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渡辺(美)
委員 まあ金復位が合意される見込みはないというお話でありますから、そう理解しましょう。
次に、
経済計画、財政の話をちょっと触れさせてもらいますが、先ほ
ども財政試算というものは新
経済社会七カ年計画の姿を投影したものだ。新
経済社会七カ年計画というものの中身は、内需中心の
経済成長をやろうとか、完全雇用を達成しよう、エネルギー制約を克服して産業構造を転換させよう、老齢化社会に備えよう、国際協調をしていこう、財政再建をやろうというのが柱だと聞いております。しかし現実の問題として、私もこの試算を見て、多賀谷議員と同じような感じを受け取っておるのですけれ
ども、これだけの社会保障移転支出というものを認めていくということになると、また一方、公共投資を十四兆一千億円も
昭和六十年に予算づけをするという姿であるとすれば、国債の償還という逃げられない問題があるわけですから、また行政の経費というものも全然上がらぬということでもなくて、多少のふくらみはこれもある程度やむを得ないということになると、どうしても現在の税収の倍ぐらいの税がなければやっていけないということになるわけですね、だれが考えたって。支出がそれだけ保証されるのなら、収入をそれだけ取らなければならぬわけですから。そうすると、その金をどこから取るのか。金を払うのがいやだということになれば支出を切るほかないのだし、支出を保証しろというのならば金を集めなければならないのだし、そんなことはわかり切った話で、
国民の選択の問題だと思うのですよ。これだけの五・五%だから大した成長ではないのだよと言われれば、大した成長ではない。しかし、それがうまくいけばこれだけ金が集まるとも思われない。非常にむずかしい問題なので、私はこのどさくさ紛れでなくて、今回の予算は予算として、国会でも終わったらば、来年の予算までには本当に現実に合わして、余りかっこうをつけないで、現実に合わして一遍これは見直してみる必要がある、こういうことを申し上げておきたい、かように考えるわけであります。そうでなければ、財政再建など口で言っても、実際問題としてなかなかそう簡単にはいかないのじゃないか。所得税の問題等にいたしましても、税金上げると言ったならば大変
国民から怒られたと言うのだけれ
ども、確かに三百万円の場合の租税負担率を見れば、スウェーデンが二十六万九千円だというのに、
日本は六万六千円というようなことで、イギリスの六十五万から見たならば所得税は十分の一という話ですよ。向こうの方が社会保障が充実している。そのかわり出す方も出しているのですからね。そういうことも両方私は並べて
国民の前に徹底的に明らかにしていく。それでどういう選択をするかはひとつ
国民が決めてくださいよというのが私は一番いいのじゃないかと思っているのですよ、実際問題として。それは
国民所得に対する租税及び社会保障の負担率というものでも、
日本が二八という数字なら、スウェーデンが六七とかイギリスが四七とかドイツが五〇とかで、やはり
世界じゅうの負担率の四割ないし半分ですよ。ですから、こういう実態をよく知ってもらう、そういうことが私は大事であって、それがわからぬから騒ぐんだから、わかれば、これは税金を安くしろと言うならはかのものを落としますよ、ほかのものをもっと充実させろと言うなら、そのかわり負担はちょうだいしますよ。
国民はイコール政府なんですからね。
国民と政府は別ものだと思われたら困るわけですよ。ところが、えてして、いままでは
国民と政府は別もののごとく理解をされてきておるというところに問題があるわけですから、
国民と政府は同じものでございますということをもっと
国民にわかりやすく、あらゆる機会に私は宣伝をしてもらいたい、こう思っておるわけであります。それと同時に、政府が
国民と一緒だという以上は、やはりむだ遣いは
国民の方も困るわけです。ですから、むだ遣いというものはどうしてもこれは徹底的に改革をしてもらわなきゃならぬということもあたりまえのことだと思うのです。
そこで、行政改革という問題が出てくるわけですが、行政改革は政府の政治の
姿勢ですね。中には、行政改革をやると何兆円も銭が浮いて出るように錯覚を起こしている人がありますが、そんな金はどこからも出ないのですよ、これは。ともかく私はこの行政改革案というものを見て、非常に選挙後短時日の間に、短い期間でよくまとめたなと思って感心しています。しかしながら、それじゃ金が何ぼ出るのですかと言われましても、すぐに出るものじゃない。しかし、行政改革やったら来年から減税でもできるぐらいに思っている人がうんといるわけですから、こういう
国民の誤解は解かなければならない。早い話が、公団、事業団というようなものの統合を十八やってみたって、せいぜい何億かの経費の節約にしかなりませんよ。出血的に大量に解雇するのだというのなら、それはプラスになりますが、そういうことはやるなというわけですから、私は、この行政改革という問題については政治の
