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1980-02-28 第91回国会 衆議院 物価問題等に関する特別委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十五年二月二十八日(木曜日)     午前十時二分開議  出席委員    委員長 井上 普方君    理事 相沢 英之君 理事 関谷 勝嗣君    理事 野田  毅君 理事 渡辺 秀央君    理事 金子 みつ君 理事 松浦 利尚君    理事 中川 嘉美君 理事 岩佐 恵美君    理事 中野 寛成君       小澤  潔君    亀井 静香君       亀井 善之君    岸田 文武君       工藤  巖君    熊川 次男君       牧野 隆守君    粟山  明君       小野 信一君    武部  文君       長田 武士君    宮地 正介君       藤原ひろ子君    塩田  晋君       吉田 之久君  委員外出席者         参  考  人         (東京電力株式         会社取締役社         長)      平岩 外四君         参  考  人         (東北電力株式         会社取締役社         長)      若林  彊君         参  考  人         (北陸電力株式         会社取締役社         長)      森本 芳夫君         参  考  人         (九州電力株式         会社取締役社         長)      永倉 三郎君         参  考  人         (日本労働組合         総評議会国民生         活局長)    福田  勝君         参  考  人         (日本エネル         ギー経済研究所         会長)     向坂 正男君         参  考  人         (全国地域婦人         団体連絡協議会         事務局長)   田中 里子君         参  考  人         (日本アルミニ         ウム連盟会長) 小川 義男君         特別委員会第二         調査室長    曽根原幸雄君     ————————————— 委員の異動 二月二十八日  辞任         補欠選任   塩田  晋君     吉田 之久君 同日  辞任         補欠選任   吉田 之久君     塩田  晋君     ————————————— 二月二十六日  家庭用灯油安定供給及びインフレ狂乱物価の  未然防止に関する請願工藤晃紹介)(第一  四五三号)  物価抑制及び便乗値上げ防止に関する請願(井  上普方紹介)(第一四五四号)  同外一件(石野久男紹介)(第一四五五号)  同外四件(小川国彦紹介)(第一四五六号)  同外三件(大原亨紹介)(第一四五七号)  同外四件(岡田利春紹介)(第一四五八号)  同(木原実紹介)(第一四五九号)  同(斉藤正男紹介)(第一四六〇号)  同(新村源雄紹介)(第一四六一号)  同外一件(関晴正紹介)(第一四六二号)  同(竹内猛紹介)(第一四六三号)  同(武部文紹介)(第一四六四号)  同(楯兼次郎君紹介)(第一四六五号)  同(塚田庄平紹介)(第一四六六号)  同(広瀬秀吉紹介)(第一四六七号)  同(谷口是巨君紹介)(第一四九〇号)  同(春田重昭紹介)(第一四九一号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  物価問題等に関する件(電気料金改定問題)      ————◇—————
  2. 井上普方

    井上委員長 これより会議を開きます。  物価問題等に関する件、特に電気料金改定問題について調査を進めます。  本日は、電気料金改定問題につきまして、参考人として、東京電力株式会社取締役社長平岩外四君、東北電力株式会社取締役社長若林彊君、北陸電力株式会社取締役社長森本芳夫君、九州電力株式会社取締役社長永倉三郎君、日本労働組合評議会国民生活局長福田勝君、日本エネルギー経済研究所会長向坂正男君、全国地域婦人団体連絡協議会事務局長田中里子君、日本アルミニウム連盟会長小川義男君、以上の方々に御出席をいただいております。  この際、一言ごあいさつを申し上げます。  参考人各位には、御多用中のところ、本委員会に御出席いただきまして、まことにありがとうございます。  御承知のとおり、今回各電力会社から電気料金改定認可申請の手続が行われております。その内容を見てみますと、五十四年度中の原油価格高騰による燃料費増加分及び電気事業長期にわたる安定供給保安確保に必要な設備のための資本費等上昇が主な値上げ理由になっております。  本日は、電力四社並びに消費者及び学識経験者方々に、それぞれのお立場から本問題について忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。  次に、議事の進め方でございますが、まず、各参考人方々からお一人十五分以内に御意見をお述べいただき、その後委員からの質疑に対しましてお答えを願いたいと存じます。  なお、念のために申し上げますが、参考人の御発言は、委員長の許可を得て御発言をお願いいたします。また、委員に対しましては、参考人方々からは質疑ができないことになっております。この点もお含みおき願いたいと存じます。  それでは、まず平岩参考人にお願いいたします。
  3. 平岩外四

    平岩参考人 東京電力株式会社社長平岩でございます。  日ごろ私ども電気事業に対しまして格別の御理解と御指導を賜りまして、まことにありがとうございます。  本日は、このたび私ども申請いたしました電気料金改定につきまして、当委員会で御説明申し上げる機会を与えていただきましたことに、厚く御礼申し上げます。  今日の厳しい経済社会情勢、とりわけ先行きの物価問題が、わが国の最も重要な課題となっている中におきまして、今般、私どもが大変大幅な電気料金改定をお願いいたしますことは、公益料金としての電気料金物価への影響を考えますと、まことに心苦しく存じておる次第でございます。  本日の陳述当たりましては、私が電気事業連合会の会長を務めておりますので、八社共通の問題を踏まえながら、御説明をさせていただきたいと存じます。  なお、お手元には、八社の主な計数を集約いたしました「八電力会社料金改定申請について」という資料と、本日出席しております四社それぞれの「電気料金改定申請概要」、「五十四年度上期中間決算概要」並びに「参考人陳述要旨」の四種類の資料をお届けしてありますが、時間の関係もございますので、東電社長としての「陳述要旨」に従って御説明申し上げ、他の資料につきましては、この場での説明は、省略させていただきたいと存じます。  よろしくお願い申し上げます。  では、最初に、去る一月二十三日、通商産業大臣申請いたしました電気料金改定内容について説明させていただきます。  このたびお願いいたしました料金改定の率は、八社平均で六四・四二%、内訳を申しますと、電灯が五五・六六%、電力が六八・四三%であります。また、東京電力がお願いいたしております改定率は、電灯五七・七五%、電力六九・一五%、総合いたしますと六五・三三%で、各社とも五十五年四月一日からの実施を希望いたしております。  今回の原価高騰要因は、その大部分、すなわち八三%までが、石油及び液化天然ガスいわゆるLNG中心とする燃料費がらみ経費急騰によるものでございまして、残りの一七%弱が資本費その他の諸経費増加でございます。また、今回の料金改定にあわせて季節別料金制度採用逓増料金制度強化など、省エネルギー効果をねらいとする幾つかの料金制度改定をお願いいたしております。  次に第二に、電気料金改定をお願いするに至りました電気事業経営の実情について申し述べさせていただきたいと思います。  すでに先生方御高承のとおり、ここ一年の間に、石油価格はいわゆる十ドル原油時代から段階的な値上げされてきておりましたが、昨年十二月以降は、一挙に三十ドル原油時代に突入し、さらにLNG石油価格に連動して大幅の値上がりをいたしております。  このため、これらの燃料に大きく依存しております電気事業経営は、その直撃を受け、事業収支はまさに破綻に瀕しております。  燃料費負担は、日を追って増大の一途をたどり、この三月に終了いたします五十四年度決算では、このまままいりますと、八電力合計で数千億円の規模の実質赤字が発生せざるを得ません。  このような経営状態にありますが、私ども電力八社は、一昨年、総計約二千六百億円の為替差益の還元を実施いたしました際に、五十五年の三月末日まで現行料金を据え置く旨のお約束をいたしました。  その後、石油価格急騰など、大きな条件変化が生じましたが、この三月いっぱいまで約四年間にわたり、何としても現行料金維持し、いささかなりとも物価問題に寄与するよう必死の努力を続けてまいっている次第であります。  このため、修繕費を初めとするあらゆる費用の削減設備投資圧縮繰り延べなどの合理化を徹底し、さらには積立金の取り崩し、資産売却をした上で、やむを得ず配当も六分にカットするなど、目下非常手段を含むあらゆる手だてを必死に講じているところであります。われわれの役員報酬につきましてももちろんカットを実施しております。  しかしながら、五十五年度に入りますと、三倍強にも高騰した燃料価格重圧が、年度を通じて大きくのしかかってまいります。  この結果、八電力合計で年間約四兆一千億円、一日当たりで見ますと百十億円の赤字年度当初から発生する見込みとなっております。こうした事態は、もはや経営努力限界をはるかに超えるものでありまして、この四月一日からぜひとも改定実施させていただきたいとお願いする次第でございます。  次に第三に、今回の料金改定の主因であります燃料価格の動向とその電気事業に与える影響について申し述べたいと存じます。  わが国電気事業は、火力発電に約七割を依存しておりますので、燃料情勢いかん電気事業経営を大きく左右いたします。すでに石油価格は一挙に三十ドル原油時代へ突入し、価格面で大きく変化したのでありますが、これと同時に、供給面でもメジャー中心から、完全に産油国主導時代へと移行しております。  このため、わが国が輸入する石油価格は、公式販売価格を底値として、各産油国が競って上乗せするプレミアム価格スポット価格が加わり、きわめて割高な複合価格にならざるを得ません。  加えて、電気事業使用燃料は、環境対策上から、きわめて良質なものが必要であり、かつ、電力安定供給のために安定確保を第一とする必要がございますので、従来から政情が不安定な中東地域と比較して、供給の安定が期待でき、しかも硫黄分がきわめて少なく、良質なインドネシア中国などのアジア産の石油中心として使用しております。  ところが、これらアジア産の良質原油は、公式販売価格水準が高く、かつ、昨年来の値上がりも大幅であります。  たとえば、すでにブルネイ産のセリア原油バレル当たり三十三・四ドル、インドネシア産のアタカ原油は三十二・二五ドル、ミナス原油は二十九・五ドル、中国産の大慶原油は三十二・三三ドルとなっており、これらを総合した公式販売価格平均は三十一ドル以上にもなっております。  これに、先ほど申し述べたプレミアム価格上乗せ分や、スポット価格影響を加味いたしますと、複合価格は全燃料平均で三十五ドル程度水準に達するものと考えられます。  この三十五ドルと申しますのは、産油国が船に積み出す価格でありまして、円に換算いたしますと、キロリットル当たり約五万三千円となりますが、これに外航運賃、国内諸経費等が乗りまして、発電所での消費価格は、東京電力の例をとりますと、全燃料総合単価で約六万七千円となっております。  先ほど申し上げましたドルベースでの価格、三十五ドルに対応する五十三年度平均価格は、東京電力の場合、十三・四ドルでございましたので、二・五倍強になっており、さらに、これに為替レート円安傾向が加わりまして、円ベースでの燃料価格は実に三倍を超す水準に達しております。  電気事業にとって、最優先で支払わなければならない燃料費が急激に増大いたしましたため、その他の経費が大きく圧迫されることとなり、電力供給する設備修繕が十分にできなくなる、あるいは増大する電力需要に対して設備投資が必要であっても、そのための資金を十分に賄うことがきわめてむずかしくなるという事態も懸念するものでございます。  このことは、電力安定供給基本使命とする電気事業にとって、重大、かつゆゆしい問題でございます。  次に、第四といたしまして、エネルギー政策電気事業責務役割りについて申し述べます。  国際的な石油需給情勢は、中長期的に見て、ますます不均衡かつ不安定な傾向をたどることは必至と思われます。  わが国は、現在、全エネルギーの七三%を石油に依存しておりますので、この状況から一日も早く脱却し、新しいエネルギー安全保障体制を確立するため、石油代替エネルギー開発と、省エネルギーの推進を柱とする総合エネルギー政策を国を挙げて展開しようとしております。  代替エネルギー開発につきましては、実用可能性開発量の大きさから見て、原子力石炭LNG中心として推進せざるを得ないと考えております。中でも、原子力開発の促進は、エネルギー安定供給コストの安定の両面に大きく貢献するものであります。  これらの代替エネルギーは、すべて電気事業がその中心となって進めていかなければなりません。したがいまして、電気事業は、わが国の今後の代替エネルギー開発の約六割を担っていかねばならないという重大な役割り責務を負っているのであります。  私どもは、この重大な責務を遂行するため、技術開発資源開発を積極的に促進しつつ、従来にも増して原子力石炭火力LNG火力建設に懸命の努力を続ける決意でありますが、これには膨大な資金が必要であります。  そこで問題になりますのは、現在のまま推移すれば、電気事業がこの膨大な資金負担に耐え、エネルギー安定供給確保という国家的事業を担うだけの経営基盤なり財務体質を持ち得ないという点であります。  このことは、電気事業基本的な責務である代替エネルギー開発にとって致命的な問題であり、何としても健全な企業体質維持が不可欠と考えるゆえんであります。  私どもが今回の改定申請で一部定率償却をお願いし、適正配当による資金調達力強化をお願いしているのも、このためであります。ぜひとも御理解を賜りたいと存じます。  最後に、電気事業経営合理化努力について、一言申し述べたいと存じます。  電気事業は、典型的な設備産業でありますから、その合理化の重点は、いかに効率的な設備をつくり、これをどのように効率的に運転するかということが基本であります。  私どもは、いままでこのための長期にわたる地道な努力の積み重ねを通じて大きな成果を達成し、サービスの向上とコストの低減を推進してまいりました。特に技術革新は、私どもが長年にわたって最も力を注いできたところでありまして、この結果、いまや世界的に見ても最高レベル効率性の高い電力供給設備運転体制をつくり上げてきたと自負しておるわけでございます。  このような長期にわたる経営合理化と同時に、石油価格急騰に対する緊急対策として、将来の安定供給サービス面への一時的な影響を覚悟の上で、修繕費、諸経費削減資産売却等、最一大限合理化を徹底いたしております。  今回の私ども電気料金改定申請は、わが国経済社会が直面しておりますエネルギー高価格化という外的な大波をまともに受けたことによるものでございます。しかし、そうした事情があるにしても、国民の皆様や産業界方々に多大な御負担をお願いすることは、まことにはなはだ心苦しい次第でございます。  これまでるる御説明申し上げましたとおり、まず私ども電気事業がこの波をでき得る限りの経営努力によって企業内吸収を図るよう努めておりますが、その上でなおやむを得ないものについて御負担をお願いしたものでございます。  申請当たりましては、物価上昇抑制政治経済の最重要な課題となっている現状にかんがみ、燃料費重圧が一日一日と高まっている中で、ぎりぎりの合理化を織り込んで、必要最小限のものとしております。今回の申請におきましては、本来三年と定められている原価計算期間を特に一年といたしましたが、これも一つには、料金改定率を少しでも低く抑えたいとの考えからとったものでございます。  物価問題とエネルギー問題のジレンマに悩みながら、あえて電気事業責務の重大さを考え今回の料金改定申請いたしました点について、何とぞ格別の御理解を賜りますよう、重ねてお願い申し上げる次第でございます。どうもありがとうございました。
  4. 井上普方

    井上委員長 ありがとうございました。  次に、若林参考人にお願いいたします。
  5. 若林彊

    若林参考人 私は、東北電力若林でございます。  常日ごろ弊社事業運営につきましては格別の御高配、御支援をいただきまして、まことにありがたく、厚くお礼を申し上げます。  当社は、五十一年六月に電気料金改定して以来、電源開発電力流通設備拡充強化を進めまして、電力安定供給責務を果たしてまいりました。  一方、設備投資効率化や諸経費の節減、合理化など、あらゆる部門にわたりまして効率経営に徹し、料金安定維持にも努めてまいったところでございます。この間、五十三年度には為替レートが急速に円高となりましたことから、下半期には、その差益原資といたしまして電気料金の割引を行っております。  しかしながら、五十四年度に入りましてからは、後ほど申し上げますように、燃料費を初めとする電力原価は著しい高騰を続けております。このため収支は急激に悪化いたしまして、五十五年度に至っては、企業努力限界を超えて収支破綻は避けられない見通しにあります。ひいては電力安定供給にも重大な支障を来すことが危惧されるのでございます。厳しい経済情勢のもとで、まことに心苦しい限りでございますが、このたび電気料金改定をお願いすることにした次第でございます。  なお、当社申請いたしました平均七一・六二%の改定率は、同時に申請をいたしました八社の平均を上回っておりますが、この理由は、供給力に占める火力発電当社の場合は六七・四%、全国平均の五四・一%をはるかに超える状態でございます。そういったことから、燃料価格高騰影響が大きいことと、現行料金率が低位にあることによるものでございます。  電源の脱石油化につきましては、地熱開発を進めるなど種々努力をしているところでございますが、全国の約二〇%を占める当社供給面積に対しまして、需要密度全国平均の四〇%程度でありますために、電源分散配置を余儀なくされること等から種々の制約を受けてまいりました。最近に至りまして従来からの努力が着々と結実いたしまして、近年中には原子力地熱LNG石炭火力等の実現を見る見通しを得ております。  以下、五十四年度収支見通し資本費中心に御説明をさせていただきたいと存じます。  五十四年度収支見通しにつきまして申し上げますと、赤字発生が上半期よりも下半期に大きく、下半期においても月を追うごとに大きくなる見込みであるということが特徴でございます。お手元に差し上げました陳述要旨のグラフをごらんいただけばおわかりになると存じます。これは、昨年十二月のOPECカラカス総会前後における各産油国大幅値上げ影響が順次顕在化してきていることに加えまして、為替レートがこの一年間に二〇%ほど円安となっており、これまた下期に入りましてからその傾向を強めていることによるものであります。  このような状況のもとで五十四年度収支見通しますと、経常収支で約二百億円の赤字予想されます。これは電灯電力収入の三・五%に当たります。六分配当を行いますには当社の場合百十八億円の原資が必要でありますから、合計三百十八億円の不足となるわけでございまして、別途積立金七十五億円と繰越利益金百五十六億円の計二百三十一億円を全額取り崩しましてもなお足りません。したがいまして、一月からは緊急対策として、資産売却を含めあらゆる対策を尽くしてこれに対処しようとしているところでございます。  このような事態のもとでは、退職給与引当金を取り崩すべきとの意見もあるようでございますが、これは協約による負債性引当金でございまして、取り崩しは困難であることを申し添えます。  また、二百億円に上る経常収支赤字修繕費繰り延べなどの収支対策を講じた後の赤字幅でございまして、これを健全な経営状態、すなわち公益事業として必要な一割配当修繕費など適正な水準経費支出を見込んだものと比較いたしますと、赤字幅は六百億円以上とその三倍以上にも相当する深刻な実態にございます。  特に、赤字の大半は、OPECカラカス総会前後の大幅値上げ影響が本格化いたします今年度末にかけて集中的に発生いたします。三月について試算してみますと、経常ベースで一カ月に約二百三十億円、電灯電力収入の四七%の赤字幅が見込まれるのでございまして、これは健全な経営状態水準から見れば五五%の赤字幅に相当するものでございます。  五十五年度燃料費高騰影響はさらに大きくなり、このような状態年度を通じて続くことになりますために、燃料費購入電力量の支払いのみで現行料金収入を上回ってしまうことになるのでございます。このため、大幅な料金改定申請を余儀なくされるに至った次第でございます。  次に、当社の弱体化しました財務体質減価償却について御説明を申し上げます。  当社は、将来の供給力を確保するためにも、脱石油政策目標を達成するためにも、引き続いて膨大な設備投資を必要としております。従来も社債発行限度額制約を免れるために、二年ないし三年間隔で増資を行ってきておりますが、減配が続くような予想になりますと、資産株として利回りで投資されている電力株増資は困難となりまして、ひいては社債発行の頭打ち、投資不能ということになります。  なお、当社株は、株主数では約九九%、十四万七千人の方々個人零細株主でございます。これらの方々にとって減配ということは大変なことでございます。  前に申し上げましたように、五十四年度末では蓄積利益はゼロになる予想でありますので、五十五年度中の原価要素予想以上の変動があるとか、新料金実施日がおくれることがあると、直ちにそれだけ収支を圧迫することになります。  次に、内部資金としての減価償却費についてでございますが、減価償却の目的は、申すまでもなく、投下資本耐用年数間に回収して既設設備の更新に必要な資金を確保することにございます。しかし、企業減価償却設備建設時点価格を基礎としておりますために、その後の物価騰貴により減価償却のみでは設備の再建設ができない状況にございます。この問題につきましては、五十四年の三月、電気事業審議会料金制度部会におきましても、次の趣旨答申がなされております。  すなわち、物価騰貴による実質的償却不足に対処するため、本来は時価償却あるいは補足償却実施すべきであるが、現実的対応として定率法採用が適当であり、その実施に当たっては、料金への影響を考慮し、段階的に行うことも考えられるとしております。  五十三年度決算では、この答申趣旨にのっとりまして、一部の設備について定率法による償却実施いたしました。当社は四十八年度下期に第一次石油危機に伴う収支悪化によって、それまで行ってまいりました定率法から定額法への移行を余儀なくされ、以来五十二年度末まで定額法によってまいりました。  この結果、四十七年度以前と四十八年度以降の数年間について総工事費に占める内部留保の割合を見ますと六〇%から三〇%へと半減するなど、財務体質の弱体化による外部資金への依存度が高まった結果、支払い利息の増加が続いておるのでございます。  さらに、五十四年度は急激な収支悪化に伴う内部留保の取り崩しにより、この傾向を一層助長することとなるほか、収支不均衡による運転資金不足が生じ、深刻な事態に立ち至っております。  今回申請減価償却費は、定率法定額法のほぼ折半としておりますが、財務体質の改善もまた急を要する問題でございまして、ぜひ御理解を賜りたく存じます。  最後に、事業報酬について申し述べます。  事業報酬という言葉は、アメリカの電気事業におけるフェアリターンという言葉を訳したものでございますため、一般になじみが薄く、その金額が企業の利潤であるかのように誤解される向きもあるようでございますが、その大部分は支払い利息に充てられているものでございます。  電気事業の事業報酬は、かつては、昭和三十四年ごろまででございますが、支払い利息、配当金等を個別に積み上げまして算定しておりました。現在の事業報酬は、事業運営にとって真実かつ有効な資産について一定率の報酬を認めるいわゆるレートベース方式によっておるのでございますが、この方式は支払い利息、配当金等の個別の積み上げ方式にかえて、企業に使用資金効率化資金調達の合理化などの経営努力を促すことを目的として採用されているものでございます。  電気事業は年々増加する需要に対して供給責任を果たすための設備を確保するよう常に設備投資を継続してまいる必要がございます。そのための資金は、さきに申し述べましたように、社債、借入金等にその大宗を仰がざるを得ない実情から、事業報酬の八〇%以上は支払い利息として、またその残余は配当金として資金の提供者へ支払われるのでございます。  なお、この際、配当について申し上げますと、資金調達のための社債発行限度枠の確保には増資が必要となります。これを円滑に実施するためには適正な配当が必要でございます。これまでの配当率は、昭和三十四年以降四十八年の第一次石油危機の際と今回を除いては、一〇%を維持しております。これが公益事業適正配当水準と考えております。  以上、当社の事情を中心に御説明を申し上げました。各社ともその事情はほぼ同様と存じます。  当社は、今後とも代替エネルギー開発導入と省エネルギーの推進に積極的に取り組むとともに、従来にも増して厳しい効率経営に徹し、電力安定供給サービスの向上に万全を期す所存でございます。  本日は当社の実情について御説明させていただく貴重な機会を設けていただき、まことにありがとうございました。心から御礼申し上げます。
  6. 井上普方

