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1980-03-28 第91回国会 衆議院 農林水産委員会 第13号 公式Web版

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  1. 会議録情報

    昭和五十五年三月二十八日(金曜日)     午前十時三十三分開議  出席委員    委員長 内海 英男君    理事 片岡 清一君 理事 津島 雄二君    理事 羽田  孜君 理事 山崎平八郎君    理事 柴田 健治君 理事 芳賀  貢君    理事 和田 一郎君 理事 津川 武一君       久野 忠治君    近藤 元次君       佐藤 信二君    佐藤  隆君       菅波  茂君    田名部匡省君       高橋 辰夫君    玉沢徳一郎君       西田  司君    福島 譲二君       保利 耕輔君    堀之内久男君       小川 国彦君    角屋堅次郎君       斉藤 正男君    新村 源雄君       馬場  昇君    日野 市朗君       細谷 昭雄君    本郷 公威君       権藤 恒夫君    瀬野栄次郎君       武田 一夫君    中川利三郎君       中林 佳子君    神田  厚君       小平  忠君    玉置 一弥君       阿部 昭吾君  出席国務大臣         農林水産大臣  武藤 嘉文君  出席政府委員         農林水産大臣官         房長      渡邊 五郎君  委員外出席者         農林水産大臣官         房審議官    井上 喜一君         農林水産省畜産         局畜政課長   甕   滋君         農林水産委員会         調査室長    小沼  勇君     ————————————— 委員の異動 三月二十八日  辞任         補欠選任   日野 市朗君     斉藤 正男君   神田  厚君     玉置 一弥君   近藤  豊君     小平  忠君 同日  辞任         補欠選任   斉藤 正男君     日野 市朗君   小平  忠君     近藤  豊君   玉置 一弥君     神田  厚君     ————————————— 本日の会議に付した案件  農林水産業振興に関する件(畜産物価格問題  等)      ————◇—————
  2. 内海委員長(内海英男)

    内海委員長 これより会議を開きます。  農林水産業振興に関する件について調査を進めます。  この際、昭和五十五年度加工原料乳保証価格等算定について、政府から説明を聴取いたします。甕畜政課長
  3. 甕説明員(甕滋)

    甕説明員 五十五年度加工原料乳保証価格等を決定するために、いま畜産振興審議会に諮問を行っておりますが、本日開催されます酪農部会価格算定等に関する資料を提出したところでございます。ただいまお手元に差し上げてあるものでございます。その内容につきましてこれから御説明申し上げたいと思いますので、お聞き取りをいただきたいと思います。  まず、資料ナンバーが振ってあるかと思いますが、五番といたしまして、畜産局長説明のプリントがございますので、お開きいただきたいと思います。ナンバー五でございます。  この中で、まず、価格決定の背景になっております最近における酪農及び生乳需給動向等について触れてございますが、保証価格等算定につきまして基本的な考え方を述べておりますのは十五ページ以下でございます。十五ページをごらんいただきたいと思います。ここにありますように  「まず、加工原料乳保証価格算定方式につきましては、加工原料乳生産者補給金等暫定措置法趣旨に即し、主要加工原料乳地域における生乳の再生産を確保することを旨として、価格決定年度におけるこの地域生乳推定生産費基礎として算定を行っております。この主要加工原料乳地域については、前年度と同様、北海道を採用することといたしております。」  「推定生産費算出当たりましては、北海道昭和五十四年の生乳生産費基礎とし、最近における物価水準を加味しております。」  「また、飼育管理家族労働費につきましては、北海道における五人以上規模製造業労賃を用いて算定し、飼料作物生産に係る家族労働費につきましては、前年度と同様、農村雇用労賃を用いて算定しております。  「以上により試算いたしました保証価格につきましては、五十四年度政府試算値」これは八十八円二十銭でしたけれども、これを「六七銭上回り、五十四年度保証価格と同水準の八八円八七銭(キログラム当たり)となっております。」  「次に、指定乳製品安定指標価格につきましては、飲用牛乳消費拡大事業及び生乳計画生産国産脱脂粉乳一万トン余りの飼料用等への使用措置等により需給均衡回復兆しをみせつつあることに加え、民間過剰在庫乳製品に対する金利、倉敷料等の助成の効果により、乳製品価格は速やかな回復が期待されることを考慮して、据え置くことと」いたしたわけでございます。  「基準取引価格につきましては、従来と同様、主要な乳製品販売価格からその製造及び販売に要する費用を控除して算定しており、その試算値は五十四年度基準取引価格と同水準の六四円三〇銭(キログラム当たり)となっております。」  「最後に、生産者補給金の交付の対象となる加工原料乳限度数量につきましては、特定乳製品需要量生乳換算で一九三万トンと見込まれるところでありますが、五十四年度需要を上回って生産された特定乳製品生乳換算で六万五千トン五十五年度に持ち越されることとなると見込まれますので、これを差し引いた一八六万五千トンが五十五年度特定乳製品向け生乳需要量と見込まれ、これを五十五年度限度数量とすることとしたいと考えております。」  以上が、昭和五十五年度加工原料乳保証価格等についての基本的な考え方ないし結論に当たるものでございます。  次に資料の六といたしまして、「保証価格等算定説明資料」を差し上げてございます。これによりまして、若干具体的な算定基礎数値等を御紹介申し上げたいと思います。  まず、保証価格でございますが、九ページをお開きいただきたいと思います。  この一番下に「保証価格試算値)」として、生乳キログラム当たり八千八百八十七円とございます。これが先ほど申し上げました保証価格試算値でございます。  これを構成いたします生産費の各費目内訳が表になっておるわけでございますが、主なところを見ていただきますと、飼育労働費の中の家族労働費、これは従来から使っておりますように、毎月勤労統計調査に基づいて算定される主要加工原料乳地域製造業五人以上規模の五十四年十一月から五十五年一月の水準による単価を用いて出しておるものでございます。二千百三十三円でございます。  飼料作物費でございますが、これは二千四百六円でございまして、その中に家族労働費が四百十二円ばかり含まれております。この家族労働費の評価につきましては、牛乳生産費調査に基づき算定されます北海道農村雇用労賃の五十四年十一月から五十五年一月の水準による単価を用いて算定したものでございます。その他の費目につきましては、原則としまして農村物価賃金調査品目別指数牛乳生産費調査期間、これは五十三年七月から五十四年六月まででございますが、それに対する直近三カ月の変化率によって修正したものでございます。  なお副産物価額につきましては、千五百三円と上がっておりますが、子牛の値上がりを反映したものでございます。  また、第二次生産費に至る過程で資本利子八百五十三円、これにつきましては、借入資金につきましては昭和五十二年牛乳生産費補完調査の結果に基づく借入資金割合借入資金利率によって算定しておりますし、自己資金につきましては農協の定期預金利率と結びつけて算定するということにいたしたものでございます。これらの具体的な基礎は十ページ以降十三ページにわたって記載をしてございます。  次に、安定指標価格でございますが、十四ページをごらんください。品目別安定指標価格を掲げてございますが、前年度と同様のものでございます。  基準取引価格につきましては、該当の乳製品の各品目別製造業者販売価格から製造販売経費等を差し引きまして、いわゆる原単位で除し、ウエートをつけて例年のルールで算出してございますが、六十四円三十銭となっております。これが前年度と同様の水準となっているわけでございます。細部の説明は省略をさせていただきます。  最後に、限度数量でございますが、十八ページでございます。  限度数量として求める数量は、推定にかかわる特定乳製品向け生乳需要量とイコールと置きまして、その算出特定乳製品需要量生乳ベースで百九十三万トンでございますが、これから要控除量というものを差し引いてございます。要控除量といたしましては、昭和五十四年度において特定乳製品需要量を上回って生産された特定乳製品数量ということでございまして、これが十六万六千トンでございますが、そのうち処分が予定されております国産脱粉の飼料用等への転用分七万三千トンと、計画生産目標数量を上回って生産された生乳量の中で特別余乳として一般市場外に処分されると見られます数量二万八千トン等を外したもの、すなわち五十五年度に持ち越されるものについて控除しているという考え方でございます。その間の算式算定基礎がこのページ以降に出ております。  最後に、参考といたしまして、二十三ページに生乳需給表を掲げてございます。五十五年度見通しについてごらんいただきますと、飲用の計で需要が四百十二万五千トン、それ見合いの供給を行うということで、伸び率が五・三%でございます。乳製品につきましては、先ほど申し上げた特定乳製品等を含め二百二十六万四千トンで、一・四%の伸びということが需要見通しでございますが、供給は、これも先ほど申し上げましたように、本年度から持ち越される分を差し引くという考え方から二百十九万九千トンで、前年度に対しましては一・五%の減ということに相なります。それらを総トータルいたしますと、需要といたしましては六百五十二万トン、三・九%の伸びに対しまして、供給の方は六百四十五万五千トン、二・四%の伸びということでございます。  来年度生産見通しにつきましては、別紙で内訳がございますが、この表の一番下に六百六十八万二千トンから六百八十万一千トンの幅で示してございます。この来年度推定生乳生産量と先ほどの供給数字とのギャップが、要調整数量として二十二万七千トンから三十四万六千トンというふうに示してあるわけでございます。  以上、簡単でございますが、昭和五十五年度保証価格等算定につきまして御報告申し上げました。
  4. 内海委員長(内海英男)

    内海委員長 以上で説明は終わりました。
  5. 内海委員長(内海英男)

    内海委員長 質疑申し出がありますので、順次これを許します。芳賀貢君。
  6. 芳賀委員(芳賀貢)

    芳賀委員 ただいま昭和五十五年度加工原料乳保証価格に関する政府からの説明がありましたが、ただいまの甕畜政課長説明を中心といたしまして、若干質問をしておきたいと思います。それは委員会においては、午後二時から武藤農林水産大臣が出席いたしまして、昨日来の食肉の問題、それから本日の加工原料乳の問題についての締めくくり質疑を行うことになっておるわけでありますので、その前段といたしまして、資料関係等については努めて明らかにしておいてもらいたいと思います。  まず最初に、昨日私が質問を行いました際に、審議の必要上農林省の方から資料を作成して提出してもらうように、委員長を通じて申し出をしておるわけでございます。あらかじめその資料については提出を見たわけでございますが、これはきょうの審議に非常に重要な関係がありますので、単に一委員の私だけが資料を受け取ったというものではありませんので、この点について要求資料に対する説明畜政課長から一応加えてもらいたいと思います。
  7. 甕説明員(甕滋)

    甕説明員 芳賀先生から御要求がありまして私どもの方から差し上げた資料について、御説明を申し上げます。  第一点は、実乳量と三・二%換算乳量との第二次生産費における比較についてでございます。  これにつきましては、まず、一頭当たりの第二次生産費は四十六万三千七百十三円でございます。同じく一頭当たり搾乳量が五千三百二十キログラムでございます。また、乳脂肪量は百九十二・五キログラムでございます。これらを基礎といたしまして百キログラム当たり第二次生産費を申し上げますと、実乳量で八千七百二十円に相なるわけでございます。私どもが用いております三・二%換算乳量で第二次生産費を申し上げますと、七千七百八円でございます。  第二点につきましては、五十三年度ブロック別プール乳価用途別生乳割合でございます。  これは、北海道、東北、関東、北陸、東海、近畿、中国四国、九州、こういったブロック別加工原料乳に仕向けられております数量とその他の数量とを仕分けた数字で差し上げてございます。地域別にかなり違いまして、加工原料乳が一番高い比率を占めますのは北海道でございまして八三・八%でございます。一番低いものを見ますと北陸の三・〇%と相なっております。  それから、プール乳価につきましては、これも便宜一番高いところと一番低いところを拾わせていただきますと、一番高く出ておりますのは北陸の百十七円五十六銭、一番低く出ておりますのは北海道の九十二円三十八銭といった状況でございます。なお、プール乳価には補給金を含んでございます。  これでよろしゅうございましょうか。
  8. 芳賀委員(芳賀貢)

    芳賀委員 まだほかにあるじゃないか、二番目のもの。
  9. 甕説明員(甕滋)

    甕説明員 それでは、そのほかの資料が一、二ございますので御説明いたしますと、まず、第三次酪農近代化基本方針における目標実績地域別比較でございます。  第三次酪農近代化基本方針におきましては、目標年度昭和六十年度におきます生乳生産量を七百六十八万トンと置いております。そのうち北海道では三百四万トン、都府県では四百六十四万トンでございます。この基本方針におきましては、各年度ごと目標は示してございませんけれども実績を見ます場合に、便宜年平均伸び率との対比で実績値との比較をしてみましたものを差し上げてあるわけでございます。これによりますと、全国では基本方針年平均伸び率は四・二%でございます。それに対して、実績は四十九年から五十三年度までをとりまして六・四%になっております。  これを地域別に申しますと、北海道におきましては基本方針の年率は七・三%でございますが、それに対して実績は、同じ期間で八・五%でございます。また、都府県につきましては基本方針で二・七%となっておりますのに対して、実績は同じ期間で五・六%となっておるわけでございます。  次に、北海道酪農家預金及び借入実態でございます。これは統計情報部の「農家形態別にみた農家経済」といった資料から求めておりますが、五十三年度末の北海道平均酪農単一経営農家について見た数字でございます。  申し上げますと、資産額から見てみますと三千八百八十九万五千円、うち預貯金が四百三十六万三千円、負債額でございますが千七百四十五万六千円、うち借入金が千四百八十六万八千円でございます。  以上でございます。
  10. 芳賀委員(芳賀貢)

    芳賀委員 それでは、まだ不十分な点について若干質問いたします。  第一は、資料の一の実乳量と三・二%換算乳量との第二次生産費比較一これは第二次生産費までは出ておりますが、保証乳価算出するためのこれに加算すべき額、つまり租税公課負担、それから集送乳経費取引についての手数料等、それらを合算いたしますと、三・二%については政府試算資料の中にも出ておるわけですが、この点について、第二次生産費に加えた結果最終的な乳価がどうなるかという、その点は数字を挙げて述べてもらいたいと思います。
  11. 甕説明員(甕滋)

    甕説明員 ちょっと計算をしてみますので、時間をおかしいただけますか。——まことに恐縮でございますが、なお若干時間を要しますので、これは後刻計算をいたしまして御報告を申し上げたいと思います。
  12. 芳賀委員(芳賀貢)

