば、むしろ廃止よりは、神戸電鉄との連結とかあるいは延長を考えるべきではないかと思いますが、この点についてお伺いをいたします。
  449. 橋本昌史

    ○橋本説明員 お答え申し上げます。  日本国有鉄道経営再建促進特別措置法案、国会に出させていただいておるわけでございますが、その法案におきまして、地方交通線のうちバスに転換することが適当な特定地方交通線の基準につきましては、法案によりましても政令で定めることとなっておりまして、今後政府部内で検討すると同時に、各方面の御意見を承りながら決めていくことにいたしております。  それで、いま先生お話ございましたように、各路線の輸送密度を基準にバス転換をするかどうかを決めるわけでございますが、たとえば最混雑時一時間当たりの輸送人員が千人以上の路線であるとか、あるいは並行道路が未整備路線等につきましては政令においてバス転換について配慮したいというふうに考えておりますので、機械的に現在二千人未満の路線についてはバス転換するというふうな新聞記事もございますが、単純に二千人未満だからといって切り捨てることは考えておりませんので、御了承願いたいと思います。
  450. 塩田晋

    塩田分科員 そのあたりの事情を十分考慮していただきたいと思います。  最後に、これは大臣並びに建設省局長にお伺いいたします。  明石、高砂の海岸の環境整備についてでございます。現在、この垂水−播磨町古宮間二十五キロございますが、東播海岸侵食対策事業建設省所管で行われております。この地域には運輸省あるいは農林水産省の関係の地域もあるわけでございますが、各省にまたがっておりますけれども、この地域一帯は昔は白砂青松の非常に風光明媚なところでございますし、また遠浅の非常に海水浴適地でございました。私たちも小さいときはここで泳いだものでございますが、これがいま大規模工場進出のために埋め立てされまして、ほとんど砂浜が失われております。護岸工事その他、非常になされてきておりますけれども、片や工場の進出に伴う護岸工事のために、白砂が失われていっておるという問題でございますが、これは景色の問題、あるいは海水浴場の問題でもあるわけですけれども、侵食を防ぐという防災の立場とともに、やはり失われていく海水浴場、この景色といったもの、尾上の松とか高砂の松とか、非常に名勝のところでございますが、こういったところを保全していくということも一つの大きなこれからの課題ではないか。また海洋国日本といたしまして、日本人の海に対する親しみというか、海で鍛えられるというか、海に常につかって体を鍛えるというそういった問題。そしてなお、日本人の心を取り戻すという意味で、精神開発といった面から青少年の健全育成とかあるいは勤労者の憩いの場といったものを確保するためにも、砂浜のある海岸を造成すべきではないかと思います。この点につきまして、技術問題もあろうかと思いますが、この問題にひとつこういった観点から意欲的に取り組んでいただきたいと思いますが、建設大臣から最後に御答弁をお願い申し上げます。
  451. 稲田裕

    稲田(裕)政府委員 全国的に海岸侵食の進んでおります地域につきましては、保全地域に指定いたしまして、海岸侵食事業等によって対応してまいっておるわけでございますけれども、先生御指摘のように埋め立て等により砂浜が減少している等々につきまして、砂浜を創設する等の仕事につきましても、海岸環境整備事業ということで、補助事業によって養浜事業等を一部進めておるところがあるわけでございます。  この東播海岸につきましては、三十六年以来建設大臣の直轄工事として高潮及び侵食対策事業を実施しておるわけでございますけれども、この侵食対策事業でやっておりますその施設の中で、離岸堤等の施設をこの地区につきましては現在もやっておりますし、今後も逐次計画をしてまいるわけでございますけれども、侵食対策とあわせて離岸堤等をやることによりまして砂浜が回復されまして、海水浴場としても適した海浜になるということが予想されるわけでございまして、なお今後ともに地元住民の海水浴に対する関心等も高いこと等にかんがみまして、海岸の利用との調和についても十分配慮して事業の実施を図ってまいりたい、かように思っておるわけでございます。
  452. 渡辺栄一

    渡辺国務大臣 ただいま河川局長申したとおりでございますが、十分実態に即しまして配慮をしてまいるようにいたしたいと思います。
  453. 塩田晋

    塩田分科員 ありがとうございました。
  454. 藤田義光

    藤田主査 以上で塩田晋君の質疑は終了いたしました。  次に、紺谷昭雄君の質疑を許します。細谷昭雄君。
  455. 細谷昭雄

    細谷(昭)分科員 現在多くの農民が妻子と別れ、年老いた老人を家郷に残しまして、それぞれ首都圏または京阪神に出かせぎという形で働いておるわけでございます。その多くは建設現場という職場でございますし、しかも多くの方々はいわゆる宿舎といいますか飯場、こういうところで生活を余儀なくされておるというのが現在の都市で見られる多くの現象でございます。私はここ十年、ちょうど十年になりましたけれども、毎年一月の末から二月にかけまして出かせぎの現場を回り、夜は宿舎を訪ねまして出かせぎの実態、こういったものを見てまいりましたし、今年も一月の十日過ぎから、きのうで大阪の現場大体一週間ばかり見まして、合計三十カ所ぐらいのそれぞれの現場を見て歩きましたし、労働者の皆さん方と話し合ってきたわけでございます。そういう立場から最初大臣にお尋ねをしたい、こう思います。  大臣はこれら建設労働者、とりわけ農民出身者がなぜに出かせぎという形で出かせぎに出なければならないのか、その原因そしてその人たちを大臣はどう評価されてと申しましょうか、どのように受けとめられておられるのか、この建設労働者並びに農民出かせぎ者に対する大臣の認識のほどをお聞かせ願いたい、こう思います。
  456. 渡辺栄一

    渡辺国務大臣 ただいま出かせぎのお話がございましたが、最近はだんだん減ってきておるようでございます。昭和四十六年ごろには出かせぎ農業者数は二十七万ぐらいあったようでございますが現在は十五万。そのうちで建設業への出かせぎ者の数は四十六年には十八万、現在は十万。建設業全体の就業者の数は五百四十万と言っておりますが、その中で建設関係の就業者が四百三万でございます。そのような実態でございますので、構成比としては大体二・五%ぐらいということになるわけでございますが、いずれにいたしましても、結局その地域によき収入を得る職場がないということも一つの大きな原因だと思っております。  そういうことでございまして、私ども建設工事を適正に施工するためには建設労働者が円滑に確保されることも必要でございますが、同時に現在のところは出かせぎ農民の存在というものは、この点から見まして、順次減ってはきておりますけれども、大きな役割りを担っておるというふうに認識いたしております。また、その出かせぎによります収入というものば農家の所得確保にも大きなパーセントを占めておるというふうに認識をしております。しかし、これは農家の皆さんにとって必ずしも望ましいことであるとは私は思っておりませんので、やはり居住地の近傍で就労の機会が得られ、適正な収入が得られるような政策を私どもとしては講じてまいる必要があるというふうに考えております。  そこで、今後の問題といたしましても、出かせぎ労働者につきましては特に就労経路の明確化と申しますか、あるいは適正な労働条件の維持あるいは安全就労の確保というようなことが必要でございますので、労働省とも緊密な連絡をとりながら今後一層出かせぎ労働者の福祉の向上を図るように努力をしてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  457. 細谷昭雄

    細谷(昭)分科員 出かせぎというものはわれわれとしても決してほめた現象でもありませんし、農業という正規の生業がありながら出かせぎに出ざるを得ないという現在の状況、これは非常に残念に思うわけでありますし、これは政治全体の中で私たちの責任において本当に真剣に取り組まなければならない、こういうふうに思うわけであります。ただ、現状としましてはこれを直ちに全部解消するわけにはいかないというところにいろいろな悩みがあるわけであります。一方、いま大臣からお話をお伺いしましても感じましたけれども、かなりの部面が建設関係、特に建設業界におきましてはこの労働力を必要とするという現状、これは否定できない現実だと思うわけであります。だとすれば、この必要労働力、しかも非常に貴重な、しかも社会的に言いますときわめて非人間的な生活を余儀なくされておるこの方々につきましては、とりわけ特段の配慮があってしかるべきだ。いままでもいろいろな面でこの点の配慮はいただいておるわけでありますけれども、なお一層この面につきまして——特に建設労働に従事しておる方々が大部分である。私たちの調査では七割以上が建設関係、あとの三割がそれぞれ二次産業、三次産業という形で工場ないしはサービス業ということになろうかと思うのです。  そこでお伺いしたいと思いますのは、「元請・下請関係合理化指導要綱」という大変ごりっぱな指導要綱が五十三年十一月三十日に建設省から出されまして、これが現在の出かせぎ者の皆さん方を含めて建設労働者に光を当てる、これが完全実施されますと建設労働者の労働条件や福祉がかなり向上することは間違いないわけでございます。そこで、この中身について三点について順次お尋ねをしたい、こう思います。  一つは、この眼目でありますいわゆる日本の建設業界のおくれた部面、これは何といいましても重層下請構造にあるというふうに私は思うわけであります。この重層下請または一括下請の禁止ということがはっきり二番目にうたってあるわけでありますけれども、まず、この一括下請の禁止については具体的に皆さん方がどこでそれを確認されておるのか、これが第一点。第二点は、そこにあります「不必要な重層下請」、これはどこからを指しておるのか。二次、三次、四次、私たちの見るところ四次下請まであるわけです。したがって皆さん方がここで言っておる「不必要な重層下請」というのはどこからを指すのか。三つ目は、下請の選定その他がきわめて具体的、きわめて厳格に指導されておることになっておるんですけれども、一体全体、下請された場合には届け出義務があるのか、もしないとすればその確認をどうやってやられておるのか。まずこの三点についてお知らせ願いたいと思います。
  458. 宮繁護

    宮繁政府委員 ただいまお話がございましたように、建設工事は普通の生産製造業等と違いまして各種の工事の組み合わせによりまして総合的に行われるものでございます。したがいまして、工事の内容とか規模によりましては下請による施工が不可避でございまして、これがまた建設業の特徴をなしておるものでございます。しかしながら、いまお話がございましたように、一括下請あるいは不必要な重層下請等が行われますと、工事の質の低下とかあるいはまた下請労働者の労働条件の悪化を招くおそれが十分ございます。そこで、先ほどお話がございましたように、指導要綱を策定いたしましてこの指導の徹底を図っておるところでございますけれども、一括下請につきましては、発注者の同意がございません場合は建設業法もこれを一般的に禁止いたしております。それでこういうことはほとんど行われないと思っております。問題は重層下請でございまして、不必要な下請でだんだん下に下がるに従いまして労働者の賃金が非常に安くなるというような点がございます。この点につきましては元請を十分指導いたしまして不必要な重層下請を避けるように、また下請業者がさらに重層下請をするような下請業者を元請が使わないような方法をとるように十分指導いたしております。しかし、その把握につきましては、いま御指摘がございましたように、元請がどの下請を使っておるかということを発注者側において必ずしも十分把握していないようなきらいもございます。こういう点につきましては今後も十分検討を続け、下請の弊害がないように、この防止対策が十分とられるように検討してまいりたいと思います。  なお、そういった下請業者との関連で不始末を起こすような元請につきましては指名からこれを外すというようなこともやりまして万全な措置をとってまいりたいと思います。
  459. 細谷昭雄

