○
松浦(昭)
政府委員 ただいま
先生の御
指摘の点について御
説明を申し上げます。
まず第一に、畑作共済に無事故割引
制度を導入してはどうかということでございますが、この点につきましては、確かに今回
果樹共済につきましては料率の無事故割引
制度というものをつくったわけでございますけれ
ども、これは御案内のように、
果樹共済は連年にわたりまして異常
災害が発生いたしまして
事業収支が非常に悪化いたし、二百六十億といったような大変な
赤字が出てきておりまして、これは連合会なりあるいは組合の段階でも同じような不足金の累積に悩んでおるわけでございます。したがいまして、無事戻しを行おうといたしましても残念ながら剰余金が出ていない、無事戻し財源がないというところに問題がありましたので、そこで、いわば一種の料率の
調整の
意味も持っておるわけでございますが、
掛金の無事故割引という
制度を導入したわけでございます。畑作共済につきましてはこれはまだ
昭和五十年に本格的な
実施に入ったばかりでございまして、あるいは将来この共済につきましては無事戻しの財源になるような剰余金が生ずるということもまだまだ考えられる
状態でございまして、そのような
意味におきまして、
果樹共済と全く同様にいま無事故割引
制度を導入するかどうかということは問題があろうかというふうに考えておりますが、今後
事業の実績をよく踏まえまして検討をいたしてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
第二点は、畑
作物共済の
足切りをさらに切り下げてはどうかという御意見かというふうに思いますが、
足切りをする
水準というものは、当然
被害の態様、
被害率が高いか低いかといったような問題、あるいは収量の変動がどうかといったような問題とか、あるいは
掛金の負担能力、つまり
足切りをいたせばそれだけやはり
掛金率は上がってくるわけでございますから、その上がった分に対する
農家の負担力といったようなことも考えてまいらなければならないわけでございます。また政策
保険として損害
てん補の限度をどの
程度に置くか、つまり
生産費をどの
程度まで償うような
水準で
足切りの
水準を決めるかといったようなこと等の問題を、十分総合的に検討してみた上でなければいけないというふうに考えるわけでございます。ただ、
先生御案内のように、試験
実施の段階では
足切り三割というものを基本にいたしまして、このほかバレイショとかてん菜につきましては
足切り二割、それから豆類は
足切り四割ということで、いわゆる二割、四割というセット
方式でやってまいったわけでございますが、本格的な
実施の段階でこれを切り下げまして、小豆、インゲンにつきましては収量の変動も大きい、あるいは
被害率も相対的に高いということから
足切りを三割ということに設定いたしましたし、またバレイショ、てん菜、大豆というようなものにつきましては、比較的収量変動が少ないということで
足切りを二割としたものでございまして、試験
実施の
状態から比べますと
足切り率を下げたばかりであるということが言えるわけでございます。このような点につきましては
関係者の御意見も十分徴しましてこのような
足切りの率を決めたものでございまして、何分にも五十四年から本格
実施に
足切りを下げて入ったばかりでございますので、いま少しこの問題につきましては
事業の実績、
引き受けあるいは
損害評価技術の蓄積といったような点も十分踏まえて検討をしていかなければならない問題ではないかというふうに考えているわけでございます。
それから第三点の、畑
作物共済につきまして、責任分担を
農作物方式と同様にしたらどうかという御意見でございますが、この面につきましては、先ほ
ども若干御
説明を申し上げましたけれ
ども、いわゆる通常標準
被害率、この上の部分を組合あるいは連合会等に持たせるかどうかということでございます。確かに通常標準
被害率以上は全部国が持つというような
仕組みをとりますれば、これはある
意味では、異常な
災害が生じました場合に、それに対して国が全面的に
てん補するという
意味で
意味があるわけでございますが、それと同時に、また組合自体も非常に大きな責任をqのライン以下で持つわけでございまして、果たしてそのような組合等が責任を持ち切れるかどうかということにつきましては、これは相当データの積み上げをやりまして
保険設計を考えてみなければいかぬというふうに考えておる次第でございます。ただ、この点につきましては、単に畑作共済の問題だけではなくて、このような責任の分担をどのような形で国、連合会、組合の間で持つかということにつきましては、蚕繭共済、
果樹共済等総合的に検討いたしまして、畑作も含めて今後の検討課題にするということで、実は部内でいろいろと検討を進めていただきました際の検討会の御結論でもございますので、今後この面につきましてはより包括的な観点から十分検討を加えたいというふうに考えている次第でございます。
それから、基準反収の点を御
指摘でございましたけれ
ども、畑作共済の基準反収につきましては、もちろんこれは
引き受けなりあるいは
損害評価の基本になるものでございまして、常に正しく設定されなければならぬということは御
指摘のとおりでございます。ただ、よく基準反収が低いと言われる際に、いわゆる平年反収であるか、あるいはもうちょっと高い、これだけとれたらいいなという反収であるかということは常に論争になる点でございまして、われわれといたしましては、
収穫量つまり平年収量を基準としてこの基準反収は決めておりますので、そのような点で
農家の方と若干感覚的な差異が出てくるということはあろうかと思います。しかし、この平年収量につきましては、国と都道府県が統計資料に基づきましてきわめて正確につかんでやっておるつもりでございまして、たとえば五十四年産の
農林統計による実反収と五十四年産の共済の実行基準反収を比較いたしてみましても、バレイショ、大豆、小豆、インゲン、てん菜はほとんど差がないということでございまして、私
どもといたしましては、かなり適正な反収の設定がなされておるんじゃないかというふうに考えておるわけでございます。ただ、しかしながら、新しい銘柄その他も出てまいりますので、常に基準反収というものは適正にその事態を反映して妥当な
水準を設定しなければならないということは当然のことでございまして、今後とも私
ども、いまのような考えのもとにおきまして十分工夫をこらしてまいりたいというふうに考えるわけでございます。
それから、
掛金の国庫負担をもうちょっと上げてはどうかということでございますが、
掛金の国庫負担は、基本的に類似の共済
事業、つまり
事業の
仕組みなりあるいは
被害の態様等からほかと比較できる類似の共済
事業はどうなっているかということ、それから
農家の
掛金の負担能力がどうか、収益性がどうかといったような点を考えなければならないこと、さらに共済目的の政策的な位置づけというものがどうであるかというような点から考えてまいらなければならないということは当然のことでございます。畑作共済の
掛金国庫負担割合につきましては、
農作物共済にかなり類似したものであるということも考えてまいりましたし、また、政策的な課題から申しましても、水田利用再編
対策の転作作目としてきわめて重要な位置があるということを考えまして、実は非常に高い、
果樹は五割でございますが、六〇%の国庫負担を行ったわけでございます。さような
意味で、現在の国庫負担は非常に高い国庫負担を畑作共済については行っているということは御
承知のとおりでございます。
なお、麦との比較でございますが、確かに麦は
全国平均では一筆
単位で六七・八%、
農家単位の半
相殺で六九・三%等々、若干畑作共済よりも高い
水準でございますが、これは麦が強制
保険としての性格を持っておりますので、国庫負担を、いわば
農家の負担を平準化するという
意味で、高いところにより高い国庫負担をつけるということからかような
状態になっているわけでございまして、任意
加入が行われておりますところの畑作共済につきましては、このようなことで全く麦と同じようにはできないというふうに考えている次第でございます。