○橋口
政府委員 第一の問題でございますが、三月十七日に独占禁止法研究会から「流通系列化に関する独占禁止法上の取扱い」と題する研究会の報告書をちょうだいしたわけでございます。これは、いま先生がお読みになりましたように、流通系列化のメリットとデメリットとを評価をいたしまして、競争
政策の立場からデメリットがより大きいという評価を示しておるわけでございます。ただ、これは研究会から
公正取引委員会に対する報告でございますから、直ちに行政方針となるものではございませんが、しかしわれわれに対する一つの指針でもございますし、またガイドラインでもございますから、この研究の成果を踏まえまして行政を展開していきたいというふうに考えております。
流通問題につきましては、御承知のように一九八〇年代における競争
政策上の最大の課題としていま本格的に取り組んでおるところでございますが、十数品目の品目を選びまして、その流通の実態につきまして
調査をいたしておるところでございますが、その中に
石油も一つ入っておるわけでございます。
石油につきましては、何分にも膨大で複雑な業界でございますから、
調査をいたしますには相当の時間の経過も必要でございますから、まず二
段階に分けまして、輸入、精製、元売りの上部
段階と申しますか、そういうものにつきましての
調査をいたしまして、これにつきましてはおよその
調査の結果が出ておるわけでございますが、ただ、まだ外に向かって公表するほどの念査を経たものではございませんが、大体
調査を終わっておるところでございます。
ただ、問題はそれから先でございまして、卸、小売の
段階がどうなっているか。いまおっしゃいましたような流通系列化の問題は、単に上流の
段階だけの
調査では不十分でございまして、それが中流、下流と下がりまして、どういう系列化の実態が生じているか、それに伴っておっしゃるような弊害があるかどうか、これは今後の
調査でございまして、ことしから本格的に取り組むことにいたしております。
第二の問題としまして、昨年の十月、十一月ごろ系列による締めつけがあったかどうか。
原油事情等から見て製品が過剰になっているにもかかわらず値段が下がらなかったじゃないかというような御指摘でございますが、この問題につきましては、昨年の秋は主として灯油の抱き合わせ販売につきましての申告が一般の
消費者からきておるわけでございまして、これは
前回の第一次
石油ショックのときは百件を超える件数の申告があったわけでございますけれ
ども、今度は大体数件の申告でございまして、これも大体お米とか家電製品との抱き合わせでございますが、こちらから注意いたしまして問題は一応解消いたしております。それから同時に系列の
影響等がございまして、系列外のものが品物が不足になりましたときは締め出しを受ける、過剰になりましたときはむしろ押しつけられる、いわゆる業転玉が妖怪のごとく
石油業界を排回するという
事態が一昨年の秋ごろにはあったわけでございまして、そのときは確かにガソリン
価格等は大幅に下がっております。一リッター八十円台のガソリンが出て不当廉売として取り締まりを行うべきだという申告もございまして、われわれも必要な措置をとったこともございますけれ
ども、昨年になりましてから一転いたしまして、むしろ末端におきます商業協同組合における
カルテル行為等がございまして、これは四件摘発をいたしまして課徴金をすでにちょうだいいたしております。したがいまして、問題は元売り、卸、小売の商品の流れる過程におきまして、おっしゃるような力の優越的地位の乱用によって系列外に対して差別的な取り扱いをするかどうかという問題でございまして、これにつきましては制度的、組織的、継続的にそういう取り扱いをするということになりますとこれは問題でございますけれ
ども、しかしやはり商売でございますから、従来のいろんな経緯もございます。したがいまして、競争
政策の立場から一概に一方的に適当でないというように決めつけることもなかなかむずかしい面があるわけでございます。したがいまして、われわれといたしましてはやはり
石油業界全体の構造を把握することが必要だということで、輸入、元売りの
段階から末端までの
調査をいまやりつつあるわけでございまして、この
調査の結果がまとまりますと、
石油業界の持つ問題点、われわれもある
程度の問題の把握というものには迫りつつあるわけでございますけれ
ども、しかし末端までとらえて
石油業界全体としてどういうところに問題があって、どういうところを直せば問題が解消するかということにつきましては、もう少し時間をかしていただきたいと思っているわけでございます。大体一年
程度たちますればおよその見当がつくのじゃないか、こういう段取りでいま
調査を進めておるところでございます。