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1980-03-06 第91回国会 衆議院 予算委員会第一分科会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十五年三月六日(木曜日)     午前十時開議  出席分科員    主 査 藤尾 正行君       瓦   力君    田村  元君       中島源太郎君    伊藤  茂君       小野 信一君    大出  俊君       村山 喜一君    安井 吉典君       横路 孝弘君    小川新一郎君       木内 良明君    西中  清君       二見 伸明君    宮地 正介君       吉井 光照君    大内 啓伍君    兼務 稲葉 誠一君 兼務 上原 康助君    兼務 堀  昌雄君 兼務 松浦 利尚君    兼務 薮仲 義彦君 兼務 中路 雅弘君    兼務 和田 一仁君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 細田 吉藏君  出席政府委員         内閣総理大臣官         房会計課長         兼内閣参事官  京須  実君         総理府人事局次         長       川崎 昭典君         防衛庁参事官  岡崎 久彦君         防衛庁参事官  佐々 淳行君         防衛庁参事官  多田 欣二君         防衛庁参事官  番匠 敦彦君         防衛庁長官官房         長       塩田  章君         防衛庁長官官房         防衛審議官   友藤 一隆君         防衛庁防衛局長 原   徹君         防衛庁人事教育         局長      夏目 晴雄君         防衛庁衛生局長 野津  聖君         防衛庁経理局長 渡邊 伊助君         防衛庁装備局長 倉部 行雄君         防衛施設庁長官 玉木 清司君         防衛施設庁総務         部長      菊池  久君         防衛施設庁施設         部長      森山  武君         防衛施設庁労務         部長      伊藤 参午君         大蔵省主計局次         長       西垣  昭君         文部大臣官房会         計課長     植木  浩君         農林水産大臣官         房経理課長   渡邊 信作君         建設大臣官房会         計課長     杉岡  浩君  分科員外出席者         環境庁企画調整         局環境影響審査         課長      森下 忠幸君         外務省北米局安         全保障課長   丹波  実君         大蔵大臣官房調         査企画課長   岸田 俊輔君         大蔵省主計局主         計官      佐藤  浩君         大蔵省主計局主         計官      畠山  蕃君         大蔵省主計局主         計官      保田  博君         建設省都市局街         路課長     並木 昭夫君         自治省税務局固         定資産税課長  渡辺  功君         会計検査院事務         総長      柴崎 敏郎君         会計検査院事務         総局第三局長  肥後 昭一君         会計検査院事務         総局第四局長  岡峯佐一郎君         会計検査院事務         総局第五局長  小野光次郎君         日本国有鉄道電         気局長     坪内 享嗣君     ————————————— 分科員の異動 三月六日  辞任         補欠選任   安井 吉典君     小野 信一君   西中  清君     小川新一郎君   二見 伸明君     宮地 正介君 同日  辞任         補欠選任   小野 信一君     伊藤  茂君   小川新一郎君     西中  清君   宮地 正介君     木内 良明君 同日  辞任         補欠選任   伊藤  茂君     村山 喜一君   木内 良明君     吉井 光照君 同日  辞任         補欠選任   村山 喜一君     安井 吉典君   吉井 光照君     二見 伸明君 同日  第二分科員稲葉誠一君、堀昌雄君、第三分科員  和田一仁君、第四分科員松浦利尚君、薮仲義彦  君、中路雅弘君及び第五分科員上原康助君が本  分科兼務となった。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和五十五年度一般会計予算  昭和五十五年度特別会計予算  昭和五十五年度政府関係機関予算  〔会計検査院及び総理府所管防衛庁)〕      ————◇—————
  2. 藤尾正行

    藤尾主査 これより予算委員会第一分科会を開会いたします。  昭和五十五年度一般会計予算昭和五十五年度特別会計予算及び昭和五十五年度政府関係機関予算中、総理府所管について審査を進めます。  防衛庁に関する事項について、質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大出俊君。
  3. 大出俊

    大出分科員 最初に、外務省北米局安保課長さんにおいでいただきましたから、大きな視点について一、二点承っておきたいと思います。  四日の日でございますが、新聞にも記事が出ております。私も前から承っているのですが、外務省安保政策企画委員会ですか、おつくりになったようでありますが、ここでアメリカ世界戦略に対応する日本立場というのを総合的に安全保障政策という意味研究する。ここで注目すべき問題は、核兵器の、戦略核などを含めまして、ミサイルギャップならミサイルギャップというのはどっちの方に向いて、どう広がっているのだということになるんですけれども、現在の段階では、米ソ逆転現象というのは、つまり、アメリカよりもソビエトの方が大きなものになっているという一般的な言われ方もあるが、そうではない、依然としてアメリカ優位である、こういう結論を出しつつあるようであります。  そこで、そのことをひとつ含めて、一体現在、この安保政策企画委員会は、どの辺まで問題を詰めておるのか、長い御答弁は要りませんから、外務省お答えいただきたいと思います。
  4. 丹波実

    丹波説明員 お答え申し上げます。  この安保政策企画委員会は、昨年の春ごろから約月一回会合しておるわけですけれども、その中では、アメリカ安全保障政策であるとか、ソ連安全保障政策であるとか、それから日米安保関係の問題であるとか、いろいろな問題を焦点にしまして意見交換をしておるわけでございますけれども一定結論がまだ出ているという段階ではございません。この会合の中では、米ソバランスがどうなっているかというような議論もありましたけれども、この点についても一定結論が出ているということではございません。
  5. 大出俊

    大出分科員 もう一点承っておきますが、つまり、アメリカ自体の言っていること、たとえば一昨年七月一日、アメリカ議会予算局リブリン局長のところで一つの報告をまとめています。原文がここにございますが、これがそうですけれども、ここでは明らかに、外務省検討しているという、つまり逆転現象はない、アメリカ優位、これをまとめているわけです。直訳すれば一九八〇年代におけるアメリカ核戦略戦力構想というのですか、ここでもそういうことを明らかにしていますが、外務省は、アメリカのその種の、つまり、こういうものは、議会予算局で二百何名のスタッフではいきなりできやせぬので、それなりにペンタゴンその他の資料が入っているわけでございますから大変正確なもので、そこらの問題を前提にして、結論が出ているとかいないとかいま言っていますけれども逆転現象は起こっていない、こういうふうに見ていいのかどうか。この安保政策企画委員会結論が出た出ないにかかわらず、外務省は一体どういうふうに見ているのか。  それから特にここにもう一つソビエトSS20だとか中距離爆撃機バックファイアだとか、こういうものの極東配備には全く関係なく核戦略構想というものは進められている。つまり、極東にこのSS20が来たからとかバックファイアが配置されたからとか、そんなことには関係ない。もっと大きなものが米ソ両国には核戦略としては存在するのですから、そういう意味でのつまり核戦略SS20や中距離爆撃機バックファイア極東への配置に関係なく、こう書かれていますが、新聞の伝えるところによると、米国の核のかさのもとにおける、つまり、アメリカの核の抑止力のもとにおける日本、こういう見方で研究をしている、こういうわけでありますが、この間、SS20であるとかあるいはバックファイアであるとかいうものをめぐる論議の中から、細田長官の妙な発言が出てきているわけですが、そんなものは関係ない。新しい兵器ができれば、どんどん配置するのはあたりまえのことだ。日本だってF15買うのでしょう、P3C買うのでしょう。新しく配置するのはあたりまえ。その一つSS20でしょう。関係ない、そんなことは。もっと大きな意味の、つまり核の抑止力、これは変化がない。SS20だとかあるいはバックファイアが配置された、そういうことに直接——だから、変わるというのじゃなくて、基本的に核の抑止力というものは、旧来からアメリカ側が主張しているのであって、変化はない、核優位であれば変化はない、こういう理解でいいのじゃないかと思うのですが、そこのところも答えてください。
  6. 丹波実

    丹波説明員 お答えいたします。  私たちといたしましては、あらゆる機会に米ソ核バランスの問題については、アメリカ側考え方を聴取してきておるわけでございますけれども、一貫してアメリカ政府がわれわれに言っておりますのは、問題になっているのは趨勢、トレンドである、それが基本的にはわれわれは上回っておると考えておる、しかし、トレンドは必ずしも好ましくない傾向にあるので、ここでアメリカがそのトレンドを、ソ連が追いつくようなトレンドを抑えなければいけない、そういう観点から物を考えている、こういうふうに考えております。  しかしながら、御承知のとおり、アメリカ国内でも、たとえばポール・ニッツエでありますとか、あるいはその逆のポール・ウォーンキの意見でありますとか、この点についても、いろんな意見があることは先生承知のとおりだと思うのです。いまのバックファイア、それからSS20の問題につきましては、私たちは、そういうようなものが配備されたとしても、アメリカ核抑止力に頼っていくという日本側考え方には変わりがないということを申し上げているつもりです。
  7. 大出俊

    大出分科員 言い回しは私の言うのと少し違いますけれども、おおむね違った認識ではない、こういうことになる。  そこで、細田さんに承りたいのですけれども、この間の質疑を私、聞いておりましたし、議事録もここにありますが、一体何を言わんとしたのか、もうちょっと詰めたい。この議事録を正確に読んでみなければと思って待ったのですが、あなたがおっしゃっているのは「核の問題についてのただいま防衛局長が申し上げた、日本は特別な立場にあるわけでございますから、ただいまはそういう状況でございますけれども、今後アメリカがこの問題に対してどういうふうに考えていくか、またわれわれとしてどういうふうにこれに対処していくかという問題については、今後の問題としてはこれは考えていかなければならぬ問題だと思っております。」、こう言って、次の答弁で「私どもの現在のお答えとしましては先ほどの言葉のとおりでございますが、」、いまの点ですが、これは御心配のようなSS20が配置されたとかあるいはバックファイア極東配備をされたとかいうことを受けているのですが、「御心配のような点ごもっともであると思いますし、今後ともそのような点につきましていろいろ私どもの方でも検討研究もさしていただかなければなりません。」、こう言っているんですね。  一体、ここで言っているSS20やバックファイア配備、こういうふうなものについて、質問者マラッカ海峡までカバーする核ミサイルだということも言っているわけですが、アメリカがどう対処していこうとしているか、一体何をこれはアメリカ協議するのですか、聞くのですか。バックファイアが来た、SS20が来た、これは大変だ、大丈夫ですかといって聞くわけですか。そして検討研究もさしていただかなきゃならぬというのですが、SS20が来た、どういう影響があるかというようなことを検討研究するのですか。核ミサイルというのは、極東にあるSS20やバックファイアだけじゃない、たくさんございますが、一体この中身というのは何をお考えの上でこういうことをおっしゃったのですか。
  8. 細田吉藏

    細田国務大臣 お答え申し上げます。  先ほど外務省政府委員との間に大出先生やりとりがございましたが、私ども米ソ間の核戦略、この問題について、とやかく言うというようなことの毛頭ないことは、まず前提として申し上げるまでもないことでございます。  それから、そのやりとりの中でもしばしば出ておりまするように、日本が置かれておる立場、特に核に対して非核原則を初め置かれておる立場というものははっきりとしていて、何遍もお答えしておるわけでして、それについて何らどうこう言っておるということではございません。ですから、誤解があるとすれば——そういうことは何遍も出ております。防衛局長言葉にも出ておる。私も言っておるつもりでございます。それから「日米防衛協力のための指針」においても、非核原則、これで核の相談をしないということを防衛局長が申し上げておる。私も、防衛局長が申し上げたとおりでありますと言っておるわけであります。  ただ、それでは情勢は全く同じものかと言えば、こういうものが極東配備されるということは、やはり新たな情勢であり、情勢変化である、全体の核戦略どうこうということはともかくとしましても、極東SS20やバックファイア配備されたということは、やはりこれは変化であることには間違いない事実だと思います。ですから、そういう問題につきましては、私は、仮定の御質問とは思うのですが、こういう核というものについてということでございますから、基本的な答弁として一貫して流れておるのは、これはアメリカにお願いしておるのでございます、こう言っておるのでございまして、それから一歩も出ておるわけではございません。ですから、その点で誤解があると大変問題でございますから、これはないわけでございます。ただ、一般論として、そういう情勢変化に対して、何も知らぬ顔をしておる、何もしないのだ、何も関心を持っていなくていいのかということになりますと、それは私、そうじゃない、こう思うのでございまして、日本自身どうこうする、あるいは核についてどうするということでなくて、そういう極東情勢変化に対しては、私たちは、与えられておる現在までの方針を変更しないという範囲において、いろいろ十分注意をするということは必要だ、そういう意味で申し上げたのでございまして、他意はございません。
  9. 大出俊

    大出分科員 答弁にならぬのだけれどもね。検討する、研究すると言っているわけでしょう。いまの答弁では、情勢変化に間違いない、SS20が配備をされた、バックファイアが入ってきた、変化には間違いない、重大な関心を持つ。重大な関心を持ったその先の研究する検討するというのは、一体何を研究し、何を検討するのですか。
  10. 細田吉藏

    細田国務大臣 その場合に、検討するとか研究するとか申しましたことは、国の防衛を預かっておりますから、重大な関心を持っていなければならぬ、ですから、非常に広い意味で、これをどう考えていくべきかということについては、関心を持ち、十分考えておかなければならぬということなんで、私は、それもいかぬとおっしゃっても、ちょっとわかりません。
  11. 大出俊

    大出分科員 研究する、検討すると具体的におっしゃっているのだから、何を研究し、何を検討するのかと聞いているのです。ちっともおかしな質問ではないでしょう、あなたが言ったのだから。  そこで、非核原則前提にしておられる、核防条約だってある、そうなると、核については協議をするとか検討するとか防衛局長が答えているけれども日本立場からすれば、これは全然あり得ることではない、非核原則があってね。自民党さんの政策は、その上にもう一つついて非核原則になっている。だから、いままで協議検討もしていないと言っているのに、あなたは検討する、研究すると言うのだから、原防衛局長の言うことを受ければ、核の問題について協議をしたり、研究したり、検討したりということを、SS20だとかバックファイアが入ってきたことを新しい情勢変化ととらえてするということになりますと、研究検討という言葉に間違いがあるじゃないですか。何を検討し、何を研究するのですか。
  12. 細田吉藏

    細田国務大臣 私どもは、そういう問題について関心を持ち、そして、いままでの私ども立場がございますから、その枠内において、この変化にはどういうふうに対応するかということに十分気をつけておき、研究もし、考えていかなければならぬのじゃないか、そういう意味なのでございます。
  13. 大出俊

    大出分科員 防衛局長に承りたいのですけれども長官研究する、検討すると言った。あなたのその前の答弁は、コンベンショナルな、つまり通常の防衛体制、これを旧来やってきておる、ガイドラインについても同様だ、核の問題は除外されている、こう言っているんですね。ところが防衛庁長官は、SS20だとかバックファイアが入ってきたということを情勢変化ととらえて、重大な関心を持ち、検討し、研究すると言う。局長のお立場からすると、一体これはどういうことになるのですか。
  14. 原徹

    原政府委員 長官が申されたのも、そういう一般情勢の一環として認識を持つという意味でただいま私も聞いておったわけでございまして、アメリカと具体的にこれに対してどういう対応をするかというようなことについて研究したり、検討するということを長官は申されていないように思いますし、その一般的な認識、そういうものは持っておく必要があるということを申されたのであろうと存じます。
  15. 大出俊

    大出分科員 いまの答弁でいいですか、長官
  16. 細田吉藏

    細田国務大臣 いまの答弁で私は同じことを言っていると思っているのですが、どこが違っているのか、私にはどうもよくわからないのですが、きわめて広い意味で、私は一般論として申し上げておるわけでございます。
  17. 大出俊

    大出分科員 いまの答弁は、関心を持って、認識を持っておく、こういうことなのです。それに対応して具体的にどうこうということを検討研究と言っていない。そうすると、この答弁というのはいささか勇み足になる、研究する、検討すると言ったのだから。そうではなくて、ここで言っている検討研究という意味は、新しい情勢でもあるから、関心を持つなり一般的な認識を持っておこうと長官考えている、そういう意味だと思う。それは認識を持っておくことは必要でしょう。そこまでは認めます。それでいいですな。
  18. 細田吉藏

    細田国務大臣 私は、そういう非常に深い意味があるかどうか、なにですけれども、きわめて一般的にそういうふうに申し上げたことでございまして、防衛局長の申し上げたとおりと御理解いただけば結構でございます。
  19. 大出俊

    大出分科員 この問題をめぐって新聞なりいろいろな雑誌の書くものを見ると、防衛生産委員会その他の関係ども引っ張り出して、閣議の方針もありますけれども、ちょっとそれから外してみせて、ここに意図ありというふうに受け取る形の報道になっている。これは大変重要な問題だから、きちっと限界を明らかにしておかなければならぬ。そういう意味で、いま防衛局長答弁でいいと言うなら、新しい情勢変化である、関心を持つところまではいい、認識を持っておこう、この限度なのだから、それならば私にも理解ができる、こういうことであります。  そこで一、二点伺っておきたいのですけれども、ついでと言ってはなんですけれどもSS20が問題になっていますけれどもSS20というのは、私の認識ではSS16がありますが、その上の方の二段ぐらいを中心にして、ICBMでないIRBMをつくった、こういうことなんですね。私はそういう認識なんですが、それでいいですか。
  20. 岡崎久彦

    岡崎政府委員 われわれもそのように理解しております。
  21. 大出俊

    大出分科員 ところが、SS19というのがございます。SS19というのは、大体どの辺に配備されているとお考えでございますか。かつ、どのくらいの射程を持っているとお考えでございますか。
  22. 岡崎久彦

    岡崎政府委員 SS19と申しますのは、SS11、旧型のICBMでございますけれども、それの後継と考えられます。七〇年代の半ばごろ配備されたと考えられます。場所については未確認でございます。
  23. 大出俊

    大出分科員 SS19というのは、射程八千三百キロ、一九七四年一月二十五日にソ連本土からミッドウェー島の北西水域への試射実験をやっていますね。このときに飛んだ距離が五千五百海里、こういうわけです。八千三百キロもありますけれども、それで誤差は八百メートルぐらいしかない。大変に正確なものですね。そうすると、八千キロというとどのくらいのところになるかと言いますと、皆さんの知っているソビエト内の名称で言えば、オムスク、ノボシビルスク、この辺がちょうど八千キロぐらいですね。何も極東SS20を持ってこなくたって、この19というのはべらぼうな核弾頭を持っているのですから、何もわざわざSS20を持ってこなくたって、いつだって射程はどこヘでも向けられるわけです。そういう意味で言うと、新しい情勢が生まれたとは言うけれども、基本的には何ら変わらない。ソビエトにその意思があれば大変な脅威になるということは間違いないでしょう、そういう意味で言えば。その辺のところ、どうお考えですか。
  24. 岡崎久彦

    岡崎政府委員 SS19につきましては、これはSS18とともに最新型のミサイルでございまして、非常に精度が高い。それで、もっぱらアメリカで言われておりますことは、アメリカ核ミサイルに対するものとして、これはICBMでございますが、ただ、SS20が数年来ヨーロッパにおいて新たな脅威として非常に議論されておりますのは、それ自身精度が非常に高い。これは18、19と同じぐらい高いのでございますけれども、その上にこれは移動性でございまして、牽引車によって移動する能力を持っております。そのために脆弱性が非常に低い。その点が新たな脅威としてヨーロッパでは大いに指摘されております。
  25. 大出俊

    大出分科員 これは知れわたっていることでして、サイロというのが固定サイロなんですよね。だけれども移動しようとすれば、ミニットマン式固体燃料ですから、いかに深くも、いかに横にも移動ができるという特質を持っているわけです。だから、そういう意味で言えば、何もいまに始まったことじゃない。  そこで、基本的な問題があるので、先ほどリブリン局長議会予算局レポートを取り上げたのです。つまり、このレポート、核問題というのは避けて通りたいところもあるのだけれども、この中身によると、ソビエト側がボタンを押した、つまり、核ミサイルを発射する、核戦争を始めた、核の奇襲が行われる、この場合どうなるかというと、これはアメリカのこの分析の中にあるのをピックアップしているのですが、いきなり向こうから攻撃された場合に、アメリカ側にどのくらいの核戦力が残存するか、戦略爆撃機B52が百二十機残る、ポセイドン潜水艦が十七隻残る、ICBMが七百基、これが破壊から免れる、核弾頭の残りが大体五千個ぐらいになるだろう。今度、これを使って報復攻撃をするとどういうことになるか、ソ連軍事施設の九〇%を報復破壊することができる、工業目標の八〇%を即座に破壊することができる、二千万人から千五百万人のソ連の市民を殺害することができる、こういうことになる。ここに書いてある。そうすると、いまやまさに、この意味における核戦争というのはいずれもできない。そういう意味で、大きな抑止力であり、ミサイルギャップは起こっていない。ただしかし、これが八〇年代まで続くかというと、いまのままならばそうはいかない。八〇年代まで考えれば、いろいろなケースが幾つかございますけれども、ここがこのレポートのみそなんでしょうけれども、八〇年代において、このミサイルギャップを、アメリカ優位というものを持続していこうとすれば、コストにしておおむね千二百億ドルぐらいの金がかかる、そして、これは議会なりアメリカ国民の選択なんだというレポートなんですね。だから、現状認識からすれば、確かに、さっき外務省安保課長答えをしておりましたが、相対的に見てソビエト優位という形の逆転現象は起こっていない、そうなるでしょう。  だから、SS20が配置されたからといって、バックファイアが入ってきたからといって、大騒ぎをしたように見えるが、新聞記事みてごらんなさい、あなたの答弁で素人、素人と言って騒ぎを起こす細田吉藏長官、こうなるのだけれども、余り好ましくない、だから取り上げた、こういうことなんですよ。やはり物事は冷静に判断をする必要のある時期ではないかというつもりで申し上げたわけでございます。いまの点は、恐らくリブリン報告はお読みになっているのだと思うのですが、御認識はございますね。
  26. 岡崎久彦

    岡崎政府委員 最後のお言葉ちょっと聞きとれませんでしたけれども、リブリン報告に対するコメントということでよろしゅうございますか。——実はその後、一月の末にブラウン長官の国防報告が出ています。これの方が政府見解としまして権威のあるものというふうに考えられます。大筋はもう全く同じでございまして、現在、核の優位が崩れているとは言わない、ただしかし、今後、このまま放置しておくと優位が脅かされるおそれがある、そういうふうに書いておるわけです。  それで、ミサイルサイロの残存率は、その報告よりも国防報告の方が若干低く見積もっております。低くと申しますよりも、計画としては、地上のICBMの九割は破壊されるというふうに考えていかざるを得ない。これはどういうことかと申しますと、SS18が去年から配備されておりまして、三年間で大いに配備されますので、この三年間で急速にサイロの残存率が減るということでございます。ただ、どうせ固体燃料ならば移動できるというふうになっておりますけれども、これはそう簡単でございませんで、非常に堅固なミサイルに入っておりまして、しかも、批准されておりませんけれども、SALT条約もございまして、そう自由に移動していいというわけでもございません。またSS18、19というのは、非常に精度の高い、これはもうソ連にとっても大事なミサイルでございまして、これはもっぱらアメリカ向けであろう。それで、ヨーロッパにとって新たな脅威日本にとっては新たな潜在的な脅威は、SS20及びバックファイアによって非常に増加している、これがわれわれの認識でございます。
  27. 大出俊

    大出分科員 もう一点だけ承っておきますが、防衛費、実態はNATO方式で計算をすれば一・五%というのですが、これは一体、外務省でも防衛庁でもかまいませんけれども、そういう説明をアメリカへ行ってする、これは防衛庁も同じ認識でございますか。
  28. 丹波実

    丹波説明員 お答え申し上げます。  この点につきましては、まず基本的に、最近、日本のいわゆる防衛努力についてのアメリカの期待感が非常に高まっておる。たまたま、今月の二十日前後に外務大臣がアメリカを訪問するわけですけれども、そのとき、日本防衛努力についてどのような説明をするかという絡みの中で出てきているお話と思うのでございますけれどもアメリカでよく問題にされますのは、GNP比の問題なんでございますけれども、特に日本のGNP比との関係が、ヨーロッパあるいはアメリカと比較をされる、その場合に、私たちとしては、アメリカとかNATO諸国がGNP比を算定する場合と、日本がGNP比を算定する場合とベースが違うという、そういう誤解を解きたいということは考えておるわけでございます。そういう絡みで、ベースが違いますよということも、特にアメリカの議会にそういう誤解があるものですから、そういう説明も、場合によってはしようかなということは考えております。
  29. 大出俊

    大出分科員 これは世界週報の二月号、つい最近のものですが、これによりますと、一月十四日にブラウン国防長官が大平総理とさきの久保田長官に会った、そのやりとりが載っておりまして、来年の防衛関係費、つまり、予算に納まれておるものは二兆二千三百二億円だというのですが、この額は、推定GNP二百四十七兆八千億の〇・九%になるというのです。一般会計歳出予算額の五・二%に当たる。一%以内というのは閣議も決めているわけですから、これを外そうという意図があるとかなんとかいうのじゃないですな。念のために聞きたいのです。そうじゃなくて、NATOの場合はたとえば軍人恩給を入れているとか、そういう意味のNATO方式で計算をすれば、実は〇・九じゃなくて一・五ぐらいになっているということを言いたいのか。これはアメリカへ行って説明するというのだから、防衛庁認識と食い違うと困るのですが、ここのところは一体どういう認識でいけばいいのですか。最近やたら書かれるのですが、アメリカ立場からすれば、もう少し防衛努力をしろ、予算をふやせというのはわからぬわけではないけれども、だが、閣議決定もあれば、国民の認識もある、野党であるわれわれの認識もある。これまた細田発言じゃないけれども、外されると困るですな。はっきりしていただきたい。
  30. 原徹

    原政府委員 現在〇・九%、閣議決定で一%以内ということになっております。私ども防衛努力をしなければならないと思っておりますから、できるだけ早く一%にしてほしい、そういう希望は持っております。それで、例のNATO方式云々の話は、その方式自体も実は必ずしもはっきりいたしませんけれども、旧軍人の恩給をこれに入れればそうなるという計算になるということでございます。自衛隊というのは旧軍とは全く無関係にできているものでございますから、旧軍人の恩給を入れるというのは私どもとしてはどうもちょっとおかしいのではないかというような感じがいたしますが、しかし、ドイツや何かはそうは申しましても昔の人を入れているというなら、そういう考え方もあり得るかというような気持ちはいたしますが、私どもとしては、できるだけ早く一%に向かっていただきたい、そういうような気持ちを持っているわけでございます。
  31. 大出俊

    大出分科員 そうすると、これは時間がなくなりましたからやめますが、閣議決定をしている旧来の認識とそう変わりはない、こういうふうに理解してよろしゅうございますな。アメリカに対する一つの説明の仕方として、NATO方式というふうなものも考えられはするが、旧来の認識と変わりがない、長官いかがでございますか。
  32. 細田吉藏

    細田国務大臣 防衛庁としては一・五%というような数字は言わないつもりでおります。いや言いません。そういうことをアメリカの一部の方がおっしゃったり、外務省の何かおっしゃったような話も、そういう計算もあるということをおっしゃっただけのようでありますから、私どもとしましては、閣議決定の線ということでございます。
  33. 大出俊

    大出分科員 終わります。
  34. 藤尾正行

    藤尾主査 以上で大出君の質疑は終了いたしました。  次に、宮地正介君。
  35. 宮地正介

    宮地分科員 限られた三十分という時間でございますので、簡潔に、どうか明快な御答弁をお願いしたいと思います。  ただいまも防衛費の問題などにつきましてお話があったわけでございますが、初めに、最近のアフガン事件あるいはソビエト極東における軍事強化など、こうした一連の世界的軍事情勢あるいは激変の中において、防衛力強化論あるいは防衛費の増額、あるいは現在の陸海空の質的な変化、こうしたような問題が大変に大きな話題を呼んでいるわけでございます。特にそういう中におきまして、アメリカからの防衛費の増という要求が大変に強い、このようにも言われているわけでございます。こうした点について防衛庁としてはどういうような対処をしていこうとしているのか、まず長官の御見解を伺いたいと思います。
  36. 細田吉藏

    細田国務大臣 ただいま御質問にございましたように、日本防衛費を増加することについて、アメリカの特に議会筋、それから言論界とかマスコミ、こういうところが最近特に強いということを感じております。もちろん政府サイドにおきましても、具体的な幾らにしろとかこうしろということはございませんけれども一般論として増強を要望してまいっておる、これは事実でございます。これに対しまして、私どもはただいまのところ、国防の基本計画、防衛の基本計画がございます。基本計画の線にまだまだ到達しておりませんので、この線にできるだけ早く到達するように、特に質的な増強というもので対応してまいりたい。「中期業務見積り」というものも防衛庁限りでつくっておるわけでございますが、こういった線、もちろん基本計画の中でございますが、そういうことで対応してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  37. 宮地正介

    宮地分科員 先ほどの質問の中においては、閣議決定のGNPの一%以内においての認識は変わらない。しかし、いま長官は、そうした世界情勢変化に伴って質的な向上、質的な変化を求めていきたい、こういうお話があったわけでございます。けさの読売新聞の朝刊によりますと、アメリカのアジア政策の立案の大変な中心人物であるホルブルック国務次官補、東アジア・太平洋担当の方だそうでございますが、この方と読売新聞の記者との会見の中において、特に、日米は同盟である、日中は友人である、こういったことで大変な日米比重を高めた発言があった、こういう会見内容が報道されているわけでございます。こうした  一つの動きというものに対して、それでは現在長官の言われた質的な向上、変化というものは、具体的にどのように検討を進めておられるのか、伺っておきたいと思います。
  38. 原徹

    原政府委員 ただいま長官からもお答えいたしましたように、「防衛計画の大綱」の部隊の規模、そういったものは変えませんが、しかし、わが国の自衛隊のたとえば装備につきましても、新しい物もあるのでございますけれども、非常に古い物も多々ございますので、まずそういう装備の近代化、これが一つでございます。  それから、いわゆる継戦能力と申しまして、どのくらい戦えるか、たとえば弾の備蓄、そういった物が非常に少ないということもございます。それからいわゆる抗たん力と申しまして、普通の国でございますと、戦闘機が滑走路に並んでいるのではございませんで、いわゆるシェルターの中に入っているという抗たん力、そういう面におきましても非常に劣っているという面がございますから、そういう装備の近代化、継戦能力あるいは抗たん力、そういったものを中心にやっていこうということで、私どもは「中期業務見積り」というものをつくってございます。その線で質的改善を図ってまいりたいというのがただいまの考え方でございます。
  39. 宮地正介

    宮地分科員 そういうような防衛庁の装備の近代化あるいは質的向上という面と、一方で、御存じのように、最近イラン、アフガニスタン紛争などの世界的な軍事情勢の揺れ動いているという背景の中で、御存じのとおり経団連の防衛生産委員会においての試算が、特に最近、兵器の調達予算について発表になっております。そういう中で五十五年度予算を見てまいりますと、資本支出については五十四年度二二・六%に比べて二四・四%と、資本支出が非常にふえてきておる。また、研究開発費については前年度横ばいでありますが、一昨年に比べて〇・九%から一・〇、こういうように、最近の経団連の防衛生産委員会の試算を中心として、どうも財界筋で防衛費の特に兵器調達予算にあおりをかけているような感じを私たちは一国民として受けるわけです。  そういう中で大事なことは、世界情勢のそうした大きな激動、変化において、また特にアメリカからの強い要請などにおいて、GNP一%以内という枠の中で質的変化を起こす、それはすなわち装備の近代化あるいは兵器調達予算の拡大、こういうような方向に動いていく中で、以前からよく言われる防衛産業と防衛庁との癒着の問題いわゆる産軍複合体という問題は、注意しなくてはならない、また監視をしていかなくてはならないと特に国民的立場から考えているわけでございます。こうした情勢変化において、産軍複合体の方向に行かない歯どめまた基本的な姿勢を明確にしていく、そうした防衛庁の強い立場がいまこそ大事ではないか、こう思うわけでございますが、こうした経団連の防衛生産委員会の試算などに基づいた動きと相まって、こうした問題について防衛庁長官としてはどういう考え方、見解を持っておられるか、明確にお答えいただきたい。
  40. 細田吉藏

    細田国務大臣 お答えいたします。  防衛産業、いまお話がございました防衛生産委員会でございますか、そういうところからいろいろな数字が出たりしておることは私も承知しております。しかし、防衛産業の立場から防衛力をどうこうするというのは話が全然逆立ち、逆でございまして、これは誤解を受けるようなことがあれば本当に迷惑千万なことでございます。日本防衛力をどうするかということにつきましては、これは政府がいろいろ考えていき、そして国会で御議論いただいて御承認いただいて決めることなのでございまして、余り強くいろいろ言われると、実際言うと私ども誤解を招く点があれば迷惑する、こういうことなのでございます。ですから、そういうことで動かされるようなことは私どもも厳に慎まなければならぬし、そういうつもりももちろんございません。私、防衛庁に参りましてから——特に大量のものを調達するわけでございます。ですから、そういうものについては特に厳重にやらなければいかぬ。ただ、大きなものは大きな企業でないとできないというものはあります。ですから、これは仕方がない。しかし、できるだけ中小企業を使う。ところが、防衛庁関係では非常に多く中小企業を使っております。それでその点もいいのですが、特に御心配になるような点、いわゆる産軍癒着と言われるような点については今後とも十二分に配慮してまいるつもりでおります。
  41. 宮地正介

    宮地分科員 こうした防衛力増強論の陰に財界筋の大変に熱を帯びた兵器調達問題、あるいは装備の近代化という名のもとに国民の心配するような方向に行ってはならないし、過去においても国会においてこういう面の大きな警告もあったわけでございます。たとえば、防衛庁のお役人の皆さんの天下り人事の問題だとか、契約上の問題だとか、過去にそうした大きな社会的問題がいろいろあったことも事実でございます。八〇年代の新しい時代に入って、また世界情勢変化の中で、専守防衛という立場防衛庁が質的変化を目指して努力する中に、こうしたまた財界を中心とした熱を帯びた防衛力増強論が変な形で結びついて、またもしもそれが癒着し、国民の批判をあおるようなことになっては、これは全く言語道断であろう、こう思うわけでございます。どうかそういうような防衛力増強論の影の中に産軍複合体、癒着といったことのないように、厳正なる防衛庁の対応を、国民の信頼に足る対応をやっていただきたい、強く要望するとともに、再度防衛庁長官の決意を伺っておきたいと思います。
  42. 細田吉藏

    細田国務大臣 私、防衛庁へ参りましてから、実はこの間スパイ事件も御承知のようにありました。防衛庁が国民の信頼を得るということは万事の基礎でございますから、ただいまおっしゃった御趣旨、私すでにもう庁内でもあらゆる機会に強調しておるところでございます。お説のように今後とも十分注意してまいりたい、かように考えます。
  43. 宮地正介

    宮地分科員 少し話題を変えまして、具体的な問題について数点お伺いをしてまいりたいと思います。  初めに、埼玉県の入間市にございます入間航空自衛隊の基地の問題に絡んで何点かお伺いをしておきたいと思います。  防衛庁長官も御存じと思いますが、この埼玉県入間市というところは、都心から三十キロ、四十キロ圏のいわゆる新たな人口急増の都市でございます。言うなれば、そうした人口過密地帯の中に現在入間航空自衛隊が存在をしているわけでございます。こういう中において、自衛隊の存続と、また地元住民との調和、また意思の疎通、相互理解というものは大変に重視をしていかなくてはならないわけであります。  そういう中でまず私が第一点としてお伺いしたいのは、この基地にまつわる中においての跡地の利用の問題が、いま大蔵省、地元地方公共団体、防衛庁検討をされております。そういう中でいま大変大きな問題の一つに、入間市と狭山市を結ぶ南北縦貫道路の建設の問題が、数年前から地元の住民の大変な期待と要望を担って地元からも防衛庁あるいは大蔵省にも要請が来ているわけであります。当初は防衛庁内の軍事的な機密の問題等がありまして、防衛庁としては大変に後ろ向きの立場にあったわけでございます。最近この基地の西側にこの南北縦貫道路をつくろうではないかということで、大蔵省、地元自治体を含めて大変前向きに青図面が検討されてまいりました。そういう中において、防衛庁の前向きの理解があればこの問題に決着がつくともすでに言われているわけでございますが、この点について防衛庁としては前向きに努力し、処理をしていく考えがあるのかどうか、この点についての確認をしておきたいと思います。
  44. 多田欣二

    ○多田政府委員 お答えをいたします。  先生いまおっしゃいましたように、跡地の利用計画につきましては、ごく近いうちに地元の利用計画案が大蔵省の方に提出をされる。それを受けて大蔵省の方で種々調整をされた上で、国有財産中央審議会の審議に付するということになるだろうと思います。この過程におきまして、先生おっしゃいますような南北道路の問題はしかるべく処置をされるのだろうというふうに私ども理解いたしております。防衛庁立場といたしましても、自衛隊の機能の維持ということは大変大切なことでございますけれども、地元の皆様の御要望ということにつきましても、再々御要望も受けておりまして、よく承知をいたしております。できるだけ前向きに御協力をしていきたい、このように考えております。
  45. 宮地正介

    宮地分科員 じゃ、前向きに御協力するということでございますから、どうかこの縦貫道路を建設また設置することについてよろしく御協力をいただきたい。位置については若干の変更があるようでございますが、大体煮詰まっておるようでございますので、どうか防衛庁が反対したからだめになった、こういうことにならないようによろしく強く御要望をしておきたいと思います。さらに、特にこの航空基地の性格上大変に、日本列島にいろいろ災害がございますと、いままではここからC1ジェットが救援機としていろいろ物資を持って出かけるということで、夜の夜中に飛び立ったり、朝早く飛び立ったり、いろいろなことで騒音問題が非常に大きな地域においても課題になっておりまして、今回このC1ジェットも小牧あるいは美保に移転をされまして、機数も十機というふうに減りまして、地元ではそれだけ騒音が少なくなったということで大変に喜んではいるわけでございますが、しかし、まだ四十三機のC1あるいはYSあるいはT33の練習機、電子訓練機、あるいは飛行点検機などがございまして、やはり基地周辺の住民の騒音問題に対する厳しさというものは大きいものがあるわけでございます。私は、この問題については五十一年の当選以来、分科会を通じて何度か防衛庁にお願いをし、要求をし、その改善に努力をしていただいたことには深く敬意を表するわけでございます。しかし、そういう中で、私もきょうは玉木長官もお見えと思いますけれども、若干この騒音コンターの見直しをいろいろしていただいているわけでございますが、防衛庁のつくったこの騒音コンターの範囲内からどうしても外れてしまう。外れてしまうけれども実際、埼玉県あるいは地元の所沢市、入間市、狭山市といった関係市町村が調査をしたデータなどを見ておりますと、どうも防衛庁の騒音の調査と食い違いが出てしまう。しかし現実には大変騒音で悩んでおる、こういった大変な地域がまだ若干あちこちにあるわけでございます。そういう点で所沢市の三ケ島地域における騒音公害、騒音対策として、何とか防衛庁の民間への防音対策費を適用できないか、こういうことで、私も施設庁長官のところには陳情もさせていただきましたし、地元住民も大変にこの問題については矛盾を感じながらも、何とか早くこのうるさい航空機騒音から一部屋でもいいから防音対策の部屋をつくってもらえないだろうか、こういう強い要求があるわけでございますが、いままでにも十分検討されたと思いますが、このような特例と言えば特例な地域かもしれませんが、実際に悩んでおる、苦しんでおる、こういう御家庭、御家族に対して何とか善処していこうというお考えがないか、この点について伺いたいと思います。
  46. 玉木清司

