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1980-04-22 第91回国会 衆議院 物価問題等に関する特別委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十五年四月二十二日(火曜日)     午前十時十八分開議  出席委員    委員長 井上 普方君    理事 相沢 英之君 理事 野田  毅君    理事 渡辺 秀央君 理事 金子 みつ君    理事 松浦 利尚君 理事 中川 嘉美君    理事 岩佐 恵美君 理事 中野 寛成君       亀井 静香君    岸田 文武君       工藤  巖君    熊川 次男君       牧野 隆守君    粟山  明君       小野 信一君    武部  文君       長田 武士君    宮地 正介君       藤原ひろ子君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      正示啓次郎君  出席政府委員         経済企画庁国民         生活局長    小金 芳弘君         経済企画庁物価         局長      藤井 直樹君         運輸省鉄道監督         局国有鉄道部長 石月 昭二君  委員外出席者         行政管理庁行政         管理局管理官  武智 敏夫君         経済企画庁長官         官房秘書課長  星野 進保君         文部省大学局学         生課長     石井 久夫君         文部省管理局私         学振興課長   北橋  徹君         通商産業省大臣         官房秘書課長  木下 博生君         自治省財政局財         政課長     津田  正君         会計検査院事務         総局第五局長  小野光次郎君         日本国有鉄道常         務理事     吉井  浩君         日本国有鉄道施         設局保線課長  神谷 牧夫君         特別委員会第二         調査室長    曽根原幸雄君     ――――――――――――― 四月二十一日  公共料金値上げ反対インフレ抑制に関する  請願勝間田清一紹介)(第四三六八号)  同(川崎寛治紹介)(第四三六九号)  同(斉藤正男紹介)(第四三七〇号)  同(島田琢郎紹介)(第四三七一号)  同(新村源雄紹介)(第四三七二号)  同(前川旦紹介)(第四三七三号)  同外一件(森中守義紹介)(第四三七四号)  同外一件(森井忠良紹介)(第四三七五号)  同(渡部行雄紹介)(第四三七六号)  同(井上一成紹介)(第四五一四号)  同(伊賀定盛紹介)(第四五一五号)  同(石野久男紹介)(第四五一六号)  同(岩垂寿喜男紹介)(第四五一七号)  同(小川国彦紹介)(第四五一八号)  同(大出俊紹介)(第四五一九号)  同外一件(加藤万吉紹介)(第四五二〇号)  同(川口大助紹介)(第四五二一号)  同(佐藤観樹紹介)(第四五二二号)  同(嶋崎譲紹介)(第四五二三号)  同(新村勝雄紹介)(第四五二四号)  同(田口一男紹介)(第四五二五号)  同(多賀谷真稔紹介)(第四五二六号)  同(野口幸一紹介)(第四五二七号)  同(村山喜一紹介)(第四五二八号)  同(安井吉典紹介)(第四五二九号)  同(横路孝弘紹介)(第四五三〇号)  同(渡辺三郎紹介)(第四五三一号)  公共料金値上げ中止に関する請願勝間田清  一君紹介)(第四三七七号)  同(安藤巖紹介)(第四五〇〇号)  同(神崎敏雄紹介)(第四五〇一号)  同(小林政子紹介)(第四五〇二号)  同(瀬崎博義紹介)(第四五〇三号)  同(多田光雄紹介)(第四五〇四号)  同(寺前巖紹介)(第四五〇五号)  同(中林佳子紹介)(第四五〇六号)  同(不破哲三紹介)(第四五〇七号)  同(藤田スミ紹介)(第四五〇八号)  同(安田純治紹介)(第四五〇九号)  同(山原健二郎紹介)(第四五一〇号)  同(四ツ谷光子紹介)(第四五一一号)  公共料金値上げ中止等に関する請願(長谷川  正三君紹介)(第四三七八号)  同(大出俊紹介)(第四五一二号)  同(中路雅弘紹介)(第四五一三号)  公共料金値上げ抑制等に関する請願北側義  一君紹介)(第四三七九号)  同(玉城栄一紹介)(第四三八〇号)  同(中川嘉美紹介)(第四三八一号)  物価値上げ反対に関する請願外九件(佐藤観樹  君紹介)(第四四九三号)  同外一件(柴田健治紹介)(第四四九四号)  同外二件(前川旦紹介)(第四四九五号)  同外一件(村山喜一紹介)(第四四九六号)  同外九件(森井忠良紹介)(第四四九七号)  同(安井吉典紹介)(第四四九八号)  同外四件(山田耻目君紹介)(第四四九九号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 四月十八日  物価値上げ抑制に関する陳情書外九件  (第一七八号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  物価問題等に関する件      ――――◇―――――
  2. 井上普方

    井上委員長 これより会議を開きます。  物価問題等に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中川嘉美君。
  3. 中川嘉美

    中川(嘉)委員 去る一月二十五日に、昭和五十四年平均全国消費者物価指数が発表になったわけでありますが、昨年は九月まで大体前年比で二、三%という安定した推移であったわけですけれども、十月から騰勢に転じまして、十二月には前年同月比で五・八%にまで上昇しております。その結果、五十四年ですが、これは前年比で三・六%の上昇ということになっております。五十四年の消費者物価が三%台に落ちついた要因としては、第一に円高影響から電気とかガス料金の割引、こういったものが三月まであったということ、またそのころまでガソリンとか灯油あるいはプロパンガス、板材、こういったものが値下がりをしたということ、第二に公共料金授業料、月謝とか、こういったサービス料金が比較的小幅な上昇にとどまった、こういったことを挙げているわけです。ただ、私はこれを見まして、果たしてそのように理解していいものかどうかという問題、若干疑問を抱かざるを得ないわけです。  そこで、きょうはこういったものの中で、教育費ですね、この問題をテーマとして若干の質問をしてまいりたいと思います。そこでまず教育費上昇率、これを暦年ですけれども四十六年から調べてみますと、四十六年が六・四%、四十七年が九・三%、四十八年が一一・六%、四十九年が一七・三、五十年が二六、五十一年が二四・七、五十二年が一八二二、五十三年が一四・九、五十四年が一〇一八と四十八年以降二けたの上昇がずっと続いている。この九年間に三・六倍にもはね上がっているわけです。このCPI総合の二・一九倍というのがあるのですけれども、これに比べてまことに驚くべき数字である。ずっと二けた上昇で来ているわけですね。五十四年に二けた上昇があったのは教育灯油プロパン値上げによるその他光熱という項目がありますけれども、灯油プロパンが二けた、指数でいいますと総合が一二七ですが、ワーストワンが教育で一八七・八、この数字が非常に問題だと思います。これが二月には一九二・二とさらにこうなって五十年の約二倍。そしてワーストツーが何かといいますと、交通通信ですね、これが一六八・八。交通通信を非常に大きく引き離しているわけです。一体なぜこんなに上がったのか、その実態についてここで明らかにしていただきたいと思います。
  4. 藤井直樹

    藤井(直)政府委員 いまの御指摘のとおりの数字でございまして、教育費につきましては七年間連続して上がっております。そこで大まかにこの上昇の理由を申し上げますと、教育というものの性格上かなり人件費ウエートが高いということがございますので、そのコスト上昇というのがこの間かなり賃金上昇を背景としてあったということがございますと同時に、通常の産業でございますとその間生産性向上ということによってかなり吸収できる面もございますが、教育にはそういう要素が全くございません。そういうこともありましてそのコスト増授業料その他の形で反映してきているということが一つあるかと思います。それからもう一つの問題といたしましては、私立学校国公立学校との授業料の違いにつきましての問題がございますわけで、従来国公立関係授業料が相対的に低く抑えられていたということもありまして、最近財政事情等関係からその是正が行われているということによりまして、国公立学校授業料上昇率が高くなっているということも一つ原因ではないかと思います。ただ七年間上昇いたしておりますが、上昇率傾向は漸次鈍化しておりまして、五十四年にはその前の年の一四・九%から一〇・八%に落ちてきている、そういう傾向は全般的には読み取れるわけでございますが、いずれにしても高い上昇を続けてきたということは御指摘のとおりでございます。
  5. 中川嘉美

    中川(嘉)委員 この消費者物価でそれでは二けた上昇が七年間も続いているという例がほかにあるかどうかちょっと調べてみてください。
  6. 藤井直樹

    藤井(直)政府委員 毎年度一〇%以上というのはほかには例が見当たらないと思います。全体として先ほどからの七年間の上昇率平均で見まして一〇%を超えている、そして教育費上昇にほぼ近いものといたしましては魚の関係での塩干物でございます。塩干魚介、これが一四・八%、それから設備修繕につきまして一四・四%、そのほかでは和服が一二・八%、等がかなり上昇率の高いものでございます。
  7. 中川嘉美

    中川(嘉)委員 去る四月四日に本年一月分の家計調査報告、これが発表されているわけですが、勤労者の実収入をそれによって見ますと、前年比でマイナス一・二%、こういうことになっております。物価はこの二月に前年同月比で八・〇%の上昇、したがって収入が前年比マイナスということは大変なことではないかと私は思うわけです。恐らく実収入が前年比マイナスという傾向はこれは二月も三月も続くだろうと思うわけですけれども、四月になれば春闘賃上げですね、これが家計調査にもあらわれてくる。若干の事情は違ってくるとはいうものの、この春闘の結果も五%とかあるいは六%とかこういう数字が新聞で報道されているということからすれば、この四月は電力とかガス、こういったものを初めとして今後もろもろのものが値上がりをすることが考えられます。教育費もその中の一つだと思うわけですが、春闘で五、六%の賃上げがあったとしてもこうしたもろもろ値上げによって帳消しになってしまって勤労者収入マイナスというこういう事態が続くかもしれないということが言えるわけですが、こうしたことについて大臣はどのように考えておられるか、所感を伺いたいと思います。
  8. 正示啓次郎

    ○正示国務大臣 これはやはり勤労者の方々にとっては大変きつい状態であることは御指摘のとおりだと思います。われわれとしては物価を安定さすことによって勤労者の実質的な生活内容充実を図っていただくこととそして物価の安定とがバランスのとれたような、そういう経済情勢というのが一番望ましいと考えておるわけでございます。したがって、今回の春闘動向等を見ましても、われわれはまだ完全に終わったものでもございませんし、一つ一つの交渉について七やかく申し上げるわけではございませんが、全般としてはいま申し上げたように物価安定かけではなくて勤労者の実質的な生活内容充実もほどほどに行われて、労賃のコストの利潤のコストの中に占める割合というものが著しく大きくなるということがインフレ的な傾向を醸成していくことは各国の例に明らかでございますから、その辺に節度が必要でございますが、そういう節度を守る限りはいまのような変則的な、これは非常に野菜の騰貴その他の季節的なものがございましたのでそういう事態になりましたが、やはり本来はいま申し上げた二つのバランスが大事な点である、私はこう考えておるわけでございます。
  9. 中川嘉美

    中川(嘉)委員 この一月の家計調査を見てみますと、貯金などが前年比で大変減ってきているわけですね。まず家計の黒字、これを見てみますとマイナス二六・五%、それから金融資産純増ですね、これがマイナス一八・六%、こうした中で教育費は二けたの伸びで一八・三%、こういうふうになっているわけです。ほかに大きく伸びている自動車関係費あるいは教養娯楽費ということになっているわけですが、家計の面から見ても教育費ワーストナンバーに入っているわけですね。そこで、こうした家計支出増高をどのようにしのいでいるのか、こう思って見ますと、実収入以外の収入が前年比一四・六%もふえているわけです。この中身は一体何なのか、ここでお答えをいただきたいと思います。
  10. 小金芳弘

    小金政府委員 実収入勤め先収入世帯主それから妻の収入それから他の世帯員収入三つで分けてみますと、世帯主収入というのが最もウエートが高いわけでございますが、この伸び名目五・九%で比較的低い伸びでございます。妻の収入は大体において最近は伸びが低くなっておりまして、一方他の世帯員収入名目で二・二%減となっている、こういう状態でございます。したがいまして、この三つで分けました場合、全体的に低いわけでございますが、やはり世帯主収入伸びが一番高いというようになっております。
  11. 中川嘉美

    中川(嘉)委員 私がお聞きした質問に全くお答えいただいてないんで、もう一回言います。  いま質問したのはそういうことじゃないんで、実収入以外の収入ですね、こういったものは前年比一四・六%もふえているわけですが、この中身を聞いているわけで、いま言ったようなそんなことを聞いていないのですよ。
  12. 小金芳弘

    小金政府委員 実収入以外の伸び一四・六となっておりますこの中身は、現在公表されておりませんので、われわれのところではいまのところこの中身がどういうふうになっているかはわかっておりません。
  13. 中川嘉美

    中川(嘉)委員 いま公表されてないという御答弁ですけれども、大臣に伺いますけれども、いまの御答弁は一四・六の中身は公表されてないで終わってしまったわけですが、実際問題としてこれは当然想像される部門があると思うのですが、どうですか。
  14. 正示啓次郎

