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安井委員 アメリカの要求でも、幾らアメリカとのつながりが深いからといったって、素直に受け入れられないものがたくさんあると思います。日本はアメリカと違って、アメリカが戦おうとしているソ連のすぐそばにあるわけですね、北海道から、日本海でつながっておるわけですよ。もし戦争になったって、アメリカは向こうの端にあるわけですからちっともけがをしないけれども、こちらはすぐ大変なことになる。ですからアメリカから、先ほども申し上げましたような無理な要求がどんどん来ても、
大平さんは特技を持っているわけですから、あーうーというやつですね、こんな無理な要求だときたら、それこそあーうーというその特技で、その間に——
大平さんのあーうーというのは私が評価をするのは、あのうちに何か新しい言葉が口の中にできて、ぼっと飛び出してくるんですね、後で。ですから、そういう場合は一呼吸置いて、冷静に考えて、きちっと返事をするということでなければならぬと思います。ただ、日本の平和戦略の基本については、これはあーうーでは困るんですよ。やはり平和憲法、非核三原則、専守
防衛、その原則だけはきぱっとする、そういう姿勢を私はぜひ
総理に御記憶願いたいと思うわけであります。
そこで、いままで私たちもここで
防衛論議を続けてまいりましたけれども、かつての安保のころの、十年前あるいはその前からのあの論議とは大分違うわけで、あのころはもし戦争になったらという仮定の上の論争だったけれども、もういまやそれが現実になるかもしれない、そういうふうな
状況の中でも大きな違いがあるし、さらにまた、あの昔の論議のときには、軍事技術の進歩やあるいは兵力の転用の容易さなどは、これはもう大分変わってきていますね。さらにまた、アメリカの
防衛力のソ連からの劣悪さといいますか、ソ連の方がアメリカよりもずいぶん強くなっている、そういう現実も私たちは忘れるわけにはいかぬと思います。
それからもう一つは、あのベトナム戦争のときのわれわれの安保の論議と今度の米ソの対立の中における論議との違いの一つの大きな点は、沖縄からベトナムにB52あたりが飛んでいく、それらの問題に対してもいろいろ論議はしましたよ。しかし、ベトナムは国が小さいから沖縄に報復爆撃ができなかった。しかし今度はソ連ということになれば、大きな国で報復力を持っているわけですよ。だから私たちは、ベトナム戦争のときのあの安保論議といまの論議との違いというものをはっきり頭に置いて議論しなければならないのではないか、私はそう思います。ですから、ただソ連の脅威を種にして、ソ連の方は物すごく強いから日本の軍備を増強しなければいけない、そういう結びつけ、これでは私は問題の解決にはならぬと思います。それではかえって戦争への道へ傾斜していくばかりではないかと思うからであります。
そこで伺いたいのは、
政府は、沖縄のアメリカ海兵隊、これがペルシャ湾に直接発進する、戦闘行動に出る、そういうようなことはあり得ないから、だからこれは安保条約に関係ありませんという答弁をいままで繰り返してきました。もっともこれは、私たちもずいぶん何遍も何遍もいままでやって、あのベトナム戦争のときだって、沖縄から出ていった飛行機が間違いなくベトナムに爆撃しているのですけれども、あのときでも
政府は、いや、沖縄にいるあの飛行機は演習の命令を受けて空に飛んだんだ、飛んでいるうちにベトナムに行けというので向こうに行ったので、日本からはこれは移動で飛び立って、途中から戦闘に行ったのだ、だからこれは安保の事前協議に関係ありません、こういう答弁をぬけぬけとしていました。だからこの間うちのここの論議の移動の論議というのは、ああいう答えが出るのはあたりまえじゃないかという気が私はするわけでありますが、しかしアメリカは、沖縄にある第三海兵師団のほぼ半分を二週間以内に海上で急派する、そういう選択も固められておりますと、こう言っていますね。米
政府筋からそれが明らかにされているわけですよ。そういう
段階において、これは移動だから安保条約の事前協議の対象になりません、こういう説明をいかにここでされていても、これは
政府とわれわれとの間の対話の中の確認でしかありません。あるいはアメリカでもそれでいいかもしれない。しかし、もしこれが相手のソ連からすれば、
国会で、これは移動であります、出動ではありません、移動でありますとここで幾ら言ったって、現実の問題として向こうの方は、これは出動だと見れば、ばんと沖縄の爆撃に来るわけですよ。
だから、私たちがいままでもこの
委員会で、極東の範囲の問題について多賀谷
発言を中心にして議論をしながら、いま
理事会に預けられてそれをやっておりますけれども、これは一つ重大な、何といいますか縛りとして大切だと思います。これはやらなければいかぬが、しかし事実問題もあるわけですね。ここでいかに
国会で決めたって、沖縄に海兵隊がいて、それは明らかに韓国でも演習をして、アフガンに行くかもしれない、あるいはまたペルシャ湾に行くかもしれないということが明らかであれば、安保の解釈にかかわりなく向こうの方はばんと来るかもしれない。その事実関係の中にあるという事実を私たちははっきり念頭に置いていなければいけないわけですよ。これは移動ですと言ったって、向こうには通じないわけですから、沖縄はそれでやられるわけですから、本土もやられるかもしれませんよ。やはりそういう部隊が沖縄にあるというそのこと自体が問題だという、その事実問題を私たちは明確にしていかなければいかぬと思うわけです。どうでしょう。