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谷垣国務大臣 このたび、政府から提出いたしました
公立義務教育諸
学校の
学級編制及び
教職員定数の標準に関する
法律等の一部を改正する
法律案につきまして、その提案の
理由及び
内容の概要を御説明申し上げます。
今日、
学校教育に対する国民の期待はますます高いものがあり、
学校教育が担う
役割りは一層重要なものとなっております。わが国における初等中等
教育は、その普及度においては世界に誇り得る高い水準に達しているのでありますが、今後の最も大切な
課題は、その
教育の
内容の質的充実に一層
努力することであります。すなわち、一人一人の
児童生徒の能力と適性に応じた
教育を行うことにより、基礎と
基本をしっかり身につけた人間性豊かで創造力に富む
心身ともに健全な国民の育成を図ることが重要な
課題となっているのであります。
公立義務教育諸
学校の
学級編制と
教職員定数の標準につきましては
昭和三十四
年度以降四回にわたり計画的に
改善を行い、
公立高等
学校等の
学級編制と
教職員定数の標準につきましても同様に
昭和三十七
年度以降三回にわたって
改善を行ってまいったところでありますが、
教育条件の一層の充実を図るため、このたび、小
学校及び中
学校における四十人学級の実現を初めとして、
公立の
義務教育諸
学校及び高等
学校等の
学級編制及び
教職員定数につきまして、さらに計画的にその
改善を図ることとしたものであります。
次に、
法律案の
内容について御説明いたします。
まず第一は、
公立義務教育諸
学校の
学級編制及び
教職員定数の標準を
改善したことであります。
すなわち、
公立の小
学校及び中
学校の
学級編制の標準に関しまして、同学年の児童または
生徒を一の学級に編制する場合の標準を現行四十五人から四十人に
改善するとともに、二個学年複式学級及び
特殊学級の
学級編制の
改善を行うことといたしました。
また、
公立の
特殊教育諸
学校の小学部及び中学部の
学級編制につきましても、その
改善を図ることといたしました。
次に、
公立の小
学校及び中
学校の
教職員定数の標準に関しましては、教頭定数及び小
学校の専科教員の数を充実し、小規模中
学校等における免許外教科担当教員の解消を進めるほか、寄宿舎を置く小
学校または中
学校について加算する教員の数を
改善することといたしました。
また、
養護教員、
学校栄養職員及び事務職員につきましても、その配置基準の
改善を行うことといたしました。
次に、
公立の
特殊教育諸
学校の小学部及び中学部の
教職員定数の標準に関しましては、教頭定数及び小学部の専科教員の数を充実し、中学部の免許外教科担当教員を解消するため、小
学校及び中
学校と同様の
改善を行うほか、
養護訓練を担当する教員の数及び寄宿舎を置く
学校について加算する教員の数を
改善することといたしました。
また、寮母及び
学校栄養職員につきましても、その配置基準を
改善することといたしました。
第二は、
公立高等
学校等の
学級編制及び
教職員定数の標準を
改善したことであります。
すなわち、
公立の高等
学校の
教職員定数の標準に関しまして、教頭定数及び職業
教育を担当する教員の数を充実し、新たに習熟度別
学級編制に伴う教員の加配を行うこととするとともに、通信制の課程について教員の配置基準を
改善し、寄宿舎を置く
学校について新たに教員の数を加算することといたしました。なお、
教職員定数の算定方法の基礎を
生徒数から学級数に改めることといたしております。
また、
養護教員につきましても、
義務教育諸
学校に準じてその配置基準を
改善することといたしました。
次に、
公立の
特殊教育諸
学校の高等部の
学級編制の標準に関しましては、小学部及び中学部に準じてその
改善を図ることといたしました。
また、
教職員定数の構準に関しましては、小学部及び中学部に準じて、教頭定数及び寄宿舎を置く
学校について加算する教員の数を充実するとともに、寮母につきましてその配置基準を
改善することといたしました。
さらに、高等部に置かれる学科について、政令で定めるところにより、教職員の加配措置が行えるようにいたしております。
第三は、小
学校及び中
学校の
養護教員、
学校栄養職員及び事務職員並びに高等
学校の
養護教員につきまして、一部の都道府県に関して講じてまいりました
保障措置が、このたびの配置基準の
改善に伴い不要となったため、これらの
関係規定を整理したことであります。
第四は、経過措置についてであります。
この
法律案は、
昭和五十五
年度から施行することといたしておりますが、その
実施につきまして必要な経過措置を設けることといたしました。
すなわち、
公立の小
学校及び中
学校の同学年の児童または
生徒で編制する学級に係る一学級の児童または
生徒の数の標準につきましては、
昭和六十六年三月三十一日までの間は、今後における
児童生徒数の推移等を考慮しつつ、新しい標準に漸次近づけることを旨として、毎
年度、政令で定めることといたしました。
また、小
学校及び中
学校の複式学級及び
特殊学級の
学級編制並びに
特殊教育諸
学校の
学級編制につきましては、
昭和六十六年三月三十一日までの間は、今後における
児童生徒の数の推移等を考慮しつつ、新しい標準に漸次近づけることを旨として、各都道府県等の
実態に応じて都道府県の
教育委員会等がその基準を定めることといたしました。
次に、
公立の
義務教育諸
学校及び高等
学校等の
教職員定数の標準につきましては、
昭和六十六年三月三十一日までの間は、今後における
