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1980-03-19 第91回国会 衆議院 農林水産委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十五年三月十九日(水曜日)     午前十時四分開議  出席委員    委員長 内海 英男君    理事 片岡 清一君 理事 津島 雄二君    理事 羽田  孜君 理事 山崎平八郎君    理事 柴田 健治君 理事 芳賀  貢君    理事 和田 一郎君 理事 津川 武一君    理事 稲富 稜人君       小里 貞利君    菊池福治郎君       久野 忠治君    近藤 元次君       佐藤  隆君    菅波  茂君       高橋 辰夫君    玉沢徳一郎君       西田  司君    福島 譲二君       保利 耕輔君    堀之内久男君       渡辺 省一君    小川 国彦君       角屋堅次郎君    新村 源雄君       馬場  昇君    細谷 昭雄君       本郷 公威君    権藤 恒夫君       瀬野栄次郎君    武田 一夫君       井上  敦君    神田  厚君       近藤  豊君    阿部 昭吾君  出席国務大臣         農林水産大臣  武藤 嘉文君  出席政府委員         農林水産政務次         官       近藤 鉄雄君         農林水産大臣官         房審議官    塚田  実君         農林水産省経済         局長      松浦  昭君         農林水産省農蚕         園芸局長    二瓶  博君         林野庁長官   須藤 徹男君  委員外出席者         農林水産大臣官         房審議官    井上 喜一君         農林水産省経済         局保険管理課長 海野 研一君         農林水産省経済         局数理解析室長 原  昭夫君         農林水産技術会         議事務局連絡調         整課長     五十嵐 暹君         農林水産委員会         調査室長    小沼  勇君     ————————————— 委員の異動 三月十九日  辞任         補欠選任   小川 国彦君     藤田 高敏君   中川利三郎君     井上  敦君 同日  辞任         補欠選任   藤田 高敏君     小川 国彦君   井上  敦君     中川利三郎君     ————————————— 本日の会議に付した案件  農業災害補償法の一部を改正する法律案(内閣  提出第五五号)      ————◇—————
  2. 内海英男

    内海委員長 これより会議を開きます。  この際、御報告いたします。  昨十八日、全国農業協同組合中央会農畜産部長小口芳昭参考人から、去る十三日の委員会において、「芳賀委員質疑に対する答弁中、搾乳牛一頭当たり生産費について、「五十万五千百十二円」と「五十六万六千七百十三円」の二とおりを申し上げておりますが、「五十万五千百十二円」が正しいので、御訂正をお願い申し上げます。」との文書が提出され、昨日これを了承いたしましたので、御報告いたします。      ————◇—————
  3. 内海英男

    内海委員長 農業災害補償法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。本郷公威君。
  4. 本郷公威

    本郷委員 農業災害補償法の一部を改正する法律案につきまして、政府の見解をお聞きしたいと思います。  法案の具体的な内容に入る前に、まず大臣にお聞きしたいことがあるわけです。それは、先般大臣大分を視察されたときに、ミカン生産者より生産過剰で価格暴落して困っている現状について陳情を受けられたと思うのですが、大臣が行かれた国東半島は、大分県が二十数年前にミカン団地として開発したところでありますが、その後ミカン価格暴落等がありまして、借入資金返済に困った生産者の中には自殺をする者が出たほど非常に問題の多いところであります。今回また生産過剰で価格暴落をして、現在非常に厳しい条件に置かれておるわけですが、大臣は直接この生産者の声を聞いたわけですが、それをどのように受けとめておるか、まず感想をお聞きしたいのです。
  5. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 いまのお話で、一つ団地としてあの地域農家方々が御努力願って、りっぱな温州ミカン産地をおつくりいただいた。ところが、それが価格暴落をして、生産費も賄い得ないというようなお話を聞きまして、大変私は深刻な問題として受けとめ、その場においてもすぐ申し上げましたのは、少なくとも農業関係系統資金であるとか近代化資金であるとか、そういうものをお借りをされてやっていただいておった、しかし暴落したために生産費も出ないということになれば、金を返すにも返せないわけでございますから、当然そういう方については、私は何としてでも返済猶予ができるような仕組みを考えさせていただきますということをその場でお答えをして帰ってきたわけでございますけれども、その以後においてもそういう気持ちでやってまいりまして、時間的には少し遅くなりましたが、二月二十八日付でもって各金融機関に対して、できるだけ返済猶予をするようにと、こういう指示をしたわけでございます。
  6. 本郷公威

    本郷委員 若干、今回の大分県のミカン暴落実態について私から説明をしておきたいと思うのですが、五十四年産ミカン予想収穫量は前年より二万三千四百トン、率にしまして一六%伸びて十七万一千五百トンという収穫量になっております。出荷量も十五万三千五百トンと、前年より一五%ほど伸びておるわけです。結果樹面積は前年より二百八十ヘクタール、約四%減少したのにかかわらず、逆に生産が伸びたために、伸びたためというよりも生産過剰によるところの価格暴落を招いておるわけです。いわゆる豊作貧乏という状況が出ておるわけですが、昨年の九月から本年二月までの京浜地区出荷をした市場価格平均を見ますと、キロ当たり八十四円、前年比にしまして七〇%と大きく落ち込んでおる実態があるわけです。流通経費キロ当たり大体三十七円から四十円かかるわけですから、農家手取り分というのは、わずかキロ四十五円程度にしかならないわけです。それから、生産費について見ますと、労賃が四十円七十九銭、肥料その他の経費が三十四円五十六銭、合わせてキロ当たり七十五円三十五銭というのが生産費になっておるわけでありますから、農家手取り額というのは生産費の半分程度しかないという現状であります。赤字経営を余儀なくされておるという実情であります。  いま大臣は、国としてのいろいろな対策をとられたということを言われておりますが、県としても、出荷調整をしたりあるいは価格安定対策事業実施したり、調整保管というようなかっこうでやっておるわけですが、生産者救済するというところまでなかなかいっていないのが実情であります。  こういう今日のミカン生産農家現状に対して、政府は、いま大臣もおっしゃったようなことをやっておるようですが、根本的な救済策というものを考えなくては、このままその場限りの借入資金返済を延ばすとかいう程度ではどうにもならないのじゃないか。価格のこうした暴落対策について、もう少し抜本的な対策政府として考えていないのか、その点お聞きしたいのです。
  7. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 いまの返済猶予以外に、調整保管を一万五千トンの予定を三万トンまで引き上げるとかいろいろやっておりますが、要は、基本的にはもうすでに温州ミカンにつきましては大体過剰ぎみという傾向が来ておるわけでございまして、生産者にもいろいろ私どもお願いをして、いわゆる作付転換をしていただくとか、あるいは晩柑その他需要のあるものに切りかえていただくとか、やはり需給調整を図っていくことが一番大切でございますので、そういう点で生産者にもせいぜい生産面でお考えをいただく。そして、私どもといたしましては、できたものができるだけ供給が順調にいくようにしなければならないわけでございまして、たとえば学校給食において果汁の消化をより多くしていただくというようなことで、学校給食の方へ果汁を回すとか、あるいはいまのお話調整保管をやり、そしてまたそれによって将来ともより一層果汁の消費が拡大をするような形に努力をするとか、いろいろ今度は供給面がスムーズにいくような形のものは、できる限り私どもでやらなければいけない。この両方の政策が相まって、できるだけ早い機会需給の均衡が図れるようにするということが、私はいまの温州ミカンその他に対してやり得る仕事ではなかろうかと思って、農家の方にも御協力をお願いをし、私どもは私どもなりにできる限りの努力をしておる、こういうことでございます。
  8. 本郷公威

    本郷委員 大臣生産者は、国や県が鳴り物入りで、ミカンをつくってひとつ皆さんたちの生活を向上させましょうということで、奨励をしてどんどんつくらせたわけですね。そして今日のような状況でありますから、とにかくそうしたミカン生産者にとっては、そういう指導をしておきながら価格暴落をして、生産過剰だから生産調整をせよというようなことでは、これは納得できないというのが率直な声であります。  ミカンがそのように生産過剰で余っておる、あるいは果汁も余っておるというときに、オレンジグレープフルーツなどの輸入物がふえておるのは御承知のとおりでありますが、毎年大体二十万トンくらい輸入されておるようですね。これは今後増加される傾向にあるようですが、きのうの新聞を見ますと、農林通産両省において、五十五年度の上期のオレンジ輸入枠を五万五千トンとする、こういう方針を決めまして、近くアメリカに通告をするという記事が出ております。全体的にことしは四万五千ドンから六万八千トンにふやしているので、その枠内で上期の増をしておることになるわけですが、とにかく輸入をふやしてきておることは間違いないわけであります。国内においてから生産過剰で価格暴落を来しておる、こういう国内事情を無視したやり方ではないかと私は考えるのですが、大臣国内ミカンが余り果汁が余って農民が苦しんでおるときに、こうしたオレンジグレープフルーツという外国産の果実輸入規制をしたらどうですか。そのことが農民の、生産者の今日の問題を解決することになるのではないですか。
  9. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 御承知のとおりオレンジ自由化はしていないわけでございます。そして、輸入枠についてもできるだけ抑えていかなければいけないというのはよくわかるのでございますが、これは中川大臣のときに、アメリカとの間で約束が取り交わされまして、それに基づいていまある程度枠がふえておるわけでございます。しかし、入ってくるについても、柑橘などの時期と日本の国内産の時期と重ならないような形でいろいろと計画がなされておるわけでございまして、そういう点は十分配慮しながら私どもやっておるつもりでございます。  また、グレープフルーツなどにつきましても、これは自由化しておりますけれども、最近は輸入量停滞傾向にあるわけでございます。しかし、今後とも、そういう輸入の影響が出てくる場合には、随時適切な措置がとられなければならないわけでございまして、そういう意味において中央果実基金特別基金をつくっておりまして、何かあったときには適切な措置をとっていくということを考えておるわけでございますし、今回の三万トンの調整保管のお金につきましても、ある程度その基金の金も使わせていただいておるということでございまして、その辺は、そういう機能的な機関がございますので、それを機動的に活用してまいって、できるだけそういう事態に対処していきたい、こう考えておるわけでございます。
  10. 本郷公威

    本郷委員 大臣答弁はこの問題については毎回同じようなことが繰り返されておるようですが、大臣が直接はだで感じておるミカン生産過剰対策について考えたときに、輸入問題については積極的に規制をしていくという姿勢で取り組んでもらいたいと思います。  このような生産過剰による価格暴落から救済をしてもらいたいということで、果樹共済の中でいままで論議をされておる収入共済を取り入れてもらいたい、こういう声が強いわけです。今回の改正の中では、災害収入共済という形で実験実施をすることになっておるようですが、これでは先ほど言ったような豊作貧乏を救うことにはならないわけです。この共済制度の不慮の事故による損失補てんをする、この場合の損失というのは、やはり経済的な損失と考えていいのではないか。だから、災害によって減収したが価格は高値をつけたという場合もありますし、収量の減少は必ずしも農家が受け取るところの経済的な損失と一致しない場合もあるということはよく言われておることであります。そういう考え方に立ったときに、今回政府としては、収入共済災害共済にはなじまないという考え方に立っておるようですが、愛媛県では一部実施をしておるようですね。その実態がわかっておればひとつお聞きをしたいのです。  それから、収入共済、いわゆるPQ方式というのに踏み切れなかった大きな理由、それもありましたらひとつお聞きをしたいと思います。
  11. 松浦昭

    松浦(昭)政府委員 まず、愛媛県の実態につきまして御説明を申し上げます。  愛媛県につきましては、収入共済につきまして正式に実施をしているわけではございませんで、従来の収穫共済に伴いまして価格補てんの分についても調査をいたしているという形で、実は調査段階実施ということでやらしておるわけでございますが、その内容につきましていろいろ調査をいたしてみますると、PQと申しますか、災害収入共済方式、今回新たに実験実施をするという方式でカバーをされている部分が約九〇%ぐらいあるわけでございまして、実際上、災害収入方式をとりましても、完全な収入方式と通常の場合においてはほぼ変わらない程度の実質的な所得のてん補ができるというふうに聞いておる次第でございます。
  12. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 いま御指摘がございましたように、今度災害によって収穫減少した農家に対しまして、収入金額減少額に応じて共済金を支払うという試験的なことをやらせていただきますが、PQ方式をどうしてとれないかということでございますけれども、たとえば国が全部めんどうを見てやるということならこれはまた別でございましょうけれども、そういう仕組みにもなっていないわけでございまして、そうなると、たとえばいまミカンならミカンを例にとりますと、豊作貧乏ということ、全国ほとんどの地域ミカンがたくさんでき過ぎて困ってくるわけでございまして、そうすると、掛けている人のうちまたもらう方も全部、こういうことになってしまうわけでございますので、なかなかこれは保険制度としては非常になじみにくいのではないかと私は思うのでございます。どんな保険でも、ある程度みんなが掛けていて、そのうち何か災害で困った人が保険金を受け取るというのがやはり保険のシステムでございますから、そういう点で、私どもPQ方式というのをやれれば非常に農家にとって喜ばれることであろうとは思いますけれども、どうも保険仕組みという基本的な考え方からまいりますと、非常にやはりなじみにくいのではないか、こう思っておるわけでございまして、この点は、将来ともにPQ方式というのはなかなかいまの仕組みを続ける限りにおいてはむずかしいのではないか、こう私は思っておるわけでございます。
  13. 本郷公威

    本郷委員 この問題は、補償保険かということで論争すればこれはまた時間もかかりますので、きょうはもうそういう時間もありませんからやめますが、とにかく、先ほどからずっと繰り返し言っておりますように、生産過剰による価格暴落、こういう現実の問題にどのように政府としては対処していくかという考え方はやはり忘れずに、ひとつ今後とも対策を考えてもらいたいと思うのです。  非常に加入率が低いという問題点があるようですが、昭和五十四年度においては収穫共済で二六・四%、樹体共済で七・七%、こういう非常に低い数字が挙がっておる。保険収支を見ると二百六十億という膨大な赤字を抱えておるわけですが、非常に加入率が伸びない理由、それは一体どこにあるのか。特に専業農家加入していないのですね。私は郷里に帰りまして二、三の専業農家に会ったわけです。入っていないのですね。メリットがない、現行法は三割の足切りというのがあるために、そんな災害というのはないという形で、全然果樹共済に入ろうとする考え方がないわけです。そういう専業農家が入らないという問題、それをどのようにとらえておるのか。それから、果樹共済健全運営に持っていく努力をするために今度の改正がなされたわけですが、大体どのくらい加入がふえていけば健全運営ができるかというような問題について、ちょっとお聞きをしたいのですが。
  14. 松浦昭

    松浦(昭)政府委員 ただいま先生指摘のように、果樹共済加入率は、一応年々上昇はいたしておりますものの、昭和五十四年において収穫共済二六・四%、それから樹体共済で七・七%という水準にとどまっておることは事実でございます。このように加入率が一般的に低位にとどまっているという理由は、一つは、やはり制度発足後まだ日が浅いわけでございまして、制度仕組みとかあるいは内容につきまして果樹関係者が十分に農家理解をさせていない、農家の方もまだ十分に理解がいっていないという点もありますけれども、また、果樹の各樹種あるいは地域によって特に加入率に差が見られるということは、やはり果樹共済特殊性といたしまして、農家間あるいは産地間において栽培の形態とかあるいは技術に格差がある、特に、先生指摘のようないわゆる専業的な果樹農家というものがなかなか入っておいでにならない、こういうところに問題があると思います。特に専業的な果樹農家加入が少ないということにつきましては、必ずしも加入率のデータからははっきりはいたしておりませんけれども、私ども関係者から専業的な農家加入に消極的だということをやはり聞いておるわけでございまして、特に技術水準が高ければ高いほど被害発生の態様に対応する技術というものも高いわけでございまして、したがいまして、オールリスク方式といったようなものを前提としましたいわば画一的な方式というものが、なかなか専業農業方々になじみにくいということだろうと思います。その点で、私どもとしましては、今回の制度改正でかなりいろいろな個別的な対策を用意してお諮りいたしているわけでございまして、これはまた後ほど御答弁がいたせる機会があると思います。  それから、三割のところでは被害が全相殺、半相殺の場合にもかなり少ないのじゃないかという御質問がございましたけれども、これは必ずしもそうではございませんで、昭和四十八年度から五十二年度の引き受けまでの引き受けられた全果樹、これは種類ごとに延べで計算したわけでございますけれども平均戸数被害率を時系列的に見ますと、それぞれ三〇・八、三〇・六、四二・一、二五・〇、四一・四ということになっておりますし、また、同様に、温州ミカンについてこれを見ましても、三七・九、三三・〇、五三・五、二七・四、四八・五というような形になっておりまして、農家単位でやりまして三割以上の被害農家数の割合はかなり高いという状態でございます。その点では、さらにこれが、後ほど申し上げますように全相殺では二割、半相殺では三割という形に今度直しておりますので、その点については私どもとしては、適正な足切り状態になっているのじゃないかということで御提案申し上げているというふうに考えている次第でございます。  なお、最後に、加入がどの程度ぐらいまでふえればいいかということでございますが、今度の制度改正によりまして、もしもこれが御承認をいただけるという状態でございましたら、かなりいろいろな対策が立てられるということになりますので、その場合には加入率はかなりふえるというふうに私ども思っておりますが、健全な果樹共済事業を運営していくためには五〇%程度加入率は確保したいというふうに考えている次第でございます。
  15. 本郷公威

    本郷委員 改善をして加入を促進をさせる、そういう方針を持っていることは結構ですが、とにかく生産者の立場から、非常にこれはいい改善をしてくれた、入りたい、そういう期待が生まれてこなければ、政府の方としては改善をしたといってもそれは一方的なことになるわけです。全額補てんをするということになればまた変わってくると思うのですが、それは保険経理上なかなか困難だということになるでしょう。  この果樹共済を見ますと、農家単位引き受けになっておるわけですね。これはひとつ農作物共済と同じような園地ごと面積建てにしてもらいたい、こういうような声もあるわけですけれども、こういうことが可能かどうか。それから、果樹には果樹特性というのがあるわけですね。そういう果樹特性を生かした共済制度をつくるということが前提になるわけで、政府としてもその点は今度取り入れたと思うのですが、この果樹特性として、永年性の作物であるとか、あるいは隔年結果があるとか、あるいは地域地形等によって違いがあるとか、あるいは肥培管理技術の優劣によって品質や生産量が違ってくるとか、こういうような問題があるわけですが、そういった果樹特性等を生かした改正をどの点に取り入れたか、ひとつお聞きをしたい。     〔委員長退席片岡委員長代理着席
  16. 松浦昭

    松浦(昭)政府委員 まず第一点の、園地単位引き受け方式でございますが、これは先生も十分御承知のように、園地単位でいくかあるいは農単でいくかということにつきましては、この災害補償制度の歴史とともにありましたような非常に古くして新しい論争でございます。農作物につきましても一筆単位かあるいは農単かということが常に論争されてまいったわけでございますが、私ども考え方といたしましては、基本的に申しまして、園地単位引き受けになりますと、共済金の支払いを受ける機会は確かに多うございますけれども、そのかわり経営余り効果のないぱらぱらした少額の共済金が渡るということで、そのためには逆にまた掛金率も非常に高くなるというような問題がございます。確かに、農家単位方式でまいりますと、その場合には共済金をもらう機会は少なくなりますが、低率の低額の掛金でどんと来る非常に大きな災害をカバーできるということで、経営上非常に有効な方法になるというふうに考えられるわけでございまして、さような意味では、私どもは基本的にはやはり農家単位方式というものが基本になってこの制度を仕組むべきだというふうに考えておるわけでございます。  ただ、園地単位にこの制度を仕組めというお声が大分あるわけでございますけれども、そのお声の一つの有力な根拠といたしましては、現在の全相殺による農家単位方式ということになりますと、どうしても園地ごと増収量減収量双方調査いたしまして、それを相殺するという形をとるわけでございます。したがいまして、非常に損害評価が煩瑣になって手間もかかるというところに問題があるというふうに伺っておるわけでございまして、さような点は農家の感情から申しましても必ずしも適したものではないというふうに考えております。さような意味で、従来までは果樹共済は全相殺一本でございましたけれども、そこを改めまして、私どもとしましては、今回半相殺方式を取り入れまして、減収分だけの圃場について損害評価を行い、これに対して共済金を支払うということでこの問題を解決したいというふうに考えておる次第でございます。  なお、第二の御質問でございますところの果樹特性とは何か、また、これを生かした制度改正ということをどのように考えたかということでございますけれども、まさに先生指摘のとおり、果樹は永年作物でございまして、これが維持管理のためには高度の肥培管理技術あるいは地域地形に適応した防災施設が必要であるということであろうと思います。また、このような状態というのは、かなり農家間に格差があるという点で水稲その他の生産とは違っている点が一つ指摘できると思います。また同時に、永年作物でございますので、いわゆる隔年結果、一年ごとに豊作と不作が繰り返されるという状態があるというふうに言われておるわけでございますが、これはやはり樹種地形、あるいは肥培管理によって農家間にかなり著しい相違が出るということも事実であろうと思います。またもう一つ果樹の非常な特性として、干ばつとかあるいは寒害等によりまして樹体に直接被害を受けました場合には、翌年はもとより、あるいは被害の受け方によっては二年以上継続していわゆる着果減少といったような後遺症が残るということも一つ果樹特性であろうかというふうに考えるわけでございます。また同一の樹齢の果樹でありましても、肥培管理の優劣によりまして、品質、生産量にかなり著しい差があるとか、あるいは品種や地域によって価格差が非常に大きく変わっているといったような点が果樹特性として挙げられると思います。  したがいまして、今回の改正におきましては、このような実態に着目いたしまして、一つ農家の肥培管理の状況、あるいは園地の立地条件としての地域地形状況、あるいは隔年結果減少等を適正にまず基準収量に反映するということが非常に重要だというふうに考えます。このために、基準収量の設定につきましては、引き受け後に、その年の収穫期以降の適当な時期、たとえば開花期までに園地の状況を十分調査して、事後的に基準収量を設定するということで、さような工夫をいたしております。  それから、共済責任期間でありますけれども、一部には共済責任期間を開花期から収穫期までの期間、あるいは一年間にしてほしいという御意見もありましたけれども、この期間外の花芽の凍死といったような被害事故も果実減少につながりますので、これは先ほど申しました、いわゆる樹体損傷といったようなことから生じてまいりますことの特性を生かしまして、従来どおりの方式にしたということでございます。  それから、農家間の栽培技術の格差、これが非常に大きな格差がございますが、これは防災施設等の状況を反映させるために、無事故割引制、それから防災施設割引制といったものを取り入れまして、これは非常に効果があると思います。  それから、単位当たり共済金額につきましては、従来県単位で決めておりましたが、品種別あるいは県内の地域をさらに分けまして、価格差がある場合には地域ごとに単位当たりの価額を定めることができるということで、できるだけ画一性を排して専業農家等の加入を促進するように考えた次第であります。
  17. 本郷公威

    本郷委員 時間がもう余りありませんのではしょって申し上げますが、この事業責分担については、今回の改正では、可能な組合等については手持ち責任を一割から二割に拡大することとし、組合等の積極的な事業運営を行える体制をつくらせる、こうありますが、この果樹共済保険収支は、先ほど言ったように非常に悪いわけです。組合等において支払い不能のために共済金の削減を行っておるというのが現状のようですが、そうした現状に対して今度の改正、可能な組合等はどの程度予想されているのか、その点もお聞きしたいのです。  それからいま一つは、共済団体等が要望しておる改善の形は、今度のような形ではなくて、農作物共済と同様な方式、すなわち組合等ごとに、その通常災害部分は組合等及び連合会の支払い責任として、異常災害部分は国が持て、こういう考え方が共済団体から要望されておったと思うのですが、これが現時点において取り入れられない理由。時間も少なくなりましたので、ひとつ簡単に答弁願います。
  18. 松浦昭

    松浦(昭)政府委員 まず第一点の御指摘でございますが、事業分担を一割から二割に拡大することができると見込まれております組合等は、大体果樹共済実施している広域組合百六十組合でございますが、その中で比較的事業運営が安定している、かつ事業規模の大きな組合で実施されるのではないかというふうに考えております。  それから第二点の、農作と同じような事業責任分担方式ということはどうかということでございますけれども、御案内のように、農作の場合にはいわゆる通常標準被害率qのラインから下を組合と連合会とが受け持っているわけでございまして、いわゆるえんとつとわれわれ申しておりますが、組合が歩合の形で一定比率を持つという形にはしていないわけでございます。これはやはり私どもとしては、果樹共済はまだ実施して日が浅いものでございますから、よく料率のデータその他基礎的な資料を整えておきませんと、仮に、qでございますが、通常標準被害率以下のところで組合が相当な責任を持つといった場合には、組合が責任を持ち切れなくなる、ひいては農家に大きな損失をもたらすというようなことになりますとこれは困ったことになりますので、なお今後ともこの事業責任分担につきましては、検討会の指摘もあり十分研究してみるつもりでございますが、現行の状態では農作の方式はとれないのではないかというふうに考えておる次第でございます。
  19. 本郷公威

    本郷委員 次に蚕繭共済にかかわる問題ですが、最近蚕の飼育がハウスで行われておる傾向が非常に多いのですね。大分県でも百七十四むね、一万七千五百平米という数量になっておるのです。現在このハウスの問題につきましては、施設園芸の用に供する場合の温室は園芸施設共済でハウスそのものが対象になっておりますが、蚕を飼育するハウスは中身が農作物でないために共済の対象になっていない。もちろん現行制度からいきますと園芸施設共済の対象にもならない、蚕繭共済の対象にもならない、こういうことになるのです。しかし、理屈から考えてみて、中身に対しては双方共済対象になっている、この蚕だけが対象にならないというのもおかしいと思うのです。年々ハウスによる蚕の飼育がふえておるわけですから、ぜひ何らかの形で共済の対象にする方向で政府も検討してもらいたいと思うのですが、御意見を聞かせてもらいたい。
  20. 松浦昭

    松浦(昭)政府委員 確かにビニールハウス等の園芸施設に類似した構造の簡易蚕室が出てきておることは事実でございまして、園芸施設共済との均衡からこれも対象にすべきじゃないかという御意見があることは承知いたしております。私どもとしましては、一体どの程度の農業用施設まで共済対象として見るかということについてはなお問題がございますし、それから、民間の共済がございますので、これとの競合関係等も十分に考えてみなければいけませんが、今後各方面の御意見も、特にエキスパートの御意見を十分に聞きまして、慎重に検討いたしてみたいというふうに思っております。
  21. 本郷公威

    本郷委員 いま私は大分県の実情を申し上げたのですが、全国的なハウスによる蚕の飼育の状況はどうなっておりますか。
  22. 松浦昭

    松浦(昭)政府委員 残念ながらまだはっきりとした全国ベースの状態はつかんでおりません。そのような意味でも、今後十分に研究してみたいというふうに思うわけでございます。
  23. 本郷公威

    本郷委員 前回の改正の審議の中で、わが党の柴田委員が職員の処遇なり増員の問題について質問をしておる中で、政府答弁としまして、団体職員の給与等につきましては、当該市町村の同一学歴、年齢と比較しますと、従来は相当見劣りがしておったが、年々改善をしてきておる、そして今後とも改善をしていきたい、努力をしてまいりたい、こういう答弁をされておるのです。そうした団体職員の待遇改善なりあるいは共済団体の健全な運営につきまして、国庫負担の充実等が毎回附帯決議で挙げられておりますが、特にいま申し上げました団体職員の給与改善等につきましてはどのように取り組んでおるか、ひとつ見解を明らかにしてもらいたい。
  24. 松浦昭

    松浦(昭)政府委員 日夜このお仕事に励んでおられる団体職員の方々につきましては、できるだけその給与の内容を充実していきたいという考えでございまして、連合会及び組合等職員の給与水準につきましては、五十四年十月以降、一般職員は六等級の八号俸相当、組合参事は五等級六号俸相当、連合会参事は四等級四号俸相当にそれぞれ一号ずつ号俸の引き上げを行って、改善を図っておる次第でございます。  また、五十五年度予算においては、非常に画期的なことでございますが、社会保険料、これは労災保険料と農林年金の掛金の二分の一相当額でございますが、約八億七千万を新たに要求しておりまして、実はこの国会で予算の御可決があることを待っておるという状態でございます。  このほか、五十五年度中に人事院勧告があった場合には、国家公務員に準じて給与を改善し得るように、給与改善所要経費、これは職員号俸、調整手当及び期末、勤勉手当の各二%相当額でございますが、これを計上して内容の充実を図っている次第でございます。
  25. 本郷公威

    本郷委員 時間が来たようですから、最後に一言要望申し上げておきますが、今回の改正によりまして一定の前進を図っておるということは、率直に評価をしたいと思います。問題は、この制度農民からは期待される、それから共済団体にはやる気を起こさせるということが必要だと思いますから、まだまだ改善の余地はあると思います。質問によりまして明らかになった諸問題については、引き続き政府の積極的な取り組みを要望しまして、終わります。
  26. 片岡清一

    片岡委員長代理 新村源雄君。
  27. 新村源雄

    ○新村(源)委員 今回は農業災害補償法改正ということがテーマでございますが、農業に関する法律というのは農業六法全書を見ましても非常に多いわけですね。しかし、農業に関係のある法律のほとんどの目的は、農業の再生産農家経済の安定、こういうことを基本として制定がされておるわけです。したがって、この法律の運用いかんによって農家経済というのは非常に大きく変わってくる。私はその最たるものが農業基本法にあると思う。いま日本の農業のあらゆる部門で起きておるのは、外国の農畜産物との兼ね合いで国内の農業というのは非常に困難な方向に追い込まれている、こういうように言って私は過言でないと思う。  そこで、大臣にお伺いをいたしますが、農業基本法の第十一条、第十三条には、国の農産物に対するところの価格体系なりあるいは外国の農産物との対置なり、こういうものが基本的にうたってあるわけです。いますでに決定されようとしております保証乳価並びに限度数量、こういうものについて、外国の乳製品との関連の上でどういうようにしていこうと考えられているか、まず第一点お伺いしたいと思います。
  28. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 農業基本法におきましては、選択的拡大ということで畜産関係についてもぜひひとつやっていただきたい。そして、それに対しては、いま御指摘の十一条で、価格については生産事情、需給関係、その他経済事情などによっていわゆる農家の経済の安定を考えながら決めなければいかぬ、こう書いてあるわけでございます。そこで、それを踏まえて、いま私ども畜産関係についてもそういう考え方で対処しておるつもりでございます。特にそれとの関連で、それでは乳製品などの輸入についてはどうか、こういう御指摘でございますけれども、御承知のように乳製品関係はまだ自由化していないものもたくさんあるわけでございまして、たとえばバター、脱脂粉乳等の輸入については事業団が一元輸入をしておりますし、あるいは自由化していないものでは、練乳とかあるいはプロセスチーズとかそういうものもIQでやっておるわけでございまして、わりあい輸入については、相当制限品目を残しておると私は思っております。     〔片岡委員長代理退席、委員長着席〕 ただ、中には、ナチュラルチーズであるとか、あるいは必ずしも日本でできないということでございましょうが、乳糖、カゼインとか、こういう自由化しておるものもあるわけでございまして、正直、量的に申しますと輸入の大体四分の三というものはそのナチュラルチーズと飼料用脱脂粉乳で占められておるということであって、輸入そのものが日本の酪農に非常に大きな支障を来しておるとは私ども必ずしも考えないのでございますが、しかし、そういう点もなきにしもあらずだということで、いま申し上げたような政策をいろいろとっておるわけでありまして、今後もそういう政策を弾力的にとることによって、国内の酪農の農家の皆さんに輸入によって大変御迷惑をおかけするというようなことがないようにしていかなければならないと思っております。
  29. 新村源雄