    ○正示国務大臣 正確を期する意味でけさほど総理府統計局を呼んでいただきたいと私はお願いしたはずでございますが、言わなかったのか。——これをつくった統計局を呼んでいただきたい。
  15. 井上普方

    井上委員長 ちょっと速記をとめて。     〔速記中止
  16. 井上普方

    井上委員長 速記を始めて。
  17. 中川嘉美

    中川(嘉)委員 本当はこれをお答えいただかなければと思うわけです。しかし、時間の関係もありますから、次に進みます。  五十四年度、国立大学授業料値上げというものはしなかったわけですけれども、入学金検定料——これは入学金検定料だけだったわけですね、それでも五十四年は教育費は一〇・八%の上昇ということですが、このことは一月の家計調査でも当然あらわれてきているわけで、前年同月比で名目一八・三%の上昇であるわけです。日経の報道によって見ますと、日経商品情報システムと東京都地域消費者団体連絡会というところが十六日まとめた消費者購買動向調査というのがありますけれども、この中でも「三月は例年、教育費が膨れるが、この月も一世帯当たり約五万三千円と前月の二・五倍。入学金上昇などが響いて前年に比べても一七%増えた。」というふうに報道されておりますが、これは一体何が原因となっているのか、この点をお答えいただきたいと思います。
  18. 小金芳弘

    小金政府委員 家計調査昭和五十四年度一月の教育費上昇は一八・三%となっております。この内訳といたしまして、名目上昇が一八・三%でございますが、このうち教育費物価上昇率が九・八%ございまして、それを差し引きました残りが七・七%の上昇でございます。  この中身が何かという御質問だと思いますが、この調査というものは毎月の調査でございまして、それからサンプルが毎月少しずつこれを修正しておりますために、サンプルになっております家庭の状態が変わりますと、そこで不規則な変動が起きるわけでございまして、たとえば五十四年の一月には対前年で一八・一%の減少というような月が一年前にあるわけでございます。したがいまして、われわれの方といたしましては、この月ごと変動を見ておりますと非常に不規則な変動がございますので、この要因につきましてはかなり統計上の問題が多いと解釈しておるわけです。
  19. 中川嘉美

    中川(嘉)委員 いま御答弁をいただいたのは確かにもっともらしく聞こえるわけですよ。国立の方はさっき申し上げたとおりなんだけれども、じゃ、私学の方はどうなんですか。この辺の私学値上げということについて何もあなたは触れてないけれども、この点どうなんですか。
  20. 小金芳弘

    小金政府委員 値上げの方は、われわれといたしましては教育費CPIで見ておりますと、たとえば五十四年平均と五十三年平均値上げを見てまいりますと、国立大学も三一・二%の上昇となっておりまして、私立大学は一四・〇%の上昇でございます。この四月に上昇いたしませんでも、これは毎年一年ずつ学年が進行いたしまして、新しく入った学生が次の高い授業料を支払うという関係で、物価指数にいたしますと、ある年次四月に授業料上昇いたしませんでも、統計上は物価上昇するというようになっております。したがいまして、国立大学私立大学比較いたしますと、むしろ私立大学の方が五十四年におきましては一四%の上昇ということになって、国立大学よりも低いというような形になっております。
  21. 中川嘉美

    中川(嘉)委員 そういう御答弁なので国民はごまかされちゃうわけですね、数字だけぽんぽんと並べて。授業料を論ずる場合に、国立大学授業料だけが授業料ではないということはわかっているわけですけれども、CPIへの影響というものは国立大学が一番小さいわけですよ。さっきあなたの答弁を聞いていると、まるきり国民はごまかされてしまう。ウエートを見てみますと、これははっきりします。国立大学はわずか三です、ウエートは。私立幼稚園は七三、私立大学が五六。もう一回先ほどへ戻りますが、国立大学は三ですよ。PTA会費が四五、私立高校が四〇ですね。こういうのを見ていると問題にならないほど高いわけです。こういうことを全く伏せてあなたの答弁を聞いていると、完全にこれはごまかされてしまう。したがって、五十五年度に国立大学授業料を十四万四千円から十八万円に引き上げて、CPIへの影響がわずかに〇・〇二%ですよ。あなたも専門家だからわかると思うのだけれども、〇・〇二%でしょう。それ以外のこの私立授業料の方がもっと大きいわけですよ。ですから、物価という見地からすれば、公共料金である国立大学授業料よりもむしろ公共料金でない私立学校の方に着目すべきだと私は思うわけなんです。ここのところ、大事なんですよ。  五十五年度の私立学校値上げによるCPIへの影響というのは幾らになりますか、この点をお答えいただきたいと思います。
  22. 藤井直樹

    藤井(直)政府委員 私学全体の教育費に占めるウエートが非常に高いということは御指摘のとおりでございまして、五十四年度のCPIにおきまして、私立学校授業料上昇率をちょっと申し上げますと、中学が五・五%でございます。それから高校が二・八%、大学が一三・五%、幼稚園保育料が三・七%ということになっております。その結果、私立学校のいまの授業料等によります消費者物価を押し上げる度合いでございますが、寄与度は〇・一六%ということでございます。したがって、国立学校の方のウエートが非常に低いということからまいりますその寄与度との関係でいいますと、私学の持っております押し上げ要因というのはかなり高いと思いますが、五十四年度全体の教育費CPIを押し上げておりますのは〇・三六でございます。そのうち私立学校関係寄与度が〇・一六%ということでございますから、まあ半分に近いところであるというのが五十四年度の数字でございます。  それから五十五年度につきましては、これは私学についての授業料といいますのは、まさにその私学自主性に基づいて決まってまいるものでございますので、この四月一日からかなりの範囲で行われておると思いますが、この集計の方は四月の全体の数字が出た段階で行いたいと思っておりますので、そのときに御報告さしていただきたいと思います。
  23. 中川嘉美

    中川(嘉)委員 文部省が調べて発表した私立大学値上げについて、そのCPIへの影響を計算してみたわけですが、文部省調査では、五十五年度に私立大学は、医科歯科系を除いて、平均八・九%値上がりするわけですね。上昇率八・九。そうすると、CPIを〇・〇七%押し上げることになると思うのですが、この点はどうかということ。国立大学の二五%値上げによるCPI押し上げ率先ほど申し上げた〇・〇二%ですね、これより大きくなると思いますが、この点はどうでしょうか。
  24. 藤井直樹

    藤井(直)政府委員 いまおっしゃった八・九%という数字は、私どもちょっと把握しておりませんが、もしその数字が実現いたしましたとすれば、CPIに対する寄与度は約〇・〇七という数字に近いのではないかと思います。
  25. 中川嘉美

    中川(嘉)委員 これは五十五年度に私立大学がどういう値上げをするのかの調査の資料です。ここにあるのはそちらの手元にないかもしれませんが、私立大学入学者にかかわる学生納付金平均額、定員一人当たりと、こうなつておりまして、集計校数三百十八校を対象にこの表が出ておるわけですが、これに基づいてやりますと、CPIに対するこの数字〇・〇七%というのが出てくるはずなんです。そういうことを考えると、先ほど来私が申し上げているような国立大学の場合はCPI影響は小さいのだということがここで言えてくるわけで、むしろ公共料金でない私立学校の方に大いに着目すべきではないか。この点、私は非常に重要なポイントだと思いますので、大臣もひとつお含みをいただきたいと思います。  この私立学校授業料は、五十三年度から値上がり率数字としては一けたに落ちておりますけれども、入学したときに負担させられる施設設備費、これは五十四年度も二けた上昇が続いているわけです。私立学校授業料などは公共料金ではありませんけれども、非常に公共性の強いものである。したがって、無原則に値上げされるのは困るわけですけれども、文部省は何らかの指導なり指針なりを与えておられるのかどうか、そのあり方について、まずお答えをいただきたいと思います。
  26. 北橋徹

    北橋説明員 お答え申し上げます。  私立学校授業料等は、私学自身の責任におきまして、自主的に決定をされるべきものであろう、こういうことで、現行制度上、国が直接これには関与をしないことになっております。しかしながら、国は、私立学校がわが国の学校教育に果たしております役割り重要性にかんがみまして、私立学校振興助成法の趣旨に沿って、経常費補助を中心に、年々私立学校に対する助成拡充をしてまいりました。教育条件維持向上と修学上の経済的負担の軽減に努めておるところでございます。特に昭和五十五年度予算におきましては、私立大学等経常費補助金につきましては、前年度予算に比べまして、一〇・六%増の二千六百五億円を計上しておるということでございます。
  27. 正示啓次郎

    ○正示国務大臣 中川委員指摘のように、私学には財政非常に苦しい中から相当の助成をだんだんいたしておるような次第でございますので、こんなに物価が非常の事態でございますから、私はやはり影響の大きな私学父兄負担についてはもっと厳しく文部省は指導すべきであると考えますから、きょうは振興課長おいでくださっておりますが、また文部大臣の方にも厳重にお願いしたいと思っております。
  28. 中川嘉美

    中川(嘉)委員 そうしますと、都道府県は各学校を呼んで内容を聴取する程度と聞いているわけですね。その結果に関して、文部省としては何ら指導していないし、指針もつくっていない、こんなふうに理解をしてもよろしいですか。
  29. 北橋徹

    北橋説明員 実態といたしましては、都道府県につきましては、それぞれ都道府県が私学助成の拡充に努める中で、私立高等学校と公立高校とのいろいろな問題等がございます。国民教育機関としての私立高等学校についての授業料負担軽減等について相当指導しておるところもございます。授業料抑制等について、実態としてはそういう状況でございます。  国といたしましては、私立学校が特色ある教育研究活動を行うに当たりまして、先ほども申し上げました最も主要な財源である授業料等については、私学自身が良識を持って自主的に決めていただくということでございますけれども、もちろん国といたしましても、適正な授業料等の金額が決められることを要望し、期待もいたしておるわけでございます。
  30. 中川嘉美

    中川(嘉)委員 最後のところをとらえるわけじゃありませんけれども、要望し期待しだけではやはり非常に弱いものがあるわけですね。ことしはこの夏以降に私鉄の値上げが予定されているわけですが、ウエートから言えば、私立幼稚園の方が高いし、私立大学の方が高いわけです。私鉄とかバス、タクシー、こういったものが上がると、事実大騒ぎになることは当然なんですが、物価の見地からすれば、PTA会費が上がるのと違わないわけですね。だから、教育費が無原則であるというのはこれはおかしい、私はこう思います。そこに何らかの原則というものがあっていいのではないかと思いますが、長官、もう一度この点に対するお考えをお答えいただきたいと思います。
  31. 正示啓次郎

    ○正示国務大臣 実は本年国立大学授業料等についてお願いをするときに、私どもは私学国立大学とのバランスということを考えて、やはりある程度やむを得ないという判断をしたわけでございますが、シーソーゲームになって、若干是正しても、また私学はどんどん上げるということでは、これは切りがございません。  そこで、さっきも申し上げたように、苦しい財政再建の折からでございますけれども、大切な国の基本にかかわる教育については、私学に対する助成について相当思い切った政策を展開しておることは中川委員も御承知のとおりでございます。そういう見地からいたしましても、いまも私学振興の担当課長も申されましたが、われわれとしては一層、いま申し上げたようなバランスの問題、それからまた、全体の負担の適正化の問題について強力な要望というものも、やはり忘れずにやっていかなければならぬ、こう考えますから、いま御指摘のような点につきましては、所管の文部大臣の方へ私からもよくお伝えをしてお願いをしておきたい、かように考えます。
  32. 中川嘉美

    中川(嘉)委員 この授業料等教育費が非常に公共性の強いものであることは先ほども申し上げたとおりなんですが、公立学校の場合には、条例を改正しなければ授業料は上げられないし、また幼稚園の保育料に至るまで条例の改正を要することになって、議会の議決がなければ値上げができない、こういうことですけれども、国立学校の場合は、予算に計上するのは当然ながら、文部省令で定めておりますから、文部大臣の取り扱いでこれを改正すればできるわけで、ことしも四月一日付で改正が行われております。先ほど述べたとおり、大学授業料、これは十四万四千円から十八万円に二五%も引き上げられたわけですけれども、これはどういう基準で改定していますか、この点についてお答えをいただきたいと思います。
  33. 石井久夫

    ○石井説明員 国立大学につきましては、たとえば国立学校運営経費の中で授業料収入の割合をどの程度にするかというような基準を設けまして改定をいたしているわけではございません。そういう意味では、特段基準があるわけではございませんけれども、ただ、改定をお願いする際には、やはりそのときどきの経済情勢とか、先ほど来話に出ております私立学校との負担の均衡の問題とか、そういうことを総合的に勘案いたしまして改定させていただいているわけでございます。今回二五%、月額で三千円ほど改定させていただくことになったわけでございますけれども、もしこれを改定しないで、仮に据え置くということになりますと、やはり国立私立との格差ということを考えました場合、約二・五倍に差が広がっていくというようなことがあったわけでございます。二五%上げることによって五十三年度と同じくらいの二倍の範囲におさまるということでございまして、上げ幅は大きいようでございますけれども、金額といたしましては三千円ということで改定させていただいたわけでございます。
  34. 中川嘉美