    ○玉木政府委員 三ケ島地区あるいは狭山ケ丘地区というところにつきまして、先生からも何度かお話がございますが、私どもの方で計測をしておりますデータで見ますと、当面の対象とするのにはもっと騒音の高い地域が、急ぐところがあるということでまだ手が差し伸べられないという状態でございます。しかし、入間飛行場におきます飛行の運用体系というものも変化をすることもございましょうし、また将来計測時点におきまして、その時点における評価というものもしていかなければならぬと思いますので、先生御指摘の地域の方々のお気持ちはよく念頭におきまして今後対処していきたいと思っております。
  47. 宮地正介

    宮地分科員 測定のデータについては、もう玉木さんの方には私の方から差し上げておりますから十分御理解をいただけると思うのです。大変な苦労の中、地元の市あるいは埼玉県あるいは地元の住民が相当深刻に調査をしたデータでございますので、長官に差し上げてあるそのデータは、住民の大変な汗水たらした中につくられた貴重な資料である、決してつくられた数字ではないんだということだけはどうか御理解いただきたいし、私も何度か御要請をしているわけでございます。できればこの地域に出先の機関の係官でも結構ですから、どの程度やはり騒音が厳しいのかというそうした御調査といいますか、視察でも結構ですから、ぜひ行ってその実情を把握していただきたい。それが少なくとも経過の努力の中における防衛庁の誠意として住民も受けとめるのではないか、こう思うわけでございますが、その辺の用意があるかどうか確認をしておきたいと思います。
  48. 玉木清司

    ○玉木政府委員 住民の方々に対しましてわれわれがその住民の立場におきまして施策を考えていくのは当然でございますので、いま御指摘のように、係官の派遣等それらを含めまして十分な対応をしたいと思います。
  49. 宮地正介

    宮地分科員 よろしくお願いをしたいと思います。結果的にその対策が施されるまでのその経過における努力も、国民のニーズにこたえる重要な道ではないかとも私は考えておりますので、よろしくお願いをしたいと思います。  さて、具体論のもう一つでございますが、在日米軍の所沢基地の中に、すでに防衛施設庁にも地元の所沢市から要請が出ているかと思いますが、この基地の跡地については国、県、地元の市の間で大変にりっぱな利用がされまして、最近では国立のりっぱなリハビリテーションセンターあるいは防衛医科大学など大変な施設ができてきたわけでございます。いまだに在日米軍の所沢基地の存在の中で、地元住民の間でやはり大きな願いといいますか、強い要求の出ておりますのが、先ほどの入間基地と同じような道路の開設の問題であります。特に、御存じかと思いますが、並木通り一号線と並木通り二号線を結ぶ東西の道路開設につきまして、地元では何とか経済的な便あるいは地元住民の大きな活用の糧としてこの開設を期待をしているわけでございますが、何せ相手が在日米軍でございまして、なかなかとむずかしい問題があるようでございます。防衛施設庁としてもいろいろと御努力をいただいているようでございますが、現在の段階では大変厳しいという回答が地元に来ておりまして、地元として大変いま苦しんでいるわけでございます。ぜひ今後とも粘り強くこの開設に努力をしてあげていただきたい、私はこう思っておるわけでございますが、この点についてのお考えを簡単で結構でございますので伺いたいと思います。
  50. 玉木清司

    ○玉木政府委員 所沢の在日米軍基地の周辺の開放の過程は重々御承知のところと思いますが、いま御指摘の並木通りを中心にいたします問題につきましては、最近アメリカ側から条件を付しまして、その日本側の求めにこたえるという回答を得ておりますし、また市側からも、アメリカ側の条件に異存がないという回答が出ておりますので、あとは国内の問題でございますので、現在政府の関係機関との間で調整中でございます。
  51. 宮地正介

    宮地分科員 時間も参りましたので、最後に一問お伺いして終わりにしたいと思います。  ただいまの問題については、どうか粘り強く努力をしてあげていただきたい、このように要望しておきたいと思います。  最後に、私は、具体的な問題をお話ししておりますと時間がたちますので、簡単にお話ししておきたいと思いますが、一つ防衛医科大学、この防衛医科大学ができまして、所沢市を中心とした埼玉県西部地域、いま皆さん大変に喜んで使わしていただいているわけでございます。まだまだ若干地元住民への市民開放あるいはサービスという面にさらなる拡充をしてもらいたい、こうした要請があるわけでございます。たとえば、地元の医師会との問題でいろいろむずかしい問題があるようでございますが、私もちょっと見さしていただきましたが、お産をする人は三人目からはちょっと御遠慮いただきたいというようなことが、わら半紙にマジックで書いたようなものが受付にあります。そういうものをお母様方が見られますと、天下の防衛医科大学たるものが何でこんなものをぶら下げるのであろうか。大変地元医師会とのいろんな問題があって、そういうふうにしておるという事務的な配慮もあるようでございます。こうした問題が大変な誤解を招くと思います。こうした点において、今後とも地元住民に開かれたサービスに積極的に努めていただきたい。これに対する御決意で結構ですから、お伺いをしておきたい。  そして最後に、私の地元に大井通信所という施設があるわけでございますが、この機能の概要で結構でございますから御説明をいただきたいと思います。
  52. 野津聖

    ○野津政府委員 防衛医科大学校の病院につきましては、いろいろと御理解あるいは御協力を得まして、また一般の医科大学病院と同じというふうな形で開放してまいっておるところでございますが、おかげをもちまして、ことしの三月に第一期生が卒業するということになりました。ただそれまでの間、多少病棟の整備等にいろいろ日時を要しましたという点がございまして、必ずしも地元の方々の御要望に十分沿えなかった点があったのではないかというふうに考えておりますけれども、これからひとつ地域医療というふうなものの中核となるべく、私ども十分な指導を行っていきたいと思っておるところでございます。
  53. 原徹

    原政府委員 大井通信所でございますが、あれはわが国周辺の軍事情勢を把握いたすために、いわゆるコミントと申しますが、通信情報でございます。わが国に飛来してくる電波を収集整理をいたしまして、そしていわゆるコミュニケーションインテリジェンスと申しますが、そういうことを任務とする部隊でございまして、わが国は専守防衛を任務としている自衛隊でございますから、情報の収集整理、これは非常に重要なものでございまして、大井通信所もそういう意味で非常に重要な機能を営んでいるわけでございます。
  54. 宮地正介

    宮地分科員 終わります。
  55. 藤尾正行

    藤尾主査 以上で宮地君の質疑は終了いたしました。  次に、小野信一君。
  56. 小野信一

    小野分科員 沖大東島、通称ラサ島と呼ばれているようでありますけれども、この島の位置、面積並びに所有者をまず確認いたしておきます。
  57. 玉木清司

    ○玉木政府委員 沖大東島は沖繩県にございまして、沖繩本島から南東約四百キロくらいのところにある島でございます。面積は約百万平米、所有者はラサ工業株式会社でございます。
  58. 小野信一

    小野分科員 ラサ島は現在どのような環境のもとで管理されておりますか。
  59. 玉木清司

    ○玉木政府委員 現在、空対地の射爆撃場として、あるいは艦砲射撃の射爆場としまして提供されておりますので、大体私ども承知しておりますのでは、年間百七、八十日くらいの訓練に使用しておるという状況のように承知しております。ただ、現地は無人島でございますので、現場におきましてその土地の管理に職員が当たっておるというような状態はございません。
  60. 小野信一

    小野分科員 射爆場として使われておる以上、戦後ラサ島の管理は紆余曲折を経たことが予想されるわけですけれども、ラサ島の戦後の管理の経過、もしおわかりでしたら説明願います。
  61. 玉木清司

    ○玉木政府委員 ラサ島は、沖繩復帰以前におきましては、昭和三十一年から四十七年の復帰までの間はアメリカ軍がここを射爆場として使用してきたわけでございます。復帰後、ラサ工業から、昭和四十八年の十月に所有権の保存登記が行われまして、それ以後は私どもの方とラサ工業との間で土地の賃貸借契約を結びまして、今日まで提供施設として管理してきておるというのが経過でございます。
  62. 小野信一

    小野分科員 日本の領土であり、肥料の原料である燐鉱石を明治四十四年から昭和十九年まで採掘しておった島であります。昭和四十七年に、沖繩の返還とともにわが国に返還されまして、ラサ工業と契約になったのは四十九年四月だと聞いております。四十七年から四十九年までの間の二年間はどのような法的位置にあり、だれが管理したことになりますか。
  63. 玉木清司

    ○玉木政府委員 所有権の保存登記がなされました昭和四十八年十月までは、これは四十七年の復帰以前におきましては施政権の及ばないところでございましたので、当時の沖繩におきます米軍の行政下に置かれて処理したわけでございますが、復帰後におきましては、引き続いて保存登記も行われましたので、その保存登記後の賃貸借におきましてすべてを対処しておるわけでございます。
  64. 小野信一

    小野分科員 四十七年の沖繩復帰から四十九年四月のわが国とラサ工業との契約の間、この二年間の法的根拠、法的位置が余り明らかでありませんけれども、再度質問いたします。  同時に、この島はいつアメリカに占領をされたのですか。
  65. 森山武

    ○森山(武)政府委員 お答えいたします。  先ほどの最初の質問の、四十七年復帰後から四十七年度の間は、過年度のことでございますので、損失補償契約というような形で会社と契約を締結して、借料相当額を補償額として支払いました。それから昭和四十八年度は、先生御指摘のように、三月になりましたけれども、当該年度でございましたので、四月一日から四十八年度分は賃貸借契約を会社と締結して借料を支払っております。  それから、復帰前における米軍の使用というのは、ちょっと私の方の手元に資料がございませんが、復帰前におきます、アメリカ政府に会社が借料相当額を請求して支払いを受けたという期間は、昭和三十一年四月から復帰まででございます。ですから、アメリカが三十一年四月以降、借料相当額といいますか、そういうのを復帰後になりまして払ったという事実がございますので、少なくともその日からは米軍は使っている、こういうことになろうかと思います。
  66. 小野信一

    小野分科員 ラサ工業と防衛庁との契約内容を、支障のない部分だけでよろしゅうございますけれども、発表できますか。
  67. 森山武

    ○森山(武)政府委員 賃貸料の額等が契約書にございますので、そのような額の内容は、ちょっと会社の同意がないと発表できませんが、その額を除きましての内容でしたら、後ほど先生の方に御説明にまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
  68. 小野信一

    小野分科員 四十七年から四十九年の間の損失補償は、国が責任を持ってやったようでありますけれども、四十七年以前の補償金といいますか、損失料については、どのような経過でラサ工業に支払いになっておりますか。
  69. 森山武

    ○森山(武)政府委員 これは直接防衛施設庁はタッチしておりませんが、いわゆる沖繩の復帰協定でございますが、復帰協定の四条二項によりまして、米軍が施政権下のもので請求権等のはっきりした請求権につきましては、放棄請求権になっていなかったわけでございます。そのような関係で、ラサ工業が直接、復帰後アメリカ合衆国に請求をして、アメリカ合衆国と合意成立して借料相当分を受け取ったというふうに聞いております。その期間は、先ほど御答弁いたしましたように、三十一年四月から四十七年五月十四日までの間、そのように聞いております。
  70. 小野信一

    小野分科員 ラサ島は、現在射爆場として使用されておりますけれども防衛庁はこの島の状態を調べたことがございますか。
  71. 森山武

    ○森山(武)政府委員 防衛施設庁自身ということでは調べておりませんが、会社の御要望で、ラサ島の燐鉱石の埋蔵量等の調査という御要望がございましたので、そのような手配をとりまして会社側で調査をしておりますので、そのような調査報告は大体承知しておるところでございます。
  72. 小野信一

    小野分科員 その調査内容を報告できますか。
  73. 森山武

    ○森山(武)政府委員 ただいまどうも不勉強で申しわけございませんが、施設庁が専門家に委託して会社が一緒に行ったということでございます。その内容につきましての大まかなところは、先ほど先生に御説明すると言ったこと、賃貸借契約の内容でございますね、それと同時に先生のところに御説明に行くということでよろしゅうございましょうか。
  74. 小野信一

    小野分科員 はい。できればラサ島が現在保有する資源の資産額といいますか、資産の大まかな金額でよろしゅうございますけれども、お知らせ願いたいと思います。
  75. 森山武

    ○森山(武)政府委員 資産の金額ということじゃなくて、調査の結果によりますと、埋蔵鉱の量は大まかに言って約二百四十六万トンあるということでございます。
  76. 小野信一

    小野分科員 燐鉱石二百四十万トン、現在の輸入価格は一トン当たり一万八千三百円、したがって、これは約六百億円くらいになるのですか、六千億になるのですか、かなり莫大な資産であります。  そこで、お聞きいたしますけれども、現在防衛庁がラサ工業と賃貸契約を結んでおりますが、その賃貸額は幾らになりますか。
  77. 森山武

    ○森山(武)政府委員 現在、昭和五十三年度まで賃借料をお支払いして、五十四年度は現在話し合い中でございます。  それから、賃貸料の額につきましては、民事契約ということで会社側が余り公表に同意してくれないということでございますが、大まかに言って六千万円を切れる、五千数百万円であるということでございます。
  78. 小野信一

    小野分科員 会社の方からお聞きいたしますと、四十九年から五十四年までの賃借料は年間二千六百万円、五十四年につきましてはいま発表になったようでありますけれども、これを面積で割ってみますと、最初の契約五年間は坪わずかに六円強、今回値上がりして十一円、資産の評価が全然行われることなしに貸借契約が結ばれておるようでありますけれども、この算定の基礎について、もし資料をお持ちでありましたら報告願います。
  79. 森山武

    ○森山(武)政府委員 大まかに言いまして、平米当たりは四十数円になるかと思います、先ほど大体百万平米ということで、四千数百万円でございますから。  それから、算定の方法は、同島の土地価格、ただいま先生の御指摘になりました燐鉱石の埋蔵量等は考慮いたしておりませんが、その土地価格に適正利回りを乗じて算定して、会社と協議の上、賃貸借料を決めているわけでございます。  なお、ラサ島の土地価格につきましては、沖繩の本土復帰前におきまして沖繩政府が土地借賃安定法というふうな法律で定めておりました近傍の南大東島というところにおける宅地の借料の基礎となった土地価格、このようなものを基礎としてといいますか参考といたしまして、復帰後の沖繩県における土地価格の変動等を加味してラサ島の土地価格を決めております。
  80. 小野信一

    小野分科員 長官、いまお聞きのように、ラサ島の持っている資産評価に対する配慮は全然なしに、隣の島の土地価格をもって賃貸契約が行われておるようです。この契約が果たして妥当なものかどうか、まず長官考え方をお聞きいたします。
  81. 玉木清司

    ○玉木政府委員 賃貸契約の基礎になりますその地価の基準をどこにとるかということにつきましては、ケース・バイ・ケースでいろいろな立場で、双務契約でございますから、相手方と話し合って決めていかなければならぬ性質のものでございます。いま施設部長から答弁しましたように、確かに現在の賃貸借契約におきましては、その土地の燐鉱石の埋蔵量を基準にいたしましたそれの営業収益、こういうようなものを加算していないことは事実でございます。しかし、燐鉱石を基礎にいたします永劫収益といいましても、仮にラサ島に先ほど申しましたような埋蔵量がありましても、それはやはり採掘して人間の力を加え、かつ、たくさんの機械工程を経て初めて採算に乗るということでございますから、現状の環境条件のもとにおきましては、近傍類地の宅地価格を基準にしておるということは必ずしも妥当を欠くものとは考えておりません。
  82. 小野信一

    小野分科員 私は岩手県の出身でありますけれども、宮古にラサ工業の工場がございます。現在、従業員三百四十二名、その一五%に当たる五十名、関連産業三十五名、計八十五名の首切りを中心とした合理化が出ております。宮古は御存じのように岩手県の漁業都市でありまして、もし工場から首を切られますと再就職の非常にむずかしい土地柄でございます。会社が莫大な資産を持って、この資産を利用して肥料をつくっておる会社でありながら、この会社の資産が利用できないという実態、そして従業員が馘首されるというこの実態、従業員はふんまんやり切れない気持ちで現在の島が占有されておることを見ております。したがって、土地価格だけで賃貸されることなく、これらの資産を正当に評価されて賃貸契約をしてもらわないと、会社としては非常に不本意な処理に陥るわけですので、再度、この問題に対する防衛庁考え方をお聞きいたします。
  83. 玉木清司

    ○玉木政府委員 岩手県のラサ工業の工場におきまして、そういう労働関係が起こっておるということは私ども承知しております。しかし、いずれにいたしましても、これはラサ島の土地の賃貸借の問題でございますので、会社側におきましても、会社の内部の諸事情につきましては、賃貸借に際しまして十分陳述をしていただき、われわれもそれに対処して決するわけでございますけれども、賃貸借そのものは、この土地を基準にいたしまして公正に取り決めていかなくちゃならない性質の問題でございますから、今後参考にしながら会社との契約に当たりたいと思います。
  84. 小野信一

    小野分科員 約三百万トンの燐鉱石がラサ島に埋蔵しておるわけですけれども、先ほど申し上げましたように、現在トン当たり一万八千三百円、三百万トンもし発掘できるとすれば莫大な価格になりますし、現在、ラサ工業が年間二十万トンの燐鉱石を使っておりますから、十五年分に相当いたします。したがって、まことに会社にとっては宝の島でありますので、会社それ自体としては、現在ラサ工業への返還を防衛庁の方にお願いしておりますか。
  85. 森山武

    ○森山(武)政府委員 いままで再々会社から返還してほしいという要請は来ております。ただし、米軍が射爆撃場として他に移設できない限り、どうしても使いたい施設であるということなので、現在の契約では五十五年三月三十一日までとなっておりますが、五十五年四月一日からの契約につきましても、会社の気持ちとしては返還してほしいという気持ちは当然ございますが、現在、会社と話し合いをして、賃貸借契約を継続していただくようにということで調整中でございます。
  86. 小野信一

    小野分科員 長官、五十五年度、新年度の契約に当たって、防衛庁はこれらの資産を背景としたものを十分配慮して契約する御意思がございますか。
  87. 玉木清司

    ○玉木政府委員 いずれにいたしましても、賃貸借契約というのは、その土地につきまして公正な価格をもって契約しなくちゃいけません。したがいまして、私ども、本日承りました諸事情につきましても、さらに情報をしっかりつかみまして、甲乙間の公正な契約を結ぶように努力をいたしたいと思います。
  88. 小野信一

    小野分科員 これはラサ工業の労働組合の調査結果でありますけれども、ラサ島は一千億円の資産を埋蔵しておるのではないか、こう言われております。ところが防衛庁の賃貸契約の算定基礎を見ますと、山林は平米当たり十円、宅地は平米当たり六十円、全体として十億円程度と評価をしておるようです。したがって、この十億円に見合う賃貸料を会社に支払っておるようであります。会社側が、あるいは鉱業界の人々が評価するラサ島の価格は一千億円を下らない。余りにもかけ離れた賃貸料になりますので、国民として、特にラサ工業に働く従業員にとっては、もしこの島が返還になれば、十五年以上の安定した企業経営が保障されるわけでありますから、政府の出方を見守っております。再度、この賃貸契約に対して十分配慮する御意思があるのかどうか、御答弁を願います。
  89. 玉木清司

    ○玉木政府委員 この埋蔵燐鉱石をめぐりまして、埋蔵しておるものをどう評価するかということにつきましては、いろいろな評価があろうかと思います。しかし、繰り返すようでございますが、土地の賃貸借は公正に行われなくちゃなりませんので、たくさんの情報を検討いたしまして、その上に立って公正な契約をしていきたいと思いますので、これからラサ工業との間でよく話し合ってまいりたいと思います。
  90. 小野信一

    小野分科員 長官、最後にお願いしておきます。  いまお聞きのように、この島が返れば、ラサ工業は首切り、合理化を実行しなくてもいいのです。しかも、現在燐鉱石は外国から輸入して肥料の原料といたしております。国内に十分、十年なり十五年分ありながら外国から買わなければならない実態。もしこれを開発すれば、国内経済にも大きなプラスになる、会社にとっても大きなプラスになる、十分これらに対する配慮をしていただくことを長官の方から答弁を願います。
  91. 細田吉藏

    細田国務大臣 実は、私この問題につきましては詳細に説明もあらかじめ聞きました。またただいまの質疑応答の中でお話十分よくわかりました。ラサ工業の会社側あるいは労働者の皆さん方のお立場ももう十分わかります。問題は、いま施設庁長官が申し上げたように、これは法律違反というわけにまいりません。ですから、賃貸借契約するのに、どういう理由で、ほかにもどういう事例があるのか、そういったようなことも十分に調べなければいかぬと、こう思いますね。ですから、事情だけでただどうこうするというわけにはいかないと思いますね。御事情は私十分わかりました。そこで、これについては、ほかにもたくさん賃貸借のいろいろな例があると思うのです。いろいろな事情がたくさんあると思いますね。これはきわめて特殊な例でございますね。ですから、そういう点は、防衛施設庁としても、できるだけの理屈がつくのならという気持ちもあると思うのですね。そういう点について、いま先ほど来、施設庁長官がるる申し上げたような立場で、十分な理解をもってこの問題は対処してまいりたい。法律違反をやって会計検査院にひっかかるわけにもまいりませんので、そういう点もひとつ御理解いただいて、これは十分善処してまいりたい、こう思っておる次第でございます。
  92. 小野信一

    小野分科員 政府のいろいろな御事情もわかりますけれども、ラサ島は本来ラサ工業が自分の意思で放棄したものでもなければ、自分の意思でアメリカ軍に占領されたものでもなくて、日本政策の中で占領され、四十九年まで無断使用されたような被害島であります。会社が被害者です。前例がないにしても、これらに対する特別な配慮が必要だろうと思いますので、心からお願いしておきます。  最後につけ加えておきますけれども、赤字会社であるにもかかわらず株価は暴騰いたしております。その背景として、ラサ島の存在が挙げられるのではないか、証券業界でもこう言われております。したがって、ラサ工業への早急な返還その他がないと、将来大きな禍根を残す場合もあると考えられますので、これらに対する十分な配慮をもって処理していただきたいことをお願いして質問を終わります。
  93. 藤尾正行

    藤尾主査 以上で小野君の質疑は終了いたしました。  この際、午後一時から再開することとし、休憩いたします。     午前十一時三十二分休憩      ————◇—————     午後一時開議
  94. 藤尾正行

    藤尾主査 休憩前に引き続き会議を開きます。  防衛庁に関する事項について質疑を続行いたします。中路雅弘君。
  95. 中路雅弘

    中路分科員 私は、きょうはアメリカ海軍の横須賀基地にかかわるごみ処理の問題にしぼって御質問したいと思いますが、五十五年度の政府予算二兆二千三百億の防衛予算、軍事費の中には、もともと日本に負担義務のない米軍基地の施設整備費、リロケーションやいわゆる思いやり予算等を含めて新規に五百二十八億円が組まれているわけですが、この問題について、これが地位協定二十四条に照らしても、当然合衆国の負担に該当する経費だという私たちの主張についての論議は別の機会に行うことにしまして、具体的な問題でお聞きをしたいのです。  今度の予算の施設整備費の中で、新規の建設で、横田飛行場にごみ処理施設調査、設計の費用が組まれていますし、また、神奈川県のキャンプ座間にもごみ処理の施設調査、設計費が組まれているわけですが、横須賀の海軍基地については、ごみ処理用施設をつくるというこうした計画が載せられていません。横須賀の海軍基地については、すでに昭和五十二年の十二月に、横浜の防衛施設局長あてに市長からもこの問題についての要請が出されているわけですが、要請文の中では、特に横浜の海浜住宅等が横須賀に移転してくるという問題に関連して、施設の移転に伴い排出されるごみの量が従来より大幅に増加されるので、この機会に米海軍施設内に独自のごみ処理施設を建設し、基地内のごみはすべて自己処理するように計画されたいという要望書が出されていますが、今度の予算の中で、横須賀については、地元からも強い要請があるそのごみ処理施設について計画がございませんし、また、こうした横須賀市の要請について、これまでどのように対処をされてこられたのか、最初にお聞きをしたいと思います。
  96. 玉木清司

    ○玉木政府委員 横須賀市におきますごみ処理問題は、当初、横浜にあります横浜の海浜住宅その他の米軍の住宅地帯を横須賀市に移設集約するという計画に伴って発生してきた問題でございます。当初横須賀におきます米軍は、久里浜の倉庫地区に自己の焼却炉を持って対処しておりましたが、これらの焼却炉のありました久里浜の地帯も、また米軍の基地の集約計画に従いまして返還することと相なりまして、昭和四十七年の二月には、一応これらを、結論としましては、横浜からの移転を受け入れると同時に久里浜も返還し、かつ、その担保といたしまして、米軍の排出するごみを無償処理するという協定が締結されたところでございます。しかし、その後さらに、横浜からの住宅の移転の計画が増大いたしまして、いわゆる本牧二号というような場所の住宅が追加して横須賀市に移転するということになりまして、ただいま先生御指摘の、横須賀市の見解が表明されたという次第でございます。  私どもとしましては、米軍と横須賀市との間にごみの処理に関します四十七年の約束がありますけれども、横須賀市が五十二年の十二月に申し出てまいりました、先ほど御指摘のような意見につきましても、これもまた理解できるところでございますので、将来にわたって、何らかこの問題の大所高所から見ました解決を図らなければならないという考えを持っておるところでございます。米軍の排出をいたしますごみの量も、これだけの住宅が移ってまいりますと、相当大規模になりますので、将来の問題としてこれを総合的に解決をしていきたいという見解を持っている次第でございます。
  97. 中路雅弘

    中路分科員 いまの御返事では、まだ横須賀のこの要請については、具体的に対処をされるということではないわけでありますけれども、いまお話のありました四十七年のごみ処理の協定ですか、横須賀市が米軍のごみ処理を無料でその負担でやるという、久里浜倉庫地区の返還と引きかえに無償で同市のごみ捨て場を使用する協定が、米軍基地司令官と当時の長野横須賀市長との間で、横須賀の防衛施設事務所の所長立ち会い、三者で協定が結ばれていますけれども、その後の現状を調査してみますと、協定成立の四十七年度は、米軍の処理しましたごみは年間で四千百二十三トンでありましたけれども、七年たった五十三年度をとりますと、一万一千二百五十六トンというふうに、年間処分量が大変増大しまして、最初の協定よりも二・七倍にもなっている。年々増加してきているわけです。これはごみ処理を扱っています丸山商店という許可業者が、市の方に運搬処分の実績として毎月報告されているのを集計したものでございますけれども、四十七年が、いまお話ししましたように四千百二十三トン、四十八年が四千七百四トン、四十九年が五千百四十六トン、五十年が五千三百八十八トン、五十一年が六千七百四十六トン、五十二年になりますと一万五百六トン、五十三年が一万一千二百五十六トン、五十四年は十二月までですが、九千五百五十六トンということで年々増加していまして、五十四年の十二月まで合計しますと、五万七千四百二十六トンになるわけですけれども、こういう現状は、当初協定、こういう協定という条件がありますけれども、それよりも基本的にはごみ処理の状況が大きく変化してきているということだと思うのです。  ちなみに、この米軍のごみを横須賀市条例に基づいて、手数料一トン当たり千五百円で試算してみますと、処分料を換算しますと、たとえば五十三年度をとってみますと、千六百八十八万四千七百五十円に上るわけです。これを四十七年から、いまお話ししました資料があります五十四年の十二月まで、八年近くを換算しますと、約八千六百十三万円の大きな費用を、この協定で事実上、市が負担させられるという結果になっているわけです。  先ほどお話ししました五十二年の横須賀市から出ている要請文の他の項目の中にも、横須賀市が基地による公害あるいは米軍犯罪の問題で市民生活に大変大きな犠牲と重圧が加えられてきている、しわ寄せがあるということも訴えていますけれども、もう一つ、たとえばごみの問題をとりますと、神奈川県下の主要な都市でいま横須賀市だけが市民からごみの手数料、いわゆる廃棄物取り扱い手数料というのを取っている町になっています。一世帯当たり現在六十円ですけれども、これを年間で見ますと、他の都市にはないごみの手数料をいまも約八千万円市民の方は支払っているという町になっているわけですが、これが先ほどお話ししました米軍にこれまで無料サービスしている金額は、ちょうどこの一年間市民が負担している八千万円を超える額をすでに負担させられているという現状にあるわけです。市民がごみまで負担させられているという状態になります。  さらに現在、横須賀には浦賀と公郷の二カ所に焼却所がありますが、五十三年度をとってみますと、米軍も含めて横須賀市全体で十七万九千五百トンのごみが出ているわけですが、その中で二カ所の焼却所で処理できるのはわずか四〇%です。他の余剰ごみは全部西部地域、山の方へ埋めているという、いま市は深刻な状態にあるわけです。いわば米軍の出すごみだけでもう一カ所焼却所が必要だということが数字的にも明白になっているというのが現状です。  さらに加えて、先ほどお話しのように、新たに横浜海浜住宅あるいは長井住宅等の基地の集中、移転が行われるわけですから、このごみの負担というのは一層増加するということになるわけですが、いま私が挙げました数字は、いずれも扱いました業者が市に報告した数字であります。市の方からいただいた数字でありますけれども、細かい数字は別にして、いまのこの七年間の現状、このように大変ごみが当初協定よりも、当時よりも増大している、いわば状況が一変してきているという認識については、施設庁の方はいかがですか。
  98. 玉木清司

    ○玉木政府委員 米軍のごみの排出量につきまして、いま古い数字から最近の見通しにつきまして御披露があったわけでございますが、五十年の時点で五千三百八十八トンと仰せられましたけれども、私ども、五十年の時点まではその数字のとおりに認識してきておるところでございます。しかしその後、ごみの数量を計測します計測基準につきまして、横須賀市独特のお取り決めがございまして、それによって計測をするということになったようでございまして、米軍の集約移転はまだ横浜から逐次移っておる段階でございまして、先ほど申しました七百七十七戸という海浜住宅全体の移転がまだ完了しておらない状態でございますから、移転の規模もまだ中途であるという状態におきまして、排出ごみ量が急激に二倍にもなるというようなことは、常識的に余り考えられないという感じがいたします。  そこで、従前の私ども承知しております基準によって数字を推定いたしてみますと、本年度あたり大体六千トンから七千トンくらいになるのじゃなかろうかという数字に相なります。したがいまして、新しい計算基準によります先生御指摘のような数字でいきますと、確かに、御指摘のような状態に数字関係は相なるかという感じがいたしますが、しかし、いずれにいたしましても、その数字の是非の問題ではなくて、横須賀というところに集約していきました結果起こってまいります問題の解決につきましては、総合的に考えて対処していかなければならぬだろう、こう思っておるところでございます。
  99. 中路雅弘

    中路分科員 いま計算の基準がちょっと変わったというお話もあるのですけれども、いま数量のことで細かく論議をする時間もないのですけれども、しかし、施設庁の方がおっしゃったあれでも、もう当初と比べて倍近くにはなってくる、さらに、これから住宅が大量に移転するということは事実ですし、生活様式も変わってきておるわけです。だから、戸数が同じだからそんなにふえるはずがないというのじゃなくて、実際にごみの量がふえていることは事実なんですね、生活様式も変わって増大してきていますから。そこにこれだけの住宅がまた新しく移ってくる。しかも協定ですと、いつまでというのがないんですね。改定しなければ、ずっと横須賀はこの方式で市が負担しなければいけないという協定になっているわけです。  私は、ここで具体的にお尋ねしたいのですが、一番最初にお尋ねしました市の方から出ている要請、米軍のごみは、基地内で処理する施設を横田や座間のように計画して、それで処理してほしい、この問題について検討する、あるいは新しく調査をしてみる、そういうお考えはないですか。
  100. 玉木清司

    ○玉木政府委員 御承知のように、関東計画その他集約の諸計画を実施してまいります際に、横須賀の現在ございます海軍施設の土地は、日米双方の研究によりまして限界まで有効利用を図っておるところでございまして、現在の基地内にごみ処理施設を設置することに無理があるということは、私どもの見解だけでなしに、市当局の専門家の御見解も、その辺はおよそ一致しておるところでございます。
  101. 中路雅弘

    中路分科員 市の当局も承知している、その承知している市がそういうように処理してくれと要請しているのですからね。実際に住宅が移転するわけでしょう。住宅が移転して一番最初にやらなければいけないのは、汚水だとかごみの処理じゃないですか。私は、何度かあの基地の中に入っていますけれども、御存じだと思いますけれども、たとえば夜間照明つきの家族向けの野球場までできているじゃないですか。夜間照明の野球場まで家族用につくるのだったら、まずごみ処理場をつくるというのが、住宅が移ってくる場合の当然の計画じゃないかというように私は思うのです。大きな基地、横田の場合も座間の場合も、今度は設計費用を組んでいるわけですから、少なくとも住宅をつくる際に、住宅移転と合わせてごみ処理を中でどうするかということは検討をするのが当然じゃないかと思うのですが、この点については、いま理由を聞きましたら、敷地が限界だというだけが大体の障害のようですけれども、そういうことはないと思うのです。必要だったら、私は、長官と一緒にあの基地の中を車で全部見て回ってもいいと思うのですが、大臣にこれだけお聞きしますけれども、住宅が移ってくるのですから、中でごみ処理を検討してもらえませんか。
  102. 玉木清司

    ○玉木政府委員 横須賀基地内に余積があるかないかということになりますと、これは人によって判断が分かれるところでございますが、私ども、ごみ処理施設を新設するだけの余積がないという見解を申し上げましたのは、今後予定されております各種の計画もございますし、現在の実情、その改善の結果どういう状態になるか、こういうことまで全部含めまして、総合してやはりここに相当の特殊な地域を確保しなければならない、ごみ処理施設の建設というものは無理であるというふうに理解しておるところでございます。
  103. 中路雅弘

    中路分科員 移転についてこれから具体的な計画をされるわけですから、その計画の中にごみ処理施設の問題について焼却所ができないかどうか、その検討、調査、少なくともそれくらいはここでやっていただく必要があるのじゃないかと思うのですが、これはせっかくおられるから、大臣、ちょっと検討してみるということをひとつ……。まだこれから住宅移転の計画を立てるのですよ。
  104. 細田吉藏

    細田国務大臣 ただいま施設庁長官が種々お答えしておりますが、おっしゃるように、ごみ処理施設が大変大切であるということについては、全く同感でございますので、これは横須賀市が納得できるような形で解決するように、いろいろ話し合っているようでございますから、今後とも十分話し合いをしなければならぬ、かように思っている次第でございます。
  105. 中路雅弘

    中路分科員 市と相談するということをいま大臣お話しになられましたけれども、市の要望は、いまあれしましたように、中で処理しようということですから、そういうことで市ともぜひ相談をしていただくということを、もう一度——具体的に横須賀市の要望に沿えるかどうか、この問題でまずひとつ検討もしていただきたいと私は思うのですが、いかがですか。
  106. 玉木清司

    ○玉木政府委員 いずれにいたしましても、ごみ処理ということは、米海軍のみならず横須賀市全体にとりまして、大変重要な問題でございますから、総合的な立場で横須賀市の要望をよく踏まえまして、われわれも協力してまいりたいと思っております。
  107. 中路雅弘

    中路分科員 基地内のごみ処理施設の問題については、十分検討していただくということにします。しかし、それまでの間、これだけのごみが増大しているわけですから、繰り返し言いましたように、協定があるにしても、協定の時点とは全く事態が変わっているわけですから、少なくともその増大した分、新しく市民に大きな負担をかけている分については、とりあえず何らかの形で市民の負担を軽減するという措置をとるべきじゃないかと私は思うのです。  昨年の夏でしたか、施設部長の森山さんが横浜の施設局長のときに、私はこのことでお話し合いしました。その際に森山さんが、基地内の住宅もふえて、ごみの量もふえてくるので、横須賀市と相談して、市民の負担を軽減するようにとにかく検討するというお約束はしておられるわけです。あるいは基地交付金の増額についても、自治省にひとつ要望してみようという話もされていたわけです。私は、今度の予算、五十三年度の基地交付金の中身も調べてみましたけれども、たとえば米軍のごみ処理に関する経費というのは、この交付金の中にほとんど入ってないですね。神奈川県や市に聞きましても、それは不明だと言っているのです。織り込んでも、わずかで、わからない金額だということを言っていますけれども、基地交付金の点で、何かの補助金の点でめんどうを見るとか、あるいはふえた分は少なくとも米軍に負担をさせるとか、そういう面で市民の負担を軽減するという措置について、処理場の問題を検討されるまでの間、さしあたってはそういう措置が少なくとも必要かと思うのですが、いかがですか。
  108. 玉木清司

    ○玉木政府委員 ただいま御指摘の問題は、先ほど来御指摘ございました長期の話とは違って、当面どうするのかということだと思いますが、これにつきましては、私ども、現在、横須賀市及び米海軍との間で慎重に協議を整えておる途中でございます。現段階におきましては、その内容をここでつまびらかには申し上げる段階には至っておりませんけれども、いずれにいたしましても、横須賀市の納得が得られる形で解決することがこの問題の解決の本旨であるというふうに考えておりますので、市の納得が得られるような形で調整してまいりたい、こう思っております。  ただ、当初私、申し上げましたように、集約移転の問題が起こります以前におきましては、米軍は、久里浜倉庫地区におきまして自分の排出するごみは自己処理をしておって、その自己処理の姿を続けたいという希望を持っておったところへ、日本側の事情によりまして、それを返還させ、ごみの処理は横須賀市全体の問題として処理していこうということで推移してきておりますので、アメリカ側立場理解しつつ、結論的には横須賀市の納得が得られる形に持っていくということではなかろうかと存じております。
  109. 中路雅弘

