○
芳賀委員 私は、この際、日本社会党、公明党・国民
会議、日本共産党・革新共同、民社党・国民連合及び社会民主連合の五党を代表いたしまして、発言をいたします。
当
委員会においては、昨日と本日の二日間にわたりまして、
食肉の価格問題、さらに本日は
加工原料乳の価格設定等の問題について鋭意検討いたしまして、
政府に対しても
農林水産大臣初め農林省の事務当局に
質疑を行ってきたわけでございますが、いままでのところ、昨日の豚肉及び牛肉の安定基準価格にいたしましても、
加工原料乳の
保証価格の
政府試算を検討いたしましても、また
限度数量設定の問題についても、いずれも畜産物価格安定法並びに
加工原料乳の
補給金法に照らしてこれを判断した場合において、
委員会としては絶対にこの案でよろしいというような内容ではございません。
したがって、昨日来
理事会においてもしばしば協議をいたしまして、前例もあることであるので、この際国会の意思を明らかにするために、まず
理事会において協議をいたしまして、決議の案文を起草して、そうして
農林水産委員会における畜産物価格に関する決議を行うべく
理事会の協議を進めてきたわけでございますが、現時点において、いまだ全会一致で協議調うというところにはいま一歩の段階であります。ややもするとこれは時間切れになるおそれもありますので、この際、野党五党で協議いたしまして、もちろん自民党の
理事諸公の了解をもいただきまして、われわれが策定いたしましたこの畜産物価格に関する決議の十項目にわたる案の内容を、私が代表して明らかにいたしまして、これに対して、
農林水産大臣からその熱意のある答弁、今後行政的にどのようにこれを扱うという点について、責任のある表明をしていただきたいということを前提にして申し上げます。
まず、用意いたしました決議の案の内容でございますが、表題を「畜産物価格等に関する件」といたしまして、前段では、
政府は当面する
昭和五十五
年度加工原料乳保証価格及び豚肉、牛肉の安定基準価格等の決定並びに畜産行政の運営に当たっては、左記事項の実現に努め、畜産の安定的発展に万遺憾なきを期すべきである。
「記」といたしまして、第一点は、
生乳の
取引が従来から実
乳量により行われている実態にかんがみ、
加工原料乳保証価格については、実
乳量に基づき
算定すること。
なお、
生乳の
取引条件については、
乳脂率格差を設定し、これに基づき正常な
取引が行われるよう指導すること。
これは先ほど私からも
大臣に申し上げたとおりで、内容は御
承知のとおりであります。鋭意これが改善に当たってもらいたいと思います。
第二点は、
五十五
年度の
加工原料乳限度数量の設定に当たっては、前
年度を下まわらざるよう拡大に努めるとともに、
法律の目的である
市乳化の促進及び
国産乳製品の消費拡大を図ること。
すなわち、
限度数量の設定に当たっては、
昭和四十年から発足いたしましたこの
法律の忠実なる実施を旨といたしまして、今回のごとく前
年度の余剰分を当
年度の
限度数量の予定額から減額するというようなことは誤りと思いますので、この点は決定の際に十分留意してもらいたいとともに、現在の
国内における
生乳の
生産の状態から見ても、いたずらに
限度数量を削減するということはとるべき方法ではないと思います。
それからあわせて、この
法律の主要な目的は、言うまでもなく
国産生乳の
市乳化促進というものが一番の柱になっておるわけでありますので、かなりの
実績を上げておりますけれ
ども、今後も鋭意
国産生乳の
市乳化促進のために具体的な措置を講ずべきであると思います。
第三の点は、
飲用乳の消費拡大については、学校給食の完全実施をはじめ政策
需要の拡充を図るとともに、
生乳の遠距離輸送に対する助成等広域
需給体制を整備促進すること。
また、ナチュラルチーズの
国産化に対し積極的な助成措置を講ずる等
国産乳製品の新規開発に努めること。
飲用乳消費拡大については、五十四
年度そのために、従来はこの
保証乳価決定の際に別途、一昨年の五十三年には一キロ
当たり一円七十五銭の乳質改善奨励金なるものを、これは
乳価に準ずるものであるという規定のもとに支出しておりましたのを、昨年から
政府は削減をいたしまして、そのかわり、一キロ一円七十五銭の百九十三万トンでこれは三十三億円になるわけでありますが、これを別途の目的を設定して使用しておることは言うまでもありません。この点については、やはり従来の経緯を踏まえて、これを
生産者個々に支給するというような方向を
回復できないとしても、それに見合う
経費については、消費拡大等を中心として新たなる
酪農の進展が図れるように積極的に努めるべきと思うわけであります。
その一環として、昨年は学校給食を初め幼稚園の給食あるいは老人ホーム、医療施設等に対しても
飲用乳の
供給を行った
実績があるわけでございますから、できるだけ幅広く
飲用乳の消費拡大を進めるべきと思います。
さらにまた、先ほど私が指摘いたしましたとおり、
加工原料乳地域に閉じ込められておる
北海道等に対しては、やはり良質な
牛乳を広く
全国の国民の
需要者に対して
供給するような積極的な措置をとることは当然でございます。
さらに、
乳製品の新規開発の一環といたしまして、ぜひチーズ
工場の建設、その施設の建設等に対しては、国としてあるいは
畜産振興事業団等を鞭撻して十分な措置を講ずべきであると思います。