    中川(嘉)委員 私立大学の約半分ということですね。
  35. 石井久夫

    ○石井説明員 そういう明確な基準があるわけではございませんけれども、大体実情といたしまして半分ということでおさめさせていただいているわけでございます。
  36. 中川嘉美

    中川(嘉)委員 次に、自治省に伺いますが、公立高校授業料については、地方財政計画の中でガイドラインを設けておられるようですけれども、どういう基準でやられているのか、これをお聞かせいただきたいと思います。
  37. 津田正

    ○津田説明員 お答えいたします。  公立高等学校授業料等につきましては、従来から、社会、経済情勢の推移等をにらみながら改定をしておるわけでございますが、改定の考え方は、もちろん物価の動向、国立学校授業料の改定状況、あるいは私立学校との均衡というようなものを勘案して決定しておるわけでございます。昭和五十五年度におきましては、国立学校授業料の二五%アップが行われたわけでございますが、私ども、地方財政計画上は四千八百円から五千六百円へと二八・七%、いわゆる年次進行と申しますか、新入生からアップするような基準をつくっておるわけでございます。
  38. 中川嘉美

    中川(嘉)委員 私立との比率はどうですか。この前に私が御質問した中で、この大学授業料に関連して、私立大学の約半分であるという一つの線が出ておるわけですが、私立と比べた場合、公立高校はどういうことになりますか。
  39. 津田正

    ○津田説明員 大体三分の一でございます。
  40. 中川嘉美

    中川(嘉)委員 そうしますと、文部省は、国立大学授業料私立大学の半分程度ということで先ほど答弁いただいたわけですが、自治省は公立高校授業料私立高校の三分の一、この程度ということですが、なぜそういう基準になるのか、もう一度ここで御説明いただきたいと思います。
  41. 石井久夫

    ○石井説明員 先ほども申し上げましたように、国立大学授業料につきましては、私立大学との比較で申し上げますと、現在、二分の一程度でございますけれども、二分の一ということは、そういうことが適当な授業料であるというようなことを決めているわけではございませんので、大体やはり負担の均衡ということからそういう判断をしているということでございまして、私どもこれがそのまま固定してそうであるべきだということを申し上げておるわけではございません。
  42. 津田正

    ○津田説明員 私どもの三分の一というのも、これはいわば常識的なと申しますか、大学になりますと高等教育、小中学校は義務教育、その間にはさまって高校というのは位置づけられると思うわけでございますが、そういう意味におきまして私立との格差は大学よりももうちょっと、二分の一を三分の一というような感覚でおります。いずれにしましても決まった理屈があってのことではございません。
  43. 正示啓次郎

    ○正示国務大臣 中川委員に申し上げますが、これはいろいろ長い経過がございまして、合理的な、三分の一がいいか二分の一がいいかという点については、われわれは議論を詰めてはおりませんが、とにかくこういう物価が相当上がっていく、それをできるだけ抑えろ、こういうときでございますので、やはり負担の均衡といいますか、格差を余り大きくしない、こういうことにねらいをつけまして、国立大学私立大学がどうだ、公立学校私立学校はどうだ、その格差を余り拡大しないようにする必要は、教育の機会均等とか負担の公平という見地からいうと非常に大切なことだから、これはひとつ最小限度のところは負担をしていただかなければならぬだろう、そういうふうなことでございますので、やや便宜主義と言われますと便宜主義的なところもあろうかと思いますが、現実的にはそういうことで一応境直しをいたさざるを得ないというふうに判断をいたしておるわけでございます。
  44. 中川嘉美

    中川(嘉)委員 大臣にもあわせて御答弁をいただいたわけですが、先ほど文部省、自治省からの御答弁の中で、大体こういう基準でとか、あるいは常識的な線という決まった理屈というものはないのだというような、表現を余りとらえるつもりはないのですけれども、どうもその辺が非常に問題に思えてならないわけで、国立や公立の学校私立授業料というものを横目でちろちろながめながら決めていくということでは非常に問題だと思うわけで、ここのところはまた後で申し上げますけれども、この点だけでもはっきりしてくるわけなので、大臣もまずこの点をお含みおきいただきたいと思います。  消費者物価は現在全国が二月まで発表になっておりますが、細目について見ますと、キャベツが指数で五九三・六でトップ、次が公立高校授業料で四〇〇、キャベツはもうすでにかなり値下がりして、三月の東京都で指数は五三九になっておりますけれども、これはいま手元にはそのリスト自体はございません。数字を調べたわけですけれども、これに続いて三月は白菜が東京で四六六・二、第二位にあるわけです。こういった異常高値の季節商品を除きますと、公立高校の四〇〇というのはトップになる。ほかにこれに並ぶものはないわけです。四月にはまた公立高校授業料値上がりしたわけですから、恐らくトップに行ったと思います。季節商品は一過性のものであるわけですから、まさに公立高校授業料ワーストナンバーワンということが言えると思います。国立高校消費者物価調査対象品目には入っていないわけですから、物価指数がありませんけれども、国立高校の場合、実は公立高校よりももっと上がっているわけです。公立高校が五十年に千二百円であったものが五十五年が五千六百円、四・六六倍、国立高校の方は五十年に八百円であったものが五十五年に三千八百円で、四・七五倍、こういうことになっているんです。国立高校授業料の水準というものはそれでは一体どのように考えておられるのか、その点をお答えをいただきたいと思います。
  45. 石井久夫

    ○石井説明員 国立高校につきましても、先ほど国立大学と同じでございまして、特段の基準があるわけではございませんけれども、ただ、国立につきまして、今回公立の場合よりも単価の改定が大きいわけでございます。それは現在、国立の付属学校と、それから公立の授業料を比べた場合には、国立の方が非常に安くなっておりまして、五十三年度以来、国立の場合には月額三千円でございましたけれども、これを今回三千八百円に改定させていただいたということで、月額でいたしますと、現在まだ公立より安くなっているわけでございます。その辺の事情があるわけでございます。
  46. 中川嘉美

    中川(嘉)委員 いま私が申し上げたのをよくお聞きになられたらおわかりと思います。要するに四・六六倍、これが前に申し上げた数字、それから四・七五倍、この二つの数字を挙げていま私は御質問をしたわけです。  それでは自治省の方に伺いますけれども、地方財政計画の中で公立高校授業料についてガイドラインを示しておられることは、一応先ほどの御答弁の中にあったわけですけれども、そのガイドラインどおりには各県の足並みはそろってないわけですね。五十五年度の五千六百円というこのガイドラインに対して、一番安いのをずっと見てみますと、岩手県ですね。岩手県は四千円、こういうことのようですけれども、これはこのまま放置しておかれるのかどうか、格差があってもいたし方ない、こういうことなんですか、この点はどんなものか、お答えをいただきたいと思います。
  47. 津田正

    ○津田説明員 公立高校授業料につきましては、先生御指摘のとおり、財政計画上のガイドラインでございます。具体的な地方団体の財政措置といたしましては、交付税におきます財源計算の際に、今回決めました、たとえば君千六百円の収入があるであろう、こういうような算定をするわけでございます。もちろん、各団体におきましては、地域の実情、公私立私立との関係等もいろいろあるわけでございまして、そういう点を勘案いたしまして、個々の条例で決めておるというような実情でございまして、その場合には、具体的に申しますと、いわゆる財源計算におきまして、私どもで見込んだ財源が取れない、そういうようなことでございます。具体的な決定は各団体におきましてお願いしております次第でございます。
  48. 中川嘉美

    中川(嘉)委員 これはやはり国立も、それから公立も授業料というものは私学授業料一つの基準になっているわけですから、私学授業料そのものが無原則に、ただ受益者負担という見地からだけで、コストは全部負担してもらうんだ、こういうことだけで値上がりしていくということでは困る、私はこう思います。適切な経営というものがあって、経営努力というものがあって初めて適切なコストというものが計算できるのであって、先ほど来申しておるところの無原則、こういうことではならないはずであります。国立や公立の学校が、先ほど申し上げたように、私立授業料を横目で見ながらというふうなことは断じてあってはならないと私は思うわけで、私学の経営の安定のためにもよい教師というものを確保して、良質な教育というものを進めていくためにも、何らかの指針なり、あるいは準則なりがあってしかるべきだと私は考えますけれども、この点に対してどのように考えておられるか、いままでの論議を総合して、いま一度大臣からお答えをいただきたいと思います。
  49. 正示啓次郎

    ○正示国務大臣 ごもっともな御指摘でございます。  大事な教育問題について受益者負担、受益者負担と言っても、国民が公立あるいは私学どれを選ぶか、選ばざるを得ないかというふうな点が実情でございますから、こういうふうに国民の生活の負担という問題が大きな問題になっておるときでございますから、それについて国としては十分考えていく必要があるということは御指摘のとおりだと思います。  それで、いままでの実情は、おっしゃるとおりやはり大多数の方がお入りになる私学、これは非常に大きなシェアを占めておるものですから、それの大体の水準というものを考えながら、さっき申し上げたように格差が広がらないように是正していくというふうな、いわば大変消極的なやり方をやってきたことについては、もう御指摘の点はわれわれにとっては大変耳の痛い御指摘でございます。今後については私どもとしても少し根本的に考え直してみたい、こういうふうに考えますので、御意見の点は十分ひとつこれから研究をさしていただきたい、かように考える次第でございます。
  50. 中川嘉美

    中川(嘉)委員 これから少し実態といいますか、内容を申し上げてみたいと思うのですが、文部省調査におきましても、高校授業料、第一位は東京です。二十四万四千五百円、第二位が大阪二十二万五千六百円、第三位が京都二十万三千四百円、第四位が神奈川十八万九千角、どちらかと言えば安い方では長野六万二千円、先ほどの東京の二十四万四千五百円というものを思い起こしていただきたいと思いますが、長野が六万二千円、石川が七万七千七百円、鳥取が八万四千円、ここでわかるのは、東京では長野の四倍も授業料が高いということ、学校経営の何らかの基準があれば、こうも学納金に差は出てこないんじゃないかと私は思うわけです。ただ、学納金が高いか安いかという問題は、学校経営の実態によっても差が出てくることも確かだと私は思います。  ここに一つの例がありますので申し上げてみたいと思いますが、日本私立幼稚園連合会の調べた五十四年度の私立幼稚園の経営実態調査報告、この内容を見てみますと、クラス数、何組何組のクラスですね、二クラスから十クラス以上と、こうなっているわけです。それぞれの幼稚園にもいろいろ段階がある。園児数を見てみますと、八十人以下なんというところから始まりまして、四百人以上なんというところもある。就業規則を見てみますと、就業規則がないというところが二割以上もあるのです。入学考査料、入学のときの考査料、百円というところから始まって三万円となっています。入学料はどうかというと、一万円のところから始まって五十万円、施設充実費ですね、これが二百円から始まって十五万円、寄付金が二百円から始まって六十万円、授業料等毎月納めるもの、これを見ますと、三千五百円から始まって二万三千円というのもある。短大卒の初任給ですね、本俸、手当が六万円というのもありますけれども、ずっといくと十四万六千九百円というのも出てくる。定期昇給は、五百円から始まって二万八千円なんというところも出てくる。賞与が、一カ月分というのもあれば、七一七カ月分なんというのもある。  私は、いまずっと数字だけ拾ってみたわけですけれども、大臣お聞きになっていて、格差といいますか、幅といいますか、違いといいますか、こういうものが非常に顕著にあらわれている。このような実態を文部省は認めているのかどうか、また認めているとするならば、このような事実をどのように受けとめておられるのか、これは余りにもいろいろとバラエティーに富み過ぎている、この点どうなんでしょうか。
  51. 北橋徹

    北橋説明員 ただいま先生御指摘の点は、幼稚園は現在経営形態が、私立の場合でございますが、学校法人から個人立までさまざまな設置形態があるわけでございまして、そういった点等が反映しておる面もあるんではないかと私思っています。ただ、国の助成としては、個人立でありましょうと学校法人立でありましょうと、都道府県がある一定額以上補助すれば国が同一の金額を補助する、そういうたてまえにしておりまして、そういった点で逐次補助金等の増額をいま図っておる次第でございます。
  52. 中川嘉美

    中川(嘉)委員 いまの御答弁が、何かすべてを代表しているような感じがするわけですね。文部省という立場にありながら、幼稚園の方は個人の方だから知らないよというようなニュアンスが非常に強い。こういうことだから恐ろしいわけですよ、文部省の代表としていま答弁しておられるのですから。そういう実態は、確かに個人云々というところにひっかかるでしょう。しかし、そういう答弁の姿勢の中に恐ろしいものがあるような気が私はするのですよ。こういうように経営の内容についても非常に格差があるということは事実です。私学の経営の安定のためにも、ある程度の基準なりあるいは指導指針、そういったものがなければ、いい教育というものは確保できないばかりか、経営のやり方次第で授業料がまだまだどんどん上がっていくということになりかねないわけで、これは文部省にも非常に責任があるのじゃないかと私は思います。  そこで、文部省と企画庁長官にもう一度この点について——私がずっと数字を挙げて、どういうふうに大臣が感じていらっしゃるかという問題も残されているので、こういった問題について今後どのように対処していかれるおつもりであるのか、その決意のほども聞かしていただきたいと思います。
  53. 北橋徹