    芳賀委員 この保証乳価等算定説明資料というのを、いま畜政課長、これは説明を受けまして、これは当然ことしの乳価決定ですから、五十四年度生産費物価修正係数を乗じて、そして五十五年度推定生産費が出ておるわけです。これは毎年やっていることで、われわれも十分承知でありますし、だから、昨日も井上審議官に対して、五十四年度生産費は昨日柳井統計情報部長から食肉牛乳についての説明がありまして、それを基礎にして、物価修正率が一体どのぐらいになるかという点、それから、第二次生産費に加うべき租税公課、集送乳経費販売手数料等は第二次生産費以外の数字であるから、これが整理されてあれば、この際、修正率の傾向と合算すべき経費を明確にしてもらいたいということを求めたわけですが、きのうの時点ではまだこれがわからぬということで、それでは資料としてまとめて明朝出してもらいたいというふうに要求してあるわけです。  そこで、畜政課長説明によると、物価修正を行った五十五年度推定生産費の第二次生産費は、百キロ八千三百八十四円ということになっておるわけですね。これは私の要求した資料の場合も、物価修正をすればこの数字に三・二%換算乳量による場合の第二次生産費というのが合致しなければならぬと思うのです。私の資料には七千七百八円となっておるが、これはあくまでも五十四年度生産費ですから、それに当然物価修正を行えば、政府試算の百キロ八千三百八十四円になるわけです。ですから、実乳量によった場合、各算出すべき要素というのは同じなわけですから、これが一体どういうようになるかという点ですね。物価修正をした第二次生産費が、三・二%換算政府試算と実乳量の場合の試算がどうなるか、これがわかれば、あとは租税公課とか集送乳経費とか販売手数料は、実乳量であろうと、三・二の乳であろうと、工場に般入したその量に対して支払われることになっておるので、三・二換算だから、三・六の実乳量を一二・二%水を入れてふやして工場へ持っていって、数量も水増しで取引をするということはいままでやっていないわけです。いずれにしても、合算すべき経費というのは、乳脂率のいかんにかかわらず、実乳量ということになっておることは甕さんも御承知のとおりですから、若干時間かかっても——では後ろの方でそれをやってもらうことにして、次の点についてちょっとお尋ねをいたします。  先ほど説明のあった限度数量については、昨年が百九十三万トンでありますが、昨年に比べると六万五千トン減額をして、百八十六万五千トンになっておるわけです。なぜ六万五千トンを減額したかという点についても若干述べられましたが、この限度数量算出についての方式が今年に限って違っておるわけですね。それは五十四年度限度数量を超えた生乳に対しては、従来は限度数量追加補正という形でその年度処理をしてきたわけでございますが、いずれにしても、五十四年度生産された生乳については、用途飲用であろうと加工用であろうと別途処理をしたものであっても、翌年度の四月以降にその過剰の分がそのまま保存されておるということにはならぬわけです。その点が昨年の過剰分、これはそっちに資料があると思うが十六万六千トンですか、それから去年の加工原料乳を、限度を超えるものに対して消費努力をした分を引いて、その残りの六万五千トンを去年の百九十三万トンの限度数量から引いたということになっておる。こういうふうに、去年数字上余っているから、新しい年度限度数量からそれを差し引くということになると、繰越分は差し引くということになり、これは法律に基づいて限度数量農林水産大臣が設定しなければならぬという趣旨に全く反するわけです。これは後で農林大臣にもただしますが、ここに重大な問題があると思うのですよ。これは指摘にとどめておきます。  ただ、問題は、一方においては五十五年度生乳国内生産見込みというものが去年よりふやしてあるわけでしょう。ふえる中において、それでは限度数量を六万五千トン減らした場合は、減った分の六万五千トンと五十五年度生産が増加した分の処理は一体どうするかという明確な需給上の方針がなければいけないと思うのですよ。特に、限度数量が減った分は、その分だけまず市乳飲用向けにことしは完全に消化できる、ことし計画でふえた分についても、飲用向けを重点にして消化できる、そういう見込みについて、この際はっきりした数字を示しておいてもらいたいと思います。
  13. 甕説明員(甕滋)

    甕説明員 現在の需給事情につきましては、関係者の皆さんの御努力によりまして若干好転の兆しを見せていると思いますが、なお畜産振興事業団民間を通じましてきわめて大量の乳製品在庫が存在するわけでございます。  そこで、限度数量についてでございますが、これは不足払い対象となる加工原料乳についての限度を示すことによりまして、生産者生産目標を与えるあるいは財政負担限度を明らかにする、こういった趣旨でやってございますので、需給均衡を旨としてこれを定めるというのが基本的な考え方でございます。  そこで、先ほど御説明しました生乳需給表数字がございますように、確かに、飲用向けにつきましても五・三%、乳製品につきましても一・四%、トータルいたしまして三・九%の伸びを見込んでおるわけでございますが、特定乳製品需要見通しとして出しております百九十三万トン、これの中には、本年度から持ち越されます六万五千トンという数量も、持ち越される以上は需要の中に含めざるを得ないということでございまして、その分を差し引いた六百四十五万五千トンを来年度供給ベースというふうに置いておるわけでございます。なお、その際申し上げましたように、生産見通しからいたしますと、なお要調整数量として二十二万七千トンから三十四万六千トンというオーダーのものが必要であるということでございますので、引き続き関係者の自主的な御努力を通じてそういった調整が図られる、需給均衡が図られるといった中で、需要に見合った生産を進めていくという見通しのもとに、それぞれの用途別供給目標を立てておるということでございます。     〔委員長退席山崎(平)委員長代理着席
  14. 芳賀委員(芳賀貢)

    芳賀委員 これは畜政課長、本来は午後農林大臣が出席した際にただす問題ですが、理事会において、参議院予算委員会あるいは参議院の農水の関係もあって、当委員会大臣二時間ということになっておるわけです。全部で二時間ですから、その中で限度数量算出方式は去年から違っているのじゃないかということをやり合っていれば、それでもう時間がなくなってしまうでしょう。だから、事前に資料の上で不明確な点は明らかにしておいてもらわぬと、質問にならぬということになるのですよ。だから、もう一回言いますが、ことしは限度数量算定方式にSの要控除量というのを新しく設けてあるわけでしょう。この算式を加えたことによって、去年からの繰り越しと称するような新しい数字を持ち出して、差し引き計算でこれは六万五千トン、当然少なくても昨年同様の百九十三万トンになるべきものを六万五千トン減額しておるわけですから、これはやはり重大な問題なわけなんですよ。  だから、それまでやるのであればこの六万五千トン分はまずどこかに向けなければいかぬわけでしょう。だからそれは、この加工原料乳補給金法という法律というのは、これは国内における市乳化促進が最大の目的の法律で、もう十五年たっているわけです。全国的に見ると、先ほど説明がありましたとおり、全国平均にすると六一・九%飲用化が行われておる。この全国平均の中において北海道はわずかに一四・一%しか飲用の消化が行われていないわけですから、これは過去十年間を見てもむしろ下回ったような現況に置かれておるわけです。それだけに、この限度数量ということになると、法律でもうたってあるように、主要なる加工原料乳生産地域における生乳処理については、やはり限度数量というものを設定して、その中にこれを包容して適正な価格と販売ルートを通じて処分するということになっておるわけです。だから、限度数量が減ったということはこれは重大な影響を与えるわけでありますからして、北海道に例をとれば、まずその減った分については市乳化の対象にして、政府としても適正な誘導政策を講じてこれを処理するようにするとか、これは何らかの裏づけがなければ、米の減反と同じように、頭から割り当てして今度はこれは減らすぞ、後は好きにせいというわけにはいかぬでしょう。この点は午後に、減らした分を一体どうする、ことし政府計画で昨年よりも生乳生産のふえた分に対しては、こういう用途別の内容でこの処理が完全に行われるように努力する、もちろんこれは国民もあるいは生産者も協力しなければならぬが、この年間の需給表というものをつくって、それに基づいて実現できるような行政を行うということになれば、はっきりした根拠がなければ、いたずらに全国生産者あるいは関係者に不安を与えるということになると思うわけなんですよ。だから、その点を午後の答弁で大臣から明確にするようにしてもらいたいと思います。  それから、さっきのあれできましたか。
  15. 甕説明員(甕滋)

    甕説明員 まことに恐縮でございますが、きょう審議会の方に人手をかなりとられておりまして、計算能力が低下をしておるわけでございます。なお早急に調製をいたしまして御報告したいと思います。
  16. 芳賀委員(芳賀貢)

    芳賀委員 それでは、もう一つ尋ねておきますが、毎年そうであるし、また昨日も、実乳量方式と三・二%換算方式のこれが一番の論争点なんですよ。方式が違うことによってキロ当たり十円十二銭乳価に差ができるわけですからね。〇・一%にすればキロ当たり二円五十三銭違うわけです。     〔山崎(平)委員長代理退席、委員長着席〕  そこでもう一つ、午後の質問の前にはっきりしておいてもらえばこの問題の解明に役立つわけですが、三・二%換算というのは、ことしの場合には乳脂率が三・六%ですから、それを三・二%に薄めるというのが目的ですから、薄めれば量がふえることは言うまでもないわけです。そこで、三・二%換算でやる場合、たまたま去年は三・六%の平均乳脂率であるから、換算すると水増しが一二・二%ということになるのですよ。そこで、実乳量の平均脂肪率が三・二%であった場合に、それを三・二%換算方式を使った場合に乳量がどうなるか、この点はどうですか。換算方式は、三・二%の計算値があるわけだから、それに三・五とか三・六を掛けると水増し数量が出てくるわけですよ。これは毎年違うのだからいろいろあるのですよ。だから、実乳量の平均乳脂率が三・二%の場合、三・二換算計算値にそれを掛けた場合にコンピューターがどういう答えを出すか、その点はどうですか。これは頭をひねる必要はないのですよ、計算機は正直だから、それを突っ込めばいいのだから。三・六とか、去年は三・五九とか、ついでに三・二の乳脂率をコンピューターに入れればどういう答えが出るか、その乳量は即座にわかるのじゃないですか。
  17. 甕説明員(甕滋)

    甕説明員 先ほど資料の第一で申し上げましたように、実搾乳量を実際の乳脂肪量で割りまして、この場合は三・六二というのが平均の乳脂率になるわけでございますが、それが一頭当たりということで出ている実際のベース数字であったわけでございます。それにつきまして三・二%の換算乳量生産費をはじくということで、分母が違ってまいりますから単価が変わってくる、こういう関係であったわけでありますので、実際のものが三・二%ということでございますと、それはそのままの数字数量が出てまいるということになろうかと思います。
  18. 芳賀委員(芳賀貢)

    芳賀委員 それは甕さん間違いないですか。とにかく政府は水増しをするために、三・二%の換算計算機を統計上ほぼ使っておるわけですよ。しかし、だからどういう数字を入れても答えがちゃんと正確に出てくるわけでしょう。いままでは三・二%以上の数字をそれに押し込むわけだから、どうしても乳量がふえるでしょう。乳脂率の高いものほど換算乳量がふえてくる。それを分母に使うから乳脂率とか、たとえばそれに並行して無脂固形分も高いわけだけれども、一番上質な生乳のキロ当たり生産費がこの擬装計算によって低くなっているでしょう。十円十二銭も違うわけですよ。この計算機の特徴は、基準の三・二%より低い乳脂率計算機に入れると、換算だから乳量がだんだん減るでしょう、実乳よりも。三・二が平均ですから、三%の乳脂率計算機に入れると、これは実乳量より減るのですよ。そういうことは農林省として絶対やりたくないでしょう。減れば値段がぐっと上がってしまうわけだから。しかし世の中には、年によっては三・二%平均という年も必ずあるわけですからね。それを計算機に入れた場合は、いま畜政課長が答弁したとおり、三・二の計算機の中に同じ三・二のデータを突っ込めば答えは同じということになるでしょう。同じということは実乳量ということで答えが出てくるのですよ、そうじゃないのですか。実乳量になれば五千三百キロということになるわけだ。五千三百キロということであれば、先ほど畜政課長が答弁したように、この資料にあるとおり、いわゆる実乳量計算でいやでもことしの乳価というものが計算されるということになるのですよ。これはあなたが間違いないということになれば、大事な重要な論拠になるわけですから、これはぜひ二時からの再開までに、農林大臣はもちろんですが、ついてくる畜産局長であっても審議官であっても、これもやはりついでにはっきりしないといかぬよということを言っておいてもらいたいと思います。
  19. 甕説明員(甕滋)

    甕説明員 私、芳賀先生の御指摘の内容を十分理解していないかもしれませんが、先ほど申し上げましたのは、乳脂率三・二%の換算乳量ベースで、現在は乳脂肪量を〇・〇三二で割って求めるということでございますので、実搾乳量に実際の乳脂率を掛けたものを三・二%換算して換算後の乳量を求めておる。したがいまして、実際の乳脂率が三・二%であれば出てくる数量は同じものになるという単純なことを申し上げたににとどまりますので、御了解をいただきたいと思います。無脂固形分も高いわけだけれども、一番上質な生乳のキロ当たり生産費がこの擬装計算によって低くなっているでしょう。十円十二銭も違うわけですよ。この計算機の特徴は、基準の三・二%より
  20. 芳賀委員(芳賀貢)

    芳賀委員 あとまだひまかかるの。
  21. 甕説明員(甕滋)

    甕説明員 恐縮でございますが、午後の質疑の中でお答え申し上げます。
  22. 芳賀委員(芳賀貢)

    芳賀委員 委員長、ではこの程度で……。
  23. 内海委員長(内海英男)

    内海委員長 この際、午後二時から再開することとし、暫時休憩いたします。     午前十一時二十六分休憩      ————◇—————     午後二時二分開議
  24. 内海委員長(内海英男)

    内海委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  この際、保証価格の実乳量ベースでの試算について甕畜政課長から発言を求められておりますので、これを許します。甕畜政課長
  25. 甕説明員(甕滋)

    甕説明員 午前中芳賀委員から御要請がありました点につきまして、お答えを申し上げます。  午前中に申し上げましたように、三・二%換算乳量キログラム当たりの第二次生産費七千七百八円は、実乳量ベースでは八千七百二十円でありますが、試算計算過程で七千七百八円を単に八千七百二十円に置きかえまして第二次生産費ベースで見ますと、九千四百八十四・七円になります。これに諮問に用いました租税公課負担等五百三円を加えてみますと、九千九百八十七・七円と計算が出てまいります。  以上でございます。     —————————————
  26. 内海委員長(内海英男)

    内海委員長 農林水産業振興に関する件について質疑を続行いたします。柴田健治君。
  27. 柴田(健)委員(柴田健治)

    ○柴田(健)委員 時間の関係上、簡潔にお尋ねをしたいと思うのですが、明日は食肉並びに加工原料乳の価格がいよいよ決まる。いま諮問されて三番町で審議をしておられるようでありますが、けさほど酪農部会で諮っておられる原案、諮問案を見てびっくりしたわけであります。加工乳が据え置きということは何としても理解できない、これが第一点。  それから第二点は、限度数量が六万五千トン削られて、昨年並みよりか大幅に減らしたというこの諮問案に対して理解ができないわけでありまして、まずは、その限度数量を減らした根拠を大臣から御説明願いたい。
  28. 井上説明員(井上喜一)

    井上説明員 お答えいたします。  限度数量算定につきましては、推定特定乳製品向け生乳需要量から過年度の持ち越し数量を差し引きまして計算したものでございまして、結論から申し上げますと、百八十六万五千トンでございます。  そこで、昭和五十四年度特定乳製品需要量を上回って生産された特定乳製品数量は、生乳ベースで申し上げますと十六万六千トンでございます。このうち、国産の脱粉を飼料用等へ転用いたしましたものが七万三千トンでございます。それから、生産者団体におきまして、計画生産数量を上回りました数量のうち、特別余乳とみなしまして一般市場外で処分をするというぐあいに考えられます数量が二万八千トンでございます。この合計十万一千トンを十六万六千トンから差し引きますと六万五千トンに相なるわけでございまして、六万五千トンが昭和五十四年度から五十五年度に持ち越される乳量で、過剰分でございまして、それを差し引きまして百八十六万五千トンと算定いたしたわけでございます。
  29. 柴田(健)委員(柴田健治)