    細谷(昭)分科員 すると届け出の義務というのはありませんか。
  460. 宮繁護

    宮繁政府委員 たとえば建設省の工事で申し上げますと、そういう義務を元請に契約で義務づけておりません。ただ、いまお話しのように、この点につきましては中央建設審議会、中建審と申しておりますけれども、ここで標準的な請負契約約款の勧告が各発注機関に出されまして、それに基づきまして私どもは契約約款をつくっておるわけでございます。それで、この標準請負契約約款の勧告を受けましてかなり日時もたっておりますので、現在中建審においてその見直しが行われております。そういう場におきまして、いま御指摘の点非常に重要でございますので、ぜひ検討事項にも加えていただきまして対処してまいりたいと考えております。
  461. 細谷昭雄

    細谷(昭)分科員 よくわかりました。実は私は秋田県出身ですので、秋田県なんかではいわゆる公共事業の発注、県工事の場合、規則でもって届け出義務を課しておるわけです。問題は、届け出義務を課しておってさえも届け出ないということが、毎年議会の決算委員会その他でも指摘されておるわけです。問題は、こういうりっぱな指導要綱を出されましても全くこれは義務もない、単に守るべき指針みたいなものだ、これではしり抜けなんですよ。こういう重層下請の実態というのは皆様方はすでに御把握だと思います。実は、私自身も全国出稼組合連合会の副会長をやっておりますけれども、民間団体であるわれわれの出稼組合連合会にもたくさんの賃金不払いの訴え、ないしは労災事故、病死、こういったものが来ておるわけです。われわれ力がありませんけれども、及ばずながら諸般の対策に対して懸命に奔走しているわけでありますけれども、何と考えてもこういう要綱が具体的に実施されなければ、これは作文にすぎないです。いま中建審に諮りたいという気持ちもおありなようで結構だと思いますけれども、具体的にこういったものを単に労働省に任せない、皆さん方の指導されておる業界が使っているんですから、しかもきわめて劣悪な条件なんですよ。大変時間がなくて私も具体的な指摘をすることができなくてもどかしい感じもしますけれども、とにかくこれじゃしり抜けじゃないかというふうに私は思うわけです。  次に、下請代金の問題ですけれども、下請代金はこのように書いておりますね。たとえば「併用する場合であっても、少なくとも労務費相当分については、現金払とすること。」りっばなことなんですよ。ところが実際はどうかというと、私たちが点検しておる現場では、大手でさえも下請に対して手形決済でやっておりますよ。その実態、知っておりますか。
  462. 宮繁護

    宮繁政府委員 下請代金の支払いにつきましても、特に労賃等につきましては現金払いを励行するようにということで指導要綱に基づきまして指導いたしております。最近におきましては、これは一昨年の三月に調査したわけでございますけれども、現金のみによる支払いが約四七%、手形のみによる支払いが四%、現金と手形の併用が四九%というような結果になっております。  それで下請代金に占める手形の割合、逐次改善されてきておりますけれども、まだ問題は多うございます。また手形につきましても、手形を交付する場合の期間が長いものもございます。しかしこれも昭和四十九年の調査では、平均いたしまして約百六十日というようなものでございましたが、五十四年の調査におきましては百二十五日というふうに逐次改善は見られるところでございますけれども、今後もこの点につきまして一層の努力をいたし、強い指導をしてまいりたいと考えております。
  463. 細谷昭雄

    細谷(昭)分科員 恐らくこのパーセンテージは、かなり皆さん方の手の届く範囲の大手だと思うのです。大手でさえもとにかく四%という手形だけのところがあるということは、二次、三次の重層下請関係になりますと、四次ぐらいになりますとほとんど手形なんですよ。これはもう明らかに大手業者なりその次の一次下請なんかが大変むごいやり方をとっておるというように言わざるを得ないと思います。これが歯どめがないということ、私はこれを指摘したいと思うのです。  まず下請代金の問題が一つある。建設業協会を恐らく皆さん指導されておると思うのですね。やはり建設業界に対してはもっと道義的な責任を感じてもらわなくちゃいけないということ。さらには、この下請代金の手形決済によって何が起きるかというと、倒産が起きているわけです。その倒産というのは、いま中小業者は過当競争なんです。過当競争のために下請を群がって取るわけです。無理をするわけです。したがって優勝劣敗の原則で自然淘汰されてくる。ところが中小業者が倒れると何が困るかというと、そこに使われておる労働者が、ある朝起きてみたらおやじさんがおらなかった、全部不払いになるのですよ。一体これをどうしてくれるか。出稼連合会が皆さんにいろいろお願いをしまして、いわゆる賃金不払いの場合の立てかえ払い制度をやっておりますね。あれは重層下請の下部の方にはなかなかできない場合があるわけです。あの恩典を受けられない。こういった問題があるということを皆さん方ひとつしっかり把握していただきたい、早急にそういう対策を立ててもらいたい、こういうように思うわけです。  さらには雇用管理の指導の問題でございますけれども、大体建設業というのは公共事業が多いわけですね。ということは発注者が大体公的な立場にある国及び都道府県、市町村という地方自治体、こういったところが多いわけです。したがいまして、こういった建設労働者に対する福祉、福利厚生ということにはもっともっと力を入れてもらいたいと思うのです。その一つに健康診断があります。この健康診断は、皆さん方は労働省にお任せですか。
  464. 宮繁護

    宮繁政府委員 健康診断につきましては、現在常雇用の者につきましては労働安全衛生法でございますか、これに基づきまして義務的に健康診断を受けなければいけないようになっておりますけれども、いまお話しのような常雇いでない方につきましては、法的には実は義務づけられていないようでございます。しかし、私どもこの指導要綱の中でも、法的に義務づけられている場合はもちろんのこと、義務づけられておりません労働者につきましても健康診断を実施するようにということで、元請を通じまして下請を十分指導しておるところでございますし、今後とも労働省とも十分緊密な連絡をとりまして、これの実施について特段の努力をしてまいりたいと思っております。
  465. 細谷昭雄

    細谷(昭)分科員 これはぜひそういうようにお願いしたいと思うのです。  最後に、時間が非常に詰まって申しわけございませんけれども建設業附属寄宿舎規程の問題についてでございます。この点につきましては、私、少し提言をしたいと思うのです。  端的に言いまして、この寄宿舎というのは要するに飯場というふうに言った方が通りが早いと思うのです。この飯場が、皆さん方大変苦心されまして、このように昭和四十二年九月二十九日に規程をつくっていただきました。ところが、これはなかなか守られておらない、実態として。私は、きのう大阪労働基準監督局の局長さんその他の方方とお会いしまして、いろいろ実態について話し合いをしました。大阪の労働基準監督局は恐らく全国でも最もよくやっておられるところだと思うのです、これは監督につきまして。数少ない監督官の中に、物すごく広大に広がっております事業所の監督に可能な限り努力されておるという姿を目の当たりに見まして、大変頭の下がる思いをしてまいりました。しかしながら問題は、この建設業附属寄宿舎規程を建設省としましてぜひひとつ——今回の建築基準法のあれが事前の届け出になっているわけです、普通の建築の場合。寄宿舎の場合、最近このようになっておりまして、違法建築もまだ残念ながら五〇%台か六〇%台だと思うのです。しかしながら、漸次これが改善されておる、これは認めるのです。認めますが、いいものが出てきますと今度は仮設でなくて恒久的になっているんですよ。ですから建築基準法の中に入れて、ぜひ事前届け出制にできないのか、その点を検討できないのか。これは建築審議会にかける用意がありませんかどうかということ。  それから労働省の方もおいでになっておると思いますので、労働省の皆さんにはぜひひとつ今回提案されます労働安全法に——たとえばトンネルとかダムのああいう大変むずかしい工事については事前審査制を今回提案するわけです。あれと同じように、労働安全法の改正をされまして、この寄宿舎につきましても事前に届けさせるということを、ひとつ今度の労働安全審議会にかけるようなそういう検討をお願いできないか。建設省と労働省双方に、何とかひとつ人間らしい住居を労働者に与えていただくという意味で、ぜひひとつ検討願いたいと思うのです。この点について両省の御見解を承りたい、こう思います。
  466. 関口洋

    ○関口政府委員 先生のお話の寄宿舎を、仮設の寄宿舎という前提で御意見の提示があったもの、かように解釈いたしましてお答えさせていただきます。  仮設のものにつきましては、御案内のとおりに、その存続が工事期間内ということに限定されておりますし、その結果、大体構造がどこをとっても同じようなものだというようなところから、実は建築基準法上の取り扱いとしましては、法の八十五条第二項の規定によりまして、建築物の確認という事前審査手続は要らないということにさしていただいておるような次第でございます。  これを改正する意思がないかということでございますが、私ども、仮設建築物は寄宿舎のみならずほかのものにつきましても同じような取り扱いをしておりますので、全体との関係でいま慎重に検討をさしていただきたい、かように考えております。
  467. 岡部晃三

    ○岡部説明員 先生御指摘の事前審査の問題でございますが、現在労働基準法の九十六条の二におきまして、比較的大規模な付属寄宿舎につきましては、工事着工十四日前までに行政官庁に届け出なければならないというふうなことで、大きいものについては措置が一応あるわけでございます。これをすべての寄宿舎についてやれという御趣旨かと思いますが、この辺は基準審議会でそういう話を出してみたらどうかというふうな御趣旨でございます。  この辺は、御指摘のように、寄宿舎について監督をいたしますとまだ非常に違反率が高いという状況でございますので、私どもとしてもかねがね頭を痛めているところでございますが、今後の研究課題として引き続き検討させていただきたいというふうに存じます。
  468. 細谷昭雄

