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冨田参考人 広島県生協連の
冨田でございます。どうぞよろしくお願いします。
私は
広島に住んでおる関係で、
中国電力の関係の
意見を
中心的に申し上げさせていただきます。他の
電力に関連する部分も多々あると思いますので、ひとつよろしくお願いいたします。
御
承知のように、
中国電力はさきに七八・一七%という全国最高の
電気料金の
値上げ申請を行いました。これは
中国地方の勤労市民の生活実態や中小零細企業の
経営実態を無視した不当なものと言わざるを得ません。
それでなくとも、昨年末以来、
石油製品、とりわけ灯油の
大幅値上げにより家計を圧迫され続けている私たちは、今春に入って
消費者米価、麦価の追い打ちを受け、さらに今後国鉄運賃、郵便
料金、授業料、ガス
料金、たばこなど一連の
公共料金の
値上げが予想される中で、どう生活を守っていくか、きわめて深刻な
事態に立ち至っております。
今春に入ってから実施、または予定されている十三の
公共料金だけをとってみましても、一世帯当たり月額約一万六千円、年に十九万円以上の支出増が予想される大変な
状況でございます。
特に、
中国地方の経済は、
長期の不況から脱出し切れず、勤労者所得の面からも、また企業活動の面からも、全国的に見て低調であり、五十四年の企業倒産も史上最高を記録するなど、厳しい
環境にあります。こうした中で、米とともに最も重要な基本
物価である
電気料金がこのように大幅に
値上げされることは、
一つ電気料金の
値上げにとどまらず、他の関連
物価や便乗
値上げを誘発することは必至であり、決して容認できるものではありません。
現在
申請されている
料金が仮に認可された場合、一般家庭では月額二千五百円から三千円の支出増になるほか、温水器を
利用されているところではさらに四千円ないし四千五百円がプラスされ、実に七千円以上の支出増が見込まれています。これにガス代、水道料の
値上げを加えると、水道光熱費だけで月額二万円を超える出費となり、他の関連諸
物価の値上がりを見込むと、家計のやりくりは全く立たないありさまでございます。
こうした厳しい
情勢の中で、今回の
中国電力の
値上げ申請に当たっては、地域の住民の関心がこれまでになく盛り上がってきています。このところ頻繁に中電や
広島通産局への陳情、要請行動が繰り返されております。各種団体等の学習会、
説明会、署名活動さらには民間公聴会も各地で開催されています。こうした活動の中で、今回の中電
値上げの
申請内容が地域住民に少しずつ公開されるに従いまして、大幅な
値上げの問題点や不当性がますます明らかになってきています。
私たちはこれまで、暴騰する家庭用灯油
価格をめぐって厳しい取り組みを行ってきました。そうした中で、必ずや国会の場を通して従来のように
石油元売りに対する適切な
価格指導がなされるものと期待を持っておりましたが、残念ながら今日に至りましても実現しておりません。また、いま
電気料金をめぐって政治の場での解決へ
国民の期待はますます強まってきています。特に諸
物価値上げの引き金となる
電気料金の決定については、重大な関心を持って見守ってきています。この結果いかんでは、まさに政治不信にもつながりかねない様相を持っております。
以下、今回の
中国電力の
値上げ申請の問題点につきまして述べてみたいと思いますが、限られた公開
資料に基づく推論であり不十分ですが、どうか十分な御検討をいただきまして、地域住民や中小零細企業の希求するところをおくみ取りくださいまして、今回の中電
値上げの
申請に対しましては大幅な圧縮を勇断をもって実現していただきますよう、最初にお願い申し上げる次第でございます。
まず問題点の一は
燃料費でございます。
中国電力では原油、重油、この
価格を
FOB一
バレル当たり三十四ドルということで、C重油換算の末端引き取り
価格を六万四千九百円という査定を行っておりますが、これはやはり高いというように判断をせざるを得ません。五十四年八月公表
価格として
電力関係の月刊
燃料油脂新聞の中には、八月の
価格を一
キロリットル当たり三万二千四百五十円、〇・三ローサルの
価格でございますが発表され、これがずっと現在も続きまして、その後は仮払いで整理されているということを言われています。私たちが中電で入手しました仮払い額のC重油一%
硫黄分の
価格は、十月が三万七千円−三万七千六百円、十一月も同じ、十二月が四万五百円から四万一千百円、一月からはプラス一万円が予想されるというようなことをわれわれ報告をいただいておりますが、この数字から推しても現在出されている六万四千九百円という
価格が仮払いの段階だけでも非常に大幅であるというように言わざるを得ません。
一月のCIF
価格は二十九ドル二十セントということが通関統計では出ておりますが、二月は恐らく三十ドルだろうと言われております。この
価格で計算されたものがこの月刊
燃料油脂新聞の中に載っておりますけれ
ども、CIF
価格が四万七千二百五十円、関税分もありますが、