    北橋説明員 私どもは、私学振興助成法の趣旨に沿いまして、教育条件充実と就学上の経済的負担の軽減、こういうことについて一層の施策を推進していくということであろうかと存じます。
  54. 正示啓次郎

    ○正示国務大臣 いま文部省お答えになりましたが、軽減という表現が聞かれましたが、私は公平ということを思うんですね。国民がみんな、憲法の定めるところによって機会均等に教育を受けるという必要性から、私学助成ということに、さっき申し上げたように財政再建上も非常に困難な実情はありましても、これに対して相当思い切った助成をやっていくという政策を展開しておるわけでございます。教育内容についてどうせいということはとんでもないことでございますが、私学がそれぞれ独自の歴史と校風を持って、教育を受ける方々がそうした独自の学風の中において十分自由な教育を受けるということは大事でございます。しかし、経済的な負担の公平ということもあわせて考えていかなきゃならぬ。われわれのそういうささやかなあれが、若干国立、公立の負担を調整していくことによって、公平感に近づけようという努力なんでございますが、御指摘のように私学の中にも大変な格差があるという点については、いませっかくの御調査の結果をるる拝聴いたしましたので、今後十分われわれとしても参考にして、また関係閣僚といろいろお話し合いをいたしてまいりたい、かように考えます。
  55. 中川嘉美

    中川(嘉)委員 名目賃上げ率が五十一年以降一けたになって、実質賃上げが二%程度というのに、教育費だけが毎年二けたということでは、教育盛りの子弟を持つ家計そのものはやっていけないというふうに私は言えると思います。現に教育費家計に占める構成比もずっと上がってきている。四十五年から五十年までは大体二・二から二・三%程度でずっと来たのですけれども、五十一律は二・四%、五十二年が二・六%、五十三年度が二・七%、次第に家計を圧迫してきているというのが実態であります。ことしも私大の七割が値上げをしたそうですし、また公立高校も四十一都道府県で値上げされた、このように言われているわけです。そのほか私立高校、中学、小学校、幼稚園、こういったものも相当数値上げしていることと思いますけれども、物価上昇への寄与率が、二年連続して二けたになっていることでもありますので、長官としても、いまいろいろと御答弁いただいておりますが、今度は物価の見地から、関係方面への協力というものを求めていくべきだ、このように思います。もう御決意のほどはずっといま、るる伺ったように思いますけれども、いま申し上げた上昇率ということを考え合わせて、何とかここでこういったことに対する御決意というものも、いま一度伺っておきたいと思います。
  56. 藤井直樹

    藤井(直)政府委員 先ほどもちょっと申し上げましたが、私学についての授業料値上げというのは、消費生活に占める寄与度がかなり高いということを申し上げたわけですが、現実に先ほどもちょっと文部省からもお話がありましたように、私学助成というものが非常に強化されてきておりますので、そういう関係もあり、また現実には、各大学の方の経営につきましても、授業料に安易に依存するということでないという面もあるかと思いますが、授業料値上げの比率が徐々に鈍化してきておりますので、私どもとしては、こういう鈍化の傾向が一層進むように、これからも物価の面から文部省とも十分御連絡をしてやっていきたいと思っております。  それからもう一つ値上げの校数の比率が歴年下がっていることも一方でございますので、そういう傾向が続くようなことについて努力をしていきたいと思っております。
  57. 正示啓次郎

    ○正示国務大臣 先ほど中川委員指摘のように、教育費上昇率を最近の経過で見ますると、五十年度がピークで二七・九%、大変な上昇でございますが、その後、いま物価局長申しましたように、相当程度に国の助成措置というふうなものも充実をせられましたので、だんだんと、五十四年度には九・八%でございますか、低下をしております。  問題はしかし、これは油断をしてはいけないのでありまして、そうした中でも、先ほど来御指摘のように、なおかつ私学の中に、大学から幼稚園に至る実情を見ると、大変な違いがあるではないかという点もございます。それから、私立と公立と国立と、この三つを比較いたしたときに、何らそこに合理的な基準もなしに、後追い的に若干公立、国立に是正が行われておるにすぎないじゃないか、こういう物価問題非常に大事なときに当たって、そういうことでは、国民に対して責任が持てぬじゃないか——指摘の気持ちはよくわかります。私どもといたしましても、いまの御指摘のような資料に基づきまして、関係閣僚の間においても御相談申し上げて、できる限り全体の負担をふやさないような方向で、しかも国民の各層に対しまして教育の機会を均等にするような方向において、負担については是正を図りながら、しかし自由な進学というふうな点について適正に行われるような方向で、今後と山なお一層努力を続けてまいりたい、そのように考える次第でございます。
  58. 中川嘉美

    中川(嘉)委員 時間が参りましたので終わりますが、統計局、まだ見えませんね。——要するに、私が一応お聞きしたことに対して答弁者がいらっしゃらないとなりますと、これは時間がないからということですから結構ですけれども、企画庁長官からこのように、十分に準備をするようにという御指示があったにもかかわらず、これは非常にまずいことだと思います。長官はそういうようにおっしゃっているわけだから、これは当局としても怠慢だと言わざるを得ませんし、本来ならば委員会とまっちゃいますよ。そうでしょう。  先ほどから、実収入以外の収入が前年比一四・六%ふえている、その中身は何なんだと聞いたところが、この中身は公表いたしかねますということじゃ、これは何でもない、どんどん貯金を引き出しているということですよ。  長官に伺いますけれども、勤労者家計は、いまお聞きのように、貯金をたとえば八万円なら八万円ばっと引き出す、それでなければ生活していけないんだ、生活が成り立たないんだという実態が現実に来ている。このことについていま一度所感を伺うとともに、どうこれに対して——いまどんどん生計をあれするために貯金を引き出さざるを得ない実態がもう教育費がどんどん上がるということで訪れているわけですけれども、一体どう対処するのか。先ほどからいろいろ御決意いただいております。もう一度この角度から御答弁をいただきたい。
  59. 正示啓次郎

    ○正示国務大臣 私がけさ心配をいたしまして、御質問内容を事前にある程度お漏らしをいただいたものですから、これに対して的確なるお答えのできる責任者をぜひこの委員会に出席をさせるようにということを申し上げたわけでございますが、不幸にして、大分距離が離れておる関係もございまして、まだ参っておりません。これにつきましては、御質問の趣旨を十分伝えまして、追って答弁の資料をお届けするなり、あるいは責任者が参りまして御説明するなりいたしたいと思います。  いずれにいたしましても、御指摘のように、物価関係、生計費の関係、特に教育費、そういう面で非常な増高がございまして、そのために貯金を引き出さざるを得ない、こういうふうな情勢というものは決して正常なものとは考えないわけであります。アメリカのインフレの状態がまさにそういうところへ来ておることをわれわれは非常に不健全なものと考えて、そういう事態を是正する必要がある、こういうふうに考えておることでございます。  今後におきましても、一層この物価の安定に力を尽くしまして、いま御指摘の点はやはり季節的な商品の値上がり等が大きな原因になっておるわけでございますから、そういうことをできるだけ今後は抑制をすることができるように諸般の対策を講じまして、実質的に、さっきも申し上げたような物価の安定と勤労者生活内容充実この二つがバランスのとれたような事態を確保していくべく全力を尽くしたいというふうに考える次第でございます。
  60. 中川嘉美

    中川(嘉)委員 現在のところ教育費は、この物価に関する限り、野菜は別として、ワーストワンであるということも先ほど来言っているわけですけれども、この関係には特に注視して、父兄負担の軽減によって家計の安定というものを図ることこそ大臣に課せられた重要な課題であるということを十分御銘記いただいて、本日の論議、これは大変失礼ですけれども、議事録をずっともう一回見ていただくといろいろとそういう実態がわかるわけで、十分に踏まえて鋭意御努力をいただきたいということを強く要望しまして終わりたいと思います。
  61. 井上普方

  62. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 私は、経済企画庁の業務運営上の問題についてきょうは質問をさせていただきたいと思います。  昨今、政府機関や政府関係機関を巻き込みました不正、汚職、こういう事件が頻発をしております中で、高級官僚の天下り問題、この問題は世間の大変厳しい批判を浴びているところでございます。問題のKDDですけれども、国際電信電話株式会社も、新しい社長さんは天下りの受け入ればもうごめんだ、こういうふうに言っておられるわけです。  ところで、この天下りではなくて、私はきょうはその反対の天上がりのこと、この問題をちょっとお尋ねをしたいと思うわけです。  民間の企業や団体、政府関係機関、こういうところから政府の各省庁へ出向をいたしまして、政府の職員として仕事をさせるという制度が以前に比べますと数は減っておりますけれども、まだ存在をいたしております。経済企画庁の場合も例外ではないというふうに思うわけですけれども、このような制度がなぜとられてきたのか、それでどの企業から何人採用をしているのか、それはどんな仕事をしているのか、この三つの点についてお答えをいただきたいと思います。
  63. 星野進保

    ○星野説明員 御説明申し上げます。  企画庁におきまして現在委嘱調査員制度というものを設けておりまして、先生御指摘のとおり、民間企業等から人を入れましていろいろと経済企画庁の業務をお助けいただいているわけでありますが、その制度といたしまして、御指摘の点で、どういう職務をやっておるかということでございますが、私どもいわゆるこういう委嘱調査員につきましては調査研究分野につきましてその知識を活用するということを前提といたしまして職務に配置しておるというのが第一点でございます。  それから、どういう企業等から来ているかということでございますが、私ども現在、民間企業からこういう委嘱調査員としてお願いしておりますのはざっと二十一名でございます。企業名は全部申し上げますと長くなりますが、各種銀行であるとか、あるいは電力会社であるとか、あるいは製造工業であるとか、そういう分野、それからさらに、一名でございますが農協関係の人とか、そういう方々に一応手助けいただいておるというのが現状でございます。
  64. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 通産省にお尋ねしたいと思いますが、通産省といえば日本の産業政策を立案し実施するという重要な部門でございます。民間の企業にとりましては通産省が一体何を考えているのか、あるいはどのようなやり方で仕事をしているのかという点につきましては大変興味しんしんだということで目を皿のようにしていろいろ注目をしているという部署だと思うのですね。この通産省にも多くの民間の企業から職員が派遣をされているわけですけれども、おたくの方はどの企業から何人採用しているのか、なぜこの人たちを採用する必要があるのか、お答えをいただきたいと思います。
  65. 木下博生

    ○木下説明員 お答えいたします。  通産省の場合には、通産省調査員という形で国家公務員法上は非常勤の一般職公務員という形で民間の方に来てもらっておりまして、総数は全部で民間企業からは三十名でございます。  それで、来ております企業は、通産省所管の事業でない民間企業からということで金融機関、証券会社それから保険会社等でございまして、やってもらっております仕事は調査分析的な仕事でございます。
  66. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 それでは民間企業以外、すなわち政府機関あるいは特殊法人、こういうところからはそれぞれ何人採用しておられるのか、経済企画庁と通産省とそれぞれお答えをいただきたいと思います。
  67. 星野進保

    ○星野説明員 政府関係機関等から来ておりますのは経済企画庁は二十八名です。
  68. 木下博生

    ○木下説明員 特殊法人の職員からは通産省に十三名参っております。
  69. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 それでは通産省にお伺いをいたしますけれども、通産省にこういう人たちを入れなければ仕事に支障を来すというふうなことがございますか。
  70. 木下博生

    ○木下説明員 先生御指摘になりましたように、通産省では非常に広範にわたった業務に携わっておりますけれども、その関係で非常に広い分野にわたって複雑多岐な調査をする必要がございます。その場合に通産省の内部の職員だけでその調査をしますと必ずしも十分なアップ・ツー・デートな情報を得ることはできないということで、実際に民間企業の中でそういう仕事に携わってこられた民間企業としての経験を生かした仕事をやっていただきたいということで、こういう方々に来ていただいて調査関係の仕事をしていただいているわけでございます。
  71. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 通産省の場合は民間企業が出向させている社員ですね、この人たちはいま調査員ということで受けていらっしゃるということですが、私が民間企業からの出向社員、この人のことをいろいろお聞きするのはなぜかということですけれども、これは皆さん方もよく御承知のように、通産省というところは民間企業で通産省と関係のないというふうな企業は少ないわけですね。関係のある企業が非常に多いという官庁であるわけですし、経企庁もまた日本経済のかじ取り役というふうな役目ですから、これも間接的には大変こういうところと関係がある省庁であると思うのですね。日本の場合に物価問題を考えますときに経企庁と通産省の動向を無視して考えるというわけにいかないというふうになっているわけです。それだけにこういう通産省とか経企庁とかこういうところに民間企業から多くの人たちが派遣をされているということは、それなりの意味がなければならないというふうに思うわけなんですね。そこで私は、どのような形でそれが採用されているのかということを、調査員の採用から取り扱いを決めているという規定があるはずだというふうに思いまして、その写しをいただけませんか、こういうふうに要望したのですけれども、通産省はこれは内規だから出せません、こういう御返事であったわけですね。そこで通産省さん、内規だから出せないということなのか、それとも何か理由があってこういうものは要望があっても資料として提出は不可能だということがあるのか、いかがなんでしょうか。
  72. 木下博生