    井上委員長 ありがとうございました。  次に、森本参考人にお願いいたします。
  7. 森本芳夫

    森本参考人 北陸電力社長の森本でございます。  私ども電気事業者に対しまして、常々運営につきまして、また、当社の事業活動に格別の御配慮と御指導を賜りましてありがたくお礼申し上げます。  また本日は、当社料金改定につきましての御説明の機会を与えていただきまして、重ねて厚くお礼を申し上げる次第でございます。  私は、当社申請内容に加えまして、当社の特質並びに経営努力につきまして申し上げたいと存じます。  当社は、去る一月二十三日に通産大臣に対しまして五八・三一%の料金改定申請いたしました。その改定率の内訳は、電灯四八・五%、電力六一・五四%でございまして、四月一日からの実施を希望いたしておるのであります。なお、原価算定期間につきましては、一年といたしております。  私ども北陸電力は、富山、石川両県の全部と若狭三郡を除きます福井県の大半、岐阜県北部の若干を供給区域といたしております。北陸は気象、地形的諸条件から歴史的に水力電源開発が盛んに行われてまいりました。その結果、現在発電量の約四〇%が水力でございまして、全国の一五%に比べまして高いのが一つの特徴でございます。当社現行料金平均一キロワットアワー当たり十二円五十九銭と低い水準にありますのも、水力のウエートが高いからでございます。  今回の改定当たりまして、一キロワットアワー当たり七円三十四銭を引き上げまして、十九円九十三銭にしていただきたいのでありますが、現行の料金水準が低い関係から、改定率を出しますと五八%台になってくるわけであります。  このような改定になります主な理由は、水力のウエートが高いとは申しますものの、当社供給力の主体はすでに火力になっておりまして、石油の比率が高いからでありまして、当社も近年の需要増加を充足するためには火力電源によらざるを得なかったからであります。  現在の当社火力発電設備は百四十一万キロワットでありますが、これに加えまして、アルミ産業と共同いたしまして、富山県では新港工業地帯に七十五万キロワット、福井県の臨海工業地帯に二十五万キロワット、合計百万キロワットに及んでおるわけでございます。当社はこのようにして電力の拡充と地域の産業振興を兼ね合わせまして、地域の社会発展を図っておるわけでございますが、その結果は、当社の購入電力の比率が二八%に相なりまして、全国平均一三%に比べまして著しく高くなっておる次第でございます。  したがいまして、当社原価高騰要因では、燃料費購入電力量を合わせます需給関係費で八八%に及んでおりまして、石油価格高騰によります影響は他社と変わらないのでございます。  当社が使用いたします原油は、環境対策硫黄分の少ないものを使用しなければならない関係から、昭和五十三年度におきましてFOB価格で一バレル当たり十三ドルでありましたものが、五十五年度におきましては三十四ドルと想定いたしておるのでございます。また、為替レートは、最近の実勢から一ドル二百四十円と想定いたしておりますが、五十三年度は二百三円でございまして、二割方円安になっておるわけでございます。両者の影響を合わせますと約三倍になるわけでございます。  最近の実勢価格の動向は、インドネシア中国など公式販売価格が年初以来さらに値上げされまして、三十ドルを超えるものが多くなっております。実際の取引におきましては、この公式販売価格を底値といたしまして、さらにスポット価格あるいはプレミアム価格が上乗せされまして、高い複合価格になるわけでございます。  原価高騰要因のうち、需給関係費に次いで大きいのは資本費でございます。  資本費の内訳は、減価償却費と事業報酬でございますが、減価償却費につきましては、一部定率を導入、また事業報酬につきましては、年々増大してまいります設備資金の調達に必要なコストを計上しておる次第でございます。  以上が原価高騰要因の主な内容でありますが、この際、電気料金制度の変更についてかいつまんで申し上げたいと思います。  今回の申請では、電力需要を対象にいたしまして新たに季節別料金制度を導入いたしまして、夏の三カ月の料金を他の季節よりも一〇%割り増しにいたしまして、夏ピークのシフト、需要の抑制に資する考えであります。  さて、次に申し上げたいと存じますのは、私ども電気事業者が行ってまいりました日常の経営努力についてでございます。  私たちは、かねてからサービスの向上とともに、企業内におきましては徹底した経営効率化経費の節減を図ってまいっております。その主な内容は、設備投資におきます経済性の追求、新しい技術の積極的導入、設備の自動化、無人化の推進、そして業務全般にわたります機械化による効率化であります。  まず設備投資につきましては、電気事業は典型的な設備産業でございますので、可能な限りの技術を追求し、最先端の技術の導入に最大限の努力をいたしておるのでございます。その結果、たとえば全国台で申し上げますと、火力発電所の熱効率は送電端で欧米先進諸国をはるかに上回る三七%になっておりまして、世界最高水準であります。また送配電ロス率につきましては、送電線及び配電線の高電圧化、大容量化によりまして六%台と極限に近いところまで低減をいたしております。さらにまた省力化を図りまして、設備の自動化、無人化を推し進めてまいりまして、五十三年度までには水力発電所、変電所につきまして八五%に達しておるのでございます。  このような経営努力につきまして、具体的に当社の例を挙げて御紹介申し上げたいと存じます。  まず、新しい技術の開発についてでございますが、送電線の施工法についての一例を御紹介申し上げたいと存じます。  当地方におきましても市街地化がだんだん進んでまいりまして、このため送電鉄塔のかさ上げがしばしば必要になってまいっております。その際の工事でございますが、線路をそのままにいたしまして、つまり停電をしないで行う工事、これをFTB工法と申しまして、自主的に開発したわけでございますが、すでに五十七基を実施しておりまして、経済的には従来の工法に比べまして工事費では四割減、工事期間では半減という成果を上げておるわけでございます。  また、総合的な業務の機械化を広範に進めておるわけでございますが、中でも営業所業務につきまして営配総合システムを五十二年から順次拡大実施しておるのでございます。電気をお申し込みになる場合に例をとりまして申し上げますと、そのお客様に電気をお届けするために現在の設備のままでいいのか、あるいは工事を必要とするのか、必要とすればどんな工事をしなければならないか、その必要な工事資材、たとえばトランス、電線、碍子の在庫管理に至るまで一貫して行うシステムでございまして、従来の業務に比べまして七割方機械化をいたしておる次第でございます。  このようにいたしまして、各般にわたって経営効率化を日々積み重ねてまいりまして、その結果、マクロ的に販売電力量と人員を対比して申し上げますと、昭和四十年度から五十三年度までに販売電力量は二倍に増加いたしておりますが、人員につきましては逆に二割方減少させておるわけでございます。  このような業務の機械化をさらに推進してまいります。また、発変電所の無人化につきましても、近い将来におきまして水力発電所九九%、変電所九七%の無人化を計画いたしております。さらに、営配総合システムにつきましてはより一層拡充をしてまいりたいと存じております。  最後に、電源開発に対しての考え方を申し上げたいと存じます。  昨年十二月に電気事業審議会需給部会で中間報告されたとおり、六十五年度におきます石油依存率を昭和五十三年度の五七%から二六%ないし一九%に低減させ、かわって原子力石炭、ガス燃料などによるエネルギー源の多様化を図ることとされております。  当社におきましても電源の多様化を原子力を大宗として推進してまいる所存でございまして、安全には十分な対策をとりながら能登原子力発電所建設の推進に日夜努力してまいっておるところでございます。  能登半島はわが国原子力発電所の適地の一つと考えられておりますが、将来の開発当たりましては、当社の能登原子力発電所のみならず、さらに新たな立地計画を具体化すべく、近隣の電力会社とも協同して、準備を進めておるところでございます。  また、これら原子力発電所は、運転開始まで長年月を必要といたしますので、それを補完するために必要な火力につきましては、燃料のガス化を図り、電源多様化を図りたいと考えております。  それと同時に、クリーンな循環エネルギーであります水力発電につきましては、地点がいまや枯渇しつつありますけれども、現在の有峰系三発電所に引き続きまして、富山県で二カ所、石川県で一カ所、計画、推進してまいりたいと存じます。水力につきましては今後とも逐次開発を進めてまいりたいと存じております。  このような計画に基づきまして、当社の目標といたしましては、昭和六十五年度におきまして石油依存率を五十三年度の五五%から二七%に低減さしたいと考えておる次第でございます。  私ども電気料金改定当たりまして、地域の物価並びに社会、産業活動に対しましての影響を考えますと、まことに申しわけなく、心苦しいと存じておるわけでありますけれども、何とぞ事情御賢察いただきまして、電力安定供給を続けてまいりますために、ぜひ必要な経営基盤の充実を図らしていただきたいとお願いいたしまして終わりたいと存じます。どうもありがとうございました。
  8. 井上普方

    井上委員長 ありがとうございました。  次に、永倉参考人にお願いいたします。
  9. 永倉三郎

    永倉参考人 九州電力永倉でございます。  かねがねの御高配に対しまして心から厚く御礼申し上げますと同時に、本日は電気料金改定につきまして御説明の機会を与えていただきましたことに対し厚く御礼を申し上げます。  このたび、当社は五七・六八%の電気料金改定申請をいたしました。非常に厳しい経済情勢の中でこのように大幅な電気料金値上げをお願いいたしますことは、まことに心苦しく、また申しわけなく存じている次第でございます。  すでに御高承のとおり昨年来、石油価格は大幅に高騰し、石油依存度の高い電気事業は、特に大きな打撃を受け、その結果、経営収支は極度に悪化いたしております。  このような状況のもとで当社は原価の高騰を可能な限り企業内で吸収する努力を続け、修繕費を初めとする諸経費削減や工事資金の圧縮、繰り延べ実施するとともに、役員報酬の一部をカットするなど経営全般にわたりあらゆる対策を講じますとともに、さらに別途積立金繰越利益金の取り崩し、大幅な減配などを行いまして、五十四年度いっぱいは現行料金を何としてでも維持する所存でございます。  しかしながら、このまま推移いたしますと、五十五年度は、燃料費中心とする需給関係費が現行料金収入の実に八九%を占めるに至りまして、いかなる手段を講じましても収支破綻は避けられませず、不足額は一日十億円の巨額に達するものと予想されまして、当面の燃料の確保はもちろんのこと、電力安定供給にも重大な支障を生ずることが懸念されておる次第でございます。  このため、一般の消費者並びに産業界の皆様方には多大な御迷惑をおかけすることは十分承知いたしているところではございますが、あえて今回の料金改定をお願いするに至った次第でございます。  次に、当社の特殊事情につきまして一、二申し述べさせていただきたいと存じます。  当社需要密度は温暖な気候に恵まれているため人家が広く散在していることや、工業集積度の低さを反映いたしまして全国平均の七割程度水準にとどまっておりますので、供給原価が他社に比べまして割り高となる傾向にあります。  中でも、九州が他地域と異なる点は離島が多いことでございます。  九州の離島には現在約四十四万人、十三万世帯の人々が生活しておりまして、離島の発電設備は十五万キロワットに達しております。これは全国の離島の発電設備の六〇%を占めるものでございます。  これら離島に対する電気供給につきましては、従来から収入に倍する費用を要しておりますので、五十四年度赤字額は約百十億円にも達する見込みでございます。  以上のような九州の地域特性を反映いたしまして、当社電気料金は他社に比べて割り高に推移してまいりましたが、この地域格差の解消は当社の最大の課題となっておりますし、私どもこの十数年来非常に肩身の狭い思いをして努力をいたしているところでございます。  当社は、従来から最新技術の導入、設備運用の効率化によりまして熱効率の向上、送配電ロス率の低減に努めるとともに自動化の推進、組織機構の簡素化、広範囲にわたる事務処理の機械化など、あらゆる合理化努力を傾注いたしてまいりました。  その結果、要員につきましては、四十三年度から五十三年度に至る最近の十年間で事業規模が二倍以上に増大いたしておりまして、なおかつ、その間大島電力などの吸収合併をいたしましたにもかかわらず、この十カ年間に三千名以上の人員を縮減いたしました。これにより一人当たり販売電力量で見た労働生産性は、お手元に差し上げております表にごらんいただきますように、第一表でございますが、約三倍に上昇いたしております。  また、厳しい石油情勢に対応いたしまして当社は現在まで玄海原子力、新小倉LNG火力及び大岳、八丁原の地熱開発など電源多様化を鋭意推進してまいりましたが、今後さらに従前からの原子力LNG地熱、水力に加えて石炭火力開発にも努力いたしまして、第二表にございますとおり、五十三年度では六割程度を占める石油火力を六十五年度には三割程度まで低下させる計画でございます。  このような電源多様化の中でも特に原子力開発につきましては、現在玄海一号、五十五万九千キロワットでございますが、運転中でございます。第三表のとおり、六十五年度末には五基四百七万キロワットと七倍以上に達する見込みでございます。  原子力発電につきましては、今後安全確保により一層の努力を傾注する所存でございまして、その建設費は火力に比し割り高でございますが、燃料費が安いことから発電コストといたしましては石油火力のおよそ半分でございまして、今後石油価格の上昇を予想いたしますと、その経済性はさらに高まるものと考えております。  さらに石炭火力につきまして当社の技術や経験を生かしまして、積極的な開発を進め、六十五年度末には三百万キロワットと現在の約十四倍に達する計画でございます。  なお、全国石炭火力について見ますと、第四表に示してございますとおり、現在の約四百四十万キロワットが六十五年度末には約二千二百万キロワットと急増いたしまして、石炭消費量も六十五年度には約四千万トンへと現在の五倍にも増加する見通しでございます。  しかしながら石炭火力開発につきましては、灰捨て場や環境対策設備などを必要といたしますため、建設費が石油火力より五割程度割り高になるようでございます。  また、石炭輸送の円滑化、効率化のためには、今後全国大でコールセンターの建設について検討を行っていく必要がございます。  このような原子力石炭などの代替エネルギー開発を推進していくためには、巨額の資金を必要といたしますので、資金の調達につきましては格別の御配慮をお願い申し上げたいと存ずるのでございます。また、その負担に耐え得るだけの経営基盤を確立することが必要不可欠だと存じております。  最後に、当社といたしましても電力安定供給料金原価の高騰抑制のため、今後ともより一層の合理化効率化に邁進する決意でございますので、厳しい経済情勢の折、まことに心苦しい次第でございますが、激動するエネルギー情勢に対処する電気事業責務役割りを御理解いただきまして、何とぞ御高配を賜りますよう改めてお願い申し上げて、陳述を終わります。どうもありがとうございました。
  10. 井上普方

    井上委員長 ありがとうございました。  次に、福田参考人にお願いいたします。
  11. 福田勝

    福田参考人 福田でございます。  ただいままで四人の各電力会社の社長さんから説明がございまして、それぞれの方が、まことに心苦しいということを言っておられるわけでありますが、まことに同感でございます。私は、総評の生活局を担当いたしまして約八年間になりますが、その間、四十九年、五十一年、それから五十三年には円高差益の問題でこの電力問題に取り組んでまいりました。また、私どもの地方組織は、各九電力に対しましてもずっといろいろな要求を出し、行動をやってまいりました。これらをやりながら、国会にも一、二度参考人陳述したことがございますけれども、各電力会社の責任者の口から、まことに心苦しいと言いながら、説明の中身というものは全く各電力会社が苦しいという話だけであって、電力会社が持っておる社会的責任といいますか、そういうことが全然出てこないというのはまことに遺憾だと思うわけであります。  と申しますのは、たとえば、まず今回の値上げ申請内容一つとってみても、各電力会社がそれぞれ八電力平均で六四%からの値上げ申請をしておられる、これは一体物価にどれくらいの影響を与えるのか。私ども消費者団体の中でこれを綿密に試算をいたしてみますと、電気とガスと両方足してでありますが、直接と間接を加えまして約三%という数字がはじき出されてまいっております。あるいはまた、家計に及ぼす影響についても、標準家庭の使用量で五十三年度時点ぐらいのところで計算してみても、年間五万一千円から五万四千円ぐらいのものが出てくる。これはもう少し使用量がふえておりますので、さらにこれ以上のものが出てくるかと思うわけであります。  政府は物価の六・四%と言っておられるけれども、そのうちの半分がもう電気とガスで上がってしまう。しかも四月から国鉄を初め郵便とかがもう軒並み控えているわけであります。こういうところは、この社会的責任の面からいっても、一体どのように各電力会社は考えておられるのか、あるいはまた家計への影響力をどういうふうに見ておられるのかということであります。  各地でいま私どもも盛んにこれに対する批判を重ねておりますが、特に、各地で言われておることは、最近は産業界方々からも言われておるのでありますけれども電力会社はツケを国民なり産業に回せばいいけれども、ツケを回せないものはどうするのか、家計はもうツケの回しようがございませんし、また、大企業のようにこのツケを価格に転嫁できるところはいいけれども価格に転嫁できないところは一体どうするのか、そういう社会的責任というものを各電力会社は全然感じていないのではないかということなのであります。  それから、私は過去三回、今回の四回目でつくづく感ずることは、もはやこの電気事業法に規定をした原価主義というものはもう破綻ではないか、あの原価主義によってツケを国民なり産業界に回している、そういうやり方ではどうにもならなくなったのではないかということであります。もう政治的に何とかしなければいかぬという声が政府や自民党の中からも起こっているとお聞きしております。それから、この原価主義そのものがもう破綻をしてきたし、この九電力体制というものがもう構造的に成り立たなくなったのではないか。これを、私が今回も含めまして過去四回にわたって取り組んできての感想として最初に申し上げるわけであります。  そこで、今回の申請についてでございますが、先ほど各電力会社の社長からそれぞれ、今回の値上げの最大原因は燃料費であるということを言っておられるわけであります。現に値上げの約八割強は燃料費の引き上げであろうと思いますが、ところが、燃料費について、一体幾らで東京電力は買っておるのか、各電力は買っておられるのか一回として公表がなく、これでは私どもは算定のしようがないわけであります。新聞で、どこかマスコミにちょっと出たような記事をもって算定をしておるわけでありますが、それによれば、CIF価格で東電は一バレル三十七・一ドルだと言っておられる。しかし、これに対しまして、私が役員をしている消団連は、ミナス原油で二十九ドルという査定をいたしております。また、私どもも計画に参加いたしました社会党では、平均三十ドル、ミナスで三十二ドルというものが出てくる、そういたしますと、この東電の価格は全体の平均だろうと思いますけれども、この三十七ドルというのはえらい高過ぎるのではないか、あるいはもっと高いのもあるようでありますが、一体これはどういうことなのか。この燃料費の公開をしてもらわないと計算のしようがわれわれにはないわけです。そういうものは一切公開をしないでおって困った困ったとおっしゃっても困るということでございます。  それからもう一つ、今回の申請に当たって私は大変残念なのは、六十何%という途方もない大幅値上げでございますから、何としても福祉世帯といいますか生活保護世帯などは維持するという声が一声出なかったかということであります。こういうことは政府がやるべきだとおっしゃるのかもしれませんが、そうではなくて、たとえば国鉄、私鉄は障害者、施設収容者に五割引きをしている、民間である航空運賃は障害者に対して二五%の割引をしている、あるいは郵便料金は障害者定期刊行物に対して第三種の特別扱いをしているし、公営地下鉄、バス料金等も老人等に対して無料をやっている。そういう形で公営、私営を問わず他の公共料金は軒並み福祉料金採用しているわけであります。これは政府がやっておるわけではございません。そういう面から言うならば、今回の値上げに際しては、電力会社の口から、そういう困っておられる方々に対しては福祉料金採用してここ一、二年なりは据え置くという言葉の一つが出るべきであったと思うわけであります。こういう点は、社会的責任を感ずるとおっしゃるならば、私はきわめて遺憾であるということを申し上げたいのであります。  次に査定の問題でございますが、今回の査定に当たりまして一番問題のところは、まず何といっても燃料費の問題でありまして、これに対しましては少なくとも、政府の八十年度の経済見通しの基礎となっている原油価格は一バレル三十一ドルであります。また、為替レートは二百三十七円で計算をしておる、これによってひとつ計算をしていただきたいということでございます。  それから修繕費なり減価償却についてでございますが、これらにつきまして、五十一年の査定の際に、その後査定の結果がどうなったかということにつきまして私どもの内部でいろいろ調査したわけでございますが、たとえば五十一年の時点での査定と、その後に円高が若干あったということの原因はあろうかと思いますが、五十三年末までの実績をとらえてみますと、燃料費で三千六百五十四億円余っているわけであります。その金を修繕費に千六十七億、資本費に千三百九十八億向けているわけであります。そういう形で、実はこの燃料費で三千六百億から過去三カ年間で出た黒字を修繕費なり資本費に積み重ねているということでこの操作がされているわけでございますが、そういうふうにするならば、今回、この例から見ても修繕費は思い切って減額をしてもらいたい。ここのところは、過去の実績というのは水増しでございますから、燃料費で余分が出たものを修繕費に回したわけですから、実績にとらわれずに減額をしていただきたい。  それから、減価償却については、これはみんなが苦しい最中でありますから、従来どおり定額方式としていただきたい。  それからさらに、事業報酬につきましても、レートベースを基礎にいたしまして報酬率八%というふうにかかってくるわけでありますが、このレートベースの基礎になっている資本費のところが大変高くなって出るわけでありまして、資本費が高くなって出れば、この八%を掛けるから必然的に報酬率も高いという計算の方法が大変問題があるのではないか、ここのところを見直し、報酬率についても八%以下にひとつ切り下げてもらいたい。あるいはまた七・五なり七%程度でいいのではないかということであります。また、株式配当についても八%以下に当然すべきであるということでございます。  以上のような点を査定の基本として政府の方で実施をいただきたい。  次に料金問題等で申し上げておきたいのは、まず家庭用の三段階制でありますが、五十一年にナショナルミニマムを百二十キロワットアワーをとっているのでありますが、百二十というのはもうすでにナショナルミニマムの限界を超えております。百四十ないし百五十をとるべきであろうということでございます。  それからまた、全国電気料金の差が全国ばらばらである。現在、最高と最低では二二%の差がございます。電気の明るさは一緒なのに、何で電気料金が違うのか、これは各地で国民が一番疑問に思っていることでございます。したがって、今回まず家庭用なり公共福祉ぐらいの電力から、ひとつこの地域差をなくしてもらいたいということでございます。まず家庭用から地域差を解消する方向をとっていただきたい。さらにまた家庭用電力については、上げ幅をひとつ縮めてもらいたい。このやり方はいろいろ技術的にもあるわけでございますけれども、現在、費用の面から言いましても、家庭用電力料金は過大であると思うわけでございます。  以上のことを申し上げておきたいと思います。  次にエネルギー政策の問題、後ほど向坂先生御専門でお話があると思いますが、私どもの立場を簡単に申し上げたいと思うわけであります。  やはり、これからの電気料金問題、料金問題にかかわらずエネルギー政策にかかわるものであろうと思います。その際、電気そのものは大変高価なエネルギーであるし、ロスが非常に多い。六〇%以上の電気のロスを持っているわけであります。したがって、エネルギーについては、できるだけ国民の生活の場である地域に視点を置いたエネルギーの確保をすべきであるし、そしてまた、先ほど各社長がおっしゃられたように太陽熱なり風力、火力、地熱、小水力等のエネルギー開発についても、これから格段に努力をすべきであります。  それと同時に、原子力発電についてでありますが、先ほど原子力発電の強化の方向が大分言われているようでありますが、私どもはこの原子力発電についてはきわめて疑問でございまして、詳しくは申し上げませんが、ここ三、四年をかけて現在の原子力発電を根本的に見直し、そしてその結論が出るまで新増設や既存設備の運転を一時中止をする、原発モラトリアムを実施すべきであると思うわけであります。  さらにまた、電気事業開発して、公営電気事業者がみずから生産をしている電気、これは全発電施設の約一・七%程度あると考えておりますが、これを地域住民に売れるようにすべきではないかということ。  さらにまた、石炭の見直しでございますが、国内炭の拡大生産によって石炭産業が自立発展できるような石炭政策を根本的に再検討をして、少なくとも国内炭については二千万トン体制をぜひ復元をしてもらいたいということでございます。  以上がエネルギー問題についてでございますが、その際、特に大口電力につきましての省エネルギーを促進すると同時に、夏に労働者の夏季休暇とあわせまして、ここで最高電力を引き下げる、負荷率を高めるような政策をとってもらいたい。私どもも、夏には工場の方も休んでいただきたいし、労働者も夏季休暇をとるということによって、あの最高時のところを全部国民的な運動をしたらどうだろう。そうやることによって電気の設備を必要としないわけでありまして、私どもの計算では、八〇%の負荷率であるならば原子力発電は要らないという結果が出てまいります。そういうような具体的な提唱をこれからわれわれも運動としてやっていきたいと思います。政府並びに各会社の方も、この問題は共通問題でありますから、ぜひ一緒にやっていただきたいと思うわけでございます。  それから、先ほどの査定の際に一つだけ落としましたが、労働条件の問題に労働組合の立場からぜひお願いをしておきたいのは、北海道電力の査定が、人件費が五・五%と伝えられているわけでありますが、いままで、過去の電気料金は実は春闘時ではなかったのでありまして、余りこのことはなかったのですが、この春闘の最中に五・五%と言われると、電力というのは最も賃金に影響が——電力の賃金が高いわけでございまして、この点は、賃金というのは労使交渉によって行われるものでございますので、このことを通じて賃金抑制を行うようなことのないように、ぜひひとつお願いをしておきたいと思います。  さらに、料金決定問題につきまして、最後になりますが、これからの料金決定方法、それから値上げ幅等につきまして申し上げておきたいと思うわけでございます。  私どもは、こういうような地域独占の公益事業で最も大切なことは料金決定の方法だと思うわけであります。国民に最も切実な地域独占は電気と水だと思うわけでありまして、その電気料金について、官製公聴会をやり、そして一方的に通産省が査定をするというのはどうしても解せないわけであります。しかも、官製公聴会といい、きわめて形骸化されているわけでございまして、結果がどう反映しているかわからないし、しかも旅費が一つも出ない。たとえば東京電力にしても、各県の遠いところから来ていても、金を出すわけでもなければ、結果がどうなっているかわからぬということでは、これは全くやる方もやりがいがなくなってしまう。こういう形式的な官製公聴会のあり方を根本的に改めて、いま民間公聴会が大変盛んでありますが、このやりとりができますから、これはわれわれは大変結構なことだと思います。基本的に、地域独占の公益事業料金決定はどうあるべきか、これを考えてもらいたいということでございます。  それから、今回の料金の上げ幅について私どもの見解を申し上げます。値上げ幅はぜひ半分以下にしてもらいたい。それから、いま北海道で三四・二三%という査定がされました。これは二月一日であります。北海道で三四%。電気が一番高いところでありますが、ここで三四%で、ほかの電力を五〇%とかなんとかということになりますと、これはどう見ても国民的に納得できないということであります。しかも、政治的に動くならば政治的にやってもらわなければ困るわけでありまして、私どもは、少なくとも値上げ幅を半分程度以下にしていただきたい。特に、家庭用については三〇%以下にぜひともお願いをしたい。それと福祉料金を導入していただきたい。それと同時に、九電力体制を含めての見直し委員会というものを提唱しておきたい。これは政府の場でもお願いしたい。できますならば、国会におきましても——九電力体制は、もう構造的な破綻の段階に来ていると思うわけでありまして、したがって料金決定問題を含めまして九電力の見直し委員会を国会の中でもぜひつくっていただきたい。この際根本的な見直し体制をとっていただくようにお願いしたい。  若干時間が超過して大変失礼いたしました。よろしくお願いしたいと思います。
  12. 井上普方