姿勢だからやらなければならないが、しかし余りまたメンツにこだわって機構いじりに堕するということも意味がないと思うのです。
私は、蚕糸事業団と糖価安定事業団と一緒にして何の御利益があるのかよくわからないのです、実際の話が。お蚕さんに砂糖でもなめさせるのか。それだったら糖価事業団と畜産事業団と一緒にして、すき焼き事業団でもつくった方が
国民は喜ぶかもしらないのですよ。硫安輸出会社というものを廃止して、じゃ国費が幾ら少なくなるといったって、全然少なくならない、これは何も
関係ないですね、かっこうづけですよね。だけれ
ども、こんなことよりも、本当に行政改革をやるのだったら、たとえば、私はこの中でいいなと思っているのは定員削減、第五次定員削減、五十五年から三万七千人やる、これはぜひやってください。これは本当に効果のあるものですから、こういうことは私はぜひやってもらわなければならない。
それから、人を減らすのですから、仕事も減らしてもらわなければ困るのであって、やはり仕事減らしというもの、仕事の事務量を減らすということをもっと研究をしてもらう。それから、むだな経費を省いていくということが私は大事だと思います。
国家公務員をみんな首にしたって、医療費の補助金ぐらいなものですよ。
国家公務員八十四万人全部首切ったって、せいぜい三兆五千億ぐらいでしょう。したがって、一年間の政府の医療費に対する補助金が、大体
国家公務員全部の月給ぐらいですな。ですから、私は、行政改革でむだをなくすということを徹底的にやってもらうことは大賛成。ではあるが、そこから莫大な金というのはすぐには出てまいりませんということも
国民に知ってもらう必要がある。やはり何といってもある程度人員整理をするのなら人の伴う人員整理をやったらいい。私は農林大臣もやったことがありまして、おまえ、じゃ何でやらなかったのだと言われますが、食糧検査員というものが一万三千人おりますが、まあ大体私は三千人ぐらいでいいんじゃないか、やり方によって、だんだんに。
というのは、いまは九、十、十一月、この三カ月間にお米がどんと集中するわけです。その三カ月間にさばけるだけの人を持っているわけですよ。三カ月間で大体さばける。仕事がそこにピークで集中するわけですから、これをずらすのですね。概算払い制度を取り入れるとか、あるいはバラ検査をやるとか、あるいは抽出検査制度にするとか、そういう時期をずらす。これが
一つです。
もう
一つは、いまの人はもう年取っている人がかなり多くて、五十歳以上が四割いるのですよ。五十五歳になったら私はやめてもらったらいいと思うのです。そのかわり、死ぬまで検査員やってもよろしいと、制度を変えるのです。死ぬまでやっていいよ。それは、税務署をやめた人が税理士をやっているわけですから、登記所をやめた人が代書人、司法書士をやっているのですから。それだけの能力を持っているわけですからね。きのうまでは検査員の能力があったけれ
ども、あしたから、首になったから能力がゼロになっちゃったということはないわけですから。だから、五十五歳になったらやめて、十三万の年金をもらって、あとはどこかへお勤めになっていて、そして九、十、十一、忙しいときには、農協なりあるいは食糧事務所なりに契約で来る。
一日一俵百円でやったって大変ですよ。一日に千俵できるのですから、日当十万円になるわけですね。ところが、現在は米一俵当たり検査料は何ぼかかっているかというと、大体ピーク時に人が集まっているということから計算しますと、あとの仕事の量というものは、私はそんなに仕事はあると思ってない。役所では、ありますと言っていますよ。言っているけれ
ども、実際は検査員がほかの仕事をそんなにやっているという話も余り聞いてない、一部あるけれ
ども。したがって、これは一俵六百円につくわけですよ。全部の経費を入れたら一俵八百円につく。一俵六百円につくやつを一俵百円にして検査員は一日十万円の日当が入るという話だね、これは。それで三カ月勤めたら大変だから、十万では払い過ぎちゃうかしらぬな。一日十万では月に三百万も払っちゃうから、そんなに払う必要はないのでね。
ですから、お互いにいい方法がある。強制しなくとも、そういう制度を
一つつくってやれば、やめる人はずいぶん出ますよ。民間で、一俵百円の検査料を払って、それは検査するしないは本人の御随意、検査基準は国が持っているのですから、検査員を検査する検査員だけ国に置けばいいのだから。
となると、食管制度の問題と
関係してくる。しかし、これは食管制度をなくす必要も何にもないのでして、ちょっと直せばいい。ところが、食管制度をいじるとなると、また騒ぐ人があるものだからみんなやらない。これも迷信への挑戦なんですよ。
そういうことを繰り返して言っていけば、結構、行政整理をやるといっても、濃密な、しかもあんまり騒ぎも起きない、みんながよくなる方法も考えられる。したがって、これはひとつぜひとも御検討を願いたい。行管長官、農林大臣。