    ○柴田(健)委員 結果的には昨年度、五十四年度の分の繰り越しを引くということでしょう。過剰でしょう。過剰論からこういう措置をとる。過剰になった理由は、日本の酪農民だけがかぶらなければならぬ問題かどうか。いまや外圧から来る乳製品の輸入数量というものが、われわれの立場から申し上げると、非常に大幅に伸びておるわけです。その伸びたものは何も考慮しないで、国内の過剰論だけを取り上げて処置するのは不公平ではないか。大臣どうですか。
  30. 井上説明員(井上喜一)

    井上説明員 昭和五十四年度におきましては、生産者団体が計画生産目標を定めまして生産調整をいたしたところでございますが、どうしても需要生産とのギャップが出てまいらざるを得なかったわけでございます。その数量がただいま申し上げました六万五千トン、これが五十五年度に繰り越されるわけでございます。  乳製品を輸入しているのではないかという御指摘がございましたけれども、現在輸入されております乳製品は、飼料用脱粉等のIQで輸入されているもの、それから乳糖、カゼイン、ナチュラルチーズのようなものでございますが、これらはいずれも、特定の目的のために安く入れる必要があるもの、あるいは国内生産がないもの、またはありましても国内生産だけでは賄うことができないようなものでございまして、こういった乳製品については、なかなか国産乳製品でもって代替するわけにはまいらない、そういうものが入っているわけでございます。  ただ、われわれといたしましては、そうはいいましても、たとえば飼料用脱粉に国内産の脱粉を回していくような措置を昭和五十四年度にとったわけでございまして、合計一万八百六十トンのそういう国産脱粉を飼料用等に使うようにいたしたわけでございます。  また、ココア業界等につきましては、国産品の使用を推進するように、国産品の使用を優先的にしてくれるようにといったことを行政指導しているところでございまして、極力国産品の消費の推進を行っているところでございます。
  31. 柴田(健)委員(柴田健治)

    ○柴田(健)委員 井上氏の答弁を聞くと、御都合の答弁だ、こういう気がするのですね。いま、日本の国内のあらゆる農業団体の皆さんなり生産農民の皆さんの声をあなたは率直に聞いた方がいいと思うのです。あなたはどこか耳を悪うしておるのではないか。いま、国内のあらゆる関係団体なり農民の皆さんの声というものは、農産物の輸入が多過ぎる、これがもう至るところ出てくる言葉であります。  いま、国内生産ができてないもの、こういうことで輸入しておる、こう言われたのですけれども、なぜ国内生産に踏み切らない。たとえばナチュラルチーズのごときは踏み切れるわけじゃないか。それを一つもせずにおいて輸入。いまあなたは、飼料用の脱粉だとか調製食用油脂は輸入が減りました。全くそのとおり、少し減っています。けれども、ナチュラルチーズは昨年五十四年度は前年度に比べて四・五%伸びておる。それから乳糖のごときは一五・四%輸入量が伸びておる。ココア調製品でも一一・六%も輸入がふえている。カゼインでも九・八%ふえている。そうした国内生産者を痛めつけるようなことをやっておるわけですね。飼料用の脱粉というのはえさを切りかえたらコントロールできるわけですけれども、もう少し人間が直接食べるものの国内生産に踏み切ったらどうか。それをせずにおいて、国内生産できないものは輸入するんだという言い方は余りにも不見識だと思うのです。今度の乳価決定に伴って、せめてナチュラルチーズくらいは国内生産に踏み切ります、これくらいはっきり出てくるのならまた一縷の望みも出てくる。それも打ち出してない。  そういうことで、いまこの六万五千トン限度数量を削減したのは、昨年の過剰論を埋めるんだ、調整数量だということです。過剰を調整するのなら輸入の過剰を調整しなければならぬだろうと私は思う。そういうふうにしないと不公平が起きる、こう思うのですが、常にすぐ需給均衡論を言う農林省ですから、われわれが言う不公平論をどう理解するのか、大臣、ひとつ答弁願いたい。
  32. 武藤国務大臣(武藤嘉文)

    武藤国務大臣 全体的には九九・一%ということで減ったけれども、それは飼料用脱粉の方が減っているのであって、口へ入るものは一向に減っていないのではないか、こういう御指摘かと思います。  確かに、国内でせっかく需要に対して供給が満たされ過ぎているくらいでありまして、そういうところに輸入でどんどん入ってくるのは大変おかしいということは私はよくわかります。ただ、問題は、御承知のとおり、いまお話のあったナチュラルチーズにしても、関税率は相当高い関税率を持っておりますけれども自由化品目でございます。その辺を私はこれから仕組みの中で抑えられれば極力抑えたいという気持ちはありますけれども、現在の仕組みの中で一体どう抑えていくのかということで、実はいろいろと頭を悩ましているわけでございまして、考え方としては、国内需給が非常に緩やかであるときにそれをより助長するような輸入については、極力抑えていった方がいいということはよく私もわかるわけでございます。できるだけいまの仕組みの中で、いま五十四年度まで済んでしまうわけでございますから、五十五年度に入りまして、その辺の仕組みを考えながら、ひとつできるだけ抑える方向に努力をしてみたい、こう考えておるわけでございます。
  33. 柴田(健)委員(柴田健治)

    ○柴田(健)委員 何としても、われわれは、本当に国内生産体制が整備ができて、生産農民に不安を与えないように、希望の持てるように、そういう畜産政策を強力に進めたいという立場から申し上げると、これ以上この貿易の自由化という路線を強力に進めてもらっては困る、こういう気がするわけです。今度のガットの関係なり東京ラウンドの関係で国際条約ができ上がって、それで、国際条約と日本の国内の法規の比重というものは、国際条約の方が優先権があることは間違いない、私はそう思うのでありますが、大臣はどう思いますか。
  34. 武藤国務大臣(武藤嘉文)

    武藤国務大臣 国際法の方が国内法より優先をするということは、いまの私ども国際社会の中で生きている限りにおいてはそういうことだと私は考えております。
  35. 柴田(健)委員(柴田健治)

    ○柴田(健)委員 それで、大臣の先ほどの答弁から見ると、いろいろと施策を進めていきたい、こういう答弁をしておった。ところがいまの答弁は、日本の国内の法規よりか国際条約の方が優先権があるという認識を持っておる。国際条約に優先権があるとするならば、この問題から見て、たとえば国際食肉の取り決め条約、国際酪農品の取り決め条約、関税評価に関する協定書、こういうものが東京ラウンドできめ細かくぴしゃっと決まってきた。考えてみると、世界貿易のために国際的な枠組みが今度の東京ラウンドではでき上がったということでしょう。貿易全体の枠組みが国際的にちゃんと仕組まれてきた。その枠組みの中に日本の農産物、特に食肉なり酪農製品、乳製品が入ってきた。穀物も入ってきた。そういう枠組みの中に入って、これから日本の穀物の生産、畜産物、果樹、そういう全体のものの生産体制をどうするのか。そして今度の東京ラウンドから見ると、一年置き、隔年に貿易、輸入の増大に向けて協議をすることになる。そういうものがちゃんと決められてきた。いままで政府でやってきた。そういう中で、これから日本の酪農事業をどうするのかということを、大臣としては国民、農民の皆さんにはっきり訴えなければならぬ。国際的にはこうなりました、こういう方向の位置づけが決まりました、そういうものを明らかにして、これからの酪農についてはこういう方向でやりますよ、そして価格はこうなりますよ、こういうことをちゃんとしないと、いまのやり方は全部ごまかし。先ほど井上君が答弁したが、昨年の過剰をことし持ち越してそれを消化して、そのために限度数量を六万五千トン減らすなんて一種のごまかしなんですよ。結果的には国際的な枠組みの中に入ってきた。その点は、大臣はどう理解をし、今後どういう方向でやろうとするのか。——補佐官からそんな入れ知恵を受けなくたっていいんだから、大臣みずから自信を持って答弁してもらわなければ困る。
  36. 武藤国務大臣(武藤嘉文)

    武藤国務大臣 たしか酪農品については具体的に約束はしていないはずでございます。  そこで、これからの畜産関係をどう持っていくのかということですけれども、確かに、国際社会の中で日本も生きていかなければならない以上、国際的な取り決めを尊重しなければならぬことは当然だと私は思っております。しかし、その取り決めは、いま言った乳製品については取り決めをしていないわけでございますし、いままで農林水産省としても、そういう国際社会の中で生きていかなければならないけれども、国際競争力のない部門についてはなるべく制約というか条件を構えて、いわゆるガードを固めてきたのではないかと私は思っておるわけでございます。ですから、今後についても、国際競争力を一方においては高めていく必要があるのではないか。そして、そういう方向に農業政策を進めていかなければならないわけでございまして、国際競争力がある程度高まってくれば、いまいろいろ言われますけれども、何も輸入がふえてくるわけじゃないだろう。結果において、先ほどの脱脂粉乳の問題、脱脂粉乳が飼料に使われる、あるいは学校給食に使われる、これはコスト的に全く合わないからやむを得ず輸入するんですという答弁をいままでしてきているわけであります。ですから、そういう点においても、国民の合意がそういうところにあるものだからそういうことになっているのだろうと思いますから、できる限り生産性を高めて国際競争力を強めていけば、結果的には何も外国から入ってくるものは自然的に減っていくわけでありますから、そういうように極力これから努力をしていかなければならない、そして、そういう努力をする間は、極力やはり輸入を規制するような方向で私どもは国際社会の中でもがんばらなければならない、こう考えておるわけであります。
  37. 柴田(健)委員(柴田健治)

    ○柴田(健)委員 日本の国際競争力を強めるというのは、昔もいまも皆さんずっと言ってきた。国際競争力を高めるまでいかないうちにつぶしてしまうようなやり方をしているのじゃないですか。こんなやり方をしていたら、日本の畜産はつぶれてしまう。国際競争力を高めるためにやると言いながら、すべてはつぶすような、壊すようなやり方をしているのじゃないですか。国際条約の中から見ると、両国それぞれ、たとえばアメリカと組んだ場合は、アメリカと日本の政府は共同で消費拡大をしなければならぬ責任を負うておる。それは輸入の農産物の消費拡大であって、日本の国内生産される農産物、乳製品の消費拡大ではない。国際条約がそうなっておるんだから、外国から入ってくる乳製品の消費拡大をしなければならない任務を持っている。けれども、日本の農民がつくる乳製品の消費拡大は何もしないということだ。そこからくるから、ナチュラルチーズの国内生産にも踏み切れない弱さがある。なぜナチュラルチーズの生産に踏み切れないかというのは、そこが一つのネックになっていると私は思う。大臣、この点は、ここでは乳価の据え置きはしたけれども国内生産の消費拡大に向かってナチュラルチーズの生産に踏み切ります、これは答弁できますか。そうすると消費拡大にもつながってくる。外国の農産物だけ消費拡大しなければならない理由はない。国内生産される農産物の消費拡大を優先的にやるのが、日本の農林水産大臣の任務ではないだろうかという気がするのですね。農林水産省というのは何をするところですか。総合省とは違うのだから。総合省が国際的なものも考えて、方々のことも考えればいいのであって、農林水産省には農林水産省の任務がある。設置法でちゃんと決まっている。あれやこれや物を考える必要はないのです。どうですか、大臣、もう時間がないからひとつ……。
  38. 武藤国務大臣(武藤嘉文)

    武藤国務大臣 私は、先ほども申し上げておりますように、国際競争力を高めていかなければならない、国際競争力を高めていく間は、できる限りいろいろの制度を構えて輸入を極力抑制する方向で努力をしていかなければならない、こう答えておるわけでございます。  それから、ナチュラルチーズにつきましては、いまソフト系はせいぜい振興してやっておるけれども、ハード系はなかなかうまくいかない。一体おまえはそれをもっとやるのかやらないのか、こういうことでございますが、私は、将来はハード系も含めてナチュラルチーズについても国内でもしやっていただけるものならやっていただきたい。  ただ、問題は、何も国立工場をつくるわけでもございませんので、これは民間でやっていただくわけでございますから、民間工場がそれをやった場合に、今度は酪農家が安定した価格でそこへ乳を納めていただかなければならぬわけでございまして、その辺のところを私どもはもうちょっとこれから検討していかなければならぬのではなかろうか、こう考えておるわけでございます。将来的にはナチュラルチーズというものは、ソフトだけではなくハードも含めて十分検討していかなければならぬ、私はこう考えております。
  39. 柴田(健)委員(柴田健治)

    ○柴田(健)委員 大臣、もう多くを言いませんが、せめて限度数量は六万五千トン削るんじゃなくて昨年並みというのはできないのですか。片一方では東京ラウンドでこんな条約を結んで、日本の生産農民を苦しめるようなことをしている、われわれの立場から申し上げたらですよ、皆さんはそれはいいと思っているのでしょうけれども。それから、限度数量は昨年並みにする。昨年の過剰量は何も生産農民の罪ではないのだ。これはもうみんなの責任です。みんなの責任は政府が責任を持つことになるわけだ。そうすれば、昨年並みの限度数量に直すべきだ、こう思いますが、大臣どうですか。
  40. 武藤国務大臣(武藤嘉文)

    武藤国務大臣 私どもはちょうどいま部会をやっていただいておるわけでございまして、そこへ先ほど審議官から答弁申し上げました内容に基づいて試算を出しておるわけでございます。いまの段階で、試算を出した私にここでそれを変更しろとおっしゃっても、それはなかなかできないことでございますので、その点は御理解をいただきたいと思います。
  41. 柴田(健)委員(柴田健治)

    ○柴田(健)委員 だけれども、諮問をして審議会から答申を受けるのでしょう。最終決定権はあなたでしょう。農林水産大臣の権限で決めるのでしょう。そうじゃないのですか。どうですか。
  42. 武藤国務大臣(武藤嘉文)

    武藤国務大臣 ですから、いまこの段階で私はなかなかそういうお答えはできないわけでございまして、部会でどういう御検討をいただけるのか、十分にその御意見も踏まえながら、また、自民党の方におきましても、政府与党という立場において責任を持っていろいろ小委員会をおつくりいただいて御検討いただいております。そういうところでどういう意見が出てくるのか、あるいはきょうこうやって衆参両院でいろいろ御審議をいただくわけでございますから、そういう審議会の部会の意見、また党の意見、また国会におけるいろいろ審議の御意見、こういうものを踏まえて、私は最終的に適正な価格また私どもとしては適正だと思う限度数量を最終的に決定をしていきたい、こう考えておるわけでございます。
  43. 柴田(健)委員(柴田健治)

