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1980-05-08 第91回国会 衆議院 物価問題等に関する特別委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十五年五月八日(木曜日)     午前十時十六分開議  出席委員    委員長 井上 普方君    理事 相沢 英之君 理事 野田  毅君    理事 渡辺 秀央君 理事 金子 みつ君    理事 松浦 利尚君 理事 中川 嘉美君    理事 岩佐 恵美君 理事 中野 寛成君       亀井 善之君    岸田 文武君       工藤  巖君    熊川 次男君       粟山  明君    小野 信一君       武部  文君    宮地 正介君       藤原ひろ子君    塩田  晋君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      正示啓次郎君  出席政府委員         公正取引委員会         事務局経済部長 伊従  寛君         公正取引委員会         事務局取引部長 劒持 浩裕君         経済企画庁調整         局審議官    廣江 運弘君         経済企画庁国民         生活局長    小金 芳弘君         経済企画庁物価         局長      藤井 直樹君         通商産業大臣官         房審議官    神谷 和男君  委員外出席者         警察庁刑事局保         安部経済調査官 中島 治康君         行政管理庁行政         監察局監察官  増島 俊之君         大蔵大臣官房調         査企画課長   岸田 俊輔君         大蔵省主計局調         査課長     伊藤 博行君         大蔵省関税局輸         出課長     伊藤  皇君         大蔵省理財局国         債課長     北村 恭二君         大蔵省国際金融         局外資課長   畠中 杉夫君         農林水産省食品         流通局企画課長 鷲野  宏君         林野庁林政部林         産課長     山口  昭君         水産庁漁政部水         産流通課長   真板 道夫君         通商産業省産業         政策局商務・サ         ービス産業室長 細川  恒君         資源エネルギー         庁長官官房鉱業         課長      山梨 晃一君         郵政大臣官房郵         政参事官    塩谷  稔君         建設省住宅局住         宅生産課長   高橋  徹君         日本電信電話公         社経理局長   岩下  健君         特別委員会第二         調査室長    曽根原幸雄君     ————————————— 四月二十三日  公共料金値上げ抑制等に関する請願外一件  (池田克也紹介)(第四六〇四号)  同(柴田弘紹介)(第四六〇五号)  公共料金値上げ中止に関する請願安藤巖君  紹介)(第四六〇六号)  同(角屋堅次郎紹介)(第四六〇七号)  同(庄司幸助紹介)(第四六〇八号)  同(瀬崎博義紹介)(第四六〇九号)  同(村上弘紹介)(第四六一〇号)  同(野間友一紹介)(第四六一一号)  同(岩佐恵美紹介)(第四七一九号)  同(藤原ひろ子紹介)(第四七二〇号)  公共料金値上げ中止等に関する請願中村茂  君紹介)(第四六一二号)  物価値上げ反対に関する請願外六件(井上泉君  紹介)(第四六一三号)  同(久保等紹介)(第四六一四号)  同外六件(武部文紹介)(第四六一五号)  同外四件(藤田高敏紹介)(第四六一六号)  同外八件(堀昌雄紹介)(第四六一七号)  同外九件(三宅正一紹介)(第四六一八号)  同外七件(湯山勇紹介)(第四六一九号)  同(柴田健治紹介)(第四七二九号)  同(山田芳治紹介)(第四七三〇号)  公共料金値上げ反対インフレ抑制に関する  請願井上泉紹介)(第四六二〇号)  同(岡田利春紹介)(第四六二一号)  同(河野正紹介)(第四六二二号)  同(神沢浄紹介)(第四六二三号)  同(佐藤誼紹介)(第四六二四号)  同(渋沢利久紹介)(第四六二五号)  同(嶋崎譲紹介)(第四六二六号)  同(武部文紹介)(第四六二七号)  同(楯兼次郎紹介)(第四六二八号)  同(塚田庄平紹介)(第四六二九号)  同外一件(中村茂紹介)(第四六三〇号)  同(堀昌雄紹介)(第四六三一号)  同(八木昇紹介)(第四六三二号)  同外一件(山口鶴男紹介)(第四六三三号)  同(山本幸一紹介)(第四六三四号)  同(横山利秋紹介)(第四六三五号)  同(阿部助哉君紹介)(第四七二一号)  同(小野信一紹介)(第四七二二号)  同(久保三郎紹介)(第四七二三号)  同(柴田健治紹介)(第四七二四号)  同(芳賀貢紹介)(第四七二五号)  同外二件(広瀬秀吉紹介)(第四七二六号)  同(細谷治嘉紹介)(第四七二七号)  同(本郷公威紹介)(第四七二八号)  各種公共料金値上げ抑制に関する請願粟山  明君紹介)(第四七一七号)  物価値上げ抑制等に関する請願薮仲義彦君  紹介)(第四七一八号) 同月二十五日  公共料金値上げ中止に関する請願梅田勝君  紹介)(第四七九二号)  同(小林進紹介)(第四七九三号)  同外一件(西中清紹介)(第四七九四号)  同(小林政子紹介)(第四九二七号)  物価値上げ反対に関する請願外一件(久保等君  紹介)(第四七九五号)  同外六件(野坂浩賢紹介)(第四七九六号)  同(藤田高敏紹介)(第四七九七号)  同(本郷公威紹介)(第四七九八号)  同外七件(松浦利尚君紹介)(第四七九九号)  同(井上普方紹介)(第四九三八号)  同(野坂浩賢紹介)(第四九三九号)  同外七件(吉原米治紹介)(第四九四〇号)  公共料金値上げ反対インフレ抑制に関する  請願井岡大治紹介)(第四八〇〇号)  同(伊藤茂紹介)(第四八〇一号)  同(小川省吾紹介)(第四八〇二号)  同(川俣健二郎紹介)(第四八〇三号)  同(久保等紹介)(第四八〇四号)  同(小林進紹介)(第四八〇五号)  同(上坂昇紹介)(第四八〇六号)  同(沢田広紹介)(第四八〇七号)  同外二件(田邊誠紹介)(第四八〇八号)  同(広瀬秀吉紹介)(第四八〇九号)  同(藤田高敏紹介)(第四八一〇号)  同(武藤山治紹介)(第四八一一号)  同(山花貞夫紹介)(第四八一二号)  同(井上普方紹介)(第四九二九号)  同(上田哲紹介)(第四九三〇号)  同(角屋堅次郎紹介)(第四九三一号)  同(川俣健二郎紹介)(第四九三二号)  同(兒玉末男紹介)(第四九三三号)  同(清水勇紹介)(第四九三四号)  同(長谷川正三紹介)(第四九三五号)  同(吉原米治紹介)(第四九三六号)  同(米田東吾紹介)(第四九三七号)  公共料金値上げ中止等に関する請願外六件(伊  藤茂紹介)(第四八一三号)  同外二件(加藤万吉紹介)(第四八一四号)  同外一件(加藤万吉紹介)(第四九四一号)  建設資材価格安定に関する請願上坂昇君紹  介)(第四九二五号)  同(柴田健治紹介)(第四九二六号)  公共料金値上げ抑制等に関する請願長谷雄  幸久君紹介)(第四九二八号) 同月二十八日  公共料金値上げ中止等に関する請願岩垂寿  喜男君紹介)(第四九六八号)  公共料金値上げ中止等に関する請願岩垂寿喜  男君紹介)(第四九六九号)  同(佐藤観樹紹介)(第四九七〇号)  同(野口幸一紹介)(第四九七一号)  同(前川旦紹介)(第四九七二号)  物価値上げ反対に関する請願枝村要作君紹  介)(第四九七三号)  同(久保等紹介)(第四九七四号)  同(久保等紹介)(第五一〇七号)  公共料金値上げ反対インフレ抑制に関する  請願木原実紹介)(第四九七五号)  同(新盛辰雄紹介)(第五一〇八号)  同(村山富市紹介)(第五一〇九号)  建設資材価格安定に関する請願枝村要作君紹  介)(第四九七六号)  同(沢田広紹介)(第四九七七号)  同(藤原ひろ子紹介)(第五〇三三号)  同(安田純治紹介)(第五〇三四号)  同(伊賀定盛紹介)(第五一〇五号)  同(中川利三郎紹介)(第五一〇六号)  公共料金値上げ中止に関する請願榊利夫君  紹介)(第五〇二三号)  同(中川利三郎紹介)(第五〇二四号)  同(中島武敏紹介)(第五〇二五号)  同(則武真一紹介)(第五〇二六号)  同(山原健二郎紹介)(第五〇二七号)  同(田中美智子紹介)(第五一一〇号)  物価抑制及び便乗値上げ防止に関する請願(中  島武敏紹介)(第五〇二八号)  公共料金値上げ抑制に関する請願中島武敏  君紹介)(第五〇二九号) 五月二日  公共料金値上げ抑制等に関する請願柴田弘  君紹介)(第五一七九号)  公共料金値上げ中止に関する請願寺前巖君  紹介)(第五一八〇号)  同(四ツ谷光子紹介)(第五一八一号)  同外一件(清水勇紹介)(第五二三八号)  同(中村茂紹介)(第五二七七号)  公共料金値上げ反対インフレ抑制に関する  請願大原亨紹介)(第五一八二号)  同(後藤茂紹介)(第五一八三号)  同(清水勇紹介)(第五一八四号)  同(高田富之紹介)(第五一八五号)  同(竹内猛紹介)(第五一八六号)  同(安田修三紹介)(第五一八七号)  同(北山愛郎紹介)(第五二四〇号)  同(中西積介紹介)(第五二四一号)  同(三宅正一紹介)(第五二四二号)  同(飛鳥田一雄紹介)(第五二七四号)  同(川俣健二郎紹介)(第五二七五号)  同(山田耻目君紹介)(第五二七六号)  物価値上げ反対に関する請願外七件(大原亨君  紹介)(第五一八八号)  同(久保等紹介)(第五二八〇号)  公共料金値上げ中止等に関する請願沢田広君  紹介)(第五一八九号)  建設資材価格安定に関する請願後藤茂君紹  介)(第五一九〇号)  同(楯兼次郎紹介)(第五一九一号)  同(藤田高敏紹介)(第五一九二号)  同(本郷公威紹介)(第五二三九号)  同(神田厚紹介)(第五二七八号)  同(山田耻目君紹介)(第五二七九号) 同月六日  公共料金値上げ反対インフレ抑制に関する  請願外一件(稲葉誠一紹介)(第五三三二  号)  同(河上民雄紹介)(第五三三三号)  同(木間章紹介)(第五三三四号)  同(枝村要作紹介)(第五四三三号)  同(高沢寅男紹介)(第五四三四号)  同(細谷昭雄紹介)(第五四三五号)  公共料金値上げ中止等に関する請願外五件(大  出俊君紹介)(第五三三五号)  同(松浦利尚君紹介)(第五三三六号)  建設資材価格安定に関する請願津川武一君紹  介)(第五三三七号)  同(中林佳子紹介)(第五三三八号)  同(松浦利尚君紹介)(第五三三九号)  同(細谷昭雄紹介)(第五四三六号)  公共料金値上げ中止に関する請願則武真一  君紹介)(第五三四〇号)  同(松本善明君紹介)(第五三四一号)  同(安田純治紹介)(第五三四二号)  同(四ツ谷光子紹介)(第五三四三号)  物価値上げ反対に関する請願枝村要作君紹  介)(第五四三一号)  同(久保等紹介)(第五四三二号) 同月七日  公共料金値上げ抑制等に関する請願(大久保  直彦君紹介)(第五五一一号)  同(柴田弘紹介)(第五五一二号)  同(有島重武君紹介)(第五五五七号)  同(松本忠助紹介)(第五六三三号)  公共料金値上げ中止に関する請願岩佐恵美  君紹介)(第五五一三号)  同(中川利三郎紹介)(第五五一四号)  同(山原健二郎紹介)(第五五一五号)  同(瀬崎博義紹介)(第五五五八号)  公共料金値上げ中止等に関する請願中路雅  弘君紹介)(第五五一六号)  同(中島武敏紹介)(第五五一七号)  公共料金値上げ反対インフレ抑制に関する  請願上原康助紹介)(第五五一八号)  同(日野市朗紹介)(第五五一九号)  同(武藤山治紹介)(第五五二〇号)  物価値上げ反対に関する請願外三件(武藤山治  君紹介)(第五五二一号)  公共料金値上げ中止等に関する請願兒玉末男  君紹介)(第五五二二号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  物価問題等に関する件      ————◇—————
  2. 井上普方

    井上委員長 これより会議を開きます。  物価問題等に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。相沢英之君。
  3. 相沢英之

    相沢委員 物価の中において占める公共料金ウエートというものは決して低くはないのでありまして、物価対策という観点から言うと、公共料金のあり方が特に重要になるわけであります。そこで公共料金について、どのようにあるべきかということについてまず企画庁長官から承りたいと思います。
  4. 正示啓次郎

    ○正示国務大臣 申し上げるまでもなく、いま御指摘のように公共料金は非常なウエートを持っております。特に五十五年度においては、もうたびたびこの委員会でも御指摘ありましたように、原油値上がりその他の要因から、またいままで抑制をしておったのが一度に是正せざるを得ないというふうなところから公共料金引き上げメジロ押しという表現で指摘されておりまして、やはり私どもの一番関心の的になっておるわけであります。  そこでわれわれの基本的な政策は、どこまでも経営の徹底した合理化を進めまして値上げをできるだけ抑制していく、あるいはまた最小限度値上げをいたしました場合もそれに基づく他の物価への波及を極力抑制する、こんなようなことでいろいろ努力をいたし、各方面の御協力をお願いしておるわけでありますけれども、なかなか容易ではございません。特に本年は電力、ガスその他非常に大きな値上がりがございました。また近く、これは公共料金じゃありませんけれども産業界の中枢的な役割りを担う鉄の値上げ、こんなようなことから申しまして、公共料金引き上げの及ぼす影響というものについてはいまさらながらその重要性を痛感し、これからも一層の経営合理化その他の努力を払っていきたい、こういうふうに考えておるわけであります。
  5. 相沢英之

    相沢委員 公共料金を考える場合に、当然その公共的な事業の国民あるいは住民に対するサービースというものも考えていかなければならない。したがいまして、ただ料金は安くすればいいということにはいかないと思いますが、先般三月十九日、「当面の物価対策について」という物価問題に関する関係閣僚会議決定の中に、公共料金については特に一項を設けて、「経営の徹底した合理化を前提とし、物価及び国民生活に及ぼす影響を十分考慮して、厳正に取扱う。」そして「公共料金の一部(夜間遠距離通話料金等)については、その引下げを図る。」このように書かれているのであります。  そこで、この公共料金の一部、ここに例として夜間遠距離通話料金等が挙げられておりますが、「その引下げを図る。」というこの決定に基づいて、経済企画庁としてはどういうような努力をなすっていらっしゃるか、この点を伺いたいと思います。
  6. 藤井直樹

    藤井(直)政府委員 ただいま御指摘になりました当面の物価対策の中で、夜間遠距離通話料金等の、公共料金の一部ということで、引き下げを図ることといたしたわけでございます。  そこで、この夜間遠距離通話料金と言いますのは、もちろん電電公社料金でございますし、等と申しますときには、これにつきましては国際電信電話料金のことを頭に置いているわけでございます。こういうことで閣僚会議申し合わせをいたしましたわけですが、この申し合わせを受けまして、関係当局の方で現在この引き下げについての検討を行っておられるわけでございます。私どもとしても、こういう料金についての引き下げができるだけ早い機会に実施されることが望ましいと考えておりますので、その旨、関係省の方に私の方から申し入れを行っているところでございます。
  7. 相沢英之

    相沢委員 その申し入れに対してどういうような回答があり、どういう状態になっていますか。
  8. 藤井直樹

    藤井(直)政府委員 現在、関係省、郵政省におきまして検討している段階でございますので、私どもはその検討の結果を待っているというところでございます。
  9. 相沢英之

    相沢委員 この関係閣僚会議においては、「夜間遠距離通話料金等」となっているのですけれども、この通話料以外に引き下げについて経済企画庁としてはどういうものを関係各省に対して検討ないし要望されているか、伺いたいと思います。
  10. 藤井直樹

    藤井(直)政府委員 電電公社料金のほかに、国際電信電話料金引き下げについての検討をお願いしているわけでございます。
  11. 相沢英之

    相沢委員 そこで、まず電信電話料金、特に電話料金についての引き下げが議題になるわけでありますが、私は、この夜間遠距離通話料引き下げということだけではなくて、電電公社収支現状から見れば、さらに夜間通話料金についても、あるいは昼間の電話料金につきましても、その引き下げ検討することが可能ではないか、こういうふうに思いますので、そういう見地から若干質問をいたしたいと思うのであります。  まず、電電公社の方に伺いますが、最近十カ年間における収支状況について簡単に御説明を願いたいと思います。
  12. 岩下健

    岩下説明員 お答えいたします。  最近、決算として確定しましたものを申し上げますと、五十二年度におきましては総収益といいますか総収入三兆四千三十六億円に対しまして、支出が二兆九千六百四十六億円、差し引き収支差額が四千三百九十億円でございます。五十三年度、これが至近の決算値でございますが、総収入三兆六千二百二十四億円に対しまして、総支出三兆二千三百十六億円、差し引き収支差額三千九百八億円ということに相なっております。なお、五十四年度につきましては、まだ決算の作業に入った段階でございますので、確定しますのはもうしばらく後になるかと思っております。
  13. 相沢英之

    相沢委員 私は最近十年間ということを申し上げたのでありますが、お答えがなかったから私から言いますが、四十六年が収支差額で四十三億円の赤、四十七年が九十五億円の黒、四十八年が二百九億円の黒、それから四十九年度が千七百五十三億円の赤、五十年度が二千八百十二億円の赤、五十一年度が千四百二十五億円の赤。ところが、四十九、五十、五十一と三年ほど約六千億円の赤字が出ていますが、これは過去における黒字と大体帳消しになってとんとんだ。そこで、その五十二、五十三、五十四と引き続いて三千億ないし四千億円の黒字が継続して今日に至っている、このように理解をしてよろしゅうございますね。
  14. 岩下健

    岩下説明員 そのとおりでございます。
  15. 相沢英之

    相沢委員 五十四年度の決算はこれからでありますが、五十四年度の予算における黒、二千九百六十四億円に対してどの程度相違が出てくると現在の状況見通しておられますか。
  16. 岩下健

    岩下説明員 五十四年度の収入につきましては、年度の当初からの経済活況にも支えられまして、収入は順調に推移してまいりまして、年間をトータルいたしまして、つい昨日、三月の速報でございますので確定値はまだ先になろうかと思いますけれども、一千億余り、正確には一千百数十億円程度収入予算を上回る見通しに相なりました。  なお、支出につきましては、まだ種々出入りがございますので、現時点では申し上げられる数字はございません。  したがいまして、収入の側面から申し上げますと、予算で予定いたしました二千九百六十四億円の収支差額を上回ることは確実だということは申し上げられるかと思います。
  17. 相沢英之

    相沢委員 そうしますと、収入で千百億円の増加がある、支出についてはどの程度予算相違が出てくるかわからない、こういう話でありますから、一応、支出予算どおりと見ましても、収入の増はそのまま黒字の増になってくる。したがいまして、予算の二千九百六十四億円という収支差額は大体四千億円にはなる、このように考えられます。  それから、五十五年度についても、これは五十三年度の予算ベースにして恐らく立てておられると思いますから、五十四年度について千億円の増収があるということは当然のことでありますけれども、五十五年の二千七百四十四億円についても、現状で推移すれば大体千億円以上の増収が期待される、このように理解してよろしゅうございますか。
  18. 岩下健

    岩下説明員 五十四年度の一千億円余り増収が出ました最大の理由は、恐らく経済活況にあったかと思っております。五十四年度予算収支見積もりをしましたのは、御存じのとおり五十三年の秋口でございまして、当時としましては、五十四年度の景気の動向その他も大変不透明な状況でございまして、そういう中で見積もりましたところが、申し上げましたように、実行の過程におきまして、特に五十三年度の後半から経済活況に支えられまして、収入が予定よりも増加をしたということでございます。  片や五十五年度予算収入は三兆八千六百六十八億円と、対前年度五・五%の伸びで見ておりますけれども、この収入見積もりを行いました、つまり昨年の秋口ないしは年末時点におきましては、いま申し上げましたこの好調な五十四年度の収入がいわばベースとして入っておるわけでございますので、公社としましては、三兆八千億円の五十五年度予算収入確保は、努力することにはもちろん全社挙げて努力をしたい、こう思っておりますが、現時点で五十四年度並みの増収が出るということは、当面私どもは考えておりませんで、むしろ予算収入確保に全力を挙げるということに努力をしたい、こう考えております。
  19. 相沢英之

    相沢委員 それはそうとはならないと思いますのは、大体公社電電公社にいたしましてもそのほかの公社等にしても、予算の執行上、収入については大体手がたく見積もる、若干のアローアンスを見るというのが普通のやり方だと思うのです。五十四年度は当初の見込みよりも経済状況がよかったから増収が出たのだという説明は当たらないと私は思う。というのは、ここに経済企画庁の方がおられますから御答弁いただいても結構なんですけれども、五十四年度については経済成長政府見通しと大体とんとんのところに来る、したがって経済見通しよりも実績の方が成長が高かったということはないのですね。五十四年度の電電公社収入予算は五十四年度の当時の政府経済見通しを基礎にして算定されておるわけですから、それよりも成長率が上回ったということによって増収が出たという説明は当たらないと私は思うのです。大体収入をかために見るということで実績が上回る、これが普通だと思うのです。そういうことであるとすると、私が申し上げるのは、少なくとも五十四年度二千億円程度が出れば、五十四年度の予算ベースで編成をしておった五十五年度の予算に対しては大体千億円程度は見る、よけい出ると見るのが常識ではないですか。
  20. 岩下健

    岩下説明員 収入につきましては、これは見積もりでございますので、三兆八千六百億円の予算で予定しました収入とびた一文変わらないということはなかなか申し上げにくいわけでございますけれども、ただ私ども収入見積もりに対しましては、予算仕組み時点におきます収入動向といいますか一加入当たり収入額といったようなものを一番ベースに算定をしております関係で先ほどのようなお答えをしたわけでございます。  なお、企業といたしまして、企業努力の一つとして少しでも収入を大きく、いわば増収努力をするということは当然のことと考えております。
  21. 相沢英之

    相沢委員 昭和五十五年度の予算書における日本電信電話公社貸借対照表をながめますと、五十五年度末における予定額として資本勘定で利益剰余金一兆四千五百三十億三百万五千円、こういう数字が上がっております。つまり昭和五十五年度においては利益剰余金として一兆四千五百億円が予定をされております。これは五十四年度の増収に伴うところの利益剰余金の増加というものを織り込んでおりませんから、五十五年度における利益剰余金の増加というものはとりあえずおいて考えましても、一兆五千億円を上回る利益剰余金がここに発生をしておるということは事実だろうと思いますが、いかがですか。
  22. 岩下健

    岩下説明員 公社におきます貸借対照表上の利益剰余金、これは私ども企業会計原則にのっとった書式をとっております関係でこういうフォームになっておりますけれども、これは公社が発足しまして三十年近い間に発生しましたいわゆる収支差額の累積でございます。この累積額をバランスシートの上に表示しましたものがただいま先生おっしゃいました利益剰余金になるわけでございますが、これはその年度年度におきまして設備投資等の財源として使われておりますので、現時点におきましてはこの利益剰余金はすべてバランスシートでいいますと見合いの資産の側の固定資産になっておる、電話局なりあるいは交換機になっておるということでございます。  そこで、五十五年度の利益剰余金の金額でございますが、五十三年度末の決算におきまして八千八百四十五億円の利益剰余金になりまして、これに五十四年度の予算で予定しました収支差額、つまりはこのバランスシートに言うところの利益金を加え、さらに五十五年度で予定しております二千七百億円の収支差額を加えたものが予算書におきます五十五年度末の一兆四千五百三十億円の利益剰余金、こういうことでございます。したがいまして、五十四年度の先ほど申し上げました約一千億円余り増収がそのまま収支差額増加につながるということになった場合には、当然この五十五年度末予定の一兆四千五百三十億円の利益剰余金がその分だけ増加するということに相なります。
  23. 相沢英之

    相沢委員 それは三十年間における累積だということはまさにそのとおりでありますけれども、ただその表現は非常に誤解を招くのであります。と申しますのは、この五十二年度以降の黒字を足すだけで大体一兆四千億になるのですね。つまり五十二年の四千三百九十億、五十三年の三千九百八億、それから五十四年の予算ベースで二千九百六十四億、五十五年の予算で二千七百四十四億、これを足しますと、ちょっと私いま目の子で足しましたが、一兆三千九百六億になる。ですから、その貸借対照表における利益剰余金一兆四千五百三十億円との差額はわずかに六百二十四億円程度であって、ですから一兆五千億円という利益剰余金が三十年間に発生したというのは非常に誤解を招くのでありまして、三十年間じゃない、この四年間において発生した、大体においてそういうことを言えるんじゃないですか。
  24. 岩下健

    岩下説明員 具体的に申し上げますと、この利益剰余金につきましては先ほど申し上げましたような経理の方法に従って表示をしてあるわけでございますが、赤字になりましたのが四十九年度、五十年度、五十一年度と三年間続いたわけでございます。赤字になる直前の四十八年度末ではこれが六千五百三十八億円ございました。それで、三年間約六千億円の赤字がございましたので、五十一年度末にはこれが約五百五十億円まで落ち込んだわけでございます。これに対しまして、先ほど先生おっしゃいましたように、五十二年、五十三年の黒字がこれに累積をされまして、先ほど申し上げましたような五十三年度末では約八千八百億円の利益剰余金になったということでございます。  したがいまして、三十年間と申し上げました意味は、一つはこの利益剰余金というものの性格について御理解をいただきたいために申し上げたわけでございますけれども、この一兆四千億なり五千億の数字自体の問題としましては、確かに五十一年度末の五百五十億円から出発しまして、その後五十二年、五十三年と二年間にわたる収支差額黒字、これが大きく貢献していることは事実でございます。
  25. 相沢英之

    相沢委員 それは四十八年度末において六千億余りの剰余金が、収支差額の黒があった、それが四十九、五十、五十一の三年間の赤字で大体消えてしまった、それはそのとおりなんです。そこで大体とんとんになって、それから四年間において毎年三千億ないし四千億円の黒が発生しておる、こういう状態なんですね。それはおっしゃるようにこの電電公社の損益勘定の収支差額は資本勘定に入っている。そして、その減価償却費あるいは電電債券その他の調達資金と合わさってこれが建設勘定に回されて、それが施設の建設資金に充てられるというのはそのとおりなんです。それは別にそうじゃないと言っているんじゃありませんが、ただ損益勘定においてそれだけの黒字が発生していることは事実なんですね。しかも最近においては一兆円を超えるところの減価償却をきちんとやって、なおその上で、五十五年度で言いますと一兆一千七百二十一億円という膨大な減価償却をしてなおかつそれだけの収支差額を発生して、それが資本勘定に繰り入れられて建設勘定に充てられる、こういうことになる。したがいまして、これは資本勘定を通じて建設勘定の資金に充てられることは事実でありますけれども、いわゆる損益勘定が黒字であることには変わりないのですね。そこで、料金を算定する際に、この黒字をどのようにお考えになるかという問題になる。  企画庁長官に伺いたいのですが、こういう状態であることを前提にいたしますと、企画庁としてはいかがお考えになりますか。
  26. 正示啓次郎