    ○新村(源)委員 大臣、そうおっしゃいますけれども、いま国内の生乳の生産状況というのは大体六百四十五、六万トン、そして外国から輸入されるものが二百五十万トン、こういうことになっておるわけです。いま国内で一番乳製品市況で生産調整を強要されようとしておる原因の一つに、バターと脱粉の滞貨がその最たるものであるということになっておるわけです。しかし、この脱粉は、昭和五十二年当時からすでに国内過剰ぎみになっておるにもかかわらず、五十二年に飼料用として九万四千トン、五十三年には十一万九千トン、そして五十四年の一月から十一月までにすでに九万三千トン、学校給食におきましても二万二千トン、二万一千トン、そしていままた一万九千トン、こういうようになってきている。これをちょっと調整をすることによって、国内の脱粉の異常在庫というのは簡単に解決される。あるいはまた乳糖、カゼイン等の輸入によって、これらをバター等の代替に使われるということによってバターも余ってしまう。ですから、これをきちっと調整をすれば、国内の酪農の問題というのは一挙に解決に導ける、こういうように考えるのですが、この点についてやる決意がありますか、どうですか。
  30. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 国産の脱粉と輸入脱粉との抱き合わせを一万何トンやったことは御承知かと思うのでございますが、こういうことをもっとやっていけば、いまの御指摘の点は大変うまくいくということになろうと思うのでございますが、なかなかその価格差が大変大きいも一のでございますから、この一万トン余りでいまのところとまっておるということでございます。今後検討はさしていただきますけれども、大変むずかしい問題であるということだけはひとつ御理解をいただいておきたいと思うわけでございます。
  31. 新村源雄

    ○新村(源)委員 それでは、先般の参考人の御意見をお伺いした段階でも、特に生産者団体の強い要求として出ておりましたのは、いままでの牛乳の需給調整というものは、輸入品と国内製品というのは別々に行われてきた。ことしはそうではなくて、国内生産というものを中心に置いて、不足分を輸入をしてくる、こういうように総合需給調整をやってくれ、こういう強い要望であったのですが、この点について、ことしは限度数量等を決定なさるときにはそういうことを中心にしてやられますか、どうですか。
  32. 井上喜一

    井上説明員 先般畜産局長がお答えいたしましたように、現在外国から輸入されております乳製品につきましては、国内生産ができないものとか、あるいは生産ができましても非常に価格差があるというようなものでございまして、それらの輸入されている乳製品に国内の乳製品が直ちに置きかわるということがむずかしいものでございます。ナチュラルチーズもそうでございますし、乳糖、カゼイン等もそうでございます。また、先ほど農林大臣がお答えいたしましたように、現在割り当てで輸入しております飼料用脱粉でありますとか、学校給食用あるいは福祉用の脱粉につきましても価格差が非常に大きい、こういうことで、特定の目的をもちまして輸入しているわけでございまして、これらが直ちに国内の乳製品に取ってかわるということはむずかしい状況でございますので、この点につきましては、従来どおり国内需給状況等を法律の定めるところによりまして見通しを立てていきたい、このように考えている次第でございます。
  33. 新村源雄

    ○新村(源)委員 先ほどの大臣のお答えも、ただいまの審議官のお答えも、価格問題、いわゆる経済的な問題でそういうことは非常にやりにくい、こういうことですが、これは次官にお伺いいたしますけれども、ことしの九十四円六銭の乳価が仮に満度に決まったとしても、この乳価ではいま農家が抱えておるところの負債を順調に償還をしていくことができない、こういうことが、いま私の手元に、北海道の酪農主要地帯からどんどん来ている上京者がほとんどそういう資料を持ってきている。私も実際にそういう体験を持っておりますし、身近にそういう農家を見ております。そうしますと、ことしの乳価を満度に決定したとしても、その次に負債をたな上げをしてやるか、あるいはもっともっと三十年、五十年という長い償還年限、あるいは金利も二分ぐらいに引き下げてやるか、こういう特別な対策をとらなければならない。もちろん政府の財政的なてこ入れもこの中には必要になってくるわけです。だから、こういう後向きのところにいわゆる財政投資をするのか、あるいは、いま来ております外国の乳製品を、そういう方向によって価格補給をしながらこの対策をやるのか、これをもしやるとすれば、農家が積極的に生産に励める、そしてそのことによってそういう後向きな対策というものもある程度やらなくてもよくなってくる、このいずれかだと思うのです。  そこで、これは政策としては当然その価格差というのは何かの方法によって財政的な補てんを行う、こういうことが日本の酪農が生々発展していく、そういう糸口をつかめるものではないか、こう思うのですが、そういう点についてどのようにお考えになりますか。
  34. 近藤鉄雄

    近藤(鉄)政府委員 今年度加工原料乳の保証基準価格につきましては、畜産振興審議会に図りまして今月末までに決めなければならないわけでございますが、いま先生から御指摘がございましたけれども、どういうような実情にあるかにつきましては、いま各方面から統計を集めてこれから検討をしようとする段階でございますので、先生おっしゃるように、確かに諸資材等の値上がりもある反面、生産性の向上の面も片方ではあるわけでございますので、最終的にどれくらいの値段が妥当かということにつきましては、まだここでお話を申し上げる段階ではないと思うわけであります。  ただ、そういう価格問題と並んで大事な問題は、御案内の需給の均衡の問題でございまして、一応計画生産お願いしておりますが、どうも私たちの考えておったよりも生産が若干伸びているようでございますし、片一方で消費の伸びが期待したほどではない。その辺で需給のアンバランスがことしも予想されるわけであります。そういうことを考えてまいりますと、どういう値段が適当であるかということはなかなかむずかしいと思うわけであります。ただ、私はあえて……(新村(源)委員「次官、私の質問の要旨に答えてください」と呼ぶ)そういうことでございますので、むしろ需給のバランスをとってまいりますためにはある程度生産調整していただかないといかぬので、その生産調整に効果的でないような形の価格決定については慎重でなければならない、私はこういうふうに考えておるわけであります。
  35. 新村源雄

    ○新村(源)委員 次官、私はそういうことをお伺いしたのではなくて、需給の関係は輸入の問題さえ解決をすれば完全に国内のものは解決される、しかし、問題は、そこに外国の乳製品と国内の乳製品の価格差があるのだからやりにくい、こう言っておるわけですよ。ですから、価格差があるからやりにくいと言っておるけれども、いまもし生産調整価格をしぼったら、今度負債整理とかそういう別な後向きの対策を必ずやらなければならない時代に追い込まれる、そういうことをやるのか、あるいはいま価格差のあるものを何らかの方法によって補てんをして、そして国内の酪農というものをもっと前向きに進めさせるのか、いずれを選ぶのかということを聞いているのです。いずれですか。
  36. 近藤鉄雄

    近藤(鉄)政府委員 御案内のように、バター等は事業団で一元輸入しているわけでございます。これはもう過去二年ばかり輸入しておりませんから、あえて価格差が問題になりますのはチーズ、このチーズもナチュラルチーズを相当輸入しておりますので、問題はナチュラルチーズを国産化することによって国内の牛乳の消費の拡大を図る、こういうことだと思うわけであります。ただ、その場合にもお話のございましたような価格差の問題がございますので、現在の加工原料乳に対する保証に加えまして、さらにそれを上回るような形の保証が財政的にできるかどうかという問題については、先生のお気持ちも十分わかりますけれども、現段階ではなかなか容易なことではない、簡単なことではない、私はかように考えております。
  37. 新村源雄

    ○新村(源)委員 どうも次官のおっしゃること、私は了解しかねるわけです。これは国内の農業を大切にするのか、あるいは輸入はいままでのペースでやっていくのか、こういうかかわり合いのところをもっと明確に整理をしてもらわないと、日本の酪農というのは外国の乳製品の下敷きになってどんどん衰退していく、こういうことを申し上げて、ことしの保証乳価の決定あるいは限度数量の決定には、何といっても国内生産を中心に置いていくんだ、国内のいまの生産体制をさらに伸ばしていくんだ、こういう考え方でぜひやっていただきたいことを要望して、この問題については後日また改めて御質問を申し上げたいと思っております。  次に、果樹共済の問題についてお伺いをしたいわけですが、いま行われております農業災害補償法の中における共済は、大別をしますと、当然加入と任意加入、この二つがあるわけですね。当然加入というのは、加入の義務が法律上生ずるわけでございますから、これは一〇〇%加入される。しかし、任意加入というのはそうではなくて、農家の選択によって加入がされる。この条項の中には、運用の中には、組合の総会、総代会等で全員加入という議決をとれば当然加入の義務が出てくる、こういうことを言っていますけれども、しかし、これは共済に加入しなければ組合員でないわけですね。組合員の資格がないわけですから、そんなところで幾ら議決をしたって、加入の義務は生まれてくるなどということはあり得ないわけです。ですから、あれは全く空文に等しい、こういうように思うわけです。したがって、この任意加入の共済というのは、特別な措置をもって農民の要求にこたえる、あるいはまたそういうものにこたえさせるような行政上の措置、こういうもの等が伴わなければ、農民の任意に基づく共済事業の推進というのは非常にむずかしい、こういうように思うわけです。  そこで、今回提案になっております一番大きな問題は、果樹共済の二百六十億余に上る組合あるいは連合会、政府基金赤字、こういうもの等を解消していくためにいろいろ努力をされて提案をされていると思うわけです。そこで、特別な奨励措置等をもってやっていきたい、こういうように言っておられるわけですが、そういう点についてはどういう特別奨励措置等をお考えになっていますか。
  38. 松浦昭

    松浦(昭)政府委員 先生指摘のように、確かにこの共済制度におきましては、いわゆる強制加入前提としたものと、それから任意加入前提にしたものとがございます。任意加入につきましては、果樹共済あるいは畑作共済あるいは園芸施設共済というような形で、逐年これが拡充してまいったことは御案内のとおりでございます。そこで、確かに任意加入制度につきましては農家の自由意思による加入でございます。したがいまして、保険仕組みの面におきましても、農家が魅力を持つといった形での方式というものを考えていかなければならぬことは当然のことでございます。  今回の果樹共済改正におきましては、強制加入によりませんで、できるだけ多くの加入を確保するということで、画一的な制度を廃しまして、いろいろな特殊な措置をとったわけでございます。たとえば、一つは、事故除外制の拡大、従来までは暴風雨だけでございました事故除外制をひょう害といったようなところまで拡大してみるといったようなことであるとか、あるいは無事故割引制、一定の期間無事故であった農家に対しまして、無事故の割引制をとりまして料率を引くというようなことを考えたい。さらに技術的な水準の高い果樹農家保険需要にこたえるといったようなことが必要であり、またこれが加入を容易にするというための非常に重要なポイントでございますので、果実単位当たり価額の設定の細分化といったようなことを考えてみたい。つまり果実の中で同じ単位当たり価額を従来まで設定してまいりましたふじと国光といったようなものは、当然これは品種別にもう少し細分化しなければならぬということでございますので、あるいは地域によりましてブランドの名前が非常に高い地域につきましては、そこでは価額の設定を別途の価額で細分化して設定できるといったような措置をとりたい。  それからまた、損害評価を楽にするために半相殺方式を導入する、これは先ほど御説明を申し上げたとおりでございます。  さらにまた、全相殺につきましては、従来まで三割の足切りでございましたのを二割に下げる。  さらには完全な収入共済方式ではございませんけれども災害があった場合には、その方の所得そのものについて価格の要素も織りまぜて共済金をお支払いするという災害収入共済方式というものも試験的に実施したい。  このほか、加入の奨励のために、集団的な加入を行った場合に、これに対する奨励措置といたしまして奨励金を出荷団体に交付するといったような措置をとりまして、さらに加入をふやし、その結果、連合会等におきますところの、あるいは国の不足金というものも解消してまいりたいというように考えておる次第でございます。
  39. 新村源雄

    ○新村(源)委員 いろいろ努力をされている跡は敬意を表するわけでございますが、先ほど本郷委員の方からいろいろ収入共済等の関連について御質問がありましたが、私は、やはり果樹共済というのはいまのようにわずか二六%程度ではなくて、先ほど経済局長がおっしゃいましたように五〇%あるいは八〇%以上加入できる、そういう環境をつくっていくことが、この共済制度の円滑な運用ができる基本的なものだと思うわけです。  そこで、一つは、やはりいま非常に深刻な状況に見舞われておる果樹農家の一番期待をするのは私は価格保証ではないかと思う。ですから、これを共済の減収補てんの中で、こういうものを収入共済等でやるよりも、共済に加入したものについては一定の価格保証をする、そういう制度を別につくって、これは輸入の関係等も出てくるけれども、しかし、これは果樹農家経営を安定させるということであれば何かの措置をやらなければならぬことは当然のことなんです。当然のことですから、この際思い切って、いわゆる共済に加入した果樹については一定の価格保証を行うんだという別建ての対策を私は検討を進めるべきではないか、こういうように考えるのですが、この点についてどうですか。
  40. 近藤鉄雄

    近藤(鉄)政府委員 これは私たち、今度果樹共済改正を考えた場合に、いろいろ内部でも検討したことでございますが、先ほど大臣も答えておりましたように、もともとこの共済制度はあくまでも災害共済でございますので、物的な収穫共済制度である。ですから、いわゆる物的な生産額に値段を掛けまして収入共済まで持っていくには、制度の性格上ちょっとなじまないということが一つございます。  それからもう一つは、これも大臣が答えておりましたけれども災害共済の場合には、特定地域災害が起こって、ほかの地域災害がない、こういうことでバランスがとれるわけでございますけれども、豊作等で値段が下がるという場合、全国一律に下がってくるわけでございますから、したがって、保険制度としては制度自身がパンクしてしまう、こういうような問題がございます。  そういう二点で、実は私たちもいろいろ、愛媛その他から御希望がございましたので検討したわけでございますが、今回はそこまで踏み切らないで、ただ試験的に、実際災害があった分でなおかつ値段が下がるという場合には、農家の方がダブルパンチを受けるわけでありますから、この分についてはひとつ災害収入補償をしよう、収入補償をしよう、こういうことで今度の改正で取り上げたわけでございます。  ですから、あくまでも共済制度としては物的な災害に対する補償なんだ、こういうことで、しかし、それを基礎にしてたとえば地域地域の農協等でさらに価格保証的なものを考えることについては、それはそれぞれの地域の個々の農協の問題としてお考えいただくことは私たちとしては歓迎するわけでございますが、制度としてやることには非常にいろいろむずかしい問題がある、こういうことでございます。
  41. 新村源雄

    ○新村(源)委員 この価格保証の問題につきましては、これは先ほど本郷委員の御意見にもありましたとおり、やはり外国の果実輸入、こういうもの等と関連をして非常にむずかしいものがある。しかし、国民の食生活の上にどうしても果実は非常に大きなウエートを占めておるわけでございますから、まずこの農家経営を安定させる、こういう見地からこの収入共済というものを始められた、まあ実験的に始められるわけですが、そういうものと同時に、やはり価格安定制度というものを含めてひとつ検討いただきたい、こういうことを一つお願い申し上げておきます。  もう一つ、この共済の推進の方法で、北海道が初めて去年畑作共済を進めたわけです。これには道庁から市町村からあるいは農業団体から、農業委員会等も全部の機関がこの畑作共済推進のために全力を挙げてやった。しかし、それも残念ながら五八・二%という面積比率でございますけれども、これだけより推進できなかった。しかも、この果樹共済と同じように非常に困難な側面を持っている、いわゆる任意共済という。そういう点から見て、私は、これから特に畑作共済の改善をしていただきたい。これから進めていくためにはこれこれのことを改善していただきたいということを申し上げたいのですが、一つは、いま畑作共済制度の中に無事戻しの制度はありますけれども、金がなければできない、こういうことなんです。したがって、今回果樹共済でとられたように掛金の割引を行えるようなこういう制度をまず導入してもらいたい。  それから二番目が、足切りの引き下げ。現在は小豆、インゲンは三割、それから大豆、バレイショ、てん菜が二割になっておるわけです。これを一割ずつ引き下げてもらいたい。そうしないとなかなか農民に魅力のあるものになってこない。  それから、責任分担の改善ですが、これも先ほど本郷委員の御指摘がありましたように、いまのこの異常部分まで——いまのところは果樹共済は二割にされていくわけですが、いま畑作共済は一割。一割ですけれども、これが全部異常部分まで持っていくということになりますと、組合の経営が非常に困難な状態に陥る場合が予測される。したがって、これは農作物共済と同じように、通常部分は組合と連合会、異常部分は国が持つ、こういうような制度に組みかえるべきではないかということが第三点。  さらに、この共済の支払いの中で非常に農家に不満を持たれやすいのは基準反収の問題でございます。この基準反収は、特に畑作共済が本格実施がことしでようやく二年目を迎えるわけですので、これをきめ細かく、ことに最近、品種の政良等が非常に進んで、基準反収、平均反収というのはどんどん上がっている、こういうものが基準反収の中にいつもはね返ってくる、こういうような状態をつくってもらわなければいかぬということが第四点目。  それから掛金率でございますが、果樹共済五〇%、畑作共済六〇%でございますが、これらを少なくとも国庫負担率を六五%まで引き上げる、これは大体農作の麦等がいろいろ地域によって若干違いますけれども、実績として六八%になっております。私は、こういうものから照らしても六五%くらいまで引き上げる、こういう措置をとってもらいたい。こういうように問題を一挙に申し上げたのですが、これについてひとつ御意見をお伺いします。
  42. 松浦昭

    松浦(昭)政府委員 ただいま先生の御指摘の点について御説明を申し上げます。  まず第一に、畑作共済に無事故割引制度を導入してはどうかということでございますが、この点につきましては、確かに今回果樹共済につきましては料率の無事故割引制度というものをつくったわけでございますけれども、これは御案内のように、果樹共済は連年にわたりまして異常災害が発生いたしまして事業収支が非常に悪化いたし、二百六十億といったような大変な赤字が出てきておりまして、これは連合会なりあるいは組合の段階でも同じような不足金の累積に悩んでおるわけでございます。したがいまして、無事戻しを行おうといたしましても残念ながら剰余金が出ていない、無事戻し財源がないというところに問題がありましたので、そこで、いわば一種の料率の調整意味も持っておるわけでございますが、掛金の無事故割引という制度を導入したわけでございます。畑作共済につきましてはこれはまだ昭和五十年に本格的な実施に入ったばかりでございまして、あるいは将来この共済につきましては無事戻しの財源になるような剰余金が生ずるということもまだまだ考えられる状態でございまして、そのような意味におきまして、果樹共済と全く同様にいま無事故割引制度を導入するかどうかということは問題があろうかというふうに考えておりますが、今後事業の実績をよく踏まえまして検討をいたしてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。  第二点は、畑作物共済の足切りをさらに切り下げてはどうかという御意見かというふうに思いますが、足切りをする水準というものは、当然被害の態様、被害率が高いか低いかといったような問題、あるいは収量の変動がどうかといったような問題とか、あるいは掛金の負担能力、つまり足切りをいたせばそれだけやはり掛金率は上がってくるわけでございますから、その上がった分に対する農家の負担力といったようなことも考えてまいらなければならないわけでございます。また政策保険として損害てん補の限度をどの程度に置くか、つまり生産費をどの程度まで償うような水準足切り水準を決めるかといったようなこと等の問題を、十分総合的に検討してみた上でなければいけないというふうに考えるわけでございます。ただ、先生御案内のように、試験実施の段階では足切り三割というものを基本にいたしまして、このほかバレイショとかてん菜につきましては足切り二割、それから豆類は足切り四割ということで、いわゆる二割、四割というセット方式でやってまいったわけでございますが、本格的な実施の段階でこれを切り下げまして、小豆、インゲンにつきましては収量の変動も大きい、あるいは被害率も相対的に高いということから足切りを三割ということに設定いたしましたし、またバレイショ、てん菜、大豆というようなものにつきましては、比較的収量変動が少ないということで足切りを二割としたものでございまして、試験実施状態から比べますと足切り率を下げたばかりであるということが言えるわけでございます。このような点につきましては関係者の御意見も十分徴しましてこのような足切りの率を決めたものでございまして、何分にも五十四年から本格実施足切りを下げて入ったばかりでございますので、いま少しこの問題につきましては事業の実績、引き受けあるいは損害評価技術の蓄積といったような点も十分踏まえて検討をしていかなければならない問題ではないかというふうに考えているわけでございます。  それから第三点の、畑作物共済につきまして、責任分担を農作物方式と同様にしたらどうかという御意見でございますが、この面につきましては、先ほども若干御説明を申し上げましたけれども、いわゆる通常標準被害率、この上の部分を組合あるいは連合会等に持たせるかどうかということでございます。確かに通常標準被害率以上は全部国が持つというような仕組みをとりますれば、これはある意味では、異常な災害が生じました場合に、それに対して国が全面的にてん補するという意味意味があるわけでございますが、それと同時に、また組合自体も非常に大きな責任をqのライン以下で持つわけでございまして、果たしてそのような組合等が責任を持ち切れるかどうかということにつきましては、これは相当データの積み上げをやりまして保険設計を考えてみなければいかぬというふうに考えておる次第でございます。ただ、この点につきましては、単に畑作共済の問題だけではなくて、このような責任の分担をどのような形で国、連合会、組合の間で持つかということにつきましては、蚕繭共済、果樹共済等総合的に検討いたしまして、畑作も含めて今後の検討課題にするということで、実は部内でいろいろと検討を進めていただきました際の検討会の御結論でもございますので、今後この面につきましてはより包括的な観点から十分検討を加えたいというふうに考えている次第でございます。  それから、基準反収の点を御指摘でございましたけれども、畑作共済の基準反収につきましては、もちろんこれは引き受けなりあるいは損害評価の基本になるものでございまして、常に正しく設定されなければならぬということは御指摘のとおりでございます。ただ、よく基準反収が低いと言われる際に、いわゆる平年反収であるか、あるいはもうちょっと高い、これだけとれたらいいなという反収であるかということは常に論争になる点でございまして、われわれといたしましては、収穫量つまり平年収量を基準としてこの基準反収は決めておりますので、そのような点で農家の方と若干感覚的な差異が出てくるということはあろうかと思います。しかし、この平年収量につきましては、国と都道府県が統計資料に基づきましてきわめて正確につかんでやっておるつもりでございまして、たとえば五十四年産の農林統計による実反収と五十四年産の共済の実行基準反収を比較いたしてみましても、バレイショ、大豆、小豆、インゲン、てん菜はほとんど差がないということでございまして、私どもといたしましては、かなり適正な反収の設定がなされておるんじゃないかというふうに考えておるわけでございます。ただ、しかしながら、新しい銘柄その他も出てまいりますので、常に基準反収というものは適正にその事態を反映して妥当な水準を設定しなければならないということは当然のことでございまして、今後とも私ども、いまのような考えのもとにおきまして十分工夫をこらしてまいりたいというふうに考えるわけでございます。  それから、掛金の国庫負担をもうちょっと上げてはどうかということでございますが、掛金の国庫負担は、基本的に類似の共済事業、つまり事業仕組みなりあるいは被害の態様等からほかと比較できる類似の共済事業はどうなっているかということ、それから農家掛金の負担能力がどうか、収益性がどうかといったような点を考えなければならないこと、さらに共済目的の政策的な位置づけというものがどうであるかというような点から考えてまいらなければならないということは当然のことでございます。畑作共済の掛金国庫負担割合につきましては、農作物共済にかなり類似したものであるということも考えてまいりましたし、また、政策的な課題から申しましても、水田利用再編対策の転作作目としてきわめて重要な位置があるということを考えまして、実は非常に高い、果樹は五割でございますが、六〇%の国庫負担を行ったわけでございます。さような意味で、現在の国庫負担は非常に高い国庫負担を畑作共済については行っているということは御承知のとおりでございます。  なお、麦との比較でございますが、確かに麦は全国平均では一筆単位で六七・八%、農家単位の半相殺で六九・三%等々、若干畑作共済よりも高い水準でございますが、これは麦が強制保険としての性格を持っておりますので、国庫負担を、いわば農家の負担を平準化するという意味で、高いところにより高い国庫負担をつけるということからかような状態になっているわけでございまして、任意加入が行われておりますところの畑作共済につきましては、このようなことで全く麦と同じようにはできないというふうに考えている次第でございます。
  43. 新村源雄

    ○新村(源)委員 時間が経過いたしましたが、あと一点だけ簡単に申し上げますが、実はいま北海道でも全国でもそうですが、広域組合を推進されているわけです。ところが、北海道は非常に広い、あるいは条件が違うということで、地域によってはなかなか広域化ができないということで、いろいろ検討はしておりますけれどもなかなか結論が出ない。そういうときに、たまたま広域化をしない組合には事務費を負担しないというような、こういうとんでもないうわさが流れてくるわけですが、こういう点については真偽はどうなんですか。
  44. 海野研一

    ○海野説明員 私ども、広域組合推進のために、事務費についてある程度広域合併をする組合とそうでない組合と差をつけてまいりたいというふうに考えておりますが、内容的には負担しないということではございませんで、従来組合が一つありますと、組合の大きさとは必ずしも関係のない形でも組合の数に応じて負担してまいってきたわけでございます。ただし、その場合に、広域合併そのものはもちろん理想でございますけれども、せめて、市町村の中に数たくさんある組合については、一市町村の中は幾らあっても一組合というようなかっこうでやることを基本にしたいと思っております。しかしながら、そうはいいましても、従来から比べまして急激に国庫負担を落とすというふうなことは問題でもございますので、これはたとえば本年度中に合併をする場合にはその辺は削らないとか、それから削る場合にもその辺は従来との調整でそう急激に落とさないというようなことで、要するに、小さい組合に余り不利にならないようにしながら、できるだけ広域化の方向へ持っていくようなかっこうでの配分をいたしたいというふうに考えております。
  45. 新村源雄

    ○新村(源)委員 終わります。
  46. 内海英男

  47. 小川国彦

    小川(国)委員 私は、農業災害補償制度の歴史的な経過と現状というものを見ますと、昭和二十二年の十二月にこの制度ができ、法が公布、施行されてきて、もう三十三年近くを経るわけですが、共済制度全体として見ますと、まだ非常に普及率が不十分で、これが本当に農家の喜ばれる制度というところまでいっていないように思うわけです。それは加入率の数字が如実に示しておりますように、農作物共済では水稲や麦においては九〇・五%、七〇・二%いっておりますが、陸稲では三七・八%、それから蚕繭は七九・一になっておりますが、家畜共済の方の種豚では二〇・二%、肉豚は六・〇%、それから果樹共済樹体共済では七・七%、それから畑作では六作物平均で三三・二、園芸施設の共済では三一%と、こうして見ると三割以下というのが家畜の種豚、肉豚に見られるし、果樹もしかり、それから畑作、園芸、皆三割以下の加入率ということは、どこにこの欠陥があるのか。共済制度が本当に農民に喜ばれて、皆さんがもっとこの共済にどんどん進んで加入してくる、そういう方向に進んでいかなければならないと思うのですが、それにはやはり共済が再生産を可能なものにして、共済制度に入っておったために災害のときには再生産のための費用がそこから支弁されるのだ、そういうことが一つなければならないと思うし、国の補償制度としての機能が十分発揮されるというところにこの制度の充実をしていかなければならないというふうに思うわけなんです。  そこで、私は、総論ではそういうふうに考えるのですが、具体的には一つ一つ内容をどう充実、改善していくかということだというふうに思うのです。  まず家畜共済の問題で参りますと、牛は八二%、馬は八九%というふうに非常に高いところへいっているのですが、種豚の二〇・二%、肉豚の六%というのはきわめて低い状況ではないかというふうに思うわけなんです。私は種豚をやっている農家を回りまして、この制度についてどう思うかということを伺いましたら、種豚をやっている農家では、うちではもう全頭加入しているけれども非常にありがたみが薄い、というのは、たとえば雄豚が膀胱炎になって突如機能を果たせなくなった、あるいは雌豚がある日突然不妊症になってしまった、これは大変な損害なわけです、種豚の場合。ところが、現実に種豚で補償される金額というのは四分の一か五分の一しか共済では見られないということになると、種豚で加入していても非常にありがたみが薄いということが言われている。肉豚の農家に聞いてみましたら、この加入率が示しているように、私が当たったところでは、十軒のうちもう九軒が、いやそんなものには入ってないよという答えが返ってきているわけです。ですから、いわば畜産農家と言われる種豚、肉豚を飼っている農家の人たちにとっては、どうもこの制度のありがたみというものが感じられないし、存在すら感じられないという状況があるわけです。  こういう点について農林省の方としては、畜産振興の中において重要なウエートを占めている種豚や肉豚の加入率をどうしたら高められるかということについては、どういう御見解をお持ちでしょうか。
  48. 松浦昭

