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上田(卓)
委員 本当に私は納得できないと思うのです。後で述べますように、総合的改正という問題もございますので、私はやはり総理府あるいは法務省を中心にいたしまして、各省が鋭意努力してもらいまして、これは国会の問題でもあるわけでございますが、やはり部落問題が根本的に解決されるような、そういう法的
措置あるいは具体的な行政指導といいますか、行政的
措置を講じなければならない、こういうふうに思うのです。
徳川三百年、そして明治以後からでもやはり百年以上が
経過しておるわけでございまして、このような長きにわたるところのそういう差別の歴史がある中で、こういうむずかしい問題が十年で解決するとか、いやあと三年したらできるだとか、いや残事業がどうだからもうあと二年で打ち切れとか、いや直ちに打ち切れとかいう問題ではなかろう、こういうふうに私は思っておるわけでございまして、そういう点で本当に、どう言いますか、私はその立場の人間でありますからそう言っているわけじゃございません。私も国
会議員になって結婚式に行く場合が多いのです。そうしたら、どんな結婚式であるか。相手の親族はだれも来てないのですよ。ただ一人なんです。しかし、それでは結婚式ができません。だから、自分
たちの友人とか知人とかあるいはこちら側の親族の方を一部そちらへ回して、そしてみんなからお祝いの言葉をいただいているけれども、果たして当人
たちの心中はと、本当に涙というよりも私は怒りが込み上げてくるのです。同和問題がないとか、いや解決しているとか、寝た子を起こすなとか、一部の人間が騒いでいるというような言い方をする人があると思いますが、果たして自分
たちはそういう立場に立って物事を考えることができるのか、私はそういうことを言いたい、このように思っておるわけでございます。
そういう点で本当にこの問題に対して、地名総鑑というのは全く悪質な、
国民の一個人が犯す、そういうことではなしに、そういう差別を利用してもうけていく企業犯罪ですね、そういうものを許してきたということに対して、私は激しい怒りを感じると同時に、やはり
政府を糾弾したい、このように思うわけであります。
次に、さらにもう
一つの点についてお伺いして、ひとつ各
大臣の意見を賜りたい。
昨年のことでございますけれども、アメリカのプリンストンで第三回の世界宗教者平和
会議が
開催されたわけでございますが、そのときにカナダとインドの
代表が
日本の部落問題を世界の宗教者も取り上げていこうという積極的な提案がなされたわけでございます。
日本の部落問題が世界の宗教者の中で大きな問題になったわけでございますが、ところがそのときに、事もあろうに全
日本仏教会の
理事長でございました曹洞宗の宗務総長の町田宗夫氏が、私は
日本人だからよく知っている、
日本には部落差別はもうない、ただ一部で騒いでいる人々がいるようだ、こういう形で、その重要な提案に対して三回も否定的な発言をして、ついにその
会議の決議文からこの問題を削除さしたということで、いま
日本の仏教界だけではなしに、宗教界全体がこの問題について議論をし、町田氏のそういう差別発言に対して糾弾の声が大きく上がってきておるわけでございますが、そのことについて
政府は知っておるのか、また
政府はこのことに対して一体どのように考えるのか、
政府なり国会なりが少なくとも部落問題について一定の見解を出し、いろいろなことがなされておる、それさえも一部の人間が騒いでいるというような形で誹謗中傷するような状況にあるわけでございまして、本当に仏教者といえば平和の問題と、そして人類の平等の問題、これが基本題目のような形になっておる、そしてその中でも、仏教界の中では一大教団であるところの曹洞宗の宗務総長が、当時のですよ、この事件があって解任させられたというようなことを聞いておるわけでございますが、そういう点について所見を賜りたい、このように思います。