    中路分科員 今度調査、設計がつきました横田基地の場合には、たしか、いままで米軍が業者に委託していたんですね。それが捨て場がなくなったというので、中に焼却場をつくるというお話を、施設庁の説明いただいた方に聞いているのですけれども、そうだとすれば、状態は変わらないじゃないですか、ただ空き地がいま狭いからなかなかむずかしいのだということだけで。横田の場合も、米軍が業者に委託して、捨て場がなくなった、それで中につくるということになったのですから、その点は焼却場をつくる方の検討とあわせていま協議をされているということで、具体的な結論にはまだ至っていないようですけれども、少なくとも市民の負担を軽減するという立場で、具体的な解決の結論が出るような協議にしていただきたいと思うのです。その点は念を押しますけれども、施設庁としては、米軍とどういう話をされているのか、もう少し具体的にお話しをしていただきたいと思います。
  110. 玉木清司

    ○玉木政府委員 いずれにしましても、米海軍がそこに存在することによりまして、そのごみの処理費用等を合理的な金額以上に横須賀市民に負担させるというような結果になることは、これは当然避けなければなりませんので、先ほど申しましたように、横須賀市も納得できる形を目指して調整を続けていきたいというふうに考えております。
  111. 中路雅弘

    中路分科員 時間がほとんどありませんので、もう一度念を押しますけれども、この横須賀市が米軍の基地司令官と結んだ協定、施設庁も立ち会いですか、入っておられますけれども、この協定で見ますと、第五項で「この協定は、相互に同意することで改正または修正される。」ということになっていますが、少なくとも一番最初この協定を結んだときの時点よりも事態は変わっているわけですね。だから、それ以後大きく負担がふえていく分については、少なくとも米軍なり国が責任を持つというのが、横須賀市の要望に最低こたえるあれですからね。施設庁は、この中に三者名前を連ねているわけですし、米軍と横須賀市を含めて、この協定で、事態が変われば修正するということになっている、手続もちゃんと書かれているわけですから、こういう立場で、新しい負担については少なくとも市民にかけないということで米軍と折衝もしてほしいと思うのですが、これは大臣、いかがですか。いま協定を見ておられますから、おわかりだと思いますが……。
  112. 細田吉藏

    細田国務大臣 協定にもそういう項目があることは承知いたしております。いずれにいたしましても、あなたのおっしゃっておる趣旨の根本は、市民が迷惑をこうむっておるのは困るじゃないかということなんですから、この点については私ども十分考えなければならぬ。これだけははっきりしているので、その後の方法をどうするかというようなことについては、ひとつ十分相談させていただきたい、かように思っております。
  113. 中路雅弘

    中路分科員 時間ですので終わりますが、いま米軍と協議されているということですから、市民の負担を軽減するということで、ひとつこの問題はできるだけ急いでいただきたい。横須賀市が、神奈川県の主要な都市の中で、市民からまだ年間八千万円も手数料を取らなければいけないというような現状で、ごみの処理の四割しか焼却場でできない、あとは山に捨てている、こういうパンク状態ですね。これを改善していくということについては、ひとつ施設庁も、大臣もおられますから、責任を持ってこの解決に当たってほしい。もう一度最後に、そのことで長官の約束を聞いて終わりたいと思います。
  114. 玉木清司

    ○玉木政府委員 現在横須賀市に、将来計画として相当大規模なごみの処理設備を用意しようという構想があることは、私ども承知しております。やはりこの構想を中心に防衛施設庁も協力をいたしまして、最終的に市民の負担にならないような形で解決をしていくということが長期の問題解決の姿勢ではなかろうかと考えております。
  115. 中路雅弘

    中路分科員 終わります。
  116. 藤尾正行

    藤尾主査 以上で中路君の質疑は終了いたしました。  次に、和田一仁君。
  117. 和田一仁

    和田一仁分科員 民社党の和田一仁でございます。  私どもの春日顧問がこの第九十一国会の本会議で代表質問をいたしまして、その中で触れてありました防衛の問題について、それを踏まえた上で若干お聞きしたい、こう思います。  「防衛計画の大綱」についての質問を大平総理にいたしております。私どもは、国の安全ということは国政の大本でございまして、福祉の向上も、あるいはまた豊かな社会をつくる、そういったことも国の安全ということなしには図れない、何といっても国の安全が国政の大本である、こう心得ておるわけでございます。  そこで、この「防衛計画の大綱」でございますけれども、これが決められたのが五十一年の秋の閣議、こういうことでございます。私どもは、この大綱の前提になっているものとして、わが国が保有すべき防衛力というものは、国際情勢及びわが国を取り巻いている周辺の国際政治構造あるいはまた国内情勢が、当分の間、大きく変化しない、こういう前提に立って策定されておる、こういうふうに思うわけです。また、そうはっきり書かれておるわけですが、今日、この前提になっているわが国の周辺の軍事情勢、こういうものが非常に大きく変化してきているのではないか。特に北方領土にソ連の軍事基地が構築されつつある、またされている。あるいはまた空母のミンスクがウラジオストクに投入されたり、あるいはまたバックファイアその他の兵器が極東地域にどんどん配備されている、こういったことを一つとっても、大きくわが国を取り巻く国際環境、軍事情勢というものは変わってきている、こう思っております。  また、この米ソの間のバランスというものも非常に大事でございますけれども、そのバランスにもまた変化が来ているのではないか。新聞によりますと、一月十五日にアメリカの下院の軍事委員会でCIA報告が公表されまして、昨年のソ連の国防費がアメリカの国防費の一・五倍になっているということが報告されておりまして、どうも最近のそうしたバランスが非常に変わってきている。  そこへ加えまして、昨年の末、御案内のようにアフガニスタンに対するソ連軍の軍事介入、こうしたことが起きまして、ヨーロッパや中東地区に事があれば、アメリカ極東にあるこの軍事力がそちらに振り向けられていくというようなスイング戦略もはっきりとここで公認されてくるような、そういう情勢変化、こういうことを考えてまいりますと、この防衛計画が踏まえております前提が変わってきている、これでいいのかどうか、こういう質問を私たちはしたわけでございます。  これに対して大平総理大臣の本会議での答弁は、確かに軍事情勢は「極東ソ連軍の顕著な増強等によって厳しさを増しつつあるものと考えております。」と、その変化しているということは総理大臣も認められておるわけでございます。  じゃ、そこで、計画そのものについてどうなんだという私たち質問に対しては、その大綱の中で決められている水準に現在まだ達していないので、その防衛力の水準を可及的速やかに大綱の線に持っていきたい、これがまず第一であるという答弁になっておるわけでございますけれども、その点につきまして、防衛庁としては、まずその変化についてどのようにとらえておられるのか、そしてそれが変化があると認められるならば、これに見合った防衛力の拡充強化を行わなければならないはずでございますが、それに対して一体どう対応しておられるか、その辺をちょっとお聞かせいただきたいと思います。
  118. 細田吉藏

    細田国務大臣 ただいま国際情勢のいろいろな変化については御質問の中で述べられました。私どもも同様にいろいろな点で大きな変化が参っておるというふうに存じておりますので、その点についての意見の懸隔はございません。極東情勢あるいはアフガニスタンへのソ連の軍事介入等いろいろおっしゃいましたから、私は重ねて申し上げることはやめますけれども……。  そこで、これに対応するのに、総理の答弁がございますが、これでいいのか、こういうことでございますけれども、今日の時点におきましては、私どもは総理が申し上げたとおりの考え方でおるわけでございまして、いま直ちにこの計画を変更するという考えを持っておりません。  と申しますことは、五十一年ではありますけれども情勢はもちろん大きく変わってきておりますが、基本的な点についてはある意味では共通といいましょうか、非常に大きく、たとえば核戦争とかそういったようなものについて考えますと、一つのデタントの方向という基本的な方向自体はやはりまだあるわけでございますし、それから五十一年の計画そのものが、やはり日本の経済事情その他予算の事情、いろいろな事情から考えますと、かなり高いところにまだあるわけでございまして、そこにまだ至っておりません。  それから中身につきましては、質的な向上というような面につきましてはいろいろ事細かく規定してあるわけでもございませんので、したがって、私ども防衛庁としても、総理が春日先生にお答えしたようなそういう考え方でおるわけでございます。
  119. 和田一仁

    和田一仁分科員 変化があることは認めながら、計画そのものの見直しは必要ない、そしていま考えている線は相当高度なものだからそこへもまだ達していないのだ、それへ達することが先決である、こういうような御見解ですけれども、この「防衛計画の大綱」は、小規模、限定的な侵攻に遭った場合はとにかく自衛力で対処しよう、しかし、それ以上のものになってきた場合には米軍の来援があるだろう、それを期待している、これが基本にあると思うのですね。そうすると、その基盤的な防衛力、これが防衛計画で言っているところの水準が高くて、まだそこまで行ってないから、そこへ達成させることがまず第一だ、こういうふうなお答えであると理解してよろしいですか。
  120. 原徹

    原政府委員 「防衛計画の大綱」で、限定的、小規模は独力で排除、その他の分は米軍と協力してやるということでございます。それで、私ども、その数量的な面で見ますると、ある程度の数量になっておる面もございますが、しかしその質的な面について考えますれば、たとえば護衛艦にいたしましても、現在の状況で対空ミサイルを持っている護衛艦というものは三隻しかないわけでございます。だから護衛艦は六十隻と予定しているわけでございますけれども、そういう質的改善をいたしませんと非常に時代おくれなものになるというふうに考えます。それは海だけでなくて、陸上自衛隊についても航空自衛隊についても同じようなことがあるわけでございますから、そういう面で「防衛計画の大綱」が予定している水準にはまだとても達しているわけではないので、質的改善を中心に今後やっていきたい、こういうことに考えているわけでございます。
  121. 和田一仁

    和田一仁分科員 そうしますと、その計画が防衛庁としてこれは中期見積もりですか、中期的な業務見積もりがおありになる。それは最終年度が五十九年でございますか、その時点でそこへ達し得る、こういう見通しでございますか。
  122. 原徹

    原政府委員 まああのとおりに改善をされますと、かなりその線に近づくことは近づきます。しかし全部その線に達するということには若干まだ残る面があるというふうに考えております。
  123. 和田一仁

    和田一仁分科員 私は最近アフガニスタンのああした事件を見ましても、あるいは北方領土に対するいろいろな軍事的な脅威を国民が感じて、そしてさらにはアメリカから防衛努力の要請というものがしばしば行われている、一体、日本防衛はどうなっているんだろうかというのが国民のいま率直な気持ちじゃないか。これを防衛当局として大丈夫なんだ、いろいろ言われてはいるけれども、大丈夫なんだよとはっきり国民に自信をもってお答えいただけるようないま実態にあるのかどうか、その辺が私は国民が一番聞きたい点ではないか、こう思うわけですね。特に最近防衛費の増額等についても要請があるというようなことを考えますと、いまおっしゃられた五十五年度から五十九年度までの「中期業務見積り」の中で最終年度一体どれぐらいの防衛規模を考えたらこれが達成できるのか。たとえばGNPの一%ぐらいの経費をそこで考えたらその計画が達成されていくのか。防衛費全体についても、一体防衛庁としてはいまのような状態で行けると見ているのかどうなのかをちょっとお聞かせ願いたいと思います。
  124. 原徹

    原政府委員 おっしゃいますように、私ども防衛努力はしなければいけないというふうに考えております。  いまの「中期業務見積り」でございますが、正面装備で五年間でキャッシュベースで申しまして二兆七千億ないし二兆八千億になるだろうというふうに予定をいたしております。そういたしますと、これはいまの〇・九というようなGNPの比率では困るので、なるべく早く一%にしていただきたい、そういう希望を持っております。そういうことであれば、いまの「中期業務見積り」はおおむねできるものと考えております。
  125. 和田一仁

    和田一仁分科員 私はそういうことをもっと率直にやはり政府の中で声を上げていただいて、そうでないとわれわれは防衛当局の者として計画どおりいかないよ、いかなければ何かのときにはこれはどうにもならなくなるんだということを国民に明らかにしていっていただきたいと思うわけですね。——大臣何か。そうですか、じゃ一応聞きましょう。
  126. 細田吉藏

    細田国務大臣 大変御激励をいただいたり本当に御心配をいただきまして、ありがたいと思っております。  「中期業務見積り」というのは防衛庁限りでいま決めたものでございまして、いま防衛局長が申し上げましたように、現在の状況から見ると相当程度実質的に増強するという案でございまして、これを政府全体の方針に何とかして私どもはまず手っ取り早く言えばやってもらわなければならぬ、これでもかなり大きな仕事だと思いますが。全体として国民の皆さんに防衛についていろいろ御理解をいただき、いまおっしゃったように、私どもとしましてはできるだけ実質的な防御力の増強を図る、こういうことは絶対必要な私どもの任務だと考えておる次第でございます。
  127. 和田一仁

    和田一仁分科員 同じ五十一年の閣議決定で、防衛力整備の実施に当たっては、出面、防衛関係経費の総額が当該年度の国民総生産、GNPの百分の一に相当する額を超えないことをめどとしてこれを行うんだという決定がございます。私、こういったことが、GNP一%が是か非かというような論議になってきている根拠だと思うのですが、防衛当局がそういう意味で「中期業務見積り」を達成するためにも、とにかく防衛の基盤の整備をしていくためにも、これを遂行するためにはこれじゃだめなんだということが出てくればこれはやっぱり大臣、ひとつ閣議で政府の方針としてこういうことを論議してもらわないといかぬと私は思うのですね。この一%という線に対して防衛庁自身はどうお考えなんでしょうか。
  128. 細田吉藏

    細田国務大臣 先ほど来申し上げておりまするように、本年度でもGNPの〇・九%ということでございます。この〇・一%、一%との差が〇・一%ですが、〇・一%でもこれは現在の財政事情その他から言いますとかなり大きなものでございまして、ですから私ども、いま一%、国民総生産の一%を直ちに変えるという考え方は持っておりません。ただ、これにつきましていろいろな御議論が国内にもあることももちろん十分承知しております。国民の皆さん方の中からいろいろな声が出ておることもよく承知しておりまするし、また、最近のアメリカの国会なりあるいはマスコミその他世論の中からもいろんな御意見が出ていることも承知しておりますが、私どもはただいまのところでは、さように前段で申し上げたように考えておると、こういうことでございます。
  129. 和田一仁

    和田一仁分科員 この間新聞で見ましたところによりますと、外務大臣はアメリカに行かれるようでございますが、最近のアメリカからの防衛努力の要請について、わが国の防衛予算というものはGNP比で〇・九%だけれども、NATO方式で計算すれば一・五%になるんだということを述べて、こういった努力は実質的にはNATO方式でいけばこれだけなんだという説明をするんだというようなことでございましたけれども、この辺は私はよくわからないわけでございまして、いままで国内においては一%というこうした閣議決定でやってきているからその範囲内だ、こう言いながら、外へ向かっては、いやNATO方式で計算すれば一・五%になるんだ、これが同じものだということになると、一体これはどういうことなのか、防衛庁の見解としてどっちをとればいいのか、見解を教えていただきたいのです。
  130. 原徹

    原政府委員 私どもは従来ベースと申しますか、そういうことでできるだけ早く一%にしてもらいたいという希望を持っておるわけでございますが、このNATO定義というのは実は秘密でございまして、実は聞いてみても余りはっきりわからない面がございます。ございますが、それの中で昔の軍人恩給を防衛費に入れている国もあるようでございます。そういたしますと、昔の旧軍の軍人恩給、それを入れてみればどうなるかというと、それは一兆円程度のそういう軍人恩給がございますわけでございますから、いまのパーセンテージは上がるという計算にはなろうかと存じます。ただ、私どもといたしましては、旧軍とは全く関係のない自衛隊でございますから、それを入れてみても別にそれで防衛力が強くなるとも思いませんので、私どもとしては従来ベースの計算でできるだけ早く一%にしていただきたい、こういう希望を持っているわけでございます。
  131. 細田吉藏

    細田国務大臣 いま防衛局長からお答えいたしましたが、防衛庁としましては一・五%云々ということは一度も使っておりませんし、今後も使いません。これはこういう計算をすれば一・五になるというお話をいろいろなさったり、説明の便宜でいろいろ計算上そういうものが出るということだと思いますので、いろいろな意味で私ども誤解を招くと思います。ですから、私どもこの一・五%というNATO方式によれば云々とかいって、NATO方式そのものがあいまいな点も多々あるわけでございますから、私どもはあくまでも閣議決定の一%、こういうことで考えたいと思っております。私ども一回も申し上げたこともございません。
  132. 和田一仁

    和田一仁分科員 どうもそういうところが内閣で外務大臣と防衛庁長官と違う、そういう数字が出てくる、これはやはり国民にとっては何か防衛費の枠が計算によってふえたり減ったりする、こういうところは大変迷わされるところでございますので、はっきりと統一していただきたい、こう思うわけです。  さらに、私も具体的なことについてもお伺いしたかったのですが、もう一つだけ、同じ防衛努力の中でも、こういった経費の面だけでなしに、最近は、いわゆるスイング戦略によって手薄になる極東日本に対するシーレーンの確保、これについても相当強い要請が来ている、こういうふうに聞いておりますけれども、こういった具体的な防衛努力について、いまある力で一体どこまでやれるのか、どの辺まではいけるがそれ以上はだめなんだ、そういった要請に対するイエスかノーか、できるかできないかというようなところをはっきり答えていくべきじゃないか。やれるようなやれないようないいかげんなことでは、日本の生命線にかかわるような問題について、私はやはりこの辺ではっきりと日本のそういったものに対する力が示されていかないといけない、こう思うのですが、どうなんでしょうか。
  133. 原徹

    原政府委員 前回ブラウン長官が参られましたときに、やはり防衛努力はお願いしたいというお話がございましたが、何をどうするというような具体的なお話は一切ございませんわけでございます。  シーレーンの問題につきましても、自衛隊は周辺海域中心でやる自衛隊でございます。周辺海域数百海里、それから航路帯にいたしましたら一千海里、その程度の防衛能力と申しますか、そういうことを目標にいま整備を進めているわけでございます。
  134. 和田一仁

    和田一仁分科員 それは具体的には要請はなかった、こうおっしゃるわけですね。そうすれば、ただ抽象的な努力目標としてそういった防衛努力をしてほしいという程度のことで、具体的にこたえる必要はない、いまこういうふうな状態と理解してよろしいのですか。——それじゃその辺にしておきますが、大変細かくて恐縮でございますが、具体的な問題で一つお尋ねしたいのがございます。  朝霞の米軍キャンプの跡地の利用の問題がいま大変埼玉県にとりましては大きな関心の的になっておりますけれども、この跡地の中で、根津地区の一部を自衛隊の訓練施設にこれから使うということになっておりますが、これは一体何にお使いになるのか、ちょっと計画を聞かせていただきたいのです。
  135. 多田欣二

    ○多田政府委員 根津の訓練場は、従来、東京地区の部隊訓練場をあそこしか持っておりません。あそこで、大蔵省の普通財産であった時代に一時使用という形で、具体的に申し上げますと、自動車の訓練場でありますとか、高射隊の訓練場でございますとか、基本射撃場、それから一般訓練のための訓練場、こういう形で使用させていただいておりました。  昨年の十一月、国有財産中央審議会の御承認を得まして、正式にそこを約七十二ヘクタールでございますが、使わせていただくということになったわけでございまして、今後の使用形態も従前と全く変わりはございません。
  136. 和田一仁

    和田一仁分科員 その隣あたりに埼玉県は防災センターをつくる計画をしておりまして、ちょうどその隣ぐらいになるらしいのですがね。このセンターと、それからその周辺にやはり防災関連の施設をつくる、こういうことですが、これはぜひ私どもは、いま計画を聞いて大体その線ならばと思ったのですが、何か実弾射撃場であるとか、そんなものでもつくられて、防災センターと非常に相入れないものになってしまうと困ると思ったのですが、これはぜひ埼玉の防災センターをここへつくるのだということと見合うようなそういう使用方法、それからまたそのセンターをつくるときについて、ひとつ前向きな御協議を願いたい、こう思うわけです。
  137. 多田欣二

    ○多田政府委員 国有財産中央審議会の答申の中で、当該訓練場の一部を付近の住民の方の災害等があった場合の避難場あるいは物資の集積センターというような防災拠点として利用できるようにしなさいという答申がございます。私どももその意を受けまして、今後具体的な扱い方等につきましては、埼玉県当局とよく話し合っていきたい、このように考えております。
  138. 和田一仁

    和田一仁分科員 もう一つお願いしたいのですが、やはりその近くに大和田通信所という米軍の通信施設がございます。これは昔の海軍かの通信隊の跡地だと思うのですが、これが長いこと接収されておりまして、現在でも米軍の通信所がありますが、一時期より非常に施設も縮小されて、非常に広大な土地の中の一部分だけを現在使っている。周りは、これは国有地、民有地がずっと入りまじっているようですけれども、ここが縮小されて、既存のアンテナ等も撤去されて、ポールもなくなっている、こういう地区なんですけれども、その上に建造物を建ててはならぬ、畑なら使ってもよろしいがそれ以外はいかぬ、こういう非常に強い規制がかかってしまっておって、そこはそういうふうにあいておりますけれども、周辺はどんどん人口がふえておる地帯でございまして、その辺で、学校一つつくりたくても適当な土地がない。できればそこの中の民地の地主から土地を買って学校をつくりたいけれども、そういった規制がかけられていてだめだ、何とかならぬかという声が非常に強いわけですが、この点について、ひとつそういった現状を見た上で、規制を緩めていく方針があるかどうか、ちょっとお尋ねしたいのです。
  139. 森山武

    ○森山(武)政府委員 御承知のように、大和田通信所の中央部分三十一万平米、これは専用地区で使っております。その外側にありますのは電波障害防止のための緩衝地帯でございまして、八十七万平米ばかりございますが、先生御指摘のとおり、確かにアンテナ等が二十二基ありましたのを現在四基にしております。これは、通信機器等の発達によってそのようなアンテナで受信機能に差し支えないというふうなことで少なくなったのでございまして、相変わらず受信機能のために緩衝地帯が必要であるというふうな関係は変わってございません。なお、現在残っておる四基はわりと境界の外近くにございます。  ただ、いま先生のおっしゃいました農耕とか居住とか通行とか、電波障害に支障のない面はよろしゅうございますので、そのような形での利用でありましたら米軍との交渉その他調整いたしたいと思いますし、それからたとえば土地を売りたいということであれば、電波緩衝地帯の方も私どもの方で必要があれば買い上げてございますので、国の方での買い上げというのもございます。そういうことを御答弁させていただきます。
  140. 和田一仁

    和田一仁分科員 時間が参りましたので、これでやめたいと思います。  周辺で人口が非常に急増しておる地帯でございまして、そういう中で、学校をつくりたいとか福祉施設をつくりたいとかいう要求が出てまいりましたときは、ぜひひとつお考えを願いたい。私は、あそこは受信でなしに送信だ、その送信で一方的に打っていくので、そういった電波障害が起きたときに向こうへうまく行かない心配があるから規制をかけている、こういうふうに聞いていたものですから、ちょっとそこら辺違うかなと思って。受信、送信で違うのかどうかよくわかりませんけれども、大分技術も進歩したし、施設そのものの利用度も縮小されていると聞いておりますので、ぜひひとつその点は御配慮を願いたいものだと思います。  終わります。
  141. 藤尾正行

    藤尾主査 以上で和田君の質疑は終了いたしました。  次に、伊藤茂君。
  142. 伊藤茂

    伊藤(茂)分科員 私はアメリカ軍の使用のための施設の建設に関連をして質問をいたします。  まず一つは、神奈川県の根岸地区の米軍代替地の施設建設の問題についてであります。  これは五十二年十二月に横浜海浜住宅一号地、二号地の全面返還に関連をして合意をされ、昨年の十二月に横浜防衛施設局長から横浜市の方に建設申請が出されたという経過で、この間に市議会並びに関係市民から、市民の理解を求める努力が全然なかったではないかという厳しい声が一斉に出まして、数日前に施設庁の方から横浜市に対して若干の改善の回答ということになったようであります。  ここでお伺いしたいのですが、数日前に回答があった内容を聞きましたが、さらに努力をする余地は一体ないのか。私は、もっと米軍側にも率直に実情を話して、市民の期待にこたえるようにやる、それがまた米軍の現在の施設計画にも大きな支障を及ぼさないという感じがするわけですが、今後さらに努力をする気持ちがあるかどうか、またこれから建設に入っていくわけでありますが、その過程の中で、今度経過の中で出ましたような市民の声をよく聞いてやっていくというふうな姿勢をお持ちなのかどうか、まず最初にお伺いをいたします。
  143. 玉木清司

    ○玉木政府委員 本件に関します経緯につきましては、いま先生おっしゃったとおりでございますが、三月の初めに私どもの方から横浜市に対しまして、市議会の御要望に対し、こういうようなことでアメリカ側と話をつけてきたということを御報告申し上げまして、市議会及び市当局も一応の御了解を賜っておるということでございます。  お尋ねのように、さらにこの上努力をする余地はないかということでございますが、この問題の背景になっております横浜三住宅の移転そのものが大変大きな基地の集約移転計画でございまして、その過程の一環でございますので、日本側としましても、集約していく過程において、それに協力いたしております米軍に対しまして相当の無理を言って今日まで至っておりますので、さらにこの上大幅な無理を申して、相互の理解ができ上がるというような状況には現在ございません。しかし、せっかくの御指摘でございますので、今後実施段階におきましても、少しでも市民の御要望におこたえする方向で対処するという心構えにつきましては、全く御指摘のとおり考えておるところでございます。
  144. 伊藤茂

    伊藤(茂)分科員 経過を振り返ってみますと、市の方のいろいろな努力もさらにやらなければならぬと思いますが、やはりその衝に当たられる施設庁の側で、市民の理解を求め、市民の協力を得てやるという姿勢を今後の過程の中でも強く努力をされるように要望しておきたいと思います。  あわせまして、これは五十六年度末までにということになるわけでありますが、予算措置ですね。今年度の予算に盛られているそれぞれの項目、施設整備、新設移転などに含まれているかと思いますが、五十五年度、五十六年度にかけてこれを建設する総額、また年次に分けてどの程度の金額で建設されるのか。  それから、聞きますと、日本国民はウサギ小屋に住んでいるという話も外国から言われているそうですが、何か米軍側の建設について、たとえば宿舎とか住宅などについてもそれなりのレベルがあってのことだろうと思いますけれども日本の住宅事情などと比較をして、本牧の場合もそうでしたが、著しく大きな差があるというようなことも市民感情から言っても問題があるということだろうと思います。たとえばこの計画の中に含まれている住宅、宿舎、兵隊さん用から士官用あるいは家族用などケースがあるんだと思いますが、標準的な形でいって大体どの程度のアベレージのものになるのか、そういうようなこともあわせてお答えください。
  145. 玉木清司

    ○玉木政府委員 この計画の具体的内容でございますが、まず予算的に申しまして、昭和五十三年度までに支出済みになっておりますものが二千万円ございます。昭和五十四年度の支出計画をしておりますのが八億五千八百万、昭和五十五年度の現在御審議いただいております予算で二十四億四千四百万、昭和五十六年度以降の見込みといたしまして七億七千一百万、全体の見込みといたしまして合計四十億九千三百万円ということでございます。  これらの予算をもちまして実施いたしますのは、昭和五十四年度におきましては住宅一戸、教会、宿舎、食堂、中央公共施設、この中には売店、集会所、図書館、郵便局、青少年会館、ボーリング場等を含んでおります。そのほかに診療所、車両整備所等でございます。昭和五十五年度の計画といたしましては、昭和五十四年度に着手いたしました先ほどのものにつきまして継続して仕上げていきたい。昭和五十六年度におきましては運動施設を整備したいということでございます。  なお、もう一つお尋ねの、いわゆる移転集約いたします場合の住居の設計基準の問題でございますが、端的に見まして、日本のたとえば三LDKというようなものを基準にいたしますと、面積上では大体一・七倍くらいのものに相なります。三LDKクラスで面積というのはそれくらいになります。しかし、それは御賢察のように、われわれと体格も生活様式も違いますので、米国国内におきましては標準的な基準として認められておるところでございます。  本件施設は、日本側の必要により移設集約を求め、米側がこれに同意して、その移設集約に協力をしてくれておるという立場でございますので、それらとあわせまして私どもとしましては、現在の設計基準、移設の基準というものが日本人の現状に対して違ってはいますけれども、それでは過度にそれが優遇したものであるかどうかということにつきましては、それほど過度な優遇という評価は当たらないではないかと考えております。
  146. 伊藤茂

    伊藤(茂)分科員 一つこれは念押しなんですが、横浜海浜住宅一号地、二号地の返還は、五十六年度というのは、この計画からすれば確実ということで解してよろしいですね。
  147. 森山武

    ○森山(武)政府委員 五十六年度いっぱいで横浜海浜住宅の移設工事が大体完了する、こういう見込みでございます。返還は、工事完了後、引っ越しとかあるいは跡地をどうするかというふうなことを踏まえた上で返還手続を進めていくというかっこうになりますので、昭和五十七年以降、話し合いをしながら返還の期日を決めたい、かように思っております。
  148. 伊藤茂

    伊藤(茂)分科員 五十七年以降と申しますが、すでに大蔵省理財局と事務的な相談も始まっている、五十六年度末にこの問題は皆さんの言うとおりでいくと片づく、そして五十七年からは確実に本牧の方の新しい町づくりに着手していくということになっているはずですが、五十七年度以降というのは余りにも漠然としておりますが、五十六年度末、五十七年度ごく初め、こういうことではないでしょうか。
  149. 森山武

    ○森山(武)政府委員 当初の計画としましては、五十七年度初めには返したいということで進んでおりますが、移設工事自体が五十六年いっぱいはかかるのじゃなかろうかと思います。そういう関係もございまして、五十七年当初から返還ということにはまいらないかと思います。  なお、あそこはいろいろ入り乱れておりまして、その区画整理との関係でどうするかというふうな問題もございます。こういう問題は返還前でも調整できる問題かとも思いますので、そのような手続はなるべく早く並行して進めたいとは思いますが、そういう趣旨で私、五十七年度以降と申し上げたわけでございます。
  150. 伊藤茂

    伊藤(茂)分科員 いずれにしても、次の海浜住宅一号地、二号地の跡をどうするのかというような実務的な作業も始まっておるわけでありますから、事前の対応も含めてスムーズに進むように努力をしていただきたいと思います。  次に、東京の山王ホテルに関係する問題について幾つかお伺いいたします。  この経過は私から改めて申し上げません。皆さん御承知のとおりであります。期限が年末に来る。安立電気がその代替の施設をつくり防衛庁は買い上げる、そして、特に先月来、地元住民の大変大きな関心あるいは怒りの声が起こっているという状況であります。  経過についてまず二つお伺いしたいのですが、一つは、住宅地のど真ん中にこういうものをつくるという計画でありまして、地元の方から大きな不安あるいは不満が出るというのは、だれが考えても理の当然のことではないかというふうに思うわけであります。いまの段階になって、何かいまとなってはやむを得ないみたいな説明をしているようでありますが、いままで十分時間があったわけでありまして、そういう事情を正確に判断をして、アメリカ側にも、ヘリコプターで十五分以内とかアメリカ大使館の近くとかいろいろあったようですが、条件を緩めてもらう努力をいままで一体やったのかどうか、これが地元の共通した感情であろうと思います。外交上の施設で大使館をお互いにいいところにつくるとかいうようなことは、一番いい場所を当然相互に選ぶでありましょう。しかし、ヨーロッパその他を見ても、軍事施設をつくる場合にはなるべく御遠慮を願って、市民の生活に影響を及ぼさない努力をする。特に近代社会においては当然のことではないか。経過についての共通した疑問が一つであります。  もう一つは、当初から施設庁長官も言われてきたようでありますけれども、やはり住民の理解を得てこれをやっていく。あくまで話し合いの路線でいく、話し合いの立場で了解を求めてやっていく、これも当然のことをいままでも皆さん方も言われてきたことだろうと思います。最近の状況を見ますと、もう強行あるのみというふうな姿勢があらわになっているという感じに地元も受け取っているというわけでありますが、私はこれも当然と思いますけれども、いままで繰り返し皆さん方が当初約束したように、話し合いの立場で、あくまでも話し合いで解決をしていくという姿勢で臨むのかどうか、いかがでしょう。
  151. 玉木清司

    ○玉木政府委員 山王ホテルの移転につきましては、この施設そのものが確かに軍事施設一つではございますけれども、用途はホテルでございます。そういう意味におきまして、宿泊あるいは会議等の目的に従い得ない場所にございました場合には、これは施設設置の意味がないわけでございます。もう一つ、このホテルの移転は、日本政府と所有者との間の裁判の結果によりまして、日本政府からこれを移転をしてもらうという関係の中で進めておるものでございます。したがいまして、私どもとしましては、米軍が希望しております幾つかの条件を満たす範囲につきまして、国有地を初めこれに転用できそうなホテルその他あらゆる角度からの調査を数年にわたって続けた結果、都心近くで条件に合うところはもうここしか発見できないという結論になりまして、安立電気とこのことを運んでまいったという経過でございます。したがいまして、軍事施設は遠くにあっていいじゃないかという一般的なお考えもうなずけるところでございますけれども、使用目的から申しまして、また事の性格から申しまして、安立電気の跡地が適合し、また他に代案はないというところまで経過しておるところでございます。  なお、二つ目のお尋ねの、最近の姿勢を見ると強行一本ではないかという御指摘でございますが、御承知のように、安立電気自身、あるいは三者会談と申しまして防衛施設庁が参加いたしまして住民と対話いたしました期間はもう大変な長さになっております。その結果、私どもも、住民の御反対のお立場なりその理由なりというものを十分に理解した上で対処しておるつもりでございまして、その一つのあらわれとしまして、二月には住民側から求められました港区長のあっせん案が提示され、このあっせん案をめぐりまして、住民側と私どもはそれをどうするかということで一つ結論を出さなくちゃならない段階になりましたが、私どもは、港区長のあっせん案に従って対処していこうということを防衛施設庁としては取り決めましたし、住民側におかれましては、これは不満であるということであっせん案が不成立になったという経過がございます。しかし、第三者である港区長のあっせん案というのも一つのめどになるところでございますので、私どもは、一つのこの示されましためどを中心に、今後も引き続き住民の御不安を除去するということにつきまして手段を尽くしてこれに対処してまいりたい、こう考えておりますので、強行一本で参るというような気持ちは持っておりません。
  152. 伊藤茂

    伊藤(茂)分科員 長官、ホテルと言われますけれども、通常のホテルだったら、御承知のような兵隊さんが酔っぱらって町の真ん中で照明弾をぶち上げるとか、そんな事件も起こらぬはずだし、それから士官クラスだけではなくて兵隊さんも来られる。それからベトナム戦争当時など考えれば、戦場からやってきてバーやクラブへという場合もあるでしょう。私はやはり地元の不安の方が当然だろうと思います。  それから、今後とも話し合いの努力はするということを言われますけれども、現実に進んでいる状況では、一方で切り崩し、一方では強行の姿勢というふうなことではないかと思います。それで納得できないのですが、その具体的な問題として聞きたいのですが、去る二月の九日に告知板というのか、一方的な通告のような形だと思いますけれども、お知らせの掲示というものがなされました。東京都の条例からいたしますと、まあ一カ月ぐらいすれば建築確認申請を出すことは可能になるということですから、もう目の前の時期にそれが都庁にも出される。都庁の方でも、出たからすぐ判こを押して機械的に審査をしてというふうな姿勢ではなさそうであります。これはもう皆さん御承知のとおりです。何かその経過を見ますと、安立電気と皆さん方は、安立電気も言っておるようですが、口頭で安立に言ってあることで、文書契約ではないというふうなことが言われているようであります。しかし、現実には防衛庁が後ろから強力にプッシュをしているというふうなことが歴然ということになるわけでありまして、何かそういう強力な、安立電気にもいやおうなしの義務感を抱かせるような後押しをしているのではないかという疑惑が一つ。  それから、昨年六月の段階でわが党の同僚議員が施設部長さんにお会いしたときに、その話し合いのメモを見てみますと、安立があきらめた場合にはやむを得ないというふうに部長さんがお答えになっている私どものメモがありますが、契約関係からすれば当然のことだと思いますけれども、いまでもそうお考えになっているのかどうか。  それから、安立が建物を建てたら契約をするということでありますが、恐らく長期にわたってというふうに皆さんお考えでしょう、当然。何年ぐらいの契約を正式にやるつもりですか。そしてまた、この経過を見ますと、何かわからぬけれども、この電気会社の方と相当多額の調達契約でもなさって、非常に義務感をあおっておられるようになっているのかどうかという気持ちすらするわけでありますが、二月九日、いわゆるお知らせ掲示がなされて地元でも火に油というふうな状況になっている。これから後の具体的手順に関する問題が出るわけであります。そこをどうお考えでしょう。時間もございませんから、済みません、簡潔にお答えください。
  153. 玉木清司

    ○玉木政府委員 安立電気と防衛施設庁との間の現在進めておりますことに関します約束というものは、これは書面契約ではございませんで、私どもの要望に対して安立電気が答えるという口頭のものでございます。  それから、安立があきらめたらやむを得ないと部長が答えたという御指摘でございますが、やむを得ないという意味をそのときに部長がどのような考え方で申し上げたかは私も承知しておりませんけれども、この代替施設の提供というのは、安全保障条約に基づきまして、わが国の安全を考えてまいります場合の大変意味の深い大事な案件であるというふうに私ども理解しておりまして、日本国としましては、必ず代替のものを提供しなければならない条約上の立場がございますので、そういう国全体の果たさなければならない役割り、義務、こういうものから見まして、決してゆるがせにできるものではないというふうに考えておるところでございます。  それから、何年ぐらいの契約をするのかというお尋ねでございますが、現在、防衛施設庁で行っております契約は、年々更新いたします賃貸借契約の形でございますので、また関連法規上からも当然この形になろうかと思います。  次に、電気会社との間の調達状態を通じて会社側に義務感を与えているのではないかと思われるという御指摘がございましたが、安立電気そのものと防衛庁の装備品調達との関係におきましては、私の承知いたしております限りにおきましては、ほとんどゼロに近いということでございまして、詳しく調べてみますと、若干の部品、構成品等が間接調達というような形で入っている分があるということを聞いておりますけれども、安立電気が防衛装備品の調達の中で占めております地位というものは、これはもうゼロに近いという関係でございますので、装備品調達を通じて会社に義務感を与えるという関係は全くございません。  それから、今後の具体的な手続の問題でございますが、これは現在条例に基づきます建築主のとるべき手段といたしまして、関係の周辺住民に対しまして説明会を催そうという準備を整えておりますし、また戸別訪問もほとんど半分以上終わっておるという段階でございます。  今後におきましては、安立電気自身が決心することでございますけれども、現在の実情を踏まえまして、周辺住民の協調を求めながら建設を諸規則に沿って進めてまいるということに相なると思います。
  154. 伊藤茂