    ○正示国務大臣 これは予算委員会でもほかの委員からいろいろ御質疑のあった点でございまして、電電公社の御当局は、ただいま経理局長がいろいろ御説明になったようでありますが、総裁以下、実は大変苦しいときに、国の財政投融資資金をいただいたことは確かにありますけれども、非常につらいときを切り抜けてやっと今日あるを得た、そこでこれから電電公社としては自前でいろいろ整備すべき問題もある、こういうふうな基本的な考え方も述べられました。しかしわれわれは、先ほど公共料金について申し上げたように、経営の徹底した合理化をやって、なおかつ料金については厳正に取り扱っていく、こういう方針でありますので、すでに物価局長なり電電公社の方からも御答弁があったように、この際下げられるものはひとつ思い切って下げてください、こういうことを申し入れておるわけであります。そしていま大体合意の成り立っておるのが、深夜の特別割引の割引率をさらに一層高くする、こういうところについていま御努力をいただいておる段階であります。  これからの問題につきましてはわれわれとしても十分厳しく見てまいりたいと思いますが、いまここで直ちに、電電公社がいまそういう状況だからさらに一般の電話料金をどうするということを申し上げるのはいささか時期尚早ではなかろうか、こんな感じを持っております。
  27. 相沢英之

    相沢委員 自民党が「電話の夜間通話料引下げについて」ということで政府に要請をしているのが、深夜割引制度の導入及び夜間割引対象時間の拡大。深夜割引としては「三百二十キロメートルを超える遠距離区間については、深夜時間帯にさらにもう一段の割引を行い、牛後九時から翌日午前六時までの間六割引とする。」それから現在、午後八時から翌日の午前七時までの間の夜間割引時間帯をそれぞれ一時間拡大して、一時間繰り上げて午後の七時から、そして朝は一時間繰り下げて翌日の午前八時まで、こうなっているわけです。この点について電電公社はどういうような検討をされてどういう結論になっていますか。
  28. 岩下健

    岩下説明員 ただいま先生おっしゃいましたように、政府の御方針が三月の下旬でございますか決まり、またそれは郵政省を経由しまして私どもも指示を受けております。また自由民主党の方からの御意向も郵政省を経由しまして私どもも承知をしております。  現在のところ、公社としての作業の段階は、この料金は郵政大臣の認可に係る認可料金でございますので、この認可をちょうだいすべく鋭意最終的な作業の詰めをやっておる段階でございますが、その方向といたしましては、ただいま先生おっしゃいましたように中身としては二つございます。  一つは、現在やっております三百二十キロメートルを超える遠距離区間につきましては、午後九時から翌日の午前六時までの間、新たに深夜割引という形で、従来の夜間割引が四割引きなのに対しまして六割引きの深夜割引制度を設定する。  それから二番目は、現在の四割引きの時間帯の拡大でございますが、これは全区間、正確には現在適用しております六十キロを超える区間につきまして現在午後八時から翌日午前七時までになっておりますこの四割引きの割引時間帯を、前後一時間それぞれ拡大いたしまして、午後七時から翌日の八時までにする、これが現在私どもが作業しております方向の骨格でございます。  で、この作業のまとまり次第できるだけ早く郵政省に提出いたしまして大臣の認可をちょうだいしたい、こういうふうに思っております。
  29. 相沢英之

    相沢委員 それによる減収額はどの程度ですか。
  30. 岩下健

    岩下説明員 いま申し上げましたような骨格で仮にこれが御認可をちょうだいして実施いたしますと、五十五年度、平年度のベースで見ますと約千五百億円の減収になろうかと思っておりますが、なお別に、こういういわば利用しやすい形に料金制度が変わることに伴います利用の増加も半面予想されます。これは非常に予想がむずかしいわけでございますが、私どもとしましてはごく大まかに二百億円程度の利用増があるのではなかろうか、差し引き平年度ベースで約千三百億円程度の減収になるのではなかろうか、かように現在考えております。
  31. 相沢英之

    相沢委員 その五十五年度における実施時期の予定はいかがですか。
  32. 岩下健

    岩下説明員 現在のところ、本年の十二月中にはということで考えておるわけでございます。と申しますのは、現在全部自動式の通話でございますので、料金の計算の場合、メーターが自動ではかっております。これをすべて全国的に工事をしまして取りかえる必要がございますので、これに大分期間がかかるということで、現時点では十二月いっぱいにはということで考えておりますが、なお、政府あるいは自民党の方からの御要請もございますし、こういう便利なものはできるだけ早い時期に実施すべきではないかという御要請もございますので、一日でも早くできる方法はないものかということで、いま社を挙げてこれに取り組んでおるということでございます。
  33. 相沢英之

    相沢委員 五十二、五十三、五十四、この辺のところは大体四千億円ぐらいの収支差額になっているわけです。その四千億円の収支差額黒字に対していまのお話だと大体千三百億円程度の減収だ。千五百億円の引き下げによる減収と利用増によるバックした分の二百億、差し引いて千三百億。そうすると、まだ二千六、七百億円、三千億近いものが黒字として残るわけですね。収入が大体三兆四、五千億ですから、パーセンテージにしてみれば七、八%に相当するものがまだ残るわけですよ、毎年。  そこで、深夜割引の導入もあるいは夜間割引対象時間の拡大も結構ですけれども、大体夜中の九時ごろから翌朝の六時までに電話をかけるというのは普通の家庭の人ではない。むしろ仕事の電話が多いのじゃないかと思うのです。一般の家庭の電話については何ら恩典に浴さないじゃないか、こうも思われる。  そこで、一割も引いたら赤字になってしまうでしょうけれども、少なくとも五%やそこらは当然これはさらに引き下げが可能じゃないか、このように考えられますけれども企画庁長官はいかがでございますか。
  34. 岩下健

    岩下説明員 確かに先生のおっしゃるような御意見もあろうかと思いますけれども、ただ、ここで特に御理解を願いたいものは、一つは公社収支差額の性格でございます。先生にあえて申し上げるまでもないことなのでございますけれども、一般の民間会社におきますいわゆる利益金ないしは利益剰余金と違いまして、すべてこれは先ほどおっしゃいましたように改良あるいは設備の維持、サービスの向上というものに役立たせるために建設投資、設備投資の財源にすべて使っておるわけでございまして、したがって、社外に全然流出するものではございません。そういった設備投資等を通じまして、利用者、加入者の方の利便に供する、つまりはみな還元ということで使っておるというのが公社における収支差額の性格でございます。  割引制度その他の料金制度の改正によります減収という問題は、単年度だけではございませんで、当然その制度を実施しましてからずっと末長く続く収入への影響でございます。ですから、十分経営基盤の点につきましても公社としては配慮をしていきたい、できるだけ現在の料金水準を少しでも長く維持する、このために増収、節約を含めまして企業努力を重ねるということが公社の最大の責任だろう、こう考えております。  したがいまして、現在の収支状況から、直ちにこれをすべて料金引き下げに、あるいはその相当分を回すということは公社経営基盤の問題も考え、またひいては加入者の皆さんの将来にわたる問題にもなりますので、慎重に考える必要があるだろうと思っております。  なお、昼間の問題も含めました電話料金の体系全体の問題につきましては、現在の市内通話料が諸外国に比べまして二分の一ないし四分の一という非常に安い価格で、逆に遠いところの市外通話料は二・五倍ないし一・五倍と高いものですから、この体系を是正いたしまして、遠近の格差の是正といいますか、これはここ二、三年来公社の真剣な課題として取り組んでおるところでございます。これにつきましても、なお今後鋭意検討をしてまいりたいと思います。  なお夜間割引につきまして一言申し上げておきますが、夜間通話の利用につきましては家庭でお使いになるものの方が実はむしろ多うございますので、今回の時間帯の延長ないしは深夜割引制度の適用、これによりましてお客様、利用者の方への利便の増大はかなりあるんじゃないだろうか、こう考えております。
  35. 正示啓次郎

    ○正示国務大臣 ちょっと専門的な問題を先に答えていただいたわけでございます。  私は基本的には、もちろん引き下げる余地があれば引き下げていただきたいという気持ちは非常に強いわけです。順序としては、やはりたとえば国際電信電話のようなのが、まさにそういう点においていままでなすべきことをなしていないという点できわめて厳しくそちらの方の引き下げを優先的にお願いをしておるような次第であります。  いま御説明ありましたような点と、もう一つここで相沢委員と一緒に考えていかなければならぬと思うのは、日本の公社、公団等の経理において、われわれはやはり経営主体の自主的努力、これが非常に大事だという点を考えます。国鉄についてもそういう方向で、たとえば一定の範囲においては国会の御承認を得なくとも経営者の責任において料金の改定をする、こんなようなことにいきましたのもその方向であろうと思うのでありますが、これが十分機能していくかどうか、なお今後の推移を見なければならぬと思うのであります。  いま電信電話公社がそういう見地から、できるものから下げていきますというので深夜割引料に率先して手をつける、こういう態度は大いに評価していいのじゃないか。そういうことをやってもなおかつ設備投資等に必要なものを見て、長期にわたって経営見通しを立てて料金の改定を行えるというふうなことがなお見込めればこれはやはり当然改定をお願いしなければならぬと思いますけれども、まだそこまでの詰めが行われていないという意味で先ほど時期尚早というふうに一応申し上げたのですが、そういう方向で常に検討を加えていくことにおいては私どもは決してちゅうちょしないつもりでございます。
  36. 相沢英之

    相沢委員 時間が残り少なになりましたのでちょっとはしょって質問をしたいと思いますので、答弁も簡単にお願いしたいと思います。  私はきょうは電電公社の総裁か副総裁かに来ていただきたかったのですが、経営委員会ということでおいでにならないのでやむを得ません。ですから、経理局長料金引き下げ問題について責任ある答弁をお願いするのは非常に恐縮だと思うので差し控えますけれども料金算定の考え方について私はいまの御説明では納得できないのですよ。収支差額が資本勘定を通じて建設勘定に向いている、そこが民間の会社と違うのだ、こういう御説明がありました。しかし、電信電話料金の算定はあくまで損益勘定におけるいわば原価主義で立てるべきだ。ですから、その収支差額というのは原価に入らないのですよ。収支差額を建設勘定に回すから、その分があるので電話料金を下げられないのだ、こう言えば、幾らもうかったって電話料金引き下げなんていう議論は出てこないのですよ。そこは考え方がおかしいんじゃないですか。
  37. 岩下健

    岩下説明員 先生のただいまの御指摘のようなお考えもあろうかと存じますけれども、現在の公社電信電話料金の設定の方法はいわば総原価主義ということでやっておるわけでございます。この総原価の中に収支差額的なものも入っているわけでございますけれども、これにつきましては何回か国会でも御審議をいただきまして、相当額の、いわばリーズナブルなものについてその使途から考えた場合に一応認められるのではないかという御議論があったと理解をしておるわけでございますが、そういった考え方を踏まえまして現在の水準を設定しておるわけでございます。  なお、先生のただいま御指摘の御趣旨につきましては、私もまた戻りまして私どもの総裁にも十分伝えたい、こう思っております。
  38. 相沢英之

    相沢委員 時間がなくなりましたが、「間違いだらけの電話料金」という本、関戸松雄さんという、この裏を見ますと現に電電公社の人です。ある電話局の運用係長をしている方が書いた本、これをきのう急遽買ってきて斜めに読みましたが、ここに書いてあるようなことは事実ですか。
  39. 岩下健

    岩下説明員 実は私の所掌と違いますので余り正確、的確なお答えはできないかと思いますが、私は実はそれを詳細には読んでおりませんけれども、べっ見をした程度でございますけれども、幾つかの事例が紹介してあるということは承知しております。ただそれは、恐らく非常にレアなといいますか、まれに発生したケース、発生したことは間違いないといたしましても、非常にレアなケースではなかろうかというように私はいま理解をしておるわけでございますけれども公社としては、こういう料金事故の絶滅については社を挙げて、公社の日常業務の最大の課題として取り組んでおるわけでございまして、この辺は一昨年あるいは昨年の国会等で十分御説明を申し上げたところでございます。また、こういったものが出ました契機になお一層この事故の絶滅について社を挙げて取り組んでまいりたい、こう思っております。
  40. 相沢英之

    相沢委員 これはそうまれだというんじゃないのです。私も経験があるからね。いままで二度ほどあった。どう考えてもこんな電話料金になるはずがないと思うことがあったので、電話局に聞いたら、あっ失礼いたしました、よそのうちのとあなたのと間違えておった、すぐ訂正をしてくれたからいいようなものですけれども、これは明らかに近所のうちの請求が私のところに来ていたのです。あるのですよ、そういうことは。だから私は電話局からしょっちゅう自動振替にしてくれと言われるのですが、しないのです。危なくてしようがない。だからぼくはちゃんと毎月、忙しいときだけれども見ているんだ。だからいまだに自動振替なんかにしないのです。事務所もしてないのです、よく見ておけということで。だから電電公社が非常に収益を上げておるにかかわらず電話料金を下げないという、そういう不満もありますけれども、具体的な問題になってくると、こういうことがまた普通の一般国民に対して非常に悪い影響を与えるのですね。特に「度数更正という名の怪方式」という、つまり度数計がうまく働かない場合は前を推計して掛けてしまう。恐らくやっているんじゃないかと私は思うのです。機械だから故障があるでしょう。ですけれども、こういうようなことが非常に一般の国民の心理に悪い影響も与えるし、何かその辺のところはもう少し——書いてあることが間違いだったら、現職の職員ですよ。その職員が間違ったことを出して相当売れるということになったら、それこそ電電公社としてほっておくわけにはいかないんで、処分も考えなければならぬということになってくるわけですね。いかがですか。
  41. 岩下健

    岩下説明員 申しわけありません。私さっきちょっと申し上げましたように所掌が違いますので責任あるお答えはちょっといたしかねるわけでございますけれども、ただ私も公社の一管理職として考えました場合に、こういったものが出ましたことについては公社としても一つの貴重な事例として受けとめて、こういったものが出た機会になお事故の発生の絶滅を期すると同時に、また公社がいたずらな不信あるいは不安を招かないように料金業務の実態についても利用者の理解を得るようにこれからも広い意味のPR、そういったことも十分やってまいりたい、こう思っております。
  42. 相沢英之

    相沢委員 まだお聞きしたいことがありますけれども、一言KDDについて伺いたいのであります。KDDについてはいろいろなことで問題になっておりますけれども、きょうはそういう方面の質問じゃありません。  料金引き下げに関連してでありますが、これまたずうっと大きな剰余金を出していることは電電公社以上でありまして、たとえば昭和五十年においては収入八百十二億に対して利益が七十四億円、五十一年は収入九百六十一億に対して利益は九十一億、五十二年は千百三十二億に対して九十二億、五十三年は千二百九十二億の収入に対して九十七億、五十四年は千三百八十三億の収入に対して九十八億。あれだけ膨大な交際費を使いながらなおかつこれだけの利益を出してきておるわけであります。そこで、この料金引き下げについて、これはすでに実施もされておりますし、また、なお現在検討中とお聞きいたしておりますが、その引き下げ見通し、時期等について伺って、質問を終わりたいと思います。
  43. 塩谷稔

    ○塩谷説明員 ただいまお尋ねの件でございますが、私ども昨年十二月に国際電信電話料金の一部について値下げを行いました。これにつきましては主として利用度の高いアメリカなどを中心としました環太平洋地域の電話料金あるいはテレックスの一部ということであったわけでございますが、なおその際、引き続き今後の収支状況などを勘案しながら料金引き下げについて検討するよう指導してまいったところでございます。  お尋ねの近々の問題といたしましては、五十四年度決算の数字が近くまとまりますので、その数字をもとにした上でどういった値下げが可能か、いまその検討を急がしておるところでございますので、検討の結果値下げ案が出次第、私どもに認可申請してくることになりますので、これを受けて慎重に審査して値下げをやりたいと思っております。
  44. 相沢英之

    相沢委員 もう時間がありませんのでやめますが、ひとつ物価担当大臣である経済企画庁長官におかれましても、公共料金、物みな上がる中で引き下げの可能性があるのは電話料金国際電信電話料金でありますから、どうかこれが早急にかつ大幅に実現できるようにせっかくの御努力をお願い申し上げたいと思います。
  45. 正示啓次郎

    ○正示国務大臣 いま御指摘の点、それから郵政省からお答えがありましたが、いままで引き下げてないような地域について最優先的に考えてくれということを強くこれは閣僚レベルでも言っておりますので、事務当局でも常にやっております。一層その点を強く働きかけたいと思います。
  46. 相沢英之

    相沢委員 どうもありがとうございました。
  47. 井上普方

  48. 松浦利尚

    松浦委員 私はきょう三つのことをお尋ねいたします。きょう、通産、大蔵、それから食糧庁からおいでいただいておりますが、まず消費者保護の観点から通産当局にお尋ねをいたします。  御承知のように、本特別委員会あるいは商工委員会予算委員会等でも、いま社会的な問題になっております金の悪質な取引問題についての質疑が行われておったわけでありますが、この金の取引問題に絡みます商取法の関係について質問主意書を提出をいたしておりましたところが、四月二十六日内閣より答弁をいただきました。きわめて重要な内容を含んでおりますから、これに関連をして幾つかの点について御質問をいたしたいと存じます。  この答弁書によりますと、金のいわゆる悪質取引行為はそもそも先物取引ではないという前提に立っておられるわけでありますが、そうだとするなら今後の金の取引違反に対してどのような対策をお持ちになっておるのか、その点をお聞かせいただきたいと思うのです。
  49. 細川恒

    ○細川説明員 お尋ねの件でございますが、金のいわゆる悪質取引、これは先生がお話しになられましたように商品取引所法のいわゆる先物取引に当たるとはわれわれは考えておりませんが、これにつきましてのわれわれのこれまでの対策といいますのは、通産省といたしましては二点ございます。  第一点は啓蒙普及ということであります。被害防止を目的としたじみちな啓蒙普及、それからもう一つは、金の現物を容易にかつ安全に売買することが可能となるような金地金の流通機構の整備というこの二点を主に講じてきたわけでございます。今後も当省といたしましてはこれらの対策を引き続き推進をするということにいたしておりまして、特に昨年の末、社団法人でありますが日本金地金流通協会の設立許可をいたしました。その協会事業の一つでございます登録事業によりまして、悪質な業者と、安心して金の売買ができる取引業者とを識別するという効果が早急にあらわれることを期待をいたしておるところでございます。
  50. 松浦利尚

    松浦委員 いまの現物流通の整備ということで流通協会を発足させたということは、商工委員会あるいは予算委員会等でも御答弁になっておるわけでありますが、それでは現在その流通協会というのはどれほど整備されておるのか、具体的に簡単にちょっとおっしゃってみてください。
  51. 山梨晃一

    ○山梨説明員 先生いまお話のございましたように、日本金地金流通協会というのは、昨年十二月二十八日設立許可した団体でございまして、当初正会員が十五社で発足したものでございます。それが現在正会員三十一社、賛助会員四十二社、登録店百九店舗ということになっておりまして、この百九店舗の登録店を認可するというのが、非常に大きな業務としていままで進めてきたわけでございます。登録店を認可するに当たりましては、いわゆる悪質業者というようなものが紛れ込まないようにこれは慎重な審査をしなければならぬということで、四月十六日に二十二店舗加えまして百九店舗にしてまいったわけでございますけれども、このような登録店舗を認可するというのが最大の従来までの業務になっております。  そのほか、設立目的に即しまして、百九店舗認可される前後の段階で、日経、読売、朝日等に数回新聞広告を行いました。  それから、現在までに二回、いわゆる国際的に名の知れている金に対する権威者の講演等をいたしたわけでございますが、その講演内容につきましては、現在その要旨を印刷いたしましてパンフレットを作成中であるということでございます。  そのほか協会の機関誌、「ゴールド」という機関誌をいま作成中でございまして、現在、予定としましては、今月下旬ごろ約四万部作成することをいま備準中でございます。
  52. 松浦利尚

    松浦委員 いろいろPRしておられる実況はよくわかりましたが、ただ、すれ違いがあるわけですよね。御承知のように、この悪質取引というのは、ほとんどが訪問販売にひっかかっておるわけですよ。ところが、御承知のように流通協会というのは店舗登録であって、店頭取引、現物取引なんですね。ですから、具体的に言うと、いま言われたような形で仮になさったとしても、訪問販売を期待をしておる、まあ最近は盛んに訪問販売があらゆる商品で、いろいろな意味で流通の中に入り込んでおりますために、それに伴う被害があらゆる面で非常に大きくなってきておるわけでありますが、それではその訪問販売というものについてはどういうふうに規制をされるのか、協会そのもので対応できるのかどうか、そういう点について具体的にお答えいただきたいと思うのです。
  53. 山梨晃一

    ○山梨説明員 いま訪問販売が非常に一般化していると申しますか、そういうことで、金の訪問販売というものを期待している消費者層というお言葉がございましたけれども、金地金といいますのは、非常に金の価格変動が激しいというようなこと、それから国際的にも原則的に現金決済で取引が行われているということもございますし、また非常に高額商品であるということもございまして、必要資金量が非常に大きいというようなことがございますので、販売者に対する信用等の問題から、一応原則として店頭販売するのが一般的であり、また好ましいものであるというふうに考えております。したがって、一般消費者が安心して、また容易に金を売買することができるようにするために、店舗網を拡充整備していくということがわれわれとして当面なすべきことであるというふうに考えている次第でございまして、昨年来のこの協会の設立を中心として、流通機構の整備拡大に努めたいというのが私どもの方針でございます。  なお、どうしても店舗に出向かないで金を購入したいという方のためには、これは協会の全部の会員ではございませんけれども、一部の会員が通信販売というものを行っておりますので、これを利用する方法もあるのではないかというふうに考えております。
  54. 松浦利尚

    松浦委員 マルチでもネズミでもそうでしたけれども、要するに訪問販売に、うまい甘言に乗せられまして、知らず知らずに無防備の消費者が甘言に乗せられて、実はいまの社会的な問題になっておる金の取引不正問題が出てきておるわけです。だから、そういった問題で、金を本当に欲しい人は店頭に出かけていって購入するわけですね。ところが、いま事件が起こっておるのは、そういう意思はなかったのだけれども、たまたま小金を持っておるものだから、まあそれに乗せられた人がばかだと言えばそれでおしまいだけれども、甘言に乗せられて多額の資金を出す。現物取引ではない、先物取引に類似した行為が行われておることによって実は事故が起こってきておるのですから、いま言われた協会そのものでは、率直に言って、この訪問販売を規制するというようなことはできませんね、協会自身も店頭販売が中心ですから。買いたい者に対しては通信販売があるけれども、そうでない、個人の意思とは無関係に訪問販売に乗せられるというような行為は、これは消費者自身が自己防衛するようにPRする以外に方法がないということを言っておられるのだと思うのですけれども、そうであるなら、何も、マルチでもこの委員会で大分問題になりましたし、ネズミでも法律をつくっていろいろと騒ぐ必要はないので、問題は、そういう犯罪を未然に防止するための手段として委員会でいろいろな議論をするし、法の整備ということも行わなければならぬと思うのですが、私はここで、取り調べる側の警察庁からおいでいただいておると思うのですけれども、実は率直に言って、確かにこの九十一国会であらゆるところ、あらゆる委員会で議論されましたから、あるいは政府のPRが効いたのかどうかは別にして、この不正行為、ブラックマーケットそのものがずっと下火になってきておることは事実だと思うのですが、その背景には警察当局のこういう不正に対する厳しい取り締まりというものが対応しておったからとも言えるのじゃないかと思うのですね。  そこで、中島経済調査官がおいででありますが、いま言いましたように、現実には訪問販売をして甘言に消費者を乗せ上げて不正を働くという行為については、現状で判断をする限り、不正が起こった場合には警察当局で取り締まる以外に方法がないのではないかという気がするわけでありますが、こうした問題について警察当局の考え方ですね、こういう不正行為について今後どのように対応されるのか、その点についてお聞かせをいただきたいと思うのです。
  55. 中島治康

    中島説明員 ただいま先生御指摘のとおり、警察としましては、金の取引をめぐりまして、いろいろ問題が起こっておりますので、金の取引を仮装しました詐欺事件ですとか横領、そういう不法行為があるものについて重点的に取り締まりを進めてまいりまして、相当の業者を検挙いたしております。  今後ともそういった詐欺的な不法行為については重点的に取り締まりを進めてまいりますけれども、いまお話にございました訪問販売というようなことにつきましては、これは訪販法の適用がございませんので、その面で取り締まりするというわけにはまいりません。  それから、不正行為ということがどういう内容かちょっとはっきりいたしませんけれども、損失をこうむったということすなわち不正というわけには、これは相場的な取引でございますから、まいらないわけでございまして、非常に捜査はむずかしいわけでございますけれども、その間に不正がありとしますれば、徹底的な捜査をいたしまして、的確に処理してまいりたい、こう考えている次第でございます。
  56. 松浦利尚

    松浦委員 警察当局は五十五年度にこの金の不正な取引、詐欺横領といった不正行為については最重点課題として取り上げていくんだということが全国的に指示されておるというふうにもお聞きをしておるのですが、そう理解してよろしいですか。
  57. 中島治康

    中島説明員 ただいま御指摘のとおり、これは年間の計画でございまして、昭和五十五年中に警察として何を重点にやるかということを各都道府県警察に示しておりますが、昨年の暮れ、五十五年中に、いろいろございますが、その中の一つとしまして金の取引をめぐるといいますか金の取引を仮装した不法事犯については重点的に取り締まりを進めてまいるということでやってきておりまして、現在やっておるところでございます。
  58. 松浦利尚

    松浦委員 すでに被害者の方から刑事告訴しておる案件が全国的に相当出ておるわけでありますけれども、こういう問題については、当然のこととして積極的に対応なさるというように理解してよろしいですね。
  59. 中島治康

    中島説明員 そのとおりでございます。報告を受けたものもありますし受けてないものもあるわけでございますが、各都道府県警察で受理しました告訴につきましては、その内容について十分捜査いたしております。詐欺になるものもあればならないものもあると思いますけれども、その辺は十分に捜査を尽くしまして適正に処理いたしたいと思います。
  60. 松浦利尚