    松浦(昭)政府委員 確かに、加入率を高めるということは、この共済を安定的に運営する上において非常に重要なことであります。また、それぞれの共済事業に応じましてそれなりの加入率の高低の理由があるわけでございます。先生おっしゃいました農作あるいは蚕繭につきましては、これは強制加入でございますので非常に率が高い。しかしながら、任意加入制度は何分にもやはり農家の個人の意思というものが働きますので、そのために加入の率が低いものがあるわけでございます。やはり私どもは、魅力のある共済というものにしなければ加入率が高まらないということは当然のことでございまして、その場合には、特に任意加入につきましてはさような点を配慮しなければならぬということはさきに御答弁申し上げたとおりでございます。特に豚の共済につきましては、やはり牛とかそういった大家畜に比べてわりあい加入率が低いということは先生指摘のとおりでございますけれども、このような中小家畜についての共済につきましては、やはり一つは、われわれとしては十分なPRと申しますか、そういうものが足らないということがあろうかと思います。  それといま一つは、このような豚、種豚なりあるいは肉豚なりの経営をやっておられる方は、やはり農作とかそういう方々とは違いまして、非常に自主的な方々、つまり自分の力で自分の経営をなすっておられるという方々が非常に多いと思うのでございますが、経営内部で危険を分担していく、そういう意識の非常に高い方がやはり加入をなさらない原因になっているのじゃないかというふうに考えるわけでございます。  しかし、私どもとしましては、やはり豚につきましてもできるだけ加入を促進するということが必要であるというふうに考えまして、今回の制度改正につきましては、肉豚につきましては、従来まで三分の一の国庫負担であったわけでございますけれども、これを五分の二に引き上げて種豚並みにするといったような改正も行っておりまして、さような意味加入の促進を図りたいというふうに考えておる次第でございます。
  49. 小川国彦

    小川(国)委員 国民食糧の中で豚は非常に産業政策としてもいま重要になってきていると思うのです。日本の国民の食肉の半分は豚肉で需要供給が賄われている、こういう状況があるわけでございまして、そういう意味では、豚肉の占めるシェアから見ると畜産の中で非常に大きなシェアを占めている。そういう点から言うならば、いまお話しのように、それぞれ種豚と肉豚が五分の二まで来た。しかし、牛や馬が二分の一国庫補助という状況から見るとまだ立ちおくれている。牛、馬それぞれ国民生活に果たしている役割りがありますが、いま言ったように、肉豚も食肉の半分を占めている状況から見れば、これは政府も重要視して取り組まなければならないのじゃないか。そういう点では、私どもは今度の改正の一歩前進は認めるわけでありますけれども、これを思い切って全部二分の一にそろえる、こういう考え方農林省も当然持つべきではないかというふうに思うのですが、その点についてはどのようにお考えになっていますか。
  50. 松浦昭

    松浦(昭)政府委員 豚の国庫負担割合につきましても、従来からその引き上げを図ってまいりまして、種豚も肉豚もようやく五分の二の水準まで上がったわけでございます。ただ、これらの中小家畜につきまして、国庫負担の割合を牛というような大家畜と全く同じようにすべきではないかというような御意見でございますが、大家畜は何分にも一頭当たり価格も非常に高いわけでございますし、それからまた、二月当たりの飼養頭数も余り多くないという状態でございまして、死廃病傷事故が起こりました場合には、大家畜の場合にはやはり農業経営に与える影響が甚大でございます。したがいまして、中小家畜につきましては大家畜との間に一定の差があるということは、共済の仕組みあるいは国庫負担の理論から申しまして、これはやむを得ないというふうに考えておりまして、もしもこれを将来検討するということになりました場合には、今後の畜産政策の動向なりあるいは加入状況等から見まして、十分慎重に検討をしなければならない問題だと思いまして、このような状況を見なければ、現在の段階では大家畜と中小家畜の国庫負担を同じにするというわけにはなかなか申し上げ切れないというふうに思うわけでございます。
  51. 小川国彦

    小川(国)委員 いま局長は大家畜と小家畜という差でこの問題点を述べられたのですけれども、私は、それは金額的には牛や馬の方が値段が張りますし、豚から見ると何倍あるいは大変な差があるわけですが、同じ制度としてつくったからには、加入率が六%なんといって、しかも養豚農家に行ったらそういう制度を知らないという人たちが大半なんですね。これはもうPRも足りなければ中身もないからということなんでしょう刀そういうものに入っても何にも裨益するものがないということになってしまっている。これでは制度を眠らせているようなものではないかというように思うわけなんです。しかも、最近は養豚農家も多頭飼育になっておりまして、加入している農家は全頭入っているわけです。二百頭、三百頭入りますと、それは牛の十頭にも匹敵するくらいの金額的には大きなものになってきている。そういうことですから、全頭加入現状の中ではこれは思い切った財政措置を考えるべきではないのか。しかも、五十三年度の実績の国庫負担額で見ますと、乳用牛が百十五億九千百万、肉用牛は四十七億四千六百万、牛については合計で百六十三億三千七百万になっているのですが、豚について見ると、種豚ですと六億七千八百万、肉豚ですと一億一千九百万、合計で七億九千七百万という、非常に予算的にも開きがあるわけですね。牛や馬に比べて豚の器量が悪いからといって、こんなに予算で冷遇しなくてもいいのではないかというふうに思うのですが、仮にこれを実施した場合の財政的な支出というものは大した額ではなくて、大した額という表現は悪いかもしれませんが、現状の牛と豚の予算の比率、百六十三億対七億から見ますと、これは二分の一を見てもそれほどの財政負担ではなくて、二分の一に持っていけるのではないかというふうに思うわけなんです。やはり農民から見て、その掛金の国庫負担率が二分の一あって、そして災害時に対する補償がこれで得られるならというメリットが農民自身に感じられれば、それは農林省がPRしなくてもおのずからその制度加入する人はふえてくるのじゃないか、こういうふうに思うわけなんです。  私は、こうした養豚地帯に住んでいるから言うのではなくて、そういう制度があるからには、やはり農民に喜ばれる制度としてこれを活用してもらわなければならないのじゃないか。そういう点から、これは農林省だけで解決しない、もちろん大蔵省との大きな折衝の問題もあると思いますが、ひとつ積極的に取り組んで、共済制度をもっと充実したものにするという考え方から、農林省にも前向きの考え方を持ってもらいたいと思うのですが、その点いかがでしょうか。
  52. 松浦昭

    松浦(昭)政府委員 確かに養豚の農家が包括的な共済関係を結ぶという状態が多いために、もしもこの制度がうまく運用されれば非常に加入の可能性があるのではないかということは御指摘のとおりだと思いますけれども、事国庫負担になりますと、これはなかなかむずかしい問題でございまして、実は今回、馬の国庫負担とそれから肉豚の国庫負担をようやく種豚の国庫負担まで持ってきたという状態になったわけでございますが、これとても、御案内のように、かつて安倍元農林水産大臣のときでございますが、この委員会芳賀先生が大変な論戦をなされまして、そのときに大臣が御答弁をなさって、そのためにようやくここまで持ってきたという状態でございまして、財政当局からは非常にむずかしいわけでございます。今回も大変な苦労をして、実は率直に申しまして、馬とそれから豚の掛金の国庫負担を引き上げてまいった次第でございますので、やっとこの国庫負担の引き上げができた時期にすぐにまた次の国庫負担の改正ということは非常にむずかしい時代でございまして、やはり今後とも、この種、家畜の加入状況あるいは畜産政策の動向等をも十分踏まえますが、そう簡単な問題じゃないということだけはひとつ御認識をいただきたいというふうに思う次第でございます。
  53. 小川国彦

    小川(国)委員 仮にこれを二分の一にした場合の財政負担増はどのくらいにお考えになっておりますか。
  54. 松浦昭

    松浦(昭)政府委員 三億六千万でございます。
  55. 小川国彦

    小川(国)委員 これは両方、種豚、肉豚含めてでございますか。
  56. 松浦昭

    松浦(昭)政府委員 そのとおりでございます。
  57. 小川国彦

    小川(国)委員 きょうは何か私の質問のときだけ大臣が退席されまして大変残念なんですが、近藤次官がかわって全部賄うということでございますので、三億六千万あれば種豚も肉豚も同様の二分の一に達するわけでありまして、局長の話では二段階一遍に上げられないから一段ずつということですけれども、一段ずつというならば、こういう改正が毎年出てきても前進の面では大いに結構なので、ひとつ次官に、これを二分の一に持っていく、そういうひとつ農林次官として決意をお持ちになってやっていただけるかどうか承りたいと思います。
  58. 近藤鉄雄

    近藤(鉄)政府委員 先生のおっしゃることはよく私たちもわかりますし、いま局長答弁いたしましたように、今度の場合も財政当局と私たち相当やり合いまして、やはりこういう財政事情でございますから、補助率アップになるようなことに対しては非常に抵抗しておったわけでありますが、当委員会における諸先生方のいろいろの御意見もあったということで何とか強引に話をつけてまいったわけであります。  そういうことでございますので、やはり方向としては各家畜同じ率に持っていくのが理想であるということは私たちも考えておりますので、この委員会における先生方の御意見も踏まえて、今後財政当局と話をしてまいりたいと思っております。
  59. 小川国彦

    小川(国)委員 ひとつ次官の今後のあれで実現されることを期待して、次に移りたいと思います。  果樹共済についてでございますが、先ほども触れましたように、収穫共済で二六・四%、樹体共済で七・七%と低いわけです。これについては、この改正収穫共済加入を五〇%ぐらいにしたいという農林水産省の意向を承っているわけですが、現状では、ミカンもリンゴもナシも全く画一的な制度になっているわけです。今度、樹種に個別的に対応する制度の運用がなくてはならないと思うのですが、こうしたきめ細かな運用の方向というものは考えられないかどうか。
  60. 近藤鉄雄

    近藤(鉄)政府委員 これもたびたびお答えしておりますが、今回の果樹共済制度一つの大きな改正のポイントは、いままで一般にやっておったものを、同じ樹種でもそれぞれ品種に応じてもう少し細分していこう、また地域的にも細分していこう、こういうことでございますので、そういう形で果樹共済制度を個々の果樹農家方々実情を踏まえた方向に改善していきたい、こういうことであったわけであります。
  61. 小川国彦

    小川(国)委員 いずれにしても、この果樹共済内容をもっと充実していかなければならないと思うのです。集団加入の奨励措置というものも考えておられるようですが、具体的にはどんな措置をお考えになっていらっしゃるのですか。
  62. 近藤鉄雄

    近藤(鉄)政府委員 実は来年度の予算などで、集団で加入した果樹農家については割引を考えるということを考えているわけであります。
  63. 小川国彦

    小川(国)委員 この果樹と全く同じ蚕繭共済が、超異常の場合の国庫負担率が一〇〇%というふうになっているわけですが、果樹が二分の一となっているのを改正するお考えというものはございませんか。
  64. 松浦昭

    松浦(昭)政府委員 確かに超異常な災害に対しまして掛金を多く持つという考え方はあり得ると思います。また、そういうことで仕組んでいる共済事業もあるわけでございますが、何分にも果樹共済はやはり果樹が相手の共済事業でございます。したがいまして、やはり適地適産ということを考えてまいらなければならぬと思います。つまり、超異常災害に対して国庫が持つという考え方は、非常に異常な災害が発生する地域については、そこでも生産を行わなければならぬという前提があって、それで国庫負担をするという考え方になっております。そのような意味から、農作等は超異常災害につきまして国庫負担を持っておるわけでございます。しかしながら、超異常災害と申しますか、非常に災害の高い農家に対してはより多くの国庫負担を持っているというかっこうになっておりますが、果樹はそのような点で適地適産を前提といたしておりますし、かつ任意加入でございますので、一律五割という国庫負担にいたしておるわけでございます。
  65. 小川国彦

    小川(国)委員 果樹産地の次官もおりますが、これに対して、これを変えていくという考え方は持てないですか。
  66. 近藤鉄雄

    近藤(鉄)政府委員 いま局長答弁したとおりでありますが、この果樹共済はまだ歴史も浅いものですから、したがって、超異常災害を全部国が賄った場合と現行の場合と、全体の果樹共済の収支バランスが一体どういうふうになるかということについて、実はいろいろデータも集めているような状況でございますので、農作物共済みたいな形に持っていくまでに、いろいろ実際にやってみまして、データを見てからひとつ考えさせていただきたい、こういうのが私の立場であります。
  67. 松浦昭

    松浦(昭)政府委員 ただいま政務次官がお答えいたしましたのは、いわゆる事業責任の分担の割合につきましてお答えをいたしたわけでございまして、そのとおりでございます。ただ、掛金の国庫負担の問題は、超異常につきまして全額持つかどうかということでございまして、先ほど御答弁申し上げましたように、果樹につきましても畑作につきましても、任意加入であり、かつ、なるべく適地適産を奨励していきたいという場合には一律の負担のかっこうにいたしておりますので、全体の国庫負担のあり方というものの整合性を保つという意味から、一律の国庫負担ということで続けてまいりたいと考えるわけでございます。
  68. 小川国彦

    小川(国)委員 どうも局長答弁になるとなかなか前向きの答えが出てこなくて、現状の足踏みの状態で、これがやはり加入の足踏みになってしまっているのじゃないかと思いますので、次官ともども、もう少し制度的に積極的に取り組んでいただきたいと思います。  次に、園芸施設共済ですが、これは昨年の四月から本格実施になってきているのですが、加入率も非常に高く、農家の期待も込められているのです。ところが、発足直後、昨年十月の二十号台風で非常に被害が出た。しかし、一棟五割以下の被害については、農林省は具体的にめんどうを見ない。すべて団体の責任になっているために、団体の支払いが非常に大きかった。この不足金の処理については農林省としてめんどうを見る、そういう指導の考え方というものは持てないのかどうか。
  69. 松浦昭

    松浦(昭)政府委員 確かに、五十四年度において台風等によりまして非常に大きな被害が出まして、一部の連合会、組合につきましては非常な赤字を抱えたということは事実でございます。これを一体どうやって安定した方向に持っていくかということにつきましては、いろいろな考え方があると思いますけれども、もしも組合、連合会に手持ちの責任の状態を大きくいたしますと、そこで非常に大きな災害が発生した場合にさらに不足金が出るということになりますし、また、非常に低い手持ちの状態をつくりますと、逆に昔の不足金が解消できないという問題がございまして、これは非常にむずかしい問題でございます。私どもとしましては、このような責任分担の方式は、今後事業収支をよく見まして、最も適正な状態で、一体どこで手持ち責任を持たせるかということを考えていきたいと思います。その際には、このような状態で大きな災害が発生したということも頭に入れたいと思いますけれども、また、ある程度まで長期に見ませんと、連合会の不足金あるいは組合の不足金がどのような状態になるかわからないという点で、もうちょっと長い目でこの問題を見てみたいというふうに考えている次第でございます。
  70. 小川国彦

    小川(国)委員 制度的には、責任分担を改定して、三割以上の被害については国が持つ、こういうような方向は打ち出せないものでございましょうか。
  71. 松浦昭

    松浦(昭)政府委員 一棟当たり三割以上は持つか持たないかということでございますが、これは今後、この事業の推移も見まして検討を十分いたしたいというふうに考えております。何分にもまだ制度発足間際でございますので、データ等が集まっておりませんが、データを収集いたしまして、その問題は前向きに検討したいというふうに考えております。
  72. 小川国彦

    小川(国)委員 次に、畑作共済の問題についてお伺いしたいと思うのですが、露地野菜、茶、ホップ、たばこ、イグサ、こういうものが検討されておりますけれども、果菜類、スイカとかメロンが転作裏作奨励作物としても非常に大きなウエートを占めてきております。こうしたものに対象範囲を拡大するという考え方はいかがでございますか。
  73. 松浦昭

    松浦(昭)政府委員 畑作共済につきましては、できるだけその内容を充実して対象もふやしていきたいという気持ちは持っておりまして、諸般の調査もやっておるわけでございます。御指摘の露地野菜につきましても、実は私ども基礎的な調査は始めておるわけでございまして、キャベツ等の葉菜類につきましては昭和五十二年度から、スイカにつきましては五十四年度から調査に着手をいたしているところでございます。野菜あるいはメロン、スイカといったそういうものの共済につきましては、何分にも損害評価技術的な問題等もございまして、なお今後の調査にまちたいわけでございますが、一、二申し上げますと、やはり野菜というのは出荷時期によりまして価格差が非常に大きいという問題がございます。それからまた、通常の共済の対象と違いまして、重量の大きい物が必ずしも小さい物より価格が高いということにならないという、そういう問題もございます。それからまた、野菜の特性でございますが、作付期間、作付適期とか、あるいは収穫期間が長い、あるいは災害時のみに損害評価を行ったのではそれ以前の収穫量がつかめない、あるいは収穫量が少なくても価格の高い生産物を目的としてかなり早く収穫を行う、作付を行うといったようなことがございますので、いままでの技術的な手法をもってしてはなかなかむずかしい問題がございますけれども、目下いろいろと調査もいたしておりますので、その結果を見て、またこの共済を取り入れるかどうかということについても検討してみたいというふうに考えておる次第でございます。
  74. 小川国彦

    小川(国)委員 さっき家畜共済のところでちょっと落としましたが、牛の生産事故が四十一年の改正以後対象となっていないのですね。当時は牛の価格が非常に低かったわけですが、現在では子牛の値段も大変高くなっている。当然その生産事故も共済支給の対象にすべきだという声が高まっているわけですが、この点はいかがでございますか。
  75. 松浦昭

    松浦(昭)政府委員 実は農業災害補償制度の施行の時点で、牛馬の胎児とそれから生後六カ月未満の子牛、それから当歳馬を対象とした生産共済については実施いたしておったのでございますが、その後年々加入減少いたしまして、きわめて局地的なものになってしまいまして、そのために昭和四十一年にこれを廃止したという事実がございます。ただ、昭和四十七年以降にかなり牛の異常産が起こりまして、牛の流死産あるいは子牛の事故等がやはり対象になるべきではないかということを、もう一度復活する要望がございました。実は昭和五十一年から保険需要と危険率の算定の基礎資料を得る目的で調査をいたしております。五十四年からは、これまでの調査結果に基づきまして、比較的保険需要の多い肉用牛について生産共済を実施してはどうかということで、制度試案によりまして試験調査を行っているところでございます。この試験調査の結果を見まして、生産事故を対象といたします共済事業制度化をするには、過去の逆選択を招かないという見きわめをつけることが必要でございますが、この調査を踏まえまして十分に検討してまいりたいというふうに考えております。
  76. 小川国彦

    小川(国)委員 最後に、今度の果樹共済のいろいろな基準収量の決め方と共済金額の決め方の問題ですが、今回の改正でどうも基準収量の決め方と共済金額の決め方がつながりがなくなってしまったという点が一つ大きな問題ではなかろうかというふうに思うわけです。この標準収量というのは共済金額を決めるための目安であって、標準収量を基礎に今後共済金額を決める、こういう形で、単価の取り方は掛金の支払い希望に応じて選択できるという方向を選んだ。しかしその基準収量は被害発生時に共済金を支払う際の目安のものであったわけなんですが、今回の改正では、このいわゆる基準収量と共済金額の決め方との関連というものは切られてしまったというふうに思うわけなんですが、この点は、このつながりはなくなっていろいろな支障が起こらないのかどうか。
  77. 松浦昭

    松浦(昭)政府委員 確かに基準収量とそれから共済金額との間の関係がやや薄れたということは事実でございますが、今回の制度改正内容はむしろ基準収量をいかに的確に設定するかというところにあるわけでございます。と申しますのは、基準収量を余り早い時期に決めるということになりますと、そのために果樹共済の場合には隔年結果等があるものでございますから、なかなかその実態に即した、つまりその農家のあるいはその地域の基準収量が的確に設定できないということがございますので、今回の改正はまず標準的な収穫量を事前に決めておきまして、しかしながらその後補正ができるという形で実態的な基準収量に近づけるという制度をとったわけでございます。そのために共済金額との関係がやや切れているようでございますが、結局その補正後の状態において共済金額が調整できるということで処理をするというふうに今度は制度を仕組んだわけでございます。
  78. 小川国彦

    小川(国)委員 時間が参りましたので、最終的に、いろいろ今回のあれでは、たとえば共済掛金を共済責任の期間開始前ではなくて、前年度の収量時に支払うことができるというふうに非常に早めた支払いもできるということになったわけですね。そうすると、たとえば果樹については従来花芽のときにやって、一般的には五月ごろに契約をしていたものが、今回から前年の七月から九月ごろにこの契約をするという形になってくる。しかもこの基準収量と共済金額の決め方のつながりも切れてくる。こうなりますと、共済の職員の事務負担が非常に煩瑣で容易なものではないというふうに思うのですね。こういう点で、特に新種共済などが出てくるともう大変なことだろうというふうに思います。ですから、こういう点については第一線の共済職員がノイローゼにならないように十分配慮してもらう。それからまた、同時に、その裏づけになる事務職員のいろいろな待遇、処遇の改善、事務費の見方、そういう面においては、十分それが補えるような配慮を今後の中でひとつ指導していっていただきたい、こういうふうに思います。
  79. 松浦昭

    松浦(昭)政府委員 確かに今回の改正あるいは次々と共済事業を拡充してまいっておりますので、そのために職員の事務量も非常にふえてくるということでございますので、一つはできるだけ事務を合理化する。たとえばコンピューターの導入であるとかそういうことをいろいろやっておりますが、そういうことによって現在おられる職員がフルに活動していただけるという道は開きたいと思いますし、さらに加えまして、先ほど御説明いたしましたような事務職員に対する国庫負担の内容の充実ということで社会保険料等も今回負担したことでございますので、できるだけひとつ事務職員の方々が活力をもって御活動なすっていただけるように、私どもとしては今後とも配慮してまいりたいと思います。  それから先ほど一つ、もしも豚につきまして二分の一の国庫負担をいたしました場合にはどのぐらいあるかということで三億六千と申し上げたわけでございますけれども、あれは現在の加入率加入頭数を前提にいたしたものでございますから、それによりまして加入が非常にふえてくるということになりましたらはるかに大きな掛金の国庫負担になりますので、その点だけちょっと補正をさせていただきます。
  80. 小川国彦

    小川(国)委員 次回に譲ります。
  81. 内海英男

    内海委員長 この際、午後一時から再開することとし、暫時休憩いたします。     午後零時九分休憩      ————◇—————     午後一時三分開議
  82. 内海英男

    内海委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。芳賀貢君。
  83. 芳賀貢

    芳賀委員 法案の質疑に入るに先立ちまして、武藤農林水産大臣に、きわめて緊急を要する問題についてお尋ねいたします。  それは、政府の行政機構の整理統合の問題に関連いたしまして、特に農林水産省に対しては林野庁の機構の中の営林局を一局削減する、こういう点がかなり具体的に伝わっておるわけでございますが、これは究極には政府において方針を決めて、統廃合する場合においてもそのことが将来の国有林の運営あるいはまた日本の林政の進展に寄与するかどうかという明確な判断の上に立って、所管の農林水産大臣が内閣の一員として判断をするというのが至当だと思うわけです。ところが、今回の場合は、行政管理庁長官なる者があたかも指導権、指示権を握ったような形で行動しておるように見えるわけです。元来政府といたしましても、たとえば国家行政組織法あるいは内閣法と、そうして各省の関係については総理府の設置法とかあるいは各省の場合には農林水産省初め各省の設置法というものが法律で明定されておりまして、主管の大臣の権限というものはその中で明らかになっておるわけですね。行政管理庁という役所は確かにありますが、これは総理府本府の中の一庁にすぎないわけでございますので、いずれも国務大臣としても実行権限ということになれば、農林水産大臣と行政管理庁長官を比べた場合においては、ひいき目ではありませんが、武藤農林水産大臣の果たすべき権限と任務というものははるかに重大であるというふうに私は考えるわけです。  特に営林局の統廃合問題については、御承知のとおり、いまから二年前の国会におきまして、一つ農林省設置法の改正の中で、特に北海道において五つの営林局のうち四つを廃止して、政府の設置法改正案は国会で修正いたしまして、廃止された四営林局については現在営林支局という形で設置法の中で内容を明らかにして運営されておるわけでございますが、それとあわせて、全国の各営林局単位に一営林署、合わせて九営林署の統廃合を行ったわけでございますが、これも全く不要であるというのではなくて、結局は営林署の名称は廃止いたしましたけれども、それにかわる代替措置として国有林野事業の運営に支障のないような措置を講じたことは御承知のとおりです。しかも、その際、国会におきましては、政府提案の国有林野事業改善特別措置法の審議をいたしまして、社会党からは国有林野事業に対する再建整備特別措置法を同時に出して、今後将来にわたっての国有林の健全な経営と発展のために、真剣な論議をして今日に至っておるわけです。ですから、十年計画、二十年目標を完全に実現する場合は、やはり現場機構である全国の各営林局、そのもとに置かれておる営林署の果たす役割りというのは、一般行政庁の出先機関などとは違って、現業を責任を持って進めるわけでありますから、営林局が現在全国で十カ所ある、ブロック単位に考えると多過ぎるから一つ減らせ、二つ減らせというようなことは全く根拠のないことでございまして、たとえば全国にそれが幾つあっても、必要の上に立ってこれは現存しておるわけでありますから、この際、ぜひ農林大臣の責任において、政府の中でいま提起されておる問題というものは全部何もかもだめというわけじゃありませんが、特に農林省関係の場合には、歴代自民党政府の中においても、行政の整理問題等については農林省が率先して、政府の中でこれだけと言わぬでもそれ以上やるような、まじめというか、その辺の判断はお任せしますが、やり過ぎておるわけです。それは今回も農林水産省設置法の中で、これは不急不要かもしれませんが、幾つかの出先機関の廃止を国会において審議しておるわけです。それから、特殊法人の問題にしてもいろいろ当面しておる重大な問題がありますが、この際、この農林水産委員会を通じてこの問題について農林大臣の明確な御方針と決意のほどを明らかにしておいてもらいたいと思います。
  84. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 国の行政のあり方といたしましては、やはりその行政機能が十分発揮されるような有効な機構が必要であり、また、国民のニーズにこたえる行政機構が必要だろうと思います。しかし、中には時代の変遷に応じて必要でないものもあるわけでございまして、そういう点において行政改革を進めていくということは先生も御理解いただけると思うのでございます。  ただ、行政改革を進めていくという中にあって、いま御指摘の営林局の問題でございますけれども、これは私も先生と同じ考え方でございまして、一昨年できました国有林野事業改善特別措置法という法律は一つの行政改革と私は判断をいたしておるわけでございます。それに基づいて十年間の改善計画が立てられまして、その一環としてとりあえず、いまお話しの北海道の五つの営林局のうちの四つの営林局が、一応廃止が最終的には支局になった、こういうことでございまして、行政改革をこの林野庁の関係はすでに進めておる、こう私は理解をいたしておるわけでございます。そういう点に対して、行政管理庁から、何か営林局を一つつぶしたらどうかというようなことを言ってきたということは、いまの行政管理庁長官も、国家行政組織法とかあるいは各省のそれぞれの設置法の解釈をまさか間違って言ってきているとは私は思わないのでございますけれども、こういうことでどうだろうかという、あくまで希望的な一つの意見であったと私は受けとめておるわけでございまして、行政改革の一環として農林水産省の機構をどうするかは、あくまで私の責任であると思っておるわけでございます。  そういう意味において、いませっかく行政改革を進め、改善計画を進めていただいておるときにおいて、ここで営林局を一つでも廃止するというようなことは、かえってその改善計画に支障を来すおそれさえあるのであって、行政改革をやろうというのが、逆に行政改革をしにくくするというような、逆の現象があらわれるおそれも非常にあるわけでございます。そういう意味においては、いまこの時点で営林局を一つなくすというようなことはどんなことがあっても避けなければいけないと私は考えておりまして、そういう気持ちで今後とも私、自分の責任においてこの問題は何とか阻止をしたい、こう考えておるわけでございます。
  85. 芳賀貢

    芳賀委員 明快な御答弁でよくわかりました。私が言うまでもなく、内閣法におきましても、もちろん閣議は内閣総理大臣が主宰するわけでございますが、しかし、国務大臣が必要ありと求める場合には必ず国務大臣の要求によって閣議を開かなければならぬということになっておるわけであります。同じ国務大臣で、それは大臣になった回数とか席順が上であっても、とにかく農林水産省に対して、しかも大臣に対して、おまえさんの省内の出先機関の営林局を一つなくせとか、その上どの営林局を廃止してどうせいなんというのは、これは常識で考えても、越権というよりそれを上回るような乱暴な言動ではないかというふうに考えておるわけです。ですから、いまの御決意がそのまま今回の問題の処理につながるようにひとつ努力してもらいたいと思います。  次に、法案の内容に入ります。  五十三年の国会においては、主として畑作共済並びに園芸施設共済の本格実施を行うための大幅制度改正が行われたわけでございまして、今回は果樹共済が中心でありますが、今度の改正内容を見ると、共済制度の運用にかかわる点で変化が生じておりますので、その点について、これは局長でもよろしいが、明確にしておいてもらいたいと思います。  元来、共済制度は、事業種類がずいぶんふえてはおりますが、結局、長い歴史を振り返ってみると、まず農作物共済の場合には一筆建て方式それから半相殺、全相殺ということで、結局おおよその共済事業農家単位経営単位の共済事業というふうに堅実に発展をしておるわけです。究極にはやはり災害補償に対しては比例てん補方式まで発展すべきであるということがわれわれの一貫した方針でございますし、また、政府におかれてもそれを理想として今日に至っていることは言うまでもないわけです。  そこで、果樹共済の経過を見ると、最初に理想的な全相殺から出発してしまったわけですね。これは飛躍し過ぎたような経過もありますが、この時点になって今度は半相殺に、半相殺も今度は制度として実施する、全相殺、半相殺の選択制というような内容にもなっておりますが、加入成績が上がらぬ、十年たっても三〇%に達しないというような実情はわかるが、制度全体から見て、せっかく前進したものを、一部においても後退させるというようなことになると、これは大変な逆行になると思うわけです。ですから、その点について、他に連鎖反能が生ずるとは思いませんが、この点が一つ。  もう一つは、実験でありますけれども災害収入共済方式果樹共済においては実験的に行う。いままでの実験共済というのは、たとえば三年あるいは長ければ五年間実験期間というものを置いて、慎重に実験期間内の成果とか欠点というものを見きわめて、それから本格実施に入ってきておるわけでありまして、今回実験共済方式ということになれば、従来の例に立てば、これを実験して効果が上がるというようなことになれば、このような方式に移行させるという考えで実験に入るのかどうか、その点についてお伺いいたします。
  86. 松浦昭