    井上委員長 ありがとうございました。  次に、向坂参考人にお願いいたします。
  13. 向坂正男

    向坂参考人 私は、電気事業審議会の料金制度部会の委員をやっておりまして、特に、学者、ジャーナリストなど中立の委員で構成されている、制度部会の小委員会委員長を四十八年以来務めてまいりました。いろいろその時代時代の変化に伴って、料金制度をどのように改正したらいいかということを考えてきたわけでございます。  石油ショック以来、燃料事情など非常に変わりましたから、それに伴って制度改正を行ってきまして、たとえば第一次石油ショック後に、世界に先駆けて電気料金の逓増制をとった、ということは、この制度部会が時代の変化に合わせて料金制度を改正してきたいい例であると私は考えます。  したがって、きょうは制度部会の委員の立場から制度改正の精神といいますか、考え方を踏まえて、今回の料金改正についての意見を申し述べたいと思います。  電気事業法によって原価を保証する料金を定めるということになっておりまして、その意味では、電気料金に対して政策的な介入をできるだけ避けることが合理的であるという考え方に立って制度問題を考えているわけでございます。ただ、原価といってもそのとらえ方はいろいろ幅があるではないかという意見がございます。  この点について、初めに申し上げたいと思いますが、今回料金改正に当たって、原価算定期間、これを従来大体三年が好ましい、三年程度安定することが好ましい。しかし、それも燃料事情の変化など、いまの時代には無理であるから、二年にしようということをこれまでやってまいりました。しかし、今回これを一年の算定期間で原価を料金改定申請したということは、引き上げ幅をできるだけ小さくするという意味、現在の物価情勢など考えて、そういうねらいから一年算定期間ということにされたわけでしょうけれども、この措置は現在のような緊急事態に対応するためにやむを得ない措置だと私は考えます。  それから、原価、総原価、原価主義、そういったたてまえでいまの料金制度が設定されているわけですが、一体この場合の原価主義、原価というものをどのようにとらえたらいいかという点でございますが、端的に言えば、電力経営というものが電力国民長期的に安定的に供給することができるようなそういう原価を、保証するような原価を算定し、その原価に基づいて料金を設定すべきだと考えられるわけでございます。したがって、この意味では、いわば合理的な正当な原価を割って査定をし、圧縮するということは、電力安定供給を阻害することになりますし、それはひいては経済あるいは国の安全を脅かす、危うくすることにもつながっていくわけでございまして、この意味では、私は電力長期安定供給という立場から考えて、適切な原価を算定して、料金を設定する。その考え方を変えるべきではないというように思います。  料金制度答申の中にも、原価は、電力経営企業の能率的な経営を十分にやった上で、そのもとでの適正な原価を算定すべきだというふうに言っておりまして、したがって、今回の料金改定に当たっても、電気事業経営者は極力合理化経営効率化に努めて、原価のできるだけ高騰することを防ぎ、また政府は強く電力経営者にその合理化努力を要求して、その面から厳しい査定を行うべきであろうと考えます。原価の査定に当たって、私は二つの点を申し上げたいと思います。  第一は、電力経営燃料の入手を確実にするために、燃料の入手に必要なコストを十分保証しなければならないという点でございます。その意味では、まず、少なくとも現在すでに確実に見通しされているような原油、LNGその他の燃料コストを原価の中に十分織り込むべきだ。現実にすでにOPEC、産油国政府などが決めている油種別の原価はわかっていますから、それをもとにして、仮に将来いろいろな不安定要因はあるにしても、最低現在すでに決められている各国の、産油国政府、国営会社が決めている値段については、当然これは料金の原価に織り込むべきだというように思うわけでございます。  政府は燃料別の価格を十分承知しているわけですから、それに基づいて適正な燃料費というものを算定していく必要があると思うわけでございます。燃料費は、いま電力会社のお話、データを見ましても、全体の原価の中に占める比重が非常に大きくなってきている。かつては、燃料費はせいぜい総原価の二割とか三割であったけれども、第一次の石油ショック以降、原油の大幅な値上がり、また、最近はそれに伴ってLNG価格もほとんど石油価格とカロリー当たりもパラレルで上げられるというような状況になってきたので、本来設備産業であるべき電力の原価構成は、燃料費が実に六割を占めるというような状況に大きく変化してきておりますから、その意味で、燃料費を原価の中に十分織り込んだかどうか、将来これが一ドルでも二ドルでも、つまり現在の価格というものを十分織り込んでない。しかし、OPECが値下げするという可能性はほとんどありませんから、そういう状況を考えると、もしここで、無理な燃料費の査定をすれば、必ず赤字が出て、その赤字資本費、人件費その他にさや寄せせざるを得ない、しわ寄せせざるを得ないというように思うわけでございます。  すでに、いま申し上げたように、装置産業、設備産業でありながら、資本費修繕費と需給関係費との割合はかつての状況とは全く逆転している状況でございますから、その意味で、燃料費をどう見込むかということは、今回の料金査定に当たって非常に重要なことでありまして、もし、この見込みを誤るならば、たちまち経常収支赤字が表面化し、それはまた資本調達力などに非常に大きな影響を与えると考えます。  第二点は、料金算定に当たって申し上げたいことは、資本調達力を弱めてはならないという点でございます。  いま申し上げましたように、電力は本来設備産業であり、巨大な発電、送電装置というものをつくり、そのために巨額の投資を長期にわたって固定化するような産業でございます。一般の産業と異なって、経常収支が悪くなったから投資をやめるあるいは老朽設備を整理してしまう、業容を縮小するというようなこと、そういう意味での合理化はできない産業でございます。むしろ今後の電力の需要増加を考えるならば、いろいろな技術革新によって投資の効率化努力を続けながら、先行投資をして十分な予備力を備えていくという投資態度が必要であると思うのです。もし将来、電気需要がそれほど伸びなくて設備が過剰の状況になれば、そのときに初めて投資を縮小する、私は電気産業というものはそういう性格のものであって、先行的な投資を十分やることによって、電力安定供給の責任を果たすということが投資の基本的な態度であるべきだと思います。  それから、当面、石油から他のエネルギーエネルギーを代替させる主要な役割り電力が果たすことになるわけでございます。原子力あるいは石炭火力の増設、これも国内炭を優先的に使用することを前提にして、将来海外の一般炭も輸入して石炭火力を増設するということも重要な仕事でございます。もちろんLNGの利用拡大も必要でございます。すでに原子力石炭は、石油火力に比べてかなりコストが割り安になり、この状況は今後ともかなりの期間続くことが予見されておりますから、こういったコストの安い代替エネルギーをできるだけ早く導入していくことが石油価格の引き上げ、原油価格の引き上げに対する歯どめの役割りを非常に持っていくだろうということを考えますと、またそのほか、石炭液化とかタールサンド、あるいは太陽熱、風力の利用など、いろいろな新エネルギー開発についても、また、高速増殖炉など原子力の新しい炉あるいは核燃料サイクルの確立、そういう面においても電力が応分の役割りを果たさなければならない、投資をしなければならないという事情もございます。  こういった事情を考えますと、電力の資本の調達力を確保していくことは大変重要なことであって、その中でまず第一に、配当の問題ですけれども、今後電力経営は適当な時期、必要な時期に増資をしていくことが必要であり、それによって初めて社債などの調達力もふえていくわけでございます。配当率を八%に引き下げるという意見がございますけれども、果たしてそのことがいいことかどうかということになりますと、それは証券市場、資本市場において八%の配当増資ができるかどうか、その状況をよく見て、経営者が何%の配当をするかということを判断すべきであって、初めから原価の査定の中に配当率を八%に抑えるというような査定の仕方は私は間違っているんじゃないかと思うわけでございます。  それから第二点は、定率償却を段階的に取り入れていくという問題でございます。  これは、先ほど電力会社の方から申されたように、現在のインフレによって固定資産の評価が非常に減価しているので、せめて一部の定率償却をすることによって、実質的な償却不足をカバーすべきだということを制度部会の中間報告でも答申しておりまして、特に原子力のような非常に資本集約的な投資については定率償却を導入する必要がある、それによって資本調達力を高める、特に資本コストを下げていくことを考えるべきだと思います。自己調達力を強める必要があると思います。  今回の値上げは意想外に大幅であったわけですけれども、これは特にここ半年、この秋から最近までの急速な状況変化、余りにその変化、テンポが早いので、これほどの経常収支の悪化が何か信じられないような状況でございます。しかし、下期の赤字をやりくりして料金維持してきたわけですけれども、今後電力会社は、五十五年度において赤字が生じた場合に、それを内部でいろいろやりくりする余裕は恐らく相当少なくなっているのではないかということを懸念するわけでございます。その意味では、厳しい審査は必要ですけれども、合理的な原価を保障するような料金の設定が私は必要だと思うわけでございます。  最後に、ちょっと時間を超過いたしましたけれども、申し上げたいことは、近来のエネルギー価格の上昇は主として海外的な要因によるものであって、それによる原価の高騰はやはり価格料金に転嫁せざるを得ないのではないか、それが原則であろうと思います。むしろ、価格に転嫁することによって価格メカニズムが働いて、エネルギーの節約の努力、あるいはいろいろな産業において石油以外の安い燃料に転換する努力が促進されるということであって、これは長い目で見ると、日本のエネルギー問題の解決につなげることができると思うわけでございます。  エネルギー価格に対する政策介入の悪い例としては、アメリカにおける石油の浪費の問題がございます。特に原油価格を抑え、ガソリン価格を抑さえてがんじがらめの石油統制をしていることがアメリカの石油の浪費を導いてきて、カーター大統領は新しい省エネルギー政策で、価格メカニズムを使ってガソリン価格を引き上げて浪費をやめさせようという考え方、政策を提案しますけれども、それは議会、国民のなかなか納得するところとならない。つまり、政策的に低価格に抑えていきますと、それを変えることはなかなかむずかしくなり、今後一層省エネルギーが必要なときにエネルギーの浪費の状態が変えられないという状況でございます。もしアメリカが石油の輸入量を現在の半分にできるならば、世界の石油需給には大変大きな効果を持つわけでございます。  少しよけいなことを申し上げましたけれども、その意味で、価格メカニズムを使うということは、物価問題との関連もあって大変むずかしいことでございますけれどもエネルギー長期的な問題解決につなげる意味では、大変苦しい時期ではあるけれども価格メカニズムの活用をここでやめるべきではないというように私は思います。どうもありがとうございました。
  14. 井上普方

    井上委員長 ありがとうございました。  次に、田中参考人にお願いいたします。
  15. 田中里子

    田中参考人 私は、きょうここで皆様方の物価問題特別委員会が、電気料金値上げ問題を物価問題としてとらえてくださいまして、こういう公述の場を設けていただきましたことをまずお礼を申し上げたいと思います。  私は、消費者の立場から考えましたときに、電気というものは、それこそ私たちの命と暮らしを守るために欠くことのできないものでございますし、私たちがこれをボイコットすることも買い控えすることもできない、それから節約にも限度があるというものについて、私たちの生活にどれほど影響を与えるかというところに論点を置くのが、まず日本の中において国民生活を優先するという政治が行われるならば、私はそれは当然のことだというふうにとらえます。  それで、消費者側としては、物価問題としての電気料金をどう考えたらいいかということと、それから、会社側がいまるる御説明になりましたように、またお隣の向坂先生がおっしゃいましたように、現行では電気事業法という法律がございます。法律の中には原価主義という言葉が出ておりますし、法律を守るというたてまえからの会社側の公述のことにつきましては、会社側として当然おっしゃるべきことだろうというふうに伺っておりましたし、また向坂先生は、電気事業法というものに基づきながら、料金制度部会の小委員長をやっていらっしゃいましたお立場からおっしゃったと思いますが、私は、消費者側から物価問題としてとらえることと、いまの電気事業法による原価主義を貫きながら、物価問題としてどう電気料金値上げをとらえるかということは、まさしく政府の根本の姿勢にあると思いますし、それを支えるのが国会議員の先生方物価に対する試金石になるというふうに私は判断しております。そういう観点から、これから申し上げてまいりたいと思います。  三つほどに分けて申しますと、第一点は、いま申しましたように物価問題としてとらえたときに、五十五年度消費者物価の上昇率を政府は見通しとして六・四%ということにしておりますが、私は、これを国民全体の合意として政府に公約していただきたいと思います。政府みずからが言い出したことですから、責任を持っていただきたいと思います。  その中で、電気料金値上げということ、それに加えまして、ことしは特に公共料金値上げがメジロ押しでございます。お米も、麦も、国鉄も、それから郵便料金も、そういうふうに上がる中で、横綱格で、特に六〇%、七〇%の値上げ申請している電気料金をどう抑えるかということは、六・四%の攻防にかかってくる問題だと思います。     〔委員長退席、松浦委員長代理着席〕 非常に政府に近い学者の先生方でも、消費者物価の上昇率は八%にはなるだろうというふうに言っておりますし、私どもから考えれば、公共料金値上げが、四人家族の標準家庭でも、年に三十五万円は上昇するのではないかという試算もございます。結局、一〇%からの値上げを感じている者たちが非常に多いわけでございます。その中のほとんどの部分を電気、ガス料金が占めていくというときに、どういうふうに考えるかということをぜひお考えいただきたいと思います。  実は、中国電力は、七八・一七%からの値上げ率を持っております。ここの委員先生方でも鳥取県選出の先生方が多うございますが、私どもの鳥取県連合婦人会は、あたりまえの主婦たちの集まりですが、最近一万名からの署名を集めまして、電気料金大幅値上げを何とか阻止してほしいということで、ここへ持っていってほしいということを言われましたが、これは通産当局がいま査定の大元締めでございますから、通産当局に出すべきではないかというふうに申しているわけです。そういうふうに具体的な運動さえも、あたりまえの主婦の間から起きているという実態を認識していただきたいと思います。     〔松浦委員長代理退席、委員長着席〕  そういう意味から、確かに原価主義という公共料金、またそれに受益者負担が当然のように最近の政府の方針もなっておりますし、電力、ガス料金は、適正な原価に適正な利潤を加えた原価主義ということが法律にも決められておりますが、私は、余りこの言葉を安易に使われては困ると思うのです。その前に私どもから言いたいのは、私たちの生活を守る、私たちの生存権の立場から言えば、憲法二十五条の生存権の「すべて國民は、健康で文化的な最低限度の生活を營む権利を有する。」という方が優先すると考えるものでございます。そういう意味から、私は、電気料金料金制度にナショナルミニマムの考え方が導入されたというふうに考えておりますし、私どもは、この電気料金値上げ物価問題としてとらえて、国民としての権利を、この憲法二十五条に基づく権利をぜひ訴えていきたいと思っております。そういう意味から、先ほどから申しましたように、物価問題として厳しく考えていただくということを先生方にお願いを申し上げたいと思います。  二点目は、現状では電気事業法という法律に基づいての原価主義の考え方がございますが、この原価主義の考え方にのっとりましても、値上げ率を抑えることができるのではないだろうかというふうに思います。私ども電力会社がつぶれていいとも思いませんし、電気の供給がなくなっていいなどということを考えている国民は全くございません。その中で、できる限り、最小限度に値上げ率を抑えていくためには、総括原価の中身に切り込んでいくことが必要だと思います。  そういう意味では、いろいろ消費者団体の中でも、民間査定という意味で、電力会社や通産省の方からなかなか全体的な情報の公開がないならば、私どもはこう考えるというところで民間査定が行われているという実情を考えるなら、もっと国民にわかりやすく総括原価の中身を公開するのは当然のことだと思うのです。民間査定をやるのは、何も私どもの万が正しいというよりは、いま与えられる資料の中ではこういうふうに考えますということでございますから、どうぞ大いに反論していただくのも結構ですし、そのためには、たとえば総括原価の中で燃料費が五〇%近い構成比を占めるならば、その中の原油の中で——確かに、油種別の平均消費価格は知らせるようになりましたけれども、それこそインドネシアの原油でミナス原油があるけれども、そのほかにもあるし、南方系といっても、中国とかいろいろそういうところが一体幾らで、それからプレミアムの問題とかスポットの問題をよく言われますけれども、それならばそれが一体幾らなのか、どのくらいの量がそのくらいで入るのかあたりは私どもが知る権利があると思いますし、そういう意味では、私たちの民間査定の運動と同時に、これからの経理の公開を一歩も二歩も進めていただく必要があると思います。  確かに、料金制度部会で五十四年の三月に出されました中では、経理の公開が入り、前進はしているということを認めますけれども、私どもが実際に電気料金値上げに当たったときに、幾ら公開された資料を見ましても、わからない点が余りにも多過ぎるということを知っていただきたいと思います。資本費の中の減価償却費や事業報酬の問題にしても、大まかに書いてあるだけで、一体どういうふうになっているのかということを知ることは非常に困難でございます。  でも、これだけの乏しい資料の中でも一体どうしたらいいかということを考えていくわけですが、その中での燃料費は、向坂先生もおっしゃいましたように、もちろん査定時点までに確定した値上げの分のみを織り込むのが当然でありましょうけれども、それ以外の予測したものや、このくらいではないかというそういうことについての査定について、通産当局が厳しく考えていただきたいと思います。  それから、減価償却費定額法にということや、事業報酬の中に含まれる配当の問題についても、私どもは一〇%は多過ぎるというそういう意見を言っております。これは、私たちが払う側の論理から言えば、いまこれをやることはないのではないかというふうに考えます。定率法が確かに自己資本率を高めるということはわかっておりますが、いまこの時期に、これだけの物価問題が出ているときにやる必要はないというのは当然だと思いますし、配当を低めていくのもそのことにあると思いますし、それを考えているからこそ、通産省の査定の中で北海道電力にこの二つを取り入れているというふうに私は考えておりますから、よもやこれが八電力に及ぼさないわけは絶対にないと確信しております。  そのほかに触れてまいりますと、退職給与引当金にしても、東電を見まして、五十四年九月末に一千三百億円の引当金があるならば、何もここのところで二百三十二億の退職給与引当金を入れなくてもいいというのは、国民の側から考えれば当然の論理だと思いますし、私は、物価問題として考えるその接点に近づけるために設備投資のモラトリアムだってあっていいと思うのですね。それには、私は逆に考えまして、夏ピークのときの消費電力を引き下げる努力というのを、先ほど労働組合の方から休みをとってやろうじゃないかという話も出ております。私ども家庭でも、クーラーを持っているところが一時間切るとか、できるだけの私たち消費者としての協力もしていきたいと思います。  そういう意味で、設備投資についても考える余地があるのではないかと思いますし、特に特定投資の問題が五十四年の三月の電気事業審議会料金制度部会の中で話し合われまして、特定投資の中に株式会社を含むものについても幅を広げるということに、それがレートベースの中に入ってくるとすれば、それも料金の加算の中に、原価の中に影響していくわけでございますし、それをこの際特定投資をやらなければならないのかどうかという疑問もわいてまいります。審議会の料金制度部会の中でもこのことにつきまして、これは政府がやるべきではないかという意見さえも出ていることを申し添えておきます。  まとめとしては、特定投資の幅を広げるというまとめになりましたものの、いまの私の考えから言えば、当然物価問題を優先する立場からこういうことについても触れていくべきであると思います。昨日は、政府の備蓄分の放出についても、業界からも意見が出されておりますし、いろいろな観点からこの問題を詰めていくときに、私たちの考え方に近づけられるのではないかと判断いたしますので、その点についてぜひ先生方のさらに論理的な意見を加えていただきたいというふうに思います。  三番目に申し上げたいのは、料金査定制度の問題でございます。  一つは、官製の公聴会、壁に向かって物を言うような公聴会ですが、決められている公聴会を私たちは無視をするというよりは、出ていってしゃべる方がいいだろうとむなしい思いをこらえながらも、電気料金の公述人にも私たちの仲間が申請をしておりますが、その言いましたことにどうこたえてくれるのかということは、ぜひおやりいただきたいと思います。  それから、現在私たち消費者料金問題のことで口をはさめるのは、物価安定政策会議というのがあります。物価安定政策会議で二月の二十五日に、ここにいられる電力会社の社長さんもおいでになってお話を聞き、私たちも質問をしたり討議の場がございましたけれども、その物価安定政策会議がまとめを出しましたその日の新聞に、実施時期を四月一日にしたい、そういう政府の方針が大きく書いてございます。  実は、物価安定政策会議のまとめました項目の中には、実施時期についても慎重に検討すべきであるということを書いて、その日の朝の同じところに書いてあるのを見ますと、私どものせめてわずかな物価安定政策会議の場の意見でさえも——このまとめのときには、何も消費者代表だけではございませんし、いろいろな立場の産業界の方も、学識経験者の方も全部入っておられて、それで通産当局、経企庁当局が出ているところでまとめたものさえも軽視するような政府の考え方では、これは総理大臣の私的諮問機関である物価安定政策会議ですら、そういうふうな取り扱いしかされないとすれば、何と料金査定制度というものが国民の声を反映しないものかということにつくづく愛想が尽きたわけでございます。そういう意味からは、ぜひとも私たち消費者の声を反映できる制度のあり方に改めていただきたいと思います。  そのことをぜひお願いをいたしたいのと同時に、先ほど申しました情報の公開と、もう一つ前から言っておりますのは、電気料金申請のときから——これは査定できっと引き下げられるものだと思います。もちろんそう確信しておりますが、査定の時期、査定のときにどうなったかということと、実績がどうなったかということを一年ごとに公表していただきたいと思います。そういうことは何も私ども消費者だけでなく、電力会社にとってもプラスすることだと思います。実態を明らかにすることによって、やむを得ない値上げについては、国民に納得させる資料というものがいま不足しているということをぜひ電力会社にも考えていただきたいと思います。  それともう一つ最後に、電気料金料金制度の見直しについて、やはりもう一度考えるべき時期に来ているのではないだろうか。産業用とそれから私どもの家庭用の電力、灯力格差のことについても、もう一度国民を交えた論議が行われてもいいのではないかと思います。お隣の向坂先生は料金制度の問題は権威でいらっしゃいますし、料金制度部会としても考えていく性質のものだろうと思っております。  最後に、私は、全体を通しまして物価問題としての観点から、せめて三〇%台に値上げ率を抑えていただきたい。民間査定が二四・九%になっておりますが、私はもう少しいろいろな事情を勘案しながら、せめて三〇%台に抑えていただきたいと申し上げて、終わりたいと思います。
  16. 井上普方

    井上委員長 ありがとうございました。  次に、小川参考人にお願いいたします。
  17. 小川義男

    小川参考人 私は、日本アルミニウム連盟会長小川義男でございます。  今回の各電力会社電気料金改定申請につきまして、日本アルミニウム連盟を代表いたしまして意見を申し述べさせていただきますとともに、アルミニウム業界の今日置かれておる状況につきまして若干申し上げたいと存じます。  私ども日本アルミニウム連盟は、アルミニウム地金を生産する製錬業者と、地金を圧延、加工して板、押出材、箔などを製造する圧延業者及び製錬用副原料、合金地金等を製造する会社を含めた七十四社で構成されている事業者団体でございまして、わが国アルミニウム産業の総生産額約一兆八千億円のうち、七〇%を当連盟会員が占めております。  アルミニウムは、御承知のとおり、幅広く使用されておりまして、いまや国民生活はもとより、産業社会にとりましても不可欠の基礎資材として、金属の中では鉄鋼に次ぐ重要な地位を占めるに至っております。  特に最近では、軽い、加工しやすい、さびにくい、熱や電気を通しやすい、そういうような金属特性ばかりでなく、回収くずをわずかなエネルギーで再生利用できる性質が、時代の要請である省エネルギー、省資源、再資源化の観点から高く評価されるようになりまして、今後も需要の増加と用途の拡大が見込まれております。  わが国のアルミニウム産業は、年間約百八十億キロワットアワーの電力を消費いたしております。そのうち九〇%程度は地金を生産する製錬業が消費いたしまして、残りを圧延業が消費しておりますが、それぞれの業界に分け、もう少し詳細に述べさせていただきます。  製錬業は、御承知のとおり、ボーキサイトからアルミナをつくり、そのアルミナからアルミニウム地金を生産するのでありますが、地金一トン生産するのに約一万六千キロワットアワーの電力を必要といたしますので、電力費の総原価に占める割合が約四〇%強になっております。また電力消費量は、一年間に約百六十億キロワットアワーでありますが、これを電源構成別に見ますと、電力会社からの買電は約一三%で、残りは自家発電及び電力会社との共同発電でありまして、この自家発電、共同発電の八〇%は石油火力に依存しております。  このように買電比率が比較的小さいため、今回の電力料金改定によって受ける影響は小さいように見えるかもしれませんが、石油火力に依存する自家発電、共同発電については、すでに石油価格の大幅な値上がり影響を受けまして、発電原価が高騰し、地金の生産原価を大幅に上昇させております。これに加えて買電の料金改定がありますと、生産原価が一段と上昇することとなりますので、製錬業界としては苦慮しているところでございます。  次に、圧延業についてでありますが、圧延品一トン生産するのに約千三百キロワットアワーの電力を必要といたしまして、年間の電力消費量は約十八億キロワットアワーでありまして、これはすべて電力会社からの買電であります。  ところで、圧延品の総原価のうちの六割から七割を地金代が占めておりますので、電力原価増加に伴う地金原価の上昇は、圧延品の総原価を急速に高めております。その上、圧延加工費自体も、電力料金改定によって上昇することになりますので、圧延業界といたしましても、電力料金の上昇が深刻な影響を持つことになるのでございます。  御承知のように、昭和四十八年末のいわゆる第一次石油危機によりまして石油価格高騰いたしました際にも、私どもアルミニウム業界は大変な苦境に陥りました。  その状況を製錬業で見ますと、昭和五十一年から五十三年度の三年間で約七百五十億円の赤字を計上いたしました。その結果、五十三年度末におきまして約九百億円の累積赤字を抱えるに至りました。これは資本金総額が九百三十五億円であることから見ますと、きわめて大きなものであります。  また、圧延業につきましても、製錬業と同様に大きな打撃を受けました。圧延業の専業大手五社は、昭和四十九年度から五十三年度の五年間に、二百二十億円の赤字を計上し、五十三年度末におきましては、二百九十億円の累積赤字を抱えておるわけでございます。  石油価格急騰に対処いたしまして、業界といたしましても、省エネルギーに積極的に取り組みまして、製錬業におきましては、昭和四十八年当時と比べますと、生産量一トン当たり電力消費は、約四%節減されまして、この面におきましては、現在世界で最高の技術水準に到達いたしております。また、重油の消費につきましても一四%の節約を行っております。さらにまた、抜本的な省エネルギーを実現するために、新製錬技術の基礎研究に取り組んでおりますし、エネルギー転換の一方法といたしまして、外国の安い電力を使用するいわゆる開発輸入の推進に鋭意努力をしているところでございます。  また圧延業も、消費電力につきましては、主として、機械を動かす動力用でございまして、節減することはきわめてむずかしいのでございますが、熱源として消費する石油類につきましては、現在と昭和四十八年とを比べますと、約二〇%の節減になっております。  このようにアルミニウム業界といたしましては省エネルギー努力を払いつつ、業界の立て直しに取り組んでいるところでありますが、特に、打撃の大きかった製錬業では、特定不況産業安定臨時措置法に基づきまして、設備能力の年産百六十四万トンのうち、五十三万トンの廃棄、休止を実施しつつあります。ただ、この大手術によりまして、約五百億円の資産が遊休化いたしまして、非常に大きな負担になったわけでございます。また、はなはだ残念でありますが、雇用数を減少させるという苦しみを味わっております。製錬業の従業員数を見ますと、昭和四十九年三月末に一万五千名おりましたが、五十四年十二月末には九千名になっており、約六千名、四〇%の雇用が減少しております。また、圧延業におきましても、同じ期間に二万二千名から一万九千名に、約三千名、一五%の雇用が減少しておりますので、この期間に合わせて約九千名の雇用が失われたわけでございます。  わが国アルミニウム産業がこのような状況下に置かれているということを御認識いただきまして、それを前提として、電気料金改定に対するアルミニウム業界の意見を申し上げたいと存じます。  電気は、国民生活に不可欠の消費財であるとともに、経済の生産活動のエネルギー源として、国の経済発展に大きな役割りを担っておることは申すまでもございません。したがいまして、その料金のあり方は、国民生活、経済社会活動に重大な影響を持つものでございます。  わが国の総発電量の約七割が石油火力に依存しており、昭和五十三年末以来の石油価格の相次ぐ大幅な値上がりを考えますと、いまや電力各社の企業努力だけでは吸収し得ないものであることは、疑いがございません。  また、電力会社が負わされている電気エネルギー安定供給という重大な責任を考えますと、その経営の安定がきわめて重要であることは、よく理解できるところでございます。  したがって、今後の石油の先行きが不安定さを増している中において、全国民が、それぞれの立場で、省エネルギーに努めるとともに、相応の責任を分担していかなければならないものと考えております。しかしながら、料金改定の及ぼす影響がきわめて大きいこと、また、今回改定の主因となっております石油価格が、原油価格や円の為替相場等の不安定な見通しに基づくものであるだけに、料金改定水準決定に当たりましては、行政府の厳正な審査によりまして、必要最小限の上昇幅に抑えていただきたいというのが、まず第一に申し上げたいところでございます。  第二は、産業用電力料金に対する考え方についてであります。  国民生活の安定というものはきわめて大切な問題でありますが、これはまず何よりも雇用の安定を前提にしていると思うのでございます。そのためには、雇用の場である産業の基盤の安定確保が必要でありまして、したがって、電力料金改定当たりまして、産業用に対しましても慎重な配慮を必要とする時期に来ておるのではないかと考えております。  私どもの業界の各労働組合が、アルミニウム産業の不況打開を旗印にいたしまして、全日本アルミニウム産業労働組合協議会を結成いたしまして、独自の立場から、雇用確保を標榜して、電力料金改定に対する活動を行っておると聞いております。また、アルミニウムを初めとする非鉄、フェロアロイ、苛性ソーダ、カーバイド等の各産業の労働組合が共同して、電力料金改定問題に対処しようとしておりますことは、いま述べてきた雇用確保と密接に関連している問題でありまして、注目されるべきことだと考えております。  第三に、石油に代替するエネルギー開発の促進についてであります。  現在、政府並びに関係当局におかれましては、石油依存率を低減するため、新しいエネルギー導入のかぎとなります代替エネルギーの促進策が立案されているようでございますが、石油産出国による一方的な量的、価格的支配を受けているわが国の現状を考えますと、石油にかわるべき各種エネルギーの導入、開発の促進は、現在最も急がれるべき対策の一つかと存じますので、その趣旨には全く賛成であります。  しかしながら、石油にかわるべき各種のエネルギー開発には、相当の期間とかなりの費用を要すると思われますので、現実的には、当分の間、代替エネルギー中心原子力、または石炭によらざるを得ないかと考えられます。中でも、今後は原子力のウエートが高まる方向にあると承っておりますが、どうぞ安全性を確保しつつ、原子力発電の推進と、その稼働率の向上に対する一層の関係者の御努力と御配慮によりまして、電気料金の低廉化が図られるよう、お願い申し上げる次第でございます。  本日は、貴重なお時間をちょうだいいたしまして、いろいろ申し上げる機会をお与えいただきましてまことにありがとうございました。これをもちまして終わらせていただきます。
  18. 井上普方

    井上委員長 ありがとうございました。  以上で参考人各位の御意見の開陳は終わりました。  午後一時十分から再開することとし、この際、暫時休憩いたします。     午後零時二十五分休憩      ————◇—————     午後一時十一分開議
  19. 井上普方