    松浦委員 北海道の例ですけれども、雪印商事というのですね。雪印商事といいますと、雪印と間違うわけですね。非常に巧妙だと思うのですけれども、こういうのも実は被害者が刑事告訴をしておるようでありますが、ぜひひとついま中島さんが言われたように徹底的に調べ上げていただきたい。非常に巧妙に有名な商社の名前をかたったり、ほんの一字違っておる程度というケースが多いものですから、ぜひひとつお願いをいたしたいと思います。  さらに私は、そういった意味からすると、いま言われたように流通協会をつくって、その整備による金の取引、流通に対応するということも一つですけれども、それでは、訪問販売等の悪質なものについては警察で厳しくやっていただくといたしましても、何といっても登録そのものを義務化するという方向が最終的には必要になってくるのではないかという気がいたします。過般、商工委員会で森山長官から現在の協会制度そのものでいけない場合は登録業法も検討しますという御答弁をいただいておるわけでありますけれども、通産当局のお考え方はその考え方にいまでも変わっておらないというふうに確認をしてよろしいですか。
  61. 山梨晃一

    ○山梨説明員 ただいま先生おっしゃいましたように商工委員会資源エネルギー庁長官が答弁しておりますが、先生がおっしゃったのと若干ニュアンスが私ども違う受けとめ方をしておるのでございますけれども、当面は二本柱と申しますか、流通機構の整備拡充とPRの強化ということで臨みたいという話をしておりまして、その二つの対策で対応できないという時点が参りましたならば、新たな対応を検討しなければいかぬというときに、その検討する段階で確かに、業法と先生おっしゃいましたようなことも踏まえて検討することになるだろうという答弁だったと記憶しておりますが、私どもその考え方は基本的にいまも変えていないつもりでございます。
  62. 松浦利尚

    松浦委員 理解しました。  それから、答弁の二つ目の重大な問題点は、商取法八条の適用というのは、政令に指定した商品以外は対象にならないという御答弁であります。従来の政府の、内閣法制局の見解を百八十度転換された御答弁が出ておるわけでありますけれども、ということになりますと、将来政令指定品目以外の先物取引行為というのが行われる可能性というのは十分に想像されるわけです。そういったものに対する対応はいま政府の方ではどのように将来の問題としてお考えになっておるのか、その点をひとつお聞かせいただきたいと思います。
  63. 細川恒

    ○細川説明員 御指摘のように商品取引所法は、その特定の商品の価格の形成の公正化といいますか、その他幾つかの目的から、当該商品の先物取引それ自体を特定の商品取引所に集中させるということでございまして、しからば御指摘のようにその政令指定品目以外の商品の先物取引というものについてはどのように考えるかということでございますが、それぞれの商品の生産、流通の実態を十分に踏まえなければなりませんし、また加えまして、その先物取引にかかわります一般消費者保護の必要性があるかどうかという点も考えなければなりませんので、そのような点を踏まえた検討をしてまいりたいと考えておりまして、私ども近く学識経験者等によります検討の場を設けて対策を講じていきたいと考えております。  なお、本解釈によりまして悪質な先物取引が金以外にも蔓延するのではないかという御懸念があるいは御質問の中にあろうかと思うのでございますが、その点については、先物取引として一般消費者をも巻き込んで広がっていくおそれがあるものといいますのは、消費者の観点から見まして何らかの意味で取引に誘惑を覚えやすいもの、加えましてその値段が上がったり下がったりするという意味における相場商品である性格を持ったものの場合に、いま問題になるような先物取引まがいのものが出てくるのだろうと思うのでありますが、そういうものにつきましては、当面金ということの対応で十分対応できると思っております。そういう時間が若干あると考えますので、その間に十分な検討を先ほど申し上げたような形で行いたいと考えております。
  64. 松浦利尚

    松浦委員 学識経験者を中心として検討する場というのは審議会みたいなものですか、そういうものですか。
  65. 細川恒

    ○細川説明員 いきなり審議会の場ということになりますかどうかあれでございますが、審議会も含めまして、いずれにいたしましても公式の場で検討ということを考えております。
  66. 松浦利尚

    松浦委員 その場合に、やはりこういうのは被害に遭った者の意見というのが相当大きなウエートを占めてくると思うのですが、被害者の代表といってもどういう人が適当か私はわかりませんけれども、その被害者の代表をそれに参加させるというようなこともあわせ御検討いただきたいと思うのですが、どうですか。
  67. 細川恒

    ○細川説明員 貴重な御意見として承ります。  検討に当たりましては、経済の実態及びその被害者の保護という観点から迫らなければならぬ問題でございますから、広く意見を求めたいと思っております。
  68. 松浦利尚

    松浦委員 私は被害者の代表、消費者の代表を入れるべきだということは決しておかしくないというふうに思いますので、ぜひその実現方をお願いしておきたいと思います。いまの御答弁の中にはそういうものも含まれておるというふうに理解をさせていただきたいと思います。これはひとり言です。  それから次に、三番目に問題になりますのは、これはきのうの法務委員会でも、わが党の横山委員から質疑が法務省、通産省等に出されておるのですが、香港の商品取引所で実はことしの夏から金の上場が行われるという情報が流れておるわけです。そういう情報はもうすでに理解しておられますか。
  69. 細川恒

    ○細川説明員 香港の商品取引所におきまして、御指摘のように金の上場ということはすでに決定をされております。まだ明確な日時までは決まっておりませんが、本年の夏ごろということで上場を見る予定と聞いております。
  70. 松浦利尚

    松浦委員 私は、仮にこの香港の取引所に金が上場されてまいりますと、その関係による国内の消費者が非常に被害を受ける場面というのが出てくると思うのですが、特にこれは外国にかかわる問題でありますから、被害が出ますと非常に処理しにくい事件も派生する可能性もあるわけでありますが、こういった問題について、いま言われたように、情報をキャッチしておられるとすれば、どういう予防措置をお考えになっておられるのか、その点をひとつお聞かせください。
  71. 細川恒

    ○細川説明員 御指摘の点でございますが、香港に金が上場をされた場合に、わが国に消費者保護上の問題が生ずるかもしれないという懸念はわれわれもひとしく持っております。ただ、その上場自体が、先ほど申し上げましたように、まだ未上場といいますか、先の問題でございますので、実際に上場された後、どういう状況になるか、実態に即して現実的な対応をしてまいりたいというふうに考えておりますが、まだ未上場である現状においても、わが国の消費者への悪影響を未然に防止するという観点から、現在香港政庁と在外公館を通じまして対策のあり方について意見を交換中でございます。
  72. 松浦利尚

    松浦委員 ぜひいま言われたように香港政庁との間で十分検討を加えていただいて、そのことによる被害を事前に防止していただきたいということを要望として申し上げておきたいと存じます。  以上で、第一点の答弁書に対する質疑を終わらしていただきたいと思います。  続いて、大蔵省当局にお尋ねをしたいのですが、実はこれは経済企画庁長官もぜひお知りおきいただきたいと思うのです。  実は、あの例の石油パニックの当時、物価狂乱の時代に、この本委員会委員長はちょうど平林委員長でしたが、冷凍倉庫がきわめて価格操作に使われておるという実態を踏まえまして、横浜の保税倉庫等の調査をしたことを記憶しております。そして、その段階で本委員会の決議も上げておったわけであります。四月二十四日、大蔵省が保税関係にかかわる報告書を出されたわけでありますが、その内容を見ますと、きわめて重要な内容が含まれておると思います。  冷凍貨物の状況を見さしていただきますと、実はその保税地域における生鮮食料品、特に魚介類の俗に言う転売、転がしによる価格操作、これが的確に出されておるわけですね。これは閣議にも出されておったのじゃないかと思うのですが、サケ・マスが保税倉庫の中で転売された回数が最高三回、マグロが四回、エビに至っては十二回、イカに至っては十二回というふうに、その倉庫に眠っておるだけで十二回も持ち主がかわって、そのたびごとに価格が上昇する、そういう状況になっておるのですね。  そして、全く転売せずに出されたものを見ますと、エビのごときは三七%しかないのですね。三七%だけは転売せずに出されたけれども、残りの六三%というのは、もう全部転売されておる。イカに至っては四五・二%ですから、五〇%以上がやはり転売されておるのですね。そのたびごとに価格が上がる。ここにもやはり魚の値段が上がってきておる原因があると思いますね。  それから肉を見ますと、何と輸入牛肉は、驚くなかれ、十五回保税倉庫の中で転売されておる。最高十五回。それから、羊・ヤギ等が六回、豚肉が七回、鶏肉が六回という状況であります。輸入牛肉が高くなるはずですね。しかも、転売なしというのはわずかに二二%、約八〇%近くは、もう全部転がされておるわけです。これでは、安い牛肉を食べさせようという政府の発想というのは私は認められない。  そして、最近建築材が非常に値上がった、値上がった、こう言うのですが、木材を見ますと、この木材自体まで転がされておるわけですね。残念ながら、平林委員会調査をいたしましたときには木材が長期間同じ場所で滞留したことがありましたけれども、こんなに転売されたケースというものはない。南洋材が最高五回、米材が最高九回、北洋材が三回。転売なしというのは、驚くなかれ、南洋材でわずかに二%ですよ。米材で二〇%、北洋材で一六%である。極端に言うと、保税地域における長期間滞留ということよりも、問題は、確かに法律的には二年間蔵置することが可能ではありますけれども、その間にこれだけ転売されて、そのたびごとに価格がつり上がっていくということについて何らかの歯どめをかけなければ、これからもこういうことは続く。この前の石油パニックのときにもこういう状況があったから本委員会指摘をして、いろいろと政策的な提起もしておるわけでありますが、依然として直っておらぬ実態が大蔵省の発表された調査に明確に出てきていますね。私は、調査のための調査というものは必要ない、調査したからには、具体的にどう対応するのかという姿勢が必要だと思うのですね。  まず、私は経済企画庁長官に、こういう報告が大蔵大臣から閣議に、物価閣僚会議に出されたことがあるのかないのか、そのことをひとつお尋ねをいたします。そして、まず長官の感想を求めます。感想はどうですか。
  73. 伊藤皇

    伊藤(皇)説明員 お答え申し上げます。  先日、保税地域の貨物の流動状況につきまして調査を行ったわけでございますけれども、その目的と申しますのは、保税地域におきます貨物の流動とかあるいは蔵置状況、こういうふうなものが適正に行われておるかどうかということを主眼として調査をしたわけでございます。つまり税関におきます保税行政の適正化という見地から調査をしたわけでございます。そういうふうな目的でございますので、その調査の内容と申しますのは、蔵置状況、在庫率がどうなっておるか、あるいは保税地域にある貨物が寝ている期間がどれくらいあるか、あるいは先ほどおっしゃいましたような転売回数が幾らぐらいあるか、こういうことを主眼にして調べたわけでございます。  その調べた結果でございますけれども、われわれ税関行政の立場から申し上げますと、保税地域の状態というのは、先生おっしゃっております例の四十八年当時の第一次の石油パニック当時と比べますと、ずっと状況が良好でございまして、それほど混雑しておらないということでございまして、いま直ちに措置をとらなければいけないというふうな状況ではないわけでございます。しかしながら、今後、保税地域に非常に長期間大量に蔵置されて、そのままの状態でほうっておかれるというようなことになりますと、これは先ほど申し上げましたような税関行政上も、保税地域の貨物の流動が悪くなることになりますので、そういったときには関係省庁にもそれぞれお話し申し上げまして、協議して適切な措置を講じたい、こんなふうに考えておるわけでございます。
  74. 正示啓次郎

    ○正示国務大臣 いま大蔵省がお答えになったのは、大蔵省の関税行政の立場で調査をされたということですが、物価政策全体の中でこれは大事な一つの調査であるというふうにわれわれ受けとめておるわけであります。前の前かその前か、とにかくこの委員会でも魚の転がしが大変たびたび取り上げられまして、その都度マスコミにも報道されておるような点がございますので、倉庫を利用して巨利を博す、あるいは悪質な暴利をむさぼる、こういうようなやり方は消費者は絶対に許さぬ、こういう空気が日に日に濃くなりつつある。かずのこ問題をいまさら申し上げるまでもありませんし、そのほかにもたびたび取り上げられている。今度、関税行政の立場からとは申し上げましたが、とにかくこういうことを調べていただいた。これも重要な資料でございますので、早速私の方からも、また大蔵省へ積極的に事務当局同士で連絡をとりまして、そういう資料を活用してまいるようにいたしたい、かように考えます。
  75. 松浦利尚

    松浦委員 御承知のように、先般、全国の消費者物価指数と東京都区部における速報値が出されておりまして、六・四%五十五年度物価目標というのはきわめて重要な段階だと私は思います。     〔委員長退席、金子(み)委員長代理着席〕 ですから、こういうふうに政府が関与する保税地域において転売をされるということは、私は政府がなめられておるのだと思うのです。保税地域において転売行為が行われておるわけですから。ですからそういったものに対しては、もっと厳しくさらに調査をしていただいて、場合によっては関税法百六条を発動して搬出させるというような厳しい措置をとらないと、倉敷料を払ってもなおかつ長期間滞留させて、その間転売してもうかるというようなことは絶対させないのだという姿勢を見せない限り続くだろうと思うのです。そういう問題についてもひとつ明確に答えてください。
  76. 伊藤皇

    伊藤(皇)説明員 まず保税地域というもの、冷凍倉庫が保税地域ということになっておりますので、ちょっとその機能といいますか……(松浦委員「それはわかっております、大蔵委員会におりましたから」と呼ぶ)それでは百六条の発動ということでございますが、百六条というのは関税法の百六条でございます。これは関税法を実施する上で非常に重大な理由がある、阻害されるというような事態になったときに、その保税地域にある貨物について搬出命令を出すことができる、こういうような規定になっておるわけでございます。そういうふうな状態であるかどうかということでございますけれども、ただいまの保税地域の状況では、先ほどお答え申し上げましたように、今回の調査では、その発動をするほどの状態ではないというふうにわれわれは考えております。
  77. 松浦利尚

    松浦委員 そうですか。それは政府物価対策というものがそういうものだということだけが理解をされまして、要するにそういうことまでして搬出させなければ、依然としてこういう転売が次々と行われる行為を是認する。要するに法律がないのだから関税法百六条の発動もできないのだ、だから状況は良好だ、そうやるならそれは結構です。政府物価対策はそれならそれで結構です。そういうふうに理解していいですか。
  78. 正示啓次郎

    ○正示国務大臣 いま大蔵省がお答え申し上げたのは、関税法上、また関税行政上の立場から言うと、そういう百六条の発動には至っていない、こういうことを申し上げたわけです。  そこで、私の先ほどの答弁は、あるいは真意を御理解いただいたかどうか。これは打てば響くような松浦委員と私との間柄ですから、御理解いただいたと私は思うのです。結局、こういうことを決定するのは最終の主権者である消費者である。消費者はそういうことを黙認をするようなときではない。かつては転がしで大もうけをする、しかもそれが政府の保税倉庫を利用してそういうことをやる、もしこういうことがわかりましたらとても消費者は許さない。そういう雰囲気といいますか、センチメントが世の中に徹底的に行き渡っている、こういう理解のもとに私は先ほどお答えしたのです。そういう状況のもとでもし不届きな巨利を博する、暴利を博するというような行為が行われたら、法律による処断の前に、社会的制裁、いわゆるインフレーションはパブリックエネミー・ナンバーワンであるという信念で、私は公敵と見てそういうものを撃たなければならない、そういうことを申し上げておる。たまたまお取り上げいただいたことを私は非常に感謝します。これが非常に大きなウォーニングである、警告である。そして大蔵当局もわれわれにこれから資料を随時提供していただいて、そういう立場から、もし悪質なものがあったらこれを天下に公表して断々固としてこれをたたく、こういうふうに私はやりたいと思います。
  79. 松浦利尚

    松浦委員 それでは長官の熱意は理解をいたしました。いずれにしても早急に措置をしていただかなければ六・四はむずかしいということだけはいやがらせでなく申し上げておきたいと思います。大蔵省関係はそれで終わらせていただきます。  次に、食糧庁関係についてお尋ねをいたしますが、食糧庁は来ていないですか。——それでは経済企画庁の方でお答えをいただきたいというふうに思います。  実は、この前もここで食糧庁に来ていただいて議論をしたわけでありますが、「米飯等の外食価格の調査結果について」という報告書が四月二十四日に政府から出されました。その内容を見ますと、この前もここで指摘をいたしましたが、一割外食価格が上がりますと、物価指数に〇・七影響を与えるということの御指摘は申し上げたつもりでありますが、この四月二十四日の数字を見てまいりますと、調査点数は一万三千六百六十一点でありますが、そのうち値上げをした点数は二千五百八十三点、ですから約二割程度値上げをした、こういう調査結果になっております。しかもその調査結果を踏まえて、この前食糧庁は、いままでずっと値上げを抑えておったところが値上げをしたわけであるから、全体的には便乗値上げ等はございません、こういう御答弁でありました。しかし私は、米価の値上げ問題を含めて四月一日から電気、ガスの値上げがありました。これから米飯等の外食に影響が浸透してくるものだというふうに理解をするのでありますが、そういう判断は間違いありませんか。
  80. 藤井直樹

    藤井(直)政府委員 先ほどの御指摘の食糧庁の調査につきましては、米麦価の引き上げに伴う便乗値上げの監視という作業の中から出てきたものでありますが、私どもとしましては、四月一日からの電気、ガス料金値上げというものは、外食産業にも影響を与えるということで値上がりが懸念されますので、電気料金、ガス料金引き上げに伴う便乗値上げ監視の項目に外食を加えてやっていかなければならないと思っておりまして、三月下旬までの調査は終わりましたけれども、さらに七月までこの調査を続行するということにいたしております。
  81. 松浦利尚

    松浦委員 この二割の値上げ率を見ますと三十七円平均値上げになっておるのですね。米麦価の値上げに伴う値上げが三十七円ですよ。きわめて高いですね。普通なら一円くらいでいいんだ、こういうお話もあったのですが、実際には三十七円上げたところは上がっているわけです。いま物価局長からお話しになりましたその調査は、経企庁としての調査を七月まで続けるというふうにおっしゃっておられるわけですか、食糧庁としての調査を七月までさらに続けさせるというふうに言っておられるわけですか。
  82. 藤井直樹

    藤井(直)政府委員 三月までの調査、食糧庁が全国の食糧事務所の職員を動員してやっておるわけでございますが、そういう従来の経験等からいたしますと、やはりこの食糧庁の職員が引き続き調査を実行する方が効果があるということでございまして、その調査のやり方については従来と変わっておりません。ただ調査の対象品目が従来八品目でございますが、さらに二品目を追加するということで少しその範囲を広げていくということは考えております。
  83. 松浦利尚

    松浦委員 くどいようですが、実は食糧庁は三月調査でもうおしまいというふうに言っておられたわけですが、いまの物価局長のお話を聞いておりますと、物価閣僚会議なり何なりでこういう二品目を八品目にさらに追加をして十品目の調査を食糧庁がやるというふうに理解してよろしいですか。
  84. 藤井直樹

    藤井(直)政府委員 そのとおりでございます。
  85. 松浦利尚

    松浦委員 私は、この外食産業の影響というのは六・四に重大な影響を与えるということは再三申し上げておるのですが、この二割が値上げをさせた三十七円平均という状況を見ますと、相当大幅な値上げということが予想されるわけですね。仮に、ここが一番問題なんですが、調査をした結果大幅な値上げがあったときにはどういう行政指導をなさるのか。値上げがありましたよという調査だけで終わるのか、具体的に大幅な値上げがあったときには行政機関としてどのように対応するのかということについての御答弁がまだ一遍もないのですね。その場合にはどういう形で行政指導なさろうとするのか、その点をひとつお聞かせをいただきたいと思います。
  86. 藤井直樹

    藤井(直)政府委員 これは直接には農林水産省が実行いたしますので農林水産省からの御答弁が適当かと思いますが、現在おられませんので、私の方から申し上げさせていただきますと、従来でも値上げの幅が大きいものについてはそこでその理由等についての事情聴取を行ったわけでございますが、今回さらにそれを進めまして、便乗値上げにつきましての抑制の指導も値上げの幅が大きいものについてはするということで、その指導を強めるというふうに農林水産省でも考えておられるわけでございます。  それからさらに追加いたしますと、外食産業の団体に対して従来とも二回にわたって値上げ抑制についての要請をいたしておりますが、さらに今月に入りまして農林水産省の方から三回目の要請もするということもやっております。それから、大手外食企業等の値上げの動きもございますので、そういう動きについては早期に把握していくという必要がございますので、そういう調査もこれから実施するということにいたしております。
  87. 松浦利尚

    松浦委員 よくわかりました。それではそういう適確な指導をしていただいて、ぜひ当初の目標である六・四に入れるように御協力を、御協力というより政府の施策としてやるべきだということを申し上げておきます。  六月二十九日が参議院選でありますが、六月二十七日に全国のCPI、それから東京区部の速報が出されますから、よく肝に銘じてやっていただくようにお願いをします。  ここで終わろうと思ったのですが、あと十分ぐらいありますから最後に、この前も武部委員からいろいろと御質疑がありましたけれども物価指数の関係、数字をもてあそぶのじゃないかという御議論もありますけれども、少しく詰めておきたいというふうに思います。  御承知のように四月二十五日に全国の三月消費者物価指数が出されましたし、それから東京区部速報も出されました。全国は対前月比で〇・八、平均して四・七八ということで、ほぼ四・七程度に落ちついたということで言っておられるわけでありますが、これに伴うげたが、実は私たちこの前もちょっと架空の数字でお話しいたしましたが、その数字がどんぴしゃり当たったわけでありますけれども、三・六のげたをはくということになるわけですが、それは間違いないですね。
  88. 藤井直樹

    藤井(直)政府委員 三・六%でございます。
  89. 松浦利尚

    松浦委員 それから東京区部の速報値四月を見ますと、生鮮食料品のうち一番値上がりをした野菜が二六・一%値下がりしておるにかかわらず一・六%上昇したということについては、どういう判断をしておられますか。
  90. 藤井直樹

    藤井(直)政府委員 その一番大きな原因は、電気、ガス料金値上げがございましたことによりまして一・五%弱消費者物価を押し上げております。そういうことでございますので、野菜が下落したということの一方で電気、ガス料金の改定が行われましたので、全体として一・六%の上昇があったというふうに考えております。
  91. 松浦利尚

    松浦委員 そうすると、げたの三・六とそれから東京区部の消費者物価の一・六をプラスいたしますと、すでに五・二食っておるということは言えるわけですね。四月期では五・二すでに食っておる……。
  92. 藤井直樹

    藤井(直)政府委員 いまおっしゃったのは、年度中の平均の数字として三月から三月までの年度中全体の話として見るときはそういうふうに言えますが、この一・六がそのままげたに加わるというふうに考えることはちょっとむずかしいのではないかと思います。  それから、げたの三・六%の中にございます季節商品の分が一・三%ございます。一・三%あるということは、三月末の野菜の前年同月比が七二・五%ということでまだ三月末におきましても非常に高値にございましたので、それがげたを大きく押し上げているわけでございますが、四月に対前年同月比が一八・七%というふうに下落してきておりますので、そのげたは四月におきましてかなりの部分消滅しているというふうに考えておりますので、前から申し上げておりますように季節商品を除く一般商品、サービス、公共料金等の合計につきましてのげたというものがこれからの物価を議論するときのげたではなかろうかと考えております。
  93. 松浦利尚

    松浦委員 だけれども、東京区部の速報値を見ますと、先ほど言いましたように二六・一%下落をしておるわけですけれども、野菜を前年同月比で比べてみますと一八・七%まだ高いのですね。ですから一六・七%下落をさせますと去年並みに野菜がなるわけですね。そうすると物価指数は幾ら下がりますか。
  94. 藤井直樹

    藤井(直)政府委員 一八・七%下がりますと大体〇・五%ぐらいでございます。
  95. 松浦利尚

    松浦委員 そうすると昨年同月比まで落としましても、それ以下に下げるなら別だけれども、〇・五しか働かぬということになれば、三・六のげたのうちの〇・五だから三・一はげたに残るということに数字上はなりますね、前年同月の野菜に抑えれば。数字的には間違いないでしょう。
  96. 藤井直樹

    藤井(直)政府委員 すでに三月から四月にかけて下がっている分がございまして、その上に四月に一八%下がるということでございますから、一八%の〇・五というのはそれだけで計算するのではなくて、四月にすでに落ちた分も合わせて考えなければいけないということでございます。
  97. 松浦利尚

    松浦委員 先ほど言いましたように、野菜の状況が東京都で見た場合四月で前年同月よりも一八・七%高いのです。ですから、全国のものはげたでこっちへ来ているわけですから、三・六というのはもうげたで四月に繰り越されておるのですよ。だから、東京区部で野菜が下がったと同じように全国的にも野菜が下がるだろうという前提に立って、東京区部の消費者物価は野菜が下がっても一・六押し上がっておるのですから。ですから、全国も一・六上がらないという理由はないのです、いままでは東京区部よりも全国の方が上がり方が速いのですから。ですから、仮に全国も一・六なら一・六になるというふうに仮定をして計算をして、そして後いろいろ努力をして先ほど言ったように前年同月比と同じように野菜をしたときには全国的にも〇・五ダウンするわけですね。そうするとげたは三・一残る、こういうことなんですね。
  98. 正示啓次郎

    ○正示国務大臣 数字の方はいまちょっと別に局長が資料を集めているようですから私がちょっと答えますと、野菜は決して不当に下げるということでないこと、正常化する、それを松浦委員は前年度と同じにとおっしゃいますが、これは需給関係がありますので、何が正常かというところは、必ずしも前年度の数字が正常であるとは申し上げかねると思うのです。これからいろいろ御議論はあるのでしょうが、恐らくことしは農林水産省では野菜については相当の余裕を持って作付をしてもらって、そして本当に供給不安なからしめよう、こういう政策をとっておることをまず申し上げておきます。しかし、これは正常化しようということで、決して不当に下げようということではないこと、これが一つ。     〔金子(み)委員長代理退席、委員長着席〕  それからもう一つは、五十四年度は低いところからだんだんだんだん高くなっていきまして、それでしまいが高かったものだからげた論が非常に盛んなんですが、五十五年度は逆に高いところからだんだんだんだん正常的な姿になっていく、そこではいてきたげたがだんだん暖かくなって雪が解けるように解けていく、こういうふうにお考えをいただくと、その解け方が一体どの程度か。一方では円高が来ておりますから、これはまた卸売物価その他へ波及していきます。そんなようなこと全体を考えますと、私どもは六・四は決してここで絶望的だなんて考えるのではなくて、やはりこれを目標にして最大限度の努力をしていくべきものである、こういうふうに考えていますが、数字のことは事務当局から詳しく申し上げます。
  99. 松浦利尚