    松浦(昭)政府委員 ただいま芳賀委員が御指摘になりましたとおりに、長い災害補償制度の歴史をたどってみますと、特に農作物においては最初に一筆から出発し、次に半相殺、全相殺と進んでまいったわけでございまして、やはりできるだけ安い掛金率において深い災害てん補して経営の安定のために資するということがやはり共済制度の本旨であろうと考えるわけでございます。したがいまして、午前中御答弁申し上げましたように、たとえば果樹共済につきましても、園地ごとの共済の実施ということについてはいろいろな御意見もございますけれども、私どもとしては、やはりできるだけ農家単位方式でいきたいということをはっきり御答弁申し上げた次第でございまして、さような点につきましては、私どもはこの共済事業を発足いたしましたときと同じ気持ちであるということは申し上げておきたいと思います。  ただ、果樹共済につきましては最初に理想的な全相殺方式で出発いたしたわけでございますが、何分にも損害てん補の合理性を追求いたしていくということになりますと、できるだけ出荷団体等におきまして出荷実績を活用できるという前提で全相殺方式を導入いたしたわけでございますが、現実には出荷団体等の出荷実績を活用して損害評価ができる組合は比較的少ない。全国で九%程度でございます。ほとんどの組合が実は全園地を評価いたしまして、減収量と増収量とを損害評価いたし、これを相殺するという方式をとっているわけでございます。このようなやり方をとってまいりますと、特に被害農家が多い場合には、ややもすればこの共済制度のいわば生命線でございますところの損害評価が粗雑になるといったような弊も出てまいっておるわけでございます。  そのようなことから、今回の制度におきましては、半相殺方式をこのような技術的な観点から導入いたしまして、園地評価によらざるを得ない地域におきましては半相殺方式をとり、被害園地だけを調査するということによって損害評価の適正化を図りたいということから、半相殺を導入したわけでございまして、基本的な考え方というものは私どもは変えていないつもりでございます。
  87. 芳賀貢

    芳賀委員 加入している農家から見れば、全相殺が得だとか半相殺が不利だというものではないのですね。たとえば全相殺になれば、標準共済金額に対して収量が上回る場合と下回る場合の相殺ということになるわけですから、それにはどうしてもこれは農家単位経営単位でなければならぬということになる。しかし、それになると全体の損害率がもちろん低下するわけですからね。そのかわり、今度は足切り制度というのがあって、農作物共済の場合には、全相殺であれば足切り一割、半相殺の場合には二割、一筆建ての場合には三割と、そこでその制度問の不均衝を調整しておるわけですからね。こういう点についても、やはり明確な算出根拠というものは破壊されないようにしないと、目先だけ半相殺であれば予定収量を上回った分は差し引きにならぬから得だというような安易な考えだけでは、またこれは長続きしないと思うので、改正法を実施する場合には、指導等についても十分留意する必要があると思うわけです。  それからもう一つ、共済掛金率の割引制度というのが改正の中に出てくるわけですが、これは従来の無事戻し制度と対応するような発想だと思います。ただ、問題は、今度の改正案の中で共済掛金率の割引制が実現されるということが全国の関係団体に伝わって——いままでも、園芸施設共済についても畑作共済についても、無事戻しより割引制度でやってもらいたいという声が非常に強いですね。これは果樹共済加入一つの宣伝材料という点もあると思いますが、これが全体に波及して、余りにも宣伝効果を上げるということになりますと、どの共済にも割引制を導入してくれ。中身は違うが、たとえば農業者年金の場合も、特定後継者の任意加入は、三十五歳以前に入ったのは割引制度をやる。加入促進の場合には一つの便法ではあるが、これは一体どう考えているのですか。これはやる気になれば最初から約束してできるのですよ。無事戻しの場合は、やろうと思ったって、結果的にことしも災害、来年も災害災害連続ということになれば、制度にはあっても実現できないということになる。この割引の場合は、最初からことしは割引しますということになれば必ず実現はできるが、この割引を実施することによってやはり財政問題というものが出てくるわけですからね。そうなると、掛金率を決めて実行する場合、今度は割引によって掛金収入が減少するということが当然あり得るのです。では、その割引分をどこから補てんするかという問題も当然出てくるわけですね。どこかでかせがなければできないという問題も出てくるわけです。今度のこれは、全面的にやるというわけじゃないですけれども、部分的に選定をして、この分に対しては割引をしますということになるが、この波及する範囲というものについてどう考えているのですか。
  88. 松浦昭

    松浦(昭)政府委員 まず第一点は、特に全相殺に関連いたしまして、今回の制度政正におきましてその趣旨を十分に指導徹底するようにということでございますが、これは私どもも、先ほどから申しておりますような観点に立ちまして半相殺を導入いたしましたので、その趣旨は十分に徹底いたしたいというふうに考えます。  それから、先ほど一つ答弁を落としておったわけでございますが、災害収入共済方式につきまして、将来これを本格実施するかどうかという点でございますが、この点につきましては、従来の実験事業と同様に、これは非常に評判がよく農家に魅力のある制度であるということが実証されれば、本格的な実施をするつもりでございます。ただ、実験的に実施をいたしまして、必ずしもこれがうまくいく制度ではないということでございました場合には、当然収穫共済だけということになるかもしれませんけれども、その結果によりまして、もちろん本格実施をするという前提でやっているということでございます。  それから、ただいま御指摘がございました掛金率割引方式についてでございますが、先生がいみじくも御指摘になりましたように、これはある意味では料率調整の役割りを果たす制度でございます。つまり、保険の業務、収支というものは、当然長期間にわたりましてそれが収支相償うという原則になっておりますので、この掛金の割引を行いました場合には、それによって穴があくという制度になってはならないはずでございます。したがいまして、この目的というのは、ただいま申しましたような一種の個別農家の料率調整の機能を持っているという点に私どもは重点を置いておりますし、また、それが専業農家加入を促進するゆえんであるというふうに考えております。  そこで、お尋ねの波及効果でございますが、果樹共済は、他の作物に比較いたしまして農家ごとに栽培形態も違いますし、また、被害発生の態様も異なるという特殊な点がございます。同時に、連続的に災害が発生する農家がある一方、特に技術水準の高い農家などは連続的に無被害であるといったように、その間にかなり明確な事情が果樹共済にはあると思います。したがいまして、このような共済の特殊性に着目しまして、果樹共済について無事故割引を行ったということと、いま一つは、連年災害によって果樹共済につきましては無事戻しができない、つまり剰余金がないということから、無事戻しの制度がなかなか適用できないためにこれを考えたわけでございます。さような諸点から考えまして、ほかの制度にこれを波及させるかどうかということにつきましては、他の制度実態を十分に見きわめた上で、かつ果樹共済と同様な制度をしく必要があるかどうかということを見きわめた上で実施するつもりでございまして、軽々にこれを他に波及させる気持ちは現在のところはないわけでございます。
  89. 芳賀貢

    芳賀委員 次にお尋ねしたいのは、ことしから本格実施になりました畑作共済、それから園芸施設共済ですね。二年前の審議の場合にも、当委員会としても附帯決議等を付して指摘した問題でございますが、出発一年目ですからね。そういう場合に予想外の災害に当面したというような事例も全国で幾つも出てきているわけです。その場合、一つは、早く共済に加入しておいてよかったという点と、もう一つは、かなりの被害率の場合はいわゆる共済金支払いに関連する責任分担の問題がどうしても出てくるわけです。大体畑作共済にしても北海道が中心でございますが、結局いまの制度というのは町村単位の共済組合、それから連合会、国、通常災害とか異常災害等について共済金の責任分担というものが法律で明定されておるわけですが、まだ発足日が浅いという場合、結局、末端の共済組合の段階において法律に示された共済金の責任分担にたえがたい、実行ができないというような実例がもうすでに出てきておるわけです。その場合には、共済基金からの一時借り入れの問題、たとえば畑作共済をやっておりその組合がもう一つは農作共済事業もやっておる、これはいずれもその共済事業に付随した勘定を持っておるわけです。だから、たとえば共済事業で末端の責任分担が果たせないという場合、それでは同じ組合の農作共済の方の法定された準備金、積立金を簡単に流用できるかというと、そういうことはできないわけですね。認可を得て一時流用ができるといっても、それはまた後でその勘定に戻さなければならぬということにもなるので、こういう点について、末端の共済組合が安心して、自信を持って新しい共済事業を進めることができるようにする必要がやはりあると思うのです一しかも、これらは制度のたてまえとしては任意加入が原則になっていて、しかし、その総会において議決をした場合には、これはその総会の議決に拘束を受けて義務加入になるというようなことになっておるので、農作共済のように法律による当然加入とは大分趣が違うわけですから、こういう点も関連があるのですね。共済金の責任分担の問題、農作共済も長い歴史の中で地位が確立しておりますが、経過の浅い共済事業の場合には、やはりこういう点について十分な検討を加える必要があると思いますが、その点はどう考えていますか。
  90. 松浦昭

    松浦(昭)政府委員 まず当面の問題でございますけれども、畑作共済につきましては、事業開始一年目に不幸にして非常に大きな災害に見舞われまして、不足金が生じた組合があることは存じております。この手当てにつきましては、私ども当面は必要に応じまして農業共済基金からの融資によって対処してまいりたいというふうに考えております。また、基本的には、畑作共済の安定というものはやや長期の見方で見てまいらなければならぬということもございますので、その事態の推移を見たいと思いますが、掛金率等につきましては、できるだけ短期にこれを改定していくということによって、安定的な共済事業を営んでいけるようにしたいと思います。  しかしながら、同時に、先生ただいま御指摘になりましたいわゆる事業責任分担というものをどうするかということが、非常に重要な課題であると思います。特に農作物共済につきましては、通常標準被害率を超えておりますところの被害が生じました場合には国の責任、その下は組合と連合会が持つというかっこうになっておるわけでございまして、やはりこういう超過負担方式というのが、ある意味では農作物のような特異な災害に対する事業にとってむしろ理想的な形ではないかというふうには考えるわけでございます。  しかしながら、現行の実態を見ますと、やはり制度発足間もない事業につきましては、組合が果たしてこのような保険設計ができるかどうかということにつきましては、まだ自信がないわけでございますし、さりとはいえ、また一方で、現在の歩合で持ちますところの組合の責任というものを全く持たせないということになりますと、これまたモラルリスクが起こるということもございます。さような諸点も考えまして、これからは、新しい共済としてスタートしたものにつきましては、できるだけデータを集め、保険設計を考えて、事業の分担をどのようにするか、責任分担をいかにするかということをもう一遍再構築してみたいというふうに考えております。実は先般の検討会におきましてもこの点が取り上げられまして、特に果樹、畑作、さらに蚕繭というものにつきましては、これらの責任分担をよく検討するようにという御指摘もございましたので、今後の重要な課題として取り上げてまいりたいというふうに考えております。
  91. 芳賀貢

    芳賀委員 これは単に畑作だけじゃなくて施設園芸についても、相当の近代的な施設を装備しておるわけですから、予期しない災害の場合はやはり当該共済組合が責任にたえられぬような場合も当然出てきておるのだから、問題は、その仕組みの中において、責任分担が、末端の共済組合の場合は通常災害にしても異常災害部分にしても、まず縦割り一割は当該共済組合の負担ということになっておって、そして結局総共済金の九割の中、で、通常分はもとより連合会、今度は異常分についてはその五%が連合会で、九五%が国ということになっておるのですね。問題の起きるのは、単位共済組合の異常部分についてもまず一割はどうしても持たなければならぬというところで、災害の度合いによって負担能力というものにぶつかってくると思うのですね。その支払い能力がなければ法律によって削減払いもできるじゃないかということになれば、これまた共済組合は信用を失うということにもなるので、むずかしい問題ではありますが、これはひとつぜひ検討してみてもらいたいと思います。  もう一つ、この畑作共済で二年前内容を審議した際、一番問題として指摘しましたのは、畑作共済の対象作物について、その一部は全相殺方式、一部は半相殺方式。今度は、足切りについても全相殺の対象ならこれは全部二割ということになっておるが、半相殺の中でも足切り二割というものはあるわけですね。これはやはり農単方式ですから、加入した組合員の耕作する対象作物はすべて引き受けなければならぬ、加入しなければならぬということになっておるので、そうなれば、面積のかげん等の制限はありますが、当該作物全体がやはり農家単位方式加入しなければならぬ。これは実験のときよりは少しよくなっておるが、本格的に発足したということになれば、まだ不安定要素はそれはあるかもしれぬが、やはり全体を統一して全相殺にするならするとか、未熟な点があるから半相殺にするならするとか、掛金の算定にしても、損害評価の限度にしても、やはり統一して足切りは幾ら、この方式はどうするというようなことにしないと、仕事をやる上からいっても非常に繁雑なわけですね。これは本格実施の前に相当の実験期間というものは経ておるわけでありますから、ぜひこれは——これだけがちょっと変則なんですよね。全相殺、半相殺の中で作物を区分して、そして大豆のような場合には半相殺であって、足切り二割ですからね。これは局長も担当課長も変だと思っていると思いますが、この点を十分に現地の実態等よく確かめて、自発的に、こっちからやかましく言われないうちに、毎年毎年附帯決議でたたかれてもよろしくないと思いますから、重要な検討事項として進めてもらいたいと思うのです。
  92. 松浦昭

    松浦(昭)政府委員 畑作共済についてでございますが、私も最初にこの制度を見ましたときに、私、昔保険課におりましたときはこの制度がなかったものですから、見て一番わかりにくかった制度であることは事実でございます。確かに半相殺あり、全相殺あり、足切りの率も違うということで、どうしてこのようになったかなという気持ちはいたしたわけであります。  しかしながら、足切りの点だけについて申し上げますと、やはり被害の態様なり、掛金の負担力なり、いろいろな点から考えて、この畑作共済では二割と三割の差をつけなければならなかったのかなという感じがいたしたわけであります。と申しますのは、小豆、インゲンにつきましては相当危険率も高いということがありますが、その場合には余り足切り率を低くすれば掛金率が高くなることは当然のことでございますし、大豆、てん菜、バレイショといったものはわりあい被害率が安定しているということでこのような制度に仕組んであるのかなというふうに私は理解をいたしたのでございます。  なお、先生おっしゃいますように、畑作共済につきまして制度実施がもう本格的になったわけでございますから、それを踏まえまして、この仕組みにつきまして今後とも検討してみたいと思う次第でございます。
  93. 芳賀貢

    芳賀委員 これが農家の選択によって、自分はこれとこれを選択して加入するというのであれば別ですよ。この畑作共済に加入する場合、とにかく対象になる全部の作目を引き受けなさい、この点は強制なんですよ。畑作共済事業は任意加入ですからね。任意選択で、任意の中で強制部分というのが入る場合が出てくるわけだから、強制的に全部の作物を対象にするというのであれば、その中でまた全相殺、半相殺とか、足切りが異なるというのはそこがおかしいのですよ。これはぜひ検討してもらいたい。共済関係は農林省の中でもみんな優秀ですからね。松浦さんも相当頭も見やすくなっているわけだから……。  最後に、時間がありませんが、二年前の共済制度のとき強力な附帯決議を付しておるわけですが、その中で、一つは、市町村の共済組合の合併促進、これは先般委員長提案で通しました農協合併とか漁協の合併助成とは全く趣旨を異にしているわけです。狭い町村区域等の中において、あるいは合併した市町村の中にも数組合あるというのが現実でございますので、そういうのをやはり合理的に統合して、生産条件、気象条件等についても共通した地域をブロックとして設定して、いわゆる表現は広域合併と言われているわけですが、相当進んではおりますが、まだまだやるべき地域で実行していない。合併すれば組合長初め役員選出をどうするとか、そういう点が障害になってはおるわけですが、これはやはり農林省としてもある程度の促進の助成等行ってやっておるわけですから、趣旨が全国的に実現するように強力に進めてもらいたいと思います。  それからもう一つ、家畜共済の関係の診療所の整備充実の問題については、前回の改正のとき、農災制度の中で診療所の位置づけを法定してくれという声が非常に強くて、二年前の改正のとき法律の条文の中に加えたわけですが、これはしるしだけに法定したという程度のものではありますが、これは印象としては相当効果的なわけです。問題は、それに伴って、特に畜産酪農地帯における診療所事業というのは共済事業の中心になるわけでありますからして、十分やっている診療所もあるし、まだまだ内容が充実しておらぬというところもあるので、こういう点については、何もかも農林省の責任ではないが、やはり全国の各連合会とか当該地域の共済組合等に対して適切な誘導政策を講じて、財政面等においても行うべき点は進んで助長するということで、これはさらに継続してやっていく必要があると思います。  それから、診療所がよくなっても肝心な獣医師の人材確保という問題も、これは御承知のとおりです。人間の医者はほとんど農村地域には優秀なお医者はいない、都市集中の傾向でございますが、獣医師関係は使命感をまだ十分持っておるわけで、いまのところは獣医師がなくて困るというようなことは北海道では余りありませんが、しかし、中には、大事な産業動物の診療あるいは畜産振興に当たるという意識よりも、収益本位、都会に出て犬猫病院ですか、その方がはるかに収入は多いわけでして、そういうような風潮が時代を流れておるわけだから、やはり人材確保ということになれば、安心してその仕事に専念できるような処遇の改善の問題とか社会保障の問題等についても、一段と努力してもらいたいと思います。  それから、最後に、毎年予算では要求も出ておるし、だんだん増額はしておりますが、特に共済組合の職員の処遇の改善の問題とか、それから実際に損害評価とか現地の組合運営に当たっておる評価員とか、そうした大事な人たちに対する報酬というのはまだまだ少ないわけですね。特に畑作共済を実施すると、種類が多い。だから農作物共済よりも損害評価等については相当に労力も時間も要するというようなことにもなる。もう一つは、水田地帯の転作によってことしから北海道は全体で四四%転作ですからね。約十一万ヘクタールです。これが転作ということになれば主として畑作物ということになる。そうなれば、一方においては水稲等の農作物共済引き受け面積がその分だけ減ってしまって、じゃ今度は転作した分は、畑作共済制度というものがあるからそれに全面加入してもらうべきであるということにはなるが、とにかく水田の形質の中に、急に政府方針だからといって転作をしても、そこからの収穫量の期待というのは普通の畑作地帯における生産とはまた格段の差があるわけですから、こういう点は、加入促進の場合においても、どういうように共済事業運営の上で転作作物については扱うということもやはり鋭意検討して、前進のあるような方策を進める必要があると思います。  以上、一括して申しましたが、これに対して局長あるいは大臣から明快にしてもらいたいと思います。
  94. 松浦昭

    松浦(昭)政府委員 まず、第一点の、附帯決議の中でお述べになっておられます広域合併の問題につきましては、私ども事業経営の基盤というものを強化いたしますために非常に重要な事業だと考えておりまして、現実に相当の広域の組合の設立を見るように合併を進めておるところでございます。しかしながら、なお現在も弱体な組合が多数存在していることは事実でございまして、今後ともわれわれとしてはこれに力点を置いて事業を進めなければならないというふうに考えておるわけでございますが、その場合にも、今後の方針といたしましては、従来までは広域組合と申しますとどうしても郡単位をねらったわけでございますけれども、なかなかそこまでいかない合併のケースにおきましても、ある程度まで特認と申しますか、郡までいかない状態でも合併を進めるということを考えたいということと、いま一つは、町村移譲を行いました組合につきまして、どうしてもそこだけ町村の区域で小さくなっているという状態がございますので、これにつきましては、一部事務組合を市町村でつくってもらいまして、それによって広域化するということを考えていきたいというふうに考えておる次第でございます。  それから次に、診療所整備でございますが、これはもう先生まことにごもっともでございまして、私も今回二十何年ぶりに家畜共済の仕事に携わらしていただいたわけでございますが、とにかく経営が安定しているのに驚いたわけでございます。かつては非常な赤字を抱えていた死廃病傷共済でございましたが、人間様の保険と違いましてきわめて安定的な経営をやっておるわけでございますが、これはやはり家畜診療所を持ちましてきちんとした業務が行われているということが大きな点であると思います。このために、われわれとしましては、昭和五十四年から五カ年計画で基幹的な診療所につきまして設備強化を行うということで、五十五年度予算にも予算要求をさせていただいておりますし、また、家畜共済不振地域対策ということで、五十一年度から五十三年度まで特定の地域につきまして濃密な検査指導を行うということで加入促進も図ってまいった次第でございまして、この診療所の運営につきましては、さらに今後とも一層その設備の強化あるいは業務の内容の充実に努めてまいりたいと思います。  それから、獣医師の問題でございますが、これも御指摘のとおりでございまして、先般適正な診療技術料となるように診療点数の改正を行ったということは先生承知のとおりでございまして、なお、家畜共済特定損害防止事業における獣医師の雇い入れの日当等につきましても、できるだけ引き上げるという方向で予算も組んでおるという状況でございます。  なお、最後に、職員の処遇でございますが、これは午前中もお答えいたしたとおりでございまして、私ども今回は、五十五年度予算に社会保険料を組むということで、画期的な予算をお願いをいたしておるわけでございますし、また、損害評価員も組合段階では一〇%の引き上げということで手当を充実したいと思っておりますが、なお、これらの方々は第一線でまさに働いておられる方々でございますので、その処遇につきましては、さらに今後とも努力してまいりたいというふうに考える次第でございます。
  95. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 いまいろいろと先生から御指摘をいただきました点は、大変示唆に富んだ問題ばかりでございますので、五十五年度予算においても改善措置もなされておりますが、今後ともより一層改善についてはひとつ努力をしてまいりたい、こう考えております。
  96. 内海英男

  97. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 農業災害補償法の一部を改正する法律案について、農林水産大臣並びに農林省関係当局に見解を求めます。  農林水産大臣に冒頭お伺いしますけれども、本法提案に当たりまして、特に果樹共済の場合の加入が少ないということで問題になっておるわけです。果樹共済制度は、昭和五十四年度においても、収穫共済で二六・四%、樹体共済で七・七%ときわめて低い水準で推移してきております。制度の維持発展を期する上からは、当然多くの果樹栽培農家加入を図っていくことがもう第一に大事なことであることは言うまでもございません。そこで、加入実態から見て技術水準の高い専業的果樹農家加入が少ないということは例年言われてきているのですけれども大臣は、就任されて、本法提案に当たり、この加入が、低下している、また今後促進をどう図っていくか、こういったことが本法改正に当たって基本的な問題になってまいりますので、冒頭大臣から、どういうような見解をお持ちの上で本法を提案になられたか、また、今後どういうように加入促進を図るべく努力する決意であるか、まず最初にお答えをいただきたい。
  98. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 いま御指摘のとおり、果樹共済についてはどうも加入率が低いわけでございます。これは一つには、やはり専業の果樹農家方々が非常に自立意識が強いということも私は一面あるのではなかろうかと思いますが、せっかくこういう共済制度があるわけでございますから、できる限りより多くの方々がお入りをいただくように私どもとしては努力をしていかなければならないと考えております。  そこで、いま御審議を願っておりますように、今度の改正当たりましても、果樹農家の危険感が高い特定の危険のみを共済事故とすることができるように、共済事故の選択制を拡大をする、あるいは果実単位当たり価格実態に近づけるため、実態に即して一層きめ細かく設定する、あるいは共済掛金率農家被害発生実態に近づけるために、ある程度の期間事故がなかった場合には割引制度を考える、あるいは全相殺方式について足切り割合を三割から二割に引き下げる、あるいは半相殺方式を取り入れる、あるいは試験的なものではございますけれども災害によって収穫量減少した農家については収入額の減少額に応じて共済金を支払う、こういうようなことをやりまして、これをやったからそれじゃ物すごくまたどんどんふえるかどうかということはやってみなければわからないわけでございますが、とりあえず少なくともこういうことをやれば、いままで以上に加入率が高くなってくることだけは間違いなかろう、こういう考え方お願いをいたしておるわけでございます。
  99. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 農林水産大臣から総括的に一応答弁をいただきましたが、逐次質問をしてまいりたいと思います。  いまも若干お触れになりましたが、果樹栽培は農家問で相当技術的な格差があるわけでございます。すなわち技術の優劣によって被害の受け方も異なることはもう言うまでもございません。同一地域で同一料率を適用する制度の立て方を疑問視する考え方が根強く従来からございます。被害の少ない者ほど加入しない。いわゆる逆選別といいますか、逆選択加入ということが行われてきておりますけれども、こういったことについては十分当局も承知の上でおられると思いますが、その点はどういうふうに検討なさって提案されましたか。
  100. 松浦昭

    松浦(昭)政府委員 私どもは、できるだけ掛金率は当該地域被害率を反映するように設定をすべきであるという考えに基づきまして、できるだけこれを細分化してまいったことは事実でございます。現に、市町村をさらに分けました単位におきましても異なった料率を適用するといったような、そういう仕組みを持っておるわけでございますが、何分にも果樹農家につきましては、ただいま先生も御指摘なさいましたとおり、非常に技術の優劣その他がございます。したがいまして、個々の農家ごとにやはりある程度まで掛金率が個別化していくということが、この加入を進めてまいります際に必要であるというふうに考えられます。しかしながら、なかなか一律的にこのような掛金率の個別化ということは困難でございますので、今回導入いたそうと考えておりますいわゆる無事故農家に対する掛金率の割引というのは、まさにこのような料率の個別化あるいは掛金率の調節というものを、個別農家の段階でもある程度まで貫いていくという考え方に立っているわけでございまして、さような先生の御指摘の点は、ただいま申し上げましたような方法でこれを実施していきたいというふうに考えている次第でございます。
  101. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 農林水産大臣から冒頭御答弁がありまして、また松浦経済局長からさらに答弁をいただきましたが、今回の改正では加入促進を図るということがまず主眼に置いてある、かように私は認識いたしております。その直接的な手段としては果樹農家生産出荷が組織化されて、共販体制が整備されてきている果樹の流通の実態というものを踏まえた上で、果樹出荷団体等を通じて集団加入を促進する、そしてこれに対して奨励措置を講ずるというように、今回の本法提案の中でなっておりますけれども、集団加入がともすれば強制加入というふうにはなりはしないか。従来から政府は任意加入ということをたてまえにやってきたわけですから、従来の方式からいった場合に、今度の改正でこのような強制的なことが行われるということで、いささか心配をする向きもあるのですけれども、その辺はどういうふうに検討されて提案に及ばれたか、御答弁をいただきたい。、
  102. 松浦昭

    松浦(昭)政府委員 できるだけ加入率を引き上げてまいりますために、集団加入を奨励いたしたい。その場合には出荷組合等に奨励金等も出したいということで、今回の制度改正当たりまして御提案を申し上げておるわけでございますが、しかしながら、基本的に申しまして、集団加入の奨励と申しましても、果樹団体がその構成員の自由意思によって果樹共済加入することを決定いたしまして集団で加入してきた場合に、当該団体に対しまして奨励金を交付するということを考えております。したがいまして、果樹共済加入するかどうかということは、あくまでも団体の構成員の自由意思に任せたいという気持ちでございまして、私どもといたしましては、一方で加入の奨励はいたしたいと思いますけれども、ただいま先生の御懸念のような、いわば強制的な加入方式実態的にはなるということは避けるという方向で指導してまいりたいというふうに思います。
  103. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 組合員の自由意思に任せるということでありますが、また後ほども出てまいりますので、さらにお伺いしてまいりますけれども、しからば、この集団加入の奨励措置について、集団加入に今回奨励措置を講じていこうということでございますが、どういう奨励措置をとられるのか、具体的に御説明をいただきたいと思う。
  104. 松浦昭

    松浦(昭)政府委員 集団加入の奨励措置内容でございますが、これは五十六年度予算において具体的に奨励措置を決めたいというふうに考えておりまして、まだ現在の段階では素案の段階でございます。しかしながら、われわれの頭の中にありますことを申し上げますと、出荷団体等がしっかりしたものがございまして、そこの中でかなりの農家がこれに加入をしており、かつまた共済の方にもそのメンバーが相当多数加入しているといったようなケースを想定いたしまして、そのような場合には、出荷団体に対しまして、その共済の加入に要する事務費を大体カバーする程度の金額の奨励金を交付するということで、現在の段階は考えている次第でございます。
  105. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 集団加入によってどの程度加入がふえていくか、どの程度見込んでおられるのか。また、本法提案に当たってその辺はどういうふうに算定をなさって出されたか、その点お答えいただきたいと思う。
  106. 松浦昭

    松浦(昭)政府委員 これはなかなかむずかしいお尋ねでございまして、このような集団加入の奨励措置というものがどの程度まで具体的な数字で加入の率を上げるかということは、なかなか算定できない点でございます。けさほど私は、果樹共済事業の安定的な経営を行いますために、加入率を五〇%程度までは上げたいということを申したわけでありますが、このような奨励の措置を講ずることによりまして、従来から共済団体と果樹団体との協力体制ができている地域におきましては、これを中核にいたしまして加入が促進される、さらにその周辺地域にもこのような加入の増進が波及していくといったような効果を期待いたし、かつ、そのほかにもいろいろな制度改善によりまして加入の増進に当たりたいというふうに考えておりますので、さような諸般の措置をもちまして加入率を五〇%程度には高めたいというふうに考えておるわけでございます。
  107. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 そうしますと、本制度が健全な姿になるためには、当局は五〇%の加入率になれば健全な姿になる、こういうふうに理解してよろしいですか。
  108. 松浦昭

    松浦(昭)政府委員 もちろん加入状態が五〇%を超えるような状態になれば、多々ますます弁ずと申しますか、非常に経営が安定してくると思いますけれども、少なくとも逆選択を防止し、また先ほどから先生も御指摘技術水準の高い果樹農家がこれに加入してまいりまして安定的な経営が行われるということのためには、私どもとしては、少なくとも五〇%程度は必要ではないかという立場で御答弁を申し上げておる次第でございます。
  109. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 それで一応わかりましたが、それでは、昭和五十六年度の共済掛金率の改定では共済掛金率がかなり上昇するように見えるわけであります。加入促進をしていこうという中で、一方では掛金が高くなる。そうしますと、当然これは加入が少なくなるということで、まさに相反することになるわけですね。そこで、どうして掛金率を少なくして加入促進を図るかというようなことについては、どのような苦心が払われたのか、その点もこの機会に当局の検討の結果を御説明いただきたいと思うのです。
  110. 松浦昭