    ○木下説明員 これは役所に限らず一般企業の場合もそうだと思いますが、人事に関する資料というのは、その企業にとりまして個人の問題にも絡みますので一般的に内部的な扱いをしているのは当然でございます。通産省の場合でも通産省調査員を委嘱するに当たっての内規というのを定めておりますけれども、これも人事に関する書類の一つでございますので内部的な資料として外にはお出ししていないということでございますが、その内容について問い合わせがあれば必要に応じてお答え申し上げたいと思います。
  73. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 人事に関する書類ということで大変慎重だというお答えでしたけれども、政府の職員の任免に関する規定というものが公開できない、だれがどこへ行くのか人名まで言ってくださいというのではなくて、どのようにしてそれが決められているのかというふうなことが公開できないのはちょっと行き過ぎではないのかなと大変不思議に私は思うわけです。通産省というところは企業と関係のあることについては必要以上に何か隠そう隠そうといいますか、そういう態度があるようにずっとこの間私は感じているわけですね。それはたとえば前回も政府の認可料金というものである、政府が認可をしている卸電気の料金、これは一体どうなっているのですかと聞きましたけれども、経企庁長官も覚えていらっしゃると思うのですけれども、そのときもそれは言えない、こういうことで逃げてしまわれました。政府が認可する料金まで言えないんですかということを前回も言ったわけですけれども、またこの問題につきましてもこれは内規だから出せない、こういうことでこの資料をお出しにならない。通産省は一体何を基準にして国会への資料提出は可否ですね、これを考えていらっしゃるのか私には理解ができない、わけがわからないということなんです。経済企画庁はこの調査員の取扱要領なる内規を私に提出をしてくださったわけなんですね。先に経企庁からいただいた、その後通産省へ要望した。経企庁が出せるものがなぜ通産省が出せないのか、不思議は一層重なってきたということなんですけれども、一体これはどういうことなのか。通産省のやり方を見ていますと、私どもの国政調査に対してはできるだけ資料は出さない、答えないということになっているというふうに思うのですね。経企庁の出している同じ資料も通産省は出さない、中身については言ってあげる、しかし中身は大体同じことなんですね。それはどういう理由であるのか、はっきりお答えをいただきたいと思います。
  74. 木下博生

    ○木下説明員 各機関それぞれ方針があるかとは思いますが、通産省の場合には先ほど申し上げましたように人事に関する書類につきましてはできるだけ内部的な取り扱いということで一応運用いたしておりますので、内容がたとえば企業との関係がいろいろあるからお出しできないという性質のものじゃありませんが、一般方針として人事に関するものはお出ししないことでやっておりますのでということできのうお答えしたわけでございます。
  75. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 それじゃ人事に関する書類であるのに経企庁は出したということが悪いというふうなことになってくるわけですね。そうじゃないわけです。秘密書類でもありませんし、まあ言ったらそんなに隠そう、隠そうと石頭になってがんこに強固にそんなことを守られるような必要はないと思うのですね。私は国民から負託をされて行政をやっているという通産省がもっと国民に資料を提供すべきだ、もっと国民にわかりやすい状態を示すべきだと思うのですね。通産省は企業の代弁者ではなくて国民の代弁者だ、このはずですね。どっち向いて行政をやっているのかということをたんびたんびに私は感じる。国民の立場に立って行政をやっていただきたい。そういう点についてぜひとも立場をはっきりしていただきたい。口だけの国民の立場ではなくて真に国民の立場に立つという行政をしていただきたいということを強く私は要望したいと思いますが、いかがでしょうか。
  76. 木下博生

    ○木下説明員 先生おっしゃいましたように、役所が仕事を推し進めていく場合に国民の立場に立って仕事を進めていくのは当然のことでございまして、そのようにさせていただきたいと思います。ただ、資料につきましては、通産省の内部の方針として人事に関するものは内部だけで扱っていこうということでやっておりまして、特に内容的に隠し立てをしなくちゃいかぬというような趣旨で私どもは取り扱っているわけじゃ全くないわけでございます。
  77. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 いまここで私がこれから出すようにしますとはなかなかおっしゃりにくい立場だということは理解できますので、ぜひ持ち帰っていただいて御相談もいただいて、このような調査員の採用にかかわる内規ですね、簡単なものなんですね、こういうものさえもとにかく人事に関するということでくくってしまうともうふうなそういう狭い考えでなくて、やはりもう少し融通性も持とうじゃないかという論議もぜひしていただいたらどうか。いまここでするとかせぬとかそういう御答弁は無理でしょうから、御相談をされたらどうかなと思いますが、その点いかがでしょうか。
  78. 木下博生

    ○木下説明員 検討はさせていただきます。
  79. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 それでは、そういうことを私は強く要望して、経企庁の方にお尋ねをしたいと思います。  経企庁の皆さんの言い方ではこういう人たちは委嘱調査員と言うのだそうですけれども、いただいた資料に基づきますと経企庁にはこの委嘱調査員が現在四十九名いらっしゃるわけです。もしこの人たちがいなくなれば経企庁の業務というのは一体どうなるのでしょうか。別にこの人たちがいなくても業務に差し支えないということなのか、いや是が非でもこの人がいなかったら経企庁は動かぬ、こういうものなんでしょうか。
  80. 星野進保

    ○星野説明員 お答え申し上げます。  いま先生御指摘の御質問に対しましてお答えするのに、私たとえばこういう事例なんかが一つ頭に浮かぶのでありますが、たとえば私どもの経済研究所というところで現在世界経済モデルというモデル作成をやっております。これは計量経済学的にかなり複雑なものでございますが、その場合に必要とします要素といたしましては、モデルについての知識はもちろんでございますが、同時にそういうモデルを作成する過程でいろいろコンピューター技術その他につきましてもかなり高度な知識その他のものが必要になってくるわけでございます。他方、そのモデルというのは、一応まず最初につくりますと、その次はそれを運用いたしまして今度はいろいろ試算をしていくということがございますので、そのモデルを策定する段階と、今度はそれを運用していく段階とではまた人的構成も変わってくるわけであります。したがいまして、そういうのを一つ事例として申し上げますと、やはり高度のコンピューター技術等が必要だというのは一ある意味で二年間なりなんなりが必要だとなりますと、そういう段階でいわゆる企画庁の常勤の職員でそれだけの知識をすぐそこで活用、十分発揮できるという人材がない場合に、そういう民間のかなりコンピューター技術にすぐれた人を民間からお借りするということが非常に必要になってくるわけでございます。したがいまして、そういう観点から申し上げますと、いわゆる何人だったら企画庁の業務がとまっちゃうのかとか、それから何人までなら企画庁の業務と関係なくということはどうも一概には申し上げられない点があるかと思うのです。私どもといたしましては、そういう性格でございますので、こういう制度をつくっておいていただくということ自体非常に有意義であるし、私どもの業務にきわめて効果的に働くものだということでございます。ただ、私どもとしましても四十九年、以前国会でいろいろ御議論いただきました経緯も十分踏まえまして、こういう制度につきましてふくらまないように運営上いろいろ注意しているところでございます。
  81. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 行政管理庁にお尋ねをしたいと思うのですが、いま私が申し上げております委嘱調査員制度ですね、経企庁の職員定数は現在五百二十五名です。委嘱調査員の数は四十九名ですから、約一割になるわけです。この人たちが経企庁の職場で働いていらっしゃるというわけなんです。この人は、いまもおっしゃったようにきわめて効果的に使っていらっしゃるということなんです。ですから、単なるアルバイトではない。経企庁の文書を見ましても、この人たちの採用資格、これは経企庁からいただいたものですよ、通産省さん。これを見ますと、「委嘱調査員は、原則として、大学卒業程度の学歴及び五年以上の実務経験を有する者であって、専門的知識及び経験を有すると認められるもののうちから採用するものとする。」こういうふうにあるわけなんです。しかも、いま突然このような人たちが生まれたわけではなくて、ずっと以前からおられるわけですから、経企庁としてはこの人たちを組織の人員の中に組み込んでこの業務を執行している。行政管理庁は、経企庁の業務の内容と定員の関係という実態を見る場合、このようなことを十分承知の上で定員というものを見ておられるのかどうか。委嘱調査員などといいましても、この業務は遂行できないというふうに考えているのでしょうか。この点、こういう考え方に立っておられるのかあるいは委嘱調査員がこれだけいるということを前提にして定員のことを考えておられるのか、行政管理庁のお答えをいただきたいと思うのです。
  82. 武智敏夫

    ○武智説明員 御説明申し上げます。  この問題につきましては、先ほど来経済企画庁の秘書課長から答弁申し上げておるとおり、四十八年ないし四十九年に相当問題になりまして、四十九年三月十五日の閣議決定によりまして決定いたしまして、それ以降厳正に運営しているところでございます。したがいまして、関係企業といいますか派遣企業と直接関係のない職務でございまして、業務の遂行上、必要不可次なものに限りまして非常勤の職員として任用するということにいたしておるところでございます。  いま先生御質問の、経済企画庁のこの派遣調査員と定員どの関係でございますが、われわれ行政管理庁といたしましては、先ほど来経済企画庁の方で答弁されておりますとおり、経済企画庁の行政運営上はぜひとも必要である——これも実は四十八年当時は九十名ぐらいいたわけでございますが、それが現在五十名ぐらいに減っておりますし、特に民間企業だけについて見てみますと、当時六十名ぐらいおりましたのが現在では二十一名というように、三分の一にも減っておりますが、そういったように、経済企画庁としては非常に御努力されて、最小必要限度にしておると考えておりますけれども、いずれにしましても、経済企画庁の業務運営上は必要であるという観点であるとわれわれは理解いたしておりまして、そういう観点に立って、別途定員は定員ということで査定いたしておるところでございます。
  83. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 行政管理庁は、この国家公務員の定員が減りさえすればよいというふうな考え方で定員問題を見てもらっては困ると思うのです。この委嘱調査員の人たちには日当で四千六百円を支払うことになっているそうです。そうしますと、一カ月に二十五日勤務したとしますと、その収入は十一万五千円にしかならないわけですね。先ほど読みましたように、大学を卒業して五年以上も企業で働いていた人が一カ月に十一万五千円の収入しかない、こういうことでは、経企庁に出向した途端に賃金はダウンしてしまうというわけですから、こんな条件で働くはずはないのです。ですから不足分は企業なり事業体が補てんをしている。これは常識的に考えてもそうだと思うのです。  そこで、経企庁にお尋ねをいたしますけれども、各企業がこのような処置までとってあなた方のところに人を送ってくるというのはどんなメリットがあるのか、企業の側に立って、どのようなメリットを考えているのでしょうか。
  84. 星野進保

    ○星野説明員 御説明申し上げます。  民間企業の方々が私どものところに出向してきていただくということにつきましてどういうメリットがあるかという御質問に対しましてでございますが、私どもの一つの感じでございますが、やはりこういう経済企画庁のような、ある意味で、私どもが申しますのもなんでございますが、かなり幅広いと申しますか、そういう仕事をやっておるところで、民間企業の方々がおいでになりましていろいろ一緒に仕事をしておるということが、その本人にとりまして非常に視野が広くなると申しましょうか、非常に広範な観点についての知識あるいは物の感じ方、そういったようなものを体得できるというところに、企業としましてはかなり大きなメリットを持っているようだというふうに推察しております。
  85. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 しかし経企庁は別にそういう人材を視野を広げさせるために個人の養成をするところではないと思うのですね。ですから、営利を目的にしている企業が何のメリットもないのに社員を出向させるというふうなことは絶対にない。これは常識で考えたってそうだと思うのですね。  四十八年、四十九年の当時は、いまと違いまして、各政府機関の政策の立案や検討するという部署にも民間企業の出向社員がいたわけです。経企庁の場合にもそのようになっていたわけですね。そういう場合は当然大きなメリットがあるわけです。それが国会でも問題になったわけなんですね。しかし、いまはそのような部署には配置しておりませんというふうにおっしゃるわけですけれども、私は配置を変えたからそれで済んだということにはならないと思うのです。確かに現在は調査局とか研究所とか、こういうところでしかこの人たちは働いていない、名簿の上でもそうなっているということですけれども、しかし一緒に仕事をして、一緒に今晩帰りに食事でも行かないかいというふうに誘い合ってきたような仲間たちが、何年かたって別の部署に移って政策の立案に携わっている人たちも出てきている。こういう場合に、こういった人たちと役所から退いた後も交際をしている、こういうことだってあり得るわけですね。そこでいろいろな情報も入ってくる。企業の側からすればそんなことを考えるのは当然のことじゃないかなというふうに思うのですね。それはあり得るだろうと想像もできるわけです。しかし、そんな情報を流すなよ、こんなことを調査員に口で言ったり何か規制するような紙切れ渡したって、これはもうしようがないわけで、そんなことは、言ったって、何にもならない、形ばかりのものというふうに思うわけですけれども、こういう点、経企庁はどうなんでしょうか、そうは思われませんでしょうか。
  86. 星野進保