    ○柴田(健)委員 ここで、権限はありますけれども、やりますとは言えぬことも、それはそのとおりだと思う。けれども、そういう方向で努力します、こういう答えが出てくるのが順序だと私は思うのです。人任せ主義というのはよくない。それはもう自信のある農政とは言えない。  それから、私は時間がないからかいつまんで言いますが、何としてもこの据え置きというのは、物価上昇率から見て——いま御承知のように、石油からできる品目が四百種類あるわけですね。四百一種類。その四百種類が全部上がってくる。四百種類の中に農業用の資材がどのくらいあるかあなたは知っていますか。何種類あるか知っていますか。それが大幅に上がってくることは間違いない。時間がないからそのお答えは要りませんが、よく勉強しておいてください。それにもかかわらず据え置きというのは、何としても理解できない。それで、要するに副産物の価格をどっと上げる。労働時間は短縮して、えさの価格の抑え方はちゃんと抑える。これからえさもだっと上がってくるでしょう。油が切れたら、輸送運賃が一遍に上がることは間違いないという気がするのです。そういう不安な条件がもう目前にあるわけですね。それに生産農民にますます不安を与えるような価格を決めるということは、不見識だという気がする。昔は、人間でも子供をたくさんつくれば奨励金を出しておった。牛でもたくさん産んで——牛は毎年産めるわけじゃない。毎年牛の子ができるように繁殖率を高めるような技術改善は、井上審議官がやる責任があるんだけれども井上君はしない。毎年どんどん子供ができるようにしたら、それは副産物としては一番収益性が高いかもしれない。いま平均にすれば一年置きなんだ。一年置きのその副産物、牛の子の代金が、相場が上がったからといって、それを全部コストへぶちかけるというやり方は、これは余りにもひど過ぎるという気がするのです。それでは血も涙もない。私は農林大臣は血も涙もある人だと思っておったけれども、正直言ってこれで見直した。もう少し血も涙もあったらこういう価格決定はしないだろうという気がするのです。あすは決定だからくれぐれも申し上げておきます。  以上をもって私の質問を終わります。
  44. 内海委員長(内海英男)

  45. 芳賀委員(芳賀貢)

    芳賀委員 午前中、農林省から昭和五十五年度加工原料乳保証価格に対するいわゆる政府試算なるものが示されたわけでございますが、これに対しまして、昨日来農林省のいわゆる三・二%換算乳量に基づく算定方式に対しまして、実乳量による算定を当然行うべきであるが、この実乳量算定方式を行った場合に、三・二%換算の価格とどういうような価格になるかということを指摘したわけでございまして、この点については、午前から政府説明員の甕畜政課長から数字を挙げての説明がございました。  そこで、政府案に対して確認の意味で質問いたしますけれども政府案は、言うまでもなく昭和五十四年度の農林省統計情報部における牛乳生産費基礎にいたしまして、これに一年間の物価修正係数を乗じて昭和五十五年度推定生産費というものを算出いたしまして、その結果が第一次生産費においては百キロ当たり七千三十九円、第二次生産費においては八千三百八十四円、これに租税公課あるいは集送乳経費販売手数料を加えたものがいわゆる保証価格として八千八百八十七円ということになりまして、これは前年度保証乳価と全く同額でございます。ですから、これを一キロ当たりにいたしますと、保証乳価試算は八十八円八十七銭ということになるわけであります。これに対して実乳量の場合、これは井上審議官からでもいいですが、第一次生産費幾ら、第二次生産費幾ら、保証乳価幾らという点を正確に答えてもらいたいと思います。
  46. 井上説明員(井上喜一)

    井上説明員 搾乳牛一頭当たりの実搾乳量は五千三百二十キログラムでございます。同じく搾乳牛一頭当たり乳脂肪量が百九十二・五キログラムでございます。これで実搾乳量による第二次生産費を求めますと八千七百二十円になります。それから、実乳量ベース推定の第二次生産費を基準にいたしまして仮に保証価格算定いたしますと、推定第二次生産費でございますが、九千四百八十四円七十銭になります。それに諮問に用いました租税公課負担等を、五百三円ございますので加えますと、百キログラム当たり九千九百八十七円七十銭と相なります。
  47. 芳賀委員(芳賀貢)

    芳賀委員 そうしますと、この実乳量による算定を三・二%換算と同様に行えば、保証価格試算はキロ当たりにいたしますと九十九円八十八銭ということになるわけですか。
  48. 井上説明員(井上喜一)

    井上説明員 御指摘のとおりでございます。
  49. 芳賀委員(芳賀貢)

    芳賀委員 これは大臣、大事な点ですからお答え願いたいと思いますが、実際の乳の量で計算すると、三・六%の乳脂率のものは一キロ当たり九十九円八十八銭になる。三・六%の乳脂率の実乳量を三・二%で水増しをして乳量を一二・二%ふやして計算すると、一キロ当たり保証価格試算は八十八円八十七銭になるということになるわけです。ちょうどこれは一キロ当たり十一円一銭違うということになるのですね。どうしてキロ当たり十一円違うかということは数年来議論しておるわけですが、結局、従来からの生乳のメーカーに対する取引慣行というものは、加工原料乳の場合はそれを原料としてバター初め乳製品製造しておるわけでありますからして、生乳の中の脂肪の率や脂肪量が多いか少ないかということが生乳の価値を決める基準になるわけですね。ですから、もう二十年も前から乳脂率三・二%のものを基準として取引を行う、つまりこれが保証乳価で言うと乳脂率三・二%の生乳政府試算によると八十八円八十七銭ということになるわけです。それから、実乳量というのは去年一年間の平均の乳脂率というものが三・六%である。これは毎年少しずつ上昇しているわけですね。それを正確に計算すると、いま井上審議官の言われたごとく九十九円八十八銭になる。この違いは、三・六%の生乳であればその価値は九十九円八十八銭である、乳脂率の非常に低い三・二%の場合には、これは八十八円八十七銭の価値しかない、そういうはっきりした、明確な結論をつけてかからぬと、いつまでたってもこの問題は単に論争の継続ということに終わるわけであります。こういう実態でありますからして、政府がこれを明日決定して大臣告示をされますと、四月から来年三月いっぱいこの乳価で実行するということになるわけですね。だからわれわれの主張は、この三・二%と三・六%の間においては乳脂率において〇・四%の差がある。この差というものが、〇・四%の乳脂率差というものがつまり十一円一銭の格差を生じておるのであるからして、これを取引条件に当てはめて、取引は三・二%で決めるとしても、三・六%に水を入れて乳量を一二・二%ふやす、水を入れて持ってこいというのであれば、これは百キロのものは百二十二キロにして持っていけば八十八円八十七銭でもいいのですけれども、そういうわけにはいかないわけでしょう、そうなれば、当然その生乳の中に含まれておる乳脂肪の脂肪率ということに格差を設けてそれによって正常な取引をするとすれば、三・二%しかないものはこれは八十八円八十七銭。しかし、現実に北海道平均の三・六%あるものについては、乳脂率格差を設ければこれは九十九円八十八銭ということで取引をされるわけでありますからして、生産者としても納得ができる、会社としても脂肪量の高いものほど高く買うというのはこれはあたりまえですから、そういうような乳脂率格差というものを農林省が適正に設定をして、それを示して、これを権限でどうせいというわけにはいきませんが、そうした格差あるいは取引基準というものを告示の際にこれに付随して告示をされまして、これに基づいて生産者それから集乳団体、それからメーカーの間において、十分に趣旨を理解をして正常な取引をされるというふうに指導するというのが当然農林省の行政責任であるというふうに私は考えるわけです。  ですから、この点について、基準については従来の慣行をいま急激に変更できないとすれば、三・二%の乳脂率基準の乳価が八十八円八十七銭であるとするならば、それより脂肪率の多いものあるいは低いものについては一定の格差というものを設けて、それによって正常な取引をするように指導する、誘導をするというようなことにすべきと思いますが、これはどうですか。
  50. 武藤国務大臣(武藤嘉文)

    武藤国務大臣 いま御指摘をいただきました三・二%と三・五%などのいわゆる脂肪率の問題については、毎年ここで御議論がどうも先生からいただいておるようでございまして、私ども生乳取引の慣行上三・二%というのを、従来から加工乳の保証価格を決めるときにはその数字を使ってきておるわけでございますので、そういう面でいまなかなか変えるというわけにはいかない。それはいま御理解をいただいたようでございますが、しかし、それはそれとして、せっかく実際の取引においては三・五%なら三・五%のものが入ってそれで取引なされているんだから、それを十分行政指導して円滑に行われるようにしろ、こういう御指摘かと思うのでございますけれども、なかなかこれは地域によっても違うようでございますし、また季節によっても正直そういうものは違うようでございますので、私どもが行政指導を万が一してしまいますとやはり一律になっていく可能性があるわけでございます。非常にきめ細かく、それじゃいつの季節のどこの地域はどうとかいうようなことでもやるというのは大変なことでございますので、検討はいたしますけれども、なかなかいまここで必ずそれは行政指導でそういうことをいたしますというところまで、ちょっと私も自信がないわけでございまして、検討だけはひとつ、毎年の議論のようでございますから、私も真剣に検討してみたいと思いますけれども、商取引がそれぞれ地域によって違うようでございますので、私どもがいま農林水産省として行政指導をするというところまではなかなか踏み切れないという点も、ひとつぜひ御理解をいただきたいと思うわけでございます。
  51. 芳賀委員(芳賀貢)

    芳賀委員 ただいまの答弁は、農林水産大臣としてはそのぐらいの答弁でやむを得ぬと思うのですよ。しかし、農林省のいわゆる政府委員、特に横に座っておる井上審議官というのはこれは練達の士ですから、はっきりしておくところは、保証乳価の、まだ政府試算であした百円になるかわからぬですが、八十八円八十七銭というのはこれは昨年と全く同一の保証乳価ですからね。だから、これは何でもかんでも持ってきた生乳を無差別に八十八円八十七銭で買い入れるというわけじゃないのですよ。いままでも二十年前から乳脂率格差というものは両者間において設定されまして、問題は、二十年前に〇・一%当たり一円の格差を加算するということが決まって、それが二十年間慣行として変更なしに今日に至っておるわけなんです。これが問題なんですよ。これから検討して格差を設けるというわけじゃないのです。ちゃんと〇・一%どれだけということは決めて、これは加工原料乳であっても、百二十円する生乳取引においても三・二%基準ということが行われておるわけです。しかし、二十年前の〇・一%一円と、二十年たった今日いまだに格差分についてだけ一円で妥当であるかどうかということなんです。二十年間に三倍乳価は上がっておるわけです。乳価が上がればその基礎をなす脂肪率というものは格差においても三倍になるということは当然なんですよ。これを農林省は、恐らくわかっておったと思うのですよ。わかっておりながら、この点を乳価の上昇に合わせて格差の是正をするという指導をいままで全く怠ってきたというところに問題があるわけです。面目にこだわっておる。二十年も一円でやってきたのに、いまさら国会で取り上げられて二円五十三銭にしろと言われても農林省として面目まるつぶれだ。何とかごまかして調査研究ぐらいということを農林大臣から言ってもらってお茶を濁すというのが偽らざる腹ではないかと思うのですが、もうそういうことは許されないのですよ。このまま決まると四年間据え置きですからね。食肉も据え置き、加工原料乳も据え置き。それであればせめて乳価算定を正確にする、格差をちゃんと設定して指導するということにしなければ、全国生産者に納得してもらうわけにいかぬと思うのですよ。ですから、この点は十分に念頭に置いて、これから農林大臣として行政を進めてもらいたいと思います。  確認しますが、この保証価格というものはあくまでも乳脂率三・二%を基準として、乳脂率三・二%の価格が去年と同じように八十八円八十七銭として試算された。それは間違いないですね。
  52. 武藤国務大臣(武藤嘉文)

    武藤国務大臣 そのとおりでございます。
  53. 芳賀委員(芳賀貢)

    芳賀委員 そこまでわかれば十分なんですよ。三・二%で八十八円八十七銭だから、それ以上のものが出荷された場合にはどうする。どうしてもそれをやらなければならぬのですからね。それが私どもの提起しておる乳脂率格差というものをぜひ設けなさい。これは政府試算が満足だというわけじゃないのですよ。これは低きに失しておるけれども、長年の課題というものに対して、武藤農林水産大臣の時代にこれはきちっとやったというような業績を残してもらいたいと思うわけです。  それから次は、限度数量の問題でございますが、限度数量を六万五千トン昨年よりも減額したやり方に問題があるわけです。いままでは毎年毎年当該年度一年間の国内における生乳生産量というものを把握いたしまして、それを用途別に区分して、そして加工原料乳については所要額を決めてそれに限度数量という法律の制度の枠をかぶせて、そして去年は百九十三万トン。毎年毎年これはやっているのが、今度の場合は、去年の限度数量をはみ出したと称する分、生産者団体や現地の酪農家努力をして新たに処理を進めた一まだそれでも残っている分の六万五千トンというものをことしの新しい年度の心要な限度数量から差し引いたのですね。だから、今度は借金の繰り越しというようなことで、借金の証書の書きかえみたいなことをこれから限度数量の設定にやるということになれば、これはもう大変な事態になるわけです。このやり方というのは従来に例がないわけですから、そういう繰り越し品の差し引きをやめる。そうなれば、少なくとも前年同様の百九十三万トンということになるので、まずこれを是正するようにしてもらいたい。  もう一つは、そういう政府の一方的な判断だけで限度数量を減らすということになれば、一方においては、昭和五十五年度は昨年度に対しましてこれは幅がありますけれども、最低で三・三%から五%の幅の中で生乳生産が今年度伸びる、去年よりも大体二十五万トンぐらい伸びる予測を立てて需給計画をつくってあるわけですから、それでは新しくふえる二十二万トンなら二十二万トン、それから今度削減した、限度数量を減らした六万五千トン、これを一体どこへ向けるかということに対して、やはり農林省として責任を持ってもらわなければならぬわけです。限度数量というのは加工原料乳地帯が中心ですから、現在においても加工原料乳の八〇%は北海道、それだけ北海道は悪条件に置かれておるわけです。午前中にもらった資料によっても北海道の二百五万トンの去年の生産牛乳の中で飲用率はわずかに一四・一%ということになっておるわけですよ。いやでもおうでも加工原料乳に向けなければならぬという場合に、やはりこの法律を活用して、それは限度数量として——価格は飲用向けよりもキロ当たり三十円安いことはわかるが、安定的に北海道生乳限度数量を通して加工向けに処理するということは当然なわけです。だから、減らした分は、農林省として責任を持ってこれは必ず市乳に、飲用向け北海道の分については内地府県の大消費地に遠距離輸送で送るようにするならするとか、さらにまた年次計画を立てて、この法律の目的が市乳化促進ということでありますからして、今度の計算も主要な原料乳生産地域というのは北海道しかないということをこれに書いてあるわけだから、あとは差はあるが全部これは市乳圏に入ってしまったわけですから、これを一体、どうするか。ですから、限度数量がもし減った場合、それではそれによって生じた生乳というものは市乳向けしかないのだから、どういうふうに責任を持って処理するようにするとか、これは大事な点ですから、この際、限度数量の扱いと同時にその方針というものを明確にしてもらいたいと思います。そうして、北海道市乳化促進をことしから大幅にやる。何も、北海道のためのことばかり言っているではないかといっても、法律がそうなっておるでしょう。法律がそうなっておるのだから、ほかの地域のことを言っているわけにいかぬじゃないですか。だから、これをはっきりしてもらいたいと思うのです。  それから、加工原料乳が、いたずらにバターであるとか脱粉であるとか、従来の指定乳製品だけの範疇にとどまった場合においては、どうしても国内における在庫がふえるということになるので、乳製品向けの場合には、国産のチーズ製造の分野というものを、政府が積極的に助成措置を講じて製造の方向を早目に建設をするようなことにすれば、需要のあるものを製造すれば、これは一方において過剰のバターの滞貨も減少するということになるわけでありますから、そういう点に対しても、据え置きとか削減ばかりが能ではないのだから、はっきりしてもらいたいと思います。  それと、異常在庫の問題は、外国からの乳製品の輸入の増大というものが最大の原因をなしておるわけですからして、輸入乳製品のすべてを生乳換算すると二百四十八万トン、いや、これは擬装乳製品対象にならぬとか、自由化はあたりまえだなんということを言わぬで、この膨大な二百五十万トンに及ぶ生乳換算乳製品に対して、少なくとも擬装乳製品と言われるようなものに対しては、やはり大臣の決断で削減するとか大幅に抑制するとか、そういうことにして、国内における過剰傾向の生乳の正常な処理、あるいは乳製品の滞貨を一掃するという積極的な姿勢というものを、輸入乳製品の削減あるいは擬装乳製品の一掃ということでなければ解決がつかぬと思うわけですから、この点を明らかにしてもらいたいと思います。  もう一つは、毎年毎年の据え置き据え置きの結果、去年からの、生乳生産地帯、酪農地帯に対する転作と似たような生産制限を政府が行っておる。これが結局、いままでせっかく苦心をして築き上げた酪農の基盤というものを根底から覆してきたわけであります。相当多額な設備投資を、単に手持ち資金ではなくて政府の制度資金等を中心にして建設をしておる、これから本当に発展的に酪農生産を進めるというときに、今度はストップがかかる、制限がされるということになると、結局その多額の負債の償還というものが焦げついてしまうわけですね。これは午前中甕課長からも資料説明がございましたが、北海道全体の酪農家の平均の固定負債というものはおおよそ千五百万平均ということになっておるわけです。借金には当然利子もかかる。一割ということになれば、これは毎年毎年百五十万円の固定負債に対する金利を払わなければならぬというふうな状態でありますからして、ぜひこの際は、固定負債に対する抜本的な負債の対策というものを、この価格決定とあわせて明確にしておいてもらいたいと思うわけです。  そのほか幾多の問題がありますけれども、昨日も申し上げてありますので、いま言ったような点については大臣から責任のある答弁を求めるものであります。
  54. 井上説明員(井上喜一)

