○有島
委員 私
たちとしては、これは全国大会で党内でもって話し合った議論なんですけれども、大学の問題の解決を困難なものにしているのが大体六つか七つくらいの要因があるのじゃないんだろうか。
一つは、国公私の
教育条件の格差が著しいと言われておりますね。これが学歴偏重だとか学閥なんとかということに連動しておる。この問題を一体どうするのか。
それからもう一つは、経済変動に応じて特に私立におきまして経営が著しく困難になっておる。それで
教育条件が低下する、それから授業料が上がる、こういうことが同時進行していくということがございます。
三番目には、学問そのものが非常に細分化しておりまして、いろいろな学問
領域を抱え込まなければならぬ。それなのに大学の運営、制度がこうした
情勢に柔軟に対応し切れないような体制になっておる。学生
たちにとっては、各自いろいろ多様な欲求があるのだけれども、その組み合わせの幅が非常に狭い。
四番目には、学生の数が非常に大量になっている。だからこれを受け入れるために何かもっと工夫されていなければならないのが、昔ながらの方式に固執しておるからどうしても研究も
教育も何か質がだんだん希薄にならざるを得ないのじゃないだろうか、こういった憂いがある。
五番目には、入学試験が大変むずかしいということですね。
それから第六番目には、これは
大臣も所信表明の中で言われております国際的な問題が本当は大学の一つの存在理由の中に入ってくると思うのですけれども、これは言語
教育の不徹底というようなことも一つはあろうと思うのですね。国際交流に際しての言語の障害というようなことがある。特にこれはアジアの諸国を初めいわゆる発展途上国の方々との接触というのは、私
たちは戦後ずっと大体欧米だけを見て過ごしてきてしまったというような経過がございまして、これも八〇年問題のうちに入ろうかと思うのですけれども、直に
お話しすることがなかなかできませんで、
言葉の上でも英語ないしフランス語でもって、ほとんど同じ顔つきをして同じ皮膚の色の人
たちと話す場合に欧米の
言葉を媒介にしなければならぬということも起こっておりますね。それからまた、大学で教えている語学が余り信用がない、そしていろいろな議論もなされている、こういったこともあるようでございます。
こういうような六つ七つ、いろいろ問題があると思うのですけれども、こういう中にあって、いま佐野大学
局長が報告されました、今後いままでの行き方よりはずっと弾力的な
高等教育というものが展開されるという見通しがつきつつある。これは私
たちも大変結構なことであろうと思うわけであります。
こういうふうになった際に、また学生側から考えましてどういうことになっていくのか。かつて高校の多様化ということが行われたときに、学生
たちが、確かに高校そのものはいろいろ多様化されているんだけれども、そこに入っていく自分
たちは盲腸の中に詰め込まれているようなものであるというようなことを言ったことがあるのです。そして大変不評判になってしまいまして、後で高校の問題も時間があればやりたいのですけれども、普通高校の方が結局人気があるというようなことに相なった。それで大学の方もいろいろな手だて、専修機関ないしは放送大学と言われるものまで含めて一つの
高等教育機関をつくっておる。つくったけれども、その間に、一人の学生にとってそのどれか一つを選んだらばよかろうと言われても非常に当惑するわけなんです。ですから、一つの大学に籍を置いて、極端なことを言いますと、私立の大学に籍を置いて国立大学の授業も受けられる、あるいは非常に実技的な問題であるならば専修学校の授業も受けられる、そして単位も認定されていくというような
状況が今後どうしても開かれなければならないと思うわけであります。それはいかがでしょうか。