    ○星野説明員 私ども委嘱調査員制度を設けますに際しまして、これは先生も私どもの要領をごらんいただきまして御案内のとおり、いわゆる服務規律関係につきまして、国家公務員法上の秘密を守る義務であるとか、そういうものを全部課しております。したがいまして、制度的にはそういうことが担保されているように私どもこの制度を運用しておるわけであります。  先生の御質問を伺っていまして、先生それを十分御存じの上で、なおその上で、要するに友人関係になったりすれば、将来においてその人間同士がコミュニケーションをしたりなにかして、そのときに、ちょっと気安さから、いろいろ話すだろうと、そういうようなことをさらに想定された上での御質問だと思いますので、私、その点に関しまして、そういうことは絶対ないというふうに、役人の側からしますと、当然、国家公務員といたしまして、政策上の必要のことについて守るべき秘密は守るということを法律のたてまえとして決められておりますので、一応私はそういうことはあり得ないというふうにお答え申し上げたいと思います。
  87. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 役所の側から考えますと、大変便利で安上がりだという状況はありますね。日当を出して、あとは補てんをしてもらえるというふうな中で、知識もいろいろ持っておられる。しかし、こういう委嘱調査員制度なるものに乗っかって、企業のお助けをかりて仕事をしているというふうな状態をつくっていますと、知らぬ間に政府内部のことが大企業には筒抜けになっていた、国家公務員法並みに国家公務員に準じてきちんとやれ、絶対そうではないと信じておるぞ、こう言っても、まあそれはまゆつばものですよと私も言いたいわけですね。だから、こんなことはやめた方がいいんじゃないかなあという気持ちもあるわけです。絶対おやめなさいとは言えませんけれどもね。ですから、必要な仕事量に見合った必要な職員数ですね、これは企業からの応援を得なくてもやれるだけの確保をしなければならない。また、その職員に対して訓練もきちんとして、その任務に熟達をしてもらうというふうな保証もしなければならない、こう私は思うのですね。  経企庁のように正規の職員の一割に近いという数の委嘱調査員、こういう人たちを持たないと仕事ができないというような——できないと言ったら、いや、そんなことありませんと先ほどもおっしゃっていたわけですが、入れておられるという現在の姿、これはやはり改めていただいて、もっときちんと職員を定員だけとって、その人たちがりっぱに成長なさる保証をするということが私は大切だというふうに思うのですが、行政管理庁としてはどうでしょうか。いま行管がいろんなところを縮小して合理化する、統廃合もする、こういうときに、安上がりでいけるのに、そんなことできるかということなのか。行政改革の面からだけ見ないで、本当に長期の展望に立って、経済企画庁、物価の担当として、職員の皆さんをきちんと確保し養成していくということが私は大事だと思いますが、行管庁の立場からはいかがでしょうか。
  88. 武智敏夫

    ○武智説明員 先ほども御説明いたしましたとおり、現在の経済企画庁の委嘱調査員につきましては、民間企業からに限っていいますと調査局と経済研究所の二つでございまして、先ほども申しましたとおり、行政管理庁といたしましては、経済企画庁がその業務の運営上やはり委嘱調査員制度は必要であるということを言っておられるわけでございますので、そういう前提に立つで、まさに定員管理につきましては経済企画庁とも調整しつつやっておるところでございます。  先生御指摘の、委嘱調査員制度をやめて定員で切りかえたらどうかということでございますけれども、いま申し上げましたように、われわれといたしましては、現在の委嘱調査員のやっておる職務、これはまさに非常勤の国家公務員として採用いたしておるところでございまして、しかも職務も調査研究、しかもこれは固定的な業務ではございませんで、テーマが変わるとまた変わるといったようなことでもございますので、そういうような事情にかんがみまして非常勤といたしておるところでございますので、直ちにこれを定員で切りかえるということについては当面考えていない次第でございます。
  89. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 長官に最後にお尋ねしたいと思うのですが、企画庁からいただいた資料によりますと、一番新しいのが五十四年四月現在で、人数が二十一人おられるという中で、たとえば調査局には中部電力とか新日鉄、大丸、三菱電機、住友信託銀行、関西電力、富士銀行、それから全農連、三菱信託銀行、東洋信託、第一勧銀、経済研究所の方には、四国電力、埼玉銀行、IBM、それから大和銀行、朝日生命、三菱重工、太陽神戸銀行、東亜燃料工業、東海銀行、明治生命と、ちょっと肩書きを見ただけでもどうなのかなと私は思うのですが、長官とされて、営利企業からの助けがなくても経済企画庁の仕事はできる、必要な人は確保するというふうなことにはならないのでしょうか。長官の御見解を聞かせていただきたいと思います。
  90. 正示啓次郎

    ○正示国務大臣 先ほど来担当の課長からるる御説明をいたしましたように、だんだん御意見等も考慮いたし、こういうのはメリットがあればデメリットがあるということも十分配慮しながらやっていかなければならぬので、その配属の部署等については、いま御指摘のように、純粋な民間の人を調査局あるいは経済研究所というところに限定をしておるわけでございます。絶対にこれがなければ動かぬというものではない、しかしこれはベターな、そういうことによってメリットがあるという点を先ほど来御説明をいたしたわけであります。  そこで、デメリットをどうして防ぐかという点については、だんだんお話しのように、お考えも示されましたが、私はいままで幸いにして御指摘のような弊害は出ておるというようには聞いておりません。しかしそういう弊害が出てきてはこれは大変なことです。この内閣としては官庁の綱紀を粛正するということを一番大事な政策の一つに掲げておるわけでございますから、そういう点については今後も十分配意をして、十分適格者を得るということが一番大事だと思うのですね。仕事の運営を最高限度にそのメリットを確保していくためには、十分適任者を得る、そういう見地から今後とも運営については乱に流れないように、しかも一人一人について本当にりっぱな方を確保するように十分配意をしてまいりたい、かように考えております。
  91. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 私は、物価安定政策会議についても質問をしたいと思っておりましたが、もうあと一分しかございませんので、割愛をしたいと思います。  これは、要は、物価安定政策会議というふうなものは、行政管理庁の方から言ったら、一口で言えば、行政管理庁の通達を見ますと、これは違法じゃないかというふうなやり方になっているわけですね、委員などを決めてはならないというふうな通達を見ますと。ですから、そういうものであるものではなくて、やはり物価安定政策会議というのは国民の意見を、先日の電力、ガスの査定のときにも物価安定政策会議でよく相談もし、御意見を聞きました、こう言われるわけですから、重視していらっしゃる討論の場だと思うのですね。しかし、行管庁のこういう通達から見ると、こういうものが定例的にとか委員として委嘱されてやられるようなやり方ではないようにすると、そこでせっかく論議したものが統一見解を出したりできない、そういう締めつけがあるわけですね。しかし国民の皆さんを向いては、物価安定政策会議で聞きました、聞きました、こう言いながら、こっちでは、その会はそう権威を持たされていないという状況であるという状態なんですね。ですから私はそういう姿を改善する必要があろうという質問をしたいと思っていたわけです。次に譲りたいと思いますが、これでもし一言でも御意見が聞かれるようでしたら、聞かしていただければ結構だと思うのです。
  92. 武智敏夫

    ○武智説明員 御説明申し上げます。  先生御指摘の問題につきましては、従来主として内閣委員会等におきましていろいろ問題になったわけでございます。と申しますのは、国家行政組織法の八条によりまして、いわゆる審議会等につきましては法定事項になっておるわけでございますが、各省大臣なり局長なりのいろいろな、国民の広く意見を聞くというような観点から、研究会ですとかあるいは協議会ですとかいったようなものがたくさん各省にございまして、それとの関連で、三十六年の四月に行政管理局長名で関係省庁の関係局長にあてた局長通達がございます。それを先生頭の中で描かれて御質問されたんじゃないかというふうに考えておるわけでございます。  そこで、正規の審議会と、いわゆる私的懇談会と申しますか、との関連でございますが、われわれが承知いたしておる限りにおきましては、まさに経済企画庁の物価安定政策会議につきましては——本来の審議会といいますのは、その通達にも出ておりますとおり、構成メンバーの個々の委員の方々の意見とは別に機関としての意思を持つということでございます。そこが本質的に国家行政組織法の八条の審議会等と私的懇談会等と違うところでございますけれども、物価問題の場合には国民の非常にいろいろな方々と関連いたすわけでございまして、意見の一致を見ることが非常にむずかしいというようなこともございまして、機関意思を決定するということを期待することは必ずしも適切ではないという観点もあろうというようなことから、経済企画庁長官の私的懇談会というような形のものになっておるというふうにわれわれは理解いたしておるところでございます。
  93. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 時間が参りましたので……。とにかく国家行政組織法第八条、この規定を守っているからいいとかいかぬとか私は言っていないんですね。この物価安定政策会議をもっと重視して、ここの意見を尊重するためには、こういうものも誤解が起こらないように整備すべきではないかということを言っているわけなんです。その点、長官から一言言っていただいたら結構です。これで終わります。
  94. 正示啓次郎

    ○正示国務大臣 ただいま行政管理庁の管理官も大体そういう趣旨はよく理解しておられると思いますが、今度は行政管理庁でも物価問題を行政監察の重要項目に取り上げて一全面的に協力していただくということになっております。いまの御趣旨はよく管理庁の方へお伝えいたしまして、今後とも一層その政策会議の活用について配慮してまいりたい、かように考えます。
  95. 井上普方

    井上委員長 次に、中野寛成君。
  96. 中野寛成

    ○中野(寛)委員 一昨日から国鉄運賃の引き上げが実施をされました。この機会に、たとえ法定制の緩和が実施されておるとは言え、その実施の前に本委員会において少なくとも国民の意思が聴取されるという機会が与えられなかったこと、そしてそういう時間的なゆとりを持っての申請手続等が図られなかったこと等、大変遺憾でありました。そのことについて、まず遺憾の意を表しておきたいと思います。  同時に、今後のこともございますし、また国鉄総裁等の、石油等の値上がり等を理由にして、この値上げをしても大きな赤字がある等々の発言がなされておるようでありますから、あえてきょう国鉄の問題についてお尋ねしたいと思います。  なお、経企庁長官には、この質疑応答、やりとりをお聞きいただく中で、最後に御見解をお聞きすることにさせていただきたいと思います。  あわせまして、質問に入ります前に、私どもの基本的な姿勢について確認をしておきたいと思います。  まず、私どもは法定制緩和について賛成をいたしました。この趣旨は、国鉄の当事者能力を高める、そしてそれが国鉄の再建により一層つながることを期待すると同時に、しかしそのことは、国鉄当局の責任がそれだけ国民に対してみずからの責任が重くなったのだ、このことを私どもは強く要求して賛成をしたわけであります。すなわち、そこに当然国鉄の毅然たる姿勢とシビアな経営姿勢が望まれるわけであります。このことについて、当局として態度を明確にしておいていただきたいと思います。  同時にあわせて、きょうストライキの問題についても触れますが、当局の毅然たる姿勢と同時に、労働側の良識をもあわせ、その中から法治国家にふさわしい労使関係が確立されると同時に、スト権については国民の納得し得る正しいスト権、労働条件が確立することを強くわれわれも要求しているわけであります。そういうものを要求するがゆえに、その前提として、国民の信頼をかち取るための法治国家にふさわしい姿勢が確立されなければ国民の理解は得られないであろう、そういう立場から御質問したいと思うわけでありますが、この私どもの基本的な認識に対して国鉄当局はどのようにお考えでしょうか。
  97. 吉井浩

    ○吉井説明員 先生の仰せ、一々ごもっともでございます。  そもそも法定制度の緩和をお認めいただきましたということは、国鉄自身の努力に強く求められるところがあると自覚もいたしております。また、現に御審議いただいております国鉄の再建に関する特別措置法の中においても、当然に国の力、あわせて国鉄の努力というものが強く要請されておるわけでございます。  そういった意味で、私ども経営万般、特に労使関係についても、先生ただいまお話しのような態度をもって十分に取り組んでまいりたいと思う次第でございます。
  98. 中野寛成

    ○中野(寛)委員 それでは質問に入ります。  先般決算委員会において、操重車ソ六〇またマルチプルタイタンパー等のことについてお尋ねいたしました。会計検査院の今日までの指摘の中でも、機械装置等についてその稼働率がきわめて低いこと等の特記事項が報告されているわけであります。そして、その中で、機械装置等についてはその使用について労使間で合意が得られず、調整に時日を要していることが主な原因と認められること等も指摘されながら、その後に具体的な事例が報告されているわけでございます。  きょうは、先般その中で国鉄当局及び会計検査院の御答弁に若干食い違いがあるような内容のまま終わってしまっておりますので、そのことについてお尋ねをしておきたいと思います。会計検査院の方から、このソ六〇の稼働状況について、改めて御報告をお願いいたします。
  99. 小野光次郎