    井上委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  午前中に御意見をお述べいただきました各参考人に対し、質疑を行います。  議事の進め方でございますが、フリートーキング形式で進めることにいたします。この際、各委員は挙手をして質疑の申し出をしていただきますと同時に、一問一答の形でやっていただきたいと存じます。  なお、会議録作成上の都合によりまして、委員長の許可を得た後に発言するようお願いいたします。参考人方々にはこういうような発言方法は非常にふなれでございますが、御協力のほどをお願いいたします。  それで質疑者も参考人方々も座ったままで結構でございます。  なお、向坂参考人がほかの御用件があるようで三時で御退出になりますので、その点お含みの上、質問をしていただきたいと存じます。  これより質疑に入ります。
  20. 武部文

    武部委員 四電力の皆さんにちょっとお尋ねをいたしますが、五十五年度に皆さんの会社は増資を予定されておりますか、いかがでしょうか。それで、その予定がございましたならば何%の増資を予定されておりますか。
  21. 平岩外四

    平岩参考人 五十五年度は予定いたしておりません。
  22. 武部文

    武部委員 全然ございませんか。
  23. 平岩外四

    平岩参考人 はい。
  24. 若林彊

    若林参考人 五十五年は予定しておりません。
  25. 森本芳夫

    森本参考人 五十五年度は予定しておりません。
  26. 永倉三郎

    永倉参考人 九州も同じでございます。
  27. 武部文

    武部委員 わかりました。  このことについては、もうちょっと後でお伺いいたします。  東北電力にちょっとお尋ねをいたします。あなたの方の女川原発のことについて毎日グラフに大変詳細な写真入りの記事が出ましたが、社長さん、ごらんになりましたでしょうか。
  28. 若林彊

    若林参考人 はい、見ました。
  29. 武部文

    武部委員 私はこれを見て、東北電力がこの女川原発の土地買収について大変な金を支払っておられる、しかもその内容がまことにわれわれの理解からちょっと外れたようなことが行われておるということで、実は意外に思いました。この中には補償金、協力金、交付金、援助金、いろいろな名目でどうも金が出ておるようでありますが、合計百二十億円。しかもこの最初の提示が女川漁協については三十一億円、それが次は五十一億円、それにまたプラスして五億円、もう一声で四億五千万円。次々と上積みをされて、この計算でいきますと、合計約六十億女川漁協に払われているようであります。  もう一つは、この補償というものはあくまでも実害に相当する正しい補償だというふうに私は理解をいたしますけれども、この中に書いてある地図から判断いたしまして、全く関係のない、湾も違う、しかも山一つ越して全然違ったところにまであなたの方は金を払っておられるようでありますが、一体この女川の原発の百二十億というものは、この毎日グラフに書いてあるようなことが正しいのでしょうか。わずか一万人足らずの小さな町で後楽園に次ぐような大きなグラウンドをつくって、一基一千万円もするような照明灯を六基もつけておる。そういうようなことに補償金が使われておるというようなことが詳細にわたって書いてあるのです。私はまことにどうもこれは意外に思いましたので、この機会に東北電力の社長さんから、この女川原発の百二十億の問題についてちょっとお伺いをしたいと思います。
  30. 若林彊

    若林参考人 ただいま御質問のございました問題につきましては、女川原発の漁業補償につきましては、政府の定める電源開発の補償基準によりまして、宮城県の厳正な公平な査定を受けまして、その調整によって漁業補償を実行いたしたものでございます。それが九十八億三千三百五十万円、こういうことになっております。そのほかに協力金としまして十三億五千万円を払っておるわけでございますが、これは女川町が長年にわたって原子力開発に協力した、それに報いるものとして、その間、原子力船「むつ」あるいはスリーマイル問題等いろいろ困難な事情の中で協力をいただき、そうして私どももまた、女川町に原子力発電をつくることによりまして、いろいろと今後従業員にいたしましても百五十人以上がお世話になることでもございますし、また建設中は大体千五百人以上がお世話になることを考えまして、協力金として差し上げた次第で、これも宮城県の調整をお願いいたしまして決定したものでございまして、やむを得ないものと思っております。
  31. 武部文

    武部委員 宮城県が仲介に立たれた。
  32. 若林彊

    若林参考人 はい、そうでございます。
  33. 武部文

    武部委員 いろいろここに書いてあることを読みますと、原発のいわゆる土地の収用、土地の折衝に当たる方というのは大変苦労されておると思うのですよ。これは非常にむずかしい仕事だと思います。よくわかります。しかしこれに書いてあることはまんざらうそじゃないと思うのですよ。これを見ると、とにかくだんだんエスカレートしていますね、これ。きつき言ったように万石浦、何と読むのかわかりませんが、全然関係のない、湾も違う、あれは何というか、万石浦、仙台の方ですね。こっちの方の、女川と全く違った、山を越えたところの方にまで補償している。そういうことを、たとえば県知事が出たかどうか知らぬが、厳正な行司役と言えるかどうか、私はちょっと疑問に思うのですね、そういう人たちが出てくることが。だから、この原発の土地の補償とかいろいろなことについて、あなた方も非常に苦労されると思うのだけれども、いわゆる厳正な行司役というものが出てきてこういうことになったとは思えないのですよ、これを見ると。あなたの方は何ぼ金を持っておるか知らぬが、それほどぽっぽぽっぽ上積みされた言いなりにどんどん金を出して、そういうものが消費者にツケとして回されたら一体どう思うでしょうか。この毎日グラフについてあなたは反論がございますか、それを聞かせてください。
  34. 若林彊

    若林参考人 ただいまの御質問でございますが、女川漁業組合というのは十九の支部がございまして、それがいまおっしゃるような湾の外までもいっておるわけでありますが、私どもは女川漁業組合一本として話をしているわけでございます。
  35. 亀井静香

    亀井(静)委員 平岩参考人が一応電力業界を代表しておられというお立場にありますのでお伺いします。  今度の原油高騰の問題というのは、電力業界だけでなくて石油を原料にしております合繊あるいは化学工業界とも一様にかぶっておるわけなんで、そういう意味で、民間のそういう企業はそれを製品価格になかなか簡単には転嫁できないというような事情で大変苦労しておるわけなんですけれども、そういう中で電力業界だけがこういう相当大幅な値上げ申請されたということで国民が一様に非常に驚いている状態だと思うのです。これについて当委員会でもずっとこういう形で審議をしておるわけですが、やはり原価主義をとっておる以上、これは同僚委員もかつて同様な質問をされておりますけれども、やはり原油の購入ルート、またそれの具体的な価格変動の状況等をある程度お出しにならないと、その点が全く目隠しをされておりますと、政党とか民間団体が勝手にそのあたりを推測して、何か三十何%の値上げが適当だとか二十何%というようなことが出ておるわけでありますけれども、やはりこの際、その原油のルートについてある程度具体的に出される必要があるんじゃないかいうふうに私は思うわけであります。こう申しますと、これは企業秘密の問題というような答えが恐らく返ってくると思うのですけれども電力の場合はやはり独占企業でありますし、現在油については御承知のように売り手市場ですから、電力業界が特別な安値で供給を受けておられるような事情にないんじゃないかというように私は思うわけです。そうしますと、今後は協同購入というようなことも御検討いただきたいと私は思うのでありますけれども、その際その流通過程といいますかそれをある程度明らかにされないと、当委員会で幾ら審議すると言いましても実質的な審議はできぬのじゃないかというような感じを私は持っているわけですし、なかなか国民も納得せぬのじゃないか、そういうふうに思うわけです。また、当委員会も一応国政調査権を持っておるわけでありますから、そういう問題についてこの際ある程度強い姿勢をとられる必要があるんじゃないかというふうに私は思うわけでありますけれども、この点についてちょっとお聞かせ願いたい。
  36. 井上普方

    井上委員長 この点につきましては先日も問題に出まして、電力会社方々国民の皆さん方の理解と納得を得るために、原油はどこからどうやって仕入れたんだ、幾らで仕入れたんだということを詳細にわたってできる限り当委員会に後々からでも資料を出してほしいという要望をしてございます。これはいま亀井君の方から電気事業連合会長平岩さんにお願いしたのですが、この点もあわせてひとつお考えの上で御答弁願いたいと思います。
  37. 平岩外四

    平岩参考人 おっしゃられますように、前回そういうお話があったと伺っております。そしてこれは私どもおっしゃられる意味よくわかりますけれども、やはりある限界がどうしてもあると思います。したがって、どこまで出せるか、定性的なところまでは何か出せるんではないかと思いますけれども、できる限りの点について後で出したいと考えます。
  38. 井上普方

    井上委員長 定性的なというのはどういうことでございましょうか。
  39. 平岩外四

    平岩参考人 具体的に量がどうであるとかという個別の取引ということじゃなしに、どういう経路をどういう過程を通るのかというようなそういう過程のところまでは出せるんじゃないかと思っておりますけれども……。
  40. 渡辺秀央

    ○渡辺(秀)委員 いまの平岩会長の御答弁、私はある意味においては了承せざるを得ないんじゃないかと思うのです。というのは、国際競争の中で、これだけ厳しい環境の中でいかに安く買うかという競争もまたやっているわけですし、一つはどれだけ安く買っているのか、どれだけ高いものとしてごまかしの換算をしているんじゃないかという疑問が国民の中にあるからこういう質問が一つは出るわけなんで、しかし実際はこれは各企業体が相当な努力をしているしまたせざるを得ないんじゃないか、今日のこの石油の国際情勢の中において。ですから、当委員会としては、あんまりわが国が結果的に高い石油を今度は買わざるを得ないような結果になるような要因をつくってもいけませんので、これは産油国にはね返っていくわけなんだから、どれだけ高いものを買っているから日本の国はどれだけのものを買うかということもあるわけですから、そういうことも多少は考えてやっていかなければならぬのじゃないか。まあ国政調査権の問題もあるけれども、それらの責任も考えながら審議を進めていかなければならぬというふうに思います。  そこで、私は一つ質問をしたいんでありますが、例の事業報酬算定上の中で、これは各電力会社の皆さんにお聞きをしたいんでありますけれども、核燃料に関して大体平均でしょうかおしなべて五年分ぐらいの備蓄をしている、そういうことを言われておりますが、これは事業報酬算定上のベースでもかなりのパーセントを占めているわけですけれども、同時にこの核燃料の適正備蓄といったらいいのか、要するに何年分ぐらいが、これは多いほどいいに国益としては決まっているわけですけれども、いま大体五年分ぐらいじゃないかと推測されていますが、こういうことで五年ぐらいで満足されるんでしょうか、各電力会社として。それぐらいで不安がないものでしょうか。東電さんからずっとお聞きをしていきたいと思います。
  41. 平岩外四

    平岩参考人 御承知のとおり、核燃料というものは購入とか転換あるいは濃縮、成形加工という非常に長いプロセスを通って一つの製品として出てくるものでございまして、その契約というものは相当長い期間で契約をしないといけない性質のものです。それを現実に保有をするという、要するにあそこへ入れるのはこれは長ければいいと思いますけれども、常識的にはやはり現実にわれわれが持っているのは五年程度のものを現在持っておりますし、まあそれよりももう少し長い方が好ましいとも言えると思いますけれども、これは需給関係に一にかかっているんじゃないかと思います。私の方の会社は現在大体七千五百トンぐらいを持っておりまして、年間大体千五百トンぐらいを使っていますので、五年分くらいのものを保有しております。
  42. 若林彊

    若林参考人 ただいま平岩参考人からもお話がございましたように、やはり将来のウラン原石等を考えますと、願わくは十年くらいのものの話を結ぶことが望ましいと思いますが、現実にはわれわれはいま七、八年までを何とか確保しておるというのが現状でございます。
  43. 森本芳夫

    森本参考人 私どものところは六十年代で運転を開始する計画になっておりますので、核燃料の確保につきましては、建設計画と同時に進めてまいっておるわけでございます。と申しますのは、確保にはリードタイムが要るということからでございますが、したがいまして、何年分ということになりますと、いま算定することは困難でございますけれども、仮に五十五年のウラン精鉱の量から試算いたしますと、私どもといたしましては能登原子力運開時からおよそ三年程度と考えておるわけでございます。
  44. 永倉三郎

    永倉参考人 五十五年度末の残高が天然ウランの換算で二千九百十二トン私ども持っております。このうち未装荷核燃料は二千三百三十トンでございます。ただいま玄海の一号が完成、二号が近く完成いたします。それから川内一号、二号を建設中でございますが、大体平均年の所要量が五百十一トンぐらいでございます。したがいまして、約四、五年分の手当量ということでございます。契約はもっと長い契約はございます。  さっき東電からお話がございましたとおり、核燃料はウラン精鉱から完成核燃料までの間に約二、三年時間がかかるわけでございます。またそれから、円滑な運転を図るということのためにも若干の予備が必要でございます。したがいまして、そういうことを考えますと、四、五年というのは最小限度の手当量だというふうに考えております。レートベースに入っておりますのは一千十四億円でございます。
  45. 亀井静香

    亀井(静)委員 さっきの続きですが、平岩参考人、先ほど私のお願いしました趣旨をぜひひとつ生かした姿勢でお願いをしたいと思います。  福田参考人との関連もちょっとあるのですが、先ほど福田参考人が当分原発を停止せいというような御意見を伺ったのでありますけれども、これは平岩参考人じゃなくて事務局の方で結構でございますので、ざっとした感じで……
  46. 井上普方

    井上委員長 参考人しか発言はできません。
  47. 亀井静香

    亀井(静)委員 失礼しました。  ざっと、いま原発を停止した場合、これは全部石油にかえた場合、値上げ申請率がどのくらい変動するものか、ちょっとお教えいただけませんか。原発をとめて全部その部分を石油に代替した場合、どれぐらい今度の値上げ申請幅が変動するか。恐らくアップするだろうと思うのですが、ざっとの感じで結構でございます。
  48. 平岩外四

    平岩参考人 これはちょっとこの場の思いつきの御答弁になるかもわかりませんけれども、現在原子力が全体の出力の中で大体一〇%ぐらいあると思います。そして、その原子力発電の発電コストというのは、ほかのあれの大体半分、火力の半分だと考えますので、もし一〇%の原子力発電がそのまま火力にあれすれば一〇%分の油はとにかく完全に必要だ、その分だけの節減はできる、油とは言えぬけれども、その一〇%が半分のコストで済むということになるんじゃないかと思います。
  49. 亀井静香

    亀井(静)委員 やはり相当な値上げ申請をしなければいかぬということになりますね。
  50. 平岩外四

    平岩参考人 はい。
  51. 亀井静香

    亀井(静)委員 それと、ちょっと福田参考人にお尋ねしますが、値上げはいかぬ、しかしコストの安い原発の運転も、また開発もいかぬということなら、どのようにわが国電力を低廉な、しかも安定的な供給を確保する道があるのか、ちょっとこの点についてお教えを賜りたいと思うのです。
  52. 福田勝

    福田参考人 私は、原発問題については時間の関係で結論だけ申し上げたわけでございますけれども原子力発電の問題については、その前に実は安全性の問題といいますのが、一番基本的な問題があるわけであります。この問題がまず特に被爆国である日本国民としてはどうかという基本問題が一つございます。  それから、効率の問題から言いましても、実は原子力発電が現にできてしまったもののコストは確かにいまおっしゃるように安いかもしれない。しかし、建設するまでの建設費が一体どうなのか、ここのところから計算しなければいかぬし、それから、一体運転の効率がどうなのか、そういうところの最初からやらないと、この問題の計算は出てこないのじゃないのか。現にできたものの運転の効率だけでは計算できないであろうということでございます。  それと、これからの計画については、私はもう少し、省エネということでお互いに一致しておるわけですから、何とか建設費等も余りかけられないようなことが考えられないかということで、特に例の負荷率については、現在五〇%台なんですよ。これは前にはそんなことなかったわけでありまして、最近、特に一年間のうちある時期にピークになるわけですから、ここをお互いに国民全部で助け合って負荷率を高めていくようにすれば、今後の建設の問題等も、そう急がなくてもいいじゃないか。たとえば私が先ほど八〇%ぐらいに負荷率を高めるならば、いま私が申し上げました三年なり五年ぐらい原子力発電をひとつ停止して見直そうじゃないかということも十分にできる計算になってまいるわけであります。  したがって、私が申し上げたところは、全部そういう前提条件をお互いにやりながら、一遍この原発問題を国民的に、国民世論を二分するような問題については、安全性の問題も含めて、一遍お互いにやってみたらどうだろうかという提起を申し上げたわけです。
  53. 亀井静香

    亀井(静)委員 今後の建設分について、石油に比べてのコストダウンの見通しというものが必ずしも立たぬというようなこともあったと思うのですが、これは現在建設中の各電力の業界の方からもお聞きしたいと思うのですけれども、しかし、単純に考えて当面の電力需要をこのまま横ばいだというように考えても、一方では原油の値上がりでどんどんコストが上がってきておるという状況であれば、それはやっぱり代替をしていくということを考えぬ限りはいかぬわけでありますから、じゃ何にかえていくかという問題であろうと思うのですけれども、その場合にやはり原発についてのもっと厳しい科学的見地からの見直しを全国民的にやるべきじゃないかなというように思うわけでありますけれども、ただ単なる被爆国とかそういうような感情的なものでこの際原発を扱ってはいかぬのじゃないかなという感じがするわけでありますけれども、ちょっとこれは意見になりましたので、このあたりであれしたいと思います。
  54. 宮地正介

    ○宮地委員 平岩会長にお伺いしたいのですけれども電気事業連合会の会長もお兼ねになっているわけでございまして、特に先ほどの陳述の中におきまして、最後に、エネルギー問題と物価問題との調整に大変御苦労をされたというお話を伺いまして、まさにこれはエネルギー問題と国民生活との関係における御苦労であったと思うのです。その結果として、一年原価での申請をしたというお話があったわけでございますが、私は、この国民生活の立場から、さらにもっと厳格に日本国民の皆さんに対しての配慮がまだできる余地が多分にあるのではないかという問題点があるのではないか、こう思いまして、何点かお伺いをしたいわけでございます。  平岩会長東京電力におきましては、今回、特に電灯料金値上げを五七・七五%おやりになっているわけでございますが、ちょうどこの九電力体制が昭和二十六年に発足いたしましてから、過去の最大の値上げの年が昭和四十九年のいわゆる石油ショックのときでございまして、あの五月に東京電力電灯料金値上げをしたのが、たしか当時三二%でございました。今回の五七・七五というのは、最大の電灯料金値上げになるわけでございまして、経営サイドからのいろいろコスト計算なりされますとこういう数字が出てくるのかもしれませんが、会長さんのおっしゃるような国民生活を重視しておるのであれば、ある程度政治的にもこの電灯料金の圧縮は、あの石油ショックのときよりもやはり配慮を、今回の取り巻く経済環境の厳しさの中からは当然配慮してもよかったのではないか、こう思うわけでございますが、この点についてはどういう御見解をお持ちか、まずお伺いをしたいと思います。  第二点は、そうした国民生活の中で、やはりいまわが国がこの八〇年代に入って、経済優先の行政、政治、社会、こういうものから何とか生きがいとバイタリティー、活力のある福祉社会を構築していこうというのが一つの八〇年代の志向ではないかと思います。そういう中で、福祉社会をつくる中で一番大事なのは、いま不公平をなくすということであり、また、比較的弱い立場の御家庭、身体障害者をお持ちの御家庭や生活保護世帯の御家庭、こうした御家庭に対しても配慮というものが十分考えられてよいのではないか。そういう意味で、もっと温かい、そうした面の福祉料金体系というものを積極的に導入されることが、国民のニーズにこたえる、公的立場を持った経営者としてのモラルでもないかと私は思うわけでございますが、こういう点について、東京電力の社長さんという立場と、電気事業連合会の会長さんという大きな立場から、国民の皆さんにわかりやすく御説明をいただければありがたいと思います。
  55. 平岩外四

    平岩参考人 第一点の電灯料金値上げが五七%と従来になく最高であるという御指摘でございますけれども、今回の値上げの場合に何が一番大きな要因になったかと申しますと、原価主義の中で石油の値段及びLNGの値段、そういうものを中心とした燃料費が圧倒的に高くなった、そういうことですので、それをそれぞれの電灯及び動力のところへ乗せますと、原価主義に基づいてどうしてもこういう結果になるわけでございますけれども、現実には同じような反論というのか苦情が動力、電力サイドからも出ているわけでございます。それは電力の方の、私ども値上げの、六五%の値上げの中で電灯が五七%であり、電力がもっと多い、こういう結果になりまして、電力からも同じ苦情が出ておるわけでございます。これは原価主義に基づいて公正にはじいた結果でございまして、実際には、電灯電力との格差がだんだん狭まってきたという結果になっておりまして、電灯の方へしわを寄せたということにはならない、なっていない状態であるという点を御理解いただきたいと思います。  それから第二点でございますけれども料金の中で福祉の料金への配慮をしてくれ、こういうお気持ちは非常によくわかりますし、私も、そうおっしゃられる気持ちというのは実に切実に感ずるわけでございますけれども、現在の体系の中でこの問題を処理しようとした場合に、これはやはり国の配慮をお願いすることによって解決する方がより公平である、こういうような気持ちを持たざるを得ないわけなので、そういう点をぜひ御了解をいただきたいと思います。過去において、経過措置としてこういうことを配慮をいたしたことはございます。
  56. 宮地正介

    ○宮地委員 電灯料金について、産業の電力料金のしわ寄せを電灯料金に持っていったのではない、こういう御発言ですけれども、そうしたしわ寄せ論ではなくしてオーソドックスに、やはり石油ショック時における値上げよりも倍近い今回の電灯料金値上げ——やはり社長さんが、国民生活との関係、物価との関係を配慮して相当悩んだ結果なんだという御発言がございましたので、であるならば、原価の一年間の問題と同様に、やはり具体的なその実証といいますか、国民にわかりやすい形の苦労の結果を示すのが一番早いのは、電灯料金に対する反映ではないか。この点について、もう少し、しわ寄せ論でなくして、真っ正面からどう取り組んだのかということについて御説明いただきたい。
  57. 平岩外四

    平岩参考人 総括原価主義のたてまえで計算をせざるを得ない現在のそういうたてまえから、現実に電力値上げの比率が高くなり、電灯の比率が低くなる、こういう結果になってきているわけでございます。
  58. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 核燃料のことについてお伺いしたいと思いますけれども東京電力の出された資料によりますと、核燃料は、当中間期末で、前期末に比べて、これは五十四年の九月三十日現在の資料で千七十三億ふえているというふうな資料が出ております。それから、東北電力の場合には、同じ資料で三百四十億ふえている。それから九州の場合には三百九十五億ふえております。ところが、たとえば東電の千七十三億ふえた——前期といいますか前を見てみると、五十二年九月から五十三年三月、そういう時期では百六十四億というようなことですから大変なふえ方をしているわけですね。それから、同じように東北電力の場合には原発を持っていないという状態ですが、同じ時期を見ると三億四千万だったものが三百四十億、これはまさに百倍にふえているわけです。それから、九州の場合も同じように十一億だったものが三百九十五億、先ほどから出されているみたいにお金があるからということでじゃんじゃんこれを使っているんじゃないかということがうかがわれるわけでございます。  これについて五十三年十月の電気新聞によると、アメリカに対する黒字減らし対策として米国へ濃縮ウラン役務料十億ドル、これを前払いするためにがばっとこの年度ふえたんだというようなことが報道されているわけですけれども、この事実関係についてお答えをいただきたいと思います。平岩参考人に代表してお答えいただきたいと思います。
  59. 平岩外四

    平岩参考人 アメリカのウランの購入の件につきましては、核燃料の保有ということはわが国原子力発電について非常に重要なことでございまして、将来の発展を考えた場合にある程度の確保をすることがどうしても必要だ、そういう前提に立って決めた。たまたまそれが政府の施策にも合致していたということでありまして核燃料の確保が長期にわたって必要であるというこういうたてまえから申しまして、これはわが国にとって、電力会社にとってその分を保有することが必要不可欠なものとして考えたわけでございます。
  60. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 それにしてもいま申し上げたように、前の年から比べると、きょう出されました五十四年九月三十日現在では前期に比べると一千七十三億もふえている、こういうことは異常であるというふうに指摘せざるを得ないと思うんです。  それからもう一つ、これは二月二十七日付の読売新聞に報道されている新聞記事からちょっとお伺いしたいと思うのですけれども、アメリカから濃縮ウランの工場増設をしてほしいということで総額十億ドルの投資をアメリカ・エネルギー省にしろというような話が来ている。これについて電力業界では慎重に対応する方針でいるけれども、濃縮ウランについては同エネルギー省との間で五千百万キロワット分が約三十年間にわたって契約済みであるほか、フランスを中心としたEURODIFとはことし以降十年間に九千万キロワット相当分が契約済みとなっているために、慎重にしてはいるんだけれどもこの協力に応ぜざるを得ないかもしれないというような記事が出ているわけでございます。  私どもとしては、先ほどから福田参考人あるいは田中参考人からるる述べられているようにいま物価問題で国民は大変深刻な状況に置かれているわけです。こういうときに核燃料あるいは原子力のための建設中の投資、こういうものが料金算定に非常に大きな影響を及ぼしている。こういう中で五十三年のドル減らし十億ドルの協力に加えてこうしたまた新しい協力にも応ずるようなことというのは、もう国民感情として許せないということになると思うのですが、この点の考えをやはり平岩参考人からお答えいただきたいと思います。
  61. 平岩外四

    平岩参考人 濃縮工場の件は、まだ私も詳しいこと何も知りませんし、そういうことは何も決めておりません。
  62. 岸田文武

    ○岸田委員 私、家庭の生活と、それから省エネルギーという問題についてちょっとお尋ねをしてみたいと思うのでございます。  一つは、いまの三段階の電灯料金制をどう考えるかということについて、主として福田参考人からの御意見をちょうだいできればと思うわけでございます。  私、実はその三段階料金制をどう考えたらいいのか私自身もちょっと迷ったり、悩んだりしておるのでございます。といいますのは、単身の世帯と、それから子供がたくさんある世帯、当然子供がたくさんある世帯の方が三段の高い料金の適用を受けることになってしまうのではないかというような問題もありながら、しかしこれは全体としてエネルギー消費の合理化を推進するための一つの制度的な道具として評価できるのではないか。もし仮にそう考えるとすると、いまのように百二十キロワットアワーというのを一つの物差しにしてそれ以下は割引を大幅にするというやり方、これをもっと推し進めて百キロワットアワーまでに第一段をとどめる。そのかわり割引率はもっと強化するというような適用の仕方の方がもっと徹底することになるのではないかな、こういうことが一つの議論としては言い得るような気がするわけでございます。先ほど御発言の中に百二十キロワットアワーをむしろ百四十、百五十にしてはどうかというような御意見もあったような気がいたしますので、この辺のところをどうお考えであろうかと思います。これを第一にお尋ねするわけでございます。  同時に第二番目の問題として、これは田中参考人にお伺いできたらと思うわけでございますが、お互いに家庭生活でも夏のピーク時調整に協力しようじゃないかというようなお話ございました。こういうことに関連をして、今回電力料金採用されることになった季節別料金、これを家庭用の電灯料金にも取り入れていく、多少夏は高くなるかもしれないけれども、その分だけ冬は安くしてもらう、こういうような仕掛けが考え方としてどうであろうか、もしそういうような考え方について、電力会社の方から技術的に問題があるというようなことがあれば、それもあわせてお伺いしたい。こういうような点について御意見をちょうだいしたいと思います。
  63. 福田勝