    松浦委員 それではもう時間が来ましたから、これはきょう余り議論をするつもりはありませんでしたが、時間があったのでちょっと議論をさせていただいたのですが、ただ私が言おうとしておるのは、下げることを言っておられますけれども、これからNHK、国鉄運賃、こういったものが続々と値上がりをしていくわけですね。ですから、一生懸命行政が抑えるための努力をしても、片一方で押し上げる要因というのが非常に多いわけですよね。ですから、そういったものを計算していくと六・四%というのは口で言うほど容易なものじゃないのですよ。ですから、それに対応する政府の行政指導なり手当てというものがなければ、口先だけではむずかしいのですよということを言いたいわけなんです。ですから、その点については政府の言われることもよくわかっておるつもりですが、非常にむずかしいわけですから、物価抑制するということは本当に政府が公約にひとしく言われたことでありますから、ぜひその実現についての努力をお願いしたいということを最後に申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。
  100. 正示啓次郎

    ○正示国務大臣 全力を尽くしてやります。
  101. 松浦利尚

    松浦委員 終わります。
  102. 井上普方

    井上委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後零時五分休憩      ————◇—————     午後二時六分開議
  103. 松浦利尚

    松浦委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  委員長所用のため、委員長の指名により私が委員長の職務を行います。  質疑を続行いたします。小野信一君。
  104. 小野信一

    小野委員 一挙に円高ドル安に転換したようでありますけれども物価にとっては喜ばしいことなんだろうと思います。今後の物価の推移についてどのように分析しどのように予想し、特に今後の物価対策としては何が中心課題になるのか、最初に大臣の所見を伺います。
  105. 正示啓次郎

    ○正示国務大臣 いま御指摘のような円レートは、アメリカの金利が急激に下がっておるというようなことが原因となって円高ドル安という形になっておりますが、これがどの程度長続きするのか、また勢いとしてこれからどういうふうな経過をたどっていくか、なかなか簡単に即断できないと思うのです。そこでそういうことを含めまして慎重に内外の情勢を見守っていくべきではないかと考えております。特に石油、きょうはちょうどサウジアラビアでOPECの総会も行われておるようでございますけれども、この問題はなかなか楽観を許さない点だろうと思うのです。たとえばメキシコへ相当量の輸入の増加を期待いたしたのですけれども、これも簡単にはいきません。そんなようないろんな好材料また暗い見通しというふうなことをあわせまして私どもは悲観も楽観もせず、今日まで続けてまいりましたように海外要因による卸売物価の高騰、これをもできるだけ抑えることは当然でございますけれども、これが国内の製品製造過程を通じまして各消費者物価に波及しないようこれを従来どおりかたく努力を続けていくとともに、国内のいろいろの消費者物価の材料になる特に生鮮食料品その他の生活必需物資について不断の努力によって今後安定的な供給を確保していくように努力をしまして、五十五年度の私ども見通しをぜひとも達成するように努力をいたしたい、これがただいまの基本的な考え方でございます。
  106. 小野信一

    小野委員 四月の前年同月対比の物価上昇率は七%台になったことは御存じのとおりで、あるマスコミ関係あるいは経済関係者に言わせますと一〇%台、二けたになるのではないか、こういう予想を立てるあるいは心配しておる人もあるわけですけれども、この物価上昇に対して国民はインフレーションという言葉を使っておりますけれども、大臣あるいは経企庁の局長にいたしましても物価騰貴という言葉は使いますけれどもインフレーションという言葉を使ってくれないわけですけれども、現在政府はこの物価の高騰をインフレという定義づけをしておるものなのかどうか、あるいはそうじゃない、まだインフレーションと呼べないという考え方なのか、お聞きいたします。
  107. 正示啓次郎

    ○正示国務大臣 インフレーションの定義というのは、この委員会でもかつて問題になったわけでありますが、われわれはインフレを克服するための努力をする、これが総合物価対策である、こういうふうに考えて。金融や財政その他個別物資の対策を通じましてインフレとの闘い、これを悪化させないように、大きく分けまして海外要因からくるインフレ的な影響というものは、これは否定できないわけです。それをホームメードインフレーションに転化させないようにいま申し上げたような努力をする、こういうことだろうと思うのです。  そこで、もうインフレだと言ってしまいますと、非常に消費者の方々にも悪い影響もございますし、また実際まあインフレ的傾向というのはときどき指摘されますけれども、全般的にはまだ健全な運営が行われておるという意味において、われわれはインフレとの不断の闘いをやっておる、こういうふうに考えておるわけでございます。もちろん油断もすきもないインフレに対する備え、インフレ克服のための努力というものは、これはもう不断にたゆまず怠らずやっていかなければならぬ、かように考えておるわけであります。     〔松浦委員長代理退席、委員長着席〕
  108. 小野信一

    小野委員 たとえば石油価格それ自体の値上がり、これがどんなに上がっても、やはりインフレとは呼べないのではないかという気がするのです。それにプラスいろいろな要素が加わって物価上昇するときにインフレと呼べると思うのです。  局長にお尋ねしますけれども、われわれがインフレと呼ぶ場合に、どのような条件を具備したときにインフレと呼ぶのか。あるいはどんなに物価が高騰しても、逆に言って、こういう基本的な条件を備えていないからこれはインフレと呼べないのだ、こういう分析ができると思うのですけれども、インフレの定義に対して、現在の日本経済物価上昇を当てはめましてどのようにお考えになっておるのか、お伺いします。
  109. 藤井直樹

    藤井(直)政府委員 物価が上がっていく要因というのはいろいろあるかと思いますが、大きく分けますと需要面の問題とコスト面の問題があるわけでございます。  需要面の問題としては、当然のことながら民間、財政ともに需要が非常にオーバーな形で伸びていく、超過需要ということが出てまいりますと、物価が上がってくる、さらにそれにマネーサプライの増加影響をいたすものだと思います。一方輸入品が上がってくる、さらには賃金コストが上がるというようなことで、コスト面からの物価押し上げ要因というものが出てくるということで、需要サイドそしてコスト面ということで両面から物価上昇が出てくると思いますが、私どもはやはりそういう物価上昇というのが非常に継続的に行われて、かつ相当広い範囲にわたってそれが出てくる。そしてそういうことがさらに進んでまいりますと、いわゆるインフレ心理というものが非常に高まってきて、国民の方々がいまのうちに物を買っておこうということで、いわゆる換物行動に移っていくというようなことになっていくとますます物価が上がってくるということになりますので、それが悪性インフレの現象であるというふうに言えるのではないかと思っております。  そういう意味で考えてみますと、現在の原油価格上昇という問題に端を発しました物価上昇ということについては、先ほど委員も御指摘のとおり、いわゆる相対価格が変化していくという過程がかなりその中に入ってまいりますので、全般的な物価上昇ということになるためには国内にインフレ心理が蔓延して、そしてそれが次々と連鎖的に価格の上昇を招いていくということなったときに、それはまさにインフレであるというふうに理解されるわけでありまして、私どもとしてはそういう海外要因の国内への影響をできるだけ最小限にとどめたいという努力をいたしておりますのも、そういうことにならないようにということを願っておるわけでございます。先生がおっしゃったような感じではないかと私どもも考えております。
  110. 小野信一

    小野委員 五十四年度の消費者物価の上昇は四・八%ですかにとどまったようでありますけれども、五十五年度の消費者物価見通し六・四%、これに抑えようとしておるわけですけれども、六・四%という数字を算定した基礎といいますか、あるいは六・四%の構成内容といいますか、四・八という物価が五十四年度に明らかになった以上、できましたら改めて少し説明していただきたいと思います。
  111. 藤井直樹

    藤井(直)政府委員 五十四年度の消費者物価は、結局年度平均いたしますと、二けたまで申し上げますと四・七八%程度でございます。  そこで五十五年度の物価でございますが、私ども一年間の物価上昇を見込む場合には、経済見通しの一環としてこれを見込んでいくわけでございます。そういたしますと、先ほどの御説明と同じことになりますが、経済の活動の中では需要面の問題がまず一つある。そしてコスト面がどうなるかという問題がございますので、需要面につきましては個人消費支出がどうなるか、それから民間投資がどうなるかというようなことで、需給関係を規定するものについての検討をしなければなりません。一方コスト面としては、輸入価格がどうなるか、賃金がどうなるかというようなことを検討しなければなりませんので、そういうようないろいろな諸元について経済見通しの中にあります数字を使いまして、そして全体として経済全体の動きと整合性のとれた形で物価というものを算定しなければならない、そういうことでございまして、いわばマクロ的に物価見通しを立てているわけでございます。そういうことの結果、成長率については四・八%であり、消費者物価については六・四%ということになったわけでございますので、少なくとも年度始まる前の段階見通しとしてはそういうマクロ的なものにならざるを得ない。これが新年度に入りましてかなりの時間経過してまいりますと、だんだん実績が積み上がってまいりますので、季節商品その他についてのある程度の大枠を設けたような検討ができるわけでございますが、現在の段階ではそういうことで全体の経済見通しの中でマクロ的な算定をした結果、六・四%というものが出てきたというふうに考えるわけでございます。
  112. 小野信一

    小野委員 現在、五十五年度の物価上昇見通しが狂うのではないかという予想が立てられておるわけですけれども、この狂うという予想を立てられる最大の根拠、五十五年度の見通しと実際どこが一番違ったところなんですか。
  113. 藤井直樹

    藤井(直)政府委員 一般的に各種調査機関あるいは金融機関等の見通しでかなり高い数字が出ておるわけでございますが、どうしてそれが高い数字になってきているのかということについては、私どもとしてもその内容を承知できませんのでにわかに判断できないわけでございますが、これはモデルを通じて出してきているわけでございますので、要するに物価に対するいろいろな諸要素の感応の度合いがモデルによって高いものがある可能性は十分あるわけでございますので、その辺についての違いがかなり出てきているのではないかなと思うのでございますが、何分モデルそのものについての内容というものが余り明らかにされていませんので、にわかに内容を比較しての御説明はいたしかねるわけでございます。ただ去年五十四年度の物価上昇についても、最初の段階かなり食い違っていたこともございますので、どうもその辺についての動きと今回もまた同じようなことになるのではないかなと思っております。
  114. 小野信一

    小野委員 いままでの答弁を聞きましても、物価高騰の原因は主に海外要因あるいは輸入インフレということを言われるのですけれども、できれば輸入インフレ、海外要因というものはどういうものを基本的に指しておるものなのか、少なくとも二つ、三つの要因を教えていただきたいと思います。
  115. 藤井直樹

    藤井(直)政府委員 一番はっきりいたしておりますのは、卸売物価の中で加工段階別に分けた数字がございますのでそれをまず申し上げますと、輸入原材料を中心といたします素原材料というのが三月末で昨年に対しまして七三・七%というふうな上昇になっております。そこで、その素原材料の次の段階、すなわち生産財等になりますが、いわゆる中間品につきましては二六・六%の上昇、そしてそれが完成品ということになってだんだん消費者の段階に近くなるわけですが、これが六・〇%の上昇ということになっておりまして、輸入原材料が非常に上がっているということがその中からうかがえるわけです。しかし一方でまた、その輸入原材料を使用されていく加工段階においては漸次そのコスト上昇要因が吸収されてきているということもわかるわけでございます。  そこで、もう少し商品の中身で申し上げますと、たとえば石油関係、これはまさに輸入品そのものの代表的なものですが、これが昨年に対して一〇六・七%、約二倍でございます。それから化学製品は、石油から出てくるものとして考えられますが二九・七%、丸太とか牛皮とか天然ゴムというような食糧以外の農林産物が四〇・五%、そういう木材等から出てきます製材関係のもの、製材木製品と言っておりますが三五・六%、さらに、もっぱら海外に依存することの多い非鉄金属が五四・六%ということでございまして、こういういま申し上げたようなものだけでただいまの卸売物価の上昇の約七割を占めているということになっております。そういうことから申しましても、輸入品価格の上昇の影響はきわめて大きいということが言えるのではないかと思っております。  同時に、賃金コストがどう決まっていくかということが物価に大きな影響を持っておりますが、生産性の向上が非常に大きい反面で賃金の上昇もモデレートな形で決まってきておりますので、賃金コスト全体としての物価押し上げ要因というのは非常に少ないということも言えるわけでございます。それは、すなわち国内要因が非常に少ないということを意味しているわけでございます。全体を判断いたしまして、輸入品による価格上昇という色が非常に濃いというふうに考えております。  それで、これがまたその波及の過程で増幅されることのないようにということで、物価対策も需要面の管理とか個別対策等両面から対策を講じて、そういうことのないようにしていこうというのが現在の私どもの考え方の基本でございます。
  116. 小野信一

    小野委員 国内価格に比較する場合に、ドルで比較するんじゃなくてドルを円にして比較するものですから、物価の上昇、原材料の輸入が計算される場合に為替相場によって非常に大きく変動する。そうしますと、為替相場は御存じのように金融政策によってかなり大きな変動を持つ、マネーサプライを落とすことによって円高に持っていく、そういうことによって海外のドル建ての単価を円にかえる場合の相場をかなり抑えられる、こういうことは当然お互いに知っているわけですけれども、金融政策によって変えられる円相場というものを海外要因と呼んでいいものなのかどうか。その点はどうお考えになりますか。
  117. 藤井直樹

    藤井(直)政府委員 まさにおっしゃったように、輸入品についてはドル建て価格の動きとそれを円に換算するときの円レートの問題がございます。最近少し行き過ぎた円安の是正が行われておりますが、現在までの円安傾向は、国内的な要因というよりはこれもまた海外的な要因で円安が進展しているのではないかというふうに思われます。現実にいまの是正されている円安傾向というのは、アメリカの非常に高い金利がいま下がってきていることによって出てきていることでもわかりますように、かなり海外での動きを反映した円安傾向ではなかったかと思うわけでございますので、日本の経済の運営が非常にまずくて物価が非常に上がって円安になっていくということであればおっしゃるようなことがあるかもしれませんが、いままでのところではそういうことはないのじゃないか、かなり海外の要因によって左右されてきた円レートの動きではないかなと思っております。
  118. 小野信一

    小野委員 私が心配するのは、輸入インフレあるいは海外要因と言えば国内の需要政策によって抑えることのできない要因であるという感じで政府なり国民が見てしまうというところに大きな問題があるのじゃないか、そう考えるわけです。要するに責任放棄の範囲を拡大しやしないかという心配があるものですからこういう質問をするのですけれども、金融政策の及ばない輸入インフレあるいは海外要因というものはどういう範囲のものなのか、それを説明していただかないと私ちょっと納得しかねるのですけれども、できれば大臣の所見をお聞きしたい。
  119. 正示啓次郎

    ○正示国務大臣 いま物価局長小野委員で質疑応答されましたが、その辺の限界をどこに置くかは非常に微妙なんですね。しかし、確かに最近までの推移を見まして、日本銀行の公定歩合政策あるいは大蔵省の財政の執行に対する非常に慎重な構え、こういうものがいわゆる経済のファンダメンタルズという意味において最終的に円相場の安定というところに相当大きく寄与しておるということは、いま小野委員が金融政策を御指摘になったけれども、財政政策もまさに同じようにそういう効果があったと思うのです。そうすると、そういうものがまずかったときは、海外要因じゃないじゃないか、国内のやり方がまずいから円相場が下落したんだということはまさにそうだと思うのです。第一次石油ショックのときは私は確かにそういう傾向があったと思うのですよ。その教訓が非常にございましたので、今回は財政、金融政策ともにその点は非常に早目早目に先手を打って、とにかく原油価格の高騰を主因にする卸売物価の高騰があっても、需要供給関係から国内においてはそれをホームメードインフレに転嫁しないように総需要の管理というところまでやってきたわけですね。だから、責任転嫁論というのは私は許せないと思うのです。第一次石油ショックのときのようなやり方をやったら、これは非常に大きなミスです。しかし、今度はいままでのところ、日本のやり方というものは諸外国からもとにかく相当高く評価されておるのですから、この努力によって基本的に日本経済のファンダメンタルズを堅実にしていく、こういう政策をかたく守っていかなければならぬということが第一に言えると思うのです。そこでだんだん詰められて、一体どういうところから政府の責任になるかということになるんだろうと思うのですが、私はやはり責任転嫁論は許されない、さっき申し上げたとおり。だから海外から来るものが高くなっても、物価政策というものはもうやむを得ないんだというふうにやってしまったらこれは第一次石油ショックのときのようになってしまうという意味において、やはり総需要を適切に管理しながら、全体のマネーサプライも厳重に管理、コントロールしながら、しかも個別物資に対して需給関係を適応させるような努力を絶えずやっていく。それから一番大事なのは賃上げ、コスト・プッシュ・インフレーションを起こさないようにやっていく、こういう点において私は経営者と労働者の間の良識というものは大きな作用をしておる、こういうふうに評価しておるわけであります。
  120. 小野信一

    小野委員 コストインフレーション、コストプッシュについては別な機会に議論をさせていただきまして、たとえば昭和四十八年の第一次オイルショック以来、世界的にインフレが進行する過程で、マネーサプライの操作によって最もインフレーションを低く抑えたのは西ドイツだ、こう思います。ところが逆に、西ドイツとは逆な政策をとって海外インフレを輸入するような形をとったのがイギリスだと思うのです。同じそういう理屈は、理論はみんな知っておりながら、片方ではAの政策をとり、片方では逆なBの政策をとるという、なぜこういう違った政策がとられるものなのか。私はまことに大きなこれからの金融政策を実行する場合の研究課題だろうと思うのですけれども、他山の石として、西ドイツの金融政策とイギリスの金融政策について、局長もその点どういう研究をなさっておるのか、お聞きしたい。
  121. 藤井直樹

    藤井(直)政府委員 石油ショック以後の動きで一番大きな違いは、早く物価上昇に着目をして総需要抑制というような政策をとった国が、結局その物価の安定によってまた景気の回復をもたらすことができたということにつながってきておりまして、その代表的なものが西ドイツであり、また日本もその次に位するのではないかと思います。一方そのときになかなか総需要を抑えるというようなことが国内的事情その他でできなくて手おくれになった国というのがイギリスであり、さらにはフランスではなかったかと思います。  そういう意味で、いわば当時から世界の先進国については二極分化みたいな動きが出てきたわけですが、その中でたとえばマネーサプライなども当然その総需要抑制のときの大きな着目をしなければならないポイントだと思います。そういうマネーサプライもそうですし、財政支出も含めまして需要を抑えることに早く踏み切った国が結局非常に経済のパフォーマンスがよくなったということでございまして、そういうことについての認識は、その後のサミットその他の各国とのいろいろなそういう問題の議論をする過程で明らかになって、各国とも同じような認識になっておる、そういうことではないかと思います。
  122. 小野信一

    小野委員 現在の円安を中心とした、円高に変わりましたけれども、インフレといいますか、物価騰貴を考える場合に、そういう金融政策も、もちろん第一次原材料といいますか、第一次産品の値上がりの場合にはおのずから限界があることは私もわかりますから、それを承知の上でお聞きするわけですけれども、問題はドル建てで計算した場合でもその価格の上昇以上に国内物価が上昇するところに問題があるのだ、私はそう思います。  そうしますと、先ほども大臣も局長も言っていましたけれども、供給側だけの原因で物価というものは上昇するものじゃない。需給、金融政策、財政政策、供給する側、この三つがどこかで狂わなければ物価高騰がない、こう言われておるのですけれども、現在までのわれわれの議論というものは海外要因、特にOPECの原油の値上がりだ、こういうことで片づけてきたような傾向があると私は思います。果たしてそうなんだろうかという疑問を持つわけですけれども、供給する側だけじゃなくて需要する側にも問題点がなかったのか、その点もし調査してありあるいは分析してあるならばお聞きしたい、こう思います。
  123. 藤井直樹

    藤井(直)政府委員 第一次ショックのときには、まさに、ユーザーである当事者、それは企業であったり消費者であったりするわけですが、そういう人たちの行動がきわめて需給関係をタイトにする、すなわち仮需を発生させたりそれから買い急ぎによって、これはもう仮需といいますか実需かもしれませんが、需要を高めたりということで、個別の商品について相当な需給逼迫が見られたわけです。そういうことで値段も急上昇したということが言えると思います。  今回の、昨年来の過程で見ますと、そういう動きというのは、部分的にはあったかもしれませんが、それが全般として見られるようなものはなかったのではないか。たとえば、昨年の初めごろ、合板が非常に値上がりしたときなども、ある程度備蓄の放出をしたことによって鎮静化した。その後は海外価格の上昇を反映した形で上昇しておりますけれども、需給が非常に逼迫したことによって値上がりするというようなことはなかった。部分的に多少あったことは否定できないかもしれませんが、前回のときのような、それが非常に各方面に起こって、そして物価上昇を招くということはなかったのではないかと思います。  それから、全般的に言いますと、第一次ショックのときの需給状況というのは、非常に稼働率が高くて、供給力に余裕がなかったということもあって、物価の上昇の大きな原因になったわけですが、今回は、昨年から徐々に稼働率は上がっておりますけれども、全体としての需給状況は非常によかった。ということは全体の経済運営にとっては非常にプラスであったと思うわけであります。
  124. 小野信一

    小野委員 マルクと円を比較した場合に、石油価格の高騰によって、片方は安くなる。円は円安になりました。しかし、マルク、西ドイツの方は、国際収支が赤字になったにもかかわらず、上昇傾向を示しました。私は、物価政策としては世界の優等生だと言われますけれども、同じ石油価格の高騰によって片方のマルクは上昇し片方の円は安くなる、こういうことはどういうところからくるものなのか、いままでの説明で納得できないけれども、どう考えればいいのですか。
  125. 廣江運弘

    廣江政府委員 昨日現在で円とマルクを見てみますと、昨日円は対ドル二百三十円八十銭、二月の末から比較をいたしますと円は八・二%上がっているわけです。ドイツ・マルクは、きのう現在で一・七八六二で、二月末に比べますと〇・七%落ちているわけです。  先生はもう少しロングレンジで、長い期間でおっしゃっていると思いますが、これはどこを基点にして見るかということにもよりますが、マルク等のヨーロッパ通貨は、大体四月の初めごろからドルに対しまして強含みに動きましたが、日本は多少それがおくれて動いたということで、いま二月の末という非常に短い期間でとりますとこういうことになったということを御報告したわけでございますが、一体、長い目で見て、それを、いま先生の言われましたように、マルクの方が強くて円が弱いと言い切れるかどうかというのも、一概には言い切れないのじゃないかと思っております。いま二月末との比較でもわかりますように、このところ、円のいまの動きが、これが長期的なものかどうか、基本的なものかどうかという点はございますが、一概にドイツのマルクと円をそういうふうにも言い切れないと思います。
  126. 小野信一

    小野委員 経済企画庁の資料で見ますと、昭和五十年から五十四年までの五年間、日本とアメリカの卸売物価と円の対ドルレートを比較してみますと、五十年には二百九十六円八十銭、ことしの二月で三百七円五十銭と、逆に今度の方が安いのですね。現在の円レートで考えますと、逆に競争力がまだあるのじゃないか、こう数字からは出てくるわけです。  私は、これだけ不景気だと言われながらも輸出力が伸びた最大の理由は、実質為替レートが安かったからだ、こう考えるわけですけれども物価対策から考えますと、逆にマネーサプライをもう少し抑えて、インフレ要因の輸入を阻止するということができたのではないかというようにこの資料からは判断されるわけですけれども、いかがですか。
  127. 正示啓次郎

    ○正示国務大臣 いま、どういうふうに解釈するかという点で小野委員は、こういう金融政策をやったらあるいはまた違った姿になったのじゃないかという点を御指摘になろうとしておると思うのですが、やはりいままでも日本銀行当局でも、私どもも申し上げてきたように、円は過小評価されてきたことは事実なんですね。最近それが是正されつつある。そのきっかけをつくったのが、異常なアメリカの高金利政策がやや正常の方向に向かいつつあるというふうなこと、それをきっかけにいたしましたけれども、本来、円の実力というものはもう少しドルに対して強くあるべきである、こういう認識が基本にあったわけですよ。そこで、仰せのとおり、マネーサプライをもっと締めたらあるいは円はもっと強くなったのじゃないかというふうな点については私どもは、さっきざっと申し上げたように、日本の経済のファンダメンタルズというものは、これは確かに、インフレ率で見てもアメリカやイギリスなんかと非常に違うんだ、西ドイツに近いんだ、こういう認識でずっと来ておりましたから、いま円がドルに対して若干強くなってきても別に不思議ない、こういうふうにさらっと考えておるわけでございます。問題は、これから財政金融政策その他の政策でまずいことをやって、それこそファンダメンタルズが悪いのだから円はこんなに落ちていくというふうなことのないようにしっかりやっていかなければならぬ、いまの時点で私が申し上げられることはそういうことだろうと思っております。
  128. 小野信一

    小野委員 局長、見解をお聞きします。
  129. 藤井直樹

    藤井(直)政府委員 マネーサプライで抑えていくということは結局、ファンダメンタルズの改善をするためにそういうことが必要であるというようなことになっていくのではないかと思います。それは、たとえば国際収支が非常に悪いということでその国際収支を改善するために国内を抑えるというようなこともあり得るわけですけれども、しかし現実には、ファンダメンタルズの方の動きから見て日本の円安が進んだとは思われないわけでございまして、やはり昨年来の動きの中には金利差の問題がかなり大きなウエートを持っておりますし、それから一部、石油に弱いというような風評が国際的にあって、そしてレートを弱めたということもあったかと思います。そういうような一連の動きの中で円レートが動いてきたということでございますので、マネーサプライを締めるということによってそれを阻止すべきではないかということになりますと、その点については、いまの円安の原因がそういうことによって是正されていくような、そういう必要性ということになるといささかとりにくいのではないかと思うわけでございます。現実にアメリカのインフレ政策の採用によって高金利政策がとられている。そして、それが著しく日本の円安を招いている。そして、現在それが一部是正されつつあるということに伴って円高になっているということも、そういうようなことを示すものではないかと思っておるわけでございます。
  130. 小野信一

    小野委員 第一次オイルショックのインフレーション、その次に来るスタグフレーション、この経験から、マネーサプライの上昇率を抑えるという重要度、マネーサプライの操作が非常に政府の中にウエートを増し、マネタリストの経済発言が非常に重要視されてきたということは非常に大きな成果だったと思うのです。  そこで、やはり経済企画庁が発表している国民所得統計年報でわが国の物価を調べてみますと、昭和三十年から五十二年まで二十二年間、国民総生産が実質で十六兆八千九百八十四億円から百五兆三千六百二十六億円と六倍になっております。したがって財貨サービスも六倍になったんだろう、こう考えられるわけですが、これに対して、貨幣、日本銀行券はこの間二十二倍になっております。要するに財貨サービスの供給増加の三・五倍強になっておるということになります。物価を見ますとこの間三・五倍の騰貴です。要するに、物価と貨幣供給量との関係は、長期的に見ますとかなり安定しておって、国民生産の実質成長率を超える部分については物価騰貴になっておる。これがはっきりうかがえるわけですけれども、マネーサプライのそういう作用をこの数字から、経済企画庁が発表しておるこの資料からそういう判断をして間違いないですか。
  131. 藤井直樹