    小野会計検査院説明員 御説明申し上げます。  先般の決算委員会における先生からの御質問について、私どもソ六〇の操重車については全く稼働していないというふうに申し上げたわけでございます。  実は、これはただいま御指摘がございましたように、私ども五十三年中に国鉄の機械設備それから貨物設備というものについて全般的に効率性の検査を行ったわけでございます。その中で、このソ六〇操重車も問題として取り上げたわけでございます。  そのときに、私ども検査いたしましたものは、国鉄に七編成十四台の操重車がございまして、仙台と高崎の操重車については、私ども検査した時点においては稼働しておりましたので、この分は指摘から除外いたしました。したがって、あとの五編成十台でございますが、これは東京北、東京南、名古屋^大阪、岡山に配置されている機械でございまして、これについて私ども指摘したわけでございます。  それで、その指摘したものについては、その後、検査院といたしましては年に二回報告を徴して稼働状況の後追い調査を実施しております。そのときに私ども指摘したものについてはまだ全く稼働に至っておりませんので、実は先般の決算委員会においては、私ども指摘したものについて御報告を申し上げましたので、国鉄の御答弁と若干食い違ったようなことになっておりますけれども、基本的に二台は稼働しているので指摘から除外しておりますので、国鉄の御説明とは基本的には一致するものと考えている次第でございます。
  100. 中野寛成

    ○中野(寛)委員 私もそれなりに調査をいたしましたが、結局七編成のうち五編成が全く使われていないこと、及び仙台、高崎に配置をされておりますものも、稼働しているという御答弁でありますが、実際上は本来の目的を達していない、このような事態を私どもなりに聞いているわけであります。しかし、いずれにしても、これは購入価格は一編成幾らになるのですか。
  101. 神谷牧夫

    ○神谷説明員 購入年度によって価格の差はございますが、一編成平均値で五千二百万円でございます。
  102. 中野寛成

    ○中野(寛)委員 すなわち、稼働していない五編成でそれを計算いたしますと二億六千万円、これが全くむだになっているわけであります。そして、仙台、高崎のものも本来の用を当時期待したとおり果たしていないとするならば、その金額は上積みされるわけであります。  先般御指摘を申し上げましたマルタイにいたしましても、より一層大きな金額のものが事実上はその稼働率の低さにおいてむだになっていることも私は改めて御指摘申し上げたわけでありますけれども、このようなものが労使関係の問題において使われていないとするならば、事前に労使協議はなされていなかったのかという問題は残ります。しかし、これは昭和四十七年に労使間で協定が結ばれている、そのことは一体どうなっているのか。もしその協定の中身で、実際上使えないような枠をはめられてしまっているとするならば、そのような協定を結んだ国鉄の当局は一体どうなんだということになりますし、これは労使間の問題ではないとするならば、一時うわさされましたマルタイ族——国会にもマルクイ族がはびこっているというふうなことを週刊誌等で報道された時期がありましたけれども、そういうものが存在しておって、無理やり国鉄に利権絡みで買わせたという憶測が真実味を帯びてくることになってしまうわけであります。そのどちらでもないとするならば、国鉄当局が事前の何の配慮もしないでこういう機械を安易に買ってしまったということになります。その事情はいかがでございますか。
  103. 神谷牧夫

    ○神谷説明員 まず最初の点でございますが、実は今回議論になっております七編成以前に、昭和二十五年当時からでございますが、同じ型式の試験的な操重車をつくりまして、高崎局でずっと使っておったわけでございます。非常に高成績に使われておりました。その結果を踏まえまして、四十五年当時全国で使える条件の整備された場所、高崎を含めて七局選んで機械を投入することにいたしたわけでございます。そのときの条件と現在はかなりいろいろな点で変化してまいっております。この車両を工事用の臨時列車として使うといったようなことで、実は乗務員の手配が必要であるとかそれから駅でのいろいろな入れかえ作業との関連がある、ほかの各国鉄の業務機関との関連が非常に深い機械の使用方になるというようなことがございまして、この関連業務との調整が非常にうまくいかなかったというのが機械の稼働率もしくは未使用の最大原因であったわけでございます。その後、駅系統それから乗務員関係でもいろいろな合理化が進捗してまいりまして、ますますそういった情勢が厳しくなった、私どもといたしましてもこの間の環境づくり、努力をいたしたわけでございますが、そういった事情でなかなかうまくいかなかった、こういった事情がございまして、先生御指摘のような状況になっておる次第でございます。  今後といたしましては、駅構内における材料の積みおろしでございますとか、それから材料運搬用のモーターカーとほとんど性能が一緒でございますので、そういったものに小規模の改造を加えて使用していきたいと考えておる次第でございます。
  104. 中野寛成

    ○中野(寛)委員 さっぱりわからないのです。いろいろの要素があった、いろいろの困難があった、すべて抽象論です。事前の準備作業が結局徹底していなかった、そのことに尽きると私は思います。今後は、ごれがあるから、何とかして使わなければいけないから、少々改良をしてほかの目的に使う、本来これが必要だから買ったのか、その理由が全くわかりません。必要だから買った、その明確な理由づけというものが全くなされない、いまの御答弁をお聞きしてそういうふうにしか感じ取れません。先般も改造コンピューターの居眠りの問題での指摘がなされておって「国鉄“捨てた”四億円」という見出しで報道もされておりますけれども、これもやはり似たり寄ったりのことであります。こういうものをすべてトータルをしていきますと、何十億または百の単位がつく億円、これがむだに使われている、これが国鉄の実態であろうと思います。国鉄にとって三億円という金額は微々たる金額なのだろうか、四億円という金額は大したことのない金額なのだろうか、国民にとってはそういう疑問を持たざるを得ない内容であります。私はもう一度はっきり国鉄当局から御回答をいただきたい。こういうものの購入の判断が明らかに間違っておったのだ、そのことをお認めになる以外にないし、そして国鉄当局としては国民に対するおわびと同時に、これからこういうことのないようにより一層厳格な姿勢をもって臨むという基本的な姿勢が表明されなければならぬと思います。いかがですか。
  105. 神谷牧夫

    ○神谷説明員 御指摘のとおり、保線作業の省力化ということで機械化を急ぎ過ぎた点がございまして、事前の準備等が不備であったことはまことに遺憾に思っております。今後ともひとつこういったことがないように省力化、機械化を進めていきたいと考えておるわけでございます。
  106. 中野寛成

    ○中野(寛)委員 常務、いかがでございますか。
  107. 吉井浩

    ○吉井説明員 ただいま保線課長からお答えいたしましたように、確かに、この種の機械の導入に当たりましては、やはり目的として国鉄を何とか省力化しなければいかぬ、要員の合理化をしなければいかぬという意欲が実は先に走りまして、ただいまるる御説明いたしましたようなもろもろの前提条件に対する研究が欠けるところがあった、そのために、せっかく機械を入れましても完全な働きをしていない、こういう実情につきましては先生御指摘のとおりであります。  御承知のように、今後国鉄が六十年までに三十五万人に要員を縮減していく、こういう過程におきましてはいろいろな要員合理化の手段、方法を考えなければならぬわけでありますが、その中の一つの大きな柱といたしまして機械化、装置化ということがございます。こういうことの進め方につきましては、これまで御指摘いただきましたような点を私ども十分に教訓といたしまして、今後慎重にかつまた勇断を持って進めてまいりたい、そのように感じる次第でございます。
  108. 中野寛成

    ○中野(寛)委員 同時に、今日そういう事態を招いたことに労使関係の問題があったことも事実ですか。会計検査院はそう指摘しています。
  109. 吉井浩

    ○吉井説明員 広義におきまして労使関係ということであろうと思いますけれども、ただ、具体的にはこの機械そのものが労使の協約、協定によって使えな、いということではないわけでございます。ただいま申し上げましたようなもろもろの難点が出てまいった、その難点につきましてはやはり当局としても、これをあえて押して使うことには慎重にならざるを得ないというふうな事情もあったわけでございます。したがいまして必ずしも労使関係、組合との話がうまくいかなかったというだけのためにこの機械の今日のような状態が起きたというふうには私ども考えておらない次第でございます。
  110. 中野寛成

    ○中野(寛)委員 労使関係の問題は、結局組合の本部段階との協定は結べたけれども、地方で組合の出先機関との協定がうまくいかなかった、そのことが稼働しない一つ要因になっている。そのことを私ども自身は調査をして、それなりに認識を持っているわけであります。これはお認めになりますね。
  111. 吉井浩

    ○吉井説明員 最終的にはそういう姿になります。ただ、本社、本部で結べたことが地方で実際に実施に移せなかったということは、やはり地方段階になりますと、実態として本社、本部の段階におきますよりもそれぞれに具体的な問題をさらに細かく実施上の問題として詰めてまいる必要がある、そういう段階で結局円滑な話し合いができなかったということでございまして、必ずしも本社、本部で決まったことを地方の段階で他の理由なしに覆したということではないということを申し上げた次第でございます。
  112. 中野寛成

    ○中野(寛)委員 結局そのことは、国鉄当局及び組合、ともに、中央の地方に対する指導または連携、そういうことが不十分であったことをそのままあらわしていると思います。  時間の都合でこの問題ばかり申し上げておるわけにいきませんから、次にストライキの問題に移りたいと思います。  今般の値上げの金額は約一千億、一千五億。さて、昭和五十年以降の違法ストの回数及び違法ストによる損害額を明らかにしてください。
  113. 吉井浩

    ○吉井説明員 ちょっと前置きを置かしていただきますと、違法ストによります損害額という言葉を厳密にとりますと、たとえばこのストライキ期間を避けて、貨物の場合では先送り、後送りという問題がございます。また、その日旅行を見合わせたお客さんが後ほど国鉄を利用されるということもございまして、厳密な意味の損害という算定は非常にむずかしいのでございます。したがいまして、以下申し上げますことは、ストなかりせば通常に前後の収入から推定せられる収入額、それとストが行われた当日の現実の収入額、これを差し引きました減収額をもちまして金額のお答えにさせていただきたいと思います。  ただいまお尋ねの五十年以降でございます。違法スト、これも旅客の運行に支障を来した全国規模のものということでお答えをいたしたいと思いますが、五十年は四回、約三百九十二億、五十一年が同じく四回でございまして百八十五億、五十二年は六回ございましたが、金額百二十八億、五十三年は五回、二百二十七億、五十四年も、大きなストライキは四月二十五日のものでございますが、そのほかに若干小規模なストライキがございまして都合四回、減収額三十五億、以上五十四年までを合計いたしますと二十三回、九百六十七億、こういう数字になっております。回数が同じでございまして減収額が少ないということは、一回当たりのストライキ時間の長短にかかわらず、たとえば二昼夜にわたりますものも一回と数えたあるいは半日のものも一回と数えた、こういうことからこのような数字になっております。
  114. 中野寛成

    ○中野(寛)委員 私の調査では、五十年九回、四百九十六億、五十一年六回、百八十五億、金額は一緒です。回数は五十二年八回、五十三年十一回、五十四年五回、回数は違いますが、金額は五十年を除けばおよそ同じ金額が私の調査でも出ております。およそ一千億。私の計算では一千六十九億。  それでは、今月のストによる減収額は幾らですか。
  115. 吉井浩

    ○吉井説明員 今月に入りまして小規模なストライキがいろいろございますが、実際減収につながりましたのは十五日から十六日にかけてのストライキでございます。これもただいま申し上げましたようなきわめてラフな計算でございますが、一応三十二億というふうに試算をいたしております。
  116. 中野寛成

    ○中野(寛)委員 いまの御答弁の中に、国民の感覚と国鉄の感覚の明らかな違いがあらわれるお言葉遣いがありました。今回のストライキは小規模でございました——国民の感覚から見れば決して小規模だとは思いません。あれだけの多くの国民の足を奪い、全国的に影響を与えたその違法なストライキがどうして小規模なのか私には理解できません。同じようなことがここに、一国鉄がおつくりになった「四・一六ストの概要」の中の文章で、たとえば「十六日、新幹線、連絡船、修学旅行列車、生鮮食品列車等のほか一部の列車を運転したが、終日の運転本数は、旅客約四千六百本、貨物約四百本、計約五千本一設定本数の約二二%一にとどまった。」そういう表現があるかと思えば、次の三番目には「スト中止後の運転回復は、おおむね二十時頃から円滑に行われ、格別の混乱はなかった。」また最後の文章は「また、一部の夜行列車は遅延させて運転したが、大きな混乱はなかった。」結局、いかに小規模であったか、または混乱が少なかったかを表現することにむしろ苦労をされているという様子がうかがわれるわけであります。  国鉄の減収額だけではありません。郵便が受けた被害、また、生鮮食品についてはむしろ最近は、荷受け会社の方の談話として載っておりますが、「四年半前のスト権スト以来、国鉄の貨車はあてにならないといって、荷主がほとんどトラック便に変えてしまいました」ゆえに、国鉄ストがあっても影響は少なかったと書いています。少なかったのではなくて、そういう措置をすでにとっているところに大きな被害がそれはあらわれているわけでありますし、ストによって国鉄離れを起こしたとすれば、それは国鉄自身にとってもゆゆしき問題ではないのか。  いろいろなことを総合いたしますと、国鉄の減収額だけでも一千億を超え、そしてその他の影響を考えれば大変大きな被害が出ていることを私どもやはりはっきりと認識しなければならないと思うわけであります。あわせて、これらの減収額のほかに、国鉄内だけでも、違法ストが行われた場合に、その対策費として国鉄当局が支出しているもの、そういうものがあるはずです。派遣者の超過勤務手当、当局として確保する宿舎代、送迎のタクシー代、対策員の食事代、ビラ張りが行なわれた場合、はがし代、こういうものをトータルいたしますと、その対策費はストによる減収額に匹敵するとさえ私どもは聞いておりますが、いかがしておられますか。
  117. 吉井浩