児童生徒数及び教職員の総数の推移等を考慮しつつ、新しい標準に漸次近づけることを旨として、毎
年度、政令で定めることといたしました。
以上が、この
法律案を提出いたしました
理由及び
内容の概要であります。
何とぞ、十分御審議の上、速やかに御賛成くださいますよう
お願い申し上げます。
続きまして、このたび、政府から提出いたしました
放送大学学園法案につきまして、その提案の
理由及び
内容の概要を御説明申し上げます。
わが国の高等
教育は、近年急速な発展を遂げ、国際的に見ても高い普及率を示すに至っておりますが、科学技術の進歩や経済の発展に伴い複雑、高度化してきている今日の社会において、国民の高等
教育の機会に対する要請は一段と高まり、かつ、多様化しつつあるところであります。
このような
状況において、放送を効果的に活用する新しい
教育形態の大学を設置し、大学
教育のための放送を行うことにより、広く
一般に大学
教育の機会を提供することは、生涯にわたり、多様かつ広範な学習の機会を求める国民の要請にこたえるゆえんのものであると
考えます。
さらに、この大学が既存の大学等との緊密な
連携を図ることにより、大学間の協力、交流の推進、放送教材活用の普及等の面で、わが国大学
教育の充実、
改善にも資することとなることが期待されるものであります。
この大学の設置
形態につきましては、種々
検討を重ねてきたところでありますが、新たに特殊法人を設立し、これが大学の設置主体となるとともに、放送局の開設主体ともなることが適切であると
考え、特殊法人放送大学学園を設立するため、この
法律案を提出いたした次第であります。
この
法律案におきましては、特殊法人放送大学学園に関し、その
目的、資本金、組織、業務、大学の組織、財務、会計、監督等に関する規定を設けるとともに、
学校教育法、放送法その他
関係法律について所要の規定を整備することといたしておりますが、その
内容の概要は、次のとおりであります。
まず第一に、放送大学学園は、放送等により
教育を行う大学を設置し、当該大学における
教育に必要な放送を行うこと等により、大学
教育の機会に対する広範な国民の要請にこたえるとともに、大学
教育のための放送の普及発達を図ることを
目的とするものであります。
第二に、放送大学学園は、法人といたしますとともに、その設立当初の資本金は一億円とし、政府がその全額を出資することといたしております。
第三に、放送大学学園の役員として、
理事長一人、
理事四人以内及び監事二人以内並びに非常勤の
理事三人以内を置き、
理事長及び監事は文部
大臣が、
理事は文部
大臣の認可を受けて
理事長が、それぞれ任命することとし、その任期はいずれも二年といたしております。
なお、この学園の設置する大学の学長は職務上
理事となることといたしております。
また、この学園には、その運営の適正を期するため
理事長の諮問機関として運営審議会を置くこととし、業務の運営に関する重要事項について審議することといたしております。
第四に、放送大学学園の業務については、放送等により
教育を行う大学を設置すること及びこの大学における
教育に必要な放送を行うことを規定するとともに、この学園の施設、
設備及び教材を他大学における
教育または
研究のための利用に供することもできることといたしました。
なお、この法人は、これらの業務を行うほか、主務
大臣の認可を受けて、その
目的を達成するため必要なその他の業務を行うことでもできることといたしております。
第五に、放送大学学園の設置する大学の組織等についてでありますが、この大学が、特殊法人によって設置される大学であること、放送を利用して
教育を行う大学であること等をも考慮し、大学の運営が適切に行われるよう所要の規定を設けることといたしております。
まず、この大学に、
学校教育法に規定する学長、副学長、教授その他の職員を置くこととし、学長は
理事長の申し出に基づいて文部
大臣が、副学長及び教員は学長の申し出に基づいて
理事長が、それぞれ任命することといたしております。
なお、学長及び教員の任命の申し出は、評議会の議に基づいて行われなければならなことといたしております。
次に、学長、副学長及び教員の任免の基準、任期、停年その他人事の基準に関する事項は、評議会の議に基づいて学長が定めることといたしております。
また、この大学に、学長の諮問機関として評議会を置き、大学の運営に関する重要事項について審議するとともに、この法律の規定によりその権限に属させられた事項を行うこととし、学長、副学長及び評議会が定めるところに選出される教授で組織することといたしております。
さらに、この大学においては、その
教育及び
研究の充実を図るため、他大学その他の
教育研究機関と緊密に
連携し、これらの機関の教員等の参加を積極的に求めるよう規定いたしております。
第六に、放送大学学園の財務、会計及びこれに対する主務
大臣の監督等については、この学園の業務の公共性にかんがみ、
一般の特殊法人の例にならって、所要の規定を設けておりますが、この法律における主務
大臣は、文部
大臣及び郵政
大臣といたしております。
第七に、放送大学学園の設立と関連する
関係法律の一部改正についてでありますが、まず
学校教育法につきましては、この学園が大学の設置者となり得ることを規定するとともに、通信により
教育を行う学部の設置に関する規定を設ける等所要の整備をいたすものであります。
また、放送法につきましては、この学園の放送等について、放送番組の政治的公平の確保、広告放送の禁止等所要の規定の整備をいたすものであります。
以上が、この
法律案を提出いたしました
理由及びその
内容の概要であります。
何とぞ、十分御審議の上、速やかに御賛成くださいますよう
お願いいたします。