石油税、関税等を含めまして四万九千四百五十二円、こういったものが一応国内の
石油価格になろうと思います。
三十ドル原油の場合はそういうことになると思いますけれ
ども、これに国内諸
経費を入れても
石油製品の平均
価格は六万三十二円、こういう発表がこの新聞でされております。この六万三十二円というのは全油種の平均でございまして、この新聞では、この中でさらにC重油については四万八千円が平均
価格だということを発表されております。そうしますと、やはりこの辺が
コストの基準になるのじゃないかというように思いますが、現在
申請されている
中国電力の場合は重油換算で六万四千九百円ということですので、この辺は大幅に削減できるのではないかと思います。詳しい数字は時間がありませんので省きますけれ
ども、そういうことでございます。
そういった実態から、こうした厳しい家計の実態を踏まえての
申請とは思えない。ぎりぎりという言葉がございますけれ
ども、原油
一つとってもまだまだかなり水増しの
申請があるのではなかろうかと推測できます。
ちなみに、生協が扱っております灯油、これは小売店——生協は小売でございますが、特約店から引っ張ってくるわけでございます。非常に手間のかかる仕事でございますが、この生協の二月の一
キロリットル当たりの灯油は六万二千五百円から大体六万五千円程度でございます。これからいきましても、大口な、大変な交渉力を持ちます
電力が六万四千九百円という
価格を設定すること自体大変だと思うわけでございます。
それから次にもう
一つの
燃料の核
燃料でございます。先ほど来核
燃料の問題はいろいろ言われておりますけれ
ども、
中国電力は核
燃料保有高五百八十億円を持っておりますが、これが島根原発に活用されますと約三十年分の原料になります。三十年分の豊富なものをこの時期になぜ買い込まなければならないかということで、この前の二月二十三日の民間公聴会で質問しましたところが、いや、これはドル減らしに協力するのだというような
発言がございました。そういったことで五百八十億円の核
燃料を即事業報酬という形に変えまして、結果的にはドル減らしへの貢献が庶民の
電気料金にはね返ってくるということは何としても納得できないということで反対をしておるわけでございますけれ
ども、そういう実態がございます。さらに五十五年度も百三十六億買い増すということでございますが、こういったことの関係は、この
電気料金を決める前提等——前回の
値上げとの関係、その辺から判断して、これは五十三年度に大幅な買い増しがされておりますが、ここらとの関係はどうなっているかということの疑問を持ちます。
それから消費量の見積もりの問題でございます。これまた、先ほど火力の石炭転換等も言われておりますが、重油換算で言いますと、五十五年度の量は五十四年度に比べて九・一五%アップ、これだけの
燃料の消費量アップを見込んでおります。これは国の経済成長率等から見ても多いのではなかろうか、消費量を若干多く計算しているのじゃなかろうかというように私たちは考えざるを得ないわけでございます。
次に、
設備の問題でございます。大幅な
設備投資でお金が要るということが先ほど来各
電力会社から言われておりますけれ
ども、
中国電力も五十五年度の
設備計画で二千七百四十八億円の設資投資を見込んでおります。これは五十四年十月の中電の「
経営活動の
概要」という
資料がございますが、この中では二千二百九十四億円という評価でございまして、これが
値上げ時期わずか三カ月しかたたないうちに約四百五十四億円がアップされた形で
値上げ申請がされている。ここらはやはり駆け込みの
料金値上げを目指した
設備費の水増しではないかという判断をするわけでございますが、ここらも十分厳正な審査等をいただきたいと思うわけです。
特に
設備費が五十四年度から五十五年度にかけまして一三九・四と三九・四%のアップになっておるわけです。五十三年度から五十四年度の見込みでは一一三・五%ですから、今期に当たって大幅に
設備投資がふやされている。しかもこれほど大幅な
値上げをしなければいかぬ時期にこれほど大幅な
設備投資がなぜ必要なのか、この辺が住民の疑問に思うところでございます。
また、予備
電力が五十四年度の場合全国一高い。中電の場合は一七・五%の予備
電力を持っております。これは他の
電力会社に比べてぬきんでて大きいわけです。
中部電力の場合が七・九、東京の場合が八・九、こういったような数字が夏の
ピーク時にありますが、中電の場合は一一七・五、その次は四国
電力が一一七・一ということになっております。これほどの予備
電力を持っております。
あるいは最大
電力の
伸び率を見てみましても、ここ数年はわずか二、三%の
伸びしか
中国電力の場合ないわけです。こういったことを考えるときに、これほど大きな
設備投資がこの際必要であろうかということに大きな疑問を持ちます。稼働率を一〇%上げると
料金は一〇%下げることができるというようなことが言われております。この辺の
経営努力をすれば、これほど大幅な
設備投資を必要ないのではないかというように判断をするわけです。