    福田参考人 実は、岸田先生が通産省の公益事業部長をしておられたころに、ちょうど私もたびたび参りましてこの議論を大分やったことをいま思い出したのですけれども、実は百二十キロアワーというのは五十一年のときなものですから、私の方もそういうお考えも確かにあると思うので、もう少し下げて、むしろ低くするのか——五十一年時点でやったときから比べると大分伸びておりまして平均の家庭では東京電力では百八十七という数字が出てきておるものですから、したがって、その当時はそんなになかったわけで、したがって百四十ぐらいのところまで当時の考え方であるならば上げたらどうだろうかという意味で申し上げたわけです、使用量が伸びておりますので。先生おっしゃるような、もう少し下げてもっと低くするという考えもあると思うので、その時点でとれば、ある意味ではそんなに違っていないようにも思うのです。そういうことでございます。
  64. 田中里子

    田中参考人 おっしゃいます季節別料金につきましては、やはり夏はどうしても消費量が高くなって夏ピークの問題が出ておりますので、ある意味では、いまは家庭用には導入が無理ということで見送られる形ですが、考え方としては、季節別料金の場合に、夏ピークの特に顕著なたとえば東京、開西電力あたりについては考えられるかと思いますが、いまのような九電力体制のときに、北海道とか東北の場合についてはどう考えたらいいかという問題もあると思いますので、この点はいろいろな意見なりデータなりをあわせて、もう一度きちっと検討をし直す必要があると思いますので、その程度にお答えさせていただきたいと思います。
  65. 中野寛成

    ○中野(寛)委員 向坂先生、ちょっとお時間の御都合もあるようですから、先にお伺いさせていただきたいと思います。  ただいまも原発の問題につきまして質疑応答がございました。先生は、言うならば原発を積極的に取り上げるべきだというお考えでございますけれども料金問題も含めまして、エネルギーの問題としても、それから国民生活を守る上での物価対策としても、一時しのぎの対策をやっておったのではだめであることは言うまでもないと思います。ですから、これからの見通しというのをきちんと立てて、それに対応する対策、政策を講じていくことが当然必要だと思います。とりわけ現在燃料中心であります石油の問題は、ドル価格にすればこれから下がることはない、どの程度ずつ上がっていくのだろうかという見通しを、ドル価格だけで考えれば比較的立てやすいのではないかという気もするわけですが、これに為替レートが絡み合ってきますと、大変読みにくいというのが実情だろうと思います。先生の方からお出しになったパンフレットも読ませていただきまして、大変参考にさせていただきました。そういうドルベースの読み方と、円の為替レートのこれからの見通しと絡み合わせて両方やりますと大変ですけれども、しかしながらそれをきちんと読む中で、今回申請が出されている料金の中の燃料費、特に石油代のアップの見積もりについての御評価はいかがであるか。  それにあわせまして、そういう状態のときに、私どもも当然原発の問題は積極的に考えなければならぬと思うわけであります。当然最初の設備費等は大変高くつく。また先ほど武部先生の方から御指摘がありましたけれども、われわれの常識の中で考えられないような、たとえば補償だとかそれに類するようなものを出されていくとすれば、それは料金によけいにはね返ってくるということもあるわけでありますし、原発に対する理解を深めること、それから定期検査の方法や技術革新やそういうことを深めながら稼働率をより一層高めていくこと、そのようなことが大変急務として望まれているのではないかと思うわけでありますが、われわれと違って、また先生の専門的な分野からの御説明を伺いたいと思います。
  66. 向坂正男

    向坂参考人 いまエネルギー問題は一時しのぎではだめだというお話がございましたが、私は全く同じように考えます。先ほど、今度の電力値上げ問題に関連して、エネルギー価格については市場メカニズムを十分に活用した方がいいと言ったことは、まさにそれによって省エネルギーが進み、あるいは石油からほかのエネルギーへの代替を進める大きな刺激になる、大きな条件ができていく。一時物価問題は光熱費の値上がりで大変苦しいけれども、しかし長期的に見れば、日本のようにエネルギー資源のない国が、こういう価格で一時苦しくとも、やはり長期的にはエネルギー供給の安定化を図り、恐らく石油よりも原発、石炭火力などの方がもっとコストが安い時期が続くと思いますから、そういう意味で、長期的には電力料金の上昇率を少しでも低目にする方法を考える。やはりここで私は、妥当な限りでの合理的な査定をして、原価を料金に反映させるという方向でいく方が正しいのではないかと思います。  それにさらに続きましていろいろ御意見がございましたが、石油価格に関しましては、OPECは今後需要に合わせて生産の調整をしながら、常に石油市場を売り手市場の状態維持しよう、その中で工業国のインフレレート程度は引き上げていこう、それからあるいは突発的な事件が起これば、恐らく需給逼迫によってもっと大幅な値上がりをするのだと思いますけれども、そういうふうに、石油価格そのものが上がることはあっても下がることはない、むしろ工業製品価格よりも石油価格の方がもっと上がっていくという状態が続くのではないかと思うのです。  その場合に、為替レートの問題が関連してきますけれども、たとえば昭和四十八年の石油ショック以降五十三年までは、各国とも為替レートがドルに対して強くなり、それからOPECは値上げが余りできないような需給状態でしたから、工業国にとっては石油の実質価格は、四十九年の初めは十ドルだったけれども五十三年には六ドルぐらいに実際は下がったわけですね。それによって世界経済の均衡がとれてきたわけです。ところがここでイラン革命がありまたジャンプアップした価格になった。今後は、石油ショック以後のように、工業国にとって実質石油価格が下がるということは非常に可能性が薄いのではないか。むしろ実質価格が上がるというふうに考えてエネルギー政策を進めた方がいいというように思うのです。  そういうふうに考えますと、原子力発電あるいは石炭の国内炭でも、いま石油火力に比べれば割り安ですし、今後海外から石炭をうまく輸入する手だてを講じていけば、石炭火力でも石油火力よりは安いということで、これをできるだけ進めることが、OPECの石油価格値上がりに対する歯どめの効果を持つというように私は考えます。  原発については、御指摘のとおり、いろいろ故障も多く、平均設備利用率も五〇%前後ということで低いのでございますが、この程度の稼働率でも、なお原子力発電のコスト石油に比べれば半分に近い。今後とも原子力については、もちろん安全対策について十分な方策を講じなければなりませんし、徐々に行われておりますけれども、現在のアメリカから導入したタイプの原子炉を日本的な技術で改良をしていって、定期検査に要する時間も短縮するように改善していって、そして操業率を上げれば、今後原子力発電の建設コストはいま稼働しているものよりは高くなることは当然ですが、私は、高くなったとしても石油火力よりもかなり安い状態を続け得るのではないかというように思います。そういう意味で、原子力の炉の運転、それから安全装置、それらを改良して原子力の稼働率を高め、国民の信頼を得るようにしていくということがやはりエネルギー政策基本だと思います。  今回の石油価格の見積もりにつきましては、私は各電力会社の事情を詳細には承知しておりませんけれども、バレル三十七ドルというのは、二月末近い現在の状態でほぼ見込まれるものよりは幾らか高目かもしれない。現在でも恐らく、電力会社が使っているミナス原油、これには二十九・五ドルという値段のほかに、六割がその値段であって、四割はプレミアムがついているわけです。それでなければ買えない。そのプレミアムを勘定し、それからスポット物はやはりどうしても輸入しなければならない。それから大慶原油も、ミナス二十九・五ドルに見合いの値段には大慶原油はすでに引き上げられたけれども、恐らくミナスがプレミアムをつけた値段で売っていれば、その加重平均に相応した大慶原油中国原油の値上げということも早晩行われる可能性が大きいのではないか。その意味では恐らく、大慶原油の引き上げがあれば、現在各油種の平均、FOB三十五ドルに達しているが、もう少しは上がる可能性があるんではないか。私、先ほど、確実に見込まれるということを申し上げたのは、すでにミナスその他で決まっている値段のほかに、大慶原油の引き上げということが必至だから、それを見込んだ程度はやはり原油価格として考える必要があるんじゃないかということを意味しているわけでございます。
  67. 中野寛成

    ○中野(寛)委員 いま御説明の中にございましたけれども原子力発電所の場合コストも安くなる。そのことは結局物価の問題にも寄与するわけでありますけれども、そしてまた、それが今回の通産省の査定の一つのキーポイントにもなるんではないかという気もするわけです。ただ、そこで一種のジレンマを感ずるのです。というのは、原子力発電所を積極的に取り入れているところ、また取り入れようとしているところはそれだけコストが安く済むという問題がありますが、逆に言えば、その経営努力を重ねているところは、料金の金額の上での査定が低くなって、そして、努力を全くしていないところといいますか、変な、皮肉な言い方みたいになるかもしれませんけれども、そういうところは逆に高い査定をされるとしたならば、これは大変大きな矛盾だと思うわけです。私は、決してこれはたとえ話や仮定の話ではなくて、そのようなことが通産省の査定の一つのジレンマとしてあるんじゃないかという気がするわけです。先生としての御意見をお聞かせいただきたい。
  68. 向坂正男

    向坂参考人 確かにジレンマがあると思います。そのジレンマを解決するのに、料金の査定で原子力をよけいにしたところは甘くするかということになりますと、これはやはり各電力会社の間で不公平になりますから、そういうことはすべきではないのじゃないか。むしろ、原子力をこういう情勢になったらいよいよ確実にやらなければならないということは、まず第一には経営者の努力にまつべきであります。それに対して、今度は立地その他、あるいは原子力の炉の改良その他、いろいろな政府の助成とかあるいは低金利の融資とか、そういうもので原発を一層積極的にやろうという会社が有利になるような状況をつくっていく方がいいのではないかというように思います。
  69. 金子みつ

    ○金子(み)委員 向坂参考人田中参考人の御意見を承りたいことが一つございます。それは電気料金制度の問題なんですけれども、御承知のように、日本では十電力会社の管轄範囲において全部料金が違うわけですね。そして、産業用の電力料金につきましては、使用した電力でまた利潤をもうけてというようなことがあると思いますので、これはまた別といたしまして、家庭の需要になっている電灯料金の問題なのでございます。この電灯料金が非常にまちまちだということは非常に不合理だと思うのです。けさの参考人の皆様の御意見の中にも、田中参考人もそれを御指摘していらっしゃったと思いますし、福田参考人もちょっと触れていらっしゃいました点なんですが、今度提出されました電力会社からの資料の中には全然触れていないことでございまして、ですから考え方として御意見を伺わせていただきたいと思うわけなんです。  それは何かと申しますと、いま申し上げました不合理、矛盾を前々から考えていたんですけれども、適当な機会がございませんでしたが、今度このような機会がございましたので、申し上げて御意見をいただきたいのですが、一口にして申しますと、消費者はどこの会社の電気を使いたいかという選択の権利がないわけでございますね。選べない。言葉は悪いんですけれども、いやおうなくそれを使わなければならないというふうな形にさせられているわけでございます。したがいまして、いい悪いはないわけなんで、そうだといたしますと、北海道に住んでいるからあるいは四国に住んでいるからといって、違った電気料金を払わなければならないという基本的な原理、原則が考え方としてどうしても納得できない。これは当然同額でいいはずじゃないかというふうに思うわけなんです。そのことができないわけはないと私は思うのですが、その御意見をいただきたいのです。  提出されました電力会社資料を拝見しますとこういうものがあるんですね。工事費負担金の需要家負担の軽減というのがございまして、これは会社側の企業努力だと盛んにここでおっしゃっていらっしゃいますけれども電灯需要家に対する工事費の負担金の無料範囲を一件四十二万円から六十万円までに引き上げて便利を図っております、サービスをいたしておりますという報告が載っているわけです。どの会社のも載っているわけです。そのことも全く同じ金額で書いてあるのです。ですからこういうところでは話し合いが——これは社長会か何かでお話し合いなさったのかどうか存じませんけれども、こういう点では全く同じになるんですね。ですけれども電灯料金の決め方となるとそうならないというのが単純に考えて納得しにくい点なんです。そんなことは一つの例なんですけれども、家庭で使う電灯料金をプール制なんかにして、そして均一にした電灯料金というものが使えないものかどうかというふうなことを考えているんですが、先生方の御意見を伺いたいと思います。
  70. 向坂正男

    向坂参考人 料金制度部会でも、電灯についてはもっと平衡化を図る必要があるという御意見もございました。ただ、いまの総括原価主義、それから個別原価に割ってそれでいろいろな用途別の料金を算定するわけですけれども、その方式は通産省の規則によって算定基準としてやり方が決められているわけですね。ですから、それにのっとってやる限り、ある程度の地域差が出てくるというのはやむを得ないだろう。特に電灯需要が比較的分散している東北とか北海道とか九州とかというようなところは、東京、大阪のように電灯需要が集中しているところに比べて比較的コストが高くなりやすい。そういう計算基準によって算定すれば、どうしても地方の方がコスト的に高くならざるを得ないというのが現状であります。  さて、これを均一化しようということになりますと、一つのやり方は、個々の電力会社電灯料金全国的に均一にするためにそこで出てくるマイナスといいますか、その負担分を電力料金に転嫁するか、それとも会社間で、ある平衡のために融通するかということになるわけでございますね、いまおっしゃったプール制のような場合。それをいますぐやるのは大変困難な問題があって、これは将来とも、電灯料金はなるべく全国的に均一にした方がいいというお考えもあり得ますから、将来の制度問題としてやはり一つの検討課題だと私は思います。  ただ、電気料金だけなぜ全国均一にしなければならないか、電気料金が高いところは生活条件その他がいいところがあるかもしれませんし、だから電力料金だけを統一すればいいのかというところにも若干問題はあると思うのです。  しかし、いずれにしてもその問題は、電力会社も恐らくなるべくそういう差がつかないように考えてはいるでしょうけれども、制度としてどう考えるかは今後制度部会として一つの課題だというふうに思います。
  71. 田中里子

    田中参考人 私もおっしゃることはよく理解できますし、おっしゃるとおりだという考えを持っているんですが、ただ、現状どこまでそういうことをするのがいいかどうかとなると、やはり九電力なりあるいは十電力体制の中では若干問題があると思います。ただ、実は私、最近奈良県の消費者リーダー研修みたいなところに参りましたときに、そこに出てきております主婦の方から質問を受けました。やはり電灯料金がまちまちなのはおかしい、電力会社が民営、株式会社なのはおかしいのではないかという質問がございまして、ですからある意味では、消費者側から見たときにどうしてこんなに地域独占で、全く自分が選んで買えるものでもないものがまちまちなのかという疑問は残っていると思います。ですが、そのときに、福田さんいらっしゃいますけれども、国鉄のようなことを頭に描きますと果たしてどういうものかなという感じがしないわけにもいかないものですから、私としてはすぐさま答えるということまでの資料を持ち合わせておりませんでしたので、検討する問題じゃないかというふうに思いました。ですからいまの料金制度の中で、先ほども私、料金制度の見直しが必要じゃないかということを言いましたのは、やはり現在の電灯と産業用の電力との格差の問題について、いままで考えていた格差の算定が果たして国民のみんなに納得いくものかどうかということになると、私自身も自信がございませんし、もう一度きっちりとそういう問題もいま金子先生のおっしゃったことも含めまして、料金制度の中で見直しを行っていくべきではないかと思っております。
  72. 金子みつ

    ○金子(み)委員 御意見ありがとうございました。  ただ、電灯料金は、先ほども申し上げましたけれども、確かに日本では私企業ではありますけれども、物すごく公共性の強い事業でございますね。ですからそういう意味から言って、私は当然考えてもいいんじゃないか。技術的にむずかしい点はもちろんあると思いますし、いますぐ右から左へという意味ではございませんけれども、少しでもその格差を縮める方向へ持っていくとか、何かやはりもう少し努力してもらってもいいのじゃないだろうか。電力会社の方の御意見もいただけばいいでしょうけれども、そういうふうに考えましたものですから、先生方の御意見をいただいたわけであります。  ありがとうございました。
  73. 粟山明

    ○粟山委員 ちょっと問題を変えまして、私は農業用電力料金についてお伺いしたいのですが、主として東京電力さんと東北電力さんにお伺いしたいのですが、日本の総電力量四千百四十四億キロワットアワー、このうち農事用というのは〇・三九%で、非常にわずかな量で余り本委員会でも問題になってないようでございますが、今度の値上げ申請を見ますと、いわば原則としては農事用という分類を認めないという考え方に立っているように思われるのです。つまり本則から外して附則に移す、つまり既設分は認めるけれども新設については特別な制度を認めない、しかも既設分を含めて大幅に値上げする。また季節料金を導入するということになっておりますが、季節料金、七月から九月といいますと農家にとっては一番水を使う時期でございます。ということはポンプを使う、電力を使うという、これは単にテレビで甲子園を見るんだとかあるいは一斉休暇をとってどうのというような問題と違って、農家にとっては絶対電力が必要な時期であります。その主な用途のものは御承知のように灌漑排水であります。ことに東電さんそれから東北電力さんの地域では、農業用電力の九〇%以上が灌漑排水だということでありまして、私は福島県でございますが、これは電力県であり農業県でありまして、たしか昭和四十八年に只見電源開発が完成しましたときに「電力県ふくしま」という本が出ております。この本にも、いま御列席の若林参考人は非常にこれに感謝をされて、今後とも水力を大事にしたいというようなことも述べておられます。  そこで今度の申請値上げ率、灌漑排水を見ますと、標準の六千ボルトをとりましても既設分でも電力料金がキロワットアワー四円七十銭から一般分で八円九十銭、大体九〇%の値上げであります。さらに七月−九月の季節分になりますと九円七十九銭、実に一一〇%の値上げ、つまり倍以上の値上げになっております。東北電力さんの平均七一・六二%よりもはるかに高い値上げになっている。これが附則に回されて、新規分になりますとざっと四倍近い値上げという状況になります。御承知のとおり、現在、水田利用再編対策、減反政策をやって水田から畑作に転換している。また、畑作灌漑では作物をつくるとなりますと、もうすべてポンプに依存しなければならない、つまり電力に依存するわけでありますが、むしろ国の政策から言えば、新規分は安くするというぐらいの考えが欲しいと思うのでございます。先般の北海道電力値上げですと、本則から附則にすることはやめて本則に残すということが決まったようでございますが、東電さん、それから東北電力さん、この辺をどう考えておられるかをちょっと伺いたいと思います。
  74. 平岩外四

    平岩参考人 ただいま粟山先生からおっしゃられた農事用電力の問題は、おっしゃるような意味を持っていると思います。  今度どうして廃止したかと申しますと、戦中戦後のいわゆる水主火従時代電源構成といま非常に変わってきておりまして、そういう実態から需給構成、原価構造、こういうものが変わってきた、実情にそぐわなくなってきたということが今度の改正の大きな原因であるわけでございますけれども、しかし実態がおっしゃるような意味を持っておりますので、既設需要家については影響を考えてそのままにしたい、これが現在の状況でございます。いまおっしゃられる主張はわれわれもよくわかっております。
  75. 若林彊

    若林参考人 ただいま御質問のあったのは、いま平岩参考人が言われたとおりでございまして、今回の原価算定の中では余りに乖離が激しいということで、農業用を特別扱いするということは困難になりました。しかし従来お使いになっておる方に対しましては、附則によって従来どおりの取り扱いにするということで修正をいたしたわけでございまして、ただいまおっしゃられることは、十分私どももそのように考えております。
  76. 粟山明

    ○粟山委員 わかりました。  ただ、ただいまことに東北電力さんにお願いしたいのは、これから原子力、水力ともに東北におきましては、日本の穀倉地帯というところにまた水力、原子力電源立地がずいぶんできると思いますので、お互いに協力し合う意味からもぜひひとつ農業関係を考慮していただきたい、これは希望でございます。
  77. 長田武士

    ○長田委員 向坂参考人にお伺いいたします。  今回の値上げ理由といたしまして、原油の値上げ、これが一つ。もう一つは、どうしても設備投資が膨大になっておりまして、五十五年度では三兆四千百九十二億円、燃料費が三千億ぐらい入っておりますけれども、膨大な設備投資をしていらっしゃる。その理由といたしましては、供給安定のために需要者にもしか停電等があってはいけないというような、ある程度そういう含みを持たせた設備投資、先行投資をやっておるわけです。  ところがガスも、当然冬場は物すごく需要が伸びまして、夏場は非常に低下する。電力はこれと全く反対なんですね。この二つのエネルギーというものをもっと総合的に研究できないものかということを、私は非常に疑問に思っているわけです。総合的な消費システムといいますか、そういうものをつくりまして、両業界のトータル的な供給設備、それで投資をすれば、ピーク時における設備投資というのはぐんと圧縮される、そのように私は考えるのですけれども、その点、御意見いかがでしょうか。
  78. 向坂正男

    向坂参考人 大都市において電力とガス、つまり夏季の冷房を電力だけに頼らずガスに切りかえるというような、そういうのがある程度進んでおりますですね。これは電力会社の方も、むしろ夏のピークを下げてほしいという気持ちは強いわけですね。ただその場合に、業務用の空調など消費の比較的大きなものはガスに切りかえられるけれども、個人の家の冷房はまだいまの段階ではガスに切りかえるのは無理でございますから、その意味で業務用というか、あるいはビル、商業用など比較的大きな消費者は今後ある程度それをやって、夏季のピーク時の調整には役に立つのではないかというようには思います。だけれども、個別の個人の家の冷房はとても無理なんで、そこまでいくには限界があろうというように考えるわけでございます。
  79. 長田武士

    ○長田委員 平岩参考人にお尋ねいたします。  設備投資の問題でありますけれども、五十四年は二兆六千八百六十六億円、今回五十五年度は三兆四千億ということで、七千三百二十六億円ふやしていらっしゃるわけですね。何となく電気料金値上げのために多少ふやしたのじゃないかというようなにおいも実はするのでありますけれども、その点いかがでしょう。
  80. 平岩外四

    平岩参考人 五十四年度から企業収支が非常に悪くなってきておる段階でございまして、もう設備投資をうんと圧縮しなければ五十四年度収支は均衡がとれないという状態の中へ入っておりまして、それで五十四年度については設備投資を極力圧縮している段階に入っております。しかしこれは収支の均衡のための経過措置というか一時的な措置でございまして、実際には電力設備投資というのは、将来に向かって長期間に年次契約に基づいて一定の状態でやっていかないと電力設備形成がうまくいかない、そういう企業でございますので、穴があいたりすることは好ましくないわけですけれども収支の均衡上、資金の調達上、そういう事情から五十四年度は相当圧縮いたしておるわけでございます。五十五年度にまた五十三年度からの線のところへ大体戻っていきたいと考えている、そういう状態の五十四年と五十五年との関係になっておるわけでございまして、御理解いただきたいと思います。
  81. 牧野隆守

    ○牧野委員 向坂参考人にお伺いいたしたいのですが、御承知のとおり今回の原油値上げで大体七兆円ぐらい国民経済として払う。国民所得が約二百十兆円ぐらいですからそれだけで三%、私どもの会社あるいは個人の利益の中から原油代をそれだけ払わなければならないということでございまして、各般各層にわたりましてより多く働くとか総需要を節約するということで、いろんな形でほかが負担しなければならないのは御承知のとおりでございますが、先ほどの先生の御説明は、基本的に価格のメカニズムを尊重すべきだという御意見であったようです。したがいまして、電灯代にしましても電力代にしましても当然だと思いますが、この価格メカニズムの通用しない分野、非常に大きく電力を使う分野、たとえばきょうお見えになっておりますがアルミ部門あるいはソーダ部門、あるいはフェロアロイ部門だとか電気銅あるいは電線等いろいろあるわけですが、こういうところは御承知のとおり将来これは大変な値上がりになるぞということで、いわゆる仮需要を発生せしめておりまして、逆にインフレを促進しているという面があるわけです。こういうメカニズムの働きにくい、きょうの小川参考人の御説明にございましたように、アルミ業界として五百億円何がしの資産を処分する、あるいは千人台オーダーの首切りをするという非常な苦労をしておられるわけですが、価格メカニズムは尊重するといたしまして、どうしても吸収できない分野につきまして、何らかの特別の政策料金を暫定的にでもとるべきではなかろうか。確かに半年後になれば物価水準が一つの落ちつきを見せるかもしれませんが、ということは値上げということで対処しなければならないわけでございますが、この半年、一年間のショックというのは特定産業に集中するわけでございまして、電力料金の体系と申しますか、こういう中で価格メカニズムを基本的に適用しなければならないかどうか、国民経済的な見地からひとつ先生の御意見を賜りたいと思います。  いままで各委員の御質問を聞いていますと、ほとんど私どもの払っております家庭用電灯代金に集中しておるようでございますが、国民生活の半分は生産活動でございまして、その辺の御意見も十二分に承りたい、このように考えるわけでございます。
  82. 向坂正男

    向坂参考人 この前の石油ショックの後にも、いまの御質問と同じようなアルミ業界の問題がございました。そのとき、私は通産省産構審のアルミ部会に関係しておりまして、いろいろ検討いたしました。確かにアルミ産業は比較的産業用資材ではあるけれども、住宅その他、国民の消費財に近い素材産業でございまして、この素材産業は全く国内の採算が成り立たないからといって国内の生産をなくしてまえば、海外のアルミ国際カルテルに支配されてしまうという意味で、一つのバーゲニングパワーとして、コストは高いけれども、アルミ産業をある程度の規模で維持していく必要があるというのがそのときの結論でございました。ただ、その維持するために、そのときの状況でも電力価格が高く、海外のアルミ市況が悪かったために相当な赤字が日本の会社にも出ておりまして、その場合に電力料金を政策的に引き下げる必要があるのではないかという御意見がたくさん出ました。それで、ただそのときにも、つまり確かにアルミ産業は大変苦しい立場にありますけれども、しかし長期的に見るとアルミ産業はだんだん海外の生産に移行していく。それで国内はバーゲニングパワーとしてのある最小限度、海外で生産すればそれだけ国内のを減らせると思いますけれども、そういう方向へ移行していくということを長期的には考えるべきではないかというのがそのときの部会の多くの人の御意見でもございました。  それで、それではアルミの企業をどうするのかというときに、もし企業が必要であれば、ある時期、ある条件のもとに政府の何らかの助成政策、あるいは海外のアルミが安ければ国内の高いアルミとプール制にして販売するとか、何か別個の方法でアルミ産業がしのいでいくことが望ましいので、いま原価主義をとっている電力料金の中に、一部の不況産業だからといってそれに対して政策的な料金を適用していきますと、常にほかの産業にもいろいろ起こってまいりまして、原価主義といういまの制度の根幹をなしておる体制が崩れてしまうのではないかというように考えたわけでございます。ですから私は、アルミ業界は苦しいとはいえ、いろいろなほかの方策を講じながら、最小限の国内生産を行いまして、将来はやはり海外生産に移行していく、その傾向をより強めていくという方向へいくことが望ましいのではないか。先ほども私、一時的なしのぎはエネルギー問題の解決にならないということを申しましたけれども、むしろ日本はまだ経済においても転換能力が非常に強いので、エネルギー価格が高くなったらそれに対応して産業構造を変え、あるいは省エネルギーの技術を開発し、より少ないエネルギーで生産ができ、あるいは生活水準を保ち得るという方向へ、このエネルギー危機を積極的に日本の経済、産業の発展、あるいは生活水準維持のために使っていく、そのための技術開発を大いにやるという方向へ、いわば積極的な対応というものを考えていく必要があるのではないかと私は考えておるわけでございます。
  83. 井上普方