    藤井(直)政府委員 いま非常に長期的なトレンドでお話があったわけでございますが、一応いま国民総生産に対してどのくらいのマネーサプライがあるかということで、分母を国民所得にしまして、そしていわゆるM2でございますが、これを分子にした数字でマーシャルのKというのがございますが、このマーシャルのKというのは実際、経済の発展に伴ってどうなっていくかということが問題になるわけでございます。これが著しくトレンドを外れて高くなるというようなことになればこれは少し行き過ぎだなということにもなりますし、それから、下がっておれば少し景気にもよくないなということになるわけでございますので、トレンドをどう見るかということがこの場合一番問題になるかと思います。それは、現金保有の形態がどうかとか、それから、企業がそういう支払いに対してどういう資金を充てるかというような、いわば商慣行の変化等もあるわけでございますが、そういう意味で言えば、マーシャルのKというのはやや上昇の傾向にありますが、そのトレンドから外れることのないようにというのがマネーサプライのコントロールの一つのポイントではないかと思うわけでございます。したがって、三十年代からのお話について私いまここで初めてお聞きしましたので明確なお答えをいたすことなかなかむずかしいのでございますが、大まかに言って、GNPと貨幣数量、マネーサプライとの関係についてはいま申し上げたような関係があるのではないかと……。
  132. 小野信一

    小野委員 昭和三十年から五十二年までの二十二年間の国民総生産それから物価、こういうものから言って、マネーサプライと国民実質成長率とは明らかに関係があるということが言えると私は思う。短期的に見ましても、第一次オイルショックの場合の原油の値上がりによって起こった物価騰貴と、その前の三年間の二〇%を超えるマネーサプライの上昇率によって、そのことによって物価が騰貴しておるのに原油価格が上がることによって火をつけた、こういう関係に考えるべきであって、原油の値上がりがあって、それが当時のインフレーションを起こしたんだという考え方は明らかに本知転倒だと私は思うのですけれども、いかがですか。
  133. 藤井直樹

    藤井(直)政府委員 先生のおっしゃるとおりだと思います。前回の石油ショックのときの値上がりが卸売物価も消費者物価も一緒に上がっていくという状況が出たことにつきましては、その前から二けた物価上昇が続いていたということがあるのが非常に大きな原因だと思うわけです。そして同時に、そういうような上昇があったということの背景にマネーサプライが二〇%台で四十一年くらいから続いていたということが大きな原因であったということもそのとおりだと思います。
  134. 小野信一

    小野委員 そうしますと、なぜあのときにスタグフレーションに突入したのかという問題が出てまいると私は思うのです。要するに、物価の騰貴がある反面、経済成長がなかったということ。なぜ四十六年ごろから急に日本の実質経済成長率が、あるいは潜在成長率でもいいのですが、なくなったのかということについてお聞かせ願いたい。
  135. 正示啓次郎

    ○正示国務大臣 これがわれわれがインフレの克服を何よりも優先しなければいかぬと申し上げておることの貴重な体験からくる私どもの主張の根拠なんです。一たんインフレになりますと、もうこれはちょうど人間の体が病魔に冒されたように、その根源を除いてしまわないと、立ち直ると言ったってぐらぐらではだめなんですね。その基礎をつくっていくためにはインフレを克服しなければならぬ。それに全治三年とかあるいは四年もかかるというふうなことになってしまったのでございまして、われわれがいまいろいろと皆様方と御一緒にインフレにしないように、海外からいろいろの影響を受けるけれども、それをどこかで吸収して日本の経済をとにかく堅実に持っていこうと言っておるのは、いま小野委員が御指摘になったように、前回はとにかくインフレに陥ってしまって、そこからスタグフレーションの過程を通って、そして健全に立ち直るまでにあれだけの苦しみと長い時間がかかった、こういうふうに学習的にわれわれはいま体験を反省しておるわけであります。
  136. 小野信一

    小野委員 当時のインフレーションあるいは今回の物価騰貴、第一次オイルショックの後にはスタグフレーションに入りました。今回も再度スタグフレーションに突入する可能性はないものなんですか。それに対する歯どめがきちっとかかっておるものなのか、それに対する対策をお聞きします。
  137. 正示啓次郎

    ○正示国務大臣 それをしてはいかぬということでたびたびこの委員会の委員の皆様方からも御鞭撻をいただいておるわけでありますが、私はいま少なくとも日本の国民が挙げて前の苦い経験を再び繰り返してはいかぬ、こういうことで消費者も労働組合の方も経営者の方もまた国会も政府も一体になって、インフレを悪化させスタグフレーションの過程をたどることのないようにということで堅実に経済を運営していく、それにはまずインフレを克服することが先である、こういうことでやっておるというふうに認識をしておるわけでございます。
  138. 小野信一

    小野委員 なぜ潜在成長率がインフレになると低下するのですか、その点。
  139. 正示啓次郎

    ○正示国務大臣 これは手近に申し上げると、計算が立たぬわけですね。企業の経営計画が立たぬ、家計での生活設計ができない、堅実な生活もなければ堅実な経済の運営はならぬ、そういうことですから、基礎をしっかりと固めて、そこに省エネルギーのための設備合理化投資とか、あるいはこの間電力やガスについて厳しい査定を加えましたけれども、そういう査定の枠内で何としても代替エネルギーの供給を確保していかなければならぬ、こういう経営姿勢というものが生み出されてくるわけでありますから、これをばらばらとインフレで流してしまったのでは、どこを踏ん張りにして経営計画を立てるか、生活設計を立てるか、そういうものがなくなるわけですから、これはいわゆるインフレの恐ろしいところだろうと思います。
  140. 小野信一

    小野委員 いま脱石油あるいは省エネルギーの投資がなければこれだけの原油価格が上昇した場合に経済成長率が非常に鈍化するのじゃないか、こういう説明がありましたけれども、企業は省エネルギー、脱石油投資に非常に意欲的でありますけれども、残念ながら非常に金利が高い、そうしますと当然金利が下がるのを待つ、投資を差し控えることが企業側としては出てくるだろうと思う。したがって、潜在成長率を顕在成長率に転換するためにはどうしても省エネルギー投資を促進するような政策がなければならないのですけれども、現在そのような政策をインフレを抑える高金利の中で実施する場合にどのように考えればいいものなのか、あるいは実際どのような方法でこれを行っておるものなのか、お聞きします。
  141. 正示啓次郎

    ○正示国務大臣 いろいろのファイナンスの方法があると思いますが、一番手近なのはやはり増資ですね、これはもう自己資本でいくのですから。それで私は、日本の国民の勤勉さというもの、おかげさまで貯蓄率も相当高いわけですし、国債なんかも最近驚くほどまた人気が回復してきたと言われるのですが、やはり電力とかその他の有望な産業が必要最小限度の投資をやっていくというときにはまず頼りになるのは自己資本である、こういうふうに考えます。
  142. 小野信一

    小野委員 五十年前後のスタグフレーション、この最大の原因は私は潜在成長率の低下じゃないかと思うのです。そこで経済企画庁のGNPで調べてみますと、四十一年から四十七年の七年間の平均が九・五%の成長を示しておる。ところが四十八年から五十一年までの五年間は五・八%の成長を示しております。要するに低下しておる。したがって、この成長力の低下とインフレーション、物価騰貴が相まってスタグフレーションに突入したのだろう、こう考えます。今回の物価騰貴、インフレーションを克服してスタグフレーションに突入させないためには、理論からいくと、四十一年から四十七年程度成長率がないとスタグフレーションに突入する可能性が出てくるのじゃないかと考えるのですけれども、しかしそれだけの成長率というのは現在無理なわけですから、そうなりますとどこでスタグフレーションに入る歯どめをかけるのか、お聞きします。
  143. 廣江運弘

    廣江政府委員 まず先生のおとりになりました年次でございますが、四十年代前半といいますのは、これは高度成長期の大体最後でございます。     〔委員長退席、松浦委員長代理着席〕 それから先生が区切られました四十七年ごろから後といいますのは、一応成長のパターンといたしましても非常に変わってきております。それは一つには、資源有限という言葉にもあらわれますように資源の問題もございますし、労働力の問題もございますし、それから市場のサチュレートといいますか、成熟してくるという度合いもありますが、そういうものが全部基本になりまして先生が御指摘になります設備投資といったようなものに結びつき、そこから成長力がどのくらいになるかという問題が出てこようと思います。そういう非常に基本の考え方が先生の御指摘になりましたような時点を大体境にいたしまして変わってきたというのが大方の見方ではないかと思います。  ちなみに、四十年代前半の高度成長期では民間設備投資の割合といったものがGNPの大体二〇%弱ぐらいのところをいっておりましたのですが、先生が言われました時点から後、特に第一次オイルクライシスの後ぐらいはそれが一五とかあるいは九というような状況になったのが、現在は一五ぐらいになっております。そういうものが基本になりまして潜在成長力のもとが当時よりはかなり下がっておる。すなわち一〇%の実質成長を遂げた時代から現在のような六%、五%といったような成長になる基盤はそういうところから養成されてきていると思います。  そこで先生は、そういう中で設備投資等が行われないとまたスタグフレーションの温床を築くのではないかという御心配だと思います。このところ、先生も御指摘になりましたように稼働率は非常に上がってきております。稼働率が上がってきておりまして、先生の御指摘の設備投資が十分にないと能力が上がらないものですから、そこに物価の問題等が起こってくるわけでございますが、このところ示されます各種のアンケート調査等は、時期を追って高い方へ修正されてきておることは御高承のとおりだと思います。そういうものがいま御指摘の省資源といいますか省エネルギー、そして合理化投資等が中心でございますし、さらには更新投資といったものが出てきております。一部には、特に概況等においては、先ほど申し上げました稼働率との関係もございまして、能力増を求めるような設備投資も出てきておりますので、まずそういった面から能力不足になるというような形、そういう能力不足をもたらすような設備投資の不足といったものがいまのところは考えられないのではないか、むしろいまの景気を支えておりますのは、反対に設備投資が堅調であるというのが非常に大きな柱になっていることを考えるべきだと思います。
  144. 小野信一

    小野委員 設備投資の増大と生産力の増大は、国内で見ますと非常に安定した関係にある。わが国では三十年代、要するに高度成長政策時代には四〇%の割合になっておったようですけれども、現在のように五%台の成長率になった場合に、投資の増大と生産力の増大は何%ぐらいの割合になるのですか。
  145. 廣江運弘

    廣江政府委員 先生の御質問に端的に適切にお答えできるか、多少ためらいがございます。  先ほどもちょっと触れましたが、現在の設備投資はいろいろの要素があると思います。基本的には石油を代表選手といたしますエネルギーコストの上昇に対処する広い意味におきます合理化投資といったものもございます。さらに四十年代前半の、特に当初期に行われました設備投資がある意味では循環期に来ているのではないかという要素もあります。こういうものは文字どおりでは能力増には余り結びつかないはずなんでございますが、言葉で割り切れるだけ循環であり、あるいは合理化だけだというわけではございませんで、一部にはそれがかなり、割り切れませんけれども能力増を招くわけでございまして、現に最近のアンケート等については、大企業等では能力増のウエートが徐々に高まってきておるということで、端的に何%ということをここでお答えいたしかねますけれども、そういう能力増の要素もかなり出てきているということを御承知願いたいと思います。
  146. 小野信一

    小野委員 最後に、本当はもう少し時間をかけて質問してみたかったのは、要するにマネーサプライの増加率を抑制するという、あるいは上昇させるという意見が金融政策の中で非常に重要視されてまいりました。特に最近のように大量の国債を発行している場合には、マネーサプライの過度の増大が起こりやすい。したがって、マネーサプライの増加率を直接政策目標とするような新たな金融政策が必要じゃないかという意見も提案されておりますけれども、現在政府ではどのような段階までこの問題はいっているのですか。
  147. 正示啓次郎

    ○正示国務大臣 これは主として日本銀行、大蔵省の所管でございますから、私から端的にお答えすることはできないわけでありますが、少なくとも三月十九日の総合物価対策の中で、財政金融両面から総需要の適切なる管理をやるというときには、もう一番先にいま小野委員が御指摘になったような点に十分注意してやっていくという点が入っておるわけでございます。  そこで、いろいろお話がありましたが、今後ともマネーサプライがどういうふうな率で伸びていくか、その点はいつも十分注意を払いながら、財政の支出のあり方あるいは全体の金融市場における需給の関係という点について、それぞれの立場で十分適切に管理をしていくということでございますから、いま言われたような点を含めて、日本の物価対策の根幹は総需要の適切な管理の面で、金融についても財政についてもしっかりとした方針で貫かれていくものと、あるいはまた貫いていかれるように私どもとしては常に強い注文をつけていきたいと考えております。
  148. 小野信一

    小野委員 一層の物価安定のために御努力をお願いして質問を終わります。
  149. 松浦利尚

    松浦委員長代理 宮地正介君。
  150. 宮地正介

    ○宮地委員 初めに私は消費者物価動向についてお伺いをしてまいりたいと思います。  特に、この四月の消費者物価が前年同月比で七・六%と大変な高い消費者物価の高騰を示したわけでございますが、この消費者物価指数は四月の九日、十日、十一日の三日間での調査した速報値でございまして、その後二十日からの国鉄運賃あるいは二十二日からのたばこの値上げ、こうした公共料金影響というものが全く反映をされない形でこれが出てきておる。そうなりますと、今後五月以降の消費者物価段階になりますと、この公共料金値上げが大きな影響として出てくる。また後ほど具体的な問題で触れてまいりますが、鋼材などの引き上げが行われまして、いよいよさらに製品への値上げに転嫁をされてくるといった面も今後十分考えられるわけでございまして、特にいままでは、どちらかというと卸売物価においても原材料から中間製品という段階への値上げ影響が出ているわけですが、今後それがさらに最終消費財というところに転嫁されていく、こうしたことも十分に予想されるわけでございます。  そう考えてまいりますと、特に今回の四月の前月比上昇率が実質で一・六%と言われておりますが、中身をもう少し要因別に分解していきますと、電気料金、ガス料金が〇・七三%あるいは〇・七五%、さらには四月からの国公立の授業料あるいは教育費、こうしたものが〇・五%、合わせると前月比三%ぐらい実質的に上がっている勘定でございますが、今回は特に野菜が下落したという約一・四%のマイナス要因を差し引いて一・六%、こうした形で四月の消費者物価指数が測定値として発表されたわけでございますが、国民の生活実感からいくと、まだまだ強い物価への影響というものが考えられるわけでございまして、その中心の引き金になっているのが、どうも政府主導型の公共料金がリードしておるということが端的に言って国民の偽らざる生活実感でございます。こうした点、まず四月の消費者物価動向というものの発表を見るにつけましても、肝心な国鉄、たばこ、こうしたものが抜けておったりしますと、どうも、政府物価の正念場が四−六月というふうに理解しておりますが、さらにこれはずれ込んでいく可能性が十分に考えられるわけでございます。この点についての政府としての考え方、また、四−六月が本当に正念場と考えているのか、現実的には私は夏ごろまで、七、八月ごろまで相当根強く消費者物価の高騰というものが続いていくんではないか、そういうおそれが十分にくみ取れるわけでございますが、この点についてまず見解を伺っておきたいと思います。
  151. 藤井直樹

    藤井(直)政府委員 四月の東京都区部の速報でございますが、これは前年同月比で七・六%、それから四月だけで一・六%ということになっておりますのは御指摘のとおりでございます。それで、その中身でございますが、季節商品全体としては、野菜が高値是正の動きを示しましたことによりまして一二・三%下がっておりますが、その他季節商品を除いたところでは三%の上昇になっている。これも先ほど御指摘になった点だと思います。その中で非常に大きなウエートを占めておりますものは電気、ガス料金でございまして、これも寄与度で申し上げまして一・四八%ということになっております。そのほか一般商品での値上がりもございますが、特にサービスの中で、四月といいますのは教育に関するいろいろな経費の料金等の改定がある月でございまして、それの上昇があるということもございまして、全体として一・六%の上昇になったわけでございます。ちょうど昨年の同月が一・四%上がっておりますので、前年同月比といたしますと、〇・二%ほど三月に対して上がってきておる、そういう状況でございます。確かに四月につきましては、電気、ガス料金という公共料金値上げが非常に大きな押し上げ要因になったということはそのとおりでございます。  そこで、もう一つおっしゃった点でございますが、いまの統計局の調査、すなわち小売物価統計調査によりますと、四月の十二日を含む週の水、木、金について調査をするということになっておりますが、それは生鮮食料品を除いてでございます。生鮮食料品については月間、上、中、下旬と三回調べますが、生鮮食料品以外のものについては一回調べるということでございますので、四月九日から三日間の調査になります。そこで、その後に行われております国鉄の料金の改定、それからたばこの改定、これはそういう統計の性格上、五月にカウントされてまいります。そこでその数字が消費者物価全体に対して〇・四%ほど押し上げになります。そういうことでございますから、五月になってそれが消費者物価の上昇要因になるということも御指摘のとおりでございます。  それからもう一つ、卸売物価からの波及の問題でございますが、これは現に五十四年度においても石油製品等を中心にしては消費財の方に出てきておったわけでございますが、さらにそれが、石油製品でありますれば、ナフサ等を使って生産されていくようなものについてもある程度の波及は予想されるわけでございますので、そういうことで私どもとしては、四月以降の消費者物価についてはかなり警戒を要するものと従来から考えておりまして、そこに焦点を当てて物価対策を進めてきたわけでございます。  そこで、物価対策の中身は総需要管理であり、個別対策であるわけでございますが、そういう影響を最小限にとどめるということを進めてまいりますれば、他方におきまして、卸売物価の方は、四月の前月比上昇率が従来に比べて一番高いものになるだろうという予測はいたしておりますが、海外商品市況の最近の状況等から見まして、五月以降についてはある程度上昇率が鈍化していくのではないかというふうに思っております。  そこで、卸売物価からの波及について当面あらゆる対策を講じてその幅を抑えていくということをやってまいりますれば、卸売物価の上昇率が鈍化してくるということがその後に出てくるということにうまくつなげていけるのではないか。そういうことでだんだん消費者物価の方も後半にかけて上昇率が鈍化していくのではないか、そういうふうに考えているわけでございます。  四−六月のお話がございましたが、卸売物価については確かに四−六月についてそういう数字が出てくると思います。消費者物価については、そういう卸売物価からの波及についてのめどがそのころになればかなり明らかになってくる、そういうふうに考えておる次第でございます。
  152. 宮地正介

    ○宮地委員 国民の生活実感からいきますと、五十四年度の消費者物価が四・八%ということで政府が発表しておりますけれども、現実はそんな甘い数字の実感ではない。特に、すでに御存じのとおり、消費者物価の全国ベースにおいても昨年の十二月までは五%台でありました。ことしになりまして、一月が六・六%、二月、三月が八・〇%と急ピッチの上昇で、ならして五十四年度は四・八。四月が七・六、五月はこれからいま申し上げましたようないわゆる国鉄、たばこの公共料金あるいはこれからの製品の大きな転嫁された姿が出ていく。そうした消費者物価の数値を追っかけておりましても、国民のとらえておる実感は四・八どころじゃない。大変なやはり七・六またそれ以上の大きな実感というものを受けとめて、何点かやはり率直に国民の立場から疑問といいますか、政府のとっている物価政策の中で、どうしても不信感というものがぬぐい去られない。  そういう中で、具体的にたとえば最近の特に独禁法十八条の二に定められておりますところの価格の同調的引き上げの問題ですね。これはさきの狂乱物価のときにも非常に大きな問題になりまして、国会で独禁法改正の中にこの条項がつけ加えられたという経緯が過去にもあるわけでございます。  そういう中で、まず最近、いわゆる同調値上げの疑いについて監視対象として五十六品目が設定されているわけでございますが、そのうちすでに同調的値上げを認定した品目、すなわち、値上げの理由の報告を求めた品目が七品目、また、現在予備審査中の品目が三品目、どうも今後疑いのある品目が鋼材あるいは国産ウイスキーなど十一品目、合わせますと二十一品目に、同調的値上げの疑いのある品目が出そろってきておる。五十六のうち二十一となりますと、約四〇%近いそうした品目がいわゆる第二次石油ショックなどの海外的要因を理由としてすでに国内にこうした大きな動きがあるわけでございます。これは国民生活を守る立場から、私たちはまことにゆゆしき大きな問題であろう、こう思うわけでございますが、まず事務当局である公取からこの点についての状況報告を少ししていただきたいし、大臣からこの点についての見解を伺っておきたいと思います。
  153. 伊従寛

    伊従政府委員 昭和五十二年の改正で、先生御指摘のように独占禁止法の中に新たに第十八条の二という規定が入りまして、上位三社で七〇%以上の市場シェアがあって、国内の総供給額が三百億を超える業種につきまして、三カ月間に同一または近似の額または率の値上げが行われたときには報告を徴収する規定が入っております。これにつきましては対象業種を明確にするために、昨年九月に先生御指摘のとおり五十六品目につきまして品目を指定しまして監視しております。  現在、昭和五十四年度において報告を徴収しましたものは乗用車と板ガラスの二品目でございます。現在報告を徴収中のものとしまして、自動車用タイヤチューブそれからインスタントコーヒー、家庭用合成洗剤、これは台所用でございます。一般用カラー写真フィルムの四品目がございます。あと現在予備調査中のものとしましては、写真印画紙、ビール、ウイスキーがございます。  現在新聞等でうわさされまして同調値上げの対象に五十六品目の中でなるのではないかと思われておりますのに、先生御指摘のとおり鋼材関係がございます。これにつきましては、新聞の報ずるところでは大体値上げが決まったということでございますので、それを確認するために予備調査に近く入りたいと考えております。
  154. 正示啓次郎

    ○正示国務大臣 いま宮地委員はいろいろ最近の動きについて詳しく御指摘になったわけでありますが、これは非常に大事なところへ来ておるわけでございまして、たびたびこの委員会でも公取の委員長も出られて申されたように、いやしくもそういう疑いのある場合は厳正な調査を行う、こういうことでなければならぬと思うのです。国民が一日一日をいわば物価の地獄の責め苦に遭っておる、こういう状況のときに、ぬくぬくと同調的値上げの疑いのあるようなものを見逃してはいけない、そういうところで厳正に監視をしていただく、これは三月十九日の総合物価対策の中にもはっきり書き記しておるところでございます。
  155. 宮地正介

    ○宮地委員 いわゆる独禁法十八条の二の問題については罰則規定がないわけですね。結果的に公取が報告を取って国会に白書で出すということでございますが、企業が非常に悪質であれば証人喚問あるいは参考人という手段もありますけれども、実際この罰則規定が非常に弱い。それだけにこの監視というもの、またこうした同調値上げによる国民生活に与える悪影響これに対する制裁というものは相当行政指導で実質的にやっていく以外にない、こう思うわけですね。ですから、そうした同調値上げを具体的にどう抑制さしていくかということは、やはり一に公取の相当突っ込んだそれに対する警告あるいは勧告、また調査の実施というものを先手先手で打っていく必要があると思うのです。私は大臣の決意に対しては大変に敬意を表するわけでございますが、昨年の実績を見ておりますと、公取として五十四年度は二品目の報告だけに終わっておる。ことしに入ってすでにこうした非常に多くの品目にいわゆる同調値上げの疑いが出てきておる。今後まだまだいろいろと出る可能性もあるわけですね。オイルショックを利用してこうした動きがあるということはまことにゆゆしきことでありまして、公取としてその点の動きと、昨年の実績からにらんで、やはりもっと強い姿勢でこうしたものに対して調査を実施していくことが必要ではないか。昨年の二つについては何か少し甘過ぎたのではないか、こういう国民の批判もあるわけでございます。特にこうした重要な物価対策、または国民の生活防衛という立場から、この点についての公取の取り組む決意と今後の姿勢について伺っておきたいと思います。
  156. 伊従寛

    伊従政府委員 同調値上げの問題につきましては、いわゆる形態的に同調的値上げが行われまして、その裏にカルテルがある場合には独禁法違反で措置がとれるわけでございます。カルテルのない同調的値上げにつきましては、御指摘のとおり十八条の二で公取としましては理由の報告を求めるだけでございます。ただし、この理由の報告につきましては、報告しない場合につきましては罰則の規定がございます。十八条の二の規定の運用につきましては、この理由の報告を求めて、それを国会に年次報告で報告するということだけで、その効果について疑問も出されているわけでございますが、私たちの見るところでは、いままでのところでは一応の効果は——これは昭和五十二年を一〇〇とした卸売物価指数は五十五年二月で一一八・九に上昇しておりますが、同調的値上げの監視対象五十六品目の指数は一〇五・七と少なくなっていることからも一応うかがえますが、これはこの二月までの時点のことで、先生御指摘のように、このところかなり同調的値上げが相次いでおりますので、われわれの方としましてはいまの情勢に対処しまして厳重にこの値上げについては監視し、調査して、理由の報告も厳しく取る予定でございます。
  157. 宮地正介

    ○宮地委員 そうした監視体制というものの重要な大目付であります公取の奮闘努力に期待したいと思います。  そこでさらに、ちょうどこうした問題が出ましたのであわせてお伺いしたいのですが、特に物価鎮静への行政監察という問題についてはすでに行政監察局が物価調査、監視対策を中心として発表になっているわけでございますが、いよいよこの五月、六月に実施調査時期と、こういうことになっておるわけでございます。行管として、物価対策上、こうした物価安定のために寄与していく処方せんを発表になったわけでございますが、この問題について具体的にどういうような取り組み、またこれについてどの程度の効果があると期待されているのか、行管から伺っておきたいと思います。
  158. 増島俊之

    ○増島説明員 お答えいたします。  五十五年三月十九日に「当面の物価対策について」の関係閣僚会議決定があったわけでございますが、この対策の中でも個別物資の需給価格動向調査、監視対策というのが中心にいろいろ掲げられておるわけでございますが、私ども行政管理庁は、行政監察の立場で、各省庁が行っておりますこれらの調査、監視対策がきちっと行われているかどうかということを監察をしたいということでございます。時期につきましては実地調査時期というのがございますが、五月から六月にかけまして二カ月間でございますが、かけて取り組みたいということでございます。これにつきましては五月二日付で各関係省庁につきましては実施通知を出しておるということでございます。
  159. 宮地正介

    ○宮地委員 いわゆる五月二日に関係省庁に実施要綱を発表していますが、具体的に対象品目などについてもう少し詳しく発表していただきたいと思います。
  160. 増島俊之

