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柴田(健)
委員 参考人の皆さん、御苦労さんでございます。
基本的にどういう発想で
農業問題を論戦するのが正しいかということで、私たちは常に、
基本的には食糧
政策というものを半ば民族的な
立場でとらえて、国の安全保障というものはどうあるべきか、やはり食糧
政策が
基本でなければならぬ、こういう
立場でとらえて論戦をしておるところでございます。そういうことを十分御理解いただいてお答えを願いたい、こう思うわけでございます。
私たちは、国の安全保障と、これからの
農業政策は雇用問題は避けて通れない、そういう
立場、そしてもう
一つは、国民の生活と健康を十分考えた食糧
政策でなければならぬ、こういう
三つを
基本に置いて、この
農地三法について論戦を深めておるところでございます。きょう五人の
参考人と、
農地問題ではベテラン中のベテランと言われる
農林漁業金融公庫総裁の中野
先生にもおいでいただいておりますから、六名の方にこれから順次お尋ねを申し上げたい、こう思います。
まず、中野
先生にお尋ねしたいのですが、あなたは
農地問題については権威で、いま金融
関係に携わっておられますけれ
ども、
昭和五十年に法の改正で
農地の流動化を進めた。ところが現在は、五カ年で二万四千ヘクタール。われわれはもっと進むのではなかろうか、こう思っておったのですが、熱意が足りなかったのかどこに欠陥があったのか、五年間で二万四千ということを踏まえて、今度の三法の改正によってどれだけ
農地が流動化するのか、そして五年先、十年先に、最終的にどれだけの
農地が流動するのが適正なのか、その点をひとつ御見解を聞きたいと思うのでございます。
次に、
池田参考人にお聞きいたします。
池田参考人は、
規模拡大、コスト論、そして
農業委員会の任務、
土地と人、そして
構造政策を強力に進めるという
立場で御
意見の
開陳がございました。現状分析の上に立って言われたわけであります。われわれは、やはり人というものを避けて通るわけにはいかない。
農業の一番の
基本は人である。その人は人間である。人間は血も通っておる、心も持っておる、そういう
立場から言うと、そこに希望と
展望、
意欲というものを持たせなければならぬ、こう思うのであります。現在の
農業政策に希望と
展望と
意欲というものがあるかないか、まずその点の見解を聞きたい。
そして、農民の老後の保障というものがいま十分でない。これらをどういう形で入れていくのか。先般、この
国会でも過疎問題の立法措置をしました。千百十九の過疎
地域の町村が、
昭和二十五年から三十五年、三十五年以降五十年まで、この十五カ年の人の
動き、流れを考えたときに、当然
農業を守ってもらわなければならぬ
立場の人の
動きが非常に多い。そういう中で後継者の問題を論ずるようになった。しかし、本法を通すことによって、人が生産
意欲を持って
農業に従事してくれるかどうか、これがこの三法によって見違えるような
農村、
農業になるのか、その点の見解をもう少し具体的に聞いておきたい、こう思うのでございます。
次に、
梶井参考人にお尋ねするのですが、この
構造政策、構造改革論を言われる。昔のような地主、小作はない、全くそのとおりだと思います。しかし、私たちの気持ちから言うと、地主、小作という言葉は学者は使ってもらいたくない。役所も使ってもらいたくない。なぜ小作という言葉を平気で使うのかという気持ちを持ちながらお尋ねをするのですが、やはり
三つの
条件を言われました。しかし、今日、
農地の流動化がどういう形でなされておるのかという実態論、そして、一方では米の減反
政策を進めて、今年度五十三万五千ヘクタールが、将来八十万という目標があるようであります。それを対象に物を考えておられるのかどうか、それ以外の
土地が動くことを考えておられるのかどうか、この点でお尋ねをしたい、こう思うのであります。
次に、
齋藤参考人にお尋ねしたいのです。
町村長の
立場からいろいろ御
意見が出ました。
昭和二十六年に、
農業調整
委員会、
農業改良
委員会、
農地委員会という三本が一本になりました。それで
農業委員会というものが発足したわけです。当時の自民党
政府は――いまでも自民党
政府でありますが、この三本を一本にしたときに、
農業委員会の任務は
三つの
責任を引き継いでいくのですよ、こういうことで、財政措置は国が全額持つというので出発した制度であります。
先ほど超過負担の問題が出ました。きのうの
委員会の中で答弁された経済
局長は、百五十億、そして二十億、こういう膨大な金を現在
市町村農業委員会に国から流している、こう言われました。ところが、その金で果たして
市町村の持ち出しがなくて済んでおるのかどうか。持ち出しがあるとするならば、何%持ち出しをしておるのか、その点の金額をお示し願いたい。と同時に、また、いまの交付税制度の中で産業経済費の基準財政需要額の率を、なぜ
町村長が挙げて改定運動を起こさないのか、われわれは農林の
立場から申し上げると、
町村長の力というものは非常に弱い、こういう気がするわけですが、この点の見解を聞いておきたい、こう思うのであります。
時間の
関係で急ぎますが、次に、谷本
参考人に聞きます。
谷本
