○横山
委員 大臣がお見えになりましたので、大臣に二、三政治問題としての大臣の御意見を伺いたいことがございます。
第一は金大中
事件についてであります。御存じのように、金大中氏が拘束を解かれて出所をいたしました。最初の発言が、ここに正確な文書を持っておるわけではありませんが、
日本において
自分が白昼拉致されたことについて、その
事件の問題についてもうこれ以上言わないという
趣旨の発言をされました。
これはいろいろな
意味があると私は思うのであります。しかし、その以前、金大中氏が
日本政府に対して
期待を持つ発言をされたことは御存じのとおりであります。
日本政府は、金大中
事件については政治的解決をしておる、しかし新しい
証拠があればさらに政治的解決を白紙に戻すこともやぶさかではないという
趣旨の発言をしておったわけでありますが、今回金大中氏が出所に伴って公的に
自分の
日本における
事件についてはこれ以上問題を問わないという、私の感想をもってするならば、きわめて堂々たる発言といいますか
政治家らしい発言といいますか、そういう発言をなさいました。この発言について
日本政府の対応は、私の承知する限りはなかったと思うのであります。
先般も本
委員会で申しましたように、田中元法務大臣は閣議で、この問題については人権の問題もこれあり、なおざりにはできぬという発言をなさいました。そして、その後歴代の法務大臣もこの問題についての注目すべき意見を開陳されたわけでありますが、金大中氏の出所と同時になさった発言について法務大臣としてはどうお考えでございますか。少なくともわれわれとしては、法治国家の
日本で白昼堂々ホテルから外国人が拉致された。このことについてのわが国の法治国家としての権威が著しく失墜をして、外国に対してもかっこうがつかぬという
状況であったことは言うまでもありません。また、この種の同様の問題について西ドイツ政府がとった毅然たる態度に比較いたしますと、
日本政府のとった態度というものはきわめてあいまいもこなものがあり最終的には政治解決と称してこの問題についてピリオドを事実上打っておるという遺憾な
状況だと私どもは常に
指摘をしておるところであります。
改めてお伺いしますが、金大中氏のりっぱな態度に対して
日本政府はどうお考えになるか、法務大臣としての
責任のある立場としてこの問題についてどうお考えになりますか、御意見を伺いたいと思います。