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貞家政府
委員 まず、行政改革すなわち登記所の統廃合の問題でございますが、これは実は
昭和四十五年十一月の閣議決定等に基づいてやっておるわけでございまして、まず、四十五年十一月二十日に閣議決定が行われまして、四十六年九月二十三日に法務大臣から、法務大臣の諮問機関であります
民事行政審議会に諮問がなされまし、翌四十七年九月十四日に
民事行政審議会から法務大臣あて答申がなされたわけでございます。
これによりまして、登記所の適正配置という観点からいろいろ基準を定めまして、時代に即応する登記所の配置
状況というものを目指しまして適正配置の仕事を進めているわけでございまして、それはもちろん人員、予算面のむだをなくするということもその非常に大きな目的であろうかと思うのであります。要するに、人的、物的な分散ロスの解消を図る、そして経費節減を図るということは
一つの大きな目的であったわけでございまして、この計画に従いまして
昭和五十三年度末までに統廃合いたしました小規模の登記所、これが四百七十九庁に達しております。五十四年度におきましても、多少小規模ではございますけれ
ども、なおこれを統廃合を続けているわけでございます。
これらの出張所を廃止いたしました結果、たとえば一人あるいは二人の庁というものは非常に少なくなりまして、たとえば
昭和四十六年当初におきましては、
法務局の出張所が約千五百ございました。その八割に近い千百数十庁が一人庁ないしは三人庁という
状況でございましたけれ
ども、それが現在におきましてはその割合が相当減っておりまして、まだ残っておりますけれ
ども、
職員が一人しか配置されていない庁あるいは二人しか配置されない庁というものの比率が若干少なくなっておるわけでございます。こういうことによりまして、本来支出されるべき施設関連経費でございますとか常直手当、能率備品等のいろいろの経費が著しく節約されたことは事実でございます。庁舎の新営にいたしましても、小さい庁の庁舎を
一つずつやっていくということに比べまして、これは予算の面でも非常に効率的な状態になったということが言えるかと思うのでございます。
しかしながら一方、こういうふうにいたしまして機構自体は適正配置をいたしましても、事業の量と申しますか、ことに登記
事務量というものは決して小さくなっているわけではございません。事業規模は依然として拡大の一途をたどっているわけでございまして、試みに数字を述べますと、ちょうどこの十年間を比較いたしますと、
昭和四十四年度と五十三年度を比較いたしますと、
法務局でやっております登記
事件数が一・八九倍、約二倍になっておりますが、この間、登記事務に従事する
職員の数というものはそれに比例して伸びてはおらない、一・一三倍という状態でございます。このようにして
事務量と
事件数とのアンバランスという事態は依然として残っているわけでございまして、これはいかに行政改革をやりましても
事務量自体が減らないということからやむを得ない結果であると思うわけでございます。
したがいまして私
どもといたしましては、まず基本的には
職員の
増員を図るということがございます。五十五年度におきましては純増四十六人の
増員が認められているわけでございますが、しかしながら、この定員事情、国家財政の非常に厳しい
状況下におきまして、
増員ばかりに頼っているわけにはまいりません。そこで、いまお
手元にございます
資料にありますような能率器具、これは複写あるいは実地調査の自動車その他でございますが、これの
充実をする。それから地図の整備、管理というものにも相当の予算を計上しております。
それから乙号事務、これは謄抄本等の事務でございますけれ
ども、そういったものにつきまして一部の事務を民間に委託するというような経費でございますとか、その他もろもろのそういった——
増員だけで賄うということになりますとこれは膨大な予算、人員を要するわけでございますので、そういったものの一部をこういった事務の合理化、能率化ということによって代替していこうという考えでございまして、確かにおっしゃいますとおり、行政改革をやりながら予算がますますふえていくではないかという御疑問ごもっともでございますけれ
ども、これはそういった本来ならば非常に多額の、もっともっと多額の予算を必要とすべき
ところをこれによって節約した結果こういうふうになっておる、そしてこの経費は
法務局の事務を遂行するためにどうしても削れない経費であるというふうに御理解いただきたいと思うのでございます。