    細谷(昭)分科員 もう時間が終わりましてまことに恐れ入りますが、こういう論議を通じまして大臣にぜひひとつお願いしたいことは、建設労働者にももっと光を、そして温かい人間らしい生活を保障するためにも、ぜひ労働省だけにこういったものを任せないで、皆さん方がこういう実施指導要領をつくりましたので、具体的に実効の上がるような、空文化しない方途、これをひとつお考え願いたいと思うのですよ。そういう意味で、大臣から最後にその決意のほどをお聞きしたい。
  469. 渡辺栄一

    渡辺国務大臣 お答え申し上げます。  いま計画局長から具体的な改善策等につきましてはお答えをいたしたところでございますが、その実効を期するというような意味におきましてはなお今後努力を要するということは十分承知をいたしておるわけでございます。  なお、私は建設業の近代化ということをやかましく言っておりますけれども、その中で労務管理というものは私ども重視をしていかなければいかぬであろうと思っておりますので、特に出かせぎ建設関係の労働者の皆さんに対する福祉の向上ということにつきましては、全体の建設関係の労働者の問題も含めまして真剣にひとつ努力をいたしてまいりたい、かように考えております。
  470. 細谷昭雄

    細谷(昭)分科員 どうもありがとうございました。
  471. 藤田義光

    藤田主査 以上で細谷昭雄君の質疑は終了いたしました。  次に、木内良明君の質疑を許します。木内君。
  472. 木内良明

    木内分科員 都市中小河川改修の問題、特に神田川流域の問題についてお聞きします。  都市中小河川のいろいろな問題があるわけでありますけれども、こうした問題下の象徴的な地域と言える神田川におきまして、ここ数年の降雨時の浸水による被害の実態というものは、たとえば大規模なものだけを拾ってみても、昭和四十九年七月二十日に新宿区の戸塚では床上浸水四百二十六、床下浸水が百三十。昭和五十二年八月十九日の被害。さらに昭和五十三年四月六日春季集中豪では、新宿区高田馬場地区において床上侵水三百四十三戸、床下が百九十八戸、同じく西早稲田で床上三十戸、床下百二十一戸というぐあいに大変な被害に見舞われているわけであります。また、昨年五月十五日の集中豪雨の際には、この神田川沿いの高田地区を中心に、千百六十九戸が床上あるいは床下浸水の大きな被害を受けているわけであります。特にこのときは真夜中の午前三時が水位にして地面から一・五メートルというピーク時に当たっておりましたために、ほとんどの家庭が就寝中である。二階で寝ていたある地元住民の一人などは、あわてて階下に駆けおりて外へ出てみると、川が目の前であふれ出ようとする瞬間であり、その後、あっと言う間に水があふれて、雨水が濁流となって渦巻き、恐怖と不安のため生きた心地がしなかったということであります。特にこうしたときには、婦人あるいは小さな子供さんたちの不安というものは筆舌に尽くしがたいものがあるわけです。さらに、このときの水害の特徴として、これまで比較的被害の少なかった地域に大きな被害が出たとか、出水時間が深夜であったとか、水位の上昇が急激であったことなどから、家財を持ち出す暇もなく、生命の危険すら覚えるほどのひどさであったことなどが挙げられております。加えて、前年四月六日の水害に続いて二年連続であったこともあり、被災者の抱いている深刻な気持ちや、その後の雨期に向かっての恐怖と不安がつのるばかりである。いまなお強くその地域で尾を引いている、こういう状況であります。いわばこうした超高層ビルを見上げるような副都心の地にあって、全く年中行事化したかのような都市河川のはんらんによる被害、また住民の不安と戦慄の日々を思うとき、河川管理に当たっておられる大臣としてはどういうお気持ちないしはこの問題に対してどういう決意をお持ちになっておられるか、それをお聞きしたいと思います。
  473. 渡辺栄一

    渡辺国務大臣 後ほどまた具体的なことにつきましては局長から御説明を申し上げると思います。  私も都市河川改修ということにつきましての重要性は十分認識をいたしておるつもりでございます。最近順次予算等をふやしておりますけれども、五十五年度は、この厳しい行政機構の中でございますけれども都市河川課を設置いたしまして、積極的に取り組んでまいるという姿勢を持っていることをまず申し上げておきたいと思うわけでございます。特に近年におきます都市の急激な発展によりまして、都市河川の浸水被害が繰り返されております。都市河川の早急な整備の実施が必要であることは私もいたく感じておるところでございます。そういう意味では都市の発展と調和のとれました河川事業を実施するという観点から、第五次治水事業五カ年計画におきましても都市河川整備に重点を置いておりまして、五十五年度もそうでありますが、今後とも極力その推進を図ってまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  474. 木内良明

    木内分科員 大臣から大変前向きの意欲的な答弁をいただいたわけでありますけれども都市河川における治水対策というものを推進する上から、本日取り上げております神田川の問題は非常に象徴的だということが言えると思います。被害の実態については先ほどるる申し上げたとおりでございますけれども、どうか大臣、賢明な大臣として現場の住民の声をぜひ現場に足を運んでお聞きいただければというふうに思うわけですけれども、その辺のお気持ちをお聞かせいただけませんか。大変お忙しいとは思いますけれども都市河川における治水対策の長い歴史の中で大臣の名前もあるいは残るというふうに私は思っているわけです。ぜひ足を運んでいただきたいということをまず提案するわけですが、いかがでしょうか。前向きの答弁をひとつお願いします。
  475. 渡辺栄一

    渡辺国務大臣 私も就任以来御承知のような国会の日程でございまして、まだ現在計画的に具体的に日程を決めるという段階には参っておりませんが、しかし極力機会を得まして白鬚地区であるとか、私も現地に出れる限りは出たいと思っておるわけでございます。いま申しましたような都市河川については課を設置をし、積極的に重点的に進めたいとは思っておりますので、前向きに取り組んでまいりたい、かように考えております。
  476. 木内良明

    木内分科員 いま白髪というふうにおっしゃったと思いますけれども、神田川の方に実際視察においでになるようなお気持ちはいかがでしょうか。
  477. 渡辺栄一

    渡辺国務大臣 今後ひとつ前向きに取り組んでまいります。
  478. 木内良明

    木内分科員 一般的に都市部におけるこうした河川のはんらんはいろいろな原因が考えられると思うわけであります。  一つは、流域の市街化、宅地化あるいはまた市街、道路のコンクリート、アスファルト化によるもろもろの形態が派生しているわけでありますけれども河川のはんらんについて建般省としてはその原因をどのように考えておられるのか、お聞かせください。     〔主査退席兒玉主査代理着席
  479. 稲田裕

    稲田(裕)政府委員 都市河川の治水の問題点でございますけれども、市街化の非常に進展しております流域と申しますのは、水源地域におきまして市街化が進むということが一つ、それから在来低湿地のはんらん原であったところに家が建ち並んできたという、大きく言えば二つの流域の開発が相互に作用しまして被害を強めているというふうに言えるのじゃなかろうか、そのように認識しておるわけでございます。特に上流部の開発について申しますと、いま先生御指摘のように在来森林機能等で保水、遊水機能があったものが、宅地化されたり路面舗装等で流出が早くなる。ピークが大きくなり、しかも、流出が早くなって洪水の集中が一度に来るというふうなことで、下流のピーク流量を上げておるというのが一つでございます。  それとともに中下流部におきまして、在来は水田地帯等で、ある程度雨が降りましても保水、遊水機能があって、雨がやんでからも逐次流れ出してきたという地域に都市化が進みまして、その結果、そういう地域でも流出が早くなってきたという点、それからさらには、もっと低湿部の下流部におきまして、在来家の建っていなかったような低湿地帯におきましても家が建ったために被害の物件がふえてきたというための被害増というものが相まって、都市の水害を深刻にしておるというふうな事情にあると認識しておるわけでございます。
  480. 木内良明

    木内分科員 いま流量の問題がありましたけれども、たとえば神田川の改修計画の中で、昭和五年には、降った雨の四〇%が川に流れ込んで、その雨が隅田川に到達するまで五時間四十分を要すると予想されていたものが、開発が進んできて護岸整備が進んでまいりまして、四十五年には、雨水が地下に浸透することができずに八〇%も川に流れ込んで、流量がふえて、隅田川までの到達時間が二時間二十分になってしまった。こうしたことからも、降った雨がいかに大壷に、しかも短時間に河川に集中するようになったかがわかるわけでありますけれども、こうした流水所要時間の調査研究というものは体系的にいまどのように行われているか、その関連をお聞きします。
  481. 稲田裕

    稲田(裕)政府委員 いま御指摘のような河川の流域の変貌に伴う流出形態の変化というのは、都市河川を解明していく上には一番基本的な事項でございます。私の方では土木研究所にこの専門の研究室を設けておりまして、もうここ十数年この研究に取り組んでおります。特に石神井川の上流等をモデル地域といたしまして、雨なり流量なりの観測をいたしておるわけでございます。その結果、いま先生おっしゃるように、都市化の進展に伴いまして確かに雨の、集中時間と申しますが、集まってくる時間が短くなってきておる。それから、したがって洪水の到達時間も早くなってきておる。そういうふうに集中時間が早くなり到達時間が早くなることによって、降った雨がそのままピークをつくって下流の河道に流れ出してくるというふうな状況になるわけでございます。これは土地利用が低い時代におきましては、当然そういう保水、遊水機能を持った上流域で十分保水、遊水機能を果たしながら逐次流れ出してくるわけですが、市街化をしなければならない、特に都市周辺につきましては、市街化の進展に伴いまして非常に早くなってきておる。それらのデータにつきましては、いろいろなデータがもう集まっておりまして、解析の基礎資料がほぼ整っておるというふうな状況でございます。
  482. 木内良明

    木内分科員 河川はんらんの原因について先ほどもいろいろお答えいただいたわけでありますけれども、たとえばこの神田川にしても、この流域だけを取り上げて単純ないわゆる対症療法的措置のみによっては問題は一向に解決されないことはもう明らかであります。したがって、私は、河川改修計画の基本として、降雨量のみによる算出や施策だけではなく、河川沿岸広域にわたる将来の市街化あるいは土地開発、造成、またそれに伴う人口増加といった問題を具体的に想定した整合性のある総合計画のより一層細密な立案がどうしても必要になってくるというふうに考えるわけでありますけれども、この点いかがでしょうか。
  483. 稲田裕