    井上委員長 ちょっと皆さんに申し上げますが、向坂参考人は三時に御退場になりますので、特に向坂参考人に対しまして御質問の方は……。
  84. 小野信一

    ○小野委員 先生にお尋ねいたします。  原油の高騰が原価を押し上げる、その高騰企業努力では吸収できないような価格になってしまう、それで電気の安定供給のために電気料金をアップする、こうなると、国民生活を非常に圧迫する。そういう変化をできるだけ縮めるために、いま政府なり国というものは具体的に何をしなければならないか。先生のおっしゃるように、市場価格に対する不介入ということを前提にしても、何かないものでしょうか。先生のお考えを……。
  85. 向坂正男

    向坂参考人 エネルギー問題以外のことなので、余り私的確にお答えできませんけれども、まず第一は、いま申し上げたように、一時は苦しくても、長期的にはエネルギー問題の解決に向かうという積極的な姿勢が企業にも国民にも欲しいということでございます。  それから第二番目には、その影響は確かに来ますけれども、つまり海外から、たとえば国内で生産される所得の一部を石油価格値上げということで奪い去られる、いわば強制貯蓄のような、貯蓄を強制的に強いられる、あるいは生活水準の上昇をそれだけ抑制されるということになるわけですから、これをやはり国民、産業全体に合理的にその負担を配分していくということが基本的な対処の方向であろうと思うわけです。  その場合に、もちろん、エネルギー産業だけはすべて脱落していくというのではなくて、ここもいろいろな影響、ここでも皆さんの御意見があるように、効率的な利用ということを考える、あるいは、こういう時期だから節約できるものは節約して料金値上げをなるべく低く抑えるという努力はまず第一に必要だと思います。しかし、それをもし切って、いろいろな査定をやりまして電力料金——電力会社赤字になれば、結局政府が補てんするかあるいは早目に値上げするか何かしなければ電力会社は立ち行かないわけですね。だから、まず電力会社は一年なら一年の算定期間は少なくとも今度決められる料金で過ごせるような程度には料金水準を認めるべきだと思うのです。それによってもちろん家計費も上がりますけれども、これはまた賃金が上がり、それから電力を使う産業は製品価格に若干ながらもやはり転嫁していく。全体の物価水準は上がりますけれども、これは海外要因からきた物価騰貴である以上、私はやむを得ないというように思います。  ですから、ここで余り政府がどこかでとめてしまうとか、そういうことはやらない方がいいので、もし、たとえば国民生活のあれで必要ならば減税、減税もなかなか無理でしょうけれども、何か別の方策でお考えいただく以外にないのではないかと思います。別の方策といっても、いますぐ私思いつきませんけれども、体系は、海外要因によって生ずる変化はそれなりにやはり貫徹させる方が、長期的には日本の経済構造を省エネルギー型に改善する上にも有利ではないかというように私は考えます。
  86. 亀井善之

    亀井(善)委員 電源の多様化の推進ということで、電力会社の四人の参考人の方どなたでも結構ですが……
  87. 井上普方

    井上委員長 先に向坂先生に……。
  88. 亀井善之

    亀井(善)委員 ああそうですか、それじゃ……。
  89. 野田毅

    ○野田委員 向坂参考人がもう三時までしか時間がないということですので、簡単に教えていただきたいのですけれども基本的に電力問題を考える場合に、どうやってその長期安定供給を確保するか、そのことが長い目で見て国全体のあるいは国民全体の生活を安定させることにつながっていくかという考え方、それから同時に、燃料価格のアップそのものが国内的要因というのじゃなくて、海外要因によって、まあアラーの神様を恨まなければならぬわけですから、そういった意味では、価格メカニズムを通じて段階的に調整をやっていく以外にないじゃないかというこの考え方は、基本的に私どもそうであろうと賛成するのですけれども、ただ、これだけ非常に大幅な値上がりということになりますと、経済全体のパフォーマンスをどう考えていくのか。先ほど小川参考人からもお話がありましたけれども、そのほかにもっと電力多消費型の産業というものが、一気に値上げになりますとそれに対応できない。ということになりますと、当然そこから雇用問題ということに非常に大きな影響が出てくる、これは当然だろうと思うのですね。  それからもう一つ、やはり国民の生活という場面から言えば、物価、これをどうやって安定させるか。したがって、物価の問題と雇用の問題というものが、やはりある程度、徐々にではあるけれども調整をしながらいかなければ、経済のパフォーマンスがうまく達成されたということには実はなっていかないわけで、エネルギー対策だけが先行してしまうという、そういう批判を招きかねないわけですね。なかなかこれはむずかしいのですが、その中で、本来から言えば三年の原価計算期間をとってやっていくのがいいのだけれども、今回一年ということになる。しかし、その一年にしても、これだけの値上がりになるわけですから、原価計算期間をさらに一年をもっと短縮せよというのは非常にむずかしいと思うのです。そうすると、それ以外に何か激変緩和措置というもの——OPECの値上げというものは今回だけじゃありませんで、まだまだ年内に何回か行われる可能性もあるわけです。そうなってまいりますと、いまの申請どおりにいっても十分でないという結果になり得るわけですね。だから、それをどうやって調整していくのか、何かいい知恵はないものだろうか。そうした料金の算定方法について、先生何かお考えがあればお聞かせを願いたいのです。  実は、先日似たような話で、建元参考人燃料費についての、何と言いましたかね……(「可変条項、燃料費条項」と呼ぶ者あり)何か弾力条項みたいなやつを入れてやっていったらどうだという話があったのですけれども、小刻み調整みたいなものですね、先生はそのことについてどうお考えなのか、ちょっとお聞かせ願いたいと思います。
  90. 向坂正男

    向坂参考人 欧米の国では、小刻みに電気料金値上げして、いわば一時に大幅な値上げを回避する、そのショックを回避するという方法をとっている国もあることはあります。これもやはり一つの方法だと思います。もし小刻み調整をやろうとするならば、いま御指摘のように燃料費条項ですね、燃料費がある一定の幅以上に変化したときには、いわば機械的にある計算のもとで電気料金を引き上げていくという方法であろうと思います。これは料金制度部会でも、かつて燃料費電力料金を検討したことがございますけれども、そのときは、またこういう大きな変動がすぐ来るとは考えなかったのですけれども燃料費条項であると、小刻みに改正していくことが消費者にとってはいいかどうか。企業にとっても、ある程度めどを立てる上にも、あるいは省エネルギー投資をやっていく上にも、むしろある時期は安定しているとか、そういう状況の方がいいかもしれない。もう一つは、燃料費だけでやっていって、今度ほかの資本費、それから人件費その他、インフレが進みますから、どうせある時期にはそれもまた電気料金に織り込まなければならないということですし、燃料費だけでいつまでもやっていくと、今度別の面からの赤字が出てくる可能性がある。そういうものをいつ、どういうふうに調整したらいいかという問題もございまして、そのときの料金制度部会では燃料費条項の採用は見送った方がいいだろうということで、なお検討問題としては残しておりますが、そのときはそういう方向でございました。  ですから、もし小刻み値上げをするとすると、もしいまのように原価計算から何から全部洗うとなると、もう電力業界は常に料金問題で右往左往していなければならないということになっては、電力本来の使命を果たせなくなる可能性もございますし、もしやるのならば、合理的で、みんなが納得できる方式で、燃料費があるところまで上がってきたらやるというようなうまい方法を見つけるべきではないか、要するにそれは今後の研究の課題だろうと思います。
  91. 井上普方

    井上委員長 私、向坂参考人にお伺いしますが、先ほど来のお話で、節電と申しますか、省エネルギー価格メカニズムの中で解決していけばいい、するべきだ、こうおっしゃいました。しかし、電気というのは、これはもう地域独占でございますし、できません。電力会社もこれは価格メカニズムで動いておるのじゃございません。といいますのは、独占企業でございますので、当然企業モラルというものもなければならないし、また国民理解と納得を得なければ、地域独占の関係上だめだと私は思います。そういう意味から、先ほど来問題になっております原価の公表をすることによって、国民には価格メカニズムでしんぼうさしておるのだ、これを理解させる方法が一つあるのじゃないか、こう思うのでございますが、この点を一点お伺いいたしたいこと。  もう一つは、電力会社合理化をやった、合理化努力しておるとおっしゃいます。特に人件費については合理化をやったとおっしゃいますが、見てみますと、その間に、電力会社が一〇〇%出資した子会社がかなりできてきて、そこに人員が配転せられておるわけです。結局そこの利益というものも電力料金に算定せられるようなことになっています。それでひどい話でございますが、電力会社が一〇〇%出資しておる会社が不動産の売買をやっている、あるいはまたゴルフ場の経営もやっている、おかしいじゃないかということを、一昨日も私は申したのでございますけれども、こういうような企業モラル、特に私はモラルが必要だろうと思います。特に公益企業でございますのでなになんですが、ここ四、五年の間に電力会社が贈収賄に問われたような事件もございます。あるいはまた公文書偽造というようなこともやりましたし、どうも電力会社のいまの経営姿勢、ある一部ではございましょうけれども、これらに対して厳しく当たらなければ、国民はこれだけの値上げを、しかも独占価格でございますので、理解しないと思うのです。こういうような点について、料金制度部会の中においてどのような考え方で臨めばいいのか、御検討願いたいと思うのでございますが、いかがでございますか。
  92. 向坂正男

    向坂参考人 第一の問題で原価の公表問題ですが、これは料金制度部会でも、御承知のようにいわゆるディスクロージャー、電力事業は、言われたから公表するのではなくて、なるべく積極的に電力事業の実態を消費者の皆さんによく理解できるように、積極的な姿勢で広報活動をする必要があるということは部会の結論でございます。その中で燃料費など、特に消費者料金問題と関連して関心の深いものについては、なるべく具体的にそういう公表をした方がいいというのが、あの委員会意見でありました。現在、これは企業秘密に触れる部分がございます。特に個々の油をどの会社からどれだけで買ったかというようなことは、これは私は企業秘密として公表すべきものではないと思いますけれども、どういう油種を、どの程度、どういう値段で買ったか、一年間およそこのくらい、あるいは半年間このぐらいの値段で買ったというようなことは、もう少し私は電力会社も積極的に公表していいのじゃないかというように思います。何かそこを隠そうとすれば、それじゃ何かあるのかということにもなりますから、企業機密、つまりこれは電力会社だけじゃなくて、相手の石油会社など取引先の企業機密とも関連しますが、そういう意味での企業機密に触れない限り、できるだけ燃料費などは公開した方が国民理解を得やすいのじゃないかという、これは委員会意見ではなくて私の意見です。  それから後者の問題については、私特に意見を申し上げることはございません。承って、判断の限りではございませんので、事実もよく知りませんし、そういう問題が提示されたということを承って帰りたいと思います。
  93. 井上普方

    井上委員長 それでは、どうもありがとうございました。
  94. 松浦利尚

    ○松浦委員 平岩参考人に具体的にお尋ねしますが、私たちが査定をするときにわからないことは、御承知のように電力会社は備蓄を持っておられますよね。ですから三月三十一日で来年度に繰り越す備蓄は総量幾らあるか、各電力会社からお答えいただきたいと思うのです。
  95. 平岩外四

    平岩参考人 私の方が現在持っている会社の備蓄は三十三日でございます。
  96. 若林彊

    若林参考人 私の方は三十日。
  97. 森本芳夫

    森本参考人 私どもは五十数日分を保有しております。と申しますのは、当社の火力地点が太平洋岸製油所から最も遠距離にありまして、加えて日本海の荒天によりまして燃料の受け入れが不安定になるということから五十日余りを保有しておるわけでございます。
  98. 永倉三郎

    永倉参考人 九州電力では、約五十万キロリットルでございまして、四十五日分程度でございます。
  99. 松浦利尚

    ○松浦委員 さらにお尋ねしますが、いまそれぞれ約一カ月ないしそれ以上の備蓄を来年度に繰り越されるわけですが、今度の申請に当たってキロ当たりこれは価格にして幾らの差と見ておられますか。  平岩参考人から四人の参考人、おっしゃってください。
  100. 平岩外四

    平岩参考人 現在数字を持ち合わせておりませんので、後ほどお答えさせていただきます。
  101. 松浦利尚

    ○松浦委員 わかっておるところございましたら教えてください。全部わかりませんか。
  102. 森本芳夫

    森本参考人 手元に数字がございませんが、だんだん高いものを購入してまいっておりますので、貯油は安いものでございますので、そういまのところは高いものにつかないと考えております。
  103. 松浦利尚

    ○松浦委員 ちょっと、もう一遍……。これがマイクでございますから、これへ口つけてください。
  104. 森本芳夫

    森本参考人 貯油につきましてはいままでの分でございますので、これから高いものが入りますので、その消費と購入との差でございまして、現在のところそう高いものになってないというふうに考えます。
  105. 永倉三郎

    永倉参考人 ちょっと私の方で数字がわかりませんので、後で差し上げてよろしゅうございましょうか。
  106. 松浦利尚

    ○松浦委員 結構です。
  107. 若林彊

    若林参考人 手元に数字がございませんので、後で申し上げたいと思います。
  108. 松浦利尚

    ○松浦委員 それから、若林参考人に、これは大変きつい質問になるかもしれませんけれども、原発は、先ほど福田参考人も言われましたように、非常に、反対、賛成、両方意見がありまして、きょうの新聞によりますと、九州の公聴会が、反原発グループがなだれ込んだために公聴会が打ち切りになったという、そういう新聞記事をきょう読んだのです。ですから、これから原発を建設するときには、相当な補償要求というのがそれぞれから出てくると思うのですね。おたくの場合は、先ほど武部委員が記事を取り上げて質問をいたしましたけれども、そういう補償に対して何らかの内部規定とかなんとかいうのをお持ちなんでございますか。もしあるとすれば、そういう原発をつくるときの最低の補償額、一原発をつくるに当たってのそういう補償額の最高限度額というのは議論をしておられるのでございますか。  なぜこれを申し上げるかと申しますと、先ほど武部委員も言いましたように、そういう地元の要求によって土地を取得するためのあるいはその他の環境整備のための経費というのが莫大に出てきますと、その分が消費者あるいは産業界コストとなってはね返ってきますからね。だから、規律の問題、一体どこまで補償額を出すおつもりでおるのか。東京電力の「原子力開発の現状」というのを読ましていただきましたし、あるいはいろいろな資料があります。これから、いろいろ意見はあるにしても、現在皆さん方は原子力に傾斜をしようとしておられる、発電の総量をですね。ですから、その点は、若林参考人からぜひ聞かしておいていただきたいと思います。
  109. 若林彊

    若林参考人 先ほどお答え申し上げましたように、私どもとしては、漁業補償というものが、いわゆる政府の損失基準というものがございますから、それを目標にして考えておるわけでございます。それから、そのほかの土地の獲得に対する補償等、これは当然適正なものに考えておるのでありまして、別に大きなものを考えてはおりません。これから、私の方も三カ所の原子力地点を持っておりますけれども、現在もそれぞれ交渉中でございますが、そういう基本的な考えで折衝をやっておるところでございます。別にこれから大きなものが出るとは思っておりません。
  110. 松浦利尚

    ○松浦委員 金額的な最高限度額とかそういったものがなければ、ぜひこれから検討を加えて、ある程度やはり規律あるものにしてもらわないと、むやみやたらに札束で、要するに原発をつくればいいんだというそのためだけが目的になって、コストのことを無関係にどんどん金をばらまくというようなことは絶対にないように、先ほどの記事に関連をして、ぜひひとつ規律ある行動をとってもらいたい。これは要望です、抽象的になりますけれども
  111. 若林彊

    若林参考人 十分承知しております。そのとおりだと思います。
  112. 亀井善之

    亀井(善)委員 電力会社参考人の方に、どなたか代表でも結構でございますが……。  電源の多様化の推進ということでそれぞれ陳述並びに御計画があるわけでもございますし、大変むずかしいこれからの先々の問題といたしまして、いろいろ状況も変化をするでしょうし、いろいろむずかしい問題があろうかと思います。その中で石炭火力の問題がやはり私は原子力への移行の問題の中でも、やはり国内炭の活用の問題もございますし、石炭火力に注目をされるのではなかろうかと思います。  そこで、国内炭と同時に輸入炭の先行取得の問題等、いろいろ問題があろうかと思います。そういう点で御意見あるいは御要望というようなものがございましたら伺いたいわけでございますが、ある面では官民一体になって取り扱わなければいけないのではなかろうか、あるいは国が、資源外交として努力をしなければいけない問題もあろうかと思います。さらにもう一方、石炭火力発電所の問題といたしまして、環境の問題もあろうかと思います。これからさらに立地をされる等、いろいろ問題があろうかと思いますので、そういう点で御意見がございましたら御開陳をいただきたいと思います。
  113. 平岩外四

    平岩参考人 ただいま先生おっしゃいましたように、電源多様化の推進は、むしろこれから電力業界が取り組むべき最大の課題だと考えます。その中で大きなウエートを占めるのは、おっしゃられますように、石炭火力もその一つだと考えます。石炭火力の特徴は、非常に賦存量が大きいということ、これは、世界各地にありその量が非常に多いということです。そういう点で将来の多様化の推進の大きな一つの柱になると思います。  ただ、おっしゃられましたように、それには環境問題があります。それからそのほかに輸送、関発という問題もいろいろございます。それらにつきまして私どもは、国内炭の問題とあわせて海外炭、海外からの開発、輸入、そういうものをどうするかということで、いま一つの会社をつくっております。そしてそれは同時に、官民一体になって今後の多様化の推進を行っていく一つの母体にならなければいけないと考えております。これは、対象としてはもう各地にありまして、中国、オーストラリア、カナダ、アメリカ各州それから南ア、そういうように非常に多いわけでございます。  それから、これに対する環境問題については、これから取り組んでいかなければいけない非常に大きな問題でございますし、現に、これを実用化するために、もうテストプラントもでき上がっておりますし、実用化に近い状態にありますので、今後、石炭火力の推進には大いに力を入れていく考えでおります。  なお、それについては今後とも先生方の御協力をぜひ得たいと思います。
  114. 亀井善之

    亀井(善)委員 私は、平岩参考人東京電力の傘下に住んでおるわけでございますけれども東京電力とされますと、いま石炭火力発電所はないわけでございますね。これからの計画というかその辺はどういうことでございますか。
  115. 平岩外四

    平岩参考人 現在、私の方は茨城県の管内に約三百万キロ程度火力発電所の計画を持っております。とれがうちの管内のまた新しいスタートということになろうかと思います。
  116. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 電事連の会長もしていらっしゃいます平岩参考人にお尋ねしたいと思います。  平岩参考人は、先日、二月二十日でしたか、参議院の物価問題特別委員会に御出席なさいましたね。その席上で、公益企業である電力会社は政治献金はしないことにしている、こういう発言をされていらっしゃるわけですけれども、それは東京電力だけということではなくて、電力企業全体のことをそういうふうにおっしゃったのでしょうか。たとえば電力会社といいますと、電力事業を支えるために多くの子会社、あるいは関連会社をつくっていらっしゃるわけですね。これらの企業についても、親会社であります電力会社の考え方が反映されるべきだというふうにお考えになっているのかどうかという点なのです。同時に、その発言は、電事連の会長として電力九社は政治献金はしていない、そんなことはやっていないというふうに理解してよいのかどうか、ちょっとお尋ねをしたいと思います。
  117. 平岩外四

    平岩参考人 参議院の委員会で申し上げたのは、東京電力の立場として申し上げました。そして、それは子会社に対しても、私どもは政治献金はさせていないという御理解をしていただいてよろしいと思います。
  118. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 もちろんいまおっしゃったように、電力会社がつくっておられる子会社というのは、公益事業であります電力事業を支えるためにつくられたものですから、子会社といえども、それは電力会社と一身同体だ、こういうふうに私も理解いたしますし、会長もそういう理解のもとで東京電力としてはないというふうにおっしゃったと思うのです。ところが、残念ながら私たちが調べましたところ、東京電力東北電力、それぞれ子会社がやっているという状況なんですね。たとえば、官報から調べたのですけれども、政治資金団体財団法人政治協会、ここへ向けて関東電気工事、これは東電の持ち株率というのは五一%なんです。そこが五十一年に六十万円、五十二年に四十三万四千円、五十三年には百二十二万八千円を献金していらっしゃる。それから東北電気工事、ここは東北電力の持ち株率がやはり五一%というところですが、五十一年には十二万円、五十二年は十六万八千円、五十三年が十六万八千円、こういう状態なのですが、それじゃこれは東京電力の社長さんとしては把握していらっしゃらないということなのでしょうか。いかがでしょうか。
  119. 平岩外四

    平岩参考人 子会社でなくて関連会社については、それぞれの経営者が考えるべきことだと思っております。
  120. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 それなら、例に出しました関東電気工事、おたくが五一%の持ち株を持っていらっしゃるという、ここはいかがなのでしょうか。
  121. 平岩外四

    平岩参考人 これは当社の関連会社ではありますけれども、うちの子会社ではございません。
  122. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 どうもよく私には平岩参考人がおっしゃっている意図が通じないで、疑問が残るというばかりなんです。公開の席上ですから言いにくいのではないかというふうに理解をして、それ以上突っ込みません。しかし私どもの調べでも、こういうことがちゃんと官報に載っている。知らぬ存ぜぬと言ったって載っているというふうな状態の中ですから、もう一度ぜひお調べになって、関連会社であろうと子会社であろうと、一番最初に申し上げましたように、公益事業として電気事業関連会社は、おたくが参議院の物特でおっしゃったように、そういうものはやらないんだ、公益事業というものはそういうものなんだということを、もちろん自分が持っていらっしゃる子会社や関連会社にも指示すると同時に、九電力全体に対しても、その推進役として平岩参考人東京電力社長、しかも電事連会長という立場で臨んでいただくべきだというふうに思いますが、いかがでしょうか。
  123. 平岩外四

    平岩参考人 私どもは先ほど子会社と関連会社を区別しておりますけれども、子会社というのは、大体うちが一〇〇%近くあるいは五〇%以上持っているのを子会社と考えております。関電工の場合は、一般から株主を募集して、当社は五〇%未満のあれを持っておりますけれども、これはむしろ一般企業に類する、もちろん関連会社の範疇には入りますけれども、子会社とは違うと思っております。
  124. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 いまのお答えでは、私が申しましたのではないお答えが出たわけですね。子会社、関連会社の説明を聞いているのではなくて、とにかくこういう事実があるというふうに私どもは調べましたので、平岩社長は、社長の立場あるいは電事連の会長として、公益事業でありますこういう全体の電気事業国民のために支えるためにある会社に対して、参議院の物特委員会でおっしゃったようなことをきちんと指導をしていただきたい、その点はいかがでしょうかと、こう申し上げているわけです。
  125. 平岩外四

    平岩参考人 ただいまのは、御意見として承っておきます。
  126. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 ぜひよろしくお願いします。
  127. 野田毅

    ○野田委員 若干誤解のないように御認識をいただきたいのです、ちょっと関連するのですがね。  政治資金というものがいかにも悪であるという前提に立つというのは私はどうかと思いますが、政治資金規正法の限度の中で許されておる範囲のものであるということであるのと、それを超えて違法な形をやっておるものとはおのずから区別があっていいのではないか。これはやはり誤解のないようにしておくということは必要なことだと思います。  それで話はちょっと変わるのですが、福田さんに二点ぐらいお伺いしたいのです。  九電力体制をそろそろ見直していいんじゃないか、それから、地域が異なることによって電灯料金が異なるのはおかしいのではないか、こういうお話もあったのですけれども、先般、宮地さんも一緒に行ったのですが、ECの議会の人たちとお話をしましたときに、実は私どもかなり強く言われたのです。日本というものは大体石油がない国じゃないか、それが世界の中でも非常にたくさんの油を買っておるじゃないか、ある意味では世界全体の石油需給を逼迫させる一つの元凶になる、であるならば、日本は従来以上に原子力中心とする代替エネルギー開発をもっとやらなきゃいかぬのじゃないか、それが国際的な責務というものではないか、こういうようなかなり強い指摘も受けておるわけでなんです。そういうことを考えますときに、フランスなんかはもう一〇〇%原子力に依存しようとしておる。もちろん安全性の問題はどこの国においても非常に大事な話であります。  そういったことをいろいろ考えますときに、日本の中で少なくとも原子力発電に非常に協力をした住民たちといいますか、その地域の人たちが、結果において、その協力のメリットを電気料金の相対的な低位の水準という形で享受をするということがあるいはあってもいいのではないか、そういう考え方も一方であるわけなんです。そうでなければ、東京都のごみ処理の問題じゃないけれども、いやなことはみんなどこかほかのところにやらせて、自分の地域だけは安い料金にしてもらおう、こういった考え方が横行しかねない。そういったことを考えますときに、むしろ、この地域は原発に協力しておる、したがって相対的に低価格料金供給してもらえるんだという形にした方が、かえって、本来の意味での地方自治といいますか、そういった自己責任体制にも沿うのではないかという考え方も一方では現在あるわけなんです。そのことについていかがお考えなのかというのが第一点でございます。  それと関連して、先ほど、原子力発電の安全性についての結論が出るまでは新増設は当分ストップすべきである、こういう陳述があったわけなんですけれども、世界的に見て安全性の基準というものは必ずしも一〇〇%確立されておりません。現在の日本の安全性の問題は、むしろヨーロッパやあるいはソ連やらアメリカなんかにおけるよりもかなりきつい水準だとも言われておりますが、もしそういうことで本当に——科学の世界ですから一〇〇%ということはあり得ないかもしれません。しかし、それだけの努力をしてもらうにしても、一〇〇%安全だというのでなければだめだということならば、これはほとんど無理になっちゃうのじゃないか。そういうことになった場合に、われわれは長期安定供給ということを目指すのか、あるいはそれが安全性の問題が出るまではだめだというならば、逆に価格アップをわれわれは耐え忍んでいくのかという選択の問題にぶち当たるだろうと思うのです。その場合に当然雇用の問題にも影響が出てくるわけであります。安定供給が達成できないならば当然産業界も大変なことになるでしょう、国際競争力の上でも問題になるでしょう。そうすると失業の問題にもぶち当たるわけなんですね。そういった全体的な整合性を考えた場合に、安全性の結論が出るまでは新増設を中止せよというのは若干——福田さんの表現をちょっと強く言い過ぎたのかもしれませんが、そこまでお考えではないのかもしれませんが、私にはそう受け取れたものですから、その辺についてもう少し詳しい御説明を承りたい、こう思います。
  128. 福田勝