    ○増島説明員 私ども監察の対象にいたしておりますのは生活関連物資の調査監視対策として各省庁がおやりになっておられます諸事業でございますが、その諸事業について監察をするということでございます。したがいまして、調査監視体制で経済企画庁がやっておりますいろいろ物価モニターの関係の事業とかあるいは物価安定対策事業あるいは通産省、農林水産省等で行われております物価安定対策事業、その他調査監視対策、それを見させていただくということになると思います。
  161. 宮地正介

    ○宮地委員 その結果はいつごろ国民に発表していただけるのですか。
  162. 増島俊之

    ○増島説明員 これは調査結果によりましていつということはただいま申し上げられませんけれども、私どもこの監察をいわば機動的に決定をいたしまして実施する、そういう趣旨からできるだけ速やかに取りまとめたいというふうに考えております。
  163. 宮地正介

    ○宮地委員 どうかこれがアドバルーンで結果的にどうも余り効果がないというような国民のひんしゅくを買うことのないように、特にこうした制度については非常に国民も期待をしておりますので、この点についてはどうか経済企画庁長官も行管庁長官とタイアップしてぜひ努力していただきたい、大臣の決意のほどを伺っておきたいと思います。
  164. 正示啓次郎

    ○正示国務大臣 ただいま行管の監察官からお話しのように、すでに関係省庁に御通知がありみんな張り切って監察に協力することになっております。物価対策は本当に国を挙げて、これは政府だけじゃない、国会もまた生産者も消費者も経営者も労働組合もすべてを挙げてこの危機を乗り切っていくことが大事だという認識に徹して、この行政監察をわれわれとしては意義あらしめるように全力を尽くしたいと考えております。
  165. 宮地正介

    ○宮地委員 次に、最近のやはり大きな物価高騰の傾向の中で実際に心配する問題の一つとして、建設資材の価格の動向についてちょっと伺っておきたいと思うのです。  最初に鋼材関係ですね。これがいまお話しのように、一斉に値上げが行われまして、これが結果的に今後どのような形で——やはり産業の米と言われる鋼材でございます。これは非常に大きな国民生活影響が出ると思うのです。いままでのいわゆる鋼材関係の中でもたとえば傾向といたしまして昨年からことしに比べて、特にことしの三、四月はたとえば小形丸鋼などにしましても大体トン当たり七万八千円ベースで三月は来ておりました。四月、五月では七万七千五百円ベースということで若干下がりぎみかなという感じをわれわれ持っております。しかし今回の鋼材の値上げがやはり相当火をつけるのではないか、こうまず心配をしているわけでございますが、こうした小形丸鋼あるいはH形鋼あるいは厚板、こうした関係の建設資材について今後どういう推移をたどっていくか、また特に昨年に比べますとこれは大変な値上がりで四月期では、昨年の四月はトン当たり六万円くらいの小形丸鋼がすでに申し上げましたように七万八千円と大変値上がりをしているわけでございますが、今後こうした動きがさらに小売段階において建設資材に非常に大きな影響が出てくるんではないか、こういう心配があるわけでございますが、まずこの鋼材の動向について通産省の見解を伺っておきたいと思います。
  166. 神谷和男

    ○神谷政府委員 鋼材につきましては、高炉製品については先ほどの御質問にございましたような状況にございますが、建設資材としての小形棒鋼あるいはH形鋼さらには厚板等は、小形棒鋼はもっぱら平電炉の製品でございますし、H形鋼、厚板等につきましては高炉製品と平電炉製品が市場でともに共通して流通しておる、こういう状況にあるわけでございます。特に建材で象徴的な小形棒鋼の動向につきましては、ただいま先生の御指摘のような推移をたどっております。特に三月に入りましてからはスクラップの異常な高騰に伴いまして七万八千円、さらには一時は八万円につきかかるのではないかというような動きを示しておりましたが、その後スクラップ価格の鎮静によりまして安定からむしろ最近では若干下落ぎみになっております。これにつきましては、私どもの方でスクラップ市況対策といたしまして高炉のビレットの放出あるいはその他の関係取引方面に対する自粛の要請等の措置の効果もあったかと思いますが、他方公定歩合あるいは全体の需要管理政策といったようなものもマクロで影響しておるものと考えております。したがいまして、当面需給関係はむしろ緩みぎみに推移しておる、こういうことでございまして、弱含みの傾向で今後推移すると考えております。本来でございますと、四月から電力料金が大幅に上がっておりますので平電炉のコストは大幅にアップしておるわけでございますが、むしろスクラップが下がってそれを相殺して若干下落ぎみである、こういう状況でございます。  今後の見通しを個別の物資につきまして価格予想を私どもが行うことはいかがかと思いますので差し控えますが、私どもといたしましては全般的な需要管理が適切に推移しておること、公共事業に関して抑制ぎみに推移しておること、供給面においてはボトルネックは現時点において特に見当たらない、こういうことから現在のような状況で今後推移し、特に需給面、価格面で問題は起こらないのではないかというふうに考えております。
  167. 宮地正介

    ○宮地委員 時間もありませんので、次に特に私の方で伺っておきたい。たとえばセメント関係ですね、セメントはこれはことしになって大体袋当たり五百七十円ペースが五月に入りましてから六百五十円ぐらい、五月五日の速報でございますが、ここでちょっと上がりぎみである。またセメントの普通のバラ、これにつきましてもトン当たり一万二千五百円。これがことしの一月から四月までは大体そういうペースで来ておりますが、この五月になって一挙に一万四千五百円と二千円ほど上がってきております。その他砕石、砂利、こうしたやはり建築の一番の大事な、傾向はいま一応落ちついて横ばいでありますけれども、今後非常にこれが製品へと転嫁されていくんではないか。この辺のいわゆる状況について通産省から伺っておきたい。  さらに木材関係、これも後ほど少し別の角度からも触れますが、特に杉の正角については五月になってこれが七万六千円ペースから七万五千円と五日で若干落ちておりますけれども、これも今後の推移について大変心配をいたします。その他、ヒノキの正角あるいはラワン、こうしたいわゆる木材関係動向について農林水産省から伺っておきたいと思います。
  168. 神谷和男

    ○神谷政府委員 まず、セメント、砂利、砕石でございますが、特にセメントにつきましては御承知のように燃料がコストの中で非常に大きなウエートを占めておりまして、重油の大幅な価格上昇ということでコストアップが大幅であることは否めませんが、御承知のように需給関係がどちらかと申しますとそれほど逼迫しておらないということから、コスト転嫁は必ずしもメーカーサイドの思うほどには進んでおりません。一言で言えば苦労をしながらコスト転嫁をしておるという状況でございまして、御指摘のような動きは若干ございますが、需給関係あるいは公共事業の推移から見て、現在のような苦労をしなければ、それも全部とはいきませんけれども、なかなかコスト転嫁が進んでいかない、こういう状況にあろうかと思います。  砂利、砕石等につきましては、むしろ軽油アップ等による輸送費のアップがコスト面で大きな圧迫要因でございますが、これにつきましてはセメント以上に公共事業の影響、需給関係影響を受けるものでございまして、同様の傾向をたどるものと考えております。
  169. 山口昭

    山口説明員 木材について申し上げます。  昨年の木材価格は、原木の産地価格が上がりまして、そのほか円安とかつレートが上がったというようなことも重なりまして高騰したわけでございます。しかしながら、ことしに入りまして三月以降最近の木材価格は全体的には弱含みないしは横ばいという方向で推移しているようでございます。  細かく申し上げますと、先生御指摘の杉正角につきましては四月の末では多少下がりぎみ、日銀卸売物価指数でございますが、〇・五%ぐらい、ヒノキも同じ傾向でございます。  今後どうなるかということでございますが、今年度の住宅着工の伸びのぐあい、これが木材需要に一番大きく左右するわけでございますが、住宅着工量は昨年はおおむね百五十万戸ぐらいでございました。ことしはいろいろな予想がございますが、場合によっては百三十万戸を割るかもしれないという予想もございます。     〔松浦委員長代理退席、委員長着席〕 いろいろな理由で住宅着工量が減るだろうというふうに見ておるわけでございます。それから、外材の大宗を占めます南洋材とか米材の産地価格、これが現在弱含みで推移しておりますので、今後特段の事情の変化がない限り木材需給あるいは価格の大幅な変動はないのではないかというふうに現在見ておるわけでございます。
  170. 宮地正介

    ○宮地委員 大臣にこの点についてちょっと伺っておきたいのですが、いま申し上げたような国民の住宅建設の非常に基本的な各資材ですね、この業界においてもやはり公共料金値上がり、あるいはオイルのそうした値上がり、あるいは最近の金利負担増、そういう面、あるいは原燃料のいま申し上げた高騰、こういうものの影響で相当コストにプッシュしていくということは、これはさきの狂乱物価の昭和四十九年の経験から見ても非常に可能性があるわけです。ただ問題は、いまも各政府委員からお話がありましたように、いわゆる公共事業費の伸びを六〇%に抑制しておるということで官公需発注のこの発注率が非常に抑えられておるということと、実際にそういう面で市場がちょっとだぶつきぎみというか、需給バランスが余りぎみであるということで若干いま価格の方は安定的な感じをしておりますけれども、しかし、今後また秋からの物価と景気の両にらみだとか、そうした総需要抑制管理の問題がたとえば解かれてくる、こうした段階になってきますと、当然こうした面のブレーキもやはり相当外されてくる。しかしいま申し上げましたような公共料金、油あるいは金利負担増、いわゆるそういう状況を考えますと、どうも国民の目から、こうした建築資材の高騰というものが、非常に心配する懸念があるわけですね。そうした中で、現実的にもう、ことしになって家を建てるにも相当大変な、坪当たりの単価も上がっておるわけです。もちろん人件費も上がっておりますけれども、資材の面でも生活実感の上では相当な強い騰勢が出てきているわけです。ですから、そういう点で私は政府のとらえ方が甘過ぎるのではないかという感じもするわけでございますし、今後そうした、特に建築資材の高騰についてはやはり経済企画庁としても相当強い姿勢でこの監視をしていくべきではないか、こういうふうに思うわけでございますが、大臣の所見を伺っておきたいと思います。
  171. 正示啓次郎

    ○正示国務大臣 仰せのとおり、これはもう監視それから需給対策に各省庁それぞれ一層努力をしていくことは当然のことと思います。  それからもう一つ、いまお触れになりましたが、両にらみになってくると危ない、私はなかなかいいところを御指摘になったと思うのです。だから、物価の安定ということのめどが立たないのに急いで景気政策をやるというふうなことが一番危ないわけでございますから、やはり物価安定のめどをつけて、それから徐々に必要なところへ重点的にその施策を進めていく、いままでの苦い経験を再び繰り返さぬように十分注意をしていかなければならぬ、こういうふうに考えておるわけでございます。
  172. 宮地正介

    ○宮地委員 午前中も同僚委員から若干問題が触れられましたが、いわゆる大蔵省の調査に基づいている輸入品転がしの問題について、午前中は大蔵省の関税局からの報告を一応私も聞かしていただきました。結論的には関税法に基づく搬出命令というものの発動は大蔵省としては考えていない、しかし大臣としてはこうした悪徳な商法については厳重に取り締まり、また警戒をしていかなくてはならない。  そこで私は、農林水産省はこの大蔵省のいわゆる調査に対してどういう理解と見解を持っているのか、この点について伺っておきたいと思います。
  173. 鷲野宏

    ○鷲野説明員 お答え申し上げます。  私ども農林水産省といたしましては、今回の大蔵省の調査結果が新聞に報道されまして、国会でも取り上げられました後、直ちに大蔵省と連絡をとりまして調査の中身を検討した次第でございます。これにつきまして午前中大蔵省の方からお答えがあったと思いますけれども、各品目とも転売がないものがかなりございますし、また転売したものにつきましても、転売回数が一回ないし二回のものが大部分を占めておる。新聞にございました十五回もの転売というのは非常に特異な事例である。牛肉につきましては八百六十件の中の一件である、こういったような次第であったわけでございます。  それから、通常輸入というものは大口で行われまして、その後輸入業者から一次卸、二次卸あるいは加工業者、そういうように順時販売されるわけでありますが、そういう過程で大口の荷が逐次分荷されることになるわけでございます。  それから、何で保税倉庫の中に放置されたまま何回も転売を行うのか、こういうこともあるわけでございますが、これにつきましては、たとえば冷凍水産物あるいは冷凍牛肉のようなものにつきましては、取引のたびに倉庫から出し入れをするというのは品質の劣化を招きます。それからまたそのたびに荷役料がかかる、こういう問題もあるわけでございます。それからまた、木材のような非常に重量物につきましては、なかなかあちこちへ移動させるということもむずかしい、こういう事情もあるわけでございます。  それからもう一つ、こういった冷凍水産物あるいは木材のような市況商品につきましては、大変大きな在庫のリスクあるいは資金のリスクを伴うものでございますので、市況の動向とか企業の経営状況に応じまして、そのリスクのヘッジと申しますかあるいは分散のために転売を行うということは、通常の商取引の上でもある程度行われておるという事情がございます。  そういったようないろいろな事情があるわけでございますが、先生も御指摘のように、余りこういった転売が多数の回数に上りまして、そのために需給や価格が変にゆがむということがあってはこれはならないと思っておりますので、今後とも、大蔵省当局との連絡の上に立ちまして、必要に応じまして調査なり指導なりに努めてまいりたいと思っております。
  174. 宮地正介

    ○宮地委員 農林水産省のその前段の答弁を聞いていますと、まことに国民は、これは非常に納得しがたいと思うのですね。農林水産省というのは、それでは輸入品のそうしたひどい転がしを認めるのか、こういう発言にとれるようなニュアンスはまずいと思うのですね。  たとえば牛肉について十五回の転がしをした、八百件の中のたった一件です、こういう発言はまことに国民をばかにしている発言だ、私はこう思うのですね。率直にこうした物価というところから、ひとつ客観的立場から物価というものからとらえ方を外して、関税局が客観的な関税を税関というところを通じて調査した。むしろこうした数字はまことに正直な、やはり謙虚な数字だと私は思うのです。これを今度は実際にとらえる側がそういう甘い姿勢であってはならない、私はこう思うのです。特にその転売の、保税地域における魚介類の転売についても、特にエビなんかは十二回、イカが十二回とか、こんなことは、エビやイカをいま魚屋で買うとなったら国民は大変なんだ。そういういわゆるまことに国民の生活実感をばかにしたような発言は私は慎んでもらいたい。また、いま申し上げたような牛肉が十五回、八百件の中の一回だ。一回だってこれは大変な問題なんで、また、羊やヤギ肉六回、豚肉は七回とか鶏肉は六回とか、こうしたまことに国民から見れば不信を招く、そうした転がしが現実に行われておる。あなたのいまの前段の答弁を見ていると、こうした業者にかわって農林水産省が言いわけをしておる、擁護をしておる、こういうふうにも受けとめられるように、まことに残念な国民にひんしゅくを買う答弁だと思うのです。もう一度答弁をやり直してもらいたい。
  175. 鷲野宏

    ○鷲野説明員 私のお答え申し上げましたのは、大蔵省の今回の調査結果についての事実の内容を申し上げたのでございますが、たとえば魚介類につきましては、転売のないものが全体の四八・五%、転売一回以内が通算しまして八一・七%、転売二回以内が九五・三%、そういったようなことで、確かに十五回という転売は常識的から考えましても少し問題があると思います。  こういったようなケースにつきましては、大蔵省当局とも連絡を密にしまして十分監視し、必要に応じてその指導をしてまいりたい、こういうふうに考えます。
  176. 宮地正介

    ○宮地委員 大蔵省、先ほどあなたは、関税法でいわゆる搬出命令の発動については大蔵省としてはまだ検討してない、こういうことですが、やはり国民生活を守る、また大蔵省としても、非常に重要なわが国の経済運営の特に財政面をリードしていく大蔵省がそんな弱腰じゃ困るのであって、もう少しこの点について、やはり勇気ある実行が大事ではないか、こう思うのですが、この点について伺っておきたいと思います。
  177. 伊藤皇

    伊藤(皇)説明員 お答え申し上げます。  搬出命令ということでございますけれども、これは関税法の百六条の、関税法の実施を確保するためやむを得ない必要があると認める相当の事由があるときには保税地域にある貨物を搬出させることができる、こういうふうな規定になっておるわけでございます。  われわれの方で今回調査いたしましたのは、これは保税地域にある貨物が非常にスムーズに流れておるかどうかということを見るために、在庫状況はどうなっておるか、あるいはその中にどの程度の期間蔵置されておるかとか、あるいは転売回数はどうだ、こういうことを調べたわけでございます。これはあくまでも税関におきます保税行政という立場からやったわけでございまして、その結果を見てみますと、大体、魚介類冷凍関係で在庫率が六三%程度、それから木材ですと六〇%程度、その程度の在庫率でございまして、その状態を現実に見てみますと、倉庫の中が非常に混雑してその保税機能を、保税行政がそれで阻害されるというふうな状態にはないというふうに判断されたわけでございます。  けれども、先ほど御指摘がございましたように、非常に転売が多いとかあるいは滞留貨物が相当あるということは、これは好ましくないわけでございます。そういった点につきましては、これは関係省庁に御連絡申し上げて、そちらの方面からも見ていただく、こういう考えでおるわけでございます。  われわれといたしましては、そういうふうな、仮に将来非常に混雑するというようなことになりましたら、これは当然その百六条の搬出命令ということを検討させていただきたい、このように思っております。
  178. 宮地正介

    ○宮地委員 農林水産省として、今回の調査に基づいて、こうした搬出命令あるいは売り惜しみの規制、こうしたものについて行政指導していく考えがありますか、この点について伺っておきたい。
  179. 鷲野宏

    ○鷲野説明員 大蔵省の方は、税関行政、関税行政という立場からの御指導になると思うのでございますが、私どもの方は、別途、食品の流通行政あるいは物価行政という見地から、大蔵省ともよく連絡をとりまして、余り多数回に上るような転売が行われる、こういったような場合がございましたら、適切な指導等をいたしてまいりたい、かように思っております。
  180. 宮地正介

    ○宮地委員 物価のお目付の経済企画庁ですね、特にエビなんかの場合で、輸入業者がキロ当たりが三千二百六十円で、第十次で四千三十三円、あるいは牛肉のキロ当たり四百五十七円のものが千百九十円、実際にこうした価格のつり上げが転がしで操作されている、こういう実態に対して農林水産省と協議の上早急に手を打つ考えがあるかどうか伺っておきたいと思います。
  181. 藤井直樹

    藤井(直)政府委員 大蔵省の調査の中で出てまいりましたような転売の回数が非常に多いというようなことになりますと物価の安定にとっても好ましいことではございませんので、先ほど大臣がお答えいたしましたように大蔵省、農林水産省とよく連絡をとってこれから適切な対応をしてまいりたいと存じます。
  182. 宮地正介

    ○宮地委員 農林水産省に、マグロの高値安定ということで、特に最近幅をきかしている直販商法、商社の入ったこうしたものが出荷調整をしているのではないか、こうした批判も特にマグロの関係についてはあるわけでございますが、この点について農林水産省はどういう調査あるいは対策を講じておられるのか、伺っておきたいと思います。
  183. 真板道夫

    ○真板説明員 先生の御質問は、最近商社がマグロ流通過程に相当入りまして、その流通経路を、ある程度のシェアをもちまして価格を自由にしていく傾向があるのじゃないか、こういうような御質問かと思います。  実際、遠洋マグロといいますか冷凍マグロにつきましての商社の介入といいますか、それが確かに五十年ごろから特に顕著になってまいっておるわけでございますけれども、これはマグロの供給量全体から見ますとまだ三〇%に満たっていない、こういうような状況でございます。したがいまして、市場におきます競りの価格が、その出荷調整といいますか、それによって強く作用されるとは考えておらないわけでございますけれども、私どもといたしましても、特に大きな販売力を持つところに一定の商品が集中していくということには問題があると思いまして、いろいろな機会をとらえまして商社等に対し適正な流通を行うように指導しているところでございます。
  184. 宮地正介

    ○宮地委員 時間がありませんので、このマグロの問題については今後継続して少し調査をし、また対策の状況を報告いただきながら監視をしていきたい、私はこのように思いますし、大手商社の横暴なる商法によってマグロが高値安定でなかなか国民の口に届かない、こういったいわゆる素朴な批判に対しては、農林水産省はどうか勇気ある行政指導に踏み込んでいただきたい、こういうふうに強く要望をしておきたいと思います。  そこで私は、時間も迫っておりますので、大臣に何点か最後に伺っておきたいわけでございます。特に物価対策については、社公民三党で四月二十三日に自民党にも強く要請をしております。その大きな柱は、すでに御存じのとおり、一つは便乗値上げの防止対策、これについては何度も私もこの席で大臣に見解を伺っておりますが、買占め売惜しみ防止法あるいは国民生活安定緊急措置法、こういうものを速やかに発動すべきではないか、あるいは価格調査官による便乗値上げ等の監視を強化していくべきではないか、あるいは生活必需物資の価格安定対策として特に野菜あるいは食肉、こうしたものについて月一回安売りデーなどを設けて、販売協力指定店というものに対しては協力補助金などを交付して国民の生活安定、価格安定対策に寄与すべきではないか、また物価安定基金の創設を早急に考えて対策を打っていくべきではないか、また特に生活保護世帯などの方々に対しては、原油高騰によっての対策として生活必需品としての灯油あるいはプロパンガス、こうした問題については昭和五十五年度において一〇%以上値上がりしたときには緊急の措置として緊急物価調整給付金といったものを給付していくべきではないか、こうしたきめの細かな、国民の要望に真剣にこたえた対策というものを強く要請をしているわけでございますが、こうした問題について、経済企画庁としてどのように取り組み、今後実行されようと検討されておるのか、伺っておきたいと思います。
  185. 正示啓次郎

    ○正示国務大臣 ただいま宮地委員の御指摘は、自由民主党に対する公明党、民社党、日本社会党等からのお申し入れではないかと考えますが、これについては、党の方へそういうお申し入れがあったことはわれわれも十分伺っております。それで、これは党と党の間のお話し合いによって決まることと承知をいたしておりますので、必要に応じまして、党から意見を求められればわれわれも十分御連絡を申し上げたいと考えておるわけであります。  いまのところ、けさほど来ほかの委員の方に申し上げたように、政府としては三月十九日の総合物価対策の線で消費者物価政府見通しを実現すべく全力を尽くしておるわけであります。そういう点からいたしまして、いろいろと示唆に富む御意見であることはわれわれも十分考えておりますが、ただ法律の発動については、これはたびたび申し上げますように、いまの需給関係からいいまして、にわかに法律を発動するというふうなことよりはやはり自由競争原理、市場機構、そういうもののメリットをフルに活用していくという線をわれわれとしては強く推したいと思うのです。  先ほど来宮地委員が御指摘のように、どうもときどきやっておることが本当の自由競争原理あるいは市場機構の原理に反しておる点があるじゃないか、そういう点について各省はもっとしっかり行政指導なり取り締まりをやったらどうだ、こういう御意見はわれわれ本当に傾聴に値するので、これはひとつ十分やらしていただきたい。それからまた、公正取引委員会の同調的値上げに対する厳しい監視態度、これもやはり私どもはそういう線に沿うた方針でありますので、御指摘をいただいたことは本当にありがたいことだと思っておるわけでございますので、いろいろ御意見ございますので十分参考にはさせていただきますが、基本的にそういう考え方で進んでおることを御了解願いたいと思っております。
  186. 宮地正介

    ○宮地委員 大臣のそうした考えは十分に敬意を表したいと思いますが、いま申し上げましたような物価対策に対する自民党への申し入れ、これはいわゆる昭和五十五年度の予算修正の中の五百億円の具体的なきめ細かい運用、こうした面についての要請をしたわけでございまして、特に政府としてこの五百億円の物価対策費をいかに効果あらしめるか、国民生活を守るためにこれをどう運用するか、私は特に経済企画庁に与えられた大きな責任と義務であろう、そういう中の提言の一つでございますので、この問題についてもむしろ政府からもしっかりと詰めていただいて、この速やかないわゆる運用の問題に取り組んでいただきたい。この点について強く要望するとともに、この点の取り組みについて大臣の決意を伺って終わりにしたいと思います。
  187. 正示啓次郎

    ○正示国務大臣 予算審議の過程からわれわれの重要な政策について御配慮をいただいたことを大変感謝いたしておるわけでございます。これからもいろいろと、党から意見を求められた場合には積極的にわれわれの考えを申し上げて、そして三党との協議によって具体的に使用方法が決定されることを心から希望しておるわけでございます。
  188. 宮地正介

    ○宮地委員 終わります。
  189. 井上普方

  190. 岩佐恵美

    岩佐委員 私は昨日の決算委員会で、先ほどからずっと同僚議員が触れております保税地域における蔵置期間の問題についての大蔵省の調査、これについて大蔵大臣に、このような調査が定期的に行われるよう、そしてまたそれが公表されること、それから大蔵省自身は輸入物資の数量だとかCIFの平均価格、在庫数量を知り得る立場にあるので、そのような問題について調査をし、公表するようにしていただきたい、こういうことを申したわけですが、それに対して大蔵大臣は、いまのような意見が、物価閣僚会議物価対策会議から提出を求められるように私たちが誘導するようにしていくことがいいのではないかと思うということで、大蔵省としてもかなり積極的にいまの問題について意欲的に取り組んでいかれる、そういう答弁をいただいているわけでありますけれども、先ほどから経済企画庁のお考えは伺っておるわけでございますが、この大蔵大臣の発言を積極的に支持をして、これが実現できるように経済企画庁長官の側面的な援助をぜひお願いをしておきたいと思うわけでございますが、いかがでございましょう。
  191. 正示啓次郎

    ○正示国務大臣 これはもうけさほどからほかの委員の方からも大変御指摘がありまして、大蔵省なり農林水産省あるいは通商産業省からお答えをいたしましたが、われわれの方はこれを一番切実にそういうふうに活用していかなければならぬと思っておりますから、早速大蔵省と連絡をとりましてこれらの資料を十分活用するように努力をいたしたいと考えております。
  192. 岩佐恵美

    岩佐委員 きょう私は、主に木材価格の問題について伺ってまいりたいと思います。  四月二十七日付の日経新聞によりますと、五十四年三月と比べた五十五年三月の建築費の値上げ状況は、大手プレハブ業界が六・四%に対し中小工務店は一四・四%にも上っています。そのために五十五年度の住宅受注動向は、大手プレハブ業界が前年比二三・七%増であるのに対して中小工務店は前年比一・八%減と落ち込むとされているわけでございますが、この点はどう考えておられるか、きょうは建設省の方においでをいただいておりますので、お答えをいただきたいと思います。
  193. 高橋徹