    稲田(裕)政府委員 先生御指摘のとおりでございまして、流域の開発の著しい河川につきましては、現在すでに流域の開発河川改修のテンポというものはそごを来しておりまして、河川改修のおくれが目立っておる流域が多いわけでございます。特に、これからも開発のテンポが早いと予想される河川流域の河川改修につきましては、これは当然今後の流域発展を考慮に入れながら、治水対策を整合性を持ちながらやっていかなければならないというふうなことでございまして、現在、そういうふうに開発のテンポの早い地区につきましては、総合治水対策というふうに私ども呼んでおるわけでございますが、そういう対策の中で特定河川制度を設けまして、その流域につきましては将来の開発テンポに見合った河川改修を進める、と同時に、また、流域におきましても、河川改修に見合った開発並びに保水、遊水機能の確保と相まって整合性を図りながらやっていかなければならないというふうに考えておるわけでございます。  また、ただいま議論になっております神田川の流域等につきましては、これはすでに流域の中の市街化率という点から見ますと、百三平方キロの流域面積があるわけでございますが、一〇〇%市街化されておるというふうな流域でございます。人口等について見ましても、三十年にはこの流域に百五十万余りの人口でございましたが、五十年時点では約百九十万程度の人口が入っておるということで、今後もさらにまたこの流域につきましては人口増等が考えられるわけでございまして、これらの人口増なり都市の市街化の率なりを見ながら、流出の変化を予測しながら現在改修を進めておるわけでございます。神田川につきましては、現状の流域の開発程度におきまして三十ミリの時間雨量に対しまして一応安全な河道ができておるわけでございますけれども、それ以上の雨が降った場合には、一番初めに先生の御指摘にございましたようないろいろなはんらん事故を起こしておるというふうな状況にあるわけでございます。
  484. 木内良明

    木内分科員 いま将来の開発テンポに合った整合性ある治水計画という話が出たわけでございますけれども、神田川の流域における今後の具体的な人口増あるいは開発の問題、これは計数的にどのようにごらんになっておりますか。
  485. 稲田裕

    稲田(裕)政府委員 神田川につきましては、いま御説明申し上げましたように、市街化率という点で申し上げますとすでに一〇〇%市街化されたと私どもは見ておるわけでございまして、それで一〇〇%市街化された流域における流出というものは、現在試算ができておるわけでございます。その流量に対しまして将来整合性を持った河川改修を進めるということでございますが、当面神田川の目標といたしまして考えておりますのは、一般の中小河川並びに都市河川も同じでございますけれども、シビルミニマムといたしまして、時間雨量五十ミリ相当に安全にするというステップを刻みたいというふうに暫定目標を定めておるわけでございます。先ほども御説明いたしましたように、神田川は現在時間雨量三十ミリ程度ではできておるわけでございますけれども、次のステップを五十ミリというふうに踏んでおるわけでございまして、その五十ミリ対応につきましては、神田川はもうすでに一〇〇%市街化されておりますので、これら等を勘案しながら河道の対応をしてまいりたいというふうな計画になっておるわけでございます。
  486. 木内良明

    木内分科員 さらに河川はんらん、都市型鉄砲水の発生の原因として、いわゆる下水道整備と中小河川整備関連の問題が挙げられるわけであります。この下水道普及と河川改修の総合的計画というものが当然策定され、確立され、またこのプランに基づいた工事の実施というものが当然望まれるわけでありますけれども、この点についてはどういうふうになっておりますか。
  487. 稲田裕

    稲田(裕)政府委員 下水道で分担するのは、面的な都市の排水がございまして、それを受けまして私ども河川で安全に海まで流すというのが基本的なプリンシプルでございます。したがいまして、先生おっしゃいますように、下水道整備と下流河川整備が整合性を保つということが非常に重要なことでございまして、これにつきましては、五カ年計画の中におきましても進度の調整を図りながら関連河川改修を重点的に進めておるというふうな現状でございます。  しかしながら、一部の河川におきましては、特に大都市周辺でございますけれども河川整備下水道の進度におきまして若干格差のあるものが見られるという川もあるわけでございます。いま私申し上げましたように、シビルミニマムとして現在五十ミリ対応を暫定目標として鋭意整備を進めておるわけでございますが、下水道におきましても、雨水につきましては一応五十ミリ対応ということで基礎的には合っておるわけでございますけれども下水道整備が若干早くて河川がおくれておるというふうなケースもあるわけでございます。これらの河川につきましては、その整合性をとるべくできるだけ早く河川進捗を図ってまいりたいと思うわけでございますが、全般的には中小河川整備が五十一年の、今次五カ年計画の当初におきまして一四%の整備率でありまして、非常に低いわけでございます。それを五カ年末におきましては二〇%まで引き上げようという目標で、現在五十ミリ対応河川整備を進めておるわけでございますが、その中でも特に都市河川につきましては、五カ年計画当初の五十一年末におきましては二六%の整備率でございましたけれども、これを五十六年末には四四%まで引き上げるということを目途に、現在事業促進を鋭意図っておるというふうな状況でございます。
  488. 木内良明

    木内分科員 下水道整備に比べて河川整備がおくれておるということでありました。これはどの程度おくれておるのでしょう。
  489. 稲田裕

    稲田(裕)政府委員 全国的には地区地区によりましていろいろな個所がありまして、なおかつ下水道の普及につきましても見方がいろいろあろうかと思いますが、ただいま議論になっております神田川について申し上げますと、この地区におきまして、河川の場合は現在三三%程度の整備率になっておるわけでございますが、この流域における下水道の普及率は九五%ということで、この間に相当大きな格差があるわけでございます。
  490. 木内良明

    木内分科員 次に、先ほど局長の方から具体的に御説明がございました時間雨量の問題であります。神田川につきましては、現在三十ミリの時間雨量にしか耐えられないという状況でありますので、五十ミリの時間雨量に対応できるよう五十六年をめどに改修が進められているわけであります。この五十ミリという時間雨量を設定された根拠は何でしょうか。
  491. 稲田裕

    稲田(裕)政府委員 河川改修の規模というのは、河川そのものの規模あるいはその流域の開発の程度等々、それから一たん水害が起こった場合の被害の状況等を勘案しながら定めておるわけでございます。したがいまして、一級河川の大規模な河川につきましては、私どもの方ではおおむね百年から二百年に一度程度降るであろうというふうに目される雨を長期の目標として現在工事実施計画を定めておるわけでございますが、それらの一級の大きな河川につきましても、長期の目標はともかくといたしまして、暫定的な目標といたしまして、戦後最大降水程度を安全に流し得る規模ということをまず目標にいたしております。これは確率面で申し上げますと、大体三十年に一度程度降るであろうというふうに考えられる雨の規模でございます。これが一級の大規模な河川でやっておる改修の暫定的な当面の目標であります。  さらに、中小の河川につきましては、河川の重要度等に応じまして三十分の一から百分の一程度の安全度を長期の目標としては持っておるわけでございますけれども、当面の目標といたしまして、現在五十ミリというものを設定いたしておるわけでございます。この五十ミリの雨の規模と申しますのは、これは地区地区によって雨の降り方の強弱が日本の国内におきましてもいろいろあるわけでございまして一概には申し上げられませんが、五ないし十年に一度程度の雨の規模というのが平均的なその五十ミリの規模でございまして、これを当面のシビルミニマムとして暫定的な整備の目標といたしたという次第でございます。
  492. 木内良明

    木内分科員 最近における五十ミリ以上の降雨の例というのはどういったケースがありますでしょうか。
  493. 稲田裕

    稲田(裕)政府委員 いま申し上げましたように、五十ミリの時間雨量と申しましても、たとえば九州の地区におきましては、五十ミリの雨というのは……(木内分科員「神田川に限ってください」と呼ぶ)神田川につきましては、四十九、五十、五十四年と、先生おっしゃいましたように連年の降雨があったわけでございます。このときの最大時間雨量を申し上げますと、五十三年に四十一ミリという雨でございます。逐次申し上げますと、四十九年には三十五ミリ、五十年が三十一ミリ、五十二年が二十二ミリ、それから五十三年が四十一ミリ、五十四年の三月の降雨では三十五ミリというふうな状況でございます。
  494. 木内良明

    木内分科員 実はデータとして過去に一時的に七十一ミリも実際に降ったことがあるのですね。ところが、いま局長がおっしゃったのはそういうものを全部避けておるのですよ。ここで私が申し上げたいのは、五十ミリでは十分ではないということを指摘したいわけですよ。時間がありませんので、その点については触れません。いずれにしても五十ミリでは、いわゆる時間雨量の対応策では十分ではないということは、局長もよく、大臣もこれはお聞きになっていただいてわかると思います。  それでは、局長、この五十ミリ以上の雨量対策が五十六年までに完成した場合、どの程度の被害が減少するというふうにお考えでしょうか。
  495. 稲田裕

    稲田(裕)政府委員 先ほど説明しましたのは、最近の四十九年から五十四年の水害のときの雨の御説明を申し上げましたので、規模最大としては七十ミリ程度の雨もあったわけでございます。  それで、御質問のいまの五十ミリ対応の改修でございますが、現在行っております水道橋の分水路の工事だとか、高田馬場周辺の激特事業等々が大体五十七年で完了するわけでございます。  これらが完了しますとどの程度の水害減少というふうな、規模でございますが、その規模の表示の仕方がむずかしいわけでございますけれども、一番初めに先生が御指摘になられましたような四十九年から五十四年当時に起こった雨につきましては、ほぼ高田馬場周辺から下流部につきましてはこれは五十ミリ対応ができますので、安全に疎通できるというふうに考えておるわけでございます。
  496. 木内良明

    木内分科員 時間の関係でいろいろと議論できないのが非常に残念でありますけれども、いずれにしましても、こうした危険な河川流域の住民の方々は、いま私たちがここでこうして質問を行っている間にも、きょうあたりは大変いま天気が崩れておりまして、あした雨になるかもしれない、雨雲が広がってくると、そこでまた住民の方の不安も広がるということで、日夜深刻な思いにとらわれているわけでありまして、今後にわたっての意欲的な取り組みというものを強く要望するものでございます。  これは大臣に申し上げますが、五十ミリ対策ができたから、そこでもう一休みだということでは困るのです。やはり、ほぼ大丈夫だとは言うけれども、そのほぼじゃない部分の被害というものに住民は恐怖を抱いているわけですから、その点の対応もぜひよろしくお願いしたいと思うのです。  次に、運輸省にきょうは来ていただいておりますので、短時間でありますけれども、お聞きします。  都市高速鉄道十二号線、すなわち新宿新都心を起点として、青山、六本木、麻布、蔵前を経由して再び新宿に戻る環状部約二十五キロと、新宿より西落合、豊島園を経て高松町に至る放射部約十三キロから成る計画でありますけれども、新宿区、港区はもとより、関係区の住民から早期建設の要望が強く出されているわけであります。私もその意を体して強力に推進方の努力をしているわけであります。  首都圏交通網整備の全体計画におけるこの十二号線の意義、特にこれは、従来放射状の形態というものが多かったわけですけれども、初めて環状の十二号線というものが計画されている。この全体計画の中における十二号線の意義というものについておっしゃっていただきたいと思います。
  497. 松尾道彦