    松浦(昭)政府委員 確かに、果樹共済の共済掛金率につきましては、五十六年度におきまして現行制度のまま料率改定を行った場合にはかなり高率の掛金率になるという可能性がございます。それは何ゆえかと申しますと、実験実施においてわれわれがとらえておりました被害率と、その後実際に事業を行っていますときの被害率とは大分違っておりまして、特に本格実施に移りまして以降きわめて異常な状態だと私どもは思っておるわけでございますが、連年非常に大きな災害果樹共済は見舞われたわけでございまして、そのような被害率が今回の料率改定におきますところの掛金率に響いてくるというのが実態でございます。昭和五十五年度の予算ベースで農家負担額を試算してみますと、全樹種全国平均で見て約四〇%の増加になる可能性がございます。そこで、先生指摘のように、もしもこのような大幅な農家負担の増高ということを放置いたしますと、加入率の低下を招き、また逆選択に陥っていくという問題が起こるわけであります。そこで、今回の改正において、特に技術水準が高い農家をできるだけ取り入れて、その結果何とか安定した経営に持っていくということが必要だと思います。  さらに、このような掛金率の増高に対応する手段といたしまして、先ほどから御説明申し上げておりますところの暴風雨の共済のほかに、ひよう害のみを共済とするいわゆる特定事故を対象とする共済事業、こういうものを実施したり、あるいは病虫害を除くような共済事業実施いたしまして、掛金率はこの場合には非常に低くなりますから、そういうことによって、このような選択的に農家が選び得る事故というものを取り上げまして、その結果掛金率の低下を図るということが一つの手段だと思います。  それから先ほど申し上げました、過去一定年間連続無事故の農家に対しましては、無事故年数に応じましてやはり共済掛金率を割り引くということも、専業的な農家に対しますところの一つ掛金対策ということが言えるかと思います。  さらにいま一つは、防ひようネットのような特別の防災施設を持った農家につきましては、防災効果に応じまして、共済掛金率の割引を行うというような制度も考えてまいりたいというふうに考えております。  このような諸点を実施いたしますことによって、農家負担の軽減を図りたいと考えておる次第でございます。  なお、長期的には、加入ができるだけふえた状態を実現いたしまして、掛金率を低減さしていくということが必要になってくると考えておる次第でございます。
  111. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 果樹共済加入促進を図るという意味からいろいろなことが考えられて提案をされているわけですけれども一つには、農作物共済とか蚕繭共済のように、共済掛金に対する国の負担割合、現在二分の一になっておりますけれども、これを高めていくということについて、今回はやむを得ないとしても、今後どういうふうにお考えであるか。と申しますのは、米の場合はたしか五八%、麦の場合は六〇%負担になっているように私は記憶しておりますけれども、少なくとも米並みぐらいの負担にはぜひすべきではないか、かように考えているのですけれども、当局は本法提案に当たってその点はどうお考えであるか。また、将来そのような用意があるのか、その点も明らかにしていただきたいと思う。
  112. 松浦昭

    松浦(昭)政府委員 果樹共済は、先生おっしゃられましたように、現在は五〇%の国庫負担割合を持っているわけでございますが、国庫負担割合を引き上げるということはなかなかむずかしいのではないかと私は考えておりましたし、またおるわけでございます。と申しますのは、農災制度におきまして、掛金国庫負担の方式あるいはその水準を考えます場合には、いろいろな角度からこれを検討してまいらなければなりませんけれども一つのメルクマールとしましては、当該共済制度が当然加入制をとっておるかどうかということが一つの大きなポイントになろうかと思います。ただいま先生申されました高い国庫負担を持っております農作物共済あるいは蚕繭共済は、強制加入のもとに置かれておりますし、この場合には、農家負担の平準化を図る見地から、掛金率の高低に応じまして負担率に差をつけるということにいたしておりまして、さような意味から、高い被害を受ける農家に対して高い国庫負担がつくということから掛金率が高くなるという要素がございます。また、逆の任意共済については、どうしてもそこが余り高くできないという問題がございます。それからまた、国庫負担の水準そのものにつきましては、共済事業の目的になります作物の政策的な重要性、あるいは災害の態様、特に重要なのは農家掛金負担能力、つまり収益性の問題でございます。果樹共済は、御案内のように、この事業が任意加入制をとっておりますと同時に、果樹経営は一般の他の作目、たとえば畑作共済の作目等に比べましてかなり収益性が高いものでございますから、したがって、畑作は六割でございますけれども果樹共済は五割というような体制をとっているわけでございまして、さような各共済の整合性、バランス上から、これを引き上げるのはなかなか困難であるということを申し上げざるを得ないと思います。
  113. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 加入促進の問題でさらにもう一点伺っておきます。  現行の加入資格基準を引き上げることによりまして、加入農家というものが限定されてくるということになるのは当然であります。制度改善の眼目でありますところの加入促進ということをやるためには、よほど注意してかからないと、マイナス面が出てくる懸念があるので、あえてお伺いするわけですけれども、共同販売に参加している農家を選別して加入させるというような結果になるわけでございますから、どうしてもそのように加入資格基準を引き上げることによって限定されていく、こういう傾向になって、必ずしもこれが加入促進になるかどうか私は大変疑問を持つところでございます。地域によってはいろいろ事情はあるわけでございますから、地域実態によって決めるというようなことを十分考えていただかないと、一律にはまいらない、かように思うわけですけれども全国果樹農家に対して、本法改正に当たって、この点も当委員会で本法審議に当たって局長から明確に、農家が安心して加入できるようにひとつ説明をいただきたい、かように思います。
  114. 松浦昭

    松浦(昭)政府委員 今回は加入資格基準につきまして若干の改正をいたしまして、現行省令では五ないし二十アールということで定められておりますところの資格の基準を、五ないし三十アールということで上限を改めるということにいたしたいというふうに考えておるわけでございますが、これはあくまでも樹種ごとあるいは地域ごとの実態に即応して弾力的に加入基準を設定したいということでございまして、これは法律の改正の目的あるいは省令改正の目的というものが、この加入基準の引き上げに伴いまして、共同出荷参加農家だけに限っていくというようなつもりで、選別加入を促進するつもりでは決してないわけでございます。もとよりこのような加入基準は、一つの枠と申しますか、幅でございまして、その中で共済組合あるいは市町村がどのような水準を設定するかということは、これは当該組合の自主的な判断に任されるということでございまして、特に総会等の場におきまして、特に組合の場合には、あれは三分の二以上の多数決による議決でなければこれは決定できないわけでございますから、当然多くの方がお入りになって皆さんで御相談になって、実態に合った加入の資格基準というものをこの幅の中で選んでいきたいということでございまして、決して先生がおっしゃられるような懸念が生ずるように運用してまいるつもりはないわけでございます。
  115. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 次に、共済事故のことで一、二点伺っておきます。  今回の改正では、ひょう害についてのみ対象とする保険方式を取り入れられておりますが、さらに農家は、凍霜害と干寒害についても共済をぜひやってくれという意見がかねがねから強かったわけでございますけれども、この点については今回は見送られておりますけれども、将来どういうふうに考えておられますか。また、今回見送ったことについて、どういうふうに検討なさって今回は除かれたか、お答えいただきたい。
  116. 松浦昭

    松浦(昭)政府委員 今回の制度改正におきましては、従来の暴風雨による特定事故の被害に対する共済のほかにひょう害を入れる、あるいは将来うまく尺度ができますれば病虫害除外の共済を実施いたしたいというつもりはございますが、事故除外方式の中で凍霜害あるいは干害それから寒害、こういったものを特定事故に限って、つまり事故除外方式でやれるかということにつきましては、実はいろいろと検討してまいったわけでございます。しかしながら、御案内のように果樹共済は対象となる作物が永年作物でございます。したがいまして、農作の対象作物などとは違いまして、災害が一たん発生すると果実はもとより樹体も被害を受けるわけでございます。それで、そのような樹体被害果実収穫量に影響を及ぼしてくるということがございますので、本来なるべくオールリスクでやりまして、最終的に全体でどのくらいの被害が起こるかということを決定いたしませんと、分割して被害を把握することがなかなかむずかしいわけでございます。暴風雨とかあるいはひょう害といったものは、そのときに来た一発の事故でどれだけの被害が起こったかということはその場でわかるわけでございますが、凍霜害とかあるいは先生指摘になりましたような被害につきましては、その前に樹体に被害が起こっていてそれがだんだん影響が及んでくるということになりますと、これを分割して、この災害のためにこれだけの被害が起こったということが明確になりません。このためにこれらは事故除外方式ではむずかしいということを考えた次第でございます。昨日、渡辺委員の御指摘につきまして、この点同じくお答えをいたしまして、研究課題と申し上げたわけでございますが、あのときいみじくもおっしゃいましたように、研究課題というのはなかなかむずかしいという意味も含めて申し上げた次第でございまして、さような意味で、この方式は、相当研究いたしまして分割評価が可能であるということになりませんとむずかしいというふうに考える次第でございます。
  117. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 結局むずかしいということで、なかなか容易じゃない感触を受けたわけですけれども、今後も引き続き十分検討をして、早い機会に実現できるように強く要望しておきます。  さらに病虫害による減収の場合は、制度はあるけれどもまだ実施に踏み切ってないわけでございますが、病虫害に対する問題については各農家からも強い要望があるわけですね。この辺の実現の見通し等についてもどういうふうに当局は検討しておられるか、この際、お考えを伺っておきたい。  それと、共済事故の選択制を、全相殺方式及び災害収入方式を除いて、半相殺方式のみ認めるということになっておりますが、なぜそのようにしたのか、その理由をこの機会に明らかにしていただきたいと思う。
  118. 松浦昭

    松浦(昭)政府委員 病虫害の事故除外方式は確かに一つの有力な方式であると私ども思っております。と申しますのは、非常に技術水準の高い農家におきましては病虫害などが発生することは非常に少ないわけでございまして、この事故除外をやりますれば、その結果掛金率が低くなり加入が促進する、こういう論理になっていると考えるわけでございます。したがいまして、私どもできるだけ早く病虫害の事故除外方式を実現したいと考えておるわけでございますが、そのためにはいわゆる病虫害分割減収推定尺度という物差しをつくらなければならないわけでございます。この物差しは五十一年度から主産県に委託いたしまして尺度作成のための調査実施しているところでございますが、この尺度が整備され次第私どもは事故除外方式を導入したいと考えておりまして、できるだけ早くこれを実現したいと考えておる次第でございます。  それから、事故除外方式を半相殺だけについて認めることとして全相殺になぜ適用しなかったかということでございますが、先生御案内のように、今回の制度改正で半相殺を導入いたしましたのは、実は損害評価の面で従来の全相殺方式増収量と減収量とを全部圃場に行って見なければならないということから、損害評価を簡素化するために、全相殺方式出荷団体でもってきちんと出荷量がわかるところだけに限りまして、そのほかは損害は減収分だけ見ていくということで半相殺方式をとったわけでございます。言葉をかえて申しますと、全相殺方式は、出荷団体等で全体として出荷量が幾らあったかということを把握する、そういう共済についてのみ適用するという考えになったわけでございます。  そこで、事故除外方式を半相殺方式だけで認めるのはなぜかと申しますと、その論理から出てくるわけでございまして、半相殺方式でなければ分割して事故があったということがわからないわけでございます。つまり圃場に行って見るという機会がないわけでございます。したがいまして、事故除外方式は全相殺については適用しないことにいたしたのでございます。
  119. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 次に、共済掛金率の割引制度の問題で若干お伺いをしておきます。  今回の改正においては、共済掛金率の増高を防止して、果樹栽培の実態に対処しつつ、農家の不満を解消することなどをねらいに、一つには、共済事故の選択制を拡大し、二つには、先ほど御説明がございました防ひょうネット等の防災施設を用いて栽培されるものについては一定の共済掛金の割引を行うことにしているほか、過去連続して一定年間共済金の支払いを受けたことのない農家に対して、その年数に応じて一定の共済掛金の割引を行う、こういった制度を新たに設けようとしておられます。  そこで、料率割引制度は、無事故農家等の掛金負担の軽減を通じ掛金負担の公平を図ろうというねらいでありますけれども果樹共済特有の事情とはいうものの、被害農家は割り増し掛金を負担することになることと、他の共済制度へも飛び火する可能性も十分考慮しなければならないという問題があるわけです。なぜ果樹共済に限ってこのような制度を導入することになったのか、この点について伺うわけですけれども、ちなみに申し上げますと、だれかが割引を受けたらその分は必ずどこかでだれかが埋め合わせをしなければならないということになるわけですね。そうしますと、果樹共済がこういうことに踏み切れば、畑作物共済または園芸施設共済、農作物共済など当然同じようなことを言うであろう、またわれわれの立場としては、それらの共済にも当然これを適用することを言わざるを得ない、かように考えるわけでございます。そういった意味で、今回のこの料率割引制度については、結構なことであるけれども、他の共済制度に警告を発することになるわけでございます。その点は、当局も本法提案に当たっては十分計算をされて提案なさったと思うが、将来の見通し、他の制度への影響等はどういうふうにお考えの上で今回このように思い切って提案されたのか、その点もこの機会全国果樹農家のために明らかにお答えをいただきたい。
  120. 松浦昭

    松浦(昭)政府委員 この点につきましては、先ほど芳賀委員の御質問にもお答えいたしたわけでございますが、先生ただいままさに正確に御指摘なさいましたように、掛金の無事故割引制度は、一方で掛金の割引を受ける方があった場合には、一方では掛金がより高くなる方が出てくる。と申しますのは、保険収支としては長期間にわたりますと収支相償う原則でなければならぬということでございますから、当然そのようなことになるわけでございます。したがいまして、これは一種の料率の調整あるいは料率の個別化としておとりになっていただきたいと考えるわけでございまして、私どもは、その趣旨は十分農家にも徹底しなければならぬ、またそれを実施するに当たりましても極端な調節をするといったことはなるべく避けまして、徐々に導入していくべきであると考えているわけでございます。  なお、他の制度への波及の問題でございますが、これはやはり果樹共済というものが、先ほどからも何回かお話がございますように、技術的な水準の非常に高い農家と低い農家、あるいは災害の態様もいろいろバラエティーがあるというところから、このような料率の個別化あるいは料率の調整ということが必要になったというふうに私ども考えておりますし、また、いま一つの点といたしましては、果樹共済は連年の災害に見舞われまして、その制度発足以降非常な不足金がたまっております。したがいまして、どこもいわゆる無事戻しができないという状態がございましてこのような料率の調整策をとったということでございまして、他の制度につきましては、なお無事戻しができる状態が畑作等につきましてはあるかもしれませんし、また、果樹共済特有の掛金率により個別化をしなければならぬという実態があるかないかということもよく調査してみなければなりませんので、先ほども答弁いたしましたように、安易な波及は避けるということの態度で臨みたいというふうに考えておる次第でございます。
  121. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 局長、そこで、この制度の導入によって、どういう方法でどの程度農家掛金が軽減される、こういうふうに見ておられますか。
  122. 松浦昭

    松浦(昭)政府委員 今回の制度内容は、無事故割引を行う組合等では、共済目的の種類ごとに見まして、過去連続二年間以上無事故の組合員等について、その連続無事故年数に応じまして、定款等で定める率だけ共済掛金を割り引くという制度にしてあるわけでございます。  このような前提ではじいてみますといかなる状態になるかということでございますが、具体的には組合等が定款でどの程度まで割引率を決めるかということがまだ決まっておらないと申しますか、その選択がまだ行われていないわけでございます。つまり、制度が発足いたしまして後にこの定款の率が決まってまいるということでございますので、農家負担の割合がどの程度まで割り引かれるかということは、現在の段階では定かではございませんが、農家負担の割引割合が最高三割程度の範囲で、割引対象農家の分布状況等、地域実態に応じて割引を行っていく、また、無事故年数のランク別に定めることを考えていくといったようなことを考えておりまして、先ほど私徐々にこれを適用していくということを申しましたが、より大幅な割引、たとえば最高五割といったような意見もございますけれども、現実に無事故農家とその他の農家の間に立った農業共済団体の意見も十分聞きました上で、この適用に当たりまして、余り摩擦がないような形で導入してまいりたいというふうに考えている次第でございます。
  123. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 当面は赤字だから問題にはならぬ、こう思うのですけれども、これが黒字に転化した場合、いわゆる共済が健全化した場合にはどうするかということも当然検討されたと思います。すなわち、掛金の割引に重きを置いていくのか、また、無事戻しの活用にそれを求めるのかというようなことも当然考えられる、逆な場合ですね、黒字になった場合。その点はどうですか。
  124. 松浦昭

    松浦(昭)政府委員 ただいまの御指摘の点も私ども十分に考えてみました。無事故割引制度と無事戻し制度は本質的に違っておりまして、無事戻しの制度というものは、やはり剰余金が出た場合にいわば結果的に料率の調整をしていくということで、事後調整的な役割りを果たすものでありますが、料率の無事故の割引の方は、むしろ事前に調整すると申しますか、性格が違った調節の仕方をするわけでございます。したがいまして、この両制度はそれぞれ本来のファンクションというものを違った状態で持っておりますがゆえに、将来この制度をどうするかということでございますが、両制度とも併用することの実益は十分にあるというふうに私は考えておるわけでございます。  なお、組合等に将来、ただいま御指摘のように不足金が解消されて剰余金が生ずるというような状態が個別に起こってまいりました場合に、無事戻しがまた復活いたしまして十分できるというような事態になりました場合には、その場合でもなお無事故割引を行う必要があるかということは、先ほど両制度を併用していけるとは申しましたけれども、なお、その場合には、地域実態に即応いたしまして組合で再検討してもらう、組合ごとに判断してもらうというのが、一番適切な方法ではないかというふうに考えている次第でございます。
  125. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 次に、半相殺方式の導入問題で若干お尋ねしておきます。  政府は、本法提案に当たって、全相殺方式で従来は出発をしてきたわけでございますが、私は農家のためには全相殺方式が一番いい、こういうふうに認識をして今日まできたわけです。ところが、今回の提案によって、半相殺方式を導入してこられたわけです。歴史から見ましても、今回の半相殺導入はいわゆる制度の後退である、かように素朴な果樹農家の批判があることも事実でありますが、この点については、果樹農家に対してどういうように政府説明をなさるか、その見解をお答えいただきたい。
  126. 松浦昭

    松浦(昭)政府委員 瀬野先生も全相殺方式が最も理想的な制度であるとおっしゃっていただきまして、私も大変意を強うしたわけでございますが、圃場ごとに共済の単位にするという考え方というものも一方ではございますけれども、しかし、歴史の流れから見まして、一筆単位から農単まで進歩してまいりました農作物共済の例に照らしましても、やはり全相殺方式というものが最もすぐれたものであるということは、これは私どもいまもそう考えておるわけでございます。  しかしながら、先ほども答弁申し上げましたように、農家単位方式として損害のてん補を合理的にやっていくためには、どうしても出荷団体等におきまして出荷実績を持っておりませんと、これを活用するということができませんと全相殺はできないわけでございます。と申しますのは、もしも全相殺出荷団体の出荷実績なしで行うということになりますと、先ほどからも申しておりますように、全部の園地を調べまして、増収と減収とを調べましてこれを相殺するという形になるわけでございます。したがいまして、このような方式によりますれば、被害農家が非常に多いような場合にはどうしても損害評価が粗雑になるといったような弊害も起こってまいりますし、そのような意味で、何とか園地評価によらざるを得ない地域だけにつきましては、この半相殺方式を導入して、それで増収量を差し引かない形で減収量のみで計算をして共済金を払うという制度をとりたいというふうに考えたわけでございまして、これは現実の実態が、出荷量によって、出荷実績によって完全に把握できない、したがいまして、損害評価という技術的な問題がこのような半相殺方式をとらざるを得なかったというように御理解をいただきたいし、また、農家の方にもそのように申し上げたいというふうに思っておる次第でございます。
  127. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 まさに、この点お伺いしておりますけれども果樹共済引き受けというものは、農作物共済における一筆建てと同様、園地ごと面積建てにすべきだという根強い意見は従来からいまもあるわけでございます。米の場合は、一筆方式を認めておるけれども園地建ては認めていない。農家経営が安定すればということからやられると私は思うのですが、一筆建てから全相殺方式、そして半相殺方式果樹共済の場合動いてきたわけでございます。農家経営からいけば、先ほどから申し上げますように全相殺方式がいい、私はかように認識をしておるわけですが、園地建てに引き戻せ、こういう果樹農家からの声があることは御承知のとおりです。また、その声も大きいわけです。  そこで、政府も従来から全相殺方式がよい、こう言ってきたわけでございますので先ほど来質問を申し上げてきたわけですけれども、私は、歴史的にずっと評価してみますと、やはりこの点はマイナスの方向である、いわゆる制度の後退であるということはこれはもう当然言えることだと思います。こういったことで農家に対していろいろ批判が起こることもこれは間違いない事実でありますので、この辺については、本法施行に当たっては十分ひとつ各県または末端果樹農家に対してよく指導をして、趣旨の徹底を図るようにしてもらわなければいかぬと思うわけです。組合の共同出荷というようなことの説明等ありましたが、実際に果樹農家の現地での声、また実情をずっとつまびらかにはだで接していますと、当然これは共同出荷をしていく、そしてその結果によっていろいろ見ていただくというようなことなんかも大事でありますけれども農家についても、やはり不慮の出費とかいろいろなことがございまして、出荷がなかなか完全にできない。どうしても、農協共販等に出せば収入から農薬、肥料代とかいろいろなもの、諸掛かりが引かれる。そうすると農家の手に入らない。こうなりますと、どうしても農家は現地において仲買人に売り渡さなければならないということやら、またいろいろな家庭の事情によって出費が必要である。自動車を買う、あるいは家の建築をするとか増築をするとかいうことになりますと、どうしても共販に出さずに出費をしなければならぬということにもなったりして、個々の農家についてはいろいろ事情があります。そういったことも踏まえますと、今後の半相殺方式をやっていく上においてもいろいろ問題が起きてくる、こういうふうに実は思っております。私から詳しく言わなくたって十分当局はそのことはよくおわかりだと思いますけれども、ひとつこういったことを含めて、将来いろいろと御検討をいただくように、この機会農家の立場に立って一言つけ加えておきたい、かように思うわけでございます。  次にお伺いしますが、被害率と支払い率の問題でございますけれども、今回の改正では、三割被害を境に大きな差が出る仕組みを是正しておりますが、足切り水準の引き下げは、農家共済金受け取りの機会を多くして、補償の充実の観点から大きな前進である、かように思うわけです。  さらに私は申し上げますと、農作物共済の例に見るように、全相殺で一割、半相殺では二割の足切りという進んだ制度もあるわけでございますけれども、ぜひ本制度も将来、こういった農作物共済の例に見るような足切りにしていただくように考えてもらわなければいかぬ、こう思うのですけれども、この辺の見通しといいますか、その辺の検討はどういうお考えであるか、当局の見解を求めます。
  128. 松浦昭

    松浦(昭)政府委員 確かに、農作物共済におきましては全相殺方式で一割、半相殺二割という足切りになっておるわけでございますが、農業共済制度におきまして足切りの割合をどうするかということは、非常に多面的な検討のもとに総合的に判定をしなければならぬというふうに考える次第でございます。たとえば、当該共済事業につきまして被害の発生の態様がどのようになるかとか、あるいはその対象の自家保険能力がどの程度あるかとか、あるいは足切りを非常に低くいたしますればそれだけ損害評価もたくさんやらなければならぬわけで、その難易あるいは労力の点がどうであるかとか、あるいは道徳的危険が生じないかとか、そういういろいろな問題がありまして、そういうことから判定をしなければならぬと思っております。特にこの足切りを判定します際にむずかしい問題は、掛金率水準でございまして、もしも足切りを低くいたしますと掛金率が急激に高くなるわけでございます。そのようなことで、最近の果樹共済は、御案内のように連年大きな被害に見舞われておりますために、もしも足切り率を下げますと、そのために掛金率は大幅に上昇するということで、かえって農家方々が支払いの能力がなくてこの加入をいやがるというふうになってもまたまずいというふうに考えられます。  そのような観点から、現状におきましては、支払い開始損害割合いわゆる足切りを、半相殺三割、全相殺二割と提案をいたしている次第でございまして、これは現段階では少なくともきわめて適当な水準ではないかというふうに考えて御提案を申した次第でございます。     〔委員長退席、津島委員長代理着席〕
  129. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 いま御説明ございましたが、全相殺方式出荷資料等によって農家の全収穫量を把握できる地域に限定しておられまして、これら条件を満たす組合はきわめて限られてくる、かように私は思うわけです。また、こういった組合に対する地域指定の条件というものは、本法提案に当たってどういうように考えておられるのか、この点も明らかにしてもらわなければいかぬし、ただいま答弁ございました半相殺方式の場合、共済事故の選択方式について、足切りを三割と限定せず、損害てん補の頻度を勘案して所要の引き下げを行う、こういうように私たちは理解をしておるのですけれども、こういったことに対して、事実具体的にどのような運用方針で臨まれるのか、その点もひとつこの機会に明らかにしていただきたい。
  130. 松浦昭

    松浦(昭)政府委員 まず、全相殺方式実施地域の指定条件でございますが、先生おっしゃられますように、確かに、この指定条件によりまして全相殺方式ができるかできないかということの分かれ目になりますので、非常に重要な要件であろうと思います。われわれただいま考えておりますのは、共済目的の種類等ごとにその地域内で生産される果実の相当部分、たとえば九五%以上というようなことを考えておりますが、相当部分につきまして、出荷団体等の客観的資料により適正に確認することができる見込みがあるものとして、主務大臣が都道府県知事の意見を聞いて、組合等の地域の全部または一部の地域を指定するという基準でございます。つまり、その地域内の生産される果実の相当部分、かなり高いものが出荷団体によって集荷されるという状態で指定をいたしたいというふうに考えております。  それから、事故除外方式につきまして、共済金の支払い割合、つまり足切りを具体的にどのように設定すべきかということでございますが、事故除外方式におきましては、一般的に事故を除外することによりまして掛金率が非常に下がる、そういう効果を持つことは先生御案内のとおりでございます。そこで、農家負担を増高させないで足切り割合を下げることができる点に着目しまして、除外後に対象となる事故の発生頻度を勘案して足切り率を決めるということを考えておるわけでございます。具体的に申しますと、もう少しはっきり申しますと、当面、事故除外方式として暴風雨それからひょう害を考えておりますが、これだけの共済事故を特定いたしまして事故除外方式をやります場合には、大体二割に近いところでやりたいという考えでございますし、病虫害を除外するという場合の事故除外方式では、二割に近いところで足切り割合を決めたいというふうに考えておるわけでございます。ただ、その結果掛金率が余りに上昇するようであればこの方式の魅力をかえって失わせることになりますので、最終的には二割と、いま言ったような基準で大体考えておりますけれども、二割と三割の間の被害率等も考慮いたしまして決定することにしたいというふうに考えております。
  131. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 次に、事業責任分担の問題について数点お伺いしておきます。  今回の改正では、可能な組合等については手持ち責任を一割から二割に拡大することとし、組合等の積極的な事業運営を行える体制を築かせようというふうにしておられます。果樹共済保険収支というものはきわめて悪いことは先ほどからいろいろ御答弁いただいたとおりですが、連合会はもとより組合等においても事業不足金がたくさんございまして、組合においては支払い不能のため共済金の削減を行ったところもあるというように報告があっているわけです。このような現状において、組合の責任を拡大することはどうであるかという問題が一つあります。  そこで、手持ち責任の拡大ということについて、当面、可能な組合についてのみ実施に移す考えのようでございますが、その意図するところは組合等の責任分担の強化であろうと私は思うわけです。要するに、組合に責任を持たさないと真剣にならない、真剣にするためにはどうしてもこういう責任を持たすべきだということが言えるわけで、赤字のときにこのような負担を持たさなければ責任を持つ認識がなかなか強くならないというねらいであろうかと思うのですけれども政府は、できる組合はやれ、強制するつもりはないということのようでございますが、果たしてこういったことが可能であろうか。しからば、組合はしっかりせよという姿勢だけで終わりはしないか、こういうふうに私は実は思っておるわけでございます。そういったことで、事業実施を行っている連合会と組合はどういうようにそれを受けとめておるのか、また、いま私が指摘しましたように、政府としてはできる組合はやれということになれば、姿勢を言うだけで実際に実現がどうであろうか、こういうふうに思うのですけれども、その点は、本法提案に当たってどういうようにお考えの上で今回の提案をされたのか、その点も全国果樹農家のためにきちっとひとつ明確な答弁をいただきたいと思います。
  132. 松浦昭

    松浦(昭)政府委員 責任分担割合の問題は、先ほどからも繰り返し御質問がございますように、なかなかむずかしい問題でございます。と申しますのは、通常標準被害率を超えた分は全部政府が持って、その下はできるだけ組合と連合会が全部持つというかっこうにしてはどうかという御意見もございますし、あるいはまた、いまの被害状況のもとにおいては、果樹共済のような場合、組合もなかなか責任が持てないといった御議論もございます。したがいまして、この制度はどのようなところで一体均衡点を見つけるかということが、特に現段階においてどういう均衡点を見つけるかということが非常に重要であると考えるわけでございますけれども、やはり組合自身が責任を持って共済の運営をやっていただくということは、たとえ削減というものがありましても、組合の事業活動にとって非常に重要なポイントであると考えまして、共済団体等からのきわめて強い御要望もありましたので、組合等の共済責任を現行の一割から二割まで拡大する道を開くという方法をとったわけでございます。果樹共済は連年災害を起こしておりますので、先生指摘のように、なかなか拡大するのは心配ではないかという御意見もありますけれども、しかし、共済責任を拡大することによって、一方で事業収支を安定化させるといった努力もまた組合が行っていくということも考えられます。したがいまして、これまでの保険収支が安定していること、それから被害率がわりあい低位で安定しているといったようなところの、いわゆる条件の整った組合につきまして、責任の拡大を行わせるということによりまして、組合の運営をより積極的にやってもらうということを考えてまいりたいと思います。  なお、事業分担を一割から二割に拡大することが見込まれる組合等につきましては、現在のところまだ十分に把握はいたしておりませんけれども、これも先ほど御答弁いたしましたが、広域組合百六十組合ございますが、このうちの比較的事業が安定した運営をしている組合につきましては、事業規模が大きい場合に実施する組合が出てくると考えておる次第でございます。
  133. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 さらに、政府の支払い不足財源でございますが、五十四年度は七十八億円の予算が計上されて繰り入れられたわけでございますが、連合会の保険収支赤字が累積をしておりますし、また大変厳しい情勢にあることは御存じのとおりですが、こういった不足財源についてどう解消するかということに対して、政府の指導方針というものはどういうようにお考えですか、簡潔にお答えください。
  134. 松浦昭

    松浦(昭)政府委員 果樹共済につきましては、昭和四十八年度引き受けから昭和五十二年度引き受けまでの五カ年間におきまして、収穫共済では実施四十三連合会のうち三十六連合会で十三億九千万円の赤字が出ましたし、樹体共済でも大きな不足金が発生していることは事実でございます。これは、何分にも果樹共済発足以降連年異常な災害に見舞われたというきわめて不幸な事態からでございまして、先般この国会におきましても、再保険特別会計への繰入法をお願いいたしまして、再保険特別会計の中自体につきましてもその安定化を図った次第でございます。  もちろん、連合会の累積不足金というものは、保険設計上、長期たとえば二十年間という非常に長い期間をとってみますと均衡が保たれるというふうに考えておりますので、現在不足金が多いからといってこのままで推移するということではないとは思うわけでございますが、しかしながら、どうもいままでの実態を見ますと、少なくとも果樹共済につきましては必ずしも加入が好ましい状態にないといったこともございますし、そのようなことからどうも制度がうまく実態にそぐわない、したがって加入がふえない、そこで赤字が累積するという側面もあろうかというふうに考えます。  そこで、もう細かくは申し上げませんが、最初に瀬野先生大臣から御答弁を申し上げましたような抜本的な加入促進策を講じまして、安定的な加入を図っていくということによって不足金を解消していくということが必要であると思いますし、またもう一つは、料率の改定でございまして、新制度が発足いたします昭和五十六年度の改定後は、二年目の昭和五十八年に、それ以降は三年ごとに、昔は四年ごとでございましたが、三年ごとに料率改定を行いまして、できるだけ被害実態に即応したような形の掛金率を設定することによりまして、それが当然保険料率に反映し、それが連合会の不足金の解消に役立っていくということを考えたいというふうに考えておる次第でございます。
  135. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 なお、共済団体からは、この事業責任分担について、超異常災害にかかわるものについては、蚕繭共済の例にならって、農家負担掛金を対象としないようにというような要望が出ていますけれども、この点は今後どういうふうにお考えでありますか、あわせてお答えください。
  136. 松浦昭