    福田参考人 九電力体制と、電力料金の格差問題を含めて原発問題でいま御質問があったわけでございます。  九電力体制の問題につきましては、私の手元にも主要六カ国の電力会社企業形態がございます。私どもの方で調べたのもございますが、これを見ましても、たとえば国営なり公営と言われる分野が非常に多いわけであります。したがって、日本が二十六年に九電力体制をとって、それなりのプラスはあったと思いますけれども、私は、ここまで構造的問題が出てきた場合においては、私企業で、地域独占の公営企業というのはもう運営できなくなってきておるのじゃないか。国鉄になっちゃいかぬという意見がありますが、私企業でやりますとどんどん上げていくわけですから、ある意味じゃ国鉄で出ておる赤字をそのまま消費者とか産業界にかぶせたと同じことでありまして、そういう意味においては、あのときの高度成長期には確かに一定のあれはあったと思いますが、九電力体制そのものも一遍見直しを委員会等でやっていただきたい。各企業の方が固執されるのは当然わかりますが、もっと広い政治的な分野でやっていただきたい。東京電力と九州電力とどこが一体競争関係にあるのか。隣にあっても電気を買えない。私が東京におって隣の安い中部電力でも北陸電力でも買えるというなら、これは競争関係にありますが、東京におる限り北陸電力からは絶対に買うことはできない。こういう中で競争関係は成り立たないわけでありまして、そういうものが一体どこで私企業の意味があるのか。それはないとは言いませんが、それも含めてこの体制そのものももう一遍再考慮する段階に来たと思います。  それから、いま電力の格差問題、先ほど申し上げたように、率直なところ格差がこんなにあることについて、昨年北海道に行きまして、一番北海道の方から言われたのは、石炭で協力をしておるのに何で一番高いのか。これは何とも疑問で、もう言いようがないわけですね。一番協力しておるのが一番高くて一番先に値上げをさせられる、こういうばかげたことがあるかという北海道の住民の素朴な質問には、答えられないんです。さしあたりもう少し調整したらどうか、少なくとも家庭用電力くらいはまず調整できないかというのは、これはきわめて常識的に出てくるわけでございます。そういうこともございます。  それから、いま先生の方からECでの代替エネルギーの問題がありましたが、確かにおっしゃるように原発のところは、フランスにおきましてフランスの方からもいろいろ聞きましたけれども、やはり日本人がまず第一に持っている原爆の被爆国としての、これは社会主義国の人であろうとヨーロッパの人であろうと、何と言ってもなかなかわかってもらえないものが国民感情的にあるということ。それともう一つは原発問題。確かに日本の安全性は相当あるとは思いますけれども、私の手元に各労働者の被曝をしておる実例が来ておりますが、これなんかを見ましても、確かに電気の社員の被曝の数というのは一定しておりますが、下請、孫請、その下はどんどん被曝を受けておるわけでございまして、私も詳しいことはわかりませんが、もうある意味では許容限度を超えるようなのが資源エネルギー庁の資料でも出てきておるわけです。日本は相当安全だとは聞いているけれども、これだけ現場の労働者の被曝がふえている。しかも、これは隠されておりますが、資源エネルギー庁の資料でもありますし、近ごろ労働者からも具体的な事実が出ておるわけです。したがって、安全の問題を言いましても、これを見ましても決してそれほどの安全が日本にあるとは思われないのです。そういうことから言いましても、確かに雇用問題なり価格の問題があると思いますが、先ほど申しましたような、一九七〇年では全体の平均の負荷率七〇%で、いま五四、五%ですから、負荷率が一九七〇年に七〇%できたのならば、せめてそこまでの努力は少なくとも目標としてはできるのじゃなかろうか、ひとつそれをやってみたところで、総合的な中でこの問題をやりませんと、私ども何もここですぐ結論をどうと言っておるのじゃないのです、ここしばらく国民を二分しているこの大問題は少し冷却期間を置いてやろうじゃないか、そういう提起をしているわけでございます。そういう意味でそれなりに、電気をとめてもいいということを何も言っているわけじゃございませんので、きわめて計画的に申し上げておるつもりでございますので、ぜひひとつ御理解いただきたいと思います。
  129. 松浦利尚

    ○松浦委員 平岩さんにちょっとお尋ねいたします。  きょうは価格関係ですから、私は価格の問題に焦点をしぼって質問するわけですが、二月六日に参議院の物価問題特別委員会参考人意見陳述をなさったときの、ここにその資料が来ておるわけですが、これはそういうものを逆算をしてみてある新聞で出ておった内容なんです。これが正確かどうか、近いかどうか、その点についてひとつ御返事ください。  今度の申請に当たって東京電力では、レートは二百四十円、それから公式販売価格は昨年末が二十六・五ドル、それから一月のサウジが二ドル、それから運賃、保険料が二・六ドル、それから関税、石油税が二ドル、キロリットル当たり三千円、それから内陸輸送、タンク基地備蓄、これが四・六ドル、キロリットル七千円、それから低硫黄二・五ドル、ミナス原油プレミアム二ドル、スポット一・五ドル、バレル当たり四十三・七ドル、こういう試算が出ておったわけですが、この数字の中に間違いがあったら指摘をしてもらえませんか。
  130. 平岩外四

    平岩参考人 為替レート二百四十円だけはそのとおりでございます。あとは、その数字、ちょっと私は存じ上げません。
  131. 松浦利尚

    ○松浦委員 じゃ、どういうふうに違いますか。
  132. 平岩外四

    平岩参考人 いや、よくわかりません。
  133. 松浦利尚

    ○松浦委員 それじゃ、いまから具体的にお聞きすることについて御返事いただけますか。いま言ったような順序で、おたくで試算した内容を御返事いただけますか。これが間違いだと言っておられますから、具体的に数字を言っていただけますか。
  134. 平岩外四

    平岩参考人 それはいつの新聞に出ているあれでございますか。
  135. 松浦利尚

    ○松浦委員 これは、ある業界関係の新聞に出ておった数字なんです。
  136. 平岩外四

    平岩参考人 それを一度勉強させていただきたいと思います。
  137. 松浦利尚

    ○松浦委員 それじゃこれを空白にして、いま言った昨年末、一月サウジ、こういう形で、いま数字を入れてもらえますか。いま私が具体的に言いますから、おたくで今度申請した内容について具体的に数字を入れていただけますか。  いま一つ一つ言いましたね。たとえば内陸輸送、タンク基地備蓄、四・六ドルと私は申し上げました。キロリットル七千円と申し上げましたが、これがもし間違いであれば、ここは何ドル分幾らというふうに申請をなされておるのですか、それを教えてください。
  138. 平岩外四

    平岩参考人 その数字、私よくわかりませんので、後でその資料と一緒にちょっと勉強させていただきたいと思います。
  139. 松浦利尚

    ○松浦委員 数字はもう全く出ないということですか。おたくの方がいま私が申し上げた内容についてこの数字のことにこだわっておられるから、だからこの数字は撤回してもよろしい。  私の言うことをよく聞いてください。私が言っておるわけじゃないんだから。さっき言ったように、申請なさった価格についてこの特別委員会としては具体的に議論を詰めたいと思いますから、こういう不確定な資料が私ども手元にありましたからどうですかとお聞きをしたら、そういうことは勉強させていただくと言っておられるけれども、それじゃこれを白紙にいたしまして、レート二百四十円で公式販売価格昨年末、一月のサウジ、あるいは運賃、保険料、関税、石油税、内陸輸送、タンク基地備蓄、そしてミナス原油プレミアム、低硫黄、スポット、そういうものについて、申請した内容について数字を入れて後刻くれますか。できますか、できませんか。
  140. 平岩外四

    平岩参考人 その資料を一度見せていただきたいと思いますし、それで、お答えできるものとできないものと恐らくあると思います。資料として出せるものと出せないものが恐らく出てくると思いますけれども……
  141. 松浦利尚

    ○松浦委員 出せない理由は何でしょう。
  142. 平岩外四

    平岩参考人 いや、よくわかりません、どういう計算でされておるのか。
  143. 松浦利尚

    ○松浦委員 計算を私言っているのじゃないのです。もう一遍申し上げましょうか。項目を申し上げておるのですよ。これは私たちが試算をしたときに取り上げた数字です。しかし、いずれにしてもその数字はもうないことにいたしまして、レートは二百四十円、これはもう間違いない。ですから、皆さん方が申請をなさったときの公式販売価格、昨年末は幾らでしたか、サウジ一月、幾らに見ておられますか、運賃、保険料は幾らですか、関税、石油税は幾らですか、内陸輸送、タンク基地備蓄、幾らですか、低硫黄幾らですか、ミナス原油プレミアム幾らですか、スポット幾らですか、その数字をお聞きしておるわけです。
  144. 平岩外四

    平岩参考人 後で出せるものを出したいと思います。
  145. 松浦利尚

    ○松浦委員 平岩さん、長時間参考人の皆さん方に来ていただきました。非常に遅くまで感謝にたえませんが、田中さんなり、あるいは福田さんなり小川さん、需要する側から意見が出ておりますように、確かに原油価格が上がったから、当然六〇%近くを占める料金値上げ燃料なんだ、だから申請したのだ、そのことはわかります。しかし、逆に言いますと、政府は来年度物価は六・四%に抑えるということで、国民に公約ではありませんが一つの政策目標を出しまして、そしていま予算審議に入っておる。そうすると、われわれ特別委員会としては、今度の皆さん方が申請なさった電気料金をどうするかということに対しては、物価という面からも含めて責任を持つわけですね。ですから、いま申し上げた数字というのは、ある程度厳密な形で私たちも議論に参加をさせてもらわないと、午前中からいろいろな議論がありましたように、非常に重要な要素を含んでいます。向坂先生が言われるように、そういうことでは長期安定ができなくなる、ですから思い切ってこの際は認めるべきだという、暗にそういう御意見もあるのですね。しかし、片一方では田中さんのように、いや、六・四%に物価を抑えてくれ、政府目標ではなくて、国民としてはこれは政府の公約にしてくれ、そのために議員さん何をするのです、がんばってくださいという御激励を賜っておるのですからね。そういう意味からすると、皆さん方からある程度正確な数字をいただいて、正しく国会議員に議論をしていただいた方がいいのではないでしょうか。ですから、そういう意味で私はこの数字をぜひ教えてください、こういうふうに申し上げておるのです。だめですか。だめならもうこれ以上申し上げません、時間ばかり食いますから。
  146. 平岩外四

    平岩参考人 今回の申請に当たっての当社使用燃料の総合の五十五年度平均公式販売価格はうFOBで三十一ドルと私どもは計算をいたしました。そして、これらを総合した公式販売価格は現実にはもう三十一ドル以上になっているわけでございます。それで、それにプレミアムとスポットを上乗せいたしまして、それはそれぞれ約二ドルずっと計算をいたしました。それで、三十五ドル程度のFOBと算定をしたわけでございます。
  147. 松浦利尚

    ○松浦委員 さらに、参議院の物価特別委員会では、円に換算してFOBでキロリットル約五万三千円、CIF価格で約五万七千円、国内流通経費含めて六万七千円、こういうふうに意見陳述なさっておりますね。それは間違いありませんね。
  148. 平岩外四

    平岩参考人 はい、そこまでを申し上げております。
  149. 渡辺秀央

    ○渡辺(秀)委員 さっきの野田委員の質問に関連して福田参考人にお願いしたいのですが、原子力価格問題の大きな底辺は、確かに何といっても安い電力を提供するということでありますから、われわれとしては原子力を早期に軌道に乗せて、そしてこの供給量をふやすことによって価格を低下させていくということは、当面の代替エネルギーとして、日本の将来のエネルギー方策としては一番のとるべき方法ではないのか、こう信じているわけです。その点では福田さんとは基本的に大きく違うということはよくわかります。わかりますが、しかし、先ほどの野田委員に対しての回答をそのまま私たちも見過ごすわけにはいかない基本的な立場もありますので、あえて御質問をしたいわけであります。  第一点は、エネルギー庁の資料によるとかなりの事故者が出ているというようなことをおっしゃっておりましたが、エネ庁から出ているどの資料でおっしゃっているのか、それをひとつお聞かせ願いたい。  それから、原子力建設を一時見合わせることによって経済的に波及効果は余りないというお話をされますけれども、現実に原子力建設を早めて経済効果を出していかなければならぬというのとかなり違いがあるわけですね。それで、この原子力発電所建設を途中でストップ、見合わせることが、経済を減速させたり不況を呼び起こしたりしていくということに、雇用問題や物価問題にどうして一体そんなに影響が出てこないのでしょうか。そこのところがよくわからないのですが、もうちょっとよく説明していただけませんか。
  150. 福田勝

    福田参考人 先ほど申し上げたのは——資料でございますが、これは私の方の「社員、下請別総被害被曝線量の推移」という、資源エネルギー庁の発表による従業員数、それから総被曝線量の、これはレムで出しておりますが、人数から全部あります。これは何だったら後からお届けいたします。
  151. 渡辺秀央

    ○渡辺(秀)委員 後で見せてください。
  152. 福田勝

    福田参考人 したがって、これは具体的にそこの労働者の証言から、それから具体的な写真から全部ございますので、簡単なパンフにしたもの、この出典も持っております、これは後から先生にお届けいたします。  これはそういう意味で表に出ていない被曝労働者の証言が出ているわけでありまして、これは余り表に出ていないだけに私どもは非常に注目し、しかも下請の、東電なら東電の社員の話ではなくして、もうその下請のまた下請、そこの数がずっと出てくるわけですね、そこのところがむしろ問題だと……。
  153. 渡辺秀央

    ○渡辺(秀)委員 そんなところへ下請の人が入れるような原子力発電所になっていますか。
  154. 福田勝

    福田参考人 いやいや、そうじゃないですよ、具体的にちゃんとそういうような資料がございますから申し上げております。したがって、それは後から……。  それからもう一つは、雇用問題とか価格問題で私が申し上げたのは、原子力発電所ができた後の価格等では確かに安いということは出ておりますから、しかしそれに至る間に、先ほど東北電力の例があったりしたように大変な難航をしておりますし、地域住民からございます。  それから、先ほど野田先生のところで、原発をつくったところは少しあれになってもいいじゃないのかというのだけれども、関西電力発電所はみんな北陸に行ってやっているし、東京電力は東電の管内にはなくて、今度は東北に行ってやっている。発電所は向こうへ行って、原発をつくって、そっちから持ってくるわけですね。だから、原発をつくっている人たちが言うのは、それほど安全なら東京でつくったらどうか、東京のど真ん中でやったらどうですか、何でへんぴなところへ来てわざわざやるのですか、こういうのが端的な地域住民の質問なんですよ。ですから、そういうことをもっと原子力問題、その安全性の問題なりそれ以前の問題としてきちっと把握しておかないといかぬのじゃなかろうかと申し上げたわけです。  それから、これをやるに当たりまして、たとえばもっと効率のいい、稼働率のいいようにしようじゃないかとか、夏なんかぐっと上がるわけですから、そこをお互いに協力してやることによってこれからの設備投資なんかでも縮めれるはずだ、現にいままでやってきたじゃないか、そういう協力、国民的な運動をお互いにやったらどうかという、そういう積極的提言とを含めて申し上げているつもりでございます。
  155. 渡辺秀央

    ○渡辺(秀)委員 地域住民は、福田参考人がおっしゃるほど全般的にそういうことを言っているのじゃないですよ。私の選挙区自身、それは東電さんも原子力発電を建設中ですし、東北さんもこれからおやりになろうとしている。そういうところから私は選出されておりますし、しかも原子力発電等、水力発電やあるいは火力発電やいろいろ考えてみて、それは世の中に一〇〇%安全だなんていうようなものはあり得べからざることなのであって、それはもちろん一〇〇%に近づけるために科学やあるいは人間の全知全能をしぼって努力をしておるわけですね。だから私は、願わくんば日本の大総評と言われる組合さんの中で、やはりそういう単純なごくわずかな感情論の中に埋没された考え方をお持ちにならずに、やはり国家の将来とかあるいは労働者の生活向上とか、地域の経済の活発化とか、そういったもっとマクロ的な見方の中で、原子力発電建設というようなことについてとらえて議論をしていただくことの方が国家のためになるというふうに思うのです。おっしゃられる意味もわかるのです。わかるのですけれども、余りにも原子爆弾と原子力発電と全く一緒にした考え方をしておられるところにきわめて科学性のない懸念が出ている。それはミリレムの問題なんかも私も多少研究をしてみました。実際一人の人間の人体の中にも、あるいは大自然の中にあって太陽を浴びる、その太陽の中ですら放射線というものがあるなんということは、一般の国民は知らないのですね。それが一体どの程度までが被曝なのかどうなのか、もっと科学性のある中でこれらの問題が議論されていかないと、わが日本は資源のない国なんですから、資源のない国で世界一の工業力をこれから維持していかなければならぬという大きな問題があると思うのですね。そういう中で、きょう福田参考人陳述を私実は聞く機会がなかったものですから御質問ができなかったのですが、原子力の問題についての御発言をさっきお聞きして、もう少し科学性とそれからマクロ的な見方とをしていただきたい、現実性を見ていただきたい、こういうお願いを申し上げておきたいと思います。
  156. 福田勝

    福田参考人 先生の方に反論というか、これは一方的にそういうふうにおっしゃるのも大変あれだと思うのです。これはもし国民の世論調査などをおやりになってみたら、総評だけでなしに相当数ございますし、地元住民の中にもこれはございます。私どもも決してそう主観的に原子爆弾と原発と何も取り違えておるわけではございませんので、ただ、もとの核の問題というのは、スリーマイル問題あるいは西独の問題といい、外国でもあれだけの問題が起こるわけで、日本の場合はそれこそは大変な問題なんですから、それだけに国民感情は鋭敏でございますよ、外国に比べて。そういうことを含めまして、これだけ世論を沸かして問題になっていることでございますし、われわれも疑問に思う。したがって、ここで少し数年お互いにこの問題を慎重に議論してみたらどうだろうか。一方的に、これは絶対安全だから電力をやったらいいと押しつけするのもこれは問題だし、そのことを含めてひとつやったらどうかということを提起しておるわけでありまして、私どもも私なりの、決して総評の一方的なあれじゃございませんので、それなりの資料をちゃんと整えてこの問題ではぴしっとやろうと思って、シンポジウムなども聞きながらやっておるわけでございますので、ぜひひとつお互いに冷却期間を置いて議論をしたらどうかと思います。
  157. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 物価に話題を取り戻したいと思いますけれども、九州電力永倉参考人に伺いたいと思います。  改定申請によりますと、電灯電力合計したところの平均料金単価、これは九州電力が一番高いわけです。今回の申請ではキロワット当たり二十五円七銭、これに対して一番安い北陸電力が十九円九十三銭、実に五円十四銭もここで開きが出てくるわけですね。現行料金では九州電力が十五円九十銭に対して北陸は十二円五十九銭、その差が三円三十一銭ですから、格差ということになりますと開く一方である。今回の改定申請の一番大きな理由というのは燃料費高騰であるわけですけれども料金原価高騰要因を各社別に見てみますと、購入電力料を含む燃料費、これが九州電力の場合は八一・一%、これは東京電力に次いで二番目に低いわけです。それから申請書の総括原価に占める割合を見ましても、これは五六・三%ということで、四国あるいは関西に次いで下から三番目とこれまた低いわけです。こう考えていきますと、九州電力料金というのはもっと安くなるのじゃないだろうか、こういうふうに思いますけれども、納得のいくような御説明をここでいただきたい。電灯電力合計平均値上げ率では四国に次いで九電が二番目に低いということはわかっているわけですけれども、ただいま御質問した件について御説明をいただきたいと思います。
  158. 永倉三郎

    永倉参考人 従来から九州電力電気料金は総合で申しますと一番高うございまして、ずっと昔は水力それから石炭火力でございますね、そういうことで大分つないでまいりまして、そしてだんだん世の中が安い重油を使うという時期になりましても、九州は産炭地だから地元の炭を使えということで、最後まで石炭を使ったと思うのです。そういうことで、料金ということにつきましては全国でも一番高かったのはどうしてもやむを得なかったということでございまして、われわれはそれを全国平均並みに何とかしたいということでずいぶん努力したものでございます。  冒頭の御説明にも申し上げましたとおり、いろいろな地域の特性と申しますか、非常に温暖でございまして、山の一番上まで人間が住んでおりますし、電柱を五十本、六十本というふうに延長いたしましてその先に二十戸とか三十戸、そういうふうなところもずいぶん多うございます。それに全国の離島の発電設備の六〇%を占めております。この離島の電力は、伸び方も非常にふえましたけれども、原価自体が非常に高うございまして、収入の倍要るというふうなことでございます。  そういうことでなかなか料金が下がらないというのがわれわれの悩みでございまして、今度もそれをなるたけ各社の格差を下げたいということで考えておりまして、四十九年にはほとんど油のための値上がりでございましたので、ずいぶん格差が小さくなりました。しかし、五十一年には油プラスその他の原因ということでまた少し開くということでございまして、今度も油が主でございますので少しは格差が縮まるということでございます。  これを電灯電力、計でいきますと一番高うございますが、電灯とか業務用電力、低圧電力、高圧電力、そういうふうに種別に分けますと必ずしも一番高くはないということでございまして、これは現行で申し上げますと、電灯は三番目でございますが、申請では五番目、それから業務用電力は現在は一番高うございます。そして今度申請のとおりになりますと六番目、それから低圧電力が現行が三番目であるのに六番目になるということで、種別によりますと必ずしも一番高いものばかりということではございませんが、平均いたしますと、非常に残念でございますが、一番高いということでございます。われわれはいかにしてこれを全国並みに持っていこうかということに鋭意努力いたしておりまして、そのために、電力会社合理化は非常にのんびりしているのじゃないかというおしかりはずいぶん受けますけれども、われわれ自身のことで申しますとずいぶんひどい合理化効率化というものもやっている、そういうふうに思うわけでございます。  電灯構成が非常に高いということが料金が高くなっている一つの原因でもございまして、九州は二八・三%が電灯全国では二三・九%ということでございまして、そういういろいろな事情でやはり一番高い。申しわけないと考えております。
  159. 野田毅

    ○野田委員 これはお答えは要りませんが、先ほどの資料のことでちょっと気になるのでこれだけははっきり申し上げておきたいのですが、エネ庁の資料によってもすでに被曝の許容限度を超えておるのだという発言だったのです。それは私はちょっと聞き捨てならない。独自でいろいろお調べになった上でそういうことであるならば結構です。ちなみに申し上げますと、昨年九月にエネ庁から出されております原子炉等規制法に基づいて出されます従業員の被曝管理についてのデータです。エネ庁が公式に発表しておりますのは、結論から言いますと、結果において放射性気体廃棄物及び放射性液体廃棄物の放出はすべての発電所において放出管理目標値を下回っているということがはっきり報告をされておるわけです。したがって、これに基づいてでも許容限度を超えておるのだということは、もしそういうことになりますとエネ庁はうそのことを発表したことになります。ですからこれは聞き捨てにならない。そのことだけははっきり申し上げておきたいと思います。これは御指摘を申し上げておきます。これは独自でお調べになって聞き取りや何かでやった結果そういうことがあるんだというなら別です。しかし、その辺はさらにわれわれの方も安全性については細心の注意を払わなければいかんと思います。また、お気づきの点があれば大いに御指摘をいただいて、あるいは国会の中でそれぞれ与野党の中でその点政府を追及するということは結構なことだろうと思います。  それから、話の論点をちょっと変えてみたいのですが、小川参考人に……。  買電だけじゃなく、共同発電あるいは自家発電いろいろ入れても電力コストは非常に上がってくるだろう。そうなりますと、特に電力多消費の産業でありますアルミというものは、一体これからどうやって生き延びていこうとするのか。先ほどのお話では、海外進出したり、できるだけそういった立地を考えながらやっていきたい、あるいは過去においては設備を廃棄したり人員を整理したり、いろいろな形において生き残るための御苦労をしてこられたように思いますけれども、しかし、これから予想される大幅なアップをどうやって具体的に乗り切っていかれるのか。その辺についての具体的な方法をお考えなのかどうか。あるいはまた逆に、どういうような対応措置を国としてやらなければいかぬのか、その辺についての御要望か何かあれば、ひとつお聞かせを願いたいと思います。
  160. 小川義男

    小川参考人 お答え申し上げます。  先ほども申し上げましたとおり、アルミニウム製錬の方は約八〇%を自家発、共発でやっております。それで、昨年一年間を見ますと、その自家発、共発による電力コストのアップが約七〇%を超えまして七二、三%になっております。その結果といたしまして、まあ電力会社さんには悪いのですけれども、幸いなことに買電の方は据え置きでございます。もちろん四月からは、為替差益の還元というのはなくなりましてその後上がりましたが、据え置きで、安い電力を使わしていただきました。それで私どもの持っておる自家発、共発は七十数%を割りました。それに対しまして、すでにもう非常に困難な状態にありますものですから、昨年一年間に五回アルミ地金の値上げ実施いたしました。この実施ができましたバックグラウンドには、国際的にアルミ価格が昨年の一月以降非常に上がったということがあります。そのバックグラウンドのもとで、輸入してまいる地金よりは国産地金の建て値が低目でございます。そういうことで値上げができまして、大体油の値上がりを吸収できた、こういう形でございます。  いまのところ大体そういう状態が続いておりまして、この一月以降も油価格が非常に上がってまいっておりますが、そういう状態が大体今年いっぱい続くのではないか。  非常になにでございますが、価格転嫁をしたという形でございます。ただ、五回、六回にわたり軒並みにならしてやっておりますものですから、今回の電力のような大きなショックを引き起こさずに済んでまいりました。  ことしあたりの見通しから言いましても、国際的には非常に強い見通しがございますので、大体そういう価格転嫁をすることによって経営が大体やっていけるのではないか、こういうふうに考えております。
  161. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 東電にお伺いしたいと思いますけれども、他社購入電力について、東京電力の場合には共同火力や電源開発等から買っておられて、申請の中では二千七百五十一億というかなりの額になっているわけですけれども、これは当然共同火力や電源開発値上げ分を見込んでの申請、今回の申請はそういうふうになっているわけですか。その点はいかがでしょう。
  162. 平岩外四

    平岩参考人 他社の購入電力電源開発その他から購入いたしておりますけれども当社の場合、火力発電からの購入電力は大体七〇%を占めております。それが高くなった原因であります。他社購入の場合には、電発さんから買うときもその他の場合もみんな原価主義で買っております。
  163. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 電源開発から買われる場合水力が主なようですけれども、これは値段については現在の値段で申請をしているということでございますか。
  164. 平岩外四

    平岩参考人 これは現在の価格といいますか、電発との契約単価というのがございまして、契約をすることによって契約単価を決めて入れております。
  165. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 よくわからないのですけれども電源開発から買う場合、電源開発料金そのものは通産省の認可料金である。通産省の認可料金ですから、当然どうなるのかということはまだ決まってないわけですね。私どもの方も、この点どうなのかなと思って電源開発に問い合わせをしてみたら、値上げ申請はしていないし、その準備もしていない。ですから、当然おたくが申請されている電源開発の分については現状の価格申請をされているというふうに理解をされるわけですけれども、どうもお話を伺っているとその点がそうでないということのようですので、そこを少しはっきりとお答えいただきたいと思います。
  166. 平岩外四

    平岩参考人 基本的には、もう契約済みのものはそれがそのまま入れてあって、契約更改のあるものは予測単価が入れてあります。
  167. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 認可料金であるものについて予想単価を入れるということ自体大変おかしな話で、しかも話によると大変額を上げて高目に予想しているというふうなことも聞いていますので、この点はきちっとしていただきたいというふうに思います。
  168. 平岩外四

    平岩参考人 高目に入れてあることはありませんけれども、御意見はわかりました。
  169. 中野寛成

    ○中野(寛)委員 先ほどのお話にちょっと戻るようですが、原発の問題でやりとりがありました。決してここは議論すべき場ではないと思いますからあれでいいと思いますけれども、ただしかし、先ほど来福田参考人が御指摘になられたように、常にあらゆる立場に立って不安なことがあればそれを指摘する、その姿勢、そういう人たちがいる、そのことは大変大切なことだと思うわけであります。  しかし、正しい議論と認識が出されることが必要ですし、ましてエネルギーの問題は量とコストとそして時間との闘いであることはみんなが知っていることですけれども、新しい発電所をつくる、まして原発ということになればリードタイムは大変長くとらなければいけないということもあるわけですが、冷却期間を置いてというふうな時間のゆとりが果たしていまあるのかということになりますと、私は大変疑問だと思うわけであります。先ほど来は渡辺委員福田参考人との議論みたいになってしまいましたけれども、専門家として電力業界の立場からの御意見がむしろあるだろうと私は思うわけです。  先ほど福田参考人の御指摘の中には、実際の電力会社の社員ではなくてその下請、孫請の皆さんが被曝を受けているという事例があるではないかという御指摘もありました。また、一方では電力労連の皆さんがTMIの事故のときには独自の調査団を派遣して調査をし、日本ではああいう事故を起こさないし、また起こるべき内容ではないという独自の見解の発表もあったことも私ども承知をいたしております。その辺のことにつきましてはそれぞれ企業としてどう考えておられるかということがまず第一義的に大変大切だ、このように思うわけであります。そういう意味で、平岩参考人に御代表いただいても結構だと思いますが、先ほどの議論も含めまして、どういう認識、また感想がございましたらお聞かせいただきたいと思います。
  170. 平岩外四