    井上説明員 お答えいたします。  過年度分の乳製品の在庫相当部分を推定需要量から差し引きまして限度数量算定したわけでございますが、その六万五千トン相当部分の乳製品の消化について政府はどういうぐあいにするのかというお尋ねでございます。  需要見通しでは、こういうものがこれだけの数量消化されるだろうという見通しをしているわけでございますが、ただ、そういう見通しだけではなかなか消化ができないわけでございまして、第一義的には業界の努力がどうしても要るわけでございます。われわれといたしましては、そういう業界の努力と相まちまして、必要な場合、われわれのできますことにつきましては、できる限りの指導といいますか、あっせんといいますか、そういうことについては十分注意を払ってまいりたいと考える次第でございます。
  55. 武藤国務大臣(武藤嘉文)

    武藤国務大臣 私の方からは、チーズの問題と疑似乳製品の輸入規制の問題、それから資金の関係、これだけ三点お答えをさしていただきます。  チーズの問題につきましては、先ほども柴田委員にもお答えをいたしましたように、ナチュラルチーズが、いまソフト系だけはやっておりますが、ハード系については助成をしていないわけでございますけれども、将来の問題としては、私は、やはりこれも前向きに取り組んでいくべきだと考えております。やはり日本の酪農の将来振興のためにもそれが必要であろう。ただ、問題は、先ほど申し上げましたが、しかし、幾らでも高いものといってもなかなかできないわけでございますから、安定した価格で長期的に供給をされていくということが前提であろう、こういう点において、それを踏まえながらこの問題については積極的に検討してまいりたいと思います。  それから、疑似乳製品の問題については、たとえばココア調製品などが、五十四年度がたしか五十三年度と比べると一一%ちょっとの増加になっておるわけでございまして、これは確かに自由化品目ではありますけれども、正直、一〇%だけココア部分が入っておればあとは脱脂粉乳でいいというような形で、言ってみると、多少私は問題があるのではないかと思っておるわけでございます。いま検討いたしておりますが、従来の経緯からいって非常にむずかしいということを私も聞いておりますけれども、これは大蔵省ともよく相談をしながらいかなければなりませんが、何か考え方があるのではなかろうか。たとえば成分の配分をもう少し変えて、そしてそれに合わないものは入れさせないとか、何かその辺の仕組みが私はあるのではなかろうかと思っておりまして、ひとつ、これは少し時間をいただきまして、私、自分の任期の間に何かいい知恵を出してみたいということでやっておりますので、もう少し時間をいただきたいと思うわけでございます。(「いつまでが任期だ」と呼ぶ者あり)私の任期はことし中はないと思いますから、その間にできるだけ何とかいい方向を打ち出していきたいと思っておるわけでございます。  それから、資金の点については、従来から酪農経営合理化資金というような形でいろいろやってきておりますが、やはり充実を図っていくということが必要でありましょうし、また、最近の酪農家の実態をお聞きをいたしておりますと、大変負債を抱えてお困りになっておるということもよく承りますので、そういう点においては、今後とも前向きの合理化資金についてはできるだけ充実をしていく。それからまた、従来お借りになっておる負債については、系統資金などでお借りになっておると思いますので、そういうものについても、どうしてもいま返すことが大変であるという方については、償還期限の延長などについて私は十分前向きに検討してまいりたい、こう考えておるわけでございます。
  56. 内海委員長(内海英男)

    内海委員長 権藤恒夫君。
  57. 権藤委員(権藤恒夫)

    ○権藤委員 現在、わが国の農業が戦後最大の危機に直面していることは、もう御承知のとおりと思います。  そこで、まず農林大臣にお伺いしたいのですが、今日の酪農の現状をどのように認識をされ、そしてどのように対処しようとしておりますか、その基本的な考え方についてお伺いしたいと思います。
  58. 武藤国務大臣(武藤嘉文)

    武藤国務大臣 酪農経営というものは、わりあい順調な消費の伸びもありまして、私は、生産も順調に伸びてきておると判断をいたしております。特に、昭和五十二年度あたりからわりあいにえさの価格が下がってまいりましたので、そういう点においても相当経営は順調に伸びてきたと判断をいたしております。ただ、問題は、計画生産見通しと、それから、私どもの立てました、こういう形で生産伸びていくのが望ましい、消費はこのくらいでいくだろうという見通しを立てておりましたが、どうもそれが、残念ながらその見通しどおりに進まなくて、相当過剰を抱えてしまったという点においては大変残念に思っておりますけれども、今日までの経緯を見ておりますと、まあまあ順調に伸びてきた、これで在庫がなかったら大変いい状況ではなかろうかと、こう私は思っておるわけでございます。
  59. 権藤委員(権藤恒夫)

    ○権藤委員 いま大臣の答弁を伺っておりまして、余りにも政府の責任というものがあいまいになされておるのじゃないか、こういうように思うのです。今日の牛乳乳製品の過剰というものは、政府が陰に陽に輸入を拡大してきたということがもう最大のことであろうと私は思うのです。というのは、米もたくさん余っております。最近の米の輸入というものはもう皆無に等しいわけです。ところが、牛乳も余っておりながらどんどんと輸入が拡大されておるのです。  それからもう一つは、今月の十四日でございますか、第十五回の畜産振興審議会に対して畜産局長さんがこういうことを報告しているのです。「特に最近における情勢といたしましては、生乳生産が極めて高い伸びを示す一方で飲用牛乳乳製品の消費がこれに及ばず、牛乳乳製品需給の不均衡が続いております」、また、輸入に関しましては、「国内生産による安定的かつ効率的な供給を行うとともに、それでは不足する分について輸入を行っていくという基本方針に立ちつつ、」というような発言をしているわけなんです。  これらの報告でございますけれども、これはもう生産者にとりましては全く納得のいかないということだろうと思いますし、先ほど申し上げました、陰に陽に拡大をしているのじゃないかという理由にしていると思うわけなんですね。だから、余りにも無責任である、こういうふうに思うのですが、いかがでございますか。
  60. 井上説明員(井上喜一)

    井上説明員 乳製品につきましては、主要なものは輸入規制を実施いたしておりまして、たとえばバターとか脱脂粉乳については畜産振興事業団の一元輸入の品目になっているわけでございます。最近の輸入状況は、全く実績がない状況でございます。  それから、輸入規制をやっております脱粉等でございますが、飼料用、学校給食用あるいは福祉用のものでございますけれども、これも最小必要限度に抑えるということで対処しておりまして、さらに、あわせまして、これらの用途に向ける場合にも、国産のものを振り向ける、極力振り向けてもらいたいということで、昭和五十四年度におきましては合計で一万八百六十トンの国産の脱粉を使用してもらうということに相なったわけでございます。また、自由化されておりますココア調製品でありますとかあるいは調製食用油脂の問題につきましても、業界の自粛措置を要請しているところでございますし、国産品の優先使用ということについても極力指導を強化をいたしまして、国産乳製品の消費の促進ということを努力しているところでございます。
  61. 権藤委員(権藤恒夫)

    ○権藤委員 確かに努力していらっしゃることについてはある程度評価をしているのですけれども、この輸入されているものが全体の二八・八%、約三分の一近いものが、二百五十万トンですか、輸入をされておりますね。先ほどから、とにかく過剰在庫が百六万トンある、こういうふうに言われております。そのために国内生産者は自主調整をしているわけです。これはもう多大な犠牲のもとにそういうことをやむを得ずやっておるわけなんです。こういうような中にありながら、この過剰在庫の倍を上回るような輸入が相変わらずなされるということは、先ほどの畜産局長の報告じゃございませんけれども、輸入を前提とした虚構、フィクションの上に過剰ということが考えられておるのではないか、私はこういうふうに思われてならないわけなんです。  したがいまして、真剣に輸入の抑制についてはやってほしい。いま擬装乳製品のココア調製品それから調製食用油脂等のお話がございましたけれども、これなんかも、いろいろな問題はあろうと思うけれども、自粛をしてもなおかつ減ってないわけでありますから、こういうのも業界とよく話をして、たとえば畜産事業団あたりで一括輸入をする、一元輸入をするというようなこともこの緊急事態にはあってしかるべきだ、こう思うのですが、そういうお考えは何かございますか。
  62. 井上説明員(井上喜一)

    井上説明員 現在輸入されておりますものの七五%が脱脂粉乳とナチュラルチーズでございます。そういうものが七五%を占めるということは、飼料用なり学校給食用についてはどうしても安い価格のものを使用せざるを得ないというような実態がございますし、ナチュラルチーズについても国産では十分賄い切れないような実態がございます。その結果が全体の乳製品輸入量の七五%になっているというようなことでございます。現況のような乳製品需給事情でございます。輸入乳製品の量を極力抑制をしていくということは当然でございまして、先ほど御答弁申し上げましたのもそういった趣旨に沿った措置でございます。調製食用油脂あるいはココア調製品につきましては、芳賀委員大臣からお答え申し上げましたように、いろいろと検討すべきことがあろうかと思いますので、余りこういう過剰なときに乳製品の輸入量が多くならないように、慎重に検討してまいりたいと考えております。
  63. 権藤委員(権藤恒夫)

    ○権藤委員 ぜひひとつ善処してほしいと思うのです。  次に、福岡県の久留米市の一つの例を通しまして、政府の責任と今後の対策についてお伺いしておきたいと思うのです。  これは第二次酪農近代化計画に基づきまして、しかも同じ農業構造改善事業、その中の畜産団地造成事業のことなんです。これは以前に造成した方々は比較的安定的な営業をやっておるわけなんですが、五十二年、五十三年、五十四年、このころに事業に着手した人が非常に困っている。というのは、団地化しなさい、その理由が、集落の中にありまして、悪臭公害であるとかということで環境整備をしよう、それから経営規模の拡大をしていくということがより健全な営業ができるということ、それからやはり後継者の育成に必要であるということで、行政指導をどんどんしたわけですね。その行政指導計画が、三十六頭にしなさい、三十六頭にして年間の搾乳量が百八十トン、金額にして約二千万円という計画のもとにやったのです。ところが、いよいよ五十四年から稼働しようというときに自主生産調整ということになって、これは五十三年の生産ベースで割り当てが来たものですから、三十六頭置いて、しかも出荷乳量というのは百三十三トンに調整したわけなんです。これが約一千四百万なんです。だから、計画の時点よりもうすでに年収六百万の減収というような中で操業していかなければならぬ。だから、これは三年据え置きの十二年払いなんですけれども、とにかく借金の返済のめどが立たないということなんですね。このような事態になったのも、自分たちは、環境整備であるとかその他のことについて、農林省あるいは県や市の担当者の方が勧められるのでやったのです、だけれども調整は自主的に自分たちでやっておるのだから行政が介入する余地はないということで、もうギブアップ、手を上げてしまってどうにもならないというような現状になっておるわけです。そこで、この人たちがおっしゃるには、頼むから何とかこの打開策を見つけてくれないかということで、この乳製品の輸入の抑制をしてもらいたいと言う。それから、いよいよあしたこの限度数量というものが決まることになるわけでございますけれども、六万五千トン減になっている。むしろ彼らが言うことは、二百万トンにふやしてくれ、そうしていただければ何とかやりくりがつくのではないか、そういうことを考えておるわけです。  それが一つと、それからこの制度資金の償還期限の延長、先ほど大臣からもお話がございましたけれども、ぜひひとつこれは延長してほしい。また、制度資金を借りかえていくとか、あるいは超長期、超低利の融資制度等を新たに考えるとかいうことで、経営安定のために努力してほしいと思うのですが、この二つについて御答弁をいただきたいと思います。
  64. 井上説明員(井上喜一)

    井上説明員 輸入乳製品の問題につきましては、やはり国産で置きかえられるものについては極力置きかえるということは当然でございまして、そういった努力を今後ともしていくわけでございます。ただ、現実の生乳需給関係供給が相対的な過剰に陥っているわけでございまして、どうしても需給のバランスを回復するためには生産調整が必要でございます。そういうことで生産調整をお願いしているわけでございますが、限度数量を余り大きく設定いたしますと、そういう生産調整をしていること自身の意味も薄れてまいりますし、さらに根本的には需給関係が緩和をするわけでございまして、現状のような状態が続くわけでございます。やはり需給均衡回復するということが乳価水準回復にもつながるわけでございまして、どうしても、そういった全体の需給関係を考えますと、限度数量はわれわれが試算でお示しいたしましたああいった百九十三万トンマイナス六万五千トンという数字にならざるを得ないわけでございます。こういう限度数量すら、ただ手をこまねいておりまして実現できる消費量ではございませんで、関係業界が相当努力をしないとやはり達成できないわけでございます。そういった事情にございますので、限度数量のわれわれがお示しいたしました数量については、その点御理解を賜りたいと思うわけでございます。  負債対策といいますか、資金対策につきましては、全体として酪農家の経営状況というのはよくなってきていると思います。資産の状況、負債の状況あるいは農業所得の動向などを見ましても言えるわけでございますけれども、やはり地域によりあるいは個々の経営によりまして実態が違うわけでございまして、この点につきましても、大臣が御答弁いたしましたように、われわれ十分に検討してまいりたいと思います。
  65. 権藤委員(権藤恒夫)