    ○高橋説明員 お答え申し上げます。  お尋ねの価格上昇割合の数値でございますが、住宅金融公庫が住宅受注動向調査の中で行いました郵送による質問に対する回答により得られたものでございます。質問は「貴社において五十五年三月一日現在で昨年同時期に比べて建築費をどの程度値上げされましたか。」というものでございまして、この質問に対して各社が回答した数値を集計したものが先ほど御指摘がございました価格の上昇割合でございます。  それからもう一つ御指摘がございました受注動向の数値も、同一の調査の中で、郵送による質問に対する回答により得られたものでございますが、質問は「新築戸建て注文住宅の実績・見込みについて記入してください。」というもので、各社からの回答があったものを集計したものでございます。  この動向でございますが、工務店等の注文住宅にかかわる建築費については、一つ一つの住宅の形であるとか各部材料の仕様により著しく異なりますので、プレハブの建築費との価格差を直接比較することは困難でございますが、昨今の両者の値上がりの傾向を比較いたしますと、相対的に木材を多く用いる木造住宅の方に幾分上昇率の高さが見られる、そのように考えております。
  194. 岩佐恵美

    岩佐委員 こういうふうに昨年来の木材価格の高騰あるいは諸資材の高騰が中小工務店へ集中的に影響しているのだと思われますけれども、こういう点について当面、建設省、林野庁それぞれどういうような対策をとられておるのか、簡単に御説明いただきたいと思います。
  195. 高橋徹

    ○高橋説明員 それでは建設省の行っております施策でございますが、中小工務店の方々が担っていらっしゃいます主として木造の住宅でございます。  私どもは在来工法の木造住宅については、工法の改良その他の技術的な開発、改良が必要であると思っております。工法の改良のほか、防火性能の向上それから耐久性の向上等を図るために林野庁と共同して行っておるわけでございますが、昭和五十二年度から四年の目標で技術開発を進めてきておるところでございます。また、昭和五十五年度よりはそのような技術開発も生かしまして、地域特性に即した技術の改良、地域の中小建設業者の建設する住宅の保証体制の整備等を図るための総合施策を立案する必要があるということで、そのための調査に着手することとしております。
  196. 山口昭

    山口説明員 林野庁から申し上げます。  木材価格対策といたしましてはおおむね二つぐらいのことをやっておりまして、一つは木材の流通加工に携わる人たち、四万企業ぐらいございます、また木造住宅等を建てます大工、工務店さん、十六万企業ぐらいあるそうでございまして、合わせると二十万ぐらいございまして、ややもすればこの人たちは身の回りのやや偏った情報に走りやすいという難点がございます。そういう意味合いから、私どもとしては需給の安定あるいは価格の安定のために的確な情報を早くお届けするということが大切ではないかと思っておるわけでございます。こういう意味で、私どもは三カ月おきに需給対策協議会というものを催しておりまして、その資料を一般に公開しておるわけでございますし、また日本木材備蓄機構という機構がございますが、そこで十日おきに資料を全国から集めましてこれを迅速に提供するということもやっているわけでございます。  もう一つは備蓄そのものでございまして、値段が異常に上がる場合にこれを放出して全体の値段を下げる、そういう事業をやっておりまして、昨年は一月と六月に、二回ばかり放出をいたしております。私どもとしましては、力足らずの点はございますが、それ相応の効果は上げているのではないかというふうに考えているわけでございます。  それから、先ほど先生からお話のございましたプレハブ住宅と在来工法住宅の問題につきましては、先ほど住宅生産課長の方からお答え申し上げましたように、私ども、建設省と携えまして、木造住宅部材の簡略化とかあるいは大工さんの工法、手間の合理化、あるいは新製品の開発といったようなことに国費を出しまして、いま開発をやっているところでございます。
  197. 岩佐恵美

    岩佐委員 中小工務店が大変困っている背景に木材の高騰があるわけですが、この木材の高騰の原因についていろいろ調べてみると、お魚やかずのこ類と同じように、海外での商社の異常な買い付けというものが原因であるのではないか、どうもそういう結論に達せざるを得ないようなデータが幾つも出てきているわけです。  たとえば、木材のうち、価格上昇が激しい南洋材について見てみますと、五十三年度は、FOB価格の推移は、上期は値下がりぎみでしたけれども、その後、下期十二月以降急騰をし始めて、五十四年二月にはFOBで百十ドルと、五十三年の価格急騰以前の二倍になっているわけです。その後、林野庁が五十四年二月に行政指導をしているにもかかわらず、商社がどんどん買い付けを進めて、FOBで百八十ドルというところまで価格が上昇しているわけです。  この商社の買い付け行動は非常に激しくて、サラワクやスマトラでの買い付け数量はそれぞれ前年比五一・六%、四一・四%と大幅にふえています。サラワクでは軒並み大手商社が輸入数量をふやして、特に住友商事が五十三年の四万立米から十一万立米へと約三倍に近い、すごい買い付けを集中的に行っている。また、昨年かずのこの買い占めで問題になった三菱商事ですけれども、インドネシア材の輸入では、五十三年の四十六万立米から五十四年の五十四万立米へと、これもまた輸入商社順位一位に躍り出るような大変激しい買い付けをしております。南洋材の六〇%を占めるこれらの商社のこうした激しい買い付け行動が木材の産地価格高騰に非常に大きな影響を与えた、こういうように思うわけですが、この点、林野庁の考えはいかがでしょうか。
  198. 山口昭

    山口説明員 南洋材を、わが国は外材の約半分の二千二百万立方ぐらい輸入しているわけでございますが、この輸入先はおおむねインドネシアとマレーシアでございます。このほかに若干、フィリピンあるいはニューギニアというものがございます。サラワクというのはマレーシアの州でございまして、お隣がサバという州でございます。日本の南洋材の輸入は、おおむね半分ぐらいがサバ、半分ぐらいがインドネシアということになっているわけでございます。  ところが、サバ州はかなり開発が進みまして資源が払底しておりまして、うわさによればあと十年くらいと言う人もおるわけでありまして、お隣のサラワク州が相当大規模な森林を持っておりまして、そこの資源に頼らざるを得ないという一面がございます。御指摘のように昨年は前年比五割ぐらいの増加でございますが、そういう背景がございます。  昨年は、御承知のように、どちらかといいますと四十八年、九年あたりのデマンドプルといいますか、ああいう状態に比べまして、全体的に見ますとコストプッシュの要因があったというふうに見ておるわけでございますが、長年にわたります合板の市況の低迷によりまして極度に在庫を減らしておったわけでございます。そこへ持ってきて南洋材諸国が輸出を規制するという挙に出たわけでございまして、先高不安が手伝いまして国内の在庫をふやさざるを得ない、あるいは先高を見越して住宅の駆け込み需要が出てくるといったような状況もあったわけでございまして、輸入商社もそれ相応の材料手当てをいたしませんと顧客の注文に応じかねるという心配もあったわけでございまして、各社南洋材の買い付けを行ったわけでございます。  私どもとしましては、買い付け競争に走り過ぎた余り先方に足元を見られて値をつり上げられるということがあってはならないと思うわけでございまして、そういう意味では、南洋材の買い付けにつきましても秩序ある買い付けが何より増して大事ではないかと思っているわけでございます。  昨年はいま申し上げましたような事情が背景にございましたが、今後とも過当な買い付け競争に走った余り値上げされるということができるだけないように指導してまいりたいと思っておるわけでございます。
  199. 岩佐恵美

    岩佐委員 木材を輸入する商社は、たとえば三パーなら三パーとかそういうパーセンテージで口銭を取っている。木材の価格が上がればその口銭が同じように上がるわけですね。それが二%とか一・五%とか減ればですけれども、そうではなくて、業界紙の報道などによれば、同じように三%、変わらない。だから口銭がかなり上がっていく。そういう意味では、商社は損をしない、むしろうまみがあるということで走ったと推測をされるわけです。  こうした状態が野放しにされる、これは非常にぐあいの悪いことだと思うわけですが、経済企画庁としてこういう問題についてどういうふうに対処されてこられたのか、お考えを伺いたいと思います。
  200. 藤井直樹

    藤井(直)政府委員 この問題については、昨年南洋材を中心とした価格の上昇が非常に急でございました。その理由としては、産地の輸出規制さらには輸出税を課すというようなことも行われて、かなり資源ナショナリズムを反映した動きが出てきたわけです。そういうことで、昨年じゅうの木材価格の高騰に対して私ども大変心配していたわけですが、その際に、一方、北洋材の輸入見通しが立たなくなった、非常に減ってきたということもあって、供給力の半分を占める南洋材の方に代替輸入が向けられたわけでございます。そして同時に、国内においては、当時はどのくらい先があるかわからないという心配もあったものですから、それに対する手当てを早目にしておこうという動きもあったわけでございます。そういうことで七−九月にかなり増加をいたしておりますけれども、これはいまのような価格状況を反映した動きではないかなと思っているわけでございます。  いずれにしても、木材の買い付け等について過当競争に走るということは非常に問題が多いわけでございますので、これについては農林水産省の従来から秩序を持った輸入を指導しておられる、そういう方向はこれからも大いにきちんとやっていただきたいと思っているわけでございまして、七−九月時点だけの問題とすると、どうも背景としてはそういう事情があったのではないかというふうに承知をしているわけでございます。
  201. 岩佐恵美

    岩佐委員 木材の需給について、四半期ごとに木材需給対策中央協議会で作成して、その場で政府が行政指導をすることになっているというふうに伺います。昨年の七月から九月の第二・四半期における南洋材の輸入計画は五百六十八万立米でした。ところが実際の輸入量は六百四十三万立米と、七十五万立米も過剰に輸入されました。在庫も四百四十四万立米のところが五百十五万立米と、七十一万立米も過剰在庫となっています。ちょうどその七−九月の南洋材のFOBというのは、百七十五ドルから百八十ドルと過去最高の価格となっているわけで、これは最も高い木材が大量に輸入されたということで、国民生活上からも非常に問題のある事態だというふうに思われるわけです。そこで、先ほどからいろいろ具体的事例をもって紹介をしました大商社の投機的輸入による価格の乱降下、それから需給の混乱を規制するために、米材を含めて商社が木材需給計画に基づいて輸入を行うよう、政府が行政指導を強める必要があるのではないかというふうに思います。  それから、これはあらゆる物資にも言われるわけですが、買占め売惜しみ防止法を輸入品について適用していく、そういうことも検討されていかなければならないというふうに思うわけですが、林野庁、経済企画庁のお考えを伺いたいと思います。
  202. 山口昭

    山口説明員 先生御指摘の商社等木材業界に対します行政指導でございますが、木材業界に対しましては、従来から木材の需給あるいは価格の安定を図る上から木材需給対策中央協議会というものを開いておりまして、ここで木材の取引等につきまして造詣の深い方々にお集まりいただきまして、短期の需給見通しをつくっていただくということをいろいろやっているわけでございます。そういった会議を通じまして、できるだけ外材につきましては秩序ある輸入——と申しますのは、景気が非常にいいときに買いあさる、あるいは悪いときには全然買わないといったようなことのないように、できるだけ安定した取引を続けるようにということで御指導申し上げているわけでございます。これらの指導は、木材備蓄事業あるいは木材情報事業の実施と相まちまして、木材需給の安定あるいは価格の安定の上で一定の成果は上げているのではないかというふうに思っているわけでございますが、今後ともさらに適切な指導に努めてまいりたいと考えているわけでございます。  また、お話がございました買占め売惜しみ防止法でございますが、極端に木材の需給関係が逼迫する、あるいはそういった好ましからざる事態があらわれるというときには、買占め売惜しみ防止法の発動あるいは国民生活安定緊急措置法、こういうものもございますので、こういった法の発動も考えてまいりたいというふうに考えているわけでございます。
  203. 藤井直樹

    藤井(直)政府委員 木材の短期需給の安定ということですでに四半期の需給見通しをつくって、そして関係業界にそれを示していくということで農林水産省の方で指導されているわけでございますが、そういうことで木材供給の目安が示されることによってかなりの効果は上げていくことができるものだと思いますし、そういうことについて一層指導していただきたいと私どもは考えております。  それから、異常な状態におきます二法の問題ということになりますと、現状においてはそういった売り惜しみとか買い占めというような事態はございませんので、この発動ということは考えられないわけでございます。そういう事態が起こらないような形での需給安定ということを、ただいま申し上げました木材需給対策中央協議会の場で極力やっていきたいということで現在進められているわけでございますので、そういう点が円滑に進められることを期待しているわけでございます。
  204. 岩佐恵美

    岩佐委員 木材需給対策中央協議会の問題でございますけれども、これは木材の需要と供給を定めるという非常に重要な機関だと思います。ただ、そういう重要な機関だから非常に専門的な方々にこの会の運営をゆだねられる、そういう点はわからないではないわけですけれども伊藤忠の木材部長とか長期信用銀行の調査部長といったようないわゆる業界の中枢の人たちが全部であるというのはどうかと思います。その中にいわゆる建設関係の方、まあ中小建設関係の方あるいは建設労働者あるいは消費者といってもこの場合なかなかむずかしいかもしれませんけれども、多少は専門的である消費者、こういう人たちが、大量にということになるかどうかは別として参加をした方が、たとえば木材が国民生活にどれだけ重大な影響を与えているとかいうようなことというのは、そういう人たちが一人、二人いて発言するだけでずいぶん違ってくるのではないかと思いますし、その点を強く要望したいと思うわけですが、その見解について、これも林野庁と経済企画庁それぞれの御意見を伺いたいと思います。
  205. 山口昭

    山口説明員 木材需給対策中央協議会のメンバーでございますが、学識経験者あるいは関係業界の代表あるいは関係行政機関の職員の中から木材需給に関して豊富な知識をお持ちの方を選定いたしまして、その意見が十分反映されるようにということで運営しているわけでございます。そういうわけでございまして、どちらかといいますと、木材の需給あるいは価格につきまして専門的な知識をお持ちの方々からなるべく客観的なデータをいただくということを主眼にして運営しております。そういう意味から言いますと、業界間の利害の調節あるいは消費者なり大工さんといったような関係者の方々のいろいろな御意見を承るという趣旨とはちょっと違うわけでございまして、一般の消費者の方々に入っていただくということは、この会議の趣旨から言いますとちょっと問題があろうかというふうに考えております。しかしながら、一般の消費者の方々とか大工さんといった方々の御意見を承る機会は別途十分持ちまして、需給の安定対策あるいは価格の安定対策のために反映させていきたいというふうに考えているわけでございます。
  206. 藤井直樹

    藤井(直)政府委員 この協議会は農林水産省の方で主管してやっておられる協議会でございますが、需給見通しを策定するということがこの会議の目的でございますので、そういう意味から言いまして、通常のような消費者代表、さらに大工、工務店のような方が入るのがふさわしいのかどうかという点については、私どももいささか疑問を持つわけであります。ただ、そういういろいろな利用者の方の御意見を伺う機会は別途いろいろなところであるようでございますから、そういうことを一方で伺いながら、この協議会としては本来の目的である需給見通しの策定というところに力を入れてやっていくということで、いまおっしゃったような趣旨は十分生かせるのではないかと考えております。
  207. 岩佐恵美

    岩佐委員 先ほどお話がありました合板の備蓄材の放出についてでございますけれども、昨年二月そして六月にこれが放出されたということですが、この備蓄制度そのものについて、いわゆる法律上位置づけられているというわけではなくて、一応予算上処理されているというふうに伺っています。基準がないという点で大変国民にはわかりにくいと思うのです。大体この制度が生まれたいきさつというのは、消費者対策として価格高騰を抑える、また基準としては前年比三〇%アップのときに発動する、そういうふうに具体的な基準があったと聞いておりますけれども、その点がどうもその後不明確になっている。また、備蓄木材、現在持っている木材三十万立米に相当するもの、これは約十万戸分の木材に当たると伺っていまして、確かに全体の量の中からいけば少ないかもしれないけれども、住宅の戸数にすれば影響は大きいのではないかと思います。ですから、この点でも基準を明確にして効果的な運用を考えるべきではないかと思うわけです。その点、どうお考えになられるか。  それから、備蓄材の放出ですけれども、どうも大手、問屋だけに放出をされる。これは林野庁のお考えでは既存の流通秩序を守る点からも必要なのだという御見解のようでございますけれども、鎮静させるという効果という面からいったら未端消費者、需要家、そういうところに直接に出す部分、それも考慮していく必要があるのじゃないかと思うわけです。この二点について林野庁の考え方を伺いたいと思います。
  208. 山口昭

    山口説明員 備蓄でございますが、放出の基準を明確にすべきではないかという御意見でございます。木材の需給あるいは価格を決定いたします要因は非常に複雑でございまして、そのときどきの要因を分析いたしますと、そのときによって非常に違うわけでございます。公定歩合がどうか、あるいは原木の産地価格はどうか、あるいは円の相場、レートがどうなっているか、いろいろ影響するわけでございます。もとより住宅の着工量、需要と供給のバランスというものが基本ではございますが、そのように非常に複雑な関係になっているわけでございまして、これを客観的に定観的に定量化いたしまして基準を明確化するということは、なかなか言うべくして困難なわけでございます。私どもとしましてもでき得べくんばそのような基準が欲しいわけでございますが、なかなか現実にはむずかしいということでございまして、現在では価格が異常に高騰し、あるいは高騰するおそれのある場合ということで運用しているわけでございまして、専門家の知識もできるだけよく聞きまして、私どもとして適確な対応をしたいと考えているわけでございます。昨年二回ばかり放出いたしまして、いろいろな反省点もありますけれども、おおむね妥当な時期に放出したのではないかというふうに、やや自画自賛でございますけれども、思っておるわけでございます。  もう一つございまして、備蓄の放出の受け渡し先でございます。消費者、最終需要者に直接渡すべきではないかというようなお話でございますが、実は木材の流通経路は非常に実際に個別の住宅というものが分散しておりまして少量な需要を賄うわけでございまして、流通経路がそれなりに対応しなければならないということから、一次卸、二次卸あるいは小売、大工さん、工務店というようなことで一つの流通秩序が現在でき上がっているわけでございまして、この秩序を飛ばして最終需要者あるいは消費者ということで放出をいたしますことは、ショートカットするという意味で物価対策上はそれ相応のメリットがあろうかと思いますけれども、中途におります流通加工業者というものを考えますと、これもなかなか困難な問題がございます。  また備蓄の量と申しますのは、御指摘ございましたように、三大都市圏につきまして備蓄をしているわけでございまして、合板につきましてはせいぜい三日分ぐらい、あるいは製材につきましては三大都市の一カ月ぐらいの量を備蓄しているわけでございます。これを大量にいたしますには相当膨大な予算がかかるわけでございまして、これを放出することによって全体の木材価格を下げるということに主眼を置いておりまして、これを最終需要者に配給をするということはなかなか大変でございまして、実際に不公平のないように配給をするということは、現状ではそこまでは非常に技術的にむずかしいということでございます。
  209. 岩佐恵美

    岩佐委員 私の考えでは、いまの答弁と意見を異にするわけで、その備蓄が放出されたというのはかなり価格がピークになっているときに放出をされた。だから、むしろ高値を追随するかっこうになったのではないか、そういうような末端の業者のいろいろな意見、これが実際にはそうであったのじゃないかと思うわけです。  それから正直にお答えいただいたような気がしますけれども、いろいろな流通経路を経る、これは一つの秩序だと思います。ただ、この備蓄を放出するという観点というのは、やはり価格を鎮静させていく、そういう意味で効果をねらっているわけですから、バイパスというのはそうした場合にはかなりの大きな効果を上げ得る一つの方法だと思うわけです。だから、旧態依然の流通経路に乗っけていく、あるいは最高のピークのときに放出をする、それではせっかくの効果が薄れてしまうというふうにも言えるわけで、私はその点についてやはり先の問題として考えていっていただきたいと要望したいと思いますし、また経済企画庁にもこの点について掘り下げて研究をしていっていただきたいと思います。  備蓄材の予算枠というのは現在二十一億円というふうに伺っていますけれども、これはまだまだもっともっとこういうところにお金を使っていく必要があるのじゃないかと思いますが、この点について、この制度そのものを拡大していく考えがおありかどうか、伺いたいと思います。
  210. 山口昭

    山口説明員 備蓄は、先ほど先生おっしゃいましたように、現在二十一億円ぐらいの予算で毎年運用しているわけでございます。数量で申しますと、合板がいままでは三百六十万枚、製材が十四万立方ということでやってまいったわけでございます。これはいろいろな計算がございますが、三大都市圏といいますか、東京、大阪、名古屋でございますが、ここらが非常に大きな需要地でございまして、そこの消費を冷やせば全国にこれが波及するという考えでやっておるわけでございます。  合板の三百六十万枚の基礎はどういうことかと申しますと、ずっと以前は、日本の合板価格が非常に上がりますと、関税をかけてはおりますが、それを乗り越えて韓国、台湾あたりから大量に入荷いたしまして、これが価格を冷やすという装置になっておったわけでございますが、昨今のは先ほど申しましたようにコストプッシュというあれがありまして、原木の現地価格が上がっておるということから韓国もやはり上がるわけでございまして、余り輸出余力がないということでございます。そういうことから、本年度からは合板の枚数をふやしまして七百二十万枚ということで、備蓄の能力を少し高めたわけでございます。
  211. 岩佐恵美

    岩佐委員 先ほどお話がありました五十五年度から予算化された木材流通情報事業、これに基づく中小工務店及び消費者に対する情報提供でございますけれども、これはまだ発足したばかりであるということですけれども、これは大変重要な事業だというふうに思います。ただ問題は、数字が羅列をしているということではこれまた中小工務店、消費者はよくわからないわけです。ですからわかりやすい数字にして、しかもそれを広く知らせる、そういう手だてをぜひともとっていただきたいというふうに思います。これは要望として申し上げておきたいと思います。  それから、合板の先物取引について業界紙によりますと、最近の話題からというようなことで、いま林野庁で先物取引について検討されているというふうに伺っておりますけれども、その作業はどんな進行状況になっているのでしょうか。
  212. 山口昭

    山口説明員 合板の先物取引の検討でございますが、最近におきます合板価格の大幅な変動などがございまして、これを少しでもやわらげる方策がないかということを考えておりましたところ——現在先物取引というものがすでに行われておりまして、穀物とかゴムとか、いろいろ上場されているわけでございます。一般的には先物取引の機能といたしまして、価格変動の平準化機能があるのではないか、あるいは価格の客観的な指標というものを提供できる機能を持っているのではないか。あるいは先々の取引におきまして当業者が——当業者と申しますのは大工さんとか木材屋さんとか、実際に仕事に携わっている方々ですが、その方々がいわゆる危険、リスクをヘッジできるという機能を持っているわけでございます。六カ月先に千円なら千円で買っておいたものが千五百円に上がってしまうと、先物取引におきましてはその千五百円の価格で実際に売れるわけでございまして、品物が手に入るあるいは現物を手に入れることも可能であるというようなことでございます。ただ、しかしながらわが国では、世上言われておりますが、いろいろ社会的な問題もあるいは付随する場合があるといったような懸念もあるわけでございまして、いろいろな方々の御意見をよく承って案をつくる必要があると思います。また、最終的にこの先物取引を開始するという場合には、当然当業者その他の方々の団体その他におきましてそれぞれ検討をいただきまして、意思決定をいただくというようなことで進めてまいりたいと思いますが、最近検討も大分進みまして、できればこの夏ぐらいまでにはというふうに考えておるわけでございます。
  213. 岩佐恵美

    岩佐委員 いまの御説明の中で私はやはり同じように危惧を持つわけですけれども、金とか、最近では大衆投資家が大変な痛手を受けています。あるいは小豆の相場、こういう問題があるわけで、合板について大工さんあるいは中小工務店の方々がそういう被害に遭わないような担保を十分していかないと、私はこういう制度というのは大変裏目に出てくるということではないかと思いますので、その点は十分検討をしていただきたいし、またそういう制度そのものについてもやっぱり広く多くの国民の意見を聞くような形でオープンにして検討もやっていっていただきたいというふうに思います。  それから最後に、話題が変わりますが、公正取引委員会にきょう来ていただいているので、新聞の拡販競争が何か東京の台東区で大変目に余る形で行われている。それが香港から五ドル五十セントぐらいでクォーツ型の腕時計を輸入してきて、そして大新聞がそれぞれに輸入競争して、しかも五ドル五十というと国内価格にすると千五百円ぐらいのものですけれども、かなり高く見える。だもんだから長期契約を消費者にさせるというようなことで、大分ひどい状況だというふうに聞いております。新聞というのはやはり中身でもってきちんと競争していけばいいわけで、また法律上もそのことが禁止されているわけですので、この点、公正取引委員会で十分調査をして、そうしてやめさせていっていただきたいというふうに思うわけですが、いかがでしょうか。時間がありませんので簡単に。
  214. 劔持浩裕

    ○劒持政府委員 ただいま先生御指摘になりましたように、御承知のとおり新聞業には景品類につきまして自主規制としての公正競争規約が設定されております。それでこの規約に参加しております販売業者または新聞発行業者につきましては、景品の提供につきまして非常に厳しい制限が課せられているわけでございまして、御指摘の事例が規約に参加する事業者であるということであれば規約違反になろうかと思います。そういった場合には、その販売店が規約に参加する事業者である場合でございますが、まず規約の運営機関であります新聞公正取引協議会で措置をとるように指導してまいっておるわけでございます。これが規約に参加していないということになりますと、公正取引委員会ないしはまた都道府県が直接措置をとるという方向で具体的には処理してまいっておるわけでございますが、このような事例が実は各地で見られますので、私どもといたしましては、新聞の流通販売につきまして全国的に実態調査を近く行うつもりでございます。  なおそれとあわせまして、協議会によります自主規制体制のあり方等につきましても必要な調査検討を進めてまいりたいというふうに考えております。
  215. 岩佐恵美

    岩佐委員 新聞は紙代が上がっている中でまた値上げがいつ行われるかわからないような状況にあるわけですけれども、私ども読者国民にしてみれば、そういう拡販競争を見ると、こんなところのお金が全部読者にかぶってくるのかということで大変問題が大きいわけで、その点ぜひしっかりとやっていただきたいというふうに思います。  これで終わります。
  216. 井上普方

    井上委員長 次に、塩田晋君。     〔委員長退席、松浦委員長代理着席〕
  217. 塩田晋

    ○塩田委員 物価対策につきまして、主として財政インフレの観点から問題を取り上げていきたいと思います。経済企画庁長官、関係局長にお伺いいたします。  御承知のとおり現在国は非常に大きな国債を発行いたしましてその財政を賄っておるわけでございますが、この国債というものは言うまでもなく国の借金でございます。この国債の累積というものはあげくの果ては破産を招くものであるというアダム・スミスの言葉もありますように、国にとっては大きな問題でございます。これは各家庭、個人の家計におきましても同じでございまして、大きな借金を抱えるということは心身ともの大きな負担であり一家を破滅に導くような場合も起こるわけでございますが、現在の日本の国債の発行状況、現在累計の残高につきまして状況を御説明いただきます。
  218. 北村恭二

