○中川(利)
委員 先ほど矢野
通産事務次官の問題を提起したわけでありますが、
日本の農業は、ずっとアメリカのいろいろな文献なりアメリカ
政府の意向なり
日本の財界の意向、それを受けてやるわけですが、それとそっくり写しのように
農政が進められてきているわけですね。その話をずっと出せばなかなか論議の時間が終わらないわけでありますが、省略しますけれ
ども、いずれ全く
矢野発言がもう偶然でも過ったものでもないという
状況、それと同じように
日本の農業の展開の仕方も
農政そのものがアメリカのいろいろな意向の中で動かされてきた。ちゃんと首根っこを押さえられて、そのとおり動いてきたということを、私いろいろな
資料を見て最近つくづくびっくりしているわけでありますけれ
ども、自主
農政だとか自主外交とか言っても、ここの大臣のいないところの論議ではなじまないわけでありますから省略しますけれ
ども、私は非常に問題があるというような感じを改めてしているわけであります。
ところで、全く別の角度からの問題でありますが、一三月の二十五日に霞が関のプレスセンターで、国立がんセンターの平山雄という博士がダイタリー・ファイバー・シンポジウムという学会の中で講演をした
資料を私持っているわけでありますが、この平山さんというのはがんセンターの中のがんの疫学に関する研究の班長さんで、御承知のとおりがん研究のために十五億円の国費が充てられているわけでありますね。どういう講義の
内容か、ここに英文のいろいろな
資料を私持っているのですよ。時間がないから省略しますけれ
ども、簡単に言いますと、一日の米の摂取量と胃がん、大腸がんの疫学的研究をずっと十何年間の経過の中で
調査してきた、こういう研究なんですね。
日本は三十年前まではほとんどそういう胃がんだとか大腸がんは少なかった。最近ずっとふえてきた。なぜかということですね。これは食構造の変化だというのですね。
一つは食生活が高度化した、
農林省の好きな言葉で言えばそういうかっこうになるわけでありまして、このことで炭水化物の摂取が少なくなる。それでかわって脂肪質を多くとる。その
関連で、つまり繊維質が非常に不足してきておる。これとがんとの密接な
関係を
指摘していらっしゃるわけですね。それで大阪でも三月二十六日に、八〇年代の食を語り合い、食卓の見直し討論会というものをやりました。ここでも学者がこのような意見をずっと出しているのですね。また、きのうの毎日新聞を拝見しましたら、イギリスの学士院会員のデニス・P・バーキット博士ですか、
日本学術
振興会の招きで来日した。この方が「繊維食物のすすめ」と、同じ観点から問題を提起していらっしゃるわけですね。繊維質、つまり米類、穀類ですね。平山さんの研究は、結局、十何年にわたって、穀類、繊維質を少なくとる人ほどそういう胃がんの発生、大腸がんの発生が多くて、多くとればとるほど少なくなる、平均以下になる、そういう研究なんですね。
そこで、これが直接がんそのものと結びつくかどうかは別にいたしまして、やはりこういうものを研究の成果として発表されているわけですね。いままで
日本人は、米食えばばかになるとかそういう教育、つまり
農林省がばかにされたようなそういう
環境の中でわれわれ置かれてきたわけでありますけれ
ども、こういうものを契機に、やはり米を食うからこそ頭もよくなるし、体も健康になるし、がんにもかからないんだ、こういう宣伝なんかを、学術的な裏づけもありますからやれば、下手な宣伝するよりも、
日本の国民であるならばよほどはっきりとした効果がここへ出てくるであろうと私は思うのですね。そういう
意味で、やはり見直しすべきであるということですね。こういう
立場からの見直しも必要ではないかということ。
もう
一つの問題は、米の生産量が一千万トンを割れば、
日本人そのものの健康、
日本の民族そのものの運営維持ができなくなるという、そういう説もあるわけですね。だから、当面の減反だ、当面米が余るということだけに目を奪われるのじゃなくて、長期の
日本民族自体を考えた場合に、そういう面で
日本の米はどうあるべきかということで、やはりそういう視点での
考え方も非常に大事だと思うのですが、この点について、最後に
農林次官からお聞かせいただきたいと思うのです。