    松浦(昭)政府委員 実は超異常災害に対しまして共済掛金を国庫が全額負担するという制度は、蚕繭共済その他にあったわけでございますけれども、これは御案内のように、蚕繭なりあるいは農作といったようなものは強制加入のもとでできておりまして、しかも、土地条件あるいは気象条件が必ずしもよくない土地においても、当時の考え方は特にそうであったと思いますけれども、強制加入実施し、そういう地域においてもなおかつ食糧の増産を確保するという立場から、超異常災害に対する共済掛金率を国庫で負担したという経緯であったというふうに思うわけでございます。しかしながら、果樹につきましては、土地、気温、気象条件が適合したような地域で、一口に申せばやはり適地適産によりましてこの生産を行っていっていただきたいという気持ちでございまして、被害率が高い地域に国庫の負担率を増すというただいまの御提案の蚕繭共済の方式でやりますと、このような考え方にむしろ反するのではないかというふうに考えるのでございまして、私どもといたしましては、従来のような一律の国庫負担方式というものが適当であるというふうに考えるわけでございます。
  137. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 次に、災害収入共済の試験実施のことでちょっとお伺いしておきますけれども、今回の制度改善では災害収入共済という新たな共済方式を導入されております。農家災害を受けた場合は、量が減ると同時に、全般的に災害を受けるとまた果実そのものが高くなってきて収入が上がってくるという面もございます。すなわち、量が少なくなりますから価格が上がってくる、こういった場合もあるわけです。そういったことでいろいろ複雑な要素が絡んできますけれども、いずれにしても、災害を受けて農家の収入が減ったということは何らかの災害があったということになることはもう当然でございます。当分試験実施をしていこうということのようでありますが、今回のこの災害収入共済の試験実施というものは、私はなかなか思い切った発想である、こう思いますけれども、果たしてこれがうまく動くかどうかというようなことについては今後結果を見なければなりませんけれども、どういうふうに見通したらいいか、その点お伺いします。
  138. 松浦昭

    松浦(昭)政府委員 災害収入方式をとりました経緯につきましては、午後の委員会の冒頭で大臣からお答えを申し上げたとおりでございまして、いろいろな御要望、特に完全PQ方式といわれる御要望もございましたが、現在の法体制あるいは保険設計上の技術的な問題等を考えまして災害収入共済というものを考え出したわけでございます。  この方式につきましては、確かに、先生おっしゃいますように、被害が起こりますと価格が上がるという要素もございますが、少なくとも被害が起こり、かつ一般的にたとえば日本全国で豊作が起こりまして、その結果ダブルパンチで価格も落ちたというようなケースにつきましては、確かに厚いてん補ができるという意味で私は意味があるというふうに考えております。  また、その実施当たりましても、愛媛県でこの災害収入共済で当てはめて考えてみればどの程度てん補ができるかという実績を調べましたところが、これは全くの試験調査でございますが、その場合にもかなりの程度のカバー率を持っているということもわかっておりますので、私どもは、これが実験の結果一〇〇%必ず本格実施に向かうということはここで断言できませんけれども、かなりの程度でこの制度は受け入れ可能な制度として実現が可能ではないかというふうに考えている次第でございます。
  139. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 そうしますと、全国的に下がった場合はだれが見るかというような問題も当然起きてくると思うのですが、その点はどうですか。
  140. 松浦昭

    松浦(昭)政府委員 全国的に下がりました場合には、これはいわゆる豊作貧乏状態になるわけでございまして、この共済制度のみでは農家の所得の減、収入の減というものをカバーできません。そのためにはその他の価格補てん制度価格補てんして農家の収入を確保する諸制度でもって農家被害というものを回避していくということが必要になってくる。さような制度との併用においてこの制度意味を持ってくるというふうに考える次第でございます。
  141. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 以上で果樹共済の関係を終わりまして、あと時間の範囲内で蚕繭共済制度について若干お伺いいたします。  今回の蚕繭共済では、共済事故の追加、そして現行の蚕繭共済の引き受け方式は、農家単位に共済目的の種類等ごとの農家の掃き立て計画箱数で引き受けることになっておりますけれども、箱建て制をいわゆる収繭量建て制に変えるということが今回の改善一つの大きな点になっております。  そこで、基準収繭量の八割に対応した共済金額を設定して、補償内容を充実し、合理化するとともに、現行の三割足切りを二割に引き下げる改善措置をとることにしておられますが、この場合、農家の基準収繭量の定め方をどうするか等については損害補てんを行う上できわめて重要であります。組合の対応が十分に可能であるかどうか、政府は十分指導をして臨むということでありましょうが、その点の今後の対処方針はどうお考えであるか、お答えいただきたい。
  142. 松浦昭

    松浦(昭)政府委員 お答えを申し上げます。  蚕繭共済につきましては、ただいま先生お話しのように、蚕繭共済制度の歴史においてはきわめて画期的な制度改正をいたしたわけでございまして、特に長年の間やってまいりました箱建て制を改めまして収繭量建て制にしたということは、個々の農家技術水準、収繭能力というものを共済の世界に導入をしてきたという意味で、私は非常に大きな改正であったと思います。また同時に、最近の技術水準からかなり事故も減ってきておりますので、足切り水準を下げたということも画期的な制度改正であったというふうに思うわけでありますが、その場合におきましても、先生おっしゃいますように、確かに基準収繭量が的確に設定できるかどうかということが、このような改正を、実際に仏に魂を入れると申しますか、そういうためにも非常に重要なポイントというふうに私も考える次第でございます。そのようなことから、今回基準収繭量を設定するに当たりましては、次のように考えておるわけでございます。  一つは、組合等が共済目的の種類ごとそれから農家ごとに前年産の基準収繭量、申告された基準収繭量、組合等が調査した収繭量等を参酌しまして基準収繭量を決めます。それから、この場合、組合等についての単位当たり収繭量の平均値は、知事の通知した単位当たり収繭量に対し所定の範囲内に入っているという状態が条件になります。それから、都道府県知事は、農林大臣から共済目的の種類ごとに通知された単位当たり収繭量に一致するように、農林統計の市町村別の収繭量を基礎に、共済目的の種類等ごと及び組合等ごとに配分して組合等に通知する。農林水産大臣は、農林水産統計に基づきまして、共済目的の種類ごと及び都道府県ごとの単位当たり収繭量を通知する。つまり三段階におきまして十分チェックいたしまして、適正な基準収繭量を決めていきたいというふうに考えておるわけでございますが、組合の指導に当たりましては、今回の収繭量建て制への改正に伴いまして、特に農協等の協力は十分に得まして、過去の出荷量等も活用し、少なくとも農家方々に御不満のないように、私どもとしては適正な収繭量を決めてまいりたいというふうに考えております。
  143. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 単位当たり共済金額の算定方法についても今回改善がとられることになっておりますが、今回の改正では、全損の場合の最高てん補割合を七割から八割に引き上げるとともに、共済金額の算定に使用する繭価についても運用上改善を加えることにしておられますけれども、その改善内容はどういうことになっていますか。
  144. 松浦昭

    松浦(昭)政府委員 今回単位当たり共済金額の算定方法につきまして改善をいたしたいと考えたわけでございますが、これはかねてからいろいろと蚕繭共済につきましての農家の御意見、御不満等も十分聞いてきて、このような制度改正をいたしたわけでございます。と申しますのは、従来の単位当たり共済金額の算定は、過去の実勢繭価、これは協定繭価でございますけれども、その五年中三年平均価格を基礎としまして、これが前年の最低繭価を下回る場合には、この最低繭価を基礎とすることにしてきたという状態でございまして、最近は繭価も年々上昇しておりますので、どうしてもこのような方式によりますと、十分に繭価の上昇に追いつかないような形で共済金額が算定されるという状態になってきたわけでございます。  そこで、今回は、今次改正を機といたしまして、単位当たり共済金額につきましても、できるだけ実勢繭価に近づけるようなかっこうで共済金額を設定するということで改善を図っていきたいというふうに考えておる次第でございます。
  145. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 損害てん補内容改善についてですが、改正案では、その共済金支払い開始割合を三割から二割に引き下げて、二割を超える被害については減収量に応じた共済金を支払う方式に改めておられますが、蚕繭共済は当然加入であって、しかも全相殺方式をとっており、その足切り水準については農作物共済並みの扱いとする考えでありますか。われわれそういうふうに理解しておるのですけれども、その点も明らかにしていただきたいと思います。
  146. 松浦昭

    松浦(昭)政府委員 全相殺方式でございます蚕繭共済の足切り割合は、今回改正によりまして三割から二割に下げたわけでございます。さらにこれを下げることができるかどうかということの御質問農作物共済との比較の問題になるというふうに考えておりますが、御案内のように、蚕繭共済の引き受け支払いの単位は春蚕繭、初秋蚕繭及び晩秋蚕繭ごとでありますけれども、さらに本年から春蚕繭を含めて全面的に小蚕期制を実施することになっておりまして、このために、農作物共済の全相殺方式に比べますと、より共済金支払いの単位が小さくなるということがございまして、もしこのようなことでさらに一割というような足切りにいたしますと、きわめて掛金率も高くなるといったような事態になりますので、私ども改正案を今回二割として御提案申し上げた次第でありますし、また、これが適当と考えております。
  147. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 家畜共済制度改善について若干お伺いします。  家畜共済については、懸案となっていた馬、肉豚にかかわる共済掛金の国庫負担率が、今回の改正で、馬については牛並みの二分の一に、肉豚については種豚並みの五分の二に引き上げられることになったわけであります。  そこで、時間もございませんから、端的に伺いますが、馬と豚とでは共済掛金国庫負担率をいまなお差別することになっておりますけれども、その理由はどういうわけですか。
  148. 松浦昭

    松浦(昭)政府委員 先ほど、大変な努力はいたしたと申し上げて、ちょっと口幅ったいことを申し上げたわけでございますが、今回、馬の掛金率と肉豚の掛金率につきまして国庫負担の改善を行ったわけでございます。これは、このような財政事情のもとにおきまして掛金率の国庫負担の割合を変えるということは、いわば長年行ってまいりました制度の中での補助率のアップにも等しいわけでございまして、補助率のアップを実施すると同じことでありまして、大変むずかしかったことを何とか実現したということでございます。ただ、それによりましてもなお大家畜と豚との間では国庫負担率に差がございまして、大家畜は牛、馬二分の一に対しまして、中家畜は豚は五分の二ということになっておりますが、これは大家畜は一頭当たり価格が高くて、また一戸当たりの飼養頭数も少ないのでございますために、もしも家畜が一頭死ねばそこで非常に大きな農家経済に対する影響がある。これに対しまして中小家畜の方は、それほどまで価格も高くありませんし、また飼養頭数も多いといったような実態から、中小家畜の場合にはまだ自己の経済の中で対応できる余地があるというふうに考えまして、五分の二ということで牛馬との間で差をつけている次第でございまして、これを直すということはむずかしいということを先ほど申し上げた次第でございます。
  149. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 豚については、現在五十万頭分の在庫があるということで、大変豚価も下がって、いま過剰状態のことは御存じのとおりです。そういったことから、昨今の需給事情等も反映して養豚農家経営の安定ということに今後十分留意していただかなければなりませんが、近い将来これを引き上げていくという考えがあるのかどうか。また、家畜共済においては牛の生産事故を対象にしてほしいという農家の要望が強いわけですけれども、これについてはどういうふうに考えているか、その点、最後にお答えいただきたい。
  150. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 豚が大変いま過剰ぎみでございまして、養豚経営の安定のためにはいろいろ需給関係を調整しなければならぬことは当然でございます。ただ、これは農業共済でやるというよりは、一つの畜産政策として私どもやっていかなければならぬと思っているわけでございます。  なお、いま御指摘の農業共済の中での豚を牛、馬と同じような扱いにすべきではないかという点については、いま局長から答弁申し上げましたようになかなかむずかしい問題がございますが、なお一層今後検討は続けさせていただきたいと思っております。     〔津島委員長代理退席、委員長着席〕
  151. 松浦昭

    松浦(昭)政府委員 もう一点お尋ねの点を、大臣に補足して御説明申し上げます。  牛の生産事故でございますが、これにつきましては、先ほども答弁申し上げましたように、かつて農業災害補償法施行後に生産共済を実施しておったわけでございますが、昭和四十一年で余りにも加入が少なくなりまして廃止したという経緯がございます。しかしながら、昭和四十七年以降牛の異常産等も頻発いたしておりますので、現在目下基礎資料等を集めまして制度試案による試験調査を行っているところでございまして、その結果を見きわめて今後これを復活するかどうかということを検討いたしたいと思っております。
  152. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 以上で、時間が参りましたので質問を終わります。
  153. 内海英男

    内海委員長 和田一郎君。
  154. 和田一郎

    ○和田(一郎)委員 それでは順次質問をさせていただきます。いままでの委員の皆さん方との重複がずいぶんあると思いますけれども、違った角度から質問するつもりでございますので、よろしくお願い申し上げます。  まず最初に、農作物共済についてでございますが、特にお米、昨年の場合は天候不順のために非常に被害が多かった、台風等、長雨による稲の倒伏などのために商品にならない米がたくさんとれました。共済の評価ではそれも収穫として数えられ、極端に言うと全滅ということがない、そういう苦情がずいぶん多いのですけれども、そういう点についてはどうでしょうか。
  155. 松浦昭

    松浦(昭)政府委員 農作物共済につきましては、共済事故により減収が生じた場合には共済金を支払うという仕組みでございますので、また同時に、農作物共済の場合には、耕地ごとに損害評価を行い、それが主として立毛検見でやっておるわけでございます。そこで、品質低下によるものはたてまえ上は補てんの対象にならないということになっております。しかしながら、たとえば先生指摘のような、穂発芽が大量に発生したというような場合におきましては、やはり異常な災害の場合における減収量の取り扱いということで処理をいたしておりまして、従来からふるいにかけまして被害粒を控除するということを採用いたしておりまして、これによって特別の減収量とする方式をとっておる次第でございます。
  156. 和田一郎

    ○和田(一郎)委員 それでは、穂発芽以外のいわゆる商品にならないような場合は、これは対象にならない、こういうことですか。
  157. 松浦昭

    松浦(昭)政府委員 先生の御指摘の場合はたとえば青米等であろうと思いますけれども、これも同じような方式で同じようなやり方で減収量を算定するということをやっております。
  158. 和田一郎

    ○和田(一郎)委員 次は、減反政策によりまして、水陸稲のたんぼの相次ぐ減少によりまして、末端の共済組合では、賦課金の額が急激に少なくなってきている、こういう苦情がずいぶんあるわけなんですけれども、この賦課金は、ずいぶん高いには高いのですけれども、しかしこれが各組合の経費になるわけでございますが、その対策は一体どうでしょうか。
  159. 松浦昭

    松浦(昭)政府委員 確かに、お米の過剰に伴います水田再編対策によりまして、従来まで水稲共済に多くを依存しておりました賦課金が減ってきておりまして、そのために組合の運営がなかなかむずかしくなってきているということは御指摘のとおりでございます。  そこで、私どもとしましては、できるだけ一つは事務費の国庫負担をふやしていくということによりまして、また、特に水稲の減反が著しいところに事務費をできるだけ配分していくということによりまして、国庫負担でございますが、これによりましてできるだけ組合に与える被害を少ない形にしていきたいというふうに考えるわけでございます。  同時に、私ども考えていただきたいと思いますのは、やはり減反政策に伴いまして水稲そのものは減ってまいりますけれども、そのかわり転作を推進しておるわけでございますし、また、果樹あるいは家畜といったような分野におきまして組合が大いに活動していただきまして、その結果その方からの賦課金をいただくということにしていただければ、その面から収入というものが確保できるということになっております。さような意味で、今回の果樹共済改正というものは、将来の大きな賦課金財源というものを確保する上でも、この加入の促進を図り得るような対策をとってまいりたいと考えておるところでございます。さらにまた、組合の中でも合理化を図って、できるだけ経費を節減していくということも考えていっていただきたいということで指導いたしてまいりたいと思う次第でございます。
  160. 和田一郎

    ○和田(一郎)委員 そうしますと、その国庫負担等で補ったところは、現在、例はございますか。
  161. 松浦昭

    松浦(昭)政府委員 まず、予算を獲得いたします際にできるだけ多く事務費の国庫負担を獲得して、それを配分いたします際に、なかなか水田からの賦課金が多く取れないところに配分していくという形をとっておるわけでございます。
  162. 和田一郎

    ○和田(一郎)委員 相当に減反のパーセントの高いところなんかは、転作といいましても急にできませんものですから、その点については配慮のほどよろしくお願いいたします。  次に、これも相当に重複している質問でございますけれども損害評価員の手当の問題でございますが、これは非常に低い。これは一つの例でございますが、これが全体かどうか私もわかりませんけれども、固定給が年に一万二千円、日当が一日千五百円、そういう計算のようでございますけれども実態は一体どうなっていますか。
  163. 松浦昭

    松浦(昭)政府委員 損害評価員は、第一線でまことに御苦労していただいておる方々でございますが、現在の支払いの実態平均で、連合会、五十四年度でございますが、年間で六千八百一円、組合等が、これは五十三年度ですが、六千五百五十八円でございます。
  164. 和田一郎

    ○和田(一郎)委員 この国庫助成があると思うのですけれども、一人について幾ら……。
  165. 松浦昭

    松浦(昭)政府委員 事務費の国庫負担の積算におきましては、連合会が六千百七十円、組合等が二千七百三十円でございます。
  166. 和田一郎

    ○和田(一郎)委員 これは末端の組合でございますから、間違っておったかどうかわかりませんけれども、一人に対して千五百円来ているという話があるのですが、これはどうなんでしょうか。間違いでしょうか、それとも何か意味が違うのでしょうか。
  167. 松浦昭

    松浦(昭)政府委員 この損害評価員に対する手当は国が三分の二を負担するということになっておりますので、組合負担がございますから当然そのようなことが起こっていると思います。
  168. 和田一郎

    ○和田(一郎)委員 次に、事務の簡素化についてお尋ねをいたしますけれども、これは特に園芸施設共済に多いようでございますが、引き受け事務については一むねごとの明細書をすべて全部連合会に出してしまう。明細事項は末端の共済組合に置いていいんじゃないだろうか、私たちは信用されていないのか、こういうようなひがんだ考えもあったようでございますけれども一つ農家に対して一つ引き受けで十枚ぐらいなのをずっと書いて全部出さなければならない。そして被害があればまたそれを出さなければならぬ。ですから、その方の事務量が膨大で大変手間がかかる。これをもう少し簡略化してもらえないかという要望、これはずいぶんございました。私、数カ所ずっと組合を視察して歩いたのですけれども、全部でこのことを言われまして、その点についてもどうかと思います。これは何もそれだけの共済だけではなくて、ほかの共済制度についても県の方にどんどん上げる、すぐそれが農林省にも持っていく、こういう言い方をしているところもずいぶんありますので、ひとつお願いいたします。
  169. 松浦昭

    松浦(昭)政府委員 確かに、園芸施設共済につきましては一棟ごとの引き受けをやっておりますので、大変な事務量になるということは私もよくわかっております。また、農業共済制度は最近内容も充実してまいりまして、任意加入制度が、果樹とかあるいは畑作とかいろいろできてまいりましたので、大変に事務も繁雑になり、組合の職員の方々は大変だと思います。  この問題を解決するのは、一つ引き受け事務を機械化していくことじゃないかと思います。私も、いまから二十五年ぐらい前でございますが、アメリカに共済で勉強に行きまして、そのとき一番驚いたのは、すべてが機械化しているということでございまして、その後だんだんと機械化が日本でも進んでまいったわけでございます。この園芸施設共済は、特に五十六年に試験実施をいたしまして事務を機械化するということを考えておりますので、ひとつそのような形でもって私どもとしては事務の簡素化を図っていきたいと思っております。
  170. 和田一郎

    ○和田(一郎)委員 この簡素化については、末端行政と、中間、上の方と、たくさん事務量がこれはどこでもあると思うのですが、この点についてはぜひよろしくお願いしたいと思うのです。  それで、これは局長さんにまずお答え願いたいと思うのですが、基本的な実態調査、これは農家ごとに食糧事務所だとか統計事務所だとか——ちょうど大臣が見えましたから、大臣にちょっと答えてもらいたいと思うのです。共済でも相当実態調査をやらなければなりませんね。基礎的な、たんぼの面積だとか畑の面積だとか、そういう実態調査、これは農家ごとに食糧事務所、統計事務所、共済組合、市町村、それぞれやっているのです。本当に重複して。こういうことを一本化すべきであろう、こういう意見もずいぶんあるのです。しかも、ほとんど全部が農林省の出先機関みたいなものですし、身内ですから、この点についての一本化、そういうことは考え方としては、大臣、どうでしょうか。考え方ですから、大臣からまず答えてください。実際については後で局長さん答えてください。
  171. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 確かに統計事務所、組合、食糧事務所、それぞれが調査をやっているわけでありますから、私どもも、ただ単にそういう調査をやっているということだけを見ますと一本化した方がいいのじゃないかという考え方理解ができますが、実情をいろいろ聞いておりますと、それぞれそれはやっているのですから目的があると言わなければいけないのかもしれませんが、現実にしかし相当いろいろ目的を持ってやっているようでございまして、いま直ちにこれを一本化するということは私は大変むずかしかろうと思います。しかし、私ども、行政の事務の効率化というものがこれからの一つの大きな政治課題だと思っておりますので、いまはそれぞれ聞いておりますと、それぞれのこういう目的でこうやっておりますからということで、確かに目的が違うわけなんです。しかし、目的は違うけれども、それをそれでは、せっかく調査に行くんだから、その辺でうまくお互いに兼ねてやれる仕事がないのか、こういう意味において、私は一本化という問題については今後検討してみたい、こう考えておるわけであります。
  172. 松浦昭

    松浦(昭)政府委員 基本的な御方針につきましてはただいま大臣から御答弁を申し上げたとおりでございます。ただ、現実の段階で現在どのようなことになっているかということを申し上げますと、それぞれの目的に応じた調査をやっておるわけでございまして、たとえば統計情報部の統計事務所でございますが、ここの収穫量調査は国及び地方公共団体等が行います施策に必要な基礎資料ということで、全国的に統一された方法でもって収穫量調査するということでございまして、食糧事務所の方は、この統計情報部の行った調査結果等を基礎にして、現実に米の政府買い入れ数量あるいは自主流通米の出回り数量等の見込みを立てるためにやっている調査でございまして、食糧事務所みずからが収穫量調査を行っているわけではございませんので、その点ではオーバーラップはないわけでございます。  また、共済事業について申し上げますと、共済事業で行う収穫量調査は、収穫期において現実に個々の共済事故による被害量というものを把握して共済金を払ってまいらなければなりませんから、その意味被害があった耕地の収穫量調査する、これが組合のやっている仕事でございます。したがいまして、統計情報部がやっております収穫量調査と農業共済団体の行う調査とは、おのずからその性質、目的が全く違っておるわけでございまして、本来的にこれを統一的な調査ということにするのはなかなかむずかしいと思います。ただ、組合なり連合会なりが収穫量調査いたしましても、それが国として果たして適正なものであるかどうかということを判断しなければなりません。その場合には、統計情報部が農作物共済の審査に必要な資料を作成するために、収穫量調査とは別に減収量調査というものを実施しておりまして、これによりましてわれわれは損害評価の適正化を期しているという状態でございます。
  173. 和田一郎

    ○和田(一郎)委員 わかりました。ひとつよく検討をお願いいたします。  それから、これは園芸施設共済でございますけれども、特に内容農作物について、イチゴ、トマト、キュウリ等は、その病虫害に対する評価基準が非常に厳しい、こう言われておりますが、この点は一体どうなっておりますか。
  174. 松浦昭

    松浦(昭)政府委員 園芸施設共済を実施いたします場合の、その施設の中にある野菜類であろうというふうに思いますけれども、その共済事故は一応オールリスクの形をとっております。  ただ、確かに先生おっしゃられますように、病虫害による評価基準が厳し過ぎるというような声が私どもの耳に届くわけでございます。これはなぜそうかと申し上げますと、施設内の農作物の栽培は露地栽培とは全く異なっておりまして、一定の施設の中で、たとえばビニールハウスとかグラスハウスの中とか、そういうところで温室育ちに育てるわけでございます。したがいまして、その生育条件は当然調節され、また管理されて集約的に行われているということでございますから、病虫害の防除は、当然そういう農家技術的にも高い水準を持っており、またそのような農家でなければこのような栽培管理がなされるわけがないということが前提になっておるわけでございまして、露地野菜とはその点は病虫害についての立場を若干異にしているのじゃないかということでございます。さような観点から、栽培農家の責任に帰すべきごとき病虫害の発生に対しましては共済金を支払えないという立場でございまして、そのようなことから、やや厳しいとごらんになられるような損害の評価をやっているというのが実態であろうというように思います。
  175. 和田一郎

    ○和田(一郎)委員 例を申し上げますと、一〇〇%被害でも、それを五割しか見てもらえない、こういうふうに厳しいということなんですが、それはどうですか。
  176. 松浦昭

    松浦(昭)政府委員 実は、各県の連合会で施設内の農作物の病虫害の分割割合表というものをつくりまして、これによりまして各病気ごとに分割基準を決めております。その場合に、五割のものもありますが、七割のものもありますし、三割のものもある。おのおの病気によりまして、これは病虫害防除の難易によると思いますけれども、また同時に病気の種類、作物の種類によりまして一定の基準を決めているということでございまして、五割だけではございません。上のものもあり、下のものもあります。
  177. 和田一郎

    ○和田(一郎)委員 加入率が非常に低いということでございますので、そういう点の見直しは今後どうでしょうか。
  178. 松浦昭

    松浦(昭)政府委員 この制度昭和五十四年の四月から発足したばかりでございまして、まだ本格的な実施に移ったばかりでございます。したがいまして、今後ともこれは大いにPRをいたしまして、今後引き受けが増大していくように努めたいと思っておりますが、現実に去年からことしにかけましてこの加入率はかなり伸びておりますので、今後ともこのような方向で指導してまいりたいと思っております。
  179. 和田一郎

    ○和田(一郎)委員 次に、果樹共済について聞きます。  これはまた重複いたしますが、加入促進に主眼を置いて、果樹出荷団体等を通ずる集団加入を奨励し、その措置を講ずる、このようにしておりますが、具体的にどのような奨励措置をとるのか、その点についてはどうですか。
  180. 松浦昭

    松浦(昭)政府委員 これもたびたび御答弁申し上げましたが、集団的に加入をしていただく農家に対しまして奨励措置を講じたいと考えておりまして、特に農家生産出荷に非常に密接な関係のございます出荷団体等に加入の取りまとめをお願いすることにいたしたいと思っております。そのような奨励をなすってくださった団体に対しましては、一定割合以上の加入をまとめていただきました場合に奨励金を交付したいと考えておりまして、具体的な内容は五十六年度予算で考えておりますが、加入奨励金の交付の要件としましては、出荷団体等単位に、加入戸数が一定以上で、かつ加入戸数率がたとえば九〇%といったような状態のときに交付する。また、交付金の額につきましては、加入実績に比例することといたしますけれども、取りまとめ事務コストをカバーできる程度までは交付いたしたいと考えております。
  181. 和田一郎

    ○和田(一郎)委員 そういうことでどの程度加入が見込めるか。または、相次ぐ災害によりまして将来の掛金率がかなり上昇すると見られておりますが、その点はどうか。それから共済掛金に対する国の負担割合を上げる考えはあるかどうか。まとめて御答弁願いたいと思います。
  182. 松浦昭

    松浦(昭)政府委員 このような奨励措置をとりまして、直ちに加入率がどの程度になるかはなかなかわからないわけでございますが、このような出荷団体に対する奨励措置をとりました場合に、このような地域を核にいたしましてだんだんとその地域が拡大していくということが言えると思います。また、そのほか、加入促進につきましては、先般来申し上げておりますようないろいろな措置をとりたいと考えておりますので、これが実現できますれば、その加入率は上がってまいると思いますし、先ほど大臣も御答弁なさいましたが、できるだけ加入率を上げていきたいということで、私どもの目標としては少なくとも五〇%には達したいと考えている次第でございます。  その次に、掛金の国庫負担でございますが、これにつきましては、果樹共済は一応五割ということになっておるわけでございます。掛金の国庫負担は、当然加入か任意加入かということが一つの大きなメルクマールでございまして、任意加入制をとっている果樹共済につきましては、やはり一律の掛金国庫負担方式をとらざるを得ない。さらにまた、その水準につきましては、政策的な重要性なり被害の態様なり、特に収益性に注目をしていかなければならないわけでございますが、果樹共済につきましては、御案内のように果樹生産農家というのはかなり収益性が高い農業を営んでおりますので、畑作の場合には六割でございますが、この場合には五割ということにいたしておるわけでございます。
  183. 和田一郎

    ○和田(一郎)委員 果樹共済の共済事故の選択制度が拡大され、今回はひょう害を対象とする方式が取り入れられておりますが、凍霜害などその他の災害についてはお考えはどうですか。
  184. 松浦昭

    松浦(昭)政府委員 今回考えております制度は、暴風雨の事故除外方式のほかにひょう害を入れたいと考えておるわけでございます。また、もしもうまく物差しができますれば、将来は病虫害を事故除外とする共済の仕組みをとってみたい、これによりまして掛金の率がかなり下がってくるというふうに考えておるわけでございます。  ただ、先生がただいまおっしゃられました凍霜害とか寒害あるいはひでりの害ということになりますと、これはなかなかむずかしい問題がございます。と申しますのは、これらの被害は樹体に対しても被害を与えますので、それが後になってだんだんとじわじわ出てくるということがございます。そのために落果をしたりいろいろな最終的な被害が出てまいるわけでございますが、暴風雨等でございますと、被害を特定いたしまして、この暴風雨でこの被害が出たということがはっきりわかるわけでございます。いまのような凍霜害でいたしますと、事故を分割して、この被害によってこれだけの事故が出たということがわかりません。したがいまして、これを事故除外の方式にするのは非常にむずかしいということを申し上げている次第でございます。
  185. 和田一郎