    ○松尾説明員 いま先生の御指摘のございますように、昭和四十七年の三月に都市交通審議会から答申をいただきまして、その中の路線一つでございまして、いま御指摘のようにいわゆる環状線でございまして、これにつきましては東京都心部におきます交通の結節という点で網的な性格が非常に強いというふうに考えておるわけでございます。
  498. 木内良明

    木内分科員 すでに都市高速鉄道十二号線の建設計画につきましては、御説明のとおり、昭和四十七年十二月二十四日に西新宿−高松町間三十八・九キロの申請がなされ、さらに昭和四十九年八月三十日に免許がおりているわけであります。しかしながら、西新宿−高松町間の放射部についての施工申請は、昭和五十年十二月十五日と昭和五十一年六月十四日の二回行っているにもかかわらず、いまだに着工されていない、あるいは具体的な進捗が見られない、こうした原因についてお聞かせください。
  499. 松尾道彦

    ○松尾説明員 いま先生の御指摘のございましたように、高松−練馬間の四・四キロにつきましてはすでに工事計画の認可申請が出ておりますが、その後、東京都の財政事情の悪化によりまして、東京都側の要望もこれあり、現在処分を保留している状態でございます。  運輸省といたしましては、十号線の延伸問題をいま東京都で進めておられますが、そういった見通し、あるいは今後の東京都の公営企業に対する財政再建の考え方、こういうものを勘案して促進してまいりたいと思っております。
  500. 木内良明

    木内分科員 時間がありませんが、これは実際いつごろをめどに完成見通しておられるのか、お聞きします。
  501. 松尾道彦

    ○松尾説明員 いま申し上げましたようなかっこうで、東京都の財政再建上の問題と密接に関連いたしておりますので、それが一つと、それから十号線の延伸問題が現に緊急的に整備されるというふうなことで予算措置の問題も出ておりますので、その辺の状況を勘案して検討する必要があろうかと思います。
  502. 木内良明

    木内分科員 ただいまの話を受け取ってするのですけれども、東京都との話し合いの頻度あるいは内容、形態はどういうふうになっておりますか。
  503. 松尾道彦

    ○松尾説明員 東京都につきましては、昨年の暮れもお話を伺っていますし、最近に至っても、十号線の工事計画の中身がいますでに出ておりますので、それとも絡んでわりあいに頻度多くお話を伺っております。
  504. 木内良明

    木内分科員 一日も早い実現を要望いたしまして、私の質問を終わります。
  505. 兒玉末男

    兒玉主査代理 以上で木内良明君の質疑は終了いたしました。  次に、中西績介君。
  506. 中西績介

    中西分科員 私は、一級河川の遠賀川の上流にある彦山川のパラペット問題について質問を申し上げたいと思います。  この質問を申し上げる前に、エネルギー庁の鉱害課の方から見えておると思いますので、先に、この地域における石炭鉱害はどのような状況になっておるのか、特にこの地域は、戦時中における、あるいは戦後における大型鉱害地区になっておるところでありまして、石炭の無計画な乱掘の被害が顕著に出ておるところでありますが、どういう状況になっておるのかを簡単に御説明いただきたいと存じます。
  507. 竹沢正格

    ○竹沢説明員 彦山川地区の鉱害状況でございますが、特にパラペット周辺部について申し上げますと、彦山川パラペット周辺部の三井鉱山株式会社田川炭鉱の採掘によります鉱害は、特に家屋につきましてはほぼこの処理が完了をいたしておりますが、農地につきましては先生御指摘のように相当量残存いたしておりまして、私ども通常大型鉱害地域というふうに申しておりますが、今後精力的に復旧促進を図る必要がある地域でございます。
  508. 中西績介

    中西分科員 大体その大型鉱害地区として指定されるような状況のところでありますけれども、一般的に言って陥落の度合いはどの程度かおつかみですか。
  509. 竹沢正格

    ○竹沢説明員 ほぼ二、三メーターでございます。
  510. 中西績介

    中西分科員 いま言われるように二メーターないし三メーター、激しいところでは五メーターくらいの陥落のあっているところなんですね。しかもこの地域は、大正の年間から以降昭和、特に戦時中の乱掘というのはものすごいものがありましたし、さらにまた、戦後経済復興に向けての採掘はわれわれが想像する以上のものがあった地域であります。したがって、この地域の鉱害復旧というのはどういう状況でいま進行しておるのか、この点についてお答えください。
  511. 竹沢正格

    ○竹沢説明員 お答え申し上げます。  彦山川地区の鉱害復旧の状況でございますが、家屋につきましては、彦山川の堤防周辺地区に存在いたしております約八百戸のうち、賠償義務の存在しております約六百戸につきましては、現在までにすでに金銭賠償あるいは特鉱復旧あるいは臨鉱復旧ということで処理が終わっております。農地につきましては、昭和四十五年に石炭鉱害事業団が復旧基本計画というのを策定いたしておりまして、それに基づきまして、鉱害面積としては二百二十ヘクタールあるわけでございますが、そのうち七十ヘクタールをすでに復旧済みでございます。  それから、同地区の彦山川の堤防につきましては、大正十二年ごろから昭和二十一年までの間に、ほとんど大部分は三井鉱山の田川炭鉱によりまして自己復旧がなされております。また一部につきましては、昭和二十八年から三十一年の間に臨鉱法による復旧が実施されております。したがいまして、堤防そのものについての鉱害処理というものは、私どもはすでに終わったものと考えております。  それから、付言いたしますと、パラペットがあるわけでございますが、これは昭和三十一年から四十七年にかけて建設省が設置されたものでございますが、田川炭鉱の採掘年次等から判断いたしまして、採掘による地盤沈下安定後に構築をされたものと思われます。したがいまして、パラペットに対する鉱害はないというのが私どもの判断でございます。
  512. 中西績介

    中西分科員 いま答弁がございましたように、堤防については一応三十一年ごろまでで終了し、しかもその後につくられたパラペットについては沈下後になされたという答弁であります。しかし、その後沈下がないと言うけれども、測定点か何かの設置をいたしまして継続調査なりをされておるのかどうか、この点はどうなんですか。
  513. 竹沢正格

    ○竹沢説明員 継続調査はいたしておりません。
  514. 中西績介

    中西分科員 継続調査をしておらないのに沈下がないということ、これは私、ちょっと解せないのですけれども、どうなんでしょう。
  515. 竹沢正格

    ○竹沢説明員 ただいまの御質問でございますが、鉱害現象というのが、従来のいろいろな経験値から、ほぼその鉱害による、いわゆる石炭採掘による影響でないという判断のもとに、調査をしてないということでございます。
  516. 中西績介

    中西分科員 この点はここだけでなしに他の地域におきましても、鉱害のあるところ、まだ企業が鉱害復旧をしなくてはならぬような地域におきましては、大抵そういう物の言い方をしているわけですね。そして、この地域もそれに該当して、依然として三井鉱山の有償鉱害復旧をしなきゃならぬ地域になっておるわけであります。あるところでは、ボーリングをした結果が全く石炭採掘の跡がないとかいろいろ言っております。私たちが経験しておるところでは、ある地域ではボーリングをした結果が鉄柱にぶち当たったとか、いろいろ例があるわけです。つい最近もこの下流の方で、私たちが手がけたところでも、ないと称し、しかも航空写真でもってなかった家が、あくまでも鉱害はないということを主張しておったにもかかわらず、実態としては鉱害発生を認めざるを得ないという状況等も出てきたわけですね。ですから、いま言われたように測定点なりの設定をしておらずに沈下がないということについては、私はなかなか納得がいきません。  加えまして、いま問題になっております地域の左岸の方から赤水が出ておる。この赤水というのは建設省の方あたりになかなかわかりにくいと思うのだけれども、湧水があるわけですね。しかもこれは堤防の基礎部分から出ておるということ等を考えれば一さらにまた、もう一つ加えますならば、現在三井鉱山がもう閉掘をしてあるにもかかわらず、地下水別毎日五千トン量ぐらいくみ上げをしておるわけですね。そうしますと、地下水は大きく移動をいたしますし、季節によっては相当の移動がなされると言われています。そういうことからいたしますと、この地下は依然として安定した状態にはない、こういうように見たいと私は思うのです。そうなれば必然的に鉱害というのは起こり得る可能性を持つわけでありますから、この点はどのように把握しておるのか。
  517. 竹沢正格

    ○竹沢説明員 お答え申し上げます。  御指摘の古洞からの赤水湧水でございますが、これにつきましては、赤水湧水のために家屋、農地に被害が出ておるという場合には、臨鉱法、臨時石炭鉱害復旧法に即しまして鉱害処理を図ってまいりたいというふうに考えております。  それからポンプアップに伴う地下水移動による鉱害という御質問でございますが、これは私どもの解釈としては、発生してはいないというふうに考えておるわけでございますが、仮に地下水の移動があるということで、その結果被害が今後出てきたという場合にどうするかという問題でございますが、これにつきましては、いわゆる鉱業法百九条に規定いたします鉱害、すなわち、鉱物の掘採のための土地の掘削、坑水もしくは廃水の放流、それから捨て石もしくは鉱滓の堆積、それから鉱煙の排出、この原因行為によって生じた鉱害ということには相ならぬのではないかというふうに考えております。したがいまして、当然のことながら臨鉱法の復旧対象にものってこないということでございます。
  518. 中西績介

    中西分科員 これについていま論争すると時間がございませんので、やめにしますけれども、臨鉱法にもこれがひっかからぬという言い方でありますが、この点は大変な疑問を私は持つものです。そしてしかも、いままで私たちが取り扱ってきたいろいろな鉱害についての認定などからいたしますと、いま通産省なりあるいは事業団なりがやっているこの点については、まだまだ多くの手落ちと、それから私に言わしむるならば欺瞞性があるので、この点についてはさらに後日、討論をしてみたいと思います。  そこで建設省の方にお伺いしますけれども、いま私が申し上げましたように、鉱害現象はいまもう落ちついて、沈下してないのだということを言っておりますけれども、私たちの見解からいたしますならば、ここには依然として鉱害があるということ、しかもそれは、測定点なり何なりをして科学的に調査もしておらないのに、ないと認定をしているわけですから、この点私は大変危惧を持っているし、問題があると思います。そういう意味で、この地域にはわざわざパラペットなるものを——大臣、この地域は、川があって、その堤防が道路になっていて、その下の方は、さっき申し上げたように深いところでは五メートル、それから二、三メートル、全部地盤沈下をしているところなんです。ですから、道路の下に屋根があるという状況等があるわけです。ですから、この地域に一応の堤防は三十一年ごろまで鉱害復旧としてやられておるわけですね。そして、その後パラペットが設置されたということを聞いておるのですけれども、いつごろどういう理由でこれがなされたのか、明らかにしてください。
  519. 稲田裕