参考人は小農打ち切り、奨励金、補助金をいずれ押さえ込みの
方向でこの三法が使われるだろうという見通し、そして減反
政策に絡めてくるであろう、そして
農業委員会の一段階制はどうも納得できない、二段階制にすべきだ、権限を末端におろし過ぎるのはいけない。私もそう思います。
土地の売買なら、それは結審でありますからそのときに結論が出ます。けれ
ども、
賃貸借というものは昔もいまも紛争の起きる問題であります。その紛争の起きる問題を予測するならば、二段階
方式、二審
方式というものはとるべきだ、こういう判断を私はとっておるわけです。
それからもう
一つは、谷本
参考人は言われなかったのですが、今度の法の改正で定額金納というものを外して物納
方式、この問題に
一言も触れなかったのですが、この問題について、物納の方針がいいのか悪いのか、これを明確にお答え願いたい。
そして、谷本
参考人は、権力介入が起きてくるのではないか、要するに一々補助金の出し方においてもペナルティー
方式をとるのではないかという
心配があるということを言われましたが、私もいささかそういう不安を持っておるわけです。
それから、転作契励金、またこの物納、金納というのは、
小作料という言葉は私は昔を思い出してどうも納得できない。いまの
日本の法治国家で民法上どこに金納だとか物納だという言葉があるのか。全部賃貸料か使用料かです。どう考えてもこの昔の言葉を使わなければならぬ役所の発想というものは、農林省は何を考え、
政府・自民党は何を考えておるのか、こう言わざるを得ない。やはり賃貸なら賃貸料、使用料なら使用料、利用料なら利用料でいいじゃないか。それを納めるのは、奉納というのは神様のところへ奉納。看板が上がっておるのをよく見る。納というのは税金を税納。賃貸に納めるという言葉を使うのは納得できないのです。谷本
参考人に、あなたは非常に進歩的な人だからひとつ見解を聞いておきたい。
次に、
山口参考人に聞きます。
山口参考人は、
地価の問題を言われました。私は非常に気にかかるところだと思うのですが、いま
地価は手放しであります、全くそのとおりであります。
政府・自民党の
土地政策はなってない。そういう
立場から、農民だけがどろをかぶらなければならぬという――農民はどろと一緒に生きてきたのですからどろをかぶるのはやむを得ないですけれ
ども、余りにもひど過ぎる。私は、
山口参考人に聞きたいのは、適正な
土地価格というものを決めてもらいたい。そうすれば、適正とは何ぞや。
市町村の固定資産台帳に載っておる価格を基準に置いて決めるのか、一般の売り買いになっておるいまの
土地価格を基礎に置いていくのか、収益を上げる収益性によって
土地価格を決めるのか、どういう方法で適正な
土地価格を決めたらいいのか、お考えがあればお示しを願いたい、こう思うのであります。
先ほど菊池
委員からの御質問がございましたが、今度の法律改正で農協の
役割り、任務というものが位置づけをされる。同時に、いままでの農協法の精神、
組織論から言うて、組合員になる資格というのは決められておる。今度は資格がなくなっても組合員として残してもいいという特例。そうすると、他の組合員からどういう
意見が出てくるのか。利用増進法という法律によって特例が認められたのですよ。あなたは資格がなくても正式な組合員ですよ。もう
農業というものをやめてしまう。資格だけは
組織論の組合員として残る。そうすると、もう
土地は、
所有権はあっても
利用権はない。農協に金を貸してください。あああなたは正式組合員ですから、金は貸しましょう。何に使うのですか。
営農資金なんてありゃしない。
営農しないのだから
営農資金なんて借りられやしない。そういう資格がない組合員をどんどんつくって、農協の幹部としてうまくやれるのかどうか、
心配があるのかないのか、不安があるのかないのか、その点をお聞かせ願いたい、こう思うのであります。
私は、農協の
山口さんに聞きたいのですが、いままで農協が主体になってやらなければならぬ
事業ではなかったか。それをやらなかった。何が原因であったのか。ただ今度の法律を改正すれば農協はどんどんやれるのか。私は、
小作料と言うのはもう何としてもやめてもらいたいという気持ちから賃貸料――賃貸料は二重
方式をとるべきだ。
農地の本当の流動化をするならば、借り手と貸し手に格差をつける。それは
政府が補償する。それは農協が世話をやる。認定は
農業委員会がやる。そういう
立場からいって、たとえば十アール一万五千円で農民から借り上げる。借り手の方には一万円で貸せる。差額五千円は国が持つ。五千円は補償する。十万町歩動いたって五十億ですよ。今年度の
農地の流動化奨励金で、一町村当たり二百五十万円、千五百町村予算を組んでおる。そんな金があるなら、賃貸料の二重
方式をとったらどうかという気がするわけです。そうすれば、農協も本気でやれるでしょう、
農業委員会も
責任を持ってやれるだろう、こういう気持ちを持っている。そういう私の
考え方に、それはだめですよ、こういう考えなら、もうそれはノーならノーでよろしい。将来参考になる
意見なら、大いに農協の
組織の中へ持ち込んでそういう運動を起こしますよ、こういう御
意見があれば御
意見を述べてもらいたい。
以上、六名の方に一括お尋ね申し上げたので、とにかくそれぞれ短時間で結構ですが、お答えを願いたい。
以上です。