    伊藤(茂)分科員 私は、納得できないのですが、時間もありませんから、当面するこの現実問題ですが、いまのような状態のもとで皆さん方がお考えになるような方向に、ことしの暮れ引き渡しまでといいますか、アメリカ軍の使用に供するという状態に、まあ円滑に間に合うというふうにはとても思えませんし、関係者の方もそう思っているのではないだろうかという気がいたします。  皆さん方の方からも、米軍の方にも山王ホテル側にも、この後こういう事情になっているというようなことは当然お話しになっているはずだと思いますし、それから聞くところによりますと、山王ホテルの側でも延長ということもあり得るというふうなことを感じているようなことも聞くわけでありますが、現実問題として、どれだけの期間とかいうことはまた別にして、やはり当面いまの状態を延長して、何か冷静に解決がつくようなことを考えると言う以外に、私の質問と皆さん方の意見が違っても、現実問題としてはないんじゃないか、そう思うわけでありますが、どう判断されておりますか。
  155. 玉木清司

    ○玉木政府委員 第二審におきます裁判官の勧告に基づく和解ということが問題の発端でございますので、私どもとしましては、ぜひにもこの代替施設を整備しなければならないという立場にございますので、このための努力を諸条件の中で精いっぱい続けていくつもりでございます。  なお、そうした場合にも、本年年末までに移転先ができ上がらないという状態が起こるではないかということに相なりますけれども、それはそのときにどうするかということにつきましては、その当時の環境、諸条件の中で決定をしていかなければなりませんが、一つの形としまして、現在の山王ホテルの明け渡しを求められております所有者に対しまして、裁判上の和解の中に十二月をめどとしてというような表現もあることをあわせ考えますと、明け渡しの延期を申し出ることになろうかな、こんなことを考えております。
  156. 伊藤茂

    伊藤(茂)分科員 私は、こういう問題は、逆に非常にトラブルが深刻になりつつあるような今日の状態、ここを強行でやるのか、理解を求めるのか、非常に大事なところではないだろうかという気がいたします。やはり長い目で見て、日米間の相互理解なり、あるいはまた今後の両国国民の間の関係なりというものを考えると、いまの何か強行でやろうというふうにやった結果、残るものはデメリットしか残らないというようなことではないだろうか。この際、もうちょっと時期が進んだ段階で、アメリカ側にもあるいはまた山王ホテル側にも理解を求めて、延長ということもあり得るということですが、むしろここで大胆にそういう態度をおとりになるべきではないだろうかという気が私はいたします。  時間がありませんので、大臣、お聞きになってみての感想なんですが、日米間のこういう施設の問題、沖繩もそうですし、私ども神奈川県も不幸にして全国第二位の基地県、東京も施設が多く、数々の問題が起きます。安保の影とも皆さん方言うわけでありますけれども、こういう問題を、昔あったように、血を流してまで強行するような時代もあったわけでありますけれども、やはり今日の時代は違うわけであります。しかも歴代総理も、アメリカ大統領とイコール・パートナーシップである、イコールのパートナーであるということをこの数年来強調されているという状況でしょう。しかも現実は、ドイツとNATOなどとの関係から見ますと、日本は雲泥の差と言ってもいいほど主権が確立されていないという状況です。やはり国民の理解を求め、話し合いの路線で、相互理解を高める方向で物事を進めていくというのが大原則ではないだろうかという気がいたしますが、責任者の長官、どうお考えでしょう。
  157. 細田吉藏

    細田国務大臣 本件につきましてもいろいろな事情を私十分よく承知しております。防衛施設庁としても、先ほど来施設庁長官から申し上げるように、和解から出発しておることで、ある条件があって、定められた条件のもとでこういう状況になっておるわけでございまして、これはおっしゃるように、本当に住民の皆さんの御協力をいただくという以外にもう方法がないということでいろいろやっておるわけですが、やはり一番大切なことは、いま住民の皆さんが御心配になっておることがもう幾つか挙げられておるわけで、これは私がるる申し上げるまでもございませんが、こういう御心配がないようにしなくちゃいかぬわけでございまして、そういう点につきまして、もっともっと厳重に、いろいろ御心配がないように、十分向こう側とも話さなきゃいかぬのじゃないかというふうに私ども思います。そういうことで御理解をいただく以外に、どこかほかに持っていくことができるのかどうかと言いましても、実際問題としては、たとえばいまおっしゃるように、時間的にどうだというようなことがありましても、絶対的な場所がほかにあるかどうかというと、与えられた条件がございます。したがって、そういう点で、私どもまだまだいろいろな点で地元の皆さん方とも十分話し合って御理解いただかなきゃならぬ、こういうふうに存じておる次第でございます。
  158. 伊藤茂

    伊藤(茂)分科員 時間をオーバーして恐縮ですが、大臣のお答えも、前の方はいいのですが、後の方はほかの方と同じ答弁でありまして、とにかく地元にとって非常に心配な問題ですから、あくまでも話し合い路線でいかれるように要望して、質問を終わります。
  159. 藤尾正行

    藤尾主査 以上で、伊藤君の質疑は終了いたしました。  次に、小川新一郎君。
  160. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 防衛庁長官にお尋ねします。  日本は、広い意味アメリカ世界戦略に協力する立場にあるのか、ないのか。
  161. 細田吉藏

    細田国務大臣 日米安保条約というものを持っておるということでございまして、アメリカ世界戦略に協力しなければならないというふうには私ども考えておりません。
  162. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 日本アメリカ世界戦略に協力する立場にないということは、この際明確に日本立場を宣言すべきだと思います。このことは大来外務大臣に、訪米の際に、防衛庁長官として、閣僚の一員として申し述べますか。
  163. 細田吉藏

    細田国務大臣 先ほどの御答弁で、御質問が非常に簡単でございましたため、大変失礼いたしましたが、アメリカ世界戦略の中には、日本防衛をするという、安保条約の中のコミットメントといいましょうか約束、これはもうアメリカ世界戦略の中と考えますれば、当然協力をして日本を守るということでございますので、その点は前の答弁に補足させていただく次第でございます。
  164. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 そうしますと、アメリカ世界戦略に協力するということですね。
  165. 細田吉藏

    細田国務大臣 ただいま申し上げました限りにおきまして協力をするということでございます。
  166. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 わかりました。  陸上自衛隊が十八万人、これは第四次防で決まったことでございますが、第三次防以下は十七万以下でございました。充足したことが過去にあるんでしょうか。
  167. 原徹

    原政府委員 陸上自衛隊十八万になりましたのは、たしか私が大蔵省で主計官をやっていたときでございますから、四十三年か四年でございます。そのとき、充足率は九〇%ちょっと超えておりましたが、それ以後八六%ということになって、ずっと来ておるわけでございます。     〔主査退席、横路主査代理着席〕
  168. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 私どもがいただいた「日本防衛」という中では、平時の日本防衛ではすき間ないように、そして抑止力になるような意味のことを書いておりますが、陸上自衛隊十八万人の定数が充足しないのは、どういう理由によるのでしょうか。一つは応募者が来ない、一つは予算が足りない。いずれにしても十八万人が欠けていることは事実でございます。徴兵制をしかない限り、十八万には達しないのでしょうか。
  169. 原徹

    原政府委員 十八万と申しますのは戦うための体制でございまして、その十八万という定数が決まっておりますから、たとえば小銃は十八万丁持っておるのでございます。現在は必ずしも満杯にしておくようなことではない。訓練ができる最低限ということで、これは財政上の問題もございます。  そういうこともあって、現在八六%になっておるわけでございますが、私どもといたしましては、逐次これを引き上げていきたい、そういうふうに考えております。それでいまの、募集ができないというようなことは、現在の段階では別にないであろうというふうに考えております。
  170. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 一個師団七千名の乙師団、充足率は現在何%ですか。
  171. 原徹

    原政府委員 これは九千師団と七千師団とあるわけでございますが、陸上自衛隊につきましても、たとえばホークの部隊とか、そういうふだんから練度を必要とする部隊については高い充足率でございますけれども、いわゆる普通科、昔の歩兵でございますが、普通科については充足率が低くなっている。そういう事情はあることは承知をいたしておりますが、七千師団一般について、いま何%かという点については、ちょっと後で調べてから申し上げます。
  172. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 一個師団が五千名というのは一個師団としての力がない、師団の力がないものは防衛上瑕疵がある、こう言われておりますが、いかがですか。
  173. 原徹

    原政府委員 したがいまして、先ほど申しましたように、編成、戦うための体制としましては七千ないし九千要るわけでございます。現在必ずしもそれを満杯にしておく必要はないというふうに考えて、これは財政上の理由その他もありまして、それでやっておるわけでございますから、有事になればこれは埋めて戦う、そういうふうなことはできる、そういうふうに考えておるわけでございます。
  174. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 有事で満杯じゃないでしょう。平時で十八万が必要だということで十八万が定まっておって、それで師団の数ができてきて、それに充足率が足りないということは、平時の状態で瑕疵が出ているわけですから、それを満杯にしなければならないじゃないですか。私は戦時のことを言っているのじゃないのです。戦時で五千人の師団なんて、そんなことは世界じゅうありはしない。少なくとも一万人以上の師団の数でなければ戦闘師団として役に立たないことは、あなたはよく御存じだ。乙師団七千名が五千名だなんということがある雑誌に出ておる。私は、あえてあなた方の前でそれは言えないいろいろな事情があるから言わぬだけであって、しかも、重要な北方の守備をする第五師団においては五千名ということさえも世間一般周知のことだ。こういうことは全部十八万体制が完備されていないからだ。十八万体制をうたっておきながら、三次防までは十七万でよかったものをわざわざ四次防で十八万に引き上げておいて充足させない、こういうことでは責任上の問題が出てくるじゃないですか。そんな、できもしないのだったら、十七万で結構じゃないですか。いつ充足させるのですか。
  175. 原徹

    原政府委員 先ほどから申しますように、これは十八万というのは編成のものでございますから、それがないと小銃の数も十八万にならないわけでございまして、そういう意味で編成は非常に大事であるということから十八万にいたしたわけでございます。現在は、訓練をするのに必ずしも満杯にしておく必要も、財政上の理由等もありますので、全体で八六%ということになっておるのでございますが、もし万一の事態が生ずるようなことであれば、当然満杯にして戦うわけでございますし、それからまた平時でございましても、私どもはできるだけこれを逐次引き上げていく努力をしなければならない、それはもうそういうふうに考えております。
  176. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 大臣、お聞きのような答弁です。小銃が十八万丁あるから十八万に引き上げるのだ、そんなばかな防衛の責任者の答弁というのはないでしょう。十八万人はどうしても日本の安全保障のために必要だというから、十八万が定まっておるのであって、小銃を十八万丁つくったから十八万にするのだ、そんなばかな話はない。そういうことを言っているからアメリカからいろいろ言われるのであって、少なくとも十八万が必要だったら十八万にしたらいいじゃないですか。できない理由は何かと言えば、予算が足りないのかそれとも募集しても来ないのか、この二点しかないのであって、いつするかということを聞いているのであって、私どもは、何もどうのこうの言っているわけじゃない。小銃が十八万丁あるから合わせるなんて、そんな員数合わせのようなことを言っていたのじゃだめなのですね。これはまた後で防衛庁長官の見解を聞きますので、頭の中にとどめておいてください。  それから、防衛庁長官は二月四日の予算委員会において、昭和五十一年に閣議決定した防衛計画大綱に基づく中期業務見積もり再検討という問題に対し、能率的に防衛体制を整備するために、これまた早くこの防衛計画の線に到達し、またその質を高めていくという方向で見直し計画を立てていると答弁しておりますが、防衛力の質の向上の中身は何か、ことに海上自衛隊、航空自衛隊の質的向上とは何を意味するのか。
  177. 原徹

    原政府委員 質の改善と申しますのは、一つには装備の近代化をすることでございます。海上自衛隊、航空自衛隊と申されましたが、海上自衛隊につきましては、現在護衛艦五十数隻ございますけれどもミサイルを搭載しているものは三隻しかないわけでございまして、そういうことでは非常に旧式であるということもございますので、逐次近代化し、ミサイル化をしていかなければならない、そういうふうに考えておりますし、またその他、たとえば継戦能力、抗たん性というような見地、たとえば魚雷の問題とか機雷の問題とかいろいろございますが、そういうものをやりますのと、航空自衛隊につきましても、F15とかE2Cという新しい装備、それからナイキ、ホークの後継、それからバッジシステムと、近代化しなければならないものが非常にありますものと、これもまた同じように抗たん性と継戦能力、そういったものを中心に考えておるわけでございます。
  178. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 昭和五十三年十一月、日米防衛協力のための指針が第十七回日米安全保障協議委員会で了承されましたが、国防会議及び閣議に報告され、了承されておりますが、その中の作戦構想における海上作戦として「海上自衛隊及び米海軍は、周辺海域の防衛のための海上作戦及び海上交通の保護のための海上作戦を共同して実施する。海上自衛隊は、日本の重要な港湾及び海峡の防備のための作戦並びに周辺海域における対潜作戦、船舶の保護のための作戦その他の作戦を主体となって実施する。」となっておりますが、この中で海上交通の保護とはどの区域を指すのか。従来の小笠原諸島からグアム島周辺、フィリピン周辺にまで延長するのか。  二番目、海上輸送路、シーレーンを確保するためにはどうするのか。海上輸送路、シーレーンを確保し、守るべき対象は一般の商船、タンカー、アメリカの一般の船も守るのか、アメリカの軍艦も守るのか、海上輸送路、シーレーンが非常に長くなると思われるが、その際の補給基地はどうするのか。
  179. 原徹

    原政府委員 御指摘のように、いわゆるガイドラインにおきまして、海上自衛隊と米海軍は、海上自衛隊が周辺海域において主体となってこれの作戦を実施して、これを米軍が支援するということでございますが、そこでいまの、私ども申しております周辺というのは、周辺数百海里であり、航路帯に直すと、これはおおむね千海里程度のものを整備の目標にしているということを御答弁申し上げておりますが、大体いまでもそういうふうに考えておるわけでございます。
  180. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 そうすると、いま申し上げましたグアム、フィリピン周辺まで延長する考えはないのですか。
  181. 原徹

    原政府委員 ただいまのところ千マイルでございますとそういうところには届かないというふうに考えております。
  182. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 一般の商船、タンカー、アメリカの一般の船、アメリカの軍艦、こういうのを守るかどうか。
  183. 原徹

    原政府委員 日本の自衛隊でございますから、日本の船舶を守ることでございます。
  184. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 アメリカの船、軍艦は守らないのですね。
  185. 原徹

    原政府委員 防衛出動ができた場合でございますと、これは日米共同対処でございますから、共同対処の場合に、共同対処をやっている間相手国の、わが国に対する侵略している国の航空機ないし潜水艦が攻撃をかけてくれば、それをわが方が対処することになりますので、それを共同対処のときに結果としては守るということはあり得るわけでございます。
  186. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 その海上輸送路確保で重要な対潜作戦のために対潜ヘリコプター用の空母は持てるのか、普通の空母は持てるのかどうか、対潜攻撃用原子力潜水艦の導入を考えているかどうか。
  187. 原徹

    原政府委員 法律論といたしましては、自衛のために必要なものでございますれば、対潜空母あるいは航空母艦というようなものは持てるだろうとは思いますが、私どもそういうことはただいま考えておらない。  それからもう一つは……(小川(新)分科員「対潜攻撃用原子力潜水艦」と呼ぶ)非核原則がございますから、政策論として私どもはそういう考えは持っておりません。憲法上の問題としては持てないことはなかろうと思います。
  188. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 そうすると、法律的には持てるから将来も持たないということではない、こう理解していいですね。
  189. 原徹

    原政府委員 原子力推進の潜水艦でございますね、それは私どもは持つ考えはただいまございません。
  190. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 だけれども、対潜用空母は持てるということでございますから、対潜攻撃用の原子力潜水艦は持つ考えがない、こういうことですね。
  191. 原徹

    原政府委員 法律論と実際論と違うものですから、そのいずれもただいま持つ考えはございません。
  192. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 ただいまは持てないけれども、状況が変われば持つかもしれない。
  193. 原徹

    原政府委員 私はただいまいるわけでございますので、(小川(新)分科員「ただいまじゃなく未来のことを聞いている」と呼ぶ)未来のことまではちょっと——私はただいまいるわけでございますから、そういう考えは持っておりません。
  194. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 防衛担当者としてまことに不適格。われわれは一日一日——あしたも未来だ、それに備えて自衛をやっているのです。環境の変化、状況の変化によってはと言っているのですよ。何も持たなければ防衛にならないじゃないですか、どうなんですか。——時間がないからそれは後回し。考えておいてください。  防衛庁スパイ事件を捜査した警察当局が押収した書類、今回の宮永事件で防衛上の秘密、すなわち機密、極秘、秘がこの間の国会では約八万七千件あると証言されておりますが、今回警察庁に持っていかれた機密、極秘、秘、何点ありますか。
  195. 原徹

    原政府委員 今回起訴状で秘密文書十二点と書かれておりますが、それはすべて秘でございます。
  196. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 昨日私が当局からお聞きしたところによりますと、機密だけはないけれども極秘と秘はある、こういうふうに言われておりますが、極秘と秘は何点ですか。
  197. 原徹

    原政府委員 十二点につきましては秘でございます。
  198. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 刑事訴訟法第百三条では、当該監督官庁の承諾がなければ押収できない、ただし、国の重大な利益を害する場合を除いて承諾を拒むことはできないとあります。今回の警察の強制捜査に当たって、この百三条に基づいて機密、極秘等を拒否したのかどうか。捜査上必要がなかったから持っていかなかったのか、これはどうなんですか。
  199. 原徹

    原政府委員 ちょっと御質問の趣旨がはっきりいたしませんが、警察から押収があった、これはどういうものであるかということについての照会はございました。
  200. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 警察は極秘だ、マル秘だ、機密だということはわからないわけですね。強制捜査上必要とあれば持っていこうとしますね。その場合に、これは機密だから断るということも刑事訴訟法第百三条ではできるのです。国家に重大な利害を生ずるときには、機密文書を警察官が強制捜査で持っていこうとしても拒むことができる法律ですが、私が一番恐れておりますことは、宮永事件では調べたらこれくらいだった、それを立証するためのいろいろな資料が裁判で明らかになるわけです。たとえば秘密の中からいろいろ出てくる。これは非常に重大な問題になると思いますね、公開されちゃうのですから。そのために、旧軍隊では軍事法廷によって非公開方式をとっているのですが、民主主義のわが国においては公開裁判方式ですから、何がどういう日に調べられて何を発言したかということは裁判のときに全部出ちゃうじゃないですか。そうなったときには重大な問題ですね。調べておったそのものより、調べた過程において機密が漏れる方が大きなことだって考えられるわけですよ。これはどうなんでしょう。だから、あなた方は百三条を適用して警察の持っていこうとした機密文書や極秘文書についてはノーと答えたのかどうかです。
  201. 夏目晴雄

    ○夏目(晴)政府委員 今般の事件に関しまして警察当局の捜査を受けました際に押収されたものは、全く香椎、大島両人が持っていた私物的なものでございまして、いま御指摘のあったような秘密書類その他の押収はなかったということをまず申し上げたいと思います。  それから裁判の公判が始まっていないわけですが、公判が始まったときに秘密がオープンになるのではないかという御心配でございますけれども、私どもとしては、いわゆる国益上重要な問題があるかどうか、そういうことを加味しながら公判の維持、司法当局に協力していくことに相なろうかと思いますが、現在まだ公判が始まっておりませんので、具体的にどうかということを申し上げる段階にございません。
  202. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 これはおかしいですね。国の重大な安全に関するところの、公務員のやってはならない問題を、防衛庁という安全保障の重大な立場に立つところで起きた問題を、ただ持っていったかいかないかだけで警察が介入するわけはないじゃないですか。それを立証するためにいろいろな書類が持ち込まれるのでしょう。そのときに現職自衛官や宮永が警察でどういうことをしゃべっているのかということによっては、裁判で明確になっていくわけでしょう。それで、機密が流れるおそれがあるから、刑事訴訟法第百三条では歯どめがかかっているのだと私は理解しているのです。大体警務隊がやるべき仕事を民間の警視庁や警察庁に踏ん込まれて、ガサを食って、家宅捜索を受けて秘密書類を持っていかれたことだけでもこれは重大な責任問題だ。しかもその秘密書類が何点もある。これは大事な問題じゃないですか。長官どうでしょうか。これは長官にお聞きしたい。
  203. 細田吉藏

    細田国務大臣 確かに重大な問題でございまして、私どもの方からはもちろん何も出しておりません。ただ、押収されたものがございます。その中に極秘あるいは秘のものがある。これが今後どういう形で発表されるかということは重大な問題でございますので、表にあらわれる形をどうするかということについては、今後公判が進む前に私どもとして十分この点は申し入れをしなければならぬ、かように思うわけでございます。
  204. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 そうしますと、民主的な裁判を阻害するおそれも出てきますね。国の機密を守るためには無罪になる場合だってあり得ますね。  それから、今回の場合はそうであっても、これから起きるかもしれない重大な国家の重要機密の漏洩、防衛庁の軍事に関する機密の漏洩、こういう問題になったときには、たとえば捜査当局や裁判所から年度の防衛計画の提出要求をされた場合、防衛庁はどうするのですか。年度の防衛計画というのは何に当たるのですか。
  205. 原徹

    原政府委員 機密にわたるわけでございます。
  206. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 年度の防衛計画に触れなければ何をやっても当方は関知しないということを国会で答弁していますね。
  207. 原徹

    原政府委員 そういうことは申しておらないのでございますが、前回、例の栗栖論文のときに、その中身がどうであるかという点検をいたした際に、年度の防衛計画からは漏洩をしていないということを申し上げたことはございます。
  208. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 こういう事件が起きて強制捜査の段階で、年度の防衛計画、機密文書が警察に押収されたときには返還を求めるのですか。それを阻止するのですか。
  209. 原徹

    原政府委員 非常に大事な機密でございますから、絶対に取られないように注意をいたします。
  210. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 絶対に取られないって、どろぼうに入られるのじゃないのです。警察庁が強制捜査をしてガサを入れた、そのときに、年度の防衛計画を見なければその罪の立証がならないと判断しているときに、防衛庁は拒むのか拒まないのかと言っているのです。
  211. 原徹

    原政府委員 今回の事件につきましても、それは警察当局でこれが秘であるか極秘であるかはわからないわけでございますから、それについて、私どもは、責任官庁として、これは秘である、これは極秘である、そういう判断をいたしまして、そういうことでやっておるわけでございますから、年度防衛計画とは全く関係のないことでございます。
  212. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 ちょっと私の質問理解してないのだがね。今回も含めてですが、防衛庁が一番機密とされている年度の防衛計画を強制捜査の対象になって持っていかれようとしたときには、それを拒むのか拒まないのかというのが一つ。また、出してくれと言われたときには提出する義務があるのかないのか、これは刑事訴訟法第百三条を適用するのかしないのかという問題を質問しているのです。
  213. 細田吉藏

    細田国務大臣 防衛庁に提出を求められたときには、私たちは、これを出すことはお断りができると考えております。  ただ、これが間違ってどこかへあったというものを押収されたというような場合、そういう場合は非常にむずかしい問題が起こると思いますね。役所が正式に出す出さぬという問題は、私は断り得ると思っております。それはもちろん、取り扱い方もいろいろ話をしなきゃならぬと思いますけれども、私は、一応とにかく断ることはできる、さらに司法部からどういうふうに言ってくるかという問題はあるかと思いますが、しかし、役所が出すということでなくて、持っていかれたというときに、これは防衛庁とは関係なしに言うならば、持っていかれるわけでございますから、その場合に、私どもは、犯罪の立証にこれを使うということになると、公表するかどうかという問題が起こってくるので、これは非常にむずかしい問題がここにあるわけでございまして、われわれとしては、少なくとも公表というようなものにつきましては、どのように措置するか、今後、今度のスパイ事件に関連しまして、十分考えておかなければならぬ問題でございますので、十分研究をさしていただきたいと思います。
  214. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 これは大変な問題なんですよ。裁判の過程においては全部出てきちゃうのです。調べた、発言した、警察や検察でしゃべったことも全部、弁護士、検察当局の間のやりとりなんか出てくるのです。調べている疑問の機密はこんなものだった、漏洩した問題はこんな問題だった、しかし、これを立証するために調べたり発言したり、ばらまかれる機密が大きければ、裁判公開は共同スパイ作戦になってしまう、こういうことを私たち心配しておるわけなんです。これは大事な問題でしょう。だから、今回はたまたま機密がなかった、私も見たわけじゃないから、それを差しとめたのか、これは持っていってもらっちゃ困ると言って押さえちゃったのか、これは極秘だからと言って隠しちゃったのか、その辺のところはわかりません。本来だったら、シビリアンコントロールだからもっと調べてもらいたい。大体この年度の防衛計画というのは、国会に出せないのでしょう。
  215. 原徹

    原政府委員 これは機密でございまして、防衛のいわゆる手のうちみたいなものでございますので、これはひとつ御勘弁をいただきます。
  216. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 防衛庁長官、これをごらんになりましたか。
  217. 細田吉藏

    細田国務大臣 拝見もしましたし、説明も受けました。
  218. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 防衛庁長官防衛庁に機密は幾つあるのですか。
  219. 細田吉藏

    細田国務大臣 先般、防衛局長から予算委員会でお答えしたとおりでございます。数字につきましては、数万件ということでございますが、機密、極秘、秘と分かれておるというように承知しております。(小川(新)分科員「機密、機密」と呼ぶ)
  220. 原徹

    原政府委員 一応庁秘でございますと、機密は約千件でございます。
  221. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 これで終わりますが、機密は国会には出せないのですね。
  222. 原徹

    原政府委員 そういうことでございますので、御容赦をお願いしたいと思います。
  223. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 防衛庁長官、何がシビリアンコントロールです。だれがこれを決めるのですか、機密だの極秘だの勝手に。あなたが決めるのですか、それとも総理大臣が決めるのか。こういう大事な問題がいろいろ出てきます。そういう問題も含めて、いま何か委員会をおつくりになって検討中ですが、何委員会でしたか、ちょっと名前を失念しましたが、その委員会はいつ結果を出し、どういうことが発表できるのか。日にち、そしていまのような問題も含めて検討していただきたい、これを要望して私の質問を終わりますから、その答弁だけ簡単でいいですから聞かせてください。
  224. 細田吉藏

    細田国務大臣 何が機密であり、何が極秘、秘であるかということは、厳密に言いますと防衛庁長官が判断をして決めるということだと思います。ただ、細かいところまで一々防衛庁長官がやるかと言いますと、さようなことにはなっておらない、かように思います。しかし、あくまでも防衛庁長官の責任においてこれは決めることである、かように存じております。十分気をつけていかなければならぬことでございます。  それから、今回のスパイ事件の後のことでございますが、ただいま事務次官を長といたしまして、組織、運用、人事、この三方面にわたって、今後、このようなことを繰り返さないためにどうするかということについて研究しておりますが、そう長くかかってはこれは役に立ちませんので、とにかく一応でもできるだけ早い時期に、数カ月程度で、数カ月と言ってもなるべく早くとにかく結論を得る、そしてさらに続けて研究するものはするというようなやり方にしてもらいたいということで、次官を中心にいまやらせておるところでございます。
  225. 横路孝弘

    ○横路主査代理 以上で、小川君の質疑は終了いたしました。  次に、堀昌雄君。
  226. 堀昌雄

    ○堀分科員 私は、この防衛問題というのは、長く国会におりますけれども、余り論議をしたことはありませんが、かつてこの分科会で中曽根防衛庁長官のときに一回論議をさせていただきました。きょうが二回目であります。防衛問題は、率直に言って素人でございますので、その点はそういう立場でお聞きをいただきたいと思うのであります。  いま小川委員が機密の話をなすっておりましたが、防衛庁というところは、当然、機密があってしかるべきでありまして、私も、あの太平洋戦争のときには、海軍の軍医として駆逐艦に乗っておりました。暇なものですから、暗号の解読を手伝ってやって、いろいろと機密についての問題も承知をしておるわけでありますが、機密はいいのですけれども防衛庁のやる仕事の中には、自衛隊のそういう作戦行動とかなんとかというのは、まさにこれは、そういう機密を非常に必要とすることだと思うのですが、いろんな基地や何かがどこかにできるなどという話をひた隠しに隠している。それは、だれも知らないで隠しているのならいいのですけれども、土地の買収の話をしたり、いろいろ話をする過程を通じて、その地域にはどうもここに何かができるのだろう、初めはそういううわさが流れていく、やがてだんだんそれがはっきりしてきて、これはどうもナイキの基地らしい、こういう話がその地域にかなり広がってきている、しかし、防衛庁の方では、いやいや、それは全然私ども考えておりません、こういうようなことでやっていらっしゃる問題を、ちょっときょうは取り上げたいと思っているのです。  ちょっと最初に防衛局長にお伺いをしたいのですが、ナイキの基地というのは、どうやら、外国の飛行機が日本の内地に入ってくる、何をする目的かは別としても、入ってきたら、それを攻撃するミサイルのようですね。私は、日本がいま考えておる仮想敵国ということを考えながら、いま飛行機が恐らく偵察をするというのなら、何も低いところへ入ってくるわけでもないだろうし、このごろは偵察衛星なんというものもあるわけですから、そんな危険をやるわけではないだろう。そうすると、これは爆撃をやりにくるのかな、爆撃なんてものは、飛行機でそんなことをやれば、飛行機に乗ってきた爆撃機の連中というのは被害を受けるに決まっている。今後の戦争というものが、核戦争の場合と通常兵器の戦争の場合と二つに分けられて、核兵器の問題になれば、いまのナイキの基地などというものは別に問題にならない、こう思いますから、中距離弾道弾にしろ大陸間弾道弾にしろ、アメリカソ連の距離というのではなくて、日本の場合には近距離ですから、核戦争のときにはこういうものは余り効果がない、そう考えてみると、どうもこれは通常兵器による限定的な戦闘かな、こう思うのですけれども、一体、日本へ通常兵器による限定的な戦争なんということがこれから起こるのだろうか、こう考えてみると、これから何か安全保障に関する委員会か何かできるようでありますから、そういうのができましたら、そういうところでいろいろみっちりと少し常識論の問題をやらしてほしいなと思っているのです。     〔横路主査代理退席、主査着席〕  専門家は専門家の意見があると思うのですが、私、防衛庁の皆さんを拝見しておりまして、いま事務次官をしていらっしゃるのは亘理さんですか、私がずっと足場にしております大蔵省の出身者ですね。いま防衛局長の原さんも大蔵省の出身者、まあ私どもと似たり寄ったりで、経済をやっている方が防衛問題をやっていらっしゃる、大変結構だと思うのです。それはなぜかと言うと、そういうのは、一定の常識の物差しでなきゃ判断できないというのが基本にあるからだろう、こう思っているのですけれども長官も御出身は運輸省でございまして、余り防衛には直接御関係がない。言うなれば、常識の物差しで、防衛庁における、さっき小川さんのおっしゃったシビリアンコントロール、まさに常識の物差しで御判断になるのだろう、これが私は、民主主義の政治の基本だろう、こう思っているわけです。  そこで、こう考えてみますと、いろいろ問題が起こるようなことがなければ、ある地域に、ああいいですよ、ひとつそこへ基地をつくってもらって結構ですというふうな話になるのなら、私は何も言う気はないのですけれども、実は近畿地区というのは、なかなかいろいろな事情がありまして、かつてここに能勢という地域にナイキの基地をつくろうと防衛庁考えましたけれども、ついにその反対に遭って今日それはだめになったと承知しておるわけです。そういう問題を含めて、一体防衛庁がナイキというのは何のためにつくろうとしているのかというのを、ちょっと最初に一言だけお答えいただきたいと思います。
  227. 原徹

    原政府委員 わが国の防衛考える場合に、先生おっしゃいましたその核の問題については、すべてアメリカ核抑止力に依存するという前提になっております。したがいまして、いわゆる通常兵器による攻撃を未然に防止する、未然に防止するためには、そのための対処の能力がなければならない、こういうことでございます。そういうことを前提にいたしますと、まあミサイル時代でございますけれども、やはり爆撃機あるいは戦闘爆撃機、その戦闘爆撃機の方がだんだん多くなっておりますが、わが国に対するそういうものによる攻撃を未然に防止するためのものが必要である。ナイキは高いところ、ホークは比較的に低いところということで、レーダーサイトでそういう場合にいち早く探知をし、そして、それに対して、あるいはこれを戦闘機で対処するか、ミサイルで対処するかということを割り当てまして、そして入ってくる航空機を撃墜する、そういうような体制のためにナイキ、ホークはあるわけでございます。  関西地区を考えた場合に、第四高射群というのがございますが、その西の方というところがすき間ができておるということで、従来から私どもは、ひとつ一個高射隊を置きたいというふうに考えておるわけでございます。
  228. 堀昌雄

    ○堀分科員 そこで、あと時間がありませんから本題に入りますが、私はどうも、外国が日本を攻めてくる、何のために攻めてくるのかなという気がして仕方がない点があるのです。ですから、こちらが何か相手を攻撃すれば、相手が攻めてくるのはあたりまえなんですが、何もしないのに、いきなり攻めてきて、どこか東京や京阪神、そんなところを爆撃してつぶして、その国は一体何をしようとしているのか、どうもわからないことがたくさんあるので、きょうは時間がありませんから、それはまた追っていろいろ論議させていただくこととして、いま防衛局長は、近畿地区に一つつくりたいのだ、こういうお話のようでありますが、そういう施設をつくるために、ことしたしか八千五百万円ぐらいの予算が計上されておると思いますが、ちょっと防衛庁、事務方で答えてください。
  229. 多田欣二

    ○多田政府委員 高射隊の関連用地の一部を取得する経費として八千五百八十万円でございますか、準備をしてございます。
  230. 堀昌雄

    ○堀分科員 予算委員会分科会ですから、要するに、この八千五百八十万円はどういうふうに使われるかということを、私どもは、国民の側からちょっとここで明らかにしてほしい、こう思っておるわけであります。  そこで、いま防衛局長は、近畿の西の方という御答弁がございました。一体、この近畿の西と言っても、なかなか広いわけでして、さっき私、申し上げましたように、能勢というところでやろうとしてこれができなかったという一つの経緯がありますが、いま私が申し上げる地域に、一体そういうものをやる気があるのかないのかということを、ちょっとお答えをいただきたいと思うのです。  私は、兵庫県二区という選挙区で、この選挙区の北の端に三田市という市がございます。この三田市では、私が地域における得票数のトップに立っておりまして、支持者が非常にたくさんいる地域で、静かな山村でございます。しかし、ここはいまその横に北摂ニュータウンという新しい町づくりをするということで、問題は、そういう点もあるのでありますが、この三田というのは、いまの予定地の中には入っていないでしょうね。
  231. 多田欣二

    ○多田政府委員 先ほど防衛局長が御説明をしましたように、西の方、京阪神の西の方が入っておる、したがって、その地域を中心にナイキ基地を選定したいということでございまして、そういう意味で申しますと、三田市というところは、われわれが検討をしている地域の中に入っております。
  232. 堀昌雄

    ○堀分科員 ナイキの基地というのは、これもどうもうんと広い広大な面積を必要とするようではないですね。ナイキ基地の必要な面積というのは、大体どのくらいでしょうか。
  233. 多田欣二

    ○多田政府委員 これは、その土地の地形等によって大変幅がございますけれども一般論で申し上げますと、少ない場合には大体七十万平方メートル、それから多い場合には大体百万平方メートル、それくらいの幅に入るのではないかと思っております。
  234. 堀昌雄

    ○堀分科員 いまのお答えで、七十万ないし百万平米というものは、まあべらぼうに広い範囲を包括的に指すことではありませんから、どこかに一つ考える、こういうことになりますね。いまのお話のように、その三田市を含めて考慮している、こういうお話のようですから、それは広い範囲じゃなくて、三田市というのも一つです、あとにも幾つか、そういう七十万ないし百万平米というようなものがあるのだ、こういうふうに理解をするのでしょうか、いまの御答弁は。
  235. 多田欣二

    ○多田政府委員 一個隊の必要な地積ということで七十万ないし百万平米ということでございます。したがいまして、先ほど申し上げました近畿の西の方の地域にそれを一つ取得したい、こういうことでございます。
  236. 堀昌雄

    ○堀分科員 いまあなたの御答弁に、三田市を含めた範囲に考える、こういうお話でしたから、含めた範囲というのは、この基地が非常に広い範囲で、ともかく何百万平米もの広さにあるというのなら、御答弁の趣旨はわかるわけですよ。その中に三田市が含まれているというふうに私は理解をするのだが、七十万平米か百万平米というのなら、そんな大きな面積じゃありませんからね。そうすると、そのいまの御答弁のところで、三田市を含めて考えておるということは、要するに、三田市以外にもこういう何かがあるということなのか。いまの幾つかの中で一番に名前をお出しになったところを見ると、どうもこれが優先順位の一番というふうに私は理解をするのですが、もしほかのところに——あなたが含めてというのは、幾つかあるという日本語だと思うのです。私が伺ったら、広い範囲を使うというならわかるけれども、わずか七十万平米か百万平米というのは大した面積じゃないのですから、そうすると、ほかの自治体のどこかにもあるということなのか、あるいは順位が一番だというのか、そこらがはっきりしないで大変答弁があいまいですから、その点をちょっとはっきりしてください。
  237. 多田欣二

    ○多田政府委員 先ほど来申し上げておりますように、七十万平米ないし百万平米の土地を一カ所取得したいということで、先ほど申し上げました京阪神の西側、三田市を含む一帯の地域、その地域の中で現在候補地を物色中、こういうことでございます。
  238. 堀昌雄