それから、
減価償却はすでに御
承知のとおりで、あえて触れませんけれ
ども、
定率法を採用すること自体、装置
産業である
電力が、加速償却方式といいますか、こういう償却方式を取り入れることは、大幅なものが投資の上に乗るということでございますから、
経営を圧迫することになるという意味でぜひこれは従来の定額に戻していただきたい。すでに五十三年度あるいは四年度に中電あたりは採用しております。これは、この前の
電気料金値上げのときにはそれはやらないということでした。それがいつの間にか一部で取り上げられているということ自体も問題があると思いますけれ
ども、今回はぜひそういうものをやめていただきたい。
それから四つ目には事業報酬の問題がございます。
先ほどの核
燃料ではございませんが、三十年先のものを、まだ山の奥にあるようなものを買い込んでおいて、それに八%事業報酬をとって
料金にぶっかけるというやり方は、いま
消費者が三十年分の米を買い込んでそれを家計に乗せるなんということは考えられないわけでございます。そういう意味では、こういう買い方は果たしてどうなんだろうか。ここら辺、厳正に見ていただきたい。
それから、
経営が
赤字だからということで平時における一〇%の
配当というのは庶民感情としてどうもしっくりいきません。そこらは、これほど厳しい
状態ですから、一〇%の
配当ということについては十分厳正な審査をいただきまして、それを抑えるような
努力を続けていただきたいと思います。
それから、先ほど触れられました
電源開発促進税の場合も、六月から実施されるようですけれ
ども、これは一般消費税の先取りになるということで、逆進性の関係からぜひこれはとりやめてほしいということでございます。
最後に、
料金体系の問題についてちょっと触れますけれ
ども、依然として
産業優先の
料金体系といいますか、
産業用と家庭用との
料金格差は今回も開いております。
中国電力の場合で言えば、前回は六円七十二銭の
電灯、
電力の差がございましたが、今回はさらにそれが拡大しまして、八円六十一銭という
状態に金額的な面では拡大しております。率の面では確かに
電力の方が上がったように見えますけれ
ども、絶対額の面で差が開いてきているという実態がございます。特に
産業用大口
電力の中で優遇措置をとられております特約
料金、これは表に出てきませんけれ
ども、
中国電力の場合、三十八社総使用料の一七%、これは家庭用
電力の四八%という
状況に位置されているという実態がございます。ここらは、この部分を上げただけでもかなり家庭用を抑え、あるいは全体的な
値上げを抑えることができるのではないだろうかというふうに思います。
それからアンペア契約の問題でございます。これは
電力会社としてはどうしても
電力を使っていただきたいということもありましょうけれ
ども、新築家庭等ではできるだけ余分なアンペア契約をするという
指導がなされておるのでございますが、部屋の実態に合った適切なアンペア契約の
指導をいただきたいということでございます。
それから、福祉
料金制度の導入はどうだろうかということでございます。先般も二月二十三日の
広島における民間公聴会におきまして、母子家庭のお母さん方から、七万円そこそこの収入で三千五百円から四千円の
電気料金を払うのだ、五%内外になる、それにさらに今回の七八・一七%の
値上げがもろにかぶってくる、これは大変だ、生活できませんという訴えがございました。生協の家計
調査等で見ましても、二十代、三十代、四十代、五十代、六十代と年齢構成が上がるたびに水道光熱費の割合が高くなる。そういう意味では、弱者救済の立場から、福祉
料金制度の導入等につきましても考えていただく必要があるのではなかろうかと思います。
最後に、深夜
電力の問題について言わしていただきます。
中国電力は、四十一年ごろから、深夜
電力は安いのだから、温水器をつけてたんまり使ってくれということの
指導がございました。私たちはこぞって温水器をつけたわけでございます。
中国は全国一
普及率が高い一六・七%になっておりますが、これが当初は七七%の割引率でございました。それが五十一年度には五一%、今回はさらに四〇%の割引率とウナギ登りに
負担率が高まってきております。つけた皆さんからは、ペテンである、何とかこの温水器を持って帰ってくれというような苦情も出ておりますけれ
ども、こういったいわば政策的に出されたものを、いまではしっぺ返しに
料金で返していく、大幅に上げてくるというやり方については、どうしても納得いかないものがあります。これを追及しますと
電力会社の方では、平あやまりにまことに申しわけないということでございますが、払う方では、申しわけないだけではどうにもならぬわけでございます。つきましては、もう少しメスを入れていただきまして、厳正な
料金設定をいたしますようお願い申し上げまして、はなはだ簡単でございますけれ
ども私の
意見陳述にかえさしていただきます。どうか
国民の生活を守る立場で、大幅な
料金の圧縮をお願い申し上げます。よろしくお願いいたします。