    ○権藤委員 ぜひともお願いしたいのです。というのは、やはり行政指導によりましてそのような団地をつくったわけなんですけれども、結果的には、五十四年度から調整に入ったために、先ほど申し上げたように年間六百万の赤字を出さなければならぬ。減収になってしまった。したがって返済のめども立たない。結果的には、乳牛の導入だとか、補助金の残額を個人で借りていますから、借金だけが一人当たり二千万くらい残ったというようなのが五十四年以降に団地化された人々の偽らざる実情でございます。ぜひとも、おざなりな答弁ではなくして、再生産に従事できるようにひとつ御努力を願いたいと思うのです。  それから、乳価問題でございますけれども、過剰の生乳に対してさらに価格を引き上げれば、生産を刺激していくというようなことが理由のようになっていると思うわけです。先ほどから申しておりますように、過剰の原因は政府にも十分にその責任があるわけですから、くどいようですけれども、輸入対策については万々の体制でもってひとつこれが解消に当たってもらいたいと思うのです。  それともう一つは、これから先飼料も上がっていきます。電気が四割、五割上がってくると一般の物価はぐっと上がるわけなんです。けれども、農産物の価格、畜産物の価格だけが抑制されていくというような結果になっておるということにつきましては、農家は、生産者はがまんがならないというような限度にあるということは御承知だと思うのです。農村を守ってやるのは農林省以外にないわけでありますから、この乳価の決定についても最後までぎりぎりの努力をしてほしい、こういうふうに思うわけであります。  そういうことを前置きといたしまして、以下二点についてお伺いしたいと思うのです。  第一点は、生産性向上のメリットの問題なんです。先ほどからの御報告にも、生産性が非常に上がった、喜ばしいことであるとおっしゃっておりますけれども、労働時間の短縮や搾乳量の増加ということで確かに生産性は上がった。けれども、結果として乳価を引き下げるという要因になっておるわけなんですね。ところが、この生産性向上のメリットが全然生産者には還元されておらないわけでありまして、この生産性向上のメリットというものを全部が全部生産者に還元せよとは言いません。当然これは消費者にも還元されなければならぬわけです。けれども、少なくとも二分の一かあるいは三分の二ぐらいは生産者に還元されるようにするべきじゃないか、生産者努力も評価をするべきじゃないかというふうに思うのです。というのは、もうこれから先、後継者が希望を失っていく、どんどん生産性が向上すれば、努力をすればするほどわれわれは手取りが少なくなってくるのだという矛盾ですね。これは私はぜひとも見直す必要があるのじゃないかと思うのですが、いかがなものでございますか。
  66. 井上説明員(井上喜一)

    井上説明員 保証価格算定当たりましては、法律で、「生産される生乳の相当部分が加工原料乳であると認められる地域における生乳の再生産を確保することを旨として」定めるということでございます。またその際、同時に「酪農経営の合理化を促進することとなるように配慮するものとする。」こういう法律の規定があるわけでございます。こういう規定に基づきまして、われわれは保証価格を適正に決定しているところでございます。  保証価格の性格と申しますのは、いわゆる下支えの価格でございます。したがいまして財政負担をするわけでございますので、合理化が進んだそういう生産費を基準にいたしまして算定するわけでございますが、ただいま申し上げましたような性格でございますので、そういった生産費基礎にして算定するのも必ずしも不適当とは言えないのじゃないか、こう考える次第でございます。
  67. 権藤委員(権藤恒夫)

    ○権藤委員 次に行きます。  もう一点、労賃評価の問題なんですが、乳価生産費所得補償方式ということで一応評価はいたしておるわけでございますけれども、具体的な中身についてはいろいろ問題があります。特に労賃なんですけれども、どのような労賃を適用するかというところに問題があることは御承知のとおりです。特に自給飼料の生産に要する労賃というものは農村雇用賃金という低い水準で評価されておる。これはぜひとも改めてほしいと思うのです。そういうお考えが何か検討されておることがおありかどうか、ひとつ御答弁願いたい。
  68. 井上説明員(井上喜一)

    井上説明員 加工原料乳保証価格算定当たりましては、家族労働について二つの評価方法をとってございます。飼育管理労働につきましては、北海道製造業五人以上の労賃に評価がえをいたしております。それから、飼料作物労働につきましては、北海道農村雇用労賃によって評価をしているところでございます。  お尋ねの点は、飼料作物労働についても飼育管理労働と同じような方法で評価がえをすべきではないのかというような御質問趣旨にとるわけでございますけれども、飼料作物労働につきましては、これは一般の耕種農業の労働の態様と同様でございますので、他作物の生産費調査に採用しております農村雇用労賃をとって必ずしも不適当とは言えないのじゃないかと思います。飼育管理労働につきましては、酪農の飼育管理労働の周年の拘束性というような特殊性とか、あるいは高度の熟練を要する、そういった特殊性を考慮いたしまして、五人以上の製造業の賃金でもって評価がえをしている、こういう実情でございます。
  69. 権藤委員(権藤恒夫)

    ○権藤委員 いまあなたおっしゃった飼育管理に要する労賃のことは私は言ってないわけなんです。  政府は、農村で生産されるものはその周辺の農村の雇用賃金で算定すればよい、こういうふうに言っている。なぜかというと、それは安いからなんです。本来、農村の雇用賃金が安くてよいというようなことはないわけであります。農産物の生産労働のみに都市労賃で評価する必要がない、結果的にはそうなっておるわけなんですね。この考え方はぜひ農林省、改めてほしいと思うのです。先ほどから、自給飼料の生産に要する労賃というものは農村雇用賃金でいい、こういうふうにおっしゃっている。そういう認識であるならば、これは考え方が逆立ちしていると私は思うのです。農村の雇用賃金が全体として低いから、低い賃金で農産物の価格を考えるべきじゃない。むしろ、農産物の価格算定の中で農村の労働賃金が都市よりも低い、だからこの水準を引き上げよう、そういう考えに立ってしかるべきだろうと私は思うのです。先ほどから申しておりますように、農村地域だからといって、元来この賃金水準が低くていいのだというような考え方、これは根拠も何もないわけであります。農村地域の主たる生産物は農産物であることには間違いございません。したがって、農村地域における人々の生活の権利を都市住民と同等に保障するという意味においてでも、私はこれから先真剣に価格決定等につきましては考えていただきたいと思うのです。これについてひとつ大臣の所信をお伺いしておきたいと思います。いかがなものでございましょう。
  70. 井上説明員(井上喜一)

    井上説明員 農村におきます家族労働をどういうふうに評価すれば一番いいのかという問題でございますが、われわれといたしましては、その当該地域におきましていろいろな雇用機会があるわけでございます。製造業でありますとかあるいは建設業とか運輸通信関係の職場があるわけでございまして、その地域の人が通常職が得られるようなところの賃金をとりまして酪農の場合も評価をするのが適当ではないのだろうか、こういうことを考えているわけでございます。都市には都市の賃金がございますけれども、農村にはその地域の一般的な賃金水準というのがあろうかと思うわけでございまして、われわれ、生産費調査の方では製造業とか建設業、運輸等の代表六業種の平均賃金をもってその地域農村雇用労賃にしているわけでございまして、飼料作物労働の場合にもこの賃金をもって評価をしているわけでございます。決して高くするとかあるいは安くするとか特定の意図を持ってやっているわけではございませんで、客観的に適正に農村雇用労賃を把握いたしまして、それで家族労働を評価をしているわけでございます。
  71. 権藤委員(権藤恒夫)

    ○権藤委員 故意にやっているとは申しません。けれども生産者の側からすれば、もうこれだけ交通、通信も発達しておりまして都市と農村との生活レベルの格差というのはないわけでありまして、飼料生産労務者だけを農村雇用の賃金の対象としていくという考え方は変えていただきたい、善処してほしいと思います。  それから最後に、残飯養豚についてお伺いしたのです。  これも、人口二十一万くらいの都市で、約二十一名が残飯養豚組合をつくりまして、日量百五十トンから百七十トンの残飯を回収しているわけなんです。残飯回収はいろいろなことがございまして、特に運搬の車両の損失だとかあるいは容器だとかということで採算が合わない。ところが、配合飼料等については、たくさんじゃありませんけれども適当の応分の財政的な助成措置がありますけれども、この残飯養豚等には何もないわけであります。ですから、ぜひ何らかの措置を講じてほしい。幸いなことに未利用資源といういままで利用されていないような資源が実験的に研究されているということなんですが、ぜひともこの残飯養豚等については補助金等の検討をしてほしいと思うのです。  時間がございませんから、最後に、あす畜産物の価格が決定されるわけでございますが、とにかく再生産ができるような、そういう適正な価格をぜひとも決定してほしい、これは強く要望しておきたいと思うのですが、御答弁いただきたい。最後大臣、お願いします。
  72. 井上説明員(井上喜一)

    井上説明員 残飯養豚の問題についてお答えいたします。  都市近郊の養豚経営では残飯に依存しているのがわりあい多いわけでございまして、残飯は非常に割り安な飼料といたしまして各地で利用されておりまして、それなりに定着しておるわけでございます。どういうものに助成しますか、これに新しく助成をしていくということはなかなかむずかしいと思います。何か新しい技術の導入等があればまた別でございますが、もうすでに一般に残飯利用というのは定着しておるわけでございますので、新しく助成をするというのは非常にむずかしい問題だと思います。  ただ、飼料の運搬車等につきましては、経営の実態を見ないとよくわかりませんけれども、農業近代化資金等の制度資金の融資対象になるのではないかとも考えられますので、その点よく実態を見て検討してまいりたいと思います。
  73. 武藤国務大臣(武藤嘉文)

    武藤国務大臣 各審議会の部会の御意見、また私どもの党の方で小委員会をつくっていただいておりましてそこでの意見、またきのうきょうの衆参両院の委員会でのいろいろの御審議、こういうものを十分踏まえながら、法律に書いてございますように、生産条件、需給関係その他の経済事情などを勘案しながら再生産の意欲がなくならないような形で適正な価格を決めてまいりたい、こう考えております。
  74. 権藤委員(権藤恒夫)

    ○権藤委員 ありがとうございました。
  75. 内海委員長(内海英男)

    内海委員長 津川武一君。
  76. 津川委員(津川武一)

    ○津川委員 きのうの食用肉に対する諮問、きょうの加工乳に対する諮問、畜産をやっておる農民はまことに不満でありますし、農民の組織もこれに怒りを発しております。きょうのように、こんなふうにたくさんの傍聴者がこの委員会に来ることもめったにありません。そこで、大臣はあしたの審議会それから自民党の小委員会、きのうきょうのぼくたちの論議を聞いて適正に決めると言っておりますけれども要求しておる農民と農民の団体の要求、これが一番基本的な要求であるので、この要求に一歩でも二歩でも近づいていく価格決定をされるように心から求めてやみません。そういう点をまず第一に要求しておきます。  先日来かなり詳しい質問になっておりまして、私たちも幾つかのことを質問いたしましたけれども、きょうは最後になりましたので、少し政治的な姿勢についてお尋ねしたいと思います。  あした、三月二十九日に皆さん決めるわけですね。四月一日から物価がどうなるか、これを皆さん御存じだと思いますけれども、四月一日から電気五一%、ガス四五%、NHKの聴視料が二四%、国立大学の授業料が九万から十二万、そしてたばこの値上げ、国鉄運賃が値上げされます。そしてもう一つ、三月には国内の航空運賃が上がっております。二月には肥料がまたかなり上がっております。硫安で二二%、窒素で三一%、平均で一五%。そして一月にはえさがトン九千円上がっておりますね。あした決めますよ、三月二十九日に。あさってからこうです。皆さんの決定方式で言うと、四月一日から上がる値段を、諸物価の上がるのを取り入れるわけにいかない機構になっていることは私は百も承知している。しかし、このことも、適正な価格を求めて値上げを要求している農民の要求と同時に、この情勢の検討も必要なんです。こういう情勢に対して、大臣、何か考えがありましたらひとつ表明してください。
  77. 武藤国務大臣(武藤嘉文)

    武藤国務大臣 従来から、保証価格算定当たりましては、直近三カ月ということになっておるわけでございまして、価格決定においては最新の確定したデータを基礎とするという考え方のもとに、一月までの労賃、物価水準を織り込むことを原則としておるわけでございます。確かにいま御指摘の点もあろうかと思いますが、これは考え方は違うかもしれませんが、私ども政府といたしましては、そういう電力その他のものが上がっても、最終的に消費者物価は六・四%に抑えるのだ、こういうことでやっておるわけでございますから、これは結果が来年にならないとわからないわけでございまして、来年の三月にどちらが正しかったかということになるわけでございますけれども、私どもとしては、そういう考え方でいま対処しているわけでございまして、電力は確かに上がりますけれども、諸物価の値上がりを極力これから抑えてまいりたい、こう考えておるわけでございますので、極力御迷惑をかけないつもりでやっていきたいと思っております。
  78. 津川委員(津川武一)

    ○津川委員 政府は六・五%の消費者物価と言う。しかし、私のふるさとで酪農をやっている地帯での消費者物価はもう一二・三%値上がりしています。だから大臣方針はいいよ、覚悟はいいよ、六・五%。だが現実はそうじゃないということ。この間はめちゃくちゃな灯油の値上がりで二倍ばかりになっているでしょう。この間帯広に行ってみましたよ。三十頭牛をやっている人が電力料金値上げで、北海道がわりあいに安くても月一万円上がるという、こういう情勢なんです。だから、あした農林大臣がいろいろな意見を聞いて最終的に決めるが、決めるときに国民に報いる、畜産農家に報いるためには、これをあなたの考え方で幾らか試算というものの動きがあり得るわけです。そこで、このことを十分考慮して決定する必要がある、こう言っているわけなんでございますが、重ねて大臣の所信を伺います。
  79. 武藤国務大臣(武藤嘉文)

    武藤国務大臣 大変同じ答えで恐縮でございますが、私ども審議会の意見もそういう意見が出てくるのだろうと思いますし、また、私どもの党の小委員会でもいろいろ御意見が出てくるだろうと思いますし、この国会の論議も踏まえて決定させていただくわけでございまして、いろいろの御意見を尊重しながらいかなければいかぬことは当然かと思っております。
  80. 津川委員(津川武一)

    ○津川委員 そこで、いまこれだけ軒並みにインフレが出てきている。そこで四月からの畜産の指導援助、それから畜産農民の生活の援助などということに対して、私は、政府もその点で営農の指導援助、農民の生活を安定させるために格段に、ひとつ苦労もなければならないし、指導方針もなければならないと思いますが、この点はいかがでございます。
  81. 井上説明員(井上喜一)

    井上説明員 酪農につきましては、これから需要伸びていく部門でございます。われわれといたしましては、生産対策、流通対策あるいは価格対策全般にわたりまして、できるだけの対策はとってきたつもりでございますが、なお具体的な御質問がありましたら、それに応じてお答えいたしたいと思います。
  82. 津川委員(津川武一)