    ○堀分科員 それはよくわかっているのです。だから、物色中なら、三田市を含む地域でいいけれども、幾つか物色しているのか。あなたは、いま片っ方では一つと言っているわけですね。だから、その含めた地域で一つ物色するわけですね。
  239. 多田欣二

    ○多田政府委員 現在は、いわゆる候補地を内部的に、事務的に詰めておる、こういう段階でございまして、こういう事務段階におきましては、通常複数の土地をまず見つける、それで、その土地それぞれにつきまして、いろいろなナイキの基地としての必要条件等がございますし、それから周辺の状況、その他いろいろ勘案すべき状況がございますので、そういうものを比較考量いたしまして一カ所にしぼる、しぼった段階で具体的に動き出す、こういう段取りになるわけでございます。
  240. 堀昌雄

    ○堀分科員 私が伺っていて名前が一つしか出ないものだから、一つしか出てないと、そこが第一候補地、こうなるので、あなたのおっしゃるように、複数というのなら、その複数のあるところをちょっと教えてもらわないと、問題がややこしくなるのじゃないですかね。
  241. 多田欣二

    ○多田政府委員 基地問題と申しますのは、大変複雑でございまして、先生もいま御質問なさっているように、われわれが何か企図しているなということ、それがわかるだけである程度問題になる、非常にいろいろな面で周辺に御迷惑をかける、幾つかの土地について名前が出まして、それぞれ地元には大変御迷惑をかけた、しかし結果的には、私どもは、幾つかの候補地の中から一つを選びまして、具体的に取得交渉をするのは一つでございますから、同時並行的に何カ所もやって、まず話のついたのを決める、こういうやり方は私どもはいたしておりません。常に取得交渉するときは一カ所でございます。現在そういう作業をしている段階でございまして、固有名詞を出すということはひとつ御容赦をいただきたいと思います。
  242. 堀昌雄

    ○堀分科員 わかりました。要するに、三田市だけは固有名詞が出たけれども、ほかは固有名詞が出ないということを一応ここで確認いたしておきます。  そこで防衛庁長官、これはこういうことなんですね、やはり地域の住民がこういう問題は理解をし、納得をしませんと、率直に言いまして、この問題は実はうまくいかないだろうと私は思うのです。ですから、まず防衛庁として、秘密もいいのですけれども、やはりそういう問題は、できるだけ住民のコンセンサスを得ることに重点があるのでありますから、私は、きょうここでひとつ、この八千五百八十万円の予算執行上、それは一体何だろうかということをまずお尋ねして、あとの問題は、また追って別の委員会でやらせていただくことにいたしますが、私が特にこれを取り上げておりますのは、いま私が前段で申し上げましたように、国民がみんなこのナイキ基地というものはどうしても必要だなというふうに思っておるならばまた別なんですけれども、私みたいなふうに、いまどきこんな京阪神に爆撃して一体何するのだろうなあというふうに思っている人たちもかなりたくさんいるわけですね。ですから問題は、もっと基本的な問題にもかかわりを持っているものですから、そういう意味では、いま防衛予算というものはアメリカがGNPの〇・九%を何とかやれとかいうことで、さらに最近、新聞を見ると、一%まで何とかしろというような話がぼつぼつ出ているわけですね。私どもとすれば、安保条約もあるし、いろいろあるでしょうから、アメリカにそうすげなく処理をするわけにもいかないという点もあろうと思いますけれども、やはりここらは、防衛予算全体を含めて合理的な支出ということを考えるべきであって、そう考えてくると、私は、いまのような大変あいまいな話は、国会における答弁でありますから、やはり明確にしていただいた方が、かえって問題の処理をスムーズに進めるのではないか、こういう感じがいたすわけであります。防衛庁長官から、その所を言えなんということを言うわけじゃありませんが、要するに、いまの経緯を含めてひとつ御答弁をいただきたいと思います。
  243. 細田吉藏

    細田国務大臣 お答えいたします。  いま前段におっしゃいました御理解を得なければいかぬ、これはもう当然だと思いますね。ただ、御理解の得方はいろいろな場合がありまして、これはいろいろあると思うのです。しかし、とにかく努力しなければいけませんね。なかなか万人が、百人が百人全部オーケーという話にならぬかもしれませんし、ですから、その辺はその必要性と、それから反対なさる方々あるいは異議のある方々、そういう方々とのいろいろな問題、そういうことだと思いますが、少なくとも基本的には、御理解をいただいて、とにかくやるということに全力を挙げなければいかぬ、これはもう当然だと思います。  それから地名云々の話は、やはりいろいろな場合がありまして、担当の者は苦労しておることだと思います。そういうことであって、他意があるというふうには私は必ずしも思っておりません、いろいろな場合がございますから。言ったために、ここを大変、たとえば第三者が来て土地を買い占めるとかなんとかいう場合もございましょうし、いろいろな場合もございましょうから。ただ、本件に関しましては、当面予算も上がっておることでございますし、それから地元でもいろいろ話が出ておるということも承りました、聞きました。ですから、そういう点につきまして、いま予算を出しておるわけですから、いまおっしゃったような趣旨を十分体しまして、何かひた隠しに隠すとか、そんなことじゃないと思いますけれども、そういうことではないように指導してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  244. 堀昌雄

    ○堀分科員 終わります。
  245. 藤尾正行

    藤尾主査 以上で堀君の質疑は終了いたしました。  次に、上原康助君。
  246. 上原康助

    上原分科員 最初に、外務省の方にお尋ねをしたいと思います。  最近、防衛庁だけでなくして、外務省首脳も含めて、防衛力の強化あるいは防衛費の増額の大合唱をやっておられるようですが、われわれとしてはきわめてその動きを注目せざるを得ません。国際環境がいろいろあるにしましても、こういうときには冷静に安全保障の問題を考えなければいけない立場にあられる方々が、悪乗りをするような防衛費増額あるいは防衛力の増強ということには、先ほどの話にもありましたように、とても国民的コンセンサスを得ることもできないでありましょうし、同意を求めるわけにもいかない問題じゃないかという感じがするのです。  そこで、大来外務大臣はこの十九日に訪米をなさるようですが、米側と話し合いをする内容は決まっているのか、決まっているとするとどういうサブジェクトを討議なさるのか、明確にしていただきたいと思うのです。
  247. 丹波実

    丹波説明員 お答え申し上げます。  第一点の防衛努力の向上の問題でございますけれども、まずバックグラウンドの認識といたしまして、一九六〇年代以降のソ連の一貫した世界的な規模の軍事力増強が西側民主主義諸国全体に対して好ましくない趨勢になってきておる、この趨勢を変えるためには、アメリカを中心としてヨーロッパ日本が中心となって共同の防衛努力をしていかなければならない、そういうコンテクストの中で出てきている話かと思います。  外務省といたしましては、アメリカが言っているからということではなくて、まず第一に、コレクトな外交を行っていくに当たっては整備された抑止力が必要であるという観点から、防衛力の努力が必要であろう、第二点として、日米安全保障関係という観点からいって、ある程度できるだけこたえていくのが適当なのではないかという考え方をとっておるわけです。  第二点の外務大臣の訪米の問題につきましては、一方においては現在国会方面と、他方においてはアメリカ政府といろいろ調整をしておる段階で、どのような問題が提起されるかということは正確には決まっておりませんけれども、大きく言って、一つ日米の二国間関係の問題、二つは一般的な国際情勢について意見交換をしたいと考えております。その二国間のいろいろな問題の中で、恐らく安全保障の問題も触れられるとは思いますけれども、具体的にどういう問題がどのような対応で触れられるかについては、現在まだ決まっておりません。
  248. 上原康助

    上原分科員 そういう内容の答弁はこれまでもたびたびありましたし、納得しかねるのですが、きょうは時間がありませんから、私の方から端的にお尋ねしたい。  いまも御答弁の前段でありましたように、ソ連世界戦略が六〇年以降大分変わってきた。そうしますと、それに対して、それに対峙をしているのは西側諸国とおっしゃる。そのチャンピオンはアメリカなんですね。いまの話からしても、アメリカの新たな世界戦略をわが国も支持して、それを補完していくための話し合いだというふうにあなたの御答弁は受け取れないこともないのです。前段のあなたの御答弁はそういうふうに理解していいのですか。
  249. 丹波実

    丹波説明員 お答えいたします。  アメリカ考え方は、先ほど申し上げた西側にとって好ましくない趨勢というものを変えていくためには、いまやアメリカ一国では——たとえば十年前、二十年前でしたらアメリカ一国で世界を切り盛りしていたわけですが、いまや同盟国の経済的な地位の強化といった問題もあり、アメリカ一国のみならず同盟国と一緒にやっていきたい、こういう考え方だろうと思います。
  250. 上原康助

    上原分科員 そこで、具体的な討議事項といいますか、メモはまだ決まっていないということですが、すでにマスコミ等ではいろいろ報道されております。  私の方から端的にお尋ねしますが、二国間問題としては防衛費の増額あるいは、これは防衛庁長官もお答えいただきたいのですが、海空の防衛力の質的向上、三点目は在日米軍駐留費の新たな負担問題等についてお話し合いをするのですかしないのですか。
  251. 丹波実

    丹波説明員 今般の外務大臣の訪米に当たりましては、でき得るものならばブラウン国防長官とも会談をしたいと考えております。また、アメリカの議会の関係議員とも話し合いたいと思っておりますので、その過程で、一般的な意味で、日米安全保障体制がどうなっているかという問題が出ることは十分予想されるわけですが、防衛力の整備をどのぐらいにするかとか、経費分担をどうするといったようなことを具体的に話し合う考えはいまのところございません。
  252. 上原康助

    上原分科員 それも、行かれてまた明らかになるでしょう。  そこで、外務大臣が訪米なさる前に、首相それから防衛庁長官、外務大臣の三者の訪米に向けての協議は何かなさるのでしょうか。
  253. 丹波実

    丹波説明員 この点につきましては、たしか昨日だったと思いますけれども、事務次官が総理にいろいろな問題を御報告したりしております。それから、ちょっと以前になりますけれども、外務大臣が直接総理と話しておられます。いまの上原先生の言っておられる総理と防衛庁長官と外務大臣が同じ席で三者一体になって会談をされる、その辺は私、ちょっとわかりませんが、現実には防衛庁とも非常に密接な連絡をとっていろいろな問題は話し合っているわけでございます。
  254. 上原康助

    上原分科員 防衛庁長官のお考えはどうですか。また、あなた自身訪米なさる御計画はあるかどうかも含めて……。
  255. 細田吉藏

    細田国務大臣 いま外務省からお答えありましたが、外務大臣から総理と三人で会うという話は何も聞いておりません。ただ、外務大臣が行かれる前には、これはいま御質問もありましたが、まだ若干の日があるわけですが、当然いろいろお話し合いはしなければならぬものと私ども考えております。  それから、私自身につきましては、一部報道で伝えられましたけれども、私自身何の話し合いもしたこともありませんし、ただいま計画を持っているわけではございません。
  256. 上原康助

    上原分科員 そこで、きょうは突っ込んだ議論はできませんが、防衛庁にお尋ねしておきます。一九七六年でしたか、五十一年の十一月の「当面の防衛力整備について」という閣議決定がございますね。これを変更する意思はないですね。
  257. 細田吉藏

    細田国務大臣 さようでございます。ただいま変更する意思は持っておりません。
  258. 上原康助

    上原分科員 これとの関連で、何か新たな作業とかを防衛庁は進めているのですか。
  259. 細田吉藏

    細田国務大臣 「中期業務見積り」というものを、防衛庁としては五十九年までの計画を立てておりますが、そのほかに何も新しい計画やその他のものはございません。
  260. 上原康助

    上原分科員 防衛費の問題にしましても、いまにわかに五十一年の方針を変更する意思がないということになりますと、GNP一%問題もおのずと限界があるわけです。  私は、GNP論議というのは余り合理性がない面もあると思います。たとえば、防衛費の増額問題にしましても、この五カ年間で約一兆円近く伸びてきているという事実は否定できないと思うのです。正確には九千億ほどふえている。これだけ膨大な伸びですよ、これは。さらによく引用されるようにNATO方式あるいは援護法その他の防衛庁とかかわりのある各省庁の予算等を含めると、相当の厚味になることは間違いないと思うのです。  したがって、何か一%というと非常に少ないような印象を国内的にもあるいはアメリカ側にも与えているけれども、ぼくは決して安保ただ乗り論ではないと思うのですよ。いまわが国に駐留しているアメリカというのは、全く自分の小遣いを出すくらいのものですよ。土地はただで使える、建物はつくってあげる。このことについては外務省防衛庁も篤とアメリカ側理解をさせるようにやっていただかないといけない問題だと私は思うのです。一%満額にしたってまだまだかなりの余裕がある。これはいずれ議論いたしますが、この点については長官はどうお考えですか。
  261. 細田吉藏

    細田国務大臣 おっしゃるように実額でもう相当伸びてまいってきていることは、二兆二千億余でございますから、これはよく承知しております。これが大きいのか小さいのかという御議論につきましては、大変大きいとおっしゃる方もございますし、あなたもそういうふうな御意見でございましたが、いやこれでは小さいと言う方もいらっしゃるわけでございますので、その辺で、ですから見方によっていろいろあるわけでございますけれども、私どもはいま申し上げたように五十一年の大綱というものでとにかくやっていくのだ、こう言っておるわけでございまして、多いか少ないかという議論は、毎年国会で御審議いただいて予算をちょうだいしておるわけでございますので、その価値判断は避けた方がよろしいかと思っておるわけでございます。
  262. 上原康助

    上原分科員 これからもいろいろ議論は出てくると思うのですけれども、そこで冒頭申し上げましたように、最近の防衛庁あるいは外務省——外務省までが防衛問題、安保問題にタカ派的行動をとるのは私はいささか疑問なんですが、日本の歴史を見ても、外務省が腰を上げたら戦争につながっている。安保条約にしたって、極東の平和と安全のためという大枠があるのですよ。そこはぜひ御認識をいただきたいと思うのです。  次に具体的な問題でお尋ねいたしますが、昨年——昨年というのは読谷飛行場のパラシュート問題、ことしの一月二十五日に、那覇空軍基地でサイドワインダーミサイルが爆発をした。この事故発生後今日まですでに一カ月有半、やがて二カ月になろうとしている。まだ公式な事故原因なりの発表がないのですが、一体どうなっているのですか、明らかにしてください。
  263. 倉部行雄

    ○倉部政府委員 御指摘の事故につきましては、先ほど申されましたように一月二十五日の朝起こったわけでございますが、その後原因の調査究明ということが最も大事かつ緊急に必要なことでございましたので、早速空幕が中心となりまして調査団を編成いたしまして鋭意調査を進めておるわけでございます。ごく近いうちに結果がまとまると思いますが、これまでのところ、原因につきましては、サイドワインダーのロケットモーター推進部点検中の、点検器材の取り扱いに不適切なものがあったというふうに現在思っておるわけでございます。
  264. 上原康助

    上原分科員 そんなのは、いまあなたがおっしゃった程度はとっくの昔に中間報告として出ているのじゃありませんか。こっちはそれ以上のことを聞きたいのです。  その事故のあったミサイルについては、本体は米本国に送って点検をしているというのは事実ですか。もしそうであるとするならば、なぜアメリカ側に点検させなければいけないのか、理由も含めて。さらにいまは推進モーターですかの点検中に起きた事故だと見られる。これは人的ミスなのか、ミサイルそのものの欠陥なのか、そのくらいわかるでしょう、アメリカ側に一々お伺いを立てないでも。そこはどうなんですか。
  265. 倉部行雄

    ○倉部政府委員 ただいま申しましたように、原因につきましては点検器材の取り扱いのミスでございますので人的なミスでございまして、ミサイル自体には欠陥がない、なかったというふうに私ども考えております。  それから若干時間を要しましたのは、その間に、この原因の究明は非常に大事な問題でございますのでいろいろな確認の試験その他をやっておりましたので時間がかかっておるというわけでございまして、御理解いただきたいと思います。  その間、アメリカミサイル関係の技術者の協力を得たわけでございますが、これは、ミサイルにつきましては米軍の方がいろいろな経験等もございますので、念のため、技術的に一応見てもらったということでございまして、アメリカ等へミサイルを持っていったという事実はございません。
  266. 上原康助

    上原分科員 このミサイルはたしか米側から購入していますよね、きょうその性能、そういうものに触れる時間はありませんが。それはどうなっているかということ。また、一個というか一基の価格は幾らかということですね。さらに、那覇空軍基地だけでなくして、これはF86あるいはF4、104J等の配備されている地域にはみんな装備していると思うのですが、どこどこに配備をされておって、自衛隊はどのくらい保有しているのか明らかにしてください。価格、いつごろからアメリカから購入したのか。
  267. 倉部行雄

    ○倉部政府委員 サイドワインダーは昭和三十四年以来取得いたしておりまして、調達方法はFMS方式でございます。単価は約三百九十万円ということでございます。  以上でございます。
  268. 上原康助

    上原分科員 どこどこに配備されて、どのくらいあるのか。あなた質問の内容聞かぬね。それじゃ専守防衛も何もできぬじゃないか。
  269. 倉部行雄

    ○倉部政府委員 原則として戦闘機の配備されている基地に保有されているということでございます。
  270. 上原康助

    上原分科員 数量は。
  271. 倉部行雄

    ○倉部政府委員 具体的な基地ごとの配備状況につきましては、対処能力の問題がございますので御容赦いただきたいのでございますが、三十四年以来現在までに取得している数は約二千発でございます。
  272. 藤尾正行

    藤尾主査 装備局長、あなたに申し上げますが、この委員会の運営は委員長の命令によってやっていただきたい。わかりましたか。
  273. 倉部行雄

    ○倉部政府委員 失礼いたしました。
  274. 上原康助

    上原分科員 約二千万ですね。二千発ですか、二千万、はっきりさせてください。
  275. 倉部行雄

    ○倉部政府委員 約二千発でございます。
  276. 上原康助

    上原分科員 そこで、ある程度アウトラインはわかりましたが、若干私のお尋ねに答えてない面もあるのですが、では一体この公式発表はいつまでになさるのですか。近日中ということでしたが、報告はいつまでにはっきりさせるの。
  277. 倉部行雄

    ○倉部政府委員 ごく近日ということで御理解いただきたいと思います。
  278. 上原康助

    上原分科員 どうも、ごく近日というのは、きょうでもごく近日ですね、あしたでも。そんな答弁でごまかしては困りますよ。あなた、この公務では自衛官一人が死んだのですよ。二人は負傷しているのですよ。しかもこの問題はまだ残っておりますが、皆さんは事故現場も検証させてない。飛行場管理者である運輸省にも九時間後にしか報告してない。沖繩県民に大きなショックを与えながら、今日まで二カ月近くたってもまだ内容さえも明らかにできない。質問したら、ごく近日中なんて、そんなふざけた答弁ありますか。防衛庁長官、はっきりさせてください、それを。
  279. 細田吉藏

    細田国務大臣 大変遺憾な事故でございます。また死傷者を出しておるような重大な事故でございます。この原因探求について若干手間取ったということをただいま御説明があったようでありますが、まことによくないことでございまして、私ども急がせておるわけでございます。発表いたします際には、一切のことを全部含めまして、自後の問題、今後の問題含めまして発表いたしたいと考えておりますので、数日お待ちいただきたい。もう準備はどんどんしておりますので、さよう御了承いただきたいと思います。
  280. 上原康助

    上原分科員 防衛庁長官、また後退発言じゃないですか。ごく近日と言ってから、また数日と言う。何ですか、これは。そういうふうに皆が忘れるのを待つのか、あるいは防衛機密だということでやること自体がおかしいと言うのだよ、私は。早急にやってください、それは。  もう時間がありませんから、次に移ります。  読谷飛行場におけるパラシュート降下訓練についていろいろとお尋ねしたかったのですが、これも大変なんですね、実際ね。明日沖特もあるけれども、またそこで出ていただいてやりますが、この際私は、これは内容は後で言いますが、まず最低限度、夜間演習をやめさせること。住民の生活破壊ですよ、これは。そして抜き打ち的にやらないこと、いいですか。それと、ことしの一月の中旬ごろ読谷飛行場はパラシュート訓練場としては不適格性がある、事故が相次いでいるので、そういうことで那覇の防衛施設局も日米合同委員会で検討してもらいたいという上申をしたという。この取り扱いはどうなっているのか、合同委員会で検討したのかどうか、この二点についてお伺いいたします。  さらについでに、きょうは大蔵が来ていませんが、防衛庁長官あるいは施設庁長官、この際政府は、読谷飛行場の返還あるいは所有権回復の問題について高度の政治判断を下す時期に来ているんじゃないですか。いつまでもこういうトラブルを繰り返す、いろいろな面で。この点、明確にしてください。
  281. 玉木清司

    ○玉木政府委員 夜間訓練を打ち切れというお話でございますが、この救助隊員、降下員の訓練は昼間のみならず、夜間においてもその技量を十分に発揮せなければいかぬという必要のためにやむを得ずやっておることでございまして、安全保障条約のたてまえから、また救助の能力維持というたてまえから考えまして、最小限の夜間訓練は実施したいというのが米側の切なる希望でございます。そういう意味におきまして単純に打ち切るわけにいかない、打ち切ってもらうわけにいかないという性質のものでございます。  それから抜き打ちもやめろというお話でございますが、この通報の仕方につきましては種々いきさつがございまして、要は住民と演習訓練を実施する部隊側との関係の改善によって住民の不安、迷惑を最小限にすることが肝心と思いますので、抜き打ちの問題を含めまして今後対処してまいりたいと思います。  それから、読谷村長から上申されました返還の問題につきましては、まだ合同委員会にまでは至っておりませんが、現在防衛施設庁本庁におきまして、この扱い方につきまして十分に検討しております。その間、公式の合同委員会というわけではございませんが、米側との意思の疎通も図りつつ、現在施設庁内の検討段階にあるという状況でございます。  それからなお、読谷返還の問題、読谷の土地の返還の問題が高度の政治的な判断を下すべき時期であるという御見解でございますが、この読谷飛行場にまつわります歴史的な過程を考えますと一つの御見解と考えられますので、私どももただいまの御意見を踏まえまして、関係省庁と連絡を密にしてまいりたいと思います。
  282. 上原康助

    上原分科員 皆さんのお立場でそういうお答えしかできないかと思うのですがね。しかし最近の演習の実態を見てみますと、非常に夜間訓練がふえましたよね。人数が多くなりましたね。どれだけ迷惑をかけているかについてはもう少し検討していただきたい。あの日米安保条約に夜間訓練をしていいとか何も書いてない。何も日米安保条約、日米安保条約と言う必要はない。沖繩県民の生命や財産は虫けらのように扱って、何が安全ですか、平和ですか。そういうことと、歴史的な背景があるということについては皆さん、政府は何ら対応していない。これはやりますね。防衛施設庁あるいは大蔵省、開発庁中心になってね。これは大臣は余りおわかりじゃないかもしれない、失礼ですが。しかしこれはどうしても政治的な判断でいろいろ検討しなければいけない問題ですからね。防衛庁関係あるわけです。現にアメリカがああいう事故を起こしたり使用しているわけですから、これは大臣の所見も聞いておきましょう。おやりになりますね。
  283. 細田吉藏

    細田国務大臣 ただいま防衛施設庁長官がお答えいたしたとおりだと思いますが、先生のお話、私十分承りまして、特に沖繩県民の置かれておる立場というものについては、私もずいぶん前からいろいろ関係を持っておりますので十分な理解を持っておるつもりでございます。十分承らしていただきました。
  284. 上原康助

    上原分科員 もうあと時間ありませんので……。そうしますと、現地から上申された日米合同委員会で検討してもらいたいというその案件の処理はいつどうなさるのですか。
  285. 玉木清司

    ○玉木政府委員 合同委員会にかけて返還をしてもらいたいという希望でございますので、私どもとしましては、部内検討の終わり次第、米軍当局とこの問題について協議に入って、その後その協議の結果によって事項を進めるという運びにしたいと思います。
  286. 上原康助

    上原分科員 最後に、軍雇用員の基地労働者の解雇問題で、これも前々からいろいろ要望してきたんですが、なかなか進展してない。わが方の持ち出しはだんだん多くなるのに人事権はアメリカ側が握っておって、相次ぐ解雇がふえている。したがって五十五人、今月末に整理される者新たに八人が出たというこの件についても、対米交渉を十分やっていただいて、できるだけ撤回なり、人数を少なくする、そういうことを極力おやりになりますね。
  287. 玉木清司

    ○玉木政府委員 解雇問題を中心にいたしまして駐留軍従業員の労務管理につきましては、私どもも問題の起こるたびに腐心しておるところでございますが、いま御指摘の考え方と私どもとは全く同じ考え方をしておりますので、駐留軍従業員の雇用の安定のために最善の努力をするつもりでございます。
  288. 上原康助

    上原分科員 終わります。
  289. 藤尾正行

    藤尾主査 以上で上原君の質疑は終了いたしました。  次に、木内良明君。
  290. 木内良明

    木内分科員 私は、日米協定に基づく米軍の基地施設と東京、いわゆる首都圏における道路網の整備の問題についてお聞きいたします。  防衛庁長官がいまちょうどいらっしゃらないので、それでは初めに建設省にお聞きいたします。  具体的には港区の中心にございます赤坂のプレスセンター並びにこれに関連した環状三号線の道路の問題であります。  まず、この東京環状三号線の本来的な機能あるいは首都圏道路の整備計画におけるほかの道路網との関連という立場から見た役割りは一体どうなっているのか、建設省にお聞きします。
  291. 並木昭夫

    ○並木説明員 お答えいたします。  東京都の道路網は環状線と放射線から構成されておりまして、中側から一環、二環とこういくわけでございますが、放射線と環状線を合わせまして東京都の道路網の骨格を形成しているということで、非常に重要な路線と認識いたしております。
  292. 木内良明

    木内分科員 交通量の問題並びに六本木、四谷周辺の道路事情の問題との関連はどうでしょうか。
  293. 並木昭夫

    ○並木説明員 御案内のとおり、環状三号線につきましては現在総延長が約二十四・九キロメートルの路線でございまして、都心部から見まして半径約四・一キロメートルという位置にございます。このうちすでに計画どおりに整備されておりますものが九・四キロメートルございます。なお、この上にほぼ計画どおり整備されているという概成区間が約六・八キロメートルございまして、おおよそ三分の二が整備済みである、こういう状況にございます。残りの八・七キロメートルがまだ未整備の区間となっているわけでございます。この未整備の区間のうち、六本木付近それから新宿の四谷三丁目付近等四カ所におきまして、延長三・六キロメートルでございますが、この区間につきまして現在事業を実施している、こういう段階でございます。
  294. 木内良明

    木内分科員 いま私がお聞きしたのはそのことじゃないのですがね。周辺の道路の交通網、交通量の問題からして、この環状三号線がどの程度重要であるかということを計数的なデータに基づいて出していただきたい、こういうことなんです。
  295. 並木昭夫

    ○並木説明員 数字的なものを資料を持ち合わせていないわけでございますが、非常に重要な路線でございまして、先ほど申し上げました東京都の都心部の骨格的道路というふうに認識しておりまして、ともかくその全通が東京都の交通緩和という点から考えまして非常に重要な路線だ、こういうふうに認識しております。
  296. 木内良明

    木内分科員 いま御説明いただきましたように、都心部の幹線道路としては、申し上げたように六本木、青山、赤坂さらに新宿、四谷といったぐあいに非常に交通量の多い地域的背景を考えてみますと、おっしゃるようにきわめて重要な機能というものが期待されているわけでございます。この道路の構築事業が事業決定しましたの昭和三十六年三月十一日で、建設省の告示第三百七十一号ということになっているわけであります。三十六年でありますから相当昔の話なんですね。ところがその後の経過を見ますと、今回私が問題にいたします米軍の赤坂プレスセンター付近においてネックになって、長期にわたる未整備の部分がいまなお存在していることになっておるわけでございます。そのために各部面におっしゃるような支障が来されている、こういう状況であります。これまでの整備状況、いまも若干建設省も触れられたわけでありますけれども、申し上げたプレスセンター付近の未整備部分を残してどういう状況になっているか。またいわばプレスセンターの両側、この周辺の計画部分が完成したのは一体いつごろなのか、さらに長期にわたってこの両側のすでにでき上がった道路についてどのくらいの予算がいままで投入されているのか、何年間にわたってこれが放置されているのかお聞きします。
  297. 並木昭夫

    ○並木説明員 お話にございましたとおり、事業認可のありましたのは三十六年三月でございます。麻布の十番町から新宿の信濃町に至る約三・一キロメートルにつきまして三十六年に事業認可があったわけでございます。四十三年にこの赤坂プレスセンター付近の約三百メートルを残して完成いたしまして、すでに交通の用に供しております。
  298. 木内良明

    木内分科員 幾ら予算がかかっているのですか。
  299. 並木昭夫

    ○並木説明員 予算につきましては手元に資料がございませんが、ともかく十数億というオーダーであろうかと思います。
  300. 木内良明

    木内分科員 これは大変な問題だと思うのですよ。十数億使って、そうして長期にわたって道路が放置されている。完成した部分については交通の用に供されているといういま建設省の話でありますけれども、あれは交通の用に供されているという状況ではないのですね、渋滞していて。私も地元だからよく知っています。六本木から来て信号を右折してプレスセンターの部分にぶつかってUターンをして戻るという、まさに実用的に使われている状況とは言えないと思うのです。これはどうですか。
  301. 並木昭夫

    ○並木説明員 プレスセンター付近につきましては先生の御指摘のとおりでございます。
  302. 木内良明

    木内分科員 大変な額の予算をつぎ込んで、事業決定以来約十九年間、プレスセンター付近のわずか三百メートルの未整備個所を除く道路部分が完成していながら、四十三年以来ですから、延々十二年を経ていまなお開通していないわけです。  その辺の事情についてはこの後具体的にお聞きをするわけでありますけれども、いずれにしても、長期にわたり道路整備が停滞しているという事実からして、当初の建設省の道路構築に対する見通しなり計画の甘さ、ずさんさ、行政の怠慢があったと思えてならない。まずこの点認めてください。
  303. 並木昭夫

    ○並木説明員 いろいろな事情があったわけでございますが、それはおきまして、いまだに開通をしていないことにつきましては非常に遺憾に存じております。
  304. 木内良明

    木内分科員 非常に遺憾だということですけれども、遺憾もほどほどにしてもらいたいという気持ちがしております。遺憾というのは言葉は非常にきれいですけれども、地元民はあるいは国民は、これだけ多額の予算を使って十年以上、二十年近くも放置されているという事実にがまんできないというのが実感だと思うのですね。もう一回心からまずわびてください。
  305. 並木昭夫

    ○並木説明員 先ほども申し上げましたが、ここに至ります事情いろいろございましたけれども、本当に残念に思っております。さらに東京都をして、今後この道路の開通ということにつきましては十分な指導をしてまいりたいと考えております。
  306. 木内良明

    木内分科員 東京都に対して指導するということですけれども、ただ単に責任を東京都に押しつけて済む問題ではないわけであります。この後、防衛庁長官あるいは施設庁にもお聞きするわけでありますけれども、いままで東京都にどういう指導あるいは話をされてきたのですか。むしろ東京都困っているのですよ、これで。
  307. 並木昭夫

    ○並木説明員 三十九年以来いろいろな経緯があったわけでございますが、その中間、四十八年ごろに、東京防衛施設局を通じまして米軍側より東京都に一つの提案がございました。  その提案の内容は三つあるわけでございますが、あそこにありますPXあるいはPXガレージ、ガソリンスタンド、こういったものを公園予定地の一部に移すということが一つ。それから環状三号線に相当する部分とPXガレージの移転跡地は返還するということが一つ。それから赤坂プレスセンターにおきますヘリポートの使用を継続する。こういう三つの提案が東京都に対してあったわけでございます。しかし、このPXガレージあるいはガソリンスタンド、これを公園に移しますには公園面積が縮小するというようなこと、それからこういった施設を建築する場合には、あの地域が第二種住居専用地域になっているというようなことから、知事の特別の許可が必要であるといった問題がございまして、現在東京都におきまして地域住民との対応を含めまして調整を行っておる、その調整がつかないまま現在に至っているというふうに聞いております。
  308. 木内良明

    木内分科員 道路完成がおくれている理由、原因についていまるるお話があったわけでありますけれども、何といってもこの問題はプレスセンターということになると思うのですね。建設省としては、この問題に関して防衛庁あるいは防衛施設庁に対して今日までどういう対応をしてきたか、本当に前向きに取り組んでいるのかどうか、この点をまず聞きます。  同時に、防衛施設庁との話し合いの今後の見通し、聞かしてください。
  309. 並木昭夫

    ○並木説明員 従来から東京都を通じまして防衛施設局との話し合いを継続するように指導いたしてきております。  なお、今後の見通しでございますが、最近早期完成を要望する地元住民の陳情、請願等も東京都議会に出されておるということを聞いておりますし、こういった要望にこたえるためにも、建設省といたしまして、当該区間の開通を早期に図るということで東京都を指導し、かつ、防衛施設局、関係機関とも調整をとっていきたい、かように考えております。
  310. 木内良明

    木内分科員 長官、いま戻られましたのでお聞きするわけですが、これはもう年中行事化しておるのですね、国会におけるこのプレスセンターの問題というのは。代々の防衛庁長官が、その都度前向きの答弁をされていながら、きょうまでずっと引き延ばされているというのが実情であります。ただいま私は建設省の方といろいろなやりとりをしたわけでありますけれども、この間の話の中で、この道路の問題が浮き彫りにされておると思いますけれども長官としてこの問題をどういうふうに思われますか。これはまず長官の御決意を聞かないことには先の話が進まないわけであります。お聞きします。
  311. 細田吉藏

    細田国務大臣 私もよく現地も存じております。また説明も詳しく聞きました。全くみっともないかっこうをしておるわけでございますし、みっともない以上の問題だと思っております。これからどうやっていくかということについては、当初の計画ができるだけ早く実現することを私ども期待したいと思いますが、専門的な点あるいはこれまでの経緯等がございますので、施設庁の方からお答えをさせたいと存じます。
  312. 玉木清司

    ○玉木政府委員 先生御指摘のように、大変長い歴史の積み重ねの上で経過してきておりますし、その都度その都度の過程を振り返ってみましても、東京都からの提案、それを受けて米側に対する提案、米側の対応が遅いから、督促をした結果出てきました第一案また改定案、そういうようなことで、東京都と米軍との間の調整に大変時間を要しておりますが、結論といたしましては、現在の段階では、返還の条件といたしまして、隣接地を確保していただいて、そこに移設をさせてもらいたいというのが米軍の現在の提案になっております。最近に至りまして、東京都の方から、さらにその米側の考え方に変更がないか、大分時間がたっておるから確認をしたいという申し入れがございまして、確認をしようとしましたが、東京都の意図されるのは、代替の施設の提供なしにやれないかという意味の確認であるということでございますので、若干また従前と変わっておりますので、この点を踏まえてただいま米側に照会をしておる状況でございます。
  313. 木内良明

    木内分科員 代替の施設なり土地の提供をすることなくという東京都の言い分はもっともだと私は思うのですね。どうも米軍のニュアンスというのは、いままで使っている土地なり面積、数量に対する既得権というものが非常に感じられてならない。  まず、問題になっておりますヘリポートですけれども、ヘリポートの移設を含む扱いの問題、今日までの施設委員会ですか、ここにおけるやりとりの経過はどういうふうになっているのでしょうか。
  314. 玉木清司

    ○玉木政府委員 この問題に絡みましてヘリポートの移設問題が真剣に検討された時代があったことは事実でございます。今日におきましては、当時とはまた交通事情等もすっかり変わってまいりましたので、今日の時点におきますアメリカ側考え方としましては、現在地のヘリポートを最後まで機能するように確保してほしいという考え方になっております。
  315. 木内良明

    木内分科員 実際ヘリポートの問題、いまの御答弁ですけれども、解決のめどはあるのですか。
  316. 玉木清司

    ○玉木政府委員 ヘリポートを移設するということを、この赤プレの道路計画に伴いまして検討した時代はございましたが、今日におきましては、もう移設ではなくて、あそこを少し削りまして、そして道路に提供すると同時に、若干ヘリポートの現在地を少しずらして、代替地の提供を得ながら機能を確保していきたいという考え方になっております。
  317. 木内良明

    木内分科員 一時期このヘリポートの移設の問題について議論になった時期があるということでありますけれども、交通事情も変わってきた、またあるいは土地の形態の背景というものも変わっているのが現状でありまして、私は、何も米側のその言い分を全部聞いて、大使館なり中枢機能の場所に到達するまで、たとえば東京都の十四号埋立地から時間がかかり過ぎるというような理由によって向こうが納得しないそうですといって引っ込むというのもおかしなものだと私は思うのです。こういう時代の変遷とともに、もう一度十四号埋立地に戻すという話し合いをする余地はないのかどうか。と言いますのは、たとえば東京都知事に対して防衛施設局長高村さんが四十八年六月二十五日に出した文書の中で、「このヘリポートは合衆国政府の使命を十分に遂行するため重要であり、都営東京ヘリポートは交通事情のうえからも自動車で長時間を要し、遅延するので使用できない。」これは全く米側の言うとおり東京都に言っているわけですよ。一体、防衛施設庁は日本防衛施設庁なのかあるいはアメリカ意見をそんたくする機能なのかということを疑わざるを得ないのです。この点どうでしょう。
  318. 玉木清司

    ○玉木政府委員 当該文書の表現の問題はともかくといたしまして、昭和四十八年という時点を回顧いたしてみますと、第十四回日米安全保障協議委員会が開催された年でございますし、四十九年、五十一年と、その後の数年間におきまして、いわゆる関東計画を中心にする関東地方におきます米軍の膨大な施設の返還を両国政府の間に取り決めまして、今日まで精力的に集約整理をしてきておる実情は、先生理解賜りたいと思います。  なお、米軍の考え方でございますが、そのような経過を経まして、現在在日米軍が東京都心に保有しております機能といたしましては、ここのヘリポート及び関連施設というものに対する評価は大変高くなっておりまして、この残っておるわずかの施設の問題につきまして、しかく簡単に返還させるとか、移すとかいうことができない環境条件になっているように思います。
  319. 木内良明