    ○吉井説明員 先ほど私ちょっと不明確に申し上げまして大変に申しわけございません。  私は、四月十五、十六日のストライキを小規模と申したわけではございません。四月に入りましてそのほかに二時間、三時間といった規模のストライキが行われておりました。この中で減収につながりましたものが十五、十六日、このように申し上げたつもりでございまして、決して十六日のストライキが小規模であったというようなことを申し上げる意思ではございませんでしたので、一言おわびとともに、訂正をさせていただきます。  ただいま先生お尋ねの、ストライキの場合のスト対策をどのようにしておるかということでございますが、確かにストが行われましたとき、特に私鉄が動いております場合、その間の乗りかえのお客さんの混乱を未然に防ぎますための案内要員あるいは要員確保のための措置というようなことをいたしておるわけでございますが、実はこの金額が幾らになるかというお尋ねもございましたが、実は私ども予算の費目といたしましてはとりたててスト対策というものを区分いたしておりません。それぞれ費目に従いまして超過勤務あるいはまた旅費その他の決算をいたしておるわけでございまして、また、事実ストライキが行われますために、そうでなければ当然支出いたしたであろう、俗に申しますたとえば混雑駅のしり押し要員といったものはその日は支払わなくて済むというふうなことでございまして、実はそのことの可否につきましては大いに御議論があろうかと思いますが、私どもの経理の仕組みといたしましては、特にそのためのものをとりたてて集計できるという形になっておらないわけでございます。したがいまして、ただいま御質問がございました、そういった費用を累算したら一体幾らになるかということにつきましては、正直申し上げまして、私ども現在金額を持っておらないということでございます。  ただ、先生ただいま、その額がたとえばストによる減収額に等しいのではないか、たとえば五年間で一千億近くになるのじゃないか、こういうお尋ねでございますが、実態といたしまして、かつてはストのために局員もしくは管理者を大量動員いたすということもございました。しかしながら、そのことの是非についてもまた議論があろうかと思いますけれども、ただいまはそのような大量動員をいたしておりません。むしろ金額といたしまして考えられますことは、ストライキ後の立ち上がり、列車運転を特に早く正常な運転に戻すというために、スト後の初発あるいはその次ぐらいの列車の乗務員を、今回の場合でありますと、私鉄区間につきましては私鉄でできるだけ最寄りまで運ぶということもいたすわけでございますが、その他の交通機間がありません場合にはタクシーをチャーターして送るというふうなことがございます。そういった費用が主になろうかというふうに思うわけでございまして、実は、先ほども申しましたように明確な金額を持っておりませんので、先生の御推定に対する反論ということもできかねるわけでございますが、決してそのような多額のものではない。しかしながら、先ほども御指摘ございましたように額の多少の問題というよりも、ストライキに伴いましてこのような経費の支出があるということも事実でございますし、また、先ほどお話がございましたように、そのことの直接の影響のほかに、やはり年々繰り返される違法ストのために、国鉄は輸送機関としての信頼を国民の皆さんから失う、そのことのための国鉄離れが起こるということもまた事実でございまして、そういった意味から、私ども、違法ストにつきましてはぜひともこれを回避したいということで努力をいたしてまいったつもりでございますが、このような結果になったことをまことに申しわけなく存じておる次第でございます。
  118. 中野寛成

    ○中野(寛)委員 結局、スト対策費等として特別に勘定を組んでない。組んでないのは私は当然であって、いいと思います。国鉄にストがあるということは法律上想定されないのですから、それはそれで結構ですが、しかしながら、そうしてストが行われたときに特別の支出がある、ストがあったがために支出があるとするなら、それはきちんとやはり計算をすべきであります。もししないとするならば、それはずるずるとそのままどんぶり勘定でいって、あとは料金値上げにその上乗せをすればいいということになってしまうとわれわれは思わざるを得ません。それだけ経理がずさんであるという判断になってしまいます。私たちは、むしろ減収額、そしてその対策費として講じた費用を国民の前に明らかにする、そしてまた、そのストの責任者を明確にすることによって、現在進行しております二百二億円の訴訟の問題のように、やはり毅然たる態度をとっていくことが必要なのではないか。結局このような減収や対策費や、もろもろの減収や費用捻出や、そういう問題が起こった場合、それらの費用は一体だれが負担しているのだ、こういうことになります。それは国民ではありませんか。いかがですが。
  119. 吉井浩

    ○吉井説明員 私どもの内部の経理といたしましては、本社から各局に対しまして年初に配賦をしておる予算の中で、そのようは事態が発生いたしましたために増加した分というものにつきましては、極力国鉄の中のその他の費目の節約によりましてその分を埋めるという努力をいたしておるわけであります。しかしながら、広義に申しますればそのような費用も全体として国鉄の費用になっておる。費用が運賃で賄われておるという意味から言えば、結局は国民の皆さんからちょうだいする運賃で賄われておるということには相なろうかと思います。
  120. 中野寛成

    ○中野(寛)委員 節約で賄うといったって、膨大な金額ですよ。それだけ節約できる余地があるのですか。そのこと一つ見たって、国鉄の中で賄おうとしたって、節約をするといったって、それではそれだけ余剰財産なり余剰なお金があるということになってしまうではありませんか。結局国民が負担するということになってしまうわけでしょう。まして最近は、ストが行われるということになれば、当局までもが、それを見越してその対策要員を以前は大量に確保しておったけれども、それをしなくかったということは、すでに国鉄当局自身がストを認めているということに実際上なってしまいませんか。  先般、新聞の論評でもこういうことがありました。「列車、電車が運転されなくなるのは、何も国労、動労の組合員が職場放棄をした結果だけではない。運行権、職場管理権を持つ国鉄当局が、運転を実質的に取り止めているという事実を見逃せない。当局は国労、動労のスト戦術を見て、「混乱防止」を理由に対象線区の運転休止を早々と決めてしまう。」  大阪において鉄労が何とか運転を確保したいと申し入れをしたことも御存じのはずです。しかし、鉄労のその熱意にもかかわらず、結局、混乱防止等々の理屈をつけて当局自身がそれをストップさせてしまったというのが実態ではありませんか。いかがですか。
  121. 吉井浩

    ○吉井説明員 ただいま御指摘の大阪の問題につきましては、経緯は先生十分御承知のとおりでございます。確かに、国労、動労がストに入りますと、実際問題として確保し得る列車本数は非常に限られてくる。それを動かすことによってかえって混乱がないかどうかということを例年非常に心配をしてまいりました。御指摘のように、事前の運休手配ということをやってきたわけであります。  今年度につきましては、鉄労組合員を主といたしまして、何とか列車を確保いたしたいということで、実は一時間に一本程度、しかも混乱防止につきましては十全の対策を組むということで計画をしてまいったわけでありますが、最終的には国労、動労の戦術強化ということによりまして、実際に運用し得る車両に非常に制限を受けたということがございまして、最終的には残念ながら営業列車の運転を見合わさざるを得なかったということでございますが、ただ、先生も御承知のように、当局といたしましても、何とかこのような状況の中で列車を運行いたしたいという気持ちは最後まで捨てなかったわけでございまして、翌日、御承知のように、実際にお客様を乗せてということにはなりませんでしたけれども、西明石と神戸の間、また大阪と京都の間に列車を実際に動かしたということは、先生も恐らく御承知のとおりでございます。  こういったことで、今後はやはり当局としてどのような場合にも何とか運行を確保するという努力はぜひとも続けてまいりたいというふうに存じております。
  122. 中野寛成

    ○中野(寛)委員 時間がありませんから、端的に一点だけお伺いしますが、私は少なくとも先ほど答弁も含めまして、当局が、違法なストライキを国労、動労が行おうとしても、二度と再びないことを期待いたしますけれども、もしそういうことがあったとしても、あくまでも列車を最大限動かそうという努力を最後まであきらめてはならぬということ、そして、それを妨害したことに対しては、法律に照らし合わせてきちんとした処分をし、損害はそれを補償要求をするということ、その姿勢がなければ、私はこれから審議される国鉄の再建法等につきましても、空理空論が繰り返されることになってしまいはせぬか、そのことが大変心配であります。  先般来、過年のスト処分に対する凍結、これは解除されるようであります。そして今回のストの分、これを切り離して行うのか、同時に行うのか。凍結分は調査がすでに当時済んでいるはずですから、直ちに行える態勢があるはずですが、どうするのか。毅然たる態度をもって国鉄がどのように臨もうとしておるかをお聞きすると同時に、このような事態の中で国民の負担がより一層大きくなり、料金にそれがはね返っている。その実態の中で、その認定等々、経企庁として物価対策上も国民の納得のし得る国鉄に対する姿勢というものが必要であろうと思いますし、また運輸省もお見えだと思いますが、運輸省もその姿勢が必要だと思いますが、それぞれのお立場から御答弁をお願いして、最後の質問にしたいと思います。
  123. 吉井浩

    ○吉井説明員 ただいま先生御指摘のように、昨年特に異例の措置としていたしましたスト処分の凍結につきましては、やはりその前提となるべき違法ストが繰り返されないということが今回の事実で否定されたということになりますので、凍結解除を含めた処分をいたしたい。この処分につきまして、どのような処分の内容といたすかということにつきましては、目下内部で種々検討中でございます。  ただ、このような時期でございます。国鉄の特にこういう厳しい中で国民の皆様からもお力添えをいただき、また政府の力添えもいただいて、国鉄自身が再建をしようというときでございますので、当然労使関係、職員管理につきましては、厳正な毅然たる態度で進むという決意をここでお約束を申し上げます。
  124. 中野寛成

    ○中野(寛)委員 凍結分はいつやりますか。
  125. 吉井浩

    ○吉井説明員 果たして凍結部分と別々の処分というのがよろしいかどうか。たとえば組織責任につきましては当然かぶさってまいりますので、それらにつきまして切り離して行うべきか、あるいは同時に行うべきかにつきましても、さらに検討をいたしたいと存ずる次第でございます。
  126. 石月昭二

    石月政府委員 御承知のように国鉄の経営状況は、累積赤字が六兆円を超える、単年度の赤字でも一兆五千億というような形で、危機的の状況にございます。また現に、これから六十年までに何とか国鉄の再建の手がかりをつかむべく、経営再建の特別措置法の御審議をお願いしているような状況でございます。運賃の面につきましても、市場の競争の現状からいきましてなかなか思うような値上げができないというところまで追い詰められている国鉄の現況の中で、このような違法ストが行われまして、その結果得べかりし収入が得られないというような状況はまことに残念なことだと思います。先生おっしゃるように、これが回り回りましていずれ国民の負担という形にはね返ることでございますので、まことに申しわけないと思っております。今後このようなことのないように、国鉄の労使関係につきましては私どもとしても十分な指導監督をしてまいりたいと思っている次第でございます。
  127. 正示啓次郎

    ○正示国務大臣 先ほど来の御熱心な中野委員と国鉄当局の質疑応答を伺っておりました。私は、法定制を緩和するときから、国鉄が先ほどお話しのように、これはもう経営者だけじゃなくて労働組合も一体になって全責任を持って国鉄を再建するんだ、だから国会にひとつ最小限度値上げの必要なときはこれを認めてもらいたい、こういうことであれはお認めいただいた、こう受け取っておるわけです。もちろん値上げだけで解決するわけじゃありません。国の財政援助とか、また労使協調して今度の再建の精神にのっとった法律を提出しておるわけですから、そういう三位一体の努力が本当にまず国鉄の中で労使の間にぴしゃっとでき上がっていく、こういう体制が「番大事なことである、こう考えておるわけでございます。それが先ほど来のお話のようになかなかそこにいかない。残念でしょうがありません」そしてわれわれとしても物価非常時にまた値上げをお願いしておる次第でございますから、そういう点については十分ひとつ政府はもとより運輸省、さらに国鉄労使の皆さんが今度この苦しい事態から受けた教訓を生かして再建に努めていくということができるかできないか、いま大きな瀬戸際に直面しておるという自覚のもとに、先ほど来の御指摘の点をも十分心にとめまして今後努力をしてまいりたい、かように考える次第でございます。
  128. 中野寛成

    ○中野(寛)委員 終わります。
  129. 井上普方

    井上委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時五十四分散会