第四番目は、
豚肉、牛肉の安定基準価格等については、労賃及び飼料等
生産資材費の上昇を適正におりこみ、所得の補償にも十分配慮し、その再
生産が図られる
水準で決定すること。
またこれとあわせ、素畜価格安定制度等の適切な運用により畜産経営の安定を図ること。
これはもう内容は言うまでもありません。
第五点は、
豚肉については、
需給の
均衡を図るため
調整保管等に対する助成措置を継続実施するととも
に、消費拡大に資するよう飼料給与の改善等に より肉質の改善に努めること。
これは、昨年行いました
国内における豚肉の
生産が上昇したような場合においては畜安法に基づいた事業団の
調整保管行為を発動することは当然でございますが、やや鎮静したといえ
どもまだまだ正常な
回復とは言いがたい点もありますので、また再び不安定な現象が生じた場合においては、緊急に
法律の発動をやるように留意してもらいたいと思います。
さらにまた、最近は
国産の豚肉に対して、水豚であるとか輸入豚に対して非常に肉質が劣っておるというような批判も生じてあるわけでありますから、これらは今後、養豚家の豚の飼育あるいは養豚の経営についてもその欠陥を究明して、速やかに改善して、日本の豚肉こそ世界に優秀なものであるというような成果を得るようにしなければならぬと思います。その一つとして、短
期間に肥育をするため、しかもこともあろうに
国産脱粉も使わない、安い輸入脱粉を水で溶かしてがぶがぶ豚にこれを給与すると、その効果といいますか、短
期間に水ぶくれのようになってそして市場に出回るわけでございますが、これは決して推奨すべき肉質ではないということを昨年来指摘しておるわけでありますので、やはり動物ですから自然食を与えるとか日光浴をさせるとか、健全な肉用の豚の飼育が行われるように、これは当然農林省として十分に指導していく必要があると思います。
六番目は、
食肉流通の合理化を図るため、産地
食肉センターの拡充等を一層促進するほか、産直
方式の促進、部分肉センターの有効活用、
食肉小売価格の適正化のための施策を強化すること。
これは
説明の要がありません。
第七点は、
国内における
乳製品の異常在庫にかんがみ、偽装
乳製品等の輸入を極力抑制すること。
また、
食肉の輸入については
国内生産に悪影響を与えることのないよう輸入割当及び関税制度等の適切な運用を行うこと。
偽装
乳製品の抑制、削減の問題については、先ほど
農林水産大臣から明快な答弁がありましたので、ぜひそれを発言どおり実行してもらいたいと思います。
八番目は、
配合飼料価格の大幅な値上げに伴う
農家負担の軽減を図るため、異常基金の造成強化を含め、配合飼料価格安定基金制度を充実・強化すること。
これから先、四月から来年三月までの日本の経済動向を観察いたしましても、総体的に物価の上昇あるいはインフレ激化のおそれがあるわけでございますから、当然この家畜の飼料等の価格についてもかなりの上昇が予測されるわけでありますから、その際に備えた基金制度等については、
政府としても十分なてこ入れをして安定的な飼料政策が行われるように進めてもらいたいと思います。
九番目は、
飼料の
国内自給度の向上を図るため、未利用山林原野等の畜産的利用と草地造成の積極的促進を図る各種施策を充実すること。
また、水田利用再編対策等に関連して粗飼料の流通体制を早急に整備するとともに、えさ米の試験・研究を推進すること。
特に、この中で、まだ
委員会付託にはなっておりませんが、
政府が提案されました農用地利用増進法の法案の中には、新たに混牧林を設けて、林業と畜産の併用の農用地利用を進めるというような新しい構想も出ておるときでございます。いずれにしてもこの狭小な国土、飼料にしても食糧にしても十分な資源の造成をすべきときでございますので、こういう点については行政面においても十分に利用してもらいたい。
もう一つは、これは昨年来当
委員会においても問題になっておる水田利用再編対策、つまり減反政策の中で、えさ米というものを農林省も十分研究をして、飼料作物が転作の特定作物として奨励されておるわけでございますので、このえさ米の栽培についての試験研究を緊急に行って、
農林大臣も先般、ぜひ現地の
調査をしてこの目で確認して是非を判断したいということを言っておられる時期でありますので、この点についても
国内の飼料資源の確保のためにぜひその対策を進めてもらいたい。
最後に、
畜産
関係制度資金等の償還条件の緩和を図るとともに、畜産
農家の固定化負債の解消を図るため必要な措置を講ずること。
この点は、先ほど
農林大臣から私の
質問に答えられまして、相当積極的な具体的な答弁がありましたので、ぜひそれを実行してもらいたいと思います。
この十項目をわれわれとしては速やかにこの
委員会において与党自民党さんも含めて全会一致で議決をして、これを
政府が尊重して、急ぐ問題は明日の
価格決定、あとまた逐次行政の面に実行されるように期待をしておったわけでございますが、先ほど言ったような状態で、協議に時間をかけておると時間切れになるおそれがありますので、この際、
理事会において協議をいたしまして、異例なことでございますが、私が代表して、この点を
政府、担当者である
武藤農林水産大臣に
趣旨を明らかにいたしまして、これに対して
武藤大臣から誠意のある答弁を決意とともに明らかにしてもらいたいと思います。