    木内分科員 隣接の土地にヘリポートを移設といいますか移しかえる、同一地域ですね、これは具体的にどこを言っているのでしょう。
  320. 玉木清司

    ○玉木政府委員 私も先日現場を視察してまいりましたのですが、現在の正門から入りまして、台地の上に上がってヘリポートに参るわけでございますが、そのヘリポートの中心点を現在地よりも数十メートル道路に割愛する部分だけ危険防除を考えながら移す、そうしますと、何とかヘリの離発着の機能は維持できるのではなかろうかというのが米側の考え方でございます。  なお、その代替施設を、返還します地域の道路及びその向こう側になります地域にある現在の施設を移設をしなければなりませんので、そのために、坂を上っていきますすぐ隣接のフェンスの外側の土地を提供してほしい、こういう考え方でございます。
  321. 木内良明

    木内分科員 私はその案は反対しているわけでありますけれども、その前にちょっとお聞きしますが、このプレスセンターの敷地の中における独身将校宿舎、この部分の面積が四千二百七十二平米、加えて星条旗の本社といいますか、社屋が七千九百九十五平米あるわけでありますけれども、この独身将校宿舎というのはいまどのくらい使われているのですか。
  322. 玉木清司

    ○玉木政府委員 正確に宿泊人数等を掌握しておりませんが、こういう問題がございまして、私どもの幹部がその宿舎に訪問をしたりして承知しております限りには、申し込みをしてもなかなか部屋が得られないということを米人が言っておりますので、室数に対しましての利用効率というものは相当高く維持されているように思います。
  323. 木内良明

    木内分科員 私がここで申し上げたいのは、道路をつくるためにヘリポートが必要だ。このヘリポートを何とかせいと米側は言っているわけですけれども、新たな代替地を用意するということよりも、いまあるこの将校宿舎と星条旗の本社、これは星条旗の本社を将校宿舎の方にくっつける。このあいだ部分に環状三号の道路によって切除される部分、残る部分が八千二百七十三平米ある。これといまの星条旗の本社とのあいた土地、これを一緒に機能させまして、圧縮した形で、ワンパックでこの基地で機能させるということは考えられませんか。
  324. 玉木清司

    ○玉木政府委員 二つのビルの間にある程度の空席があることは承知しております。しかし、ヘリポートの機能を維持するためにこのビルを統合するということになりますと、一つの構想ではあろうかと思いますが、相当大きなビルでございますので、現在までこれを俎上に上せて検討したことはございません。
  325. 木内良明

    木内分科員 いままでそうした検討はなかったということでありますけれども、私いま提案申し上げているわけで、一つのこれはサゼスチョン申し上げるわけですから、ぜひ検討してください。  それから、もう一点、先ほどの、これは青山側ですか、隣接した土地を国なり都の方から買い上げるかあるいはこちらのものにしてこれを使うという考え方、これは私反対です。  青山公園というのは、これは都民の憩いの場でありまして、これを永久に——当然私がいま申し上げている前提としては、米軍のこうした都心部における基地というのは返還させるということが前提でありますけれども、その前の段階として、この環状三号を通さなくちゃいかぬ。そのための措置としていま考えているわけでありますけれども、これを永久に米軍側に、施設庁のいままでの姿勢から勘案して、提供してしまうということは、これは大反対です。  したがって、もう一つ私は提案申し上げます。環状三号の建設に当たっては、いわば建設の期間、まあオープンカットなら約二年、それはいまトンネルにすれば三年ぐらい期間がかかるわけですけれども、この期間に限ってこのヘリポートは、あなたがさっきからおっしゃっている隣接の土地、ここに臨時的に置く。そうして二年なり三年経過して、道路が完成した段階でふたがけをする、そこでヘリポートとして現状回復させる、こういう方法が私は一番いま具体的に考えられるのではないかと思うのですよ。これはぜひ検討してもらいたいと思う。どうでしょう。臨時にですよ。
  326. 玉木清司

    ○玉木政府委員 言葉足らずで御理解いただけなかったかもしれませんが、ヘリポートを現在の位置から少しずらそうというのは、ヘリポートとして現在使っております広場の中で、着陸センターのポイントを数十メートル動かすことによって周囲が窮屈になるが、何とか安全を確保できるのではないかということでございまして、新規提供、代替提供を希望しておりますあの公園の一部、そこのところにヘリポートを移す計画ではございません。現在の場所でございます。  それからなお、二番目に申されました、ある時点ヘリポートを少しずらして運用しておいて、ふたがけをしてからという考え方でございますが、これは当初から私どもも常識的な提案ということで考えておったところでございますが、何せヘリポートとしまして一・五トン近くの荷重が瞬時にかかるものでございますので、ふたがけの強度というものを十分確保していかなくちゃなりません。そこでアメリカ側はそれで理解ができると思いますが、東京都の方の御所見では、それだけの予算の措置がつかないというようなことで、ふたがけの話は、中途で出ましたが、つぶれてしまったという経過と承知しております。
  327. 木内良明

    木内分科員 その話がいつごろ出たかわかりませんけれど、もうそろそろ事業決定して、道路が長く放置されて長い期間がたっていますので、解決されなければならない時期に来ていると思うのです。ですから、いまおっしゃった予算面でありますとかあるいは周辺の事情があるわけですけれども、再度、いま私が申し上げた提案については、強度の問題とかいろいろ機能の問題があるかもしれませんけれども、もう恐らくこの申し上げた提案を具体的に米側と詰めていかなければ解決はされないというふうに思うのです。ですから、ぜひこれは今後精力的にひとつ検討していただきたい、このように思います。簡単にその御返事だけください。
  328. 玉木清司

    ○玉木政府委員 御趣旨よくわかりますので、変化しましたいろんな諸条件もございますし、今日の時点における最善の解決策を見出すため、米軍及び東京都との間に立ちまして精力的な努力をしたいと思います。
  329. 木内良明

    木内分科員 大分時間がなくなってきましたが、最後に、いま問題になっております港区の米軍宿泊施設山王ホテルの代替施設の問題で聞きます。  防衛施設庁は、港区南麻布の安立電気跡地に同施設建設を推進しようとしているわけですけれども、建築主が安立電気であるという理由で、最終的にこれらの施設にわが国として責任を持つ立場で本来あるべき防衛施設庁が、そうした事情から安立側に一切を任せてしまって、地元民に説明のあり方あるいは誠意ある姿勢というものを持たなかった。私はこれは大きな問題だと思うのです。  時間がありませんので、最終的にお聞きするわけでけれども、私はこの建物の建設には反対です。と申しますのは、地元の皆さんは何も知らされていなかった。いきなり寝耳に水だ。そうしてどうもいろんなものが仄聞されてくる。聞いてみると、風紀が乱れるのじゃないかあるいはまたいろんな事件が起こるんじゃないか、そうしたもろもろの実は懸念というものがいま発生しているわけです。今回、いたずらにことし十二月の山王ホテル明け渡し期限が迫っているからという理由で、めちゃくちゃな強行着工でありますとか独断的な進め方というのは断じて許されない、こういうふうに思うのです。この点どうでしょう。
  330. 玉木清司

    ○玉木政府委員 防衛施設そのものは周辺住民の御理解と協力を得なくして管理運営していくことはあってはならないことでございますので、ともかくも周辺住民との御理解を共通にしながら努力をしていかなければならないという基本姿勢におきましては、御指摘のとおりでございます。  なお、本件につきまして、安立電気が住民にアクションを起こしまして以来の、私どもを含めました建設を希望しておる側のとりましたいろいろな行動につきまして反省してみますと、少なくとも、防衛施設庁におきまして当初から住民の方々に間違いなく事実をお伝えするというような角度から見まして、ある種の間違いも犯しておりますし、またわれわれ自身が対話の際に信頼を失って、誠意を尽くしてお話をしても、その信頼をかち得られないというような状態に陥ったことも事実でございます。私どもは、これら住民に対しますわれわれの態度というものにつきましては深く反省をしておりますし、機会を見まして住民の側に対しおわびを申し上げたこともございます。  今後につきましては、強行してはいけないという御趣旨でございますが、決して強引な強行ということで腹を決めておるわけではございませんで、工事と並行しながら、住民の方々に最後まで御納得いただくような努力を続けてこの問題に取り組みたいと考えております。
  331. 木内良明

    木内分科員 もう時間がなくなりましたので、質問を終わりにいたしますけれども、この問題は私、今後とも国会において再三にわたって取り上げていくつもりであります。いま御答弁のように、ある種の間違いもあった、反省もしている、いわば今日こうなった原因は一体どこにあるのかと言えば、防衛施設庁にあるわけでありまして、まず発想をそこから進めていただきたい、それを要望いたしまして質問を終わります。
  332. 藤尾正行

    藤尾主査 以上で木内君の質疑は終了いたしました。  次に、松浦利尚君。
  333. 松浦利尚

    松浦分科員 私は、ただいまから、二月に四日間宮崎県の新田原航空自衛隊基地で行われました日米共同訓練にかかわる問題点についてお尋ねをいたします。  第一点でありますが、わが党の兒玉末男議員が二月六日の予算委員会におきまして大臣に質問をいたしております。その中で細田長官は、地元との関係は十分密接にとりながらやってまいりたいと存じておりますという御答弁をなさっておるわけであります。ところが御案内のとおりに、新田原基地の大部分が存在をいたします新富町というところは、自衛隊との関係はきわめて友好的な町でありました。お互いに交流を深めて、体育活動等も町主催で、あるいは防衛庁主催で行われたのには相互に参加をするというくらいに密接な関係にありました。ところが、降ってわいたように、地元が町長、議会、婦人会、区会、すべてが反対をするにかかわらず、その反対に耳をかさずに一方的に強行をなさったのであります。その結果、地元の自衛隊の皆さんと町民との間にはもう抜きがたい自衛隊不信というものが今日起こってきておるわけであります。日米共同訓練が起こったが、残されておるものはむなしさであります。自衛隊に対する怒りのみが残っておるわけであります。  長官にお尋ねをいたします。なぜ、これほど地元が反対をするのに、地元との連絡を密接にしながら、地元の了解を得ながら日米共同訓練をなさらなかったのか。反対陳情をし、町長以下が一生懸命皆さん方にやめてくれ、延期をしてくれという要請をしたにかかわらず、なぜ強行したのか、その点について、強行した理由を明確にお答えいただきたいと存じます。
  334. 細田吉藏

    細田国務大臣 ただいまお尋ねの新田原の共同訓練でございますが、いま御質問の中にございました、兒玉先生にも御答弁を申し上げたつもりでございましたが、この合同演習につきましては、実はかなり前に返事をいたしておりまして、やる計画がどんどん進められておりました。そして、一市四町でございますか、もちろん特に関係の深いのはいまおっしゃった新富町でございますけれども、こうしたところの責任者の皆様方とも連絡をとりながら実は決定をしたように、私来る前でございますけれども、そのように私ども承っておったわけでございます。しかしながらその後情勢が変わってまいりまして、特に新富町におきましては、私も町長さん、議長さんにもお会いいたしました、住民代表の方にもお会いいたしましたが、様子が大変変わってまいりましてこれはむずかしくなってまいった、反対が非常に強くなってまいった、こういうことでございました。  なお、これに対しまして、これもいまお話がございましたように、私どもこれまでいわゆる基地に対しましては大変御理解をいただいておる町であり、町議会であり、町民の皆さん方でございますだけに、いろいろな点で御理解を得るように私どもの方も努力いたしますし、現地も努力するということでこれを進めさせていただいたわけでございます。     〔主査退席、中島(源)主査代理着席〕 ところが事実は、日が参りました、そして演習を実行する段階に至りましたわけでありまするけれども、現地で、特に新富町の町民の皆さん方があるいは多数お集まりになるとかいうような、いろいろな点で反対のことがございまして、そして若干のトラブルが自衛隊の隊員との間にも、まあ先生御案内のとおりでございますが、いろいろ起こりました点は私どもまことに残念でございますけれども、また遺憾でございますけれども、演習自体をやめるということは、日米安保条約、私どもが大筋において約束をしておる問題がございまするので、やむを得ず、できるだけのことはやったつもりでございますが、あるいは足らぬ点もあったかもしれません、しかしできるだけやるということでやらせていただいた、こういうような事情でございます。率直に申し上げましてそういうことでございます。
  335. 松浦利尚

    松浦分科員 長官、最終的に日米で合意したのは一月二十八日だと記憶をいたします。ですから、その間は地元と施設庁との間で連絡調整をしておられたと理解をするのですが、その間、町長なりあるいは議長なり議会なり、あるいは婦人会なりが積極的に反対をした。反対だ、延期をしてくれという要望をしたにかかわらず、一月二十八日に実際は日米間で持ち回りの形で調印をなさった。なぜそういうことをなさるのでしょう。地元のこういった溝があることはそのときに想定できたはずです、町長も反対しておるのですから。しかも町民の前で、町長は私は絶対に反対だと反対を主張し続けた、こういうことを言っておる。そういう状況の中で、こういう事態が起こることは想定をされるわけですね。なぜ一月二十八日を延ばし得なかったのか、その点で私は非常に不満が残りますね。
  336. 玉木清司

    ○玉木政府委員 御承知のように、昨年の十月の終わりに公式に申し入れをいたしましてから、一月十六日に至ります間の経過につきましては、現地の御出身であられます松浦先生、よく御承知のところだと思います。  先生御指摘の反対の動きが高まってまいりました後の変化でございますが、この動きは一日ごとに変わってまいりました。特に二月に入ってからの動きというものは刻々と変わった。新富町における情勢は刻々と変わったと存じます。私どもが二十八日に合同委員会の合意を見ました際になぜとめられなかったかというお話でございますが、私どもといたしましては、十六日に新富町の全議員総会において、年末に議決されました趣旨につきまして御議論があり、反対の空気が出てきておるという情報を得ましたので、最終的な確認をするために、二十五日に地元の意思の確認方を手段を講じたわけでございますが、その際におきまして、反対が決議されるであろう二十八日の議会も開く予定はなくなったというような関連情報を確認いたしまして、ならばよろしいなということで二十八日の週に入りました。前週の終わりに米側に対して、日本政府側の同意の回答を発したという状態でございまして、二十八日はそれを受けた米側の合意が調いまして完結をしたという日でございます。
  337. 松浦利尚

    松浦分科員 一月の二十五日に地元のだれと確認し合ったのですか。どなたですか。一月二十八日の直前の一月二十五日というのは、地元にとつてはきわめて大切な日です。もし防衛施設庁が行かれたとすれば、だれと会われたのですか。
  338. 玉木清司

    ○玉木政府委員 私どもの福岡防衛局の施設部長が現地において新富町長にお会いをしたということでございます。
  339. 松浦利尚

    松浦分科員 それでは、新富町長と接触をした判断において、一月二十八日の合同委員会の持ち回り調印ということになったのですね。それは間違いないですね。
  340. 玉木清司

    ○玉木政府委員 いま施設部長と言いましたが、福岡防衛施設局の次長が町長とお会いをしたということでございまして、その際に、町長の御所見もあり、また予想されました反対決議、反対ならば決議が行われるであろうと予想されました二十八日の議会の話も、招集はされる御意思がないというふうにお話があったと承りまして、ならば反対の声が出てはおるけれども既定の方針で進んでよろしいという判断をした次第でございます。
  341. 松浦利尚

    松浦分科員 町長にお会いになって判断をなさったということですが、しかし実際は、町長自身はそのときにはそういうことは言っておらないのだ、そういうふうに言っておられますね。ですから、町長は日米共同訓練の反対の先頭に立って座り込みまでした。実はそういう状況が生まれてきておるわけです。  今度の日米共同訓練というのは、あれほど地元とうまくいっておるにもかかわらず、地元にトラブルを発生させてまで強行した背景というのは、制服組が——空幕の方はどうしても演習がしたかった、違った機種の戦闘訓練をやりたかった、だから地元との問題は全く度外視して、地元の感情は全く無視して、要するに日米共同訓練だけがやりたかったという、その空幕の主張に押し切られてしまったのじゃないですか。大きな意味で言えば、そういった政治的なものを考慮するシビリアンコントロールが働かなかったのじゃないですか。制服組の意見、主張が通ったのじゃないですか。そうでなければ考えられないことなんです。いままで自衛隊とこれほどうまくいっておって、こういう結果が起こることは事前に想定されておりながら、なおかつ強行した。現実にそういう事態が起こってきておるということは、防衛庁内部で空幕を中心とした制服組の意見が強くて抑え切れなかったのじゃないですか。そのつけがいま回ってきておるのじゃないですか。大臣、どうですか。
  342. 細田吉藏

    細田国務大臣 実は二十八日というのは、私は国務大臣になっておりません、防衛庁長官になっておりませんが、そのようなことはないと存じております。
  343. 松浦利尚

    松浦分科員 そういうことはないと言われても、結果的に犠牲にしておるじゃありませんか。現実にいままでうまくいっておる自衛隊の人たちと新富町の住民との間にトラブルが起こりつつあるじゃありませんか、みぞができておるじゃないか。そういうことを犠牲にしてまでやった背景は何なのですか。
  344. 細田吉藏

    細田国務大臣 そのことは先ほども申し上げましたようにまことに遺憾なことでございます。しかし、であるから、これは制服がごり押ししたのだ、いわゆるシビリアンコントロールが有名無実であるといいましょうか、言葉がちょっと違うかもしれませんが、そういうことをおっしゃいましたので、それはそうではないと考えますと申し上げたわけで、こういう事態が起こって、現地でトラブルが起こり、せっかく非常に好意的であった新富町のとにかく相当部分の方々が非常に憤慨していらっしゃる、非常な反感を持っていらっしゃるということ、こういう事態になったことは大変遺憾なことでございます。
  345. 松浦利尚

    松浦分科員 結局そのあらわれが、あの訓練のさなか、休憩時間だったと記憶いたしますが——私も急遽帰れということで東京から現地に行きました。そのときはすでにトラブルは終わった後でした。  町長がゲート前で座り込みをする。その町長を救おうとして農家の人たちがよじ登る。ところが、その素手の、手に全く何も持っておらない、ただ抗議に来て、町長の座り込んだところに行こうとした町民に向かって自衛隊が放水をしたわけです、水平放水をしたわけですよ。土地を提供し、騒音の中で自衛隊を認めながら農作業をしてきた農家の皆さんに対して、放水という形で絶縁状をたたきつけたのですよ。その放水をしたのは制服組の皆さんです。命令を出したのも制服組であります。どこにシビリアンコントロールが働いておりますか。この結果について大臣はどう思われますか。
  346. 原徹

    原政府委員 いま放水のことでございますので、その点についてだけ申しますと、二月十六日の午前九時三十五分ごろでございますが、正門にデモ隊が集まりまして、ショベルカーとかペンチとかを使いまして正門のとびらを破損して、揺すり倒して、集団で基地内に不法侵入を始め、同時に部隊の隊員目がけて投石が行われたわけでございます。これによって隊員のかなりの数が負傷するに至ったわけでございます。  そういうような状況で、不法侵入、投石をやめるように警備隊長は再三にわたって警告をいたしたわけでございますが、この警告を無視して、なおも投石が続けられたということで、やむなく、そういう不法な行為を阻止するために、消防自動車の水圧を低く調整いたしまして、基地内で十秒間二回、放水を連続してやったわけでございまして、そういう状況の中でございますので、これはまことにやむを得なかった措置であると考えておるわけでございます。
  347. 松浦利尚

    松浦分科員 地元からどういう御報告があったかわかりませんけれども、来ておる人たちは、農地を提供していままで協力してきた農家の皆さんであります。投石を農家の人がやったと言いますけれども、自衛隊の若い人たちも投石をしておるのです。そのために農家の人がやはり一週間のけがをしておるのです。  私は、農家の人たちがとった行動そのことを肯定するつもりはありません。しかし、少なくとも若い自衛隊の人が入らないようにスクラムを組んでおられた。そういう若い人たちの目の前に女の人やら年寄りの人たちが来て、素手で来ておる人たちに向かって放水をする。そのことが逆に言うと、いままではこういう日米共同訓練をやっていいのじゃないかという一部賛成の町民までも、こういう自衛隊ならわれわれはやはり賛成できない。町を挙げて反対の機運が出てきておるのですよ。ですから、このときに、こういう重大な段階で、現地を制服組だけに任せておるというところに私は問題があると思う。少なくとも防衛庁の責任者が現地に出向いていくべきだった。そういうことは全く考慮されておらない。ただ制服組のなすがままに任せておる。意見はいろいろあるでしょうが、シビリアンコントロールが働いておらない。空幕の言うとおりに、要するに技術交流のためにやられて、地元民との間に非常にみぞが深まってしまった。どう修復するのですか。しかも調印をした内容は、年四回ということで定められております。すでに調印をしたものは変更することは無理でしょう。一年間四回をやればやるほど、日米共存が終わった後は地元民と自衛隊との間の対立抗争が続くだけ、第二の沖繩のような形に新富町はならない保証はないのです。大臣、これをどう修復しますか。
  348. 細田吉藏

    細田国務大臣 当日、いま御質問にありましたように、町民の皆さんと自衛隊員と正面からぶつかるという形が起こったようでございます、いろいろ報告を聞きますと。実はこれまでそのような事態は、これは先ほども申し上げたとおり、またあなたからの御質問の中にもあるとおり、考えも及ばなかったことなのでございます。今度初めて自衛隊以外に米軍が来るということで、地元の方方は非常に複雑な感情的ないろいろな問題もあったと思います。これはよくわかる。そういうことでございましたから、私ども報告によって聞きますと、こういうふうにじかに隊員と町民の皆さんとがぶつかるというかっこう、これはどうしても避けなければいかぬことだと思うのでございますよ。ただ、どちらも恐らくこれまであったことでありませんので、ここで、何と言いましょうか、ハプニング的に投石も起こったり、そしてまた放水も、どういう時点でどういうふうにやったかということも詳細には私はよく承知しておりませんが、とにかく行われた。両方でけが人が出たというそういう遺憾な状態が起こった、こういうことだと私は報告を聞きながら考えたわけでございます。  それで、このような状態にしてはいけないわけなんでございます。ですから、こんなこと二度もあってはいけませんけれども、とにかく、いまおっしゃるような自衛隊の若い隊員の諸君と、そして激高しておられる町民の皆さんとがぶつかるということは、これは何としても避けなくてはいけませんよ。そうでなければ、不測の事態が起こったときにどういうことになるかということでございますからね。ですから、私は、そういうことが突如として起こりましたことについては、これはまことに申しわけない事態だと思っております。事情はいろいろあるでしょう。それは言いわけもあるし、いろいろなことがあると思うが、とにかくそういうふうに直接的に自衛隊と町民の皆さんがぶつかるような形、これは避けなきゃならぬ。今後ともあってはいけないと思うのです。そんなことあったら本当は大変なんです。そういうふうに思っております。  ですから、ここまで来たものを今後どうするのだ、こういうことでございますけれども、何としたって、これは制服だけがどうこうということじゃございません。私たち皆、シビリアンといいましょうか、防衛庁は、挙げて御理解をいただくようないろいろな話し合いをするということで進めるほかはない、かように考えておる次第でございまして、十分努力をしたいと思っております。
  349. 松浦利尚

    松浦分科員 大臣の前の経過がありますから、大臣御就任になって突然のことですから、経過を御存じないと思うのですが、それでは実際こういう状態の中で、さらに次は五月とも七月とも次期の第二回の演習をやる、こういうふうに地元では流されておるのであります。それでは次期の訓練というのもまた直ちにやられるわけでありますか。
  350. 佐々淳行

    ○佐々政府委員 お答えいたします。  先般、六日の当委員会におきまして兒玉先生にお答えしたところでございますけれども、年四回、一回当たり一週間程度、午前九時から午後五時まで、飛行機も十機程度ということで地元といろいろお話し合いをしてまいったわけでございます。この計画でまいりますと、数カ月後ということになりますが、先ほどシビリアンコントロールの問題の御指摘がございましたが、私ども十分そういうシビリアンコントロールは果たしてまいったつもりでございます。それで、制服に押されて何が何でもやるということではございません。  しかしながら、日米共同訓練の重要性ということにかんがみますと、できるだけ地元の御了解を得て、計画どおりやらしていただきたいと考えておりますけれども、次期、いつやるかということにつきましては、先ほど来施設庁長官防衛庁長官等の御説明もございましたように、慎重にやらなければいけませんので、現時点、まだ次期訓練についての決定は下っておりません。
  351. 松浦利尚

    松浦分科員 大臣、こういう状況ですからね。地元との関係がさらにエキサイトするようなことはやめていただきたい。中止といったって、これはもう両方で合意しておることでしょうから、しかし、少なくともそういった修復ができるまでは延期等の措置をとってもらいたいと思いますね。その点はどうですか、具体的な問題として。
  352. 細田吉藏

    細田国務大臣 いま佐々参事官から申し上げましたとおりでございまして、具体的に私が、ただいま決まっておるわけでもありませんから、延期する云々ということについてお約束するということは、私はいたすことはできませんが、いま御趣旨にございましたようなこういう状態が起こり、さらに重なり、あるいはさらにエキサイトするというような状態は、これはもう絶対避けなければならない、かように存じておりますので、あなたのおっしゃっております趣旨につきましては十分了解をいたします。そして今後の問題については十分慎重に取り扱いたいと思います。
  353. 松浦利尚

    松浦分科員 それから、これは二月六日の予算委員会で兒玉委員の質問に対する御答弁でありますが、玉木政府委員は「十月三十一日に宮崎県知事以下一市四町の責任者に対しまして文書をもって公式に申し入れ、」をいたしましたと、こうなっておりますが、公式な文書は宮崎県知事は受けておりません。受けたのは西都市と新富町だけであります。これはうその答弁じゃありませんか。宮崎県もこういう答弁が出たために非常に迷惑しております。どうでしょう。
  354. 玉木清司

    ○玉木政府委員 兒玉委員に対します答弁におきまして、県及び一市四町に対し、公式文書をもってという表現を申し述べましたのは私の誤りでありまして、御指摘のように、西都市と新富町に対して文書をもってお願いをし、その文書をもってやったことを、それぞれ他に対しては口頭をもって御連絡申し上げたということでございますので、この席で訂正させていただきたいと思います。
  355. 松浦利尚

    松浦分科員 訂正をなさいましたから、これ以上は申し上げませんが、どうも防衛庁は文書の取り扱いが無神経過ぎるような気がしますね、答弁についても。これは一つの例でありますが、第五航空司令部の管理部長が、西都市長その他の一市四町に対しまして、日米共同訓練をやるから人員を三十名程度にしぼって見学に来てくれ。見学に来たときには、基地内において共同訓練に対する反対的な行動は差し控えてくれ、こういう依頼文書を出しておるのですね。地元でこれほど重要な気持ちでみんなが真剣になっておるときに、逆なでするような文書をぽっと出すのですね。しかもこの日米共同訓練は、これは何か飛行機のショーなんですか。航空ショーなんですか。何か知らぬけれども、三十名にしぼって何時から何時まで来てくれ、こういう無神経な文書を出すところに今日の制服組の感覚があるのじゃないですか、どうなんですか、これは。
  356. 細田吉藏

    細田国務大臣 ただいまの案内状の話も、私は聞きました。このことに限りませんが、今後十分注意をさせたいと思います。
  357. 松浦利尚

    松浦分科員 もう私の時間がありませんが、さらに、これは予算が通る前段の話で恐縮ですけれども、仮に五十五年度の予算が通ったといたしますと、新田原関係の予算として三十八億四千六百万円が計上されておるようにお聞きをいたしております。その中に滑走路の増厚計画、かさ上げする計画がある。五十五年度購入するF15イーグル三十四機のうち、十八機を新田原に配備をするというふうに聞いておるのでありますが、この増厚工事というのは、予算が通ったらいつごろから着工なさるのか。今年度購入するF15イーグルは、いつ新田原に配備になるのか、その点をひとつお聞かせください。
  358. 多田欣二

    ○多田政府委員 まず私、前段の方だけ御答弁申し上げますが、予算でお願いしております滑走路等の工事でございますが、御承知のように、新田原の滑走路は昭和三十三年につくった滑走路でございます。その後二回ほど改修をやっておりますけれども、二十数年たちまして大改修を必要とする、こういうことで予算をお願いしておるわけでございます。その大改修の際に、将来、航空自衛隊に配備を予定されている飛行機の運航に耐えられるような厚さにしよう、こういうことでございますが、何分にも大改修工事でございまして、相当の工期を要する工事でございますので、予算が通り次第、設計その他大車輪で準備を進めまして、できるだけ速やかに着手をしたい、このように考えております。
  359. 原徹

    原政府委員 ただいま私ども、F15を国防会議の決定を経て、今年度は三十四機でございますが、やっておるわけでございますが、五十七年度くらいに部隊の編成ができるだろうというふうに考えております。そうなりますと、104の代替としてF15といまのF4という、両方とも104に比べますと非常に重い飛行機でございますので、重い飛行機に耐えられるような滑走路の増厚をしなければならないというふうに考えておりますが、目安みたいな感じとしては五十七年度と考えておりますけれども、いつどうするかというところまではまだ最終的には決まっておらないわけでございます。
  360. 松浦利尚

    松浦分科員 これは大臣、ぜひ御理解をいただきたいと思うのですが、あの新田原飛行場というのは、一番の出発は、飛行操縦学校をつくるということで農地を農家から提供さしてもらったのです。ところが、いつの間にか第五航空師団最大の西部基地になってきつつあるわけですね。しかもF15イーグルあるいはF4等の最新鋭機が配備になる、日米共同訓練は片一方で行われる、そういうことになりますと、日米共同訓練がきっかけになって、新田原は航空自衛隊の基地でありますけれども、米軍との完全な共同使用という方向に進むのじゃないか、結果的に米軍の常駐という方向が出てくるのじゃないか、共同訓練というものに名をかりたそういった共同使用という問題が出てくるのじゃないか、そういう疑いすら県民なり住民は持つわけでありますが、そういうものについて明確な御返事をいただいた上で、私の質問時間が来ましたから終わらせていただきます。
  361. 細田吉藏

    細田国務大臣 米軍の基地にするということは考えておりません。はっきり申し上げます。
  362. 松浦利尚

    松浦分科員 私の言っておるのは、共同訓練としての基地になるのじゃないか、こういうことです。米軍との常時共同訓練基地です。
  363. 玉木清司

    ○玉木政府委員 防衛庁考えておりますのは、年四回異機種との戦技訓練を行いたいということでございまして、これをずるずると常時共同訓練が行われるような事態に持っていくつもりは、現在のどの条件を見ましてもございませんし、われわれも考えておりません。
  364. 松浦利尚

    松浦分科員 終わります。
  365. 中島源太郎

    ○中島(源)主査代理 以上で松浦君の質疑は終了いたしました。  次に、稲葉誠一君。
  366. 稲葉誠一

    稲葉(誠)分科員 時間が短いですから、要点だけお答えを願いたいと思うのですが、このごろソ連脅威脅威ということを盛んに言いますね。ところが今度逆に、日本の自衛隊はソ連にとって脅威なのか。
  367. 原徹

    原政府委員 一般に、その軍事能力というものをどういうふうに解釈するのが普通であるかということの意味で申しますと、軍事能力というものを意図と能力に分けて、その能力の存在をいわゆる潜在的脅威と申しておるわけでございます。私どもは、そういう意味ソ連について潜在的脅威と申しておるわけでございますが、ソ連がそれをどういうふうに評価するか、それはソ連のことでございますので、私どもは、何とも言える立場にはないわけでございます。
  368. 稲葉誠一

    稲葉(誠)分科員 いや、ソ連が評価するかどうかと言ったって、あなた方自身はどういうふうに理解しているかということを聞いているんだよ。ソ連脅威だと思っているのならば、それはまたそれなりにあれがあるし、脅威でないと思っているのなら、そんなものは要らないと、こういうことになってくるんじゃないの。ソ連脅威だと思っているなら、また、それはそうかもしれぬけれどもソ連脅威と思っていないものなら、そういう自衛隊なんかあったってしようがないと、こういう議論になるんじゃないですか。なかなかむずかしいぞ。
  369. 原徹

    原政府委員 私どもは、先ほど来申しますように、ソ連の軍事能力というものを潜在的脅威考えておるわけでございますから、そういうことを頭に置いていろいろ防衛力の整備等やらなければならないと考えておるわけで、それ以上、先方さんがわが方の自衛隊をどう考えるかということまで必ずしも考える必要はないのではないかというふうに考えます。
  370. 稲葉誠一

    稲葉(誠)分科員 じゃ、ソ連脅威ということをよく言いますけれども、北方領土のところに何があるということは、現実にはソ連脅威としてわれわれが考える場合に重要な問題じゃなくて、むしろ具体的には太平洋の海上補給への攻撃能力の増大、この点をこそわれわれは——われわれはというか防衛庁としては、これがソ連の本当の脅威だ、こういうふうに考えるのが常識的な考え方ではないでしょうか。
  371. 原徹

    原政府委員 これは北方領土の問題もございますが、その北方領土のソ連軍を含め極東地域に配備されているソ連軍全体、その中にはもちろん太平洋艦隊も含みますが、その全体につきまして私どもは潜在的脅威というふうに考えておるわけでございます。
  372. 稲葉誠一

    稲葉(誠)分科員 そうすると、いま言ったのは、ソ連の潜在的脅威というのを非常に広い範囲で理解をしておるわけだ、こういうふうに思うのですが、防衛庁としては、このごろソ連アメリカとの軍事力の関係で、ソ連の方が軍事力が非常に高まっていると言うとおかしいけれども、比べてみた場合に上だ、アメリカの方がやや下がってきちゃったのだ、こういう理解の仕方が世間によくありますが、こういう点についてはどういうふうに考えているわけですか。
  373. 岡崎久彦

    岡崎政府委員 ソ連アメリカとの戦力比でございますが、これはごく一般的に申しまして、現在ではまだ総合的にはアメリカが優位に立っていると判断しております。  ただ、現在のまま放置しておきますと、これは近い将来にソ連アメリカの優位を脅かすに至るだろうという予測が行われております。
  374. 稲葉誠一

    稲葉(誠)分科員 そこで、話は違いますが、いまアメリカと韓国との間でチームスピリット80、これは78、79、80とずっとあったわけでしょうが、80がいままでになく大規模に行われておるわけですね。これは韓国軍十万ぐらいを投じておるというふうに言われておりますし、それからアメリカは約五万四千ぐらいかな、こういうふうなものを投じているというふうに言われておるんですね。  そこで、この前の佐々参事官の答弁なんですが、二月九日かな、これに日本が参加するということは、法律的にできないのですか、あるいはできるけれども、妥当でないということなんですか。
  375. 佐々淳行

    ○佐々政府委員 お答えいたします。  チームスピリットは、先生もよく御承知のように、訓練の目的が非常にはっきりしておりまして、北からの攻撃に対して韓国を防衛するための即応能力のテストであるとか、たとえば78の発表文でございますけれども、北朝鮮からの攻撃に対して、同盟国である南朝鮮を援助するための体制について米国の実施する最大規模のテストである、こういうような表現をいたしております。こういうことから、この訓練の目的は、北からの攻撃に対して韓国を守るという明らかに集団自衛権行使を前提とした訓練であると判断されますので、わが国の外国との訓練の法的根拠でございます五条の二十一号「所掌事務の遂行」というのは、条理上自衛隊法三条の自衛権の行使、しかも個別的自衛権の行使というふうに解されますので、これに参加することはできないだろうと考えております。
  376. 稲葉誠一

    稲葉(誠)分科員 集団的自衛権の問題を考えるときに、そういう目的がどういうふうな目的であるかということは関係がないのじゃないですか。だから、集団的自衛権の行使というのは、これは憲法との関係で、四十七年九月十四日の参議院決算委員会の論議を受けて、十月十四日に法制局の統一見解がありますが、そういう目的のことが問題ではなくて、いまの場合ならばアメリカが韓国を守る、韓国はアメリカを守る、こういうお互いの関係があるということで、それが日本の憲法との関係において、それに参加することは抵触するという考え方であって、北から攻めてくるとか攻めてこないとか、そういうことは集団的自衛権とは関係ないのじゃないですか。
  377. 佐々淳行

    ○佐々政府委員 集団自衛権についての先生の御指摘の昭和四十七年十月十四日法制局見解、これは政府統一見解であろうかと存じますけれども、もう先生専門家でいらっしゃいますので多言を要しませんけれども、自衛権というのは、御承知のように、主権国家には国際法上昔からあるわけでございますが、集団的自衛権というのは、比較的新しい考え方で、第二次大戦以後、集団保障制度というものができてから生まれてきた考え方で、ある主権国家が、自分と密接な関係のある、安全保障上非常に重要な関係のある国に対して他国の武力攻撃が加えられた場合、直接自国に攻撃がなくても、実力をもってこれを排除する国際法上の地位である、こう言われております。これは、わが憲法九条の趣旨によって個別的自衛権のみわが国は保有する、こういう考え方になっておりますので、したがいまして、この訓練の目的については、アメリカは比較的はっきりと、この訓練はこういう目的である、たとえば今度のリムパックの発表が、参加艦艇の能力テストをやるための訓練である、こういうことを非常にはっきり言っておりますので、私は、その訓練の目的というのが、外国との共同訓練を実施することの政策判断の可否だけではなくて、法律上の問題にも触れようかというふうに考えております。
  378. 稲葉誠一

    稲葉(誠)分科員 そうすると、日本自身も独立国なんだから集団的自衛権というものを持っている、これははっきりしていますね。
  379. 佐々淳行

    ○佐々政府委員 御指摘のとおり、国際法上は集団的自衛権を持っております。しかしながら、憲法によって自主的にそれを規制して、個別的な自衛権のみを認めておる、こういう立場にございます。
  380. 稲葉誠一

    稲葉(誠)分科員 そうすると、たとえばあなたは答弁の中で「集団的自衛権の行使を明らかに前提としたような共同訓練に参加をすることは差し控えるべきであろう。」、こう言っていますが、「差し控えるべきであろう。」でなくて、できない、憲法の制約上できないという答えでなければいけないのじゃないですか。「差し控えるべきであろう。」なんて、できるのだけれども、やらないのだというような答えだよ、これは。そこをどういうふうに……。
  381. 佐々淳行

    ○佐々政府委員 御指摘のとおり、解釈上できないという見解をとっておりましたが、差し控えますということをいつか申し上げたかもしれませんが、できないというふうに考えております。
  382. 稲葉誠一