    稲田(裕)政府委員 御質問の彦山川のパラペット堤防でございますが、彦山川は昭和二十八年に大洪水を受けまして、伊田地区を中心にしまして、非常に危険にさらされたわけでございます。それで、この地区につきまして、全体的な計画を立てまして、その堤防の補強、新設等を実施いたしておるわけでございますが、この当該地区のパラペット堤防というのは、昭和三十一年度から四十七年度までの間に実施いたしております。左岸につきましては、昭和三十一年度に大橋から番田橋の上流、清水樋門までの間、延長三百五十メーターに着手いたしまして、昭和三十二年度に完了し、引き続き三十三年度からはその上流を施工いたしまして、四十三年度からは下流を実施して、四十七年に左岸地区を完成いたしております。一方、右岸地区につきましては、三十七年度に成導寺橋から上流、延長百四十メーターに着手いたまして、以後三十八年度にはその上下流を施工し、昭和四十一年度に右岸地区を完成さしたという経緯がございます。  それで、このパラペットを採用した当時のいきさつでございますけれども先ほど申し上げましたように、伊田地区の河川改修を実施するに当たりまして、背後地が人家連櫓地区であって用地の取得に当時非常に困難な状況である。なおかつ、用地の取得に長期間を要するということであれば改修の速度もおくれるというふうなことも勘案いたしまして、市街地の改修方式としては、その場所によって用いられておりますパラペットの方式を採用したということでありまして、構造上も十分安全な構造を設計してつくったというような経緯があるわけでございます。
  520. 中西績介

    中西分科員 その範囲はこのように確認してよろしいですか。左岸地区は二千十メーター、それから右岸地区が千六百六十メーター。
  521. 稲田裕

    稲田(裕)政府委員 左岸につきましては、長浦橋から成導寺橋上流四百メーター地点まで、延長二千四十五メーターというふうになっております。右岸地区は大橋から経塚橋まで延長千六百五十メーターというふうになっておるわけであります。
  522. 中西績介

    中西分科員 したがって、大変広い範囲にわたっての二十八年時洪水によってこの地域が埋没をしたということもありまして、しかも先ほど申し上げますように、非常に堤防よりも低くなっているという状況等があるわけですね。したがって、これが今度はもし冠水をするということになりますと、その深さは私たちの想像できないような深さになる。こういう地域ですから、パラペットによってそれを防止する、こういう目的でいまされたということでありますけれども、そうなりますと、この点、三十一年から四十七年までかけてやっておりますけれども先ほど申し上げるように、鉱害地区でありますだけに、これがそのまま維持されておるのかどうか、この点についてお答えいただきたいと思います。
  523. 稲田裕

    稲田(裕)政府委員 当時三十一年から四十七年にかけて築造したわけでございますが、当然安全性につきましては、十分とって設計をいたして施工しておるものでございます。が、昭和五十一年の一月に先生おっしゃるようなこと等も地元は危惧いたしまして、パラペット堤防の安全性についての調査の要望が私どもの方にあったわけでございます。それを受けまして、私どもの方としても、この堤防につきましては、いろいろ竣工後も維持管理をしてまいっておるわけでございますけれども地元の要望もございましたので、直ちに調査を実施いたしまして、十二月に調査結果に基づきまして、その安全性について田川市にも説明したという経緯があるわけでございます。  また、昭和五十二年の九月にはパラペット個所に亀裂があって不安があるというので土堤防の改修要望が再度あったわけでございますので、これにつきましても再度調査を実施いたしました。そして亀裂等につきましても十分検討いたしましたが、これは施工の目地等によるものでございまして、堤防の安全性等については問題はないというふうに考えられたわけでございますが、念のために、昭和五十三年に至りまして、大学の専門教授に依頼いたしまして、この地区の堤防の強度等につきまして破壊調査を実施して、堤防の構造につきましても十分安全度があって耐え得るものであるということで結論をいただいておるわけでございます。また、この際の報告書の中に、護岸の一部の表面には若干の風化が見られるというふうな調査結果を得て、地元にも御説明した次第でございます。
  524. 中西績介

    中西分科員 いま説明されましたように、五十一年度ころから調査要求が出され、そして五十二年にパラペット、そしてさらに五十三年には専門教授をして破壊検査等がなされたようでありますけれども、その個所は何カ所ですか。
  525. 稲田裕

    稲田(裕)政府委員 パラペット堤防の破壊試験を行いましたのは左岸で一カ所、右岸で二カ所の三カ所でございます。この調査には当然地元の代表の方とかあるいは田川市の特別委員の先生方等等お立ち会い願って調査をいたしております。
  526. 中西績介

    中西分科員 いま私が確認をいたしましたように、距離からいたしましても二千四十五メーター、それから右岸の場合が千六百五十メーターという、大変長い間において右岸で二カ所、左岸で一カ所というきわめて少数な地域の検査になっておるわけでありますけれども、それで十分だという認識に立っておられますか。
  527. 稲田裕

    稲田(裕)政府委員 破壊試験の個所等につきましては、当然専門の先生方の御意見等に従ってやっておるわけでございます。なおかつ、試験そのものは破壊試験のみではございませんで、いろいろな地質なり土質の調査等につきましても、あわせて検討して出していただいた結論であるわけでございます。
  528. 中西績介

    中西分科員 往々にして、建設省関係について私はいままで余りタッチはいたしておりませんけれども、鉱害等についてこのように科学的調査と称していろいろやられるわけでありますけれども、これが先ほど申し上げましたように、いままでの経験からいたしますと、たびたび変更しなければならぬような状況等が出てくる可能性というのは相当あるわけです。と申しますのは、この地域はやはり依然としてそういうように不安定な状況に置かれておる。ですから、いまもし水をとめてしまえば、この地域は全部水浸しになってしまうと思うのです。ですから、水をどんどんくみ上げれば今度は沈下をするところなんです。その調整というのは非常にむずかしいところなんですよ。だからこそ、また小中炭鉱を全部つぶしてしまって、そのために生じた水が全部ビルド鉱に集中したために、ビルド鉱が今度は支え切れなくなって全部閉山するという状況になったわけです。それほどのところなんです。しかも、穴はどこにあるかわからないので、再びここは掘ることができない、こういうところなんです。そういう条件の中ですから、いま言われるように、だれが立ち会ったか知りませんけれども、一、二の人が立ち会ったようでありますが、こうして確認をし、安全性を認めたということのようでありますけれども、しかし、いずれにしても、これを見ますと、左岸の方は成導寺橋から上流の方に抜けまして、三十五年当時つくられたパラペット地域、それから右岸の方では経塚橋から新橋に至る間を補強なりするようになっておるのだと思いますが、この点は、なぜこういう地域を補強し、そしてまたパラペットについての補強をしていくのか、この点についてお答えをいただきたいと思います。
  529. 稲田裕

    稲田(裕)政府委員 先ほど説明しましたように、五十一年、五十二年、五十三年と調査をしてまいったわけでございます。その結果、パラペット自体につきましては、三十一年から施工いたしました高さにつきましては維持できておりまして、パラペットの高さそのものは沈下もしてないという結論を得ておるわけでございます。ただ、先ほど説明しましたように、堤体自身はやはり土でできておるわけでございます。その上に道路の併用もしておりますしパラペットも乗っておるわけでございますが、パラペットは沈下いたしておりませんが堤体自体の圧密というものが若干ある。これは堤体自身が締まってかたくなっておるのでございますけれども、そのために若干目地等につきまして切れると申しますか、食い違いができておるというふうな実態が判明いたしたわけでございます。これにつきましては、川裏の水路の改築、あるいは一部若干橋梁の取りつけ地点等でパラペットの不足している分につきましては継ぎ足しの補強というふうな補強工事を行ったわけでございます。  それから、先ほどの調査委員会の御報告にありましたように、一部、表の護岸で風化している。芳ケ谷の石を用いて護岸をつくっておるところでございますけれども、一部その石が風化しておるというふうな報告もありましたので、その芳ケ谷の石でつくっておる護岸につきましては、現在、五十四年度から三カ年でその護岸の補強工事をやっておるというふうな状況でございます。
  530. 中西績介

    中西分科員 いま言われておりますように、パラペットは安全だと言うけれども、実際に見られましたか。下の基礎になるところとパラペットとの間に空洞ができておるところがあるのですよ。それからさらにパラペットについても、全体的にオーバーフローするという可能性があるのでパラペットを設置したわけでありますから、そうなってまいりますと、パラペットが途中で、橋のところとかいろいろなところでうんと切れているところがたくさんありましたね。一時期それが指摘をされてある程度補強はされましたが、依然としてまだそれが残っている状況があるわけですね。ですから、いままだ水が当たらないからわからないのであって、実際に下の方が透けているということになれば、これは私は水がオーバーフローしてくれば一遍に倒れてしまうのではないかと思うのですけれども、この点どうですか。
  531. 稲田裕

    稲田(裕)政府委員 私は現地は見ておりませんが、写真等につきまして詳細に現地の報告を聞いておるわけでございます。  それで、パラペットの下が透けているというふうな御指摘でございますけれども、これは、私先ほど説明しましたように、堤体本体が若干圧密沈下したということで、パラペットは基礎ががっちりしておりますので堤体自身が圧密沈下して目地に若干のギャップができたというところで、これにつきましては補強工事を終わっておりますので転倒等の心配はないというふうに考えておるわけでございます。  それから、御指摘の橋との取りつけ部分でございますけれども、この部分につきましては、現在取りつけ工事が可能なところにつきましては取りつけを行っておるわけでございますけれども、まだ一部橋梁等の付帯工事が未進行のところがございます。その地点につきましては今後の対応で対処してまいりたいというふうに考えて射るわけでございます。
  532. 中西績介

    中西分科員 時間がなくなってまいりましたけれども、そういたしますと、現在補強工事をやっておるのはこの左岸、右岸の地域だけ、残る地域はまだ相当量になるわけですね。特に左岸地域におきましては成導寺橋からずっと下流側はほんの一部を補強するだけであって、そういう点、大変な残量があるわけでありますけれども、これは自後どういうふうに措置をされるのか、この点について……。
  533. 稲田裕