    ○津川委員 その次に、生産調整でございます。畜産農民と農民団体は、本当につらい思いをして生産調整のために努力しておりますね。  私、この間釧路と帯広に行ってみました。八十八円八十七銭。これを北海道の人たちは生産調整のために、消費拡大のために二十一万トン、お金を出し合っているでしょう。そのために五円安くなっている。実際上の手取りは、八十八円八十七銭でなく八十三円何がしになっている。すでにこの点で、いまの生産調整で実質上に価格低下を来している。だから、こういうことをやらせてきたのに対して、私は政府に腹がなければならぬと思うのです。これは農民は一生懸命やっているのですよ。政府の方でこれの努力にどうこたえているかという問題なんです。  この間、私たち畜産物の価格の問題で大臣に申し入れをしたときに、私、山形の例を出しました、山形から篤農青年が北海道酪農の勉強に行った。二年一生懸命勉強してきた。そして今度山形に帰って酪農をやろうと思って希望を燃やしてきたら、一緒に暮らした北海道酪農農民が乳牛一頭くれてよこしたのです。その乳牛を基礎にして、この青年はもう二頭やって、ふえて三頭で酪農をやろうとした。生産調整。周りの空気からいっても、いろいろな施設からいっても、やれない。こういう点で、この青年は出かせぎに行ってしまっている。北海道では実際の減産。この青年は何をやったかというと、生産意欲、酪農に対する失望ということです。  もう一つは、今度は実際の自分の営農のやりくりなんですが、弘前市の大森に大石農業というところがございます。昭和三十九年に国営パイロット事業の一環として岩木山ろくの開拓事業が行われ、ここに入植しているわけです。一昨年まで十九頭の搾乳牛、五カ年計画で五十頭に規模拡大計画をしてやり始めた。この願いが実現して、昨年二月五十頭牛舎の施設建設をやった。総合施設資金、これで三千四百万、利息が五%、四年据え置き、これで五十頭牛舎をつくった。完成した。さて、十九頭から五頭、六頭ふやしたところの生産調整なんです。いまこのために五十七年まで毎年、この間借りたものの利息だけでも百五十万円。これはとうていできなくなってしまったのです。この間ここへ行ってみました。首をくくらないでいるだけだと言う。こういう態勢なんです。したがって、生産調整に対して、農民と農民団体がやっているのに対して、政府はどのくらい資金的に援助しているのか、酪農と豚肉でちょっと答えていただきます。その答えを踏まえてもう一回私、質問します。
  83. 井上説明員(井上喜一)

    井上説明員 お答えいたします。  ただいまこういう牛乳乳製品需給事情が出てまいりまして、農家の実際の手取りが下がってきている。こういうお話があったわけでございますが、われわれが生産調整が必要だというのもまさにその点でございます。現在の需給をタイトにしなければ実際の農民の手取りが減っていくわけでございますので、どうしても需要に合わせた生産が必要になってまいるわけでございます。生産調整につきましては、昭和五十四年度におきましては消費拡大とあわせまして三十三億円の生乳需給調整対策費を決定したわけでございます。そのうち直接計画生産関係に使っておりますのは二十二億円でございます。それから、来年度予算では中央酪農会議にそういう全体の需給調整をやっていただくための予算措置をしてございますが、ただいま手元にございませんので、後ほどお知らせいたしたいと思います。  それから、豚につきましては、昭和五十四年度につきましては三千六百万円の計画生産推進のための予算、予算といいますか、畜産振興事業団の指定助成事業として予算をつけております。今年度分についてはどのようなことにするか、なお決定をしておりませんが、今後検討をしてまいりたいと考えております。
  84. 津川委員(津川武一)

    ○津川委員 大臣、このとおりですよ。米の生産調整政府が自分の主導権でやったときに奨励金が三千百億円、五十五年度の予算で。そしてそのための生産基盤整備のために二千五百億円。畜産の生産調整には、酪農は二十二億円、豚が三千六百万円。どこか畜産に対しての政府生産調整に対する態度、気魄というものがかなり落ちているのではないか。豚の三千六百万、どのぐらいにふやすかということをこれから考えると言う。三十三億円のうち二十二億円が酪農の直接のもので、あとの十一億円は小売店なんだ。これもいいよ。だけれども、ここのところは思い切って生産調整に、農民の努力に報いるべきだと思うのですが、この点、政府の見解がありましたらひとつ……。
  85. 井上説明員(井上喜一)

    井上説明員 生産調整をどういう形でやるのがいいのかということとも関連いたします。私どもといたしましては、生産調整政府が言ってやるのではなしに、生産者団体が中心になりまして進めていくというのが一番効率的でありますし、また、姿としても望ましいのではないかと考えているわけでございます。幸い酪農にいたしましても養豚にいたしましても、生産者団体が自主的に生産調整をされるということで生産調整をやっておられるわけでございます。それに対して、われわれとしてはできるだけの側面的な援助をしているのが実情でございます。米の場合とは若干様子が違いますが、われわれといたしましても、所要の、かかる経費につきましては、できるだけの援助はしていくつもりでございます。そのように検討さしていただきたいと思います。
  86. 津川委員(津川武一)

    ○津川委員 そうすると、豚の三千六百万はもっとふえると受け合っていいですか。
  87. 井上説明員(井上喜一)

    井上説明員 ただいまの、どれだけの金額にするかは検討中でございますが、生産調整がスムースに行えますような措置はとってまいりたいと考えております。
  88. 津川委員(津川武一)

    ○津川委員 その次、大臣、借入金の問題です。先ほど話しましたけれども、今度ミカン生産調整のときには皆さんが再建整備資金として自創資金から五百万出しましたね。畜産の生産調整に対してこういう資金をぜひ出す必要があるし、支度する必要があると思うのです。ミカンの生産過剰のときには出しました。こういう点で農家の負債なんかを整理しなければならぬ、これが一つ。この考え方があるかどうか。  もう一つ。先ほども農林大臣が答弁していたけれども、系統融資資金、期限がまだ余っているからこれを最大限延ばすと言っている。私もそういう答弁を何回かもらって、いいと思って行ったのです。今度畜産の皆さんと会ってみたら、そういうことが行われていないのです。系統資金を借りている。期限が来ると、信用保証している側から言われるものだから農協が立てかえてしまう。そうすると、長期のものが短期になって利息が高い。これが現実なんです。大臣の答弁、行われてないのです。  そこで、どうしてもこのことを行わせるためには、単協も苦しいから、信用保証しているところなり系統資金を出すもとに農林大臣が、そういう点で単協をいじめないで——単協はまずその金を返さないと次続かないから返すのです。そうでなく、事情相談して、こうしてやっていくようにと。特に最近投資して拡大した人、これは酪農でも養豚でも同じ、この人たちが一番苦しいので、こういう形で指導する通達なんかを出す。こうしていかないと、先ほどの大臣の答弁も空念仏になって、私もいままでいいと思ったら、実際に当たってみたらそうなんです。この融資のこと二点、ひとつ答えていただきます。
  89. 武藤国務大臣(武藤嘉文)

    武藤国務大臣 資金の問題について私からお答えをいたします。  いま、私が申したことで実現されていないという御指摘ですが、私は国会でお約束をいたしましたのは、まだミカン関係だけでございまして、以前にどういうことがあったのかは存じませんが、それはもう通達も出しまして、きちんといっておるはずでございます。  ここでいま答弁をいたしておりますのは、今後の畜産関係についても、特に一生懸命おやりになっておる酪農家なりあるいは畜産農家なりが、本当にやってこられたにもかかわらず、いまの非常に過剰という状態の中でなかなか資金が返せない、こういうことで大変お困りになっている方については、ひとつ償還期限の延長を考えるべきである、それについては一遍検討しまして、できるだけ早く結論を出していきたい、こう考えているということを申し上げておるわけでございまして、まだいまのところ通達は出しておりませんので、これから検討した上で必要があれば通達を出すし、必ずしも通達でなくてもケース・バイ・ケースでやれるかもしれませんし、その辺のところはひとつ検討を進めて、要はそういうお困りになっている方が何とか資金のめんどうと申しますか、償還の延長をできるような仕組みは考えていきたい、こう思っておるわけであります。
  90. 津川委員(津川武一)

    ○津川委員 再建整備資金は。
  91. 井上説明員(井上喜一)

    井上説明員 酪農の融資の関係でございますけれども酪農につきましてはミカンなどと違いまして各種の対策をやっているわけでございます。したがいまして、資金等につきましてもそういったことを当然考慮していく必要があるのだろうと思うのです。先生御案内のとおり、昭和五十二年だったと思いますが、これは四百億円の経営改善資金を出しておりますし、昨年は百億円の経営の合理化の資金も出しているわけでございます。そういった酪農に着目した特殊な資金については、その都度対策を立ててきておるわけでございますが、御指摘の自創資金の再建整備資金のようなものはできるのかという御質問でございますけれども、これは酪農対象になるわけでございまして、たとえば、計画生産のために酪農経営を肉用牛経営に転換をしていくとか、あるいは経営の合理化によりましておおむね五年以内に経営の再建整備を図るために、農協等の金融機関の協力による貸付条件の緩和等の措置があってもなお再建整備資金による以外に適当な方法がないというような場合には、対象になるわけでございまして、酪農は特別な扱い——特別といいますか、この貸付の対象外になるということではございません。
  92. 津川委員(津川武一)

    ○津川委員 一千万円については……。
  93. 井上説明員(井上喜一)

    井上説明員 金融課の所管でございますので、私ただいま答えるわけにまいりませんが、その点、金融課の方とよく話してみたいと考えます。
  94. 津川委員(津川武一)

    ○津川委員 終わります。
  95. 内海委員長(内海英男)

    内海委員長 神田厚君。
  96. 神田委員(神田厚)

    神田委員 農林大臣質問いたしますが、昨日畜審部会に政府試算が提示され、本日酪農部会におきまして政府試算が出ているわけでありますが、これらを総括して考えますれば、いわば生産農民の期待を非常に裏切った低試算であります。このことは畜産を振興させ、酪農振興させていくという農林水産省の方針とは非常に隔たった方針でありまして、そうでなくても、牛肉はともかく、すべての部門におきまして生産調整ということで生産農民の皆さん方にいろいろ生産に対する計画生産の協力をお願いをしている、そういう形でやっているにもかかわらず、ことしもまた畜産物の価格がこういう低い形で出されてきたということに対しましては、これは私は非常に問題だと思うのであります。  まず最初に、畜審部会に出されました政府試算がなぜこういう低い数字になっているのか、大臣の方からお答えいただきたいと思います。
  97. 井上説明員(井上喜一)

    井上説明員 お答えいたします。  保証価格基礎になります諸項目の中で上げ要因として働きますのは、労働費の問題、家族労働費、それから電気料金あるいはえさ等でございますが、逆に副産物であります子牛価格が非常に高くなっておりますので、そういったものがマイナス要因として働くわけでございまして、差し引き計算いたしまして八十八円八十七銭と相なったわけでございます。
  98. 神田委員(神田厚)

    神田委員 われわれは試算のとり方、計数のとり方につきましても、大変疑問に思っております。こういう形での試算は納得するわけにはまいらないわけであります。  続いて、酪農におきまして限度数量六万五千トンが減ったわけでありますが、外国からの乳製品の輸入をこれだけ多く持ちながら、さらに現在非常に努力をして計画生産生産調整をしている酪農民に対しまして、いままで以上に六万五千トンもまた減らすということは、これは大変な問題だと思うのであります。そういう姿勢は私は非常に疑問でありますし、そういう姿勢は変えてもらわなければいけないと思いますが、六万五千トン減らした端的な理由をお聞きしたいのであります。
  99. 井上説明員(井上喜一)

    井上説明員 五十五年度特定乳製品推定需要量は百九十三万トンでございますが、それから六万五千トンを差っ引いてございます。この六万五千トンは、五十四年度におきまして生産されたもので、実際の特定乳製品需要を上回ったものでございます。
  100. 神田委員(神田厚)

    神田委員 われわれとしては納得できませんが、いずれにしましても、こういうふうに保証価格は据え置き、それから限度数量は六万五千トン差し引き、こういうような形で、本当にこれから先の酪農振興ができるのだろうか、非常に疑問を持つわけであります。  大臣としましては、生産調整生産農民に協力を要請しておきながら、それなりにしっかりした形でそれにこたえているにもかかわらずこういう形になってしまったことにつきましては、どういうふうにお考えでございますか。
  101. 武藤国務大臣(武藤嘉文)

    武藤国務大臣 生産調整生産調整で今後もお願いをしていかなければならないと思っておりますが、価格の問題は、いま審議官の方から答弁を申し上げておりますように、いろいろの計算に基づいて計算をして試算を出したわけでございます。しかし、最終的に価格あるいは限度数量もまだ決まったわけではございませんので、先ほど来お答えをいたしておりますように、審議会の各部会の御意見、また、私どもの党の方で小委員会をやっていただいておりますので、そういうところの御意見、きのう、きょうの衆参両院の委員会でのいろいろの御審議の経緯などを踏まえながら、私どもとしては、法律に基づきまして、現在の生産条件あるいは需給関係などを十分勘案をしながら、最終的に適正な価格また適正な限度数量を決めていきたい、こう考えておるわけでございます。
  102. 神田委員(神田厚)

    神田委員 先ほど来から指摘がありますように、これから先はインフレ傾向だ、物価が非常に上がるのではないか。同じように生産資材も大変上がってくるわけでありますから、そういう中で畜産、酪農というのは、なかなか大変なことになってまいります。そういう公共料金等の値上げ、資材等の値上がりの要因の中で、飼料の問題が非常に大事になっております。飼料問題につきましては、七月ごろからまた値上げがあるかもしれないということで、異常基金に対する政府の方の考え方、積み立て造成に対する考え方、これに非常に期待をしているところが大きいわけでありますが、この点につきましてはどういうふうにお考えでございますか、大臣の方からひとつ答弁していただきたいと思います。
  103. 井上説明員(井上喜一)

    井上説明員 現在、異常補てんをやっているわけでございますが、この六月末に異常補てんのファンドはそれでもなお百四十億円程度残るわけでございます。異常補てんの財源につきましては、かなりの金額を要するものですので、年次計画を立てまして、それに沿って造成をしてきているということでございまして、昭和五十七年度に千二百億円を造成をする、こういうことで現在やってきているわけでございます。来年度につきましては、政府は四十五億円を造成いたしまして、それに相応する同額の四十五億円を民間負担をする、こういうことに相なっておるわけでございます。
  104. 神田委員(神田厚)

    神田委員 飼料価格の問題、非常に助かっているわけですね。ですから、これはぜひとも今後とも底をつかないように、さらに値上げがされた場合に対応できるようにしてくれというのが切実な要求でありますから、その辺ひとつどうでございますか、大臣、お考えを述べていただきたいと思います。
  105. 武藤国務大臣(武藤嘉文)

    武藤国務大臣 いま、そういういろいろの手当てをしておりますから、酪農家の皆様方あるいはその他の畜産農家の皆様方はある程度、この飼料の値上がりというものについてもろにその影響をお受けにならなくて済んでいるわけでございます。そういう点については、今後ともそういう方向で——同じというわけにはなかなかいきませんけれども、いわゆる急変緩和という形においては、今後とも十分考えていかなければならない、こう考えております。
  106. 神田委員(神田厚)