    稲葉(誠)分科員 いや、だから、差し控えますと言ってないのだ、「差し控えるべきであろう。」、こう言っているから、それはおかしいとぼくは言ったのだ。  そこで、今度のリムパックの問題で、この訓練の目的はいろいろ出てまいりましたが、これは中部太平洋において行われるのでしょう、中部太平洋というのはどこのことかよくわからぬけれども。それと防衛庁としては、護衛艦二隻及び対潜哨戒機八機をこれに参加させることを計画しているんですね。対潜哨戒機というものをなぜ参加させるかというのは第二の問題ですね。第一の問題は、先刻言ったけれども、いわゆるソ連脅威というものを北方領土だけに限定するのではなくて、太平洋の問題にも関連をするということを防衛局長言いましたよね、そうすると、この中部太平洋というのも、いわゆるソ連脅威の存在するか、あるいは存在するであろうところに入るのかどうか、これが一つの問題点であるわけでしょう。  それから第二は、護衛艦二隻及び対潜哨戒機八機、この対潜哨戒機というのはPXLでしょうが、これは一体どういうものなのか、何のために対潜哨戒機というものは役立てようとしているのか、なぜ八機もこれに参加をさせるのか、これが第二の問題だね。
  383. 佐々淳行

    ○佐々政府委員 まず第一点の中部太平洋でございますが、これは御承知のように、ハワイの第三艦隊の基地には大変すぐれた訓練施設がございまして、二年に一度程度、外国艦艇の参加を認めた艦隊レベルの訓練をやっております。カナダ、これはNATOに基づいてアメリカと同盟国でございますが、自分の国にあるよりはすぐれた訓練施設がございますので、ここに参ります。ニュージーランド、オーストラリアも同様の目的で参りまして、この地域で特に行われるということについて、地政治学的な意味はないということをアメリカ側は明確に表明をいたしております。  それから二番目に、対潜哨戒機八機は何にするのだということでございますが、これは昭和五十一年以来、ハワイ派遣訓練ということで護衛艦二隻、潜水艦一隻、P2J対潜哨戒機八機がこれまで毎年行っておりまして、この訓練の目的は、今回の総合訓練の中において当然対潜水艦捜索訓練がございますので、これに参加をして戦術技量を向上させよう、こういうことでございます。
  384. 稲葉誠一

    稲葉(誠)分科員 私の聞いているのは、「中部太平洋」ということが書いてあるでしょう、リムパックの統一見解の中に。これは去年の十二月十一日。そうすると、いま言ったように、いわゆるソ連脅威というものは、具体的には太平洋の海上補給への攻撃能力の増大という点にあるのだ、こういうふうにぼくが言ったときに、それはそうだというふうに防衛局長答えていたじゃないですか。北方領土だけではなくてずっと広くなっているのだ、こういうのでしょう。PXLを八機も使うということは、明らかにソ連の太平洋における補給能力を遮断するという目的を持って、それに日本が参加をするということが論理的にそこから出てくるんじゃないですか。そうじゃないとおかしいぞ。——ちょっと待って。防衛局長どうなんだい、違うのかい。
  385. 原徹

    原政府委員 演習自体は、佐々参事官が申すとおりで、別にどこの脅威ということを前提にしない、本当に戦術技量の訓練を目的とする能力強化でございますか、そういうものでございますから、そういう意味で佐々参事官申しておるのでございまして、これは、いまのそういう特定の脅威前提とするものでないということが明白になった上での参加でございます。
  386. 稲葉誠一

    稲葉(誠)分科員 それではカンガルーの場合は、これは、ほとんど参加している国が同じ国ですね、多少違うけれども。ちょっと違いますかね、カンガルーと一国くらい違うかな。カンガルーにはカナダが入ってないですか。まあ、いずれにしても、その場合は、一体どこでやって、どうしてそれは集団自衛権の行使になるのか、それが第一点です。  それから、いま私が言ったように、PXL、対潜哨戒機というのは、これは——世界でいま一番潜水艦を持って、その能力が脅威として考えられておるのはソ連でしょう。これは常識でしょう。岡崎君常識だろう。答えてごらん。あたりまえじゃないか、そんなこと。
  387. 岡崎久彦

    岡崎政府委員 過去十五年あるいは二十年に及びますソ連の継続的な軍事力の増強、特に日本につきましては、極東周辺におきますソ連の軍事力の増強は、潜在的脅威であると認識しております。
  388. 稲葉誠一

    稲葉(誠)分科員 そんなこと言ってないよ。潜水艦のことを聞いておるんですよ。
  389. 岡崎久彦

    岡崎政府委員 海上交通路に対する脅威という御趣旨でございますね。——わが国の海上交通路に対する潜在的脅威は、潜水艦及び空対艦ミサイルを装備した長距離爆撃機にあると存じます。その能力を最も多く持っておりますのはソ連でございます。
  390. 佐々淳行

    ○佐々政府委員 お尋ねでございますし、また委員長から御指名がございましたので、カンガルーについて御説明させていただきます。  カンガルーは、ちょうどリムパックの間みたいなときに、七四年、七六年、七九年と三回やった訓練でございまして、加盟国はANZUS三国、カナダは入っておりません。これも非常にはっきり、目的はオーストラリア防衛のための共同連携要領の演練となっておりまして、これも場所がオーストラリア北東海岸地帯及び沖合いということで、オーストラリアを考え得る外敵からの攻撃から共同して守る訓練ということを、はっきり目的に書いております。  御参考までですが、ANZUSが、それじゃこういうことばかりをやっておるかと申しますと、ロングエックスというのを毎年やっておるのですけれども、これはアメリカ、ニュージーランドその他のANZUS三カ国がニュージーランド沖でやっておりますけれども、これは参加部隊の能力評価ということで、戦術技量向上のための訓練もあるようでございます。ただカンガルーは、はっきり共同防衛、そういう集団自衛権行使を前提とした訓練ということを目的に明示しております。
  391. 稲葉誠一

    稲葉(誠)分科員 だから、そういうことから見ると、目的に明示してある、明示してないということで、あなた物事を判断すべき筋合いのものではないでしょう。そこに実際の真意がどこにあるかということを判断しなければいけないわけでしょう。だから、これはPXLを中心としての日本としては訓練でしょう。潜水艦を発見するためでしょう。だから、そのことから言っても、ソ連の潜水艦の脅威ということを、日本としては少なくとも前提としてのこの演習の参加だ、これを考えるのがあたりまえのことではなかろうか、そういうふうに私は考えるのですがね。  防衛庁長官、あなたにこにこしていてあれだな。せがれさんから怒られたでしょう、あなた、余りにこにこしてちゃいけないといって。自衛隊の何か観閲のときには、もう少ししっかりしろなんてせがれさんから怒られたとこの前出てたぜ。なかなかむずかしいところだけれども……。  そこで聞きたいのは、日米安保条約ということによって、アメリカはどういう利益を得ているのですか。
  392. 岡崎久彦

    岡崎政府委員 アメリカの安全保障上の目的は、自由世界の安全を守る点にございまして、その意味日本と協力するということ自体に利益がございますけれども、具体的に申しますと、極東の平和と安全を維持するために、日本の基地を日本政府との事前協議の手続を経て使用できる、ここに利益がございます。
  393. 稲葉誠一

    稲葉(誠)分科員 その利益というのは、法律的な利益という意味かもわかりませんがね、そうでなくて、アメリカ日本の軍事基地を利用することによって、安保条約ができてからいままでの間に具体的にどういうふうな利益を得てきたのですか。何か特別の利益を得ましたか。たとえばいろいろな戦乱、動乱があったときに、アメリカとしては何か利益があったの。
  394. 岡崎久彦

    岡崎政府委員 これは外務省がお答えすべき問題でございますけれども日米安全保障条約というのは、安全保障に限らず、広く両国間の協力関係も規定している条約でございまして、日米安全保障条約を結びましてから二十四年間、極東の安全と平和を維持いたしまして、日米の友好協力関係を深めた、これはアメリカにとって利益だと存じます。
  395. 稲葉誠一

    稲葉(誠)分科員 そうすると、日米安全保障条約があったから日本は戦乱に巻き込まれなかった、こういうのですか。何かのときに巻き込まれなかったというの。そういうプラスがあった、こういうわけですか。しかし、日本に軍事基地があるということによって、逆に日本が攻撃される危険性というものも理論上考えられるのじゃないですか、ない場合と比較してね。
  396. 岡崎久彦

    岡崎政府委員 理論的にはいろいろなことが想定されるわけでございますけれども、現実の問題として、過去二十数年間日本が平和と安全と繁栄を享受し得たということは事実でございます。
  397. 稲葉誠一

    稲葉(誠)分科員 事実なのはわかっていますけれどもね。だから、安保条約というものによってアメリカがどういうプラスを得たか、同時に、日本はまた、それによって、現実には戦争に巻き込まれなかったけれども、軍事基地があることによって戦争に巻き込まれるという危険性というものを負担しておるのではないか、こういうことを聞きたかったのですが、そこで大臣、日米安保条約というのは、一体どういう状況ができたときにこれはなくなるのか。
  398. 細田吉藏

    細田国務大臣 私は、前段のことについて私の考えていることを申し上げたいと思うのですが、何を得したかというお話でございましたが、私は、自由主義社会の中における日本の持っている総合的な力、それから日本列島の持っている地政学的といいましょうか、あるいは戦略的ないろいろな位置、そういったようなものがありますので、したがって、第二次大戦の後で平和条約を結ぶと同時に安全保障条約を結んだ、そういうことだと思うのでございまして、あるいはいろいろなことがこれにつけ加わるかもしれませんが、基本的にはそういうことではなかろうかと思っております。  どういうときになくなるだろうかということで、これは大変むずかしい御質問でございますけれども、私ども、現在の状況下におきましては、日米安全保障条約というものは、そう短い将来においてこれが破棄される、なくなるというふうには実は考えておりません。どのような場合があるかということにつきましても、私ども、いまちょっと考えましても、想像ができない程度でございますが、ただ、物には永遠というものはありませんから、これは何とも言えないわけですけれども、私ども、いまの状態では、近い将来にこれがなくなるというふうには考えておりません。
  399. 稲葉誠一

    稲葉(誠)分科員 そうすると、安保条約があることによって、日本が経済的その他の面で結局アメリカの言うことを聞かざるを得ない状況になってくる、これは常識論ですね。そういう面を、これをもしマイナスと言うならマイナスと言わざるを得ないのではないでしょうか。その点どうでしょうか。
  400. 細田吉藏

    細田国務大臣 マイナスという言葉の言い方でございますけれどもアメリカの国民が払っている税金でアメリカの軍ができておるわけでございますから、アメリカの軍にいろいろお願いしておるわけですから、それに対して何らかのいろいろなことを、日本が憲法や法律で許されている可能なものについては負担するということは当然やらなきゃならぬことであり、安保条約もそういうたてまえでできておる、かように私思いますので、それをマイナスという言葉が当たるかどうか別ですが、そう言えばそういうことになるのではないでしょうか、そういうふうに思っております。     〔中島(源)主査代理退席、主査着席〕
  401. 稲葉誠一

    稲葉(誠)分科員 時間がないものですからあれですが、この佐々氏のいろんないまの答弁なんか見てみましても、それからこの統一見解なるものを、リムパックの場合を見てみましても、集団的自衛権のところにいわゆる、いわゆると使うのだね。このいわゆるというのを使うのは、どういう意味でこういう言葉を使うのですか。
  402. 佐々淳行

    ○佐々政府委員 集団的自衛権そのものでもよろしいかと思いますが、従来いわゆるということで言っておったようでございまして、特に理由はないと思います。
  403. 稲葉誠一

    稲葉(誠)分科員 理由はないというのは、それなら集団的自衛権ということをちゃんと使えばいい。みんないわゆる、いわゆると書いてあるのだな。いわゆる一般消費税と同じなんだ。だから、集団的自衛権というのはいろいろあるのだが、いま問題となってできないのはいま考えられておるような集団的自衛権なんで、別のものがあるのだという意味にとれるのです、これは。だから聞いているわけですね。
  404. 佐々淳行

    ○佐々政府委員 先生承知の四十七年九月十四日の水口議員要求にかかわる内閣法制局統一見解、この統一見解は十月十四日ですが、これが「集団的自衛権と憲法との関係」という統一見解の中で「国際法上、国家は、いわゆる集団的自衛権、すなわち、」云々ということで、この公式文書に使われておりますので、慣習的に私ども使っております。
  405. 稲葉誠一

    稲葉(誠)分科員 そうすると、いまあなたが読まれた「国際法上いわゆる集団的自衛権を有しているとしても、」とありますね。いいですか、「国権の発動としてこれを行使することは、」云々、こういうのですね。「国権の発動として」というのはちょっとよくわからぬな。日本は交戦権がないわけでしょう。交戦権がないのに国権というのは、これはどういう意味なんだ。
  406. 佐々淳行

    ○佐々政府委員 本日この統一見解を作成いたしました法制局の方がおられませんので、その間の事情ちょっとわかりませんが、交戦権放棄ということを言うために国権の発動、最も激しい形態であるところの交戦権と申しますか、戦争というものを放棄しておるという意味で国権の発動という言葉ではなかろうかと私、推察いたしますが、立案者じゃございませんので、ちょっとその点は法制局の方へお尋ねになっていただきたいと思います。
  407. 稲葉誠一

    稲葉(誠)分科員 交戦権があるとないとによって、具体的に戦争の場合どういうふうに違うの。
  408. 佐々淳行

    ○佐々政府委員 交戦権すなわち戦争を放棄していなければ、たとえば先制攻撃であるとか他国の領土に対する破壊的な攻撃とかいうのも許されるのだろうと思いますが、個別的自衛権の場合には、急迫不正な侵害に対し他に手段がない場合必要最小限、こういう制限が付されております。この点が大きな違いであろうかと存じます。
  409. 稲葉誠一

    稲葉(誠)分科員 交戦権の問題は、議論としてはそう価値がないのじゃないかな。価値がないことを議論しているのもおかしな話だけれども、中立国の船や何かを拿捕できるかできないか、それから陸軍刑法とか海軍刑法というようなものを持てるか持てないかというだけの話じゃないのですか。後でよく研究してください。それほどの意味はないのじゃないかな、交戦権というものを持っているか持っていないかの違いは。交戦権があるからといって、敵にこっちから攻めていくことができるとかなんとかということとは違うのじゃないですか。そこはどういうふうに理解するのですか。時間がなくなりましたからまた後でいいですが、これが一つ。  あとはこれは陳情だけれども、ぼくのところの近所に北宇都宮駐屯地周辺障害防止対策事業というのがあるのですね。雀宮というところに自衛隊があるわけです。そこの河川と排水路の整備のことと、雀宮中央小学校というのがあるのですよ。飛行機が飛んでうるさくてしょうがないので、第二期防音工事をやっている。だから学校の整備、このことについても骨を折ってもらいたいという、この二つのことが宇都宮の市長から出ておるわけです。これについては防衛施設庁の方からお答え願いたい。  前の交戦権の問題で質問したことについて、何かあなたの返事があればしてください。なければいいですよ。
  410. 佐々淳行

    ○佐々政府委員 先ほどお答えいたしましたように、この統一見解は法制局作成にかかわるものでございますので、法制局とも十分検討いたしてみます。
  411. 森山武

    ○森山(武)政府委員 ただいま御指摘の宇都宮関係につきましては、北宇都宮に新川改修工という事業がございます。これは従来から引き続いてやっておりまして、五十五年度、六年度も引き続いてやっていきたいと思います。それから宇都宮駐屯地関係で茂原排水工というのは、これは新規事業として五十五年度で全体計画を調査の上進めたい、かように考えております。  それから、第二点目の雀宮中央小学校でございますか、これは第一期工事を五十四年度に実施いたしまして、引き続いて第二期工事を五十五年度にも実施したい、かように考えておるところでございます。
  412. 藤尾正行

    藤尾主査 以上で稲葉君の質疑は終了いたしました。  次に、吉井光照君。
  413. 吉井光照

    吉井分科員 私は、米軍岩国基地の諸問題につきましてお尋ねをしたいと思います。  防衛庁は、米軍岩国基地の存在価値というものをどのように評価しておられるか、まずこの点お尋ねしたいと思います。
  414. 岡崎久彦

    岡崎政府委員 岩国基地を含みます在日米軍の駐留は、米国のわが国に対する防衛約束の目に見える形をあらわすものでございまして、日米安保体制の核心をなすものでございます。
  415. 吉井光照

    吉井分科員 岩国基地がわが国の防衛に欠くことのできない飛行場である、その核をなすものであるという答弁があったわけでございますが、その理由についてもう少し具体的に御説明願いたいと思います。
  416. 岡崎久彦

    岡崎政府委員 日本に駐留しております実戦部隊の中で、最も強力でございますのは沖繩におります第三海兵両用部隊でございまして、岩国の基地におります第一二及び第一五海兵航空群、これは沖繩におります第三海兵両用部隊に対します航空援護の任務を持っております。
  417. 吉井光照

    吉井分科員 ということであるならば、ここ当分といいましてもいまから十年、二十年、三十年先、わが国への返還とか基地撤去というようなことは、これは当然考えられないということですね。
  418. 岡崎久彦

    岡崎政府委員 わが国及び極東の安全にとりまして、きわめて重要な機能を果たしている基地と考えます。
  419. 吉井光照

    吉井分科員 だから、当然返還とか基地撤去ということは考えられないということをひとつはっきりおっしゃってください。
  420. 岡崎久彦

    岡崎政府委員 御説のとおり、考えられません。
  421. 吉井光照

    吉井分科員 では、最近の国際情勢変化といいますか、そういったことに基づきまして、岩国基地の海兵隊、これそのものに何か変わった動きがあったかどうか、この点どうでしょう。
  422. 岡崎久彦

    岡崎政府委員 最近の変わった動きと申しますと、岩国におりましたF4の飛行隊が、従来一飛行隊でございましたのが二飛行隊にふえております。ただ、これの理由が最近の国際情勢の結果であるかどうかについては、必ずしもそうと言えない節がございまして、これは大きく申しまして、ただ米軍の部隊配置の都合であるというふうに考えます。
  423. 吉井光照

    吉井分科員 そこで、この岩国基地の沖合い移設の問題ですが、この沖合い移設がいろいろと取りざたをされてからもうすでに十数年になります。これは地元岩国市を初め、山口県の非常に強い要請もあったわけでございますが、こうした要請に基づいて、防衛施設庁も四十八年度から調査費を計上されて、そしていろいろ調査を行ってこられたわけでありますが、五十二年度までの五カ年間の調査によりまして、一応沖合い移設が可能であるという見解を発表されておりますが、現段階における基本的な考え方、すなわち移設をするのかどうか、ひとつ率直にお答えを願いたいと思います。
  424. 玉木清司

    ○玉木政府委員 四十八年からの継続してまいりました各種の調査によりまして、御指摘のように、地元案の千五百メートルの沖合いに現在の岩国飛行場五百六十万平米をすっぽりと移すということが技術的に可能かどうかということにつきましては、技術的に可能であるということを得た次第であります。  今日の段階で移すかどうか、それをどう考えておるのかということでございますが、私どもとしましては、この問題が提起されましたのは、岩国基地の滑走路の延長線上にございますたくさんの住宅及び化学工業を中心にいたしました工業地帯、こういうようなものにもし航空事故を発生させて、不測の災害を起こしてはいけないという地元の強い御希望でこの問題が提起されたわけでございますから、そういう環境条件は今日もやはり深刻なものがございまして、環境条件において今日は変化をしておらぬと思います。しかし、実際移すのかどうかということになりますと、われわれが過去におきましてやりました調査の結果を見ましても、技術的には可能であるが、相当の長期間と膨大な経費がかかるということが明らかになっておりますので、これほどの大事業をやるかやらぬかという腹を決めるのは、今日の段階では決心はできないという立場に立っておる次第でございます。
  425. 吉井光照

    吉井分科員 いま答弁を聞きまして、いろいろな客観情勢からそういう答弁にならざるを得ないということも納得はできるわけでございますけれども、これは実は五十三年六月の内閣委員会で当時の防衛施設庁長官が、この問題については「地元の長い間の御要望でございますので、この調査は単に調査して終わったということで済むべきものではないのでございまして、これはその実現の方向に向かって、防衛施設庁だけの力でも不十分でございますが、政府として全力を挙げて実現に取り組むべき問題」と、このように答弁をされておりますが、いま長官のお話を聞きますと、感じで言って、ちょっと何か後退したような気持ちもしないでもないのですが、その点どうですか。
  426. 玉木清司

    ○玉木政府委員 お引き合いになりました元防衛施設庁長官答弁と、現在の私の答えました点につきまして後退という御指摘でございますが、申し上げましたように、この基地の持っておる環境条件は変わっていないということの認識は、当時も今日も変わっておりませんので、私の答弁自体は、その環境条件を従前と同じように踏まえながら慎重に申し上げておるということでございまして、かつての答弁が勇ましかったということになるかもしれませんが、やはり慎重に考えていかなければならぬ、こう考えております。
  427. 吉井光照

    吉井分科員 そうすれば、具体的な問題になりますが、調査にもうどのくらいの日時を要して、そして最終決定までのスケジュールは一体どのように考えられているのか、そのあたりはどうですか。
  428. 玉木清司

    ○玉木政府委員 先ほど申しましたように、この沖合いの移設と申しますのは大変大きなプロジェクトでございまして、実際にこれをやるといたしますならば、政府としましても、政府各省を通じて合意の上、重大な決心をして着手しなければならない問題だと思います。したがいまして、防衛施設庁で現在考えておりますのは、この環境条件は変わっておらぬわけでございますし、また、ますます重要に考えなければならない事態にあるわけでございますから、私どもとしましては、もし移すということを前提考えた場合には、従前の地元案、これはわれわれとは全くかかわりのない、市あるいは県の舞台におきまして御論議の末に提示されました地元案でございますが、地元案についてのみいままで検討してまいりましたが、国がこれに本格的に取り組むことがあるとすれば、最も経済的に、最も効果的にこれを行わなければなりませんので、その方途はないのかということをまず見きわめてから後でなければ、将来の見通しは立たない、こういう考えで対処しておるところでございます。
  429. 吉井光照

    吉井分科員 そうなりますと、結局、極端に言えば、十年先か、二十年先か、現段階では見当もつきかねる、このように理解してよろしいですか。
  430. 玉木清司

    ○玉木政府委員 それほど投げやりに考えておるわけではございませんで、私どもとしましては、現に昭和五十五年度予算に、最も経済的に効果的に災害の防止を確保する方法はないのかということを、新たな観点で調査費を計上して具体的に取りかかろうとしておるのでございますから、この見きわめがつきました段階におきまして、防衛施設庁が本腰を入れて調査するわけでございますので、その調査結果に基づいて政府関係機関と協議の上、対処するつもりでございます。したがいまして、いつになるかわからないというほど、大変遠い話とも私ども考えておりません。
  431. 吉井光照

    吉井分科員 最初は、沖合い千五百メートル、こういう基本線でいろいろな調査も進められてきたわけですが、最近は、いままでの千五百メートル移設説から、千メートル沖合いの線ということが考えられているようでありますが、この線でいきますというと、大体工事費並びに工期等についても約半分ぐらいで済むのじゃないか、このような見通しもあるわけでございますが、一応政府の方としては、千メートル移設説を今度は基本として考えているわけですか。
  432. 玉木清司

    ○玉木政府委員 申し上げましたように、いかなるやり方が最も経済性が高くて、かつ効果的であるかということを模索する調査でございますので、初めから千メートル移設した場合にどうなるかという角度の調査は、そういう取り組み方ではございません。
  433. 吉井光照

    吉井分科員 次に、この沖合い移設についての米軍側の意向、たとえば米軍側にとって同じ基地を移設するのであるならばもう少し大きいものにしてくれとか、何かそういった要望はなかったですか。
  434. 玉木清司

    ○玉木政府委員 この問題は、岩国市及び山口県等地元日本側の問題でございますので、日本側の意思が確定いたしますまでは対米的に働きかける関係にございませんので、アメリカ側と相談をするということは全くございません。  なお、飛行場の問題の御指摘がございましたが、現在の飛行場が通常の戦闘機の飛行場といたしましてはやや短くつくられている事態はございますので、将来の問題、仮の問題でございますが、通常の飛行機の需要に必要な形のものを念頭に置くことは当然だろうと思います。
  435. 吉井光照

    吉井分科員 ここで環境庁にちょっとお尋ねするわけでございますが、当然こうした移設、これは大変な移設でございますが、移設を考える場合に、さまざまな工法というものが考えられるわけです。これはもうすでに四十八年度からの五カ年間の調査によりまして、どういう工法にするかということもいろいろ検討されて、結局当面サンドドレーン方式工法によらざるを得ないのじゃないかという結果も出ていると思いますが、この工法また移設等について、瀬戸内海環境保全特別措置法及び環境アセスメントの関連性、これをどのように考えておられるのか、お尋ねしたいと思います。
  436. 森下忠幸

    ○森下説明員 お答えいたします。  岩国飛行場の沖合い移設の計画につきまして、防衛施設庁におきましていろいろ調査がされておるということは伺っておりますけれども、まだこれは具体化しておらないわけでございますので、どの段階で環境影響評価、アセスメントをやるのが適当かということは判断は困難でございますけれども、しかし、いま先生おっしゃいましたように、サンドドレーン工法等、埋め立てというふうなことでこれを行うということに仮定いたしますと、これは公有水面埋立法によりまして埋め立ての免許が必要でありますから、この免許手続の際に、事業者が環境アセスメントをやらなければならないということが義務づけられております。この場合に、この地域は瀬戸内海環境保全特別措置法の対象地域でございますから、当然瀬戸内海の環境の保全について特別な配慮が必要になるべきものであると考えております。  ただ、なおこの埋め立てが五十ヘクタールを超えるような大きなものになりました場合には、この免許につきまして主務大臣が認可をいたします際に、ここは運輸大臣かと思いますけれども、環境庁長官に対しましていろいろと環境保全上の意見を求められるわけでございますけれども、その段階になりましたならば、私ども環境庁といたしましても、十分慎重に環境保全上の観点からこれにつきまして検討いたしまして所要の意見を申し述べる、こんなふうな手続になるかと思っております。
  437. 吉井光照

    吉井分科員 次に、移設後の跡地の問題ですが、これはまだまだ相当な先の話でありますが、しかしながら、当然この計画を進めていく上においては欠くことのできない問題だろうかと思います。そういった意味で当然地元岩国市ともいろいろ協議をされているとは思いますけれども、一応施設庁の考えはどうですか。
  438. 玉木清司

    ○玉木政府委員 申し述べてきましたように、この岩国の移設というものは、まだどういう方法でやれば最も経済的で効率的であるかという調査をする段階でございますので、終わった後の現飛行場の跡地の処分の問題につきましては、地元の岩国市やその関係の方々の間では何らかのお話があるかもしれませんが、防衛施設庁としましては、そういうことはまだ全く問題になっておりませんし、また、市との間におきましても、そういうことについての話し合いをしたことも全くありません。
  439. 吉井光照

    吉井分科員 では当然その漁業補償の問題についても考えられていないと思うわけでございますが、昨年ですか、四十八年からのいわゆる五年間の調査結果が発表された当時に、漁業組合あたりも漁業補償の問題についてひとつ真剣に考えていかなきゃいけない、このような組合長の談話も発表されておりましたけれども、この漁業補償の問題は、これはどう考えておられますか。
  440. 玉木清司

    ○玉木政府委員 過去の調査に関連いたしまして、もしその調査の結果、地元案のようなことを実施に移すことになれば、漁業補償問題が大変大きな重大な問題になるということは、論議になったわけでございますが、今日、繰り返して申し上げましたような考え方で対処しておりますので、最も経済的で効率的なやり方があるのかという角度の調査におきましては、当然に漁業補償の問題等は対象にしておりません。
  441. 吉井光照

    吉井分科員 次に、いわゆる駐留軍の従業員の問題ですが、この問題につきましては、いつも米軍側の一方的なやり方等に対していろいろとやはりトラブルが起こっております。したがって、冒頭お尋ねを申し上げましたように、また答弁もございましたように、ここ当分といいましても、十年、二十年、三十年、ずっと先までも非常に大事な基地であるならば、当然こうした駐留軍従業員に対しましても長期的な雇用計画の策定が必要だと思いますけれども、その点の考えをひとつお尋ねしたいと思います。
  442. 玉木清司

    ○玉木政府委員 国家公務員法の特例法によりまして、国が駐留軍従業員を雇用することに定められまして、しかも防衛施設庁長官が勤務条件その他について責めを負う立場にございます。したがいまして、防衛施設庁としまして最大の関心事は従業員の雇用の安定であります。その意味におきまして、雇用安定を図るために必要な長期の見通しというものは大変関心を持っておりますけれども、現在まで在日米軍とその問題についてともに討議し研究してまいりましたが、在日米軍は軍隊という特性を持っておりまして、長期に何をするということを見通しを立てて動くという性格のものでございません。したがいまして、雇用状態というものを、長期的に確保する計画自体を米軍はわれわれにこれだといって示すことができない状態にございますので、長期計画そのものを持っておりません。しかし雇用安定のためには、なるべく長い見通しのもとでできるだけのことをしなくてはならないという考えで対処しております。
  443. 吉井光照

    吉井分科員 次に、防音工事の問題でございますが、この防音工事につきましては、地元では非常に喜ばれております。無論この工事を施工する施工側も、こうした不景気の時代にたくさん工事の発注がありまして、地元岩国市では非常に好評なんです。したがって、この防音工事の将来計画はどのように考えておられるのか、この点どうですか。
  444. 玉木清司

    ○玉木政府委員 岩国基地におきましては、防音工事の全体計画としまして、八十W以上を実施しようといたしますと五千七百二十八戸が対象になります。その対象の中で、五十四年度までやってまいりましたのは二千四百二十三戸でございます。この中には当面辞退される方もございますので、進捗率は四八・四%という状態になっておりますが、五十五年度におきましても五百五十戸ないしそれ以上を実施する腹づもりでおりますので、なるべく早く環境基準の達成に向かって努力をしたいというふうに考えております。
  445. 吉井光照

    吉井分科員 次に、自治省にお尋ねをいたしますが、いわゆる基地交付金のことについてでございます。これについては毎年若干の増額はされておりますが、御承知のごとく、岩国基地周辺は工場地帯であります。もし基地があそこになかったならば、岩国港の持つ特異性といったことから考えて、当然工場が張りついていただろうということは容易に想像されるわけでありますが、もしそうであるとするならば、固定資産税が推計で約六十数億見込まれるわけであります。ところが、現在の基地交付金となりますと約十二億弱、これには余りにも大きい隔たりがあるわけですね。大体岩国市というのは九五%がいわゆる山間部であります。そして、ごくわずか残された平野部の三分の二がいわゆる基地で占められておる。こういう特殊事情もあるわけですが、こうしたことも考慮に入れられて、大幅な増額措置ということは考えられないのか。この点どうでしょうか。
  446. 渡辺功

    ○渡辺説明員 ただいま岩国市の基地交付金について御質問ございましたが、先生もよく御存じのとおり、事柄は基地交付金の問題でありますし、何といいましても対象資産の大きさというものがこの配分の一番の基準でございますので、その市町村においてどの程度の割合を占めているかということであるとか、それからもう一つは、基地交付金の性質上、それが仮になかりせばということの想定でこれを配分するわけにはいかないわけでございます。これは御了承をいただけると思います。  しかしながら、ただいま御指摘の中に、平野部に位置をしているというような点についてどう考えるかという点が含まれていたわけですが、これは非常に重要な点だと私ども考えております。山林、丘陵地帯にある基地あるいは平野部にある基地、そういったものをそれぞれ想定いたしますと、その周辺の状態に相応してそれぞれ基地交付金というものが算定されませんと、所在市町村としてはやはり公平感といいますか、なかなか納得がいかない、こう思います。  そこで、それらを端的に反映させるための一番の方法は、五年に一度の国有財産台帳の改定時期に周辺の状況を的確に反映するようにやっていかなければならない、こう思っております。たまたま来年、五十五年度末でありますが、来年の春になりますけれども、その国有財産台帳の改定の時期が参りますので、私ども防衛施設庁ともよく連絡をとり、これは最終的には大蔵省の所管の問題でありますけれども、的確に反映をされますように努めてまいりたい、こう思います。  しかし、同時に岩国の場合、御指摘のようないろいろな事情があるということは私どももよく承知しております。基地交付金は、全体の七五%は資産に比例的に配分しておりまして、二五%は補正をしておりますけれども、その中で岩国のような場合は、市街地にあり、平野部にあり、同時にその基地の性質が飛行場であるというようなことも含めまして、従来もそれなりの配慮はしてきたつもりでありますし、今後もそういった考え方は堅持してまいりたい、こういうふうに考えております。
  447. 吉井光照

    吉井分科員 それでは時間が参りましたので、最後にお尋ねをしておきたい問題は、御承知のとおり、この事業は十八省庁にまたがる事業であると聞いております。ところが、先ほどからのいろいろな御答弁にもありますように、いずれにしろこれは進めていかなければならない問題だろうと思うわけであります。そうなりますと、いままでのような、防衛施設庁なり二、三の省庁がそれなりの調査を独自に進めるという段階はもう過ぎたんじゃないかと思うのですがね。そうなりますと、今後の問題の対処の仕方として、やはり一つの組織体をつくってこれを進めるべき段階に来ているのではないかと思うのですけれども、その点はどうですか。
  448. 玉木清司

    ○玉木政府委員 先ほど来申し上げておりますように、今後の問題を具体的にどうするということを考える時期にまだ至っておりませんので、具体的なものは持っておりません。
  449. 細田吉藏

    細田国務大臣 防衛庁長官からも一言申し上げたいと思います。  あの岩国の現地の状態も私はよく承知しております。防衛施設庁だけの問題でなくて、広く多数の各省庁にかかわる問題でございます。また、岩国市としては非常に重大な問題だと思います。でございまするので、当面の調査の結果を待ちまして、私ども関係の各省でもっと話し合わなければならぬのじゃないだろうか、かように思っておりますので、今後とも善処したいと考えております。
  450. 吉井光照

    吉井分科員 以上で終わります。
  451. 藤尾正行

    藤尾主査 以上で吉井君の質疑は終了いたしました。  これにて総理府所管中、防衛庁に関する事項についての質疑は終了いたしました。     —————————————
  452. 藤尾正行

    藤尾主査 次に、会計検査院所管について審査を進めます。  まず、会計検査院当局から説明を求めます。柴崎会計検査院事務総長。
  453. 柴崎敏郎

    ○柴崎会計検査院説明員 昭和五十五年度会計検査院所管の歳出予算案について説明申し上げます。  本院の昭和五十五年度予定経費要求額は、八十二億七千五百九十三万八千円でありまして、これは、日本国憲法第九十条及び会計検査院法の規定に基づく、本院の一般事務処理及び検査業務を行うために必要な経費であります。  いま、要求額の主なものについて申し上げますと、人件費として七十億二千六百九十万九千円を計上いたしましたが、これは総額の八五%に当たっております。これらのうちには、会計検査の充実を図るため、調査官二人、一般職員八人を増置する経費も含まれております。  旅費として五億七千六百二十三万六千円を計上いたしましたが、このうち主なものは、会計実地検査旅費が五億六千百四十万六千円、外国旅費が七百八万円であります。  施設整備費として三億三千八百十九万四千円を計上いたしましたが、このうち主なものは、庁舎本館防災改修工事費二億九千三百五十一万三千円であります。  その他の経費として三億三千四百五十九万九千円を計上いたしましたが、これらのうちには、検査の円滑を図るための会計検査活動費四千五百三万六千円が含まれております。  次に、ただいま申し上げました昭和五十五年度予定経費要求額八十二億七千五百九十三万八千円を前年度予算額八十一億七千六百八十八万四千円に比較いたしますと、九千九百五万四千円の増加となっておりますが、その内訳の主なものについて申し上げますと、人件費において一億九千八百六十万九千円増加し、施設整備費において、庁舎別館増築工事の完了により、九千五百六十三万七千円の減少となっております。  以上、はなはだ簡単でございますが、本院の昭和五十五年度予定経費要求額の概要の説明を終わります。  よろしく御審議のほどお願いいたします。
  454. 藤尾正行

    藤尾主査 以上で説明は終わりました。     —————————————
  455. 藤尾正行

    藤尾主査 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。村山喜一君。
  456. 村山喜一

    村山(喜)分科員 私は、財政の執行の問題について、二点にわたりまして質問をしてまいりたいと思うのですが、まず初めに、会計検査院が宮崎県の特別検査を実施をいたしました。この件については新聞等に報道されておりまするように、財政処理に当たりまして不適正な措置がとられたということが県議会で問題になりまして、三月の一日には宮崎県においても土木部長等を初めとして幹部職員を懲戒処分に処した事件でありますが、この内容を特別検査をいたしました結果について報告を願いたいと思います。
  457. 肥後昭一

    ○肥後会計検査院説明員 御説明申し上げます。  検査は建設省と運輸省と農林水産省と、その三省でいたしましたが、私は建設省と運輸省の担当でございますので、それについて申し上げます。  五十三年度の建設省所管の全体事業費は四百六十一億でございまして、これに対する補助金が二百八十億、このうち五十四年三月末に完了していないのに完了したこととしていたものが百四十五億、補助金で八十七億、これは全体事業費の三一%に当たります。さらにこのうち、県の出納整理期限にも未竣工でございまして、正規の予算から一たん支出した後に別途に資金を保留して経理処理を行っていたものが事業費で三十八億、補助金で二十三億、これは八%に当たります。  それから運輸省所管について申し上げますと、五十三年度の全体事業費が六十七億、補助金が三十一億でございます。このうち三月末に完了していないのに完了したとしていたものが二十三億、補助金が十三億でございます。これは大体三四%くらいに当たります。それから、このうち保留金扱いをして別途に経理していたものが事業費で二千二百万、補助金で七百万、そのようになっております。  農林水産省については、四局長から説明いたします。
  458. 岡峯佐一郎

    ○岡峯会計検査院説明員 お答え申し上げます。  農林水産省に関します五十三年度分の補助事業でございますが、宮崎県では全体事業費が五百六十八億六千七百万円でございます。これに対します補助金の額は三百四十六億五千九百万円でございます。  いま三局長から御答弁申し上げましたように、三月までに事業が完了していないのに完了したとしましたものが件数におきまして四百三十五件、そしてその事業費が百九億七千五百万円でございます。これに対します補助金は五十九億九百万円でございます。さらに、この中で五十四年五月までに事業が未竣工のために、別途に資金を保留いたしましたものが四十九件、事業費にいたしまして五億八百万円、補助金にいたしまして二億九千七百万円でございます。
  459. 村山喜一