    平岩参考人 原子力発電というものは、私ども、これからの石油がなくなってきたものに対応する代替エネルギーとして欠くべからざる第一義のエネルギー源であると思っております。それはすでに現に発電をされ、安全性が相当追求され、しかもそれは制度においても、人員の訓練においてもよその国よりもはるかに進歩していると自認しているわけです。そして、その上にも安全性を追求しながら、要するに安全性を第一義に考えて、しかもその原子力発電を遂行する、これがいま最も必要なことではないかと考えて、そういう方針で進めております。  そうした中で被曝の問題が先ほどから出ておりますけれども、被曝の問題につきましては先ほどあれがありましたように、集中的に炉内に入って作業を行う場合には若干被曝量がふえることはあるわけです。しかし、それは絶対に法定の基準以内でおさまっておりまして、しかもそれのはるかに中でおさまっている実態でございますので、その被曝の心配というのは現実の問題としては出ておりません。しかし、今後原子力が多く稼働していった場合に、作業を集中的にやる者の被曝管理というものは万全を期してやりたい、これはより安全にという意味でございます。  それから、スリーマイルの事件が起きたときでも、あちらの国でやってなかったことをすでに現実にたくさんやってきているわけでございます。たとえば、放射能が漏れたような場合、向こうではやってなかったのを、日本の場合には、風向きによってどっちの方向へ漏れてもそれがキャッチできるようなモニタリングがちゃんとついているわけでございます。それから、従業員の訓練にいたしましても、向こうと全く違っているそういう体制ができている状態であったわけですけれども、なお、あれを参考にいたしましてわれわれはさらに一歩安全性を前進させ、これは幾らでも追求していかなければならない問題である。それは同時に、原子力の信頼性を向上させるという前提のもとに安全性をより追求していく、その両面の問題が必要である。その上に立ちまして原子力発電というものは代替エネルギーの重要なる部門であろう、こう考えているわけです。  先ほど一つ出ておりました問題、原子力発電ができているところは料金のあれが低い、こういう問題につきましても、現在原子力が稼働している部分で大体三〇%以上の稼働があれば、現在の油の量から見れば大体とんとんにペイする状態でございますので、稼働率を今後よくすることによってそれはなおいいエネルギーになり得ると考えております。  それで、格差の問題でございますが、格差がだんだん開いていくのじゃなくて、現在九社の格差がだんだん縮んでいるということをぜひ知っていただきたいと思うのです。と申しますのは、昔は水力が中心であったり火力が中心であったりして非常に単純な電源構成であったわけですけれども、最近は水力、火力、原子力とかいろいろと電源構成がコンパインドされてきまして、似たような電源構成になってきたわけです。それに従ってそこから出る電力の単価もだんだん近寄ってまいりまして、昭和四十年ぐらいには大体一・二四倍ぐらいに開いていた最高と最低の差が、現在は一・一ぐらいまでに格差が縮んできているということもぜひ御承知になっておいていただきたいと思います。九電力の格差がだんだん縮んできているのが実態でございます。  以上です。
  171. 中野寛成

    ○中野(寛)委員 それからもう一つ、配当率の問題が大変話題になっておりますが、たとえば通産省査定の場合に、いま申請は一〇%ですけれども、たとえば北海道さんのように八%という話がありました。     〔委員長退席、松浦委員長代理着席〕 これもいろいろ通産省あたりに聞きますと、結局それはあくまでも料金査定の中における一つの基準だとしておられる。ですから、たとえばその配当率について、役所が勝手にそれに枠をはめて決めるということは実際はできないというたてまえ論がありますが、実際、その査定の段階において配当率八%という基準をもしつけられるとしたら、やはり皆さんの場合に実際の配当は八%に、心理的にといいますか、役所で枠をはめられたという感覚のもとに対処せざるを得ないというお気持ちになるでしょうか。これは仮定の話で大変恐縮ですけれども、そういうことがあった場合。
  172. 平岩外四

    平岩参考人 仮定のお話というよりも、もし役所でそういうあれがあっても、配当の問題は本来企業経営の問題だと私は考えております。配当を幾らにするかというのは経営が決めることであって、たとえ配当原資がどうであっても、その中で努力して配当をふやしたり減らしたり、これは本来企業自体の経営の問題だと考えております。
  173. 中野寛成

    ○中野(寛)委員 そうすると、これはあくまでもいろいろ申請の中で、計算の根拠として一〇%の申請が出されていますけれども、あくまでもそれは料金等を含めての一つの目安として出しておられるというふうに考えてもいいのですか。
  174. 平岩外四

    平岩参考人 私どもが一〇%の配当をお願いしておりますのは、私どもが今後安定した経営——安定というのか、供給の安定を将来に向かってやっていく場合に、一割配当というのはどうしても私どもの立場として必要だ、そうでないとなかなか増資もできないし、社債も発行できないし、銀行の借り入れもなかなかできないし、したがって設備投資もなかなかできなくなるという一つのそういう立場から配当の一〇%をお願いしたいということでお願いしたわけでございます。     〔松浦委員長代理退席、委員長着席〕
  175. 相沢英之

    ○相沢委員 いまの質問にも関連をするのですけれども、結局電力料金を算定する場合、別にその配当を何%にするというような積算は御要求にもないし、それからまた、それを仮に通産省で査定をする場合にもそれは出てこないわけですね。ただ、一〇%を八%にしてもらいたいというのは、エネルギー庁というか通産省のいわば希望、こういうことになるのだろうと思うのですね。  そこで、その積算の問題としては、事業報酬の中に報酬が当然含まれてくる。現在はレートベース方式で事業資産に対する八%を事業報酬として算定をして、その中から借入資本に対する利息を払い、残りは配当に回すというのが大体の考え方だと思うのですが、昭和三十五年に事業報酬についての八%というレートベース方式が決まって、八%も決まって、その後昭和五十四年に、去年ですか、一度これを見直したらどうかということで検討されたが、結局結論的にはこの率で差し支えはないという結論を得たわけです。得たわけですけれども、これにも、今後経済社会情勢の推移を見きわめ、構造的な変化を生じたと認められるに至った場合には改めて検討すべきである、そういうことが書かれています。  そこで、この八%の問題は電力各社がそれぞれ適正、適当に決めるという問題ではなくて、電力料金を算定する際に一律にその事業報酬を八%として見込む。それは事業資産の範囲ということもありましょうし、その算定も問題があると思います。たとえば運転資金を一・五カ月に見ることがいいかどうかということは各社によっても違うと思いますけれども、そういう問題を置いて、事業報酬を八%と見るということはその料金算定の一つの基準になっているわけですが、今回の料金改定のように非常に幅が大きくて、経済界にも家庭生活にも非常に大きな影響を与える、何とかこのレートを低く抑えられないものかという、そういう状況のもとにおいては八%の事業報酬も、社会党さんの御意見では——三党共同修正であったか社会党さんの御意見でしたかね、七・五%というのは……。七・五%というのが出ておったようですが、私はその七・五はどういうところから出てきたか、それはつまびらかに承っておりませんけれども、その八%の事業報酬率というのもこの際再検討するということがあるいは必要ではないかと思うのですけれども、これはむしろ通産省なりエネルギー庁にお聞きするような質問かもしれませんので、あるいはこの場では適当ではないかもしれませんけれども電力会社としての御意見平岩さん、ひとつ聞かせていただきたいと思います。
  176. 井上普方

    井上委員長 平岩参考人に御答弁いただく前に、福田参考人は急用ができたようでございますので、御退席願いたいと思います。  どうもありがとうございました。
  177. 平岩外四

    平岩参考人 ただいまお話がありました八%の報酬率でございますが、これは私どもはぜひ必要だと考えております。確かに昨年でございましたか、電気事業審議会で審議をされまして、過去の従来の例、統計その他から考えて八%が適当であるというあれで変更はございませんでした、その事情は現在でも変わっていないと私は思っておりますし、将来の資金需要などを考えた場合に、最低八%の事業報酬というのはぜひ必要な率であると考えておりますので、そうお願いしたいと思います。
  178. 相沢英之

    ○相沢委員 さっき申し上げたように、この議論は通産省、資源エネルギー庁とすることが妥当ではないかというふうに思いますからこれ以上申しませんが、私が言う趣旨は、昭和三十五年にこの事業報酬のレートというものが決まっているわけですが、当時といまと比較すれば、私、詳細にわかりませんが、恐らく金利水準も現在よりも高かったと思いますし、ですから、その八%のレート算定の基礎が、他人資本が八・五%、自己資本が七・五%、フィフティー・フィフティーで平均八%というような積算根拠もあるようですが、その積算の基礎が、前提が変わっているのじゃないかと思われるので、配当の一〇%を八%に下げる——八%がいいかどうかわかりませんが、配当の率を下げるということはあわせて考えると、やはり八%という事業報酬のレートはこの際多少下げるということが電力料金の算定としては必要じゃなかろうかというふうに思います。これは意見ですから、御返事なくても結構ですけれども……。
  179. 平岩外四

    平岩参考人 これは、昨年の審議会でも過去の事例からいろいろ検討されて、やはり八%というものは妥当な数字だという結論であったと私記憶しておりまして、確かにレートの問題は先生おっしゃいますように査定の問題だと思いますけれども、八%というものは過去の実績、それから今後の公定歩合などを考えた場合でもやはり必要なレートである、統計上もそういうのが出てくるのではないかと私考えております。
  180. 熊川次男

    ○熊川委員 電力四社の社長さんのお一人、平岩参考人にお伺いできたらと思うのです。素人ですからちょっと教えてもらいたいのですが、原油に関係なく、すでに一定の発電されたものを効率的に使うにはロスを少なくする、末端の家庭並びに工場でのロス防止あるいは倹約というのもあるでしょうが、もう一つは発電会社自身のロス防止というのもあるのじゃないかと思います。私なりに考えれば、ボルトを上げての送電というものは、効率的な最高のボルトを上げるのは実効的にどこまでぐらい現在可能なのでしょうか。それによってどの程度のロスが防げるのでしょうか。その辺の努力の現状と、可能な最高のボルトを上げた場合に送電に関するところの費用というものの関連もあるでしょうが、その辺の事情がわかりましたら教えていただきたいと思うのです。
  181. 平岩外四

    平岩参考人 これは本当は若林さんが適任かと思いますので、後からまた補足していただきますけれども、ボルトを上げることによってロス率を低下させることは確かに効果があると思います。そして、今後電源がだんだん遠隔化していくに従って送電距離が長くなってきて、しかも大容量のあれを送るときに、ボルトを上げる方法というのは一つの重要な方法であろうと思います。これは現在は大体五十万ボルト送電というのが最高のボルトとして送られておりますけれども、もう一つ、百万ボルトとかそういう研究がいま進められておるわけでございます。これをする場合に、メリット、デメリットもありますけれども、そういう計画で今後は進んでおる方向であることを申し上げて、あと補足をしていただきます。
  182. 若林彊

    若林参考人 補足を申し上げます。  いま申し上げましたように、百万ボルトの線が一つの実験の話題になっておるわけです。いま一つは、直流送電というものがございまして、直流送電によって七十五万とかそういう下の電圧で同じような効果をという方法も、並行して目下研究中である。日本のように面積の狭い国ですと、交流で電圧を上げるということは非常に送電面積が要りますので、直流でやるというのも一つの方法であろう。しかし、それにもいろいろの障害がございまして、現在検討、試験中ということでございます。
  183. 宮地正介

    ○宮地委員 国民はいまこうした電力料金大幅値上げ問題に対して大きな注目をしているわけです。その中で実際どこまで圧縮された形で通産省が許認可をするかというところに焦点が集まってきておると思うのです。そういう中で、二十五日に経済企画庁で、物価安定政策会議の特別部会が八項目にわたりまして今回の電気、ガスの大幅料金値上げに対しての注文をつけたわけであります。平岩参考人に、電事連の会長という立場もありますので、この八項目をどのように受けとめておられるか。特に先ほど来論議が出ておりましたように配当の一〇%の圧縮あるいは事業報酬の八%の圧縮、こうした問題は、やはり大幅な値上げ国民生活に大きな打撃を与える、そういう中でやはり何とか国民の期待に沿った線の圧縮はできないだろうかという意見の一つであろうと思います。その物価安定政策会議の貴重な八項目の注文の忠実な履行というものは、非常に大きな問題であろうと私は思う。  この注文の直後、二十六日の閣議後に、今度は経済企画庁長官から、今回の圧縮については四〇%台に抑えたい、こういう発言が出ておるわけでございまして、経企庁長官、政府の閣僚からもすでにこうした発言が出てまいりまして、いよいよ圧縮の論議が煮詰まってきておるわけでございます。この経済企画庁長官の発言についてはどのように業界代表として受けとめておられるのか。  この二点について率直な御意見を伺いたいと思います。
  184. 平岩外四

    平岩参考人 最初の物価安定政策会議の決定でございますけれども、その八項目の中で特に大きなものが二つ、時期の問題と定率の問題でございました。これは物価安定政策会議の一つの御意見として、われわれは厳粛に受けとめております。  それから、経済企画庁の長官が発表されたパーセンテージの記事でございますけれども、これはどういうことでおっしゃいましたのかよく存じませんけれども、私どもが反省をいたしましたのは、確かに物価の問題としての重要さというのは先ほど来申し上げておるとおりでございます。私どもはいまやはりエネルギーの問題を重大に考えて将来のエネルギー供給の責任を果たしていくためには最小限度こういうふうなお願いをしなければいけない、そういう責任に立ってお願いを申し上げた最小の想定値だと考えております。そういう点から考えますと、企画庁の数字、これはわれわれにとって事業遂行上非常に困る数字だと考えております。
  185. 宮地正介

    ○宮地委員 この物価安定政策会議の特別部会の注文については忠実に受けとめるということは、具体的に圧縮をするということですね。これは実際にこの注文を受けた場合、どの程度まで圧縮ができるか。また、いま経済企画庁長官の四〇%台発言については真っ向から否定的な御発言があったわけですが、その注文というものを忠実に履行するというその考えがあれば、やはり圧縮に応じるというふうにわれわれは理解するわけですが、その点についての再度の御説明と、もう一つ、東電さんは燃料電池発電所開発、これに取り組んでおる、特に五十七年の二月から二年間、出力四千五百キロワット規模でテスト操業する、千葉につくる、こういう計画があるようですが、このいわゆる設備投資分は今回のこの値上げの中に含まれているのかどうか、この点についての確認をあわせて伺いたいと思います。
  186. 平岩外四

    平岩参考人 さっき物価安定政策会議の忠実に受けとめると申し上げたのをちょっと誤解をいただいたかと思いますけれども、私どもその線で了承をしましたということではございません。それから、燃料電池の問題につきましては、研究費として入れてございます。
  187. 相沢英之

    ○相沢委員 今度の油や電力値上げの要因として一番大きいのは原油の値上がりですけれども、各社五十五年を想定しておられるわけですが、油の価格を幾らと見ておられるか、そして、その際に為替レートを幾らというふうに見ておられますか。各社ちょっと言っていただきたい。
  188. 平岩外四

    平岩参考人 東京電力の場合は二百四十円と想定しております。
  189. 相沢英之

    ○相沢委員 いや、バレル何ドルで、為替レート幾らというふうに見ておられますか。
  190. 平岩外四

    平岩参考人 FOB価格総合で三十四・七ドルと見て、そしてそのときの計算は、為替レートは二百四十円と想定しております。
  191. 若林彊

    若林参考人 FOBの複合価格で三十五・二ドルになります。それから為替レートが二百四十円です。
  192. 森本芳夫

    森本参考人 為替レートは二百四十円でございまして、FOBが複合価格で三十四ドルとなっています。
  193. 永倉三郎

    永倉参考人 総合のFOBが三十三・六一ドル・パー・バレル、レートは二百四十円でございます。
  194. 相沢英之

    ○相沢委員 油のFOB価格がそれぞれ各社違って見積もられるということは、それぞれ入手のルートも違うし私は当然だろうと思うのです。むしろ一致したらおかしいと思うのですけれども、ただ為替レートは一ドル二百四十円と各社見ておられるのは、恐らくほかの四社もそうだろうと思うのですね。そういう一ドル二百四十円というレートで見られたということについてはどういうことなんですか。私は、やはり各社打ち合わせをして、まあ二百四十円というふうに見ようじゃないか。四月一日実施については、二十六日に質問がありましたときに、各社全く打ち合わせをしていない、こういう回答があったわけですけれども、こういう算定の一番むずかしい為替レート二百四十円というような問題は、私は各社が相談しなければ、何もあなた、偶然に一致するわけはないと思うのですね。私は、誤解なさらないでほしいのですが、各社が打ち合わせをしているからいけないと言っているのではないのですよ。ただ、電力料金のような問題はむしろ日本の各地域において値段が違うということの方が問題かもしれないと思っているのです。かつての発送電時代のように一本単価の方がいいかもしれません。ただ、現実にはそれぞれ分かれているわけですから、それはやむを得ないといたしまして、いまの見積もりについて、各社の要求について、何も打ち合わせなかったということは、これは信じられないので、ちょっとその点をお聞きしているのです。いかがですか。
  195. 平岩外四

    平岩参考人 二百四十円の算定につきましては過去の一つのルールがございまして、私どもは過去三カ月の平均為替レートをとるというルールがありまして、それに従って自動的に二百四十円というあれが——十月ないし十二月の三カ月の平均をとってその数字が出てきたわけでございます。
  196. 相沢英之

    ○相沢委員 恐らくそういうようなことを言われるのではないかと思って、それ以上言いませんけれども、私は別にそれがいけないという趣旨で言っているのじゃないですよ。むしろ電力料金の算定などは余りばらばらであると、かえって立地によって家庭も産業もそれぞれ電力料金が違ってくるというのが日本の産業政策としてあるいは経済政策として適当かどうかということも考えられるわけなんですから、そういう意味でばらばらでなければならぬという意味でないのです。ないのですが、そういう御返答でいいとしましょう。
  197. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 田中参考人福田参考人にお聞きしたいと思っておりましたが、福田参考人がお帰りですので、田中参考人にお尋ねをしたいと思います。  その前に、先ほどの平岩参考人に御要望したいのですけれども、たとえばという話で申しましたが、関東電気工事について御存じないという状況がありましたので、調査をして御報告いただきたい。野田委員のナイスカバーでうやむやになってしまうということがないように、強く要望さしていただきたいと思います。  田中参考人に公聴会の件ですけれども、先ほどからここでも原子力発電の問題について、とりわけ安全性の問題について、それがあたかも原子力発電は建設反対だというふうなとられ方もあると思うのですね。そうではなくて、本当に安全性も含めて進めていきたいというためには、ここで出されていたような論議、疑問が国民状態だというふうに私は見たわけなんですね。だからこそ私は公聴会であるとか物価政策会議が非常に大切だと思うのです。そうしますと、現在のやり方についてですけれども、非常に大切な公聴会にもかかわらず、二月十四日、たとえば毎日新聞の報道によりますと、福島市で開かれました東京電力福島第二原子力発電所三、四号機の設置についての公開ヒヤリング、これがあったのですけれども、これによると、東京電力が組織的に傍聴申し込みをやった、こういうふうに書かれ、その結果出席者は二百八十名中百五十二名しかなかった。「“当選者”欠席、ガラ空き」というふうな写真入りで出されているわけなんですけれども電力会社から見れば、それは建設を急ぎたいという気持ちはあるのでしょうけれども、安全性について無視してやるわけにはいかない。そうすると、安全性について耳を市民が傾ける、国民がそれをよく理解できるというところは公聴会の場しかない。事業主体であります電力会社にこういう公聴会のやり方について左右されるというふうなことがあっては大変だ、私はこういうふうに思うわけです。もちろん東電さんはそんなことはしてないというふうに否定をされるでしょうけれども、しかし国民感情から見ますと、電力会社のやることは大変不信だというふうな意見もたくさんあるわけなんですね。ですから、今回電力料金値上げの公聴会について、官製公聴会への陳述の申し込みというのは激減したというふうにも聞いているわけですけれども、この公聴会のあり方について田中参考人はどのようにお考えになっているか。また、どんな御希望を持っておられるか。  あるいは、先ほど陳述の中でもおっしゃった物価安定政策会議、これについて、資料なんかも当日その場で配られると、十分よく理解できないまま進められているというふうなことも聞きますから、公聴会及び物価安定政策会議というものを国民の立場から見てどうあるべきかという御意見を拝聴したいと考えます。
  198. 田中里子

    田中参考人 初めの第一点の政府主催の方の公聴会でございますが、先ほども申し上げましたように、やはり私ども申し込んで、私もかつて出たことございますけれども、与えられた時間、一方的にこちらの意見を言い、会社の方はお席が別にありまして、申請人のところに座っているという形で意見を述べましても、後でそれがどういうふうに生かされたか、まあ生かされない例が結構多うございますけれども、その答えが返ってくるわけではございませんので、これはやはり最低いまの制度を活用しましても、申請人に対して、あなたの言ったことについてこうこうだったという結果の報告なり、どこを聞き入れたか、どこはだめだったかというあたりは結果を報告する責任が政府にあると私は思います。現行法でもそれはできるのではないかと思っておりますので、そういうふうにぜひ願いたいと思います。  もう一つの物価安定政策会議の方は、先日の会議については資料は少し前に送ってまいっております。ですから、事前に拝見することができました。でも、わずかその一日、十時から五時までの間にそれこそ電力会社の皆さんとガス会社大手三社の皆さんがおいでになりまして、説明は通産省がなさいましたけれども質疑応答といいましても、わずか一日の時間で、私どもも素人でございますし、突く点等について十分にこちらも答えを得て、こちらも質疑をできるという状態にはないと私は思います。そういう意味で、一日の物価安定政策会議消費者なり学識経験者なりの意見が反映できているということは非常に問題があると思います。せめてもう少し時間をかけて——実はちょうどその席に米審に出ていられる委員が非常に多かったのです、私は入っておりませんが。その方たちの言っていることでも、米審は相当徹夜論議もし、十分な時間をとって、それでもあの程度の結果で非常に不十分だとはいえ、何か方法がないだろうかということがその席上でも出ておりました。ですから、物価安定政策会議にかければいいという形でなく、もう少しお互いの論議がかみ合い、それでこちらの意見がもっと強力に反映できるような場がほしいと思いますし、それはどういう形がいいかということは政府自体が考えるべきときに来ていると思います。そういう意味では、物価安定政策会議がせめて出したあのまとめぐらいは忠実に実行するように、査定のときには十分それを考えるということだと思いますけれども、私が先ほど言いましたのは、一つの実施時期についても、こちらがまとめたときに政府の方で四月一日から実施ということをほぼにおわせるような発言が出てくるということは一体どういうことなのかと、その点もずいぶん私どもはなめられているんじゃないだろうかというふうに考えております。
  199. 長田武士

    ○長田委員 会長が見えておりますから、会長にお尋ねいたします。  一昨日の参考人で参りました中国の山根参考人にお尋ねしたのですけれども、今回の値上げ申請当たりまして、申請の時期とか、あるいは値上げ幅あるいは実施時期、こういうことが社長会において相談された、こう一部報道されました。この問題が予算委員会で問題になりまして、公取委員長は好ましくない、このように言っておるのでございますけれども電力八社は非常に呼吸が合っておりまして、相沢委員から話に出ましたが、二百四十円レートあるいは原油価格のFOB価格もやや同じでございますし、その点非常に呼吸が合っていらっしゃるように思うのです。これは事実とすれば独禁法違反になると私は思うのですけれども、その点いかがでしょう。
  200. 平岩外四

    平岩参考人 これ自身が法律に違反になるかどうかという点では、私は違法にはならないと考えておりますけれども、そういう事実があるとすれば好ましくないと思っております。しかし、現実にはそういう事実はございませんでした。
  201. 長田武士

    ○長田委員 たまたま一月に会われたという話を聞いておりますけれども
  202. 平岩外四

    平岩参考人 はい。一月八日でございましたか、上京をしておられる社長さん方だけが集まって昼飯を一緒にしました。そのときにいろいろな雑談が行われて、会議は持たれたわけじゃございません。
  203. 長田武士

    ○長田委員 お昼にお会いになったそうでありますけれども、そのときやはりいろいろ相談されたのじゃないですか。昼食をとられたそうですね。
  204. 平岩外四

    平岩参考人 その席は石油事情とか、あるいは国際情勢とか、そういういろいろな話題が出たことは事実でございます。
  205. 井上普方

    井上委員長 お尋ねいたしますが、実はこれは国民理解と納得を得なければ、これだけ大幅の電気料金値上げというものはなかなかむずかしいと私は思います。したがいまして、どういたしましても国民にある程度理解と協力を得るためには原価の公表をやっていただかなければならぬ。  そこで、私自身が現に思いますのは、国内費用といいますか、国内の流通経費と申しますか、これがある電力会社では七千円ぐらい、多いところでは一万七千円ぐらいかかっておるようでございます。それでは一体、国内費用というのはどういうのがあるかということを調べてみますと、関税、石油税あるいはまた、内陸輸送費、タンク基地の備蓄費、こういうようなもろもろの要件があるらしい。したがって、そこらあたり、キロリッター当たり七千円から一万七千円ぐらいまで差があるのです。東電さんは一万円ぐらいと先ほどもおっしゃったようでございますけれども、ここらあたりの内容までひとつわれわれは触れなければならないと思いますので、電気事業連合会会長さんとしてこれらの各資料をひとつ出していただきたいと思いますが、いかがでございますか。
  206. 平岩外四

    平岩参考人 お答えいたします。  先ほど申しましたように、一つの傾向的と申しますか定性的と申しますかそういう問題については検討さしていただきたいと思いますけれども、そういう場合に油種別の取引がどうだとか取引のルートがどうだとかあるいは取引先との関係がどうだとか、そういうような点については差し控えさせていただきたいと思いますけれども……。
  207. 井上普方

    井上委員長 私が申しておりますのは、特に国内価格、国内費用にえらい大きな差がある。この点についてひとつ詳細にお知らせ願いたいと思うのです。これは決して油屋さんと関係あることじゃないと私は思いますので、どうでございます、その点は。
  208. 平岩外四

    平岩参考人 これは出せるものにつきましては、検討して資料を提出いたします。
  209. 井上普方

    井上委員長 この際申し上げておきますが、油と言えばともかく何でも免責されるというような考え方が私ども見えてならないのであります。しかし被害を受けるのは国民なんです。負担をこうむるのは国民なんです。でございますので、一番被害を受ける国民に対しまして私どもは責任を持っています。あるいはまた、電力会社もそれの責任があると思います。したがいまして、ひとつ詳細にできるだけの御協力をお願いいたします。
  210. 平岩外四

    平岩参考人 御意見、わかりました。
  211. 井上普方

    井上委員長 参考人各位には、お忙しいところ長時間にわたりまして御出席いただきまして、貴重な御意見をお述べくださいまして、まことにありがとうございます。ここに委員会を代表いたしまして、厚く御礼を申し上げます。  次回は、明二十九日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時三分散会