    ○和田(一郎)委員 ちょっと大臣にお尋ねします。  いま、今後病虫害に対する選択制度を設ける考えはあるという御答弁がございましたが、逆に、病虫害による減収の事故を共済から除くべきであるという意見が技術のすぐれた農家からございますけれども政府のお考えはどうでしょうか。
  186. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 いま局長から答弁いたしておりますように、病虫害についてはやはり尺度、物差しが問題だろうと思うのでございます。物差しができてくれば、いま御指摘のようなことは結果的にできるわけでございますから、そういう点は、物差しができるということがまず第一であろう。物差しができればそういう方向で検討は進められる、こういうふうに御判断をいただいて結構かと思います。
  187. 和田一郎

    ○和田(一郎)委員 そのことについては、局長はいいですか。
  188. 松浦昭

    松浦(昭)政府委員 ただいま大臣が御答弁なさったとおりでございます。
  189. 和田一郎

    ○和田(一郎)委員 次に、これも重複いたしますけれども、損害てん補について今回半相殺方式を新たに認めましたけれども共済制度は、農作物共済のように一筆単位から半相殺、それから全相殺へと進んできましたけれども、いわゆるこの果樹の場合は後退のように思いますけれどもどうか。それから、引き受けについては園地ごと面積建てとすべきだという意見もございますけれども、まとめて御答弁をしてください。
  190. 松浦昭

    松浦(昭)政府委員 確かに、農作物共済につきましては、過去の歴史をひもといてみますと、一筆共済から農単の共済へと移行してきたということは事実でございまして、それがやはり一つの正しい歴史ではなかったかというふうに私どもとしては考えておる次第でございます。  したがいまして、もしも園地ごとの共済というものを果樹共済に入れるということになりますと、むしろこのような農作の歴史というものに逆行する歴史になると思います。したがいまして、私どもとしましては、ぱらぱらと共済金が支払われるような制度よりも、農家の御理解を得て、できるだけ安い掛金でどかっと大きな災害に対応できる、そういう仕組みをつくりまして、農家経営の安定に資したいという気持ちでございます。  ただ、今回全相殺方式から半相殺方式に移りましたのは、先ほどからも御説明いたしておりますように、全相殺方式ではどうしても出荷団体の出荷実績というものを確実にとらえるような地域でしかなかなかできない。何ゆえなれば、損害評価を行います場合に、全相殺で行いますと、増収分も減収分も圃場を全部見て回らなければならぬという問題がございまして、このためにどうしても事故を発生いたしました農家につきましての損害評価がやや粗漏になる弊があるということがございまして、今回は、全相殺方式につきましては、あくまでも出荷団体の出荷実績により、それができないところは半相殺にいたしまして、損害評価を簡素化するために減収分だけを見るということで今度の方式を考え出したということでございまして、基本的にはやはり歴史の流れに沿った方向で動いていきたいというふうに考えておる次第でございます。
  191. 和田一郎

    ○和田(一郎)委員 園地ごと面積建てというのですか、これはどうかということですね。
  192. 松浦昭

    松浦(昭)政府委員 ただいまの御答弁の中で申し上げたつもりでございましたが、園地ごと面積建てという方式をとりますと、これは農家全体で被害がどれだけあったかということではなくて、当該園地ごと被害があったかないかということでチェックをしてまいるという制度でございますので、その意味では全相殺方式とは全く対照的な制度でございます。いわば、ぱらぱらと被害に応じて共済金を払う、そのために料率も高くなるという制度でございまして、これは被害の起こるチャンスが多くなるために共済金をもらう機会が多くなるということで、農家の方がそういうことを御選択なさる場合があるかと思いますけれども、私どもとしましては、そのような掛金率が高くてしかもぱらぱら払うということよりも、大きい災害に対して安い掛金で対応するという制度の方が本来の制度ではないかというふうに考えておる次第でございます。
  193. 和田一郎

    ○和田(一郎)委員 次に、この果樹共済事業責任分担でございますけれども、これはいままでの質問でも大体わかりましたが、特に末端の組合では、建物共済など災害の少ないものをすべて連合会に持っていかれて、被害の多いたとえば果樹共済などは責任を拡大する、これでは困るという意見があるのですけれども、この点は一体どうでしょうか。
  194. 松浦昭

    松浦(昭)政府委員 確かに、組合の段階でどの程度の責任を一体分担させるかということは、先ほどから申し上げておりますように、農作物共済あるいは果樹共済、畑作共済、それぞれ非常にむずかしい問題がございます。と申しますのは、農作物共済では、いわゆる通常標準被害率、qのラインでございますが、このqのラインが下の段階で組合と連合会とがその責任を持つ、それ以上超えました場合には国の責任ということで、下が非常に大きく責任を持つかっこうになっております。  しかしながら、この制度は、長年の農作物共済保険設計の中で生み出されてきて、また、安定した経営が行われる事態になりまして初めてこういう制度ができたということでございます。したがいまして、現在の制度ではこのような方式果樹共済はとっておらないわけでございますが、しかし、組合に全く責任を残さないという形になりますと、これまた非常にリスクが起こる、さらには、組合が本当に事業経営に熱心ではなくなるという問題が起こります。したがいまして、現在では歩合の形で一割の保険責任を果樹共済においては組合に持たせており、これをさらに二割に引き上げるという道を開くという制度を今回はとったわけでございますが、このような形で果たしていいかどうかということは、今後なお検討の余地がある問題でございまして、これはおのおの共済事業種類ごとに私どもは、その態様に応じた制度を考えなければならないと思っておりますが、先ほどから申し上げておりますように、検討会の結果でも、やはり各種の共済につきましての責任分担のあり方について、今後さらに所要の改正を行うよう検討する必要があるということでございますので、私どもとしては、今後ともさらに鋭意検討してまいりたいというふうに考えております。
  195. 和田一郎

    ○和田(一郎)委員 では、これは建物共済なんかはどうですか。
  196. 松浦昭

    松浦(昭)政府委員 建物の場合は、たとえば火災共済その他の場合でございますが、一発大事故があります場合には、組合としてはとてもしょい切れない事故が起こるわけでございます。また、現在いろいろと検討が共済団体間で行われておりますところの地震共済といったようなものになりますと、これまた非常に大きな災害が一時に起こるということでございまして、とうてい組合の段階では危険分散ができないということから、上に責任を上げているということでございます。
  197. 和田一郎

    ○和田(一郎)委員 それでは、果樹の最後の質問ですが、災害収入共済実験実施について、いろいろと条件が違い、非常にむずかしいと思いますけれども、どのような体制でこれを実験実施するのか、方針を聞きたいと思います。
  198. 松浦昭

    松浦(昭)政府委員 この災害収入共済実験実施というのは、ある意味では前人未到の領域を開いていくわけでございまして、恐らくこの制度は、アメリカで最近やるというようなことになったとか聞いておりますけれども、まだ世界的にも実施されていない、そういう新しい分野でございます。したがいまして、いろいろと条件が違い非常にむずかしい中でこの実験を実施していかなければならぬというふうに思っておりまして、トライ・アンド・エラーでやらなければならぬというふうに思っておるわけでございますが、とにかく、まず農家の個々の収入金額を的確に把握しなければならないということで、出荷団体等の出荷資料によりまして実施してまいりました品質方式以上に出荷団体と密接な協力を持ちまして、まず出荷団体からデータを十分集める、つまり、価格の要素も入っておりますから、一体幾らの収入があるかということを、価格の要素も含めてデータをよく集めるということがまず第一であろうと思います。  それからまた、普及推進につきましても、これはなかなか理解にむずかしい制度でございますから、その点につきましても十分に進めてまいりたいというふうに思います。  ただ、損害評価の方は、これはあくまでも出荷団体を通じまして、各農家ごとの売り上げ代金の決済の積算表から押さえてしまいますので、その意味では、被害農家が特定いたしましたら、その後の共済金の支払いは、損害評価の面という点では非常に楽になるのじゃないかというふうに考えております。
  199. 和田一郎

    ○和田(一郎)委員 次に、蚕繭共済についてお尋ねいたしますが、養蚕業の推移を見ますと、養蚕戸数、それから桑園面積、掃き立て卵数、すべて減少しております。これは農林省からいただいた資料の中にも、昭和五十年から五十四年度にはずいぶんと養蚕そのものが減っておりますけれども、この現象について大臣はどのようにお思いでしようか。
  200. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 確かに、私もこの資料を見ておって、いま御指摘のように、養蚕農家も減っておりますし、桑園面積も減っておりますし、掃き立て量も減っております。みんな減ってきておるわけであります。しかし、よくまた見ておりますと、養蚕農家一戸当たりで見ると大変いい傾向になってきているわけでありまして、いわばこれから見れば、結果的には、都市化、兼業化の現象あるいは農村における労働力が足りないとか、あるいは他の作物との競合というような形で養蚕業というものが本当に養蚕をやっていこうという農家に相当集中をしてきたのではなかろうかという感じがいたしております。われわれは、養蚕農家というのは複合経営一つの目玉といいますか、非常に大切なものだと考えておるわけでございまして、こういう形でわりあい二戸当たり生産性は高まってきておるわけでありますから、今後一層そういう方向で、いわゆるより近代的な、より生産性の高いというか、そういう養蚕経営を私どもは振興していかなければいけないのではないか、こう考えておるわけであります。
  201. 和田一郎

    ○和田(一郎)委員 お話はよくわかるのですけれども、この生産の総数量を見ますと減っているのですよ。ですから、いわゆる繭の単価としては上がっております。それから、農家の収入もふえるでしょう。しかし、全体の総生産高が日本の国全体として下がっているというのは、これはどうでしょうか。
  202. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 もっと生産性が高くなってまいりますと、いまの農家戸数でも、私は量もふえていくだろうと思うのでございますが、国全体でいま二十六万何俵でございますね。正確な数字は私は忘れましたが、実際に国内で消費されるものはたしか四十何万俵と承知をいたしておりますので、その差額がある程度輸入に依存しているということじゃないかと思うのでございますけれども生産性が高くなっていって、より一戸当たりの量がふえてくれば、ある程度輸入の分を今度は抑えていくことができるわけでございましょうから、決してまだ、今後生産性を高めていけば養蚕の振興が不可能であるとは考えていないわけであります。
  203. 和田一郎

    ○和田(一郎)委員 時間がありませんから、これ一問で終わりますけれども、それでは大臣としては、特に農林省としては、これから生産性を高めていこうというお考えなのですか、どうなんですか。
  204. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 養蚕農家生産性をより高めていっていただきたい、そういう方向に、たとえば桑園のあり方とか、いろいろこれからそういう面で政策的に私どもは進めていかなければいけない、こう考えているわけであります。
  205. 和田一郎

    ○和田(一郎)委員 時間が参りましたので、終わります。
  206. 内海英男

    内海委員長 井上敦君。
  207. 井上敦

    井上(敦)委員 この三月十四日に私は和歌山県の方に行ってまいりました。御存じのように、果樹共済における和歌山の引き受け率は五十四年度で五〇・五%であります。全国で一番高い引き受け率となっているのであります。ミカンの中心、有田郡市などで直接意見を聞いてきたのでありますが、樹園地ごと引き受けをぜひ実施するように改正してほしい。これが一番切実な要望でした。これは被害実態に即した支払いになるという点でも、それから園地を持つ農家も入りやすくなる。全国二〇・五%という加入率を今度の制度改正でうんと広げようというのが趣旨でもあると思うのですが、こういう点で、ぜひ前向きに検討していただきたいというように思うわけです。  その前に、「農林経済」誌の昭和五十四年十二月十七日付、ここに「果樹共済制度改善の方向」、「専業的果樹農家加入を促進」というサブタイトルのついた保険管理課長さんの論文が出ております。非常に勉強になりました。  この中で「米麦の共済が一筆単位から農家単位相殺農家単位相殺と進んできた歴史に照らし、また農家単位相殺こそ農業共済の理想といわれてきたことにかんがみて、」云々というように書いておられます。  そこで、水稲共済における加入方式引き受け方式の実績はどうなっているのか。五十四年度における引き受け戸数別及び面積別に一筆方式、半相殺、全相殺について、割合はどうなっているのか、御報告をいただきたいと思います。
  208. 松浦昭

    松浦(昭)政府委員 お答えを申し上げます。  昭和五十四年度産の水稲の引き受け実績で申し上げますと、まず引き受け戸数でございますが、実績は、一筆が三百三十七万五千戸、割合にして九一・六%、半相殺が二十九万四千戸、八%、全相殺一万六千戸、〇・四%。それから引き受け面積で申しますと、実績が百八十三万五千ヘクタール、これが一筆でございます。割合が八二・一%、半相殺が三十六万八千ヘクタール、一六・五%、全相殺が三万一千ヘクタール、一・四%となっております。
  209. 井上敦

    井上(敦)委員 論文と大分違うようでありますが、いま述べられた実績は、まさに今日の農家が何を要望しているかよく示していると思うわけです。  大臣に、樹園地ごと引き受け実施するよう、前向きに検討していただきたいというふうに思いますが、いかがでしょうか。
  210. 松浦昭

    松浦(昭)政府委員 大臣のお答えの前に、私から一言申さしていただきたいと思います。  先ほどからの御質問を伺っておりますけれども、一方では、全相殺方式というものは理想であって、半相殺にしたことですら後退であるという御意見もございました。それから、いま先生おっしゃいますのは、まさにそれよりもさらに、先ほどのお立場の方からごらんになればさらにもっと後退であるという仕組みになるわけでございます。これは実は農業共済の長い歴史の中で常に論争されてきた問題でございまして、農家全体として保険実施するか、それとも一筆ごとに実施するかということは、非常に大きな昔からの課題でございました。それを、確かに実績はまだ一筆が多うございますが、全相殺、半相殺方式でここまで持ってきたというのが過去の歴史であったのでございます。  それはなぜかと申しますと、園地ごとの共済をいたしますと、どうしてもその場合に共済金の支払いの率と申しますか、頻度は多くなるわけでございますが、そのかわり掛金が非常に高くなりまして、したがいまして、非常に深い災害を起こしました場合には相当程度掛金が従来から蓄積されていなければいかぬという状態になるわけでございます。しかしながら、全相殺あるいはその若干変形でございます半相殺でございますれば、その場合には安い掛金で、深い災害が来た場合に限りますけれども、大きなてん補ができる、さような状態からこの制度の方がより理想的な制度であるというふうに考えてきたわけでございまして、さような角度から保険管理課長の論文も書いたのだろうというように考えるわけであります。  したがいまして、私どもといたしましては、このような農家単位引き受け方式というものはやはり果樹共済においては必要であろう、またそうでなければならないというふうに考えておるわけでございます。しかしながら、損害評価の面から、増収量と減収量とを相殺する全相殺方式はどうしても損害評価につきまして手数がかかるということがございまして、農家の感情にも合わないという点から半相殺方式をとったということにいたしているわけでございます。
  211. 井上敦

    井上(敦)委員 樹園地ごとにすると掛金が高くなるのじゃないかというような議論であったかと思いますが、水稲共済における現在の掛金率を全相殺、半相殺、一筆ごとのそれぞれについてどうなっているのでしょうか。いわば園地ごとにすると掛金が高くなるというその根拠ですね。
  212. 松浦昭

    松浦(昭)政府委員 掛金率の細かな数字につきましては、数理室長から答えさせたいと思いますが、この見方といたしましては、理論的には間違いなく掛金率は全相殺、半相殺、さらに一筆単位の順に高くなっていくということでございますけれども、何分にも地域が別な地域になりますので果たしてきちんとした数字が出るかわかりませんが、数字をちょっと申し上げてみたいと思います。
  213. 原昭夫

    ○原説明員 各方式別の共済掛金率の具体的な数字についてお答えいたします。  水稲の一筆方式につきましては三・七%でございます。それから半相殺につきましては三・五%でございます。全相殺方式につきましては四・三%でございます。
  214. 井上敦

    井上(敦)委員 おっしゃられたような数字ですね。私の調べたのでは、一筆方式水稲共済の掛金率は三・四四五、それから半相殺の方は三・八八九、それから全相殺の方が四・七三五というようになっております。結局、掛金が高くなるかどうかは引き受け方式で決まるのではなくて、共済金の支払い開始、損害割合など被害補てん水準によって決まるものではないか。なお、より根本的にはいかに多くの農家が共済に加入するかどうかによると思うわけであります。園地ごと引き受け方式にすると掛金が高くなるという答弁は、いわばごまかしにならないか。引き受けの園地方式を否定する理由とならないのではないかというように思うのです。  農家の出しておりますこの要望について、真剣に検討して、園地ごと引き受け方式を導入するよう重ねて希望したいと私は思うわけです。こういう点について大臣の所見をお伺いしたいと思います。
  215. 松浦昭

    松浦(昭)政府委員 大臣のおっしゃられます前に一言だけ申させていただきますが、ただいま原室長は生の数字を申し上げましたけれども先生指摘のとおりでございまして、実は足切り率が全然違っているからでございます。したがって、もしも同一足切り率で園地の補てんをやるというかっこうになりますれば、当然その場合には高い掛金率になる。つまり全相殺方式、半相殺方式、一筆方式をとりまして、同じ足切り率で料率をはじきました場合には、当然全相殺が最も低くなり、その次に半相殺であり、それから一筆が一番高くなる、これは当然のことでございます。
  216. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 確かにこれは保険ですから、いまおっしゃるように、共済金の支払いが非常に多くなるあるいは農家の戸数が少ない場合は当然掛金が高くなるというのは保険の性質上当然のことでございます。そこで、いま一筆方式、それから園地方式いろいろ議論がなされおるわけでありますが、私もいろいろこの問題を聞いておりまして、足切り問題という問題を全く除外すれば確かにおっしゃることはよくわかるのでございますが、いまの足切り方式を考えてまいりますと、なかなかそうはいかないのではないかという感じが実は私はいたしておるわけでございまして、そういう点からいま局長答弁を申し上げているようなことになっている、こういうふうに御理解いただきたいわけでございます。
  217. 井上敦

    井上(敦)委員 災害を受けたがもらえないというこれが共済不信の現況になっていると思うのですね。だって、そうでしょう。水稲だって、一筆方式引き受け戸数で見ると九一・六%、その理想の姿、発展の歴史と言われる全相殺は、引き受け戸数で見ると〇・四%ですね。こういう実態を踏まえて、園地ごと引き受けるという方式についてぜひ検討していただくことを強く要望しておきたいと思います。  時間の関係で次の質問に進みます。  制度改善に当たって、農業団体特に生産出荷団体の意向をどれだけ尊重するかということが重要だと思います。私の行った有田の共済の業務課長にもお会いしましたが、和歌山三十の果樹組合のうちで二十八まで市町村になっているのですね。大変な苦労をして引き受けをふやしておられます。特に共選など出荷団体の果たしている役割りというのは決定的と言っていい状況であります。そういう点で、今回方向が出されました集団加入の奨励措置について強い関心がありました。どのような予算措置がなされるのでしょうか。そこらあたりをお聞きしたいと思います。
  218. 松浦昭

    松浦(昭)政府委員 和歌山県のようなミカンの主産県でしかも集団的な出荷が行われているような地域、こういう地域は、今回の制度に非常にマッチした地域になってくると思います。そこで、私ども考えておりますことは、果樹共済加入率を高めますために、出荷団体に取りまとめていただきまして集団加入を推進するという方式によりまして、加入率を引き上げてまいりたいというふうに考えておるわけでございますが、手ぶらでこれをお願いするというよりも、やはり何らかの奨励措置をとるということが非常に必要じゃないかというふうに考えております。     〔委員長退席、山崎(平)委員長代理着席〕 実はこの制度は、昭和五十六年度の予算で実現をするつもりでございまして、現在の段階ではまだ奨励措置内容は決めておりません。これは附則をお読みになっていただければわかるわけでございますが、そこで、まだ具体的な内容といたしましては決定をいたしておりませんけれども、私どもの頭の中にありますことは、一つは交付の要件でございますが、出荷団体単位加入戸数が一定戸数以上ございまして、かつ戸数加入率がたとえば九〇%というような高率の加入をしていただいた場合、そのような場合には加入実績に比例いたしまして交付金を交付いたしたい、その交付額は出荷団体の取りまとめの事務コストはカバーするということでやってまいりたいというふうに考えております。
  219. 井上敦

    井上(敦)委員 大臣にお伺いしたいのですが、農業災害をいかに防止するかは、国の重要な課題であると思います。国は共済掛金への補助だけでなく、農家や農業団体が懸命に取り組んでいる予防対策について助成を考えるべきではないか。この点について、最初に大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
  220. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 果樹についてはいまのところやってないわけでございまして、これはやはり考え方としては、農業共済団体において自主的に損害防止活動はやっていただいておりまして、これらの事業の推進について、その農業共済団体がいろいろと今後もやっていただくことは大変大切かと思いますけれども、国がやるということについては、まだ私はいまのところは正直むずかしいのではないか。ただ、果樹生産出荷団体との協調のもとに、果樹共済事業を推進することを通じて防除活動に積極的に参加できるというような体制をつくっていただくことが先であろう。要は、長ったらしいことを申し上げましたけれども、団体を中心としたそういう受け入れ体制というか、そういうものをしっかりつくっていただくことがまず先決ではなかろうか、こういうことでございまして、いまのところはまだそういう体制ができていないので、これはちょっと無理ではなかろうか、こう思うわけでございます。
  221. 井上敦

    井上(敦)委員 そういう体制ができたら考えてもいいというように私は受け取るわけですが、農業共済予算書では、農業勘定において水稲病虫害防止費補助金として十七億四千三百万円、家畜勘定において損防事業、豚の疫病予防注射代交付金というように聞いておりますが、約七億八千万円計上されています。ミカンの黒点病では、年間三回、六月の初旬、中旬、九月、有機塩素剤のダイホルタンとかダイファとかダイセンなどの消毒液ですが、一回分で三千円、計九千円ほどかけているそうです。和歌山県のミカン園芸課による生産費調査によりますと、昭和五十三年度も、それから昭和五十四年度でも、十アール当たりの農薬費は二万一千百二円となっています。また俗にトラミカンというのですか、柑橘モザイク病とも報道されておりますが、広がっているようです。和歌山県、静岡県、広島県、香川県、愛媛県、佐賀県の各果樹試験場におけるウイルス検定の研究報告によると、検体の三〇%から六〇%が保毒しているというように伝えています。家畜共済と同様に果樹共済においても、病虫害の予防に要する費用に対して補助金を出すよう要望したいと思います。この点について改めて御見解をお伺いしたいと思います。
  222. 松浦昭

    松浦(昭)政府委員 確かに現行の共済制度の中におきましても、病虫害の防除事業につきまして、防除経費を一部補助していることは事実でございます。これは主として農作が主でございまして、農作の場合には、御案内のように末端の防除組織の中に共済組合自体が入り込みまして一生懸命防除をやっている、それによりまして事故が低下するということを期待しているわけです。     〔山崎(平)委員長代理退席、委員長着席〕 それからまた、家畜につきましても、先ほども質問ございましたが、家畜診療所というのがございまして、ここで獣医師もおりそこで実際に病気の予防をやっているということによりまして、一つの共済事業の一環になっているということが言えるわけでございます。しかしながら、果樹共済につきましては、現在のところはこういう体制が共済団体そのもので整っているわけじゃございません。と申しますのは、やはり果樹農家というのは相当の技術の格差がございますし、いい農家はみずから防除事業をどんどんやるわけでございます。したがいまして、共済団体が手を出すというようなところまでいかなくてもかなり防除がうまくいっているという実態がございます。  そこで、私ども考えておりますのは、まず事故除外方式というものをとってはどうかということを申し上げておりますのはそのことでございまして、病虫害につきましては、先生ただいま御指摘のように、非常に金もかけているわけでございますが、しかしながら、そういう金をかけて病虫害を防除いたしましたら、その場合には事故が生じないということで、かえって病虫害を除いたそういう共済を仕組むことによりましてこちらの方の掛金の負担が安くなるということになります。そのようなことで、事故の除外の方式をひとつとってはどうかということが今回の提案でございますし、それから、また同時に、今後とも一般的な共同防除の中でこういう問題を……
  223. 井上敦

    井上(敦)委員 わかったよ。あなたのところの無事故制度のPRは要らぬ。  二百六十億とかいう赤字をなくしていくためにも、やはり予防そのものに本格的に取り組む。どういう形のものかというのは実態に応じた形態などを工夫しなければならないというように思いますが、この点について重ねて要望しておきたいと思います。  さて、時間がありません。今度も災害収入共済の新しい制度提起が行われているわけですが、ミカン農家が一番求めていることは価格の安定です。これは果樹共済における実態調査でも、経営上心配なこととはという中で、価格変動が四二%、それから自然災害については六%、それから経費の高騰六%というように出ております。そういう点で、私は別途に取り上げたいのは、現在和歌山県は三万六千トンの原料柑買い上げ枠になっております。五十四年度産では、二月末実績で見ますと、実に八万八千五百七十七トンも果汁用原料柑として出荷されております。これは通常の二倍以上であります。約五万二千トンは保証価格の対象にならない、こういう現状なんです。そういう点で、原料柑対策について、基金制度の拡充強化、特に五十五年度でどういう対策を予定されておられるのか、また暴落時の特別枠を設けてほしいという、これは前回大臣にも要望した点であります。今回の意見交換の中では、農家の方は現在の保証枠とは別に別枠のための基金積み立てをしてもよいというように、より一歩具体的に意見を出しておられました。この農家の切実な要望を無視することなく、基金制度改善について前向きに御検討いただきたいというように思うのですが、御見解をお伺いしたいと思います。
  224. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 加工原料用果実価格安定制度をやっておるわけでございますが、五十五年度以降どういうふうに考えるかということでございます。  まず、一つは、保証基準価格の問題がございます。この保証基準価格につきましては、温州ミカンにつきましては五十三年度に見直しをやりまして引き上げをやりました。本来なればこれは二年ごとに見直すというわけでございますが、五十四年度は引き続きまして、まさに特例的でございましたけれども、これも引き上げをやったわけでございます。五十五年度は改定は行ってはおりません。したがいまして、五十六年度以降、実勢に応じてこの保証基準価格の引き上げの問題は検討させていただきたいと思っております。  それから対象数量でございます。これにつきましては、最近の搾汁の動向を勘案いたしまして、五十五年度におきましては前年度四十二万八千トンというのを五十万トンに拡大するということで、現在そういう予算も御審議をいただいておる、こういうことでございます。  それから、ただいま先生から特別の基金をこの制度のほかに何かつくって、やはり何らかの補てんをするための仕組みというものを考えられないかというお話でございますが、これにつきましては、その特別の基金というのが現在のこの加工原料用果実価格安定事業基金とどういうかかわりを持つのか、その辺の点もあろうかと思いますので、これは研究させていただきたい、かように思います。
  225. 井上敦

    井上(敦)委員 もう時間が来ているのですが、五十五年度の調整保管についてはどうなんですか、それも質問に言ったのですが。
  226. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 調整保管の関係でございますが、これは五十四年産のミカン、史上二番目の生産量ということになりまして、生果の方が非常に低落をしておるということで、加工の方に仕向けを図っておるわけでございます。したがいまして加工仕向けが非常にふえてくる、またそれによりましてしぼりました果汁そのものの生産が相当ふえるということでございます。したがいまして、このふえました果汁を市場に出しますれば果汁暴落をすることに相なるということで、一種のたな上げといいますか、そういうことをやるべきであろうということで、一万五千トンほど当初予定をいたしておったわけでございますが、さらに一万五千トン追加をいたしまして、合計三万トン分につきまして、五十五年度におきましては調整保管実施したい。そのほか、かん詰めにつきましても五十万ケースほど、これは当初考えておらなかったわけでございますが、ミカンかん詰め五十万ケース、これも調整保管の対象にしたいということで考えております。
  227. 井上敦

    井上(敦)委員 私の質問を終わります。
  228. 内海英男

    内海委員長 津川武一君。
  229. 津川武一

    ○津川委員 いま議題になっている果樹共済、その果樹共済の対象になっておる果物でございます。今度政府は農産物の需要と生産の長期見通しの改定をやっておりますが、ここで対象になっておるミカンとリンゴの需要と生産の長期見通し、どのように見ているでしょうか。特にミカンについては消費の面と外国のオレンジをどのくらい入れて生産と消費を考えておるか、リンゴについては外国リンゴの輸入を考えて需要生産を考えているか、この点を明らかにしていただきます。
  230. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 現在、官房企画室の方が中心になりまして、需要と生産の長期見通しの作業をやっております。それと並行いたしまして、私の局の方におきまして、果樹農業基本方針、これの見直し作業をやっております。やはり両方とも整合性を持った形で六十五年を目標年次にしてやっていきたいということで、官房の方ではこれは農政審議会の方にいろいろ御検討を願っておりますし、また私の方は果樹農業振興審議会、こちらに御検討願っておるということでございます。  したがいまして、六十五年というものを見通します際に、ミカンにいたしましてもリンゴにいたしましても、生果実として外国から柑橘類がどのぐらい入るか、リンゴがどのぐらい入るか、あるいは果汁としてどのぐらい入るかというものをどう織り込んでいくかということについては、中でも議論が出ております。いまその辺の向きにつきましても検討を進めておるという段階でございますので、この段階でどうという具体的な数値は御勘弁をいただきたい、かように思います。
  231. 津川武一

    ○津川委員 そこで、中間でもいいから報告できるような状態になりましたら、この委員会でもいいし私個人でもいいし、直接報告していただきたいと思います。これはできますか。
  232. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 お話しし得る段階になりますれば、先生にその辺のことは申し上げたいと思います。
  233. 津川武一