    村山(喜)分科員 私は、この宮崎県がそういうような状況であるということで、宮崎県の処理の仕方がけしからぬということを言うつもりではございません。これは単に宮崎だけではないのではないだろうか、他の府県においても同様な事例がこの年度においては発生をしているのではないだろうか、こういうように疑われるわけでございますが、その事実はいかがでございますか。
  460. 肥後昭一

    ○肥後会計検査院説明員 先生御指摘のように、宮崎の場合にそのような事例がございましたので、それは他の府県でもあるのではないかということで、現在数県について他の府県の補助金の経理状況について検査中でございますが、ほぼ同様な事態がやはりどの府県にも、金額の大小はございますが、見られております。
  461. 村山喜一

    村山(喜)分科員 したがいまして、この五十三年度という年度は、補正予算を一遍組んだわけでありますが、公共事業が三四・五%予算においてもふえておる。急増をした。そこで実際の処理能力、その金の使い方が消化能力がなかったのじゃなかろうか、こういうことも言われるわけでありますが、なぜこういう問題が発生をしたのだろうかということを、それぞれの事業官庁なりあるいは会計検査院としてはどういうふうに判断をしていらっしゃるのか。そしてまた、こういうような不祥事件がなくなるためにはどういう措置を講じたらいいのか。このことについては、それぞれ建設省なり農林省なりあるいは大蔵省がやはり方針を持たなければ、今後同じようなケースが発生をするおそれがあるというふうに私は言わざるを得ないと思うのでありますが、その点についてそれぞれの立場で見解を述べていただきたい。
  462. 肥後昭一

    ○肥後会計検査院説明員 私たちが検査しましたところでは、各県それぞれの異なった事情はございますが、総体的に、検査いたしました数県について私たちが検査の際に共通して感じましたことは、予算の執行が先生のおっしゃるように非常に苦しいということがございまして、そのために公共事業の執行がおくれがちになったことは確かでございますが、その際に、それは繰り越しをすればいいわけでございます。公共事業費は明許繰り越しもできますし、事故繰り越しもできますので、そうすればいいわけですが、そうしなかった理由としては、私たちが感じましたところでは、そういうことで繰り越しますと、公共事業が非常におくれているということが表面に出まして、各方面からいろいろ批判が出るということを非常に心配していたという感じを受けております。  以上でございます。
  463. 杉岡浩

    ○杉岡政府委員 お答えいたします。  未竣工工事につきましては、法令に定められました繰り越し手続につきまして、まあ違反しておるわけでございまして、こういった事態を根絶するよう、かねてから建設省におきましても通達あるいは部長会議等におきまして指示をしておるところでございます。今回宮崎県におきましてこういった事態が起きましたことはまことに遺憾に思っております。こういった事態にかんがみまして、今回も関係部長会議あるいは改めて通達を出す等の指示によりまして、こういった法令の手続に違反しないよう、正式の繰り越し手続をとるよう強く指導しておるところでございます。
  464. 岡峯佐一郎

    ○岡峯会計検査院説明員 お答え申し上げます。  実は、この検査は建設省を担務いたします三局と私の方と合同でやったわけでございますが、私の方の事務処理が若干おくれておりまして、まだ当局に対しまして質問いたしてない段階でございますが、近々質問を発する予定でございます。  発生の理由でございますが、これは三局長が御報告申し上げたと同じ事態でございます。
  465. 渡邊信作

    渡邊(信)政府委員 当省所管の補助事業につきましては、従来からその適正な執行を行うよう指導してきているところでありますが、ただいま先生御指摘のような事例が生じておることはまことに遺憾であります。  それで、当省といたしましては、交付要綱の示達、内示、交付決定等をできるだけ早くするということで、五十四年度から補助金等事務実施予定表の提出を求めることにしております。  それから、補助事業にかかわる工事を効率的に実施させまして、できるだけ年度内に完成するように努めるということと、それからやむを得ない事情によって年度内に完了することが困難と認められるものにつきましては、繰り越し等の適正な措置を講ずるように指導しておりまして、最近官房長通達を出して指導しております。
  466. 保田博

    ○保田説明員 お答えをいたします。  先生御指摘のとおり、五十三年度におきましては、当時、石油ショックの後の長期経済不況を克服するという目的のために、三千五百億円程度の公共事業費の追加を行ったわけでございますが、その三千五百億円の補正予算の規模を決定するに当たりましては、当然のことでございますけれども、建設省を初めとする公共事業の実施官庁と協議を重ねまして、直轄事業につきましては、それぞれの官庁におきましてどの程度の事業が執行できるか、補助事業につきましては、各都道府県ないしは市町村等々の補助事業者等からどの程度の事業が執行できるかということを推測をいたしました上で、景気対策上の観点等ももちろん考慮をいたしましたわけですけれども、施行能力等につきましても十分相談をした上でその規模を決定したわけでございます。  具体的な数字で申し上げますと、補正予算を編成いたします当時の契約率をマクロ的に見ますと、八月末の契約率が六六・六%ということで、過去十カ年では最高の消化率を示しておりまして、当時、公共事業は順調な執行をやっておりました。それを前提としまして、なおかなりの施行能力があるということからその規模を決定したわけでございます。  全体としての予算規模を決定しました後では、それぞれの事業別に、各事業個所ごとに実施計画をつくりまして、その際には、もちろん個所別の消化能力等も勘案しながら、事業別の規模を決定するわけですけれども、御承知のように公共事業というものは、やはり諸般の事情によりまして、予定どおりには契約から支出に至らない、工事が完成しない場合も当然あるわけでございます。その場合に備えまして、御承知のように、明許繰り越しということで、国会の議決もいただいておるわけでございますけれども、われわれとしましては、補正予算を組みましたときに一〇〇%消化可能と思って予算を組んだわけですけれども、その後、執行段階におきましては、予算書にも書いてございますような計画あるいは設計に関する諸条件あるいは関連事業との調整、資材の入手難その他の事情によりまして繰り越しに至る場合があり得るわけでございます。  特に宮崎県の場合には、御承知のように国体を控えておりまして、いろいろな事業が集中していたという特殊事情もございまして、特に御指摘のような事態が生じておりますけれども、全国的にそうであるかどうかということについては、やはり検査院の検査を待たなければならぬ、そういうふうに考えております。
  467. 村山喜一

    村山(喜)分科員 できるだけ管弁は簡潔にしてください。そうでないと質問ができない。  明許繰り越しの措置なり、事故繰り越しの措置をとればよかったんです。ところがとれなかった、とらなかった。なぜか。それはやはり行政当局が県議会に対して、あるいは国に対してそれだけの能力しかないということを証明することになるから避けて通った、そういうふうにしか見られないのであります。  そこで私は、この問題はやはり予算の計上の仕方それ自体にも問題があるんじゃないか、あるいはまたこの仕事をやっていく技術職員というものがどれだけの仕事の量をこなし得るだろうか。いま宮崎県の例の報告がありましたが、およそ三割ぐらいは執行不可能で、事実上翌年度に繰り越さなければならないものをそのままにして措置をしてきたというのがはっきりしてきたわけです。そういうことを考えてまいりますると、一体宮崎県の一人当たりの技術職員の工事量というのは、他の府県に比べてどれぐらいあったんだろうかということを聞かないわけにはまいりません。私は、やはり一人当たりのノルマがきわめて膨大なものになり過ぎているんじゃないだろうか、それで処理能力がなかったんじゃないかと疑うのですが、福岡県と宮崎県の技術職員の一人当たりの工事額の調べはどうなっておりますか。これは建設省側、わかっているでしょう。
  468. 杉岡浩

    ○杉岡政府委員 いま手元に一人当たりの工事量を持っておりませんけれども、宮崎県の五十三年度の場合、一人当たりの量が相当多くなっておりまして、全国でも十指に入る数字というふうに確認しております。
  469. 村山喜一

    村山(喜)分科員 私が調べたのでは、福岡県が一人当たり六千二百三十一万円、宮崎県の場合には一億四千六百三十三万円あります。そこにそういうような公共事業が集中をした。そうして軽量体質で、執行をしていく、消化能力が足らない、そしてこういうような事件が発生をする。私は、やはりそこに今日の政治のゆがみがあるんじゃなかろうかという気がするのでありますが、この点については、今後予算の会計年度の独立の原則というものを明確にして、間違いがないように処理を願うように要請をしておきたいと思います。  時間の関係で次に入りますが、五十四年度の公共事業等の施行対象経費の留保措置を閣議で決定をいたしましたが、その措置は解除したということは聞いておりません。一月の十一日に五%の留保をやるということを決定をしたわけでありますが、これは一体どういうふうにするのですか、大蔵省。
  470. 保田博

    ○保田説明員 御承知のように、五%の留保措置をとりましたが、この措置につきましては今後、特に経済情勢でございますけれども、経済情勢変化し、解除することが適当と認められたときにはこれを解除する、そういう事態に至らないとすれば、そのまま留保措置を続けるということで、経済情勢の推移を慎重に見守っておる、こういうことでございます。
  471. 村山喜一

    村山(喜)分科員 きょうはもう三月六日です。年度末まではあとわずかしかありません。今日に至りましてもこの公共事業費等の施行対象経費十三兆六千億、この五%ですから六千八百億円留保しているわけです。それを今度は今年度内に執行するということになれば、これは明許繰り越しの手続をとらなければ執行できませんよ。そういうような意味において、これがまた同じような形で流れていったときに、出納閉鎖までに処理をしてしまえば何とかなるわいというようなことでやられたのではかなわぬと思うのです。会計年度を明確にしていく意味において、できるならば今国会においてもそのことについての了承を求めるような措置をおとりになるのが正しいのじゃないかと思いますので、こういうような問題に関連いたしまして大蔵省に御注意を申し上げておきます。  次に、時間の関係がございますからもう一点だけお尋ねをいたしますが、五十三年度の決算報告、会計検査院の報告書を見てまいりますと、物品等の不当購入が件数において十五件、金額において一億九千三百十万円というようなことが報道をされ、これに記録されておりますが、こういうような問題について、総理府は三百二十万円を自己弁償した、あるいは国会図書館の場合にも二百十万円を弁償をしたというような報道をわれわれは新聞で見るわけでありますが、なぜそういうようないわゆる押し売りが役所の中で横行するのか、それをなぜ防止ができないのだろうか。国民の税金であります。そして、会計担当といえば余り猛者はいない、体力派はいないわけでありますから、そこに座り込んでやられたのではかなわぬ。ほかの役人は見て見ないふりをして、われだけは涼しい顔をしているというようなかっこうの中でそういうような事故が発生しているとしか思われないのであります。そういうような状況の中で、これは綱紀の弛緩だとかなんとかという問題じゃないと思う。そして、これはそういうような意味において何らかの措置を講じなければ、役所というのは甘いのだな、こういうふうに見られて今後も発生をするおそれがある。それについて、それぞれのお立場から御見解を賜りたいのですが、会計検査院の方から実情を御説明願いたいと思います。  そして、これは庁舎管理の問題にも原因があるのじゃなかろうかと私は思う。環境庁に水俣病患者の人たちが乗り込んだ、おまえたちは出ていけというので守衛やその他を動員して引っこ抜きまでやった。そういうような状況が片一方にありながら、こういうような押し売りのようなのには何らそういう適切な措置をとろうとしない、そういう甘さがあるのじゃなかろうかということを指摘したいのであります。  それから、この中で一番被害を受けているのは文部省であります。二十八大学、四つの高専、二つの研究所、それに対しては随契でやっているようでありますが、これに対応する指導を文部省としては一体どういうふうになさろうとしているのか、官庁を代表して、一番被害が多いところでございますから、お答えを願いたい。
  472. 柴崎敏郎

    ○柴崎会計検査院説明員 物品購入の強要、つまり押し売りの件ですが、これについては、実は押し売りという点では一致しておりますけれども、押し売りについての態様はいろいろありまして、たとえば上役の者が約束をして会計担当者に指示するとか、あるいは会計担当者自体がこれを受けて契約するとか、いろいろな態様がございますが、いずれにいたしましても私どもは、検査報告をごらんいただきますとおわかりのように、対応策ができていない。つまり組織の問題としてこれを取り上げているわけでありまして、要するにこういう押し売りを、ただいま先生もおっしゃいましたような庁舎管理の上の工夫とか、あるいは入ってこられた場合に一人で対処するというのではなくて、組織としてみんなでこれに対して撃退といいますか、そういう努力をするとか、そういういろいろな対策というものが講ぜられていないというところからこういった事態が生じた、このように見ておるわけでございます。そういった点をひとつ今後各省庁大いに努力して対策を早く打ち立ててもらいたい、このように願っているものであります。
  473. 川崎昭典

    ○川崎政府委員 先ほど官庁綱紀という問題ではないというお話でございましたけれども、一応私どもとしましては官庁綱紀の問題に含めまして、昨年官房長会議で官庁綱紀の種々申し合わせをしました際に、このことにも触れて、今後このようなことはやらないという申し合わせをいたしております。いずれにしましても、いろいろなケースが予想されますが、やはり会計担当職員のモラルの問題は非常に大きいかと思います。
  474. 植木浩

    ○植木政府委員 文部省関係の国立学校等におきまして、このような押し売りの被害を受けるに至った事情をいろいろ調べてみますと、押し売り業者から長時間に執拗に威圧的な言動等で強要を受けて、やむを得ず購入の約束をしてしまったという報告を受けておるわけでございます。  ただいま先生から御指摘がございましたように、これに対してどういう対策をとるかということは、私どももいち早くいろいろと検討いたしたわけでございますが、文書による通達、あるいは会議によりまして関係職員の討議等を通じましていろいろと対策を立てたところでございます。  たとえば、いま先生がおっしゃいましたような、単数で対応しないで必ず複数で対応する。国立学校の場合は、どうしても学生であるとか一般の病院の患者さんとか出入りがわりあいとオープンなものでございますから、入りやすいという事情があろうかと思いますが、これに対しては複数で接するとか、あるいは購入の要求に対しましては一層断固たる態度で拒否する、そういうような点について具体的な対策を講ずるよういろいろな措置をいま講じようとしておるところでございます。
  475. 村山喜一

    村山(喜)分科員 内閣官房の会計課長が見えていると思うのですが、庁舎管理の問題でいかがですか。
  476. 京須実

    京須政府委員 先生承知のように、庁舎管理でございますと各省庁がそれぞれ独自にやっているわけでございますが、確かにただいま御指摘ありましたように、物品の高価買い入れ等につきましては、いわゆる押し売り等に対しまして職場の組織が一体となってこれに対処するといったようなことも必要かと存じます。  それからまた、庁舎管理を強化いたしましていかがわしい者の出入りを防ぐといったこともあろうかと思いますが、ただ、この点につきましては、やはり開かれた官庁としまして、民間の方々の出入りを異常にチェックするということについては多少の問題点もあろうかと存じます。  しかしながら、いろいろ御指示をいただきまして、今後関係省庁の協力を得まして、御趣旨のほどをいろいろ相談いたしまして前向きに検討したいと思っております。
  477. 村山喜一

    村山(喜)分科員 すでに国会図書館や総理府は、自己弁済という形で支払いを済ませているようであります。どういうような形で処理をするのか国民も見守っているだろうと思いますので、それぞれの省庁においては国民の世論が納得をするような措置をとられるように要請をして、終わります。
  478. 藤尾正行

    藤尾主査 以上で村山君の質疑は終了いたしました。  次に、薮仲義彦君。
  479. 薮仲義彦

    薮仲分科員 質問を始める前に、大変恐縮ですがお願いがございます。時間が非常に限られて、短い時間でございますので、御答弁はどうか要点だけ、簡潔にお答えいただければまことに幸いでございます。よろしくお願いいたします。  会計検査院が発足しましてから百年、非常に輝かしい歴史を持った会計検査院の新しい次への第一歩、そういう国民の期待と信頼、負託にこたえてほしい、そういう願いを込めながら、私は何点か御質問をさせていただきますので、今後のあるべき姿を期待しておるその気持ちをくんで御答弁をいただきたいと思うわけであります。  御承知のように、会計検査院というのは日本国憲法第九十条の規定によって、行政府から独立した機構、権限をもって、国民の税金をもとにした国家の収入支出の決算を検査して報告する、それが国民の負託、信頼にこたえている事柄だと思うのです。  会計検査院法の第二十九条の規定によりますと、検査報告は歳入歳出の決算に関する事項、違法または不当と認めた事項、それらに意見を表示してまた処置を要求した事項等を報告する、こうなっております。これは条文のとおりでございますからこのとおりでございます。  しかも、会計検査院法の施行規則では、第三条に「検査官会議の決議書類は、事務総長においてこれを保存する。」のだとうたわれております。ここで私が申し上げたいのは、検査官会議の決定というものは十年、二十年あるいは百年という歴史を経ても厳正であり、公平であり、国民の信頼にこたえるものだ、みごとなものだ、そういう歴史とともに輝きの増すような決定を国民は望んでおると私は思うのですね。それが検査官会議の権威だと私は思うのです。ですから、ある意味では、この検査官会議の決定というものは裁判官の判決といいますか、判例と同じように、後世、そのときの検査官会議の決定を今後の判断の基準にする、そのような権威のあるものであって、またそのような決定がなされると私は信じておるのですが、その点いかがでしょう。
  480. 柴崎敏郎

    ○柴崎会計検査院説明員 会計検査院の最終的な意思決定は、おっしゃるとおり検査官会議で行われます。その検査官会議に検査の結果を事務総局から提案をするわけでございます。そこで審議をしてもらう。それで、先生おっしゃるとおり、公正な、厳正な結論でなくてはならないということで日夜相努めているわけでございまして、今後もそのとおりにやってまいりたい。これは当然のことでございます。
  481. 薮仲義彦

    薮仲分科員 そのとおりだと思います。また、そのとおりお願いしたいわけでございます。検査院の御努力によりまして、昨年来、国民のとうとい税金のむだ遣いがいろいろな形で好ましい方向に変わりつつある。むだ遣いが是正されている。私は、検査院の努力を高く評価するものでございます。  先般、検査院が不当事項として指摘しましたいわゆる空出張、空超勤等の問題がございます。これは検査院の方からいただいた資料でございますが、約三億近い金額が計上されております。この中の省庁の中で、防衛庁も返済しておりますし、環境庁も返済をお決めになったようでございますが、他の省庁についてどのような処理を考えていらっしゃるか、お聞かせいただきたい。
  482. 柴崎敏郎

    ○柴崎会計検査院説明員 いま先生がおっしゃいましたのは、いわゆる架空経理、空出張等で浮かしたお金をほかに使ったというケースでございますが、その態様は大体同じような態様であろうと申してよかろうかと思います。  これの処理についてはそれぞれの部内で、それぞれの機関において最善と思われる措置を検討しておられるということでございまして、私どもの方はその措置を見守っておる。その中で一部の機関においてはいち早く措置を終了された、しかし、ほかの機関においても同様に部内において鋭意検討中、このように報告を受けております。
  483. 薮仲義彦

    薮仲分科員 そのことはそのぐらいにいたしまして、私がきょうお伺いしたい本論の方に入らせていただきたいのでございます。  不当事項、これはここにありますように、五十三年度もそうですが、毎年検査報告書に記載されておるわけでございます。そうして、国民の前にその不当事項等が明らかにされる、これが検査院の報告だと思うのですね。私は、このように不当事項として掲載された事項は結構です、国民はわかります。しかし、検査官会議で不当でないと判断したケース、これは検査院が実地検査をして、その検査について疑問がある、それを当局に尋ねます、その説明を受けて、なるほど妥当である、了承できる、こう判断したものはこれには載らない。質問して、そこで会議がなされて、これは結構です——結構とは言いませんけれども、不当には該当しないだろうが、改善の余地ありと認めたものがあるはずですね。そういうものが昭和四十五年から五十四年までに二万二千六十一件。これは検査院の方からいただいた質問発遺件数というか、それがそれだけの数に上っているわけでございます。  私は、ここで問題にしたいのは、この質問をし、答えをいただいた、しかし検査官会議で不当と認めなかった、その事柄は国民の目に触れることがない。極端な言い方をすれば、永久に国民はその事実を知らないで終わってしまう、そのことに私は大きな問題があると思っているわけです。ですから、検査院がなぜこれを不当と判断したか、また、なぜこれは不当でなかったか、その基準をきょうは具体的にお伺いしたい。  これは、具体的な問題でお伺いした方が事柄はきちんとお答えいただけると思って、いま申し上げた二万二千件の中のたった一件、極端な例かもしれませんけれども一つだけ例を挙げて基準をお伺いしたいと思います。  私の手元に資料がございますが、これは会計検査院の皆さんが昭和四十五年九月二十四日に検査した結果、この問題について回答してくださいという質問、それから同年の十一月六日付で国鉄の監察局並びに新幹線総局の方から答弁が来ている。検査についての疑問点、お答え、こういう質問と同答弁書があるわけですが、これは事務総長は当然御存じだと思いますが、御存じですね。
  484. 柴崎敏郎

    ○柴崎会計検査院説明員 承知しております。
  485. 薮仲義彦

    薮仲分科員 御存じだということを前提に重ねてお伺いするわけでございますが、質問と回答はこれだけであって、再質問はなさらなかったのか。そしてまた、この事項は不当事項になされなかったのか。再質問したかしないか、不当事項にしたかしないか、ごく簡単で結構でございますが、お答えいただきたいのです。
  486. 柴崎敏郎

    ○柴崎会計検査院説明員 約十年前の事項でございます。おっしゃるとおり、照会、回答は現在整理されて保管してございますが、そのほかの書類は、これが検査報告掲記事項でないということもございまして現在手元にございません。そういうことで、再質問は、再質問をいたしますれば、これは照会でございますので、手元にあるはずでございますが、ないところを見ますと、再質問はしなかった、こういうことのように思われます。
  487. 薮仲義彦

    薮仲分科員 不当事項にしておりませんね。
  488. 柴崎敏郎

    ○柴崎会計検査院説明員 不当事項にもいたしておりません。
  489. 薮仲義彦

    薮仲分科員 これをわれわれが客観的に判断するときに質問いたしました、それで、国鉄さんから答弁がございました、再質問をしないということは、客観的にはその国鉄さんのお答えで検査院の方では了といたしました、その国鉄さんの事情説明で結構ですと、お認めになったと認めざるを得ないわけでございます。  具体的にこの内容を何点か確認の意味で申し上げますと、ここで不当事項として挙げられておりますのは、一つは、「電気作業用軌道モーターカーの購入について」、四両四千七百九十二万円は購入の必要がなかったのじゃないか、こういう質問ですね。それから、第二点は、「トロリー線の張替工事について」、これは二つ指摘されておりますが、片っ方が二千四百万不当じゃないか、もう一つは、積算の仕方が四百四十万不当じゃないかと指摘されております。次に、ハンガイーヤ等の取りかえ工事では七百三十万。それから、補助ハンガイーヤ線の取りかえに四十万。シリコンコンパウンドの塗装その他の工事で三千八百万。合計一億二千二百二万円がここでは金額として指摘されておるわけでございます。この金額については間違いのない、この中のとおりでございますから、このとおりだと思うのでございます。  時間がありませんので、ここで具体的にこの中の二つだけ私お伺いします。  トロリー線の問題に限って言いますと、ここではトロリー線張りかえ工事の疑問の第一点、「貴総局管内東京ほか三電気所で、昭和四十四年四月から四十五年三月までの間に、指名競争契約により「新幹線一キロメートル付近外二箇所トロリー線張替工事」ほか四十七件工事をT電気工事株式会社ほか五会社に総額七千二百八十一万二千二百八十九円で請け負わせ施行しているものがある。」しかし、これは検査の結果、在来線のはしごで架線を張りかえるようなことをやっておりますが、これは私もいろいろ調べましたが、実際は、当時はもう架線工法が完全にトロリー線でできるような事態になっている。これは会計検査院の指摘のとおりでございます。ここで「はしごを押える人夫の歩掛りを控除した歩掛りを適当として、四十四年四月、標準歩掛りを制定し、」いわゆる人力による歩掛かりで制定して八十人工でやっております。しかし、それはここに明確にしてきたわけです。「上記人力作業を基準として算定した歩掛りは適当とは認められない。」これが検査院の指摘ですね。そして、これは八十人工ではなく、四十一人工で足りると認められます。その積算に至って、約二千四百万が不当ですよ、こう指摘しておりますね。  第二点でございますが、これも私非常に疑問なんですけれども、同じように「東京、名古屋両電気所で、昭和四十四年五月から七月までの間に、指名競争契約により「新幹線一キロメートル付近ほか二箇所トロリー線張替工事」ほか四件工事延長計八キロメートル九百九十六のトロリー線張替工事をT電気工事株式会社ほか二会社に総額七百一万七千二百六十八円で請け負わせ施行しているものがある。」しかも、このはしごを使用した人力作業で、一キロ当たりの人工を百八十人工と計算しております。  しかし、ここからです、大事なのは。「両電気所ともすでに電気作業用軌道モーターカーが配置され、機械化工法による作業の実施が可能であったのであるから、本件工事の施工にあたっては、当初から機械化工法による実施を考慮すべきであり、また、本件工事は会計」ここですよ、「会計実地検査の際調査した結果、実際に施工した工法ははしごによる工法ではなく、電気作業用軌道モーターカーを業者に貸与し、機械化工法によって作業を行なわせているものであるから、この場合には遅滞なく実際に即応した契約内容変更の処置を講じて適正な工事経理を実施すべきであると認められる。」  これはどういうことかというと、人力で見積もりをしておりますけれども会計検査院が検査に行ったらば、人力でやってなくて機械でやりました、貸与して機械でやっているでしょう。これは明らかに、この人力の計算でなくて機械でやって、この積算どおりやれば四百四十万割り高になっておりますよ、この指摘なんですね。もうこれは実地検査をして、かくかくしかじか適正でないとお認めになった、この二千四百万あるいは四百四十万。  私は、この事実をいろいろの角度から、資料を集めてみました。私は、会計検査院の指摘は正しかったと思うのです。正しい指摘でありながら、先ほどなぜ空出張のことを出したかと言いますと、あのような問題、あるいは、私はきょうここに整理して持っておりますが、四十四年からの検査報告全部調べてみました。こんなことでも、この不当事項に載っているなというような、この四十四年、たとえば函渠鉄筋コンクリート単価の算出方法が適切でなかったため、契約額が約一千五百七十万割り高になった等々、四十四年から全部調べました。こういうのを見ますと、ここに載っている事項は当然不当事項になっていいんじゃないか。それが不当事項にならないことが、私はどうしても納得できない。  私は、いまの会計検査の検査の姿勢からいったら、これは明らかに国民の税金が不当に支出されているのですから、この会計検査法によって厳正に、明らかにして、このような算出は直ちに改めて、正しい支出を行わせるように指導すべきが検査院の姿勢であったと思うのですが、いかがでしょう。
  490. 柴崎敏郎

    ○柴崎会計検査院説明員 私どもも、先生の御指摘をいただきまして、自来、この照会、回答を合わせ対査し、そのほかに何か関係資料はないかというようなことで鋭意調査をしたわけでございますが、率直に申しまして、先生が御指摘のように、今日われわれがこの照会なり回答を読み直してみまして、これだけであれば、先生と似たような感想を私どもも持ちます。しかし、実は私どもの検査の仕事の進め方、検討段階の手続等の中には、この照会と回答だけがすべてではございませんで、本件の場合も、回答自体が多少ずれているところもございます。  そういった点で、これはあくまでも推測でございますけれども、この回答を得た後に、また当局との間で補足説明なり何なりを繰り返したのではなかろうか、こんなぐあいに推測をするわけですがこれもあくまでも推測でございますので、まことに残念ではございますけれども、そういった補足資料的なものも現在手元に全然ございませんし、当時の関係者にも実は当たって調べて聞いてみましたが、昔の——昔と申しましても十年ですが、記憶が定かでないというようなことで、非常に残念な思いをいたしておるところであります。  ただ、私どもの検査の結果の検討、それから判断、これは、先ほども先生がおっしゃいましたとおり、事務総局においては、局で三回、官房で二回といったような審議を、これは関係の者だけではなくて、他の課長等も入れた、そういう構成の委員会組織で何回も繰り返し、その上で検査官会議に上程する、こういう手続になっておりますので、この照会、回答を見た限りにおいては、先生のような御疑問が起こるのも、私どもも同じようにわかるわけでございますけれども、このほかに、当時、必ずさらに当局側との事情聴取というものが繰り返し行われた上で検討され、判断されたもの、このように信じております。
  491. 薮仲義彦

    薮仲分科員 そこで、私が先ほど冒頭に申し上げたのは、この事務総長のところで書類が保存されていなければならないという細則、それは確かに年数は、いろいろの内規があるでしょうから取り上げません。しかし、手元に残ったこの決定の資料の中からなるほどと納得のできるものが必要ですね、裁判官の判例と同じように。このことは五年たとうと十年たとうと決して古くはない。いつの時代の国民も、自分の汗と努力で納めた税金が正当に使われたという安心感がなければ、行政に対する責任は生まれてこないし、期待は生まれてこないと思うのです。そういう意味で私は申し上げるのですが、いま残っているこれらの資料から言えば、私、何回も、いまの判断で言えば、これとこれしか残っていませんね、再質問しませんね、国民の目に触れるのはこれだけですね、これから判断していまの会計検査院ならばこれを不当としませんかと聞いたのです。不当とするかしないか、簡単に答えてください。
  492. 柴崎敏郎

    ○柴崎会計検査院説明員 その点はただいまも申し上げましたように、これだけでは私どもは判断できません。これだけをもって直ちに不当とすることは、公正な結論を出すという面においてはなはだ欠けるところがある。私どもは最終判断をする場合には、あらゆる資料を徴してその上で判断するわけでございまして、そういう私ども立場をひとつ御理解いただきたいと思います。
  493. 薮仲義彦

    薮仲分科員 それではきょうは時間がないですから、一応ちょっと確認だけさしていただいて、これはちょっと事務総長と電気局長にお見せしたいのですが、よろしいですか。
  494. 藤尾正行

    藤尾主査 はい、どうぞ。
  495. 薮仲義彦

    薮仲分科員 では、事務総長、もしもお答えできなければ、担当の方に私はその資料は全部お見せしてございます。いま、細かいことはわからないと言わずに、専門の方が後にいらっしゃいますからごらんいただきたい。  いまお手元に渡したのは、会計検査院が検査した後、かくかくしかじか、いま事務総長が、いろいろな打ち合わせがあってこのようにしたでしょう、ですから認めたんでしょうとおっしゃった上でできた積算の方向なんです。四十六年以降の新幹線総局がこのような積算でやっておりますよ。これが指摘されて、このように改めましたと言って、いわゆる納得したという検査院の資料なんです。念のためにお伺いしますけれども、この方向性、もう担当の方にはお見せしてあります。コンマ幾つという細かい計数は違っておりますが、この方向とこの基準は四十六年からずっときておりますけれども、間違いないかどうか、ちょっと御確認をいたします。
  496. 小野光次郎

    小野会計検査院説明員 お答え申し上げます。  四十六年の四月に改定いたしました歩掛かりは、大体先生御指示いただいたものと同様でございます。
  497. 薮仲義彦

    薮仲分科員 それから、これは「延線工法」、幹線総局の電気部からいただいたものでございまして、これの冒頭に「四十三年十一月仕様改正を行い、延線車と作業車から構成され現在に至っておる」これは延線工法の説明でございますが、いま事務総長に渡っておりませんが、これは事務総長に説明求めません。これは国鉄の電気局長から御返事いただきたいのですが、これの十ページに、いわゆるトロリー線による架線の張りかえはこのような形でやりますよと、九ページから十ページにこれが載っておるのです。ここで作業の分担、いわゆる延線車には七名、それから作業台には六名、これは国鉄に聞きましたら、このほかに監督官として六名ついております、こういう返事をもらっておりますが、この作業の内訳、分担、七、六、六、六、六、七、いわゆる千三百メーター以上の架線張りかえについてはこのような数字が出ておりますが、これは現在の国鉄の資料ですが、これ間違いございませんね。これでごらんになった方がいいでしょう。(薮仲分科員、資料を示す)
  498. 小野光次郎

    小野会計検査院説明員 お答え申し上げます。  間違いございません。
  499. 薮仲義彦

    薮仲分科員 次の資料、これですね。これも電気局からもらった資料でございますが、この資料も間違いございませんね。
  500. 小野光次郎

    小野会計検査院説明員 お答えいたします。  この先生からいただきました資料は、運転手を別にいたしますと、このとおりでございます。
  501. 薮仲義彦

    薮仲分科員 時間がないのでどんどん聞いていきます。  これは「東海道新幹線支社報」、これは通達でございます。作業の内容をこうしなさい、ここの中で一つお伺いします。第五条第二項に「前項の連絡責任者は、電力関係の助役、電気技術掛、電気検査長、電気検査掛のうちから、そのつど支所長が指定するものとする。」いわゆるこれは国鉄側の職員が連絡責任者を入れなさいという支社報ですが、これはその後、この通達を変えたかどうか、このままかどうか。その「連絡責任者」のところです。
  502. 藤尾正行

    藤尾主査 時間がありませんから、早く御回答願います。国鉄坪内電気局長
  503. 坪内享嗣

    ○坪内説明員 変えております。
  504. 薮仲義彦

    薮仲分科員 それではその変えた通達を後でいただきたいと思います。資料を要求しておきます。  それでは時間がないようですから、結論を申し上げます。  いま事務総長は私に、これだけの資料ではわからないとおっしゃった。いまお見せした資料をトータルしますと、会計検査院の指摘したこと、その後ずっと国鉄さんは、会計検査院さんがおやりになった指摘どおりの方向を堅持していらっしゃる。その歩掛かり、積算の方向性は変わっていない。ごくわずかの計数だけです。いま事務総長のおっしゃったことは非常に大事なことなんです。これだけの資料でわからぬとおっしゃった。しかし、私の手元にある資料では明らかに——検査院の指摘で納得できないものを次の機会に明らかにしてまいります。このような私ですらわかるのが検査院の検査能力でおわかりにならない、しかもわずか十年前のことがもう責任持ってお答えできない、われわれ国民の目に触れない、このようなことであっては断じてならぬと思うのですね。  最後にお伺いしたいのですが、このような問題、これから私ずっと各委員会でやってまいります。一言最後に結論を伺いたいのですが、このように国民の目に触れない——これは国民の多くの方が聞き耳を立てて見ていると思うのです。検査院は検査をしてくれている。でもいま聞いた範囲内では、国民の多くの方は、私と同じように検査院の不当事項に掲載しないことも本当に大丈夫かな、この疑問を持ったと思うのですよ。これから私が各委員会で質問を展開していけば、ますますそれが明らかになっていきます。  そこで私は申し上げたいのですが、このような不当事項が国民の目に触れない、このことは好ましくないと思うのですね。ですから、このことに載らないいわゆる質問を行った事柄についても、関係省庁からの答弁は、いろいろ守秘義務等の制約があるかもしれない。しかし、国民の側から言えば、こういう点を聞きましたよということは知りたいという希望があると思うのです。ですから今後、不当事項は何らかの形で、この掲載しなかった部分については公開をしていくことが、国民の信頼と期待にこたえられる、これからの本当の意味での検査院のあるべき姿勢だと私は思うのですが、国民の皆様にお答えするつもりでお答えいただきたいと思うのです。
  505. 柴崎敏郎

    ○柴崎会計検査院説明員 この照会というものの性質が内容的に言いますと、私どもの職員が実地に調査をして、そこで疑問に思うということを相手方に、これも調査官の恣意で照会が出るわけではありませんで、持ち帰って十分討議した上で局長名で出すわけですが、しかし調査官の検査活動も、限られた日時の中で行うわけですから、照会を出したところが、その照会を受けた上でさらに相手方が検討したり調査をしたりして、相手方から新しい事実の報告が来る、その事実の報告によっては疑問に思った点も氷解する、こういうことが非常にたくさんあります。たとえば四十四年度の検査報告をつくるための検査には、実は四千件の照会を出しているわけですが、その中で検査報告に挙げたことはその何分の一、こういうことでございまして、照会が即不当事項に必ずしも結びつくというものではないわけでございまして、あくまでもわれわれが判断する過程の手続として行われるだけのものであるという手続上の立場というのをひとつ御理解いただきたいと思うのです。そうなってまいりますと、決して不当事項に当たらない、また検査院自体も疑問が氷解したといったような事項についてまで一々その照会を公にいたしますと、回答と読み合わせればあるいは疑問の解けることも、あらぬ疑問をそこに抱かせる、こういうことであっては受検官庁の方も大変なことになるわけでございますので、そういったことから、従来照会は公表しないということでまいっているわけであります。今後もそういうつもりはございません。その理由は、いま申し上げたような照会の性格というところから出ているわけでございます。  私ども、不当事項の指摘というものについては、先ほども申し上げましたように、これは、何といいましても人様のやったことを批判するのですから、慎重な上にも慎重な手続を踏んだ上で結論を出していることでありまして、その態度は昔から現在、今後も変わることのないものでございますので、その点を御信頼いただきたい、このようにお願いするわけでございます。
  506. 薮仲義彦

    薮仲分科員 じゃ時間ですので、最後にこれで終わりますけれども、私は、ただいま質問申し上げましたように、ここで検査院が指摘した事項、これは明らかに不当だと思います。そしてここに答弁された事項、ここには先ほど私は金額を申し上げたが、一億二千万以上の金額が具体的に指摘されてあります。答弁には一銭の金額も出てまいりません。私は、少なくとも会計検査院がこのように答弁をもらって、金銭で指摘したことが金銭が一文も出てこないような答弁のされ方で再質問しないような検査院のあり方、これは断じて国民は納得できないと思う。少なくとも後に残る書類の中に一項目一項目具体的な金銭で指摘されたならば、検査院は答弁の中に具体的な金銭で答えを見出して、なるほどこの支出は適当だと判断できる答弁をもらって再質問しないならば私は是とするけれども、何らここに金銭的な答弁はございません。これを一億一千万の国民のお一人お一人に見せたらば、いま事務総長のおっしゃったことは一億一千万のうちの何人の方が納得できるか、恐らくはできない。この間に納得できる資料がある、説明のできる資料があるならば、それは説明を私はこの質問の最後に求めておきます。これだけの中で納得した理由を明確に、不当と指摘されながら不当事項にしなかったことはなぜなのか、お一人お一人の国民の皆様にわかるように、私に書面をもって御答弁をいただくことを要望して私の質問を終わります。  以上です。
  507. 藤尾正行

    藤尾主査 以上で薮仲君の質疑は終了いたしました。  これにて会計検査院所管についての質疑は終了いたしました。  次回は、明七日午前十時から開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後七時十五分散会