    稲田(裕)政府委員 現在、五十四年度から三カ年計画で補強いたしておりますのは、先ほど説明申し上げましたように芳ケ谷の石で積んだ個所でございまして、この石、若干風化が進んでおるということでやっておるわけでございますが、残余の護岸につきましては花崗岩ないしはコンクリートブロックで施工いたした個所でございます。したがいまして、この個所につきましては直ちに補強をするという考え方は持っておりません。が、護岸につきましては、一般的に、問題個所はないか等につきまして常時点検、巡視等をしておりますので、そういう巡視の中で問題個所等が発見されますれば、これは直ちにまた補修作業をやりたい、かように考えておるわけでございます。
  534. 中西績介

    中西分科員 最後に大臣、いま申し上げましたように、橋梁のある個所においては、もし増水をすればそこは超える可能性というのがあるわけですね。これがまず抜けている。もしそこから入るとなると、今度水は全然引くことができなくなっているわけですから、その地域は長い間停滞水を生ずるという状況にあるわけですね。そういう状況と、それから残余の部分、まだ大丈夫だというような言い方でありますけれども先ほど申し上げました赤水湧水が出ておるところもそういうところに入るわけなんですね。そこは全然検査はしてないのですね。ですから、そういうことから考え合わせてまいりますと、まだまだ多くの問題がこの中には残っておる。したがって、将来これは十分検討の課題になる素地が彫りますだけに、検査なり、あるいはこれから後の残余の部分については補強工事なりをしていくということをこれから検討し、そして回答していただきたいと思います。
  535. 渡辺栄一

    渡辺国務大臣 河川局長も十分理解をしておると思いますので、必要がありますればさらに検討させるようにいたしたいと思います。
  536. 中西績介

    中西分科員 終わります。
  537. 兒玉末男

    兒玉主査代理 以上で中西績介君の質疑は終了いたしました。  次に、中林佳子君。
  538. 中林佳子

    中林分科員 私は、一級河川江の川の問題でいろいろお伺いしたいことがあります。  御承知のように、一級河川江の川は、広島県の阿佐山、これは広島県と島根県の県境になるわけですが、そこに源を発して、広島県の三次市を通って中国山脈を越え、島根県側の邑智郡を経て江津市に至り日本海に注ぐ、中国地方最大の河川でございます。これは古くから農業用水あるいは漁業、特にアユ漁ですけれども、それに利用されてきましたし、今日では発電にあるいは工業用水に、そして上水にと利用されるという状況で、住民の暮らしと非常に深く結びついている河川なわけです。それだけにこの河川の管理は非常に大切だと私は思うわけです。特に、その下流の江津市民の水源となっているだけに水質の問題がきわめて重大な問題だと私思います。ところが、昭和五十三年夏、この江の川流域は渇水に見舞われて、江の川から取水している松平簡易水道、これは取水井の深さが十五メートル、給水人口が九百八十人の簡易水道ですが、この年の九月から塩素イオンの濃度が非常に高くなりまして、十一月には飲用水の基準二〇OPPmをはるかに上回る三二OPPmにも達しております。そのために、この水源地から十五メートル上流の地点へ仮設の浅井戸、深さ七メートルにしたわけですが、それを掘削して、五十四年一月二十二日からその仮設の取水井から給水している状況です。また、江津市に山陽国策パルプという工場がございますが、この工場の工業用水、これもこの江の川から取水しております。この取水口においても、ここに資料、データを持ってきているわけですが、塩素イオンの濃度が昭和五十三年には二三五PPmという非常に高い濃度を示しております。江津市の市民は、この山陽国策パルプの工業用水から上水を分水されているわけなんです。また農業用水も、この江の川の右岸、左岸ともここから用水として利用しておりまして、この昭和五十三年には塩分濃度が非常に高かったために稲が枯れるなどの被害が出ております。こういう状況の中で江津市民は、いつ基準を上回るような飲用水を飲むのか、あるいはまたそういう稲が枯れるような状況が起きないかということで、大変不安を抱いているわけです。  そこでお尋ねするわけですけれども建設省は江の川の塩水遡上の実態の調査、たとえば河口から何キロメートルぐらいは遡上しているとかあるいは濃度がどうなっているかとか、そういう調査をされたことがあるのかどうか、まずお伺いします。
  539. 稲田裕

    稲田(裕)政府委員 お尋ねの江の川の下流の塩分の調査でございますが、建設省では昭和四十八年から定期的に江の川下流部の川平地点で塩分濃度の調査を実施いたしております。その結果によりますと、昭和四十八年から五十四年までの七カ年の川平地点の塩分濃度の最大値は、昭和五十年四月に五二PPmであったわけでございまして、ほかの年はこれ以下であるわけでございます。御指摘の昭和五十三年でございますが、五十三年は異常な江の川の渇水でございます。それで、河川の流水の塩分濃度では、私どもの観測値では特に異常値は認められなくて、塩分濃度の最大値は三六PPmでございまして、特に過去のデータに比べまして大きかったというデータにはなっておらないわけでございますが、この江の川の下流の塩分の調査につきましては、河川管理者といたしまして今後とも河川水の塩分濃度、流量等の調査は継続していく考え方でおるわけでございます。
  540. 中林佳子

    中林分科員 川平地区で調査をしているというお話でしたが、それは一地点だけで、しかもどういう調査になっているわけですか。
  541. 稲田裕

    稲田(裕)政府委員 私の方では、この下流地域では川平地点の一地点でございます。それで、塩分濃度につきましては採取して調査をいたしておるわけでございますが、ただいま申し上げました資料は表層の濃度でございます。
  542. 中林佳子

    中林分科員 山陽国策パルプの取水口から上流二キロメートルのところを水源予定地としている広域水道の計画があるのは御承知だと思いますが、昭和五十五年開始して五十九年に完成するということで、江津市、温泉津町、仁摩町、大田市の二市二町へ供給する大事業になるわけです。財政的にも莫大な予算を必要とするわけですが、そういういまあるところでも塩分濃度が非常に高いときがあったわけです。それからわずか二キロの地点で二市二町の広域水道の計画がある。こういうところで、本当に二キロ上流にそういう広域水道の事業を始めて投資しても十分足り得るだけのものがあるのかどうか。そういうことをその以前にちゃんともっとしっかりと調査をしていくべきだと私は思うわけですけれども、いまのお話では、その川平地区の流れている上層の辺のところだけ調べている。それでは最高が三〇から五〇くらいで二〇〇以下だから大丈夫だ、このようにおっしゃっているわけですが、実際に取っている取水口、簡易水道でも御承知のように河床からもっと下に井戸を掘ってそれから取水しているわけですね。ですからそういう意味では、上層部だけを調査したのでは私は非常に不十分だ、このように思うわけですが、今後調査を継続するとおっしゃったわけですが、どのようなもっと十分な調査をされるのかどうか、その点お答え願いたいと思います。
  543. 稲田裕

    稲田(裕)政府委員 ただいま先生からお話しの広域水道の取水口の話でございますが、私まだその話は聞いておりません。現在、江津市の水道と山陽国策パルプと松平簡易水道、三つがすでに取水しておるというふうな現況でございます。  それで、私どもの塩分調査でございますけれども、これは河川管理者として河川管理上の基礎データを得るという目的で、現在全国の河川で、塩分のみならずいろいろな水質関係の調査を実施いたしておるわけでございます。それで御指摘のように、でき得べくんばその塩分につきましてもいろいろ精密な調査というのが望ましいわけでございますが、全国的な平均的な調査として、現在江津地区につきましても表層につきまして調査を進めておるわけでございますが、今後、調査の密度等につきましては全国的なネットワークの中で考えてまいりたいというふうに思うわけでございます。  これから広域水道の計画があるというふうなお話でございますけれども、広域水道がどういう計画で私の方に上がってくるのか、これから上がってくるとすれば、その水道管理者の方でも当然その辺の実態等につきましては十分検討の上私の方へ上げてくるものというふうに思うわけでございますが、私の方でも、上がってきた段階では、取水につきましては十分安全性を確保しながら許認可をしていくというふうな在来の方針でございますので、その辺のチェックはいたしたい、かように考えるわけでございます。
  544. 中林佳子

    中林分科員 これはもう明らかに広域水道の計画は出ていますし、島根県側から国に対する要望書、いま持ち合わせないですけれども、その中にもはっきりとした要望となっております。ただ、建設省サイドにまだ上がっていないということになればこれからだと思いますけれども、そういう町計画をもう十分煮詰めておりますし、現在でも、山陽国策パルプの工業用水あるいは江津市の上水道、そして松平簡易水道、これだけの水を使っているわけですね。ですから、そういう塩分が基準を超えたという事実があるし、それからたびたびこの塩水遡上については調査してくれという陳情が出されているにもかかわらず、一般一級河川管理と同じような調査を進める、こういうことは私はきわめて不十分な対応だと言わざるを得ないわけですね。  特にこれがきわめて不十分だということは、私、大臣にぜひ聞いていただきたいのですが、この塩水遡上の問題は、実は江の川上流、広島県側に土師ダムが建設される計画のときから心配されていたことなんです。この土師ダムの建設は、昭和四十一年四月から調査が開始されて四十九年三月に完成しているわけですが、学者もこの土師ダムを建設するときにいろいろ意見を出しております。そこで昭和四十四年、ダム法に基づいて島根県知事が県議会の決議を経て、土師ダム建設に伴う分水のための条件と重点要望として建設省に「土師ダムの建設に関する基本計画(案)に対する意見について」を出し、建設省昭和四十四年十一月二十九日、事務次官が回答しているわけです。ここに回答書も持ってきておりますが、それによりますと、「御要望の趣旨に沿うよう誠意をもって対処する所存であります。」こういう回答になっているわけですね。ですから、本来ならば昭和四十九年からでも調査をし、この塩水遡上対策を立てるべきであったと思うわけなんです。それがもうすでにかなりの年数がたち、もう実質上塩分濃度が基準を超えているにもかかわらず、しかも建設省が責任ある約束をしておきながら、調査も対策もしていないということは私はまことに無責任きわまりないと思うわけです。しかもなおかつ、一般河川管理と同じような調査しかしないということは、私まことに遺憾に思うわけです。  大臣はこのことについてどのようにお考えなのか、お伺いしたいと思います。
  545. 渡辺栄一