    神田委員 時間がほとんどありませんので、突っ込んだ話になりませんけれども、いずれにしましても、あした価格決定を見るわけであります。その間、先ほど大臣の答弁にありましたように、いろいろなことを勘案しながら法律に沿った形で価格を決定したい、こういうことをおっしゃっておりますが、そういう大きな畜産の状況を見て、大臣としては、政治加算という言葉はおかしいのでありますが、何かそういう形での価格に対する一つの決定要素をお考えになっていられるようなところがございますでしょうか。その辺はいかがでございますか。
  107. 武藤国務大臣(武藤嘉文)

    武藤国務大臣 大変恐縮でございますが、先ほどの考え方以上のものをこの席で申し上げるわけにはまいりませんので、お許しをいただきたいと思います。
  108. 神田委員(神田厚)

    神田委員 それでは、ひとつ観点を変えまして、これは昨日、政務次官と通産省の方に対して御質問を申し上げましたが、養蚕関係の問題につきまして、通産省の矢野事務次官が、京都の経済人との懇談会で問題発言をしているわけであります。この件につきまして、昨日近藤政務次官にいろいろただしましたが、どうもすっきりした答弁をいただいておりません。大臣といたしましては、三月十四日に矢野事務次官が京都の地元の経済界との懇談会におきまして、生糸の一元化輸入問題をめぐり問題発言をしたことにつきまして御存じでございますか。
  109. 武藤国務大臣(武藤嘉文)

    武藤国務大臣 新聞紙上を通じて承知をいたしております。
  110. 神田委員(神田厚)

    神田委員 この問題は、矢野次官が、京都の織物業者の要請にこたえまして、全産地が二年間生産を全面ストップさせたら一元化輸入制度は吹っ飛んでしまう、そしてこの一元化輸入制度をやめさせて中国の安い生糸を入れるようにすればいい、その二年間は通産省が織物業者に対しては救済の措置をとる。せめて二年間生産を全面ストップをさせる、そうすれば養蚕農家は生糸が売れなくなり全滅する、その上で国際相場の中国生糸などを使って生産を再開したらどうか、そのストップの間の休業補償は通産省でめんどうを見てもよい、こういうことを言って、さらにこれをその後の記者会見で追認をしているような状況であります。この問題につきまして、農林大臣としてどういう御感想をお持ちでございますか。
  111. 武藤国務大臣(武藤嘉文)

    武藤国務大臣 新聞で書かれておるとおりがもし真実であるとすれば、大変不穏当な発言であると思っておりまして、まだ結果は聞いておりませんが、きょう正式に私どもの農蚕園芸局長から、通産省に対しまして抗議を申し込んでおります。
  112. 神田委員(神田厚)

    神田委員 この問題は、全国の養蚕農家にとりまして大変ショックな問題でございます。二年間全部やめてしまえば日本の養蚕農家が全滅をする、全滅をしてしまえば新しい生糸を輸入することができる、安い生糸を国際相場で輸入する、そしてその間は通産省がその業者のめんどうを見る、こんな暴論でありますから、常識から考えてもこういう話が通ることはないと思っておりますが、大臣も通産関係には非常に明るい力のある大臣でございますから、大臣は農林と通産と両方の行政に携わってみて、それぞれの問題点をそれなりに熟知していると思うのです。ですから、この養蚕の問題にしろ、絹織物の問題にしろ、両方で話し合いをしながらうまくやってきたのが現状でありますから、こういうとんでもない発言がされている現状をよく御認識をいただきまして、その真意をきちんとただしていただきまして、抗議すべきところは抗議をし、厳重にそれらに対しての処置をお願いしたいと思うのですが、再度、いかがでございますか。
  113. 武藤国務大臣(武藤嘉文)

    武藤国務大臣 先ほども申し上げますように、新聞の記事というものがどこまで正確なのか、私どももう少し把握をしてみないといけないわけでございまして、もしそういうことのとおりであるとするならば、その発言に対しては取り消しをするように私の方は強く申し入れたいと考えております。いずれにしても、きょう抗議をしておりますので、その結果を聞いた上で判断をしたいと思います。
  114. 神田委員(神田厚)

    神田委員 この問題は議運等でも問題になりまして、通産大臣を呼んで謝罪をさせようかというような話もあるように聞いております。当委員会としても、もしもそういう問題でこのとおりの発言が、あるいはこれに近い形で発言がされているとするならば、通産の事務次官なりをここに呼んで、きちんとした謝罪なりなんなりをさせるべきだ、私は取り消しをさせるべきだと考えております。その経緯をこれから見守っていきたい、このように考えております。  なお、繭糸価格の問題も、物価その他の高騰で大変生産農家としてはその引き上げを望んでおります。これらにつきましても当局の誠意ある回答を要望いたしまして、質問を終わりたいと思います。
  115. 内海委員長(内海英男)

  116. 芳賀委員(芳賀貢)

    芳賀委員 私は、この際、日本社会党、公明党・国民会議、日本共産党・革新共同、民社党・国民連合及び社会民主連合の五党を代表いたしまして、発言をいたします。  当委員会においては、昨日と本日の二日間にわたりまして、食肉の価格問題、さらに本日は加工原料乳の価格設定等の問題について鋭意検討いたしまして、政府に対しても農林水産大臣初め農林省の事務当局に質疑を行ってきたわけでございますが、いままでのところ、昨日の豚肉及び牛肉の安定基準価格にいたしましても、加工原料乳保証価格政府試算を検討いたしましても、また限度数量設定の問題についても、いずれも畜産物価格安定法並びに加工原料乳補給金法に照らしてこれを判断した場合において、委員会としては絶対にこの案でよろしいというような内容ではございません。  したがって、昨日来理事会においてもしばしば協議をいたしまして、前例もあることであるので、この際国会の意思を明らかにするために、まず理事会において協議をいたしまして、決議の案文を起草して、そうして農林水産委員会における畜産物価格に関する決議を行うべく理事会の協議を進めてきたわけでございますが、現時点において、いまだ全会一致で協議調うというところにはいま一歩の段階であります。ややもするとこれは時間切れになるおそれもありますので、この際、野党五党で協議いたしまして、もちろん自民党の理事諸公の了解をもいただきまして、われわれが策定いたしましたこの畜産物価格に関する決議の十項目にわたる案の内容を、私が代表して明らかにいたしまして、これに対して、農林水産大臣からその熱意のある答弁、今後行政的にどのようにこれを扱うという点について、責任のある表明をしていただきたいということを前提にして申し上げます。  まず、用意いたしました決議の案の内容でございますが、表題を「畜産物価格等に関する件」といたしまして、前段では、   政府は当面する昭和五十五年度加工原料乳保証価格及び豚肉、牛肉の安定基準価格等の決定並びに畜産行政の運営に当たっては、左記事項の実現に努め、畜産の安定的発展に万遺憾なきを期すべきである。 「記」といたしまして、第一点は、   生乳取引が従来から実乳量により行われている実態にかんがみ、加工原料乳保証価格については、実乳量に基づき算定すること。   なお、生乳取引条件については、乳脂率格差を設定し、これに基づき正常な取引が行われるよう指導すること。 これは先ほど私からも大臣に申し上げたとおりで、内容は御承知のとおりであります。鋭意これが改善に当たってもらいたいと思います。  第二点は、   五十五年度加工原料乳限度数量の設定に当たっては、前年度を下まわらざるよう拡大に努めるとともに、法律の目的である市乳化の促進及び国産乳製品の消費拡大を図ること。 すなわち、限度数量の設定に当たっては、昭和四十年から発足いたしましたこの法律の忠実なる実施を旨といたしまして、今回のごとく前年度の余剰分を当年度限度数量の予定額から減額するというようなことは誤りと思いますので、この点は決定の際に十分留意してもらいたいとともに、現在の国内における生乳生産の状態から見ても、いたずらに限度数量を削減するということはとるべき方法ではないと思います。  それからあわせて、この法律の主要な目的は、言うまでもなく国産生乳市乳化促進というものが一番の柱になっておるわけでありますので、かなりの実績を上げておりますけれども、今後も鋭意国産生乳市乳化促進のために具体的な措置を講ずべきであると思います。  第三の点は、   飲用乳の消費拡大については、学校給食の完全実施をはじめ政策需要の拡充を図るとともに、生乳の遠距離輸送に対する助成等広域需給体制を整備促進すること。   また、ナチュラルチーズの国産化に対し積極的な助成措置を講ずる等国産乳製品の新規開発に努めること。  飲用乳消費拡大については、五十四年度そのために、従来はこの保証乳価決定の際に別途、一昨年の五十三年には一キロ当たり一円七十五銭の乳質改善奨励金なるものを、これは乳価に準ずるものであるという規定のもとに支出しておりましたのを、昨年から政府は削減をいたしまして、そのかわり、一キロ一円七十五銭の百九十三万トンでこれは三十三億円になるわけでありますが、これを別途の目的を設定して使用しておることは言うまでもありません。この点については、やはり従来の経緯を踏まえて、これを生産者個々に支給するというような方向を回復できないとしても、それに見合う経費については、消費拡大等を中心として新たなる酪農の進展が図れるように積極的に努めるべきと思うわけであります。  その一環として、昨年は学校給食を初め幼稚園の給食あるいは老人ホーム、医療施設等に対しても飲用乳の供給を行った実績があるわけでございますから、できるだけ幅広く飲用乳の消費拡大を進めるべきと思います。  さらにまた、先ほど私が指摘いたしましたとおり、加工原料乳地域に閉じ込められておる北海道等に対しては、やはり良質な牛乳を広く全国の国民の需要者に対して供給するような積極的な措置をとることは当然でございます。  さらに、乳製品の新規開発の一環といたしまして、ぜひチーズ工場の建設、その施設の建設等に対しては、国としてあるいは畜産振興事業団等を鞭撻して十分な措置を講ずべきであると思います。  第四番目は、   豚肉、牛肉の安定基準価格等については、労賃及び飼料等生産資材費の上昇を適正におりこみ、所得の補償にも十分配慮し、その再生産が図られる水準で決定すること。   またこれとあわせ、素畜価格安定制度等の適切な運用により畜産経営の安定を図ること。 これはもう内容は言うまでもありません。  第五点は、   豚肉については、需給均衡を図るため調整保管等に対する助成措置を継続実施するととも  に、消費拡大に資するよう飼料給与の改善等に より肉質の改善に努めること。 これは、昨年行いました国内における豚肉の生産が上昇したような場合においては畜安法に基づいた事業団の調整保管行為を発動することは当然でございますが、やや鎮静したといえどもまだまだ正常な回復とは言いがたい点もありますので、また再び不安定な現象が生じた場合においては、緊急に法律の発動をやるように留意してもらいたいと思います。  さらにまた、最近は国産の豚肉に対して、水豚であるとか輸入豚に対して非常に肉質が劣っておるというような批判も生じてあるわけでありますから、これらは今後、養豚家の豚の飼育あるいは養豚の経営についてもその欠陥を究明して、速やかに改善して、日本の豚肉こそ世界に優秀なものであるというような成果を得るようにしなければならぬと思います。その一つとして、短期間に肥育をするため、しかもこともあろうに国産脱粉も使わない、安い輸入脱粉を水で溶かしてがぶがぶ豚にこれを給与すると、その効果といいますか、短期間に水ぶくれのようになってそして市場に出回るわけでございますが、これは決して推奨すべき肉質ではないということを昨年来指摘しておるわけでありますので、やはり動物ですから自然食を与えるとか日光浴をさせるとか、健全な肉用の豚の飼育が行われるように、これは当然農林省として十分に指導していく必要があると思います。  六番目は、   食肉流通の合理化を図るため、産地食肉センターの拡充等を一層促進するほか、産直方式の促進、部分肉センターの有効活用、食肉小売価格の適正化のための施策を強化すること。 これは説明の要がありません。  第七点は、   国内における乳製品の異常在庫にかんがみ、偽装乳製品等の輸入を極力抑制すること。   また、食肉の輸入については国内生産に悪影響を与えることのないよう輸入割当及び関税制度等の適切な運用を行うこと。 偽装乳製品の抑制、削減の問題については、先ほど農林水産大臣から明快な答弁がありましたので、ぜひそれを発言どおり実行してもらいたいと思います。  八番目は、   配合飼料価格の大幅な値上げに伴う農家負担の軽減を図るため、異常基金の造成強化を含め、配合飼料価格安定基金制度を充実・強化すること。 これから先、四月から来年三月までの日本の経済動向を観察いたしましても、総体的に物価の上昇あるいはインフレ激化のおそれがあるわけでございますから、当然この家畜の飼料等の価格についてもかなりの上昇が予測されるわけでありますから、その際に備えた基金制度等については、政府としても十分なてこ入れをして安定的な飼料政策が行われるように進めてもらいたいと思います。  九番目は、   飼料の国内自給度の向上を図るため、未利用山林原野等の畜産的利用と草地造成の積極的促進を図る各種施策を充実すること。   また、水田利用再編対策等に関連して粗飼料の流通体制を早急に整備するとともに、えさ米の試験・研究を推進すること。  特に、この中で、まだ委員会付託にはなっておりませんが、政府が提案されました農用地利用増進法の法案の中には、新たに混牧林を設けて、林業と畜産の併用の農用地利用を進めるというような新しい構想も出ておるときでございます。いずれにしてもこの狭小な国土、飼料にしても食糧にしても十分な資源の造成をすべきときでございますので、こういう点については行政面においても十分に利用してもらいたい。  もう一つは、これは昨年来当委員会においても問題になっておる水田利用再編対策、つまり減反政策の中で、えさ米というものを農林省も十分研究をして、飼料作物が転作の特定作物として奨励されておるわけでございますので、このえさ米の栽培についての試験研究を緊急に行って、農林大臣も先般、ぜひ現地の調査をしてこの目で確認して是非を判断したいということを言っておられる時期でありますので、この点についても国内の飼料資源の確保のためにぜひその対策を進めてもらいたい。  最後に、   畜産関係制度資金等の償還条件の緩和を図るとともに、畜産農家の固定化負債の解消を図るため必要な措置を講ずること。 この点は、先ほど農林大臣から私の質問に答えられまして、相当積極的な具体的な答弁がありましたので、ぜひそれを実行してもらいたいと思います。  この十項目をわれわれとしては速やかにこの委員会において与党自民党さんも含めて全会一致で議決をして、これを政府が尊重して、急ぐ問題は明日の価格決定、あとまた逐次行政の面に実行されるように期待をしておったわけでございますが、先ほど言ったような状態で、協議に時間をかけておると時間切れになるおそれがありますので、この際、理事会において協議をいたしまして、異例なことでございますが、私が代表して、この点を政府、担当者である武藤農林水産大臣趣旨を明らかにいたしまして、これに対して武藤大臣から誠意のある答弁を決意とともに明らかにしてもらいたいと思います。
  117. 武藤国務大臣(武藤嘉文)

    武藤国務大臣 ただいま御指摘をいただきました問題につきましては、当面の問題と、また中には長期的に検討しなければならない問題もございまして、また、先ほど御答弁申し上げましたように、中にはいろいろと困難な問題もこれは含まれております。いずれにいたしましても、しかしせっかくの御提案でございますので、今後誠意を持って検討いたしまして、畜産振興のため最善の努力を傾けてまいりたいと存じておるわけでございます。
  118. 内海委員長(内海英男)

    内海委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後四時三十二分休憩      ————◇—————     〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