    ○北村説明員 先生御指摘のとおり、最近国債の大量の発行が続いておりまして、五十四年度末、五十五年三月末で国債の残高の累計は五十六兆二千五百十三億円ということでございます。
  219. 塩田晋

    ○塩田委員 国債の発行額といたしまして五十一年度から見てまいりますと、五十一年度が七兆一千四百八十億、五十二年度が九兆八千六百六十三億、五十三年度が十兆七千九百二十一億円、五十四年度が十三兆六千三百五十五億、これは当初から一兆九千億減額された補正後十三兆六千三百五十五億ですが、五十五年度は十四兆二千七百億円、今年度予算にも計上されておるわけでございます。このように国債の発行額がどんどん増額していく先は一体どのようなことになるのか。いま言われました累積五十四年度末で五十六兆二千五百十三億、今年度末になりますと七十兆になる。来年度末あるいは再来年度末になりますとこれが百兆にもなるというような大きな債務を抱える。現在でも、五十四年度末でも国民一世帯当たり二百万円の借金を抱えているということでございます。われわれ実感がないわけでございますけれども、国としてはこれだけ大きな債務を抱えておる。このこと自体は家計の場合にも同じく国の財政の場合も不健全であることは言うまでもない。これを直さなければならない、財政再建をしなければならない、借金を返してなくしていかなければならない、これは当然でございますが、国の財政の場合はここに問題になりますのは財政インフレを起こす危険があるということですね。これは家計の場合と違う問題を含んでおる、非常に危険な様相を呈してきているんじゃないか、この点についていかがお考えでございますか。
  220. 岸田俊輔

    岸田説明員 お答えいたします。  確かに先生御指摘のように、大量の国債発行がインフレにつながる可能性は非常に大きいと思っております。すなわち国債を発行いたしましてそれが金融機関の引き受け、さらにそれが民間資金需要の圧迫という形になりますとどうしても通貨量の増大を招く。そういたしますと、それがインフレにつながっていくという危険性は非常に大きいというふうに考えております。
  221. 塩田晋

    ○塩田委員 この国の赤字国債、国債全体の比較で見まして諸外国、欧米先進国と言われるところの例と比べましてわが国の国債発行の額の水準というものはどういうことになっていますか。
  222. 伊藤博行

    伊藤(博)説明員 諸外国といたしまして英、米、独、仏といった四カ国を見てまいりますと、依存度で申しましてアメリカが改定見積もりでは一応ゼロそれからイギリスが一〇・六%それから西ドイツが一一・五%、フランスが五・二%ということで、わが国の五十五年度の予算の三三・五と対比いたしますと相当低いというのが現状だと思います。
  223. 塩田晋

    ○塩田委員 そのように国際比較をいたしましても非常にわが国の公債依存度というものが大きいということでございます。数年前でございましたか、この国債の発行の限度額というものは一般会計の規模に対して三〇%以内でないといけないんだ、それが一応天井、めどであるということが言われておりましたが、ここ二、三年突破をいたしておるわけでございます。これはどれくらいのところまで許されるというふうに見ておられますか。
  224. 伊藤博行

    伊藤(博)説明員 計数的に何%が限度であるというのはなかなかむずかしゅうございます。私ども関係しております審議会に財政制度審議会というのがございますが、この審議会で昨年の暮れ、十二月に公債問題につきましての報告書を提出いたしております。その中で先生のお話に若干関係あるんじゃないかと思われますのは、公債というのはいろいろな意味で問題がある。先ほど例に挙げられましたインフレの危険性といったような問題等々ございます。したがって、余り過度にそれに依存することは望ましくない。ただ、その審議会におきましても具体的に何%であるべきかということはなかなか一義的には示し得ない、やはりそのときどきの経済あるいは経済活動あるいは経済水準、そういったものとの中で見ていく必要があるという趣旨のもとに、当面の現在のわが国の財政が置かれております状態からいきますと、少なくとも特例公債はなるべく早く脱却していくべきであるということが一つ、それから建設公債につきましてもより長期的な観点からいきますとなるべく低い方へ持っていくべきだという趣旨の提言がなされております。その際の数字的なめどとして非常に経済その他が正常化した段階では一けたに持っていくことを最終目標にすべきであるというような趣旨の報告をいただいております。ただ、何%であるべきかという値についてはなかなか一義的に決めがたいというのが報告の趣旨になっておりますけれども、私どもとしても同様に考えております。
  225. 塩田晋

    ○塩田委員 いま言われましたように、かつて三〇%と言ってこれが金科玉条のように言われておりましたけれども、そういったものがいまの段階では特にないという見解が出たわけでございます。なるべく少ない方がいいということだけでございますが、これは非常に困ったものだと思うのでございます。この公債の発行というものは、これは先ほど申し上げましたように国民一人一人については、借金をしているという負担感といいますか、またこれを解消しようということは、家計の場合ですと、これはもう普通の人だと真剣に取り組む、何を切り詰めても借金をなくそうとしてがんばるわけですけれども、国の場合は責任が十分に認識されていない、めどがない、どれくらいまでならいい悪いということも議論されない、そして、年々歳々十何兆という国債が上積みされていく、累積されていくということ、そしてここ二、三年で百兆にも達しようかというような状況で、これは一体ここ十年の間に、あるいは財政再建の計画で以前にいただいている資料をかりまして六十年度、少なくとも六十年度ぐらいまででどれぐらいの残高と、そして各年度の国債発行が予定されるか、どういう財政再建、健全な均衡財政を考えておられるか、現時点における大蔵省の考え方をお聞きします。
  226. 伊藤博行

    伊藤(博)説明員 先生がお手元でごらんいただいておりますのは多分財政収支試算ではなかろうかと思います。この財政収支試算は、御案内のように経済計画をもとにいたしましてマクロ的に一般会計の数字を推計したものである、その際の各年度ごとの計数というものはあくまでも機械的なものである、したがって六十年度が一つの経済計画の目標年度でございますが、そこを一般会計に翻訳した場合にどうなるであろうかということで、六十年度の数字を推計いたしまして、それと五十五年度の数字とを言うなれば機械的に結んだものであるということで、先生御指摘の年度年度の数字がどうなるかという部分に関しては、言うなれば機械計算の結果であるという前提でお聞き取りいただきたいと思います。  それで、その財政収支試算によりますと、五十六年度は公債金収入が約十四兆五千億、五十七が十四兆二千七百、五十八が十三兆四千、五十九が十一兆六千、六十年度が十二兆二千強ということで、残高で見てまいりますと、六十年度では百三十兆ぐらいになるというのがこの財政収支試算上の計算でございます。ただ、私どもが実際の財政再建ということを考えていく場合に、この試算を最も望ましい姿と考えるかどうかというのは、またもう一つ議論のあるところでございます。  私どもとしては、実践的には、ともかくも絶対額なりあるいは依存度なりを現状よりも少しでも落としていく、年々落としていくということをまず考えていく必要がある。いま申しました財政収支試算の数字で申し上げますと、五十六年度の数字などは五十五年度の数字と変わらないような数字になってまいります。先ほど申し上げましたような機械的な計算からはじいておりますので、そういった計算になってまいります。そういったようなことから、財政収支試算は収支試算として一つの試算ではございますが、それとは独立に、実際にはこれよりも一歩でも二歩でも公債発行額を少なくする方向での実際の財政運営というものを考えていきたいというふうに考えております。
  227. 塩田晋

    ○塩田委員 六十年度に百三十兆円の累計の国債が残るということでございまして、これは大変なことでございます。それで、この国債の大量の発行というものが続きますと、当然この公債の利払いあるいは償還に追われてくるわけでございまして、国債費として毎年何兆円ものものが計上されざるを得ないということになりますし、これは端的に言いまして、物価抑制の対策として生産性の向上ということを企画庁長官もたびたび言われましたけれども、こういった国債費というものは、生産性の向上に関係のないものだと思うのです。こういったものをまた負担として、しかも後代のゼネレーションの人たちに負担を強いるわけでございます。そして民間資金需要を圧迫することにもなりましょうし、経済にインフレ要因をもたらすものだということが、金融面からのインフレ要因であるということが言えると思うのでございまして、この問題につきましては、財政再建というそのものにおきまして非常に重要なことでございますけれども、インフレ対策という面から、しかも生産性の向上を伴わない安易な国債依存というものが起こるということにおきまして、物価対策上非常に大きなインフレ要因として重視しなければならない問題だと思うのでございます。この前正示大臣にお伺いいたしましたときも、国債の発行が、国民全体の経済計算の中におきましては、国民貯蓄の面から賄われておる限りは心配はないというお話もございました。建設国債は投資的なものである、しかし、特例公債、赤字公債も、これはいろいろな形の貯蓄で賄われる限りは、さしてインフレの要因にならない、こういうお話も承ったのでございますが、この問題につきまして、大臣の御見解をお伺いします。
  228. 正示啓次郎

    ○正示国務大臣 先ほど来大蔵省の担当の課長さん方と塩田委員が非常にいろいろ御勉強になりました結果の質疑応答を拝聴しておりまして、私どもが従来考えておったような、国民貯蓄で消化される限り国債は心配ないというふうな大ざっぱな言い方では、とてもとてもこれは今日の状況をしのいでいくわけにはいかぬということが現実になってきておると思うのです。残高が幾らになるとか、それに対する国民負担をどういうふうにして確保していくか、いろいろ考えてみますと、今日の日本の財政の直面しておる問題というのは非常に重大な問題であることは、先ほど来お話しのとおりだと思います。  そこで、どうしてもまずわれわれ肝に銘じなければならぬのは、第一次石油ショック以来日本は、そのときまで高度成長ということで財政的にも民間経済も膨張主義でずっとまいったことは、御案内のとおりでありますが、ところが第一次石油ショックの後遺症を乗り切るに際しまして、民間企業はいち早く減量経営ということをやったわけですね。それで、財政面において、国も地方公共団体も同じようなことをやらなければならぬということは、これは十分みんな自覚をしておると思うのですが、なかなかその実現がむずかしい。一般消費税問題もまさにその一つであったわけでございますが、われわれはいろいろと反省の材料を得ておるわけでございますけれども、今後やはり現実に処していくには、先ほど来お話しのように、国債をとにかく特例公債からまず減らしていく、そして建設公債についてもこれを減らしていく努力、これを真っ先にやっていかなければならぬ。それが民間の企業の減量経営と同じような政府としての努力のあり方であって、これを怠っていきなり国民に負担増を求めるということは、なかなか言うべくして国民の納得を得られないのではないか。そういう意味から、まず国債の発行を減らすということに全力を挙げるべきであるという先ほど来の大蔵省当局の御答弁は、私も全面的に同感でございます。
  229. 塩田晋

    ○塩田委員 特例国債をできるだけ早い時期になくしていくという方針を伺ったわけでございますけれども、ここ数年の建設国債と特例公債の発行状況、そしてその割合、どのように推移しておりますか。
  230. 北村恭二

    ○北村説明員 当初予算ベースで申し上げますと、額と割合とを申し上げたいと思いますが、五十一年度は四条債が三兆五千二百五十億、四八・五%、特例債三兆七千五百億、五一・五%でございます。五十年度が四条債四兆四千三百億、五二・二%、特例債四兆五百億円、四七・八%、五十三年度四条債六兆五百億円、五五・一%、特例債が四兆九千三百五十億、四四・九%、五十四年度四条債七兆二千百五十億円、四七・二%、特例債八兆五百五十億円、五二・八%、五十五年度四条債六兆七千八百五十億円、四七・五%、特例債七兆四千八百五十億円、五二・五%ということになっております。
  231. 塩田晋

    ○塩田委員 いまの建設国債と特例国債の比率を見ましても、ここ一、二年むしろ特例公債の割合の方がふえておるということが数字的に明らかになったわけでございます。これを六十年度までにどのような比率にされるか。先ほどのお話からですと、特例国債の方がうんと少なくなるということでございますか。
  232. 伊藤博行

    伊藤(博)説明員 特例公債につきましては、一刻も早く新規発行分をゼロに持っていきたいというのが私ども財政当局の悲願でございます。  それで、お話のように六十年度は別な意味でちょうど五十年度から発行いたしました特例公債の償還時期が参ります。したがって、そういう時期までには新規発行をゼロにしていきたいということで、それを目標にしてがんばっていきたいというふうに考えております。
  233. 塩田晋

    ○塩田委員 そこで国債の債券市場における市場価格でございますが、ことしの三月あるいは四月の初めまでは非常に値下がりをして、売れ行きが非常に心配されておったわけでございます。つい最近になりまして、これが持ち直して、六・一国債と言われる悪名高い国債におきましても、ことしの三月は七十五円ぐらいだったと思うのですが、これが最近では八十二円まで回復しておるということでございますが、その国債の債券市場における状況につきまして御説明願います。
  234. 北村恭二

    ○北村説明員 ただいま御指摘ございましたように、五十四年度から五十五年度にかけまして、各種の金利が上昇いたしました。特に五十四年度後半には、金利先高感ということから、かなり消化環境が悪化いたしました。本年に入りましてさらに市況は悪化を続けまして、先生よりただいま御質問のございました六・一国債では七十四円台といったような水準にまで価格が下がったわけでございますが、最近に至りまして金利の天井感といったようなものが一連の金利改定の結果出てまいりまして、それに比べますと消化環境は若干好転しております。いま申し上げました六・一国債も、昨日は八十一円といったような水準にございます。かなり急速に価格が下がっていた段階よりは、現在は一時戻した価格にあるということでございまして、個人消化等は比較的順調に推移しているというふうに承知しているわけでございます。
  235. 塩田晋

    ○塩田委員 一時は国債が大量に発行されても消化し切れないということが非常に問題になり危惧されたわけでございますが、これは悪性インフレにならない歯どめとして長期国債についての日銀直接引き受けは財政法で禁止されておるということ、これが法律上の歯どめだったと思うのですけれども、先ほど来申し上げておりますように、一般会計に対する比率が何%というのはもう何もないということでございますし、私は一つの歯どめは国債を発行しても売れなくなってしまう、消化されないというところが国債の歯どめである。日銀引き受けということを禁止してそれは絶対やらない、そして市場で売れなくなるというのも限度、それ以上は安易にこの国債に頼るべきではないし、頼ってはインフレを起こすということで、これが歯どめと思っておったのでございますけれども、このように市場価格が上がってきたということは消化に明るい見通しというものが出てきたと思うのですが、明るいと言っていいかどうか、むしろ歯どめがどうなったんだと思うのでございますが、この値下がりをし消化が非常に危惧されたあの状況の中で、大蔵省は昨年末から昨年度末にかけてかなりいろんな手を打たれたと思うのですね。ある見方では相当なごり押しの手を用いて、まあ市場介入とまで言えないかもわからないけれども、かなり手を加えられたと思うのですが、その状況につきまして説明願います。
  236. 北村恭二

    ○北村説明員 五十四年度を通じまして、先ほど申し上げましたようにかなり国債の市況の悪化があったわけでございまして、この間国債を円滑に消化していくためにはかなりの努力を要したわけでございます。  一つには、国債の種類の多様化の一環としての中期債の公募入札を導入いたしまして、これの発行を続けたといったような努力もいたしました。あるいは個人消化の促進というようなことにも努力をいたしましたし、流通市場の拡大、安定化のためにも幾つかの努力をしたわけでございます。先生御指摘ございました市場が非常に急速に悪化いたしました時期、特に本年に入りましてからでございますけれども、市況の悪化というのがかなり市場の不安心理、特に今後の金利についての不安心理といったようなもので増幅されている面もございましたので、国債整理基金の資金を活用いたしまして市場の安定化ということにも努めたわけでございます。
  237. 塩田晋

    ○塩田委員 この国債の利率について操作をされたことはございませんか。
  238. 北村恭二

    ○北村説明員 先生のお尋ねは市場価格と申しますか流通利回りということかと存じますが、流通利回りにつきましては、これは取引所あるいは店頭気配といったようなもので対外的に公表されておりまして、先ほど申し上げましたように価格が非常に低落しておりましたときの流通利回りというのはかなり高いものになっております。
  239. 塩田晋

    ○塩田委員 国債整理基金特別会計からのこれに対する介入というものはございましたでしょうか。
  240. 北村恭二

    ○北村説明員 先ほど申し上げましたように、本年に入りましてから国債の市況がかなり急速に悪化いたしましたときに、国債の整理基金による資金を使いまして市場からの国債の買い入れを行っております。買い入れの方法といたしましては、公募入札により約千九百億円、それからその他の方法により約二千六百億円、合計いたしまして約四千五百億円の資金で市中からの国債の買い入れを行っておりまして、こういったことが対外的に報じられているということの中で、市況の急速な低下、価格の低下ということに対しては若干の影響があったのではないかと思っております。
  241. 塩田晋

    ○塩田委員 銀行保有の国債の評価方法ですね、これを弾力的にされたということはございませんか。
  242. 北村恭二

    ○北村説明員 金融機関の決算につきましては、従来から行政指導で統一的に低価法を採用するようにということで来たわけでございますけれども、昨年の十二月に通達を出しまして、いわゆる原価法と低価法とを金融機関として自由に選択できるようにということで、評価方法について統一経理基準の改正を行っております。
  243. 塩田晋

    ○塩田委員 そういった操作が国債の消化あるいは市場の回復に影響した面はございますか。
  244. 北村恭二

    ○北村説明員 ただいま申し上げました国債の評価方法の問題は、実はこれは銀行の経理の問題でございまして、このことが果たして国債の市況といったことについてどの程度影響があったのかということはもちろん計測できる問題ではございませんが、これはあくまでも銀行の経理方法の問題だというふうに分けて考えているところでございます。
  245. 塩田晋

    ○塩田委員 このことを申し上げておりますのは、昭和の初頭における財政の危機に際しまして、高橋是清大蔵大臣が、国債の消化が円滑に進まないということで、保有国債の評価を市場価格の変動によらないで蔵相の告示に基づく一定の価格にするように改めたという例があるわけでございまして、そういったこととも関連をするのではないかということを申し上げたわけでございます。
  246. 北村恭二

    ○北村説明員 先生いま御指摘になりましたのは、昭和七年に出しました国債ノ価額計算ニ関スル法律という法律のことでございますけれども、この当時は、国債の評価につきましては時価以下主義ということになっておりましたので、それに対する商法の例外としてこの法律をつくったわけでございます。現在は商法あるいは企業会計原則におきまして、先ほど申し上げましたように、原価法と低価法につきましてはいわば自由な選択ということになっておりますので、金融機関に対する指導というのはむしろそれに考え方を合わせたというふうに私ども了解しているわけでございます。
  247. 塩田晋

    ○塩田委員 資金運用部に引き受けがどれぐらいになっておりますか、五十三、五十四、五十五年で。
  248. 北村恭二

    ○北村説明員 国債の資金運用部における引き受けの数字でございますが、五十三年度は当初予算はゼロでございましたが、その後補正で三千億の中期債の引き受けを行っております。  五十四年度につきましては、当初では一兆五千億の引き受けを行う予定でございましたが、その後引き受けシ団の軽減といったような見地も含めて、さらに中期債の入札、発行の関連もございまして、結果的には二兆六千六百四十一億の引き受けを行っております。  それから五十五年度につきましては、二兆五千億の引き受けを予定しているところでございます。
  249. 塩田晋

    ○塩田委員 この資金運用部の引き受けが年々非常に多くなってきている。これはどういう理由からですか。
  250. 北村恭二

    ○北村説明員 先ほど来お答え申し上げておりますように、国債の大量の発行ということで、この国債の引き受けはシ団による引き受けとそれから中期債の公募入札による発行、それから運用部の引き受けによる消化といったことに分かれるわけでございますけれども、国債の発行量の増大、特に国債発行残高の累積といったような事情のもとでシ団の引き受け負担というものがかなり重くなってきているわけでございまして、そういった観点をも踏まえ、かつ資金運用部における役割りといったようなことも総合勘案いたしまして、徐々にその引き受け量が最近ふえてきているというのが現状でございます。
  251. 塩田晋

    ○塩田委員 債券市場における国債の消化あるいは市況というもの、これが際限なく伸びていこうとする国債発行の歯どめとして機能している、またすべきだと思うのでございますが、特に日銀の直接引き受けの禁止というこの歯どめを外すことなくやっていく場合のめどがこの問題だと思うのですけれども、これにいろんな手を使って介入といいますか、その市況の立て直しに躍起になっておられると言うと語弊があるかもわかりませんが、いろんな国の財政あるいは国の関係の資金を動員したり、法的ないろんな介入をして手を入れることは余り好ましいことではないんじゃないかというふうに思います。この立ち直りの一つの大きい原因というのは、御承知のとおり、アメリカの金利が非常に上昇しておったのが下がりかかっておるということ、円が持ち直して円高になりつつあるといった問題もあって、外国からの国債買い入れというか資金の流入、これはどの程度あるものですか。関係あるかどうかです。
  252. 畠中杉夫

    ○畠中説明員 外人の国債購入でございますが、国債だけの数字は詳細には持っておりませんで、国債と社債合わせたところで数字がございますが、これによりますと、昨年の十二月から月に大体二千億円程度の資金が入っております。三月はちょっと減りまして一千億程度でございましたが、月に大体二千億円程度入っておるわけでございます。この中で国債は、大ざっぱに申しまして七割から八割くらい、こういうふうに推定されるわけでございます。
  253. 塩田晋

    ○塩田委員 大臣、財政インフレをもたらさないためにこの国債問題につきまして特段の御配慮、決意で取り組んでいただきたい。やはりこういう借金がかさむときには財政の支出を思い切って切るということに本当に真剣に取り組まないと、後の世代の人たちに大変な負担をかけるのみならず大きなインフレの要因になりますし、歯どめがはっきりしないという、いまいろいろ御質問しましたようなことで明らかになっておると思いますが、こういった問題につきまして行政改革を思い切って実施する、これを含めまして大臣のお考えをお聞きします。
  254. 正示啓次郎

    ○正示国務大臣 これは大蔵省が非常に熱心でございまして、財政再建のために五十五年度の予算も当初は相当厳しい考え方を打ち出したのでありますが、一方、これは自由民主党だけではございませんで各政党におかれては、福祉充実その他いろいろと財政支出の面において強い御要請もあるわけでございます。そこでいま、物特委員会で塩田委員の民社党を代表されての御質疑でございますが、財政再建を心から念願しておる大蔵省を初め政府当局に対して大変力強い鞭撻であり、激励であったと私は考えます。そういう真摯な考え方に基づいて、われわれとしても一日も早く財政再建の具体的な対策に今日以上の積極的な取り組みをしていくようにいたしたいと考えます。
  255. 塩田晋

    ○塩田委員 前向きな御答弁をいただいたわけでございますが、その中でもなお生産性の向上という面から言いまして、民間に対して生産性の向上を強く求め、合理化を求められるからには、やはりまずみずからの姿勢を正し、みずからの改革を徹底的に行うということでないと迫力がないと思います。  それから、大蔵省がこの財政再建について非常に熱心に取り組んでおられるということもわかるのですけれども、一たん借金をいたしますと、個人の場合でも同じですが、むしろインフレを待望するという心理もあるわけですね。借金はインフレが起こればかなり軽くなるという面もあるんで、なおさらとにかく借金を少なくするということ、これをなくしていくという方向、そのために徹底的に取り組まないと、私はインフレマインドというものは大蔵省の担当者の中には——大蔵省とは言いませんけれども、借金を抱えた者の心理としてはそういうこともなきにしもあらずというふうに思います。その点について、大臣の一層のこの問題についての全力を挙げての取り組みを強く要望いたします。  なお、ちょっと時間をいただきまして最近の物価動向でございますが、大体四月、五月を過ぎ、六月の山を迎えて消費者物価、卸売物価見通しをどういうふうにお考えになっておられますか、この半年くらい先ですね。恐らく野菜がかなり上がっておったのが一つの大きな消費者物価の押し上げになっておったと思うのですが、これが鎮静化してくることがかなり抑制要因になるかと思うのです。そういったものを含めまして、個別の品目の主なものの見通しも含めて総体的な消費者物価、卸売物価見通しを御説明いただきたいと思います。
  256. 正示啓次郎

    ○正示国務大臣 概略私が申し上げて、物価局長が補足をいたします。  御案内のように、五十四年度は初め相当低いところからスタートいたしましたが、年度末には非常に高くなりまして、それはいま塩田委員御発言の野菜の暴騰状態ということが大きな原因でございましたが、しかし五十四年度の私ども見通しというものは一応四・七八という形において達成されました。続いて春闘もああいうことでございまして、まだ完全決着とはいきませんが、われわれとしては物価問題に対する、またインフレ克服に対する国民的な熱意というものを一層痛切に感じております。  そこで五十五年度でございますが、今度は逆に高ところからスタートいたしまして徐々に、いま御指摘のような野菜が正常化していく過程、それから円が大変安かったのでありますが、これもやや持ち直しぎみでございます。問題は原油価格その他でございますが、これについてもイランに対する純粋の経済的な立場からも三十五ドルというものはとてもいただけませんというふうなことでやりました。一方、総理もおいでになりましたけれども、メキシコからはなかなかわれわれの期待にこたえていただけなかった。イランにおいてもメキシコにおいても、その他の原油の多角化計画また今後の価格折衝、こういうものは粘り強く、悪影響を与えないような線で何とか交渉妥結をしたい、こういうふうに考えておるわけでございます。そういうふうな努力によりまして、一方では公共料金の相当の引き上げもございましたので、またいままでたまりにたまった卸売物価の波及問題もございますので、決して楽観は許されませんけれども、先ほど申し上げたような国民の総意にこたえて五十五年度の六・四%という見通しを何とかして実現すべく、これからも万全の努力をしていきたいと考えております。
  257. 藤井直樹

    藤井(直)政府委員 大臣から全体の様子について御答弁があったわけでございますが、卸売物価について申し上げますと、卸売物価は四月の数字は近く日銀から発表されることになりますが、電気料金、ガス料金値上げという非常に大きなものがございましたし、その他石油関係の第八次値上げの浸透等もございます。したがいまして、四月にはかなりの上昇が見込まれるわけでございますが、ただいまのような海外商品市況等の状況から見ますと、五月以降になりますと、前月比の上昇率というのはいままでよりは鈍化をしていくのではなかろうかと思っております。  そういうことで、それが消費者物価との関係についてどうなるかということでございますが、消費者物価の方は、卸売物価からの波及の影響というのがなお残るわけでございます。したがって、その影響が出てまいります期間におきまして極力物価対策を推進することによりまして、その影響が最小限に出るように努力をしていくということでございまして、そういうような期間が過ぎました段階におきましては、卸売物価の方の鈍化の影響もあらわれてまいりますので、対前年同月比で見た場合の上昇率というものは順次鈍化をしていって、そして全体として六・四%の数字になる、そういうようなパターンを私どもとしては考えておるわけでございます。
  258. 塩田晋

    ○塩田委員 終わります。
  259. 松浦利尚

    松浦委員長代理 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時五十二分散会