    ○津川委員 その次に、果物を安定的に国民に届けるとすれば、災害を超えてやっていかなければならぬ。そこで、災害が出た場合に災害に対してどう考えるか。一つには、災害を起こさないように必要な処置をする。いま井上委員災害の予防について質問したら、経済局長は何か共済組合のやっている予防のことですりかえたようですが、やはりリンゴでもミカンでも避けられないものがございますけれども、たとえばリンゴで言いますと雪の害で、ネズミだとかウサギ、これは予防のできるものじゃないかと思います。今度は台風、これはどうにも手がつけられないものと思っております。私も若干弱気なんですが、気象通報に問題があったわけです。二十号の台風のときに、ちょうどあのリンゴの主産地を過ぎてしまって、もう大丈夫だ、皆さんおうちにお帰りなさい、そういう意味の気象通報が行ってから釧路から引き返してきた。みんなが寝てしまってから、中にはもう一杯飲んで、そこへ台風がやってくる。そこで、この気象観測通報でも解説的な、この台風はいつ引き返してくるかわからぬからというのが一つ入るとあのときよかったわけです。  もう一つの問題は、今度は幾つかその点で問題が出てまいりますが、防風網です。台風についても防風網を考えることによって被害を少なくする、ここのところが問題の重点じゃないかと思います。ところが、この防風網も、いままでは九州からずっと来るので西北に向けて防風網を張っておったら、今度の二十号台風で釧路から引き返したので一番あいているところに台風が入ってしまった。そういう検討のし直し、こういうこともあるわけであります。去年一番リンゴを襲ったのが、七百億か七百五十億円の粗収入の中で百二十二億円を損害した六月のジューンドロップ、これに対して政府は、四十八年に長野県にもあったからと言って原因究明をしなかった。やはりこれは原因の究明の仕方もあったわけです。  こういう意味において、災害が出たときに被害農家救済する措置と、そのもっと前に災害を予防するためのあらゆる施策が第一義だと思いますが、この点の農水省の見解を伺わしていただきます。
  234. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 ただいま先生からお話がございましたように、災害が起きてからの対策等も必要かと思いますけれども、むしろ災害が起きないようにする、防ぐための対策が相当重要なものであるというふうに私たちも認識をいたしております。  ただいま先生からネズミなりウサギなりという角度の話なり、あるいは台風の方の関係の話なり、あるいはジューンドロップの話なりございましたけれども、いずれの問題にいたしましても、台風そのものを防ぐというわけにもまいりませんので、その際の技術対策として、あらかじめこういう形でやっておけば被害が少なくなるとか、いろいろな技術指導、そういうものは官房の技術審議官のところが中心になりまして、技術的な面では農家の方にも周知できるような姿にいろいろ情報等を出しておるということでございます。  なお最後にジューンドロップの関係のお話もございましたけれども、この原因究明につきましても、農林水産技術会議が中心になりまして、このための試験研究というのを、五十三年度に引き続き五十四年度も国立の果樹試験場並びに青森、秋田の県の試験場等で試験研究を精力的にやっていただいておるということでございます。
  235. 津川武一

    ○津川委員 私も国会に出てきて、災害でジューンドロップのときに政府はあのままほったらかしておきそうだったのを、ここで論議して、ジューンドロップの対策を講ずるようになったのは、来て非常によかったと思っております。どのぐらい予算をつけているか、いまやっている場所はわかりましたが、中間報告できるような態勢に何か出ておりましょうか。今後の試験研究の見通しなどがありましたら、ここで明らかにしてもらいたいと思います。
  236. 五十嵐暹

    ○五十嵐説明員 お答え申し上げます。  リンゴの異常落果に対します試験研究費でございますが、国の研究機関といたしまして果樹試験場で五十三、五十四年度現地試験をやっております。これが二カ年間で二百万の予算を計上しております。それから一方、現地で県の試験場で実際現地に対応した技術対策を講ずることが必要でございますので、ただいま二瓶局長からお話がありましたように、青森県と秋田県におきまして、リンゴの異常落果の原因究明と防止法というようなことで、五十四年から五十八年度まで総合助成試験事業実施する予定でございます。五十四年度の補助金額は青森県が百万、秋田県が八十万でございまして、五十四年度は百八十万でございますが、五十五年度の補助金額等につきましては現在検討中でございます。
  237. 津川武一

    ○津川委員 聞かれるとおりで二百万、百万。やったことは私は前進だと思います。でも、一試験場百万で何かやると、だれか机を置いただけでも百万飛んでしまうし、そこでこれをやるとしたときに、私はりんご試験場からしかられてしまった。百万もらってだれがやってくれるのか。人がいない。正確に言うと、一千万ぐらいあると一つデスクを置いて本格的にやるのだけれども、百万では何をやるのかわからないと言うので。やったことは前進だから私も文句を言いません。したがって、五十五年度補正でも六年度の予算でも実りのある実効が上がるようなものを、こっちから言われたから仕方なしに百万つけたというかっこうのものじゃなくて、実施していかなければならないのじゃないかと思います。この点では答弁要りません。  そこで共済の問題ですが、大臣は、私たちの方に提案理由説明をしたときに、共済の改善と合理化と言った。改善はよろしいのですが、合理化というのがちょっと心配なんです。いままで合理化ということで農民が余り得をしたことはないと思うのです。合理化では被害を受けることが多いわけなんで、この点が多少心配になり、本当の農水省の腹は何だろうかということを聞いてみたいと思うのです。  農民は、端的に言うと確かな補償が欲しいと言うのです。共済金を掛けたなら災害で必ず共済金をもらいたいと言うのです。掛金の掛け捨てだけはごめんだ、こういう立場が端的な農民の気持ちなんです。この農民の気持ちから幾つかの要求を政府にも出して、政府はそれに若干こたえてくれた。それが今度の修正案で、私も不足ながら賛成するにやぶさかでないという気持ちなんです。これは最終的に態度は農水省の答弁によってはまた変わるかもわかりませんが、いまのところそんな気持ちでいるわけです。しかし、農民の最も要望の強い樹園地ごと引き受け方式実施されていませんし、また国の財政援助も何ら強化されてないと言っていいのではないでしょうか。半相殺式を導入しましたが、実質的にはてん補率を後退させるのじゃないか。それから、無事故農家への掛金の割引も、その割り引いた分を被害の多い農家への割り増しに転嫁するのではないのか、これは後刻質問で明らかにしていきますが、そういう心配も持たれて、制度の改良に取り組むという態度よりも赤字を埋める合理化の方が国の主眼じゃないか、正直なところ農家も共済組合もそう言っているのです。そうではなく本当に改善して、国もこれに一はだ脱ぐんだということを、大臣、明らかにしていただきたいと思っているわけです。
  238. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 これは考え方でございまして、いまのたとえば無事故の人たちに割引をするということは、結果的には、無事故の人というのは入りたくないわけでしょうけれども、そういう人を入らせることによって、今度はそれだけ健全なというか、非常に技術の高い方も入ってきていただけるわけです。そういう方が入ってきていただけることによって結果的に掛金が低くなるわけですから、私はそういう点においてはこれは合理的な考え方ではないかと思うのです。何かただ単に赤字を埋めるための方に合理化をとらえていると思うのですけれども、私は必ずしもそうはとらないのであって、そういうより多くの方が入ってきていただくことによって、結果的に掛金の負担割合も少くなっていくという意味においてならば、私は御理解いただけるのじゃないかと思っているわけであります。ひとつそういう方向で御理解をいただきたいと思うわけでございます。
  239. 津川武一

    ○津川委員 この質問は自民党の渡辺さんもやられたのですよ。私も非常に興味を持って聞いていました。そこで、本当に国が一はだ脱いでこの共済を、果樹共済でも繭糸でも家畜でもやるつもりだ、ここで半共済がどうだとかいうことじゃなくて、大臣もこれから一はだ脱いで、この共済制度を前進、改善していくんだという決意を表明していただかないと、私も引き下がれなくなってしまうのです。もう一回どうぞ。
  240. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 いま私は、たまたま果樹共済で御質問がございましたので、果樹共済だけに限ったのでございますが、やはり家畜にしても、それぞれ国庫負担金の割合をふやしていくということは決して悪いことではないわけでございます。  確かにこの農業共済制度というのは、私も今度いろいろ勉強してみまして、大変むずかしくてなかなかなじみにくいものだと思うのです。農家の方も、正直これが全部わかる方というのはなかなかないのじゃなかろうかと私は思うのでございますけれども、私も大分勉強してもなかなかわかりにくい点が正直あるわけでございます。  だから、将来はもう少し簡単なもので、わかりやすいものにしていく。考え方を、仕組みを余りむずかしくしないで、もう少し簡素化し、合理化し、改善をしていくという方向も私は必要ではなかろうか。やはりその保険を掛ける人にわかりやすくしていかなければ保険を掛けないわけですから、そういう点も私は非常に大切だと思っております。  いずれにしても、こういう農業の共済保険というのは、漸進的に、一度に理想的なものはなかなかできないと思うのですけれども、今回は、現時点においてより改善できる点をやったということであって、将来ともに改善すべきところはやはりやっていかなければならないだろう。私はこれがベストだとは思っておりません。しかし、よりよい方向で、いまやり得る範囲のものをやるということも私は評価していただいていいのではなかろうか、こう思っておるわけでございます。
  241. 津川武一

    ○津川委員 そこで、私がもう一つ質問しているのは、国が本気になってがんばってほしいということなんです。今度のやつを見てても、共済掛金の国庫負担は果樹共済で五割でしょう。ほかのものは、たとえば水稲だと五八・七%、陸稲だと六八・六%、麦だと六七・八%でしょう。これが五割なんだな。ここのところに、国がやはり何か考えていかなければならぬということなんです。  経済局長答弁を聞いていると、何と言っているかというと、さっきちょっと心配になったのですが、果樹農家は収益性が高いからと言う、それから繭などは当然加入だからと言う、こういうことなんです。そうじゃないんです。たとえば、青森県のリンゴの被害を見てみたのです。昭和五十年に台風五号で五億九千万円、五十一年にひょう害で十七億円、同じ五十一年に台風で五十六億円、五十一年に今度は雪の害で十九億円、五十二年に至っては例のジューンドロップで百二十二億円、昨年もあの台風二十号で六十七億円なんです。六百億ないし七百億円の粗収入に対して、これだけの被害を毎年繰り返しているのです。これを共済農民掛金一本だけで成立させろといっても無理なんです。したがって、今度は責任分担論が出てきて、共済の連合会が大変なことになってくる。したがって、国がやはり出さなければならないのです。  それで、経済局長果樹農家が収入がいいと言うけれどもミカンが、先ほど井上さんが話したとおり、あんなかっこうをお願いしなければならなくなっている。リンゴだってやっていけなくて、どんどん耕作を放棄している。これはそんな理屈は通らない。全員加入ならば危険が分散されるのです。任意加入だから、危ない人だけが入るのでよけい今度は掛金が必要になってくる。国が援助しなければならない。ここいらが問題なんです。それなのに、国庫負担が依然として五割、ほかのものは六割近い。大臣、国が本気にやるつもりかとさっき私が劈頭に言っているのはこのことなんです。  こういう点で、経済局長答弁もあったけれども、私はあの答弁はいただけないし、この点で、ことしだめならば来年、来年だめならばまたということで、やはり国が一役も二役も買わなければならないと思いますが、大臣の所信を聞かせていただきます。
  242. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 経済局長も私のもとにおります経済局長でございますから、私として経済局長と全く違った考え方を申し上げるつもりはないわけでございます。  そこで、果樹共済というのは非常に歴史が浅いわけでございますので、これからまだいろいろ改善していくべきところはあろうと思うのでございますけれども、先ほど私ちょっと申し上げましたが、たとえば事故の少ないというのはやはり技術的にも相当優秀な農家じゃないかと思うのです。そういう方々がより入っていただくようにするということも今度の一つ改善策だと思うのですけれども、そういうことによってどんどん果樹方々も、まあ任意加入でありますけれども、お入りをいただいてくると、おのずからまた変わった体制もできてくるのではなかろうかと私は思うのですけれども、残念ながら、いまの体制からいけばやはり一律の五割というのはやむを得ないものである、こういうことで農林省としては意見が統一されておりますので、大変御意思には沿わないかもしれませんけれども、ひとつその点は御理解をいただきたいと思うわけでございます。
  243. 津川武一

    ○津川委員 農林省の意見はそうだそうですが、大臣というのはやはり指導者ですよ。その大臣がそういうことでは、そのために農林省の皆さんが苦労しますよ。  この五〇%のままでいいとは思ってないのでしょう、いかがでございますか。
  244. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 私も農林水産省の中の一人でございまして、最高の責任者でございますから、いろいろと議論をした結果、これは五割でいまのところ結構ではないか、こういう結論になったわけでございますので、私も含めて五割でいい、こう思っておるわけでございます。
  245. 津川武一

    ○津川委員 そうすると、稲転で水田面積は減っているのだ。したがって、稲作共済のお金が余ってきたでしょう。今度これからは、リンゴでも野菜でも稲転で入っていくのでしょう。その稲転で、稲作共済で浮いた分だけネコババするつもりですか。それをやはりほかの方に転用すべきだと思う。その点ではやはり果樹にも国の予算を、いきなり五割から六割とはぼくは言いませんよ、幾らかでも上げるのが実態ではないかなと思うけれども、重ねて答弁お願いします。
  246. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 どうも私は頭が悪いのかよく——稲転と直接果樹共済というのを結びつけて何か考えるというのは、果樹共済というのはあくまで果樹共済であって、農家の方が、それだけ掛金をしていただく方が入ってこられて、そして、もし病虫害とか、先ほどの話のように台風があったときにその共済金額を払うということであって、それに対して、農家の方だけでは申しわけがないので国がある程度御負担をしていく、こういう制度でありますから、私はいま稲転と何か直接に結びつけて考えるべき性格のものでもなかろう、こう考えているわけなんでございます。
  247. 津川武一

    ○津川委員 くどいようだけれども、それじゃいつまでも五〇%に置くというわけですか。
  248. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 先ほど申し上げましたように、果樹共済というものは歴史が浅いので、将来永久に五〇%と私は申し上げているわけではないわけでございまして、いま現時点においては一律五〇%というものはやむを得ない、こういうことで私ども意見を統一をしておるということであって、未来永劫にわたってそれでよろしいということを申し上げておるわけではございません。
  249. 津川武一

    ○津川委員 その次に、この共済制度を運営していくのは人なんです。それから共済組合なんです。ところがあのジューンドロップみたいに、台風二十号みたいに大規模なものが来ると、組合の役員も職員も評価員も大変なんです。組合の役員は非常勤の人が多い。御自分の畑もやられているのです。それも見ないでやらなければならない。特に評価員、この人たちは自分のリンゴがやられているときに、そこで早く評価しなければならぬから、御自分のものをほったらかしてやっているが、後ろに火がついているために、まあいいところ出られるのは二日ぐらいなんです。二日で評価できるものじゃないのです。仕方がないものだから飛び歩きなんです。サンプリング的な調査なんです。そうすると後で、ここはよけいもらった、おれはもらわないというので大変なトラブルがまた起きているわけなんです。やはりここのところに問題がある。職員が本当にやろうと思えば、職員の待遇改善をしなければならぬ。職員が本当にやろうと思えば、共済のことについて研究もしなければならぬ。役員も勉強しなければならぬ。評価員も勉強しなければならぬですよ。こういう事務体制というものをどうしてもこうしてもやはり維持していかなければならないので、この点でもやはり国はもう少し出してあげなければ、私も一、二回この評価員の待遇のことをここで問題にして、少しずつ上がりましたが、まだだめだと言っているのですよ。この間のジューンドロップのときどうしたおまえらと言ったら、台風二十号だよ、そういうことなんです。この点での具体的なものがありましたら具体的なことを答えてくださって、やはり国はこの事務のためにもつと援助すべきだと思いますが、この点いかがでございます。
  250. 松浦昭

    松浦(昭)政府委員 確かに、第一線の損害評価員の方また職員の方が、特に甚大な被害が起こりましたときに大変な働きをなさってくださっているということは私どもよく知っておりますし、また感謝もいたしているところでございます。  ジューンドロップのようなときに、先生おっしゃられるような本当に大変な活躍をしていただかなければならぬという事態があることも、私ども承知しておりまして、そのために今回考えておりますのは半相殺でございまして、いままで全相殺方式だけでいきますと、どうしても増収分まで見なければならぬということは、これは大変だと思うのです。そこで減収のところだけを見ていくということで、今回損害評価を簡素化するという方向をとりましたので、これは私は大分違ってくるのじゃないかと思います。  それから、もちろんそういう職員の方あるいは損害評価に携わる方々につきましても、ひとつできるだけ手厚い助成をしていくということも考えたいと思っておりまして、実は五十五年度予算でも、先ほどから申し上げておりますが、この非常な国の財政不如意の折に損害評価員につきましては一〇%、それも少ないとおっしゃられるかもしれませんけれども、私どもとしてはとにかく一生懸命引き上げを図ったということでございますし、それからまた社会保険料につきましても今回見るということで、実は予算を組みまして御提案を申し上げているというところでございます。これが一日も早く実現できるようにしたいというふうに考えております。
  251. 津川武一

    ○津川委員 共済組合の職員の待遇改善は、やはり共済組合の仕事が順調にいかないことにはなかなかめんどうなので、全力を挙げてやはり職員の待遇にもこたえられるような共済制度をつくっていかなければならぬと思うのです。  そこで、経済局長がはしなくもいま話してきた半相殺導入の問題です。私ちょうどそこに移ろうと思ったら、呼び水みたいに議論を引っ張ってくれましたので、非常にありがたかったわけですが、やはり現行でいくと、三割被害のときは一割支払いを受けるわけです。改正されると一銭も受けられないわけです。現行で四割被害を受けると二割三分受ける。改正では一割四分になるのです。五割被害を受けたとき現行で三割六分共済金を受けるのは、改正だと二割九分。これいいと言っているけれども機会が多くなると言っておるけれども、実質上の改悪です。これは何といっても農水省は考えてもらわなければならぬ。必要であれば現地調査を一緒にしてもいいと思う。これでは前進ではない。本当に皆さんが前進にしようと思ったら、三割足切りでなく二割足切りになってくる、こうなります。  そこで、現行の三割被害のときに一割もらう、改正ではゼロ。四割のときは二割三分、これは私は試算してみた。改正のときは一割四分、こうなると思います。このところをどうしても解決してもらわなければならない問題なんです。皆さんは半相殺をやったことによって改正したと宣伝するでしょう。ところが、実態はここに来ることが、私は今度の問題の一つの大事件だと思っているわけなんです。皆さんが意図どおりにやろうとすれば、二割足切りでなければ農民の感情がすっぱりいきません。だから確かな補償と言っているのです。間違いなく掛けたらもらえる共済というのが農民からの圧倒的な感情で、それを経済局長は、数字だか算術だか経済でやるのかわからない、農民の感情の実態に即して出てこないところに、この改正はぜひ必要でありますが、御見解ありますか。
  252. 松浦昭

    松浦(昭)政府委員 ただいまの御質問は必ず出てまいると思っておりましたですが、実はこの改正のポイントにつきましては、なぜこういうことをやらざるを得ないかということからまずお話を申し上げたいと思うのですけれども、従来は全相殺で三割という水準だったことは御承知のとおりでありまして、先生いま御比較なさっておられるのは、全相殺状態で二割にしたときとそれから三割にしたときの比較でおっしゃっておられるのだろうと思いますが、問題は、全相殺とか半相殺とかということを超えまして、その前に三割の被害があったときに一割の共済金がもらえるというところに私どもは問題があったと思うわけでございます。と申しますのは、二割九分の方と三割の方との間にあっと言う間に一割の共済金の差がついてしまうわけです。これはもう大きなトラブルでございまして、いかに損害評価がこのために、モラルリスクが生じているとは私どもも信じたくはないですけれども、しかしながら、跳び上がってたった一分かあるいはもっと小さな差のために一割もらえるかもらえないかという差ができますことは、農民感情からもおかしいし、また損害評価が曲げられる可能性が出てくるということにつきまして、私どもこれは考えなければいかぬというふうに思ったわけでございます。したがいまして、今回の改正はゼロスタートということにいたしまして、そこで三割の被害のときにはゼロからスタートして全損の状態に達していくという形をいたしました。そのような場合に、当然全相殺の場合にはてん補の率が少なくなりますから、そこで二割の足切りということで下げたわけであります。そしてさらに、半相殺の場合には三割を維持しましたが、そのときには、先ほど先生が先におっしゃってしまいましたけれども、支払いのチャンスが多くなるということにおきまして、半相殺の場合でも決して制度の改悪にはならないというふうに信じまして、このような御提案を申し上げたということでございます。
  253. 津川武一

    ○津川委員 これは納得できません。この点で私も修正案を出しますけれども、どうしても次の機会にでもこれは直して二割にしてもらわないと、農民は何と言っているか、わかりやすくと言う。つまり災害を受けたころに災害を受けた分もらえるという、そういう形のものを言っているので、どうしても引き下がるわけにはいかないし、これから経済局長と議員の生活が続く限りこの点でやり合っていかなければならないと思います。  そこで、全相殺、これもまたあなたの答弁を聞いていたら、どのくらいの共同出荷があればいいか、九五%と言う。こうなったら、リンゴで全相殺やれるところありますか。九五%共同出荷しているところがどのくらいありますか。
  254. 松浦昭

    松浦(昭)政府委員 確かに共同出荷の形でやっているところは、リンゴの場合には非常に少のうございます、ミカンの場合には非常に共同出荷が進んでおりますが。それでも、長野とかその辺のところは共同出荷ができるところがあると思います。
  255. 津川武一

    ○津川委員 やはり九五%は酷だよ。この点で、これを考え直す意図はありますか。
  256. 松浦昭

    松浦(昭)政府委員 先ほど私は非常に言葉を選びまして申し上げまして、たとえば九五%ということを申し上げた。たとえばと申し上げました。したがいまして、この点につきましては、その地域地域実態なりあるいはその共済対象によりまして、種々検討してみたいというふうに考えております。
  257. 津川武一

    ○津川委員 大臣、経済局長はたとえば九五%の共同出荷でないと全相殺にならないと言っている。そしたら、この話を聞いてすぐ私のところにまたひどいという連絡が来ているんだよ。リンゴで言うと、九五%出荷というのは恐らく一つか二つしかないと思います。私の覚えているところは秋田県の横手の果樹専門農協、そのくらいなんです。そこで、経済局長に九五%と言ったら、たとえばの話だという話があったけれども、これは実態に即するように、このせっかくの恩恵を受けるように、共同出荷率は柔軟に考えるべきだと思うのです。私はいま何%とは言いませんが、大臣の御所見を承って、それから進めます。
  258. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 いま局長から聞けば、それはたとえばの例示で申し上げたわけですから、必ずしも九五%にとらわれているわけではないということでございます。ただ、これはたまたまいまリンゴの話でございますけれども、きょうの農業共済に直接は関係がございませんが、私どもこの間うち野菜で大変苦労いたしましたときには、正直、共同出荷の比率が非常に低いところで野菜の価格が上がったというのは一つの事実でございまして、そういう点もこれから考えると、お互いに協力していこうというときには協力をしていただくということも、これは考え方としては非常に大切なことではないかと思っているわけです。ですから、九五というのには必ずしもとらわれてないということで御理解をいただいて、より高い共同出荷比率でなければならない、こういうふうに御理解をいただいたら結構かと思うのでございます。
  259. 津川武一

    ○津川委員 その次は、無事故割引制度、これも農林省はこの点よかったとかなり宣伝しているけれども被害農家は割り増し負担になりませんか。単位組合でやらせると赤字があるところはできませんね。したがって、この点は赤字のあるところでやらなければならない、やろうとすれば今度は被害を受けた農家の割り増し負担になってくる。そこで組合員の意見が分裂して、本当に一致して組合を進めていく、共済を進めていく体制にならない。したがって、これはやはりあらかじめ掛金率調整しておくことが必要だと思うのですが、意見を、方針を聞かせていただきます。
  260. 松浦昭

    松浦(昭)政府委員 簡単に御説明申し上げますが、掛金率の割引の制度はあくまでも料率の調節の一つの手段であるということを先ほどから申し上げておるわけで、先生おっしゃられるように、理想としては確かに各農家別に、特に果樹のように技術水準も違っているそういう形態の中で共済を実施する場合には、あらかじめ掛金率を個別化できればそれにこしたことはないわけでございますけれども、そこは、各個別の農家被害率というものをこのような新しい共済について設定するというのは非常にむずかしい、これはおわかりのとおりでございます。したがいまして、料率調整の事後的な措置ということでございまして、掛金率をこのような形で個別化して、その場合に、より専業的な農家が入り得るようにするということを考えたわけでございます。
  261. 津川武一

    ○津川委員 これも宣伝するときに本当に考えていかなければならないと思うし、単位の共済では大変なことになりますので、あらかじめ掛金率を決めておいてやるということはやれませんか。
  262. 松浦昭

    松浦(昭)政府委員 あらかじめ掛金率を決めてやるということは、先ほどから申しておりますように非常にむずかしいわけでございますが、この制度の導入に当たりましては、ただいま先生御心配のようなことが起こるといけませんので、導入の方法につきましては十分考慮しながら入れていくということを考えております。
  263. 津川武一

    ○津川委員 次は、この間の雪の害でございますが、山形県の南陽市で、豪雪の連続的な襲来で再生産に伴う復旧費、これはブドウだなです。その補修のためにお金がかかってきて、もう借金するわけにいかないほど行き詰まっているので、復旧費の融資に対して利子補給をしてほしいという、この質問のことで農水省に通告したら、現地を見て調べてみると言う。現地の方から私にも返事が来ました。そこで、利子補給ということも考えるが、一番大事なことは必要な資金を長期低利の融資をしてほしい、いままで借りておるお金の元利払いの延長などしてほしいというわけでございますが、今度の被害に苦しんでいる人たちに対する対策をひとつ伺わしていただきたい。  今度は山形県の高畠町、これもブドウ畑です。豪雪による雪害で、樹園地内排雪並びに資材運搬のための農道の除雪費。直しに行くにしてもいろいろなことをやるにしても、農道がなければ入っていけない。この地域はかなりの傾斜地なんです。したがって、除雪費の補助、援助が欲しいということなんです。  こういう点で三つ目には、天災融資法だとか早く発動してほしい。そういう点での天災融資法もしくは自創資金、そういう資金の面を早く援助してほしい、こう言う豪雪地帯の今度の被害の人たちですが、これに何とかこたえてあげてください、お願いします。
  264. 塚田実

    ○塚田政府委員 ただいまの三点の御質問につきまして順次お答えいたします。  まず、山形県南陽市の被害でございますけれども昭和五十五年一月三十一日から二月上旬にかけて豪雪が来まして、ただいま御指摘の市において果樹を中心にいろいろ被害が発生しております。御指摘のように、被害を受けた農家はいろいろ災害が累積しておりまして、負債がかさんでいるという実情にあると、私ども調査いたしましたけれどもまだ現時点でつまびらかには承知しておりませんが、そういうような状況にあるようでございます。そこで、私どもといたしましては、御案内のように、まず制度資金につきまして償還条件の緩和の措置を講ずることができます。それから自作農維持資金、それから果樹の改植あるいは施設の復旧を促進するための農林漁業金融公庫の資金等、いろいろ制度資金は私どもございますので、そういうものを現地の実情をにらみながら措置をしていくということが一番大事なことではないかと考えております。現地の実情をつまびらかに調べまして、こういうような措置の中で何とか工夫していきたい、こういうふうに考えております。  それから、第二番目の御質問は、農道の除雪の経費の問題でございます。御案内のように、除雪施設につきましては農業構造改善事業等におきまして補助する道が開かれておるわけでございますけれども、除雪経費という管理経費に対する助成は行っていないわけでございます。そこで、農道を管理しております豪雪地帯の市町村につきましては、御案内のように、基準財政需要額の算定上これらの要素が勘案されるということから、他の一般市町村より地方交付税が加算されているというようなことになっております。私ども、今後とも、農道等用排水路も含めまして土地改良施設につきましては、その機能が十分発揮できるように適切な管理を管理主体に指導していきたい、このように考えております。  最後に、第三点でございますが、今回の豪雪の被害は、御案内のように、融雪の時期を待ちませんとまだ被害の大きさがわかりませんので、天災融資法の発動ができるかどうか、現時点ではまだかなり小そうございますから、なかなかむずかしいと思いますけれども、しかし自作農資金というものもございます。そういうものを活用していきたいと考えておりますし、それから、先ほどもちょっと申しましたけれども制度資金の償還条件の緩和措置、私ども従来からこういう措置はとっておるわけでございますけれども、末端まで具体的にこの措置がおりなければ、現実の被害を受けた農家に対しまして有効に働かないわけでございますので、ごく最近も御指摘もいろいろありましたので、指導を改めてしたところでございます。
  265. 津川武一

    ○津川委員 現地からも陳情、要請があったと思いますし、これからも来ると思いますので、現地の町村とよく相談をして対策に遺憾ないことを期していただきたいのです。特交のことについても、皆さんからも自治省にも話していただければと思います。  最後に、ジューンドロップのことですが、去年の六月十八、十九日に百二十二億円の被害、このお金がいつもらえたかということなんです。三月三十一日にまとめて四月に払う。被害が六月の十八、十九日なんです。ひどい被害を受けて、秋になって収穫にもなってない。その共済金が来るのが、三月三十一日に最終的に決めて、四月に入ってからなんです。これでは農民の気持ちが納得しない。制度上そうなるならば、前払いをやるとか内払いをやるとか、そういうことがぜひ必要で、これが農災を運営していく上について農林省のせめてもの愛情だと思うのですが、これでいいのか。何か対策が必要と思いますが……。お答え納得すればこれで終わります。
  266. 松浦昭

    松浦(昭)政府委員 確かに、ジューンドロップの被害、特に青森県では大きかったということはよく存じております。また、そのお金が支払われたのはかなり遅いということもよく知っておりますが、この経緯を私も調べてみたのでございますけれども、五十三年のリンゴについては、六月の異常気象で、幼果期でございますが、まだ果実が若かったところにはなはだしい落果があった。そこで、それだけじゃなくて、その後遺症によりまして果実の肥大が抑制されるといったような被害が発生した。そこで農林水産省といたしましては、昭和五十三年の九月二十六日付で「農作物共済、蚕繭共済及び果樹共済に係る被害に対する共済金及び保険金の仮渡し等について」という通達を出しまして、仮渡しをしてもよろしいということを言ったのでございます。ところが、青森県におきましては、果実の肥大に伴いさらに落果するものやあるいは奇型果が続発するのではないかということで、むしろ、地元の農業共済団体として、途中で損害評価を行って仮渡しをするよりは、収穫期においてやった方がいいという御判断に立ちまして、損害評価を行われたというように聞いております。もちろんこういう場合の適切な判断というのは地元にお任せをせざるを得ないわけでございますけれども、私どもといたしましては、仮払いの制度もございますし、また、再保険金等はかなり早く支払ったという経過でもございますので、さような点は御了承いただきたいというふうに思うわけでございます。
  267. 津川武一

    ○津川委員 終わります。
  268. 内海英男

    内海委員長 次回は、来る二十五日火曜日午前九時五十分理事会、午前十時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします     午後五時十三分散会