    渡辺国務大臣 建設省としましては、この土師ダム基本計画作成の際の島根県の要望につきましては、江の川流域の地域開発の観点から十分検討して対処してきておるように私は承っておるわけでありますが、島根県から要望のありました重点事業につきましては、治水利水対策としての八戸ダムの建設、また道路整備事業としての国道九号線の改良、これらを初めといたしまして大部分は完了しておるというふうに私は聞いております。しかし、今後とも、江の川の治水利水等につきましては、関係者の要望等もあるということでございまするので、これを十分お聞きをいたしまして、さらにまた調査を行った上で十分な対処をしてまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  546. 中林佳子

    中林分科員 大臣は、島根県側が出した要望事項がほぼ完了しているというようなお話でしたけれども、それはまだ十分見ていただいてないんではないかというふうに私思うわけなんです。ここにありますが、島根県側は「江の川下流部においては、塩害、河口閉塞、河床低下、汚濁等に現に不安があるので、流水の正常な機能の維持について、十分調査し、適切な措置を講じられたい。」ということをちゃんと言っているわけですね。これは県議会一致して決議もして建設省の方に上げていることなんです。それに対して「誠意をもって対処する」という事務次官の回答も得ているということですが、塩害が実際起こっているわけなんです。ですから、土師ダムができたためにこういう事態が起こったと短絡的に結論はつけられないと私は思いますけれども、調査そのものはどうしても必要であると思うわけです。  先ほどお見せしました山陽国策パルプのデータを見ていただくとわかりますけれども、大体ダムで水をため出してからの塩素イオンの濃度というのが高い位置を示しているわけですね。昭和三十六年当時は大体三〇ppmだったのですね。取水口の濃度が。それが昭和四十二年に四〇ppm、四十六年七Oppmで、四十八年で一度二〇〇ppmを記録して、四十九年五月土師ダム貯水開始のとき一五〇ppm、五十一年に一〇〇ppmに少し下がり、そして五十二年には二二五ppmと基準を上回っているということなんです。五十四年、河床のかきまぜなどして九〇から一〇〇ppmに保っておりますけれども、三十六年当時から比べれば三倍から四倍の濃度になっているわけなんです。昭和四十四年に、金沢経済大学の経済開発研究所の所長、学長でもあるわけですが、吉岡金市先生の「江の川上流のダムが河口に及ぼす影響」という報告書を出しているわけですが、これでは塩水遡上のおそれがあることを科学的に明らかにしているわけなんです。  ですから、短絡的にその土師ダムの分水によって塩水が遡上したのだ、こう言い切る根拠はまだないと私は思います。ですけれども、そういう影響があるのかどうか、あるいは渇水時にはどの程度上ってくるのかどうか、そういうことを十分に調査をすることが、事務次官回答の「誠意をもって対処する」という姿勢になるのではないかと思うわけです。それがやはり周辺住民の不安にこたえていく政府の対応の仕方ではないかと思いますが、大臣、重ねてその点をお伺いします。
  547. 渡辺栄一

    渡辺国務大臣 ただいまいろいろお話がございましたが、いままでの経緯にかんがみまして、関係者の要望等を十分お聞きをいたしまして、十分な調査を行ってこれが対応に当たりたい、かように考えておるわけでございます。
  548. 中林佳子

    中林分科員 これはもう周辺住民の強い要求でありますし、飲み水にかかわる重大な問題ですし、広域水道も計画されて投資効果が十分発揮できるようにするためにも、ぜひいまの御回答を守っていただきたい、このように思います。  次に、この江の川の治水対策の問題に移らせていただきます。  この江の川は昭和十八年、昭和二十九年、昭和三十六年、昭和四十六年、昭和四十七年と、水害のきわめてよく起こる川となっているわけです。ですから、治水対策は流域周辺住民の最も強い願いとなっております。特に昭和四十七年の水害の痛手はいまだに回復されておりません。災害復旧工事は一応終わったと、このように言われているわけですが、地元の人たちはまだ終わったとは思っておりません。確かに、昭和四十七年災害で水没したところ、あるいは川の堤防が決壊したところは城壁のようにコンクリートで非常にがんじょうに復旧されているわけですが、しかし、それだけに、たとえば三次など城壁で固められたような状態になっている、いままでは遊水地帯であったところがそういうぐあいになって、もしも四十七年のような大雨が降れば、まだ治水、河川改修がきちっと行われていない下流部分、こういうところにはもう物すごい被害が起こるのではないか、こういう非常な不安があるわけです。たとえば桜江町、ここは四十七年災のときに水没したところなんですが、川戸という地区は城壁のような堤防が築かれてい、それから町もかさ上げされているわけですが、その反対側の谷住郷というところは、これは水没しながかった地帯ということでいまだにそのままの状態なんです。そうすると、今度雨が降れば、対岸の川戸地区は大丈夫だろうけれども、今度はこちらの谷住郷の地区というのは水没を免れない、私はそのように思うわけです。  そこで、江の川の下流の周辺の自治体からこのような陳情書が出ておりまして、それぞれ要求項目が出ているわけです。特に下流部の方が治水対策が非常におくれているということで、たとえば江津市の場合は、上江川橋を早期にかけかえてほしいということ、それから河口部の両護岸を早く築堤してほしいということ、それから桜江町内では、江の川右岸の先ほど言いました谷住郷の築堤の工事を早くやってほしいということ、それから川本町、だんだん上流に行くわけですが、これは因原地区並びに三島地区上流から玉繰川千百メートル及び木谷地区築堤工事の早期実現をと、それから邑智町内に行きますと、ここも城壁でかなり固められておりますが、災害助成事業完成した堤防内の内水排除施設の設置を早くしてほしい。要するに、今度は、たまったけれども中は海みたいになって外に出ない、こういう状況が新たに生まれているわけなんです。  ですから、こういういままでも何度も水害に見舞われた地区で、それが非常に多額なお金をかけて復旧工事が進んでおりながら治水事業そのものが非常におくれている、また新たな災害を起こすのではないか、こういう不安があるわけですが、これの治水対策事業の進め方、こうした下流地域の自治体の要望にどのようにお答えになるのか、その点お伺いします。
  549. 稲田裕

    稲田(裕)政府委員 ただいまの御質問でございますが、江の川の下流の改善につきましては、四十七年の大出水にかんがみまして、四十八年三月に基本的な計画を定めたわけでございます。その後、工事実施基本計画に基づきまして逐次直轄の区間を延長してまいっておりまして、大体島根県の管内につきましては、本川は直轄区域に編入いたしまして工事の促進に努めておるところでございます。  それで、ただいま先生お読みになりました地区等がございますわけですが、本年度につきましては、現在、都賀行地区、これは大和村でございます。それから因原地区、三島地区、川本町でございます。それから、下ノ原、谷住郷地区、これは桜江町でございます。それから、郷田地区、これは江津市でございます。これらを重点的に現在改修促進いたしておるわけでございます。もちろん、先生御存じのように、災害が起こりましたら施設の災害復旧を行うと同時に災害助成事業ということで、川本地区等につきましては、その一部改良工事を含めた災害復旧工事を実施したわけでございますが、本質的にはこの直轄改修事業で逐次安全度を上げていかなければならないということでございまして、現在、この江の川につきましては、五十四年度では下流の改修事業費として十四億八千万円を入れまして、逐次この改修を進めてまいっておるわけでございまして、現段階では、その未改修の地区の築堤護岸等の工事を優先して実施するという方針のもとに現在やっておるわけでございまして、築堤の完了区域の内水の排除、先ほど先生のおっしゃったポンプでございますけれども、内水排除対策につきましては、これらの未改修地区の築堤護岸の工事の進捗を待ってから検討いたしてまいりたい、かような方針で現在築堤工事等の促進を図っておるというふうな状況でございます。
  550. 中林佳子

    中林分科員 未改修のところの築堤工事の完成を待って内水排除はするのだ、端的に言えばそのような御答弁だったように伺うわけですが、その未改修のところが完成するのは大体いつごろの予定ですか。
  551. 稲田裕

    稲田(裕)政府委員 現在、私ども、直轄のこういう一級河川につきましては、当面の目標といたしまして、戦後最大洪水に対応できるだけの治水施設をできるだけ早く促進してまいりたいというふうに考えておるわけでございますが、五カ年計画を現在実施しておるわけでございますけれども、五カ年計画当初におきまして、戦後最大洪水に対しまして全国の大河川整備率というのが約五〇%程度でございます。これを五カ年計画の末におきまして約一〇%程度上げたいということで現在鋭意事業を進めておるわけでございますけれども、全国的に治水対策というものはまだなかなかおくれがございまして、この治水の改修の需要はますます大きくなっておるわけでございますけれども、逐次危険地域から改修していきたいという方針のもとにやっておるわけでございまして、いつまでという期限につきましては、ただいま直ちに御説明できるというふうな状況ではないわけでございます。
  552. 中林佳子

    中林分科員 河川に対する予算のつき方というのは私は非常に少ないというふうに思うわけです。ですけれども、命だとか財産だとか、そういう非常に大切なものを失う状況があるわけですので、ぜひ予算もふやしていただいて、そして住民の要望にこたえていただきたいと心から願うものです。  次に、最後になりますけれども、土師ダム分水のときの条件の一つになっております、先ほど大臣もおっしゃっておりましたが、江津バイパスの問題です。これの早期実施をぜひお願いしたいと思うわけですが、いま建設省案が出されておりまして、市が住民に同意を求めている、こういう段階だと聞いておるわけです。ですけれども、いろいろ住民から御要望も出ているようなんですね。ですから、そういった要望を速やかに聞いていただいて、そして一日も早くこのバイパスが実現できるようにしていただきたいと思うわけですが、その点についてお伺いするわけです。
  553. 山根孟

    ○山根政府委員 お答えを申し上げます。  江津バイパスにつきましては、四十八年度から事業に着手をいたしたわけでございますが、その後いろいろルートの問題その他ございまして、事業実施のための調査を続けてまいってきておるわけでございますが、市御当局並びに市議会の方に大変な御努力をいただきまして、五十五年度前半には都市計画決定がなされる見通しになってまいったような次第でございます。私どもといたしましては、都市計画決定に基づきまして、現地測量、設計協議等を進めて、その江津バイパスの促進が図れますように一層の努力を進めてまいりたい、かように考えておるところでございます。
  554. 中林佳子

    中林分科員 それでは、住民からいろいろな意見、要望が出ると思いますが、ぜひそれを十分くみ尽くして、早期実現をお願いいたしまして、私の発言を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
  555. 兒玉末男

    兒玉主査代理 以上で中林佳子君の質疑は終了いたしました。  次回は、明五日午前十時より開会し、建設省及び運輸省所管について審査をいたします。  本日は、これにて散会いたします。     午後九時四分散会